衆議院

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第13号 令和3年3月18日(木曜日)

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令和三年三月十八日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第七号

  令和三年三月十八日

    午後一時開議

 第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

 第六 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

 日程第六 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案(中島克仁君外七名提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第一、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長義家弘介君。

    ―――――――――――――

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔義家弘介君登壇〕

義家弘介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十七人減少しようとするものであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、翌十日上川法務大臣から趣旨の説明を聴取し、十二日、質疑を行い、質疑を終局しました。次いで、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第二、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長あかま二郎君。

    ―――――――――――――

 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔あかま二郎君登壇〕

あかま二郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、JR北海道及びJR四国並びにJR貨物の経営基盤の強化を図るため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の業務について、これらの会社に対する支援措置を拡充すること等の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、機構は、JR北海道及びJR四国の経営安定基金の運用益を確保するため、基金の一部を借り入れ、利子を支払うこと、

 第二に、機構は、令和十三年三月三十一日までの間、JR北海道、JR四国及びJR貨物の鉄道施設等の整備に必要な助成金の交付や生産性向上等に必要な資金の出資等の業務を行うことができること、

 第三に、機構は、青函トンネル及び本州四国連絡橋の鉄道施設の改修費用を負担すること

などであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、翌十日赤羽国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十二日、質疑を行い、質疑終了後、本案に対し、日本共産党から修正案が提出され、趣旨説明を聴取した後、採決の結果、修正案は否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長越智隆雄君。

    ―――――――――――――

 関税定率法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔越智隆雄君登壇〕

越智隆雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、令和三年三月末に適用期限が到来する暫定税率及び特恵関税制度等について、その適用期限を延長するほか、個別品目の関税率の見直しを行うものであります。

 本案は、去る三月四日当委員会に付託され、翌五日麻生財務大臣から趣旨の説明を聴取し、十六日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 日程第四とともに、日程第五は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第四 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

議長(大島理森君) 日程第四、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、日程第五、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。農林水産委員長高鳥修一君。

    ―――――――――――――

 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

 有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔高鳥修一君登壇〕

高鳥修一君 ただいま議題となりました両法律案につきまして申し上げます。

 まず、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、我が国森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化の重要性に鑑み、令和十二年度までの間における森林の間伐等の実施を促進するため、市町村が新たに同年度までの間における特定間伐等の実施の促進に関する計画を作成すること等ができるようにするとともに、成長に優れた苗木の植栽を行う事業に関する計画の認定について定め、当該認定を受けた者に対し、林業・木材産業改善資金の償還期間に関する特例措置等を講ずるものであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、翌十日野上農林水産大臣から趣旨の説明を聴取し、昨十七日質疑を行いました。

 質疑終局後、日本共産党から修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、有明海及び八代海等の海域において赤潮や貧酸素水塊の発生が続き、水産資源が回復するに至っていないこと等に鑑み、令和三年度から令和十三年度までに行われる港湾又は漁港における汚泥等の堆積を排除するために行う事業及び漁場における特定の漁港漁場整備事業に係る経費に対する国の補助の割合の特例並びにこれらの事業に係る経費に関する地方債の特例について定めるとともに、国及び地方公共団体による海岸漂着物の処理等について定めるものであります。

 本案は、昨十七日、農林水産委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、本委員会におきまして、有明海及び八代海等の再生に関する件を本委員会の決議として議決したことを申し添えます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第四につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第五につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第六 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第六、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長あべ俊子君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔あべ俊子君登壇〕

あべ俊子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案の主な内容は、

 ベトナムに在ダナン日本国総領事館を新設すること、

 在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定すること、

 在勤基本手当の月額について部内の他の職員との権衡上必要と認められる範囲内において必要な調整を行うための措置を定めること、

 在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の支給開始年齢を四歳から三歳へ引き下げること

などであります。

 本案は、去る九日外務委員会に付託され、翌十日茂木外務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。昨十七日に質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第七 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第七、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長左藤章君。

    ―――――――――――――

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔左藤章君登壇〕

左藤章君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、公立の義務教育諸学校の学級規模及び教職員の配置の適正化を図るため、公立の小学校等の学級編制の標準を改めるものであり、その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、公立の小学校及び義務教育学校前期課程の学級編制の標準を現行の四十人から三十五人に引き下げること、

 第二に、令和七年三月三十一日までの間における学級編制の標準については、第二学年から第六学年まで段階的に三十五人とすることを旨として、毎年度、政令で定める学年及び文部科学大臣が定める特別の事情がある小学校にあっては、四十人とすること

などであります。

 本案は、去る三月九日本委員会に付託され、翌十日萩生田文部科学大臣から趣旨の説明を聴取しました。十二日に質疑に入り、十六日には参考人から意見を聴取しました。昨十七日、質疑を終局し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案(中島克仁君外七名提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案及び中島克仁君外七名提出、新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案について、順次趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣田村憲久君。

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 今後とも、人口減少、高齢化の進展等に伴う人口構造や医療需要の変化が見込まれ、また、新興感染症等への備えと対応が一層求められる中、医師の働き方改革と地域医療の確保の両立、医療専門職が自らの能力を活かし、より能動的に対応できる取組の推進、新興感染症等にも対応した医療計画の策定や地域医療構想の実現等を通じて、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進していくため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、令和六年四月の医師に対する時間外労働の上限規制の適用の開始に向け、提供する医療の性質上、勤務する医師が長時間労働となる医療機関を都道府県知事が指定する制度を創設し、当該指定を受けた医療機関の管理者は医師の労働時間の短縮及び健康確保のための措置を実施することとしています。

 第二に、診療放射線技師等について、専門性の活用の観点から、その業務範囲を拡大するとともに、医師及び歯科医師について、資質向上の観点から、養成課程の見直しを行うことといたしております。

 第三に、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制に関する事項を追加するとともに、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援を行うこととしています。

 第四に、外来医療の機能の明確化及び連携の推進のため、医療資源を重点的に活用する外来医療等についての報告制度を創設することとしています。

 第五に、持分の定めのない医療法人への移行計画の認定制度の期限を令和五年九月三十日までとすることとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和六年四月一日としています。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 提出者尾辻かな子君。

    〔尾辻かな子君登壇〕

尾辻かな子君 立憲民主党の尾辻かな子です。

 冒頭、本法案を並行審議としていただいたことに心から感謝を申し上げます。

 ただいま議題となりました新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国で新型コロナの感染確認がされてから一年以上が経過しましたが、医療、介護、障害福祉、子ども・子育て支援の現場で働く方々は、自らの感染リスク、自分が患者や利用者に感染させてしまうのではないかとの不安を抱きながらも、支援が必要な方々の生活を支え、そして命や健康を守るため、強い使命感を持って日々懸命に努力されています。

