衆議院

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第25号 令和3年4月27日(火曜日)

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令和三年四月二十七日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十七号

  令和三年四月二十七日

    午後一時開議

 第一 日本国の自衛隊とインド軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第二 民間航空の安全に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 第三 住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第五 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 日本国の自衛隊とインド軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第二 民間航空の安全に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第三 住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第五 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(大島理森君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 日本国の自衛隊とインド軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日程第二 民間航空の安全に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件

議長(大島理森君) 日程第一、日本国の自衛隊とインド軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、民間航空の安全に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長あべ俊子君。

    ―――――――――――――

 日本国の自衛隊とインド軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とインド共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 民間航空の安全に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔あべ俊子君登壇〕

あべ俊子君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 日・インド物品役務相互提供協定は、令和二年九月九日にニューデリーにおいて署名されたもので、自衛隊とインド軍隊との間で物品役務を相互に提供する際の決済手続等を定めるものでございます。

 日・EU航空安全協定は、令和二年六月二十二日にブリュッセルにおいて署名されたもので、双方の航空当局による民間航空製品に対する重複した検査等を可能な限り省略するための枠組みを定めるものでございます。

 両件は、去る二十日外務委員会に付託され、翌二十一日茂木外務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。二十三日に質疑を行い、質疑終局後、まず、日・インド物品役務相互提供協定について、討論の後、採決を行いましたところ、本件は賛成多数をもって承認すべきものと議決し、次に、日・EU航空安全協定について採決を行いましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第でございます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第三 住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第三、住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長あかま二郎君。

    ―――――――――――――

 住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔あかま二郎君登壇〕

あかま二郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、分譲マンション等の区分所有住宅に係る長期優良住宅の認定手続を見直し、管理者等において維持保全を行うこととして、認定を申請することができること、

 第二に、長期優良住宅の認定基準として、自然災害による被害の発生の防止等への配慮に関する事項を追加すること、

 第三に、登録住宅性能評価機関を活用し、長期優良住宅の認定に係る審査を合理化すること、

 第四に、特別住宅紛争処理の対象に既存住宅等の瑕疵に係る保険に加入した住宅の売買等に関する紛争を追加すること

などであります。

 本案は、去る四月二十日本委員会に付託され、翌二十一日赤羽国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、二十三日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第四、新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長越智隆雄君。

    ―――――――――――――

 新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔越智隆雄君登壇〕

越智隆雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るため、銀行や銀行グループ等がデジタル化や地方創生に貢献できるよう、業務範囲規制等を緩和するとともに、海外投資家等向けの投資運用業に係る届出制度を整備するほか、合併や経営統合等の事業の抜本的な見直しを行う地域銀行等に対する資金交付制度の創設等を行うものであります。

 本案は、去る四月十九日当委員会に付託され、翌二十日麻生国務大臣から趣旨の説明を聴取し、二十三日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 日程第五、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長木原誠二君。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔木原誠二君登壇〕

木原誠二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、働く意欲のある高齢期の国家公務員にしっかりと公務を支えていただくため、職員の定年を現行の六十歳から段階的に六十五歳に引き上げるとともに、当分の間、職員の俸給月額については、六十歳に達した日後における最初の四月一日以降、その者に適用される俸給表の級号俸に応じた額に百分の七十を乗じて得た額とする等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る四月二十日本委員会に付託され、翌二十一日河野国務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。次いで、二十三日、質疑を行い、質疑終局後、本案に対し、日本維新の会・無所属の会から修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、原案及び修正案について討論を行い、採決した結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

武部新君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(大島理森君) 武部新君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(大島理森君) 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長石原宏高君。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔石原宏高君登壇〕

石原宏高君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、我が国における脱炭素社会の実現に向けた対策の強化を図るため、二〇五〇年までの脱炭素社会の実現等の地球温暖化対策の推進に当たっての基本理念を新たに定めるとともに、地方公共団体の実行計画の記載事項の見直し、地域脱炭素化促進施設の整備及びその他の地域の脱炭素化のための取組を一体的に行う事業の実施に関し市町村の認定を受けた事業者に対する温泉法等に基づく手続についての特例措置の創設、温室効果ガス算定排出量の報告制度の見直し等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月十五日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、翌十六日小泉環境大臣から趣旨の説明を聴取し、二十日から質疑に入り、二十三日参考人から意見を聴取しました。

 同日、立憲民主党・無所属より修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、原案及び修正案を一括して質疑を行い、本日質疑を終局いたしました。

 次いで、修正案について内閣の意見を聴取した後、原案及び修正案について討論、採決を行った結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(大島理森君) この際、内閣提出、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣梶山弘志君。

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 御説明に先立ちまして、法案の条文案に四カ所、条文案以外の参考資料に二十カ所の誤りが判明したことにつきましては、国会に法案を提出し、御審議を仰ぐ立場の政府として誠に申し訳なく、改めて深くお詫びを申し上げます。今後、このようなことがないように、しっかりと対応してまいります。

