衆議院

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第3号 令和6年3月15日(金曜日)

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令和六年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君

   理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君

   理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 貴博君    石原 正敬君

      稲田 朋美君    上田 英俊君

      金子 容三君    川崎ひでと君

      菅家 一郎君    国定 勇人君

      熊田 裕通君    笹川 博義君

      橘 慶一郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    柳本  顕君

      鷲尾英一郎君   大河原まさこ君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      堤 かなめ君    屋良 朝博君

      杉本 和巳君    空本 誠喜君

      林  佑美君    中川 康洋君

    …………………………………

   環境大臣         伊藤信太郎君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   環境副大臣        八木 哲也君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   農林水産大臣政務官    舞立 昇治君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   防衛大臣政務官      三宅 伸吾君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田 易範君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           大島 英彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      植田 明浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           鑓水  洋君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     牧島かれん君

  井上 貴博君     川崎ひでと君

  石原 正敬君     橘 慶一郎君

  稲田 朋美君     上田 英俊君

  松木けんこう君    堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     稲田 朋美君

  川崎ひでと君     井上 貴博君

  橘 慶一郎君     石原 正敬君

  牧島かれん君     井上 信治君

  堤 かなめ君     松木けんこう君

    ―――――――――――――

三月十四日

 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案(内閣提出第四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案(内閣提出第四三号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官吉田易範君、農林水産省大臣官房参事官大島英彦君、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官植田明浩君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、環境省総合環境政策統括官鑓水洋君、防衛省地方協力局次長山野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。屋良朝博君。

屋良委員 おはようございます。本日、トップバッターを務めさせていただきます、立憲民主党、屋良朝博でございます。

 本日は、伊藤大臣、それから穂坂、三宅両政務官、よろしくお願いいたします。

 今日は、PFASの問題、様々議論が進んでおり、この委員会でも過日質疑があったところでございます。

 PFASの雨が降っている、南極大陸やチベット高原でさえ、雨は飲料水として安全ではありませんといった報道が世界であふれていた。それは、昨年、アメリカ政府が、EPAが基準値の設定方針を示してから大変な量の報道がなされて、しかも、その基準値というのが物すごく厳しい、もはや、今、私たちが持っている技術では検出不可能だとさえ言われるぐらいの基準値を示しました。それは、この地球上にあってはならない物質だからだということを示していると思います。この問題に対処するには、私は、日本でも国家プロジェクトとして対応する必要があるのではないか、そのように考えているところでございます。

 二〇一九年にストックホルム条約でPFOAが附属書Aに追加されたことで、PFOS、PFOAとも製造、使用、輸出入が世界的に禁止されました。沖縄では二〇一六年から、米軍基地を汚染源とするのではないか、そのような問題認識の中で表面化しておりました。それは、アメリカの中でPFOSの汚染問題が物すごい社会問題になって、議会の中でも大変な議論があった状況の中で、沖縄の企業局がPFAS濃度を調べたところ、アメリカの基準値を大幅に上回っていたという問題があります。

 その頃というのは、映画「ダーク・ウォーターズ」が放映されて、国民の関心を呼んだ頃でございます。大臣は、御自身でも映画を撮られていたことがあったというふうに伺っておりますけれども、この映画を御覧になったと以前お話しされておりました。

 この映画は、ウェストバージニア州の田舎町にあるデュポン社がPFAS混じりの汚染水を河川に垂れ流していた、それでこの町では奇妙な病気が蔓延して、デュポン病とも呼ばれるようになっていたというような問題、それがアメリカの中で物すごい騒ぎになっていた頃です。しかし、日本国内ではほとんどこの問題は知られておらず、政府内の雰囲気はとても冷めたものでした。

 当時、私が環境委員会で質疑したときには、これは沖縄の基地問題でしょうというふうな受け止めだった、そのように記憶しております。国際保健機構、WHOが健康への影響評価を定めていなかったため対応ができません、そんな答弁が続いておりました。

 そうした中でも、当時環境大臣だった原田義昭先生の政治家としてのとても重い判断が示されました。私、政府の対応を聞いたときに、原田大臣はこういうふうに述べられました。そんなに長い間放置されていたのは大変問題だ、重く受け止めなければならない、今後、政府を挙げて取り組む必要があるというふうに答弁されたわけでございます。

 そのことを私は鮮明に覚えておりまして、その直後から、環境省、厚労省は対応が俊敏になったんです。物すごく速いペースで対応されて、翌年には、暫定指針値、暫定基準値五十ナノグラム・パー・リットルが設定されたわけです。この対応をやはり今考えてみると、エポックメイキングだったのじゃないかというふうに思っております。環境省は、その後もこの問題に熱心に取り組まれ、大変な御努力を重ねておられると思っております。

 さて、これまでの専門家会議の議論、知見の集積が進められており、今後、それを基にどう展開されるかという大変大切な時期に差しかかっているというふうに思います。汚染の全国的な把握、土壌汚染の除去だけでも、空前の作業になるでしょう。汚染水の浄化にも、施設整備、活性炭などの浄化材の確保と処理を全国で対応可能にしなければなりません。さらには、国民の健康影響調査をどうすれば的確に効率的に実施し、全体の傾向を確認できるのか。さらには、農水産業など食品への含有をどのように防ぐのか。汚染除去に向けた対応を含めて、PFASは、私たち人類に大きな試練を与えているものというふうに受け止めなければならないと思っております。

 今まさに政府が国家プロジェクトとして取り組む必要があり、是非とも環境省は、その動きをリードしていただき、予算もがっつり取ってきて、しっかりと対応してもらいたいというふうな思いを込めて、以下、質問に移らせていただきたいと思っております。

 まずは健康です。やはり、毎日飲む水の中に毒性の高いものが入っているかもしれないという、それを口に入れる不安感、これは大変なものだというふうに思います。様々な病気との因果関係が指摘されている中です。一般的にPFASは、血中濃度が高いほど脂質異常、肝臓がん、子供の発育の低下、抗体反応の低下につながるおそれがあるとされております。

 健康影響に対する環境省としての御認識をお示しいただきたい。過日、空本議員が質問されて答弁もございましたけれども、大臣、一般論で結構ですので、御認識をお聞かせください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、PFOS、PFOA、これについてはコレステロール値の上昇や発がん等との関連が報告されております。ただ、現時点においては、どの程度の量が身体に入ると影響が出るのか、まだ確定的な知見はないというふうに承知しております。

屋良委員 民間が、民間というか市民が自費で、自主的に血中濃度を調べているのが東京都と沖縄でありましたけれども、かなり高い血中濃度だったというふうに新聞で報道されています。しかも、東京の方が沖縄より高かったということは驚きでございました。

 血中濃度の基準値を設定する必要性が指摘されていますけれども、どうなんでしょう、この辺の取組を御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いします。

神ノ田政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、国際的に見ても、PFASの血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分でないため、血中濃度基準の策定は困難であると承知をしております。このため、まずは科学的知見の収集に努めてまいります。

屋良委員 ありがとうございます。

 WHOによる発がん性評価を受けた今後の対応について議論を持っていきたいと思っております。

 WHOの専門機関である国際がん研究機関は、昨年十二月に、PFOAを発がん性がある第一分類とし、PFOSを発がん性の可能性がある第二分類Bと評価しました。第一分類には、たばこやアルコールも含まれる一方、六価クロムとかアスベストなど深刻な健康被害を引き起こす物質も含まれており、先ほどの御答弁にもありましたとおり、科学的な知見がまだ十分ではない、何かの病気に直結する、そんな有害物質であれば、これは急いで対応しないといけないというところだと思いますけれども、まだその辺の評価が定まっていない。

 たばこ、アルコール、吸い過ぎ、飲み過ぎは危険ですよというレベルなのか、それとも六価クロムやアスベストのように、法的にその対応がしっかりと整備されて政府として進めていく、そのような対応をしなければいけないのか、その辺がまだ定まっていないために、やはり対応も、先ほどの説明員の方がおっしゃったように、科学的な知見がまだ十分じゃないのでこれからやっていきますよというふうなことだと思いますけれども、そうした中で、私たちはこの現状をどのように受け止めればよいのでしょうか。

 QアンドA集なども環境省は用意されて、パブリックコメントもなさっておられるというふうに聞いていますけれども、大臣、環境省として国民に対して今の現状、恐らく不安は高まっているということがあります、しかし、ちょっと待ってよ、まだまだ研究が足りません、もう少し知見を集めてから、それから対応を考えますと言っても、やはり不安は消え去らないわけですね。

 大臣、国民に対して、今の現状をどのように説明されるのかということを教えてください。

伊藤国務大臣 このPFOS、PFOAについては、昨年十二月一日、WHOの専門機関において発がん性の評価が変更されたことはよく承知しております。

 他方、この評価というのは人に対する発がん性があるかどうかの証拠の強さを示しておりまして、暴露量に基づくリスクの大きさを示しているものではないというふうに承知しております。

屋良委員 やはり、どのように対応すればいいのか、どのような反応をすればいいのかというのがなかなか今分かりにくい現状だ、もしかしたらそういう過渡期なのかなというふうな気もしておりますけれども、そういう状況が非常に分かりにくい環境、雰囲気を生み出しているのではないか。病気との因果関係が特定されていない、そんな中でどのような対応をするのか、これはまさに難しい課題だというふうに思います。

 今は、知見を集めていますという答弁がずっとありますけれども、そうすると、どうも臨場感とか切迫感がなかなか感じられない。その知見を集めた結果、健康には特に問題を引き起こすような物質ではありませんというふうな評価になるかもしれない。そうすると、今、私たちがここで質問をしたり、政府が対応したり、専門家委員会が協議を重ねたりするのが、もしかしたら大山鳴動なのかもしれないというふうな、非常に分かりにくい状況だと思います。

 なので、ちょっとここで、アスベストのときにどうだったのかということを振り返ってみたいと思います。日本の今の現状、PFOSを抱えている今の現状と、アスベストが問題になった頃とが非常に重ねて見えたりすることがあります。

 資料一を御覧ください。国内外におけるアスベストに係る規制の状況、年表になっておりますけれども、このアスベストについてアメリカで論文が発表されて、疾病との関わりについて指摘されたのが一九六四年です。

 その後、国連健康機関、WHOが発がん性を指摘したのが一九七二年、その同じ年に、環境庁は、アスベストの生体影響に関する研究報告を発表しております。その翌年、日本では石綿による初の肺がん労災認定がなされて、七五年ですかね、スウェーデンが初めてアスベストの流通、使用を禁止しております。

 そして、八〇年代になると、アイスランド、ノルウェー、オーストリアなど、原則使用禁止とする国々が出てきます。

 九〇年代に入って、オランダ、イタリア、ドイツ、フランス、ベルギー、英国、立て続けに使用禁止の決定をしている中、日本は九五年に、一部の石綿の輸入、製造、使用禁止を決めたということでございます。

 そして、二〇〇〇年に入って、南米、チリ、アルゼンチンでも原則使用禁止として、その後になるんですね、日本が使用禁止を打ち出すのは。そして、二〇〇五年には各省庁で公共施設の調査開始がなされております。二〇〇六年二月には、石綿被害者救済法が成立され、関連法が改正されるなどの対応が国会でもなされております。

 アメリカで最初の論文が発表された一九六四年から、実に四十二年後のことになるわけですね。なので、実に、何というか、未来イメージというか、PFOSと石綿、WHOが危険性を、発がん性を指摘した、日本も研究を進めるという流れができ上がってくる、まさに今の状況に重なるのではないか、そんなふうな印象を持っておるわけでございます。

 そこで、まず免疫調査、血中濃度がどのぐらいなのかということもやはり気になるところですね。資料二でお示ししたのは、ミシガン州の保健福祉局のホームページにあるグラフから抜き出してきたものでございます。

 このホームページの記事には、二〇〇〇年から二〇一四年まで疾病管理予防センターが実施した検査では、九八%のアメリカ人の血中に一定濃度のPFOSが含まれていたということが示されております。そして、検査によって平均値との差を知ることができるが、この記事の中には更にこういうふうに書かれているんですけれども、検査によって平均値との差を知ることはできますけれども、あなたとアメリカの平均値を知ることができますけれども、それで医師が健康被害を診断できるわけではありませんよということがはっきり書かれている。

 血中濃度を下げるには、高濃度汚染地域で捕れた魚や野生生物、ジビエですね、野生生物を食べないようにしてくださいというふうなことも書かれている。非常にこれは合理的で何か丁寧な説明だな、しかも、現状を踏まえた上でのしっかりとした説明になっているのではないかというふうな気がします。州ごとに行われているこうした情報提供が住民に与えているのは、恐らく安心感じゃないでしょうか。

 PFASは体に取り込まれて、半減期があるので、時間の経過とともに血中濃度が減少している様子がこのグラフから見て取れるわけです。ということは、しっかりと汚染源の対応がなされており、国民の摂取量、体内に入れる量とか暴露量がしっかりとコントロールされているのかなというふうなことがこのグラフから見て取れるのではないかというふうに感じたりします。

 このような情報を国民にお知らせすることは大変大きな意味があるというふうに私は受け止めておりますけれども、この取組は参考にならないでしょうか。大臣、お考えをお聞かせください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境省では、一般的な国民の化学物質への暴露量を経年的に把握するために、PFASの血中濃度の調査を含む、化学物質の人への暴露量モニタリング調査を実施してございます。

 現在は百人程度の規模でパイロット調査として実施しておりまして、本調査に向けた調査手法等の検討を進めております。

 本調査の規模や開始時期等については、パイロット調査の結果を踏まえ、有識者の助言を得ながら検討してまいります。

屋良委員 今、パイロット調査を各地で実施されている、年間百人ぐらいだという御説明でございました。やはり、これも大事な取組だと思います。これを是非続けて、更に広げていくと、その調査の数値が、その裏づけがしっかりと取れていく、そうすることで対策も見えてくるというふうなことだと思っております。

 そこで、大臣、提案がございまして、今日この場をかりて、私は時間を結構いただいておりますので、ちょっと提案させていただきたいんですけれども、PFAS汚染がはっきりしている地域が全国的に分かっているわけですね。

 例えば、資料三でお示しした河川、環境省は一生懸命、河川の現状もモニタリングしておられる、継続的になさっている。そこで分かってきたホットスポットと言われている地域がございます。その地域の医療機関、そこに訪れる患者さんは、恐らく診断の中で血液検査をされる方もいらっしゃるでしょう。その血液検査の中にPFOSの項目を加えていただければどうでしょうか。

 PFOS検査をやりますよということでアナウンスをして集まってもらってやってもらう、それも大事なんですけれども、否定はしませんが、コスト的に考えると、今やっているものにプラスアルファ、項目をつけ加えて、知りたい人はどうぞ受けられますというふうな仕組みをつくってみれば、その地域で、しっかりと暴露対策とか摂取を食い止めるというふうな対策も見えてくるかもしれない。それだけで全てが分かるというわけではないと思いますけれども、こうした情報の入手をやる、免疫調査、疫学的な調査をやるということは、今、PFASの健康被害が分からない中で何ができるかというのは、やはりモニタリングをして現状を把握することだ。

 それはしっかりなさっているとは思いますけれども、今のパイロット調査では、先ほどの大臣の説明にもありましたけれども、年間百人ぐらい、この地域で三十人、三十人、三十人と、かなり数字としては今現在は限定的だと思うんですね。今、地域でやられている、医療機関でやられている血液検査にこの項目を加えてみる、そうすることで知見の集積も増えていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょう、大臣、御検討いただけませんでしょうか。

伊藤国務大臣 御提案いただきました。

 現在の状況をお知らせしますと、特定の地域での血中濃度調査については、PFASに対する総合戦略検討専門家会議において、血中濃度のみを測定しても健康影響を把握することができないのが現状であるとともに、地域における存在状況に関する調査としては、環境モニタリングの強化で対応することが妥当とされております。

 これを踏まえて、環境省においては、自治体に対して幅広い地域における公共用水域や地下水の調査の実施を働きかけるなど、水の環境モニタリングの強化を進めていきたいというふうに考えております。

屋良委員 ありがとうございます。

 なぜこうした提案をするのかというと、もう一つ理由がございまして、これは恐らく国際的な取組がなされる、いろいろな国々がやるんですけれども、国際的な課題になっているので、国際的な取組がなされるかもしれないということを前提にして、国家間の協力が求められる分野なのかなというふうな見方もできると思うんですね。

