衆議院

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第19号 令和5年4月14日(金曜日)

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令和五年四月十四日(金曜日)

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  令和五年四月十四日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

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 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(細田博之君) この際、内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣河野太郎君。

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、新型コロナウイルス感染症等により、社会における抜本的なデジタル化の必要性が高まっている状況を踏まえ、デジタル社会の基盤であるマイナンバー及びマイナンバーカードの利用の推進に関する各種施策を講じ、もって国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図ることを目的とするものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、個人番号等の利用に関する施策について、社会保障制度、税制及び災害対策に関する分野以外の行政事務においても利用の促進を図るとともに、国家資格に関する事務等における個人番号の利用を可能とすることとしております。

 第二に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律について改正後の別表に掲げる事務に準ずる事務において個人番号を利用することを可能とするとともに、情報提供ネットワークシステムにおいて特定個人情報の照会及び提供を行うことができる者並びに情報の項目について、主務省令で定めることとしております。

 第三に、個人番号カードの本人の写真について、申請の日において一定年齢未満の場合は表示しないとする措置を講ずることとしております。また、医療保険の被保険者証を廃止することとし、あわせて、所要の場合に、医療機関等を受診する際の資格確認のために必要な書面の交付等を求めることができる等の措置を講ずることとしております。

 第四に、在外公館における国外転出者に対する個人番号カードの交付及び電子証明書の発行の申請等並びに地方公共団体が指定した郵便局における個人番号カードの交付の申請の受付等を可能とする措置を講ずることとしております。また、個人番号カード用利用者証明用電子証明書による電子利用者証明が行われない場合の利用者の確認に係る措置を定めることとしています。

 第五に、戸籍及び住民票等の記載事項並びに署名用電子証明書の記録事項に氏名の振り仮名を追加し、個人番号カードに氏名の振り仮名を記載することとしております。

 第六に、行政機関の長等が預貯金口座情報等を保有している場合に、書留郵便等により預貯金者に対し一定の事項を通知して同意を得たとき又は一定期間を経過するまでの間に回答がなかったときは、内閣総理大臣は当該預貯金口座情報を公的給付支給等口座として個人番号等とともに登録することを可能とすることとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して一年三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

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 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(細田博之君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。坂本祐之輔君。

    〔坂本祐之輔君登壇〕

坂本祐之輔君 立憲民主党の坂本祐之輔です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、質問を行います。(拍手)

 法案の質問に先立ちまして、国民の生活に重大な影響を与えた昨日朝のJアラート発信につきまして質問いたします。

 昨日朝、北朝鮮からミサイルが発射されました。その直後の七時五十五分にJアラートが発信され、そして、八時十六分には落下の可能性がなくなったと修正されました。この間、北海道では、JRは二十八本運休し、地下鉄も含め多くの交通機関が運転を一時見合わせ、一部の小中学校では始業時間を繰り下げ、高速道路に至っては九時頃まで通行止めが続くなど、大きな社会的混乱をもたらしました。

 落下の蓋然性と社会的混乱の関係をどのようにお考えでしょうか。このJアラートの国民生活への影響を考えると、不確実な情報を基に発信している今のシステムに対して疑念を感じています。この点について、官房長官に見解を伺います。

 また、今後、Jアラートの運用の改善が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。官房長官に見解を伺います。

 それでは、ただいま議題となりました行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、河野デジタル担当大臣、加藤厚生労働大臣に対し質問を行います。

 立憲民主党は、行政及び社会のデジタル化を推進するに当たって、政府による監視手段にしない、個人情報の保護、セキュリティーの確保、利便性の向上、使わない人が不利にならないの五つの理念を重視してきました。その観点から、今回のマイナンバー法等の改正は、懸念の残るものと言わざるを得ません。

 現行法では、マイナンバーの利用事務を税務、社会保障、災害の三分野に限るものとし、かつ、それらの分野内の利用事務についても、国会の審議に基づいて法律で定めた事務についてのみ認め、マイナンバーつきの個人情報の提供を厳格に制限しております。

 今回の改正案では、マイナンバーの利用事務を国家資格や自動車登録、在留外国人の事務に拡大します。また、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務で、事務の性質が同一であるものであれば、法改正なしにマイナンバーを利用でき、法律でマイナンバーの利用が認められている事務について、主務省令に規定することで情報連携が柔軟にできるようになります。

 本年三月九日のマイナンバー制度に関する最高裁判所判決において、具体的な法制度やシステムの内容次第では、利用分野、事務を拡大すれば、より広範な個人情報が番号にひもづけられ、名寄せされ、データマッチングやプロファイリングされてしまう危険性が高まることが指摘されています。

 利用範囲の安易な拡大は、情報漏えいに加え、利用者の知らないところで政府に勝手に名寄せされ、悪用されるおそれも高めるのではないでしょうか。データマッチングやプロファイリングの危険性について、河野デジタル担当大臣はいかがお考えでしょうか。

 法律の別表で利用の範囲を明示する仕組みは、名寄せリスクや、いわゆる国民の情報が全て一元管理されるのではないかという国民の不安に対する答えであったと考えます。国会審議と法改正は、マイナンバーへの国民の信頼の重要な基盤であり、新たなガバナンスの仕組みもないままの安易な利用拡大は、国民の不安を募らせることになります。

 利用事務については国会での十分な審議を行って法定する手続が必要であり、今回の改正は立法府の監視機能を軽視するものではないでしょうか。国会や有識者の十分な検討がないまま、なし崩し的に用途が拡大するおそれはないでしょうか。少なくとも、独立した第三者の専門家が妥当性を事前に判断するといった仕組みを導入すべきではないでしょうか。河野大臣の明快な答弁を求めます。

 次に、マイナンバーカードと健康保険証の一体化についてお尋ねいたします。

 私は、セキュリティーを確保した上で、健康保険証とマイナンバーカードを一体化し、希望する人がマイナンバーカードを取得して健康保険証として利用することを否定するものではありません。議論なし、準備なし、根拠なしの義務化に問題があると考えています。

 河野大臣に伺います。

 国民皆保険制度を採用する我が国では、健康保険証の廃止は、番号法の申請主義、任意取得の原則に反し、マイナンバーカードの取得を事実上強制しようとするものであり、カードの取得が進まないことに対するショック療法のように受け止められます。

 健康保険証の廃止は、デジタル化の推進に当たっての、誰もが不自由なく行政とのやり取りを行える機会が得られるよう必要な措置を講ずる、従来の機能を求める国民のニーズに十分配慮するとの附帯決議に抵触しないでしょうか。また、カードと運転免許証の機能の一体化では運転免許証自体を廃止しないのに、保険証は廃止するのは矛盾していないでしょうか。

 医療機関でのオンライン資格確認システムの運用開始は七割ほどにとどまっています。不具合も多く報告されています。この際、廃業や閉院を決意する医療機関もあります。

 加藤厚生労働大臣に伺います。

 環境整備が追いつかず、現場の混乱も予想されますが、どのように対処するおつもりでしょうか。同じ保険料を負担しながら、マイナ保険証を利用しないだけで負担が増えることになるのは、医療給付の平等性を損ないかねないのではないでしょうか。

 資格確認書も申請主義であり、被保険者証を有しない被保険者、すなわち無保険者が必ず発生します。従来の健康保険証を存続させれば、新たに別の制度をつくる必要はないと考えます。これまで同様、健康保険証は全員に交付した上で、希望者はマイナンバーカード利用とすればよいだけのことで、何の不都合があるのでしょうか。加藤厚生労働大臣の明快な答弁を求めます。

 マイナ保険証については、その利用時に、顔認証システムの利用を事実上強制することになります。

 日弁連は、顔認証システムによるプライバシー侵害の大きさに鑑み、医療機関受付での個人番号カードを用いた顔認証システムの利用、及び、個人番号カードを健康保険証、運転免許証等とひもづけることにより顔認証データの利用を著しく拡大させ、顔認証システムの利用範囲を拡大させることの中止を求めています。

 顔認証システムについての河野大臣の見解を伺います。

 二〇二四年に予定されているマイナンバーカードの海外利用開始に伴い、氏名をローマ字表記できるようになります。また、戸籍や住民票に氏名の振り仮名が記載されるようになります。

 マイナンバーカードは性別欄等が表面に記載されていることから、性同一性障害やLGBTQ当事者にとっては、精神的、心理的苦痛をもたらすものでもあります。券面の記載に関して、マイナンバーや性別の記載を削り、プライバシーや性同一性障害の方の人権保障に資するよう見直すことについて、河野大臣はいかがお考えでしょうか。

 年金などの公金受取口座について、行政機関が既に口座情報を保有している場合、公金受取口座として登録するかどうか、本人に確認し、一定期間に不同意の回答がなければ同意とみなす特例制度についてお尋ねいたします。

 デジタル庁の検討会では、不同意でなければ同意とみなすのはよくよく注意した方がいいのではないか、個人的にはやらない方がいいのではないかなどと慎重な検討を求める声も上がっていました。勝手に登録されたとの不満の声が募る可能性もあります。

