衆議院

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第6号 令和5年2月14日(火曜日)

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令和五年二月十四日(火曜日)

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  令和五年二月十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 松本総務大臣の令和五年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) この際、御紹介申し上げます。

 ただいまショーン・オファイール・アイルランド下院議長御一行が外交官傍聴席にお見えになっておりますので、諸君とともに心から歓迎申し上げます。

    〔起立、拍手〕

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 国務大臣の発言(令和五年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(細田博之君) この際、令和五年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣松本剛明君。

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 令和五年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 まず、令和五年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、地域のデジタル化や脱炭素化の推進等に対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、地方団体が住民のニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上等を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで、令和四年度の地方財政計画を上回る額を確保するとともに、地方交付税総額を増額して確保しつつ、臨時財政対策債を大幅に抑制することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針の下に、令和五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、令和四年度に比べ一兆四千四百三十二億円増の九十二兆三百五十億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が二千六百四十七億円などとなっております。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、自動車税及び軽自動車税の環境性能割について、現行の税率区分を令和五年末まで据え置くこととした一方、今後三年間の措置として、税率区分を段階的に引き上げる措置を講ずることとしております。

 また、固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権の対象の明確化等の納税環境の整備、航空機燃料譲与税の譲与割合の特例措置の見直し等を行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 令和五年度の通常収支に係る地方交付税の総額について、十八兆三千六百十一億円を確保するとともに、交付税特別会計借入金について、令和五年度の償還額を増額することとしております。

 あわせて、地域社会のデジタル化の推進に要する経費の財源を充実するため、地域デジタル社会推進費の期間を令和七年度まで延長するとともに、普通交付税の算定に用いる単位費用等の改正を行うこととしております。

 令和五年度分の震災復興特別交付税について、新たに六百五十四億円を確保し、総額九百三十五億円とすることとしております。

 以上が、令和五年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)

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 国務大臣の発言(令和五年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(細田博之君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。道下大樹君。

    〔道下大樹君登壇〕

道下大樹君 立憲民主党の道下大樹です。

 立憲民主党・無所属会派を代表して、ただいま議題となりました令和五年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 人がいて、人々が暮らす自治体があって、そして国があると私は考えます。生まれ育った北海道がもっと元気になるために何をすべきか、そんな思いで北海道議会議員として活動しました。実現できた政策や条例もありますが、法律や財源や政省令などの壁もあり、真の地方自治実現の困難さを痛感し、地方分権、地域主権を推進するためには国レベルでの改革が必要であると感じたことが国会議員を目指した理由の一つであり、その思いを胸に、質問に入ります。

 まず、地方財政について伺います。

 令和五年度の地方財政は、収支規模、一般財源総額共に過去最高額を更新しました。しかしながら、物価高、長期金利、為替レート、ウクライナ情勢など、今後の経済動向に影響する不確定要素が多いため、見通しは不透明であり、税収は厳しい見通しが示されています。前年度からの繰越しも一時的なものにすぎません。また、過去最高とはいえ、水準超経費を除く交付団体ベースの一般財源総額は、前年度比で若干のプラスにとどまっています。令和六年度の地方財政についての総務大臣の見通しを伺います。

 子育て支援や高齢者介護、障害者福祉などの制度充実に合わせた自治体の独自施策、近年山積する自治体の政策課題を踏まえると、一般行政経費単独分の抑制傾向は標準的行政の積算として妥当なのか、疑問が残ります。今回の地財計画に盛り込まれた事業は、人口減少社会における自治体の中長期的取組が求められています。一般財源総額実質同水準ルールが財源保障の上限となり、結果的に国から地方への財源なき義務づけ政策にならないようにすべきです。一般行政経費単独分を始め、十分な水準を安定的に確保していくべきと考えます。総務大臣の見解を伺います。

 自治体が必要な行政サービスを安定的かつ効果的に提供していくためには、増大する地方の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方の一般財源総額の確保を図ることを始め、持続的な地方税財政の充実強化が不可欠です。地方財政の安定、充実強化に向け、引き続き、地方の一般財源総額の確保を基本に取り組むべきです。あわせて、現在六対四となっている国税と地方税の割合について、国と地方の役割分担に応じた税の配分となるよう、偏在性や安定性に配慮しつつ税源移譲を行い、地方税の配分割合を更に引き上げるべきと考えます。総務大臣の見解を伺います。

 次に、地方交付税について伺います。

 交付税総額は五年連続で前年度を上回ることになりましたが、交付税と臨時財政対策債を合計した実質的な交付税総額は二年連続で前年度を下回っています。

 今回、折半対象財源不足額を国と地方が折半して補填するルールを令和七年度まで三年間延長することとしています。令和五年度においては折半対象財源不足は生じなかったのに、折半ルールを延長するのはなぜですか。臨財債の元利償還について、後年度の交付税措置は確実に行われるのですか。地方交付税の総額を安定的に確保するため、国の責任を臨財債にツケ回しするのではなく、今こそ、地方交付税法第六条の三第二項に基づき、交付税の法定率の引上げ等を含めた抜本的な改革を行うべきではないですか。総務大臣の見解を伺います。

 近年、地財計画における臨財債の計上額は減少傾向で推移していますが、交付税特別会計借入金償還の前倒しや国税減額補正精算の前倒しのために充てる財源一・三兆円を活用すれば、令和五年度の臨財債をゼロにすることも可能と考えます。地方六団体が、臨財債に頼らず、安定的に交付税総額の確保を図ることを求めていたことや、衆議院総務委員会の決議において、臨財債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を求めていたことなどを踏まえ、臨財債をゼロにすべきだと考えます。総務大臣の見解を伺います。

 災害の多発化や新型コロナウイルス感染症の拡大等を受けて、自治体職員の人員不足はますます深刻化しています。給与費は前年度を上回ったものの、岸田政権が経済界に求めた物価高騰に伴う賃上げは、残念ながら、今回の地財計画には織り込まれていません。岸田政権は、人への投資、インフレ率を超える賃上げなどを掲げており、今後、給与関係経費にもこうした方針を反映し、十分な確保を図るべきだと考えますが、総務大臣の見解を伺います。

 自治体の水道事業において、給水収益の減少による経営難や施設設備の老朽化、職員削減による人手不足と技術や経験、知識の蓄積、継承が困難なことによる事故も発生しています。また、人口の少ない自治体ほど収益率が低く、水道料金が高い傾向にあり、料金格差は約八倍、北海道夕張市では全国平均の二・一三倍という高い料金になっています。ヨーロッパを中心に、民営化していた水道事業を再公営化する国や地域が増加しています。そこで、自治体による水道事業の安定運営や水道料金の格差是正などに向けてどのような対策を講じるのか、総務大臣の見解を伺います。

 地域の除排雪に加え、高齢者を始めとする要援護者世帯などの雪かき、雪下ろしなどの対策に取り組む自治体を支援するために、三月に交付すべき特別交付税の繰上げ交付、農業被害対策の強化を図るべきだと考えます。また、生活困窮者に対する灯油購入費等の助成、自治体の原油高騰対策に係る自主的な取組に対する特別交付税措置を強化すべきであると考えます。総務大臣の見解を伺います。

 昨年度の冬は全国的に平年を上回る降雪となり、多くの道路除雪費が必要となったため、国土交通省が令和四年三月に地方公共団体の道路除雪費に過去最大の追加配分支援を実施したことは評価いたします。今年度の支援の検討状況について、国土交通大臣に伺います。

 あわせて、道路のみならず、鉄道も大雪の影響を受け、昨年は北海道で大規模運休、最近では京都で列車の長時間の立ち往生が発生しました。除雪体制の整備には多額の費用がかかります。公共交通という重要な役割を担う鉄道に対する支援も行うべきだと考えますが、国土交通大臣の見解を伺います。

 次に、地方税について伺います。

 今回、ふるさと納税制度に関し、前指定対象期間に係る基準不適合等への対応に関する見直しが行われます。

 しかし、ふるさと納税制度には、そもそも、居住地、所在地における受益と負担との関係にそぐわないとの指摘があるほか、地域の特産物の適正価格破壊と地場産業の自治体依存というゆがみを生み出す、一過性の予算増加、減少など税収の不安定さが住民サービスの低下をもたらす危険性、高所得者ほど大きな節税効果を受けられる、都市部における自治体の財政に与える影響が大きくなっていることなど、課題は依然として残されています。寄附金の本来の趣旨に沿った制度となるよう、特例控除額に定額の上限を設けることも含め、引き続き見直しを行うべきと考えますが、総務大臣、いかがでしょうか。