 しかし、政府の慰労金の支給は昨年六月末までの期間にとどまり、保育所や学童保育で働く方々や保険薬局の薬剤師などは支給対象外でした。

 その後、第二、第三波と感染者も増加し、再びの緊急事態宣言、変異株など、現場で働く環境は過酷さを増し、離職者も増加しています。

 多くの医療機関、介護、障害福祉サービス事業所等の経営は悪化しており、その結果、病院の約四割が冬のボーナスを減額支給したという調査結果もあります。厚労省の病床確保支援も届いておらず、医療崩壊、介護崩壊しかねない状況です。

 このため、私たちは、医療などの現場を支援するため、再度慰労金を支給すべきと考えました。

 次に、本法律案の概要を御説明いたします。

 本法律案では、国は、一定の要件を満たす医療従事者等、医療機関等以外の場所において新型コロナの患者と接する業務に従事する者、医療の提供に密接に関連する業務の従事者、保険薬局の薬剤師、介護、障害福祉サービス事業所等の職員及び子ども・子育て支援施設等の業務従事者に対して、その者の請求により、慰労金を支給することとしております。

 具体的には、二〇二〇年七月一日から二〇二一年一月三十一日までの間に新型コロナの発生等に対応した医療機関や介護、障害福祉サービス事業所等で患者や利用者と接する業務に十日以上従事した場合には、二十万円の慰労金を支給いたします。

 前回政府が実施した慰労金の対象者に加え、保育所、幼稚園、学童保育等の子ども・子育て支援施設等の業務従事者、保険薬局の薬剤師等に対しても、五万円等の慰労金を支給いたします。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ御賛同いただきますように、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び新型コロナウイルス感染症対応医療従事者等を慰労するための給付金の支給に関する法律案(中島克仁君外七名提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山川百合子君。

    〔山川百合子君登壇〕

山川百合子君 立憲民主党の山川百合子です。

 立憲民主党・無所属を代表して、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案及びコロナ対応医療従事者等慰労金法案に対する質疑を行います。(拍手)

 まずは、武田総務大臣に伺います。

 本日の報道によれば、昨年十一月十一日、日本料理店和田倉にて澤田純NTT社長と遠藤典子NTTドコモ独立社外取締役と食事をしたことがありますが、これは事実でしょうか。その際、武田大臣は会食費を御自分で払われたのか、払われたとしたら幾らだったのか、また、払われていなかったとすればどなたが負担したのか、それぞれ御答弁ください。

 大臣は、再三再四、国民の皆さんから疑念を抱かれるような会食に応じたことはありませんと答弁なさっていますが、NTTがNTTドコモの完全子会社化を企図する株式公開買い付け中に、所管大臣が買収当事者である所管企業のトップと被買収当事者である所管企業の社外取締役と会食することは、一切国民から疑念を抱かれることはないと断言できるのか、イエスかノーかでお答えください。

 政府は、一都三県に発出している緊急事態宣言について、解除の是非を、本日夕方、正式に決定されると伺っています。一月に宣言を発出して二度延長したにもかかわらず、東京都では昨日は四百人を超えるなどリバウンドも懸念され、また、感染力だけでなく致死率もより高いとの報告もある変異株の感染拡大が懸念される中、田村大臣は宣言を解除してよいと思われますか。お伺いをいたします。

 本日提案されたコロナ対応医療従事者等慰労金法案について伺います。

 新型コロナウイルスとの戦いが長期化する中で、医療従事者が働く環境は過酷さを増し、心身の疲労は限界に達しています。立憲民主党など野党は、第二波以降に新型コロナウイルスの患者等に対応している医療従事者等にもう一度二十万円の慰労金を支給する法案を提出しています。慰労金の再支給の必要性についてどのように認識しているか、議員立法提出者に伺います。

 政府が第一波で支給した慰労金は、医療機関、介護、障害福祉サービス事業所等に勤務されている方に対象が限定されていましたが、野党の法案では、対象を拡大しています。対象を拡大している趣旨についても、議員立法提出者に伺います。

 一方で、厚生労働省は、私たちの提案に対して、慰労金の再支給を行う予定はないと回答しています。慰労金の必要性を感じていない厚生労働省は、現在の医療従事者の心身の疲労をどのように認識しているのか、お答えください。厚労大臣の答弁を求めます。

 続いて、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について、田村厚生労働大臣に伺います。

 私は、新興感染症が発生した場合、国家の公衆衛生において、ワクチン開発と保健医療体制が極めて重要であると思います。

 我が国は、ワクチン開発では大幅に後れを取り、外国製のワクチン輸入に頼らざるを得ない状況で、接種準備が自治体レベルで整えられても、ワクチン自体がなかなか供給されないのが現状です。

 一方、我が国の公衆衛生は、国民皆保険制度を基盤とする世界に誇るべき保健医療体制によって支えられ、全国で、いつでも、誰でも、一定価格で医療サービスが受けられます。

 我が国と同様に国民皆保険制度を持つイギリスは、長年にわたるNHSのリストラによって医師、看護師不足が指摘されているものの、昨年春頃から産学協同によるワクチン開発を支援し、アストラゼネカ製ワクチンを完成させました。このことで、国内のコロナ禍収束に向けた道筋を見出し、さらに、世界にも同ワクチンを供給し、大きな国際貢献も動き出しています。

 一方、我が国や英国のような国民皆保険制度を持たない米国でも、約一兆円もの巨費を投じて、ワープスピード作戦と称するワクチン開発と供給体制の構築に取り組み、複数のワクチン開発に成功しました。保健医療システムの不足を補完しながら、全国民へのワクチン接種という国家プロジェクトが進行しており、開発された米国製ワクチンが我が国を始め世界に供給されています。

 保健医療体制の整備は一朝一夕には進みませんから、我が国の国民皆保険制度を基盤とする保健医療体制は世界的に大きな優位性を保障してくれていますが、英国や米国のアグレッシブな対応から私たちが学ぶべきものは何か、政府の御見解を伺います。

 現行の我が国の国民皆保険制度を基盤とする保健医療体制は、効率性と弾力性のバランスの上に成立しています。そして、この弾力性の部分こそが、今回のコロナ禍を緩衝材として受け止めるバッファー効果を生み出し、コロナ禍による被害を比較的緩やかに抑制しているのではないでしょうか。

 ですから、今、このパンデミックの最中でこの体制を見直すよりも、現実に現場で苦労して働いておられる医療従事者の皆様や、それを補完して公衆衛生を間接的に担ってくださっている介護職などの皆様を慰労金で支援し、病床数や医師、看護師の適正配置など保健医療体制のリストラの議論は、コロナ禍が収束してからじっくり行うべきだと考えます。

 菅総理の唐突な皆保険制度の見直し発言も、そのようなリストラを前提としているならば、この時期に容認することは断固としてできません。菅総理の発言の真意と今回の医療法等改正の目的について、リストラを前提としているのか、そうでないのか、お答えください。

 さて、今回の改正では、新型コロナウイルス感染症が広がる中、地域医療構想の中に新興感染症対策が含まれていないことから、急遽、地域医療計画に六事業目として位置づけることとしています。

