衆議院

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第1号 令和6年3月8日(金曜日)

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本国会召集日(令和六年一月二十六日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 簗  和生君

   理事 小泉進次郎君 理事 杉田 水脈君

   理事 藤丸  敏君 理事 伊藤 俊輔君

   理事 篠原  豪君 理事 岩谷 良平君

   理事 中川 宏昌君

      江渡 聡徳君    大塚  拓君

      黄川田仁志君    高見 康裕君

      武田 良太君    中谷  元君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      松島みどり君    松本  尚君

      和田 義明君    若宮 健嗣君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君  斎藤アレックス君

      住吉 寛紀君    北側 一雄君

      赤嶺 政賢君    柿沢 未途君

    ―――――――――――――

一月二十六日

 簗和生君委員長辞任につき、その補欠として小泉進次郎君が議院において、委員長に選任された。

令和六年三月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小泉進次郎君

   理事 黄川田仁志君 理事 杉田 水脈君

   理事 中曽根康隆君 理事 藤丸  敏君

   理事 若宮 健嗣君 理事 重徳 和彦君

   理事 篠原  豪君 理事 渡辺  周君

   理事 岩谷 良平君 理事 斎藤アレックス君

   理事 中川 宏昌君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      大塚  拓君    高見 康裕君

      中谷  元君    長島 昭久君

      細野 豪志君    松島みどり君

      松本  尚君    和田 義明君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      屋良 朝博君    浅川 義治君

      住吉 寛紀君    北側 一雄君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   防衛大臣         木原  稔君

   外務副大臣        辻  清人君

   外務副大臣        柘植 芳文君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      高村 正大君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   防衛大臣政務官      三宅 伸吾君

   安全保障委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十六日

 辞任         補欠選任

  伊藤 俊輔君     屋良 朝博君

二月一日

 委員柿沢未途君が退職された。

三月四日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     中曽根康隆君

同月八日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     武田 良太君

同日

 理事鬼木誠君令和五年十二月十四日委員辞任につき、その補欠として中曽根康隆君が理事に当選した。

同日

 理事小泉進次郎君一月二十六日委員長就任につき、その補欠として若宮健嗣君が理事に当選した。

同日

 理事伊藤俊輔君一月二十六日委員辞任につき、その補欠として重徳和彦君が理事に当選した。

同日

 理事杉田水脈君、篠原豪君及び岩谷良平君同日理事辞任につき、その補欠として黄川田仁志君、渡辺周君及び斎藤アレックス君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十六日

 自衛隊法及び海上保安庁法の一部を改正する法律案(前原誠司君外二名提出、第二百七回国会衆法第九号)

 領域等の警備及び海上保安体制の強化に関する法律案(篠原豪君外十四名提出、第二百七回国会衆法第一一号)

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(三木圭恵君外二名提出、第二百十回国会衆法第七号)

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(三木圭恵君外二名提出、第二百十回国会衆法第八号)

二月二十六日

 平和、命、暮らしを壊す大軍拡、大増税に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二九号)

 同(本村伸子君紹介)(第三〇号)

 平和、命、暮らしを壊し、市民に負担を強いる軍拡、増税に反対することに関する請願(菊田真紀子君紹介)(第一四五号)

三月五日

 軍事費二倍化の中止等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二二九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三〇号)

 平和、命、暮らしを壊し、市民に負担を強いる軍拡、増税に反対することに関する請願(近藤昭一君紹介)(第二五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

小泉委員長 これより会議を開きます。

 議事に先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 この度の令和六年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地において救援活動等に従事されているボランティアの皆様並びに自衛隊を始めとする政府関係者諸君に心から感謝と激励の意を表します。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

小泉委員長 黙祷を終わります。御着席お願いします。

     ――――◇―――――

小泉委員長 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 この度、安全保障委員長を拝命いたしました小泉進次郎でございます。

 我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。そうした中、我が国の平和と安全を確保するため取り組むべき課題は山積しており、当委員会に課せられた役割は誠に重大です。

 委員長といたしまして、委員各位の御協力を賜り、公正かつ円満なる委員会運営に努め、その職責を果たしてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

小泉委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事杉田水脈さん、篠原豪さん及び岩谷良平さんから、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動並びに私の委員長就任に伴い、現在理事が六名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

