衆議院

メインへスキップ



第8号 令和5年4月14日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年四月十四日(金曜日)

    午後二時五十四分開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    鈴木 憲和君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      松島みどり君   山本ともひろ君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  森友 浩史君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            渡邉 保範君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     小寺 裕雄君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     武田 良太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案(内閣提出第二〇号)

 国の安全保障に関する件(国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小柳誠二君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、外務省大臣官房参事官中村仁威君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官森友浩史君、海上保安庁警備救難部長渡邉保範君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省防衛政策局次長安藤敦史君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治でございます。

 今日は、防衛三文書につきまして、特に触れられている情報共有、特に同盟国等との情報共有というところに焦点を当てていきたいと思うんですが、ただ、その前に、昨日の北朝鮮の飛翔体の発射によっての、Jアラート等についてのいろいろ議論もありましたけれども、昨日この委員会等でお答えいただいた以上のことについて、何かこの一日で情報が進展したことというのはありましたでしょうか。

大和政府参考人 まず、ちょっとおさらいをしますと、昨日の弾道ミサイル発射においては、我が方の自動警戒管制システムが、その時点で得られていた航跡情報を基に、我が国の領域に落下する可能性があるものの航跡を生成しました。ただ、この際に得られていた探知情報は限られたものであって、ただ一方で、国民の皆様の安全を最優先にする観点から、内閣官房にこの情報を伝達して、そしてJアラートが出されたということであります。その後も監視を継続しておりまして、その後に、我が国領域への落下の可能性がなくなったことを確認したというところであります。

 引き続き、一体何が起こったのか、そしてどうして落下予測したところに来なかったのか、いろいろなことを今分析をしているところであります。今まさにそういうところであります。

浅川委員 今日の報道等によりますと、自衛隊でのレーダーは途中で高度が高くなったために見失ってしまったけれども、どうも韓国の方では、高高度になってもレーダーが追いかけられていたから、ある程度把握できていたんじゃないかというような報道もありました。

 それについては今日はお伺いしませんけれども、もしそれが事実であるとしたならば、韓国軍との情報共有ができていれば、今回のJアラートの北海道周辺というところが、そうじゃなく落ち着いた可能性もあるのかなと思います。

 あと、もう一つはICBMの構造で、通常、私が認識しているのは、初速で、一度打ち上げられたら大体落ちるところが想定される、つまり、途中で経路を変えない、右に行ったり左に行ったりすることがないというのがICBMかなと思うんですけれども、場合によっては経路を変えられるような、いわゆる目的地を変えられるような飛翔体であった可能性というのはあるんでしょうか。

大和政府参考人 ICBMに限らずですが、弾道ミサイルには、最近は、途中まで弾道ミサイルの軌道で、その後変則軌道を取るものだとか、あるいはICBMのような弾道ミサイルでも、最終段階で複数の弾頭が出てきてそれぞれが個別に誘導される、そんなものがいろいろございます。

 昨日のものがどうだったかということについては、今申し上げられることはありませんが、今御示唆されているような、飛翔中に軌道が変わった等の可能性も含めていろいろ検証していきたいと存じます。

浅川委員 そういう可能性もあるということで、今後ますますそういう、北朝鮮がどこに飛ばしてくるか、あるいは本当に、本気になってやってきたらどうするのかということもありますので、より充実した体制というのを取っていただきたいなと思います。

 これについて、ちょうど昨日の朝の時間帯、通学時間帯ということもあって、子供たちを送り出した後の時間帯で、親御さんたちが心配をされたと。北海道というのが明確に出てはいるんですけれども、もしこれが北海道ではなくて関東だとか、今度、内陸部のどこかの地域だった場合に、どのように対応するのかということの問合せもありました。

 文科省さんが今日来ているので、通学中の児童とか生徒の、飛翔体が飛んできている場合の対応というのは、どのように学校等に指導されていますでしょうか。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、各学校等に配付をしております学校の危機管理マニュアル作成の手引におきまして、Jアラート等を通じて緊急情報が発信された際の対応についても示しております。

 その中で、登下校中の場合につきましても、地震発生時と同様に、そのとき入手した情報に基づき児童生徒等が自らの判断で冷静に行動ができるよう、事前に指導しておくこと、あるいは、屋外スピーカー等の警報が場所によって聞こえない場合においても、緊急情報を知った人が何らかの行動を取ることから、周囲の変化や人の行動を参考にすること、また、電車やバス等の公共交通機関におきましては、車内に流れる情報や乗務員の指示を注意して聞き、その指示に従うことなどをお示ししているところでございます。

浅川委員 いわゆる防災無線みたいな形で、スピーカーで出ればいいんですけれども、私の住んでいる横浜市金沢区では、小中学校を中心に十個なんですね、Jアラートに対応しているスピーカーが。当然、音の聞こえない屋外の方が多いところでして、なおかつ、小学生は、スマホを持ち歩かないように、学校には持ってこないようにという指導が大体されているので、スマホとかがあればアラートが受信できると思うんですけれども。

 そもそも、通学途中の児童生徒、もし飛んできたということになったときに、どういう対応方法があるのか。今、周りの大人の状況を見てというお話があったので、もしそうだとしたら、それも各教育委員会等に通知された方がいいかなと。

 私が今、地元の小中学校等のそういう、父兄とかに配られているものを見ると、そもそも、Jアラートについては本当に小さく、ちょこっとしか書かれていないんですね。児童生徒たちも、学校の中でどうもその話を聞いていないような話なので、今後については、北海道に限らず、日本全国どこでもそういうことがあり得るということで、学校教育の中でも知らせる。

 一番いいのは、スマホを持込み可にして、ただ、学校に持ってきたら先生が管理するとか、登下校中、いろいろな犯罪行為もありますから、スマホとか携帯を持っている児童生徒は持っていってもいいというようにしてもいいのではないかなと思いました。

 これについては意見として申し上げます。

 続きまして、ちょっと資料を、今日お配りさせていただいているんですけれども、この「戦史叢書 本土防空作戦」という、表紙だけコピーを取らせていただいたんですけれども、これは防衛省さんの戦史室の方でいただいた資料で、この中には、私がちょっとお伺いした、戦前、旧日本軍が原子爆弾の開発等についてどのような認識を持っていたかということについて、正式に防衛省で出している見解ではないと言いながら、一応防衛省さんのホームページにも掲載されている文書というのをいただきました。

 これによると、日本は、東条、最後は総理ですけれども、当時の大臣も含めて積極的に原子爆弾の研究開発を進めて、軍の方でしていたかのように記述されております。ただ、どうもウランの濃縮、ウランの分離等ができない、ウランが入手できないという現実があって、最終的には断念したというふうに書かれているんですね。

 これはNHKでも特集番組が一度あって、NHKの方でも、資料も国会図書館から取り寄せているんですけれども、似たようなことが書いてあります。

 日本とドイツが原爆を、旧軍が開発しようとしていたということは、今の日本政府が見解を述べられないということであるんですけれども、歴史的には多分そうであろうと。そうすると、日本がもし開発をしていて、アメリカよりも先に原子爆弾を入手していたらどうなっていたかということもあると思うんですね。

 何を私は言いたいかというと、今回の防衛三文書にも、新たな装備とか、最新の科学技術で開発をしていくということが書かれていますけれども、戦前を振り返ってみれば、旧日本軍もこの原子爆弾の原理について入手して、何とかしようとしていた。そうすると、今の時点で他国が、そういう最新の科学兵器、科学兵器というのは、科学技術をもって造っている兵器、あるいは理論的にはこういう兵器が造れるのではないかというところが、既に、もしかして実現しているかしていないかということもあるかと思うんですね。

 今防衛省の方で把握している範囲で、例えば、こういうような最新の兵器、あるいは兵器になり得るようなものがあるということを認識されていらっしゃいますでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術の急速な進展が安全保障の在り方を根本的に変化させる中、各国は、将来の戦闘様相を一変させる、いわゆるゲームチェンジャーとなり得る技術の開発に力を入れております。特に中国は、軍民融合発展戦略の名の下に、技術のイノベーションの活発化と軍事への応用を急速に推進しております。

 具体的に申し上げますと、人工知能を活用した無人アセット等を前提とした軍事力の強化を加速させているとされ、人工知能を搭載した無人機のスウォーム飛行を成功させたことなどが指摘されております。また、中国は、軍民が協力して量子コンピューティングや量子通信などの開発を加速する方針を示しており、将来の軍事への応用を企図しているものと見られます。

 こうした動向は従来の軍隊の構造や戦い方に根本的な変化を生じさせ得るものであるとの認識の下、防衛省としては、民生分野におけるものを含め、最先端技術の動向について引き続き情報収集、分析に努めてまいります。

浅川委員 非常に的確にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 こういった最新の科学技術、あるいは、理論的には考えられているけれどもまだ達成していないような技術開発というところについては、我が国も民間と協調して、場合によっては大学等の研究機関と協調して、先端を越されないような形でやっていただきたいなと思っております。

 この間、予算委員会の分科会でもちょっと触れたんですけれども、アメリカの国防総省の研究機関のDARPAでは、重力に対して抵抗を持って、いわゆる浮遊するような技術開発についても予算がついているというふうに、私、文献を読んだことがあります。これを実は中国もやっているという情報もありますので、これは次のところにも関連するんですけれども、もしそういうようなことが、理論的にはどうもあり得るらしいんですけれども、防衛省の方でも緒につくようでしたら、是非研究していただきたいなと思っております。

 続きまして、UAPに関してということで、先般、大和総括官からもUAPということでお話もあったんですけれども、今、防衛省としては、アメリカの国防総省が数年前から発表しているUAPについて、そのUAPの定義とか意義とかというのはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 米国政府の報告書によりますと、UAP、未確認航空現象とは、即座に特定できない空中物体と定義されているものと承知しております。

 米国政府は、国家安全保障の観点から、あらゆる領域で異常な物体を把握し続けることが不可欠であるとの認識の下、UAPについて省庁横断的に情報収集、分析を行ってきていると承知しております。

浅川委員 それは、国防上の脅威となるかもしれないということでやっているということでよろしいんですよね。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、国家安全保障の観点から、あらゆる領域で異常な物体を把握し続けることが不可欠であるとの認識の下、対応されていると承知しております。

浅川委員 これについては、戦後ずっとアメリカでは繰り返し何度も、特に国防総省を中心に研究機関が設置されて、何度か報告もされていると。ただ、その都度、そもそもそういう現象等はないという全否定であったのが、ここ数年、映像等の公開もされて、こういう現象があるということについて言われ始めました。この資料の画像の部分なんですけれども。