 そうすると、大臣、経済的なインパクトも生み出すかもしれません。例えば、血液検査の簡易キットを開発したり、PFASを分解して無毒化する技術開発は、もう既に一部では民間レベルで始まっているというふうなことですね。

 後で質問させていただきますけれども、汚染水を浄化する浄化材の開発とか、その処理方法、今後、民間でも商業ベースで開発競争が生まれるかもしれない。そのような民間活力を政府が後押ししてあげれば、日本がこの技術でリーダーシップを取る、そうすると国際協力にも活用ができる。それが、私は、安全保障のソフトパワーとして力を発揮していくんじゃないのかなというふうな思いがしているわけです。

 なので、こういうことをこの場をかりてお話しさせていただいているわけですけれども、私の勝手な空想かもしれません、だから特に答弁にはこだわりませんけれども、もし大臣が御興味があって、コメントしたいというふうなことであれば、大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。ありますか、大臣。

伊藤国務大臣 建設的な御意見をいただきましたので、検討させていただきます。

屋良委員 ありがとうございます。

 今のお言葉が大変大きな流れをもしかしたら生むかもしれない、そのような期待を持って、今後見続けていきたいというふうに存じます。

 さて、今現在、国内の基準は暫定とされています。暫定という言葉の意味、やはり、正式な決定があるまでの仮の措置、仮の取決めですよという意味です。いつか暫定を取り除かなくてはならないでしょう。

 仮に、暫定基準値を水道水質基準などに位置づけた場合には、浄水場の整備などの対応が必要になると思われます。これは大変大きなことになると思うんですね。その準備を、検討して、実施するに当たって政策的に何が必要なのか、何が有効なのかということを考えておくのは、今、行政としてはやはり必須じゃないかなというふうに思っておりますけれども、大臣、御認識をお聞かせください。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本年四月一日に、水道行政のうち、水質、衛生に関する業務が環境省に移管されます。そしてまた、水道中のPFOS、PFOAの暫定目標値の取扱いについては、現在検討が継続されております食品安全委員会による評価に加え、浄水処理性能や分析方法など様々な観点を踏まえた検討を行う必要があります。現段階では予断を持ってお答えすることはできませんが、しっかり環境省としての役目を果たしてまいりたいと思います。

 なお、浄水場の整備については、厚生労働省の水道施設整備に係る補助金等において、本年度から、PFOS、PFOA対策のための活性炭処理施設等の整備が交付対象となっていると承知しております。

 水道水質基準を所管することとなる環境省としては、本年四月一日以降は、水道施設の整備等を所管する国土交通省と連携しつつ、PFOS、PFOAに係る水質の目標値の取扱いに関する検討や、浄水技術に関する研究の推進、科学的知見の収集など必要な取組を進めてまいりたいと思います。

屋良委員 大臣、ありがとうございました。

 米国では、今年の早い時期と言われております、その基準値を設定するという流れだと理解しておりますけれども、諸外国もそうした流れになってくる、日本もそれは対応しないといけないであろう。まさにアスベストの流れと非常に重なってくるような気がするんですね。

 仮に日本で暫定が取れて基準値となった場合に、行政的な対応、先ほど大臣がお話しされたように、環境省、国交省、連携を密にしながら、さらには厚労省も、横串を通すような形で対応しないといけないというふうに受け止めております。

 これはかなり大きな構えの対応が必要になってくるのではないか、私、素人なんですけれども、そういうようなことが容易に想定されると思います。水道事業者にも大きな影響が出てくるでしょう、各都道府県で。

 PFOSを除去するために、浄水場では、今のところ活性炭が主に使われておりますけれども、その量は十分に足りるのでしょうか。聞けば、ほとんどを輸入に頼り、その多くは中国から入ってきているというのが実態だというふうに聞いておりますけれども、この安定確保が課題になると思います。活性炭は定期的に交換しなければなりません。活性炭で浄化する場合、その費用が水道料金を押し上げている、地域自治体の水道事業はコスト増を余儀なくされているというのが実態でございます。

 昨日、レクで、その活性炭の必要量とかというのは分かりますかと聞いたところ、今のところ具体的な数字は、状況は把握しておりませんというようなお答えだったんですけれども、その理解でよろしいですか。

鳥井政府参考人 今後必要になる量については、把握をいたしておりません。

屋良委員 ごめんなさいね。一応聞いたんですけれども、ずっと気になっておりまして。

 活性炭で今浄化をしている。早晩、基準値が、暫定が取れるかもしれない。いつかは分かりませんけれども、そういうような国際的な流れになっている。これは、やはり分かっていた方がいいのではないかな。そして、どのようにそれを安定的に確保していくかという対策も今のうちにやっておいた方が、私は、転ばぬ先のつえとしていいのではないかなというふうに思っている次第でございます。

 資料四の一でお示しいたしたのは、沖縄県の北谷浄水場というところがあります。そこで活性炭を使った浄化にどれぐらい予算がかかっているかということを示しておるわけですけれども、一番下の令和五年、今年度、令和五年の活性炭、一つの浄水場です、四億円を超える予算がかかっている。そのうち、防衛省補助があって、沖縄県は一億四千万円支出しているということになっております。これはかなり大きいです。しかも、毎年億単位の予算がかかっているということ、これはやはり確認しておいた方がいいと思います。

 その次のページですけれども、資料四の二です。活性炭で水を浄化する。しかし、活性炭は残るわけですね。PFOSを吸収した活性炭が残るわけです。その活性炭も、八百度とか千度とかという大変高い温度で処理をしないとPFOSはちゃんと処理できないというような代物なので、毎年毎年、沖縄県は四千万円とか五千万円を使ってこれを処理をしているという現状があります。

 これがもしかしたら、この基準値が決まって、全国的な対応をもし取らなければいけないとなったときのこの費用負担は大変なものだと思うんですね。これは、やはり水道を利用する人たちに今のところ価格転嫁をしないといけないという状況になっているわけですけれども、沖縄では今年十月に水道料金を上げる予定です。その上げる分の一一%は活性炭などの浄化費用だと言われております。大阪でも同じように値上げをするわけですけれども、値上げ分の一〇%、同じような理由で、浄化費用の上乗せによるものとして、この物価高の中で水道料金が更に高くなっていく、利用者の負担が増えていく、この影響はとても大きなものだ、今後更に広がるかもしれないということだと思います。

 今現在、活性炭処理を行っている浄水場は全国にどれだけあって、処理方法と併せてその実態をお聞かせください。

鳥井政府参考人 お答えをいたします。

 浄水場に活性炭処理を導入している、浄水場ベースでは把握しておりませんけれども、水道事業者の数につきましては、日本水道協会が作成しております、水道協会によりますと、令和三年度末時点で二百九十一事業者でございます。

屋良委員 ありがとうございます。

 二百九十一事業者が、もしかしたらこれから毎年億単位の処理費用を抱えないといけなくなってしまう、そうすると、利用者への価格転嫁をしないと、持ちこたえられなくなってしまうというような状況が発生するかもしれません、全国的に。だから、今のうちに対応を考えておかないといけない、私はそのように思っているわけです。

 今は厚労省が浄水場の施設整備のイニシャルコストに補助金を出している、大臣が先ほどおっしゃったとおりだと思います。基準値を設定するまでに、浄水施設や処理施設の更なる整備、活性炭の確保など、クリアしておかなければいけない行政課題は山積みだと思います。今から、水質基準に設定される先を見越した対応が必要ではないでしょうか。

 アメリカでは、バイデン大統領が前回の選挙でPFAS対策を公約に掲げておりました。基準値設定が大変想定よりも遅れていて、今年になりそうだというふうなことになります。恐らく、基準値設定と必要な水道事業の施設整備などの対策を並行して進めているため、設定が遅れているのではないかというふうにも言われておりますけれども、同時並行的にやっているために、この設定が先送りされてきたというふうなアメリカの対応、私は非常に合理的なやり方じゃないのかな。

 遅れているよ、いつ出るんだというようなことを言われながらも、ちゃんと行政的な対応を進めているから、それが先送りされているというふうなことも言われている。これは、何というか、先見性があるやり方だなというふうに思ったりするわけなんですね。健康被害などの知見を集積する作業の一方で、このような具体的な取組を進める、それで準備をする必要があると思います。

 さらに、汚染の原因者は環境浄化の義務づけもされると思います、これから。民間企業は、それを負担するだけの費用で潰れてしまうかもしれません。そうした問題への対策も、きめ細かに進める必要があるのではないでしょうか。企業への支援策を講じるかどうか、そのときに法的整備も必要なのかどうか、私たちはしっかりと身構えて対応を考えていかなければならない。

 基準値を設定するとき、何が行政的な課題となるかを洗い出して、一つ一つクリアしていく具体的な準備、アクションプラン、実行計画、それが必要じゃないかと思っております。大臣、是非その策定をしていただけないでしょうか。PFASの取組でレガシーをつくってみる、そのような意気込みで取り組んでいただきたいというふうに希望いたしますけれども、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 今日は委員から幾つもの建設的な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 現状をまず報告いたしますと、PFASについては、これまでも関係省庁と連携して、安全側に立った水環境中の暫定目標値の設定、自治体と連携した環境モニタリング、暫定目標値を超えた場合の暴露防止に関する助言等の対応など、安全、安心に向けた取組を進めてきたところでございます。

 そしてまた、昨年七月に公表したPFASに関する今後の対応の方向性を踏まえ、内閣府の食品安全委員会や、四月から水道事業を共管する国土交通省と密に連携していくとともに、今話題にはなりませんでしたけれども、農産物に係る調査研究を実施している農林水産省の取組なども把握しつつ、環境省として必要な取組を進めていくところでございます。

 今の御指摘も踏まえ、しっかり前に進めてまいりたいと思います。

屋良委員 大臣、ありがとうございます。建設的な御答弁もいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど大臣おっしゃったように、農産物は大変重要で、私もそれを聞きたかったんですけれども、そこまでちょっと準備が回らずに、次の機会にさせていただきたいんですけれども、いろいろな海外の報道を見てみますと、魚の中にもPFOSが含有されているし、海産物の缶、缶詰の貝類からもPFOSが検出されている。ジビエ、鹿とか、野生動物からもPFOSが検出されている。もう至る所にPFOSはあるというふうな認識がある。その対応もやはり、これまた農水省に大変力を入れてやっていただきたいというふうな分野でございます。

 ありがとうございます、御指摘いただきまして。本当にそのとおりだというふうに、私も、問題意識を共有させていただいておるところでございますけれども、建設的なお話は取りあえずここまででございまして、これから、沖縄の基地の中で何で長い間立入調査ができないのかというところの問題をちょっとお話しさせていただきたいんです。

 その前に、米軍基地内で働く従業員、消防隊員がおります。消防訓練の中で、泡を頭からかぶって訓練をやってきた人たちがいるんですね。その人たちが今、将来的に健康被害が起きるんじゃないかな、がんを発生したらどうしようか、そんな心配が高まっているんですね。

 アメリカ軍は健康診断をやっているんですよ、血液検査も含めて。同じ現場で同じような作業をしていて、アメリカ軍の消防隊員は健康診断をちゃんとやっている、ちゃんと対策が取られているなというのを目の前で見ながら働かされている日本人の従業員がいる。

 この人たちは、健康診断、特定健診を求めていらっしゃるわけですけれども、どうでしょう、防衛省さん。現場で、何でアメリカ人は、アメリカ軍の消防隊員はちゃんと検査をやってもらっているのに私たちはやってもらえないんだろう、これは不安が募りますわ。それと不公平感も募って、毎日の業務も気分は嫌でしょう。どうでしょう、これは何とか対策を取れないでしょうか。

 消防隊員として働いている日本人従業員、今、その数を把握していらっしゃいますでしょうか。教えてください。

三宅大臣政務官 お答え申し上げます。

 在日米軍基地に勤務する基地従業員のうち消防活動に直接従事している者は、令和六年一月末日現在で約八百五十人でございます。

屋良委員 特殊健診、実施できないでしょうかね。八百五十人であれば、まあ、そんなに、目が飛び出るような予算も必要じゃないと思うんですけれども、彼らは今、特殊健診を求めております、現場では。どうでしょう、雇用主として、その辺、要望を聞き入れていただけないでしょうか。

三宅大臣政務官 お答え申し上げます。

 在日米軍基地に勤務する基地従業員に対しては、一般の労働者と同様に、労働安全衛生法等の国内法令に従い、雇用主である防衛省が健康管理に必要な措置を講じております。この中で、有害な業務に従事する基地従業員に対しては特殊健康診断を実施しております。

 その上で、PFASにつきましては、健康影響との関係を評価するための科学的知見がまだ確立していないこともあり、労働安全衛生法に基づく特殊健康診断の対象とはなっていないと承知いたしております。このため、基地従業員に対してもPFASに関する特殊健康診断は行っておりません。

 PFASをめぐる問題につきましては、政府全体として取組を進めているところでありまして、PFASの健康影響に関し、内閣府の食品安全委員会において、有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループを設置し、検討が行われていると承知をいたしております。

 防衛省としても、こうした政府内の検討状況を踏まえつつ、基地従業員の健康管理について引き続き適切に対応してまいります。

屋良委員 ありがとうございます。

 PFASは含まれていないという御答弁だったんですけれども、アスベストとほとんど重なります。健康被害が騒がれて、WHOが指針を出して、発がん性があるよというようなことを出して、それから四十年近くたってから初めて国内法が整備されたということですね。もうその間に、肺がんで苦しんで亡くなられた人たちというのはたくさんいるわけです。それを、このPFASでは同じ轍を踏まないというふうな覚悟があってもいいんじゃないかというふうに私は思っています。八百五十人の健診ですよ。これは何とか前向きにやってもらいたいと思います。

 日米安保が大事だ、それはよく聞きます。だけれども、それを足下で支えてくれているこの従業員たちの健康が、もしかしたら脅かされているかもしれないというと、これは言っていることとやっていることが全然違うじゃないですかというふうなことになるので、是非とも、そこは対策を強化していただいて、彼らの健康をしっかりと守ってもらえるような対応を講じていただければ大変ありがたいと思いますので、その辺、御検討をよろしくお願いいたします。

 沖縄県は、二〇一六年から、嘉手納基地内への立入調査を求めております。既に八年経過しておるんですけれども、今は嘉手納、普天間、ハンセンなどの立入りを要請しておりますが、実現しておりません。何が障壁となっているんでしょうか。御説明ください。

三宅大臣政務官 沖縄県の方からは、嘉手納飛行場、普天間飛行場、キャンプ・ハンセン周辺の河川等からPFOS等が検出されていることを受けまして、汚染源の特定のため、これら施設への立入りについての要請がこれまで四件されております。これらの要請につきましては、様々な機会を捉えて米側に伝達をいたしております。

 米側とのやり取りの詳細についてはお答えできないことを御理解いただければと思いますけれども、防衛省としては、引き続き、関係自治体及び関係省庁と連携しながら米側に働きかけてまいります。

屋良委員 一昨日、参議院の外交防衛委員会で上川大臣が、日本では基準値設定がまだ議論が進展している中であって、そうした中ではなかなか立入りは難しいというふうな御認識を述べられているんですけれども、ということは、これは環境省の対応がまだないので、基地内に立ち入れないんだよというふうなことを上川大臣はおっしゃったというふうに受け止められます。

 どうですか、これは。環境省は本当にそれでいいんですかね。そういうふうに言われていいんでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

伊藤国務大臣 在日米軍施設・区域に関しては、日米間において、環境補足協定など様々な取決めがあるということは承知しております。

 必要に応じて、関係省庁で連携して日米間で協議がなされるものと認識しております。

屋良委員 そうなんですよ、連携してやってもらわないと困るんです。これは連携されていないというふうなことで、八年間も延び延びになっているんじゃないんでしょうか。

 そして、今、外務省は、環境省の対応が遅れているからだよというふうに聞き取れるような発言を大臣がなさっている。これは全く現状認識が違っていて、これからなんですよ、基準値を設けるのは。アメリカもまだなんですよ。ところが、アメリカではしっかりと基地内の対応をしている、基地周辺の対策もしているんですね。先ほどの答弁は、まだ検討中なのでとかですよ。外務大臣がおっしゃった、基準値がないからというのは国際社会を見ていないということです、外務省が。大丈夫ですか、これで。

 外務省、何かおっしゃりたいことがあれば、よろしくお願いします。

穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。

 PFOS等をめぐる問題については、地域住民の皆様は大きな不安を抱えていると承知しています。先ほど大臣からもありました、関係省庁が連携しながら政府全体としてこの問題には真剣に取り組んでおります。これまでも現に、PFOS等の漏出が起こった場合には、環境補足協定に従いまして、米国施設・区域内への立入り等は実施しています。

