衆議院

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第5号 平成29年3月22日(水曜日)

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平成二十九年三月二十二日(水曜日)

    午後二時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君

   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君

   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    井野 俊郎君

      大西 宏幸君    奥野 信亮君

      門  博文君    菅家 一郎君

      木村 弥生君    城内  実君

      斎藤 洋明君    新谷 正義君

      鈴木 貴子君    辻  清人君

      野中  厚君    藤原  崇君

      古田 圭一君    三ッ林裕巳君

      宮路 拓馬君    山田 賢司君

      吉野 正芳君    若狭  勝君

      階   猛君    山尾志桜里君

      大口 善徳君    吉田 宣弘君

      畑野 君枝君    藤野 保史君

      松浪 健太君    上西小百合君

    …………………………………

   法務大臣         金田 勝年君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   最高裁判所事務総局総務局長            中村  愼君

   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君

   最高裁判所事務総局刑事局長            平木 正洋君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小山 太士君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     三ッ林裕巳君

  宮川 典子君     斎藤 洋明君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     木村 弥生君

  三ッ林裕巳君     新谷 正義君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大西 宏幸君

  新谷 正義君     安藤  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る二十四日金曜日午前九時三十分、参考人として日本大学大学院法務研究科教授角田正紀君、弁護士郷原信郎君及び全司法労働組合中央執行委員長中矢正晴君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長小山太士君及び文部科学省大臣官房審議官浅田和伸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長中村愼君、人事局長堀田眞哉君及び刑事局長平木正洋君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 民進党の階猛です。

 きのうに続いて質問の場を与えていただきまして、ありがとうございました。

 きのう、大臣の答弁で、もうちょっと詳しく通告いただければ立派な答弁ができるということをおっしゃられたので、きょうはしっかり通告しております。立派な答弁をぜひお願いしたいと思います。

 そこでまず、裁判所法改正案について大臣にお尋ねします。

 まず、この法案の立法目的、この白い法案の資料には、「法曹人材確保の充実強化の推進等を図るため、」というふうに冒頭書かれておりますけれども、ここをもうちょっとわかりやすく、大臣の言葉で説明いただけますでしょうか。

金田国務大臣 階委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 その前に、先ほどおっしゃられた、事前の通告があれば立派な答弁とおっしゃいましたが、ちょっと違いまして、事前の通告があれば立派な議論につながる、こういった思いだったんですが、どんなものでしょうか。それを申し上げた後……(階委員「違う、違う、立派な答弁と言っていましたよ」と呼ぶ)そうですか。それでは、後で議事録を見させていただきます。まだ見ていなかったものですから。思いとしては、立派な議論と申し上げたつもりであります。

 それでは、それはおいておきまして、御質問でございます。

 法曹人材確保の充実強化の推進等を図るために修習給付金制度を創設することとしたというのは、私は裁判所法改正法案の一番大切な部分だと思いますが、その背景として私が受けとめておりますのは、法曹志望者が大幅に減少しているという現状があろうかと思います。新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくためにも、法曹志望者の確保というのは非常に喫緊の重要な課題といいますか、そのような背景があろう、このように受けとめておる次第であります。

階委員 大臣の立派な答弁を私なりに解説しますと、要は、私の資料、配らせていただいています一枚目の方もごらんになっていただきたいんですが、法科大学院に入ろうとする人が適性試験というものを受けますね。この適性試験の志願者、受験者数ともどんどん数が減ってきている。その結果、法科大学院の受験者も入学者もどんどん数が減って、昨年は何と千八百五十七人、二千人を切るところまでいったわけですね。昨年秋の、その上の段の適性試験の志願者を見れば、ことしの四月はもっと減るだろうというふうに見込まれるわけです。かつ、司法試験の予備試験の方は、逆にこれはむしろ増加傾向にある。要するに、法科大学院離れ、かつ、志願者減少ということが顕著に見てとれるわけです。

 そして、次のページもごらんになってください。司法試験受験者数と合格者数の推移です。

 これは平成十六年、法科大学院が始まった当初、四万三千人もいたわけです。これが何と昨年は六千八百九十九人。私が受験した当時は三万人を超えていたと思いますが、物すごい減少率です。そして、その中で合格者が千五百八十三人。昔は、ピークはたしか五万人ぐらい受けていて、それで合格者が千五百人という時代もあったやに記憶していますが、今や七千人を切る受験者で、千五百人も、あえて言いますけれども千五百人も受かっちゃうんですね。これで質が確保できるのかということなんですよ。こういった状況を脱するためにも、早急に志願者をふやすための有効な手だてを打たなくてはいけない。

 この問題意識から法律がつくられているという理解でよろしいですか、大臣。いかがですか。

金田国務大臣 ただいま資料を拝見して伺っておりました。

 私は、ただいま委員が御指摘したような状況、これを、そのとおりだなという思いで拝見しておりました。

階委員 それで、問題は、同じ問題意識を持っていただいているということで、しからば、その目的をこの法案で達成できるのかということをお尋ねしたいんですよ。

 司法試験に受かった人が修習を受けた場合、今まで貸与制だったものを給費制にすることによってどれぐらい志願者がふえるのか。私は、後で説明しますけれども、甚だ疑問です。

 この法案でさっきおっしゃった目的は達成できると思いますか、大臣。

金田国務大臣 ただいまの御質問につきましては、修習給付金制度が創設された場合に、法曹志望者、志願者というんでしょうか、司法修習生になられた方々の不安要因の一つを一定程度解消することができるのではないのかなという意味におきまして、法曹志望者の確保につながるのではないかな、このように思っております。

階委員 ここは私は大いに疑問があると思っています。

 資料の四ページ目以降をごらんになっていただきたいんですが、これは、昨年の秋に、法務省と文科省が、法学部に在籍する学生に対する法曹志望に関するアンケート調査ということでまとめたものです。このページにありますとおり、「法曹等志望の有無」ということで、全体を一〇〇としますと、「現在志望している」あるいは「現在選択肢の一つとして考えている」、これを合わせると大体四割ぐらいなんですね。他方で、「過去に志望していた」あるいは「過去に選択肢の一つとして考えていた」、これが大体三分の一ぐらいですね。残りの四分の一ぐらい、これが「志望していない」ということで、大体こういう三つのカテゴリーに分けられるわけですね。もう一回言いますが、一番目が四割ぐらい、二番目が三分の一、三番目が四分の一、こういう比率です。

 そして、それぞれの部分について、何が学生にとって不安なのか、法曹を志願する上で迷いになっているのか、これを分析した調査結果が次のページからです。

 まず、第一番目のカテゴリーです。現在志望している、あるいは選択肢の一つとしている、この方たちの不安の一番多い原因は、合格できるか能力に自信がないというのが一番上に挙がっていますけれども、いいですか、私が手書きで丸をつけた部分、二番目と六番目と七番目と八番目です、これはいずれも法科大学院にかかわるものなんですね。

 詳しく言いますと、二番目は「大学卒業後法科大学院修了までの経済的な負担が大きい」、そして六番目は「大学卒業後法科大学院修了までに二〜三年の期間を要し、時間的負担が大きい」、七番目は「法科大学院修了者の司法試験合格率が全体として低く、」「司法試験に合格できるか不安」だ、八番目は「司法試験の受験資格を得るまでに複数の試験を受けなければならず、負担が大きい」、こういったものが上位にあるわけです。

 そして、その間の五番目に、今回の法案にかかわるところ、「司法修習の一年間、貸与制の下で給与の支給を受けられない」というのが挙がっています。この比率が二七・一%なんですが、さっき申し上げた四つの部分を単純に合計していきますと一〇〇%を超えるわけです。もちろん、三つまで選べますので、単純に合計するのはちょっと正確性を欠くもしれませんが。いずれにせよ、単純に合算しますと一〇〇を超える、こんな数字ですよ。

 さらに、この人たちは実際に受けようと思っている人たちなので、この人たちは法曹志願者であるという前提で考えると、今問題なのは、今志願していない方たち、この方たちにこの世界に飛び込んできてもらうための手だてを考えなくちゃいけないわけです。

 だから、さっき言った二番目のカテゴリー、もう一枚めくっていただけますか、過去に志望あるいは選択肢の一つとして考えていた学生の不安や迷い、このアンケート結果がまず重要です。そうしますと、さっきの結果よりも、法科大学院に不安を寄せている人が給費制よりはるかに多い、これが見てとれるわけです。このランキングで見てもわかるように、四番目、五番目、六番目、九番目、さっきと同じような法科大学院に関する不安や悩み、そしてその下に修習期間の貸与制の問題が来ているわけですね。

 最後にもう一つ、三番目のカテゴリーです。法曹等を考えたことがない人たちの調査結果。これは、やはり法科大学院が上位に来ていて、五番目、六番目、七番目、十番目、さっき申し上げたのと同じ選択肢が上位に来ていて、その下、十二番目にようやく貸与制の話が出てくる。これはわずか二・八%です。

 こういった調査結果、わざわざ法務省と文科省が昨年の秋に調べているんですよ。調べた結果、出してきた法案がこれなんですか。私は全く的外れだと思いますよ。法科大学院にメスを入れるのが先決ではないですか。なぜ、ほかの選択肢を考えなかったのか。

 まず聞きますけれども、今回の法案の、貸与制を給費制的なものに変えることのほかに、何か別の選択肢、大臣、考えられましたか、お尋ねします。

盛山副大臣 階委員の御指摘、まことにそのとおりだろうと思います。私たちも、法務省だけではなくて文部科学省も、現在のこの状況に大変危機意識、問題意識を有しております。そうであるからこそ、いろいろな検討を我々はしてまいりました。

 一昨年の法曹養成制度改革推進会議決定では、法曹志望者の回復に向けた取り組みとして、司法修習生への経済的支援のあり方に関する検討のほかに、法曹有資格者の活動領域の拡大、法科大学院の改革、司法試験のあり方の検討などの取り組みを進めるとされ、各課題について必要な検討などを行っております。

 法曹人材確保の充実強化の推進のためには、今回法案として提出しております修習給付金制度の創設とともに、この推進会議決定に掲げられた各施策をこれからもしっかりと進めていく必要があるものと我々も考えております。