 ただいま議題となりました産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、我が国経済が戦後最大の落ち込みを記録する中、厳しい状況に置かれている事業者に対し、引き続きその事業継続や雇用の維持に必要な支援を行っていく必要があります。他方、世界各国で新たな日常への模索が続く今こそ、我が国が旧態依然とした経済社会システムから本格的に脱却し、グローバルな構造変化へと一気に適応していくチャンスでもあります。

 成長戦略としての二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築など、山積する課題に対し必要な取組を進めることで、我が国産業の持続的な発展を図ることが重要です。さらに、人口が急激に減少する中、地域の経済や雇用を支える小規模事業者の持続的発展を図りつつ、中小企業から中堅企業への成長を促すことで海外で競争できる企業を増やしていくことが必要です。

 こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、産業競争力強化法の一部改正等です。

 第一に、グリーン社会への転換のための施策を講じます。カーボンニュートラル実現に向けた事業者の計画を認定し、脱炭素化効果が高い製品の生産設備への投資や、生産工程等の脱炭素化を進める設備への投資に対する税額控除や計画の実施に必要な借入れに対する利子補給を措置します。

 第二に、デジタル化への対応のための施策を講じます。デジタル技術を活用した全社レベルのデジタルトランスフォーメーションに関する事業者の計画を認定し、クラウド技術を活用したソフト、ハードのデジタル関連投資に対する税額控除などの措置を講じます。

 第三に、新たな日常に向けた事業再構築のための施策を講じます。コロナ禍などで赤字を被った企業が、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション、事業再構築等に取り組む場合に、事業者の計画を認定し、繰越欠損金の控除上限の引上げなどの措置を講じます。

 このほか、コロナ禍を踏まえ、バーチャルのみで株主総会を開催することができる特例や、大型ベンチャー企業への債務保証制度、事業再編、事業再生の円滑化等に関する制度を措置します。

 次に、中小企業等経営強化法、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律及び下請中小企業振興法の一部改正です。

 第一に、中堅企業への成長促進のための施策を講じます。中小企業の積極的な事業や規模の拡大を促進する経営革新計画の承認制度等について、新たな支援対象類型を創設し、金融支援等を措置します。

 第二に、中小企業の経営資源の集約化のための施策を講じます。MアンドAに先立ち実施する調査に係る事項を記載した経営力向上計画を認定し、MアンドA後の簿外債務等のリスクに備えるために積み立てた準備金の金額の損金算入や金融支援を措置します。併せて、中小企業が所在不明の株主の株式の買取り等を行うまでに必要な期間を五年から一年に短縮する特例を措置します。

 第三に、中小企業等の経営基盤の強化のための施策を講じます。中小企業者と連携して事業継続力の強化に取り組む中堅企業に対して金融支援等を措置します。併せて、フリーランスにみられる取引をはじめ、より広い取引を下請中小企業振興法の対象とする等、措置を講じます。

 また、これらの措置に加えて、独立行政法人中小企業基盤整備機構法について必要な改正を行います。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。宮川伸君。

    〔宮川伸君登壇〕

宮川伸君 立憲民主党・無所属の宮川伸です。

 ただいま議題となりました法律案について、会派を代表して質問します。(拍手)

 本法律案は、新型コロナウイルス感染症の影響で日本経済が厳しい状態にある中、ポストコロナを見据えて、グリーン社会やデジタル化への対応を行うものです。いわゆるV字回復を目指していくわけでありますが、新たな日常に移っていくときに、その支えとなる企業がなければ、V字回復したくてもできません。したがって、今、この厳しい状態において、しっかりと事業者を支える必要があります。

 日曜日の二十五日、東京、大阪、京都、兵庫に対して三度目の緊急事態宣言が発出されました。東京で二度目の緊急事態宣言が解除されてから、たった一か月での発出です。当時、病院の逼迫状態は改善していたものの、感染者数は微増、変異株が拡大していました。

 私たちは、今のままで緊急事態宣言を解除したら変異株が一気に蔓延する可能性があり、時期尚早と申し上げてきましたが、まさにそのとおりになってしまったのではないでしょうか。中途半端なウィズコロナ対策を取っていたら、感染拡大が繰り返されて、助けられる命が助けられません。そして、本当に経済が行き詰まってしまうのではないかと大変危機感を持っております。

 政治判断の失敗で苦しんでいる事業者がたくさんいる目の前でポストコロナの経済対策を議論することに違和感を持つ者は、私だけでしょうか。

 緊急事態宣言の解除の目安を五月十一日に設定し、十七日間となっていますが、一回目の緊急事態宣言は約一か月半、二回目は二か月半であったのに、なぜこれほど短い期間で大丈夫だと判断したのでしょうか。また中途半端に解除して、すぐに第五波が来るのではないでしょうか。

