衆議院

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第9号 令和5年12月5日(火曜日)

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令和五年十二月五日(火曜日)

    ―――――――――――――

  令和五年十二月五日

    午後一時 本会議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出)

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出)


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 御報告することがあります。

 永年在職議員として表彰された元議員津島雄二君は、去る十月二十五日逝去されました。痛惜の念に堪えません。謹んで御冥福をお祈りいたします。

 津島雄二君に対する弔詞は、議長において去る十一月二十九日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。

    〔総員起立〕

 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに社会労働委員長 予算委員長の要職につき また再度国務大臣の重任にあたられた正三位旭日大綬章 津島雄二君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます

     ――――◇―――――

井野俊郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案、柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(額賀福志郎君) 井野俊郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出)

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出)

議長(額賀福志郎君) 西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案、柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長武部新君。

    ―――――――――――――

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案及び同報告書

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔武部新君登壇〕

武部新君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、柴山昌彦君外五名提出の法律案は、現下の宗教法人をめぐる状況に鑑み、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するため、日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例を定めようとするものであります。

 次に、西村智奈美君外七名提出の法律案は、近年の宗教法人をめぐる社会状況及び現行の宗教法人制度の下では解散命令の請求等に係る宗教法人の財産についてその隠匿又は散逸のおそれへの対処には困難を伴う場合があることに鑑み、当該宗教法人の財産の保全に関し特別の定めをしようとするものであります。

 両案は、去る十一月二十二日本委員会に付託され、二十四日、提出者柴山昌彦君及び西村智奈美君からそれぞれ趣旨の説明を聴取した後、質疑に入りました。

 十二月一日には、文部科学委員会及び消費者問題に関する特別委員会との連合審査会を開会するとともに、質疑を行い、本日、柴山昌彦君外五名提出の法律案に対し、自由民主党・無所属の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案により、日本司法支援センターによる償還等の免除の範囲を明確にする規定を追加すること等を内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取した後、両法律案及び修正案に対する質疑を行い、質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、討論を行い、順次採決いたしましたところ、西村智奈美君外七名提出の法律案は賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次に、柴山昌彦君外五名提出の法律案については、自由民主党・無所属の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による修正案は全会一致、修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。鈴木庸介君。

    〔鈴木庸介君登壇〕

鈴木庸介君 立憲民主党の鈴木庸介です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました自由民主党、公明党、国民民主党提出の特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案、いわゆる被害者救済法案に賛成、立憲民主党、日本維新の会提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案、いわゆる旧統一教会財産保全法案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 立憲民主党では、昨年七月の安倍元総理の銃撃事件によって旧統一教会の問題が明らかとなって早々に、旧統一教会被害対策本部を立ち上げました。対策本部では、被害当事者や全国霊感商法弁護士連絡会、いわゆる全国弁連の皆様からいわゆるマインドコントロールによる被害実態をお聞きし、国対ヒアリングと合わせて、約七十回、延べ百名の方々から被害の訴えや支援の必要性をお聞きしてまいりました。

 旧統一教会による被害の拡大及び深刻化は、多くの議員の密接な関係と、三十年以上にもわたる行政府、立法府の不作為によるものです。現内閣にも、関係があったと報告のある閣僚が数多く含まれています。

 つい昨日も、岸田総理が旧統一教会の幹部と自民党本部で面会していたとの報道に対し、総理は、大勢の同行者がいたと記憶しているが、どなたがいたかは承知していないと語りましたが、本日、旧統一教会の友好団体の日米のトップとギングリッチ氏の四人で写真撮影したことが明らかになりました。総理の昨日の発言は、事実に反するのではないでしょうか。

 自民党の調査自体の信憑性も疑われます。総理自身及び自民党の議員に対し、旧統一教会と、友好団体とどのような関係があったのか、責任を持って再度調査すべきです。

 昨年、悪質高額寄附等への対策として不当寄附勧誘防止法の成立の後、解散命令請求が現実味を増す中、被害者の皆さんが必要だと訴えてきたのは財産保全についてでした。これは、旧統一教会が解散命令請求を出され、解散命令が決定するまでに財産が隠され、散逸することで、被害者の救済資金が失われてしまうのではないかと恐れてのことでした。実際に、オウム真理教の解散後にも、救済は約三〇%、ジャパンライフの事案では、たった一・二%しか戻っていません。

 さらに、旧統一教会は、数百億円にも及ぶ海外への送金を毎年のように行ってきたという報道がございます。また、政府の解散命令請求では、これまで数十年にわたり、約千五百五十人の被害者と約二百四億円もの賠償金、解決金が生じたと報告されています。また、最近では、教団本部がある韓国へ信者が現金を持参しているという報道も見受けられます。こうしたことから、救済前に財産が失われてしまうおそれは、現実的な強い懸念であります。