階委員 大臣にお尋ねしているんですが。ここから本当に大事なことですよ。大臣、答えてくださいね。立派な答弁を期待します。

 さっき言ったような調査結果を虚心坦懐に見詰めれば、やることは単純です。要は、法科大学院を修了しなければ原則司法試験は受けられない、この仕組みを変えればいいと思うんですよ。司法試験は誰もが受けられる、こういう仕組みにすれば、さっき言ったような悩みは一発で解消しますよ。

 どうですか、大臣。それをやってくださいよ。お願いします。大臣、立派な答弁をお願いします。

金田国務大臣 階委員から立派な資料をいただきました。非常に私……(階委員「いやいや、法務省の資料ですよ、これは」と呼ぶ)いやいや、ただ、この場で拝見をしました。非常に、なるほどな、こういう要因もあるんだなというふうに受けとめました。(階委員「それはまずいですよ。自分たちの資料なんだから」と呼ぶ)いやいや、まずくはないと思います。別の形で私は事務方から聞いています。ただ、こういうリアルな数字で全貌を、いろいろな理由が掲げてあります。こういうふうなことで、九番目、十番目の理由の中にも出てくるでしょう。だから、こういう資料をいただいたというのを私は立派な資料と申し上げたので、それ自体は私の思いであります。

 それで、法科大学院の課題が志願者減の一つの要因になっているということは、私も……(階委員「一つじゃないですよ。大きな要因ですよ」と呼ぶ)一つであっても大きいかもしれません。志願者減の要因になっているということは、委員が御指摘のとおりであるというふうに私も思います。

 それで、この点は、今副大臣から答弁を申し上げたんですが、その中で、法科大学院についても言及を今申し上げていたと思うんですね。だから、法科大学院改革というのもございます、司法試験のあり方の検討というのもおっしゃったと思う、法曹有資格者の活動領域の拡大、ですから、そういうさまざまな要因を受けとめて、やはり法務省と文科省、これは非常に、一緒に判断をし努力もしているわけですから、そういう中でしっかりと受けとめて検討をしていかなければいけない課題だというふうに、今改めて委員の指摘を受けとめた次第であります。

階委員 いや、肝心なところを答えてください。

 これは、一番最初に示したとおり、志願者の減少というのはきのうきょう始まったことじゃないですよ。どんどん下がってきている。そして、私この問題を最初に指摘したのは平成二十二年ごろ、我々の政権のとき、私は、総務省の政務官として、政策評価の一環としてこの問題を調べたんですよ、かなり長い時間をかけて。そのときから、このままでは法曹志願者は大変なことになるということで、改革すべきだということでずっと来ているんですが、さっき大臣がおっしゃられたような法科大学院改革とかいろいろやっても、全く改善の傾向が見られない。見られないどころか、さっき言ったようなアンケート調査結果ですよ。

 法曹減少の一つの要因ではありません。最大の要因です。最重要課題です。

 ですから、私は、どうやったら法曹志願者を回復できるか、単純なことを申し上げました。司法試験の受験資格の見直し、これをやっていただければ、すぐ回復しますよ。

 それはなぜそう言えるか。予備試験の受験者は減っていないんですよ。法科大学院に行く人はどんどん減っているけれども、予備試験の受験者は減っていないんです。潜在的には法曹になりたい人はいるんです。でも、法科大学院に入って修了しなきゃ、なかなか司法試験受験のチャンスすら与えられない。だから、みんな法曹から遠ざかるんですよ。だから私は言っているんです。

 私もこの問題についてはずっと取り上げてきました、この委員会でも。大臣、立派な答弁をされると言うのであれば、ここでぜひ御英断をお願いします。司法試験の受験資格の見直し、どうですか、大臣。

金田国務大臣 確かに、データに基づき、そしてまたただいまの御指摘を伺って、私は、階委員のその思いというか御提案は真剣にお聞きしているつもりであります。

 そういう中で、先ほども申し上げました、法曹養成制度改革推進会議の決定におきまして、平成三十年度までを法科大学院の集中改革期間としていこう、そして、文部科学省において、法科大学院の抜本的な組織見直しや教育の質の向上などの必要な取り組みを進めるというふうにされていると承知をいたしております。

 ですから、委員の御指摘も踏まえ、そしてまたその改革の成果も注視していくというのは、今申し上げることのできる非常に重要な視点ではないのかなというふうに考えております。

階委員 さっきのアンケートは、大臣、私からいい資料をいただいたなんておっしゃいましたけれども、これは法務省でやったデータですよ。このデータの……(金田国務大臣「文科省と一緒でしょう」と呼ぶ)文科省と一緒にやっているわけですよ、法務省も一緒にやっているわけですよ。そのデータの肝心なところが大臣に上がっていなかったということだと思いますよ、さっきの答弁からすると。いい話を聞いたみたいなことをおっしゃっているわけだから。これはおかしいですよね。

 大臣、このデータを虚心坦懐に見て、何が問題かといえば、法科大学院だということは明らかじゃないですか。せっかくいい調査をしていただいたのに、あと二年も三年もこのまま放置するんですか。問題の先送りでいいんですか、大臣。大臣、立派な答弁されるとおっしゃったから、私、きょう期待していました。それで通告もちゃんとしましたよ。それで、このような調査結果が出たわけだから、もう、すぐ手を打つべきだと思います。でなければ、この調査、全く意味がなくなってしまいますよ。

 もう一回お尋ねします。

 もう、すぐ、平成三十年度といったら平成三十一年の三月がその終わりですから、それから検討していったら二〇二〇年を超えてしまいますよ。どうですか、今から改革、司法試験受験資格の見直し、着手すべきだと思いますが、いかがですか。

井野大臣政務官 せっかくですので、私も法曹資格を有する者として一言だけコメントをさせていただければと思います。

 確かに、いろいろな法科大学院の問題等はありまして、ただ、他方で、法科大学院におけるさまざまな改革が行われて、さまざまな教育を施し、そして現にもう法曹となって活躍されていらっしゃる方もいらっしゃいます。ですから、一概に、法科大学院は全てが問題だったというふうには我々は考えておりません。

 ですので、もちろん、まだまだ足らざる面は改革をすべきだというふうに思っていますし、我々はその改革を見守っていきたいというふうに思っております。

金田国務大臣 ただいまの御提案に対して、私は、やはり、法曹志望者が大幅に減少している、こういう中で、法曹志望者の不安を除去していく、そして法曹志望者の減少を食いとめる必要があることは言うまでもないわけであります。

 先ほど述べたとおり、そういう中において、今回のこの修習給付金制度の創設というのは、こうした法曹志望者の不安要因の一つを一定程度解消するという意味においては法曹志望者の確保につながるものではないかというふうに考えていることは先ほど申し上げたとおりでありまして、その点も重要である、こういうふうに考えております。

 そしてまた、そもそも……(階委員「そういうデータじゃないですよ。調査結果を見ていないんですよ、ちゃんと」と呼ぶ)その調査結果については、私は、全体としての流れ、傾向を部下から聞いてはおりますが、このデータそのものをこのように詳細に分析したものを拝見したのは確かに今この席であります。ですから、この席で、委員に対しては立派な資料だと申し上げたわけであります。

 これをベースに、考えられる要因をしっかりと分析する。例えば、法科大学院だけの問題なのか。先ほど、現に法曹養成制度改革推進会議において幾つかの点が今取り上げられて議論がされるということであるならば、やはり文科省、法務省一緒になってしっかりとその点も検討し、そして、法務委員会で裁判所法を審議した際に出た大きな議論としての、階委員の議論、提案といいますか、こういうお話もしっかり受けとめてやってもらいたいということは私も同感で、考える部分の一つであります。

階委員 井野政務官、私の質問と関係ないことを答えていると思うんですよ。私は、別に法科大学院が悪いとかなくせとか言っていませんよ。

 ただ、先ほどの調査結果を踏まえると、法科大学院という存在があるがゆえに、法曹を志願しない、あるいは志願したけれども諦めた、あるいは将来に不安を抱える、こういうことが実際に調査結果から出ているじゃないですか。

 法科大学院、これまでも、いいところはそのまま教育していただいて結構、ただ、受験資格と結びつける必要はないということを言っているわけですよ。いい法科大学院だったら、自分で勉強して司法試験を受けるよりも、法科大学院に行って修了して、司法試験を受ける、こういう人はもちろんあってもいいと思いますよ。

 ところが、今そういういい法科大学院は少ないんです。

 実際、この数字も皆様に見てほしいんですが、資料の三ページ目につけていますけれども、これは、司法試験合格者の中で、法科大学院を修了した上で受験した人の合格率、それから予備試験に合格した上で司法試験に合格した人の合格率、これの推移を見たものであります。これも何度か、私、この委員会で取り上げましたけれども、一貫して、予備試験に受かって司法試験を受けた人の方が合格率が圧倒的に高いんですね。直近の数字で見ますと六一・五二%、何と法科大学院修了資格で司法試験を受けた人の三倍ですよ。だからこそ、この法科大学院、皆さん行きたがらないわけですよ。

 こうした問題を放置していれば、ますますこの傾向に拍車がかかってしまう。だから、改革に手をこまねいている場合ではありません。

 私は、この法科大学院の修了者の合格率が著しく低いというのは制度的にもおかしいということを以前申し上げたことがあります。なぜならば、予備試験の合格者のレベルは法科大学院修了者と同じぐらいのレベルにするように予備試験の難易度というのは設定されているというのがちゃんと政府の公式の文書の中にあったわけです。ということは、この合格率はもっと接近していないとおかしいわけですよ。だからこそ、法科大学院、極めて人気がないし、そして制度としても本来のあり方とかけ離れてきている。

 そこで、受験資格については、個人の選択に任せて、行きたければ法科大学院、いやいや、自分はみずからの力で司法試験、こうした選択の余地を認めるべきではないかということを言っているわけです。法科大学院が悪いとも言っていません。

 また、ついでに言えば、私の申し上げましたような、受験資格をフリーにするということを認めるのであれば、私は、その後、給費制ということもこれはあってもいいのかなと思っています。ただ、肝心なところに手をつけないで、給費制的なものだけ復活するというのは、問題の先送りにすぎない。

