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第1号 平成30年2月23日(金曜日)

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本分科会は平成三十年二月二十一日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      江藤  拓君    菅原 一秀君

      田中 和徳君    山本 有二君

      小熊 慎司君    藤野 保史君

二月二十二日

 田中和徳君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成三十年二月二十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 田中 和徳君

      泉田 裕彦君    岩田 和親君

      江藤  拓君    菅原 一秀君

      藤井比早之君    古川  康君

      山本 有二君    青山 大人君

      小熊 慎司君    藤野 保史君

   兼務 神谷  昇君 兼務 神谷  裕君

   兼務 堀越 啓仁君 兼務 吉田 統彦君

   兼務 山岡 達丸君 兼務 浜地 雅一君

   兼務 鰐淵 洋子君 兼務 福田 昭夫君

   兼務 丸山 穂高君

    …………………………………

   農林水産大臣       齋藤  健君

   環境大臣         中川 雅治君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   内閣府大臣政務官     武部  新君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 境   勉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 並木  稔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官)  塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           東   潔君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            米村  猛君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  上原  淳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          梅田 珠実君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        山本 昌宏君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

   環境委員会専門員     関  武志君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  山本 有二君     岩田 和親君

  小熊 慎司君     森田 俊和君

  藤野 保史君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     泉田 裕彦君

  森田 俊和君     青山 大人君

  赤嶺 政賢君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     古川  康君

  青山 大人君     小熊 慎司君

  宮本 岳志君     藤野 保史君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     藤井比早之君

  藤野 保史君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     山本 有二君

  田村 貴昭君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     藤野 保史君

同日

 第一分科員浜地雅一君、第二分科員福田昭夫君、第三分科員堀越啓仁君、第五分科員神谷昇君、山岡達丸君、第七分科員神谷裕君、吉田統彦君、鰐淵洋子君及び丸山穂高君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

田中主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。齋藤農林水産大臣。

齋藤国務大臣 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明します。

 我が国の農林水産業に活力を取り戻し、いかにして魅力ある成長産業にしていくか。そのことが、美しく活力ある農山漁村の実現につながっていくとの確信のもと、安倍内閣においては、これまでの五年間、意欲ある農林漁業者の創意工夫を生かし、所得の向上を実現するための改革に全力で取り組んでまいりました。

 その結果、平成二十八年の農業総産出額は過去十七年で最高の九・二兆円、生産農業所得も過去十八年で最高の三・八兆円に達するなど、成果があらわれ始めています。

 しかしながら、我が国においては、昨年一年間だけで、前年より七万人以上多い実に四十万三千人もの人口が減少しました。そして、今後もそのペースは加速することが見込まれます。

 この人口減少のスピードを考えれば、成長産業化の取組のために残された時間は多くはありません。これまでの歩みを緩めることなく前進し、農林漁業者のさらなる所得向上を実現すべく、今後とも、緊張感を持って、農林水産業全体にわたる改革を強力に展開していかねばなりません。

 引き続き、担い手への農地の集積、集約化や米政策改革、そして輸出促進等の農政改革を確実に前進させてまいります。加えて、昨年十二月に改訂した農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、新たな森林管理システムの構築による抜本的な林業改革に取り組むとともに、本年夏を目途に、水産業の具体的な改革案を取りまとめます。

 次に、平成三十年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 平成三十年度農林水産予算の総額は、関係府省計上分を含めて二兆三千二十一億円、その内訳は、公共事業費が六千八百六十億円、非公共事業費が一兆六千百六十一億円となっています。

 農林水産予算の編成に当たっては、農林水産業の成長産業化と美しく活力ある農山漁村を実現するため、農林水産業・地域の活力創造プランに基づく農政改革等を着実に実行するのに必要な予算を重点的に措置したところであります。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま齋藤農林水産大臣から申出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。

岩田分科員 皆さん、おはようございます。自民党の岩田和親でございます。

 本日は、この予算委員会第六分科会で質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 私、実は、今回で三回連続この農水関係の委員会のトップバッターを務めることになっておりまして、何か、何となくラッキーな感じがしておるところであります。どうラッキーかと聞かれると答えに困るところですが、やはり何でも前向きに捉えることはいいことなんだろう、そういうふうに思いながら、農林水産もいろいろ大変な課題がありますけれども、ぜひ前向きな形で進めていきたい、こういう思いを込めながら質問をスタートさせていただきたいと思います。

 まず最初は、有明海再生についてでございます。

 諫早湾に係る訴訟におきまして、国が和解案として提示をしている基金案、このことについて、佐賀県の有明海漁協は、組織内の反対意見によりまして、現時点で判断できる状況にないとされているところであります。

 基金案に賛同できない理由として聞こえてきますのは、国は、この百億円基金を出すことで、今、十八億円の予算がついております有明海の再生事業などの施策を終わりにしようとしているのではないか、又は、開門しないことを前提とした基金案に賛同すると、漁協は今後、開門調査の必要性を主張できなくなるのではないか、こういった意見であります。そして、その根底には国に対する不信感というものがあるというふうに私も受けとめております。

 私も、漁業者の方々の意見を直接、いろいろ聞くことがあります。本当に、何か追い詰められたというか、悲痛な、そういう思いを感じるところであります。有明海の再生がなかなか思うようにいかない、当然、ノリを始めとする漁業の先行きも不透明である、そういう中でこういう大きな決断を迫られるということは本当に大変なんだろうな、そういうふうに思っているわけでありますけれども、有明海再生を願う気持ち、これは本当に海を取り巻く関係者は皆一緒なんだろう、私はそのように確信をしております。

 国も再生に向けた取組に最善の努力をしていただいている、このように思っているわけでありますが、そういう中で、漁業者の皆さんから国に対して不信感があるということは極めて残念なことなわけであります。信頼回復のために国は説明の努力を尽くしていただきたい、このような願いを込めながら質問を進めていきたいと思います。

 まず、基金案というものについてでありますが、有明海再生事業との関係においてあくまで基金と再生事業は別物である、仮に和解が成立して基金が活用されるようになっても事業は継続されるということでよいか、まず確認をしたいと思います。

 さらには、これは余り先のことを言い過ぎるのはなかなか答えに困るかもしれませんけれども、例えば十年経過して基金の運用が終わりましても、その時点で有明海の再生について何らかのやることがある、しなければならないことがあるということであれば、国は責任を持って再生に取り組んでいく、何らかの形で事業というふうなものをされるということでよいのか、確認したいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 諫早湾干拓事業につきまして、今先生から御質問をいただいたところでございます。

 まず、有明海の再生対策につきましては、これは大変大事な施策だということでございまして、平成三十年度の当初予算におきましても、有明海再生対策予算といたしまして、環境に関する調査ですとか、それから魚介類の増養殖技術の開発などということで、約十八億円の予算を計上させていただいておるところでございます。また、覆砂ですとか海底耕うんといった公共事業などでも再生に向けた取組を推進するということにしておるところでございます。

 一方で、国が提案しております基金案でございますけれども、これは、今申し上げましたような有明海再生の取組に加えまして、さらに、水産資源の回復と漁業経営の発展を図る、加速化していくということで、資源を守り、育む取組の加速化ですとか、あるいは漁業経営の発展に向けた新たな挑戦の後押しをするとか、あるいは沿岸域の一体となった多様な関係者の方々の協働を促進するといったようなことで、有明海再生の取組の加速化を図るという観点でございます。

 いずれにいたしましても、今後の有明海再生対策につきましては、これまでの成果を踏まえまして、毎年度の予算編成過程でしっかり検討していくこととなるわけでございますけれども、先生からも御指摘ございましたが、大変重要な政策課題であるというふうに国としては認識をしておるところでございます。

岩田分科員 先のことがお答えしにくいということは重々承知をしながら質問しているところでありますけれども、少なくとも、国が責任を持ってやるべき大事な課題であるということはしっかり確認をさせていただいたところでございます。

 次に、有明海漁協が一つ提案をしております、基金とは別枠での排水ポンプの増設、これについてお聞きしたいと思います。

 この基金とは別枠での排水ポンプの増設というふうなものを条件の一つとして、基金案に賛同しようというような議論が内部であったところでございます。今、有明海漁協の関係者が最も気にしておりますのは、潮受け堤防から一度に大量の排水があったときの悪影響というものでありまして、ポンプ増設によってこの問題が緩和されるのではないか、私もそのように思っておるところであります。

 特に、基金と別枠での設置ということになりますと、国が漁業者に寄り添って有明海再生に取り組もうとする具体的なメッセージになるのではないかと私は考えております。

 この案につきまして、国としてどのように受けとめておられるんでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話ございましたように、佐賀県の有明海漁協におかれましては、今私どもが提案しております基金の受入れに当たりまして、基金案とは別な形で、現在、諫早湾の潮受け堤防に設置されておりますポンプの増設というものを御要望されている、そういうことについて検討されているということは承知をしておるところでございます。

 私ども国といたしましても、今後、有明海漁協におかれまして、基金案を受け入れるというような御判断がなされ、今訴訟が行われております福岡高裁におきまして、開門によらない基金による和解に向けた協議というものが進展していくということを期待しておりますけれども、そういう進展が見られるような状況になれば、いろいろな課題はありますけれども、国としてもしっかり検討していきたいと考えておるところでございます。

岩田分科員 しっかり検討していきたいというお言葉でありました。この時点においてはこのお答えというのは大変大事な意味があるんだろう、私はそのように受けとめさせていただきました。

 最後に、この一連の質問を受けて、大臣にお聞きをしたいというふうに思います。

 やはり、有明海再生の取組は、正直、簡単にはいきません。今日までもさまざまな取組を長らくしていただいたわけでありますけれども、こういうふうなものは簡単に、一朝一夕に効果が出るものではないわけであります。

 しかし、一方で、一部で見られております二枚貝の回復の兆し、こういったものもやはり取組の一つの成果であろうと私は評価をするところであります。やはり、これからも長期的な取組が必要であるということははっきり言えるんだというふうに思います。

 最初の質問で申し上げました、やはり漁業者の皆さんは、先々まで国が責任を持って有明海のことをしっかりやってくれるんだろう、このことのお言葉を聞きたいわけでございます。やはりそういうふうなことがさまざまな御判断にも関係するんだろう、私はそういうふうに思っているところでありますけれども、大臣、有明海再生に向けた今後の取組について、漁業者や海を取り巻く関係者が国を信頼して安心していただけるような、責任ある国の姿勢というものを示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 有明海の環境変化につきましては、長年にわたる、海域全体にわたるさまざまな要因によるものであるということから、委員御案内のように、有明海特措法に基づきまして、関係省庁及び関係県と連携して、有明海の再生に向けた総合的な取組を着実に進める必要があると考えています。

 私も船に乗って有明海の視察もさせていただきましたけれども、有明海は我が国水産業にとっても大変重要な海域であると認識しておりますし、その有明海の再生は重要な政策課題であるといたしまして、この有明海特措法に基づきまして、漁業者等の皆さんの御意見も伺いながら、取組をしっかり推進してまいりたいと考えています。

岩田分科員 今、特措法の話が出ました。

 ちょっと踏み込んでお聞きさせていただけたらと思いますけれども、ベースにこの法律がある以上、将来、有明海の状況が、結局、なかなか思ったようにいかない、悪い状況が続いているといったときには、国は何らかの施策、手だてというのをやらなければいけないんだろう、この法律に基づいてそのように考えるところであります。

 先のことをお答えしにくいのは行政として当然とは思いますけれども、しかし、政治としてしっかりそういうときには頑張る必要がある、もちろん私たち地元の政治家もこのことをそういうときには強く求めていくんだと思いますけれども、このことについてもう一言いただけたらと思います。

齋藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、有明海は、私ども、水産業にとりましても大変重要な海域だと認識をしておりますし、その再生は重要な政策課題だと考えておりますので、この特措法がせっかくあるものですから、これに基づきまして、もちろん漁業者等の当事者の皆さんの御意見も伺いながら、そして実態もよく踏まえながら、きちんと対応していきたいと考えております。

岩田分科員 ありがとうございました。

 この後、少し時間の関係もありますので、簡潔に進めていけたらと思います。

 米政策についてお伺いをしてまいります。

 生産調整の廃止となって最初の作付となる三十年産米がいよいよとなってまいります。この中で、各地の生産量の目安が示されました。一部、米の増産を計画している地域もありまして、増産による価格下落を心配する声も根強いところであります。ことしの作付についてどのような見通しを持っておられるでしょうか、お聞きします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 三十年産からの米政策の見直しによりまして、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、各産地、生産者がみずから需要に応じた生産、販売の取組を行うようにしたところでございます。現在、各産地におきまして、農業再生協議会が中心となって、三十年産に向けた需要に応じた生産、販売の取組が行われているものと承知しております。

 このような中で、今お尋ねの三十年産の主食用米の作付動向を見ますと、都道府県ごとの増減はあるものの、総じて申し上げれば、前年の二十九年産と比べてさほど大きく変化する状況にはないのではないかというふうに見ているところでございます。

 農水省といたしましては、現在、都道府県ごとの主食用米の作付動向等について情報収集をしておりまして、これが取りまとまり次第、公表したいと考えてございます。

岩田分科員 米を中心とする農業、これが持続可能であるためには、やはり生産性向上、また生産コストの削減が不可欠であると考えております。

 最近公表されたKPIの進捗状況、これではそれぞれ内容が発表があったと思いますけれども、米の生産性向上、コスト削減の現状はどのようになっているのか、そしてまた、さまざま見えてきた課題について今後の取組をどのように考えているのか、お聞かせください。

柄澤政府参考人 今御指摘ございました米の生産コストにつきましては、平成二十五年六月に決定いたしました日本再興戦略におきまして、三十五年産までに、担い手の米の生産コストを、二十三年産の全国平均六十キロ当たりのコスト一万六千一円の四割削減に当たります九千六百円にするという目標を掲げているところでございます。

 直近の平成二十八年産の担い手の米の生産コストを見てみますと、個別経営で六十キロ当たり一万九百円、組織法人経営で六十キロ当たり一万一千六百七十七円ということでございまして、平成二十三年産の全国平均に比べておおむね三割低い水準でございます。

 今後、この目標の達成に向けましては、多収品種や省力栽培技術の導入、農業競争力強化支援法に基づく生産資材価格の引下げ、また、農地中間管理機構による担い手への農地集積や農地の大区画化といったような方策を進め、これを推進してまいりたいと存じます。

岩田分科員 ぜひ、これは目標も、KPIがしっかりあるわけですから、取組を進めていただきたい、そのように思います。

 次に、大変私も気にしておりますけれども、業務用米のミスマッチについてお聞きをしたいというふうに思っております。

 この業務用米のミスマッチ解消が大事な課題なわけですが、中食、外食事業者が求めるような低価格帯の業務用米が十分に生産、供給されなければ、低価格の輸入米を使うようになったり、又は、事業者が米の使用量そのものを減らしていくおそれというものがあります。

 また、生産者側には、少しでも単価の高い米をつくりたいという思いがまだ基本的にあるんだろうと思っております。相対的に価格が低い業務用米に切りかえてもらうためには、生産者の政策に対する理解が必要でありますし、また、都道府県などの取組を見ておりますと、やはり高価格のいわゆるブランド米を推奨する傾向がまだ強いのではないか、こういうふうに理解をしております。

 こういう中で、どのように業務用米のミスマッチの解消に向けた取組を進めていかれるのか、お示しください。

柄澤政府参考人 ただいま御指摘ございましたが、二十七年産以降、過剰作付が解消されまして米価が上昇する局面の中で、外食、中食などの業務用ユーザーの方々から、希望する価格での米の調達がなかなか難しくなっているというような声が出されているところでございます。これは、ブランド米の生産拡大などによりましてできるだけ高値で販売したい産地の意向と、低価格を求める業務用ユーザーの方々の御意向との食い違いが生じているということによるものと考えております。

 農水省といたしましては、家庭用のブランド米のみならず、外食、中食向けの業務用も含めて、バランスのとれた形で、それぞれの需要に的確に応じた生産、販売がなされることが重要だというふうに思っております。

 このために、農水省として、外食、中食等の実需者と産地のマッチング支援を行うということですとか、各産地が、業務用への販売を視野に入れて、多収品種の導入を始めとする生産コストの削減に積極的に取り組んでいただく必要があるというようなことを、あらゆる機会を捉えて御説明申し上げております。

 こうしたことから、産地におきましては、業務用需要に対応できるような多収品種の導入による低コスト生産の取組ですとか、あるいは業務用ユーザーとの複数年契約の締結などの動きも出ておりまして、こうした事例についても情報発信をし、今後、三十年産米における、より需要に応じた生産、販売の推進に努めてまいる所存でございます。

岩田分科員 データから見ると、米の需要というものが毎年八万トンですか、減っていっているということでありますけれども、何か肌感覚的には、そんなに米を食べなくなっているかなという感じがしたりもするんですけれども、これはやはり、外食、中食、こういったところで使われている割合が多いというか、私たちの目につきやすいからなんだろうというふうに思っております。

 こういうふうなところの米が輸入米に頼るようになったり、若しくは使う量が減るということであれば、やはり全体の需要に極めて大きな影響があるんだろうというふうに本当に思っておるところでありまして、さまざまな政策を進める中で、せっかくつくったのに外国米が食べられるような状況というのは、本当に生産者は悲しい思いをするんだろうと思います。ぜひ、ここのところ、なかなかこのマッチングは、取組は息の長い形になるかもしれませんけれども、頑張っていただきたいな、そういうふうに思っております。

 この件の最後に、この取組に対しての決意というふうなものをお聞かせいただきたいと思っています。

 生産調整が廃止をされます最初の三十年産、加えて、この数年の生産できちんとした結果を出すということが非常に重要である、このように考えております。まだまだ生産現場では、主食用米への直接助成金がなくなることで所得が減少するだろうという不安や不満、これがまずあるということがございます。

 そのような中、米の政策を説明する際に、私のちょっと個人的な意見ですけれども、米農家が所得向上を目指してみずからの経営判断で作物が選択できるよう、こういう文言が使われていたわけでありますけれども、これが若干、現場からすると誤解につながったのかなという感じを私は正直思っておるところであります。この言葉だと、もう自由にやっていいよというか、ほったらかされたような、何かそんなイメージになるのかなというふうな、現場の声を聞いているとそんな感をしたところであります。

 むしろ、今の米政策のかなめというのは、各地の農業再生協議会が中心となって需要に応じた生産を主導することによって、各産地ごと、銘柄ごとに需給と価格の安定を図ることにある、そのように私は受けとめておりますし、こういった意義についての認識の共有を更に確かなものにしていくことが必要だろうというふうに思います。

 これから数年の米生産について、国の意気込みを伺いたいと思います。

齋藤国務大臣 米政策につきましては、委員御案内のように、三十年産米から、米の直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分、これを廃止するという中で、どうやって引き続き需要に応じた生産を促して、そして米の需給及び価格の安定を図っていくかということ、これが大変重要であると認識をしておりますので、それぞれの農家の皆さんにも、この考えはぜひとも共有をしていきたいと思っています。

 三十年産米からの米政策の見直しに向けて、この数年間、各産地における需要に応じた生産、販売の取組が随分進んできておりまして、その結果、直近三年間の二十七、二十八、二十九年産におきましては、三年連続で全国ベースでの過剰作付は解消されております。また、三十年産の主食用米の作付動向を現時点で見てみますと、都道府県ごとの増減はあるんですが、総じて言えば、前年の二十九年産と比べて大きく変化する状況にはないというふうに見ているところであります。

 したがいまして、農水省としては、三十年産以降においても引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援することで水田のフル活用を進めていくとともに、きめ細かい情報提供を継続することによりまして、生産者が需要と無関係に生産するのではなく、農業者みずから需要動向を見きわめて生産に取り組んでいただける、そういう環境整備に努めてまいりたいと思います。

岩田分科員 もちろん、これまでの助走期間というものがいい形で進んできたということは私も評価をしているところであります。まさに、この数年、その内容の理解を生産者とともにしっかり共有をして、ああ、やはり自分たちがこうやって計画的にやればちゃんと結果が出るんだな、米の値段も下がらずに、そしてまた所得も確保できるんだな、こういうふうに実感をしていただくために、ぜひ全力で取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたします。

 次に、有害鳥獣対策についてということで質問をしてまいります。

 佐賀県では、有害鳥獣といえばイノシシでありまして、鹿は今のところいないということになっています。ちらほら何か目撃例もありまして大変心配もしておりますが、まずイノシシについて質問をしていきたいというふうに思います。

 このイノシシを始めとする有害鳥獣による被害は、まさに中山間地農業が抱える苦労を象徴している、私はそのようにいつも申し上げております。これまでの対策の効果もありまして、農作物被害額は減少している、こういう報告もありますが、イノシシ出没エリアが拡大して人間の生活圏が侵害されるという、統計にあらわれにくい生活被害が広がっているとも感じております。

 こういう中で、平成二十五年の十二月に決められました国の抜本的な捕獲強化対策、ここで掲げられていますように、十年間で生息頭数を半減する、こういう大きな目標に向けて、やはり着実な捕獲による生息数の減少を図る必要があろうと思っております。

 そのような中、鳥獣被害防止総合対策交付金の内容見直しが国から示されて、これまで処理方法にかかわらず一律八千円だったものが、ジビエ利用の場合は九千円で、それ以外は七千円と差がつくようになったと聞きました。このことに対して、現場から不安の声が聞かれているところであります。

 ジビエ活用は大いに結構だと私も思っておりますが、なかなか結果がつながりにくいのも現実なんだろうと思います。販路拡大の確かな方策がなかなかわかりにくいわけですし、また、佐賀市の場合は、処理加工施設があるんですが、これが合併前に国の補助でつくられた施設でありまして、これを利用できる地域が限定されていたりとか、そういうふうな課題もあるそうであります。また、駆除地域で捕獲されたイノシシというのは脂が薄くて、なかなかジビエの活用には向いていないんじゃないかとか、そんないろいろな声が、難しい課題があるんだなと私は受けとめております。

 むしろ、大部分は捕獲後、埋設処分をしているわけでありまして、この負担をどうにかしてほしいというのが現場のより強い声であります。例えば、捕獲場所から運搬をして焼却するなどの体制、こういったものをもっと整備する必要があるのではないかと私は受けとめております。

 イノシシなどの有害鳥獣捕獲について、着実な頭数削減につながる施策を進めるべきと思いますが、国としての取組をお聞かせください。

荒川政府参考人 お答えいたします。

 今お話ございましたが、生態系ですとか農林水産業に深刻な被害を及ぼしております野生鳥獣でございますが、二十五年の十二月に、環境省と私ども農林省におきまして、鹿、イノシシの生息頭数の十年後までの半減を目指すという大きな政策目標を立てまして、今、抜本的な捕獲強化対策を作成して、捕獲の強化に当たっているという状況でございます。

 このことも踏まえまして、農林水産省といたしましては、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、地域ぐるみで捕獲活動をやっていただく、あるいは捕獲活動経費への直接支援といったような取組を行っておるところでございます。

 このような中で、平成二十七年度、鹿、イノシシの合計で約百十三万頭の捕獲があったわけでございますけれども、このうち、私どもの鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して五十四万頭を捕獲したという実績になっておるところでございます。

 先生お話ございましたように、生息数の削減というのが喫緊の課題でございますので、私ども、平成三十年度予算におきましては、捕獲圧力を強めるという観点で、捕獲の強化というものにしっかり取り組んでいきたい。また、今、埋設されておられるものが中心だというお話がございましたけれども、これをできるだけジビエの活用に向けられないかというふうな取組についても支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。

 引き続き、半減目標の実現に向けまして、捕獲の強化に当たってまいりたいと思っております。

岩田分科員 ジビエの活用、繰り返しですけれども、もちろん大変大事な課題でありますし、できればまことに結構だと思いますけれども、目の前で、今、埋設の問題とかで困っておられるという声もしっかり受けとめていただきたいということを意見として申し上げたいと思います。

 ちょっと時間がございませんけれども、最後、畜産関係について質問を申し上げたいと思います。

 昨年十一月に、アメリカのトランプ大統領が来日された際の夕食会で佐賀牛が使われまして、私は大変うれしく思っておるところでございます。また、銀座季楽というお店がございますけれども、大臣は御存じでいらっしゃると思いますが、大きくうなずいていただきました、このお店が、たしか、今、できて十二年でしょうか、銀座の一等地で佐賀牛のブランド確立のためにも大変大きな貢献をしたな、そういうふうに思っておるところであります。

 ただ、過去の十年を振り返ってみたときに、佐賀牛のブランドは確かに向上はしましたけれども、地元での肉用牛の肥育頭数というふうなものを見てみますと、JAの系統出荷の分の数字ですが、十年前で四万二千頭だったものが三万二千頭へ、一万頭減少しているというふうな厳しい現実がございます。

 この頭数減少の原因は、言うまでもなく、高齢化などによる農家の減少というものがあるわけです。すなわち、後継者育成でしっかりと結果を出していかなければ、佐賀牛のようなブランドがある牛肉でさえも存続が危ぶまれるという現実があるというふうに思っています。

 新規就農は、特に畜産の場合は、多額の初期投資や出荷できるコストなど、大変ハードルが大きいわけであります。こういう中で、やはり、畜産クラスター、こういったものが生産者の新規就農、後継者育成に大変有用じゃないかというふうな声が聞かれているところであります。

 この畜産クラスターが果たす役割として、後継者対策にどのような効果があるのか、実例なども含めて簡潔にお聞かせいただきたいと思いますし、これはしっかりと継続、支援強化していただきたいということもあわせて申し上げさせていただきます。

 時間の関係がありますので、輸出についてもあわせてお聞きしたいと思います。

 佐賀牛の輸出も、今、県一丸となって頑張っておるところであります。国の取組の現状を確認して、そしてまた、佐賀県のように輸出に頑張る産地にさらなる支援を強化していただきたいというふうに思いますが、今後の取組についてお聞かせください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、クラスターの方でございますけれども、御指摘いただきましたとおり、肉用牛生産は、後継者ですとか新規参入の経営継承のためには、設備投資の資金負担ですとか過重な労働負担の軽減が重要でございます。

 こういうことで、クラスター事業におきましては、後継者や新規参入者に対する施設整備等、また、農協ですとか公社等が畜舎などを整備いたしまして新規就農者などに貸し付けるということで、初期負担を軽減する。また、今度の二十九年度の補正予算から、特に中山間地域での経営継承の取組につきましては、飼養規模拡大に関する要件を緩和するなどの取組をやっているところでございます。

 こういう対策を総合的に講じまして、意欲ある後継者また新規参入者によります肉用牛経営の継承を強力に支援してまいりたいと思います。

 また、輸出の方でございますけれども、佐賀県は香港を中心に積極的に牛肉の輸出に取り組んでいただいているところでございます。また、昨年九月からは台湾への輸出再開もございまして、平成二十九年は、輸出量、額とも過去最高になったところでございます。

 農林省といたしましては、輸出先国の規制の撤廃、緩和に向けた交渉などの環境整備を進める、また、輸出に対応した食肉処理施設等の整備への支援、また、日本産和牛の優位性を伝えるような取組、和牛のよさを生かす食べ方を伝えるためのシェフなどの日本への招聘など、ハード、ソフト両面の施策を総合的に展開いたしまして、牛肉の輸出を一層拡大してまいりたいと存じます。

岩田分科員 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中主査 これにて岩田和親君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山分科員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 大臣も、また各議員の皆様も、役所の皆さんも、本当に朝からお疲れさまでございます。

 分科会は一つの山場で、あれだと思います、何というんですかね、私もそうなんですけれども、質疑に立つ方も大変で、実はこの時間の組合せのために、役所の方も苦労されて、衆議院の役人の方々も苦労されているんですけれども、質疑者も何時になるかわからなくて、きのうの夜の段階でもまだ、私の時間は何時ですか、ちょっとまだなんですということで、結局夜じゅうにはわかりましたけれども、そうしたら朝だという話で、やはり、結構この辺の効率化を図っていく、業務の生産性を上げていくためには、実はこの国会のシステム全体を見直さなきゃいけないなというのはずっと思っているんですが、なかなか国会のあり方というのは変わらないところです。

 ただ、働き方改革ということで、今回、安倍内閣、大臣もしっかりやっていくということですので、まさに隗より始めよですから、民間の方に、いやいや、霞が関の方がえらい残業しているじゃないか、生産性も上がっていないじゃないかと言われないように、ぜひこの辺もちょっと野党側も気をつけて、変に役所の皆さんのお仕事をふやさないようにしなきゃいけないんですが、仕組み自体も変えていくことが必要だと思います。

 若造が生意気を申し上げてあれなんですけれども、ぜひ御指導いただきたいと思いますし、何より、お力のある大臣や与党の皆さんも率先してこの改革に声を上げていただきたいというふうに思います。

 最初にお伺いしたいのは、三沢基地の米軍機が青森県の小川原湖にタンクの投下事故と言っていいと思いますけれども、投棄した、この問題についてお伺いしていきたいと思います。

 私も現地に行けたわけじゃないのでわかりませんが、報道ベースでは、油が漏れているんじゃないかとか、特に、そもそも調査等は当たったのは防衛省等ですので、それはそうなんですが、ただ、地元の農林水産業への影響というのは非常に皆さん危惧されていますし、役所としても、一番気になる、しっかり何かあれば対応していかなきゃいけないということだと思います。

 特にシジミの漁が今最盛期で、それへの影響をすごく懸念される声が多うございますけれども、これに関して、大臣、現状をどう捉えていらっしゃるのか、そして、ぜひ何かありましたら万全のバックアップをお願いしたいと思いますが、大臣、御発言いただけますでしょうか。

齋藤国務大臣 シジミやワカサギなどの漁の最盛期に、米軍機の燃料タンク投棄により、地元の漁業者の皆様に大きな不安を与えるとともに、全面禁漁を余儀なくされる、こういうことはあってはならないというふうに考えておりますし、まことに遺憾であります。

 漁業者の皆さんは、なぜこんなことが起こるのか、それから、繰り返すことはないんだろうな、そういう思いを非常に強くお持ちだと思いますので、我々としても、米側に対して、安全管理の徹底、情報提供、原因究明及び再発防止について申入れを行っているところであります。

 二十一日の水曜日に海上自衛隊が油や部品の回収のため現地に入ったというふうに聞いておりまして、速やかに回収作業が終了して、早期に漁業が再開されることを今願っているところであります。

 農林水産省としては、事故直後から青森県と連絡をとるとともに、全国漁業協同組合連合会及び全国内水面漁業協同組合連合会を通じて情報収集に努めているところでありまして、きちんと対応していきたいと考えております。

丸山分科員 調査をしていく、何より一番被害が出ないようにどうやっていくのかというのは、いろんな状況によって変わってくると思います。それはもちろん、最前の現場では防衛省がやると思いますし、アメリカに言っていくには外務省も関係してくると思いますけれども、やはり被害という意味では農水省の動向というのは地元の方々は非常に見ていらっしゃいますし、気にしていると思いますので、今大臣から力強いお言葉をいただきましたので、全力でこの問題、何かありましたら取り組んでいただきたいと私からもお願い申し上げます。

 そうしましたら、時間も限られていますので、次のお話をさせていただきたいと思います。

 次の話は、いわゆる柔軟剤とか洗剤、こうしたものに含まれる香料、香りの成分、この香料で化学物質過敏症という形で、なる方が近年ふえているんじゃないかというお話についてです。

 これを、いわゆるこの健康被害をまとめて香害と最近言うようになっていまして、コウガイというと、いわゆる公の害と書いて公害と音で聞くと思う方は多いと思うんですけれども、香りの害と書いて香害というふうに言う。

 昔、シックハウス症候群みたいな形で、家を建てる成分でやはりお体を損なってしまうみたいな、健康を害するみたいなのがあって、実はこれ、二〇〇三年ぐらいに建築基準法を国としても動いて変えたんですね。そうすると、今、やはりこれに対して対応を、実は業者側、家を建てる方もしっかりこれをやろうという話になって、大分減っているという話を聞くんですが、実は、この柔軟剤とか香料というのはまだまだ新しくて、これに対してまだ規制が国全体ではなかなか前に進んでいないんじゃないか。

 何より、今、テレビのCMとか見ていますと、洗剤や柔軟剤の香りを結構前面に押し出して、俳優の方とか女優の方がタオルとかを顔につけて、いいにおいみたいな感じでやるのがふえていまして、まさにこういう香りづけをする洗剤や柔軟剤というのは非常にふえています。そうした中で、この被害を訴える方もふえているというふうに聞き及んでいますが、まず、国の方でどのような把握をされているのかを順番に聞いていきたいんです。

 こういったいわゆる香害についての苦情というか問い合わせというのが消費者生活センターの方にどれぐらい入っているのか、以前、実は主意書でこれは少しお聞きしたんですけれども、大分年数がたっていますので、この間の経年の部分も含めて、わかる範囲でお答えいただけますでしょうか。

福岡政府参考人 消費者庁でございます。

 柔軟剤等に含まれる香料についての御質問でございますが、先生御指摘のとおり、消費者庁には、全国の消費生活センターを通じて消費者からの相談の情報が報告されているところでございます。

 平成二十五年度以降の五年間につきましては、柔軟仕上げ剤又は洗剤の香りに関連して健康被害を訴えた相談については、九百二十四件報告されているところでございます。

 その年度別の推移でございますけれども、平成二十五年度三百二十件、平成二十六年度百六十四件、平成二十七年度百二十二件、平成二十八年度百三十六件、平成二十九年度は昨日までに百八十二件となっているところでございます。

 その相談事例といたしましては、例えば、隣家の洗濯物の柔軟剤の香りで頭が痛くなったというような案件や、町中や職場で他人が使用している柔軟剤や洗剤の香りで体調が悪くなったという案件があったところでございます。

丸山分科員 たしか、化学物質過敏症ということであれば、頭痛だとか目まいだとか、今お話のあった話だとか、皮膚炎、皮膚が荒れたり、ぜんそくだとか、そういった症状を訴えられるというのが、このCSと訳されますけれども化学物質過敏症なんですが、そうした中で、これがどのように人体に影響があって、そして、これがもし影響があるのなら、しっかりこれに対して、シックハウスのときもそうでしたけれども、国としてもきちんとこれは規制なり何かしらの指導という形でやっていかなきゃいけない部分だというふうに私は考えるんです。

 まず、これはそもそも、消費者生活センターに連絡に来られる方は一部なので、全体としてどれぐらいの方がこういった被害に遭われているのか、またそもそも、合理的な、科学的な、この関係も含めてどうなっているのかという部分に関して、しっかり調査が必要じゃないかというふうに私は考えるんですけれども、これについて、まず、政府としては、厚労省としては今どのようにお考えなのか、お答えいただけますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の柔軟剤や化粧品等の強いにおいによりまして健康被害が発生するといういわゆる香害につきましては、現段階では、どのような化学物質がその原因であるのかということが把握されておりませんし、また、その病態につきましても不明な点が多うございまして、非常に多彩ですし、そうしたところで確立した診断基準がまだ存在していないという状況でございます。

 こうしたことですので、何らかの実態調査を行うということのためには、いまだそういった科学的知見等の集積が不十分という点が問題だというふうに考えております。

丸山分科員 これは科学的知見が不十分というところは、今、厚労省の公式な立場だと思います。

 被害を訴えられている方はやはり切実で、本当に、お聞きしていますと、それがもとで、人が着ているものにやはり過敏に反応されてしまうということで、そうすると職場にいれなくなってしまったり、学校をやめられたみたいな方もいらっしゃいます中で、それの因果関係についてどういうふうに見ていくのかというのは非常に大事なところですし、本当は、被害に遭われている方は、国としてはしっかりとこれに対して規制してほしいし、何より科学的な調査のところもしてほしいと思っていらっしゃるということです。

 もちろん、現時点ではわからないというのはわかるんですけれども、役所を見ていますと、多分、今回、自民党さんの方でも、きのうニュースでもやっていましたけれども、受動喫煙禁止法の議論をされていて、電子たばこが入るんですね。

 電子たばこ、もちろん、世の中の流れとしては、たばこ全体を規制していくという流れなんだと思うんですけれども、一方で、電子たばこの物質が人体に与える影響について、どうなんですかと去年私も質疑させていただいて、聞いたんですよ。そうしたら、まだ科学的な、技術的に十分わからないという話をされていて、今回の受動喫煙禁止法も、まだわからないけれども、しかし恐らくそうだろう的なあれで入れ込んでいらっしゃるわけですよ。たばこに関しては入れ込んでいるのに、今回のこの件に関してはまだまだ動いていない。

 恐らく、世論の高まりもあると思います。シックハウスのときも、世論の声が大きくなっていたということでございますので、今後、この香害に関しても、特に、柔軟剤や洗剤含めて、化粧品もそうかもしれませんが、においに関しての化学物質過敏症に対してきちんと対応してほしいという方はふえていく、その中でしっかりやっていただきたいというのを私からお願い申し上げます。

 そして、何より、これは被害を訴えられる方がもしごらんになれば、若しくは議事録を見ていただくときに、お話ししたいんですけれども、厚労省の方も実は、科学的な、合理的な論拠があれば動く方向になっていくと思います。残念ながら、まだ今それがないというのが厚労省の方なので、消費者生活センターの方に声をかけられるのももちろん大事な話なんですけれども、そこだけじゃなくて、実は、大学や研究機関といったところに、この関係性が本当にどういう状況にあるのか、特に、特定の物質、固有なものがだめなんだというものの科学的な論拠を積み重ねていくということが世論の高まりをふやしていく、そして厚労省も動いていくということにつながっていく一つの大きな鍵だなと厚労省さんとお話をしていて思いました。

 しっかりその点も含めて、私も少しずつ微力ですが前には進めたいと思いますが、非常に大事な問題だと思います。厚労省さんの方も、ぜひ前向きに対応いただけますようお願い申し上げます。

 そうしましたら、次の議題に移りたいと思います。

 今回、法案で出されます森林経営管理法案、これに関してお伺いしたいと思います。

 実は、きのう総務委員会がありまして、そこで税法をやったので、後ほどその税法、実は積み残しているのがあるのでそれをお伺いしたいんですが、先にお伺いしたいのは、今回、森林環境税ということで、国民の皆さんに千円ずつ御負担をお願いするんです。そうした中で、その国民の皆さんというのは結構多くて、六千万人近い。住民税を納めていらっしゃる方、かなりの多くの方が御負担する。

 そうした中で、じゃ、それを何に充てるかというと、やはり今、森林が荒れている、国土の中でも森林が多いので、その荒れているのを何とか立て直すための費用に充てるんだということです。これはしっかり審議も必要ですが、確かに、ちゃんと使ってくださるんなら仕方ないなと思ってくださる国民の方も結構多いと思います。

 これは、そう思ってくださる方をふやすために農水省は頑張らなきゃいけないとは思うんですけれども、一方で、このお金の使い道に関しては、やはりしっかりしていただかないと、それはさすがにどういうことだと。一律に国民から取って、目的的に集めて、しかし結局、結果が出ていないとなると、非常にこれは国民の皆さんの理解を得られないと思います。

 同時に、難しいのは、森林というのはやはり、十年、二十年レベルじゃなくて、五十年、百年レベルでいわば見ていくところがあって、うがった見方になってしまうかもしれませんが、長期的であるがゆえに、反面、やはり成果に対する検証がすごく難しいと思います。役所的にはずぶずぶにお金を入れていってしまうみたいになりかねないということ。

 もう一つは、やはり人手が今足らないんですね。人手不足をどうするかというところにやはり光を当てていかなきゃいけないんですけれども、問題は、森林環境税を集めることで、この人手不足の一番キーになる部分に関してきちんと解消していけるのか、ここの部分について非常に国民の皆さん関心が高いと思うんですが、ここの点に関して農水省としてどのようにお答えになるのか、お答えいただけますか。

沖政府参考人 お答えいたします。

 林業経営の現状につきましては、経営規模を拡大したいと考える林業経営者が多い一方、森林の経営意欲の低い小規模零細な森林所有者が多いことから、事業地の確保が困難となっているなど、林業経営者が事業規模を拡大する上で、みずからの努力では解決し得ない問題が多いものと認識してございます。

 このため、経営意欲の低い森林所有者の森林を意欲と能力のある林業経営者につなぎまして、集積、集約化することが必要と考えております。これを実現するために、新たな森林管理システムを創設する関連法案を今国会に提出するための準備を進めているところでございます。

 このシステムが創設されますと、活用されることとなりますれば、林業経営者の事業規模の拡大や経営の安定化が円滑に進むことが期待されまして、林業への新規就労の促進にも資するものと考えております。

 また、これらの林業経営者に雇用されます林業従事者につきましても、新規就業者を確保し、若年労働者の比率を高めることが課題となっており、緑の雇用事業などを実施していくことによりまして、人材の確保、育成を着実に図っていきたいと考えております。

丸山分科員 法案の審議のときにもまた細かいところをお伺いしていくことになると思います。

 若い人、若干最近ふえてきているんじゃないかということも聞いておりますし、これをうまく流れに乗せていって、ぜひ、荒れてきているこの国の森林を立て直していく、そのためのきちんとしたチェック機能も含めて農水省の果たす役割は大きいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。細かいところは、また法案の審議なりのところでお伺いしていきたいと思います。

 まずは、きょうはこれに関してはこうなんですが、問題は、税の方だけ、実はきのう総務委員会で税法をやっていまして、少し積み残しの質問があるのでここでお伺いしておきたいんです。

 つまり、新しく森林の、林業の分野にお金を入れるための新税として来年上がってくる税というふうに今一応予定されているということなんですが、森林環境税というのを新設する、これが千円だということなんですけれども、これはちょっと、実はきのう、最後、駆け足でお聞きしたので、もう一度きちんとお聞きしておきたいんですが、なぜ千円なのかというのは、やはり取られる方としては気になりますし、そして、千円だとするとどれぐらいの税収でというのと、もう一つは、私、いつも思うんですけれども、財務省さんも総務省さんも、税以外のところは結構アバウトに、なかなか、さっきの香害の部分も科学的論拠がないのでとお話しされるんですけれども、税金を取るときは結構大上段に数字を切るんですけれども、今回も、なぜ千円なのという、取られる方としてはやはり千円の論拠というのは非常に気になるところです。

 同時に、今回、集めたお金を市町村と都道府県に割り当てるんですけれども、都道府県一で市町村九、なぜ一、九なの、さらに、その市町村の、どうやってそのお金の割り振りを決めるかというのも、人口と林業従事者とあと森林面積と、何か五、三、二で分けられるんですけれども、じゃ、何で五、三、二なのとすごく思うんですけれども、なぜか決め打ちで、取る方はすごく決め打ちで決められるので、やはりこれは決めるときにはしっかり聞いておかなきゃいけないと思いますし、問題があればそれは言っていかなきゃいけないんですが、まずお聞きしたいんですけれども、これはどういう譲与基準、いわゆる都道府県や市町村への譲与基準ですね、テクニカルに言えば。その配分の比率についてどのようにお決めになったのか、その辺も含めて御回答いただけますでしょうか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、森林環境税の税率についてでございますが、その税収規模を検討するに当たりまして、パリ協定の枠組みのもとにおける我が国の温室効果ガス排出削減目標を達成するために必要な森林整備やその促進に要する費用等について、林野庁から六百億円程度との試算が示されたところでございます。

 また、森林環境税につきましては、国民の皆様に広く一定の負担を求める観点から、個人住民税均等割の枠組みを活用することとし、その納税義務者数は六千万人強と見込んでいるということでございます。

 したがいまして、森林環境税の税率につきましては、これらの必要な財源や国民の負担感等を総合的に勘案し、年額千円としたところでございます。

 次に、譲与割合と譲与基準についてでございますけれども、森林環境税、森林環境譲与税につきましては、市町村が実施いたします森林整備等に必要な財源に充てるために創設するものであることから、森林環境譲与税は市町村に対して譲与することが基本となります。

 しかしながら、市町村がこれまで以上に森林整備等について積極的な役割を果たすためには、現実的には、都道府県による市町村職員に対する研修の実施や、技術者と市町村の人材マッチング等が必要となると考えられます。

 このような市町村の体制整備への支援等に係る都道府県の役割や地方団体からの御意見等も踏まえまして、都道府県に対し森林環境譲与税の総額の一割を譲与するということとしたところでございます。

