第14号 令和4年12月8日(木曜日)
令和四年十二月八日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第十二号
令和四年十二月八日
午後一時開議
第一 地方自治法の一部を改正する法律案(総務委員長提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案(総務委員長提出)
消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(内閣提出)
法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(内閣提出)
午後一時二分開議
○議長(細田博之君) これより会議を開きます。
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○議長(細田博之君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。
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日程第一 地方自治法の一部を改正する法律案(総務委員長提出)
○議長(細田博之君) 日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。総務委員長浮島智子君。
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地方自治法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔浮島智子君登壇〕
○浮島智子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
本案は、地方議会議員のなり手不足など、地方議会が現に直面する課題に適切に対応するため、地方議会議員に係る請負に関する規制について、請負の定義を明確化するとともに、議員個人による請負に関する規制を緩和することとしております。
また、災害等の場合における地方議会の開会の日の変更に関する規定を整備するほか、立候補に伴う休暇等に係る政府の措置等について定めることとしております。
本案は、去る六日、総務委員会におきまして、賛成多数をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
なお、本委員会におきまして、地方議会における多様な人材の確保及び地方議会のオンライン開催に関する件について決議が行われたことを申し添えます。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(細田博之君) 採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
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○佐々木紀君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
内閣提出、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(細田博之君) 佐々木紀君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(内閣提出)
法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(内閣提出)
○議長(細田博之君) 消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。消費者問題に関する特別委員長稲田朋美君。
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消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び同報告書
法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔稲田朋美君登壇〕
○稲田朋美君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、消費者問題に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案は、社会経済情勢の変化等に対応して、消費者の利益の擁護を更に図るため、消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる範囲を拡大するとともに、取消権の行使期間を伸長する等の措置を講ずるほか、独立行政法人国民生活センターの業務として適格消費者団体が行う差止め請求関係業務の円滑な実施のために必要な援助を行う業務を追加する等の措置を講じようとするものであります。
次に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案は、法人等からの寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護等を図る観点から、法人等による不当な寄附の勧誘を禁止し、当該不当な寄附の勧誘を行う法人等に対する行政上の措置等を定めるとともに、寄附の意思表示の取消しの範囲の拡大及び扶養義務等に係る定期金債権を保全するための債権者代位権の行使に関する特例の創設等の措置を講じようとするものであります。