 だからこそ、今、この場で、大臣に踏み込んだ答弁をお願いしたいんです。もう一度、大臣、ここは大事なところですから、今の予備試験と法科大学院で極めて司法試験の合格率が違うということも踏まえて、合格率が違う理由ということもお尋ねしようと思いましたが、これはもう今までの議論で明らかになったと思います。結論だけもう一度大臣にお尋ねします。受験資格の見直しをぜひ、もう今から進めていただきたい。大臣、どうですか。

金田国務大臣 階委員の御指摘は、先ほどから拝聴をいたしております。受験資格と法科大学院を直接結びつける必要はないという御指摘もその中にあったと思います。

 私は、法曹志願者、志望者が減少していることの理由は幾つかあると思います。その中で、ただいま御指摘の点が非常に大きな要素を占めるという委員の御指摘に対しましては、私もなるほどなと思う部分があるわけであります。

 したがいまして、先ほどから申し上げておるんですけれども、司法試験受験資格の見直しの議論にもなろうかとは思いますが、一方で、平成三十年、二十九年にことし入ったわけですけれども、平成三十年までを法科大学院集中改革期間として、これは年度ですかね、文科省において法科大学院の抜本的な組織見直しや教育の質の向上について必要な取り組みを進めるというふうに推進会議の決定でされたところであります。まずは、その改革の成果も注視したいと思っておりますし、ただいまの委員の御指摘というものも、そういう場で当然受けとめられて議論がなされるのではないかと私は思うわけであります。

 したがいまして、そういう意味において、これは、若い人たちが、法曹の世界にしっかりとした人材が来るようにするという大事な大事なテーマですから、そういう意味のある議論が、推進会議決定による、三十年までにどうするかというふうな議論が行われるのであるならば、その中でその議論もなされるように私は期待をしたい、こういうふうに思っております。

階委員 推進会議の決定はたしか平成二十六年ぐらいでしたか、もうそれから二年以上たっているわけですね。それで、このアンケートの答えは昨年の秋ですよ。推進会議で法科大学院改革をしましょうと言って、二年ぐらいたってもこのありさまですよ。だから、私は、こういう調査、せっかく法務省も加わってまとめたわけだから、早くに手を打つべきだ。

 それで、大臣、私、もっと部下に怒るべき話だと思いますよ、今回のことは。というのも、先ほど私が指摘したデータについて、この場で言われるまで気づいていなかったということは、こういう調査結果がありながら、肝心なところは大臣に伝えないで、むしろ枝葉の部分だけ伝えて、給費制だけやればいいというふうに言われてこの法案になっているんじゃないですか。大臣、なめられているんじゃないですか。もし大臣がこのデータを見ていたら、違う法案になったんじゃないですか。

 大事なことはどっちですか。データを虚心坦懐に見れば、政治家だったら、どっちが大事か、どっちの優先順位が高いかわかるでしょう。法曹じゃなくても、政治家の、一般の常識の高い方であれば、これはもう火を見るよりも明らかだと思います。今やるべきは、まず司法試験の受験資格を見直すことだと思います。

 大臣、官僚の入れ知恵に頼らずに御自身の考えで述べてください。よろしくお願いします。

金田国務大臣 階委員から提言がございました。

 私は、この法科大学院の現状について報告を受けていないわけではないということはしっかり申し上げさせていただきます。法科大学院が、入る方も、そして司法試験に受かる方も少ない、少なくなってきている、こういう現状は私も私なりに部下からちゃんと聞いておりますことを申し上げたい。

 しかし、今いただいたような、こういう精緻な資料を何枚かいただいてこの話に臨んだことは、私は残念ながら初めてだということは、それは認めます。

 しかし、そういう状況の中で、結局は、私が今その資料で拝見することと、以前に聞いていた内容とが一致しますので、それに対しては、先ほど申し上げたとおり、決してこれを野放しにするわけにはいかない課題だというものも私は感じております。だから、先ほどのような答弁をしたのであります。

 そこは、文科省はきょうは呼ばれておりませんね。でも、法務省と文科省はきっちり連携をしながら、法科大学院の抜本的な組織見直しあるいは教育の質の向上といったような必要な取り組みもしていこう、こういう考え方を持っておるわけですから、そういう中で、委員の御指摘を踏まえて検討をしていくプロセスを用意すれば、それはそれで非常に大きな前進になるのではないかというふうに私は思うわけであります。したがいまして、そういう努力をする価値のある御質問だなというふうに私は思って、お聞きしておりました。

階委員 平成三十年度が終わるまで、大臣、失礼ですけれども、大臣でい続けられませんよね。今やるしかないんですよ、これは。せっかくこういうデータも出てきたわけだから、今政治主導でやるべきですよ。

 大臣、きょうは時間が終わったので続きはまた今度にしますが、ぜひこれは真剣に考えていただきたいと思います。終わります。

鈴木委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。本日もよろしくお願いをいたします。

 今、階先生の質問を聞いておりまして、私は、かつての松島法務大臣のことを思い出しておりました。

 松島大臣は、今国会に提出されている性犯罪の下限の引き上げ、あの法案については今いろいろな当事者の方が声を上げておられますので慎重な議論が必要ではあると思いますが、あの方は就任した直後からそのことを発せられて、法制審の審議をされた。

 松島大臣も金田大臣と同様、私は辞職を求めた大臣の一人ではあるんですが、ただ、そのときの所信に対する質疑の答弁というものは、うちわについては最後までうちわのようなものだとおっしゃっていたんですが、御自身の政治家としての法務行政にかかわる発言というものは、全て十分に読み込まれて臨まれていたなと思います。大変、法務大臣としてふさわしいかという発言も過去にあったのですが、そうした問いについても、私は多分あれは一時間半近く質問したと思うんですが、一つ一つ丁寧に答えられたなというのを覚えております。

 そこで、少しきのうの議論で、私も、その立派なところを、非常に気になったので伺っておきたいんですが、大臣のおっしゃる立派な答弁、立派な議論というものは一体どういうようなものなのか、もう少しかみ砕いて伺いたいと思います。

金田国務大臣 井出委員から御質問がありましたので、お答えをいたします。

 国会での議論を行うに当たりましては、やはり限られた時間で限られたテーマについて議論を行う、その議論はかみ合わなければいけない、こういうふうに思います。したがいまして、質問する方も答弁する方も両側が期待をし、あるいは思いを込めて説明をする、それに対してできる限界をきわめてそれを説明する、そういうのを私はやりとりというのじゃないのかなというふうに思います。

 そのときに、やはり私は、きのうの経緯を先ほど御指摘いただいた中では、やはり質問は的確に、その範囲とか、限られた時間で中身とかいうものを理解ができれば、それに沿った形で答弁も準備ができる。そうすると、そこから議論が、お互いに中身のある議論としてやりとりが始まるというふうに私は政治家として思っております。

 そして、この国が進むべき方向、私たちが所掌する事務の範囲内で、一緒になって仲間をつくり、そして結果を出していく、それが私たちの使命だと思います。そのときに、私たちが一緒する、例えば、今私は法務省で仕事をしていますから、法務省のその権限ある立場にいる同志の諸君とも一緒に進めることができる。そういう、やはりお互いのプラスになる、質問する方と、私たち、それを受けとめて今こうなっていますよと説明する側そして進める側も一緒になって議論をすることができれば、それは立派な成果、立派な結果につながっていくのではないかな、こういうふうに私は思っている次第であります。

井出委員 議論を進めていって立派な成果を得るというのはおっしゃるとおりだと思いますし、かみ合うというところは私も大変重要なことかと思うのですが、私は、大臣に求めたいのは、立派な答弁よりも実直な答弁を求めたい。大臣の言葉をかりれば、それは誠実なという表現の方がいいのかもしれませんが。

 一例を挙げますと、昨日、私が与党の共謀罪の修正案を幾つか紹介をして、その表現がきのう閣議決定された法案とそっくりじゃないか、違いは何なんだ、そういうお話をしたときに、昔のは与党案で、今回のは政府案なんだというお話をされて、それは、例えて言えば、私がおにぎりの中身、おにぎりの具を質問しているのに、おにぎりにノリが巻いてあるか、丸か三角か、おにぎりの形を答えるというような、私からすると大変不誠実な答弁に受け取りました。

 そういうところを、答弁というものは過去の積み重ねもありますし、非常に慎重でなければいけないということもあろうかとは思いますが、少なくともきのうの質問に関して言えば、かみ合うようにいろいろ御説明は申し上げたつもりなんですね。そうしたことに対して、やはり誠実に答えていただきたかったなと思います。

 きょうはその違いについて回答は求めませんが、その答弁姿勢について、きのうの答弁が果たして本当に立派な答弁だったのか、コメントを伺っておきたいと思います。

金田国務大臣 せっかくの御質問でございますので、井出委員に申し上げたいと思います。

 私は、自分の性格からして誠実な性格であります。したがいまして、答弁も誠実に行いたい、このように努めているつもりでありますし、努力もしていきたい、このように考えております。

井出委員 これまで、事務方に答弁をいろいろお支えいただくこともあるかと思いますし、きょう、また共謀罪の担当の事務方も後ろにいらっしゃるかと思うんですが。私のお願いなんですけれども、後ろの方も含めてお願いをしておきますが、かみ合うということは、やはり事務方も含めて、事務方のサポートを含めて、大臣の答弁と私の質問と、かみ合うところを努力することかなと思います。

 私、時折質問に冗談の一つも挟むんですが、なかなか共謀罪担当の事務方はポーカーフェースで、本当にかみ合っているのかなというところがありますので、そういうところも含めて議論を深めていきたいなとお願いを、きょうは特に後ろの方にお願いをしておきたいと思います。

 それと、きのう、名前のことを申し上げたんですが、法案の名前ですね。私、きょう朝、自転車で来るときに考えたんですよ。

 私なりに大臣の趣旨を考えて、組織的な犯罪を、計画と準備を一体となって処罰する。そうすると、何で考えたのかというと、やはり名前が違う質問の仕方で世論調査がかみ合わないということは若干問題があるのではないかなと私は思っておりまして、大臣の答弁を私なりに精いっぱい取り入れた名前が組織犯罪計画準備罪、これでいいんじゃないかなと。

 きょう自転車で三十分こぎながら考えたせっかくの名前なので、きょうは感想だけいただいておきたいと思います。

金田国務大臣 私は、テロ等準備罪というのが、呼称でございますが、最もふさわしいと思っております。

井出委員 大臣も、これからお車の中で、ぜひ今度私の思いに立ってこの法案の名前というものを一度考えていただけると議論がかみ合っていくのではないかと思いますので、またそれは後日の機会にお願いをしたいと思います。

