衆議院

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第18号 令和5年4月13日(木曜日)

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令和五年四月十三日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十号

  令和五年四月十三日

    午後一時開議

 第一 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案(内閣提出)

 第二 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案(内閣提出)

 第三 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第五 令和三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第六 令和三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第七 令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第八 令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第九 令和三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第十 令和三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第十一 令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 第十二 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十三 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十四 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十五 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十六 海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十七 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案(内閣提出)

 日程第二 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案(内閣提出)

 日程第三 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第五 令和三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第六 令和三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第七 令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第八 令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第九 令和三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第十 令和三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第十一 令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第十二 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十三 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十四 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十五 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十六 海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十七 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案(内閣提出)

 日程第二 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第一、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案、日程第二、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。安全保障委員長鬼木誠君。

    ―――――――――――――

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案及び同報告書

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鬼木誠君登壇〕

鬼木誠君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、安全保障委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 両案は、日豪円滑化協定、日英円滑化協定それぞれの的確な実施を確保するため、両協定の実施に伴う道路運送法及び道路運送車両法の適用除外、刑事手続等の特例、国の賠償責任の特例並びに特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置を定めるものであります。

 両案は、去る三日本委員会に付託され、翌四日浜田防衛大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。六日質疑を行い、翌七日、討論、採決を行いました結果、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第三、気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長古賀篤君。

    ―――――――――――――

 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔古賀篤君登壇〕

古賀篤君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、気候変動の影響による熱中症の発生の予防のための対策を強化するため、政府による熱中症対策の実行に関する計画の策定、環境大臣による熱中症特別警戒情報の発表及び当該発表時における市町村長による暑熱から避難するための施設の開放に係る措置、独立行政法人環境再生保全機構の業務として熱中症特別警戒情報等の発表のために環境大臣が行う調査に係る情報の整理等の追加等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三日本委員会に付託され、翌四日西村環境大臣から趣旨の説明を聴取し、七日に質疑を行い、質疑終局後、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第五 令和三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第六 令和三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第七 令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第八 令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第九 令和三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第十 令和三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

 日程第十一 令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百八回国会、内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第四ないし第十一に掲げました令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)外七件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。決算行政監視委員長江田憲司君。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔江田憲司君登壇〕

江田憲司君 ただいま議題となりました各件につきまして、決算行政監視委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 これらの各件は、財政法の規定等に基づき、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。

 まず、令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費(その1)について、その使用事項は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保等に必要な経費等計十一件で、その使用総額は三兆千六百五十六億円余であります。

 (その2)について、その使用事項は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保に必要な経費等計五件で、その使用総額は一兆四千五百二十九億円余であります。

 次に、令和三年度一般会計予備費(その1)について、その使用事項は、政府広報に必要な経費等計七件で、その使用総額は四百四十七億円余であります。

 (その2)について、その使用事項は、燃料油価格激変緩和強化対策事業に必要な経費等計八件で、その使用総額は四千三十三億円余であります。

 次に、令和三年度特別会計予備費(その1)について、その使用事項は、エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定における燃料油価格激変緩和対策事業に必要な経費の一件で、その使用額は二十三億円であります。

 (その2)について、その使用事項は、エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定における燃料油価格激変緩和対策事業に必要な経費の一件で、その使用額は三百億円であります。

 次に、令和三年度特別会計予算総則第十九条第一項の規定による経費増額(その1)は、地震再保険特別会計における再保険金に必要な経費の増額の一件で、その増加額は六百九十二億円余であります。

 (その2)は、交付税及び譲与税配付金特別会計における地方譲与税譲与金に必要な経費の増額の二件で、その増加総額は三百三十四億円余であります。

 委員会におきまして、これら各件につき去る四日鈴木財務大臣から説明を聴取した後、十日、質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、各件はいずれも賛成多数をもって承諾を与えるべきものと議決いたしました。

 以上、御報告を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) これより採決に入ります。

 まず、日程第四、第八及び第九の三件を一括して採決いたします。

 三件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第五につき採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第六及び第十の両件を一括して採決いたします。

 両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

 次に、日程第七及び第十一の両件を一括して採決いたします。

 両件は委員長報告のとおり承諾を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承諾を与えることに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第十二 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第十二、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。消費者問題に関する特別委員長稲田朋美君。

    ―――――――――――――

 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔稲田朋美君登壇〕

稲田朋美君 ただいま議題となりました法律案につきまして、消費者問題に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における商品又は役務の取引に関する表示をめぐる状況に鑑み、一般消費者の利益の一層の保護を図るため、前に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して課する課徴金の額を加算する措置、不当景品類及び不当表示防止法第五条の規定等に違反する疑いのある事業者が疑いの理由となった行為に係る是正措置計画の認定を受けたときは当該行為について措置命令等の規定を適用しないこととする措置等を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月三日本委員会に付託され、翌四日河野国務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。次いで、十一日に質疑を行い、質疑終局後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十三 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第十三、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長笹川博義君。

    ―――――――――――――

 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔笹川博義君登壇〕

笹川博義君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、違法伐採及び違法伐採に係る木材等の流通を抑制するため、木材関連事業者が国内の素材生産販売事業者又は外国の木材輸出業者から木材等の譲受け等をする際に、当該木材等の合法性の確認を義務づける等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る三月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日野村農林水産大臣から趣旨の説明を聴取し、昨四月十二日質疑を行いました。

 質疑終局後、立憲民主党・無所属、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党及び有志の会の共同提案により修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十四 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第十四、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長大西英男君。

    ―――――――――――――

 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔大西英男君登壇〕

大西英男君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、健康、医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進するためのものです。

 その主な内容は、

 第一に、仮名加工医療情報の取扱いについての規定を整備するものです。

 第二に、匿名加工医療情報を匿名医療保険等関連情報等と連結して利用するための仕組みを整備するものです。

 本案は、去る四月六日本委員会に付託され、翌七日高市国務大臣から趣旨の説明を聴取しました。次いで、十二日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十五 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第十五、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長伊藤忠彦君。

