衆議院

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第2号 令和6年2月28日(水曜日)

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令和六年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 伊東 良孝君

      加藤 竜祥君    田中 和徳君

      仁木 博文君    三反園 訓君

      山本 有二君    若林 健太君

      小山 展弘君    末松 義規君

      山崎  誠君    田村 貴昭君

      宮本  徹君

   兼務 重徳 和彦君

    …………………………………

   農林水産大臣       坂本 哲志君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)

   (農林水産技術会議事務局長)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  渡邉 洋一君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  村井 正親君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            長井 俊彦君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  坂  康之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           筒井 智紀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鎌原 宜文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           長谷川朋弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         岸谷 克己君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     仁木 博文君

  若林 健太君     加藤 竜祥君

  小山 展弘君     山崎  誠君

  宮本  徹君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     若林 健太君

  仁木 博文君     三反園 訓君

  山崎  誠君     末松 義規君

  宮本 岳志君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     田中 和徳君

  末松 義規君     小山 展弘君

  田村 貴昭君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  本村 伸子君     宮本  徹君

同日

 第七分科員重徳和彦君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 令和六年度一般会計予算

 令和六年度特別会計予算

 令和六年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

伊東主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小山展弘君。

小山分科員 静岡県中東遠地域出身の小山展弘です。

 坂本大臣におかれましては、予算委員会、集中審議、一般審議等、連日お疲れさまです。今日もよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らさせていただきたいと思います。

 まず、海業についてお尋ねしたいと思います。

 和歌山県の堅田漁協さんというところがございます。ここは元々、養殖、サバとかあるいはタイ、タイが中心だったと思いますが、そういった養殖を中心とした漁業協同組合さんですけれども、三十年以上も前から、自分たちで養殖してつくった魚を市場の相場に振り回されることなく自分たちで売っていきたい、そういう思いから、養殖魚の物品販売を目的に、直販所をつくろうと。ただ、直販所をつくるだけでも、魚を買いに来るというだけではなかなかお客さんがたくさん来てくれないかもしれない、潰れちゃってもいけないということで、せっかく直販するなら魅力ある物品販売店にしようということで、白浜町にあるという地域的な特性も生かして、土産物販売とかあるいは総合レジャー施設として、とれとれ市場を開設をいたしました。その後、レストラン、宿泊施設など関連する様々な事業を展開し、今や地域の雇用や地域振興にも大変大きな役割を果たしております。

 三十年以上にもわたるこの堅田漁協さんの取組というものは、漁業者や漁協の組合員さんという点では一般的なイメージと異なるという方もいらっしゃいますけれども、まさに、今回政府の言うところの海業の一種、その先駆けではないかと考えますけれども、この堅田漁協の取組に対する政府の評価について伺いたいと思います。

坂本国務大臣 委員御指摘の堅田漁協におけるとれとれ市場の取組につきましては、地元の養殖マダイの販売、提供や、近隣の釣堀や宿泊施設等とも相まって、令和四年度には年間三百万人の来客があったということで、これは大変な数字だと思います。能登の白米千枚田の入り込み客は五十万人から六十万人、熊本城が大体二百万人ぐらいでありますので、大変な数であります。平成七年のオープン以来、地域の水産業の発展に寄与している取組として、海業の最高の優良事例だというふうに思います。

 委員は以前、和歌山にもお勤めだったということで、多分、アドバイスがあったのではないだろうかというふうにも思っております。

 昨年の通常国会での漁港漁場整備法の改正におきまして、漁港施設等におきまして、漁港で水揚げされた水産物を提供する販売施設や飲食店、港内の水面を活用した釣りや漁業体験活動等の事業を取り組みやすくする仕組みを位置づけたところであります。

 農林水産省といたしましては、堅田漁協の取組のような優良事例の収集、周知に努めつつ、法改正を機に、海業の取組が、こういう堅田漁協のような取組が全国に広がるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小山分科員 大変御評価いただく御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私も、実は大臣がおっしゃられたとおり、途中で御縁があった時期もあったんですけれども、何よりもやはり、養殖で自分たちがつくった魚を自分たちの価格で売っていきたいという思いがこのように結実していったというところが、まさにそうお考えの、多分全国の漁業関係の方々、漁協さんもあろうかと思いまして、あえて御紹介も兼ねてお尋ねをさせていただきました。

 それでは、ちょっとここから国交省さんにお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先日、リニアの関係の問題でございますけれども、村田鉄道局長さんが、二月七日に静岡県を訪問し、南アルプス環境保全措置に関しての専門家会議の報告書の中で必要な論点は全て取り上げられ、対策も明示しているとおっしゃいました。静岡県は、とりわけ生物多様性について、県が提出した意見書が国の有識者会議の報告書に反映されていない点も多く、議論が不十分な課題も残されているのではないか、そういうことを示しておりまして、ここだけに注目すると、県と国の間に認識の違いがあるようにも感じます。

 しかし一方で、静岡県は、四十七項目のJR東海さんとの対話を要する事項を発表し、対話、協議を続けてまいりました。この点について村田鉄道局長は、報道によりますと、県が未了とした項目について、引き続き対話が必要ということだと認識しているとも報道で伝えられております。また、国の有識者会議の中村座長も、個別の議論や足りない点も含めて全てを完全にカバーしているわけではないというふうに発言もしておりまして、議論すべき課題が残されているという点では認識が一致しているのではないかと私は受け止めておりますが、この点について国交省さんは、この認識の違いや一致点についてどのように捉えていらっしゃるか。

 なお、今後も、静岡県が対話を未了としている項目について、県とJR東海さんが引き続き対話を継続する必要があると私は考えておりますが、両者が合意するように、国交省さんとしても適時適切に指導監督する必要があると思います。その点についても御答弁をお願いしたいと思います。

岸谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省が設置いたしました有識者会議では、まず、議論の方向性を明確にすべく、静岡県中央新幹線環境保全連絡会議に設けられました専門部会での議論や、南アルプスの自然環境等の現状や地域の懸念を踏まえまして、論点の整理を行いました。

 論点の整理に当たりましては、有識者会議におきまして、静岡県、関係市町、環境団体等に対しヒアリングや意見交換を行い、整理された論点に関して、科学的、客観的な視点から丁寧に議論されたと認識しております。

 このため、昨年十二月に取りまとめられました南アルプスの環境保全に関する報告書と、令和三年十二月に取りまとめられました大井川水資源問題に関する中間報告を併せて、いわゆる四十七項目を含む基本的な論点及び対策については、現時点において取り得るものは全部取り上げて、対策も明示していると認識してございます。

 今般、二月五日でございますが、いわゆる四十七項目のうち、静岡県が専門部会で今後議論が必要とした事項の大半につきましては、これまで国の有識者会議で整理された対策等の詳細を確認したいと静岡県が希望している事項であると認識しております。

 このため、JR東海に対しましては、これまでの国の有識者会議でJR東海が説明してきた内容等につきまして、静岡県の専門部会の開催等を待たずに速やかに静岡県に対し丁寧に説明するよう、今般の県の発表を踏まえて改めて求めており、実務的な打合せを重ねていると聞いております。

 今後は、工事に向けた作業や工事と並行いたしまして、高速長尺先進ボーリングの調査結果等により予測の精度を高め、必要な対策を見直し、それを実行していくことが重要であると考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、有識者会議の報告書に基づき、JR東海が地域の理解を得ながらしっかりと取組や対策を進めるよう求めるとともに、対策が着実に実行されているか、継続的に確認してまいります。

小山分科員 引き続き、先ほども私も問いの中で申し上げましたが、中村座長の、個別の議論や足りない点も含めて全てを完全にカバーしているわけではないや、あるいは、まだJRさんと県の方で合意に至っていないところについて、丁寧にこれからも協議が継続されることを希望したいと思います。

 もう一問お尋ねしたいと思いますが、先ほど申し上げました、二月七日に国交省の鉄道局長さんが静岡県を訪れて、静岡県に対して、国としてもモニタリング会議の設置と工事の施工状況等を当該会議にて確認するとの提案があったと報道で伺っております。国の積極的関与については静岡県も高く評価しておりまして、二月二十七日、昨日、静岡県議会でも川勝平太県知事がそのように答弁をいたしております。

 南アルプス地域は、ユネスコエコパークとしても指定されておりまして、また、国も、国立公園にも指定しております。まさに、ユネスコエコパークということであれば、世代を超えて、我々の世代だけではなくて、人類共通の世界遺産であると思いますし、二〇一四年の国交大臣意見では、水系への影響回避を図ること、代償やあるいは軽減ではなくて回避を図ることとしておりまして、今後もこの点について、大臣意見が十分に遵守されているか、モニタリング会議を通じて関与していくべきだと考えておりますけれども、この点についての国交省さんの認識を伺いたいと思います。

 また、工事着工前も含めた状況把握やモニタリングの手法について、国はどのように検討していらっしゃるか、この点についてもお尋ねしたいと思います。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線は、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図るものであり、国土形成計画及び国土強靱化基本計画等にも位置づけられた、国家的見地に立ったプロジェクトでございます。

 未着工の静岡工区につきましては、静岡県とJR東海との対話を促進することが重要であると考えていることから、国土交通省が設置いたしました有識者会議において、大井川の水資源への影響に関する報告書を令和三年に取りまとめました。さらに、昨年十二月には、南アルプスの生態系などの環境保全に関する報告書を取りまとめ、JR東海に対し、この報告書に基づいて対策を講じるよう求めたところでございます。

 さらに、今後、静岡工区の水資源及び環境保全について、JR東海が報告書で整理された対策を着実に実行していくことが重要であることや、地域の方々から引き続き国の関与について御要請をいただいたことを踏まえまして、その取組を継続的にモニタリングするための新たな会議として、明日、二月二十九日に、第一回リニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議を開催いたします。

 このリニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議におきまして、二つの報告書で整理された対策が着実に実行されているかどうか、工事着工前を含め、継続的に確認してまいりたいと考えております。

小山分科員 先ほども申し上げましたが、生物の多様性、あるいは、ユネスコエコパークとして指定されているということで、少なからず、全く影響が出ないということではないと思うんですけれども、今振り返ってみますと、三年前の静岡県知事選挙で、国土交通副大臣であられた岩井茂樹さんがルート変更ということを演説の中で、たしかあれは公開討論会の中でお話しになられて、それが、今となってはということではあるんですけれども。

 元々のルートを決めたときに、速達性と経済性ということから南アルプスルートが決まったということで伺っております。しかし、今振り返ってみますと、このときに諏訪ルートというのもあったわけですけれども、実は、完成した場合の比較をすると、七分ぐらいしか、名古屋に着くまでには時間は変わらないということも聞いたことがありまして、今となってはなかなか難しいのかもしれませんが、当時のルートの決定の仕方といったところにも、本当に速達性、経済性といったところに適合していたんだろうかということに、私は、今から考えると、若干、もっとほかの選択肢はなかったんだろうかというような思いを致すところでございます。

 国交省さんへの質問は、都市計画の方はまだありますけれども、鉄道関係のリニアのことはこれで終わりですので、御退席いただいても構いませんので。ありがとうございます。

 それでは、また農水関係の質問をさせていただきたいと思います。

 施政方針演説の中で、農林水産物の輸出に取り組むということで岸田総理も述べていらっしゃるんですけれども、輸出をすることで、具体的にどのぐらいの農家所得の向上を見込んでいらっしゃるか、農水省さんにお尋ねしたいと思います。

坂本国務大臣 農林水産物、食品の輸出拡大は、地域農業の維持拡大などに加えまして、農林水産業の所得向上につながるものと考えております。

 例えば、岩手県のあるJAの試算によりますと、栽培しているリンゴの全品種平均の農家手取りの単価は、一キログラム当たりで、輸出用が三百二円であり、国内販売用の百九十五円よりも百七円高いというふうにされております。前の熊本の藤木政務官も、牛肉を、肉牛を中東に出しておられまして、普通、キログラム二千五百円ぐらいですけれども、大体キログラム四万円ぐらいだというふうに言っていらっしゃいました。それほど輸出というのが農家の所得に結びつくというふうに思っております。それ以外にも、国内市場では引き合いが少ないサイズのもの、大き過ぎるとか小さ過ぎるとかこういうものが海外市場では販売が好調であるという例が、台湾等でも見られております。

 このように、輸出拡大は農林漁業者の所得向上に資する効果が高いと考えておりまして、生産者の所得につながるように、これからも情報の把握と発信に努めてまいりたいというふうに思っております。

小山分科員 是非、最後に大臣からも今お話のありました、生産者の所得向上につながるようにこれからもお取り組みいただきたいと思います。できれば、国全体で農家所得がどのぐらい総額として上がったか、まあなかなか捉えにくいところかもしれないですけれども、そういった統計なども今後取っていくというようなことも御検討いただいて、是非目に見える形で。また、中間業者さんが、いろいろな業者さんもいて、そういった方々がいなければ輸出もできないというところもありますけれども、一方で、価格転嫁のお話ではないですが、中間の商社さんとかそういったところが大変利益を持って、生産者がなかなか所得が増えないということがないように、是非、鋭意御留意いただければと思っております。

 それで、行ったり来たりして申し訳ありませんが、国交省さんにもう一つ、都市計画のことでお尋ねさせていただきたいと思います。

 都市計画法における沿路サービスについては、道路沿いの開店許可は、現在、自治事務になっておりまして、基礎自治体の市町村が開発許可権者になっていると伺っております。

 本日は、都市計画についてですけれども、都市計画をしっかりと行った、例えば静岡県の西部ですと磐田市のような自治体では、その後も住宅地が広がったこともあって、都市計画区域内への製造業の工場とかあるいは商業地の誘致などはなかなか、もう誘致できるようなスペースがないと。スペースというか、それだけのまとまった土地がですね。一方で、都市計画区域以外はほぼ農業振興地域となっておりまして、農地転用も非常に極めて厳しい現状にある。また、別の町に行きますと、袋井市などでは、区域区分に関する都市計画、いわゆる線引きを定めていなかったので、自治体としては比較的開発を進めやすいということで、製造業の誘致が進んでおります。

 真面目に都市計画を定めた自治体が、人口減少であるとかあるいは自治体間競争が激しいというようなことが言われるような現在において、規制によって比較劣位を強いられるというふうに考える向きもあるんですけれども、今後、一旦定めた都市計画の見直しなども含めて進めていきたいという自治体からの要望があった場合にどのように応えていくべきか、その点について国交省さんの認識を尋ねたいと思います。

鎌原政府参考人 お答え申し上げます。

 都市計画区域の設定及び区域区分の都市計画決定につきましては、都道府県等の権限となっておりまして、静岡県により判断されるべきものであります。

 その上で、一般論として申し上げれば、都市計画は、地域の実情や社会経済状況の変化に対応して適切に運用されるべきものと認識をしております。国土交通省といたしましても、静岡県から御相談があれば、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

小山分科員 本当に大変難しい問題で、一方では、優良農地で、農家の方も、若い方がやっていきたいというところに、逆に開発をしたいというような自治体や地元の希望もあったりすると、それはそれでどうかなと思ったり、一方で、今の磐田市のように、真面目に都市計画を定めたがゆえに、がんじがらめになってしまっているというようなところもありまして、また、そういったところも大分権限移譲もされているということで、また御相談がありましたら是非御検討いただければと思っております。

 これで質問は終わりですので、御退席いただいても構いません。

 ここからは農水省さんへの質問になります。

 福田漁港というところが磐田市にございます。ここは自衛隊の護衛艦の避難港にも指定されておりますが、近年、二級河川の太田川等の泥や砂が港に入り込んで堆砂量が多くなっておりまして、河床が非常に上昇しております。かつては十メーターぐらい水深があったのが今や二メーターとか三メーターというようなこともありまして、橋がありまして、車が上を通って、船が下を通っていくところがあるんですけれども、その橋の下を船が通れないような危険な状態にもなっているというようなことも伺っております。

 静岡県によってしゅんせつが行われているようですけれども、堆砂の実態や福田漁港の現状について、今後も船の通航に支障がないような対策を是非取っていただきたいと思いますが、農水省の見解を求めたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 福田漁港の堆砂の実態につきましては、漁港管理者であります静岡県から、河川から泥や砂が港内に恒常的に流入しており、近年ではその量が増加いたしまして、港の奥の泊地では水深の低下に伴って一部の漁船の通航に支障が出ているというふうに伺っております。

 静岡県では、漁港機能を適切に保全することを目的に、外港において堆積した砂をポンプで移送するサンドバイパスシステムを活用した対策を行うとともに、平成二十八年に福田漁港の機能保全計画を策定いたしまして、この港の奥の泊地のしゅんせつを計画的に順次実施しているところでございます。

 引き続き、安全な漁船の通航など必要な福田漁港の機能を確保していくため、機能保全計画に基づく計画的なしゅんせつ等について支援してまいりたいと考えております。

小山分科員 恒常的に泥も砂も入ってきますので、また、権限移譲された港ではありますけれども、水産庁としても是非これからも支援をお願いしたいと思います。

 また、この福田漁港の漁業者の方々、シラス漁が主力のところでございます。ただ、近年、シラス漁の不漁が四年から五年続いておりまして、かなりシラス漁が主力過ぎたということもあって、大変今、苦境にございます。この原因については、黒潮の大蛇行が十年にも及んでいるということが原因ではないか、あるいは、温暖化の影響によって漁獲魚種が変化したためと認識しておりますけれども、昨日もこのような、環境変化による魚種の捕れる捕れないというのがあるということで質疑がございましたが、国はどのようにこのシラス漁の不漁について原因を認識していらっしゃいますでしょうか。

坂本国務大臣 最新の資源調査では、シラスの親であります太平洋側のカタクチイワシは、いわゆる持続をさせるための最大限の指標となりますMSYを達成する資源水準にありまして、漁獲圧も適正となっております。シラスの不漁は乱獲等が原因とは言えないというふうに考えております。

 他方で、シラスの漁獲量は、カタクチイワシの資源量のほか、海洋環境の変動にも大きく影響を受けると考えられており、太平洋側のシラスの不漁についても、研究者からは、大潮の大蛇行などが要因の一つであるというふうに示唆をされているところであります。黒潮の大蛇行ですね、黒潮の大蛇行です。

 水産資源の回遊や分布の変化は多くの種においても見られることから、農林水産省といたしましては、海水温の上昇も含め、海洋環境の変化が水産資源に及ぼす影響にも注視をしながら、資源調査を適切に実施してまいりたいというふうに思っております。

小山分科員 漁業者の方から、シラスの不漁が四、五年にも及んで、非常に環境の変化に人為的に対応できないということで、他の魚種を漁獲することも考えておりますけれども、なかなか容易に、カツオとかクエとか、漁獲の許可が下りないとも伺っております。魚種変化による不漁について、漁業者側の魚種転換を図ることについての国の認識を伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 魚種変化に対しまして、漁法や漁獲対象魚種の複合化、転換といった対応が必要となる一方で、水産資源の持続的な利用の確保等の観点からは、漁法転換後の対象魚種の資源の状況や、既存の漁業者等との調整も踏まえるといったことも重要と考えているところでございます。

 御指摘のクエ漁の関係でございますけれども、静岡県によりますと、地元の漁協から、クエなどを漁獲できます底立てはえ縄漁業の許可の増加要望を受けているということでございますが、この漁業の主な漁獲対象でありますアカアマダイやアカムツは資源状況がよくないことから、今以上に漁獲圧を高めるべきではないということ、また、漁具を固定する漁法であるため、他の漁業者との調整が困難であるといったことから、海区漁業調整委員会で協議をした結果として、許可の増加要望には応じられなかったということでございました。

 いずれにいたしましても、地先の資源管理や漁業者間の調整を担当しておられる静岡県において、今後とも適切に判断は行われるものと考えておりますが、国としても、この状況を注視をいたしまして、必要に応じ、県からの相談には応じてまいりたいというふうに考えております。

小山分科員 今、シラスの不漁のお話をしておりますが、実は、シラス漁、漁業者さんが自分のところで釜揚げしたりとか干したりとかということをやる方と、漁業者さんから、シラスの加工専門でやっていらっしゃる業者さんという方々もいらっしゃいます。彼らも不漁によって大きな経営への影響が出ているわけですけれども、漁業者さんは漁業共済とか積立ぷらすなどの補償がありますけれども、同じように、ほぼ一心同体と言っていいようなシラス加工業者さんには同様の救済措置となるような制度がございません。

 ですので、なかなか、天然というか自然の影響、シラスの漁、不漁の影響を受けるわけですけれども、なかなかそういった補償措置がないということで非常に経営が苦しいわけですけれども、何らかの救済策、経営支援策が必要と考えますけれども、国の考えはいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、こうした資源変動や不漁の影響というものは、水産加工業者にも及んでいるという状況でございます。こうした水産加工業者に対しましては、日本政策金融公庫によりますセーフティーネット貸付資金による運転資金などの低利貸付けが措置をされているところでございますし、また、加工業者向けの独自対策としても、生産者や販売業者等と連携して、省人化、高付加価値化、原材料転換等の取組に対する支援を行っているところでございます。