 他方、沖縄県からは、嘉手納飛行場、普天間飛行場、キャンプ・ハンセンについて、周辺の水環境等からのPFOS等の高い値が検出されていることを踏まえて、汚染源特定のため、これら立入りについての要請がなされており、日本政府として様々な機会を捉えて米側には伝達をしているところであります。

 上川大臣はこの点について、現に漏出が発生していない場合の立入りに関して、国内において法的基準が定められること及びPFOS等の検出と在日米軍の活動との因果関係が明らかになることが重要と述べたものであり、日本政府の立場に何ら変わりはございません。

 外務省としては、様々なレベルで米側とやり取りをしてきているところであり、住民の方々の不安を払拭できるよう、引き続き米側と連携していく考えでございます。

屋良委員 最後になりますけれども、今般、普天間飛行場でたまっていた汚染水を何と日本の費用負担によって処理した、これは緊急的な対応だったというふうに防衛省はそのときも説明していますけれども、例えば、東京の横田基地にも汚染水が百四十万リットル貯蔵されているというふうな報道もあって、普天間で処理した量は三十六万リットル、何倍にも及ぶ汚染水がまだあるんですね。これも全て日本が肩代わりするかというと、どうもちょっと筋が通らないような気がしますけれども、もう時間が来たので、この質問は別の委員会に、安保委員会とかでやらせていただきますけれども、このPFAS問題、全省庁横断的に、そして国家プロジェクトとしてやっていくべきだと思っているし、環境省、予算をがっつり取っていただいて、そのリーダーシップを発揮することによって、国際貢献にも、もしかしたらつながる可能性があるんですね。そういった分野だと思っていますので、是非とも対応をよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

務台委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。

 火曜日に引き続きまして、五十分時間をいただきまして、質問させていただきたいと思います。

 前回は、熊対策、中山間地域の人たちが非常に被害を受けている問題ですけれども、今日は、花粉症対策についてお伺いしたいと思います。

 その前に、この前ちょっと用意していたんですが、ほかの方が質問されていたので延ばしております気候変動問題についてちょっと伺わせていただきたいと思います。

 COPに行きますと、日本が非常に不名誉な賞をいただくのが年中行事になりました。何かいつものことだから、もうしようがないと。いたずらっ子が、僕なんかもその類いでしたけれども、毎度先生に怒られていたら、怒られるものだと思って全然苦にならなくなる、日本はそのようになりつつあるような気がするんですけれども、真面目な伊藤大臣はどのように感じられましたでしょうか。

 一日目に、フォッシル・オブ・ザ・デーというのをニュージーランド、アメリカと並んでいただく。毎回ですよね。恥ずかしい話だと思いますけれども、いかがでしょうか。どのようにお感じになられましたでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 化石賞、これは民間団体の活動の一つとして承知しておりまして、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 COP28では、私から、日本は温室効果ガス排出量を二〇二一年度に二〇一三年度に比べ約二〇%削減しておりまして、一・五度目標に向けてオントラックであることを発信し、多くの国の理解を得られたというふうに考えております。

 その上で、我が国としては、徹底した省エネの推進、再エネの最大限導入、安定供給を大前提としたできる限りの化石電源比率の引下げを引き続き行っていく方針でございます。これらの取組を通じて、化石燃料への過度な依存からの移行を進め、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減、できれば五〇%の高みに向けた挑戦というものを続けておりまして、この先、二〇五〇年のネットゼロに向けて前進していく、その方針でございます。

篠原(孝)委員 いろいろ述べられましたけれども、日本のやっていることを全然評価されていないんですね。石炭火力発電所を全然先進国の中で止めようとしないと知れ渡っているわけです。

 しかし、その上に、もう一つ変なことが行われていると思うんです。

 某野党が、我が党はどうするか知りませんけれども、トリガー条項の凍結の解除というのを三党協議をしている、大臣がCOP28に行っておられるさなかにそういう協議をしている、僕は、こんなのは恥ずかしいことだと思いますよ。

 ガソリン価格が上がっているから、復興を助けるためにトリガー条項は凍結するというふうになっていて、それでやってきている。ガソリンが高い、高い、円安になって高くなったからだ、そればかり言って、迎合して、それをやろうとしている。とんでもないことだ。私は、それが知れたら、化石賞というのは、その日の化石賞なんですよ、だから、そんなことをしたら、フォッシル・オブ・ジ・アワーで、毎時間もらうことになるんじゃないかと。

 なぜかというのを、表を見ていただきたいんです。皆さんは余りこれを御存じないかと思うんですけれども、この表をまた今回も用意してまいりましたので、見ていただきたいんです。OECD加盟国におけるガソリン一リットル当たりの価格と税の比較というものです。

 日本のガソリンは高いということ、皆さん誤解があると思う。フェイクの情報がいっぱいあるんですけれども、その典型がこれです。右側の四角に囲ったところを見てください。日本の位置、三十五か国中、高い方から、小売価格は、下から一番目、三十四位です。これは皆さん御存じでしょうか。日本のガソリンは全然高くないんですよ、安いんですよ。ほかの発展途上国なんて物すごく高い。よく言われているのが、アメリカは安くてEUは高い、日本は真ん中あたりと言われる、うそなんです。

 これは、為替レート、すぐ分かりますね、一ドル百円のときと一ドル二百円のときで倍違うんです。このときで、二〇二二年の第三・四半期。二三年、今、一ドル百五十円になったら、もっと低い。日本のガソリン価格は、国際比較でいうと、安くなっているんです。

 そんなときに、これ以上安くして、ガソリン車を前と同じように走らせていいんだなんて言っている、逆行することを政策で平気で導入しようとしているのは日本だけです。私は、大臣の口から、こんなものはやめるべきだということを言っていただきたいんです。恥ずかしいことだと私は思いますよ、それを黙っていると。これから党内で議論をするんだと思いますけれども、我が党にも、一緒に法案を提出しようとかと言われているそうですけれども、僕は、絶対そんな恥ずかしいことはすべきじゃないと思います。

 これは環境大臣として、こんなことはすべきじゃない、恥ずかしいことだということを言っていただきたいんですが、いかがですか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 私は、COP28において、約四十の閣僚級会合あるいは二国間会談を行いましたけれども、前段の発言については、私は見解を異にします。日本の環境政策はそれなりに評価されていると思います。

 それから、今の御質問のことでございますが、御指摘のトリガー条項の凍結解除については、国際エネルギーの情勢、脱炭素に向けた国際的な潮流なども総合的に勘案して、引き続き政党間で検討が進められているものと承知しております。

 環境省としては、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素化の取組を着実に進めていくことが重要と考えております。

 そのため、運輸部門でいえば、その二酸化炭素排出量の約四割を占めるトラックなどの商用車の電動化を促進するため、GX関連予算を活用した補助事業等を強力に実施しているところでございます。

 また引き続き、関係省庁と連携しながら、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化の取組を加速してまいりたいと思います。

篠原(孝)委員 僕はしようがないと思うんですけれども、長野県なんかでは、公共交通機関はみんな乗らないので、がたがた。私鉄の長野電鉄の線路は廃線になっています、大分前から。僕が高校に通ったときにずっと乗っていた電車は、とっくの昔に廃線になっているんです。そのまま残しておけばいいのに、駄目になっている。

 そして、自動車、立派な乗用車はそんなに乗っている人はいないですけれども、軽トラックですよ、これは、長野県は全国一位の普及率なんです。山道に行くのにちょうどいいですからね。それで、軽乗用車というか軽自動車、トラックは何かを後ろに載っけられる、仕事にも使えるようにと。一家に三台、四台なんです。必要だといえば必要かもしれませんけれども、逆行していると思うんですね。

 そこへ持ってきてライドシェアとかいって、僕は、ライドシェアの会合に行って嫌みを垂れましたけれども。車が必要だからと言われた。介護が必要な人は、病人だとかそういう人たちはタクシーに乗らなくちゃいけない。だけれども、猫もしゃくしも、電車に乗って、バスに乗って行けるのにタクシーで行くなんてぜいたくだ、そんなところにライドシェアなんて何で必要かと。

 いや、観光地で、雪道、せっかくインバウンドで外国人の観光客が来ているのに、公共交通機関がないから、タクシーでみんな行くんだと。外国の金持ちが日本に、スキー場に来るのにタクシーが必要だ、そんなのは高い金を払って行けと。そこで、タクシーを東京から持っていってその期間やっているなんて、そんなことまでする必要があるのか、そんなぜいたくなものに。元からやらなくちゃいけない、根本的に日本政府の姿勢は間違っていると私は思います。

 ちょっとガソリン価格が上がった、上がったといったって雰囲気だけですよね。上がっています、長野県なんかは輸送コストがかかりますから。長野県と高知県がたしか、何かよく出てくるけれども、一番に。遠いからですね、製油所から離れているから、それは輸送コストがかかるから。リッター百何十円、新潟県に行った方が安いからといって、わざわざ新潟に行って入れてきて、ばかだと思いますけれども、そこへ行くまでに相当ガソリンを使っているのに、気持ちの問題で安いといって、満足して帰っていく、そんなようなことをしている。

 高くなって、使わないようにというのは、それは賢い政策じゃないですけれども、今のところ、こんなに安いのにもかかわらず、もっと安くというのは、これは迎合した政策、何物でもないと思います。こんなことはやめていただきたいと思います。

 次が私の提案です。いっぱいとっぴな提案をしていますけれども。

 今、万博が問題になっています、二五年万博です。これは万博の関係の大臣のところできちんとやるべきだと思いますけれども、能登半島の地震が起きて、あっちの災害復興の方が大事じゃないか、大阪でそんなことをやる必要はあるのか。

 大臣は行かれて知っておられると思いますけれども、あのCOP28が開かれていた会場は万博会場跡なんですね。二一年のドバイ万博の跡地です。そこを利用しているんです。

 それで、二五年開催が間に合わないというんです。間に合わなかったらという提案ですが、そういうことを本当に日本政府の中で真面目に議論しなくちゃいけないと思います。オリンピックは、金がかかり過ぎちゃって、余り手を挙げるところがなくなったようですけれども、COPは非常にいい会合ですね。心が晴れ晴れする会合というか、正しい方向に行くというので、各国の首脳も集まる、環境大臣はみんな来る、そういうところですから、いっぱい手を挙げるところがあると思います。

 事務方に聞きましたら、五大陸を順番に回っていて、アジアには回ってこない。僕は、COP3、京都会議はよく覚えているんですけれども、役人時代にちょっと関係していたので。それ以来、日本では開かれていないというんですね。ドバイもアジアだから、アジア枠は使っちゃったので、アゼルバイジャンでブラジルだ、そこまで決まっている、その後は決まっていないようなんですが。

 提案ですよ。万博は足して二で割る、そういうことを考えたらいいので、万博は、三年後か四年後にちょっと延期させていただく、間に合わないから。そのときに、COP幾つになるか、30になっているか31になっているか知りませんけれども、それを開催させていただいて、そのときに環境関係のビジネスのものでもって、その会場にしたい。

 二ページを見ていただきたい。環境省から五十五人の大部隊、一番大事な会合だと思います。私の記憶では、どうでもいい話ですけれども、農林水産省のときにウルグアイ・ラウンドでブリュッセルに三十人行きました、てんやわんやでしたが、それをはるかにしのぐ人数、大変だと思いますけれども。

 そこに、要請しているわけじゃないんですけれども、日本の名立たる企業十四社、アサヒグループ、商船三井、知っている会社と知らない会社がありますが、ダイキン、大成建設、ダイハツ、東芝、日揮、パナソニック、日立、三菱重工、これだけ行っているんです。環境ビジネスです、グリーンビジネスです。これから大事になってくる産業です。こういう人たちが行って、そして環境の新しい技術を売り込んでいる、これを中心にやったらいいんじゃないかと思います。

 こういう提案を政府部内でしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 国際的視野に立った御提案をいただきました。

 二〇二五年大阪・関西万博は、ポストコロナの新しい世界や未来社会の風景観を示して、エネルギー・環境分野を始めとする我が国のイノベーションの可能性を世界に発信していく場として重要とまず認識しております。

 環境省としては、電動車の活用拡大や再エネ水素技術を活用したメタネーションの実証、二〇三〇年ネイチャーポジティブの実現に向けた発信など、万博の機会を捉えて、我が国の優れた環境技術や我が国の目指す未来像について発信してまいりたいと考えております。

 企業の参加については、今お示しいただいたとおりでございます。

 なお、現時点ではCOPを日本に誘致する予定はありませんが、我が国が有する脱炭素技術をアピールする場として重要な会議の一つであるというふうに認識してございます。今後のCOPにおいても、我が国の技術の発信を更に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 現時点では、いずれにしても、万博の二〇二五年四月の開催に向けて関係省庁と連携し、政府一丸となって着実に進めてまいりたいということでございます。

篠原(孝)委員 それでは、メインの花粉症対策について、浜地厚生労働副大臣にお伺いしたいと思います。

 花粉症に悩む人は四割近くいる。この委員の中でも相当おられる、四割はおられるんじゃないかと思います。私は、花粉症は無縁だと思っていましたけれども、そうでもないみたいで、皆さんお気づきかもしれませんけれども、私はいろいろなところででかいくしゃみをするんですよ、それは花粉症じゃないかというんです。どこかで私の悪いうわさをしているから、くしゃみをしているんだと私は思いますけれども。

 四割も、国民病になっている、日本でこんなに大問題になっている。コロナとかいうのはウイルス性の病気で、あちこちで世界中にはやっていって、今、一段落していますけれども。花粉症というのは、世界的に大問題になっているんでしょうか。

浜地副大臣 お答えいたします。

 今先生が、花粉症は、世界的にも大問題、要は、国民病のようになっているかというお問合せだと思っています。

 日本では、御指摘がありましたとおり、日本の花粉症の有病率は約四割でございます。では、諸外国はどうかといいますと、諸外国の花粉症の有病率を厚労省としては網羅的には把握をしておりません。

 しかし、例えば米国におきましては、米国の疾病予防管理センター、CDCの調査によりますと、季節性のアレルギー症状を有する人の割合は、十八歳以上の成人で二五・七%、十八歳未満の方で一八・九%とされておりますので、単純には比較できませんが、例えばアメリカと比較して、日本は相対的に高いということは言えると思います。

篠原(孝)委員 世界中で差があるんですけれども、日本でも差があって、数字は間に合わなかったんですが、昨日の夜、いろいろなものが終わってから来たんですけれども、各県別で有病率が違って、明らかに東京の方が多いと言われているんですけれども、なぜ東京が多いんでしょうかね、そう言って聞いていったら、いや、違いますよ、山梨県が一番多いですよと。表が夜になって来まして、通年性アレルギー性鼻炎と杉と杉以外の花粉症と花粉症全体、よく分からないんですが、アレルギー性鼻炎全体とかいうのを、それぞれちょっとずつ違うんですけれども、やはり東京は多いんですよ。

 それで、ちょっと見ていただきたいんですが、四ページにいろいろな表を一緒にまとめてありますけれども、杉の人工林の都道府県別面積というものを、縦のものですね、それを見ていただくと、東京なんかは、当然ですけれども、見ないと思いますが、東京の西側の方の二万ヘクタール、神奈川も一万八千、秋田は三十六万ヘクタール。

 杉の花粉が悪いんだといったら、全然違うんですよ。それにもかかわらず、東京が結構多いんです。確かにそうなんです。これっぽっちなのに、杉の花粉なんてちょっとしかないのに、何で東京は多いんでしょうか。

浜地副大臣 今、篠原先生御指摘のとおり、東京都の花粉症の有病率は四九・一%でございますので、日本全体では十番目でございます。

 では、花粉症の発症や症状の悪化の要因につきましては、例えば、言われておりますのは、当然、飛来する花粉の数や食生活の変化、腸内環境の変化等と言われております。また、最近の研究では、悪化の要因としては、空気中の汚染物質又は喫煙、ストレスの影響、都市部における空気の乾燥等と言われておりますけれども、様々な要因がございますので、じゃ、東京がなぜ十番目かということでございますが、花粉症の要因が多いのかということについては一概には答えられないというのが我々の考え方でございます。