    ―――――――――――――

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔伊藤忠彦君登壇〕

伊藤忠彦君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、被告人や刑が確定した者の逃亡を防止し、公判期日等への出頭及び裁判の執行を確保するため、公判期日への不出頭罪の新設、保釈等をされた者に対する監督者制度の創設及び位置測定端末により保釈された者の位置情報を取得する制度の創設等を行うほか、刑事手続において犯罪被害者等の情報を保護するため、犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない起訴状抄本等を被告人に送達する措置等を導入しようとするものであります。

 本案は、去る四月四日本委員会に付託され、翌五日齋藤法務大臣から趣旨の説明を聴取し、七日質疑に入りました。昨十二日、質疑を終局し、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十六 海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第十六、海上運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長木原稔君。

    ―――――――――――――

 海上運送法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔木原稔君登壇〕

木原稔君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、昨年四月に発生した知床遊覧船事故を受け、海上旅客輸送の安全の確保等を図るとともに、安定的な国際海上輸送の確保に資するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、安全統括管理者及び運航管理者の選任に資格者要件を導入し、資格者の試験制度を創設すること、

 第二に、小型船舶のみを用いる旅客不定期航路事業の許可を受けようとする者は、安全人材確保計画を作成するものとし、当該許可について更新制を導入すること、

 第三に、船舶等の使用停止処分を導入するとともに、罰則の強化を行うこと、

 第四に、我が国の船主が作成する外航船舶確保等計画の認定制度を創設すること

などであります。

 本案は、去る四月五日本委員会に付託され、同日斉藤国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、昨十二日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十七 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第十七、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長三ッ林裕巳君。

    ―――――――――――――

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔三ッ林裕巳君登壇〕

三ッ林裕巳君 ただいま議題となりました全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、出産育児一時金に係る費用の一部について、後期高齢者医療制度が支援する仕組みを導入すること、

 第二に、後期高齢者医療制度における後期高齢者負担率の設定方法について、後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じとなるように見直すこと、

 第三に、前期高齢者に係る医療給付費等を保険者間で調整する仕組みについて、被用者保険者間において報酬水準に応じて調整する仕組みを導入すること、

 第四に、かかりつけ医機能について、国民への情報提供を強化するとともに、医療機関に都道府県知事への報告を求める仕組みを設けること

等であります。

 本案は、去る三月十六日の本会議において趣旨説明が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、二十二日加藤厚生労働大臣から趣旨の説明を聴取し、二十九日から質疑に入り、四月四日には参考人から意見を聴取し、昨日岸田内閣総理大臣に対する質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(細田博之君) この際、内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣齋藤健君。

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 近年、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、様々な理由で送還を忌避する者が後を絶たず、迅速な送還の実施に支障が生じているのみならず、退去強制を受ける者の収容が長期化する要因ともなっています。また、昨年来続くロシア連邦による侵略を受け、ウクライナから避難してきた方々のような、人道上の危機に直面し真に庇護を必要とする方々を確実に保護する制度を設ける必要も一層高まっています。

 こうした状況に対応するため、保護すべき者を確実に保護しつつ、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとすることは、適正な出入国在留管理を確保する上で喫緊の課題であり、これらの課題を一体的に解決する法整備を行うことが必要不可欠です。

 この法律案は、以上に述べた情勢に鑑み、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正するものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、難民に準じて保護すべき方々を補完的保護対象者として認定する手続を設け、これを適切に保護するための規定を整備するものです。

 第二は、在留特別許可制度について、退去強制令書が発付されるまでの間に申請を行うことを可能とするとともに、在留特別許可を行うか否かの判断に際して考慮すべき事項を明示するものです。

 第三は、退去強制を受ける者のうち、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国が送還先である者及び送還を積極的に妨害する行為を行ったことがある者に対し、一定の要件の下で自ら本邦から退去することを義務付ける命令制度を創設し、命令に違反した場合の罰則を整備するものです。

 第四は、難民認定手続中は法律上一律に送還が停止されるといういわゆる送還停止効に例外を設け、同手続中であっても一定の場合には送還を可能とするものです。

 第五は、退去強制令書の発付を受けた者の自発的な出国を促すため、素行等を考慮して相当と認められる者について、その申請により、速やかに自費出国をした場合には上陸拒否期間を短縮することができることとする制度を設けるものです。

 第六は、退去強制手続における収容に代わる選択肢として監理措置の制度を創設し、当該外国人の逃亡のおそれの程度、収容により受ける不利益の程度等を考慮して相当な場合には、監理人による監理に付し、収容せずに手続を進めることとするとともに、収容する場合であっても、三か月ごとに、監理措置に付すか否かを必要的に見直すことにより、収容の長期化の防止を図るものです。あわせて、仮放免制度について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除する制度と改めた上、健康上の理由による仮放免請求に係る判断をするに当たっては、医師の意見を聴くなどして、その者の健康状態に十分配慮することなどを法律上明記するものです。

 第七は、入国者収容所等における被収容者の処遇について、保健衛生及び医療、外部交通等に関する事項を明確化するため、具体的な規定を整備するものです。

 このほか、十六歳未満の外国人が所持する在留カード及び特別永住者証明書の有効期間を見直すことなど、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(細田博之君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山田勝彦君。

    〔山田勝彦君登壇〕

山田勝彦君 立憲民主党の山田勝彦です。

 会派を代表し、政府提出の入管法等改正法案について質疑をいたします。(拍手)

 そもそも、この法案、二年前廃案になった法案ではないでしょうか。

 齋藤大臣も御承知のとおり、この法案は、名古屋入管で収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん、本日は御遺族の方々も傍聴席にいらっしゃっていただいております、そのウィシュマさんが医療体制の不備により死亡したのをきっかけに、外国人の命と人権を奪う入管行政に対し野党や国内外からの批判が殺到し、政府・与党は、成立を断念し、廃案にすることを決めました。このとき、自民党のある幹部は、国際社会の批判もあり、強行採決はメリットがない、そのようなコメントを残しています。

 一体、この二年間で何が変わったというのでしょうか。まさか、ウィシュマさんの事件のほとぼりが冷めた今が絶好の機会だと捉えているのでしょうか。私たち野党の議員、そして国民の皆様は、決してウィシュマさんの死を忘れることはありません。もうこれ以上、入管行政の改悪を許すわけにはいきません。