 それから、譲与基準でございますけれども、森林環境譲与税の使途である間伐等の森林整備、それから人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発とそれぞれ相関の高い指標といたしまして、私有林人工林面積、林業就業者数、人口を用いることといたしております。

 その割合につきましては、森林整備等が使途の中心であることを踏まえるとともに、木材利用を促進することが間伐材の需要増に寄与することや納税者の御理解を得ることが必要であること等を勘案し設定をしたということでございます。

丸山分科員 なぜ五対三対二かというのはお答えになかったと思いますが、しかし、決め打ちしなきゃいけないというのはもちろんわかるんですが、なぜそうなのかというのは、やはり常にこちら側としては見ておりますし、きちんと理由をできる限りつけていただくというのは非常に大事だと思います。そういった意味で、しっかりその辺のところはやっていただきたいんですが。

 気になるのは、私は大阪に住んでおりますが、大阪では、実はもう府の方で森林関係の税を取っていまして、大阪は三百円なんですが、実は大阪だけじゃなくて、調べると、結構いろいろな都道府県でこれに対して徴収している県があるということでございます。

 そう考えると、国民の側からしたら、これは二重に課税されているんじゃないのとお思いになる、その疑問も当然湧いてくると思うんですけれども、これは二重課税ではないということで、どういうふうにすみ分けをしていこうと、今後も含めてお考えになっているのか、役所のお話を伺えますか。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、森林整備等を目的として、御指摘のとおり、三十七府県と一政令市において独自の超過課税が行われております。一方で、今回の国の森林環境税は、農林水産省が今国会に提出予定の森林経営管理法案を踏まえまして、主に市町村が行う森林の公的な管理を始めとする森林整備等の財源として創設するものでございます。

 府県等が行う超過課税は、その税額や使途もさまざまであり、両者の使途が重複する可能性もございますが、国の森林環境税は平成三十六年度から課税をするということとしておりまして、それまでの間に全ての超過課税の期限や見直し時期が到来するということでございますので、関係府県等において必要に応じて超過課税の取扱いを検討いただければと思っておりますし、総務省といたしましても、森林環境税との関係の整理が円滑に進むよう、林野庁とも連携をしながら、関係府県等の相談に応じ助言を行っていきたい、このように考えております。

丸山分科員 ぜひ、このあたり、しっかりやっていただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 最後になりますが、私が新聞を見ていましてすばらしいなと思った部分について、ぜひ農水省のアピールをいただきたいですし、イメージが実はつきにくいもので、何かといいますと、最近、横文字の、よく出てくるビッグデータ、役所が持っている情報をうまく活用して、画期的な分野、画期的な技術に広げていこう、技術革新に広げていこうという形でビッグデータ、よく言われますけれども、これをしっかり使いやすいものにしていこうという形の取組を農水省さんやられるということです。

 具体的には、農業の電子データ、いろいろなものがあると思います。天候や、土壌や、地図や、こうしたものを開放して、それによってこうした革新を生み出していこうということを取組をされていくというふうにお聞きしました。

 これは農業が大きく変わっていくチャンスだと私は捉えるんですけれども、でも、やはりなかなか、現場で生産されている方々からしたら、何が変わるねん、どうなるのと皆さん思われていると思いますので、ぜひ、具体的にどう変わっていくのか、付加価値が生まれていくのか、そして、それはどのようなスケジュールで、体制でやっていくのか、国民の皆さんにぜひわかりやすいように、大臣の方からお答えいただければと思います。

齋藤国務大臣 大量かつ多様なデータの収集それから分析、活用というものが可能となる時代を迎えている中で、農業におきましても、生産者がこれらのデータを駆使して、そして生産性の向上とか経営の改善につなげていく、そういう環境を整備することが重要でありますし、その可能性というものが大きく広がってきているというふうに認識しています。

 農林省で今行っていることを申し上げますと、関係府省庁と連携して、農機メーカーやITのベンダーなどの民間企業の皆さんが持っているデータ、これを共有をしていく。天候データもあれば、土壌データもあれば、いろいろな作物の成長に関するデータもあります。そういうものを共有できる農業データ連携基盤というものをまず構築をしていこうというふうに、その作業を進めているところであります。

 この構築ができますと、土壌ですとか作物の状況ですとか、それに応じたきめ細かい精密な栽培管理というものが可能になりますので、非常に適切なタイミングでいろいろな手が打てるということになりますので、生産管理の効率化が図られるということになりますし、あるいは、作物の収量の向上ですとか、それから消費者により喜んでもらえるような品質を実現できるなど、こうなりますという決め打ちじゃなくて、さまざまな可能性が広がってきているなというふうに思います。

 昨年末までに農業データ連携基盤のプロトタイプを構築をいたしまして、平成三十一年四月の本格稼働を目指して今取り組んでいるところでございまして、先ほど申し上げましたさまざまな可能性が広がっていく基盤をまずつくって、そして、多くの方がいろいろな新しい試みをして、それが横展開したりして農業の活性化につながっていくことを大いに期待をしているところであります。

丸山分科員 これは夢が広がる部分がすごくあると思います。しっかり前に進めていただきたいですし、天候とか見ても、もう日本だけの気候ではありませんので、実は世界じゅうの気候データだとか、海外での農業の、欧州でどういう農業の状況をやっているかというのもデータとしては非常に大事で、海外と連携していくというのも非常に大事なところになっていく分野だと思います。

 次の時代の、五十年後、百年後を見据えても、非常に有意義な分野だと思いますので、ぜひ積極的に前に進めていただきますようにお願い申し上げまして、そろそろ時間でございます、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて丸山穂高君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷昇君。

神谷(昇)分科員 自由民主党の神谷昇でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、心から感謝を申し上げます。

 私は、農業農村整備事業につきまして質問を申し上げたいと存じます。

 大阪府でも人口減少の兆しが見えてまいりまして、宅地需要の鎮静化によりまして、農地転用の必要性が低下をしてきております。

 大阪府では、それでも農地面積が約一万三千ヘクタールと府面積の八%を占めておりまして、農業生産額は三百二十億円、十アール当たり生産額では三十五万一千円で、全国九位となっております。軟弱野菜、ブドウのデラウエア等の果樹など新鮮な農産物を都市住民に提供しておりまして、シュンギクやコマツナなど全国有数の生産量も誇り、生産緑地など市街化区域におきましても、ミズナスのハウス栽培などで高収益を上げております。また、岸和田包近の桃は糖度世界一でございます。

 大阪では、全農家の三%を占める主力農家が販売金額の約七割を占めておりまして、都市農業は立派な産業でございまして、都市の成長産業として大いに期待をされ、また、近くに道の駅ができますと、また生産額がふえ、販売額がふえているところであります。

 さらに、都市農業は、新鮮な農産物の供給、防災空間の確保、良好な景観形成、農業体験の場の提供など、多様な機能を発揮しておりまして、多くの国民の皆さんに囲まれている都市農業の振興は、これからの国策の重要課題であるというふうに認識をしております。

 それを支えるため池が大阪には約一万一千カ所ございまして、兵庫、広島、香川県に次ぎ、全国的に四番目に多いところであります。

 第一に、ため池は、農業にとって大切な水がめであると同時に、農業用水の確保には必要不可欠なものであります。しかしながら、最近の災害が多いことに鑑みますと、このため池の安全性が極めて重要となってきております。特に、あと三、四十年しますと南海トラフ型の巨大地震が起こるのではないかというふうに懸念されておりますことから、今後のため池の整備方針についてまずお伺いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。

齋藤国務大臣 神谷委員には、日ごろから都市農業の振興に関しましてさまざまな御意見をいただいておりますことに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 近年、我が国におきましては、集中豪雨が頻発している上、南海トラフ地震等が発生する可能性が高まっているということで、ため池の防災・減災対策の推進というのは喫緊の課題だと考えております。

 しかしながら、ため池の総数は全国で約二十万カ所、うち大阪府は約一万一千カ所に上るということでございまして、したがいまして、農林水産省といたしましては、全国で一万一千三百六十二カ所、大阪府では八百三十九カ所ある防災重点ため池、これを中心に、ハード対策、それからソフト対策、これを取りまぜて、総合的に対策を講じていく方針で進めているところでございます。

 今後とも、地方公共団体等が計画的にため池の防災・減災対策に取り組めるよう、引き続き、国としても支援をして、しっかり対応していきたいと考えております。

神谷(昇)分科員 大臣から御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 今度来る地震、三百年前の一七〇七年の宝永の大震災、マグニチュード九・〇と予測されておりますが、それクラスが来るのではないかというような予測がありまして、そうしますと、あのときは、大阪湾に津波が来て、淀川を遡上しまして、橋が何本も流された。そういう巨大地震が今度来るのではないかというふうな予想もございまして、それに対応するために積極的にひとつ整備を進めていただきたいと思います。

 それと、大臣には、都市農業の振興について一層の御支援を賜りますよう、心からお願いをするところであります。

 続きまして、大阪農業の継続と発展は水の確保と農地の整備であることから、土地改良事業の推進についてお尋ねをしたいと思います。

 大阪の農業用水は、淀川、大和川等から取水するか、府内に一万カ所以上あると言われるため池から取水するのか、どちらかでございます。そして、これらの川、ため池から水路により水が田畑に送られまして、その水路の延長は一千五百キロメートルとなっております。

 大阪の水路は、高度経済成長期以前の昭和三十年代に整備された施設が多く、府内の主要な用排水路の建設から、経過年数は、何と耐用年数の倍を経過しております。それらの施設を管理する土地改良区は、部分補修しながら何とか運用している、大変苦労している現状でございます。

 補修による長寿命化や更新のための事業として、平成三十年度の政府予算原案で、農業水路等長寿命化・防災減災事業が新たに予算二百億円盛り込まれておるところであります。

 ため池は決壊すると人命にかかわることもあり、手厚く対応されておりますけれども、水路の長寿命化対策はなかなか進んでいないのが現状でございます。大阪の水路は規模が大きいものが多く、今も、昔のままの水路網を維持して農地に水を配る農業の生命線でございます。しかしながら、水路が決壊しますと、地域に大きな被害をもたらし、場所によりましてはため池の被害を超えるものがあると予想もされております。

 今回の予算案は水路改修に役立つものと大変評価をしているところでありまして、そこで、お尋ねをしたいと思っております。

 都市化の進展に伴う農家の減少によりまして、施設の維持管理などの負担が増大をし、また、大阪でも新規就農者や担い手への農地の利用集積を進めておりますが、この人たちに多額の施設負担金を求めると営農意欲をそぐ結果にもなりまして、対応に苦慮しているところであります。

 土地改良事業は地元負担を伴っておりますけれども、さきの土地改良法改正では、圃場整備やため池改修に農家負担なしの事業実施の道が開かれておりまして、何としても、農業用水路につきましても、ぜひとも農家負担軽減策を検討していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 そして、農業水利施設は、大阪のような地域から地方の大生産地まで、農業生産に欠くことのできない土地改良の基本インフラでございます。農地水利施設の長寿命化につきましては、平成三十年度の農業水路等長寿命化・防災減災事業の予算二百億円と既存の事業費を合わせても、全国の農業水利施設のストックから見て不十分と言わざるを得ません。

 これら水路の長寿命化対策にどのように取り組まれていかれるのか、御答弁をいただきたいと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話がございました、まず最初の、農業水利施設の改修におけます農家負担の軽減対策についてでございます。これは大変重要な課題だと思っております。

 私ども、水利施設の改修におきまして、農家負担軽減策といたしまして、まず、どういう改修をすればいいかといったようなことにつきまして、施設の状態を確認する機能診断ですとか、あるいは機能保全計画の策定といったようなソフトにつきまして、定額により助成を行っているところでございます。

 実際の農業水利施設の改修なり整備に当たりましては土地改良事業を実施させていただくわけでございますが、この事業に当たりましては、当然ながら、国の補助、地方公共団体からの支援といったようなことで相当程度農家負担の軽減に努めておるところでございますが、更に、その事業完了後に、集積率が高まる、あるいは高収益作物への転換が進むといったような非常に高い公益的なものにつきましては、促進費というものを交付することで実質的に農家負担がなしとなるような仕組みも導入されておるところでございます。

 いずれにいたしましても、この施設改修の円滑な推進に当たって、農家負担の軽減というのは重要な課題であると認識をいたしておりますので、今後とも、先生の御指摘も踏まえて、しっかり取組を進めてまいりたいと思っております。

 それから二点目の、農業水利施設の長寿命化対策に多くの予算を計上すべきではないかという御指摘でございます。

 先生御指摘のとおり、基幹的水利施設の多くは戦後に新設をされたところでございまして、既に標準耐用年数を超えた施設が全体の二割に及んでおります。今後十年このままですと、約四割が標準耐用年数を超えた老朽化になるといったようなことでございまして、施設の維持更新が喫緊の課題だというふうに認識しておるところでございます。

 このため、農業農村整備事業におきましては、平成二十九年度の補正予算で四百六十八億円、平成三十年度の当初予算で千二百六十五億円という多額の財政資金を頂戴いたしまして、計上をしたところでございます。

 それに加えまして、先ほど先生の御質問の中にもございましたが、三十年度の新しい制度といたしまして、機動的かつ効率的な長寿命化対策を現場ニーズに応じましてきめ細やかに行うための農業水路等長寿命化・防災減災事業というものを二百億円計上させていただいたところでございます。

 何分、厳しい財政状況のもとではございますけれども、施設の劣化状況等に応じまして補修、更新をすることで長寿命化を図るということで、維持管理を含めた対策費用全体を低減できるような取組ということに当たってまいりたいと思っております。

 引き続き、更新事業の計画的な実施に向けて、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

神谷(昇)分科員 局長さんから丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 予算も、二十九年度の補正予算額と三十年度の予算額で農業農村整備事業費がようやく五千八百億円を回復した。大臣始め皆さん方の御努力に大変感謝をしております。

 先ほど大臣にもお尋ねしましたように、今、大阪は、巨大地震が数十年で来る、これが九・〇。そうしますと、東北大震災のときに、大阪府、震度三でございましたけれども、あの咲洲庁舎が何と三百六十カ所の亀裂が入って、もう非常な事態に陥ったわけです。

 そうしますと、今度は、直近にマグニチュード九の大地震が発生すると、ため池の堤防が揺すられ、そしてまたいろいろな、新しければいいんですけれども、もう耐用年数をはるかに、倍を過ぎているのは、ここに大被害が来るのは当然の結果だというふうに思っておりまして、そういうところを、今回は、三十年度は二百億入れていただきましたから、今後、その辺についてもより積極的にひとつ御努力をいただきたいと思っております。

 次に進ませていただきますが、土地改良区の財務改善を目的とする複式簿記の導入についてお尋ねをしたいと思います。

 全国的に農地の担い手への集約が進みまして、農地の所有と経営の分離が一層見込まれる中で、土地改良区のあり方や体制についても見直すべきと、農水省は必要な土地改良法の改正案を今国会に提出するとしております。

 その議論の中で、水路などの土地改良施設の老朽化が進む中、土地改良施設の更新を計画的に進めていくために、将来必要となる修繕費や更新費を的確に把握し、毎年積み立てていけるよう、複式簿記の導入が必要と議論されているところであります。

 私は、農水省の考え方には基本的に賛成をいたしますが、どう進めていくのか、これは早く具体策を示していただきたいと考えております。

 大阪には土地改良区が八十余りございまして、全て、簡易な単式簿記で現在は運営をしております。事務職員と技術職員が勤務する、結構しっかりとしているところの土地改良区はわずか九団体でございまして、あとは小規模な土地改良区ばかりでございまして、複式簿記を導入することになりますと、対応に苦慮することは必然であります。

 そこで、複式簿記の導入に取り組むと、まず土地改良区は、みずから所有します土地改良施設や管理を任されている土地改良施設について資産評価を適正に行わなければなりません。そして、それを行うために、施設を造成した大阪府などの土地改良区に対する資産評価のための事務協力は不可欠でございまして、相当の作業時間も必要とし、土地改良区だけで事務作業を進めることは困難であると考えられます。

 資産評価ができないと複式簿記の導入はストップでございまして、まずは、この事務作業について、国はしっかりと具体的な支援内容を示していただきまして、早く複式簿記の導入を軌道に乗せる方策を講じませんと、法改正の効果はまさに絵に描いた餅となるわけであります。

 そこで、例えば、施設の造成主体である府、市町村に対する資産評価のための実施事務に対する補助事業を創設してはどうかとお尋ねをまずします。

 そして、土地改良区の自主的努力を促すために、土地改良区の中でこのような作業にも充当できる人員を確保するために必要な補助制度を創設してはどうかとも思いますが、いかがでしょうか。

 さらに、人員を確保できない土地改良区を支援するために、土地改良区の導入作業を支援する専門家を府県の土地改良事業団体連合会に設置するに必要な経費を補助する制度も必要でございまして、国におかれましては、施設評価の簡便な基準の作成などを速やかに行いながら、都道府県、土地改良区を指導するべきであるというふうに考えております。

 農水省は、複式簿記の導入に当たり、国が必要な支援を行うとの考えのようでございますけれども、早急に具体策を示していただいて、そして予算化すべきと思いますが、いかがでございましょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 土地改良法の改正の関係につきまして、今先生から御質問を頂戴いたしました。

 私ども、この国会に土地改良法の改正案を提出するべく今検討を進めているところでございます。その中で、土地改良区の会計制度につきまして、複式簿記の導入といったようなことを検討の対象にしておるところでございます。

 今先生からもお話ございましたが、農業用用排水施設などの老朽化が進んでいく中で、将来、土地改良施設の更新を計画的に進めていくということが必要になってくるわけでございまして、その場合には、やはり現状の施設の資産評価を適切に行いまして、その更新事業費の計画的な積立てが可能となるように、複式簿記の導入というものがやはり必要となってくるのではないかと考えておるところでございます。

 一方で、土地改良区、今先生お話ございましたように、体制が非常に弱いところが多くあるわけでございまして、直ちにこの複式簿記の導入を一気に進めるというわけには、なかなか難しい、いかないというふうに考えておるところでございます。

 したがいまして、今お話にもございましたが、まず、どのように資産評価をきちんとやるのかということにつきまして、国が資産評価を効率的に行うようなマニュアルを整備するといったようなことですとか、それから、国なり地方公共団体がかつて造成をした土地改良施設につきましては、土地改良区がその資産評価をすぐ行うというのはなかなか難しゅうございますので、そういった国、地方公共団体が造成した資産につきましては、国なり地方公共団体が資産評価に必要な情報を土地改良区さんにお渡しをするといったようなことが必要になるのではないかと考えておるところでございます。

 また、具体的な土地改良区におきます会計処理をしっかりやっていただくという観点では、もちろん、土地改良区の役職員の方々がしっかりした知識を身につけていただくということが必須でございますので、役職員を対象といたしました研修を実施することはもとよりでございますけれども、土地改良区を指導いたします土地改良事業団体連合会、これは県の団体でございます、県レベルの団体でございますけれども、ここで、土地改良区の会計指導を行える会計指導員という方々の育成というのも急務でございまして、これも引き続き育成をしていくのに支援をしてまいりたいと思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後、複式簿記の導入がきちんと進みますように、私ども、法案を検討する中で、先生からのきょうの御指摘も踏まえて、しっかり会計指導の充実強化が行えるよう取り組んでまいりたいと思っております。

神谷(昇)分科員 ありがとうございます。

 一口に複式簿記化と言いましても、大変これは苦労が多いと思いますね。まず、入り口の資産評価、これが大変ですよね。それとやはり、小規模な土地改良区がたくさんありますから、それをどのように指導してここまで持ってくるか。そういういろいろな課題が山積しておりますけれども、やはりこれはやると決めた以上、一つ一つ粘り強くひとつ達成していただいて、早く複式簿記になるように御努力をいただきたいというふうに思っております。

 適正な資産の評価が行われまして、複式簿記の導入ができた場合、目的の一つである土地改良施設の修繕費などの積立ての的確な根拠となる所要額、例えば減価償却累計額などを求めることができるわけでございますけれども、所要額と今日まで積み立てた実際の積立額とが大幅に乖離をしている場合が懸念されるわけであります。

 大阪の場合は、水路の建設当時の昭和三十年代、もうこれは昭和ですから、昭和三十年代と比べて受益農地が大きく減った現在におきましても、農地が点在しているために施設は昔と同規模のものが必要でございまして、修繕費などの所要額が大きくて、現在の積立額との差額部分について、賦課金の値上げで対応できるような額でもなく、また、土地改良区みずからの努力で補填できるとは到底考えられないわけであります。これは、大阪の問題だけではなく、全国にも共通する問題、課題ではないかというふうに思っています。

 そこで、私は、複式簿記の導入を軌道に乗せるためにも、差額部分の積立てについて、国としての助成制度を設けることが必要であると提案をさせていただきたいと思っています。整備事業の補助金と重複すると思えますけれども、少しの額の差額積立補助金として土地改良区に対して支援するだけでも、飛躍的に複式簿記の導入そして土地改良区の更新事業に対する積立てが進んで、土地改良区が健全な財務状況で土地改良施設を維持管理していく体制が全国的に広がり、強化されていくのではないかというふうに思っています。

 ぜひ、土地改良予算総額の中で御議論していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話ございましたように、複式簿記を導入するということによりまして、土地改良施設の資産評価がきちんと行える、適切に行えるということで、将来の更新事業費の計画的な積立てを行う必要があるんだということが組合員の皆様にもお示しをすることができるというようなことになりますので、土地改良施設の計画的な更新を進めていく上で、複式簿記の導入というのは大変有効だというふうに考えておるところでございます。

 先生お話ございましたように、複式簿記の導入に伴いまして、仮に、将来の更新に備えた積立額というものが減価償却累計額に満たないといったような事態が生ずることもあり得るわけでございます。今まで単式簿記でやっておられたところにつきましては、今回、もし複式簿記を導入するということになって計算、評価をしますと、ああ、これだけ足りないんだというようなことがわかるということになるわけでございまして、むしろ、そのわかったことが、組合員の皆様方に、ああ、これだけの積立てを将来していかなければいけないんだということを、説得といいますか、理解を求める上でも有用なのではないかと思っております。

 複式簿記を導入して、不足額が明らかになった段階で、一気にその不足額を積み立てる必要はもちろんないわけでございまして、更新時点までに一定の時間もあるわけでございまして、その間に組合員の皆様の御理解をいただいて不足分を積み立てていくといったようなやり方もあろうかと存じますし、あるいは、それが多額になってなかなかというようなことの場合には、将来の更新時点におきまして発生します新たな農家負担分につきまして、また将来、そこから十年、十五年の特別賦課徴収という形で整理をするということも可能ではないかなと考えておるところでございます。

 一方で、先生からちょっとお話ございました、不足分について国が支援するということでございますけれども、先生も二重補助みたいなお話をされておられましたが、更新事業のときに既に施設整備のところでかなりの補助を国なり地方公共団体がやっておるわけでございますので、やはり、農家負担の不足部分について御支援を更にするということはなかなか困難であるかなというふうに考えておるところでございます。

神谷(昇)分科員 答弁はよく理解できるんですけれども、現実は、積立額と所要額が大きく金額が乖離する、このような場合をどうするか。一層、平素から御指導いただいて、その実態を把握して的確に対応していただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 私は、これまで主に、農業水利施設の更新事業の補助予算の確保、更新事業の地元負担金を計画的に確保する複式簿記の導入促進について質問をしてまいりました。これらは、大阪の都市部、市街化区域の生産緑地や市街化周辺の調整区域の土地改良区が該当する場合が多いわけでございます。

 そこで、最後に、圃場整備や農地開発の国庫補助事業により整備された大阪の優良農地を支える土地改良区の維持管理に対する支援について、お尋ねをいたします。

 大阪では、田畑が区画整理され、給水パイプラインを整備している土地改良区は規模が小さく、いずれも百ヘクタール未満でございます。大阪でも農業が熱心であります堺、和泉、岸和田、貝塚にこのような土地改良区は多く、農地中間管理事業にも熱心に取り組んでおりまして、新規就農者の受入れにも努めるなど、大阪農業の中核をなしております。

 一方、パイプラインへ水を送るポンプを動かす電気代など経費も多くかかり、賦課金も反当たり一万四千円から一万八千円と高額で、もう限界でございます。地域の共同作業で維持管理を軽減しようと多面的機能支払制度の交付金による支援を受け、施設の長寿命化に取り組んでおるところでございますけれども、交付金を電気代に充当するのは難しいと聞いております。基金を取り崩して収支のバランスを図っている土地改良区もございまして、大阪の優良農地を支える土地改良区の安定的な経営が極めて難しくなっています。

 一方、国営施設では、国営造成管理体制整備促進事業で土地改良区が行う維持管理費に補助金が支出されています。

 そこで、府や土地改良区が造成した維持管理施設につきまして、農地の貸し借りの進捗など一定の評価のもとに、ポンプの電気代やそれを運転する人件費について少しでも土地改良区に対し補助制度を創設していただいて、そして優良農地を守り、営農を維持発展させるべきであると思いますが、いかがでございましょうか。

 最後に要望させていただきます。

 大阪の土地改良は、農地やため池、水路の維持管理を通しまして安全、安心な食料を供給し、防災空間や子供たちの学びの空間として農地を守る活動を積極的に行っております。特に多面的機能交付金によりまして、その地域の生徒さん、子供たちと老若男女が相集って農業を理解する、こんなほほ笑ましい光景が大阪の各地で見られるということは大変喜ばしいことであります。

 これらの活動を支える土地改良事業がより大阪で推進されますよう、農水省におかれましては、予算の確保、制度の改善に一層努められることを切にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のことだと存じますが、農業水利施設を始めとします土地改良施設の造成に当たりましては、建設時点で、国営では三分の二、県営事業などでは二分の一、国が負担をするということになっておりまして、県、市町村の支援も上乗せされております。建設時点で、農業者の御負担、相当程度軽減されておるというところでございます。

 したがいまして、できた施設を使って営農をなさっていただく場合には、その維持管理につきましては、その便益を享受されます農業者の方が農業経営の中で支弁をしていただく、負担をしていただくという原則になっておるところでございます。

 一方で、その負担をできるだけ小さくしていく必要があるということにつきましては、私どももまさにそう考えておるところでございまして、維持管理経費そのものではございませんが、施設の適時的確な整備補修を支援するための土地改良施設維持管理適正化事業の実施ですとか、あるいは施設を導入する際に、より省エネ型の施設を入れる、あるいは小水力発電を入れて別な収入の道を開くといったようなことについても御支援を申し上げておるところでございます。

 これらの取組を通じまして、土地改良施設の維持管理に係るコストの削減や負担の軽減を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

 また、多面的機能支払いにつきまして先生から御紹介を頂戴しまして、まことにありがとうございます。大阪府におきましても積極的に御活用いただいておりますので、引き続き私ども推進してまいりたいと思っております。

神谷(昇)分科員 ありがとうございました。終わります。

田中主査 これにて神谷昇君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉田裕彦君。

    〔主査退席、江藤主査代理着席〕

泉田分科員 自民党、新潟五区選出、泉田裕彦でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございました。

 本日、私からは、平成三十年豪雪、それから水田フル活用、国際貿易協定に関して、それから農業基盤施設整備等について御質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、平成三十年豪雪についてでありますが、これは、日本海側を中心に最近気候が荒くなっているということで、夏であればゲリラ豪雨になったかもしれないものが、ゲリラ豪雪という側面も伴いながら大変大きな被害が出ました。

 全国的には、福井県で千五百台の車が国道八号線で立ち往生するということが話題になっておりますが、我が新潟県においても、高校生を含む満員電車が停止をして、一晩その列車の中で過ごしてしまうというような事態も発生をしました。近年まれに見るような水道管の破裂、かなり気温が低かったということが言えるんだと思います。そしてまた、場所的にも、里雪という形で、ふだん降るところとは違うところでかなり大きな雪が降ったというようなこともございました。

 農業被害については、大臣始め農水省の皆様御存じのとおり、解けてみなければわからないというところがございます。融雪の途中で枝が折れてしまう、そしてまた、雪が降ったことによって農業基盤施設が被害を受けて田植に支障が来される、これから起きてくる部分というのがあるので、現在において全て把握することが難しいということだと承知をいたしております。

 一方で、地震災害についても、熊本地震があった際には、防災科学研究所においてかなり精緻なシミュレーションがありました。地震発災後二日目には、既にどのエリアでどれぐらいの規模の被害が出ているかというシミュレーションを把握することができた、知事会においてもそのシミュレーションにおいて対応することができたという現実がございます。

 豪雪災害についても、これは過去にも何度となく被害が発生しているわけでございまして、ぜひ、過去の例に倣って、そして円滑な対応ができるように、農水省の皆様からお力添えをいただければと思っております。

 そういう前提のもとで、今冬の平成三十年豪雪における農林水産関係の被害、現状をどのように把握をされていて、そして、過去の例に倣えばこんな感じになるのではないかという今後の見通し等があったら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 二月四日からの大雪によりまして、北海道や北陸地方などを中心に、現時点におきまして約二千七百棟の農業用ハウスに損壊等の被害が生じているという報告を受けておりますが、調査中の自治体もありまして、今後、調査の進展に伴いまして、被害の把握件数がふえていくものというふうに考えております。

 また、今先生御指摘のとおり、積雪による果樹の枝折れなどの被害が今後の調査の進展によりまして見込まれるとともに、融雪に伴う出水の状況によっては、農地の損壊等の被害が生じるおそれがあるというふうに考えております。

 農林水産省といたしましては、引き続き関係自治体と連携いたしまして、まずは被害状況を早期に把握してまいりたいというふうに考えております。

泉田分科員 丁寧な答弁、ありがとうございました。

 実際、この大雪は、関東地方に大雪が降ったときにも甚大な被害を及ぼした。ふだん雪になれていないところに降るとやはり被害が生じる、そしてまた、対策がとれていない農地また果樹等に影響が出るということだと思っています。

 過去の代表的な大雪、近年における代表的な大雪における農林水産関係の被害についてどのように把握しているか、教えていただければと思います。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘は平成二十五年の大雪の被害だというふうに思います。

 平成二十五年度の大雪の際には、関東甲信地方など、通常降雪量の少ない地域を中心にいたしまして、全国三十六都道府県におきまして、農作物等の損傷が五千三百四十四ヘクタール、農業用ハウス等の損壊が八万五千九十四棟、畜舎の損壊が三千三百二十七棟などによりまして、被害額が千八百四十一億円という過去に例のないような甚大な被害が発生したというふうに認識しております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 そこで、大臣にお尋ねをしたいんですが、今後発生する部分も含めまして、農業者が円滑に農業を継続することができるように、ぜひ農林水産省から、この春にかけて起きる事象について的確に対応をお願い申し上げたいと思います。

 今冬の農林水産関係被害に対する農林水産省の支援の方針について、教えてください。

齋藤国務大臣 今冬の大雪では、農業用ハウスなどに被害が発生している。先ほどデータは報告させていただきました。

 まず、今出ている被害に対しましては、農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払いということが大事だと思っています。また、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金等によりまして、もう既に被害が出ているところは長期、低利の融資をしっかりとさせていただくということにしているところであります。また、農業融資についても、二月八日に、被災された農業者に対する資金の円滑な融通について、関係機関等に要請する通知を発出させていただきました。

 大雪の被害につきましては、私も毎日記者会見や国会で質問を受けるわけでありますけれども、毎日その件数がどんどんふえているというのが今の現状でありますので、とにかく早急に実態の把握に努めて、その状況に応じて適切な対策を講じていきたいというふうに考えております。

泉田分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、今後発生する部分も含めまして、そしてまた、世間的に注目を浴びるのはどうしても被害の大きかった福井県ということになると思うんですが、それ以外の地域の被害も目配りをしていただいて対応いただけますよう、よろしくお願いをいたします。

 また、本日、総務省にも来ていただいていると思うんですが、ゲリラ豪雪は、規模とそれから場所、遭った方々に対しては集中的に傷みが出てくる。これは、国全体で対応するというところには及ばないんだけれども大きな被害が出るというケース、これは自治体が対応するケースも今後発生してくるということだと思います。その場合、自治体が対応した場合に財政的支援措置はどのように考えておられるのか、御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 特別交付税におきまして、寒害や冷害など、この中には雪害も含むわけでございますが、これらによります特別の財政需要に対しまして、農林水産省が算定いたします農作物の被害額、これを指標といたしまして特別交付税措置を講じております。

 今般の大雪による農業関係被害に対する対応につきましては、先ほども御答弁がございましたが、まずは農林水産省におきまして被災状況を把握していただいて御検討いただくということになりますが、総務省といたしましても、農林水産省の対応も踏まえつつ、被災団体の実情を丁寧にお伺いをして、雪害により多額の財政負担が生じる団体の財政運営に支障がないように適切に対応してまいりたいと考えております。

泉田分科員 大変ありがとうございました。

 今後発生する部分、総務省においてもぜひ目配りをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次の項に移らせていただきたいと思います。

 世界人口は、二〇五〇年に、何もしなければ九十六億人を超えるというようなことも言われております。今後、新興国の食生活が向上していくということも現実問題として起きているわけでございます。

 これも大臣以下農林水産省の皆さんよく御存じのとおりで、鶏肉を食べようと思うと、三人分の穀物を消費することになります。豚肉を食べようとすると、五人分の穀物を消費することになります。さらに、牛肉を食べようとすると、十一人分の穀物を消費をする。経済水準が新興国において向上する中で、人口が九十六億人というようなことになっていった場合に、本当に安定して食料供給が我が国に対して行われるんだろうか、一抹の不安を禁じ得ないわけでございます。

 今から約三十年ぐらい前になるかと思いますが、お米が凶作で買占めが起きるんではないか、結局はタイ米の輸入になったというようなことがございました。私も、なるべく買わないで、食料需給が逼迫するのを防ごう。家内から頼まれたことを覚えております。あなた、なくなるから早くお米を買いに行きましょうよ。おまえのようなことをするやつがいるからなくなる、だから、お米については必要になったら買いに行きなさいと言ったんですけれども、結果として、買いに行こうと思ったら、もうどこに行ってもないというようなことになりました。

 今、気候が地球環境全体で大きく変動しているというような状況の中で、食料需給が逼迫をしていて、かつ、何か小さなトラブルがあったときに、ちゃんと対応できるのかどうか。食料安全保障の観点というのは、生産地だけではなく、消費者、都市住民にとってもぜひ強く認識をしていただきたい部分かなというふうに受けとめております。

 実際、昭和四十年代に、トウモロコシがアメリカで不作になりました。そのとき米国からとられた措置は、輸出の分を減らすということです。食料輸出国にとっては輸出はあくまでもバッファーで、国内需要との比較でどちらが大切かということになれば、やはり国内需要を優先するということが歴史が教えるところだと思います。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、現在、新興国において食生活の水準が向上する中で、二〇五〇年の世界の食料需給の見通しについて、これは若干の変動があっても大丈夫かどうかという点も含めて、農林水産省の認識を教えていただければと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年の世界の食料需給見通しについて御質問をいただきました。

 農林水産省におきましては、平成二十四年に、二〇五〇年における世界の食料見通しということで、予測結果を公表しておるところでございます。

 これは、食料の需要面で、世界の人口や経済成長、バイオ燃料用需要の見通しなどを勘案するとともに、供給面につきましては、気候変動、単収の増加、収穫面積の動向を勘案いたしまして、一定の前提のもとに、価格を媒介として各品目の需要と供給を世界全体で毎年一致させる、部分均衡分析モデルと呼んでおりますけれども、これにより試算を行ったものでございます。

 その結果でございます。二〇五〇年の世界の食料需給についてでございますが、当時の結果でございますが、世界人口が二〇〇〇年の六十億人から、二〇五〇年では九十二億人まで増加ということを見込む中で、先生おっしゃいますとおり、開発途上国の人口増加、経済発展を背景として、全体で食料の需要量は約一・六倍となる。こうした食料需要の増大に対応するためには、世界の食料生産全体を、二〇〇〇年の四十五億トンから、二〇五〇年には六十九億トンまで引き上げることが必要という結果となっておるところでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 そこで、農林水産省は、現在、中期の食料自給率目標をお持ちだと思います。一方で、これはいざというときに備えてということも含んでいると思いますが、食料自給力という指標もつくられておられるかと思います。

 いざというときに、カロリーベースだけ計算すれば、全員芋を食べれば確かにある程度のカロリーはとれるということになると思いますが、それで食生活というのがバランスがとれて栄養が満たされるかというと、必ずしもカロリーベースだけでは決まらないところがあるかと思います。

 一方、農家にとってはやはり生産額ということも重要で、生産額で見た食料自給率という指標もあるわけでございます。

 現在定めている食料自給力、カロリーベースの食料自給率、さらには生産額ベースの食料自給率、それぞれどういう政策的意義を持ち、そしてまた定めておられるのか、このあたりの御説明をお願いをいたします。

礒崎副大臣 委員御案内のとおり、まず食料自給率の方でございますが、これは食料の国内需要を国内生産でどの程度賄えるかを示す指標でございまして、具体的には、国内生産を分子といたしまして、国内生産に輸出入等を加減した国内消費仕向けを分母として計算して求めるものでございます。

 一方で、食料自給力指標は、国内の農地を最大限活用することを前提に、我が国の食料の潜在生産能力を評価する指標でございまして、具体的には、現状の作付体系等を踏まえ、米、小麦、大豆を中心に作付する場合と、供給熱量が高い芋類を中心に作付する場合を設定いたしまして、これらの場合を、さらに、栄養バランスを考慮し野菜等を作付する場合と、熱量効率を追求する場合に分け、全体で四パターンに分けまして、それぞれ得られる食料の供給熱量を試算したものでございます。

 このように、食料自給率が、国民が現実に消費するものをどの程度国内生産で賄えるかを示すものであるのに対し、食料自給力指標は、我が国の農業が有する潜在的生産能力、いわば日本の農業の底力を示す指標でございます。

 こうしたことの意義を国民に対して丁寧に説明することが必要でございまして、いずれにしても、食料安全保障上、食料自給率も食料自給力も、いずれも維持向上させていくことが必要であると考えて努力をしているところでございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 今ほどの項で申し上げましたとおり、いざというときに国民を飢えさせないというのが、やはり政府の大変重要な使命ということだと思います。そのためには、農業、農村、しっかりと、日本国内においても、人が住んで希望を持って生活できるような環境を整え、そしてまた、そこで働く人が定着をしていける環境をつくっていくことが重要かと思います。消費者の皆さんに御理解をいただきながら農業政策をやはり展開していく必要があると思います。

 この食料自給力、それからカロリーベース、生産額ベースの食料自給率、複数あるとなかなか消費者にとって理解できないという部分はあるかと思います。

 現在、一番広く認知されているのが、やはりカロリーベースの食料自給率ということだと思いますが、これが四五%から四〇%に引き下げられているということがございます。これは、中期目標、二〇二六年度の目標というふうに承知しておりますが、これが二〇五〇年に向かってどうなっていくのか。できれば長期の目標も持っていただきたいと思いますが、状況を見ながら変えていくという御判断だと思いますので、まずは、二〇二六年度の食料自給率の目標の考え方、農林水産省の考え方を教えていただければと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年三月に閣議決定されております食料・農業・農村基本計画におきましては、平成三十七年度までに、食料自給率をカロリーベースで四五%とする、生産額ベースで七三%にするという目標を設定しておるところでございます。

 以上でございます。

泉田分科員 ありがとうございました。

 食料自給率、カロリーベースで四五%と言われると、やはり不安が残る部分があるかな。輸入すればいいという考え方も当然あろうかと思います。しかしながら、世界の主要産地で少し気候変動が起きれば、また昭和四十年代のような自国優先ということも起こりかねないと思いますので、中長期の目標をどうするか、ぜひ念頭に置きながら、都市住民、消費者の皆さんにも御理解をいただけるような情報発信をぜひお願いを申し上げたいと思います。

 そして、次の項目に移らせていただきたいと思います。

 水田フル活用ということでございます。

 これは、都市と農村部でこの捉え方に若干温度差があるんではないかということを懸念をしておりますが、今ほど申し上げたとおり、消費者にとっても食料安全保障を守るということは極めて重要なことで、水田フル活用、現在農水省で進められている方針で、ぜひ前向きに力強く進めていただきたいと思っております。

 一方で、今の制度は若干改善の余地があるんではないかなというふうにも感じております。

 どういうことかといいますと、新年度、新しく農業政策が大きく変わることになるわけでございます。直接支払交付金が米に対しては廃止ということで、政策の方向性は理解しているところでございますが、産地によってはかなり影響が違ってきているということだと思います。

 もともと主食用米としてつくっておられた地域で値段がさほど高くなかったエリア、ここについては、飼料用米へのシフトによって平均的な米価が上がっているので、農家にとってはやはりメリットがある部分が多かっただろうと思います。

 我が新潟五区は、魚沼産コシヒカリの産地。新潟県全体も、トップブランド新潟コシヒカリの産地でございます。最近、高温対応品種ということで、新之助というものも売り出しました。ブランド競争に参画をさせていただいているということでございますが、ここは平均価格が上がるほど価格は上がっておりません。したがって、農家にとっては直接支払交付金が廃止された部分だけダイレクトに痛みが出ている、今の農政に対して不信が広がっているという部分がエリアによって存在しているというのが現実でございます。

 一方で、新潟県は、米菓業界、これは、米菓の生産でいいますと六から七割は新潟県に集中をしている。ここは国産米が足りないという悲鳴にも近い声が聞こえてきているというのが現状でございます。

 大臣もチャンスがあったらぜひ試していただきたいんですが、お茶かお湯、白湯ですね、白湯の中の方がいいと思うんですが、米菓を入れてみていただけるとわかるんですが、香りが違うんです。国産米だと、やはり香りが、私は鼻が悪い方なんですけれども、しっかりそのよさが伝わってくる。MA米ですとそれが伝わらないというぐらい、日本のお米の品質は高いということだと思います。

 国産米をぜひ使っておいしい米菓を供給をしたいという人たちが、国産米を手配できないという現実になっています。

 例えば、魚沼のコシヒカリを主食用米だけでつくるんではなくて、米菓用に、これは産地交付金で県とも協力をしながら若干プラスをして、多収穫米をつくって、そして米菓業界に供給すれば、双方にとってメリットがあるんですけれども、残念ながらこの仕組みが必ずしもうまく回っていない。

 今、農水省の現場の方で、実際できるんじゃないかということで一、二の事例で計算をしていただいているところでありますが、国の制度としても、産地ごとの違いということも目配りをした上で、それぞれのエリアで農家の皆さんも安定して経営できるような、そんな優しい制度をぜひ構築をしていただけないかなと、これはお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、総括審議官にお尋ねをしたいんですが、米菓の原料米にMA米が多く使用されている現実がありますので、食料自給率の向上を図る観点からも国産米を供給できるような方策を検討すべきではないかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました米菓に使用される原料用米の状況について見ますと、米菓メーカーが製造、販売する製品の品質や、あるいは表示の問題なども踏まえまして、一般論として申し上げますと、品質を重視する製品には国産米が、そして、価格を重視する製品にはMA米が、輸入米が主に選択されているものと考えておりますが、実態を見ますと、原料用米の約七割は国産米が使用されている状況でございます。

 こうした中で、更に米菓への国産米の使用を拡大していくためには、一つは、まず、やはり実需者ニーズに応じた産地の生産コストの低減をしていく。そして、産地と米菓メーカーの間の安定的な取引の確立をしていくというような取組が必要になってくるというふうに思っております。

 農水省といたしましては、生産コストの低減につきましては、実証事業などを通じて多収品種や省力栽培技術の導入を推進する。そして、米菓メーカーなど実需者のニーズを産地に発信しまして、実需者からの個別相談に応じて産地を紹介することによるマッチングを行う。さらに、今委員から御指摘がございましたように、水田活用の直接支払交付金によって、加工用米一般に対して十アール当たり二万円を御支援しているわけでございますが、さらに、産地交付金の中で、地元の加工業者に対する加工用米の供給を目指すような地域におきましては、その産地交付金を活用したさらなる追加の支援も可能になっているというような工夫をしているところでございまして、私どもとしても、引き続き、加工用途への国産米の安定供給に向けて取り組んでまいる所存でございます。

泉田分科員 大変ありがとうございました。

 そこで、大臣に確認をさせていただければと思うんですが、米の直接支払交付金廃止の影響によりましてブランド競争が激しくなる中で、多収穫米など多様な米への転換を図ろうとする産地への支援が必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