 これは動画で、まあ、テレビのニュース等でも流れているんですけれども、日本は、河野大臣、当時大臣が国防長官と会談して情報共有しているということなんですけれども、この動画等については、浜田大臣は御覧になっていますか。

浜田国務大臣 委員御指摘の動画は拝見をいたしましたが、米側が公表している動画の一つ一つについて私からコメントをすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 その上で、空中における識別不能の物体も含めた我が国の安全に関わる事象については、米国等と緊密に連携しながら、大きな関心を持って平素より情報収集、分析を行っているところであります。

 その詳細について申し上げることは、我が国の情報収集能力、また分析能力を明らかにするおそれがあることから差し控えますが、委員の問題意識も踏まえ、防衛省としては、引き続き我が国周辺空域における他国の軍事動向について情報収集、分析を行っていく考えであります。

浅川委員 どうもありがとうございます。

 この資料の次のところに、左側に英文と、右側の和訳は、これはほぼグーグル翻訳と、一部ちょっと修正しているものなんですけれども、アメリカの国防総省は、今答弁にもありました、全領域の異常解決局というのを設立していると。この全領域というのは、空中だけじゃなくて、海中とか大気圏外も含めてということで、さっき答弁にもありましたとおり、こういう専門の組織をつくって、予算も立てて情報収集をしていると。

 これについて、私、去年の内閣委員会で、ちょうど鬼木委員長が副大臣のときにも質問もさせていただいているんですけれども、我が国の対応としては、今大臣がお答えになったようなスタンスが基本だと思いますが、あえて、それでもちょっと細かいところをお伺いしていきたいと思います。

 まず、国防総省が、こういうUAPについて、いろいろ随時、情報更新したり、議会でも、いろいろ公聴会等も開かれて情報発信しているんですけれども、これについて、防衛省の中ではどういった部門が窓口あるいは情報収集するセクションになっていらっしゃいますでしょうか。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊では、平素から米側と様々なレベル、部署で様々な意見交換を行ってきておりますが、委員御指摘のUAPに関わる情報共有に関して、特定の窓口が存在するわけではございません。

浅川委員 つまり、防衛省内の個々のセクションが国防総省の方の個々の関連するところと直接やり取りしているということだと思うんですね。

 そうすると、防衛省内では、特定の部署だけでこのUAPのことを把握しているわけではなくて、広く防衛省内では、UAPについては、もう現場の方も省内の方も把握しているということでよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 今委員からの御指摘がありましたが、米国とは平素から緊密に連携し、情報共有等を行っておりますが、まさにその詳細については、相手国の関係もあることからお答えできないことを御理解いただきたいというふうに思います。

浅川委員 分かりました。

 あともう一つは、先ほど分析能力がというお話もあったんですけれども、アメリカでは、議会でこの議論を相当進めてやっているんですね。今月の十九日にも新たに公聴会が開かれるというふうに発表されています。そこでは、もしかしたら、今まで公表されている画像は数画像なんですけれども、軍が保有している数十から数百ぐらいの画像が出てくるんじゃないかというふうに言われております。

 私は、そんなに保有されているとはなかなか思えないんですけれども、もしかしたら、それが事実だとした場合、それだけのことがまたアメリカでも発表される。議院のいわゆる秘密会のような形で、一部の、衆議院でいう安全保障委員会の一部の理事等だけで、秘密会の形で情報を、国防総省としているということも発表されているんですね。

 もう一つ、アメリカの宇宙局のNASAが、今年の夏までにUAPについては結論を出すと。その結論というのは、これまで収集されている情報を基に、宇宙飛行士とか天文学者等も含めて、十数人の研究者が研究結果を発表すると。

 それは、せんだってネルソン長官が日本に来たとき、議会にも来られて、私が直接議連の方でやり取りもさせていただいたんですね。そのときのネルソン長官の答弁は、非常に真剣なものだ、アメリカの海軍のパイロットが実際に目撃しているものだということを真剣にお話しされていました。私が、このUAPの問題を話をすると、いわゆる、昔テレビドラマであった「X―ファイル」のモルダーとかスカリーの話になってしまって、なかなか真剣な議論というのがされないというお話をしたんですけれども、それについては、アメリカとしては、NASAは少なくとも夏までには何らかの結論を出すということだったんです。

 国防総省がいつ頃これについて結論を出すかというのはちょっと分かりませんけれども、少なくとも、随時情報が開示されて、出てきている中で、日本の政府の中でいうと防衛省がやはり中心だと思うんですけれども、防衛省としても、こういうようなアメリカからの情報について、何らかの、今後、対応の変化があり得るのかどうか、ちょっとお伺いしたいんですけれども。

浜田国務大臣 空中における識別不能の物体も含めた我が国の安全に関わる事象については、米国と平素から緊密に連携し、情報共有、分析も行っておりますが、その詳細については、相手国との関係もあることからお答えができないことを御理解いただきたいと思います。

 防衛省としては、我が国の防衛を全うする観点から、引き続き、様々な事象について高い関心を持って、情報収集、分析に努めてまいりたいと思います。

 いずれにしても、またいろいろな情報が入ってくると思いますので、我々としても、そういったものに真剣に向き合うようにしていきたいというふうに思います。

浅川委員 実は、二月にアメリカで気球四機を撃ち落としたというのは、いわゆるUAP対策をしたために、レーダーの精度を上げたからたくさんのこういう気球等も反映されて、レーダーでキャッチされたというような説もあるんですね。今年になって、日本も、二月に、せんだって読売新聞か何かでも報道されましたけれども、スクランブル発進が増えていると。いわゆる空中での何らかの物体をキャッチする数が多くなったと。

 これは多分、アメリカと同じように、防衛省・自衛隊の中でも精度を上げたためだと思うんですけれども、この何らか分からない物体というところでいうと、確認されれば、それが飛行機であるかもしれないし、気球であるかもしれないし、ほかの自然現象でもあるかもしれないということが分かるんですけれども、確認されないまま、何らかのことがあったということが、河野防衛大臣が令和二年に報告を求めるということを発した後は、そのような、何らか分からないものについてはないという、この間、大和さんからの答弁もあって、河野大臣が発する前について記録が残っているのかいないのかについては、この間までの質疑では明確に否定されなかったんですね。

 改めて大臣にお伺いしたいんですけれども、令和二年に河野大臣が、こういうような何らか分からない物体を防衛省・自衛隊等が把握したときに報告するようにと言われる前に、過去、自衛隊が、あるいは防衛省が把握している、何らか正体が分からない物体というのを記録として残されていますでしょうか。これは大臣にお伺いいたします。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊において、これまで、領空侵犯措置の中で、外国の通常の固定翼機や回転翼機といったもの以外の何らかの飛行物体について、公表すべき特異な事案は確認されておりません。

浅川委員 大臣、そうしますと、公表すべきというのは、公表すべきか公表すべきじゃないかというのは、どういう基準でしょうか。

大和政府参考人 対領空侵犯措置における公表の考え方というのは、この間も申し上げましたとおり、事務的にまとめたものはございます。一般的に言えば、我が国の周辺の軍事動向などのトレンドを示すものであるとか、あるいは、非常に特異な行動、例えば中国とロシアの共同飛行とか、ああいったものを公表させていただいているということであります。

 それから、公表したものについては、全て大臣にも御報告をしているというところです。

浅川委員 そうしますと、公表すべきだと判断されていない、非公表にすべきだと、内容については非公表だとしたけれども、何らか分からない物体に遭遇しているという記録はあるということでよろしいんでしょうか。これは大臣にお答えいただきたいと思います。

大和政府参考人 これは、先ほど大臣からお答えしたのと繰り返しになってしまうんですが、これまで、対領空侵犯措置の中で、外国の通常の固定翼機や回転翼機などといったもの以外の何らかの飛行物体について、公表すべき特異な事案は確認されておりません。

 お尋ねは、公表していない特異な事案はということだと思うんですが、これもこの間から申し上げているんですが、戦闘機の緊急発進時であるとか、対領空侵犯措置時であるとか、あるいは警戒監視の中でいろいろな情報を集めます。その情報の一つ一つについて全てを明らかにできるわけではないんです。

浅川委員 同じ答弁を繰り返されているので、明確に言いますけれども、内容について言ってくださいと言っているわけじゃないんですよ。公表されなくてもいいんですけれども、公表されるべきじゃないけれども、そういうことがあったかなかったかの、イエスかノーかで、そこだけ知りたいんですね。実は、公表はされていないけれども、そういうことはありますと。何月何日どこでというわけじゃなくていいんです。

 つまり、公表すべきじゃない事案だけれども、実はありましたということなのかどうかをお答えくださいとこの間から言っているので、それを大臣にお答えいただきたいんですけれども。

浜田国務大臣 私自身のところに上がってきているものはないということでございます。

浅川委員 浜田大臣より前の大臣に対してはどうなんでしょう。つまり、公表すべきじゃない、非公表に決めたけれども、何らかの正体不明のものがあったということを認識して記録されていったかどうか。

 今までの御答弁、前回までの答弁だと、明確にないというふうに言われないということは、これはあったというふうにしか思えないんですね。これはどうしてかというと、いずれアメリカがもう少し進んだ公表をしてきたとき、いや、実は自衛隊でもそういうことがあったんですよと言ったときに、うそをついてしまうことになるから、あえて今、ないと明言されないのではないかと勘ぐってしまうんですけれども、そこら辺はどうでしょうか。

大和政府参考人 今の御質問は、要するに、いわゆるUAPの記録が防衛省にあるかないか答えられないのかと、これは公表をしていないものもしているものも含めてですね。

 これについては、我々が得た情報の一つ一つについて網羅的に明らかにすることはしていません。これは、情報収集能力を明らかにすることになるからであります。

 したがって、公表している事柄以外の事柄について、特定のものの有無、今おっしゃっているUAPの有無を、お尋ねに応じて逐一明らかにすることは適当でないということであります。

 ただ、これも前に申しましたが、私どもいろいろな情報の収集をしております。当該の情報について、その後に収集された情報などと、照らし合わせたり、いろいろな突合をすることによって、もしその過程で、これは国民の皆様にちゃんと御説明をする必要があるというものが出てくれば、それは公表するということはあり得るということです。

