衆議院

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第26号 令和5年5月18日(木曜日)

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令和五年五月十八日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十五号

  令和五年五月十八日

    午後一時開議

 第一 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第四 国立健康危機管理研究機構法案(内閣提出)

 第五 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 財務大臣鈴木俊一君不信任決議案(末松義規君外五名提出)

 日程第一 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第四 国立健康危機管理研究機構法案(内閣提出)

 日程第五 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

佐々木紀君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 末松義規君外五名提出、財務大臣鈴木俊一君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(細田博之君) 佐々木紀君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 財務大臣鈴木俊一君不信任決議案(末松義規君外五名提出)

議長(細田博之君) 財務大臣鈴木俊一君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。櫻井周君。

    ―――――――――――――

 財務大臣鈴木俊一君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔櫻井周君登壇〕

櫻井周君 私は、立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました鈴木俊一財務大臣の不信任決議案について、その趣旨の弁明を行います。(拍手)

 まず、決議文を朗読いたします。

  本院は、財務大臣鈴木俊一君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

以上であります。

 以下、その理由を申し上げます。

 昨年末に岸田総理が打ち出した防衛費倍増は、二〇一五年の集団的自衛権行使容認の安全保障関連法と併せて、戦後七十年の我が国の安全保障政策を転換するものです。

 こうした流れに対して、二月八日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣は、大臣所信として、「財政は国の信頼の礎であり、有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれないようにするため、平素から財政余力を確保していくことが不可欠であると考えております。」「二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出歳入両面の改革を着実に推進してまいります。」と表明しました。これまでの財務大臣所信は毎年同じような文言でありましたが、今通常国会の財務大臣所信には、これまでなかった、「有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれないように」「平素から財政余力」という言葉が入っており、私は、大いに期待しました。

 しかし、この私の期待は見事に裏切られました。大臣所信で約束した二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成をほとんど不可能にする、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案、以下、防衛財源確保法案と言います、を提出したからです。

 大臣所信と相反する法案を提出する財務大臣は、信任することはできません。

 鈴木財務大臣が担当大臣として提出した防衛財源確保法案は、我が国の安全保障の根幹となるべき法律案であるにもかかわらず、問題だらけの欠陥法案です。

 まず、防衛財源確保法案の第一の欠陥は、法案の名称に「我が国の防衛力の抜本的な強化等」とあるのに、防衛力強化につながるかどうかが不明なことです。

 防衛財源確保法案の前提として、五年後の防衛費をGDP比で二%とすること、すなわち、二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間で四十三兆円の防衛費を予定し、二〇二七年度には防衛費を八兆九千億円程度としています。しかし、防衛費がなぜGDP比で二%なのか、なぜ五年間で四十三兆円なのか、不明です。

 そもそも、防衛省が提出した資料では、例えば、スタンドオフ防衛能力について約五兆円としているものの、主な事業を合計しても四兆円余りにしかなりません。その差額の一兆円はどこに行くのか不明です。さらに、スタンドオフ防衛能力については、外国製を三種類購入する上に、国産ミサイルを同時に五種類も開発します。なぜスタンドオフミサイルが八種類も必要なのか、極超音速誘導弾や高速滑空弾など本当に開発できるのかなども不明です。

 また、イージス・アショアについては、これまでも問題を指摘してまいりました。政府は、当初は、一基当たり千二百億円、二基で二千四百億円と説明していましたが、陸上配備が困難ということでイージスシステム搭載艦に変わり、二隻で五千億円、三十年の維持整備費を含めると九千億円のコストがかかるということで、大幅に膨れ上がることになっております。

 イージス・アショアをめぐる迷走については、海上自衛隊司令官を務めた香田洋二元海将は、衆議院財務金融委員会安全保障委員会連合審査会に参考人として出席をいただき、「目的を維持しようとしたんじゃないんです、自分たちのシステムを生かすためにどうするかということで、そこでもう日本の防衛を離れちゃったんです。ということは、我が国を防衛すべき防衛省・自衛隊が、実は自分たちの選択を守る政策に走ってしまった。 私は自衛隊のOBとしてこんなことを言うのは本当につらいんです」と発言されました。

 この発言を私なりに要約すれば、防衛省・自衛隊が国土防衛ではなく組織防衛に走ってしまったということです。防衛省の組織防衛が強化されても、国土防衛が強化されなければ、国民の命を守ることはできません。

 沖縄県名護市の辺野古に建設中のアメリカ海兵隊基地については、大浦湾に海面下約九十メートルの軟弱地盤が確認され、土木工学的に相当な難工事となります。政府が当初三千五百億円と説明した建設費は、既に九千億円に膨れ上がっております。今後、更に増加することが懸念されております。これは、当初の見通しと予算査定が甘過ぎたと言わざるを得ません。

 着工時の財務大臣は麻生太郎前大臣ではございますが、その後も甘い査定を続けている鈴木財務大臣を信任することはできません。

 航空自衛隊は、宇宙航空自衛隊へ改組するとしています。また、サイバー防衛隊も拡充するとしています。しかし、自衛隊の定数は増やさない、人件費も増やさない。一体、どうやってサイバー分野の人材を確保するのか、不明です。サイバー分野の人材は、民間部門でも大幅に不足をしています。民間から採用するのは困難であるだけでなく、仮に自衛隊の中で人材を育成しても、民間に高い給料で引き抜かれる可能性があります。

 私は、サイバー防衛能力を強化する必要があると考えますが、政府の進め方ではサイバー防衛能力が強化できないのではないのか、看板倒れになるのではないのか、懸念をしております。

 そもそも、自衛隊の隊員は慢性的に不足をしています。現在の定員は二十四万七千百五十四人ですが、充足率は九三・四%です。特に、前線に立つ若い世代が不足をしています。そうした中で装備を充実させても、その装備を運用する人材がいなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。

 こうした素朴な疑問に対して、政府の答えは、先生からの御指摘をいただきながら、よりしっかり前に進めていきたいという、答弁にならない答弁でございました。

 アメリカからの武器購入の有償軍事援助、FMSでは、代金を支払い、納入期日が経過したにもかかわらず、納品されない事例が相次いでいます。この点は、二〇一八年度の会計検査で指摘されていますが、十分には改善されていません。代金を支払ったのに装備が届いていないのでは、お金だけかかって我が国の防衛力の強化には全くつながらないということになります。

 政府は、防衛機密だからと詳細を説明しないことが少なくありません。例えば、トマホーク購入に二千億円とあるのに対して、何発購入するんですかという質問をしても、安全保障上適切でないとして、答弁を拒否されてしまいました。しかし、FMSでの購入はアメリカ連邦議会での承認が必要です。アメリカ連邦議会の審議の過程で公表されると分かった途端に、四百発との説明がありました。

 本当に安全保障上適切でないなら、どうしてアメリカは公表するんでしょうか。日米同盟というのはその程度のものなんでしょうか。それとも、安全保障上公表しても問題ないものであるにもかかわらず、日本政府は説明しないのでしょうか。説明なしには、国民は防衛費を負担するのは嫌がるでしょう。実際、防衛増税に対して、世論調査では約七割が反対という結果が出ております。