篠原(孝)委員 断定できませんよね。いつも公害と何かこういうもので問題になるのは、PFASの問題もそうですけれども、因果関係が一〇〇%明らかにならないんですよね。だけれども、事実として、東京に二万本しか杉がない。杉の花粉は多いんですよ、何か知りませんけれども、四十万個の粒子が。じゃ、どのぐらい飛ぶかというと、ちゃんと分かるわけがない。熊だったら、どこかGPSで分かりますけれども、花粉がどれだけ、どこから飛んできたかなんて分からないんですけれども、学者の研究によると、百キロまではいかないんじゃないか、数十キロだと。それにしたって東京はおかしいんですよ。

 どうなるかというと、私は、杉がかわいそうだと思うんですよ。杉が、魔女狩りみたいに、杉花粉が全ての原因のようになっていて、杉の木を切れ、切れと言っている。

 私は分かりませんけれども、私の東京の秘書は本当にかわいそうで、花粉症の時期になると、目は潤んで、涙が出てきて、顔が赤くなって、僕は優しいから、家へ帰って寝ていろと言っているんですけれども、家にいようがどこにいようがかかるので同じだからと言って仕事をしてくれるんですけれども、本当に消耗すると。

 だから、どこかがおかしいんです。これだけ国民病になっているんだったら、がん対策とかコロナ対策と同様に、花粉症の原因究明をして、どこが悪いか、特定物質なんかが分かったりすれば、一気に解決していくんですよ。そういうことが全然行われていない。

 杉花粉は一つの原因になっているでしょうけれども、私は、明らかに変な空気を、大臣は、食べ物なんかでいろいろ入れてというのを言われましたけれども、それもあります。これは、くしゃみをしたり喉があれしますが、明らかに変なものを口から空気で取り込んでいる。つまり、大気汚染が相当影響しているんじゃないかと思います。

 私の記憶では、今、文書を探したんですが、きちんと出てきていないんですが、光化学スモッグなんというのが昔ありました。じゃ、花粉症というのはいつ問題になったか。かわいそうだなと思っていましたけれども、日光街道沿いの住民に初めて出たと。日光街道沿いのどこに出たかというと、物すごい渋滞で、自動車の排気ガスが物すごいところ、そこで初めて花粉症の症状が出た、一九六〇年代から七〇年代にかけてです。それからばっと増えている。厚労省はというか、一九九八年から二〇〇六年と一九年と、十年ごとに調査しているようですけれども、花粉症が最初の二十年前と比べて倍以上に増えている。私は、空気が汚れているんだろうと思います。何か花粉だけを悪者扱いして、ほかのところをやっていないのはよくないと思います。

 僕の経験だけでいいますと、僕は長野で生まれ育って、簡単に言うと、空気がきれいなところで育ちましたよ。厚生労働省からもらいました表では、通年性アレルギー性鼻炎のでやりますと、一番低いのは岩手とか何かで、長野県は五位以内になっています。通年性のアレルギー性鼻炎、いろいろなものをみんな合わせると、田舎の方が低いんです。都会の方は駄目なんです。

 だから、僕は、杉花粉、そこの対策を講じるのはいいんですけれども、原因を究明していただきたいんです。

 どうしてかというと、私は、東京へ来たときに、喉が痛くて喉が痛くてしようがなかったんです。医者に行っては何か薬をもらってきて、しようがないから、浅田飴、今も丸いあれがありますよね、あの缶がこのぐらいになりましたよ、浅田飴をなめて。それで一年半ぐらい通ったら、その医者は何を言ったか。あんたはどこの生まれ育ちだ、長野のこういうところだよ、ああ、それは長野へ帰らないと喉が痛いのは治らないと。いいかげんに、そんなのだったら早く言えと言いたくなりましたよ。

 それは当たっているんだろうと思います。悪い空気を吸っているのが、今までそういうものに接しなかったので、急に変な空気に接するから、都会へ来ると駄目なんですね。まして、国会議員になると、だんだん気持ちがすさんでくるのと同じようなものだと思いますよ。

 だから、杉だけを悪者にするんじゃなくて、二〇一四年に大気汚染と花粉症の研究が行われて、特定できなかった。それから何年たっているんですか。十年間、ろくな研究をやられていないんですよ。お金を出して、ちゃんと研究するようにしてください。副大臣、いかがですか。

浜地副大臣 お答えいたします。

 まず、篠原先生御指摘の、当然、花粉症の原因には、杉以外の花粉も含めて、アレルギー疾病対策基本法やこの指針に基づき、花粉症について、当然、杉以外の花粉症についても対象になっているということをまず御指摘をさせていただきたいと思っております。

 その上で、しっかりと原因究明、また要因究明、発症のメカニズムの要因ということだろうと思いますけれども、厚生労働省におきましては、花粉症を含むアレルギー疾患に対しまして、免疫アレルギー疾患研究十か年戦略に基づきまして、免疫アレルギー疾患の本態解明を含む研究を現在推進をしているところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、先生の問題意識がございます杉以外の要因も対象に、花粉症に係る研究をしっかりと推進をしてまいりたいと思っております。

篠原(孝)委員 そのときに、この表も、都道府県別有病率というのがあるんですよ。それでいろいろ細かく、どこがどう違うのか分かりませんけれども、杉と杉花粉以外と、通年性だ、アレルギー性鼻炎だと分けてあるわけです。だけれども、みんな、生物由来と花粉由来のことしか書いていないんですよ。大気汚染の具合がどうかというのを、それは絶対やってください。僕は、確実にそれがあると思いますよ。

 今、これを見ると、いろいろなものに、一番、二番、三番、四番、びりから五位と、上から、いい方の五位まで丸をつけてやったんですけれども、面白いですよ。沖縄は、杉なんかはそんなにないから、いろいろなもので一番、悩んでいる人たちが少ないんですね。そういうのが出てきているんです。

 だから、県別の有病者の数でもって何が原因かというのも分かってくる。明らかにこの表からだけでも、都会の方が汚れていて、都会の人たちの方が杉の花粉や、だって、ろくすっぽ草も生えていないわけですから、杉林もこの辺にないのにもかかわらず、それはアスファルトです。だから、簡単なんです。アスファルトがあるから土にしみ込まない、乾燥したら、また舞い上がって、何回も悪さをするわけですよ。しぶとく生き残って、自分の子孫を残そうと、自己保存本能ですよ。花粉は生きて、自分の子孫を残そうとしているんですよ。強い花粉だろうと思いますよ。それをわざと弱くしようとしている。花粉の少ない杉の苗を開発しようとか、そういうまた人間は悪いちょっかいを出しているわけです。自然をいじくっているわけです。そんなものの前に、人間がいじくった自然で壊している大気汚染の方を直す方が私は先だと思います。

 それで、これは大変なので、岸田総理が何かちょっと間違えられて、関係省庁会議をやっているのに閣僚会議をやれとか言って、まあ、いいんです、それで閣僚会議が始まったと聞いています。今まで何回やって、どういう成果を生んでいるんでしょうか。出どころは悪くても結果がよければいいので、閣僚会議にしてどんどん進めてもらいたいと思いますが、どうなっておりますでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 今ほど御指摘いただきました花粉症に関する関係閣僚会議でございますけれども、昨年の四月からこれまで合計四回開催をさせていただいているところでございます。

 この関係閣僚会議でございますけれども、昨年五月には、今後十年を視野に入れた長期的な施策を含めます花粉症対策の全体像をまず取りまとめをさせていただきました。その上で、昨年十月には、この全体像のうち初期の段階から集中的に実施すべき対応を初期集中対応パッケージとして取りまとめたところでございますし、本年二月には、本格的な花粉飛散シーズンを前といたしまして、政府一丸となった普及啓発等について確認を行ったところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携をさせていただきながら、花粉症という社会問題の解決に向けまして積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

篠原(孝)委員 三ページのところの疫学調査、さっき浜地厚労副大臣がお答えいただいたように、どれだけの人たちが悩んでいるかというと四割だという数字があるんです。その右側に、アレルギー性鼻炎の医療費について、約四千億円なんですよね。

 大前研一さん、評論家が、珍しく、あの人は論理的なこと、正しいことはいっぱいあるし、ちょっと強引過ぎるなというのもあるんですけれども、花粉症に非常に悩んでおられるそうでして、物すごく激烈な文章を書いておられるので、笑いながら見ました。理性を失っていましたね。それだけ、花粉症、このやろうめというのがある。これは何とかしてくれ、毎年悩まされると。

 杉花粉は三月、四月ですけれども、ヒノキがちょっとずれる。うちの秘書の場合はブタクサで、秋がひどいそうですね、八月から九月。ひどい人は年がら年中なので、もう嫌になってしまう。だから、本当に国民病ですよ。

 医療費だけじゃないんです。大前さんは、わざと治さないで、四千億円が医療界に落ちるから放っておくんじゃないかとか難癖をつけていましたけれども、そんなことはないでしょうけれどもね。だけれども、その前に経済的損失ですよ。

 肥満とアメリカ、経済学者は好きですから、そういうことをやるのが。アメリカ人の肥満で、動きが鈍くなり、食べ過ぎで、そして眠くなって、体調が悪くなって、病気になる。アメリカの肥満を解決したら、経済成長率が倍以上になる。何でそんなものまで経済成長率に結びつけなくちゃいけないのか分からないんですけれども。

 花粉症で四割の人が悩んでいる。よく眠れない。子供だと、勉強がはかどらない。我々大人だと、仕事をしていても、仕事をやる気にならない、とてもじゃないが、ぐったりして手につかない。分かりますよ。その経済的損失は四千億円ぽっちでは私はないと思います。完璧な国民病です。

 ノバルティスファーマというアメリカの製薬会社ですけれども、調査したそうです。これは我田引水的な調査結果になると思いますが、花粉症の薬を売りたいからそういうふうに言っているという面があると思いますけれども。それによると、七二%の人たちが仕事の効率が落ちた、また、七二%の人が、どういう聞き方をしているのか分かりませんけれども、仕事をしたくない、花粉症の症状があるとき。それは、年に二か月か三か月、仕事をしたくないと思って、会社に出ているだけ、こういう状態が続いているわけですよ、どれだけ経済的損失か。それで、半分以上の人が、花粉症のときは、しようがないから、会社に行って仕事をしているようなふりをしているけれども、完全に手を抜いて仕事をしている。莫大な経済的損失です。これを、私は日本国政府は軽く見ているんじゃないかと思いますよ。

 そして、福井大学、日本でもいろいろ研究している人たちがいるので、稲田さんの地元の福井大学の先生が、五歳から十一歳は、さっき浜地副大臣は、アメリカの場合は若い人たちの方が少ないようになっていますね、福井県で調べたところによると、成人の六・七倍、花粉症で悩んでいる人たちが多いんだそうです、子供たちが。子供たちは元気がいいから、そんなのでどうこうと文句を言わないわけですよね。だけれども、診察してみると明らかに花粉症だ。気がつかないでいる。

 小学生から急に増える。何でだか分かりますね。小学校へ行くまでは、幼稚園に行って、保育園とかそんなところに行って、余りあちこち出歩かないわけです。小学校になると、学校へ行って、あっちに行ったりこっちに行ったりして、だから、いろいろなところで、それから町中にも行きますし、町中もつけ加えますよ、排ガスを吸うんですよ。相乗効果で急に増えるんです、小学生になったら。子供たちにも相当悪影響を与えているんです。

 それで、なぜこれをしつこく言うかというと、アトピー性皮膚炎というのは、私や大臣の世代にはほとんどなかったと思いますね。委員長の時代にもなかったと思います。今の子供たちは、全く同じじゃないですか、四割か五割がアトピー性皮膚炎になっている。変なものを体の中に入れているんです。それだから拒否反応を示す。私は、花粉症も同じだと思いますよ。

 これは、絶対に大気汚染対策も同じように講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 大気汚染対策との関係についてでございますけれども、例えばでございますが、自動車から排出されます粒子状物質等の規制につきましては、大気汚染の状況、技術開発の動向、海外の規制の動向等を踏まえつつ、これは順次強化をし続けているのは委員も御案内のとおりかと思います。

 これに加えまして、自動車交通が集中いたします大都市地域につきまして、各自治体が粒子状物質等の総量削減計画を策定をし、自動車からの排出量の削減に向けた施策を計画的に進めているところでございます。

 こうした施策を通じまして、大気中の粒子状物質の濃度は低減しているところでございまして、令和三年度の時点でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、規制そのものは順次強化をしてきている、そうしたさなかの中にありまして、環境基準の達成率は既に一〇〇%となっているところでございます。

 環境省といたしまして、花粉症との関係いかんにかかわらず、引き続き、関係省庁あるいは自治体と連携をさせていただきながら、自動車排出ガス対策はもとより、大気汚染対策、こうしたことについてもしっかりと目を向けてまいりたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 それでは、農林水産省、林野庁にお伺いいたします。

 ちょっと時間がなくなったので、今までの政策の成果がどうこうというのは時間があったらやることにして、省かせていただきます。

 最初はくぎを刺すんですけれども、杉の花粉がいけないからといって、何かまた変なことをし出す。

 どういうことかというと、松くい虫というのがありましたよ、今はすっかり忘れられちゃっていますが。もうしようがないと思って、あちこちに松枯れ、今もあるんですよ。茶色になっています、あちこちの。その当時、松くい虫防除というので、日本の山、松のあるところに空中散布をして歩いたんです。何をしているかと。すぐそういう化学物質をまき散らして、更に環境を悪化させて、それが人間の体にも入って、後のアトピー性皮膚炎や、あるいは花粉症の原因になっているかもしれない。

 今の花粉を減らすために、ドローンで、スマート林業だか何だか知りませんけれども、ドローンで山中に、杉の林、杉に散布しているわけですね。四百四十四万ヘクタール、日本の国土面積の一〇%以上は人工林、こんな異様な国もないと思いますが、今更嘆いたってしようがないんです。そこに、同じように花粉飛散防止剤をドローンでまくなんというのは、こんなことは絶対やめてください。いかがですか。

舞立大臣政務官 花粉の飛散防止剤の空中散布の件だと思いますけれども、この飛散防止剤といたしましては、杉雄花のみを枯らす菌類のシドウィア菌と、食品添加物をもととするパルカットの研究開発が進められているところでございます。

 これまで、シドウィア菌につきましては、十月から十一月の秋期に散布した場合、八割以上の雄花を枯死させるとともに、自然界に生息する微生物でありますことから、周辺の植物、昆虫類、キノコ類等への影響もないことが確認されているところでございます。

 また、パルカットにつきましては、杉雄花の九割以上を枯死させるとともに、地上散布につきましては、既に農薬登録が行われ、農薬としての安全性が確認されているところでございます。

 この散布の関係につきまして、効果的、効率的な散布技術の開発ですとか森林生態系等に与える影響調査など、実用化に向けては引き続き必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 駄目ですね。生物界のところに、そんなこの世に存在しないような化学合成物質をまき散らしちゃ駄目ですよ。

 花粉の量が少ない品種を開発するのは丸ですよ。だけれども、この世に存在しない変なものをまき散らして防ぐなんというのはおかしいんです。そういうことはやめてください。経産省とかそういうところがそういうことを考えてくるのはしようがないと思います、そんなことばかりやっているんですから。僕は、そういうものをやめるべきだと思います。SDGsの時代ですよ。そういうものを控えなくちゃいけないんです。

 我々長野県も、カラマツが多いので、杉はそんなに多くないんですけれども、ほかの県と比べて。ですけれども、須坂市では、木材としては売れない黒い杉で、赤みがなくて、そんなものはほかにないんですよね、クマスギと呼ばれているものがあって、それは駄目だと言っていたんですけれども、調べてみたら、花粉の量が普通の杉の十分の一なんだそうです。じゃ、これをやったらいいんじゃないかというのを長野県の林業センターで研究しているんだそうです。そういうものはどんどん奨励して、やったらいいんです。

 杉も気候によって変わりますから、それぞれの県で違う。国会見学等に行けばお分かりでしょう、県の木を見ていくと、何とか杉というのが物すごく多いですよ、何とか松というのも。それだけ愛されている木なんですよ。だから、生物の中でもって解決するようにしてもらわないと駄目だと思います。

 次に、またちょっと大事なものを、こっちを先にやります。

 この間に引き続き、名称変更です。

 資料のさっきのところ、ページ数を節約するために一緒になっていますけれども、四ページのところの、人工林の都道府県別面積の左側に、鳥獣保護法の英訳。大臣は英語もフランス語もおできになるそうですので、お分かりだと思いますけれども、鳥獣保護法の英訳名は、ワイルドライフ・プロテクション・コントロール・アンド・ハンティング・マネジメント・アクト、野生生物を使っているんですよ。どうして世界に鳥とけだものなんて言えますか。常識的にこれですよ。

