衆議院

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第3号 令和2年3月18日(水曜日)

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令和二年三月十八日(水曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 原田 憲治君 理事 原田 義昭君

   理事 藤丸  敏君 理事 堀井  学君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 岡島 一正君

   理事 下条 みつ君 理事 濱村  進君

      秋本 真利君    畦元 将吾君

      池田 道孝君    石崎  徹君

      上杉謙太郎君    小里 泰弘君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      門山 宏哲君    金子 俊平君

      金子 恭之君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      小林 史明君    高村 正大君

      坂本 哲志君    杉田 水脈君

      田中 英之君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      谷  公一君    谷川 とむ君

      中根 一幸君    西田 昭二君

      根本 幸典君    野中  厚君

      鳩山 二郎君    福山  守君

      船橋 利実君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    池田 真紀君

      柿沢 未途君    小宮山泰子君

      高井 崇志君    高木錬太郎君

      武内 則男君    津村 啓介君

      緑川 貴士君    屋良 朝博君

      早稲田夕季君    江田 康幸君

      桝屋 敬悟君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       武田 良太君

   内閣府副大臣       平  将明君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        宮崎 祥一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   青柳 一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小柳 誠二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           笠原  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中村 博治君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         徳永 幸久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (気象庁長官)      関田 康雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     田中 英之君

  大岡 敏孝君     畦元 将吾君

  神山 佐市君     田畑 裕明君

  工藤 彰三君     福山  守君

  小林 史明君     池田 道孝君

  高村 正大君     西田 昭二君

  杉田 水脈君     上杉謙太郎君

  谷  公一君     野中  厚君

  宮路 拓馬君     大隈 和英君

  小宮山泰子君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     秋本 真利君

  池田 道孝君     石崎  徹君

  上杉謙太郎君     杉田 水脈君

  大隈 和英君     大西 宏幸君

  田中 英之君     小里 泰弘君

  田畑 裕明君     門山 宏哲君

  西田 昭二君     高村 正大君

  野中  厚君     谷  公一君

  福山  守君     務台 俊介君

  津村 啓介君     屋良 朝博君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     大岡 敏孝君

  石崎  徹君     小林 史明君

  大西 宏幸君     宮路 拓馬君

  門山 宏哲君     黄川田仁志君

  務台 俊介君     工藤 彰三君

  屋良 朝博君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     神山 佐市君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官安居徹君、内閣官房国土強靱化推進室審議官宮崎祥一君、内閣府政策統括官青柳一郎君、警察庁長官官房審議官小柳誠二君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆君、厚生労働省大臣官房審議官辺見聡君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、厚生労働省大臣官房審議官中村博治君、水産庁増殖推進部長黒萩真悟君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、国土交通省大臣官房審議官淡野博久君、国土交通省大臣官房技術審議官徳永幸久君、国土交通省大臣官房技術参事官堀田治君、国土交通省水管理・国土保全局長五道仁実君及び気象庁長官関田康雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典君。

根本(幸)委員 自由民主党の根本幸典です。

 本日は質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 昨日、大臣の所信の中にもありましたように、毎年のように大規模な災害が起こっています。私も災害のたびにその現場を実は見させていただいていまして、令和元年の房総半島台風や東日本台風の被害においては、信濃川の河川氾濫現場であったり、新幹線が水没した現場も見てまいりました。それから、一昨年の台風十二号、二十一号、二十四号、二十五号は、私の地元愛知県が大変大きな被害に遭いましたので、そこの農業用ハウスがもうひっくり返っている、こういった現場も見てまいりました。

 それから、北海道胆振東部地震、ここは厚真町の土砂崩れ現場も見てまいりました。それから熊本地震、これは南阿蘇鉄道の土砂崩壊の現場であったり、阿蘇大橋の崩落現場であったり、熊本城も見てまいりました。

 それから、北海道豪雨に関しましては、根室本線の橋梁を復旧している現場であったり、あとは、南富良野町の空知川の周りのジャガイモ畑が水につかっている現場等々も見てまいりました。

 そんな中で、やはり災害といってもそれぞれ全部違っていまして、その都度英知を使って復旧復興に努めていますし、また、国土強靱化という形で今取り組んでいますが、その意味においては、国土強靱化の必要性、さらには防災、減災の必要性というのをずっと実感をしてきたわけであります。

 きょうは、南海トラフ地震に関して質疑をさせていただきたいと思います。

 といいますのも、私の地元が、渥美半島がありまして、ここは南海トラフ地震が来たら十メートルから二十メートルの津波が太平洋側に押し寄せるというふうに言われています。

 大変風光明媚なところでありまして、きょうは、私、ここに花をつけているんですけれども、花の産地でありまして、日本の花の一〇%弱ぐらい生産をしているんです。わかりやすく言うと、クリスマスのポインセチアというのは大体六十万鉢ぐらいつくっているんですが、大体二個に一つは私の地元でつくっています。

 実は、そこの生産している現場というのは堀切というところでありまして、そこは、以前は堀切小学校というのがありました。大体標高が四・三メートル、それから海岸から六百メートルぐらいでありますので、もし地震が来たら大変なことになるということで、地元で学校の統廃合をして、今は別のところに学校を移して、そこの学校のあったところには津波避難マウンドをつくって、それぞれ地元で対応をしていただいているんですね。そういう意味では、それぞれの自治体であったり、それぞれのコミュニティーであったり、それぞれの企業というのは、災害に対して今一生懸命取り組んでいるところなんです。

 そこで、まず最初にお伺いしたいのは、この南海トラフ地震に対して政府がどのように取り組んでいるか、そのことについてお伺いをしたいというふうに思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ地震対策につきましては、南海トラフの地震防災対策推進基本計画におきまして、定量的な減災目標を定め、関係省庁が連携し、建築物の耐震化、津波ハザードマップの整備、津波避難タワーの整備など、目標の達成に向けたさまざまな対策を推進しているところでございます。

 また、発災時の救助、救急、医療等の応急対策につきまして、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画というのに基づきまして、被害の全容把握を待たずに被災地に入るための緊急輸送ルートの確保、あるいは警察、消防、自衛隊の部隊や、DMATなど医療チームの進出等を行うこととしております。

 引き続き、各種訓練によりまして、この具体計画の実効性を確保、向上していくとともに、関係省庁、地方公共団体等と緊密に連携して、減災、応急対策の観点から、南海トラフ地震に備えてまいります。

根本(幸)委員 今、国の方も南海トラフ地震防災対策推進基本計画というのをつくられて、着実にやっていただいているんですけれども、やはりその中でも、想定でいきますと、大変大きな死者・行方不明者数は出ますし、また、全壊、焼失の棟数というのも大変大きな数になっています。もちろん経済的な被害も、百七十兆円近いような被害が出る、経済活動の影響も四十四兆円ぐらい出るというようなことで、大変大きな被害になります。これをどういうふうに少なくしていくのかというのが非常に重要な観点になるというふうに思います。

 その中で、南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応検討ワーキンググループというのが議論をしていただきまして、南海トラフ沿いで異常な現象が観察された場合の防災対応のあり方であったり、防災対応を実行するに当たっての仕組み、これを取りまとめていただいたわけです。

 その中で、いわゆる異常な事態というのは、異常現象、幾つかあるんですが、一つは半割れというのがありまして、南海トラフの東側で例えば大規模なマグニチュード八ぐらいのが起きて、それに連動するような形でまた地震が起きる。では、こういうときにどういうふうな準備が必要なのかということをまとめていただいたわけでありますけれども、その中で、一つは、日ごろから地震への備えが大事である、こういうことをまとめていただいていまして、さらには、異常現象が観測された際には、その情報を被害軽減に役立てるという認識が重要である、その上で、国は制度等について検討を進めるとともに、個別分野の防災対応の方向性について検討をし、さらには、そのガイドラインをつくったらどうだ、こういうようなまとめをされているわけでありますけれども、この議論を踏まえて、政府がどのような対応をされているのかに関してお答えをいただきたいというふうに思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年三月に中央防災会議のもとに設置されたワーキンググループでは、いわゆる半割れ等、南海トラフ沿いで異常な現象を観測した場合の防災対応のあり方について検討を行っていただきまして、平成三十年十二月に報告書を取りまとめていただいたところです。

 これを踏まえまして、地方公共団体や企業等に防災対応の検討を早急に進めていただけるように、平成三十一年三月に、防災対応の検討の参考となる南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドラインを策定したところです。また、令和元年五月には、南海トラフ地震防災対策推進基本計画を変更いたしまして、南海トラフ沿いでいわゆる半割れ等異常な現象を観測した場合に、国及び地方公共団体等がとるべき防災対応、また、防災対応を実施するに当たっての仕組み等を盛り込んだところでございます。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 それで、一つは、この中で、一時的な避難をどうしていくのかというような話が出ているかというふうに思うんですけれども、ただ、一時的に、半割れがあったときに避難をしていくということになれば、いろいろな社会の動きなりがとまってしまう可能性もあるんですね。もちろん、経済活動もとまってしまいます。さらには、災害が片方で起こっていて、もう一個起こるかもしれないということで、そこに準備をしていかなきゃいけないということになりますと、マンパワーも含めて、これは大変なことになるわけであります。その上で、余りこの避難をするときが長期化しますと、経済等々に大変大きな影響があるというふうに思われます。

 そこで、政府としてどんな行動をしたらいいというふうに考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 平成三十一年三月に策定したガイドラインでは、いわゆる半割れケースにおきまして、地震発生後の避難で明らかに避難が完了できない地域住民は、後発する大規模地震発生の可能性に備えまして、一週間避難することとしております。

 これは、ワーキンググループでの検討で、住民の生活や企業活動を著しく制限するようなことは望ましくないことから、明らかにリスクが高い事項についてそれを回避する防災対応をとり、社会全体としては地震に備えつつ通常の社会活動をできるだけ維持していくことが必要とされたことを踏まえたものでございます。