 齋藤大臣に伺います。

 本法案に対し、庁舎前で抗議の意思を示すスタンディングデモを行っている学生団体から、一度廃案に追い込まれたのに同じように出されることに激しい憤りを感じる、怒りの声が上がっています。難民申請中でも送還を可能にするなどの前回の改悪案の骨格を維持している本法案を、一体、なぜこのタイミングで提出されたのでしょうか。そして、本法案が再提出されるまでのこの二年間、入管に収容されている外国人の方々やその支援団体、弁護士などにはヒアリングを行ったのでしょうか。

 今、ウィシュマさんが入管施設内で死に至るまでの映像が話題になっています。齋藤法務大臣は、国が証拠として提出し、これから裁判所で取り調べる映像の一部を、原告側が勝手に編集し、マスコミに提供したと遺族弁護団を非難されていましたが、今、このウィシュマさんの映像は名古屋地裁に行けば誰でも視聴可能な公開された映像であり、マスコミに提供したことに何の違法性もありません。

 この原告側の指宿弁護士にお話を伺いました。彼女が一人の人間としてどのように入管施設の中で亡くなったのか、国会で入管法の改正案が審議入りする前に見てもらう必要があり、国民の知る権利に応えるために公表した、このようにおっしゃっています。

 そこで、齋藤法務大臣に伺います。

 原告側がビデオを開示したことに、勝手に編集したなどの強い懸念を示されるのであれば、五分に編集する前の五時間分の映像を正々堂々と国民の皆様に公開したらどうでしょうか。

 政府がビデオを公開できない一つ目の理由として、保安上の理由を挙げられます。もうそれは、五時間分の映像が名古屋地裁で自由に誰でも視聴できる内容であるため、クリアされています。公開できない二つ目の理由として、ウィシュマさんの名誉、尊厳を守る、よく言われていますが、ウィシュマさんに必要な医療を受けさせず、さんざんウィシュマさんの名誉や尊厳を傷つけてきたのは入管庁自身ではありませんか。

 ウィシュマさんの御遺族は、この映像を国会議員だけでなく日本の国民の皆さんに見てほしい、そうすれば何が行われているかが分かると、公開を強く希望されています。この御遺族の意思はウィシュマさんの意思そのものではないでしょうか。

 今回の政府提出法案で本当に改正されるのか、それとも改悪になるのか、この映像を広く国民の皆様に公開した上で、この国会で正々堂々と国民的議論をしようではありませんか。

 次に、本改正の最大の争点である難民認定についてです。

 同性愛者であることを理由にウガンダで迫害を受けた女性が二〇二〇年に来日し、難民申請をしたが、入管庁はそれを認めず、強制送還の対象にしました。女性は、処分が不当であるとし、国に難民認定を求め訴訟し、大阪地裁は、女性を難民と認めました。今年三月三十日、国が控訴を断念したため、この女性は難民認定されることになります。

 三年前、初めて難民申請をした当時から、ウガンダでは同性愛者に対する迫害が深刻であり、他の先進国では、ウガンダの同性愛者への難民認定率は極めて高い。にもかかわらず、入管は、僅か一か月で難民不認定処分を行い、女性が求めた口頭意見陳述も開かず、審理手続を終えました。

 このウガンダ人女性は、入管庁によって、迫害を受けた母国へ強制送還されるかもしれないという強い不安と恐怖におびえる日々を三年もの間過ごされていました。裁判所で会うと、毎回、泣きながら震えられていたそうです。他の先進国では到底考えられない事件であり、ウィシュマさんの事件に続き、再び、国際社会の批判は免れません。

 入管庁は、一切、本人の証言に基づきウガンダへ調査することもありませんでした。ウガンダ人女性がこの裁判で勝利ができた最大のポイントは、ウガンダまで調査をかけ証拠を集めてくれた優秀な弁護士とたまたま出会えたからでした。しかし、このような弁護士との接点は、現行法では、難民申請者には保障されていません。

 この担当弁護士は、刑事事件の被告人と同じように、国選弁護制度を難民申請者にも適用すべきだと言われました。刑事施設には弁護士リストがありますが、収容施設にはありません。本法案の目的に、保護すべき者を確実に保護するとうたわれています。

 齋藤法務大臣に伺います。

 国選弁護制度を収容施設にも導入し、難民申請者の人権を守るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、この裁判を担当した弁護士は、裁判中も入管庁から難民ではないという資料しか提示されなかった、全く公平性がなく、出入国を管理する入管庁が難民認定を行うから厳しく捉える、難民認定する機関を入管庁から独立させるべきだと御自身の体験からも主張されています。

 難民認定は、どの国も二審制です。しかし、日本のように、一審も二審も同じ入管庁が判断している国はほかにありません。他の国では、同じ行政府の組織から自立させています。

 日本は、先進諸国の中で難民認定率が極めて低く、国際社会から批判をされ続けています。この問題について、難民認定の審査で法務大臣へ意見を述べる難民審査参与員を十年間にわたり務めた明治学院大学の阿部教授にお話を伺いました。十年間で四百件から五百件ぐらいの審査に関わり、そのうち四十件弱は認定するべきと法務大臣に意見を出した。しかし、その全てが不認定となった。さらに、驚くべきことに、参与員は三人一組で行われますが、その三人の参与員全員が認定すべきと法務大臣に意見を出した案件も全て不認定とされた。阿部教授は、こう言われていました。自分は国際難民法に照らして判断した、なぜ自分の意見が採用されないのか、法務大臣と見解がどう違うのか、教えてほしいと何度も尋ねてもきちんと答えがない、フィードバックも全くない、まるで暗闇の中に意見を投げ込んでいるようだったと語られました。

 そこで、齋藤法務大臣にお尋ねします。

 改正入管法第六十一条には、「法務大臣は、第一項の審査請求に対する裁決に当たつては、法務省令で定めるところにより、難民審査参与員の意見を聴かなければならない。」とあります。専門家である参与員全員が難民認定すべきという意見を法務大臣に出したにもかかわらず、どのような政治判断で不認定処分としているのでしょうか。このような意見を尊重していない運用は、法律違反に当たるのではないでしょうか。また、意見を採用しない理由を参与員から求められているにもかかわらず答えないとは、一体、なぜなんでしょうか。