両法律案は、去る十二月六日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、同日、河野国務大臣から趣旨の説明を聴取した後、質疑に入り、昨七日には参考人からの意見聴取を行い、本日、岸田内閣総理大臣に対する質疑を行い、質疑を終局いたしました。
質疑終局後、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党の提案による修正案が、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に対し、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による修正案並びに日本共産党の提案による修正案がそれぞれ提出され、各修正案の趣旨の説明を聴取いたしました。
次いで、両法律案及び各修正案を一括して討論を行い、順次採決いたしましたところ、まず、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案につきましては、日本共産党の提案による修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案につきましては、日本共産党の提案による修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
なお、両法律案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(細田博之君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。本村伸子君。
〔本村伸子君登壇〕
○本村伸子君 日本共産党を代表して、消費者契約法等一部改正案に賛成、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に対し反対の討論を行います。(拍手)
統一協会は、半世紀にわたり、違法な霊感商法、高額献金で人々の財産を収奪し、一人一人の人生を壊すなど、被害を広げてきました。これを放置してきた政府の責任は重大です。
統一協会の被害は、この間の野党国対ヒアリングなどを通じて、被害が信者にとどまらず、その家族や子供にまで及ぶという、その深刻さ、異常さが明らかになりました。こうした被害を二度と引き起こさないようにすることが政府に求められました。これは、統一協会と政府・自民党の癒着の徹底解明と一掃の課題とともに、今国会の重要な責務です。
ところが、政府が提出した法案は、その審議の最初から、統一協会の被害実態からすると不足しているところが幾つもあると被害者救済に携わってきた参考人から指摘されました。なぜこのような法案しか出せないのでしょうか。それは、政府・自民党が統一協会との長年にわたる癒着、持ちつ持たれつの関係に正面から向き合おうとしていないことにその原因があると言わざるを得ません。
新法に求められているのは、統一協会の被害の中心であるマインドコントロール下で行われている献金を禁止する法律になるかどうかでした。この点で政府案は極めて不十分です。
とりわけ、禁止行為、四条六号の、寄附に際して、不利益を回避するための寄附が必要不可欠なことを告げ、困惑させてはならないとの要件は、統一協会の被害実態に合っておらず、救済の範囲を狭めています。
補うものとして、自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにするとの配慮義務が盛り込まれましたが、参考人からは、配慮義務だけではほとんど役に立たない、禁止行為とするべきとの指摘がなされました。この意見を受け止め、被害救済と再発防止のための実効あるものに修正するべきです。
我が党は、本日、委員会で修正案を提案いたしました。
第一に、マインドコントロール下で献金をした場合に適用する規制を設けることです。
統一協会は、高額献金を求めることも秘匿し、正体を隠し、自由な意思決定ができない状態にし、教義の実践として献金などをさせます。信者は困惑せず、教義への確信、使命感などから進んで寄附を行っているケースに対処するべきです。
第二に、配慮義務規定全体を禁止規定とすることです。
配慮義務として、寄附の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすることや、正体を隠して寄附金の使途を誤解させることは、当然禁止されるべきです。
被害者の方々や被害救済に取り組む弁護団、統一協会二世の方々の声に応えるためには、少なくとも、我が党の修正案の実現が必要です。極めて不十分な法律をそのまま採決することは認められません。
最後に、自民党と統一協会の癒着の解明、癒着の一掃の徹底を強く求めます。統一協会のイベントに参加し、祝電を送り、広告塔の役割を果たしてきた政治家の責任は重大です。
さらに、統一協会の解散命令請求は必要不可欠です。政府は質問権を行使し、あしたが回答期限ですが、統一協会の側が違法行為を裏づける新たな事実を答えない場合でも、判決などで統一協会の法令違反の組織性、悪質性、継続性は明らかであり、速やかに解散命令請求に踏み切るべきです。
以上を指摘し、反対討論といたします。(拍手)
○議長(細田博之君) 柿沢未途君。
〔柿沢未途君登壇〕
○柿沢未途君 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
今回の法律案の立案及び審議の道のりは、国会の歴史上でも画期的なものとなりました。
旧統一教会をめぐる被害の実態が改めてクローズアップされ、その中で、家庭崩壊や破産に至るような多額の寄附をさせられ、ゆがんだ宗教教義やそれに基づく家族内の虐待とも言える行為に子供たちが苦しめられている深刻な状況に関心が高まりました。