 今後も引き続き、関係省庁、地方公共団体と連携しながら、防災対応を実施する際、経済への影響も抑えられるように、南海トラフ地震に備えてまいりたいと考えております。

根本(幸)委員 ありがとうございます。

 その避難に関してでありますと、まずは、一義的には、それぞれの友達のところであったり、さらには親戚のところに避難をしましょう、それで、ない方に関しては、それぞれの地方公共団体が準備をしたところに避難しましょうということになっているんですね。

 その意味においては、大変、事前にしっかり準備しておかないと、さあ、地震がありました、半割れなのでこれからあなたも避難しなきゃいけないですよ、その場になって避難先を探すということになれば、なかなか避難ができるわけではないというふうに思いますので、ここはやはり、しっかりと、地方自治体等々、企業と連携をして、準備をしておく、場合によっては避難のための訓練もしておく、こういうこともぜひ取り組んでいただくということが私は大事だというふうに思います。今でも、避難訓練、私の地元でもやっていただいているんですが、新たにやはりこういったことも加えていただくというのが大事なことではないのかなというふうに思います。

 ここで、先ほど御答弁にありましたように、地方公共団体であったり企業も防災対応の検討を促進させるということで、先ほど申し上げましたワーキンググループの中でも方針が出ているわけでありますけれども、それでは、政府が地方自治体であったり企業に対して、その対応の必要性をどのように、やってくれというふうに取り組んでいるのか、そしてまた、地方公共団体であったり企業が今どんな取組をしているのかということに関してお伺いをしたいというふうに思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ沿いでいわゆる半割れ等異常な現象が観測された場合の防災対応につきましては、政府だけではなく、地方公共団体や企業においてもあらかじめ防災対応を検討し、計画等を策定していただくことが重要であると認識しております。

 このため、令和元年七月には、地方公共団体や企業の計画策定のひな形となる推進計画の作成例ですとか対策計画の手引というものを公表して、計画策定の支援を行っているところでございます。

 また、令和元年の七月から、関東から沖縄まで、六つの地域ブロックごとに関係する地方公共団体から成る連絡会を設置して、ブロックによっては企業も加えまして、計画策定における課題や検討状況について情報共有を行って、計画策定を推進してきているところでございます。

 関係する地方公共団体には、計画の作成、変更につきまして、おおむね令和元年度中を目途として、令和二年度のしかるべき時期に本格運用できるよう依頼をしているところでございまして、内閣府の方で三月に行った聞き取り調査によりますと、全ての関係都府県、それから五割の関係市町村において令和元年度中に計画の素案の作成が完了する見込みという状況になっているところでございます。

根本(幸)委員 ありがとうございます。

 やはり災害というのは、国が方針を出して、そして地方自治体が実行して、そしてそれをコミュニティーであったり企業であったりというところにしっかりおろしていかないと大変難しいというふうに思いますので、ぜひ、この計画、令和元年度中にできてくるということでありますので、しっかり中身を見ていただいて、その上で、足らざるところは指摘をしていただいて、実効性のあるものにしていただきたいと思います。

 また、企業においては、そういう意味では、それぞれ、まだ大企業であるようなところはこういったことができるんでしょうけれども、中小企業というのはなかなかできづらいというところもあるというふうに思いますので、ぜひ、その企業等々に対しても、しっかりとつくっていただいて、そして訓練等々ができるように、万全の準備をしていただければというふうに思います。

 私も、先ほど申し上げましたように、北海道から熊本まで、全国、災害の現場を見てまいりまして、その中で地方公共団体の皆さんだったり地方の皆さんから聞いたのは、やはり国の対応というのは非常にありがたいというような話も聞いています。もちろん自衛隊から、消防もありますし、内閣府防災もありますし、さらには国土交通省であったり、厚生労働省であったり、やはりそこがきちっと対応をしてフォローをしていくということが大事だというふうに思います。

 といいますのも、それぞれの地方は、災害の経験という意味では、なかなか災害対策、災害対応に経験がなくて、初めてのことが多いわけでありますから、そこに国の今まで経験がある皆さんが行って、一緒になって対応していくというのが大変いい。さらには、場合によっては、それぞれの自治体ではできないようなものを国が直轄代行してやってもらうようなことも非常に大事だというふうに思います。

 そうしますと、やはりこれから、今回のような半割れも対応してこれから準備していこうとなりますと、果たして今の国の省庁関係の人材で十分なのか。もっともっと、国土強靱化を進めていく上においては、人手を、マンパワーを、そして人材をふやしていく必要が私はあるのではないかというふうに思います。

 こういった人材ニーズの増大に対して政府がどのように考えているのか、お伺いしたいというふうに思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 防災体制の実質的な充実強化は我が国にとって重要な課題でございます。昨今の一連の災害対応を踏まえまして、内閣府防災担当の令和二年度組織・定員を大幅に拡充することとしておりまして、現在の八参事官を十参事官に増強し、人員についても新規増員として十一名を確保することといたしております。加えまして、災害対応を行う国の機関でございます地方整備局の定員についても、令和二年度の予算案において百一人の純増となっているところでございます。

 この増員は、昨年の東日本台風など近年の大規模自然災害への対応はもとより、防災・減災、国土強靱化の重要性等も踏まえて措置されたものと聞いております。

 また、地方公共団体におきまして、防災・減災、国土強靱化あるいは復旧復興事業の担い手となる技術職員の不足も指摘されているところでございまして、総務省において、令和二年度から、都道府県などで技術職員を増員し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、今後の大規模災害に備えて、復旧復興に必要な中長期派遣の要員を確保するための新たな地方財政措置を創設するところでございます。

 今後とも、抜本的な防災・減災、国土強靱化対策の強化、あるいはインフラ老朽化対策など、安全、安心な国土づくりにしっかり取り組むために、必要な人員体制の確保に最大限努力してまいります。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 令和二年度は、内閣府防災、さらには国交省の地方整備局で人員をふやしていただくということでありますが、これからも、もっともっと人材は必要になるというふうに思いますので、引き続き人員確保に関してはお力添えをいただきたいというふうに思います。

 国土強靱化の三カ年緊急対策、これは大変地元でも評判がよくて、確実に私の地域でも防災、減災が進められているんだろうというふうに思います。その上で、ぜひまた令和二年以降も、このものに関してはしっかりやってほしいという声も地元の中でたくさん出ております。

 そんな中で、最後、大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、南海トラフ地震というのは大変大きな被害が出るというふうに思います。その中で、国土強靱化の観点からもより一層取組を進めていく必要があるというふうに思いますが、国土強靱化を進めるための予算確保、そしてしっかり対策を進めるべきだというふうに思いますが、大臣の決意をお伺いします。

武田国務大臣 毎年相次ぐ大災害に見舞われた我が国にとって、やはり国土強靱化の取組というのは喫緊の課題でもありますし、大変重要度を増してきているものだと思っております。

 御指摘の三カ年緊急対策、一昨年から始まったわけでありますけれども、百六十項目に及んでおります。これをしっかりと、進捗度合い、フォローアップしながら、そして今日まで培った教訓も生かしながら、国土強靱化政策というのを思い切って進めていかなくちゃならぬ、このように思っております。

 昨年の十五号、十九号において、非常に水害という大きな問題がありました。河道掘削、そしてまた堤防強化等々で、令和元年度補正予算では一兆一千五百二十億円、こうした予算も積んでいるわけであります。

 国土強靱化の取組は三年間で終わるわけではなくて、日本の安全規格を見直していかなければなりませんし、三年後も我々は必要な予算というものをしっかりと確保しながら、強く、そしてしなやかな国土づくりに懸命に励んでまいりたい、このように考えているところであります。

根本(幸)委員 大臣から力強いお言葉をいただきました。我々もしっかり頑張っていきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党、東京比例代表選出の高木啓でございます。

 本日は、災害対策特別委員会で初めて質問の機会を頂戴いたしました。まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 今の根本幸典先生の御質問は主に東南海の地震のお話でありましたけれども、私は、地元東京でもありますので、特に首都直下型地震についてきょうはお伺いをさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、東京二十三区の区部を震源にというんでしょうか、区部に最も被害を及ぼす首都直下型地震ということに限ってきょうはお伺いをさせていただきたいと思うんですが、現在考えられている首都直下型地震の発災の可能性と被害想定をまずお伺いしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会によりますと、南関東地域の直下でプレートの沈み込みに伴い発生するマグニチュード七程度の地震が発生する確率は、三十年以内に七〇%程度と評価されております。

 また、被害想定につきましては、中央防災会議のもとに設置したワーキンググループにおいて、平成二十五年に、被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都心南部直下地震に対して算出をしているところでございます。この中で、冬の夕方、風速毎秒八メートルの条件で想定される死者数が最大約二万三千人、全壊、焼失棟数が最大約六十一万棟とされているところでございます。

高木(啓)委員 よくわかりました。

 つまり、この数字はよく出るんですけれども、今後三十年以内に七〇%の確率、そして、被害想定も、夕方そして風速八メートルでどうだということでありますが、最大で死者が二万三千人、さらに、今お話がありませんでしたけれども、経済的被害、損失というのがおよそ九十五兆円とも実は言われているわけであります。

 なぜ東京の区部がこんなに被害が出るのかといえば、それはやはり人口密集地だということが主な原因でもありますが、しかしながら、一方では、都市基盤の問題も私は非常に大きなものがあると思っています。