 これでは二審の審査参与員の制度は明らかに形骸化しており、もはや入管庁の恣意的な裁量で難民認定がどうにでもできてしまう、恐ろしい仕組みになっている実態が分かっています。

 さらに、阿部教授は、日本の難民認定に、ある懸念を示されました。ウクライナ人を避難民として積極的に受け入れ、アフガニスタン人も昨年から多くの人を難民認定している。一方、クルド人も含むトルコ国籍の難民申請者が、昨年四百四十五人、一昨年五百十人いるにもかかわらず、一件も認定していない。裁判で国が負け、渋々認定したのが一件あるだけだ。ミャンマーに対しても厳しい認定になっている。友好国に対する外交的配慮が疑われてしまう状況だ。

 この懸念について、齋藤法務大臣に伺います。

 実際に起こってしまったこととして、来日したクルド人の難民申請を認めず、入管庁がトルコに強制送還をした結果、帰国後、逮捕され、尋問を受け、その後、何かしらの理由で殺されてしまった、大変痛ましい事件が起こっています。絶対にあってはならないことです。まさか、友好国であるトルコに外交的配慮を行い、他国では保護対象となっているクルド人に対し、難民認定せずに強制送還をしているのでしょうか。お答えください。

 このような政治的判断による外交的配慮が疑われることのないよう、他の国々は、こういう批判を回避するためにも、行政府から独立した機関で難民認定をされているのです。

 さらに、本質的問題として、阿部教授は、御自身の体験から、入管庁の組織の中にいると、入管庁の中にある、日本に好ましくない外国人を排除するという文化の中で物事が判断されてしまう、一方、難民認定側に求められるのは、異なる文化も受け入れ、難民を保護するという視点であるとおっしゃいました。

 これらを一緒にすること自体が無理がある。入管庁から難民認定機関を切り離さなければなりません。私たち立憲民主党は、このことを提案し続けています。

 一月の代表質問でも、我が党のおおつき紅葉議員から岸田総理に質問しました。そのときの岸田総理の回答は、難民認定は、その他の入管行政の手続と密接に関連しているから、入管庁で行うことが都合がよいので、第三者機関は設置しません、このような趣旨の答弁でした。到底理解できない内容です。外国人の命と人権を守ることよりも、自分たちの仕事の効率化ぐらいしか考えていないのでしょうか。

 私たちの提案は、収容中の外国人、支援団体、弁護団、そして多くの国民の皆様の声を基に行っています。現行入管法で改正すべきは、難民申請の回数を制限することでもなく、監理人措置制度を設けることでもありません。改正すべきは、難民認定の制度改革そのものです。

 齋藤大臣、国際基準に合致し、行政府から独立した第三者機関による難民等保護委員会を設置すべきではないでしょうか。

 最後に、外国人の命や人権を守る入管行政へと生まれ変わるために必要な法改正は、送還忌避者を強制送還する執行力を強化することではありません。本来難民として保護すべき人や在留特別許可を与えるべき人に、当たり前に私たちの国で生活してもらう、真の外国人との共生社会が実現される、もっとよい未来を願って、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 山田勝彦議員にお答え申し上げます。

 まず、本法案の再提出等についてお尋ねがございました。

 送還忌避、長期収容問題は早期に解決すべき喫緊の課題であり、他方で、人道上の危機に直面し真に庇護すべき方々を確実に保護する制度の整備もまた重要な課題の一つです。

 こうした現行入管法下の課題を一体的に解決し、適切に対応できるものとするため、前回の法案審議以降、様々な方々から御意見、御指摘を伺い、真摯に受け止めた上で、修正すべき点は修正し、改めて提出するに至ったものです。

 とりわけ収容に関する制度については、名古屋入管における被収容者死亡事案の発生などを受け、より適切な運用を可能とすべく旧法案を大きく修正しており、改悪案の骨格を維持との御指摘は当たりません。

 次に、名古屋入管被収容者死亡事案に関するビデオ映像の一般公開についてお尋ねがありました。

 御指摘の私の発言は、原告側がビデオ映像を公開したことについての事実関係を述べたことにとどまるものです。

 その上で、御指摘のビデオ映像については、情報公開法上も不開示情報として取り扱っているものであり、これらを広く一般に公開することについては、保安上の問題に加え、ウィシュマさんの名誉、尊厳の観点からも問題があります。この点は、証拠提出に当たり、裁判所からも、保安上の問題があるので注意願いたい旨、注意喚起がなされたものと承知しています。

 入管庁では、本事案の反省の下に、調査報告書に基づく組織、業務改革を進めており、医療体制の強化や職員の意識改革の促進など、その効果が着実に表れております。

 引き続き、本法案について御理解を得られるよう、国会審議等において丁寧に説明してまいります。

 次に、入管収容中の難民認定申請者に対する国選弁護についてお尋ねがありました。

 我が国から退去すべきことが行政上確定した者等について、その難民認定申請のための弁護士費用等を公費負担とする制度を設けることは、国民の理解を得ることが困難と考えています。

 次に、難民審査参与員の意見に関するお尋ねがありました。

 難民不認定処分に対する審査請求においては、外部有識者から成る難民審査参与員三人が一組で審理を行い、法務大臣は、少数意見を含む全ての難民審査参与員の意見を必ず聞いた上で、その意見を尊重して裁決しており、平成二十八年以降、難民審査参与員の多数意見と異なる判断をした事例はありません。

 また、難民審査参与員から求めがあった場合には、裁決の理由について説明を行っています。

 引き続き、審査請求の裁決に当たっては、法令にのっとり、適切に対処してまいります。

 次に、トルコ人に関する事案についてお尋ねがありました。

 まず、前提事実の認識にそごがあり、送還された者が捜査機関に身柄拘束された後に殺害されたとの御指摘でしたが、この点、我が国の裁判所における確定判決では、この殺害事件にトルコの捜査機関が関与していることを裏づける証拠は何ら認められないと認定されています。

 その上で、我が国は、難民認定申請がなされた場合は、申請者ごとに申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定しており、トルコに外交的配慮を行って難民認定しないということはありません。

