衆議院

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第6号 令和5年3月15日(水曜日)

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令和五年三月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    東  国幹君

      池田 佳隆君    石原 宏高君

      尾崎 正直君    大野敬太郎君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      津島  淳君    中野 英幸君

      中山 展宏君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    牧島かれん君

      松本  尚君    阿部 知子君

      中谷 一馬君    太  栄志君

      本庄 知史君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    阿部 弘樹君

      伊東 信久君    岩谷 良平君

      浦野 靖人君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       後藤 茂之君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  下田 隆文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  菊池 善信君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岩松  潤君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小池 信之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田中 仁志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  實國 慎一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  井関 至康君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      七條 浩二君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室次長)           柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       窪田  修君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室室長)       笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房経済安全保障推進室次長)     品川 高浩君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 的井 宏樹君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中村 英正君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森光 敬子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           熊谷 法夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松本 啓朗君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   参考人

   (独立行政法人国立公文書館理事)         山谷 英之君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     塩崎 彰久君

  大野敬太郎君     津島  淳君

  鈴木 英敬君     東  国幹君

  松本  尚君     小森 卓郎君

  馬淵 澄夫君     阿部 知子君

  岩谷 良平君     伊東 信久君

  浦野 靖人君     阿部 弘樹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     鈴木 英敬君

  小森 卓郎君     松本  尚君

  塩崎 彰久君     池田 佳隆君

  津島  淳君     大野敬太郎君

  阿部 知子君     馬淵 澄夫君

  阿部 弘樹君     浦野 靖人君

  伊東 信久君     岩谷 良平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、厚生労働委員会から連合審査会開会の申入れがありました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び会計検査院当局並びに参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、厚生労働委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

    ―――――――――――――

大西委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十七日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国立公文書館理事山谷英之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官黒田秀郎君外二十七名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 千葉八区、柏市、我孫子市選出です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 今日は、新型インフルエンザ特措法、内閣法改正ということで、二番の統括庁の問題の方から先に入っていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、基本認識としてお伺いをいたしたいと思いますが、この三年間の新型コロナ対応において、司令塔機能そして危機管理体制という観点から、何が問題で、どこに問題があったのかというふうに大臣は御認識になっていらっしゃるのでしょうか。改めてお考えをお聞かせください。

後藤国務大臣 司令塔機能ということについて言えば、適宜、状況の判断に応じ、状況に応じて、各省の様々な権限等をしっかりと調整する形で、時間を空けることなく対応をしていくということが必要でありまして、そういう意味で、例えば、初動の段階で関係者との間の意見の調整が十分につかないだとか、あるいは、初動における調整を強めるための、もう少し調整の機能があった方がよかったのではないかとか、そうしたことについては反省点が有識者の会議等でも述べられておりますし、そうした問題点に対応するための改正を今回考えているということでございます。

本庄委員 今おっしゃったような観点から見たときに、今回の法改正そして統括庁の設置ということがその改善につながるのかどうかという点において、いろいろと疑問点がございますので、順次伺っていきたいというふうに思います。

 今大臣がおっしゃいました初動体制の対応ということなんですが、この委員会でも危機管理の要諦という話が何人かの委員から出ておりましたけれども、もちろん、縦で、シンプルな、指揮命令系統がしっかりしている等々の問題はあります。ただ、最も基本的なことは、やはり危機を危機として認識できるかというところから話は始まるんだというふうに私は思います。

 その観点からいうと、二〇二〇年一月、最初にコロナが発生したとき、このときの時の安倍内閣、安倍政権の初動体制に問題がなかったかどうかということです。当時の特措法を適用するという道も私はあり得たというふうに思います。ただ、時の内閣、安倍内閣は、解釈としてそれは無理だ、こういう判断をいたして、感染症法で対応しようとしました。その判断がどうだったのかということが一つ。

 そして、結局、特措法を改正してコロナを対象にしたということになりますが、この間の時間のラグが一月、二月生じてしまった。

 結局、特措法があっても、組織や体制があっても、危機を正しく認識できなければ、それはただの宝の持ち腐れになってしまうというふうに思うんですね。今回の法改正も、いろいろなことが盛り込まれておりますが、結局、危機認識、そういった能力がなければ対応できないということだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 三年前の新型コロナの初動対応時においては、新型コロナについて特措法を適用することができないということでありまして、新型インフルエンザ、再興インフルエンザ、新感染症、そういう定義にそぐわないものだということで特措法を適用することができないと判断したわけでございますけれども、国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が発生するとともに、クラスターが確認されまして、更に感染が拡大するおそれがあったことから、令和二年三月十日に新型コロナを新型インフルエンザ等とみなす特措法の改正案を国会に急遽提出して対応したわけでございます。速やかに御審議をいただいた結果、十三日には成立しまして、翌十四日に施行されたことによりまして特措法が適用できることになった。これは非常に速やかな国会の対応をいただいたというふうに思っています。

 今回は、政府としては、まず、新型コロナ対策の終息に向けた取組を着実に進めているところでありますけれども、今回の法律案等に基づきまして、統括庁の設置を含めて、次の感染症危機への対応を具体化していくことが最優先であるということで、こうした法案の提出になっております。

本庄委員 国会対応が速やかだったのは当然で、野党側がそもそも求めていた内容だったからであります。

 私は、当時の初動体制、判断ミスはあったんじゃないかと思いますが、今回の出てきた有識者の検証が、この初動の判断について私は対象にしていないと思うんですね。体制の問題はいろいろと議論されていますが、当時の政権の判断についての検証が私は必要だったというふうに思います。

 その上で、いろいろな問題があったという中で、やはり船頭が多過ぎたんじゃないかというふうに私は思います。総理、官房長官、厚労大臣、コロナ担当大臣、そして後半にはワクチンの担当大臣も出てきて、この委員会でもキングギドラという表現も出ておりましたが、まさに船頭多くして船山登るの様相だったというふうに思うんですね。

 今回の法案は事務体制の見直しということがむしろ中心になっていますが、政務レベルの問題について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

後藤国務大臣 現在の体制というのは、内閣法に基づきまして、厚生労働大臣が感染症やあるいは医療等についての権限を持っているわけでありますし、それぞれの経済活動の規制等についても各大臣が権限を持っております。それを、内閣官房の総合調整権という形で、総理大臣がそれぞれの大臣の任命責任をもって統括しているだけじゃなくて、そういったことを官房長官と縦のラインで調整をしながら、その内閣総理大臣の権限を、担当大臣を任命する形で運営をしております。

 それぞれ、ワクチンの担当大臣は、ワクチンの配付ということについて、地方との調整が相当大変だったということもあって任命されたものでありまして、全体としては、内閣総理大臣の下、官房長官の縦のラインの全体としての内閣の調整の中でそれぞれの大臣が任務に従って議論し、それを調整しているという仕組みで、何とか進めるべく、これまでやってきたという認識でおります。

本庄委員 それは今まではそうなんですが、今回、統括庁が設置をされる今回の法改正で、事務レベルではなくて、閣僚や政務のレベルにおいて、どういった司令塔機能あるいは危機管理体制の強化がなされるのかということをお伺いしております。

後藤国務大臣 今回におきましては、統括庁をつくることによりまして、内閣総理大臣、官房長官をしっかりと補佐する、そして、そこに副長官、また医監等をしっかりと充て職ではめることによって、従来の専門家とそして内閣官房の縦のラインをしっかりとつなげるという形で、集中する司令塔機能をつくっているというふうに感じております。

 また、担当大臣等につきましては、こうした新しい制度ができたときに内閣総理大臣の総合調整をある程度任せるような担当大臣を置く必要があるのかどうかということについては、これは時の総理大臣の判断ということになると思います。

本庄委員 結論としては変わらないということですね。三年間のコロナ対応においては、今申し上げたような五人の、総理、大臣が登場して、特に私、違和感ありましたのは、コロナの規制を担当する大臣が、経済を推進する経済再生担当大臣が兼務していたという、このちぐはぐさですね。そして、官房長官との関係もはっきりしないまま三年間が過ぎたということだと思います。

 大臣、しきりに縦のラインということを強調されますが、その言葉を当てはめていけば、コロナの担当大臣というのは今後は必要がなくて、官房長官がその下に統括庁を置いて各省を指揮していく、こういう結論に私はならざるを得ないと思うんですね。若しくは、官房長官が新型インフルの担当大臣を兼務する、そういう帰結になると思うんですけれども、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 現在も、内閣官房の事務に係ることは、これは内閣官房長官が事務を総括的に仕切る権限を持っているわけです。このことについては、統括庁ができた場合も変わるわけではありません。それは、内閣官房という、総理の最高の調整権をやはり集中的にしておく必要が内閣組織としてはあるということで、そういう法律の仕組みになっているわけであります。

 担当大臣というのは、そういう総合調整権をどういうふうに運用していくか、その機能に応じて、その時々任命されるものです。ですから、担当大臣の仕事というのは、例えば内閣法に基づく権限を厚生労働大臣が持っています。その厚生労働大臣の職務権限を代行して統括するということではなくて、それは、厚生労働大臣の職務、国土交通大臣の職務、文科大臣の職務、それぞれの職務を総合調整する形で運用しています。

 特に、運用の中心としては、経済規制というのは、例えば営業の休業要請をするとか時短要請をするとか、そういう経済活動について言えば、これは特措法に基づいて、特に感染症の対策として設けられた、そういう法律でありまして、その特措法については、重立った仕事を担当大臣である新型コロナ・健康危機管理担当大臣が中心となってやっているということであります。

 しかし、経済規制といえども、ほかの仕事について言えば、例えば観光の仕事であれば、これは国土交通大臣がやりますし、そういった形で、全体というものを調整しながら進めるというのが担当大臣の任務であるというふうに思います。

本庄委員 総合調整機能は今の内閣官房にももちろんありますし、統括庁はそれを行使するということですが、結局、変わらないんじゃないんですか、統括庁ができても。内閣官房が持つ総合調整機能を使って、各省を一元的に管理していく、あるいは役割分担をしながらやっていく。私、この政務の問題をきちっと整理をしないと、結局また同じ問題が起きてくるというふうに思っています。

 その上で、ちょっとこの配付資料を見ていただきたいんですが、2番ですね、これは内閣官房の組織図なんです。

 三月十日のこの委員会でも、自民党の松本委員が質問されました。どこに統括庁が位置づけられるのかという問いだったんですが、これに対して政府は、内閣人事局と同じ位置づけの組織だ、こういうふうに答弁をされました。私、これはちょっと不正確、捏造とは言いませんが、不正確じゃないかというふうに思うんですね。

 これは、図でいうと、官房副長官、これが今度、感染症危機管理監になるわけですね。ここに、人事局であれば直結しておりますが、今度できる統括庁というのは、更にこの下に、官房副長官補が充て職となる感染症危機管理監補というのが入るわけですね。つまり、更に右側に移るわけですね、ラインが。その下に統括庁というのが置かれるわけなんですね。

 ということは、今、ずらずらずらっとたくさん並んでいる室がありますが、これと同じような位置づけに組織上はなってしまうんじゃないでしょうか。いかがでしょう、大臣。

後藤国務大臣 先日の委員会での審議において、政府参考人から、今委員から御指摘のとおりで、内閣官房における指揮命令系統という観点で統括庁の位置づけを説明するに際しまして、内閣感染症危機管理監を内閣官房副長官の充て職とするとともに、内閣官房長官を助ける職として位置づけ、内閣官房の事務全般をつかさどる内閣官房副長官の指揮命令の範囲から統括庁の所掌事務を除外するという点に着目して、統括庁は、内閣人事局と同様、内閣総理大臣及び内閣官房長官を直接支える組織と位置づけられるという趣旨、そういう意味で述べたというふうに思っております。

 御指摘のとおり、統括庁は、官房副長官の充て職である内閣感染症危機管理監の下に、統括庁が官房長官に直属しているという点で、内閣人事局と同じ位置づけになるというふうに思っております。

 御指摘でありました、その下に内閣感染症危機管理監補等の職が置かれている、置かれていないということとは異なる意味で、要は、直接、官房長官に統括庁が直属している、その中にどういう職を置いているかという問題だというふうに思います。

本庄委員 それではお伺いしますが、今回、官房副長官が感染症危機管理統括監、そして副長官補が危機管理統括監補になるわけですが、この肩書を持つことで何が変わるんでしょうか、権限や職務について。御答弁お願いします。

後藤国務大臣 今御指摘のとおり、内閣官房副長官の三人は、現組織の中においては、命を受けて内閣官房の事務、これをつかさどる、内閣官房副長官補三人は、命を受けて内閣官房の事務を掌理することとされておりまして、それぞれの者が、担当業務に応じて、内閣総理大臣や内閣官房長官を助けるということとされているわけであります。

 今回、内閣感染症危機管理統括庁を設けるに当たりまして、副長官の中から危機管理監が、そして官房副長官補の中から危機管理監補が任命、充てられるわけであります。なおかつ、副長官及び副長官補のこうした全体としての職務の中から統括庁の所掌事務を除外するということで、任命された副長官そして副長官補が直接に管理監及び管理監補という形で総理及び官房長官を助けるという形のラインを明確にすることによりまして、より意思決定を統括庁のラインに一元化して、迅速かつ的確で、直接的に総理、官房長官を助けられる形になるというふうに考えています。

本庄委員 お答えになっていないんですね。

 今だって、内閣官房は、総理大臣をトップにして、その下に官房長官がいて、その下に副長官がいて、その下に副長官補がいて、そして事務局、室があるという縦のラインに既になっておりますね。今回、統括庁ができることで、それで何が変わるのかということをお伺いしているんです。

 所掌事務ということでいえば、今回、内閣法に幾つか追加がなされますが、それを内閣官房の事務である、そして副長官や副長官補が処理するんだというふうにしてしまえば、全く同じじゃないですか。私は、これは看板のかけ替えどころか、単なるラベル貼りだと思うんですね。いかがでしょう、大臣。

後藤国務大臣 法律の規定によってしっかりと、まずは、今言ったような、内閣の下に官房副長官や副長官補が複数いて、そこに分担させながら担務として担当させていって、通常の内閣官房の、そういう組織の中で仕事をするのと、その通常の組織対応から独立して、外した上で、所掌から外した上で、具体的な官房副長官と副長官補を法律で認められた職にきっちりと補職するわけでありますから、そういう意味では、責任性と、そして、より的確で、危機に対して直接的な対応ができる、その機能は高まるものと思って法律を準備いたしております。

本庄委員 これもまたちょっとおかしな答弁なんですが。

 例えば、今の体制で、安全保障、危機管理は、官房長官、副長官、そして危機管理監がいて、そして担当の副長官補がいる、こういう縦のラインになっております。これは機能しているんじゃないんですか、役割分担をしていることで。

 別に法律で除外するとかそういうことをやらなくても、三人いる副長官補の中で担当をきちっと置いて、事務局を下に置けば、それで縦のラインはもう完成するんじゃないんでしょうか。私はそこをお伺いしているんです。

後藤国務大臣 内閣危機管理監は危機管理について担当をするわけでありますけれども、今回、統括庁ができることによりまして、感染症の危機管理については統括庁が担当をするということになります。

 そういう意味で、もちろん、内閣危機管理監は感染症法上の危機管理について必要な協力をする等の、そういう連携の関係はありますけれども、感染症という専門的な分野であったり、国民に幅広い協力を求める必要が感染症対策というのはあるというようなことを踏まえて、内閣危機管理監とは別な感染症対策の危機管理ということを、権限としても分けた上で担当をさせているということだと思います。

本庄委員 私の質問の仕方が悪いのかもしれませんが、今でも危機管理については、三人いる官房副長官の中で担当を決め、そして副長官補でも担当を決め、縦のラインをつくってあるんじゃないですか、どうして今回、統括庁だけがそれを切り分けることをしないと縦のラインができないのかというのが私の質問なんですね。

 今の事態対処なんかは、内閣官房の中で、特別のそんな、何とか庁と置かなくても対応できているじゃないですか。できていないんだったら問題があると思うんですけれども。なので、そことの違いを私はお伺いをしております。いかがですか。

後藤国務大臣 やはり感染症というのは、今回、COVID―19の非常に大きな社会に対する影響、これは非常に幅広い経済活動、国民の一人一人に大きく関係するようなものでありまして、直接命や生活に関わるものだ、そういう条件を、いろいろ体験する中で、感染症法の特徴、ちょっと繰り返しになって恐縮でありますけれども、そうしたものに対応していくための、そうした専門の司令塔機能、感染危機のための対応を決めた方がいいと。

 特に、幅広く広がっていることに、各省に広がっていますから、総理大臣のいわゆる総合調整機能を特に強力に発揮できるようなそういう仕組みを、従来の総合調整機能でできなかったわけではないじゃないですかというお問いかけに対しては、もちろん、そういう、今の総理大臣が持っている総合調整機能で対応できないと私は申し上げているわけではありません。

 しかし、そこにそういうものをつくることによって、より司令塔機能を高めることができる、そういう機能を付与できるものだというふうに御説明をしています。

本庄委員 それが変わらないと私は申し上げているんですね。つまり、今の内閣官房が持っている機能と何も変わらないんですよ。室が何とか庁、統括庁に変わるという程度の変化しか私はないと思いますよ。副長官と副長官補が新しい肩書を持つ。併任みたいなものですね。それ以外の、権限の強化も、あるいは指揮命令系統の整理もないと私は思います。むしろ、大臣が何人も乱立している状況がそのまま放置をされている、そちらの方がよほど問題じゃないかと思います。毒にも薬にもならない、そういう組織だと私は思います。

 その上で、今度はちょっと害の方なんですけれども、危機管理監の話が今出ました。私も質問通告しておりますので、その質問に入っていきたいと思いますが。

 危機管理監が置かれている趣旨というのは、やはり特殊な経験や知見が必要なわけですね、危機管理というのは。なので、その専門家を置いて、そして政府全体を見ている、それが危機管理監の置かれている立場だというふうに思うんです。防衛だけは除かれています、所掌事務から、今までですね。これは総理大臣と防衛大臣、そして自衛隊のラインで危機管理に対応する、こういう趣旨で整理をされていたと思います。

 今回、法律が変わることで、この危機管理監の所掌事務から、直接的には感染症が外れるということになっております。私、これは非常に問題が多いと思うんですね。例えば、災害とかテロとか原子力災害、こういった事故が起きたときに、危機管理監は当然、担当として対応するわけですね。何で感染症だけが外れてしまうんでしょうか。

後藤国務大臣 これまで内閣危機管理監は、感染症に係るものも含めて、危機管理に関するものを統理してきたところでありまして、これはもう先生の御指摘のとおりです。

 感染症危機管理については、迅速な初動対応だけではなくて、中長期的な視点での対応が求められることや、医学や公衆衛生に係る専門的知見を踏まえた政策判断が重要であること、国民の行動によって影響の程度も変化するために、国民を巻き込んだ、そういう息の長い、また幅広い取組が求められることなどの点で、他の分野の危機管理対応と異なる特徴を持っているというふうに考えています。

 このために、今後、感染危機管理に係る総合調整事務は、平時、有事一貫して統括庁が一元的に所掌することとするために、内閣危機管理監の所掌から除外をすることにしたということであります。

本庄委員 それもよく分からないんですね。

 内閣危機管理監は、官房長官そして副長官の下で危機管理を担当しているというのが今の所掌ですね。じゃ、今回、統括庁が置かれることで、この危機管理のプロとしての役割、特に初動における役割を果たすのは誰になるんでしょうか。そういう専門家がこの統括庁にはいるんですか。私はいないと思うんですね。

 官房長官、副長官は今もいます。ただ、それだけでは足らないから危機管理監が置かれているわけで、じゃ、今度新設される感染症危機管理対策官、この方が危機管理のプロかと言われれば、そうではありませんよね、厚労省の医務技監です。

 私は、ここであえて危機管理監を外してしまう必要性を全く感じないんですが、縦のラインですからね、この人も。いかがですか、これに代わる人はいるんですか。

後藤国務大臣 いろいろな危機が発生したときに、その危機に対して一義的に対応するのは内閣危機管理監だと思います。

 ですから、例えば、余り具体的な例を言ってもあれですけれども、感染症に関わる危機管理として統括庁が対応をするというのは、これは、感染対策の対応、こうしたことが必要になるような危機管理に限られているわけでありまして、どういう危機管理が必要な状況なのかも含めて、何が起こったのか分からないというような事態においては、これは内閣危機管理監がまず対応する事態だと思います。それに加えて、感染症対策、そういう専門的な危機管理ということを統括庁が行っていく。

 しかし、その統括庁の初期段階、初動段階においても、危機管理というノウハウや、危機管理のいろいろな、様々な対応ということも、御指摘のように非常に重要な点だということであるので、内閣危機管理監が、内閣官房長官等から臨時に指示を受けて、感染症に係る初動対応についても、統括庁の事務に協力することを規定、想定しているというのが今回の考え方の整理だというふうに思います。

本庄委員 今の御説明を聞いても、何であえて危機管理監を外す必要があるのかというのがいまだに見えてきません。

 事が動き出してからでも、いろいろな状況が想定されるわけですね。協力するという規定が置かれているのは事実です。ただ、私、非常に権限が弱いし、責任の所在や役割分担も曖昧だと思います、この危機管理監が協力するという規定は。

 私は、ここの条文の修正は削除をして、元のままの危機管理監の所掌事務ということに残しておいた方が、危機管理の観点から見て上策じゃないかというふうに思いますが、答弁はもう求めません、意見を申し上げて、次の質問に移っていきたいと思います。

 今回、新たに厚生労働省に感染症対策部というものが設置をされますが、それに関連してちょっとお伺いをしていきたいんですけれども、まず、統括庁の対象となる感染症の範囲、これについて改めて教えていただきたいんですが、厚生労働省の感染症対策部の対象とする感染症との違い、ここについて教えてください。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症の発生及び蔓延の防止に関する総合調整事務を所掌するものであり、感染症の発生及び蔓延の防止に関し政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合には、統括庁が総合調整を担うこととなります。

 具体的には、新型インフルエンザや今回の新型コロナウイルス感染症など特措法の対象となる感染症は、全国的かつ急速に蔓延するおそれがあり、国民の生命、健康を保護しつつ社会全体への影響を最小化する必要があるために、政府全体の立場からの総合的な対応が必要になることから、統括庁の対処の対象となる。だから、まず、特措法が対象になります。

 また、特措法の対象ではない感染症についても、政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合は、統括庁が蔓延の防止に関する総合調整を担うことは考えられます。

 統括庁が対応する感染症に該当するかどうかは、新たな専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構の科学的知見等を踏まえて、個別の感染症に係る具体的な病状等の状況に応じて、個別的に判断していくことになるというふうに考えています。

本庄委員 今回、統括庁と厚労省の感染症対策部が一体となって対応していくということですが、厚労省にお伺いしますが、今回新設される感染症対策部、ここの事務の規定や、あるいは定員というのはどういうふうになるんでしょうか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症対策部でございますが、感染症対応の実務面での強化を図るために厚生労働省に設置をする組織でございまして、感染症対策について、予防接種、検査、保健所の業務指導、検疫等の業務を一体的に実施をすることとなります。これは、厚生労働省組織令改正で業務を今後規定することになってまいります。

 これらの業務を行う、平時においては、現行の組織から二十五名増員をいたしまして、二百名弱、百九十七名定員の組織とする予定でございます。

本庄委員 セットで対応していくということでありますから、今回立ち上がる予定の統括庁、そして厚労省の方の感染症対策部、さらには日本版CDCというのを、是非きちっと一体で組織を整備していただきたいというふうに思います。

 さて、内閣官房と内閣府の肥大化の観点から少しお尋ねをしたいんですが、今回、統括庁の定員が平時三十八名、そして有事百一名ということなんですが、これに伴ってコロナ推進室は廃止されるということになっていくんだと思いますが、内閣官房全体では定員はどういうふうになるんでしょうか。これは内閣官房、事務方から御答弁ください。

黒田(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房の令和四年度末定員は千三百七十九人、令和五年度末定員は千三百三十二人を予定しておりまして、差引き四十七人の減員を予定しております。

 主な増減の要因ですが、先生御指摘ありました内閣感染症危機管理統括庁の設置に伴う増が三十三人、そして、こども家庭庁の設置に伴う振替減、九十人の減などが要因でございます。

 以上でございます。

本庄委員 コロナのところだけ着目すれば、それは、有事も去って、平時に戻って、定員も少し減るということでしょうけれども、長い目で見たときに、やはり、内閣官房と内閣府は、組織は肥大化し、定員も増え、併任も増えている、こういう状況は否めないというふうに思うんですね。そういう中で、今回また統括庁なるものが新しくできるということで、行革の観点からもしっかりと検証していかないといけないと思うんですけれども。

 平成二十七年、二〇一五年の一月に閣議決定をしている、「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」という閣議決定があります。ここの中に、内閣官房及び内閣府への業務の追加は、その必要性を十分勘案した上で判断する、新たな業務を法律によって追加する場合には、原則として期限を設けることとする、こういうふうに明記をされております。この、必要性を十分勘案、あるいは期限を設ける、この閣議決定は、現在ほとんど空文化してしまっているんじゃないかと思うんですね。

 二〇一五年以降規定された内閣官房や内閣府の業務で、期限が切られて設置された組織はあるんでしょうか。これは事務方から答弁してください。

七條政府参考人 お答えいたします。

 期限の設定状況について御質問をいただきました。

 内閣官房につきましては、平成二十七年の閣議決定以降に施行された法律により追加された事務は八件ございまして、そのうち、設置期限が定められているものが二件、また、施行後一定期間後に検討するとされているものが四件、定められていないものが二件あると承知をしてございます。

本庄委員 閣議決定で、原則として期限を設けよというふうに政府自身が決めているわけですね。私、今御答弁ありましたけれども、八分の二というのはやはりちょっと少ないと思うんですね。やはり、内閣官房、内閣府の業務の肥大化防止の観点から、期限を切って新しい組織をつくっていくということは、改めて原点に立ち返っていただきたいというふうに思います。今回の統括庁が期限になじむ組織とは私も思いませんが、一般論としてこのことは申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、いわゆるコロナ予算についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 今回の改正案にも、新型インフルエンザ対策に係る経費として都道府県や市町村の負担を軽減する特別の交付金に関する規定、あるいは地方債の起債の規定ということが設けられております。

 私も、地方自治体に対する財政措置の必要性は理解をいたしますが、ただ、その前に、やはり、この三年間のコロナ関連予算の全体像の把握、あるいは使途のチェック、あるいは政策効果の検証といったことをしっかりとやらないといけないと思うんですね。

 今回、有識者が出してきた検証結果というのは、たった一か月で五回会議を開いただけ、そして、体制の見直しや感染症対策のありようが中心になっていまして、予算面とか政策効果というところでの検証はほぼノータッチ、こういう状況です。私は、今後の、この知見、三年間のいろいろな経験を生かしていくためにも、こういった検証は不可欠だというふうに思います。

 さて、この有識者会議の報告書の中にも、最後に、経済社会財政への影響、財源の在り方、施策の効果などについて多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めたいということで、多面的な検証ということを有識者会議でも求めています。

 これは後藤大臣も同意されていますか、検証をやる、そういう意欲をお持ちですか。

後藤国務大臣 有識者会議におきまして、今委員から御指摘のあったような指摘がなされております。

 有識者会議は、御指摘のように、五月から六月にかけて五回にわたって検証を行ったわけでありまして、報告書が取りまとめられて、中長期的な課題を整理していただいたことを踏まえて、九月に政府対策本部において感染症危機に備えるための具体策を決定するとともに、十二月にはまず感染症法の改正を行い、今回は内閣感染症危機管理統括庁設置のための改正法案を御審議をいただいているところです。

 政府としては、まず、足下の、もちろん、新型コロナ対策の終息に向けた取組を着実に進めると同時に、これまでの新型コロナへの対応について不断の検証を行いながら、次の感染症危機管理対応の備えに反映させることが重要であるというふうに考えておりまして、先ほどの先生の御指摘について言えば、不断の検証が必要であるというふうに思っております。

本庄委員 大臣、不断の検証という言葉がお好きなのか、よく繰り返されておりますが、不断の検証というのは、どういうふうに検証して、そして、どういうふうに国会あるいは国民に公表されるんでしょうか。何か、やっているのかやっていないかも分からないような検証じゃ困るんですね。きちっと取りまとめて、見える形にしていただかないと困るんですが、大臣のおっしゃっている不断の検証というのはどういうものですか。

後藤国務大臣 まずは、今申し上げたように、コロナ対策の終息に向けて全力を挙げるとともに、それから、これまでの、今御指摘をいただいた有識者会議等の検証において、早急に中長期的課題、来るべき感染対策としてすぐにやるべきことということで指摘をされていること等について、法制度等の改正に全力を挙げているところでありますけれども、そうした中にあっても感染症危機管理対応は進んでいるわけでありまして、そうした感染症危機管理対応の中で、やはり問題になる点、そうしたことについては検証をしっかりしていくというのが不断の検証ということになります。

 そうしたことについては非常に重要だということでありますけれども、今、どういう形で、どういう検証を今後していくのかということについては、今申し上げたような、まずもっての対応に全力を挙げているところで、具体的にちょっとお答えできるような状況ではありません。

本庄委員 不断の検証とふだんの検証は、日本語が違うと思うんですね。(後藤国務大臣「不断です」と呼ぶ)はい。

 それで、やらないと言っているに等しい答弁だったんですが、大臣、コロナ予算は百兆あるいはそれ以上、三年間で使ってきたと言われている。今、増税までして防衛費を増やそうとか、そんな議論をしているときに、この三年間の百兆円の使われ方が適切だったかどうかということは待ったなしの検証じゃないんですか。今からやります、それともやるかどうかも分からない、私はこんなことじゃ困ると思うんですね。

 例えば、じゃ、この三年間、コロナ関連の予算というのはどれぐらい使ったんでしょう。政府として把握されていますか。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、新型コロナ対策の関連予算の全体像でございますが、直接的な感染防止対策のみならず、新型コロナによって影響を受けた経済、雇用への対応、様々な事業が関連予算として含まれ得ることから、明確に切り分けてお答えするには困難な面がありますが、例えば、病床確保などの医療提供体制の確保、ワクチン接種体制の整備、飲食店への協力金等の給付、雇用調整助成金の特例措置や実質無利子無担保融資など、非常に様々な予算が措置されてきたと理解してございます。

 これらの予算の執行状況でございますが、例えば経済財政諮問会議などにおきましても、新型コロナ対策の主な事業について、その執行状況を取りまとめ、公表を行ってきている、このように理解してございます。

 委員御指摘のように、これまで措置してきた予算が何に使われ、どういった効果があるか、こういった点を検証していくということ、そしてそれを説明していくということは非常に重要な課題であると考えてございます。

 今後とも、政策の効果等につきまして、関係省庁と議論し、検討を行い、予算編成などにも適切に生かせるようにしてまいりたいと思ってございます。(本庄委員「金額を聞いているんだけれども」と呼ぶ)

 多様な事業が関連予算として含まれ得ることから、明確に切り分けてお答えすることは非常に難しいと考えてございます。

本庄委員 財務省、それでいいんですか。財政の責任者が切り分けられませんと。こんないいかげんなことで増税までやろうとしているんですか。

 何か、さっき、予算委員会で議論しろというやじもありましたが、今回の法案の中に、地方向けの財政措置を更に緩めていこう、やりやすくしていこう、こういう規定が入っているんですね。だから、私は、過去の検証がまず先に必要じゃないですかというふうに伺っております。非常にいいかげんな答弁だと思いますね。

 財務省、数字をきちっと示してください。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 直接的な感染防止対策のみならず、影響を受けた経済、雇用への対応など、多岐多様な事業が含まれていることから、この時点で明確に切り分けてお答えすることは難しいということを御理解いただきたいと思います。

本庄委員 会計検査院、昨年の十一月でしたでしょうか、決算検査ということで、コロナ予算について金額を特定して、そして所見を述べておられますが、その金額と、そして所見の内容を教えてください。

宮川会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、令和三年度決算検査報告に、新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等についてを掲記したところでございます。

 検査の状況でございますが、令和元年度から三年度までの三年間のコロナ関連事業、計千五百二十九事業を特定し、これらの事業について見ましたところ、千三百六十七事業については予算の執行が区分して管理されており、これに係る三年間の予算総額は計九十四兆円余り、支出済額七十六兆円余り、繰越額十三兆円余り、不用額四兆円余りとなっている状況等が見受けられました。

 また、コロナ関連事業に係る予算執行等の情報提供の状況について検査しましたところ、繰越額及び不用額については、一事業以外にはコロナ関連事業と分かる形で公表されておりませんでした。

 このような検査の状況を踏まえまして、会計検査院といたしましては、各府省等は、多額に執行されているコロナ関連事業に係る予算の執行状況等に関して、予算の執行状況を示す基本的な情報である支出済額、繰越額、不用額などについて分かりやすく情報を提供することが望まれる、こういった所見を述べたところでございます。

大西委員長 申合せの時間が経過しておりますので、よろしく。

本庄委員 はい。

 財務省は切り分けできないと言いますが、会計検査院、切り分けているじゃないですか、ちゃんと、事業の数まで特定して。やればできるんじゃないですか。財務省、怠慢じゃないですか。

 時間が来たので終わりますが、大臣、最後に、検証、きちっとコロナ予算、お願いします。

 以上です。

大西委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 東京都練馬区からやってまいりました、立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いをいたします。

 早速、質問に入ります。ちょっと質疑の順番を変えまして、公文書管理の話からお尋ねをしてまいります。

 先ほど来も、この委員会で検証が必要だという議論があって、私も全く同じ意見です。では、検証のために何が必要なのか。

 まず第一に、行政文書が必要でございます。適正に記録が残され、それが保管をされ公開をされる、そのことによって、幅広い国民の皆さんが検証をし議論をすることができるわけでございます。

 では、その行政文書の管理、公文書の管理が果たしてこのコロナ禍において適切に行われていたのかということを、今日議論をさせていただきたいと思います。

 このコロナ禍における政府対応は、公文書管理という視点からは新しい試みがなされております。歴史的緊急事態という指定を政府が行って、公文書の管理について通常よりも一段高い水準を求めている、こういう運用になっております。

