衆議院

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第14号 令和5年4月19日(水曜日)

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令和五年四月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      石原 宏高君    尾崎 正直君

      大野敬太郎君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      鈴木 貴子君    田野瀬太道君

      平  将明君    中野 英幸君

      中山 展宏君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    牧島かれん君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      神津たけし君    中谷 一馬君

      太  栄志君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    北神 圭朗君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (孤独・孤立対策担当)  小倉 將信君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (内閣官房孤独・孤立対策担当室長)        山本 麻里君

   政府参考人

   (内閣府休眠預金等活用担当室室長)        小川 康則君

   政府参考人

   (警察庁サイバー警察局長)            河原 淳平君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           押切 久遠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     新谷 正義君

  田野瀬太道君     あべ 俊子君

  牧島かれん君     鈴木 貴子君

  山岸 一生君     神津たけし君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     三谷 英弘君

  新谷 正義君     池田 佳隆君

  鈴木 貴子君     牧島かれん君

  神津たけし君     山岸 一生君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     田野瀬太道君

    ―――――――――――――

四月十八日

 孤独・孤立対策推進法案(内閣提出第三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 孤独・孤立対策推進法案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、孤独・孤立対策推進法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小倉国務大臣。

    ―――――――――――――

 孤独・孤立対策推進法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小倉国務大臣 ただいま議題となりました孤独・孤立対策推進法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近時における社会の変化により個人と社会及び他者との関わりが希薄になる中で、日常生活若しくは社会生活において孤独を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある者の問題が深刻な状況にあります。

 この法律案は、孤独、孤立の状態となることの予防、孤独、孤立の状態にある者への迅速かつ適切な支援その他孤独、孤立の状態から脱却することに資する取組について、その基本理念、国等の責務及び施策の基本となる事項を定めるとともに、孤独・孤立対策推進本部を設置すること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な孤独・孤立対策に関する施策を推進することを目的とするものです。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、孤独、孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会の変化により孤独、孤立の状態にある者の問題が深刻な状況にあることに鑑み、孤独、孤立の状態にある者の問題が社会全体の課題であるとの認識の下に、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図ることが重要であることを旨とすること等を基本理念として孤独・孤立対策を行わなければならないことを定めるものです。

 第二に、国及び地方公共団体の責務、国民の努力、関係者の連携及び協力等について定めるものです。

 第三に、孤独・孤立対策に関する施策として、その推進を図るための重点計画の作成、孤独・孤立対策に関する国民の理解の増進、相談支援の推進、関係者相互の連携及び協働の促進、当事者等への支援を行う人材の確保、養成及び資質の向上、地方公共団体及び当事者等への支援を行う者に対する支援並びに孤独、孤立の状態にある者の実態等に関する調査研究の推進について定めるものです。

 第四に、地方公共団体は、孤独・孤立対策を推進するために必要な連携及び協働を図るため、当事者等に対する支援に関係する機関等により構成される孤独・孤立対策地域協議会を置くよう努めることとするものです。協議会は、その目的を達成するため、必要な情報の交換及び支援の内容に関する協議を行い、その結果に基づき協議会の構成機関等が支援を行うこととしています。また、協議会は、その構成機関等に対し、支援の対象となる当事者等に関する情報の提供等の必要な協力を求めることができることとし、協議会の事務に従事する者等は、正当な理由がなく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこととしています。

 第五に、内閣府に、特別の機関として、内閣総理大臣を本部長とする孤独・孤立対策推進本部を設置するものです。本部は、孤独・孤立対策の重点計画を作成し、その実施を推進すること等をつかさどることとしています。また、内閣府の事務に孤独・孤立対策の推進に関する事務を追加することとしています。

 なお、この法律案の施行期日は、令和六年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

大西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大西委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長吉岡秀弥君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ委員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 ただいま大臣から法案の御説明がございまして、孤独、孤立に関しての質問をさせていただきます。

 自由民主党におきましても、孤独・孤立対策特別委員会といたしまして、元孤独・孤立対策大臣を委員長とした委員会におきまして、私自身も幹事を務めさせていただいているところでございます。

 孤独、これは主観的感情でございますが、孤立、これは社会的なつながりがないという客観的な状況であります。社会参加せず、親族、友人など頼れる方がいない方々の社会的孤立状態、個人の健康に影響すると言われているところでございます。ひいては、社会また経済の損失につながるというふうにされておりまして、二〇一八年から政府が孤独対策に取り組んでいる英国におきましては、この孤独、孤立がもたらす社会的、経済的なコスト、またその研究や試算が行われているところでございまして、特に、家庭医、GPを受診する患者さんの十人に一人が疾患ではなく孤独が原因で受診、その調査結果が出ているところでございます。

 日英においては医療保険の制度が大きく異なるため、単純に比較はできないというふうに考えておりますが、仮に、我が国、受診されている方々の一割の方々がこの孤独、孤立に原因するとすれば、その規模は年間二千億近くになるところでございます。

 このような、個人及び社会、この損失の抑制に向けた第一歩として、この実態把握、大変欠かせないところでございますが、生きづらさ、地域との連携の希薄さ、こういうことも含めた形で、望まない孤独に対しての日本政府の経済的また社会的損失の現状認識はどのようにあるか、教えてください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 望まない孤独の経済的、社会的影響については、英国においては、孤独は肥満や認知症、高血圧のリスクを高める等の健康被害をもたらすこと、また、社会的なつながりが弱いと一日十五本の喫煙と同程度の健康への悪影響があること、社会的孤立は健康格差に影響があるとの研究がございます。

 また、人と人とのつながりがあることや、地域コミュニティーにおけるネットワークが構築され、いざという場合に助け合えるという安心感があることは、生活満足度の向上や社会関係資本の向上という観点から効果があることが専門家の分析で明らかになりつつあること等について承知をしております。

 政府の孤独・孤立対策の重点計画におきましては、孤独、孤立の状態は、痛みやつらさを伴うものであり、心身の健康面への深刻な影響や経済的な困窮等の影響も懸念されており、孤独、孤立は命に関わる問題であるとの認識が必要であること、政府の孤独・孤立対策においては、人と人とのつながりを実感できることが重要であり、このことは、孤独、孤立の問題の解消にとどまらず、ウェルビーイング、人の幸福感の向上や社会関係資本の充実にも資するという考え方の下で施策を推進することなどを盛り込んでおり、こうした観点から、取組を進めてまいりたいと考えております。

あべ委員 今回のこの推進法案、かなり様々な現場の方々から期待されるところも多いところでございます。

 一方、COVID―19におきまして様々な社会的影響がある中にあって、子供の自殺に関してでございます。

 対策はいろいろやっているけれども、自殺が増えている。特に、令和三年四百七十三名だった小中学校の子の自殺の数が、令和四年には五百十四という形になっているところでございます。その原因は、学校の問題、健康問題、また家庭問題とされているところでございますが、特に学校の問題に関しては、学業不振、進路の悩み、学友の問題、不和などがございます。

 スクールカウンセラーの配置も進んでいるところでございまして、相談の受皿は増えています。しかしながら、スクールカウンセラーに相談するというのは、私は、ある意味、ハードルが高い部分ではないかというふうに考えているところでございます。やはり、この問題に関しては子供たちの居場所を確保するということが重要だというふうに思っておりまして、居場所というのがリアルなフェース・トゥー・フェースの場所なのか、またネット上なのかということも含めて、さらには、この子供の自殺の問題に関しては、私は貧困だけの問題ではないというふうに考えているところでございます。

 そうしたところで質問でございますが、孤独、孤立に関する自殺対策を含め、電話対応だけでなく、SNSを更に活用したアウトリーチ型の支援の拡大が必要ではないかというふうに考えているところでございまして、また、この対応は、内閣府が孤独、孤立の対応はするけれども、自殺になると厚生労働所管という、この問題をシームレスに対策を立てていく必要があるのではないかというふうに思いますが、是非お答えいただきたいというふうに思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独、孤立で当事者や家族の置かれる具体の状況は多様であり、それらの事情やニーズに応じて、電話、SNS、それぞれの特性を踏まえた多元的な相談支援体制を推進し、その周知を図っていくことが重要と考えております。

 このような観点から、孤独・孤立対策のウェブサイトでは、利用者の悩みに応じて、支援制度に加え、電話、SNSなどの相談先を案内しているところです。特に十八歳以下の子供たちに対しては、その活用を図ることができるよう、学校において、一人一人、端末にウェブサイトのブックマークを登録するなどの配慮を文部科学省を通じて依頼しているところです。また、孤独・孤立相談ダイヤル、シャープ九九九九の試行の際には、SNSやチャットで話したい方向け専用のチャットボット、自動応答システムを作成し、利用者の悩みに応じた相談先を、ホームページ上でダイヤルと併せて案内したところです。

 引き続き、孤独、孤立で悩む方に必要な支援を届けることができるよう、SNSを含め、相談支援体制の整備、周知に努めてまいります。

 また、孤独、孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものです。当事者や家族等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、孤独、孤立の感じ方、捉え方も人によって様々です。このような孤独、孤立の問題には、当事者や家族等の状況に応じた多様なアプローチや手法により対応することが求められております。

 このため、御指摘の自殺対策を始め、既存のあらゆる制度、施策に孤独・孤立対策の視点を入れて取組を進めていく必要があると考えており、現行の孤独・孤立対策の重点計画においても、孤独・孤立対策に係る具体的施策として、自殺対策の取組の強化等を位置づけております。一方で、自殺総合対策大綱においても、孤独・孤立対策との連携について明記されているところです。

 孤独・孤立対策の推進に当たっては、引き続き、自殺対策など、他の関連施策と相互に緊密な連携を図りながら取組を進めてまいりたいと考えております。

あべ委員 是非、この連携が重要だというふうに思っておりますが、今回、私が質問するときにも、その所管がどこであるか、誰が答えるかということで、問取りの時間のときにも五十人近くの方々が出入りをされまして、官庁の皆様には大変御苦労をおかけしたところでございますが、これが、子供の自殺、また孤独、孤立に関して、本当に、縦割りでない、シームレスなワンストップサービスになっていくことを心から祈念するところでございます。

 そうした中で、スクールカウンセラーだけではなく、電話としての応対のサポート体制もございますが、やはり、子供たちにとってはSNSのつながりが大きいところでございます。そうした中で、ネット上の居場所を求める声がある中にあって、IHC、インターネットのホットラインセンターというのがございます。この運用ガイドラインが令和五年二月に改正されたところでございますが、これまでいつ改正されたかということを見ておりますと、法律が改正されたとき、また業務の範囲の見直しのあったときだけの改正にとどまっています。

 これは、私は、もっと定期的に協議会を行い、パブコメを取っていく必要があるのではないかというふうに思っております。それはなぜかというと、ネット上のキャッチする言葉、また、その言語が日々変遷する中において、どういう言語でその子供たちのSOSを拾っていくかということはまさに重要なところだというふうに思っているところでございまして、この対応の速度を速めるためにも、また的確性を進めるためにも、タイムリーな応答となるべく、このガイドラインを常に見直していくということを是非お願いしたいというふうに思っているところでございますが、このことに関して回答を求めます。

河原政府参考人 お答えいたします。

 警察庁では、先般、協議会の運営規定を改正し、本年四月一日から協議会に対するガバナンスを強化したところでございますが、委員の御指摘のとおり、変容著しいサイバー空間をめぐる脅威に迅速かつ的確に対応できるよう、タイムリーにガイドラインを見直すことは重要であると認識しております。

 委員の御趣旨も踏まえまして、協議会を確実に毎年開催するとともに、的確にパブリックコメントを実施するほか、協議会との間で随時サイバー空間の脅威の情勢等に関する情報共有を行うことなどにより、違法・有害情報に一層迅速かつ的確に対応できるよう努めてまいります。

あべ委員 是非とも、この改定を、速度を上げていただくことが、私どもは、特に、孤独、孤立の中において居場所を求める子供たち、若者たち、これが、いわゆる犯罪の温床になってしまっている、特に自殺幇助、未成年買春の温床になっているということもございますが、DM、ダイレクトメールになってしまうとそれがキャッチできなくなるので、DMに入っていくということを是非ともワーニングをしていく、警告をしていくということも進めていただかないと、インターネット、オンライン上の初心者が多い中にあって、その中に潜り込んでしまうとどうしてもサイバーパトロールができなくなってしまう、ここも含めて是非お願いしたいというふうに思うところでございます。

 次に、大臣に質問させていただきます。孤独・孤立対策に対する予算措置と体制の問題でございます。

 大変、ここは様々な方から意見をいただいているところでございまして、特に、予算措置の方向としての期間と期限と、また、所管が内閣官房から内閣府に移管されるときにおいて、そのパワーがダウンするのではないか、局長クラスは置いてもらえるんだろうか、省庁の連携がどこまで及ぶんだろうかと大変心配をされている方々がいらっしゃる中にありまして、大臣としての、これからどのように体制を整えていくかということを教えていただければと思います。

小倉国務大臣 まず、法案を提出をさせていただいて御審議いただくわけでございますので、御下問の予算についても、あるいは体制についても、決して孤独・孤立対策がパワーダウンすることはないということはしっかり申し上げておきたい、むしろ、パワーアップをしていくためにこの法案の御審議をお願いをしているということは申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、予算についてお尋ねがあったかと思います。

 孤独・孤立対策の関連予算につきましては、内閣官房において、関係府省庁の協力を得て取りまとめています。このうち、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援につきましては、孤独・孤立対策の重点計画において、当面、令和三年三月の緊急支援策で実施した規模、内容について、強化、拡充等を検討しつつ、各年度継続的に支援を行うこととされております。これに基づきまして、令和五年度予算では、令和四年度第二次補正予算と合わせて六十億円を超える規模の予算を確保したところであります。

 今回の法案では、NPO等への財政的支援は、第十三条の、「国は、」「当事者等への支援を行う者が行う孤独・孤立対策に係る活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」の規定に基づき行うこととなります。

 本法律が成立した暁には、この規定によりまして、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援に必要な予算の確保に努めていきたいと考えております。

 また、組織についてもお尋ねがございました。

 孤独、孤立の問題の更なる深刻化が懸念されます中で、社会に内在する孤独、孤立の問題への対応は、政府として恒常的に取り組むべき重要政策課題であります。また、幅広い社会的課題に密接に関連する孤独・孤立対策は、政府全体を通じ、各省庁の広範にわたる施策を総合的に推進する必要もあります。

 内閣官房は、国のその時々の重要政策の企画立案、総合調整を担う機関でありますが、その取組は、例えばNPO等の取組モデルの調査や地方自治体の官民連携モデルの開発などにとどまっております。

 このため、内閣府に事務を移管することにより、政府内の総合調整を行いつつ、NPO等の民間や地方自治体の取組への支援に係る本格的な事業を行うことを可能とすることといたしております。

 こちらにつきましても、法案が成立した後には、孤独・孤立対策の安定的、継続的な実施に必要な体制をしっかりと整備をしてまいりたいと考えております。

 なお、内閣府への事務移管後の体制につきましては、法案成立後、本年夏の機構・定員要求及び年末までの予算編成過程で具体化することといたしております。

あべ委員 大変、現場の方々からは、特に、様々な取組をやっていくけれども、その成果が具体的に出なくても、即座に予算カットするということなども含めたことはやめていただきたい、時間がかかるものもあるということは是非御認識をいただきたいということの声も上がっているところでございます。

 次に、出所者の件でございます。

 私ども、社会を明るくする会ということをやっておりまして、自民党の中でも保護司会の方々のサポートをさせていただいているところでございますが、やはり、出所者のサポート体制、保護司との連携、更生保護法人の支援と連携が私はまさに重要だというふうに思っておりまして、刑務所を出所された方々の中には、頼る御家族もいらっしゃらず、地域で孤独、孤立に陥った結果として、再犯に至っているケースが大変多く見られます。

 こうした出所者を支援しているところで、サポート体制の現状と、これから更に強化していくところがありましたら、是非法務省から教えていただきたいと思います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 刑務所出所者等の孤独、孤立を防止することは、再犯防止の観点からも重要な課題であると認識しております。

 刑務所出所者等の再犯防止のためには、息の長い支援が必要であり、保護司を始めとする民間協力者が重要な役割を担ってくださっておりますが、特定の民間協力者に過度な負担を負わせることなく、必要な支援が必要な者に行き届く仕組みが何よりも重要と考えております。