齋藤国務大臣 二十七年産米以降、過剰作付が解消されて米価が上昇する中で、外食、中食などの業務用ユーザーの皆さんから、二十九年産米の出回り当初において、希望する価格での米の調達が難しくなっているという声が出されているところでありますし、私のところにも御要請に随分来られております。これは、委員御案内のように、ブランド米の生産拡大など高値で販売したい産地の意向と、低価格を求める業務用ユーザーの意向との食い違いが生じているということだと思います。

 農林水産省としては、家庭用のブランド米のみならず、外食、中食向けの業務用も含めて、バランスのとれた形で、それぞれの需要に的確に応じた生産、販売がなされるということが重要だというふうに考えておりまして、外食、中食等の実需者と産地のマッチング支援を行うですとか、各産地が、業務用への販売を視野に入れて、多収品種の導入を始めとする生産コストの削減に積極的に取り組んでいただく必要がある旨、あらゆる機会を捉えて説明してきているところであります。

 産地においては、業務用需要に対応できるよう、多収品種の導入による低コスト生産の取組や業務用ユーザーとの複数年契約の締結などの動きが出てきているところでありまして、こうした事例についても情報発信していくことによりまして、今後、三十年産米における、より需要に応じた生産、販売の推進に努めてまいりたいと考えています。

 確かに、高級ブランド米じゃないんですけれども、安定的に複数年にわたって購入していただけるということであれば外食、中食用のお米をつくろうという生産者の方もふえてきておりますので、うまくマッチングをやっていきたいと思っています。

泉田分科員 ありがとうございました。

 やはり、水田をフル活用し、そしてまた農村地域で農業者も、そしてまた消費者も安定した供給を受けられ、おいしい食生活、健康で豊かな日本になるように、引き続きの御努力をお願い申し上げたいと思います。

 次に、一つ飛ばさせていただきまして、貿易問題についてお伺いをいたします。

 現在、輸出促進をしていく、これは国を挙げて取り組むべき重要課題というふうに認識をいたしておりますが、残念ながら、福島第一原発事故以降、その取扱いで差別的に扱われているケースがある。けさも、韓国とのパネルがとりあえず決着をした、上訴されるかどうかというのはわかりませんが、日本の主張が認められたというふうに承知をいたしております。

 従前、大きな市場、ヨーロッパの日本食レストラン、それから、ボリュームゾーンでいうと、米を食べる習慣があるところ、やはり中国ということになると思いますが、ここへの輸出、台湾、香港等を経由してもあったのかなというふうに承知をしていますが、こういう抜け穴ということをやると、業者がその後ずっと事業が継続できなくなるような強いサンクションも想定されるという中でありますので、なかなかそういうこともできなくなっている。ぜひ、産地が安心して輸出できるような体制ができるように、農林水産省の特段の御尽力をお願い申し上げたいと思います。

 時間になりましたので、お願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、大変ありがとうございました。

江藤主査代理 これにて泉田裕彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田統彦君。

    〔江藤主査代理退席、主査着席〕

吉田分科員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、早速質問に移ってまいりたいと思います。

 まず、大臣にお尋ねしたいんですが、二〇一七年六月の二十六日、所有者不明土地問題研究会が、もう御承知だと思いますが、相続未登記などで所有者がわからなくなっている可能性がある土地の総面積が九州より広い約四百十万ヘクタールに達している、そして、二〇四〇年には約七百二十万ヘクタール、これはもう北海道の面積に迫る水準ですが、まで増加するという推計結果を公表しています。

 まず、大臣にお尋ねいたしますが、現時点でこのうち山林が占める総面積はどのくらいか、御答弁を願います。

齋藤国務大臣 ちょっと、その具体的な御質問について事前にいただいていないようなので、今お答えできません。

吉田分科員 一応、不明土地のそういった全般的なところに関してはきのう申し上げていたと思いますが、それであれば先に進ませていただきます。一応、きのう通告のときには申し上げておいたんですが。

 こうした土地の増加は、森林の荒廃や土地取引の停滞などにつながります。背景には、まず、人口減少で過疎地や山間部の土地の資産価値が下がっています。そして、資産価値がなくても管理コストが当然かかります。そして、登録免許税、固定資産税及びその納付の手間などの負担がかかるために、法定相続人が誰も相続登記をせず、長年放置される等があります。結果的に、何十年も放置されると、子や孫の代になって相続人が雪だるま式にふえていくわけであります。そうすると、事実上、相続も売却もできなくなります。実際に、登記簿上の所有者が満州国在住という事例もあったと仄聞いたしております。

 短絡的に申し上げれば、今後そういった事例を極力ふやさないためには、相続の際に法定相続人による相続登記を義務づける必要が当然あるかもしれません。現在の農林水産省にはそのようなお考えがあるのでしょうか。また、加えて、今後提出される森林経営管理法案では、経営管理実施権を設定しているだけであるため、持ち主不明の山林の解決には余りつながってこないのかなと思いますが、この二点、あわせて御答弁ください。

齋藤国務大臣 まず、吉田委員御指摘のように、人口減少ですが、超高齢化社会を迎える我が国におきまして、今後、土地利用ニーズの低下等に伴いまして、所有者不明土地が増大するおそれがございまして、この問題に対しては抜本的な対策を講ずる必要があるというふうに考えています。

 このため、私どもとしては、今までも、所有者が不明な森林の増加により適切な森林整備が進まないということにいかに対応するかということで対策を講じてきているところでございます。

 例えば、予算措置で、森林組合等が行う森林所有者の所在確認や境界の確認等の施業集約化のための活動に対する支援を行うということをやってきましたが、平成二十三年の森林法改正によりまして、新たに森林の土地所有者となった者の届出制度をしっかりするとか、それから、森林所有者不明な場合でも間伐の代行や林道等の設置を可能とする制度を創設するとか、あるいは、平成二十八年の森林法改正によりまして、市町村が所有者や境界の情報を一元的に取りまとめた林地台帳を作成する制度を創設して、平成三十一年四月から本格運用するということにしたところであります。

 また、御案内のように、今国会におきましても、新しいシステムのもとでより適切な森林管理ができるようにということでありますが、御指摘のように、そもそも相続のときにそこがしっかりと登記をされていないとそこから先が大変なことになるという問題であります。

 今、政府全体としては、登記制度や土地所有権などについて、より抜本的に検討することが必要であるというふうに認識をいたしておりまして、本年一月に設置された所有者不明土地等対策のための関係閣僚会議というところにおきまして、農林省、林野庁だけの仕事じゃありませんので、政府全体の取組として検討を進めるということにしているところでありまして、この中で、不動産登記制度等を担当する法務省におきまして、登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会、これが立ち上がっておりまして、既に検討に着手しているところであります。私どもとしても、農林地を所管する立場からこの研究会のメンバーに入っておりまして、積極的に議論に参画をして、この問題の前進を図っていきたいと考えているところであります。

吉田分科員 ありがとうございます。

 大変御丁寧に答弁いただいたんですが、端的に申し上げると、やはり相続のときの未登記は困るので、大臣、農林水産省として、今後、これはもう余り時間がないですから、やはり、財務省、法務省に対して強く農林水産省の姿勢を打ち出すことが大事だと思いますので、そこを一言もう一度いただきたいのと、所管大臣でいらっしゃるので、所有者不明の土地がこれだけ問題になっている中で、その部分で山林がどれくらいかということはやはり把握していただきたいなと一国民としても思うので、ぜひ、それは調査をしていただいて、やっていただきたい。

 ペーパーを出さないでくださいとこの問題に関しては言っておいたんですが、相続のところを、農林水産省としての姿勢、大臣としてのお考えも含めて、ちょっともう一言いただけますか。

齋藤国務大臣 先ほどの検討会の中でしっかり対応していきたいと思います。

吉田分科員 ぜひ御提案いただければと思います。

 相続登記を現時点で義務づけることができないという段階であれば、問題を根本的に解決するためには短期的な方策と長期的な方策で考えていかなければいけないんですが、短期的な対策としては、まず、所有者、自治体双方にとって各種手続のコストや手間を減らす必要が当然あります。例えば、相続人による物納を事実上認めることや、相続登記や固定資産税、自治体による相続財産管理制度の利用に当たって、その手間と費用負担を軽減して手続の促進を支援していくことはもう絶対に必要かと考えます。

 そして、このように相続登記の促進をいろんな方法を使って図っていく中で、加えて、登記がもう長年、何世代にもわたって放置されているものについては、例えば、一定の手続を踏まえた上でもちろんしなければいけませんが、自治体や公的機関及び他者の利用権設定を可能にする方策などを考えられてはいかがでしょうか。

 この二点に関して、大臣のお考えをお聞かせください。

齋藤国務大臣 先ほどの研究会の中で適切に対応していきたいと思います。

吉田分科員 ぜひ、こういったことにしっかり対応していただければと思います。かなり、本当に、森林、林地に関しては、不明な土地がどんどんどんどんふえていくこと、今後も大きく拡大をしていくと、経済活動、国家としての損失にかかわるところでございますので、ぜひまたしっかりとお考えいただければと思います。

 そして、長期的な対策として必要だと考えますが、所有者不明化の予防策として、具体的に、物納以外に、将来子々孫々まで利用見込みのない土地を所有者が適切に手放せる選択肢をつくっていくことが肝要かつ急務であると考えます。

 本来、個人が管理、維持し切れなくなった土地、山林というのは、一定の組織で共有をしたり、そして、新たな利用、所有者にわたることが当然望ましいと考えますが、その地域からそもそも人が減っているわけでありますが、利用見込みや資産価値の低下した土地はそのまま放置するしかない現状の中で、例えばNPOなどの組織による土地の寄附を受け付ける仕組みだとか、自治体による公有化支援策の構築を含めた土地の新たな所有、利用のあり方について考えるべきだと思いますが、こういった点に関して、検討会の方でもということでありますが、大臣としてお考えをお示しいただければと思います。

齋藤国務大臣 今委員御指摘の点は大変重要な点であるというふうに認識しておりまして、森林に関心を持っていない方々も実は所有者の中にはおられます。

 その不明の土地の活用方法については先ほど御説明を申し上げましたが、森林経営意欲がない所有者の森林を有効にいかに活用していくかということは、林業の成長産業化や森林資源の適切な管理を進めるためには必要だというふうに認識をしておりまして、まだ法案を提出していなくて、国会の議論が行われていなくて大変恐縮なんですけれども、新しい森林管理システムにおいては、林業経営の意欲をなくしている所有者から市町村が森林の経営管理を行うために必要な権利を取得して、今御指摘のNPO法人も含めて、意欲と能力のある林業経営者に経営管理を再委託する仕組みによりまして、きちんとした管理、整備ができるようにしていきたいというふうに考えているところでございますので、また法案の審議をお願いしたいと思っているところでございます。

吉田分科員 御丁寧に答弁いただきまして、ありがとうございます。

 物納は、大臣、いかがでしょうかね。なかなか今、物納することが困難なんですが、物納をある一定程度の条件をつけて許せば、公的な、国有地になるわけですし、その国有地を更に意欲のある人や何らかの経済的な事情や開発の必要性に応じて分配をするということや、一定程度のルールの中で譲り渡すということが可能になると思うんですが、やはりここをちょっと踏み込んで、大臣、考えていただくと、よりよい制度設計の一助となるのかなと思うので、物納に関してちょっと御意見をお願いします。

齋藤国務大臣 一つの考え方だと思うんですけれども、土地の相続のあり方ですとか所有権の放棄の可否等は、森林だけではなくて、恐らく土地制度全般あるいは土地以外に広がる問題だと思っておりますので、森林に限ってだけ今物納はオーケーですみたいな対応というのは今この時点では難しいんだろうと思っておりますが、いずれにしても、物納ができなくても、さっき申し上げたような新しい管理システムの中で適切に管理できるように前進をしていきたいというふうに考えております。

吉田分科員 大臣、大分、本当に現状もよく把握していただいていますので、ぜひ、いろんな方法を講じて国家のために頑張っていただきたいと本当に切に思います。

 実際に、相続で、ある段階で例えば山林を相続しましたと。そのときは、その方は経済的な余裕があって、何十筆という筆数を、当然かなり負担になりますよね、これで相続をした。しかし、次世代にまた移るときに、当然これは同じ筆数の登記が必要になりますよね。その負担を今の時代に累代にかけてかけていくというのはかなりやはり厳しいですよね。

 だから、本当に短絡的で恐縮なんですが、それをクリアする一番いい方法は物納だと思うんですが、大臣、一生懸命本当に答弁いただきましたので感謝を申し上げますし、またそういったことも、実際の現場のことを、私もこれは実際身近な例を含めて申し上げておりますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 いずれにせよ、本当に早急に、土地所有権の放棄及び移譲制度の創設、土地の準公有化を可能にするような方策をあらゆる手段を講じて考えていただきたい、そのように思うわけであります。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 昨日、農林水産省の皆さんともお話をさせていただいたのですが、森林大国日本の木材自給率は、大臣、大体今何%ぐらいかということを改めて、そしてまた、過去最低であったのが二〇〇〇年なんですが、このときの木材自給率は何%であったか、大臣、大体で結構ですが、お答えいただければと思います。

齋藤国務大臣 政府委員から答弁させていただきたいと思います。

沖政府参考人 直近の自給率は約三八%と承知しております。

吉田分科員 二〇〇〇年が最低だったので、二〇〇〇年の自給率、きのういただいた資料にありましたけれども。もうわかりました、じゃ、いいです。

沖政府参考人 一八%と承知しております。

吉田分科員 結構、皆さん、これはやはり林業をなりわいにされている方は深刻に受けとめている数字ですので、そこからちょっと話を始めさせていただきたいと思って今尋ねました。きのういただいた資料にも入っていました。一番最初にいただいた資料に入っていました。

 これは二〇〇〇年が一八・二%、そして二〇一五年が三〇%前後ということで、これは実際、大臣、木材総需給が下がって、外材輸入の減少に伴う相対的な上昇であると農林水産省は把握していると私は聞いております。

 だから、決して楽観視できる数字ではないわけでありますが、なぜここまで木材自給率が下がって、また国産材の価格が下がっているのか、それを大臣御自身の御見解として、簡単にで結構でございますが、おっしゃっていただければと思います。

齋藤国務大臣 ここで私が正確に答弁するためには、やはり事前にきちんと詰めた上で答弁しなければ責任ある答弁はできないんですよ。ですから、政府委員から答弁させます。

沖政府参考人 このような木材の材価が低迷しているという理由でございますけれども、戦後間もなくのときには、我が国の国産材供給ということで相当の国産材を供給しております。そうした中で、一遍に戦後の復旧を進めまして、それから一生懸命植えてまいりました。その過程では、やはりどうしても国内で木材が足りなくて、外材の輸入を昭和三十九年にオープンにしてございます。

 そうしたことから、輸入丸太がそれからしっかり入ってきまして、そのおかげで我が国において木材の住宅が出てきたわけですけれども、残念ながら国の森林としてはまだ成長過程にあったということでございます。

 そうすると、安定的に外材が入ってきて、製材工場に入ってきまして、それがベースとした材価ということで現在に至っているということで、先ほど私の方で現在の自給率は三八と言いましたけれども、三五%でございましたけれども、外材が材価を決めるというのが現在の状況で、こういう状況に至っていると承知しております。

吉田分科員 済みません。決してこの話、きのう来ていただいた方はおわかりだと思いますけれども、きのうこの話はしていましたよね。なぜ木材の自給率が下がって今こういう状態になっている、データで見た、かなりこれに関してはディスカッションしたので、済みません、一言そういうふうに申し上げさせていただきました。

 私も、大臣、林業の復活を本当に願っているんです。ですので、こういった形で大臣にいろいろ御意見を聞きたかったわけでございますが、今国会、先ほどおっしゃっていました提出が予定されている森林経営管理法案で、この新たな森林管理システムが日本の林業復活の契機となりますように、ちょっと一点質問をさせていただきたいと思います。

 これはしっかりお話をさせていただいたところですからよろしいかと思いますが、森林経営管理法案では、市町村が森林所有者から経営管理実施権の設定を受けて、そして林業経営に適した山林については、意欲と能力のある林業経営者に林業経営を委託するシステムになっていると私は思っています。

 その中で、一方、自然的条件に照らして林業経営に適さない森林については、市町村による間伐等を実施する、その費用は森林環境譲与税が充てられるというふうに聞いております。間伐作業には税金を使えるわけですよね。間伐したものは売ってしまうこともできるわけですね、たてつけとしては。

 そうすると、売ってしまおうと考えた場合に、今、やはりさっき申し上げたように、総需給数が減っていますよね。それでさっきの質問をさせていただいたんですけれども、総需給が減っている中で、ますますマーケットに出てくるものがふえると、さらに木材価格が下がってしまう可能性があるんです。なので、さっきの質問というのは、ここをよく大臣に考えていただきたいというための一問目だったんです。

 これが懸念されますけれども、それに対しては、大臣、どういった対策を講ずるつもりか、若しくは、心配をしていないのであれば、簡単に理由を言っていただいて、そういったことだとおっしゃっていただければと思います。お願いします。

齋藤国務大臣 御案内のように、我が国の森林は、今、資源が充実をして主伐期を迎えつつあるということで、このタイミングで林業の成長産業化と森林資源の適切な管理、これを両立していくためには、この資源を、切って、使って、植える、こういった循環利用が確立されていかなくてはいけないというふうに考えていまして、このために、今御指摘のように、森林所有者みずから経営管理できない森林について、御指摘の新しい森林管理システムを創設するということで、関連法案を今国会に提出すべく今準備をしているところであります。

 ただ、それと同時に、御案内のように、このシステムの創設によりますと、原木の供給力というものが当然増大することが、増加することが予想されるわけでありますので、このシステムの導入と並行して、当然のことながら、木材需要の拡大というものも一緒に図っていかないと回っていかないということであります。

 このため、木材需要の拡大に向けては、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかったような中高層、あるいは中大規模、あるいは非住宅などの新たな分野における建築物の木造化あるいは内装の木質化、そういったものを推進できないか、CLTなんかはいい例だと思いますが、それから木質バイオマスの、今度はエネルギーの方での利用ですとか、それから高付加価値木材製品の輸出拡大、丸太ではなくて製品での輸出拡大などに取り組むということが重要であると考えておりまして、既に取組を始めているところでありまして、このような取組を通じて、森林の管理とそれから需要拡大、車の両輪で進めていくことが大事だなというふうに考えております。

吉田分科員 大臣おっしゃるとおりですので、ぜひ頑張っていただいて。

 済みません、先ほど来、本当に私は、大臣を困らせようと思っているわけではなくて、事前にちょっと話は実はしているので。

 例えば、名古屋城の話って、じゃ、聞いていませんかね。(齋藤国務大臣「えっ」と呼ぶ)名古屋城の木造の話は言っていませんか。きのうその話も結構しましたよね。

 まあ、そういう感じなんです。実は、さっきから聞いていることは、ちゃんと一定程度しっかり言ってありますので。ただ、本当にちょっと意向が伝わっていなくて申しわけなかったです。大臣に非礼をするつもりは全くないので、そこは御了解ください。応援をしております。

 実は、その名古屋城の木造化という話も、きのうちゃんと夜、話しておいたんですけれども、それが林業に与える影響ということに関しては、ちゃんときのう、どういう影響があるかということをお話ししていますが、大臣、ちょっと伝わっているかどうかわかりませんけれども、よかったら一言。

 きのう、ちゃんと言いましたよね、これ、本当に。お願いしますよ、もう。

齋藤国務大臣 私も、きょう何人の方の御質問を受けるんですかね、十数名だと思いますけれども。その都度、うちの事務方も質問を伺いに行っているわけでありますけれども、これほどかみ合わないのは先生だけだということは申し上げたいと思います。

 それから、名古屋城の話は、申しわけありません、これはうちの問題かもしれませんが、私、事前には聞いておりませんので、お答えできません。

吉田分科員 済みません、本当に。もっと今度は農林水産省の皆さんとまたしっかりとお話しさせていただきたい。大変申しわけありませんでした。

 名古屋城も、いい起爆剤になるかなということで、実はきのうしっかり申し上げて、どういう影響が出るかということも、例えば、お城ですから節のある木が使いづらいんじゃないかということも私申し上げて、それで、組み合わせた形で建てる例もあるし、これがもちろん私は林業の起爆剤になればいいと思ってきのうはそういう話をさせていただいて、本当にそれがいい形、通告の明確な文章に入れていなかったので、多分それがあれだったんだと思います。本当に失礼をいたしました。

 では、しっかりと次の質問をさせていただきたいと思います。

 東京電力福島第一原発の汚染水問題、これはしっかりと通告に入れてあったと思います。実際に、東京電力福島第一原発周辺の海域、放射性物質が海水中を浮遊して広く拡散していることはもちろんあるわけですが、そして海底にもかなりの量が蓄積されているため、カレイ、ヒラメ、貝類等の底物はもちろん、この海域を経たカツオ、マグロ等の回遊魚も高度に汚染される可能性が当然あるわけであります。さらに、汚染された魚を食べた魚はより汚染されて、食物連鎖を繰り返すたび、放射性物質が濃縮される生体濃縮が生じます。

 こういったことが起こり得るわけですが、実際にこの非常に広域な範囲を動く回遊魚が汚染されているおそれがあるんですが、農林水産省、本件に関してのデータをお示しいただきたいと思います。

礒崎副大臣 水産物中の放射性物質については、原子力災害対策本部が平成二十三年四月に策定した「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」に基づき、モニタリング調査を実施しております。

 これまでに、モニタリングで合計約十二万検体、これは昨年の十二月時点でございますが、検査をしてきておりまして、検査の結果、国の基準値は百ベクレル・パー・キログラムでございますが、これを超えるものは海面では平成二十七年四月以降検出されておりません。水産物中の放射性物質濃度は低下しているところでございます。

 こうしたことにつきましては、水産庁のホームページ等でも公表しており、情報提供を行っておりますので、今後ともそういうモニタリングに努めてまいりたいと思います。

吉田分科員 大変に今安全性が高まったということなんだと思います。これが事実であれば大変に好ましいことですが、実際、福島第一原発から大量の放射性物質は、かように放出されていたのは紛れもない事実であるわけであります。そして、今回のデータとの整合性を見ると、一体その放射性物質はどこに行ってしまったのかなということですね。

 科学的な考察を多分されていると思いますので、農林水産省、これはどなたからでも結構ですので教えていただきたいということ。また、どういう測定法を使っているのかなということも、わかる範囲で結構ですのでお答えいただければ、国民の皆様は安心されると思いますので、お願いします。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、検査方法につきましては、水産物の検査につきましては、ゲルマニウム半導体検出器というものを使って検査をしているところでございます。

 あと、先生、海底に放出された放射能がというようなこともおっしゃられたと思いますけれども、これまでの研究で、海底土、海底の土に入ったほとんどの放射性セシウムは、生物に入る量がごくわずかだというようなことが研究機関の調査研究で明らかになっているところでございます。

吉田分科員 ありがとうございます。

 土にセシウムなんかはあれですけれども、多分、これはシンチレーションとかをしないとわからない放射性物質というのもありますよね。核種によってこれは測定方法が大分変わってきますので、できるだけ正確にやっていただき、今、ホームページ等というお話が副大臣からございましたが、安全性の啓発ということでホームページ等もあるんだと思うんですが、これはやはり国民の皆さんが安心していただくためにより一層の啓発が必要かなと思いますが、その啓発に関しては今後どのようなことを考えられていますか。

礒崎副大臣 今御指摘いただきましたように、国民に安全な水産物を販売していることをしっかりとやはり知っていただく必要がありますから、今、単にホームページじゃなくて、あらゆる機会を捉えて、そういった安全なものを販売しているということを啓発に努めてまいりたいと思います。

吉田分科員 ありがとうございます。ぜひ頑張って、本当に事実をしっかりと国民の皆さんに理解していただきたいと思います。

 最後に、農林水産省所管の研究費に関して、無駄なく使っていきたいということで、民主党政権下で、かつて独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案というのを成立させまして、二千五百億円、科研費というのがあるんですが、これを基金化して使い勝手をすごくよくした。これは、やはり科学技術やイノベーションの進展に対してとてもいい結果であったということはもう明らかなわけであります。

 同時に、当時、農林水産省のやはり研究費も、年度末の使い切りをやめさせて、より使い勝手のいい予算にしたらいかがかということを御提言させていただいたことがあるんですが、その後ちょっとどうなっているかということを確認させていただきたいという意味で、農林水産省における戦略的プロジェクト研究推進事業、「知」の集積と活用の場によるイノベーション創出推進事業の予算を繰越可能にする等の施策を講ずる予定があるかということをお答えいただければと思います。

礒崎副大臣 農林省所管の国費の研究資金としては、今委員御指摘のあったナショナルプロジェクトのものと、それから国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、いわゆる農研機構のものと二通りございまして、国が直接のものについては、基本的に、会計年度の原則で単年度執行というふうにしておりますが、後者の農研機構の研究資金については、運営交付金の範囲内ではございますけれども、複数年度で執行することも可能といたしております。

 国の執行する研究資金の方につきましても、なるだけ交付を早くして、年度内の期間を十分保つ必要がある、それから、実際上、複数年度で執行するものについても、その翌年度の更新手続を早くするとか、そういうことでできるだけ使いやすいようにしておるところでございまして、将来的には、もう少し複数年度で執行できるようなことができないのかどうか、もう少し研究を進めてまいりたいと思います。

吉田分科員 時間が来ましたので、終わらせていただきます。

 大変に丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。

田中主査 これにて吉田統彦君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中主査 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。中川環境大臣。

中川国務大臣 平成三十年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明します。

 まず、予算の基礎となっている環境政策の基本的な考え方について御説明します。

 今日の環境問題は、人類のあらゆる社会経済活動から生じ得る、多様で複雑なものとなっています。一方で、我が国は、経済成長のみならず地域活性化、少子高齢化への対応、国土強靱化などの経済社会の諸課題を解決しなければなりません。環境政策に取り組むことで、経済社会上の諸課題の同時解決を実現し、将来にわたって質の高い生活をもたらす新たな成長につなげていくことが必要です。このような考え方に立ち、持続可能な地域づくりを目指す地域循環共生圏の構築や、東日本大震災からの復興・創生などの施策を展開してまいります。

 地球温暖化対策については、パリ協定のもと、再生可能エネルギーの最大限の導入や徹底した省エネルギーの推進などの国内における地球温暖化対策を着実に推進するとともに、二国間クレジット制度などを通じて、すぐれた制度や技術によって世界の脱炭素化に最大限貢献します。また、気候変動の影響への適応策や、環境インフラの海外展開等に積極的に取り組んでまいります。

 東日本大震災被災地の環境再生に向けて、中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の適正管理、搬出等の実施、放射性物質に汚染された廃棄物の処理に全力で取り組んでまいります。また、帰還困難区域については、特定復興再生拠点区域復興再生計画に基づき、除染とインフラ整備等とを一体的に進めてまいります。原発事故による放射線に係る住民の方々の健康管理、健康不安についても適切に対応してまいります。

 循環型社会を実現するため、廃棄物処理施設や浄化槽の整備、災害廃棄物対策、循環産業の育成や海外展開の支援、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRの推進などに取り組みます。

 人と自然が共生する社会の実現に向けて、生物多様性の保全及び持続可能な利用を図るため、国立公園や世界自然遺産などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用の推進、希少種の保全や外来生物対策の推進、鳥獣保護管理の強化、動物愛護管理の推進などに努めてまいります。

 また、国民の健康と良好な環境の確保のため、PM二・五による大気汚染や海洋ごみ対策、化学物質対策、公害健康被害対策などを進めます。

 原子力規制委員会については、原子力規制活動を支える安全研究の推進及び放射線モニタリング体制の強化を図るとともに、原子力規制人材育成の強化などに取り組みます。

 次に、これらの施策を実行するための平成三十年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明します。

 一般会計予算では総額三千二百七十三億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に総額一千九百七十三億円余、東日本大震災復興特別会計に復興庁所管予算として総額六千五百五十八億円余を計上しております。

 なお、委員のお手元に配付されております環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 よろしく御審議くださいますようお願いします。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま中川環境大臣から申出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)分科員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 本日は、観光先進国に向けて、国土交通省、観光庁と環境省がどのように取り組んでいくのかお伺いをいたしますので、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、観光先進国への三つの視点と十の改革についてであります。

 一点目として、視点の一から三についてまとめて観光庁にお伺いいたします。

 政府は、平成二十八年三月三十日に「明日の日本を支える観光ビジョン 世界が訪れたくなる日本へ」を策定し、その中で、視点の一、観光資源の魅力をきわめ、地方創生の礎にする、視点の二、観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業にする、視点の三、全ての旅行者がストレスなく快適に観光を満喫できる環境をつくると。こう三点、視点を示しているわけでありますが、ぜひとも具体策を、それぞれまとめておりますが、それぞれ特徴的な施策を一、二挙げる中で、この施策の視点の方向性について御説明していただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

米村政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府では、観光を地方創生の切り札、成長戦略の柱として位置づけてきたところでありますが、昨年の訪日外国人旅行者数は一九%増の二千八百六十九万人、これは五年連続で過去最高を更新しておりまして、訪日外国人旅行者数が政権発足後五年間で約三・五倍に拡大するなど、着実な成果も上がってきているところでございます。

 他方、二〇二〇年の訪日外国人旅行者数四千万人などの目標達成に向けてはまだ道半ばでありまして、これを実現するために、観光ビジョンに掲げられた三つの視点、その下に十の改革ということを位置づけまして、高次元な観光政策を展開しております。

 具体的に申し上げます。

 第一に、観光資源の魅力をきわめ、地方創生の礎にしてまいりたいと考えております。この中には、国立公園、文化財、古民家等の観光活用の推進、日本版DMOの形成促進等を進めて、外国人のニーズを十分に把握しながら、我が国ならではの魅力的な体験をアピールすること等により、地方への誘客を促進してまいります。

 第二に、観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業にしてまいりたいということでございます。具体的に申し上げますと、長期滞在の傾向のある欧米豪などの幅広い市場からの誘客に一層取り組みますとともに、観光を支える経営人材の育成、宿泊業の生産性向上を図ること等によりまして、観光産業を我が国の基幹産業へと変革をしてまいります。

 第三に、全ての旅行者がストレスなく快適に観光できるような環境を整備してまいりたいと考えてございます。これは、最新技術を活用した顔認証ゲートの整備などによる出入国管理体制の整備ですとか、通信、交通、決済などの受入れ環境の整備に取り組んでまいります。

 引き続き、観光先進国の実現に向けまして、政府一丸、官民一体となって取り組んでまいります。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 視点の一では、やはり何といっても目玉は、国立公園を世界水準のナショナルパークへというのがある。それから、視点の二は、やはり先ほど説明がありましたけれども、世界水準のDMOで、疲弊した温泉街や地方都市を再生、活性化させる。さらには、MICE機能の誘致、支援体制を強化する。さらに、視点の三では、やはりソフトインフラを飛躍的に改善し、世界一快適な滞在を実現する。そのための無料WiFiであったり、キャッシュレスの観光であったり、外国人患者を受け入れる医療機関を整備する。こういったことが大きな施策なのかなと思っておりまして、その方向性については私は間違っていないな、こういうふうに思っているところでありますので、ぜひこれからも頑張ってほしいと思っています。

 そこで、二つ目でありますが、環境省における国立公園満喫プロジェクトの位置づけについてであります。

 環境省は、観光ビジョンの中で、国立公園を世界水準のナショナルパークへと位置づけられたわけでありますけれども、国立公園満喫プロジェクトを環境省の中でどのように位置づけて取り組もうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

中川国務大臣 明日の日本を支える観光ビジョンの視点一、「観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に」の中で掲げられた改革の一つとして、今御指摘の、国立公園を世界水準のナショナルパークとしてブランド化するとの方針のもとで、環境省は国立公園満喫プロジェクトを推進しております。

 具体的には、二〇二〇年に訪日外国人旅行者数を四千万人とするのが政府全体の目標でございまして、本プロジェクトでは、国立公園の訪日外国人利用者数を一千万人にするという目標を掲げております。国立公園は全国各地に所在していることから、地方創生にも大きく寄与するものと考えております。

 例えば、日光国立公園のステップアッププログラムにおいても、中禅寺湖や日光東照宮を始めすぐれた観光資源を活用することで、観光需要の拡大による地域経済の活性化により、定住人口の増加、ひいては地方創生に取り組むこととされております。

 本プロジェクトの着実な実施により、観光先進国の実現を牽引します。同時に、多くの方に日本の国立公園に接し、美しい自然環境の大切さを理解してもらうことで、しっかりと後世に引き継いでまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 この観光ビジョンの策定には、私の地元の小西工芸社の社長であるでデービッド・アトキンソン氏も参加してビジョンをまとめているようでありますから、そういった意味では、本当にいい計画になっているのかな、こう思っております。

 環境省は、やはりこの環境省の予算のタイトルにもありますように、観光立国、地方創生、経済成長を実現するための大きな政策として取り組む、こう書いてありますので、そう簡単に大臣答えていただければよかったんですが、かなり詳しく答えていただいて、済みませんです。

 次に、日光国立公園ステップアッププログラム二〇二〇についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、資料をごらんいただきたいと思いますが、これはまさに環境省の日光事務所がつくった資料でありますけれども、まず、この資料を見ながら、コンセプト、基本概念と、さらに(二)の計画期間及び数値目標ですね。国立公園に一千万人まで観光客に来てもらうんだという話でありますが、日光国立公園の目標が、ここにありますように、二〇一五年に比べて、訪日外国人の利用者数を五十万人、そして訪日外国人の宿泊者数を二十五万人にする、こういう計画でありますが、これは達成できそうですか、いかがですか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の数値目標につきましては、日光につきましては、二〇一五年に十九万人だったものを二・五倍の五十万人に、同じく九・六万人だった訪日外国人宿泊者数をこちらも二・五倍の二十五万人とする計画になっております。

 国立公園満喫プロジェクト全体の数値目標、一千万人にするという目標が、二〇一五年の四百九十万から二倍にするという計画でございますので、それに比べると大変意欲的な計画になっているところでございますが、いろいろなプログラムを実施する中で、官民連携、各省連携の取組により、着実に実施をしてまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)分科員 なかなか意欲的な目標だと思います。

 基本コンセプトについては話がありませんでしたけれども、ニッコー・イズ・ニッポン、これが基本的な考え方でありますが、このニッコー・イズ・ニッポンは、実は、二社一寺が世界遺産に登録されたときのキャッチフレーズ、これがニッコー・イズ・ニッポンでありました。日光東照宮と日光山輪王寺とそして日光二荒山神社、この三つの寺社を中心とする世界遺産でありますけれども、そういうタイトルで、これからの後の話にもつながるわけでありますが、日光はまさに日本を象徴するところだということを強調しておきたいと思います。

 そこで、次にプロジェクトの実施についてでありますが、一つ目から三つ目まで、これはあわせてお答えください。

 まず、プロジェクトの主な例についてでありますが、この資料一にもありますように、具体的な取組が書いてあります。そしてさらに、ここで、この具体的な取組で何を強調して整備をしたいのか。

 そして二つ目は、日光国立公園の中は大変広いものですから、日光、鬼怒川、那須、塩原の四つのエリアに分けて計画が立てられておりますが、しかし、課題は、この四つのエリアを横につなぐ二次交通が不足しているということ。これについての整備をどうするかということで、具体的な取組も始まっているようでありますが、これで十分なのかどうかということもあります。

 それから三つ目は、これからたくさん外国人を呼ぶためには、欧米系個人旅行者を中心に誘客をしながら、増加しているアジア市場も開拓するんだというんですが、これについてどんな具体的な取組を考えているのか。

 この三点、まとめてお伺いできればと思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 日光国立公園では、この資料にもありますように、案内標識の多言語化やトイレの洋式化といった各公園に共通の取組に加えまして、ハード面では、那須平成の森ビジターセンターへの民間カフェの併設ですとか、あるいは環境省所管地内の廃屋撤去などの景観改善を進めております。

 ソフト面でも、観光団体と連携した観光コンテンツの開発や磨き上げ、あるいはテーマ性を持たせたモデルコースの設定、ガイドの外国人対応研修などを行っております。

 それから、官民連携によりまして、地域協議会のもとに分科会を設置しておりますが、民間事業者による交通アクセスの改善や、栃木県によるレンタサイクルの導入とも緊密な連携をとって進めているところでございます。

 それから、日光、鬼怒川、那須、塩原をつなぐ具体的な例といたしましては、日光・那須満喫ライナーというバスが試験運行されております。

 実績といたしましては、平成二十九年は春の時期と秋の時期、合計で十五日間実施をされております。来年度も、それを上回る日数で実施予定でございます。

 実際に利用した方からは、大変便利とか、あるいは、今までとは違うルートで通ることができてよかったという声がありまして、好評だったようですが、まだ余り知られていないということもありますので、PR方法も含めて改善を重ねてまいりたいと思います。

 それから、欧米系の旅行者が多く訪れているということでございますけれども、日光につきましては、御指摘のように、欧米豪の旅行者の割合が高いというのが特徴になっております。日光の場合、世界文化遺産も有する地域でもありますので、一層、欧米豪の誘客に力を入れるべきと考えております。その一方で、近年、アジア市場を開拓していくことも重要と考えております。

 ステップアッププログラムの中でも、利用者数の多い欧米系の個人旅行者を中心に誘客を行いながら、近年増加傾向にある東アジアやASEAN諸国などのアジア市場も開拓していくというふうにしているところでございます。

 今後、アジア各国の国ごとの旅行者の関心等も踏まえながら、より細かな分析とターゲット設定を進めて、外国人利用者による消費額の増大あるいは数の増大等を進めることで地方創生につなげていきたいというふうに考えております。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 それでは、四つ目でありますけれども、湯元と菅沼を結ぶトンネル開設についてであります。

 これは国土交通省にお伺いいたしますが、栃木県の日光市と群馬県の利根、沼田を結ぶ道、国道百二十号金精道路通年通行促進同盟会、そういうものができて国土交通省に陳情しているようでありますが、この要望についてどういう評価をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。

    〔主査退席、江藤主査代理着席〕

東政府参考人 お答えいたします。

 国道百二十号は、栃木県日光市から群馬県沼田市に至る、栃木県と群馬県が管理する道路でございます。世界遺産である日光市の社寺や中禅寺湖、尾瀬国立公園などの日本を代表する観光地やスキー場、温泉地を沿線に有しております。

 県境に位置いたします金精峠の約十八キロ区間につきましては、冬期における積雪及び凍結により、安全な通行を確保することが困難であることから、例年十二月下旬から四月下旬まで通行どめとなっているところでございます。

 本区間につきましては、冬期通行どめの解消に向けまして、栃木県、群馬県による勉強会が平成二十九年八月に設立されたところでございます。この勉強会において、現地調査等必要な調査、検討を行っていくと伺っており、国土交通省といたしましては、両県の要望を踏まえ、必要な支援を検討してまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 ありがとうございます。

 実は、この日光と群馬片品村は、今まで意見が一致していなかったんですね。湯元の皆さんはどうしても菅沼に金精道路を通したくない、しかし、菅沼の皆さんは通したい。しかし、今回初めて意見が一致して、片品村と日光市と沼田市が共同で促進同盟会をつくって国にお願いをしてきたという話でありますので、今回、両方意見が一致していますので、ぜひ国土交通省としても、冬の誘客にもつながる話でありますので、よく検討していただくようお願いしたいと思っております。

 次に、ポストステップアッププログラムの策定について環境省にお伺いをいたします。もしかすると、時間があれば国土交通省にもお伺いをするかもしれません。

 一つ目は、二月二十日開催の経済財政諮問会議の議論についてであります。この会議で安倍総理は、二〇一九年十月の消費税増税や二〇年の東京オリンピック・パラリンピック後の景気後退をにらんだ対策づくりを関係閣僚に指示したということでありますが、環境大臣はこれをどう受けとめられておりますか。

中川国務大臣 御指摘……(福田(昭)分科員「短くていいですよ」と呼ぶ)はい。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック前後の経済運営について議論がなされ、民間議員より、生産性向上、人材投資、観光需要の拡大等を通じた計画的な成長加速に係る提案がなされたというふうに承知しております。

 国立公園の美しい自然が観光需要の拡大に大きく寄与することは疑いのないことでございますので、今回の経済財政諮問会議における御提案の内容を受けとめ、環境省としても必要な役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 実は、さきの予算委員会で安倍総理に私は、来年の消費税引上げはよしたらいいんじゃないですかという話をしました。内閣官房参与の藤井先生は、だめだ、一〇%にしては景気減退してだめだという話をしていますよ、しかも、もしやるんだったら大型の経済対策が必要ですよ、こう藤井先生は言っていますが、どうですかという話はしたんですけれども。

 ただ、早速、何かこの経済財政諮問会議でこんな話が出てまいりましたけれども、私も実はそう見ている一人であります。来年の消費税引上げ、そして東京オリンピック・パラリンピック後は、東京はもちろんですけれども、地方はもっと疲弊をする、そういう心配がなされているところであります。

 そうした中で、私は、国土交通省や環境省が果たす役割というのは大きいな、こう思っています。私は、公共事業は無駄なものはやめるべきだと思っていますが、しかし、必要な公共事業は経済を下支えする役割をする、そういう認識をしておりますので、そういった意味では、これからのポスト二〇二〇の計画は大変重要だ、こういうふうに思っているわけであります。

 そうした中で、環境省の平成三十年度の重点政策の一を見ると、環境問題と社会問題の同時解決に向けた政策展開をすると。低炭素社会、循環型社会、自然共生社会を統合的に実現する循環共生型社会を形成する、統合的なアプローチを展開する、こう書いてありますね。

 私は、視点、悪くないなと実は思っているんですが、実は、環境省は言えないかもしれないけれども、本当はここに脱原発も入るといいんですよね。脱原発と脱炭素、これを同時にやると実は経済は成長していくんですね。

 その先進的な例がドイツです。ドイツは見事にそこを展開しています。まさにパラダイムの転換ですから、投資がふえる。投資がふえて、やはり経済は伸びていく、そういうことに実はつながっていくんですよね。

 ですから、そういう意味で、環境省が掲げているように、やはり自然資源の保全、活用による観光立国、地方創生、経済成長に私はつなげていくことができるのではないか、こう思っているわけであります。

 そこで、二つ目でありますけれども、二つ目は、観光立国、地方創生、経済成長につながる大型プロジェクトの導入についてであります。

 二点申し上げますが、例えばでありますが、塩原町出身の方が、自分のふるさとが疲弊して困った、困った、何とか大きな事業ができないかと。そこで、那須町と那須塩原市、そしてさらには矢板市、塩谷町を経由して、日光市の藤原、鬼怒川温泉まで世界一のロープウエーをつくれないかという提案をしています。世界一のロープウエーです。その都度都度に、それこそ観光客が憩えるような場所をつくって整備をして、そこに雇用の場もつくり、世界じゅうの人たちに来てもらえるような世界一長いロープウエーをつくるということはどうかということで、実はこれ、この方は大震災前から検討していた。林野庁ともやったり、環境省とも何か打合せしていたらしい。ところが、あの七年前の大震災で話はストップしてあるらしいんですよ。

 ですから、これ、ポスト二〇二〇の大型のプロジェクトとしてもし検討することが可能ならば、やはり環境省が中心となって、国土交通省や環境省やあるいは林野庁、こうしたところが連携して、栃木県とそして関係の市や町と連携してやっていくと、相当大型な事業になるかなというふうに私は思っておりまして、観光客にも十分来ていただけるかなと。

 先ほど、日光国立公園、広くて、二次交通の整備が必要だ、こういう話になっていますが、バスでつなぐというのも一つの方法かもしれません。しかし、ロープウエーでつなぐというのもこれまた壮大な話であって、夢のある話なんですが、きょうは、いいとか悪いじゃなくて、感想だけ聞かせていただければと思います。どうぞ、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 国立公園の最大の魅力は自然そのものでありまして、その美しい自然環境の保全との調和を図りつつ、今御提案のありましたロープウエーを開設する構想など含めて、積極的に観光資源として活用するということが重要だと考えております。