 そして、次に五ページの表を見てください。よく見ていただきたいと思います。なかなかよくできていると思います。一番右下、小さな字ですけれども、課の名前は環境省でカウントしている、我々もカウントしたんですけれども、鳥獣とついているのが二十六、それ以外は二十一だと。我が方で、班、係を我が篠原事務所でカウントしました。野生生物的なもの、野生動物もあります、十五、鳥獣十九、その他七、両方五。

 皆さんの地元の県はどうか。

 宮城県は、自然保護課、野生生物保護班、なかなか立派ですね。大臣の御地元は、国に先駆けてやっているんですよ。

 新潟県は、課は自然共生室、時代の最先端を行くような名前です。ですが、班は鳥獣管理。

 長野県は、鳥獣害に遭っているので、憎たらしいというのが前面に出ていて、全部鳥獣で統一しています。それだけ国の方針に従っている。

 八木副大臣はおられませんけれども、愛知県と、浜地さんの地元の福岡が非常に象徴的なので、愛知県を見てください、二十三のところを。環境担当部局が自然環境課で、野生生物・鳥獣グループという、野生生物を使っているんですよ。ところが、農林水産部局は、当然、さっきの話じゃないですが、憎たらしいわけです、農産物の被害。だから、鳥獣を使っているんです。端的なのは福岡。環境は野生生物、自然環境課で野生生物係、農林水産部は鳥獣。分かりますか。

 僕がなぜこれにこだわってしつこくやっているかというと、私はこれは初めてじゃないんです。前に申し上げましたが、僕は、調べましたら、二〇〇六年にこの提案を真っ先にしています。今を去ること十八年前ですよね。二〇一四年に二回目、そして、三年前の二一年に三回目、それを頑迷固陋な環境省は動かない。この前も資料を出しましたよ、ほかの省庁はみんな名前を軽やかに変えているんですよ。

 何で僕は環境省にこれを言っているかというと、小学生に環境教育だと、鳥獣と言って、ぱっと分かる人がいますか。環境は国民の理解を得なかったら進まない、環境行政は。それをいまだもって鳥獣なんて言っているのは時代遅れも甚だしい。だから、僕は言っているんですよ。何か技術で、電気通信、通信技術のだから、やたら片仮名でやっているのはいいですよ、一般の国民には関係ないですから。だけれども、環境は国民に理解してもらわなくちゃならないんです。

 それからもう一つ、ここの場で言う話じゃないので先に言っておきますと、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミー、デコ活、けちをつけて済みませんけれども、英語をよく分かる人たちがいっぱいいるというのは分かりますよ、だけれども、国民はそれで納得するでしょうか。さすがに自然再興と書いてありますよね、ネイチャーポジティブ。日本語を使って、分かるようにしなくちゃいけないと思います。

 ちょっと横にそれましたけれども、鳥獣は絶対直してください。おかしいでしょう、これは。うんともすんとも言ってこない。これだけ真面目に私は環境委員会にいて、立派な質問とは言いませんけれども、質問をして、提言をしてやっているのにもかかわらず、全然聞かない。態度が悪いと思います。僕は余り追及するのは好きじゃないんですけれども、おかしいですよ。県の方が考えてやっているわけですよ、それを国が。そして、大体、英訳もそうしているんですよ。

 是非、伊藤大臣の間に変えていただきたいんです。前向きな答弁をお願いします。

伊藤国務大臣 学識経験の深い篠原議員から、いろいろと歴史的経緯も含めて御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 まず、英訳の問題から先にお答えしたいと思いますけれども、ワイルドライフというのは、実は事務方の仮訳で、正式な審査を経たものではございません。

 鳥獣という言葉は、明治時代に日本に英語が入ってくる以前から使われた言葉でまずございます。この鳥獣というものは、本当に訳せば、バーズ・アンド・ママルズと訳すべきだと私は思っておりますけれども、ワイルドライフという言葉が明治で入ってきて、端的に表現する英単語が見当たらないので、そう仮訳をしたということでございます。

 しかし、御指摘もありますので、英語の仮訳の見直しの必要については、鳥獣の英語表記の使用実態、既に看板等でこれは相当使われておりますので、踏まえて検討するように事務方に指示したいと思います。

 それから、自治体で野生動物が使われているじゃないかという御指摘がありました。具体的な数字もお示しいただいたところでありますけれども、ただ、その場合でも、野生生物の担当では、いわゆる鳥獣対策だけでなくて、希少種対策や外来種対策も担当しているところが多いわけですね。鳥獣、この獣は哺乳類を示しております。それで、鳥獣対策は鳥類と哺乳類だけを対策しているので、野生生物といいますと爬虫類も魚類も、生物という概念でいえば昆虫もみんな入るわけです。そうすると、それはちょっとこの法律で範疇外なので、適当ではないということが言えると思います。

 それから、環境省においても、野生生物課の下に鳥獣保護管理室というのがありまして、哺乳類以外の部分については希少種保全推進室と外来生物対策室というのがありますので、これを鳥獣保護管理室にすると、じゃ、希少種保全推進室や外来生物対策室は要らないのかということにもなります。

 それから、鳥獣は、今の指摘ですけれども、鳥類又は哺乳類に属する野生動物と定義しておりますので、鳥獣はワイルドライフというふうに看板があるじゃないかという御指摘もありますけれども、その見直しも含めて、現時点では鳥獣保護管理法の改名をすることは考えていないということが答弁になります。申し訳ございません。

篠原(孝)委員 時間が来ましたのでこれ以上しつこくはやりませんけれども、事務方が何か抵抗しているようですけれども、やはりちゃんと大臣の命令でやるようにしていただきたいと思うんですね。

 最後に、これは時間がなくなったのでお答えいただかなくてもいいですけれども、毎日新聞だけしか書いていませんでしたけれども、衆議院の地域活性化・こども政策・デジタル推進特別委員会で、旧優生保護法の下の強制不妊、それについて、四月二十三日に締切りが迫っている、よくないので、委員長提案で五年間締切りを延長する。ほかの分野で、優生保護法も同じようなものですよ、過去の不始末についてお金を出して、済みませんでしたとわびる、それを自主的にやっているんですよ。それをちゃんと水俣病にも、雲泥の差ですね、水俣病に対する対応と。もう期限が来た、期限がとっくに過ぎている、だから駄目だ、地域も外れれば駄目だというのは冷た過ぎますよ。片方ではこんなにいいことをやっているんですから、この政権で是非、新潟県、あと一年以内に判決が下るんですけれども、その前に和解して、ちゃんと解決するようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今日は環境委員会において質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。久しぶりの環境委員会でございますが、大臣の様々なお考え、さらには環境省の施策について何点かお伺いをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 初めに、同心円の考え方に基づく環境政策の推進についてお伺いをいたします。

 大臣は、今回の所信の中で、ちょっと長くなりますが御紹介したいと思いますけれども、ネイチャーポジティブ、またネットゼロ、サーキュラーエコノミーの統合的な実現には、国民一人一人や、地域、企業の皆様の協力が不可欠であり、これら環境政策の推進を自分事として取り組んでもらえるよう、大臣就任以来申し上げている、まさしくこの同心円の考え方に基づきながら、環境配慮の取組が一人一人のよりよい暮らしの実現につながること、さらには地域の活性化や企業の競争力強化にも資すること、また我が国の経済、社会の在り方、さらには地球の未来につながること、これを分かりやすくお伝えしてまいります、このように所信で述べていただいております。

 私は、今回の大臣所信、さらには、これまでの大臣のこの折々の御発言の中で、この同心円という言葉が非常に強く印象に残っているのとともに、同心円の考え方に基づく環境政策の推進という大臣の考え方に大いに賛同する一人でございます。

 そこで、改めて大臣に伺いますが、伊藤大臣は、今回所信で述べられた同心円の考え方に基づく環境政策の推進について、具体的にどのように分かりやすく国民の皆様に伝えていこうとされているのか、また、今後どのようにこの同心円の考え方を、現在検討中でございます第六次環境基本計画に落とし込んでいこうとされているのか、大臣の改めての決意とお考えをお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 御質問ありがとうございます。

 私、環境問題というのは、究極的にはもう価値観、人の生き方、社会の在り方、あるいは国のありよう、強いて言えば地球全体のありように帰結すると思います。ですから、ある意味では哲学的命題に到達すると思います。

 要するに、人が生きるときにどういう価値観で生きていくか。産業革命以来、地球社会全体、たくさんのものをつくったり、多くのエネルギーを消費したり、できれば多くの消費財を所有したりという価値観が割合支配的に動いてきたと思います。そういうことがCOP28でもバイファケーションの一つの要因にもなっていると思いますけれども、しかし、このままいくと、地球環境というのはもう持続可能じゃなくなってくるわけですね。

 ですから、人間が生きる価値というもの、まずは、よりよい暮らしのよりよいということが何なのかということですね。それをやはり、次世代へちゃんとこの持続可能な地球環境を残していく、そのために今私たちがどういう価値観で行動するか、どういう価値観で判断していくかということが問われているんだと思います。

 そういう意味で、私は、同心円ということでありますし、地球には大体七十八億人以上の方が生きておられるわけですけれども、一人一人の行動変容が結局は七十八億になるわけで、そういう意味でも同心円です。ですから、人、地域、国、地球が同心円の問題だということだと思います。

 その上で、そのことを御理解いただくとともに、未来を担う次世代に対しては、そこも含めて、環境教育の実践を通じて、地域の自然、文化、歴史を体験をする中で、環境や持続可能性に関わる問題と自らの関係についてお気づきいただくということが大事だと思います。

 今を生きる現世代に対しては、新たな国民運動、デコ活において自らの豊かな暮らしの実現のための、その豊かさという概念そのものでありますけれども、行動がひいては未来の地球環境の保全につながるということを御理解いただく、この取組を進めてまいりたいと思います。

 現在検討中の環境基本計画、ここにおいては、同心円について、今後、環境政策を展開していく上での基本的な考え方の一つとして位置づける予定でございます。

 中でも、環境政策を支える重点戦略の一つである国民一人一人の暮らしの観点で、環境教育やデコ活の推進に加え、環境教育のフィールドとなる自然環境の保全、また、デコ活を支える製品ごとの温室効果ガスの排出量の見える化等、関連する具体的な施策も盛り込む方針でございます。

 御質問ありがとうございます。基本計画に基づきながら、国民の皆様一人一人の行動変容、地域、企業も含めた同心円での取組をしっかり進めてまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私、大臣就任以来からのこの同心円の考え方というのは非常に印象に残っておりまして、また加えて、今の答弁の中で、環境政策はやはり価値観の問題なんだということのお話もありました。個人の取組が、本当に、地域また社会、さらには地球の在り方につながっていくというこの同心円の考え方、私は非常に大事だというふうに思っています。

 そのためには、やはり一人一人の、今もおっしゃっていただきました行動変容、意識改革、さらには我が事としてどう捉えていただくか、ここの部分を本当に分かりやすく説明していくこと、これがすごく大事だというふうに思っておりますので、これから本当に、大臣を中心とした環境政策の推進、私も期待を申し上げたいと思いますし、私もその一助になればというふうにも思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、具体的なところ、私も環境政務官を担っておった時期がございますので、そのときの法改正等を含めてどのような形で今進捗しているのか、こんな観点で何点かお伺いをします。

 まず最初に、改正外来生物法の狙いとその効果についてお伺いをします。

 この外来生物法については、国内への侵入防止のために緊急に対処が必要な外来生物、具体的にはヒアリですけれども、この検査体制の強化、さらには、既に広く飼育され、野外の個体数も多い外来生物に対応する規定の整備、また、国と地方公共団体による防除の円滑化による防除体制の強化を目的に、これは令和四年にまさしく改正をされたものでございます。

 中でも、今回の改正において、これまで明文化されていなかった特定外来生物の防除に対する国の責務規定、さらには都道府県、市町村の責務規定が今回創設をされており、具体的には、都道府県及び市町村は我が国に定着した特定外来生物の被害防止措置を講じること、また、国は地方公共団体における施策の支援に必要な措置を講じること、これが明記をされております。

 そこで環境省に伺いますが、国は、今回新たに創設をされたこの責務規定により、地方公共団体との連携の中、具体的にどのような支援を講じているのか、その予算措置も含めて、その進捗状況、これをお答えください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年四月施行の改正外来生物法におきまして、地方公共団体による特定外来生物の防除の責務、及びこれに対する国による支援の責務が新たに位置づけられたところでございます。

 これを受けまして、環境省では、令和四年度第二次補正予算で、地方公共団体が実施する生態系等に係る被害防止対策を支援する交付金を創設いたしまして、現在、令和五年度当初予算と合わせて三・五億円の予算により、九十件の事業を支援してございます。

 依然として外来種対策への地方からの要望も多いことから、今後、令和五年度補正予算の四億円と令和六年度予算の一億円を合わせた五億円によりまして、支援を進めることとしております。

 本交付金を活用いたしまして、地方公共団体と連携しつつ、特定外来生物による生態系等に係る被害防止を進めて、二〇三〇年のネイチャーポジティブ実現に向けて貢献をしてまいりたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回、やはり責任が曖昧だったところを責務規定ができたというのは非常に大きい改正だったなというふうに思っています。これを根拠に、やはり、地方公共団体がきめ細やかな、十分な対策、施策ができるように、引き続き、この予算の確保も含めて、そこの対応をよろしくお願いをしたいと思います。

 もう一点、今回の外来生物法においての大事な部分においてのヒアリ対策の強化、ここについてもお伺いをいたします。

 ヒアリの問題については、輸入された物品等に付着して国内に侵入する事例、これが近年増加をいたしております。今回の改正案においては、ヒアリが国内に定着しそうなぎりぎりの段階、これの対策というのを行っております。私の地元である四日市港でも過去に二度の発見事例があり、全国でも百十一件の発見事例が報告をされております。

 そこで環境省に伺いますが、今回、ヒアリ類の防除を始めとした規制権限の拡充により、全国の港湾等における水際対策、これがどのように強化をされているのか、またこの進捗、ここの部分をお伺いをしたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 ヒアリ類については、改正外来生物法に基づきまして、要緊急対処特定外来生物に指定してございます。これによりまして、ヒアリ類の疑いのある生物が付着した物品等につきまして、移動禁止などのより強力な規制措置等を適用することが可能となってございます。

 ヒアリにつきましては、平成二十九年以降、国内で毎年確認されておりまして、専門家からも、依然、定着ぎりぎりの状態だという指摘を受けてございます。このため、港湾での徹底的な防除、モニタリングの更なる強化を図っておるところでございます。

 また、令和四年度より、港湾事業者等の協力を得ることができた四日市港を対象として選定し、モデル事業を実施しております。その成果として、四日市港ヒアリ対策マニュアルを三月めどで策定する予定でございます。今後、こうした取組を他地域の港湾にも展開してまいりたいというふうに考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは本当に定着しそうなぎりぎりの段階であります。海外においては、そこを本当に食い止めることができなくて、毎回莫大な予算を使っているところもございます。しっかりとした予算措置、さらには、今、四日市港のモデル事業を横展開していきたいというお話もいただきました。そういった取組を進めていただきたいというふうにも思います。

 最後に、脱炭素先行地域の取組についてお伺いをいたします。

 この脱炭素先行地域につきましては、脱炭素に向かう地域特性等に応じた先行的な取組、この道筋をつけるために、二〇二五年度までに少なくとも百か所の選定を目指し、鋭意取組が進められております。

 ちなみに、この選定については、二〇二二年四月の第一回以来、これまで四回の選定が行われ、その結果、三十六道府県九十五市町村が関係する七十四の提案が既に選定をされております。

 そこで環境省に伺いますが、これまで選定された脱炭素先行地域、これはおおむね五か年の事業期間ということで進んでおりますが、これら先行地域のその後の進捗状況、さらには課題について、特に今回は、第一回で選定された二十六団体の取組の進捗状況であるとかまた課題、こういった部分のところをお聞かせを願いたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、脱炭素先行地域については、選定後、二〇三〇年度までに地域の脱炭素化を実現すべく、地方環境事務所が中心となって丁寧な伴走支援を行っているところであります。

 第一回及び第二回の昨年度の選定地域については、有識者から成る評価委員会において、フォローアップや進捗状況の評価を行っていただいており、進捗状況については、全体としておおむね順調との評価をいただいております。

 例えば、北海道石狩市における森林組合等と連携した森林資源の有効利用に向けたサプライチェーン構築の取組や、横浜市における対象エリアであるみなとみらい21の需要家との合意形成の更なる進展等について、評価委員会においても高く評価されました。