 大変な精神的、肉体的負担を抱えながら旧統一教会による被害を訴えてきた被害者の皆さんの被害救済のため、財産が散逸し被害救済できない状況は、何としてでも避けなければなりません。そのため、私たち立憲民主党は、日本維新の会とともに、旧統一教会がその財産を隠匿し、又は散逸させるような行為を防止することが何よりも肝腎であると考え、旧統一教会財産保全法を提出いたしました。

 まず、与野党協議の開始が余りに遅かった。これは改めて申し上げなくてはなりません。立憲民主党は、この臨時国会開会日である十月二十一日には既に法案提出をしていました。自公国は、十月下旬にようやくプロジェクトチームを設置し、十一月二十一日に法案を提出しました。立維案提出の一か月後です。余りにも遅過ぎる動きではありませんか。被害者の方々、全国弁連の皆様は昨年末から声を上げていたのに、一体これまで何をされていたんでしょうか。

 ようやく始まった与野党協議では、残念ながら、被害の実態を把握されていないのではないかということが多々ありました。そのため、二回目の与野党協議には全国弁連をお呼びすることを提案しました。

 全国弁連からは、旧統一教会に対し、たった一人で財産保全のための裁判を行うことは大変困難であるとの共有がございました。なぜなら、旧統一教会のいわゆるマインドコントロールによって、地獄に落ちてしまう、家族もサタンだと言われてしまう、心に埋め込まれた恐怖があることや、返金はしないといった合意書を書かされてしまっていたからです。そもそも、被害者の方々は、身ぐるみ剥がされて、家庭も崩壊し、メンタルもぼろぼろ、自殺未遂をされた方もおられます。こうしたことから、個別の民事保全では難しい、包括的な財産保全が必要だとの意見が出されました。

 だからこそ、他法令にもある、解散命令請求が出された場合の保全処分が必要なのです。私たちは、自公国の皆さんに、自公国の案も立維の案も救済のための車の両輪なのだから両方とも成立させましょうと重ねて申し上げてきました。与野党協議においても委員会においても、立維案に対し具体的な修正項目を提案してもらえれば、誠心誠意検討するとも申し上げました。しかし、自公国の皆さんは全く提案をされなかった。自公国は、被害者に寄り添ってきた全国弁連の声を聞いても、個人による民事保全で対応できる、むしろそうすべきだという考え方を全く変えませんでした。これは、去年、与野党が一丸となって、課題はあれど、協議を重ねて新法成立にたどり着いた流れからも逆行する、被害者の自助努力を求める提案で、大変酷な提案ではないでしょうか。

 確かに、法テラスの拡充や不動産の処分、財務書類の確認ができることで被害者の救済に役立つツールとはなり得ます。しかし、同時に、旧統一教会への解散命令が決定したときに財産が失われてしまっていたといった状況を回避するため、包括的な財産保全は必ず必要です。全国弁連の皆様からも、まずは包括的に財産保全を請求するための土俵が欲しいのだという声が上がりました。

 旧統一教会の被害者救済法というならば、一番寄り添うべき、耳を傾けるべきは被害に遭った当事者であり、一番近くで支援されてきた方々なのではないでしょうか。

 立憲民主党、日本維新の会で提案した旧統一教会財産保全法案の否決は残念ですが、個人個人が民事保全を行う自公国案について、施行後三年をめどに、財産保全の在り方を含めて規定について検討を加えるとの附則を盛り込む修正を行うとともに、自公国の法案提出者から、課題が生じた場合は三年を待たずに検討を加える、実効的な財産保全の方策が検討の選択肢となり得るとして、不十分と分かれば速やかに協議して対処するとの答弁を得られました。真に求められている財産保全の実現のための礎があることを確認し、賛成といたします。

 本法律案の可決をもってこれで終わりにするのではなく、被害者の方々に寄り添い、継続的な情報収集、必要な法整備についての検討を行うべきであるということを申し上げ、私の討論とさせていただきます。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 三ッ林裕巳君。

    〔三ッ林裕巳君登壇〕

三ッ林裕巳君 自由民主党・無所属の会の三ッ林裕巳です。

 私は、ただいま議題となりました特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案につきまして、賛成の立場から討論させていただきます。(拍手)

 宗教法人が著しく公益を害すると明らかに認められる行為をしたことを理由として解散命令請求等が行われた場合、その法人に関する不法行為等による被害者については、迅速かつ円滑な救済が図られなければなりません。

 自由民主党では、公明党とともに、旧統一教会問題の被害者の実効的救済を推進するため、プロジェクトチームを立ち上げ、被害を受けた方々からヒアリングを行うなどして、被害実態等を調査してまいりました。その結果、被害救済を実現するための民事訴訟手続や民事保全手続がほとんど利用されていない実態が明らかになりました。

