衆議院

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第4号 令和5年4月7日(金曜日)

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令和五年四月七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古賀  篤君

   理事 菅家 一郎君 理事 堀内 詔子君

   理事 務台 俊介君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 篠原  孝君 理事 森田 俊和君

   理事 漆間 譲司君 理事 輿水 恵一君

      石川 昭政君    石原 宏高君

      石原 正敬君    今枝宗一郎君

      国定 勇人君    武村 展英君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      柳本  顕君    山口  壯君

      近藤 昭一君    坂本祐之輔君

      堤 かなめ君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    奥下 剛光君

      空本 誠喜君    日下 正喜君

      平林  晃君

    …………………………………

   環境大臣         西村 明宏君

   環境副大臣        山田 美樹君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           森  政之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (気象庁大気海洋部長)  野村 竜一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   環境委員会専門員     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  日下 正喜君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  平林  晃君     日下 正喜君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官上村昇君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官森政之君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、気象庁大気海洋部長野村竜一君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長松澤裕君、環境省水・大気環境局長秦康之君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、環境省総合環境政策統括官上田康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。

堀内委員 本日は、環境委員会にて質問の機会をいただきまして、古賀委員長を始め理事の先生方、そして委員の先生方、厚く御礼申し上げます。

 自由民主党の堀内詔子です。よろしくお願いいたします。

 熱中症対策推進議員連盟という議員連盟があります。この議連は、令和元年六月に、今は亡き望月義夫元環境大臣を会長として設立されました。私も発起人の一人としてメンバーに加えていただき、今では事務局長を務めております。会長には丸川珠代先生、そして井上信治会長代行や笹川幹事長を始め、望月先生の御遺志を継いで、熱中症対策に取り組んでいます。

 現在、地球全体で温暖化が進む中、日本でも、熱中症で、近年は年間約千人の方々が貴い命を落としていらっしゃいます。これは災害と言っても過言ではありません。自然災害による死亡者をはるかに超えています。気候変動により、ますます深刻化していくと予想されます。地球温暖化による人体への悪影響から人々の健康を守るための熱中症対策、これは喫緊の課題であり、急ぎ進めていかなくてはなりません。

 海外においても、災害、それは多く起こっております。例えば、衝撃的だったのは、令和三年六月に発生したカナダのブリティッシュコロンビア州での熱波です。北海道の宗谷岬より少し高い緯度に位置するところで、普通の六月の平均気温は二十四・三度の地域でございますが、その年は四十九・六度を記録いたしました。

 この熱波による死亡者は、六月二十五日から七月十二日の十八日間で六百十九人。これを東京都の人口、東京は約千四百万人ですので、それで換算すると、約千七百二十人が十八日間で亡くなられたということになります。また、特に四十度以上を記録した六月二十七日から三十日までの僅か四日間では、ブリティッシュコロンビア州では四百八十五人の方が亡くなりました。これを東京都の人口に換算すると、千四百四十人という方々が命を落としたということになります。

 スペインやイギリスなどでも最大級の熱波に襲われ、多くの方々が命を失っていらっしゃいます。また、イギリスにおいては、鉄道が運休し、空港滑走路が閉鎖され、政府は国民に対して自宅待機を要求するといった事態となりました。

 昨年十一月に行われたCOP27では、緩和のみならず、適応というのが重要課題とされるなど、世界的にも、適応策の一部である熱中症対策の強化はますます重要課題となっております。

 熱中症対策推進議員連盟では、毎年、熱中症対策の必要性について政府へ提言の申入れを継続的に行ってまいりましたが、昨年末には、熱中症対策に関する法整備を政府に要求する提言を手交いたしました。

 また、今国会における岸田総理の施政方針演説にも、猛暑から人命を守るための熱中症対策の強化をする旨が盛り込まれました。

 この度、気候変動適応法等の改正案が提出され、熱中症対策の強化が図られようとしていますが、熱中症から命を守るためには、実効性のある取組でなければ意味がありません。本日は、この法案の実効性の確保について質問したいと思っております。

 まず初めに、先ほど申し上げたように、熱中症で近年千人を超える方が亡くなっているところでございますが、これに対する法案を環境省が提出しているところでございますが、環境省だけでできることというのは限られていると思っております。議連でも、十一府省庁の方に関わっていただいているところです。役割を果たすべき関係省庁は多岐にわたりますが、政府一体での対応強化を図るため、どのような体制を取ろうとされているのか、西村大臣に伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 今お話しいただいたように、堀内委員を始め多くの先生方に熱中症対策の推進に大きなお力添えをいただいておりますことに、まずもって感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 堀内委員御指摘のように、熱中症対策は非常に多岐にわたるものでございまして、また、関係府省が連携して一体に取り組んでいくということが必要でございます。

 政府は、改正法案の成立後に、夏本番を迎える前に、閣議決定計画であります熱中症対策実行計画を取りまとめる予定でございます。この計画の中で、各府省庁が進める具体的な対策というものを規定してまいります。

 対策の実施状況等につきましては、私が議長を務めます熱中症対策推進会議において確認して、政府全体としてしっかりと取組を進めてまいりたいというふうに考えています。

堀内委員 大臣、ありがとうございます。環境省のリーダーシップが大切だと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、熱中症警戒アラートについてです。

 熱中症警戒アラートは環境大臣が出すこととなっていますが、自然災害のアラートは気象庁にノウハウと実績があります。気象庁は環境省とともに現在のアラートに係る取組も法施行後も継続するとともに、この度、新たに設けられる熱中症特別警戒アラートについても、気象情報の収集や国民への周知などについて、気象庁の役割は非常に大きく、そして気象庁の協力が不可欠と考えますが、気象庁のお考えをお聞かせください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、熱中症警戒アラートは令和三年より全国で運営されており、今後も気象庁は発表に協力してまいりたいと思います。

 今回の本法案では、熱中症特別警戒情報につきましては、環境大臣が発表し、都道府県知事に通知し、一般に周知することとなっており、気象庁長官は、そのうち、的確かつ迅速な発表に資するよう、必要な協力を行う旨が定められております。

 このため、気象庁といたしましては、これまで蓄積した知見を活用して、熱中症特別警戒情報がより実効性の高いものとなり、国民の安全、安心のためになるよう、気象に関する情報の提供など、発表に必要な協力をしっかりと行ってまいりたいと思っております。

堀内委員 ありがとうございます。

 多くの国民は、テレビやインターネットなどで天気予報で気象情報を得ていると思います。熱中症に関する情報もしっかりと周知できるような取組をよろしくお願いいたします。

 次に進みます。

 地球温暖化が進めば、これまで経験したことのない熱波が到来するおそれもあります。それはまさに災害と同じ有事であり、国の危機管理の一環として熱中症対策に取り組んでいくべきだと思っております。特別に配慮が必要な方々の所在把握など、あらかじめ体制の準備をしておくべきだと考えます。

 内閣府防災において、避難の際に支援を要する方々の把握についてはどのように取り組まれているのか、お伺いします。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 避難の際に支援を要する方々については、市町村において、自ら避難することが困難であり、避難の際に支援を要する方々について、氏名、生年月日、性別、住所等、電話番号その他の連絡先、避難支援等を必要とする事由などが記載された名簿を作成しております。

 内閣府防災においては、避難行動支援に関します事例集を作成し横展開を図るとともに、リーフレットを作成して制度の趣旨につきまして周知するなど、名簿の有効活用が進むよう取り組んでおります。

堀内委員 ありがとうございます。

 先ほども述べましたが、海外で発生している熱波の発生状況を見ると、短期集中的に甚大な健康被害を起こしているという点に特徴があります。特別に配慮が必要な方に対する迅速な対応は非常に大切でありますので、先ほどの答弁も踏まえて、環境省を始め各省協力して準備を始め、実効性のある取組をよろしくお願いいたします。

 今の問いの関連でもありますが、法改正によって、市町村は、冷房を備えた公共施設やショッピングモールなどをクーリングシェルターとして、避難施設として指定することができます。特別警戒アラート発表を受けて開放することになっています。要避難支援者に対する誘導や、場合によっては搬送なども必要になってくると思いますが、それを実際に担う市町村の体制はまだまだできておらず、その人員体制をどう構築するかが今後の課題となっています。

 環境省としてはどのように検討を進めていくか、お聞かせください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 クーリングシェルターにつきましては、地域の住民、特に高齢者等の熱中症弱者に、暑さをしのげる場所として活用していただくことを想定しております。

 御指摘の避難や搬送につきましては、現場を担う市町村における実行可能性を考慮しつつ、既存の災害対策の枠組みとの効果的な連携等につきまして今後検討していきたいと存じます。

堀内委員 ありがとうございます。

 熱中症で亡くなる方々の大部分は高齢者と聞いております。しかし、高齢者の中には、暑さに気づかずに、あるいは、節電意識でエアコンをつけずに亡くなるケースや、生活が困窮し、そしてエアコンを設置していないという方も多くいらっしゃいます。

 訪問介護や民生委員、ボランティアの活動など、高齢者福祉の仕組みの中で高齢者を見守り、エアコン稼働や水分補給などの声かけをすることが欠かせないというふうに思っておりますが、御所見をお願いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の熱中症対策につきましては、高齢者御自身や地域の方々に熱中症予防について正確な理解を広げていくことが重要と考えております。

 高齢者のための熱中症対策に関する分かりやすいリーフレットを関係省庁と連携して作成いたしまして、自治体とも連携して、このリーフレットを高齢者に関わる事業者宛てに送付することなどを行っております。

 先生御指摘のとおり、訪問介護員が高齢者の自宅を訪れた際に、日頃行う健康状態の確認と併せて声がけを行うでありますとか、民生委員、ボランティアの方々が地域の高齢者に接する中で熱中症の注意喚起を行うといったようなきめ細かい働きかけも重要と考えておりまして、こうした地域の中の支え合いの取組を関係省庁と連携してサポートしてまいりたいと考えております。

堀内委員 ありがとうございます。

 地域において、地方自治体と連携し、熱中症対策に関する正しい知識や情報を広くお知らせするとともに、適切な対応を取っていただくことは重要であると思います。

 この法改正によって、守れる命を守る、被害を未然に防ぐ、そういったことができるように、これまでより機動的な対応が取れるようになることを期待しております。

 さて、時間が押してまいりました。こども家庭庁の方にお越しいただきましたが、ちょっとその質問をカットさせていただいて、最後に大臣の意気込みを伺いたいというふうに思っているところでございます。

 今まで様々質問させていただいたように、関係省庁や自治体の取組は重要ですが、熱中症に対する国民の危機意識が低いままでは取組は前に進まないというふうに思っております。情報発信と普及啓発を広く行い、環境大臣がリーダーシップを発揮して引っ張っていく、そのことを期待しておりますが、西村大臣の意気込みを伺いたいと思います。

西村(明)国務大臣 熱中症は、適切な予防行動を取ることによって死亡や重症化を防ぐことができます。このため、今、堀内議員御指摘のありましたように、国民の皆様の危機意識を高めて適切な行動を促す効果的な情報発信や普及啓発を行うことが重要だというふうに考えております。

 この法案におきましては、新たに熱中症対策普及団体を制度化して、高齢者等の熱中症弱者に対しましてエアコンの使用や水分補給などの呼びかけを行っていただくことで、きめ細やかな啓発に取り組んでいくこととしております。

 また、早速この夏から、私といたしましてもしっかりとリーダーシップを発揮して、関係府省庁や産業界とも連携しながら、政府一体となった情報発信、これをしっかりとやってまいりたいと思っております。

堀内委員 西村大臣、ありがとうございます。

 災害は、未然に防ぐことが何よりも重要です。この改正法案は、災害が発生してからではなく未然に防ぐという観点がポイントだと認識しています。そして、実効性をしっかりと捉えた仕組みを整えていかなければなりません。進めていく上では、自治体の協力は欠かせないと思っております。

 国民への周知とともに、丁寧な取組をお願い申し上げて、堀内からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。

 冒頭、ちょっとおわびをしなければなりません、質問ですけれども。東京都にもおいでいただく予定だったんですが、昨日の三時過ぎに皆さんお忙しくて来れないということで断られまして、それで急遽質問を作り直したりして、環境省の事務方の皆さんにはどたばたさせたんじゃないかと思って反省しております。おわびいたします。

 では、質問に入らせていただきます。

 熱中症対策、この法案、我々は何の異論もありません。大事なことですから、どんどんやっていただきたいと思います。

 ヒートアイランドというのを最近余り言われなくなりましたけれども、東京はひどいんですね。全部コンクリートに覆われて緑がだんだんだんだんなくなっているということで、学者先生をイントロで御紹介させていただきたいと思います。

 三上岳彦さんという東京都立大学の教授が、都市の木とヒートアイランドの関係をいろいろ研究されています。東京都は都心部の気温が非常に上昇していると。これは、皆さん当たり前になって感じておられないと思いますけれども、二つあるんです、高層ビル化と緑地の減少です。この間質問したことにみんな深く関わっているわけです。

 人工表面の熱収支変化、この五十年間で二度。地球全体の温暖化の問題とよく言われていますけれども、東京の温暖化が著しいんです、五十年間で二度高くなっているそうです。このままの割合でいくと四十年後には東京の気温が現在の鹿児島と全く同じになるそうです、年平均気温が十八・八度Cになる。特に、夏には、海風の恩恵を受ける沿岸部と異なり、高層ビル群は海風が遮られて気温が上昇する。だから、ビルを三つ造るとかいっていますけれども、これに拍車をかけるんですね。

 それに対して木はどういう効果があるかというと、木陰ですね。皆さん木の下に行って、日陰に。牛も、放牧しておくとみんな木の下に行きますよ、夏は。牧場へ行くとよく分かります、夏になると木の下を奪い合っています。それと、もう一つある、蒸散効果があるんです、これで気温を下げる働きがあるんです。だから、夏に森林に行けば、フィトンチッドとかいっていますけれども、気持ちがいいわけです。

 目黒の自然教育園、ここにまで手をつけて変なことをしないと思いますけれども、二十ヘクタールあります、樹木が約一万本植わっているそうです。家庭用のエアコンの二千台分の冷却効果があるそうです。木がいっぱいあるからですね。

 一九七〇年から二〇二〇年の間に、日本は湿度と気温を合わせた仕組みというのができていないんです、僕はこれをつくるべきだと思いますけれども、熱帯夜というのがありますね、皆さん定義は御存じだと思います、熱帯夜がこの五十年間に増え続けて三倍になっているんです。

 全部が二つの原因なんです、東京は。高層ビル化と緑地の減少です。だから、今の法律は熱中症になった人たちを助けるものですけれども、我々は予防措置を講ずることに相当力を注がなければいけないんじゃないかと思います。

 もう一つあるんです、神宮外苑は周辺と比べて気温が常に二度から四度低いんだそうです。木の効果というのは絶大なんです。寄らば大樹の陰というのは、違うものでよく使われますけれども、熱中症についてはまさに寄らば大樹の陰なんです。その大樹をみんな切ろうとしているんです。私は、皆さんお気づきでしょうけれども、今は神宮外苑の再開発の阻止に熱中しております。

 もう一つ、ついでだから、この法律のヒートアイランドのことなんですけれども、脱炭素。今、経済産業委員会でGX脱炭素電源法の審議に入っています。私は経済産業委員会で、あっちでも質問したいんですけれども、こっちの方が大事なので、こっちに来ています。

 それについては、糸長浩司さんという、日大の生物資源科学部ですね、生物の関係を研究されている。農村計画学会に入っておられます、緑のことを研究されているんです、その方が言っておられます。とてもじゃないが、今このままでいったら二〇三〇年に四六%のCO2の削減なんかできないと。二〇五〇年にゼロにして二一〇〇年までに一・五度Cの上昇に抑えるためには二〇三〇年までに、糸長教授の計算によると、四六じゃなくて六二%削減しなければならない、こういうことを言っておられます。