 次に、マイナンバーカードについて伺います。

 政府は、地域デジタル社会推進費のマイナンバーカード利活用事業分五百億円について、カード交付率の上位三分の一を基準に、交付率が高い市町村では割増し補正をかけることとしています。基準より低い市町村については割り落としなどの不利な算定は行われないと言いますが、地方交付税を利用して自治体に圧力をかけ、強引に政策誘導する手法は、地方自治の理念、交付税の精神に反すると言わざるを得ません。政府は、これまで、マイナンバーの活用によって行政コストが軽減されると言っていました。総務大臣、カード交付率で加算するのはおかしくないですか。

 また、デジタル田園都市国家構想交付金の一部について、マイナンバーカード申請率が全国平均以上であるとするなど、交付金の採択に当たって申請率を勘案しようとしています。カード取得はあくまでも国民の申請に基づく任意であり、カードの普及率向上に向けた取組の責任があたかも自治体にあるかのような姿勢は問題です。政府目標を達成するため、地方交付税や各種交付金を利用して自治体に圧力をかけ、強引に政策誘導する手法は、地方自治の理念に背くものであり、厳に行わないよう強く求めます。総務大臣、デジタル大臣の所見を伺います。

 政策誘導が原因と思われる影響は既に出ています。岡山県備前市は、公立小中学校の給食費と教材費、保育園の保育料などを無料にしていますが、新年度からは、園児、児童生徒の世帯全員がマイナンバーカードを取得した場合に限り無料にするという方針を示しています。カードを取得していないことを理由に行政サービスで不利益を被るのは地方自治の公平性や教育の機会均等に反し、カード取得の強制にもつながります。備前市内では反対運動が起こり、人口を上回る四万筆以上もの反対署名が寄せられています。マイナンバーカード制度の趣旨に反した政策ではないですか。不適切であると指摘、助言すべきではありませんか。総務大臣並びにデジタル大臣に見解を伺います。

 東京都渋谷区と認定NPO法人虹色ダイバーシティの調査によりますと、性的少数者のカップルを婚姻相当と自治体が認め、証明書を発行する同性パートナーシップ制度を導入している自治体が今年一月十日時点で十都府県と二百四十五市町村となり、国内人口カバー率で六五・二%に達しました。この制度により、家族向け公営住宅への入居や、公立病院での付添いや面会など、多様性を認め合う社会の推進につながっています。

 自治体が同性カップルの存在を正面から認めることの意義はとても大きいのですが、自治体がこの制度を導入しても、配偶者控除の適用や財産相続など、法律上の課題は依然として残っています。導入している自治体の市長は、当事者がLGBTであることを隠さずに言える環境を地方は一生懸命つくってきた、最終的には同性婚を法的に認めるかどうかの問題であり、国は議論を着実に前に進めてほしいとおっしゃっています。

 G7、先進七か国のうち、同性婚を法律で認めていないのは日本だけです。我が国は、本年、G7議長国として広島サミットを開催します。国民の理解を深め、同性婚を認める法律を速やかに実現しようではありませんか。法務大臣に見解を伺います。

 最後に一言申し上げ、質問します。

 去る二月二日、私を政治の世界へと導き、御指導、御支援いただいた横路孝弘元衆議院議長が逝去されました。心より御冥福をお祈りいたします。

 北海道知事も務めた横路元議長は、平和や護憲、民主リベラルの信念とともに、地方自治への思いが深く、地方分権や地域活性化に非常に熱心でした。近年は、全国よりも急激に人口減少が進んでいる北海道の現状を嘆き、憂いておられました。

 横路元議長は、一九九三年に衆参両院で全会一致で採択された地方分権の推進に関する決議について、二〇〇九年の全国町村長大会での議長挨拶で、極めて正しい指摘をした決議であるのに、残念ながら、この決議、まだまだ実現するに至っておりません、この決議を本当に実現できますように、地方の視点を大事にしながら、地方自治の更なる充実と発展に国会としても寄与していかなければなりませんと語りました。

 くしくも、本年は決議から三十年の節目となります。国と地方の役割の見直し、国から地方への権限移譲、地方税財源の充実強化など、地方の視点を大事にしながら、地方自治の更なる充実と発展を進めようではありませんか。三十年の地方分権改革の成果と課題、今後の展望について、総務大臣の決意を伺います。

 立憲民主党は、コロナ後も見据え、分権、自治の社会の実現に向け全力を挙げることをお訴えし、質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 道下議員からの御質問にお答えいたします。

 まず、令和六年度の地方財政について御質問いただきました。

 地方の一般財源総額については、基本方針二〇二一において、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することとされています。

 こうした方針の下、令和五年度の地方財政計画においては、交付団体ベースで令和四年度を上回る六十二・二兆円を確保いたしました。

 令和六年度に向けても、自治体が様々な行政課題に対応しつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、基本方針二〇二一に沿って、必要な一般財源総額を確保してまいります。

 次に、一般財源の総額確保について御質問いただきました。

 令和五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等が見込まれる中、地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ、様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、自治体施設の光熱費高騰への対応として一般行政経費を七百億円増額するほか、地域デジタル社会推進費を五百億円増額するなど、必要な経費を歳出に計上した上で、一般財源総額について、交付団体ベースで令和四年度を上回る六十二・二兆円を確保いたしました。

 今後とも、地方財政計画への適切な歳出の計上に努め、必要な一般財源総額を確保してまいります。

 次に、国と地方の税源配分について御質問いただきました。

 地方税の充実については、個人住民税における三兆円の税源移譲、消費税率引上げに際しての地方消費税の拡充などに取り組んできたところです。

 国から地方への税源移譲については、地方団体間の財政力格差への配慮や、国、地方とも厳しい財政状況にあることなども踏まえて検討することが必要と考えています。

 税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいります。

 次に、交付税率の引上げについて御質問いただきました。

 令和五年度においても、引き続き、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当することとなったため、これまでの取扱いを踏まえ、折半対象財源不足が生じた場合に国と地方が折半して補填する折半ルールについて、三年間継続することとしました。

 令和五年度は折半対象財源不足額は生じていませんが、今後、当該財源不足が生じた場合に備え、これまでと同様の方法で財源不足を補填するルールを定めておくことは、地方財政の安定的な運営に資するものと考えております。

 臨時財政対策債の償還については、元利償還金の全額を毎年度の地方財政計画に計上することにより所要の財源を確保するとともに、個々の地方自治体における元利償還金の全額を地方交付税の基準財政需要額に算入することにより、確実に償還できるよう財源保障しています。

 交付税率の引上げについては、粘り強く主張しております。現在、国、地方とも厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、政府部内で十分に議論してまいります。

 次に、臨時財政対策債について御質問いただきました。

 交付税特別会計借入金の償還や交付税の国税減額補正精算は将来の交付税総額を減少させるものであり、その前倒しを行うことは、財政の健全化を図るとともに将来の交付税を安定的に確保する観点から大変重要です。

 そこで、令和五年度の地方財政計画では、地方税や交付税法定率分が増加し、繰越金がある中で、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた交付税特別会計借入金の償還繰延べや国税減額補正精算の解消に取り組む一方、地方からの要望も踏まえ、臨時財政対策債の発行抑制にできる限り努めることとしました。

 こうした方針の下、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保した上で、臨時財政対策債の発行抑制、交付税特別会計借入金の償還前倒し、国税減額補正精算の前倒しといった地方財政の健全化にバランスよく取り組むこととしたものです。

 なお、こうした対応について、自治体からは高い評価を頂戴したところです。

 次に、地方財政計画の給与費について御質問いただきました。

 地方公務員の給与については、地方公務員法に基づき、人事委員会勧告等を踏まえ、毎年、国家公務員や民間等との均衡を考慮して定めることとされています。

 令和五年度の地方財政計画においては、令和四年度の人事委員会勧告を踏まえた給与改定を反映するとともに、保健師や児童福祉司など、職員数を約二千六百人増員し、退職手当を除く給与費について、前年度に比べ二千四百億円増額したところです。

 今後の民間企業における賃上げの状況については、令和五年度以降の人事委員会勧告に反映されることとなるため、その内容を踏まえ、適切に対応してまいります。

 次に、水道事業の安定運営や格差是正について御質問いただきました。

 人口減少や老朽化により経営環境が厳しさを増していることを踏まえ、経営基盤の強化に資するよう経営戦略の策定や広域化の取組を支援しているほか、水道料金の格差の縮小に資するため、自然条件等により建設改良費が割高となる事業に対し地方財政措置を講じています。