 公金受取口座とマイナンバーのひもづけ登録には、名義人の積極的な同意を求めるべきではないでしょうか。通知を受け取るのが困難な層への配慮についてはどのようにお考えでしょうか。口座の登録で資産が把握されるのではとの不安がありますが、登録した口座の利用目的についての安易な拡大や流用への歯止めはどのようになっているのでしょうか。河野大臣の答弁を求めます。

 横浜市内などのコンビニでの公的証明書交付サービスで、誤発行した住民票などが十通あり、十八人の個人情報が流出したとの調査結果が発表されました。誤発行の証明書は全て回収済みで、悪用の形跡は見つかっていないのは幸いです。

 マイナンバーカードが急速に普及して利用者が増え、システムに負荷がかかり続けた結果、発行が滞ってしまったといいますが、ポイントを付与して、高圧的にマイナカードを取得させておいて、この言い訳はありません。現場の状況やシステムの能力を顧みずに、やみくもにマイナンバーカード普及を促した結果ではないでしょうか。しかも、住民票が出てこないなら分かりますが、他人の住民票が出てくるというのはなぜでしょうか。システム負荷が原因とはいっても、原因をしっかり究明し、再発を防ぐ必要があります。また、全国の自治体で同様のことが起こらないか、調査すべきと考えます。河野大臣の見解を伺います。

 政府は、二〇二二年度末までにほぼ全国民に行き渡らせるとの目標を掲げ、あめとむちで躍起になって進めてきました。私は、今回の改正は強引に過ぎ、かえってマイナンバーへの不信感を更に強めることにならないか危惧しています。

 河野大臣、あくまで申請主義であるのに、そこまでして事実上の義務化をしようとするのはなぜでしょうか。

 政府の個人情報保護委員会によると、二〇一七年度から二〇二一年度の五年間で、少なくとも三万五千人分のマイナンバー情報の漏えいなどが発生しています。マイナンバーなどの情報入力の受託業者が無断で中国の業者に再委託し、個人情報の流出が疑われる事案も表面化しました。デジタル庁によると、マイナンバーカード未取得の理由は、情報流出が怖い、申請方法が面倒、メリットを感じないがそれぞれ三分の一ずつとなっています。

 河野大臣、マイナカードをデジタル社会の基盤にしたいのであれば、今政府が行うべきは、政府への信頼を高めるとともに、安全性をより高める制度設計に努め、国民のマイナンバー制度やカードに関する懸念を一つ一つ払拭することであると考えます。河野大臣はいかがお考えでしょうか。

 最後に、立憲民主党は、今後も、国民のための行政と社会のデジタル化を推進する政党として、個人情報保護とセキュリティーを十分に確保し、行政の監視や統制の手段ではなく、国民の利便性の向上に資するデジタル化を目指していくことを表明し、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバーの利用範囲の拡大に伴うデータマッチング等の危険性についてのお尋ねがありました。

 マイナンバーは、ほかの識別子に比べて識別強度が高く、情報のマッチングや集積した情報の名寄せなどの処理にたけていることから、その利用範囲は法令又は条例で定められた行政事務に限定するとともに、制度面及びシステム面で各種のセキュリティー対策を講じております。

 具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、情報が保護される仕組みになっているかを事前に確認する特定個人情報保護評価や漏えい防止等の安全管理措置を義務づけるとともに、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、行政機関等の保有する個人情報について、一元管理をせず、各行政機関等で分散管理し、情報連携の際にも機関ごとに異なる符号を利用するなど、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとすることなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしており、自分に関する情報が行政機関の間での情報連携がされた場合には、それが記録されるとともに、マイナポータル上で確認することができます。

 これらの仕組みは今般の改正法案により変わるものではなく、引き続き、個人情報保護に十分配慮した仕組みを維持しつつ、マイナンバー制度の普及や利活用の促進に向けて取り組んでまいります。

 次に、利用事務拡大に対する立法府や第三者の監視機能についてのお尋ねがありました。

 本改正においても、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続き、マイナンバー法に個別に規定する必要があり、国会において御審議いただく必要があります。その上で、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務について、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることとしています。

 また、本改正において、情報連携を速やかに開始するため、法令でマイナンバーの利用が認められている事務の範囲内で、主務省令において情報連携を可能とすることとしています。この場合においても、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定されていることから、政府の裁量が従前より大きくなることはございません。

 加えて、先ほどもお答えしましたように、この改正により個人情報保護に配慮した制度に何ら変更はなく、新たにマイナンバーの利用や情報連携が可能となった場合も、その運用は、独立した第三者機関である個人情報保護委員会による監視、監督の対象となります。

 次に、マイナンバーカードと健康保険証との一体化及び運転免許証との一体化についてお尋ねがありました。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあり、そのようなメリットをより多くの国民、関係者の皆様に早くお届けできるよう、カードと健康保険証の一体化を進めるため、二〇二四年秋の健康保険証の廃止を目指すこととしています。

 なお、マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、この点を変更するものではありません。そのため、マイナンバーカードの保有を義務づけるものではなく、事実上強制するものでもありません。

 また、今後、カードと健康保険証を一体化した後の資格確認について、カードによるオンライン資格確認を基本としつつ、例外的な事情によりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、本人の申請に基づき発行される資格確認書により被保険者資格を確認することとしており、御指摘の附帯決議にのっとった対応としています。

 なお、カードと運転免許証の一体化については、昨年四月に改正された道路交通法において、運転免許を受けようとする者や運転免許証を所持する者から申請があった場合にカードとの一体化を行うこととされており、こうした制度が二〇二四年度末までに施行される予定です。その後の運転免許証の取扱いについては改正法の施行状況を見ながら検討するものと承知しており、既に一体化を開始している保険証とはその状況が異なるものと考えます。

 次に、顔認証システムについてのお尋ねがありました。

 医療機関等においてマイナンバーカードを利用してオンライン資格確認を実施する場合、マイナンバーカードの顔写真と顔認証機能つきカードリーダーで撮影した本人の顔写真を電子的に照合する方法、マイナンバーカードの四桁の暗証番号を入力する方法のいずれかの方法により、成り済ましを防ぎ、電子的かつ確実な本人確認を行うことが可能となっています。

 また、顔認証を行う場合においては、患者の顔写真情報がカードリーダー等に保存されることはなく、患者の資格情報等とひもづくこともないと承知しています。

 なお、マイナンバーカードと運転免許証の一体化においては、顔認証システムの導入は検討していないものと承知しています。

 次に、マイナンバーカードの券面の記載事項についてお尋ねがありました。

 マイナンバーカードの券面に性別の記載があることについては、カード創設当初にLGBTの皆様から御心配の声をいただいたため、カード交付時に、性別欄をマスキングするカードケースを配布しています。

 マイナンバーカードの券面記載事項については、御指摘の件も含め、本人確認のためのカードの在り方として重要な事項であり、関係者の御意見を伺いながら、丁寧に検討を進めていくべき課題と考えています。

 現在発行しているカードは、今後、順次、有効期限を迎えていきます。その際、次世代のカードを設計するに当たっては、カードの券面記載事項について、様々な関係者の御意見も丁寧に伺いつつ、しっかり検討を進めてまいります。

 次に、公金受取口座に関し、登録に際しての同意取得方法、通知の受取が困難な方への配慮、登録口座の利用目的拡大への歯止めについてのお尋ねがありました。

 改正法案の特例制度における同意取得の方法については、登録を行いたくない方が不同意の回答を行う機会を確実に確保するため、当該制度の対象者には書留郵便等により個別に事前通知を行う旨を法律に規定するとともに、広報等を通じて事前に本制度の周知徹底を図ることを予定するなど、万全な体制を期してまいります。

 さらに、通知を受け取るのが困難な層への配慮について、例えば、認知症の方や知的障害のある方など御自身にて回答が困難な場合、他制度の状況等も踏まえ、後見人や御家族の方などの支援を受けて意思表示を行うことを可能とすることや、視覚障害のある方も内容の確認ができるよう、音声コードを追加することなどを検討しています。

 また、登録された口座の利用目的については、公金受取口座登録法において、各行政機関等が行う公的給付の支給等に係る金銭の授受に限定されており、当該法律の規定にのっとって適切に運用を行ってまいります。

 次に、横浜市のコンビニ交付サービスで発生した事案についてお尋ねがありました。

 横浜市のコンビニ交付サービスで発生した事案については承知しており、個人情報漏えいにも当たる事案であることから、大変遺憾に思います。

 本事案については、横浜市の証明書発行サービスを担っているベンダーのアプリケーションにおいて、申請件数の増により印刷処理に遅延が生じたことが直接の原因であり、既に改修による対応が行われております。