 解除の要件は前回よりも厳しくするのかどうか、西村大臣にお伺いします。

 菅総理大臣は、先週金曜日の記者会見で、希望する高齢者に七月末を念頭に各自治体が二回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいりますと発言されました。しかし、一昨日の野党ヒアリングで甲府市に確認すると、市の想定では、高齢者二回接種には三・七か月かかり、市として医療従事者が打ち終える予定の六月下旬から打ち始めると、終了は十月上旬になる、また、国からこの終了予定を問われたこともなく、報告したこともないとのことでした。

 高齢者のワクチン接種終了時期について、七月末を念頭に置くこととした根拠は何でしょうか。根拠もない期限でしたら、それは、単なる願望、単なる思いつきではありませんか。河野大臣、七月末の根拠をお示しください。

 加藤官房長官が、先週の記者会見で、インドで新型コロナウイルス感染急増の要因となっている二重変異ウイルスが日本国内で五件確認されていることを明らかにしました。また、昨日の発表では、二十一件に増えたとのことです。そのうちの一件は、空港検疫ではなく、国内で発見されたと聞いています。

 これは、またもや空港での水際対策に失敗したということなのでしょうか。また、このインド変異株が第五波の要因になる可能性はあるのでしょうか。現在、感染封じ込めのために具体的にどのような対策を取っているのか、厚労大臣にお伺いいたします。

 このインド変異株は、しっかりと科学をベースにして封じ込める必要があります。そのために、濃厚接触者よりも広い範囲で徹底的にゲノムシークエンスと追跡を行う必要があると考えています。ゲノムシークエンスは国立感染症研究所が中心となって行っていると聞いていますが、公的機関だけではなく、検査会社やベンチャー企業の力も総動員すべきです。こういったことが、新たな技術を生み、産業競争力強化にもつながります。

 現在、ゲノムシークエンスは陽性者の何%行っているのでしょうか。また、経産省はその数字を上げるために産業界にどのような働きかけをしたのでしょうか。さらに、本法律案にはバイオの分野の遅れを取り戻すための施策は盛り込まれているのでしょうか。経産大臣にお伺いします。

 昨年、五万社以上が休廃業や倒産に追い込まれています。持続化給付金や家賃支援給付金などの政府支援策が終わった中、今後、経営環境は厳しさを増す可能性が指摘されています。

 私たちは、一か月以上前に、事業規模に応じた持続化給付金の再給付に関する議員立法を提出しています。厳しい事業者を支えるために、一刻も早く法案審議をすべきではないでしょうか。

 一方、政府は休業要請に応じた東京・銀座の百貨店に一日二十万円の協力金を支払うと聞いていますが、これは冗談でしょうか。

 本法案にはMアンドAを行いやすくするための施策が幾つも盛り込まれていますが、政府は、コロナで苦しんでいる企業を支えるのではなく、MアンドAを推し進めようとしているのではないでしょうか。

 今回の緊急事態宣言の発出に対する事業者支援の具体的な内容と財源、支給の開始日を経産大臣にお伺いします。

 ワクチンは経済を正常化するための切り札の一つです。しかし、今の日本の接種状態は、OECD諸国で断トツの最下位と聞いています。なぜこうなってしまっているのでしょうか。ワクチン接種が遅れれば、それだけ経済の回復も遅れることになります。

 日本は、国産のコロナワクチンの開発ができていません。ファイザー社のワクチンはRNAワクチンという新しいタイプのワクチンでありますが、ビオンテック社というドイツのバイオベンチャーが作りました。また、米国のバイオベンチャーであるモデルナ社も、同様のRNAワクチンを開発しました。これらは、簡単にできたわけではなく、しっかりしたバイオテクノロジーの基礎研究が基にあって達成されています。

 例えば、このワクチンはRNAでできていますが、RNAは体の中で不安定なので薬にはならないと言われていました。そのため、RNAの安定性を上げる、たんぱく質の製造効率をアップし、そして細胞内に入りやすくするなど、多くの基礎研究を粘り強くやってきた結果、このワクチンができたのです。また、モデルナ社は、約十年間で二千五百億円の規模の資金を集めて研究開発を進めています。日本には、まだまだこのようなベンチャー企業を支えるための環境が整っていません。

 日本のベンチャー企業をバックアップするために産業革新投資機構がありますが、三年ほど前の経産省とのトラブルで、田中社長始め九人の役員が辞任しました。そして、長期間の間、投資ができない状態になっていました。

 これはベンチャー企業にとって大きなマイナス要因だったと思いますが、産業革新投資機構が現在しっかりと機能しているのか、現状について御説明ください。また、本法案には産業革新投資機構の強化について盛り込まれているのでしょうか。経産大臣にお伺いします。