    黄川田仁志さん    中曽根康隆さん

    若宮 健嗣さん    重徳 和彦さん

    渡辺  周さん及び斎藤アレックスさん

を指名いたします。

     ――――◇―――――

小泉委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国の安全保障に関する事項について、本会期中国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小泉委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、防衛大臣から所信を聴取いたします。木原防衛大臣。

木原国務大臣 防衛大臣の木原稔です。

 小泉委員長を始め、理事、委員の皆様に、防衛大臣としての所信を申し上げます。

 まず、元日に発生した令和六年能登半島地震について、亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 防衛省・自衛隊としては、発災直後から、人命第一の方針の下、人命救助に全力で取り組むとともに、孤立集落への物資輸送を始めとする各種支援や、被災者の方々のニーズを踏まえた様々な取組などを行ってきたところです。

 引き続き、被災者の方々に寄り添った活動を全力で実施してまいります。

 国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識しており、我が国を取り巻く安全保障環境も戦後最も厳しく複雑なものとなっています。

 中国は、国防費の急速な増加を背景に軍事力を増強させており、こうした軍事力を背景に、我が国周辺全体での活動を活発化させるとともに、台湾に対する軍事的圧力を高め、南シナ海での軍事拠点化等を推し進めています。

 特に、尖閣諸島周辺海域では中国海軍艦艇が活動を活発化させており、そうした状況の下、中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返しています。

 北朝鮮は、体制を維持するため、大量破壊兵器や弾道ミサイル等の増強に集中的に取り組んでおり、技術的には我が国を射程に収める弾道ミサイルに核兵器を搭載し、我が国を攻撃する能力を既に保有しているものと見られます。

 特に、弾道ミサイルについては、その発射の態様を多様化させるなど、関連技術、運用能力を急速に向上させています。低空を変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルの実用化を追求するほか、新型ICBM級弾道ミサイルの発射も繰り返し強行しています。さらには、巡航ミサイルに核兵器を搭載して攻撃を行う能力の獲得も追求していると見られます。

 ロシアは、ウクライナ侵略を継続するとともに、我が国周辺においても、北方領土を含む極東地域において、新型装備の配備や大規模な軍事演習の実施等、活発な軍事活動を継続しています。さらに、近年は、中国とともに艦艇の共同航行や爆撃機の共同飛行を実施するなど、軍事面での連携を強化しています。

 このように、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、そして、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画に基づき、次の施策を特に推進していく考えです。

 まず、防衛力の抜本的強化の着実な実現です。

 スタンドオフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力といった将来の中核となる能力の強化に優先的に取り組む必要があり、トマホークや地上発射型の一二式地対艦誘導弾能力向上型といった各種スタンドオフミサイルの配備を前倒しすることとしています。イージスシステム搭載艦についても、高度化する弾道ミサイル等の脅威から我が国を防護するため、早急に建造に着手する予定です。

 また、持続性、強靱性の強化も重要な課題であり、装備品の可動数向上や弾薬、誘導弾の十分な確保、防衛施設の強靱化への集中投資を進めてまいります。

 こうした各事業を的確に執行していくため、徹底した進捗管理や経費の精査に努めるとともに、まとめ買いや長期契約等による装備品の効率的な取得を一層推進します。

 次に、同盟国、同志国等との連携です。

 今や、どの国も一国では自国の安全を守ることはできません。既存の国際秩序への挑戦が続く中、我が国は、普遍的価値と戦略的利益等を共有する同盟国、同志国等との協力、連携を深めていくことが不可欠になっています。

 米国との同盟関係は、我が国の安全保障政策の基軸であり、日米同盟の抑止力、対処力の強化に向けた具体的な取組を着実に進めてまいります。

 また、普天間飛行場の辺野古移設を含む在日米軍再編を進める中で、抑止力の強化を図りながら、沖縄を始めとする地元の負担軽減にも引き続き取り組みます。

 同時に、地域の平和と安定のためには同志国等との連携を強化することが重要であり、自由で開かれたインド太平洋の実現に資する取組を進めてまいります。

 そのために、地域の特性や各国の事情を考慮した上で、共同訓練や防衛装備・技術協力を始めとする多角的、多層的な防衛協力、交流を積極的に推進します。

 特に、次期戦闘機の共同開発は、防衛力の中核である戦闘機の能力を強化し、今後数十年にわたる世界の安全、安定及び繁栄の礎となるものです。昨年十二月の日英伊防衛相会合に際し、政府間機関設立に関する条約に署名したところであり、日英伊三か国で一層緊密に連携しながら進めていく考えです。