 それで、面白いことを計算されているんです。建物の機器もあるんですが、土木工事、建設工事をするといっぱいCO2を排出する、お分かりになりますよね、いろいろなエネルギーを使うので。計算で、平米当たり、何平米、何坪とかよく言われますけれども、それで約一トン、大体そのぐらい排出するんだそうです、一平米の建物を建てるときに。十年間で、新築したりして、二〇三〇年までといっていますから、三〇年まではあと七年ですけれども、新築が、いろいろ関係すると毎年百万トンぐらいCO2を出すんじゃないかと言っているんです。

 今度、CO2を吸収するとなると、これは林野庁の計算ですけれども、普通の杉の林、日本ではいっぱい杉がありますけれども、杉は一ヘクタール当たり八・八トンのCO2を吸収してくれるんだそうです。

 それで計算していくと、収支がどうなっているかというと、東京都は圧倒的にCO2を出しているわけです。ほかの県、山ばかりあるところに、農村地帯とか、そちらの方にツケを回しているんです。自賄いしなくちゃいけない、日本国は日本国でCO2の排出を下げて一・五度Cにならないように努力しなくちゃいけませんけれども、東京が首都だからといって野方図にビルをどんどん建てて、冷房をどんどんかけ、どんどん暖房もやって、そういうようなことをしていたらよくないということです。自分で自助努力をして、自己完結でやっていかなくちゃいけないんじゃないかと私は思います。

 それで、質問というか提案ですけれども、その延長線上で、今回の法律は、堀内委員がいろいろ質問されていましたけれども、熱中症になってしまった者の救済が中心ですよ。これはいいことだと思う、やらなくちゃいけないと思います。だけれども、熱中症にかからないように都市の緑を残すこと。具体的には、我田引水ですけれどもね、二十三区内、特にここですよ。多摩とか、あっちの方の檜原村とかは、あっちは大丈夫ですけれどもね。東京都二十三区内では、少しでも緑で被覆する土地を多くする。

 そういうふうなことをしていかなければならないと思うんですが、環境省はこれについて意を余り注いできておられないと思いますね。ほかの省庁がいろいろやることですけれども、号令はかけてもいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

柳本大臣政務官 篠原委員御指摘のとおり、実際に、地球温暖化や都市のヒートアイランド現象によって、東京を始め都市等において人が感じる暑さは厳しさを増しているものと認識しております。

 水、緑、風等の自然の力を生かして暑さをコントロールするまちなかの暑さ対策の重要性が増していることから、環境省では、まちなかの暑さ対策ガイドラインを作成し、啓発に努めているところでございます。

 盛夏において樹木の陰に入ると、ひなたに比べ暑さ指数が二程度、体感温度が七度程度低くなるとの報告もあることから、委員御指摘のとおり、都市の緑は熱中症対策に資するものと認識をしております。

篠原(孝)委員 それで、緑は本当に大事にしていかなくちゃいけないのに、切るというようなことをしているんですね。日本は、憲法二十九条の財産権、私有財産とか、そういう概念が強過ぎるんですよね。だから、自分の土地だったら何をしてもいいというふうになっている。これは物すごく間違った考え方でして。

 今そこに住んでいる、庭つきの家に住んでいる、畑を耕している、山を持って木を植えてやっている。それは所有してやっているかもしれませんけれども、御先祖様から預かったもので、それをちゃんと維持して、子孫につなげていく、リレーしていく。いっときの占有者でしかないんです。それを日本は、しようがないんですけれどもね、社会科の授業みたいになりますが、地租改正で税金を土地からだけ取ったので、私有権をきつくし過ぎたんですね、それで自分の土地だとなっている。

 緑について言えばどうかというと、皆さん信じられないと思いますけれども、アメリカでも、全部じゃないですが、アメリカとオランダは確実にこのルールがあるんです。大木は、自分の所有地の中の木でも切ってはいけないんです。

 これは一度ここでも紹介したことがあると思いますが、オランダ大使館が大使公邸を改築すると。早速通知が来まして、この木とこの木とこの木を避けて切らないで改築しろと。そこまで介入してきているんです。それを、治外法権でけしからぬ、こんなことを言ってきてと言っていますけれども、それは逮捕されたりしないということで、環境のルールや交通ルールは守るのが当然です。

 あの広大な土地を持っているアメリカ、自由だと、皆さんはプライベートのことを物すごく重視されていると思われているかもしれませんけれども、木は切っちゃいけないんです。日本でも、皆さん二十三区に住んでおられて、余りお金持ちはおられそうもないから、一戸建てのうちに住んでおられる方が何人いるか知りませんけれども、大木にはちゃんと、何々区から、この木を切らないでくださいと。その代わり固定資産税をまけます、あるいは剪定の代金を年に、まあ、はした金で、それっぽっちではとても維持できないそうですけれども、お金が出たりしている。それをやっているのに、東京都は神宮外苑を切ってしまう。

 資料をお届けしています、ちょっと見ていただきたいんですが。これは今正面におられる石原宏高さんのお父さんを絶賛する記事です、見ていただきたいんですが。

 石原都知事、参議院宿舎予定地を視察、森を潰すのは反対とある。よく見てください、いかに立派な都知事だったかということ。副知事も立派です。視察しているんです、分かりますね、清水谷のあの宿舎です。

 宿舎を今建っているところに建て直せばいいじゃないですかと。誰かがおとといだか言っているのと同じですよね、今のところに建て直せばいいんだと。そして、まだ優しいんです、建て替えの間、東京都が適当なプレハブも造る、ここまで言っているんですね。皆さんは高圧的で印象が悪いから変なことばかり言っていると思っているかもしれませんけれども、いいことをいっぱい言っているんですよ、よく聞いてみると。私の発言も十年後にこうやって取り上げられてほしいと思っているんですけれどもね。

 猪瀬副知事も、ここには巨木が多い、新しく植えるよりも今あるものを残した方がいいと。分かりますか、この感性が。

 坂本龍一さんが、最後の力を振り絞って小池都知事に手紙を書く。

 このお二人は作家ですよ、鋭敏な感性をお持ちの方、そういう感度のいい方。我々一般人は駄目なんです、ここまでいかないんですよね。

 それで、参議院の西岡武夫議院運営委員長は凍結しているんです。いかに立派か、立派なやり取りをしているか。二〇〇七年、今から十六年前です。

 次のページを見ていただきたいんですけれども、これは西村大臣に対するエールです。堀内委員も西村大臣に頑張ってほしいと言っているのは、私もそう思います。これは、英断により事業を止めた、変更された事例を調べました。一番左に神宮外苑の駄目な事例があるんですけれども、右に清水谷宿舎建設が。

 どうなったかというと、断念してやめた。最初の十六階建ての五十六メートルの計画を、高かったのを縮小した。それにしたって、十四階四十九メートル。だけれども反対者の動きで、今紹介したとおりです、建設に同意せず。しばらく止まっていて、二〇一七年頃から、結果ですね、二〇二〇年二月、元の場所に、いいですか、ここが大事で、元の場所に八階建てで三十メートルの高さで建設しているんです。いかに都知事、副知事が偉くて、それに柔軟に参議院も応じているかということです。

 次のページを見てください。風致地区というのがあるんです。いかに対応が違うか、東京都が来ないのでさんざん悪口を言ってやりますけれどもね。

 東京都二十三区内の風致地区一覧です。一番上に、一番最初の風致地区です、大正十五年九月十四日、明治神宮内外苑付近と書いてありますね。十一のところに、弁慶橋、千代田区、港区及び新宿区、あそこが風致地区だったんです。風致地区は開発してはいけないんです。だから、都知事はそれでもって国のを止めたんです。

 それを、今の都知事は何をしているかというと、風致地区なのにもかかわらず、自ら進んでちょろまかしているんですよ。ここのところは本当は開発しちゃいけないのに、自分が勝手にできるので勝手に、解除の行為もしていないと思いますよ、そして再開発しているんです。いかに違うか、正反対です。比べると、石原慎太郎都知事がいかに考えておられるかというのがよく分かるんです。これは本当に問題だと思うんです。だから、皆さんに真剣になっていただきたい。

 二ページ目のところを見てください、今までの歴戦の環境大臣。

 もう覚えておられる方はだんだん少なくなっていると思いますけれども、大石環境庁長官、お医者さんでした。変なことを言うのをみんな蹴散らしていました。尾瀬沼、そこに道路を造るというんです、三県の知事が束になって道路を造れと言ってきたんです。二十世紀型というのはこんな感じですよね、そこに道路を造るのが大好きな田中角栄さんも絡んでいます、それを駄目だといって却下したんです。経緯のところに書いてありますけれども、田中正造さんの天皇への直訴と同じようなものですけれども、平野さんという方が初代環境庁長官の大石さんの自宅にまで行って直訴したんです。意気に感ずということでストップさせているんです。今や、尾瀬沼はトレッキングやハイキングで人気絶頂のところです。

 それから、藤前干潟埋立てというのも、愛知県の方は覚えておられるかもしれません、これもひどかったんですよ。これは災い転じて福となすという典型的な例ですけれどもね。

 ごみだらけなんです、ごみ。産業廃棄物の埋立用地として絶好の地だから百五ヘクタールを埋立てするという経緯があったんですけれども、反対運動が起こる、名古屋市議会も反対する。

 市長に、たしか松原さんという立派な市長がいたはずなんです。どうしたかというと、真鍋賢二環境庁長官が、新聞記事とかほかの云々もあったんですが、私服でもって視察して反対の表明をされるんです。九八年八月に環境省が、鳥類、海洋生物保護の立場から反対と異例の表明。環境庁長官は何の権限もないんですよ。環境庁長官が表明して、それで大効果なんです。翌年に中止して、ラムサール条約の保存すべき干潟にしているんです。

 その後、もっといい展開をするんです。名古屋はごみだらけだった。御嵩町というのは分かりますか、岐阜県のところで。ごみ捨場になっていて、町長がピストルで撃たれたとかいう事件があったはずです、ごみ問題で困っているんだと。反省して、ごみの減量に取り組み始めて、でかい都市では名古屋市が分別収集を一番きちんとしている。世界に類例を見ないやり方です。

 名古屋、愛知県にごみがたまるのはしようがないですね。中京工業地帯に鉱物資源を輸入して、そこで加工して輸出していくわけですから、かすがいっぱい残るわけです。だから、名古屋に集中的に産業廃棄物がたまるんです。もちろん家庭廃棄物は東京も同じで、産業廃棄物が多かったんです。だから、ここは災い転じて福となすということなんです。

 それから、似たようなのでは新宿御苑のトンネルがあるんです。これはトンネルの前に、下の経緯を見ていただきたいんですが、道路を造るというのが、同じ道路なんだが、ここは立派なんです。だから、環境省に頑張ってもらいたい。今は環境省のものになっているんです、新宿御苑は。この当時は厚生省なんです。厚生省がクレームをつけたんです、東京都に対して。その道路はやめてくれ、新宿御苑を横切るなと。だったらというので、トンネルにするといったんです、木を守ると。だけれども、トンネルにしたって、地下水系とか何かは壊れますよね。その上の木はやはり育たないからといって、物すごく時間をかけて移植したりしたんです。

 だけれども、どうなったかというと、やってみてなんですが、結果を見ていただきたいんですが、十五メートル以内の保存率がたった三三%、一番下、十メートル以内はほとんど枯れてしまっている。分かりますか、何が言いたいかというと、神宮球場の横の四列のきれいなイチョウ並木は、一番下の、十メートル以内は生存僅か、これになる運命にある。

 一ページ目を見ていただきたい。黒くて済みません、カラーでやるときれいなんですけれども、お金がかかるので、これにしました。表参道から行って、入口のところ、左の突っ立っている木は緑がない、もう枯れているんです。イチョウは強いんです、枯れたのは一本もないんです。百四十六本、今まで百年、枯れたのが一本もなしで来たのにもう枯れ始めている。微妙なんです、自然を壊すとこういうことになるんです。こういう検証を全くしていなくて、急いで急いでやっているんですよ。けしからぬと思いますね、本当に、やり方が。

 大臣には最後に聞きます。

 悪口ついでに、一番最後のページを見てください。質問通告していたのをばっと見ていただきたいんですが、いかに変なことをしているかということ。

 法律違反だ、風致地区なのにもかかわらず。一番最後のページですけれどもね。説明はしていない。アセスメントの審議会があったりして説明とかをしていますけれども、関係する人しか来ちゃいけない、クローズでやるとか。もうめちゃめちゃです、アセスメントとか説明会とか。

 それから、こんなのは、三番目と四番目のは絶対に聞きたかったんですけれども、とんでもないへ理屈なんですよ。建て替えたり入れ替えたりする理由は野球をストップするわけにはいかないから、だから、やれるようにわざと替えるんだ、ラグビー場と神宮球場を。そこで建て直せばいいじゃないかというのをね。だけれども、大学野球界、六大学とか首都大学とかラグビー業界やヤクルトスワローズから、やめてくれ、一年使えないのは困るので、そんなことは言っていないと思うんです。スポーツを中断させないためにと。そんなことは、ほかに球場はあるし、ほかにラグビー場もあるから幾らでもできるんです。

 四番目は、こじつけも甚だしいんです。詳しいことを言うとややこしくなるので、やめますけれどもね。公園まちづくり制度というのがあって、余り利用されていないような公園というのは民間に開発させるようにするんだと。何と、秩父宮ラグビー場がふだんは入れないようになっている、五十年間一般に供用されていないからこの地区は民間に渡して開発していいんだ、そういうへ理屈をこねて地区指定を解除したりしているんです。

 そして、問い六のところは、二十九日、石川幹子中央大学教授の案内で、国会議員十数人で参加しました、私も行きました、船田元さんも行って、一時間四十五分、駆け足で見て回りました。ひどいですよ、これはこの間ちょっと紹介しましたけれども、白いフェンスで覆われている。建国記念文庫のところに、ナンジャモンジャと呼ばれている木で、天然記念物だそうです、それがいっぱい生えている、みんな切っちゃうんだそうです。天然記念物なのに枯死してしまう、そういうことを平気で東京都はしようとしている。石原都知事は逆のことをした。

 問い九ですけれども、建て替えという案はコストがかからないんです、木を切る必要もないんです。どうしてこんな単純なことが行われていないのか。日本イコモスがいっぱい注文をつけているんです。まともに答えているのが何一つないんです。

 日本の事業というのは、行政と事業者が結託したら、ゴーサインが出たら止まったことはないんです。環境アセスメントをやっていますから、ごちゃごちゃ言ったりしてちょっと変わるのはあっても、事業を止めた事例はないんです。でたらめで、新聞に大きく出ましたけれども、千何本だといったのが、三メートル以下の低木は伐採のカウントをしなくていいというので、切ることになっているのが三千本に増えた。めちゃくちゃなんです、やっていることが。余りにひどいから、アセスメントの審議会も、これで終わりじゃないよ、これからもどうやるかというのを監視していくと。関係者が評価しているというけれども、私は、駄目だったら止めるのが当然だと思いますよ。

 一番最後のは、一番最初のページにあるイチョウ並木がみんな枯れていってしまう、自明の理なんです。専門家がこれだけ言っているのにもかかわらず、全然やろうとしていないんですね。

 大臣です、大臣にお伺いします。

 石原都知事、猪瀬副知事の英断ですよ。どうでもいいことですけれども、猪瀬副知事は私の長野高校の二年先輩です。同じように長野のきれいなところで育っているから、きれいな気持ちになっていくんだろうと思います。弟は私の、二年下の弟はまさに同級生で、猪瀬知事よりもずっといい男で、性格がいいような気がするんだけれどもね。彼は作家になって。エコロジストなんです、作家の皆さんは。

 石原慎太郎さんは海が大好きで、海に出る。それから、皆さんは御存じでないと思いますけれども、遺伝子組み換え食品に絶対反対なんです。覚えている方がおられるかもしれないけれども、そんな変なものは食べない、そういう人。価値観が一致しているんです。

 この単純な、清水谷宿舎を参議院がそのとおりですよと応じてやめた、こういう行為を是非していただきたいんです。誰が言い出すべきかというのは、今度は都知事が全然駄目ですから、逆の行動をしているわけですから、今までの事例の大石武一、真鍋賢二、それに次いで西村環境大臣から、この間は優しくと各省庁には言ってみましたけれども、小池東京都知事には一喝する形で注文をつけていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