 この点、法務省においては、令和三年度から、更生保護施設を退所した者等の自宅を施設職員が定期的に訪問するなどにより生活相談支援を実施する訪問支援事業を開始し、令和四年度からは、様々な課題を抱える刑務所出所者等が地域社会で孤立することのないよう、保護司を始めとする地域における支援者のネットワークを構築するとともに、その後方支援を行う更生保護地域連携拠点事業にも取り組んでおります。

 引き続き、これらの取組を充実させるなどして、民間協力者の負担に留意しつつ、刑務所出所者等の孤独、孤立の防止と再犯防止に一層取り組んでまいりたいと存じます。

あべ委員 出所者のいわゆるお世話に関しては、保護司会の方々が大変一生懸命やってくださっているところでございまして、また、金銭的な、お仕事が見つからないという財政上の問題もあり、岡山県の津山市においては、市が草刈りなどの仕事を出し、支援をしていきながら、また、孤独、孤立に対しての対策も立てているところでございます。

 次に、私、住宅についての質問をさせていただきたいというふうに思います。

 住居の確保支援というのがございました。二〇一九年、COVID―19の影響がある前は、実は四千件にとどまっていたものが、二〇二〇年には三十四倍の十三万五千件という形で、生活確保給付金が使われたところでございます。

 住居の確保に関しましては、やはり生活困窮者に対しての大変大きな役割があるというふうに思っておりまして、それに関しまして、実は、日弁連の方から会長のコメントが昨年末に出されたところでございます。

 特に、生活困窮者自立支援制度及び保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理の中で、この制度を恒久化していく必要があるのではないかという議論もされているところでございますが、ここに関して質問させていただきたいのが一点と、また、生活困窮者自立支援法におきまして、生活困窮者を支援するのに住宅確保給付金だけが再就職支援の位置づけになっているというのは法律上の矛盾があるのではないかということも指摘されているところでございまして、ここに関して回答を求めます。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 住居確保給付金につきましては、一定期間、家賃相当分を給付する制度でございまして、これは、求職活動中の住まいの安定を確保することで自立を促進することを目的とした制度でございます。こうした自立の促進という制度の目的を踏まえますと、当該給付金の支給に伴って求職活動をしていただくということは重要であると考えております。

 御紹介のありましたように、新型コロナの感染拡大に伴いまして、住居確保給付金の支給要件の特例措置を設けてまいりました。本年四月からは、この特例の一部の恒久化や自立支援機能の強化などを図るための見直しを行ったところでございまして、今後とも、住まいに関する支援を充実強化していくことが重要と考えております。

 いずれにいたしましても、住居の確保に困難がある方への支援につきましては、国土交通省とも連携をしながら適切に検討してまいりたいと考えております。

あべ委員 どんなときでも住まいがある、居場所があるということは重要でございまして、実は、この住宅確保給付金に関しては、利用されている方々の実態調査をしたところ、生活保護の収入以下の方々もかなりいたということを聞いております。私は、ここの部分をしっかりサポートしていくことが大切なのではないかと思っておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 次に、今、あなたのいばしょというNPOの皆さんが、チャットボットを使っていきながら、世界中のボランティアを使っていきながら、二十四時間体制でいわゆる孤独、孤立の方々をサポートしているところでございますが、どうしてもフェース・トゥー・フェースの段階のサポートが次必要であるというときにあって、私は、民生委員が本当に地域においていい活躍をしているのではないかと思っているところでございますが、高齢化、なり手が少ないという問題がございます。そうした中にあって、私は、若者の支援体制をいかに強化していくかということが更に重要ではないかというふうに思っているところでございます。

 民生委員制度も百年を迎え、実は、岡山県が発祥の地でございまして、知事だった笠井信一さんが、済世顧問の制度を使っていきながら、貧困というのは個人に帰属するものではなく、社会環境とその他様々の原因が絡み合って個々の貧困者を生み出しているということで、この制度をつくり上げたところでございます。

 このなり手不足に対して厚生労働省は今どのように対応しているのか、教えてください。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に、民生委員の一斉改選、これは三年に一度行われるものでございますけれども、この一斉改選が行われました。その際、各自治体が定める定数、合計二十四万五百四十七人に対して、約一万五千人が欠員となりました。地域において担い手の確保が課題になるとともに、実際、その多くが六十歳以上である状況でございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでも、民生委員が活動しやすい環境の整備や担い手確保のために、まず、民生委員活動を広く国民に周知して、その活動への理解を促す普及啓発を行っております。また、地域の創意工夫によって民生委員の方の活動の負担軽減に資するような取組を横展開するために、自治体向けの、全国会議の場などを通じた周知などを行ってきたところでございます。

あべ委員 この民生委員制度、日本にとって重要なものでありますし、地域にとっても重要なものでございまして、これからも特に二百年、三百年と続けていくために、是非ともこれからもよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、コメントだけでございますが、技能実習制度、この問題に関しては、孤独・孤立対策、ずっと問題にされているところでございますが、余り対策がされていないようでございまして、ここも含め、特にNPO、内閣官房が支援策でカバーしていくことを、是非とも、この法案の可決後にはお願いしたいというふうに思っております。技能実習生は今転換の時期に来ておりまして、また、日本が来たい国になっていないということも含め、私は日本政府がしっかりとこの対応をしていくことが国益にも資するというふうに考えておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 今日は、質問させていただきましてありがとうございました。これで質問を終わります。

大西委員長 次に、鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 皆さん、改めまして、おはようございます。

 今日は、理事、そしてまた委員の先生方のお計らいで、私もこの内閣委員会にて委員外質問、機会を与えていただきましたこと、特に、お声をかけていただきました藤井理事、そしてまた国対の先生方にも、心から感謝をまず申し上げさせていただきたいと思います。

 私は、この孤独・孤立対策、自らのライフワークの一つとして取り組んでまいりました。

 遡れば、二〇二〇年の十一月だったと思いますが、先ほど、あべ先生の御質疑の中にもありましたように、二十四時間三百六十五日相談窓口をやっている、あなたのいばしょの大空さんから、このままでは自殺者数が過去最悪になる、これは大変ゆゆしき事態である、こんなお話をいただきまして、その足で、当時の官房長官だった加藤勝信先生のところに問題意識を共有させていただき、そして二週間後には自民党の若手有志の先生方で勉強会を立ち上げさせていただき、年明けの二月には対策室、そして大臣設置へとこぎ着けさせていただいた、こういった経緯も持っているところであります。

 この孤独、孤立、今日、大臣ももちろんそうでありますし、大西委員長を始め、今日、委員の皆さん方、それぞれの皆さんが、孤独にさいなまれた経験というものは、誰しもが経験をしていることと思います。しかしながら、今こうして我々がここにいることができるのは、友達であるとか家族であるとか、何かのちょっとしたきっかけであったり支えがあったと思っています。

 しかしながら、そういったものを運であるとかきっかけに頼るのではなくて、社会全体でやはり支えていく、いついかなるときにも、どこにどんなときに生まれようとも、あなたの命というものは貴いんだというメッセージを出していく、そういった意味でも、孤独・孤立対策、ましてや今回の推進法というものは大変意義がある、このようにも思っております。

 ただ、一方で、私自身、問題意識を感じているのは、国民の皆さんにまだこの孤独・孤立対策、政策というものがしっかりと認識、共有ができていないのではないか、政府との心合わせができていないのではないのかな、こういう点であります。

 政府がフォーカスをしようとしている孤独、孤立の違いというものを伺おうと思ったんですが、あべ先生の質疑でその点触れていただいたところでありますので、質問の二の方に早速移らせていただきたいと思います。

 この孤独・孤立対策、これまでの既存の、例えば社会福祉であるとか、若しくは引きこもり対策であるとか、虐待だとか、いじめ、自殺対策、こういったものと一体何が違うんだ、こういった声も聞こえてくるところであります。是非とも、これまでの政策若しくは施策との違い、特徴、若しくは関係性といったところでも結構です、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 孤独、孤立は、その性質上、当事者等が置かれている具体的な状況は多岐にわたります。孤独、孤立の感じ方、捉え方も様々です。こうしたことに鑑み、政府の孤独・孤立対策においては、対策を始めた当初から、当事者等が望まない孤独と孤立を対象として、それぞれの状況に応じた多様なアプローチや手法により取組を進めているところであります。

 他の各種支援施策との違いについて御質問がございました。

 既存の福祉、経済的困窮施策、引きこもり対策などの各種支援施策は、具体的に起こる問題に対応する、いわゆる課題解決型の支援を行うものであります。他方で、孤独・孤立対策では、こうした対応のみならず、孤独、孤立の問題やそれらから生じ得る更なる問題に至らないようにする予防の観点からの取組が重要と考えております。

 このため、例えば、日常の様々な分野において緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりの推進などに取り組んでいきたいと考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 今も大臣の御答弁の中にもありましたし、また、重点計画の中でも、我々が対処していく、まさにこれは国民の皆さんの税金も使わせていただくわけでありますから、この孤独、孤立というのは、大臣がおっしゃったように、望まない孤独、孤独感によって精神的な苦痛であるとか身体に何らかの支障が、影響があるような状況、そしてまた、望まない孤立ということ。

 この望まない孤独と望まない孤立という表現は、私は非常に分かりやすいなと思っております。広報といいますか周知の段階でも、こういった説明ぶり、引き続き取り組んでいただきたいと思っておりますし、既存の取組もまさに生かしていきながら、別に何か完璧に一〇〇%新しいものとかではなくて、これまでの既存のものも生かしていきながら、縦割りの弊害といったものも乗り越えながら、各省庁また横串も刺していき、予防という観点を盛り込んでいく。このポイントというのは非常に重要だと思います。

 この孤独、孤立をやっていると、自民党は何かまた価値観を押しつけているんじゃないのかというように時々言われるんですね。お一人様、例えば一人で旅行に行くことが駄目なのか、常に誰か人と一緒にいないといけないのかと。我々は決してそんなことを言っているわけでもないし、政府としてもそういったことに取り組んでいるわけではない。

 そういった中で、やはり、苦しんでいる、若しくは孤独に溺れてしまう状況、こういったものに対して必要なときにしっかりとアプローチをしていける、その環境整備は非常に重要だと思っています。

 ただ一方で、これまでの孤独・孤立政策、ともすれば、これまでの政策をただただ並べてきたのにすぎないのではないのかという御指摘もあると思います。重点計画などでも、関連施策という形で、約二百を超える事業というものが添付をされております。

 今後、例えば、先ほどもありましたが、官房から内閣府に移行をしたときにも、ただ単に施策の取りまとめであっては本末転倒である。今の大臣の答弁を踏まえても、やはり本末転倒である。全てのあらゆる施策、あらゆる取組に対して、孤独対策、望まない孤独、望まない孤立対策という視点をしっかりと入れ込んで、その事業をブラッシュアップしていく、こういったことが必要なのではないのかな、いわゆる孤独、孤立のメインストリーム化ということが一つの肝ではないのかな、このように考えますが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 法案の基本理念でも定めておりますとおり、孤独、孤立の問題は人生のあらゆる段階で何人にも生じ得るものであり、孤独、孤立の問題が社会全体の課題であるとの認識の下で、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図っていくことが重要と考えております。

 このような基本理念の下で、今後の孤独・孤立対策においては、鈴木委員が御指摘をされましたとおり、既存のあらゆる制度、施策に孤独・孤立対策の視点を入れて取組を進めることが重要と考えております。

 実際に、昨年九月に開催をした、私が議長を務めます孤独・孤立対策推進会議におきましても、私から各府省庁に対して、孤独・孤立対策の視点を入れて、各種施策の充実強化により一層取り組んでいただくようお願いをしたところであります。

 今回の法律の施行後におきましても、内閣府の企画立案及び総合調整機能を発揮することで、孤独・孤立対策の視点を組み入れた施策の推進に努めてまいりたいと思っております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。まさに視点を入れ込むと大臣からもおっしゃっていただき、大変心強く思っております。

 先ほど、あべ委員の御質問の中でも、例えば住対策、住まいの話もありましたが、今、重点計画の中でも、国交省の住宅局から出しているものは、経済的に困窮にある者が住まいを確保するのに様々な困難を抱えている、そこをしっかりとサポートしますというような形で、どうしても経済困窮とセットになっているような節があると思います。これをメインストリーム化することによって、例えば、地域づくり、町づくり、こういったところにも、人が交流をしていく、人の動線というんでしょうか、人が必ず交わるような状況をつくっていく、こういった視点というものをしっかりと入れていく、これも大事なのではないのかな、こんなふうにも思っております。

 例えば公営住宅などでも、公営住宅の一階に、例えば市役所なり役所機能の、分所というんでしょうか、支所機能なんかを持たせる、フリーで誰もが使えるパソコンだとか印刷機を置く、インターネット、WiFiの環境を整備する、こういったこともしっかりと孤独・孤立政策、かつ、それは決して経済困窮の皆さんだけではない、一億二千万人全ての日本人の方に対してのサポートである、こういったようなメッセージというものを是非とも出していただきたいと思いますので、大臣、期待をしております。よろしくお願いをいたします。

 そこで、周知の関係でもある国民理解の醸成という点で、強化月間というものを設けられると記載がされております。来年の五月からということでありますが、強化月間、毎月のように何か様々、何ちゃら月間、何ちゃら対策推進月間とあると思うんです。これはしっかりと目的そして又は目標というものを持って取り組むということが非常に重要だと思いますが、この点について是非教えてください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独・孤立対策強化月間は、支援を求める声を上げやすい、声をかけやすい社会の実現に向けた取組の一つとして、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの分科会が昨年十月に提言したものです。

 この強化月間は、関係団体や地方自治体を広く巻き込んで全国各地で集中的に孤独・孤立対策の関連イベント等の取組が行われることにより、孤独・孤立対策についての理解、意識や対策の機運を社会全体で高めていくことを目的としております。このように、全国各地で関係者を巻き込んで取組を行うためには準備期間が必要なことから、強化月間の本格実施は令和六年五月としています。

 この強化月間を効果的に実施するためには、本法案の基本理念を踏まえつつ、孤独、孤立の問題は社会全体の課題であることを中心のメッセージとしたり、孤独、孤立の実態調査を踏まえ、孤独感が高い傾向がある年代に向けた取組を中心に据えるなど、メッセージ性やターゲットを設けることが考えられているところです。

 どのようなメッセージやターゲットが望ましいか、目標の在り方も含めて、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの関係団体と連携し、令和六年五月の強化月間の実施に向けて検討してまいります。

鈴木(貴)委員 山本室長、今、目的の点はよく御説明もいただき、そしてまた、目標については今後もしっかりと議論をされていくということでありました。

 目標はやはり大事だと思うんですね。目的があるのは当たり前、あとは目標、しかも、その目標というものが可視化をしていくということだと思います。まさに地域を、いや、社会を挙げて、一人一人の力で目標を達成していくんだ、決してこれは政府だけで頑張る取組ではないと私は思っております。

 そういった意味で、例えば、地方自治体のホームページに、孤独、孤立のページに直接飛ぶバナーですとか、それを全市町村の公式のホームページ、若しくは例えば社協さんのページ、こういったところにバナーを必ず張ってもらう、これの一〇〇%達成を目指すみたいな分かりやすい目標というものに是非取り組んでいただきたいなと。これはお金のかかる話でもありませんので、是非こういったものも考えていただきたいと思いますし、私もしっかりと党の中で声を上げてまいりたいと思っております。

 続いて、孤独、孤立は、決して日本に住んでいらっしゃる日本人のみならず、在外邦人、いわゆる海外にお住まいの日本人の皆さんの孤独、孤立、考えていかなくてはいけないと思っております。というのも、現実問題として、事実として、在外邦人の死亡理由の第二位が自殺であります。これは、ここ最近の傾向ということではなくて、長きにわたっての特徴であり、しっかりと対策を取らなくてはいけないと思っております。

 外務省のこれまでの取組、在外邦人ですから海外邦人安全課の皆さんが中心だと思いますが、これまでの取組ですとか、若しくは、在外邦人の相談というもの、今、体制を組んでいただきましたが、例えば、中国は日本人が多いわけでありますが、中国からのチャットを使った相談件数とかというのはやはり低いというようなことが挙げられていて、もしかしたら、相談のアクセスというところで、やはりそれぞれの国の体制であるとか情勢、状況によってしっかりと担保がされていないのではないのかというような指摘もあるところであります。