 人口のことを言えば、東京は今、推計値も含めて速報でいいますと、東京全体で一千三百九十五万人、そして二十三区、区部だけで約九百六十五万人ですから、東京の七割の人口はこの区部に住んでいるということになります。ちなみに、密集度からいいますと、一平方キロメートル当たり一・五万人ということでありますので、とにかく首都の命を守っていくということを考えますと、やはり、いかに被害を未然に防いでいくのか、あるいは、防災的に言うならば事前防災、未然に災害を防いでいくという意味では事前防災であり、そして減災という考え方が私は非常に必要なのではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、それを行うためには何をしなければいけないのかということでありますが、やはり具体的には各種のインフラをきちんと整えていくべきだろう。これは、ですから、更新需要が今非常に大きいわけでありますが、インフラの更新、あるいはその新設ということもあるだろうと思います。さらには、東京の弱点と従前から言われておりますのは木造住宅密集地域でありますので、こうしたものを解消、あるいは都市計画道路の計画的な整備、そしてまた広場などをしっかりと整えていく、さらには建築物の耐震化、不燃化、こうしたものが必要であろうと思うわけであります。

 実は、私たちは、歴史をさかのぼってみますと、防災というのは昔からやっていることは同じでありまして、東京でいうならば、よく言われることですが、明暦の大火が起こったときにも、まさに道路を広げ、そして広小路と言われる広場をつくり、そしてまた町の隅々に、防災のための、火が、火災が出たときにそれを消しとめるための水おけを置いたり、あるいは、後々になりますが、それが発展をしていって町火消しができて、消防団ができたというようなことなわけでありますが、まさにそういう意味ではやっていることというのはそれほど変わらないので、その原理原則に従ってこれからも私は事業を行っていくべきだと思うわけであります。

 そこで、その事業を行うときに、やはりこれは自治体任せじゃいけないと思うんですね。ですから、国がしっかり災害対策、防災対策に、あるいは国土強靱化に関与していくんだということが私は大事だと思いますので、そういう意味では、国の関与をどのように知らしめていくのかということも大事な視点だと思うわけであります。

 そこで、今、こうした災害対策の事業は、自治体が主体となって、国の社会資本整備総合交付金の対象事業になるということが非常に多いわけでありますが、しかし、国の関与をしっかり見せていくという意味でいえば、これは総合交付金ではなくて、本来的には、私は、一つ一つ補助事業に位置づけられるべきだというふうに思っています。事前防災として国がしっかり関与をしていく、そのためには明確になる補助事業にできるだけしていくべきだというふうに思うんですが、いかがお考えでしょうか。

和田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、首都中枢機能の麻痺など我が国に甚大な被害をもたらすと想定されている首都直下地震への対策は喫緊の課題であり、国を挙げた取組が必要と認識をしております。

 このため、国土交通省では、首都直下地震の際の応急活動計画や事前に推進すべき対策を明らかにした首都直下地震対策計画を策定し、首都直下地震が発生した際のTEC―FORCE、緊急災害対策派遣隊の活動計画の策定、施設や建築物の耐震化や不燃化、無電柱化など、さまざまな対策を推進しております。

 こうした地震対策などの防災・減災対策を行う地方公共団体に対しては防災・安全交付金により支援を行っているほか、令和元年度には、港湾の耐震強化岸壁と一体で防災力を向上させる臨港道路の耐震化等を進める個別補助事業などを創設するとともに、令和二年度予算案においても、無電柱化や、地震等によって機能を失う可能性のある老朽化した大規模な河川、海岸施設の更新、改良を個別補助事業の対象に追加することにしています。

 引き続き、国がリードしながら、地方公共団体とも連携し、先生の御指導もいただきながら、首都直下地震への備えに万全を期してまいります。

高木(啓)委員 交付金事業も使いやすいという部分もあるので、それはそれとして、そして補助事業としてしっかり関与していく。ぜひ、自治体とよく相談をしながら、使い勝手のいい制度をつくっていただきたい、このように思っています。

 さて、先ほども申し上げましたけれども、事前防災あるいは減災という考え方でいいますと、具体的にきょうは二点伺いたいと思っておるんですが、特に住宅あるいは人口密集をしておりますこの東京二十三区、こういうところにおいては、やはり第一に、私は、広場機能というものをしっかりつくるべきだと思うわけであります。そして、町においての中心は、この我が国においては何かといえば、それは、一つは駅であり、そしてもう一つは、私は学校だというふうに思っています。

 きょうは、学校のことはちょっと取り上げません、それはまた後々機会があったらぜひ取り上げたいと思うんですが、駅前にやはり私はすべからく広場があるべきだというふうに思っています。駅前に広場がないというのは、やはりこれは、何かあったときに一時避難もできませんし、あるいは滞留場所も不足をするということになりますので、私は、東京においては、特に二十三区のような密集をしているところにおいてはできるだけ広場をつくっていくという意味での駅前広場の必要性というのは、これはもう絶対に必要だろうというふうに思っているわけであります。

 そこで、一定の広さの駅前広場をつくれるように、その関係者というのは地権者であり、あるいは開発をする主体であるのかもしれませんが、開発者あるいは鉄道事業者あるいは自治体、こうしたところが、やはり公共貢献という、地域に対してどう貢献をするのかということとセットになるような誘導策をもって、駅前広場をぜひ各地につくっていくべきだ。駅前に広場のない駅についてはできるだけそれをつくっていくべきであるというような誘導策を、私は、都市計画あるいは税制、そうしたものを通じてつくるべきだと思うんですが、どのようにお考えなんでしょうか。

徳永政府参考人 お答え申し上げます。

 首都直下地震のような大災害に対応するため、一時避難又は滞留場所としての空間の確保を検討することは、都市の防災力の向上を図る上で非常に重要なことであると認識しております。

 委員御指摘の駅前広場につきましては、鉄道利用者のバス乗りかえやタクシー乗りかえなどのターミナル交通を処理する交通結節点としての機能を持つ一方、買物客や待ち合わせなどの人々の交流や都市の景観の形成など、都市の広場としての機能を担っておりますが、さらに、一時避難及び滞留場所としての機能も重要なものと考えております。

 このため、駅前広場等につきましては、町づくりと一体として計画して整備することが重要と考えております。このような機能を持つ駅前広場につきまして、地方公共団体が整備する場合や地権者及び民間事業者が主体となる市街地再開発事業により整備する際には、社会資本整備総合交付金等により支援を行っております。

 国土交通省といたしましては、一時避難及び滞留場所としても活用できる駅前広場の整備が推進されるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。

 以上でございます。

高木(啓)委員 今までの必要な支援は今までどおりやっていただければいいんですが、私が申し上げているのは、これからつくっていくときには新たな制度が必要だということです。

 新たな制度で誘導策をもってやらなければ、そうした密集しているところの駅前などは土地はあきません。ですから、そのために、地権者も、こういう制度だったら供出してもいいよね、こういう制度だったら広場をつくってもいいよねというような、そういう考え方をぜひ持っていただきたいということで、これはきょう結論が出ることではありませんので、ぜひ御検討いただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 そして、もう一つ伺いたいのは、橋梁、橋の機能強化についてであります。

 この首都東京には、車が通行できる橋だけで約五千数百と言われています。そして、歩道橋や鉄道橋を加えますと、およそ七千もの橋、橋梁が存在をすると言われておりまして、橋は、災害時の避難路、あるいは災害があったときの物資の輸送ということを考えても、極めて重要な役割を果たします。もちろん、道路と同じように重要な役割を果たすということであります。

 そこで、きょうはその橋について取り上げるんですが、橋には、本来重要なんだけれども、実は最近軽視をされているものがあります。それは何かというと、橋のたもとに本来はあるべき橋詰め広場というのが最近なくなっております。

 橋は、皆さん御承知のとおりですが、橋の地図記号というのを思い出していただければいいと思うんですけれども、橋の地図記号は、両端がハの字形に開いております。あのハの字形に開いているのは何かというと、あそこに、たもとに広場があるからあの形になっているんです。ですから、橋詰め広場というのは、橋に必ずセットでなければ本来はいけないものなんですね。だからこそ、橋詰めというものを私は計画的に整備をしていくべきだというふうに前々から思っているんですが、しかし、通常は、橋が通れればいいということで、どうもその両サイドの橋詰めのような広場というものが軽視をされているのではないかと私は思っているわけであります。

 そこで、この橋詰めの役割の一つが、先ほど言った、橋というのは道路と同じような機能ですけれども、それと同時に、橋詰めというのは、災害時に橋を渡ろうとすると、人はどうしても心理的にそこで一回とまったりもするわけでありまして、人の滞留場所にもなる。更に言うならば、橋は老朽化をするし、あるいは被災をした場合には修理をしなきゃいけない。そのときに、仮橋をつくる場所がなければ新たな橋はかけられませんので、そういう意味でも、この橋詰めというのは仮橋の工事ヤード、用地にもなるわけでありまして、これは前々から、もうずっと江戸時代から実は重視をされてきたスペース、広場ということになるわけであります。

 通常時は、この橋詰めというのは別にそれほど、広場機能だけですから必要がありませんので、一朝有事の際にきちっと活用ができるようにしておけばよろしいんだろうと思いますが、先ほどお話があったように、首都直下地震はいつ起こるとも限らないわけでありまして、事前防災ということを考えますと、やはりどうしてもこの機能を私はつけていくべきだろう、改めてつけていくべきだろうというふうに思います。

 そこで、この橋詰めの整備を、できるところから私は都市計画事業として位置づけて、そして、いざというときにそうした機能がしっかり果たせるように計画的な整備を行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

徳永政府参考人 お答え申し上げます。

 東京における橋詰め広場の多くは、橋梁のかけかえ時の仮橋の用地や材料置場、交番及びトイレなどの敷地としての利用を目的とし、関東大震災後の復興事業などにおいて整備が行われてまいりました。現在は、都市の中の貴重なオープンスペースとして、人々が集い、憩う場としても活用されております。