 一方で、事業の実施段階において、系統接続や、人材不足等の事業推進体制の確保といった様々な課題が顕在化した地域もありましたが、伴走支援を踏まえつつ、適切な対応がなされているところであります。

 環境省としては、引き続き、脱炭素先行地域の実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 本当に、脱炭素先行地域というのを全国に広げようということで、まさしく務台委員長も当時副大臣でございまして、我々、全国行脚をさせていただいて、環境省としても全国に営業活動をしよう、地域環境事務所の人も増やそうということで今進められています。

 先行地域、やはり中身はすごく難しいと思うんです。ですから、当然課題も出てくることは分かるんですが、やはり国と地方がどう連携しながらそこを乗り越えていくのか、これがすごく大事だと思いますので、引き続き、地域環境事務所の増員も図っていただいていますから、そこを進めていただきたい。

 さらには、最後に要望にとどめますけれども、その先には脱炭素ドミノを実現、要するに横展開を全国に図っていきたいというのが最終目標でございます。ここを、ただ待つのではなくて、具体的なムーブメントをどう起こしていくかということが大事でございまして、そのためには今から、二〇三〇年度を待つのではなくて、その具体性とか仕組みを環境省が検討していくことも大事かと思いますので、ここは最後に要望にとどめて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、大変にありがとうございました。

務台委員長 次に、笹川博義君。

笹川委員 自由民主党の笹川博義です。

 それでは、時間も余りありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは少し、地元の案件で大変恐縮でございますが、本年二月に群馬県の伊勢崎において、小学生九人を含む男女十二人が、そのうちの一人である男性は全治一か月の重傷という、大型犬のいわゆる咬傷事件が起きました。

 これだけの傷を負った、大人数の方が傷を負った。特に小学生の場合においては、いわゆる犬や猫と呼ばれるものは非常に身近な存在であり、我々にとっても癒やしの存在であるものが、子供たちにとってはまさに悪夢というような出来事になってしまいました。これは大変不幸なことであります。

 環境省は動物愛護の管理法を所管をしているわけでありますが、この重大事案について、省としてまずはどのように受け止めておられるのか、ちょっと御所見をお伺いしたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 動物愛護管理法は、動物の愛護に関する事項だけでなく、動物の管理に関する事項も定め、動物による人の生命身体等に対する侵害等を防止するという趣旨でございます。

 今回のその伊勢崎市の事件は、飼い主のペットの管理という点で大きく問題がございまして、ペットが人に危害を加えてしまったという点で、動物の管理に関する事案というふうに受け止めてございます。

 環境省ではこれまで、動物愛護管理法の現場での実務を担う都道府県等や、狂犬病予防法を所管する厚生労働省等と緊密に連携しながら、動物の適正飼養等について普及啓発や制度の運用を行ってまいりました。

 飼い主が守るべきルールやマナーの普及啓発や、販売事業者から飼い主への動物の適正な飼育に関する説明の徹底など、動物愛護管理法の管理に関する事項を始めとしたペットの適正な管理につきまして、関係機関と連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

笹川委員 今回の事案で、いわゆる大型犬を飼っている人、御主人の方は過失傷害、狂犬病予防法違反、妻の方は同じく過失傷害、県の動物愛護条例の係留義務違反というようなことを含めて、実はこの方たちは、昨年の十二月にもこういう事案を起こしているということであります。ただし、このときには一人の女性が傷害を負ったということであります。

 すなわち、この予防法は、今答弁にもありましたけれども、農林水産省、さらには厚労省、そしてまた、実務的にはそれぞれの自治体ということでありますが、なぜか今回、飼育頭数、大型犬七頭のうち三頭は登録をしてあったといいますから、これも過去形なんですね。実は九年前から接種を受けた記録はない、そして四頭はなし。

 今、適正な管理をという話をしていますが、すなわち、過去、遡及すれば、適正な管理というものがなされていなかったということなんですね。じゃ、これはどこに問題があるのかということになってくるわけですね。これは、実務は都道府県だ云々、自治体だという話で済まされる問題なのかというふうに思うんですね。

 本来、危険動物等々については飼ってはならない、特定動物というふうな指定があるわけなんですね。一部自治体では、実は犬種についても指定をし、飼育については登録なりしっかりやりなさいよという指導もあるわけなんですが、危険犬種と呼ばれるものは実はかなりあるんですよ、数も種類も。この件については、日本はまさに何もない。

 すなわち、今回、特定動物に危険犬種と呼ばれるものを追加で指定してもいいのではないのかな。非常に、いわゆる危険犬種と呼ばれるものはしつけも難しいし、今言ったような管理も難しいし、とても素人が手を出していいものではないという実は犬種があるんですよ。ですから、特定動物に追加指定をすべきではないのかなというふうに思うんですが、御所見をお伺いしたい。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 特定の危険犬種について、動物愛護管理法で規制すべきではというような御質問だと思います。

 確かに、犬は、犬種によりましては非常にどうもうであったりということもございますが、闘争本能等に鑑み、人に危害を加える可能性が高い犬種というものを規制することにつきましては、二つ、多分、技術的には論点があろうかと思っております。

 一つは、しつけの状況など、個体ごとの行動差が非常に大きいという論点がございます。果たして、ちゃんとしつけをすれば規制できるんじゃないかという論点が一つ。それからもう一つ、雑種というのがございますので、犬種での規制をどうやってやるのかという論点がございます。課題はあるということでございます。

 他方で、海外でありますとか、御指摘のとおり、一部の地方自治体では条例で特定の犬種に規制をかけているということも承知してございますので、必要に応じてそうした取組事例を把握し、その必要性については検討してまいりたいというふうに考えてございます。

笹川委員 必要に応じてという答弁でありましたが、もう必要なんですよ。

 例えば、オオカミ犬なんと呼ばれるものはオオカミとの交配種、これも存在しているんですよ。しかし、これについて別に日本は何もない。本当にそれでいいんですかという話ですよ。

 だから、検討する話じゃないんだよ。もう議論とかなんとかの話じゃなくて、具体的な施策をどうすべきかというところに入っているんですよ。

 今回、たまたま、小さい小型犬が実はこの件でかみ殺されています。飼い主の人も相当精神的なダメージを受けているでしょう。一か月の重傷者の方も災難だったと思いますが、本当に、最悪の事態を免れることができたということは、これは幸いという言葉は当たらないけれども、しかし、もし万が一、貴い命が失われていたらどうなっていたのか。そのことを私は環境省は重く受け止めるべきだというふうに思いますので、このまま何もしないというようなことであるならば、その瑕疵は環境省にもあるというふうにお考えをいただきたいと思います。

 次に移ります。

 先ほど中川先生から外来生物の件もございました。外来生物の中で、たまたまこの間、新聞で、光るベタ、ベタというのはなかなか人気があるらしいんですけれども、こういった遺伝子の組み換え種というものが世の中にも出てきたということであります。

 そして、実はこれはまさに人間の欲得で、遺伝子の組み換えで一もうけしようということでしょう。これをどうやって防いでいくかということもございますが、少なくとも先ほど中川先生から御指摘のあったヒアリの件、これは、例えば日本に何かの瑕疵があるかといったら、ないわけですよ。どっちかというと、ヒアリというのはどんどんどんどん、これも人間の物流の中で生息範囲が広がってきたんだから、別にヒアリに何か瑕疵があるかというと、ないんですけれども、これはこれなんですが。

 例えば琵琶湖なんかでもオオバナミズキンバイ、これが恐らく深刻な問題なんですね。人間の飲み水にも影響を与えるんじゃないかというぐらい繁殖力が強い。これは元々何かといったら、水槽のいわゆる水草ということで、観賞用に入れたやつが広がった。

 要するに、人間のまさに欲得とビジネスの結果がこういう形になって、税金を突っ込んでこれを駆除しなきゃいけないということになっているんですよ。だから、本来は、後手後手になっているから、私は前から言っているんだけれども、ブラックリストじゃないんだろう、ホワイトリストにして、入れる前にきちんと、どうだろうかと影響調査というものをした方がいいんじゃないんですか。

 これだけのことを、ほぼ、哺乳類についても、昆虫についても、植物についても、外来生物と言われる被害と呼ばれるものの要因は人間の行為なんですよ。そこのところは、やはり環境省はそろそろ姿勢を変えるべきではないのかなというふうに今回のベタの記事を見て思ったんですが、御所見をお聞かせください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘のベタの件でございますが、お尋ねの事件は、カルタヘナ法違反の被疑者二人を逮捕したと警視庁から情報提供を受けてございます。海外から輸入された遺伝子組み換えの観賞魚であるベタが、同法に基づく承認を得ずに国内で飼育や販売等されたことは、誠に遺憾だと思っております。

 環境省においても、当該違反者に対して文書による指導を行ったほか、再発防止の観点から、SNSでの発信を行うとともに、同法の適切な施行について、自治体及び関係業界に対して改めて周知をしてございます。

 それから、水際の話でございます。

 まず、今回の事案に関しては、カルタヘナ法の締約国である輸出国の政府に対しても必要な協力を求めてまいりたいというふうに考えてございます。関係国へ働きかけを強めていくということが一つ考えられると思いますが、議員御指摘のとおり、水際対策も重要でございます。カルタヘナ法、それからオオバナミズキンバイの外来法という問題もございます。水際対策という観点で、関係省庁とも連携しながら、適切な運用を図っていきたいというふうに思っております。

笹川委員 これだけ外来生物の脅威というものが、人間の行為によって広がっている種も多いということになれば、適切な対応だったかということも、その言葉どおりなのかどうかというのもしっかりと検証していただきたいと同時に、カルタヘナの条約の相手国に対しては、外交的にも、外交ルートを通じながらも、やはりきちっと話をしていかなきゃいけないというふうに思いますので、それはまた伊藤大臣にも是非お願いをしたい。

 最後になりますが、伊藤大臣、所信の中でも、海洋プラスチック条約についてもお触れになっております。

 我が国は、四方が海に囲まれております。海の恵みを最大限受けて、そして今日の歴史の積み重ねがあるということでありますので、海を守っていく、海洋国家としての責務を果たしていく、これは日本がやはりリーダーとしてやっていかなきゃならない。しかし、プラスチックというのは様々な社会を支えている素材でもあるというふうに私は思っています。

 ですので、そこのあんばいをどう取りつつ、この条約を必ず成就をさせていくんだと。最悪なのは、エゴがぶつかって結局条約が結ばれなかった、このことは、私は、世界にとっても不幸なことだし、日本にとっても不幸なことだというふうに思っておりますので、そういった意味で、日本の役割というのは、とにかくこの条約を必ず締結させるんだという難しいかじ取りをやっていかなければなりませんが、伊藤大臣の御所見とリーダーシップに私は絶大なる信頼を置いておりますが、今、交渉もそろそろ佳境に入ってくるのではないのかなというふうに思っておりますので、そういった意味での大臣の御決意を改めてお聞きしたいというふうに思います。

伊藤国務大臣 重要な御指摘をいただきました。

 海洋等におけるプラスチック汚染への対策には、御指摘のとおり、世界全体での取組が不可欠でございます。

 現在、プラスチック汚染に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会において、本年末までに合意をするべく交渉が進められております。これまで三回の交渉委員会が開催されております。

 来月にカナダで開催される第四回交渉委員会、INC4では、これまでの交渉を踏まえて作成された条文案を基に、条約の具体的な規定の交渉を行うとともに、本年十一月に韓国で開催されるINC5までの間に行うべき作業についても議論する予定でございます。

 我が国は、プラスチックの大量消費国及び排出国を含む、できるだけ多くの国が参加する実効的かつ進歩的な条約の策定を目指しており、引き続き積極的に議論をリードしてまいりたいと思います。

 この交渉委員会は事務レベルで進められておりますけれども、私自身も、昨年のCOP28における各国大臣とのバイ会談において、プラスチック汚染の問題を随時取り上げてきたところでございますし、今後も、状況に応じて私自身も交渉の進展に貢献してまいりたい、そのように決意を固めているところでございます。

笹川委員 ありがとうございました。

 是非、締結に向けての最大限の御尽力を、御努力をお願い申し上げながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の林佑美です。

 本日は、発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、前回の環境委員会で空本議員が取り上げられた、あと先ほど屋良議員も取り上げられた、有害な有機フッ素化合物であるPFASについて、子供を育てる母親の立場からお聞きいたします。

 ファストフードなどの食品包装資材ですが、過去に、油分や水分がしみ出すのを防ぐためにコーティング剤としてPFASが使用され、接触により食品に移ったPFASが体内に取り込まれ、危険性があったと指摘されております。

 二〇二〇年時点でも、日米のファストフード店でPFASコーティングの包装資材が使われていたようですが、その使用実態はいかがでしょうか。また、現在はPFASフリーの資材となっているのでしょうか。環境省と厚生労働省で分かる範囲で御説明ください。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、その所管する食品衛生法におきましては、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な措置を講じることとしておりまして、この目的に沿って、食品用の器具、容器包装に関して規格基準を設定して、製造事業者に、基準を遵守した器具、容器包装を製造、流通させることを求めるものでございまして、その流通状況を把握することにはなってございませんことから、使用実態についてお答えすることは困難でございます。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるPFASと呼ばれるフッ素化合物のうち、人体、環境への高い蓄積性があるPFOA及びPFOSにつきましては、ストックホルム条約に基づき国際的に規制されてございます。

 我が国では、同条約の国内担保措置といたしまして、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づき、第一種特定化学物質として製造、輸入を禁止するとともに、化学物質排出把握管理促進法に基づき、事業者に対し環境中への排出量等の把握、届出義務を課すことで、人体や環境への影響が及ばないよう規制を行っているところでございます。

林(佑)委員 PFOS、PFOAについて、食品包装資材に現在使用を禁止されているということは理解できたんですけれども、二〇二〇年まで、今ではなく過去は使用されていたかどうか、お教えいただけないでしょうか。

鳥井政府参考人 先ほどの繰り返しになって恐縮ですけれども、厚労省におきましては、流通実態の把握はしておりませんことから、実態についてはお答えすることは困難でございます。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 現在は、危険だから使用を禁止されているということなので、過去に使用があったから禁止されているのかなというふうに理解いたしました。

 私には子供が三人いて、中学生と小学生なんですが、ハンバーガーが大好きで、小さいときからよくハンバーガーショップに行っております。自然界や体内で分解されにくく蓄積しやすい危険な物質がもし入った紙で包まれたハンバーガーを最近までずっと食べていたのであれば、ぞっとします。

 また、先日、空本議員への答弁で、PFOS、PFOAはコレステロール値の上昇、発がん性、そして子供の体重減少等との関連が報告されていますという答弁がございました。こんな危険なものが使用されていたのかどうかというのははっきり知りたいと思いますし、どのように使用されていたか、包装資材にはどれぐらいの量が使われていた、もし過去に使われていたのであれば、子供の体内にも今も残り続けているのか、体には影響はないのか、母親として心配でなりません。

 私のように、包装資材に含まれているかどうかというのをとても気にされている方がいると思うので、きちんと調べていただきたいと思うのですが、厚生労働省と経済産業省としてはどのようにお考えでしょうか。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 PFASコーティングの食品用包装資材の使用実態についてでございますけれども、化審法第五十五条により、化審法の関連規定が適用されず、食品衛生法の規定によることとなるため、経済産業省としては必ずしも使用実態を把握することにはなっていないというところでございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 先ほど食品包装材についてお聞きしましたけれども、多くの方が毎日使用する化粧品や日焼け止めなどにも有害なPFASが使用されているとお聞きしました。

 例えば、ファウンデーションや化粧下地、リップやマスカラなどに使われていたということをお聞きしたんですが、実際使われていたのか、そして、健康影響について厚生労働省としてどのように捉えているのか、また、現在の化粧品などではPFASの使用はされているのかどうか、併せてお答えください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、化粧品を通じた健康影響に関してですが、化粧品の使用による健康被害が生じた場合には、副作用等報告制度により厚生労働省に報告することになっておりますが、これまでPFASによる副作用報告を受けたことはございません。

 また、化粧品の使用状況に関してでございますが、かつては使用されたものでございますけれども、平成十三年以降は化粧品に配合できる成分については化粧品基準により規制しており、この基準では、化粧品には、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に規定する第一種特定化学物質あるいは第二種特定化学物質を配合してはならないというふうにされております。

 現時点においては、PFASのうち、PFOAあるいはPFOS及びPFHxSは第一種特定化学物質に指定されていることから、これらを配合する化粧品が流通することはございません。