 幾つかポイントがありますけれども、お手元の資料だと三番目でございますけれども、何点かあるんですけれども、大きなポイントとして、重要な会議の記録をしっかり残そう、そのためには、その会議の記録をどういうふうに残すのかということについて、マニュアルをしっかり作成をし、そのマニュアルに基づいて記録を残す、そのマニュアルは、公文書を管理している内閣府の公文書管理課に報告をしてしっかりチェックを受ける、こういうふうな手順になっているのでございます。

 私、事前にお聞きしましたところ、公文書管理課によると、マニュアル作成の、そして報告の対象となる会議体が二十六あったというふうに伺っております。残念ながら、内閣府公文書管理課に対してマニュアルの報告が行われていない会議体が存在していたということを伺っておりますが、内閣府にお尋ねいたします。

 幾つの会議についてマニュアルが報告をされていなかったのか、明らかにしてください。

和田副大臣 お答えを申し上げます。

 内閣府におきましては、今般の新型コロナウイルス感染症に係る事態に政府全体として対応する会議等の運営を担当する行政機関は、当該会議等に関し、作成するべき記録や記録の責任主体を記載したマニュアルを整備するよう求めているところでございます。

 対象となる会議としては、廃止したものも含めて二十六の会議が御指摘のとおり存在しており、本日現在では、全ての会議について担当行政機関によってマニュアルが整備されていると報告を受けたところでございます。

 その一方で、二つの会議につき報告が漏れたということが、今日以前の話ですけれども、報告を受けております。一つは今年に入って開催されたものでありまして、直近の今年一月一日の照会の際にはまだ開催をされていなかったものでございます。そして、もう一つの会議でございますけれども、直近の照会以前に開催されていたものであり、報告が漏れてございました。

 こうした会議があったことを踏まえ、内閣府としては、一層丁寧に各府省に確認を求めるよう努めてまいりたいと思います。

山岸委員 本日時点では整っていますという説明がありましたが、それは、私が問合せをしたので、慌てて確認をされて報告を受けたということではないんですか。

 今、副大臣から今日時点と説明がありましたけれども、私、三月十日に照会をしております。事務方で構いませんけれども、三月十日時点で報告を受けていなかった会議体、マニュアルの報告がなかった会議はどれとどれとどれですか。教えてください。

笹川政府参考人 山岸先生にお答え申し上げます。

 現時点では、確認の結果、今、副大臣から答弁があったとおり全て整っておりますが、お話をいただいた時点では、時系列で申し上げますと、まず、我々、手元に、二十四の会議が存在しているという報告を受けておりました。ただ、お話をいただきましたので、念のため、会議があると言っていた内閣官房、内閣府、厚労省、それからそれ以外の役所にも確認した結果、今答弁がありましたが、二つ報告がなかったということでございました。

 それから、マニュアルについては、その把握していなかった二つの会議は当然、マニュアルがあったかどうかを把握していないわけですけれども、もう一つ作っていない会議があったということで、遡って考えると、数日前には三つマニュアルがなかったということでございます。

山岸委員 二十六の会議体のうち三つの会議で、内閣府に対してマニュアルの報告が漏れていたということでございます。

 誠実な答弁をお願いしたい。通告した後に来たものも含めてカウントされてしまったら実態が明らかになりませんから、きちんとそれは誠実な御答弁をお願いしたいと思います。

 今のお話は、報告を受けた側の、内閣府の方に報告がなかったという話ですので、報告をしていなかった内閣官房の方にお伺いしたいと思うんですけれども、これは、もう一回整理してほしいんですけれども、単なる報告漏れでしたという話なのか、そもそもマニュアル自体を作っていなかったというケースもあったということでよろしいんでしょうか。今、三つ挙げてもらいましたけれども、それぞれ明らかにしてください。

柳樂政府参考人 内閣官房コロナ室分についてお答えをいたします。

 コロナ室におきまして、歴史的緊急事態に対応する会議等に該当する会議について、大部分、公文書管理課に報告をしていたものでございますが、三月十二日時点で会議の開催を報告していなかったものが二件ございまして、翌十三日に報告を行ったものでございます。二件とも、ガイドラインに基づくマニュアルはその時点までに既に整備済みで、必要な記録の整備は行っていたものでございます。

 先ほど冒頭、内閣府の方から御説明ありましたように、その二件のうちの一件は昨年十月に開催した会議で、これについては部署における確認漏れがあったということで登録が遅れていたということ。それからもう一つは、今年の二月から三月にかけて開催した会議でございまして、これは年度末を目途に登録を予定しているものでございまして、今回登録を行ったということでございます。

山岸委員 確認ですけれども、マニュアルを作成していなかった一つの会議というのは、オミクロン株への対応に関するタスクフォース、この会議で間違いありませんか。教えてください。

井関政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

山岸委員 これは大変重要な会議だと思います。こういった、本来定められている、どういう記録を残すかということに関するマニュアルを作っていなかったというのは、これはやはり公文書管理に対する姿勢が問われると思います。

 内閣官房に教えてほしいんですけれども、なぜマニュアルを作らなかったんでしょうか。失念していたのか、あるいは何か意図があったのか。そしてまた、マニュアルがなかったことによって、必要な記録が残されていなかった、そういうふうな実害があったということはないんでしょうか。教えてください。

井関政府参考人 お答え申し上げます。

 マニュアルが作成されていなかった原因についてでございますが、ガイドラインに基づくマニュアルの作成に係る対応の確認が十分に行われていなかったということと考えております。

 他方で、しかしながらでございますが、行政文書の管理に関するガイドラインに基づいて作成することになっておりますタスクフォースの記録につきましては、設立当時から現在に至るまで、歴史的緊急事態に対応する会議等のうち、政策の決定又は了解を行わない会議等に当たるものとして、これまで適切に作成及び保存を行ってきたところでございます。

山岸委員 適切にやっているというふうにおっしゃるんだけれども、それが本当に適切かということを担保するためにマニュアルという仕組みがあるわけであって、それを軽んじているという、説明には私はならないと思います。

 せっかく和田副大臣にお越しいただいていますので。今回、これは一義的には内閣官房が作っていなかったという話なんですけれども、内閣府の方は、報告を受けて、いわば進行管理をチェックする責任があったわけです。今回私が問合せをしたことをきっかけに調べてみたらなかったという話になっているわけで、それは日頃の業務として、やはりちょっと漏れがあるというか、チェック機能を果たすべき内閣府として私は少し不十分な点があったのではないかなと思いますけれども、御所感があればお伺いいたします。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 内閣府としては、節目節目で、マニュアルの作成状況等を各行政機関に照会し、またガイドライン等の遵守を呼びかけてきたところでありますが、徹底できておりませんでした。

 今般、作成に至ったと伺っているところでありますが、今後は、マニュアルを作成していない会議があれば個別に対応を求めてまいりたいと思いますし、また、必要に応じて、通常だと年末年始辺りにチェックをするわけでございますけれども、チェックの回数も増やすことも検討したいと思います。

山岸委員 これは是非徹底をお願いしたいと思います。歴史的緊急事態ということを政府自らが指定をして、高いレベルの記録の管理を求めているわけですから、それをしっかり日々の業務の中で遂行していただくということが大前提だろうと思います。

 更にこの公文書の問題を伺っていくんですけれども、今、コロナ関連の公文書がたくさん作成をされ、記録が残されているわけですが、それが順次、国立公文書館に移管されるという仕組みになっております。

 この歴史的緊急事態はちょうど三年前の三月十日に指定されていますので、当時作成が始まった文書は、一年保存とか二年保存の文書については、既に期限が切れて公文書館への移管が始まっているということになっています。

 私、これが多分これから相当な分量になってくるんじゃないかなと思っておりまして、国立公文書館にまず確認をお願いしたいんですけれども、厳密な数字じゃなくても規模感で構いませんから教えてほしいんですが、二つのことをお聞きしたいと思います。

 新型コロナウイルスの関連文書の中で既に国立公文書館に移管されたものが大体どれぐらいあるのか、そして、東日本大震災関連の文書で国立公文書館に移管されたものが大体どれぐらいあるか、この二つを教えてもらえますか。

山谷参考人 お答えいたします。

 国立公文書館では、行政機関等から受け入れた文書を国民の利用に供するために、国立公文書館デジタルアーカイブという目録検索システムにより、文書の表題等の情報を提供しております。

 本デジタルアーカイブで、コロナあるいは東日本大震災とキーワード検索をいたしまして所蔵冊数を確認いたしましたところ、令和三年度までに国立公文書館に移管されている文書は、新型コロナウイルス関連文書が約七百冊、それから東日本大震災関連文書が約一千八百冊でございます。

山岸委員 コロナが七百、震災が一千八百。大変驚きました。

 というのが、東日本大震災、これは十二年が経過をしておりますので、十年保存の書類まで期限が来て移管をされているわけです。大体見ますと、やはり十年保存というのが一番多いと私は思いますので、おおむねいわば出尽くした状況で一千八百。一方のコロナは、今現在で移管されているものは一年保存とかせいぜい二年保存で、それだけでもう七百件も来ているわけでございます。やはり、歴史的緊急事態というこの指定によって、いかに大量の文書が作成をされているか、保存されているかということがこの数字からも明らかなんだろうと思います。

 そうなりますと、では、これから一体どれだけのコロナ関係の書類が公文書館に移管されるのかということなんですけれども、これは一点確認で、もし内閣府の方でお分かりになればお教え願いたいんですけれども、五月に二類から五類に切り替われば、今の歴史的緊急事態というものはその前後で終了をしていく、一区切りになっていく、こういうふうな理解をしてよろしいのかどうか、教えてください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 正直申し上げますと、まだ決まっているわけではなく、そもそも、閣議了解に基づいて公文書担当大臣がこの事案を歴史的緊急事態にするというふうに指定しているだけで、例えばそれが五年とか十年とか、あるいは二類だからとか、そういう理由でやっているわけでは、直接的にはですね、ございませんので、また状況を見ながら考えさせていただきたいと思います。

山岸委員 そこは決まっていないということなんですけれども、いずれ判断をせざるを得ないタイミングが来るだろうと思います。

 それを決めるか決めないか、歴史的緊急事態を終えるかどうかにかかわらず、やはり五類に切り替わりますと、各役所のモードといいましょうか、ムードといいましょうか、だんだんコロナ関連の業務を店じまいしていくというふうな局面になっていく。

 そうなりますと、今まで一応取っておいた一年保存の書類とか、それこそ打合せのメモとか、いろいろな日程とか配置表みたいなもの、こういったものも一斉に期限切れということで移管をされていくということになるわけでございまして、そのタイミングでこれらの文書が適切に移管をされる、間違っても廃棄をされたり、恣意的に廃棄をされたりとか、もちろん改ざんなんということは絶対あっちゃいけないわけですけれども、適切に公文書館に移管をされていくということ、これが今回の政府の公文書管理の一つの試金石なんだろうと思います。

 そこで、副大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、これが本当に今、今の体制で大丈夫なのかなという問題意識を私は持っておりまして、これから大量に予想される公文書の移管に当たって、適切に移管するように各行政機関に対して助言や指導を行っていく、あるいは、現在の公文書館の体制、保存、整理、公開に向けた体制というものが本当に十分なのかどうか、これは今のうちから点検を行って、更に強化をしていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 移管の受入れにつきましては、コロナ関連文書に限らず、現在の公文書館の書庫が手狭になりつつあることも鑑み、令和十年度を目指し、新たな公文書館の建設に向けて取組が進められているところでございます。

 国立公文書館は、国民と行政をつなぐインフラである公文書を後世に残していくための土台でもあり、今後、国立公文書館が果たすべき役割はますます高度化、多様化していくものと認識をしております。新館建設を契機に、国立公文書館の体制がより充実したものとなるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

山岸委員 まさにコロナ関連の政府の文書というのは国民の財産ですから、先手先手の対応を是非お願いをしたいというふうに思います。

 その上で、残された本法案の論点に関して深掘りをしていきたいと思います。

 先ほど、本庄議員との議論の中で、後藤大臣からも様々、官邸の中で一体、統括庁というのがどういう役割分担でどういう仕事をするのかという議論があったわけで、私もちょっとなかなか理解できていない部分があるんですが、一つには、やはり充て職の危機管理監と、そして危機管理監補、このお二方がどういうふうな仕事をされるのかというのがなかなか見えてこないということなんです。

 今、副長官は、三人の中からこれを総理が指名するという仕組みになっていて、副長官は衆議院、参議院、そして事務方とそれぞれ出身が決まっていて、この中から誰かを充てるわけですね。同じように危機管理監補も官房副長官補から充てるということになっているわけで、副長官補の方は、副長官よりも更に綿密に、担務といいましょうか、出身も含めて決められておりまして、内政、外政、そして安危、事態対処・危機管理ですね、この三人の副長官補がそれぞれ置かれているわけです。

 ここで後藤大臣に、ちょっと質問を一個飛ばしますけれども、お伺いしたいのが、統括監補にはこの三人の副長官補のうちどなたを指名することを現時点では想定しているのか、教えてもらえますか。

後藤国務大臣 今審議をお願いしている内閣法改正案においては、内閣感染症危機管理監を助け、統括庁の事務を整理する内閣感染症危機管理監補には、内閣総理大臣が内閣官房副長官補の中から指名する者をもって充てると規定しているところでございます。

 三人の内閣副長官補としていかなる属性の者を任命し、どのように業務を分担するかは、内閣総理大臣が判断する事柄でありまして、内閣官房副長官補三人のうちから誰を内閣感染症危機管理監補に充てるかについても、その時々の状況に応じて内閣総理大臣が判断することになります。

山岸委員 もちろん、手続的には総理がお決めになるわけですけれども、現時点で、当然、方向性というか腹案というか、考え方みたいなものはないとまずいんじゃないですか。というのが、やはり、どなたがこの統括監と統括監補になるかによって、この統括庁の役割というか位置づけというのが、随分カラーが変わってくると思うんですね。

 例えば、先ほど来、内閣人事局と似た仕組みだというふうな話がありましたけれども、人事局も副長官の充て職ですけれども、どなたが人事局長になるかでやはり性格がかなり変わりました。一番初め、安倍政権の当初は、衆議院の官房副長官がトップに就かれた。その結果として、行き過ぎた政治による官僚人事への介入というふうな批判もあって、途中から事務の副長官に切り替わって、杉田副長官、栗生副長官、続けてもう五年ぐらいこういった運用になっているわけで、一定の人事局の政治からの自立性ということも担保されているというふうに私は評価しています。

 ですから、三人のうち誰でもいいというわけじゃなくて、どなたを充てるかで随分変わってくると思うんですね。極端な話、この統括庁が、トップの統括監は政治家の副長官で、ナンバーツーの補が外政の担当の副長官補だったりしたら、やはりちょっと仕事が回らないと思うんですよね。

 恐らく一番理想的なのは、事務の副長官がトップに就かれて、そして内政の副長官補がナンバーツーに就かれるというふうな、こういうイメージなのかなと私は推測しているんですけれども、やはりこういった何らかの整理というものを持っておかないと、いかに総理が任命されるにしても、誰でもいいというわけにはいかないと思うんですけれども、後藤大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 あくまで、いかなる属性の者を任命し、どのように業務を分担するかは内閣総理大臣が判断する事柄であるということでありますから、その時々の状況に応じて、どんな人材をどういうふうに充てていくかということは内閣総理大臣が判断するということで、この法律をお願いいたしております。

山岸委員 本当にそれで機能するのか、疑問がなしとはいたしません。

 そしてもう一点、包括条項の問題を議論させていただきたいと思います。

 包括条項、第十二条二項に十五号を加える、法律に基づいて内閣官房に属させられた事務というものを内閣官房の仕事に加えるという規定ですけれども、これがなければいけないということを皆さんはおっしゃっているんだけれども、逆にお伺いしたいんですけれども、現時点でこの条項はないわけですよね。条項はないんだけれども、事務は内閣官房で行われている。政府行動計画の策定や、政府対策本部あるいは推進会議の事務というものは内閣官房において処理をされているわけでありまして、では、現時点ではこれは具体的に内閣法のどの規定に基づき行われているのか、教えてください。

後藤国務大臣 統括庁の所掌事務である政府行動計画の策定及び推進に関する事務、それから政府対策本部に関する事務、新型インフルエンザ等対策推進会議に関する事務、内閣法十五条の二の第二項、第一号から第二号、第三号についてこれは規定されておりまして、現行の内閣法においては、内閣法第十二条第二項第五号等で規定する行政各部の総合調整に関するものとして、内閣官房で行っております。

山岸委員 既定の、これまでの一から十四号の中で当てはめて、読み込めているわけですよね。

 そうしますと、この包括条項は一体何のためにあるのかなとやはり私は疑問が拭えないわけでございまして、わざわざこれを設けるからには、今後、何か新しい法律に基づいて更にこれこれの事務を更に付与していくという可能性が高いから、今のうちに準備をしておくということなのではないかと推測をするんですけれども、逆に、そうでないとなかなかこの必要性の説明がつかないんじゃないかというふうに思うんです。

 後藤大臣にお聞きしたいんですけれども、今後、この包括条項、十五号ですね、十五号の適用対象となる事務として、この法案の統括庁の事務以外に予定をされているものというのはあるんでしょうか。

後藤国務大臣 内閣法第十二条第二項第十五号の、法律に基づき内閣官房に属せられた事務の規定に基づいて内閣官房が所掌することとなるものは、現時点では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく事務以外で具体的に想定しているものはありません。

山岸委員 現時点で想定しているものはないけれども、たてつけとしては、これから様々な業務を追加するということは排除はされていない、可能である、こういう理解でよろしいですか。

後藤国務大臣 今委員御指摘があったように、内閣官房が国政全般の総合戦略機能を発揮するためにインフル特措法以外の法律に基づく事務を担う可能性は否定されないところであります。

 内閣官房が基本的な職務として分担するのに親和性が高いものなのか、内閣官房において所掌するべき特別の必要があるものかという点から、個別法の議論において個別に御判断いただくものと考えておりまして、現時点において何か予断を持ってお答えする、そういうことは困難であるというふうに思いますが、可能性の議論としては、あり得る、そしてそれは、内閣官房との、事務の親和性によって個別に判定されるということです。

山岸委員 重要な答弁をいただきました。否定されない、あり得るということでありまして、やはり、この間議論してきたみたいに、内閣官房というのはほっておくと肥大化するわけであって、それをどう止めるかという議論をしてきたのに、この規定を設けてしまったら、いかようにでも広がり得るという、その可能性がある。そこはやはり、一つの大きな残された課題だというふうに思います。

 やはり全体的に、私、今回のこと、全否定しませんけれども、ただ、何といいましょうか、作りが悪いというか、突貫工事というか、総理が打ち上げたアドバルーンを何とか形にしようという中で、かなり使い勝手の悪い組織になっていくんじゃないか、たてつけがおかしくなっていくんじゃないかという疑問がまだ残っておりますから、これは引き続き国会がしっかり厳しくチェックをしていくということを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の衆議院議員の阿部知子です。

 本日は、内閣委員会でお時間を頂戴いたしまして、新型インフルエンザ特措法の改正並びに内閣法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 二〇二〇年の一月十五日、日本におけるコロナ感染症の第一号は実は神奈川県相模原市でありました。爾来三年以上が経過して、今般、この対策全体について見直してみるという時期にかかっておりますが、この三年を振り返りましても、まず、国民との対話がどうであったか、非常に不安の大きな、命の関わるものでありますし、国民へのメッセージがどうであったか、あるいは、感染症、特に専門家が関わりますけれども、専門家の役割、そして政治との関係はどうであったか、三点目が、政治の意思決定はしっかりと見える化されているか、などが私は大きな課題だと思っておりますので、順次御質問をさせていただきます。

 まず一点目は、一月二十日、岸田総理が記者会見、並びに一月二十三日の所信表明演説で、コロナ感染症の二類から五類への見直しを専門家に検討していただいている、検討する方向だということを表明されましたが、さて、二類から五類への見直しというときに国民に説明する一番分かりやすい説明は何であるのか、お願いいたします。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 いわゆる第八波における死亡者数をちょっと先にお話ししたいんですけれども、オミクロン株の感染力が強いことから感染者数が増加し、結果として、基礎疾患が悪化して亡くなられたケースが多くなったことから、死亡者数は増える傾向となっており、今後は、発生する多くの患者さんに適切に対応できるよう、幅広い医療機関が対応できる体制にシフトしていくとともに、引き続き、重症化リスクのある高齢者に重点を置いた対応を行っていくことが必要と受け止めております。

 そこで、新型コロナの感染症法上の位置づけについては、昨年の臨時国会において感染症法改正案が修正され、新型コロナの感染症法上の位置づけについて検討規定が盛り込まれたことや、感染症法上の各種措置は必要最小限の措置とされていること、オミクロン株については、感染力が非常に高いものの、例えば自治体からの報告では、デルタ株の流行期と比べて八十歳以上の致死率が四分の一以下になるなど、重症化が低下しているといった科学的な知見等を踏まえ、総合的に判断しまして、五月八日から新型インフルエンザ等感染症から外し五類感染症に位置づけることを一月二十七日に決定したところであります。

 政府としては、引き続き、専門家と連携いたしまして、新型コロナウイルスに関する科学的エビデンスの収集に努めるとともに、五月八日から予定どおり位置づけを変更することで問題ないかどうか、改めて、変更前に厚生科学審議会感染症部会の意見を聞いた上で最終確認を行うこととしています。

 また、新型コロナを五類感染症に位置づけた後に、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状態になれば、政府対策本部の決定に従い直ちに対応を見直すこととなることも考えております。具体的には、必要に応じて、政令により感染症法の指定感染症に位置づけることにより、二類感染症と同様の入院勧告など各種措置を適用することも考えております。

阿部(知)委員 私がお願いしたのは、分かりやすく、国民に分かるようにといって、それだけ、恐縮ですが、模範解答ですが、分かりづらいし、ここがリテラシーのなさなんだと思います。後藤大臣、うなずいておられますが。

 申し訳ありませんが、一月二十七日に、さっき畦元さんのおっしゃった厚生科学審議会の感染症部会が既にもう結論を出しているんですけれども、もう一回感染症部会をやるという御答弁なんですか。今のはちょっと私は聞き違いでしょうか。既に一月二十七日に見解も出ておりますし、もう一回、二類から五類に移すときは厚生科学審議会感染症部会を経るんですか。お願いします。

後藤国務大臣 今、私へのお尋ねだったので申し上げると、一月二十七日に、五月八日から感染症法上の新型インフルエンザ等の感染症に該当しないものとする方針を決定いたしておりますけれども、今、厚生労働省からの話にもありましたように、厚生科学審議会の感染部会の意見を聞き、予定している時期での位置づけの変更を行うことを最終確認した上で決定を正式に行うということで、最後の一線のチェックをするということで説明いたしております。

阿部(知)委員 そうすると、普通それは決定と言わないんですよね。決定と言ったら決定なんです。決定しておりますと言って、最終確認しますと言われると、これもまた分かりづらくなります。

 その上で、私はもう一つ伺いたいのですが、さて、二類から五類に見直すということとインフル特措法の対象ではなくなるということは必ずしも同じではないと思いますが、特措法の対象ではなくなる根拠は何でしょうか。これは大臣にお願いします。

後藤国務大臣 政府対策本部については、特措法二十一条におきまして、要件でありますけれども、二つ、病状の程度が季節性インフルエンザと比べておおむね同程度以下であることが明らかになったとき、又は、厚生労働大臣が感染症法四十四条の二第三項に基づいて新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨を公表したとき、すなわちこれが五類になったときということになりますけれども、そうしたときに廃止されることとなっております。

 五月八日から感染症法上の新型インフルエンザ等の感染症に該当しない、五類になるということになりますれば、おのずから、先ほど申し上げた二つの要件の、新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨が形式的に成り立ちますので、これで対策本部を廃止するということになります。

阿部(知)委員 もしかして大臣は、意図してではないと思いますが、本部を廃止するときは、さっき言われた、一点目は、新型インフルの中で季節性インフルと同じくらいになったということが一つの要件、又は、感染症法の四十四条二の要件を満たすと。

 この四十四条の二の三というところの「新型インフルエンザ等感染症と認められなくなったとき」の前段に、「免疫を獲得したこと等により」という文章がついているんですね。普通は、免疫を確保したからもうそれほどは恐れなくて済みますよと、簡単に言えば。でも、果たして免疫を獲得したと言えるかどうか、これが大きな問題なんだと私は思います。そこをきちんと国民にも説明をしないと、法律というのはその中身を確実に国民に伝えていかないと、法治国家ではなくなりますので。

 さて、免疫を獲得したと言えるかどうかということで、大臣に私の資料の二枚目をお開きいただきたいんですけれども、ここには、新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方、専門家から、二〇二二年十二月十四日のペーパーが出ております。

 一段目には、いわゆるCOVID―19は季節性インフルエンザとは大きく違うんだという指摘。三点目、ということは、疫学的に見た場合、ワクチンや自然感染で獲得した免疫も減弱すること、変異株は免疫逃避の程度も高いこと、ここでもまた、疫学的には季節性インフルエンザと異なると、わざわざ異なると言っているわけです。

 プラス、大臣も、厚労大臣じゃないので申し訳ありませんが、一体、日本人の自然免疫の獲得率はどれくらいか御存じでしょうか。畦元さんがいいかな。ごめんなさい、突然投げて。

畦元大臣政務官 データをちょっと用意していないもので、申し訳ございません。

阿部(知)委員 これも専門家会議で、厚生労働省のアドバイザリーボードで出しているんですね。献血のときの血液で見ると、自然免疫の獲得率というのは、日本人は二六%くらいなんですよ。

 だから、正直言うと、この法律の要件、「免疫を獲得したこと等により」と、「等」と入っているから、自然免疫の獲得率は低いけれどもと言うのであれば、私はここがリテラシーなんだと思うんです。

 だって、繰り返し繰り返し感染、ワクチンを打っても感染しているのも事実です。その不安もあるわけです。果たして、ここに説明される「免疫を獲得したこと等により」としていいのかというと、専門家の出されたデータでは、免疫逃避も起こるし、私は非常にこれはきちんと指摘した専門家の文章だと思います。自然感染で獲得した免疫も減弱するし、変異株は免疫逃避の程度も高い。

 だから、これからもいつでもリスクはあるんだけれども、今、例えば、全体的に経済状況とか行動制限のもたらすマイナス影響で、取りあえずは五類として、そして特措法の中での扱いを一回は外してみる、ここまで丁寧に言われないと、私は何度も言いますが、やはり国民との対話にならないと思います。

 是非、これは厚生労働省のアドバイザリーボードが出している文章ですから、ここに政治の側と専門家の側のそご、別に専門家も反対しているわけではないのです。国民に正しく伝えてほしいと思って専門家もいろいろな助言をしているので、それを政治の側がきっちり受け止めないと、やはり私は問題が起きると思います。そして、政治の側がどう受け止めたかというところで、先ほどの公文書管理ということにも関わるんだと思います。

 開けていただきますと、三ページ目、これは、実は二年前、二年近く前になります、二〇二一年の八月六日の東京新聞の記事ですが、「政策決定中枢 闇の中」と書かれてしまっております。これは、安倍総理から菅総理に引き継がれたいわゆる対策本部の対応の中で、政治がどんな意思決定をしたかが見えないと。安倍総理のときは、まだ対策本部がなかったときもあります。特に、マスクとか、あるいは子供の小学校の突然の休校、どうしてそうなるのと国民は不安に思ったと思います。

 だからこそ、政策決定の見える化をしなければいけないわけですけれども、私は、今般のこの特措法から外すときの対策本部会議というものの議事録を見てみました。こういうのをしゃんしゃん議事録というんだと思いますが、大臣もそこに出られたと思います。一月二十七日の対策本部の会議です。まず厚労大臣がお話しされて、後藤大臣がお話しされて、異議なしで終わりです。これじゃ議事録でもないし、どうしてそう決定したかが分からない。

 そして、もっと問題なことに、今日は添えませんでしたけれども、その議事録の中では、さっきの二類から五類への見直しが、即、特措法を外すということに書かれています。でも、違うんです。特措法を外すときの要件は、二十一条と四十四条二の三に、四十四条二に規定されています。法律がそんなふうにいいかげんに扱われるということも、私は本当に問題だと思います。どういうふうに意見があって、どういうふうに懸念があって、しかし決定していきましょう、これがプロセスなんです。

 後藤大臣、このときの議事録を御覧になったことはありますか。

後藤国務大臣 私、自分が実際に出ておりましたので、出ていたものですから、特にこの回の議事録を特定的に見たことはありませんけれども。

 今回、特措法の二十一条によりまして、政府対策本部を解散、廃止するという決定になったとき、これは二つ要件があると先ほど申し上げましたけれども、新型インフルエンザ等感染症でなくなるという五類の方は、確かに、今先生御指摘のような、「免疫を獲得したこと等により」、「等により」ではあるので、基本的には認められなくなったときは廃止というので、これは形式的な廃止。

 一方で、もう一つの、病状の程度が季節性インフルエンザと比べておおむね同程度以下となった場合というのは、これは、五類判定の場合には、病状の回復と感染力と医療提供体制と変異の可能性の四つで判断するということになっておりまして、特措法は、この四つのうちの一つである病状の回復、病原性のことしか書いていないので、実を言うと、専門家の皆さんとも随分議論がある中で、特措法二十一条によって廃止をすることを、病状の程度で判断してもいいのではないかという議論を、もちろん丁寧に議論をいたしてきておりました。

 しかし、そこがなかなか結論が出ないという中で、結果として言うと、形式要件である廃止、でなくなった場合にという要件が適用されて、今回は廃止につながったということであります。

 公開という点は、先生の御指摘のとおり、プロセスをしっかり明確にしていくことは大切で、分科会や会議等の議事録は公開をさせていただいているというふうに認識いたしております。

阿部(知)委員 分科会の議事録は確かにあるんです。でも、私が聞きたいのは、政治の意思決定の議事録なんです。

 今大臣は、とてもよく御存じだから、大臣の記憶の中でお話をいただきました。しかし、それは、いろいろな論議があったんだって、当然そうです、専門家の側も、要件が幾つかある中で一つだけでいいのかと思いますから。そういうことこそ大事な記録なんだと思います。

 是非、記憶は失われます、記録にとどめて、私たちの社会を襲った未曽有のことです、しっかりと残されるよう、大臣には引き続いて御尽力いただきたい。しゃんしゃんしゃん議事録があって、その間の経過はブラックボックスでは、いい政策は、国民に理解されません。よろしくお願いいたします。

 引き続いて、これから行おうとすることに関して、お手元の四枚目の資料を御覧いただきたいですが、今後は、今回の内閣法の改正で、内閣感染症危機管理統括庁というのを置くということであります。

 さて、危機管理統括庁とて、どこからどんな情報が入ってくるかによって、初動というか、トリガーがどう引かれるかということが全てを決していくんだと思います。

 その場合に、私が一点伺いたいのは、内閣感染症危機管理監とか管理監補というのがありますが、実は情報のところでキーマンというか、キーを握るのは、内閣感染症危機管理対策官になるんだと思います。将来CDCができ上がって、そこから情報が上げられていく。これは、でも、上げられていく図にはなっていないんですけれども、青柳さんがこの前指摘したように、上から下へはあるんですけれども、情報がどこからどう上がっていくかがない説明なんです。

 大臣、確認したいですが、いろいろな感染症が国内であるいは海外から来て、その状況をまとめて内閣の危機管理統括庁に最初に情報を入れ、そこは厚生労働大臣に行き、そこから総理に行くわけですから、最初はこの管理対策官というんでしょうか、でよろしいんですか。ここですか。

後藤国務大臣 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等が発生しまして、その旨や発生地域等の公表をした場合に、これは特措法十四条に基づきまして、内閣総理大臣に対して発生の状況等を報告することになっております。

 この特措法の十四条自身は今回何にも改正をいたしませんので、基本的には、感染の状況、発生地域等、これは厚生労働大臣が判断をして発表するとともに、そのことは、早速、内閣総理大臣に対して、発生の状況、当該新型インフルエンザ等にかかった場合の病状の程度、その他必要な情報の報告が行われるということであります。

阿部(知)委員 そうすると、端的に教えていただきたいですが、ここに置かれた医系技官がなるところの内閣感染症危機管理対策官ではないということの御答弁だったでしょうか。厚労大臣が広く、あっちからも、こっちからも、そっちからも、もしかして彼からも聞いてやるという意味ですか。

後藤国務大臣 私が舌足らずの答弁で申し訳なかったんですが、医務技監は、厚生労働省設置法上は、医学的知見に基づいて厚生労働省の所掌事務を総括整理する職として位置づけられておりまして、その本務として、医学的知見を有する立場から、御指摘の新型インフルエンザ等発生時の報告においても、厚生労働大臣の意思決定プロセスに最も中心的に総括的な立場で関与するものと承知をいたしております。

 そういう意味においては、厚生労働大臣のそうした判断の基点にもなる、そういう非常に核となる人材であります。

阿部(知)委員 明確な御答弁で、ありがとうございます。

 そうすると、やはりかなり、そこでの意思決定も含めて、情報収集も含めて、しっかりした土台を持たなきゃいけないし、これもお尋ねですが、将来CDCができたら、そこの情報収集がこの医系技官のところに行くということですか。

後藤国務大臣 感染部等も厚生労働省にできますので、そうすることによって、感染部、日本版CDCの情報もしっかり上がり、厚生労働省の中にあっては、医務技監そして厚生労働大臣ということで、対策官へのきちっとした連携ができていくというのが、先生の御指摘のとおりであります。

阿部(知)委員 そうしますと、後藤大臣、今日は連合審査ではないので私は指摘にとどめたいと思いますし、厚労の政務官もいてくださるのでお聞きをいただきたいんですけれども、次のページに、これは実は、日本感染症学会理事長の東大の名誉教授である岩本愛吉さんが約二年前に衆議院の予算委員会において御提示されたものです。

 いわゆるCDCの在り方として、今般、二つの組織、感染研と国立国際医療センターを合体して、情報収集、研究、臨床までやるという組立て、これは中枢のお話です。でも、実は、このコロナ感染症の中で、これは尾身さんすら言っておられますが、情報が上がってこないんだと。自分のところに上がってこなくて新聞報道等で見るというようなところが専門家としては非常にじくじたる思いがあったと、尾身さんがお話しになった中にあって、本当は、今日、これから参考人があるといいんですけれども、お聞きできないので、私がそのように受け止めたということで。