 また、委員御指摘のとおり、首都直下地震などの災害時におきまして、避難の際に一時的に集合する場所としての役割や、仮に橋梁が大きく損傷してかけかえが必要になった場合には、そのかけかえ用地として活用することが考えられているところでございます。

 国土交通省といたしましては、都市の防災性の向上が重要な観点であると認識しておりまして、都市計画におきまして、都市の特性や市街地の状況などに応じて、橋詰め広場も含みます防災に関する都市空間が適切に確保されるよう、都市計画の権限を有しております地方公共団体に対しまして、必要な情報提供などの技術的支援を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高木(啓)委員 都市計画事業として、やはり道路の整備と一体として私は橋詰めがあるべきだということを、ぜひ国土交通省から、地方とも連携をしながら町づくりを進めていただきたい、このように思います。

 最後になりますが、私たちのこの東京では、およそ百年前になりますが、関東大震災が直近の最大の地震であったわけであります。関東大震災、大正十二年、一九二三年の九月一日に発生をして、九月二日には山本権兵衛第二次内閣が発足をして、そこで後藤新平が内務大臣兼帝都復興院総裁として陣頭指揮を振るって、関東大震災の復興事業を行ってきたわけであります。

 そこで、きょうお伺いしたいのは、この関東大震災、百年前の経験しか首都東京には、大きな地震というのは有していないんですが、この百年間はそれほど大きな地震はなかったわけでありますから有していないんですが、この教訓が今生かされているのかどうかということであります。

 私は、国土強靱化の一環として、首都直下型地震、これを減災、事前防災という観点から考えたときに、この関東大震災の経験というのは、やはりもう一度見直していただいて、首都東京の防災対策に、国土強靱化にぜひ生かしていただきたい、このように思うんですが、大臣の所感をぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

武田国務大臣 百年前の大震災のお話であります。大変な被害でありまして、死者約十万五千人、全壊等家屋約三十万戸に上る、さらには、ありとあらゆるライフラインにも甚大な被害が発生したということであります。このようなことから、建物の耐震化、空間や緑地の確保、道路の拡幅、区画整理などの重要性というものが指摘されていたということであります。

 この教訓も踏まえながら、国土強靱化基本計画においては、人命の保護が最大限図られること、国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されることなどを基本目標に掲げ、首都直下地震を始めとした大規模自然災害発生時における政府中枢機能等の維持、住宅、建物等の耐震化、密集市街地の延焼防止等の大規模火災対策として密集市街地の改善整備、公園、街路等の活用による避難地、避難路の整備、ライフラインの管路や施設の耐震化、交通、物流施設等の耐災害性の向上などに取り組んでいるところであります。

 今後とも、こうした教訓というものを生かしつつ、何よりも命が大事だという思いで、首都直下地震対策を含めた国土強靱化の取組を強力に進めてまいりたいと思います。

高木(啓)委員 ありがとうございました。

 関東大震災は、発災から七年で帝都復興祭を迎えて、一応、規模は縮小しましたけれども、帝都はこれで復興したということで終わったわけであります。今から考えますと、多分相当速いスピードで進んだと思います。

 そうしたことも踏まえて、ぜひ大臣には、この教訓を生かしてこれからの国土強靱化に邁進をしていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

山本委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 きょうは、大臣所信に対して質問をさせていただきます。

 まず、災害対策といいましても、さまざまなフェーズがあると思っております。先ほど来ございますけれども、事前防災があったりとか、あるいは発災後どうするのか、これも、被害をまず確認をして、その後、それと並行してですけれども、救難救助、人命をしっかりと守っていくということ、その後に、生活やなりわいの再建といった、いかに平時に戻していくのか、こうしたフェーズがあって、復旧復興への道のりとなるんだろうと思っております。

 こうした各局面でいろいろな対策をしていかなければいけないということで、事前防災については、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策をやっているということでございます。これは引き続き継続をしていただきたいというふうに思っておるところでございますが、きょうは、主に、復旧復興へとどのように道筋をつけていくのかということにフォーカスを当てて質問していきたいと思っております。

 その上でお伺いしたいのは、グループ補助金についてでございます。

 まず、グループ補助金というのは東日本大震災のときから活用されているわけでございますけれども、平成二十八年には熊本地震があり、さらには平成三十年、七月豪雨であったりとかあるいは台風災害、さらには北海道の胆振東部地震もございました。昨年は台風十五号、十九号と非常に甚大な被害があったわけでございますけれども、そのさまざまな局面で活用されているこのグループ補助金、非常に中小企業の皆様にとっては大事な制度であるというふうに思っております。

 このグループ補助金は、災害で被災された事業者に対しまして、中小企業等に対してでございますけれども、施設設備の復旧を支援するのが目的でございます。対象となります中小企業者の要件について改めて伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 中小企業組合等共同設備等災害復旧事業、いわゆるグループ補助金は、これまで、東日本大震災及び熊本地震並びに平成三十年七月豪雨及び令和元年台風第十九号等といった災害において措置されたものでございます。被災事業者がグループを組成して被災した施設の復旧を行う際に、中小企業者についてはその費用の四分の三を補助する制度でございます。

 このグループ補助金の対象となる中小企業者については、交付要綱において、中小企業支援法第二条第一項に規定する者となってございます。具体的には、資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人である製造業、建設業、運輸業その他の業種や、これらの額等又は従業員数において、一億円以下並びに百人以下である卸売業、五千万円以下並びに百人以下であるサービス業、五千万円以下並びに五十人以下である小売業をそれぞれ主たる事業として営むものと中小企業団体等を対象としているものでございます。

濱村委員 今、中小企業支援法ということがございましたけれども、確認でございますが、これは農業者の皆様には当てはまるのかどうか、この要件、どのような要件であれば当てはまるのか、伺いたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、グループ補助金の対象となる中小企業者につきましては、交付要綱において中小企業支援法第二条第一項に規定する者となっており、これに該当する個人事業主である農業者や、いわゆる農業法人並びに農業協同組合も対象としてございます。

濱村委員 農業法人、あるいは中小企業支援法に該当する事業者、あるいは協同組合も該当するという話でございました。

 その上で確認的に更にいたしますと、個人事業者の方、まあ、農業者の方々というのは、農業法人をつくっておられる方も最近でこそふえてきておりますけれども、まだまだ、個人事業主の方、個人で営農されておられる方が多い状況でございます。こうした個人の方々についても適用できるという理解でよろしいのかどうか、確認をいたします。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 個人事業者である農業者にも適用できるということでございます。

濱村委員 この点が実は結構理解をされていない状況でございまして、農業者の皆さんもしっかり使えるんですよということ、これは重要な点だと思っております。

 ただ、ちゃんとグループを組成しなければいけないとか、適用するためにはちゃんと計画を出したりとか、そういうことが必要になってきたりはしますので、なかなか地域の農業者の皆さんが連携してということにはならないことも多かろうとは思いますが、こうした取組においても十分使い得るというのがこのグループ補助金であるということであろうかと思っております。

 復興事業計画を作成して申請するということでございますので、その計画自体をつくれるかどうか、果たして個人の農業者の方がそういうことができるかというと、難しいかなというようなこともございますけれども、活用できるんだということは、生産者の皆様の生産意欲をちゃんと支えていただけるためには非常に重要なのかなというふうに理解をしております。

 こうした点も含めて、広く活用できるということで安心をしていただくこと、そしてそれをうまく活用していっていただくことも重要かと思っております。

 その上で、じゃ、個人事業者である農業者の皆さんにこれまでいかに適用されてきたのかということでございますけれども、これまで何件ぐらい適用してきたのか、対象となってきた災害ごとに、件数がわかるのであれば、お示しをいただきたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 個人事業者である農業者へのグループ補助金の交付実績につきましては、現時点で把握している件数は累計で百四件となってございます。

 災害ごとの件数につきましては、まず、東日本大震災につきましては交付実績はございません。熊本地震につきましては一件でございます。平成三十年七月豪雨につきましては百二件でございます。令和元年台風第十九号等につきましては一件となってございます。

濱村委員 それをお伺いすると、ほぼ、平成三十年の七月豪雨に関連しての百二件が大半を占める。熊本と昨年の台風十五号、十九号は一件ずつ。

 恐らく、ほかの支援のメニューとの兼ね合いもあろうかと思っております。そういう意味でいえば、これで適用されていないからだめだということでは決してなくて、こうしたものもうまく、いろいろな施策があるので、どれが一番適用しやすいかということを合理的に判断をしていただくことが重要かなと思っておるところでございます。

 きょうは本当に、グループ補助金、中小企業庁の経営支援部長に来ていただきましたので、ありがとうございました。

 こうした取組は非常に重要だと思っているんですが、この後、大臣にお伺いしたいんですけれども、このグループ補助金について、新型コロナウイルス感染症についても適用できないのかしらというようなことを私は思っております。

 というのは、そもそも、新型コロナウイルス感染症自体が災害ではございません。それはもうよくよく、重々承知をしている上でお話を申し上げているわけでございますけれども、そもそも、今現在の新型コロナウイルスの対策において、いろいろな制度を援用しているというふうに理解をしております。例えば、災害時における雇用保険においての失業給付であったりとか雇用調整助成金の仕組みなんかは、もともとある制度を活用しているというような状況が今、現状としてあるかと思っております。

 そうした背景を踏まえますと、今回の新型コロナウイルス感染症においても、これを理由になかなか投資が進まなかったとか、あるいはなかなか設備更新がうまくいかなかったとか、資金繰りがうまくいかなくなったので投資ができないとか、そういうようなこともあろうかと思っております。

 こういう理由をしっかりと明示していただく上で、このグループ補助金というものを適用できるなどの対策ができないのかどうかというふうに思っております。これは、災害と同様の扱いを便宜上行うということでございます。