西村(明)国務大臣 篠原委員から大変思いのこもったお話をいただきました。その中でも、特に巨木に関して、数百年、中には千年を超えて生きている巨木もあるということでございますが、そういったものを今の時代で預かっているという、こういった考え方というのは非常にすばらしい考え方であろうというふうに個人的には思っております。

 ただ、一方で、我が国では憲法において個人の財産権といったものが非常に明確に規定されておりまして、そういった法治国家としての部分というものも考慮していかなければならないんだろうなというふうに思っております。

 また、今お話がございました、様々過去の事例がございましたけれども、そうした事例においての我が国の自然を保全していくというものは非常に重要であるというふうに考えております。特に、計画立案者が、今回の事例だと公的機関なのか民間なのかという違いも若干あるかというふうには思います。ただ、これは私の個人的な思いでございまして、法的には、また自然環境行政的には、国としてやるべきこと、そして地方自治体それぞれが地域の事情に鑑みた対応を行う自治事務として処理すべきこと、様々あるというふうに思っております。

 そうした中で、国としては可能な限り早期の段階で環境の保全の見地をしっかりと維持していきたいということでございまして、平成二十三年には、環境影響評価法の改正において、事業計画の立案段階において配慮事項の検討を行う計画段階配慮書に係る手続を規定したところでございまして、こうした規定を踏まえて、事業の計画段階において市民の意見の聴取を促しているところでございます。

 そういったものも踏まえながら、今いただいた篠原委員からの御意見を東京都の方にはお伝え申し上げたいというふうに思っております。

篠原(孝)委員 いろいろ済みませんね、まとめて聞いちゃっているので。

 通告は大臣にと言っていましたけれども、前職を考えると国定政務官にお答えいただくのがちょうどいいと思うんですよね。これからの質問です。

 何でこういうのが起きているかというと、私が水産庁企画課長というのをやっていたときに、東大の西尾教授のところに行って何回も議論したことがある地方分権ですよ。機関委任事務を廃止して地方分権を推進する、各省のいろいろな仕事を全部洗いざらいチェックして、今大臣からお答えのありました地方自治事務というのに、地方がやるんだというふうにしていったんです。

 それはそれで僕は流れとしてはいいかと思いましたけれども、何でもかんでもというので、同調圧力とかがひど過ぎるんですよね。典型的なのは環境問題で、木はちょっとそこが違って都道府県に任せたりしてもいいような気がするんですが、大気の汚染とかですね。私が担当しているのは水産資源の保全なんです。魚を捕り過ぎちゃいけない、海に県境はないですから、それをみんな県に任せたらばらばらになるから国がやるべきだというのを、そう主張して通りましたけれども。例えば、鳥獣害対策でイノシシが何とかと。イノシシは県境なんか関係ないからあちこちに、山はつながっていますからね、これは各県ばらばらでやっていたらどうしようもないので。

 だから、環境問題とか生物に関わるようなものについては、これですとCO2の排出権など、こういうのを余りにも一方的に地方に移管し過ぎたんです。大事なことは国の権限を残しておかなくちゃいけないんです。こういうことを、ちゃんと大臣がクレームをつけられるというのが法律にあったりしたらできるわけです。逆にさっきの風致地区は知事が駄目といったら開発できないんです、知事に下ろされちゃうんですから。

 知事と同じような権限を、なぜこれを言うかというと、県や市町村は、開発というのは今だけ金だけ自分だけという風潮があって、そっちの方に流れがちだと思うんです。それは国の観点からストップをかけなくちゃいけない、そういうふうにするためにもう一度、先ほど申し上げましたが、土地や何かもみんな、自分のものではなくて人類のためのものなんだ、子供たちも、その家の子供じゃなくてその地域の子供、何々市の子供、何々県の子供、日本国の子供、世界の子供なんだというふうになっているわけです、自然なんかはもっとそうなわけです、だから国が関与できるようなことをいっぱいつくっていかなければと、元に戻すことが必要なんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 先ほど西村大臣の方からも答弁を申し上げているところでございますけれども、こういうことを法制化していくときには、そもそも、国と地方の適切な在り方、ここの原点は忘れてはならないというふうに考えております。

 私もかつて市長をしておりましたけれども、いわゆる地方自治の本旨であります住民自治、ここについての観点からも、今ほどの御指摘をいただいておりますこの観点は検討を加えていかなければいけないというふうに考えております。

 御指摘いただいておりますとおり、非常に広域的な分野に及ぶものについては、国の一定の関与、こうしたものも現に環境行政の中でも施しているところもございますけれども、改めて、国と地方の在り方、ここの本質的なところについてはしっかりと見定めながら、これは断続的に検討を続けていく必要があろうというふうに思っております。

西村(明)国務大臣 委員御指摘のように、確かに、自然環境行政におきましては、県境、そうしたもの、区域を越えた問題が対象となるものがあるというふうには思います。そのために、例えば種の保存法などでは、一元的に国が対応するというもので、国が直轄で対応しているものもございます。

 一方で、今、国定政務官からもお話がありましたように、地方はそれぞれ、地方分権という形であり、地方自治というのは民主主義の原点でもございますので、これは大事にしなければならないということで、そうした地域の実情に鑑みた対応が必要となる場合には、国が一元的に管理するわけではなくて、自治事務として処理すべきものもあるというふうに思っております。

 本件に関しましても、大規模な、百ヘクタールを超えるようなものは必ず環境アセスをやるべきだという第一種事業として認定して国の方でチェックいたしておりますけれども、小規模なものに関しては各自治体においてそれぞれ環境影響評価をやっていただいているものというふうに理解しております。

篠原(孝)委員 誠意ある答弁をありがとうございました。

 以上で終わります。

古賀委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。よろしくお願いいたします。

 温暖化、暑さ対策ということで、まさに私が環境委員になった理由の一つがここなんですけれども、大臣には、今日、私が委員のうちにこの法案を出していただいて、本当にありがたいなというふうに思っております。

 といいますのも、私は生まれ育ちが埼玉県の熊谷市というところでございまして、幸か不幸か、日本で一番暑い町ということになっております。

 私も、県議会議員をやる前に、ボランティア活動というか、町おこし、町づくりのNPOなんかに所属しておるときには、ちょうど、二〇〇七年、平成十九年に熊谷が四十・九度という気温を出したことがありました。その前が、山形が一九三三年、昭和八年に四十・八度というのを、山形が日本一暑いというところで、私も教科書で習ったときには山形市が一番暑いんだというふうに習った記憶があるんですが。そこからずっと時代が流れて、二〇〇七年に四十・九度ということで熊谷がなったときに、日本一だということで、何でも日本一はいいことだというので、当時、「あついぞ!熊谷」というふうに言って、いろいろな、これを町づくり、町おこしに活用していこうということで、Tシャツを作ったりとか。

 私がそのイベントでやっているときには、辛いあめを作って暑さを味わおうとか、あと、車のボンネットで卵が焼けるのかみたいな。卵焼きを、中古車屋さんから要らないような車の黒いボンネットを借りてきて卵を割ったんですけれども、結局、それは焼けなかったんですが。そういうことをやったりして、ちょっと面白おかしくやろうというのが二〇〇七年以降はあったんですが、どうも流れが変わってきて、暑いということがそんなに面白おかしくやれることじゃないんじゃないかと。

 今日のテーマにもなっていますけれども、とにかく、暑さで命を落とされる方、あるいは命を落とさなくても救急搬送される方というのがかなり増えてきたというのもあり、また、全国的に、熊谷だけじゃなくて、暑さというものが大きな一つの課題になってきたということもありますので、今は暑さ対策日本一ということを目指して熊谷ではやっていこうというふうにやっております。

 いずれにしても、今でも、例えば、夏になると浴衣を着てみんなで打ち水のイベントをやろうとか、幾らかでも気温を下げていこう、あるいは快適に過ごそう、安全に過ごそう、こういうことを町づくりの一環としてもやっているということもありますので、ちょっとその辺りのことも触れながら質問させていただきたいなというふうに思っております。

 全体の今日の質問の流れでいきますと、まず、空間というか、部屋の中の話から始まって、あと、家、建物、それから、家を含めた周囲の環境を含めた話、こんな感じで、流れで進めていきたいなと思っております。

 まず最初に、今回の法案の中にクーリングシェルターのお話が出ております。クーリングシェルター、公的な施設を想定されていると思うんですが、もちろん、これはいいことだと思いますので、やるべきだと思います。

 そこに加えて、熊谷でやっていることの一つに、クールシェアというような言い方で、地元の青年会議所だとかが中心となって実行委員会組織でやっているんですけれども、涼を取る、これは暑さから逃れるという意味で、安全も含めて、あるいは快適ということも含めてやる。プラスアルファで、民間のカフェだとか普通の飲食店だとかで食事をしたりしながら涼を取ってもらおうということですとか、あるいはデパートですとか、そういうところで、例えば冊子を作って、来店していただいた方には少し何か飲物をプラスで出しますよとか、幾らか少しお値引きをしますよとかというので、安全、快適プラス地域の商業振興にもつなげていこうというような形で、民間の施設だとか店舗にもこの流れというものをつくっているということがあります。

 ですから、今回は、もちろん、法案としてはこれでいいと思うんですが、今後の展開として、是非、公的なものプラスアルファで民間にも啓発普及とかというものも含めてこれから進めていくべきではないかなと思いますが、大臣の御見解をお伺いできればと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 クーリングシェルターといたしましては、今御指摘のありました市役所の庁舎や公民館といった公共施設のほか、ショッピングセンター等の民間施設、こういったところも、既に冷房等の設備が整っているところにつきましては利用したいというふうに考えております。

 施設の指定に際しましては、市町村の実情をよく確認しながらガイドライン等をまとめるとともに、少しでも多くの施設の指定がなされるよう、市町村へ働きかけを進めていきたいと考えています。

 民間施設を指定する場合は、あらかじめ市町村とその施設の間で協定を結ぶことになっていまして、その中で細かな、どの日に開放するか、曜日ですとか時間の範囲、そういったところを詰めていただくということになっております。

森田委員 分かりました。

 先ほど申し上げたとおり、ここの考え方にはプラスアルファの商業振興もありますので、単なる危険回避というだけとは違うと思いますけれども、是非環境省の方でリーダーシップを取ってやっていただければなというふうに思っております。

 それから、まず安全ということ、身の危険というものを考えたときのことで、エアコンについてのことをお尋ねしていきたいなと思っております。

 熊谷市の熱中症の救急搬送の数字をこの十年間ぐらいで調べてみたんですが、昨年が百七十二件、二十万の都市ですけれども、百七十二件という救急搬送でしたけれども、先ほど申し上げた日本一の暑さ、四十一・一度を出したときの平成三十年、二〇一八年の数字は二百二ということで、やはり暑い年には救急搬送の数字もどうしても増えてくるということもあるかなと思います。

 とにかく、命の危険を感じるような暑いときには、いろいろ今は電気代のことも難しい時期ではありますけれども、エアコンを適切に使っていただくということがどうしても欠かせないんだというふうに思っております。

 熊谷市なんかですと、独自に予算をつけて、例えば高性能の、省エネ性能の高いエアコンの購入補助を行っているなんということもありますけれども、国としても、エアコンというとどうしても十万とか二十万、三十万という、少なくともそういう金額はすると思いますので、特に、生活にお困りの方に向けたエアコンの普及というものを進めていく必要があるかなと思いますけれども、ちょっとこの辺りの現状を教えていただければなと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 生活困窮世帯におきましてエアコンを設置するために必要な経費につきましては、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金の貸付けを受けることが可能でございます。

 また、生活保護制度におきましては、エアコンも含めて日常生活に必要な生活用品につきましては、保護費のやりくりによって計画的に購入していただくことが基本でございますけれども、保護費のやりくりによって購入が困難な場合には、生活福祉資金貸付けを活用して購入していただくことも可能としております。

 また、生活保護の開始時にエアコンの持ち合わせがないときなどにおきまして、真にやむを得ないと保護の実施機関が認めた場合には、一定の基準の範囲内においてエアコンの購入費用を支給することを可能としております。

森田委員 分かりました。

 エアコンの流れで、災害時、避難所へのエアコンについても、例えば水害が起きるときというのは、梅雨どきだとかあるいは台風のとき、まだまだ暑い時期だし、雨が降っていても急にまた暑くなるということもあるかなと思います。避難所へのエアコンの普及についてお伺いできればなと思っております。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 避難所における避難者の健康管理のため、暑さ対策は重要であると認識しております。

 内閣府では、自治体に対し、避難所に係ります取組指針やガイドライン等により、指定避難所のエアコン等の冷房機器については平時から導入を推進するよう周知するとともに、関係省庁と連携し、国の各種支援制度を活用し導入を図るよう通知しているところであります。さらに、冷房設備の整備、確保の先進的な事例を収集し、事例集に取りまとめ、自治体に周知しております。

 引き続き、関係省庁や自治体と連携し、避難所の生活環境の確保のため、暑さ対策としてのエアコン等の冷房機器の普及に取り組んでまいります。

森田委員 ありがとうございました。

 大臣に伺いたいんですけれども、元々エアコンというのがいわゆるぜいたく品の扱いで言われてきたという時期もありましたけれども、昨今のこの暑さということがありまして、やはり命を守るためにはエアコンを取り付けて適切に使っていくということが不可欠であると思います。

 先ほど申し上げたような避難所でも、例えば、学校の大きなスペースというと体育館がまず頭に浮かぶわけでございますけれども、そういったところで避難した後の環境というものを適切に保っていくためには、何らかの形の、すぐに冷暖房、いわゆるエアコンを入れるということはなかなか難しいのかもしれませんが。いずれにしても、そういった形も含めて、いろいろな対策を国としても進めていくべきではないかなと思いますが、この辺りについて大臣の御所見を伺えればなと思っております。

西村(明)国務大臣 今委員の御指摘のとおりだというふうに思います。

 そしてまた、今、厚生労働省や内閣府から答弁がございましたとおり、生活保護世帯へのエアコンの設置支援や、今御指摘のあった指定避難所へのエアコンの設置促進等は非常に重要であるというふうに考えております。

 環境省としても、これらの既存の枠組みを最大限活用しつつ、適切な支援が行われるように、今後作成、決定する熱中症対策実行計画、この取りまとめの中で、関係府省庁と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えています。

森田委員 よろしくお願いします。

 次に、建物としての住宅についての対策というものを質問していきたいなと思っております。

 先ほど申し上げたように、熊谷が暑い町ということになりまして、地元の企業で松本材木店さんというのがあるんですが、そちらで緑風の家というブランドをつけて、いろいろな、建物そのものと、あと周辺環境を含めた提案というものをしていただいているなんということがありまして、私も、松本さんのところでいろいろと、暑さ対策、暑さを快適に過ごす住宅についての勉強会、研修会というのがありまして、当時、暑さが熊谷の中で話題になっていた頃にそういった研修会をやっていただいていたものですから、何回か出させていただいて、いろいろ勉強させていただきました。

 今の国の制度の組立てとしては、主には建物そのものの断熱性能を上げていく。例えば、窓をペアガラスにしたりして、断熱性能、熱が逃げないということをメインにいろいろな補助、助成をしたりとか、あとは税制優遇をしたりというのがありますけれども、断熱性能が高くなるとどういうことが起こるかというと、一回熱が中に入ってしまうと、中の気温が上がってしまうと、今度は熱が逃げづらくなってしまうというのも、これもまた一つの側面としてございます。

 ということは、何が大事かというと、日光を中に入れない。日光が中に入ってしまうと、直射熱、輻射熱が中で気温を上げてしまうということがありますので、日光をいかに入れないかということが必要になってくるということも勉強させていただきました。

 日本の伝統的な流れとしては、よしず、すだれの類いがありますし、最近ですとグリーンカーテン、こういったものは比較的安価でできるということになりますけれども、例えば、少しお金がかかるところといえば外づけのブラインド、雨戸だと全部閉まっちゃいますので、多少隙間から自然光が入るような形で、外づけのブラインドですとか。