 これは岩本先生の御提案なんですけれども、地域で連動する流行への対応で、例えば保健所と地衛研、大学等アカデミーが連携する地域のCDCが必要ではないかと。

 感染症は、全国一斉にどっと来るわけではないのですね。私、いろいろな説明のを見ていると、みんな、CDCへCDCへという中央集権化ばかり考えられていて、実際に面として感染症を捉える視点がすごく薄い。例えば、尾身さんなどは、保健所を中心にしたCDCを考えるべきだとまでおっしゃっています。岩本先生のも、地域CDCと。

 こういう考え方がしっかりないと、私は、中枢だけつくっても、そしてさっきの医系技官の人がそこでキーパーソンになっても、絶対に本当の対策ができないと思います。

 これは質問ではないので、私からの提案ですので、是非、コロナ対策担当の後藤大臣も、また厚生労働省にも、厚労省には厚労委員会の方で私も質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、本題の質問に入らせていただきますが、今般の特措法の改正や、新たに内閣に危機管理庁を置くことは、すべからく、昨年の六月にまとめられた有識者会議の提言にのっとっております。

 ところが、大臣、御存じでしょうか。第七波と八波で死者が顕著に増加いたしました。六月というと、七波の死者の多いときでもないし、八波の死者の多いときでもありません。すなわち、有識者会議の提言の後に大きな七波の波、八波の波がやってまいります。

 有識者の対策会議の取りまとめの文章を見てみても、私は、それは違うんじゃないかなと思うような文章です。例えば、超過死亡、すなわち何かがあって死亡が多い等は新型コロナ以前と比較すればむしろ減っているという文章でまとめられているのが、この六月の有識者会議提言、プラス、新型コロナウイルス感染症対策本部決定なのであります。それにのっとって組織を変えていったら、本当に、欠けたもの、本来目をつけるところが私は漏れてしまうのではないかと思うわけです。

 大臣のお手元に、これも、超過死亡の推移を感染研でやっておりますので、データに直したものを御提示してございますが、見ていただければ一目瞭然のように、二〇二二年の有識者会議あるいは対策本部の会議が行われていた頃は谷の部分で、プラスが超過死亡が多い、マイナスであれば過少死亡と申しますが、ちょうど谷底のところで、その後、七波が来て、八波が来て、死者がそれまでの、例えば菅政権のときの死者等々と、破格に多くなっていくわけであります。

 何度も申しますが、対策本部、あるいは新型コロナウイルス感染症対策本部決定のところの文章も、基本認識が違っている。超過死亡は新型コロナ以前と比較すればむしろ減っている、それがそのまま生きているということもおかしいと思うんです。

 その結果何が起きたかというと、忘れられた死者の問題があると思います。

 二〇〇九年の、以前のというか、この前の新型インフルのときも、総括の文章を日本学術会議の金澤先生の下にまとめて、そこで五点指摘をされております。大臣も国会におられたので御存じであろうと思いますが、そのときの五点とは、一つ、医療提供体制の強化、一つ、保健所体制の強化、一つ、検査体制の強化、一つ、サーベイランスの強化、五番目がワクチンの開発、迅速な接種体制。

 正直言って、このとき総括した五つは、ほとんど何も変わらないまま今に至り、一番目の医療提供体制の不備、これがまた今般の膨大な数の死者につながっている。超過死亡も多い。外国に比べて、例えばヨーロッパに比べて少ないからとは言えないと思います。アジアの地域でも日本は多くなってしまったわけですから。

 そこで、政務官にお伺いをいたしますが、特に死者で注目されるべきは在宅死、自宅放置死ですね、言い換えると。それから高齢者施設そして精神病院での死者の多さだと思うんです。これらについては、厚生労働省は、この見直しに当たって何かきちんと調査をされましたでしょうか。調査した結果の対策はこうである、皆さんは死ぬことはない、安心して医療を受けられるんだという見直しになっているかどうか、お願いいたします。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 まず、新型コロナによる死亡者が死亡した場所について網羅的に把握をしているものではありませんが、住宅での死亡につきましては、厚生労働省において各都道府県を通じて調査を実施しているほか、警察庁からの、毎月、警察における新型コロナウイルス陽性死体取扱状況について情報を受けることによって把握しております。

 高齢者施設を含む社会福祉施設や精神科医療機関を含む医療機関における死亡者数については、HER―SYSで死亡場所が入力されている方については把握しております。

 死亡事例の網羅的な把握については、次の感染症危機に備えてどのような取組ができるかも含めて検討してまいりたいと考えております。

 そういった現状を把握した上で、住宅での死亡については、各都道府県を通じて行った調査の結果や各自治体の取組事例を取りまとめ、各自治体における自宅療養者などのフォローアップ体制の強化と、参考となるよう各自治体に周知はしております。

 高齢者施設などにおける感染症対策につきましては、効果的な対策を含めた感染対策方法の周知や、従事者による集中的検査、感染者が発生した場合におけるかかり増し経費への支援などを行ってきたところです。

 精神科医療機関におきましては、新型コロナウイルス感染症への対応のため、感染症対策の体制確保、感染症対策の徹底、ワクチンの接種の円滑な実施について各都道府県に周知徹底を図っているところでございます。

阿部(知)委員 やはり何でもエビデンスベースドだというのは、実態を把握して対策が出るんですね。

 在宅死については、私も警察庁のデータをここに添えましたけれども、これは警察庁がやってくれているから、どのくらい在宅で、これまでにないことですよ、公衆衛生の歴史上、これだけ自宅で死んで、それが感染症でという、こんな膨大な数が出てくるというのはないことです。でも、これは警察庁がやられたので一定の手がかりになります。

 HER―SYSとおっしゃいますが、どのくらいの高齢者施設がHER―SYSに入力できたかです。大体、入力する手がないし、そもそも非常に事務体制は脆弱です。

 もっと言えば、精神科病棟です。これは極めて深刻で、次のペーパーを見ていただきますと、これは大阪の人権センターというところが、約二年前のデータです、コロナが始まってまだ一年のときに、いろいろな病院のホームページに上がっている精神病棟のクラスターをピックアップしてまとめてみたものですが、例えば、二百人以上のクラスターが起こっているところが三か所。クラスター規模二百人ですよ。もう全部ということです。百人から百九十九が七か所。既にこういうのを民間が出しているんですよ。厚労省は何をしているんですかと言われてしまいます。

 感染症でみんなが願うことは、死にたくないということです。避けられる死は避けるべきだということであります。後藤大臣、元々、対策本部の超過死亡は高くないのも違っているし、こういうデータ一つ一つ集めてみても、もう一度、何が起きて、なぜこの方たちは死ななくてはならなかったのか。そのことに応えられる改正でないと、本当の国民のための改正になりません。屋上屋、組織いじりでは何にもできない。

 私から提言がありますが、今般の有識者会議は、先ほど言った超過死亡がまだ低いときのものをまとめたものである。そして、これだけの膨大な死は検証されていないのです。もう一度、検証そのものをやり直していただきたい。もちろん、走りながらでもいいかもしれない。しかし、本当に信頼される検証を。

 自宅放置死した御家族は本当に不安です、五類に見直されて。一番望むのは医療に届くかどうか。精神科病床なんてもっと不安です。昨今も虐待事例がありました。高齢者施設は、人手不足で、本当に今後どうやっていこうかと都度思っています。

 死を含めた検証を、もう一度、内閣としてやり直していただきたいが、いかがでしょう。

後藤国務大臣 有識者会議、昨年検証をしました。もちろん、医療関係団体、地方団体、各方面から意見聴取をして、五回にわたって熱心な議論をいただいて、政府による新型コロナ対応の検証をその段階で行いました。

 おっしゃるように、その後また第七波、第八波の感染が広がって、超過死亡の数字や、この報告を出したときには、新型コロナは峠を越えているような、そういう印象の中で書かれているのではないかという御指摘も、私にも理解はできます。

 しかし、そうした中で、少なくとも、感染症危機に向けた中長期的な課題を整理するという形で報告書を取りまとめていただいたことも事実でありまして、その上で、やはり司令塔機能、感染症対策を指揮するところがもう少しきちっとしている必要があるのではないか、そういった形の御指摘も、これもそうだろうと思います。平時の対策、そして、計画を作り、その訓練も含めて、PDCAサイクルを回しながら非常事態に備えるという形の、そういう仕組みをつくっていくということも、これも一つ重要な政策課題だというふうに思っています。

 そういう意味では、まず、足下の対策、今もおっしゃっているように、高齢施設の問題、精神病棟の問題、非常に重要な課題があることも、私もこれまでの仕事の中で痛感をいたしておりますけれども、そうした、コロナ対策の終息に向けて現場でしっかり頑張り続けるということとともに、こうした統括庁の設置も含めた、次の感染症対策危機への司令塔機能や体制整備も併せて行わせていただきたい、それが必要なことなのではないか、そのように考えているところでありますし、先生の御指摘になった、そうした意味での評価はしっかりとやっていく必要があるということについては同感でございます。

阿部(知)委員 私が申し上げたいのは、司令塔機能は上から下じゃないということなんです。下の現実をしっかりと把握すること、そこから情報が上がってくるようにしなければ何の意味も持たない。

 後藤大臣には誠実に御答弁いただきましたので、なお御尽力のほどお願いいたします。

 終わらせていただきます。

大西委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日も、新型インフル特措法等の改正案について質疑をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ちょっと質問の組立ての関係で、通告した順番を一部変更して質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初め、一問目なんですけれども、これまでのコロナ禍の間、事業者に対する様々な要請を行ってきましたけれども、その要請の効果がどうだったのかという検証状況について伺いたいと思います。

 飲食店であったり、様々な業種、業態に対する要請をしてきたと思うんですが、いわゆる時短の要請以外にも多くの取組がされてきました。現時点での、政府内における協力要請の方法やその効果をどのように分析しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

岩松政府参考人 お答えいたします。

 飲食店における感染対策については、緊急事態時における営業時間の短縮や休業の要請のほか、令和三年四月からは、飲食店における感染対策を徹底することを目的とした第三者認証制度の普及に取り組んでまいりました。

 この第三者認証制度については、例えば、蔓延防止等重点措置において、認証店には営業時短を要請しない、都道府県の選択肢を設けるなど、認証取得のインセンティブを設けており、飲食店における感染対策の実効性を高めるものと認識しております。

 現在、第三者認証制度は全ての都道府県において運用されておりますが、都道府県からの報告によれば、認証店におけるクラスターの発生頻度は非認証店に比べて一定程度低くなっておりまして、感染対策上、一定の効果があるものと考えております。

 今後とも、感染状況等に応じ、第三者認証制度の活用など適切な措置を講ずることにより、認証店における感染対策の向上を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

浅野委員 ありがとうございました。

 第三者認証制度によって、時短措置を取らなくても一定程度クラスターの発生頻度を下げることができている、そういう検証結果が出ているということで、私もデータの方を見させていただきましたが、確かに、一定程度の効果が出ているということは確認させていただきましたので、これは引き続き内容の充実を図っていただきたいというふうに思うんですけれども。

 次の質問になるんですが、事業者の支援についてでございます。

 こうした第三者認証制度を活用してクラスターの発生頻度を落としたとはいえ、やはり、事業者の経営への影響をゼロにするというのは事実上不可能でございます。やはり、十分な補償的措置と併せて、事業者が先の不安を感じることなく要請に応じられるような配慮をすることが必要だということは言うまでもないと思います。

 さらに、今回のようにパンデミックが長期化をいたしますと、自治体の財政余裕の低下などによって支援の継続性確保が課題となるというケースも今回見受けられました。また、地域間での支援の格差が生じる懸念もございます。

 今回、時短協力金ですとか月次支援金というものが、支援策が取られてきましたけれども、それぞれ支給のタイミングが遅かったりだとか、あるいは支給額が公平性に欠いているのではないかという批判も見受けられています。

 今後の感染症対策においても、事業者への支援が必要になる可能性は十分に考え得るわけですが、支援の迅速性や公平性などを向上させるための事業者支援の在り方について、政府の中でどのような検証が行われているのか、あるいは現在どのような課題認識を持っているのか、政府の考えを確認したいと思います。

菊池政府参考人 時短要請に伴います飲食店等への協力金についてお答えをさせていただきます。

 まず、自治体の財政に余裕がなくなるという点につきましては、この時短協力金の財源、八割は地方創生臨時交付金の協力要請推進枠、国費、残りの二割も同交付金の地方単独事業分を充てることとしまして、都道府県の財政状況にかかわらず十分な支援ができるようにしました。

 各種の支援金についても、原則として全額国費ということで、自治体の財政状況によりまして格差が生じないように配慮をしてまいりました。

 また、協力金の支給の時期でございますけれども、協力金の支払いに時間がかかるという指摘、多々いただきました。令和三年七月に早期給付制度というものを設けまして、時短要請開始後、速やかに申請を受け付けまして、要請期間の終了を待つことなく簡易な方法で審査をして、早期給付するように努めてまいりました。

 今後の課題でございますけれども、これは国会の方でも御指摘をいただいております、要請による経営への影響の度合いなどを勘案する、そして速やかに支援を行う、こういったことが今回の課題であると考えておりまして、引き続き、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

浅野委員 今、同じような課題認識はお持ちいただいているということを確認させていただいたんですが、地方創生臨時交付金の話が出ましたので、そちらに関する質問もさせていただければと思います。

 新型コロナの感染拡大で影響を受けた地域経済や住民生活を支援するため、国は自治体向けに、地方創生臨時交付金というものを活用して、補正予算や予備費による措置を行ってまいりました。交付金額は、各自治体の人口や財政力、感染状況等によりまして、上限はあるものの、新型コロナ対応であれば原則自由に使用できるものでありました。

 ただ、会計検査院の調査では、この臨時交付金が公的機関の水道料減免に充てられていたこと、そして、交付金を活用した商品券が余ったにもかかわらず、それを精算せずにそのままにしていたこと、あるいは、持続化給付金の上乗せ分として交付したんですが、国による交付要件と地方自治体の交付要件の整合性が取られていなかったことなど、幾つか問題点が指摘されてきました。

 つまるところ、臨時交付金の使途について、少しフリーハンド過ぎたのではないかという懸念があるわけです。確かに、ある程度自治体の裁量で柔軟に活用できるような仕組みとしては必要なんですけれども、今回のような指摘事項を踏まえれば、政府の方でより具体的な方針を定めて、国民の納得性や透明性を高める努力はすべきではないかと思うんですけれども、この地方創生臨時交付金の今後の感染症支援に関する考え方について、政府の考えを伺いたいと思います。

黒田(昌)政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、新型コロナウイルス感染症による国民生活への影響に自治体が財政上の不安なく適切に対応できるように措置したところでございます。これは先ほど委員がおっしゃったとおりでございます。

 現在は、同制度の中に、昨年九月に創設をいたしました電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を設けまして、国から自治体に八つの推奨事業メニューを示しまして、具体的には低所得者世帯支援であるとか子育て世帯支援等々でございますけれども、具体的な事例を挙げながら、コロナ禍における物価高騰の影響を受けた生活者、事業者を、地域の実情に応じて、より重点的、効果的に支援できるようにしているところでございます。

 御指摘ありました会計検査院からの調査につきましては、去年の十一月の四日付で自治体に通知を発出いたしまして、御指摘があったような対応につきましては、適切に実施されるよう留意事項を取りまとめをして、各自治体に周知をしておるところでございます。

 交付金の具体的な活用につきまして、使途、効果、自治体が地域の実情に応じてということでできるわけでございますが、一方で、その説明については各自治体が地域住民にしっかりなされるということが重要であると考えておりますので、会計検査院の指摘も踏まえて、去年の年末に制度要綱の改正をしまして、公表を制度化したところでございます。

 交付金につきましては、効果検証作業を続けておりますので、引き続き、しっかりと適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

浅野委員 ちょっと更問いをさせていただきたいんですけれども、先ほど、本庄委員の、コロナ対策に要した予算の総額、金額を聞いたときに、財務省の主計局次長さんが、切り分けが難しくて答えられないというようなことを言っておりましたけれども、やはり、国の予算を使い、それを国民にしっかりと説明する責任はあると思いますので、あれはあれで非常に私は問題だなと思いながら聞いておったんですが。この地方創生臨時交付金についても、今、効果検証を進めているということなんですが、どのように効果検証をするのか、今、公表制度も整備したということなんですけれども、少し詳しく、そのやり方について教えていただけませんでしょうか。

黒田(昌)政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、令和二年度から行っておりまして、現在、十七兆円の予算をいただいて執行しているところでございます。

 令和二年度につきましては、最初、地方単独事業が中心でございましたが、それにつきまして、全都道府県、市町村に対しましてアンケート調査を行い、悉皆調査、またヒアリングを行いまして、どのような効果があったのかということを調査し、また、感染症、地方財政、地域経済の有識者の先生方から御意見をいただきながら、その効果について取りまとめをし、去年の五月に公表させていただいております。

 現在は、令和三年度の調査、これは繰越しをされておりますので令和四年度の中の調査として行っておりますが、これも同じでございますが、令和三年度につきましては、その大宗が、先ほどから議論がございましたが、協力金でございます。協力要請推進枠、また検査促進事業、事業者支援、そうしたものが相当部分を占めておりますので、これも、全都道府県、市町村に対しましてアンケート、ヒアリング、また、特に事業者支援につきましては、いただいた事業者の方々にもヒアリングを行いながら、地域経済、事業活動の継続という観点での検証をしているというようなことでございます。

浅野委員 是非、今話を伺って、悉皆調査をしているということなんですけれども、アンケート調査というやり方よりも、しっかり、交付金を交付を受けてそれを執行したら、アンケートではなく報告という形で、システムとしてちゃんと国の方が把握できるような仕組みにすべきではないかなと思うんですね。そのときそのときの必要に応じて、アンケート調査をしたり、国の方からプッシュ型で地方自治体に働きかけるというのも一つの方法なんだとは思うんですけれども、やはり、透明性、あとは網羅性が求められる場合においては、これはもう仕組み化してしまう方がいいと思いますので、是非、今後御検討いただければというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思いますが、今、事業者支援についてるる取り上げてまいりました。通告の最初の質問に移りたいと思うんですけれども。

 今回、新型インフル特措法の第六十三条の二では、事業者に対する支援というものが規定をされております。特措法に基づく措置が事業者の経営及び国民生活に及ぼす影響を緩和し、その安定を図るために、事業者を支援するために必要な財政上の措置を効果的に講ずるものとされている、これが第六十三条の二でございます。

 また、第七十条にも国の財政上の措置が規定されておりまして、新型インフルエンザなど対策に関する都道府県の施策を支援するために必要な財政上の措置を講ずるものとされています。

 つまり、これらの条文によって、事業者に対する支援、そして都道府県の施策に対する支援というものが規定されているわけです。

 少し話が変わりますけれども、先日の委員会でも議論させていただきましたが、本改正案では、対策本部長、つまり総理の都道府県などに対する指示権の発動可能時期が前倒しされる内容が含まれておりますが、都道府県を介した各種要請等に協力する事業者などへの支援についても、対策本部が設置されたときから実施できるようにすべきではないかと思うんですね。

 支援を早期から打つことによって、より効果的な感染防止策の実効性を高め、そして、国と都道府県とそして事業者が一体となった感染防止対策が取れるようになると思うんですけれども、政府の見解を伺いたいと思います。

岩松政府参考人 お答えいたします。

 特措法第六十三条の二の規定につきましては、同法に基づく措置による影響を受けた事業者を支援することを目的に設けたものでありまして、同法に基づく政府対策本部設置時以降において適用するものと考えております。

 この趣旨に基づきまして、要請による経営への影響等の度合いを勘案し、公平性の観点や円滑な執行等にも配慮しながら、事業者に対する支援を適切に講じてまいりたいと考えております。

 以上です。

浅野委員 今答弁いただきましたが、確認ですが、対策本部が設置されて以降は支援ができるようになっているということですね。はい、うなずいていただきました。ありがとうございます。

 ですので、あとは、問題は、国が支援はできるようにはなっているんだけれども、協力金ですとか事業者への支援の具体的なアクションというのが取られるのは、やはり、蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態措置が発動している状況下において都道府県知事の要請する権利あるいは命令権が発動しますので、知事の要請権、命令権と事業者に対する支援というのが今ひもづいているような状況になっております。これをもう少し柔軟に運用すべきではないかということを申し上げておきたいと思います。

 時間の関係もありますので次の質問に移りたいと思いますが、ここからは、少しテーマを変えまして、まずは、新感染症かどうか、新たにこれから発生する何らかの感染症が新感染症に当たるかどうかの判断をどのようにするかという点について伺いたいと思います。通告番号は四番になります。

 新型コロナウイルスが確認された当初は、新型インフル特措法上の新感染症に分類することができるかどうかについて、二〇二〇年二月二十八日の財務金融委員会の中で、当時の安倍総理が、対象となる感染症の種類が異なることを理由に、本法、つまりは新型インフル特措法、改正前のものになりますが、本法の適用は難しいとの解釈を示されました。また、当時の加藤厚労大臣は、今回は新型コロナウイルスと分かっているため、新感染症には当たらないと説明しています。一方で、三月十三日の参議院内閣委員会に出席した尾身氏は、同感染症を新しい感染症だとする意見を述べたとの記録が残っています。

 このように、当初、新型コロナウイルスを新たな感染症とするかどうか、この法解釈をめぐって政府関係者内の見解が一致をせず、混乱を来したという反省があります。

 今後、未知の感染症が確認された場合、新型インフル特措法の適用対象となるかどうかを迅速に判断し、それをしっかりと共通認識化する必要があると思うんですが、そのためのプロセスを改めて整理をすべきではないかと思うんですけれども、政府の見解をお伺いしたいと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、新たな感染症が発生したときには、重篤性等の当該感染症の特徴ですとか、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれの有無等を考慮して、まずは感染法上の位置づけを判断することとなります。

 今回の新型コロナにつきましては、原因となる病原体が特定されていたことなどから、厚生科学審議会で専門家の方々に御審議いただいた上で、政府として政令にて指定感染症に位置づけたところでございます。

 今後でございますけれども、新たな感染症が発生した場合につきましては、感染症法に基づく分類ということで、まずは厚生科学審議会等の専門家の科学的知見等を踏まえて、政府として感染法に基づきまして判断をしていくということになります。

浅野委員 この分類については、感染症法上の分類に基づいて判断をするということだと理解をしているんですけれども、確認ですが、その分類あるいは検討に当たっては、今回設置をされる統括庁の関与というのは何か具体的にあるんでしょうか。そこについて、今答弁できる範囲で教えていただきたいと思うんですけれども。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 先ほど厚生省から御答弁申し上げましたように、感染症法第六条第九項に規定する新感染症であって、全国的かつ急速な蔓延のおそれがあるものに限るという感染症法の中での位置づけということでございますので、一義的には厚生労働省の方で判断するということになりますが、当然、その後の展開、場合によっては、全国的な蔓延、全国的かつ急速に蔓延しという展開がある可能性もございますので、情報については、常に迅速に、統括庁においても厚生労働省などが収集した情報を共有した形で、厚生労働省の方で判断していく、こういうことになると考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 厚生労働省が判断をするということ、明確な答弁はありましたけれども、今回、統括庁を設置する際の総合調整機能というのがやはり私の中ではひっかかっていて、新感染症の内容によっては、それが単なる医学的、疫学的な判断だけでよいのか、より広範な範囲に影響を及ぼす可能性がある場合は、これは厚生労働省のみならず省庁をまたいだ判断も必要になるのではないか、そのための統括庁設置なのではないか、そういうふうにも感じるところはありますので、これはまた後刻、いろいろな連合審査や参考人質疑も控えておりますから、しっかり我々もその点確認をさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、次の質問は、統括庁の組織体制について質問させていただきます。

 今回、新たに設置される内閣感染症危機管理統括庁の組織は、専従職員として平時は三十八名、有事の際は、専従職員百一名に加え各省庁幹部職員を兼任させることで、三百名規模の組織にするとされております。

 現在の内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室においては、二〇二〇年十一月に、職員の残業時間が平均約六十九時間、最長の方は約百九十七時間、月当たりですね、という記録が残っておりますし、翌十二月、年末ですけれども、平均が約七十七時間、最長の方は月三百二十時間という残業時間になっていたという記録がございます。多くの職員が、関係省庁や国会などとの連絡調整のほか、感染者数など様々なデータの分析、資料作りなどに休みなく取り組んでいたというふうに聞いておりまして、その結果、先ほど申し上げたような極めて長い残業時間になってしまったんだというふうに思っております。

 有事の際に業務量が平時よりも増えることというのはやむを得ない部分があると思うんですけれども、特定の人に仕事が偏らないような仕組みの構築であったり、あるいはデジタル技術を使った業務の効率化など、平時から意識して取り組むべきと思います。

 とりわけ、平時三十八名での体制から、有事に切り替わった瞬間に三百名規模になる、しかも、大半が兼務をしている職員で、専従者は百名だということで、このままこの組織が立ち上がって、もし何か未知の感染症が起きたときに本当に大丈夫なのかという懸念があるんですけれども、職員の働き方であったり、業務分担、業務の負担の在り方について、政府は今どのような考えを持っているのか伺いたいと思います。

後藤国務大臣 統括庁においては、平時、有事それぞれに業務がしっかりと遂行されるように、平時については、政府行動計画の策定、推進、実践的な訓練や、準備状況のチェック、改善といった有事への備えに係る業務に必要な定員として三十八人を確保し、有事、政府対策本部の設置時には、政府対策本部の下で各省庁との一体的な感染症対応を行うため、定員百一名の専従職員で対応するほかに各省庁幹部職員を二百人規模で統括庁に併任し、合計三百人規模で対応することにいたしております。

 有事の際に増員される専従及び併任職員については、平時に研修や訓練を実施することによりまして円滑に統括庁の業務に移行することができると考えております。

 また、御指摘のように、統括庁においては、オンライン技術等を活用することによりまして、効率的な業務実施体制、デジタル技術を利用した体制を整えていく必要があることは御指摘のとおりだというふうに思っています。

 併任職員については、有事において、各省の所管業務に加えて、感染症対策における時々の政策課題に応じて統括庁の感染症対策の業務に参画していただくことを想定しておりますけれども、各府省庁の幹部職員を統括庁に兼務して指揮命令下に置くことによって、そうした関連部局との連携を強める、そういったことで有事の体制がうまく機能するように検討をしてまいりたいと思っております。

浅野委員 やはり有事の際も、有事の際だからといって職員の皆さんの体力が急に高まったりだとか、強靱な体力、精神力を発揮できるわけではありません、やはり人間ですから。ですので、しっかり、有事の際にも組織全体が持続可能な形で業務を遂行できるように、平時からの環境整備というのが大事だ。これは今、大臣も同じ認識を持っていただいたということで、是非進めていただきたいと思うんですが、そうした環境を整えるためにも、次のテーマとしては、情報基盤についての質問に移りたいと思います。

 今後の、どんな感染症が起こるか分からないといった状況の中でも、しっかり平時から緊急時にも対応できるような情報システムを利用しておくなど、有事の際の即応体制を整備しておくべきだと考えています。例えば、現在、これまで使われてきたHER―SYSなどの情報システムがありますけれども、これは今後も利用を続けていくんでしょうか。HER―SYSは、新型コロナウイルス感染症以外の未知の感染症が起きた場合でも対応できるようなものなんでしょうか。伺いたいと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘につきましては、昨年六月の有識者会議の報告におきましても、感染症対応に必要なHER―SYSのデータ入力に対応できない医療機関が存在したとか、医療DXを推進し、平時から、データ収集の迅速化及び拡充を図ることが必要とされております。

 こうした御指摘を踏まえて、昨年十二月に成立した改正感染症法等において、電磁的方法による入力等を推進するということにいたしております。こうした取組を通じて、情報システム全体として、次の感染症危機において迅速に対応を行う体制を整備することは極めて重要だと考えております。

 御質問のHER―SYSについてでございますけれども、これは、昨年、令和四年六月に閣議決定したデジタル社会の実現に向けた重点計画において、感染症法に基づいて感染症の発生動向を把握するための感染症サーベイランスシステムに統合することという方針となっておりまして、現在、これに沿って進めているところでございます。

 有事においても効率的な情報収集が実施できますよう、検討を進めてまいります。

浅野委員 今、最後におっしゃっていたのが、感染症サーベイランスシステムでよかったでしょうか。それに統合していく方針だということなんですけれども、まさにこの感染症サーベイランスシステムなるものは、恐らく、HER―SYSよりもより幅広な情報を集約、管理、把握できるようなものになるんだと思いますが、やはりそういったシステムの重要性というのは非常にあると思います。

 その上で、次の質問なんですが、そういった情報をしっかり生かして、国民に対する情報発信だったり要請も行わなければいけないと思うんですね。外出自粛やイベントの中止など経済的に大きい措置については、科学的根拠が不十分なまま、これまで実施されてきたのではないかとする指摘がございます。

 政府は、今御答弁いただきましたように、今後は、科学的根拠に基づいた政策決定を行っていくこととしているんですけれども、科学的エビデンスの基になるデータの収集、分析には、やはりデジタル技術の活用が必須になります。とりわけ、感染症対策としては、患者や病床の空き状況といった医療系の情報だけでなく、人の位置情報や行動履歴など、海外でも様々な情報が活用されていました。医学的あるいは疫学的データのみならず、より幅広い情報を多角的な視点からAIなどを使って分析することなども有効と考えています。

 そのような統合的な情報の把握と必要性については、先ほど答弁もございましたし、先日の委員会でも後藤大臣からは、常に統合的に情報を把握することの必要性について、同じ認識を持っていらっしゃる答弁をいただくことができましたけれども、省庁や官民の垣根を越えて、感染症対策に貢献するような情報を統合的に管理するための情報基盤の構築に向けて、デジタル庁に伺いたいんですが、デジタル庁がどのような考えを今持っているのか、どのようなシステムがあるべきなのか、現時点で検討している状況も含めて答弁をいただきたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 感染症対策のためのエビデンスを収集、分析するためにデジタル技術を活用するに当たっては、感染症のそれぞれの特性に応じてどのように対応すべきかといった感染症対策の基本的な考え方を踏まえ、どのようなデータを収集し、分析すべきか、政策的に判断することや、個人情報の取扱いに関するルールの整備などが必要であると考えておりまして、感染症対策を担う厚生労働省を始め政府全体で取り組む必要があるというふうに考えてございます。

 その上で、例えば、ガバメントクラウドやマイナンバーなどの既存の共通基盤を活用することが妥当である場合や、現在、医療DXの取組の中で検討されている全国医療情報プラットフォームで扱われる情報が感染症対策においても有用と考えられる場合も想定され得るため、デジタル庁としても、デジタル技術、デジタル基盤の活用という観点から、厚生労働省を始めとした関係省庁と協力して取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

浅野委員 ちょっと時間が迫ってきましたので、最後の一問を伺って終わりにしたいと思うんですが、今日、この質疑の中盤で地方創生臨時交付金の話をさせていただきました際に、結局、交付金を使って事業者への協力金を払ったり支援ができる条件というのは、やはり、蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態措置が発動している状況下で、そういう縛りがあるということを申し上げまして、これをより柔軟にすべきなんじゃないかということを申し上げました。

 それに関して、ちょっと話が戻って恐縮なんですが、それについて最後質問をしたいんですけれども、やはり、緊急事態宣言あるいは蔓延防止等重点措置の発出は国の権限の下に行われますが、休業要請等の措置については都道府県の権限とされています。

 都道府県から見れば、緊急事態宣言などの発出がなければ要請を行うことができず、支援もできなかった、これは今申し上げたとおりでありますが、今後、やはり、どのような感染症が起こるか分からない、そして、初動期からしっかりとした実効性のある対策を行う必要があるという観点からすると、現場である都道府県においてより機動的な対応ができるよう、国と地方の役割をより明確に、権限も含めて明確にすべきだというふうに思うんですが、これに対する国の見解を伺いたいと思います。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 国と地方の間の権限、役割の明確化というお尋ねでございます。

 インフル特措法におきましては、国、つまり政府対策本部は、新型インフルエンザ等につきまして今後講ずべき対策を実施するに当たっての統一的指針としてのいわゆる基本的対処方針を定めて、地方公共団体などに示した上で、事業者に対する要請等の具体的な措置につきましては、地域の感染状況等の実情を踏まえた対応が必要であるということから、当該基本的対処方針を踏まえた上で、地域の実情を一番よく知っている都道府県知事が実施する、こういう分担を基本とした上で、国の権限として、都道府県知事に対する総合調整権限、総合調整に基づく所要の措置が実施されない場合の指示権限などが法律上に規定されているということで、こうした割とはっきりした役割分担の下に、国と地方がお互いに協力をして、国全体として一体的、総合的な対応が可能な制度となっているというふうに考えております。

 こうした特措法の枠組みを通じまして、国と地方が緊密に連携を行った下で、新型インフルエンザ対策の着実な推進を今後とも図ってまいりたいと考えております。

浅野委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日は、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法改正に関連いたしまして質問をさせていただきます。

 私、地元の泉佐野市、泉南市というところで在宅の医療を行っております。主に施設の方でやらさせていただいております。各議員の先生方でも、医師免許をお持ちの方も、コロナのワクチン接種に協力されていた方もおられますけれども、私も、集団接種の方、泉佐野市のワシントンホテルでの集団接種も携わっておりました。

 大阪市内におきまして、これは主にがん治療なんですけれども、NKT細胞という、理化学研究所の谷口教授が発見されまして、千葉大学とかで先進医療Bとして頭頸部がんとか肺がんの治療をやった免疫治療もやっております。

 何よりも、五年ほどですけれども、大阪の公立大学、今、市立大学となっておりますけれども、そこのウイルス学教室で、コロナウイルスと同じRNAウイルスであるはしかウイルスの突然変異であるSSPEというウイルスの研究で、主に突然変異の研究をさせていただきまして、学位、医学博士も取らさせていただいております。

 新型コロナウイルス感染症に関しまして、この三年間で、現場で見てきた経験とかを基に御質問させていただくわけですけれども、余りテクニカルにならないように気をつけて質問をさせていただきます。その際、分かりにくい感じになってはいけないので、通告の方に基づいて質問させていただきますけれども、ちょっと順番を変えたり、場合によっては割愛もさせていただくこともあることをまずは御容赦ください。