 加工業者の皆様、例えば原料の仕入れ先を変更するだとか、あるいは他の原料の活用を検討するといったいろいろな取組もされておられるところでございます。引き続き、水産加工業者の方々の声も聞きながら、必要な支援を行っていきたいというふうに考えております。

小山分科員 済みません、最後にもう一問だけお願いします。

 シラスに非常に小さなフグの稚魚というか、フグが一緒に漁獲されることもありまして、これを取り除くのがなかなか大変だと。ただ一方で、フグというのは夏の貝を食べることによって毒を蓄えていくので、これほど小さいフグは貝を食べることができないので、だから毒性はないのではないかというような漁業者の声もございます。また、フグが、もし非常に小さい、三ミリとかのものが見つかっても、出荷したケースをかなり大量に回収をしなければいけないということで、そのことについての経済的な負担というのも大きいというようなことの漁業者からの声もあります。

 毒性のない、あるいは非常に少ないフグの混入については、今後、基準について検討していくというようなことも、基準の緩和を検討するというようなこともできないんでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 フグは、テトロドトキシンと呼ばれます毒を有することが知られておりまして、その毒化機構は十分に解明されておらず、毒力の強さはフグの種類と部位によって大きく異なり、個体差があることが知られております。また、フグの稚魚につきましては、親魚の卵巣に由来する毒を持つとの知見もございます。

 このようなことから、適切な取扱いがなされない場合、人の健康に極めて重大な影響を及ぼす可能性が否定できないため、現状では、シラス中に混入するフグについて、厚生労働省において回収の基準等を設けているわけではございませんけれども、小売販売されたシラス等に混入が認められた場合には、関係事業者において必要な範囲で自主回収等が行われている状況と承知をいたしております。

 なお、厚生労働省におきましては、令和六年度から八年度の厚生労働科学研究において、シラスへのフグ稚魚の混入状況や毒含有量に係る調査研究を実施し、更なる知見の収集に努めてまいりたいと考えております。

小山分科員 時間が来ましたので、終わらさせていただきます。

伊東主査 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木分科員 自由民主党・無所属の会の仁木博文です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣、これは通告になかったんですけれども、今、被災地の現場においては農家の方々も一生懸命生活されています。やはり農業というのは、種をまいて、そして作物が生育して、また収穫し、そして出荷して初めて所得、収入につながるわけでございまして、そういった現地、被災地における農業をされている方々への支援も改めて予算措置をお願いしたいと思いますが、それに関しまして何か、大臣、今の段階で答えられることがありましたら、お願いしたいと思います。

坂本国務大臣 できるだけ農業のインフラを整備をしたい。そして、今年中に、今年作付けられるものは作付けられるように努力をしていきたい。しかし、どうしても、これだけの被害でありますので、作付けられないものもあります。それは、長期的にあるいは中長期的に、しっかりと私たちが水田機能あるいは畑地機能も復旧復興してまいりたいと思っております。

 そして、作付できないところについては、既存の制度を活用して、何かを作付していただければそれに対して水田活用交付金的なものを支給するというようなことで対応してまいりたいというふうに思っております。

 しっかりその辺の収入は守っていきたいというふうに考えております。

仁木分科員 大臣、ありがとうございます。通告していなかったにもかかわらず、現地の被災者、特に農家の方に寄り添った御答弁、ありがとうございます。

 さて、本題に移りますけれども、大臣、水ですね。特に農林水産省、特に農業においては水というのは欠かせません。今回も、食料・農業・農村基本法の改正も予定されておりますが、農業を担っていく上で、植物、これは水と二酸化炭素を吸収し光合成をするため、水は必要不可欠というふうに考えます。

 そういったことも踏まえて、大臣、水の重要性について御答弁いただけたらと思います。

坂本国務大臣 水を一番蓄えるのは、やはり森林でございます。森林は、水資源の貯留の源泉でもございます。そして、洪水の緩和もいたします。そして、水質の浄化ということも機能を果たしております。

 そういうことで、水源涵養を始めとして、国土保全、地球温暖化防止、林産物の供給など多面的な機能を森林は有しているわけですので、水の、やはり資源を大事にするということからも、そしてカーボンニュートラル社会の実現ということからも、この森林というものは大事にし、そして水というものを大切にしてまいりたいというふうに思っております。

仁木分科員 水、特にその源は、大臣が今おっしゃったように森林にあると言っても過言ではないと思います。

 こういうことでいいますと、今回、現地においても水が足りないということで様々な問題がありましたし、古くは阪神・淡路大震災で水というものがライフラインという言葉の中に含まれました。まさに私たち生物は生きていく上で水は欠かせないということでございますが、大臣がおっしゃったキーワード、森林、山です。山があるから川があり、水があるというふうな形にも認識しております。私が今日の質問で主張したいのは、山、林野、そういったものに国民が目を向け、関心を持ち、そういったところへ投資していく、お金が行く、そういうふうな政治へ変えたい、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、これは次の質問ですけれども、水循環基本法が施行されて約十年がたとうとしておりますが、今日御出席の林野庁長官、この施行後、先ほど大臣がおっしゃった、水のキーワードである森林、森林はどのように変わったでしょうか。

 特に、私の地元四国で、徳島県なんですけれども、比較的民有林が多い、そういう山においては、昭和の初期のような、あるいは戦後間もないときのように、多くの広葉樹を杉、ヒノキとかに植林し直し、それが使えるのではないかという形で、山の価値が高かった時代がありますが、林業的な視点でいうと、外材依存になって、国産のそういう植林した木に、余り山に目が向けられなくなり、つまり、外材の方の需要が高まりました。結果として、今、主伐の時期を超えていますけれども、山が荒れております。

 それは、さっき言ったように、私が今日訴えたい、山に国民の関心が行くというふうなこととは裏腹になっているわけでございますけれども、先ほど、冒頭も質問しました、水循環基本法施行後、そして大臣がおっしゃった森林というキーワードの中で、どのように変わったと認識されているか、御答弁いただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員から水循環基本法のお話がございましたけれども、平成十三年に改正して成立しました森林・林業基本法がございまして、こちらの方では、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止等の森林が有する多面的機能の持続的な発展に向けて、適切な森林の整備、保全を図ることが位置づけられております。

 それで、委員が御指摘ございました、平成二十六年に成立しました水循環基本法は、こうした森林・林業基本法の規定ぶりも踏まえまして、流域における水の貯留、涵養機能の維持向上を図るため、森林整備等の施策を講ずるとされたところでございます。

 これらを踏まえまして、林野庁におきましては、森林の有する水源涵養等の多面的機能が将来に向けて持続的に発揮されるよう、保安林の計画的な配備やその適切な管理、間伐や路網整備等によります適切な森林整備等に取り組んでいるところでございます。

仁木分科員 ありがとうございます。

 先ほど長官がおっしゃった中で、森林の整備というワードがありました。私が先ほど、荒廃した森林、これは、竹林も荒廃しておりますが、やはり国民の関心が行っていない、イコール、お金がそちらに届いていませんから、整備をする人がいない、そういうふうな現実があるわけでございます。

 そういう意味でいいますと、改めて、今の現状、例えば、今、地方に行きますと、どこの地方でも問題になっていますのが、鳥獣対策、鳥獣被害です。長官、農水省として、あるいは長官の御見解として、山の整備ができていないことと例えば鳥獣が人里に出てくることというのは、リンクしていると思われますか。因果関係があるとお考えでしょうか。これはちょっと通告しておりませんが、お願いします。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員が御指摘のように山が荒れているわけなんですけれども、その原因となりますのは、山元の立木価格が低くなって人が山に入らなくなり、それで山を手入れする人が減ってきたという現実がございます。それから、地球温暖化の影響もあると思いますけれども、冬場の気温が高くなって、鹿なりそういった、鹿が冬を越せるようになって、それで鳥獣害が増えてきたというのが、林業界においての大きな原因だと思っております。

 そういう意味で、鳥獣害にも対応して森林整備をしていかなくちゃいけないということで、余計なコストが、鹿に植栽した苗木が食われないようにするということも必要になってまいりますので、植栽に対して更にコストがかかるような状態になっております。そういうことも含めまして、私ども、対応を迫られていると認識をしております。

仁木分科員 長官の御答弁は、因果関係があるというふうに私は受け取りました。

 今おっしゃった中で、地球温暖化、そして山に整備を施すことが重要だ、そのこともおっしゃいましたので、後で私が質問します森林環境税及び譲与税のありようというのは、その理念に沿った一つの解決策ではないかというふうに感じますので、お願いします。

 さて、大臣、実は、大切な水の源、大臣もおっしゃった森林ですけれども、最近、外国人や外国人に関係する企業が買っている。これは取りも直さず、将来的に水不足になるとかいうときに、場合によったら、私たち日本人あるいは企業が外国人から水を買わなければいけないようなことになるかもしれないということで、まさにこれは、安全保障あるいは最近の経済安全保障的な観点からいいましても重要なことだと思いますけれども、その辺の認識。

 そして、これは通告しておりましたが、防衛施設等々、そういった周辺の土地に関する売買に関する法律もありますが、こういった水源あるいは農地、そういったものに対する規制もある程度必要だと考えます。

 大臣、その辺に対する御見解、お願いしたいと思います。

坂本国務大臣 森林の取得につきましては、森林法におきまして、外国人や外資の割合等に対する規制は設けておりません。しかし、外国人等が森林を取得した場合も含めて、市町村への届出制度によりまして取引状況を把握するとともに、保安林や林地開発許可制度等によりまして、森林の有する多面的機能の確保を図ることとしております。

 農林水産省といたしましては、今後とも、森林法の適切な運用により、森林の保全管理に努めてまいります。

 なお、御指摘の外資規制の導入につきましては、制限目的の正当性、それから制限手段の必要性、合理性の観点から、慎重な検討が必要というふうに考えます。

 ただし、外国法人あるいは外国人と思われる者による森林の取得の事例というのは、これはしっかりと把握しているところでございます。

仁木分科員 大臣、私が今日、水に関して質問したのには理由がありまして、世界最大の農業生産国アメリカ、そしてその主たる農業の生産地帯でありますグレートプレーンズ、これはロッキー山脈の東側でございますけれども、主に地下水を利活用して農業を行っているというようなことがありますが、その地下水が枯渇してくるというようなことも情報が入っておりまして、恐らく五年以内ぐらいに水不足というものが世界的な問題になってくると思います。といいますのも、アメリカは、世界最大の農業生産国でありながら、同時に世界最大の農業輸出国でもあります。そういうことでいいますと、日本の水、農業に欠かせない水、これが非常に重要だということでございまして、私はそういう形で聞いております。

 今、大臣がそういうふうな形で、外国企業、外国人が水源たる林野、山を購入しているというふうなことに関しまして、規制のことも踏まえまして御答弁いただきましたが、実態をどのように国として把握されているか、これは通告していましたので、よろしくお願いします。

青山政府参考人 お答えいたします。

 外国資本によります森林取得に対する懸念の高まりを受けまして、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林取得について調査を行っております。平成十八年から令和四年までの累計で、三百二十件、二千七百三十二ヘクタールの森林取得が確認されております。また、国内の外資系企業と思われる者による森林取得事例としまして、同じく累計で、三百二件、六千七百三十四ヘクタールを確認しております。

 先ほど大臣の方から御答弁申し上げておりますけれども、森林法では、外国資本であるかにかかわらず、新たに森林を取得した場合は所有者に市町村に届け出るということを課しておりますし、所有者が取得した林地につきましては、一定規模以上を開発する場合は知事の許可とするほか、保安林を開発する場合は大臣による保安林指定の解除を要する等の措置を講じておりまして、森林の無秩序な開発等を防止しているところでございます。

 なお、外国資本が取得した森林につきましては、取得後も市町村を通じて継続的に状況確認を行っておりますが、これまで、地下水の取水や違法な開発等が行われた事例は報告されていないところでございます。

仁木分科員 御答弁いただきましたが、大臣、改めて、大臣も合理性そして正当性という言葉をおっしゃいましたが、これは、時系列では私は今把握していませんが、今後増えてくる可能性もあります、外国人の、いわゆる、農地のみならず、今回は山の取得でございますけれども。もしかしたら、潜在的に、数字に上がっていない形で、例えば、本来は外国人の言うような形の経営がなされる、運営がなされる会社だけれども、登記上、そういうふうな外国人のそういう形になっていないというふうな会社なり団体があるかもしれません。

 そういうことを踏まえまして、大臣、改めて、私は冒頭、水の重要性に関しまして、そのことを共有したつもりでございます。外国人の、そういった水源、私たちに欠かせない水のことに関して、この売買に関する制限、これはある程度必要があると思いますが、改めて、大臣、問いただしたいと思いますが、正当性、合理性、もっと戦略的な形での御答弁をお願いしたいと思います。

坂本国務大臣 農地や森林につきましては、外国資本が取得するか否か以前の問題といたしまして、農地は農地、それから森林は森林として保全管理していくことが重要であります。

 農林省といたしましては、農地法及び森林法の適切な運用により農林地の保全管理に努めてまいりますが、これをまた開発しようとすれば開発のときの規制がかかりますので、この辺はしっかりと守ってまいりたいというふうに思っております。

仁木分科員 もう少し踏み込んだ形の御答弁もお願いしたいと思いましたが、まさに、最近余り、極端な水不足とか、農業にも影響するほどのそういった水問題というのはここ十年ぐらい発生していないかもしれませんが、やはり、もっと前に遡りますと、平成でも私の隣の香川県でも水不足があったというふうに記憶しております。そういう意味で、やはり山の役割、水を涵養する山の役割というのは非常に大きいと思っておりますので、改めて大臣にお願いしたいと思います。

 さて、もう一問でございますが、最近、私も徳島県の場合に民有林が多いと申し上げましたが、所有者のはっきりしないような山があると思います。山の測量、境界の問題も含めて、今の現状についてどのようになっているのか、長官、御答弁いただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 林地における地籍調査の実施率というのは約四六%でございまして、林野庁では、地籍調査が行われていない森林において、森林境界の明確化を推進しているところでございます。

 林業・木材産業循環成長対策交付金のうち森林整備地域活動支援対策や、森林環境譲与税の活用など独自な境界の明確化によりまして、令和四年度は合計で一・九万ヘクタールの境界を明確化したところでございます。

仁木分科員 そうなんですね。やはり、様々な施策を実施しようにも、そこが公有林でない、あるいは民有林である場合、個人の財産のところにそういった施策が及ぶわけでございますので、やはりそういった、地籍ということをおっしゃいましたけれども、それはまだ五〇%を超えていないということでございます。これはかなり急がれてやっていただきたい。例えばドローンを使ったり、あるいはGPSを使ったり、様々な今のイノベーションのことを利活用されて進めていっていただきたいと思います。

 このことに関して、次の質問にも該当する森林環境税及び譲与税のことを長官もおっしゃいましたが、このことについて少し質問をしたいと思います。

 森林環境税の目的を私たちは共有しました、今日。それで、その森林環境税に関しまして、やはりこれは、例えばこの四月から千円多く支払うわけですけれども、そういった支払う人が多い都会というか山のない地域にいる方にとってみれば、本当に私たちが支払った税金がうまく使われているのか、まさに乗数というか、そういったものが担保されているのかということは大きな問題だと思います。そういう意味で、様々な数値、いわゆるパラメーターを設定して、森林環境譲与税の効果、SDGsに寄与するとか、あるいは森林整備を行って林業の効率化に寄与するとか、そういったことを示すことも、やはり納税に関しまして納得というふうなことがもたらされるわけで、大切なことだと思います。

 長官、私もレクのときにパラメーターがないということを聞きましたので、何か、譲与税が本格的に四月から始まりますので、これは自民党の税調の中でも、譲与税の五〇%だったいわゆる林野面積、そして二〇%の林業従事者、そして受ける自治体の人口三〇%という比率を、光合成する林野面積の五〇%を五五%にしました。そして、受ける自治体の人口を、その結果として五%減らし、二五%にしました。つまりこれは、そういった山の機能を分かった上での変更なわけですね。

 ですから、そういうふうなことでいいますと、人口の割合が減るということは、人口が多いところの自治体にとっては減収につながりますよね。その辺も踏まえて、長官、私が申し上げているパラメーターづくり、納税者にも理解していただけるような形。これは場合によったら、今千円ですけれども、そういったことが達成できるのであるならば、納得がいくのであるならば、千円が千五百円とかそういうふうに上げることも可能かもしれません。そういう意味で、ちょっとその答弁をお願いしたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 森林環境譲与税は森林整備のために使うわけでございますけれども、目的としては、森林の有する多面的機能をいかに維持させていくかということでございます。

 森林の有する多面的機能に関する目標につきましては、森林・林業基本計画で定めておりまして、森林環境譲与税の活用を含めた適切な森林の整備、保全の取組等を通じましてこれを達成していくということになっておりますので、譲与税のみの成果目標を設定するというのはなかなか難しいかなと思っております。

 一方で、委員が御指摘いただきましたように、森林環境税、令和六年から広く均等に御負担いただいて、森林環境譲与税として地方公共団体において活用していただく財源となりますことから、国民の皆様に森林環境譲与税の取組の成果を御理解いただくことは極めて重要だと考えております。

 このため、林野庁では、山林の維持管理を含む譲与税の活用事例や、譲与税による森林整備面積、林道の整備延長等の実績をホームページに公表するとともに、これらの成果につきまして、パンフレットを作成して配布をしたり、広報誌における関連記事の掲載などを行っておりまして、引き続き、広く周知に取り組んでまいりたいと考えております。

仁木分科員 名は体を表しますから、森林のみならず環境という言葉がありますので、やはりSDGs的な考え方も大切です。長官、森林の整備とおっしゃいましたけれども、結果的にそのことが、より二酸化炭素を吸収、固定する、いわゆるグリーンカーボンの整備につながるというふうに私は考えるわけでございまして。

 そういったことにおける、例えば、森林環境譲与税のみでない、山に対しての施策とは。もちろんです。そういう意味で、ほかのことも加味しながら、森林行政、林野庁の行政において何かそういった施策を講じて、ビフォー・アフターではないですけれども、経時的に、例えば、成長の速い、グリーンカーボンとしてより効果的な植生のある森林、あるいはそういった木が増えたとか、そして、よく環境省のデータでも、CO2の排出量とかそういうのが、内閣府でも上がってくると思いますし、それがどのように減ったとか、そういう変遷が数字的に分かることがあれば、私は、先ほど申し上げたように、都会の方の、主に山がない地域の方で納税者の国民に分かっていただけると思いますので。

 今、パラメーターを創設するかどうかということに関しましては明確な御答弁をいただけませんでしたが、改めてお考えいただきたいと思いますが、その辺に関していかがでしょうか。

青山政府参考人 マクロで見ますと、目標としては大きな目標がございまして、森林を整備するですとか、林道をどのぐらい整備するですとかございますけれども、委員がおっしゃったような視点、カーボンニュートラルでございますとか、生物多様性も含めまして、農林省で、みどりの食料システム戦略というのを作っておりまして、その中では、エリートツリー、速く育つ苗木、成長の速い苗木をしっかりと作っていくという短期的な目標を作っております。

 こうしたことを含めまして、しっかりと、森林整備、多面的機能の実現というものを達成していきたいというふうに思っております。

仁木分科員 今、国全体の行政として、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングということが言われております。これは何かというと、やはりエビデンスに基づいた政策立案、政策実施をやっていくべきだということでございまして、エビデンス、これは、イコール、データです、数字です。ですから、今、行政のデジタル化も進めようとされておりますので、やはりこの分野においてでも、先ほど長官もマクロと言いましたが、マクロというのもミクロの積み重ねでございますので、そのミクロの分野でやはりデジタル行政が生きてくると思いますので、何かこの際やはり、世界に向けても日本が、パラメーター、指標として示せるような、そういうSDGsに寄与する数値あるいは何か指標、そういうのも考えられて実施していくべきだと私は思います。

 ちょっと、これ以上ですと答弁がいただけないかもしれないので、次の質問に移りたいと思います。

 昔、西日本、特に、広葉樹が私の徳島県等は杉、ヒノキ、針葉樹に植え替えられて、今、花粉症対策で杉の森からほかのものへと転換する政策も言われております。この辺に関する形でいうと、特に広葉樹というのは比較的今まで予算が行っていなかったような気がしますが、その辺の事実関係を確認したいと思います。つまり、建築の資材となるような形の針葉樹の方が比較的予算が行っていたんじゃないかというふうなことを思っておりますので、長官、確認したいんですけれども、よろしくお願いします。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘がございましたように、これまで針葉樹が多かったというのは事実でございますけれども、造林事業等では、杉、ヒノキ等の針葉樹だけではなくて、広葉樹も同条件で支援をしております。そういう意味で、これまでも、年間約二千ヘクタール程度、広葉樹に対して植栽を支援するという形で政策を実施してきているところでございます。

仁木分科員 今日のテーマ、また一つの目標としまして、山のある地域、中山間地域にも十分なお金が入って、結果として仕事が生まれ、その周辺で暮らす人々がまた戻ってくるというふうなことが重要だということを私は指摘したいわけでもありました。

