衆議院

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第6号 令和3年2月1日(月曜日)

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令和三年二月一日(月曜日)

    ―――――――――――――

  令和三年二月一日

    午後五時 本会議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 議員辞職の件


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    午後五時三十二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

武部新君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 武部新君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長木原誠二君。

    ―――――――――――――

 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔木原誠二君登壇〕

木原誠二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、国民の生命及び健康を保護するとともに、国民生活や国民経済への影響を緩和するため、新型インフルエンザ等蔓延防止等重点措置を創設するほか、新型インフルエンザ等の影響を受けた事業者や医療機関等への支援措置を講ずるとともに、入院措置等に応じない場合及び積極的疫学調査に応じない場合の罰則の創設等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る一月二十九日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、直ちに本委員会に付託されました。

 本委員会においては、同日、西村国務大臣から趣旨の説明を聴取した後、質疑に入り、参考人から意見を聴取いたしました。さらに、本日、厚生労働委員会との連合審査会を開会し、質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、本案に対し、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び日本維新の会・無所属の会の共同提案により、緊急事態宣言時及び蔓延防止等重点措置時の命令に違反した場合における過料の額を引き下げるとともに、入院措置等及び積極的疫学調査に係る罰則を、刑事罰から行政罰に修正すること等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 討論の通告があります。順次これを許します。塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、新型コロナ感染症対応の特別措置法等改正案に反対の討論を行います。(拍手)

 今、新型コロナの感染拡大を抑止するために必要なことは、罰則導入ではありません。事業規模に応じた補償、政府、自治体からの要請で不利益を被る個人への補償など、正当な補償を明記する法改正です。政府がなすべきは、コロナ感染者の不安をなくし、過酷な医療現場を改めるため、公衆衛生、医療提供体制の整備に全力を注ぐことです。

 本案の最大の問題は、コロナ感染者や、コロナ対策で営業が困難になる、仕事を失う、収入が落ち込むなど不利益を被る国民を犯罪者扱いし、責任を国民に転嫁して、国が行うべき補償を免れようとする罰則の問題であります。

 重大なのは、入院措置や積極的疫学調査の拒否に罰則を導入する点です。政府案に対し、刑事罰撤回の修正が行われましたが、罰則を科して強要することに違いありません。

 また、入院したくてもできず、自宅で亡くなる事態を放置したまま、自宅療養を位置づけ、これを求めています。

 さらに、医療が逼迫する中で必死に地域医療を支えている医療機関に対し、減収補填を行わず、ベッド増床の協力勧告に応じなければ公表の制裁を加える規定まで盛り込んでいます。

 罰則導入が、いかに感染抑止に逆行し、重大な困難をもたらすか、この短い審議の中でも明らかになりました。

 公衆衛生の専門家の参考人は、罰則があることで、水面下に潜ってしまう行動を誘発する可能性を指摘。さらに、罰則の導入で保健所には事件の通告義務が生じ、業務が追加となるため、今の保健所では業務的にもたないと告発。感染症法に関して、罰則は一切踏みとどまるべきだと強調しています。

 罰則導入は、国民の不安、差別を助長させ、保健所業務に支障を来し、国民の協力を得にくくし、感染コントロールを困難にするものです。絶対に認められません。

 私の質問に対し、政府は、入院拒否で感染拡大した科学的証左も示さず、入院措置の事例すらつかんでいませんでした。

 菅総理は、罰則導入について、保健所を所管する都道府県知事からは全国知事会として要望があったと述べ、厚生科学審議会感染症部会からはおおむね了承が得られたと答弁しました。

 しかし、保健所から知事に対し要望を上げてくれとは言っていないという発言がその審議会の議論中にあったのです。そして、審議会で十八人のうち十一人が反対、懸念、慎重論を表明していました。にもかかわらず本案を提出したことは、到底許せません。