 便宜上行うというようなことも含めて、今現在の新型コロナウイルスに対策をしていかなければいけないというふうに考えているわけですけれども、こうした、援用をしていくという考え方について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

武田国務大臣 御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症については災対法上の災害ではないということであります。

 しかしながら、この未曽有の事態に対し、政府として、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度の創設や中小・小規模事業者等に実質的に無利子無担保の資金繰り支援など、関係省庁一丸となって現在対応しているところであります。

 御指摘のグループ補助金による支援、これは経産省さんの分野になるんでしょうけれども、自然災害により設備が大規模に損壊している状況をこの場合想定しておりまして、今回の事態を同一のものと捉えることというのはなかなか難しいと思いますが、政府一体で、大変厳しい状況に置かれている事業者の声をしっかりと伺いながら、実態に応じたきめ細かな支援を行っていきたいと思います。

 いずれにせよ、内閣府としましては、今後とも、さまざまな自然災害への対応における知見等を生かせる場合には、関係省庁からの支援要請に対して積極的に連携協力を行っていく所存であります。

濱村委員 今、新型コロナウイルスについては貸付制度もあるということで御答弁がございました。大事なことは、いろいろなメニューがある中で、何がどう使えて、どうした方々には活用できるメニューがないというようなところの穴をなくしていくことだと思っております。

 そうした意味でいうと、今回のグループ補助金を適用させるのはなかなか難しい、損害がないとという大前提もあろうかと思いますので、これはまあ無理筋なんだろうということで理解をいたしました。

 その一方で、大臣からは、この未曽有の事態に対してさまざまな支援をしていきたいということで御発言がございましたので、これからもぜひ取組をお願いしたいと思っております。

 今回も、いろいろな対策をしてきたわけでございますけれども、いろいろなフェーズ、いろいろな段階で、いろいろな考え方のもと、これはこうしよう、あれはこうしようと判断を積み重ねてきて、これは非常に大事なことを積み重ねてきていると思っております。

 私が個人的に、これまで、過去に、この議員の仕事をやる前にシステム開発の仕事をしておった時期がございます。そのときも、システム障害が起きますと、どのようにそのシステム障害に対処するかというような考え方というのは、割と整理をされておりました。こうした考え方というのは、危機管理、災害の場合においても十分適用できるというふうに思っております。

 例えば、フォールトトレランス、トレラントというような言い方もございますけれども、これは、障害が発生しても機能を継続させていくというようなことでございます。これは、飛行機でいえば、操縦桿と各動翼、翼ですけれども、これを複数の系統でつないでおいて、一系統がたとえ機能しなくなったとしても、操縦不能とならないように、二系統目を用意しておくというような考え方があります。

 あるいは、それとよく似た考え方ではございますけれども、フェールソフトというような考え方がございます。障害が発生したときに、機能を縮小してでも機能を継続させていくということでございます。例えば、飛行機でいえば、片方のエンジンが完全に停止しても、もう片方のエンジンで飛行できるように設計をしておくということでございます。

 さらには、フェールセーフというような考え方がございます。これは、障害が発生したときにシステムを安全な状態に移行するということでございまして、先ほど来使っている飛行機の例でいえば、エンジンが故障しても、推力がございますが、その推力が失われたとしても、滑空して無事着陸ができるというような、そういう考え方でございます。

 こうした考え方自体を、災害が起きたときにも、この地域にはこのような考え方、この場面ではこういう考え方、どう適用させるか。つまり、対処すべきことというのは、全部が全部、一〇〇%対処できるというのはどだい無理だと思っております。ですので、合理的に、適切に対処をしていく、事前防災の考え方においてもそうなんですけれども、どこまで機能を維持すればよいのかということを考えていくというのが非常に重要ではないかと思っております。こうした点についても、また機会があれば、大臣と意見交換をさせていただければと思います。

 最後に、もう一点だけお伺いしたいと思います。住民サービスのあり方について、住民に対する情報公開、情報発信の話についてお伺いします。

 災害時の情報発信については、昨年の長野県においての台風災害におきましてLINEが活用されたというふうに認識しております。ただ、長野県が開設したLINEアカウントと、長野市の開設したLINEアカウントでは、トップ画面の表示が異なっているという状況でございました。結果、市のアカウントの方は、メニュー化がなされていて、ユーザーは極めて使いやすい、そういう機能になっておったわけでございます。

 こうした取組を踏まえまして、災害時の自治体の住民に対する情報発信のレベル、これを向上していかなければいけないと思っておりますけれども、国としてどのように取り組むのか伺います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 災害時に、地方公共団体が被災者等に役立つ情報をきめ細かく発信することは重要であると認識しております。

 これまで、テレビ、ラジオやホームページなどを通じて情報発信がなされておりますけれども、LINEなどSNSを活用して、地方公共団体が住民一人一人に対して必要な情報を提供できるようになれば、大変効果的であると考えております。

 委員御指摘の長野県や長野市の取組は、内閣府科学技術・イノベーション担当が実施しております戦略的イノベーション創造プログラム、SIPにおいて研究開発が進められている防災チャットボットの関連技術を活用したものでございまして、この取組の状況も踏まえて、防災チャットボットについて、提供される情報の質や量、画面の見せ方等も含めて、引き続き研究開発が進められているところでございます。

 また、先般、内閣府の副大臣を座長にして、関係部局が参画して、防災対策におけるテクノロジーの活用方策を検討するタスクフォースを立ち上げて議論を進めているところでございまして、こうした場も通じまして、地方公共団体から住民への情報発信におけるチャットボット等の活用を推進する方策についても検討してまいりたいと考えております。

濱村委員 防災チャットボットを含め、研究開発をしっかり進めていくということでございますので、御支援申し上げたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 立国社の池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 本日、一般質疑でございますけれども、きょう、議題の最後にございますが、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業、この特措法の委員長提案によって、この後、採決もあるというふうに承知をしておるところでございます。

 この件については、とりわけ立憲民主党におきましては、平時から災害局を幹事長部局につくっておりまして、理事でもあります岡島委員を局長として、そのもとで、平時から、防災、減災、さまざまな危機管理等について研さんを重ねているところでございます。

 そこの災害局でもお話を伺いました。その延長の必要性については理解を示しているところでございますけれども、ただ、今回、国民の皆さんに、きちっとこのあたりの延長の必要性といったものを共有する必要があるというふうに思っておりますので、この場でこれに関する質疑もさせていただきたいというふうに考えております。

 この法案につきましては、御存じのとおり、昭和五十五年に五年間の時限立法として制定された法案ということでございますけれども、それから八回目の延長になるわけであります。この延長の必要性、幾つかございますけれども、その中の一つの理由に、未執行が約二千百三十億円あるということでございました。この理由についてお聞かせいただきたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 現行計画で本年度末までに執行できない残事業は、御指摘のとおり、地方公共団体の要望によれば約二千百三十億円でございますけれども、この未執行の理由については、地方自治体の財政状況、あるいは、事業実施に当たって、関係者との調整の長期化などが理由であると自治体から聞いておるところでございます。

池田(真)委員 また、幾つか理由がありますので、続けて質問させていただきたいというふうに思います。

 もう一つの理由の中に、学校施設の外壁の落下事故が相次いでいるということでございました。こちらについてでございますけれども、記憶に新しいところでは、大阪の北部地震におきまして児童が亡くなるという痛ましい事故がありまして、その後、緊急対策ということで、文科省を始め、災害対策でも、予算を含め、対策をとられてきたと思います。全国のこの進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。

笠原政府参考人 ブロック塀の対策についてお尋ねがございました。

 学校施設におけるブロック塀の対策につきましては、文部科学省におきまして、平成三十年度に新たな交付金を創設するなどし、これまで、国庫補助申請のあった全ての事業について採択するとともに、速やかな安全対策の完了を要請してまいりました。

 ブロック塀等の安全対策等の現状といたしましては、平成三十年六月時点の調査では、外観点検で安全性に問題があるとされたブロック塀等を有する学校数は、全学校数の二四・八%ございました。その後、安全対策が進捗いたしまして、平成三十一年四月時点の調査におきますと、令和元年度末に全学校数の三・七%となり、この結果、建物に挟まれているなど直ちに安全対策に着手できなかったものなどを除き、安全対策が完了する見込みでございます。

 今後も、確実にブロック塀等の安全対策が完了するよう取り組んでまいります。

池田(真)委員 今のように、全国規模で必要な対策があるということでございますが、今回、東海地方を中心にということでのこの対策が引き続き時限立法で延長が問われているということでございます。

 この関連性について、必要性を改めて伺いたいのと同時に、関連しておりますのでお伺いしたいんですが、大規模震災、災害については、先ほどからも質問がありましたけれども、首都直下や南海トラフの発生のリスクといったものも高まっているわけであります。これらについてのかさ上げといったものもあるのかどうかということもお伺いしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震あるいは南海トラフ地震などへのかさ上げ対策につきましては、まず、平成七年の阪神・淡路大震災を受けて制定されました地震防災対策特別措置法という法律に基づきまして、全国において、地方公共団体等が実施する公立小中学校等の補強等に係る補助率のかさ上げが定められているところでございます。

 それから、南海トラフ地震の対象地域につきましては、津波避難対策の喫緊の必要性に鑑みまして、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法というものが平成二十五年に制定され、地方公共団体等が実施する津波避難施設、避難路の整備、こういったものについての補助率のかさ上げが定められているところでございます。

