衆議院

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第4号 令和5年11月15日(水曜日)

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令和五年十一月十五日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 坂本 哲志君 理事 冨樫 博之君

   理事 中山 展宏君 理事 鳩山 二郎君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      井野 俊郎君    泉田 裕彦君

      大串 正樹君    大西 英男君

      大野敬太郎君    神田 潤一君

      熊田 裕通君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    平  将明君

      高木  啓君    土田  慎君

      仁木 博文君    西田 昭二君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      牧島かれん君   山本ともひろ君

      中谷 一馬君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      山崎  誠君    阿部  司君

      浦野 靖人君    住吉 寛紀君

      河西 宏一君    吉田久美子君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)    自見はなこ君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   文部科学副大臣      今枝宗一郎君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局事務局長代理) 茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)       坂本  基君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       窪田  修君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上野 有子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   宮坂 祐介君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   片桐 一幸君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      堀本 善雄君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   蓮井 智哉君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     本田 太郎君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     熊田 裕通君

  大野敬太郎君     堀内 詔子君

  太  栄志君     山崎  誠君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     池田 佳隆君

  堀内 詔子君     仁木 博文君

  山崎  誠君     太  栄志君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     大野敬太郎君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 官報の発行に関する法律案(内閣提出第八号)

 官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 官報の発行に関する法律案(内閣提出第八号)

 官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第九号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房国際博覧会推進本部事務局事務局長代理茂木正君外二十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。また、河野大臣には、お忙しい中お出ましいただきまして、大変ありがとうございます。

 今日は、国民生活の安定及び向上に関するテーマについて三つお伺いしたいと思っています。

 まず一つ目なんですけれども、国民所得倍増についてお伺いをしたいと思います。

 老後資金二千万円問題、これが物議を醸したというのも記憶に新しいところですけれども、実際のところ、公的年金のみで国が全ての国民の生活を支えるというのは難しいということも事実であると思います。

 一方、自立できる国民をしっかり応援していくということも大切な政策ではないかというふうに考えています。国民所得倍増プラン、これは、うまく機能すれば、分厚い中間層の回復につながる可能性があると考えております。これができれば、国民の安心感の醸成、そしてまた閉塞感の打破につながるのではないかという期待をしております。

 もちろん、余裕資産がなく、資産所得倍増プランの恩恵がない方々に対するセーフティーネットをどう張っていくのかということも大切な課題でありますけれども、中間層の育成という点、少し可能性を見てみたいと思っています。

 今日は資料をお配りをいたしました。

 GPIF、要は我々の年金を運用していただいている機構ということになるんですけれども、このグラフを御覧いただきたいんですが、これは二〇〇一年に運用がスタートしました。これは四角い線のグラフとそれから丸い線のグラフがあるんですが、丸い線のグラフはインカムゲイン、つまり利子、配当収入です。これは安定的に増えていくというのを御覧いただけると思うんですが、一方、評価損益、キャピタルゲインの方は、株式等の価格の上下によって大きく変動しますので、増えたり減ったりしてリスクがあるということです。

 初年度は、インカムゲインの方、利子、配当の方は五千三百七十八億円、一方、評価損がマイナス五千八百七十四億円ということで、マイナスになりました。評価損も合わせての数字でマイナスになりました。二年目は、足し算すると実に三兆円のマイナスになる。こんなものを運用して大丈夫かということを、相当国会でも問題になったということだと思います。

 一方、実は、一番右側を御覧いただきたいんですが、今年、二・四半期で七千億ぐらい評価損が出ています。何にも問題にならない。何でかといいますと、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせた総合収益でいくと、百二十六兆円利益が出ているということであります。百二十六兆円、もし年金を値上げするということになると大変な問題になるんですけれども、これだけ運用してもらったということによって、国民の負担が減ったということではないかと思っています。

 どうしてこうなるのかということなんですが、平均的に、株等の価格上昇率は税収の増額よりも高いという傾向があります。マイナスの問題としてよく取り上げられるのは、資産を持っている人の資産保有割合がどんどん増えていくというネガティブな印象というのがあると思うんですが、それは結局、税収よりも資産の膨張速度の方が大きいということから生じるマイナスの影響ということになると思います。

 いずれにせよ、七千億減ったところで、百二十六兆円も利益が出ているので問題になっていないということです。

 これは、約四%の収益が一年平均で出ているんですが、ポイントは、長期で、複数に分けて分散投資をして三十年も運用するとこういうことになるということであります。すなわち、個人にとっても、つみたてNISA、来年から始まるわけなんですけれども、これをインデックスファンドと言われるようなもので長期でこつこつと運用すれば、三十年後、相当、安定した収入の一助になるのではないかというふうに思っています。

 実は、個人金融資産は約二千兆円あります。これを一人当たりに直すと幾らになるかというと、二千万円。三人家族の世帯で考えると六千万円、平均ですよ、あくまでも。そこで四%で回ると、二百四十万円プラスで入ってくるということです。これを全ての国民の皆さんに安心して享受してもらえるような政策というのを是非考えてほしいなというふうに考えているわけであります。

 このように、つみたてNISAは大きな可能性があると思っているんですけれども、残念ながら、政府からこのメリットというのが余り伝わってきていないと私は思っています。国民への周知について、政府の認識と今後の広報戦略についてお伺いしたいと思います。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、来年一月から始まります新しいNISA制度ですけれども、これは、中間層を含めまして幅広い層の安定的な資産形成に資する制度であるというふうに考えております。

 こうしたことから、新NISAの広報に当たっては、制度の内容のみならず、幅広く国民の皆様がそれぞれのライフプランに基づいて安定的な資産形成を行う、これが非常に重要だということと、その中で、長期、積立て、分散の投資の効果をしっかりとお伝えすることが重要である、このように考えております。

 既に、岸田総理からのビデオメッセージでありますとか、あるいは政府広報、これらを通じて情報発信をいたしておりますし、金融庁や財務局が行う出張授業やセミナー等の中でもこうした新NISAの意義について織り込んでおるところでございますが、今般の一月からの新NISAの制度の開始に合わせて、より一層取組を強化してまいりたいと考えております。

泉田委員 是非頑張っていただきたいと思います。

 実は私、通産省にいた頃、資源エネルギー庁で、石油の利権確保の交渉に参画をしたことがあります。アラブ諸国は、いずれ石油はなくなる、その後どうするかということで、金融立国を目指す、若しくは先進国から技術を導入して技術立国を目指すということを必死で考えておりました。

 我が国には、対外純資産世界一、そしてまたアメリカの国債も大量に持っているという中で、少子化が進んでいくとどうなるんだろう。個人金融資産二千兆円、消えてなくなるわけじゃありません。相続するのか、税金になるのか、いずれどこかに回っていくということになるわけで、これを次の世代にしっかりと渡していく、また、新たな収入を得る糧にしていくということも考えてもいいんじゃないかなというふうに思っています。

 実は、二千兆円と言われていたのが、一年で百二十兆円ぐらいまた増えている。二千兆円を四%で運用すると、八十兆円ぐらいになるわけです。この八十兆円は一体どうなっていくのかというと、二割税金で戻ってくるのか、相続税のときに国家収入になるのか分かりませんが、いずれにしても、国家として、次の世代の国民にしっかりと安定した生活をしてもらうための、金融立国ということも選択肢に入れて考えてもいいんじゃないかと。

 別に、お金があるのはアラブの国だけではなくて、もう一回言いますけれども、日本は世界最大の債権国です。対外純資産を持っています。こういったものを次の時代にしっかりと組み立てていくような国家戦略を考えてほしいと思いますけれども、政務官からお考えをお伺いしたいと思います。

神田大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国の二千兆円を超える家計金融資産の半分以上を占める現預金を投資に回すということで、家計の資金が企業の成長の原資になり、持続的な企業価値の向上の恩恵が更に家計の資産所得の拡大という形で及んでいくということが重要だと考えています。また、その考えの下では、海外企業等への投資を通じて世界の成長が我が国の家計の資産所得の増加につながるということにも一定の意義があるというふうに考えております。

 この成長と分配の好循環の実現に向けまして、新しいNISA制度の普及、活用促進、あるいは金融経済教育の充実、また、資産所得倍増プランで掲げたこうした政策のほかに、家計金融資産等の運用を担う資産運用業とアセットオーナーシップの改革にも取り組んでいくということが重要だと考えております。現在、資産運用立国の実現に向けた政策プランの年内の策定に向けて検討を進めてまいります。

 また、この成長と分配の好循環の実現の重要性については、二〇二三年、今年の骨太の方針、及び今般策定されました総合経済対策におきましても指摘させていただいているところでございます。

 政府といたしましては、引き続き、資産運用立国の実現に向けた取組を推進するということで、我が国経済の持続的な成長と国民の資産所得の増加を目指してまいります。また、これらの取組の重要性につきまして、国民の皆様に分かりやすくお伝えできるよう取り組んでまいりたいと思います。

泉田委員 ありがとうございました。

 少子化というと、年金を支える人が少なくなって大変だ大変だという印象が強いんですけれども、金融立国が実現すると、お金は消えてなくなるわけじゃありませんから、人口が減れば減るほど一人当たりの取り分が増えるというメリットもあるんじゃないかと思っていますので、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、自動運転についてお伺いをしたいというふうに思います。

 人口の高齢化が進んでいます。そして、実際、高齢ドライバーの事故ということが目立つ昨今でございます。加えて、働き方改革に伴う二〇二四年問題というのも、現実の問題としてひしひしと身近に迫ってきているという実感を持っております。

 地方では、公共輸送機関での運転員不足が深刻でございます。また、観光地でのオーバーツーリズム、これに対応するためには、運転員不足というのは大変頭の痛い問題ということでございます。

 これに対してライドシェアの検討が進んでいるということは十分承知をしているんですけれども、ちょっと世界に目を転じてみますと、自動運転に向けてかなり進んでいっているというのが現実でございます。

 アメリカや中国ですと、もう既にレベル4の自動運転タクシー、つまり、無人でタクシーが運行する地域が出てきている。それも営業運転です。一方、日本では、永平寺町で、磁気マーカー方式というんですけれども、道路に線を埋め込んで、一定の決められたルートだけを走る自動運転がようやく始まったばかり。

 自動運転技術というのは、要はAIとセンサーの塊で、最先端の次世代テクノロジーということになると思います。そして、走行距離を長く走れば走るほどAIが賢く学習をして、いろいろな運転状況に対応できる。

 ちょっと数字を申し上げると、アメリカの企業では、実にもう既に八百万キロメートル以上、面のエリアで免許を与えて、タクシーが八百万キロ走っちゃっている。その中でいろいろな事象を経験をして対応するということになっています。中国でも約百万キロ以上もう既に走って、AIが学習している。

 我が国はどうかといいますと、先ほど申し上げた磁気マーカー方式、いろいろなところに行けないんです。ルートが決まったところを走っているだけで、一万二千キロ程度。実に八十倍以上差がついているというような状況で、次の時代の日本の自動車産業は大丈夫かというような気にもなるわけです。

 コンピューターの世界でいうと、日本の電機メーカー、パソコン、極めて競争力が強かったんですが、問題はパソコンではなくて、OSをどうやって確保するかというところで世界が変わって、ウィンドウズだ、アンドロイドだ、iOSだという形で、OSを支配した人が世界を勝ち抜いたということであります。

 自動車産業というのは、次の時代の、AIをいかに教育するかというところで競争力が決まってくるんじゃないか。そういった中で、八百万キロと一万二千キロでいいのかという懸念を有しているところでございます。

 そこで、政府参考人にお伺いをしたいんですけれども、現時点で、自動車運送事業を世界のトップの国並みの、レベル4の自動運転で営業できる状況にするためには何をすればいいかと考えているか、お伺いをしたいと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の自動運転の実現に向けては、官民一体となって、技術開発や交通インフラ、関連制度の整備などを進めなければならないと承知をしてございます。

 こうした省庁間、官民の連携を強化するために、二〇一四年から策定しました政府全体の戦略、官民ITS構想・ロードマップに基づきまして技術開発や関連制度の整備などに取り組み、自動運転レベル4に必要な環境をこれまで整えてきたところでございます。

 しかしながら、御指摘のとおり、海外で相当動きが進んでおります。今後、日本全体で速やかに社会実装を進めるためには様々な課題がございます。複雑に絡み合い、トレードオフになるような課題、事業上のリスクでございますとか走行環境の整備、さらには事故時の責任の所在といったこと、こういったものを全体として整合的に解決する必要があることから、内閣官房のIT室が先ほどの戦略を作っておりましたが、これを政府全体の取りまとめとして引き継いだデジタル庁といたしまして、省庁間や官民の更なる連携強化を主導をして、検討を加速してまいりたいと考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 先ほど申し上げたとおりなんですけれども、規制の在り方は今のままでいいのかなという問題意識を持っています。

 というのは、日本は今、一定のルートと一定の車両を決めて、それがクリアしたら次は面的にやるかどうかまた許可をするという形で、段階を踏んで、全てのところに国が関与をしています。追いつくには、アメリカみたいに、例えば○○市、つくば市でもいいんですけれども、つくば市というのを面積で指定して、その中での安全管理、まず最初はこの道路をいこう、狭いところは後回しにしようというようなことは民間に任せて、国は包括的に認可をして、そして加速をするというような、規制の在り方を見直すということも考えてもいいんじゃないかなと。

 いずれにしても、何でこんなに日本はアメリカや中国に遅れてしまったのか検証する必要があるんじゃないか、そしてまた未来につなげていく必要があるのではないかと思いますけれども、河野大臣の所感をお伺いいたします。

河野国務大臣 自動運転が後れを取っているというのは厳然たる事実だと思います。その中で、我が国の規制がその遅れの原因となったというところはやはり否めないと思っておりまして、規制改革のところで、自動運転が日本でもきちんとできるように、そこは改革を進めていきたいと思っております。

 それからもう一つ、事故が起きたときの法的責任がどこにあるのか、自動運転の場合はこれをどう考えるのかということについても、国交省、警察庁、経産省、あるいは法務省、保険もありますから金融庁とか、関係省庁にしっかりと議論をしていただいて、自動運転というのがやはり人手不足の中でのモビリティーの切り札だと思っておりますので、そうしたことをスピードアップさせていきたいと思っております。

泉田委員 河野大臣、大変ありがとうございました。是非、日本の未来のために突破力を発揮していただければとお願い申し上げたいと思います。

 それで、今日三つ目でございますが、国民生活の安心という点でいうと、薬品が手に入らない、医薬品難民が生じているというような問題が生じています。

 さらに、ドラッグロスというんですけれども、要は、日本では毎年薬価が下げられて、市場に魅力がない。厚労省の認可制度にそもそも申請をしない。日本では利益が見込めないので、いい薬なんだけれども日本市場は入るのは嫌だよと言う企業まで出てきて、新しい薬の半分ぐらいが、世界の人々は使えるのに日本国民が使えないという状態になっている。このドラッグロスというのは何とかしないといかぬ。余りにも薬価を下げ過ぎているんじゃないかなというふうに思っています。

 今年、トリプル改定の年でございます。当然、トリプル改定に必要な予算も確保しないといかぬですけれども、それを薬価にしわ寄せをするということはあってはならないのではないかというふうに思っております。

 これから日本国民が安心して、そしてまた、創薬力というのは世界で大変高い競争力を持っていたわけでございます。しかしながら、日本の競争力を下げるような形でしか今までの薬事行政は運用されてきていなかったんじゃないかなというふうに思います。

 このような形にならないように、日本でもちゃんと特許料収入が入って、安心して暮らせる日本をつくっていくために、今年の年末に向けてしっかり予算を確保したいと思っていますけれども、塩崎政務官の所感をお伺いしたいと思います。

塩崎大臣政務官 泉田委員の御質問にお答えします。

 まさに今委員がおっしゃられたとおり、創薬力の強化は大変大事な点だと思っております。

 今年度の薬価改定におきましても、国民皆保険の持続性と、そしてイノベーションの推進、この両立を図りながら、国民の皆さんが必要な医薬品を使用できるように取り組んでまいりたいと思います。