 まずは、新型コロナ感染症に関する検証、総括について御質問させていただきたいわけなんです。

 先ほど地元、泉佐野市、泉南市と言いましたけれども、そのほかに貝塚市、阪南市、熊取町、岬町、田尻町とありまして、全部関西空港のすぐ近くでして、私の自宅から十分ぐらいで、関空が近いので、今週は、質疑と地元日程の関係で三往復させていただいております。やはり飛行機の中を見ると、マスク着用の自己判断ということで、月曜日から今日で三日目ですけれども、それでも、マスクを外されている方はまだ半分もおられないようですね。そういったところの国からの統制感というところで、今回の法律があると理解はしておるんですけれども。

 まずは、総括としまして、結局、アルファ株からオミクロン株に至るまで、感染者数と死亡者数というところまでカウントされていましたけれども、重症者数というところはなかなか判断は難しいんですけれども、ちょっとこれは通告以前の話になるんですけれども、こういった重症者の数というところの判断基準というのは、厚生労働省、どのようにされていましたでしょうか。

伊佐副大臣 重症者あるいは軽症者の判断につきましては、診断の手引というのがございまして、厚労省の方でまとめさせていただいております。その手引に基づいて現場で判断を行っていただいたというふうに認識をしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 伊佐副大臣におかれましては、私と科学技術・イノベーション特別委員会とかで一緒にいろいろやらさせていただきまして、個人的にもいろいろお話しさせていただいたので、今回、死亡者数の通告をしていまして、重症者数について余り言及していなかったんですけれども、しっかりとお答えいただいて、本当に、そういう基準があったというところは非常に大事だと思います。

 といいますのも、よく報道でされていましたけれども、重症者というのは、現場の医師が診る重症者と、一般に皆さんが感じる重症者という、定義というのは、そこに差異があるというのは、この三年間の中で皆様も御認識いただいたのではないかなと思うんですけれども、つまりは、ちょっと分かりにくいところもあるということが言いたかったわけです。

 では、死亡者数というのは、死亡された方ということで、我々医師というのは、残念ながら、おみとりということをさせていただきます。医師法二十条、十九条にも及んでいきますけれども、この中では、歯科医師と医師が死亡の判断をして、そして死亡診断書を作成するということで、資料の方に死亡診断書というのを添付しております。

 死亡の原因というところで、一番のところで、(ア)直接の原因、(イ)(ア)の原因、(ウ)(イ)の原因、(エ)(ウ)の原因というところで、簡単に言うと、心不全はちょっと今書けない、法律というか、そういう取決めがあるので。例えば脳梗塞があった、(ア)が脳梗塞、(イ)が血栓症、(ウ)がコロナ感染とかいう書き方もできるわけですし、(ア)が誤嚥性肺炎、(イ)が、これはちょっと、これをもし医師の方が見られたら、誤嚥性肺炎は、細菌というか、バクテリアでの感染じゃないかというところも言われるかもしれないけれども、(イ)にコロナ感染ということで、コロナ感染症は、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、どちらにも書けるわけです。

 もっと言いますと、その下に、「その他特に付言すべきことがら」というところが、下から二つ目の欄のところにあるんですね。ここ全てに、我々医師は、その時々の判断で、コロナ感染症若しくはコロナ陽性という書き方をしますけれども、死亡者数の統計というのは、このどこの部分を見られて判断されたのか、教えてください。

鳥井政府参考人 厚労省で毎日公表しております新型コロナの死亡者数でございますけれども、これは、速報性の観点から、厳密な死因ということではなくて、新型コロナの陽性者であって入院中や療養中に亡くなった方について都道府県等において公表し又は厚生労働省へ報告いただいておりまして、その数を集計したものということで出しております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 一応私自身が把握して、かつ厚労省さんに確認したとき、要するに、毎日出てくる直近の感染者及び死亡者数というのは各自治体でカウントしていまして、その際に、この死亡診断書の中にコロナという名前が書いていれば、つまり交通事故でもコロナというところが書いていればそう判断するという具合にお聞きしています。

 私は、初期の段階では、アルファ株からデルタあたりまでは、本当に致し方なかった統計の取り方だと認識はしているんですけれども、じゃ、コロナが本当に原死因かのコーディングというか、原死因であるかの検証をなされたかどうかも教えてください。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました新型コロナの死亡者の速報とは別に、人口動態統計において死因を厚労省として公表をいたしております。

 この数字につきましては、死亡診断書の死因の記載がございますので、それに基づいて個別に、WHOのルールにのっとって、厚生労働省の方で原死因を何かということを選択をいたしまして、その原死因が新型コロナとされている者の数を公表しているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今のお話をまとめますと、コロナ陽性であったときの死者数というのは毎日直近で出てくるわけなんですけれども、その中に、直接死因じゃなくても、つまり、極端なことを言うと、交通事故であってもコロナ陽性であればそれは反映されるし、そういった報道がメディアでなされる、しかしながら、厚労省さんでしっかりとコロナが直接死因であることもちゃんとやってくれている、そういう答弁だったと思います。

 ただし、この死亡診断書の中からこれを読み解いて、コロナが直接というのはなかなか簡単なことでもないんですね。WHOの基準があるわけなんですけれども、そういった作業をやっていくと、五か月後になってやっとコロナが直接死因であるということが分かるわけです。

 そういったところを踏まえて、自治体で日時、コロナの死亡者数、つまり、死亡診断書の中にコロナ陽性というところが書いてあればそういった統計を出すというところなんですけれども、本日も午前中るる、新しい感染症が出たときはどうするのかという話が出ましたけれども、そういうときに直接死因かどうかも判断するような、つまり陽性であれば何でも入れるというようなところを、今後、新しい法律がせっかくできるわけですから、改善する検討は厚労省内若しくは政府の中でなされているかというのを教えてください。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの次の感染症が出た場合に、どのような方法やあるいは定義でカウントしていくかということのお尋ねかと思いますけれども、そのときの個々の感染症の特性に応じて、どのような方法や定義でカウントするかというのはその都度検討していくものということになると考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 つまり、今回の総括で我々が得た知見というか、総括としまして、次なる感染症のとき、それが、今回の新型コロナウイルスのような感染力、若しくは、我々は毒性という言い方をしているんですけれども、毒性であるか、そういったところを都度都度判断してやっていく、その都度判断するためにまた内閣感染症危機管理統括庁ができるのではないか、私はそう解釈しております。

 それに加えて、過去の反省なので、それが悪かったからどうのと言うつもりはないんですけれども、特に今回気になったのは、私自身が、住宅型老人ホームというところを在宅として伺っているわけなんですね。それは住宅なので、そこにいわゆる訪問診療医が派遣されて診察をするわけですけれども、中には、本当にいろいろな施設があります、特養もあれば老健もありますし。そういったところでのクラスターの件数であったり、施設で亡くなった後の数を、各自治体というよりも国としてしっかりと把握できなかった、それは各自治体のマンパワーにはばらつきがあったという具合にお聞きしているんですけれども、厚労省、その認識に間違いはないでしょうか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどと一部繰り返しになりますけれども、厚生労働省の今回の新型コロナの速報値というのは、速報性の観点から、都道府県等において公表あるいは出していただいた数字を集計したものであるのでございまして、個々の都道府県等に応じて調査方法は少しばらつきがあったということは、可能性はございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今日、質疑させていただく三十分前まで、昨日もそうなんですけれども、本当に厚労省さんには詳細におきましてレクを、そしてヒアリングもさせていただきました。その際、今答弁していただいたように、各自治体として、クラスター件数が、つまり、ここの施設はこれだけのクラスターが出たとか、この施設で亡くなった数は把握できないという具合にお聞きしました。

 その原因として、やはりマンパワーであったりとか、いろいろな自治体との連携があったんですけれども、ここでちょっと意見として言わせていただきたいんですけれども、大阪ではしっかりとここのクラスター件数なり施設で亡くなった数というのは把握していました。これはやはり府と市との連携だと思うんですね。

 もちろん、市も府も、加えて国の連携が必要なので、こういった正確な数とかカウントの仕方というのを本当に次の感染症に役立てていただきたいということで、内閣感染症危機管理庁の位置づけについてお聞きしたいと思います。

 今までの質問でもあったと思いますし、我が党からも質問があったんですけれども、庁という名前がついているにもかかわらず、実際には局レベルの位置づけになっているんですけれども、これについて、政府の見解、局レベルであるのになぜ庁として位置づけたかということをもう一度お聞きいたします。

後藤国務大臣 今回の法改正で設置されます内閣感染症危機管理統括庁は、感染症危機対応における司令塔機能を担うものでありまして、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応、政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一貫して統括庁に集約し、意思決定を一元化、迅速化する、厚生労働省との一体的対応を確保しつつ、新たに専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構の質の高い科学的知見を踏まえて感染症危機対応をすることなどによりまして、各府省の感染症危機対応を強力に統括しながら司令塔機能を発揮する組織として位置づけられております。

 そういった組織の役割を的確に表現する観点から、内閣感染症危機管理統括庁という名称としたものでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 初動を早くするという意味では、非常に大事なことだと思います。やはり自治体は国からのいわゆる判断待ちというところもあったので、そういった意味では、なかなか、各自治体によって本当にばらつきがあったのかなと思います。特に、都市部においては感染が、人口が密集するところとかというのは本当に早かったところもあったので、そういった初動のための庁というのはよく分かります。

 その場合の知見として、今大臣から国立健康危機管理研究機構というお話があったんですけれども、新たなる専門家組織として位置づけられているわけなんですけれども、元々あった国立感染研究所では駄目なのかと、やはり率直にお聞きしたいわけなんですね。プラス国立国際医療研究センターも統合されるわけで、一足す一が二以上の力を生み出すのか、若しくは、一足す一が一・一とか一・二とか、力が半減するのであればどうなのかというところなんです。

 我々維新の会というのは、こういった組織に関することでいうと、やはり統合することによっての、いわゆる人員削減であったりとか予算とかのところを考慮して、スクラップ・アンド・ビルドという意味では非常によく分かるんですけれども、ただ、それが機能しなければやはり意味がないと思いますので、どのような人員、組織体制で将来予測を行って、どのような貢献をもたらすのか、具体的に教えてください。

伊佐副大臣 当然、一足す一が二以下になったら新しく法律に基づいてやっていく意味がございませんので、我々としては、一足す一を更に二以上に持っていくということが大事だというふうに思っております。

 具体的には、国立感染研究所は今定員が七百十六人、国立国際医療研究センターが常勤の役員が二千二百二十人、合わせて、両組織で、さらにほかに非常勤の役職員が千人ございますので、この二つの機構、二つの組織が合体をするということになります。この職員を引き継ぎつつ、我々としては、引き続き、必要な人員体制を更に検討していきたいというふうに思っております。

 この位置づけとして、やはりしっかりと統括庁と連携をしていく法的な組織ということが大事だというふうに思っておりまして、統括庁あるいは厚生労働省の求めに応じて、科学的知見についての調査研究も行い、そしてまた、その情報についても迅速に提供するというのとともに、政府対策本部長の招集を受けまして対策本部で意見を述べる、そして政策決定につなげていく、こういう役割が果たされるように連携するべきものだというふうに認識をしております。

伊東(信)委員 伊佐副大臣、ありがとうございます。

 そういったところで、一足す一が二以上の効果をというところの御認識はお持ちいただいているところはありがたいわけなんですけれども、そういった場合、やはり比較されるのがアメリカのCDCだと思うんですね。CDCの場合だったら、感染発生、流行状態を追跡して、そこからの出口もあるわけです。予防対策のための情報提供とか指導も行っておるんですけれども、要は、今回新しくできる研究機構もCDCを参考にされているところがあるのかないのか。

 加えて、これは、政府が悪いというよりも、しっかりとメディアの皆さん、もしこれを聞いていたらお聞きいただきたいんですけれども、感染症の専門家というのがどこまで今回の新型コロナウイルスに対応したのか。

 もう御答弁いただかなくても結構なんですけれども、私がウイルスの研究をしていたときは、今日もおられますけれども、やはり小児科の先生と一緒にやっていたんですね。つまり、ワクチンとかそういった行政は、ウイルス学というのは、最初、臨床であれば小児科であることが多い。私は形成外科もやっていたので、いわゆる頭頸部がんの中にはHPVというのが関係したりとか、顔面神経麻痺にはヘルペスウイルスが関係したりしていまして、比較的、外科の中でもウイルスをやっているかなと思います。

 乳がん、子宮頸がんの検診促進議員連盟というのがありまして、かつて、そのとき、議員連盟を立ち上げて、私、副会長もやらさせていただいたんですけれども、子宮頸がんの場合は、皆さんワクチンで御存じだと思いますけれども、ヒトパピローマウイルス、HPVが関係したりするわけなんですけれども、ウイルスを扱う臨床の科というのがほぼないに等しいんですね、ないという言い方はおかしいですね、少ないんですね。

 たまたま本当に、私、ウイルスをやらさせていただいたんですけれども、ウイルス学会とかがあっても、治療薬がないものですから、大体、臨床の学会というのはホテルをばあんと借り切って、いろいろな機械展示とか薬の展示とかがあったりして結構華やかにやるんですけれども、残念ながら、ウイルス学会、一つの公民館の片隅でありまして、展示もほとんどなかったんですね。

 そういった中で、やはりウイルスが注目されたというのは、本当にいろいろな因果があるのかなとは思うんですけれども、ウイルスをやられている先生は患者さんを診ないことも多いし、感染症も、この後の話にもなりますけれども、細菌学をやられている、バクテリアをやられている先生、つまり、抗生物質という薬がある、そういった科をやられている方も多い。

 内科の中には、ウイルスはインフルエンザワクチンしか携わったことがないという方もおられて、どこが本当に臨床として担うかというのも非常に難しかったと思うんですけれども、今回の研究機構に関しまして、研究は分かるんですけれども、そういった臨床のところと基礎のところの懸け橋というのはあるのか、教えてください。

伊佐副大臣 先ほど米国CDCに言及をしていただきました。当然、参考の一つとして、我々、今回新たな機構を立ち上げるということでございますが、ただ、当然、日本に合った形で、日本独自のものというふうに認識をしております。

 その上で、CDCとの大きな違いは、今委員御指摘のとおりで、自ら臨床機能のある病院を持つというのが、今回、日本のこの機構でございます。アメリカは臨床機能のある病院は持っておりません。基礎から臨床までの一体的な研究成果に基づく質の高い科学的知見を迅速に提供することができるというふうに考えております。

 次に言及していただきましたウイルスの研究でありますが、現在、感染研では、ウイルス第一部、これはエボラを含めて、出血熱ウイルスを含む高病原性のウイルスの基礎研究をやるところ、そしてまた第二部、下痢症を起こすウイルス、これはコレラ等でございますが、あるいはウイルス第三部、これは麻疹ウイルス等でございます、こうした基礎研究を今やっております。

 さらには、国立国際医療研究センターでも、エイズの研究センターのほかにも、難治性ウイルス感染症研究部、ウイルス構造機能研究部、国際ウイルス感染症研究センターという部署がございまして、委員御指摘のとおり、ウイルスの研究は重要でございますので、しっかりと連携を深めてやらせていただきたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 第三部で、私の研究していた麻疹ウイルスを出していただいてありがとうございます。

 そういったところで、次に、二類から五類への移行についてお聞きしたいと思うんですけれども、ちょっと意地悪な質問にもなりかねないんですけれども、結局、今回、五月の八日ですか、五類に移行するというところ、それは、やっと五類に移行していただいたというのが本当に、私の個人的でもあるし、維新の会としても、昨年で五類に移行できたのではないかとは常々主張させていただきました。

 じゃ、二類が鳥インフルエンザとかのウイルスで、五類が季節性のインフルエンザというところで、そもそも、インフルエンザ相当という言い方をすると、いやいや、五類にインフルエンザはあるけれども二類にもインフルエンザはあるよという答弁が返ってくるのは当たり前だと思っているんですよね。だから、その聞き方がそもそも悪いんじゃないかなと思っていました。ただ、鳥インフルエンザに関して、何で二類に鳥インフルエンザが入っているのかというのは、私、個人的に疑問に思っていまして、単純に知りたいだけです。

 鳥インフルエンザ、まだトリ・ヒト、そしてヒト・ヒト感染というのが余り認められていないんですけれども、それはリスクマネジメントとして二類に入っているんでしょうか。厚労省、もしお答えできたらお願いいたします。

伊佐副大臣 申し訳ございません、今この場では鳥インフルエンザが二類になっている理由をちょっと持ち合わせてございませんが、今回のコロナを五類にするというのは、その病原性であったりとか、感染力であったりとか、あるいは変異の可能性、変異による影響というものも見極めながら、五類、総合的に判断をさせていただいたというものでございまして、具体的に鳥インフルエンザのどこがどうだったというのは、ちょっと申し訳ありません、この場では申し上げることがございませんので、必要であればまた説明をさせていただきたいというふうに思います。

伊東(信)委員 済みません、冒頭でテクニカルなことにならないようにと言いながらも、なってしまって申し訳ないです。本当に悪気はないんです。悪気はないです。要は、二類に鳥インフルエンザが入っていること自体がちょっと感染症法の混乱の原因でもあるのではないかなと思ったので、質問させていただいたんですね。

 結局、じゃ、インフルエンザとコロナウイルスの最大の違いは何かというところになると、岸田総理も再三答弁でされていたように、いわゆる治療薬が、特に経口の治療薬が開発されたら五類のことも検討する、そう答弁されていた記憶もありますし、その記録もあるわけなんですね。

 じゃ、インフルエンザは、ワクチンも、もうメッセンジャーRNAワクチンがどうのこうのというのはこの時間では質問しませんので、御安心ください。もうワクチンの話はしません。

 治療薬に関して、インフルエンザの治療薬に関して、いろいろあります。点滴のリレンザもあれば、タミフルという薬もあるんですけれども、ただ、特に、新型コロナウイルスが、アルファからデルタあたりかな、ちょっと正確なところでの感染時期を把握していないんですけれども、その際に、中国からの航空便が止まったときがあるんですね、海外への、中国からほかの国への。

 タミフルというお薬の原材料が、シキミ酸という原材料物質があって、このシキミ酸のまた原材料がトウシキミという植物なんですね。八角という名前もついています。植物です。これは中国で栽培されているわけです。これをインドで精製して、シキミ酸となって日本に運ばれるわけなんですけれども、一時期、トウシキミのインドへの便がなくなってしまったわけです。幸いにしてインドでもトウシキミを栽培しているので、そこで精製して送ってきたり、陸路を使ったりという方法もあったかのようにお聞きしています。

 だけれども、日本ではトウシキミが栽培できないし、では日本でトウシキミを栽培するべきじゃないかというような話ではないです。そのためにはまた農地の話もあるし、いろいろ問題もあると思うんですけれども、ただ、こういったところで、経済安全保障も含めて、本当にいろいろちょっと考慮をしなければいけないと思うんですね。つまり、薬品の原材料に関して、果たしてその意識があるのかどうかということです。経済安全保障も含めて、そういった検討をなされているのか、ちょっとお教えください。

伊佐副大臣 委員御指摘なのは、特定重要物資に、今回、経済安全保障の観点で抗菌薬が指定をされておりますが、タミフルを含めたこうした抗ウイルス薬が入っていないのはなぜかというような問いだというふうに認識をしました。

 元々、経済安全保障の議論の前から、厚労省においては、医療上必要不可欠な安定確保医薬品というもののカテゴリー分けをしておりまして、その中で、最も優先して取組を行うカテゴリーAというものが二十一成分ございます。そこを更に要件を設けまして、直接的な代替薬がないでありますとか、原材料の供給が海外一か国のみに依存しているでありますとか、また、過去に供給途絶事例がある、またそのリスクが高まる傾向が見られるというものに指定要件を設けまして、これを満たしたものが抗菌薬である四成分だったということでございます。

 御指摘のタミフルを含めた抗ウイルス薬は七成分ございますが、厚労省のカテゴリーの中ではカテゴリーCというものになっておりまして、つまり、学会からの要望を含めて、医療上の必要性という観点では、ABCの中ではCというカテゴリーになっているという状況でございます。

伊東(信)委員 僕は非常によく分かりました。

 なぜかというと、カテゴリーでCになっている、それも含めまして、私が医師免許を取ってから二十八年です、ウイルスの研究をして学位をいただいたのが二十三年前です、その時代から今日に至るまで、やはりウイルスというのは治療薬がないというところで、余りウイルス学会自体の、学会の力と言ったらおかしいですけれども、余り注目されなかったのも事実です。

 やはり軽症のウイルスもたくさんあります。新型コロナウイルスの、新型に突然変異をする前のコロナウイルスの段階だったら、それによって風邪を起こすウイルスもあるから取りあえず安静にしてというところになると思うんですね。

 つまり、過去の歴史はともかく、今回パンデミックがあったわけですから、Cから更に格上げするというような議論なり討論なり、そういった意見とかは政府内に今出ているのかどうか、お教えください。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 このカテゴリーでございますが、今のところ、カテゴリー自体の見直しが直接動いているかというと、そういうところまであるわけではございませんが、私ども、サプライチェーンについて、各カテゴリーに属する医薬品のサプライチェーンの調査、また、ほかにも、医療機器等も含めましてどういったものがどういう流れで来ているかというのを今調査もしております。

 またそれから、どういったものを更にこういった原薬確保等の対象にするかというのも不断に考えていくというところでございまして、その調査結果も踏まえまして、こういった経済安全保障の対象にするかどうかというのも含めて、引き続き検討はしていきたいというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 なかなか難しいと思いますし、伊佐副大臣の御答弁の中にもヒントがあったと思います。要するに、代替薬があればいいわけで、その代替薬がいかに機能しているかをしっかりと、今回のことを含めて、機構もできますし、新しく庁もできるわけですから、そういったところをしっかりとやっていただければ、今回の改正の意味はあるのかなと認識しています。

 実際に感染症が起こって現場で診るに当たり、二類から五類のところの最大の違いというのは、二類は、まずは医療現場ではなくて保健所に連絡があって、どのように対処していくのか話をしつつ、保健所は、自宅で安静にしてください、すぐに施設に行ってくださいとかと言うところにあったんですけれども、なかなか、保健所の人員数を増やすのは、それはそれでまた別議論になりますので、それは別の機会になるわけなんですけれども、要は、やはり保健所さんの負担が多いシステムになっていたことも事実です。

 在宅をやっていまして、本当に、すぐ私が診れる状況である患者さんというのは正直大分助けました。自分の判断で入院していただいて、九十一歳の方が重症化されて、リレンザという点滴で、そこの病院さんにも感謝しているんですけれども、帰ってこられたわけなんですね。今もお元気にされています。

 ただ、そのリレンザという薬は一本六万ぐらい、あっ、リレンザじゃないです、済みません、レムデシビルです。六万円ぐらいするんですね。それを一週間すると三十六万円になりますね、消費税抜きでも。

 そういったところでのシステムとして、保健所さんというのはやはり医療のところでやってほしくて、そういう場合、いわゆる地域包括ケアの中に、医師は入っているけれども保健所自体が入っていないんですね。そういったところをやはりこの際改善するべきじゃないかなと思うんですけれども。

 もう時間になりました。これが最後の質問となりますので。

 地域包括ケアの中に保健所をつくってしっかりと医療と協力することが今後の感染症対策に有益ではないかと思うんですけれども、それについてお答えください。

伊佐副大臣 保健所の負担につきましては、これまでの積極的疫学調査の実施でありますとか、あるいは、その調査から得られた知見に基づいて感染症対策の企画立案をしていく、こういう機能というのは今後も変わらないというふうに思っております。

 ただ、御指摘のとおり、大事なのはしっかりと連携を進めていくということだと思っておりまして、昨年成立しました感染症法の改正によりまして、各都道府県に連携協議会というのを設置するという中で、医療機関、高齢者施設の関係者が保健所も含めてしっかりと連携の在り方を検討し議論する、そして、それに基づいて各自治体で予防計画を策定するということになっております。

 地域の事情に応じてしっかりと対応するということが重要だというふうに思っております。

伊東(信)委員 これで終わりますけれども、機能しない場合はしっかりと構造を変えていく、庁をせっかくつくるんだから、そういった構造を変えていくことも今後御検討ください。

 ありがとうございました。

大西委員長 この際、休憩することとし、午後一時から委員会を再開します。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 新型インフルエンザのことについて質問させていただきます。

 私は、現在もそうですが、医師でございます。大学時代、大学院時代は免疫学やあるいは分子生物学を研究し、論文もウイルス学を、うちの研究室は特にエイズや成人T細胞白血病を中心に研究してきましたので、ウイルス学についても様々な議論をさせていただいております。

 大学院では、ウィーン大学で免疫学を更に深め、そして直ちに公衆衛生の公務員として、県庁や保健所長、そして厚労省でも勤務し、そして政治の道に入ってきております。特に県庁では、免疫、感染症についての、あるいは予防接種についての担当もしましたので、現場の経験も様々ございます。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 まず最初にお伺いしたいんですが、この感染症予防、新法、恐らく強毒性のインフルエンザを想定し、その他のウイルス、病原体についても想定してあると思いますが、まず新型インフルエンザについては、H5N1、これが想定してあるんだとは思いますが、H7N9についてはいかがでございましょうか。(発言する者あり)

大西委員長 時計を止めます。

    〔速記中止〕

大西委員長 速記を起こしてください。

 鳥井審議官。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のH7N9の亜型のインフルエンザにつきましては、現時点では新型インフルエンザ等感染症の対象とはなっておりません。

阿部(弘)委員 入口から、WHOのレポートをちゃんと読んでくださいとは勉強会で言ったんですが、今WHOが世界中に警告を及ぼしているのはインフルエンザのA型、特に鳥中心にしかまだ感染していないH5N1、それと同様に、家畜でも広く伝染が広がっているH7N9について、これの対策を、私は、法律を出して、新しい組織をつくり、そして緊急時にそれに備えることがこの法律の眼目ではなかったかと思っているわけでございますが、最初から想定にないなんという、WHOのレポートも読んでいない人たちに答弁する資格なんかないと思いますよ、私は。国民を守れますか、それで。答弁をお願いします。

大西委員長 暫時休憩といたします。

    午後一時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

大西委員長 委員会を再開いたします。

 阿部君。

阿部(弘)委員 では、新型インフルエンザ法、私は、この法律を質問する前に、緒方洪庵先生の業績について改めて調べさせていただきました。

 天然痘というものは、ウイルスでございます。江戸時代から昭和期まで。私も、種痘というものを腕にしていただいて、天然痘にかからずに今日まで生きることができました。

 ジェンナー先生は、乳搾りの娘さんたちが牛天然痘の感染によってヒト天然痘にかからないということを発見し、そして種痘を発見された。それよりも数十年早く、大阪の緒方洪庵先生は、この種痘の技術を広く大阪の人々を中心に行われたことによって、人々を天然痘から救った。世界では、天然痘、昭和四十年代だったと思います、WHOに行ってあった蟻田功先生、私は熊本大学出身でございますが、この方は、厚生省に所属しながらWHOの免疫部長としてアフリカで種痘の予防接種を行い、天然痘撲滅に尽力された方でございます。

 この天然痘というのは最後の質問で新たな病原体として私は質問させていただきますが、この法律は強病原性の病原体が日本にパンデミックを起こしたときの法律だというふうに私は解釈しております。そのように考えてよろしいですか。参考人の方、お願いします。

柳樂政府参考人 インフル特措法の対象に関するお尋ねでございました。

 このインフル特措法でございますが、全国的かつ急速に蔓延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがある、このような感染症に対して、通常のそれ以外の感染症であれば厚生労働省が単独で施策を打つことによって対応できるものでありますが、今申し上げたような特定の感染症につきましては厚生労働行政にとどまらない広範な対策が必要となるということに鑑みまして、この疾病の拡大防止と国民生活への影響を最小限に抑えるという二つの目的を達成することで定められている法律ということでございます。

 したがいまして、この法律の対象となりますのは、今申し上げたような、全国的かつ急速に蔓延する、また、これにかかった場合の病状の程度が重篤になるおそれがある、また、国民の生活、国民経済に重大な影響を及ぼすおそれのある感染症、こういうようなものに該当する場合には特措法の対象になるものでございます。

阿部(弘)委員 それでは、法制局でこの法案を審議するときに、どんな病原体を想定したんですか。

 僕は、勉強会では、H5N1、インフルエンザA型を想定したということだったんですけれども、それ以外、ありますか。

柳樂政府参考人 歴史的な経緯で申しますと、一番最初はいわゆる新型インフルエンザというものを念頭に置いて作ったものでございます。

 ただ、その後、今申し上げたような性質に該当するコロナウイルス感染症が出てきたことを踏まえまして、これについても新型インフルエンザ対策特別措置法の対象にしているものでございます。

阿部(弘)委員 あなた、新型インフルエンザと言っても、それは病原体を特定していないじゃないですか。学問的に分かることをちゃんと言ってくださいよ。何が新型インフルエンザだと。

 WHOが指摘しているのは、全世界的に免疫がないH5N1についてでしょう。あなた、何を言っているんですか、新型インフルエンザなんと言って。それが、カンボジアで若い娘さんが鳥から感染して、そしてお父さんにも感染して。

 では、今、H5N1の感染が、世界中にどれくらいの感染者がいるか、お話しください。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 H5N1の鳥インフルエンザにつきましては、カンボジア等で感染が起こっているという御指摘でございます。

 私どもが把握している事実関係を申し上げますと、カンボジアにおきまして、二〇一四年以降九年ぶりとなる感染事例ということで、本年二月にH5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスに感染した十一の少女一名が死亡し、また、死亡した少女の家族一名も、無症状であったが、このウイルスに感染していることが確認をされております。二症例とも死亡した鳥への接触歴がございまして、ウイルスの詳細な系統といたしましては、二〇一四年以来カンボジアや東南アジアで循環しているものでございました。

 また、最近の世界でのH5N1亜型のウイルスによる鳥インフルエンザの感染者数でございますけれども、WHOへ報告されたものといたしまして、昨年二〇二二年は米国一例、スペイン二例、中国一例でありまして、本年ですが、二月二十六日時点でエクアドル一例、カンボジア二例が確認をされております。

 なお、まだ、鳥インフルエンザ、H5N1につきましては、申し訳ございません、先ほど感染法上は新型インフルエンザ等感染症ではないと申し上げましたけれども、感染症法上の二類感染症の方に分類をされておりまして、全数届出の対象となってございますけれども、これまで日本国内での感染事例というものは報告をされておりません。

阿部(弘)委員 ちょっと、勉強不足ですね。五百人と言ってくださいよ、五百人と。

 アジアを中心に五百人の患者さんがもう既に、死亡例は最近、カンボジアで。二例、親子で発症しましたが。もう既に感染爆発の予兆を呈しているじゃないですか。

 インフルエンザの特徴は、A型インフルエンザは鳥ですよ。ですから、今、野鳥の鳥インフルエンザの死亡例が非常に増えております。

 農水省の方、史上最高の鳥インフルエンザ死亡ですが、いかがでございますか。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 家禽における今シーズンの高病原性鳥インフルエンザについては、過去最も早い昨年十月二十八日に国内一例目が確認されて以来、これまで、過去最大の発生であった令和二年度シーズンを超え、今朝時点で合計二十六道県八十事例となり、殺処分対象羽数は約千六百十二万羽となっております。

阿部(弘)委員 大変な状況になってくるんですよ。高病原性鳥インフルエンザの型はH5N1ですよ。死んだ野鳥を食べて、キタキツネやタヌキやアザラシや、そして最近はホッキョクグマまで死に始めている。

 野生動物がこの高病原性鳥インフルエンザで死亡する例については、環境省、お答えできますかね。

松本政府参考人 お答えいたします。

 国内における高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型の哺乳類への感染事例につきましてですけれども、環境省として確認しておりますのは、昨年北海道において回収された、先生御指摘のとおり、キツネ及びタヌキの死亡個体、計二例でございます。

 その二例を検査したウイルス学の専門家によりますと、この二例の感染例は、高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型に感染した死亡野鳥を捕食したことが原因と考えられると報告を受けております。

阿部(弘)委員 WHOの質問を聞くとちょっとまた止まってしまいますので、私がネットで調べたものをお知らせしますと、変異というのは寒いところで起きるわけなんですね。ですから、鳥が北極に、寒いロシアに行ってしまって、変異を起こして、そして南に下ってくるから、いろいろな病原性のウイルスができてくる。北極の熊はもちろんですし、熊もたくさん死んでいます。アザラシが、南の方、南米でもたくさん死に始めている。そして、最もびっくりしたのは、フランスでは猫が感染して、猫が鳥インフルエンザで死んでしまっている。

 ですから、我々の周りの動物たちが感染し、そしてそのことから、体液などを原因に、おしっことかで人間に感染すること、そのことを常に念頭に置いていただかないと、今までは組織論の質問が多かったと思いますが、私は、感染症、あるいは細菌学、ウイルス学の見地からお話ししていますので、そのことについてしっかり取り組んでもらわないと、このことの意味が全くないわけでございます。

 感染爆発についての備えについてお話しさせていただきます。

 幸いなことに、第一次世界大戦中に感染爆発を起こしたスペイン風邪、これはH1N1というものでございます。だから、数字が多くなってくるほど近年になってくる。だから、研究は非常に進んできて、ノイラミニダーゼの阻害剤というのが非常に有効でございます。これはコロナ感染症とは違うところなんですが、その開発についてはいかがですか。効果について。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 抗インフルエンザ薬の開発について、ちょっと通告を受けておりませんものでしたから、詳細なお答えは差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、抗インフルエンザ薬につきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきまして、必要なウイルス薬を備蓄することを始め、緊急の法的な措置は行っているところであります。

 また、その他、今後出てきます可能性のある新感染症に対しましては、様々な、厚労省の研究費ですとか、AMEDの研究費を通じて開発を支援しているというところでございます。

阿部(弘)委員 そもそも、H5N1のNというのはノイラミニダーゼのことなんですよ。その阻害剤というのはタミフルと、国民がみんな知っていますよ、タミフルなんて。タミフルの話なんか何度もしたのに、知りませんでしたでは、それはちょっと、僕としても心外ですね、非常に。

