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   公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案要綱


第一 行政文書の管理の適正化
 一 行政文書の定義の見直し
   行政文書の要件のうち、「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして」の部分を削除すること。
(第二条第四項関係)
 二 文書の作成義務等
  1 閣議等及び審議会等の議事録の作成等
   p 閣議等及び審議会等の議事については、議事録を作成しなければならないものとすること。
(新第四条第二項関係)
   q pの議事録には、開催された日時、出席した者の氏名、議事その他の政令で定める事項を記載しなければならないものとすること。                 (新第四条第三項関係)
   r 国立公文書館等の長は、当該国立公文書館等で保存されている閣議等の議事録が行政文書として作成されてから三十年を超えない範囲内で政令で定める期間を経過している場合には、これを公表しなければならないものとすること。ただし、時の経過を考慮してもなお公表を制限するに足りる特段の理由がある場合には、この限りでないものとすること。   (新第二十三条第二項関係)
   s rの場合において、議事録に、公にすることにより国の安全が害されるおそれ、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ等があると認めることにつき相当の理由がある情報が記録されている場合であるとして利用制限が適切であると認める旨の意見が付されている場合には、国立公文書館等の長は、あらかじめ、意見書を提出する機会を与えなければならないものとすること。
(新第二十三条第三項関係)
  2 国会議員等からの要求に係る文書の作成
    行政機関の職員は、当該行政機関における意思決定(法令の制定又は改廃等に係るものを除く。)又は当該行政機関の事務若しくは事業の実施に関し、次に掲げる者から、個別的又は具体的な要求(照会を含む。以下同じ。)(その職務として行う要求であって政令で定めるものを除く。)がされたときは、その要求の内容及びその要求への対応等の経過の詳細を記載した文書を、その適正性の確保のための政令で定める手続(その者に対して記載内容の確認のための署名を求める手続を含む。)に従い、作成しなければならないものとすること。             (新第四条第四項関係)
   @ 衆議院議員又は参議院議員
   A 国務大臣、副大臣若しくは大臣政務官又はこれらに準ずる者として政令で定める者
   B 衆議院議員若しくは参議院議員の秘書(国会法第百三十二条に規定する秘書その他衆議院議員又は参議院議員に使用される者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するものをいう。)又はこれらに準ずる者として政令で定める者
   C Bに掲げる者のほか、@若しくはAに掲げる者の活動を補佐し、又はこれらの者と一体的に活動する者とみなされる者として政令で定める者
 三 改ざんの防止その他の管理の適正化
  1 電磁的記録による行政文書の管理
   p 行政文書の管理は、原則として、電子計算機を用いて電磁的記録により行うものとすること。
(新第三条の二第一項関係)
   q 電磁的記録により行政文書の管理を行うに当たっては、電磁的記録の改変等が行われていないかどうかを確認することができる高度な情報処理技術の適切な活用を図るよう努めるものとすること。
(新第三条の二第二項関係)
  2 行政文書の決裁に係る手続
    行政文書の決裁(行政機関の意思決定の権限を有する者が押印、署名又はこれらに類する行為を行うことにより、文書の内容を行政機関の意思として決定し、又は確認する行為をいう。以下同じ。)に係る手続は、行政機関の長その他の職員の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、行政文書の管理に係る業務のために使用するものを利用して行われなければならないものとすること。ただし、災害その他の政令で定めるやむを得ない事情がある場合は、この限りでないものとすること。                    (新第四条の二関係)
  3 行政文書ファイルの作成
    行政機関の長は、国の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務を全うするよう、行政文書ファイルをまとめなければならない旨を明記すること。       (第五条第二項関係)
  4 決裁済行政文書の変更の禁止
   p 行政機関の職員は、誤記その他これに類する明白な誤りを訂正する場合を除き、決裁済行政文書(行政機関の意思決定の権限を有する者が押印、署名又はこれらに類する行為を行うことにより、その内容を行政機関の意思として決定し、又は確認した行政文書をいう。以下同じ。)の記載又は記録を変更してはならないものとすること。           (新第八条の二第一項関係)