 本当に、消滅自治体という言葉がもう全国、地方においては現実味を帯びていまして、恐ろしい勢いで人口が減っています。そういった地域に本当に限られた資源をつぎ込んでいくのか、これは本当に難しいわけでございますけれども、このまま放置したのであるならば、今日お互い共有し合った水の重要性、そして、その大切な水を育む、涵養する森林が荒れ放題になってしまう、そういうふうな危機感から今日質問させていただいています。

 古くは、地方というのは山を有していまして、山の資源、燃料でいいますと炭とかそういったものを人口の多いところに売っていた時代、江戸時代もあったと思います。つまり、その地域外のお金がその地域に入っていったわけですね。ところが、特に戦後、私たちは原油を海外から輸入するようになり、こういった意味での化石燃料というものの購入によって、地方はお金を出すような側になってしまっています。

 そういう意味で、再生可能エネルギーの中でバイオマス発電とか小水力、特にバイオマス発電というのは、逆にそういったお金の流れをもう一度地方に呼び起こすような、そういう原動力にもなると私は考えるんですけれども、長官、このことについてどういう認識を持たれているか。そして、林野庁の分野で再生可能エネルギーはないかもしれませんが、やはりバイオマスエネルギーもまだまだポテンシャルが私はあると思っていますので、その辺に関しての答弁をお願いしたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 委員が御指摘いただきましたように、昭和四十年代までは薪炭材で木材のある程度が燃料として使われておりましたけれども、それ以降はしばらく燃料的な使用はなかったわけでございますが、平成二十四年にFIT制度ができました後、木質バイオマス発電の増加に伴いまして、国産燃料材の利用も進んでおりまして、国産材の供給量全体に占める燃料材の割合は、近年、令和四年において約三割となっているところでございます。

 木質バイオマス発電は、製材工場から出ます端材や建築現場から出る木材に加えまして、利用が低位な林地残材の用途として重要でございまして、林業の活性化や地域の雇用創出に寄与することから、林野庁としては、林地残材の効率的な収集運搬に資する移動チッパーや収集運搬車の導入支援等に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、このような取組を通じまして、国産の木質バイオマスの利活用を促進していきたいと考えておるところでございます。

仁木分科員 やはり、地域が栄えるためにはお金がその地域に入ってくるということが重要ですけれども、今の長官の御答弁で、そういった今荒廃しつつある日本の地方、山がある地域の将来にまだまだポテンシャル、可能性があることも感じました。そういう意味で、今日冒頭共有しました水の重要性、そして、水をつくる、水を育む山に対して国民がより関心を持って、山があるから水がある、そういうふうな形の山の政策、林野庁を主たる官庁としましたそういった政策がより形になって、国家が進んでいくような形であることを期待しまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊東主査 これにて仁木博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤竜祥君。

加藤(竜)分科員 おはようございます。長崎二区選出、加藤竜祥でございます。

 本日は、こうした質問の機会をいただきましたことに対しまして、まずもって心からお礼を申し上げる次第でございます。

 私の選挙区である長崎県は、離島、半島地域が多く営農条件が厳しい中にもかかわらず、早くから農地の基盤整備に積極的に取り組み、新しい技術を取り入れながら生産性向上に積極的に取り組み、多くの営農者の努力、工夫によって、ここ十年で農業生産額が一割程度伸びました。また、海に目を向けると、対馬や壱岐といった全国有数の漁場があるほか、有明海、橘湾、大村湾といった宝の海を有しております。まさに一次産業の振興が、私のふるさとの振興、発展に直結いたします。

 そのようなことから、今回質問の機会をいただきましたことに改めて大変ありがたく思いながら、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、食料安全保障についてでございます。

 さて、国際紛争や気候変動の影響で、食料をいかに安定的に確保するかが世界的に課題となっております。円安や物価高も重なり、飼料、肥料や資材等の確保にも影響を与えており、かつてないほどに食料安全保障の重要性を実感をいたしたところでございます。

 今国会では、農政の憲法と言われる食料・農業・農村基本法改正法案と関係法案が審議されることとなっております。国民に対して食料の安定供給を確保することは国の基本的な責務ですので、今回の改正案は、今後の国民の食と命に関わる極めて重要な法改正であると認識をいたしております。

 改正案は、食料安全保障に主軸を置きつつ、国内の農業生産の向上を図ることを基本として、これと輸入及び備蓄を組み合わせ、食料の安定的な供給を確保することとしております。

 安定的な調達のためには、輸入元の多角化や備蓄の充実も当然必要でありますが、どこの国も有事の際には自分の国の国民を守ることが最優先であることを考慮すれば、不安定な要素を否定し切れない輸入よりも、やはり国内での生産力を向上させることが第一であります。

 詳細は法案審議の場で検討していきますが、日本の限られた農地の中でいかに農地を有効利用し、担い手を確保して、生産性を向上するための確かな技術を育てていくのかが国内生産の向上のために必要であると思います。

 農地については、生産性を高め、増産するための目標である約四百万ヘクタールの生産基盤を維持するためには、圃場整備をしっかりと進めることが極めて大事であると考えております。

 担い手の確保については、現在百二十三万人の基幹的農業者の平均年齢は六十七・九歳であり、五十代以下は二〇%にすぎない偏った年齢構成の状況で、若い担い手をいかに育てられるか、いかに参入してもらうのかを考えると、農業を稼げる、もうかる農業にしていかなければなりません。

 技術については、少子化による人口減が明らかな状況下で、労働力不足が深刻化する中、少ない人数で効率的な農業ができる技術を開発、発展させ、スマート農業をどう確立していくかが問われております。

 このような厳しい状況の中で、我が国農政の根本理念となる農業の憲法を改正することは大変重大な意義があると考えております。

 大臣の所信や法案審議の前に大変恐縮でございますが、食料・農業・農村基本法改正法案審議に臨むに当たり、特に国内生産力の向上に向けた観点で、大臣の思いをお聞かせください。

坂本国務大臣 食料や農業そして農村の現状、我が国の現状というのは、今委員が御指摘のとおりでございます。世界の状況もそうでございます。

 気候変動、そして紛争、あるいは食料の争奪、そういうことで、好きなときに好きなだけ食料が輸入できる、あるいは手に入る、そういった時代ではなくなってきているという危機感を私たちは持たなければいけないというふうに思っております。

 その中で、我が国においては、農業人口の減少、農地の減少、そして集落機能の低下、こういったものが非常に心配されるわけでありますので、食料の安定供給を保つためにまずやるべきことは、自分の国で作れるものはしっかりと自分の国で生産をしていくこと、そして、足らざる部分については安定的な輸入ができるようにしていくこと、これが食料安全保障の強化を図ることにつながるというふうに思っております。

 ただ、農業人口も減少していきます。農村機能も非常に低下をしてまいりますので、担い手の育成そして農地の確保、そのためには、スマート技術の展開そして生産性の向上と、付加価値の向上、あるいは輸出による販路の拡大、そういうことによりまして食料の供給能力の確保を図っていくということが、今私たちの国に求められていることであるというふうに思っております。

 そして、政策を最終的に進める中で、環境と調和の取れた農業を振興すること、それから農地の適正な利用を図ること、そして、農で働くことが楽しく、やりがいがあるという気持ちをやはり皆さんたちが持つこと、さらには、国民の皆様に安定的に食料を届ける、これは中山間地においても、あるいは貧困に悩む子供たちに対しても、安定的に食料を届ける食品アクセスというものを確保すること、こういうことがこれから最も大事になってくるという思いで、食料・農業・農村基本法の改正案というものをこれから審議をしていただくということになっているわけでありますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 前向きな御答弁、これからもしっかりと、自分の国でできることは極力自分の国でできるような対策の方をよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、適正な価格形成についてお伺いをいたします。

 国内生産力の向上を図るため、強固な生産基盤を確立するためには、生産コストの上昇分を具体的に農産物価格に転嫁する仕組みが必要です。実際に営農している方に伺うと、生産資材価格の上昇に生産物価格が追いついておらず、作れば作るほど赤字がかさむといった深刻な事態が生じております。経営が安定しなければ、営農を継続する意欲もなくなります。

 農林水産省が発表した二〇二三年の農業物価指数は、生産資材全体で、二〇年を一〇〇として一二一・三となっており、統計を始めた一九五一年以降で最高の水準であります。特に、肥料、飼料は、二〇二〇年と比べて五割も高い状況でございます。

 コストが高くなったにもかかわらず、生産物価格は変わりません。この状況で最も恐れているのは、営農できなくなり、農業を諦める方が増え、ただでさえ減少傾向にある生産基盤を手放し、再生不可能となることです。これでは、国内生産の向上は不可能です。

 農家、農村を維持するため、さらに、持続可能な農業を実現するためには、農業所得を確保することが不可欠であるというのは言うまでもなく、更に一歩進めて、生産コスト上昇分を生産物価格に転嫁できる仕組みが必要なのは明らかです。

 また、食品企業による産地の囲い込み、系列化が進んでいくと、農業者の立場が弱くなります。再生産価格を保障するための指標を農水省が表すことができれば、適正な取引環境を維持することが可能と考えます。

 一方で、内閣府の調査によると、七割の人が、食料品の値上げについてある程度許容できると考えているという結果もあります。この結果は、少しずつではありますが、国民に、農家が置かれた状況への理解が進んできたのかと思います。

 もはや、農産物の価格転嫁は避けて通れない課題であると思いますが、どのように国民に理解を醸成していくのか、また、農産物価格の再生産価格の実現に向けて農林水産省はどのように考えているのか、お答えください。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 農産物あるいは食料の価格転嫁を進めていくためには、生産から消費に至る各段階の関係者の間で、食料の持続的な供給の必要性に対する理解が増進されますとともに、各段階の合理的な費用が明確化されるということが必要と考えております。

 このため、国民理解の醸成、それから、その先の行動変容を促す観点で、昨年七月からフェアプライスプロジェクトというものを開始をいたしております。この中では、生産者インタビューなどインターネット動画によります情報発信、あるいは体験学習イベントの開催、親子で学べるような動画コンテンツの作成といったような取組を行ってございまして、生産、流通に関する実態ですとか、生産コストが上昇しております背景、こういったものを消費者にも正確に理解していただけるように、分かりやすく伝えるための広報を行っているところでございます。

 また、食料の持続的な供給を行っていくというためには、各段階の関係者が協調をして、合理的な費用が考慮されるようにしなければならないと考えてございまして、昨年八月から、生産から消費までの各段階の関係者が一堂に集まる協議会を開催をして、議論を進めているところでございます。

 消費者を始めとする国民の理解が増進されますよう、引き続き関係者で議論を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。これからも、現場に寄り添った形での対応をどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、肉用牛生産基盤の維持についてお伺いをいたします。

 長崎県の農業生産額約一千五百億円のうち、肉用牛が占める生産額は二百七十五億円でございます。それは全体の約二〇%弱となっております。私の選挙区である壱岐も和子牛の一大産地であり、神戸牛、松阪牛として肥育農家に引き取られていくことは意外と知られておりません。また、長崎牛としてもブランド化に成功しており、長崎県の特産物として確固たる地位を築いております。

 しかし、現在、御承知のとおり、生産者の皆さんは、資材価格等が大変高騰をして、今深刻な影響を受けております。枝肉市場の急速な需要減による市場価格が下がり、肥育農家の投資意欲が鈍るなど、子牛価格が下がっていくという悪循環が生じており、生産者の意欲低下により肉用牛生産基盤の弱体化が懸念をされている状況が続いております。

 このため、令和五年冬、肉用子牛対策パッケージとして、六十万円の臨時対策を令和六年三月まで延長し、さらに、令和六年からは保証基準価格を八千円上げた上で、令和六年四月から令和七年三月、ブロック別平均価格が六十万円を下回った場合にも、飼養管理向上のための取組を実施する生産者に奨励金を用意していただきました。この事業が和子牛生産者の生命線になっております。

 和子牛価格や生産者の現状についての受け止め、畜産現場の生産基盤維持に向けてどのように考えているのか、農水省のお考えをお聞かせください。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 黒毛和種子牛の全国平均価格でございますけれども、昨年十月には五十万円まで下落しましたけれども、本年二月は五十七万円ということで上向いてきているところでございます。

 この価格の下落につきましては、物価上昇に伴う消費者の生活防衛意識の高まりによる枝肉価格の低下ですとか、配合飼料価格の高止まりによるコストの増大など、委員御指摘のとおり、肥育農家における素畜の購買意欲が低下していることが主な要因であるというふうに考えてございまして、子牛生産者にとって厳しい状況であると認識をしてございます。

 農水省といたしましては、子牛価格下落に対する支援といたしまして、肉用子牛生産者補給金に加えまして、委員が言及されましたとおり、今年度末まで延長することとした臨時対策を措置してございまして、例えば九州・沖縄ブロックにおきましては、令和五年度第二・四半期、第三・四半期共に八万円を上回る支援が発動するところでございます。

 また、来年度からは、これも委員御指摘のとおり、保証基準価格の引上げですとか、ブロック平均価格の動向によって定額の奨励金を交付する事業を措置するということとしたところでございます。これをしっかりやっていきたいと思っております。

 また、高齢の繁殖雌牛から生産された肉用子牛の方がより低い価格で取引される傾向がありますので、令和五年度補正予算におきまして、高齢の繁殖雌牛から若い繁殖雌牛への更新を支援をして、優れた子牛の生産を推進することとしております。

 これらの対策によりまして、引き続き、子牛生産者の経営をしっかりと支えて、肉用牛の生産基盤を維持をしていきたいというふうに考えてございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 そしてまた、肉用牛の価格を維持向上させるためには、需要を喚起していく必要があります。外国人観光客も増加をしておりますので、潜在的な需要はあると思います。そういった需要を掘り起こし、開拓をしていくことが、これから極めて重要になってくるかと思います。

 私の地元の肉用牛生産者からも、消費拡大に向けた強い後押しをお願いしたいと切実な要望を受けております。農水省や国には、あらゆる場面で国民の皆様方へ、国産牛肉を購入し、食べていただくことを呼びかけていただきたいと考えております。

 国を中心に、官民一体となった需要喚起に向けた対策をどのように取っていくのか、お伺いいたします。

渡邉政府参考人 お答えをいたします。

 和牛生産の持続的な発展には、御指摘のとおり、国内外の需要の開拓が極めて大事であるというふうに考えてございます。

 このため、オール・ジャパンのプロモーションや産地主導で取り組む新たな商流の構築ですとか、輸出認定食肉処理施設の増加に向けた施設整備ですとか認定の迅速化などを強力に推進しているところでございまして、二〇二三年の牛肉の輸出実績は、対前年比一一一%の五百七十八億円と過去最高となったところでございます。

 加えまして、令和五年度補正予算におきまして、和牛肉の販売拡大や販売方法の多様化による需要開拓の取組ですとか、和牛肉関連イベントなどにおける消費拡大、消費者理解の醸成、またインバウンド消費の喚起の取組といったようなことを支援をすることとしております。

 引き続き、官民一体となりまして、和牛肉の国内外の需要の喚起を強力に進めていきたいというふうに考えてございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。これからもしっかりと、どうぞ取り組んでいただくことを切にお願いを申し上げます。

 続きまして、物流二〇二四年問題についてお伺いをいたします。

 私の地元長崎県の営農者が大変懸念をしている問題が、今申し上げました物流二〇二四年問題です。四月から始まるトラック運転手の労働時間規制強化に伴い、輸送力の大幅な低下による物流の停滞が危惧をされております。

 長崎県は九州の西の果て、東京の中央卸市場まで一千三百キロ、十九時間かかります。トラック運転手は高齢化が深刻であり、ドライバー不足、労働時間の問題も加えると、今後は輸送手段を確保すること自体が大変厳しくなり、輸送コストも増加することが明らかとなっております。

 冒頭申し上げましたとおり、長崎県では、圃場整備や機械化、スマート化といった、いち早く取り組んだ農家が多くいらっしゃる中、生産性が向上し、生産量が大変増えております。しかし、物流の問題やコストの増加により、長崎県で作った農産物が市場に出回りづらいということは、あってはならないことだと考えております。

 もちろん、物流の問題は、農水省だけではなく、国交省、経産省とともに考えるべき問題であると認識をしておりますが、農畜産物の物流の問題は、食料を国民に行き届ける責務に通じることから、食料安全保障につながる問題であると認識をいたしております。

 また、物流コストが上がった分を生産物に価格転嫁できるかという問題にもなります。物価高騰に苦しみながら、生産力を上げるために努力している地方の営農者お一人お一人の力ではいかんともし難い問題であり、農水省が司令塔となって解決すべき問題であると思います。

 農水省でも、青果物流通の標準化に向け、荷主、卸売団体、物流事業者等から構成される青果物流通標準化検討会を設置し、青果物流通標準化ガイドラインを作成し、青果物流通の効率化に向けて取り組んでいると認識をいたしております。

 間もなく二〇二四年四月を迎えますが、農産物輸送の効率化に向け、取組状況をどのように認識しているのか、また、今後の農産物の物流効率化に向けて、どのように支援体制があるのか、御所見をお伺いいたします。

宮浦政府参考人 お答えいたします。

 物流の二〇二四年問題、まず取組状況でございますが、昨年六月、国土交通省それから経済産業省も入りました、関係省庁一体となりました物流革新に向けた政策パッケージというものが取りまとめられてございます。この中では、商慣行の見直し、あるいは物流の効率化、荷主、消費者の行動変容、こういうものを促す施策を総合的に推進するというふうにしているところでございます。

 農林水産省におきましては、昨年末までに、五十を超える農業団体、食品製造業団体、食品卸売業団体、食品小売業団体などにおきまして、業界、分野別の自主行動計画というものを策定をいただいてございまして、この政策パッケージの効果が速やかに出るように、着実に取組を進めているというふうに認識をしているところでございます。

 それから、物流コストの上昇に対する支援についてでございますが、令和五年の三月に、委員御指摘のございました青果物流通標準化ガイドラインというものを、関係業界、私ども行政と一緒に策定をいたしてございます。

 この二〇二四年問題というのは一過性の問題ではないという認識の下に、共同物流拠点の整備を通じた荷物の集約あるいは大ロット化を進めるといったことですとか、標準仕様パレットを導入いたしまして荷積み、荷降ろしを効率化するといったことですとか、納品伝票の電子化など、ICT、AIを活用して業務の省力化、自動化を図るといったことを推進しているところでございます。

 最後に、農産物の物流効率化に向けた支援体制についてでございます。

 全国各地、各品目それぞれの農林水産業者の方々の取組の後押し、あるいは負担軽減を図りたいということで、昨年十二月に、大臣を本部長といたします農林水産省物流対策本部というものを設置をいたしました。この下では、農業団体、食品産業団体のほか、物流団体の協力も得まして、現場でどのようなことが課題になっているのか、相談を受けたり、問題解決に対応するという体制を整えているところでございます。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 これからも、地方で努力をしている生産者の声を反映した政策決定をしていただきますように、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、クロマグロの資源管理についてお伺いをいたします。

 私の選挙区である対馬、壱岐には、全国に誇る漁場があり、イカの好漁場として知られ、季節に応じてケンサキイカやスルメイカの漁が大変盛んです。薄暗くなると沖合に漁船が集まり、集魚灯でイカをおびき寄せる。対馬市厳原町の漁火公園は、その名のとおり、いさり火を眺望できる絶好のスポットになっております。

 しかし、沿岸漁業の漁師の皆さんに聞くと、イカ漁は深刻な不漁に陥っているとのことでした。理由は、クロマグロが増え過ぎて、餌としてイカを追いかけるので、イカがいなくなってしまったそうです。

 国際的にクロマグロの個体が少なくなっていることで、全国の漁業者の経営努力の下、厳しい資源管理に取り組んでおります。その成果もあって、近年、クロマグロの個体数も増えてきました。それどころか、数が増え過ぎて、他の魚種に大変深刻な影響を与えているということになっております。

 厳しい資源管理により、クロマグロがかかったとしても逃がさなければいけない。沿岸漁業者にとって、クロマグロは収入にならないばかりか、網や仕掛けが壊される。本来の漁業も不漁で海に出られない。これが沿岸漁業の現実でございます。

 水産庁は、二〇二四年の漁獲枠の国内配分を決定いたしました。市場価値が高い三十キロ以上の大型魚では、国が管理する沖合漁業に四千八百二十・二トンを振り分けたのに対し、各都道府県での沿岸漁業分は一千七百四十五・九トンと、差が大きいものでございます。水産庁は、沿岸漁業者から不満を訴える声も出ている状況を認識いたしているでしょうか。

 沿岸漁業者から、クロマグロの資源管理を開始するときに、まき網の方が強くて、元々、資源が減ったのは、まき網のこれまでの漁獲が多かったためであり、国が国際交渉の結果として枠を増やし切れないならば、責任を取って、まき網の枠を沿岸漁業分に持ってくるべきではないかという声もございます。

 水産庁は、クロマグロの資源管理に関して、沿岸漁業との関係についてどのように考えているのか。沿岸漁業へ手厚く配分することはできないのか、対策をどのように考えているか、御所見をお伺いをいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 クロマグロの資源管理につきましては、国際機関で決定された管理措置を踏まえ、厳しい管理を国全体で行っております。