 また、当該ベンダーのアプリケーションは横浜市以外の自治体でも使われており、既に同様な事案が発生しないよう措置されています。

 本事案の発生を受けて、総務省において、関係者から原因について確認を行うとともに、自治体に対し、運用監視の徹底等について要請を行いました。

 また、J―LISから各ベンダーに対し、システムの点検を行うとともに、利用者数の急増への対応が図られるよう要請を行っております。さらに、J―LISが各ベンダーを集めた会議を開催し、本事案について情報の共有を行うとともに、デジタル庁、総務省及びJ―LISから、改めてシステムの点検等の対応の徹底をお願いしております。

 本事案は、マイナンバーカード自体やカードを使った情報連携の仕組みに問題があるわけではなく、マイナンバーカードの信頼性に影響するものではございませんが、個人情報を取り扱うシステムの安全性は重要であり、引き続き、関係省庁と連携して必要な対応を行ってまいります。

 次に、マイナンバーカードの事実上の義務化への懸念についてお尋ねがありました。

 マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会のパスポートであり、デジタルガバメントを推進するための重要なインフラであることから、早期の普及が重要です。

 例えば、マイナンバーカードで受診することにより、患者御本人の健康、医療に関するデータに基づいた、より適切な医療を受けていただくことが可能となるなど、マイナンバーカードには、行政だけでなく国民にとっても様々なメリットがあることから、これまで、政府を挙げて、カードの普及や利便性向上に向けた方策に総合的に取り組んできたものです。

 なお、マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、マイナンバーカードの取得を義務づけるものではありません。

 最後に、マイナンバーカードの安全性についてお尋ねがありました。

 マイナンバー制度は、行政の効率化と国民の利便性向上を実現し、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤であると考えています。

 マイナンバー制度では、制度面及びシステム面で各種のセキュリティー対策を講じており、具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、情報が保護される仕組みになっているかを事前に確認する特定個人情報保護評価や漏えい防止等の安全管理措置を義務づけるとともに、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこととしているほか、行政機関等の保有する個人情報について、一元管理をせず、各行政機関等で分散管理し、情報連携の際にも機関ごとに異なる符号を利用するなど、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとしています。

 また、マイナンバーカードのICチップに記録される個人情報は、券面に記載される氏名、住所、生年月日、性別の四情報やマイナンバーなどの情報に限られ、機微な個人情報は記録されていません。

 さらに、マイナンバーカードを利用する場合には暗証番号が必要であり、一定回数間違えるとロックがかかるほか、ICチップから情報を無理に取り出そうとするとチップが壊れる仕組みを採用するなど、高いセキュリティー対策を講じており、カードの紛失、盗難等により個人情報が流出するものではありません。

 このように十分なセキュリティー対策に取り組んでいますので、引き続き、分かりやすい周知、広報を行うことにより、国民の皆様の懸念を払拭してまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 坂本祐之輔議員の御質問にお答えをいたします。

 医療保険のオンライン資格確認の原則義務化に当たっては、顔認証つきカードリーダーの無償提供やシステム改修の補助金の拡充に加え、システム事業者への導入加速化の働きかけ、ポータルサイトによるトラブル対処法等の周知、コールセンターの設置などを行っております。また、システム整備が間に合わないなど、やむを得ない事情がある医療機関などについては、経過措置を設け、財政支援の期限も延長しているところであります。

 オンライン資格確認を導入している医療機関等については、薬剤情報などを活用した医療の質の向上が期待されるため、診療報酬を加算しております。その上で、マイナンバーカードを利用した場合には、問診等の業務負担が減ることから、患者負担を低くしているところであります。

 こうしたオンライン資格確認のメリットについて引き続き医療現場に対し丁寧に周知し、確実な導入に向けた支援に取り組んでまいります。

 健康保険証の廃止についてお尋ねがありました。

 国民の皆様にマイナンバーカードで受診していただくことで、患者本人の健康、医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けていただくことが可能になる、また、健康保険証の発行負担が軽減されるなど、カードと健康保険証の一体化には多くのメリットがあります。

 こうしたメリットを踏まえ、来年秋に健康保険証を廃止することを予定しており、廃止後にオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、本人の申請に基づき発行される資格確認書により受診をしていただくこととしています。

 国民の皆様に対し、マイナンバーカードの利用によるメリットを丁寧にお伝えするとともに、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方に資格確認書の申請を勧奨するなど、資格確認書の取得について必要な対応を行ってまいります。(拍手)

    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣(松野博一君) 坂本祐之輔議員にお答えいたします。

 Jアラートについてお尋ねがありました。

 昨日、北海道及びその周辺に落下する可能性のあるミサイルを探知し、限られた探知情報の中で、システムが北海道周辺に落下するとの航跡を生成していたため、国民の皆様の安全を最優先する観点から、Jアラートを発出したところであります。

 その後、当該ミサイルについて、我が国への飛来は確認されず、我が国領域への落下の可能性はなくなったことが確認されたため、可能な限り速やかに国民の皆様に情報提供をしたところであります。

 ミサイルによる落下物等の危険性を速やかに国民に知らせるというJアラートの役割に鑑みれば、今回のJアラートの送信に問題があったとは考えていませんが、国民の皆様への情報伝達の在り方については不断に検討を行い、今後とも、国民の安全、安心のため、より迅速、かつ、より的確な情報提供に努めてまいります。(拍手)

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議長(細田博之君) 中司宏君。

    〔中司宏君登壇〕

中司宏君 日本維新の会の中司宏です。

 私は、党を代表して、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問いたします。(拍手)

 三年余り前、世界を襲った新型コロナウイルス感染症によって、我が国では、行政のデジタル化の大きな遅れが露呈するなど、いわゆるデジタル敗戦を嫌というほど思い知らされました。この状況を挽回すべく、令和三年九月には、行政のデジタル化を牽引する司令塔として、デジタル庁が発足しました。

 しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるという例えのとおり、今回の改正法案の内容を見ると、まだまだ政府の動きは鈍いと言わざるを得ません。

 未知のウイルスの蔓延で社会経済が混乱に陥っていた令和二年六月、日本維新の会は、自民党、公明党とともに、三党で緊急時給付迅速化法案を提出し、成立させました。三年春に成立したデジタル社会の基本理念を定めるデジタル社会形成基本法では、与党と調整し、国と自治体の役割の三本柱の一つとして、公正な給付と負担の確保を追記することができました。

 こうしたデジタル分野の法整備に当たって我が党が果たしてきた役割を振り返りますと、私たちは、与党とともに、この法律に責任を有するものと自負しております。ゆえに、その執行を監視し、もし政府の対応が不十分であるなら、その背中を強く押していくという覚悟と責任の下、以下、質問させていただきます。

 まず、河野デジタル担当大臣にお尋ねします。

 現行のいわゆるマイナンバー法では、マイナンバーの利用の対象となる業務を法律の別表として細かく定めていますが、今回の改正では、規定に準じた業務なら、法改正なしで追加できるような仕組みに改めることになっています。

 この法改正によって、地方自治体が独自の住民支援策を迅速に行えるようになるなど、行政サービスの改善につながるといったメリットを広く国民に浸透させることが極めて重要だと考えますが、この点についての認識を伺います。

 一方で、マイナンバーの利用対象業務が拡大することに伴い、情報漏えいのリスクが増えるとともに、万一漏えいした場合の影響も大きくなると考えます。利用範囲の拡大に伴うリスクについて、国民にどのように周知していく方針でしょうか。

 利用対象業務の飛躍的な拡大及びカード普及の足かせになっているのは、個人情報漏えいなど、セキュリティー面での不安が一部に根強くあるからだと思います。デジタル化への両輪と言える国民の利便性の向上と不安の払拭をどのように並行して進めていくお考えでしょうか。

 三月下旬には、横浜市内のコンビニで住民票を受け取ろうとした市民に、別の人の住民票が発行されるというトラブルが複数発生しました。これは、マイナンバーカードの信頼性を揺るがしかねない事案ですが、交付申請が集中し、システムに負荷がかかったことが原因とされています。

 大臣は、カードの信頼性に影響するものではないと述べられましたが、なぜそう言い切ることができるのですか。システムを発注する自治体のチェック体制には限界があるため、国が事業者等に対して指針を出すなどの対応が必要ではないですか。

 今回の法改正では、全ての行政分野についてマイナンバーの利用を促進、推進するとしていますが、行政分野以外については利用の可能性の考慮にとどまっています。今後のデジタル改革において、民間企業によるマイナンバーの活用を更に活性化させるべきだと考えますが、見解を求めます。

 健康保険証との一体化を始め、戸籍の記載事項への振り仮名の追加、あるいは公金受取の口座登録のための年金受給者への通知など、マイナンバーの積極的な利用拡大に当たっては、至るところで、地方自治体、特に市町村の事務負担と財政負担が生じることになります。そこで、地方自治体にかかるコストの一部を政府が助成する措置等、しっかりとした支援策が必要と考えますが、併せて見解を求めます。

 日本維新の会は、マイナンバー法を改正して使途を拡大し、マイナンバーのフル活用を推進し、マイナンバーと全ての銀行口座のひもづけを義務化すること等を通じて収入と資産とを捕捉する一方、戸籍から不動産登記、外国人在留管理までをひもづけし、ワンストップサービスの拡充、有事の際の給付金の速やかな支給など、透明で公平公正、迅速な行政施策の実施を実現すべきだと強く訴えてまいりました。