 このノイラミニダーゼというのが、感染するときにウイルスを増やすものだから、これに対する阻害剤が、スイスのロシュというところが薬を開発したものですから、これが初期に使うと非常に有効。だから、研究の歴史があると、こういう治療薬があるんですよ。勉強会ではこれの備蓄は既に行っていますねという話もさせていただいておりますから、そもそも知識のベースが違い過ぎるんじゃないですか、鳥井さん。ベースが違うところを一々通告なんと言ったら、僕は議論ができませんよ。でも、進めます。

 タミフルや解熱剤の備蓄についてはどのように考えていかれますか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のタミフルを含みます抗インフルエンザ薬につきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づきまして、国と都道府県が、全ての罹患者の治療や、その他の医療対応に必要な量である四千五百万人分を目標といたしまして、抗インフルエンザウイルス薬を備蓄することといたしております。

 現在、これに沿って取組を行っているところでございまして、今後ともしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 解熱剤については、もちろん皆さん、コロナウイルスの予防接種のときにカロナールを二錠、国会の診療室でもいただいたわけでございますが、アセトアミノフェンがインフルエンザ脳症を防ぐことができるから非常に有効なんですが、これについてはもうお答えいただかなくて結構です。製造のルートを拡充する方法、それと補助金をつくるということを既に考えてありますから、これは立派な話だと思っております。

 特に、ジェネリックの医療薬剤については、日本がもう既に材料開発をやめてしまっている薬剤もありますので、是非とも、他国に依存しない、安全保障の話をしっかり気に留めていただきたい。

 いざ感染爆発、強病原性の病原体が感染爆発したときに薬がないでは、国民が困ってしまいます。タミフルは今のように備蓄があるからタミフルは使えますが、ほかにも解熱剤が必要。混合感染で必要なときには、やはり抗生物質が必要なんですよ。抗生物質は、日本にはほとんどその材料がありません。ないから、日本はすぐには調達できないんです。近隣の国にあるというふうに私は承知しております。

 それでは、次は、感染爆発における国、あっ、済みません、大臣に聞く予定だったんですけれども、強毒性の感染爆発に備えた、こういう組織づくりであるというふうに私は承知しておりますが、そのような考えでようございますか。

後藤国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたけれども、インフル特措法は、幅広い感染症に対して対応するという考え方でできております。

 今回の感染危機管理統括庁においても、幅広い感染爆発等の対策について、どういう危機管理をしていくかということについて、しっかりと取り組ませていただきたいと思います。

阿部(弘)委員 もちろん、平時と有事、組織が動く、活動の仕方は違うとは思いますが。

 次に、国及び防衛省の役割についてお話しさせていただきます。

 私は、細菌兵器、生物化学兵器、様々な有事がありますが、特に生物兵器、強病原性のウイルスについて防衛省としてはどのような対策を行ってあるか、お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 万が一、生物テロなどがあった場合につきましては、防衛省・自衛隊は、警察や消防機関等の他の政府機関と連携しつつ対応することを考えております。

 具体的には、防衛省・自衛隊におきましては、生物化学兵器といった特殊武器に対処するための部隊として、陸上自衛隊に特殊武器防護隊と化学防護隊といった化学部隊を有するほか、感染症患者を一時的に隔離、収容し、応急治療をすること及び使用された生物剤の同定を行うことを任務とする対特殊武器衛生隊を有しておるところでございます。

 生物兵器につきましては、化学部隊と対特殊武器衛生隊を中心とした衛生科部隊の連携により、まずは対応するということを考えているところでございます。

阿部(弘)委員 時間もありませんので。

 私は、最後の新たな病原体のところもありますが、天然痘。これは、私は六十一歳ですが、種痘は受けております、予防接種は。ただ、私よりも若い人たちは、天然痘が撲滅されたから、予防接種法の対象から外されております。天然痘を今散布されたら、日本国民の若い方を中心に大部分の方が同じような症状。これは感染力が強いし、病原力も強い。

 ですから、天然痘については、ちょっと余り意地悪になったらいけませんから、病原体はどのように確保されていますか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の天然痘ウイルスについてでございますけれども、天然痘の根絶後、各国の合意に基づきまして、世界の研究機関でウイルスの廃棄が進められておりまして、現時点では、米国とロシアの研究機関においてWHOの厳格な管理下で保管されているのみとなっておりまして、我が国は保有をいたしておりません。

阿部(弘)委員 アメリカとロシアが天然痘、原種を持っていると。

 では、エボラやマールブルグ熱は、日本は、リクエストに応じて、その病原体を日本で研究のために手に入れることができますか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 エボラウイルスやマールブルグウイルスにつきましては、国立感染症研究所において、令和元年に、特定一種病原体等であって外国から調達する必要があるということで輸入するウイルスといたしまして、厚生労働大臣より指定されておりまして、国立感染症研究所においてウイルスを保持しているところでございます。(阿部(弘)委員「天然痘は」と呼ぶ)天然痘は保持してはおりません。

阿部(弘)委員 天然痘もリクエストして手に入れないと、すぐにワクチンができないじゃないですか。鳥井さん。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げたのと重なりますけれども、各国の合意で天然痘はウイルスを廃棄するということになってございまして、現時点で、米国とロシア以外、WHOの厳格な管理下に置かれている米国とロシアの研究機関において以外では保有することが困難であるという状況でございます。

阿部(弘)委員 是非とも、この省庁ができたら、天然痘についての対策は喫緊の課題だと思っております。ロシアとアメリカしか持っていない。この天然痘を、国内で一人でも二人でも感染したらすぐに感染爆発を起こしますから、そんな悠長なことの特別措置法であってはいけないと思いますので、このことは鳥井さんではお答えできないでしょうけれども、大臣に聞くのも気の毒ですから聞きませんけれども、是非ともそれができるように、外交ルートなどを通じて、しっかりこのことを。ジェンナー先生、緒方洪庵先生ができたものでございますから。ワクチンがないと国民は危険にさらされると思います。

 ペンタゴンは、アメリカの国防省は何をしているか。ワープスピードプロジェクトなんですよ。これについて、もちろん事前通告、今まで全部事前通告しておりますけれども、どういう作戦ですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 細部までは承知しておりませんが、ワープスピードプロジェクトとは、米国における新型コロナウイルスワクチン開発、生産、供給を加速させることを目的とした政府主導の官民連携であると承知をしているところでございます。

阿部(弘)委員 全然勉強していないじゃないですか、そんなことを。何がコロナウイルスですか。コロナウイルス前からこの作戦はありますよ。生物兵器の対策のためにつくられたプロジェクトじゃないですか、コマンド。

 事前通告しても、そんな、何も勉強せぬでこの委員会に出てこられて、僕の議論ができないじゃないですか。いや、でも、お答えします。

 例えば、生物化学兵器に利用されるような百種類の病原体があるとする。これをベンチャー企業にそれぞれの毒性とか突然変異とかを調べてもらう。そのうちの三つぐらいを採用して、そして治療方法をいち早く開発するんですよ。ですから、今回の武漢で起きた細菌研究所の感染事例、まあ、それが事実かどうかは歴史的に証明されていませんが、即座にアメリカも中国もワクチンができたのは、このワープスピードプロジェクト、「宇宙戦艦ヤマト」で異次元にワープするという、プロジェクト。それで、ワクチンを作る。ワクチンは、フェーズ1のところを、第一相のところを、いきなり第四相で使うんですよ。

 トランプさんもこれをやろうとした。トランプさんは、ワクチンができていないから、感染から回復した人の抗体が含まれている血液を輸血したんです。これがまさにトランプさんがやったワープスピードプロジェクトなんですよ。

 だから、何か未知の病原体、あるいは既に分かっている病原体であっても、国民を救うためには、このワープスピードプロジェクトを、自衛隊がするのか、防衛省がするのか、厚労省がするのか、速やかにこのことの知見を広めておかなければ、緊急事態には即応できませんよ。

 幸い、インフルエンザならタミフルなどいい薬がたくさんありますし、対応は少しでも可能だと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘になりますのは、感染爆発となり得る新たな病原体が出てきたときにどう対応するのか、あるいはできるのか、準備を進めるのかということだと思います。

 将来、パンデミックのおそれがある社会的なインパクトが甚大で、ただ予見不可能な病原体というものは想定されますので、今後の感染症危機への備えとして、その特性に応じて健康危機管理能力の強化を行うということは重要であると考えております。

 厚生労働省におきましては、まず、審議会で議論をして、予見不可能な感染症、これはいわゆるディジーズXと呼んでおりますけれども、これを含む重点感染症というものを、考え方とその暫定リストを昨年の三月に選定をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、この重点感染症に対しまして、厚生労働科学研究によります政策研究ですとかAMEDの研究事業を通じて、リスク評価あるいは治療薬等の研究開発支援を行うことといたしております。

 こういったことを通じまして、我が国においても、次なる感染症危機に備えた研究をまずはしっかり推進をして、備えるということを強めていきたいと考えております。

阿部(弘)委員 そんな悠長なことは言っていられないと僕はイメージしております。決してSF小説みたいなことを言っているわけじゃなくて、実際に、H5N1についても、もう感染爆発がすぐ来ているとWHOは警告しているのに、審議会を開いて一年かけて計画を立てますでは間に合わない。ですから、しっかりワープスピードプロジェクト、多少の問題はあるかもしれませんが、そのぐらいのスピードがないと国民は救えないということをここで言っておきたいと思います。

 新たにノミネートされた病原体というのは、どういうものがありますか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 ディジーズXというのは全く未知でございますので、それに準じるものということでグループAというものをカテゴライズしておりまして、例えば、その中には、未知のインフルエンザウイルス、あるいは未知のコロナウイルス、未知のエンテロウイルス、あるいは御指摘の天然痘ですとか、あるいは、人為的な改変で、例えば遺伝子操作等を加えた新たな病原体による感染症、こういったものも想定をしております。

阿部(弘)委員 二〇一二年に、「ネイチャー」という科学雑誌にインフルエンザの強毒性についての部位特定の論文が載っておりました。ですから、その部位に突然変異を起こさせれば、新しい強毒性のウイルスが簡単にできる。もう既に二〇一二年にそういう論文が世界中に出回っていますよ。

 ですから、まずは、そんな、未知の未知のといって、審議会に半年もかけて、そして作り始めたら、治療薬があるのは、結局はタミフルだけ。新型インフルエンザだけしかないかもしれない。ほかの病原体については、私は、はしかや風疹、様々な強力な感染力を持つものに遺伝子操作を加えれば、いろいろな病原体が簡単にできると思いますよ。それは、ロケット発射や核実験よりもはるかに簡単な技法でできると思います。

 そういう病原体についてのお考え方、もう一度お尋ねしますが、そういう危機感はないんですか。法律は出すけれども、危機感がないんだったら意味がないですよ。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、未知の感染症ということでありまして、その中には、遺伝子改変、人為的な遺伝子操作等を加えた病原体による感染症というのを想定していると申し上げました。それに対しては私どもとしても研究を進めておりまして、そういったような民生ないしはデュアルユースと呼ばれるようなことに使われるような国内外の動向、あるいは倫理的範囲や監督体制の在り方等も含めた研究というものを進めておりまして、私ども、こういうものも想定して取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 どうやら、病原体についてもまだ分からぬ、ワープスピードプロジェクトという治療方法についてもまだ分からぬと。

 私は、大臣や委員長が未知の病原体に感染して非常に重篤になりそうになったら、トランプさんみたいな、回復者の輸血、輸液をお勧めします。そうすると、トランプさんは見事に回復しましたので。あれがまさにワープスピードプロジェクトなんです。速さじゃなくて、今アメリカのペンタゴンが行っているのがそういう技法なんですから、是非とも官庁を御指導していただきたい。

 そういうスピードで感染爆発は起きてきます。そして、国民を襲ってきますので、国の中枢にある方々には是非ともその指揮を執っていただきたい、ワープスピードプロジェクトの効果で指揮を執っていただきたいと思いますので、そういう要望もありまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、藤井比早之君。

藤井委員 自民党の藤井比早之です。

 私からは、改正法案、内閣感染症危機管理統括庁についてお伺いをさせていただきます。

 まず、新型コロナウイルス等感染症対策における体制をお伺いいたします。

 内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室の最大の人数、厚生労働省の最大の対応された人数、河野ワクチン担当大臣の直轄チームなど最大の人数、首相官邸の和泉補佐官、内閣官房副長官、内閣官房副長官補などの最大の対応人数、併任を含めてお伺いいたします。また、各省庁の対応人数を把握しているか、お伺いいたします。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

田中政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策に対応した職員の数等についてのお尋ねということでございます。

 当方からは、まず内閣官房部分等についてお答えをしたいと思います。

 まず、新型コロナウイルス等感染症対策推進室でございますが、令和二年の三月に設置されてから現在までの間で、併任等を含めまして、人数等が最大になりましたのは昨年の四月時点でございますけれども、九十八名ということでございます。

 それから、河野ワクチン接種推進担当大臣下でワクチン担当職員ですけれども、併任等を含めた人数が最大となりましたのは令和三年六月時点における二十一名ということでございます。

 それから、官邸の関係でございますが、総理補佐官、副長官、副長官補の下で新型コロナ対策に従事した職員の最大の人数ということでございますけれども、ほかの業務に携わっていた、ほかの業務と兼務をしていたという者も多数おりまして、また非常に流動的だったということで、恐縮でございますけれども、明確に具体的に最大人数はこれぐらいでしたということをお示しすることはちょっと難しいという状況でございます。

 また、各省の最大対応人数については具体的な把握は行われていないんですが、各省ともそれぞれの立場で総力を挙げて新型コロナ対策に取り組んできたというふうに認識をしております。

 以上でございます。

間政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省の平時の感染症対策を担当する課室の定員は五十三名でございますが、二〇二〇年一月に、新型コロナウイルス感染症対策推進本部、省内のいわゆるコロナ本部というものを設置しまして、特別な体制で取り組んでまいりました。このコロナ本部につきましては、省内他部局を中心に、他府省庁、それから地方自治体、それから大学、企業等の応援をいただきまして拡充をいたしまして、二〇二二年五月時点では、おおむね五百名程度の規模感であったというふうに承知をしてございます。

藤井委員 ありがとうございます。

 兼務で分からないというのはよく分かるんですけれども、水際対策とかだったら、法務省、物すごくやっていただいているんですよ。私が分かっているのはワクチンだけなんですけれども、総務省もチームをつくっていただきました。経産省もそうです。各省庁みんな、国土交通省もみんなやっていただいたんですよ。防衛省なんて、接種会場をつくってもらわないといけないですから。

 そういうのは、本来は、はっきり、統括庁ができたときは把握しておかないといけないです。最大、有事はこれだけ必要なんだと。かつ、今回の統括庁は、指揮命令系統をとにかく一元化といいますか、するということで、それじゃ、ほかの、各所管事務は各省庁がやるということになっているわけですから、各省庁がどれだけ必要なのかというのは是非とも認識していないといけない、そのことを申し上げたいと思います。

 先ほどお伺いした体制の中で、厚生労働省以外で、ウイルスや細菌等、感染症等に関する科学的知見を有する方の人数と配置場所、厚生労働省以外で、医療従事者等、医療現場に通じた方の人数と配置場所をお伺いします。

田中政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど申し上げました新型コロナウイルス等感染症対策推進室でございますけれども、最大の人数は九十八名ということでございましたが、その当時、いわゆる感染症等に関する科学的知見でありますとか、あるいは医療現場に通じている、こういった者については、合計五名ということでございます。

 また、先ほど申し上げましたワクチン担当職員、二十一名、最大でということで申し上げましたけれども、当時、医師の資格等を有している者であって、専門的な知識を有している者ということであれば、一名ということでございます。

藤井委員 これは、医療現場といっても、要するに、現場のクリニックが動くのかどうかとか、そういうことも考えていかないといけないんですよ。ワクチンも当然そうですけれども、とにかくウイルスとか細菌の専門的知見も分かっていないといけないので、そういう意味で、統括庁が本当に指揮命令系統をやる場合は、そういう方が必ずいていただかないといけないということを申し添えておきたいと思います。

 それでは、次の問題に行きますけれども、新型インフルエンザ等対策有識者会議、推進会議ですね、と新型コロナウイルス感染症対策分科会の位置づけ、分科会の結論に対する政府としての位置づけ、有識者会議、推進会議、分科会それぞれにおいて、感染症等に関する科学的知見を有する方、医療従事者の意見、一方で、行動制限を受ける飲食店や学校等関係者や、自粛をしないといけない国民の皆様の率直な意見、それぞれの意見を反映させていく形をどのように行ってきたのか、お伺いします。

菊池政府参考人 お答えします。

 三つの専門家助言組織についてでございますが、まず、新型インフルエンザ等対策有識者会議でございます。これは、平成二十四年の新型インフルエンザ等対策閣僚会議決定に基づいて設置をされておりまして、令和三年の新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正におきまして、新型インフルエンザ等対策推進会議として特別措置法に規定をしまして、法的根拠を明確にしたところであります。両者の権限はほぼ同じでございまして、政府行動計画や基本的対処方針の作成、変更について内閣総理大臣に意見を述べるほか、新型インフルエンザ等対策について調査審議するものとされております。

 新型コロナウイルス感染症対策分科会でございますが、この分科会は、先ほど申し上げました推進会議の下に設置をされておりまして、推進会議の所掌事務のうち、今般の新型コロナ対策に関する事項の調査審議を行うための会議体でございまして、その議決をもって推進会議の議決とすることができるとされております。

 新型コロナウイルスは非常に性状を急激に変化させますことから、科学的知見、エビデンスに基づく検討が極めて重要であります。また、飲食店、学校など多くの国民が行動制限の影響を受けることとなりますため、状況に応じまして、感染拡大防止と社会経済活動のバランスが取れた効果的な対策を講じることが重要であります。

 このため、先ほど申し上げました新型コロナウイルス感染症対策分科会では、感染症の専門家、医療関係者はもちろん、経済、法律といった幅広い専門分野の専門家、そして、飲食店などが関わります経済団体、それから学校などが関わります都道府県知事等、幅広い方々に御参画をいただいておりまして、それぞれの立場から知見や御意見をお伺いし、それを総合的に勘案して政府として必要な判断をして、責任を持って対策を講じているところでございます。

藤井委員 政府としての判断が必要なわけです。

 統括庁ができたら、当然、その政府としての判断は統括庁になる。一元化していただきたいと切に思うわけですけれども、国民からの見え方からすると、分科会の方が決めているんじゃないかとか、有識者会議、推進会議が決めているんじゃないかと思えるようなところが多々あったんです。そういうところに、ちゃんと国民の、自粛をせなあかん国民とか、そしてまた飲食店の悲痛な切なる声が届いているのかというのがやはり一方である。

 それと、一方で、専門家のこういう知見があるにもかかわらず、政府の方で、分科会や、それは決めているのがどっちか分からぬけれども、突然こんなことをやっていいのかというこの不満もあったわけです。それを統括するというのが非常に大切だと思いますので、その点を申し上げたいと思います。

 内閣感染症危機管理統括庁が対応する有事と平時とはどのようなものか。有事というのは、さきのスペイン風邪、そして今回の新型コロナというような百年に一度の有事なのか、新しく想定され得る新しいインフルエンザなど十年単位のものなのか、逆に、例えば炭疽菌や天然痘ウイルスなど、生物兵器、細菌兵器による感染症拡大、パンデミックはどのように整理しておられるのか、お伺いします。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症危機対応における司令塔組織として設置され、政府全体の方針立案や各省庁との総合調整を担う、こういうものでございます。

 今議員御指摘のような各種の感染症につきましても、政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合には、統括庁が、当該感染症の発生及び蔓延の防止に関して、行政各部の統一保持に係る企画立案や総合調整などの必要な対応を行うということになります。

 御指摘の、例えば新型インフルエンザですとか今回の新型コロナウイルス感染症など特措法の対象になるような感染症、これは、全国的かつ急速に蔓延するおそれがある、また国民の生命、健康を保護しつつ社会全体への影響を最小化する必要があるということで、今申し上げた統括庁として対処していく代表的な例というふうになると思いますが、それに限定されるわけではございません。先生が例として挙げられた生物兵器あるいは細菌兵器による攻撃が発生した場合などにつきまして、個々の事案の様相や事態の推移に応じてと言ったらあれになりますが、統括庁において感染症の蔓延の防止という観点で必要な対応を行っていくことになります。

藤井委員 何年単位とかそういうのは答えられないのはよく分かるんですけれども、要するにこれは、ふだんは平時です、でも、本来はこれは有事のための対応なので、何をもって有事となすのか、どれぐらいの有事だったらどれぐらいの体制が必要なのか、これは想像力を持ってきちんと対応しておかないといけない、いざとなったらということを常に頭に置いて考えていただきたいと思います。

 次に、内閣感染症危機管理統括庁と国立健康危機管理研究機構との関係についてお伺いします。

 国立健康危機管理研究機構の知見を統括庁でどのように反映するのか。機構の職員を統括庁に併任したりするのか。一方で、医療従事者など医療の現場の実態が分かる職員を統括庁に併任するのか、お伺いします。

柳樂政府参考人 感染症危機管理における科学的知見の活用の在り方についてのお尋ねでございます。

 内閣感染症危機管理統括庁及び国立健康危機管理研究機構の間の関係ということで申しますと、統括庁が、政府全体の見地から、各省から一段高い立場で感染症危機管理を行うに当たりまして、機構に対して必要な科学的知見の提供を求め、機構はそれを受けて平時から迅速に質の高い科学的知見を提供し、これに基づいて統括庁において政策決定を行う、こういう枠組みを構築するということとしております。

 具体的に申しますと、例えば、有事においては、機構が内外の感染症の発生状況等の情報収集をし、感染リスクの分析、取りまとめを行って統括庁に直接提供をし、ウイルスの性状を踏まえた適切な水際対策や感染拡大防止対策を迅速に決定するということになります。

 また、平時におきましても、統括庁等が示す方針に沿って、機構において感染対策に必要な技術の研究開発や実用化を進め、統括庁などが、その実施状況を踏まえつつ科学的根拠に基づいて有事への備えを充実する。

 こういうようなことなどによりまして、研究機構の科学的知見を活用して感染症危機管理に取り組むことが可能になるものと考えてございます。

 さらに、人的な面で申しますと、内閣感染症危機管理対策官である医務技監を結節点として、厚生労働省や機構との一体性を確保するということとしておりまして、科学的知見や医療現場の実態も踏まえつつ総合的な感染症危機管理を推進することが可能になる、こういうふうに考えてございます。

藤井委員 結局、知見というのをどう生かすかということなんですけれども、いわゆる助言機関だけに済むのか、ではどっちの言うことを聞くのかという話になってきますので、きちんと統括庁で機構の知見を吸収できて、ちゃんと言葉を通じてやっていけるというのを受入先としても持っていないといけない。

 それと、単に感染症の知識だけじゃなくて、実際に現場で動くのか、現場の医療機関、それも一クリニックが、診療所がやってくれるのかというところも含めて、分かった人間が統括庁に入っていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 また、内閣感染症危機管理統括庁に、まさに医学以外の専門的知見、例えば社会経済財政への影響を検討する方、行動科学の知見を有する方、飲食店等、現場の痛みが分かる方、これは団体、組織が違うんですよ。本当にそれが分かる方を職員として配置するのか、併任するのか、お伺いします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 統括庁におきまして、多様な専門的知見を有する人材の配置というのは非常に重要な問題であると私どもも認識をしております。

 御指摘のとおり、医学に関する専門性を有する者のほかに、御指摘もありましたけれども、社会経済や財政に関する専門性を有する者であるとか、あるいは飲食店等、民間事業の現場によく通じている者であるとか、そういった幅広い分野について専門的知見を有する者を職員として配置すべきだというふうに思っております。

 統括庁の体制整備に当たりましては、こうした専門的な知見を有する者、これを各省から集めたり、あるいは自治体の職員に来ていただくとか、それから、民間からこういった知識のある方を迎え入れるとか、様々な方策が考えられるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、具体的な職員の配置については、今後しっかり検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、職員というわけではありませんけれども、専門的知見を有する方、行動経済学であるとか法学であるとか、そういった専門的な知見を有する方については、引き続き、新型インフルエンザ等対策推進会議の構成員など幅広い分野の方々から御意見を頂戴して、しっかり感染症危機に備えていきたいというふうに思っております。

藤井委員 統括庁には、是非とも、これからのことだと思いますけれども、そういった行動科学とかも含めて、そして、一般の国民の皆様の痛みを含めて分かる方を是非とも配置していただきたいと思います。

 改正内容である、政府対策本部長、総理からの指示の見直し、都道府県知事による代行等の見直し、感染を防止するための協力要請等の見直しなど、国と地方自治体との在り方こそが課題となっております。丸投げではなく、統括庁がしっかりと基準や指針を示すべきであります。

 そのためには、統括庁が現場に精通して、かつ事前に調整を行う必要があります。どのように調整し、適切に指示を行うのか、お伺いします。

小池政府参考人 お答えいたします。

 統括庁では、平時より、特措法に基づき、都道府県行動計画に対する助言や勧告、計画に基づく訓練の必要に応じた共同での実施等を通じ、有事における感染症対策に万全を期すための国と地方の連携体制を構築していくこととしております。

 有事におきましては、地方自治体の実情やニーズをきめ細かく把握し、感染症対策の企画立案に反映していくため、統括庁における地方自治体との連絡調整を担当する部門を平時よりも大幅に拡充することとしており、国、地方が一体となって迅速かつ効果的に感染症危機に対応してまいりたいと考えております。

藤井委員 それこそ、知事ばかりが出てきて、もうあたかも知事が全部、全権限を握って決めている、これはこれで問題だと思うんですよ。しかしながら、現場を分かっていないのが指示を出されても困るんです。

 ですから、統括庁においては、ちゃんと現場を分かった上で、しっかりとした基準を、国として統一的な基準を示していただきたいというふうに思います。

 内閣感染症危機管理統括庁が司令機能を果たすとしても、実際の現場への通知、自治体への通知は厚生労働省の課室長名などで行うのか、現場との認識の乖離をどう埋めていくのか、医学以外の観点からの現場対応への配慮ということになってくると、統括庁が政策的に高度の判断を行い、それこそ通知に関与していくのか、そのことをお伺いします。

小池政府参考人 お答えいたします。

 統括庁は、各省庁の感染症対応に係る事務について総合調整を行うことにより、司令塔機能を担う組織でございます。このため、各省庁の所管行政に係る地方自治体への通知など、地方との連絡調整については、統括庁の司令塔機能の下で当該各省庁が行うことになります。

 一方、一の省庁では対応できない横断的な行政分野に係る地方との連絡調整については、統括庁が関与するとともに、例えば、各省庁と自治体との連絡調整が円滑になされていない場合には、統括庁が必要に応じ両者の橋渡しや調整を担うなど、事柄の性質に応じて統括庁として適切に役割を担い、国、地方を通じた一体的な対応を確保してまいりたいと考えております。

藤井委員 通知とかいっても、本当に、それこそワクチンのときの話を言ってもしようがないんですけれども、言いますと、私、着任したときに、通知、これぐらいの分厚さなんですよね。それでどんどん積み上がっていって、こんなものですよ。これを全部ちゃんと理解していないと統括できません。

 それで、通知を変えていくという仕事をしていたんですよ。今までだったらできないから、じゃ、歯科医師にやっていただこうと思ったら、これは医師法違反だけれども、違法性阻却でできますよという通知を出してもらう。小分けできなかったら現場で回らないから、小分けするよ、やってもいいよという通知を出す。これら全て現場の知恵から生まれたものなんです。それは全部課室長で、決裁権限は上まで上がってきません。それを全部管理して、でも、これが肝なんですよ。どれだけワクチンがいつまでに届くのかというのも課室長通知だし、注射針が何本取れるのか、それがいつ届くのかというのも全て室長通知で、それが、大臣の記者会見と通知を出す時間がずれていたら終わりなんですよ。そういったところも含めて、統括庁は管理をしていただく必要がある。

 内閣危機管理統括庁が行政各部の感染症危機への対応を統括し、強化された司令塔機能を果たすということは極めて重要でございますけれども、その際に、平時と有事の体制、そして定員は、各省庁の併任ではなく新規かつ別枠、これは各省庁のスクラップ・アンド・ビルドなしで確保すべきだと思いますけれども、この点を伺います。

 また、鈴木大臣政務官には、ワクチン接種のときに、知事会のワクチン副リーダーをしていただきました。ワクチン接種に関して厚生労働省に設置された自治体サポートチームの最大の人数、そして、現場が分かっていないと現場が機能しない、内閣危機管理統括庁に自治体や保健所など現場が分かる職員を配置するのかどうか、お伺いします。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、体制のところです。

 統括庁におきましては、平時、有事それぞれにおいて業務がしっかりと遂行されるよう、平時には、政府行動計画の策定、推進、実践的な訓練や、各省庁や地方自治体等の準備状況のチェック、改善といった有事への備えに係る業務に必要な専従職員として三十八人を、有事には、政府対策本部の下で各省庁や地方自治体等との一体的な感染症対応を行うための専従職員として百一人を、それぞれ、各省庁の併任ではなく統括庁の定員として確保することとしております。

 お尋ねの、新型コロナワクチン接種に際し厚生労働省へ設置されました自治体サポートチームにつきましては、政府職員と自治体から派遣された職員等、合わせて最大七十四名を配置していたと承知しております。

 藤井議員におかれましては、当時、担当副大臣として、私、全国知事会のワクチンチームを担当しておりましたので、国と地方の緊密な連携の要として御尽力いただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 そして、統括庁におきましては、厚生労働省を始め、新型インフルエンザ等対策を担う行政各部や、地方自治体の現場や事務に関する専門性を有する者が必要になります。体制整備に当たっては、こうした専門的な知識を有する各省や自治体の職員を充てることが考えられますが、どのようなポストにどういう専門性のある人を配置するかなどの具体的な職員の配置については、しっかり機能するようなものとなるようということを留意して、しっかり今後検討していきたいと思います。

藤井委員 先ほど最初の問いで聞きました各省庁でどれだけ人数が最大いたのか、それを考えながら、統括庁は、いずれ有事のときに最大限幾らというのを考えていかないといけないと思います。

 今、鈴木大臣政務官から御答弁いただきました自治体サポートチーム、手弁当です。自治体から来ていただいて、七十四名。なぜか。最初に着任させていただいたときに、厚生労働省が忙し過ぎて、自治体からの問合せ、二千通、三千通の電話とメールが見られないという状況だった。それをどうやって処理するか、これは統括庁もちゃんと分かっていないといけないんです。

 かつ、鈴木大臣政務官が知事のときに様々な提案をいただきました。これでは現場が回らないから通知を変えていく。一体どれだけの通知を触って、こんないっぱいになった、もう忘れもしません。そういった取組をしっかりとやっていくということが必要なので、現場が分かる方を是非とも配置していただきたい。

 司令塔機能の一元化は極めて重要なんです。指揮命令系統の一元化、これは必要なんですけれども、そのためには情報共有が絶対に必要です。情報こそが全て。各省庁ばらばらで縦割りで情報を独占しているのではなく、統括庁に情報を統合すべきです。現場の地方の情報を統合すべきです。

 デジタル化でVRSがなかったら、毎日毎日の状況が分からなかったんです。当然、よその自治体のやつも打てないとか、大規模接種会場もあれがなかったら無理だったんですけれども、あれで私は毎日ダッシュボードを見て、千七百四十一自治体、どこが遅れそうだ、じゃ、ここを支援しないといけない、何が足りないんだ、それを全部打っていた。情報が全てです。特に厚生労働省が有する情報は、統括庁に統合すべきです。医務技監の充て職たる内閣感染症危機管理対策官を通じて、厚生労働省が有する情報は必ず共有して、政府として判断に誤りなきようにすること。

 したがいまして、やはり充て職は重要です。しかしながら、内閣官房長官、充て職となる内閣官房副長官、内閣官房副長官補の重責は更に重くなります。そのスタッフの充実が必要です。首相官邸の機能強化と定員の拡充、特に、多様な人材の確保、民間に通じた人材、現場、地方に通じた人材、省庁の縦割りを排した人材登用と確保が必要です。

 さらに、多様な人材を登用する入口も重要ですが、人生は長いです。人材の出口における処遇確保が重要だと考えますが、見解をお聞かせください。

後藤国務大臣 感染症危機に迅速かつ的確に対応するためには、各省を始め、地方自治体、研究機関等から速やかに疫学情報等を収集し、その情報を分析することで、政策の企画立案に役立てることが重要だと認識しています。

 そのため、内閣感染症危機管理統括庁では、次の有事において、速やかに情報収集、分析を行い、政策の企画立案に役立てることができるように、平時から、新たに設置される国立健康危機管理研究機構からの科学的知見の提供を受けつつ、厚生労働省を始めとする関係省庁や地方自治体と連携して情報収集環境を整備するとともに、収集した情報の分析能力の向上に努めてまいりたいというふうに思っております。まさに先生の御指摘のとおり、しっかりと情報基盤をつくって、それを活用していくことがどうしても必要だと思います。

 統括庁において、御指摘のとおり、幅広い分野について専門性を有する人材の配置は非常に重要な課題と認識しています。統括庁の体制整備に当たっては、専門性を有する各省や自治体の職員を充てることや、行政以外の外部から、専門的な知識経験等を有する者を採用することなどが考えられますけれども、具体的な職員の配置については今後検討してまいりたいと思います。

 いずれにせよ、御指摘も踏まえて、統括庁が感染症対策の司令塔機能をしっかり発揮できるように、専門家を含めた人材の配置に努めてまいりたいと存じます。

藤井委員 ありがとうございます。外部とか、そしてまた地方だとか現場だとか、そういったところの人材を是非とも登用していただきたいと思います。

 また、今回、本当に、残業時間が幾ら、どれだけやっているのかという形で、本当に必死で働いていただいた職員さんが大勢いらっしゃいます。しかも、有事は本当に特殊な能力が必要なんです。霞が関は平時のための体制なので、その平時では評価されないけれども、有事は特別。有事では特別だけれども、平時では評価されない人をどうやって処遇するのか。