 私たち政治家は、自分たちの世代のことだけを考えるのではなく、子供たちのために、未来の日本に対しても責任ある行動を取る必要があります。

 地球温暖化の問題は深刻さを増しており、もはや気候変動ではなく、気候危機と言われるようになりました。私たちは、以前から、原発ゼロとともに再生可能エネルギーの大幅な普及と省エネについて具体的な提案をしてきています。既に再エネ四法案を提出していますが、もう何年も審議されずに横に置かれたままになっています。

 菅総理は、昨年十月に、二〇五〇カーボンニュートラルを宣言しました。また、先日、二〇三〇年の二酸化炭素排出量を二〇一三年比で四六%削減することを宣言しました。今までの政府の目標が二六%削減だったので、大幅に引き上げたことになります。私たちが繰り返し申し上げてきた日本の目指すべき姿に近づいており、一定の評価をしますが、その中身についてはまだ不明確です。菅総理は、記者会見で、記者団が四六%削減は現実的なのかと質問したのに対して、これは積み重ねてきている政府としての数字だと述べています。

 それでは、二〇三〇年のエネルギーミックスである、再生可能エネルギーの割合、石炭火力発電の割合、原子力発電の割合、そして、省エネルギーの削減割合は幾つを想定しているのでしょうか。経産大臣にお伺いします。

 日本は、かつて、半導体や太陽光発電などで世界をリードしていました。しかし、今やその市場は中国や韓国等の外国企業が占めています。蓄電池に関しても、リチウムイオン電池は旭化成の吉野彰先生がノーベル賞を受賞したものです。一九九一年にソニーが世界に先駆けて製品化に成功しました。しかし、今や、リチウムイオン電池の市場も、パナソニックが頑張っているものの、外国企業が占有しています。

 なぜ日本は事業化に成功しているのに市場化に失敗しているのか、どのような対策が考えられるのか、経産大臣にお伺いします。

 また、蓄電池の分野では、次世代電池として全固体電池の研究開発が進んでおり、日本が世界をリードしていますが、この技術がしっかりと市場化できるように本法案ではどのような施策が取られているのか、お伺いをします。

 最後に、本国会では多くの条文ミスが見つかっています。内閣提出法案全体で条文に十二か所、参考資料に百二十二か所もの誤りがありました。その中に本法案も含まれており、条文に四か所、参考資料に二十か所もの誤りが見つかっています。

 また、経産省は、日本貿易保険に関する法案を取り下げるという問題も起こしています。昨年は、関西電力株式会社の金品授受問題に対する業務改善命令において不適切な手続が行われ、問題となりました。このように、経産省はこの間に幾つもの問題を起こしています。

 こういった状況を鑑みると、条文の誤りを正誤表でごまかすのではなく、しっかりと閣議決定し直すべきとの意見があります。なぜ閣議決定し直さないのか、経産大臣の答弁を求めます。

 また、このような条文ミスが起こる原因の一つとして、関係の薄い法律をたくさん盛り込んで出す、あるいは、多くの国民が求める法律と筋の悪い法律を一緒に束ねて通そうとする、こういったことで法律が膨大になり、限られた期間できちんと確認できなくなっているのではないでしょうか。

 このような多くの誤りが起こっている原因と対策について、経産大臣にお伺いします。

 日本企業がコロナウイルスに打ちかち、わくわく元気な社会をつくっていけるように全力で取り組むことをお約束しまして、私からの質問といたします。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 宮川議員からの御質問にお答えをいたします。

 ゲノムシークエンス及び本法案におけるバイオ分野の促進策についてお尋ねがありました。

 日本国内の新型コロナウイルス感染者に対するゲノムシークエンスの実施割合は、国立感染症研究所の公表資料によれば、六・二%程度と承知をしております。

 経済産業省では、ロボットを用いた全ゲノムシークエンス解析の自動化に関する実証実験など、アカデミアと産業界の連携による実証を支援してまいりました。この成果を活用したベンチャー企業では、全ゲノム解析サービスを実際に開始しており、具体的な成果につながっております。

 また、本法律案においては、大型ベンチャーへの融資に対する債務保証制度や、事業再編の円滑化等の措置を講じております。こうした措置の活用を通じて、研究開発や大規模生産に多額の資金を要し、事業の規模拡大が必要となるバイオ分野の企業の競争力強化に努めてまいります。

 今回の緊急事態宣言に対する支援についてお尋ねがありました。

 持続化給付金再支給法案の国会審議の進め方につきましては、国会で御議論いただくことと認識をしております。

 政府としては、四月二十三日のコロナ対策本部の取りまとめを踏まえ、緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置の影響により売上げが半減した中堅・中小事業者に対して、一月当たり法人二十万円、個人事業者十万円を上限に、売上減少相当額を給付することとしました。

 また、緊急事態措置区域において、休業要請に応じていただいた百貨店等の大規模施設に対しては一日当たり二十万円を、テナント等に対しては一日当たり二万円を支援することとしました。