 公正な給付と負担を確保していく上で、預貯金口座とマイナンバーのひもづけの義務化を急ぐべきではないですか。欧米では当然となっている預金口座とマイナンバーのひもづけが、我が国で遅々として進まない理由は何だとお考えですか。マイナンバー政策のゴールとして、最終的に我が党の主張を実現させる考えはありますか。ないのなら、その理由及び政府が目標に据えるマイナンバー政策のゴールについて説明を求めます。

 デジタル社会形成基本法では、国民の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上、そして、我が党の修正提案により盛り込まれた、公正な給付と負担の確保、この三つが国と地方公共団体の役割として明記されました。

 昨年六月に閣議決定されたデジタル社会実現に向けた重点計画には、国民の利便性の向上、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上、この二点について様々な取組がうたわれています。しかしながら、公正な給付と負担の確保については、ほとんど記載がなく、なおざりになっています。それはなぜですか。公正な給付と負担の確保について、具体的に進めていく考えはあるのですか。

 マイナンバーカードは行政デジタル化の核となるものであり、今回の法改正で打ち出された健康保険証との一体化は、その試金石になります。国民の目線に立って医療DXの戦略を展開することにより、ひいては医療ビッグデータの活用や医療費の適正化などにつながるものと考えます。オンライン資格確認等のシステムを導入し、マイナンバーカードを用いた本人確認を行うことにより、医療機関や薬局において特定健診等の情報や診療、薬剤情報の閲覧やチェックができるようになり、国民はよりよい医療サービスが受けられます。

 マイナンバーカードの普及が行政の効率化や医療機関などの負担軽減につながることについて、この際、政府が正面から誠意を尽くして説明し、マイナンバーカードの取得及び保険証との一体化について義務化を進めるべきではないですか。

 マイナポータルで支払い情報の登録ができれば、マイナ保険証で受診した医療費を指定口座やクレジットカードから引き落とせるようになり、患者にとっては窓口の待ち時間が大幅に減り、医療機関にとっても窓口業務が効率化し、未収金等の問題も解決すると考えます。医療費の支払い情報の登録について、どう考えますか。

 以下は加藤厚生労働大臣に質問しますが、さらに、マイナ保険証に診察券の機能も付加するようになれば、患者は、診察後、窓口で処方箋をもらう必要もなくなります。診察券機能をマイナンバーカードに付加することも検討すべきではないでしょうか。併せて所見を求めます。

 マイナンバーカードと保険証を一体化しても、電子カルテをマイナンバーに連動させることに道を開かなければ意味がないと考えます。

 例えば、外出先で急に持病などが悪化し救急病院に搬送された際に、病歴から医師がすぐに適切な処置を取れるなど、命を守ることにつながります。そうした活用ができないのであれば、マイナ保険証への切替えを促しても、国民にとって利便性の向上は限定的であり、一里塚にすぎません。政府として、国民の任意により、電子カルテとマイナンバーを連動させる考えはないのでしょうか。

 これを実現させる前提として、各医療機関で仕様が異なる電子カルテの標準化を進める必要があります。保険診療に係る医療についてのデジタル化は、医療機関に任せるのではなく、国が主導して、予算措置などを行い、整備を進めるべきではないですか。

 国が医療界のデジタル化を主導することについて、一昨年六月の参議院厚生労働委員会で、当時の菅総理は、やらなきゃならないと思います、国全体として統一のものが必要だという思いがあったのがまさに医療ですと答弁されました。この言葉をどう受け止めますか。そして、医療分野でのデジタル化のゴールはどこに据えているのですか。

 マイナンバーカードで保険資格を確認するオンライン資格確認システムの導入については、一部の例外を除いて、本年四月から運用開始が義務づけられていますが、対象となる医療機関の約三割でシステムの導入が間に合わなかったと伺っています。

 厚生労働省は、医療機関任せで、全体の状況を十分に把握していなかったのではないですか。今後、経過措置を繰り返す事態とならないよう、進行管理の徹底を図るべきではないですか。併せて厚労大臣の答弁を求めます。

 以下、改めて河野大臣に質問します。

 繰り返しますが、公的給付支給口座の登録制度について、日本維新の会は、二年前の法制定時から、全ての預貯金口座をマイナンバーとひもづけて登録すべきであると主張してきましたが、残念ながら、かなっていません。

 今回の法改正は一歩前進と言えますが、口座のマイナポータルへの登録は義務ではない上、マイナンバーと預貯金口座のひもづけも義務化に至っていません。公正な給付と負担を確保するためには、公正な給付を行うべき口座を正確に把握し、公正な負担をすべき者の所得や資産を正確に把握して、負担を不正に免れることが起きないようにする必要があります。

 マイナンバーにより預貯金口座の管理を義務化することで、個人の資産、収入を正確に把握し、公金の速やかな給付や給付つき税額控除を行うことが不可欠だと考えます。なぜなら、それが、我々維新の会が目指す、税と社会保障の一体改革である日本大改革プランにつながるからです。改めて見解をお示しください。

 さて、デジタル庁が発足して一年半がたちましたが、新型コロナウイルスワクチン接種証明書アプリ以外、国民が便利になったと思えるような成果を上げているとは言い難いと考えます。行政のデジタル化の司令塔の役割をしっかり果たしていると胸を張れますか。デジタル庁のこの間の成果と、浮かび上がった課題、そして今後の目標も併せて、総括をお聞かせください。

 デジタル庁は、政府のデジタル政策全般を統括し、他省庁への勧告権という強力な権限を持っています。河野大臣は、必要であれば勧告権を積極的に活用する方針を示されています。

 デジタル庁発足以来、この勧告権を発動した事例や、勧告権を背景として効果的な働きかけを行った事例はありますか。仮にそのような局面がなかったならば、霞が関の抵抗もなく業務は円滑に進んだと言えますか。大臣自身、縦割り行政は打破できた、弊害はないと言い切ることができますか。

 マイナンバーカードは、三月末時点で、人口に対する申請件数の率はおよそ七六・三%、申請受付の累計は九千六百十四万を超え、申請ベースで運転免許証の保有者を超え、顔写真付証明書としては最多となりました。

 ただ、マイナポイント事業をてこに普及が伸びてきただけに、今後は、カードが実際に活用されるかどうかに懸かっています。つまり、国民のニーズを的確に把握し、使い勝手のよい仕組みを導入することで、マイナンバーカードを使いたいと思えるサービスを不断に構築していくことが鍵だと考えますが、いかがでしょうか。

 政府は、マイナンバーカードの取得を任意にし続けているために、今や少数派と言える非取得者の権利を守ることに腐心せざるを得ない悪循環に陥っているのではないですか。国民の利便性向上は、まさに公共の福祉です。諸外国では義務化され、日常生活の利便性向上に寄与しているのに、我が国ではそれができない理由は何なのでしょうか。

 以上、河野大臣の明確な答弁を求めるとともに、政府に対しては、マイナンバーのフル活用及び預貯金口座のひもづけ、カードの取得義務化を早期に決断するよう強く訴え、私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバーの利用範囲の拡大によるメリット及びリスクとセキュリティーに関する周知についてのお尋ねがありました。

 現行のマイナンバー制度では、マイナンバーの利用範囲について、利用主体と事務について個別の法律を引用する形で法定しており、マイナンバーを利用できることとされている事務と実質的に異ならないにもかかわらず、個別の法律に基づかない事務についてはマイナンバーの利用ができませんでした。

 今般の改正法案において、個別の法律に基づかない事務についても、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務については、一定の限定の上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とします。これは、円滑な行政事務の運営が可能となるものであり、ひいては国民の利便性向上につながるものです。

 また、マイナンバー制度では、制度面及びシステム面での各種のセキュリティー対策を講じており、具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、漏えい防止等の安全管理措置を義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、個人情報を一元管理せず、各行政機関において分散管理することなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしており、これは改正法案においても引き続き同様です。

 今後とも、個人情報保護に十分配慮した仕組みを維持しつつ、マイナンバー制度の普及や利活用の促進に向け、制度の安全性について、丁寧で分かりやすい広報や周知に取り組んでまいります。

 次に、横浜市のコンビニ交付サービスで発生した事案についてお尋ねがありました。

 横浜市のコンビニ交付サービスで発生した事案については承知しており、個人情報漏えいにも当たる事案であることから、大変遺憾に思います。

 本事案については、横浜市の証明書発行サービスを担っているベンダーのアプリケーションの問題であり、マイナンバーカード自体やカードを使った情報連携の仕組みに問題があるわけではありません。そのため、マイナンバーカードの信頼性に影響するものではないと認識しています。

 デジタル庁では、国、地方公共団体、独立行政法人等の情報システムを対象に、情報システムの整備及び管理の基本的な方針を定めています。その中で、地方公共団体における情報システムの整備、運用に当たっては、総務省が作成する地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを参考にしながら、業務委託先を含め、セキュリティー対策に万全を期していただくものとしています。