 しかし、計画に位置づけるという都道府県任せの対応でよいのでしょうか。コロナ禍を経験することで浮かび上がる課題を整理し、国の責任として、今後起こり得る新興感染症をどこまで想定し、それに応える医療体制をどう整備していくのか、その大本の議論が何よりもまず必要です。新興感染症への対応を真摯に検討してもなお必要病床数の見込みに変更がないとは思えません。コロナ収束後、改めて構想の見直しを行うのでしょうか。政府の御見解を伺います。

 厚生労働省は、昨年、公立・公的医療機関を名指しした上で、具体的対応方針の再検証を求めてきました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、再検証の期限と取組の進め方について改めて整理の上で示すとしていましたが、いまだに具体的な方針を示していません。

 政府の地域医療構想を推進していくと、今後、公立・公的医療機関全体の病床数は減少するのか、医療機関全体の病床に占める割合は低くなるのか、仮に減少するのであれば、今後新興感染症が蔓延した場合に、ガバナンスが利かなくなり、病床を確保することが困難にならないのか、伺います。

 また、むしろ、そのような事態に備えて、不採算部門を請け負う公立病院の補助や交付税算入をすべきと考えますが、厚労大臣の見解を伺います。

 本法案には、病床の削減等を行った医療機関に財政支援を実施する病床機能再編支援事業を地域医療介護総合確保基金に位置づけることが盛り込まれています。かつての減反政策のようなやり方です。

 そもそも、少しでも病床を確保しなければならないコロナ禍の今、病床の削減を促進しようとしていることは理解に苦しみます。現時点では感染が抑制されている地域でも、今後感染が拡大し、病床が逼迫する可能性は大いにあります。こうした状況下で病床の削減などを推進していくことについて、国民のコンセンサスが得られていると考えているのか、伺います。

 しかも、本事業予算百九十五億円の計上は、令和二年度予算の二倍以上となっており、財源は、社会保障充実のために引き上げた消費税です。このコロナ禍にあって、消費増税分を充ててまで、なぜ病床削減のための予算を増やしたのか、理由をお答えください。

 少なくとも、コロナ禍においてはこの事業を中止すべきであると考えますが、御見解を伺います。

 続いて、医師の働き方改革についてですが、私たちは、長時間労働を是正することに一貫して取り組んでまいりましたので、医師の働き方改革の必要性と重要性については十分認識しています。

 しかしながら、今は非常事態の中にあります。新型コロナウイルス感染症の真っただ中で、多くの医師の方々が昼夜を問わず懸命に感染症患者さんに対応されている中、平時の医師の働き方に関する法案を審議することが政府の姿勢として妥当と言えるのかどうか、見解を伺います。

 現在の医療現場の緊急事態にどう対応するのかは、極めて重要です。新型コロナウイルスの感染者を減らすことが、医療従事者の肉体的、精神的負担を減らす最も有効な方策であると考えます。

 私たち立憲民主党では、医療・介護従事者、その他のエッセンシャルワーカーなどの無料の定期検査や、感染者の周辺についても無料の検査、変異株の出現の早期検知と感染経路把握を可能とし、科学的知見とエビデンスに基づく対策を推進するために全ゲノム解析を推進すること等により、感染を封じ込めることを提案しています。これらの提案に対する見解を伺います。

 新型コロナウイルスの対応により医療従事者が不足している中、ワクチン接種の対応が加わり、医療従事者の確保が困難な状況となることが懸念されています。

 立憲民主党は、ワクチン接種に協力する医療機関や医療従事者に対して協力金等の支給や減収補填などの支援を講ずることを提案していますが、見解を伺います。

 新型コロナウイルスの患者の対応に当たる病院で他の診療を受ける患者さんが急減したり、一般の病院でもコロナ禍による受診控えが起きるなど、医療機関は極めて厳しい経営を余儀なくされています。この状態を放置すれば、医療体制はより一層危機的な状況に陥り、普通の医療で助かる命も助からなくなってしまいます。また、極めて厳しい経営状況において、医療従事者の退職が相次ぎ、医師の働き方改革どころか、今の働きも維持できない状況になってしまいかねません。

 収入の減った全ての医療機関への経済的支援は、医師の働き方改革の前提と言っても過言でないと考えます。速やかに実施すべきと考えますが、見解を伺います。

 以上、田村厚生労働大臣より御答弁ください。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 山川百合子議員にお答えをいたします。

 緊急事態宣言の解除についてお尋ねがありました。

 本日の基本的対処方針等諮問委員会において、三月二十一日に期限を迎える緊急事態宣言の解除について諮問がなされ、了承いただいたところであります。

 他方で、リバウンドに対する警戒が必要な状況であるため、厚生労働省としては、感染の再拡大防止の観点から、変異株対策、感染拡大防止策の強化に取り組むとともに、引き続き、ワクチン接種の着実な推進や医療提供体制の充実などについて、都道府県と緊密に連携し、対策に万全を期してまいります。

 医療従事者の心身の疲労に対する認識についてお尋ねがありました。

 医療現場は、感染のリスクにさらされながら、使命感を持って日夜取り組んでおられる医師や看護師を始めとする医療従事者の皆様によって支えられていることを、常に忘れてはいけないと考えております。

 厚生労働省としては、医療提供体制の確保のため、医療従事者の処遇改善も含めた医療機関に対する支援として、これまで約四・六兆円の予算を措置することに加え、SNSの活用などにより、医療従事者への感謝の気持ちを伝えるための情報発信を行っております。

 こうした取組を通じ、引き続き、現場で戦っている方々の気持ちに寄り添い、しっかりと支援を講じてまいります。

 ワクチンの対応についてのお尋ねがありました。

 予期せぬ感染症に対するワクチンについて、国内で開発、生産ができる体制を確立しておくことは、危機管理上も極めて重要であると考えております。

 このため、新型コロナウイルス感染症のワクチンの開発、生産への支援として、研究開発や生産体制の整備への補助に加え、国産ワクチン開発企業が発症予防効果を評価する試験の実施費用の補助を行っています。

 さらに、感染症危機の発生時には、臨床情報や検体などを国立感染症研究所や国立国際医療研究センター等に集約して解析、提供することで、研究機関等におけるワクチン開発等にも活用できるようにすることが重要と考えております。そのため、基盤整備事業を第三次補正予算で措置いたしました。

 厚生労働省としても、こうした取組を通じ、革新的な製品の創出につながるよう、環境整備に努めてまいります。

 今回の改正法案の目的等についてお尋ねがありました。

 今回提出している改正法案の内容については、長時間労働となっている医師の働き方を改革し、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大も踏まえ、必要な対応を機動的に講じられるよう医療計画を見直すとともに、地域における病床機能の分化、連携などを進めるものであり、御指摘のようなリストラを前提としたものではございません。

 なお、国民皆保険制度に関する総理の発言については、総理御自身が、国民皆保険、そして多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けていく中でとおっしゃっているとおり、政府として、国民皆保険を堅持していくという方針に何ら変わりはございません。

 新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた医療体制の見直しについてお尋ねがありました。

 今般の新型コロナウイルス感染症への対応において得られた課題や知見を踏まえ、将来の新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、今回の改正法案において、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加することとしております。