 今後とも、地域の皆様方と連携しながら、関係省庁とも協議をしながら、国立公園満喫プロジェクトを推進してまいりたいと考えております。

福田(昭)分科員 今のは一つの、塩原出身の方が提案している話であります。これもすばらしい話だなということで、国や自治体が音頭をとって、実際にやる仕事は民間から公募して手を挙げてもらってやってもらえばいい、こういうふうに思っていますので、私は非常に可能性の高い話かなというふうに思っています。今すぐという話じゃありませんから。二〇二〇年後の話という話であります。

 それからもう一つ、栃木と群馬とそれから新潟と福島と茨城、北関東三県と磐越、この五県は国土交通省のおかげで高速道路のネットワークが実はできているんですよ、ネットワークが。そのネットワークの内側にまたもう一つ違うネットワークができないかなということで、日光国立公園と尾瀬国立公園はもともと一つの国立公園でありました、これはたまたま今分離されていますけれども、この日光国立公園と尾瀬国立公園を春夏秋冬いつでもお客さんが行けるという環境整備ができないかなと思っているんですが、そういうことができれば、先ほどのロープウエーよりも更に大型なプロジェクトになるんですね、実は。

 これで実は、どんどんどんどん日本の人口が減っていく、少子高齢化、人口が減っていく中で、それこそ、そこに雇用の場もつくり、地方を元気にさせる、そういう一つのモデルとして、国立公園は北海道から今度は奄美、沖縄まであるわけですけれども、そうした国立公園を元気にさせるということが、やはり地方創生につながっている、そして観光振興にもつながっている。そういう観点から、どんどん内外のお客さんに来てもらう。そして、雇用の場が地方にもできれば、やはりそこで少しまともな給料をいただければ、ちゃんとそこで仕事ができて、結婚もできて、そうすれば子供も産んでくれるかもしれない。そういう環境づくりをやはり北海道から沖縄までやるべきだな、こう思っているんです。

 そういう一つのモデルとして、この日光国立公園、尾瀬国立公園をやはり一つのそういう場として整備することができないか、こう思っているんですが、大臣、感想でいいですよ、何かありましたら言ってください。

中川国務大臣 今御提案のお話も大変興味深く、関心を持って聞かせていただきました。

 いろいろな御提案をこれから環境省で受けとめて、関係省庁と協議しながら、予算のいろいろな制約もあることと思いますので、検討してまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)分科員 環境省も、今、福島の事故対策で大変な仕事をされています。福島の復興期間もそれこそ七年目に入っているわけでありますから、一応、十年で一旦けじめをつけるという話にもなっていますので、そういう意味では、環境省としてはその後の仕事ということにもなるかもしれませんけれども、しかし、研究というか種まきは今からだと思うんですよね、これ。もう既に東京オリンピック・パラリンピックまでの計画はできている。問題はその後だと思うんですよね。

 その後、やはり国土交通省にも言っているんですが、国土交通省も、私、月曜日に質問でやるんですが、もう必要のなくなった公共事業はよして、必要な公共事業をやったらと何回も言っているんですよ。

 例えばダムですけれども、ダムは、それこそ国土交通省の元河川局長だった人が、もうたくさんだよ、それよりもダムで水力発電をやれ、そうすれば日本を救うよという本まで出して、まあ直接話も聞いていますけれども。ですから、本当に、これから新しく水を開発してどうするの、そういう話がある。だから、そういうことはやめて、国土交通省としてもお金の使い方を変える、こういうことが必要だと思っているんです。

 ですから、本当に、先ほども申し上げたけれども、必要な公共事業はやるべきだし、公共事業というのは一定の経済の下支えをする役割を果たす、それは私もよく認識しているんです。ただ、無駄なものはよせと。もう財政も厳しい、そういう状態になっている。もしかすると、アベノミクスだって異次元の金融緩和でどうなっちゃうかわからないんですからね。そんなことを考えたら、国民の大切な資産、また税金を生きた金として使う、次の世代のために生きた金として使う、それが非常に私は大事だと思って、あえて厳しいことも言いながら、また夢も語りながら話をしているんですが、時間が来ましたか。あと一分だそうでありますので。

 そんなことで、ぜひ、東京オリンピック・パラリンピック後、これが大変ですから。本当に、御案内のとおり、今、人口もどんどんどんどん東京へばかり集まっていますから。二〇四〇年には、増田さんたちの発表によると、今までは地方からどんどんどんどん東京へやってくるけれども、子供を産んでくれる女性が全国の半数の自治体で半分になっちゃう。そうすると、生まれた子供が東京にも出てこれなくなってしまう、こういう予測をしている人もいるわけでありますから。

 そういった意味では、やはり地方できちっと仕事ができて、そこで子育てもできて豊かな人生を送れる、そういう日本にしたいなと思っているものですから、ぜひ御検討をお願いして、私の質問を終わります。

江藤主査代理 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 農林水産省所管について審査を進めます。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤野保史君。

藤野分科員 日本共産党の藤野保史です。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 まず、重要病害虫であるテンサイシストセンチュウが長野県で国内で初めて発見された問題についてお聞きをいたします。

 私は北陸信越ブロックから国会に送っていただいておりまして、長野県は地元の一つでございます。地元は大変驚いておりまして、テンサイシストセンチュウといいますのは、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜など、アブラナ科アブラナ属と言われる野菜に変色などの生育不良をもたらすものでありまして、付着した野菜を食べても人体には全く影響はないわけであります。

 この点を強調したいんですが、ただ一方で、ヨーロッパなどでは、この線虫にかかって無防備な場合、収量が七割から九割減少したというデータもありますし、アメリカではキャベツやブロッコリーの収量が半減した例もあるということで、農家にとっては大変重大な問題である。しかも、それが国内で初めて長野県原村で発見されたという問題であります。昨年の九月でございます。

 農水大臣にお聞きしたいんですが、原村には港もないんです、飛行場もありません、JRも通っていないんです、国道も遠くにあるということで、なぜこんな地域で、世界ではあるけれども日本では発見されていなかった重要病害虫が発見されたのか、農家の方は大変不安に思っております。このテンサイシストセンチュウの侵入経路や原因というのは把握されているんでしょうか。

齋藤国務大臣 平成二十九年の九月一日に、今委員御指摘のように、長野県諏訪郡原村の一部の圃場におきまして、キャベツ、ブロッコリー、てん菜等に生育不良をもたらすテンサイシストセンチュウを国内で初めて確認をいたしました。

 農林水産省におきましては、長野県と連携しまして、発生圃場における土壌消毒などの防除対策を実施するとともに、線虫の専門家を含む調査チームを設置いたしまして、侵入原因の調査を行っているところでございます、今委員御指摘のようなことがありますので。

 現段階ではまだ調査中でありますけれども、三月中には一定の成果が得られるよう、調査を精力的に進めてまいりたいと思っています。

藤野分科員 ぜひ調査を進めていただいて、早目に原因を確定していただきたい。といいますのは、侵入経路や原因がわからないと、幾ら、消毒したよ、もう大丈夫だよ、あるいは対策を打ったからもう再発しないと言われても安心できない。現地の方の声であります。

 そして、現地の方は、単に安心したいというだけでなく、自分たちは農家として何かできることがあるんじゃないのか、自分たちでできる対策も打ちたい、だからこそ原因を知りたい、こういう思いであります。ぜひ、そこら辺をお酌み取りいただきたい。

 さらに、その地域だけでなく、侵入経路等がわかりませんと、他の地域に波及していないのかと。農水省から説明を聞きますと、今はまだ他の地域からは発見されていないというふうに伺っていますけれども、しかし、経路もわからないとやはり安心できない。これは他の地域の農家にとっても、もっと言えば日本全国の農家にとっても大変重要な問題だと認識をしております。

 世界的には、線虫による農業被害というのは年間八兆円を超えるという指摘もあります。そういう点でも、ぜひそうした原因解明をしっかりとやっていただきたいと思っております。

 そして、原因に加えまして、今後の見通しという点でも農家の方は大変不安を感じていらっしゃいます。

 これも大臣にお聞きしたいんですが、今後さまざまなプロセスがあることは承知をしております。緊急防除、消毒効果検証。結局、農家の方が一番知りたいのは、営農再開までどれぐらいかかるのか、頑張れるような期間なのか、三年先ならとか二年とか、見通せるような期間なのかというところが一番知りたいというふうに私もお聞きをしております。

 しかも、今回被害を受けたキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどは、原村を中心とするこの長野の地域の非常に重要な品目でありまして、地域を支えております。とりわけブロッコリーというのは、若手の後継者や新規の就農者が手がけておりまして、今後も拡大を目指す品目でもございます。これらの栽培の見通しが立たなければ、この地域全体の問題にもなってくるということでございます。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、今後の見通し、幅はあると思うんですけれども、いずれにせよ、営農再開まで、国、県、そして地元自治体が連携してしっかりと支えていく、このメッセージをぜひお願いしたいと思っております。

齋藤国務大臣 まずは初動でとにかく封じ込めるということが大事だと思いますので、そこについては全力を挙げていきたいと思います。

 現在は、テンサイシストセンチュウの発生が確認された圃場において土壌消毒などの防除対策を行っているところでありますが、今できることとしては、キャベツ、ブロッコリー等、この線虫が寄生する作物にかえまして、セロリなど、寄生しない作物の栽培を生産者に行うように指導しているところであります。とにかく初動で押さえ込まなくちゃいけないものですから。

 引き続き、専門家の助言を得ながら対策を強力に進め、この線虫の防除をいたしまして、来年春には作付の再開ができるように、鋭意努力をしていきたいと思っております。

藤野分科員 ぜひそうした方向での努力をお願いしたいと思っております。

 次はちょっと細かい話なんですけれども、このテンサイシストセンチュウというのは土壌を介して他の圃場に広がっていくという性質を持っております。農水省としても土壌の移動を制限してくれと要請しているとお聞きしているんですが、問題は、県の、県といいますか、ビラの中で落とせというのが書いてあるんですが、洗浄という言い方をされている。洗浄という言葉が二カ所出てくるんです。ブラシで落とす場合はいいんですけれども、洗浄というと水を使うというイメージになってしまいまして、実際使っていると。

 この場所はどういうところかといいますと、傾斜が七%ありまして、要するに流れていってしまう。ですから、水を使って他の土壌への移動制限をやるというのは、実は大きな矛盾を抱えております。

 そこで、いわゆる土壌移動制限についての工夫が要るのではないか、実際もう水を使っているわけですから、ここについて国のしっかりとした対応を求めたいと思うんですが、事務方で結構ですが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 テンサイシストセンチュウでございますが、御指摘のとおり、土壌の移動に伴って拡散をいたします。そのため、長野県は、車両あるいは農機具、こういったものを発生圃場から移動する際に、洗浄したり、あるいはブラシで土を落とすよう生産者を指導しているところでございます。

 その際に、洗浄に使った水、これが他の圃場に流れていかないようにするためには、まず、洗浄を圃場を出る前に圃場の中でやるということですね。それと、もう一つは、土壌が圃場外に流出しないように努めるということで、例えば、例でございますけれども、畝をつくって流れ出ないように、特に、洗浄よりも大雨の場合にそういった水の流れができることが想定されますので、そういった対策をしっかりしていただくということにしております。

藤野分科員 地元の方は、おかしいなと思いつつ、洗浄と書いてあるのでやられているんですね。そこは、事前のレクでは、例えばアメリカなんかでも対策はあるとお聞きしましたし、そうした海外の知見も含めて、不安が広がらないように、ぜひ対策を打っていただきたいと思います。

 あと、いろいろ御要望はいただいております。ちょっときょう時間の関係でできないんですが、防除の作業に入った場合の協力金の問題でも、これは算定方法についてもまだ知られておりません。二〇一五年に北海道でジャガイモのシストセンチュウの例もあったわけですけれども、どうもわからないという声もかなりございます。

 何しろテンサイシストセンチュウは国内初でございますから、この場合どうなるのか。この点につきましては、従前の経済的支援の枠にとらわれずに、やはり、シストセンチュウ、このアブラナ属という初めての野菜形態、あるいは、農家の機具も違います、種子も種も違います、肥料も違います、農薬も違うんです。ですから、そうした今回の実情に合った算定方法、あるいは協力金にとどまらないいろいろな経済的支援、あるいは技術的アドバイス等もぜひお願いしたいというふうに思っております。時間の関係で、これは御要望にとどめさせていただきたいと思います。

 そして、次に、政務官においでいただいておりますが、原発と豪雪の問題でちょっとお聞きをしたいと思っております。

 私は、先ほど北陸信越と言いましたが、ここ長野以外に福井、石川、富山、新潟とございまして、今回の豪雪被害で大変な影響を受けているところでございます。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われている方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。

 きょうは、とりわけ福井で、ここは雪も多かったんですが、原発も日本で一番多く集中している県でございます。今回の雪といいますのは、原発をめぐりまして、例えば、原発事故が起きたときの事故対応の問題、あるいは住民の避難の問題についても、政府が今発表されている考え方の根本的な見直しを迫っているのではないかと、私、現地で強く感じました。そこで、質問させていただきます。

 まず、原発の事故対応についてであります。

 規制委員会に確認したいんですが、関西電力は、大飯原発三、四号機、高浜原発三、四号機、美浜原発三号機、それぞれにつきまして、時間外、休日(夜間)において重大事故等が発生した場合、その重大事故に対応するための緊急時対策本部要員という方々を、事故発生後何時間以内に、それぞれ何人招集する計画になっているでしょうか。端的にお願いします。

山田政府参考人 規制基準への適合性審査におきましては、豪雪時に重大事故等が発生した場合においても、初動対応に必要な要員は、夜間、休日を問わず、常時発電所内に確保される方針であることを確認をしております。

 また、事故状況の把握や情報整理といった支援活動等を行うために必要な追加の要員が事故発生後六時間以内を目途に発電所に参集する方針であること、また、これらの要員招集のルートが複数確保されているということを確認をしております。

 具体的な人数でございますけれども、例えば高浜発電所でございますと、常時確保する要員数としては百十二名、支援活動を行う追加の要員としては五十八名、こういった、それぞれの発電所ごとに人数がこれだけいるということは確認をしているところでございます。(藤野分科員「五十八ですか」と呼ぶ)ええ、五十八人でございます。

藤野分科員 私が手元に持っている高浜の三、四号の審査書では四十八となっているんですが、まあ、五十八でも、要するにそれぐらいの人を事故時には六時間以内でサイトに招集するというのが事故対応の前提になっているということでございます。

 そして、適合審査に当たりまして関西電力はこういうことを主張したわけで、かつ、原子力規制委員会はこれでオーケーをしたということでありますが、先日来の福井県の豪雪は、まさに、大丈夫か、本当に可能なのかということを突きつけたと思います。国道八号線では千五百台もの自動車が三日近くにわたって立ち往生したということがニュースになりました。六時間どころか、三日近くであります。雪になれているはずの福井でもこうした事態が起きた。

 規制委員会にお聞きしたいんですが、今回の雪害を見て、六時間以内でそれだけの人数が駆けつけるという前提が成り立たない場合があると思われませんでしたか。

山田政府参考人 まず、先ほどの四十八名と五十八名の関係でございますけれども、当初、高浜三、四号の許可をしておりますが、そのときは四十八名でございましたが、一、二号の許可がその後加わっておりますので……(藤野分科員「三、四号を聞いているんです」と呼ぶ)済みません。ということで、今は、高浜発電所としては五十八名ということになっているところでございます。

 その上で、豪雪時の具体的な参集についてでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、重大事故が発生した際の初動の対応については、夜間、休日を問わず、常時発電所内に人がいるという状況にはなってございます。

 追加の要員の参集につきましては、その参集ルートが複数確保されているということを確認をしておりまして、そのルートの選定ということについては、あらかじめ、複数回、実際にそこを歩いて確認をしてみるといったウオークダウンというのを実施をしておりまして、それぞれのルートの特徴を把握した上で、豪雪を含めた一つの要因で複数のルート全てが通行不能にならないように考慮されているということや、参集する要員がルート選択に迷わないように判断フロー図が定められているということも確認をしてございます。

藤野分科員 今回歩かれてそう答弁されるならわかるんですよ。敦賀でも今回は四十六センチ以上積もっておりますし、福井市では百四十センチ以上を超えているわけですね。でも、全くスタックしちゃう、とまっちゃう。自分のうちからも出られない。だって、自分の車がとまっちゃっているわけですから。埋まっちゃっているわけですから。ですから、今回で行けましたという話ならわかるんです、私はそういう質問ですから。けれども、全くそういうふうになっていない。

 高浜も、行かれていると思われるんですけれども、私も何度も行かせていただきました。本当にくねくね道を行くのがメーンルートでありまして、今つくっている道路があるとは聞いていますけれども、しかし、今回の雪害というのは非常に重要な知見だと私は思いますし、これだけじゃないんです。福井県というのは、二〇一一年にも、あの震災のあった年ですけれども、その一月末にも同じように大雪がありまして、同じというか、今回の半分程度ですけれども、福井市で五十八センチ積もりました。このときも、北陸自動車道が最長二十八時間五十分とまりました。先ほど言った国道八号線は十八時間三十分とまったんですね。JR北陸線も三十三時間運休しました。要するに、交通網が麻痺しちゃう。福井では、あるいは北陸では、二〇〇六年にもこうした豪雪が起きているわけであります。

 つまり、本当にこれが特殊なわけではなくて、こうしたことが繰り返されている。これが知見として規制にも対策にも反映されていないということであります。

 しかも、豪雪だけではありません。配付資料を見ていただければと思うんですけれども、これは新潟日報という新潟の新聞の二十二日付の新聞であります。縮小しておりますが、一面で大きく取り上げられ、三面でも「三割 指示待たず避難」というのが一面に大きく出たものであります。

 これは東京電力の柏崎刈羽原発のことをアンケートしたものでありますが、原発から半径五キロから三十キロ圏のいわゆるUPZの住民へのアンケートでございます。これによりますと、豪雪などの災害がない場合でも、住民の三割、三四・五%です。内訳を言いますと、直ちに避難するという方が一五・六%、情報を一応確認して、でも指示が出る前に避難するという方が一八・九%。住民の三割強が、三四・五%が、避難指示を待たずに避難する、こうお答えになっている。

 柏崎刈羽原発のUPZ圏内の人口は約四十四万人でありますから、その三割強となりますと十数万人を超えます。十数万人が指示が出る前に自家用車などで避難を始める可能性が示された。政府は、今、このUPZの人たちは、とりあえず大丈夫だから屋内退避していなさいよ、こういう方針なんです。ところが、十数万人、柏崎でいえばそういう方々が一斉に避難する。新聞の見出しにもありますが、「一斉移動で混乱必至」、この見出しどおりの事態になると思われるわけであります。

 こうした大渋滞、大混乱に巻き込まれたら、適合性審査で審査したような基準どおりの、方針どおりの人数が六時間で原発に駆けつけるなどということは到底できないんじゃないですか。

山田政府参考人 実際に参集するということについて、先生御指摘のとおり、今回の雪を踏まえて、そのときにできたかどうかということを確認をしているわけではございませんけれども、実は、二週間ぐらい前に緊急時の訓練というのを実施をしておりまして、その際には、実は、福井県は大変な大雪だったということでございますけれども、大飯の発電所でございますけれども、それほど雪は降っていなかったということでございます。

 ですので、今回と同じように、ほかの地域でありましたように、物すごくたくさんの雪が降ったときに本当に大丈夫かというところはありますけれども、現時点では、関西電力は、今後も訓練とかを積み重ねて、本当に参集できるかどうかについては確認をしていくということでございますので、その知見を踏まえた上で、さらに、きちんとした参集ができるかどうかについては我々としても監視をしてまいりたいと思っております。

藤野分科員 まさに今おっしゃったように、わからないわけですよね、現実にどうなるか。

 東電福島第一原発事故でもそうだったんです。NHKでも報道されましたが、NHKが一万人の方々に行ったアンケートで、当時、発災後、三月十二日の午前五時四十四分に避難指示が出されました。しかし、この避難指示が出たのは十キロ圏内の皆さんですね、十キロ圏内の住民の皆さん。ところが、この指示が出た直後から、十キロ圏外の皆さんが、まだ指示が出ていないにもかかわらず大量に避難した。これがもう実態であります。

 次は政務官にお聞きしたいんですが、そうした今想定しているさまざまな政府の対策、方針というのがやはり現実に合っていないのではないか、この点についてどのようにお感じでしょうか。

武部大臣政務官 藤野先生お話しいただいたとおり、原子力規制委員会で、福島事故の教訓も踏まえて、また、IAEAの国際基準に沿って策定しました原子力災害対策指針、これに基づいて、今お話ありました、五キロから三十キロ圏内であるUPZの住民の皆様方は、放射性物質の放出に備えて屋内で退避していただくことになっております。

 この新聞にも書かれておりますけれども、これは、放射能物質がいつ放出するかというのは予測することができませんので、いたずらに屋外に出て避難を開始してしまいますと、かえって被曝のリスクを増加するおそれが高まります。無用な被曝を避けて内部被曝するリスクをできる限り低く抑えるために、避難行動による危険を避けるためにも、原則、屋内で避難するということになっております。

 ですから、大切なのは、もちろん関係自治体とも連携しながら、住民の皆様方に、説明会ですとか、チラシの配布ですとか、こういったことで、逆に屋内に避難していただく方が被曝するリスクが低くなっているということを普及啓蒙していかなきゃならないというふうに思っています。

 計画に基づく訓練等を通じて、こうした考え方や防護措置の定着を図ってまいりたいと考えております。

藤野分科員 私、それはやはり、非現実的といいますか、人の心というものに反するなというふうに思っているんです。

 先ほど、UPZの五キロから三十キロ圏のお話もしましたけれども、その新潟日報の記事を示しましたけれども、より原発に近い五キロ圏内、PAZについては、政府は、防風雪とか大雪時などについて、とどまっておけという方針なんですよね。五から三十だけじゃなく、五キロ圏内にも、そういう大雪のときはとどまっておけと。これはもっと近いわけですから、本当に機能するのか。

 問題は、きょうちょっとお聞きしたいのは、仮にそのPAZの五キロ圏内の皆さんがとどまったとして、その後の避難先への移動をどうするのか。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、事務方でも結構ですが、仮に屋内に避難したとして、その後どうやって一時集合所とか、あるいは自宅から福井市とか、あるいはもっと遠くの避難先に避難する計画になっているでしょうか。

荒木政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘の件でございますけれども、今、福井県におきましては、県内外へのアクセス路線となっております、例えば高速道路のインターチェンジと主要な国道を結ぶ路線などを最重要の除雪のための路線と定めまして、緊急時には、除雪機械を最大限まで増強して避難経路を確保することなどを、今、緊急時対応の中で決めさせていただいております。

 また、先生御指摘のように、今回福井県であった大雪の影響を受けまして、今後、関係省庁でさらなる対策が検討されるものと承知しているところでございまして、これらの検討結果を踏まえまして、今申し上げたような避難計画、緊急時対応の改善を更に検討してまいりたいというふうに思っております。

藤野分科員 いや、ですから、私が聞いたのは移動手段なんです。移動手段だけで結構ですから言ってください。

荒木政府参考人 先生御指摘のところでございますけれども、とにかく安全第一でございますので、暴風雪あるいは大雪時の際に移動できないといった場合には、まず、天候が回復するまで屋内退避をしていただくというふうになってございます。

 その後、天候が回復し、さらに安全が確保できた場合に避難をしていただくということでございまして、その後の避難につきましては、今申し上げたようなさまざまなルートで考えておるところでございます。

 最後に、どうしても避難が難しいということであれば、また実動省庁に要請をさせていただくということも中に入っているところでございます。

藤野分科員 内閣府が出されているいわゆる緊急時対応を読みますと、今おっしゃられたように、天候が回復するなどして移動できるようになったら、福祉車両等による避難、自家用車等による避難、バスによる避難、この三つなんですね、三つです。

 しかし、今回でいいますと、全く動かないわけですね。今回でいいますと、特に北部が雪が多かったわけですけれども、大体、原発というのは嶺南にあります、南部にあるんです。大体、逃げるのは北部とか、あるいは京都とか神戸とか兵庫になっているんですけれども、今ルートのお話をおっしゃいましたけれども、ルートには北部が多いわけですね。

 この北部に何があるかといいますと、武生というところでは百十一センチ今回積もりました。福井市では百四十七センチ、大野市では百六十九センチ。ですから、逃げようとしているルートや場所に逃げられないという可能性が今回現実になったわけですね。嶺南などにも逃げられますよと判断を仮にしたとしても、逃げていく先が動かない。

 結局、これは政務官にお聞きしたいんですが、原発事故が起きてしまいますと、初めに申し上げたように、事故対応のために原発に向かうことも極めて困難、そして、逆に、事故が起きたからといって避難のために原発から逃げていく、これも困難になる、それが今回明らかになった新しい知見ではないかと思うんですが、いかがですか。

武部大臣政務官 今、荒木審議官から御答弁させていただきましたけれども、既に、暴風雪、大雪などの対応については、緊急時対応を大飯地域も高浜地域も盛り込んでいただいております。さらに、大雪のときの除雪についてもしっかりとやっていくということだと思いますが、肝心なのは、計画をつくって、そして大雪などの状況を想定した訓練をしっかりと実施すべきだと思います。その上で、その避難計画を検証して、必要があれば改善を図っていくということだと思います。

 実際、私の地元にあります北海道の泊原発では、昨年の二月に原防の総合防災の訓練をやりましたし、ことしの二月には、実際に雪の降る中で北海道が実施した防災訓練も行っております。

 こういったことをしっかりとやっていくことが大事だと思っておりますけれども、大飯地域あるいは高浜地域についても、今後、冬季における訓練の実施も含めて、関係自治体等と検討して、避難計画の充実強化を図っていく必要があると考えております。

藤野分科員 終わりますが、やはり今回の雪害は、改めて、現在の電力会社の事故対応や政府の避難方針というのが机上の空論かということを示したと思います。こういう状況で高浜原発の運転を継続したり、大飯原発を再稼働する、これは絶対許されないということを指摘して、質問を終わります。

田中主査 これにて藤野保史君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 自民党の古川康でございます。

 私からは三点お尋ねをいたします。

 まず一点目が、ウナギについてであります。

 ウナギといえば、食べる旬の時期というのは夏というイメージが強いかと思います。事実、俳句の世界でも、ウナギという季語は夏の季語になっています。

 一方で、夏に主に食べるウナギのもとになるのはシラスウナギという稚魚でありまして、この稚魚をとるのがこの冬の時期になっています。俳句でも、「しらす鰻採る灯に雪のちらつけり」、こういうものがございまして、まさに冬の季語となっているわけでございます。

 この時期にどれだけとれるかということが夏どれだけ食べられるかにつながっていくわけでありますが、気になる記事がありました。毎日新聞一月十五日の記事です。「シラスウナギが今期は極度の不漁」「国内外での漁獲量が前期の同じころと比べて一%程度と低迷している。」こういう記事でございました。そのほかの新聞にも時期を同じくしてこのような記事が載りました。

 私も心配になって農水省の担当課の方に、どうなっているんだ、大丈夫なのかということをお尋ねしました。そのときにいただいたお答えというのが、確かにおくれてはいるけれども、二月にたくさん入ることもあるんです、二月の状況を待ってくれ、このようなお話でございました。

 きょう、二月の状況はどうかということをお尋ねしたいところでありますけれども、まだ二月は終わっておりません。ということで、わかる範囲で結構なんですけれども、例えば一月の状況はどうなんでしょうか、十二月までに比べると少しはよくなったんでしょうか、まずはそこからお尋ねをしたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、シラスウナギの漁期は大体十一月から四月ごろまでということになっておりますが、今漁期、中国、台湾等を含めた東アジア全域で採捕が極めて低調と認識しております。

 これを受けまして、我が国のウナギ養殖業者の今漁期のシラスウナギ池入れ数量も、十二月末時点では〇・二トンであったものが、一月末時点で一・五トンと若干は回復したものの、昨年の同期の十一・三トンと比較いたしますと、やはり残念ながら極めて低調な池入れ数量というふうになっております。

古川(康)分科員 昨年の同期が十一・三トンというのに比べて、今期は一・五トン。いわば昨対でわずか一割ぐらいしか池入れ数量が得られていないという大変厳しいお話でございました。

 一方で、一月二十三日、齋藤農水大臣が定例記者会見でこのようなこともおっしゃっておられました。今が不漁なのは事実、でも、そもそも養殖には単年養殖と周年養殖という二種類があって、仮にことしが不漁であっても、去年とれた分は養殖池の中で育っているし、だから、それはことしの夏使えますよ、あと輸入されているものもありますよ、さらには数年前にとったものを冷凍しているものもありますということで、台所に届くかどうかという点について言えば、そこは何とかカバーできるのではないかということであったかと思います。

 そこで、お尋ねをいたします。

 我が国のウナギの市場において、周年養殖、いわば一年物といいますか、比較的長く養殖されているものと、単年養殖、比較的短いものとの割合。今回は単年養殖が極めて厳しい状況ということのようなんですが、周年養殖と単年養殖の割合がどうなっているのか教えてください。

長谷政府参考人 我が国のウナギ養殖は、十一月から一月末ごろまでの比較的早い時期にとれたシラスウナギを池入れして、六カ月程度育てて七月の土用のうしの日に出荷する単年養殖というタイプと、二月から四月ごろの比較的遅い時期にとれたシラスウナギを池入れして、一年から一年半程度育てて出荷する周年養殖の二つのタイプがございます。業界関係者によりますと、生産の八割程度は周年養殖によるものであるというふうに聞いております。

古川(康)分科員 八割が周年養殖、比較的長い期間養殖をしているものだということでございました。

 ということであれば、ことしの今期のシラスウナギの漁獲量は非常に少ない、池入れ数量は少ないということでありますけれども、八割を占めるのが周年物だとすると、夏の需要期に向けて何とかその部分はなるということでよろしいんでしょうか。

 ただし、単年養殖、新仔というような言い方をする人もいますけれども、非常に人気のある、好きな人も多い新仔の確保については難しくなる、こういう認識でよろしいでしょうか。

長谷政府参考人 ことしの土用のうしの日に出荷されるウナギの多くは、昨年漁期に池入れされた周年物が出荷されることとなります。昨年漁期は平年並みの池入れ、十九・六トンなんですけれども、平年並みに池入れされております。

 それに加えまして、我が国のウナギ供給量のうちの約六割は周年養殖が主体の中国や台湾などから輸入された活鰻ですとか、かば焼き等の加工品でありまして、さらに、これに、ウナギ加工品は冷凍物も多く流通しておりますことから、ことしの夏の需要期においては一定の供給は確保されると考えております。

 一方、単年養殖物、いわゆる新仔として供給されるウナギにつきましては、もう既に一月末で新仔の池入れ時期というのは終了しておりますので、その確保は厳しいものになっていると考えております。

古川(康)分科員 周年物の確保は何とかなるが、新仔の確保は難しいということでございました。

 私の地元にも新仔で育てたものを店頭で焼いて販売しているというようなお店もございます。こうしたところなどは随分ことしは厳しい季節を迎えるんだなということを改めて感じている次第でございます。

 ところで、お尋ねをいたしますが、農水省のウナギ振興に関する予算、そもそも農水省としてはウナギの振興についてどのようにお考えでございましょうか。

長谷政府参考人 平成三十年度当初予算におきましては、河川等におけるウナギの生息環境改善に資する石倉増殖礁の設置や、シラスウナギの大量生産システムの開発等のため、平成二十九年度予算額と同額の四億五千七百万円を計上しているところでございます。

 今後とも、これらの事業を通じまして、ウナギの安定供給に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 ウナギ種苗の商業化に向けた大量生産システムの実証事業というようなこともやっておられるということでございました。

 こうしたものが実現できれば、今回のような、なかなか海でとれない場合にも安心できるということになるのではないかと思いますけれども、これの技術開発の状況はどのようになっているのか教えてください。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 ウナギ養殖の種苗は全量が天然のシラスウナギであり、供給が不安定な状況にあるため、人工種苗の量産化が喫緊の課題となっております。

 ウナギの完全養殖については、平成二十二年に独立行政法人水産総合研究センター、現在は国立研究開発法人水産研究・教育機構といいますけれども、ここが世界で初めて成功いたしまして、平成二十五年には同センターが新たに開発した一トン型の大型水槽でのシラスウナギの生産に成功するなどの成果が得られております。

 また、複数の親ウナギの成熟の進み方を同調させる技術が確立されまして、一度に百万粒以上の受精卵を生産できるようになっておりまして、十万尾単位のふ化仔魚を使った研究を同時進行することによって、ふ化した仔魚の飼育技術の開発が加速することが期待されているところでございます。

 一方で、現在の技術レベルでは、天然に比べて、シラスウナギに変態をするんですけれども、変態するまでの時間がかかる、奇形が発生する、それから、飼育尾数をふやすために設備を大きくすると生残率が悪化してしまう、コストが高いなど、量産化までにはまだ多くの課題があります。新たな餌料開発並びに飼育設備や給餌システムの改良などについて、水産研究・教育機構を中心に産学官の連携により取り組んでいるところでございます。

 平成三十年度当初予算においては、ウナギ種苗の商業化に向けた大量生産システムの実証事業として三億一千万円を計上しているところでありまして、本事業の最終年度に当たる平成三十二年度における技術の確立を目指して、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 三十二年度を目指して開発中ということでございました。技術開発でありますから、必ずやれるとかやれないとか、そういう約束をするのは大変難しいかと思いますが、関係者の非常に期待の大きいことであることは間違いありません。

 また、ワシントン条約でも議論になっているように、これを欲しいだけ天然のものをとり続けるということについても、やはり問題もあろうかと思います。クロマグロについても、養殖は難しいというふうに言われておりましたけれども、関係者の努力があって、今、マグロの養殖というものもできる状況になってまいりました。ぜひ、このウナギについてもそういう努力を積み重ねられるように、心から期待するところでございます。

 このウナギに関する質問、最後になりますけれども、こうして、ウナギの養殖の業者さん、あるいは販売業者さん、そういったところが今回の極度の不漁でいろいろな厳しい状況に置かれていると思います。そこでお尋ねですが、農水省さんですので、ウナギの養殖業者、これに絞ってお尋ねをいたしますが、このウナギの養殖業者への支援策というものが何かあるのかないのか、その辺、教えていただければと思います。

長谷政府参考人 水産庁といたしましては、これまでも、養鰻業者がシラスウナギを購入する際の支援策として、漁業近代化資金や公庫資金といった低金利の制度資金を措置しているところでございます。

 また、これらの資金を借り入れる認定漁業者に対する金融支援として、利子助成事業を措置しておりまして、実質無利子での借入れが可能となっております。

 新仔の確保につきましては、先ほど申し上げましたとおり厳しい状況にありますけれども、水産庁といたしましては、今後の状況も注視いたしまして、ウナギに関係する皆様と一緒に、今後の養鰻業のあり方を含めて検討していきたいというふうに思っております。

古川(康)分科員 ぜひ御期待を申し上げたいと思います。

 それでは、二問目であります。中山間地域の問題です。

 日本全国に、そして私の選挙区内においてもたくさんの中山間地域があります。そこの中で最近聞く話として、現在、集落協定又は個別協定に基づいて五年以上継続して耕作を行う農業者に対して中山間地域等直接支払交付金が交付されています。大変ありがたい制度であると思っておりますが、現場に行くと、五年計画でやることになっているということに非常な不安をお持ちの方が結構いらっしゃるなということに気づきます。普通であれば、五年というのはそんなに無理のない期間だと思いますけれども、高齢者になると、本当に自分があと五年後も耕作を続けられるのか、このことを非常に不安だと思っていらっしゃる方が多いように思います。こうした声に何か答えがないものかどうか、まずはその辺について御答弁をお願いします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、古川先生から中山間直接支払交付金についての御質問を頂戴いたしました。

 この中山間直払い制度でございますが、農業の生産条件が不利な地域における農業生産活動を継続していただくために、国それから地方公共団体による支援を行う制度として、平成十二年度から実施をしてきておるところでございます。平成二十七年度からは第四期対策というものがスタートしておるところでございます。

 この制度は、制度発足当初から、集落を単位といたします協定に基づいて、農業生産活動を五年間以上継続していただくという農業者を対象にしておるところでございます。この五年間ということにつきましては、制度発足当時から、その交付金の効果を適切に発現をしていただくために、やはり一定程度の期間が必要だということで五年間と定めたものでございますけれども、当然、この期間中に営農を中止された場合には、原則として、協定全体への交付金を開始年度に遡及して返還していただくという大変厳しい制度ではあるわけですけれども、先生お話がございましたように、高齢の方ですとか、農業者の死亡ですとかあるいは病気、高齢など、やむを得ない場合には当然交付金の返還を免除しておるところでございます。

 さらに、その第四期対策、二十七年からは、この交付金の返還の免除理由といたしまして、御本人の病気だけではなくて、家族の病気というものを明定をすることにいたしたと同時に、さらに、二十八年度からでございますけれども、広域の集落協定の中で、将来の農地利用について皆さんで御議論いただいて方針を定めていただいたような場合には、やむを得ず営農を中止した場合であっても、その中止した農地の分の交付金を返還していただければ足りるといったような制度の運用改善をしたところでございます。

 きょうの御議論なども踏んまえまして、私ども、地域の皆様の御意見もよく伺いながら、必要な運用改善について検討してまいりたいと思っております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 実際の運用については、そのようないろいろな事情がある場合には弾力的に対応していただいているという印象を持ちました。ただ、なかなかこうしたことについて知らないという人もいらっしゃるなということも感じております。ぜひとも、こうしたことについてしっかりと、私どももやってまいりますけれども、農水省としても、そうした情報が届くようにお願いしたいと思います。

 次に、中山間地域振興のための平成三十年度予算案についてでございます。

 中山間地域の振興は、いろいろな意味でのハンディキャップを背負っているということで、例えばルネッサンス事業などによって中山間地域でのさまざまな政策の展開もされていますし、優遇措置も講じられています。そういう中で、特に活用の多いような事業というのにどのようなものがあるんでしょうか。また、こうしたものを生かした好事例がないかをお答えいただければと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度予算におきます中山間地域振興のための施策でございますけれども、農業、農村の多面的機能の発揮や、先ほどの中山間直接支払いなど日本型直接支払いを継続をするということに加えまして、中山間地農業ルネッサンス事業、これは三十年度の当初予算でございますが、さらに、二十九年度補正での中山間地域所得向上支援対策などによりまして、地域の特色を生かした多様な取組への総合的な支援、優先的な支援を行っておるところでございます。

 さらには、中山間地域で深刻な鳥獣被害につきまして、侵入防止柵の設置ですとか捕獲わなの導入など、地域ぐるみで行う総合的な取組に加えまして、有害鳥獣のジビエ活用というものを推進するためのモデル的な取組についても支援をしたいと思っております。

 また、観光、教育、福祉などと連携をいたしましたいわゆる都市農村の交流、それから、農村への移住、定住促進といったようなさまざまな多様な施策を講じることによりまして、中山間地域の農業の振興と美しく活力ある農山漁村の実現に向けた取組を進めたいと考えておるところでございます。

 先生から御質問ございました中山間ルネッサンス事業で、どんなような事業が特に活用されているかというところでございますけれども、中山間ルネッサンス事業は、先生御案内のとおり、強農、いわゆる強い農業づくり交付金ですとか多面的機能支払交付金など十一事業につきまして、予算の優先配分ですとか優遇措置を講ずる事業でございますけれども、この中では、農業生産基盤整備、いわゆる農業農村基盤整備事業でございますけれども、ですとか、それから鳥獣総合対策交付金、これらが多く振興計画の中に位置づけられて活用されておるというふうに認識をしております。

 また、これらの事業を使った優良事例、活用事例といたしましては、幾つかございますけれども、青森県の西北地域におきまして、実証圃場を設置をして先進地の研修なども行いまして、先ほどの各種事業の優先枠を活用して排水改良を実施することなどによりまして、田畑の共用の事業をすることによって、高収益作物でありますタマネギへの転作、導入拡大といったような取組が進んでいる事例などがございます。

 私ども、各地の地域、意欲ある地域に対しまして、このような優良事例の横展開も含めて、施策の御紹介なりをすることで地域農業の振興を図ってまいりたいと考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 棚田に関してはどうでしょうか。棚田についての好事例というようなものがあれば、教えていただければと思います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 棚田政策に関しましてでございますけれども、棚田を含む中山間地域でしっかり農業が営まれて次世代に棚田がつながっていくということは大変大事なことでございまして、日本型直払いにおきましても、平成二十七年度から棚田を対象といたしました超急傾斜地加算を追加するなどして、棚田地域の振興を図っておるところでございます。

 具体的な優良事例、取組事例といたしましては、房総半島の南部、千葉県鴨川市に位置します大山千枚田で、地元の棚田保存会の皆様方が平成十二年から棚田オーナー制度を開始されたことを手始めにいたしまして、豆腐づくりや自然観察、農作業の体験学習など、さまざまな体験プログラムを実施されたり、棚田米のおにぎりを提供する農家レストランの運営をなさったりなど、さまざまな取組を行われた結果、平成二十八年度には、当初三十九組でありました棚田のオーナーが百五十二組を数え、観光客の方々も三万人以上が来訪し、五千六百人以上の児童生徒による体験学習が行われているといったような事例がございます。

 この地区におかれましては、棚田の保全に当たりまして、平成十二年度から中山間地域等直接支払いが活用されておるとともに、農家レストランの整備ですとか体験プログラムの開発といった取組に農山漁村振興交付金などが活用をされておるところでございまして、地域の創意工夫と国の制度が相まって、都市農村交流、六次産業化による地域活性化が実現しているというふうに認識しております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、そういういい事例が広がっていけばと思います。

 この問題の最後でございますけれども、齋藤大臣、こういうやりとりをさせていただいているのでありますけれども、中山間地域、棚田の地域、そういったところを回っていると、やはりこれから自分たちはどうしていったらいいんだろうか、こういう声を耳にします。ぜひ、その中山間地域に暮らす人たちに対して、齋藤大臣からの肉声のメッセージをお願いしたいと思います。

齋藤国務大臣 今、古川委員から棚田のお話がありました。

 私は、棚田は、美しい景観、伝統文化、教育、国土保全といった多面的機能を有しておりまして、農業生産活動を主体としつつ、地域住民等の共同活動によって守られている国民共通の財産ではないかなと思っております。

 このような棚田を含む中山間地域におきましては、地域の活力の維持あるいは多面的機能の発揮の観点から、特色ある地域資源を活用した所得向上や地域活性化に向けた取組への支援が必要だというふうに考えています。

 昨年九月に、私も福島県の猪苗代町を訪問させていただいて、ここでは中山間地域等直接支払交付金等の農林水産省のさまざまな事業を組み合わせて、例えば、女性が活躍する場として農家レストランを立ち上げ、地元食材を使った郷土料理やそば等を提供、これは私もいただいてまいりました。それから、県のブランド米であります、いなわしろ天のつぶを、ジェトロの支援を受けて海外見本市に何と出して、挑戦をしまして、中東への輸出を実現をすると。大変意欲的に、地域が一丸となって、元気よく、所得向上や地域の活性化につながる取組をされていることに感銘を受けた次第であります。

 中山間地域といいましても、地域ごとにそれぞれ異なる特色を持っているんだろうと思いますので、目指す姿というのは一概に言えないんだろうと思いますけれども、付加価値の高い農産物の生産ですとか六次産業化等への支援によりまして、地元の農業者の皆さんが創意工夫を発揮して挑戦をしていただくということが大事であり、それを大いに応援していきたいと思っているところであります。

古川(康)分科員 大臣、ありがとうございました。しっかりとそういう気持ちを伝えていきたいと思います。

 さて、最後のお尋ねです。有害鳥獣対策です。

 私は、有害鳥獣の免許を、猟銃、網、わなと、三つ持っておりまして、多分恐らく三つ持っている唯一の国会議員ではないかなと思っておりまして、自分でも現場に入っているところでございます。