 また、本事案の発生を受けて、総務省において、関係者から原因について確認を行うとともに、自治体に対し運用監視の徹底等について要請を行いました。また、J―LISから各ベンダーに対し、システムの点検を行うとともに、利用者数の急増への対応が図られるよう要請を行いました。

 引き続き、関係省庁と連携して、情報システムの安全性について必要な対応を行ってまいります。

 次に、マイナンバーの民間利用についてのお尋ねがありました。

 マイナンバーの利用範囲については、幅広く利用できるようにすることが国民の利便性向上に資するとの御意見がある一方、プライバシー保護等の面から幅広く利用することを懸念する御意見もあったことから、本改正においては、まずは、社会保障制度、税制、災害対策以外の行政事務についての利用を促進していくこととしたところです。

 将来的な個人番号の民間での利用については、個人情報保護への懸念も踏まえ、国民の理解を得つつ、適切に対応してまいります。

 次に、マイナンバー制度に関する地方自治体への支援についてお尋ねがありました。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴い必要となるシステム改修や周知、広報等の費用については、地方自治体等に財政支援することとしています。

 また、戸籍の記載事項としての振り仮名の追加に当たって必要となる既存システムの改修については、市町村において極力負担が生じないよう配慮してまいります。

 なお、公金受取口座登録の特例制度における年金受給者への通知については、日本年金機構が事務を行うため、自治体への負担は生じません。

 マイナンバー制度に関する施策に関しては、地方自治体の御協力が不可欠であり、デジタル庁としても、関係省庁一体となって、必要な支援に取り組んでまいります。

 次に、預貯金口座へのマイナンバーひもづけの義務化及びマイナンバー政策の目的についてお尋ねがありました。

 金融機関における預貯金口座とマイナンバーのひもづけについては、二〇二一年五月に成立した預貯金口座個人番号利用申出法において、先行していた特定口座などの証券口座において口座名義人本人にマイナンバーの告知義務を課したものの、ひもづけが進まなかったことも踏まえ、預貯金者の負担軽減と具体的な国民の皆様のメリットを拡充することにより、付番の実効性を高めることとしています。

 具体的には、預貯金者本人の同意を前提に、他の金融機関にお持ちの既存口座も含め、ワンストップでマイナンバーとのひもづけがなされる仕組みを設けています。あわせて、相続時や災害時に口座の所在を的確に確認できる仕組みを整備するなど、マイナンバーのひもづけにより受けられる具体的なメリットについても充実を図っています。

 また、あわせて、新規に預貯金口座を開設するときに、金融機関が口座開設者本人にマイナンバーの告知を求めることを義務づけることとしています。

 デジタル庁としては、まずは同法の円滑な施行に向けてしっかりと準備を進めることにより、行政運営の効率化及び公正な給付と負担の確保に資するとともに、預貯金者の利益の保護を図るよう努めてまいります。また、マイナンバー制度全体としては、在留資格に係る許可等に関する事務など、マイナンバーの利用範囲を拡大し、行政の効率化及び国民の利便性の向上を図り、公平公正な社会の実現を目指してまいります。

 次に、公正な給付と負担の確保についてのお尋ねがありました。

 閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画には、マイナンバー制度を活用した行政機関等の間での情報連携の拡大などにより、より正確な所得情報等を基にした給付を可能とするなど、公正な給付と負担の確保に資する取組についても検討するとしています。

 デジタル庁としては、社会保障制度や税制を所管する制度官庁とも協力して、公平公正な社会の実現に向けた取組を引き続き進めてまいります。

 次に、マイナンバーカードの取得及び健康保険証との一体化の義務についてお尋ねがありました。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、患者にとって医療データの共有等により診療の質の向上になることを始め、医療機関、薬局、保険者を含め様々な立場からよりよい医療につながるといったメリットがあります。

 こうしたメリットをより多くの国民、関係者の皆様に早くお届けできるよう、カードと健康保険証の一体化を進めるため、二〇二四年秋の健康保険証の廃止を目指していきます。

 その際、マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、健康保険証との一体化に際しても、この点を変更する予定はありません。したがって、マイナンバーカードの取得を義務づけるものではありません。

 御提案のマイナンバーカードの取得の義務化については、マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも確実な本人確認ができる最高位の身分証であり、厳格な本人確認の下で交付する必要があります。このため、カードに必要な顔写真を撮影するとともに、対面での厳格な本人確認を必要としていることから、その取得を義務化せず、申請によることとしたところであり、現段階では、カードの義務化は難しいと考えています。

 次に、マイナポータルを活用した医療費情報の登録についてお尋ねがありました。

 デジタル技術を活用して、体調に不安を抱える方の負担を少なくし、医療データの利活用による医療サービスの質の向上のため、医療DXを推進することが重要です。

 御指摘の医療費の支払いについては、事前にクレジットカードを登録することで、診療後、会計窓口での支払いを行わずに帰宅できるアプリが民間事業者により既に提供されています。

 デジタル庁としても、これまで関係省庁と、マイナンバーカードと健康保険証の一体化や電子処方箋の導入に取り組むとともに、更なる利便性の向上のため、今後、マイナンバーカードを子供の医療費などの受給者証としても利用できるようにするとともに、予防接種や妊婦健診などを受ける際に、事前に予診票をスマホで入力することで、紙の管理に煩わされないようにするための情報連携に取り組んでまいります。

 引き続き、国民や医療機関の方々がデジタル化のメリットを感じていただけるよう、取組を行ってまいります。

 次に、マイナンバーによる個人の資産、収入の把握についてのお尋ねがありました。

 公金受取口座登録制度は、公的給付等の迅速かつ確実な受取という利便性の確保を通じて、預貯金口座を任意で登録いただくものです。また、公金受取口座は公的給付の受取を目的とするものであることから、その登録により預貯金口座の残高や取引履歴を把握することは不可能であり、これらの点は、今回の改正法案においても変わるものではありません。

 御提案いただきました公正な給付と負担の確保について、一義的には、社会保障制度、税制等の所管省庁においてその在り方や制度設計が検討されるものと考えます。

 なお、二〇二一年五月に成立した預貯金口座個人番号利用申出法におきましては、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保に資するとともに、預貯金者の利益の保護を図るため、預貯金者本人の同意を前提に、他の金融機関にお持ちの既存口座も含め、ワンストップでマイナンバーとのひもづけがなされる仕組み等を設けています。

 デジタル庁においては、まずは同法の円滑な施行に向けてしっかりと準備を進めていくことが重要と考えています。

 次に、デジタル庁の成果についてのお尋ねがありました。

 デジタル社会の実現に向けて、二〇二一年九月にデジタル庁が設立され、その後、約一年半の間に着実に成果を上げていると考えます。

 例えば、御指摘のあった、新型コロナワクチン接種証明書アプリを提供し、多くの国民が証明書を簡単に取得、提示できるようになったほか、全府省における目視規制などのアナログ規制の撤廃に向け、法令約一万条項の見直し方針を確定し、本国会にデジタル規制改革推進の一括法案を提出しています。また、国民の皆様や自治体の御協力を得て、マイナンバーカードの申請数が約九千六百万件を超え、運転免許証を超える数となり、デジタル社会のパスポートとしての本人認証基盤が国民の大多数に行き渡るなどといった成果が上げられます。

 一方、国民にとってよりよい体験、新サービスの導入、効率的なシステム開発の実現には課題があり、これらの解決のためには、ガバメントクラウド等のデジタル庁が提供する共通基盤の普及に加えて、デジタル庁を含めた各府省の提供するサービスにおいて、ユーザーインターフェースやユーザー体験の徹底した改善などを更に進める必要があり、機動的な改善を行うため、デジタル人材などの体制強化が必要です。

 デジタル庁としては、今後も、利用者視点の行政サービスづくりを進め、社会全体のデジタル化の司令塔として牽引してまいります。

 次に、勧告権の行使についてお尋ねがありました。

 デジタル大臣の勧告権をこれまで行使したことはありません。

 デジタル庁は、デジタル社会の実現に関する司令塔として、法令に基づく強力な総合調整機能を活用し、各府省にまたがる横断的課題の一体的な検討や実行を推進しているところです。例えば、昨年九月には、デジタル庁内に大臣直轄の機動的改善チームを立ち上げ、国民からの御意見、御要望について、その案件の所管にかかわらず、関係府省と連携し、できるものから速やかに対応しております。

 今後も、引き続き、各府省と緊密に連携し、社会全体のデジタル化の推進に取り組んでまいります。

 最後に、マイナンバーカードを利用したサービスの拡大及び取得の義務化についてお尋ねがありました。

 先ほどもお答えしましたように、マイナンバーカードは、対面での厳格な本人確認の下で交付する必要があることから、その取得を申請によることとしているものであり、現段階では、カードの義務化は難しいと考えています。