 資源管理には、沿岸漁業者も含め、全ての漁業者の協力の下で取り組む必要がありますが、漁獲可能量の配分については、水産政策審議会で取りまとめた配分の考え方に従って、沿岸漁業へ配慮しながらの配分というのを行ってきているところでございます。

 また、枠の遵守のための放流への御言及もあったところでございますが、国としては、沿岸漁業者の放流の取組への支援や混獲回避のための機器導入支援も行っているところでございます。

 沿岸漁業者を含めまして、関係者が資源管理にこれまで努力していただいた結果、クロマグロ資源は回復傾向にありまして、二〇二二年の漁期には大型魚の増枠が実現したというところでございます。

 農林水産省といたしましては、引き続き、沿岸漁業への配慮等も行いながら、適切な資源管理に努めてまいりたいと考えております。

加藤(竜)分科員 ありがとうございました。

 食料安全保障が今最も注目をされている中、食料供給基地としての役割を果たしているのが地方の一次産業であり、そしてまた、これをいかに育て、そして守るかが、極めてこれから注目されると思います。食料供給基地としての地方の農林水産業を発展させることが食料安全保障の確立に重要であり、それが地方の発展にもつながると考えております。

 委員会質疑の場で何度も申し上げておりますとおり、地方は大変過疎化が厳しくなる中でも、いち早く私の地元は農地基盤整備等に積極的に取り組んで、生産性を大きく向上し、そして所得も大変増加をいたしております。そしてまた、そのことがつながっていき、若い担い手が育ち、地域の出生率も大変上昇をいたしました。

 食料安全保障は、国民に食料供給をするというばかりではなく、地方創生、少子化対策にもつながる重要政策であることを認識をしながら、これから私もしっかりと法案審議に臨みたいと考えております。

 本日は誠にありがとうございました。

伊東主査 これにて加藤竜祥君の質疑は終了いたしました。

 次に、三反園訓君。

三反園分科員 鹿児島二区選出の三反園訓でございます。

 今回は、こういった質問をする機会をいただきました。心から感謝を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。

 まずは、若手農家への支援についてお聞きしたいと思っております。

 私は、日本の農業はどうなっていくんだろうかと非常に危機感を持っております。鹿児島は、農業は主要産業でありますけれども、農業を取り巻く環境も非常に厳しくなっております。平均年齢が六十八・七歳、そして、このままいきますと、農業従事者百十六万人が、二〇四〇年には三十万人になってしまう。人は食べていかなければなりません。生活する上で、食べていくことが一番重要であります。そういった中で、カロリーベースで食料自給率も三八%前後を推移しているわけであります。

 坂本大臣にお聞きします。

 こういった農業を取り巻く今の現状についてどのようにお考えか、御認識をお聞かせ願えればと思います。

坂本国務大臣 現状、今委員御指摘のとおり、非常に厳しいものがあるというふうに思っております。そういうことで、今回、食料・農業・農村基本法、これの改正をしなければならないというふうに思っております。

 その中で、一番大事なことは、委員御指摘のとおり、若い人たちにやはり就農していただくこと。それは、男性だけではなくて女性も農業に参入していただく、そういう環境をつくり上げること。それを制度的に、今、若手の就農に対する支援制度、こういったものをやはりしっかりと確保しながら支援していくことによって、やりがいがあり、楽しく、そして自らの使命感も持つ、こういう農業を是非若手の皆さん方にやっていただきたい、そのための支援をしていきたいというふうに思っております。

三反園分科員 ありがとうございます。

 私も全く同感であります。若い農家の方々をいかに増やしていくか、危機感を持ってやはりこの点を取り組んでいく必要があるというふうに思っております。

 鹿児島も全国二位の農業産出額を誇りまして、若い方々も非常に本当に頑張っております。鹿児島は、御存じのとおり、畜産、そしてお茶、サトウキビ、サツマイモ、その他たくさんの農業に従事している方がいらっしゃいます。

 私は、日頃から若い農家の方々と現場で懇談をずっと重ねてまいりました。本当によく頑張っているわけでありますけれども、現場の声を聞くと、非常に厳しい声もたくさん聞きます。農業をやっていて休みがない、プライベートがない、そして学校の参観にも出られないとか、肥料、飼料が上がっているにもかかわらず野菜の値段は上がらないとか、たくさんそういう声も聞かれるのもまた現実であります。

 ただ、若い方々が頑張っている、頑張っている方々がやっていける農業にしなければならない。そしてまた、頑張っていけばきつくても夢が持てる農業にしていかなきゃならない、そういうふうに思っております。そのためにも、現場の声を聞いて、頑張っている人たちの声を聞いて、それによって支援策をどんどん決めていく、それが大事ではないかなというふうに思っております。

 現場に寄り添った支援策、これについてどのように今後進めていかれるか、その点についてお聞き願えればと思います。

舞立大臣政務官 ありがとうございます。

 若い就農者の育成、確保に向けては、就農希望者が安心して就農し、将来の希望を持って営農できるように、地域の様々な関係機関が連携して、総合的に支援していくことが重要と考えております。

 鹿児島県の志布志市で、行政とJAが連携して公社を立ち上げて、平成八年から新規就農者の育成を開始して成果を上げている事例など、各地で行政とJA等々が連携して様々な取組を進めておりますが、農林水産省といたしましても、この取組を全国展開すべく、研修農場の整備ですとか、就農相談員の設置、先輩農業者による技術指導など、地域におけるサポート体制の充実を支援しているところでございます。

 これに加えまして、就農前後の資金の交付、機械、施設等の導入の支援等の総合的な支援を引き続き着実に実施するとともに、今後も、先生御指摘の内容や現場の声を踏まえつつ、若い方々に農業を職業として選択していただけるよう、最大限努めてまいります。

三反園分科員 ありがとうございました。

 若い方々もそういった支援を求めているというふうに思います。改めて現場の方々と懇談していただいて、若い、頑張っている現場の人たちの声を聞いた上での支援策をどんどん進めていただければ、本当にそういうふうに思っております。

 若い方々の声を聞くと、やはり農業を始めようと思うと初期費用がかかる、初期投資がかかるという声は聞きます。今、農水省の方でも様々な支援策を決めて、令和四年度からもそうでありますけれども、そして、認定して支援をしているわけであります。今、認定して、認められて支援を受けている方々は毎年二千人ぐらいなわけでありますけれども、ただし、四十九歳以下の新規就農者は毎年一万六千人から一万八千人いるのも、これが現実なわけであります。ただ、支援を受けられるのが二千人ということでもありますので。こういった方々の声を聞くと、申請するのが非常に複雑で難しい、だからもう申請しないという声もよく聞くわけであります。

 そういったことから考えますと、営農指導員という方々がそこにいるわけでありますので、営農指導員の方々の下で一定期間学んでいただいて、その方が、この方は志もあるよ、農業に関してやっていけるよというお墨つきを与えれば、その支援を、資金面での支援をして、そして新規就農ができる、そういう体制に変えていく必要があるのではないかな、そういうふうに思っております。

 また、畜産に関して言えば、初期投資がすごくかかります。畜舎も造らなきゃいけない。しかし、最初、やろうとしたら、自分の限界では本当に十頭か二十頭というのがもう本当に限界である。そうすると、当然のことながら利益が出ないということにもなっていくわけでありますので。

 今、坂本大臣の地元では、畜産クラスター協議会というものを設置して、そこで資金面、そして相談事とか、すごくうまくいっているということでもありますので、そういった畜産クラスター協議会を全国にもっと広めていただいてうまくいくと同時に、そのほかについても、先ほど言いましたけれども、営農指導員というのを活用して、お墨つきを与えて資金面での援助が受けられやすいような、つまり、新規就農がしやすいような、そしてまた、農業を始めた後にいろいろな困難もある、相談したいという声もありますので、相談を身近に受けられるような、そういった体制を構築していく必要があると思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

舞立大臣政務官 新規就農者への資金面の支援ということでございますが、国民の皆様から集めた貴重な税金を投入する以上は、やはり将来の例えば地域営農の中核となる担い手候補といたしまして、市町村から青年等就農計画の認定を受けた認定新規就農者を対象としているところでございます。

 手続が複雑で難しい等々、いろいろと御指摘があるところでございますが、この計画につきまして、円滑に新規就農者の方が作成できるように、市町村等の関係機関によります指導助言に加えまして、計画作成の指導助言を行う就農相談員の設置の支援等を行っているところでございます。

 一方で、様々な御指摘、課題は伺っておりますので、こうした声をしっかりと受け止めながら、今後も若い世代の新規就農者を育成、確保できるよう、制度の円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。

三反園分科員 ありがとうございます。

 相談指導員の方々に対して、いつ、どこに行ってそういう方と相談できるのかとか、そういったものの周知というものもすごく大事だと思いますので。そういった制度があればそれでいいということではないという形の中で、農水省の方々が一生懸命努力していただいていることは本当に承知しております。だからこそ、逆に言えば、たくさん新規就農をやろうという方々がいることもまた事実でありますので、Uターン、Iターンもそうでありますけれども、是非、現場の方々が、農業をやろうという方々がやれるような、そういった体制を現場の声を聞きながらよろしくお願いできればな、本当にそういうふうに思っております。

 先ほども言いましたけれども、若い人たちの声を聞くと、休みがないとか、きついとか、いろいろ様々な声が聞かれるわけでありますので、だからこそ、農水省が今進めておりますスマート農業をもっともっとやはり推進していく必要があるというふうに思っております。

 私が知事のときにもスマート農業を推進していて、子供の運動会に出られないという方々が、運動会に出ながらスマートフォンでハウスの水と温度の管理をそこでやって、運動会に出られるということにもなっております。

 ただ、スマート農業を推進しようと思うと、やはりお金がかかることもまた事実であるわけであります。そういった点から、農水省が今進めておりますスマート農業技術開発、実証、実装プロジェクトというものがあるわけでありますので、是非これをもっとたくさん認定していただいて、進めていっていただければなというふうに思います。

 私の地元である指宿、指宿はオクラの生産量が日本一なんです。ただ、オクラは、御存じのとおり、すごく収穫に手間がかかって重労働なんですね。午前一時から収穫を始めるわけであります。そこで、県が主体となりまして、今、オクラの収穫機械を作製しているわけであります。これは地元の方々の強い要望があって今進めているわけでありまして、こういったことでありますので、是非このプロジェクトで認定していただいて、そういった活動もどんどん支援していきながらスマート農業を推進していっていただければな、そういうふうに思います。

 スマート農業を推進することによって、農業のイメージが変わる。農業のイメージが変われば、新規就農者が増えるということにつながっていくと思いますので、是非、こういったスマート農業を推進し、この認定プロジェクトもそうでありますけれども、どんどん活用していただければと思いますけれども、この点について、今後について農水省のお考えをお聞かせ願えればと思います。

舞立大臣政務官 スマート農業の推進につきましては、人口減少下で生産水準の維持できる生産性の高い食料供給体制の確立のため非常に重要と考えておりまして、これまで全国二百十七地区で実証プロジェクトを推進してまいりました。近年、予算も着実に増やさせていただいているところでございます。

 その結果の中で、労働時間の削減により家族で過ごす時間が増加する等の効果があった一方で、やはり見えてきた課題といたしまして、野菜や果樹の収穫など、人手に頼っている作物で農業技術、スマート技術の開発が不十分な領域があり、開発の促進を図る必要がある。そして、やはり御指摘の、スマート農機等の導入コストが高く、また、それを扱える人材が不足している。はたまた、従来の栽培方式にスマート農業技術をそのまま導入しても、その効果が十分に発揮されない等の課題があるところでございます。

 このため、令和四年度より、野菜、果樹等の開発が十分でない品目、分野のスマート農業技術の開発を推進する事業を実施しているほか、昨年の十二月に決定されました新たな展開方向に基づく具体的な施策の内容に即しまして、スマート農業を振興する新たな法的枠組みの創設に向けて、今国会に法案を提出するべく検討を進めているところでございます。

 スマート農業技術の開発につきましては、国主導で実装までを想定した重点開発目標を明確にした上で、農研機構の施設供用等を通じた産学官連携の強化によりまして研究開発等を促進することといたしておりますので、これまで以上にまた取り組んでまいりたいと考えております。

三反園分科員 ありがとうございます。力強い御答弁をいただきました。

 やはりスマート農業をどんどん推進していくことによって、課題があっても、そこで終わりではなくて、課題を解決していって、それをどんどん推進していくことによって農業を変えていく、日本の農業は変わっていくということにつながっていくように、よろしくお願い申し上げます。

 次に、離島の農業についてお聞きしたいというふうに思います。

 離島の方では農業が主要産業でありまして、農業で生活をしている方が本当にたくさんいるわけであります。ただ、離島という条件不利性の中で、非常に厳しい状況の中で農業をやっている方もたくさんいるということも事実であります。サトウキビに関しましても様々な支援を受けておりまして、この点に関しましては現場の皆様方も非常に感謝しているわけであります。

 ただ、畜産に関しましては、今日もいろいろと出ておりましたけれども、子牛の競りに先日、徳之島に行きましたら、三十万円台がたくさん出ておりました。離島は移送費もかかるということもありますので、離島ならではのハンディの中での支援策が何かできないかなというふうにも思っているわけでございます。是非、離島の農業への支援策についてお考えいただければな、そういうふうにも思っております。

 また、先般、さきに坂本大臣におかれましては、大臣になられる前に奄美大島を訪問していただきました。本当にありがとうございました。そして、奄美大島の若手の農家の皆さんとも懇談していただいたわけであります。若い方々も非常に頑張っているわけでありますので、離島の農業がやっていけるように、そして主要産業の農業で生活が維持できていけるように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、坂本大臣に、離島を視察したときの感想と、そして離島の農業への支援についてお聞きできればと思います。

坂本国務大臣 昨年の十一月、委員も一緒でございましたけれども、奄美群島日本復帰七十周年に、私は自民党奄美振興特別委員会の事務局長として、森山裕委員長に同行して行きました。

 そして、農業現場を視察させていただきましたけれども、やはり奄美ならではの農業が行われているということで驚きました。

 奄美のかんきつ、タンカン農家の三代目の平井孝宜さん、この方は、生産の九五%をもう全国の固定の契約の消費者の皆さんにずっと郵送していらっしゃいます。そして、それだけに、やはり品種改良を自らずっとやっている。そして、台風に左右されない圃場、樹園地、こういったものをしっかりとつくっていらっしゃる。さらには、もう四代目もそこに座っているというような姿を見ました。

 もう一人は、農林水産省のキャリア技術者でした林晋太郎さん。アフリカの勤務のときにマダガスカル島に行って、アイスクリーム等のやはり香辛料の原料であるバニラビーンズというのを発見、魅入られました。そして、これは日本国内では作られていない、奄美では作れる、そういう思いで、役所を辞めて、そして自分のふるさとの奄美へ帰って、バニラビーンズに魅入られた、バニラビーンズの栽培をそこでやって、御夫妻でやっておられました。去年、あと二年したら全国に出荷ができるというふうに言われておりましたので、もう来年は出荷されるんだろうというふうに思います。

 このように、自分がやりたいことを、そして楽しく、やりがいを持って、その地でしかできないものを作る、そして全国の皆さん方にそれを食していただく。そこにやはり、改良もするだろうし、技術革新もあるでしょうし、さらには消費者に対する様々なサービス等、経営判断もいろいろな形で出てくる。まさにこれから私たちがやろうとしている農業の姿がこの奄美の中にあるというようなことで、感服をいたしました。

 そういうことで、やはり離島における、あるいはその地におけるそれぞれの支援というのはしていかなければいけないということをつくづく思ったところであります。サトウキビのように、各地域におけます重要な作物への生産支援、さらには、離島であるからこそハンディキャップもありますので、各種事業の国の負担割合の引上げ、こういったものを着実に実施をしながら、関係省庁とも連携して離島農業を支援してまいりたいというふうに思っております。

三反園分科員 ありがとうございました。

 離島の皆さん方も、一生懸命また頑張ろうという気になっていただいたというふうに思います。引き続き、離島の農業への支援、よろしくお願い申し上げます。

 そしてまた、農業への質問の最後に、今日は若い農家の皆さん方への支援について質問させていただきましたけれども、本当に、若い方々は農業の未来を考えて、夢を持って頑張ろうという方々もたくさんおります。こういった方々をどんどん後押しして支援をして、頑張れば何とかなるという農業の姿をもっと支援しながら形作っていく必要があるのではないかな、そういうふうに思っております。

 夢のある、将来が見通せる農業にするためにも、是非大臣の方から、日本の農業は今後こうなる、こういうふうになるからという強いメッセージを、一緒になって取り組んでいくというメッセージをお願いできればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

坂本国務大臣 農業は本当に重要であると。皆さんたちに命の源である食料を供給する、やはり最もやりがいのある、使命感を持った産業である。そして、自然を相手に楽しくやれる。そして、言いましたように、やはりその地にしかできない、自分でしかできないものを作る、そのことによって技術革新を自らして、努力をして、所得も自然と増えていく。

 農業をやっていればやはりしっかりと所得を確保することができる、そういう農業でなければならないというふうに思いますので、今回の食料・農業・農村基本法の改正等を中心といたしまして、これからのしっかりとした、若者が参入できる日本の農業というものをつくり上げてまいりたいというふうに思っております。

三反園分科員 ありがとうございました。

 次に、道路整備について質問させていただきます。

 やはり農業でも物流というものが大事でありますし、今回の地震でもそうでありますけれども、防災の面からも、道路を整備する、本当に早期に整備することが非常に重要だと思っております。道路予算を確保しながら、強靱化、道路整備に取り組んでいただきたいと思っております。

 私の地元である鹿児島でも、鹿児島市と指宿を結ぶ国道二百二十六号線があるわけでありますけれども、ここは、横は海、それで反対側は崖という、しかも曲がりくねっていて非常に危険な道路でありますけれども、しかし、鹿児島と指宿を結ぶ主要道路で交通量が非常に多い。喜入防災という形の中でようやく今始まろうとしているわけでありますので、こういった国道二百二十六号線、やはり今回の地震もそうでありますけれども、災害はいつ起こるか分からない。早期整備について、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、道路は縦軸と横軸があって初めて機能するわけでありますけれども、薩摩半島には横軸が実はないんですよね。薩摩半島横断道路の早期整備、これも必要だと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。

こやり大臣政務官 三反園議員、先生御指摘のとおり、防災あるいは交通安全性の向上の観点から、国道二百二十六号喜入防災の整備は重要であると考えております。このため、令和四年度に喜入地区の延長二・二キロメートルを国道二百二十六号喜入防災として事業化をし、今年度は地質調査、道路設計を推進しているところでございます。引き続き、しっかりと取り組んでまいります。

 また、薩摩半島横断道路につきましては、広域道路ネットワークの機能強化が図られ、薩摩半島全体の交通利便性や周遊性の向上、あるいは先ほども御指摘ありましたような災害時のリダンダンシーの確保などの効果が見込まれると考えております。

 既に、令和三年に鹿児島県が策定した新広域道路交通計画におきまして、構想路線に位置づけられているところでございます。

 現在、鹿児島県が中心となり、地域の現状や課題について検討を行っているものと承知しております。

 国交省といたしましては、引き続き、県あるいは関係自治体としっかり連携をしながら、必要な道路ネットワークの機能強化を進めてまいりたいと思います。

三反園分科員 ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 次に、奄振法の改正についてお聞きしたいと思います。

 離島の皆さんとよく懇談をするんですけれども、ガソリン、先日、沖永良部へ行ったら百九十円ぐらいだということでもありますし、生鮮食料品は輸送費がかかって非常に高い。全て、本当に物が高い。でも、所得はなかなか、低いまま推移している。主要産業は農業だけれども、今農業は厳しくなっているという状況の中で、離島の皆さん方は本当に一生懸命、生活のために頑張っております。

 そして、その生命線がこの奄振法であるわけであります。奄振法によりまして、道路の整備、港湾の整備、様々なことを、インフラ整備もやってまいりました。しかし、これからがすごく大事なわけであります。港湾を整備しなければ生活物資が届かない。まだまだやらなきゃならないことがたくさんあります。

 今回の改正案におきまして、様々な支援策も本当に決めていただきました。ありがとうございます。農産物の輸送費支援に関しまして、鹿児島だけではなくて、沖縄との交流支援策も、輸送費の支援も決まります。そしてまた、住民の航路、航空路運賃、沖縄との間でも軽減が図られることにもなりました。

 世界自然遺産に、沖縄と一緒に、奄美群島、奄美大島が登録されたわけでありますので、今後は奄美との交流を盛んにすることによって農業、観光を推進していく、非常にこれからの十年が重要な十年になるわけであります。

 その点に関しましても、この奄振法の改正案は生命線でありますので、是非早期成立していただきまして、そしてまた予算を確保していただければな、本当にそういうふうに思っております。今後十年のためにも、改正案が成立した後も予算を確保していただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

こやり大臣政務官 先ほど坂本大臣とのやり取りもありましたけれども、私も昨年十二月に奄美群島に訪問させていただきまして、日本復帰七十周年記念の集い、あるいは島民の方々とちょうちん行列にも参加をさせていただきました。空き家の活用あるいは沖縄との連携に取り組んでいる事業者の方々、若い移住者の方々と意見交換をさせていただき、何よりも地元あるいは移住者の方々の熱い思い、熱意を感じさせていただきました。