 その上で、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現すべく、第三国への直接移転を行い得る仕組みを持ち、英伊と同等に貢献し得る立場を確保することが我が国の防衛上必要であり、ひいては国益にかなうものと考えています。

 さらに、昨年十二月に運用を開始した日米韓三か国での北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有や、日米共同指揮所演習であるヤマサクラやキーンエッジ24への豪軍の初参加など、日米を基軸とした多国間協力も進展しており、今後も更に進めてまいります。

 防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのものであり、その早急な強化は必要不可欠です。

 昨年十月一日に施行された防衛生産基盤強化法に基づく施策を強力かつ迅速に進めてまいります。

 また、将来の戦いにおいて実効的に対処する能力を早期に実現するための研究開発にもしっかりと投資をしていきます。

 人的基盤の強化も待ったなしの課題です。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、少子化が進む今日、人材の確保は大きな課題です。

 厳しい募集環境の中でも優秀な人材をしっかりと確保していくため、募集能力の強化のみならず、再任用の拡大、任期付自衛官制度等による幅広い層からの人材確保、女性の活躍推進や人材の育成はもちろんのこと、艦艇やレーダーサイト、水陸機動団での勤務や、レンジャー訓練といった厳しい任務に従事する隊員の手当引上げなどの処遇の向上や生活、勤務環境の改善等を通じ、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備してまいります。

 そして、ハラスメントは人の組織である自衛隊の根幹を揺るがすものであり、ハラスメントを一切許容しない環境を構築することが必要です。

 今年一月には、防衛省職員ハラスメント防止月間として、ハラスメント防止教育等を集中的に行ったところであり、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

 最後に、今国会提出法案について申し上げます。

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案は、自衛官の定数の変更、統合作戦司令部の新設、日独ACSAに関する規定の整備、自衛官等の人材確保のための制度の導入、拡大等を主な内容とするものです。

 次に、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出する年限に関する特別の措置を定める現行法を恒久化する改正を行うものです。

 そして、風力発電設備の設置等による電波の伝搬障害を回避し電波を用いた自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保するための措置に関する法律案は、風力発電設備が自衛隊のレーダー等に障害を及ぼすおそれがあることを踏まえ、自衛隊等の円滑かつ安全な活動を確保するため、風力発電設備の設置者と防衛大臣が調整を行う仕組み等を制度化するものです。

 委員各位におかれましては、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 以上、防衛省・自衛隊が直面する課題に対し、防衛大臣として、全力で取り組んでまいります。

 皆様におかれては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

小泉委員長 次に、外務大臣から所信を聴取いたします。上川外務大臣。

上川国務大臣 所信を申し述べるに先立ち、令和六年能登半島地震の犠牲者の方々に心からの哀悼の誠をささげるとともに、御遺族に謹んでお悔やみを申し上げ、負傷された方々及び被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。海外からも多くのお見舞いと支援のお申出をいただいており、これらの国、地域及び国際機関等に謝意を表します。

 安全保障委員会の開催に当たり、小泉委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げるとともに、我が国の安全保障政策について所信を申し述べます。

 国際社会の分断や対立が深まり、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性がより一層高まっています。

 我が国の長年にわたる国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や経済活動の実績を糧に、大幅に強化される外交の実施体制の下、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために、外交と防衛を連携させながら、総合的に外交、安全保障政策を進めていきます。

 既に二年以上も続いているロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙です。ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、ロシアによる一連の行為は深刻な国際法違反であり、決して認められません。

 また、我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはならないと考えています。一日も早くロシアによる侵略を止め、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するため、対ロ制裁及び先般東京で開催した日・ウクライナ経済復興推進会議の結果も踏まえつつ、対ウクライナ支援を引き続き強力に推進していきます。

 ウクライナ情勢を始めとする国際社会の喫緊の課題に対応するため、G7外相間の連携はかつてなく緊密になっています。昨年の議長国として、引き続きG7外相間の議論に貢献していきます。