 あと、今、薬価が下がっているという御指摘もありました。

 医薬品の薬価改定に当たっては、保険医療上の必要性が高い医薬品であって、薬価が著しく低額であるために供給継続が困難であるものについては、薬価を維持又は引き上げる不採算品再算定という、薬価を下支えする仕組みを設けているところでございます。

 また、創薬力の強化につきましては、特に今年の骨太の方針二〇二三、こちらの中でも、イノベーションの適切な評価などの更なる薬価上の措置等を推進することとしている中で、長期収載品の保険給付の在り方の見直しについて、医療保険財政の中でイノベーションを推進する観点から検討することとしておりまして、適切に対応してまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、泉田委員の問題意識、まさにそうした点も踏まえて、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立ができるような形で、適切な薬価改定、診療報酬改定を進めてまいりたいと思っております。

泉田委員 是非よろしくお願いします。

 終わります。

星野委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 よろしくお願い申し上げます。

 では、賃上げのことに絞ってお尋ねをさせていただいてまいりますので、よろしくお願いします。

 まず初めに、我が国の賃金水準の現状についての確認でございます。

 日本は世界有数のGDP、国民総生産の経済大国でございますけれども、しかし、国民一人当たりのGDPでいえば世界三十五位という現状にございます。GDPは国の経済力の総合力を示す数字でありますので、決して国民一人一人の豊かさを測るという物差しではないわけでありますから、人口が多いので総合力は大きく見えていますが、国民一人一人がその豊かさを実感できているかというと、そこには疑問符がつくわけであります。

 OECDが発表しました二二年の加盟各国の平均賃金によりますと、我が国は三十八か国中第二十五位という現状にございます。アメリカはその一・八七倍、ドイツは日本よりも労働時間がかなり短いわけですけれども、それでも一・四二倍、韓国も一・一八倍という数字になっておりまして、スロベニアあるいはリトアニア、そうした国々よりも我が国は給与水準が低いというデータが出ております。

 国際的に申し上げると、先進国とは認識をされていないこうした諸外国にも給与水準で抜かれている現状につきまして、その背景など、まずは政府の認識を伺いたいと思います。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国の一人当たりの賃金は、過去三十年間、諸外国と比較いたしまして伸び悩んでまいりました。

 その背景につきましては、諸外国では経済成長とともに賃金が上昇してきました。一方、我が国では、バブル崩壊以降の長引くデフレと低成長を背景に、企業は投資や賃金を抑制し、家計は消費を抑制してまいりました。その結果、需要が低迷して、デフレと低成長が継続する悪循環に陥ったというふうに考えてございます。こうした悪循環の中で、企業の行動は慎重化し、収益や生産性が伸びてもそれに見合う分配が行われず、賃金が伸び悩んだというふうに認識をしてございます。

 こうした中で、我が国経済は、三十年ぶりの三・五八%の賃上げや、過去最大規模の名目百兆円を超える見込みの設備投資、五十兆を超える負のGDPギャップが解消されつつあることなど前向きな動きが見られ、デフレ脱却の千載一遇のチャンスを迎えているというふうに考えてございます。

 この千載一遇のチャンスを逃すことなく、物価高に負けない賃上げを実現するため、今般の総合経済対策におきまして、一時的な措置としての国民の可処分所得の下支え、価格転嫁対策の強化、賃上げ促進税制の拡充、中堅・中小企業の省人化、省力化投資への支援など、賃上げの勢いを止めないこうしたモメンタムを維持拡大をしてまいりたいと考えております。

 また、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力の強化のために、国内投資の拡大や三位一体の労働市場改革など思い切った供給力強化に取り組みまして、先生の御指摘に応えるべく取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

庄子委員 今おっしゃった中に、価格転嫁の話がございました。まさに、持続的な賃上げのためには価格転嫁が必要だというふうに思っております。

 昨年末に公正取引委員会が、調査に基づきまして、下請企業との間で、資材、燃料費あるいは人件費等、上昇したコスト分を取引価格に反映する協議を行わず、独禁法に違反するおそれがあると指摘された十三社、社名の公表を行いました。下請側が価格転嫁を要請していなくとも、立場の強い発注側が自発的に協議するよう求めたものでありまして、こうした対応を評価したいと思います。

 この公取の調査につきましては、転嫁円滑化施策パッケージに基づきまして、二一年九月から二二年の八月、受注者側八万社、発注者側三万社を対象に、大規模に実施をしたものでございます。社名を公表された十三社以外にも、価格の引上げ要求について応じなかったとして受注者側から名前の挙がった企業は四千五百七十三社あった、そのうち名前の挙がる回数の多かった上位五十社を抽出し、立入調査なども行っているところであります。

 それから一年余りが経過しておりまして、社名公表や立入調査などが受注者側企業の価格転嫁にどのような影響を与えているか、また、今後のフォローアップ、更なる体制整備など、一層成果を上げる取組をお願いをしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、公正取引委員会は、中小企業等がコスト上昇分を適切に転嫁できるようにし、賃金引上げの環境を整備するため、昨年、優越的地位の濫用に関する緊急調査を行い、多数の取引先に対し協議することなく価格を据え置いていた十三社の事業者名を公表するなど、従来にない取組を行ってまいりました。

 本年も、昨年を上回る規模、具体的には約四十業種十一万社を超える事業者を対象に、優越的地位の濫用に関する特別調査を実施しており、年内を目途に結果を取りまとめる予定でございます。そして、その取りまとめの中で、価格転嫁の状況やその評価についてもお示ししたいというふうに考えてございます。

 また、本年の特別調査におきまして、昨年の緊急調査において注意喚起文書の送付を受けた四千三十社、事業者名公表の対象となった十三社の取組状況をフォローアップしておりまして、結果をこの特別調査の取りまとめの中で明らかにしてまいる予定でございます。

 さらに、特別調査の結果を踏まえました事業者名の公表につきましては、本年十一月八日にその方針を公表したところでございまして、相当数の取引先について協議を経ない取引価格の据置き等が確認された事業者があれば、その事業者名を公表すべく、個別調査を開始したところでございます。

 今後も、関係各方面の理解も得ながら体制整備に努めるとともに、引き続き適正な価格転嫁の実現に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

庄子委員 公取さんの御努力は、本当に敬意を表したいと思います。是非、そうした環境整備、更に進みますように、お取組の強化をお願いしたいと思っております。

 賃上げのためには、労働生産性を上げること、そして人への投資を強化することということに、ある意味尽きるのではないかなというふうに思っておりまして、近年、設備投資については非常に活発ですので、明るい兆しになってきているというふうに思っておりますが、一方で、人への投資というところについては、まだこれは伸び代が幾分あるんじゃないかなというふうに認識をしています。

 独立行政法人の経済産業研究所のデータによりますと、日本のGDP比の人的資本投資につきましては先進諸国でも最も低い数字というふうになっておりまして、しばらくの間、人への投資を十分に行っていなかったということが数字上明らかになっております。

 ここでは、正規労働者と非正規労働者の教育機会の均等がなされていないということについて御指摘を申し上げたいと思っておりまして、近年、やはり非正規労働者がどんどん増えている中で、どうやって正規労働の方と非正規労働の方の教育訓練機会を均等化していくかということが大きな課題ではないかなと思っております。

 この点について、具体的な対策について伺いたいと思います。

原口政府参考人 お答え申し上げます。

 非正規雇用労働者は、正規雇用労働者と比べまして能力開発の機会が乏しいという課題があると認識してございます。非正規雇用労働者も含めまして、誰もが主体的にスキルアップを行うことができる環境整備が重要と考えているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、これまでも、雇用保険の給付を受けられない求職者の方に対する無料の職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度による支援、労働者等が主体的に教育訓練を受講いたしまして修了した場合の教育訓練給付の支給、また、従業員のスキルアップに取り組む企業に対する人材開発支援助成金による訓練経費であるとか訓練期間の賃金の一部の助成、非正規労働者に対して正社員への転換の取組を実施した企業に対する助成といたしましてキャリアアップ助成金といった施策によりまして、非正規雇用労働者も含めまして、能力開発やキャリアアップを支援してきたところでございます。

 さらに、今般の総合経済対策におきましても、キャリアアップ助成金における支給額増額であるとか加算措置の拡充、非正規雇用労働者等のキャリアアップに効果的な職業訓練の検証を行うための、非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業の実施などを盛り込んでいるところでございます。

 これらの施策を通じまして、希望する誰もが学び直しなどを通じまして能力向上やキャリアアップを図ることができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

庄子委員 非正規につきましては、やはり女性の労働者の皆様の方が多いわけです。

 そこで、大臣、お待たせをいたしました。

 女性の労働者の処遇改善ということがとても重要だと思っておりまして、近年、女性の就業率はG7の平均を上回るまでになってまいりまして、社会参画がかなり進んできているわけでございますけれども、これも国の発表資料によりますと、男性一人当たりの報酬に対する女性一人当たりの報酬比率という数字がございまして、男性の賃金の中央値を一〇〇とした場合に、女性の賃金中央値は七七・九でとどまっています。OECDの諸国の平均値が八八・四でございますので、大分下回る水準です。

 分かりやすく申し上げますと、男性が一か月四十万円の給料を得るときに、同じ時間同じように仕事をしても、女性というだけで一か月三十万円にとどまってしまっているのが日本の女性の処遇の現状だということだと思います。

 大臣が所信でもL字カーブの解消について触れていただいておりますとおり、女性の年齢階級別の正規雇用率、二十五歳から二十九歳の五九・七%をピークに、かなり、徐々に低下をしてまいりまして、五十五から五十九歳までにまいりますと二六・八%にまで下がる、いわゆるL字カーブが存在をしています。

 正規に雇用されていたとしても、冒頭申し上げたように、最初から男女格差がある処遇の問題、そして正規雇用が減少していく急流のようなL字カーブ、この存在について、大臣、どのように解消されていくか、お考えを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 これまでの取組により、女性の就業者数は増え、M字カーブの問題は解消に向かっておりますが、男女間の賃金格差や御指摘のL字カーブに象徴されるような構造的な課題は残されております。

 このため、岸田内閣では、目玉政策であります新しい資本主義の中核に女性の経済的自立を位置づけ、政府一体で取組を進めているところでございます。

 具体的には、両立支援の取組、長時間労働慣行の是正といった、平時や育児期を通じた多様で柔軟な働き方を推進するなど、ライフイベントとキャリア形成を両立できる環境づくりに向けて政府全体で取り組んでまいります。

 また、非正規雇用労働者の正社員化の促進、女性デジタル人材の育成といったリスキリングの推進など、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組の強化を図ってまいります。

庄子委員 やらなければいけない課題がたくさんあるというのは、今の大臣の御答弁でもよく分かります。是非、リーダーシップを発揮していただきまして、推進をお願い申し上げたいと思っております。

 大臣はここで結構でございます。ありがとうございました。

 次に、今国会でも給与法を議論させていただきましたが、いわゆる購買意欲の高い若者、若年層への所得の分配を厚めにしていくという意味で、国家公務員の一般給与の引上げということについては賛成でございます。賃金全体の底上げをしていくという観点からも、特に大卒者等の初任給を一層引き上げていくべきだというふうに思っております。

 ちなみに、イギリスの今年度の大卒者の初任給は約四十万円、アメリカでは約五十万円、残念ながら我が国は二十二万六千円という格差になっているわけでありまして、政府が直接的に賃金に影響を与えることができる、そうした措置というのは、最低賃金を上げていくということになるわけですが、最賃というのは、やはり高齢者、女性、学生の所得に影響は与えますけれども、正社員の給料には直接的な影響を与えるものでは決してありません。かつては男性大卒者の初任給と最低賃金には二倍の開きがありましたけれども、最近では一・四六倍にまで縮まってきているわけであります。

 政府におかれましては、是非、国家公務員の更なる初任給の引上げ、一方で、民間企業が初任給引上げを行う際の支援策の具現化など、積極的な取組を求めてまいりたいと思いますが、いかがでしょうか。

窪田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、まず、国家公務員の初任給の引上げについて申し上げます。

 本年の人事院勧告におきまして、民間における初任給の動向や、公務において人材確保が喫緊の課題であることを踏まえまして、大卒の初任給を一万一千円、高卒の初任給を一万二千円引き上げるなど、初任給を始め若年層に重点を置いた俸給月額の引上げが示されました。御指摘いただきましたように、その旨、今回提出の給与法改正案に盛り込み、御審議をお願いしているところでございます。

 また、初任給につきましては、人事院勧告時の公務員人事管理に関する報告におきまして、初任給等の引上げについても引き続き検討することが表明されているところであり、その結果を踏まえ、政府としてもしかるべき対応をしてまいりたいと考えております。

宮崎副大臣 民間企業の方は私の方からお答えをさせていただきます。

 御指摘のとおり、賃上げを目指していく上では、初任給の引上げは非常に重要であります。逆の言い方をすると、全体として賃金を引き上げることによって初任給の引上げにも至るという構造でもございますので、厚生労働省としましても、若年層も含めて持続的に賃金が引き上がる構造をつくり上げるということが重要であると考えておりまして、関係省庁と連絡しながら、三位一体の労働市場改革に取り組んでいるところでございます。

 そして、あわせてでありますけれども、特に先生の方から若い人の御指摘がございました。就職であるとか能力開発のための支援策もさせていただいております。例えば、新卒応援ハローワーク、これは全国で五十六か所設置しておりますけれども、こちらで若者の安定就労であったり職場の定着に向けたきめ細やかな支援をさせていただいております。

 また、先ほど審議官が答弁をさせていただきましたけれども、就職した後も引き続いて企業における人材育成をしていくこと、また、働く方が主体的に、望んだスキルアップができるようにすること、こういったこともしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

庄子委員 是非、民間の方の取組もお願いを申し上げたいと思います。

 今回の給与法で国家公務員の一般職の給与は引上げにはなりますけれども、それでも大卒初任給で二十万円弱という状況ですので、これは優秀な人材を獲得するという意味からも、一層の取組を求めてまいりたいというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。

 政労使会議のことについてお尋ねをいたします。

 今日ですか、政労使会議が国で開かれるというふうに伺っております。本年三月には約八年ぶりに政労使会議が実施されまして、それが四月の春闘にいい影響を与えたというふうに認識をしています。大企業のベースアップにつながったということでございます。

 今後は、次の展開として、都市部の大企業から地方に、そして中小企業に着実に賃上げを波及させていくという必要があると思っておりまして、その意味からも、労働局などが中心となって、地方版の政労使会議、政労使協議会、この実施について強く働きかけをしていくべきではないかというふうに思っております。

 地域によって労働組合の形態には違いがありますから、一律にというふうになかなかいかない側面もありますが、地方や中小企業で賃上げができてこその初めての成果だと思っておりまして、この取組について伺いたいと思います。

宮崎副大臣 先生御指摘のとおり、賃上げの流れを、地方、また中小のところから波及をさせていくということは極めて重要であります。就労されている方の七割は中小零細で働いていただいているということもございます。

 今御指摘のありましたいわゆる地方版政労使会議、これは労働施策総合推進法に根拠を持っておりますけれども、この会議は、働き方改革などの課題について各地域で地方公共団体や労使を交えて話し合うということで設置をされて、そして、毎年開催をしていただいているものでございます。会議のテーマ自体はそれぞれの地域の実情に応じて自律的に決めていただくものでありますけれども、賃上げも非常に重要なテーマでありますので、このことは地方版労政使会議を活用してほしいということで働きかけてまいりたいと思っております。

 先生の御地元の宮城県仙台市においても、宮城働き方改革推進等政労使協議会という名前で平成二十七年から毎年開催していただいておりますので、こういった、全国各地で協力をし合って、賃上げをしっかり波及させていきたいと思っております。

庄子委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立憲民主党の馬淵でございます。

 今日は、七万円給付と、そして安定的な皇位継承、この二課題について質問させていただきたいと思っておりますが、今日は新藤大臣が海外出張ということで御欠席です。通告もさせていただこうと思ったんですが、筆頭間並びに理事会、そして議運での御了解をいただいて、明後日、また一般質疑の機会をいただけるということでございましたので、今日は、新藤大臣への質問に向けて、事務方からの事実確認をさせていただきたいというふうに思っております。また、松野長官には、皇位継承のことをよろしくお願いいたします。