   q 総括文書管理者(行政機関の長を補佐し、当該行政機関全体を総括する立場で文書管理に当たる者として各行政機関に置かれる者をいう。)は、pに違反する行為が行われることを防止するために必要な措置を講じなければならないものとすること。      (新第八条の二第二項関係)
   r pに違反した者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処するものとすること。
(新第三十五条関係)
  5 行政文書管理指針の策定等
   p 内閣総理大臣は、行政文書の管理に関する指針(以下「行政文書管理指針」という。)を定めるものとし、行政文書管理指針においては、決裁に係る行政文書の管理に関し留意すべき事項を定めるものとすること。また、行政文書管理指針において整理に関する基本的な事項を定めるに当たっては、国の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるよう配慮しなければならないものとすること。                     (新第九条の二関係)
   q 内閣総理大臣は、行政文書管理指針を定め、又は変更しようとするときは、公文書管理委員会に諮問しなければならないものとすること。            (新第二十九条第二号関係)
   r 行政機関の長は、行政文書管理指針に基づき、行政文書管理規則を設けなければならないものとすること。                             (第十条第一項関係)
 四 行政文書ファイル等の永久保存
  1 歴史公文書等に該当する行政文書ファイル等に係る移管日の設定等
   p 行政機関の長は、歴史公文書等に該当する行政文書ファイル等について、政令で定めるところにより、できる限り早い時期に、国立公文書館等に移管する日を設定しなければならないものとすること。                              (新第五条第四項関係)
   q 行政機関の長は、行政文書ファイル等に機密に関する事項が含まれていることその他の事由により当該行政文書ファイル等を当該行政機関において引き続き保存することが必要やむを得ない場合として政令で定める場合に限り、pにより設定した国立公文書館等に移管する日(以下「移管日」という。)を、政令で定めるところにより、当該移管日後の日に変更することができるものとすること。これを当該日後の日に変更しようとするときも、同様とすること。(新第五条第五項関係)
  2 行政文書ファイル等の保存
    行政機関の長は、行政文書ファイル等について、その内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で、永久に(歴史公文書等に該当するものにあっては、移管日までの間)保存しなければならないものとすること。                   (第六条第一項関係)
  3 歴史公文書等に該当する行政文書ファイル等の国立公文書館等への移管等
   p 行政機関の長は、歴史公文書等に該当する行政文書ファイル等で移管日が到来したものについて、政令で定めるところにより、国立公文書館等に移管しなければならないものとすること。
(第八条第一項関係)
   q 行政機関の長は、pにより国立公文書館等に移管した行政文書ファイル等の写し(電磁的記録である行政文書ファイル等にあっては、これと同一の内容の電磁的記録)であって、その移管の際当該行政機関が保有しているものがあるときは、政令で定めるところにより、これを管理しなければならないものとすること。                     (新第八条第三項関係)
第二 法人文書の管理の適正化
 一 法人文書の定義の見直し
   法人文書の要件のうち、「当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして」の部分を削除すること。                            (第二条第五項関係)
 二 その他
   法人文書についても、第一の二(1のr及びsを除く。)、三の1〜3及び四と同様とすること。
(第十一条関係)
第三 特定歴史公文書等の利用制限の緩和
  1 利用請求に係る特定歴史公文書等に利用制限が適切であると認める旨の意見が付されている場合に、国立公文書館等の長に対し当該意見の参酌を義務付ける規定を削除すること。
(第十六条第二項関係)
  2 国立公文書館等の長は、利用請求に係る特定歴史公文書等が行政文書又は法人文書として作成又は取得されてから三十年を経過している場合には、これを利用させなければならないものとすること。ただし、時の経過を考慮してもなお利用を制限するに足りる特段の理由がある場合には、この限りでないものとすること。                       (新第十六条第三項関係)
  3 2の場合において、利用請求に係る特定歴史公文書等に、公にすることにより国の安全が害されるおそれ、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ等があると行政機関の長等が認めることにつき相当の理由がある情報が記録されている場合であるとして利用制限が適切であると認める旨の意見が付されている場合には、国立公文書館等の長は、あらかじめ、当該行政機関の長等に対し、意見書を提出する機会を与えなければならないものとすること。        (第十八条第三項関係)