 本案は、こんなにも矛盾に満ちています。多くの関係者が反対している声を無視して押し通すなど、断じて許されません。罰則、制裁措置の導入は全面撤回すべきであります。

 特措法は、現行においても、緊急事態の要件や私権制限の内容が曖昧で、その恣意的運用が問題となってきました。

 これを放置したまま本案で持ち込まれた蔓延防止等重点措置は、更に問題を拡大するものです。政府、都道府県の判断で、罰則つきで私権制限を国民に押しつけ、事業者への要請事項など肝腎な中身は政令で定めるとし、国会の関与も法定していません。政府や自治体の裁量が大きく、更に恣意的な運用が懸念されるものであり、認められません。

 特措法の対象を拡大し、政府が決めれば法改正なしに今後新たに発生する感染症にこの枠組みが使えるようにしていることも問題です。

 特措法は私権制限を伴うものであり、国民の権利利益を救済する措置が不可欠です。私権制限がもたらす人権侵害に対する救済措置や、経済的措置に対する補償の法定化を欠いたままの法改正は許されません。

 また、検疫法に自宅待機を位置づけていますが、これは、感染症の病原体が国内に侵入することを防止することを目的とする検疫における水際対策に穴を空けるものであり、反対です。

 以上、討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 平将明君。

    〔平将明君登壇〕

平将明君 自由民主党の平将明です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 まずは、今回の新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。

 また、現在治療、療養中の皆様の一日も早い御回復を心よりお祈り申し上げます。

 今回の法改正に賛成する理由は、第一に、これまでの経験、知見を踏まえて、特措法における感染症対策の枠組みを強化し、新型インフルエンザ等緊急事態に至る前から一定の強制力を伴う措置が可能となるようにする必要があると考えるためです。

 この点、私権の制約とのバランスが重要となりますが、今回の改正法では、この措置を実施するに当たって専門家の意見を聞くこととしているほか、地域や業種等を絞って措置を講ずることとしており、私権の制約は低く抑えつつも、緊急事態措置が必要な蔓延状況に陥ることを防止しようとするものとなっています。

 その上で、第二に、影響を受けた事業者や医療機関等への支援についても、それらの一定の強制力を伴う措置との両輪として、法制化する必要があると考えるためです。

 この点についても、今回の改正案では、国や自治体は事業者等を支援するための必要な措置を行うこととしており、政府からは、審議においても、規定の趣旨や与野党の合意に基づく附帯決議を十分に踏まえながら対応していく旨の答弁がありました。

 第三に、感染者や医療従事者、その家族等への差別はあってはならないことです。

 法改正では、こうした方々に対する差別的取扱いなどの実態把握や啓発活動等を行うことを国や自治体の責務としており、悪質な偏見や差別の撲滅に向けた確かな一歩となるものと考えています。

 また、第四に、感染症法に基づく対策の実効性を高め、より確実な取組を推進することにより、現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を一日も早く収束させ、また、次なる拡大の波を起こさないようにする必要があると考えるためです。

 この点、今回の改正案においては、これまで得られた様々な知見や経験を法制度に反映し、入院や宿泊療養等の措置の実効性の確保、国と地方自治体の間の情報連携や役割、権限の強化等を講ずることとされており、こうした措置により、感染の早期収束につなげていくことができると考えています。

 また、今回、入院する医療機関から逃げた場合や積極的疫学調査への回答拒否をした場合などに罰則を科することとされています。

 この点、私権制約の観点からいえば、当然、慎重な運用が求められますが、政府からは、審議において、患者の人権に配慮をして適切な運用を図っていく旨の答弁がありました。

 感染症対策の実効性を高めるために、今回の罰則は必要最小限の措置としてやむを得ないものと考えますが、責任ある与党として、実際の運用についてもしっかりと注視をしていく必要があると考えております。

 以上、本法案に賛成する理由を述べました。

 今回の法律案は、その検討の段階から政府・与野党連絡協議会で各党の御意見をお伺いし、御意見をできるだけ取り入れて提出された経緯があります。また、法律案の審議に先立って、与野党で真摯な協議を積み重ね、修正の合意に至り、それを踏まえて法律案とするなど、現下の感染状況の下で、異例の対応を経て現在の案となっているものです。