 政府の説明責任については、香田洋二元海将は、委員会の参考人質疑において、私は自衛官として、本当にこれで最後に現場で戦う自衛隊は、あんたらは国民に何も説明せずにいきなりやってきて弾ばっかり撃っているねと言われるのが一番つらい、これは結果的に日本の防衛にならないんです、ありきたりの国会答弁で私は済むような話ではない、このように発言をされました。

 安全保障の現状と必要な防衛予算について国民に丁寧に説明することが、国民に当事者意識を持っていただくことにつながり、ひいては防衛力の強化につながります。岸田内閣はそうした基本が欠けているというのが、香田洋二元海将の指摘でした。政府は重く受け止めるべきです。

 なお、防衛予算の中には防衛機密として本当に答弁できないものがあることは、私も承知をしております。だからこそ、他の分野以上に、防衛予算の審議においては、財務大臣の役割は重要でございます。財務省主計局は、防衛予算について、防衛機密を含めて事実を確認した上で査定をしているからです。だから、財務大臣には、厳しく査定をしています、防衛予算に一円の無駄遣いもありませんと、説得力を持って説明責任を果たしていただきたいのです。

 しかし、鈴木俊一財務大臣は、二〇二一年十二月に、森友学園問題に係る財務省決裁文書改ざん問題で自殺した近畿財務局の元職員の赤木俊夫さんの妻による国に対する損害賠償請求訴訟において、国は認諾をして約一億円の賠償請求を認めました。私は、この損害賠償の一億円を、佐川宣寿元理財局長などに対して求償権を行使して請求するように提案をいたしましたが、鈴木財務大臣はこの提案を無視しました。

 重大な不祥事を起こした財務省職員に対して求償権を行使しようとしなかった鈴木俊一財務大臣は、到底、信任することができません。

 次に、防衛財源確保法案の第二の欠陥は、法案の名称に「財源の確保」とあるのに、財源が確保できていないということです。

 防衛力強化資金を設置し、税外収入をかき集めて三・四兆円を確保したとしています。しかし、二〇二八年度以降に毎年必要となる〇・九兆円の財源のめどは立っていません。

 外国為替特別会計の剰余金の扱いとして、財務省は、特別会計ガイドブックにおいて、「剰余金のうち、外国為替資金への組入れに必要な金額としては、外国為替相場や市場金利の変動等があっても、保有外貨資産に発生する評価損を概ね下回らない水準であるところの保有外貨資産の百分の三十が目安となり、中長期的にはこの水準まで組入累計額が達することが望ましい」としています。

 現状は一八・六%で、目安の三〇%を大きく下回っています。外国為替特別会計の健全性を確保できていない状況であるにもかかわらず、令和四年度剰余金一・九兆円に加え、令和五年度決算を待たずに一・二兆円、合計三・一兆円を防衛力強化資金に繰り入れることとしました。財務省が自ら設定した基準を自ら踏みにじることについて、鈴木財務大臣は、外為特会の財務状況でありますとか一般会計の財務状況を勘案いたしまして一般会計への繰入額を決定することとしておりますと、答弁にならない答弁をしました。

 説明能力がないのであれば、財務大臣として不適任です。説明できないようなことをやっているのであれば、これまた財務大臣として不適任です。どちらにしても、鈴木財務大臣を信任することができないことに変わりはございません。

 決算剰余金について、過去十年間の平均が一・四兆円であり、その半分の〇・七兆円を防衛費に充てるとの説明でございました。ですが、二〇二〇年度は新型コロナウイルス感染症の影響で税収見込みが大きく外れてしまいまして、四・五兆円もの決算剰余金を計上しました。財務省主税局が税収見込みを大きく外した問題は、昨年二月四日の衆議院財務金融委員会で、自民党の中西健治議員が指摘したところでございます。

 財務省主税局の大失態に基づいて防衛費に充てる決算剰余金の金額を水増しするのは、国民に対する二重の背信行為です。したがって、せめて、二〇二〇年度の決算剰余金は平均額の算出から外すことを提案しました。そして、二〇二〇年度を外した過去十年の平均の約一兆円に基づくことを提案いたしました。

 これに対して、鈴木財務大臣は、先ほどの繰り返しになりますけれども、過去十年間の実績に基づくという一貫した考え方の下で、私ども、こうした数字を出させていただいていると、また答弁にならない答弁を繰り返しました。平均額の算出において異常値を強引に組み入れてかさ上げするというような、的確な計算能力を有しない人物に、国家の金庫番たる財務大臣を任せるわけにはいきません。

 決算剰余金を当てにすることは、結局は、決算剰余金を恣意的に生み出すことになりはしないか、本来であれば赤字国債の発行を抑制するべきときに恣意的に発行抑制を行わないことにつながるのではないのか、財政規律を破壊することにつながると懸念するところです。

 防衛財源確保法案の説明の中で提案されている所得税増税、これは、実態は復興特別所得税の流用です。東日本大震災の復興財源を確保する復興特別所得税をその目的外の防衛費に流用することは、国民との約束違反です。また、被災地に対する裏切り行為です。被災地から選出されている鈴木財務大臣がこのような暴挙に出ることは、本当に信じられません。

 以上のとおり、防衛財源確保法案は、その法案名称とは裏腹に、防衛力の強化につながるかどうかも定かでありませんし、財源を確保できているものでもございません。このような看板に偽りありの法案を提出する鈴木財務大臣を信任することはできません。

 我が国が抱える主要な課題は、安全保障上の脅威のほかに、感染症、地震、火山噴火、台風、洪水などの災害、そして少子化、人口減少など様々ございます。これらのリスクをゼロにしようと多額の予算を充当すれば、予算が巨額となり、今度は財政破綻のリスクが高まってしまいます。したがって、予算制約の中でリスクに応じて予算を的確に配分し、リスクを全体として最小化するべきです。

 したがって、予算編成を担当する財務大臣の責任は重大です。

 新型コロナウイルス感染症については、五月八日から、感染症法上の二類相当というものから五類に格下げとなりました。ただしかし、コロナウイルスが消えてなくなったというわけではなく、常に毒性と感染力の強い変異株が登場するリスクがあります。また、新型インフルエンザ等、他の感染症のリスクもあります。

 したがって、次の新型感染症に備えるために、医療機関の体制を強化する必要があります。しかし、防衛財源確保法案では国立病院機構と独立行政法人地域医療機能推進機構から国庫に納付させることとしているのは、政策の方向性として真逆です。国立病院機構などの傘下で赤字経営の病院は少なくありません。病棟の改修や医療機器の更新、医療スタッフの処遇改善などが十分にできていない状況です。これでは、新型コロナウイルス感染症の第九波がもし起こってしまった場合に医療崩壊してしまうのではないのか、新型の感染症に対応できないのではないのか、このように懸念するところです。これで、防衛費を増額しても国民の命を守ることができないということになりますと、これは、国民の命を守ることができない財務大臣は、到底、信任することはできません。