 この二十万円は、飲食店向け協力金の最大額が二十万円であることなどを踏まえたものであり、昨年、幅広い休業要請を都道府県が行った際の協力金の水準、平均二万円程度を大きく上回っております。また、テナントに一日二万円の支援を行うことにより、テナントの多く入っている百貨店等には、総額として、より多くの協力金が支給される仕組みになっています。

 さらに、音楽コンサートや演劇等のイベントのキャンセル費用に関する支援策についても、引き続き実施をしてまいります。

 なお、本法案のMアンドAを行いやすくする施策は、希望する企業がこれを円滑に実施するためのものであり、決して企業に対してMアンドAを押しつけるものではありません。先ほど述べましたが、給付金などにより、MアンドAを行わない企業の経営もしっかり下支えをしてまいります。

 財源については、既に措置された予備費や補正予算等を活用し、できる限り早期に事業者の皆様へ支給できるよう、今後、制度の詳細について検討し、コロナ禍で苦しい事業者の方々を支援してまいります。

 産業革新投資機構の現状及び産業競争力強化法の改正案における産業革新投資機構の強化についてのお尋ねがありました。

 産業革新投資機構については、二〇一九年十二月に新経営陣が就任し、経営体制の再構築やファンド組成に向けた取組を進めてまいりました。

 この結果、二〇二〇年七月には、バイオ、創薬、宇宙、素材等の、民間だけでは資金調達が難しい分野を中心に投資活動を行う千二百億円規模のベンチャーファンドを設立しており、二〇二一年三月までに十八件の投資決定を行っております。

 今回提出しました産業競争力強化法の改正案において、産業革新投資機構の強化については盛り込んでいませんが、昨年立ち上げたベンチャーファンドを通じて、我が国の産業競争力強化に向けたベンチャー企業への投資活動を着実に進めてまいります。

 エネルギーミックスについてお尋ねがありました。

 二〇三〇年に向けては、総合資源エネルギー調査会等において、例えば、二〇三〇年の省エネ量の見通しの更なる深掘り、再エネ拡大に向けた導入量の見通し、原子力については、国民の信頼回復に努め、安全最優先の再稼働を進めること、石炭火力などについては、安定供給確保を大前提に、できる限り電源構成での比率を引き下げていくことといった論点について検討を重ねてきております。

 カーボンニュートラルや新たな二〇三〇年目標を目指す中にあっても、スリーEプラスSのバランスを取りながら安価なエネルギーの安定供給を確保することがエネルギー政策の最重要課題であります。こうした観点を踏まえて、御指摘の各電源の割合など、エネルギーミックスを含むエネルギー政策全体について、集中的に議論を行い、結論を出してまいります。

 蓄電池産業への支援についてお尋ねがありました。

 蓄電池は、自動車の電動化や再生可能エネルギーの導入拡大に不可欠であり、蓄電池産業の強化に取り組むことは、重要な政策課題であります。

 リチウムイオン電池については、かつては日本企業が世界市場で大きなシェアを占めていましたが、他国企業が大胆な投資を行い、技術力やコスト競争力を高めた結果、日本企業のシェアは低下している現状にあります。

 このような現状を踏まえ、本法案で措置するカーボンニュートラル投資促進税制では、高性能のリチウムイオン電池を生産する設備を導入した場合に一〇%の税額控除を行うなど、日本企業による設備投資を支援してまいります。

 また、次世代電池である全固体電池についても、特許数では世界一のシェアを占めるなど、日本企業が技術ではリードしておりますけれども、世界で勝ち抜くためには、実用化研究を早急に進めるとともに、大胆な設備投資を行い、いち早く市場化を実現することが必要です。

 全固体電池は実用化前の段階にあることから、まずは研究開発に対する予算措置で支援をしてまいります。

 実用化が早期に達成された場合には、本法案で措置するカーボンニュートラル税制の対象として量産を支援するほか、世界で勝ち抜けるよう、民間企業の大胆な設備投資を促す政策を更に検討してまいります。

 法案の誤りについてお尋ねがありました。

 国会に法案を提出し、御審議を仰ぐ立場の政府として、法案に誤りがあったことは大変遺憾であると考えております。前例なども踏まえ、正誤で対応させていただいております。

 また、今回の誤りの原因については、法律案を束ねたことではなく、条文案の確認が不十分であったことが原因であると考えております。

 再発防止策については、そもそも国会に提出する資料には誤りが許されないとの大前提を強く再認識させるとともに、法律案の作成に携わっていない第三者がチェックをするなど重層的かつ実効的なチェック体制の構築、読み合わせの徹底、スケジュール管理の徹底と人員の増強など、十分な確認ができる体制の整備を検討してまいります。

 そのほか、デジタル技術や外部リソースの活用など、政府全体で検討していかなければならない課題については、省庁横断の再発防止のためのプロジェクトチームの中で積極的に貢献をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 緊急事態宣言についてお尋ねがありました。