 さて、岸田総理は、十一月の二日に、記者会見にて七万円給付を発表されました。年内から年明けに直ちに取り組む、緊急的な生活支援対策です、こう述べられました。緊急的な生活支援ということでありますから、当然ながら、最も重要なのはスピードです。いかに早くその対象者に届くのか。

 そこで、内閣府の事務方にお尋ねします。多くの対象世帯にこの給付金七万円が届く時期はいつ頃と想定されていますでしょうか。端的にお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者に対しまして一刻も早く支援策をお届けするため、この重点支援交付金の迅速な執行に向けては、各自治体に対し、御検討の参考にしていただけるよう、既に制度概要等の案を前倒しをしてお示ししたところでございます。

 今後も、自治体の予算化に向けた検討状況を定期的にフォローアップするとともに、自治体からの質問や相談に丁寧に対応することで、自治体による年内の予算化に向けて、きめ細かくサポートしていきたいと思っております。

 以上でございます。

馬淵委員 年内の予算化を目指しているということですね。要は、それ以上のことは多分述べられないということなんでしょうか。改めて確認をさせていただきます。端的にお答えくださいね。時期についてははっきりしていないということだと思います、これはイエス、ノーでお答えください。

 そして、その上で、給付方法については、前回三万円の給付を行っています、この前回の三万円給付と同じスキームで行うのか。この二点、端的にお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 時期につきましては、まさに、最終的には自治体の御判断というものでございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、なるべく早く予算化していただくように、しっかりと自治体と連携を取っていきたいと思っております。

 また、スキームにつきましては、これは前回と同様といいますか、三月の予備費で措置しましたときと同様に、低所得者支援枠により各自治体におきまして給付を行っていただくこととしております。

馬淵委員 時期は、なるべく早くしか今は言えないということでありますね。そして、スキームは、前回の三万円のときと同じスキームであるということの確認ができました。

 さて、スケジュール、全く分からないということでは、総理が、冒頭に申し上げた会見における、直ちに取り組んで、緊急だと言っていることと全くそぐわなくなってしまいます。そこで、前回の三万円給付、このスケジュールとの比較によって見えてくるところがあるのではないかと思います。

 今年三月に三万円給付ということについて進められることに決まったわけですが、それまでは、コロナ禍で複数回給付されたのは国直轄の給付金、このスキームがあったわけですが、これを変更した。自治体が計画を立てて、内閣府がそれを審査し、そして交付金の交付決定を受けた自治体が対象者に給付する、こういう形で方向を変えたわけですね。これについては、タイトルは長々と書いてありますが、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の増額・強化ということですが、要は三万円を低所得者の方々に給付するということであります。

 ここの、こうした方法に変えたという、国直轄ではない、地方公共団体において行うと変えたということについては、地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施できる、こういうことが理由だというふうに政府は述べています。三万円の現金給付で前回は五千億、そして推奨事業メニューとして七千億、総額一・二兆円ということでありました。

 こうした中で、緊急的に行われなければならなかった三万円給付でありますが、実際には、この給付時期に関しては、自治体間に顕著な差があったとされています。

 そこで、内閣府事務方に確認です。

 この三万円給付時期について、実際に自治体が事業を開始したのはいつからか。五月からの月ごとの統計数値をお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 重点支援地方交付金を活用した三万円を目安とする低所得者世帯への給付の開始時期につきまして、私どもで自治体に確認した結果、今年の五月は三十一自治体、六月は九十七自治体、七月は八百十三自治体、八月は四百自治体、九月は三百三十五自治体が支援を開始したと把握しているところでございます。

馬淵委員 これで合計千六百七十六自治体。約千八百と言われている、カウントの仕方ではいろいろと自治体の総数というのが違って出てくるのはありますが、東京二十三区もそのカウントに入れるとおよそ千七百四十一自治体、これらのうちの九六%程度が給付事業が開始されたということであります。

 これを見ますと、今数字がお話ありましたように、五月に三十一、六月に九十七、そして、これが、元々でいうと五月の二十九日に計画提出の締切り、七月三十一日に交付決定ということでありますが、それに先んじて給付を行っている自治体というのは、専決処分をしているということだと思います。

 いずれにしましても、千六百七十六自治体が給付の開始を行ってこられたのが、九月にまで及んだということです。これだけ、つまり三月の閣議決定から半年近くの時間がかかっているということ。

 さらに、まだ給付が開始されていない自治体はありますか。事務方、端的にお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 十一月の六日時点では、約九九%の自治体で支援が開始済みでございますので、まだ支援を開始できていない自治体もあると承知しております。

馬淵委員 九九%、つまり、十一月六日、もう八か月たつんですが、自治体としては開始されていないところもあるということですね。そして、給付されていない世帯が現実に存在するということです。

 したがって、前回は五千億、そして今回は一・一兆円ですね、七万円の給付。しかし、同じスキームですから、前回と同程度のスケジュール感で進むことが予想されます。これは緊急的な生活支援と言っていますが、およそ緊急性とはかけ離れたものになる可能性がある。

 そこで、改めてまた内閣府事務方にお聞きしますが、この地方交付金というスキーム、これを取る限りは、自治体による計画の提出、審査、そして、前回と同様であれば、住民に対する確認作業、これらも発生します。年内に予算化という話がありました。この予算化というのは、あくまでも、自治体に対して、地方議会、十二月議会で審議して予算化していただくために、この予算化という言葉を使っているんだと思いますが、結局、実際に手元に渡るには半年以上かかるのではないかということは十分に予測できるわけです。

 改めて事務方の方で確認しますが、これは半年以上かかるんじゃないですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほども答弁させていただきましたけれども、今回、経済対策の閣議決定の後、速やかに自治体の方に対しましては制度概要等を前倒ししてお示しをさせていただいているところでもございますし、また、自治体の予算化に向けましても、御質問なり相談に丁寧に対応することで、自治体による年内の予算化に向けまして、きめ細かくサポートしてまいりたいと考えております。

馬淵委員 もう一回聞きますよ。

 年度内、すなわち、これは十月ですから、年度内に、半年以内に終わるということで、できるということでよろしいですか。事務方、もう一度。できなければできないと答えてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、我々といたしましては、自治体による年内の予算化に向けて、きめ細かくサポートしてまいりたいと考えております。なお、最終的にどのようなタイミングで実施するのかというのは自治体の判断ではございますが、いずれにいたしましても、しっかりとサポートしてまいりたいと考えております。

馬淵委員 新藤さんがいらっしゃらないので、事務方としてはこれ以上答えられないことはよく承知をしておりますが、熟度が上がっているといえども、なかなかに難しいのではないかということは容易に想像されます。つまりは、結局、この給付システムそのものに問題があるのではないかということです。

 また、事務経費、これはもうお尋ねしませんが、前回の三万円のときには当初計画で三百八十四億円です。これは十月で最終の執行ですから、現時点において一体どれぐらいかかったかははっきりしていませんが、恐らくこの程度だったろうということであります。

 したがって、今回も、これはまだスケジュールも決まっていないわけでして、事務経費がどれほどになるか。単純に、五千億が一・一兆円、つまり二・二倍になるということではないと思いますが、自治体によっては、今回もまた、前回設置したコールセンターの再設置、あるいは新たな給付のための人員の確保など、やはりこれは二度手間、三度手間というような形になってしまっています。

 こういうことが、今日、地方交付金の形で行う給付のシステムとして大変問題ではないか。私は、実は、この委員会で四月七日にも指摘をしています。地方自治体に任せる単発給付の限界ということで、継続的な給付を前提としたシステムの構築が必要ではないかということ、これは当時の後藤茂之経済再生担当大臣に指摘をさせていただきました。

 また、そのときにもお伝えをしましたが、フォーマットが一様ではない、自治体によってばらばら、各自治体任せになっていることが原因であり、国が主体となって、デジタルを活用したような情報の収集、集約ということができないということが、これも取り上げられていたわけであります。

 後藤大臣は、四月七日の私の委員会での指摘に対して、国としても、各地方団体としても、できる限り早く給付をしたいという気持ちは共通だと思います、しかし、今、そういう時間がかかっているということについては、できる限り短くすべきだという御指摘のとおりだと思いますと述べると同時に、「デジタル基盤を使った給付制度については、基盤を整えながら、その整えられた基盤に応じて、より一般的な制度もこなせていけるように、機械的に、手仕事でやるような、そういうことにならないように、共通の方式で給付制度ができる限りできるように、そういう方向で検討はしていきたい」と述べられました。

 後藤大臣は、これではまずいということの認識をされ、そして、デジタル化も含めて前に進めていく、システムの見直しを図ると答えられたわけでありますが、今回、デジタル庁で、私が確認をしたところ、導入をすべく実証試験を行って、新たなシステムを、スキームを今実験中であると伺っております。

 これは、福岡県の水巻町と佐賀県の鳥栖市、ここにおいて、自治体における給付対象者の絞り込みのリスト、これを、デジタル庁が開発、あるいはデジタル庁からの実証試験として提供したアプリに入れ込むことによって、進捗管理やあるいは世帯住民の方々とのレスポンスなど、これが可能となり、いわゆる工数の削減が図られるといったことを行っているという説明を受けております。

 そこで、デジタル庁に確認をいたします。

 これは端的にお答えいただきたいんですが、今実証実験中の新たな給付システム、これをこの七万円給付のときに実装して使うことになりますか。お答えください。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございましたように、各府省や各自治体で汎用的なシステムを個別に開発するということは合理的ではないということでございますので、デジタル庁において、申請から給付までデジタル完結できるような共同利用型のウェブサービス、いわゆる給付SaaSを構築することとしてございます。現在、既にプロトタイプを構築しており、今年度から自治体協力の下、給付事務で利用して、実証実験を行ってございます。

 お尋ねの、今回の非課税世帯七万円給付についてでございます。

 これにつきまして、給付SaaSを全ての自治体で活用するためには、デジタル庁において実証検証用の機能を更に改良する必要があるとともに、今回の七万円給付におきましては、自治体においても短い期間で対応していただく必要があるとも聞いておりまして、対応には課題があると考えてございます。

 いずれにしましても、実証実験の結果を踏まえまして、本番環境の構築を進め、より多くの自治体で活用していただけるように取り組んでまいります。

馬淵委員 端的に答えていただきたいんですけれどもね。

 済みません、デジタル庁、この七万円給付のための実装はできるのか、できないのか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお話し申し上げましたけれども、デジタル庁側で実証検証用の機能の更なる改良が必要になります。それから自治体側も、対応するためには……(馬淵委員「端的に答えてください」と呼ぶ)はい。

 データの吐き出しでありますとか、新しい操作ということでございますので、困難ではないかというふうに考えてございます。

馬淵委員 一言で終わるでしょう。実装できないんですよ。

 つまり、今回も、三万円給付と同様に、半年近くかかる可能性がある。これは、私は四月にも指摘をしました。再三言われています。このような状況で、本来ならば、国直轄の給付、これは地方の実情に合わせた、細やかな、裁量に任せるという部分はありません。現金をいかに早く届けるかだけです。

 だから、これは本来であれば、この仕組みをそもそも国直轄から地方公共団体任せにするというのが大きな誤りではなかったかということが問われる点なんです。

 これに関しましては、あさって、明後日、新藤大臣に質問させていただきます。

 それでは、この給付の問題ではなく、次に、皇位継承の問題を取り上げさせていただきます。

 岸田総理は、十月二十三日の所信表明演説で、立法府の総意が早期に取りまとめられるよう、国会における積極的な議論が行われることを期待しますと述べられました。そして、自民党は、先週金曜、十一月十日、安定的な皇位継承の在り方などを検討する総裁直属の新たな組織を立ち上げることを正式に決定されたと報道で拝見しております。いよいよ国会議論が本格化するという状況の中で、議論の前提となる憲法解釈をはっきりさせなければならない、こう思っています。

 二月十日、私は松野官房長官に、この安定的な皇位継承問題について質問させていただきました。残念ながら、長官からは、様々な質問に対しては、国会で御議論を経て、御検討いただくとの趣旨の答弁、この答弁もありましたが、趣旨の答弁で、憲法解釈などについて、あるいは制度設計については明確な政府の答弁は得られませんでした。

 そこで、今回は、内閣法制局の憲法解釈を中心に質問をしたいと思います。

 有識者報告書では、皇族の数の確保のために、皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすることが挙げられています。

 ここで、この養子案について、一般国民から皇統に属する特定の男系男子を選んで皇族にするということが、憲法十四条一項が禁止する門地の差別に該当するのではないかという問題が生じることは、私は、二月の十日、宍戸先生などの御意見などを開陳し、指摘をしました。

 憲法によって、日本国の象徴、日本国統合の象徴であって、主権の存する国民の総意に基づく天皇並びに皇室をめぐる制度は、憲法違反の疑いが指摘されるようなことは決してあってはなりません。

 そこで、内閣法制局に伺います。

 日本国憲法十四条一項では門地による差別が禁止されていますが、門地とは、人の出生によって決定される社会的地位を指し、血統や家系等の家柄が該当します。天皇及び皇族はまさに門地でありますが、それらは日本国憲法自体が認めた例外であって、憲法十四条の規律、平等原則の規定が及ばないという解釈でよろしいでしょうか。法制局、端的にお答えください。

木村政府参考人 御指摘の憲法第十四条において法の下の平等について定めつつ、天皇の世襲制を第二条で定めております。また、第五条には摂政の制度がございますし、第八条等において皇室の存在を予定しております。

 したがって、憲法は、天皇、皇族につきまして、一般国民と異なる特殊な地位を認めていると解されます。かかる地位は、憲法第十四条に規定する門地による差別の例外であると考えられます。

馬淵委員 天皇、皇族は、一般国民と違って平等原則が及ばないということです。一般国民は、当然ながら、憲法十四条の平等原則は及ぶ。

 では、旧宮家の男系男子は、現在一般国民です。したがって、平等原則が及ぶという結論になり、一般国民を皇室への養子縁組の対象として選ぶことは、血統や家系等の家柄に基づき地位を与えることになる。これは、他の一般国民との間で平等原則に反するおそれがあるとともに、旧宮家以外の天皇の子孫たる男系男子との間でも平等原則違反が生じるおそれがあると考えられますが、内閣法制局、端的にお答えください。いかがですか。

木村政府参考人 憲法第十四条第一項は、全て国民は法の下に平等である旨を定めております。お尋ねの一般国民である方々には、当然、その保障が及ぶということでございます。

 ただ、もっとも、一般国民であっても旧宮家に属する方々という、皇統に属する方々が皇族の身分を取得するような制度を念頭に置かれたお尋ねだといたしますれば、具体的な制度が明らかではございませんけれども、一般論としては、皇族という憲法第十四条の例外として認められた特殊の地位を取得するものでございますので、憲法第十四条の問題は生じないものと考えております。

馬淵委員 それは取得をした前提であって、現時点においては一般国民である旧宮家の男系男子、これは、この十四条の平等原則が及ぶということじゃないですか。もう一度確認します。仮定は要りませんよ、私が聞いているのは今確認したことですから。皇族の資格取得なんという前提はありませんよ。

木村政府参考人 憲法は、第十四条の例外として、皇族という特殊な地位を認めております。その範囲は、法律の定めるところにより委ねられているというふうに考えております。

 したがいまして、法律の定めるところに従って皇族の地位を取得するということになりますので、一般論でございますけれども、憲法の認めるところであると考えております。

馬淵委員 これは法律によって定められた場合ということでありますから、今はそうなっておりません。したがって、現時点においては旧宮家の男系男子の方々は一般国民という扱いですから、門地差別の疑いがある、おそれがあるということについては、これは否定できない部分だと思います。

 先ほど来、法制局はそのことを飛ばして、法律で認められた前提でしかお答えいただいていませんので、これはいつまでやっても時間がなくなりますので止めておきますが、現時点においては一般国民でありますから平等原則が及ぶ、門地の差別のおそれがあるということになります。