 ちなみに、二〇〇八年から二〇〇九年にかけて、新型インフルエンザが大流行いたしました。このときの自民党麻生太郎内閣はなすすべがなく、この感染症の流行が収まったのは民主党に政権交代してからでありました。

 このときの新型インフルエンザは幸いにも毒性が強くなかったので事なきを得ましたが、強毒性の新型感染症のリスクを認識して、民主党の野田佳彦内閣のときに、新型インフルエンザ等対策特別措置法を成立させました。そして、国と地方は、新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、様々な備品を備蓄してまいりました。もし、民主党政権がなかりせば、そして新型インフル特措法がなかりせば、今回の新型コロナ感染症への対策はどうなったでしょうか。それこそ悪夢です。政治の役割は、民主党内閣のように、将来のリスクにしっかりと備えることではないでしょうか。

 昨年、アメリカの著名な実業家のイーロン・マスク氏が、当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろうというツイートをしたことが話題になりました。実際、二〇二二年の出生数は八十万人を割り込むなど、少子化は一段と進んでしまいました。マスク氏に指摘されるまでもなく、三十年前から、少子化による人口減少、さらには日本衰亡の危機について指摘され続けてまいりました。

 二〇〇九年の政権交代で、民主党政権は、少子化対策と子ども・子育て支援として、高校授業料の無償化、それから子ども手当を創設しました。そして、実は、このとき、私のような団塊ジュニア世代がちょうど三十代後半に差しかかっておりましたので、あともう一人子供を産めるかどうか、そういうときでした。実際、我が家も、民主党政権の子ども・子育て支援の恩恵を受けることができました。

 しかし、その後、野党自民党により所得制限が設けられ、少子化対策は大ブレーキがかけられてしまいました。今になって、自民党は、異次元の少子化対策や次元の異なる子育て支援と言っていますが、我が国の少子化対策は十年は遅れ、少子化と人口減少は進んでしまいました。

 そして、この十年の遅れは、次元の異なる少子化対策は更に遅れるかもしれません。

 三月一日の参議院予算委員会において、立憲民主党の辻元清美参議院議員の防衛財源確保についての質問に対して、鈴木財務大臣は、「結論から申し上げれば、ぎりぎりかき集めた」「防衛力整備に向けてのこの財源確保については、極めて異例な措置も含めまして、ぎりぎり確保した」と答弁しました。

 つまり、子ども・子育て支援に充てる財源はもう残っていないということです。子育て支援予算の倍増は、岸田総理が昨年の通常国会で、こども家庭庁設置法案の審議において表明したことです。少子化と人口減少は我が国の存亡に関わる重大な課題であるにもかかわらず、そのための財源確保の見通しが立っていないということでありますと、これは、財務大臣として到底信任することができません。

 経済、財政の失敗についても指摘をいたします。

 四月二十一日に総務省が発表した三月の消費者物価の上昇率は三・二%でした。また、二〇二二年度の消費者物価上昇率は三・二%でした。岸田インフレで国民の生活はもう本当に苦しい状況です。おとといの、五月十六日の物価問題に関する閣僚会議において、電気料金の大幅値上げが了承されました。また、九月以降に電気などのエネルギーへの補助金が順次打ち切られれば、電気料金などの負担は更に重くなります。岸田インフレはまだまだ続くことになります。

 岸田インフレ、物価上昇の最大の原因は悪い円安です。そして、大幅な円安の原因は、アベノミクスを漫然と続けることなどの財政と金融政策の失敗にあります。これは財務大臣の責任です。国民生活を困窮させている財務大臣は、信任することはできません。

 岸田総理は、賃上げと繰り返し発言しています。

 先週五月九日に厚生労働省が発表した毎月勤労統計の三月分では、実質賃金はマイナス二・九%でした。つまり、賃金上昇が物価上昇に追いついていません。日本の労働者はどんどん貧しくなっています。この点からも、岸田内閣の経済政策は大失敗です。

 ちなみに、今春の春季生活闘争、いわゆる春闘で、賃上げ率が三・七%との数字が報道されていますが、これには定期昇給分の約二%が含まれています。定期昇給分は賃金総額の増額にはつながりません。定期昇給分を差し引いて考えれば、今年の春闘は物価上昇に全く追いついていないということになります。

 賃金は厚生労働大臣の所掌であり、物価は日本銀行総裁の所掌であるので、財務大臣の不信任の理由に当たらないという反論があるかもしれません。しかし、賃金上昇が追いつけないような物価上昇となった最大の原因は、やはり大幅な円安であり、アベノミクスを漫然と継続している財務大臣の責任です。国民の生活を困窮させている財務大臣は、信任することはできません。

 五月十五日の経済財政諮問会議では、有識者から、インフレ率が一から二%に定着すれば、量的・質的緩和は解除するのが望ましいと提案がありました。しかし、政策金利を仮に一%でも引き上げれば、日本銀行は、保有国債の評価損で実質的に債務超過に陥ってしまいます。政府は、国債の利払い費の増大で財政が圧迫されることになります。

 しかも、コロナ対策で巨額の国債を発行してまいりましたけれども、これは、利払いを抑えるために短期の国債を大量に発行しています。つまり、大量に借り換える必要があります。具体的には毎年約二百兆円もの国債を発行しておりまして、金利の引上げということになりますと、利払い費の増加に即座に跳ね返ってまいります。そうなると、もう防衛費の倍増どころではなくなります。

 国際通貨基金、IMFも、日本の財政について懸念を表明しています。三月三十日に公表されましたIMF対日審査報告書では、以下のような懸念が指摘をされています。

 GDPに対する政府負債は既に高い水準。安全保障などの特定の政策分野で政府支出の圧力が高まり続けている。予算のシーリングは実際の政府支出を制限していない。公的債務対GDP比率は中長期的に着実に増加。内閣府が半年ごとに予測するGDP成長率と財政収支の中長期の経済財政に関する試算は、歴史的に楽観的過ぎる。公的債務の対GDP比率が上昇傾向にあると、金利が急激に上昇し、ソブリンストレスが発生する可能性がある。

 これらの指摘は、いわばIMFによる日本の財務大臣に対する不信任のようにも受け止められます。IMFが、大口の出資国である日本に対して、なぜここまで厳しいことを言うのか。

 私は、大学を卒業した後に銀行に勤めておりました。アジア向けの融資を担当しておりました。一九九〇年代後半のことです、アジア通貨危機を経験しました。資本市場というのは一旦動き出すともうどうにもならない、そういう恐ろしさを経験いたしました。このとき、IMFと日本が中心となって、韓国、タイ、インドネシアなどの国々を支援しました。このときのアジア諸国の経済規模は今よりもはるかに小さかったので、何とか救済することができました。

 しかし、今、日本がもし二十五年前のアジア通貨危機のようなことになってしまったら、どうでしょうか。IMFの力をもってしても日本経済は大き過ぎて助けられない、だから今のうちに改善してください、そういうIMFの悲痛な叫びでもあるように受け止められます。