これらを受けて、与党、野党それぞれの議論が行われ、それがいわば合流する形で、臨時国会開会後、自民、公明、立憲民主、維新の与野党協議会が設置されました。正式な会議だけでも九回にわたる法律案に関する協議が行われ、加えて、他の党派からも国会審議その他で御意見をいただき、それらを最大限取り込んだ形で今回の内閣提出二法律案が立案されました。
法律案の国会提出後も、被害救済のためにより実効性を持たせた内容とすべく、寄附の勧誘に際しての配慮義務に関する追加的な条文を盛り込んだのを始め、最後の最後まで政党間協議による修正が加えられました。その結果、憲法上認められた個人の財産権や信教の自由を侵害することを避けつつ、宗教教義等を隠れみのとして財産を巻き上げるような悪質な寄附等の勧誘行為を規制、抑止し、被害の防止、被害者の救済に資する内容の法律案になったと考えます。
限られた会期の中で、与野党が互いに提案と歩み寄りを重ねながら、政府実務者も不眠不休とも言える努力を続けました。国会における審議日程も工夫を重ね、こうして採決を迎えたのも画期的だと思います。ここまでの道のりに関わられた全ての皆様に敬意を表する次第です。
以上を申し上げた上で、両法律案に賛成する理由を述べます。
第一に、被害者救済に資する内容となっている点です。
これまでの霊感商法に係る取消権の規定は、旧統一教会の問題等で明らかになった被害の実態と合っていないという課題がありました。これに対し、消費者契約法の改正で霊感商法に係る取消権の範囲の拡大やその行使期間の延長を行うとともに、新法で消費者契約法の対象とならない寄附についても取消権を措置し、消費者契約法と相まって、被害の回復を図れるようになります。また、新法で寄附の勧誘に当たっての配慮義務を創設することで、不当な勧誘が行われた場合の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求が容易となります。
さらに、旧統一教会問題においては、本人のみならず、その家族が被る被害の深刻性についても指摘されています。いわゆる宗教二世等の問題です。この点、新法では、子供や配偶者等が扶養債権に基づき寄附者本人の取消権を代位行使しやすくすることや、寄附の勧誘に当たって、多額の寄附で本人や家族の生活の維持を困難にすることがないよう配慮義務が措置されております。
加えて、被害に遭われた方々が実際に被害回復を行いやすくするために、改正法においては独立行政法人国民生活センターが行うADRの迅速化、新法においては法テラスと関係機関が連携した相談体制の整備等、より実効的な被害救済が図られることが期待されます。
第二に、新法は、被害防止に資するものとなっています。
旧統一教会の問題の特徴として、多額の寄附で寄附者やその家族の生活の維持が困難となるという実態が見られ、また、正体を隠して接近したり、寄附者をいわゆるマインドコントロール下に置く状況をつくり出すといった手口が問題視されています。このような被害実態を踏まえ、新法では、社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘行為を禁止し、これに対する勧告、命令等の行政上の措置を導入するとともに、行政処分に違反した場合の罰則も設けております。
このように新たに行政上の措置等を導入することによって不当な寄附の勧誘による被害の未然防止機能を強化することで、取消権等の民事ルールによる被害救済手段と相まって、寄附の勧誘を受ける者の保護を実効的に図ることが期待されます。
以上、両法律案に賛成する主な理由を申し述べました。
両法律案は、被害をもたらすような社会的問題のある法人等による悪質な寄附等の勧誘を排除しつつも、社会において重要な役割を果たしている歴史と伝統ある宗教法人や公益法人、NPO法人等が運営等のための寄附を募る行為を決して萎縮させることがないよう、むしろ、寄附文化の醸成が促進されるような配慮がなされております。
その点を申し添えた上で、この間の一連の経過を踏まえて、党派を超えた議員各位の幅広い御賛同を賜りますことをお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) 森田俊和君。
〔森田俊和君登壇〕
○森田俊和君 立憲民主党の森田俊和でございます。
議題となりました法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
七月の銃撃事件以降、立憲民主党は、いち早く旧統一教会被害対策本部を立ち上げ、宗教二世や元信者の被害者の皆さん、弁護団の皆さんから被害の実態を伺ってまいりました。
小川さゆりさんは、御家庭が寄附を続けていたことから経済的な困窮状態で、学校ではいじめの被害に遭われていました。学生時代などのバイト代の約二百万円も親に没収され、同じ時期に親は高額の寄附をしていました。旧統一教会による苦しみからこれからの子供たちを救いたいと、与野党のヒアリングに参加し、被害を訴えてこられました。
橋田達夫さんは、元妻が入信し、合計約一億円もの高額献金をめぐり夫婦間でけんかが絶えず、離婚せざるを得なくなり、家庭は崩壊し、息子さんは自ら命を絶たれております。橋田さんも、これからの子供たちを同じような旧統一教会による被害に遭わせたくないと訴えておられます。
小川さんや橋田さんの被害は珍しい事例ではありません。マインドコントロールにより合理的な判断ができなくなり、御自身の生活や御家族を犠牲にするほどの献金をしてしまう、そのような被害が、旧統一教会に関連し、過去三十年以上、多数、繰り返し発生しているのです。