 国交省といたしましても、このようなポテンシャルを持つ奄美群島の振興を引き続き図るため、国の支援を継続、強化することとしております。

 このため、今回の改正案では、法期限の延長に加えまして、法目的に奄美群島への移住の促進を盛り込むとともに、地元からも強い御要望をいただいておりました沖縄との連携を基本理念に追加することとしております。

 さらに、令和六年度予算案におきまして奄美群島振興交付金を拡充をし、空き家を活用した移住者向けの住宅整備、あるいは沖縄との人流、物流に関するコストの軽減にも対する支援を盛り込んでいるところでございます。

 御地元の皆様の思いをしっかりと受け止めながら、引き続き、改正法案の早期成立に向けて取り組んでまいります。

三反園分科員 ありがとうございました。

 奄美群島の皆さん、本当に、この奄振法を使いながら、条件不利性の中で、頑張って早く自立をしていきたいという思いがたくさんあるわけであります。しかし、自立するためにも、この奄振法の改正案をしながら、予算の確保が必要でありますので、是非、奄美群島の皆さん方の思いに応えていただきますように、ひとつよろしくお願い申し上げます。

 観光も農業もそうでありますけれども、自分たちで頑張っても、本当に頑張っても頑張ってもできない、越えられない一線というものがありますので、そういった面から含めまして、今回は、沖縄に農業で産出したものを運んで、そしてそれから、沖縄から世界へ、日本へ、輸出、そして運んでいくというようなこともできるようになりましたので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、介護報酬についてお聞きしたいというふうに思います。

 人はみんな年を取っていくわけであります。年を取ったときに、本当に必要な介護が受けられる体制にしていかなければならない、そういうふうに思います。現場の介護の方々の話を聞くと、非常に、ある意味では人が足らない。本当に大切な仕事だと私は思っております。大切な仕事であり、なくてはならない仕事であり、重労働であり、ただ、人手不足の中で、厳しい状況の中で今仕事をしているのが現状であります。訪問介護の職員も足らない。本当に、安心して年を取っていける、そういうふうになっていくのかという危機感を持っているわけであります。

 そういった中で、介護の報酬に関して、今回プラス一・五九になりましたけれども、民間では大体、平均で二・幾つというふうになっているわけです。元々低い報酬であります。今後、令和六年に二・五とか、令和七年に二・幾つとかいうふうになったとしても、したとしても、この差はどんどん縮まっていかないわけであります。

 低いままの中でどんどん推移していくわけでありますので、これで本当に必要な人材が集まるであろうか、高齢化社会を迎える中で、介護という本当に重要な仕事に就く人がいない、どうやって生活していくのだろうか、そういう危機感、ものが非常に強まっているのも現状でありますので、是非、この介護報酬に関して、引き上げることが必要だと思いますし、また、せめて民間並みになるように努力していただけないかな、そういうふうに思います。

 現場の皆さんの切実な声でありますので、高齢化社会を迎える中で早く対応しなきゃいけないと思いますけれども、その点に関しまして御答弁をいただければと思います。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 介護分野における賃上げを始めとする人材確保への対応は、大変重要な課題であると認識しております。

 今般の介護分野の報酬改定におきましては、政府経済見通しで、令和六年度の全産業平均一人当たり雇用者報酬の伸びが二・五%と、物価上昇率と同水準と見込まれている中で、こうした見込みと整合的にベースアップを求めているところでございます。令和七年度分を前倒しいたしまして賃上げいただくこともできますし、また、ベースアップ以外の賃金の伸びということも考えられようかと存じます。

 まずは、令和六年度二・五%のベースアップを実現するため、処遇改善加算の取得促進に取り組んでまいりたいと考えております。

三反園分科員 どうもありがとうございました。

 引き続き、現場の声を国会に届けるべく頑張っていきたいと思います。

 坂本大臣始め皆様方、本当にありがとうございました。

伊東主査 これにて三反園訓君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

伊東主査 環境省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

    〔主査退席、山本(有)主査代理着席〕

山本(有)主査代理 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、水俣病被害者の救済について質問します。

 昨年九月二十七日、大阪地方裁判所において、水俣病被害者救済特別措置法で救済されなかった被害者百二十八人が国、熊本県、加害企業のチッソに損害賠償を求めた、ノーモア・ミナマタ近畿第二次訴訟の判決が下されました。

 大阪地裁は、原告全員を水俣病と認定し、総額三億五千二百万円の支払いを命じました。判決は、疫学調査を基に、年代、地域による特措法の線引きをなくしました。救済されていない人が現にいることを示し、救済の水準も示しています。

 国の完全敗訴であります。

 伊藤大臣、判決を受け止めるべきではありませんか。控訴を取り下げるべきではありませんか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年九月二十七日、ノーモア・ミナマタ近畿訴訟の大阪地裁判決については、国際的な科学的知見や、最高裁で確定した近時の判決の内容等と大きく相違することなどから、上訴審の判断を仰ぐ必要があると判断したものでございます。

 環境省としては、平成二十一年に超党派の議員立法として成立した水俣病被害者特措法の制定に当たって多くの関係者が努力されたことや、二度の政治的解決によってこれまでに約五万人の方々が救済されてきたことなど、水俣病の問題の歴史と経緯を十分に踏まえつつ、引き続き、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療、福祉の充実や地域の再生、融和、振興などにしっかり取り組んでまいりたいと思います。

田村(貴)分科員 救済されていないから、全国で千人を超える人たちが裁判を闘い続けているんじゃないですか。

 公害健康補償法の丁寧な運用に努めるというふうに環境省はずっと言ってまいりましたけれども、この十年間の状況はどうでしょうか。

 資料一、資料二を御覧ください。熊本県は、千九百七十二件の申請に対して、認定は僅か九件、〇・四六%しか認められていません。鹿児島県では、申請千九百八十件に対して、僅か二人、〇・一〇%。千人に一人救済されるかどうかという状況です。不服申請も、熊本、鹿児島、新潟、三県の全体で百二十件の審査請求があっていますが、取消し裁決となったのは僅か一件です。二〇一四年度以降は一度もありません。救済されていないのも同然じゃないですか。だからこそ、原告は提訴せざるを得ないのであります。

 質問します。

 国は控訴の理由を、国際的な科学的知見や、最高裁で確定した判決の内容と大きく相違するから、上訴審の判断を仰ぐ必要があると判断したと言っています。

 そして、国は、判決が示す疫学調査に反論する根拠として、一般に支配的な医学的知見という言葉を控訴理由書の中で五十回以上繰り返し述べています。

 この一般的に支配的な医学的知見というのは何を指しているのでしょうか。その根拠となる科学的データというのは何ですか。国際化学物質安定化計画、IPCSクライテリア一〇一のことでしょうか。毛髪水銀値五〇ppmのことでしょうか。お答えいただきたいと思います。

    〔山本(有)主査代理退席、主査着席〕

神ノ田政府参考人 ただいまの御質問は、控訴理由書の記載についてのことでございまして、現在係争中の訴訟の内容に関することであり、裁判において主張してまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 それが、WHOクライテリア一〇一、そして成人の毛髪水銀値五〇ppmであることは、もう間違いない話であります。

 資料三を御覧ください。一九九〇年四月十二日の熊本日日新聞の記事であります。下から三段目のところに、IPCSの専門会議に出席した熊本大学医学部荒木淑郎教授が語っています。会議に参加して寂しかったのは、日本のデータがなかったことだ、こう述べておられるわけです。

 一九九〇年のクライテリア一〇一は、根拠とする科学的データを日本政府が出さなかったために、一九七六年のクライテリア一が維持されたわけです。そのクライテリア一については、IPCS、国際化学物質安定性計画報告書の中で、少数の標本だけを基にしており、外挿値の統計学的不確実性は高かったと記述されており、十分なデータに基づいておらず、正確だと断言できるだけのデータではない、このように指摘されているわけであります。日本政府が患者の疫学調査をやらず、僅かに行った調査についても、五〇ppm未満で発症していることを示すデータを提供してこなかったからであります。

 さらに、資料四を御覧ください。新潟青陵大学の丸山公男教授が一九六五年の新潟県の水俣病調査結果を基にして明らかにした、毛髪水銀濃度と神経症状の頻度であります。運動失調、聴覚障害、両側四肢末梢知覚障害など、このグリーンの色の二〇ppm未満は、それ以上の数値と同じような頻度となっているわけであります。

 係争中だからお答えできないと言われましたけれども、それを根拠にして主張されているわけですよね。こうした経緯と調査結果を踏まえるべきではありませんか。クライテリア一〇一、毛髪水銀五〇ppmにこだわるというのは、これは間違っていると言わなければなりませんが、環境省、いかがですか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 クライテリア一〇一は、WHO加盟国における専門的知見を広く集約した後、専門家による幾度もの検証の過程でその科学的合理性が吟味され、作成されたものであり、その発症閾値に係る知見は、その後も国際的な検証が行われ、現時点における直近の検証である二〇〇七年時点においても、それが正当なものであることが確認されております。国際的に確立された医学的、科学的知見であるというふうに認識しております。

田村(貴)分科員 それは違います。IPCSクライテリアの報告は、専門家の見解の取りまとめであって、WHOの公式見解では必ずしもないことであります。そして、ほかの調査でも、五〇ppm以下で発症し、かつ水俣病と認定されているケースは幾らでもあります。自ら国際機関への報告を怠っておきながら、控訴理由にWHO基準を持ってくるなど、論外であります。

 そして、判決ではこう述べています。WHOの水銀値五〇ppm未満の群についても有病割合並びに有病オッズ比が高い傾向が認められた、判決がこう指摘しているじゃないですか。

 伊藤大臣、被害者は苦しみとともに人生を送ってこられました。原告の一番の願いは、患者として、被害者として認められること、そして、医療費の自己負担の支援であります。

 二、三、患者さんの声を紹介したいので、大臣、聞いていただきたいと思います。いずれも裁判の原告の人たちであります。

 熊本県天草市にお住まいの七十三歳の女性は、子供の頃から毎食魚介類を食べ、二十代からしびれ、三十代から手足にこむら返り、視野狭窄、耳鳴り、物を落とすなどの症状があり、特措法では夫だけ救済されました。医療費は、昨年半年で二十六万六千円。しびれがひどく、リウマチの検査を勧められ受診したけれども、原因不明とされ、検査入院など五つの医療機関を巡っているそうであります。

 そして、この方はこうおっしゃっている。近所だけでも原告の仲間たちが亡くなっていきます。認知症になったり、施設に入ったり、入退院を繰り返したり、もう余命幾ばくもない原告がたくさんいます。私も体がどんどん悪くなっています。夜、寝床につくと、不安ばかりが募り、明日は生きているだろうかと毎日考えてしまいます。私たちには時間がありません。一日も早い救済を期待しています。

 このほかにも、八十三歳、同じく天草の原告の方です。八十三歳を超えて、手はしびれるし、足も痛くてこけるし、ふらふらも止まらないし、四軒の病院に月四、五回行って診察をしてもらっている、どうか助けてください、お願いします、もう先がありません。

 鹿児島県出水市の原告患者です。九十一歳の女性です。もう時間がありません、助けてください、どうか救済お願いします、この苦しみから救ってください。

 この声、大臣、どう受け止めておられるでしょうか。水俣病の公式確認から実に六十七年、いつまで患者、被害者を苦しめていくのですか。全国で多くの患者、被害者が、大臣に会って直接自分たちの声を聞いてほしいと、体を押して訴えています。伊藤大臣、就任後、患者さんと向き合い、声を直接聞いてこられましたか。

伊藤国務大臣 訴訟を行う方がいらっしゃるという事実、そしてまた、今お話しいただいたように、原告の方々が様々な病状で苦しまれていることについては、胸の痛む思いでございます。

 一方で、先ほどの繰り返しになりますけれども、今回の判決については、国際的な科学的知見や、最高裁で確定した近時の判決の内容等と大きく相違することなどから、上訴審の判断を仰ぐ必要があると判断したものでございます。

 今回は、係争中であること、また日程などを踏まえて、そのように判断したわけでございますが、また、事務方が原告の方とお会いしたことについては報告を受け、要望書も受け取ったところでございます。

 また、水俣病の患者の方々とは、これまで、歴代の環境大臣が水俣病犠牲者慰霊式の機会などを捉えてお会いし、また意見交換を行ってきたものと承知しております。

田村(貴)分科員 伊藤大臣、慰霊式は私も毎年行っているんですけれども、これは五月ですよ。五月まで会わないということになりますよ。それじゃ駄目じゃないですか。水俣病は環境行政の原点と言いながら、こんな画期的な判決が出て、そして、国の敗訴が、断罪されているにもかかわらず、原告、被害者と向き合わない、これじゃ駄目です。

 今、大臣言われました、本当に胸の痛む思いである。そうおっしゃるのであれば、その言葉を原告、患者に直接語っていただきたい。苦しみを聞いてほしい。それは大臣の使命だと思いますが、五月を待たずして会ってください。いかがですか。

伊藤国務大臣 諸般の情勢を踏まえて、適切に判断したいと思います。

田村(貴)分科員 ほぼ毎日、原告の方々の訃報が弁護団の方に届いています。大臣が原告に会いもせず、国が延々と裁判を争うならば、原告らが死亡するのを座視していることになり、到底許されることではありません。

 昨年、メディアは大阪地裁判決を一面で報じ、全国紙から地方紙まで二十八の社説が、政治による早期解決を求める社説を掲載しました。ほぼ一致して指摘されているのが、原告の平均年齢は七十歳を超えており、他地域の判決が出るのを待たずに、実態に即した新たな救済策を急ぐべき、そして、特措法が求めている実態調査を行っていないのは国の怠慢、速やかに行うべきというふうに述べています。

 その新聞の社説をざっと紹介します。熊本日日新聞、救済漏れへの早期対応を。南日本新聞、合理性欠く線引き指弾。新潟日報新聞、恒久的な解決策の確立を。読売新聞、被害の救済を最優先した判決。毎日新聞、国は実態に合った救済を。朝日新聞、政府は全面救済へ動け。そして日本経済新聞、国は水俣病の広範な救済を。産経新聞、被害者をもう泣かせるな。

 これらの新聞の社説に、国の言い分が認められないのは不当だ、そんな記事は、社説は、一切ありません。判決はおかしいなどの論説は一つもありません。重く受け止めるべきではありませんか。

 さらに、昨年十二月に、短期間の間に、公害問題の研究者や弁護士、学者ら有志も、二百六十七人が、大阪地裁判決について、水俣病をめぐる調査研究の蓄積や被害の実態に即した適切な判断だと評価し、共同声明に賛同しています。

 大臣、お伺いします。

 水俣病の早期全面解決、そのための実態調査、これが求められている。メディアと専門家の声は聞かないのですか。どう受け止めていますか。

伊藤国務大臣 まずは、大変重く受け止めております。

 水俣病の健康調査については、専門的知見の充実、整理のために、今年度、研究班を立ち上げたところでございます。こうした専門家の議論を十分に踏まえつつ、健康調査の実施に向けてもできるだけ早く進めてまいりたいと思っております。

田村(貴)分科員 国の控訴は、国民の理解は得られません。速やかに原告団、弁護団と解決交渉に応じるべき、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、在日米軍が保有する高濃度PCBについて質問します。

 PCBは、変圧器やコンデンサー、安定器など電気機器に使われてきましたが、猛毒であるのみならず、環境中で分解されにくく、生物への蓄積が認められてきたことから、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約によって、廃絶と適正処理が求められています。国内でも、PCB特措法により、二〇二七年までに全てのPCB含有電気機器の廃止、処理が終了し、国内から完全に廃絶することになっています。

 有害物質PCBの処理は、当然、汚染者負担の原則に基づかなければなりません。しかし、防衛省が米軍のPCB含有機器、廃棄物を引き取り、日本側の処理施設、JESCO等で処理していたことが昨年新たに発覚しました。

 防衛省の提出資料では、二〇〇二年度から二〇二二年度の二十年間で約四百六十三トン、処理費用は約四億四千七百万円となっています。

 しかし、外交青書には次の記述があります。二〇〇二年八月には、在日米軍施設・区域内にあるポリ塩化ビフェニル、PCB含有物質を米本土に搬出するとの米国防省の方針案が発表され、二〇〇三年一月、最初の搬出が行われた。外交青書にも書いていますし、国会で外務大臣も答弁しています。

 松本防衛大臣政務官にお尋ねします。

 アメリカは本土に搬出すると方針を出したのに、なぜ日本が、防衛省が肩代わりをしているのですか。

松本大臣政務官 田村委員の質問にお答えさせていただきます。

 今の、在日米軍のPCB廃棄物は本来米軍が処理すべきだということですけれども、在日米軍が保有するPCBの廃棄物につきましては、日本環境管理基準に基づいて、米軍が、米側において適切に処分されるべきと認識をしております。

 その上で、防衛省におきましては、返還事業それから提供施設整備事業及び米軍再編事業に伴い発生しましたPCB廃棄物について処理を行ってきたところであります。

 このうち、返還事業につきましては、日米地位協定四条1により、米側は、施設・区域を返還するに当たって、原状回復又は回復に代わる補償義務を負わないとされております。このため、当該事業に伴い発生したPCB廃棄物について、日米地位協定の四条1に基づき、日本側で処理をしてきたところでございます。

 また、提供施設整備事業及び米軍再編事業につきましては、地位協定の二十四条2において、在日米軍に提供する全ての施設及び区域を合衆国に負担をかけないで提供すると定められております。これによりまして、日本側で負担してきたということでございます。

 今後発生します在日米軍のPCB廃棄物の対応につきましては、環境省を始めとする関係省庁と連携して、引き続き、様々な選択肢を検討しながら米側と協議を行っていくということでございます。

田村(貴)分科員 米軍が適切に処理するということを述べながら、地位協定において防衛省が肩代わりしてきている。屈辱的な地位協定じゃないですか。

 電気事業法では人体に危害を及ぼしてはならないと定め、電気設備に関する技術基準を定める省令で、PCB含有電気工作物は新たに設置できないと定めてあります。既に設置されているものについては、期限以降は設置できないと定めています。そして、省令に基づき、経済産業省に届け出し、取り外し、廃止届を出さなければならない。従わない場合は罰則もあります。こうやって厳しく定められています。

 それにもかかわらず、米軍は、日本の法律を尊重しない、自ら定めた方針も守らない。そもそもストックホルム条約を批准していない。そして、防衛省は、唯々諾々、それを認め、PCB処理を肩代わりしている。とんでもないことだと言わなければなりません。

 環境省にお尋ねします。

 現時点におけるPCBの処理状況及び進捗について説明してください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 高濃度PCB廃棄物は、全国五か所に設置したJESCO、中間貯蔵・環境安全事業株式会社のPCB廃棄物処理施設で処理を実施しております。

 令和六年一月末時点で、これまでに、コンデンサー等は約三十九万四千台、安定器等は約二万トンの処理を実施してきたところでございます。

 先行して処理を開始した北九州を始めとする北九州、大阪、豊田事業エリアにおいては、令和五年度末で処理を完了する見込みとなっております。東京、北海道事業エリアにつきましては、令和七年度まで処理を行うことで、PCB特措法に基づき届出がされております高濃度PCB廃棄物の処理をほぼ完了できる見込みとなってございます。

田村(貴)分科員 JESCOの五つの処理施設、終了したところもあれば、遅くとも二〇二六年度末までには全て処理を終了するということでありました。

 伊藤大臣にお伺いします。

 環境省は、昨年十二月二十一日に、北海道及び室蘭市に対して、二〇二三年度で処理事業を終了する西日本、北九州、大阪、豊田事業エリアにおいて今後新たに高濃度PCB廃棄物が発見された場合、二〇二五年度末までの間、JESCO北海道事業所にて受け入れてほしいと要請されています。そうですね。その中には、在日米軍基地に残存するPCBは含まれますか。

伊藤国務大臣 御指摘のとおり、環境省では、PCB廃棄物処理事業を今年度で終了する西日本、北九州、大阪、豊田のエリアにおいて新たにPCB廃棄物が発生した場合、処理期限の令和七年度末までの間にJESCO北海道事業所で処理するよう、現在、北海道知事及び室蘭市長に要請しているところでございます。

 そして、今御質問の点でございますが、搬入を要請しているPCB廃棄物として想定しているものには、在日米軍のPCB廃棄物は含まれておりません。

 今月二十二日、二十三日に室蘭市で行った住民説明会においても、在日米軍のPCB廃棄物をJESCO北海道事務所に搬入しないことについて、環境省から明確に説明してございます。

田村(貴)分科員 室蘭の方ではそれは含まれないと。豊田市や東京江東区の処理場はもう処理ができないと環境省からお伺いしました。

 つまり、今後、米軍基地において高濃度PCBが発見されたとしても、日本国内では処理をしないということでよろしいんでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、現在、JESCOの室蘭事業所において西日本エリアの高濃度PCB廃棄物の処理、受入れ要請をさせていただいているところでございますけれども、そこについては、米軍のものは想定していない、このように明確に申し上げているところでございます。