 今後とも、水道法等を所管する厚労省等とも連携し、しっかりと取り組んでまいります。

 次に、除排雪や原油価格高騰への対応について御質問いただきました。

 自治体が財政事情でちゅうちょすることなく道路の除雪など大雪に係る対応を迅速に行えるよう、必要に応じ、特別交付税の交付により財政支援に万全を期してまいります。

 また、自治体が行う生活困窮者等に対する灯油購入の助成などの原油価格高騰対策に要する経費についても、特別交付税措置を講じることとしております。

 今後とも、自治体の状況を丁寧にお伺いしながら、財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。

 次に、ふるさと納税について御質問いただきました。

 ふるさと納税については、過度な返礼品競争が行われたことなどを背景に、令和元年度に対象自治体を国が指定する制度が導入され、各自治体においては、法令に定められた基準の下で取組が進められています。

 今般、現行制度において、指定期間の終了間際に不適合が発覚した場合などには、実務上、指定の取消しが困難になっていることを踏まえ、より公平な制度とし、その適正な運用を図る観点から、最大二年前までの基準不適合まで遡って取消し事由とする改正を地方税法改正案に盛り込んだところです。

 様々な御指摘はありますが、指定制度の下で、今後とも、各自治体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組んでまいります。

 次に、マイナンバーカード交付率の普通交付税の算定への反映について御質問いただきました。

 地方交付税は、標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を全国の各地方団体に保障する役割を有しています。

 また、地方団体には、カードを利活用した住民サービス向上のための地域のデジタル化に係る財政需要が存在します。

 カード交付率の普通交付税の算定への反映は、こうした財政需要を的確に算定に反映するものであり、マイナンバー制度により効率化される行政コストとは別の財政需要に対応するものです。

 したがって、地方団体の標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を保障するという地方交付税の役割に沿うものであります。

 次に、マイナンバーカードの普及に向けた自治体への働きかけについて御質問がありました。

 カード交付率の普通交付税算定への反映につきましては、カードを利活用した住民サービス向上のための取組に係る財政需要を的確に算定に反映するものであり、自治体への圧力や強引に政策誘導する手法ではありません。

 マイナンバーカードは地方のDXの基盤となるツールであり、その普及促進は住民の方々の利便性向上と自治体職員の事務負担の軽減につながるものと考えております。

 そのため、総務省としては、カードの普及促進のため、自治体に対し、国の施策の最新情報や先進的な取組事例を提供するとともに、各自治体における現状や課題を伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組を後押ししてまいります。

 次に、自治体が独自に実施するマイナンバーカードの普及策の是非について御質問がありました。

 備前市の取組については、現在、その詳細は検討中であると聞いておりますが、マイナンバーカードの関連にかかわらず、自治体がそれぞれ個別にどのような政策を展開するかについては、各自治体において、住民の御意見や議会での御議論などを踏まえ、十分御検討の上、御判断いただきたいと考えております。

 なお、カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止するよう、自治体に要請したことはございません。

 最後に、地方分権改革について御質問いただきました。

 御指摘の地方分権の推進に関する決議がなされて以来、平成十一年の地方分権一括法の制定を始め、義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲の推進などにより、地方分権改革は着実に進められてきたものと認識しています。

 自治体は広く住民生活に身近な行政サービスを担うなど大変重要な役割を果たしており、自治体が地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は極めて重要であります。

 平成二十六年から提案募集方式が導入され、現在、計画策定の見直しに重点的に取り組んでいるところであり、内閣府を始め関係省庁と連携して、提案を契機に認識された課題に適切に対応し、自治体の自主性、自立性の拡大に向け、取り組んでいく必要があると考えております。(拍手)

    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕

国務大臣(斉藤鉄夫君) 道下大樹議員から、地方公共団体の道路除雪への財政支援についてお尋ねがございました。

 国土交通省では、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づきまして、道路除雪に要した費用の一部を支援しております。

 この冬は、十二月中旬から年末にかけて日本海側を中心に大雪となったほか、年明け後も北日本や日本海側を中心に降雪が続いたため、昨年と同様に、一月から、地方公共団体に対して降雪状況や除雪費の執行状況などの調査を行っているところでございます。

 引き続き、地域の状況を丁寧に把握し、除雪費の執行状況に応じた支援ができるよう努めてまいります。

 次に、鉄道における除雪体制への支援についてお尋ねがございました。

 鉄道事業者における安全、安定輸送は、鉄道事業者の基本的な責務として着実に確保されるべきものであり、積雪時の対応についても同様でございます。

 他方で、経営状況の厳しい地域鉄道事業者に対しては、鉄道の安全、安定輸送の観点から、除雪車両や融雪施設の整備に対し補助を行っております。また、JR北海道についても、経営自立支援の一環として、除雪車の更新等の雪害対策も含めた支援を実施しているところでございます。

 こうした中で、先月も、大雪の影響により、長時間にわたって多数の乗客の方々に対して多大な御迷惑をおかけしたことは大変遺憾でございます。

 国土交通省としましては、今回の被害等についての鉄道事業者からの報告を踏まえ、必要な対策を講じることにより、再発防止に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) 私の所管についてお答えをさせていただきたいと思います。

 各種交付金の採択にマイナンバーカードの申請率を勘案することについてのお尋ねがございました。

 マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会のパスポートであり、デジタルガバメントを推進するための重要なインフラであることから、政府を挙げて、カードの普及や利便性向上に向けた方策に総合的に取り組んでいます。

 こうした中で、マイナンバーカードが普及している自治体は地域のデジタル化に関する環境整備を行っていると考えられることから、デジタル庁から各府省に対して、地域のデジタル化の取組を支援する補助金について、マイナンバーカード交付率を補助金の交付審査に反映するように検討を依頼しております。

 具体的な反映方法などについては、補助金の属性に応じて、各府省において検討をいただくものと考えます。

 備前市の取組についてお尋ねがありました。

 自治体のサービスの在り方であり、地方自治の観点から、自治体において判断されるべきものと考えます。

 一般論として申し上げれば、マイナンバーカードの普及を推進し活用していただくことで行政サービスの効率化や住民サービスの向上につながることが期待されるため、自治体でマイナンバーカードを取得いただいた方にメリットを提供することは考え得るものと思います。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 道下大樹議員にお答え申し上げます。

 同性婚制度の実現についてお尋ねがありました。

 全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を送ることができる、多様性が尊重される社会を実現することは重要であると考えています。

 もっとも、同性婚制度の問題は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、国民的なコンセンサスと理解を得た上でなければ進めることができないと考えています。

 そのため、国民各層の意見、国会における議論の状況に加え、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用の状況等を注視してまいる所存であります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 守島正君。

    〔守島正君登壇〕

守島正君 日本維新の会の守島正です。

 会派を代表して、令和五年度地方財政計画並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 まずは、地方交付税に関連して質問をいたします。

 令和五年度については、一般財源総額をほぼ前年度並みに確保しつつ、地方交付税の総額も前年度を〇・三兆上回る十八・四兆円を確保したとのことですが、交付税特別会計の中には、令和四年度二次補正予算で付与された一・四兆円の繰越額が含まれております。昨年度も一・三兆円の繰越しがあり、補正予算からの多額の繰越しが毎年続いている状況では、真の数字、実力が見えません。次年度もまた補正を組んで繰越しを行う予定でしょうか。

 総額確保と言いつつ繰越金ありきとなっておりますが、こうした状況に対する総務大臣の認識をお伺いします。

 昨年の本会議で、当時の金子総務大臣は、「地方財政の健全な運営のためには、本来的には、交付税率の引上げなどにより地方交付税総額を安定的に確保することが望ましい」「交付税率の引上げについては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。」と我が党議員の質問に対して答弁されました。

 この一年間、具体的に交付税率の引上げについて政府部内でどのような議論がなされ、結果として今回も税率の引上げに至らなかったのか、総務大臣、お答えください。

 昨年、今年度の臨時財政対策債の発行は前年度に比べて三・七兆円も抑制され、我々日本維新の会は、臨財債を発行しないという方向性に一定の道筋をつけたと評価し、本予算、所得税法改正には反対しながらも、地方税法、地方交付税法の改正案には賛成をしました。

 残念ながら、臨財債は、前年度と比して八千億円減ったとはいえ、来年度も約一兆円を発行することとしております。発行残高も、二・九兆円縮減しているものの、いまだ四十九・一兆円と多くの残高が積まれております。

 臨財債の償還に関する後年度負担は地方交付税で措置することとなっていますが、本来であれば地方自治体が交付税として後年度の負担なく確保できる一般財源について、地方債を発行させられている現状は不健全としか言いようがありません。

 「地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。」これも昨年の本会議における当時の金子総務大臣の答弁です。

 この一年間、臨財債の発行抑制のためにどのような歳出改革を行ってきたのか、総務大臣、具体的にお答えください。

 政府は、臨財債の発行を前年度から〇・八兆円抑制し、交付税特会の償還を前年度から〇・八兆円増額、地方交付税国税減額補正の精算について〇・五兆円を前倒しにしたと説明されておりますが、この三つについて、どのようなプライオリティーづけを行い、額を割り振ったのか、総務大臣、お答えください。総合的に勘案して判断では答弁になりません。割り振りに当たっての考え方について明確にお答えください。