 かつ、内閣官房、官邸機能は強化し過ぎだという批判はありますけれども、私はむしろ、強化しないと、政府としての一元化、意思決定の一元化はできないと思っていますので、そこに是非ともてこ入れと、政府のために汗を流して、滅私奉公して、今度そういう人がいるかどうか分かりません。是非とも、頑張っていただいた方へ報いられる措置も含めて、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間となりました。終わります。

神田(憲)委員長代理 次に、宮路拓馬君。

宮路委員 自由民主党の宮路拓馬です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 これまでの審議で、内閣感染症危機管理統括庁の組織論や、その機能について様々な議論が行われてきました。私は、改めて、その組織図などを見て素朴に少し疑問に思ったことがありまして、冒頭、その点についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 今回、新たな組織のトップとして、内閣感染症危機管理監が内閣官房副長官の充て職として設けられるということになりました。これがどういった考えで内閣官房副長官をトップとすることになったのかというのを改めてお伺いしたいというのと、本日、この答弁の席にも後藤大臣がおかけになっておられますが、現在の新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣が、統括庁設置後も引き続きその大臣ポストが設けられるのか、その場合の関係についてお伺いをしたいと思います。

柳樂政府参考人 二点お尋ねがございました。

 まず一点目、なぜ内閣感染症危機管理統括庁はトップを官房副長官の充て職とするのかということでございます。

 昨年の五月から六月に開催いたしました有識者会議におきまして、一元的に感染対策を指揮する司令塔組織を整備することが必要、こういう指摘がなされたところでございます。

 今般の法改正で設置される内閣感染症危機管理統括庁は、こうした指摘を踏まえまして、感染症危機対応における司令塔組織として設置するということとしておりまして、まずは、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応、政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一貫して統括庁に集約した上で、総理及び官房長官を直接支えて、各省庁の取組を統括するために、内閣官房副長官の充て職である内閣感染症危機管理監をトップとして据える。このことによりまして、感染症危機管理における政府全体の方針立案や各省の総合調整に係る意思決定を迅速かつ的確に行うことを可能としているものでございます。

 したがいまして、お尋ねの、統括庁のトップとして据える内閣感染症危機管理監、これは、感染症危機管理に係る行政各部の統一保持に係る企画立案、総合調整を政府全体を俯瞰して高度な視点から強力に行うことが求められる職でございます。このため、内閣官房の職務全般をハイレベルでつかさどっている内閣官房副長官を充てる、こういうことにしたものでございます。

 それから、お尋ねの二点目、いわゆる新型コロナ対策の担当大臣の今後ということでございますが、御指摘のいわゆる内閣の担当大臣、これは、内閣全体として取り組むべき重要政策課題につきまして、内閣法第三条第二項に規定する国務大臣として、総理の御判断により置かれるものでございます。したがいまして、統括庁が設置された際に新型コロナ・健康危機管理の担当大臣が引き続き設置されるかどうかということにつきましても、そのときに総理が必要性を御判断されるものというふうに承知をいたしております。

宮路委員 これまでのコロナ対策において、当然のことながら、内閣官房副長官が前面に出るというケースはなかったやに私の中では記憶をしておりますが、今般、こうしてしっかりと組織を設け、有事のみならず平時も感染症の危機管理に当たるに当たって、非常に官房副長官の内閣官房全体を統べる役割が重要だということで、それが十分に発揮されるような体制を構築していただきたいというふうに思っております。

 続いて、これ以降は、今般、法案、改正法の審議に当たって、改めて、過去三年にわたるコロナ対策がどうだったのかなと振り返ってみました。

 その時々、我が国政府は、的確な判断を行い、的確な措置を取ってきたというふうに思っております。何せ対するは、姿の見えない、正体の分からない新型コロナウイルス感染症でしたから、その当時ではベストだと思われた判断も、振り返ってみると果たしてベストだったのかというところは、しっかりと反省すべきは反省し、そして教訓を得るべきだというふうに思っております。

 その中で、まず一点お伺いしたいのは、感染症対応の初動においてです。その中でも、とりわけ国と地方、具体的には都道府県との対応のずれがあったなというふうに振り返るわけであります。

 例えば、営業の自粛要請の範囲だとか時期に関して、国の考えと都道府県、とりわけ覚えているのは東京都との方針のそごでしたが、当然、国と都道府県は別組織ですから、判断に差が出ることはあろうかと思います。しかし、ああした有事のときにおいて、国の言うことと、都道府県、東京都は首都ですから、その首都のトップが言うことにそごがあるというのは、国民からしてみれば、大丈夫なのかなと不安に感じるところも多々あったというふうに記憶をしております。

 今般、この改正法によって、国と地方を通じて迅速的確に対応するという必要性を受けての法改正が行われるというふうに認識しておりますが、今般の改正、具体的には指示権の発動要件が変更されるというふうに理解しておりますが、それにより、今般あったような事案がどう改善されていくのか、お伺いをしたいと思います。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 今議員の御指摘にあった事案、ほぼ同じポイントについて、昨年六月の有識者会議報告書でも指摘がなされてございます。緊急事態宣言又は蔓延防止等重点措置の公示がなされていない感染の初期段階においても、政府と都道府県との間で調整が難航した事例があったという御指摘がございました。

 こうしたことも踏まえて、感染症対応の初動期から政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みを整備するために、政府対策本部長、すなわち内閣総理大臣でございますが、その政府対策本部長が都道府県知事等に対して行う指示権について、これは、事前に総合調整を行った上で、なお、それによって従わない場合という前提でございますが、その指示権について、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合には、政府対策本部が設置されたときから、つまり蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態宣言時じゃなくてもということになりますが、そうした指示権について行使をすることを可能とするというものでございます。

 これによって、政府対策本部長が感染対策の初動期から素早く対策を行うということができるようになりますので、早期に感染拡大を抑える効果的な措置を取ることができるというふうになりまして、国、地方が一体となって感染症危機に迅速的確に対応できるものというふうに考えてございます。

宮路委員 指示権というのはいわば伝家の宝刀であり、それを容易に抜くということは恐らく現実的にはないんだろうと思いますが、今般、国と都道府県の考えがずれているんじゃないか、どちらが正しいんだということは、やはり国民の間で不安の要因になったというふうに思っております。

 当然、先ほど申し上げたとおり、別組織ですから考え方が異なることもあろうかと思いますが、事前の調整というのをしっかりと組織的に行う、ふだんからそうした備えをしておくということが大事かと思いますので、今回のコロナ対策を教訓として、今後、初動期からしっかりと国、都道府県が方向性を一致して国民の皆さんにメッセージを発することができるような体制となるように期待をいたします。

 続いて、保健所機能の強化についてお伺いをしたいと思います。

 今般のコロナにおいても、その対策の中核には保健所が置かれていたというふうに認識をしております。その中で、保健所機能がここ数十年来の行政改革の中で弱体化をしていき、結果、今般、残念なことに、保健所の機能が十分に確保されていないことがコロナ対策のボトルネックになったのではないかというふうにも言われており、私もそのような議論を多数聞いたところであります。

 そうしたことを受け、国としても、その点しっかり対応するということで、保健所が地域における感染症対策の中核機能をうまく発揮できるようにするための対策が既に講じられてきたというふうに思っておりますが、その点について改めてお伺いをしたいと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、次の感染症に保健所が地域における感染症対策の中核機関としてしっかりと機能できるよう、地域における健康づくりなどの地域住民に必要な地域保健対策全般の業務も適切に実施しつつも、感染症の発生、蔓延に速やかに対応できる保健所体制を平時より計画的に整備しておくということが重要だと考えております。

 こういった観点から、昨年十二月に成立いたしました改正感染症法等によりまして、保健所設置自治体において平時から計画的に体制整備を進めていくよう、各都道府県に設置する連携協議会、法律に基づく連携協議会において、医療機関、消防機関、市町村等の関係者が連携の在り方等を検討、議論すること、それから、各保健所におきましては、感染症のフェーズに応じて人員体制強化や外部委託等の業務の合理化などが円滑に進められるよう、平時から必要な準備、実践型訓練の在り方などを含む計画を策定することなどとしております。

 これらの取組等を通じまして、引き続き、感染症有事にも対応可能な保健所の体制構築を支援してまいりたいと考えております。

宮路委員 有事には相当数の人員をかけて対応する必要がある。しかし、それを平時に維持するというのは、これまたなかなか難しいところでありまして、有事を念頭に置きつつ平時に何ができるかということは大変重要な点でありまして、保健所機能の強化の一環で、しっかりと保健師を増やすべく地方財政措置なども講じられてきました。

 これまで、保健所機能というのはなかなか、ここ数十年、光がいわば当たってこなかったところもあったかと思いますが、今般を機に、やはり住民、県民、市民の生命身体の安全を守るとりでとしての保健所機能の強化をいかに図っていくか、そして、有事の際に、それをいかに円滑に機能を発揮できるかについて、しっかりと不断に対応できるようにしていただきたいというふうに思っております。

 続いて、これもやはりボトルネックになったというふうに言われております、コロナ陽性患者の受入れ医療機関、そしてその病床の確保についてお伺いをしたいと思います。

 やはり、振り返りますと、病床確保料など、国としても医療機関への財政支援を行ってきたということは記憶をしておりますが、しかし、流行の初期には、感染症に伴う、それによって、これまでの受診患者さんが減ってしまったということによって医療機関の経営が非常に悪化したということも話題になっておりました。

 そうした中で、医療機関の皆様方は、いわば歯を食いしばってコロナ対応に従事してくださったわけですが、その間、三年間、コロナも変化をしてきました。令和三年の夏、いわゆる第五波までは、デルタ株の流行により、病床が逼迫する、入院患者が入れないというような、いわば入院体制の確保に課題があったというフェーズもありました。

 一方で、令和四年からは、その株がオミクロン株に変異をいたしまして、その流行によると、今度は、入院患者というよりはむしろ感染者数が激増した、非常に感染力が高まった、一方で重症化率は低減したという状況がありましたが、その結果、発熱外来が逼迫をして、また患者の受入れができない状況が発生したということが、振り返ってみれば記憶に新しいわけであります。

 こうした事態を踏まえて、感染症というのは変異し得る、初期から第一フェーズ、第二フェーズと変わっていくということを前提に、今回、顕在化した医療提供体制の課題についてどのような手だてを講じているのか、お伺いをしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 新興感染症発生、蔓延時の対応につきまして、各医療機関が平時から都道府県と締結した入院や発熱外来等の対応に関する協定、こういったものに基づきまして、地域における各医療機関の機能や役割に応じた必要な医療の提供体制、こういったものをあらかじめ体制構築していくことが重要だと考えております。

 特に、流行初期、感染症の特性等が分からない中で対応していただく特別な協定を締結していただいた医療機関に対しましては、経営上の不安がなく対応していただくことも重要でありまして、流行初期医療確保措置として、感染症流行前と同水準の収益、こういったものを補填していくことも重要かと思っております。

 現在、令和六年度の施行に向けた議論を行っているところでありまして、都道府県においては、計画の策定や協定締結等を通じて、感染症発生、蔓延時においても、通常医療の提供を継続しつつ、迅速かつ適切な感染症対応を行う体制を構築していただけますよう、国としても現在議論を行っているところであります。

宮路委員 一部では、医療機関が、日本はこれだけ皆保険で医療機関の数が多いにもかかわらず、実際コロナ患者を受け入れた医療機関数は限られていたではないか、医療界はどうしていたんだというような声もありましたが、今答弁にありましたとおり、新型コロナというのは正体の分からない、特性の分からないものでしたから、最後、命を守るとりでである医療機関としても、その正体が分からない中でコロナ患者を受け入れるのに非常にためらいがあったというのも否めない事実だと思います。

 あるいは、医療機関といえど経営というのがありますから、その中で、財政状況、経営基盤が揺らぐとそもそも患者の受入れ自体できなくなる、破綻してしまえばそうなるわけですから、そうしたところにしっかり丁寧に一つ一つ応えていく。

 国民が医療機関を信頼できないということは、国民、医療機関双方にとっても不幸なことですから、今般の反省を生かし、医療機関に対する国民の皆さんの信頼をしっかりと確実なものにし、かつ、医療機関がその信頼に応えられるような体制を構築していただきたいというふうに思っております。

 続きまして、事業者に対する営業自粛要請の実効性の確保についてお伺いをしたいと思います。

 事業者に対する営業自粛要請、従わなかったところが多く出たであるとか、私の地元鹿児島でも、時短要請に従わず営業していたところに対する、最終的には罰則の適用など、連日ニュースになったところでありますが、罰則をかけることが目的ではありません、やはりしっかりと政府の対策に沿っていただくことが非常に重要であると思っております。

 したがって、今般のコロナを経て得られた教訓として、一律に営業時間の短縮や休業を要請することがいいのかどうか。様々な業種がありますし、感染症、コロナの状況もフェーズによってその特性が変わってまいりました。したがって、営業実態に即した、事業者が対応しやすい、実効性のある対策を行うことが必要だというふうに考えておりますが、御見解をお伺いいたします。

藤丸副大臣 事業者における感染対策については、緊急事態宣言時等における営業時間の短縮や休業要請のほかに、業種別ガイドラインに基づく各業界での自主的な感染対策や、第三者認証制度に基づく飲食店の自主的な感染対策を促す取組を行っております。

 今後とも、指摘のとおり、専門家や産業界と連携を密にしながら、実効性のある対策を推進してまいります。

宮路委員 やはり事業者も経営が懸かっているわけであります。したがって、本当に自粛要請には従うべきなのかというのはやはり自分の経営を懸けて判断するわけですから、よりきめ細かい、状況に応じた要請というのが必要だというふうに思っておりますし、できることならば、そうした自粛要請のみに頼ることなく、今御答弁もありましたとおり、認証制度をうまく使って、しっかりと安全性が確保された店舗については営業をそれなりに継続できるといったような柔軟な対応を、この教訓をしっかりと生かして、今後準備を、備えをしていただきたいというふうに思っております。

 続いて、水際対策についてお伺いをしたいと思います。

 岸田政権になってから、水際対策、政権発足当初、新たな株に変異した際に果断に水際対策を行ったということが大変評価される向きもあったというふうに記憶をしております。

 ただ、一方で、徐々にコロナの株が変異し、リスクが変わってきた中で、水際対策措置の緩和のタイミングについても議論がされたところであります。欧米諸国と比べて水際対策の緩和のタイミングが遅かったのではないかという指摘も多々あるところであります。

 これは大変難しく、いつ水際対策を強化し、緩和するのかというのは、世界的な動きを見ながら、我が国特有の事情もあることでしょうから、あるいは、欧米とアジア地域の違いというのもあると思います。したがって、そんなに簡単な話ではないと思いますが、しかし、この水際というのは経済活動との両立においても大変重要な観点でありますので、今回、危機管理統括庁ができ、科学的知見に基づいて対策を決定するということが一つの大きなポイントだと思っておりますので、危機管理統括庁設置後、実効性ある水際対策をどのように展開していくつもりか、お考えをお聞かせください。

實國政府参考人 お答えいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁においては、これまでの様々な水際の経験を踏まえ、感染症危機発生時に実効的な水際対策を関係省庁等と一体となって迅速に実施することができるよう、平時から関係省庁等と連携をしつつ、実践的な訓練等に取り組んでまいりたいと考えております。

宮路委員 大分シンプルな答弁でしたが、水際対策は本当に重要で、かつ、国際的な動向もしっかり見ていかないといけない問題だと思っております。

 日本版CDCの議論も今後されていくと思いますが、そうした専門的な知見、国際的な動向をしっかり勘案した上で、適時の水際対策を講じられるようにお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、国民自身による感染対策についてお伺いをしたいと思います。

 いわば、手指消毒であるとかマスクの着用、あるいは換気、三密回避などですけれども、振り返れば、感染症発生、流行初期は手指消毒を徹底していたように記憶をしております。我々も本会議場に入る前は手指消毒を必ずする、衛視さんによく注意を促されておりましたけれども、今となっては、国民の皆さんの間の中で、手指消毒、かつてと比べてそこまで徹底されていない、あるいは、しなくてもよくなってきたのではないか。マスクも今般任意になりました。一方で、換気は引き続き非常に重要だというふうに聞いているところでもあります。

 こうした正確な情報、先ほど来申し上げているとおり、感染症の特質というのは変わってくるわけですから、国民自身が行う感染症対策にも変化が生じてくるのは当たり前だと思っております。これをしっかりとアナウンスせず、手指消毒は求められているけれども、まだする必要があるのかな、政府の求めというのはどこまで従えばいいのかなというふうに受け止められてはやはりいけないというふうに思っております。

 したがって、めり張りのある感染対策をしっかり発信していく必要があると考えておりますが、この点についてお伺いをいたします。

鳥井政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、現在主流となっておりますBA・5系統を含みますオミクロン株は、従来のデルタ株に比べて感染性が高い可能性はあるものの、入院リスクや重症化リスクは低い可能性があるとされております。

 このように、流行する株が変化した場合であっても、基本的な感染対策としては三密の回避や手洗い等は有効であり、このような認識の下で、これまでも、国民の皆様には必要な情報の周知に努めてきたところでございます。

 今回、感染症法上の位置づけの見直しに当たりましての議論の中で、専門家から、これらの基本的な感染対策について、今では過剰とも言える感染対策はできるだけ早期に見直しつつ、ただ、新型コロナの特性を踏まえて有効な方法については引き続き丁寧に情報発信をすべきといったような意見をいただいております。

 厚労省といたしましては、このような御意見を踏まえまして、引き続き、正確な情報を分かりやすく整理して発信をして、国民への適切な周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

宮路委員 めり張りが利いていないと、どこまでそれを遵守すべきかというふうになってしまいますので、この点は大変重要です。しっかりと危機管理統括庁の下でも行っていただきたいというふうに思います。

 時間になりましたが、最後一問だけ、感染者に対する誹謗中傷対策についてお伺いをしたいと思います。

 感染流行初期、感染者を徹底して捜して、いわば袋だたきにしたり、あるいは、感染して回復した後、療養解除後に職場に戻った際に、職場で差別に遭ったりという例が多数報道もされました。これは、災害やこういった感染症のときには誹謗中傷というのがどうしても出てしまう。しかし、今般のコロナは、ある意味異常とも言えるような対応がなされたところでありました。

 したがって、今回の教訓を踏まえ、次の感染症が発生してしまう前に、しっかりと常時から誹謗中傷対策を検討しておく必要があると考えておりますが、最後、この点についてお伺いをしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスを始めといたしまして、感染症への罹患は誰にでも起こり得るものでございます。感染者やその家族、勤務先等に対する差別的な取扱い、誹謗中傷、名誉、信用を毀損する、こういった行為は人権侵害に該当するものであり、あってはならないことであるというふうに認識をいたしております。

 これまで、特措法の第十三条の規定に基づきまして、国及び地方公共団体におきまして、コロナウイルス感染症に関する正しい知識の普及でありますとか、偏見、差別等の防止に向けた啓発を行ってきましたほか、様々な相談窓口におきまして相談支援を実施してきたということでございます。

 今後、これまでの取組について不断の見直しを行いまして、しっかり次の感染症危機に備えていきたい、こういうふうに思っております。

宮路委員 ありがとうございます。

 大手メディアにおいても、犯人捜しとも言えるような報道もあったように記憶しております。国民全体で感染症を今回経験をいたしました。その中で、どこが過剰であったのかというのは、我々国民も、そしてまた政治家も、そして国も、そしてメディアの皆さんも含めて、しっかりと振り返り、次の感染症に備えていくということが重要だと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。

 質問の機会をいただき、ありがとうございました。

大西委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 未知の感染症やウイルスに対応する際には、エビデンス、科学的知見に基づく意思決定、政策判断が重要なんだ、このことが委員からも政府側からも繰り返し述べられております。

 そこで、まず確認をさせていただきます。ここで所与の前提とされている新型感染症に関するエビデンス、また科学的知見とは、どういったものを想定しているのか。よろしくお願いします。

菊池政府参考人 お答えします。

 感染症対応におけるエビデンスにつきましては、感染防止策や保健医療上の対応を取る上で必要となる科学的根拠でありまして、例えば、感染経路や感染力の強さ、罹患した場合の症状や重症化率、致死率等の病原性などがそれに当たると考えております。

 一方で、科学的知見につきましては、一般的な定義はございませんが、科学的に、すなわち再現性のある形で証明された法則であると解しております。例えば、感染防止として有効な対策を特定する際に求められるのが科学的知見であると考えております。

國重委員 では、更に確認します。

 そうしたエビデンス、また科学的知見というものは、新型の、また未知の感染症に対峙する上で常に十分あると言えるんでしょうか、どうでしょうか。

菊池政府参考人 新たな未知の感染症が発生初期の段階では、エビデンスや科学的知見が十分ではない、例えば、ウイルスの病原性や感染防止策が科学的に明らかになっていないという状況もあることは想定されます。

國重委員 科学的知見、またエビデンスに基づいて合理的な政策判断をしていく、このことは重要なことであります。ただ、新型コロナもそうでしたけれども、とりわけ感染症の初期段階においては、その感染症がどういった科学的性質を持つのか十分に解明されていない、また科学的知見も不確かなものにならざるを得ない、こういった場合が通常であると思います。

 にもかかわらず、感染症の対策において十分なエビデンス、確実な科学的知見を常に求めるというのであれば、新型感染症の多くで何も対策が取れない、そういった事態に陥ることになります。たとえエビデンスが不十分なものであったとしても、そのときそのときでベストと考えられる対応を政治判断としてやっていかざるを得ない、これが未知の新型感染症との戦いの特徴であると思います。

 そして、そのような中、とりわけ初期段階において、感染拡大を防止するために、大きな政策判断、この決断をするということは、一国の総理であっても相当大変なことなんだろうというふうに思います。だからこそ、判断する際の考え方の軸になるようなものを、コロナ禍の教訓も生かして、あらかじめ検討しておくことが極めて重要であると考えます。

 今回のコロナ禍では、平成二十九年に策定されました政府行動計画、これを基に基本的対処方針が作られて、様々な対応がなされてきました。ただ、この行動計画についても様々な指摘がされております。

 今後、政府行動計画の見直しが行われるということでありますが、その見直しに当たっては、今回のコロナ禍の対応を十分に検証する、その上で、とりわけ、エビデンス、科学的知見が不足して政策決断を下すのがより困難とされる感染初期においてどのような対応が適切なのか、ここを直視した上での検討がなされるべきだと考えます。後藤大臣の見解を伺います。

後藤国務大臣 議員御指摘のとおり、エビデンスや科学的知見が十分に蓄積されていない中にあっても、特に初期段階など、適切な政策判断ができるように準備しておくことが重要と考えております。

 現行の政府行動計画においても、海外発生期には病原性や感染力等について十分な情報がない可能性が高いわけですが、病原性、感染力等が高い場合にも対応できるように強力な措置を取ることとしておりまして、水際対策の開始等による具体的な対策について定めております。

 どのような感染症にも対応できる普遍的な対応ルールを定めるのは難しいと考えておりますけれども、今回の新型コロナ対応の経験を十分に踏まえ、エビデンス等の蓄積が十分でない場合の対応をどうするかという視点も持ちながら、政府行動計画の見直しの検討を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 次の新たな感染危機に備えて、しっかりとした議論、検討をお願いしたいと思います。

 その上で、一般論としまして、人権に対する規制というのは比例原則、つまり、リスクの程度に応じて規制を課すことができる。これが憲法から導かれる大原則、憲法、行政法における普遍的なルールであります。

 他方で、新型コロナのような新たな感染症の対応では、科学的、医学的知見が十分に得られていない段階であったとしても、政策判断をせざるを得ない。実際の感染発生の確率は低いかもしれないケースであったとしても、ある特定の業種に、社会全体の利益のため、予防的に自粛を求めたり制限を加えたりする、こういったことが起こり得ます。つまり、感染症対策においては、その性質上、予防的な措置も取らざるを得ないということになります。

 しかし、先ほど大臣が、政府行動計画で、初期段階で強力な措置でしたかね、そういうようなものを取ると書いてあるとありましたけれども、しかし、予防の名の下に、その措置が際限なく拡大をして、人権に対する過剰な規制となってもいけません。

 そこで、新型感染症への対策として、国民や特定の業種に自粛を求めたり権利の制限を加える場合、それらが過剰なものにならないように、留意すべきポイント、線引きのポイント、これについて後藤大臣にお伺いします。

後藤国務大臣 議員御指摘のとおり、自粛要請等により国民の権利を制限する場合には、必要最小限のものでなければならず、そのためには、実施する際の考え方や基準が必要と考えております。

 特措法においては、緊急事態措置や蔓延防止重点措置を実施する際には、感染者数だけではなく、各都道府県における医療の提供の状況を勘案して判断することとされています。

 また、これまでの新型コロナへの対応においては、ウイルスの特性の変化に応じて、病床の確保や発熱外来の強化といった医療提供体制における対応や、感染拡大防止措置を柔軟に見直すことにより、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを図ってきているところであります。

 感染症危機への対応に当たっては、どのような特性を有するウイルスが発生するか予見することが困難な中で、一律の基準をあらかじめ設定することは難しいと考えておりまして、国民の命と健康を保護すると同時に、国民生活や国民経済に及ぼす影響を最小にする観点から、その時々の感染状況や保健医療の負荷の状況、社会経済活動の状況等を勘案して、措置の内容や実施の可否等を判断してまいりたいと考えます。

國重委員 難しいかもしれませんけれども、今回の教訓を踏まえて、あらかじめ検討していかないといけないことはあるかと思います。

 科学的知見が十分に備わっていなくても、一たび問題が生じたとき、深刻かつ不可逆的な被害が発生する場合に、何もしないのではなく、必要な対策を取るべきであるとする法原則、これを予防原則といいます。

 この予防原則によりますと、ある行為が具体的な危険をもたらすかどうかが不確定、まだ可能性にとどまる段階で、予防的に、前倒しで、その行為に対する規制を講じることになります。

 しかし、この予防原則につきましては、憲法学からも様々な批判がありますし、また、行政法学では、環境法制、食品安全規制等の分野を中心に議論されてきたが、批判も少なくなく、我が国では、これを法の一般原則として位置づけることは時期尚早などとされております。

 感染症対策における予測に基づく規制であっても、過剰な規制とならないよう、やはり比例原則による対応を原則とすべきであります。

 これまでの教訓、また法学の観点も踏まえて、一定の要素を抽出して、事後救済も含めた考え方をあらかじめ整理しておくことが重要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 その上で、先ほども述べましたとおり、実際の感染発生の確率は低いかもしれないケースであったとしても、新たな感染症の対応では、特定の業種に社会全体の利益のため予防的に自粛を求めたり制限を加えたりする、こういったことが起こり得ます。これは、十分なエビデンスに基づく規制とは質的に異なります。また、命令ではない要請段階、お願いベースであったとしても、社会の同調圧力による事実上の強い効果があります。

 そこで、後藤大臣、このような社会全体のための感染症対策として特定の業種に特別な負担を求める場合の補償、支援についての考え方についてお伺いいたします。

後藤国務大臣 インフル特措法の規定による緊急事態措置等に伴う営業制限により、事業者の営業の自由は一定程度制約を受けることになります。

 一般に、財産権に対する制約について、憲法上、損失補償が必要となるのは、特定の者が社会生活において一般的に要求されている受忍の限度を超えるほどの特別の犠牲を受けた場合に限られるとされているところでございます。

 このことを踏まえ、インフル特措法の規定による緊急事態措置等に伴う営業制限については、インフル特措法制定時の議論において、道府県など一定の広がりのある地域を対象として幅広く実施される一般的な制限であり、特定の者のみを対象にしたものではないこと、制約の程度も、社会生活において一般的に要求されている受忍の限度を超えるほどの制約とは言えず、特別の犠牲とまでは言えないことから、事業活動に内在する制約であり、憲法上の損失補償の対象とならないことと整理されており、補償という考え方は取らないこととしております。

 他方、令和三年のインフル特措法の改正においては、事業者の経営や国民生活への影響を緩和するために、事業者に対する支援に係る規定、六十三条の二を整備したところであり、当該規定を踏まえ、事業者に対する支援について適切に対応していくことになると考えております。

國重委員 インフル特措法による緊急事態措置等に伴う営業制限については、事業活動に内在する制約であって、憲法上の損失補償の対象にはならない、その上で、必要に応じて政策的な支援をしていく、こういうことだったかと思います。

 我が国では、ロックダウンのような強力な措置は取られませんでした。それは、公衆衛生に対する国民の関心の高さに起因するところでもありますけれども、一方で、特定の業種が社会全体のための負担をしてくれていたからとも言えます。

 しかし、リスクの公平な分担という観点からしますと、特定業種のみが補償なしに社会全体の利益のために予防的に自粛を求められたり制限を加えられたりするのは、果たして適切と言えるのか。

 例えば、キャバクラやホストクラブなどの接待を伴う飲食店、いわゆる夜の町は、コロナ禍において、突然、悪者のような扱いを受けました。でも、コロナ禍になる前までは、キャバクラもホストクラブも危険な業態とはされていませんでした。社会的にも公認をされ、正当に業務を行ってきた。にもかかわらず、コロナになって突然、政治、行政のターゲット、休業要請の対象となって、危険な業態であるという認識に急速に転換をされました。

 こういったリスクを、たまたまその仕事をやっていた人たちに負わせるのか、社会全体が負担をしていくのか、憲法上の補償の対象になるのか。ならないとしても、実態上、補償に近い支援を行っていくのか。これ以外にも、簡易迅速な支給の重要性、これは理解をした上で、より国民の納得感を得られるような補償、支援の考え方について更に検討、整理する必要があると考えますが、後藤大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 委員御指摘の事業者への支援につきましては、時短要請や休業要請等の措置による事業者の経営等への影響を緩和するために、特措法六十三条の二において、当該影響を受けた事業者に対する国及び地方公共団体による支援に係る規定を設けているところであります。

 当該規定に基づく支援については、時短要請や休業要請等に応じた事業者に対し、要請による経営への影響の度合いなどを勘案し、必要な支援を行うとともに、要請の対象となっていない事業者についても、例えば不要不急の外出等の自粛による影響を受ける場合には、効果的な支援に努めることとしておりまして、要請の内容や状況に応じた適切な支援を行えるように対処してまいりたいと存じます。

國重委員 私も、このコロナ禍において、いろいろな業種の人から話をお伺いしました。憲法上のまず補償の対象になるかどうか、これもしっかり議論すべきでありますし、これに当たらなかった場合の政策的な支援の在り方についても、やはり様々、段階に応じて考えていく必要があると思いますので、是非、深掘りの検討をよろしくお願いいたします。

 続きまして、今回の改正では、蔓延防止等重点措置時及び緊急事態宣言時において、都道府県知事が事業者等に対し命令を発出する際勘案すべき事項を政令で定めることとしております。これは、これまでの運用の中で様々な課題があったからだというふうに思います。これまでの、特に必要があると認めるとき、これだけでは、都道府県知事が適切に判断することが難しい場合があったり、あるいは事業者の納得感が得られない、こういったケースもあった、こういったことを踏まえてその内容を明確化するものだと思います。

 では、この政令は、具体的にどのようなファクターを踏まえて、どのようなプロセスによって定められるのか、お伺いします。

柳樂政府参考人 御指摘の規定は、昨年五月から六月にかけて開催された有識者会議において、都道府県の特措法に基づく措置について、訴訟事案も踏まえれば、個々の事例についての判断がより迅速的確に行えるよう、国が適切な運用の在り方について基準や指針を示すことが重要であるとの指摘を受けたこと等を踏まえたものでございます。

 政令に規定する具体的な勘案事項については、例えば、同種の施設、業態において新型インフルエンザ等の患者が多数発生していることなどを想定しており、これまで都道府県などに対して事務連絡でお示ししてきた内容も踏まえて、施行までの間に具体化していくこととなるものと考えております。

 なお、政令の制定に際しましては、行政手続法の規定に基づき、意見公募手続、いわゆるパブリックコメントを実施することになると考えておりまして、こうした手続を経た上で政令を制定していくことになると考えてございます。

國重委員 この事業者に対する命令というのは、これに違反した場合、過料という制裁を伴うものである以上、実務上慎重に運用されることが必要になりますし、しっかりとこの政令の内容を、これまでも事務連絡等でその内容は既に発出しているわけですけれども、今回わざわざ政令ということになるわけですから、より具体的な内容を今回の教訓を踏まえてしっかりと定めていく必要があると思いますので、よろしくお願いします。

 次に、統括庁の人員体制について伺います。

 コロナ禍においてもそうであったように、感染症への対応においては、様々な分野の専門家がその知見を集約させて、一部分だけにフォーカスするんじゃなくて、多角的な視点から対策を検討することが重要になります。

 今回、医学的、科学的知見については、統括庁の外の組織として、国立健康危機管理研究機構の新たな設立が想定をされております。その上で、感染症に対応する機関である以上、当然、外部だけではなく、統括庁の中にも感染症そのものに関する専門的知見を持った職員が必要であると考えます。また、感染症の対応というのは、感染対策が社会経済活動へ及ぼす影響がどうなのか、また広報の仕方はどうなのか、様々な角度からバランスの取れた対策を講じる必要があります。だからこそ、多様な専門性やバックグラウンドを持った人材、場合によっては、企業、経営実態に詳しい経済界や自治体実務に詳しい人材など、官僚だけではなくて外部人材も活用していくことが必要と考えます。

 そこで、伺います。

 現在の内閣官房コロナ室は各省庁からの出向者で構成されておりますが、同じように統括庁でもその構成員は官僚のみとなるのか、あるいは、デジタル庁のように外部人材も活用していくのか。統括庁の職員構成として、どのような専門性、属性の人をどういうバランスで入れていく予定なのか、お伺いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁におきましては、国民の生命、健康の保護と社会経済活動との両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応していくという必要があると思っております。御指摘のように、様々な専門的知識を有する人材の配置、これは非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。

 統括庁におきましては、医学的知見を持っている者のみならず、社会経済や財政に専門性を有する者、あるいは企業の実際の活動について専門性を有する者、また危機管理に関する専門性を有する者、あるいは地方自治体の事務に関して専門性を有する者と、様々な幅広い分野について専門性を有する者を配置していくべきだというふうに考えております。

 体制整備に当たりましては、こうした専門的な知見を有する者、これを各省庁から集めるということのみならず、例えば自治体の職員に来ていただくとか、あるいは行政以外の外部から受け入れる、こういったことも考えられるというふうに思っておりますが、具体的な職員の配置につきましては、今後しっかり検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