 この期間以降の取扱いにつきましては、改めて関係省庁と議論した上で対応を検討し、さらに、米側ともしっかりとこれから協議をしてまいるという形になると考えておりますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしまして、JESCOの事業所において米軍のPCB廃棄物を処理すること、そうしたことは想定はしておりませんし、そうした要請もしてございません。

田村(貴)分科員 大臣から、そして環境省から明確な回答がありました。環境大臣は、処理しないと明言しましたね。

 防衛省、政務官、日本で処理しないのだったら、米軍PCBは、日本から搬出する以外にないじゃないですか。米国に持ち帰らせるしか道はないじゃないですか。いかがですか。

松本大臣政務官 田村委員の質問に答えさせていただきます。

 防衛省が実施しております、返還地を含む在日米軍施設・区域における工事に際しましては、これまでのところは新たな高濃度のPCB廃棄物は確認をされておりません。

 その上で、在日米軍のPCB廃棄物への対応について、環境省を始めとする関係省庁でこれからも連携をしていき、現在、様々な選択肢を検討しながら米側と協議を行っているところでございます。

 米側とのやり取りの詳細につきましては、今後の米側との調整に支障を生ずるということがありますため、残念ですけれどもお答えできませんが、その点は御理解をいただきたいと思います。

 その上で、引き続き、関係省庁が連携して、米側が適切に対応するように防衛省としても取り組んでまいりたいと思います。

田村(貴)分科員 米軍基地の中にあるPCB含有機器、廃棄物についてはどうするんですか。これは、そこについて明確な答えがないんですよ。

 現在の在日米軍施設・区域内のPCB含有機器、廃棄物の保有量について説明してください。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍施設・区域内で使用又は保管をされているPCB含有物の状況につきましては、これまでも、関係省庁で連携して米側と協議を行い、その把握に努めているところでございまして、引き続き、米側が適切に対応するよう取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 分からないということなんですよ。総量もつかんでいない、調査もしていない、照会もかけていない、そういうことなんですよね。何という国なんですか。

 PCBというのは、私、北九州市に住んでいるんですけれども、我が国最大の食品公害事件と言われるカネミ油症事件の原因物質です。PCBに汚染されていたことから、米ぬか油を食べた人が、吹き出物や肝臓障害、心臓疾患、貧血、骨の変形、多くの症状に苦しんで、今も苦しめられています。こんな危険物質を治外法権的に放置しておくんですか。余りにもひどいじゃないですか。保有量も分からない。

 そして、処理施設はもうこれは終わるんですよ。処理もできないんだったら、米国にちゃんと持って帰ってアメリカで処理してもらう、これしか道がないというのに、協議を続けていきますと。こんなことを国民に説明するんですか。県民に説明するんですか。沖縄の人が聞いたらもうびっくりしますよ。米軍基地があるところの住民は不安でしようがないじゃないですか。

 アメリカはストックホルム条約にも批准していません。残存している可能性は大いにあります。今後基地の返還等があれば、不当なことだけれども、地位協定で日本が処理しなければならないんです。しかし、処理施設はもう日本にはない。国外へ搬出させる以外にない。だから今調査をすべきだと言っているんですよ。

 調査をする、そして、どれだけあるのか、ちゃんと報告を求める。国外に搬出してください、持って帰ってください、なぜこれが言えないんですか。

松本大臣政務官 お答え申し上げます。

 在日米軍の施設それから区域内において使用又は保管されているPCB含有量の状況につきましては、これまでも、関係省庁で連携して米側と協議を行い、その把握に努めているところでございます。

 今御指摘のとおり、引き続き、米側が適切に対応するように取り組んでいきたいというふうに思っております。

 ありがとうございます。

田村(貴)分科員 返還を受けた施設、そこの残ったPCBについては防衛省が肩代わりして負担している。防衛省が一義的には米軍と交渉相手になっているわけですよね。だから、米軍基地にどれだけのPCBがあるか確認するのは防衛省ですよね。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 防衛省としては、現状、それは環境省の所管ではないかというふうに理解をしているところでございます。

田村(貴)分科員 大臣、環境省だと言っていますが、環境省、そうなんですか。

土居政府参考人 在日米軍のPCB廃棄物につきましては、適正な管理、処理に関しまして、関係省庁と連携しながら環境省も含めて議論をしておりまして、その協議の中で議論されているというところでございます。

田村(貴)分科員 少なくとも、防衛省、そんな責任放棄は駄目ですよ。責任のなすり合いをしちゃ駄目じゃないですか。処理しているんだったら、今の現存するPCBについてちゃんと確認する、それが最低でもあなたたちの仕事ではないんですか。

 何で、こんな治外法権的なことをずっと許してきて、日本政府が肩代わりしなければいけないのか。今後ともこれが続いていく、そういうことは絶対に認められない、そのことを強く主張して、また取り上げていきたいと思います。

 質問を終わります。

伊東主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、山崎誠君。

山崎(誠)分科員 立憲民主党の山崎誠でございます。

 今日は、十二月の環境委員会に続いて、浄化槽の清掃実施率の問題について引き続き取り上げさせていただきます。伊藤大臣、よろしくお願いいたします。

 前回の委員会で、浄化槽の清掃率が低いということで、これは大臣もお認めになったと認識しております。大体六〇%台ということであります。

 法律では、年一回の清掃は義務化されています。そして、違反には罰金まで用意されているということで、大変重い義務だということであります。

 大臣、清掃率というのは目標何%ですか。大臣、大臣。これは基本中の基本ですよ。

伊藤国務大臣 目標は、もちろん一〇〇%でございます。

山崎(誠)分科員 ですよね。これは、全ての浄化槽について清掃をするように指導していくということが環境省に求められているということだと思います。

 それで、残念ながら、今六〇%台です。伊藤大臣、この違法状態の解消というのが急務です。今大臣がお話しいただいたとおり、一〇〇%の実施に向けて、例えば台帳の整備だとか、できることは全てすぐに実行に移さなければいけないと思いますけれども、大臣、所見をいただけますか。

伊藤国務大臣 昨年六月に都道府県を通じて各市町村の清掃実施率の調査を発出しまして、昨年の十一月に速報値として回答を取りまとめた結果、全国平均の清掃実施率は六四%という結果でございました。

 速報値を公表した後、全都道府県に対して、清掃実施率を算出する際の浄化槽設置基数、それから清掃実施基数、それぞれの数値について精査を依頼しました。例えば、清掃実施率が一〇〇%を超過している場合や、浄化槽台帳に清掃記録が記載されていない場合については、清掃事業者からの情報等を基に精査を行うように依頼したところでございます。

 この精査の結果、清掃事業者から情報を収集し清掃実施率が上がった自治体がある一方、速報値の時点よりも母数となる浄化槽設置基数が増えたことにより清掃実施率が下がった自治体もあり、全国平均の清掃実施率は精査前後でほぼ同じ数値となっております。

 そういうことから、今日、順番にいろいろな御質問はあると思いますけれども、この結果をよく分析して、それから対応策の検討につなげることということが必要だと思いますし、来年度も、今年度と同様に六月頃の実施というものを予定しております。

 また、清掃実施率が未回答の市町村については、速報値の時点では約二百七十市町村あったわけでございますが、精査後に約二百市町村に減少してございます。

 それから、清掃実施率が一〇〇%を超過していた、こういう市町村については、速報値の時点で四十九市町村ありましたが、精査により、このうち三十三市町村では一〇〇%超過の状況が解消され、残りの十六市町村では清掃実施基数の把握ができず、回答が得られなかったところでございます。

 いずれにしましても、この調査結果、いろいろな施策を通じて、清掃実施率が目標の一〇〇%になるように、諸般の施策を前に進めてまいりたいと思います。

山崎(誠)分科員 済みません、ちょっと時間がないもので。

 私が尋ねたのは、一〇〇%に向けて、あらゆるできることはとにかく現場にやってもらうように指示をする必要がある。台帳の整備が足りないとか、計画の立案が十分じゃないとか、様々あるんだ、それをやっていただかなきゃいけないですよね。イエス、ノーで答えていただきたい。

伊藤国務大臣 それは、あらゆる政策手段を進めてまいりたい、そういうことが必要だというふうに考えております。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 それで、調査の中で、区域割りの有無による清掃実施率の分布という、区域割りによって、あるなしで、清掃がどういうふうに行われているかという分析結果がありました。端的に、この有無によってどういうことが分かったのか、お尋ねします。参考人でいいです。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の精査結果でございますけれども、区域割りがある自治体の清掃実施率、平均が約七〇%でございました。区域割りがなかった自治体の清掃の平均実施率でございますが、これが約六一%の結果となっております。

山崎(誠)分科員 区域割りがあるなしで、どういう違いがあったんですか。今の違いだけですか。

 今までの議論の中で、区域割りのあるなしでこの清掃率には余り有意な差がない、そういう説明が何度もありました。区域割りがあっても清掃率が低い、そういう自治体も数々あるんだ、だから区域割りの必要性というのはこの分析からは明らかではないという答弁を、何度もその後ろの責任者からいただきました。同じ見解ですか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査結果でございますけれども、平均値は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、詳細に調査結果を拝見いたしますと、区域割りがある自治体、ない自治体で、区域割りがない自治体でも清掃実施率が高い自治体がある一方、区域割りがある自治体でも清掃実施率が低い、こういうような自治体もあるところでございます。

 したがいまして、区域割りのあるなしが決定的な要因ということでは必ずしもないと考えております。

山崎(誠)分科員 それは、このデータの読み方を間違っていますよ。間違いです。

 このデータで見るべきは、例えば清掃率が三〇%以下の事業者がどのぐらいの割合かなと見ると、区域割りなしが一四%、区域ありが一三%、差はないんですよ。差が出てくるのは何かといったら、実施率が八〇%以上。実施率が八〇%以上を見ると、区域なしの場合は二九%です。区域ありだと四六%ですよ。五割に近い事業者が、区域ありだったら八〇%以上を取っているんですよ。言っている意味が分かりますか。ここに有意の差があるんですよ。清掃率が九〇%以上、これは区域なしは一五%、区域ありは三二%ですよ。倍違うんですよ。ここのデータの見方、ここですよ。いいですか。

 清掃率が高いグループというのは、区域割りを持っている。一〇〇%じゃないですよ。でも、高いグループは区域割りを持っているというのが、この皆さんが作ったデータの読み方ですよ。低いところもあるでしょう。たまたま、区域割りがなくても高いところもあるでしょう。ありますよ。でも、これだけ差が出ているんですよ。これが統計データの読み方です。皆さんの解釈は間違っているんですよ。大臣、理解していただけましたか。

 伊藤大臣にお聞きしたいんですよ。このデータ、これは環境省が作ったデータですからね。これを見る限り、大臣が先ほどおっしゃった、一〇〇%に近づけようとあらゆる手段を講じようとしたら、区域割りの指定をしなさいと。少なくとも区域割りを推奨することは、大臣が目標にしている、目標達成のために重要な一つの施策じゃないですか。大臣、お答えください。

伊藤国務大臣 廃棄物処理法では、一般廃棄物処理業の許可の区域割りについては市町村長が判断できることとされております。あと、区域を定めるかどうか、それぞれの自治体に応じて、地域の実情に応じて判断されているものとまず考えております。

 今も少し言及がありましたけれども、いろいろな数字の取り方はあると思いますけれども、今回の調査結果でも、許可の区域を指定するが清掃実施率の低い市町村もありますし、許可の区域を指定していないけれども清掃実施率が低い市町村もあります。それから、清掃実施率と区域割りしたかどうかというものの統計的な見方、これはいろいろな見方があると私は思います。ほかの要因もありますので、清掃実施率が高いか低いかは。ですから、区域割りの有無と清掃実施率との因果関係については、引き続き、継続的に調査をした上で分析を行っていく必要があると思います。

 そこも含めて、今般の清掃実施率の調査結果等を踏まえて、今月、有識者による検討会を立ち上げてございます。この検討会の議論を通じて、浄化槽の維持管理が適切に行われるように、課題の整理や対応の検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

山崎(誠)分科員 じゃ、統計の専門家にこれを見てもらってくださいよ。私の主張が正しいのか、環境省の解釈がいいのか。統計の分析、専門家を私も呼んできてもいいですよ。これを分析してもらってくださいよ。

 私は言っているんです。区域割りをすれば一〇〇%になるというわけではないかもしれない、低いところもあるかもしれない、区域割りをしなくても高い業者があるかもしれない。でも、区域割りをやった方が、そのグループの大きさは倍なんですよ。そのぐらい区域割りというのは大臣が言っている目標達成に重要なんだということを、このデータから読んでもらいたいんですよ。言っている意味、分かっていただけますよね。

 私、計算しましたよ。例えば、区域割りをしていない事業者で、五〇%から一〇〇%の間に、六百十自治体あるんですよ。六百十自治体。全体の六四%ぐらいあるんです。ここに区域割りをしてもらったら、ぐっと上がって目標に近づくんですよ。いいです、どうしてもやりたくないという自治体が残るんだったらそれは仕方ないけれども、事情でね。でも、大臣が一言、区域割りをやりなさい、やった方がいいみたいですよ、このデータからいえばそういう結果が出ているんだ、それを指示して、指導して、助言して、やってくれたら上がるんですよ、目標達成に近づくんですよ。何でそれをやらないんですかね。私は非常に疑問ですし、納得いかない。

 次に行きます。

 清掃率の低い自治体にアンケート調査を行ったというふうに聞きました。何自治体が対象で、どのぐらいの回答を得たか、お聞かせいただけますか。何件調査対象があって、何件答えをもらいましたか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月に行いました調査につきまして、昨年十一月に速報値として回答を取りまとめて御報告させていただいたところでございます。

 速報値を公表した後、全都道府県に対して、清掃実施率を算出する際の浄化槽設置基数、それから清掃実施基数、それぞれの数値について精査を依頼し、例えば、清掃実施率……(山崎(誠)分科員「違うって。アンケート調査で、低いところを対象にやったでしょう、それを聞いているんだよ。間違えないでよ」と呼ぶ)はい。申し上げます。

 アンケート調査率、低い自治体につきましては、低い自治体を選びまして、百六自治体から回答を得たところでございます。

 百六自治体について回答を得た結果、清掃実施率が低い要因といたしまして、三十六の……(山崎(誠)分科員「まだそこは聞いていないよ」と呼ぶ)はい、申し訳ございません。

山崎(誠)分科員 何件の対象を取って百六を得たの。それを聞いているんですよ。

伊東主査 基本的に、発言、ちゃんと指名して、分かるように答弁してください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、対象としたのは清掃実施率四〇%未満の自治体でございます。四〇%未満の自治体、この自治体に聞いた数、これが幾つであったかは、大変申し訳ございません、今、手元に数字がございませんので。そこは数字がございません。

山崎(誠)分科員 そんなのでアンケートの意味がありますか。大臣、いいんですか、そんなので。

 いいですか、浄化槽の清掃実施率が低いのは台帳の不備が理由ですと結論づけているんですよ、この報告は。信じられないじゃないですか。

 千件対象があって百件答えたのか、三百件あって百件答えたのか、百件あって百件答えたアンケート調査なのか、それが分からないで、こんな結論をどうして言えますか。大臣、ちょっと答えてよ、今の。ひど過ぎないか。ひどいと思いませんか。

伊藤国務大臣 事実関係をよく調査して、必要なデータを分析することは必要だと思います。

 清掃実施率が高いか低いかというのは、私は複数の要因があると思います。もちろん、台帳の未整備というのも要因の非常に大きな部分だと私は考えております。

山崎(誠)分科員 あきれました。

 私は、大体三百何十件やったんだと思いますよ。そのうちの百件だから、大体三割ぐらいしか答えてくれないんだよ。環境省、なめられていますよ。違法な状態を放置している自治体に、違法だからその理由は何だと聞いたら、三割しか答えをくれないんだよ。それで、しゃあしゃあと、理由は台帳整備がまだ整っていないんですなんて、何でそんなことを言えるんですか。全くおかしいと思いますよ。

 もう一つ、前回の委員会でも指摘したんですけれども、違法状態のもう一つに、一般廃棄物処理実施計画の未策定というのがありました。

 大臣、これは、私にいただいた答弁では、実態がまだはっきりしていないので、実態調査をして、そして、それについて、ちゃんと立てるように指導しますというお話がありました。

 大臣、その理由が、一つあるのは人手不足だと。人手不足で、人が足りれば実効性ある計画は策定可能なんですかね。私は、人手の問題じゃないと思っています。そもそも、策定できないのは、区域も定めないで、どのぐらいの浄化槽をどういうふうに作業してもらっていいかという青写真が全くないまま、区域の定めがないまま計画を立てようとするからおかしくなっちゃうわけですよ。

 広いエリアが、市町村がありまして、その中に浄化槽が散らばっているわけです。二万個ある。これを業者にどうやって作業してもらったらいいの。二万個、もっとたくさんあるところもありますよ。ちゃんと区域を定めて、その中で、これだけありますよ、だから実施してくださいねという計画じゃなかったら、実効性ある計画なんか立てられないんですよ。

 大臣、どうして区域を定めないで処理計画が立てられるんですか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 処理業者ごとに区域を定めていない場合でございますけれども、その場合は、その市町村の全域がそれぞれの処理業者の収集区域となるものでございますので、市町村全域を収集区域とする一般廃棄物処理実施計画を策定することは十分可能である、このように考えております。

 あともう一つ、補足で、先ほど御質問いただいた調査の対象自治体数、四〇%未満の自治体の対象者数でございますが、今、手元の資料を集計したところ、三百三十二の自治体に調査したところでございます。

山崎(誠)分科員 そのぐらい分かりますよ。そんなの、答えられない方がおかしいよ。

 今、大事なことをおっしゃいましたよ。区域が定まっていない場合は、その市町村全体の浄化槽をその業者が処理をするという前提で計画を立てる、そうおっしゃいましたよね。これはすごいことを言っているんですよ。

 これは清掃業者の、受託者の委託基準ですよ。廃棄物処理法施行令の第四条に何と書いてあるか。受託者が受託業務を遂行するに足りる施設、人員、財政的基礎を有し、かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する者であること、そう決まっているんですよ。

 区域が指定がなくて、例えばそこに一万五千個の浄化槽があります。私が業者で手を挙げようとしたら、一万五千を処理できる能力を示さないと、受託者として基準に合わない。あなたの答弁だとそうなりますよね。いいですね。

 お答えください。区域が定まっていなくて、一万五千個あるんです。私が手を挙げようとしたら、受託者です、一万五千を処理できなかったら、この基準に合わないよね。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、最終的には各市町村の御判断になる部分だと考えておりますけれども、その上で申し上げますと、許可業者が一者の場合、さらには複数者が存在する場合がございますので、必ずしも一者が全てそれを処理できなければならない、このような形になっているわけではない、このように考えてございます。

山崎(誠)分科員 じゃ、私が業者として、何者が手を挙げるか分からない、三者かな、四者かな、五者かな、十者かな、分からない中で、どうやって手を挙げるの。今、先に言いましたよね、区域がなければ、区域全体で受託者は手を挙げるんだと。誰が、この後受託者が何者手を挙げるか分かってやるんですか。おかしいでしょう。

 じゃ、もっと言うよ。例えば、三者が手を挙げそうだ。調整しているんですよ、そこで。行政と事業者と、調整しているからできているんでしょう。区域がなくて、三者も四者も五者も事業者のいる地域、たくさんありますよ。皆さんが作った基準に沿ったら、事業者は全部、一万五千、一万五千、一万五千と、その能力を示さなかったら受注できないんですよ。そんなばかなことをやっているの。

 いいですか。バキュームカー一台、六百基ですって、担当できる基数は。これは現場の皆さんのお話です。中小の事業者も多いんですよ、大臣。一台導入したとする。二人、三人、作業員をつけなきゃいけない。どうやって自分たちは仕事をやっていこうか、計画を立てようかといったときに、一万五千やれと言われて、じゃ、何台ですか。それを確保して受注しようと思って、受託者が手を挙げますか。挙げるわけないでしょう。じゃ、何基やりますと手を挙げたら受託できるんですか。基準が分からないじゃん、全然。今、こんな状態なんですよ。大臣、分かっていただけますか。分かってくださいよ。

 結局、ちゃんと計画を立てて、業者の皆さんにちゃんと仕事をしていただくためには、何基やってくださいね、今年は何基ぐらいやってくださいね、この何基はこのエリアに存在していますと区域を割って示さなかったら、発注もできないし、受注もできないし、計画も立てられないんですよ。

 分かっていただけませんか。大臣、お答えください。基本的なところですから。

 もういいよ、あなたたちの意見は分かったから。

伊藤国務大臣 まず、たてつけとしては、廃棄物処理法では市町村長が判断することでございます。それぞれの市町村、それぞれの実情や地理的状況も違いますので、それを基に市町村が的確に判断すべきだと思います。

 許可の区域割りをするかどうかについては、今回の調査結果も踏まえて適切に検討会で検討し、その検討会の結果もしっかり精査しながら、環境省としても適切に対応してまいりたい、そのように考えます。