 交付税特会借入金の償還増額により償還完了時期が令和三十六年度から一年前倒しになったと認識しておりますが、今後、更なる前倒しを行うことも念頭に置いて財源確保に努められていくのでしょうか。借入金償還の方向性と覚悟について、総務大臣の見解をお伺いいたします。

 政府は、財源不足額を国と地方が折半して補填するルール、いわゆる折半ルールについて、令和七年度まで三年間延長するとしています。しかしながら、令和五年度については対象財源は不足しておりません。必要がないのにもかかわらず、このルールをあたかも自動延長のように扱うのはなぜでしょうか。なし崩し的に延長するのではなく、令和六年度に必要となるのであれば、その際に再度ルールを設定するべきではありませんか。総務大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、地方税法に関連して質問いたします。

 車購入時の車体課税における環境性能割の税率区分において、新型コロナを背景とした半導体不足等の状況を踏まえて、異例の措置として、現行の税率区分を本年十二月末まで据え置き、その後、三年間で段階的に引き上げるとしております。しかし、今後、半導体不足や物価高といった状況が改善される担保はありません。

 また、この環境性能割の税率区分引上げの目的は、地方団体の税源の確保や、燃費性能のよりよい自動車の普及の後押しとのことですが、こうした対応は、個別の税目ではなく、脱炭素の取組全体の方針の中で検討していくべきものではないでしょうか。

 西村経済産業大臣は、先日の所得税法改正に関わる本会議において、自動車関連税制の抜本的な見直しについて、「日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展望、カーボンニュートラルへの貢献、自動車の枠を超えたモビリティー産業の発展に伴う経済的、社会的な受益者の広がりなどの観点を踏まえつつ、受益と負担の関係を含め、公平、中立、簡素な課税の在り方についてしっかりと検討を進めてまいります。」と答弁されました。

 今後、カーボンプライシングを始めとした脱炭素の取組が進められていく中で、今回の車体課税の改正はどのように位置づけられ、また、今後見直す可能性はありますか。総務大臣、お答えください。

 個人住民税の現年課税化について、昨年の本会議で当時の金子総務大臣は、「企業や市町村のデジタル化の状況やマイナンバーの活用等も含め、実務上の様々な課題を整理しながら、引き続き検討してまいります。」と答弁されました。

 この一年間の課題整理、検討状況について、総務大臣、お答えください。

 次に、ふるさと納税についてお尋ねします。

 二〇二〇年六月の最高裁判決以降、ふるさと納税の受入額、件数が急増しているように見受けられます。これに伴い、住民税控除額が急激に増加しておりますが、地方税全体への影響及び評価について、総務大臣の認識をお尋ねいたします。

 加えて、ふるさと納税における前指定対象期間に係る基準不適合等への対応として、ふるさと納税の地方公共団体の指定取消しを二年前にまで遡って取消し事由とすることを可能とする件に関して、遡る期間が長ければ実際に指定取消しになっていたであろうケースがどの程度あるのかについてもお聞かせください。

 次に、地方自治の根幹である地方議会の在り方に関してお伺いします。

 去る二月七日、総務省より、地方議会本会議における一般質疑のオンライン化や、災害や育児、介護など、委員会におけるコロナの影響以外の出席困難時にオンラインによる出席を認める旨の通知、QアンドAが発出されました。

 私自身、大阪市議時代に、全国の自治体で初めてコロナ禍でのオンライン活用を提唱するとともに、全国初のオンライン委員会の会議規則を大阪市議会にて制定いたしました。

 以後、大阪維新の会として、他自治体への展開や、コロナ禍に限定されないオンラインの活用などを進めてまいりましたが、議会でのオンライン活用に関する総務省の通知自体が委員会や新型コロナ等という限定された環境に対するものであったため、それ自体が各地方議会にオンラインが導入されない要因になっていると訴え続け、国会議員になった後も、総務委員会や勉強会を通して、総務省通知の改正など、より地方がオンラインを導入しやすい方針を総務省として示すよう提案し続けてまいりましたので、今回の総務省の動きに関しては大変感謝する次第です。

 これまでの委員会における総務大臣との質疑に対する答弁や地方制度調査会の答申においては、更なるオンライン導入に関しては、現状の自治体におけるオンライン活用で生じた課題等への対応も踏まえて検証を行うとして言明が避けられ続けてきた中、なぜ、このタイミングで新たなQアンドAを発出することになったのでしょうか。総務大臣、お答えください。

 また、本会議においても表決に際しないところでのオンラインが可とされたことや、コロナ以外の、災害や育児、介護などでも活用可能という踏み込んだ内容に至った理由も併せてお伺いいたします。

 今回の総務省の通知は、緊急時の対応や多様な議会を形成する上で大きな前進と考えておりますが、一方、本会議における採決や、採決のための質疑、討論については先送りとなっております。何がネックとなっているのでしょうか。総務大臣、お答えください。

 技術的な問題をクリアしていることは大前提として、環境が整っている自治体が必要な範囲においてオンラインの活用ができるようにすることを政府が後押しすることは当然です。そもそも、こうしたことを一々総務省が決めるべきことなのでしょうか。

 地方自治法に規定される地方議会の本会議への出席は物理的出席を意味すると解釈し、オンラインによる出席は現行法上できないとの意見もあることから、日本維新の会は、昨年の通常国会で、各地方議会が条例で定めることにより、本会議においてインターネットを活用した方法で出席を可能とすることができる地方自治法改正案を作成し、国会に提出いたしましたが、いまだ採決に至らず、継続審議となっております。

 出席の解釈にかかわらず各自治体が自主判断でオンライン本会議が実施できるよう、地方自治法を改正すべきと考えますが、総務大臣の認識をお伺いいたします。

 最後に、地方自治や、国と地方の関係に対してお伺いします。

 岸田総理は、さきの本会議において、「道州制については、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革であることから、国会における議論も踏まえつつ対応する必要があると考えております。」こう答弁されました。

 地方分権の推進について、統治機構の在り方といった大きな議論も当然必要ですが、一方で、総務省が率先してできるところから取り組んでいくことも肝要と考えます。総務大臣としての道州制に対する考えを、その是非も含めてお伺いするとともに、地方への権限、財源の移譲に向けた見解をお伺いいたします。

 昨年の本会議において、総務大臣は、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方の行政サービスをできる限り地方税で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めると答弁されました。

 税源の偏在性が小さく、税収が安定的な税といえば、まさに消費税です。消費税こそが地方税財源としてふさわしいのではないかと考えますが、総務大臣として、財務大臣に対してそうしたことを主張するべきではないでしょうか。総務大臣の認識をお伺いいたします。

 以上をもって私の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 守島議員からの御質問にお答えいたします。

 まず、地方交付税の繰越金について御質問いただきました。

 近年、地方財政に巨額の財源不足が生じており、年度途中に地方交付税が増加する場合は、当該年度に必要な財源を確保した上で、その残余を翌年度の財源として活用するため繰り越すことを基本とし、令和四年度補正予算では一・四兆円を繰り越しました。

 令和五年度地方財政計画では、地方税や交付税法定率分が増加し、繰越金がある中で、地方の財源の確保と地方財政の健全化にバランスよく取り組むこととしたものです。

 繰越金は必ず生じるものではないため、今後とも、その有無にかかわらず、自治体の安定的な財政運営に必要な財源確保に取り組むことが重要だと考えております。

 次に、交付税率の引上げについて御質問いただきました。

 令和五年度の地方交付税の概算要求に当たり、引き続き巨額の財源不足が生じることが見込まれたため、交付税率の引上げについて事項要求を行いました。

 その上で、予算編成過程において、財源不足の補填方法等について議論を行いましたが、国、地方共に厳しい財政状況にある中で、交付税率の見直しにより対応するという結論には至らなかったところです。

 交付税率の引上げについては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。

 次に、歳出改革について御質問いただきました。

 まず、令和五年度の国の一般歳出については、経済、物価動向等を踏まえつつ、社会保障関係費についてはその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めること、非社会保障関係費についてはこれまでの歳出改革の取組を継続することとされました。

 地方財政計画は、こうした国の取組と基調を合わせた歳出改革を行い策定し、前年度を上回る一般財源総額を確保しつつ、臨時財政対策債の発行を大幅に抑制することとなったものです。

 次に、地方財政の健全化について御質問いただきました。

 令和五年度の地方財政計画では、地方税や交付税法定率分が増加し、繰越金がある中で、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた交付税特別会計借入金の償還繰延べや国税減額補正精算の解消に取り組む一方、地方からの要望も踏まえ、臨時財政対策債の発行抑制にできる限り努めることとしました。