このような状況を立法府がこれ以上無視するわけにはいきません。必ず救済につなげる、その決意を持って、国会の閉会中から立憲民主党は五十回以上の会合を連日開催し、日本維新の会との共同提出で十月十七日に悪質献金被害救済法案を提出しました。
法案を提出した当初、政府は、今国会には消費者契約法等の改正しか提出しない、本命である悪質な高額寄附に対応する法案は今国会には出さないとの姿勢でした。しかし、今国会で法案が成立しなければ来年になってしまう、そんなわけにはいかない。立憲民主党と日本維新の会が与野党協議や幹事長会談などを通じて粘り強く働きかけたことで、ようやく政府から法案が提出されました。
今回、政府の法案は、旧統一教会などの悪質献金等被害の予防、救済の実効性確保の観点から、配慮義務規定に報告や公表が追加されるなど一定の前進はありましたが、寄附の取消し要件が厳しく、立証が困難であること、マインドコントロールの影響を受けた本人が権利を請求するには時効が短過ぎること、本人や家族の救済手段である債権者代位権の行使は現実的ではないことなど、不十分な点が残されています。
しかし、三十年もの長きにわたり政治も行政も問題を放置してきたことを反省し、まずは今回の法案を最初の一歩、歴史的な一歩とし、今後の予防、救済策の実効性を向上させなければなりません。私たちの議員立法による提案がきっかけとなり、与野党協議が重ねられ、政府による被害者救済法が成立することは、国会のあるべき熟議のモデルとして、歴史に残るものと確信しております。
積み残された課題を必ず前進させるとの決意を持って、また、一日も早く被害者の皆様が苦しみから解放されるための対策を実行に移すことを強く要望し、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) 池畑浩太朗君。
〔池畑浩太朗君登壇〕
○池畑浩太朗君 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
ただいま議題となりました、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案並びに法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案について、会派を代表して、賛成の立場から討論いたします。(拍手)
安倍晋三元総理が凶弾に倒れた、前代未聞のあの痛ましい事件から五か月が経過いたしました。
我々日本維新の会では、事件の背景となった悪質な献金による被害を救済し予防するための法整備が必要であると、早急に専門タスクフォースを立ち上げ、被害者やいわゆる宗教二世、被害者弁護に関わる弁護士、民法に関する学者を始めとする有識者などの意見を伺いながら、党内議論を重ね、十月十七日には、立憲民主党と共同で、特定財産損害誘導行為による被害の防止及び救済等に関する法律案を国会に提出いたしました。
翌々日の十九日には、自民党、公明党、立憲民主党及び我が党の四党による与野党協議会の設置が決まり、その後、九回にわたって、我々の考え方そして要望、修正点等をるる主張し、精緻な議論を重ねてまいりました。与党が今国会では現行法の改正が精いっぱいとの姿勢を崩さない中、十一月七日、岸田総理が、政府として新法を今国会中に提出するように最大限努力すると発言されたことを受け、与野党協議会と並行して幹事長会談も数次開催され、十一月十八日には消費者契約法等改正法案、十二月一日には寄附不当勧誘防止法案が国会に提出されました。
元々は問題の先送りをするつもりだった政府・与党を突き動かし、本日、こうして現行法の改正そして新法が本院で採決を迎えることが可能になったのは、被害者当事者の切実な声、被害者弁護団の意見表明、国会がしっかりと機能を果たすべきとの多くの国民の声であることは論をまちませんが、我々日本維新の会と立憲民主党がそうした声にお応えし、共同で具体的な法案を提出し、粘り強く建設的な提案を続けたことが大きな一助となったと自負しております。
提出された閣法では、これまで我々が主要な論点として主張し要望してきた項目については、その一部が反映されました。
具体的に言えば、被害者や家族の救済を図る観点からの、マインドコントロールに陥れることを含む社会的に許容されない悪質な行為に対する規制、それによってなされた寄附の意思表示の取消しや、子供や配偶者などの家族の被害を救済する措置、被害を防止する観点からの、寄附における上限目安の設定、行政処分にとどまらない刑事罰の導入、相談体制の整備などであります。
個々の項目の内容については、我々が提出した法案と比べて不十分ではあるものの、この法案が、旧統一教会だけでなく全ての法人等、つまり、適正に運営されている宗教法人や特定非営利法人などを始め広く団体一般も対象になり得ること、憲法上の信教の自由や財産権や自己決定権などの制約があることも十分に理解をしています。その上で、社会的に許容されない悪質な勧誘行為を禁止するために、バランスを取りながら、少しでも実効性を高めるという観点から、与野党でぎりぎりの議論、調整を行い、国会提出後も、我が党の主張にのっとり、配慮規定について行政措置を適用することとしたこと、十分に配慮しなければならないとしたこと、検討条項を三年から二年に見直したこと等、修正もなされました。また、附帯決議においても、我が党が要求した項目をほぼ全て盛り込むことができました。
以上の観点から、我が党としては、内容としては満点ではないものの、ゼロという結果よりも、少しでも今より前進する足跡をしっかりと残していくことが政治の責任であるとの判断により、本案に賛成するものであります。