 最後に、第三者機関の創設についてお尋ねがありました。

 難民認定手続は、その他の出入国在留管理行政上の様々な手続と密接に関連をしていることから、入管庁において行うことが適当であり、独立した機関を設置することは考えておりません。

 なお、御指摘の国際基準の意味するところは明らかではありませんが、諸外国においても、入管業務と難民認定業務を同一の行政機関が担当している国があると承知しています。

 入管庁においては、制度と運用の両面から難民認定手続の適正性を確保しており、引き続き、国際機関と協調しながら、保護すべき者を確実に保護してまいります。(拍手)

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議長(細田博之君) 沢田良君。

    〔沢田良君登壇〕

沢田良君 日本維新の会の沢田良です。

 私は、党を代表して、政府提出の出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案について質問をします。(拍手)

 質問に先立ちまして、おととし三月に名古屋出入国在留管理局に収容中にお亡くなりになったウィシュマ・サンダマリさんに対して、改めて哀悼の意を表するものです。

 ウィシュマさんの事案については、現在、遺族と国との間で訴訟となっていますが、早期の解決を願うものです。

 同時に、今回の入管法改正がこの不幸な事案を理由に今日まで先延ばしにされてきたこととするならば、大変残念なことです。不法残留や不法就労の増大や、収容の長期化など、現行法上の多くの課題が以前から指摘されていたにもかかわらず必要な改正ができなかったことは、立法府として大いに反省しなければなりません。

 私たち日本維新の会は、マニフェストに外国籍住民との共生を掲げる政党として、ウィシュマさんのような悲劇を二度と繰り返さず、日本人と外国人が共に安全、安心して暮らせる、真に世界に開かれた日本社会の実現を求めて、以下、法務大臣に質問をいたします。

 まず初めに、補完的保護対象者認定制度について伺います。

 二〇二二年二月二十四日未明、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、早くも一年二か月がたとうとしています。この侵攻以来、より安全な場所を求めて国内外へ退避するウクライナ国民が増加しました。

 UNHCRによると、二〇二三年一月現在のウクライナ国内避難民は五百四十万人、EUの国々へ逃れた難民の数は八百万人と、非常に多くの人々が住む場所を追われてしまいました。ウクライナ本土の人口が約四千百五十九万人です。国内避難民と難民の数を合わせると、全人口のおよそ三五%になり、かなり大きな割合であることがうかがえます。

 我が国日本にも、法務省のデータによると、四月五日の時点で二千二百四人のウクライナ避難民の方が在留をしています。EUの国々に比べて、距離の遠さなどもあり、かなり少数ではあるものの、着実に増えています。ただし、難民ではなく、紛争避難民として受け入れているのが現状です。

 国際条約の中で定められた難民の定義は、国連で一九五一年に採択された難民条約に基づいています。しかし、今回のような紛争による退避の場合、難民として認められていません。現行法上、このような紛争避難民等、条約上の難民に準じて保護すべき者を保護する制度がなく、法務大臣の裁量で保護をしています。

 今回の法改正では、ウクライナ避難民等、難民認定されていない方を確実に保護することが可能となる、そう理解をしております。紛争を理由に母国を逃れ、慣れない国で生活をする、大変な思いで日々過ごしていることは想像に難くありません。しかし、我が国は法治国家です。どんな理由があるにしろ、問題のある方を受け入れることについては、様々な対応が必要ではないかと考えます。

 齋藤法務大臣に質問します。

 紛争避難民の中に以前日本から強制退去された外国人がいた場合はどのような対応になるのか、人道的配慮等が優先となるのか、国内法が適用されるのか、答弁を求めます。

 送還停止効の例外規定について伺います。

 現行法上は、難民認定申請をすれば、申請の回数や理由を問わず、殺人等の重大犯罪を犯した者やテロリスト等でも退去させることができないとされています。

 本法案では、幾つかの例外規定を設け、これによって難民認定申請を誤用、濫用を防止し、真に保護すべき者の迅速な保護につながることが期待されています。

 しかし、現在も多くの被収容者を抱えている現状を鑑みると、今の状態を改善することも必要ではないかと考えます。

 法令には不遡及の原則があります。法令は、施行と同時にその効力を発揮するが、原則として、将来に向かって適用され、法令施行後の出来事に限り効力が及ぶのであり、過去の出来事には適用されないとされています。

 他方で、国民の利益になる場合や国民の権利義務に影響がない場合には、遡及適用を行うことも許される場合があります。例えば、災害からの復興を目的とする法令や、公務員の給料の増額改定が給与関係法律の改正前に遡って実施されたことがあります。改正法の施行後に改正前との差額を支給するという運用がなされました。

 今現在収容されていて例外規定に当てはまる者について、今改正案は適用されるのでしょうか。今改正案は国民の利益になることから、遡及適用をするべきではないでしょうか。齋藤法務大臣の御見解を伺います。

 入管法改正に関連して、難民問題についてお聞きします。

 最近の国際情勢において、シリア内戦、トルコのクルド人問題、ミャンマーの軍政に伴う政情不安とロヒンギャ問題など、難民を発生させる紛争が多発しています。

 政府は、今後も増え続ける難民の問題に対して、国際社会の一員としてどのように対処していくつもりなのか。これまでと同じであっていいのか、それとも難民受入れを拡大していくのか、明確にお答えください。

 難民認定の問題では、新たな課題も浮上しています。

 去る三月十五日、大阪地裁は、LGBTが難民認定の理由たり得るという、全国初の画期的な司法判断を下しました。新たに難民認定されたのは、ウガンダから逃れてきた女性です。この女性は、レズビアンであるということを理由にウガンダの警察に逮捕、勾留され、拷問を受けたことなどから、日本に対し難民と認めるよう求めていましたが、政府は当初、難民申請を不認定としていました。これに対し、地裁判決は、帰国すればレズビアンであることを理由に警察に逮捕、勾留されて、暴行を受ける十分に理由のある恐怖を有するとして、国に対し、女性を難民と認めるよう命じたといいます。