 国ですとか地域によらず相談ができるような環境整備、整えていくことが重要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

松尾政府参考人 鈴木委員の御質問にお答えいたします。

 在外邦人の保護、支援は外務省の最も重要な責務の一つであり、各在外公館の領事自身が在外邦人からの個別の相談に応じるなど、問題の解決に向けて取り組んでおります。

 また、外務省は、在外公館に派遣している医務官が電話などで相談を受け、現地医療機関についての情報提供や適切な医療を受けるための支援を行っているほか、相談件数が多いロンドン、パリ、ソウル、シドニーの四公館では日本語で診療が可能な精神科専門医と顧問医契約を結び、必要に応じて在外邦人の支援を行っております。

 さらに、外務省は、SNS等で在外邦人からの相談を受け付けている国内五つのNPOとの間で緊急連絡体制を確立するなど、NPOと連携した取組を進めてきております。

 また、充実した相談対応につなげるためには、在外邦人の実態の把握、分析も重要と考えており、今後、在外邦人の孤独、孤立に関する実態調査を実施することとしております。

 外務省としては、これらの取組を通じ、孤独、孤立問題を始め、悩みを抱えた在外邦人に対するきめ細やかで実態に即した邦人保護の実施に努めていく考えであり、今後も必要な施策を不断に検討してまいりたいと考えております。

鈴木(貴)委員 松尾参事官、御丁寧な答弁、ありがとうございます。ただ、今、松尾参事官が外務省でこれをやっていますと言ったのは、鈴木貴子外務副大臣がいたときに外務省のお尻を愛のむちでたたかせていただいた結果だ、このように認識をしております。例えば緊急連携体制なども取組をしていただいておりますし、是非、参事官、もっともっと拡充をよろしくお願いをいたします。

 そして、実態調査、今、参事官いみじくもおっしゃっていただいたんですが、大臣、実態把握、今、二年目、取り組んでいただきました。この孤独、孤立の実態把握の中に、在外邦人が入っていないんです。ですから、外務省の予算で、外務省の取組として、今これを進めているわけであります。これは、本来であれば、孤独、孤立の傘の中で一体として取り組んでいく、そういったことが、日本政府としては、在外邦人、海外で、日本のため、日本の国益を背負って、時には日の丸も背負って頑張っている皆さんの安心、安全をしっかりと守っていますという、必要なそのメッセージにもなるんだと思っております。是非、こういったところ、引き続きの連携、更なる連携、どういった枠組みがいいのか、発信の在り方がいいのかという点、不断の議論というものを重ねていっていただきたいなと思っております。

 ここで、今、外務省からも、在外邦人の孤独、孤立の問題、非常に重要だ、安心、安全、大事だという話があったんですが、今般の法律で、孤独・孤立対策推進会議が孤独・孤立対策推進本部と、組織が改組、改編をされます。ぱっと見て、これは組織として後退をしているんじゃないかという思いを私は持っております。

 というのも、実は二〇二一年の三月の予算分科会の質疑で、当時、坂本大臣、初代大臣で、大臣ができてすぐの分科会でありますけれども、孤独、孤立というのは全省庁横断で取り組む問題なんだ、ですから、関係閣僚会議のようなものではなくて全省庁横断で取り組むべきではないかということを、私は質疑で提起をさせていただきました。そうしましたら、当時、坂本大臣は、「全省庁による関係の連絡会議をつくる、そしてその中で私が司令塔になって、そして省庁の壁を取っ払って、支援を必要としている人たちに、ここにはこういう支援がある、こういう存在があるというメッセージを発するというようなことをしていかなければならないというふうに思っております。」という答弁をいただきました。

 この答弁をもってして、関係省庁会議がおかげさまで全省庁関係連絡会議になりまして、野田大臣時代には、関係連絡会議が推進会議と、また一段上がっていただいたところであります。

 これは、今回の法律案だと、総務、法務、文科、厚労、農林、国交、環境大臣までは本部員として明記がされております。次いで、一から七までに掲げるもの、つまり今私が述べた大臣のほか、本部長及び副本部長以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者が本部員として加わることができる規定になっているんです。

 つまり、今、いかに外務省の在外邦人の対策が必要かということを、私たち、大臣も含め、委員長を含め、委員の皆さんとも共有させていただいたと思いますが、外務省が入っていない、明記されていないんです。これは後退していないかと捉えられても致し方ないのではないのかなと思うんです。これはもちろん、指定される者が入れられるということでありますが。

 大臣、これは通告をしていなくて大変恐縮ではあるんですけれども、全省庁的に関係をしていく、これまで同様の体制で、いや、これまで以上にしっかり頑張るんだという御決意のほど、是非御答弁をお願いします。

小倉国務大臣 御質問ありがとうございます。

 まず、今の推進会議よりも後退をしているのではないかという懸念があるという話でございました。

 今回、御審議をいただいて、法律が成立した暁に発足をすることになる孤独・孤立対策推進本部、これは本部長が内閣総理大臣でございます。担当大臣と官房長官が副本部長で、全省庁の大臣を本部の中に入れることができるということでございます。まさに総理大臣をヘッドとする会議体でございますので、間違いなく政府として孤独・孤立対策にコミットしていくという、そういう意思表示だと思って今回法律を提出させていただいているわけでございます。

 鈴木委員からは、在外邦人の孤独・孤立対策、より注力をすべきではないか、そういう話がございました。

 これは、当然、法律がまだ成立いたしておりませんので、まだない本部でございます。法律が成立をしていただいた暁には、しっかり、在外邦人の孤独、孤立の対策、万全を期すために、この本部の中に外務大臣も含めるよう検討を進めてまいりたいというふうに思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 大臣、ついでにと言っては恐縮なんですけれども、外務大臣ももちろん是非ともお願いしたいですし、これはデジタル大臣も入っていないんですよね。DXという問題があって、もちろんデジタルもそうだと思います。

 復興大臣だって、絶対明記すべきじゃないでしょうか。被災地における孤独、孤立の問題、何度となく言われております。

 財務大臣。これはもちろん予算に関わる問題ですから、財務大臣だってそうです。

 経産大臣。こういった商売に関すること、消費者の問題、様々にあります。

 防衛大臣。防衛省、いわゆる三公安職、これは自殺というのが非常に多い。特に、制服組。パワハラの問題だって、そして各種ハラスメント、大変、我々としては絶対、断固として許してはいけないような事案も近年あったわけであります。

 警察も入っていないんですね。警察はもちろん、自殺の取りまとめであるとか犯罪関係、これが入ってくるわけであります。

 これは全ての大臣を入れるしかないんだと思います。これまでだってそうしてきたんですから。是非とも、今回のこの推進本部でもそのようにお願いをしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

小倉国務大臣 あらゆる省庁が孤独・孤立対策にアプローチをしていただきたいというのが私どもの考えでございます。当然、外務大臣に加えまして、鈴木議員が例示をいただいた様々な省庁の大臣にも参加をしていただきたいと思います。

 このような例示をしたがゆえに、これ以外は関係が薄いように捉えられてしまいかねませんので、そこら辺は、まさに全省庁の大臣がこの本部に参加をしていただくということで我々は検討を進めているということも御理解をいただけるように、努力をしてまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 大臣は、一月二十日の大臣会見でも、孤独、孤立の推進本部は政府全体で取り組むということを早々に御発言もいただいておりましたので、もちろん大臣の心中といいますか思いは分かった上で、改めて議事録にしっかり載せていく、この思いで質問をさせていただきました。力強い御答弁、本当に感謝を申し上げさせていただきます。

 続いて、子供の自殺対策について、質問を移らさせていただきます。

 これまで、自殺対策も、基本法、理念法を作らせていただいて、おかげさまで全体の自殺者数は減った。しかしながら、ここ数年、特に子供の自殺者数というものは過去最多を更新し続けてしまっている。そして、子供の自殺者数ということだけを取り出してみれば、大人が下がっていっている中で、子供というのは実は決して減ってはいない、こういった問題があります。

 これまでの自殺対策を振り返っての反省点は何だと考えるか、そしてまた、それを踏まえての今後の対策の展望というものを是非お聞かせいただきたいと思います。

本多政府参考人 お答えいたします。

 これまで、子供の自殺防止に向けて、文部科学省等と連携をして、学校での対策や家庭への支援など、幅広い取組を行ってまいりました。

 そのような中で、令和四年の児童生徒の自殺者数が、委員おっしゃられたように、過去最多、五百十四人となったことについては、大変重く受け止めております。

 今後の対策についてですが、まず、昨年十月に策定した新たな自殺総合対策大綱では、近年の自殺者数の増加を踏まえて、子供、若者の自殺対策の更なる推進、強化を図ることとしたところでございます。

 具体的には、こども家庭庁、文部科学省、警察庁など、関係省庁とより一層の緊密な連携を図って、子供の自殺等の詳細な調査分析、子供、若者の利用が多いSNSを活用した相談事業を拡充する、また、多職種の専門家から成る若者の自殺危機対応チームで子供の自殺危機に迅速に対応していく仕組みの構築などによりまして、対策を更に推進、強化していくこととしております。

 子供の命を守るためのこうした取組に全力を尽くして、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 SNS相談等々もそうでありますけれども、是非とも、事後対応ではなくて、予防という意味での支援にしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、私は、何よりも欠けているのは、反省がない、検証がないということだと思っております。これまで様々な取組をやってきたけれども、実際に効果が出ていないわけです。

 四百十五人の子供たちが、可能性の塊のような子供たちが、未来に絶望をし、誰に頼るわけでもなく、自らの命を絶ったというのは、私は、少子化が最大の国難だというのであれば、まさに子供の自殺者数が過去最多を記録しているのは国家の緊急事態であると。緊急事態宣言を出す、そしてまた政府一丸となって取り組むという強いメッセージ、是非とも期待をさせていただきます。

 その上で、こども家庭庁の子供自殺対策に関しての立ち位置というか役割、こういった部分についても是非教えていただきたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 子供が自ら命を絶つ、こういったことはあってはならないことではないかというふうに考えてございます。

 委員御指摘のように、児童生徒の自殺者数が令和四年は五百十四人と過去最多となっていること、これはこども家庭庁といたしましても大変重く受け止めているところでございます。

 こうした状況も踏まえまして、こども家庭庁内に子供の自殺対策に関する事務を担当する室を新たに設置することといたしまして、警察庁、文科省あるいは厚労省などの関係省庁と連携して、子供の自殺対策に取り組むことといたしました。

 子供、若者の自殺対策について、これまでのいろいろな課題もございましょうから、そういったことの解決に向けて、子供政策の司令塔であるこども家庭庁としてもしっかり取り組んでまいりたい、かように考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 これまでも、文科、厚労、警察、連携をしてきたことには変わりはないと思います。どこをどのように連携を強化をしていくのか、ここが肝であります。

 そして、やはり今、この室をつくっていただいたということでありますが、こども家庭庁が立ち上がって間もないわけでありますから、これは併任のポストであります。しっかりと、我々としても、立法府としても、そしてまた自民党としても、機構要求を含めて、必要な人員の体制が取れるように、また、必要なしかるべき予算を取っていけるように、また声を上げてまいりたいと思っております。

 最後に、いわゆるスティグマ対策について質問をさせていただきたいと思います。

 今、子供、若者の話をさせていただきましたが、一方で、中高年の孤独問題、例えば自殺という指標一つを見ると、やはり中高年の男性が一番自殺者数も高い。そして、OECD調査でも、調査対象二十か国の中でも、日本人は友人などとの時間をほとんど過ごさない、ワースト一位なんですね。内閣府の調査においても、日本人は友人が著しく少なく、特に男性の四割に親しい友人がいないという結果まで報告もされております。

 終身雇用文化というものもありましたし、日本には地縁、血縁という言葉がありますが、実は、社縁、会社にいる間は自らのアイデンティティーがある、しかしながら、名刺を失った途端、いきなりアイデンティティークライシスに陥って、中高年の皆さんは、路頭に迷うというわけじゃないですけれども、孤独にどうしてもさいなまれているのではないのかと思っております。

 加えて、日本の男性というものは、自分の内心というものを他者に打ち明けるのが非常に不得手な国民性もやはりあると思っております。

 大臣は、イギリスにも出張もされた、そしてまた、メンズシェッド等々、社会的処方の視察をされたと思っておりますが、孤独・孤立対策の第一人者たる英国のまねをしたからといって、文化だとか国民性が全く違う日本では、簡単にそれが、うまく物事が進んでいくかというと、やはりそうではない、実効性はイコールではないと思っております。

 日本の国民性であるとか文化であるとか、そういったものを全て包含して考えた上で、やはりこのスティグマ対策というものは、日本の孤独、孤立を進めていく上で、実効性を高める上で非常に重要だと思っておりますが、その点について、どのようなお考えか。そして、若しくは、そういったものを対策をする上で、こんなふうに、ここにフォーカスを当てて注力していきたいというような展望があれば、是非お聞かせいただきたいと思います。

小倉国務大臣 鈴木議員御指摘のように、年初にイギリスに訪問させていただきました。孤独・孤立対策のプラットフォーム運営において中心的な役割を担う団体及び孤独、孤立問題を担当するデジタル・文化・メディア・スポーツ省と意見交換を行いました。

 実際に意見交換を行いますと、例えばイギリスでは、民間団体やチャリティーが積極的に参加をされて、社会的処方というアプローチを取っていらっしゃるところ、そういったところに大変刺激的な議論ができたと思いますし、さらに、鈴木委員が御指摘のとおり、孤独のスティグマをなくすための取組というのは、日本とイギリスで共通点、類似点があるのではないかというふうに思っております。

 非常に、イギリスでは、民間団体を巻き込んだ積極的なアプローチと、あるいはエビデンスに基づいて国民の皆さんの理解を得ていく活動、こういったところが参考になるのではないかというふうに個人的には感じましたので、引き続き、イギリスとも情報交換を行いながら、日本にとってより実効性のある孤独・孤立対策、特にスティグマ対策の問題に取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 そこで、先ほど申し上げたように、やはり、会社の中にいる、何らかのコミュニティーに属している間から、まさにシームレスに孤独、孤立に取り組んでいくというのが大事なのではないのかなと思っております。

 例えば、企業にいる間から社会活動、しかも、自分が例えば住んでいる、退職した後にも触れ合いがしやすい、交流しやすい地域の何らかのコミュニティーに参画をしていくというような取組を促進していくことが必要だと思っております。官民連携プラットフォームにはおかげさまで経団連も入っているわけですから、そういった企業の皆さんの協力というのは仰ぎやすいと思っておりますし、それがゆえに、経団連であるとか、そういった企業の皆さん方を官民連携プラットフォームに入れ込んだと私は認識をしております。

 是非、来年の五月から強化月間ということでありますけれども、今のような、会社にいる間から、社会活動、地域活動をどんどん企業が後押しをしていく、こういったような取組というものも、その強化月間の中で、一つの活動として、是非ともお考えおきをいただきたいなと思います。

 もう時間が来たところでありますが、三谷先生、あと三十秒下さい。大臣、そこについて一言、企業内の取組の必要性みたいなところを、前向きな御答弁、是非よろしくお願いいたします。

小倉国務大臣 私どもの取り組んでおります官民連携プラットフォームには、御指摘のとおり、経済界の皆様方にも入っていただいております。

 非常に我が国は、歴史的に見ても、企業が果たしてきた役割が多いと感じておりますので、しっかり、強化月間において、経済団体の皆様方にも関与していただけるように働きかけをしてまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございました。

大西委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 衆議院議員の三谷英弘です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。委員、理事の皆様、本当にありがとうございます。

 それでは、早速ではございますけれども、質問に入らせていただきます。

 今回、孤独・孤立対策をしっかりと進めていただくということにつきましては、本当にうれしく思っております。

 先日発生いたしました例の和歌山の爆発物投げ込み事件の件から最初まず紹介をさせていただきたいというふうに思います。

 今回、投げ込みされてから爆発するまで少々時間があったので、多くの人がけがをするということはなかったということでございましたけれども、実はあのとき、私もその現場におりました。総裁遊説の遊説局長として同行していた。本当に、足下に爆発物が転がって、それが爆発物であるというふうに認識するまで少し時間がかかって、SPの方が退避行動を取られたのを見て、ああ、これは異常事態なんだということで、退避に移ることができたんですけれども、そういった事件というものがあったということではございますが、まだ犯人本人は黙秘を続けていらっしゃるということで、事件の背景等々も分からない中ではございますが、報道によれば、今、無職で、そして家に引きこもりがちだというような情報も出ているところでございます。