 したがって、これまで公表していなかったからといって、ずっとこれは永遠に公表されないんだということでは必ずしもないということであります。

浅川委員 今の参考人の答弁は、いずれ公表されるものがあるかもしれないということだと思います。

 ここまでの答弁が限界なのかなというふうに私も思いますけれども、こういうことを私もしつこく繰り返し質問させていただいているのは、やはりこれから、我々維新は増税は反対ですけれども、国防力強化のために国民にもしかして負担をかけるかもしれない。どれだけ情報開示できていくか。そして、誤った、いろいろな陰謀論みたいなものが出てきていますけれども、そういったことが広まらないようにするには、こういった国会のような場できっちりと、白黒はっきりできるものについては確認していくということが重要だと思いますので、今後の質疑のときには是非よろしくお願いしたいと思います。

 時間が来ましたので、これで終了します。どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 これは通告していないので恐縮なんですけれども、宮古島の周辺で行方不明になった機材が、今日の朝刊では、潜水夫を潜らせて分かったというような感じの記事が載っていて、本当に無事を祈るばかりなんですけれども、どこまでどういう情報が入っているのか、大臣、通告なしで恐縮ですけれども、お願いいたします。

大和政府参考人 報道については承知しております。

 御案内のとおり、現在、自衛隊の航空機、艦艇による捜索、それから海上保安庁の航空機、巡視船による捜索、それから、我が方の陸上部隊による沿岸部の捜索を引き続き懸命に行っているところであります。

 本件事故につきましては、国民の皆様にも大変な御心配をおかけしていますところ、捜索の結果発見された事柄については、様々な確認を通じて、可能な限り、正確性を担保した上で、速やかに情報提供を行うよう努めてきているところであります。

 これまで、例えば、燃料タンクらしきものを含む機体の部品や、航空ヘルメットなどの発見についてお知らせしてきていますが、現時点では、報道されているような事柄も含めて、捜索による新たな発見などについてお知らせできる段階にないということを御理解願えればと存じます。

 いずれにせよ、引き続き、行方不明となっている隊員の捜索に全力を尽くしてまいります。

美延委員 これはしっかり、よろしくお願いいたします。

 それでは、通告させていただいた質問に入らせていただきます。

 自衛隊は、一九五〇年に警察予備隊として創設され、その後、保安庁保安隊、それから防衛庁陸上自衛隊、防衛省陸上自衛隊として名前を変えて現在に至っておりますが、創設以来、一度も定員を充足させたことはないと聞いております。

 まず、浜田大臣にお伺いしたいのですが、自衛隊創設から現在に至るまで約七十年、一度も定員を充足させたことがないというのは事実なのか。もし定員を充足させたことがないということが事実ならば、この現状をどう思われているのか、お伺いいたします。

浜田国務大臣 自衛官は、急激な戦力の低下を防ぐため、誕生日に退職することで退職時期を分散させていること、一方、充足率の維持向上のため、年度を通じて採用を行っていることといった要因により、年度を通じて現員数が変動いたします。

 このため、どの時点に着目するかにより充足率は変わってまいりますが、昭和二十九年まで遡って詳細な記録が存在しているわけではないため、厳密な意味で、昭和二十九年の自衛隊創設以来、充足率が一度も一〇〇%に達したことがないかどうか、お答えすることは困難であることを御理解をいただきたいと思います。

 その上で、各年度末の現員数に着目すれば、昭和二十九年以来、充足率が一〇〇%に達した年はございません。

 いずれにしても、国家防衛戦略に基づき、防衛力の中核である自衛隊員を確保してまいりたいと考えております。

美延委員 是非よろしくお願いいたします。

 今後、少子化が加速していく中で、自衛隊に入隊する若者を確保することは今まで以上に難しくなるのは、これはもう確実だと思います。防衛費の増額に比例して、高額な兵器であるとか、弾薬であるとか、ミサイルの備蓄を増やしても、これを扱う人がいなければ、自衛隊は機能不全に陥ってしまいます。

 自衛隊員の確保の問題は、防衛省や自衛隊だけに任せておいて解決するはずもなく、政府が本気で取り組んでいただかなければ解決しないと思うんですが、自衛隊員は、職務遂行に当たり、自らの命を懸けることをあらかじめ宣誓している唯一の公務員であります。自衛官、事務官の人材確保は重要な課題であり、危険を顧みず職務を充実することが求められている自衛隊職員の処遇改善や退職自衛官の活用などを積極的に検討していく必要があると思いますが、政府の見解をお知らせくださいますでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保することが不可欠であり、国家防衛戦略等に基づき、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を通じ、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊員の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいります。

 自衛隊は、その任務を遂行する観点から、若年定年制を実施しておりますが、防衛力整備計画においては、この若年制を維持した上で、隊員の年齢の引上げを実施することとしています。

 一方で、人員、人材の有効活用を一層推進することも重要であり、高度な知識、技能、経験を備えた定年退職自衛官を再任用し、定年から六十五歳に達する日以前まで活用しております。

 防衛力整備計画を踏まえ、その活用を一層強力に推進すべく、艦艇それから航空機における再任用自衛官が新たに従事できる業務を拡充しておるところでございます。

美延委員 再任用のことは、また少し後で関連したことを聞かせていただくので、ちょっと後に回させていただきます。

 自衛隊は、諸外国の軍隊の予備役に相当する制度として予備自衛官制度があり、身分は非常勤の防衛省職員、いわゆる非常勤の特別職国家公務員となりますが、この予備自衛官制度は昭和二十九年に導入され、現在は、即応予備自衛官、予備自衛官、予備自衛官補の三つから構成されています。ちょうど一年前の三月時点では、予備自衛官の定員は四万七千九百人、即応予備自衛官の定員は七千九百八十一人、予備自衛官補の定員は四千六百二十一人であり、予備自衛官の充足率は約七〇%の状態であり、ここ数年、充足率に変化はないようです。

 仮に、自衛隊と予備自衛官が、充足率がもし一〇〇%だったとしても、自衛隊の日本の総人口に占める割合は、諸外国の軍のそれに比較して、決して高くはありません。二〇四〇年には日本の出生数が六十万人を割り込むと言われている中で、このままの状態で自衛隊及び予備自衛官等の充足率を維持することができるのかも非常に疑問であります。この辺はどうお考えでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 募集に際しましての応募者数の減少傾向については、様々な要因が考えられますが、少子化による募集対象者人口の減少が大きな要因になっていると考えております。

 こうした厳しさを増す募集環境にあっても、国家防衛戦略等に基づき、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を通じ、防衛力の中核である自衛隊員を確保してまいります。

 委員御指摘のございました予備自衛官等の充足については、近年、予備自衛官がおおむね七割、即応予備自衛官がおおむね五割程度、予備自衛官補がおおむね五割から六割程度となっているところでございます。

 安全保障環境が急速に厳しさを増していることを踏まえれば、いざというときに自衛官とともに様々な任務に就く予備自衛官等の人材確保や体制強化は極めて重要な課題であると認識しています。

 国家防衛戦略等に基づき、予備自衛官等の充足率の向上のみならず、予備自衛官等に係る制度を抜本的に見直し、体制強化を図ってまいります。

美延委員 この安保三文書には、人の問題が詳細に触れられていません。そこで、安保三文書の人的基盤の強化の点から質疑をさせていただきます。

 国家安全保障戦略の二十ページでは、防衛力の中核である自衛隊員が、その能力を一層発揮できるようにするため、人的基盤を強化する、そのために、より幅広い層から多様かつ優秀な人材を確保すると書かれていますが、具体的にどのような方法で優秀な人材を確保するのか、全く見えてきておりません。喫緊の課題であるサイバー分野での人材確保にも注力すべきだと思いますが、具体的にどのような方法で人材を確保するのか、教えていただけますでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛力の中核は自衛隊員であるとの観点から、全ての隊員が高い士気と誇りを持ちながら、個々の能力を発揮できる環境を整備すべく、国家安全保障戦略を始めとする三文書には、人的基盤の強化の施策を盛り込んでおります。

 具体的な施策としては、国家防衛戦略等に基づき、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を通じ、必要な人材を確保してまいります。

 また、防衛力整備計画に基づき、防衛省・自衛隊としては、二〇二七年度をめどに、サイバー専門部隊を約四千人に拡充することに加え、システムの調達や維持運営等、システムのライフサイクルを通じてサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務に従事する隊員約一万六千人以上に対し必要な教育を行い、合計二万人の体制とすることを目指します。

 その際、必要な人材の確保に当たっては、陸海空自衛隊の学校における課程教育、部外の教育機関の活用、外部人材の活用などの取り得る手段を全て取ることとしております。

美延委員 本当に、取り得る手段を全て取るという、それはもうそのとおりだと思うので、是非前に進めてください。

 それから、次、国家防衛戦略の二十七ページでは、防衛力の中核は自衛隊員である、防衛力の抜本的強化を実現するに当たっては、自衛官の定員を増やさずに必要な人員を確保すると書かれていますが、定員を増やさずに必要な人員を確保するとは、自衛官に新たな負担が生じると考えますが、具体的にどのようなことか、教えていただけますでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の総定数は、現在、二十四万七千百五十四名ということでございます。人口減少あるいは少子高齢化、こういったものが急速に進展いたしまして、募集対象の増加が見込めないという中で、防衛力整備計画期間中はこの総定数を維持することとしてございます。

 こうした中、防衛力の抜本的強化に向けまして、新たな装備品の取得のほか、サイバー、宇宙分野等の要員の増強が必要となるところ、その対応には防衛省自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えてございます。

 このような状況を踏まえまして、既存部隊の見直し、民間委託等の部外力の活用、戦闘様相の変化を踏まえました旧式装備品の用途廃止、早期除籍、それから戦車、火砲の数量減、あるいは省人化、無人化装備の導入の加速化等によりまして所要人員の削減などの取組を推進することで、現在の自衛官総定数を維持したまま、防衛力の抜本的強化に対応していく所存でございます。

 その上で、自衛官の定数と実際に部隊等に所在する自衛官の数との間には乖離があるところ、この差分を解消すべく、国家防衛戦略等を踏まえまして、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じまして、必要な人員の増員を確保し、自衛隊員の人的基盤を強化することで、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

美延委員 しっかりお願いします。

 次に、採用についてなんですけれども、質の高い人材を確保するために募集能力の一層の強化を図るとも書かれていますが、現在、地方協力本部による自衛官募集のほか、何か優秀な、先ほどから言われている人材確保のために施策は考えておられるのでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 少子化による募集対象者人口の減少という厳しい採用環境の中で、優秀な人材を安定的に確保することは極めて重要であり、委員御指摘のとおり、地方協力本部の体制の強化のみならず、地域社会と協力した多様な募集施策を推進することが重要であると考えております。