 ウガンダに限らず、世界には、今なお、同性愛を違法行為として処罰する国々が七十か国近く存在します。中には、死刑を適用する国すらあります。今回の判決をきっかけとして、今後、これらの国々から日本に難民認定を求めるLGBTの人々が増えることが予想されますが、政府において、その準備は整っているでしょうか。

 例えば、本人がLGBTであるかどうかは、現状では本人の自主申告しかありませんが、これでは難民偽装に利用されることが懸念されます。一方で、客観的な証拠提出を求めれば、プライバシー保護や人権上の問題となり、新たな差別を生むことにもなりかねません。

 LGBTの権利の問題が我が国でも議論の途上にあり、その結論を得た状況にはありませんが、難民問題としては、議論に時間をかける猶予は余りないと思います。LGBTの難民認定についての政府の今後の対応方針をお示しください。

 難民認定については、常々、我が国の難民認定率の低さが議論になっています。

 国連難民高等弁務官事務所の二〇二一年発表によると、世界中で紛争や内戦による迫害や恐怖から逃れようとする難民の数は八千九百三十万人にも上ります。二〇二二年の統計によると、世界の難民のうち、日本の難民認定申請者は三千七百七十二人でした。二〇二二年中に、実際に日本で難民認定を受けることができた人は二百二人となっています。

 日本の難民認定数が少ないのは、そもそも、本当に難民認定が必要な人の申請数が少ないためでもあると考えております。

 他方、難民認定は得られなくても、在留が認められるケースもあります。二〇二二年中に、難民認定はしなかったが、人道上の配慮から在留を認めた外国人は、前年より千百八十人増の千七百六十人でした。日本維新の会では、在留特別許可の許否は、国際人権基準を尊重しつつ、当該外国人の個別的事案、事情に基づいて総合的に判断されるべきであると考えております。

 このように、難民認定をしなかった理由についてはどのようなものがあるか、また、人道上の配慮についてどのような配慮がなされたのか、答弁を求めます。

 入管には、現在、八つの地方出入国在留管理局、七か所の支局、六十一か所の出張所及び二か所の入国管理センターが設けられています。中でも、比較的収容規模が大きいのは、東日本入国管理センター、大村入国管理センター、東京出入国在留管理局、名古屋出入国在留管理局です。

 出入国在留管理行政を遂行するためには、様々なコストがかかります。言うまでもなく、原資は国民の皆様からお預かりしている税金です。現在も多くの方が収容されておりますが、被収容者一人当たり、年間で一体どれくらいのコストがかかっているのでしょうか。答弁を求めます。

 昨今大きな問題となっているのは、入管収容施設における医療体制です。

 二〇二一年三月に名古屋入管収容施設で亡くなられたウィシュマさんに限らず、多くの被収容者が満足な医療を受けることができず、身体的、精神的な疾患を発症、悪化させているという指摘もあります。他方、医師が特段の措置は必要ない旨を説明しても、薬の処方や精密検査を要求したり、処方された薬を服用せずに体調不良を訴えたりするという声も現場から届いていると伺いました。

 出入国在留管理庁では、外部有識者等の意見を取り入れ、入管収容施設における医療体制の強化に関する提言の取りまとめや救急対応マニュアルを作成するなど、悲劇を繰り返さないようにという強い意思を持って改善策を提示していることは理解しております。常勤医師の確保や、医療従事者や現場職員間のコミュニケーションの強化を図る等、いろいろとお示しをいただきましたが、まず初めに大切なのは、初期診療ではないでしょうか。

 被収容者が医師への診察申請を行う場合、許可、不許可の判断を、医療知識に欠ける職員にその判断をさせること自体、無理が生じているのではないでしょうか。常勤医師の確保や常勤看護師を増やすことと同時に、初期診療の間口を広げるために、オンライン診療、AI翻訳等を活用することも必要ではないでしょうか。大臣の御見解を伺います。

 最後になりますが、我が国を取り巻く環境は、以前にも増して危機的状況にあります。日本が安全な国と認識されていた過去とは明らかに違い、いつ我が国の国民も紛争避難民になってしまうか分かりません。そして、いつ紛争地域になってしまうかも分かりません。

 冒頭でも言いましたが、二〇二一年の審議の際、現行法上の多くの課題が以前から指摘されていたにもかかわらず必要な改正ができなかったことで、防げたはずの問題が放置されてきました。当時、我が日本維新の会も問題意識を持って立法のために全力を尽くしましたが、過半数の議席を持っているにもかかわらず、自公政権は、結局、改正を決断できなかった。これは、立法府としての責任を放棄したと言っても過言ではありませんが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

 私たち日本維新の会は、与党、野党という単純な図式では考えず、日本国民の皆様の利益に資する物事について、積極的に前に進める国会を目指しております。

 本改正案についても、憲法改正や安全保障政策等と同様に、国益のためにタブーなき議論を進めていくことをお誓い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 沢田良議員にお答え申し上げます。

 まず、退去強制歴のある紛争避難民の扱いについてお尋ねがありました。

 本法案で創設する補完的保護対象者の認定制度では、補完的保護対象者として認定されたとしても、一定の犯罪を行ったことなどによって以前に退去強制されたことがある者については、その退去強制事由の内容に応じ、在留資格、在留期間の点において考慮することとしています。

 このように、本法案は、保護すべき者を確実に保護した上で、ルールに違反した者には適切に対応できるよう、様々な方策を組み合わせ、外国人の人権を尊重しつつ適正な出入国在留管理を実現する、バランスの取れた制度を実現しようとするものであります。

 次に、難民等認定申請中の方の送還停止効の例外についてお尋ねがありました。

 本法案において、三回目以降の難民等認定申請者を送還停止効の例外としたのは、既に二度にわたり、外部有識者である難民審査参与員による三人一組での審理を含めた慎重な審査を経て難民等不認定処分となった者については、その法的地位の安定を図る必要がないためです。

 このような慎重な審査を行っていることは、当該難民不認定処分が改正法の施行日前であったとしても変わりはないため、施行日前に二度とも難民不認定処分が行政上確定している者が施行日以後に難民等の認定申請をした場合は、原則として送還停止効の例外としています。