 前回、一月から三月の緊急事態宣言下においては、国民の皆様の御協力をいただき、新規陽性者数につきまして、大阪府では六百人程度から五十人、六十人程度に、東京都では二千五百人程度から二百五十人、二百六十人程度と、約九分の一に減少させ、ステージ2相当以下に下げることができました。専門家などから構成されます基本的対処方針等諮問委員会において全会一致で御了承いただき、前回の緊急事態宣言を解除いたしました。

 その後も、変異株も含め、引き続き警戒しなければならない、また、感染をゼロとすることはできず、今後も流行の波は何度も発生すると考えられ、必要があれば強い措置を講ずると申し上げてきました。そして、今般の感染状況や病床の逼迫の状況等を踏まえ、国民の皆様の命を守るため、強い措置を講ずることとした次第であります。

 今回の緊急事態措置は、変異株の感染拡大や各地域での医療提供体制の状況等を踏まえ、大型連休という機会を捉えて、昨年春と同等の極めて強力な対策を集中的に実施するとの考えの下で、感染拡大の主な起点となっている飲食店等の感染源対策を強化するとともに、徹底的に人流を抑えるための強い措置をお願いするものであります。

 国として、病床確保に全力を挙げていくとともに、規模に応じた一日最大二十万円の協力金の支援、パート、アルバイトも含め、一日一人最大一万五千円の一〇〇%の雇用調整助成金による支援、地方創生臨時交付金の五千億円の交付など、厳しい状況にある事業者の皆様をしっかりと支援してまいります。

 その上で、緊急事態宣言の解除につきましては、基本的対処方針にお示ししているとおり、緊急事態措置区域が分科会提言におけるステージ3相当の対策が必要な地域になっているか等を踏まえて、政府対策本部長が専門家で構成される基本的対処方針分科会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断することとされています。

 いずれにせよ、強い措置を集中的に実施するという考え方の下、国民の皆様にも御協力をお願いしながら、その時点における感染状況等を踏まえて、専門家の意見をお聞きし、適切に判断し、必要な対応を取ってまいります。

 まずは、この十七日間、飲食店に対する酒類やカラオケ設備の提供の停止、大規模集客施設に対する休業要請、不要不急の外出・移動の自粛、テレワーク、休暇取得の推進による出勤者数の七割削減といった極めて強い措置を徹底的に行い、何としても感染拡大を抑え込んでいくべく、皆様の御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) 新型コロナウイルスのワクチン接種についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルスのワクチン接種については、予防接種法に基づき、各市区町村が接種を行うことになっており、高齢者接種の際には、政府から各自治体に対して、二か月と三週間で接種計画を作成いただくようにお願いしてきたところです。

 ワクチンの供給は、連休明けの五月十日の週から、二週間で一万六千箱を自治体の需要を勘案して配送することとしており、多くの自治体が本格的に接種を開始できると考えております。(拍手)

    〔国務大臣田村憲久君登壇〕

国務大臣(田村憲久君) 宮川伸議員にお答えいたします。

 インドから報告されている変異株についてお尋ねがありました。

 一般的に、ウイルスは流行していく中で少しずつ変異を起こしていくものであり、新型コロナウイルスについても、約二週間に一か所程度の速度で変異していると考えられています。

 御指摘のインドから報告されている変異株は、国立感染症研究所によると、感染性の増加やワクチンの効果に影響を与える可能性が示唆されている株と同様の変異があるが、現時点で感染性やワクチンへの効果、重症度について影響があるとの証拠は得られていないなどの評価、分析がなされていると承知しており、引き続き、ゲノムサーベイランスを通じて実態を把握してまいります。

 検疫では、これまでに、国立感染症研究所が、懸念される変異株に位置づけている変異株の陽性者二百三十四名を、また、これとは別に、インドから報告されている変異株の陽性者二十名を発見しており、国内への新型コロナウイルス変異株の流入防止に一定の役割を果たしていると考えています。

 厚生労働省としては、引き続き、変異株に関する情報収集、水際対策の強化や監視体制の強化など、感染拡大防止対策を徹底してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(大島理森君) 浅野哲君。

    〔浅野哲君登壇〕

浅野哲君 国民民主党・無所属クラブの浅野哲です。

 産業競争力強化法等の一部改正案について質問します。(拍手)

 まず、先日の気候変動サミットで、二〇三〇年までの温室効果ガス排出量削減目標として、二〇一三年度比マイナス四六%を目指すこと、さらに、五〇%への上積みを図ることが表明されました。この四六%という数字の根拠を教えてください。

 本改正案は、炭素生産性を高める設備投資への優遇税制を創設する内容ですが、中小企業は炭素生産性の評価自体が難しい現状があります。まずは、全ての事業者が炭素生産性を評価できるような環境整備や支援体制の整備が必要と考えますが、見解を伺います。