 本法律案は、こうした実態を踏まえ、民事事件手続を通じて適切な被害者救済が図られるよう、法テラスの民事法律扶助業務を拡充するとともに、宗教法人による不動産の処分等の公告や、財産目録等の作成、提出、閲覧に関する特例を設けるものであります。

 今なお被害に苦しむ方々を迅速かつ円滑に救済していくため、この法律案を一日も早く成立させる必要があります。

 本法律案に対しては、被害者個人が民事事件手続を行わなくてはならず、宗教法人の財産を包括的に保全することができないため、被害救済の実効性に欠けるのではないかという指摘があります。

 しかし、財産保全の効力を強めれば強めるほど、憲法上の懸念は大きくなります。ましてや、保全すべき債権の疎明がないにもかかわらず宗教法人の財産を包括的に保全することは、憲法上保障されている信教の自由や財産権と抵触するおそれが大きくなり、制度を円滑に運用することができず、かえって被害の実効的救済を図ることができません。

 さらに、宗教法人の財産を保全するだけでは被害救済を図ることはできません。解散命令が確定して清算手続に移行した場合であっても、個々の被害者が救済を受けるには、債権の存在及び金額を明らかにしなければならないのです。しかも、それは、それほど遠くない将来、旧統一教会問題の被害者に求められることなのです。

 そうであれば、財産保全については、あえて憲法上の疑義のある包括的な財産保全制度を新たに導入するよりも、個々の被害者にとって今ある民事事件手続を使いやすくすることで、宗教団体の財産を保全し、被害救済を円滑かつ迅速に図っていくことこそが重要なのです。

 本法律案は、法テラスによる特定被害者法律援助事業として、資力を問わず、民事訴訟手続や民事保全手続に必要な弁護士費用等の立替え、担保の提供に関する援助等を行うとともに、これらの費用の償還等について、原則として免除できることとするものです。また、指定宗教法人については、不動産の処分等を所轄庁に通知し、所轄庁において処分等を公告し、通知をしないで行われた処分等は無効とするほか、四半期ごとに財産目録等を作成、提出することとしており、特別指定宗教法人については、財産目録等を被害者が閲覧できることとしています。

 本法律案が成立、施行すれば、被害者は、特定被害者法律援助事業を利用し、弁護士等による援助を受けながら、債権の存在や金額を明らかにするとともに、宗教法人の財産状況等を把握し、適時適切に財産を保全しつつ、被害救済に向けた司法手続を迅速に進めていくことが可能になります。

 このように、本法律案は、被害者の救済を実現するまでの道筋を具体的にイメージした上で、実効的な被害救済に必要不可欠な支援や制度を定めたものであり、一日も早い成立、施行を望みます。

 なお、立憲民主党及び日本維新の会提出の法律案については、我が党とは考えを異にするものであり、反対いたします。

 最後に、議員各位に本法律案への幅広い御賛同をお願い申し上げまして、私の賛成の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 中嶋秀樹君。

    〔中嶋秀樹君登壇〕

中嶋秀樹君 日本維新の会の中嶋秀樹です。

 私は、会派を代表して、維新、立憲提出の解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案に賛成、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案修正案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 旧統一教会に解散命令請求がなされ、被害者救済のために新たな法律が必要であることは論をまちません。日本維新の会は、教団の財産が解散命令が発出される前に隠匿されたり、散逸したりすることを防ぐために、包括的な財産保全が必要であることを早い段階から一貫して訴えてまいりました。

 さきの通常国会では、他党に先駆けて宗教法人法改正案を提出。そして、今国会では、旧統一教会に対して解散命令請求がなされたことから、財産保全の項目のみを取り出した宗教法人法改正法案を国会開会初日に提出いたしました。

 その後、同様の内容で特別措置法を提出いただいた立憲民主党と協議を行い、施行の状況を勘案して、必要があると認められるときは、宗教法人法改正も含めた法制上の措置を講じる旨の趣旨の検討条項を追加した上で、維新、立憲双方が自党の案を取り下げ、新たな特別措置法を共同で提出するなど、国家における財産保全についての議論をリードしてまいりました。

 包括保全を含まない与党案は、財産の散逸を防ぎ、また財産保全に国が責任を負うことで被害者の心理的な不安を減らすという目的を達成することができず、課題が多いものと認識しています。

 委員会質疑や修正協議の場において、与党側からは法律や行政上の実効性ばかりが強調され、被害者から見た実効性の視点が欠けていたことは大変残念です。やはり、被害者が個別民事保全を旧統一教会に対して行うというスキームのみでなく、国対旧統一教会の構図をつくってあげることが、心身共に傷ついた被害者が訴訟という心理的ハードルの高い一歩を踏み出す上で極めて重要だったのではないかと感じているところです。