 なお、岸田総理は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面というふうに言っています。確かに、隣国の中国の軍事費は大幅に増加しています。ただし、中国の場合にはGDPが大きく成長しており、少なくとも、公にされている範囲では軍事費はGDP比では増加傾向にはありません。日本は、既に巨額の公的債務を抱える上に、毎年、財政赤字を積み増ししています。そんな中での防衛費の倍増は財政を破綻させかねません。

 ちなみに、大学教育について、二〇一九年十月に、当時の萩生田光一文部科学大臣は、身の丈に合わせてと発言をしました。大学進学を目指す受験生に身の丈に合わせることを求める自民党政権ですから、防衛費についても身の丈に合わせてはいかがでしょうか。

 加えて、この十月から、財務大臣は、適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度を導入しようとしています。しかし、インボイス制度は小規模零細事業者にとっては負担が極めて重く、これを契機に廃業を考えている事業者も少なくありません。インボイス制度の導入はやめてもらいたいという多くの声を無視して、インボイス制度導入に突き進む財務大臣を信任することはできません。

 防衛予算を倍増すれば安全になるという単純なものではありません。また、敵基地攻撃能力を保有すれば安全になるという単純なものでもありません。例えば、現在、ウクライナが世界各国から支援を受けていますが、その前提として、ウクライナがロシア領内を攻撃しないということがあります。国際世論を味方につけて、支援してもらえる関係を持つことが重要であります。

 しかし、日本政府は逆のことをしてしまっています。極めて残念なのが、二年前にスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で死亡した事件です。

 スリランカでは、日本の、移民に対する無慈悲な扱いがスリランカ国民に衝撃を与えた、日本人は人間としての感情が希薄、日本に行くときは、受け取るお金だけでなく、その国の法律にも注意する必要があると報道されています。こうした事件が、我が国に対する国民感情を損ない、国益を損なう可能性があります。

 さらに、先週、参議院本会議でこの入管法案の審議が始まりましたけれども、維新の会の議員の発言をめぐって、ウィシュマ・サンダマリさんの遺族が、詐病は事実無根、死者を冒涜していると抗議しました。こうしたことが我が国の国益を損なっています。(発言する者あり)ここから関係があるんです。

 財務大臣は、先週も、G7財務大臣・中央銀行総裁会議において、スリランカの債務救済問題について取り組んだと承知をしております。これは何百億円かかるか分かりませんが、日本は、スリランカに対して相当の支援をすることになろうかと思います。

 しかし、こうした財務大臣の努力、私はこれに敬意を表します。ですが、せっかく日本国民の税金を投じて外交努力をしても、ウィシュマ・サンダマリさんのようなこうした事件、こういうまずい対応があれば、帳消しになってしまいます。

 入管法は財務大臣の所掌ではないから関係ないと思われるかもしれませんが、財務大臣の担当業務にも関わってくることです。内閣の一員として、国の国益を損なわないように働きかけるべきだったと申し上げておきます。

 明日からG7首脳会議が広島で開催されます。日本は議長国になっています。

 近年、日本政府は、価値観外交を掲げています。人権、民主主義、法の支配などの普遍的価値の重要性を岸田総理は繰り返し言及しています。

 しかし、人権侵害に対する制裁法、いわゆるマグニツキー法を制定していないのは、G7の中では日本だけです。サプライチェーン等における人権尊重のための法制度、いわゆる人権デューデリジェンス法を何ら制定していないのも、G7の中では日本だけです。価値観外交という看板は、掲げるだけではなく、それを実現させるための具体的な法制度を整備すべきです。

 岸田総理は中国や北朝鮮を脅威と発言していますが、これらの国が脅威である原因の一つは、人権、民主主義、法の支配などが不十分であることです。財務大臣は、人権は所掌でないというふうに思われるかもしれません。ですが、マグニツキー法は外為法と入管法による取組です。外為法を所掌する財務大臣として取組が不十分、G7の議長国としてマグニツキー法を制定しなかったのは誠に恥ずかしいことだというふうに言わざるを得ません。

 今月のアメリカのタイム誌の表紙には岸田総理の顔写真が掲載され、「ジャパンズチョイス」、日本の選択というタイトルで、岸田総理は、数十年にわたる平和主義を放棄し、日本を真の軍事大国にしたいと望んでいると記載されました。アメリカの権威ある雑誌が、今まさに日本は歴史の転換点にあるという見方をしています。

 令和四年、二〇二二年十一月二十八日に、防衛費の大幅増額について、岸田総理大臣と鈴木財務大臣、浜田防衛大臣で会議を行い、令和九年度において防衛費とそれを補完する取組を併せて現在のGDPの二%に達するよう予算措置を講ずることが決められたと承知をしています。

 実は、似たような会議が過去にもございました。今から九十年前、昭和八年、一九三三年十月に、斎藤実総理大臣、高橋是清大蔵大臣、荒木貞夫陸軍大臣、大角岑生海軍大臣、広田弘毅外務大臣の五大臣会議が開催されました。この会議において、高橋是清大蔵大臣は、軍事予算の膨張はいたずらに外国の警戒心を刺激し、外交工作の機会を少なくするばかりでなく、予算の内容の国防へんぱが国民経済の均衡を破ることになると主張しました。

 また、高橋是清大蔵大臣は、昭和九年、一九三四年一月二十七日の貴族院本会議において、「而シテソレガ為ニ国防ノ充実ハ必要デアルガ、其程度ニ至ッテハ、成ルベク之ヲ最小限度ニ止メナケレバ国ノ財力ガ堪ヘ切レヌ、」と発言しました。これがために、高橋是清大蔵大臣は軍部から恨みを買い、結果、この貴族院本会議での発言後に、二・二六事件で凶弾に倒れました。

 高橋是清大蔵大臣は、軍部からの圧力に屈することなく、命懸けで軍事予算を抑制し、国民生活を守ろうとしました。財務大臣に必要なのは、こうした姿勢と、そして覚悟ではないでしょうか。

 中国の孫子の兵法によれば、戦わずして勝つが上策とされています。岸田内閣は、孫子の兵法の逆で、財政破綻により、戦わずして負けるということになりはしないのか、このように懸念するところです。そして、そのような政策を主導する鈴木俊一財務大臣は、信任することができません。

 以上が、財務大臣鈴木俊一君不信任決議案の趣旨であります。

 本院議員の皆様方の御賛同を切にお願い申し上げて、趣旨弁明を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 討論の通告があります。順次これを許します。中西健治君。

    〔中西健治君登壇〕

中西健治君 自由民主党の中西健治です。

 私は、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表し、ただいま議題となりました財務大臣鈴木俊一君不信任決議案に対し、満身の怒りを込めて、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 冒頭、本不信任決議案の反対理由を述べる前に、先週の財務金融委員長解任決議案に懲りず、今回、本不信任案の動議を提出された立憲民主党諸君の一連の暴挙に対し、苦言を呈します。

 先週十二日に行われた財務金融委員会理事懇談会において、十六日の委員会で財源確保法の採決を行うことに御党も合意された上で委員会がセットされました。理事懇談会の場では、御党からは一切の異議も呈されませんでした。