山崎(誠)分科員 質問に答えてくださいよ。区域割りが必要でしょう。今の議論で、区域割りがなかったら、発注もできない、受注もできないんです。

 今、何でやっているか知っていますか。業者間で調整して、なあなあでやっているんですよ。悪いとは言わないですよ。こういう指導をしているから、区域を定めなくてもいいよ、区域なんか定めない方がいい、勝手に調整してやってくださいとなっているから、清掃の実施率は低いし、効率化も進まないんですよ。台帳すら整備できないんですよ。

 ここは、大臣、決意を固めて。段階的でいいです。区域を定められる準備があるところは手を挙げて、まあ、手を挙げなくてもいいよ、区域を定めてくださいと。是非、調査の中で区域の定めがあるところとないところを明確にしてもらって、来年は区域を定めているところが増えるように指導してください。いいです、全部とは言わないですよ。大臣の言うように、いろいろな事情があるんでしょう。そういう指導をいただけますね。

伊藤国務大臣 今の御指摘も踏まえて、そして、今後の検討会の検討状況も踏まえて適切に判断してまいりたい、そのように思います。

山崎(誠)分科員 これは私は余り言いたくはないんだけれども、区域を割るということは清掃事業者の皆さんに主導権を与えることになる、そんなことは許したくないという差別的な意識があるんじゃないか、背景に。

 区域を分ければ、事業者は責任を持ってやってください、この事業者はある意味一定の地位を得て仕事をする。責任を持っていい仕事をしてくれるんだから、いいんです、その方が。でも、そういうのを、差別的な意識の人はよくないと思っている。そういう指摘を受けました。

 本当に残念でならないんですよ、こんなことを言っていただくのは。こんなことは絶対あっちゃいけないと思うんですよ。でも、今の答弁をお聞きをし、これだけ説明をしても区域割りを拒否し続ける環境省の姿勢には、こういう背景があるのではないかと疑いたくなってしまいますよ。これは、本当に私は大問題だと思うんです。

 大臣、私は、こうして質問をしているのは、ちょっと大きい声を出して申し訳なかったですけれども、一般廃棄物処理という我々の暮らしに絶対不可欠な事業を効率的に、効果的に、継続的に実施してもらう環境はやはり国がつくらなきゃいけない、環境省がつくらなきゃいけないから質問しているんですよ。

 少子高齢化もあって、浄化槽の役割が見直されています。机上の議論では問題は解決できませんよ、環境省。今こそ、環境省が現場に出て、自分の目で見て、事業者の皆さんの声をちゃんと聞いて、この違法状態解決のために何ができるか、環境省が変わらないとこれは収まらない、そういう問題です。

 最後、伊藤大臣、決意を述べてください。

伊藤国務大臣 今日の御質問も踏まえて、環境行政が廃棄物処理についてもしっかり実態に合ったように進むように、適切に判断して進めてまいりたいと思います。

山崎(誠)分科員 終わります。

伊東主査 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳分科員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今日は、私の地元愛知県の三河湾のアサリの漁獲量が近年激減をして、地元の漁業だけじゃありません、地元の経済に深刻な影響を与えている、こういう問題について国の全面的な支援をいただきたい、お願いしたいという立場から質問させていただきます。

 これは本当に困っているんです。是非、今日は、伊藤環境大臣のみならず、農水省、水産庁の方にも来ていただいていますので、前向きな御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 私自身、今から七年前の平成二十九年、二〇一七年五月に、衆議院の農水委員会、当時はちょうど山本先生が農水大臣でいらっしゃったときなんですけれども、この問題を取り上げまして、アサリやノリの資源回復のため、下水処理場の放流水中のリンとか窒素の栄養塩濃度を高めてほしい、こういう漁業関係者からの要望を、当時の山本農水大臣、そして環境省、国交省にお伝えをした経緯があります。

 改めて、まず水産庁にお聞きしますが、この問題について、原因をどう分析をされ、また、どのような対策を講じているか、講じてきたかについてお答えいただきたいと思います。

坂政府参考人 お答え申し上げます。

 愛知県の調査研究によりまして、伊勢湾、三河湾においては、栄養塩類の不足などがアサリなど魚介類の漁獲量減少の要因の一つであると指摘されているものと承知しております。

 ほかの海域でも、例えば、国立研究開発法人水産研究・教育機構の研究結果におきましては、瀬戸内海における栄養塩類の減少により、カタクチイワシの餌となるプランクトンが減少し、その結果、カタクチイワシの加入量も低迷していることが示唆されております。

 水産庁では、令和四年度から、伊勢、三河湾において、栄養塩類とアサリ、ノリなどの水産資源との関係について調査研究を開始したところであり、その成果を関係機関や漁業関係者に提供してまいりたいと考えております。

重徳分科員 七年前の私の農水委員会での要望も酌んでいただき、管理運転、要するに、三河湾でいいますと、矢作川浄化センター、豊川浄化センターの二つの流域下水道処理場で、リンの濃度を上げる、窒素の濃度を上げる、こういった管理運転の試験実施が始まった。これは、ノリの養殖場とかアサリの稚貝の生育場所に近い箇所の下水処理場ということで始めていただいたわけであります。

 地元の県議とか市議とか、関係者、関心のある方々とも現場の視察をさせていただきまして、リンの濃度を上げるために、ポリ塩化アルミニウムの注入量をちょっと減らすとリンが増えるというような、そういうことでコントロールする様子を見に行きました。

 あれから七年たっているわけですけれども、水産庁として、この栄養塩の増量、どのように効果が出ているのか、どう認識されているか。それから、これからいろいろ、環境基準との関係とか下水処理場の運用、さらに現場関係者の意向、様々あると思いますが、そういったものをしっかりと調整してどんなふうに取り組んでいきたいか、意気込みを是非お聞かせください。

坂政府参考人 お答え申し上げます。

 愛知県においては、下水処理施設において、平成二十九年度よりリンの排出を緩和する試験運転を、また、令和四年度よりリンと窒素の排出を緩和する社会実験を実施しており、愛知県栄養管理検討会議においてその結果を検証し、漁業生産に必要な望ましい栄養塩管理の在り方を検討しておられるものと承知しております。

 また、同会議の資料におきましては、令和二年以降、処理施設の近隣において、令和元年頃と比べて単位面積当たりのアサリの重量が増加しているとの結果が報告されているものと承知しております。

重徳分科員 一定の成果が見られているという今の水産庁側からの御答弁でありました。これからも是非進めていただきたいというふうに思いますが。

 一方で、ここから環境省、環境大臣にお伺いしたいと思います。

 愛知県では、栄養塩管理検討会議というのが定期的に開催されておりまして、環境省を含みます国、県、市、有識者で構成をされています。最近でも、漁業関係者の方から、アサリの稚貝、大体八月終わりぐらいに稚貝が、子供がまかれるということなんですけれども、栄養がないと冬を越せないんですね、死んでしまう。そうすると、春の収穫時期にも当然アサリがいない、そして、潮干狩りもできないから、観光業その他、経済にも大変大きな影響を与えるということなんです。

 今御説明のありました管理運転とか社会実験、こういった成果で、三、四年前から、アサリが年を越えて生き延びるようになったねという声が聞かれます。

 また、昔を思えば、まだまだ少ないけれども、腰まんが協会といいまして、腰まんがという、鉄製の網といいましょうか、籠があるんですね、そういう漁具を使ってアサリ漁をやるんですが、そういう腰まんが協会の方々もアサリ漁に戻れるようになってきた、こういう御報告がございます。

 ノリの方も良好になってきております。昨年の十二月に、地元西尾市選出の藤原聖県会議員と一緒に、海苔流通センターでの初競りも見てまいりました。そこでも、価格的にも上等なノリが生産できているという様子が見られました。

 さて、そういう中で、今年二月十五日に愛知県の方でも、栄養塩の社会実験、来年度も継続するんだ、こういうことが発表されました。国もこの社会実験については評価に関わっておられると思いますが、県が継続すると言っているこの社会実験、漁業者からも特に強い要望があります。環境大臣としてどのように評価をされているか、お聞かせください。

伊藤国務大臣 環境省としては、水質の保全と豊かな海の両立、これは極めて重要な問題だと考えております。

 一方で、窒素やリンなどの栄養塩類の排出量を増加させることは、赤潮あるいは貧酸素水塊の発生につながるおそれもあることから、水質保全と両立させるためには、環境の変化に対して順応的な取組を行っていく必要があるというふうに考えております。

 愛知県では、今お話しになりましたように、地域の関係者を巻き込みつつ、この両立に向けて社会実験に取り組んでいると承知しており、非常に有意義で大事な事例だというふうに評価しております。

 なお、愛知県の検討会議には環境省も特別委員として参加して助言等を行っており、引き続き、県の要請に応じて、技術的助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

重徳分科員 大臣には、もうちょっと議論の後、見解をお聞きしますので、是非もっともっと前向きな御答弁をこの後いただきたいと思います。

 管理運転、実際やっておりますが、ここで現場においてちょっと課題がありますので、二点ほど要望いたしますので、お答えいただきたいと思います。

 まず一点目は、栄養塩、リンなんかを濃度をコントロールするというふうに言うと、大したことないな、自動的にそうなるのかな、スイッチ一つでそうなるのかなと思ったら、そうでもないんですよ。一日の間の濃度のグラフを見ますと、本当に一時間ごとに物すごい上下するんですね。この濃度、リンの濃度をコントロールする、さっき言いましたポリ塩化アルミニウムですね、ポリ塩化アルミニウムを増やしたり減らしたりするという、これも、一日の間にちょっと増えちゃうと、一日の基準がありますから、それを抑えるべく、日中に増えればその分減らして、一日、二十四時までの間に何とかその基準の中に収めなきゃいけないという、大変職員さんも御苦労をされています。

 今回の管理運転、社会実験は、その上限、できるだけぎりぎり、要するに、増量するということですから、上限ぎりぎりに調整したいところなんですが、どうしても一日の間に超えないという管理をしようとすると、抑えぎみになってしまうようなこともあると思います。

 それから、何より職員さんが大変ということで、この濃度の上限を一日単位じゃなくて一週間単位ぐらいで管理をできるようになると、職員への負担も、これは夜中も調整して動かなきゃいけないらしいんですね、そういったことも解消できます。それから、安定的、より安定的に、そして、その濃度を上げるためのぎりぎりの、何というか、チャレンジといいましたか、そういうこともやりやすいようになるのではないかと思っておりますが、ただ、一日単位か一週間単位かというのは、現場判断ではできないんですね、裁量がありません。これは環境省の規則で決まっているというふうに聞いているんですけれども、その辺りは国が変えないと、現場は今の状況が続きます。

 この点を改善していただけないか。すなわち、一日を一週間にルールを変えていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

土居政府参考人 お答え申し上げます。

 三河湾を含みます伊勢湾におきましては、人口や産業が集中していること等から、水質を保全するための水質汚濁防止法に基づく総量規制制度の対象としてきておりまして、窒素、リンなどの排出の総量規制を課すことにより、これまで水質を改善し、赤潮の発生等を抑え込んできた、改善してきたというところでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、近年におきましては、リン、窒素など栄養塩類が不足しているというお声も地元から上がっておりますので、環境省といたしましても、水質保全と豊かな海を両立するということは極めて重要だと考えております。

 この両立に向けまして、三河湾では、先ほど来御指摘あります下水処理場からの栄養塩の排出など、これを冬季などに増加させる社会実験を第九次の愛知県総量削減計画に位置づけた上で、関係事業者と連携しながら実施しているというふうに考えております。実際、我々、特別委員として参加しておりますが、栄養塩類の管理につきましては、水質、水産資源への影響、効果に加えまして、事業者の排水の管理のやり方、技術面での様々課題があるということで、これを注視しながら丁寧に進められているというふうに考えております。

 これらの情報、成果に基づきまして、環境省といたしましても、この両立に向けまして、検討、議論を更に深めていきたいというふうに考えております。

重徳分科員 ちょっと、質問に答えてください。基準の遵守はするんですよ。だけれども、それを一日平均か一週間平均か、この話を聞いているんですけれども。ちゃんと答えてください。

土居政府参考人 総量規制基準につきましては、今御指摘ありましたように、各事業所ごとに、一日ごとの排出量を基準として適用しているというところでございます。

 実態といたしまして、様々、技術上難しい面があるというふうに聞いておりますので、更に県からも実情をよく教えていただきながら、今後の総量規制、栄養塩の管理としてどのような基準がよいのかということを、是非議論を深めていきたいというふうに思っております。

重徳分科員 難しいです、一日の方が難しいと言っているんですよ。一週間とかに延ばしてもらいたい、そういう要望なんですけれども。

 もうちょっとちゃんと答えてください。

土居政府参考人 一日ごとの管理というのが非常に技術的にも課題があるというふうに伺っておりますが、実際の現場、また下水処理場でどのような御苦労があるかということにつきましては更によくよく教えていただきまして、一日がよいのかどうか、どういう方策があるのかということを是非環境省といたしましても議論していきたいというふうに思っております。

重徳分科員 しっかり議論してください。よろしくお願いします。現場の声をしっかり聞いてください。

 それから、もう一点。

 栄養塩の増量して放流する時期が、かつて十一月にスタートして三月までという設定だったのを、令和五年度は九月から、つまり少しスタートを前倒しにしたんですね、九月から始めることにしました。それがアサリの生息に好影響を与えているというふうに聞いております。要するに、冬を越せるだけの栄養がちゃんとなきゃいけないということですよね。

 これをちゃんと、ちゃんとというか、この成果も踏まえて、今後も、十一月とか遅い時期じゃなくて、九月頃からの増量を続けていくということについて、これは県の判断もあると思いますが、国の見解を問いたいと思います。

土居政府参考人 社会実験の効果につきましては、先般、愛知県栄養塩管理検討会議におきまして中間報告がなされ、今まさに検討の結果の取りまとめに向けて最終議論がなされているというふうに承知しておりますが、愛知県の方に伺いましたところ、現在、社会実験の期間の延長を検討しているというふうに伺っておりまして、今後、県の環境審議会で審議されるというふうに伺いました。

 社会実験の期間の延長であるとか増量放流の実施時期につきましては、非常に重要な観点だというふうに考えておりますが、県での議論に資するように、環境省としましても、引き続き、密に県と意見交換、連携をしていきたいというふうに考えております。

重徳分科員 九月からの増量放流については、前向きに受け止めておられるという理解でよろしいでしょうか。

土居政府参考人 この検討会議におきましても、どのような効果があるのかというのを、実際のアサリであるとかノリの育成期間と関連づけて議論されていると承知しておりますので、効果と、あとは様々、準備その他あると思いますので、そこらの議論が深まるように、環境省といたしましても、技術的な助言その他、密に連携していきたいというふうに考えております。

重徳分科員 漁業の現場においては死活的に重要な課題でありますので、そういったことも踏まえて、技術的な助言なりを国から、環境省としても行っていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。

 さて、今、水質総量削減計画について言及がありましたけれども、これは要するに、環境省が所管する制度でありまして、今申し上げてまいりましたリンや窒素の量をコントロールする仕組みでございます。現在は第九次総量削減計画というのが国の基本方針に基づいて各県で定められているということでありますが、その九次総量削減計画が策定される時点での問題意識として、私はこう聞いています。

 指定水域においては、全般的な水質は改善をされている。特に、窒素、リンの達成率は高い、すなわち十分削減されている。むしろ、水域によっては、栄養塩類の不足により、水産資源への悪影響が出ているとの指摘もあるということも環境省としても理解をしているということで、窒素、リンについては更なる踏み込んだ削減はしないというのが九次の総量削減基本方針、そして計画における考え方というふうに伺っております。

 そして、これは次なる十次計画に向けてのことだと思いますが、このような検討が進められていると聞いております。指定水域全体の総量削減から、各水域の状況に応じた水質管理への、規制の枠組みの転換をするんだ、こういう検討が進められていると聞いております。

 まだちょっと先の話なのかもしれませんが、他県の状況も見据えて、中央環境審議会の専門委員会で議論が行われると思うんですが、いつ頃委員会の議論をスタートさせるとか、どんな方向で議論を進めていくのかということについて御答弁をお願いします。

土居政府参考人 第九次総量削減基本方針につきましては、令和四年一月に、目標年度を令和六年度として作成したところでございます。

 これまでの事例でいきますと、おおむね五年ごとに総量削減基本方針の見直しを行っております。この見直しに当たりましては、目標の達成状況を確認しつつ、また現場の状況も踏まえまして、中央環境審議会にもお諮りしながら進めるというのがタイミング、スケジュールでございます。

 その際の考え方といたしましては、令和四年六月に中央環境審議会から意見具申が出されておりまして、その中には、将来及び各地域のニーズに即した生活環境の保全に関する水質の在り方について検討を進めるべきだという御指摘もいただいておりますので、水質保全と豊かな海の両立に向けてというのは非常に大きな議論のポイントになろうかというふうに思っております。

重徳分科員 今の御答弁でもありますように、各現場の状況を踏まえてとか、それから、地域のニーズに即したという言葉がございました。

 そこで、これも要望であり、また御答弁いただきたいんですが、環境省として、水質汚濁に係る環境基準を告示で定めておられますね。海の水域における窒素、リンの濃度基準に応じて、濃度の低い1類型から、濃度の高い4類型に指定をされています。三河湾内の、特に西三河のエリアは、私の地元ですね、アサリが捕れるエリアでは2類型というふうに指定されている。三河湾は、これは一つの愛知県内の湾ですから、ですから、実際には国が指定するんじゃなくて、県が指定するということでございます。

 先ほど来からの地元の議論では、アサリなどの漁業資源の回復に向けて、三河湾内の環境基準について類型指定の変更が議論になっております。これは本当に死活的に重要なところなんですね。今は2類型であります。これはこれで、濃度が低い、リンや窒素の濃度が低い類型でありますので、多様な生物がバランスよく安定して生息している類型なんだと環境省からの説明はあるわけなんですけれども。

 ただ、どんな水産物も全て、リンや窒素の濃度が低ければ生息しやすいかというと、そうじゃないというのが今回の議論なわけなんですよ。特にアサリとかノリについては、より窒素、リンの濃度の高い3類型、場合によっては4類型ぐらいが一番すみやすいんだという解説もあるわけでございます。水清ければ魚すまずなんという言葉がありまして、きれいならばきれいなほどいいというわけではないということなんです。

 そこで、環境省、これは事務方の方でいいんですけれども、今2類型となっている西三河の窒素、リンの環境基準の類型指定ですが、これを、現実的に地元で漁業が営めるような持続的な環境をつくらなきゃいけない、これはこれで。先ほどから、環境の保全と、それから産業などの地域の活力との両立ということが言われております。そういう観点から、この2類型というものを3類型に見直すということができないかという投げかけでございます。いかがでしょうか。

土居政府参考人 水質汚濁に係る環境基準の水域類型につきましては、水質汚濁の現状を勘案し、また、水産など水域の利用目的等を配慮して指定するということになってございます。エリアに応じまして国が定めたり県が定めたりということで、事情の変更に伴いまして適宜見直すということがベースとなっております。

 お尋ねございました三河湾の環境基準の水域類型につきましては、愛知県が指定することとなっておりまして、環境省といたしましては、適切な水域類型が指定されるように、愛知県からの御相談に応じまして、技術的な助言、こういったものを行っていきたいというふうに考えております。

重徳分科員 指定するのは県の権限だという、これは私も理解しております。そこで、それでもなお環境省にお尋ねしているというのは、県の考え方というのは県の考え方でありますが、やはり基本方針というのは国で定めているわけでありますから、国の考え方をここでお聞きしたいということであります。

 特に、三河湾の中でも、水域によっては3類型なんですよね、場所によっては。そして、アサリやノリで困っている地域が2類型になっている。3類型でも許される、認められている水域がある以上、同じ三河湾の中なんだから、3類型でも、これは、そういう姿というのはあり得るというような考え方はないんでしょうか。環境省としてのお考えをお聞かせください。

土居政府参考人 環境基準の水域類型の指定に関しまして、どういう考え方を持って議論を進めていけばいいのかということに関しまして、愛知県からも個別具体的にかなり突っ込んだ御質問、お問合せをいただいておりますので、その元々の考え方、また現在の議論されている方向性につきまして、丁寧に今、県ともお話をさせていただいているというところでございまして、画一的なものにならないように、我々としても解釈をお伝えしたり、助言をしているというところでございます。

重徳分科員 じゃ、是非、県の具体的な判断を行うに当たって、この類型の見直しというものは、先ほどおっしゃいましたね、事情に応じて適宜見直すというふうに今局長からも御答弁いただきました。その旨を、県にもそのような助言をしていただきたいと思うんですけれども、御答弁をお願いします。

土居政府参考人 その旨、県ともやり取りをさせていただきたいというふうに思っております。

重徳分科員 是非よろしくお願いいたします。

 じゃ、最後に、大臣にお伺いします。

 今お聞きのとおり、環境と漁業との両立というのは、常にいろいろと難しい問題をはらんでいると思います。しかし、この西三河の地域というのは、御存じのとおり、自動車産業を中心として、湾の水質を汚濁する要素がたくさん今まであったわけですね。そういうことを、産業界、工業界と環境問題というものを調整して、長年にわたって、きれいな海をつくろうじゃないかという努力がされてきました。