 こうした方針の下、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保した上で、臨時財政対策債の発行抑制、交付税特別会計借入金の償還前倒し、国税減額補正精算の前倒しといった地方財政の健全化にバランスよく取り組むこととしたものであります。

 次に、交付税特別会計借入金の償還について御質問いただきました。

 交付税特別会計借入金の残高は令和四年度末で二十九・六兆円と見込まれており、地方財政の健全化の観点から、できる限り早期の償還に取り組む必要があります。

 そのため、令和五年度の地方財政計画では、地方税や交付税法定率分が増加し、繰越金がある中で、交付税特別会計借入金について、〇・八兆円の償還を前倒しし、全体で一・三兆円を償還することとしました。

 今後とも、将来の安定的な交付税財源の確保の観点から、交付税特別会計借入金の着実な償還に努めてまいります。

 次に、折半ルールについて御質問いただきました。

 令和五年度の財源不足は二・〇兆円となり、引き続き、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当することとなりました。

 そのため、これまでの取扱いを踏まえ、折半対象財源不足が生じた場合に、国は特例加算により、地方は臨時財政対策債の発行により、折半して補填する折半ルールについて、三年間継続することとしました。

 令和五年度は折半対象財源不足額は生じていませんが、今後、当該財源不足が生じた場合に備え、これまでと同様の方法で財源不足を補填するルールを定めておくことは、地方財政の安定的な運営に資するものと考えております。

 次に、車体課税の見直しについて御質問いただきました。

 今般の税制改正では、現下の半導体不足などの状況を踏まえ、環境性能割に係る現行の税率区分を令和五年十二月まで据え置くとともに、電動車の普及に関する政府目標と整合させる観点などから、三年間で段階的に基準を引き上げることとしております。

 今般の税制改正によりユーザーの予見可能性は確保されるため、この間の見直しは考えておりません。

 今後の自動車関係諸税の在り方については、与党税制改正大綱において、様々な観点から中長期的な視点に立って検討を行うとされており、その方針に沿って検討を進めてまいります。

 次に、個人住民税の現年課税化について御質問いただきました。

 個人住民税の現年課税化については、企業、納税者、地方団体それぞれに過重な事務負担とならないようにすることが極めて重要です。

 今年度は個人住民税検討会を三回開催し、現在のデジタル化の状況を踏まえた検討を行い、納税義務者等におけるデジタル手続の利用拡大が途上であることなどの課題が指摘されたところです。

 今後は、マイナンバーの活用を始め、デジタル化の進展により、事務負担の増加を抑えつつ制度移行ができないか、そのためにはどのような技術的な対応が必要なのかといった観点も含めながら、関係者の意見をよくお伺いし、検討を深めてまいります。

 次に、ふるさと納税について御質問いただきました。

 令和三年度の地方税収約四十一・四兆円、うち個人住民税の約十三・四兆円に対し、ふるさと納税に係る個人住民税の控除額は約四千四百億円となっています。

 ふるさと納税による特別控除額は個人住民税所得割の額の二割が上限であり、個人住民税の大半は住所地団体に残る応益性に配慮した仕組みであると考えています。

 また、期間を遡れば指定取消しになったケースについてお尋ねがありましたが、現時点において、そのようなケースは把握しておりません。

 次に、地方議会におけるオンライン活用に関する通知について御質問いただきました。

 第三十三次地方制度調査会は、昨年十二月に地方議会に関する答申を総理に提出しましたが、多様な人材が参画し、住民に開かれた議会の実現に向け、オンラインの活用について積極的な議論が行われてきました。こうした議論を踏まえ、各議会における議会運営の参考となるよう検討を進めた結果、この時期に通知を発出することとなったものです。

 次に、通知の内容について御質問いただきました。

 本会議において団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明は、疑義の生じる余地のない形で行われる必要があります。

 これを踏まえ、地方自治法上、表決の要件として出席とされ、表決や、表決と一体不可分の議事として行われる討論や質疑は議員が議場で行う必要があること、一方、いわゆる一般質問は、その形式について法律の定めがないことから、定足数を満たし会議が成立している場合に、会議規則等で定めるところにより、出席が困難な事情を抱える欠席議員がオンラインで行うことも可能であること等についてお示ししたところです。

 また、地方自治法上、委員会については、これまでも申し上げているとおり、各議会の判断で、コロナ以外にも、災害や育児、介護といった事由により委員会へのオンライン出席が可能である旨を改めてお示ししたものです。

 次に、本会議における表決や討論、質疑をオンラインで行う上での課題について御質問いただきました。

 表決や、表決と一体不可分の討論や質疑をオンラインで行うことについては、先ほど申し上げましたとおり、本会議において団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明に関し、議場と同様の環境が確保できるか等の課題があると認識しております。

 次に、オンライン本会議を可能とするための地方自治法改正について御質問をいただきました。

 第三十三次地方制度調査会の答申では、本会議のオンライン出席について、国会における対応も参考としつつ、一部の団体で取組が始まっている委員会へのオンライン出席の検証を行い、丁寧に検討を進めていくべき課題とされております。

 答申を踏まえ、委員会へのオンライン出席の状況や、そこで生じている課題、運用状況等もよく踏まえ、国会の対応も参考にして、引き続き丁寧に検討しなければならない課題と考えております。

 次に、道州制と、地方への権限、財源の移譲について御質問いただきました。

 道州制については、総務省の所管ではございませんので直接お答えする立場にはございませんが、地方経済の活性化や行政の効率化の実現につながるとの考え方がある一方、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革であると認識しております。道州制は、我が国の統治機構に関する問題であることから、各党各会派の議論や国民的な議論が必要になってくるものと考えております。

 また、地方への権限、財源の移譲については、累次の一括法による義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲の推進などにより、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進められてきたものと認識しています。引き続き、地方の声を十分に伺いつつ、内閣府を始めとする関係省庁と連携して取り組んでまいります。

 最後に、消費税の地方税化について御質問いただきました。

 地方消費税は、偏在性が小さく、安定的な地方の重要な基幹税です。

 一方、消費税が国、地方それぞれの社会保障の財源とされていることを踏まえれば、消費税を地方税化することについては慎重な検討が必要と考えております。

 税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 中川康洋君。

    〔中川康洋君登壇〕

中川康洋君 公明党の中川康洋でございます。

 私は、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、ただいま議題となりました令和五年度地方財政計画並びに二法案について質問いたします。(拍手)

 初めに、令和五年度地方財政計画について伺います。

 今回提出されました地方財政計画を見ますと、一般財源総額は、前年度を〇・二兆円上回る六十二・二兆円を確保し、過去最高額となるとともに、地方交付税総額についても、リーマン・ショック後最高額となる十八・四兆円を確保しております。また、実質的に地方の赤字地方債である臨時財政対策債については、平成十三年度からの発行以来初めて一兆円を切るとともに、交付税特会借入金についても、当初の計画を上回る償還を示し、残高の縮減に努めております。

 このように、来年度の地方財政計画は、増やすべきところは増やし、減らすべきところは確実に減らすというバランスのいいものとなっており、私はこの計画を高く評価したいと思います。

 そこで、総務大臣に伺いますが、この地方財政計画については、地方自治体が今後も安定的に行政サービスを提供し、地方の自主性を更に高めるという観点からも、この健全化の流れを今後も堅持し、でき得るならば更に加速していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。今後の地方の財政健全化に向けた目標と、その達成に向けての大臣の決意を伺います。

 次に、自治体施設の光熱費の高騰対策について伺います。

 今回、総務省は、学校、福祉施設、図書館など自治体施設の光熱費の高騰対策として、一般行政経費を七百億円増額しております。私は、この対策は地方の要望に対応した足下の措置として適切な内容であると評価いたします。

 しかし、この光熱費については、既に大手電力会社が値上げを申請するなど、今後も更なる高騰が予想されるところであり、状況によっては、学校や図書館など公共施設での今夏の熱中症対策も含め、今以上の対応が求められます。特にこの熱中症対策については、今国会において改正案が提出される予定であり、その法案の中には、熱中症特別警戒情報の発令時に、自治体は、公民館や図書館などクーリングシェルターとして指定された公共施設を一般に開放するとの内容が明記されております。

 そこで、伺いますが、この自治体施設の光熱費の高騰対策については、今回の足下の対応に終わらせることなく、引き続き現場の声を丁寧に聞きながら、必要があれば、あらゆる財源を活用した更なる対応を行っていくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。総務大臣の答弁を伺います。

 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について伺います。

 初めに、車体課税について伺います。

 今回の改正案では、車体課税の環境性能割について、半導体不足等の状況を踏まえ、異例の措置として、現行の税率区分を本年十二月末まで据え置くとともに、電動車の一層の普及促進を図る観点から、各税率区分における燃費基準達成度を三年間で段階的に引き上げるとされております。これは、現下の経済情勢に配慮しながらも、二〇三五年電動車一〇〇%との政府目標の達成に向けた必要な改正と考えます。