 あるいは、自分のうちを造るときに、私が自分で考えたんですけれども、ひさしを長く南に出すわけです。そして、夏は南中高度が高いのでこういうふうに日光が入るんですけれども、冬はこう入るわけですよね。ですから、冬は中に直射日光が入って夏だと入らないという角度を計算してこういう設計をしたんですけれども、ただ、やはりひさしを出すと、それだけ建材のとか、いろいろ強度の問題もあるので、お金がかかるとかということもあります。

 いずれにしても、いろいろな優遇の中に、直射日光を入れない、外部で直射日光を遮断するという考え方を取り入れるべきかなと思いますが、こちらについて環境省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。これは副大臣でしょうかね、お願いいたします。

山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 家庭部門からのCO2を削減するために、住宅の省エネ性能の向上は重要であります。このため、断熱性能、遮熱性能の向上や、住宅設備の高効率化も含めた住宅全体の省エネ性能の向上に向けて、関係省庁と連携し、税制措置、財政支援、普及啓発などを推進しているところです。

 議員御指摘の直射日光を遮るひさしやブラインドなどの利用も、遮熱性能の向上に非常に有効なものと承知をしております。

 環境省では、省エネ性能が高く、再エネを用いるZEHの誘導支援を行っているほか、特に断熱性能、遮熱性能の高い窓へのリフォームの集中的な支援を実施しております。その際に、ブラインドやすだれ、よしずの利用といった手軽にできる省エネ方法についても普及啓発に努めているところです。

 関係省庁とも連携いたしまして、住まい及び住まい方による住宅の脱炭素化の推進に努めてまいります。

森田委員 是非動機づけのところに、確かに、よしず、すだれをかけるだけだったら、ホームセンターで買ってきてかければそれで済んじゃう話ではあるんですけれども、普通の方ですとなかなかそこに思いが至らないということもあるかなと思いますので、税制優遇の条件に入れておくとか、そういった形で、思いがそこに至るような工夫を是非していただければなというふうに思っております。

 それから、住宅の中において自然エネルギーの活用のことなんですけれども、今まで、どっちかというと、エネルギー源があって、それを電気に変換をして家の中で例えば光にしたり、電気でお湯を沸かしたり、冷暖房に使ったり、こういうことで、一回電気を経由してということがあるんです。例えば、自然エネルギーでよく出てくるのは太陽光パネル、太陽光発電ですけれども、これもやはり一回電気にしてからほかのことに使うということになっておりますが、家の中のいろいろな組立てを見てみますと、必ずしも別に電気を使わなくてもいいんじゃないか。

 例えば、エアコンに代わるようなものとして、冷たい風をつくり出して気温を下げていくとか、冬であればちょっと温かめの風をつくり出して家の中に導入するとか、そういうこともあるでしょう。例えば、最近は余りはやらなくなりましたけれども、私が小さい頃はよくあったんですが、屋根の上に太陽光の、湯沸器というか温水器というか、あれをつけておいて、別の蛇口があって、夏なんかは、それを入れるだけで熱くてどうしようもないみたいな、そのぐらいお湯が沸くなんということもありました。最近は余り聞かないんですが。熱を電気を経由せずに家の中で活用できるような仕組みというものを積極的にやはり取り入れていくべきじゃないか。

 GXの話も後日ありますけれども、こういったエネルギーの使い方のところに、最終目的地をちゃんと見定めた中で、どういう形で自然の力を使っていくべきなのかということの視点を持つべきじゃないかなと思いますけれども、自然エネルギーを活用する設備、この辺りの普及についてお考えをお聞かせいただければなと思っております。

西村(明)国務大臣 森田委員御指摘のとおりだというふうに思います。

 地球温暖化対策計画におきましては、二〇三〇年度までに家庭部門で温室効果ガスの排出量を約六六%削減するという目標を掲げているところでございます。住宅の省エネ性能の向上とともに、家庭部門における再生可能エネルギーの更なる活用、これが大変重要だというふうに考えています。

 環境省といたしましては、省エネ性能が高くて、電気や熱も含めて再生可能エネルギーを用いるZEH、これの普及に取り組んでおりまして、森田委員御指摘の太陽熱の利用システム、また地中熱のヒートポンプといったもの、こうしたものも補助事業の支援対象としているところでございます。

 引き続き、このZEH支援事業も活用しながら、住宅の省エネ性能の向上とともに、再生可能エネルギーの活用拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。

森田委員 私も補助内容を見せていただいて、一つのパッケージとして、断熱性能を含めていろいろな取組をしているところに補助を出すということで、上限としては、いろいろあるんでしょうけれども、百万とか百四十万とか、こういう金額が出ておりました。

 私が知り合いの業者さんから取り寄せた見積りを見せてもらったら、地下水の活用ですね、要するに、井戸を掘削して、それで循環させていくような仕組みを、部屋の中にパイプをはわせて熱交換をしていくわけですけれども、一式大体三百万円ぐらいする、井戸の掘削を含めて。ですから、百万ぐらいの数字ですと、トータル的な対応をしようと思うとまだまだなかなか厳しいのかなということもありますので、是非、今いろいろな、CO2のことも問題になっている時期ですから、思い切ってこのところを推し進めるという意味を考えると、やはり普及啓発ということも含めて、かなりの圧力をかけた支援というものをやっていくということが必要なんじゃないかなというふうに考えております。

 次に、家そのものにプラスアルファで周りの環境も含めたところでの話を進めていきたいなと思います。

 これは、先ほど篠原委員の方からも話がありました、木だとか緑地の活用というところですね。私は、県議会にいたときに、毎年一般質問では、森田の森づくりと勝手に自分で名前をつけて、自分も植樹、植林の取組を、もうお亡くなりになったんですけれども、宮脇先生という横浜国立大学名誉教授の先生がいらっしゃったので、その方のいろいろ手法を勉強させていただいて、自分の事務所だとか私のやっている施設の周りなんかにも、ボランティアの方と一緒に木を植えるなんということを、このくらいのポット苗ですけれども、ずっと何千本という木を植えてやってきたんです。

 その中で、木の効果というのが、先ほどの篠原先生の話じゃないけれども、やはりありまして、一つは、木の陰ですよね、木陰をつくるということと、それからあと、蒸散の効果、水を葉っぱから出して、そうすると蒸発していく、そのときに周りの熱を奪うという気化熱によって周りの気温を下げる、こういう効果もあります。

 よく工場の立地のときには、工場の開発のときには、面積の何%を緑地にしなさい、こういう規定があります。これを何でもかんでもやれというわけにはいかないかもしれませんけれども、宅地においてもこういった考え方を、例えば、ある一定の地域を指定したりしてやるということを進めていくと、より緑地、緑化というものが推進できていくんじゃないかなというふうに思いますけれども、ちょっとこの辺りの展開も含めてお聞かせいただければと思います。国交省からお願いいたします。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 宅地などにおきまして、広く緑化を義務づける制度として、都市緑地法に基づく緑化地域制度というものがございます。この制度は、市区町村が都市計画に緑化地域を定めまして、一定規模以上の敷地において建築物の新築、増築に当たって敷地の緑化を義務づけるものでございます。

 この制度は、現在、名古屋市、横浜市、世田谷区、そして愛知県の豊田市で活用されておりまして、特に、名古屋市におきましては、市街化区域全域を緑化地域に定めまして、その結果、年平均で四十ヘクタールを超える緑がつくり出されることになっていると伺っているところでございます。

 国土交通省といたしましても、この制度の更なる普及に努めて、環境負荷の低減にも資する緑豊かな町づくりを推進してまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 開発要件に緑地の面積をかけていくと、いろいろな反発も当然あると思います。そんなに緑地をやってどうするんだということを、やはり手間暇もかかりますので。ですから、その面積を開発するときに、絶対やらなくちゃいけないですよという開発の要件にするのか、あるいは、いろいろな税制の優遇、例えば固定資産税の減免であるとか、そういったところへの配慮というのもあっていいのかなというふうには思いますけれども。

 住宅に関する税制の問題として、私もずっと新築してから使わせていただいたんですけれども、住宅の控除、所得税の確定申告のときの控除にある条件というのが、これも、ほぼほぼ、先ほど申し上げたような断熱性能を重視した要件になっているのかなというふうに思います。

 ただ、緑地、緑化をやっていくということも、非常に住環境だとかあるいは環境に対する寄与という意味ではすごく意味が大きいなというふうに思っておりますので、先ほど申し上げたような住宅そのもののことだけではなくてその周りのことまでプラスアルファで含めて考えることができると、非常に新築する側としては考えやすいんじゃないかな、あるいは、そういう考えがなかった方がそういう考えを持つに至るということもあるんじゃないかなというふうに思います。

 私も、自分のうちの周りにも木を植えたんですけれども、かなり手間暇がかかるわけですよね。この前もちょっとここを鎌で切っちゃったんですけれども。いろいろ作業をしたりすればもちろん手間暇がかかるし、あるいは、少し木が高くなれば造園屋さんに頼んでやるといえば、まあ、どうでしょう、一日一人一万八千円とか、高所作業車を入れれば、これは一人分ですよと言われたり、いろいろなやはりお金がかかるということもあります。

 そういった意味では、継続的に緑地を持っているということが評価していただけるような形ができると一番いいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、住宅の面での税制優遇にこの辺りのことを入れられないかな、緑地のことを入れられないかなと思うんですが、こちらについても、これは副大臣でよろしいでしょうかね、お答えいただければと思います。

山田(美)副大臣 お答え申し上げます。

 家庭部門における温室効果ガス排出削減に向けて、住宅における省エネ、再エネ活用など、脱炭素化の推進が重要だと認識しております。

 議員御指摘の点につきましては、都市計画、町づくりの一環として、住宅単体の性能と面的な取組を一体的に推進することが必要だと考えております。

 例えば、エコまち法の低炭素建築物認定制度における基準としまして、住宅の省エネ性能、再エネ活用のほかに、緑地面積などのヒートアイランド対策も一部加味するなどの取組を関係省庁と連携して取り組んでおります。

 環境省としましても、これらの取組を含めて、関係省庁と連携しながら、地域、暮らしの脱炭素化を推進してまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 先ほど篠原先生からの質問の中にもあったんですけれども、やはり緑というのは非常に私たちの生活にとってメリットが大きくて。

 うちの方なんかですと、群馬の方から赤城おろしという、山から吹いてくる、日本海から雪を新潟で落として三国山脈を越えて、乾いた風が、冷たい風が吹き下ろしてくる、赤城おろしという風があるんですけれども、それを北側のいわゆる防風林で防いできたという歴史があるんですが、それも、今、世代が替わっていくと、あんなのは、ケヤキだとか大きい木が多いんですけれども、手間が大変だからもうとにかく切っちゃえということで。切るといったって、屋敷林ですから、かなり、何本もそういう大きい木があるので、百万も二百万もお金をかけて切っているという、非常に、何か矛盾しているような感じがしなくもないこともあるんですが、それは、もちろん、先ほどの話で、個人資産ですので、どうこう言えませんけれども。

 せめて、住環境そのものに直接プラスになるというようなところについては、環境省を始めいろいろな部署で協力をしながら、住宅でしたら国交とか環境省だとか、そういったところで協力しながら、意識を持っていただく。街路樹なんかも、落ち葉が落ちてくると非常にうちの前が大変だよというお声が確かに聞こえてくるので。高齢になったから掃き掃除もできないんだ、だから、とにかく切っちゃってくれ、こういう話が市役所にも来るんだなんという話もあるんです。

 緑を持っているということは、もちろん、目にも優しいですし、先ほど言ったような熱を防ぐという意味にもなりますし、いろいろなメリットがある緑というものをいかに私たちの町の中で増やしていくかということを、是非省庁を超えて、環境省が音頭を取っていただきたいなというふうに考えるわけなんですけれども、緑ということについて、大臣のお考えをお聞かせいただきたいなと思っております。

西村(明)国務大臣 緑地につきましては、生活環境の向上に資するだけではなくて、生物の生息や生育の場、そしてまた、住民にとりましては身近な自然と触れ合える場としても非常に重要であるというふうに考えます。

 地方公共団体では、緑を増やすための市民活動への支援等が行われているほか、民間企業でも、宅地開発の際に、庭に地域在来の樹木を植栽するような取組、こういったことが進められているというふうに承知しています。

 森田委員の御地元の埼玉県の熊谷市におきましても、緑のリレー事業として、宅地の樹木を守って、そして市全体で緑を育てていく取組が実施されているというふうに承知しております。

 こうした宅地の緑を増やす取組、これは、我が国が目指す二〇三〇年までのネイチャーポジティブの実現につながっていくものと考えます。環境省としても、しっかり、関係省庁や地方公共団体、企業、そしてまた住民の皆様と連携した取組、これを進めたいというふうに考えています。

森田委員 地元のことを調べていただいて、ありがとうございます。

 熊谷市でやっている事業の中の一つで、ブロック塀を取り壊して生け垣にするときに補助を出します、こういう仕組みもあったりして、非常に私はそれはいいんじゃないかなと思っております。

 普通、緑化をするというと、何かすごく広大な土地に大きな木を植えてなんというと、とても一般の人が取り組めるような感じじゃないなという認識を持たれる方ももしかしたら多いかもしれないですけれども、私が宮脇先生から教わった方式だと、本当に五十センチとか一メートルとかこういう幅で、例えば家の周りにずっとそういう場所を造って植えておく。脇は切っていいんだよ、上を切っちゃうと詰めちゃうことになるので、脇の枝は落として構わないと。だから、よそのうちに枝が入り込んでいくなんというのは、適切に脇の枝を管理してやってあげれば、余り、別に植木屋さんに頼んできれいに管理する必要もないので。

 やはりそこは、先ほどの話に戻りますけれども、住環境にプラスになるとか省エネにプラスになるとか、こういったところを、広く緑の役割というものを皆様にも御理解をいただきながらやっていくということが必要かなというふうに考えております。

 とにかく、環境省の役割というのは、いろいろなところに屋根を架けて、何かの事業をそれぞれの省庁がやるときには、一々、緑化のことであるとか省エネのことであるとか、そういうところに口を挟んでやっていただくというのが環境省の役割ではないかなというふうに考えておりますので、西村大臣のおせっかいを是非いろいろな省庁にしていただくことを期待して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 福島二区、立憲民主党、馬場雄基でございます。

 本日は、いわゆる熱中症法案に関する審議をさせていただければというふうに思っております。

 世界で極端な異常気象が多発している今、熱中症の危険性を国民の皆様方にしっかりと伝えていくということは急務だというふうに思っております。その上でこの法案がその契機となることを期待していますし、一方で、しかしながら混乱を生み出してはならないというふうに思っております。

 まず、言葉です。今回の法案では、指定暑熱避難施設の開設など、避難という言葉を使っております。こちら災害対策基本法でも同じく避難という言葉を使っていると思いますが、言葉の意味合いというものをしっかり確認させていただければというふうに思っております。

 まず、内閣府防災さんにお伺いさせていただきたいと思いますが、有事に国民に対して避難という言葉を使う際、具体的に国民にどんな行動を起こしていただきたいと考えているのか、教えてください。

上村政府参考人 お答えいたします。

 まず、災害対策基本法は、暴風、豪雨、洪水、地震など、異常な自然現象等により生じる被害を災害とした上で、その災害から国民の生命、身体、財産を保護することを目的としています。

 この中で、御指摘の避難また警戒という言葉については、それぞれ、こうした災害について難を逃れること、またそれに備えることという趣旨で用いておりまして、災害対策基本法上は、市町村長による指定緊急避難場所等の指定、避難のための立ち退きの指示、立入りを制限、禁止する警戒区域の設定などの規定によりこれを具体化してございます。災害が起こる際にそういった形で国民の皆さんに避難をしていただきたい、行動を取っていただきたいという意味で使ってございます。

 また、警戒ということでいえば、法令上の定義ではありませんけれども、例えば風水害において、災害時に住民が避難行動を適切に取れるよう、被害情報等と住民が取るべき行動を警戒レベルとして五段階に整理し、分かりやすく提供しています。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。ふだんの防災に対する取組、内閣府防災さんを含めていつも真剣に取り組んでいただいて、本当に感謝しかありません。