第四 管理の適正化のための体制の強化等
 一 行政文書の専門的知識に基づく適正な管理のための体制整備
  1 行政機関の長は、行政文書の管理に関する専門的知識をもって助言、指導等を行う者の配置その他の行政文書の管理が専門的知識に基づいて適正に行われるようにするために必要な体制の整備をしなければならないものとすること。                    (新第八条の三関係)
  2 行政文書管理規則の記載事項として、「管理体制の整備に関する事項」を追加すること。
(新第十条第二項第六号関係)
 二 公文書管理委員会の委員の任命
   公文書管理委員会の委員は、公文書等の管理に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものとすること。          (第二十八条第五項関係)
 三 独立公文書管理監
  1 独立した公正な立場において行政文書の管理の状況を常時監視する等のため、内閣府に、独立公文書管理監を置くものとすること。                (新第三十条の二第一項関係)
  2 独立公文書管理監は、その所掌事務の遂行につき独立した公正な立場において判断をすることができる者のうちから、内閣総理大臣が任命するものとすること。   (新第三十条の二第二項関係)
  3 独立公文書管理監は、行政文書の管理の状況の監視等の事務を所掌するものとし、当該事務に関し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができるものとすること。        (新第三十条の三第一項及び第三項関係)
  4 独立公文書管理監は、決裁済行政文書の適正な管理を図るため必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は実地調査をすることができるものとすること。この場合において、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力の求めを受けたもの又は実地調査を受けるものは、これに応じなければならないものとすること。
(新第三十条の三第二項関係)
 四 行政文書の管理の適正に関する通報
  1 行政機関の職員は、この法律に違反する事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合には、独立公文書管理監に対し、その旨を通報することができるものとすること。
(新第三十条の四関係)
  2 行政機関の職員は、1による通報をしたことを理由として、免職、休職、降任、降給その他不利益な取扱いを受けないものとすること。                 (新第三十条の五関係)
  3 1による通報をされた独立公文書管理監は、必要な調査を行い、当該通報に係る事実があると認めるときは、当該通報に係る行政機関の長に対し、当該事実の中止その他是正のために必要な措置をとるよう求めなければならないものとすること。             (新第三十条の六関係)
第五 その他
 一 裁判所の文書管理の在り方についての検討
   裁判所の文書の管理の在り方についての検討に当たっては、裁判所の事件に関する記録その他の書類(以下「事件記録等」という。)の中には、歴史的、社会的な意義を有し、国民共有の知的資源として保存されるべきものが含まれることに留意し、重要な事件記録等が確実に保存されるよう、事件記録等の保存に関する基準、その適切な運用を確保するための体制の整備等について検討が行われるものとすること。                          (制定附則新第十三条第三項関係)
 二 施行期日
   この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、一及び三は、公布の日から施行すること。           (改正法附則第一条関係)
 三 法制上の措置等
   政府は、公文書等の管理に関する法律第三条の特別の定めがある法律の一覧性を確保するために必要な法制上の措置を講ずるもの等とすること。              (改正法附則第二条関係)
 四 経過措置
  1 第一の三の2は、この法律の施行の日以後にその手続が開始される行政文書の決裁について適用するものとすること。                        (改正法附則第三条関係)
  2 この法律の施行の際保存期間が満了していない行政文書ファイル等及び法人文書ファイル等について、所要の経過措置を設けること。                 (改正法附則第四条関係)
 五 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部改正
   特別防衛秘密についても、公文書等の管理に関する法律の規定を適用すること。
(改正法附則第六条関係)
 六 その他
   その他所要の規定を整備すること。

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