 今後、国において、今般の対応における課題を整理しつつ、医療計画策定のための指針等を検討し、お示しするなど、各都道府県が地域の実情に即した医療計画を策定するに当たって、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

 また、中長期的な視点に立った地域医療構想については、将来の医療需要に見合った体制の構築を目指し、基本的な枠組みを維持しつつ、議論が進められている医療機関や地域に対し積極的な支援を進めてまいります。

 地域医療構想が公立・公的医療機関に与える影響等についてお尋ねがありました。

 地域医療構想は、人口構造や医療需要の変化を見据え、各地域において、それぞれの実情を踏まえて議論し、地域の合意に基づいて進める必要があると考えており、開設主体別の病床数等の構成等について国がお示しすべきものではないと考えております。

 その上で、今回の改正法案により、新興感染症等への対応について医療計画に定め、機動的に対応可能な体制を整備いただくこととなります。

 また、公立病院については、不採算医療を提供する重要な役割を担っていることから、補助金や地方交付税措置により必要な支援を行っており、引き続き、関係省庁で連携し、取り組んでまいります。

 病床機能再編支援事業に対する理解についてお尋ねがありました。

 今般の新型コロナウイルス感染症の対応では、重症者に対応する高度な医療機関、中等症患者に対応する地域の中核的な医療機関、回復後の患者に対応する後方支援医療機関など、各病院がその機能に応じた役割を果たしていただいており、地域における病床機能の分化、連携の重要性を改めて認識したところであります。

 病床機能再編支援事業は、病床機能の分化、連携を進め、質の高い医療提供体制を構築するため、地域での議論を踏まえて、必要とされる病院のダウンサイズや医療機関の統合に対する支援として措置したものであります。

 関係団体からは、本事業の継続に関する御要望もいただいており、厚生労働省としては、病床機能の分化、連携に向けた取組を進めている医療機関等に対し、しっかりと支援をすることが重要であると考えております。

 病床機能再編支援事業の拡充についてお尋ねがありました。

 今年度実施している本事業については、約七割超の都道府県から補助金の申請をいただいていることに加え、関係団体からも事業の継続に関する御要望をいただいており、令和三年度予算案に所要額を計上したところであります。

 なお、厚生労働省としては、本事業は、人口構造の変化を見据えて、病床機能の分化、連携を進め、質の高い医療提供体制を維持するためのものであり、社会保障の充実という消費税の目的に資するものであると考えております。

 新型コロナウイルス感染症に対応する中での本法案の審議の妥当性についてお尋ねがありました。

 これまで、我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働によって支えられてきた側面があります。しかし、我が国で将来にわたって良質な医療を提供し続けるためにも、医師の働き方改革を進め、医師の長時間労働を是正していくことが必要と考えております。

 また、今般の感染症への対応を行う中で、働き方改革の推進を求める医師の声があるほか、今後の新興感染症への対応をより確実なものとする観点からも、通常の医療において適切な労働環境の下で従事していただくことが重要と認識しております。

 このような観点に立ち、今回の改正法案を提出したところであります。

 ゲノム解析の推進による感染の封じ込めについてお尋ねがありました。

 検査については、感染が疑われる方など検査が必要と判断される方がより迅速、スムーズに検査を受けられるようにするとともに、濃厚接触者に加え、感染拡大の防止が必要である場合には広く検査が実施されることが重要であります。

 このため、重症化リスクの高い方々のいる施設に対し重点的な検査を実施することとしており、感染拡大地域の医療や介護の施設の従事者や入院、入所者などに対して、実質的に国の費用負担で検査を実施できるようにしております。

 また、ゲノム解析については、国立感染症研究所のみならず、地域においてゲノム解析が可能な大学等が存在することを踏まえ、文部科学省と連名で、大学に対し、ゲノム解析も含めた積極的疫学調査に御協力いただくことを依頼しており、引き続き、自治体や民間とも連携して、しっかりと取り組んでまいります。

 いずれにしても、感染者の早期把握等を図り、感染拡大を抑えるという方向性については、現在の政府が目指すものと同じであると考えております。

 立憲民主党の提案に対する見解や全ての医療機関への支援についてお尋ねがありました。

 新型コロナの感染が長期化する中、必要な方に必要な医療が提供されることが極めて重要だと考えております。

 医療機関の前年度からの減少額を試算すると、昨年四月から十二月までの九か月で、全体で一・三兆円の減収であり、これに対して、緊急包括支援交付金について申し上げれば、二月末現在で医療機関から約一・八兆円の申請があり、既に約一・五兆円を交付しております。

 また、緊急包括支援交付金や医療従事者の支援も含め、これまで医療機関支援として総額四・六兆円の予算を措置しているところであり、このほか、ワクチン接種体制等の整備に係る支援も実施しております。

 これらの取組を通じて、医療機関や医療従事者の皆様への幅広い支援をしっかりと行ってまいります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣武田良太君登壇〕

国務大臣(武田良太君) 山川議員からの御質問にお答えをします。

 私のNTT関係者との会合についての御質問をいただきました。

 本来であれば、個別の事案一つ一つにお答えするのは控えさせていただきますが、今回の件に関しましては、事前の事実確認の問合せが私の方に一切ないままに一方的な報道がなされており、私としましても大きな驚きを覚えておると同時に、本件の事実関係を明らかにしなければならないという思いを強く持つに至りました。

 令和二年十一月十一日、私が出席したJR東海の葛西名誉会長主催の会合の場に、澤田NTT社長及び遠藤NTTドコモ独立社外取締役が出席したことは事実であります。

 会食当日、私は、食事は注文せず、飲物のみいただき、中座したと記憶しており、その費用は一万円をお支払いいたしております。

 また、出席者からは特定の許認可等に関する要望、依頼を受けたことはなく、当時の状況を総合的に勘案すると、大臣規範に抵触する会食ではなかったと考えております。

 引き続き、国民の皆様からの疑念を招くことのないよう、自らを律し、職務に励んでまいります。(拍手)

    〔浅野哲君登壇〕

浅野哲君 山川百合子議員から、慰労金の再支給の必要性についてお尋ねがありました。

 第一波に係る対応では、令和二年度第二次補正予算により、医療機関、介護、障害福祉サービス事業所等に勤務して、患者、利用者と接する者を対象に、慰労金が支給されました。

 しかし、第二波以降、新型コロナウイルスの感染者が増加し、戦いが長期化する中で、再び緊急事態宣言が発出される事態となり、現場で働く環境は過酷さを増しております。加えて、昨春以降、医療従事者等の方々は、強い緊張状態が続く中、私生活においても自粛を求められ、心身の疲労は限界に達しています。

 また、政府の新型コロナウイルス対応従事者慰労金の対象期間の終期は昨年六月末であり、昨年七月以降に新たに新型コロナウイルス感染症の患者等に対応した場合には二十万円の慰労金支給の対象とはならず、昨年七月以降に働き始めた方は五万円の慰労金支給すらないといった不公平感も存在するところであります。