池田(真)委員 首都直下とか南海トラフのかさ上げ、状況を詳しく説明をいただきまして、ありがとうございました。

 その必要性も当然承知をしておるところでございますが、加えて、今回の延長が採決されますけれども、今回の法案についての、更に八回目になるこの時限立法、五年という区切りを区切って、緊急性が要されて制定がされたわけですが、この先の五年の決意といいますか、これからの災害においては、それぞれにさまざまな必要な対策がとられているということはわかりました。しかし、この四十年前のものも更に延長していくということであれば、この間の五年の目標をぜひ大臣からお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 先ほど委員の話にありましたように、昭和五十五年に議員立法としてでき上がったわけでありますけれども、五年間の時限立法とされている理由については、事業の進捗を踏まえて補助率のかさ上げ等について五年ごとに継続の必要性を判断すべきものであるため、このように承知をいたしております。

 先ほど事務方の方からありましたけれども、小中学校の補強にかかわる補助率のかさ上げ等を定めるために、議員立法として地震防災対策特別措置法というのが、地防法が制定をされたんですけれども、この地防法においては、劣化の著しく、構造上危険な状態にある公立小中学校等の校舎の改築については、補強についてではなく、改築については対象とされておらず、地震財特法においてのみ対象とされており、今般、現行計画における残事業や追加事業が存在することから、更に五年延長するよう検討されているもの、このように伺っております。

 今後の地震財特法の延長につきましては、この地震財特法においてのみ対象とされている改築等の五年後の執行状況、また地方公共団体からの要望等を踏まえて判断をされるもの、このように認識をいたしております。

 また、地震防災に関する補助率のかさ上げを定めている法律としては、地震財特法や地防法のほか、津波避難対策を推進するため、南海トラフ地震特別措置法というものが定められております。

 政府としては、これらの法律が各地域における地震防災対策の推進に寄与しているものと認識しており、御指摘の包括的な制度の見直しについては、法律の制定経緯また目的を十分に踏まえて検討する必要があると考えております。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、実効性といいますか、目標に到達できるように、一緒になって取り組ませていただきたいというふうに思っております。

 さて次は、後半は、新型コロナウイルス肺炎の対策といたしまして、新型インフルエンザ特措法ももちろんでありますが、そもそもの災害対策もあわせて振り返っていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 まずは備蓄に関しましてですが、この中の、とりわけちょっとマスクを取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 まず、各自治体のマスクの備蓄状況の把握、どのように把握をされているのか、お聞かせいただけますか。お願いします。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 都道府県における医療機関向けのマスクの備蓄状況について確認をいたしましたところ、三月の三日時点で約五百二十五万枚の備蓄があると承知をしているところでございます。

池田(真)委員 今、医療機関とおっしゃいましたか。もう一回確認、医療機関ですか。

中村政府参考人 今お答え申し上げたのは、医療機関向けのマスクの備蓄の状況でございます。

池田(真)委員 医療機関向けのマスクではなくて、使い捨ての、いわゆる一般家庭あるいは介護施設でも結構ですけれども、自治体の備蓄状況をお聞かせいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、各自治体が一般のマスクについてどのような備蓄状況にあるかについては、現時点で把握をしていないという状況でございます。

池田(真)委員 そうしますと、一般の災害用のマスクの備蓄、自治体の把握はどなたがされているのでしょうか。内閣府、お願いします。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体における災害用物資の備蓄量については、消防庁の調査によりまして、食料、飲料水、毛布等の主な品目について毎年四月一日時点の数量を把握しているところでございますが、マスクを特定して調べていないところでございますので、消防庁の方でも、そこは毎年把握をしているということではございません。

池田(真)委員 マスクに関しまして、今回、例えば東京都では百万枚以上、千葉県では四万七千枚、茨城七万五千枚という、そのほかには、栃木、山梨、神奈川県ではなし、群馬、病院には提供して備蓄がもうないですというのが、三月四日の時点の報道で示されたところであります。

 何で自治体の備蓄を私が確認をしたかったかと申しますと、やはり災害対策におけます自治体での行動計画、それに関しては定められているわけですね。災害によっても、備蓄といったものを自治体がやらなければいけないというふうになっているわけです。その中の項目が、今マスクは特出しをされていなかったというお話でよろしいかと思いますが、しかし、そうしますと、また厚労省に話が戻るかもしれませんけれども、その後、医療機関には優先されました、そして、介護や福祉施設に優先して配布をされますということが報道をされています。こちらについて、介護や福祉施設に関して、マスクの備蓄は把握されているのでしょうか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般のマスクが非常に逼迫した状況にあるという状況は十分承知しているわけでございまして、厚生労働省といたしましても、メーカーへの増産の要請等、確保に努めているところでございます。

 それで、今お尋ねの介護施設等へのマスクにつきましては、都道府県を通じまして状況を把握しているところでございます。

 その上で、今回の緊急対策におきまして、国として、再利用可能な布製マスクを約二千万枚、一括して購入いたしまして、介護施設、障害者施設、保育所、それから学校の休業等に伴います学童保育等に対して、自治体の協力も得ながら、行き渡るよう、十分な量を配布してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

池田(真)委員 これは非常に大きな問題だなと思っていまして、これは、この先の未来に向けて、未来志向で取り組まなければいけない大きな課題だというふうに思っています。

 私は、この災害対策委員会でも質問を何度かさせていただきましたけれども、介護事業所や福祉事業所、日常の中で、新型インフルエンザとかそういう感染症予防だけではなくて、日常の中でケアを行う際にマスクは必要として、介護施設の、あるいは事業所の備蓄の計画の中にはマスクという項目はきちんと入っています。これは、サージカル用の、医療用のマスクではありませんので、平時に、日常に使っているものです。

 また、今回、布のものを配布されても、誰が洗うんですかという。本当に今、大変な忙しい状況で人手不足の中で、さらには、消毒液もなければ、適切な洗浄も、本当に底をつくというような状況でありますので、この優先順位を決めるという状況に当たっても、これはもう一度、介護や福祉施設に関してですけれども、優先順位のあり方といったものを見直す必要があるのではないかというふうに考えています。

 昨日も、北海道においては三十五市町村へのマスクの優先配布というものが示されて、報道されましたけれども、何と、利用者さんだというんですね。

 一月、二月でもう底をついてしまった、小さな重度訪問介護等をやっている、障害者が、当事者が代表を務めるような、数人が勤める介護事業所は、本当に今、底をついてしまって、三十倍、四十倍ものお金を出して購入をしてぎりぎりつないでいるという状況でありますので。大きな施設は、法人内でいろいろ調整をして回したりしているんですね、サービス事業を停止しながら、そういったところから回しているので、これは本気で福祉や介護事業所の災害対策について見直す必要があると考えています。

 日ごろから、介護について、あるいは福祉の備蓄について、余り積極的ではなかったというふうに私は思っていますので、ぜひ大臣にもこれを力強く進めていただきたく、お考えをお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

武田国務大臣 コロナウイルス感染症の対応のさなかに災害が発生した場合。(池田(真)委員「違います」と呼ぶ)マスクを、厚労省に言えというんですか。

山本委員長 もう一回質問を。

池田(真)委員 今の答弁をいただきましてわかったことなのでありますが、マスクの備蓄状況、これまで災害対策において把握をしていなかったというふうに思います。

 その必要性は私もこの委員会でも訴えてきたつもりではございますけれども、とりわけ福祉や介護については日常から必要性があるわけでありますので、これをいま一度見直して、新型インフルエンザとかあるいは新型コロナとかという感染症だけではなくて、日常の災害対策の中で、置いてきぼりにされていた介護事業所を始め、ここについての備蓄、配給の体制も含めて、必要性があると考えていますので、大臣に所見をお伺いしたいと思います。

武田国務大臣 さまざまな今回与えられた教訓というものを生かしながら、常に不断の見直しを行っていく努力をされていきたいと思います。

池田(真)委員 大臣、ありがとうございます。

 福祉事業所、今、ショートステイやデイサービスあるいは老健で感染が認められて、事業をとめた。とめたのはいいんですけれども、他の事業とは異なりますので、代替サービスが必要です。代替サービスをどうするのか、誰が担うのか、どのように担うのかというようなことで、BCPは極めて重要なんですね。事業所任せには当然できないわけなので、政府が、きちっと国がバックアップをしていく姿勢が私は重要だと考えています。

 国の本腰、力の入れぐあいなんですが、平成二十一年の内閣府の調査です。このBCPの策定済みという福祉事業所は、何と〇・五%です。一番ケアが必要で、一番避難や手だてが必要な方たちが〇・五%。そして、事業所任せにしていてもいいと今まで思っていたかもしれませんが、この事業所や福祉施設は、BCPを知らないというのが九二・五%です。そして、その当時は、中小企業のBCP策定を中央防災会議では重要項目として掲げて取り組んできた経緯がございますが、その後も福祉施設は、平成二十五年で、いまだに策定済みが四・五%となっています。

 一方、港湾、全く違うんですけれども、いざ何かあったときに大変重要な港湾は一〇〇%の策定率。しかも、私も、各港湾のBCP、中身、計画まで拝見をさせていただきましたが、非常に見直しや策定のし直しもしているんです。なので、非常にお金のかけぐあいや、あるいは国の本腰の入れぐあいというのが違うのではないかというふうに思いますので、これは問題提起として、大臣も認識を共有していただきましたので、ぜひこれは政府を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そして、もう一本あります。マスク問題ですが、災害派遣で派遣をされていた今回の自衛隊、この自衛隊の保有するマスクを民間へ供給するという報道がなされました。

 ここについて伺いたいんですが、もしこの間に災害が起きたら、報道の数字では百万枚を供給したというふうにありますけれども、百五十五万枚のうち百万枚を供給して、その残りで、もし大規模な災害が発生をしたら足りるのかどうなのか。その辺の取組、対策をお聞かせいただきたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 災害発生時には、関係省庁が連携しながら災害応急対策を迅速的確に実施しているところでございますけれども、今回のコロナウイルス感染症の対応のさなかに災害が発生するような事態に際しては、国においても、感染症担当部局など通常の自然災害時とは異なる部局と緊密に連携しながら、状況に応じた対応が必要になると考えております。