 その現場からの声ということで、もちろん時間がありませんので、二点お尋ねをしたいと思います。

 侵入防止柵の整備に関してでございます。

 基本的には、田畑を守るために設置することとされているわけでありますけれども、実態からいえば、集落を守ってほしいとか、あるいは、ため池をイノシシが随分堤体をほじくるのでそこを守るために使えないかといった声も耳にするところでございます。こうしたことというのは、できることでありましょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣被害防止総合対策交付金におきましては、基本的には、農作物への鳥獣被害を防止するための取組というものを支援をするということで、侵入防止柵等につきましてもそういった趣旨になるわけでございますけれども、今先生お話ございましたように、地域ぐるみで効果的に設置をするために、田畑の周りあるいは集落、ため池といった部分も含めて一体的に整備することの方が農作物の被害防止の観点からも効果的であるといったような場合には、集落、ため池等も含めて侵入防止柵を設置することは可能でございますので、地域の実情に応じて対応してまいりたいと思っております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。しっかりそういう点を伝えていきたいと思います。

 それと、今回の予算案の中で気になることがあります。今回、報奨金の単価が、ジビエの処理施設に搬入した場合とそうじゃない場合とで差が設けられるようになっています。ジビエの処理施設に搬入した場合には一頭九千円、搬入しなかった場合には一頭七千円となっています。これまでは一律八千円だったんではないかと理解していますけれども、今回の改正によって、ジビエ処理施設に搬入しなかった場合は、これまでよりも単価が下がるということになるんでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林省では、今、有害鳥獣の捕獲の強化に向けまして、交付金によりまして捕獲活動経費への直接支援を実施をしておるところでございます。

 今先生お話がございましたように、二十九年度までにつきましては、有害捕獲に係る活動経費といたしまして、捕獲機材ですとか燃料代などに相当する捕獲活動経費の二分の一相当額ということで積算をいたしまして、山に埋設した場合でも処理加工施設に持ち込んだ場合でも、一律一頭当たり八千円以内という支援を行ってきたところでございます。

 今般、三十年度からは、ジビエ利用とそれ以外とに分けまして、ジビエ利用の場合には、その処理加工施設まで山からおろしてきて運んでくるといったような経費がかかるということもございまして、一頭九千円以内ということにさせていただくとともに、山での埋設ということについては、それに比べると燃料代ですとかその人夫賃といったようなものに差が生ずるということで、一頭当たり七千円以内ということに上限をさせていただく方向で考えておるところでございます。

 ただ、これは国の助成金額でございまして、現実には、佐賀県におかれましても、県なり市町村が国のこの報奨金の上乗せということで、積極的に御支援をいただいておるということでございまして、例えばイノシシの場合、佐賀県の場合は一頭二千五百円、市町村が五千円といったような上乗せをされておられまして、これは特別交付税の対象経費にもなっておりますので、こういったものもぜひ御活用を継続をしていただきながら、円滑な推進に努めてまいりたいと思っております。

古川(康)分科員 今の局長のお話ですと、やはり処理施設に持ち込まない場合には千円下がるということになるわけでありまして、現場に出ている猟師さんの立場からすると、去年とことしと同じことをやっているのに、ことしについては千円下がるということになるわけですね。

 この報奨金については、俺たちは国に頼まれてとっている、報奨金という意味ではオリンピックやパラリンピックのメダリストと一緒じゃないか、向こうは非課税なのに何で課税なんだというような話があるぐらいなんですね。誇りを持ってやっていただいています。そこが千円下がるということになるというのは、非常に現場で話す身からすると難しい状況だということは申し上げておきたいと思います。

 これからも、この有害鳥獣対策については捕獲と利用というものをあわせてやっていかなければいけません。しっかりと取り組んでいただくようお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

田中主査 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀越啓仁君。

堀越分科員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。

 昨年の特別国会において、所属する環境委員会で初質疑をさせていただきまして、今回二回目の質問をさせていただくことになっております。改めて感謝申し上げます。

 また、現在、環境委員会に所属しておりまして、今後、自称自然系議員を目指していきたいというふうに思っております。この機会にぜひ、齋藤大臣におかれましては、官僚を目指された際に環境省を目指されたという経緯があると承知しておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 それでは、農水省にまず質問をさせていただきたいと思います。

 環境委員会で昨年取り上げさせていただきました畜産動物のアニマルウエルフェアということについてなんですけれども、畜産動物に関するアニマルウエルフェアの必要性というのは、既に、ワンヘルスの考えから、人や社会の健康や衛生のために、いわゆるOIEを始め世界で取り組まれております。

 欧米ではケージフリーの卵が今主流となってきておりまして、先日は、韓国が、鶏の飼育面積をことし七月からEU並みの一羽当たり七百五十平方センチメートルにすることを明らかにしたと報じられておりまして、一方、その反面、日本は、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の中ですら、推奨面積を四百三十から五百五十五平方センチメートルとしております。

 また、繁殖用の母豚を拘束して飼育する妊娠ストールについても、欧米だけでなく、中国やブラジル、タイを含む世界の大手食肉企業が廃止をしていっております。しかし、日本は、二〇〇七年よりも二〇一四年の方が妊娠ストールの使用率というのはふえているわけでございまして、ちょっと逆行してしまっている部分があるなという印象を持たれてしまうというところでございます。

 この鶏のケージ飼育廃止と豚の妊娠ストールの飼育廃止は、アニマルウエルフェアへの取組を見る上で象徴的なものと捉えられておりまして、他国と日本でアニマルウエルフェアへの取組状況の差がかなり開いてしまっている、いよいよ明白になっているというふうに言わざるを得ない状況だと思っております。

 日本でも、東京オリンピック・パラリンピックを契機としまして、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針をもとに、農林水産省がアニマルウエルフェアを推進していることは十分承知をさせていただいておりますけれども、しかし残念ながら、やはり現場では、こういったバタリーケージですとかあるいは妊娠ストールの使用率の縮小に向けた国の積極的な取組というのは、やはり聞き及んではいないというところだと思います。

 東アジア、東南アジア、南米、南アフリカなどでこれら飼育方法を廃止していく動きが実際起こっている中で、やはり、欧米のやり方が必ずしも日本の農業に適しているわけではないという独自の見解は、もう通用しないところまで来てしまっているのかなという認識を私は持っております。経済連携協定や自由貿易協定が各国と結ばれていく中で、世界のアニマルウエルフェアの流れから日本が取り残されて、競争力を失うのではないかと強く危惧をしている次第でございます。

 そこで、齋藤大臣にお伺いいたします。

 ケージフリー飼育への切りかえやストールフリー飼育への切りかえなどの設備投資を必要とするアニマルウエルフェアの改善について、農林水産省はどのような対策を考えておられるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

 また、時期的なマイルストーンもあわせてお願いいたします。

 細かいところは参考人の方でも結構でございますので、よろしくお願いします。

    〔主査退席、江藤主査代理着席〕

枝元政府参考人 具体的な対策について、私の方から御説明いたします。

 今委員御指摘のとおり、アニマルウエルフェア、飼養管理指針等に基づきまして推進をしているところでございます。

 具体的には、各畜種につきまして、OIEにおきます国際基準に則したアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の作成、また、アニマルウエルフェアに対応した飼養管理の優良事例の生産者への紹介、生産者、流通業界、消費者等への普及のためのセミナーやシンポジウムの開催などを支援してきているところでございます。

 また、畜舎等の施設整備を補助する畜産クラスター事業の採択におきましても、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針に則した飼養管理を行っている場合に、加算ポイントを設けているところでございます。

 アニマルウエルフェアにつきまして、具体的な目標時期を定めているものではございませんけれども、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に必要な食材提供に向けましたGAPの取組の加速化ですとか、国際基準の策定や改訂に合わせました飼養管理指針の見直しなどを通じて、アニマルウエルフェアを定着させていきたいというふうに考えてございます。

 また、御指摘がございました豚のストール飼いですとか採卵鶏のバタリーケージでございますが、御指摘のとおり、EUですとかスイスでは、域内法等によりまして、常時ストールでの母豚を飼うことですとか採卵鶏をバタリーケージで飼うことは禁止されてございます。

 ただ、豚と採卵鶏に係りますアニマルウエルフェアの考え方につきましては、まだOIEの指針が定められていないという状況にございます。

 我が国において定めております豚及び採卵鶏の飼養管理指針につきましては、アメリカ、カナダと同等の水準というふうに私どもは考えてございますけれども、OIEの指針が策定されれば、それに則して見直しを行ってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

齋藤国務大臣 アニマルウエルフェアにつきましては、その国の文化ですとか国柄ですとかと絡む問題でありますので、それぞれの国でいろいろな考えがあろうかと思います。

 ただ、今委員御指摘のように、世界の傾向、それから我が国の畜産も世界のマーケットを意識して展開をしていかなくちゃいけないということであれば、今局長が説明させていただきましたように、世界に通用するものに前進をさせていくということは極めて重要だろうと思っておりますので、実態を踏まえながら、その方向でしっかり努力をしていきたいなというふうに思っております。

堀越分科員 御答弁ありがとうございます。

 先ほど局長からもお話がありましたとおり、農林水産省独自の取組として、アニマルウエルフェアそのものに対する啓発、啓蒙活動等々を行っているその結果として、やはり国民の皆様もそこの認知度というのがかなり上がってきていると私は認識しております。

 パラリンピック、オリンピック等々で選手村で扱う食材を、やはりこのアニマルウエルフェア、OIEの基準にのっとった食材を使うということを決めておりますので、その辺に関して、現在日本が生産しているその状況がそれに準ずる形になるのかということで、不安を持たれておられる方々もいらっしゃいますし、この件に関しては、新聞や週刊誌、あるいはテレビなどでも報道されているということもございますので、皆さんの、これはやはり各省庁連携をして取り組まなければいけないことだというふうに思っております。先ほど齋藤大臣の方からも心強い答弁をいただきましたので、ぜひこれも進めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、先ほどの点と準ずるところがあるんですけれども、アニマルウエルフェアが必要なのは農場内だけではなくて、やはり農場から、それから屠畜ですね、屠畜場や食鳥処理場に出荷された動物について無関係でいるわけには当然いきません。

 成鶏、つまり採卵鶏の食鳥処理場において、処理前に長時間放置されてしまうという問題もあります。実際、採卵鶏も、最終的に肉やあるいは化粧品として使われることがあります。その目的で屠畜されているということでございますけれども、農場から出荷されて、長時間かけて輸送がされる、そしてその後の屠畜場内で十七時間以上放置されるというケースが実はあります。関東にある成鶏食鳥処理場六件のうち五件が夜間放置を行っていることがわかっておりまして、これはもう慣習的に行われていることであろうということを示唆しております。

 その間、この鶏たちは一切水すら飲めない、そして、非常に狭い輸送用のケージでぎゅうぎゅう詰めで全く身動きがとれないというような状況でありまして、その状態で一晩過ごすということは、動物福祉をかなり大きく低下させてしまうということになります。さらには、ケージが重なっておりますので、上のケージの鶏たちのふん尿あるいは割れた卵等々が降ってきて、非常に体を汚して不衛生な状況になってしまう。そして、地面にはふん尿と卵がたまり、夏場にはウジが湧いてしまうというような状況も実際あります。

 十二時間以上給餌、給水が断たれることは、OIEの基準に反しているんですね。実際は十七時間放置されるというケースがあるということでございますので、動物福祉上の問題も抱えておりますが、これは衛生上も極めて大きな問題であるというふうに思っております。鳥インフルエンザやカンピロバクターなどのウイルスや細菌に汚染が拡大する原因にもなりかねない。これら成鶏の肉は、先ほど申し上げたとおり、加工食品、冷凍食品になったり、あるいは化粧品の原料になったりしておりますので、衛生管理上も非常に問題があると私は考えております。

 この問題が起きている場所は食鳥処理場であって、その所管は、当然ですけれども厚生労働省の所管になっているわけですけれども、しかし、動物を受け入れる側での改善はしようがないわけでございまして、出荷計画を立てる農場、あるいは輸送の段階での改善が必要だというふうに考えております。これは、OIE動物福祉規約にも繰り返し書かれております。

 このことは、農林水産省の課題でもあり、さらには動物福祉、動物愛護を管理監督する環境省の取組も重要でございます。三省が一体となって取り組まなければ改善ができないと私は思っております。

 これらについて、各省庁で改善の意向をぜひ示していただきたいという思いと、そして、どのような改善を図っていくのかというところに関しまして、農林水産省の見解を伺いたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、採卵鶏として役目を終わりました成鶏につきましては、一般的には成鶏専門の食鳥処理場で処理されるケースが多うございます。こういう成鶏も含みます産業動物の集荷、輸送、保管等に当たりましては、関係法令等におきまして、動物の健康の保持、また快適性にも配慮した対応が求められているということでございます。

 生産のサイドから見ますと、鶏卵卵価、鶏卵の価格が低下する年明けですとか夏場には、食鳥処理場の処理能力を超えまして成鶏の出荷が一時的に集中して、処理待ちの時間が長くなる場合があって、夜間の長時間放置等の課題があるということは私どもも承知をしてございます。

 農林水産省としては、関係団体に対しまして、関係法令等を遵守すべく、計画的な集荷を促す内容の注意喚起を行ってきておるところでございまして、引き続き改善に向けて努力をしてまいりたいと存じます。

堀越分科員 今、インターネットやあるいは新聞、週刊誌等々でこれも大きく取り上げられておりまして、もう本当に目も当てられないような映像がインターネット等々では多々流れておりますので。これを私が危惧しているのは、東京オリンピック、この契機に海外の選手がそういったものを見てしまった際には、やはりこれは大きな問題になるというふうに私は思っております。

 やはり動物愛護管理法の制定から、動物愛護に関する、アニマルウエルフェアに関する意識が国民の皆さんも高まってきております。私の支援者の方々でも、これを何とかしてくれという声がかなり上がっております。もちろん、優良なたんぱく源ですから、国民の皆さんにしっかりそれを提供する、安定した提供をしていくというのはやはり農水省の管轄の責務だと思いますけれども、動物福祉という概念もしっかり海外基準にのっとったものにしていかなければ、大きな問題になるというふうに思っております。

 とりわけ、先ほどおっしゃっていた動物の健康保持ということが重要になるということでございますので、現状の、今のバタリーケージを含め、あるいは輸送、屠畜までのその間の放置の時間、これは動物たちにとっては非常に苦痛以外の何物でもないというふうに思っております。人間に例えるならば、もう考えられないぐらいの本当に窮屈な状況ですので、やがて食肉になるんだからいいやということではなくて、やはり最後の最後まで、私たちの血となり肉となるその命をいただいているわけでございますので、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに再度お願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、また産業動物に関してなんですけれども、産業動物も、動物愛護及び管理に関する法律の中で規定された愛護動物であり、暴力的行為から守られなくてはならないと思います。しかし、現在、農場内、あるいは輸送時、屠畜場内、食鳥処理場の中で起きている暴力的な扱いについては、やはり見過ごされている状況があると考えております。

 例えば、屠畜場内への搬入時に、動物は当然怖がるわけですので、そういった場合の誘導にスタンガンを無理に押し当てたり、殴る、蹴るなどの不適切な扱いが日常的に行われているところもありました。また、通常五羽程度入れるバタリーケージに七羽ですとか八羽等を詰め込んでいる農場もいまだにあると承知をしております。豚の密飼いも増加傾向にありまして、これは年に一度立入調査を行う行政職員も知られている状況になっております。しかし、動物愛護又は福祉の観点からも指導は一切なされていないように承知をしております。

 また、妊娠ストールのような飼育においても、環境エンリッチメントを行うことによって、現状の施設のままでも十分改善余地がある、しようがあるにもかかわらず、福祉向上における指導というのはなされていないなというふうに感じております。この傾向は、屠畜や食鳥処理場でより顕著でございます。

 動物愛護管理法には産業動物も含まれております。年間十億頭近い産業動物が利用されているにもかかわらず、畜産業にかかわる多くの方がそのことを認識できていない状況にあります。業務が分断されることにより動物福祉がないがしろにされることは、望ましくありません。暴力が存在し、非人道的状況に陥っているにもかかわらず、改善がなされないことは、日本の畜産物の品質、あるいは信頼性や安全性の低下に、著しく下げることにつながると私は考えております。

 畜産業は、一般の人は立ち入ることはできませんが、密室状態にあるわけではなく、行政職員がたびたび立ち入り、又は屠畜場では公務員が常駐しております。少なくとも、福祉的な問題を発見したり、暴力を見かけたりした際には、動物愛護管理法に基づき指導、勧告、告発が行われるべきではないでしょうか。

 そこで、環境大臣政務官を務められた大臣に伺いたいと思います。動物愛護管理法の遵守についても各省庁連携が必要であると考えておりますが、農林水産省のお考えをぜひお聞かせくださいませ。

齋藤国務大臣 農林水産省としては、動物の愛護及び管理に関する法律を遵守するということは当然のことだと考えておりまして、環境省及び厚生労働省とも連携をして、アニマルウエルフェアを推進することが重要だというふうに考えています。

 このため、昨年十一月、アニマルウエルフェアに配慮した飼育管理の基本的な考え方を、都道府県の生活衛生、環境部局等ともよく連携をして、畜産関係者等に周知をするように都道府県宛てに通知をさせていただきました。また、昨年十二月には、農林水産省、環境省、厚生労働省の三者で定期的な連絡会議を設置させていただきまして、関係省庁との連携を今強化しているところであります。

 いずれにいたしましても、この違反事例みたいなものがもし出てくれば、きちんとした対応をするということは当然のことでございます。

堀越分科員 心強い御答弁、ありがとうございます。

 本当にこの問題について、たび重なる発言で申しわけございませんが、喫緊の課題だというふうに思っておりますし、日本のすぐれた畜産物をしっかり海外に輸出していくという選択肢もこれから進めていくに当たり、やはりこういった屠畜に関するところまで海外のOIEの基準にしっかり高めていくということが非常に求められているところだと思いますので、ぜひこのあたりの是正もお願いしたいと思います。

 そして、あわせて、先ほどちょっと述べさせていただきました環境エンリッチメント、これは、動物の、いわゆるその特性を生かすというか、環境を整備して管理をしやすくする、飼育動物の福祉を格段に向上させる強力な手段としても有用でございまして、動物園なんかでもそれを今導入しているというところでございます。ここに関しては、啓発、啓蒙活動、あるいは移送にかかるときに、動物たちにどういうふうに配慮をすれば動物たちが怖がらず、速やかに誘導できるのか、効率を上げるというところにも直結してくることだと思っております。海外ではこういった取組もなされておりますので、そういったところもぜひ、仕事を簡略化することができるんだということも含めてお示しいただけるとありがたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 時間もそろそろ少なくなってきましたので、話題を少しかえまして、フードバンクへの支援についてというところをお話しさせていただきたいと思います。

 私は、生活困窮者の方々のために、フードバンクさんへフード、食べ物を届けていくフードドライブという活動をずっとしておりまして、非常にこの点については関心が高いものですから、一点御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 この問題も環境委員会の方で取り上げさせていただきましたが、いわゆる食品ロス、この問題と直結しているというふうに考えております。この食品ロス問題におけるフードバンクへの支援について、質問をさせていただきたいと思います。

 先月十一日付の朝日新聞の記事で、賞味期限が近づいた備蓄食料の有効活用でふえている事例として、生活困窮者の方々に食料を提供するフードバンクへの寄附というものが紹介されました。

 ただし、記事は、フードバンク側の意見としては、やはり乾パンは生活困窮者の需要が少なく、数十人分が入ったお米や二リットルの水は大き過ぎて配布しにくいですとか、困っているなら何でも食べろというようなのは自己満足であるとか、あるいは、役所や企業が大量の備蓄の処分に困る一方で、生活に困る人が食料をもらえる場所は少ない、備蓄食料をめぐる仕組みを国ぐるみで一緒に考えてほしいといった意見も載せられておりました。

 賞味期限が近づいた備蓄食料の受取にとどまらず、やはり食品企業の製造工程で発生する規格外、当然出てきます、規格外などの引取りも行うフードバンクは、食品ロスの削減に貢献している存在であります。その数は、農林水産省による実態調査では、平成二十九年一月時点で七十七団体。これも非常にふえているところであります。調査において摂取量を回答した四十五団体による食品ロスの削減量は三千八百トンとなっております。

 これに対し、平成二十六年度の国内の食品ロスの推計量は六百二十一万トンですから、フードバンクの取組だけで食品ロスの問題が全て当然ですけれども解決するわけではありませんが、やはり生活困窮者の方々、皆さん求めておりますので、この方々への食料の提供など、ほかの公益の実現にも寄与しているこの活動への支援は更に強化していくべきではないかというふうに考えております。

 農林水産省においては、これまで、フードバンクの活動の実態調査、フードバンクの活用推進情報交換会の実施、あるいは食品の保管や運搬に関する支援、これは非常に重要なんですけれども、食品の取扱いを促進するための手引の作成などを行ってきたものと承知をしております。

 これまでの取組でとられた課題と、食品取扱量の拡大に向けた今後の取組について、見解を求めたいと思います。よろしくお願いします。

齋藤国務大臣 このフードバンクの活動は、流通、消費などの過程で発生する未利用食品を食品企業や農家から寄附を受けて、必要としている人や施設等に提供する取組ということで、もともと米国で始まって、既に五十年の歴史があるんですけれども、我が国では、ようやく広がり始めたという段階なんだろうと認識をしております。

 農林水産省では、これまでフードバンク団体に対する活動支援とか実態調査を行うとともに、食品の安全な取扱いに向けた手引の作成、普及に努めてきたところであります。

 これまでの取組から得られた課題といたしましては、設立間もないフードバンク団体が多くて、食品の取扱いに関する経験が浅いなということ、それから、寄附先からのニーズが実は高いのは生鮮食料品なんですけれども、この取扱いが難しく、取り扱う品目が限られてしまうといったことが課題として挙げられているわけであります。

 このため、今後は、新設後三年以内の団体の人材育成ですとか、それから青果物等生鮮食品の取扱量を拡大する団体に対する食品の保管等の支援、これらを重点化していくことが大事だなというふうに考えております。

 こうした取組を通じて、フードバンク活動における食品取扱量の拡大を図っていきたいと考えております。

堀越分科員 ありがとうございます。

 やはり、私も現場を見させていただいて、フードバンクさんが一番抱えている問題、先ほど大臣の方から御答弁いただいた人材の確保というところ、それから、やはり、生鮮食品が求められているんだけれども、それを保管する方法も非常に難しいというところもあります。このあたりに関しては、官民一体となって取り組んでいくことだと思いますので、ぜひ御尽力をお願いしたいというふうに思います。

 それから、運搬にかかわるところもやはり大きな課題となっておりまして、求められる声は大きいんだけれども、そこに、一軒一軒お宅を回ってそれを提供してくる、ここにかかる諸費用あるいは人材、人件、こういったものが非常に難しいという声も上がっておりまして、私も現場で本当にそのとおりだなというふうに思っているわけでございます。ぜひこの辺に関しても、御理解をいただきながら、一体となって進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 そうしますと、最後になってしまいます。あと残り少ないので、手短にいきたいと思います。

 日本の里山の国内の希少野生動植物の保全についてということで、昨年の第百九十三回国会で種の保存法というのが改正されて、本年の六月から施行されることになっております。法改正により、販売などの目的での捕獲や譲渡を規制する制度が設けられているわけですけれども、里山を構成する水田やため池ですとか、二次的自然に生棲する昆虫類や魚、両生類等が挙げられているわけですけれども、環境省は現在、国内の希少動物の指定を推進しているところでございます。

 これらは適切な保全対策というのが非常に重要だと思っておりますので、環境省にちょっとお伺いしたいんですが、種の保存法では、保護増殖事業及び生息地保護区指定の実施により、国内希少野生動植物の保全を図っていくことになります。現在の生息地保全の指定、繁殖事業の実施が不十分であるというところの指摘もありますが、まずこの点について、環境省の現在の認識をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 種の保存法に基づく国内希少野生動植物につきましては、昨年の法改正以前、その前の平成二十五年の改正時の附帯決議を踏まえまして、二〇二〇年までに三百種を新規指定することを目指しまして、平成二十六年度以降、年間四十種程度を毎年指定してきております。

 この三百種の新規指定という目標達成に向けまして、まず種の新規指定を進めることを優先して取り組んでいることもありまして、指定種数と比較すると、保護増殖事業計画の策定数、生息地等保護区の指定数は少ない状況が続いているところでございます。

堀越分科員 済みません。時間が参りました。

 きょうは、アニマルウエルフェアについて齋藤大臣の方から本当に心強い答弁をいただきました。これからも全力で私も取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

江藤主査代理 これにて堀越啓仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、青山大人君。

青山(大)分科員 希望の党、青山大人です。

 近年、中山間地域などにおいて、鹿やイノシシ、猿などの野生鳥獣による農産物被害が深刻化、広域化している状況にあります。

 私の地元茨城県では、農産物の被害は甚大であり、平成二十八年度、イノシシによる農産物被害額は一億一千四百四十七万円で、前年度を二千五百七十六万円も上回りました。特に筑波山山麓でのイノシシ被害が甚大で、最近では、つくば市沼田のつくば霞ケ浦りんりんロードで男女二人が重軽傷を負った事故や、石岡市の山崎でもイノシシに人が襲われるなど、人身被害も発生しております。

 平成二十年の二月、鳥獣被害防止特措法が制定され、市町村が中心となって行う被害防止のためのさまざまな取組に対して国の支援が行われていると承知はしておりますが、改めて鳥獣被害の現状と対策についてお伺いします。あわせて、国全体のイノシシの生息数はどの程度でしょうか、お伺いします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 野生鳥獣による農作物被害につきましては、平成二十八年度が百七十二億円ということで、ここ四年連続で微減、減少という状況になっております。平成十一年度の調査開始以来、水準としては最低の水準になったところでございます。しかしながら、鳥獣被害は営農意欲の減退ですとか耕作放棄の要因ともなるわけでございまして、数字にあらわれる以上に深刻な影響を及ぼしていると認識をしているところでございます。

 この被害を防ぐために、まず、捕獲に加えまして、侵入防止柵の設置ですとか追い払い活動などにもあわせて取り組むことが効果的であるわけでございまして、農林水産省といたしましては、地域ぐるみで行うこれらの取組について、鳥獣被害防止総合対策交付金により総合的に支援をしておるところでございます。

 具体的には、地域ぐるみで取り組むための被害防止計画の策定ですとか、侵入防止柵、わなの設置、捕獲活動への直接助成、捕獲鳥獣の焼却施設や食肉処理加工施設などのハード整備など、総合的に支援を申し上げているところでございます。

亀澤政府参考人 国全体のイノシシの生息数についてですが、捕獲実績をもとに平成二十九年度に実施いたしました個体数推定におきまして、全国のイノシシの個体数は九十四万頭と推定され、近年、増加傾向は頭打ちであることが確認されております。

青山(大)分科員 さて、平成二十五年に策定された抜本的な鳥獣捕獲強化対策では、基準年になる平成二十三年度に約四百十二万頭いた鹿やイノシシを、十年後の平成三十五年度末に約二百五万頭、すなわち十年間で鹿やイノシシの生息頭数を半減する目標を立てておりますが、ちょうどことしは、その強化対策の策定から五年の中間年に当たります。

 現在のイノシシの生息数から見て、この目標を達成する見込みはあるのでしょうか。また、目標達成に向けてどのように取り組んでいくのか、具体的な取組方針、自治体に対する支援策について改めて伺います。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 生態系や農林水産業に深刻な被害を及ぼしております野生鳥獣につきましては、今先生からお話ございましたように、平成二十五年十二月に、環境省と私ども農林水産省において、鹿、イノシシの生息頭数の十年後までの半減を目指すということといたしました抜本的な捕獲強化対策を作成して、捕獲の強化を図っているところでございます。

 農林水産省におきましては、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、緩衝帯の設置ですとか、市町村が中心になって行う地域ぐるみの被害防止活動ですとか、捕獲活動経費への直接支援といったような取組を実施しているところでございます。

 平成二十七年度におきまして、鹿、イノシシの合計で百十三万頭が捕獲されたところでございますが、このうち、半分弱の五十四万頭を鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して捕獲をしたところでございます。

 しかしながら、半減目標の達成に向けましては、より一層の捕獲が必要となっておるところでございまして、平成三十年度当初予算におきましては、鹿、イノシシの合計で百三十万頭の捕獲に向けまして、私ども、鳥獣被害防止総合対策交付金による捕獲の方を約十万頭ふやすということで、捕獲の強化にしっかり当たってまいりたいと思っております。

亀澤政府参考人 環境省といたしましては、捕獲強化策として、平成二十六年の鳥獣保護法の改正により新たに都道府県が主体となって行うこととされたイノシシ等の捕獲事業について、交付金で支援をしております。さらに、狩猟者を育成するために、全国各地で狩猟への関心を高めるためのフォーラムを開催をしております。

 引き続き、こうした捕獲強化策のさらなる推進を通じて、農水省とも連携して、半減目標の達成に向けて取り組んでまいりたいと思います。

青山(大)分科員 今、市町村への支援、そして都道府県に対する支援の御答弁をいただきました。

 御承知のように、言うまでもなく、イノシシは、一つの市町村に生息するわけではなくて、市町村をまたがって移動するものです。当然、イノシシの被害の広域化が深刻化しています。生息域が拡大傾向にあることを踏まえれば、市町村の連携強化、イノシシの捕獲に向けた連携強化は重要な課題でございます。

 政府として、市町村の広域的連携に向け、財政的な支援を含めた取組が必要と考えますが、市町村の連携強化に向けてどのように進めていくのか伺います。

齋藤国務大臣 農林省では、鳥獣被害防止特措法に基づいて、まず、現場に最も近い市町村が農作物等の被害対策の中心になって主体的に取り組めるよう、対策を推進しているところでありますけれども、一方、御指摘のように、野生鳥獣は行政区域は関係ありませんから、越えて活動するということで、関係する地方自治体が連携をして広域的に被害対策を実施することが効果的だというふうにも考えております。

 このため、複数の市町村や都道府県等で構成される協議会を設置いたしまして広域的に被害防止対策を行う場合には、鳥獣被害防止総合対策交付金について、優先的に採択をする、あるいは定額支援の上限額をかさ上げする等、支援をさせていただいているところでございます。

 平成二十九年度において、都道府県内で市町村をまたいだ取組を実施するのは六十七協議会がございますし、また、都道府県をまたいだ取組を実施する協議会は七つございます。これらに対しては、本交付金を活用して、広域的な捕獲活動や侵入防止柵の設置等に対する総合的な支援を実施しているところであります。

 引き続き、現場の実情を把握しながら、この広域的な取組の推進に向けてしっかり対策を講じてまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 齋藤大臣も、たしか埼玉県の副知事をされていたと思いますので、そういったイノシシの被害の甚大さについては当然認識していることと思いますので、これからもぜひともよろしくお願いいたします。

 さて、イノシシの被害が深刻になる一方で、全国的に猟師、いわゆるハンターの数の減少や高齢化が問題になっております。

 地元の茨城県では、猟友会の皆様方の献身的な御尽力によって、これまで長年の間に蓄積された経験やノウハウを活用し、安全かつ適切な狩猟が行われておりますが、今後、これまで培ったまさに猟の伝統の職人の技術をどうやって後世に伝えていくかを考えていかなければいけません。

 さらに、茨城県では、東日本大震災の原発事故の影響で、石岡市の一部の施設を除き、いまだイノシシ肉の出荷制限が続いております。野生鳥獣の肉、いわゆるジビエを積極的に活用できるよう政府は取り組んでおりますが、しかし、茨城県では、この出荷制限のため、イノシシを捕獲しても焼却処分しなければいけません。出荷制限のため、ハンターの意欲が落ちていることも事実でございます。

 イノシシによる農産物の被害等を防ぎ、拡大防止を図る観点からも、まずは、イノシシ捕獲の報奨金の交付制度など、いわゆる捕獲活動経費の直接支援策は政策効果が高いと考えます。今後、一頭当たりの報奨金の交付制度のさらなる充実を図っていただきたいと考えます。

 また、耕作放棄地がふえる中で、イノシシが隠れやすい場所もふえています。緩衝地帯となる里山の草刈り費用などの支援も必要であると考えます。ぜひ前向きな御答弁をお願いいたします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、有害鳥獣の捕獲の強化に向けまして、鳥獣被害防止総合対策交付金によりまして、捕獲活動経費の直接支援を実施しているところでございます。

 茨城県など出荷制限がかかっておられる地域におきましては、捕獲したイノシシ、鹿については埋却などの処分をすることになるわけでございますが、その際に放射性物質に係る適切な対応にかかり増し経費が生ずるということから、上限単価は一頭当たり八千円ということにさせていただいておるところでございます。

 さらに、これに加えまして、茨城県の場合、搬入されるイノシシにつきまして全頭検査を行いまして、放射性セシウムの基準値を超えるイノシシが出荷されない体制が整っております石岡市の朝日里山学校におきましては、イノシシの出荷が可能になっておるところでございまして、この施設から出荷されるイノシシにつきましては、上限単価を一頭当たり九千円とすることを検討しているところでございます。

 原発事故の影響によりまして、そのほかの食肉利用ができない地域におかれましては、焼却など、捕獲された鳥獣の適切な処理を推進していただかなければいけませんので、具体的に申し上げれば、鳥獣被害総合対策交付金の中で、侵入柵の整備、捕獲の推進に加えて、捕獲した鳥獣の焼却施設の整備といったようなものにも支援を申し上げておるところでございます。

 また、お話にもございました、草刈りによる緩衝帯の設置などで隠れ場所を排除するといったようなことにも支援をしておるところでございます。

 なお、この草刈り等につきましては、総合対策交付金に加えまして、中山間地域直接支払制度ですとか多面的機能支払制度の中で共同活動として御活動いただければ、この直接支払いも御活用できるということと考えております。

青山(大)分科員 そして、駆除された有害鳥獣の肉、ジビエの有効活用を図る取組について政府が今いろいろ積極的に進めている、そういう中で、そういったジビエの有効利用を図っている全国的な優良事例などあればお聞かせください。

 また、繰り返しになりますが、先ほど述べたように、茨城県ではイノシシ肉の出荷制限が続いております。茨城県の調査では、今年度は一キロ当たり百ベクレルの基準値を超えたのは一件もなく、現在、非常に低下している、そういったデータも出ております。

 基準値の安定的な低下が確認されている今、イノシシ肉の出荷解禁に向けてそろそろ速やかに対応していく時期じゃないか、私はそのように考えますが、出荷制限の解除に向けた政府の取組について伺います。

野中大臣政務官 私から、ジビエの有効利用について申し上げさせていただきます。

 有害鳥獣の捕獲頭数が増加いたしまして、そのほとんどが埋設又は焼却によって処分されている中、ジビエの利用推進というのは、農村地域の所得につなげるためにも大変有効であるというふうに思っております。

 優良事例の一例ということでございます。

 鳥取県鳥取市のいなばのジビエ推進協議会、こちらは、今年度、鳥獣被害対策優良活動表彰で農林水産大臣表彰を受賞した団体でございまして、狩猟者、処理加工業者、飲食店、行政等の関係者が連携してジビエのビジネスモデルの構築を目指し、重要なポイントでございますけれども、ジビエは不衛生だというイメージを払拭するためにHACCPを導入し、徹底した衛生管理に取り組んでおります。その結果、地元のスーパーや道の駅、首都圏のレストランへの販売に加え、学校給食の利用促進等、幅広い販路の開拓を実現した事例がございます。

 以上です。

荒川政府参考人 出荷制限の解除の関係についてお答え申し上げます。

 野生鳥獣肉の出荷制限が指示されております地域におかれましては、原子力災害対策本部から示されております「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」というものに基づきまして、検査体制などの安全確認スキームが整えられた場合に限り、出荷制限の一部の解除が可能ということになってございます。

 具体的には、解体処理施設におきまして処理される鳥獣の全頭が検査されまして、基準値百ベクレル以下の個体のみが出荷されるという体制を整えていただく必要があるということでございます。

 茨城県におかれましては、先ほど申し上げました石岡市の朝日里山学校が受け入れるイノシシ肉につきましては、このような手続を経て、出荷制限が解除されておるところでございます。

 他の処理加工施設から石岡市と同様の食肉利用の出荷の意向がございますれば、私どもといたしまして、体制整備に向けました情報提供ですとか助言、それから鳥獣被害防止総合対策交付金を活用した施設整備への支援など、必要な協力をさせていただきたいと考えております。

青山(大)分科員 といいますと、すなわち、市町村の方でイノシシをちゃんと全部検査して、そして、はかった上で出せるような体制を市町村が整備しないと、いつまでたってもイノシシの出荷はできない、そういったことでしょうか。

荒川政府参考人 まず、出荷制限につきましては、モニタリングというものが行われておりまして、百ベクレルを超えるものがないかどうかということについて調査が行われておるところでございまして、これが安定的に推移をするということになりますれば、例えば全県での解除ということも可能性としてはあるわけでございますが、まだそういう状況にはないと伺っております。

 そういう中で、施設を特定いたしまして、その施設に運ばれたものについてはきちんと全頭検査をして、百ベクレルを超えていないものだけが出荷できるという仕組みが施設としてできるということでございますれば、原子力本部の方とも御相談をして、そういった体制がとれているということについてオーソライズをしていただいて、石岡市の朝日里山学校のような出荷制限の一部解除に向かっていけるということだと考えております。

青山(大)分科員 石岡市の朝日里山学校、もちろん、廃校になった学校を活用して、そういった実施団体ができて、本当にいいモデルケースになっていますけれども、ただ、ほかの市でも同様なことができるとは限らないわけでございます。

 御承知のように、原発事故で、猟師の方にも地元にもそういった責任はないわけでございまして、そういった全頭検査の体制をつくるには、地元の自治体負担、当然あると思うんですよ。そういった負担をなくすために、むしろこれは、地元からそういう要望があったときは国の方で設置できるような、ただ、実際、事故が起きてもう七年たっているわけですよ。

 先ほど言いましたように、一部のデータによっては、百ベクレルを超えていない、そういったのがずうっと出ているわけでもございますから、そういったいろいろなデータを勘案した上で、私は、そろそろ出荷解除に向けて前向きに、むしろ国の方が主導していくべきだ、そう思うんですけれども、どうでしょうか。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 出荷制限の一部解除ではなくて全面的な解除につきましては、私ども農林水産省だけではなかなか判断がつきかねまして、モニタリング調査をやっておられます結果も含めて、最終的には原子力対策本部の方で指示が行われるという形になろうかと思います。

 一方で、私どもが今お手伝いすることが可能であるとすれば、施設を特定いたしまして、その施設で全頭検査ができる、全頭検査で百ベクレルを超えないものだけが出荷されるという体制づくりができれば、その施設についての一部制限は解除できるわけでございまして、その施設整備についての補助事業ですとか、その運営のための技術的な支援といったものについてはしっかり対応してまいりたいと思っております。

青山(大)分科員 この質問は以上にしますけれども、やはり、今言ったように、当初の話で、全体的には鹿、イノシシは減っていますけれども、筑波山麓に関しては、まさに原発事故の間狩猟できなくて、逆にふえている。今、イノシシ、さらにイノブタ、そういったのがふえて、冒頭申しましたように、農産物被害から人への被害も出ている状況で、とても深刻な状況でございます。茨城の場合はそういった放射線という特異な事例でございますので、ぜひ政府の方でもしっかりと地元自治体と連携して取り組んでほしい、そのように思っております。

 続きまして、イノシシの被害から、水産業の話に移っていきます。

 私の地元茨城県では、全国第二位の霞ケ浦という湖、厳密に言うといまだに一級河川なんですけれども、ございます。その霞ケ浦の水質が悪化し、その浄化というのが大きな課題でして、これまで、国や県や市町村、そして民間、NPO、さまざまな方たちがいろいろな取組をされてきました。私も、茨城県議会議員時代も議会で霞ケ浦浄化について何度も取り上げてきました。

 今回は、ちょっと細かいところは抜きにして、国として霞ケ浦の水質悪化の要因をどのように分析しているのか、そして、水質改善に向けてどのような施策を講じ、水質はどのように改善されているのかを伺います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 まず、霞ケ浦の水質悪化の要因についてですけれども、霞ケ浦における汚濁負荷でございますが、農地、畜産系からの窒素の供給、あるいは生活排水からの燐の供給によります影響が大きいことが課題と認識をしております。

 それから、施策でございますが、霞ケ浦は、湖沼水質保全特別措置法に基づきます指定湖沼に指定されておりまして、これまで茨城県等が累次にわたり同法に基づく湖沼水質保全計画を策定して、各種の水質保全施策を進めてきております。

 具体的に申し上げますと、下水道の整備や高度処理の推進、高度処理型浄化槽の設置促進、工場、事業場の排水規制、家畜排せつ物処理施設の整備、底泥のしゅんせつなどの湖内対策など、さまざまな施策が計画に盛り込まれ、取組が進められてきております。

 水質でございますけれども、霞ケ浦の水質の状況につきまして、平成二十八年度の直近の全水域における年間平均値で申し上げますと、有機汚濁を示す指標である化学的酸素要求量、CODは七・二ミリグラム・パー・リットル、それから、栄養塩を示す指標といたしまして、全窒素が一・一ミリグラム・パー・リットル、全燐が〇・〇九一ミリグラム・パー・リットルと、残念ながらいずれも環境基準を超過している状況でございます。

 このため、引き続き、湖沼水質保全計画に基づきます各種の施策の推進が必要であると認識をしております。

青山(大)分科員 水質浄化の具体については、また次回に聞きたいと思います。

 ことしの十月、その霞ケ浦において第十七回世界湖沼会議が開催されます。本事業により、更に浄化に向けた機運の盛り上がりが期待できると思います。政府としても、そういった第十七回世界湖沼会議に当たりしっかりと支援していくべきと考えますが、取組方針をお聞かせください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本年十月に、茨城県では、平成七年以来二度目の開催となります世界湖沼会議がつくば市などにおいて開催される予定であると承知をしております。

 この会議では、国内外の湖沼関係者や霞ケ浦流域の関係者が一堂に会しまして、国内外の湖沼に係る現状や課題、今後の取組について多様な議論がなされる予定であり、その中で、霞ケ浦については特別にセッションが設けられる予定と聞いております。

 今回の茨城県での世界湖沼会議の開催が契機となりまして、関係者の霞ケ浦に関する意識の高揚、一層の連携が図られ、水質保全の取組の推進につながることが期待をされます。このため、環境省といたしましても、世界湖沼会議の成功に向けて必要な支援を行うとともに、関係自治体や関係省庁と連携して、霞ケ浦の水質保全に一層取り組んでまいりたいと考えております。

青山(大)分科員 ありがとうございました。

 あと、霞ケ浦では、外来魚であるレンギョやアメリカナマズなども増加し、生態系への影響も強く懸念されています。現在、漁業者の協力によって駆除が進められておりますが、先ほどのイノシシの場合同様、このアメリカナマズにおいても、やはりセシウムの規制が解除されないため、例えば、外来魚で駆除したのが、以前は飼料屋さんが買い取ってくれたのが今は買い取ってくれなくなったりと、そういった影響も出てきております。

 そういった基準値の安定的低下が確認された場合には、解禁に向けて速やかに対応していただきたいと考えます。外来魚の駆除の取組も含め、政府の取組をお伺いいたします。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、出荷制限の解除につきましては、先ほどもイノシシで議論があったところでございますが、原子力災害対策本部が策定いたしました「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の解除要件に従いまして、科学的根拠に基づいて行うこととなっているところでございます。

 霞ケ浦のアメリカナマズのお話がございました。これまで九十六検体の検査を行っておりますが、平成二十九年度は、これまで十五検体測定いたしまして、放射性セシウム濃度は最大で四十九ベクレル・パー・キログラムということであります。

 解除のためには、過去に基準値を超過した場所を含め、更に安定して基準値を下回っていることというのが要件となっておりますけれども、低下傾向ということは出ておりますので、水産庁といたしましては、検体の確保などにつきまして県とよく御相談いたしまして、出荷制限の解除が進むように取り組んでまいりたいと考えております。

 また、外来魚の駆除一般につきましては、霞ケ浦においても、アメリカナマズあるいはオオクチバスとか、外来魚が在来魚を食害して生態系や内水面漁業に悪影響を及ぼしていると指摘されております。

 水産庁といたしましては、漁業者が行う外来魚の駆除活動を支援するとともに、効果的な駆除技術の開発、普及を行っているところでございます。

青山(大)分科員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 最後の質問でございます。

 来年日本開催のG20サミットにあわせて、複数の関係閣僚級会議が開催されることが予想されます。茨城県は全国第二位の農業産出額を誇る農業県であり、また、つくば市は我が国最大のサイエンスシティーでもございます。つくば市では、二年前のG7茨城・つくば科学技術大臣会合を始めさまざまな国際会議の実績もあり、都心からのアクセスも良好です。