 議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(大島理森君) 浅野哲君。

    〔浅野哲君登壇〕

浅野哲君 国民民主党・無所属クラブの浅野哲です。(拍手)

 新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に哀悼の誠をささげるとともに、療養中の皆様にお見舞いを申し上げ、医療従事者の皆様、その他エッセンシャルワーカーの皆様には、心からの敬意と感謝を申し上げます。

 新型インフルエンザ等対策特措法等改正案について、私は反対の立場から討論をいたします。

 緊急事態宣言が延長された場合、多くの事業者は時短営業等に協力する意思があります。しかし、先行きが見通しにくい中で、更なる借入れを行える事業者は多くありません。法律の実効性を高めるためにも、事業者が受けた影響に応じた支援に踏み込むべきです。

 私たち国民民主党は、持続化給付金、家賃支援給付金の再給付及び損失補填的な内容への見直しを求めてきました。アメリカが行っているペイチェック・プロテクション・プログラムのような返済免除特約つきの融資制度の創設なども必要だと考えております。国際通貨基金、IMFも、各国政府に対して追加的な財政出動を求める意思を表明しています。今、踏ん張るべきは事業者だけではありません。国の決断こそ求められています。

 蔓延防止等重点措置は、制度全体を複雑化させています。国民は、緊急事態宣言の発出を目安に日常の行動を切り替えてきました。国民の理解と協力を得るためにも、簡素な制度を維持し、緊急事態措置の機動的かつ柔軟な運用を進めていくべきだと考えます。

 蔓延防止等重点措置は、罰則規定によって国民や事業者の社会活動を著しく制限するものです。それにもかかわらず、国民の代表たる国会の関与は法律上規定されておらず、民主性を欠いています。対象者が少ないからとか機動的な対応が求められるからという理由では、国会の関与を不要とする理由としては不十分です。国民の理解と協力を得るためにも国会への説明義務を法律の中に明記するべきであり、それなくして罰則による私権制限はあり得ません。

 この法律の目的は、経済活動の抑制ではなく、あくまでも感染拡大防止です。多くの事業者が既に一年近く辛抱している中、営業を継続する際の正当な理由の具体的中身が今に至って検討中というのでは、政府の誠意が国民に伝わりません。この法律は、成立後一月もせずに施行されることとなっております。詳細を政令で定めるにしても、条文上に何らかの指針を示す責任があるのではないでしょうか。緊急性の高い案件であるからこそ、予見可能性があり、経済界の理解が得られる内容を提案すべきだったと考えます。

 現在、特に深刻なのは、コロナ不況によって失業率が高まってきていることです。雇用調整助成金の活用を産業界に対してより強く求めていくことはもちろんのこと、失業者が増加しているサービス業を始め、仕事を失った方々がほかの業界で就労を継続できるように、雇用の弾力的な運用を政府として支援することを求めます。

 コロナが感染拡大を続けている要因の一つに、無症状感染者の把握が難しい点が挙げられます。今後の第四波を封じ込める戦略の中では、十分な支援を前提とした活動制限の徹底と抗原検査キットなどを用いたスクリーニング検査など、集中的な感染ポテンシャル低減が重要であると考えております。医療機関の負担に配慮しつつ、検査体制の強化に向けた検討をお願い申し上げます。

 最後に、この法改正は、罰則を新たに導入するなど、私権制限を創設する重要な法改正にもかかわらず、衆議院における審議が実質一日というのは国会審議の在り方として本来全く不十分であり、実効性のある中身とするためにも、今後も随時見直しを重ねていくことを期待申し上げ、私の発言を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 白石洋一君。

    〔白石洋一君登壇〕

白石洋一君 立憲民主党の白石洋一です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表し、政府提出の新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案及び我が党など提出の修正案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 新型コロナウイルスの感染拡大によって亡くなられた方々に哀悼の意を表し、御遺族の方々に心からお見舞い申し上げます。