 一方、マイナンバーカードは九千六百万件を超える申請をいただいており、今後は、カードの普及から、カードを持つことによる利便性の拡大に重きを置く必要があります。

 これまでも、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたほか、カードを使った薬剤情報や特定健診情報、医療費情報の閲覧、利用、国内外で利用可能なワクチン接種証明書の取得、確定申告の際の医療費控除やふるさと納税の手続のオンライン完結など、利用シーンの拡大に取り組んできています。

 今後も、更なる利便性向上として、カードの電子証明書機能のスマートフォンへの搭載、運転免許証との一体化、カードの国外利用の実現、在留カードとの一体化などを実現することにより、マイナンバーカードを通じて様々なメリットが享受できるということを国民の皆様に実感していただけるよう取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 中司宏議員の御質問にお答えいたします。

 マイナンバーカードへの診察券機能の付加についてお尋ねがありました。

 オンライン資格確認等システムを導入している医療機関等においては、マイナンバーカードを診察券として代用することが仕組みとしては可能であり、実際にこうした機能を活用する医療機関も出てきております。

 引き続き、オンライン資格確認等システムの普及を促進する中で、こうした機能があることについても分かりやすくお示しをしてまいります。

 電子カルテとマイナンバーの連携についてお尋ねがありました。

 電子カルテ情報等の保健医療情報については、医療DXの下で、マイナンバーカードの電子証明書を用いるオンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、全国的に共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの創設や電子カルテ情報の標準化などを進め、医療現場等でその活用を図ることとしています。

 これにより、例えば、意識のない患者の救急搬送を受け入れた医療機関が、患者のマイナンバーカードを用いて診療情報などを閲覧し、より速やかに必要な医療を提供できるようになることが期待をされます。このような具体的なメリットをしっかりとお示ししながら、この春を目途として策定予定の医療DXの工程表に基づき、取組の具体化を進めてまいります。

 電子カルテ情報の標準化についてお尋ねがありました。

 厚生労働省では、異なる電子カルテを使用する医療機関の間でも診療情報を円滑に共有できるよう、電子カルテ情報の標準化に順次取り組んでおります。昨年三月に、まずは診療情報提供書などの三文書とそれら文書に含まれる検査情報などの六情報について、医療機関間で共通の標準規格を定めました。

 現在、システム事業者により、この標準規格に準拠する電子カルテの開発が行われております。標準規格に準拠する電子カルテシステムの改修や更新及び新規の導入に当たっては、医療情報化支援基金を活用しつつ、導入の促進を図ってまいります。

 医療分野のデジタル化についてお尋ねがありました。

 政府が主導して医療分野のデジタル化を進めていくことの重要性は、私も強く感じているところであります。

 政府として、医療分野におけるデジタルトランスフォーメーションを強力に推進するため、昨年十月に、総理を本部長とする医療DX推進本部を立ち上げ、議論を進めているところであります。

 医療分野のデジタル化については、デジタル技術の進歩やその時々の現場のニーズに対応する形で、必要な取組を進めていくべきと考えております。国民も含め、医療機関等の関係者にメリットを共有することで、その理解を図りつつ、政府としては、医療界や産業界と一丸となり、電子カルテ情報の標準化等の取組を含め、医療DXの推進に全力で取り組んでまいります。

 オンライン資格確認についてお尋ねがありました。

 医療保険のオンライン資格確認については、今月から医療機関等において原則義務化するに当たり、顔認証つきカードリーダーの無償提供やシステム改修への補助金の拡充を行ってまいりました。また、医療現場やシステム事業者に対し、制度の趣旨や必要な対応について丁寧に御案内しております。

 その上で、継続的に把握してきた医療機関等の導入状況を踏まえ、システム整備が間に合わない医療機関などについては本年九月末までの経過措置を設ける一方、システム事業者には、導入作業の更なる加速化をお願いしております。

 直近の導入ペースなどを踏まえれば、本年九月末までに義務化の対象となっている全ての医療機関等がオンライン資格確認を導入することは十分に可能と考えており、引き続き、導入の進捗状況を把握しながら、確実な導入に向けた支援に取り組んでまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 輿水恵一君。

    〔輿水恵一君登壇〕

輿水恵一君 公明党の輿水恵一です。

 私は、自由民主党・無所属の会、公明党を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問をいたします。(拍手)

 人口減少や厳しい財政状況の下で、経済成長と公的サービスを維持するためには、官民共に生産性を向上させることが不可欠です。そのための有力な手段の一つがデジタル化であると思います。

 本法案は、これまで社会保障、税、災害対策で活用されてきたマイナンバーの利用範囲を拡大するほか、迅速な給付に向けて公金受取口座の登録を加速する特例制度の創設や、マイナンバーカードの利用促進により社会のデジタル化を一層前へ進めようとするものであり、時宜を得たものであると思います。

 今後、あらゆる分野でのデジタル化が進展する中で、生産性や利便性の向上に加えて、データの利活用により、新たな価値を創造する多様なサービスの展開も期待されます。

 一方で、国民の不安を払拭することも重要です。社会のデジタル化が進めば進むほど、個人情報の保護を始め、安全で安心な情報連携とともに、その適切な運用のための環境整備がますます重要になります。

 また、日常のあらゆる場面においてデジタル技術の活用が浸透する中で、その基盤である情報通信インフラの安定性や冗長性の更なる強化も不可欠です。

 本日は、我が国のデジタル化の将来ビジョン、デジタル化への信頼性の構築、強靱で安全な情報通信網の整備について質問をさせていただきます。

 社会のデジタル化において、その恩恵を国民が実感できることが重要です。マイナンバーの活用範囲の拡大によるバックオフィスでの情報連携や、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書による公的個人認証やカードアプリの活用によって、私たちの日常はどのように変わるのか、また、行政の生産性や国民の利便性をどのように向上させようとしているのか、デジタル大臣の将来ビジョンを聞かせてください。

 マイナンバーやマイナンバーカードを活用するサービスを、一人でも多くの国民に、いつでもどこでも安全に安心して利用していただくためには、分かりやすい情報提供とともに、悪用に対する不安を解消することが重要であると思いますが、その現状認識と今後の取組について伺います。

 社会のデジタル化が進展し、個人が保有する様々な情報のあらゆる場面での活用が進む中では、その安全性を確保し、個人情報を適切に保護する取組の強化が求められます。個人の権利利益を保護するために、個人情報の適正な取扱いの確保を図ることを任務とする個人情報保護委員会の果たす役割はますます大きくなります。

 本法案には、新規に必要とされる情報連携の速やかな立ち上げを実現するために、既にマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務という判断基準によって、マイナンバーの利用拡大を可能にしたり、マイナンバーの利用が認められている事務における情報連携に係る事項を省令で規定できるようにする内容が含まれています。

 ここで、不適切なマイナンバーの利用や情報連携が行われてしまうのではないかといった不安の声もありますが、実務を担うデジタル庁の認識をお聞かせください。また、運用面において、独立性の高い機関である個人情報保護委員会の果たす役割について、その現状と今後についてお聞かせください。

 今後は、国民の最も身近なところで行政サービスを提供する地方自治体でのマイナンバー等の活用により、書かない窓口や行かない窓口など、業務のデジタル化が期待されている中で、その信頼性を確保することが大切です。

 個人情報保護委員会は、マイナンバーによりアクセスできる情報を含む個人情報が行政機関等や事業者において適正に取り扱われるよう、指導助言、検査等を適時適切に行うとしています。今日のデジタル化への流れの中で、その役割を十分に果たすための組織体制の強化も必要かと思いますが、その現状と今後についてお聞かせください。

 社会のデジタル化を進める上で、行政サービスや行政データ等を活用した民間サービスの利用者に対して安定的にサービスを提供し続けるためには、デジタルインフラの強靱化が必要です。

 そこで、地震や台風などの災害の発生に対して、デジタルインフラの中でも重要なデータセンターについて、どのような被害を想定し、どのような対策を進めようとしているのか、お聞かせください。

 また、サイバー攻撃によるシステム障害などの被害を未然に防止するために、通信事業者との連携によるセキュリティー対策の強化も求められます。その現状と今後についてお聞かせください。

 今後のデジタル化の進展の中で、情報通信トラフィックの増大やデータセンターなどの更なる増設により、情報通信網の電力消費は膨大になることが予想されます。持続可能なデジタル社会の構築に向けて、DXとGXを両立させる情報通信ネットワークの構築を目指す必要があると考えますが、どのような取組がなされているのか、お聞かせください。

 これまでも公明党は、デジタル化の恩恵が国民一人一人に行き渡るよう、安全、安心の、人が中心の新たなデジタル社会の構築を目指し、取組を進めてきました。

 そこで、最後に、本法案で進めようとしているマイナンバーカードと保険証の一体化において、マイナンバーカードを持たない方や紛失してしまった方への丁寧な対応や、デジタル端末の操作に不慣れな方への寄り添った支援を行うデジタル推進委員の全国展開など、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル社会の構築に向けて、デジタル大臣の御決意を伺い、私からの質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバー制度の推進による将来ビジョンについてのお尋ねがありました。