 今お答えいただきましたけれども、いわゆる異常な自然現象、恐らく熱中症もその一つになると思っていますし、ある意味でいうと、指定緊急避難場所という意味で、やはりこちらでも避難という言葉を使っているわけです。

 今回、指定暑熱避難施設という、この避難という言葉の在り方ですけれども、つまり、有事が起きている際に、今起きていることを中断してでも、そこから難を逃れるために自ら行動を起こすというのがいわゆる避難という言葉で一般的にイメージしていく言葉かなと思うんですけれども、今回の法案に書かれている指定暑熱避難施設の避難という言葉に関して同じ程度の強い意味合いを持っているというふうに認識すべきなのか、こちらは環境大臣にお伺いさせていただければと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案では、避難の定義規定は置かずに、一般的な意味として用いております。この点につきましては災害対策基本法も同様と考えておりますけれども、それぞれの法律の趣旨、目的によって避難する対象あるいは仕方等が異なってくるというふうに理解をしております。

 今回の改正法案では、避難につきましては、極端な高温により人の健康に重大な支障が生ずる状況において、その地域の住民等が暑熱から逃れることを念頭に置いております。ただ、自宅にエアコンがあるような家庭であれば、避難せずに、スイッチを入れていただくというようなことですとか、隣近所でシェアしてもらうとか、そういったことも可能となっておりますので、災害対策基本法の避難の仕方とは若干異なっているんだろうというふうに理解しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今まさに私が頂戴したかったお言葉をいただいたんですけれども、災害対策基本法と意味合いとしては同じ、ただ行動を起こす意味では違うというところが極めて大事だと思っていまして、なぜかというと、この避難という言葉が独り歩きしてしまって、それをどういうふうに国民が受け取るのかというところで混乱を生じないかというのが、極めて私はここは不安が残っているということをお伝えさせていただければというふうに思っております。

 その上で、この法案が達成したい世界観というのは、熱中症でいわゆるお亡くなりになる方やあるいは救急搬送される方を少なくしていく、ある意味でいうとゼロにしていくということが望むべき世界観だと思うんですけれども、国民一人一人にどのような行動を起こしてほしいのかということをいえば、神ノ田部長が今おっしゃってくださったように、先ほど森田議員からも御指摘がありましたけれども、エアコンというものが極めて大事になってくるのかなというふうに思っております。

 この部分ですけれども、いわゆる熱中症で亡くなってしまう方々を考えたときに、参考資料も見させていただきましたが、やはり半数以上は高齢者の方、シニアの方々になってしまう。間違って避難という言葉を使ってしまったときに、暑い中移動してしまう。移動しているときが一番危ないというようなことさえ危険性はあるんだというふうに思っております。単純にエアコンを入れるということが極めて大事だと考えるならば、やはりエアコンというものに対する普及率というものが大事な考え、いわゆるKPIになっていくんじゃないかなというふうに思っております。

 しかし、今回の熱中症法案、ごめんなさい、簡単に熱中症法案と言ってしまいますけれども、今回の熱中症法案の改正に伴った上で、エアコンの設置や推進に対する政策のパッケージがそもそもあるのかないのか、こちらについてお伺いさせていただきたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のあったとおり、熱中症から自らの命を守るためにはエアコンの使用が有効でございます。生活保護世帯へのエアコン設置支援ですとか、また指定避難所へのエアコン設置促進等、関係省庁等で取組が既に進められておりますので、環境省といたしましては、これらの既存の枠組みを最大限活用しつつ、適切な支援がなされるよう、今後作成、決定する予定の熱中症対策実行計画の取りまとめの中で関係府省庁とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 関係省庁との進んでいるやり取りについて、是非具体的に進めていただきたいというふうに思っております。

 こちら少しレクをやらせていただいたときに、例えば北海道とかではエアコンの普及率がまだまだだというお話も伺いましたが、決して甘く見てはいけないというふうに思っています。

 先ほど堀内議員からもありましたけれども、カナダ等で、北海道よりも以北の場所で熱波が起きているわけですから、北海道だから安全だというわけではもうないんだというふうに思っています。しっかりとエアコンの普及率というものを鑑みながら政策を打っていかなければいけないんだというふうに思いますし、例えば、今回、子供目線に変わっていきたいと思いますけれども、体育の授業を一体どうするのかというような問題もあると思っております。外での授業を計画する、サッカーであったりとかいろいろな活動、授業があると思いますけれども、警戒情報が実際に出ました、そういったときに、体育館に移動していきましょうと思いますけれども、体育館の設備がどうなっているのかというところもまた大事だと思っております。

 本日、文科省さんにもお越しいただいておりますが、学校の体育館のエアコンの設置率をお伺いさせてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省において実施した調査の結果、公立小中学校等の体育館等への空調設置率は令和四年九月一日時点で一五・三%となっております。

 文部科学省としましては、安全、安心な教育環境と避難所としての機能強化を図るため、今後とも各地方公共団体と連携しながら全国の空調設置を支援してまいります。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 委員の皆様、今聞いていただいたと思うんですけれども、現状、こういう状況なんですよね。都道府県によってはゼロ%という場所もあるのではないかなと思うわけですけれども。

 ふだんならば徐々に進めていきましょうということでいいと思うんですが、この法案が通るということは、それだけ社会的変化を促していかなくてはならないということだと思っています。エアコンが簡単に導入できるわけではないというのはもちろん私も存じておりますけれども、今回においては、法案が通ると社会的変化を促していくということのメッセージを出すわけですから、これに伴って、しっかり政策パッケージでどうここを改善していくのかということは私は問われるのではないかなというふうに思います。

 通告はしていないんですけれども、環境大臣、もしよかったら是非この点を、関係省庁との連携という意味の中で、社会的変化を促すという意味において、やはり政策的パッケージでエアコンの普及を是非前進していただきたいと思うんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

西村(明)国務大臣 今御指摘のあったように、子供たちの健康を守るというのは非常に重要なことでございます。

 今回の法案においては、既存のショッピングモールであるとかそういった施設、エアコン設備等々が整っているところを活用するというのがベースでございますけれども、今後、子供たちの健康のために何ができるのか、文科省ともよく相談をさせていただきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 前回取り上げさせていただきましたが、実は、エアコンだけではなくて、地中熱を利用した形で気温を下げていくということの取組もあると思っています。是非、例えば建て替えをする際の補助であったりとか、これから学校の施設も結構老朽化が激しくなっていると思いますので、その点について後押しをする政策が私は政策パッケージとして一緒に存在していただきたいなというふうに、これは願いを込めてお伝えさせていただければと思います。

 次の観点に移ります。この法案について、熱中症予防対策の意識を高めるという総論はもちろん賛成なんですけれども、各論に入ると具体的なところのイメージがなかなか湧かないというところがちょっと心配なんです。現場任せになっていたり、あるいは決まり切っていないというところがかなり不安が残るかなと思っております。

 例えばですけれども、野外で行われているフェス等々ですね、真夏にロックフェスとか音楽のフェスだとかがいろいろあったりしますけれども、これは具体的に伺いますが、熱中症警戒情報、特別警戒情報が具体的に出されていた場合、これらの業界に対する対応をどのようにお願いしようと考えているのか、こちらは環境省さんにお願いします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案では、行政支援を拡充することで熱中症対策を強化することを目的としておりまして、イベントあるいはスポーツ大会の中止などのように、民間の活動を制限するというような内容は盛り込んでおりません。

 環境省としては、イベント業界を始めとする各業界が熱中症による健康被害を予防するための適切な判断、対応を取っていただけるように、関係府省庁とも連携し、情報提供に努めてまいりたいと考えております。

 既に、夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドラインというものが作られておりまして、具体的に、整理券の配付ですとか指定席の導入といったことで待機列をつくらないとか、あるいは日よけの設置、微細ミストの設置とか、また休憩時間の確保といったような具体的な対応策もお示ししておりますので、そういったものも参考にしていただいて主催者として判断していただきたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。総論は分かるんですけれども、やはり具体的になると分からないんですよね。

 前からガイドラインを作られていた、これは私も実は確認したことがあるんですけれども、前から作られているのは分かるんです。ですが、今回は法案を通す、そして熱中症警戒情報、更に言うなら特別警戒情報という二段階に分けて、更に一歩踏み込んで法案自体は作られていくわけです。そうなったときに、民間に関しては現場任せ、制限するものではありませんと。一つ一つがずれてしまう可能性を私は否めない。これを現場任せに最後にしてしまうというのは、私はちょっとやはりいかがなものかなと思います。お答えいただけますか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 今回、先ほど申し上げたとおり行政支援を拡充するということで法改正をしたいと考えておりますけれども、熱中症対策の基本は、自助、共助、あるいは、施設あるいは事業所とかを管理しているようなところであれば管理者がしっかりと予防対策を取っていただく、それが基本となっております。今回、行政支援を拡充することでむしろ管理者の責任が軽くなるということではありませんで、従来どおりしっかりと責任を持って熱中症の予防対策を講じていただきたいというふうに考えているところです。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。管理者の責任が一番問われているというのは当然のことである、そこは変わりはないわけですけれども、法案を通す意味合いというのはしっかりと認識した上で、そこに対するフォローアップというのは私は大前提、必要だと思っています。

 私も元々銀行員で、外回りをやらせていただいた人間でもありますけれども、外に行ったときに、特別警戒情報が出ていますよといったときに、外にいていいのか悪いのかというようなところもまた問題になるんじゃないかな。台風だったら戻ってこいと私は言われていましたけれども、同じ意味合いを、今回それを持たせるのか。

 それが例えばA銀行で、銀行員なのであれですけれども、A銀行では戻ってこいと言われ、B銀行では、いやいや、それはそれだといって、行けというふうになったときに、それがいわゆるパワハラ案件に当たってしまうのかとかですね。それぞれの現場任せになったときにちぐはぐになっては困るというところだけ、この懸念点だけは申し上げさせていただいて、是非とも、連携した中で速やかにその体制づくりを私はお願いさせていただきたい。それが社会をつくるという意味合いなんだと私は思っております。

 この上で、その予防策というところでお話しさせていただきたかったんですけれども、保険です。

 いわゆる興行中止保険とかを損害保険会社とかはつくっているわけですけれども、仮にそのフェスが地震とか大きな台風とかで飛んでしまった場合は具体的に言うと興行中止保険の対象に今はなっていくわけですけれども、ここは是非環境省さんにも確認をさせていただきたいんですが、今回の法改正に伴って熱中症がその対象になり得ていくのか、保険協会さんと実際の話合いを設けたのか、もし設けたのであれば、そのときの反応について具体的に教えてください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました、熱中症特別警戒情報が発表された場合にはイベントの中止をするかどうかといったことについては主催者が判断するということになっておりまして、損害保険の適用についても民間企業等が適切に判断すべきことというふうに考えております。

 損害保険の適用についてですけれども、今御指摘のあったように、悪天候等による興行中止保険というのがございますが、これはオーダーメイド保険となっておりまして、どういった時期にそのイベントをするかとか時間帯とかいろいろと細かなところを詰めた上で保険料を設定していく、そういう考え方ということでございますので、まず主催者として、特別警戒情報が発表された場合には中止をする、そう判断をしたときに、それに対して保険を掛けるかどうか。保険を掛けるのであれば、損害保険会社と、オーダーメイドということですので、細かなところを詰めていくということになるんだろうと理解しております。

馬場(雄)委員 一点だけ、クリアに伺いたいんですが、保険協会さんとの話合いは設けられましたか。

神ノ田政府参考人 失礼しました、その点についてはしておりません。情報収集はしておりますけれども、個別の損害保険会社との相談等は行っておりません。これはあくまでも民間での契約の話でございますので、国が関わるものではないと理解しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 御指摘だけさせていただきたいと思っています。

 法案を通すわけですから、さらに、特別警戒情報という仰々しい、強い発信力を持った言葉で使っているわけです。これはやはり一つの変化を生み出していかなくてはならない。そして、フェスというものは夏に行われる可能性も結構高いわけでして、そこにおける中止に係る可能性を主催者として判断しなければいけない。可能性が高まるわけですよね、一つリスク要因が増えるわけですから、その点についてしっかりと国が責任を持って整理していくというところは、主催者任せにするだけではなくて、私は行政の責任ではないかなと。

 少なくとも環境整備をするというところ、保険協会さんとの話合いは、こういうものを今通そうとしているので、もし民間会社さんからそういう相談があったときには、オーダーメイドかもしれないですけれども、そういうところも考慮してつくっていただけないですかということを一言だけおっしゃっていただくだけでも私は変わるんじゃないかなと思うんですが、是非、大臣、そのところをお願いできないでしょうか。

西村(明)国務大臣 今回の法案につきまして、特に熱中症の特別警戒情報は、熱中症による甚大な健康被害の発生を防止するということを目的として、国民の皆様に最大限の警戒を促すことを趣旨とするものでございます。

 今委員から御指摘がありましたけれども、そういったイベントの中止等々というのは、今部長の方からも答弁させていただきましたけれども、民間である主催者が判断するものでありまして、損害保険の適用についても民間企業等が適切に判断すべきものだというふうに思います。

 例えば、コロナのときに外出の自粛を国として要請いたしました。こういった場合には国としてしかるべく補償なり対応をしたわけでございますけれども、先ほど委員からも台風のときに戻ってこいという話がございました、まさに台風と同じようなものではないかと思います。

 最大限の警戒を国民の皆様に促すと同時に、それぞれの判断で、家にとどまる人もいれば、今暑いところにいるから近くのショッピングモールに行こうというふうに御判断される方もいるわけでございますし、そういった形でイベントにおいても、台風のときにこのイベントをどうするのかということで保険を掛けられる方もいれば、そうでないという、保険料がかかるということで要らないと判断される事業者もいらっしゃると思いますので、その辺をどうしなさいと、民間の判断のところまで国として言うのはいかがなものかなというふうには思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 私は、決して制限を設けろと言っているつもりはなくて、社会をつくっていく上で、こういう法案が通っていくので一つ考慮していただくこともいかがでしょうかというところだけをお願いしたいというふうに思っていまして、民間保険会社さんに、悪天候の中に熱中症というものを確実に入れなさいと言うつもりは全くないです。それはやはり個々人の、会社の判断だと思いますけれども。

 社会の変化が来ているということであれば、保険という、中止に係るリスクが増えるわけですから、当然のようにそこは、民間の市場をつくる意味でも行政が支援していく、情報提供をしていくということは私は当然必要なんだというふうに、そこだけは申し上げたいと思っています。

 でなければ、こういうふうな参考資料の、仰々しく、百年当たり一・三度の割合で上昇というふうな、こういうふうな資料もたくさん出されているわけで、やはり時代が変わってきているわけですから、時代が変わってきて法案を出します、でも後は全部皆さん任せですというのだけは、私はやはりちぐはぐしているようにしか思えないので、市場をつくっていく、環境をつくるというところまでが環境省としての責任だ、責務だというような使命感を持って取り組んでいただきたいなということをお願いさせていただければと私は思っております。

 続きまして、アナウンスについての御質問をさせていただければなと思います。

 具体的なことを伺いたいと思うんですけれども、国民に与えるメッセージ、これはすごく大事だと思っております。警戒情報や特別警戒情報をお知らせする際に、例えばテレビのアナウンサーさん、テロップ、あるいはラジオのアナウンサーさんもそうかもしれないですが、具体的な文言をどのように伝えていくのか、現状でどのように検討されているのか、環境省さん、お答えください。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 条文にも盛り込んでおりますけれども、熱中症警戒情報あるいは特別警戒情報を発表した際には、必要に応じて報道機関の協力を求めて、広く一般に周知するということになっております。現行の熱中症警戒アラートの運用と同様に、ウェブサイトあるいはSNSを活用した周知も、別途、環境省としても行っていきたいと思っております。