 また、二〇三〇年の排出削減目標が大幅に引き上げられたことを受けて、本改正内容についても見直す必要があるか、認識を伺います。

 DX投資促進税制について、取締役会等での意思決定を要件とすることは、経営変革に向けた責任の所在を明確化するものであり、評価します。一方、クラウド技術の活用を要件としていることについては、疑問です。そもそも、この場合のクラウド技術とは何を指すのでしょうか。

 昨年十二月に作成された「DXレポート2 中間取りまとめ」で指摘されているように、DXの本質は、経営情報の見える化の先にある経営改革と生産性改革です。本改正案においては、クラウド技術の活用ではなく、企業変革に資するデジタル情報活用技術などと、より包括的な概念とすべきではないでしょうか。

 また、三年前に施行され、本年三月に廃止されたIoT税制の認定件数が二百十件しかなかったことを踏まえると、計画認定を前提とした本改正内容が産業現場の脱炭素化やDX促進を後押しする制度となるか、疑問です。これらの税制の利用数をどのように増やしていくか、伺います。

 本改正案は、三年前に創設された規制のサンドボックス制度を恒久化する内容ですが、本年二月時点では認定実績が十九件しかなく、なぜ恒久化の判断に至ったのか、分かりません。本制度により規制が見直された事例や今後の規制見直しが期待される分野を教えてください。

 経営力向上計画において、債務保証などのインセンティブを規定した上でデューデリジェンスに関する情報を記載できるようにしたことは、評価いたします。しかし、利用されなければ意味がありません。実際、経営力向上計画を作成した中小企業は昨年末時点で全体の三・二%しかないことを踏まえ、経営力向上計画やデューデリジェンスの重要性を一層周知することが必要と考えますが、見解を伺います。

 同様に、事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画についても、昨年末時点での作成率は〇・六%しかないことを踏まえ、今後どのように対応するか、伺います。

 本改正により、適正な下請取引を示す振興基準の例示に発注書面の交付が明記されることは、評価します。しかし、そもそも、下請法第三条において、親事業者には書面交付の義務が課せられているはずです。まずは下請法に基づく事業者への監督指導の強化で対応すべきではないでしょうか。本改正の必要性について御説明ください。

 また、新設される認定下請中小企業取引機会創出事業者は、親事業者と下請事業者の間を仲介する役割を担いますが、自由かつ公正な取引を阻害するおそれはないのでしょうか。認定事業者による取引の透明性や公正性の確保は、いかに実現しますか。教えてください。

 昨年六月に、IMD、国際経営開発研究所が公表した世界競争力年鑑において、日本の国際競争力は過去最低の三十四位とされました。私は、この国の競争力低下に強い危機感を抱いております。

 本法律を所管する経済産業省には、日本の競争力強化に対してより一層の使命感と緊張感を持って対応いただくことを強く求めるとともに、私自身も、産業現場で技術開発を担当していた当事者として、日本が再び競争力を取り戻すために全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣梶山弘志君登壇〕

国務大臣(梶山弘志君) 浅野議員からの御質問にお答えをいたします。

 二〇三〇年温室効果ガス削減目標についてお尋ねがありました。

 先週、総理から、二〇五〇年目標と整合的で野心的な目標として、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指す、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくことが表明されました。

 二〇三〇年に向けては、これまでも、総合資源エネルギー調査会や、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合等において、二〇五〇年カーボンニュートラル目標を踏まえた議論が進んでおります。

 例えば、エネルギーの分野では、二〇三〇年における省エネ量の深掘りの見通しや再エネの導入拡大量の見通しなどの議論を進めており、こうした点も踏まえつつ、二〇五〇年目標と整合的かつ野心的な目標として、総理が決断されたものと考えています。

 今後、新たな目標に向けた施策を具体化すべく、検討を加速してまいります。

 炭素生産性の評価支援についてのお尋ねがありました。

 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制では、よりCO2を排出せずに収益を伸ばすことを表す指標である炭素生産性について、その向上につながる設備投資を対象としています。

 炭素生産性の計算は、一年に一回は必ず作成される決算書の記載内容と省エネ法の定期報告の内容のみで簡単に計算できることを念頭に置き、申請者の負担がなるべく増えることがないようにしております。

 また、これまで自社のCO2排出量を把握したことがないような、エネルギー使用量の少ない企業に対しては、CO2排出量を簡単に算定できる計算ツールを提供し、利用しやすい税制とすることを検討しています。