 そこで、来年のG20サミットに係る関係閣僚会議の農業分野に係る会議において、茨城県つくば市の開催を提案いたしますが、関係閣僚会議の開催地の決定に当たって今後どのように進めていくのか、大臣の御答弁をよろしくお願いいたします。

齋藤国務大臣 二〇一九年には我が国がG20の議長を務めることになっておりまして、首脳会議のほか、関係閣僚会議についても我が国での開催が予定されております。

 ただ、まだ現時点で、具体的にどのような閣僚会議を開催するかや、開催する場合の開催場所や時期については、今後、政府内で検討を進めて、しかるべき時期に決定、公表することとなっています。

 農業大臣会合については、つくば市を含め幾つかの自治体から開催の希望が出ているのは承知をいたしております。茨城で生まれて、茨城の県議会議員を務められ、そしてお地元が茨城である先生の強い思い、あるいは、私も実はつくばエクスプレスで一本のところに住んでおりますけれども、そういう先生の思いはよくわかりますけれども、今の時点で私がどこがいいとか悪いとか言うことができないという、私の思いも理解をしていただきたいなと思います。

 以上です。

青山(大)分科員 御答弁ありがとうございました。

 以上で質問を終了します。

江藤主査代理 これにて青山大人君の質疑は終了いたしました。

 次に、神谷裕君。

神谷(裕)分科員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日は、貴重な質問のお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 大臣、本当に一日御苦労さまでございます。また、政務官も御苦労さまでございます。

 本日は、予算委員会の分科会でございますので、この機会を活用させていただいて、地元の北海道、私、北海道十区、空知、留萌という、海も山もある、そして広い田んぼもある、そういう地域でございますけれども、その皆さんからさまざま伺ったこと、あるいはそういった御要請であるとか思いなどを質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず初めに、ちょっと漂着ごみの話をさせていただきたいと思います。

 新聞報道等でも話題となったんですけれども、我が国に国籍不明の船が海岸に多数流れ着きました。問題は、この船そのものというよりは、これをどうやって処分するかという話だったんですけれども、さまざまな問題のあるものでしたけれども、最終的には、あの漁船の処分に関しては国費で行っていただいたと聞いておりまして、沿岸の自治体も大変に安心をしたと聞いております。しかし、ああいった大きな象徴的なものでなくとも、実は多数の漂着ごみが我が国沿岸、海岸に流れ着いております。

 先日、私が北海道の日本海側にあります留萌管内の漁協にお伺いをした際に、漂流ごみについてのお話を伺ってまいりました。

 そこで、沿岸域や浜などに上がったそういった漂流ごみの処理についてどうなっているかということをまず確認をしたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 漂流・漂着ごみでございますが、これは海外由来のものも多く、地方自治体でその対応に苦慮されていると承知しております。

 このため、地方自治体によります漂流・漂着ごみの回収、処理等を促進するために、海岸漂着物等地域対策推進事業におきまして、二十九年度補正予算で約二十七億円、それから平成三十年度予算案で四億円、計約三十一億円を計上し、地方自治体に財政支援を行っているところでございます。

 補助率といたしましては、原則十分の七といたしまして、また、過疎地等は十分の八、離島等は十分の九とかさ上げしているところでございます。さらに、残りの地方負担分の八割が特別交付税により措置されることとなっており、地方自治体の実質的な負担軽減に配慮した制度としております。

 環境省といたしましては、引き続き、地方自治体によります漂流・漂着ごみの回収、処理が円滑に進むよう、必要な支援を行ってまいります。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 大変大きな支援だというふうには聞いております。ただ、私どものこの北海道の日本海側のごみというのは、御省の調査でも海外由来のものが非常に多いんです。そういった意味では、自治体の皆さん方に本来自分たちで負担があるような状況もどうなのかなとも思うところでございますし、どうか手厚い支援をこのままお願いをしたいと思っております。

 自治体の皆さん方にとっても本当に頭の痛い問題なんですけれども、こういった漂着ごみ、特に、海で働く漁業者の皆さんにとっては大変に大きな問題ではないかな、このように思っております。

 海面ばかりではなくて、当然海底にもごみは流れてまいりますから、海藻類であるとか、要は藻類品質劣化、さまざまなものがあると思います。あるいは、そのごみが漁具や漁網など直接的な被害が及ぶのではないか、また、実際には漁場をしっかりときれいにしていくわけでございますから、漁網の中からごみなどを除去する手間など大変な労力がかかるというようなことも聞いております。そういった漁業者の方に対する手当て、そういった支援についてお伺いをしたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、漁場や海岸に漂流、漂着する海洋ごみが漁場環境を悪化させることは、漁業者にとって深刻な問題でございます。

 このため、海岸を管理する者の対応に加えて、漁業者等が行う漂流、漂着物の回収、処理に対しまして、水産多面的機能発揮対策事業によりまして支援するとともに、漁業活動により発生する海洋ごみの抑制対策として、漁業系廃棄物対策促進事業によりまして、漁業系廃棄物のリサイクル技術の開発や漁業者への普及に取り組んでいるところでございます。

 さらに、漁業の現場では、流木等によりまして、定置網が破損したり、あるいは漁船の船体が損傷したりする被害が生じていると承知しております。定置網の被害につきましては、漁業施設共済に加入している場合には、契約に応じまして共済金が支払われることとなります。また、漁船の被害につきましては、漁船保険に加入している場合には、契約に応じて保険金が支払われるということになっております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 ただ、実際に、保険などでも随分やっていただいているとは思いますけれども、御案内のとおり、例えば、網であるとか、不幸にしてごみになってしまったものがスクリューなんかに絡みついたり、現実にそういったことが起こるのかなと思いますし、あるいは、そういった漁具由来であれば、まだ多少は、多少ではないですけれども、あれなんですけれども、そうはいいながらも、やはりいろいろなごみが漂っているわけでございまして、その掃海というか、漁場について、やはり漁業者の皆さん方の思いに立って、水産庁もぜひ手厚い支援をやっていただけたらなと引き続きお願いをしたい、このように思います。

 そしてまた、こういった被害の出るところというか、ごみがたまるところなんですけれども、海流とか風とか地形などの要因が非常に大きいのかなとも思います。北海道、この日本海側、海外由来のごみが多いというのはやはりそういった要因なんだろうと思うわけでございますが、そういう意味では、たまるところには非常にたまるというようなことでございまして、一過性の問題ではないわけでございます。そういった意味におきまして、根本的にしっかりと解決していくためには、やはり常にそういう、しっかりと解決するために何らか支援が必要なんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 実際には、根本解決するためには、漂流ごみの来歴であるとか、あるいはなぜ海に漂流したのか、やはりしっかり原因分析というものをしていただきたいと思いますし、あるいは同様に、海外由来のごみについては、その表面を見ると排出国とおぼしき国が大体特定され得るわけでございますから、当然、そういった排出国と思われる国に対してはしっかり、こういうごみを出さないでくれというようなことを言っていかなければいけないんだろうと思うわけでございます。

 そういった対策等について、そういった関係国に申出というか、あるいは要求というのか、実効ある対策をとっていただくということ、これを要望するとか、そういったことをこれまで対処いただいてきたのか、そういったことを伺いたいと思います。

早水政府参考人 幾つか御指摘があった点についてお答えいたします。

 まず、漂流・漂着ごみの問題の中長期的な観点からの根本的なといいますか、そういう措置かと思いますけれども、やはり、この問題に適切に対処するためには、回収、処理だけではなくて、中長期的な観点から発生抑制の対策が必要と認識しております。

 このため、環境省では、先ほど申し上げました海岸漂着物等地域対策推進事業によりまして、地方公共団体が行います漂流・漂着ごみの回収、処理に加えまして、発生抑制対策につきましても財政支援を行っているところでございます。普及啓発、発生状況等の調査研究、それから民間団体との連携協力などの、自治体の創意工夫によりますさまざまな事業に活用できるようにしております。

 また、国といたしましても、発生抑制ということで、プラスチックごみの発生抑制、あるいはリユース、リサイクル、それから適正処理の推進などによりまして海洋への放出を抑制する、それから、全国ごみ不法投棄監視ウイークなどを通じました啓発活動を推進することなどで、陸域から海洋へ流入するごみの発生を減らすための取組を進めております。

 また、どこから来たかという要因分析ですが、実態把握のためにモニタリング調査を行っておりまして、回収された漂着ごみの組成、あるいは漂着したペットボトルの製造国を推定するというような調査結果を取りまとめて公表するなど、必要なデータの蓄積、情報提供に努めております。

 この中で、海外由来のごみにつきまして、例えばの例ですけれども、昨年の二月から三月にかけまして、日本海沿岸の十道府県に韓国語表記のある廃ポリタンクの漂着が確認されました際には、外交ルート及び二国間協議の場などを通じまして、再発防止の申入れを行っております。こういった周辺国への必要な要請を実施しております。

 加えまして、日中韓三カ国環境大臣会合、TEMM、あるいは北西太平洋地域海行動計画、NOWPAP、こういった枠組みもございますので、この中で漂流・漂着ごみに関する取組について意見交換を行っております。こうした国際会議の場なども活用しながら、国際的な対策を推進していきたいと考えております。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 やはり、もとから断たなきゃだめというふうに思います。特に、先ほど申し上げたように、北海道のそういった地域においては、どうも外国由来のものが多いというような現状もございまして、やはりそういう排出国に対してしっかりと言っていただくことが必要なんだろう、このように思うわけでございまして、どうぞ、機会を見つけましたら、必ずや、そういうようなことがないように、今後も御尽力をいただけたらと思っているところでございます。

 ちょっと話題をかえますが、海の汚染で申しますと、実は先般、東シナ海で石油タンカーが沈没し、鹿児島から沖縄に連なる島々に大量の油が漂着したということを聞いております。報道を見ますと、結構大変そうな様子で記載をされておりますけれども、海上保安庁さんや関係省庁、自治体の方が割と迅速にしっかりと対応しているという話も聞いております。

 そこで、実際の事実関係、あるいは汚染の状況、あるいは漁業被害、そういったことを確認させていただけたらと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 まず、事案の概要について御説明いたします。

 一月六日、中国・上海沖の東方約二百九十キロメートルにおきまして、パナマ船籍のタンカー、サンチ号と香港籍貨物船が衝突し、同タンカーに火災が発生いたしました。同タンカーは、火災を継続したまま漂流を続け、十四日、奄美大島の西方約三百十五キロメートルにおいて沈没いたしました。

 現場海域では、本日二月二十三日時点におきまして、長さ三百メートル、幅三十メートル程度の油膜が浮流しておりますが、この油膜はだんだんと薄くなっております。また、末端部においては拡散、消滅しつつあります。

 一方、一月二十八日以降、宝島や沖縄本島など、二十二の島の一部沿岸に油状のもの等の漂着が確認されております。

 海上保安庁では、サンチ号沈没位置付近海面の浮流油と沿岸に漂着した油状のもの等について分析を行い、一部のサンプルにおいて、これまで類似性を確認いたしております。

 また、サンチ号周辺海域及び沖縄周辺から南九州沿岸にかけての海域十四カ所で採水を行い、海水中に含まれる油分を測定いたしました。その結果、今回測定された油分の値は、事故以前に測定された値と変わらないものであることが確認されております。

 現地では、海上保安庁は、地方自治体や地域住民の方々と一緒になって回収作業等を実施してきたところであります。

 引き続き、漂着油の情報収集、調査等を行ってまいりたいと考えております。

神谷(裕)分科員 水産庁、どうですか。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 私どもも、鹿児島県庁を通じて情報を収集しておりますけれども、幸い現時点では漁業被害に関する情報は確認されておりません。

 引き続き、海上保安庁や鹿児島県庁を通じまして、漂着状況などの情報収集に努めまして、漁業への影響の有無について注視してまいります。

 また、沈没したタンカーから流出した油につきましては、水産庁では、水産資源や漁場への影響を調べることとし、二月十六日から東シナ海において海水や動物プランクトンの採取を行っているところでございます。

早水政府参考人 環境省からも、環境省の取組についてお答えいたします。

 現在、御指摘のように、鹿児島県の奄美大島、沖縄県の沖縄本島などの各島の海岸におきまして、油状の漂着物が確認をされている状況でありますけれども、汚染の状況につきましては、場所によってさまざまであるというふうに承知しております。

 環境省におきましては、この事案に適切に対処するために、漂着した油状のものの回収に関して地方自治体への支援等を行っております。また、漂着地域の野生生物や生態系などへの影響調査を鋭意実施しております。

 奄美大島における五つの海域公園地区におきまして目視によります緊急調査を行った結果、海面における油状のものの浮遊、サンゴ等への付着は確認されず、現時点では、サンゴ、海草類等の生息、生育には特に異変がないことを確認しております。

 また、国立研究開発法人国立環境研究所と連携して、漂着地域周辺の海水、大気等につきまして環境モニタリングを実施しております。二月五日から現地調査、それから試料採取などを行ったところでございますが、現在、採取した試料の分析を実施しているところでございます。

 今後とも、漂着地域におけます野生生物、生態系等の保全、海岸環境の保全、良好な景観の確保などに最大限取り組んでまいります。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 こういった油の事故のときに、一番漁業被害でぱっと思いつくのがやはり養殖なんだろうなと思います。この地域は実は余りないんだろうと思うんですけれども、あの付近に、今でも多分マグロの養殖であるとか結構やっていたんだろうと思いますし、そういうところには影響が出なければいいなというふうに思いますので、ここは十分注視をしていただきたいと思いますし、万が一にも漁業者の方に不幸なそういった影響が出ないように、引き続きモニタリングというか、しっかりとやっていただきたいなと思っております。

 また、報道等では、島々に黒い油が漂着した様子であるとか、あるいはまたサンゴ礁も汚染されたようだというふうに記載がありました。実際に、今お話にありましたとおりで、意外と被害は程度は少ないのかもしれませんけれども、やはりこれは、回復、しっかりともとに戻していただかなければいけないだろうというふうに思います。

 ただ、こういった原状回復、自治体にも支援をいただいているようでございますけれども、やはり現場の皆さんだけではきついんじゃないかなというふうには思っております。

 当然、島民の皆さん方の思いは、できるだけ早くもとの美しい島々に戻していただきたいというものであると思いますし、一義的には、汚染者に原状回復を求めていく、これが当然大原則だと思うんですけれども、たしか、この旗国はパナマでしたっけ、あるいは用船者はイランだというふうに承知をしておりまして、直ちに船主さんは近くに来れるわけでもございませんし、汚染者が実効ある手だてを講じられるかはいささか不明だなというふうに思っているところでございます。

 とすれば、まずは現地の皆さんの復旧をしっかりと応援をする、そういう意味でも、やはり国は国として、被害を受けている皆さんの視点に立って、原状回復のために最大限助力をしていただきたいと考えるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。海上保安庁さん、どうですか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、この事案が発生いたしましてから、特別の専門家チームをこの島に派遣いたしまして、回収作業について技術的なアドバイスを行うとともに、実際上、この回収作業を一緒になって行ってきているところでございます。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。

 環境省さんもそうでしょう、あるいは水産庁さんもそうだと思います。しっかりと応援をしていただいているとは思います。しかし、本当に一日も早くという意味と、できる限り原状にしっかりと戻していただくという意味におきまして、どうかしっかりと見ていただいた上で、手伝えるところは手伝っていただきたいな、このように思うわけでございます。

 ちょっと話題をかえさせていただきます。これは地元の方から伺った話でございまして、ドローンの話をさせていただきたいと思います。

 ドローンの進歩に伴いまして、さまざまな利用がスタートしているようでございますけれども、昨今では、価格の高いラジコンヘリにかわりまして、農薬散布など、農業分野での利用も始まっているというふうに聞いております。そのほかにもさまざまな利用について検討が始まっているようでございますけれども、農業者の皆さんも、非常にこのドローンについて多くの方が期待を言われるわけでございますけれども、まだまだ規制があるんじゃないかというようなことを、そういったことが現実にあるのかないのかも含めてなんですけれども、懸念されている農業者の方が実は大勢いらっしゃいました。

 そこで、改めて、確認の意味も含めてなんですけれども、ドローンの農業分野への活用について、問題のある規制はあると考えておられるのか確認できればと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンの飛行につきましては、農業利用も含めまして、基本的に航空法の規制を受けるわけでございますが、生産者等がドローンを利用しまして農薬散布を行う場合につきましては、その安全性を確保するという観点もございますので、機体の性能、オペレーターの能力、また、安全な飛行を確保するための体制に関する審査を受けていただくというようなことをお願いしているところでございます。

神谷(裕)分科員 わかりました。基本的には使っていいわけですよね、農薬散布についても。

 ということでありますれば、当然、農業者の方、どんどん使っていただきたいと思いますし、あるいは、防除以外にあっても、さまざまな利用等、考えられるんじゃないかなと思います。やはり、特に北海道なんですけれども、農業者の皆さん、規模拡大をどんどん進めておりまして、そういった農業に対応してさまざまに使えるようにしてほしいというふうに伺っているところでございます。

 技術開発や応用など、ぜひ力を入れていただいて、順次活用できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省といたしましても、ドローンのさらなる活用に向けまして、農薬散布による防除技術以外におきましても、例えば作物の品質、収量性の向上のために、ドローンによりまして、広範な面積の作物の生育状況、あるいは病害の兆候等を短時間で診断する技術、さらには、有害鳥獣による農作物被害の防止のために、ドローンによりまして、その生息の実態を把握する、あるいは監視、追い払いを行う、そういったさまざまな技術の研究開発に努めているところでございます。

 引き続き、ドローンの多面的な農業分野での活用につきまして、私どもといたしましてもしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

神谷(裕)分科員 ありがとうございます。どうぞその方向でお願いをしたいと思います。

 次に、機械の話です。

 農業就業人口の減少はなかなか下げどまらない状況にあります。また、平均年齢も徐々に上がっていく中で、この国の農地を従来どおりにしっかりと農業者の皆さん方に耕していただくためには、やはり省力化あるいは規模化、こういったことが必須であると思います。ですから、農業農村整備事業であるとか機械力の支援、こういった事業というのは非常に重要だというふうに理解をしているところでございます。

 特に、農業者の皆さんが地域を守っていく、少ない人数になっていくけれども地域を守っていく、そういうときにあっては、どうしてもこの二つというのは必要不可欠だなというふうに思っているわけでございますが、残念ながら、予算上の制約というのはどうしてもございまして、農業農村整備にしましても、あるいは機械支援にしましても、手を挙げてもなかなか思うようにならない、順番待ち、そういった実態があると思います。

 そういった中で、農業者の皆さんから、機械力の支援についてなんですけれども、多くの事業を準備していただいているということは聞いておるのでございますけれども、そのメニューの中にはポイント制みたいな形をとっておられるものもありまして、もちろん、それが予算の制約の中で順番をつける、あるいは公正にやっていくためというような位置づけはわかるのでございますけれども、どうしてもなかなか、北海道のそういった農業者の方々について、まあ、そういう方々は当たっていないからなのかもしれませんけれども、ポイントに不公平があるんじゃないか、そういうような言い方を実はなさっておられます。

 これは、本当にそういうことなのかということについてはあえて申しませんけれども、ただ、どうしても機械力が必要な方というのは、やはり規模を拡大化された方、あるいは規模を拡大しようとしている方。そういう意味では、北海道の農業者なんていうのはその最たるものではないかなというふうに思うわけでございまして、できることであれば、ちょっと我田引水なんですけれども、そういった北海道の農業者の皆さんにとって、いわばポイントをつけやすくなるような、そういったことができないかなというふうに内々思っているわけでございます。

 そういったことで、当然、北海道の皆さんに十分に機械力を提供できるためとはあえて言いませんけれども、ぜひ、例えば規模的な要因を強化していただくとか、あるいはさまざま考えていただいた上で、ぜひそういった規模拡大をしている地域に手厚く配分できるようにしていただきたいと思うわけでございますけれども、こういった要望なんですけれども、答弁を求めたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 機械の導入支援、代表的な事業に経営体育成支援事業というのがございますけれども、これで申しますと、まず予算の配分、二十九年度の予算配分を見ますと、北海道は全体の二七%を占めております。農業産出額に占める北海道の割合は一三%でございますので、かなりの配分をされているというような状況でございます。

 ポイント制をこの事業もとっておりますけれども、その中では既に、担い手への農地の集積が八〇%以上であればポイントがつくということでありますとか、規模を拡大した場合にもポイントがつく、こういう形で我々としては経営体が育成支援されることをやっているわけでございます。

 ただ、このポイントにつきましてはいろいろ見直しはしておりまして、例えば三十年度においては、規模拡大だけではなくて、付加価値を高めるとかそういうものについても、総合的に所得と雇用につながるものについては配慮する、あるいはGAPの認証の取得なども考慮するという形で、総合的に経営力の強化に努めたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)分科員 まさに農水省さんの考える施策に沿ってポイントをつけていただく、それはある種あり得る姿なのかなというふうには理解をしつつも、どうしても、規模を拡大していく、その一方で、なかなか、農産物の価格も含めて将来について不安がある、そういった中において、機械力の支援というのは非常にありがたいメニューでもございますし、いわば規模を拡大していこう、あるいは広げていこうというときに、むしろこういったことでどんどん背中を押してあげることもできるんじゃないかなと思います。

 そういった意味におきまして、どうか、そういう規模を拡大していこう、あるいはこれからも頑張っていこうという農業者に対しまして、何とか機械力、あるいは農業農村整備事業もそうなんですけれども、応援をしていただけるような、そういうような方向で進めていただけたらと思うわけでございます。

 済みません、また話題がかわります。豪雪災害についてちょっと伺わさせていただきたいと思います。

 私の地元でございますが、大変な豪雪地帯でございます。実は数年前に、大変な雪によりまして多くのハウスなども倒壊をしまして、そのときには農水省を始め北海道や自治体の皆さんにさまざまな御支援をいただきました。このときの支援につきましては農業者の皆さんも大変に感謝をしておりまして、そういった皆さんがあのとき支援をしていただいたおかげで今もしっかりと農業を続けさせていただいている、そのことはまず御報告をさせていただこうと思います。

 想像が非常につきにくいとは思うんですけれども、ビニールの被膜をかけていなくても、実は、ハウスの管が雪に引っ張られたりあるいは押されたりということで、それも耐候性の非常に大きな厚い管なんですけれども、そういったものがどんどん曲がってしまうような大変な災害でございました。そのときにも、壊れた資材の撤去であるとかハウスの再導入といったことに大変な御支援をいただいたわけでございますが、当然、春先の営農の開始の前でございますれば、大変心細い状況の中でしっかり支えていただいたということは大変にありがたいというふうに思っておりました。

 自然災害でございますから、それに対して支援をしていくということについては、当然、税を原資としているわけでございますので限界があるということは理解はするのでございますけれども、災害からの復旧ということでございますれば、いかにして個人の復旧を支えるかというのが実は地域全体も含めた災害復旧の近道であるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 もちろん、今次の雪の災害については、東日本大震災とか阪神・淡路と同じような、復旧に長時間を要するようなものではないかもしれませんけれども、やはり、この春先、これから農業者が一年の営農をスタートするというこの大事な時期に、しっかりと最初の稲を育てるであろう育苗ハウスであるとか、あるいはそういったことが使えなくなるというのは非常に心理的にもつらいものだなというふうに思います。

 そこで、当然税金ですから、私のときの豪雪災害では、農業者の方もやはり税金だということを十分理解をしていただいて、全てを取っかえるということもしなかった、そして、曲がった管も自分たちで直せるものは徹底的に直して、極力迷惑をかけないようにしようじゃないかというふうにやっていただいた方々でございます。そういった皆さん方が現実におられて、農業者がやっておられる。

 当然、政府においても今豪雪災害含めて対策をさまざま考えられておられると思うんですけれども、やはり災害復旧への積極的な対応をぜひお願いをしたいと思いますし、この際でございます、災害時の個人に対する支援のあり方、できればこれをぜひ手厚くやっていただきたいという思いなんでございますけれども、こういった要望を兼ねて大臣にお伺いができたらと思うわけでございます。お願いをいたします。

江藤主査代理 野中政務官、申合せの時間を過ぎておりますので、端的にお願いします。

野中大臣政務官 まず、大雪によって被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 先ほど御指摘ありました先生の御記憶にある豪雪災害、平成二十五年度ですが、これは個人というよりは、発動した被災農業者向け経営体育成支援事業というのは、被災した農業用施設の再建等を行う被災農業者に対して助成する市町村を支援するものである、いわゆる地域支援でございまして、個の資産形成に資する補助というのは農水省としては行っておりませんが、共済金の早期支払い、農林漁業セーフティーネット資金等の長期、低利の融資等の個人に対しての支援を行っており、また被災の状況に応じて必要な支援を行っております。

 何も起きないのが一番でありますけれども、またその都度、被災状況によって支援を行わせていただきたいというふうに存じます。

江藤主査代理 神谷君、終わってください。

神谷(裕)分科員 そういうことで、ぜひ支援をよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

江藤主査代理 これにて神谷裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井比早之君。

藤井分科員 藤井比早之でございます。

 昨年政府に入らせていただいていたとき以外は毎年ということで、四度目の六分科会、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、ため池の耐震等防災、減災についてお伺いしたいと思います。

 兵庫県は、全国の約二割、約四万の全国最多のため池が集中するため池王国ということになります。ため池は、一たび決壊すると、農家の皆様だけではなくて一般の民家の皆様にも非常に甚大な被害を生ずるということになります。平成二十三年、台風十二号におきましても、私の地元では四つのため池が決壊して、一般の民家の皆さんに甚大な被害が生じたところでございます。昨年の九州北部豪雨災害もございます。

 しかしながら、ため池の改修には農業者の皆様の費用負担や同意が必要だということで、なかなか改修が進められないという現実があるのも確かでございます。ため池改修は農業者に負担を強いる一方で、同じく防災、減災という点では、河川改修は地元の負担というのは発生しません。利用者負担というのはよくわかるんですけれども、防災、減災、国民の皆様の安全、安心を守る事業にこのような差を設けてはいけないのではないかと思うわけでございます。

 昨年五月十九日に土地改良法等の一部を改正する法律が成立をいたしました。この法律により、農家の皆さんの費用負担ゼロでため池等の耐震化事業が可能となるということになります。

 そこでお伺いいたしますが、この農家負担なしでのため池の改修にはどのような条件があるのでしょうか。耐震診断の必要性や受益面積、また、個人所有のため池も対象となるのかなど、具体的にお示しください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から今ため池に関する御質問をいただいたところでございます。

 南海トラフ地震等の発生の可能性が高まっている中で、ため池を含む農業用用排水施設の耐震化を迅速かつ機動的に実施していくということが強く求められているところでございます。

 先生もお話ございましたけれども、昨年の国会におきまして土地改良法の改正をしていただいたところでございます。原則として農業者の費用負担や同意を求めない形で、国又は地方公共団体がため池などの農業用用排水施設の耐震化事業を実施できる仕組みを創設をしていただいたところでございます。

 新しい仕組みを活用いたしまして、地方公共団体が補助事業でため池の耐震化事業を実施していただく場合には、現行の補助事業と同様に、面積要件といたしましては、想定被害面積が七ヘクタール以上で、かつ受益面積二ヘクタール以上とするということを想定をしておるところでございますが、先生から御質問ございました個人所有のため池につきましても、現行の補助事業と同様に、関係する農家の方が二戸以上であれば対象とさせていただくという方向で考えているところでございます。

 農林水産省といたしましては、地方公共団体と連携を図りながら、この新しい仕組みが活用されて、ため池の耐震化が加速的に進むことを期待をしているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 個人所有のため池も可能ということで、ただ、面積要件等細かなところ、新しい制度でございますので、現場の方までまだまだ行き届いていないんじゃないかというふうに思いますので、どうか周知徹底をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、次に、この改正土地改良法におきましては、パイプラインの破裂等の突発事故でも、農家負担なしで災害復旧事業と同一の手続で事業を実施することが可能になるとされているところでございます。ただ、パイプラインが破裂をした場合には、やはりその場で復旧しないといけません。災害査定がどうなるのか、それを待っている時間はないんじゃないかとか、現場ではそういう危惧がございます。

 そうした災害査定はどうなるのか、復旧した後に精算してもいいのか、そういった場合でも補助対象となるのか等、具体的なところ、運用についてお聞かせください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 土地改良施設の突発事故対応の関係で御質問を頂戴いたしました。

 この突発事故対応につきましても、昨年の土地改良法の改正におきまして、農業者の申請、同意によらない土地改良事業といたしまして、突発事故被害の復旧というものを新たに位置づけていただいたところでございます。これを受けまして、平成三十年度の当初予算におきまして、土地改良施設突発事故復旧事業の創設を今盛り込んでおるところでございます。

 この突発事故対応事業につきましては、パイプラインの破裂などが自然災害によらない形で発生をした事故を対象といたしまして、施設が適切にそれまで保全管理されていたという条件は当然でございますけれども、直轄事業にありましては、受益面積百ヘクタール以上、復旧費が二千万円以上であること、補助事業については、受益面積二十ヘクタール以上、復旧費が二百万円以上であることなどを事業要件とするということを想定をしておるところでございます。

 先生からお話ございました、現場の実情に合うような形でということにつきましては、現場の地域の実情に合わせて弾力的に実施できますように、国や都道府県に加えまして、市町村、土地改良区など、まさにその突発事故を一番最初に発見をする可能性が高い現場の方々が事業実施主体になり得るということに加えまして、災害復旧事業と同様に、交付申請のいろいろな手続の前に復旧工事を実施する、いわゆる施越し工事でございますけれども、これができる仕組みとする方向で考えているところでございます。

 予算成立の暁には、これが十分活用されますよう周知徹底してまいりたいと思っております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 二百万円以上など事業要件や、また先ほど施越し工事の件も御回答いただきまして、ありがとうございます。

 新しい制度で、まさにこの予算が通ってからということになろうかと思いますので、そういう点では、周知徹底を含めて、現場のニーズというところもじっくりと見ていただければというふうに思います。

 何よりも、そうしたため池の防災、減災、パイプライン破裂対応など、先立つものは予算ということになります。

 農業農村整備事業関係予算は、自民党・公明党政権、平成二十一年度の五千七百七十二億円から、民主党政権下では平成二十四年度二千百八十七億円まで減額されたところでございます。まさにこの予算委員会で御審議いただいている平成三十年度予算案が成立すれば、平成二十九年度補正予算と合わせて五千八百億円が確保されるということになります。とうとう平成二十一年度予算を上回るわけで、この画期的な予算案を一刻も早く成立させる必要があります。

 ただ、これはなお国の予算でございまして、実際にため池の耐震改修等を行う場合には、自治体負担が必要です。特に、農家負担なしとなった部分は自治体負担となるということで自治体も心配しておりまして、やはりこの部分に国としての財政支援、地方財政措置が必要であると考えます。この財政支援についてお伺いします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 地方財政措置の関係についての御質問でございます。地方財政も厳しい状況のもとではございますけれども、農業農村整備事業に係る地方公共団体の方々の御負担につきましては、公共事業債なり地方債措置、それから元利償還金に対する交付税措置などにより、これまでも軽減が図られてきているところでございます。

 先ほど来先生から御質問ございました、新たな農家の負担のない形での事業につきましても、地方公共団体に御負担をいただくことを想定しておるわけでございますけれども、それらにつきましても、これまでと同様の措置が講じられるように、しっかり対応してまいりたいと思っております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 公共事業債、交付税措置ということで、そこのふえた部分にそれが入るということは、国のちゃんと支援がある、財政支援があるということだと思いますので、そのような形で、これは予算が通ってからということになるんですけれども、しっかりとそちらの措置をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、米政策についてお伺いさせていただきたいと思います。

 まさに、平成三十年産から生産数量目標の配分が廃止、減反が廃止されるわけです。一方、経営所得安定対策制度も廃止されます。これによって生産者、農家の皆様の所得が減少しないのかどうか、現場では不安の声が上がっておりますので、これにつきまして政府の見解をよろしくお願いいたします。

柄澤政府参考人 米政策につきましては、三十年産から、米の直接支払交付金及び行政による生産数量目標の配分を廃止する中で、強い農業の実現に向けて、農地中間管理機構による担い手への農地集積ですとか、あるいは、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興による水田のフル活用を図るといったような形で、前向きな政策を強化してきているところでございます。

 また、三十年産からの米政策の見直しに向けたこの数年間、各産地における需要に応じた生産、販売の取組が進みまして、その結果、直近三年間の二十七、二十八、二十九年産におきまして、三年連続で全国ベースの過剰作付が解消されております。

 農水省としましては、三十年産以降においても引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援する水田のフル活用を図る、また、引き続ききめ細かい情報提供の継続を行う、さらには、いわゆるナラシ対策あるいは収入保険などのセーフティーネットを構築する、こういった各般の施策をあわせて行っていくということによりまして、農業者みずから需要に応じた生産に取り組んでいただける環境整備に努め、米の価格及び需給の安定を図ることによりまして、農業の競争力の強化、それから農家の所得の向上を図ってまいる所存でございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 平成二十九年産米の米価は、価格は二十六年産米の米価と比べて、全銘柄平均で一俵六十キロ当たりで三千五百十八円上昇しているという形になります。これは十アール当たりに換算すると三万一千百九十三円上昇しているということになる。十アール当たり一万五千円や七千五百円よりも高いというわけでございます。

 やはり、農業所得が高いということが何よりも大切だと思います。やはり初年度ということなので非常に現場では不安の声がありますので、しっかりと、大丈夫だ、需給バランス大丈夫だというところも含めまして、農業所得向上のために、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それで、これは米全体の話なんですけれども、実は、平成三十年産から減反の廃止ということになるんですが、酒米、酒造好適米につきましては、先行的に減反の枠外で増産、増反できるという制度を仕組んでいただいたところでございます。

 この制度につきましては、酒蔵さん、酒造メーカーさんに需要を伺って、その需要に応じて生産を行うという制度だと理解しておりますけれども、この制度もこの三十年からの制度改正で変わらないのかどうか。また、特に兵庫県産山田錦の需要はどうなっているのか。現実の平成三十年産の見込みも含めて、よろしくお願いいたします。

    〔江藤主査代理退席、主査着席〕

柄澤政府参考人 ただいま御指摘ございました、いわゆる酒造好適米についてのお尋ねでございます。

 この酒造好適米につきましては、平成二十五年産までは主食用米として生産数量目標の枠内で取り扱われていたわけでございますが、日本酒の需要拡大を受けまして、二十六年産以降は、酒造メーカーの日本酒増産分につきましては、生産数量目標の枠外で生産可能となるように措置したところでございます。

 三十年産以降のお話でございますけれども、三十年産以降になりますと、米政策の見直しによりまして生産数量目標自体がなくなるということでございますので、何ら制限なく需要に応じた酒造好適米の生産、販売が可能となるわけでございますが、一方で、酒造メーカーの需要に応じた生産、販売が行われるということが適切であることには何ら変わらないということでございます。

 農水省といたしましては、こうした需要に応じた生産、販売の取組に資するように、平成二十八年度から、私どもが産地銘柄ごとの酒造好適米の需要量を酒造メーカーにお聞きしまして調査をし、その調査結果を産地に提供している取組を行っております。

 この調査によれば、兵庫県の代表的な酒造好適米は山田錦でございますけれども、山田錦の需要量を見ますと、平成三十年産につきましても、約二万二千トンということで、この数年とほぼ同水準で安定的に推移してございます。一方、生産量もこの需要量に見合ったものになっておりますので、産地におかれましては、今後ともこうした私どもの需要量情報も参考にしていただいて、引き続き需要に応じた生産、販売に取り組んでいただければというふうに考えてございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 産地銘柄ごとというのと、先ほど兵庫県産山田錦二万二千トンという話もいただきました。需要はあるということでございます。

 先行的にやっていただいた制度改正によりまして、私の選挙区のJA兵庫みらい、JAみのり、JA兵庫六甲管内におきましては、平成二十五年産米は十九万四千俵だったところが、平成二十九年産米は二十七万六千俵となりまして、農家の所得は二十億円以上増加したというふうにされております。

 これは、農家の皆様の汗に応じてひとしく平等に所得が増加するということでございまして、この制度改正は一切税金を使っていません。生産者の皆様にとっては、価格を維持しつつ増反、増産し、汗に応じてひとしく平等に収入がアップされる。蔵元さん、酒造メーカーさんにとりましては、必要とする酒造好適米を確保できて、吟醸酒等高級な日本酒の増産と販売増につなげることができる。消費者の皆さんにとっては、海外の皆さんも含めて、すばらしい日本酒を堪能することができるという、すばらしい三方よしの制度改正であったと思います。

 これは需要に応じてということでございますので、まさに酒米の価格を維持するためには、日本酒の需要増ということが何よりも必要となってくるわけでございます。国内における人口減少等を考えますと、海外での需要増、販売増に活路を見出すべきというふうに考えます。

 先日、香港で、トランジットでお伺いさせていただいたときに、大使の方から、香港や大陸の中国の大富豪やこういったお金持ちの方々は、高級な日本酒がないかと。結構、日本酒がおいしいというのはわかっていただいている。しかしながら、贈答用だと、やはりワインのように一本二十万円とか、そういうものが必要なんだけれども、そういう日本酒はないのかと。それは残念ながらないんですと。また、高級な中華料理に合う日本酒はないんだろうかというようなお話をいただきました。

 こうした大富豪の皆様にとっては、まだまだ日本酒が安過ぎるというような意見があるようでございまして、こうしたところを改善できないのか、そういった部分も含めまして、全体といたしまして、日本酒の高価格化を含めた輸出促進の取組についてお伺いいたしたいと思います。

並木政府参考人 お答え申し上げます。

 清酒の輸出促進につきましては、国税庁では、政府全体の取組でありますクールジャパン推進の一環といたしまして、官民で連携する形で、国際会議における日本産酒類PRブースの出展などによります情報発信の強化、あるいは各国からの駐日外交官など発信力のある者に対します知識の啓発、それから諸外国における関税、非関税障壁の撤廃の働きかけによる輸出環境整備など、清酒を含む日本産酒類の輸出拡大に向けた取組を進めているところでございます。

 こういった取組の成果もございまして、清酒の輸出額は年々増加しておりまして、平成二十九年は対前年比一一九・九%の約百八十七億円となっておりまして、八年連続で過去最高を記録しているところでございます。

 また、今お話のございました清酒の高価格化についてでございますけれども、ブランド価値向上に有効であります地理的表示制度の活用促進に努めているところでございます。

 国レベルの地理的表示といたしまして日本酒、それから地域レベルの地理的表示として石川県の白山及び山形を指定するとともに、これらの地理的表示が海外においても保護されるよう、国際交渉において働きかけを行っているところでございます。

 また、加えまして、清酒の品質向上を目的といたしまして、各国税局等による酒類鑑評会での品質評価の実施、国税庁や独立行政法人酒類総合研究所による醸造講習等を通じた製造技術力の向上や人材育成など、さまざまな取組を行っているところでございます。

 国税庁としては、今後ともこうした取組を含めまして、清酒を始めとする日本産酒類の輸出促進及びブランド価値向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 八年連続ということと、また一一九・九%ということで、非常に右肩上がり。この御時世、この波をつかんで乗っていかなければいけない。

 また、地理的表示の話もございました。これは、お酒をつくるには確かに水というのも大切なんですけれども、原料が非常に大切なんですよね。まさしく兵庫県産山田錦を使って、こういった産地もつくっていただいているというところでございます。

 やはりそうした高価格化には、原産地のブランド化、高付加価値化が欠かせないのではないかと思っております。酒米山田錦の、原産地での地理的表示、GIとしての登録への取組をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 輸出という点では日本酒は非常に大きな目玉でございますけれども、やはり日本酒と並んで、和牛、神戸ビーフ、こういったものが挙げられるのではないかと思っております。しかしながら、輸出のために神戸ビーフをやろうと思っても、そもそも子牛が不足している、子牛が高いという問題がございます。

 兵庫県におきましては、乳用牛への但馬牛の受精卵移植を行うなど、取組を進めているところなんですけれども、やはり繁殖農家は高齢化が進んでおります。相続するとなったら、牛は流動資産なので相続税問題が生じる。また、新規就農には周辺の皆様の同意が必要だ、いろいろ環境問題があるということで同意が必要です。また、子牛価格が高価格で資金繰りが困難と、なかなか繁殖農家を育成することは大変な状況になっております。

 国としての子牛の増頭対策、繁殖雌牛の増頭対策をお伺いいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十月から十二月の和子牛の平均売買価格でございますけれども、黒毛和種で七十七万円ということで、これは前年の同期比の九一%と若干低下してございますが、依然として高い水準にあるというふうに認識してございます。

 こういう中で、繁殖雌牛の飼養頭数でございますけれども、平成二十八年から六年ぶりに増加に転じまして、平成二十九年には前年から八千頭増加するなど回復傾向にございまして、これによりまして、和子牛の生産頭数も二年連続で増加をしてございます。

 こういう生産基盤の回復傾向、これを確固たるものにするためには、御指摘いただきましたとおり、繁殖基盤をきちっとしていくということが重要でございます。

 農林省といたしましては、畜産クラスター事業を活用いたしましたキャトルステーション等の整備によりまして労働力の外部化を図るですとか、あと、優良な繁殖雌牛の増頭や導入に対する奨励金の交付や、増頭のための簡易畜舎整備への支援などに加えまして、繁殖基盤の強化に資する繁殖肥育一貫経営等の育成支援などの施策を総合的に展開することによりまして、より一層、肉用牛生産基盤の強化を推進してまいりたいと存じます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 七十七万円ということで、一時期本当に百万円というような話もありましたので、そういう点では、ただ、価格が下がると今度は繁殖農家さんが困るという部分もありますので、その辺のバランスをうまくとりながら、畜産クラスター事業、非常に皆様の期待が大きゅうございますので、しっかりと取り組んでいただきたい。

 また、和牛の輸出につきましては、本当に基盤も含めましてどうかよろしくお願い申し上げたいと思います。今までよそに持っていかぬと輸出できなかったというのが、県内でも、そういう意味では輸出していただける基盤を整備していただいた、非常にありがたいことだと思っておりますので、こういった機会を通じて、ぜひとも輸出拡大に取り組んでいただきたいと、この場をかりまして心からお願いを申し上げたいと思います。

 ちょっと話がかわるんですけれども、中山間地、山村地域の発展のためには、やはり林業の発展が、復活が欠かせない、そのように考えております。

 森林整備の財源の確保といたしまして、森林環境税の導入が与党税制大綱に盛り込まれました。昭和六十年の水源税構想から三十年以上の時を経て、山村地域の長年の悲願が達成されようとしております。

 そこでお伺いいたします。

 林業の発展のためには、国産材、木材需要の創出が必要です。また、路網整備など基盤整備が欠かせません。これからの林業発展のための取組についてお伺いいたします。

沖政府参考人 お答えいたします。

 我が国の森林は、資源が充実し主伐期を迎えつつあり、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を両立していくためには、この資源を、切って、使って、植えるといった循環利用を確立していくことが必要となってございます。

 このため、今後の森林・林業政策といたしまして、まず、供給面では、経済ベースに乗る森林につきましては、みずから経営管理ができない森林所有者の経営管理権限を、市町村を介して意欲と能力のある林業経営体に集積、集約化するとともに、経済ベースに乗らない森林につきましては市町村が公的に管理するということが必要であると考えておりまして、これを実現するための新たな森林管理システムを創設する関連法案を今国会に提出すべく準備を進めているところでございます。

 また、今後、新たな森林管理システムを導入する地域におきましては、路網整備などの基盤整備、高性能林業機械の導入などの支援を重点的に行うこととしているほか、引き続き、緑の雇用事業等を通じた人材の育成、確保等に取り組むこととしてございます。

 さらに、供給面での体制整備と並行いたしまして、需要拡大を図っていくことが重要でございます。具体的には、公共建築物を始め、これまで余り木材が使われてこなかった中高層、中大規模、非住宅など、新たな分野における建築物の木造化、内装木質化、それから、木質バイオマスエネルギーの利用、高付加価値木材製品の輸出促進などの各般の施策を取り組むこととしてございます。