 新型コロナと戦う医療・介護従事者、社会機能維持者の方々、そして、困難に耐えながら、感染拡大を防ぐ生活に協力されている全ての方々に、心から敬意を表したいと思います。

 本題に入る前に、政府・与党が起こした上塗りの不祥事について触れないわけにはいきません。

 先週発覚した松本純国会対策委員長代理の銀座飲食に、田野瀬太道文科副大臣と大塚高司議院運営委員会理事が同席していたのです。

 コロナ禍での銀座連れ会食というおきて破りも大問題ですが、それ以上に、本会食が発覚してから一週間も、御三方そろってマスコミに対し事実を否定し続けた、すなわち、口裏を合わせてうそをつき通していたことは、国民に対する最大の裏切りではないでしょうか。国民の皆さんは、真剣に自粛をされています。

 菅政権は、コロナ対策、危機管理を後手後手にし、国民に批判されていますが、まだ懲りていないのでしょうか。国対委員長代理といえば党の要職、議運理事は院の要職、副大臣は政府の要職、まさに、政府・与党一体で国民をだまそうとしていたことは、万死に値します。

 政府・与党の責任者である菅総理が、この一大不祥事の事実究明に関し、明日の議院運営委員会で予定されている緊急事態宣言延期報告においても、きっちりと説明していただくことを強く要請いたします。

 本題に入ります。

 感染拡大への対応は、まず早く、強く行うべきです。いわゆるハンマーが必要です。しかし、これまでの政府の対応は遅く、そして、総理としての政府対応への説明は不足しています。

 感染者の数は昨年十一月から急増しており、第三波は始まっていました。それに対し、私たち野党は、十二月二日、都道府県による緊急事態宣言の要請、国、地方の連携強化、知事の立入検査、国負担の給付金、医療検査体制の強化、海外からの入国制限などの法案を出しました。

 しかし、与党・政府は、私たちの法案を審議せず、十二月五日に国会を閉じてしまい、ようやく一月十八日に開会し、本法案の審議にたどり着きました。

 本来の順番は、私たちの法案を成立させてから、緊急事態宣言を出すべきです。今の法案は、衆議院を通過しても、それから参議院の審議を経、成立したとしても、施行までにまだ時間がかかります。

 GoToキャンペーンの停止が遅れたこと、水際対策、すなわち、ビジネストラック、レジデンストラックを含む入国禁止が遅れたこと、勝負の三週間が中途半端で、緊急事態宣言再発令が遅れたことという三つの後手を指摘せざるを得ません。その緊急事態宣言も、一月七日に東京など四都県に出したその六日後に七府県を加えるなど、小出しの対応と言われても仕方がありません。

 今回の政府原案提出の前に、政府、与野党の連絡会議が開催され、野党の意見も踏まえられたことは評価します。

 協議の段階で、野党案にあった、臨時の医療施設の開設、宿泊療養、自宅療養に関する規定、国と地方自治体の連携が盛り込まれました。

 さらに、当初は努力義務規定だった事業者や地方公共団体への財政上の措置、支援措置が義務規定となったこと、間接的に影響を受けた事業者への支援、差別の防止に関する国や地方の責務が盛り込まれることになったことは前進です。

 しかし、政府原案は大きな問題を含んだままでありました。それは、初めに刑事罰ありきの枠組みでした。野党が提出した法案には罰則は入れておらず、正当な補償を図るための法案でした。

 私権制限は最小限であるべきで、我が党は、本来、過料の導入すら慎重であるべきとの考えであり、刑事罰の導入は罪刑均衡の観点から明らかに重過ぎます。

 感染症法の前文にも、過去にハンセン病などの感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として、患者等の人権を尊重しつつ、医療など総合的な施策の推進を図るべきことが表明されています。