 我が国の外交政策の推進に当たり、同盟国、同志国との連携は不可欠です。

 まずは、日米同盟を更に深化させていきます。

 一月に訪米した際に、ブリンケン国務長官等と会談し、四月に予定される岸田総理大臣の米国公式訪問の成功に向けて踏み込んだ議論を行いました。その際に確認したとおり、日米同盟の一層の深化のため、引き続き日米で緊密に連携していく考えです。また、国家安全保障戦略等三文書や昨年一月の日米2プラス2で確認した方向性に従って、日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域のポテンシャルを安定と繁栄につなげていくため、日米同盟の抑止力、対処力の更なる強化に日米で共に取り組んでいきます。

 その際、同盟調整メカニズムを通じた二国間調整の更なる強化、平時における同盟の取組、日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米間の協力の深化、宇宙、サイバー、情報保全分野での協力、同盟の技術的優位性の確保のための技術協力や、新興技術への共同投資などを重点的に進めていきます。また、米国による拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保するための努力も続けていきます。さらに、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めていきます。それとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。

 また、経済版2プラス2を通じて、外交、安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障、ルールに基づく経済秩序の維持強化といった日米共通の課題について、一層連携を強化していきます。

 重要な隣国である韓国とは、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り開いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ね、グローバルな課題についても連携を一層強化していきます。

 ASEAN諸国、豪州、インド、欧州諸国を始め、基本的価値を共有する国々、パートナーとの協力関係を更に強化し、そのネットワーク化も進めていく考えです。

 英国及びイタリアとの間では、次期戦闘機の共同開発を円滑に進める必要があります。我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現し、我が国防衛に支障を来さないようにするために、第三国への直接移転を行い得る仕組みを持ち、英伊と同等に貢献し得る立場を確保することが我が国の国益にかなうものと考えています。

 インド太平洋地域における法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化により、地域全体、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。今後も、日米豪印、日米韓を始め、このような考え方を共有する国々とも連携しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を強化していきます。

 近隣諸国等との間の懸案の解決も重要な課題です。

 日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中ロの連携を含む我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。

 特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領海、領空を、日米同盟を基軸としつつ、断固として守り抜くとの決意の下、中国に対しては、主張すべきは主張しつつ、冷静かつ毅然と対応していきます。

 南シナ海をめぐる問題についても、地域における力による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対します。そして、力や威圧によらず、国際法に基づき紛争を平和的に解決することが重要であると改めて強調していきます。今後も、中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や活発化する活動を注視しつつ、その透明性の向上を働きかけていきます。

 竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。

 日ロ関係は引き続き厳しい状況にありますが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していきます。また、海洋における安全に係る問題等、日ロが隣国として対処する必要のある事項については、我が国の国益を踏まえ、ロシア側への働きかけを含め、引き続き適切に対応していきます。

 北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化の実現を目指します。とりわけ、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で取り組みます。

 北朝鮮による核・ミサイル活動も推し進められています。一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。米国、韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていきます。

 地域、国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。

 中東情勢は引き続き予断を許しません。ハマス等によるテロ攻撃を断固非難すると同時に、ガザ地区の人道状況を深刻に懸念しています。人道状況の改善、事態の早期鎮静化、周辺地域への波及防止といった課題に対処すべく、私自身、現地への訪問やG7外相声明の発出、安保理決議の採択に向けた働きかけ等、精力的に対応に当たってきました。

 我が国は、引き続き、国際機関への支援等を通じ、ガザ地区の人道状況の改善に取り組みます。また、現在のような悲劇を繰り返さないため、国際社会が支持してきた二国家解決の実現に向け、米国を始めとする関係国と連携しながら、積極的に貢献していきます。

 また、中東地域に原油輸入の九割以上を依存する我が国を含め、世界経済の安定と成長にとり不可欠であるエネルギーの安定供給、そして、これを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期してまいります。

 核軍縮・不拡散については、ヒロシマ・アクション・プランの下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続、強化していきます。十八日にニューヨークにて、核兵器のない世界の実現に向け、核兵器国と非核兵器国の間の議論の促進のため、核軍縮・不拡散に関する安保理閣僚級公開会合を開催する予定です。

 経済安全保障について、国家安全保障戦略では、日本の自律性の向上や、技術等に関する日本の優位性、不可欠性の確保に向けて措置を講じていくことを確認しています。その中で、外国からの経済的な威圧に対する効果的な取組を進めることも確認したところです。