 では、法案の方、私は、まず裁判所の職員の方から伺ってまいります。

 最高裁に教えていただきたいんですが、裁判官や裁判所の職員というのはプレミアムフライデーはあるのかないのか、まずそこを教えてください。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 官民におきまして、月末の金曜日に休暇取得や早期の退庁等によりまして、いわゆるプレミアムフライデーという取り組みが始まっているということは承知しているところでございます。

 裁判所におきましては、これまでも、年次休暇等の取得の促進、ひいてはワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取り組みを実施してきたところでございまして、プレミアムフライデーにつきましても、この取り組みに沿うものとして、裁判官を含めた裁判所職員に周知をしたところでございまして、各庁の実情に応じ、適宜活用されているものと承知しております。

井出委員 裁判官のお仕事というのは、出勤とか退庁ですとか、そういうものは形式的にはあるのかもしれないんですが、実際は、おうちに帰られて判決文をつくられたりとか、割合裁量で動かれるんじゃないかなと思うんですね。

 裁判所の職員さんは恐らく勤務時間がきちっと決まっていて、働き方改革というものもあれば、そういうものも取り入れやすいのかなと思うんですが、働き方改革とかプレミアムフライデーとか、今、必要と言われてそういうことを議論されているんですが、裁判官というお仕事には、仕事上、私はそういうのはなじまない性質なのかなと思っているんですが、その点はどうなんでしょうか。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、裁判官につきましては、一般の裁判所職員とは違いまして、いわゆる勤務時間の定めがないということでございます。そういう関係で、通常、裁判所の執務時間内は基本的に執務をするということを前提に、さらに、手持ちの事件あるいは緊急の事件処理といったものに対応して、いわゆる時間外でも必要に応じて勤務をしなければならない、そういう執務体制になっております。

 ただ、他方で、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進等といった課題につきましては、これは裁判所の職員のみならず裁判官にも当てはまるというふうに考えているところでございまして、先ほど御説明申し上げましたような執務体制の中で、それぞれの工夫も含めて、執務の体制とワーク・ライフ・バランスの推進といった課題の両立に努めているところでございます。

井出委員 昨年か一昨年でしたか、裁判官は割合産休、育休というものをしっかりとれている業種だというお話を伺いましたので、いろいろな裁量の中で、働き方、ワーク・アンド・ライフ・バランスというものも気をつけられていらっしゃるのかなと思います。

 裁判官の人数をふやしていくと。きのう、事件の複雑化ですとか、民事事件の合議制の目標を上げなきゃいけないというような話を別の委員の方が質問されていたんですが、きょうは、お話があったその緊急のお仕事で、令状の許可について教えていただきたいんです。

 聞くところによりますと、裁判官は令状を出すために泊まりの勤務がある。東京地裁は一年に一回ぐらい、それが、地方のどこか支部とかに行くと、多いところは月三回ぐらい泊まりがある。東京や名古屋で泊まりの勤務をやると、事件が多くて令状請求が多くて寝る暇はない、次の日も普通に朝から夜まで仕事をする。ですが、地方の裁判所に行けば、泊まりの回数は多くても事件はないから、官舎に待機をしていて、事実上何もなくてよかったねというようなこともあろうかなと思うんです。

 裁判所の方でちょっと事前にいただいた、逮捕状、通常逮捕、緊急逮捕、それから、捜索・差し押さえ、検証等許可状の事件数を見ておりますと、通常逮捕、緊急逮捕状というものは、刑法犯が減っておりますので減少傾向にあるのかなと思います。それから、その一方で、捜索・差し押さえ、検証等許可状の事件数というものは、平成十九年でいえば二十一万件だったものが、今、平成二十八年、二十四万六千九百六十一件とふえている。

 これは裁判官にとって一つ業務の負担になっているのかなと思うんですが、この令状の許可、これはよく緊急性が必要だとかいろいろ言われるところなんですが、ちょっとイメージとして知っておきたいのが、一体これは、早いものではどのぐらいで許可をして、長いものは一日も二日も三日もやるようなときもあるのかとか、それから、捜査機関側から、ちょっと急いでいるのできょうの昼までに何とかしてくれとか、あしたの朝までに何とかしてくれとか、そういう、少し実態の実務的なところをちょっと教えていただきたいと思います。

平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令状審査に要する時間は事案ごとに異なりますことから、事務当局といたしまして、一般的にどの程度の時間を要するかお答えすることは困難であることを御理解いただければと存じます。

 ただ、通常は、比較的短時間のうちに発付されるものと承知しておるところでございます。

井出委員 捜査機関が持ってきた資料を見て確認して、またその資料を返さなきゃいけないとか、そういう事情もあると思いますので、その短時間というものがどのぐらいなのかというところは今明らかではなかったんですが、そういう急ぐ場面もあるのではないかと思います。

 ただ、その一方で、今ここで改めて申し上げるまでもないんですが、令状の許可率というものが大変高いですね、全ての犯罪などを見ても。令状には、逮捕状と、それから今言った捜索関係の令状と、それから勾留状もございますね。勾留なんかは特に、勾留が不当なんじゃないかというようなことが指摘されるようなケース、新聞で報道されるようなケースも多いんですが、ほとんどが九五%、九九%に近い数字になっていて、これが適正なのかというところは常に議論のあるところです。

 平成二十七年五月二十二日の法務委員会で、このとき、共産党の清水委員が、通信傍受の令状はほとんど一〇〇%で、しっかりいろいろなことを勘案して発付しているのか、そういうことをお話しされたときに、平木さんは、一般論として申し上げると、法律の要件に従い適正に判断がされていると。これもなかなか検証するのは困難だというようなお話も当時あったかと思います。

 それから、平成二十七年の六月二日には上川法務大臣が、裁判官が適正に判断をするということは当たり前と、それが前提ではあるんですけれども、捜査側もいろいろなことを慎重に検討した上で、この要件を充足するという判断に基づいて令状を請求しています、そういうことをお話しされているんです。

 令状の最終的な責任者というのは、私は裁判官じゃないかなと思うんですが、そこはそれでよろしいでしょうか。

平木最高裁判所長官代理者 当該令状を発付した以上、その当該令状を発付した裁判官の責任において発付しておるということになろうかと考えております。

井出委員 通信傍受の令状というのはこれまで三百件弱しかなくて、十何年やって三百件弱だと。恐らく、通信傍受の令状にぶつかったことのない裁判官がほとんどなんじゃないかという議論も当時させていただいたんですね。

 この間、GPSの最高裁判決が出て、あれも立法化しろというと、大変難しい令状の立法化を検討することになるんじゃないかなと思うんですけれども。

 令状の許可というのは裁判官が一人でやらなきゃいけないのか、誰かと相談していいのか、その辺の実態というものをちょっと教えていただければと思います。

平木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令状の発付等の審査につきましては、担当の裁判官がみずからの責任において法律の要件に従って判断することとなりますが、その検討の過程におきましては、同じ庁の同僚の裁判官などと適宜意見交換することがあろうかと思っております。

井出委員 基本的には一人でされると思うんですが、ちょっと難しいとか、経験がないとか、周りに相談することもあると。

 裁判官をふやすという議論のときに、民事事件は合議制をふやしていくという目標がありましたね、合議の方が議論が深まると。私、令状、責任をとるのは担当者の一人なんでしょうけれども、いろいろ相談していい、相談する人が近くにいた方がいい、それで慎重な令状審査がなされるんであれば、このことをもってもう少し裁判官をふやしてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、そういうことについてはどうでしょうか。

中村最高裁判所長官代理者 裁判官の令状の負担ということの御質問だと思います。

 その関係で先ほどから先生からも御指摘ありますように、令状の中で、平日の昼間の場合と、やはり夜あるいは休日の場合では大分違うと思われます。

 平日の昼間、一般的な執務時間における審査は、各庁の請求件数に応じて審査に当たる裁判官の体制を整備しておりますし、大きな庁では令状部という形で複数の裁判官がいて適宜相談等もできるような形でやっております。一方、平日夜間や休日ということになりますと、なかなか複数の者で相談することはできないので、多くの庁では裁判官一人でやっている場合があるというふうに思います。

 そういう中で、それぞれの負担、件数とか中身によって千差万別なところがございますので、一律にその負担ということはなかなか申し上げられないところではございますけれども、各裁判官は、憲法が定める令状主義によって課せられた役目を十分に自覚した上で、一件一件、形式的な面も含めまして慎重に審査をし、また裁判所書記官もそれを補佐して、一件一件、令状を発付するかどうかという判断をしているところでございます。

 その関係で、負担感あるいは繁忙感というものの主観的なものというのは、やはり裁判官は相当なものがあると思いますけれども、増員という関係で申し上げますと、令状全体と見ると、事件全体が増加傾向にあるとまでは言えませんし、恒常的に多数の令状で常に繁忙な状況にあるということまでは言えないのではないかというふうに思います。

 一時的に令状請求が多数なされた場合には応援体制なども検討しておりますので、令状事件処理のみをもって、直ちに裁判官の増員が必要となる状況にあるとは認識していないところでございます。

井出委員 きょうは、応援する御趣旨で質問をしようと思っておるんですが。

 夜は大体一人なんですよ。全体の令状の発付率というものが極めて高いので何とも言えないんですが、例えばこれを分析して、令状を認めないケースはやはりいろいろ相談できる昼間の方が多かったとか、夜の方は割合スルーしてしまっているとか、もしそういうような実態が、調べてはいないと思いますけれども、調べることは困難だと以前から言われているんですけれども、もしそういう実態があるとすれば、やはりそこは人数をふやして、夜も誰かに相談できるようにするとか、そういうことも真剣に考えていただいてもいいんじゃないかと思うんですね。

 どうしても、令状が適正に請求されて適正に許可されているのかという議論が、何回もいろいろなテーマのたびにやってきているんですけれども、なかなか深まらない。これから恐らく、捜査手法というものがいろいろな形で高度化をしていく中で、この令状業務というものは、より難しく、それからまた緊急性というものも出てくるかと思います。