 このほか、分かりやすい広報はもちろんのこと、利用者視点に立って、中小企業にとっても分かりやすく使いやすい税制措置となるように設計をしてまいります。

 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の見直しの必要性についてお尋ねがありました。

 本税制では、炭素生産性の目標を三年以内に最大一〇%以上向上させることを要件としています。また、税制の措置内容として、最大一〇%の税額控除等を設けています。

 これらの要件及び措置内容は、非常に高い水準であり、今般の二〇三〇年目標を踏まえても十分なものと認識をしており、現時点で見直す必要はないものと考えております。

 DX投資促進税制の要件についてお尋ねがありました。

 DX投資促進税制では、インターネット等を介してデータの処理、保管等のITサービスが他社から提供される技術をクラウド技術と位置づけ、その活用を税制適用の一つの要件としています。

 他方で、DXの本質は、単にITシステムを各部門に導入することではなく、デジタル技術を活用して、新商品、サービスの開発や新たな生産、販売方式の導入による市場拡大の取組などであると認識をしております。

 こうした観点から、本税制では、クラウド技術の活用といった要件に加えて、経営戦略と連動したデジタルトランスフォーメーション計画の策定や、一定以上の生産性向上といった企業変革要件を設けることで、デジタル化の先にある経営改革や生産性改革を促すこととしております。

 カーボンニュートラル投資促進税制やDX投資促進税制の税制の利用をどのように増やしていくかについてお尋ねがありました。

 税制の活用に当たっては、炭素生産性の目標を三年以内に一〇%以上向上させることなどを要件としており、要件に合致しているかを確認するため、所管大臣が事前に本法案に基づく計画を認定する制度としております。

 御指摘のとおり、税制の利用件数を伸ばすことが重要と認識をしており、計画の認定申請の利便性や迅速性を確保するため、オンラインによる申請も可能とし、事業者が迅速かつ円滑に本制度を活用できるよう、各業界団体を始め、事業者への説明も積極的に行っていくことで、税制の積極的な活用を促してまいります。

 規制のサンドボックス制度についてお尋ねがありました。

 本制度は、これまで、二十件の認定が行われ、百三十九の事業者が実証に参加をしております。

 この実証の結果、電動キックボードに関する道路交通法関係省令等の特例措置の整備等が実現をし、さらに、本法案においても債権譲渡の通知の電子化に関する民法等の特例措置が盛り込まれるなど、実際に規制改革が実現をしております。

 規制のサンドボックス制度の活用により、今後、フィンテックやIoTなど幅広い分野において、更なる規制の見直しが進んでいくことが期待できると考えております。

 経営力向上計画及びデューデリジェンスの必要性の周知についてお尋ねがありました。

 委員御指摘のとおり、本法案において措置する金融支援や関連する税制などの支援策が多くの中小企業に行き渡ることが重要です。このため、商工会、商工会議所などと連携し、関連する支援策のセミナーを開催するなど、経営力向上計画の周知徹底、利用促進に一層取り組んでまいります。

 また、デューデリジェンスを含めたMアンドAの基本的な事項などを示した中小MアンドAガイドラインや、具体例を漫画も交えて解説をした中小MアンドAハンドブックについて、中小企業支援策のポータルサイトなどを通じて積極的に発信してまいります。

 事業継続力強化計画及び連携事業継続力強化計画についてお尋ねがありました。

 従来の中小企業等経営強化法では、中小企業と連携して事業継続力強化に取り組む中堅企業に対する支援措置が講じられていませんでした。このため、本法案では、このような中堅企業に対して、災害発生時の金融支援措置を講ずることにより、中堅企業が牽引する形での事業継続力強化を促すこととしております。

 また、事業継続力強化を促進するためには、中小企業が災害発生リスクを正確に理解することが必要です。このため、本法案では、地方自治体がハザードマップ等を活用して行う、中小企業に対する災害リスクの周知を後押しすることとしております。

 本法案の措置に加えて、普及啓発を目的としたシンポジウムの開催や計画の策定支援のための専門家派遣等も行うことにより、中小企業の事業継続力の強化を総合的に推進してまいります。

 下請振興法改正の必要性及び認定下請中小企業取引機会創出事業者についてお尋ねがありました。

 規制法である下請代金法は、下請振興法と比較して、対象となる取引が限定的であります。このため、今回の法案では、より多くの取引を対象とする下請振興法を改正し、振興基準に定める事項として発注書面の交付を明記することで、下請取引の一層の適正化を図ることとしております。

 また、認定下請中小企業取引機会創出事業者の認定に際しては、中小企業者の不利益となる価格設定を行わないことを確認するとともに、二年ごとの認定の更新や基準に適合しなくなった場合の取消しなど、取引の透明性や公正性を確保するための措置を講じてまいります。(拍手)

議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時七分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       外務大臣    茂木 敏充君

       厚生労働大臣  田村 憲久君

       経済産業大臣  梶山 弘志君

       国土交通大臣  赤羽 一嘉君

       環境大臣    小泉進次郎君

       国務大臣    麻生 太郎君

       国務大臣    河野 太郎君

       国務大臣    西村 康稔君

 出席副大臣

       経済産業副大臣 長坂 康正君


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