 その上で、憲法二条に関しては、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と規定しています。この世襲のものという文言は、平成二十四年二月十三日、第百八十回国会の衆議院の予算委員会で、山本庸幸内閣法制局長官は答弁で、憲法二条は皇位が世襲であることのみを定めており、それ以外の皇位継承に係ることについては、全て法律たる皇室典範の定めるところによるということでございますと述べています。

 内閣法制局、これも端的にお願いしますね。皇位は世襲のみを要件としているということでありますが、これは間違いないですね。

木村政府参考人 御指摘の山本内閣法制局長官の答弁で示されました見解は、現在も変わっておりません。

馬淵委員 こういう形で、皇室典範でいわゆる男系男子ということ、これを示しているのは下位法によるということであり、憲法ではあくまでも世襲ということであります。つまり、男系、女系、男性、女性の双方が含まれるということになる。

 その上で、先ほど申し上げた有識者の報告書では、「皇族が男系による継承を積み重ねてきたことを踏まえると、養子となり皇族となる者も、皇統に属する男系の男子に該当する者に限ることが適切である」という記載になっています。

 つまり、これは歴史的な経緯、このことは私も決してないがしろにするものではないと思いますが、そうした経緯と憲法を踏まえた法律論、これを全く混同してしまっている。やはり、ここは憲法解釈に疑義があるかないかということを明らかにしていかなければなりません。

 こうした十四条、二条に対する、おそれがあるというところの中で、松野長官には、私は前回もいろいろ確認しましたが、なかなか十分なお答えをいただけなかったので、今日は松野長官にお越しいただきましたから確認をしたいんですが、事実関係で。

 二〇二一年三月二十六日の参議院の予算委員会、加藤勝信官房長官は、旧宮家の男性の皇籍復帰について考えを問われたところ、そうした皆さんに確認したことはない、していく考えもない、これは変わらない、こう答弁されています。

 今回の有識者会議の報告書は、養子縁組案が具体的な方策として盛り込まれ、国会の検討対象とされています。状況は二〇二一年から大きく変わっています。今この状況の中で、当事者の御意向を無視して勝手に制度化を進めることはできないはずです。

 さて、こうした差し迫った状況のある中、松野官房長官、今申し上げたような形で具体化しなければならない状況の中で、政府があらかじめ当事者の御意向を確認したことはありますか。端的にお答えください。

松野国務大臣 馬淵先生にお答えをいたします。

 有識者会議の報告書においては、皇族数を確保する方策の一つとして、養子縁組により皇統に属する男系の男子を皇族とする方策を制度論としてお示しをしたところでありますけれども、昭和二十二年十月に皇族の身分を離れたいわゆる旧十一宮家の子孫の方々について、政府として具体的に把握したり接触を行っているものではありません。

馬淵委員 接触は行っていない。加藤勝信長官のときには、これからもないというふうにおっしゃっていました。行う予定もないということですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 今後、国会において具体的な制度についての御議論があるかと存じますので、それらの御議論を経て、適切に対応していきたいと考えております。

馬淵委員 長官、確認ですが、制度化されてからでは遅いですよね。これからの議論と言いますが、国会の議論が始まったら、じゃ、直ちにアプローチ、何らかの方法を取るということですか。制度化されてからでは遅いですよ。お答えください。

松野国務大臣 前提の部分は繰り返しでございますから省略させていただきますが、御指摘の事項につきましては、個人のプライバシーにも関わることであり、慎重な対応が必要だと考えております。

馬淵委員 プライバシーが大事なことは当然です。したがって、そのような状況というものについて、何か固有名詞を挙げるなどとかそういったことは、当然ながらはばかられるものだと思います。

 しかし、国会で議論を真剣に行っていかなければならないという状況に際して、政府が当事者にアプローチあるいはどのような意向かということについて何も手だてを打たないということは、これはあり得ないと思います。

 長官、私は、だから、繰り返し言いますよ。個別の名前だとか何か具体的なことを申せと言っているのではありません。今後、それは、制度化される前に、有識者会議報告書に対して、総裁の直轄の議論も始まるんでしょう。これから立法府で議論していく過程の中で、制度化される前にアプローチするということを、お考えはありませんか。お答えください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、御指摘の事項については、個人のプライバシーに関わることであり、慎重な対応が必要ということが前提でございますが、国会での御議論を注視をしながら、そこにある御議論の中において適切に対応していきたいと考えております。

馬淵委員 議論の中で適切に対応ということで、前向きな御答弁だというふうに受け止めます。

 以上です。終わります。

星野委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 さきの国会におきまして原子力基本法が改正されました。お配りの資料のとおりでございまして、電気事業法、原子炉等規制法、再処理等拠出金法などの実施法とともに原子力基本法が改正されております。GX推進の一環として原子力発電の運転期間の制限見直し等と平仄を合わせるための改正であったと説明を受けております。

 さきの国会で、この原子力基本法の改正の趣旨等について主務大臣であります高市大臣に質疑をお願いをしたのでありましたが、かないませんでした。ちょうど今委員長席におられます星野副大臣が対応くださいましたけれども、残念ながら納得のいく御説明を受けることができなかったわけであります。

 本日は、内閣委員会にお時間をいただきましたので、高市大臣にお聞きをしてまいります。

 そもそも、この原子力基本法の制定ですが、歴史的にひもときますと、議員立法として提出されたのが昭和三十年の十二月十三日ということで、科学技術振興対策特別委員会という議事録を見ますと、原子力の利用の黎明期にあって、原子力が新しいエネルギー源として、また医学用の用途などにも広く活用が期待されるものであること、その研究開発及び利用は平和目的に限ること、民主、自主、公開の原則に従うこと、国を挙げて取り組む組織や予算の枠組みが必要であることなどが議論されておりました。当時の中曽根元総理が説明をされているわけでございます。

 原子力の利用については、広島あるいは長崎という原爆の惨禍に遭った日本にとって特別な意味のあるものであるという前提で議論が進められていることがよく分かります。さらに、現時点では、二〇一一年の東京電力福島第一原発事故も踏まえてその意義を語らなければならない状況だというふうに理解しております。

 私が申し上げたいのは、こうした原子力という特別な存在を前提にして、その研究や開発や利用、その考え方をまとめたのがこの原子力基本法であるということでありますが、高市大臣、この原子力基本法の意義についてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

高市国務大臣 まさに、当初の原子力基本法、その目的で、今委員がおっしゃっていただいたように、それから幾度も改正はされておりますけれども、今回の改正案におきましても、目的として、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、並びに学術の進歩、産業の振興及び地球温暖化の防止を図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的といたしております。

山崎(誠)委員 目的の条項を御説明いただいたと思うんですけれども、私がここで問題にしたいのは、基本法というものは、あくまでもやはり実施法の上に立って、しっかりとその理念に沿って実施法が、決められた政策の遂行が行われる、そういう流れがそもそも法律的にも重要なのではないかというふうに思うんです。

 今回の改正の経過を見ていると、例えば運転制限の撤廃などという政策目的があって、それに合わせて実施法の改正があって、それに合わせるために基本法をいじっているのではないか、改正しているのではないか、そういう流れが見え隠れしております。

 私は、この基本法というのは、先ほど申し上げたように、歴史的にも、その背景もあって、大変重いものであります。それを、現時点の利用の都合で容易に基本法を改正をするという、その考えは間違っているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 基本法と呼ばれるものでございましても、中小企業基本法ですとか環境基本法ですとか、他の多くの基本法でも、国が講ずべき個々の施策が規定されているということはございます。

 今回なんですが、その改正の背景を申し上げますと、ロシアによるウクライナ侵略等の地政学リスクの増加によってエネルギー安全保障強化の必要性、また、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現の観点などから、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することがますます重要になったということがございます。

 そして、去年の十二月にパブリックコメントに付したものでございますけれども、今年の二月二十日に内閣府原子力委員会が改定し、二月二十八日に、政府として尊重する旨の閣議決定がなされた原子力利用に関する基本的考え方では、「原子力利用に当たっての基本原則は、法令等で明確化することが望ましい。」とされました。

 そこで、このGX脱炭素電源法というのは、既存の原子力発電所の最大限の活用ですとか、廃止措置の円滑化などに向けた法的措置を講じることに加えまして、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則、これについて法律レベルで明確化するという意義を有していると考えております。

 この基本的考え方における記載を踏まえまして、原子力のエネルギー利用に関する基本原則として、原子力基本法に幾つかの原則を明記させていただいたということでございます。

山崎(誠)委員 御説明いただいた内容というのは一定理解をするのでありますけれども、私が申し上げたいのは、やはり原子力基本法というのはかなり特別な存在であって、原子力の平和利用だとか、その柱を立てているものだということだと思うんです。

 その中に、今回の第一条の目的、今大臣からもお話がありましたけれども、例えば、地球温暖化防止という文言が追加をされているということであります。

 地球温暖化、脱炭素社会の実現というのは当然大きな目標でございますけれども、これはエネルギー政策全体の問題で、原子力の利用に限った問題ではない、言うまでもないと思います。例えば、地球温暖化の防止やエネルギーの安全保障、先ほど大臣がお話しになったことは、エネルギー政策基本法にしっかりとうたわれています。

 脱炭素社会の中心は、例えば再生可能エネルギーだ、これは政府も認めているところだと私は思います。あえて原子力基本法にこうした点の改正を入れる必要はないと思うんです。原子力政策、これと、エネルギー政策基本法、これは、きちっと両方あって存在意義があるものです。なぜ、エネルギー政策基本法に地球温暖化対策もありエネルギーの安全保障という記述もある中で、原子力基本法にこの文言を入れる必要があったのか、お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

高市国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、まず、「原子力利用に当たっての基本原則は、法令等で明確化することが望ましい。」ということが閣議で尊重決定をされております。

 その上で、基本原則として、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に向けて最大限努力すること、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、電気の安定供給の確保、カーボンニュートラルの実現、エネルギー供給の自律性向上に資するよう、国が必要な措置を講ずる責務を有すること、安全性の確保を前提に、原子力事故の防止に万全の措置を講じ、国民からの信頼確保、立地地域の課題解決に向けた取組を推進することなどを原子力基本法に明記をしたわけでございます。

 委員がおっしゃった温暖化対策にしてもエネルギー安全保障にしても、いずれも原子力の平和利用でございます。きちっと法律に書き込むことが望ましいと閣議で尊重決定されましたので、むしろ基本法にしっかりと書いて、国の責務というものを明らかにしたつもりでございます。

山崎(誠)委員 今の御説明、私は、基本法というものが歴史的にあって、それを閣議の決定で解釈というか中身が変わっていくというのは非常に不可解であります。

 私が懸念しているのは、こうして原子力基本法の中に温暖化防止だとかそういったものが入ってくることによって、原子力発電の利用の固定化、これが進むのではないかということを非常に危惧をしております。

 今御説明の中にありました条文、第二条の基本方針の中で追加になりました第三項、この中身について今大臣もお触れになりました。その第三項にはこう書いてあります。

 エネルギーとしての原子力利用は、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を防止できなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、これを行うものとするというふうに規定しています。これは条文そのままでございます。

 この主体が、国及び原子力事業者となっています。福島の第一原発事故を防止できなかった責任の一端は国にあったという認識をお持ちですか。

高市国務大臣 そのような認識もあるからこそ、しっかりと基本法に、国の責務という形で書き込ませていただきました。

山崎(誠)委員 大臣、今のは大事な御答弁です。福島第一原発事故を防止できなかった責任の一端は国にあったという認識、もう一度確認します。

高市国務大臣 今回、条文を先ほど来読んでいただいたとおりの認識でございます。

山崎(誠)委員 最高裁判所の判決は、国の責任は認めていないんですよ。今本当にこれは問題になっております。今、大臣の認識は、私は最高裁判所の判断と異なるということだと思います。

 次に行きます。

 最善かつ最大の努力をしなければいけないということになっております。これは努力義務ということでしょうか。

高市国務大臣 先ほどの点ですが、これは法律にしっかり書き込んであるんですね。「国及び原子力事業者が安全神話に陥り、」「事故を防止することができなかつたことを真摯に反省した上で、」ということで、反省をしっかりと盛り込んでいる。そして、「その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立つて、これを行うものとする。」ということですから、最善かつ最大の努力をするということが国にとって必要なことである、読んでいただいた条文のとおりでございます。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

山崎(誠)委員 もう一つ、これはすごく丁寧に書かれた条文なんですよ。「最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立つて、」とあります。これはどういうことですか。(発言する者あり)

渡邊政府参考人 お答え申し上げ……(山崎(誠)委員「大臣、答えられないの。大事なところだよ」と呼ぶ)済みません、条文の詳細の部分になるかと思いますので、大変恐縮ですけれども……(山崎(誠)委員「詳細じゃないよ。条文そのものだよ」と呼ぶ)済みません。

 御指摘の点でございますけれども、東電福島第一原発事故のような事故を二度と起こさないという、安全神話からの決別ということで、原子力固有のリスクを認めて、どこまで安全対策を講じてもリスクが残存する、そういう認識を持ちつつリスクを除去する、低減するという取組を継続していくということが重要であるということを記載をしております。

 原子力に絶対の安全はないという認識に立って、安全性の向上に向けて不断の努力をしていくという趣旨で書かれています。

山崎(誠)委員 私は、最善の努力をしなければならない、努力義務にして、更にその認識があったらいい、これは二重の安全に対する抜け穴じゃないかというふうに思うんですよ。

 これは何で、その防止に最善かつ最大の措置を講じ、原子力の利用を行うこと、そういうふうにしなかったんですか。何で、努力や認識まで入れるんですか。これだけ抜け穴をつくって、私は、これは安全神話の上書きだと思いますよ。大臣、ここは責任ある答弁をお願いします。

高市国務大臣 国の責務というものにつきましても、これまでの原子力基本法には元々なかったわけでございます。

 改めて、国のこれまでの反省も書き込み、そしてまた、第二条の二、ここに国の責務というものを新設したわけでございます。これまでの原子力基本法以上に、国の責務、そして事業者の責務というものはこれによって重くなった、こう受け止めていただいていいのではないでしょうか。

山崎(誠)委員 私が申し上げたいのは、事故の教訓を生かして、原子力の利用について一定の新しいルールを作っていくというのは非常に重要ですよ。だから、国、これは国だけではありません、原子力事業者も含めて、これについてどういうふうに向き合うべきかというのを決めているのがここですよ。そこに今のような抜け穴だらけの条文を置くことが、私は、見せかけだけの安全なんじゃないかなと。国民みんなそう思いますよ、この条文を読めば。ちゃんと読んでいただければというふうに思います。

 今、国の責務という話がありましたので、続けていきますと、第二条の二、三で丁寧に国の責務について書かれています。その中に、例えば、立地地域の住民の理解や地域振興や産業基盤の維持強化などが、これは原発の事業の中に、国の責務としてこういうことをやらなければいけないんだということが書かれています。

 例えば再エネだとか火力発電など、他の電源について、こういう支援が盛り込まれている例があるのかどうか、私は調べてみましたけれども、例えば再エネ特措法を見ると、研究開発の推進という以外の、住民の理解の促進とか地域振興とか人材育成とか、そういう施策について国の義務はありません。

 私は、原子力だけ非常に特別扱いをしているのではないか、政策について著しくバランスを欠いていると思うんですけれども、いかがですか。

高市国務大臣 事故があったからこそ、この原子力基本法、これまでは全くなかった条文を追加したわけでございます。

 基本法の改正において、国の責務規定として、原子力のエネルギー利用の目的があくまでも安定供給の確保等にあるということを十分に踏まえた上で、この目的の達成に向けて、原子力が必要とされる限りにおいて国は適切な措置を講じるべき、こういった方針を明確化したものでございます。

 ですから、やはり事故があったという重大な事実を受け止めた上で、むしろ厳しく安全を確保していく、その責務を表明したもの、こう受け取っていただいた方がよいかと思います。

山崎(誠)委員 今の、大臣、非常に重要な発言というか答弁がありました。原子力発電が必要な限りという話があったのでありますけれども、その一言は私は非常に重要だと思います。