 そういう意味では、私はこれは夜の人員をふやすために裁判官を増員してもいいと思っておりますので、ぜひ昼と夜の検証というものを少し検討していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

中村最高裁判所長官代理者 令状の却下率が昼と夜で違うかどうかというのは、先生言われたように、統計というのがなかなかとりづらいところもありまして、そのデータを持っているところではございません。ただ、夜一人でやることが多いというのは、まさにそのとおりでございます。

 そういう中で、どういうふうに相談、あるいは、もし困ったときにどうするかということについては、またその体制整備ということは考えていきたいと思いますし、令状事件の動向あるいは事件処理状況等を注視しつつ、裁判所に与えられた機能を十分に果たしていけるよう、必要な体制整備には努めてまいりたいというふうに考えております。

井出委員 この令状の議論は、常に、あらゆる事件、それからあらゆる捜査手法を立法する際、ですから、当然共謀罪の議論の中でも私はまた取り上げたいと思うんですが、ぜひ、議論がかみ合うじゃないですけれども、こういうことがあるから大丈夫なんだとか、そういう少し深い議論をさせていただきたいなと思います。

 それから、修習生の関係、裁判所法について伺います。

 今回、給付制が復活をして、月額十三・五万円、住居給付金月額三・五万円、それから移転給付金、旅費法の移転料基準に準拠して支給とあるんですが、司法修習生というのは、実家から通えれば別に住居費とかはかからないですし、法科大学院とか自分の最終的に住んでいたところから通えるのであればそういうものはいいかなと思うんですが、逆に、完全に引っ越し、新たな場所で修習をしなければいけない、そういうような方もいらっしゃるかと思うんですけれども、この住居給付金、移転給付金、引っ越しをしなきゃいけない人と引っ越ししなくてもいいような人というのはどのぐらいいるのか。

 あともう一つは希望ですね、そういう経済的な事情から希望任務地を出される方もいると思うんですけれども、そういうものが通るのかどうかというところを教えていただきたいと思います。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、実家から修習先に通勤できる修習生の割合、あるいは逆に転居が必要になる修習生の割合についてのお尋ねでございますが、お尋ねのあったような修習生の割合についてはこれまで調査したことはございませんので、これらの割合を直ちにお答えすることはできないところでございます。

 ただ、貸与制のもとで、住居加算の申請をする者には、実家などから修習先への通勤ができず、新たに住居を確保した者が含まれていると考えられますところ、貸与申請者の中で住居加算の申請をした者の占める割合、これはわかるところでございまして、これは直近五年間で、おおむねでございますが、二割程度となっているところでございます。

 それから、修習地がどのように決まるかというお尋ねでございます。

 実務修習地の決定は司法研修所の方でしておりますが、司法研修所において、修習生の希望を基本として、各人の健康状態、家族状況の切実度など、諸般の事情を考慮して決定しているものと承知しております。

 司法研修所は、司法修習生にあらかじめ実務修習希望地の調査書というものを提出させまして、修習地の希望を第六希望まで聴取しておりますところ、四分の三程度の修習生が第一希望または第二希望の実務修習地に配属されている一方で、全く希望外の修習地に配属された修習生はほとんどいないものと承知しているところでございます。

井出委員 何か私のいたNHKとは大分違うな、希望が通っているんだなと思うんですが。

 経済的な事情というものは、その希望の中で考慮をされるということでいいですか。そこだけ、この法案の絡みなので。遠くに行ったり引っ越しを伴うとやはりお金がかかるから、ちょっと近くにしてくれ、そういう希望というものもこの希望の中に入るのか入らないのか、そこだけもう一度お願いします。

堀田最高裁判所長官代理者 各修習生の具体的な経済状況の詳細な情報は、実務修習地の決定の際に詳しく調査をしているわけではないと承知しておりますけれども、先ほども申し上げましたような諸般の事情を考慮して決める中で、そういった面が、転居の負担というのは本人の希望の切実度と裏腹の関係になるというような意味合いにおいては一定程度考慮されるという結果になっているのではないかというふうに考えております。

井出委員 一定程度ということで、希望を調査票で募る、研修が終わったときなんかもいろいろ書いたりするものはあると思うんですけれども、給付制、まあ貸与制のときもそうなんですが、給付制にまた戻すということであれば、司法修習生の経済的な実態、まあ、強制するのもどうかと思いますのでアンケート調査でも結構です、そういう調査をぜひやってほしい。

 司法修習生の平均借入額は三百万円に上るというような報道もありましたし、アルバイトや副業というものが原則禁止をされている。司法修習生というのは、年齢はさまざまだと思うんですね。必ずしも大きい会社の新卒社員という扱いでもないし、県庁とかそういう役場の新卒採用という扱いでは絶対ないと思うんですよね、年齢的なもの、もう御家族もいらっしゃる方だっていらっしゃると思いますし。

 そういう観点から見て、ぜひ、そういう実態調査というものをこれからきちっとやって、給付制の金額というものの検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

堀田最高裁判所長官代理者 給付金が創設された後、まずはその運用を安定的にしてまいるということを心がけてまいりたいと存じますが、修習生の実情について、どういった形で、どのような項目について把握をしていく必要があるのかどうかということは、その必要に応じて、その時々においてまた検討をしてまいりたいと存じます。

井出委員 そんなに無理なお願いをしているとは思っておりませんので、少しいろいろ考えながらやっていっていただきたいと思います。

 それから、最後に大臣に一言申し上げておきますが、司法試験の受験資格の問題ですね。階先生の今回の質問、それから階先生の毎年の質問で、既にこれは我々にとって重要法案になっておりまして、ここ数年。ですから、ぜひ、これを決断したら本当に、冒頭の立派という言葉が、立派な大臣と、辞職を求めている私が言うのも変ですが、そういう決断を求めて終わりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうは時間がありませんので、早速中身に入りたいと思います。

 今回、給付金が復活したというのは非常によかったなと思っております。この復活の陰というと変ですけれども、与党の先生方の頑張りもあったでしょうし、野党の議員もいろいろなところでいろいろな発言をした、あるいは政府の皆さんもそうですし、役所の皆さんも決断をしたということも大きいと思います。それから、それぞれの地域の弁護士会あるいは日弁連、それからビギナーズ・ネットの皆さん、これは相当に大きな頑張りをして、私は、さまざまな政治運動といいましょうか、そういうものにかかわっておりますけれども、今回の給付金の復活は、これまでのさまざまな運動にないような大きな力といいましょうか、多くの声を寄せ集めて実現ができたものだと思っております。非常に喜ばしく思っております。

 喜ばしく思っているんですが、ただ、今後に向けて幾つか考えておくべきこともあるだろうというふうに思っておりますので、そのことをまず二つ指摘をさせていただいて、まず裁判所から考え方を聞きたいんです。

 一つは、先ほど井出委員からも話がありましたけれども、今回、裁判所規則で十三万五千円と定められるであろう給付金、その額や、その制度のあり方が本当に司法修習生にとって役に立つものであるのか、あるいは法曹人材の確保にとってプラスになるものであるのか、そういうことについて制度のスタートと同時にしっかりと検討する、そういう姿勢が必要であろうと思います。制度を再スタートさせたからそれでよしとするのではないということが、一点、大事な姿勢だろうと思うんですが、その点はいかがかということ。

 もう一つは、これまで貸与制の中で司法修習をやられていた方々もおりますので、その方々とのバランスといいましょうか、その点にも、今後この制度が新たにスタートした場合には配慮する必要があるのではないかというふうに思っております。

 この二点、今後の検討課題ではないかというふうに思いますけれども、まず裁判所の方のお考えをお聞かせください。

中村最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、修習給付金の金額の点の御質問がございました。

 この具体的な金額につきましては最終的に最高裁判所規則において定めることになりますが、基本給付金として全ての修習生に対して一律十三万五千円、そのほか、住宅を借り受け、家賃を支払っている場合には住居給付金、あるいは移転に必要な移転給付金といったものを支給するということを予定しているところでございます。

 これらの修習給付金の額は、制度設計の過程の中で、法曹人材の確保、充実強化の推進等を図るという制度の導入理由のほか、修習中に要する生活費や学資金等の司法修習生の生活実態その他の諸般の事情を総合考慮するなどして決定されたというふうに承知しているところでございます。

 最高裁といたしましては、この新たな給付金制度の円滑な実施及び継続的かつ安定的な運用に努めてまいりたいというふうに考えておりますが、今後、制度のいろいろな問題点等は運用の中で出てくるかもしれません。そのようなところはまた法務省等とも御相談申し上げて、運用については万全を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、制度間の不公平の問題も御指摘ありました。

 修習給付金制度の創設に伴いまして、現行貸与制下の修習生、新六十五期から七十期までということですが、これらに対しても何らかの経済的措置や救済措置を講ずべきという意見があることは承知しているところでございます。

 しかしながら、給付金の制度の導入に伴い、現行貸与制下の修習生に対して救済措置を設けるか否かにつきましては、立法政策というところにもかかわるところでございますので、最高裁として、今の段階で意見を述べることは差し控えたいというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 まず一点目については、最高裁としても問題意識を持って、給付金が始まった後、これが適切なものであるかはやはりしっかりチェックをしていくという基本姿勢だったと思います。

 それから、貸与制と給付金とのいわゆる差、ギャップについては、今は発言を差し控えるということでありますけれども、もし現実が余りにもギャップがあるというようなことであるようであれば、法務省とも相談しながら適切な対応をしていただきたいということを指摘だけはさせていただきたいと思います。

 そこで、金田大臣、金田大臣と私は、政治家のスタートがほぼ同じぐらいの時期なんですね。私は九四年に政治の世界に入りまして、金田大臣は九五年だったというふうに認識をしているんですが、私は、金田大臣は今チャンスじゃないかと思っているんです。

 それは、役所の皆さんは、非常にやはり合理性があって、知識、知恵もふんだんですし、いろいろなものについて非常に効率的、効果的、合理的な判断をされるというふうに私は思います。それはもう役所の皆さんのパワーは私はすごいと思うんです。あらゆるものに対して私は本当にすばらしいと思っています。だから、役所の皆さんがいなければ政治家は何の仕事もできないのも事実ではあるんですが、政治家がやらなければならない仕事は合理性やある種の効率性を超えたところにあるというふうに私は思っています。