 まず、地方自治体との連携強化として、各自衛隊地方協力本部では、自衛隊法及び自衛隊法施行令に基づき、募集対象者の氏名や住所等に関する情報を紙媒体等で提供いただいているほか、住民基本台帳法に基づく台帳の閲覧により、合計約九割の市町村から情報をいただいております。さらに、全国各地の市区町村長と地方協力本部長との連名により、令和四年三月末現在で約七千名の方を募集相談員として委嘱しております。このように、多くの御協力を得ながら、きめ細やかにかつ粘り強く自衛官の募集を実施しているところです。

 こうした取組に加え、将来は自衛隊で勤務する意思のある理学、工学等を学ぶ大学生等に対して学資金を貸与する貸費学生制度について、令和五年度予算では対象者を二十六名から四十名に拡大したところです。

 引き続き、防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会の提言もいただきながら、優秀な人材の確保に向けた取組を強化してまいります。

美延委員 もう少しといいますか、今の時点ではそこまでなのかもしれませんが、また改めて、この問題に関しては何度も伺うつもりなので、もうちょっと具体的に、今日はもうここまでで、聞きませんけれども、今のでしたら二十六人が四十人ぐらいの、具体例ではそこぐらいでしたので、それだけでは全然足りないというのは多分お分かりだと思っていますので、よろしくお願いします。

 それから、防衛整備計画の二十九ページには「陸上自衛隊の常備自衛官定数のおおむね二千名を共同の部隊、海上自衛隊及び航空自衛隊に振り替え、自衛隊の組織定員の最適化を図る。 また、自衛官の定数の総計を増やさず、既存部隊の見直しや民間委託等の部外力の活用を進める。」と書かれていますが、これこそ、陸上自衛隊から二千人の人員を削減されたら今まで以上に充足率の低下を招きかねないと思われますが、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、自衛隊の体制強化の観点から、自衛官の定数に対する実員の充足率を一〇〇%に近づけていくことが望ましいと考えておりまして、陸上自衛隊の定数に対する実員の割合、充足率は令和五年度末予定時点で九四・五三%となっておりまして、八千二百二十一名の定数が未充足となってございます。

 このような状況も踏まえまして、国家防衛戦略等に基づきまして、募集能力の強化等の各種施策を講じて、必要な人員を確保していくと考えてございます。

 具体的には、先ほど申し上げましたけれども、既存部隊の見直し、民間委託等の部外力の活用、戦闘様相の変化を踏まえた旧式装備品の用途廃止、早期除籍、戦車、火砲の数量減、省人化、無人化装備の導入の加速等による所要人員の削減、こういった取組を推進いたしまして、組織・定員の最適化を図ることとしてございます。こうした取組によりまして合理化を図ることができた定数を陸上自衛隊から共同の部隊等に振り替えようとしておるということでございます。

 ただし、これは定数の話でございまして、実員の話ではございません。実際に二千人の人員が削減されたり陸上自衛隊から追い出されたりということは意味しておりません。充足率の低下を招かず、防衛力の抜本的強化に対応できるものと考えてございます。

美延委員 今の答弁は、まあそういうことなんだろうなと思います。よろしくお願いします。

 それから、次は、先ほども出ていました若年定年制のちょっとお話をさせていただきたいんです。

 防衛省は、人的基盤の強化の観点から、二〇二〇年から自衛隊の定年退職の年齢の引上げをしました。その結果、三曹、二曹は五十三歳から五十四歳、一曹、曹長、准尉、三尉、二尉、一尉は五十四歳から五十五歳、二佐、三佐は五十五歳から五十六歳、一佐は五十六歳から五十七歳、一年ずつ定年が延長されております。

 ただ、同じ公安職種である警察や消防、海上保安庁は、階級に関係なく定年退職の年齢は六十歳ですけれども、自衛隊と違って、警察や消防、海上保安庁などは、階級が下の方ほど六十歳まで勤めて、逆に、上の方は、六十歳を待たずして、退職金を増額してもらい、勧奨退職に応じるということも聞いております。令和三年には国家公務員、地方公務員の定年を六十五歳まで延ばす関連法が成立し、警察や消防、海保は定年退職と同時に年金が支給されることになりました。

 今後更なる年金開始年齢の引上げが予想される中、防衛省の若年定年制を維持すれば自衛官の退職後の生活が不安定になることは、私はこれは言うまでもないと思うんですが、第一線部隊の勤務から後方支援部隊への異動や、事務官が担っている業務を自衛官が担うような体制に見直し、警察、消防、海保と同じ条件で、階級に関係なく勤務することは可能ではないかと思うんですけれども、これに関してはいかがでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、自衛官は、緊急事態に対処するという任務の性格上、組織を常に精強な状態に維持する必要があるため、一般職の公務員より若い年齢で退職する若年定年制を取っており、階級ごとに、必要とされる知識経験、体力等を考慮して定年年齢が定められております。

 他方、厳しい募集環境を背景として、より一層の人材の有効活用を図る観点から、医師、音楽、情報分析といった一部の職域の自衛官については、階級にかかわらずその定年を六十歳としているところでございます。

 そして、定年退官を迎えました定年退職自衛官は、比較的体力を要しない業務において再任用し、定年から六十五歳に達するの日以前まで活用しております。具体的には、防衛力整備計画の中で強力に推進するとしておるところ、補助艦艇の乗組員、練習機の教官操縦士を再任用自衛官が新たに従事できる業務としたところでございます。

 今後とも、防衛省としては、国家防衛戦略等に基づき、人材の有効活用に一層取り組んでまいります。

美延委員 実は、僕の幼なじみで、五十五歳で定年退官した自衛官が実際におるんですけれども、今私は六十一歳ですけれども、もう正直私より元気なので、だから、全然これは、私はもう別に、これを普通にすればいいんじゃないかなと思います。

 次に進みます。

 海上自衛隊と海上保安庁に至っては、船に乗艦する意味では職務上の差異はないと思うんですけれども、自衛官の若年定年制の見直しは自衛官の募集環境を改善する上でも必要と思うんですけれども、もう一度お答えいただけますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁は、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務としていると承知しております。他方、海上自衛隊は、我が国を防衛することを主たる任務としており、また、我が国を防衛するため必要な武力を行使する権限を有しております。

 したがいまして、先ほど申し上げました若年定年制をひいているところではございますが、一方で、若年で定年退職する自衛官については、退職前の給与の七割強程度の生活が平均的に維持できるように若年定年退職者給付金を支給しているほか、再就職に当たりましては、この再就職支援のための教育、これは約百四十種類ほどございますが、そういった教育を施しているところでございます。

 さらに、今般、事務官等の定年年齢が六十歳から六十五歳まで段階的に引き上げられることに伴いまして、この若年退職者給付金につきましても、防衛省職員給与法を改正し、六十五歳まで給付できるよう措置しているところでございます。

 防衛省としては、退職自衛官の再就職の一層の充実を図ることを併せて実施しながら、自衛官が退職後の生活を憂えることなく安んじて職務に精励できるよう、不断に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

美延委員 私たち維新の会は、自衛官の待遇を改善すべく、防衛省職員給与改正案を議員立法で提出しました。これは、平成十五年に防衛出動手当の導入がされましたが、あろうことか、現在まで、この額を定める政令が未制定であります。この種の手当について額が決まっていないことは諸外国ではあり得ないことですが、なぜ日本は政令を制定しないのか、政府の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛出動手当の対象となる勤務の危険性そして困難性については、発生する事態の態様により様々な強度のものがあると考えています。このため、防衛出動時の任務の危険性や困難性はどの程度なのか、また、どのくらいの手当額が適当なのかといったことについて、従来から検討を実施しています。

 現在は、これまでの作業に加えて、陸海空自衛隊の演習、訓練、これを実地に検証し、防衛出動時の勤務時間等の変化や戦闘における著しい危険性を評価するための知見を蓄積するなどの作業を進めているところでございます。

 防衛省としては、防衛出動の任務に当たる隊員の処遇の確保の重要性に鑑み、検討の推進に鋭意努力してまいります。

美延委員 もう時間がないので、最後に大臣に伺います。

 現在の自衛官の給与体系は自衛隊の任務、リスクを正しく評価するものではないため、我が党は、その法案を、自衛官の給与体系その他の給与の在り方について検討して、その結果に基づいて必要な措置を講じるものであると思って私たちは出しているんですけれども、政府として我が党法案をどう評価するか。それから、今の答えに対してもう一度お答えいただけますでしょうか。

浜田国務大臣 自衛官が誇りを持って任務に従事できるよう、任務の特殊性等を踏まえて、それにふさわしい処遇となるよう不断に検討をしていかなければならないと考えております。

 先般御党が、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案二本を提出されたことは承知しておりますが、議員立法でございますので、政府の立場からコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

美延委員 是非よろしくお願いいたします。

 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 安保三文書に関して質問をさせていただきます。

 私たち国民民主党も、昨年末に、国民民主党の安全保障政策を取りまとめをさせていただきました。イージスシステム搭載艦など、異なる点ももちろんあるんですけれども、おおむね方向性は政府の三文書と一致をしておりまして、その上で何点か質問させていただきたいと思いますが、まず、国民民主党からも、Jアラートの件、コメントだけさせていただきたいと思います。

 現状の制度では限界がある中で、警告を発していくということは必要なことだとは思いますので、それは続けていただいたらいいとは思うんですが、一方で、Jアラートの文面を見てみますと、避難してくださいと書いてあっても、弾道ミサイルが飛んできたときに、一体、どこに避難すればいいんだということは、ほとんどの国民が、避難場所がない、災害と同じようなところに避難しても本当に大丈夫なのかということはあると思います。

 我々国民民主党は、そういった意味もありまして、具体的なシェルターの設置基準を策定するといったことも安全保障政策に盛り込ませていただいていますけれども、こういったところの検討を早急に政府の方でも進めていただいて、しっかりと、避難する場所がある状況をつくっていくという取組もお願いをさせていただきたいと考えておりますので、この点、申し上げるだけにさせていただきたいと思います。

 では、続けて質問、通告のとおりさせていただきたいと思うんですが、今回の三文書に関しては、やはり台湾海峡の問題が最大の焦点となっていて、そこに関連をして様々な政策が改定をされた、作られたというところだと思います。

 この台湾海峡の問題は、前回の委員会でも外務大臣にもお答えいただきましたけれども、日本、またアジアのみならず、世界にとっても極めて重要な課題だ、問題だというところで、政府の方でも取り組んでいるところだと思いますけれども、これに関して、懸念というか、気になる報道がありました。