 発災直後に、被災地のニーズに即した物資、これまでプッシュ型で支援しておりますけれども、コロナウイルス対策として、避難所において必要な感染症対策を講じますとともに、プッシュ型の支援は、必ず、マスク、消毒液など感染症対策に資する物資は、必要なものはきちんと送らせていただきたいと考えておるところでございます。

 これは、北海道に関しまして百万枚のマスクを送るに際しての対応と同様の拠出命令をマスク製造業者にかけて、国が買い取って送るというようなことも考えていかなければいけないというふうに考えております。

池田(真)委員 何が起きても大丈夫というように、今プッシュ型の支援のお話をされていましたけれども、同時に何かほかのことが起きても、自衛隊ですから、自衛隊が最後はきちっと対策がとれるのかどうか、自衛隊がきちんと必要なマスクをちゃんと所持できているのかどうかということが確認をしたかったわけであります。

 ですので、プッシュ型で支援して足りるとかではなくて、そのときに災害が起きたら、もう一方で別の災害が起きたらきちっと機能するんですかということを聞きたかったんです。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊が今大丈夫かどうかというところにつきましては、防衛省が本日は参っておりませんので、内閣府として、大丈夫であるということを防衛省に成りかわってお答えすることはできませんけれども、そこは、今回の防衛省さんの拠出も、そういったことも含めて考えておられるのではないかと推測はされるところでございます。

池田(真)委員 何か災害が起きたときに、ここで、大丈夫と、自衛隊がということではなくて、省庁全部、横串の意味合いで内閣官房が、あるいは内閣府防災というものがあるんではないかと思いますので、知らないとか、どこの部署がということではないんではないかなと思いますので、非常にそういう答弁が不安になるわけですよね。ですので、直接やっているわけではないけれども大丈夫だみたいなものは本当に必要です。事前に通告しているわけですから、ぜひそこはお願いしたいところであります。

 もう時間が、残りがなくなってしまいましたので、最後に、関連する話になりますけれども、今、新型コロナとか、あとは新型インフルエンザの特措法に何となく意識が行ってしまったかもしれませんが、もともとの災害に戻して考えていきたいんですけれども、災害においての危機管理、政府の危機管理の体制です。

 今あったような、今回であれば、自衛隊さんであれば、クルーズ船内で多くの方、四千九百人もの方が対応されて、一人も感染者がいなかった。でも、そのほかの方々については、厚労省の基準での対応をされていて、厚労省の方あるいは内閣官房の職員さんも感染が相次いだというような差がありました。結果だけではなく、その対応に差があったということは、同じ現場にいて、災害が発生した現場においてどういう命令指揮系統になっているのかということに疑問を抱くわけであります。

 とにかく、災害においては指揮命令系統は一本。国が、政府が挙げてやっていることでありますので、その指揮系統、指示系統の状況と評価を内閣官房にお伺いし、そして、内閣府防災の方には現状の認識についてお伺いしたいと思います。大臣は最後にお願いします。

武田国務大臣 災害発生時などの危機管理下においては、関係省庁が連携して、政府一体となって初動対応を迅速かつ的確に行うことは、これは不可欠であります。ここ数年の相次ぐ災害対応を通じて、内閣府防災が中心となって、関係省庁が経験知を共有し、組織的な学習を繰り返しながら、迅速、円滑化を図ってきているところであります。

 自然災害対応につきましては、こうした政府の迅速、円滑な初動対応と応急対策を強化する観点から、関係省庁が平時から顔の見える関係を構築し、情報交換、共有を図るよう、内閣官房のもとに、即応連携する新たなチームを来年度早い段階で立ち上げることを検討をいたしております。

池田(真)委員 新たなチームを立ち上げる、しかも内閣官房のもとにという、一本で立ち上げるということで、非常に私は期待をしたいというふうに思います。

 同時に、この際ではありますので、ぜひ武田大臣には、災害対策基本法自体も、そもそもの見直しといいますか、振り返りというものも必要ではないかなというふうに思っております。

 災害対策基本法は、三十六年に可決してから、六十一回もの、本当に真剣に国会で議論がされて、そして随時、必要に応じて改正がなされ、災害と言われている定義の見直しも幾度か行われているわけであります。

 世界的な異常気象、そして気候変動、いろいろな生態系も変動する中で、私たちがこれから立ち向かう中で、今までのような認識だけではなく、新たな定義、あるいは、今、体制については新しくやっていきますという答弁がございましたので、それに期待したいとは思いますが、災害対策基本法は、やはり、今まで、従来あった、百五十も二百もあった法律のはざまの中で、迅速にそれを共有をするような形で、足りないものを、体制の根本的な不備とか欠陥を是正した。対策全体の体系化を図って、今のような、指示系統などを一本化していくんだという。

 今は申し上げませんけれども、主たる内容は六個明確に位置づけられて、その六つの使命というのは今もなお変わらないものだと思っています。そこを最大に解釈、理解をして、ぜひ大臣には、災害対策基本法も、そもそもの見直しも含めて御検討を願えればというふうに考えております。

 最後に答弁をいただいて、終了したいと思います。

武田国務大臣 先ほどから何度も申し上げましたように、さまざまな教訓というものを生かしながら、ありとあらゆる不断の見直しを行っていかなければならないと思っておりますし、日本の安全規格も見直していかなければなりません。さまざまな意見を拝聴しながら検討を進めてまいりたい、このように思います。

池田(真)委員 災害対策、日本の危機管理に関しましては、国民の命を守るためには、政府、そして与野党問わず、一体となって取り組ませていただくことをお誓いし、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございます。

山本委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの緑川貴士です。

 東日本大震災から九年が過ぎました。今月はその同じ日に、私、地元秋田ですけれども、秋田県内で震度四の地震、そしてその翌々日には、十三日の未明、石川県内で震度五強の地震が起こりました。

 石川県の今回の地震は、かつて二〇〇七年に起きたマグニチュード六・九の能登半島沖地震の余震域内に震源があるということで、能登半島沖地震の余震である可能性も否定できません。つまりは、今後大きな地震がいつ起こり得るともわからないという状況だと思います。

 過去を見ても、三月という月は多くの地震が発生しています。二〇〇〇年以降で数えましたが、とうとい命が失われてしまった地震は十九あります。その中で三月に発生した地震については、二〇〇一年に瀬戸内海の西部を震源とした芸予地震、二〇〇五年の福岡県西方沖の地震、二〇〇七年の先ほどの能登半島沖地震、二〇一一年の東日本大震災、三・一一の翌日の長野県、新潟県の県境付近の地震、そして二〇一二年の千葉県東方沖の地震、大きな地震がこの三月に集中しているという状況であります。

 この中で、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、これが長期化する懸念もあります。この間に、仮に大きな地震あるいは豪雨などの大規模な災害が起きたときに、感染のおそれがある避難者を含めた避難所の対応も想定しなければならないと思います。

 避難所での換気を徹底する、そしてウイルスの蔓延を防ぐなど、国が定めたガイドラインをもとに、自治体では具体的な対応をとっていくことになりますけれども、ただ、この感染症対策はそもそもインフルエンザとかノロウイルスなどを想定しています。今回の新型コロナウイルスに特化した対策が現状では定められておりません。

 求められる新たな対策の検討について、今、大臣、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

武田国務大臣 現在、感染拡大に対して政府を挙げて取り組んでおるわけでありまして、現状で災害が発生した場合、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を踏まえ、避難所における感染症対策を徹底する必要があると考えております。

 従来からの取組として、政府としては、避難所に係る各種ガイドライン等を定め、手洗い、うがいの励行、マスクの着用、感染症発症者のための個室の確保、医師、看護師等の巡回、派遣体制の確保等、避難所において必要な感染症対策を講じるよう市町村に対して周知しているところであります。また、被災者の状況等によっては、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所の開設も検討して、環境の確保を図るように促しております。

 今般の状況下においては、万一災害が発生した場合には、従来から周知してきたものに加えて、新型コロナウイルスも想定しながら、避難所において避難者が十分なスペースを確保できるよう、指定避難所以外の開設や、ホテル、旅館の活用等、関係府省とも連携して、避難所における感染症対策を徹底するよう改めて周知することといたしたいと思います。

 また、災害発生後、避難所における感染症対策を支援するために、必要となるマスクや消毒液などの物資についてのプッシュ型支援など必要な支援にも努めてまいりたいと思っております。

緑川委員 やはり、従来とはまた違う状況が生まれてきております。

 大臣のおっしゃるような方針というのは重々承知をしているところなんですけれども、やはりこれまで、多くの人が集まる大規模なイベント、全国的な、あるいは行事の中止、延期を政府が要請して、これまでないような事態の中であるのに、同じく多くの人が同じ空間に集まらなければならないような避難所の運営主体、自治体は、この間、国による明確な方針というものが、対策が示されずに、どうしていくべきかと対応に苦慮している声はやはり聞かれます。

 この避難所で想定されるべき新型コロナウイルスの感染症対策について明確な方針を示していないこととあわせて、避難する人が感染していた場合の現実的な対処のあり方、やはり、大臣がおっしゃるようなところ以外でも懸念を残している自治体に対しての対応というのは、今後、具体的に何かあるんでしょうか。

武田国務大臣 今回のように、コロナウイルス感染症の対応のさなかに災害が発生するような事態に対しては、我々も、感染症担当部局など、通常の自然災害とは異なる部局と緊密に連携しながら、状況に応じた対応というものが必要になってくると思います。

 例えば、発災直後、被災地のニーズに即した物資をプッシュ型で支援しておりますけれども、コロナウイルス対策として避難所において必要な感染症対策を講じるとともに、プッシュ型支援でマスクや消毒液などの感染症対策に資する物資を送るなど、関係部局と連携しながら臨機応変な対応を講じることが必要となっております。