國重委員 統括庁が感染症対策の司令塔機能をしっかりと発揮できるようにするためにも、多様な専門性、バックグラウンドを持った人材、これを活用していただくよう、よろしくお願いします。

 次に、リスクコミュニケーションについてお伺いします。

 一般論として、どんないい政策をやったとしても、それが国民の皆様に届かなければ、また、それを理解してもらわなければ、その政策の効果が十分に発揮できたとは言えません。

 そこで、大臣に伺います。今回のコロナ禍における政府のリスクコミュニケーションについて、大臣はどのように評価をされているのか、お伺いします。

後藤国務大臣 感染症危機においては、感染症の特性が必ずしも明らかでないなど情報が限定されている中で、国民の皆様がパニックを起こすことなく行動ができるよう、科学的知見に基づいた正確な情報を迅速かつ分かりやすく提供するリスクコミュニケーションが重要と認識しておりまして、政府においても同様の認識に基づいて取り組んできているものと承知しています。

 一方、リスクコミュニケーションの課題として、有識者等からは、専門家助言組織のメンバーの個々の発言が政府方針とそごがあるかのように国民に受け止められる場面や、専門家と行政のどちらの立場としての説明なのか分かりづらい場面が生じるなど、リスクコミュニケーションの在り方として問題があったなどの御指摘をいただいているところです。

 今後、内閣感染症危機管理統括庁においては、こうした御指摘を踏まえ、科学的知見に基づいた正確な情報を分かりやすく発信していけるように取り組んでまいります。

國重委員 情報発信においては、より重要になるのは、その内容が国民の理解を伴うもので、国民の心に届くものなのかどうか、国民が受け入れてくれるものなのかどうかということであります。非常時、危機における広報は、平時の広報とは異なります。また、同じ危機対応であっても、地震や津波などの災害と、感染症などの健康危機、それぞれで置かれている人間の心理状態も異なります。こういったことから、情報発信の際にそれぞれ配慮すべきポイントというものがある、このことが専門家から指摘をされております。

 今から十五年ほど前、二〇〇七年度から二〇〇八年度にかけて、既に政府においてもこの分野の研究がされております。具体的には、厚生労働科学研究として、「健康危機管理におけるクライシスコミュニケーションのあり方の検討」と題する研究が行われております。この中で様々なことを研究されて、具体的な提案もされておりますけれども、このような厚生労働省の研究で得られた知見などは、今回のコロナ禍ではどのように活用され、政府の発信はそれに基づいてどのように改善されてきたのか、お伺いします。

實國政府参考人 お答えいたします。

 当時、御指摘のような知見がどのように活用されていたかについては把握できておりませんが、三年前の新型コロナウイルス感染症発生時においては、時々刻々と変化する感染状況を踏まえ、国民に対して迅速に情報発信しなければならない状況であったため、専門家などと議論しながら情報発信を行ってきたと認識しております。

 また、今回のコロナ禍においては、関係省庁が連携して、政府が一体となった情報発信を行うとともに、必要な情報については、記者会見だけでなく、ポスターやSNSなどの手法を活用して、迅速かつ分かりやすく発信してきたところでございます。

 一方、コロナ禍が進むにつれて、外国人コミュニティーや若者等向けの情報発信の在り方も課題として生じたため、多言語に対応したホームページやパンフレットの作成、若者に人気があるスポーツ選手等を活用した分かりやすい発信などにも取り組んできたところでございます。

國重委員 要は、私の質問に対しての回答としては、いろいろな研究はしてきた、知見も蓄積はされているけれども、今回のコロナ禍において、そのリスクコミュニケーションに関する知見というのがどのように活用されたかというのは、政府は把握していないということだったかと思います。要は、いろいろ研究しているのに、実践的な形では使われなかったということであります。

 今回の統括庁、平時から様々な連携等をしながらいろいろな取組を進めていくことになりますけれども、このようなことのないように取り組んでいく必要があるかと思います。

 リスクコミュニケーションは、危機対応において非常に重要であります。特に、未知の感染症が突然現れて、国民にパニックや漠然とした不安が蔓延する初動においては極めて重要であります。先ほど指摘をしました、二〇〇七年度から二〇〇八年度の厚生労働省研究当時から比べますと、今、デジタル化が急速に進展をし、情報発信、情報の受取のありようも大きく変わっております。国民の情報に対する向き合い方にも変化があり、リスクコミュニケーションのあるべき姿にも変化があります。

 こうした時代、環境、人々の心理の変化、コロナ禍における事例も含めて、今後、統括庁において、リスクコミュニケーションの研究を主導して、今後の新たな感染症に適切に対応できるよう万全に備えることが必要と考えますが、後藤大臣の見解をお伺いします。

後藤国務大臣 国民や事業者の理解や協力を得ながら、感染症対策を効果的かつ迅速に進めるためには、科学的知見に基づいた正確な情報を分かりやすく提供するリスクコミュニケーションが極めて重要であると認識しています。

 このため、統括庁においては、各関係省庁と連携して、感染症に関するリスクコミュニケーションの在り方について検討を進め、次の感染症危機において必要な広報を効果的に行っていけるよう準備を進めてまいります。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 新型インフル特措法、内閣法について質問をいたします。

 まず最初に、この統括庁にも係る司令塔機能の話、総合調整の権限のところを先に質問をいたします。

 現在、新型コロナ・健康危機管理担当大臣が置かれております。後藤大臣が担当でありますが。何を担当する大臣なのか、内閣法上の位置づけも含め、コロナ室との指揮命令関係などはどうなっているのか、この点について御説明ください。

後藤国務大臣 新型コロナ・健康危機管理担当大臣として、総理から、新型コロナウイルス感染症対策等に関する施策を総合的に推進するための企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当するように指示されているところであります。

 コロナ室は、新型コロナウイルス等の政府が一体となって対処する必要のある感染症に係る対策を担うため、内閣官房に置かれている組織でありまして、特措法や基本的対処方針等に基づいて、国、地方一体となって新型コロナに対応するため、企画立案、総合調整の事務を行っています。

 新型コロナ・健康危機管理担当大臣は、コロナ室に対する法律上の指揮監督権や職員の任命権は有していないものの、内閣官房長官が有する内閣官房の事務統括権を背景として、内閣を構成する国務大臣としての立場で、総理から指示を受けた事務の遂行上必要な範囲で、コロナ室の事務について必要な指示を行っているものでございます。

塩川委員 官房長官による内閣官房の事務統括において、必要な範囲内でその事務を行うということであります。ですから、この担当大臣は、官房長官の指揮命令下にあるという位置づけでよろしいんでしょうかね。

後藤国務大臣 内閣総理大臣による総合調整権を行使するということであります。官房長官は、内閣官房の事務を総括するという意味で答弁を申し上げました。担当大臣は、内閣総理大臣の調整権限を代行する、それを行使をする、そういう役割であります。

塩川委員 ただ、内閣官房において、担当大臣としてこの職務権限、事務統括を行っていくということですと、内閣官房ですから、当然、官房長官の下にあるわけで、その辺がどういう整理なんでしょうかね。

後藤国務大臣 内閣官房長官が内閣官房全体の事務を統括する、そういう権限を持っているわけですけれども、こうした事務統括権を背景として、内閣を構成する国務大臣としての立場で、総理から指示を受けた事務の遂行上必要な範囲内で、コロナ室の事務について必要な指示を行い、政策の遂行を行っているということです。

塩川委員 官房長官の内閣官房の統括権を背景として、担当大臣が必要な総合調整等を行うということですね。

後藤国務大臣 先生のおっしゃったとおりです。

塩川委員 ですから、官房長官の内閣官房における事務統括、それを背景にしてということですから、前提は、官房長官の事務統括があって、その下でといいますか、背景という言い方をされましたけれども、その下で担当大臣が実際の事務の統括に係る総合調整を行っていくということであります。

 それで、現行で、コロナ室は副長官補の下にあります。このコロナ対策の総合調整を担う官房副長官補はどなたになるんでしょう。内政担当の方ということで、現行はそれでよろしいのか。

後藤国務大臣 今、特にこの担当の副長官が誰だという指名は行われていないということです。

塩川委員 副長官補について。

後藤国務大臣 失礼しました。

 コロナ担当の副長官補も特に指名をされているわけではありません。

塩川委員 ただ、コロナ室は、副長官補の下の分室に置かれているわけですよね。その分室について言えば、コロナ室は内政に係る分室ということであれば、内政に係る副長官補の下にあるということではないんですか。

後藤国務大臣 もちろん、今現在は、内政、外政、三人の副長官補で分担をしていますから、事実上、内政担当の副長官補がその事務の中心となっているというのは御指摘のとおりです。

塩川委員 ですから、事実上、事務の統括は、コロナ室について内政担当の副長官補が行っているということで、そうしますと、副長官補についても、事実上事務を統括する方というのはあってしかるべきだと思うんですが、それは政務の方なのか、事務の方なのか。そこはどうなんでしょうか。

後藤国務大臣 内閣法の法律上からいえば、内閣官房全体について、官房長官が、先ほど申し上げたように事務を統理するということになっています。

塩川委員 副長官の関係なんですけれども。官房長官が全体の事務の統括を行う、実際の現場のコロナ室は内政担当の副長官補の下にあって、事実上の統括を行っていると。では、副長官はどうなんですか、ラインとして。長官があり、副長官補があった場合に、ラインとして、副長官については、政務の方なのか、事務の方なのか。事実上統括するに係るのはどちらなんでしょうか。

後藤国務大臣 ちょっと確認させていただきますが、今話をされているのは現在の話ですよね。そういう意味でいえば、現在は、それぞれ副長官補がいます。そして、内政、外政を担当しておりますので、そうした意味では、内政の事務を内政の副長官補がやっているということになりますが、例えば、今回の対策は、そういう意味でいえば、幅広く、感染症対策というのは政策の広がりはありますから、そういう意味では、副長官補も含めて、特にコロナ担当の副長官補が任命されているというふうには考えていないです。

塩川委員 副長官補は分かるんです。副長官について、三人いらっしゃいますけれども、政務が二人いて、事務が一人いるんですが、政務の方がそのライン上でコロナ室に係る事務統括に関わっているのか、それとも事務の方なのか、そこを教えていただきたいんですが。

後藤国務大臣 副長官についても、それぞれ担当はもちろんしているわけでありますけれども、例えば、コロナの仕事について言えば、それぞれの担当が重なりながら仕事をしているので、どの副長官だけがこの仕事に関わっているということではないということです。

塩川委員 その辺がよく分からないところでありますが、まあそういうお話だということですけれども。

 法改正後の話ですけれども、官房長官との関係でいえば、現行について言えば、官房長官の事務統括を背景にしてですから、事実上、官房長官の下に担当大臣が置かれているわけですけれども、法改正後において、官房長官以外で感染症危機管理を担当する大臣というのを置くことがあるのかどうか。さきにも質問ありましたけれども、その点、改めてお答えいただけますか。

後藤国務大臣 御指摘のいわゆる内閣の担当大臣は、内閣全体として取り組むべき重要政策課題について、内閣法第三条第二項に規定する国務大臣として、総理の判断により置かれるものでありまして、感染症危機管理を担当する大臣についても、そのときの総理において必要性を判断するものであります。

 仮に、内閣感染症危機管理統括庁に係る事務を担当する大臣が置かれる場合、当該担当大臣が具体的に担う事務の範囲や内容にもよりますけれども、内閣官房長官による官房長官の事務統括権の下で、感染症危機の対応に係る行政各部の統一保持に係る企画立案、総合調整を、内閣を構成する国務大臣としての立場で担当し、内閣感染症危機管理監、これは内閣官房副長官ですが、統括庁の庁務に関して、内閣官房長官を助けるに際して、総理から指示を受けた事務の遂行上必要な範囲内で、担当大臣も管理監から必要な補助を受けることになるということになります。

塩川委員 ですから、現行で、官房長官の事務統括権の下で担当大臣が仕事を行うと。それは、法改正の後、総理の判断で担当大臣が置かれた場合についても、同様に官房長官の事務統括権の下で担当大臣が総合調整の権限などを発揮をする、その下に統括庁が置かれていく、その補助を受けるという関係です。

 その場合に、先ほどありましたけれども、内閣感染症危機管理監、内閣官房副長官の充て職になっていますけれども、それが政務か事務かというのは今の段階で決まっているものではないということですか。

後藤国務大臣 おっしゃるとおりです。

塩川委員 危機管理監補についても、同様に官房副長官補の充て職ですけれども、内政担当と決めているわけではないのですか。

後藤国務大臣 これも、指名によるもので、今決まっているわけではありません。

塩川委員 ただ、外政とかという話には当然ならないと思いますし、危機管理になるということもあり得るということですか。

後藤国務大臣 あくまで法律上の話として、任命を総理大臣が決定をするということであります。

塩川委員 基本、担当大臣の位置づけも現行の仕組みにのっとってということですから、そういう意味では、副長官補は内政担当ということで想定されるということでいうと、指揮命令のラインでいえば、現行の場合でも法改正の場合でも、総理があって、官房長官があって、副長官補、こういうラインというのは、現行の場合でも法改正の場合でも変わらないということじゃないですか。

後藤国務大臣 基本的に、日本の内閣制度の前提の下で、総合調整機能をどういうふうに効果的に、そして最も効率よく動かしていくか、そういう制度の中で、知恵を出して、危機管理機能、司令塔機能を果たしていこうということでありますから、そういう意味においては、総合調整の枠組みであるという御指摘は当たっているというふうに思います。

 ただ、それを通常の副長官、副長官補という分担のラインから独立して、離して、それを一つの統括庁という形の縦のラインにしっかりと権限を分けて、そして、そこに付加的に情報を連結するような仕組み、厚生労働省の感染部や、また日本版CDCのようなものをつけ、また、それを結びつけるような結節点となる、充て職ではありますけれども、役職者をかませることで各省の調整をしっかりとできる、そういう形の司令塔機能をつくるという趣旨であります。

塩川委員 ラインで、基本は同じですという話でしたし、この改正法でも、基本、副長官も充て職ですよ。副長官補も充て職ですから、現行、事実上というところを充て職にしているという点でいえば、ラインの線での対応そのものに基本変わりがない。その際に、総合調整機能を発揮というのは、当然、政府とすれば、現行でも総合調整機能を発揮しているという判断だと思うんです。その場合に、法改正しないと総合調整の権限、機能が発揮できないということにはならないと思うんですが。

後藤国務大臣 きちんとした独立機能を発揮して、一般の内閣官房の仕事とは別の総合調整としてしっかりと危機管理を行っていく、そして、その権限を明確にして、内閣官房副長官、そして副長官補というのは、そういう意味においては、政治的な判断あるいは影響力、そして要の力というのは非常に強いわけで、そこに、行政をうまく運用できる人と、そして、もう一つ言えば、感染症のプロである医療や感染症に詳しい人たちをくっつけながら、集中的に総合調整の企画立案をしていくための組織を明確にするという意味で、これをつくって、しっかりと常時からスタッフをつけて、常時から感染症対策を独立してしっかりとつくり、計画を作り、そして予行演習をして対応をしていくということで、感染症に対する危機管理対応能力は高まるというふうに考えます。

塩川委員 以前からも新型インフルの対策室というのは当然あったわけですよ、平時でも。そういう意味では、平時に置かれていたというのが分室という格好であったわけで、それとの違いも分かりませんし、ラインとしても基本は同じ線を確保するといった場合に、何が変わるのかというところについての説明としては納得がいくものではありません。そのことを申し上げて、結局、この前お聞きしましたように、総理が庁と言っちゃったから、統括庁をつけるということになるのかということが問われているんじゃないかと思います。

 その上で、コロナ担当大臣として総合調整の権限を担っております後藤大臣ですので、この後の五類見直しに関する質問についても是非真摯にお答えいただきたいと思っております。

 それで、五類移行に伴う問題点についてなんですけれども、厚生科学審議会感染症部会の一月二十七日の新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけについての文章では、諸外国と比べて感染者数、死亡者数を抑えてきた、発生初期と比較をして重症度が低下をしたので、感染法上の私権制限に見合った国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられないことから、新型インフル等感染症に該当しない、五類感染症に位置づけるべきとしました。

 そこで大臣にお尋ねしますが、コロナについては、発生初期と比較をして重症度が低下をした、このことが新型インフル等感染症に該当しない、五類感染症に位置づけることにした理由なんでしょうか。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナの感染法上の位置づけの見直しに関してでございますが、これは、十一月の臨時国会において、感染症法上の位置づけについて速やかに検討することと修正でされたこと、また、感染症法上の各種措置は必要最小限の措置とされていることに加えまして、オミクロン株については、感染力は非常に強いものの重症度が低下しているといった専門家の方々の評価、こういったものを総合的に勘案をいたしまして、五月八日から五類感染症に位置づけることに決定したものでございます。

塩川委員 総合的に勘案というふうにおっしゃいましたけれども、その要素としては、もちろん、強制的な手段を最小化をするという観点というのが重要だと思います。あわせて、感染症の影響について言えば、やはり発生初期と比較をしての重症度が低下をしたということが位置づけを変更する理由として挙げられているわけです。

 大臣にお聞きしたいんですが、この新型コロナウイルス感染症というのは感染力が高い。そのことによって、今、非常に死亡者数も際立って多くなっています。後遺症も重いという特徴もありますし、感染時期の季節性もありません。変異も大きいということになると、コロナはいわゆる五類相当の季節性インフルエンザと同じ扱いにはできないんじゃないかと思うんですが、その点は大臣はどのように受け止めておられますか。大臣。

鳥井政府参考人 感染症法の位置づけのことでございますので、私から答弁させていただきます。

 先ほども申し上げましたとおり、新型コロナにつきましては、専門家による病原性、感染力等の評価を踏まえて総合的に判断をしたものでございます。先ほど御答弁したとおりでございます。

 ただ、しかしながら、御指摘の感染症部会の取りまとめにおいても指摘されておりますとおり、新型コロナは、一年を通じて複数回の流行があるということ、それから多くの感染者、死亡者が発生していることなど、この疾病固有の特徴や社会へのインパクトというものは有します。

 このため、位置づけの変更に伴います医療体制など様々な政策措置の対応については、医療現場の混乱等を回避するためにも、必要となる感染対策や準備は必要で、これを講じつつ、国民の安心を確保しながら段階的な移行を行うことといたしております。

塩川委員 今紹介もありましたが、感染症部会でも、コロナは、一年を通じて複数回の流行があり、多くの感染者や死亡者が発生していることなど、他の五類感染症と異なる特徴や社会へのインパクトを有すると述べております。

 アドバイザリーボードへの斎藤先生提出資料などでも、インフルエンザによる死亡者数は年間三千人程度だが、コロナの死亡者数は、二〇二二年、既に三万六千人以上に達すると述べているように、大変死亡者数が多くなっているというのが特徴の一つであります。

 そういうのも踏まえて医療提供体制などの対策を講ずることが必要だということも、先ほど答弁で述べたところです。

 実際の死亡者数について確認をしたいんですが、コロナの感染について、波があるわけですけれども、この波ごとでどのぐらいの死亡者数があったのかについて御説明をいただけますか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の死亡者数でございますけれども、各都道府県の公表情報を収集し、取りまとめた上での、公表したベースで申し上げます。

 政府として、第何波という定義あるいはその期間を定義してはいないわけでございますけれども、基本的に、一日当たりの陽性者数が最大になった月の前後一か月を含む三か月を一つの波として仮定して集計をした、指定したところの死亡者数で申し上げますと、二〇二一年春のいわゆる第四波は五千六百十七人、二〇二一年夏のいわゆる第五波は二千八百六十五人、二〇二二年冬のいわゆる第六波は九千七百九十六人、それから昨年の二〇二二年夏の第七波は一万三千五百二十二人、それから第八波、二〇二二年の十一月から本年一月までで集計をしますと二万千四百三十二人という数字となってございます。

塩川委員 資料を配付いたしました。左側に、新型コロナウイルスによる死亡者数ということで、各波ごとの数字、今のと若干ちょっと、取る期間が違うものですから、数字としての不整合はありますけれども、傾向としては答弁があったものと同じ値に沿ったグラフになっております。

 ですから、やはり第六波のオミクロン株以降に急速に死亡者数が増えている。これは前提が、感染力が非常に強いということがあるわけですけれども、そういった点で、五千人台の死亡者数が、大きく、第七波では八千を超えるような、また第八波では二万を超えるような死亡者数になっているというのは極めて重大であります。

 さらには、七十歳以上の死亡者数というのが全体の九割を占めるような、そういう点でも、高齢者における感染の拡大とともに死亡者数が増加をしているといった事態は深刻に受け止めることが必要だと考えております。

 大臣にお尋ねいたします。

 このように、波ごとで見ても死亡者数が大きく増加をしております。今後もどうなるのかという心配も当然起こるわけであります。このような死亡者数の増加について大臣はどのように受け止めておられますか。

後藤国務大臣 新型コロナの死亡者数については、多くの国々と比較しても、日本における人口当たりの累積感染者数、死亡者数は他の先進国に比べて低く抑えられてきたところでありますけれども、先月二月の厚生労働省アドバイザリーボードにおいて、第八波における死亡者数の増加について、感染者のうち八十代以上の高齢者の占める割合が高いことや、新型コロナによるウイルス感染をきっかけとする併発疾患や合併症の増悪により死亡する高齢者が増加したこと、冬場は併発疾患や合併症の悪化する時期であること等の要因があると指摘されているものと承知をいたしております。

 これまで政府としては、国民の命と暮らしを最優先で守る観点から、科学的知見やエビデンスを重視して新型コロナ対策に最大限取り組んできたところでありますけれども、今後も、死亡者数の動向を注視しながら、政府一体となり、死亡者数をできる限り抑えられるように、感染症対策を推進してまいりたいというふうに思っております。

 死亡者数の増加の数字の大きいことについては、私自身も大変深く受け止めているところです。

塩川委員 ですから、オミクロン株で昨年ずっと死亡者数が急増しているといった場合に、今は落ち着いているかもしれないけれども、次の波が来たらどうなるのか。同じように大きな感染が広がり、またそれに伴って死亡者数が増加をする、そういう危惧があるわけですけれども、その点については、大臣、どのように受け止めておられるでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスも、これまで、デルタ株、またオミクロン株、オミクロン株でも変異によりまして株が変わってくる、そういう中において、特徴もいろいろ変わってまいります。そうしたことに対してやはり丁寧にしっかりと対応していく対応、これは医療提供体制にしてもあるいはワクチンの体制にしても、そうしたことをきちっと対応していけるような、そういう政府の対策が必要だというふうに思いますし、国民の皆さんと一体となって、理解をし合える形で、しっかりとしたリスクマネジメントを行っていく必要がある。そうした機能をしっかりと、今後、司令塔機能を高める中で、平時からの準備も進めることで、危機に際して対応力を高めるようにしていきたいと考えています。

塩川委員 この間、死亡者数が増加をし、第八波では過去最多になっております。その点で、五類への見直しに当たって、このように死亡者数が過去最多になったということは考慮されなかったんでしょうか。その点について教えていただけますか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの新型コロナの感染症法上の位置づけについて見直したということの説明の中で、専門家から、病原性、感染力、変異の可能性等の評価、感染状況等の評価をいただいて、それを総合的に判断したところでございますが、その感染力、感染状況等の評価の中には、死亡者数についての評価も含めて判断されているものと理解しております。

塩川委員 死亡者数についても評価をして判断をしているということですけれども、それを踏まえてどうするということを言っているんでしょうか。

鳥井政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、第八波における死亡者数につきましては、感染者数が増加しておりまして、結果として基礎疾患の悪化などにより亡くなられたケースが多くなっていることは事実でございます。

 今後は、先ほど申しましたとおり、移行につきましては、段階的な措置を講じるということに併せて、発生する多くの患者に適切に対応できるように幅広い医療機関で対応できる体制にシフトしていくとともに、引き続き、重症化リスクのある高齢者等に重点を置いた対応を行っていくことが必要と考えております。

塩川委員 そもそも、この間、死亡者数が大幅に増加をしたということはなぜなのか、何でこんなに大幅に死亡者数が増加をしたのか。そこについてはどういうふうに考えているんですか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、オミクロン株の感染力が強いことから、感染力が増加しておりまして、結果として亡くなられるケースが多いということなので、今後は、発生する多くの患者に適切に対応できるような体制にシフトしていくとともに、高齢者等に重点を置いた対応を行っていくことが必要と考えております。

塩川委員 感染力が強くて、その結果として、重症度が下がったとしても死亡者数が増えたと。要するに結果の話であって、そもそもこんなふうに死亡者が増えないために必要な手だてを取らなくちゃいけなかったのに、そうならなかったのはなぜなのかということを聞いているんですよ。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新型コロナの対応におきましては、これまでも死亡者数の増加が見られておりましたので、今後もそうですけれども、これまでもウイルスの特性を踏まえまして重症者に重点を置いた対策というものを進めてきておりましたので、それは引き続き今後もしっかりやっていきたいと思っております。

塩川委員 だから、それは対策として今後の話を言っているのかもしれないんだけれども、この間何でこんなに死亡者数が増えてきたのか、その理由は何なのか。感染者数が増えて死亡者数が増えたと。でも、その死亡者数を抑えるために必要な手だてを取らなかったというところに問題があるんじゃないんですか。その点はどうなんですか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 アドバイザリーボードにおける議論で、専門家によりますと、二〇二〇年度の初頭以降に、オミクロン株の特性等から、全体としての致死率はオミクロン株以前よりも低下しているけれども、死亡者数の実数は増加しているということでございます。

 この原因としては、やはり感染者数の増加が大きく関与しているということが考えられます。たとえ致死率が低下いたしましても、感染者数が圧倒的に増加してしまえば死亡率が増加するわけでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、基本的な感染対策等を進めることはもちろんですけれども、高齢者施設での死亡者、こういったところでの対策に重点を置いて対策を講じてきたところでございますし、これからもその必要があると考えております。

塩川委員 高齢者に重点を置いてきた結果がこれなんですよ。圧倒的に高齢者が亡くなっているんです。何でこんな事態になったのかを聞いているんですよ。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の死亡者数が増えているかというところでございますけれども、これもアドバイザリーボードの専門家の議論の中では、やはり施設等でスタッフや高齢者の感染者数が増加しておりますので、高齢者施設でリスクの高い方がいらっしゃって死亡者数の増加につながりやすいということがございます。

 ただ、これに関しましては、かねてよりクラスターが多く発生してきたという経緯も踏まえて、ハイリスク者に重点を置いていろいろな感染対策の研修をやりますですとか、施設整備等の支援をやるですとか、そういった対策を引き続き取っているところでございまして、これは引き続きしっかりと取ってまいる必要があると考えております。

塩川委員 答えていないんですけれども、今、施設の話がありました。施設内療養が非常に増える、留め置きが大きく増えている、そういう中で、施設内で亡くなられた方というのが大変いるわけですよ。そういう点でも、医療提供体制が間に合っていないという状況があったというのが大前提じゃないですか。医療提供体制は本当に、医者に送ることができないという中で、施設内で亡くなる方も多数いらっしゃったということもあるわけですし、在宅の方もそういう状況がいらっしゃったわけです。

 そういった医療提供体制を適切に確保することが必要であるにもかかわらず、今度、この五月八日以降について言えば、医療機関への財政支援措置を見直すという話であります。死亡者数を減らすためには医療機関の受入れ体制の拡充が必要なのに、五類見直しに伴って、医療機関への病床確保料は減らすんじゃないでしょうか。また、入院に関する診療報酬も引き下げるというのが政府がやろうとしていることじゃありませんか。これでちゃんと医療提供体制を確保できると言えるのか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのありました医療機関への財政支援、その中で、例えば病床確保料は令和二年四月からずっと措置をしてまいっております。これは、確保したコロナ病床に患者が入れば診療報酬が払われますし、入院されていない間は病床確保料を払う、こういう形でやってまいっております。

 今般、五類に当たりまして、診療報酬の額も参考にしながら、患者様を実際に受け入れた場合とおおむね同水準の収入になるように、診療報酬と同等の水準になるように、これまで診療報酬の引上げに合わせて引き上げてきたところでありますので、そういったところ、診療報酬の見直しを踏まえて見直しをすることとしております。具体的には、業務や人員に係る体制、こういったものを踏まえた見直しをしているところであります。

 ただ、先生おっしゃいますように、五類への見直しに伴いまして、医療機関への財政支援、こういったもののほかに、受入れ体制を拡充するためには様々な施策が必要だと思っておりまして、これまでも累次にわたって医療機関とよく相談をしながら、必要な施策について今般取りまとめをさせていただいております。

 具体的には、感染対策に係る設備整備、こういったものの補助金は継続していくこととしております。また、診療の指針ですとか感染対策、こういったものについてもアップデートされた情報が欲しい、こういったことにも対応することにしております。また、医療機関間での調整となるような入院調整、これも負担が大きいということを聞いておりますので、都道府県の取組、実情に応じて当面の間残すこと、こういったことで、医療機関のお声を聞きながら、必要な施策というものを検討しているところであります。

塩川委員 入院、外来の診療報酬の特例加算や病床確保料などの公的支援は段階的に縮小、廃止するんですよ。これまでの支援策を半分に減らして、そこに若干の加算をするだけで、増やす措置ではありません。新たにこれで担い手が増える根拠はないわけで、医療機関への公的支援が縮小すればかえって医療の担い手が減ることは明らかで、高齢者施設、在宅医療の検査、医療支援に重大な危惧が生ずる、こういう財政支援後退はきっぱりとやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 三十分、よろしくお願いいたします。

 まず、内閣法の所掌事項の追加について質問しようと思ったんですけれども、どうも、やってくれないんですよね、修正協議も応じていただけないということで、多分やる気がないんだろうと思いますが。これは本当にひどい規定でして、こんなものがほいほい通るということ自体、与党の法案審査がどうなっているのかと、むしろそう思いたくなるぐらいでありまして、こんなものを絶対通しちゃいけないということを言った上で、次の質問に移りたいと思います。

 権限関係についてなんですけれども、この法律が成立した後、もう一度、前回聞いたのと同じことを聞きたいんですけれども、政府対策本部における副本部長たる新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する事務を担当する国務大臣というのは、引き続き後藤大臣が担うのか、それとも官房長官が担うことになるのか、いずれでしょうか、大臣。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

後藤国務大臣 特措法上、政府対策本部の副本部長は国務大臣をもって充てると規定されております。現在の政府対策本部の副本部長については、本部の設置について定める閣議決定の中で、具体的に、内閣官房長官、厚生労働大臣とともに、新型インフルエンザ特措法に関する事務を担当する国務大臣を副本部長に充てる旨を定めています。

 今回の特措法改正案を成立させていただきまして、施行した後に、政府対策本部が新たに設置される場合には、その時々の状況に応じて、いかなる国務大臣を副本部長に充てるかを判断の上、本部の設置に係る閣議決定の中で副本部長を定めることになるものと考えられます。

 なお、特措法に関する事務を担当する国務大臣を置くのかどうか、置くとしてどのような担務と兼ねるのか等については、時の総理において必要性を判断することになるものと考えています。

緒方委員 そのときに、先ほど後藤大臣が言われた説明、今もう官房長官の、内閣官房の指揮統括権に基づいて、その範囲内で総理の指示に基づいて現在もやっているということなんですが、そういう緩やかな仕組みでやっていたんですけれども、今後、ラインががちっとしちゃうわけですよ。

 危機管理統括庁ということで、官房長官、副長官、副長官補ということでラインが明確になり、危機管理監は内閣官房長官の命を受け助けるということになっているわけで、そうなったときに、官房長官以外の国務大臣、例えば後藤大臣が事務を担当する大臣として任命されたとしても、横入りするだけなんですよね。指揮命令権限がなくて、場合によっては、これは私が今、後藤大臣をそう思っているということではないという前提で質問しますけれども、邪魔な存在になるんですよね。そういうことになりませんかね、大臣。

後藤国務大臣 総合調整機能を担当する国務大臣ですから、現在においても、本来の内閣法に基づく権限を持つ大臣、そうしたものの仕事を横断的に調整する、あるいはトータルとしての政策の企画立案、重要政策事項の企画立案をする担当大臣です。

 そういう形の任務として、統括庁の仕事を助けるという意味で、任務を果たすということが必要であるというふうに総理が判断される状況であれば総理は任命されるでしょうし、そうでなければ任命されないということだと思います。

緒方委員 そのときに、官房長官とコロナ担当相の意見が食い違うとき、どちらが優先するんですか、大臣。

後藤国務大臣 基本的に今でも、例えば、最終的には今の日本の内閣法というのは総理大臣が、各大臣の意見が相違した場合、そういった場合について言えば、そういうことになると思いますけれども、いずれにしても、内閣官房の事務を統括するのは官房長官でありますので、官房長官と、そして総理、官房長官と、そういう縦のラインに並びながら仕事をするということであれば、それは適切な仕事の分担をしていくということに、置かれた場合にはなると思います。

緒方委員 最後に全て総理の差配で決めるというのであれば、何でもそうなのでありまして、余り、指揮命令系統の一元化ということの観点から全ての最後の差配をするのが総理だというのは、これは体制の組み方としてはよくないというふうに思いますし、この仕組みが私、どう考えてもうまくいくように思えないんですよね。無理して接ぎ木をしたので、つじつまを合わせようとすると合わなくなってしまったというのが現状ではないかと思いますが、大体何を考えておられるか分かりましたので、次の質問に移りたいと思います。

 次は、少し実務的な話でして、法律の内容に即して質問をさせていただきたいと思います。前回も質問しました都道府県知事と政令指定都市との関係なんですが、ちょっと私の地元の話をさせてください。

 令和二年五月、コロナ禍のかなり初期の段階ですけれども、全国で東京都と福岡県北九州市のみで感染拡大した時期がありました。あれを第二波と呼ぶかどうかというのはいろいろ争いがあると思いますが、その際、我が市は、福岡県に対して、県全体で医療のフェーズを判断するのではなく、地域単位でフェーズを判断するように求めました。なぜかというと、県全体でならしてみると、感染者の数が、平均でならしてみるとそれほど多くなかったんですね。ただ、うちの町だけどんと多かったというので、だから、うちの町だけでフェーズを上げてくれ、人のリソースとかお金の問題とかがあるので上げてくれと頼んだんだけれども、福岡県からは応じてもらえませんでした。