 その一方で、主に排気量等で税率が決められる種別割については、今回の改正が見送られました。この種別割については、税収が安定的で、地方部の方が都市部よりも人口一人当たりの税収額が大きいことから、地方の重要な税財源となっております。しかし、その一方で、昨今の電気自動車の普及が進む中においては、税の公平性の観点からも実態に合わない税率になっているとの指摘もあります。

 車体課税については、本来、次回の改正時の議論となるものではありますが、この種別割については、実態に乖離した状況及び税の公平性の観点からも、電気自動車の本格的な普及前に必要な手だてを行う必要があると考えます。

 そこで、この種別割については、次の議論のタイミングを待つのではなく、場合によっては有識者なども交えるなどして、今から議論を深めていくことが重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。総務大臣の見解を伺います。

 次に、償却資産に係る固定資産税の特例措置について伺います。

 今回の改正案には、中小企業等の賃上げの促進などに資する機器、装置等の償却資産の導入に係る特例措置の創設が盛り込まれております。この特例措置については、長引くコロナ禍や物価上昇など、中小企業等を取り巻く状況がいまだ厳しい中、生産性向上に資する設備投資を促す意味において必要な措置であると理解いたします。

 しかし、一方で、固定資産税は、市町村税の約四割を占める重要な基幹税であり、市町村財政を支える安定した財源の一つであります。ゆえに、この特例措置については、間違ってもどちらかに偏った制度設計にするのではなく、両者の意味合いも十分加味したバランスある制度にすることが重要と考えます。

 今回の特例措置は、表現上、創設とはなっておりますが、この制度は、平成二十八年度の税制改正より、その目的や対象を変え繰り返してきた制度であります。また、今後も引き続き継続していくことが十分予想される制度でもあります。

 ゆえに、この特例措置については、さきにも述べたように今後も両者にバランスある制度にすることが肝要と考えますが、いかがでしょうか。総務大臣、経済産業大臣、双方のお考えを伺います。

 最後に、森林環境税及び森林環境譲与税について伺います。

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収する森林は、脱炭素社会を実現する上で不可欠な役割を果たしております。政府は、自治体が森林を適切に整備、管理するための財源として、二〇二四年度から森林環境税を導入するとともに、これに先行し、二〇一九年度からは森林環境譲与税を自治体に配分し、森林の保全に向けた取組を促しております。

 しかし、この森林環境譲与税の配分額は、市町村の人口も加味して決められているため、人口は多いが森林は僅かという自治体にも多額の税が配分されている状況があります。一方、私有林や人工林の面積が大きい市町村であっても、森林の整備や保全のための職員が確保できず、ひとまずは森林環境譲与税を積み立てているケースもあります。また、二〇一九年度から二一年度の三年間に市町村に配分された森林環境譲与税のうち、その約四七%に当たる三百九十五億円は未活用となっている現状があります。

 確かに、森林の整備や人材の育成などは一朝一夕に進むものではなく、各自治体が中長期的な展望に立ち、推進していくことが重要です。しかし、二〇二四年度から森林環境税の徴税がスタートする中、これまで以上に、都市部、地方部を問わず、各地域における具体的な活用の推進を図っていくことは急務の課題と捉えます。森林環境譲与税の今後の具体的な活用の推進について、農林水産大臣の答弁を求めます。

 以上、本日は、地方税に関連して、主に地方や地域の課題について伺いましたが、公明党は、今から六十八年前の統一地方選で五十三人の地方議員からスタートした、まさしく地方発の政党です。公明党は、今後も、党の特徴である現場主義とネットワークの力を最大限に生かし、庶民目線、生活者目線の政策を政治の場に提案していくことをお誓いし、壇上からの質問を終わります。

 御清聴、大変にありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 中川議員からの御質問にお答え申し上げます。

 まず、地方財政の健全化について御質問いただきました。

 令和五年度の地方財政計画においては、地域のデジタル化や脱炭素化の推進など、地方が重要課題に対応するために必要な経費を充実した上で、一般財源総額と交付税総額について前年度を上回る額を確保することができました。

 その上で、臨時財政対策債の発行を大幅に抑制するとともに、交付税特別会計借入金の償還を前倒しするなど、地方財政の健全化にも最大限取り組んだところです。

 今後とも、地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な財源を確保するとともに、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計借入金の着実な償還など、地方財政の健全化に努めてまいります。

 次に、光熱費高騰対策について御質問いただきました。

 光熱費が高騰する中で、地方自治体は、学校、福祉施設、図書館、文化施設など保有する施設が多く、その影響が大きいことから、財政措置を求める声が多く寄せられておりました。

 こうした自治体の切実な声に応えるため、令和五年度の地方財政計画において、自治体施設の光熱費高騰への対応として、一般行政経費を七百億円増額して計上するとともに、普通交付税において適切に措置を講じることとしております。

 各自治体の御要望や御期待に応えることが使命でございますので、今後とも、地方の実情をお伺いしつつ、各自治体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。

 次に、電気自動車に対する課税の在り方について御質問いただきました。

 議員御指摘のとおり、車体課税は地方の貴重な税財源となっております。

 電気自動車等の課税の在り方も含め、自動車税については、今般の与党税制改正大綱において、電気自動車等の普及等のカーボンニュートラルに向けた動きを考慮し、税負担の公平性を早期に確保するため、その課税趣旨を適切に踏まえた課税の在り方について、関係者の意見を聴取しつつ検討するとされたところであります。

 これを踏まえ、総務省としても、早い段階から、幅広い関係者の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。

 最後に、償却資産に係る固定資産税について御質問いただきました。

 固定資産税は、市町村の行政サービスを支える基幹税であり、特例措置の創設は、政策目的などを十分に勘案し、真に必要な場合に限るべきだと考えます。

 他方で、現下の物価上昇等の経済情勢を踏まえると、中小企業者等の生産性の向上や賃上げの促進を図ることは大きな政策課題であり、また、地域経済の活性化は市町村にとって重要であります。

 こうしたことから、今回、中小企業者等が取得した生産性の向上等に資する償却資産に係る特例措置を二年間の時限措置として創設することといたしました。

 総務省としては、地方団体の安定的な税財源の確保が使命と考えており、今後も、固定資産税が市町村の基幹税であることを踏まえ、特例措置は真に必要なものに限るなど、その安定的な確保に取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 中川議員からの御質問にお答えいたします。

 固定資産税の特例措置についてお尋ねがありました。

 固定資産税の特例措置は、物価上昇等の厳しい事業環境の中で、赤字の企業も含めて賃上げや生産性向上を広く後押しするものであり、自治体にとっても、地域の中小企業の設備投資や賃上げが活発となることで、地域経済の活性化に寄与するものと認識をしております。

 また、地方自治体の財政にも配慮する観点から、本特例措置については、自治体による導入促進基本計画の策定を前提としており、各自治体の自主的な判断に基づくものと認識しております。

 経済産業省としては、本特例措置を通じて、中小企業の生産性向上や賃上げ促進につながる設備投資を促していきたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣野村哲郎君登壇〕

国務大臣(野村哲郎君) 中川康洋議員の御質問にお答えいたします。

 森林環境譲与税の活用の推進についてのお尋ねがありました。

 市町村における森林環境譲与税の活用額は、令和元年度の六十五億から、令和二年度は百六十三億円、令和三年度は二百十七億円と着実に増加してきていますが、令和三年度についても、譲与額に対して六四%の活用にとどまっております。

 このような中、昨年、市町村から課題を伺う中で、具体的な使途を検討中であるとか、市町村の体制が不十分である等の声があったことから、一つ、譲与税の使途のポジティブリストの作成、配布、二つ、全国の優良事例の収集、共有、三つ目、地域林政アドバイザー制度の周知や研修等による体制強化などの市町村の支援に取り組んだ結果、令和四年度の活用予定は四百五億円、譲与額に対して九二%の活用見込みとなるなど、今後、一層本格的な森林整備の取組が見込まれる状況になってきたところでございます。

 農林省としましては、貴重な財源である森林環境譲与税がより一層効果的に活用されるよう、引き続き、市町村の支援に取り組んでまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 西岡秀子君。

    〔西岡秀子君登壇〕

西岡秀子君 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 ただいま議題となりました令和五年度地方財政計画並びに二法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 国民民主党は、一昨年の衆院選の公約として掲げて以来、一貫して、給料が上がる経済の実現に取り組んでまいりました。日本経済の現状は、インフレが進む中で、持続的な賃上げを実現しなければならない重要な時期に来ており、増税論を展開する局面ではないと考えています。賃上げを実現するためには、コロナ禍、物価高騰の中で、企業の九割を占める中小事業者が賃上げ可能な環境をつくり出せるかが鍵となります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