 一方で、与党案にある民事訴訟や民事保全手続における被害者の負担軽減、支援をする内容は、訴訟や保全手続を行う被害者にとっては意味のある内容です。三回の修正協議において、我が党から被害者弁護団の要望も踏まえた具体的な提案を行い、民事訴訟における担保の負担を更に軽減することや、対象法人の財産状況をより早期に把握するための修正がなされたことは評価します。

 我が党として、包括的財産保全が引き続き必要であるという考えに変わりはありません。今回の修正案の中には、検討条項として、包括的な財産保全を含む財産保全の在り方についても検討を行う旨が明記されたことも踏まえ、法案成立後も、財産の散逸を防ぎ、被害者の負担が軽減されるよう、三年を待たず早期に検討が行われることを期待し、一歩前進として与党案にも賛成するつもりです。

 なお、先立って開催された法務委員会では、我が党と立憲民主党が共同で提出した解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案は、自民、公明、国民民主党の反対により、残念ながら否決されました。これまでるる述べてきたように、与党案と野党案は対立するものではなく、双方が成立することで、より効果的な被害者救済が期待できます。

 与党は、会社法、一般社団法人法、弁護士法等にも規定がある保全処分について、適用事例がないこと、管理人の管理処分権が専属する規定や調査権限に関する規定がないこと、管理人や裁判所の命に従わずに対象法人が無断で財産を処分した場合の効力に関する規定がないことを理由に、一貫して否定的な立場を取ってきました。しかしながら、保全処分は、会社法では旧商法の時代から存在するものであり、与党の主張は、我が党提出案に対してというよりは、むしろ、長年我が国の法体系に組み込まれた法律に対する指摘であります。

 今も、悪質な手段で被害を被り、その救済がなされずに苦しむ人々が存在します。当事者も弁護団も、立法府の役割に望みを託しています。是非とも、政府・与党には、会社法を始めとする法律で規定されている包括的な財産保全について、実行力を担保する諸規定の整備等を速やかに進めていただき、重ねて旧統一教会への財産保全について早急に検討されるべきと申し上げ、賛成討論といたします。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 本村伸子君。

    〔本村伸子君登壇〕

本村伸子君 私は、日本共産党を代表して、統一協会の被害救済に関する二法案に賛成の討論を行います。(拍手)

 統一協会は、半世紀以上にわたり、正体隠しや不安をあおった勧誘により信仰選択の自由を奪った状態で、統一協会の教義を信仰させ、違法な霊感商法、高額献金で人々の財産を収奪し、一人一人の人生を壊すなど、被害を広げてきました。これを放置してきた政府、とりわけ自民党の責任は重大であり、被害者救済のための法整備は国会の責務です。

 十月十三日、政府が、被害者の声を受け、統一協会について、全国で相当甚大な規模での被害を確認し、その悪質性、継続性、組織性を認定し、解散命令請求を行ったことは極めて重要です。

 今回の法案に求められているのは、統一協会の解散命令を確定するなどの間の財産の散逸を防ぎ、被害者の救済を実効性あるものにしていくことです。

 包括的な財産保全は、被害者救済の要です。財産の隠蔽、散逸があっては、全ての被害者を救済することはできません。今後、統一協会に対する解散命令が確定した段階で初めて脱会を決意し、ようやく被害者として声を上げられるようになる方が出てきても、その時点で財産が散逸していては、一切救済されないことにもなりかねません。

 与党提案者は民事保全手続による救済を言いますが、我が党の質問で、それだけでは救われない人々が出てくることを認めました。それなら、包括的財産保全に踏み出すべきです。

 しかも、被害者は、宗教的虐待や脱会後の精神疾患の問題など、様々な事情によって今も苦しんでいます。その被害者個々人が自助努力で個別に財産保全の手続を講じなければならないというのは、被害者に過大な負担を強いるものです。

 三党案は、法テラスの制度の拡充など、民事手続を利用しやすくすることの意義はありますが、これだけでは、被害者の実効的な救済につながるとは到底言えません。

 我が党は、被害者や被害対策弁護団が両案それぞれの積極面を生かした立法を求めてきたことを踏まえ、両案に賛成の態度を取りますが、包括的財産保全実現のための検討、協議を今すぐ行うべきです。

 最後に、新たに発覚した岸田総理の疑惑を始め、自民党と統一協会との癒着の徹底究明が、被害者を救済する上で不可欠であるということを厳しく指摘し、討論といたします。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。

 まず、西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。

 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。

 次に、柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十九分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       法務大臣 小泉 龍司君


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