 実は、令和三年度から熱中症警戒アラートの全国運用をしておりますけれども、検討会におきましても、報道関係者に委員として入っていただいて、どういった形で国民に伝えたらいいかといったところも密に相談しながら検討を進めておりますので、今回の改正法の施行に当たっては、報道機関ともよく相談の上、しっかりと分かりやすく国民にメッセージが伝わるように努めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 国民に伝えていくメッセージというのは極めて大切だと思いますが、今この段階でまだそれが検討中というのは、この法案を判断し切れない部分なんだよなというところをちょっとやはり私は思ってしまうんですよね。

 例えばですけれども、地震と同じようにしてしまえば、身の安全を確保してくださいというような言葉がよく使われますけれども、これはやはり適切ではないだろうなというふうに思いますし、例えば、テレビ、ラジオの情報に御注意ください、御留意くださいという言葉を使っても、なかなかそれも違うだろうな。

 あるいは、法案どおりに、言うならば冷房のある施設、クーリングシェルターに避難してください、でも、暑いときに移動するということを考えればこれもやはり適切ではない。冷房をつけてください、推奨は何度の設定ですとか、そういうふうなアナウンスをすることも大切だと思いますが、エアコンのない方々にとってやはりそこは苦しくなる。

 結構、アナウンスはすごく大事だと思うんですよね。今回の法案でいうと、コアになる部分、国民へのメッセージをどう伝えていくのかというところだと思うんですけれども。この部分、いつまでにそういうふうなことを決めていくか。この法案が通ったときに、いつ熱波が来てもおかしくないわけですから、それをどういうふうな表現で決めていくのか、決め方と、それがいつまでに決まるのかというところを教えていただけないでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 熱中症警戒アラートは今年も運用することになっていますので、より効果的な国民へのメッセージの伝え方ということについては、今回の改正法とは別にしっかりと相談をしていきたいと思っております。

 熱中症警戒情報また特別警戒情報の施行については公布後一年以内ということになっていますので、今年のシーズンではなくて来年のシーズンに向けてということになりますので、熱中症警戒情報、特別警戒情報の施行に向けて細部については詰めていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 先ほどからずっと、例えばガイドラインが既にありますとか、あるいは警戒アラートは既にありますということであれば、正直、法案を通す意味がよく分からないんですよね。つまり、それだけでは不十分で、社会を変えていきたいからこの法案を作っているんだと思うんですよ。そうすると、今まであるからこれの延長線ですよりかは、しっかりと整理をして、ここからどう変えていくのかというところが私は法案の審議に関わる問題なんじゃないかなと思っているので。

 別に私は反対したいわけじゃないんです。そこは多分伝わっていると思うんですけれども、具体的なイメージを持つことが極めて大切だと思っていますし、国民に与えるメッセージというところは、やはりここは慎重に考えていただきたいということだけ是非御留意いただければと思います。

 最後の質問に移らせていただければと思います。指定暑熱避難施設の運営についてです。自治体が指定することになるこの施設でございますが、私もこの立場になる前はコミュニティー施設の経営をやらせていただいた者でもありまして、具体的にイメージすると結構大変だなというふうに思っていました。ここを確認させていただきたいんですけれども。

 例えばですが、警戒情報や特別警戒情報が出たときに、自治体からの応援が指定された施設に対してあるのかないのか。あるいは、一定の広さの部屋を確保すべきなのか、すべきじゃないのか。コミュニティー施設であったりショッピングセンターというのはいろいろな広さを持っていますけれども、一定の広さを確実に確保しなきゃいけないのか、椅子を準備しなきゃいけないのか。

 あるいは、非常食。避難という言葉を使っているわけですけれども、例えば、大体お昼ですよね、お昼の時間帯を多分設定されて期間を設けられるんじゃないかなと思うわけですけれども、非常食の準備物はその運営者、経営者がやらなきゃいけないのか、誰の責任に伴ってそういうふうな非常食は管理されるのか、誰がその費用を負担していくのか。

 結構、具体的に考えていくと混乱を生じるんじゃないかなと思うんですが、この点について是非具体的に教えていただけないですか。

西村(明)国務大臣 今回の改正法案においては、地域における熱中症対策の強化が目的でございます。市町村長によるクーリングシェルターの指定を制度化するということとしているわけでございまして、クーリングシェルターとしては、市役所の庁舎や公民館といった公共施設のほかに、ショッピングセンターなどの民間施設で既に冷房等の設備が整っている既存施設の利用を考えております。

 指定された施設の管理者は、熱中症特別警戒情報が発表された期間中、あらかじめ市町村長との協定で定めた曜日や時間の範囲内で当該施設を開放しなければならない義務が生じるということでございまして、今委員が御指摘された様々な、非常食等々という話の部分ではございません、約束した曜日であり時間にこれをきちんと開放するという義務を持つということでございます。

 環境省としては、関係するガイドラインなどを示すことによりまして、地方公共団体が地域の実情に応じてまさに自主的、主体的に熱中症対策に取り組めるように、そういった働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。非常食等は準備する必要はないということを今明確にお答えいただいたなと思うんですけれども。ある意味でいうと、暑いのでこちらに来てくださいと言っておきながらそこには余りそういうふうな空間が設定されていないというのも、何かまた違和感を覚えるなというふうにも思うわけなんです。

 経営をしていた身としてですけれども、例えば曜日や時間帯によって一定の確保をしなければいけないとありますが、例えば貸し館とかは曜日や日程によって全然運営が異なっているわけですよね。例えばお祭りとかをやっているときには満室になっているわけですし、これ以上は受け入れることは難しいということも当然あるわけで、それは指定された例えば土曜日とかに確実にあるわけでもないというふうに思っています。実際、特別警戒情報が出たときに、そういうふうな大きな催し物をしていたとき、受入れをすることが難しいという判断をその館はすることができるのか、そういった点はいかがでしょうか。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 指定暑熱避難施設については、冷房設備が整っている施設を幅広く指定していただきたいというふうに考えておりまして、その上では、余り要件を厳しくいろいろと設定してしまうとなかなか指定が進まないということになってしまいますので、公民館の狭い一角だけを開放するということもいいですし、また、大きな体育館を指定するということもいいということで、いろいろなバリエーションを持って、幅を持って指定する、それは各市町村、自治体の判断で進めていただく。

 また、民間の施設を指定する場合につきましては協定を結ぶことになっていますので、その中で細かなところを、どういったサービスをつけるのかといったようなところも相談していただけばよいのかなというふうに思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。でも、制限をする側というか、お願いをする側は非常に理屈が通りやすいと思うんですけれども、実際に館を経営する側に立てば結構難しいというふうに思います。

 警戒情報が出ましたと言われたときに一定の空間を用意しなきゃいけない、それは用意したいと思いますよ、協定を結んだ方々は。私のいた施設も多分、自ら協定をお願いするような施設じゃないかなと思うんですけれども。でも、実際そこには現利用者がいて、その人たちをどけてくださいと言えるかというと、それはそんなに簡単なことではないというふうに思うんですよね。

 今回繰り返しお伝えしたいのが、特別警戒情報であったり警戒情報というふうに法案を通して社会をつくろうとしているわけですよ、だからこそ、その方々と混乱を生じないように、せっかく協力してくださるなら気持ちよく協力できるような体制づくりというのは、これは私は環境省の責任においてやはりやらなきゃならないと思うんですよね。

 なので、今日は反対したいわけじゃなくて議論を整理したい、そして、そこに対する懸念点であったり懸念事項を挙げさせていただきたいと思いまして、今日、この時間を使わせていただいております。是非とも、今日挙げさせていただいた部分で、まだちょっと私が心配だなと思うところは何点かあるのはきっと気づいてくださっていると思いますので、その点について、より精度を高めて、自治体の皆様方、そして指定暑熱避難施設の方々と協力して、熱中症の救急搬送をゼロにしていく、熱中症で亡くなる方をゼロにしていくということを是非目指し続けていただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 今法案の事前説明に当たり、カナダでの大熱波、二〇二一年に六百十九人の死者をもたらした事例を御説明いただきましたが、今回、今法案に当たって、カナダの教訓がどのように生かされているのか、法律化の意義についてまずお伺いさせていただきます。

小林副大臣 お答えいたします。

 二〇二一年夏にカナダで熱波が発生をした際には、注意報の発表やクーリングセンターの開設等の対応がなされたものの、短期間で六百人を超える死者が発生をし、その経験を踏まえ、一部の州では一段上の警報が設けられている等なされていると承知をいたしております。

 今回の改正法案においては、こうした諸外国の事例も参考に、今後発生する可能性のある極端な高温に備える仕組みとして、熱中症特別警戒情報の発表、クーリングシェルターの指定等の制度を盛り込んだところでありまして、法制化による、地域の実情に応じた自主的、主体的な熱中症対策の促進が期待されているところであります。

 以上です。

漆間委員 カナダのほかにでも、ヨーロッパだとかでは、数千人規模で、昨年の夏、死者が出ているようなところでありまして、これは熱波で起こったということなんですけれども、熱波というのはそもそもどういうものなのかということと、あと、これは日本でも起こっているのか、若しくは起こり得るのかということについてお伺いしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇二一年六月に、カナダ西部のリットンという町で日最高気温が四十九・六度を観測するなど、顕著な高温の状態になりました。

 熱波につきましては普遍的な定義はございませんけれども、幾つかの国では、一定基準以上の暑さが一定の期間続く場合を熱波と定義しており、その暑さの基準や期間はそれぞれの国で定めているところでございます。

 なお、我が国においては、カナダと気候などが異なることから、同じような五十度近い高温が直ちに発生する可能性は低いと考えますが、一方で、国内において、ここ数年、四十度を超える気温を観測することはまれではなくなってきております。

 また、二〇二三年三月に公表されたIPCC、気候変動に関する政府間パネルの第六次評価報告書の統合報告書、ここでは、地球温暖化の進行に伴い、極端な高温等の頻度と強度、強さが増大するとされております。このため、国内でも、これまでに経験したことのない高温が発生する可能性が今後は高くなると推測されます。

 気象庁といたしましても、これら地球温暖化や異常気象の監視、予測を行い、必要な情報を発表してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

漆間委員 カナダもヨーロッパも、これまでは起こり得ないだろうと思っていたところでこういう極端な気候が起こったということで、これから可能性もあるということで対策を、今回あるということですので、是非しっかりと、予想外のことが起こると想定して、やっていただきたいと思います。

 一つ通告を飛ばしまして、今法案の事前説明に当たりましては、神ノ田部長様より、カナダの教訓として、民間団体連携がすごく重要だということをお話でいただきました。今法案にも入っておりますけれども、この団体はどんな団体を具体的に想定しているのかということと、これは日本全国どんな地域にもしっかりとある団体なのか、既存の団体に新しい役割を付与させようとしているのかということも併せてお伺いしたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 熱中症対策普及団体は、現在既に地方自治体と連携して高齢者支援等を行っている地域のNPO法人あるいは民間企業等の団体を指定することを想定しております。

 各地域には、例えば、健康ボランティア、福祉ボランティア、災害ボランティア、またスポーツボランティアといったような様々な団体がありますし、また、介護保険事業者といったようなところも指定することは可能となっておりますので、全国の各地域にそういった指定し得る団体は存在しているというふうに承知をしております。

 指定を受けた団体につきましては、研修等によりまして、熱中症予防に関する基本的な知識、これを習得していただいて、日頃の活動、例えば見守り、声かけ活動をやっている団体はたくさんありますので、その活動の中で、熱中症の予防に関する、エアコンの使用ですとか水分補給といったような呼びかけも併せて行っていただくということを考えてございます。

漆間委員 そういった団体と直接やり取りするのは市町村になってこようかと思いますけれども、市町村の役割は、今法案においてはクーリングシェルターの指定などもありますけれども、こういった新しい役割を市町村が負担するという言い方もできると思うんですけれども、市町村にとってこれは負担になるんじゃないかみたいな意見とかはなかったんでしょうか。そういった市町村の意見をしっかり聞いているのか、どんな意見があったのかということも併せてお伺いしたいと思います。

 また、既存の団体に新しい役割を付与されるということであれば、その団体からも、これも負担になるみたいなことで意見はなかったのかということも併せてお伺いしたいと思います。

小林副大臣 委員がお述べのように、熱中症対策は、地域の団体等から住民一人一人への直接的な声かけなどの働きかけが極めて重要でありまして、地域の実情を把握している、住民に身近な市町村が自主的、主体的に取り組むことが効果的であります。

 クーリングシェルターや熱中症対策普及団体は、市町村長が指定できるものとしております。クーリングシェルターについては、まずは、冷房設備が整っている既存の施設の指定を想定しております。熱中症対策普及団体についても、既存の福祉関係の団体を最大限活用し、大きな追加的事務負担が生じないように配慮いたします。

 本法案については、全国知事会、市長会、全国町村会などの地方六団体にも丁寧に説明をし、特に全国市長会からは地域の自主的、主体的な取組を広く認めるようにとの御意見があり、それを踏まえた内容としております。環境省としても、市町村の実情をよく確認しながら各種ガイドラインをまとめ、地域の取組を支援してまいります。

 以上です。

漆間委員 小林副大臣、ありがとうございます。

 むしろ、負担になるよりも、今やっているそういう福祉団体だとか市町村の業務が円滑に進むような方向性でよろしくお願いしたいと思います。

 あともう一点、これまでも御意見はたくさんあったんですけれども、災害時の熱中症対策としての災害避難所のクーリングスポット化の重要性について、これを進めていかなければならないと思うんですけれども、ここについても改めてお伺いしたいと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 クーリングシェルターにつきましては、既に冷房等の設備が整っている既存施設の指定を想定をしております。

 御指摘の災害時に活用される指定避難所につきましては約六割の施設に冷房機器あるいは発電機器等が整備されておりますことから、市町村には、是非、指定暑熱避難施設として活用していただきたいというふうに考えております。

 環境省としては、地域の実情に応じた自主的、主体的な熱中症対策を支援するため、クーリングシェルターの運用に関するガイドライン等を作成するとともに、指定避難所を含む施設が少しでも多く指定されるよう、市町村へ働きかけを進めてまいりたいと考えております。

漆間委員 先ほど馬場委員の質問でもあったんですけれども、学校の体育館だとかは災害避難所に指定されていると思うんですけれども、そういったところの、先ほど質疑の中で、エアコン普及率が一五・三%ぐらいだという話もあったので、今後、災害が起こって皆さんが避難しているときに暑くなるということも考えられますので、ここも高めていかなければならないんだろうなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 もう一点、熱中症対策に関わる調査だったり、新しい役割が付与されます独立行政法人環境再生機構というところについて、そもそものこの独立行政法人の当初の役割、沿革だったり設立経緯と、現在の役割、予算措置が現在幾らぐらいあるのかというのを教えていただきたいと思います。今回、新しい役割の下で予想される新たな予算措置、増加分はどれぐらいなのかということも具体的に教えていただきたいなと思います。

 といいますのも、よく言われております、役割を終えたとか、もう終えつつあるような独立行政法人を長生きさせるためだけの新しい役割付与じゃないのかということをちょっと確認させていただきたいなと思っております。

 さらに、本当に新しい熱中症対策の調査という役割を付与するのが適切な団体がこの独立行政法人環境再生保全機構であるのかどうか、そもそも、新しい役割を担うだけの設備や能力、人材がこの独立行政法人に備わっているのか、もっと安い値段で、同額の予算措置で、より優れた他の公共機関だったり民間機関に任せられることはできなかったのでしょうかということも、全て、併せてお伺いさせていただきます。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 まず、環境再生保全機構の沿革でございますが、平成十六年四月一日に、公害健康被害補償予防協会及び環境事業団の業務を引き継ぐ形で設立をされております。

 業務の内容としては、公害健康被害の補償や予防事業、石綿健康被害者の救済、民間団体の環境保全活動への助成、PCB廃棄物の処理への助成等、環境政策に関わる様々な業務を実施しておりまして、予算措置としては、令和四年度、百八十一億円余りとなってございます。

 熱中症に関する業務につきましては、環境省からの請負によりまして、環境再生保全機構が、熱中症警戒アラートに関する調査、また地方公共団体における熱中症対策強化に関する支援業務、これを行っていただいております。