 与野党の交渉の結果、以下の大きな四つの点で罰則に関する修正に至りました。

 第一に、入院を拒否した人を対象とした刑事罰の一年以下の懲役又は百万円以下の罰金を削除し、行政罰の五十万円以下の過料に変更。

 第二に、保健所などによる積極的疫学調査を拒否した人に対する五十万円以下の罰金を三十万円以下の過料に変更。

 第三に、緊急事態宣言下での営業時間の短縮命令などを拒否した事業者への過料額を五十万円以下から三十万円以下に減額。

 第四に、蔓延防止等重点措置下で拒否した事業者への過料額を三十万円以下から二十万円以下に減額です。

 このように、刑事罰は全て撤回されることになりました。衆参共に与党が絶対的多数を占める国会で野党の要求に沿った修正が実現したことは、一定の評価ができますし、これからの国会運営上も有意義です。ただ、今回のような修正協議は、法案提出前だけでなく、国会での議論に応じて法案審議中にも行われるべきであることは付言しておきます。

 本改正案は、依然として課題を残していることは申し上げなければなりません。

 まず、入院を拒否した者への対応です。

 刑事罰はもちろん、行政罰にせよ、入院を拒む感染者に対し、どのように保健所職員が執行するかなど運用上の課題や、感染者への差別を助長しかねない人権上の懸念を考えると、事実上、粘り強く説得するしか方法はないのではないでしょうか。それは現状と同じです。

 一方、デメリットとして、罰則があることにより、無症状の人は検査を受けることや陽性結果を通知することを避けてしまう例が少なからず増えてしまうのではないでしょうか。

 政府が罰則を入れる理由として掲げる、知事が直面する課題のより大きなものは、むしろ入院したくてもできない感染者をどうするかであり、まず、その課題にこそ政府は真正面から取り組むべきです。

 次に、営業時間の短縮命令についてです。

 その実効性確保は、罰則の前に、要請に見合う補償を政府が実行することが必須です。政府が時短や休業をお願いする以上、政府は事業規模に応じた正当な補償を行う責務があると考えます。

 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置による自粛による売上げ低下は、対象地域だけでなく、全国の離れた地方にまで及んでいることを考えれば、地理的にも業種的にも広範囲な営業への補償を約し、そのための制度の実行を急いでいただくよう要請いたします。持続化給付金の制度枠組み、システムをそのまま利用し、給付条件を変えて行うことができると思います。

 一月十九日に十三道県知事が出した緊急提言でも、緊急事態宣言発令地域に限らず、不要不急の外出や移動の自粛により直接的な影響を受けた全国各地の事業者に加え、間接的に影響を受けた事業者も一時金の対象とすることを求めています。是非、御検討をお願いします。

 また、行政罰の適用には極めて抑制的な対応、蔓延防止等重点措置発令の際には実体ある国会報告と客観的基準の明確化、さらに、差別禁止や自殺対策の徹底、水際対策の迅速で厳格な実施、ワクチンの安全かつ迅速な接種、医療機関の減収補填、医療機関間や広域の調整に努めるよう求めます。

 今後の参議院での審議も生かし、コロナ禍から国民の命と暮らしを守りつつ収束するように今般の法律が運用されることを期待いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(大島理森君) 濱村進君。

    〔濱村進君登壇〕

濱村進君 公明党の濱村進でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々と御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。

 また、感染されて闘病中の方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

 今、現に、感染するリスクと向き合いながら、社会生活に必要不可欠な仕事に就かれている皆様に心から敬意を表しますとともに、感染拡大防止に御協力くださっている国民の皆様に感謝を申し上げます。

 政府は、批判にさらされても、特措法等の改正を決断いたしました。

 少なくとも昨年末の段階においては、特措法等の改正は、感染収束後にしっかりとした対策の検証を得て行う予定と考えておられました。対策に強制力を持たせることについては、昨年の臨時国会の段階では、専門家の間でも意見が分かれる状況であったわけであります。しかし、その後の感染拡大の中で、全国知事会を始めとする現場からの要望等が行われて、与野党での議論もあり、法案を提出することを決断したとのことであります。