 このような取組により、林業成長産業化と森林資源の適切な管理を図り、次世代への豊かな森林を築いていく考えでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 林業の成長産業化は本当に必要でございます。先ほど法案の話がありましたので、法案の審議ということになろうかと思いますけれども、市町村もそういう体制がそもそもあるのかということもありますので、そうした体制も含めてよろしくお願い申し上げたい。また、有害鳥獣対策もあわせまして、中山間地、山村振興対策、山を再び宝の山にするように、林業の成長産業化をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、農業の発展のためには、何よりもやはり手取り、所得、収入がアップすることが大切だと考えております。農業総産出額及び生産農業所得の増加が何よりも大切でございます。この推移とこれからの取組についてお伺いいたします。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 まず、全国の農業総産出額でございますが、平成二十六年約八兆四千億、平成二十八年が約九兆二千億でございます。この二年間で八千四百億の増加であります。また、生産農業所得でありますが、平成二十六年二兆八千億円、平成二十八年が約三兆八千億でございまして、約九千二百億の増加でございます。

 そして、先生の御地元でございますが、兵庫県の農業産出額、平成二十六年が千四百九十一億、平成二十八年が一千六百九十億円でございまして、二年間で百九十九億の増加でございます。内訳で、主なものでございますが、鶏卵が六十九億円、肉用牛が五十八億円、米が五十一億円増加したことなどによるものであります。また、生産農業所得でございますが、兵庫県の生産農業所得、平成二十六年が五百十九億、平成二十八年が六百七十二億で、百五十三億の増加となっております。

 引き続き、担い手への農地の集積、集約化や需要に応じた生産など、農政改革を更に進め、農業者の所得向上を目指してまいります。

藤井分科員 ありがとうございます。

 国の数値とともに、兵庫県の数値も答弁していただきまして、野中政務官、ありがとうございます。

 兵庫県でございますけれども、農業総産出額百九十九億ふえている、生産農業所得百五十三億ふえているということでございます。

 やはり、何といいましても、農業で汗を流したら、その汗に応じて報われる、収入が、手取りがアップする、これが何よりも大切だと思っております。農林業、農林水産業の発達のためには、やはり働く方がその収入をアップさせることが何よりも大切でございますので、どうか生産性向上、収入アップのためによろしくお願い申し上げます。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵分科員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日は、齋藤大臣、農林水産省、また林野庁、そして、先ほども御質問ございましたが、森林環境税につきまして質問をさせていただきますので、総務省の皆様にもお越しいただいております。どうぞ最後までよろしくお願いいたします。

 早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 森林は、地球温暖化防止機能、土砂災害防止機能、水源涵養機能などの公益性があり、国民一人一人に恩恵をもたらしています。我が国の森林面積は国土面積の約三分の二に当たり、約二千五百万ヘクタールございます。森林整備の課題として、山村地域では人口減少が進み、林業従事者が不足しております。山林を相続しても登記しないことから、所有者不明の山林も多くなっております。結果として、放置される私有林が多くなり、土砂災害などの新たなリスクを生み出す原因ともなってきております。

 そこで、ここで森林環境税の導入までの経緯について改めて確認をさせていただきたいと思います。

 森林吸収源対策のための税制につきましては、平成二十四年八月に成立した税制改革法第七条におきまして、消費税の引上げを踏まえた森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源確保について検討することが規定されております。

 二〇一五年に、我が国の温室効果ガス排出量を二〇三〇年度に二〇一三年度比マイナス二六%の水準とする約束草案をCOP事務局に提出いたしました。二〇一五年は、COP21のパリ協定の採択など、環境問題に対する国民の機運が高まる年となっており、これを受けて、平成二十八年度与党税制改正大綱におきまして、市町村による継続かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制、森林環境税(仮称)等の新たな仕組みを検討するということが明記されました。

 そして、翌年の平成二十九年度与党税制改正大綱におきまして、公益的機能を求めながらも、自然的、社会的条件が不利であることにより所有者等による自発的な間伐等が見込めない森林の整備に対して市町村の役割を明確にし、地方公共団体の意見も踏まえながら、必要な森林関連法令の見直しを行うことが決定されました。そこで、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源を、需要量や国民負担を考慮して、年額千円とされております。

 一方で、現行の、東日本大震災を教訓として各地方公共団体が行う防災施策に係る財源確保のために行われています個人住民税均等割が年額千円であり、平成三十五年までと時限があることから、新たに創設される森林環境税は、国民負担を考慮して、翌年度の平成三十六年から徴収される予定になっております。

 総務省地方財政審議会の森林吸収源対策税制に関する検討会の報告書におきまして、森林環境税の必要性は認められるものの、その前提として、国民の理解が十分に得られることが必要不可欠であると指摘されていることから、政府におかれましては、国民に丁寧に説明する必要があると思っております。

 森林環境税と個人住民税均等割との関係性について、改めて、わかりやすく、詳しく御説明をお願いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林環境税の創設に至るこれまでの経緯については、先生御紹介のとおりでございます。

 森林環境税は、パリ協定の枠組みのもとでの我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成三十一年度税制改正において創設するものでございます。

 森林環境税は、国民の皆様に対して広く定額の負担を求めるものでありますことから、その負担感に十分配慮する必要があり、平成三十一年十月に消費税率が八%から一〇%への引上げが予定されていること、それから、先ほど御指摘がありました、東日本大震災を教訓として全国の地方団体による防災施策の財源を確保するため、個人住民税均等割が平成三十五年度まで千円引き上げられること、そういったことを勘案しまして、課税は平成三十六年度から行うということとしております。

 なお、地方団体への譲与につきましては、農林水産省が今国会に提出予定の森林経営管理法案によって、市町村みずからが森林管理を行う新たな制度が創設され、これが平成三十一年四月に施行される予定である、こういったことを踏まえまして、譲与につきましては三十一年度から行うこととしているということでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 もう一つお願いがございまして、個人住民税均等割のところなんですけれども、現行の、東日本大震災を教訓として各地方公共団体が行う防災施策に係る財源確保のために行われているということで、こういったことになっておりますが、ここの部分で、東日本大震災のために使われるもの、そういうふうに思われている方もいらっしゃる関係で、その支援が打ち切られるのではないか、そういった誤解を持たれている方もいらっしゃるかと思いますので、その上で、今、関係性について改めてお伺いしましたが、そういったところも含めて御丁寧に説明をしていただいて、広く国民の皆様にも御理解いただけるようにお取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 平成三十年度与党税制改正大綱におきまして、森林環境譲与税は、先行して平成三十一年度から配分される予定となっております。森林環境税は、約六千二百万人の納税義務者から、市町村民税、都道府県民税、合わせて千円が、平成三十六年から市町村が徴収し、国の交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられます。そこから森林整備に必要な財源が各地方公共団体に配分される税となっております。森林環境税が徴収される平成三十五年までの五年間は、特別会計からの借入金を充当し、初年度は償還せず、翌三十七年度から徴収の一部を計画的に償還することとなっております。

 この仕組みを国民の皆様にわかりやすく説明する必要があるかと思っております。先ほども触れていただいておりましたが、改めて、この点につきまして御説明をお願いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税の課税が平成三十六年度から開始されるということでございますが、それまでの三十五年度までの間は税収が入らないということでございまして、その間の譲与財源は、後年度における森林環境税の税収を先行して充てる、こういう考えのもとで、暫定的に交付税及び譲与税配付金特別会計における借入れにより対応するということとしております。そして、この借入金につきましては、後年度の森林環境税の税収の一部をもって確実に償還をすることとしているところでございます。

 なお、各年度の譲与額につきましては、森林整備に係る市町村の体制整備の進捗等に伴い、徐々に譲与額が増加をするように設計をすることといたしているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 この森林環境税の税収は、森林吸収源対策税制に関する検討会によりますと、徴収率等を勘案せず機械的に計算すれば、およそ六百二十億円と見積もられております。平成三十一年度に国から市町村に配分される森林環境譲与税の使途について、改めてお伺いしたいと思います。

 あわせまして、平成三十年度の与党税制改正大綱では、平成三十一年度に国から市町村に配分される森林環境譲与税につきまして、市町村は、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発活動等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないこととございます。森林環境譲与税の使途にも含まれているかと思いますが、森林整備の課題といたしまして、冒頭も申し上げましたが、さまざま課題もございます。

 また、山村地域では人口減少が進み、林業従事者の不足が挙げられております。また、山林を相続しても登記しないことから、所有者不明の山林も多くなっております。結果として、放置される私有林が多くなり、土砂災害などの新たなリスクを生み出す原因にもなっております。

 市町村の森林・林業の担当職員は、総務省の調査によりますと全国で三千人程度ということでございました。全市町村のうち四〇%に当たる六百九十四市町村で林務を担当する職員がいらっしゃらないということになります。また、一人というのが二四%に当たる四百十一市町村あるということでございました。

 このように現状が大変厳しい中で、林野庁として今後具体的にどのような支援を考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

沖政府参考人 森林環境譲与税の使途についてでございます。

 三十年度の税制改正大綱におきまして、市町村は、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発などの森林整備及びその促進に関する費用に、都道府県は、市町村による森林整備に対する支援などに関する費用に充てることとされております。

 市町村の実行体制につきましては、先ほど先生から御紹介があったような点がございます。市町村職員の能力向上に向けた研修の実施や、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用するなどの取組を推進するとともに、森林環境譲与税の使途に、市町村の人材育成に関する費用や、都道府県による市町村の体制整備などの支援に関する費用が位置づけられており、必要な体制整備が図られるものと考えております。

 次に、担い手の確保でございます。

 人材育成や担い手の確保という森林環境譲与税の使途の範囲内で、地域の実情に応じました取組が行われるものと期待しているとともに、国としても、緑の雇用事業による、若者を中心とする林業就業者の確保、育成に向けた対策などを推進しているところでございます。

 これらの国の施策と森林環境税が相まって、地域の実情に応じた森林整備が最大限進むよう、取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今、御説明の中で、木材利用の促進というところがございました。ここにつきまして、少し御提案というか要望もさせていただきたいと思います。

 三十年度の予算案におきまして、環境省、経済産業省、国土交通省連携で、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等による住宅における低炭素化促進事業がございます。これはもう御存じかと思いますが、まず一点目、高断熱化に取り組み、二点目、空調、換気、照明、給湯等の設備の効率化、そして三点目に、太陽光発電等によりエネルギーを創出する、このような条件を満たす住宅をZEHと申し上げますが、このような住宅を新築、改築する際に、低炭素化に資する素材、CLT等を活用すると補助金額が追加されることとなっております。

 今後、政府としましても、このZEHを標準住宅にすることを目標としております。CLT等の活用が期待されるかと思いますけれども、農水省としまして、今後、環境省、国交省、そして住宅メーカーともしっかりと連携をとっていただきまして、このCLT等の利用促進にもぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。

 もし、この点につきまして何か取組等、また御意見がありましたら、お伺いをしたいと思います。

沖政府参考人 ありがとうございます。

 木材利用に関しましては、先生今おっしゃられましたように、CLTというのが新たな部材として着目されております。

 林野庁としても、原材料の供給からCLTの利用にかけて、全体を通じてしっかり普及させていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 しっかりと私も応援させていただきたいと思いますので、この取組をよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 森林環境税は、市町村が実施する治山、流木対策、松枯れ、ナラ枯れ、都市緑化、河川整備、担い手育成支援、木材利用促進、森林環境教育、普及啓発、鳥獣被害対策等の森林整備等に必要な財源に充てられるものですが、森林環境税の税収は、譲与税として、全て地方自治体に配分される性質となっております。与党税制大綱では、森林環境譲与税の譲与基準につきまして、その十分の九は市町村に対して配分され、残り十分の一は都道府県に配分されるとあります。

 その上で、各市町村に対する森林環境譲与税の割合、比率と、基準がどのようになっているのか、御説明をお願いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、市町村に係る森林環境譲与税の使途でございますけれども、間伐等の森林整備、それから人材育成、担い手の確保、また木材利用の促進や普及啓発等としているところでございます。

 譲与基準につきましては、こういった使途とそれぞれ相関の高い指標として、私有林人工林面積、林業就業者数、人口、この三つを用いることといたしております。

 その割合につきましては、森林整備等が使途の中心であることを踏まえるとともに、木材利用を促進することが間伐材の需要の増加に寄与することや、納税者の皆様方の理解が必要であること等を勘案し、それぞれ五割、二割、三割に設定をしているところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今、具体的に、私有林の割合が十分の五、林業就業者数を見て十分の二、人口を基準として十分の三、そういった御答弁をいただきましたが、まず、そもそもこの割合に至った経緯をもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどもお話を申し上げましたが、森林環境譲与税の使途については、間伐等の森林整備が中心となろうかと思います。それと関連をします人材育成、担い手の確保、こういったあたりの使途が中心であることを踏まえまして、この二つで七割程度。そして、木材利用の促進や普及啓発で三割程度。大まかに言えばそういった割合で、都市の住民の皆様方の理解ということも考えながら設定をさせていただいたところでございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 都市部と地方との違いということもあるかと思いますが、そのような基準を設けられているということで、この点も、繰り返しになりますが、丁寧に御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 現在、森林環境、水源環境の保全を目的とした、課税自主権を活用しまして、地方公共団体が地方税法により独自の条例で定めた税率より高い課税である、いわゆる超過課税を行っている地方自治体が、都道府県では三十七団体、市町村では一団体ございます。平成二十七年度決算では、税収が三百十九億円になると伺っております。

 目的が森林環境、水源環境の保全となっていることから、森林環境税との類似性がありますので、森林環境税の徴収に当たりまして、治山、流木対策、木材利用促進、こういったものとの関係性の整理、説明が必要になってくると思います。

 例えば、取組内容が重なっておりますので、地方自治体が行う超過課税は各自治体の条例によりまして期限を定めることができますので、森林環境税の導入時期と調整を行うことで、地域の皆様の、市民の皆様の負担を緩和する取組もできるかと思います。

 森林環境税と地方自治体の超過課税との関係性につきまして、説明をお願いしたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林整備等を目的とした地方団体の超過課税の状況につきましては、先生御指摘のとおりでございます。

 一方、今回の国の森林環境税は、農林水産省が今国会に提出予定の森林経営管理法案を踏まえ、主に市町村が行う森林の公的な管理を始めとする森林整備等の財源として創設するものでございます。

 府県等が行っておられます超過課税はその税額や使途もさまざまでございまして、両者の使途が重複するということもあり得るところでございますが、国の森林環境税の課税は平成三十六年度からということでございますので、相応の時間がございます。それまでの間に、各地方団体における超過課税の期限や見直し時期、こういったものがやってまいりますので、各府県におかれましては、必要に応じて超過課税の取扱いを御検討いただけるのではないかと思っておりますし、私ども総務省といたしましても、国の森林環境税との関係の整理が円滑に進むように、林野庁とも連携をしながら、必要に応じて相談に乗ってまいりたい、このように考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今、御丁寧に御説明いただきましたが、今御答弁いただいたように、各地方公共団体の皆様にも相談に乗っていただいて、御丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 農水省におけます気候変動適応の推進につきましてお伺いをしていきたいと思います。

 これまで、環境省を中心に、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出抑制等、緩和策に取り組んでまいりましたが、今後、既に起こりつつある、あるいは起こり得る気候変動の影響に対処し、被害を回避、軽減する適応策も講じていかなければなりません。

 気候変動の影響は、ことしの大雪もそうですし、また、平均気温の上昇、集中豪雨等、さまざまな形で起き始めております。その中で、影響を受けやすいのが農作物等であり、また、例えば大雨等の影響によって土砂災害が起こることもございますが、これらの被害を回避、軽減する取組、適応策の推進を農水省としましてもしっかりと取り組む必要があると思っております。

 今週、気候変動適応法案が閣議決定されました。これは、気候変動適応の法的位置づけを明確にし、気候変動の影響そして適応に関する情報基盤の整備や、農業、防災等の各分野で適応策を充実強化していくものでございます。

 農水省におきましても、その果たす役割は大変に大きいものがあると思っております。先ほども、森林環境税を通しまして、林業への支援等、取組を伺ってまいりましたが、森林は、二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を防ぐ機能もございます。また、気温の上昇によって農作物、水産物への影響も大きく、これも農林水産省が取り組む重要な課題となっております。

 そこで、この気候変動適応法案のもと、農水省の取組につきましてお伺いをしたいと思います。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、農林水産業におきましても、農林水産業の特性といたしまして、気候変動の影響を受けやすい分野でございますので、既に我が国におきましても、高温によります米や果実の品質低下、あるいは豪雨による農業被害や山地災害など、その影響が顕在化しているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、森林や農地土壌によります二酸化炭素の吸収源対策など、地球温暖化を防止するための緩和策、そして、地球温暖化がもたらす現在及び将来の気候変動の影響に対処するための適応策を一体的に推進することといたしてございます。

 この中で、特に適応策につきましては、平成二十七年八月に策定いたしました農林水産省気候変動適応計画に基づきまして、例えば、高温によります品質低下が起きにくい品種あるいは栽培技術の開発、それから、農地の湛水被害を防止するためのハザードマップの作成、排水機場、排水路等の整備、山地災害を防止するための治山施設や森林の整備、また、温暖化がもたらす機会を利用いたしましたマンゴー等の亜熱帯・熱帯性の果実の導入、さらには、将来の気候変動が農林水産業に与える影響を評価いたしまして、その適応技術を開発してまいるといった取組を進めておるところでございます。

 今後とも、農林水産分野における気候変動に対する適応策がより一層推進されますよう、環境省を始めといたしまして、関係府省と連携して対応してまいりたいと考えてございます。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 今、気候変動適応法案をもとに農水省の取組を具体的にお伺いをいたしました。

 今、いろいろ具体的な取組を伺う中で、私たちの生活に密着する重要な課題を農水省の皆様にも担っていただいているわけですけれども、こういった気候変動適応法案が閣議決定されまして、今後、審議をされて、運用されていくわけですが、やはり、具体的に、国民の皆様の命、そして財産、生活を守る、また、このすばらしい日本の自然環境を将来に引き継いでいく、そういった意味で、繰り返しになりますが、農水省の果たす役割が大変に重要になってくるかと思っております。

 そういう観点からも、今具体的な取組をお伺いしましたが、ぜひとも大臣を中心に、大臣の強いリーダーシップのもと取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

齋藤国務大臣 地球温暖化は本当に全人類共通の重要な課題になっているわけでありますが、残念ながら、人類が排出するCO2等は自然界が吸収できるCO2等の量を依然として上回っているということでありますので、まずは、地球温暖化を防止するための緩和策に全力を挙げていかなくてはいけないということは当然のことなんですが、一方で、今御説明をさせていただきましたように、実際に気候変動で影響が出てきているという現実があるものですから、こちらに対しても適切に対応していくということが大事だということになっているわけでありまして、そういう背景の中で、気候変動適応法案というのが今通常国会に提出されたところであります。

 今も御説明させていただきましたが、農林水産業は、気候変動の影響を受けやすい産業、自然環境に由来する産業でありますので、農林水産省としても、環境省を始め関係府省庁と連携をいたしながら、農林水産物の高温耐性品種の開発等による適応策につきましても鋭意努力をしていきたいと考えております。

鰐淵分科員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、国民の皆様の生命、財産、生活を守るという上でも大変に重要な役割を担っていかれる農水省の皆様でございます。大臣から力強い御決意をいただきましたが、更に具体的に取組を進めていただきたいことをお願い申し上げたいと思います。

 また、最後に、これも繰り返しになりますが、ぜひ総務省の皆様におかれましても、この森林環境税、国民の皆様も、また地方公共団体の皆様も大変に関心も持たれておりますので、しっかりと御丁寧に説明を繰り返し行っていただきたいということを再度要望申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 大変にありがとうございました。

田中主査 これにて鰐淵洋子君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 希望の党の小熊慎司です。

 この分科会ではありませんが、本日のほかの分科会で、与党議員が野党議員の質疑に対して誹謗中傷クラスと言ったことは、これはとんでもない発言でありまして、私も予算委員の一人として、こうした発言があった、不適切な発言があればこれは理事会で議事録削除とかあるわけですから、これがそういった表現でされたということは非常に遺憾の意を表したいというふうに思っておるところであります。

 そうしたことをまず冒頭申し上げさせていただいて、質疑に入らさせていただきます。

 まず、攻めの農業ですけれども、この間も質疑があったでしょうし、大臣も早速適切な発言をしていただいて感謝を申し上げる次第でありますけれども、いわゆるWTOの小委員会での、実質日本側が勝訴したわけでありますけれども、残念ながら韓国は上訴するようでもありますし、これは多分、私の勘違いしていないところであれば、上訴すれば、恐らくことしの夏ぐらいまでまた判断がかかってしまうというところがあるというふうに思います。

 大臣もマスコミ等で既にコメントはされておりますが、改めて、この勝訴の件というところの韓国の上訴の件について、この件についての御見解があればお願いをいたします。

齋藤国務大臣 まず、二十二日に、ジュネーブ時間ですが、韓国による日本産水産物等の輸入規制に係るWTO紛争解決手続について、平成二十七年九月にパネルが設置をされましたけれども、以降約二年半にわたる検討を経て、本件に関するパネル報告書が公表をされたところです。

 この同報告書におきましては、韓国の措置がWTO協定に反すると認定をいたしておりまして、韓国に対して措置を協定に適用させるよう勧告がされているところであります。

 私どもといたしましては、日本の主張が反映されたものとして今回の報告書を評価をしているわけでありますけれども、WTO協定に反すると認定された措置については、韓国が誠実かつ速やかに是正することを求めたいと思っているわけでありますけれども、日本時間のけさでありますか、韓国が上訴するということを公表をしたというふうに私は聞いております。

 私どもといたしましては、もう二年半にもわたり科学的根拠に基づいて私どもが主張してきたこと、これを重く受けとめていただきたいなというふうに思ってはいますけれども、WTOのルールには上訴する権利もあるわけでありますので、このルールそのものについてはコメントすることはできませんが、この二年半にもわたって行われてきたことの重さをよく韓国政府には受けとめていただいて、前進が図れるようお願い申し上げたいというのが私どもの立場でございます。

小熊分科員 韓国だけじゃなくて、ほかの国々もまだ輸入規制は続いていますが、この韓国政府のコメントが、これはある意味、個人の買い控え、福島県産品またその被災地に近いところの風評被害をあらわしている言葉なんですけれども、韓国政府は上訴する、手続上ありますから、その手続にのっとってやることは、そのものを非難するわけにはいかないわけですけれども、その韓国政府のコメントが、ある意味風評被害になるというふうに私は思うんですね。

 韓国政府は、この上訴に当たって、国民の健康を守るためと言っているんですよね。いや、科学的根拠で大丈夫だというものしか流通していないんですよ、福島県においてだって。ある意味では、農水産物も、これは全国の中で福島県が一番しっかり検査をしているということであれば、一番安全だと言ってもおかしくないものなんです。しかし、それを科学的根拠でもなく、韓国政府の発言は、国民の健康を守るためと。では、我々が調べていることは何の意味もないというようなことにもなりかねないんですね。

 上訴はこれは手続上韓国の判断ですけれども、そのコメントに関しては、これも遺憾だということを日本政府として発信してもらわないと、国際的な風評被害はいつまでたってもなくならない。まして、日本は厳しい基準の中で出しているわけです、ほかの国よりも。それなのに健康と言われたら、科学的根拠を崩される話ですから、この発言に対してはちょっと抗議をしてほしいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

齋藤国務大臣 韓国政府の公表というのは朝八時ぐらいですか、されまして、私は九時以降ずっとここに張りついているものですから、まだコメントを詳細把握していないわけでありますが、一方で、このパネルの報告書におきましては、この韓国の措置がWTO協定に反しているということを明確に述べているわけでありますから、むしろ私どもは、それを根拠に、ほかの国に対しては、むしろ我々の主張は認められているんだという主張も展開することは可能だろうと思っております。

 韓国についてどういうコメントをするかにつきましては、ちょっとまだ私手元に、きょう一日張りついていて拝見をしていませんので、よく見させていただいてから考慮していきたいと思っています。

小熊分科員 これと同じことが、これは台湾も規制しています。昨年、多くの議員と一緒に行ってきました。結局、これは政治問題です。

 蔡英文総統は、年がかわりましたから、一昨年の暮れには実は緩和をしようとする政治判断をしようとしていたところに、最後やはり決断できなかったのは、野党の国民党が騒いでいた。我々、国民党本部も行きました、同僚議員と一緒に。食の安全みたいなポスターが張ってあって、まさにこの問題を政治問題化して、国民の命を守れというようなことをやっているわけですよ、科学的根拠もなく。

 これを考えると、やはりなかなか正論だけではやっていけない部分がありまして、これはある意味政府においても、これはまたいろいろなかかわりある業界団体、またその規制されている県においても、それぞれ皆さんが努力している中で規制が外れていっている、科学的根拠に基づいて手続をとってもらっているという国がふえてはいるのは事実ですが、一番近隣の国が、一番交流の多い国がこうした状況になっているということは非常にゆゆしき問題であるんですが、一朝一夕に片づいてこなかったのも事実です。

 もう数年前から日本は攻めの農業ということをやっているんですけれども、何年か前の分科会で、当時の林農水大臣とも議論しました。攻めの農業といっても、これは別に否定しません。それはそうですよ、国内での消費が減っていきます、人口のパイが減るわけですから。海外の販路ももっともっと拡大していかなきゃいけないという中で、逆にこの輸入規制をかけられているエリアは、ある意味ハンデ戦なんですよ。攻めていこうぜといっても攻められないんですよ。数年前にやっている、では、そのハンデを補完する制度ってあるのと言ったら、ないと言われて、全部横並びでやると言われたんですね。これはどうかなと思いますけれども。

 大臣だって、攻めの農業でやりましょうといったって、では、この国にやりましょう、中国にやりましょう、韓国にやりましょうといったって、そこに参加できないんですよ、我々。これはどう思います、大臣。

 今すぐどうするとか思いつかないけれども、これは不条理じゃないですか。全国で攻めの農業をやりましょうといったって、これは規制を受けているんですよ。福島県だけじゃないですよ。台湾においては北関東とか関東エリアですから。この現状についてはどう認識されますか。

齋藤国務大臣 小熊委員らしい、時宜にかなった御質問をいただいていると思います。

 まず、政治問題になっているからこそ、科学的根拠に基づいて、冷静に両当事者が判断をしていくということが大事でありますので、科学的根拠、科学的根拠と申し上げていますし、それでも解決ができないときには、第三者機関であるWTO、国際機関で決着を図っていこうという、それ以外に政治問題化している問題を鎮静化しながら解決していく方法はないなというふうに思って取り組んでいるところであります。

 したがって、徐々に鎮静化をしてきて、規制が撤廃あるいは緩和されてきているケースがふえてきているのは、委員御案内のとおりだと思います。

 しかしながら、一方で、輸出を促進する上で当然障害になっているのも事実でありますし、私は千葉県なので、実は規制を受けている県で、いつも地元ではいろいろな御指摘をいただいているところでありますけれども、とにかく冷静に、科学的根拠ということで、お互いが納得いくように、国際交渉の中で一歩ずつ前進をさせていくしかちょっと道はないと思っていますので、努力は我々は今までもやってきたつもりでありますし、これからもこれまで以上に努力をしていきたいと思っているところであります。

小熊分科員 でも、その攻めの農業をどうやったらいいんですかね、規制をかけられているところ。だって、参加できないんですもの。

 では、それをもう一回答えていただきたいのと、あと、これは常々枕言葉に言っているみたいで、でも、実は届いていないんですね、福島県のみんなには。というのは、実態がないから。

 というのは、安倍政権は、全ての閣僚が復興大臣という思いでやると。これは心構えはいいですよ。では、実態はどうなんだ。昨年、残念ながら途中で今村さんがやめたときに、私、外務委員会に所属していますから、では、外務大臣はどうなのと。いや、もうそういう意識でやっていますと。では、飯倉公館でのレセプションで、震災直後はよく被災地のものを使ってもらっていたけれども使っているのと言ったら、昨年の段階で一年間使っていなかったというんですよ。

 言葉だけじゃ、これは嫌みっぽく言うと、だから福島県ではあのモリカケの前から安倍さんの支持率は低いわけです。不支持率の方が高いというのはそういうところですよ。言うことは格好いいけれども、やっていないじゃない、こういう不満なんです。

 その後、外務大臣もかわられて、昨年の特別国会で、どうですか、いや、もう意識して使っていますよと。どこを使っている、いや、福島のも使っていますと。

 だからだめだと言っているんですよ。規制がかけられている。今言ったように、大臣のところだって規制をかけられているわけです。だったら、千葉県のものだって、意識してそういう規制をかけている国のレセプションのときなんかに出して、これは大丈夫なんだ、何でおたくはこれを禁止しているんだとやらなきゃいけないじゃないですか。全然、言葉だけで戦略的じゃないんですよ。

 僕は別に外務省は嫌いな役所じゃないんだけれども、こういうところがあるから、これはやはり、大臣、ちゃんと安倍政権が、みんなが復興大臣のつもりだったら、パーティーをやるんだったら、これはどうなっているの、出してくれよと。では、G20も今度大阪で決まった、それをやるときに、中国の人も来るから規制をかけられているこれを出してくれよと。

 これは単純に、規制となると、では、福島県のものを使おうか、宮城県のものを使おうか、短絡的なんですね、肝心の外務省が。実はその程度なんです、霞が関だって。だから強く意識してやらないとだめなんですよ。

 これは大臣も知らなかったでしょう。やりますと言って、結局、千葉のものは意識しなかったんですよ、外務省も。いや、本当に噴飯物なんですよ。

 だから、それじゃ、やっていますよと言ったって、なかなか理解を求めるのに、だから科学的根拠を言うのは正論なんですけれども、もっと違う意味でこうなっちゃっている部分もありますから、これは高度な折衝をしていかなきゃいけないのに、何でこんななのというのがあるんですよ。

 そういう意味でも、逆に規制をかけたら話が進みませんし、攻めの農業はではどうやるのといったときに、我々はどうするのという話なんですよ、売り先が少ない中で。では、規制をかけられているところは、規制をかけていないところ、ほかの県よりも少しげたを履かせようかというのがあってしかるべきじゃないかというのが私の主張なんですよ。

 その件について、御見解をお願いします。

齋藤国務大臣 外務省の今指摘された話については、私、詳細を知らないのでコメントできませんけれども。

 少なくとも、外国の要人がたくさん来られます、そのときには必ず、その規制されているところには私は厳しく言っています。それは、香港に行ったときも、向こうの行政長官というトップの人に相当厳しく主張をしてまいりました。

 また、福島県がGAPを取ることによってその風評を少しでも和らげようということで、GAPを日本一にする宣言をするということで、私も副大臣でしたけれども、乗り込んでいって、知事と一緒にやろうやろうとやってきました。

 ですから、私どもとしては、あらゆる機会を通じて、総理から言われたということもありますけれども、それ以前の問題として、これだけ大きな災害を受けた方のために汗をかこうという気持ちは十二分に持っているわけであります。

 そして、一定の前進はあると思いますけれども、まだ足りないという御指摘については、私どもも足りないと思っていますのでこれから努力をしていきたいと思っていますし、また、輸出につきましては、その制約を、規制を受けている国だけではなくて、いろいろな可能性がありまして、実際にかなりふえてきているのも事実でありますので、地道な取組かもしれませんけれども、一つ一つ規制を上げていく、そのバーを上げていくという努力を地道に積み重ねていきたいなというように思っています。

小熊分科員 ちょっと質問の趣旨が伝わっていない。

 だから、攻めるエリアが少ないので、規制をかけられている県は、逆に攻めの農業ということでは特段の配慮が必要じゃないかと思うんですけれども、もう一度お願いします。

齋藤国務大臣 今、輸出におきまして、その戦略的なものを設定をして進めていくということになっているわけでありますので、被災地につきまして、これはいけるというものであれば、当然のことながらほかの地域以上の努力をもちろんしていきたいというふうに思っているところでありますし、ある意味、私も、本当にほとんど、一週間に何人も来られますけれども、交渉するときに必ず被災地のことを持ち出して交渉をしているわけであります、ほかの案件はいろいろありましても。

 だから、そういうことを通じて前進を図れるように、とにかく努力をしていきたいというふうに思っています。

小熊分科員 前向きな答弁をありがとうございます。

 だから、もう今既に解禁をしてもらっている国には、とりわけ規制をかけられている県は太く支援をしてほしいという趣旨でありますので、それを意識してぜひ、とりわけそういう、ほかの規制がかけられている、でもこっちは規制はかかっていない、その分野については、こっちに規制がかかっている県はしっかりとほかの県以上に支援していくということを意識してやっていただきたいという、それが結局またほかの国に波及していくと思いますので、よろしくお願いします。

 鳥獣被害対策、多分きょうもいっぱい出てきたと思いますが、私も地元の議員からいろいろ陳情を受けるに、少子高齢化、人口減少で人口密度は下がるけれども、熊密度が上がって大変なんだという話をするんですね。

 本当にこれは深刻な話で、これをほかの同僚議員にしてみると、大臣は真剣に聞いていただいた、やはりさすがだなと思いましたけれども、ほかの議員は笑うんですけれども、これは命にかかわる問題ですし、まさに営農意欲が失われて、もう本当に農業もやめるという深刻な話で、質問取りしたときも、林野庁の方は笑わなかったから、さすがだなと思いましたけれども。

 これは今、市町村対応になっているんですけれども、御承知のとおり、森林がいっぱいあるというのは、やはり、それなりの山があって、どっちかといえば人口が多くないところですよ。そこで市町村でやってくれといっても、今設置していますよ、いろいろな対策本部みたいなのを国の号令一下のもとに。まだ設置していない自治体もありますけれども。それでもなかなか、やはりしんどいし、動物というか鳥獣被害も、そんな、行政単位で動いているわけじゃなくて、こっちで一生懸命やったらこっちへ逃げちゃって、こっちが手薄だからこっちがふえちゃったとかってありますから、やはりこれは広域的な対応が必要だと思うんです。

 今までも鳥獣被害、やっていないとは言いません。今までの制度は、もう十分資料もいただいたし、わかっていますから、そうじゃなくて、広域的にやるべきだと思うんですよ。広域連携でやっていく。その上では、市町村任せにしない。やはり国が前面に立ってやる。こういうこともやはり必要だというふうに思うんですけれども、広域的な鳥獣被害の取組をどんどんどんどん促進していかなきゃいけないと思いますが、いいですよ、参考人でも。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣被害の関係につきまして御質問を頂戴いたしました。

 先生御案内のとおりでございますけれども、野生鳥獣による農作物被害、金銭的な被害はもちろんでございますけれども、営農意欲の減退ですとか、まさに耕作放棄地の要因にもなっておるわけでございまして、数字にあらわれる以上に深刻な影響を及ぼしているというふうに認識をしておるところでございます。

 私ども、鳥獣被害総合対策交付金というものを使いまして、基本的には、やはり現場に一番お詳しいという意味で、市町村の方々が中心になってやっていただくというのが効果的であるというふうに考えまして被害対策を講ずるところでございますけれども、先生今おっしゃいましたように、野生鳥獣の方は行政区域と関係ないところで生息をしておるわけでございますし、一方が強化すればもう一方に逃げていくといったようなこともございますので、やはり広域的に被害対策を実施するということは大変効果的であるというふうに認識しております。

 現在、市町村ごとに協議会を設置していただいてやるという形で、九百余りの協議会があるわけでございますけれども、その中で市町村をまたいで協議会を設定されておられる取組が六十七協議会ございます。更にもっと広域で、都道府県をまたいだ取組を実施されておる協議会が七つあるわけでございまして、こういった広域的な取組につきましては、私ども、交付金の採択に当たりまして優先採択をするですとか、あるいはソフト経費について定額支援の上限額をかさ上げするといったような取組で後押しをさせていただいておるところでございます。

小熊分科員 それで、取組はいいんだけれども、今度、人が集まらないんですよね。猟友会の人が頑張っているけれども、私の地元だって六十後半で俺が一番若いというような、そんな感じが、多分全国的にそうだと思います。

 あと、大臣御承知のとおり、これは多分、戊辰戦争の悲哀なんですけれども、西日本は国有林が少なくて、どんどんどんどん払い下げていってみんな金持ちになっていきましたから。同僚の山岡議員いますけれども、東北、北海道は、平均で四割国有林。

 国有林の近年の森林整備のための事業費を見たら、横ばいですよ。減っていないだけいいと林野庁の人は言っていましたけれども、いやいや、だって、その中で国だって、鳥獣被害対策を国でもやっている中で、ふえているのに横ばいという、その中でやりくりするわけでしょうけれども、とんでもない話で、大体、国有林の多い我々からすると、国が鳥獣を飼っているわけじゃないけれども、やはり森林をちゃんと整備しないから山が荒れていろいろな動物が人間世界まで来てしまう。

 まして近年は、びっくりするのは、私のところは雪国ですから、冬眠しないイノシシは出なかったはずのイノシシが出ちゃう。同じ福島県でも逆に雪が少ないところは、熊がいなくてイノシシばかりだったのが、最近熊も出る。こういう状況です。

 これで国は自分の国有林を管理しなきゃいけないのを、ちゃんと管理していない。それを飼っているわけじゃないけれども、ある意味、飼い犬がほかの家の人のところへ行って悪さして被害を及ぼしたら、それは飼い主の責任と同じように、国有林でのうのうとしている鳥獣被害のことを考えると、国は何をやっているんだということですよ。市町村だけじゃもう追いつかないですよ。

 とりわけ国有林面積が多い我々のところは国がもっとやってもらわなければ、市町村で、はい、広域でもこういう枠をつくっています、少しお金をやりますといったって、人がいない。金だけじゃない、人的にどうするかということも考えてもらわなきゃいけない。命にかかわる問題です。実際、私の地元では亡くなっています。

 これ、どうですか。人的な支援というのが必要ですよ。本当は、国でどんと何百人でも雇って東北から北海道の山々を歩いてもらいたいぐらいですよ、極端に言えば。そのぐらい深刻ですよ、今。人的な支援の検討、どうですか、大臣、してもらえませんか。

沖政府参考人 まず一つ、国有林のことについて述べさせていただきます。

 国有林は、確かに、おっしゃるように、予算が横ばいというようなそういう状態でございますけれども、最近は、市町村と連携いたしまして協議会をつくりまして、民有林、国有林一緒になって鳥獣被害対策に取り組んでいるところでございます。特に、東北、北海道では鳥獣被害が多うございますので、更にしっかりやらせていただきたいと思います。

 それから、人的支援の件でございますけれども、今回、森林環境税が、譲与税が入ってまいります。そのときに人材の育成といったものも入ってまいりますので、我々としては、この森林環境税の使途の目的は、森林整備及びその促進に要する費用とされております。そうした中にあって、幅広く使えるよう、市町村も考えて取り扱っていただけると思っておりますので、一緒に対応させていただきたいと思っております。

小熊分科員 時間もないので、先に森林環境税を聞こうと思ったら先に答えていただいて、ありがとうございます。

 まさに森林環境税も鳥獣被害に使っていくんですけれども、今言ったとおり人材育成にも使うというんですが、今、地元の市町村長ともしゃべりました。御承知のとおり、福島県にも森林環境税は入っています。先ほどの質疑の中でも、既に導入している自治体と国との整合性はしっかりとっていくということがありましたので、そこは推移を見守りたいというふうに思います。

 結局、森林環境税が国税に入ったときにどうやって市町村に戻していくかというのは、非国有林の割合と人口です。国有林の割合は少し計算式に入れているのも、計算式いただきましたけれども、でも、それは大した、ぽちゃんとしかいわないぐらいの話ですから、基本的にはやはり非国有林の多いところに行く計算になっています。具体的にこれから金額は算定するということでありましたので、今手元には資料をもらっていないわけですけれども、そういうことです。

 人的支援という、私、人的支援もするんですってと地元の市町村長に言ってみたら、いや、市町村でそれを受けても人は集まらないと言うんですよ。林野庁ともしゃべって、では人的支援といって、これは別に鳥獣被害だけじゃなくて、山で仕事をやってもらえる人を育てていくということですけれども、では、それはサラリーマンの平均給与ぐらい出るのかという話で、別に天井を設けているわけじゃないから何ぼでもやれるけれども、では七百万とかなんて設定できないというのが現状だというのも林野庁の認識ですと。

 市町村に森林環境税が来て、交付されて、では人を雇っていいですよといったって、年収二、三百万であれば結局人は集まらない。それも事実です。やはり、単純に人材育成の予算つけましたといったって、それは無責任です。どうやったら確保できるか、本当に確保できるか。ずっと山を整備する、また、鳥獣被害に対応していける人間を育てられるか。やはり収入の金額もありますよ。そこを踏まえてこの森林環境税を考えてもらわなきゃいけないんですよ。

 私も地元としゃべったら、もちろん交付金、森林環境税を戻しでもらえるのはありがたいけれども、一番欲しいのは人材ですと。人材育成費じゃないですよ、人材そのものですと言っていました。任されたって、人を集められない。

 今後、森林環境税、もっと深掘りしていくはずですから、今後の中で。これはお金の話じゃないということを、大臣、しっかり認識していただいて、いかに人的なですよ、人材育成の金を渡すんじゃないんですよ、だったら七百万ぐらい想定して出してくれたらいいですよ。そうでなければ、人材そのものをどうやって山に張りつかせるのか、張りついていただくのか、これは真剣に考えないと、僕は森林環境税はいい税制だと思っていますよ、福島県が導入したときも、私は県会議員で、これは本当は国税でやって、しっかりやらなきゃいけない話だということを言っていたぐらいですから。今回、国が導入するに当たって、よかったなと思った。でも、使い方をちゃんとしなきゃいけない。では、どんなことをやるのといったら、結局これかよという感じなんですよ。

 もっと人材そのものの支援というのをちょっと検討していただけないですかね、大臣。

齋藤国務大臣 森林環境税がこのたび導入をされるという、これから、最終的には我々が出す法案とセットで議論していくことになると思うんですけれども、その使途につきましては、本当に意味のある形で使われていかなければ、何のために導入するかわからない。

 それで、今お話ありましたように、もし人をどんどん張りつけていくんだということになれば、税率は恐らく十倍ぐらいに指定しないとだめだと。限られた国民の皆さんが理解していただける、そういう税率でもって、そして仕事を効率的にやっていくというためには、やはり私は、人も大事だし、ほかにもいろいろな大事なことはあると思うんですけれども、走りながら、どうしたら一番効率的に成果が上がるかということを柔軟に考えていくということも大事だと思っておりますので、まずはスタートさせていただく中で、本当に意味のあるお金の使い方というのは絶えず見直していきたいなというように思っております。

小熊分科員 それで、実は森林の、福島県が導入するときも、何で福島県が森林環境税をやらなきゃいけないんだと。この恩恵、水だって電気だって全部都会に送っているのに、何で福島県がそれを面倒見るのといったときに、そのときの知事は、山の近くに住んでいるから山の恩恵を受けているという答弁だったんですけれども、ぜひ森林環境税をやる上で、納税者の、今は違う佐川さんの問題で税金を納めたくないという人がふえていますけれども、森林環境税、新税ですから、新たに取るということですから、徴税感が負担にならないという意味では、納めてよかったという意味では、やはり、いかに都会の人が地方の山や木があることによって恩恵を受けているんだという啓蒙もしっかりしてもらわなきゃいけない。

 僕は、本当は十倍取らなきゃいけないんです。十倍じゃなくても、二、三倍ぐらい取ってやってもらってもいいなというぐらい思っていますよ。そのぐらいにならないと追っつかない。結局、山が荒れたら都会もだめになりますから。そうですよ。この間予算委員会で言ったとおり、この電気は私の地元の会津でつくっているんですよ。山が荒れてダムが埋まっちゃったら、電気はとまっちゃうんだから。こういう山と都会との、どうつながって、生かされているという啓蒙もしっかりやっていただきたいというふうに思っています。

 そういう意味で、しっかりと今後も議論していきたいと思いますので、きょうはこの辺にとどめたいと思います。ありがとうございました。

田中主査 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

 次に、山岡達丸君。

山岡分科員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸と申します。

 質問が始まる前に、先ほど小熊委員がおっしゃっていましたけれども、鳥獣害の被害は北海道でも大変深刻でございまして、非常に的確な指摘だったと思っておりますので、これもまた大臣のもとでさまざまお取組をいただきたいという思いで質問に入らせていただきたいと思います。