 例えば予算なんというのはその典型でありまして、世間のあらゆる要望やお願いに応えられるほど潤沢な予算なんというのは、こんなものはもとよりあるはずもありません。特に税金はなるべく少ない方がいいに決まっていますから、なるべく少ない税金の中であまたのことに応えていくということになれば、あるものに優先順位をつけたり、あるものを切ってあるものに多くつけたりということになると、当然そこで不公平が出たり非論理性が出たり、目指す社会のあり方というものを頭に置いた上でそういう判断をしなければならない。そうなると、そこに当然不平不満が出てくるわけですね。

 役所の皆さんは割とそういうところは避けるというのが役所の皆さんの仕事の作法だと私は思います。だから、政治家がやはり政治家たり得るというのは、役所の皆さんはこう言っている、きちんと準備をしている、だけれども、そこを乗り越えた指示を出したり、そこを乗り越えた方針を出したりするのは、私は大臣の役割だと思うんです。それをやらなければ、私は、大臣としての役割を果たしているとは思えない。

 もちろん、多分、金田大臣も、大臣になる以前の政治家人生の中で、いろいろな場面でそういうことをやられてきたというふうに私は思います。

 そこで、先ほど来出ている司法試験の問題ですけれども、大臣は、文科省といろいろやっています、いろいろな改革のプランとかいろいろな協議もしています、年限を区切っていろいろなことをやろうとしています。私は、おっしゃることはわかります。そうすれば、多分、一番波風もなくて、一番みんながすとんと落ちる結果になる、場合によってはなるのかもしれないというふうに思うんですが、やはり今の状況を見ていると、私はこれは急を要すると思いますよ。このままでは本当に日本の法曹人材の確保ができなくなる、私はそういう状況だと思うんですよ。

 私は、この問題にそんなに関心が高いわけではありませんでした。しかしながら、総務省で私も定員管理の仕事などをさせていただいたときに、これはゆゆしき事態だなということにやはり気がつきました。そして、この法務委員会に来て、本来であればそんなに問題にならない裁判所の定員の問題とかでこれほど議論になっているということは、やはり相当危機的だと私は思うんです。

 大臣がここで、それじゃ司法試験の受験資格を変えますなんてことは簡単に言えないことは、私はわかります。だけれども、大臣として、例えば金田改革五プランとか、金田メモとか、何かそういうものを明確にして、後ろのあのメモなんかどうでもいいんですよ、金田大臣そのものの思いでやることなんですよ。

 だって、大臣、そう思いませんか。過去にいろいろな仕事をされていて、ああ、なるほどなという大臣はどういうことをやっているか。役所に反していろいろなことをやっているというのは、私、非常に大きいと思います。

 例えば、私、東京駅の前にあるKITTEというビル、よくあの前を通ります。あれは旧郵便局だったわけですが、あのビルの取り壊しのときに、私、乱暴な議論があったというふうに思っていますけれども、当時の鳩山邦夫総務大臣が、あんなものはだめだ、全部壊すなんてよくないと言って、ある程度進みかけていたのをとめて、今のKITTEというビルのような状況になったんですね。

 ああいう判断をしていく。あれがよかったか悪かったか、いろいろな意見はあると私は思いますけれども、ああいう判断をするのが大臣の役割だと私は思うんですよ。その意味で、きょうここで司法試験の受験資格を変えるということは簡単には言えないとは思いますけれども、その方向でも出さないと、私、大臣の役割を果たしているとは思えないんですよ。

 まあ、いろいろ私も厳しいことを言います。大臣の答弁がまずいというようなことも、いろいろ厳しいことも言いますけれども、答弁の細かいところができているから大臣としていいということじゃないんですよ。大きな方向感をちゃんと出して、それに従って役所の皆さんを引っ張っていけるかどうかなんですよ。

 そのときに、文科省の意見を聞かなきゃならないというんだったら、法曹人材について誰が責任を持つんですか。文科省が責任を持っているのは学校のあり方についてですよ。でも、法曹人材のあり方については、大臣しか、これについて政治家として最終責任を負う人はいないと私は思うんですよ。

 その意味で、大臣の思いをしっかり言っていただきたい。もう金田五プランでもいい、金田何とかプランでもいい、金田改革何とかでもいいから、そういうものを明確に私は言っていただきたいんですけれども、いかがですか、大臣。

金田国務大臣 逢坂委員から、非常に熱い、熱い激励をいただいた、こういうふうに受けとめております。

 私は役所にいた人間で、役所に二十一年、政治家として二十一年、もう四十年を超えております。その中で貫くものは、恐らく逢坂委員と同じだと思いますが、公的なものへの献身というのが私が貫く思いであります。

 ある人はこう言います。役人と政治家、役人から政治家になられた方もこの中にはたくさんおります。役人と政治家というのはどこが違うか、ある人が私に教えてくれました。それが正しいかどうかはわかりません。政治家は動機と結果だ、そして役人はプロセスだと。非常に優秀で能力のある役人は、必ず、おっしゃられたように、論理的に、あるいは非常に知識を駆使して、そのプロセスをきっちり説明することができる。これは役人ならではの能力だと言うんです、その方は。政治家は動機と結果である。

 私は、それを聞いて非常に感動しました。その二つをうまくかみ合わせることが私たちにとって必要なことなのではないだろうか、こういう思いなのであります。

 逢坂委員もすばらしいことを言われましたので、私もちょっとそのかけらを申し上げたという感じであります。その片りんですね。

 ということで、思いを言ってもらいたい、よくわかります。例えば、法曹人口が非常に減ってきている、日本にとって、将来にとって法曹人口を充実させることは必要だ、これは私も同じ思いであります。それをどのように分析し、どのように将来に方向づけていくかということを、やれと言われれば、それはまさしく自分の仕事の一つでありますから、全力を挙げてやりたい。

 非常に、逢坂委員からの御指摘をいただいて、私は公的なものへの献身のまた一部を教えていただいたような、そして、九四年と九五年に政治の世界に入った者同士ということで、何となく気が通じる感じが前からしておったんですが、そういう理屈を言われまして、まさしくなるほどという思いを持った次第であります。

 そういうことを申し上げて、私の答弁にさせていただきます。

逢坂委員 大臣、これを笑いで済ませるのではなくて、できれば、今度の金曜日の閣議後とか来週の火曜日の閣議後の記者会見で、法務委員会でこういう非常に鋭い指摘もあった、だから、司法試験のあり方についてはやはり大臣としてもしっかり検討していかなければならないぐらいの発信を、具体的なものを私はされたらいいと思いますよ。そうすればもっと役所も動きますよ。ぜひそれをお願いしたいと思います。

 最後にこれだけ。

 今回、給付金が復活をする、そして司法修習生の皆さんがある一定程度の、今までよりは条件がよくなるということなど、いろいろなことを勘案して、弁護士さんの社会貢献みたいなことをよく言われる、公なものへの貢献みたいなことがよく言われるんですが、私はそれは非常に大事なことだと思いつつも、弁護士さんというのは、いろいろな立場の人の権利を擁護するというのが弁護士さんの仕事でありますから、一律に政府の側がとか役所の側が弁護士さんに社会貢献をせよと言うのは、私は少し行き過ぎではないかというふうに思っています。それはやはり、弁護士さんの独立性とか自律性、そういうものを尊重することが最終的に健全な法曹界というものになっていくのではないかなということを発言申し上げて、終わりになりましたので、以上で終了します。

 ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、裁判所法についてきょうお聞きしたいと思います。

 本法案は、法曹人材確保の充実強化を図るために、司法修習生に対し修習給付金を支給する制度の創設などを行うものであります。

 司法修習制度は、国が責任を持って法曹三者を統一的に養成する制度であります。今日、司法が果たすべき役割の拡大、国民の期待というのは大きくなっていると思います。この期待に応えていく法曹の後継者をいかに養成していくかというのは、まさに我が国の司法の未来を左右する大問題だと思います。

 そこで、そもそも、修習制度ということについて、前提として事務方にお聞きしたいんですが、戦前は、裁判官と検察は一体だったんですが、それと弁護士は分けて、分離修習で制度が運用されていた。それが、戦後、法曹三者を統一的に修習するということになったわけですが、その理由について御説明ください。

小山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の法曹の養成の制度でございますが、戦前におきましては、法曹の養成が一元化されていないという状況がございまして、判事、検事の養成につきましては、司法官試補という身分で裁判所及び検事局において実務修習をした上で、考試、試験でございます、これを経るということとされておりましたのに対しまして、弁護士の養成につきましては、弁護士試補という形で弁護士会において実務修習をした上で考試を経るという形にされておりました。

 これに対しまして、今御指摘ございました、戦後導入されました現在の統一修習制度におきましては、これは法曹の役割の重要性に鑑みまして、法曹三者がそれぞれ司法の担い手であり、職業としての法曹は一体であるべきであって、ひとしく高度の一般的教養と法律的素養とを身につけるべきであることから設けられたものと思料しております。

 以上でございます。

藤野委員 今、法曹の一元という言葉もありましたけれども、戦前、明治憲法のもとで司法権は天皇に属しておりました。このもとで、戦前の法曹養成制度というのは今おっしゃったような中身になっていて、率直に言いまして、弁護士の地位の方が判事や検事に比べればかなり低い。養成時代も無給であります、無給で養成されるということで、実際には、弁護士というものが国民の権利を擁護していく、その使命を果たす上で困難な条件が養成段階から構造的にあったという指摘もあります。

 逆に言うと、判事、検事というのが司法省のもとで、司法行政としてその任に当たっていたということで、これも国民の権利擁護という立場に立つという点での困難な構造的な要因だったということも指摘をされております。

 この反省から、戦後、法曹を統一して、三者統一して修習させるということが生まれてきたわけであります。

 一九九八年の当委員会での質疑の中で、当時の法務大臣官房の司法法制調査部長の山崎さんはこう言っております。法曹一元の理念について、

  法曹一元の理念でございますけれども、これは、国民の意思を、あるいは国民の声を司法に反映させるということ、あるいは、広い視野を有する裁判官を得ることができる、こういう点に特徴がある制度であるという理解をしております。