 そして、今回、改正法の中で、市町村から県知事に対して応援を求めるという規定が入ってきています、改正法第二十六条の四でありますけれども。こういう事例で、医療のフェーズをうちの町だけ上げてくれというふうに依頼する行為は、この改正法第二十六条の四における応援に該当するでしょうか。これは内閣官房ですかね、大臣ですかね。大臣、よろしいですか。

後藤国務大臣 特措法に規定される応援は、都道府県の知事又は市町村の長その他の執行機関が、当該地方公共団体の区域に係る特定新型インフルエンザ等対策を実施するために必要があると認めるときに、都道府県知事相互間、市町村長相互間、又は市町村長が都道府県知事に対して求めることができるものとなっています。

 この応援とは、人員や専門知識の不足等により、当該応援を求める地方公共団体の区域に係る特定新型インフルエンザ等対策の実施が困難な場合に、応援を求めた地方公共団体の職員を受け入れ、応援を求めた地方公共団体の指揮、責任において事務を実施させるものであります。

 御指摘のような都道府県の医療フェーズの判断について市町村が要望を行うといった事例は、特措法上の応援に該当しないものと考えています。

緒方委員 はい、分かりました。なかなか難しいですね。事情はよく分かりました。そういう解釈なんですね。

 続きまして、休業要請の話についてお伺いをしたいと思います。

 皆様方、三年前、令和二年に休業要請を出したとき、多分気づいている方は余り多くないと思いますが、休業要請を最初の東京都が出したときに、あれは緊急事態の部分にある休業要請の規定ではありませんでした。休業要請の規定、緊急事態のところに書いてありますけれども、あれは第四十五条の二項なんですけれども、最初、小池知事と西村大臣で協議した後、何の規定によって行われたかというと、第二十四条の九項で行われております。

 これは、単に新型インフルエンザ等が発生したときの一般的な協力要請規定にすぎません。こんなもので休業要請を出すというのは、私はよくないと思います。きちっとした法的な根拠を持ってですね。単なる新型インフルエンザが発生したときの、発生だけですよ、蔓延でも緊急事態でもなくて。発生したときの一般的な協力要請の規定だけに基づいて日本は休業要請を出しているんですね。

 一回出したものはもうしようがないと思うけれども、今後こういうことをやらせるべきではないというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 今委員が御指摘のように、緊急事態宣言下における特措法に基づく事業者等に対する時短、休業要請等に係る根拠規定は、二十四条第九項と四十五条第二項があります。

 二十四条第九項は、緊急事態宣言下も含めて、政府対策本部が設置されている間において、その時々の感染の状況に応じて、新型インフルエンザ等の対策の実施に関し必要であるという条件の下で、休業要請等も含めて幅広い内容の協力の要請をすることができます。

 四十五条第二項は、緊急事態宣言下において、多数の者が利用する施設の管理者に対して使用制限等を要請することができ、要請に応じない場合の命令や過料といった強制力を伴う。

 したがって、緊急事態宣言下において、第二十四条第九項に基づき事業者等に対して休業要請等を行うことは排除されておらず、法律上の問題はないものというふうに考えられます。

 特措法に基づき要請等を行う場合に、国民の自由と権利に加えられる制限は必要最小限のものでなくてはならないことから、政府としては、緊急事態宣言下において時短、休業要請を行う場合に、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を考慮し、都道府県がまず強制力を伴わない二十四条第九項に基づき時短、休業要請等を行うことを基本的対処方針において定めていたものでありまして、このような運用は適切だったというふうには考えております。

 ちょっと答弁が長くなりましたが、しかし、特措法に基づき要請等を行う場合、国民の自由と権利に加えられる制限は必要最小限のものでなくてはならないという考え方に変わりはありませんが、一方で、まずは二十四条第九項に基づく要請を行い、その後四十五条第二項に基づく要請を行うという運用については、第二十四条第九項に基づく要請に従わなかった場合の命令や罰則の規定はないなど、実効性が限られるという課題はあります。

 このため、令和三年四月に基本的対処方針を見直しまして、緊急事態宣言下において時短、休業要請を行う場合に、都道府県知事が、業態等に応じ、感染リスクの程度等を考慮して、特措法二十四条第九項と第四十五条第二項のうち適切なものを選択することを認めているというのが現状です。

緒方委員 基本的対処方針に基づきということでしたが、実は、東京で休業要請する直前に基本的対処方針を見直しているんですよね。これは要するに、出させたくない政府側と出そうとする小池知事の間でまとまらなかったので、法を曲げて解釈して、そして基本的対処方針を見直すことによってこれを実現しているわけですよ。

 こういうことをやっちゃ駄目ですよ。本当にやっちゃいけない。私は、別に、与野党で何かあげつらいたいとかそういうこと抜きに、人の人権を制限するんですから、きちっと、一般的な協力要請規定で人権を制限するようなことをやっては絶対ならないと、強く強調したいと思います。

 その上で、蔓延等防止措置の中にも協力要請の規定があります。第三十一条の六であります。この協力要請の中には休業要請は含まれるんでしょうか。

後藤国務大臣 時短要請等の措置はこの中に含まれていますが、休業要請は含まれていません。

緒方委員 つまり、二十四条の九項というのは、単に発生したときの一般的な協力要請規定で、これで休業要請ができる。そして、蔓防のときには休業要請はできない。そして、緊急事態になったら、命令つきで休業要請ができる。

 バランスの悪さがすごいんですよね。最初の発生のときの一般的な協力規定では休業要請ができるとなっていて、蔓延防止等重点措置のときにはその協力要請の中に入らないとなっていて、そして、最後、四十五条の二項、緊急事態のときは、命令までくっついて、できるようになる。これはバランスが悪くないですかね、大臣。

後藤国務大臣 時短要請と休業要請という軸と、もう一つは命令や過料による強制力を伴っているかという、二つの軸からできていますので、二十四条の九で対応する場合は強制力がない代わりに休業要請も含まれる、三十一条の六の場合には命令や過料というものがついている、そして四十五条の二の場合も命令、過料がついている中で、片や緊急事態宣言について言えば休業要請が含まれるが、三十一条の六について言えば休業要請は含まれないという形で、一応バランスされた仕組みにはなっていると思います。

緒方委員 聞いて分かったと思いますけれども、バランスが悪いんです。

 こういうのは本当に見直した方がいいと思います。人権を制限する行為ですから。きちっとした法的な基盤を整えるということは、私、本当に重要だと思います。大臣、強調しておきたいと思います。

 そして、先ほど國重さんの方からも質問がありましたが、改正法第四十五条の三項における政令、これは、休業命令をするときの政令、勘案事項ですね。これ、何が含まれますかということを聞きましたら、先ほど國重さんの質問に対する答弁でも、これからですというような話がありました。

 こういった人権制限につながる命令の勘案事項を全て政令に委ねているというのは大問題だと思います。しっかりとこの国会の場で説明していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議において、都道府県の特措法に基づく措置について、個々の事例についての判断がより迅速的確に行えるよう、国が適切な運用の在り方についての基準や指針を示すことが重要であるとの指摘を受けたことを踏まえて、今回の対応はいたしております。

 具体的には、緊急事態措置の目的を果たすために、命令発出の要件である、特に必要があると認めるときに該当するか否かを判断するに当たり勘案すべき事項を政令に委任する規定を設けたものでありまして、これによりまして、都道府県知事が命令を行う際に、個々の事例についての判断をより的確に行えるようになると考えています。

 政令に規定する具体的な勘案事項については、施行までの間にもちろん具体化していくことになるわけですが、同種の施設、業態において新型インフルエンザ等の患者が多数発生していることなど想定をいたしておりまして、今後、政令の内容を検討してまいりたいというふうに思っています。

緒方委員 皆さん、考えてください。人権を制限するための勘案事項が国会審議の対象じゃないんですよ。とんでもないじゃないですか。

 案なりとも是非出していただきたい。私、この場で宣言させていただきたいと思います。採決までに案を出していただきたい。出していただけないのであれば、ほかの会派は知りませんけれども、私、ここで明確に申し上げます、採決に応じませんので、私。こんなばかな話はない。国民の人権を制限しようというときに、その勘案事項が国会に上がってこない。国会をばかにするにもほどがある。

 私は、地元に帰って、採決しました、そして、人権制限をすることになる休業命令の規定については、それは後回しにしましたと、地元の方々に説明するだけの自信が私にはないです。私は、地元福岡九区で選ばれた国会議員として、プライドを持ってこの場に立っています。

 この政令、全部がちっとするというのは、パブリックコメントにかけるとかいろいろあると思うけれども、出す政令の案を概要なりとも見せていただけないのであれば、ほかの会派は知らないけれども、私については採決を拒否させていただくということを強く申し上げたいと思います。

 委員長、差配をよろしくお願いします。委員長、理事会で議論してください。

 今のこの政令の案について提示をいただくように、理事会で取り計らっていただければと思います。

藤井委員長代理 後刻、理事会で協議いたします。

緒方委員 次に質問を移したいと思います。

 今回、特別の交付金とか、いろいろな、事態が悪くなっていったときにお金を出す仕組みがあって、最後に起債特例というのが設けられています。これも全部政令で決めるということになっているんですが、どれぐらいの起債と、あと、償還の条件はどういうふうになっているんでしょうか。

 この仕組みは、災害対応とか、あと、武力事態における国民保護法とかで同じような仕組みがあると聞いております。総務省、いかがでございますでしょうか。

的井政府参考人 お答えいたします。

 新型インフルエンザ等対策特別措置法におきまして、今回新設をいたします地方債の特例についてでございます。

 基本的に、感染症法に基づく病床確保等の措置につきまして、今回新設をいたします第六十九条の二の規定による国費のかさ上げをしてもなお残る地方負担を中心に活用いただくことを想定しているところでございます。

 したがいまして、政令で定める起債をすることができる地方公共団体につきましても、基本的に、病床確保等の措置を行う団体を規定することを想定いたしておりますが、具体的な政令の規定につきましては、今後検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

 また、償還の条件につきましては、今回の起債の特例に類する災害対策基本法の災害対策債の償還の条件、これを参考にしてまた検討をさせていただきたい、このように考えているところでございます。

緒方委員 質問のレクのときに言ったじゃないですか、その数字を言ってくれと言ったではないですか。もう一度。

的井政府参考人 お答えいたします。

 償還の条件につきましては、先ほども申し上げましたとおり、災害対策債の償還の条件、四年と書いてあるものですとか、十年と書いてあるものなどもありますが、交付税措置率のお尋ねかと思います。

 これも、災害対策基本法に基づく災害対策債の交付税措置、これを参考に今後検討してまいりたいと考えておりまして、なお、災害対策債の元利償還に対する交付税措置率でございますが、五七%を基本としているところでございますので、こうしたことも参考にして、地方公共団体による感染症対応に支障が生じないように検討してまいりたい、このように考えております。

緒方委員 最後に、病院の機能ということについてお伺いしたいと思います。

 日本病院会の相澤会長が非常に示唆的なことを言っておられまして、今回の問題点ということで、感染症法と医療法の整合性が図られていなかった、これは二類と五類の違いということがありますが、そして病院の役割の明確化と機能分担が不十分であった、連携が進んでいなかったということ、そしてかかりつけ医機能が十分に発揮できなかったこと、この三つを課題として挙げておられました。少し前の論考ですけれども、非常に私、勉強になりました。

 現在、医療法改正によって、少し横のつながりとかそういうことについて改正が行われていますが、私は不十分じゃないかと思うんですね。全てが保健所経由になったことによって医療機関間の分断が起きたことは、現在の仕組みでも解消できないのではないかと思います。

 その観点から、私がこれも面白いなと思ったのが、初期の段階ですけれども、静岡県が県の病院協会主導で、各病院のベッドの空き状況を把握できるとか、そういう仕組みを設けていました。

 こういった横の情報が共有できる仕組みというのは、ほかの県でも少しずつ広がってきているということでありますが、これを全国的に制度化してはどうかと思うんですよね。そうしないと、医療機関間で、何でうちだけこんなに負担が重いんだとか、そういう議論が起きると思うので。

 医療機関間でのベッドの埋まっている状況とかを把握できるような仕組みを全国的に設けてはどうかと思いますが、政務官、いかがですか。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

本田大臣政務官 緒方委員にお答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、感染者、患者の入院調整において、関係者間の情報共有は重要であると考えております。これまでの新型コロナ対応におきましても、地域の実情に応じて、都道府県や、今、静岡のことをおっしゃっていただきましたが、団体において、リアルタイムで受入れ可能病床情報を地域の医療関係者の間で共有するウェブシステムを構築したところでございます。それがG―MISなどでございます。活用した関係者間での情報共有が実施をされてきました。

 そこで、今後の新興感染症患者の入院調整に当たっても、地域の実情に応じ、こうした関係者間の情報共有を行う仕組みが活用されるように検討していきたいと考えております。

緒方委員 続きまして、病院の役割の明確化と役割分担という話でありますが、これを調べていると必ず出てくる非常にショッキングな言葉がありまして、財務省の財政審議会で、なんちゃって急性期という言葉を財務省の財政審がよく使っているんですね。その機能を果たせていない急性期の病院があるんじゃないかという示唆ではないかと思います。

 財務省にお伺いしたいと思います。なんちゃって急性期という言葉、その意味を教えてください。

中村政府参考人 お答えいたします。

 財政審の資料におきまして、病床機能報告において急性期病床として都道府県に報告している一方、実際には医療資源投入量が少ない低密度医療しか行わない病床を指して、いわゆる、かぎ括弧つきでございますけれども、なんちゃって急性期と呼んでおります。

 財政当局といたしましては、限られた資源を有効に活用するには、医療機関が機能別に分化した上で相互に連携していくこと、これが重要だと思っておりまして、こうした病床の在り方の見直しを含めまして、着実に機能分化を進めていく、これが重要だというふうに考えております。

緒方委員 厚生労働省にお伺いしたい。なんちゃって急性期というのはあるというふうに思いますか。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 今の財務省の御回答でありますと、これは病床機能報告のことでございましたけれども、我々厚労省の方では、まず、地域医療構想において、病床機能報告は、各医療機関が病棟単位で担っている医療機能として、四つの単位に分けております。それが高度急性期、急性期、回復期、慢性期、これを自ら選択し都道府県に報告するものとしておりますので、各医療機関においては報告した機能を適切に担っていただいているものと考えております。

 そこで、結論を申しますと、病棟で管理をしておりますので、御指摘のような分析を行う意義は乏しいのではないかというふうに考えております。

緒方委員 では、その表現を使うかどうかはともかくとして、別に私、病院を何か潰せとかなんとかそういうことを言っているわけじゃなくて、今回のコロナ禍で、機能分化と強化が必要だと思うんですけれども、そういうことの課題が顕在化したということではないかと思いますが、本田政務官、いかがですか。

本田大臣政務官 厚生労働省では、中期的な人口構造の変化に伴う地域の医療ニーズに応じて、病床機能の分化、連携により、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して地域医療構想を進めております。

 新型コロナ対応を通じて明らかになった地域の医療機関の役割分担等の課題への対応も含め、地域の医療の実情を踏まえ、都道府県において医療提供体制の整備に取り組むように進めてまいりたいと考えております。

緒方委員 最後に、あと一問だけ。

 かかりつけ医機能が十分に発揮できなかったということなんですけれども、なぜ機能しなかったのかということと、そもそも論として、それの一歩手前として、そもそも今回のコロナ禍というのは、かかりつけ医機能が発揮されるべきだった事案だというふうにお思いになられますでしょうか、政務官。

本田大臣政務官 かかりつけ医機能についての御質問と思いますけれども、今回、改正において、かかりつけ医機能について先生方に御審議を願うこととしておりまして、一般に皆様が、地域の自分の医療資源に、そのことをまだ御存じない方がおられたのでということで……(緒方委員「聞いていない」と呼ぶ)済みません。

緒方委員 今回のコロナ禍は、かかりつけ医機能が発揮されるべき事案だったというふうに思いますかというふうに聞いています。政務官。

本田大臣政務官 今般の新型コロナ対応における課題は、かかりつけ医機能ではなく、行政による事前準備が不十分であったというふうに考えております。

緒方委員 はい、分かりました。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 今回、法案で審議している、新たにつくりたいという内閣感染症危機管理統括庁、それを新しくつくりたいのだと。三年前のコロナ発生の初動後にできたコロナ室を発展的に解消させ、平時から置く統括庁にするということです。

 先週、三月十日の時点で私も質疑に立ちました。本法案の要は司令塔機能だとおっしゃいますけれども、中身が伴っていないので全然駄目だと。そして、これをつくってコロナ無策をごまかそうとする内閣自体が総辞職しかないと言ったのが先週でした。

 そして、本日の質疑でも、様々問題が指摘されたと思うんですよ。医療体制の危機というのを見据えられていますかとか、先ほども、人権抑制、休業要請などが法的に書き込まれていないということが、これは大問題ではないかという、非常に危機的な、これを検証しないといけない、変えなきゃいけないという質疑が行われたんですけれども、それとのギャップはすごいと。だから、ふわっとした組織で、次から本気出す、このような法案というのは大きな問題があると考えます。

 そして、先週三月十日も、コロナ対策の不備を共に検証してくださいと、司令塔機能を担うんだとおっしゃっている内閣官房の後藤大臣が、共に検証してくださいということを申し上げてきました。

 そして、先週も、その一つのケースとして、地方衛生研究所、地衛研の人員不足について質問しました。

 本日は、さらに、厚労省、総務省から提供を受けたデータで、より可視化した形で人員不足の構造問題を明らかにし、解決策を求めていきます。

 内閣官房、後藤大臣が、PDCAを回すと先週の質疑で計四回おっしゃっているんですけれども、やはり、このPDCAを回す気概を見せていただけなければ、全然この法案は駄目だろうと考えておりますので、お願いします。

 おさらいになりますが、保健所とともに活動する地衛研、地方衛生研究所の機能強化については、昨年の秋、九月二日に、新型コロナウイルス感染症対策本部によって地方衛生研究所の整備が明記されましたので、共通理解になっています。そして、厚労省でも、今年一月十九日の審議会で、基本的考えとして、このように出されています。地方衛生研究所等において感染初期の段階における検査体制が十分でなかったなどの課題が指摘された、これらの課題を克服できるように、必要な体制強化に向けた取組を着実に推進することが必要だと。その同じ資料の中で、議論のまとめでは、地衛研の体制の抜本的な強化が必要だともあります。なので、根本的課題を抱えているというのは共通認識として書かれているのかなと考えます。

 まず、このパネルの地方衛生研究所について御説明します。パネル一を御覧ください。

 このグラフは、地方衛生研究所の職員数についての、過去二十年の職員数がどう推移してきたかのグラフです。二つありますのは、一つは国の財政措置、国が、計画といいますか、予算を措置した推移、それから、右側の青い方が実数、リアルの社会、リアルの衛生研究所の職員数として実際にどうだったのかという二つのグラフになっています。

 一つ目の左側のピンク色の財政措置、ちょっと難しい、マニアックなものなんですけれども、標準団体百七十万人当たりの人数としてデータ提供をいただいています。百七十万人の人口規模の自治体を標準モデルと考えて、そういった自治体の場合に、地方衛生研究所の職員は国として何人措置するのが適当だと考えるよ、そのような数字で、実際に措置されたものの二十年の推移です。二〇〇三年から直近、二〇二一まで描きました。これは、隣の実数と合わせるためです。

 財政措置のグラフは、横並びというか、右肩下がりにはなっていない。一方で、実数は非常に右肩下がりになっています。実際の数は、皆さんはお手元で資料で御覧になれますけれども、後でパネルでもお示ししますが、二〇〇三年が三千五百九十八人に対して、二〇二一年、直近の、統計が取れる最新の年度で三千九人と、ほぼ六百人下がっている。六百人、この二十年で実数として下がったんだよということなんですけれども。

 これが何を意味するか。まず、国の計画として非常に問題だった点として、財政措置、そんなに下がっていないじゃないかじゃないんですねということを言いたいんです。なぜならば、現実にはこの実数が問題になっているからです。

 例えば、二〇〇九年には、右肩下がりに下がっている頃ですけれども、新型インフルエンザが起きた、それこそ、その特措法の名前である新型インフルが起きた。そのときに、非常に混乱して、有識者からも、これは検査体制がないんだということを、その危機を指摘していましたが、国としては財政措置は変えない、増やさなかった、そして実数としては減っていったというリアルな現実があります。

 こういった、なぜ実数が減るのかということに関して、それを全部私がこのデータだけで知ることはできないですけれども、先週から指摘しているとおりに、大きく二つの問題があると思います。

 一つには、措置している人数そのものが足りていない、足りていないから独自に自治体でつけていたものに対して自治体が減らしているという可能性、それから、交付税に溶け込んでいるので、実際には、自治体の人をつける措置として、私も大阪府で公務員をしていましたから、余りこの措置人数と関係のない理屈で減らしていくという現状があります。

 そういったことの複合として、国としては、財政措置という、横に推移しているものだけを見て、いや、減らしていないしと言っても、やはりリアルの社会で、そしてその検査体制として足りないんだという、こういうことを踏まえて財政措置を決めていかなければ結局は危機管理に備えられないんだ、そういうことを申し上げたいんです。

 まず、厚労省に伺います。

 このような地衛研の実人数、実数ですね、右肩下がりであったということについて、何らか、その評価、右肩下がりになっている現状についてどう考えて、足りているのか、足りていないのか、そういう評価をされたことはありますか。

本田大臣政務官 大石委員にお答えいたします。

 地方衛生研究所の職員数につきましては、今御質問されたように、この二十年間減っております。これは、自治体において様々な業務が増える中で、同研究所については、感染症が減り、これに対応する業務が減ったことによると考えております。

大石委員 評価として聞きたかったのは、減りましたよねをお認めになったんですけれども、検査体制としてどうだったのか、よかったのか、よくないのかということを、評価としてお聞きしたいなという意味でした。改めて伺います。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 そうした今までの過程の中で、初動の対応が、検査がなかなか追いつかなかったということがございます。

 そこで、厚労省の方でも、新型コロナ感染の拡大の保健所業務の負担軽減を図るために、まず、人の方ですけれども、感染症対応業務に従事する保健師を増員する地方財政措置を講じると同時に、健康観察や生活支援などの業務について、外部委託や都道府県での業務の一元化、保健所外部からの保健師等の応援職員の仕組みであるIHEAT、こうした、デジタル化なども含め、業務の合理化、効率化を推進してきたところでございます。

 さらに、今後の新興感染症に備え、平時のうちから計画的な体制整備を進めるために、昨年十二月に改正した改正感染症法等に基づき、保健所の設置自治体に対し保健所の整備を含めた予防計画の策定や、これに対応した保健所単位での計画、健康危機対処計画の策定を求めるとともに、これらの計画策定や実施も想定し、令和五年度の地方財政措置により、感染症対応業務に従事する保健師及び保健師以外の職員を増員することとしたところでございます。

大石委員 その御説明の中で、やはりそれでは体制強化にならないなということを申し上げたいと思います。

 まず、合理化、効率化で対応しておりますというところですけれども、やはり、検査体制というのは、十分な育成が必要ですから、計画的に、それこそPDCAで、専門性の高い検査体制、それを育成していく必要があるので、外部化、外部の協力に頼って対応してきたのだという認識は誤りであると申し上げたいと思います。

 それから、これから財政措置するんだという、最後の方におっしゃったものの一つは、地方衛生研究所で、今年度の措置で、標準団体百七十万人当たり二人増やすということを対策として述べられていると思いますけれども、実数として六百人減ってきたということに対して百五十人ですから、これがなぜ足りると言えるんですか。そこを説明していただいて初めて、だからこの体制でやれるんだということになるんですけれども、それって伺ってもいいですか。通告はしていませんけれども、六百人実数として減っていて、次、百五十人措置します、でも元には全く戻っていないんですけれども、それでも足りるんだとおっしゃる何か見解をお聞きしてもよろしいですか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども政務官から答弁したとおり、地方衛生研究所の職員数は、御指摘のとおり、二十年間減っておりまして、これは、自治体において様々な業務が増える中で、感染症の動向とか、そういったことを勘案して、各自治体がそれぞれの地域の実情に応じて、その業務に見合った人員体制はこれだけだということの構築を図ってきた結果であるとは理解をしております。

 しかしながら、こういったコロナ禍といった状況の中で、やはり地方衛生研究所における体制整備が不十分であったという指摘はありますことから、令和五年度の地方財政措置において、全国で約百五十人の増員が必要だということで措置をしていただいておりまして、これは、平時のうちから計画的にやはり体制整備を地衛研においても行わなければいけないですとか、あるいはそういったことの業務に従事することを想定しておりまして、そういう事務を行う増員としては適切なものだと考えております。

大石委員 適切でないということを、自治体によってそれぞれ判断されてきたんだということをおっしゃるので、そうじゃないんだ、国がちゃんと管理しなきゃいけないんだということを次のパネルで説明したいと考えますけれども。

 そもそも地衛研というのは非常に大事な研究所でして、それは釈迦に説法とも言えるものかもしれませんけれども、今回、新型コロナが起きた初動時にも、国立感染研と協力して、PCR検査によって正確に速やかに検査をするという、そのマニュアル、誰でもできるマニュアル、どこの研究所でもできるマニュアルを整備して、そして実際にそれに基づいて検査をする、そういう機関です。なので、むちゃくちゃ大事な機関であるというのは論をまちません。

 ただ、これは二十年の歴史を遡ると、非常に、リストラの憂き目に遭ってきたといいますか、今回、みんな、パンデミックで、公衆衛生って大事なんだなと目覚めたわけですけれども、ふだんは気にしないわけですよね、見えないところで働いてくれている機関なので。なので、そういったことで、目の前の人気を保つためにパフォーマンスとして自治体の長が何か公衆衛生のリストラをやるなんということが起きたときには、これは大変なことになるんだということ、だから、ここに国の関与というものが必要だろうというふうに私は訴えているわけで、今まさに厚労省の方で審議中である地衛研の確実な体制の強化、確保というところにおいて、私は、どうしても法的に標準数、自治体に左右されずに、国としてはこの数を確保しないといけないんだというものを書き込まなきゃいけないんじゃないのかというふうに考えているわけです。

 それの一つの例といいますか、皆さんに大変なことが起きておるなと分かっていただきたくて、パネル二を用意しました。御覧ください。パネル二です。

 これは、地方衛生研究所の職員数、二十年かけて実数で減りましたというのをパネル一で御説明しました。どのぐらい減ったのかの減少率の比較です。全国での減少と大阪府の減少を比較しました。これは二〇〇三年を起点として、二〇〇三年と比べてどのぐらい、毎年地衛研の職員がマイナス何%減になってきたのかという二十年の推移を比較したものです。これを作ったのは、大阪維新の二重行政の解消、これは絶対にやってはいけないんだという証拠として示しております。これは国にも大いに関係しているんだよということで、是非一緒に検証していただきたいんですね。

 上のグラフは全国です。全国的にも、先ほどの実数から分かるように、配置の実人員は大きく削減されてきました。割合にして、二十年前と比べて、一番減ったピークが二〇一八年度、マイナス一八・七%まで削減され、その状況でコロナを迎えました。今は増やしたといっても、二〇二一年度でマイナス約一六・四%、マイナスのままである。そして、全国よりもすさまじく下がっているオレンジのグラフが大阪府。雪崩を打った後に、クレバスに落ち込んだようなグラフになっている。

 これは大阪府と言いましたけれども、具体的には、大阪府と大阪市の地衛研、地方衛生研究所の、二〇一六年度までは合計値です。そして、二〇一七年からは大阪府と大阪市の地衛研は二つを一つにまとめて、そして民営化手法で独法化されましたので、二〇一七年からは一つになっていて、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所という一つになっている。なので、大阪府と大阪市の地衛研の合計のデータとしております。この二つの研究所が大阪府内のかなりの人口を、多数の人口をカバーしているということで、このような比較にしております。

 元々、大阪府と市の地衛研は、全国トップレベルの検査体制、調査分析機能を有していましたが、公衆衛生の重要性をわきまえない知事と市長の二重行政パフォーマンスによって、全国以上にむちゃくちゃ減らされた。コロナ死亡者数は大阪府がワーストワンを継続させている。これは単純に地衛研をリストラしたからだけだとは言えません。しかし、単純検査は外にと、この二つの地衛研を一つにして民営化手法で外部化する、独法化するという議論の中でも、単純検査だから外に出していいんだとか、二つあるのは一つでいいんだとか、雑で誤った認識によって、トータルで公衆衛生の機能がコロナ禍で発揮できなかったのは間違いありません。

 国に言いたいのは……(発言する者あり)証拠はこれじゃないか。こういう開き直りを許してはいけないということですよ。国に言いたいのは、時の公衆衛生に無関心な議会与党ですとか、地方の首長ですとか、あるいは政権の誕生によって、感染症法で位置づける検査が想定以上に奪われるということがあるということです。

 そして、二〇一七年の独法化ですけれども、国は関係ないことではなくて、この独法化は国が認可しないとできませんので。全国八十五か所ある地衛研の中でも、民営化手法で独法化されたというのはこの大阪府市だけです。

 なので、このような問題が現実に起きていることを踏まえて、法律に標準人員数を書き込むことによってこのような暴挙を阻止するということが、国によってそうするということが必要な時期と考えます。そして、今ちょうど審議もやっていることですから、いかがでしょうか。厚労省にお伺いします、まずは。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、厚労省の方では、総務省に対し、健康危機にしっかり対応できる地方衛生研究所の体制を構築するために、必要な企画立案や各調整を行う職員の増員について要求を行い、厚生労働省としては要求どおり措置を認めていただいたものと考えているわけであります。

 先ほどから、標準団体の百七十万について、お話、御質問もあっておりますけれども、地方衛生研究所の業務というのは、各地方団体の人口規模に応じており、必要な職員数に差があるものでございます。このため、地方衛生研究所ごとに二名ずつというのは適切とは考えてはおりませんで、議員御指摘の大阪の件でございますけれども、これはやはり、保健所や地方衛生研究所の人員については、様々な業務がある中で、各自治体の責任の下、地域の実情に合わせて、業務に見合った人員を確保していただいていると承知をしております。

 こうした考えの下でありますので、引き続き、自治体の声も聞きつつ、保健所や地方衛生研究所の状況を注視し、関係省庁とも連携しながら、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

大石委員 何か、余り話を聞いていただいていないと思うんですよね。財政措置二名で足りないし、実数で見てくださいよという話だったので、実数で見て足りなかった、そして実数として検査の体制の拡充が必要なんだということに答えてくれていないのと、各地域でって、この現状ですから、やはりこの現状を国として何とかしないといけないと考えていただかないと、ということは申し上げておきます。

 この問題、この人員を確保せよというふうになっていないことは、遡ると、一九九四年に保健所運営費が一般財源化されたときに、こういうことは想定されて、あってはならないという話になっていたんですけれども、国として標準的な体制を示さなかったということが大きいと考えているんですよ。

 法律にそういう標準人員を書き込んでくださいというのは、何もむちゃな話を言っているわけではなくて、ほかの分野でそうされているものもありますよね。例えば生活保護の分野で、福祉事務所で、交付税での算定以外に、社会福祉法で、被保護者世帯に対する生活保護の現業員、ケースワーカーの人員を標準数として定めております。

 同様に、感染症法においても、検査は法定受託事務ですので、何らかの職員配置基準を検討して、それを、実施体制、地方自治体はほんまにやったのかということを厚労省に報告させるということぐらい、必要なのではないでしょうか。

 生活保護のケースワーカーの標準数も、大阪市はこの標準数すら守らないということで、二〇二〇年に公益通報を受けたり、問題にはなっているので、この標準数を設けたからといって、それで完璧ではないというのはもちろん存じ上げておりますが、ただ、一定のたがはめにはなりますので、是非、法律の中で標準数を書き込んでいただけないでしょうか。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 職員数や予算の基準を法定化することにつきましては、地方衛生研究所や各自治体の責任の下、地域の実情に合わせて計画的に整備されることが重要と考えており、一律の基準を設けることは適当でないと考えております。

 厚労省としては、新型コロナ感染症で明らかとなった地方衛生研究所における検査体制やサーベイランス体制の強化の必要性を踏まえ、昨年十二月に成立した改正地域法において、保健所設置自治体に対し、地方衛生研究所の機能を確保するために必要な体制整備の責務を課すこととした上で、地域保健法の基本指針において、地方衛生研究所において必要な人材確保や人材の育成、本庁と保健所との連携等の在り方について、お示しすることとしております。

大石委員 二十年、三十年かけて、コロナ禍もそうだし、その前からそうだし、こういう実際に起きた悲劇というものがあるのに、それを教訓化せずに危機に備えるというのは、ならないと思うんですよ。そもそも、この感染症対策の危機管理だけではなくて、全てにおいて、危機に備えるということが、この二、三十年で放棄されていると思うんですよ。

 具体的には、やはり、その検査体制もそうですけれども、人の育成には時間がかかりますし、専門性を持つためには、そこにお金をつけなきゃいけないのに、それを怠ってきた。外注化したりですとか、独法化したり。それで何が起きるかというと、不安定な有期の雇用になって、技術継承が怠るということは、有識者にもさんざん指摘されてきたことです。

 こういったことは、地衛研のことだけではなくて、社会全体のことだと思います。一つのこの国の社会の病理だと思っています。こういったことを根本的に改めていかなければ、感染症における危機管理というのもままならないと考えています。

 手を挙げてくださっているんですか。是非決めてください。

大西委員長 申合せの時間が経過しております。手短に、簡潔にお願いします。

本田大臣政務官 そうした感染症のものを踏まえて実施するのが、内閣感染症危機管理統括庁であると考えております。

 そこで、国立健康危機管理研究機構と地方衛生研究所の密接な連携をするということが、これに更に踏まえることであるというふうに思っております。

大石委員 まとめますね。

 そのような説明を受けてきたけれども、こういった事例を照らして、できていないんじゃないんですかということを言っていたんですけれども、相変わらずそのお答えだったので、無理だなと思いましたけれども、厚労省の審議というものを見詰め、私もそこに、状況が変わるように追及していきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

大西委員長 この際、御報告いたします。

 厚生労働委員会との連合審査会は、明十六日木曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十四分散会


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