 本改正には、中小事業者の生産性向上や賃上げ促進に資する機械、装置等の償却資産導入に係る特別措置の創設が盛り込まれています。構造的な賃上げを実現するためには、中小事業者自らが経営基盤を強化するための伴走型支援と同時に、リスキリングを始めとした人への投資が不可欠であると考えますが、西村経済産業大臣の見解をお伺いいたします。

 車体課税については、自動車を保有し移動せざるを得ない地方ほど世帯における自動車関係諸税の負担が重く、最大四・二倍の地域間格差が存在しています。いわゆる走行距離課税案やEVモーター出力課税については、脱炭素化に逆行することとなり、車が生活必需品である地方のユーザーや物流事業者の負担が重くなるなど、経済への悪影響も含めて多くの問題があり、議論の俎上にのせるべきではないと考えますが、松本総務大臣の見解をお伺いいたします。

 個人住民税は、前年の所得に対して課税される仕組みとなっており、かねてより議論のあったように、前年より大幅に所得が減収した場合などの問題点が、コロナ禍を経て一層明確になりました。課税対象や仕組みを見直すべきであると考えますが、松本総務大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。

 令和五年度地方財政計画については、一般財源総額の増額、交付税総額の確保、臨時財政対策債の抑制など、評価ができる一方で、巨額の財政不足と借入金残高については、これまでも委員会決議に盛り込まれているとおり、臨時財政対策債によるのではなく、地方交付税の法定率引上げを行い、抜本的な改革によって持続可能な地方財政制度を確立すべきです。松本総務大臣には、リーダーシップを持ち、是非取り組んでいただきたいと考えますが、御見解をお伺いいたします。

 物価高騰については、四月から電気代が更に上昇することが見込まれ、家計の負担軽減のためにも、事業者が賃上げの原資を確保するためにも、燃料調整費の拡充や、我が党が参院選の公約として掲げた再エネ賦課金の徴収一時停止等で更なる引下げを実現することが必要です。

 同様に、地方団体においても、光熱費がかさみ、当初予算では賄えず、補正予算を提出する自治体が続出しました。主要都市の市区の六割で来年度の光熱費が今年度を上回るとの調査もあります。

 本改正には、地方団体の施設の光熱費の高騰を踏まえて、一般行政経費を七百億円増額することが盛り込まれていますが、この規模で十分であるとお考えかどうか。また、今後、更なる高騰に対してどのように対応していく方針であるのか。また一方、地域医療を担う公立病院に対しては病院事業債の建設単価引上げが盛り込まれたものの、それ以外の物価高騰への地方財政措置は講じられておりません。今後の対応について、松本総務大臣の見解をお伺いいたします。

 国民民主党は、対決より解決の姿勢で、人づくりこそ国づくりを政策の柱として、地方の暮らし、生活を大切にする政党として、直面する諸課題に全力で取り組んでまいることをお約束して、私の質問を終わります。

 御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 西岡議員からの御質問にお答えいたします。

 まず、自動車関係諸税について御質問いただきました。

 今後の自動車関係諸税の見直しについては、今般の与党税制改正大綱において、利用に応じた負担の適正化などについては、電気自動車などの普及の観点などを踏まえつつ、具体的な制度の枠組みについて検討を進める、また、自動車税については、税負担の公平性を早期に確保するため、その課税趣旨を適切に踏まえた課税の在り方について関係者の意見を聴取しつつ検討するとされたところであり、御指摘の地方の声や物流など経済関係者の声も伺いながら、その方針に沿って検討を進めてまいります。

 次に、個人住民税の現年課税化について御質問いただきました。

 個人住民税の現年課税化については、企業、納税者、地方団体それぞれに過重な事務負担とならないようにすることが極めて重要であります。

 今後は、マイナンバーの活用を始め、デジタル化の進展により、事務負担の増加を抑えつつ制度移行ができないか、そのためにはどのような技術的な対応が必要なのかといった観点も含めながら、関係者の意見をよくお伺いし、検討を深めてまいります。

 次に、交付税率の引上げについて御質問いただきました。

 持続可能な地方財政という面では、令和五年度の地方財政計画においては、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保しつつ、臨時財政対策債について、発行額を〇・八兆円抑制し制度創設以来の最低額となる一兆円とし、残高を二・九兆円縮減することとしております。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。

 交付税率の引上げについては、粘り強く主張しております。現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、政府部内で十分に議論してまいります。

 最後に、物価高騰への対応について御質問いただきました。

 光熱費が高騰する中で、地方自治体は、学校、福祉施設など保有する施設が多く、その影響が大きいことから、財政措置を求めることが多く寄せられていました。

 こうした自治体の切実な声に応えるため、令和五年度の地方財政計画において、自治体施設の光熱費高騰への対応として、一般行政経費を七百億円増額して計上するとともに、普通交付税において適切に措置を講じることとしております。

 また、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえ、津波浸水想定区域からの庁舎移転事業や公立病院の新設、建て替え等事業における地方債の建築単価の上限を引き上げることとしました。

 こうした対応について、地方六団体からも高く評価をいただいております。

 今後とも、物価の動向や国における対策などを注視しつつ、各自治体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。(拍手)

    〔国務大臣西村康稔君登壇〕

国務大臣(西村康稔君) 西岡議員からの御質問にお答えをいたします。

 中小企業の賃上げについてお尋ねがございました。

 中小企業が賃上げできる環境整備に向け、価格転嫁対策、生産性向上支援、リスキリング支援に全力で取り組んでまいります。

 具体的には、価格交渉促進月間を実施し、昨年九月の調査結果を踏まえ、約三十社へ指導助言を行うとともに、下請Gメンを三百人に増員し、中小企業へのきめ細かなヒアリング調査を行います。さらに、パートナーシップ構築宣言の拡大、実効性向上などに取り組んでまいります。

 また、補正予算で積み増したものづくり補助金や事業再構築補助金等について、補助上限や補助率を上乗せする措置を講じることで、意欲的な賃上げ、生産性向上の取組を後押ししてまいります。

 さらに、企業に対するリスキリング支援については、例えば、厚生労働省において、従業員の育成に積極的に取り組む企業を支援するために、人材開発支援助成金により訓練の経費や訓練中の賃金の一部等の助成を行っており、経産省としても、厚生労働省など関係省庁と連携しながら、徹底したリスキリングの支援を行ってまいります。

 こうした支援策の効果を最大限発揮していくためには、事業者に寄り添った伴走支援が重要であります。専門家の配置や指導員向けの研修など、各地の商工会、商工会議所の相談体制を強化するとともに、ワンストップの無料相談窓口、よろず支援拠点において、事業者の相談にきめ細かに対応してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 宮本岳志君。

    〔宮本岳志君登壇〕

宮本岳志君 私は、日本共産党を代表し、地方財政計画外二法案について質問いたします。(拍手)

 異常な物価高騰の下、賃金は上がらず、年金は減らされ、国民生活は極めて深刻です。この生活危機から住民の命と暮らしを守ることこそ、地方自治体の一番の仕事です。地方自治法は自治体の役割を住民の福祉の増進を図ることとしていますが、総務大臣は、このことをどう認識し、自治体に対する国の責任をどのようにお考えか、答弁を求めます。

 子育て支援に総力を挙げることは当然です。しかし、岸田内閣は、異次元の少子化対策などと言いながら、学校給食の無償化も、子供の医療費助成も、実際に支えているのは自治体の支援であり、その財源は自治体の努力によっているのではありませんか。

 文部科学省は、約四千四百億円あれば国の責任で小中学校の学校給食を無償にできると明らかにしました。憲法が定める義務教育無償の原則に立つならば、当然の施策ではありませんか。答弁を求めます。

 あわせて、高校、大学までの無償化は、国際条約上の責務です。全面無償化に踏み出すべきです。就学援助や高校、大学の給付型奨学金の対象拡大も強く求めます。

 高過ぎる国民健康保険料の引下げ、子供にまで人頭税のように負担を求める均等割の仕組みの廃止は、切実な課題です。

 子供の医療費助成は、既に半数の自治体が高校卒業まで実施、中学卒業までの実施自治体は実に九五%に上ります。それにもかかわらず、国は、子供の医療費助成の制度をつくらないばかりか、子供の医療費無料化を行う市町村に対して予算カットのペナルティーまで行っています。これが無駄遣いだというのでしょうか。異次元の少子化対策と言いながら、ペナルティーを残すなどあり得ません。直ちに国の制度を創設すべきではありませんか。