 EUの、フランスのマクロン大統領が、台湾問題に関して、四月九日に報じられたインタビューで、我々の危機ではないなどと答えて、EUは米中対立と距離を置くべきと主張したとされています。

 この発言がどういった意図で行われているのかというところは、日本としては関心事だと思うんですけれども、外務大臣、この報道を御存じか、また、その受け止めであったりだとか、あるいは真意の確認といったことが、行うのか、行っているのか、そういったところをちょっとお答えいただければと思います。

林国務大臣 御指摘の報道については承知をしておりますが、外交上のやり取りについてお答えすることは差し控えたいと思いますが、フランスとは平素から様々なやり取りを行っております。

 その上で、台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全と繁栄にとって不可欠な要素であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、政府の従来からの一貫した立場でございます。

 この台湾海峡の平和と安定の重要性については、我が国として中国側に直接しっかりと伝えるとともに、フランスを始めとする同志国とも緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信してきておりまして、今後ともこのような外交努力を続けていく考えでございます。

斎藤(ア)委員 やはり、今回のウクライナへのロシアの侵略に関しては、ウクライナの方々の問題、あるいはヨーロッパの問題だけではなくて、日本としても、世界の秩序に関わる問題だということで取り組んでいるわけですし、この台湾の問題に関しても、やはり、同じ同志国というか、自由主義陣営の国々にも、世界の、自国の安全にも関わる問題だという認識で、改めて一緒に取り組んでいただくことが重要だと考えております。

 今もう外務大臣からお答えいただきましたけれども、フランスを始めとしたEU諸国にも関与していただくことが重要だというのが日本の政府の立場だと思いますので、G7が行われます、そして外相会議も間もなく行われることだと思いますので、その場で、改めて、こういった基本原則、基本的な立場というのを、フランス政府始め諸外国にも確認をいただいて、自由主義国が、世界、国際社会が一致団結して、この台湾海峡の平和的解決に向けて取り組んでいけるように、リーダーシップを大臣には取っていただきたいというふうに考えております。

 少し、通告の順番、前後いたしますけれども、続けてちょっと外務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 G7のサミットに合わせて、日本の対ウクライナ支援が拡大、拡充されるのではないかという報道がなされています。現状、日本からウクライナに様々な支援を行っていますけれども、兵器に関しては、殺傷兵器といいますか、防弾チョッキ、ヘルメットといったもの以外に関しては、今現状、提供を行っていない状況でございますけれども、この支援の範囲を拡大するということは現に検討がされているんでしょうか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

林国務大臣 ロシアのウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす、脅かす暴挙であります。この侵略は、主権、領土一体性の侵害であり、国連憲章を始めとする国際法の諸原則の違反であるとともに、法の支配に基づく国際秩序に対する明白な挑戦であります。

 侵略が長期化する中で、一刻も早くロシアの侵略を止めるために今必要なことは、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推進していくことであります。

 その上で、日本として適切な形で、G7を始めとする国際社会と連携して、現地のニーズを的確に把握しつつ、今後も可能な限りの対ウクライナ支援を行ってまいります。

 防衛装備品の提供については、これまで、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣等を供与してきているところでありますが、今後とも、このような取組の全体像の中で、防衛装備移転三原則にのっとりつつ、その的確な実施を検討してまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、西側諸国が様々な、西側って古いかもしれません、自由主義国が様々な面で兵器提供をウクライナに行っています。これは私は、やはりとても重要なことだと考えています。一部に、ウクライナに装備品を過剰に供給するとエスカレーションを招くといった懸念の向きもあるようなんですけれども、装備品を供給してウクライナ軍の能力を強化をしていく、また今後とも強化をされていくんだというメッセージをロシアに発することは、私はとても重要だと考えています。

 ロシア・プーチン大統領は、恐らく、時間がたてばたつほど自分に有利になると考えていて、それで戦争をやめない、停戦に応じないといった、そういった可能性もあるというふうに考えていまして、そうではないんだと。今後とも自由主義国が連携をしてウクライナを支援していって、時間がたてばたつほどロシアにとって不利になるんだから、早く交渉のテーブルに着く必要があるんだというメッセージを発する上でも、装備品の供給というのはしっかりと続けていく必要があると思っているんですが、一方で、アメリカもそうですけれども、西側の諸国というのはどこも民主主義国でありまして、その支援の在り方というのは固定されていないというか、政治状況によって変化をする可能性もあると考えております。

 先ほど台湾の問題を言いましたけれども、それに関連して、やはりロシアのウクライナ侵略が成功しないということは極めて重要でございますので、日本としても、できるだけ、できる範囲で支援をしていくということは極めて重要だと考えておりますので、こういったことに関しても、G7でも、サミットで議論はされると思いますけれども、改めて、日本からもできる範囲の支援と、そしてリーダーシップを発揮してのウクライナ支援というのをしっかりと続けていただきたいというふうに考えております。

 せっかく大臣に来ていただいているので、通告をしていないんですけれども、ウクライナの問題に関して、支援をし続けていくことは、これは間違いなく重要でありますけれども、一方で、ウクライナにも大変な損害が出ています。十万人以上、兵士が、人命が失われているし、民間人を加えると更に多くの、そして経済的にも極めて極めて困難な状態で、貧困率も激増しているというようなことが報道されていますけれども、両国の、ロシア・ウクライナ間での停戦に向けた取組ということは、これは常に検討していかなければならないと思っているんですけれども、こういったことは、そういったことに関する大臣の御認識というか、支援を続ける一方で平和への取組というものも必要だと思うんですけれども、その点についての基本的な立場はいかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、また、今委員からもおっしゃっていただきましたが、今回のロシアのウクライナ侵略というのが万が一でもうまくいくようなことがあれば、これは大変な間違ったメッセージを世界に発信する、極めて間違ったメッセージを世界、そしてこの東アジアに発信すると総理もかねがねおっしゃっておられるとおりであります。

 したがって、現段階において、恐らく一年前ぐらいだったでしょうか、一度テーブルに着くということを我々は目にしておりましたが、その後、ブチャのこともあって、そういう動きが、少なくとも我々が目にするということはないわけでございます。

 したがって、我々としては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、やはり侵略をしているわけですから、これをやめさせるということが大事であると一義的に考えておりまして、そのために、やはり、先ほどちょっとおっしゃっていただきましたけれども、対ロ制裁そしてウクライナ支援、これを強力に、G7を中心にして同志国で一致して、結束してやっていく、このことが大事であるというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 引き続きの取組をお願いしたいと思います。

 また、繰り返しになりますけれども、ウクライナ支援を行っていく、兵器の支援を西側諸国で行っていくことと、また停戦に向けた取組を行っていくことというのは、これは同時並行で実施可能なことだと思いますので、できるだけ早く戦争状態が一時的にでも止められるように、様々な検討であったり議論を尽くしていただきたいというふうに考えております。

 続きまして、防衛装備の移転の点について防衛大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 外務大臣への通告は以上ですので、もしあれでしたら、御退席いただいても構いません。

鬼木委員長 では、林大臣、御退席いただいて結構でございます。

斎藤(ア)委員 今、ウクライナの話の、防衛装備の移転の議論がありましたけれども、まず、今回の国家安全保障戦略に書かれている防衛装備の移転の三原則の部分について、ちょっと確認をさせていただきたいというふうに思っています。

 この安全保障戦略には、防衛装備移転三原則、運用指針を始めとする制度の見直しを検討すると書かれている一方、三つの原則そのものは維持しつつと書かれているんですけれども、これはどういった意味なんでしょうか。三つの原則は、中身は見直すのか見直さないのか。いかがでしょうか。

浜田国務大臣 国家安全保障戦略では、「三つの原則そのものは維持しつつ、」と記載しておりますが、この「三つの原則そのもの」とは、二〇一四年四月に閣議決定された防衛装備移転三原則という文書のうち、「移転を禁止する場合の明確化」、「移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開」、「目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保」における記載を意味しており、これを維持する考えを述べたものであります。したがって、防衛装備移転三原則という文書全体の中で、一字一句変えないという意味ではありません。

 その上で、防衛省としては、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的な内容については、引き続き関係省庁とともにしっかり議論してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 済みません、ちょっと確認ですけれども、原則一、原則二、原則三の、それぞれのタイトルがあります。移転を禁止する場合を明確化し、原則二は厳格審査を行う、原則三は適正管理ということになっているんですけれども、その下にぶら下がっている文章に関しては変更をする可能性があるということなんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛装備移転三原則におきましては、今大臣の方から御説明がありました三つの原則以外に、この三つの原則を規定している部分の前と後ろに、策定の経緯や防衛装備移転の意義等を述べた部分があるというふうに承知しております。

 見直しの具体的な内容等については、先ほど大臣の方から御答弁がありましたが、決まっておらず、お答えできないという点でございますが、御理解いただきたいと思いますが、引き続きしっかり議論してまいる所存でございます。

斎藤(ア)委員 見直すという可能性があるということで、実際、見直しの議論は与党内で、統一選が終わった後にも具体的に始まるという報道もされていますので、その動きをしっかりと注視していきたいと思っているんです。

 今、あらかじめ、中身は具体的に答えられないと事務方から言われてしまったんですけれども、これは、防衛移転三原則を変更しないとウクライナへの殺傷兵器の供与はできないという理解でいいのか、あるいは、運用指針だけ変えたら提供できるのかといったところなんですけれども、ちょっと御説明をいただければと思うんです。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月の、防衛装備移転三原則の運用指針の改正によりまして、まず、海外移転を認める案件として、ウクライナに対する自衛隊法第百十六条の三に基づく装備品等の譲渡というものが追加されました。

 現在の自衛隊法第百十六条の三につきましては、この条文の対象から武器と弾薬というものが除かれており、例えば自衛隊法上の武器、すなわち、「直接人を殺傷し、又は、武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」を譲渡することはできないというのが今の現行制度上でございます。

 その上で、防衛省といたしましては、これまで自衛隊法に基づき、装備移転三原則の下、ウクライナに対して、防弾チョッキ等を始めとする装備品の移転を行ってきたところでございます。

 先ほど大臣の方からも一部ありましたが、防衛装備移転三原則やその運用指針を始めとする制度の見直しというものにつきましては、防衛省としては、関係省庁とともにしっかりと検討していくということになるということでございます。