 この間、政府は、予備費を使って新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業を実施し、医療機関に対し医療従事者の人件費を補助していますが、処遇改善に結びつくことは担保されておらず、対象地域も限られています。

 こうした状況を踏まえ、一刻も早く、新型コロナウイルス感染症の患者等に対応している医療従事者等に再び二十万円の慰労金を支給するとともに、昨年七月以降に働き始めた医療従事者等にも五万円又は十万円の慰労金を支給すべきであると考えております。(拍手)

    〔早稲田夕季君登壇〕

早稲田夕季君 山川百合子議員の質問にお答えいたします。

 私たちが提出をした法案は、医療従事者等慰労金法案でありまして、医療、介護の現場のみならず、薬局薬剤師、障害福祉事業所や、保育園、幼稚園、学童保育など子ども・子育て支援施設の現場で働いている方々、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々を含め、広く対象としています。

 とりわけ子ども・子育ての分野に慰労金の対象を拡大した趣旨を申し上げます。

 コロナとの戦いが長期化する中で、医療従事者が安心して働けるのも、休業や閉園をせずに頑張っていただいている保育園などの子育て支援施設のおかげです。さらに、子供の感染リスクが高いと言われる変異株の感染が拡大しています。

 だからこそ、感染リスクに配慮をしながら、深い愛情で献身的に日々子供たちの面倒を見ていただいている保育士、幼稚園教諭、学童指導員にも、慰労金を支給すべきということであります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 高木美智代君。

    〔高木美智代君登壇〕

高木美智代君 公明党の高木美智代です。

 私は、自民党・無所属の会並びに公明党を代表し、ただいま議題となりました良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 新型コロナウイルス感染症の発生は、日本の医療制度にかつてない影響を及ぼしています。病床の逼迫やマンパワーの確保の要請は、地域の医療提供体制に甚大な影響を与えました。さらに、患者の受診控え等、医療経営に対する懸念はますます高まっています。その影響は広範で、そして重大です。人類を脅かすこの深刻な事態に対し、私たちは、力を合わせ、国民の命を守るための行動に万全を期し、この危機を乗り越えなければなりません。

 現在、累次の対策や緊急事態宣言の発令が功を奏し、そして、何より国民の皆様の忍耐と行動変容によって、感染拡大は一時の危機的な状況から脱することができました。

 しかし、今後、再び人の流れが活発化する中で、あるいはまた変異株の影響で、いつまた次の感染拡大が起こるか、予断を許しません。感染が落ち着いた今こそ、次の波に備えたもう一段の取組が必要だと思います。

 そのポイントが、病床の確保です。感染症法の改正も踏まえて、病床の確保をどのように進めるのか、御答弁願います。あわせて、変異株の監視体制の抜本的強化を図り、全ての新規感染者に対し変異株スクリーニング検査を実施すべきです。それらの強化策について、具体的に伺います。

 これまで、良質で効果的な医療提供体制を構築するため、政府は、地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策を総合的に進めてきました。その中で、コロナという未曽有の危機が発生したのです。これまで進めてきた取組を、コロナを踏まえて、どのように調整しながら実行していくかが問われています。今般提出された本法案を、その原動力となり得る改正としなければなりません。

 法案の第一の改正項目は、医師の働き方改革です。

 日本が世界に誇る医療制度は、医師の自己犠牲的で過酷な労働によって支えられています。しかし、医師も人間であり、労働者です。こうした状況は改革しなければなりません。医師の働き方改革を進めることは、医師本人の健康の保持だけでなく、患者、国民が受ける医療の質や安全の確保にも大切なものです。

 そして、新型コロナウイルス感染症への対応に当たる医療従事者は、今、過酷な環境の中で、命を懸けて、命を守るために医療を提供しています。改めて、心より深く御礼申し上げます。

 こうした献身的な御努力に報いるためにも、医師の働き方改革をしっかりと進めることは、避けては通れない極めて重要な課題です。令和六年四月からは、いよいよ医師に対する時間外労働の上限規制が始まります。働き方改革に向けた御決意とともに、政府の見解を伺います。

 医師の働き方改革が喫緊の課題である一方で、医療従事者の皆さんは、コロナを始めとして、目まぐるしく変化する医療現場の対応に日々追われています。こうした状況では、労働時間の短縮に取り組みたくても、その余力のない医療機関もあります。

 こうした点に十分配慮するよう、公明党は、法案審査の過程において、政府に対して強く要請し、一律に、一斉に取組を求めるのではなく、できるところから着実に進められる制度設計とするように主張しました。そして、取組を進めるに当たっては、医療機関への支援も併せて行っていくべきと訴えました。

 そこで、改めて伺います。

 今回の法案において、公明党の要請がどのように反映されたのか、そして、働き方改革を進める医療機関に対して具体的にどのような支援を考えているのか、御説明をお願いいたします。

 次に、医師の働き方改革について、少し具体的に指摘したいと思います。

 医師会や知事会からは、医師の労働時間短縮に向けた取組が派遣医師の引揚げなどを誘発し、地域の医師不足につながるのではないかとの懸念も寄せられています。

 そうしたことから、医師の労働時間短縮に向けた実効的な取組の一つとして、本法案にはタスクシフティングの推進が盛り込まれています。医師の働き方改革を進めるに当たっては、タスクシフティングを始めとして、地域における医療連携、機能分化や、医療のかかり方に関する理解など、幅広い取組が必要だと思いますが、政府の見解を伺います。

 また、医師の働き方改革は、地域医療提供への影響だけではなく、特に若手医師の経験や研さんを積むための機会の確保にも留意しながら進めるべきです。医師が必要な症例を経験するためには、一定時間、診療に従事することが必要になるという側面もあります。医師の働き方改革を進めながら、医師の必要な研さんを阻害しないようにするために、どのような方策を講じるのか、見解を伺います。

 あわせて、公明党は、日本病院会などの申入れを受けて、医師が宿日直した際の取扱いを明確化するよう求めてまいりましたが、その具体的な内容について伺います。

 次に、コロナを踏まえた将来の取組について伺います。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの課題が浮き彫りになりました。中でも、今後、新たな感染症が拡大した際、速やかに対策を講じることができるよう、あらかじめ準備をしておくことの必要性が一層明確になりました。そこで、本法案では、医療計画の内容とされている五疾病五事業について、新興感染症等の感染拡大時における医療を追加し、六事業にするとの改正項目を盛り込んだことを評価します。

 その改正のイメージとして、あらかじめ感染症指定医療機関を増やすのか、感染症病床の数を増やすのか、新たな感染症病床の類型を定めるのか、感染症対策に携わる人材をどのように確保していくのかなど検討するのではないかと思われますが、そこで、改めて、この改正の趣旨、内容について、今後計画として盛り込んでいく具体的な項目のイメージが分かるように御説明願います。