 なお、このような取扱いは、あくまでも施行日以後になされた難民等の認定申請について適用されるものであるので、御指摘の遡及適用には当たりません。

 次に、難民問題に対する対応についてお尋ねがありました。

 我が国において難民認定申請がなされた場合は、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者を適切に認定しています。

 その上で、本法案においては、紛争から逃れてきた方々など、難民条約上の難民に該当しない場合であっても、人道上、真に庇護すべき方々をより確実かつ早期に保護するため、補完的保護対象者の認定制度を設け、難民と同様に保護することとしています。

 法務省としては、この制度を含む諸制度を適切に運用し、真に庇護を必要とする者を確実に保護してまいります。

 次に、いわゆるLGBTなどの性的マイノリティーの方々の難民認定についてお尋ねがありました。

 これまでも、性的マイノリティーであることに関連して迫害を受けるおそれを有する方について、申請者の出身国に関する情報等を適切に参照しつつ、当該申請者の個別の事情も検討の上、難民条約上の難民に該当する場合には、難民として適切に認定してきたところです。

 今般入管庁が策定した難民該当性判断の手引においても、性的マイノリティーに関連する迫害について、判断に当たって考慮すべきポイントを整理し、明確化しています。

 今後は、この手引も活用しつつ、調査に当たっては申請者の心情にも十分配慮しながら、引き続き適切に対応してまいります。

 次に、難民不認定処分の理由及び人道上の配慮の内容についてお尋ねがありました。

 難民の認定においては、難民条約における難民の定義に基づき、申請者が人種、宗教、国籍等を理由に迫害を受けるおそれがあることなどについて、申請者ごとに判断しています。

 そのため、申請者の主張内容について、そのような迫害を受けるおそれがあるとは認められない場合などには、難民とは認定しないことになります。

 もっとも、難民とは認められない方であっても、本国の情勢や、日本人の実子の監護、養育など本邦での特別な事情等を踏まえて、人道上の配慮が必要と認められる方については、本邦への在留を認めています。

 次に、被収容者一人当たりにかかる年間コストについてお尋ねがありました。

 令和三年度において被収容者の収容に関して要した費用は、食糧費、被服費及び医療費の合計で、一人当たり約百九万円です。

 次に、入管収容施設における医療的対応の在り方についてお尋ねがありました。

 入管庁においては、名古屋入管における死亡事案で指摘された問題に対する反省も踏まえ、現在では、新規入所者に対する健康診断の実施や、被収容者からの体調不良の訴えに対する速やかな診察の実施を徹底するとともに、被収容者とのやり取りにおいては、AI翻訳機や外部通訳人を利用するよう徹底しています。

 これらにより、現在では初期診療の間口等については改善されていると考えていますが、御指摘のオンライン診療等も含め、適切な医療的対応の在り方については、不断の検討を続けてまいります。

 最後に、前回提出法案についてお尋ねがありました。

 御指摘の旧法案については、当時の与野党協議において、これ以上の審議を進めないとの合意があり、政府としてもこれを尊重したものと承知しています。

 他方、人道上の危機に直面し真に庇護すべき方々を確実に保護する制度を整備するとともに、送還忌避と長期収容問題を解消することは、出入国在留管理行政にとって喫緊の課題です。

 本法案は、これら現行法下の課題を一体的に解決し、入管行政を取り巻く情勢に適切に対応できるものとするだけでなく、旧法案に対する様々な御指摘を真摯に受け止め、修正すべき点は修正して再提出するものであります。

 国会において十分な御審議をいただけるよう、法務大臣として全力を尽くしてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 本村伸子君。

    〔本村伸子君登壇〕

本村伸子君 私は、日本共産党を代表して、入管法改定案について質問をいたします。(拍手)

 本法案は、二〇二一年に廃案となった法案とほぼ同じ内容です。あれほど外国人の人権無視と批判されたものを再び提出する政府の傲慢な姿勢は許されません。

 入管法は、制定以来、抜本的な改正は一度も行われず、在留資格を失った外国人を全て収容する全件収容主義の下、まともな医療すら受けられない長期収容が常態化し、死亡事件も相次いでいます。ウィシュマさんは、その犠牲者にほかなりません。

 齋藤法務大臣が、ビデオを勝手に編集など発言したことは断じて許されません。人として尊厳を傷つけられ、亡くなりました。その真実を伝えたいという御遺族の思いを踏みにじるものであり、発言の撤回を強く求めます。

 ウィシュマさん死亡事件の入管庁調査チーム報告書が、死因を特定することは困難としていることは納得できません。ビデオ約二百九十五時間分のうち、法務委員会メンバーで確認した、一回目約六時間半、二回目約二十六分という短い時間の内容だけでも、報告書には真実に反する記述があります。今するべきは、全てのビデオと資料を提出し、完全な第三者の検証委員会による、死因始め真相究明をすることです。

 ウィシュマさん死亡事件に対する反省というのであれば、なぜ、個別事情を無視した、送還一本やりが背景にある全件収容主義という根本問題に踏み込まないのですか。

 昨年、国連自由権規約委員会は、総括所見で、収容期間に上限を設けるべきこと、収容に関し裁判所の実効的な審査を確保すべきことを勧告しました。日本の難民認定率の低さについての懸念を示し、勧告で、国際基準にのっとった包括的な難民保護法制の採用を求めています。

 これらの勧告を全く顧みないのはなぜですか。このこと自体が外国人の人権軽視を示しているのではありませんか。

 本法案は、難民認定申請中は送還が停止されている規定に例外を設け、三回目以降は申請中でも送還が可能となっています。生命や自由が脅かされるおそれがある国への追放、送還を禁じた難民条約第三十三条第一項、ノン・ルフールマン原則に明らかに反しています。

 難民申請されたウガンダのレズビアンの方について、裁判所が難民と認定をし、法務大臣も控訴しませんでしたが、入管庁の判断は間違うこともあることは明らかであり、三回目以降は送還可能と入管が勝手に線引きすることは断じて認められません。

 送還を迫り、罰則を設けても、当事者の帰国できない事情は何も変わりません。にもかかわらず、自主的に退去しない外国人に罰則を科す退去命令制度は、日本で生まれ育ち、日本語しか話せない人、日本に家族や恋人がいる人、難民申請者を送還忌避者として犯罪者扱いするもので、絶対にあってはならないことです。