 それにもかかわらず、委員会採決当日になり、合意事項をほごにし、財務大臣不信任の動議を提出と、全くもって矛盾する行為をした立憲民主党は言語道断であります。

 一昨日の財務金融委員会の現場におきましては、八時五十分の理事会開始予定時刻にも、そして九時の委員会開始時刻に至っても、立憲民主党からは、電話一本はおろか、一切の説明が行われず、立憲民主党以外の、他党の理事、委員は直接的な情報は何もないままに、無為に待ちぼうけを食らいました。余りの委員会軽視、余りの現場軽視と言わざるを得ないのではないでしょうか。

 このような余りにも身勝手な御党の行為に他の野党会派もあきれているのは、態度を見れば一目瞭然であります。野党第一党として到底あり得ない行動をしたことに対し強く猛省を促した上で、以下、財務大臣鈴木俊一君不信任決議案に対する反対討論を申し上げます。

 鈴木財務大臣は、一昨年に財務大臣に就任されて以来、新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻、物価高騰などの大きな変化に対応しながら、我が国の財政運営を的確に行ってまいりました。また、先日、新潟で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議においても、議長国として各国の意見を取りまとめ、立派にその職責を果たされました。

 鈴木大臣には今後も引き続き財務大臣としての職責を果たしていただくことこそが、重要課題を抱える我が国の将来にとって不可欠であるのは誰の目から見ても明らかです。

 今回提出された不信任決議案においては、その理由として、防衛費増額を身の丈に合わないと断じていますが、身の丈に合わないとは一体何なのでしょうか。不透明感、緊迫度を増している安全保障環境の中で、我が国だけが分をわきまえて立ちすくんでいろということなのでしょうか。激動する世界の中でその危機感の薄さには驚くばかりです。

 また、今般の防衛財源確保法案については中身に乏しいと断じていますが、財源確保策については、昨年末に閣議決定した防衛力整備計画や税制改正の大綱においてその全体の方針が明確に示されているところであり、今回の法案においては、特別会計からの繰入れなどのほか、確保した税外収入をプールするための防衛力強化資金の設置といった法律上の手当てが必要なものが盛り込まれています。

 防衛力の強化は、時間をかけて継続的に行っていくものであります。防衛費の財源の詳細は、行財政改革、税外収入、剰余金の活用、税制改正措置など、あらゆる可能性につき段階的に丁寧に議論を進め、最大限の努力をし、財源を確定していくことこそが、負担をお願いする国民の皆様に対する真摯な態度ではないでしょうか。

 今回の法案は、今を生きる我々が将来世代への責任として、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示し、その第一歩を踏み出すものであり、今回の財源確保法案を提出した財務大臣の判断は極めて適切なものであると考えます。

 また、今回の財源確保法案の審議に当たっては、野党側の要望に応える形で三十五時間を超える審議時間の確保に努め、幅広い観点から充実した議論が行われてきたところです。

 不信任決議案の中において言及されている財源に関する各論点については、いずれも、委員会での審議において、鈴木大臣から真摯かつ丁寧な答弁が行われてきました。鈴木大臣は、予期しなかった質問に対しても、質問者の意図を真っすぐに受け止めて、自分の言葉で委員会質疑に向き合ってきました。

 鈴木大臣が本法案を強引に成立させようとしているとの指摘は全く当たらず、不信任決議案の提出は、採決日程を引き延ばすためだけの信義則にもとる愚行であり、単なるパフォーマンスと言わざるを得ません。

 防衛力の抜本的な強化のみならず、子ども・子育て政策など様々な重要課題が山積する時期において、今こそ、財務大臣の果たすべき役割、責任は大きなものであり、財務大臣を信任することはあっても、不信任とすることは到底考えられません。

 以上、不信任決議案に掲げられた理由がいかに的を射ていないものであるかを申し上げ、断固反対を表明するとともに、提案者に対して強く反省を求めまして、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(細田博之君) 藤岡隆雄君。

    〔藤岡隆雄君登壇〕

藤岡隆雄君 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました鈴木俊一財務大臣不信任決議案に賛成の立場から討論をいたします。(拍手)

 まず冒頭、先ほど自民党から満身の怒りということが表明をされましたが、私は、満身の怒りではなく、満身の大きな怒りをもって反論させていただきたいと思います。

 先ほど、採決が決まっていたという話がございました。この場において形式論の反論に固執する時間があったら、防衛財源のフレームワークをチェックするべきではないでしょうか。先ほどの討論を聞いておりましても、破綻している防衛財源フレームに対する十分な説明はありませんでした。

 改めて、こうした破綻した防衛財源のフレームをそのままにしていることが国民に対する信義にもとるのではないでしょうか。まずそのことを申し上げまして、私は、不信任案の討論をさせていただきます。

 さて、まず指摘したいのは、鈴木大臣による防衛増税という重大な誤りでございます。

 防衛増税により四年後の令和九年度以降に必要となる毎年約四兆円の追加財源のうち、約四分の一強を手当てすることになっております。しかし、なぜ四分の一を増税で賄わなくてはいけないのか、納得できる説明はありませんでした。

 政府は、行財政改革やあらゆる工夫を最大限行うのが防衛増税の大前提であると答弁をしております。国民が物価高に苦しみ、その視界が晴れない中で、この大前提として行うことのぎりぎりの成果が判明する前に、増税ありきで、増税割合まで決めて一方的に突き進む財務大臣の姿勢を到底容認できません。まず、一方的な防衛増税の方針を撤回するべきであります。

 次に、被災地出身の財務大臣でありながら、いわば復興所得税を流用するスキームを組んだこと自体、被災地の心情を踏みにじるものであり、その政治家としての感覚が信じられません。

 これにより、復興所得税の二十五年間という期間限定の約束がほごにされますが、国民に負担してもらう課税期間が長く継続することが、被災地の立場に立って考えると、心理的な御負担になることを、大臣、もっと気にするべきじゃないですか。

 政府は、防衛財源に関して、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の将来世代への責任として対応すべき課題と答弁をされております。二〇五〇年頃まで十四年程度の課税期間の延長は、将来世代に対する負担の先送りそのものではないですか。

 復興所得税をめぐる一連の対応だけでも、財務大臣の資質を欠くと言わざるを得ません。

 次に、防衛財源確保法案自体に大きな欠陥があることも明らかになりました。

 かつての東日本大震災の復興財源確保法を見ると、税外収入だけではなく、決算剰余金、歳出削減、税制措置による財源確保なども規定され、何より、十五年間の復旧復興に必要な三十二・九兆円が一〇〇%カバーされた、フルカバー、フルスペックの法案でありました。

 ところが、今回の法案は、財源確保と銘を打ちながら、本法案で確保される財源の金額はたったの三・四兆円であります。今後五年間の防衛費増額分の十七・一兆円に占める割合は僅か二〇%にすぎないばかりか、その他の財源及び今回の約二〇%部分の令和十年度以降の財源は、中身がすかすかで、持続可能性がないものであります。財源確保とは名ばかりの欠陥法案ではないでしょうか。