 そもそも、落ち着いた環境の中で議論できるにこしたことはありません。しかしながら、今回は、感染拡大する中でありながらも、目的である、これ以上の感染拡大を食い止めて医療崩壊を起こさないため、改正することを決めたわけであります。私は、この特措法等を改正する決断をしたことは極めて重要であり、評価いたします。

 政府におかれては、法改正の目的である感染拡大防止と医療逼迫の解消にこれまで以上に取り組まれることをお願い申し上げます。

 今回の特措法等の改正に当たり、立法府としての役割は、いわば相反する二つの目標を実現することでありました。一つは感染拡大を収束させること、もう一つは国民の権利利益を守ることであります。

 新型コロナウイルスが感染拡大している中において、どの程度であれば国民の権利利益が制約されることに理解が得られるのか、十分な配慮が必要です。そのような中で、野党の協力を得て、修正協議を行い、合意することができたわけであります。ここに、立法府としての一定の役割を果たせたのではないかと考えます。

 今回の法改正で、新型インフルエンザ等特措法においては、新型インフルエンザ等緊急事態において、現行法で可能であった要請、指示だけではなく、要請、命令ができるようになりました。

 ただし、本来であれば、緊急事態宣言の発令は抜かずの刀であることが理想であります。よって、緊急事態に至らない段階での感染拡大防止のための措置を講じるため、蔓延防止等重点措置を新設することとしております。

 蔓延防止等重点措置については、期間、区域、業態を絞った措置を機動的に実施することで、集中的な対策により地域ごとに感染を抑え込むことができるよう、知事からの要請等の実効性を高めることを目的としております。

 ここで重要なのは、緊急事態措置と蔓延防止等重点措置の差であります。

 緊急事態措置では、施設使用の制限、停止、催物開催の制限、停止ができますが、蔓延防止等重点措置ではできません。できるのは営業時間の変更要請であり、いわゆる休業要請はできないとしております。過料についても、それぞれ三十万円以下と二十万円以下と、差があります。また、緊急事態措置の場合だけ、特定物資の収用や臨時の医療施設の開設のための土地等の使用を同意なく可能とすることとなっております。

 法案審査の中、それぞれの措置で十分に段階的な差がついていることが確認できました。

 蔓延防止等重点措置における要請を実効性あるものとするには、事業者や地方公共団体への支援が鍵となります。

 支援については、影響を受けた事業者を支援することについて義務化しております。影響を受けた事業者の範囲を川上から川下まで幅広く設定し、支援することが、実効性の向上につながると考えます。

 政府におかれては、影響を受けた事業者を柔軟に捉えて支援することで、要請を実効性のあるものとし、感染拡大の収束を実現し、国民の生命と生活を守るよう、強く要求するものであります。

 続いて、感染症法、検疫法等の改正につきましては、新型コロナウイルス感染症を感染症法等に適用できるよう定義づけし、宿泊療養、自宅療養の法的根拠を示すほか、国や地方自治体間における情報連携の改善、役割、権限の強化等も措置する中で、医療関係者、医療機関への協力要請も明示的になり、評価いたします。

 その上で、与野党の修正協議により、入院措置の罰則については、刑事罰の一年以下の懲役又は百万円以下の罰金から行政罰の五十万円以下の過料に修正となり、積極的疫学調査の罰則については、刑事罰の五十万円以下の罰金から行政罰の三十万円以下の過料となりました。

 入院勧告、措置の罰則については、入院したくても病床に空きがなく入院等調整中の方は、当然、罰則の対象外です。悪意を伴うような新型コロナウイルスを拡散するという行為として入院中に逃げたり、正当な理由なく入院しなかったりする場合に限られることとなっております。

 積極的疫学調査の罰則については、保健所の保健師等の皆様の業務負荷を取り除くことを一つの目的としなければなりません。

 刑事罰の罰金から行政罰の過料に変わりましたが、いずれの場合であっても、一定の抑止効果が働く点では変わらないと考えます。

 もとより信頼関係の構築を大前提として保健師の質問、調査が行われていることを考えますと、信頼関係の構築が困難な相手の場合に抑止効果が発現され、保健師の負担が軽減されることを期待いたします。