 今後、法律に基づく業務を担っていただくに当たっては、安定的に継続的に知見を蓄積していただくということが重要になりますし、また、自治体を相手に技術支援をしていくということになりますので、こういった公的な機関に業務を担っていただくということが重要だろうと考えているところでございます。

西村(明)国務大臣 今、神ノ田部長の方からお話がございましたけれども、今までの経緯、そして、今回、熱中症警戒情報の発表を安定的かつ的確に行うためには、基礎的な情報の収集、分析が必要だというふうに考えておりまして、地域での対策強化のためには、全国規模での優良事例の収集や他地域への共有、そして自治体職員への研修といったものが不可欠だというふうに考えております。

 そうした意味において、この環境再生保全機構は、現行の熱中症警戒アラートに関する業務、また地方公共団体に対する熱中症対策支援業務、これに関与した実績を持つということで、機構の豊富な知見と経験を生かしてやっていただきたいということで、今回の改正においてこの業務を追加することとしたわけでございます。

漆間委員 承知しました。

 それでは、法案とちょっと違う質問になるんですが、レジ袋の有料化義務化について、昨年、経産委員会で質問させていただいて、環境副大臣から御答弁もいただきましたので、ちょっとその続きということでやらせていただきたいと思います。

 レジ袋の有料化には、有料化する必要のないバイオマスレジ袋など例外があることを消費者にしっかり周知、広報すると環境副大臣から当時答弁をいただいたんですけれども、その後、どんな周知をしてきたのか、お伺いいたします。

 さらに、現在使用されているレジ袋全体における有料化の義務の必要のないレジ袋の割合や実態がどのようであるか把握しているのでしょうか。お伺いいたします。

土居政府参考人 環境省が実施しております自治体との会議や民間事業者向けの説明会、講習会などの機会を通じまして、また関係省庁とも連携をいたしまして、レジ袋有料化につきまして、有料化の効果も含めて正しい情報をお伝えすることに努めておる最中でございます。

 また、政府といたしまして、有料化の対象から除かれるレジ袋の割合につきましては把握しているところではございませんけれども、小売店などにおきましてバイオマス素材を二五%以上配合しているレジ袋を配付するなど、有料化の対象の外となりますレジ袋の提供をしている事例につきましては一定程度はあるということを承知しております。

漆間委員 一定程度ということでいただいたんですが、私の感覚では、ほとんどバイオマスのレジ袋だったりするのかなとも思っているところです。

 次の質問、レジ袋有料化義務化の政策効果の測定、定量的検証はしているんでしょうか。お伺いいたします。

土居政府参考人 民間の調査会社の調べによりますと、二〇二〇年七月に実施しましたレジ袋有料化の効果といたしまして、レジ袋の国内流通量が、実施前年の二〇一九年に約二十万トンであったものに対しまして、二〇二一年には約十万トンと、おおむね半減しているということでございます。

 また、昨年九月から十月にかけて内閣府が実施いたしました世論調査におきましては、レジ袋有料化後のレジ袋の辞退状況を確認をしておりますが、レジ袋が有料化の場合に辞退しているという方が全体で約八五%という結果になってございます。

漆間委員 一方で、昨年四月からは、プラスチック資源循環法施行による、スプーンだったりストローなどの合理化措置の政策が取られたところですけれども、この政策は、いわゆる消費者負担なしで、有料化を義務化することなしに行われているものですけれども、こちらの政策効果についてはどのようなものなのでしょうか。お伺いいたします。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、飲食店等においてカトラリーやストローを木材等の代替素材を使用したものに置き換える取組が行われておりますほか、コンビニチェーンでもプラスチック製のフォークの配付中止が行われるなど、着実に合理化の取組が行われております。

 また、経済産業省のアンケート結果では、飲食店においてカトラリーやストローを代替素材を使用したものに置き換える取組を通じて、年間九百トンのプラスチック削減につながる事例がございました。

 引き続き、プラスチック資源循環促進法に基づく措置への取組状況を把握するとともに、政策効果の検証を進めてまいりたいと考えております。

漆間委員 こちらも、レジ袋のように辞退率だったり、レジ袋ですと半減したということがあるんですけれども、こういったプラスチックスプーンだとかはどれぐらい減少率があるかとか、そういった調査はしているんでしょうか。もし分かるのであれば、教えていただきたいと思います。

 お聞きしたところでは、かなり削減されているというふうに感じるんですけれども、消費者負担なく、このように政策効果があるのであれば、そもそもレジ袋の有料化の義務化は必要だったのかということにもなりますけれども、そちらも併せてお伺いしたいと思います。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 プラスチック資源循環促進法では、業種や業態の実態に応じて有効な取組を選択、実施することを求めることとしておりまして、使い捨てプラスチック製品について、有料化のみならず、薄肉化や軽量化、原材料の種類の工夫などの製品自体の工夫も認めておりまして、辞退率だけが指標ではないため、全体の辞退率の調査は実施しておりません。

 他方、コンビニチェーンにおいてスプーン、フォーク、ストローの有料化の実証事業を実施したところ、有料化実施前に比べて辞退率が増加し、一定の効果が得られたことから、有料化も使い捨てプラスチック製品の削減に有効な場合があると認識しております。

 いずれにしましても、レジ袋有料化についても、使い捨てプラスチック製品の削減の取組についても、引き続きその政策効果を検証しながら、効率的かつ効果的な対策を講じてまいりたいと考えております。

漆間委員 最後の質問になりますが、どうしてそもそも法律で定めないで、省令で定めたのか。これは、恐らく政策効果を見て、有料化義務化を変えることが柔軟にできるからなのかなと思うんですけれども、その辺について最後にお伺いします。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 レジ袋有料化制度については、容器包装リサイクル法に基づく小売事業者の判断基準省令を改正しまして、事業者は、商品の販売に際して、消費者におけるその用いるプラスチック製の買物袋を有償で提供することにより、消費者によるプラスチック製の買物袋の排出の抑制を相当程度促進するものとすると定めておりまして、レジ袋有料化の取組を求めております。

 主務大臣は、この判断基準省令に照らして、必要があると認めるときは指導助言、さらに、取組が著しく不十分であると認めたときは容器包装多量利用事業者に対して勧告、公表、命令、その命令に違反した場合には罰金を科すという措置を講ずることとなっておりまして、これらの措置を通じてレジ袋有料化の履行の確保ができると考えられております。

 また、そのほかにも措置の柔軟性等の様々な観点を総合的に考慮した上で、省令の改正を行うこととしたものでございます。

漆間委員 これで終わります。ありがとうございます。

古賀委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。本日もよろしくお願いします。

 時間も押しておりますので、早速質問させていただきたいと思います。

 令和三年度から熱中症警戒アラートが運用され始め、国民の熱中症アラートの認知度も高くなってきているとは思います。環境省の報告によると、令和三年度では、全国五十三地域において七十五日間発表し、延べ六百十三回、令和四年度では、四十六地域において八十五日間発表し、延べ八百八十九回となっておりますが、一方で、アラートの活用をしたり熱中症の対策を実施している自治体はまだまだ六割程度ということなんです。そのための今回の改正法ではあるとは思うんですけれども、もっと全体の底上げをしていく必要があると考えますが、今後の底上げ方法等についての環境省の方針を教えていただけたらと思います。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 環境省が実施した調査では、熱中症警戒アラートを活用している自治体は初年度の令和三年度は約六割でありましたけれども、令和四年度は八割まで増加をしてきております。

 また、暑くなる前までに熱中症対策を開始した自治体も約七割から約八割に増加しておりまして、自治体での取組は着実に広がってきているものと認識しております。

 御指摘のとおり、更なる底上げは重要であり、今回の法改正を契機にしまして、各自治体の実情を踏まえ、地域の自主的、主体的な取組を支援してまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 確かに徐々に上がってきているとは思うんですけれども、これも環境省さんのアンケートでありましたけれども、災害時の熱中症対策は自治体が何らかの対応策を講じているのかというのに、約九割の自治体が何も考えていないというような結果も出ております。その最大の原因がやはり予算であったり人的なことということで、これを機にもっと予算取りをしていっていただきたいと思うんですけれども。

 大阪市でも昔こういった議論がありまして、暑さ対策で緑のカーテンということで、ゴーヤやヘチマ、アサガオを植えて緑のカーテンを作る、これが暑さ対策だというふうにおっしゃっておられたこともあったんですけれども、これは予算的にできなかったというのもあるんだと思います。やらないよりはやった方がいいと思うんですけれども、大阪市ですらそういった現状なので、地方に行くとまだまだそんな状況じゃないかなというふうに思いますので、是非、今回のこれを機にもっともっと底上げをしていっていただけたらなというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 先ほど馬場議員にもちょっとお話がありましたけれども、熱中症対策において、クラブ活動などで、現場現場の判断が今後は非常に大切であり、責任重大になってくると思うんですけれども、ある程度の統一された判断基準の作成や徹底が必要になってくると思うんですね。体育の時間もそうですけれども、クラブ活動。

 特にクラブ活動は、文科省さんが民間に開放していくというような方針も出されている中で、外部の方が入ってこられて教えていくんだと思うんですね。ですから、体育だったら先生ということになると思うんですけれども、それぞれ管轄する部局も違うということで、けれども現場からしたらそれは関係のない話なので、きちんと統一の見解をある程度作っていく必要があると思うんですけれども、関係部署のそれぞれの御見解をお願いいたします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、熱中症対策につきましては各現場での的確な判断が重要でありまして、一定の判断基準を示す必要があると考えております。

 このため、文部科学省及び環境省が連携しまして、二〇二一年五月に学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きを作成して、学校における熱中症対策の好事例あるいは判断の参考となる事項等を周知しているところであります。今、この手引きに基づきまして各学校において対策を整理していただいているというところでございます。

 引き続き、関係府省庁と連携し、各現場において関係主体が適切な熱中症対策を行うことができるよう、しっかり普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

里見政府参考人 お答えいたします。

 熱中症の未然防止のためには、学校保健安全法で各学校に作成が義務づけられております危機管理マニュアルにおきまして、暑さ指数等を活用し、各種活動を中止するかどうかの判断基準、そして誰がその判断をするのかという判断者を具体的に定めておくということが重要でありまして、危機管理マニュアルへの記載につきまして繰り返し通知等で周知をしてまいったところでございます。

 また、先ほど環境省から御説明がございましたように、令和三年五月に文部科学省と環境省とで、各教育委員会に向けた学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きを共同で作成いたしまして、その中におきましても、熱中症の危険性の判断基準として暑さ指数を示し、グラウンド、体育館、プール等での各種活動の対応を適切に判断するよう促しているところでございます。

 また、御質問がございましたように、特に体育の授業あるいは運動部活動につきましては、スポーツ庁におきまして学校における体育活動での事故防止対策推進事業を実施しておりまして、熱中症予防に向けたパンフレット等の作成、配付を行うとともに、全国の教育委員会や学校教員等を対象としたセミナーにおきまして、毎年、熱中症をテーマとして取り上げ、注意喚起をしているところでございます。

 今年度は昨年度に比べまして学校教育の活動も幅広く展開されることが見込まれることを踏まえまして、文部科学省といたしましては、熱中症対策の徹底につきまして各教育委員会等に通知を発出するとともに、各種会議や学校安全ポータルサイト等を通じまして各学校、教育委員会の取組を促してまいります。

奥下委員 ありがとうございます。

 一番心配しているのは、やはり先ほど申し上げたクラブ活動を民間に開放していくとき、僕もそうですけれども、根性論でまだまだやらされていた世代でありますので、ほとんど減ってきていますけれども、そういった事件、ニュースをたまに耳にしますので、ここもきちんと徹底してやっていただけたらなというふうに思います。責任を問うという意味じゃなくて、万が一が起こらないように責任を持ってやっていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 先日、ある漁師さんとお話をさせていただく機会があって、温暖化によって捕れる魚の場所が変わってきていると。どことは言いませんけれども、本州の南の方で捕れていたのが、今は青森ぐらいまで行かないと捕れないとか、そういったことが起こっている状態らしくて、温暖化による影響でこういったことが起こっているんです。捕りに行って戻ってくるのは仕方がないんですけれども、今、大きな船とかに対してはいろいろ規制がかかっていますけれども、まだまだこういった漁船とかに対しては規制がかかっていない状況であります。

 脱炭素化社会構築の観点から、こういったディーゼルエンジンを利用するには相当な逆風の状態ではありますけれども、まだまだ市場にはディーゼル稼働による内燃エンジン利用の船が多くて、海外に目を向ければ発展途上国にも更に多く、発電機もまたディーゼル稼働によるものであることを考えればもう少し現実的な対策を考えていく必要があると思うんですけれども、環境省さんと、発電機なので経産省さんの御所見をお伺いしたいと思います。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 船舶分野の脱炭素化につきましては、地球温暖化対策計画において、LNG燃料船、水素燃料電池船、EV船を含めた革新的省エネルギー技術などを活用した船舶の技術開発、実証、導入促進を推進する、このようにされております。

 また、先生から大きな船で規制という御指摘もありましたけれども、国際海運の世界ではそういった議論が進んで始まっておりますので、GX基本方針では、国際海運二〇五〇年カーボンニュートラルというところに向けて、ゼロエミッション船などの普及促進を始め、海事産業の国際競争力強化を推進する、このようにされています。

 その上で、御指摘の漁船でございますけれども、農林水産省さんにおいて省エネ型エンジンの導入への支援といった取組が行われているというふうに承知しております。さらに、農林水産省さんの方でみどりの食料システム戦略というのを策定されています、この中で、二〇四〇年までに漁船について電化ですとか水素化などの技術の確立を目指す、このようにされているところでございます。

 現状、カーボンニュートラルの実現に向けた完全な技術、これが正解というのは存在しておりませんので、多様な選択肢を追求しながらCO2の排出削減を進めていくことが大事だというふうに考えております。環境省といたしましても、農林水産省を始め関係省庁とよく連携していきたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 脱炭素と産業競争力強化、経済成長を両立するためには、化石燃料を中心とする経済社会、産業構造をクリーンエネルギー中心のものへと転換することが必要と考えております。この際、代替技術の有無や国際競争力への影響を考慮しつつ、個別の産業や事業者の実態をしっかりと踏まえて燃料や機器の代替を進めていくことが重要と認識しております。

 こうした観点から、ディーゼルからの転換を含めました脱炭素化を進める事業者におきましては、脱炭素効果の高い燃料を用いる設備の導入につきましても、一定の要件を満たせば、ものづくり補助金やカーボンニュートラル投資促進税制といった支援策を活用していただくことも可能となっております。

 経済産業省としましては、個々の燃料や機器の活用の実態も踏まえながら、引き続ききめ細かい対策を講じてまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 農水さんが二〇三〇年をめどにそういったことを考えておられるということですが、なかなか、三〇年といってもすぐ来てしまいますし、今現状やはり一隻一隻の船自体も高いですし、どういった規制をかけていくのか分かりませんけれども、今あるエンジンに対して運用できるようなガソリンであったり、そういったものの使用も認めていったらどうかなというふうに思っております。

 というのは、今、大阪市のある企業で環境省からも補助金をもらいながら、大阪府もちょっと一部後援している会社がございまして、そこがプラごみを集めて船を走らせようということで、八軒家浜というところから、周りに落ちているプラごみを拾って、そこから油を生成して船を走らせるというイベントが去年ありました。僕も見に行ったんですけれども、本当にそういったことでいい取組をされているんです。

 これに取り組んでいくに当たって、我が国のJクレジット発行のシステムを読み解くと、石油由来の油から廃プラ由来の油に替えることでJクレジットが発行される可能性があると思うんですけれども、これは対象になり得るんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 Jクレジット制度は、省エネ、再エネ設備の導入や森林管理による国内での温室効果ガスの排出削減、吸収量をクレジットとして認証する制度でございます。