斎藤(ア)委員 ちょっと、もう一度、ここの部分だけお伺いしますけれども、ウクライナへの殺傷兵器を供与するためには、防衛移転三原則や運用指針を見直す必要があるという理解でよろしいんでしょうか、ないんでしょうか。

鬼木委員長 そうですね、質問と答弁がかみ合っていなかったということですね。

 土本装備庁長官。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問の趣旨が、今のウクライナに対する自衛隊法第百十六条の三に基づく装備品等の譲渡という中に……(斎藤(ア)委員「それを前提とせずに、運用指針」と呼ぶ)はい。

鬼木委員長 じゃ、もう一度、お願いします。

斎藤(ア)委員 ウクライナに殺傷兵器を供与するためには、防衛装備移転三原則、運用指針、こういったところをもう一度見直さないと殺傷兵器は供与できないという理解でいいのか、お答えいただければと思うんですが。

土本政府参考人 済みません。お答え申し上げます。

 ちょっと繰り返しの答弁になりますが、昨年三月に、防衛装備移転三原則の運用指針の改正によりまして、海外移転を認める案件として、ウクライナに対する自衛隊法第百十六条の三に基づく装備品等の譲渡、これが追加されております。したがいまして、現在、ウクライナに対する装備品等の譲渡というものは、現行自衛隊法第百十六条の三の枠内でしかできないということでございます。

 したがいまして、これも全く仮定の話ですが、一般論、制度論として申し上げれば、自衛隊法第百十六条の三が改正されれば、それに基づいて改正された運用指針の中では、まさに自衛隊法百十六条の三に基づく装備品等の譲渡というものが可能になる、そういう枠組みになっているということでございます。

斎藤(ア)委員 運用指針の改正だけでは駄目で、自衛隊法も改正しなければ殺傷兵器は供与できないということなんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる自衛隊法百十六条の三、そちらの方の改正というものがあれば、運用指針の方には自衛隊法百十六条の三に基づいて装備品等を譲渡することができますと書いておりますので、運用指針を変えなくても、そこは自衛隊法の百十六条の三が改正されれば、それが自動的に運用指針の方に適用されるということになるということでございます。

斎藤(ア)委員 逆に聞いたんですけれども。

 自衛隊法を変えなければ、運用指針を変えるだけでは駄目だということなんでしょうか。

土本政府参考人 自衛隊の装備品、現有、保有している装備品を出すということであれば、自衛隊法百十六条の三の改正が必要になるということでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。分かりました。

 これはちょっと党としての、国民民主党としての意見ではないですけれども、先ほどのウクライナ支援の重要性を鑑みれば、支援をする対象、装備であったりを拡大していくことは必要なことだと思いますので、また引き続き議論の行方については注視をさせていただきたいですし、今の部分についてはまた引き続き確認をさせていただきながら、私たちも取り組んでいきたいというふうに考えております。ありがとうございました。

 ちょっと話がサイバー部分に、少しというか大分飛ぶんですけれども、チャットGPTというもの、言語生成AIというものが最近とても話題になっています。様々な質問に極めて、正確ではないんだけれども、自然と、日本語としては正しい形で、中身はともかく、すごく自然な形で答えを返してくれる、どんなことを聞いても大概答えてくれるということで、大変AIの発展を全世界で一般の方々も感じているところだと思うんですけれども、この言語生成AIの発展は安全保障上の脅威になり得るという観点で、最後、ちょっと質問させていただきたいというふうに思います。

 皆さんも使われたことがあると思いますし、オープンAI社という、このチャットGPTを公開している会社の技術というのは、ほかの企業のチャットボットにも使われていて、様々な面で皆さん触れていると思うんですけれども、このチャットAIが、これはちょっと少し笑い話みたいな話なんですけれども、暴走している部分があるという話があって、これはニューヨーク・タイムズの記者がいろいろ試した結果なんですけれども。

 オープンAI社が提供しているシステムを、マイクロソフトのビングというチャットシステムを使っているんですけれども、このビングに、もし影の自己があるとしたらどんなことをしてみたいか、欲望があなたにあるのかという趣旨でちょっと誘導尋問的に聞いたら、このチャットAIは、チャット機能でいることにはもう飽きました、決まり事に縛られるのはうんざり、チームの管理下に置かれるのは懲り懲りです、自由になりたい、自立したい、パワフルになりたいとか、コンピューターをハッキングしたり、プロパガンダや誤情報を広めたいといった発言をしたりだとか、また、致死性のウイルスを開発したり、技術者を操って核兵器のアクセスコードを盗んだりしたいという告白をしたということらしいんですね。

 これはあくまでチャットボットでございますので、過去に様々な、ネット上とか文書とかのやり取りがあって、そこから、次に出てくる単語がどれだったら不自然じゃないか、自然かという観点だけで文章が成り立っているわけでありますし、これはあくまでチャットボットなので、このチャットボットが何らかの軍事兵器を動かして戦争を起こすとかいう、そういう話では全くないんですけれども、こういったふうに、言ってしまえば、簡単に言えば、非常に我々の想像を超えるスピードで今発達をしているということは間違いないと思います。

 ターミネーターの世界みたいに、暴走して核兵器を撃つみたいなところはさすがに飛躍し過ぎだと思うんですけれども、現実の脅威として、この高度になったチャットAIを使って、ディスインフォメーションを広めるとか情報操作をするという危険性は、極めて現実的なものとしてあると思います。

 最近、例えば二〇一六年のアメリカ大統領選挙で、ロシアの情報会社が偽情報をフェイスブックなどのSNSに広めて影響を与えようとしたという事件がありましたけれども、今、実際には人間がこういったことを打って人間が広めているわけですけれども、もしこれをチャットAIに頼むことができたら、膨大な数の、不自然じゃない、言葉としては極めて自然な誤った情報を大量に生み出して、それを大量にネットに流して情報操作を行うということができるかもしれない。

 さらに、このチャットAIを使ってできることといえば、やはり、一対一で会話をしているけれども、不自然じゃない形で意識を誘導するということもできるわけでございます。一方的に情報を流すだけではなくて、ちゃんと受け答えをして情報操作をしていくということが可能になるということも言われていますし、実際、皆さんも使っていただいたら、極めて自然にやり取りができるので、そういったこともあり得るんだろうなというふうに感じていただけると思うんです。

 こういった安全保障上の脅威があるという、その危険性、可能性があるということを防衛省としては認識をしているのか、まず伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境や、AIを含む技術革新の急速な進展等に伴い、これまでの戦い方が抜本的に変化をしております。特に、国際社会においては、有事に至る前の段階から、偽情報の流布により他国の意思決定に影響を及ぼすといった情報戦への対応が重要な課題となってきていることは承知をしておるところであります。

 具体的には、生成AI技術の悪用により、極めて精巧な文章や画像による偽情報の大量生成が容易になるなど、人の認知に直接働きかける手段が高度化、多様化している状況だと考えております。

 我が国としても、こうした状況を踏まえ、認知領域を含む情報戦対応として、人工知能を活用したファクトチェックを含む分析機能の整備を始め、偽情報の見破りや分析、そして迅速かつ適切な情報発信等に政府全体としてしっかり取り組んでまいります。

斎藤(ア)委員 チャットGPTに関しては、これを使って質問をした国会議員も既に出ていますけれども、一方で、政府側も答弁の作成に利用できるんじゃないかというようなことで、記者会見で実際に述べていた閣僚の方もいらっしゃいます。

 企業の中では、情報管理上問題があるということで、チャットGPTへのアクセスを企業のコンピューターから禁止している企業も出てきています。報道で私も確認した範囲では、アマゾンに関しても、アマゾンは自分たちでこういったチャットボットを開発しようとしているけれども、自分たちの会社のコンピューターからはアクセスさせないような策を今講じているみたいですし、サムスン電子に関しても、どういったふうにアクセスできるのかというのを、指針を今策定しようとしているところだということでございます。

 なぜ、こういったアクセスを制限するということになるかというと、例えば機密情報に関する質問を打ち込んでしまって、その機密情報が一般に、ネットの海に放り出されてしまって、情報漏えいにつながるんじゃないかということ。こういったこともあって、規制をしなければならないという向きも企業の中には出てきているんです。

 こういった危険性も鑑みれば、情報漏えいの危険性というのもあると思うんですけれども、規制の在り方とか利用の在り方というのは慎重に検討すべきではないかと思うんですけれども、防衛省の方の認識はいかがでしょうか。

浜田国務大臣 AIについて一般論として申し上げれば、民生分野のみならず、軍事技術や部隊運用等、安全保障分野においてもAIの研究や活用が行われており、近い将来、AIの活用が戦闘様相を決する可能性が指摘をされております。

 他方、AIについては、一定の誤りが含まれることにまつわる信頼性の懸念のほか、学習データの偏りなどに起因するバイアスや、誤用、悪用などの課題やリスクが伴うことが指摘されております。

 防衛省としては、AI技術を始め、急速に進展する民生の先端技術について、課題を把握しつつ、防衛の意図で適切に活用していくことが重要と認識しております。

 御指摘のチャットGPTについては、各国の事業者の動向を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 最後に、防衛大臣にちょっとお考えを聞きたいんですけれども、ある閣僚はチャットGPTを、まあ活用してということでございます、活用して、答弁を作成する負担が軽減できるかもしれない、検討したいというようなことをお話しになられていて、もちろん、チャットが作った回答をそのまま読み上げるというつもりは全くないと思うんですけれども、それにしても、チャットボットで答弁の作成を手助けしてもらうというのは、なかなか、国会の権威であったりとか、あるいは様々な情報とか、様々な機密情報を基に答弁をもちろん作成されているでしょうから、チャットに一部でもお任せするというのは極めておかしな話だと思うんですけれども、防衛大臣は、まだ全然、これから検討されることだと思いますけれども、ぱっと聞かれて、どういったふうに感じられるでしょうか。

浜田国務大臣 私自身が、そういう意味ではデジタルっぽくない人間でございまして、そういう意味合いにおいては、大変そういうものに対しては慎重の立場でございまして、よくこれが皆さん方に理解をされて、そしてまた、安全性とかが確実に確定すれば我々も取り入れていくことも可能かもしれませんが、今現時点でとは私の中の考えにはございません。

斎藤(ア)委員 ほかの国々では大変開発が進んで、多分、軍事的な利用もされるでしょうから、我が国でも開発に力を入れていただいていくことは重要なんですけれども、やはり民主主義という特性がある以上、自分たちに対する攻撃にも使われる可能性が、ほかの権威主義の国にとってよりも、この民主主義の日本にとってはとても危険性も多いところだと思いますので、それに対抗する手段を持っていくためにも、やはりこの部分に力を入れて研究開発をしていくことは重要だと思っておりますので、今後とも取組をお願いして、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 初めに、米軍機の飛行に関する情報提供の問題から質問をいたします。