 私は、原発を推進するに当たってのいろいろな注意事項はあるのは分かるのでありますけれども、例えば、立地自治体の振興などという話になりますと、これは過疎で苦しんでいる地域はたくさんあるんですよ、その中で、何で原発の立地自治体だけこんなに厚く支援をするのか。これは、原発の抱えている矛盾をそのまま国の責務に落としてしまったということだと思うのであります。それを正すのが、私は、今必要な、原発の取扱いについての正しい姿勢なのではないかというふうに思うんです。

 今のお話でありますけれども、第二条の三に、基本施策の中に、国が講ずべき施策について次のように書いてあります。二条の三の三のところであります。電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況においても、原子力事業者が原子力施設の安全性を確保するために必要な投資を行うことその他安定的にその事業を行うことができる事業環境を整備するための施策、これを国が行うというのがこの規定です。

 質問なのでありますけれども、電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況というのは、どういう状況を想定しているか。例えば、電力システム改革が今行われて、再生可能エネルギーによる電気が大量、安価に提供されるような状況になる、蓄電池なども普及して、一定、安定供給にも問題がないような状況になる、そういう状況も想定しているのか。

 この抜本的な改革が実施された状況というのはどういう状況でしょうか。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 私、実は、十五年ほど前に、新エネルギー対策課長でございまして、そのときもございましたけれども、エネルギーの技術ですとか環境というのは日々変わっていくものでございます。ですから、その時点で、関係省庁と協議をしながら、抜本的な改革ということを私ども検討していくということになろうかと思います。

山崎(誠)委員 全然答えていないよ。時間が無駄なので、もうやめますけれども。

 大臣、ここで言いたいのは、エネルギーの事情はいろいろ変わりますよ。今言ったように、原発がなくても電気が安定供給できる、安くですよ、そういう状況が生じても、なおこの施策を講じるというのが、この項目なんですよ。

 次の項目に何と書いてあるか。その他安定的に事業を行うことができる事業環境を整備すると書いてある。

 もう時間がないのでお話ししますけれども、例えば、価格競争において原発がほかの電源にかなわない、そういう状況が起きて、要するに、事業がもう難しくなった、そういうときに、国は、先ほど言ったような流れの中で、それにおいてもこの事業を応援しなきゃいけない。

 価格がもうついていかない、どうするんですか。国は、財政的な支援や、原子力発電に対して税の投入、税金の投入も視野に入れているのかどうか。この項目、非常に重要だと思うんですけれども、いかがですか。

高市国務大臣 先ほども、原子力が必要とされる限りにおいてと私は申し上げました。

 技術の進歩というのは、どんどんこれから進んでいくと思います。例えば、同じように原子力発電ではありますけれども、今、より安全性が高くてシンプルだと言われるSMRなども開発をされてきています。その次の時代は、核融合、ウランもプルトニウムも使わない、高レベルの放射性廃棄物も出ない、そういったものが実用化されていくでしょう。蓄電池の技術も今はまだ十分じゃないですし、特定重要物資に指定しなきゃいけない、そういう状況でもありますけれども、委員がおっしゃるとおり、どんどん技術は進んでまいりますよ。安定的なエネルギー供給ができて、なおかつコストも合うということになったら、また事情は変わっていくと考えております。

 御指摘の、第二条の三の三ですけれども、これは、未来永劫大型の原子力発電を続けるために書いたものじゃなくて、むしろ、安定的に発電事業を実施できるというのは、原子力発電事業者がまず安全対策に十分に取り組める、そういう体力は持っていただかなきゃいけないということ。それから、安全性向上に向けても、技術や人材の確保というのは絶対必要ですよ。ですから、使うんだったらしっかり安全対策投資が行われるようにということで、ここは私はこだわった点でございます。

山崎(誠)委員 大臣、この条文を真っすぐ読めば、そういう改革が実施された状況においても、なお、その事業を行うことができる事業環境を整備するというのが、この条文の素直な読み方なんですよ。

 大臣の言っているように、いやいや、状況がいろいろ変わったら、それは、事業者が努力をして、例えばいろいろな事業環境を整備できる、そういうことであればいいですよ。それをできないときも国が整備をする、税金を投入するんですか。価格競争で原発がもう競争力がなくなったときに、それを税金で支援をするんですか。そこの一点をお聞かせください。

高市国務大臣 原子力事業というのは、これから新しい技術も出てきて、現在のような大きな原子力発電所が必要がないという時代が来たとしても、最終処分に至るまで、いわゆるバックエンドの対策も必要なわけでございます。そこのところはしっかりと国も前に出てやっていかなきゃいけないというのは、私の強い問題意識でございます。

 もう必要がなくなって、いつまでもそれにお金をつぎ込むとか、そういった趣旨の条文ではございません。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 本当に、私は、この原子力基本法の改正で、原子力発電の利用が固定化されないか、公正で合理的で効率的なエネルギー政策がゆがめられないのかということを非常に危惧しております。

 最後の答弁は、私はそういう趣旨ではないということだと理解しましたので、この質問をここで終わりにします。

 自見大臣に、お忙しい中来ていただいていますので、一つ御質問させていただきます。

 海外パビリオンの建設について、全体像が見えません。経済産業委員会でも同じ質問をしたんですけれども、明確な御答弁がなかった。その中で、メキシコだとかエストニアの出展辞退という報道がありました。私は、鋭意努力をしていて、出展を進めるということだったので、信じていたんですけれども、残念ながら、こういう情報が出てきますと、なかなか信じることができないんですよ。

 何か国がエントリーを希望していて、契約が済んでいるのは何か国か、あるいは、基本計画書の提出が、今、それぞれの国、どうなっているか、あるいは、建設工事の契約は今どういう進捗なのか、そんなことを、全体としてきちっと、国民、我々にも知らせていただきたい。オール・ジャパンというのであれば、そうした情報というのが、今もうこの時期でありますから、しっかりと開示をしていく必要があるのではないかというふうに思います。いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 今まででございますが、参加表明を行った国また機関は、合計で百六十か国、そして九国際機関となってございます。

 この百六十か国、九国際機関のうち、タイプB、タイプCということでありますが、約百か国がタイプB、タイプCでございまして、これらは博覧会協会が建設するもので、建設事業者が既に決まっておりまして、既に着工済みでございます。

 また、参加国が自前でパビリオンを建設するタイプAでございますが、これらにつきましては、現在、約五十か国のうち二十四か国が建設の事業者を決定いたしまして、着工に向けて準備をしているというふうに承知をしているところであります。

 具体的な国名、また総数につきましてでございますけれども、現在、個別の契約を行っているところでございまして、相手国の事情もございますので、確定的な国の数、また総数は都度都度申し上げられない状況にはなってございますが、全体としてはそういった状況でございます。

 また、委員も専門でございますけれども、全体の工事でございますが、現在、東京ドーム三十三個分のいわゆる土地造成でございます、水や配管、電気配管などを含みましたそういった土木工事は、おおむね現在事業が完了しているところでございます。

山崎(誠)委員 時間ですので終わりますが、委員会にお願いをします。

 海外パビリオンの出展状況、特にタイプAですか、これについては、少なくとも国別に一覧できちっと状況が分かる、そうした情報の開示を求めたいと思います。国別の一覧表の提示を委員会に求めて、終わります。

 委員長、取り計らいをよろしくお願いいたします。

星野委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

星野委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 本日は、三つほど質問をさせていただきたいと思っています。一つは待機児童解消について、もう一つはこども誰でも通園制度について、最後に保育士の人材確保についてということで、質問をしていきたいと思っています。

 まず最初なんですけれども、待機児童解消について。

 私、こう見えて一九七三年生まれ、見た目はもっといっているんじゃないかとよく言われるんですけれども、第二次ベビーブーマーですね、昭和四十八年ということで。その当時から保育業界は、待機児童解消という政策目標、お題目を掲げて、それに取り組んできました。まずは、その現状について、どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童の状況でございますけれども、本年九月に公表いたしました令和五年四月一日時点での待機児童数は全国で二千六百八十人となっておりまして、ピークであった平成二十九年の二万六千八十一人からしますと、六年間で約十分の一まで減少しておりまして、着実にその解消が図られてきている状況でございます。

浦野委員 答弁にはありませんでしたけれども、大体八七%の自治体で待機児童は解消されているということなんですね。

 これは五年計画で、国として政策をつくって、それを受けて市町村が待機児童解消についていろいろな取組をするわけですけれども、来年がその五年の最終の年度になります。また新たに、その次の令和七年度以降、五年計画で立てるということだと思うんですけれども。

 ここで私が心配しているのは、待機児童の解消はかなり解消してきたとはいえ、保育園の枠を広げたら広げただけ保育ニーズを逆に掘り起こして、保育園に通う人たちが増える、認定こども園に通う人たちが増えるという現象がこれまでもずっと続いてきました。それだけ、大きな原因は多分、女性の社会進出がそうやって喚起されて、それはそれで一定のいろいろな効果があったとは思うんですね。

 待機児童の解消、待機児童の解消とずっとやってきて、最終的には完全に解消はできない。私は完全に解消できないと思っている側なんですけれども、目標として掲げるのは、それは致し方がないかなと思うんです。ただ、余りにも待機児童解消という政策に縛られて、各市町村ががんじがらめになってしまっている状況もあるんですね。これは、この次の、こども誰でも通園制度にも絡んでくることだと私は思っているんですけれども。

 今、「ゼイチョー」というドラマをやっていますね、見た方はいらっしゃるかもしれないんですけれども。この第三話に、実は待機児童のくだりが出てくるんですね。興味のある方は是非、これは多分、再度見れるようになっているはずなので、見ていただいたらいいと思うんですけれども。要は、待機児童を解消という目標のために、市役所がありとあらゆる手でカウントされないように仕向けるわけですよね。それに対して利用者の皆さんは、あの手この手で、保育園に入れるように、点数制度ですから、偽装離婚して保育園に入ろうとする、そういうことをする、そういうくだりのある回なんですね。

 これはめちゃくちゃよう知っているなと、僕らからしたら、その内情を。これは多分、市役所かどこかで仕事をしている人が作ったんちゃうかというぐらい、結構リアルな回でした。

 何を言いたいかというと、待機児童の解消ということに余りにも役所もこだわって、国もこだわり過ぎて、ほんまのところを見失っているんじゃないかという危惧をしているんですね。ほんまのところというのは、要は、生まれてくる子供が安心してこの国で育っていけるようにしていくという、この大前提というのが何か置き去りになっているんじゃないかというような危惧をしているんですね。

 七年度以降の次の五か年で、相変わらず待機児童解消というのを大きな政策目標と掲げてこの国はやっていくのかどうかというのを、まず聞かせていただきたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 新子育て安心プランのその後をどうするかということにつきましては、これから検討していくということになりますので、現時点で決まっているものはございません。

 ただ、先ほど御紹介もいただきましたし、また私からも御答弁申し上げたように、待機児童数自身は二千六百八十人ということで相当減ってきておりますけれども、まだ待機児童の解消に至っていない自治体も数百団体、正確には二百三十一団体ございますし、あと、これから就業率がどうなっていくかとか様々なこともございますので、いずれにしても、様々な状況を考えながら今後のことについては検討していく必要があるのかなと。また、その際には現場の皆様の声もしっかりと聞いていく必要があるかなというふうに考えております。

浦野委員 先ほど「ゼイチョー」のドラマの話をしましたけれども、これは多分、かなりたくさんの自治体で起こっている現実だと思うんですね。余り待機児童の解消というのにこだわると本来の目的を見失ってしまうんじゃないかという危惧をしていますので、そこら辺はやはり慎重に計画を立てていただけたらなと思っています。

 これは、この次の質問の、こども誰でも通園制度にも絡んでくるんですけれども、まず、来年度試行を実施予定ということで、今、試しにやってみる自治体はどれぐらいあるか手を挙げてもらっているという段階だと思いますけれども、今分かっている時点の数字を教えていただけたらと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 来年度実施予定でございます、こども誰でも通園制度の試行的事業につきましては、自治体や事業者に対して、検討会での議論の内容と併せて、今後説明をしてまいりまして、実施自治体の募集を行うことを考えている段階でございますので、現時点では手を挙げている自治体があるわけではございません。

 ただ、雰囲気として、いろいろな意見を探りながら我々としても予算計上等を考えておりますけれども、令和五年度の補正予算案には百五十自治体程度を一定想定をさせていただきまして、予算を計上しているというところでございます。

浦野委員 恐らく、今、アンケートですかね、調査をしているという形になるんですかね。その中で手を挙げそうなところと挙げそうじゃないところというのがあるんですけれども、その差というのは政府の方で、こういうところが影響しているんじゃないかというのは何かありますか。済みません、一緒に質問しようと思っていたのに、分けてしまいました。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の募集につきましては、まだ正確な数字を取ったり、また個別なコミュニケーションを取っている段階ではないので、直接お答えするのは難しい部分もあるんですけれども、本年度、三十一団体において、未就園児のモデル事業というのを実施しております。

 そちらにおきましては、こちらも手挙げ方式という形で募ったわけでございますけれども、手を挙げていただいた団体は、指定都市から小規模な町まで幅広い自治体において実施をされておりまして、また、それぞれの地域の置かれている状況も、待機児童の数ですとか空き定員の状況なども様々でありますことから、試行的事業につきましても、同様に、様々な特性を有した地域や施設で実施されていくというふうに想定をしているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 待機児童解消と、この誰でも通園制度で僕がちょっと危惧しているのは、待機児童がある市町村が、この通園制度、先ほどおっしゃったみたいに、余りそういう差がなくて、そういうところでも手を挙げてくる可能性があるということだと思うんですけれども。

 例えば、市町村がやります、地元の園がではそれをやりましょうかとなったときに、定数というのがありますよね、保育園には。その定数の枠内なのか、それは別で、枠外でも考えていいですよだとか、保育の必要性の認定ですね、これの要不要とかが絡んでくるのかとか。

 あと、これは検討会でも議論になっていましたけれども、一時預かりと何が違うのか。これは、運営されている側からすれば、一時預かりとどこがどう違うのかというのがいまいちよく分からない。近いというものもあるので、そこら辺がいまいちよく分からないという、今はまだ検討段階なので分からないということだと思うんですけれども。

 あと、これは加藤大臣が答弁されていましたけれども、月十時間という言葉がまた独り歩きしましたけれども、確かに検討会でも、何で月十時間というのが出てきたのかという根拠は、根拠というか、その裏づけになるような話は検討会の資料の中でも書かれていましたけれども、でも、それでもやはり委員の方々からもいろいろ意見が出ていたわけですよね、その月十時間というのは。

 今、私が危惧しているのは、岸田総理が余りにも大風呂敷を広げてしもうたもんやから、国民一般、皆さんが思っているイメージですよ、これは誰でも、保育に必要な認定とか関係なしに、どの子でも、保育園とかこども園に今通っている子供並みに保育園を利用できる制度になると多分思っていますよね。国民は多分そう思っていると思うんですよ。だから、月十時間という話になって、何やそれとなったわけですよね。

 これはまだ試行段階だから、走りもっていろいろやっていくというのは分かるんです。分かるんですけれども、待機児童解消問題と、誰でも通園できるんだったら通園できるはずなのに、何で通園できないんですかという、これはまた一つ大きな問題になりかねないので、そこは私、政府はきっちりと、まあ、財源の議論はこの国会が始まってからもありましたけれども、余りそういった内容とか、何で内容が決まっていないのに財源とか予算の話になるのか、僕はちょっと順番が逆ちゃうかと思いますけれども、内容について、もうちょっとしっかりと。

 検討会、それは公開はされていますよ、ユーチューブとかでも見れますし、見ようと思ったら見れる、確認できるわけですけれども、でも、日本国民全員がそれを確認するわけじゃありませんから、そこはやはり政府としてしっかりと、余り大風呂敷を広げぬと、きっちりと、ちゃんとしたことを伝えないと駄目だと思っているんです。