 どういった動機があったか、また背景があったかということは分からないですけれども、今回対策をしていくこの孤独対策、あるいは孤立に対する対策というものをしっかりと取っておけば、そういった関係の事件というものを少しでも減らすことができるのではないか、そういった問題意識も持った上で、以下、質問させていただきたいというふうに思います。

 その質問をさせていただく上で、まず、事実関係の確認をさせていただきたいと思います。

 今回対策を推進していく孤独そして孤立とは具体的に何を意味するのか、その定義についてお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕

山本政府参考人 お答えいたします。

 一般に、孤独は主観的概念であり、独りぼっちと感じる精神的な状態を指し、寂しいことという感情を含めて用いられることがございます。他方、孤立は客観的概念であり、社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指すものと考えております。

 ただし、孤独、孤立に関して、当事者や家族等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、孤独、孤立の感じ方や捉え方も人によって多様であると考えております。このため、孤独、孤立を一律の定義の下で所与の枠内で取り組むのではなく、孤独、孤立双方を一体として捉え、当事者や家族等の状況等により、多様なアプローチや手法により対応することとしております。

三谷委員 今お答えいただいたとおり、一般的には主観的なものが孤独で客観的なものが孤立ということではあるわけですけれども、ただ、その中身というのは本当に多種多様なものでありまして、正直、この法律ができて、いろいろなことを推進していくということになるかと思いますけれども、では、具体的に何をやったらよいのかというのが必ずしも明確になっているわけではないのではないか、そういったことも思うわけであります。

 そういった意味で、本当に難しい課題だと思いますけれども、まず、大臣にしっかりとお答えいただきたいと思います。今回、孤独・孤立対策、この対策を推進していただきたいというふうに思っておりますけれども、その対策の重要性、そしてその意気込みについてお答えいただきたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 我が国は、人口減少、少子高齢化、核家族化、未婚化、晩婚化を背景といたしまして、地域、家庭、職場における人と人とのつながりや人間関係の希薄化といった社会環境の変化により、生きづらさや孤独、孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化をしてきました。

 こうした孤独、孤立は、当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、社会全体で対応しなければならない問題と捉えています。

 二〇二〇年以降の長引くコロナ禍の影響により、孤独、孤立の問題がより一層深刻な社会問題となっております。中でも、自殺者数の増加などは、孤独、孤立の問題もその要因の一つと考えております。今後、単身世帯や単身高齢世帯の増加が見込まれる中で、孤独、孤立の問題の更なる深刻化が懸念をされております。

 コロナの感染拡大が収束したとしても、社会に内在する孤独、孤立の問題に対し、政府として必要な施策を着実に実施をすることが重要であると考えております。

 三谷委員がおっしゃりますとおり、非常にこの孤独、孤立の問題は広範囲かつ抽象的かつ多様的な課題でもございますので、非常に困難な課題だと思いますが、それにも増して非常に社会的な要請が高まっているというふうにも思っておりますので、今回、こうして法案を提出させていただいて、成立した暁には、しっかりと体制整備と、より一層の政策の充実にも努めてまいりたいと思っております。

三谷委員 小倉大臣には是非お願いをしたいと思っております。

 少々個人的な話になりますけれども、小倉大臣は、私が卒業した中学、高校の同じ卒業生ということもございまして、いろいろなOBの方々含めて、小倉大臣のお人柄、能力については伺っております。非常にみんな期待をしておりますので、是非とも、今お話をいただいた御決意をしっかりとこれから形にしていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、続いての質問に移らせていただきますが、その大臣も今四十一歳、私は今四十六歳でございまして、世間的に言えば、ちょうど就職氷河期の世代に該当をいたします。

 この就職氷河期の世代、いろいろな方に、忘れられた世代だとか見捨てられた世代といったネガティブな言葉が言われることが多いわけですけれども、この就職氷河期世代への孤立・孤独対策として具体的にどのような対策を進めていただいているかについて、お答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先日発表した令和四年の孤独・孤立の実態把握に関する全国調査結果によりますと、就職氷河期世代と言われている三十歳代、四十歳代の孤独感に関する全体的な傾向としては、正規雇用、非正規雇用というよりは、失業中の者の方が孤独感が高い結果となっていたところでございます。

 政府としては、就職氷河期世代支援について、骨太方針二〇一九に盛り込まれた就職氷河期世代支援プログラム等に基づきまして、不本意ながら非正規雇用で働く方々や失業されている方々などの就労の支援や、引きこもり状態にある方々の社会参加の支援に取り組んでいます。

 就労支援としては、例えば、ハローワークにおける就職氷河期世代向けの専門窓口を設け、相談から就職、定着までの切れ目のない支援を実施するほか、就職氷河期世代を正社員として採用した企業に対する助成金の支給などにより民間企業での採用等を促すなどの支援に取り組んでいるところです。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当に、今お答えをいただきました実態把握に関する全国調査の結果というのが極めて示唆に富んだものだというふうに認識をしております。

 といいますのも、一般的に就職氷河期に対する施策といいますと、正規社員で雇ってください、そういったことがよく言われるわけですけれども、実は、今回の全国調査を見ると、働きたいけれども働けないという方は非常に孤独、孤立を感じるというパーセンテージが高いんですけれども、正規雇用と非正規雇用では、そこについては実はそんなに大きな有意な差はないという今回の調査があります。

 本当に、小倉大臣、この後も何度か私からも申し上げたいと思いますけれども、EBPMを重視されている、そういった活動に専念されてきた大臣だというふうに理解をしておりますので、本当に何が孤独、孤立を感じさせるのかということをしっかりと踏まえていただいた上で対策を進めていただきたい。

 なので、正規だから孤独ではない、非正規だと孤独だとかではなく、今回の調査を見る限りは、我々就職氷河期世代に関しては、失業していることが最大の問題だということだと思いますけれども、是非ともそういったことを踏まえての、ハローワーク等々での対策も含めて、失業対策をしっかりと進めていただければというふうに考えております。

 また、我々就職氷河期世代の中で、大体三十代、四十代、引きこもりになっている方々も非常に多いというようなことも認識をしております。大きな社会問題化しておりますが、この引きこもりの方々への対策としては具体的にどのようなことをされておりますでしょうか。お答えください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 引きこもり対策につきましては、孤独・孤立対策の重点計画において、引きこもり状態にある方等への支援を盛り込んでいるところでございます。具体的には、地方自治体にひきこもり地域支援センターを設置しまして、自治体における引きこもりの相談窓口の設置や居場所づくり等が進められていると承知をしております。

 引きこもり状態にある方の支援に当たっては、その背景や置かれた状況が様々であることから、一人一人の状況に応じたオーダーメイドの支援が可能になるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 引きこもりの方々へのそういった対策というものが行われている。ただ、引きこもりの方々というのは、実は自ら望んで引きこもっているという方々も少なくない。どちらかというと、自分で引きこもっている。家族がいる場合は、その家族がもっともっと外に出るようにと促しても、自分で選んで引きこもっている。

 これは調べていただきたいんですけれども、実は、引きこもっている人というのが全てみんな孤独、孤立を感じているわけではないんだろう、むしろ、引きこもっている人を抱えている家族の方が孤独、孤立を感じているのではないか、そういった意見もあるところでございます。

 是非とも、引きこもっている家族を抱えている周りの家族への支援というものもしっかりと行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 引きこもりの支援に当たっては、当事者のみならず、本人にとって一番身近な存在である御家族を継続的に支援することが重要だと考えております。

 御家族への支援については、現在進められているひきこもり地域支援センター等の取組において、家族同士が集まって、経験や悩みを共有し、不安な気持ちを解消できる場である家族会の開催について推進されているところでございまして、こうした観点から進めてまいりたいと考えております。

三谷委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 先ほどは中年の孤独、孤立について取り上げさせていただきましたけれども、続いて、子供の孤独、孤立について取り上げさせていただきます。

 一般論といたしまして、孤独や孤立から子供を守るというのは極めて大事だということは論をまたないわけでございますけれども、そういった子供の中には、両親が離婚をして心に傷を負う、そういった子供が少なからずいらっしゃる。そういった子供は孤独感を感じやすいというふうにも言われておりますが、両親が離婚をした後の子供の孤独・孤立対策としては、何か政策を、具体的な施策を講じられておりますでしょうか。お答えください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 子供の孤立への対応につきましては、それぞれの状況に応じた多様なアプローチが考えられると考えております。

 孤独・孤立対策としては、孤立しがちな子供たちの周りに信頼できる他者とのつながりを築くことができるように、既存の施策も踏まえながら、多様な居場所づくり、地域づくりなどを推進していきたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたのはまさに肝だと思っておりまして、子供本人の周りに信頼できる他者がいる、そして多様な居場所をつくっていくということをしっかりと進めていくことが、子供の孤独・孤立対策として有効に機能していくのではないかというふうに思っています。

 もちろん、子供、ちっちゃい頃はともかく、中学生、高校生になると反抗期ということも起きてくるでしょうから、自分が今住んでいる家の中の親と折り合いが必ずしもいいとは限らないですし、家に居場所がないというふうに感じられるお子様も少なからずいらっしゃるというのは当然ですが、家ではないところに居場所をつくっていく。そういった自分の家以外での居場所をつくるという意味では、信頼できる他者として考えられるのは、離婚した場合には、子供が、お父さん、お母さん、どっちが監護されているかは分からないんですけれども、監護をしていない側の親との関わりをしっかりとつくっていく。居場所をつくっていく、そして自分の周りに他者、信頼できる人をしっかりとつくるという意味では、離婚後も共同養育を行っていくということが極めて子供の孤立・孤独対策として有効なのではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘にありました離婚後の子供の養育に関しましては、現在、法制審議会において審議が進められていると承知しておりますので、その議論を見守っていきたいと思っております。

 繰り返しになりますけれども、孤独・孤立対策としては、既存の施策も踏まえながら、日常の様々な分野において緩やかなつながりを築けるような多様な居場所づくり、地域づくりなどを推進していきたいと考えております。

三谷委員 ちょっと今のところはこだわらせていただきたいんですけれども、今、法務省の法制審で取り上げられている、議論をされているのは、あくまでも共同親権という、離婚後の親の権利、あるいは子供の監護義務といったものをどちらが負うかという話、制度論の話であって、この共同養育とは全く関係がありません。共同親権になろうが、今のままの、離婚後の単独親権のままであろうが、この今の共同養育の重要性というのは変わらないというふうに理解をしております。なので、今お答えいただいたその議論を待つ必要はないと思っております。

 先ほど私が申し上げたのが、共同養育というのは、自分の家以外に子供にとって大事な信頼できる他者との居場所をつくっていくという効果があるのではないかという点なんです。その点について御認識をお答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 子供の孤立の状況というのは多様な背景があると思います。個別に様々な事情があると考えております。したがいまして、それぞれの状況に応じた多様なアプローチが必要だと考えてございます。

 先ほどもお答えをさせていただきましたように、こういう多様な事情を勘案しながら、孤立しがちな子供たちの周りに信頼できる他者とのつながりを築いていけるように、私どもとしては推進をしていきたいと考えております。

三谷委員 では、一つだけこだわらせてください。

 いろいろな事情があるし、いろいろなアプローチがあると思っていますが、共同養育というのもそのうちの一つになるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

山本政府参考人 共同養育というのをどのような定義で先生が御質問になられたかということにもなりますけれども、信頼できる他者とのつながりを築くという点で、多様な背景を踏まえて適切に対応されるべきだというお答えになります。

三谷委員 ありがとうございます。現状、でき得る限りで最大のお答えをいただいたと認識しておりますので、ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 こういった孤独・孤立対策を進めていくという上で、先ほど最初に申し上げさせていただいたとおり、本当に多くの施策というのが考えられるわけです。ある意味、どんな施策でも、子供でも中高年でも、男性でも女性でも、あるいはLGBTの方でも、いろいろ本当にその局面局面で孤独や孤立というものを感じるとしたら、それを解消することが求められていく。本当にいろいろなことが今回の孤独・孤立推進法案の中で考えていける話なのかなというふうに思っております。

 ちょっとお伺いしたいのが、現状で孤独・孤立対策の予算規模というのは具体的にどれぐらいなのか、教えていただきたいです。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独・孤立対策の関係予算については、内閣官房において関係府省庁の協力を得て取りまとめております。

 このうち、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援については、各年度継続的に支援を行うこととしており、令和五年度予算では、令和四年度第二次補正予算と合わせて六十億円を超える規模を確保したところです。

三谷委員 ありがとうございます。

 今、六十億円を超える規模を確保していただいているというお答えをいただきましたけれども、本当に、この孤独・孤立対策、その六十億円で足りるのかどうか、一つ一つの施策の効果をどう検証するかという課題とともにしっかりと考えていかなければいけないわけですけれども、でも、この孤独・孤立対策の施策を進めていく上で、その財源として考えられるのは、実は、国の予算だけではなくて、休眠預金もこれは考えられるところであります。

 御案内のとおり、休眠預金等活用法に掲げられている公益に資する活動、これは三つあるんですけれども、そのうちの二つ目に、日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に関する活動というものがありまして、その中に孤独・孤立対策というのが実は入っているんですね。

 孤独・孤立対策を進めていく上で、実は休眠預金が既に現状使われているわけですけれども、具体的には、この休眠預金を財源として、いろいろな活動が行われていると思います。そのいろいろな活動が行われている予算の総額と、そのうちどれぐらいの割合がこの孤独・孤立対策に使われているかについてお答えいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 休眠預金活用制度は二〇一九年度から本格的な運用が開始されまして、これまでに累計で約八百の事業に支援を行っているところでございます。直近、二〇二二年度で申しますと、九十六億円の予算を計上しておるところでございます。

 この支援に当たりましては、今先生がおっしゃいましたとおり、優先的に解決すべき社会の諸課題、これらを掲げまして、申請団体がそのうち該当するものを選択して申請する、このような仕組みになってございます。そのうち、孤独、孤立や社会的差別の解消に向けた支援、これに該当するものは約四百、これはほかの類型との重複も含んだものでございますが、八百のうち四百がこれに該当する、このような状況でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 今お答えいただきましたとおり、約百億円近く、今、休眠預金を社会的課題の解決に使っていく、そのうちの大体半分ぐらいの金額を孤独、孤立に関係する施策のために使っていただいているということで、実は結構、それはそれでちゃんとやっていくことができているという形になります。

 ただ、実は、この休眠預金を活用していくというのは一つ大きな課題というものがございまして、何かといいますと、実は、この休眠預金を使って施策をするというのは、この法律を作るときに言われていたんですけれども、行政の手が届かない社会的課題を解決するために休眠預金等を使っていくという大命題があるんです。

 今回、孤独・孤立推進法ができて、国の施策として孤独や孤立を解消していくということが、国の施策でどんどん予算がついていくという形になると、今せっかく、九十六億円の半分だから五十億円とざっくり計算をするにしても、それが実は孤独、孤立に使えなくなってしまうということになっては元も子もないんだと思っています。

 休眠預金と、これから国が進めていく、この孤独、孤立支援を進めていくような予算、二つをうまく両立させていかなければ、孤独・孤立対策は本当にうまくいかないんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、その問題について、是非ともそれを両立させるような形で進めていっていただきたいと思いますけれども、この点についてどうお考えでしょうか。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 休眠預金活用制度は、国民の皆様の預金から生ずる休眠預金、これを活用して民間の団体が行う共助の活動を支援する、このような趣旨で創設されたものでございます。そのため、行政施策、いわゆる公助の肩代わりになってはいけない、このようなことに留意して運用してきたところでございます。

 一方で、孤独・孤立対策の分野における課題は、とりわけ多様、それから刻々と変化するものと認識をしております。そうしますので、これに対する施策も、既存の施策体系を行政と民間で切り分け合うというよりも、双方の特徴を生かしまして、お互いに手を携えるように拡充、発展させていく、このような視点で進めることが重要かというふうに考えてございます。

 そうした視点に立ちまして、この休眠預金活用制度に関しましては、孤独、孤立に係る方に関しても積極的に活用、支援してまいりたい、このように考えておるところでございます。