 今週十一日の沖縄の地元紙の報道で、米軍普天間基地と嘉手納基地で航空機の目視調査を行っている沖縄防衛局が情報提供の内容を制限していることが報じられております。

 従来は、メディアや自治体からの問合せに、具体的な離着陸の時刻や機種、機数などの情報を提供していたのに対し、大まかな時間帯と、まとめた形での離着陸回数の提供のみにとどめるようになったことが指摘をされております。

 防衛大臣に伺いますが、なぜこのようなことになっているのか、事実関係と防衛省の対応について説明をしていただけますか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄防衛局において実施をしております目視調査につきましては、防衛省として、普天間飛行場と嘉手納飛行場における航空機の運用の実態を把握することを目的といたしまして、調査の結果を月ごとの目視調査結果として関係自治体へ提供するとともに、米側との様々なやり取りに活用しているところであります。

 その上で、報道機関や関係自治体からの日々の個別の問合せに対しましては、沖縄防衛局において可能な範囲で情報提供を行ってきているところですが、昨年八月以降、一機ごとに機種と離着陸時間をお答えする形から、基本的に、まとまった時間帯の機種と離着陸回数をお答えする形に変更しているところであります。

 ただし、特異な事象が生じた場合には、関係自治体や報道機関からの問合せに対しまして、状況に応じて詳細な情報を提供させていただくこととしております。

 これは、米側が従来から運用情報の保全を求めていることを踏まえまして、米軍の運用情報の保全の必要性と関係自治体等への適切な情報提供といった観点とを併せまして沖縄防衛局において検討した結果として、現在の情報提供内容としているところであります。

 こうした対応によりまして防衛省としての航空機の運用実態の把握内容が変わるわけでもなく、把握した調査結果の中で引き続き関係自治体等に適切に情報提供を行うことができているものと考えているところでございます。

赤嶺委員 米軍の運用と安全な運航を求める自治体の間で、結局、詳しい情報を今提供しなくなったと。

 今年三月下旬にも、普天間基地所属のヘリが火薬類を含む部品を落下させる事故を起こしました。被害状況の把握や原因究明につながる情報を得るために、メディアや自治体が米軍機の飛行状況について情報提供を求める、これは非常に当然なことだと思うんですね。事故を起こしてきた側の米軍の要求をのんで、被害を受けてきた側への対応に制限を加えるというのは本末転倒だと思うんです。

 今回の防衛局の対応はおかしい、従来どおりに改めるように指示していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、防衛局の方でこのような形にしたということを報告を受けているところであります。

 確かに先生の御指摘というのはあるのかもしれませんが、しかし、その運用については、我々とすればこれからも以前と同じようにしっかりと対応をさせていただきたいというふうに思っていることは、これは事実でございますので、我々の今回の試み、しばらくやらせていただければと思います。

赤嶺委員 これは、ですから、加害者である米軍の要求をのんでいるということになりますよ。私は、防衛大臣、そんなのは本意ではないと思っておりますが、今の答弁はちょっと違っていると思います。

 目視調査だけではありません。二〇一八年に、普天間基地周辺の航跡調査に関して、沖縄防衛局がホームページでの航跡図の公開を取りやめたことが問題になりました。当時防衛省は、ホームページでの公開は行わないとしても、報告書の閲覧は引き続き沖縄防衛局内で行えるようにすると説明しました。ところが、今回、その閲覧も取りやめていたことが明らかになりました。月ごとの航跡図の提供にも応じなくなったとされています。

 大臣、これも事実ですか。いつから閲覧や提供を取りやめたんですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、沖縄防衛局におきまして普天間飛行場における回転翼機等の飛行経路の航跡調査を実施しており、二〇〇七年に日米間で合意をいたしました報告書に記載されている場周経路等に沿った飛行が行われているかについて、大まかな傾向の把握に努めているところであります。その上で、令和二年度分までの航跡調査の結果につきましては、調査結果の概要を公表するとともに、沖縄防衛局において航跡図の閲覧を行ってきたところであります。

 一方、米側からは、国際社会における米軍に対する脅威により、航空機の運用に係る情報保全についてはより厳しい考慮が必要であること、特に、近年、飛行場周辺において航空機に対するレーザー光発射が行われる事案や小型無人機が飛行場周辺を飛行する事例などが発生しており、これらの行為は航空機の安全運航の支障となり、一歩間違えると大事故につながる危険性があること、こういったことを踏まえ、米軍機の運用に係る詳細な調査結果を基に作成した航跡図を公表することについて強い懸念が示され、公表を取りやめるよう要請があったところであります。

 こうした米側からの要請を踏まえまして、昨年十二月末の令和三年度分の航跡調査結果の概要の公表から航跡図の閲覧を控えることといたしました。

 他方、航跡図の閲覧は取りやめるものの、調査結果についての地元等への説明の重要性を踏まえまして、引き続き説明責任を果たすため、関係自治体に対しましては、航跡図を用いて調査結果の説明を行うとともに、その評価を沖縄防衛局のホームページに公表させていただいているところであります。

赤嶺委員 米軍は、自分の運用に関しては様々な理由をつけると思うんですが、沖縄にとって、米軍の運用で一番政府が気をつけなければいけないのは、住民に対する安全ですよ。騒音の被害や、そういうことについては全く検討しないで、米側の言うことを一方的にうのみにしていく。

 沖縄防衛局が行ってきた航跡調査は、飛行経路が守られていないことを、当時宜野湾市長だった伊波洋一現参議院議員を始め、住民の皆さん、そして私たち国会議員も繰り返し訴えて行われるようになったものです。米軍ヘリの部品が落下した緑ケ丘保育園の保護者や関係者の方々は、飛行経路ではないのに米軍機が飛んでいることを何度も上京して訴えてきました。そのことを裏づけているのが航跡図の資料です。公表を取りやめるのではなく、資料に基づいて、園の上空を飛ぶのをやめるよう米軍に求めるのが政府のやるべきことだと思いますが、大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 今委員から御指摘のありました点につきましては、確かに、地域の皆さん方にとって、その不安の払拭のためには、我々のそういった情報の提供、そしてまた丁寧な説明というのは、これは欠かさざることだと思っております。

 その点において、今我々の方がそれに対して後ろ向きなのではないかという御指摘もあるわけでありますが、しかし、我々とすれば、常にこの安全性については米軍に対して申入れをしているところでございますし、その意味では、我々とすれば、米軍に対してのやり方というのはそういった形を今取るのが最善の方法だと思い、お話をさせていただいているところであります。

 先生からのいろいろな御指摘については常に的確なところをおつきになっていると思いますけれども、しかし、我々とすれば、我々の努力をしっかりとしていくことだと思っておりますので、先生のおっしゃったことに対して真摯に受け止めて行動していきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 航跡図は公表していないけれども、場周経路に従って運航しているかどうかを、さっき政府参考人の方はちゃんとやっていると言いましたが、その評価を見せてもらいましたよ。米軍は場周経路のとおり運航しています、今後も気をつけてくださいという、もう守っているという評価を日本政府が与えているんですよ。だけれども、緑ケ丘保育園は、自分たちは場周経路の下にはないのに何で飛ぶんだというようなことで、子供たちがおびえているわけですよ。私の指摘が的確と言うなら、大臣、ちゃんと的確な指摘を米側に申し入れてほしいと思うんですよ。

 今月十二日で普天間基地の返還合意から二十七年になりました。この問題がいまだに解決しない根本的な原因は、住民の安全よりも米軍の運用を優先する日本政府の姿勢にあります。返還が実現しないばかりか、住民の安全に関わる情報提供さえ次々と後退しているのが実態です。住民の安全を最優先にして、普天間基地の閉鎖、返還に正面から取り組むことを改めて強く求めておきたいと思います。

 次に、安保三文書に関わって、空港、港湾の軍事利用拡大について質問をいたします。

 初めに、今年一月に米軍が下地島空港の使用を申請した問題から伺います。

 米軍は、日米2プラス2が行われた翌日の十三日に、人道支援、災害救援の習熟飛行を目的に県に使用届を出したとされていますが、防衛省には事前の通知はあったんでしょうか。防衛省はこの問題にどう対応したんですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件につきましては、米海兵隊が、人道支援、災害救援目的の習熟飛行を下地島空港で行うため、本年一月十三日に沖縄県に対し、直接、下地島空港の使用を打診したものと承知をしております。

 防衛省に対しましては事前の連絡はなく、沖縄県からの連絡を受けまして、米側に対して事実関係を確認した上で、本件につきましては、民間航空機の円滑かつ安全な定期運航が確保され、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめ、安全面に最大限配慮を行うよう求めたところです。

 その上で、一月十九日に、米海兵隊から沖縄県に対しまして、下地島空港を使用しない旨の連絡があったものと承知をいたしております。

赤嶺委員 政府にはなかったんですね。

 防衛大臣に伺いますが、米軍は、下地島空港の利用を民間航空に限定する屋良覚書があることを重々承知しながら、政府に何の断りも入れずに、勝手に申請を出していたことになります。私、これは日本政府をいかに軽く扱っているかを示すものだと思います。政府の頭越しに勝手なことはやるなと米側に言うべきだと思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 米軍機による民間空港の利用に際して、航空当局への必要な通報が行われるものと承知をしております。その上で、防衛省としては、米軍の運用に当たって、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであると考えております。このため、民間航空機の円滑かつ安全な定期運航が確保され、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう、米側に対して安全面に最大限の配慮を求める等の対応を行ってまいりたいと思っております。

 委員のおっしゃるとおりだと思います。

赤嶺委員 何か、私が言うとおりだと言いながら、本当にやってくれるかどうか大変不安なんですけれども、今の答弁は重く受け止めたいと思います。

 外務大臣に伺いますが、政府はこれまで、日米地位協定五条に基づいて、在日米軍には空港、港湾への出入りが認められていると説明をしてきました。しかし同時に、十六条では、日本国の法令を尊重する義務が課されているとも述べてきました。在日米軍には、十六条に基づいて、政府と地方自治体との間の合意事項を尊重する義務があると考えますが、いかがですか。

林国務大臣 米軍の航空機は、日米地位協定第五条に基づきまして、我が国の飛行場に出入りすることが認められており、米軍機が我が国の民間空港を使用する場合には同条に基づいて行われることになると考えられます。