 その部分に関して何か御意見があれば、お聞かせください。

黒瀬政府参考人 御指摘どうもありがとうございます。

 誰でも通園制度については、イメージ先行にならないように、私どもとしても、今御紹介をいただいたように、こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会というところで、様々な事業者の方ですとか自治体の方ですとかに入っていただいて、かつフルオープンな形で検討させていただいているところでございます。

 そのときの観点として、様々ございます。こちらについては、先ほど保育所のニーズとの関係等についても御紹介がございましたけれども、基本的に、保育所ですとか保育士の子育て支援のノウハウといったものがございますので、それを地域で様々な形で生かしていただく、そして、地域全体で子育て家庭を支えていく際の役割といったものが非常に期待されているところでございますので、そういった機能の多様化の一環としても、このこども誰でも通園制度が期待されているところでございます。

 その在り方につきましても、おっしゃるとおり、無限の資源があるわけではございませんので、様々な形が地域によってもあり得るのかなということで、検討会の中でも、いわゆる独立してこども誰でも通園制度を実施する場合ですとか、又は定員の余裕の部分を活用する場合ですとか、様々な形があり得るであろうということで、そのようなものも提示をしながら議論を深めようとしているところでございます。

 一時預かりとの関係も含めて、目的自体がどう違うのかとか、そういった議論も相当に検討会の方でもなされているところでございますので、フルオープンにしているとは申し上げましたが、それがきっちりと現場の方に、また国民の皆様に伝わるように我々としても努力をしていきたいというふうに考えております。

浦野委員 ありがとうございます。今、検討会三回目、これはあと何回するのかちょっと覚えていないですけれども。

 これは質問通告のときにしていなかったのはちょっと申し訳なかったんですけれども、利用に当たって月十時間の方々の優先度というのを考慮するのかどうかというのを、これは気になったところなんですね。

 こども未来戦略方針にちゃんと、社会的養護、ヤングケアラー、障害児支援、医療的ケア児支援、一人親家庭の自立支援についても明記してあって、インクルージョンを推進するということになっているわけですね。ということは、これにも絡んでくるので、優先度というのはやはりあるのかなと思っているんですけれども、その辺、もし何か決まっていることがあるのであれば、お聞かせいただけますか。答弁できますか。

黒瀬政府参考人 今おっしゃったことにつきましては、まさに議論の中でも、障害児の扱いをどうするのかといったことも検討会の中でも議論として出てきているところでございますが、その場合の扱いについてはまさにこれから検討ということで、今の時点で決まっているものはございません。ただ、非常に重要な視点であるというふうに考えております。

浦野委員 ありがとうございます。

 いろいろなニーズに応えていくというのは、今、保育園、認定こども園、幼稚園、そういった子育て政策に関わっているところは、しんどいですけれども、大変ですけれども、それはやっていかなあかんというふうに思っています。けれども、やはりなるべく早く、そういったしっかりした形、どういうふうに実施していくのか、どういうことをやらないといけないのかというのは運営側にまずちゃんと説明をしてもらわないと、見切り発車ではなかなか、やはり子供の安全、命を預かるわけですから、そこはしっかりと検討して、決められたことをしっかりと伝えていただけたらなと思っています。

 最後に、保育士の人材確保なんですけれども、これもいろいろな人材確保の取組をしてきました。私は、潜在保育士の掘り起こしというのも結構、かなりやり尽くしてきたんじゃないかなというふうに、これは大分長いことやっていますから思っているんですけれども。保育士確保は今現在どういう状況なのか、御答弁をお願いします。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、潜在保育士の掘り起こしという状況として申し上げさせていただきますと、潜在保育士を含めた保育人材の確保ということで、御承知のとおり、保育士・保育所支援センター等におきまして、潜在保育士の掘り起こしを行って事業者とのマッチング支援を行うですとか、また、潜在保育士が再就職する場合の就職準備金の貸付け等々の取組を通じて、保育現場で再び活躍をしていただけるような支援を行っているところでございます。

 これらによる潜在保育士を取り出しての就職に至った件数等についてはちょっと把握はできておりませんけれども、そうした方も含めて、保育所など社会福祉施設等に従事している保育士の数は、令和元年度に約六十二・六万人、令和二年度で六十四・五万人、令和三年度で六十五・九万人というふうに徐々に増加傾向にあるところでございまして、引き続き、こうした保育人材の確保策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 ありがとうございます。給与の改善とかも効果は一定あるんだろうなとは思っています。

 ただ、ここで一つ気になっているのは養成学校の生徒の数ですね。この推移もお聞かせいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 指定保育士養成施設の入学者数、これは私ども毎年度把握をするということにしてございますけれども、直近五年間の推移を見ますと、平成二十九年度は四万六千四百十三人でございました。最新のデータでございます令和三年度、こちらは四万一千八十二人というふうになっておりまして、減少傾向にあるという状況でございます。

浦野委員 養成学校の入学者、保育士資格取得者の推移は、トレンドとしては減少傾向だということなんですね。これは、もちろん少子化も恐らく影響はしていると思いますけれども、保育士を目指す方の数が減っている、その中で、いろいろな取組で保育士の人材確保をしていっている。

 養成学校に入る方々への支援というのも一定ありますよね、それを答弁いただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 こども家庭庁といたしましては、多くの方に指定保育士養成施設に入学していただけますよう、幾つかの支援策を行ってございまして、まずは、施設に通う学生に対する修学資金の貸付け、それから、高校生でありますとか中学生に対しまして、保育所等における職場体験やセミナーの実施などの、保育士という職業あるいは保育の現場の魅力発信、こうしたことを行う自治体に対して支援を行っているという状況でございます。

浦野委員 対策は行っているけれども減少傾向にあるということですので、私はやはり、直接的に、保育士を目指す方々への支援策、いろいろなことをもう少し考えた方がいいんじゃないか、政策としてやっていくべきじゃないかということを、もう時間がないので細かい議論はまたこれからという形でさせていただきますけれども、提案をしておきたいと思います。

 最後に、出生率、つい最近発表されました。その数字をお答えいただけますか。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 合計特殊出生率につきましては、令和四年で一・二六となっております。ちなみに、出生数につきましては、令和四年で七十七万七百五十九人ということで、一八九九年の統計開始以降過去最少、七年連続の減少となっているところでございます。

浦野委員 答弁で言ってくれるかなと思ったら言わなかったのであれですけれども、半年間の数字が今出ていますね。この数字の推移を見ると、やはり去年よりも、この半年間だけで比べても減っている。ということは、今年もやはり、その七十七万人以上、減るんだろうということが恐らく想像されるわけです。

 少子化に歯止めがかかっていない中で、保育の重要性は増して、しかし、保育士を目指す人の数が減っている。これはゆゆしき問題だと思いますので、これからも議論をしていきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 今日は、お忙しい中、高市大臣にお越しいただきました。ありがとうございます。

 今日取り上げたいテーマは、科学技術・イノベーション推進施策ということで伺っていきたいと思います。

 まず、質問に入る前に、現状認識から少しお話をさせていただきますと、最近、生成AIなどが出てきまして、非常に世界的に活発に研究開発投資が進んでおります。日本においても、生産年齢人口が減少することが確実な中で、AIというのは、ホワイトカラーを中心に、業務の最大四分の一を自動化する可能性を秘めた技術ということで、今、継続的な賃上げということも言われておりますが、生産性向上のためのキーテクノロジーとして政府も認識していると聞いております。

 AIの世界市場は、二〇三〇年に向けて常に前年比五〇%超の成長率で伸びて、二〇三〇年度には三十六兆円市場に成長することを見込んでいるということだそうです。

 ただ、やはり日本と海外の研究開発に対する姿勢を比べたときに、例えば、日本の場合、現在概算要求がされている令和六年度の予算に関して言えば、AI関連予算というのは千六百四十億円と今年度比で一・五倍にはなっているものの、世界は更に大規模な投資をやっている現状があります。

 例えば、ドイツでは二〇二五年までに四千億円、台湾も二〇三三年までの十年間で一・四兆円のAI投資を決めました。アメリカに関しては、AIを国家安全保障や民主主義保全など社会の根本機能維持の必須技術と位置づけて、米国の国家安全保障委員会が取りまとめた提言では、二〇二六年までにAI関連予算を現在の倍に当たる年間三百二十億ドル、日本円にして四・八兆円まで増額すべきとしている。非常に、全くスケールの違う金額で驚いていますけれども、こんな状況になっているそうでございます。

 AIのみならず、量子コンピューティングなどについても同様なことが言えると思っておりまして、日本も決して少なくない予算をこれまで割り当ててはいるものの、世界もそれに同等かそれ以上のスケールで研究開発を進める中、こうした分野で日本のイニシアチブを確保するためにどのような戦略を持っているのか、まず伺いたいと思います。

高市国務大臣 特に、今例示していただいたAI、量子分野を始めとする科学技術・イノベーションにおける国家間の競争というのは非常に激化しております。先端科学技術の研究開発を戦略的に推進するということは一層重要になっていると考えております。

 AIについてなんですが、今年五月にAI戦略会議で、まだ暫定的な論点整理なんですが、これが取りまとめられまして、関係省庁が連携して、まずAIリスクへの対応も行いながら、しっかり利用促進、開発力の強化に向けて取り組んでいこうという方向になりました。やはり、これから競争力強化ということを考えますと、AIの開発力の強化が重要だと思っております。計算資源の確保、データの整備、基盤モデルの研究開発力の強化に、産学官連携の上、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 量子技術につきましては、もう委員御承知のとおり、令和二年一月に量子技術イノベーション戦略、令和四年四月に、これは二〇三〇年の目標ですが、量子未来社会ビジョン、ようやく今年四月には、実用化、産業化を目指す量子未来産業創出戦略を策定いたしました。これらに基づいて、量子技術のイノベーション拠点を整備して、関係府省庁の施策によって実用化を推進しております。

 いい例としては、今年の三月、理化学研究所が国産量子コンピューターの初号機を開発しまして、我が国のプレゼンスを示しました。また、産業技術総合研究所も、今年の七月、量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターを立ち上げまして、サプライチェーンも含めて、量子技術の産業化における国際連携を推進しているところでございます。

 しっかりと御指摘の点について取り組んでまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございました。

 極めて重要な分野ですので、今大臣の答弁にもあったような様々な主体で研究活動を進めていくことはもちろんなんですけれども、やはり、国がしっかりとリーダーシップを発揮をして、先行的な研究開発をしっかり国が支えるという姿勢を示す上でも、この後ちょっと触れたいと思うんですが、現在、内閣府が科学技術・イノベーション推進施策として実施している複数のプログラムがあると思うんですけれども、ここをきちんと機能させていくべきだというふうに思います。

 この内閣府が行っている施策なんですが、現在動いている施策としては、ムーンショット型研究開発制度、研究開発とソサエティー五・〇の橋渡しプログラム、BRIDGE、戦略的イノベーション創造プログラム、SIP、さらに、最近では、経済安全保障重要技術育成プログラム、Kプログラムという名称だそうですが、こうした複数の事業が行われているというふうに認識をしております。

 私が認識している範囲であれば、今申し上げたプログラム以外に、過去には、革新的研究開発推進プログラム、ImPACT、あるいは官民研究開発投資拡大プログラム、PRISMなどのプログラムもあったと認識しているんですが、このImPACTとかPRISMといったもの、現状のプログラムとの関連性についてまずは整理したいと思いますので、教えていただけますでしょうか。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ImPACTにつきましては、ハイリスクでハイインパクトな、挑戦的な研究開発を推進する、我が国としては初めての試みということで実施したものでございます。令和元年度に終了しております。

 その後継事業としましては、ムーンショット型研究開発制度というのが平成三十年度に創設をされまして、令和二年度から研究開発を開始しております。

 ムーンショット型研究開発制度では、ImPACTと同様に、困難ですけれども実現すれば大きなインパクトが期待されるという社会課題を対象にしておりますけれども、それらについて、さらに野心的な目標を国が策定をする、そして、プログラムディレクターの下で複数のプロジェクトマネジャーがポートフォリオを構築しながら進めていく、さらに最大十年間という長期にわたって支援をしていくということ、さらにはスピンアウトも推奨するというプログラムになっております。

 また、PRISMの方につきましては、これは民間の研究開発投資の誘発あるいは財政支出の効率化に資するような各省庁の研究開発を支援する事業でございまして、令和四年度に終了をしております。

 令和五年度から、この後継事業としましては、BRIDGEという事業が立ち上がっております。これは、その名前のとおり、研究開発とソサエティー五・〇の間を橋渡しするということで、より社会実装に重きを置いたプログラムとなっております。

浅野委員 ありがとうございました。

 それぞれ、ImPACTの後継がムーンショット、PRISMの後継がBRIDGEということで御説明いただきましたけれども、今日私が大臣に是非検討いただきたいと思っているのは、過去のプログラム、例えば、過去にImPACTのプログラムの中で採択された研究テーマの中には、いまだに実用化には至っていないんですけれども、それが実用化すれば非常に社会にとって大きなインパクトを与えるテーマというのがまだ多くあります。

 例えば、使用済核燃料に含まれる放射性物質を核種変換して有害度の低い物質に変換する技術などが挙げられるんですけれども、ImPACTというプログラムの中で五年間かけて取り組んだ成果としては、当時はまだ実験室レベルで、機能確認を行ったというようなレベルなんですね。ただ、まだまだ実用化にはほど遠い段階で終わってしまいました。

 この後継として、例えば今、ムーンショット型研究プログラムがある、しかも取組期間は十年ということなので、私としては、やはり過去に採択されたプログラムを発展させる形で、今のムーンショットでも是非取り組むべきじゃないかなと思うんですが、過去に支援を受けたプログラムを再支援するということは可能なのか。是非そういうことも考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 委員がおっしゃったImPACTの成功例の中に入ると思います、いわゆる藤田プロジェクト、これは高レベル放射性パラジウムの無害化に世界で初めて成功したということで、その成果は高く評価されています。内閣府の支援終了後は、文部科学省で支援が継続されているということは承知しております。この藤田プロジェクトに参加された研究者の一部の方が科研費で研究を継続しておられるということでございます。

 それからまた、ImPACT自体の追跡調査は、事業終了後五年目ですから、令和六年度に実施をする予定でございます。残念ながら、藤田プロジェクトそのものは、現在やっておりますムーンショット型の研究開発制度で関連する目標からちょっと外れているので当たってはいないんですけれども、今後、将来的にまたムーンショット型の研究開発制度のテーマの中に入ってくる可能性もございますし、文部科学省で今その成果を科研費で応援しておられるということですので、そこはしっかりとやっていただきたいなと希望いたします。

浅野委員 ありがとうございます。

 当時、たしかImPACTのプログラムのときは三十六億くらいの予算がかかっていたというふうに思いますが、現状、文科省の毎年度の関連テーマに対する予算はたしか一億円弱ぐらいだったというふうに記憶しております。

 継続的な支援をしているのは私も評価をしているんですが、やはり重要技術分野なだけに、もう少し力を入れていただきたいというところもありますので、是非、将来的な、ムーンショットでの対象範囲に含める含めないの議論ですとか、あるいは現状の文科省の事業に対して科学技術担当大臣としてしかるべき助言、指導を行っていただきたいというふうに思います。

 それでは、ちょっと時間の関係で高市大臣はここまでとさせていただきますので、どうもありがとうございました。御退席いただいても結構でございます。

 では、続いて、障害者就労について伺いたいと思います。

 現在、特に重度身体障害をお持ちの方々というのが、一部就労している方もいらっしゃるんですが、まだまだその割合というのが低い現状がありまして、これをロボットを介在させることで、例えば接客業に従事をしたりとか、そういった事例が出てきております。

 障害者の安定した就労機会の創出や所得向上への期待が寄せられている中で、今日はロボットを介した障害者の就労について伺っていきたいと思うんですが、まず、重度身体障害者の就労実態について、その就労者数あるいは平均所得について現状を教えていただけますでしょうか。

田中(佐)政府参考人 お答えをいたします。

 まず、重度身体障害者の就労者数でございますが、令和四年の障害者雇用状況の集計結果によりますと、重度身体障害者の数の全体数は十一万六千七百三十一人、その内訳として、週の所定労働時間で見ますと、三十時間以上の方が十万三千三百六十二人、二十時間以上三十時間未満の方が一万三千三百六十九人となってございます。