 在留特別許可申請手続を整備するといいますが、定着性、家族統合、子供の最善の利益などについて考慮が尽くされる保証はどこにあるのですか。難民、補完的保護対象者、人道的保護の対象者と、三重の輪で保護すべき人を保護するといいますが、では、なぜ今、本人に何の責任もない未成年の子供たちに在留特別許可を出さず、仮放免としているのですか。進学などに支障が出て、可能性を奪われています。人道的立場から、今すぐ在留特別許可を出し、日本で安心して住み続けられるようにするべきです。

 監理措置制度は、支援者などに監視する役目を負わせるものであり、外国人の保護とは相入れません。収容か監理措置かの判断をなぜ裁判所としないのですか。入管庁の判断としていることが、非人間的な扱いが続く原因ではありませんか。入管庁の恣意的な判断を許す仕組み自体を根本から改めるべきです。

 本法案を撤回し、国際人権基準に沿って、人権尊重の入管制度に抜本的に改革することを強く求め、質問とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 本村伸子議員にお答え申し上げます。

 まず、名古屋入管被収容者死亡事案のビデオ映像等の開示や、第三者の検証委員会による真相究明についてお尋ねがありました。

 本事案については、入管庁において、客観的な資料に基づき、外部有識者にも御指摘をいただきながら幅広く問題点を抽出して検討を行ったものであり、ビデオ映像と調査報告書に明らかなそごと言える部分は見当たっておらず、調査は尽くされているため、第三者による検証は不要と考えています。

 ビデオ映像等の資料を全て開示することについては、保安上の支障の問題やウィシュマさんの名誉、尊厳の問題があることに加え、係属中の訴訟に与える影響も考慮すると、困難であると考えます。

 次に、名古屋入管被収容者死亡事案に関するビデオ映像に関する私の発言についてお尋ねがありました。

 御指摘の私の発言は、事実関係を述べたにとどまるものです。そして、法務大臣である私が所感を述べることは差し控えたものであり、発言の撤回をするような内容ではないと考えています。

 次に、収容を原則とする現行制度についてお尋ねがありました。

 現行法下においても、収容の必要性が認められない者については、運用上、収容することなく手続を進めており、全件収容主義と呼ばれる状態にはありません。

 その上で、本法案では、収容しないで退去強制手続を進める監理措置制度を創設し、個々の事案ごとに監理措置に付すか収容するか選択することとするなど、条文上も全件収容主義を抜本的に改めることとしています。

 次に、自由権規約委員会からの勧告についてお尋ねがありました。

 御指摘の勧告は法的拘束力を有するものではなく、勧告を受けたことのみをもって直ちに自由権規約違反とはならないと考えています。

 また、政府報告審査とは、数年ごとに、締約国が委員会に条約の実施報告を提出し、委員会が報告に対する意見を送付するという対話のプロセスです。

 今後の政府報告審査においても、引き続き、本法案における改正後の法制度や取組について合理的な理由とともに説明し、条約の義務を誠実に履行していることを示していく所存であります。

 次に、送還停止効の例外についてお尋ねがありました。

 我が国では、難民認定手続において、外部有識者である難民審査参与員による三人一組の審理を含め、制度と運用の両面から適正性を確保しています。

 その上で、送還停止効は、難民認定申請中の者の法的地位の安定を図るために設けられたものであり、法的地位の安定を図る必要がない三回目以降の難民等認定申請者をその例外としています。

 もっとも、難民等と認定すべき相当の理由がある資料を提出すれば、なお送還は停止されることとし、万が一にも、本来保護されるべき者が送還されることがないようにしており、ノン・ルフールマン原則に反した送還が行われることはありません。

 次に、本法案の退去の命令制度についてお尋ねがありました。

 退去の命令は、そもそも、退去を拒む自国民の受取を拒む国を送還先とする場合など、ほかに送還を実現する現実的手段がない場合に限定した制度であり、退去強制令書の発付を受けた者全てを対象とするものではありません。

 さらに、退去の命令を発出するのは、相当と認めるときに限ることとしており、自ら出国することが困難な未成年者の場合など、罰則により退去を強制することが相当でない者について退去の命令が発出されることはないことから、御指摘は当たりません。

 次に、未成年の外国人に対する在留特別許可についてお尋ねがありました。

 入管庁では、御指摘のような方々について、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して、適切に在留特別許可の判断を行っております。

 また、本法案においては、在留特別許可の判断の考慮事項を明示し、申請手続を創設することとしており、これにより、申請者は自らが在留を必要とする事情等を的確に主張することが可能となり、御指摘のような子供の利益などの事情を含め、適切に考慮することが可能となります。

 次に、収容期間の上限や司法審査についてお尋ねがありました。

 我が国では、収容の前提となる退去強制処分は、いわゆる三審制の下、慎重かつ厳格な手続を経ており、不服がある場合には事後的に司法審査を受けることができます。

 加えて、本法案においては、監理措置か収容かのいずれかを選択することとした上、収容した場合でも、三か月ごとに収容の要否を必要的に見直し、収容判断の適正をチェックする仕組みを導入しています。

 こうした事前、事後の仕組みにより、手続の適正は十分に図られており、恣意的な判断は排されるので、事前の司法審査や収容期間の上限を設ける必要はないと考えています。

 最後に、人権尊重の入管制度に抜本的に改革するべきとのお尋ねがありました。

 我が国は、締結している人権諸条約が定める義務を誠実に履行しており、そもそも、我が国の入管制度がこれに違反するものではない上、本法案は、外国人の人権を尊重しつつ適正な出入国在留管理を実現する制度にしようとするものであります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣     齋藤  健君

       財務大臣臨時代理

       国務大臣     松本 剛明君

       厚生労働大臣   加藤 勝信君

       農林水産大臣   野村 哲郎君

       国土交通大臣   斉藤 鉄夫君

       環境大臣     西村 明宏君

       防衛大臣     浜田 靖一君

       国務大臣     河野 太郎君

       国務大臣     高市 早苗君

 出席副大臣

       法務副大臣    門山 宏哲君


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