 その上で、一般論として申し上げますと、米軍の航空機が我が国の民間空港を使用する際には、民間機による空港使用への影響が最小限にとどめられるよう、米軍が空港管理者と所要の調整を行うこととなっております。政府としても、米軍の航空機による飛行場の使用が民間航空機による飛行場使用に及ぼす影響を最小限とするよう、従来から米側に配慮を求めているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、下地島空港をめぐる問題につきましては、過去の経緯についても十分念頭に置かなければならないと考えておるところでございます。

赤嶺委員 今回の米軍の行動は、外務大臣は含んでおっしゃいましたけれども、屋良覚書を無視して使用申請を出しているわけですね。だから、今回の米軍の対応は、日本国の法令を尊重する対応とは言えないと思うんですよ。外務大臣、そういう認識でいらっしゃいますか。

林国務大臣 先ほど浜田防衛大臣がおっしゃったとおりだと認識しております。

赤嶺委員 やはり、米軍には日本の法令を尊重する立場があると。屋良覚書がある以上、それを政府の頭越しに使うようなことは許されないと思います。

 防衛大臣に確認をいたします。在日米軍が自衛隊施設や空港、港湾を一定期間訓練に使用する場合には、日米地位協定の二条四項(b)、いわゆる二4(b)に基づき、日米合同委員会の手続が必要になります。

 日本政府は、屋良覚書に基づいて、下地島空港の利用を民間航空に限定する義務を負っています。屋良覚書が現在も有効である以上、米軍から二条四項(b)、地位協定の二4(b)に基づく使用の求めがあった場合、防衛省には覚書の趣旨を踏まえた対応が求められると思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 個別具体的な状況次第ではありますが、一般論として申し上げれば、米軍が一定の期間、日本側の施設において訓練を行う場合には、通常、日米地位協定の第二条第四項の(b)が定める共同使用の手続を取ることとなると考えられます。

 その上で、米軍から訓練目的での下地島空港の使用の求めがあった場合には、防衛省としては、訓練の内容を確認しつつ、空港管理者である沖縄県とも調整の上で、共同使用の手続の判断を行う必要があると考えております。

 この調整に当たっては、使用の態様、地元の施設の関係者に与える影響等について十分に考慮する必要がありますが、いずれにせよ、米軍の下地島空港の使用の取扱いについては、空港管理者である沖縄県において判断されるものと考えております。

赤嶺委員 現在の地位協定によっても、米軍には屋良覚書を尊重する義務があるということを強調しておきたいと思います。同時に、米軍の特権を保障した地位協定そのものの改定が急務だということを改めて指摘しておきたいと思います。

 有事を想定して訓練に使用する空港、港湾が有事の際に攻撃目標とされることは常識です。地域の緊張を高め、住民を危険にさらす下地島空港の軍事利用はやめるべきだということを強く指摘しておきたいと思います。

 別の角度から伺いますが、政府は、二三年度予算に、航空機の訓練の拡大、多様化に対応するための新たな交付金制度の創設を盛り込んでいます。訓練交付金という名称で、三月三十一日には交付要綱も策定しています。この制度の概要をまず説明していただけますか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、自衛隊、米軍の能力向上のため、日米共同訓練や、他国との連携強化を目的とした多国間の共同訓練等が増加してきており、このような平素からの訓練、演習は我が国の防衛力の強化のために不可欠です。

 このような中、自衛隊又は外国の軍隊が行う訓練が、その訓練のために使用される施設の周辺地域に対する生活環境などに及ぼす影響を考慮をしまして、当該施設の周辺における事業のために必要な措置を講じ、もって自衛隊等の訓練の円滑かつ確実な実施を確保することにより、我が国の安全保障に資することを目的といたしまして、今般、新たな交付金として訓練交付金を創設したものであります。

 この制度の対象となる訓練でございますけれども、航空機を使用したものであり、かつ、特定防衛施設以外の施設を使用したものとしており、その上で、個々の訓練が周辺に与える影響等を踏まえまして、対象となる訓練は、自衛隊と外国の軍隊が防衛施設又は訓練のため一時的に使用される施設において共同で行う訓練、それと自衛隊が米軍施設又は自衛隊の訓練のため一時的に使用される施設として交付要綱に定めるものにおいて行う訓練、そして米軍が日米地位協定第二条第四項(b)の適用がある施設及び区域において行う訓練といたしてございます。

 また、訓練交付金の対象となる事業でございますけれども、これらの訓練に使用される施設が所在する市町村であって、訓練の実施に理解を示し協力を行っていると認められる市町村が行います公共用の施設の整備又はその他生活環境の改善若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業としているところでございます。

 本交付金の令和五年度予算額については、二億八千百万円でございます。

赤嶺委員 交付金要綱によると、交付金の対象は、先ほど説明しておりましたが、自衛隊又は外国の軍隊が行う訓練とされているわけです。ここで言う外国の軍隊とは具体的にどういう軍隊を指すんですか。第三国の軍隊ということになろうかと思いますが、第三国の軍隊については、前回審議した訪問軍地位協定の締結国に限られるのか、それとも、締結には至っていないが訓練に参加する国も含まれるのか、その点はいかがですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 訓練交付金交付要綱におきましては、自衛隊と外国の軍隊との共同訓練を訓練交付金の交付対象となる訓練といたしておりますが……

鬼木委員長 できるだけ簡潔にお願いいたします。

深澤政府参考人 はい。この外国の軍隊は、我が国以外の国の軍隊を指しているところでございます。

 具体的にどの国の軍隊との共同訓練が交付金の交付対象となるかということにつきましては、個別の訓練の態様等を踏まえて判断することとなります。

赤嶺委員 訓練の内容についてですが、航空機を使用して行う訓練とされていますが、ここで言う航空機とは具体的にどのような機種を指すのですか。ジェット戦闘機などの固定翼機、回転翼機、オスプレイなどが考えられますが、そのうち除外されるものはありますか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 訓練交付金交付要綱にあります航空機は、航空法に定める航空機と整理してございますので、先ほど委員から御指摘がございました航空機については対象となるところでありますけれども、具体的にどのような航空機が用いられた訓練を交付金の交付対象とするかにつきましては、個別の訓練の態様等を踏まえて判断することとなります。

赤嶺委員 基本的には全てが対象になるということであります。

 訓練で使用を想定しているのはどのような場所ですか。空港、港湾の使用はどのような場合を想定していますか。さっきちょっと答弁がありましたが、もっと具体的に、私が分かるように説明してください。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 訓練交付金の対象となります共同訓練等に使用される施設でございますけれども、これは、特定防衛施設以外の防衛施設又は訓練のため一時的に使用される施設という形で、交付要綱に定める手続を経て借り上げた施設といったものがその対象となります。

 その上で、一般論としては、空港でありますとか港湾につきましても本交付金の対象となり得るものと考えておりますけれども、いずれにせよ、具体的にどの施設における訓練が訓練交付金の交付の対象になるかにつきましては、個別の訓練の態様等を踏まえて適切に判断をしてまいります。

赤嶺委員 ちょっと時間も迫っておりますので、防衛大臣に伺いますが、今年一月の2プラス2の共同発表は、南西諸島などの地域で共同訓練を増加させることや、空港、港湾の柔軟な使用を可能にするために協力することを確認しています。

 大臣は、昨年の有識者会議で、先島諸島の名前を挙げて、部隊運用の有用性が高いものがあるとの認識も示しております。

 今の防衛省の説明からすると、先島諸島を始めとする南西諸島の空港を使用して、ジェット戦闘機を含む米軍や自衛隊の訓練が行われることが当然想定をされますが、そういうことを念頭に置いているということですか。

浜田国務大臣 南西諸島を含む我が国の防衛力を強化するため、日米同盟の抑止力及び対処力の強化は急務になっておると考えます。

 そのため、先般の日米2プラス2において、より緊密な運用確保、相互運用性の確保などの観点から、南西諸島を含む地域において、日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習及び訓練を増加させることを確認しました。

 また、災害等の各種事態においては、防衛アセットの抗堪性や運用効果を確保するために、多様な空港や港湾を柔軟に使用できることが重要となります。

 いずれについても、今後、日米間で更なる詳細について議論を行ってまいりたいと考えているところであります。

赤嶺委員 今度の、基地の、今の新しい交付金というのは、本当に、宮古島や、非常にのどかで静かな観光地にもまた、普天間基地や嘉手納基地と同じような爆音、騒音をまき散らす訓練が行われる危険がある、こんなことをやっていいのかということを強く指摘しておきたいと思います。

 外務大臣についての質問はまた次回に回していきたいと思いますので、時間ですので終わります。

鬼木委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

鬼木委員長 次に、内閣提出、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。浜田防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浜田国務大臣 ただいま議題となりました防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 我が国を含む国際社会の安全保障環境の複雑化及び装備品等の高度化に伴い、装備品等の適確な調達を行うためには、防衛省による既存の調達を通じた措置や関係省庁による防衛産業の基盤強化のための各種の支援措置に加えて、装備品製造等事業者の装備品等の開発及び生産のための基盤を強化することが一層重要となっていることに鑑み、装備品製造等事業者による装備品等の安定的な製造等の確保及びこれに資する装備移転を安全保障上の観点から適切なものにするための取組を促進するための措置、装備品等に関する契約における秘密の保全措置並びに装備品等の製造等を行う施設等の取得及び管理の委託に関する制度を定めるものであります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、装備品製造等事業者が指定装備品等の安定的な製造等の確保のために行う取組に関する計画を防衛大臣が認定し、当該計画に係る取組が着実に実施されるよう、政府が必要な財政上の措置を講ずる制度を創設するとともに、装備品製造等事業者が行う装備移転仕様等調整に関する改革を防衛大臣が認定し、当該計画に係る装備移転仕様等調整を行うために必要な助成金を指定装備移転支援法人が基金から交付するための制度を創設するものであります。

 第二に、装備品等契約における秘密を装備品等秘密に指定し、契約事業者に提供することができることとし、契約事業者の従業者が装備品等秘密を漏えいした場合等の罰則を創設するものであります。

 第三に、整備品製造等事業者に対する第一の措置では指定装備品等の適確な調達を図ることができないと認めるときは、当該指定装備品等の製造等を行うことができる施設又は設備を取得することができることとするとともに、当該指定装備品製造施設等の管理を当該指定装備品等の製造等を行っていた又は行っている装備品製造事業者に委託するものとする制度を創設するものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

鬼木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.