 続きまして、平均賃金でございますが、平成三十年度の障害者雇用実態調査結果報告書によりますと、身体障害者の一か月の平均賃金、二十一万五千円となってございます。週の所定労働時間別で見ますと、三十時間以上の方の場合二十四万八千円、二十時間以上三十時間未満の方の場合八万六千円、二十時間未満の方の場合六万七千円、こういう実態となってございます。

浅野委員 ちょっと時間が来てしまいましたので、最後の質問は要望にとどめたいと思いますが、現状、やはり重度障害者の就労数、特に寝たきりの方々の就労時間、それによって得る所得、大変低くなっております。政府は重度障害就労支援を令和二年から行っているんですけれども、これはなかなかまだ成果が上がっていないと聞いております。百二十名程度というふうに聞いておりますので、もっと周知を進めていただいて、制度の運用改善に努めていただくことを最後にお願いして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。十八分かな。

 まず、ちょっと質問の順番を変えまして、特に他意はないんですけれども、高市大臣への質問からスタートさせていただきたいと思います。

 重要土地への取引規制ということについて、大臣は思いが深いと思いますし、いろいろこれまでも策を練ってこられたと思うんですが、大臣もこれは言われるんですけれども、WTOサービス貿易協定にひっかかるところがあるので取引規制が難しいということをよく言われます。私は、外務省時代、WTOとかガットとか専門でしたので、そこはよく分かります。約束表で留保していないということなんですが、ただ、そこで思考停止しちゃいけないと思うんですね。

 WTOサービス貿易協定、GATSの十四条に例外規定がございます。自由貿易の例外として、恣意的な措置でなく、そして、公衆の道徳の保護又は公の秩序の維持のために必要な措置ということについては自由貿易の例外が適用可能であるというのがGATS第十四条にございます。

 大臣にお伺いしたいと思います。この一般的例外の規定を活用しながら、重要土地への取引規制を検討することはできないでしょうか。大臣。

高市国務大臣 どちらかといえば外務省に聞いていただいた方がいいのかもしれませんが、重要土地等調査法は、法案作成時に有識者会議を開いたことは御承知だと思います。ダミーとして日本企業が使われることもあるという御意見もあり、結局、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないということになりました。

 そのGATSの規定なんですが、十四条で一般的例外を定めています。こうした例外規定に基づき一定の措置を取ることは妨げられない、ただ、いかなる措置がこれらに該当し得るかは、当該措置の具体的内容、必要性等を踏まえ、個別の規定に照らして検討し、ケース・バイ・ケースで判断する必要があるとなっておりますので、ちょっと、私自身が国を代表してこれを判断することが難しいことを御承知おきください。

緒方委員 今日、外務省からも来ていただいております。先ほど恣意的になっちゃいけないということがございました。そのとおりです。GATS第十四条の柱書きのところにそうなっているんですね。

 つまり、内国民待遇を確保した上で内外無差別の状態でこの措置を打つことについて、外務省、いかがお考えでしょうか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど大臣から御答弁あったとおり、御指摘いただきましたGATS第十四条というのは、GATSの適用対象の一般的例外を定めておりますので、こうした例外規定に基づきまして一定の措置を取ることは妨げられないということでございます。それも大臣から御答弁申し上げましたけれども、ただし、いかなる措置がこれらの例外に該当し得るかについては、当該措置の具体的内容や必要性などを踏まえまして、個別の規定に照らして検討いたしまして、ケース・バイ・ケースで判断していく必要があるということでございます。

 いずれにいたしましても、外国人又は外国企業によるサービス貿易に関連する土地取得に対する規制措置でありましても、内外無差別的な形で導入、運用される場合には、GATSとの関係で基本的には問題が生じるものではないというふうに考えてございます。

緒方委員 私の言ったことをそのまま繰り返しただけなんですけれども。

 これは是非、与党の方に、国益意識の高い方に検討していただきたいと思うんですよね。例外規定で、内外無差別でこういう措置を取るということが可能である、そして、今、具体的な措置に照らして判断される必要があるということであります。実際、これまでこの一般的例外を使いながら取った自由貿易の例外の措置が、WTOの紛争処理で認められることというのは確かに少なかったです。しかし、これは主権に関する行為ですから、ある程度積極的に検討することがあってもいいのではないかなというふうに私は思っております。

 続きまして、大臣に、経済安全保障におきまして設置された基金についてお伺いをしたいと思います。

 重要技術について基金が設置されたんですが、基金の執行が、令和四年度には管理費のみで五億程度、今年度は見込みで五百億円程度ということになっています。

 しかし、元々造成された基金というのは、経産省関連で千二百五十億、文部科学省関連で千二百五十億と二千五百億造成し、さらに、補正予算で更に二千五百億積んで、今五千億の基金となっているんですね。

 是非、重要技術の発展のためにスピード感を持ってやっていただきたいと思うし、これまでの執行状況についてちょっと私は違和感を持つわけでありますが、大臣、いかがお考えですか。

高市国務大臣 この貴重な基金、二回に分けて、補正で二千五百億、二千五百億と積んでいただいたものですが、令和十六年三月、約十年間かけて使っていくものでございます。

 ですから、第一研究開発ビジョンが決定され、JSTとNEDOで公募の手続が進められて、第一研究開発ビジョンについては、これまで二十件、研究開発が採択されて着手しています。また、令和四年度補正で二千五百億措置していただいて、今年の八月に第二次研究開発ビジョンを決定して、この研究開発の公募の実施に向けて準備を進めております。

 ですから、しっかりと速やかに必要な手続は進めますが、やはり、十年間で大切に、そして、資金が重点的に要るときにはしっかり突っ込みながらやっていきたいと思っております。

緒方委員 レクのときに、この基金で何を目指すのかという目標設定についてお伺いしたところ、必ずしも、何を最終的に目指しているのかという目標がよく分からないという印象を受けました。行政事業レビューの中でも、民間人の委員の方から同様の指摘があったというふうに承知をいたしております。

 よくこういうことをやるときに、社会実装がと言うんですが、社会実装そのものが目標になるというのは多分おかしいと思うんですよね、おかしいと思うんです。社会実装ではなくて、その先があるはずなんですけれども、大臣、きちんと目標設定をすべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

高市国務大臣 Kプログラムの基金は、基金を所管する文部科学省と経済産業省で、研究成果が試用また実証事業を含む民生利用、公的利用につながった件数を長期アウトカムとして、研究開発プロジェクトごとに定められた各評価での達成目標を達成した割合を短期のアウトカムとしております。この短期アウトカムの達成目標は、個々のプロジェクトによっても異なります。政府が作成する個々のプロジェクトの研究開発構想の中で具体的にお示しして、これを公表しております。

 ですから、内閣府としては、このプログラムに関して、基金を所管する各省と連携して、可能な限り具体的な目標を定めるように努めてはおります。けれども、今般の秋のレビューでの議論も踏まえまして、特に長期アウトカムについて一層精緻にしていけないかということを考える余地があると思いますので、不断に検討してまいります。

緒方委員 この法律を審議する際に、すごく、若干不安を持ったのが、文部科学省がしっかりと目利きができるのかということについて、私は不安の表明を法案審議のときに実際やっております。当時、田中英之文部科学副大臣が答弁をされました。

 この基金、いろいろな研究をするんですけれども、防衛研究についても含まれるということで、本当に文部科学省の目利きが大丈夫なのかということを今でも不安に思っているわけでありますが、今日は副大臣にお越しになっていただいております。今枝副大臣。

今枝副大臣 委員にお答えをさせていただきます。

 経済安全保障重要技術育成プログラムは、経済安全保障の観点から、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術を育成するために整備された事業でありまして、御指摘のとおり、この成果を民生利用のみならず公的利用にもつなげていくということが大事な事業でございます。

 その中で、本プログラムの支援対象は、内閣府に置かれた有識者会議の議論を経て、研究開発ビジョンとして定められております。

 その中で、例えば、海洋や宇宙・航空などの領域、これら文科省が担当する部分については、これまでも国立研究開発法人を通じた研究開発を進めるなど、文科省としても知見を有しているところであります。

 本プログラムの運営に当たりましては、研究開発ビジョンの具体化の段階から公的利用のニーズを有する関係省庁に御協力をいただきつつ、文科省のみならず、内閣府も加わっていただいて、研究開発構想も策定をしているということがございます。

 そして、JSTが構想に基づいて研究開発課題を公募し、構想で定められた技術目標を達成できるかどうかの提案であるか、そういった観点から専門家による丁寧な技術審査による目利きも行って、有望な課題を採択するということにしております。

 以上でございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 ここから先、高市大臣そして副大臣、もう質問することはございませんので、もし対応がございましたら結構でございます。

 続きまして、加藤大臣にお伺いしたいと思います。

 障害者施策において、合理的な配慮が民間の事業者に対しても義務化をされたということがありました。とてもいいことだと私は思います。

 この合理的配慮という言葉なんですけれども、障害者に対しては義務化をされたということですが、じゃ、社会のほかのカテゴリーの方々に対してどれぐらい合理的配慮というのが必要なんだろうかということについて私は考えてみました。

 例えば、女性活躍、もっと言うとLGBTの方々、こういった方々に対して合理的な配慮というのは大臣は必要だというふうにお考えでしょうか。必要であるとお考えなのであれば、それはどのようなものでしょうか。大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まずは、障害を理由とする合理的配慮につきましては、障害者権利条約第二条におきまして、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義をされております。

 一方で、御指摘の女性や性的マイノリティーを理由とする合理的配慮につきましては、現在、法令上は定められてはございません。

 いずれにしましても、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現が重要であり、私としましては、国民一人一人が周りの人々に配慮をし、適切な対応を行うことが大切だと考えております。

緒方委員 ちょっとよく分からなかったんですが。合理的配慮、女性の方々とかLGBTの方々とか、私は必要だと思うんですね。

 大臣は法定されていないと言われました。そのとおりです。大臣は、それを超えてどういうふうに思われますかということを聞いています。大臣。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 女性に対して必要とされる対応としては、様々な在り方があると考えております。

 その上で、一例としましては、女性活躍を推進する観点として、男女共同参画社会基本法において、積極的改善措置、いわゆるポジティブアクションが定められておりまして、自らの意思によってあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、機会を積極的に提供することが国の責務とされております。同法の趣旨にのっとり、女性の参画が少ない分野においては、実質的な機会の平等を図るための取組は重要であると考えます。

 また、女性に対する暴力を防止し、女性の安全、安心を確保する観点から必要な対応を取ることも重要であり、一つの例としては、防災の分野における取組が挙げられると考えます。例えば、避難所においては、女性用品、女性用トイレ、女性専用スペースなどが適切に確保されることが重要であり、内閣府においてガイドラインを作成し、地方自治体に対して対応を促すなど取り組んでいるところでございます。

緒方委員 長かったですね。もう少し聞きたいことはあるんですけれども、次の機会にします。

 政治分野における男女共同参画についてお伺いいたします。

 大臣、前回お伺いしたときに、女性活躍のベースは機会の平等ということをおっしゃいました。一方、政治分野における男女共同参画法では、候補者の均等を目指すとなっています。これは、一定程度結果の平等を志向しているということではないんでしょうか。大臣の見解をお伺いしたいと思います。大臣。

加藤国務大臣 御指摘の条文の方は、候補者の数に係る条文でありまして、男女が共にひとしく候補者として政治分野に関わる機会を得ることを期待するという意味で、機会の平等と言えると考えております。

 なお、その実現方法としましては、各政党等の候補者選定の自由や立候補の自由を確保することを前提とした上で、各政党等が自主的に取り組むよう努めることとされております。

緒方委員 あっ、そうなんですね。候補者の均等を目指すというと結果の平等を志向しているのかなと思ったんですけれども、大臣は機会の平等を目指すというふうに理解されているんですね。非常に興味深くお伺いをいたしました。

 もう一つ、これは前回堀場さんも言われたんですけれども、私は、政治分野における男女共同参画の中で、重要なテーマとして、公職選挙法の様々な規定がひっかかっているんじゃないかということを申し上げました。

 今の選挙、皆さん方は分かると思いますが、物すごく人海戦術を前提とした仕組みなんですよね。大臣は山形三区ですけれども、鶴岡があって酒田があって最上郡があって、物すごい広いわけですよね。あれをやるというのは物すごい人海戦術を要求されるわけですが、これが、女性だけじゃないですけれども、参入障壁になっているんじゃないか。そして、これが女性が政治を目指すときの参入障壁になっているのではないかと私は思ったりするんですけれども、大臣、いかがお考えですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公職選挙法は私の所管外ではございますが、一般論として、男性、女性を問わず、また、特に女性にとって政治への参入障壁となるような制度となっていないか、必要に応じて国会や各党各会派において議論が行われていくことが重要であると考えます。

 内閣府といたしましては、政治分野男女共同参画法の定めるとおり、適切な役割分担の下で積極的に政治分野における男女共同参画の推進に取り組んでまいりたいと考えており、引き続き、女性にとって選挙活動が参入障壁にならないよう、有権者の皆様に対するものも含めた広報啓発やハラスメント対策など、取組を進めてまいります。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、米海兵隊MV22オスプレイの低空飛行訓練について質問をいたします。

 七月七日、日米両政府は、日米合同委員会において、米海兵隊MV22オスプレイが対地高度六十メートルまでの低空飛行訓練を恒常的に行うことで合意をしました。

 航空法では、最低安全高度について、人口密集地域は三百メートル、それ以外の地域は百五十メートルと定めております。航空機のトラブルが発生したときに航空機の安全及び地上の人と物件の安全を確保するために、応急対応できる高さを確保するものであります。

 対地高度六十メートルというのは、そのような安全確保が困難な危険な飛行となります。過去、米軍機をめぐっては、奈良県十津川村でハリアー攻撃機が林業用のワイヤーを切断する事故や、また高知県早明浦ダムではA6攻撃機が墜落するなど、低空飛行訓練による重大事故が起きております。米軍オスプレイの低空飛行訓練についても、各地で目撃、不安の声が上がっているところであります。

 防衛省に確認します。

 この実施場所について、「米海兵隊のMV―22は、沖縄県を除く日本国内の山岳地帯の訓練航法経路において、本訓練を実施することができる。」とあります。この訓練航法経路とは何か、既存のルートがあるということでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の合意文書に記載している訓練航法経路とは、米海兵隊のMV22オスプレイが高度五百フィート未満二百フィートまでの飛行訓練を行うために使用する飛行経路を意味しております。

 何かしらの既存のルートと同一なのかどうかも含めまして、その詳細につきましては、米軍の運用に関することであり、お示しできないことを御理解ください。

塩川委員 六十メートルで飛行する経路を指すということですけれども、例えば、米海兵隊が二〇一二年に公表しておりますMV22の沖縄配備及び日本での運用に関する環境レビューに載っている航法経路、ナビゲーションルート、米側の公表資料ですけれども、このナビゲーションルートに該当するということで、どうですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、米側が二〇一二年に公表いたしましたMV22に関する環境レビュー、これにおきまして、MV22は、航法訓練のため、時折、事前に定められ確定した経路に沿って飛ぶ可能性がある、MV22は、必要な航法訓練の一部を既存の六つの航法経路に沿って実施するとされていることは、承知しているところでございます。

 他方、今般合意をいたしました高度二百フィートまでの飛行訓練の具体的な実施場所につきましては、お尋ねの環境レビューに記載されている航法経路との関係性も含めまして、米軍の運用に関することであり、お答えできないことを御理解ください。

塩川委員 入っていないということは言っていないわけですね、お答えできないということですから。米側の方は、もう確定した経路としてある、それを使用すると言っているわけですから、米側が明らかにしているものが既にあるわけであります。

 六十メートルの高さでの飛行というのは余りにも危険なわけであります。もちろん、その合意の中では、送電線の鉄塔なんかは避けるとか、そういう説明なんかも入っていますけれども、まさに、送電線をそれこそ断ち切るような、そういう高さでの飛行にもなりかねない。過去、事故が起こった、それと同様のような事故が起こる、そういう危惧が強い低空飛行ということを言わざるを得ません。