三谷委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 孤独・孤立対策、しっかりとお金を、予算を投じていくという流れが止まらないようにということでお願いをできればというふうに思っています。

 ただ、これはもう繰り返し繰り返し、昨日は本会議場でも太委員も御質問されましたけれども、EBPMというものを本当に大事にしていかなければいけない。どういう施策を打てばどういう効果が生じるかということについて、是非とも科学的なアプローチというものも行っていただきたいというふうに思っております。

 その意味で、いろいろ自分の方でも調べました。以前、文部科学大臣政務官を私も務めさせていただいて、科学技術を担当させていただいて、大学の意義とかそういったものもいろいろ勉強させていただくと、こういうときにこそ多分大学はちゃんと仕事をするべきなんだろうなというふうに思っています。

 そこで、調べたところ、ちょっと面白いものが見つかったので紹介をさせていただくんですけれども、内平教授、中嶌教授、安枝教授、これは兵庫県立大学の先生方が発表された、二〇二三年二月に公表された論文で、「孤立・孤独予防に資する社会的選好と空間的選好の比較」という論文がございます。

 これは是非、どこかのタイミングで、関係される方々は目を通していただいてもいいかなというふうに思うんですけれども、兵庫県で、ウェブアンケート等を取って、その人の特性とか、もちろん男女とか年齢とか、そういったところと、その性格、いろいろと分析をした結果、面白いような結果が出たわけです。

 この結果だけ御紹介すると、もう時間もありませんので簡単に御説明すると、外向性が高まると、孤立・孤独型になる確率が一・二%減少する、非孤立・孤独型になる確率が二・六%減少する。協調性が高まると、孤立・孤独型になる確率が〇・四%減少し、孤立・非孤独型になる確率が〇・八%減少する。

 それぞれの特性に、ポイントポイントで、この性格が一段階高まるとどういう影響があるかということを、非常に詳しく分析をしているんですね。

 それで、結局何が一番有効かというと、これは当たり前な話なのかもしれないんですけれども、一番影響が大きいのが、社会貢献経験があると孤立・非孤独型になる確率が六・九%減少する。分析変数としては最大の効果を持つ、社会貢献経験の重要性が裏づけられたりとか。面白いのは、知的謙虚さが一ポイント高まると孤立・非孤独型になる確率が一・二%減少する。非孤立・非孤独型は助言を受け止めやすい傾向にある。そういった話とか、他者への配慮についてどうか、いろいろあるんですけれども、最終的に何を言いたいかというと、このモデルで、孤立・孤独型は、男性が多い傾向があり、年代が高く、世帯収入と外向性、協調性、他者配慮が低いみたいな分析がされています。

 そういった、男性である、女性である、そしてその中で、収入が多い、低い、他者配慮ができる、できない、そういった一つ一つのパラメーターを分析していくと、実はこういう傾向がありますよというように、実は類型化することができます。

 その中で、特に今申し上げたいのが、孤立・非孤独型は男性である傾向が高いということで、いろいろあるんですけれども、そういった孤立・非孤独型の方は、社会貢献経験を持っていないが、知的謙虚さや他者配慮が低い傾向があり、他者の助言を受け入れにくい傾向があるが、開放性が高いという特徴があるため、新たな挑戦の機会を社会的に処方していくことも有効かもしれない。つまり、いろいろなことに挑戦をさせると孤独、孤立が解消されますよということが結論づけられているんです。

 もう時間がなくなりましたし、先ほど私の大事な二分を鈴木貴子先生にお譲りしておりますので、これで終了させていただきますけれども、なので、本当にそれぞれの立場によって、それぞれの特性によって、こういう施策を打つとこういう人には効果があるというのは、実はある程度分析をすることができます。

 なので、最後に聞こうと思ったんですけれども聞きませんが、是非、小倉大臣にも、いろいろな趣味を持っていただいて、その上で、いろいろな方とつながりを持って、将来的にも孤独、孤立にならないようにしていただければと思っております。

 以上、私の質問を終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。

宮路委員長代理 次に、平沼正二郎君。

平沼委員 自由民主党の平沼正二郎です。

 本日は、質問の機会をいただきましたこと、理事、委員各位に御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 もう自民党四人目ということなので、出尽くした感があるかもしれませんけれども、早速質問に入らさせていただきます。

 この孤独、孤立という問題に当たり、政府においては、令和三年二月に、孤独・孤立担当大臣が設置され、内閣官房に孤独・孤立対策担当室ができたことをスタートとして、同年十二月には孤独・孤立対策の重点計画の策定等が行われております。

 今回、本法律の提出の背景として、この孤独、孤立という社会問題が、やはり新型コロナウイルスの、急激な社会構造の変化が大きかったのではないかなと認識をいたしております。私が思うには、コロナ以前より内在していた問題というのが、このコロナというものによって多くの方の生活を一変をさせてしまう現象が起こり、より際立ってこれが顕在化をしてきたのではないかなと捉えております。

 つまりは、この孤独、孤立という問題は、現在の日本の社会構造のひずみみたいなものから徐々に徐々に蓄積されて顕在化してきたもので、原因とか要因というのは多岐にわたるものであり、この問題を解決していくためにはやはり様々なアプローチが必要であるかなと思っております。先ほど来から質問の中にも出ておりますけれども、子供であったり、中高年、若者、引きこもり、一人親、保護司や在外邦人みたいなお話もありましたし、住まいや公共団体、役割など、まさに省庁横断的に、政府一丸となって対応策を策定をしていかなければなりません。

 そして、この度の法律策定に当たり、孤独・孤立対策推進本部の設置をされるということになりますけれども、改めて、この孤独・孤立対策推進本部の役割とその意義を教えていただけますでしょうか。

小倉国務大臣 平沼委員から、孤独・孤立対策推進本部についての意義そして内容についてお尋ねがございました。

 社会に内在する孤独、孤立の問題につきましては、コロナの感染拡大が収束したとしても、政府として必要な施策を着実に実施することが重要です。また、単身世帯や単身高齢世帯の増加により、委員御指摘のように、今後も孤独、孤立の問題の更なる深刻化が懸念をされております。

 こうした中、私どもといたしましては、孤独・孤立対策の安定的、継続的な推進体制を整備することがより一層必要であると考えております。また同時に、孤独、孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものでありまして、幅広い社会課題に密接に関連する問題でありますことから、孤独・孤立対策は、政府全体を通じて、各省の広範にわたる施策を総合的に推進する必要もあると考えております。

 こうした観点に立ち、国におきましては、本法案により、内閣総理大臣を本部長とし、閣僚級で構成をする孤独・孤立対策推進本部、これを内閣府に設置することにいたします。この孤独・孤立対策推進本部は、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を盛り込んだ孤独・孤立対策重点計画を作成し、その実施を推進する等の役割を有する機関であります。

 孤独・孤立対策の政策基盤となる重点計画を各省庁の政策責任者である閣僚級で構成する孤独・孤立対策推進本部が作成等をすることによりまして、政府一体となった孤独・孤立対策を更に推進することになるというのが大変意義深い点であると考えております。

平沼委員 小倉大臣、ありがとうございます。

 やはり、より強力な体制をつくっていただくということで、実際にこれを進めていただきたいと思いますし、実効力をしっかりと伴っていただければなと思っております。

 また、現状の重点計画を見ると、ある意味、各省庁が本問題に関して該当するものを列挙しただけではないかというようなお話もあったりして、そういった部分もあるんですけれども、今回この本法が施行されることにより、現状の施策において、いろいろあると思うんですけれども、やはり、その重複部分がないのかという部分も、見直しというのも、各省庁がしっかりと連携して、横串の話がさっきから出ておりますけれども、取り組んでいただいて、より実効性が高いものを、施策の立案とそして実行、是非ともお願いをいたしたいと思っております。

 次に、少し個別な内容の質問に入りたいと思いますけれども、本法律第六条において、国、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するように努めるものとすることとあります。

 当然のことながら、国が対策の全てをやはり行うことができませんので、多くの部分は、実行者として、地方公共団体であったり、こういった皆さんに協力いただいたり、様々な施策、支援の実行に今現在やはり細やかな対応をしていただいているのが、私はNPOの皆さんではないかなと思っております。現状においても、子供の居場所づくりの支援であったり生活困窮者の支援であったり高齢者支援など、NPOの方々には多岐にわたり御協力をいただいているという現状がございます。

 一方で、今、一部、NPOの実態について疑義が生じ、トラブルになっているような事例もあるようでございます。当然のことながら、委託事業者としてNPOの皆様に御協力をいただかなければ本法律の実効性の高いものの施策実行というのは難しいと認識はしておりますけれども、ある程度、やはり活動実態等に関してガバナンス的な観点も私は必要ではないかなと思っております。

 現状において、支援実施先、NPOの取組状況報告等の体制がどのようになっているか、教えていただけますか。また、本法律の成立によって、NPOや地方公共団体の取組に関してのガバナンスの観点の変更などありましたら、教えていただけますでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 NPO等への支援のための国庫補助事業等を実施する場合には、事業実施主体が責任を持って、適正な執行に向けた補助対象団体に対する指導監督を行う必要があると認識しております。

 内閣官房は、これまでNPO等の取組モデルの調査や地方自治体の官民連携モデルの開発などに取り組んできましたが、組織の性格上、NPO等を直接支援する取組は行っておりません。

 今回の法案では、現在の内閣官房の孤独・孤立対策の事務を内閣府に移管することにより、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への本格的な支援が可能になります。

 今後は、こうした団体への直接支援を行う場合には、御指摘のガバナンス機能を確保しつつ、NPO等の持続的、安定的な活動に向けた支援を実施する必要があると考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 より強力な体制で支援もできる上に、さらに、ガバナンスの観点というのもしっかりと機能してくるということなので、引き続き、実際に現場で支援をいただく方々にしっかりと対応していただきたいと思っております。

 そしてまた、これは現場のお話になりますけれども、先ほどあべ先生からもありましたけれども、地域の最も身近な現場で孤独、孤立者の実態把握や相談サポートを行っていただいているのが民生委員の方々でございます。

 ちなみに、私の地元岡山県では、先ほどもありましたけれども、民生委員発祥の地と言われておりまして、一九一七年、大正六年に岡山県で創設された済世顧問制度がその起源とされております。

 無報酬で志高く活動いただいており、私も日々感謝しかないんですけれども、しかしながら、やはり現状の活動において、高齢化加速による見守り対象者の増加であったり、そして、それらを取り巻く介護の相談であったり経済面での相談、また民生委員は児童委員も兼務しておりますので、核家族化や共働きの増加により地域における子供の見守りというのも非常に変化している中、地域における子供の子育て相談であったり、児童対応、民生委員への負担というのはますます増えているような状況下でございます。

 また、民生委員のなり手も不足しておりまして、このような、民生委員に対しても様々な今課題がありますけれども、本法律施行後においても、民生委員の皆様方にやはり引き続き御協力をいただかなければいけないかと思いますし、それが重要かと思っておりますけれども、現状において、この辺り、どのような見解をお持ちでしょうか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 民生委員の方々につきましては、地域住民とのつながりを維持するために、日々、地域の実情に応じた活動を行っていただいているものと承知しております。

 現在の状況でございますが、昨年十二月に民生委員の一斉改選が行われまして、各自治体が定める定数二十四万五百四十七人に対して、約一万五千人が欠員となっております。地域において担い手の確保や業務負担の軽減が課題であると認識をしております。

 厚生労働省といたしましては、民生委員の方が活動しやすい環境の整備や担い手確保のために、地方交付税による民生委員活動費、これは実費相当分ということで一人当たり年額六万二百円でございますが、この要求をしております。また、民生委員、児童委員の方が相談援助の活動を行う上で必要な知識、技術を習得するための研修、こちらへの補助も行っております。

 また、民生委員の活動を広く国民に周知して、その活動への理解を促す普及啓発も行っております。加えまして、地域の創意工夫による民生委員活動の負担軽減に資する取組の横展開のために、全国会議の場などを通じて自治体への周知などを行っております。

 今後につきましては、民生委員の業務内容や業務量等の実態を把握するための調査をすることとしております。その上で、民生委員活動の支援体制の在り方等を議論することとしておりまして、その中で、民生委員の方の業務負担の軽減策、活動の支援策についても検討してまいりたいと考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 当然のことながら、孤独、孤立予防やきめ細やかなケアをするためには、民生委員の体制の強化はやはり必要であると思いますし、先ほど御答弁いただいたとおり、今後、実態の把握や調査もしていただくということでございますので、現状において様々な課題があるかと思いますけれども、引き続き、先ほど言っていただいたように、課題の把握をしていただいて、そして、本当に志高く働いていただいている民生委員の皆様がより活動しやすい環境の整備をよろしくお願いをいたします。

 引き続き、民生委員活動に関してお伺いをいたします。

 私、実際の地元の民生委員の方からヒアリングをしたところ、民生委員の皆さんの権限の制限等々もあって、なかなか踏み込んで個人の方にケアしていくというのが、限界も感じているというような意見もございました。

 こうした状況を少しでも改善するため、例えば岡山県においては、県警と民生委員が協定を結んで情報連携を図るような取組というのも行われております。県警の中に民生委員の方々から相談を受け付ける連絡先というのを明確化して、日々の活動に役立っているというような御意見もございました。

 例えば、孤立の世帯がごみ屋敷化してしまって、ごみが一般道路にはみ出してしまう、そういったところを何とかしてほしいと地域住民の方から民生委員の方に相談が来てしまう、そういったときに、そういった状況があることを警察の方に伝えておいて、もし何かあった場合、迅速に対応ができるような体制というのも整えていただいております。

 全国の取組として、このような関係組織間での連携強化の視点というのも私は必要じゃないかなと思っておりますけれども、見解をお伺いいたします。

本多政府参考人 お答えいたします。

 民生委員は、地域における最も身近な相談相手として、ごみ屋敷もそうでございますけれども、様々な課題を抱える住民への相談支援、訪問見守り活動など、住民ニーズを踏まえた多様な活動を行い、関係機関へとつなぐ役割を担っておりますので、委員御指摘のとおり、関係機関との連携も重要であると考えております。

 先ほど申し上げました、民生委員の業務の実態の把握をこれからする予定でございます。その中で、民生委員活動の支援体制の在り方などを自治体、関係団体、学識者を交えて議論することとしております。その中で、関係機関と連携した効果的な民生委員の活動事例についても収集をして、自治体に周知をしてまいりたいと考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 好事例というのは多分、岡山県だけじゃなくて、ほかの県等々にもあると思いますので、そういった取組を是非いろいろと周知していただいて、よりよい活動につなげていただければなと思っております。

 孤独、孤立を生まないためには、やはり何かしら人のつながりをつくるということが非常に重要ではないかなと思います。しかしながら、つながりというのをなかなかつくりにくい社会構造に今なっているのではないかと感じております。特に都市部においては、他人と関わる機会が圧倒的に不足しているかと思います。

 私の地元などでは、やはり地域のお祭りであったり、町内会、老人会、文化祭、サークル活動、いろいろありまして、おせっかいな部分も多少ありながら、何かしらつながりをつくる機会は都市部よりは多くあると思います。しかしながら、都市部においては、そのような地域活動も少なく、単身世帯は孤独、孤立に陥りやすいと感じております。こういったつながりが希薄な方が孤独、孤立者になってしまう予備軍であり、このような方々が深刻な状況に陥る前に、やはり、相談をできる場というのをつくっていくというのが重要であるかなと思っております。

 つながりがない方がどうやって誰かに相談をしたらよいか分からないという状況下でありますので、相談窓口の充実というのが非常に重要ではないかなと認識をしております。電話相談窓口に関しては、現状は期間を絞った形での試行の事業かと認識をしておりますけれども、今後は、こういったものをやはり定常化を含めて検討するのが重要かと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独・孤立相談ダイヤルについては、孤独、孤立に関する個人の悩みが複雑化、多様化し、相談窓口も分野やエリアに応じた様々なものが存在する中で、各相談窓口の主体のみでは複雑多様な課題への対処に限界があることや、相談者の立場からは様々な相談窓口があるがゆえに相談を諦めてしまう状況を打開することを狙いとして取り組んでおります。

 具体的には、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム関係団体の御協力を得まして、シャープ九九九九という分かりやすい番号から一元的に相談を受け付け、必要に応じて相談から支援制度や地域の支援機関につなげる実践的な試行を行っており、これまでに四回実施したところです。