こう述べていらっしゃって、ですから、法曹一元を修習段階から制度的につくり上げていくものとして今の統一修習というものが生まれてきたということであります。

 この統一修習ということによって、これは同じ九八年の四月十日に参考人として来られた、当時の日弁連事務総長寺井一弘さんはこうおっしゃっているんです。

 統一修習制度は、弁護士、裁判官、検察官の実務をそれぞれ修習することを通じて法曹三者の実務の実態を知り、将来、いずれの道に進むにも、自己の立場に固執せず、客観的で公平な物の見方を体得させることができるとか、視野の広さ、見解の豊かさが醸成されるといった長所が指摘されており、戦後司法の基盤の一つとして高く評価

されてきた、こういう陳述をいただいております。

 つまり、司法修習制度というのは、国民の声を司法に反映させるインフラ、社会のインフラとして法曹を育てていくんだということで、これはまさに国の責任だということで、一九四七年の、裁判所法、この法律の制定当時から給費制というのが採用をされてきたという経過だと理解しております。

 ところが、二〇〇四年の裁判所法改正で、給費制が廃止をされ、貸与制が導入された。我が党は、当時、貸与制は、いわゆる受益者負担、この考え方を法曹育成の世界に持ち込むものであって、これは法曹育成になじまないということで一貫して反対したわけですが、導入をされた。

 その後はどうなったかといいますと、先ほど来御質問がありますけれども、法曹志願者が激減していくという状況であります。経済的な負担の重さは法曹資格の魅力を失わせる要因の一つになっております。そういうことで、ビギナーズ・ネットの皆さん、日弁連、各地の弁護士会そして市民連絡会の皆さんが本当にすばらしい運動を繰り広げられ、全国会議員の過半数を超える賛同も集めるという、党派を超えた流れをつくり出したわけであります。

 そこで、大臣にお聞きをしたいんですが、私どもは給費制の復活ということを言っております。本法案はそれとは違うわけですが、しかし、こうした党派を超えた運動を受けて政治が動いた本当に大きな一歩だと思っております。大臣、今法案というのは、そういう意味で、給付金というものを支給するわけで、現状がゼロであることに比べれば一歩前進だ、大臣自身もこういう評価だということでよろしいでしょうか。

金田国務大臣 ただいま藤野委員の御指摘がございましたが、修習給付金制度創設の意義というものは、私も、法曹志望者が大幅に減少している、そういう中で、新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくためにも、法曹志望者の確保というものは喫緊の課題である、そして、そういう中において、一昨年の法曹養成制度改革推進会議決定あるいは昨年の骨太の方針といったようなもので、司法修習生に対する経済的支援のあり方について検討するとされておりましたし、法曹人材確保の充実強化を推進することがうたわれておったわけであります。

 したがいまして、これを受けて、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るために修習給付金制度を創設することとしたものだというふうに私も認識をいたしております。

藤野委員 この給付によりまして司法修習生の経済負担というのは約二百万円ほど軽減されるということになりますので、やはり現状に比べれば前進だと思っております。

 ただし、これで十分なのかという問題は残っている。

 今回給付されるのは月額十三・五万円ということでありまして、年額百六十二万円ということであります。先ほど、根拠といいますか、調査のお話も出ましたけれども、やはり、私たちは今後もいろいろな視野が必要ではないかと思っております。

 修習専念義務という特別の義務が課されているのが修習生でありまして、一年というわずかな短い期間に、座学だけ、要するに研修だけでなく裁判修習そして検察修習、弁護修習を行って高い識見と能力を身につけなければならないということで、やはり本当に大変な日々だと。

 先日、ビギナーズ・ネットの若者にお話をお聞きしましたら、こうおっしゃったんですね。借金をせずに日々の生活が送れる経済的支援というものを本当に切実に求めていますと。借金をせずに日々の生活が送れるという言葉に、私は観点として大事なものを感じました。

 法務省にお聞きしたいんですが、修習生が借金をせずに日々の生活が送れる、つまり修習に専念をすることができるということは、修習生の専門性を高めることになって、ひいてはやはり国民の権利擁護に資することになるというふうに思うんですが、この観点についてはいかがでしょうか。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、司法修習生に修習専念義務が課されているということが極めて重要な要素として今回の制度設計に当たったわけでございます。

 給付金の額については御承知で、当委員会でも既に御答弁申し上げておりますけれども、法曹人材確保の充実強化の推進等を図るという制度の導入理由のほか、修習中に要する生活費や学資金等の司法修習生の生活実態その他諸般の事情を総合考慮して決定したものでございます。

 以上でございます。

藤野委員 総合考慮ということなんですけれども、やはり考慮していくその観点というのが私は大事だなと思っております。

 やはり、国民の声を反映した司法、質の高い司法という場合に、私はそういうものが中身としては求められると思うんですが、そういう法曹を育てていくというときに、言葉で言えば、借金をせずに日々を送る、そのもとで修習に専念するということが考え方として私は必要だというふうに思っております。

 そして次に、本法案は、成立前に採用された司法修習生には適用されない。具体的には新六十五期から七十期の修習生であります。

 大臣にこれはお聞きしたいんですが、この新六十五期から七十期に修習を終えた修習生というのは約一万人いらっしゃいます。この一万人の若手法曹の皆さんには適用がない、このことを大臣は御認識されていますね。

金田国務大臣 認識しております。

藤野委員 認識していただいているということで、これは本当に私は重く受けとめていただきたいなと思っております。

 当事者のお話をお聞きしますと、やはりこの世代、変な言い方ですけれども谷間世代と言われるような、いろいろなケースはありますけれども、大体三百万円ぐらいの借金の方が多いということで、修習時期が違うだけで、給費世代及び給付金の世代と、貸与世代の間で、百万円単位で自己負担額の差が生じることになってしまいます。新六十五期生の場合、二〇一八年の七月から返済が始まってくる。来年なんですね。今後十年にわたって、貸与制は、年間三十万ずつぐらい払っていかないといけなくなる。

 これは、いわゆる猶予時期もありましたので、法曹になって五年目からということになるわけですが、先日、ある弁護士の方からお話を聞きますと、弁護士五年目というのはどういう時期かということでありまして、五年目というのは、その法律事務所に残った場合には、経営を支えるまさに柱になる世代である、他方、そこから出て独立する場合には、ほかの弁護士あるいは事務の方に給料を支払わなければならない、どちらに進むにしても大きな転機であって、重い判断を迫られることが多い時期だということをお聞きしました。その時期に年間三十万円というものを準備することは本当に大変だという声をお聞きしました。

 大臣、認識はいただいているということでありまして、やはり、日本の未来の司法を担っていく若手法曹の中に一万人もこうした世代がいる。

 もう一つ申し上げたいのは、何でこういう世代が生まれたのかということであります。自分たちでこうなったわけじゃなくて、いわゆる政治がつくり出したものだということも、大臣、あわせて御認識いただきたいんですね。政治が給費制を廃止して貸与制に移行した。今回、いろいろな経過の中で給付金というものを創設する、これも政治の決断であります。私は前進だと思いますが。まさにこうした経過の中で、政治の決断の中で生まれてきたのがこの一万人の若手法曹の皆さんだということであります。

 ある弁護士の方はこうもおっしゃっていました。谷間世代としては、貸与金の返済負担は重い、救済を切実に願っている、しかし、自分たちの要求を後退せざるを得なくても、後輩たちの給付金制度を揺るぎないものにしたい、こうおっしゃるんですね。本当に私は胸を打たれましたけれども、私たち政治家そして大臣を含め、これをしっかり受けとめて、政治が生んだ法曹をどうこれから救済していくのかということを本当に考える必要があるということは提起をしておきたいというふうに思います。

 そして、最後になりますけれども、本法案は、罷免以外の規定、懲戒的措置とも言われる規定を新設いたします。最高裁は現行では罷免という制度を持っているわけですけれども、これ以外に、修習の停止または戒告の処分ということをできるようにする、今後最高裁が詰めていくということなんです。

 やはり、冒頭申し上げましたけれども、この修習制度がつくられたのは、戦前の反省に基づいて、しっかりと国民の権利擁護に資するような能力をつけるし、識見をつけていく、そういう法曹をつくろうということでありますから、そうしたことを、国民の声をまさに反映した司法をつくっていくというのがこの修習制度の大前提だというふうに思うんですね。そういう識見を高めるために修習生たちがさまざまな活動をするわけです。マニュアルばかりやっていればいい、通説、判例ばかり押さえていればいい、そういうことでは、国民の声を反映する司法にならないというわけであります。

 それを、何かこういう懲戒制度を新設して、これは確認したいんですが、今回の懲戒制度の新設というのは、修習生がその識見を高めるために行う諸活動について萎縮的な効果を与えるものではない、そういうものではないということを大臣から確認したいと思います。

盛山副大臣 今藤野委員御指摘のとおり、本法案では、司法修習生に対する懲戒的措置について、罷免に加えまして、修習の停止と戒告、この処分を設けることといたしました。

 これは、今般の修習給付金制度の創設に伴いまして、司法修習については、一層確実な実践、履践を担保することが求められると考えられたことによるものです。そして、この新たな懲戒的措置は、従前、司法研修所長による注意や指導の対象となっていた行為について、司法修習生に課せられる規律を明確化するために設けるものであります。司法修習生の活動を制約する趣旨のものではありません。

 したがって、今回の懲戒的措置の整備により、委員御指摘のとおり、司法修習生の自主的な活動を萎縮させることにはならないというふうに考えております。

藤野委員 そういう方向でぜひ、細目を最高裁がつくられるということですので、その細目もその立場でつくっていただきたいと思っております。

 公的な使命を持っている法曹三者を育てるのは私は国の責任だというふうに思います。この立場から、私たちは、貸与制ではなく、給費制の完全復活というのを求めてきましたし、谷間世代の救済というのも今後も求め続けていきたいということを申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 きょうは、裁判所法の方に集中をして質問させていただきたいと思います。

 冒頭、自慢でありますけれども、私は、すぐ下の弟が弁護士をやっておりまして、どうしてこれが自慢かといいますと、司法試験に受かる、これは、日本国の中で最難関の試験に受かるということはやはり敬意に値するだろう、そういう者が身内にいるというのは自慢してもいいのかな。逆に、国会議員なんかは、この人大丈夫かなというような人もたまになってしまうわけですから、やはり、弁護士さんとか、司法試験に受かるというのはなかなかこれは大変なことだろう。