 そういったことについて、本当に日本国民の安全また財産を守る立場であれば、こういう低空飛行訓練をやるのはどこなのか、こういうことをしっかりと明らかにするということは、日本政府が求めることではないでしょうか。

 そういう点でも、訓練航法の経路図はあるということを合意文書でも書いてあるわけですから、この訓練航法経路図を公表するということこそ、日本政府が求めるべき立場ではありませんか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の訓練航法経路図につきましては、繰り返しで大変恐縮でございますが、米軍の運用に関することであり、お示しできないことを御理解ください。

塩川委員 それで日本国民の安全が守れるのかということが厳しく問われているわけであります。

 合意文書の中に、「事前調整」という項目があります。「米海兵隊のMV―22部隊は、本訓練を行う二日前までを基準とし、自衛隊の関係方面隊等に通報し、訓練航法経路に沿って本訓練を開始する前に、訓練日、時間帯、機数、飛行経路及びその他必要な情報を提供するとともに、必要に応じて米軍又は自衛隊の他の適切な機関と事前調整を行う。」とあります。この六十メートルでの低空飛行訓練に当たって、自衛隊に事前に通報し、必要に応じて事前調整を行うということであります。

 このような、米軍が事前に自衛隊に通報し、事前調整を行うという仕組みは、航空自衛隊の訓練・試験空域で既に行っていると思いますが、それはそのとおりということでよろしいですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘のとおり、国土交通省が公示をしております航空路誌に示されているとおり、米側が自衛隊の訓練・試験空域等を使用する場合は、当該空域の使用統制機関である自衛隊部隊との事前調整を行っているところでございます。

 その上で、今般の合意に基づく飛行訓練につきましても自衛隊部隊への事前調整を行うこととしておりますが、これは日米間の合意により行うものでございまして、先ほど申し上げました、航空路誌に示されている自衛隊の訓練・試験空域等の使用に係る事前調整とは異なるものでございます。

塩川委員 ですから、航空路誌などにおいては、少なくとも、航空自衛隊の訓練・試験空域を米軍が使用する際には、事前に連絡をし、調整をするということを行っている。現に、日本の本土においてそういう陸地部分で対応するところというのは、群馬県を中心としたところでの高高度の訓練空域のエリアH、また低空のエリア3、あと、広島、山口、島根に該当するエリアQ、そこのところでの事前調整などが行われているわけです。今回それとは違うということですけれども、既にこういった事前調整なども米軍と自衛隊の間で行われているわけです。

 この合意に基づいて、それ以外にも事前通報、事前調整を広げるということになるわけですけれども、ある意味、陸上自衛隊や海上自衛隊とも事前通報、事前調整をするという場面が出てくるということでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の合意におきましては、先ほど先生がおっしゃられましたように、本訓練を行う二日前までを基準といたしまして、自衛隊の関係方面等に通報し、訓練航法経路に沿って本訓練を開始する前に、訓練日、時間帯、機数、飛行経路及びその他必要な情報を提供するとともに、必要に応じて米軍又は自衛隊の他の適切な機関と事前調整を行うこととなっているところでございます。

塩川委員 ですから、自衛隊の関連部隊又は機関との事前通報、事前調整という中には、空自、陸自、海自、それぞれ対象となり得るということですね。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 必要に応じまして、関係の自衛隊の部隊等と調整することになります。

塩川委員 配付資料を配らせていただきました。一枚目は、全国、米軍機の訓練ルート、訓練エリアになっているというのを図示したものであります。二枚目、色がつけてありますけれども、陸上自衛隊と航空自衛隊の飛行訓練区域が例示をされております。

 ここにありますように、全国各地で陸上自衛隊やまた航空自衛隊の低空飛行の訓練空域が設定されている。特に、陸上自衛隊の、この赤い色で囲ってあるところは、航空法で禁止をされている最低安全高度以下での飛行許可申請区域となっています。

 ですから、場合によっては、こういったところで陸上自衛隊と米軍が事前に調整も行って訓練を行う、こういうことも排除されていないということですよね。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 本訓練は、沖縄県を除く日本国内の住宅地等を避けた山岳地帯において実施されるものでございますが、自衛隊の訓練・試験空域等の内か外かも含めまして、具体的な実施場所等につきましては、米軍の運用に関することであり、お示しできないことを御理解ください。

塩川委員 内か外かも含めてという言い方で、全国でやるということが大前提の上で自衛隊との調整となれば、こういった訓練空域でも行われる危険性も高いということを認めるということであります。

 低空飛行訓練となれば、防災ヘリやドクターヘリとの接触の危険性も高まります。自衛隊と調整はするのに、防災ヘリやドクターヘリ、こういった飛行との事前調整は行わないんですか。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機の飛行訓練に際し、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであることは当然でございます。

 その上で、MV22オスプレイによる五百フィート未満二百フィートまでの飛行訓練の実施に際しましては、雲高三千フィート及び視程五海里の気象条件を遵守すること、他の全ての航空機から安全な距離を確保し、人又は物件から百五十メートル以上の距離を保つことなどの安全措置を講じることとしているところでございます。

 また、防災ヘリやドクターヘリの飛行に際して、これらの操縦者は、他の航空機と衝突しないよう見張りを行わなければならないとされているところでございます。

 御指摘のMV22オスプレイによる飛行訓練の実施に際し、防災ヘリ、ドクターヘリを含め、その他の航空機の運航に係る事前調整は行っておりませんけれども、安全確保のため、それぞれの操縦者が今申し上げましたような安全措置を講じていると認識をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、米軍機の飛行訓練に際しましては、引き続き、米側に対し、安全面に最大限配慮しつつ、地域住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけてまいりたいと考えているところでございます。

塩川委員 六十メートルという低空で飛ぶのに特段の配慮をしていないというわけですよ。事前調整もしないというわけでしょう。一層危険が高まるわけであります。

 官房長官にお尋ねをいたします。

 今確認しましたように、緊急時に出動する防災ヘリやドクターヘリとの事前調整の仕組みもありません。航空機の接触事故の危惧は拭えないものであります。

 自衛隊機の場合に、航空法で禁止されている最低安全高度以下の飛行訓練を実施するときは、少なくとも国交省に事前の許可申請を行っております。米軍はこういう航空法の適用除外で何の事前許可も必要としていない、これ自身が大問題であります。

 こういった危険なオスプレイの低空飛行訓練は中止をすべきだと強く米側に申し入れることを求めますが、官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、日米同盟の抑止力、対処力を高めるためには、各種の実践的な訓練の実施等を通じ、即応性を向上させる必要があります。その上で、こうした訓練の実施に当たって安全に万全を尽くすことは言うまでもありません。

 御指摘の訓練につきましても、先ほど防衛省から説明した対策等により安全の確保を期した上で実施していくこととしており、引き続き、日米で協力していく考えであります。

塩川委員 とても安全の確保がされているとは言えないわけで、三枚目にもあるように、首都圏は全域が米軍の訓練場となっているような実態もあります。

 横暴勝手な米軍機の低空飛行訓練をきっぱりとなくすためにも、このような米軍特権こそなくすべきだということを求めて、質問を終わります。

星野委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 まず冒頭、イスラエルによる容赦のないガザ無差別攻撃に対し、日本政府は即時停止を求めずに、事実上この大虐殺を追認していることに強く抗議いたします。

 政府は何をやっているんですか。れいわ新選組は既に、十月十九日、外務省で、同盟国アメリカに対して今すぐイスラエル支援をやめるように働きかけること、そして、国連などの場でイスラエルによるパレスチナの占領政策は国際法違反であるということの検証と是正、これをするように要請をいたしました。改めて、そのことを強く政府に申し入れます。

 さて、今日は、旧統一教会の被害救済に向けた財産保全について質問いたします。

 十一月七日、教団が記者会見を行いました。しかし、おわびはするが謝罪はしないという全く不誠実な態度、そして国に百億円の供託金をぽんと出して幕引きしようとする姿勢、これは明らかに解散命令逃れ、財産保全逃れではないかと、被害者のみならず全国民が不信の目を向けています。今、極めて、教団の財産を保全する法整備が必要です。

 このパネルを御覧ください。

 こちらは文科省が出した解散命令請求の説明資料の一部ですが、結論としてこのように言っているんですね。本件宗教法人の法人格は、不法行為ないし目的逸脱行為による財産獲得の受皿として機能したもの、法人格を与えた趣旨に反していることは明白だ、だから解散命令請求を出したというわけです。

 そして、その不法行為などによる結果が左の表です。この巨額の財産につながっているわけですね。教団が所有する土地の推定評価額上位十地点のリストですけれども、これら土地建物に不法行為や目的逸脱行為によって形成された財産が含まれる、文科省はそう判断したから、このような解散命令請求を出しているんですよね。

 だとするならば、被害者救済に充てるために、すぐにでも必要な法律を作り、まずは財産を保全することが当然ではありませんか。

 さらに、問題は、こうした不法行為による財産の一部で新しい不動産が取得され、そこに巨大施設が建てられようとしていることです。

 この表の二段目を見てください。本部の次に推定評価額が高く、面積は断トツ一位であるのが東京都多摩市に計画されている巨大施設です。

 パネル二を御覧ください。

 こちらが、研修施設を造る目的で解体工事が進んでいる様子の写真です。私も現場へ行ってきました。地図を見ていただくと分かるとおり、この場所は、都立永山高校の目の前、国士舘大学のすぐ隣。近隣にはほかにも学生向けの施設があって、教育上の観点から極めて重要な場所であるわけです。

 副大臣にお聞きいたします。

 多摩市の土地取得の原資にも不法行為や目的逸脱行為による財産が含まれている可能性が十分にあるわけですから、土地を保全して利用を制限する、被害者の損害賠償や不当利得返還に充てる、これが本来の筋であると考えますが、いかがですか。

今枝副大臣 まず、旧統一教会の行為は、財産的利得を目的として、献金の獲得や物品販売に当たり、多くの方々を不安や困惑に陥れ、その親族を含む方々、多くの方々に財産的、精神的な犠牲を余儀なくさせて、その生活の平穏を害するものでありました。被害者の救済について、文化庁としては、非常に重要であるというふうに考えております。

 また、財産保全につきましては、債権者が民事保全の手続により行うこととなっており、政府としては、法テラスにおいて、電話相談や民事保全の申立てに際して援助等を行っていくものと承知をしております。

 また、議員立法の法案や被害者救済の実効性確保につきましては、与野党各党において様々な動きがあると承知をしておりまして、そうした動きも注視してまいりたいと思います。(櫛渕委員「政府は何をやるんですかということなんです」と呼ぶ)

星野委員長 櫛渕万里君、済みません、指名してから立ってください。(櫛渕委員「分かりました」と呼ぶ)

櫛渕委員 政府は何をやるんですかということをお聞きしているんですね。

 文科省自身が出している解散命令請求の一番の理由が不法行為や目的逸脱行為による財産の獲得であるわけですから、それが土地の原資になっているのは明らかなんですよ。だとするならば、被害者救済を優先させるのが当然ではないかということをお聞きしているんです。

 しかも、教育施設の周辺における建設計画については様々な声が上がっているんですね。

 パネル三を御覧ください。

 上は、国士舘大学から教団に対しての申入れです。大学院生、学生が勧誘を受ける、違法行為の加害者、あるいは被害者として巻き込まれるおそれがある。また、地元の多摩市長からは、文科省に対しても六月に申入れがありましたよね。被害者の財産も原資に含まれるのではないか、市民の暮らしが脅かされる、適切に対応してほしいという要望が出ているはずです。

 十月三日には多摩市議会でも全会一致で意見書が採択され、それが文科省にも届いていると思いますよ。加えて、十月十二日、改めての建設中止と被害者救済のためにも保全措置が早急に必要だという市長のコメントも出されています。

 副大臣、学校行政をつかさどる文科省として、新たな被害者が生まれるかもしれない可能性について、事前に対処する責任をどうお考えですか。お答えください。

今枝副大臣 今委員が御指摘いただきましたように、六月の七日に多摩市長が文化庁に要望書を手交をしたこと、さらに、先ほども御指摘のありました大学からも、旧統一教会に対し、キャンパスに隣接する土地を開発をし、そこを活動拠点とする計画の中止と撤回を申し入れたこと、これは七月二十日というふうに認識しておりますが、こういったことはお聞きをしております。

 文化庁から多摩市長に対しては、その際に、旧統一教会の業務等に関する客観的な事実の把握に努めていることなどを説明したと聞いております。

 文化庁といたしましては、この多摩市からの要望も踏まえまして、報告徴収、また質問権の行使を行うなど、様々な事実関係の把握に努めて、十月十三日に解散命令請求を行ったところであります。

 この解散命令請求につきましては、引き続き適切に対応してまいりたい、裁判になってまいりますので、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

櫛渕委員 時間が来てしまいましたのでまとめますけれども、政府は本気でやる気があるんでしょうか。このままだと、総選挙目当てに総理はポーズとして文科省に解散命令請求を出させたとしか思えません。自民党、公明党は財産保全に後ろ向きな報道が出ておりますけれども、もしもそれが本当なら、被害者を全く救済する気がない、それどころか、旧統一教会と関係を絶つという宣言は真っ赤なうそだったということになりますよ。

 れいわ新選組は、被害者救済のために必要な財産保全の法整備を求めていくとともに、引き続き、自民党と旧統一教会の一体化による政治のゆがみ、これを徹底的に正すために、国会に特別調査委員会を設立することを改めて求めまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

星野委員長 次に、内閣提出、官報の発行に関する法律案及び官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。自見国務大臣。

    ―――――――――――――

 官報の発行に関する法律案

 官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

自見国務大臣 ただいま議題となりました官報の発行に関する法律案及び官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、官報の発行に関する法律案について御説明申し上げます。

 法令の公布等の手段である官報は、明治十六年の創刊以来、紙の印刷物として国民の間に広く定着しているところです。

 この法律案は、我が国のデジタル化の象徴として、官報を電子化するため、情報通信技術を活用した官報の発行方法を定めるとともに、その他官報の発行に関して必要な事項について規定するためのものです。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、官報の発行主体について、内閣総理大臣が官報の発行を行うことを定めるものです。

 第二に、官報の掲載事項について、法令の公布等は官報をもって行うことを定めるとともに、その他官報に掲載しなければならない事項等について定めるものです。

 第三に、官報の発行方法について定めるものです。官報の発行は、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信を利用して公衆が官報掲載事項について閲覧し得る状態に置く措置を取ることにより行うこととしています。当該措置は、必要かつ適当な期間、継続して行うこととするほか、官報掲載事項のうち法令等については、当該期間の経過後においても引き続いて、公衆が閲覧することができる状態に置く措置を取ることとしています。また、自動公衆送信により送信される情報については、サイバーセキュリティーに関する措置として、当該情報が内閣総理大臣の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置等を取ることとしています。

 第四に、インターネットを利用することができない者への配慮の措置として、電子計算機の映像面で官報掲載事項を閲覧することができる状態に置く措置を取るとともに、求めに応じ、官報掲載事項を記載した書面を交付する措置を取ること等を定めるものです。

 第五に、災害等の事情が生じた場合において、書面の官報を掲示することにより官報の発行を行うことを定めるものです。

 第六に、官報の発行をした後の公文書館への移管、官報掲載事項を記載した書面の交付等に係る業務の委託、内閣総理大臣以外の者が官報掲載事項を記録したデータベースを構成する場合における内閣総理大臣の承認等、必要な事項について定めるものです。

 なお、この法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 引き続いて、官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、官報の発行を電子的に行うことに伴い、官報が紙の印刷物であることを前提とした規定の改正を行うなど、関係法律について所要の整備を行うものです。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人国立印刷局法について、目的及び業務の範囲の変更等関係規定の整備を行うものです。

 第二に、鉄道抵当法その他の関係法律について、官報が紙の印刷物であることを前提とした規定の改正を行うものです。

 第三に、内閣府設置法及び復興庁設置法について、関係規定の整備を行うものです。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

星野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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