 最後に、コロナ禍の中で進める地域医療構想について伺います。

 今後、日本の人口減少や高齢化は、コロナの有無にかかわらず確実に進行し、中長期的には、医療需要が変化するとともに、マンパワーの制約が一層厳しくなります。地域医療構想は、こうした将来の中長期的な変化に対応するため、病床の在り方を検討する必要不可欠な取組であり、着実に実行されなければなりません。

 一方で、その取組を担うのは、まさに今コロナの対応により多大な負荷がかかっている自治体や医療機関であり、機械的に地域医療構想の実施をお願いすることは避けなければなりません。

 こうした実情を十分に踏まえた上で、地域医療構想をどのように進めるお考えか、そして、この法案により、地域医療構想を進めるに当たってどのような財政支援などを実施しようとしているのか、御説明ください。

 私たちは、新型コロナウイルスという今現在の課題に全力を注ぎつつ、人口構造や疾病構造の変化といった将来の課題にも着実に対応するという、極めて難しいかじ取りが求められています。

 本法案に盛り込まれた取組を確実に実行し、法案の名称である、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の構築に向け、公明党は、全国の地方議員を含め、ネットワークを最大限に生かし、全力で取り組むことをお誓い申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 高木美智代議員にお答えいたします。

 次の感染拡大に備えた病床の確保についてお尋ねがありました。

 医療提供体制については、必要な人に必要な医療が提供されることが重要でありますが、年明け以降の対応において、急激な感染拡大が起こり、医療提供体制が逼迫する状況が生じました。

 こうしたことを踏まえ、今回の感染拡大局面で認識された課題をしっかりと点検し、次の感染拡大に備え、病床を改めて確保するとともに、病床だけではなく、宿泊、自宅療養も含めて十分な療養体制を確保することに加え、患者の症状に応じて療養先を決定し、退院等へとつなげていく調整を円滑に行えるようにすることが重要であると考えております。

 また、先般成立した感染症法等の改正において、都道府県知事による入院の措置等に関する総合調整の規定の整備等が行われたところであり、都道府県とも緊密に連携してまいります。

 いずれにしても、これまでの対応を検証しつつ、次の感染拡大に備え、実効性のある体制を整えるべく、取り組んでまいります。

 変異株の監視体制についてお尋ねがありました。

 変異株への対応については、今月から全ての都道府県でスクリーニング検査を実施し、変異株が疑われる事例では確定検査としてゲノム解析を行うなど、監視体制を強化しております。

 このスクリーニング検査は、管内の全陽性者数の五から一〇%を対象に実施をお願いしているところですが、これは、国立感染症研究所の専門家の御意見も伺った上で、地域の感染状況を把握するために必要な割合としてお示ししたものであり、変異株の発生が確認できれば割合を引き上げていただくようお願いいたしております。

 加えて、今後、スクリーニング検査を行う割合を早期に四〇%程度まで引き上げることを検討しており、引き続き、全国的な監視体制を強化してまいります。

 医師の働き方改革に向けた決意についてお尋ねがありました。

 これまで、我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働によって支えられてきた側面があります。しかし、将来にわたって良質な医療を提供し続けるためにも、医師の働き方改革を進め、医師の長時間労働を是正していくことが必要と考えております。

 また、今後の新興感染症への対応をより確実なものとする観点からも、通常の医療において適切な労働環境の下で業務に従事していただくことが重要と認識しております。

 このため、令和六年四月の医師に対する時間外労働の上限規制の適用に向けて、本法案によって、医療機関において長時間労働の医師の労働時間短縮や健康確保のための措置に取り組んでいただくとともに、タスクシフト、タスクシェアを推進し、医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を生かせるようにする観点から各職種の業務範囲を拡大する等の措置を講ずることにより、医師の働き方改革を着実に進めてまいります。

 医師の働き方改革の柔軟な制度設計と医療機関に対する具体的支援についてお尋ねがありました。

 今回の法案においては、立案過程で公明党からいただいた御指摘も踏まえ、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関にも配慮しつつ、各医療機関の状況に応じて医師の労働時間短縮に取り組んでいくことといたしております。

 具体的には、令和六年四月までの間、労働時間短縮計画の策定と計画に基づく取組について、一律、一斉に義務づけるのではなく、現在長時間労働の実態がある医療機関に対し、努力義務としながら、特定水準の指定を希望する医療機関については、第三者評価を受けるまでに時短計画の案を作成していただくこととしております。

 また、都道府県に設置された勤務環境改善支援センターによる助言に加え、診療報酬や地域医療介護総合確保基金の活用などにより、早期から働き方改革に取り組む医療機関を支援することとしております。

 医師の働き方改革を進める上での幅広い取組の必要性についてお尋ねがありました。

 御指摘のように、医師が長時間労働となる要因には、地域内で特定の医療機関に患者が集中している、地域間、診療科間で医師が偏在しているなど、医療機関内の努力だけでは解消できない構造的な課題もあると考えております。

 このため、医療機関内での働き方改革の取組と併せて、様々な医療従事者が自らの能力をより一層発揮していただけるよう、タスクシフト、タスクシェアの推進を始めとして、地域医療構想を通じた地域における医療施設の適正配置の推進、地域間、診療科間の医師偏在の是正、国民の理解と協力に基づく適切な受診の推進などに幅広く取り組んでまいります。

 医師の経験、研さんを積むための機会の確保についてお尋ねがありました。

 勤務医の労働時間の短縮に当たっては、高度な技能を有する医師を育成することが公益上必要な分野において、必要な知識、手技の修練に一定期間集中的に取り組むことを可能とすることが、新しい診断、治療法の活用、普及等のためにも必要であります。

 このため、医療法改正法案では、技能向上のための診療を必要とする医師を対象とした時間外労働の上限のための枠組みを設けることとしています。

 また、自らの知識習得や技能向上を図るために行う学習や研究等と労働時間との関係の明確化のため、医師の研さんについては、所定労働時間外に、業務と直接の関連性がなく、上司の指示もなく行われる場合は、一般的に労働時間に該当しないと考えられること等を示しているところです。

 厚生労働省としては、医師に必要な研さんの確保にも配慮しながら、医師の働き方改革を推進してまいります。

 医師の宿日直の取扱いについてお尋ねがありました。

 一般的に、ほとんど労働する必要のない勤務形態である場合は、労働基準監督署長の許可を受けることにより、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の規定の適用が除外されます。

 医師の病院等における宿日直勤務についても、従来から許可の対象としておりましたが、平成三十年に、公明党から宿日直の取扱いについて明確化するよう御提言をいただいたことも踏まえ、令和元年七月に、医師等の宿日直許可基準に関する通知を新たに発出しました。

 この通知では、宿日直中に医師等が従事できる業務内容について、例えば、「医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと」など、具体例を示すとともに、一つの医療機関全体ではなく、診療科や職種なども特定した許可の取得が可能であることについても併せてお示しし、医師等の宿日直の特性を踏まえた許可基準を明確化したところであります。

 医療計画についてお尋ねがありました。

 今般の新型コロナウイルス感染症への対応において得られた課題や知見を踏まえ、将来の新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、本法案において、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時における医療を追加する改正を行うこととしました。