 御指摘の、船舶燃料の化石燃料を廃プラを含む廃棄物由来燃料に代替する件につきましては、既に対応する方法論、いわゆるクレジットの創出方法も策定されており、内航船舶で実施される場合においては、方法論の要件を満たす場合にはJクレジット制度の対象となり得るものと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。現場の会社の皆さんも、今の答弁を聞いて喜ばれると思います。現場の先端技術を加味しながら、より現実的な脱炭素社会のロードマップを考えていく必要があると思っております。

 ほかにも、マレーシアのペトロナス社という石油会社があるんですけれども、ここのCEOから、二酸化炭素の排出を抑えていくガソリンを今研究開発していて、これが徐々に成功してきているということも言われております。是非見に来てほしいということをおっしゃっていたので、大臣始め環境委員会の皆さんで、今世間では六月解散みたいなうわさもありますけれども、僕はないと思っていますので、この夏に視察に行きませんかという御提案だけさせていただきたいと思います。

 次に、最後の質問に入らせていただきます。

 環境省の管理下である西表石垣国立公園ですが、温暖化により、魚の死骸やサンゴの死骸、何より海岸全てに漂着ごみがあふれ返っているという現状です。規制をかけて義務を怠っているような状況なんです。近隣の心ある方が自腹でごみを処分していただいているんですけれども、全く追いつかず、金銭的にもちょっと最近無理が出てきた、是非予算をつけてごみの処理とかをやっていただきたいという依頼のメールが僕のところに届きました。

 また、ごみの多くは、ハングル文字のごみがほとんどとのことで、海流で流れてきているんだと思うんですけれども、是非こういったことに対する抗議も併せて大臣に何かの国際会議で発言していただきたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

秦政府参考人 まず、支援の部分につきましてお答えさせていただきます。

 漂着ごみの中には、議員御指摘のとおり、海外から来るもの、漂着地以外に由来するものがございます。漂着地の自治体の努力のみでは解決が困難であるということから、国の方でも一定の支援をするという発想の下、環境省におきましても、海岸管理者である自治体が行う海岸漂着物等の回収、処理につきまして、海岸漂着物等地域対策推進事業というのを設けておりまして、財政支援をしておるところでございます。

 とりわけ離島の地域におきましては、補助率をかさ上げして、十分の九ということで拡充を行っております。さらに、地方負担分の八割を特別交付税により措置しておりまして、地方の負担軽減に配慮した仕組みとさせていただいております。

 引き続き、自治体に対する支援をしっかり行っていくことで漂着ごみの回収、処理につなげてまいりたいと考えてございます。

西村(明)国務大臣 奥下委員御指摘のとおり、海外からの漂着ごみが大変多い地域がありまして、これまでも、大臣会合等を通じて国際社会に働きかけを行って、削減の効果が見られた実績はございます。

 軽くて丈夫なプラスチックごみというのは、海流を通じて越境することから地球規模のまさに課題でございまして、世界全体での対応が必要だというふうに認識しております。

 昨年開催されたG20やCOPの会合等において、島嶼国の首脳や各国の大臣からも同様な問題意識が指摘されたところでございます。

 こうした中でございますので、海洋におけるプラスチックごみ等の対策につきましては、条約策定に向けて昨年から国際交渉が開始されておりまして、二〇二四年中の作業完了を目指しているところでございます。

 海洋ごみのない、きれいで豊かな海を次世代に継承していくということは大変重要でございますので、国内外でのこの問題の解決に向けた取組をしっかりと実施してまいりたいと考えています。

奥下委員 ありがとうございます。

 是非、国立公園満喫プロジェクトも環境省さんはうたわれていますので、呼んでも足下がそんな状況だったら意味がありませんので、是非よろしくお願いいたしまして、時間ですので、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますけれども、気候変動適応法及び環境再生保全機構法の一部を改正する法案に関して質問をさせていただきます。

 現在、気候変動に伴い、極端に高い気温の日が増加し、熱中症による死亡者数は年間千人を超える年が続いております。今後、地球の温暖化は更に進み、極端な高温の発生リスクも増加することが予想され、まさに気候変動への適応において熱中症対策は大変に重要な課題であると思います。

 本法案は、こうした状況を踏まえ、今後の極端な高温の頻発を見据え、熱中症への対策を強化しようとするものでございます。

 それでは、早速、まず初めに、熱中症から地域住民の命を守るための取組につきまして質問をさせていただきます。

 熱中症は、適切な予防や対処が実施されれば死亡や重症化を防ぐことができます。ここで、熱中症は人の命に関わることであることから、その対策において地域差をなくすことが重要であると思います。例えば、熱中症予防に積極的に取り組んでいる自治体の取組事例を他の自治体にも伝えることも必要かと思います。

 そこで、各自治体において適切に熱中症対策を進めていくために、環境省としてどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

柳本大臣政務官 熱中症対策につきましては、直接住民に声がけをするなどの働きかけが極めて重要でありまして、地域の実情を把握し、住民に身近な地方公共団体が自主的、主体的に取り組むことが効果的であるというふうに考えております。

 環境省が地方公共団体を対象に実施している地域における熱中症対策のモデル事業では、埼玉県の熊谷市におきまして公共施設を涼みどころとして提供する例や、あるいは、大阪府吹田市におきまして熱中症に関する相談会や高齢者への声かけ活動を行っている例など、先進的な取組があり、これらを事例集として取りまとめて公表することで、取組の横展開を図っております。

 引き続き優良事例の収集、発信をすることによりまして、地方公共団体が自主的、主体的に熱中症対策に取り組めるよう、働きかけを行ってまいります。

輿水委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、高齢者の熱中症に対する予防への意識を醸成するための取組について伺います。

 熱中症を予防するためには、脱水と体温の上昇を抑えることが基本であると言われております。ここで、熱中症で亡くなる方の多くを占めている熱中症弱者と呼ばれる高齢者の皆様に、熱中症予防のための行動を意識していただくことも重要であると思います。高齢者の皆様は暑さや喉の渇きに対して敏感でなくなるケースもあり、消防庁の調査によりますと、熱中症による救急搬送者の約五割が高齢者となっております。高齢者の熱中症を予防していくためには、国、都道府県及び市区町村の介護や地域保健部門の関係者が一体となって対策を的確に進める必要があります。

 そこで、高齢者の皆様への効果的な熱中症予防を進めるために厚生労働省としてどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者に対する熱中症対策を強化していく上で、高齢者御自身や地域の方々に熱中症予防についての正確な理解を広げていくことが重要だと考えております。

 こうした観点から、高齢者のための熱中症対策に関する分かりやすいリーフレットを関係省庁と連携して作成しております。自治体とも連携いたしまして、このリーフレットを高齢者に関わる事業者に送付したりして、熱中症予防の普及啓発、注意喚起を行ってきているところでございます。

 引き続き、効果的な熱中症予防の普及啓発、注意喚起を通じまして、地域の中の支え合いの取組を関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 水分の補給とか、そういった観点で様々な注意喚起があると思いますけれども、熱中症というのは本当に死亡リスクがあるんだ、そういった危機的な意識も持っていただくような取組も進めていただければと思います。

 続きまして、高齢者世帯等のエアコンの点検や整備を促す取組について伺います。

 いざ高温になったとき、エアコンを入れても動かないとか、エアコンのフィルターが汚れていて部屋が冷えないとか、エアコンのトラブルが命に及ぶ危険性があります。熱中症による救急搬送における発生場所の七割が屋内となっております。熱中症の予防のためには、クーリングシェルターの整備に併せて、外出が難しい高齢者世帯等のエアコンの点検や整備の推進も必要であると思います。また、脱炭素化の観点も組み入れたエアコンのクリーニングなどの普及促進等も重要と考えます。

 そこで、経産省としてどのような取組を進めているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 エアコンの設置や修理は、例年、暑くなってから急激に増える傾向にございますが、熱中症対策の観点からは事前の点検が重要というふうに認識をしております。

 特に、高齢者の皆様は暑さを感じにくくなるといった話もございます。特に熱中症に注意する必要があるところでございますが、今年も環境省さんとともに、シーズン前のエアコン試運転を呼びかけていくなど、政府としてもしっかり広報を行ってまいりたいと思っております。

 また、先生御指摘のとおり、脱炭素化の観点でも、エアコンのフィルターの掃除は省エネにつながるものでございまして、これは個人でも手軽にできる行動でございます。経済産業省としても、ホームページ等で周知を行っているところでございますが、今後も、夏季の省エネ広報を行う中で、消費者向け広報動画も活用しながら、高齢者も含めて分かりやすく周知をしてまいります。

 いずれにいたしましても、経済産業省としては、熱中症対策実行計画の策定、実施や夏季の省エネ広報などをしっかり行いますが、特に熱中症対策については、西村環境大臣を中心として取り組む体制、この中で経済産業省としても各府省としっかり連携して対応を行ってまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 続きまして、電気料金が高騰する中でエアコンの利用を控える国民への対応について伺います。

 エアコンの利用を、電気料金が高いということで控えたりする人も少なくはないと思います。特に、熱中症弱者と呼ばれる高齢者の皆様は、節約への意識が高い方も多いのではないかと思います。

 そこで、熱中症特別警戒情報が発令されたときにちゅうちょなくエアコンを活用できる環境の整備も必要かと思いますが、電気代の高騰への対応も含めてどのように対処していくのか、当局のお考えをお聞かせください。

柳本大臣政務官 熱中症から自らの命を守るためにはエアコンの使用が有効であり、エアコンを使用していただきたいと考えております。

 その前提で、国民の皆様方には、節電、節約につながるエアコンの適切な利用の取組として、クールビズやクールシェア等の工夫に可能な限り取り組んでいただくことが重要であります。

 環境省といたしましては、国民の皆様に何よりも健康、命を守ることを最優先に考えて行動していただくことが重要であると考えておりまして、今後とも関係省庁と連携して、積極的な情報発信に努めてまいります。

輿水委員 よろしくお願いいたします。

 学校における子供の熱中症を防ぐための取組も大変重要であると思います。

 公立の学校施設においては、地方公共団体からの計画も踏まえ、公立小中学校等の普通教室における空調施設の整備が進められていると思います。ここで、公立小中学校等の普通教室への空調設置率はどのようになっているのか、まずお聞かせください。続きまして、あわせて、空調施設を活用するための電気代の手当ては十分なのかどうなのかにつきましてもお聞かせ願えますでしょうか。

 さらに、学校での取組と同時に、子供たちの通学時の熱中症予防対策も必要と考えます。特に、熱中症特別警戒情報が発令された場合など、どのように対応していくのかにつきましてもお聞かせ願えますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 初めに、空調設置につきまして、児童生徒の学習、生活の場である公立小中学校等の普通教室への空調の設置は、委員御指摘のとおり、熱中症を予防する観点から重要な取組であると認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、公立小中学校等の施設のうち、児童生徒が長い時間を過ごす教室への空調設置を優先して支援してきております。令和四年九月一日現在時点の文部科学省の調査では、公立小中学校等の普通教室における空調設備の全国の設置率は九五・七%となっております。

 次に、空調施設の電気代につきましては、公立学校における光熱費等の管理運営に係る一定の経費について地方交付税による措置がなされております。さらに、今般の物価高騰を受けまして、学校を含む公共施設の光熱費に関しまして令和五年度の地方交付税が増額されるなど、学校施設のエネルギー価格の高騰分にも対策が講じられております。

 文部科学省としましては、今後とも、関係省庁や各地方公共団体と連携しながら、子供の熱中症を防ぐため、安全、安心な教育環境の整備等を図ってまいります。

里見政府参考人 通学時の熱中症予防対策についてお答えをいたします。

 近年、気候変動等の影響がある中で、子供たちの健康と安全を守るために、学校で活動している時間に加えて、御指摘のとおり、登下校中についても適切な熱中症対策を行うことが重要となっております。

 このため、文部科学省におきましては、各学校が作成することとなっております危機管理マニュアルに、熱中症警戒アラートの活用や、登下校中の涼しい服装あるいは帽子の着用、そして適切な水分補給等、熱中症の防止に係る記載を促すとともに、児童生徒が熱中症に対する適切な知識、対応を身につけられる指導を行うことを促してまいりました。

 また、令和三年五月に、環境省と共同で、教育委員会等の学校設置者向けに、学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きを作成をいたしまして、各地域の特性等を踏まえた熱中症対策ガイドラインの策定、改定に活用するよう、累次にわたって促しているところでございます。

 現在御審議をいただいております熱中症特別警戒情報につきましても、制度が創設された際には、現行の熱中症警戒アラートの活用状況なども踏まえながら、学校現場や地域の実情に合わせた適切な対応が取れるよう、環境省等を始めとする関係機関と連携をいたしまして、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 最後に、西村大臣にお伺いいたします。

 いよいよ、この法案を受けて、環境省が中心となって省庁横断的な取組で熱中症対策を効果的に進める必要、また、果たす役割というのが大きいかなと思いますので、熱中症対策に向けての西村環境大臣の意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

西村(明)国務大臣 熱中症対策は非常に多岐の分野にまたがっておりますので、輿水委員御指摘のとおり、多くの府省庁、これが一体となって連携して取り組むことが必要であろうというふうに考えております。

 先ほどから議論に出ておりましたエアコンの利用に関する高齢者への周知、こうしたことなどは引き続き重要な課題であるというふうに認識しております。政府といたしましては、改正法案の成立後に、夏本番を迎える前に、こうした課題に対応できますように、閣議決定計画である熱中症対策実行計画を取りまとめる予定でございます。

 また、取組の効果的な推進に当たりまして、私が議長を務めさせていただきます熱中症対策推進会議、これを中心に、まさに政府一体となって進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

古賀委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、菅家一郎君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。森田俊和君。

森田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 熱中症による死亡者数ゼロを早期に実現するため、熱中症対策の総合調整機能を担う環境省の主導により、関係府省庁の連携を一層強化し、実効性ある施策を展開すること。

 二 熱中症特別警戒情報の発表基準については、人の健康に重大な被害が生ずるおそれがある場合を的確に判断する必要があることから、現行の熱中症警戒アラートの運用上の課題を踏まえつつ、適切な指標を設けること。また、運用に際しては、地方公共団体等に対する迅速かつ確実な情報伝達の方法を検討すること。

 三 指定暑熱避難施設の指定基準については、市町村の自主的な取組が妨げられることのないよう、地域特性等を踏まえた仕組みとすること。また、施設が利用しやすくなるよう、高齢者などの熱中症弱者の移動に配慮するなど必要な措置を講ずること。

 四 市町村における熱中症対策普及団体の指定については、地域の実情を踏まえ各市町村の主体的な判断で実施できるように配慮すること。また、熱中症対策普及団体の利用する個人情報の取扱いについて、漏えいや不適正な利用が生じることのないよう万全の措置を講ずること。

 五 地方公共団体における熱中症対策の実情を踏まえ、体制整備のために必要な支援措置を十分に講ずること。

 六 熱中症に関する調査研究成果などを含む熱中症ガイドブックなどを作成し、子どもや高齢者向けの熱中症予防方法を分かりやすく国民に伝えること。

 七 住宅等の断熱の加速化やエアコン設置支援なども含めた適応策及び緩和策の両輪の取組を推進すること。

 八 今後十年の気候変動対策が数千年にわたり影響を与えるとのIPCC第六次評価報告書統合報告書の指摘に鑑み、新興国等の温室効果ガス排出抑制に関する技術協力などを総合的に推進させるとともに、適応に関する施策を総合的に推進すること。

 九 都市部のヒートアイランド化を防止するため、農地の維持のほか、都市公園や個別の民間の樹木の保護、オフィスビルの屋上等の緑地化など都市部の緑地化を推進すること。

 十 住宅の断熱化と都市の緑化に力を注ぎ、相乗的にヒートアイランド化の防止に努めること。

 十一 熱中症対策は事後処置だけではなく、予防措置にも注力すべきであることから、都市の緑化を維持・推進する仕組みや、各家庭での花壇造成の奨励などの国民が参加する施策を積極的に取り入れ、国民的意識も創造しつつ野心的緩和策の加速化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古賀委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古賀委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。西村環境大臣。

西村(明)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

古賀委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

古賀委員長 次に、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 経済産業委員会において審査中の内閣提出、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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