 また、その他のPFASにつきましても、ストックホルム条約に基づき国際的に廃絶対象となったものは第一種特定化学物質に指定することとしておりますことから、今後、対象として指定された物質がございましたら、それらの化粧品への配合についても禁止してまいりたい、このように考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 先ほど、食品包装資材にはPFASは入っているかどうか分からないということでしたが、化粧品にはPFASが使われていた、そして、影響があったというような確認はされていない、そういった使用者からの声は上がっていないということも理解できました。今現在、使用はされていないということも理解いたしました。

 PFASといっても、種類が多くて実態把握も難しい、国際定義もなく規制もかかっていないようですので、次は、過去に体内に入ってしまったPFASがどのようになっていくかを伺っていきます。

 環境省のPFASに関するQアンドAのQ3で、永遠の化学物質と聞きました、一度体に入ったら一生残るのでしょうかという問いに対して、一生体の中に残るわけではありませんと回答されています。

 詳細な説明では、PFOS、PFOAは代謝されにくいものですが、消化管から体内に吸収され、その後ゆっくりではありますが、体内から排泄されていくと考えられています、人の体内の濃度が半分になるまでの時間、半減期はPFOSで約三・一年から七・四年、PFOAで約二・三年から八・五年と見積もられていますと書いてありますけれども、半減期の考え方ですので、時間がたっていれば検出限界以下になるのかもしれませんが、完全にゼロになるわけではないと思います。

 新たな摂取がない場合には時間の経過とともに検出できないレベルまで下がっていきますといった回答とすべきではないでしょうか。検出できないレベルなだけで、体内に完全にゼロにはなっていないときちんと国民に言うべきで、QアンドA集は分かりやすく、正確で丁寧な回答をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

土居政府参考人 PFOS及びPFOAに関しまして、住民の御関心に寄り添い、丁寧な情報発信をしていくことは重要だというふうに認識しております。

 住民の方々と日頃リスクコミュニケーションを実施いただいております自治体などから、使い勝手なども含めまして現状をよく伺いながら、更に分かりやすく、丁寧な情報提供ができるように工夫してまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 国民の皆さんは正確な情報が知りたいと思いますし、そのためには、誤解を生むような分かりにくい言葉にならない表現をお願いしたいと思います。

 また、台所を預かる主婦としては、高濃度検出された地域の農産物などの安全性もとても気になるところです。そして、その周辺の土壌も大丈夫なのか調べていただきたいのですが、その基準がないとのことです。

 解決のためには、環境省が音頭を取って、厚労省、農水省、食品安全委員会などと連携してプロジェクトチームを立ち上げて、健康確認方法、土壌浄化、農産物への影響などについて研究調査を行い、基準作りを行うことが、環境先進国としてやるべきことではないでしょうか。

 農水省と環境大臣にお伺いいたします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、平成二十四年度から二十六年度にかけまして、いわゆるPFASの中の代表的な物質でございますPFOS及びPFOAの市場に流通しております食品中の平均含有濃度ですとか、あと、日本人の食品群ごとの平均摂取量を把握するため、幅広い流通食品を対象とした予備的な調査を実施したところでございます。

 また、令和四年度より、農地土壌や農業用水から農産物にどの程度PFASが移行し、そして蓄積するのか等につきましても研究を進めているところでございます。

 PFASの人への影響につきましては、現在、食品安全委員会におきまして、食品健康影響評価の最終的な取りまとめに向けた作業を進められているところと承知をしているところでございます。

 今後は、食品安全委員会の取りまとめになります評価結果、最終的な結果を受け止めまして、これをしっかりと分析、考察をした上で、私ども農水省といたしましては、農林水産物に含まれるPFAS濃度の調査を更に進め、濃度分布の実態把握を進めるとともに、水ですとか土壌ですとかといった環境から農産物等にどの程度移行するのか、その研究についても更に進めることとしております。

 これらの結果を基に、必要に応じ関係府省と連携して対応を検討してまいりたいと考えてございます。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境省では、昨年七月に専門家会議が取りまとめたPFASに関する今後の対応の方向性を踏まえて、国の内外の科学的知見等を継続的に収集するとともに、次年度から健康影響に係る総合的な研究を進めていくこととしております。

 また、土壌中のPFOS等については、昨年七月に暫定測定方法を自治体に周知して、今後、自治体と連携して知見の集積を進めていくこととしております。

 さらに、今ありましたけれども、農林水産省が農産物に係る研究を実施するなど、関係省庁においても様々な科学的知見の充実のための取組が進められていると承知しております。

 環境省としては、こういう必要な研究を推進するとともに、関係省庁と連携しつつ、水質に関する暫定目標値に関する検討や、土壌等に関する科学的知見の把握、充実に努めてまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 今、土壌汚染の基準がないという御答弁だったと思うのですが、PFAS、今のところ基準がないという御答弁だったと思うんですが、PFASは水に溶けやすいという性質があります。

 例えば、汚染された土壌を通った水で栽培された農作物や、汚染された土壌に水を張った田んぼで栽培された米にはPFASが含まれている可能性があり、知らないうちにPFASを摂取することも考えられます。また、汚染された土壌で子供が遊んで、舞い上がった砂ぼこりを吸い込むといったこともあるわけですし、土壌にも基準を設けてしっかり調べていただくということを強く要望して、次の質問に移ります。

 高濃度検出のあった地域の方々に向けたものはもちろんですけれども、一般の方でも理解しやすい、読みやすいPFOAとPFOSに関するリーフレット的な冊子が必要ではないでしょうか。そして、ウェブ等でその情報を正しく、分かりやすく発信することも大切だと思っております。

 そのためには、専門家の有識者の皆さんだけではなく、地元住民の方々の窓口になって地元ニーズを一番理解している自治体関係者や消費者団体の方々も交えながら進めるべきではないでしょうか。環境大臣の御見解をお願いいたします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 PFOS、PFOAについては、水環境中の暫定目標値を超えた値が検出された地域の関係自治体や地元の住民の皆様から不安の声が上がっていることを真摯に受け止める必要があると考えております。

 環境省では、昨年七月に作成したQアンドA集を活用したリスクコミュニケーションを促進するため、昨年九月に自治体担当者向けの説明会を開催したところでございます。また、一部の自治体では、このQアンドA集を踏まえた独自資料を作成するなど、住民向けの情報発信に活用いただいているところでございます。

 これまでもウェブサイト等で情報発信を行っているところでございますが、これも更に充実するように努力し、今後も、国民の皆様が不安に感じていることについて、自治体の皆様の、関係者の声もしっかり伺いながら、最新の科学的知見を踏まえて、リスクコミュニケーションに役立つ資料の充実、また発出に努めてまいりたい、そのように考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 PFASは食品包装資材に含まれているかどうかは分からないということでしたが、化粧品、日焼け止めなどには過去には含まれていたということでした。国民の皆様のごく身近なもので、使用頻度の高いものに使われておりました。地域住民のみならず、誰が見てもすぐ分かり、皆さんが安心して暮らせるように、国民に寄り添った情報発信を心がけていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 能登半島地震における水の供給の確保についてお尋ねいたします。

 被災地での生活再建を図る上で、最大のネックになっているのが断水であります。地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市では全域で断水が続いておりましたが、一部地域では上下水道がようやく復旧いたしました。しかし、市内全域での断水の解決にはいまだに至っておりません。

 断水が続くことにより、自宅の崩壊を免れても、お風呂に入れず、トイレも流せない状態となり、避難所から自宅に戻る上での大きな妨げとなります。また、ふだんの生活のみならず医療現場においても、手術に使用する医療器具が洗浄できないなど、患者の生命や健康に直結するような事態が生じることが懸念されます。

 能登半島地震において被災地に長期にわたって断水が続く背景には、川から水を浄水場に送る大本の導水管等の損傷、あるいは、老朽化対策、耐震化の不十分な水道管の多さなどが指摘されております。

 また、復旧のために応援に入った自治体からは、復旧が進まない要因として作業現場へのアクセスの悪さが指摘されており、対策として、トレーラーや船舶、崩れなかったホテルを開放するなど、現地に応じた活動拠点を調整してほしいとの声もありました。

 そこで、能登半島地震におけるこのような状況に関し、早期の断水解消に向けた政府の取組状況についてお伺いいたします。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震における水道施設の復旧に当たりましては、日本水道協会における自治体の相互連携による枠組みを活用しつつ、全国の自治体から水道技術者を派遣し、必要に応じて増員するなど、復旧に全力を挙げているところでございます。

 三月十二日の時点で、石川県内の約九割が断水解消をいたしておりまして、約一万五千九百五十戸が断水中でございます。ただ、三月末にはほぼ全域で断水解消が見込まれております。

 引き続き、被災地の水道の早期復旧に全力で取り組んでまいります。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 水の供給の確保は、命に関わることはもちろんですが、衛生上も、精神的にも必要不可欠なものであり、大規模災害のときには迅速な対応が求められます。地域の実情に合わせた対応を今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、能登半島地震においては、水道の復旧の見通しが立たない中、トイレにし尿がたまって、避難所や自宅での衛生環境の悪化が懸念されております。現在では、政府の対応により仮設トイレの設置が進んでおりますが、冷たい風が吹きつける屋外の仮設トイレまで足を運ぶのは、避難者にとっては大きな負担となっております。

 二〇〇四年の新潟県中越地震と二〇一六年の熊本地震では、トイレの回数を減らすために水分摂取を控えた結果、血栓が発生してエコノミークラス症候群を発症したり、脱水症状になった避難者が相次ぎました。また、二〇一六年の熊本地震では、トイレが発生源と見られるノロウイルス集団感染が発生しております。

 このような中、近年、移動式の水洗トイレ、トイレトレーラーが注目を集め、能登半島地震においても、全国の自治体が所有するトイレトレーラーが各地から派遣されております。

 トイレトレーラーは、仮設トイレと同様に断水時でも使用できる上に、移動式であることから、自ら給水タンクに向かうことができたり、汚水排出のために下水道に向かうことが可能であり、ライフラインの復旧などに関わりなく、日常に近いトイレを提供できるメリットがあります。

 そこで、政府としての今後のトイレトレーラーの整備方針や意気込みについてお伺いいたします。

小谷政府参考人 災害時、避難所の生活環境を確保するとともに、災害応急対策に従事する方々が継続的に活動する上でも、トイレの確保は極めて重要であると認識しております。

 能登半島地震においては、全国各地の自治体がトイレトレーラー等を派遣し、被災地において有効に活用されたと承知しております。

 御指摘のトイレトレーラーやトイレカーについては、自治体による従来の避難所の生活環境の改善のための整備に加え、令和六年度からは、災害応急対策の継続性の確保を図るための整備についても、緊急防災・減災事業債の対象とすることとしております。

 今後も、自治体に対し、こうした財政措置や活用事例について研修、説明会等を通じて周知することにより、トイレトレーラーやトイレカーの整備が推進されるように支援してまいります。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 災害時には、飲み水のみならず、避難生活の衛生上、汚水処理の水も大変重要ですし、河川の水やプール等の防災用水、浅井戸等の水の利用も考えられますが、地域によっては確保が難しかったり運搬の問題もありますので、是非、このようなトイレトレーラーの活用を、迅速に満遍なく供給できるようにお願いいたします。

 次の質問に参ります。

 次に、熊による人身被害の防止についてお伺いいたします。

 近年、熊の市街地などへの出没、人身被害が春や秋に多く発生しており、とりわけ昨年秋は熊の大量出没が起こり、今年度、熊による人身被害の件数は二月末の集計で全国で計百九十七件となり、統計を始めた平成十八年以降で最多となっております。こうした人身被害の増加を受けて、先月、大臣からも談話を出され、熊を指定管理鳥獣に指定する手続も進んでいると承知しております。

 しかし、他方でツキノワグマは、九州では絶滅、四国ではあと二十頭弱、紀伊半島、中国山地、近畿など西日本を中心に、一九九〇年代から二〇〇〇年代に各地で絶滅危惧種になっております。この原因は、拡大造林政策による杉、ヒノキの植林、奥山の大規模開発による生息地の自然林の減少です。九州、四国、紀伊半島では、人工林率が六割を超えております。

 大臣もよく発言されておられますように、熊は、鹿、イノシシと比較し、生息数も少なく、繁殖力も弱く、環境変化にも弱い動物です。熊は、春、夏、秋の山の植物を食べており、食べる植物の種類は二百種類を超えると言われております。秋はドングリ類を大量に食べ、脂肪をつけ、冬眠に入ります。奥山に豊かな自然林があることが熊の生存条件です。

 昨年は、東北や北海道で大量出没が起こりました。山の実りの凶作が原因とされておりますが、異常な熱波による記録的猛暑となったためか、山に食料が何もないという例を見ない状況が発生した模様です。気候変動などの環境破壊により、豊かな森が残っていた東北や北海道でも、森が熊を養えるだけの豊かさを失ってきていると感じております。

 秋田県は近年、熊の捕殺の強化を進めてきましたが、昨年、生息推定数の半数を優に超える二千四百頭超の熊を捕殺しております。捕殺を幾ら繰り返しても、熊が出てくる根本原因を解決しなければ被害は減りません。また、大量捕殺を繰り返していくと、地域的に熊が絶滅するところも出てくるでしょう。

 そこで質問なのですが、被害を減らしていくには熊が人里に出なくてもいい環境をつくるという根本的な対策が一番大切であり、林業不振により放置された人工林を自然林に戻す取組や、去年のような温暖化の影響が考えられる山の実りの大凶作の年であっても、熊が山の中に餌を確保できることを考えた実のなる樹種の植樹などが必要となってくると考えますが、熊の生息地である奥山の生息環境について、環境省はどのように考えられておられますでしょうか。

朝日大臣政務官 お答えいたします。

 環境省では、熊類の保護や管理に関しまして、都道府県の対策の指針となるようなガイドラインを策定をしております。また、委員からありましたとおり、昨年秋の深刻な被害状況を受けまして、専門家による検討会を設置をいたしまして、本年二月八日に、被害防止に向けた総合的な対策の方針を取りまとめていただきました。

 この内容ですけれども、熊類の地域個体群の保全、そして人間とのあつれきの軽減の両立を図るため、人間と熊類のすみ分けを図ることとしております。

 こうした考えに基づきまして、奥山などにおいて熊類の保護を図るための保護優先地域や、人身被害の防止を図るための人の生活圏、それらの間の緩衝地帯を設定し、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理を進めているところであります。

 環境省では、奥山地域を含めまして、国立公園や鳥獣保護区などの保護区域の指定などによりまして、生息環境の保全を図ってまいります。引き続き、農林水産省などの関係省庁と連携をいたしまして、熊類の生息環境の保全を図ってまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 日本最大の大型野生動物である熊のすめる森は、多種多様な生き物が絡み合う生態系の営みの中でつくられた水源の森でもあります。人工林が多く占める森林環境を少しでも改善して、熊の生息できる環境を奥山につくっていくことが、人や動物のみならず、地球の環境にも資すると考えております。是非、環境省が先頭に、豊かな森林環境をつくっていただきたいと思います。

 時間になりましたので、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

務台委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、統一会派の杉本でございます。

 会派に与えていただいている時間は五十分なので、時間の範囲内で終わらせていただければと思っています。

 維新が教育無償化を始めとして教育に力を入れていることは御存じだと思いますけれども、私個人としては、日本国というのは、教育立国であるべきだと思うし、技術立国であるべきだと思うし、また環境立国であって、そしてまた、それによって訪ねてくる方々がいる観光立国という四つの立国であるべきかなというふうに思っています。

 また、さきの所信に対する質疑で篠原先生が言われた、我々は環境省の応援団であるという発言をされたと思いますが、私も環境省の応援団の一人として質疑をさせていただければと思います。

 また、今日は篠原先生はCOPの誘致についてお話をされましたけれども、長い目で、是非、大阪の万博を終わった後、将来的にCOPを招致するということが私は望ましいかなというふうに伺わせていただいておりました。

 昨年の臨時会で、冒頭、ちょっと長くなって申し訳ないんですけれども、処理水について、耳にたこができるぐらいバイの会談とかをしていただきたいというふうに伊藤大臣にはお願いをさせていただきました。それと、あとは地球温暖化、動物愛護、世界自然遺産について等の質問をいたしました。

 まず、COP28ですかね、十二月十三日まで行われた、この点について伺いたいんですが、COPはそもそもフランス語でコンファレンス・デス・パーティーズという、フランス語はうまく言えないんですが、締約国会議という言葉がCOPになっているということでございます。