 医療計画における具体的な記載項目については、新興感染症等の感染拡大時に、必要な対策が機動的に講じられるよう、受入れの候補となる医療機関を始め、地域の医療機関における役割分担の在り方、感染症患者の受入れに活用しやすいゾーニング等の実施に配慮した一般病床等の確保、感染管理の専門性を有する人材等の確保等の内容を定めることを想定しており、今後、詳細な検討を進めてまいります。

 引き続き、医療計画の策定主体である都道府県とも緊密に連携しながら、今後の新興感染症発生時に機動的に対応可能な体制を構築してまいります。

 地域医療構想の進め方についてお尋ねがありました。

 地域医療構想は、人口構造の変化により地域の医療ニーズが変化する中、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するため、各地域において、それぞれの実情を踏まえながら、病床の機能分化、連携を進めるものであります。

 具体的な進め方については、医療関係者や自治体の皆様が、新型コロナウイルス感染症対応に全力を尽くしていただいている状況に十分に配慮しながら検討することとしております。

 また、既に機能分化、連携に関する議論が進められている医療機関、地域に対しては積極的な支援を行っていくこととしており、病床機能再編支援事業を新たに地域医療介護総合確保基金の中に全額国費の事業として位置づけ、支援を強化するとともに、複数医療機関による再編計画の認定制度を創設し、税制優遇が受けられるようにすることとしております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 宮本徹君。

    〔宮本徹君登壇〕

宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、医療法等改正案及び医療従事者等慰労金支給法案について質問します。(拍手)

 新型コロナパンデミックは、医療提供体制の脆弱さを浮き彫りにしました。多くの方が入院できず、自宅で亡くなる方も相次ぎました。この原因がどこにあったとお考えか。

 対策の肝である飲食店の営業時間短縮等について、菅首相と小池都知事の判断の遅れは重大でした。同時に、欧米より桁の少ない感染者数で日本が医療崩壊に直面したのは、専門医の少なさ、人工呼吸器の扱いに熟達した看護師を始め、医師、看護師の少なさも大きな要因だったのではありませんか。

 政府法案の最大の問題は、病床機能再編支援事業を地域医療介護総合確保基金に位置づけ、全額国庫負担で病床削減を加速化する点にあります。

 政府の検討会の中でも、急性期の大きな病院でかなりコロナの患者を受け入れてもらった、余力がないと患者を受けることができない、余力をできるだけそごうというのが地域医療構想の議論との指摘がありました。

 政府は、感染拡大時の短期的な医療需要には機動的に対応するといいますが、これ以上医療体制の余力をそいで、いざというときに機動的に対応できるのですか。

 病床削減ありきの姿勢は改め、感染症に強い日本をどうつくるのか、ここから議論を起こすべきであります。地域医療構想は撤回し、新型コロナで医療崩壊に直面したことを教訓に、関係者、国民とよく議論し、医療提供体制を構築すべきであります。

 今、コロナ病床確保が最大の課題です。

 こんなさなかに病院の皆様に再編整理の話を持ちかけるということは全くナンセンスと、知事会からも厳しい批判の声が出ています。

 今政府がやるべきは、病床削減ではなく、医療機関への支援であり、医療従事者らへの二度目の慰労金ではありませんか。厚労大臣及び野党法案提出者の見解を伺います。

 政府が、四百三十六の公的・公立病院を名指しで再編統合の検討を迫っているのは極めて重大です。

 今回のパンデミックとの戦いは、率先して患者を受けた公的・公立病院の頑張り抜きにはあり得ませんでした。

 政府は、病床削減について、自主的に判断していただくといいます。ならば、名指しで検討を迫る公的・公立病院のリストは撤回すべきではありませんか。

 さらに、政府法案は、病床削減の財源は消費税増税分を充てます。

 消費税増税の際、そんな説明がどこにあったのか。増税分の使途変更を問うた選挙で、与党の選挙公約にありましたか。社会保障充実のためと増税しながら、増税分で病床削減を進めるなど許されません。

 政府法案は、医師の長時間労働の規制をするといいます。

 しかし、時間外労働の上限は、過労死ラインの二倍、年一千八百六十時間です。過労死ラインを超えて働いて、健康が守れるのでしょうか。

 日本外科学会の調査では、医療事故、インシデントの原因について、過労、多忙と答えた方が八割にも上っています。長時間の連続勤務では、医療の安全は確保できません。医師の長時間の連続労働をなくし、交代制勤務の導入を進めるべきであります。

 医師の長時間労働を是正するためにも、地域医療を守るためにも、医師、看護師を増やすことが必要です。医師数は、OECD平均並みにするためには十三万人不足しています。

 ところが、政府は、医師の需給推計なるものに基づき、二〇二三年度からの医学部定員削減を示しました。この医師の需給推計は、前提が何重にもおかしい。男女比について、過去九年の中央値を固定して用い、医師試験受験者は女性三二%で固定化しています。ジェンダー平等を進める気はないのですか。医学部入試での女性差別の是正前の数値を固定して使うなど論外であります。

 また、年九百六十時間や七百二十時間の時間外労働を前提とせず、週四十時間労働を前提とすべきではありませんか。

 二〇二三年度からの医学部定員削減はやめ、医師、看護師を増やし、医療体制を強化することを求め、質問といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 宮本徹議員にお答え申し上げます。

 医療崩壊の原因についてお尋ねがありました。

 国として、医療崩壊について明確な定義を示しているものではありませんが、医療提供体制については、年明け以降の急激な感染拡大を受けて、大変逼迫した状況が続いていたと認識いたしております。

 新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制については、刻一刻と状況が変化し、予想を超えるスピードで感染が拡大する中で、局所的な病床数不足の発生、感染症対応も含めた医療機関間の役割分担、連携体制の構築といった課題が浮き彫りになったと考えております。

 こうしたことを踏まえ、今回の感染拡大局面で認識された課題をしっかりと点検し、次の感染拡大に備え、病床を改めて確保するとともに、病床だけではなく、宿泊、自宅療養も含めて十分な療養体制を確保することに加え、患者の症状に応じて療養先を決定し、退院等へとつなげていく調整を円滑に行えるようにすることが重要であると考えています。

 また、国としても、新型コロナ患者を受け入れた病院に対して強力な財政支援を用意するとともに、医療人材の確保の観点から、感染拡大地域の要請を受け、医療スタッフの広域派遣や自衛隊の災害派遣等の都道府県域を超えた支援、コロナに対応する医療機関へ派遣される医師、看護師への支援額の倍増、重症者の治療を行うための人材養成として、人工呼吸器やECMOを扱うための講習の実施等に取り組んでいるところであります。

 引き続き、国と地方で緊密に連携しながら、地域の医療資源を総動員して、医療提供体制の確保に努めてまいります。

 感染拡大時の医療体制についてお尋ねがありました。

 今般の新型コロナウイルス感染症の対応では、重症者に対応する高度な医療機関、中等症患者に対応する地域の中核的な医療機関、回復後の患者に対応する後方支援医療機関など、各病院がその機能に応じた役割を果たしていただいており、地域における病床機能の分化、連携の重要性を改めて認識したところであります。