 こうやって法務委員会を見回しますと、非常に弁護士の先生方も多いわけでありまして、民進党さんも、野党もちょっと寂しいですね、民進党さん、残念ながら理事のお二人しかいないんですけれども。最後になるとこうなんですが。あと、枝野先生、階先生それから山尾先生、みんな弁護士ですね。山尾先生なんか、プラスして、もともとアニーですよ、すごい、もう才色兼備で、才能がいかに広いか。

 この司法試験を受ける人たちが少なくなっている。ゆゆしき事態であります。我が国の人材が枯渇する。最高峰の人材には、やはりベスト・アンド・ブライテストでいていただく必要があるだろう。政界もこうして立派な弁護士の先生方がたくさんいるわけですから、政界に人材を供給する面でもこれは大事だと思うんですが、やはり、これは明らかに、弁護士資格、あえて検察官、裁判所には触れず、いわゆる弁護士というものに対する世間のイメージというのが変わってきているのが現実だろうと思います。

 昔は、一%台の合格率でも、これは受ける人はふえていた。何でかな。夢があったんですよ。夢はお金で買えるものではないんですけれども、やはりそれに見合うだけの名誉と収入があったんだろうと思います。

 明らかに、これからの訴訟社会に向けて弁護士をふやしたけれども、その需要がなかった。これは私は日本国はよかったと思います。アメリカみたいな訴訟社会を私たちは望むものではない。それほど、政治というか行政が見込んだほどの需要がなかった、これは日本国は私はすばらしいことだったと思うんですが、でも、かすみを食っては弁護士さんも飯は食っていけないんです。

 まず最初に、弁護士の収入についてちょっと話を伺いたいと思うんですけれども、特に、所得の中央値が半減しているとかいう話も伺います。また、法科大学院の出身者の平均収入、特に、今新しく弁護士さんになった方が、たまに聞きますね、よくテレビでやるんですよ、弁護士が年収二百万とか三百万とかしかないと。そんなで、夢があって優秀な人材が来るわけはないんですけれども、まずそのあたりの現状認識を伺います。

小山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、弁護士の収入について、平成二十三年の調査と平成二十八年の調査がございまして、これを比較して、所得中央値というのがございますので、そこについて御説明を申し上げたいと思います。

 当省が平成二十八年に実施した調査によりますと、弁護士登録一年目の弁護士の所得の中央値が三百十七万円でございます。

 他方、これに先立ち、法曹の養成に関するフォーラムというのがございまして、これが平成二十三年に実施した調査によれば、同じく弁護士登録一年目の弁護士の所得の中央値は、当時は新旧の司法試験がございましたので、新司法試験合格後に司法修習を終えたいわゆる新六十二期の弁護士について四百八十万円、旧司法試験合格後に司法修習を終えた旧六十二期の弁護士につき五百二十四万円でございました。

 また、委員から、法科大学院出身の方についてどうかというような御指摘もあったと思いますが、法科大学院出身者の弁護士のみの収入状況の調査、資料などは持っておりませんが、弁護士の収入金額について、日本弁護士連合会が平成十八年、二十年、二十二年、二十六年に実施した調査結果がございます。

 平成十六年に創設されました法科大学院を修了して最初に弁護士登録をした者があらわれましたのは平成十九年十二月になるわけでございますが、そこの前後で比較いたしますと、例えば平成十八年の収入の平均値が三千六百二十万円、平成二十年が三千三百八十九万円、平成二十六年が二千四百二万円ということでございますので、収入が若干低下している状況は見られるのかなと考えております。

 ただ、先ほどのアンケート調査、今の調査も、回答者数が異なるなどもございますので、一概に単純比較することは難しいところもあるかなと思っております。

 以上でございます。

松浪委員 今るるあったんですけれども、やはり、弁護士さん、余りもうからない仕事になっているという現実がある。

 それから、新たに弁護士さんになっている人が、本当に優秀な人材がなっているのかなと、そこにもやはり数をふやしたがゆえに不信というのもあろうかと思います。また、先ほども質問で出ておりましたけれども、法科大学院の中で行われている教育が本当に優秀なものなのかどうかということも出てくるかと思います。

 ここで、現在、予備試験合格者と法科大学院の卒業者が司法試験を受けてくるんですけれども、この司法試験の合格率について伺いたいと思います。

小山政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十八年の司法試験についてでお答えを申し上げたいと思います。

 平成二十八年司法試験について、予備試験合格による受験資格者の合格率は六一・五二%、法科大学院修了による受験資格者の合格率は二〇・六八%、受験者全体の合格率は二二・九五%でございました。

 以上でございます。

松浪委員 この数字は、予備試験合格者というのがやはり優秀なんだなと。特に宮崎先生とか、皆さん、法科大学院に行かずに、井野先生もそうかもしれませんけれども、通ってきた皆さん、いかに司法試験の勉強というのは大変なものか。よく昔は、皆さん、三%の試験でと。一%台のときもあったそうですけれども。

 やはり予備試験というのはみんなに開かれた、先ほども階先生も指摘されていたように、本当に社会人をやりながら受かる人もいます。そこには、海外のように法科大学院出るよりも、我々非常に尊敬する、ストーリーもある、そして現実的な社会の評価もある。

 特に、大手の法律事務所、最近、弁護士さんの中でも格差が開いているということで、司法試験に通っても、やはり大手事務所で働くというのは一つのより大きなステータスになっている。大手法律事務所が、まだ司法試験に合格していないのに、予備試験合格者を青田買いするために特別な就職説明会をしている、こういう現実もあるわけでありますけれども、井野政務官、そういうのを聞いたことはありますか。

井野大臣政務官 私も、後輩の法曹から、そういう実態があるというふうなことは聞いたことがございます。

松浪委員 では、政務官、どうしてこういうことが起きるんですかね。

井野大臣政務官 私自身は、巨大ローファームですか、私も一回受けましたけれども、見事に落ちまして採用されなかった口なんですけれども、そういう立場の人間でございますので、どういう基準でそういう大手ローファームがどういう人を採用しているかというのはちょっと私自身も把握していないというところでございますので、御理解いただければと思います。

松浪委員 大変謙虚な話を伺いましたけれども、常識的に考えたら、やはり司法試験、当時まだ旧の仕組みの井野先生ですらこれなんですから、仕組みが違えば当然そこには厳然たる評価というのがあろうかと思います。

 ですから、司法試験改革を行っていくためにはやはり法曹の資格というものの価値を上げていかないと、価値が低いから当然人が寄ってこないわけですから、今申し上げた、予備試験合格者のところに大手がそこだけ青田買いしに来る、これこそ私は価値なんだと思いますけれども、こうしたところに本来はこれからの司法試験合格者、法曹人材をもう一度を高めていくヒントがあるんじゃないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがですか。

金田国務大臣 非常に、現実のさまざまな、人材の需給とかいろいろなことを念頭に入れた分析だな、こういうふうに思ってお聞きしておりました。

松浪委員 私は、今回の給付金の復活、全く反対ではありませんけれども、先ほどから逢坂先生なんかも指摘されていたように、本来であれば、こうした改革、金田司法試験改革案と、この給付金の復活というのはセットであらなければならないんだろう。今回については、それこそさまざまな運動があったのもありますけれども、これだけでは、本当に人材をしっかりとこれから確保していくためには十分の一の効果もないなというふうに思うわけであります。

 そして、一方で、やはり実務家をしっかり育てているんだということが、法科大学院はこんな厳しいことをしているんだということがないと、予備試験合格者にそれはかないませんよ。

 ということで、手短に文科省に伺いたいんですけれども、法科大学院で教鞭をとる指導者のうち実務経験者の割合、手短にお願いします。

浅田政府参考人 法科大学院の実務家教員について、文部科学省で平成二十八年四月現在で調査したところ、全専任教員千三百三十一名のうち四百三十名、割合としては三二・三%となっております。

松浪委員 私は、この割合だけで法科大学院の質を問うわけにはいかないとは思います。当然、基礎的なものは大事だと思いますけれども、格闘技ではないですけれども、実践をしないとやはり生々しいそういう内容というのは聞かないと思うんですよね。

 ですから、この割合がどうかということは言いませんけれども、やはり、いかに実践をしっかり見た人たちから、本当にこの人材はこの教育を受けたから法曹人材になるべきだということをしっかりと、先ほどの大手法律事務所が採りたいなと思えるような人材を採ることが大事だと思います。

 こうしたことも踏まえて、大臣、最後に、法曹志望者がどうして減っているんだということを一言で言っていただければ、それを逆にすればまたこれは私はふえてくると思うんですけれども、いかがですか。

金田国務大臣 法曹志望者の減少につきまして、その要因を考えればまた法曹志望者がふえてくることにつながるというお話、そのとおりだろうなというように思ってお聞きしておりました。

 先ほど議論に出ました、法務省と文部科学省と共同で昨年の八月、九月に実施をしたアンケート、そういうものを拝見した中では、いろいろな理由があるわけですけれども、法曹志望者にとっての不安として、やはり、法科大学院、司法修習における経済的負担というものもその要因としては挙がっておるわけでありまして、複数の要因が影響しているのはそのとおりなのでありますが、したがって、今回の、例えば修習給付金制度が導入されたことによってこのような法曹志望者の不安要因の一つを一定程度解消することができるということはあろう、こういうふうに思っているわけでありまして、それが法曹志望者の確保、増加につながればなという思いを持って今委員のお話を伺っておった次第であります。

松浪委員 今、つながればなとおっしゃいましたけれども、なかなかこれではつながらないんだなというところを私は思います。

 つまり、先ほど申し上げました、一%の合格者の時代でも受ける人はふえたと。ハイリスク・ハイリターンを好む優秀な人材がいたわけでありまして、ローリスクならローリターンになるんですけれども、今の状況は、恐らくはニューカマーにとってはミドルリスク・ローリターンだと思うから需要がない、入ってくる人が少ないんだということを私は指摘しておかなければならないと思います。

 ですから、せめて、ミドルリスク・ローリターンからミドルリスク・ミドルリターンにするのか、ハイリスク・ハイリターンにするのか、これを、今後、大臣のリーダーシップのもとに進めていただきたいと思います。見合った行政をお願いいたします。

 以上です。

鈴木委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十二分散会


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