 私は、北海道第九区といいまして、北海道全体がある中の一番南側の太平洋沿いのエリアで活動をさせていただいている身であります。きょうは、私たちの地域を含めて、全国で今大変な被害としていろいろ報道もされておりますけれども、大雪、豪雪の被害、そのことに絞って、少しこの委員会の時間を利用させていただいて御質問をさせていただきたいと思いますし、また、これは地元の皆様の思いとしても、農水省の皆様に大臣のもと必要な対策を打ってほしい、そうした強い思いを持って質問をさせていただきたいと思います。

 一月から本当に雪が各所で降ったりしているわけでありますけれども、この二月四日から六日にかけても大変大きな大豪雪がありました。この中にあって、福井県というのがかなり報道でも出ているところでありますけれども、福井を始め北海道を含めて、全国で本当にさまざまな被害が出ているわけであります。

 まずもって、この災害をもってお亡くなりになってしまった方、本当にそうした方には心から御冥福をお祈りしたいと思います。そしてまた、さまざまな被害に遭われた皆様には、本当に心よりお見舞いを申し上げさせていただくところでございます。

 被害は、道路とかあるいは住民生活、さまざま多岐にわたっているところでありますけれども、私は、特に今回、農林水産部門での御質問の機会もいただきましたし、とりわけ大きな被害が出ております農業の部分、そしてまた農業用ハウスの大きな被害について、現状もお伝えさせていただきたいと思いますし、さまざまな対策についても、この場をもちまして質疑と、そしてまた回答を求めさせていただきたい、その思いであります。

 質問に入ります前に、これは農水省の皆様にお伺いしたいと思います。

 私はこの後、北海道のことをベースにいろいろお話しさせていただくわけでありますけれども、この大雪の被害につきまして、今、農水省としてどういった実態を把握されておられるか、そのことについて、まずお伺いさせてください。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 二月四日からの大雪によりまして、北海道や北陸地方などを中心にしまして、現時点において、約二千七百棟の農業用ハウスに損壊等の被害が発生しているという報告を受けておりますが、調査中の自治体もありまして、今後、調査の進展に伴いまして、被害の発生件数がふえていくものというふうに考えております。

 農林水産省といたしましては、引き続き関係自治体と連携いたしまして、まずは被害状況を早期に把握してまいりたいというふうに考えております。

山岡分科員 今お話ありましたけれども、まずは実態の全容把握なんだというお話でございました。もちろん、福井県を始め、まだ被災現場まで行けないというような場所があるということは私も伺っているところであります。

 その一方で、一日でも早くやはり農業に復帰したいという思いの中で、そうした中で今途方に暮れている方もおられます。

 私は、今、この被害を受けまして、地元北海道の現場、直接歩かせていただきました。北海道においては、特に二月五日から六日、ここは本当に大きな雪が降りました。これは北海道庁の調べでありますけれども、被害棟数は今のところ五百六十二。今お話ありました二千七百棟でありますから、およそ二割は北海道の農業用ハウスの被害というのが現状であります。もちろん、福井とか石川とか各全国合わせれば先ほどの数字になっていくわけでありますけれども、非常に大きな被害が出たエリアだということも数字の上でもお示しできるかと思っております。

 この中で、北海道でいわゆる五百六十二棟なんですけれども、そのほとんどが、北海道の南側にあります太平洋沿いの日高というエリアに集中しております。

 それには理由があります。この後申し上げますけれども、ハウスの倒壊があったよということが北海道内も含めて世間に伝わったのは、五日、六日の後の七日のことでございました。地元紙に一面大きく出まして、二月七日というのは北方領土の返還要求全国大会の日でもございまして、非常に大きなテーマでありますので、私も東京におって、大会にも出席させていただいて、それはそれでまた別の機会に取り上げさせていただくんですけれども、そうした取組をしているさなかに、地元紙に大きく報道されたことを受けて情報を集めて、私も早速地元に帰りまして、国会開会中ですので週末しか入れませんから、九日と十六日、十九日と三回にわたって、日高地域というところの新ひだか町、静内というところと三石というところもありますし、そしてまた、新冠町という北海道の町に入って調査をさせていただいているところでありました。

 今回、直接ヒアリングをさせていただいて、そして農家さんにお話を伺って、お会いする方もどなたもおっしゃることは、この町に生きていて、七十代の方もです、こんなに連続でここまでの大雪が降ったことは一度も経験がないと。これは一人の方が言っているんじゃないんですね。農家さんもそうですけれども、例えば町長さんというのは、もちろんその町にずっと長くいらっしゃる。二つの町の町長さんもそうですし、組合長もそうです。JAに長くお勤めのベテランの職員さんもそうです。本当に聞く人聞く人、いや、こんなに降ったのは初めてだと。そして、雪も非常に、雨まじりといいますか、重い雪になってしまったということもあるんですけれども、そうした、非常に過去の中ではあり得ないと。

 それが証拠に、この二つの町は移住者も非常に募っているわけでありますけれども、私たちの町は雪が少ない町なんです、北海道にもいろいろな町があるけれども、ここの地域は太平洋沿いだから少ないんだということをパンフレットとかにも書いたりして、本当に地域全体でそういう認識の町でありました。

 今回、その地域に集中して被害が出てしまったのは、まさに、日ごろ全くというか、誰もが経験したことがないような大雪がこの地域で起きてしまったから、だからこういう災害が起きてしまったということが、まずもってこの地域の中で粘り強くお話を伺っていく中で、これはよく把握させていただいた事態でありました。

 北海道のイメージは、やはり雪が降るというイメージはあると思うんですけれども、そうじゃないということも御理解いただきながら、この静内という町は観測地点で四十三センチということでございましたけれども、私が現地に入って、まだ雪も残っておりましたけれども、山の方に行きましたら、観測地点で四十三センチですから、一メートル以上、一メートル近くですかね、本当に雪が連続して降ったということも残っておりました。

 ハウスとハウスの間、これもこの後お話ししますけれども、非常に狭いところにハウスを敷き詰めているものですから、重機も入らないんです。ですから、手作業で、三十人も四十人も集まってスコップで雪をかき出しているという、本当に町を挙げてこの状況を何とかしようという取組もされておられました。

 ですから、私が御理解いただきたいのは、こういう短期間でも降り続けたことは町の人にとって予見不可能である、本当に心からみんなそう思っているということを、まずそのことについても大臣にお伝えしたい、その思いであります。

 過去に例がないような甚大な気象状況である、気象災害であるというのが本当に町の認識であります。この思いをお伝えさせていただきますとともに、本当に御理解いただけると思うんですけれども、当たり前のことなんですけれども、雪が降るとわかっていたら、誰もが進んで被害に遭おうという方はいらっしゃらないわけでありますね。

 それが証拠に、北海道の中でも特に雪深かった地域、その隣に平取という町もあるんですけれども、こういうところは一切被害が出ていないんです。それは、雪が降るのはわかっていますから、ハウスとハウスの間も広く建てて、建物も丈夫なものを建てて、雪が降ったらすぐその間を除雪に入るんです。横を除雪すると、当然ハウスの上に載った雪は横に落ちるんですね。対応方法もわかっている。だから、降るとわかったら、町を挙げてそういう準備はあるからそういうことができる地域と、まさにそういう準備のない地域があるんだということをこの視察の中でお伝えをさせていただきたいと思います。

 私の話ばかり長くなって恐縮なんですけれども、もう少しお話ししますと、この日高という地域は馬産地として知られていまして、競走馬とかそういうのがかなり、全国でいえば八割ぐらいの、母親の馬ですね、そうした馬を持っている、そんなエリアでもあるんですけれども、近年、やはり競争が激しくなる。こうした中で、みんな、さまざまな戦略作物を求めて、地域の産地づくりに取り組んできたエリアでもありました。

 この地域は、特に野菜、ミニトマト、ピーマン、ホウレンソウとか、北海道ですから、雪が少ないエリアと申し上げましたけれども、夏も比較的涼しいわけであります。そうすると、野菜というのは、夏というのは、本州のほかの地域のいわゆる生産というのが非常に鈍るといいますか、供給力が落ちる中で、そこに目をつけまして、新たな自分たちの産地として、特に夏秋のいわゆる市場に品薄になるようなところを目がけて、この日高というところは努力してこれまで積み上げてきました。その積み上げてきた努力が、まさにこのハウスの中にあったミニトマトとかピーマン、ホウレンソウといった、そうした苗でもありましたし、このハウスの中で育てて夏秋に向けて準備していくという、まさにそのスタートの段階でこういうことが起きてしまったという状況であります。

 地域ブランドを地域みずから育ててきて、お話を伺っている中でやはり非常に心配されているのは、本当に努力して地域の作物としてつくってきたんだ、でも、この雪のために、もし、ことしの特に夏と秋、こういった時期に出荷できる量が減ってしまったら、市場は常に安定してもらえるところを探していきますから、私たちが常に出してきたものがほかのエリアにとられるかもしれない、もっと言えば、海外のそうした出荷する業者の人たちにもとられるかもしれない、自分たちが生き残ろうと思ってずっと地域として積み上げてきたものが、この雪の中で非常に先行きが心配だと。

 ですから、後ほどお話もしますけれども、被害に遭った方もいれば、もちろん準備ができて遭わなかった方もいらっしゃいましたし、共済の問題もありまして、共済に当たる方も当たらない方もいるんですけれども、ただ、そうした方関係なく、地域全体として、これまで出してきた出荷量をとにかく一日でも早く取り戻したい、市場の信頼を崩さないためにも、被害を受けていない私も、被害を受けているあの人のこともその人のことも、とにかく早く立ち直らせたいんだという思いを持っておられるのが、今お話を伺っている中でも非常に強く感じる部分でもございました。ですから、本当に地域にとって、こうした今の事態は、緊急に対応する必要がある事態になっている、そのことを強く感じるところであります。

 今、一通り本当に地域のことと産地のことをお話しさせていただいたんですけれども、ぜひお伺いしたいんです。いわゆる地元の人たち、こういう努力して産地ブランド化していくというこの努力、産地をしっかり守って育てていく、このことに対しての農水省としての認識もお伺いしたいと思います。地方創生を地でいっている、そうしたエリアであると思っています。

 その認識とあわせて、そのエリアが今大雪の中で大変な思いをしている、そのことについてぜひ御認識を伺えればと思います。お願いいたします。

野中大臣政務官 まず冒頭、二月五日、六日を中心とした豪雪によりまして被災されました方々にお見舞いを申し上げます。また、有事の際には足を運ばれ、声を聞き、寄り添うという先生の姿勢にも敬意を表するところであります。

 日高地方でありますが、先ほどの御説明でありました、日本一の馬産地だけではなくて、新しく農作物も、近年、ミニトマト、ピーマン、そしてイチゴなどにも力を入れている意欲ある産地だというふうに私どもも認識をしているところであります。

 また一方、御説明にありましたとおり、大雪によって農業用ハウスも損壊等の被害が生じているということも承知をしております。先ほど答弁をさせていただいたことと重複してしまいますが、現時点、まだ調査中の自治体が多いものですから、被害状況の全容を把握するに至っておりません。私どもとしても、被災された農業者の方々が、何より営農意欲を失わず、一日も早く経営再開ができることが重要であると考えておりまして、関係自治体と連携をして、早急に大雪による被害状況の把握に努めてまいりたいというふうに思っております。

山岡分科員 御答弁ありがとうございます。

 非常に意欲ある産地だという御評価をいただきましたことと、その意欲を失わないように、そうしたことが重要だというお話も伺いまして、非常に心強く思わせていただいたところであります。

 この産地にあわせて、私は本当に地域に伺って思いましたのは、若い就農者も非常にうまく工夫しながら町の中に入れてきた、そういう実態もありました。今もう名前が変わったんですけれども、農林水産省で青年就農給付金という制度もあって、若い人たちが入っていくに当たって、こういう制度をうまく利用しながら、私は本当に、東京ばかりが人がふえていく中で、農水省のこういう政策こそ本当の意味で地域をつくっていく、そんな政策だというふうに思っておりますが、こうした中で、この地域も、若い人たち、入っているんですけれども、今回、特にこうした若い人たちが大きな被害を受けました。

 それには理由があります。やはり若い人たちは、農業はとても大きな投資をしますから、一日でも早く返したい、お金を。返して、そして健全な経営をしていこうという気持ちを持って入ります。多額の借金をして、そしてまた、限られた面積に、最初も申し上げましたけれども、できるだけハウスを建てて、そして雪が少ないエリアと聞いていますから、ハウスの強度もそんなに高くない。強度が高くないということは、価格も安価なんですね。

 それを入れて、私がいろいろ伺ってきた中でも、幾つも伺ってきたんですけれども、例えば新ひだか、三十代、四十代の方それぞれ、ミニトマトのハウス、もう十七棟全て倒壊したとか、全て雪が真ん中に降って潰れたとか、あるいはホウレンソウのハウス二十六棟全て壊れた。そして、お隣の新冠という町でも、この方は四十一歳の方でしたけれども、二十四棟のピーマンハウス全部潰れて、一つ二百万から三百万と言われている中で、二十六棟あったら七千八百万とか、そうした被害になってしまった。雪への備えもなくて、そして、やはり早く返したいという気持ちがこういう状況を生んでいる。

 そして、先ほど、二千七百のような被害があって、北海道では五百というお話もありましたけれども、こういうふうにして、二十棟、十五棟とか、今回の特徴は、特定の人が大きな被害を受けて、そして、そうでもない人の数はそうでもない。もちろん被害を受けた人は皆平等ですから、それがだからという話ではないんですけれども、特徴ではそういうことが言えると思っております。

 とりわけやはり若い人たちがこういう状況になってしまって、中には一年目、一、二年の人もいます、あるいは四年目、五年目の人もいましたけれども、さあやろう、あるいは、去年一回とっただけでこれからもっと工夫してやろう、その中で全て失ってしまった。これが北海道日高の実態でありますし、これから全国で明らかになってくる状況も、私は似たようなケースが必ず出てくると思います。こうした状況が生まれているということもぜひ御理解いただきたいと思います。

 先ほど青年就農給付金の話もさせていただきましたけれども、これは若い人が入るに当たってはリスクがあるんだ、だからリスクを軽減してあげることがやはり制度として必要なんだということを、今事務次官をお務めされていますけれども、奥原さんが局長のころ、私はそういう高らかな理念と信念を聞いてすばらしい制度だなと思っておりましたけれども、当時私も議員をさせていただいたので。それが今に根づいている状況でありますけれども、やはり、リスクを軽減してあげて何とか根づかせようということであるのであれば、私は、今の状況について、若い人たちの投資した自己責任であるということで切り捨てるようなことがあってはいけないということも強く感じさせていただいたところであります。

 ぜひ政務官に、農水省として、改めて、大臣には最後にまたお伺いするんですけれども、こうした若い人たちが移住してきてこういうふうに地域ができ上がっていくという、今のその流れの重要性についてもお伺いしたいと思いますし、若い人たちの今の被害のその現状に対して、もし認識があれば、そのことをお伺いさせてください。お願いいたします。

野中大臣政務官 お答えいたします。

 若手の意欲ある就農者というのは、本当に農政にとっても地域にとっても宝であって、希望であるというふうに思っております。

 日高地方においても農外から参入された四十歳以下の新規就農者も多いというふうに伺っておりますが、また、この大雪によって、先ほど先生の御説明にありましたとおり、被害を受けた方がいらっしゃる。そしてまた、資金面の関係で、共済に入っていない方がいらっしゃるというふうに承知をしております。

 私も埼玉なんですが、雪が全く影響ない地域だというふうに思っておりましたら、四、五年前でしょうか、先生の地方と同じように、連結したハウスの間に雪が積もりまして何棟も倒壊した。そういった自然災害の歴史を経験しておりまして、そのときには我々の地域は、若手もそうなんですけれども、年配の方がこれでやめてしまうんじゃないかということを本当に懸念をいたしまして、先ほどの答弁と重なってしまうんですけれども、営農意欲を失わせてはならないということと、一日も早い経営再開ができることというのは、これは世代によってではなくて、その地域にとってやはり必要なことであるというふうに思っております。

 特に、これからやろうという方の意欲を損なわないように、これも自治体と連携をして情報収集に取り組んで、そして早急に大雪の状況の把握に努めてまいりたいと存じます。

山岡分科員 ありがとうございます。

 若い人たちは本当に地域の宝だというお話もいただきまして、また政務官も、恐らく政治経験では私よりも本当に先輩になられると思うんですけれども、同じ経験を地域の中でされておられるという中で、気持ちを一緒にしていただいているのは非常にありがたいという思いであります。

 本当に、若い人たちを含めて地域の担い手であろうと思っておりますけれども、担い手の方々の農業経営を安定的にやっていきたいということに支障を来す事態であるということについて、今お話にも言っていただきましたが、これを機に本当に農業をやめてしまうかどうかの、特に、降った後はそういう状況になった、そういう気持ちになったということも私じかに聞かされました。そして、集落には必ずそこの地域のドンみたいな方がいらっしゃって、雪が降って、若い人たちを集めて、とにかく頑張ろうと励ましながら今やっているというのを直接伺いました。

 もちろん、今、雪かきとかそういう作業をやっている中で、先々のことはまだ不透明だと思いながらも、とにかく今は目の前のことをやっているというのが被災に遭った方々だというのが、本当に私が伺ってきた、そしてまた直接かかわらせていただいた皆様の現状でありました。

 お話にもありましたけれども、本来は、やはり共済という仕組みに広く皆さんに入っていただくべきだろうと思っておりますし、その中でまたしっかりとした補償があるというのが、これから農水省として目指されていく、農家の方に経営の意識を強く持ってもらってやっていく、その方向なんだろうというふうに私は思っております。

 そのために、共済のさまざまな制度の見直しもここ数年行って、そして、ハウスについても、比較的割のいい、そういう中身になったということも伺っておりますけれども、ただ、私が伺っている限りにおいては、まだまだそのことは十分皆様に浸透している状況じゃない。これはもう私も言っていきたいと思っています。

 そして、若い人たちは、そうした情報も含めて、ない中で、一日でも早く返したい、共済に入らず、掛けずにやっていこう、雪も少ないということをやっていって、今回こうなっているというのが、包み隠さずお伝えできる状況であります。

 共済については、これからまた収入保険制度もでき上がってきますし、経営意識を高めていくといういろいろな取組は、農林水産委員会の中でも、この後また私もいろいろな提案も含めてさせていただきたいと思っておりますが、それはこれからのことです。やはり今、この状況の中で、特定のエリアに集中して、そして特に重要な人たちが集中的に被害を受けて、これが恐らく、北海道だけじゃありません、福井も含めて全国こういうことが起こっている。この現状の中で、先ほども申し上げましたけれども、今、岐路に立っています。これからやっていいのか、どうするのか。そして、先ほども申し上げましたけれども、産地としての信頼を守るために、走り出したい、夏までに何としても間に合わせたい、その思いも持っています。

 お話がありました、まだ全容が見えていないんだと。そのことも十分理解させていただきますけれども、やはり過去には、お話もありましたけれども、経営体育成支援事業といったことを直接当てて、被災農業者の農業経営の維持を目的に、農産物の生産に必要な機械とかを、計画に基づいて融資する分を差し引いた自己負担部分について補助するとか、そうした事例もございます。

 本当に、こういうさまざま、状況が、全容が見えていない中でも、現場はやはり、走っていいのかどうか、その思いの中で私は大臣の言葉を待っていると思っています。そして、私は何も恥ずかしい要求をしているとは思いません。本当に地域のために、これから産地をつくって、そして農業という中に羽ばたいていこうという若い人たちも多く含まれて、どうか大臣、この方たちが前向きにこれから農業に取り組める、そうした思いを持てるような励ましをいただけないかと思います。どうか御答弁をお願いいたします。

齋藤国務大臣 まず、山岡委員が現場を歩いて本当によく皆さんの声を聞いて、実は、この大雪が降って以降、私のところにも北陸中心にいろいろな方が実情をお話しに来られたり、要請に来られたりしましたが、こういう形で国会においてもきちんと状況を我々に伝えていただくということは、非常に貴重だなということを改めて思った次第であります。

 それで、私ども農林水産省ですから、当然のことながら、若い人たちがこれによってやる気をなくしたり、産地が崩壊したり、あるいは比較的高齢の人たちがこれでもう営農をやめてしまおうというようなことは、決して好ましいことだとは思っておりませんし、何としてもそういうことは避けていかなくちゃいけないという思いで政策に取り組んでいるということは強調をさせていただきたいなというふうに思います。

 その上で、今回のことについて言えば、自然災害ですから、誰の責任ということではないわけであります。これはみんなで、この自然災害については万全に対応していかなくちゃいけない。もちろん農林水産省も全力でお手伝いをしますし、それから市町村においても、自治体においても、全力で取り組んでおられますし、それから個々の農業者の方におかれましても、やはり共済というものについては、しっかりと認識をしていただくように努力はしますけれども、やはり自己責任でやるところもある。そういう意味では、みんなでこの自然災害に対応していかなくちゃいけないということであります。

 私、毎日のように記者会見や国会で答弁させていただきますけれども、毎日被害の実態がどんどんふえていくという状況でありますので、まだこの時点で、こういう対策、ああいう対策ということを述べられるような段階ではありませんけれども、山岡委員おっしゃるように、早急に実態を把握して、一体どういう手を打つべきなのかということについては鋭意努力をしていきたいと思っておりますし、冒頭申し上げたことの繰り返しになりますけれども、これによって営農をやめてしまうとか、産地が崩壊するとか、新しく始めた人たちがもうやる気をなくしてやめてしまう、そういうことのないように万全を期していきたいなというふうに思っております。

山岡分科員 早急に手を打つ、今こうしたお話の中で、実態の調査をやっていくんだというお話は、私は、本当に地域の皆様にお伝えしていきたいと思います。

 大臣はお立場もありますから、今の段階でお答えできることもありましょうが、しかし、みんなを応援しているんだということをお伝えするということでよろしいですか。うなずいていただいてありがとうございます。その思いで、私も今持ち帰らせていただきまして、お話もいただきましたけれども、本当に地域全員で、あるいは国も含めて全体で自然災害のことは取り組んでいかなければならないと思っておりますし、共済のことについても、これは本当にあるべき姿というのはあると思います。

 また委員会の機会があるのであれば私も質問に立ちたいと思いますが、青年就農給付金と今は制度の名前は変わりましたけれども、例えば若い人のこういう制度に共済とかそういうのもうまくまた入れ込みながら、やはりこういうのに入った方が安心なんだよということをまず知ってもらって、周知していくような仕組みというのがどうあるのかというのもぜひ討論させていただきたい。その思いをお伝えさせていただきながら、この質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて山岡達丸君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中主査 次に、環境省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、これを許します。浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは環境省所管でございますけれども、まず環境省の御質問をした後に、大変恐縮でございますが、少し農水関係にも関係する質問を最後にさせていただきたいと思います。

 質問に入ります前に、きょうは、環境省所管、午前中に一件、質疑者の方がいらっしゃったというふうに聞いています。私の方で都合がありまして、きょうはなるべく遅い時間にということでお願いをしました。その都合で、もしかしますと中川大臣には大変お待ちになったかと思っておりまして、この場をかりまして感謝を申し上げたいと思っています。

 そして、きょうは長時間にわたりまして、主査の田中先生、お疲れさまでございます。また、事務方の方もお疲れさまでございます。なるべく十八時までに終わるように質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずは、水銀の規制に関します水俣条約について一つ質問をしたいと思っております。

 私、地元は福岡でございますが、選出は九州・沖縄比例ブロックでございますので、熊本の水俣というところも選挙区の一つでございます。以前、水俣病というのは、特に、小学生のときに初めて社会の中で、非常に重大な公害病だという認識だけしかございませんでした。しかし、私も、議員にならせていただいて、平成二十五年十月に、まさに、水俣病が発生しました水俣や、また県都の熊本市におきましてさまざまな外交の会議が開かれて、日本もこの水俣条約を平成二十五年十月に採択をされたというふうに聞いております。

 しかし、そもそもの質問でございますが、私にとりまして、水銀はなぜ規制をしなければいけないのか、どのような有害性があるのかということが、実は、私も含め、また、もしかしますと国民の皆様は御存じないかもしれません。そういった意味で、なぜ水銀を規制しなければならないのか、水銀の有毒性も含めて、水俣条約の概要について、まず冒頭お聞かせいただきたいと思っております。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 水銀は、揮発しやすく、さまざまな排出源から排出され、分解されることなく地球規模で循環、蓄積いたします。また、その毒性が強く、メチル水銀は特に人の発達途上の神経系に有害でございます。このように環境汚染や健康被害が生じるリスクが高いことに加えまして、途上国では依然として利用されているということから、世界的な取組によって水銀対策を推進するという機運が高まりました。

 このような中で、国連環境計画のもとで水銀による地球規模の環境汚染と健康被害を防止するための取組を強化することが検討されるに至りまして、数次の条約交渉を経て、平成二十五年十月に水銀に関する水俣条約が採択されたということでございます。

浜地分科員 ありがとうございます。

 事前にレクを受けましたら、これは、最後になかなか廃棄ができない、元素そのものというふうに聞いてはおりますけれども、なかなかこれは処理して最終的に分解ができないような物質だというふうにも聞いておりますので、私自身も、本当に、水銀の有毒性といいますか、危険性というものを改めて今回の質問を通して学ばさせていただいた一人でございます。

 まさに国際環境の取組の中で採択された水俣条約でございますので、やはり、我々日本人として、また、私も九州の人間でございますので、この水俣と地名のついた条約について、しっかりと世界にも普及をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、国内実施法との関係で、水俣条約の国内実施法としまして、水銀汚染防止法が日本では制定をされております。この規制の対象の考え方について、一問お尋ねをいたします。

 水銀汚染防止法を見ますと、水銀の使用されている製品のうち特に規制が必要なものとして、特定水銀使用製品を政令で定めるというふうになっていると理解をしております。実際に政令で定められておりますが、先ほどの水銀の有害性からしますと、単純に考えまして、全面的に水銀製品を規制すべき、いわゆる特定水銀使用製品に広い範囲で対象とすべきだというふうに私は考えております。

 しかし、実際には、これを限定的に、対象を絞って、品目を絞ってあるわけでございますが、この品目の指定に当たりましてはどのような基準で指定をされているのか、これについてお答えいただきたいと思います。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 水俣条約では、代替製品によって交換できない等の場合には、製造、輸出入の規制の適用から除外されております。しかしながら、水銀が使用されている血圧計、体温計のように代替品がある場合には、平成三十二年、二〇二〇年以降の製造、輸出入を原則として禁止しております。

 また、我が国では、この条約で製造等を禁止している製品を水銀汚染防止法上の特定水銀使用製品とし、原則として製造等を禁止するとともに、さらに、世界の水銀対策をリードするという観点から、一部の製品の水銀含有量の基準値をより厳しいものとすることや廃止期限の前倒しをしているところでございます。

 なお、水銀代替、低減の技術動向等を定期的に把握し、その結果を踏まえて、特定水銀使用製品の対象を見直すこととしております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 今、代替製品の有無というキーワードが出てまいりました。やはり、経済活動、また経済活動だけでなく、人がこういった製品を使うときに代替品がなければ、当然、経済活動も滞りますし、人の生活というものにも影響を及ぼすということで、代替品が生まれてくれば、逆に規制の対象にしていこうというような考え方だろうというふうに私は理解をさせていただきました。

 さらに、先ほど御答弁の中で、水俣条約よりも更に、国内実施法でございます水銀汚染防止法では、より厳しい基準も設けている、それは世界をリードするためということでございますので、私は、ぜひ、代替品の登場というものもしっかりとウオッチをしていただきながら、日本がリードするという意味では、代替品ができた場合にはいわゆる特定製品の方に指定をしていただいて、広く規制をしていただきたいというふうに思うところでございます。

 一問、厚労省にもきょうは来ていただいておりますが、ぜひ環境省の皆様方にも聞いていただきたく、続けさせていただきます。

 現在、水道水のクリプトスポリジウム対策、いわゆる耐塩素性病原生物というものが水道水の中に入っておりますと、人体に非常に有害になります。ですので、これを除去するために二つの方法が今あるそうでございます。一つが、膜、いわゆるろ過装置によって水をきれいにしていく方法と、もう一つは、紫外線を照射して微生物の活性化を抑える方法の二つがあるというふうに聞いております。

 ろ過装置は比較的高い製品でございまして、そういった意味では、まだ、体力の若干弱い自治体の水道局等では、一部、いわゆる紫外線の処理を使っての水道水の処理というものがなされているというふうに聞いております。

 私のもとに、あるメーカーの方が来られました。現在、実は、紫外線の照射による装置は水銀ランプを使っているものが多いというふうに聞きました。ですので、私は、水俣条約等を勉強させていただいて、日本も水銀を使っている製品で実際に水道水をつくっているんだなということに注目をいたしました。

 そして、このメーカーの方は、現在、LEDについては要は水銀を使っていないわけでございますが、LEDを用いた水道水の紫外線処理装置を開発しました、いわゆる、先ほどのキーワードで出てきました代替品がそろそろ登場しますというようなお話でございました。

 固有の企業の名称を言いますとなかなか問題がございますけれども、基本的には、この会社は上下水道、また再生水、海水淡化等の水環境の分野で日本のトップ企業でございますので、私自身は、そのお話を聞いて、危ない商品と言ったらおかしいんですが、まだまだ信用性のないものではなく、ある程度かなり信用性のある企業の開発だというふうに聞きました。

 ですので、LEDを用いた紫外線処理装置が実際に製品化にこぎつけたときには、代替品というものが実際にあらわれるわけでございますので、先ほどの環境省の方から答えていただきました、代替品に着目をして規制をしているんだという点からいいますと、日本が水俣条約を広く進めるためにも、厚労省におかれましても、こういったLEDを用いた、まさに水銀を使わない紫外線処理装置ができたということを、ぜひさまざまな地方自治体また水道局等に周知を図っていただきたいと思いますが、それについての御答弁をお願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、水道用の紫外線処理設備につきましては、近年、水銀ランプのかわりにLEDランプを用いた製品の開発が進められているところでございます。

 現時点におきましてはまだ市販されていないと聞いているところでございますが、今後、販売が開始された場合には、水銀汚染防止法の趣旨を踏まえまして、代替品の使用が進みますよう、水道事業者に対する情報提供等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

浜地分科員 お答えありがとうございます。

 水道技術研究センターというところがこの製品について認証をするそうでございます。まだ実は認証の手続はこれからということのように聞いておりますので、これは認証が進みましたら、まさに、水道技術研究センターの検査といいますか、基準をきちっとクリアしているということになろうかと思いますので、さらなる推進をお願いしたいと思っております。

 まだ現実味はございませんので、本来であれば、こういう製品が出回れば、実は、環境省に、ぜひこれを特定水銀製品、いわゆる規制の対象に加えてくださいという質問をするところでございますが、まだこれは、今、開発途中、これから認証を受けるということでございますので、ぜひ厚生労働省の方にも周知をしていただいて、実際にこれを導入しようというような自治体が出てきたときには、私は、そういった規制をすることが、日本の水俣という地名がついた水俣条約を世界に向かってリードするという日本の責務を果たすことになろうかと思いますので、ぜひ、それについても御意見といいますか要望をさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、水銀というのは、いわゆるこういった製品をつくるメーカーさんでありますとか大きな企業様については、これについての危険性や規制というものを周知をされているかと思っています。しかし、家庭にも水銀を含むさまざまな器具等がございます。

 よくありますのが、先ほど言われましたとおり、体温計。昔は、確かに水銀を使って温度が上がっておりました。私はそれぐらいしか実は思い浮かばないわけでございますが、実際に水銀が使われているという認識があっても、それがこんなに危険なんだということは、まあ私自身が勉強不足かもしれませんが、国会議員である私も、水俣条約の勉強を始めて水銀の危険性を認識した一人でございます。ですので、やはり企業努力だけでなく、家庭から出てくるそういった水銀を含む製品についての適切な管理やまた廃棄が私は大事だろうと思っております。

 この一般家庭にあります水銀製品の管理、廃棄についてどのような取組を環境省は行われているのか、中川大臣にお答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 家庭から廃棄される体温計や蛍光灯などの水銀使用製品につきましては、各市町村の実情に応じて回収、処理が行われているところでございます。

 環境省としては、家庭からの分別回収を徹底、拡大するため、分別回収に関する市町村向けガイドラインや事例集の作成、薬局等と連携した水銀体温計等の回収モデル事業の実施、水銀汚染防止のために生活の中でできる取組を紹介する国民向けパンフレットの作成などの取組を行っております。

 今後とも、こうした取組を通じて、廃棄される体温計や蛍光灯などの適切な回収、処理を推進してまいります。

浜地分科員 中川大臣、ありがとうございます。

 今、パンフレットというお話が出まして、私もそのパンフレットを手元に持っておりますけれども、熊本のマスコットがついていますので、まさに水俣ということをアピールする一つの有用な方法だと思っています。

 これを読むと非常に水銀の危険性というものがわかるのでございますが、なかなか国民の皆様方の目に触れることというのは少なかろうと思っています。今、多くPRするように取り組まれておりますので、ぜひ、我々議員も含めて、こういったものを周知をしてまいりたい、そのように思っております。ありがとうございます。

 少し話題をかえまして、次は産業廃棄物の処理について、一問御質問をさせていただきます。

 福岡で私も公明党の責任者をしておりまして、さまざま、業界の皆様方からの政策要望懇談会というものを行わさせていただきました。

 昨年の十一月に産業廃棄物業者の皆様がいらっしゃいましたけれども、この産業廃棄物の処理は、処理業者ではなく、排出する排出者に実は責任があるんですよということを聞きました。恥ずかしながら、実は初めて私はそれを認識したわけでございます。

 しかし、現在の問題としては、紹介者、いわゆる仲介手数料を取るような第三者が介在をしてしまって、手数料を払わなきゃいけませんので、実際に廃棄をする産業廃棄物業者の皆様方の受けるお仕事の手数料といいますか、それが非常に減っているという現状がございました。

 ですので、本音で言えば、この第三者というものを排除してほしいというような声もございますけれども、やはり、民間の取引で仕事を紹介して手数料をいただくというのは、民間の中ではよく行われていることでございまして、これが例えば、少しだますとか、そういった非常に違法なことになれば規制の対象になろうかと思いますが、なかなかこれも難しいんだという実情も聞かせていただきました。

 ですので、やはり、排出をする実際の排出事業者に、あなたに最終的な責任は来るんですよということを周知すべきだと思っております。

 特に、大企業における担当者等の皆様方は、法令に精通をされておりますので、実際は、廃棄物の処理業者ではなく、自分たちが、廃棄物を出す方の排出者に責任があるんだということは認識をされておりますけれども、なかなか中小また零細企業の皆様方はそれを認識をされておりません。

 ですので、環境省としましても、さまざま通知等で案内はされておりますけれども、ぜひこれをいま一度徹底をしていただきたい。排出者責任というものを広く中小企業、また零細企業にも認識をされるように徹底をいただきたいと思いますが、その取組について御答弁をお願いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきました排出事業者責任の問題、産廃の適正処理の上で非常に重要だと認識しております。

 廃棄物処理法におきましても、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」という排出事業者責任が具体的に規定されております。環境省といたしまして、これまでも、排出事業者が処理を委託する際の基準の強化、あるいは、廃棄物を排出する際にマニフェストと呼ばれる管理票の交付を全面的に義務づけるなどによりまして、規制をしっかりと強化してきております。

 また、昨年の国会におきましても、食品廃棄物の不正転売事案などが起きました。そういった背景を踏まえまして、廃棄物処理法の一部改正を行いまして、マニフェスト制度の強化等の適正処理に関する制度の強化も行っておりまして、現在、その施行を準備しております。

 それから、議員から御指摘がありましたように、通知につきましても、御指摘の点を含めてしっかりと周知しておりまして、昨年の三月と六月に、排出事業者責任の徹底につきまして通知をさせていただいております。この中で、あくまで排出事業者がその廃棄物を適正に処理しなければならないという重要な責任を有しており、その責任は、その廃棄物の処理を他人に委託すれば終了するものではないといったようなことなども含めてしっかり周知をしておりまして、具体的にその果たすべき職務のチェックリストを示すなど、その徹底に努めておるところでございます。

 今後とも引き続き、機会を捉えての周知徹底に努めてまいりたいと思います。

浜地分科員 御答弁ありがとうございます。

 私の手元には、その二十九年三月二十一日に出されました通知をいただいておりますが、先ほどの御答弁では六月にも出されたと聞いております。この通知によって少しずつ現場の状況は変わっているんだという報告も受けておりますので、今、三カ月に一度といいますか、三月と六月に出されましたので、これはぜひ、ちょっとしつこいようかもしれませんが、同じ内容でも、更に徹底するようにという通知をたくさん出していただくことが、やはり徹底になろうかと思っています。どうしても、廃棄物の処理というと、安い方がいいというのが企業心情になってしまいますので、そうではなくて、出す方に責任がある、第三者に委託しても責任はあるのであるということを再度徹底するためにも、こういった通知というものも粘り強く出していただければというふうに思っております。

 大変申しわけありません、きょうは環境省の所管でございますが、最後、実はちょっと環境の話にもかかわるものですから、きょうはお話をしますが、ウナギの資源管理についてお話をさせていただきたいというふうに思っています。

 きょうは農水省の皆様方にも来ていただきましたが、私、実は四年前に一度、ウナギの質問をしております。四年前、ちょうど質問したときは、ニホンウナギの稚魚、シラスウナギが非常に少なくなってきたところだったんですが、実は、この年、ふえておりました。

 しかし、御案内のとおり、昨年からの報道にあるとおり、ことしに入ってから、ニホンウナギの稚魚、シラスウナギの池入れ量ですか、仕入れ数量、これが非常に減っているという報道に接しております。昨年の約十分の一ぐらいまで減ってしまったのではないかというふうに報道がございます。

 私のもとにも、ウナギの養鰻業者の方から、本当にこれは大変な危機である、これはどうにかしないと業界自体が本当につぶれてしまうんじゃないかという危機感を持って私のもとにお話をしていただいた業者の方々もいらっしゃいますけれども、ウナギの環境というのは、なぜとれないのか、これがなかなか難しいそうでございます。

 海洋の環境が変わっているんじゃないかとか、また、乱獲、特に中国というのが大変多く最近はウナギを食するようになった、また、ウナギの生息地であります河川などの生育環境も悪化をしているんじゃないかという、さまざま複合的なものがございますけれども、特に、ウナギの資源管理を取り巻く状況、また国内外の取組について、現在の状況をお聞かせいただきたいと思っています。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 我が国におけるシラスウナギの採捕量は、昭和五十年代後半以降、低水準かつ減少傾向となっております。その減少要因としては、委員も御指摘のとおり、気候変動等による海流の変化、シラスウナギや親ウナギの過剰な漁獲、沿岸域や河川等の生息環境の悪化等が指摘されております。

 今後ともニホンウナギの持続的利用を確保していくためには、国内外での資源管理対策を推進しつつ、人工種苗生産の早期の実用化など、各般の対策に取り組むことが重要と考えております。

 そうした中で、水産庁では、国際的な資源管理として、平成二十六年九月、同じ資源を利用する日本、中国、韓国、台湾の四カ国・地域で、池入れ数量、すなわち養鰻池へのシラスウナギの投入量になりますが、この制限に取り組むことを決定し、実施しているとともに、国内では、平成二十七年六月からウナギ養殖業を許可制にし、池入れ数量管理を行うとともに、ウナギ養殖業者、シラスウナギ採捕業者、親ウナギ漁業者に係る資源管理を三位一体として進めることにより、ウナギの資源管理を推進しております。

 このほか、河川等における生息環境の改善の取組を環境省や国交省とも連携して推進しているところでございます。

 このため、平成三十年度当初予算におきましては、河川等におけるウナギの生息環境改善に資する石倉増殖礁の設置やシラスウナギの大量生産システムの開発などの事業を計上しております。

 ウナギについては生態に不明な点が多いわけでございますけれども、今後とも、その解明に努めつつ、ウナギ養殖業の池入れ数量の管理のあり方等、適切な資源管理ができるよう検討してまいります。

 また、ワシントン条約締約国会議が来年五月に控えていることもありまして、今後の養鰻業の振興及びウナギの安定供給に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

浜地分科員 丁寧な御説明、ありがとうございました。

 特に、来年のワシントン条約の第十八回締結会合でございますけれども、また、平成三十一年にスリランカで更に開催されるというふうに聞いております。

 まず、ワシントン条約にこれが載ってしまいますと輸入ができなくなりますので、ますます日本のウナギの事情というのは厳しくなろうかというふうに思っております。このあたりも、先ほど申し上げられました四カ国での取組というものを国際社会でしっかりアピールをしていただいて、当然これは外務省にも言うことでございますが、ぜひ外務省とも連携をとりながら、このワシントン条約の附属書への記載を何とか阻止していただきたいというふうに思っております。

 先ほど、石倉を含めた、いわゆる河川の環境整備というお話の御答弁もいただきました。

 実は、私は、四年前の質問の中で、ぜひ内水面漁業者によるウナギの生育環境の整備をお願いしたいということで、こういった石倉というものをつくってはどうかというお話もさせていただきました。

 このときはまだ取組を始める前でございましたけれども、先ほども少し御答弁に出てきましたが、現在の内水面漁業者によるウナギ生育環境の整備、まさにこれは環境にもかかわる問題だと思いますが、現在はどのような取組になっているのか、御答弁をお願いします。

長谷政府参考人 水産庁では、河川環境の改善に資する取組を推進しておりまして、平成二十八年度からは、鰻生息環境改善支援事業により、これまでに十五府県十九河川において、内水面漁業者が行う石倉増殖礁の設置を支援してきたところでございます。この結果、設置した石倉増殖礁からは、ウナギのみならず、餌生物となる小魚やエビ類も多数確認されまして、ウナギのすみかや餌場として機能していることが示されております。

 水産庁におきましては、こうした情報を環境省や国土交通省とも共有し、各省庁の施策に生かしてもらうことによりまして、効果的に河川環境の改善が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。

浜地分科員 御答弁ありがとうございました。

 私が質問を四年前にしたときには、鹿児島の河川でこういった取組を始めるんだという御答弁を実はいただいていて、そこからかなり広がっていることが確認をすることができました。

 石倉をつくるにはネットが必要なんですけれども、このネットについても、いわゆる壊れない、石が外れない特殊なネットというものがあるそうでございまして、その方々からも、この取組を含めて、余りちょっと営業になってはおかしいですが、ウナギの環境のためにしっかりとそういった製品もぜひ使っていただきたいという声もございますので、代弁をさせていただきたいと思います。

 時間が参りました。最後の質問にしたいと思っています。

 ウナギの養鰻業者の方からは、ウナギの完全養殖、シラスウナギの人工生産に本腰を入れて踏み切らなければならない時期に来ているというふうに強く要望をされました。予算も大体三億円、この研究についているそうでございますが、その方は、もっともっとつけるべきだというようなこともおっしゃっておりましたが、現在のウナギの完全養殖についての進捗状況について、最後に御質問したいと思います。

長谷政府参考人 御指摘のとおり、人工種苗の量産化は喫緊の課題となっております。

 平成二十二年に、独立行政法人水産総合研究センター、現在の国立研究開発法人水産研究・教育機構になりますけれども、世界で初めて完全養殖に成功しまして、平成二十五年には、同センターが新たに開発した大型水槽でのシラスウナギの生産に成功するなどの成果は得られております。

 また、複数の親ウナギの成熟の進み方を同調させる技術が確立されまして、一度に百万粒以上の受精卵を生産できるようになりまして、十万尾単位の仔魚を使った研究を同時進行させることによりまして、技術の開発が加速されることが期待されております。

 量産化、商業化ということまでいいますとまだまだ多くの課題がございますけれども、水産研究・教育機構を中心に、産学官の連携によりまして取り組んでいるところでございます。

 なお、この関連で、平成三十年度当初予算といたしましては、三億一千万円を計上しているところでございます。

 今後とも、ウナギ種苗の量産化の早期実現に向けて取り組んでまいります。

浜地分科員 時間が参りました。終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十六日月曜日午前九時より開会し、引き続き農林水産省及び環境省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四分散会


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