 まず、ドバイについてちょっと言いたいんですけれども、大臣は、そんなにお時間がなかったので、ドバイを見るという機会は余りなかったかもしれないんですが、多くの方はドバイに行かれたことがあると思うんですけども、ブルジュ・ハリファという「ミッション・インポッシブル」に出てくる世界最高の高さの、八百メーターぐらいのビルがあってということなんですが、私が感じているドバイというのは、非常に排気ガスをたくさん排出していて、五車線、六車線の高速が走っていて、それがアブダビにつながる道路みたいになっているみたいな認識をしています。

 あと、ドバイでタクシーに乗ると、もちろん、相乗りの、今、タクシーの議論がありますけれども、いわゆるイスラム圏から、パキスタンとかバングラデシュからの出稼ぎ労働者というのがタクシーの運転手さんです。それから、それは東西で見るとそうなんですが、南北で見ると、実は、今、ウクライナが侵略を受けていますけれども、ロシアを脱出している若い人たちがドバイにたくさんいます。そういう都市なんです。

 今日、東京で、私は町中を見ながら考えたのは、篠原先生も言われましたけれども、排気ガスをたくさん出している車がまだ東京ではいっぱい走っているわけなんですね。ドバイが、COPを開かれている場所なんですけれども、場所として適切だったかどうかというと、跡地を使ったというのはいいのかもしれないんですが、実質的には、自然保護とか大気汚染とか、そういう意味では決して適切ではないと思っています。大阪もそうあってほしいですし、東京もなんですけれども、将来的には、やはりハイブリッドだとかEV車がほとんど全てという形にならないと、日本の大気汚染というか地球温暖化対策というか、そういう点も問題があるというドバイに行かれたわけでございますけれども。

 ちょっと前段が長くなりましたが、私の問題意識は篠原先生と違って、石炭火力については、いわゆる排出削減策が打たれているものについては当座は必要である。日本の技術力というのが、技術立国であるべきだと思っているので、その技術を生かしながら、今回もCCSの法案が審議入りしましたけれども、そういった意味で、日本の立ち位置というのは、技術を生かして頑張っていくべきだなと思っています。

 それで、ちょっと話がそれちゃうんですけれども、済みません、二点。COP28で、バイの会談とか、四十ぐらい会議を持たれたというふうに先ほどの質疑でお答えになっておられたんですけれども、まずは、さきに伺ったトリチウムの問題ですね、処理水の問題、この点についてと、それから、いわゆる排出削減策が取られている石炭火力についてどういうような立ち位置で御説明をされたのか、この点について御回答いただきたくて。

 また、更に加えますと、昨年の十二月五日に、大臣は、うちの空本議員に対して、排出削減対策の講じられていない新規の石炭発電所の建設終了に向けて取り組んでいくことを合意している、国内で新たな排出削減が取られていない石炭火力の建設計画はないと承知しているということで、これは裏を返すと、排出削減策が取られている石炭火力は新設を含めてあり得るというような意味の御答弁かというふうに捉えております。

 また、COP28の後の記者会見で、共同通信に対する質疑で、共同通信は、今回のバイや会合の中で、日本にとって石炭火力は重要なものなんだというアピールはされたのでしょうかということに対して、大臣は、石炭火力が重要だと直接言ったところがあったかどうか記憶が曖昧ですが、それを含めて各国の事情があって、日本の事情があって、それから、日本はトランジションとしてそういうものをやるけれども、その技術もあると申し上げましたし、多くの国が来年石炭火力をゼロにできないという現実もあります、その中で、石炭火力を使ってもCO2を出さない技術を日本は相当開発していますので、そこも触れたと思います、こういう回答をされておられます。

 繰り返しかもしれないんですが、今、アメリカではEVじゃなくてハイブリッドが評価されるというような需要になってきていて、やはり日本の技術力がまさしく評価されて、きちっと各国に説明していけば、高効率の石炭火力というものも、CCSの問題も含めてですけれども、世界的な理解が進むというふうに思っています。

 私は、電源開発に二年出向していた経験があって、そこで高効率発電について結構学ばせていただいたという経験もあるので、こんな点に、前段が相当長くなって申し訳なかったんですけれども、今の日本国の立ち位置を含めて、最初に申し上げた処理水の問題もありますけれども、メインは石炭火力について、バイ会談並びに全体の会議も合計四十あられた中で重要と思われる、あるいは全て言っていただいてもいいんですが、本当に大事なことだと思いますので、COP28での大臣の活動の内容を確認させていただきたいんですけれども、お願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、石炭火力でございますけれども、これは、電力の安定供給を大前提として、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力発電のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUS等の活用により、脱炭素型の火力発電に置き換えていくことが我が国の方針で、それもCOP28で累次私が発言したところでございます。

 それから、COP28、私が行く前に岸田総理が行かれているんですけれども、そこのスピーチにおいても、全ての締約国に対して、各国の事情に応じたそれぞれのネットゼロへの道筋の中で取り組むべきである、そしてまた、日本は、ネットゼロの道筋に沿って、エネルギーの安定供給を確保しつつ、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していくということを発信しました。

 そして、私自身も、合わせると約四十ぐらいの閣僚級会合や二国会談をしたわけでございましたけれども、石炭というか、化石燃料への過度な依存からの移行に向けて、トランジション技術の活用も含めた取組の重要性などについて発信してきたところでございます。

 いろいろなことも言われましたけれども、私が直接お会いした二国間会談あるいは閣僚級会談において、私自身に対して、日本が石炭をそういう形でこれから使うことに対しての直接の批判は一度もありませんでした。

 それから、ALPS処理水、これは各種会合で適時発言しましたけれども、それだけでなくて、ALPS処理水については、ジャパン・パビリオンにおいて、海洋放出の安全性や海域モニタリングの結果等について紹介して、人や環境への影響がないことを発信しました。加えて、ジェトロにおいて、COP28開催期間中に、ドバイにおいてUAEの政府要人や企業関係者など多くを招聘して、招待して、日本の海産物の安全性をPRするイベントを実施したところでございます。

 いずれにいたしましても、COP28では、今委員御指摘のようなスタンスで私も発言し、総理も発言したということでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 理想はあるんですけれども、やはり現実が走っているということの中で、技術を生かしていただいて、着地点のネットゼロに向けて総力を挙げて官民連携で頑張っていかなきゃいけないというふうに認識させていただきます。

 多分、時間がなくなって、残り十分ぐらいで質問はし切れなくなると思うので、あらかじめおわびをしておきますが、残余の質問は次の機会にさせていただくということで進めさせていただきたいと思います。

 次に、再生可能エネルギーについて、これは政府参考人にお答えいただければ結構なんですけれども、いわゆる風力とかあるいは太陽光といったものがあって、委員の皆さんは十分勉強されて御存じだと思って、むしろ私が勉強不足でということなのかなという心配をしているんですけれども。

 やはり委員長が顧問をされている熊森協会あたりから聞きますと、風力発電でいえば、例えば、北海道で留萌から稚内にずっと日本海側を車で走っていただくと、名前をちょっと今どこに書いたか忘れちゃったんですけれども、二十八基、幌延の辺りにずらっと並んでいるんですね。極めて壮観ですね。すばらしいなと思って、私はずっと風力風力とかと思っていたんですけれども、熊森協会さんに聞くと、杉本さん、実は、生態系上、ヒグマもあるかもしれないしキタキツネもそうかもしれないですし、あるいは水源としての水の流れ方とか、そういった意味でも、その幌延のケースはサロベツ原野に向けての地域なので、丘陵地帯なのでそんなに影響はないと思うんですが、いわゆる里山とか奥山とか、山ですね、こういったところに風力発電があったり、あるいは太陽光発電があったりすると、生態系に非常にマイナスになるというふうに思っています。

 さきおとといになるか、再生可能エネルギー海域利用法という、EEZまで洋上風力発電を中心としてその範囲を広げるということが閣議決定されたというふうに伺っていますが、風力でいえば、陸上のもの、洋上の着床式のもの、それから洋上の浮体式のもの、こういったものが生態系並びにその他自然環境に与えるマイナス面、バードストライクだけに限らず、ほかの動物にも、それから自然全体についてどんなマイナス面があるか、環境影響評価として、総論として伺っておきたいというふうに思います。

 まとめて、あるいは別の方の御答弁になるかもしれないんですが、太陽光発電についても、例えば伊豆半島の伊東の、これは視察しましたけれども、大分、五年ぐらい前の話ですが、山の頂上とか中腹に太陽光パネルが設置されて、それによって木材が伐採されて、その木材が台風みたいなものが来たときに流れて、川を縦に伝って海に流れて、海洋というか漁場を、赤潮の発生原因になったりして影響が出ているみたいなことを地元の陳情を伺ったことがありますが、太陽光についても、環境影響評価として生態系並びに自然環境へのどんな影響があるのか、それぞれなのかまとめてなのか分かりませんが、御担当の政府参考人から御答弁をいただければと思います。

鑓水政府参考人 お答えいたします。

 まず、風力発電事業についてでございますが、近年の導入拡大に伴いまして、希少な鳥類のバードストライク、それから動植物や生態系への影響に対する懸念が大きくなっている状況だと認識してございます。

 このため、事業者が環境への適正な配慮がなされた風力発電を導入するよう、環境省といたしましては、環境影響評価制度に基づきまして、事業の環境影響や影響を軽減するための環境保全措置の確認を行っているところでございます。

 具体的には、陸上風力の環境影響につきましては、森林開発に伴う動植物の生息地の喪失や生態系への影響、バードストライクの発生による鳥類への影響等が懸念されているところでございます。

 このため、それらの影響について事業者が適切に調査、予測、評価を行うこと、また、それらの影響を回避、低減する措置を取ることを求めてございます。また、環境大臣意見におきまして、例えば風車の配置等の見直しを求めることもございます。

 それから、着床式それから浮体式の洋上風力につきましては、バードストライクに加えまして、海生生物や藻場への影響等が懸念されるところでございます。

 このため、それらの影響について事業者が適切に調査、予測、評価を行うこと、また、それらの影響を回避、低減する措置を求めているところでございます。

 それから、あわせまして、太陽光についてでございます。

 太陽光発電事業につきましては、森林伐採に伴う土砂の流出やのり面の崩壊が発生する事例があると認識してございます。

 このため、風力発電事業と同様に、事業者が環境への適正な配慮がなされた事業を進めるように、環境省といたしまして、環境影響評価制度に基づきまして必要な確認を行っているところでございます。

 具体的には、斜面への太陽光パネルの設置に伴う事業の場合、事業者が土地の安定性に対しまして適切に調査を行い、切土、盛土などにより土砂流出が生じないように、土地の安定性が確保される勾配の決定ですとか工法の選択などがなされるよう求めているところでございます。

 また、風力発電事業と同様、森林開発に伴う動植物の生息地の喪失や生態系への影響が考えられる場合につきましては、それらの影響について事業者が適切に調査、予測、評価を行うこと、また、それらの影響を回避、低減する措置を取ることを求めているところでございます。そうした中で、環境大臣意見におきまして、例えば事業実施区域の見直しを求める場合もございます。

 以上です。

杉本委員 大臣に、今の御答弁の上で、再生可能エネルギーというのは全て善みたいに思ってしまいますが、光と影の部分がやはりあって、その影の部分も我々はしっかりチェックしていかないと、環境立国として向かっていけないし、ネットゼロに向かわないと思いますので、御感想で結構なんですが、風力並びに太陽光のマイナス面についての御意見を伺えればと思います。

伊藤国務大臣 委員御指摘のように、再生エネルギーのみならず、全てのエネルギー発生においては必ず光と影がございます。

 環境省としては、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して、再生可能エネルギーの最大限の導入が不可欠と考えております。

 他方、今参考人からも答弁がありましたように、大規模な森林開発を伴う再生可能エネルギーの事業計画が増加し、動植物への影響や生態系の損失に対する懸念は大きくなってきていると思います。

 このため、環境への適正な配慮がなされた事業を推進することが大変重要であり、環境省としては、環境影響評価制度において、環境影響や環境保全措置を確認していくことがより重要になってきていると考えております。

 引き続き、環境配慮が確保された再生可能エネルギーの導入が図られるよう、環境影響評価制度の運用等にしっかり取り組んでまいりたい、そのように考えております。

杉本委員 時間が残り二分ぐらいになってしまったので、ちょっと意見みたいなところで、残余の質問は次回ということなんですが。

 大臣所信で、拝読すると、動物愛護管理等について真摯に取り組んでまいりますという一言がございました。一言ではちょっとやはり寂しいんじゃないかなというのが所信のときの率直な感想ですけれども。一方、所信質疑のときに鰐淵議員に対して、仮設住宅のところでペット対応が可能なところを確認しているよというような御答弁もいただいていて、細かいところではきちっと動物愛護に気を配っていただいているという認識も持ちましたので、引き続き、動物愛護の質疑をさせていただきますが、大臣にも御尽力をお願いしておきたいと思います。

 それと、これは御案内だけになってしまって、御答弁いただく時間があればなんですが、ちょっと飛びまして、AIの活用というか、ごみの分別について、あるいは、ごみの中での資源の再利用みたいなところでAIの活用という点で質問をさせていただきたいと思います。

 アメリカのスタートアップ企業で、いわゆるAIを活用して、画像分析とその他を含めて、エベレストラボというスタートアップの会社が、ごみの分別を、AIを使ってロボットが識別していくみたいな技術が出てきておるようなんです。

 参考資料も環境省さんの方にお渡しさせていただいているんですけれども、せっかくの機会なので、その情報というか、今後のAIと環境政策みたいなところで大臣の御所見を最後に伺わせていただければと思っております。

伊藤国務大臣 今委員が御指摘なさったように、AIにより物質を素材ごとに自動選別する設備の導入は、今、人手不足でございますので、非常に重要でございます。これまで廃棄していた部分から資源の回収につながる高度な選別を可能にするものだというふうに考えておりまして、資源の質、量の確保の観点からも有効であると考えております。

 日本国内でも、既にプラスチックや金属分野のリサイクルにおいて、AIの学習機能、これを備えた設備を導入し、高度なリサイクルを実現している事例があることも承知しております。

 環境省では、このAIを活用した選別機器を含む高度なリサイクル設備の導入、また、AIの活用を視野に入れた高度な自動車部品解体プロセス等の技術実証の支援、廃棄物処理におけるAI等の導入事例集の作成、周知などを行っているところでございます。

杉本委員 欧州議会では、AIの規制というような議決がされたりしていますけれども、一方で、光と影の部分で、光の部分でAIを活用して、環境行政にも生かしていただきたいことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

務台委員長 次に、内閣提出、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。伊藤環境大臣。

    ―――――――――――――

 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤国務大臣 ただいま議題となりました地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 生物の多様性については、二〇二二年に新たな世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択され、二〇三〇年までに自然を回復軌道に乗せるため、生物の多様性の損失を止め、反転させることという、いわゆるネイチャーポジティブが掲げられました。我が国においても生物の多様性の損失が続いており、これを改善するためには、国立公園等の保護地域の保全に加え、全国の里地里山等において、生物の多様性の維持、回復又は創出に資する活動を促進していくことが不可欠です。また、企業経営においても生物の多様性の重要性への認識が高まっており、事業者もこれらの活動の担い手となることが期待されます。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、事業者等による地域の生物の多様性の増進のための活動を促進する認定制度を創設する等の措置を講ずるものでございます。

 次に、本法律案の内容の概要として、主に四点御説明申し上げます。

 第一に、基本理念として、生物の多様性その他の自然環境の保全と経済及び社会の持続的発展との両立が図られ、豊かな生物の多様性の恵沢を享受できる、自然と共生する社会の実現を掲げることとします。

 第二に、主務大臣である環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣により、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進に関する基本的な方針を定めることとします。

 第三に、主務大臣による認定制度を設けます。地域における生物の多様性の増進のための活動を行おうとする者が作成する増進活動実施計画及び市町村が地域の多様な主体と連携して作成する連携増進活動実施計画の二つの計画制度を創設し、主務大臣の認定を受けた者に対して、自然公園法等の規制を適用除外とする等の特例を設けることとします。

 第四に、長期的、安定的な活動を可能とするため、連携増進活動実施計画の認定を受けた市町村は、活動区域内の土地の所有者等と協定を締結することができることとします。

 これらのほか、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務等の規定の整備、着実に本法律案の事務を実施するための独立行政法人環境再生保全機構への業務の追加等の措置を講じます。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。

務台委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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