最後に、これまでの与野党協議会における与野党の実務者、そして何より消費者庁を始めとする関係省庁の皆様の御尽力に改めて感謝を申し上げるとともに、日本維新の会は、今後とも、被害者救済に向けてなお残る課題について率先して国会審議をリードしていくことを申し上げ、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) 田中健君。
〔田中健君登壇〕
○田中健君 国民民主党の田中健です。
私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案並びに法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に賛成の立場で討論をいたします。(拍手)
本年七月八日に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件。その後、旧統一教会の問題が明らかになる中、主に二つの論点に焦点が当たりました。一つは、献金被害に遭った家族をどう救済するか、もう一つは、旧統一教会という宗教法人を解散させるべきかという議論です。
今回の法案制定の過程で、私たち国民民主党は、与野党協議で、当初から、心理的支配利用に伴う暴利行為による寄附の募集を禁じる規定、家族による損害賠償請求を可能とする民法の特例を創設することを提案してきました。その内容が配慮義務の第三条一号、二号に盛り込まれることになりました。また、三号に関しても、参考にすべきと提案していた公益法人法第十七条三号にある、財産の使途について誤認させるおそれのある行為を基に配慮義務がつくられたと聞いています。
このように、新法の骨格は、国民民主党が与野党協議で提案した考え方を反映したものになっています。もちろん、完璧なものではなく、多くの課題は残りますが、今でき得る限りの対策を盛り込み、契約だけでなく単独行為も対象とするなど、法人等からの寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護、そして被害者の救済が前進したと考え、賛成することといたしました。
今回の新法案が分かりづらいのは、寄附の禁止行為と配慮義務が別々であるがごとく議論をされてきたことです。寄附募集に当たっては、規範となる配慮義務という大枠の中に、特に悪質である禁止行為を定め、違反した場合の罰則規定を設けたという枠組みです。そもそも、配慮義務の内容自体も行ってはいけないことであります。だからこそ、配慮義務に違反して寄附を集めることが民法七百九条の不法行為に当たり、同条に基づく損害賠償請求対象となり得ること、そして、寄附により生活が困難になった配偶者や扶養親族も被害者として民法七百九条の不法行為による損害賠償請求の当事者となり得ることを質疑の中で明らかにしました。
また、第三条二号、家族への配慮義務違反は、宗教法人法第八十一条一項一号の法令違反に当たり、正体隠しや身分を偽っての伝道は、第三条三号、配慮義務違反になると同時に、宗教法人法八十一条一項二号の宗教団体の目的を著しく逸脱した行為に当たることも明らかとなりました。
つまり、新法第三条に定める配慮義務に違反して寄附を集めることが組織的、継続的、悪質な形で行われた場合には、宗教法人法八十一条一項に基づく解散命令の対象になり得るということです。今回の新法と宗教法人法がしっかりと連携していることが分かります。
他方、債権者代位権の特例をつくって家族の救済措置を広げたこと、将来の教育費などについても返金を求めることができるようになることは評価しますが、一方、特別代理人の選任の壁、扶養義務の範囲が狭いことと、無資力要件があるため取り戻せる額が限定されることが課題として挙げられています。債権者代位制度の実効性を検証すること、親等の無資力要件の適用について家族の状況等を踏まえて柔軟に対応することを求めます。
新法案は、寄附を対象としたことで、つぼを売る等の売買には適用とならず、問題となっている霊感商法は現行の消費者契約法の取消しでしか対応できません。今後の見直しの際には、広く心理的支配を作出及び利用することを禁ずる規定を刑法に定めることも視野に入れ、その際には、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律と関連づけることも併せて検討することを求めます。
さらに、法テラスの機能強化に当たっては、法テラスが利用者に負担を求める立替え償還制度となっており、困窮した配偶者や未成年の信者二世などの利用はしにくい状況にあります。給付制の導入など、利用者の経済的負担を軽減するための実効的な対策を講じることを求めます。
最後に、献金をどう扱うかは、自分の財産の使い道は自分で決めるという基本的な財産権との衝突をどう回避していくかというのが大きな問題です。
三十年来政治が放置してきた旧統一教会の問題は、この法律が成立したからといって、全てが解決するわけではありません。今後、宗教法人法の改正による献金規制の在り方を議論し、中長期的には、カルト対策の検討会をつくり、本質的な問題解決に迫る体制づくりが不可欠と考えます。その取組を是非皆さんで前に進めていくことを求めて、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(細田博之君) これより採決に入ります。
まず、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
――――◇―――――
○議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十九分散会
――――◇―――――
出席国務大臣
総務大臣 松本 剛明君
国務大臣 河野 太郎君