 これまでの試行事業により、まず第一に、ワンストップの総合的な相談支援体制の素地を構築し、全国各地の相談支援機関の関係づくりに貢献できたということ、それから第二に、孤独、孤立の相談に対する対応方法等の共通認識や技術の向上に資するものであったということ、最後に、既存の相談ダイヤルに相談していない新たな相談者に対応することができたといった一定の成果を得ることができたと考えております。

 一方で、今後の本格実施に向けて、相談員の体制の強化、相談と支援をつなぐコーディネーターの育成、確保、若年者への対応等が課題になっております。

 これらの課題を踏まえて、更に試行を実施しつつ、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの関係団体とともに、本格実施に向けた環境整備に取り組んでまいります。

平沼委員 ありがとうございます。

 先ほどの電話試行のお話を中心にお話もいただきましたけれども、レクの中では、やはりチャットボットを利用したようなものの相談窓口であったりというのも検討されているということもありました。やはり、若年層には電話というとなかなかハードルが高いかなという部分も私は個人的には思っておりますけれども、最初の相談の入口として、チャットボットであったり、SNSなどライトなものから始まって、深刻な状況のものであれば、そこからアウトリーチをかけていって救っていく、こういったことも重要かと思います。

 ちなみにですけれども、私、前職はIT関係とかもおりましたので、ちょっと気になったので、SEOみたいな話もやってみたんですけれども、孤独、孤立とかと調べれば、今、内閣府のページの窓口が出てくるんですけれども、例えば、なかなか、孤独、孤立単独で検索する方って少ないかなと思っていまして、実際に、例えば、寂しい、会社で孤立、相談などという複数ワードで検索するのが多いかなと思いましてやってみたところ、現状、三ページ以内ぐらいまで出てこないという状況がありますので、本当に細かいことなんですけれども、やはり、安心できる、確実性のある政府の窓口が表示されやすいようなちょっとした工夫というのも私は必要かなと思いますので、この辺りの検討、強化もお願いをいたしたいと思います。

 次は、ちょっとなかなか難しいことではあると認識しながらもお伺いをいたしますけれども、私、先ほども申し上げましたけれども、民間の会社に勤めていたということと、自分で会社経営もしておりましたので、必ず、やはり施策の実施においては、計画段階からレビューに対しての考え方というのを求められます。どういう計画で実施して、そしてレビューして、対策と改善を行って、次のアクションにつなげていく、いわゆる、よく言うPDCAサイクルと言われるものですけれども。

 各省庁が行う施策においては、必ずしも明確な数値目標であったりを立てにくいという部分はあるかと思うんですけれども、一定の効果があったのかなかったのかというのは、やはり次の施策につなげていることに関しては非常に重要じゃないかなと思っております。私は、政治家になって常々感じているんですけれども、やはりこの辺りの評価と見直しのサイクルというのが、各施策、薄い部分もなかなか多いのかなと思っております。

 それにつきまして、本法律施行後の各施策の評価に関しては、現時点ではどのようにお考えをいただいていますでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づき作成する孤独・孤立対策重点計画に定める施策について、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の時期を定めるとともに、適時に、目標の達成状況の調査を行うこととしております。これらの規定により、予算関連の施策を含めて、孤独・孤立対策に係る施策の評価を適切に実施していきたいと考えております。

 孤独・孤立対策の総合的な評価、検証については、孤独、孤立の問題を抱える当事者等の状況が様々であることから、定量的な効果測定は難しい面があると考えております。また、これまでの有識者会議においても、孤独・孤立対策では継続性が大事であり、評価という手法がなじむのかといった御意見や、取組のプロセスを見ていくことが重要ではないかといった御意見があったところでございます。

 いずれにしましても、孤独・孤立対策の評価指標は、今後検討が必要な課題と考えておりまして、引き続き検討してまいります。

平沼委員 答弁ありがとうございました。

 今後もしっかりと検討していただくということで、先ほど、EBPMみたいな考え方もありましたけれども、やはり、実行して、しっかり結果を見て、また次にアクションにつなげるというのが、よりよい、孤独、孤立を減らしていくということにつながってくると思いますので、取り組んでいただきたいなと思っております。

 次は、個別の施策に対しての質問をさせていただきます。

 現在、子供のいる世帯というのは徐々に減少しておりますけれども、一人親世帯は、平成五年から平成十五年までの十年間に、九十四・七万世帯から百三十九・九万世帯へと約五割増加した後、ほぼ同水準で、今、横ばいで推移をしていると認識をしております。

 特に、一人親でも母子世帯は、子供が小さい場合は、やはり子育ての負担も大きく就業も困難など、多くの悩みを抱えて、孤独、孤立に陥りやすいのではないかと思っております。

 そのような中、一人親世帯に対する居住支援を行うことは大変重要であると認識をしておりまして、支援事業者に対しての補助が十分ではないという声を、実際この事業をやられている方から私は聞いておりまして、具体的には、私の知り合いの建築士の方が、シングルマザー向けのシェアハウスの運営をしております。

 例えば、その方が、シェアハウスの開設に当たって、比較的安い物件をベースに造り替えていくようなことをされるんですけれども、そうすると、大体築年数が古いということもあって耐震の補強をしたりとかするわけでございまして、そうすると、やはり必要なコストが非常に跳ね上がったりします。

 さらにまた、実際にシングルマザーで入居をしたいという方々というのは、やはりなかなか仕事がない状態。住所がないので仕事ができないみたいなこともあって、最低限のスタートを切れるために、このシェアハウスに入ってもらうんですけれども、そうすると、やはり家財道具であったりとかいろいろなものは、こっちの事業者側で準備してあげないとスタートできないというのもあります。さらには、やはり家賃設定というのも低くしていかないと、なかなか継続性が難しいというのもあって、その事業者の方は、今、結構持ち出しでこの辺りをやっていただいておりまして、この前ちょっとSNSでつぶやかれていたのが、一千万円をもう超えたということで、だけれども、しっかりと救っていきたいからやっていくというような志でやっていただいているんですけれども、やはり、志ではなかなか運営も継続するのは難しいという状態もいずれ来る可能性も高いと思っております。

 こういった状況下がある中、本法律施行により支援拡充というのも非常に期待をしたいところでございますけれども、現状の見解をお伺いいたします。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一人親世帯など、住宅確保に配慮が必要な方々が安心して生活を送ることができるよう、居住の安定の確保を図ることは大変重要というふうに認識をしてございます。

 国土交通省におきましては、平成二十九年に創設をいたしました住宅セーフティーネット制度において、子育て世帯等の要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅の登録でありますとか、入居支援等を行う居住支援法人の仕組みというものを設けて、これらの取組に対する支援を行っているところでございます。

 具体的には、セーフティーネット登録住宅において、耐震改修でありますとか、シェアハウスにするための間取り変更等の改修工事を行う場合に補助を行いますとともに、居住支援法人への支援については、令和五年度予算において、前年度より予算を増額するなど、支援の充実にも努めているところでございます。

 引き続き、関係省庁、そして地方公共団体と連携をし、現場で居住支援活動に携わっておられる方々の声もしっかりお伺いをしながら、一人親世帯を含めた居住の安定の確保に取り組んでまいります。

平沼委員 ありがとうございます。

 様々な強化も今後もしていただけるようなお話もいただきましたけれども、やはり、事業者の方に聞くと、造ったらすぐ埋まってしまうような状況下もあるそうでございます。そういった、非常に、ニーズと言ったらちょっとあれですけれども、高まっている中、今後の予算の拡充というのも、今、御検討という話がありましたけれども、本当にこの辺りをやっていただくと、救える方というのも増えてくるんじゃないかなと感じております。

 最後に、今回の法律の中に、地域協議会の秘密保持義務及び罰則規定が盛り込まれましたけれども、その意義に関して教えていただけますでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案において、孤独・孤立対策地域協議会は、当事者等への具体の支援内容に関する協議を行い、その結果に基づいて構成機関が支援を行うものとしています。この協議会の支援に従事する者に対して秘密保持義務を課すことにより、当事者等への支援に必要な情報の共有を関係者間で円滑に行えるという意義があると考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 これは先ほどちょっと民生委員のところでも述べたんですけれども、やはりなかなか、踏み込んでいくためには情報が必要だったりという部分もあって、その辺りがこの法律によって円滑に進められればなと感じている次第でございます。

 この法律の施行により、多くの孤独、孤立者を救えることを期待をいたしますが、一方で、対症療法ではなくて、やはり根本的に孤独や孤立を生まない社会構造の再構築を行っていくということが重要であるかと思います。

 例えば、子供食堂を拡充して、支援できる体制を整えるというのは非常に重要なことですし、やらないといけないと私は思いますけれども、根本的には、子供食堂がない方が、必要のない社会という方が僕は正しい社会だと思っておりますので、では、その根本的原因がどこにあるのかと考えたときに、なぜ家庭で御飯を満足に食べることができない子供がいるのかというと、経済的なものであるのか、一人親だからなのか、原因は様々やはりあると思います。

 一気呵成にこれらを解決していくのはやはり困難なことであると思いますけれども、こういった問題を、先ほど来から出ているとおり、様々な角度から捉えていただいて、検証して、一つ一つ解消していく、そういったことがやはり私は政治の役割だとも思いますし、本法律の意義でもあるかと思っております。

 孤独、孤立を今後増やさない、生まない社会形成に私もしっかり尽力をしていくことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮路委員長代理 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 早速ですが、小倉大臣、大臣は、これまでの人生の中で、社会的に孤立したり、孤独感を覚えたことはあるかどうか、これはお答えできる範囲で、端的にで結構ですので、よろしくお願いします。

小倉国務大臣 私のこれまで四十年余りの人生の中で、学生のときに友人から疎外を受けたこともあります。そのときには確かに孤立をしたりとか孤独感を感じたりしましたが、私の場合、運よく、仲間に入れてくれる友人がいたりとか支えてくれる家族がありましたので、長期間孤立をしたりとか孤独を感じたりすることはありませんでしたが、やはり誰にでもそういう孤独を感じたり孤立をした状態になることがあり得るということだと思います。やはり身近な相談相手ですとかそういった方がいない場合には、しっかり相談に乗れるような行政の存在というのは重要だと思います。

 今、おかげさまで忙しく仕事はさせていただいておりますが、仕事をすればするほど、それが全ての居場所になってしまいますので、そういう意味では、先ほども議論にありましたが、その仕事という居場所がなくなったときに、逆に言うと、それ以外の居場所がなければ、突然孤独を感じたり孤立状態になったりすることもあり得ますので、そういう意味では、やはり学校や職場あるいは家庭以外の第三の居場所づくりというものの重要性というものも、自分の人生の今と昔を振り返ってみると感じる次第であります。

國重委員 大臣御自身の言葉でお答えいただいて、ありがとうございました。

 私も、これまでの人生経験の中で、心に痛みを伴うような孤独感、これも覚えたことがあります。ここにいらっしゃる皆様の中にも、そのような経験をされた方は少なくないんだろうというふうに思います。

 政府が去年の十二月から今年の一月にかけて全国の十六歳以上の二万人を対象に実施した孤独、孤立に関する調査の結果によりますと、何らかの形で孤独感があると回答した人たちが四割を超えています。このように、誰にでも生じ得る問題で、悪影響も深刻であるからこそ、孤独・孤立対策というのは非常に重要であります。

 しかし、孤独や孤立というのは、自分がそうだと認めたくない、恥ずかしい、こういった抵抗感を持つ人が少なくありません。特に、社会で一定の地位にある人はそのような傾向があるというふうに言われております。

 先ほど大臣に様々語っていただきましたけれども、大臣のような社会の、また国のリーダーが、自分も孤独や孤立を感じたことがある、そういったときに誰かに相談したり助けを求めることは自分を守る上でとても大切なことなんだ、当たり前のことなんだ、こういったことを社会に発信していくこと、これによって相談の敷居も下がっていくことになると思いますし、こういった社会の雰囲気をつくることが支援の第一歩として非常に大切なことだと思います。

 その上で、望まない孤独や孤立は心身に様々な影響を及ぼします。本法案でも、第一条で、孤独、孤立の状態を、日常生活や社会生活において孤独を覚えたり社会から孤立していることによって心身に有害な影響を受けている状態としています。

 では、この法文で言う心身に与える有害な影響とは、具体的にはどのようなものをいうのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、孤独又は孤立により心身に有害な影響を受けている状態を孤独、孤立の状態と定義しております。その状態像や捉え方は人によって様々であり、解釈上も特に基準を設けることは考えておりませんが、例えば、うつ状態になることや体調面で支障を来すことなどが想定されるところです。

 孤独、孤立の状態は、痛みやつらさを伴うものであり、心身の健康面への深刻な影響や経済的な困窮等の影響も懸念され、命に関わる問題であるとの認識が必要だと考えております。

國重委員 今答弁いただきましたけれども、様々な有害な影響も与える孤独、孤立とは逆に、心から信頼できる人、頼れる人たちと親密な関係性が築けていること、身近な人たちとの関係の質がいいこと、これが人の幸福を決定づける最も重要な要因であると多くの権威ある研究で結論づけられています。

 これに対する小倉大臣の見解を伺います。

小倉国務大臣 國重委員御指摘のように、信頼できる他者との関係性は、人の幸福度に影響を与える要因の一つであると私どもも考えております。

 国連の世界幸福度報告によりますと、我が国は、困ったときにいつでも頼れる友人や親戚はいるかを示す社会的支援など、社会関係資本に関する指標がG7の中で下位グループに位置しております。

 したがいまして、政府の孤独・孤立対策におきましては、当事者等が信頼できる誰かと対等につながる形で人と人とのつながりを実感できることが重要であるとした上で、社会関係資本の充実にも資するとの考え方の下で施策を推進をすることといたしております。

國重委員 本来、人は人との結びつきの中でしか生きていけませんので、やはり、いい人間関係というのは非常に重要なことだと思います。

 そういった観点から、残念な調査結果が出ております。先ほど鈴木委員の方からも少し指摘がありましたけれども、二〇二一年に内閣府が行った第九回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査です。この調査は、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの四か国を対象にして、対象者を各国在住の六十歳以上の男女個人とした調査であります。この調査で、親しい友人がいないと答えた人の割合、男女共に日本が断トツの一位、男女合わせた平均で三一・三%。これは、他国の二倍から三倍になります。特に日本人の男性は突出しておりまして、四〇・四%が親しい友人がいないと答えています。これは、他国の男性に比べて二倍から四倍になります。

 大臣、まず、この結果をどのように受け止めるか、答弁をお願いします。

小倉国務大臣 國重委員に御紹介をいただきました国際比較調査でありますが、確かに、ほかの国と比較しても、我が国は、親しい友人がいないと答えた人の割合が高い、なかんずく日本人男性が高いという調査結果が出ております。

 私どもが令和三年に行いました国内の実態調査結果の有識者による分析においても、男性や中年層の孤立傾向がうかがえるところでありました。御指摘の調査に関しましても、我が国の男性に孤立の傾向があることを同様に示すものであると受け止めております。

國重委員 その上で、小倉大臣、六十歳以上の日本人、とりわけ日本人男性に親しい友人がいない、この背景にどういったものがあるのか、どのように考えているかということについて伺いたいと思います。

小倉国務大臣 個別に様々な状況がございますので、一般論になってしまい恐縮でありますが、我が国の男性は、職場や仕事上のつながりに比重が置かれ、地域活動への参加の機会が乏しいなど、地域とのつながりが希薄化してきたところ、雇用環境の変化によりまして、職場のつながりも変化してきたことが背景としてあるのではないかと考えております。

國重委員 今言われたように、働き方、雇用制度の課題もあるかと思います。また、男性は、他人に頼ってはいけないという社会通念に縛られがちであります。プライドや自尊心もあって、寂しくても、また孤独でも、それを誰かに打ち明けて頼るということはなかなかできない傾向にあるというふうに言われております。さらに、コミュニケーション能力も、一般論としては女性に比べて弱いというふうに言われておりまして、これも影響しているんじゃないかというふうにも思います。

 対策を打つに当たって、まずはこの背景を的確に分析することが重要だと思います。是非、更なる分析、そして、それに基づいた適切な対策をよろしくお願いいたします。

 先ほどの調査にはなりますが、親しい友人がいない六十歳以上の割合が高い、これに加えて、現在、単独世帯が約四割、今後更にその割合が増えるとも見込まれております。そうしますと、ますます社会的孤立を助長するような状況が生じて、孤独感を覚える人も増えるんじゃないかというふうに懸念をします。