 御指摘の病床機能再編支援事業は、病床機能の分化、連携を進め、人口構造の変化を見据えて、質の高い医療提供体制を維持するためのものと考えております。

 さらに、今回の改正法案においては、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時の医療を追加することで、感染拡大時の準備を地域ごとに進めることとしており、これらにより機動的に対応可能な体制を構築してまいります。

 医療提供体制の構築についてお尋ねがありました。

 今後とも続く人口構造の変化を見据え、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するとともに、将来の新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、地域の医療機関における役割分担、連携の強化、弾力的な対応を可能とする医療資源の配置など、医療提供体制の更なる改革が必要と認識しております。

 具体的には、今回の改正法案において、新興感染症等の感染拡大時に、必要な対策が機動的に講じられるよう、医療計画の記載事項に新興感染症等の対応を追加するとともに、中長期的な視点に立った地域医療構想について、将来の医療需要に見合った体制の構築を目指し、基本的な枠組みを維持しつつ、議論が進められている医療機関や地域に対し積極的な支援を進めていくこととしております。

 今後とも、平時と新興感染症発生時のいずれにも弾力的に対応可能な医療提供体制の確保に向けた取組を進めてまいります。

 医療機関への支援等についてお尋ねがありました。

 御指摘の慰労金については、今年度第二次補正予算において、当初、全く未体験であった新型コロナウイルスとの戦いの最前線で様々な御苦労をされた医療従事者等に対し、一時金として給付したものであり、新型コロナウイルスの対処の仕方について判明してきた七月以降に関し、再支給を行う予定はございません。

 他方、医療従事者の支援も含め、これまで医療機関支援として総額四・六兆円の予算を措置しております。

 厚生労働省としては、足下の新型コロナウイルス感染症対応に引き続き全力を注ぎつつ、この対応を通じて得た知見を踏まえ、また、自治体等の御意見も丁寧に伺いながら、将来の医療需要に見合った医療提供体制の構築に向け、医療機能の分化、連携の取組も着実に進めてまいります。

 公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証についてお尋ねがありました。

 今回の新型コロナウイルス感染症対応では、公立・公的医療機関を始め多くの医療機関において、コロナ患者の受入れや地域の医療提供体制の確保に重要な役割を果たしていただいております。

 公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に当たり、国からお示しした診療実績の分析結果は、それぞれの地域において、今後の医療機能の在り方を考えていただく際の材料としてお示ししたものであります。

 病院が将来担うべき役割等については、国による分析結果だけでは判断できない診療領域、地域の実情に関する知見や、今般の新型コロナウイルス感染症対応の状況なども踏まえつつ、それぞれの地域でしっかり御議論をいただきたいと考えております。

 病床機能再編支援事業についてお尋ねがありました。

 与党の選挙公約について申し上げる立場にはありませんが、二〇一七年十月の第四十八回衆議院議員総選挙に当たり、自民党政策バンクにおいては、病床の機能分化、連携の推進等を通じて、誰もが安心して受けられる医療の確保を図ることとされていると承知しております。

 病床機能再編支援事業は、病床機能の分化、連携を進め、質の高い医療提供体制を構築するための地域における協議と合意に基づいた取組を支援するために、必要な病床のダウンサイズや医療機関の統合に対する支援として措置したものであります。

 厚生労働省としては、関係団体から本事業の継続に関する御要望もいただいている中で、病床機能の分化、連携に向けた取組が進められている医療機関等に対し、しっかりと支援を進めていきたいと考えております。

 医師の長時間労働の是正と交代勤務制の導入についてお尋ねがありました。

 今回の改正法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を、都道府県知事が指定した医療機関に勤務する医師に限定した上で、指定を受けた医療機関に対し、連続勤務時間の制限や勤務間インターバル規制、面接指導の実施といった健康確保措置の実施を義務づけることとしております。

 厚生労働省としては、医師の労働時間の短縮が着実に進むよう、御指摘の交代制勤務の導入も含め、医師の働き方改革を進めるための方策について医療機関に丁寧に周知、助言するとともに、診療報酬上の評価や地域医療介護総合確保基金を通じ、医療機関の取組を支援してまいります。

 医師の養成と需給推計についてお尋ねがありました。

 医師の養成には、医学部と臨床研修の期間を合わせて八年もの期間を要することから、将来人口の変化を見据えた中長期的な観点で考える必要があります。

 現在、平成二十年度から、いわゆる地域枠を中心に段階的に医学部定員を臨時に増員してきたことにより、全国レベルで医師数は毎年約四千人ずつ増加している状況にあります。

 一方、直近の需給推計を全国ベースで見れば、今後の人口減少に伴い、将来的には医師需要が減少局面になり、二〇二九年頃以降は供給過剰となると見込まれています。このような見通しも踏まえて、今後の医師養成数の方針について、自治体等の御意見も丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。

 なお、御指摘の医師の需給推計の算出に当たっては、厚生労働省の検討会において、有識者により、医師の男女比や労働時間に関する妥当性等を議論した上で決定された方法に基づき実施しております。

 以上です。(拍手)

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 宮本徹議員にお答えいたします。

 議員御指摘のとおり、厚労省が名指しして病床削減を図ろうとする公立・公的病院の多くが、新型コロナウイルス患者を受け入れてきました。また、今般の教訓から、感染患者を受け入れることは一般病床にも大きく影響することが認識され、新興感染症等を医療計画に位置づけることが政府案に盛り込まれたものであります。その一方で、消費税財源かつ全額国庫補助で病床削減支援を行うことは相矛盾しており、看過できません。

 今やるべきは、医療提供体制に余裕を持ち、それに見合う人材を確保することです。

 二〇二〇年度第二次補正予算では、医療機関、介護、障害福祉サービス事業所等に勤務して、患者、利用者と接する者を対象に、慰労金が支給されました。しかし、昨年七月以降に新たに対応した場合には二十万円の慰労金支給の対象とはならず、昨年七月以降に働き始めた方は五万円の慰労金支給すらありません。

 実際には、昨年七月以降感染者は増加し、新たに対応を迫られた病床、医療従事者等も増えました。働く環境は過酷さを増し、医療従事者等の方々は、家族に会えない、外出も自粛するなど、ストレスは長期化し、先の見えない中で心身の疲労は限界に達しています。

 こうした状況を踏まえ、一刻も早く、新型コロナウイルス感染症の患者等に対応している医療従事者等に再び二十万円の慰労金を支給するとともに、昨年七月以降に働き始めた医療従事者等に五万円又は十万円の慰労金を支給すべきであると考えております。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣    麻生 太郎君

       総務大臣    武田 良太君

       法務大臣    上川 陽子君

       外務大臣    茂木 敏充君

       文部科学大臣  萩生田光一君

       厚生労働大臣  田村 憲久君

       農林水産大臣  野上浩太郎君

       国土交通大臣  赤羽 一嘉君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣 山本 博司君


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