 今度は、その基準が厳し過ぎて、本来流れ込むべき栄養塩というものが大幅に不足をして、そして本来の漁業というものが阻害されている、こういう段階に入っているという理解をいただければと思うんです。

 別の意味で、工業排水がじゃんじゃん入っていく三河湾は漁業を損ねると思うんですが、今度は、逆の意味で、水をきれいに厳しい環境に置き過ぎて、漁業が非常に危機的な状況になっている、こういうことになっております。

 水清ければ魚すまずという言葉を含めて、伊藤大臣の是非お力をいただきながら、西三河の、三河湾の豊かな海を取り戻したいと思うんですが、大臣の御見解をよろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 おっしゃられたように、かつて激甚な公害が発生して、赤潮や貧酸素水塊、この発生によって非常に大きな漁業被害が起きた、生じた。環境省としては、総量削減制度などの制度を順次導入して、水質の改善を図ってきたところでございます。

 他方、今日御指摘があったように、三河湾において栄養塩類が不足しているとの御指摘は、近年、地元の漁業者等からも大変強く提起されているというふうに認識しております。環境省としても、水産庁等と連携して、愛知県の検討会議への参加や関係者との意見交換を通じて、水環境管理の在り方については助言等を行ってまいります。

 今日の御質疑もいろいろありましたし、是非、おっしゃられるように、水質保全と生物多様性、生物生産性、この確保を両立させたきれいで豊かな海、この実現のために環境としてもその役割を果たしてまいりたい、そういうふうに考えます。

重徳分科員 環境省の役割は極めて重要だと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 今、要望も申し上げました。しっかりと受け止めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

伊東主査 これにて重徳和彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、末松義規君。

末松分科員 立憲民主党の末松義規です。

 今日は伊藤大臣と初めての質問ですけれども、よろしくお願いします。

 先ほど、山崎議員の方から質問がございました。一応、私も合併浄化槽の関係の質問をさせていただきます。

 まず、昨年、全国調査をやったということで、これは、環境省は各県から聴取をしたんでしょう。各県は市町村から事情聴取した、そして市町村は各事業者から聴取をした、こういう理解でよろしいですね、大臣。

伊藤国務大臣 今おっしゃられたとおりだと思いますけれども、今回の調査は、浄化槽の清掃の徹底に向けて、調査した上で今後の対策を検討するため行った問題でございます。おっしゃられたように、環境省から、各都道府県を通じて、市町村に対して調査の依頼を行ったものでございます。

 各都道府県及び市町村に対しては、浄化槽台帳に、清掃事業者からの報告を受けた……(末松分科員「複雑なのはいいですから」と呼ぶ)いいですか。

 というところで、以上でございます。

末松分科員 ちょっと私、おかしいと思ったのは、資料の二がありますよね。そこで、滋賀県の例なんですけれども、ここで、例えば滋賀県の長浜市、高島市、愛荘町、それから甲良町、清掃実施率がゼロになっているんですよね。

 何でかなと思って、専門家を通じてちょっと実情を調査したんですよ。そうしたら、その専門家が言うには、ゼロということは絶対ない、自分たちはやったんだと言うわけね。そしてまた、もう一つ言っていたのは、自分たちが報告を要請されたこともないと。それでゼロと報告しているんですよ。これって、報告上の義務の虚偽に当たると思うんですよね。

 これはどうしてそんなことが出てきたのか、本人たちはやっているというのに。それをちょっと答えてください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 清掃実施率が〇%となっております市町村につきましては、これは、市町村において清掃の実施件数を把握できていない、こうしたことから、回答として〇%になったものと考えております。

 環境省といたしましては、再度、これらの市町村に対して数値の誤り等がないか確認をする必要があると考えているところでございます。

末松分科員 これって、精査をした後の数字だからね。それでその程度なのかと。結局、行政指導をしても全然末端に伝わっていないよね、ということは、六四%の全国の平均の実施率、この数字自体も全くいいかげんだよねという話にならざるを得ないんですよ。だから、そういうことを、何で、把握というか精査して、した数字がこれだというのは、私は本当に信じられない。環境省の仕事の仕方、おかしいんじゃないの。

 そして、こういうふうな様々な誤った数字が出てきている。ほかのところもありますよ。これは、例えば、業者がそういう虚偽の数字、あるいは全く指導もされていないということ自体が、行政指導の不作為、あるいは県とか市町村の不作為、これについてやはり責任があるんじゃないですか。

 大臣、お願いしますよ。環境省がそういうことを不作為でやってきたんじゃないかと私は思ってはいるんですけれどもね。調査自体は非常に意義はあると思いますけれども、それまでそういったことを調査したこともないんじゃないか。答えてください。

伊藤国務大臣 環境省では、法律に基づき、浄化槽法に基づいた調査が行われるように今までやってきたところでございますが、今回、六四%という清掃の実施率、大変おかしいと思います。

 その理由の一つとして、台帳データの不整備というものもあると思いますし、そういうことで……(末松分科員「いいです」と呼ぶ)いいですか。

 そういうお答えです。

末松分科員 私の質問に端的に答えてくださいね。

 要は、政府委員に聞きたいんですけれども、環境省の参考人に、今まで、昨年以前にそういった調査を全国で行ってきたことはありますか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 清掃実施率の調査については、これは今回の調査より前には行ったことはございませんけれども、法定検査の実施率等につきましては、これは毎年調査を行ってきたところでございます。

末松分科員 大臣も、過去やってきたんじゃないかと思うという今、先ほどの答弁がありましたけれども、実は、清掃率関係、実施率はやってきていないんですよ。(坂本国務大臣「法定検査をやってきたということだけですね」と呼ぶ)そう。でも、そこは、こういうことをやって初めて清掃の実施率も分かってきて、じゃ、問題がどこにあるのか、これから検討しようということになるわけですよね。

 だから、一番問題なのは、そういったことを業者からも、私、その責任も問いたいんです。だって、業者は知らなかった人も結構いるわけですよ、そんなことをやられているというのは。県もそれから市町村も、環境省からこんなことを要請されなければ全くやっていなかった。これというのはやはり不作為という話になりませんか、大臣。環境省の不作為ということになりませんか。

伊藤国務大臣 御質問にお答えしますけれども、浄化槽の維持管理の向上のための浄化槽法で定める法定検査の受検率は、全国的な調査を毎年行っております。その中では、浄化槽法に定める清掃、保守点検の実施記録等を総合的に検査しており、これまで、法定検査の受検率を向上させるための全国説明会等の実施も行っております。

 実施の維持向上を図ってきたところでございますが、今般の調査結果では、清掃実施状況が不十分であり、市町村ごとにばらつきがあることも判明しました。このために、事務方に、清掃実施率の調査を継続的に実施し、また、その回答の精査を徹底するように指示したところでございます。

 引き続き、浄化槽法に基づく清掃義務が果たされるように対応してまいりたいと思います。

末松分科員 そういうことで、清掃実施率というのは全くやってこなかった、この責任もちょっとそこはしっかりと考えていただきたい。猛省を促したいと思います。

 そこで、資料の一を見てください。そのときに、この実施率で私は非常にすごいと思ったのは、岐阜県が九五%なんですよ、清掃実施率。これは全国一なんですよね。

 これは大臣としては当然評価すべきだと思うんですが、いかがですか。

伊藤国務大臣 評価すべきだと思います。

 委員が御指摘なさったとおり、岐阜県では、清掃等の維持管理データを電子化して一元管理するシステム、これを作成なさって、関係事業者と行政が連携して、清掃未実施の浄化槽の改善等を図っているとお聞きしております。是非、ほかの自治体でも、こういうデジタル技術を活用して効率的に清掃関連情報を集約している先進的な事例が複数あることを広報、周知してまいりたい、そのように考えております。

末松分科員 全くそこは正当な評価をいただいていると思いますね、岐阜県は。

 岐阜県、私も実は行ったことがあるんですよ。そして、実際の事業者の方々の清掃状況の実施状況もしっかりと見てきた。そうしたら、そういった設備の車に、やはり、端末を事業者の方が持って全部チェックをして、必要なことは全部そこで入れているんですね。端末からすぐにそれが市町村とか県にはそういうふうに行くようになっている。多分、環境省に行っているのかもしれません、そこは。

 だから、そういうことをやっているから九五%という、大臣が言われた、本当の目標値は一〇〇%なんだと。今、六四%と、この資料もいいかげんだけれども、これでも結局は法令義務違反という話になるわけですよ、今の状況は。それは大臣は、この前の十二月五日の山崎議員の答弁でお認めになられました、法令義務違反の状況だと。だから一〇〇%を目指しているわけですよね。

 そこで、やはり、これは単純な話なんですけれども、岐阜県方式を全国に広めていくというのが一番、実際にやった人であって実績も上がっている、そういうことをしていくのが一番重要だと思うんですけれども、いかがですか、大臣。

伊藤国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 岐阜県が高い浄化槽の清掃を行っているということは、やはり、デジタル技術を活用して効率的に清掃関連情報を集約しているということが一つの大きな理由だと思います。

 今月九日の浄化槽行政に関する総務省の勧告の中でも、清掃業者等からの情報収集のデジタル化に向けた対応策の検討が求められているところでございます。

 岐阜県の取組を始め、こうした情報収集のデジタル化に取り組んでいる先進的な事例について、他の自治体への周知を積極的に図ってまいりたい、そのように思います。

末松分科員 今の発言は重要ですし、また重いと思います。

 ただ、大臣、さっきから山崎議員の質問に答えて、要するに、区域割り、これについていろいろと議論されましたよね。私は、その岐阜県の事業者の方から、やはりそこは適切な区域割りをしないとこれはもう無理だよ、それ以上実施率が上がらないよと聞いているわけですよ。

 そういった中で、その後で、検討委員会をつくられて、それでやる、今までの問題点を議論すると言っている。この委員名簿を見たんですよ。委員名簿を見たら、ベストプラクティスをやっている岐阜県の関係者、事業者も含めて、行政も含めて、誰も入っていない。これはどういうことですか。

角倉政府参考人 御指摘いただきました岐阜県の事例等、先進的な事例につきましては、しっかりヒアリング等を行うことにより、情報を踏まえた上で、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

末松分科員 今のが問題なんですよ、何で委員に入れないのと。何かヒアリングをやりますと。

 でも、ここの、いろいろな事業者の方もおられれば、大学教授もいろいろといるんだけれども、実際にやったことのない、そういう実施の。そういう、何か水質保全協会の理事長さんとか、いろいろと入っているんだよね。先進事例を持っている岐阜県の事業者の連合会の方とか、そういったものを当然含まないと、それはおかしいんじゃないですか。単にヒアリングをやればいいという話じゃないでしょう。

 大臣、政治家の判断として、ちょっとそこは検討してくださいよ。今からでも追加すべきだと私は思っているんですけれども、大臣、お願いします。

伊藤国務大臣 御指摘も踏まえて、検討会のメンバーについては更に検討を進めてまいりたいと思います。

末松分科員 そこはしっかりと私はお聞きしました。だって、これは全て清掃実施率の向上に向けての話をやっているわけだから、ベストプラクティスをやっている人たちのことを全く委員にも含まないというのは、これはおかしいですよ。おかしいのは、事務方がおかしいんじゃないかとも思いますよ、私は。別に責める気はないけれどもね。

 あと、それから、公取の方は来ておられますよね。

 あ、もう一つその前に、この前の環境省の、低清掃実施率、低い実施率の理由として、高齢世帯で維持管理の負担が大きく、清掃の義務を果たすことが難しい状況にある、こういう話があったんですよ。

 これは、高齢世帯、これからの高齢化を迎えるともっともっと大変なことになると思うんですけれども、これで維持管理が負担が大きくてできないよといった場合、これは一般廃棄物処理法の四条の三にも書いていますよ、やはり、必要な財政援助というのかな、これもすべきだと思うんですけれども、いかがですか。

伊藤国務大臣 清掃実施率が低い要因の一つとして、今御指摘のように、少人数である、あるいは独居であるとか、そういう高齢者世帯において清掃が徹底されていない、これは考えられます。

 このため、環境省では、令和五年度補正予算及び令和六年度当初予算案において、少人数高齢世帯の浄化槽の維持管理に対して補助を行う市町村を対象として財政支援を行うこととしております。この財政支援の積極的な活用を促して、清掃実施の向上にもつなげてまいりたい、そのように考えます。

末松分科員 事務方からは、その辺のを含めた補助金が八十六億円というのは聞いているんですけれども、是非、それが清掃実施率が低いという原因だったら、即座にそれは支援してください。それは今大臣からいただいたので、それは了とします。

 あと、それから、公取の方、いますよね。あ、公取委員長さんですね。

 ちょっと、若干、最高裁の判断もあって、自由競争という業界でもないよねという話がありました。例えば、事業者が相談して区域を定めるという話になってくると、これは独占禁止法の指導対象になりますか。

古谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 いわゆる、御指摘がありました、市町村長の区割りが行われていない場合において、廃棄物事業者の皆さんが共同してそれぞれの区域を決定をされて、相互に、ここは自分たちの区域だという形で分け合われて仕事をされるような場合には、相互に事業活動を拘束をして競争を制限されるおそれがありますので、独占禁止法上、いわゆる市場分割カルテルと申しておりますけれども、それに該当することになり得る場合があるというふうに考えております。

末松分科員 公取委としては当然の話だと思いますが。

 もうちょっと微妙な例を申し上げていくと、例えば、事業者の長年の努力で、そして、別に表向きは、いわば、あうんの呼吸でそういった区域割れが自然とできていて、別に、暗黙の相談があったとかいうことは表からは分からない状況の場合、こういった場合は独占禁止法のやはり対象となりますか。

古谷政府特別補佐人 今お話がございました、具体的な事実に沿って、独占禁止法上違法という状態にまでなるかどうかは判断することになりますので、先ほど申し上げた、一般論ではありますけれども、区割りが許可されていない中で相互に仕事を分け合われるようなことになれば、独占禁止法上問題となるおそれがあると言わざるを得ないと思います。

末松分科員 結構いろいろな独占禁止法上の問題が、今、やり玉に上がった地域もあるんですね。大体、やはり事業者同士のいわば縄張というところもあるんでしょうね。要するに相手をチクったり、そういったこともあるんですね、実際に。そうした場合は分かるんだけれども、多分、区域割りが全くできていない、例えば市なら市全体が、これが区域だよといって、そこの中で全く決められていない区域、業者が四つとか五つとか、そういった場合は、そういうことがあり得る可能性が高まりますよね。それでも、意外と、行政が区域を定めていれば、それはそれでやってよねという話になると思いますが、いかがですか。

古谷政府特別補佐人 廃棄物処理法に基づきまして市町村が区域等を定めておられる場合は、これは法律に基づいて、いろいろな配慮や要素を、された上で、市町村長の権限で定めておられるんだと思います。

 その前提であれば、許可を受けた一般廃棄物事業者がそれぞれの区域で事業を実施されること自体は、市場分割カルテルとして独占禁止法上問題となることはないとは思いますけれども、一つの区域に複数の事業者がおられる場合には、これは価格などの面で共同行為をされますと、それはそれで独占禁止法上の問題になるおそれがありますので、そこは御注意をいただきたいと思います。

末松分科員 大臣、今、聞かれましたよね。

 では、一方、ちょっともう一つ聞くのは、例えば、一般廃棄物処理法の六条あるいは七条に基づいて、さっきお答えされましたけれども、清掃実施率向上という観点から、県や市町村が清掃実施率の低い地域に対して必要な実態調査を行って、そして綿密な区域調整ということが必要と認識されるとき、その市町村が区域調整を行うということは、これは独占禁止法には当たらないと思うんですけれども、いかがですか。

古谷政府特別補佐人 これは、一般廃棄物処理法ですか、その法律に基づいて市町村長が権限を行使されて、行われる区域、それを定められることについては、独占禁止法上からいろいろなことを申し上げる立場にはないと思います。

末松分科員 大臣、さっきから区域の区割りという話が出ていますけれども、資料三を見ていただきたいんですけれども、私、この区域割りのことを最後にちょっと申し上げるんですけれども、廃棄物処理法の第七条の十一に、第一項又は第六項の許可には、一般廃棄物の収集を行うことができる区域を定め、又は生活環境の保全上必要な条件を付すことができると。これは基本的には実施計画に大体盛り込まれているわけですね、それが。だから、その中で、実施区域で、収集区域の範囲とあるわけですよ。それはもうみんな、この計画をしっかりと報告しているところは、そういう形を満たしているわけですね。

 ただ、さっき公取委員長が言われたように、例えば市全体を、これが、複数の業者がいて、市全体が区域だと。複数事業者があるとして、Aさんはそう言っている、Bさんも全体が区域だと、CさんもDさんも全体がそういうふうな形になっていると言ったら、山崎議員が指摘されていましたように、結局あってなきがごとくなんですよね。それは区域の定めがないということで、るる御説明もありましたけれども。

 例えば、資料の四で、そこの中で、例えば四十三番の群馬県の藤岡市、これは五つの業者がいて、二九%の清掃実施率、低い実施率ですね。それで、精査後に、設置基数が一万六千四、実施基数がたったの三千五百三十三、休止というのが三千六百五十三とあるわけですよ。これは区域を定めていない地域なんですね。で、複数業者がある。

 こういった場合に、藤岡市なんというのは、みんな、市全体が自分の地域だと言っているわけですね。そうなると、さっき公取委員長の言うように、そこで談合とかあるいはカルテルとか生じやすいわけですよね。そういった場合はやはり、それで清掃実施率も低い、ちょっとそういったことをきちんとチェックもしないといけないなと思うんですけれども、五業者がある中で、これはちょっと事務方に聞きますけれども、どういうことになるんですかね。全部藤岡市の、一〇〇パーやるということで各事業者がやっているんですか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、清掃実施率一〇〇%達成に向けて、その第一義的責任を有しておられるのは、統括的処理責任を有している市町村であると思っております。市町村がまず、その地域内における浄化槽管理者、各御家庭でありますとか浄化槽を設置しておられる方々、そこにしっかりと働きかけ、指導をしていただいてやっていただくことが第一だと思っております。

 そうした中で、それぞれの各事業者さんとの関係でございますけれども、各事業者間でどういった調整、若しくは行われているかどうかということは、私どもとして承知はしておりませんけれども、それぞれの営業努力の中で各家庭に働きかけていただくだけではなく、各家庭の方からしっかりと清掃実施、それをお願いしていただく、こうすることによって一〇〇%達成を目指していく、これが大事であろうと考えております。

末松分科員 でも、そういうふうにきれいに分けられればいいんですよ。でも、公取委員長が言っていたように、そんな、全体で五業者がスムーズに分けられている、これは独占禁止法の疑いも出てくるわけですよ。いろいろな、中でやりくりやっているんじゃないかと。

 そういうのをやはり考えていかなきゃいけないし、こういう質問の機会を与えていただいてこういうことを話すと、結局は、あれはおかしいよということでチクり合いというのになっても困るので、そこはきちんと環境省が出ていって、危ない、おかしいなという地域はしっかりと実情を踏まえて、そして、そういった独占禁止法に抵触しないように、そこをきちんとそれなりに行政、市町村で区域割りをしていくということが、独占禁止法に抵触もしないし、一番、実情としていいということになると思うんですね。

 だから、そこについて、ちょっと大臣も今の指摘に対して感想をいただきたい、一言。

伊藤国務大臣 今日、浄化槽、そしてまた、その清掃の実施率に関連してたくさん御質問なり御指摘をいただきました。

 今日の御質問の内容、それから検討会の内容も含めて、御指摘、確かに重く受け止めたいと思いますし、ただ、それぞれの市町村でいろいろな実情もあると思います。それから、人口動態、あるいは浄化槽、浄化槽の設置の推移もありますので、そこも踏まえて、市町村長が適切に判断できるように、そして結果として浄化槽の清掃率が一〇〇%になるように、環境省としても、今日の御質問、御指摘を踏まえて、しっかりと政策を前に進めたい、そのように思います。

末松分科員 御決意をいただきまして、そこは私もじっと見ていますからね。

 だから、そこは、例えば、逆に、区割りをしていない地域で複数の事業者がいて、そういうところが、じゃ、清掃率が高い業者はどうやって、何で高いのか、それから、低いところは何で低いのかというのを、やはり問題地域って結構あれですよ、百か所前後とか集中的に調査をして、そして、必要ならば独禁法に触れないような形でしっかりと市町村が表に立ってやっていくということが本当に重要だと思うので、その検討の仕方も、さっき言った岐阜県の九五%というあの重みを踏まえながら、検討委員会も、しっかりと岐阜県も加えてもらってやっていくということを改めてちょっと確認したいと思います。

伊藤国務大臣 今の御指摘も踏まえて、しっかり検討についても検討を重ねてまいりたいと思いますし、必要な政策をなるたけ早く具体的に実施できるように努力したいと思います。

末松分科員 ありがとうございます。じゃ、よろしく頼みます。

伊東主査 これにて末松義規君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げる次第であります。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後一時八分散会


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