 この法案を直ちに取り下げて、精査した必要な財源を一〇〇%カバーする、フルカバー、フルスペックの法案を出し直して審議すべきであります。しかし、これをしないということは、今の財源確保の全体フレームに自信がない表れではないでしょうか。

 鈴木財務大臣は、財政運営全般に責任を負う立場です。問題ある全体フレームを放置したまま、欠陥法案を国会に提出する態度は、極めて無責任であって、十分解任に値します。

 その全体フレームの問題を丁寧に指摘します。

 まず、決算剰余金において、過去十年の平均値である一・四兆円のうち、財政法に基づき二分の一を除いた毎年七千億円の財源を見込まれております。

 しかし、コロナ禍の令和二年度における、過去に類を見ないような税収見積りの誤りによって生じた約四・五兆円といった決算剰余金の異常値をこの平均値から除かないまま算定しているという、単純かつ重大な問題が明らかになりました。令和二年度前の過去二十年間の平均を取ると九千二百九十億円であることも鑑みれば、令和九年度までの五年間で一兆円程度の過大計上と言えます。

 決算剰余金の防衛財源としての見積りは極めて甘いことが明らかであるにもかかわらず、鈴木大臣はこの問題を放置し続けました。

 本来、防衛財源に穴が空くこの誤りについて、自民党サイドからも正す声を上げるべきではないでしょうか。政府の提案する防衛財源の全体フレームに対してまともな審査、チェックをサボって、法案の強行採決にひた走るとしか言いようのない姿勢は、真に国を守る気概が欠けていると言わざるを得ません。

 次に、決算剰余金を見込んだように確保できなかったらどうするのかという質問に対し、鈴木大臣は、しっかりと確保できるよう努力をすると答弁をされました。

 毎年度の決算において、歳出の不用が発生したときに、税収の動向等を勘案し、歳入欠陥にならないよう配慮しつつ特例公債の発行額の減額に努めた結果として、決算剰余金が発生すると考えられます。そもそも、税収見積りを正確に見通す精度を上げる努力をし、特例公債法に基づき特例公債発行額の減額に努めれば、決算剰余金の額は縮小していくはずであります。

 鈴木大臣の、確保できるよう努力をするとは、税収見積りを間違う努力をする、又は特例公債の発行額の減額を小さくする努力と捉えられても仕方のない答弁であります。

 したがって、最終的に決算剰余金を膨らませる、いわば粉飾決算に走る疑念が晴れることはありませんでした。しかも、決算剰余金が想定よりも上振れした場合も念頭に置いた方針も示されているのは、この疑念を強くし、言語道断であります。

 そして、二つ目の、歳出改革について問題点を申し上げます。

 まず、歳出改革について法律に何ら定めを置かないどころか、具体的な歳出削減の道筋、内容がほとんど示されることがありませんでした。

 歳出改革というのだから、常識的には、その内容は歳出削減が大部分になると誰しもが考えるかと思います。ところが、物価が上がればそれに比例して社会保障関係費以外の歳出の予算枠が増えてもよいという考え方にのっとり、その増えた枠を全て防衛費に回すという財源確保のやり方が歳出改革の柱の一つと言える驚きの実態が明らかになりました。

 歳出改革というのだから歳出削減ではないと言い訳するのでしょうが、このようなからくりを通じた机上の空論は、歳出改革の名に値しません。単なる数字いじりの財源確保ではないでしょうか。

 また、三つ目の、税外収入に至っては、唯一、法律に定めはあるものの、令和十年度以降について、まだ具体的なめどが立っていないことをお認めになり、持続可能性がないことが露呈をいたしました。

 以上のように、今回の財源確保の全体フレームは、もはや破綻をしております。このようなフレームをつくった責任者たる鈴木大臣が信任に値しないことは明白であります。

 そもそも、財源確保の全体フレームについて、ここにいる一人一人の国会議員が真摯にチェックをすれば、今回の防衛費四十三兆円が、財源の裏づけ、安定性を欠いた砂上の楼閣であることを理解すると思います。財務大臣は財源をぎりぎりかき集めたと言われておりますが、それでもなお、決算剰余金の見立ては甘く、歳出改革は物価上昇頼みで見通しが立たず、令和十年度以降の税外収入の具体的なめどが立っておりません。

 本決議案について、日程闘争とか昭和の手法などと我が党を批判している議員の皆さん、防衛財源の中身、本気でチェックしたのでしょうか。

 税制措置を追加することは断じて容認できませんし、もしも国民生活が物価高で苦しむ中でそんなことをしたら、それはもはや、欲しがりません勝つまではという防衛の枠組みであり、真に日本を守れるとは思いません。

 日本を取り巻く安全保障環境の変化等に鑑みれば、当然、真に必要な予算を積み上げた結果として一定程度防衛費を増額することは、私たちとしても必要だろうと考えております。

 しかしながら、国民の思いを無視した増税にひた走り、国民を欺く破綻した財源フレームで押し通そうとする無責任な今の政権に、この国を託すわけにはいきません。何としてでも政権交代を実現していかなければいけない、このことを強く訴えまして、不信任決議案への賛成の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(細田博之君) 田村貴昭君。

    〔田村貴昭君登壇〕

田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、財務大臣鈴木俊一君不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 賛成の理由の第一は、アメリカにつき従い、憲法九条を踏みにじる大軍拡は断じて容認できないからであります。

 政府は、軍事費をGDP二%に引き上げ、五年間で四十三兆円もの大軍拡を推し進めようとしていますが、なぜ二%なのか、今に至るも具体的な根拠を示していません。米国政府が同盟国に二%への軍拡を要求してきたことは周知の事実です。だからこそエマニュエル駐日大使は、裏づけとなる予算をつけたからと安保三文書を大歓迎したのです。アメリカ言いなりの大軍拡だから、根拠を示せないのであります。

 敵基地攻撃能力の保有は、憲法九条はおろか、歴代政府が建前としてきた専守防衛さえ投げ捨てるものです。米国の先制攻撃戦略に基づく統合防空ミサイル防衛、IAMDに参加し、日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、米軍の指揮統制の下で他国領土を攻撃することが、憲法九条を真っ向から踏みにじることは明々白々です。憲法違反の敵基地攻撃能力の保有のために、アメリカ製の長距離巡航ミサイル、トマホーク四百発を始め、五兆円もの予算を投じて長射程ミサイルを大量調達するなど、到底許されるものではありません。

 私が質疑で追及してきたイージス・アショアの洋上化は、陸上で断念に追い込まれたものを洋上に移すという無理筋な計画で、どれほどの規模の艦船になるのか、追加装備をどうするのか、まだ何も決まっていません。はっきりしているのは、イージスシステムやレーダーをアメリカのロッキード・マーチンからそのまま買い続けているということだけです。総額も、どこまで膨らむかも分からないのに国費をつぎ込み続ける無責任極まりない計画は、断じて容認できません。

 こうした下で、今年度の米国政府からの対外有償軍事援助、FMSは一兆四千七百六十八億円、前年度の四倍にも急拡大しています。アメリカの軍需産業をもうけさせるための大軍拡そのものではありませんか。