 なお、与野党の修正協議に伴い、積極的疫学調査の質問、調査に応じない場合において、質問、調査に応じるよう命令できることとしつつ、その命令は、必要最小限度のものとし、原則、書面通知を伴うこととしており、それでもなお正当な理由なく答弁をしなかった等の場合に限り三十万円以下の過料としたことも評価するものであります。

 以上、本改正案に賛成する理由を申し述べ、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) 青山雅幸君。

    〔青山雅幸君登壇〕

青山雅幸君 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。

 私は、会派を代表し、特措法、感染症法等改正案について、賛成討論をいたします。(拍手)

 今、政治に問われていること、それは、既成概念や様々な思惑にとらわれることなく、この新型コロナウイルスとの戦いを国民にとって最善の結果に着地させていくことであります。

 そのためには、この戦いの本質を理解し、固定的な視点からだけではなく、全方位からの検討を加え、全ての方面に目配りをした様々な対策を実行しなければなりません。その観点から、従前の法制あるいは政府の対策ですっぽり抜け落ちていたのが、医療体制の充実です。

 この戦いの主要な柱は、医療システムを維持するということ。そのためには、当然、医療体制の拡充が図られる必要もありますし、法整備もなされなければなりません。

 日本維新の会では、新型コロナウイルス対策に対する提言第七弾において、特措法に医療機関に対するコロナ患者の受入れや医療従事者の派遣といった要請や命令規定の新設を政府に提言していたところですが、今回、不十分ながらも、感染症法において、医療関係者に対する協力への勧告が定められ、その実効性を持たせるための公表規定が設けられるとともに、我が会派の提言を受けて、医療関係者に医療機関が含まれることを法律レベルで明記することとなったことは、一歩前進として評価し得るところです。

 また、私たちは、知事の権限を強化する観点から、緊急事態宣言の発令要件の見直しを求めるとともに、それがかなわない場合には、緊急事態宣言の発令前から知事に必要な権限を付与すべきと訴えてきたところ、そうした我が党の提言を受けて、蔓延防止等重点措置が創設されたことも、評価しているところです。

 一方で、国民の権利制限に対しては正当な補償をとの観点からは、緊急事態宣言における施設の制限、停止等の要請、命令について、その違反について過料という行政罰でもって強制するにもかかわらず、その措置によって事業者が被る損害に対しては補償ではなく支援にとどまるとした点は、憲法二十九条三項に照らしても極めて問題と言わざるを得ません。

 政府は、特措法制定時において、事業に伴う内在的制約の範囲内であるから許されるとの考えを取っていたので、今回もそれが当てはまるとの立場のようですが、冬季に限定された流行が想定される新型インフルエンザには当てはまったとしても、季節に関係ない流行、しかも収束まで二年を要するとの見込みすらある新型コロナウイルスについては、必ずしも当てはまるものではありません。

 法の文言にとらわれることなく、一律支援を超える損失があった事業者に対しては、事後的審査に基づき正当な補償がなされることを強く要望いたします。

 日本維新の会・無所属の会は、政治的利害得失や既得権益を始めとする種々の制約にとらわれることなく、自由な議論に基づいて国民のための政策実現を目指すことをお誓いし、以上をもって賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(大島理森君) これにて討論は終局いたしました。

 ただいまから十分後に採決いたしますので、しばらくお待ちください。

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

 議員辞職の件

議長(大島理森君) 今一日、議員遠山清彦君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。

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    辞職願

  今般 一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。

   令和三年二月一日

          衆議院議員 遠山 清彦

  衆議院議長 大島 理森殿

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議長(大島理森君) これにつきお諮りいたしたいと思います。

 遠山清彦君の辞職を許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。

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議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       国務大臣 西村 康稔君


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