 この状況を何とか打開をしていく、そのためには、働き方や余暇の在り方、仕事や家庭以外の居場所づくり、こういったことを始め、社会のシステムを、時代の変化を踏まえていま一度見直す、社会の構造や国民意識そのものを、より人と人とがつながりやすいものに変えていく必要があると思います。

 孤独、孤立の問題は、社会の底流に流れる非常に重要な問題です。だからこそ、今後、このような大きな視点も含めて、関係省庁とも連携しながら、この問題に取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、大臣の答弁を求めます。

小倉国務大臣 孤独、孤立の問題は、これまで國重委員が分析をされましたように、雇用環境の変化、地域における人と人とのつながりの希薄化でありましたり人口構成の変化、こういった様々な社会環境の変化によりまして、職場や家庭、地域において、人々が関わり合いを持つことで支え合う機会が減少し、人と人とのつながりや人間関係を築くことが容易ではない社会になりつつあることが背景の一つにあると考えております。

 非常に孤独、孤立の問題の原因というのは広範かつ複雑なものがあると思っております。だからこそ、二年前に担当大臣が設置をされ、今回、世界で初となりますけれども、孤独・孤立対策の名前がついた推進法案を提出をした次第でございます。

 孤独、孤立の状態は、個々人の幸福度、心身の健康面に影響を与えるのみならず、社会の機能の存続にも関わる問題であり、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を目指していく必要があると考えております。

 孤独・孤立対策では、地域コミュニティーの形成、維持にも資するような日常生活環境における多様なつながりの場となる居場所づくりといった、予防の観点からの取組も重要であると考えており、関係省庁との連携や官民連携の下で、こうした課題に取り組んでいきたいと考えております。

國重委員 望まない孤独、孤立が人間の幸福感を大きく奪うものである以上、本質的な対策が必要になります。もちろん、担当大臣もつくって、いろいろな政策をやっていると思います。重点計画も立てて、様々な政策を推し進めていますけれども、今の政策に甘んじることなく、より本質的な対策を打っていただきたいというふうに思います。

 それでは、法案の具体的な中身に入らせていただきます。

 本法案では、二条に基本理念が定められています。そこで、孤独、孤立の問題は個人ではなく社会全体の課題なんだということ、だからこそ、社会のあらゆる分野で対策を進めることが重要なんだ、こういったことが明記をされています。これは非常に重要な条文です。

 我が党は、二〇二一年二月に、山本香苗参議院議員を座長とする社会的孤立防止対策本部を設置いたしまして、全国の地方議員とともに、有識者また民間支援団体等からのヒアリング、また千件を超える聞き取り調査を実施してまいりました。そこで明らかになったのは、まさに人につながりたくてもつながれずに追い込まれる社会的孤立、これは個人の問題ではなく社会全体の問題なんだということです。そして、望まない孤独も社会全体の問題です。だからこそ、政府一体となって横串を刺してこれに取り組んでいかなきゃいけないと、政府に対する提言等においても繰り返し訴えてきたところであります。

 こうした中で、今回、この非常に重要な理念が本法案の中で明記をされたこと、これは、今後更に対策を進めていく上で非常に意義のあることと評価をしております。

 そこで、改めて、本法案二条一号におきまして、孤独、孤立の問題を社会全体の課題、社会のあらゆる分野で推進を図ることが重要と明記した趣旨、これは重要な点ですので、小倉大臣にこの趣旨について確認をしたいと思います。

小倉国務大臣 まずは、國重議員そして同僚の山本議員に、この孤独・孤立対策の議論を積極的にしていただいて取組を後押しをいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 本法案の第二条一号の趣旨について御説明をさせていただきます。

 まず、孤独、孤立は人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、支援を求める声を上げることや人に頼ることは、自分自身を守るために必要であって、決して非難されるべきものではありません。

 また、孤独、孤立は当事者個人の問題ではなく、社会環境の変化により当事者が孤独、孤立を感じざるを得ない状況に至ったものであります。孤独、孤立は当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、現に当事者が悩みを家族や知人に相談できない場合があることも踏まえると、孤独、孤立は社会全体で対応しなければならない問題と考えております。

 さらに、孤独、孤立について、当事者や家族等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、その感じ方、捉え方も人によって様々です。こうした孤独、孤立の問題には、当事者や家族等の状況に応じた多様なアプローチや手法により対応することが求められるものと言えます。

 このため、孤独・孤立対策を推進するに当たりましては、既存のあらゆる施策に孤独・孤立対策の視点を組み入れていくことが重要だというふうに考えております。

 以上の趣旨に鑑みまして、御質問の本法第二条第一号につきまして、この孤独・孤立対策の基本理念を明記させていただいた次第でございます。

國重委員 孤独、孤立の問題は社会全体の課題であるからこそ、しっかりと国民の皆さんとも共有していくことが大事だと思います。先ほど鈴木委員の方からも指摘されていましたけれども、やはりなかなかこの問題が国民の皆さんに共有されていない状況もあるのではないかというふうに思います。

 先ほど、我が党の取組について、山本香苗参議院議員とともに私の活動についても評価をしていただく発言をいただきましたけれども、山本議員は物すごく頑張られましたけれども、私はその対策本部に入っていたわけではありませんでしたので、中核ではやっていませんでした。ただ、この内閣委員会で法案が審議されるということで、また党の内閣部会長でありますので、その後勉強させていただきました。そうしますと、やはり孤独、孤立の問題というのは極めて大事だなということを深く認識をさせていただきました。

 ですので、やはり、こういったことを国民の皆さんに広く共有するにはどういうことをすればいいのかということは是非しっかりと検討していただきたいと思います。

 次に、基本理念を定める二条三号では、孤独、孤立の状況から脱却をして日常生活、社会生活を円滑に営めるようになることが目標とされております。しかしながら、日常生活や社会生活を営めていたとしても、孤独にさいなまれ、心に痛みを抱えている人たちもいます。

 本法案で孤立だけではなく孤独も含んだ趣旨からしますと、そのような、一見孤立はしていない、普通に仕事や学校生活が送れているようには見える、だけれども望まない孤独を抱えて心に痛みを感じている人たち、こういった人たちも本法案の支援対象に入ると考えますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案第二条第三号は、孤独・孤立対策の基本理念として、当事者等に対する支援に当たっては、その意向に沿って当事者等が社会及び他者との関わりを持つことにより孤独、孤立の状態から脱却して日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようになることを目標とすることについて定めているものです。

 ここで特に重きを置いているのは、当事者の意向に沿った形で当事者等が社会及び他者との関わりを持つことにより孤独、孤立の状態から脱却することです。したがって、ここでの支援の対象は、日常生活又は社会生活を営むことができない方に限定するものではなく、御質問のような、現に日常生活又は社会生活を営めてはいるものの、孤独にさいなまれ、心に痛みを抱えているような方も含まれるものと考えております。

國重委員 一般的には、先ほど来出ていますけれども、孤独は主観的概念、独りぼっちと感じる精神的な状態、また、孤立は客観的な概念、社会とのつながりがない、あるいは少ない状態と言われておりますが、ある意味、曖昧さのある概念になっています。

 この孤独や孤立の範囲を仮に厳格に定義した場合には、対象者が過度に絞り込まれてしまって、必要な支援につながれない人たちが出てしまうおそれもあります。そこで、孤独や孤立の内容についてはある程度緩やかに解していくことも重要だと考えますが、この点についての政府の見解を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独、孤立に関して、当事者等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、孤独、孤立の感じ方、捉え方も多様であります。

 こうした中で、委員御指摘のとおり、孤独や孤立を一律に定義すると、施策の対象からこぼれ落ちてしまう方が出てくるおそれがあることから、現在の重点計画でも孤独、孤立の定義を設けていないのと同様に、今回の法案においても孤独、孤立を定義していないところです。

    〔宮路委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕

國重委員 是非、柔軟な運用、取組をよろしくお願いします。

 この孤独、孤立の意味を緩やかに解して広く本法案の対象としていく必要がある一方で、自ら望んで孤独や孤立になっている場合もあります。本法案の対象となっているのはあくまで望まない孤独や社会的孤立であって、そのような場合には基本的には本法案の対象には入らないと理解しています。

 他方で、周囲に助けを求める必要性を自覚できていない、でも本当は支援が必要な場合もあります。例えば、セルフネグレクトのように、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようとする気力を失って周囲に助けを求めない場合もあります。あるいは、自分が孤立していること、孤独であることを認めたくない、そういった場合もあります。

 本法案では、二条三号において、当事者等の意向に沿って必要な支援を行うこととされていますが、この規定によって、自治体が本来支援が必要な人に対してアプローチしなくなるような事態が生じてはいけません。ここで言う意向とは、言葉どおり、文面どおりの形式的な意向ではなくて、その背景も含めた丁寧な聞き取りを行った上で、実質的な意向に沿うようにするという意味に捉えるべきと考えますが、政府の答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、孤独や孤立により心身に有害な影響を受けている状態を孤独、孤立の状態と規定しております。このため、委員御指摘のとおり、本人が望んで孤独を選択しており、孤立もしておらず、心身に何の支障も来していないような方に対してまで直ちに支援対象とするものではないと考えております。

 一方で、孤独、孤立に関して、当事者等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、孤独、孤立の感じ方、捉え方も多様です。議員御指摘のセルフネグレクトのようなケースでは、人とのつながりを持てない様々な背景を抱えている、例えば、過去に支援を求めましたが、希望がかなわず諦めてしまったといったような場合などもありまして、こうした方々が支援から取り残されるようなことがあってはならないと考えております。

 第二条第三号に言う当事者等の意向に沿ってとあるのは、孤独・孤立対策においては、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等が疎外を感じてしまうような関係や支援の場に形式的につなぐことでは十分でなく、当事者や家族等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人とのつながりを実感できることが重要だという考え方を踏まえたものです。

 議員御指摘のようなケースでは、支援者が時間をかけて当事者や家族等の話を聞き、寄り添いながら、少しずつ信頼関係を構築する中で、当事者や家族等が直面している課題を丁寧に解きほぐしていくことが求められると考えております。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

國重委員 今、丁寧にとありましたけれども、丁寧に信頼関係を築いて、心を解きほぐして、真意を酌み取っていけるような取組を是非よろしくお願いします。

 次に、本法案では、孤独、孤立の状態にある本人だけではなくて、その家族等も含めた当事者等を支援の対象としています。

 では、この法文にある「等」について、具体的にはどういう人が含まれるのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案第二条第二号において、当事者等を、孤独、孤立の状態にある者及びその家族等と定義しております。

 当事者本人と家族以外では、例えば知人や友人、身近な人などを想定しており、具体的には、極めて近い関係で御家族に寄り添っているような第三者も含まれると考えております。

國重委員 家族もそうですし、当事者のすぐ近くで支えている人たちも一緒に悩んで一緒にストレスを抱えています。その人たちも対象にして支援するというのは、これは極めて大事なことだと思います。

 その上で、先ほど、意向に沿ってについて確認をしました。当事者等の意向が異なる場合、これは、当事者だけではなくて家族も入るし身近な人も入るということになりますと、本人や家族でそれぞれの意向が違う場合、どのように対応することになるのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独・孤立対策においては、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等が疎外を感じてしまうような関係や支援の場に形式的につなぐことでは十分ではなく、当事者等や家族等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人のつながりを実感できることが重要です。こうした考え方を踏まえ、本法案では、孤独・孤立対策の基本理念として、当事者等の意向に沿った必要な支援と規定したものです。

 当事者等が心からつながりを実感できるような誰かにつなぐに当たっては、支援者が時間をかけて当事者等の話を丁寧に聞き、少しずつ信頼関係を構築する中で、当事者等が直面している課題を丁寧に解きほぐしていくことが求められると考えております。

 議員御指摘のような、本人とその家族等とでそれぞれの意向が違うようなケースについても、どちらか一方ということではなく、双方に対して時間をかけて丁寧に寄り添う中で、双方の意向に沿えるような適切な支援につなげることを目指していくことになると考えております。

國重委員 支援を行っていく人たちをしっかりと支援していくことというのは大切です。そういった支援者支援を継続的にまた安定的にしていくために、今回、内閣官房から内閣府に所管を移管をして、孤独・孤立対策推進本部を設置することにしたと理解をしています。

 本法案で内閣官房から内閣府に所掌を移すことによって、支援をする民間団体や地方自治体への支援がどのように強化されていくのか、伺います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 内閣官房では、これまでNPO等の取組モデルの調査や地方自治体の官民連携モデルの開発などに取り組んでまいりましたが、組織の性格上、それ以上の本格的な事業を行うことができず、孤独・孤立対策の更なる推進には限界があったところです。

 本法案によって孤独・孤立対策の事務を内閣府に移管することにより、政府内の総合調整を行いつつ、NPO等の民間や地方自治体の取組への支援に係る本格的な事業を行うことが可能となります。

國重委員 次に、官民の連携についてお伺いします。

 孤独、孤立の問題は様々な要因が絡み合っていますので、なかなか一人とか単独での支援対応は難しいのが現実です。

 そこで、本法案の十一条では、官民の連携と協働を促進するための施策を講じることが努力義務として定められておりますけれども、政府が孤独、孤立に関する取組を進めて約二年がたちました。こうした観点からの地方公共団体や民間団体などとの連携が進んでいます。民間団体から、政府にすごく意見を聞いてもらえるようになった、法律ができて終わりじゃなくて、これからもしっかりやってほしい、こういった評価の声、要望の声、このようなことも聞いております。

 そこで、孤独、孤立に関する官民の連携についてこれまでどのように進んできたのか、その成果も含めてお伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 コロナ禍で顕在化した孤独、孤立の問題に対処するためには、民間団体の役割が重要であり、官民連携を以下のように進めてまいりました。

 まず、政府が孤独・孤立対策を始めた令和三年二月に、「孤独・孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラム」をNPO等の方々と開催し、悩んでいる方への支援策があることや、悩みを相談してほしい等のメッセージを発信しました。また、同年六月から十一月までにかけては、孤独・孤立に関するフォーラムを計十回開催し、支援活動に取り組むNPO等の方々から直接御意見を伺い、政策立案への示唆をいただきました。

 こうした中で、孤独、孤立の問題に取り組む上では、支援機関単独では対応が困難な実態があることを踏まえ、官、民、NPO等の取組の連携強化の観点から、関係機関等の全国的な連携の基盤として孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを令和四年二月に設立し、関係者による政策立案の議論等を図ってまいりました。

 これまでの主な活動として、孤独、孤立に係る課題等についてテーマごとに分科会を設け、現状や課題の共有、対応策等の議論などを行い、検討成果等をまとめてきました。

 特に、この検討成果等を受けて、孤独・孤立対策の重点計画へ反映できたことは大変意義があることと認識をしております。また、この検討成果等については、より多くの方に孤独・孤立対策を知っていただくシンポジウムを開催し、全国的な普及活動を行ってまいりました。

 さらに、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームに係る調査研究事業に取り組み、地方における官民連携のモデル構築や、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム関係団体の協力の下、孤独・孤立相談ダイヤルの試行を実施し、ワンストップの総合的な相談支援体制の構築などに取り組みました。

 今後とも、孤独・孤立対策の一層の充実を図るため、国及び地方における官、民、NPO等の連携強化に取り組んでまいります。

國重委員 孤独、孤立の政府の取組が始まるまでは、支援団体の連携も十分できていなくて、ある意味、孤立していたわけです。その中で踏ん張って頑張っていた。行政の側も、契約を結んだ団体とはつながったとしても、地域の様々な支援団体の動きをつぶさには見れていなかった。行政があって、民間があって、その下の民間相互の連携も閉鎖的な連携であった。

 それを、かなりウィングを広げて、水平で、フラットでやっていこうと。支援している者同士でつながったり、多くの主体に関わってもらえるように広げていく。その一つの表れが、地方版の孤独・孤立対策官民連携プラットフォームだと認識をしております。モデル事業として、今、全国で二十九、設置をされています。これを全国規模に拡大していくことが必要だ、重要だと考えます。

 そこで、この拡大に際しての課題やポイントについてどのように考えているのか、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 地方版孤独・孤立官民連携プラットフォームのモデル事業においては、プラットフォームを設置した上で、地域の実情に応じ、地域における担い手の把握、見える化や孤独・孤立対策に関する普及啓発などに取り組んでいただいています。