 財務大臣の職責を誠実に果たそうとするなら、これらの途方もなく野方図な財政支出を厳しく査定し歯止めをかけることこそ、求められているのではありませんか。これからどれだけ支出が膨らむか、指摘されても答えず、青天井のままに将来の大増税に道を開くなど、財務大臣として到底許されるものではありません。

 さらに、四十三兆円の大軍拡の先には、十六兆五千億円もの後年度負担が待ち構えています。憲法八十六条の予算の単年度主義の原則をあからさまに踏みにじるものであり、断じて許されません。

 不信任賛成の第二の理由は、大軍拡のために国民生活の予算を犠牲にし、現在と将来の国民に新たな負担を押しつけようとしているからです。

 国立病院機構と地域医療機能推進機構の積立金を不用見込みとして軍拡の財源に充てる計画ですが、どちらの機構の病院も老朽化した建物を多く抱えています。施設の改善や医療従事者の待遇改善にこそ使うべきものを軍事費に流用するなど、断じて認められません。

 東日本大震災の復興に充てる復興財源特別所得税を、事もあろうに軍事費に転用することに、東北の被災者と被災自治体からは、被災者を見捨てるのかとの批判の声が巻き起こっています。この声が聞こえない鈴木大臣には、財務運営を担う資格はありません。

 鈴木大臣は、軍拡財源のための国債発行について、未来の世代に対する責任として取り得ないと述べました。ところが、軍拡財源に充てる決算剰余金は巨額の予備費から生まれたものであり、その原資は赤字国債です。全く矛盾する答弁を繰り返して恥じない鈴木氏に、これ以上、財務大臣を任せることはできません。

 財政法の制定に当時の大蔵省主計局法規課長として携わった平井平治氏は、公債のないところに戦争はないと断言し得る、国債の発行を原則禁止した同法四条の規定は憲法の戦争放棄の規定を裏書保証せんとするものであると述べています。かつての侵略戦争で国の財政と国民生活を破綻させた痛苦の歴史の教訓を全く顧みない鈴木大臣は、不信任するしかありません。

 最後に、安保三文書の撤回と軍拡財源法案の廃案のために全力を尽くすことを表明し、財務大臣不信任に賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(細田博之君) 投票漏れはありませんか。――速やかに投票してください。

    〔投票継続〕

議長(細田博之君) 演壇で物品を掲げる行為はおやめください。

 投票漏れはございませんか。――投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(細田博之君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十一

  可とする者(白票)         百八

  否とする者(青票)      三百四十三

議長(細田博之君) 右の結果、財務大臣鈴木俊一君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

末松義規君外五名提出財務大臣鈴木俊一君不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   青山  大人君

荒井   優君   新垣  邦男君   井坂  信彦君   伊藤  俊輔君

石川  香織君   泉   健太君   稲富  修二君   梅谷   守君

江田  憲司君   枝野  幸男君   おおつき紅葉君   小川  淳也君

小熊  慎司君   小沢  一郎君   大河原まさこ君   大島   敦君

大西  健介君   逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本 あき子君

奥野 総一郎君   落合  貴之君   金子  恵美君   鎌田 さゆり君

神谷   裕君   菅   直人君   城井   崇君   菊田 真紀子君

玄葉 光一郎君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   小山  展弘君

後藤  祐一君   神津 たけし君   近藤  和也君   近藤  昭一君

佐藤  公治君   坂本 祐之輔君   櫻井   周君   重徳  和彦君

階    猛君   篠原   豪君   篠原   孝君   下条  みつ君

白石  洋一君   末次  精一君   末松  義規君   鈴木  庸介君

田嶋   要君   堤  かなめ君   手塚  仁雄君   寺田   学君

徳永  久志君   中川  正春君   中島  克仁君   中谷  一馬君

中村 喜四郎君   長妻   昭君   西村 智奈美君   野田  佳彦君

野間   健君   馬場  雄基君   原口  一博君   伴野   豊君

福田  昭夫君   藤岡  隆雄君   太   栄志君   本庄  知史君

馬淵  澄夫君   牧   義夫君   松木けんこう君   松原   仁君

道下  大樹君   緑川  貴士君   森田  俊和君   森山  浩行君

谷田川  元君   山岡  達丸君   山岸  一生君   山崎   誠君

山田  勝彦君   山井  和則君   柚木  道義君   湯原  俊二君

吉川   元君   吉田  統彦君   吉田 はるみ君   米山  隆一君

笠   浩史君   早稲田 ゆき君   渡辺   周君   渡辺   創君

赤嶺  政賢君   笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君

塩川  鉄也君   田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   宮本  岳志君

宮本   徹君   本村  伸子君   櫛渕  万里君   海江田 万里君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   逢沢  一郎君   青山  周平君

赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君   東   国幹君

畦元  将吾君   麻生  太郎君   甘利   明君   五十嵐  清君

井出  庸生君   井野  俊郎君   井上  信治君   井上  貴博君

井林  辰憲君   井原   巧君   伊東  良孝君   伊藤 信太郎君

伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   池田  佳隆君   石井   拓君

石川  昭政君   石田  真敏君   石破   茂君   石橋 林太郎君

石原  宏高君   石原  正敬君   泉田  裕彦君   稲田  朋美君

今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君   岩屋   毅君

上杉 謙太郎君   上田  英俊君   上野 賢一郎君   江崎  鐵磨君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   英利アルフィヤ君   衛藤 征士郎君

遠藤  利明君   小倉  將信君   小里  泰弘君   小田原  潔君

小野寺 五典君   小渕  優子君   尾崎  正直君   尾身  朝子君

越智  隆雄君   大岡  敏孝君   大串  正樹君   大塚   拓君

大西  英男君   大野 敬太郎君   奥野  信亮君   鬼木   誠君

加藤  鮎子君   加藤  勝信君   加藤  竜祥君   柿沢  未途君

梶山  弘志君   勝俣  孝明君   勝目   康君   門山  宏哲君

金子  俊平君   金子  恭之君   金田  勝年君   上川  陽子君

亀岡  偉民君   川崎 ひでと君   神田  憲次君   神田  潤一君

菅家  一郎君   木原   稔君   木村  次郎君   城内   実君

黄川田 仁志君   岸  信千世君   工藤  彰三君   国定  勇人君

国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君

小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君

小林  史明君   小森  卓郎君   古賀   篤君   後藤  茂之君

河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君   佐々木  紀君

佐藤   勉君   斎藤  洋明君   坂井   学君   坂本  哲志君

櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  彰久君   塩谷   立君

柴山  昌彦君   島尻 安伊子君   下村  博文君   新谷  正義君

新藤  義孝君   菅   義偉君   杉田  水脈君   鈴木  英敬君

鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君   鈴木  貴子君

鈴木  憲和君   鈴木  隼人君   瀬戸  隆一君   関   芳弘君

田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君   田中  良生君

田野瀬 太道君   田畑  裕明君   田村  憲久君   平   将明君

高市  早苗君   高階 恵美子君   高木   毅君   高木  宏壽君

高鳥  修一君   高見  康裕君   武田  良太君   武部   新君

武村  展英君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君

谷川  とむ君   谷川  弥一君   津島   淳君   塚田  一郎君

辻   清人君   土田   慎君   土屋  品子君   寺田   稔君

冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   中川  貴元君

中川  郁子君   中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君

中西  健治君   中根  一幸君   中村  裕之君   中山  展宏君

永岡  桂子君   長坂  康正君   長島  昭久君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西野  太亮君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