 マイナンバー制度は、行政の効率化と国民の利便性向上を実現し、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤です。マイナンバーの利用によって、現在、児童手当の申請など、約二千五百の社会保障制度、税制、災害対策といった事務において、行政機関等の間での情報連携により、住民票の写しや課税証明書等の添付書類を省略可能としています。

 本改正法案では、社会保障制度、税制、災害対策分野以外の行政手続においても、マイナンバーの利用の促進を図ることとしています。具体的には、国家資格、自動車登録、在留期間更新に関する事務等において、マイナンバーの利用を可能とします。これにより、当該手続においても、これまで提出を求めていた書類の取得、添付が不要となります。

 マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる安全、安心なデジタル社会のパスポートです。マイナンバーカードなどの利便性向上については、引っ越しや子育て、介護など、スマホから様々な手続ができるオンライン市役所サービスや、マイナンバーカード一枚で図書館カードとしての利用や避難所受付など様々な市町村サービスが受けられる市民カード化を推進するとともに、民間事業者における活用の拡大に取り組んでいます。

 引き続き、デジタル社会の基盤であるマイナンバーやマイナンバーカードの活用拡大を図っていくことで、一人一人がデジタル化の恩恵によりニーズに合ったサービスを享受できるよう、デジタル社会の実現に向けた取組を強力に進めてまいります。

 次に、マイナンバーやマイナンバーカードの悪用に対する不安の解消についてのお尋ねがありました。

 マイナンバー制度では、制度面及びシステム面で各種のセキュリティー対策を講じており、具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、漏えい防止等の安全管理措置を義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、個人情報を一元管理せず、各行政機関において分散管理することなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしております。

 また、マイナンバーカードのICチップに記録される個人情報は、券面に記載されている氏名、住所などの情報に限られ、機微な個人情報は記録されておりません。

 さらに、マイナンバーカードを利用する場合には暗証番号が必要であり、一定回数間違えるとロックがかかるなど高いセキュリティー対策を講じており、カードの紛失、盗難等により個人情報が流出するものではございません。

 本法案により、こうした個人情報保護に配慮した仕組みが変わることはございません。

 マイナンバー制度やマイナンバーカードに対する国民の不安が解消されるよう、引き続き、周知、広報についても積極的に取り組んでまいります。

 次に、マイナンバーの利用や情報連携に関する不安についてお尋ねがありました。

 本改正においても、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続き、マイナンバー法に個別に規定する必要があります。その上で、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務について、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることとしています。

 また、本改正において、情報連携を速やかに開始するため、法令でマイナンバーの利用が認められている事務の範囲内で、主務省令において情報連携を可能とすることとしています。この場合においても、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定されていることから、政府の裁量が従前より大きくなることはございません。

 このような改正は、新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえた措置であり、国民の利便性向上や行政の効率化が大きな目的であります。

 また、先ほどもお答えしましたように、この改正により、個人情報保護に配慮した制度に何ら変更はございません。

 なお、個人情報保護委員会においては、現状、特定個人情報保護評価制度の運用及び監視、監督の取組を行っており、本改正後も引き続き適切な対応がなされるものと承知しております。

 個人情報保護委員会の組織体制についてのお尋ねがありました。

 個人情報保護委員会は、令和三年の改正個人情報保護法により、従来の民間事業者に加え、昨年度から、国の行政機関等における個人情報保護の制度及び監視、監督業務を所管しており、今年度からは、地方公共団体等についても所管しているものと承知しております。

 これらの業務を適切に行うために必要な体制として、令和四年度及び令和五年度の機構・定員要求を通じて、監視、監督業務を担当する審議官等の設置とともに、事務局の定員として、令和三年度末の定員から七十三人増員し、二百二十一人の体制とすることが認められたものと認識しております。

 今後とも、個人情報保護委員会において、マイナンバーを含む個人情報の適正な取扱いの確保に向けて、デジタル技術の活用による効率化も図りながら、必要な体制整備について検討されるものと承知しております。

 最後に、誰一人残されないデジタル社会の構築についてお尋ねがありました。

 誰一人取り残されないデジタル社会を実現するためには、紛失等によりマイナンバーカードを持たない方やデジタル機器に不慣れな方へのきめ細やかなサポートが重要です。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関しては、デジタル庁、総務省、厚生労働省で進めてきた検討会において必要な対応を取りまとめています。

 具体的には、現在、カードの交付まで約一か月を要するところ、紛失等、速やかにカードを取得する必要がある場合には申請から最短五日で交付できる仕組みを構築することや、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方については資格確認書を提供することなど、一体化に向けた環境整備を丁寧に行っていくこととしています。

 また、デジタル庁では、これまでに二万四千人を超える方々をデジタル推進委員として任命し、デジタル端末に不慣れな高齢者等を対象に、スマホの基本的な操作方法やマイナンバーカードの利用方法などをサポートしていただいています。

 このような取組を引き続き進めていくことにより、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指してまいります。(拍手)

    〔国務大臣松本剛明君登壇〕

国務大臣(松本剛明君) 輿水議員からの御質問にお答えいたします。

 まず、データセンターに関する災害対策について御質問いただきました。

 現在、我が国のデータセンターは東京圏に集中しており、例えば首都直下地震により甚大な被害が生じ稼働ができなくなった場合、その影響が全国に及ぶ可能性があります。

 そのため、総務省では、経済産業省と連携し、データセンターの分散立地を推進するため、民間事業者の初期投資を支援しております。

 総務省としては、今後も、データセンターの災害対策を始め、災害に強いデジタルインフラの整備に取り組んでまいります。

 次に、サイバー攻撃への対策強化について御質問いただきました。

 総務省としては、電気通信事業者と連携しながら、サイバー攻撃情報を共有するICT―ISACの活動を推進し、NISCなどとともに、政府として、国民生活や社会経済活動を支える情報通信ネットワークの安全性、信頼性の確保に努めております。

 また、総務省では、電気通信事業者が、大規模化、巧妙化するサイバー攻撃に、より効果的に対処できるよう、攻撃の指令元となるサーバーを早期に検知する技術の実証等を実施しているところです。

 最後に、DXとGXを両立させる情報通信ネットワークの構築を目指した取組について御質問いただきました。

 DXの進展などにより、このまま技術革新がなければ、通信インフラの消費電力が大幅に増大することが懸念されております。

 このため、総務省では、本年三月にNICTに造成した研究開発基金を活用して、世界でも高い評価を受けている、通信インフラの超高速化、低遅延化とともに大幅な省電力を実現するオール光ネットワーク技術などの開発を支援し、早期の社会実装、海外展開を促進してまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、マイナンバー法等改正案について質問します。(拍手)

 まず、健康保険証廃止の問題です。

 国民の大きな反対の声があるにもかかわらず、本案は、保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換えようとするものです。

 資格を有することを示す保険証を被保険者に届けることは、国、保険者の責務です。マイナ保険証も本案で創設される資格確認書も、本人からの申請に応じた交付です。保険証を廃止して申請交付とすることは、国、保険者の責任放棄であり、国民皆保険制度を揺るがすものです。

 本案は、マイナ保険証も資格確認書も持たない人に、不利益をもたらすことになるのではありませんか。

 そもそも、マイナカードの取得は、義務ではなく、希望者のみではありませんか。保険証を人質に、窓口負担を増やしてまで、マイナカードの取得、利用を強要することは許されません。

 医療関係者は、オンライン資格確認システムについて、医療機関の経済的負担やデータ漏えいリスク負担の危惧を訴えています。高齢者、障害者施設からは、マイナ保険証と暗証番号の管理や資格確認書の申請管理が困難との声が上がっています。これらの声をどう受け止めているのですか。

 マイナ保険証利用の押しつけ、保険証の廃止は撤回すべきです。答弁を求めます。

 次に、マイナンバー制度拡大の問題です。

 マイナンバー制度は、政府が住民一人一人に生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報をひもづけるものです。プライバシー侵害のリスクが避けられません。

 それゆえ、現行制度は、社会保障、税、災害対策の三分野に限定し、利用する事務、情報連携も法律で規定し、マイナンバーを含む個人情報の収集、保管は本人同意があっても禁止しています。こうした厳格な縛りは、国民総背番号制導入やプライバシー侵害に対して国民の批判があったからではありませんか。

 にもかかわらず、本案は、基本理念の中で、マイナンバー利用を、三分野に限定せず、全ての行政分野において推進するとしています。マイナンバー利用の対象に理美容師、教員、調理師等の国家資格の事務等を追加し、さらに、法定事務に準ずる事務や条例で措置した自治体事務は、法定することなくマイナンバーを利用できるとしています。マイナンバーの情報連携は、法定から外して法改正なしとし、国会審議もなしに拡大できるようにしています。これは、マイナンバー制度の仕組みを大きく変えるものであり、プライバシー侵害の危険性を一層高めるものではありませんか。答弁を求めます。