 官民連携プラットフォームの形成を全国に拡大するに当たっては、次のようなポイントと課題があると考えております。

 まず第一に、初めから幅広く孤独・孤立対策に取り組むのではなく、引きこもりや自殺対策など、関係者の理解が得られやすいテーマを設定して、小さな成果を積み上げて、信頼関係を醸成しながらテーマを広げていく手法も有効であること、第二に、行政と民間の関係が行政を中核とした垂直型連携とならないようにし、行政と民間の強みを生かし、参画する関係者が対等に相互につながる水平型連携となるよう留意すること、第三に、官民連携プラットフォームに参加する行政、民間の関係者の多元化を図ることが重要であることでございます。

 こうした地方自治体における連携強化のモデル事業は今年度も実施予定であり、本事業の成果を全国の地方自治体に共有することで、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの構築に全国で取り組んでいただけるよう努めてまいります。

國重委員 本法案の十五条で、自治体に対して、関係機関、団体で構成する孤独・孤立対策地域協議会を設ける努力義務を課しています。この地域協議会と官民連携プラットフォームはどのような関係にあるのか、それぞれの役割も踏まえた答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 官民連携のプラットフォームは、孤独・孤立対策に関わる官民の幅広い関係機関等が参画し、それぞれが対等に相互につながる水平型連携の下で、孤独・孤立対策の効果的な施策を推進する基盤となるものです。

 一方で、孤独・孤立対策地域協議会は、こうした関係機関等が連携して取り組む活動の中の一つであり、当事者等への支援に関係する機関等で構成され、当事者等への具体の支援内容に関する協議を行い、連携した支援を実施するものです。

 この協議会における連携した支援のためには、関係者間の信頼関係が不可欠であると考えており、官民連携のプラットフォームで情報共有や意見交換を通じて顔の見える関係を構築する中で信頼関係を構築していただき、協議会における連携した支援へとつなげていただくことを想定しております。

國重委員 次の質問に入ります。

 孤独・孤立対策地域協議会が個別ケースを対応する、こういったことに当たっては、関係者の間で情報の共有が必要になります。これまでは、関係者が連携をして支援を行うに当たって、個人情報の共有に関するルールがない、このことで現場で支障が生じたケースもあったと聞いております。

 この点、個人情報の問題について、本法案ではどのようにクリアされることになっているのか、お伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の協議会では、地域における当事者等への支援に関わる様々な関係者のネットワークの下、協議会を構成する関係機関等が、共通の情報及び認識の下で当事者等への個々の支援を円滑に行えることが重要になります。

 支援に当たって必要となる当事者の個人情報については、基本的には本人の同意を得た上で協議会の構成機関等が共有することになるものです。

 一方で、例えば当事者がセルフネグレクトの状態であるなど、本人に自覚がなく、個人情報の提供に同意しないケースも想定され、こうした場合においても、協議会の構成機関等が必要な個人情報を共有した上で支援を行うことを可能とするため、所要の規定を設けております。

 具体的には、協議会が構成機関等に対して必要な情報の提供を求めることができる規定を設けており、今後、関係機関と調整をしまして、この規定の求めに応じることが、個人情報保護法上、例外的に本人の同意なく個人情報を第三者に提供できる場合である「法令に基づく場合」に該当する具体のケースを整理し、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しすることとしています。

國重委員 個人情報に関する法制上の手当ては必要です。一方で、孤独、孤立はセンシティブな問題ですので、個別ケースの情報共有をスムーズに行うためには、自治体や支援機関の信頼関係を築くことも重要になります。これまで、自治体との信頼関係が構築できていないことがネックになって、既存の孤独、孤立に関する支援の枠組みに入りたくても入れないNPOなどが少なからずありました。

 支援を必要としている人たちを適切な支援につなげていくためにも、これまでも述べましたとおり、様々な主体に支援の輪に加わってもらうことが大事です。そのためには、まず、個別ケースの情報までは取り扱わない官民連携プラットフォームに幅広い主体に参加してもらうこと、そして、顔の見える信頼関係を築いた上で、地域協議会にもできるだけ多くの主体に参加してもらうようにしていく、こういった段階的に支援の輪を広げていくというような工夫が必要だと思います。

 そのためにも、そのことをガイドラインなどでしっかり示した上で、支援の輪を着実に広げて、適切で充実した支援につなげていくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、官民の幅広い分野の関係機関等に連携プラットフォームに参画いただくとともに、情報共有や意見交換を通じて顔の見える関係を構築する中で信頼関係を構築していただき、協議会における連携した支援へとつなげていただくことを想定しています。

 こうした点について地方自治体に十分御理解いただいた上で実効ある支援につなげていただけるよう、法の施行までの間に、地方団体も含めた関係者の御意見を伺いながら、官民連携プラットフォーム及び地域協議会の関係性や、これらの運用についての考え方をまとめ、通知等でお示ししていきたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 次に、本法案十二条の人材の確保等についてお伺いします。

 ちょっと私、法文に沿って質問していますけれども、法案審査ですので、誰かがこの法案の文言をきっちり確認していかないといけないという思いで、法案で、白地的にやると、余りえぐった質問はできないかもしれませんけれども、重要なことだと思いますので、確認をしていきます。

 人材には、専門家もいれば身近な人もいます。ここで言う人材とはどのような人をいうのか、また、人材の養成、資質の向上に必要な施策とは具体的にどのようなことを考えているのか、お伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 当事者等への支援を行う人材としては、まず一つには、福祉や医療など、孤独、孤立の当事者等に関わり得る、既存の様々な支援に当たる専門職の方々、そのほか、第二には、家族や友人など当事者の周りや身近にいる方についても想定しております。

 また、人材の養成、資質の向上に向けた取組について、具体的には、当事者等の支援に当たる方が孤独、孤立に関する理解や知識を習得できるように工夫を行うことや、家族や友人など当事者の周りや身近にいる人が理解を深めて、当事者の状況に気づき、手助けできるようにするなど、声を上げやすい、声をかけやすい環境整備に向けた取組などを想定しております。

國重委員 そのような人材によって今後様々な支援がなされていくことになりますけれども、当事者がどのような支援や相談のやり方を求めているのか、個別ケースごとに把握するのは当然でありますけれども、これを広く確認、分析する必要もあると思います。

 これまで政府は、令和三年十二月、令和四年十二月に孤独、孤立に関する全国の実態調査を行っております。ただ、孤独、孤立の状態にある当事者等に、どのような支援が望ましいと思っているのか、こういったことを尋ねるようなことはしておりません。

 いろいろ工夫は必要だと思いますけれども、今後の実態調査においては、自由記載欄も含めて、そのような項目を設けることも検討していただきたい。また、今やっている全国の実態調査で難しければ、ほかの調査でも構いませんので、そういった、広く、何を求めているのかというようなことも是非調査分析をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、孤独や孤立を感じている人がどのような支援を求めているかという観点は大変重要だと考えております。

 支援に関する当事者のニーズを把握する上で統計調査という手法がなじむのか、それとは別の機会、方法での把握の仕方があるのかなど、専門家や有識者の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。

國重委員 次に、本法案の八条三項で、孤独・孤立対策本部が作成をする孤独・孤立対策重点計画に定める施策は、原則、その具体的な目標、達成期間を定めるものとするとされております。

 目標は大切です。一方で、孤独・孤立対策の全てが数値に表れるものではありません。やり始めの段階でぎちぎちに目標管理をやっていく、また数値を過度に意識するのはよくないようにも思います。バランスを取りながら、対策を実質的、継続的に進めていく、そのための目標、達成期間にする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づき作成することとなる孤独・孤立対策重点計画においては、孤独・孤立対策の具体の施策を盛り込み、施策ごとに目標及びその達成期間を定め、適時に目標の達成状況を調査することとしています。

 一方で、孤独・孤立対策の総合的な評価、検証については、孤独、孤立の問題を抱える当事者等の状況が様々であることから、議員御指摘のように、定量的な効果測定は難しい面があると考えています。これまでの有識者会議においても、孤独・孤立対策では継続性が大事であり、評価という手法がなじむのかといった御意見や、取組のプロセスを見ていくことが重要ではないかといった御意見があったところです。

 このため、孤独・孤立対策の実施に当たっては、目標設定や評価を形式的に行い孤独・孤立対策が実質的に損なわれることのないように留意をしてまいりたいと考えております。

國重委員 これまでるる政府参考人に対応していただきましたけれども、次は、私は重要だと思っていますので、小倉大臣にお伺いします。

 社会と、また人とつながっていくためには、コミュニケーション力、また対人スキルを高めることも大切になります。一般的に、先ほども言いましたけれども、高齢の男性は女性に比べてコミュニケーションが苦手とされておりますが、こうした人を始め、対人スキルを強化することは極めて重要な社会課題であると捉えています。対人スキルもないのにコミュニティーの中に放り込まれて、いきなりそこで友達をつくれとか信頼関係をつくれと言われても酷です。かえって逆効果になる場合もあるかと思います。

 人生百年時代を踏まえて、今後、関係省庁と連携をして、コミュニケーション力、対人スキルの向上に向けた取組も強化していくべきだと考えますけれども、大臣のお考えをお伺いします。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策におきましては、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を目指していく上では、國重議員御指摘のようなコミュニケーションスキルを育んでいくことも重要だと考えております。

 こうした観点に立って、第一に、幼少期から多様な人や地域と関わって多様な生き方を認め合うことを理解する体験ですとか、自他尊重のコミュニケーションスキルを育む機会などを学校教育や社会教育などの場で設け、共に生きる力の育成や豊かな人間関係づくりを推進していくこと、第二に、日常生活環境において人と人との交流を目的とし多様なつながりの場となる居場所を確保することも、孤独・孤立対策として推進することといたしております。

 関係省庁とも連携をして、こうしたコミュニケーションスキルを育んでいくことを目的とした取組を推進をすることで、人と人とのつながりをそれぞれの選択の下で緩やかに築けるような社会環境づくりを目指してまいりたいと考えております。

國重委員 今、リカレント教育とか様々言われていますけれども、今私が言った点は非常に重要だと思いますので、またこれも、今の取組に甘んじることなく、様々な角度で検討いただければと思います。

 小倉大臣は今の答弁の中で学校教育という言葉も出ましたが、このことは学校教育においても非常に重要なことだと思います。コミュニケーション力、対人スキル向上のための取組として、学校現場でこれまでどのようなことを行って、また今後どのようなことに取り組んでいくのか、お伺いします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちは、多様な他者とのコミュニケーションを通じて社会とのつながりをつくり上げていくことはもちろん、自らの学びをより深めていくことができます。

 現在の学習指導要領では、他者の思いを受け止めながら自分の思いを伝えたりすることなど、多様な他者と適切なコミュニケーションを図っていくための力を含めた言語能力を、子供たちの学習の基盤となる資質、能力と位置づけまして、国語科を要としつつ、各教科等横断において育成を図っていくこととしております。

 具体的には、例えば、中学校の国語科では、それぞれの立場から考えを伝えたり、また互いの考えを生かしたりしながら議論や討論をする活動を取り入れることとしております。

 こうした規定に基づきまして、各学校でも様々な教育活動が展開されているところでございますが、今後とも、文部科学省では、この学習指導要領の規定の趣旨の徹底を図るなど、言語活動の充実のための取組が学校現場で適切に実践されるよう取り組んでまいります。

國重委員 今の答弁、現在の学習指導要領では言語能力を子供たちの学習の基盤となる資質とか能力と位置づけるというような答弁があったかと思いますけれども、現在の学習指導要領が運用されているのはいつからになるのか、答弁を求めます。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 小学校につきましては令和二年度から、中学校については令和三年度から、高等学校においては令和四年度から、順次実施しているところでございます。

國重委員 私がこれまで聞いてきたのでは、日本の学校では、読むとか書くの教育はあっても、話す教育は全くと言っていいほどなかったというようなことも聞いておりますけれども、今現在の学習指導要領で、小学校が令和二年度から、中学校は令和三年度から、高校生が令和四年度から、それぞれ、言語能力も大事なんだというようなことで取組が進められているということでありました。是非しっかりと進めていただきたいと思います。

 学校現場の中においても、特に、発達障害の子供たち、それぞれの特性を持っています。その特性を踏まえた取組によって、コミュニケーション力、対人スキルを磨くサポートをより一層行っていただきたいと強く要望します。

 これは、それぞれの特性を踏まえて、非常に大切なことです。今後、教育の場でどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 発達障害を含め、障害のある児童生徒に対する指導につきましては、各学校現場において、個々の障害の状態等を把握し、適切に指導していくことが重要であると考えております。

 御指摘のコミュニケーション力、また対人スキルを磨くサポートとしましては、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加しつつ、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対しまして、通級による指導を行っているところでございます。

 具体的には、生活上の様々な場面を想定し、そこでの相手の言葉や表情などから相手の立場や相手が考えていることなどを推測するような指導、また、相手の立場に合わせた言葉遣いや、場に応じた声の大きさなど、場面にふさわしい表現方法を身につける指導など、コミュニケーション力などを身につけるために、児童生徒の障害の状態に応じて適切に指導しているところでございます。

 また、発達障害のある児童生徒を含め、通常学級に在籍する障害のある児童生徒への指導を充実するため、文部科学省としましても、三月十三日に取りまとめられた検討会議の報告を受けまして、児童生徒の実態を適切に把握し、また必要な支援を組織的に行うための校内支援体制の充実、また、児童生徒が慣れた環境で安心して指導を受けられるように、自分の学校での通級、自校通級や、巡回指導の促進、こういったことについて教育委員会等に通知したところでございます。

 引き続き、発達障害のある児童生徒に対する通級による指導を充実するよう取り組んでまいりたいと思っております。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 人の輪の中に入るのが苦手だという人もいるかと思います。一人でいる方が気楽でいいとか、そういう人もいるかと思います。それぞれの特性は大事にしないといけないと思っています。

 その上で、やはり社会で生きていく上に当たっては、どうしても人と接触せざるを得ない、つき合わざるを得ない、そういうこともありますので、それぞれの特性を踏まえた上で、しっかりと、対人スキルが一定程度上がるような、そういう取組を是非よろしくお願いいたします。

 孤独、孤立の対策にかかわらず、政府にも民間にも様々な相談窓口、支援があります。独りぼっちのように感じたとしても、決して一人じゃない、味方はたくさんいます。こういったことを子供たちに強いメッセージで伝えていく。そして、いろいろな困難に直面したときに適切な相談窓口につながっていく力を養っていく、このことも生きていく上で非常に重要です。

 その上で、SOSを出すのは恥ずかしいことじゃないこと、また、相談窓口はどのように検索すればいいのか、正しい相談窓口や支援情報と不適切なもの、これをどのように見分ければいいのか、支援につながるための力を養う教育も重要だと思います。

 これは何も孤独、孤立の問題だけじゃなくて、学校教育でいろいろ、消費者問題で、ここに電話したらいいよとか、孤独、孤立はシャープ九九九九とかあるかもしれませんけれども、こんなものはまた変わっていきますし、適切な相談窓口に自分の力でつながれる、そういった教育をしていくことが重要だと考えます。

 これに対する見解、今後の取組をお伺いします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、心の危機に陥った児童生徒が、早期にこれを認識し、適切な援助を求められるようにするということとともに、必要なときに相談窓口を適切に検索できるなど、支援につながるための力を養うということが大切だと考えております。

 このため、文部科学省としましては、悩みや不安を抱える児童生徒が適切に援助を求められるよう、教育委員会、学校等に対して、SOSの出し方に関する教育、これを少なくとも年に一回以上実施することなど、周知徹底に取り組んでおります。

 また、インターネット上には様々な情報が氾濫しているところでございますけれども、先ほどの現行の学習指導要領で学習の基盤として新たに位置づけられた情報活用能力、こうした資質、能力を子供たちにしっかり育む、こういったことも大事でございます。そうしたことを力をつけまして、相談窓口の検索方法であったり、様々な支援情報の適否をしっかり吟味し見分けられるようにしていくということも重要でございます。

 文部科学省としましては、悩みや不安を抱える児童生徒が適切に相談窓口につながることができるよう、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 更なる力強い取組をよろしくお願いいたします。

 以上で、本日の私の質疑を終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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