根本  幸典君   野中   厚君   葉梨  康弘君   萩生田 光一君

橋本   岳君   長谷川 淳二君   鳩山  二郎君   浜田  靖一君

林   幹雄君   平井  卓也君   平口   洋君   平沢  勝栄君

平沼 正二郎君   深澤  陽一君   福田  達夫君   藤井 比早之君

藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君   古川  直季君

古川   康君   古川  禎久君   古屋  圭司君   穂坂   泰君

星野  剛士君   細田  健一君   細野  豪志君   堀井   学君

堀内  詔子君   本田  太郎君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本  剛明君   松本   尚君

松本  洋平君   三反園  訓君   三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君

御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮崎  政久君   宮澤  博行君

宮路  拓馬君   宮下  一郎君   武藤  容治君   務台  俊介君

宗清  皇一君   村井  英樹君   村上 誠一郎君   茂木  敏充君

盛山  正仁君   森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君

保岡  宏武君   簗   和生君   柳本   顕君   山際 大志郎君

山口  俊一君   山口   晋君   山口   壯君   山下  貴司君

山田  美樹君   山本  左近君   山本ともひろ君   山本  有二君

吉田  真次君   吉野  正芳君   義家  弘介君   和田  義明君

若林  健太君   若宮  健嗣君   鷲尾 英一郎君   渡辺  孝一君

渡辺  博道君   足立  康史君   阿部   司君   阿部  弘樹君

青柳  仁士君   赤木  正幸君   浅川  義治君   井上  英孝君

伊東  信久君   池下   卓君   池畑 浩太朗君   一谷 勇一郎君

市村 浩一郎君   岩谷  良平君   浦野  靖人君   漆間  譲司君

遠藤   敬君   遠藤  良太君   小野  泰輔君   奥下  剛光君

金村  龍那君   沢田   良君   杉本  和巳君   住吉  寛紀君

空本  誠喜君   高橋  英明君   中司   宏君   馬場  伸幸君

早坂   敦君   林   佑美君   藤田  文武君   藤巻  健太君

堀場  幸子君   掘井  健智君   前川  清成君   三木  圭恵君

美延  映夫君   岬   麻紀君   守島   正君   山本  剛正君

吉田 とも代君   和田 有一朗君   赤羽  一嘉君   伊佐  進一君

伊藤   渉君   石井  啓一君   稲津   久君   浮島  智子君

大口  善徳君   岡本  三成君   河西  宏一君   北側  一雄君

金城  泰邦君   日下  正喜君   國重   徹君   輿水  恵一君

佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   庄子  賢一君

高木  陽介君   竹内   譲君   角田  秀穂君   中川  宏昌君

中川  康洋君   中野  洋昌君   浜地  雅一君   平林   晃君

福重  隆浩君   古屋  範子君   山崎  正恭君   吉田 久美子君

吉田  宣弘君   鰐淵  洋子君   浅野   哲君   斎藤アレックス君

鈴木   敦君   鈴木  義弘君   田中   健君   玉木 雄一郎君

長友  慎治君   西岡  秀子君   古川  元久君   前原  誠司君

緒方 林太郎君   吉良  州司君   北神  圭朗君   仁木  博文君

福島  伸享君   吉川   赳君   吉田  豊史君

     ――――◇―――――

 日程第一 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第一、放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長浮島智子君。

    ―――――――――――――

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔浮島智子君登壇〕

浮島智子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、近年の放送を取り巻く環境の変化を踏まえ、国内基幹放送事業者が事業運営の効率化を図りつつ放送の社会的役割を果たしていくことを将来にわたって確保するため、複数の放送対象地域の国内基幹放送事業者が一定の条件の下で同一の放送番組の放送を同時に行うための制度を整備するとともに、一の放送対象地域において複数の特定地上基幹放送事業者が中継局の設備を共同で利用することを可能とする等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月二十六日本委員会に付託され、翌二十七日松本総務大臣から趣旨の説明を聴取し、五月十六日、質疑を行い、これを終局しました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対して附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第二、遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長笹川博義君。

    ―――――――――――――

 遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔笹川博義君登壇〕

笹川博義君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、遊漁船業について、安全性の向上及び地域の水産業との調和の確保による適正な運営の推進を図るため、遊漁船業者の登録に関する有効期間の見直し及び欠格事由の厳格化、事故の報告の義務化、利用者の安全等に関する情報の公表の義務化等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る五月十五日本委員会に付託され、翌十六日野村農林水産大臣から趣旨の説明を聴取し、昨十七日質疑を行いました。質疑終局後、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第三、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長竹内譲君。

    ―――――――――――――

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔竹内譲君登壇〕

竹内譲君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本法律案は、知的財産の適切な保護及び知的財産制度の利便性の向上並びに国内外における事業者間の公正な競争の確保を図るため、他人の商品の形態の模倣となる対象行為の拡充及び商標権者の同意に基づく類似する商標の登録制度の創設を行うとともに、意匠の新規性喪失の例外の適用に係る証明手続の簡素化を行うほか、外国公務員贈賄罪の罰金額の上限の引上げ等の措置を講ずるものであります。

 本案は、去る五月十一日本委員会に付託され、翌十二日に西村経済産業大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。十七日に質疑に入り、質疑終局後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 国立健康危機管理研究機構法案(内閣提出)

 日程第五 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)

議長(細田博之君) 日程第四、国立健康危機管理研究機構法案、日程第五、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長三ッ林裕巳君。

    ―――――――――――――

 国立健康危機管理研究機構法案及び同報告書

 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔三ッ林裕巳君登壇〕

三ッ林裕巳君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、国立健康危機管理研究機構法案について申し上げます。

 本案は、感染症その他の疾患に関し、調査、研究、医療の提供、人材の養成等を行うとともに、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及び蔓延時において、疫学調査から臨床研究までを総合的に実施し、科学的知見を提供できる体制の強化を図るため、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、国立健康危機管理研究機構を設立しようとするものであります。

 次に、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。

 本案は、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴い、地方衛生研究所等と機構との連携、感染症法における厚生労働大臣の事務の一部の機構への委託等、関係法律について、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 両案は、去る五月九日本委員会に付託され、翌十日、加藤厚生労働大臣から趣旨の説明を聴取した後、質疑に入り、昨日質疑を終局いたしました。次いで、討論、採決の結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       総務大臣   松本 剛明君

       財務大臣   鈴木 俊一君

       厚生労働大臣 加藤 勝信君

       農林水産大臣 野村 哲郎君

       経済産業大臣 西村 康稔君


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