 マイナカードの本人確認も問題です。

 政府は、交付の際に市町村で厳格な本人確認を行う、利用には暗証番号か顔認証が必要であると安全性を強調してきました。ところが、本案では、マイナカードの直接交付の規定を緩め、二回目以降の暗証番号入力なしを認めるとしています。マイナカード普及のために、安全確保策を後退させるものではありませんか。

 また、公金受取口座登録の特例も問題です。

 本案は、年金受給口座を手始めに、本人から不同意との回答がなければ、自動的にマイナンバーとひもづける特例を盛り込んでいます。これまでの本人同意ありの原則から百八十度の転換ではありませんか。このようなやり方では、制度に対する国民の不信は一層高まるものであります。

 最後に、デジタル化の推進のために盛り込んだ、戸籍等の氏名の振り仮名の問題です。

 本案は、氏名の振り仮名は一般に認められている読み方に限るとしています。これでは、行政が一般的な読み方の審査を行うことになります。命名に介入することは許されません。

 また、現在戸籍に記載されている人の振り仮名は、本籍地市町村長が記載するとしています。本人が知らない間に、現に使っているものとは違う振り仮名となる可能性があるのではありませんか。

 氏名は個人の人格を象徴するものであり、その読み方は尊重されなければなりません。

 マイナンバー制度は廃止すべきだと申し述べ、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 塩川鉄也議員の御質問にお答えいたします。

 健康保険証の廃止についてお尋ねがありました。

 国民の皆様にマイナンバーカードで受診していただくことで、患者本人の健康、医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けていただくことが可能となるなど、カードと健康保険証の一体化には多くのメリットがあります。こうしたことを踏まえ、来年秋に健康保険証を廃止することを予定しております。

 マイナンバーカードが任意の申請に基づき交付されるものであることは変わりなく、健康保険証の廃止後、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方に、本人の申請に基づき資格確認書を発行するとともに、資格確認書の申請勧奨など、資格確認書の取得について必要な対応を行ってまいります。

 また、オンライン資格確認を導入している医療機関などについては、薬剤情報などを活用した医療の質の向上が期待されるため、診療報酬を加算しております。その上で、マイナンバーカードを利用した場合には、問診等の業務負担が減ることから、患者負担を低くしているところであります。

 オンライン資格確認の導入支援や施設での入所者への対応についてお尋ねがありました。

 医療保険のオンライン資格確認の原則義務化に当たっては、顔認証つきカードリーダーの無償提供やシステム改修への補助金の拡充を行ってまいりました。また、医療機関等が使用するネットワークについては、善意のある第三者からの攻撃による情報漏えいを防ぐために、通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークなどを使用するなどの対応を行っております。

 高齢、障害福祉施設における入所者のカードや資格確認書の管理の在り方については、安心して管理することができる環境づくりを推進するため、関係省庁とも連携し、関係団体の御意見も伺いながら、取扱いの留意点などを整理して丁寧にお示しをしてまいります。

 マイナンバーカードで受診するメリットを広く実感していただけるよう、現場からの様々な声に一つ一つ丁寧に対応しながら取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣河野太郎君登壇〕

国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバー制度におけるプライバシー侵害の危険性についてのお尋ねがありました。

 マイナンバー制度は、行政の効率化と国民の利便性向上を実現し、公平公正な社会を実現するデジタル社会の基盤です。

 また、マイナンバー制度は、制度面及びシステム面で各種のセキュリティー対策を講じており、具体的には、マイナンバーを取り扱う者に対して、漏えい防止等の安全管理措置を義務づけ、個人情報保護委員会が必要な指導等を行うこと、個人情報を一元管理せず、各行政機関において分散管理することなど、個人情報保護に十分配慮した仕組みとしております。

 本改正でも、個別の法律の規定に基づく事務について新たにマイナンバーを利用するためには、従来どおり、引き続き、マイナンバー法に個別に規定する必要があります。その上で、法律でマイナンバーの利用が認められている事務に準ずる事務について、事務の性質が同一である事務に限定した上で、主務省令によりマイナンバーの利用を可能とすることとしています。

 また、本改正において、情報連携を速やかに開始するため、法令でマイナンバーの利用が認められている事務の範囲内で、主務省令において情報連携を可能とすることとしています。この場合においても、情報連携できる主体、事務は法令で厳格に限定されていることから、政府の裁量が従前より大きくなることはございません。

 このような改正は、新型コロナウイルス感染症対策の経験を踏まえた措置であり、国民の利便性向上や行政の効率化が大きな目的であります。

 また、本改正で、個人情報保護に十分配慮した仕組みに何ら変更はございません。

 次に、マイナンバーカードの安全性の確保策についてお尋ねがありました。

 改正法案では、J―LISから申請者に直接カードを送付する仕組みを整備しますが、これは、紛失等により速やかにカードの交付を受ける必要がある方に、申請時に市町村の窓口に出向いていただき、対面での本人確認を行うことを前提とするものであり、カードの交付に当たって厳格な本人確認を行うことを変更するものではありません。

 また、改正法案では、マイナンバーカードの普及、利用促進のため、暗証番号の入力等を行わずに利用者の確認をする方法の規定を整備することとしています。この方法は、サービスの利用開始時に電子署名や電子利用者証明による確認を行うこととし、利用場面を、図書館サービスの貸出しや返却の場面のように、暗証番号の入力等まで求める必要がない場面に限ることとしています。その上で、暗証番号の入力等を行わずに受理した電子証明書について、その有効性を確認するとともに、マイナンバーカードに格納されたものであることを対面利用等により確認することとしています。これらの措置により、確実に安全性を確保しています。

 最後に、公金受取口座登録の特例制度に係る同意の取り方についてお尋ねがありました。

 改正法案の公金受取口座登録の特例制度においては、対象者に対し書留郵便等により個別に事前通知を行う旨、法律に規定するとともに、広報等を通じて前広に本制度の周知徹底を図ることを予定し、登録を行いたくない方について不同意の回答を行う機会を確実に確保することにより、本人の意思を確認することとしています。

 さらに、不同意の回答を失念していた等により、本人が希望していないにもかかわらず口座を登録してしまった場合であっても、マイナポータルや金融機関経由で登録口座の変更や抹消はいつでも可能であり、登録完了後の本人への通知においてその旨案内するなど、万全の対応を期してまいります。

 また、こうした取組と併せて、公金受取口座は公的給付等の支給のためのものであり、登録によって口座残高や取引履歴等が把握されるものではないことなど、公金受取口座登録制度の趣旨についても引き続き周知徹底を図り、国民の皆様の理解を得られるよう取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣齋藤健君登壇〕

国務大臣(齋藤健君) 塩川鉄也議員にお答え申し上げます。

 まず、戸籍に氏名の振り仮名を記載することに関し、戸籍窓口の審査についてお尋ねがありました。

 氏名の振り仮名について、一般に認められている読み方かどうかは、社会において受容され、慣用されているかという観点から判断されることになります。

 本籍地の市町村長が戸籍に氏名の振り仮名を記載する場合の審査に当たっては、いわゆる名のり訓などを幅広く許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用とすることを予定しています。

 したがって、行政が命名に介入する旨の御指摘は当たらないものと考えています。

 次に、本籍地の市町村長による氏名の振り仮名の記載についてお尋ねがありました。

 現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、まず、氏については戸籍の筆頭に記載されている方に、名についてはそれぞれの方に届け出ていただくことを予定しております。このため、その周知、広報に努めてまいります。

 また、こうした氏や名の振り仮名の届出がされないこともあり得るため、その場合には、本籍地の市町村長は、住民票において市町村が事務処理の用に供するため便宜上保有する情報等を参考にして、あらかじめ本人に通知をした上で、戸籍に記載することを予定しております。

 なお、この振り仮名が現に使用しているものと異なる場合には、家庭裁判所の許可を得なくとも、届出をすることで変更することも可能としています。

 次に、現に戸籍に記載されている方の氏名の読み方の尊重についてお尋ねがありました。

 現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、現に使用している読み方を尊重する観点から、氏については戸籍の筆頭に記載されている方に、名についてはそれぞれの方に届け出ていただくことを予定しております。

 また、一般に認められている読み方以外でも、現に使用されている氏名の読み方であれば、許容することを予定しております。

 いずれにしましても、現に戸籍に記載されている方の氏名の振り仮名については、現に使用している方の読み方を尊重する取扱いをしてまいります。(拍手)

議長(細田博之君) 厚生労働大臣から、答弁を補足したいとの申出があります。これを許します。厚生労働大臣加藤勝信君。

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 塩川委員への答弁において、悪意のある第三者からの攻撃と申し上げるべきところを、善意のある第三者からの攻撃と答弁をいたしました。悪意のある第三者からの攻撃と答弁を訂正させていただきます。(拍手)

議長(細田博之君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十五分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣    松本 剛明君

       法務大臣    齋藤  健君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       国務大臣    河野 太郎君

       国務大臣    松野 博一君

 出席副大臣

       デジタル副大臣 大串 正樹君


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