 安心して過ごせる保育環境の実現と保育料の無償化も緊急の課題です。

 厚労大臣は、保育士の配置基準がOECD諸国で最低水準であることを認めました。子供たちの安心、安全を確保し、現場の深刻な勤務実態を改めるため、直ちに配置基準を見直すべきではありませんか。保育料の無償化をどのように拡充するのですか。

 コロナ禍が続く下で、医療の確保も切実な課題です。

 地域医療構想の名での急性期病床の削減計画はきっぱり中止すべきです。そして、公立病院の統廃合と病床削減をやめることも強く求めます。

 今回の地方財政計画で最大の問題は、マイナンバーカードの推進のために、国が自治体を手足のように使おうとしていることです。

 ある自治体では、既に実現してきた保育料や給食費等の無償化を、世帯全員がカードを取得していなければ受けられなくする方針を打ち出しました。マイナンバーカードで子供たちを差別するのかと住民が立ち上がり、方針撤回を市に要請する署名が日増しに広がっています。総務大臣、政府がカードの普及率の引上げを自治体に迫ったことが、自治体と住民に大きな混乱を持ち込み、子育て支援策の後退さえ生み出しかねない結果になっていることへの自覚はありますか。

 総務省は、カード推進を地方交付税の算定にまで関連させて自治体に迫ろうとしています。カード交付率上位を目指す、際限のないカードの普及競争に自治体を駆り立てようとしています。地方の固有の財源を国の政策推進に利用するなど、あってはならないことです。財源保障機能と財政調整機能という地方交付税の役割を根本からゆがめるものであり、断じて許されません。

 総務大臣の明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 宮本議員からの御質問にお答えをいたします。

 まず、住民の福祉の増進について御質問いただきました。

 地方自治体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、教育、福祉など広く住民生活に身近な行政サービスを担い、住民の福祉の増進に大変重要な役割を果たしております。

 このような行政サービスを自治体が安定的に提供していけるよう、必要な一般財源総額を適切に確保することが重要と考えております。

 御指摘の物価高騰への対応については、地方創生臨時交付金など、自治体の自由度が高い形で生活者支援等の取組の支援が行われていますが、令和五年度の地方財政計画においては、学校や福祉施設等の光熱費高騰への対応として、一般行政経費を七百億円増額しているところです。

 今後とも、自治体が地域の実情に応じて、住民ニーズにきめ細やかに対応していくことができるよう、地方の声を伺いながら取り組んでまいります。

 次に、地方団体独自の子育て支援について御質問いただきました。

 子育て支援策全体については国費による取組も進めておりますが、現在、地方団体が実施している学校給食の無償化や子供医療費助成については、子育て支援策の重要性に鑑み、各地方団体が、様々な努力の上、地域の実情を踏まえ実施しているものと認識しております。

 次に、公立病院の統廃合と病床削減について御質問いただきました。

 持続可能な地域医療提供体制を確保することは重要であると認識しております。

 そのため、総務省では、昨年三月に公立病院経営強化ガイドラインを策定し、機能分化、連携強化など、公立病院の経営強化を推進しています。

 今回のガイドラインは、もとより、公立病院の統廃合と病床削減は前提としておりませんが、各地方自治体が、地域の実情を踏まえて、各公立病院の経営強化に主体的、積極的に取り組んでいただくことが医療の確保に資するものと考えております。

 次に、マイナンバーカードの普及に向けた自治体への働きかけについてお尋ねがありました。

 マイナンバーカードは地方のDXの基盤となるツールであり、その普及促進は、住民の方々の利便性向上と自治体職員の事務負担の軽減につながるものと考えております。

 カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止するよう自治体に要請したことはございませんが、マイナンバーカードの普及促進に当たって自治体が個別にどのような政策を展開するかについては、各自治体において、住民の御意見や議会での議論などを踏まえ、十分御検討の上、御判断いただきたいと考えております。

 最後に、マイナンバーカード交付率の普通交付税の算定への反映について御質問いただきました。

 地方交付税は、標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を全国の各地方団体に保障する役割を有しております。

 また、地方団体には、カードを利活用した住民サービス向上のための地域のデジタル化に係る財政需要が存在しており、こうした財政需要を的確に普通交付税の算定に反映する観点から、カードの交付率を用いるものです。

 したがって、地方団体の標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を保障するという地方交付税の役割に沿うものであり、地方交付税の役割をゆがめるものではありません。(拍手)

    〔国務大臣永岡桂子君登壇〕

国務大臣(永岡桂子君) 宮本議員にお答え申し上げます。

 まず、学校給食の無償化についてお尋ねがありました。

 児童生徒の学校給食費については、経済状況が厳しい保護者に対して、生活保護による教育扶助や就学援助を通じまして支援をしているところです。

 学校給食費の無償化については、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨を踏まえ、設置者である自治体において適切に御判断いただくものと考えます。

 次に、高校、大学までの無償化についてお尋ねがありました。

 我が国においては、国際人権規約で定められているとおり、無償教育に漸進的に取り組んでおります。

 その上で、教育費の負担軽減策として、義務教育段階における就学援助制度、高校就学支援金による授業料支援、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金制度、また、令和二年度から、低所得者世帯の学生等を対象とした高等教育の修学支援新制度を実施しております。さらに、令和六年度からは、この修学支援新制度について、多子世帯や理工農系の学生等の中間層へも対象を拡大することとしており、具体的な制度設計を進めております。

 今後とも、教育に係る経済的な負担軽減の取組を通じ、教育の機会均等に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 宮本岳志議員より三問の質問をいただきました。

 国保の保険料と子供の医療費についてお尋ねがございました。

 国民健康保険制度においては、保険給付費の五割を公費負担するなど、他の制度より手厚く公費を投入しています。

 その上で、国保の均等割保険料は、全ての世帯員がひとしく給付を受ける権利があるため、子供を含めた被保険者の人数に応じて一定の御負担をいただくことが基本であります。所得の低い世帯には一定の負担軽減を行うとともに、本年度からは、未就学児の均等割保険料を半額に軽減する等の措置を講じております。

 子供の医療費助成については、自治体独自の助成制度により、自己負担の更なる軽減が図られているものと承知をしています。国保の国庫負担金の減額調整措置については、平成三十年度以降、未就学児までを対象とする医療費助成を対象外といたしました。減額調整措置について更に見直しをした上で、子供の医療費助成を全て国の制度として実施することは、自己負担の軽減により受診行動の変化も考えられ、厳しい医療保険財政や助成内容等に地域差があることなどを勘案すると、限られた財源の公平な配分などの観点から、課題が多いものと考えております。

 保育士の配置基準と保育料の無償化についてお尋ねがありました。

 保育士の配置基準の国際比較について、二月三日の衆議院予算委員会では、他国と比べて配置基準が十分ではないという指摘は十分に受け止めなければならないが、日本とは異なり、諸外国の配置基準では必要な保育者は必ずしも有資格者に限定されていないため、単純な比較はできないことなどを答弁させていただきました。

 政府として、保育士等の配置改善を図っていくことは重要な課題と考えており、この間、待機児童の解消に努めるとともに、平成二十七年度から三歳児に対する職員の配置改善に取り組んでおり、今後も取り組んでまいります。更なる配置改善については、引き続き、安定的な財源の確保と併せて検討が必要と考えております。

 また、幼児教育、保育の無償化については、三歳から五歳の子供については広く国民が幼稚園や保育所などを利用しているのに対して、ゼロ歳から二歳の子供の保育所等の利用は約四割にとどまっていることなどを踏まえて、三歳から五歳までは所得制限を設けず、ゼロ歳から二歳までは住民税非課税世帯を対象として無償化しているものと承知をしております。これを踏まえた議論がなされているものと考えております。

 こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を三月末を目途に具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示するものと承知しており、厚労省としても必要な連携協力を図ってまいります。

 地域医療構想についてお尋ねがございました。

 地域医療構想は、中長期的な人口構造の変化に伴う地域の医療ニーズに応じて、病床機能の分化、連携により、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指すものであり、病床の削減や統廃合ありきではありません。また、新型コロナ対応を通じて明らかになった地域の医療機関の役割分担等にも対応するものであります。

 厚生労働省としては、引き続き、都道府県の御意見を伺いながら、地域医療構想を着実に進めるとともに、今後、高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる二〇四〇年頃を視野に入れつつ、新型コロナ禍で顕在化した課題を含め、中長期的な課題について整理し、新たな地域医療構想の策定に向けた検討を進めてまいります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣   松本 剛明君

       法務大臣   齋藤  健君

       文部科学大臣 永岡 桂子君

       厚生労働大臣 加藤 勝信君

       農林水産大臣 野村 哲郎君

       経済産業大臣 西村 康稔君

       国土交通大臣 斉藤 鉄夫君

       国務大臣   河野 太郎君

 出席副大臣

       総務副大臣  尾身 朝子君


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