 さらに、昨年のG7広島サミットでは、経済的強靱性及び経済安全保障に関する包括的かつ具体的なメッセージを初めて独立声明として発出しました。

 外務省として、安全保障政策や対外経済関係、国際法を所管する立場から、今後の情勢の変化を見据えた更なる課題について不断に検討を進めていきます。また、G7を始め、同盟国、同志国等との連携強化や新たな課題に対応する規範の形成等、引き続き積極的に取り組んでまいります。また、サイバー安全保障の推進にも取り組んでいきます。

 最後に、分野横断的に、国際社会の平和と安定、繁栄に貢献するアジェンダとして、女性・平和・安全保障、いわゆるWPSが重要です。

 WPSは、人間の安全保障など日本が掲げる人間中心の外交を支えるものであり、様々な課題に対処する上で不可欠です。今後も、あらゆる局面でWPSに関する国際的な協力を進めてまいります。

 小泉委員長を始め、理事、委員各位の御指導と御理解を心よりお願い申し上げます。

小泉委員長 外務大臣は御退席をいただいて結構です。

 次に、令和六年度防衛省関係予算の概要について説明を求めます。鬼木防衛副大臣。

鬼木副大臣 防衛副大臣の鬼木誠でございます。

 小泉委員長を始め、理事、委員の皆様におかれましては、御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 令和六年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 令和六年度予算においては、防衛力整備計画期間内の防衛力抜本的強化実現に向け、必要かつ十分な予算を確保するという考えで計上いたしております。

 具体的には、スタンドオフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力等の防衛力の中核となる分野の抜本的強化、可動数向上、弾薬確保、防衛施設の強靱化に取り組むなど、防衛力抜本的強化の七つの分野について、引き続き推進することとしています。

 また、人的基盤の強化、衛生機能の強化等、防衛生産・技術基盤の維持強化にも取り組みます。なお、足下の物価高、円安の中、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底するとともに、まとめ買い、長期契約等による装備品の効率的な取得を一層推進する考えです。

 防衛省所管の一般会計歳出予算額は七兆九千百七十一億七千七百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、一兆千二百九十二億千百万円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で五千百六十八億四千九百万円、潜水艦建造費で千九十三億四千八百万円となっております。

 また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品等の購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で七兆六千三百六億五千四百万円となっております。

 次に、特に重点を置いた施策について御説明申し上げます。

 第一に、我が国の防衛力の抜本的な強化です。

 昨年度に引き続き、射程や速度、飛翔の態様、対処目標、発射プラットフォームといった点で特徴が異なる様々なスタンドオフミサイルの研究開発、量産、取得を行います。また、高度化する弾道ミサイル等の脅威から我が国を防護することを主眼として、イージスシステム搭載艦の建造に着手します。

 第二に、同盟国、同志国等との協力です。

 我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要です。このため、日米同盟による共同抑止・対処を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国等との連携を推進してまいります。

 第三に、防衛生産・技術基盤の維持強化です。

 装備品の安定的な調達を確保するため、防衛生産・技術基盤を国内において維持強化していきます。防衛生産基盤強化法の着実な執行等による、力強く持続可能な防衛産業の構築、様々なリスクへの対処、防衛装備移転の円滑な実施や、画期的な装備品等を他国に先駆けて実現する研究開発、民生の先端技術の積極的な活用に取り組んでまいります。

 第四に、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化です。

 必要な人材を確保し、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備するため、自衛隊員の手当を引き上げ、給与面の処遇の向上を図ります。また、これまで自衛官の予算上の人員数の上限とされてきた実員を廃止し、本来の自衛隊の任務の遂行に必要な人員の確保に取り組んでまいります。

 以上の防衛省所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百二十四億二千八百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。

 これをもちまして、令和六年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 失礼しました。

 冒頭、概要を申し上げる部分で、計上いたしておりますと申し上げましたところを、計上しておりますというふうに修正をお願いいたします。

小泉委員長 以上で説明は終わりました。

 この際、柘植外務副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。柘植外務副大臣。

柘植副大臣 外務副大臣を拝命いたしました柘植芳文でございます。

 国民の命と暮らしを守り、国際社会の平和と安定に一層貢献すべく、外交分野において全力を尽くす所存でございます。

 小泉委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を心からお願いを申し上げます。

小泉委員長 次回は、来る十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十二分散会


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