 今回のマスクや消毒薬が品薄な状況に対しては、政府を挙げて需要面の対策を講じていると承知しておりますけれども、防災部局としても、国民の生命と財産を守るため、災害対応のさまざまな場面においてニーズに応じた対応ができるよう、関係省庁や地元自治体としっかりと連携してまいりたいと思います。

緑川委員 厚労省にお伺いしたい部分も含めて、一部、御答弁もいただいておりますけれども、やはり発災直後に、こうした感染症対策の、この新型コロナウイルスの影響による対応ということを現実的に行っていく必要が出てまいります。

 発熱などの症状がある場合で感染の疑いがあっても、自宅などの安全が確保できない場合には、病気がうつるから避難所には来ないでくれとは、これは門前払いはできないでしょうし、一方で、被災のおそれがある危険な場所からこれから避難しようという人が、新型コロナウイルスの感染を恐れて避難所への避難をやはりためらうべきではないというふうに思います。

 そうであれば、避難所で感染の疑いがある人が出たら、あるいはいれば、別の安全な場所で滞在してもらうということがやはり現実的な対応策の一つであろうというふうに思います。

 そうした中で、ちょっと調べますと、静岡県の想定では、南海トラフ地震が起きた場合には最大でおよそ三十三万人の方が避難所などに避難することが想定されていますが、静岡市では、その際に避難所にウイルスを持ち込ませないように、発熱などの症状がある、そうした感染の疑いがある人は、避難所を訪れたときには滞在する場所を今どこにするべきかを具体的に検討しているということです。

 避難所には学校などの体育館が指定されることも多いんですけれども、例えば、あいている教室を使って避難者をしっかり分けること、また、家では、家具の固定や、食料、薬などをしっかり備蓄した上で、建物の安全が確認された場合には在宅避難、自宅にとどまるという対応も考えられると思います。

 自治体としては、早目にこの準備に取り組んでいる静岡市のようなところと、そうでない、人手がそもそも足りなくて対策まで手が回っていない、あるいは、防災や危機管理のノウハウ、感染のコントロールに通じた専門家の指導があるかどうかということにも、自治体で差があったりすると思います。

 そのあたりのそれぞれの実情も国として把握した上で自治体への対応を考えていくべきなんですけれども、大臣、今のを聞いたところで、自治体のどんな状況かというのを、もし把握されているところでお答えいただけたらと思うんですけれども、ございますでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 各自治体でコロナウイルス対策の中で災害が起こった場合の対応をどのようなことを検討しているのかという状況を、自治体から直接伺っているところではございません。

 ただ、委員も今申し上げられたように、自治体によっては、人員体制の問題などもあって、そもそもコロナウイルス対策そのものについても手いっぱいというような状況がある中で、改めて国として各自治体に対してどうするこうするというのを確認するということなどが妥当なのかどうかというのは、よく考える必要があるのではないかというふうに思っているところでございます。

緑川委員 待ったなしのやはり対処するべき、現実的に対応がとれるように今から考えておくべき話だと思います。

 感染症の重症化リスクの高いお年寄り、高齢者も多く避難する場所で、命にかかわる対応であります。突然の被災から命を守ることに加えて、ウイルスの蔓延防止のために避難所でとり得る対応について、自治体と密に、これは情報交換、連携をとっていただいて、現場の把握を積極的に行っていただきたいというふうに思います。

 あわせて、厚労省にもお伺いをしたいと思うんですが、多くの自治体の避難所運営のマニュアルにもあるように、基本的には、感染予防のための手洗いやうがい、そして消毒の徹底など、基本的な対策を一人一人が心がけていくことが大切です。その上で、避難所でも不可欠なのが、マスクや除菌シート、あるいは消毒薬であります。準備を進める自治体では、避難所に必要なマスクや消毒液などについては薬局と協定を結ぶというところもあります。災害時には優先的に供給されるように手配している自治体もあるんですが、新型コロナウイルスのこうした感染拡大の影響で、医療の現場でさえも品薄で、入手が難しい状況が続いております。

 そうしたルートでも調達が難しい中で、いつ開設されてもおかしくない避難所として、必要な分をどのように確保していくのか、どう自治体を支援していくのか、伺います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 マスクにつきましては、経済産業省と連携いたしまして、増産要請、あるいは生産設備導入補助による国内生産体制強化、輸入拡大への取組を行い、また、消毒薬につきましては、先月の十二日に関係業界団体に増産要請を行ったところでございまして、供給面での対策に取り組んできたところでございます。

 一方、マスクの需要が高まっていることもあり、委員御指摘のとおり、現在、衛生対策として不可欠なマスクや消毒薬などは品薄でございまして、入手困難な状況が続いているところでございまして、需要面の対策も重要と考えてございます。

 避難所におけるマスクを確保できるようにするためにも、マスクの転売行為の禁止や再利用可能な布製マスクの活用を働きかけるなど、一般用のマスクの需要を抑え、品薄状況を改善するための取組を今後とも継続してまいりたいと考えているところでございます。また、今般、北海道の人口に占める患者の割合が大きい地域に対しまして、国が買い上げましたマスクの優先配布を行ったところでございます。

 こうした取組も参考にいたしまして、災害発生時に衛生対策に必要な物資が確実に配布されるよう、内閣府防災担当とも相談しながら、地方公共団体の支援の方策を検討してまいりたいと考えております。

緑川委員 中国産のマスクが八割だというところで、やはり国産の増産体制ということも視野に入れながら、避難所に対しても現実的な対応がとれるように、しっかりと備えを、国内増産という形からも備えをしていく必要があるというふうに思います。

 そして、避難所の運営を定める、この関連について、災害救助法についてもお尋ねをしたいと思います。

 今この法律に示されている避難所の運営の方針、その運営の期間などは、一般基準として、市町村の多くはこの一般基準を念頭に置いた準備で避難所を開設しています。一方で、もっと大きな災害が起きたときには特別基準が適用される。運営期間の延長が認められるほかに、避難所の環境の改善というものが求められます。

 ここまで想定している自治体はなかなか多くないと聞いております。準備が不足しているために、結果として避難所の環境改善には消極的な対応になりがちで、でも、実際には、避難所生活が今長期化している、関連して亡くなられている避難者も多くなっています。この環境改善を促す特別基準について、やはり自治体がもっと定めやすい仕組みをつくっていくべきだというふうに思います。

 あわせて、この災害救助法はそもそも戦後間もなくつくられた法律、今大きな自然災害が起こりやすくなっている時代に、避難所の運営は原則七日以内とすることなどが定められている今のこの法律は、やはり時代に合わせて見直しが必要だというふうに考えておりますけれども、このあたり、大臣、いかがでしょうか。

武田国務大臣 災害救助法は、都道府県知事が、一定程度の災害の発生した市町村において災害により被害を受け、現に救助を必要としている方に対して救助を行う旨を規定しているところであります。

 災害救助法による救助については、いわゆる一般基準に基づき実施されているところではありますが、政令において、一般基準では救助の適切な実施が困難な場合には、内閣府と協議の上で特別基準の設定ができる旨を定めております。

 御指摘のように、自治体において一般基準を念頭に置くため避難所の環境が改善しないような事態が生じないよう、特別基準の設定が可能である旨改めて自治体に対して周知をしてまいりたい、このように思っております。

 また、避難所における生活環境改善のため、直ちに災害救助法の改正を要するとは今のところ認識してはいませんが、避難所についてはさまざまな課題や要望を承っているところでもあり、内閣府としても、環境の改善に向けた工夫に努めてまいりたい、このように考えております。

緑川委員 この災害救助法、避難所の運営主体が自治体とは一口に言っても、避難所運営の責任は都道府県が負うんですが、運営する実際の主体、実際に現場で運営をするのは、これは市町村に任されています。都道府県として、避難所の運営について、例えば、これは重要だと求めることが都道府県からあったとしても、実際には、各市町村あるいは避難所の運営者の理解がなければなかなか進んでいかないところであります。なかなか法律だけでは見えないところが現場にはあります。このあたりも踏まえて、実効性のある見直しを求めたいというふうに思っています。

 この防災対策について、今からできる限りの備えをしていくことが必要ですが、この対策の中でも一つである建物の耐震化について伺いたいと思います。

 各委員からもきょうお話がありましたけれども、首都直下地震、南海トラフ巨大地震などが高い確率で起こると予測されています。こうした地震を含めて、大きな災害による被害を最小限に食いとめる上で、耐震化というのは有効な手段であります。

 一九九五年一月の阪神・淡路大震災で亡くなった方の九割が、建物の倒壊、また家具の転倒で亡くなられています。特に、一九八一年以前の耐震基準による建物、いわゆる既存不適格の建物に被害が集中をしました。

 もちろん、八一年以前にも、耐震基準というものはたび重なる地震の被害を経験して徐々に改善されてきたわけなんですが、このとき、法律規定としての耐震基準というものは不遡及を旨としていました。古い基準でつくられた建物には、さかのぼって適用されてきませんでした。

 こうした建物の耐震化を進めるために、阪神・淡路大震災が起きた九五年に耐震改修促進法がつくられて、その後、二〇一三年の改正法に基づく国の方針で、一般の住宅と、また多くの人が集まる建築物の耐震化率については、ことしじゅうに少なくとも九五%にしていくという目標が打ち立てられております。

 ことし、まさにそれを迎えるんですけれども、今の達成状況、どこまで進んでいるでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生の切迫性が指摘される中、地震時に国民の生命財産を保護する観点から、住宅、建築物の耐震化は大変重要な課題でございます。

 御指摘の耐震化率につきましては、平成二十五年時点におきまして、住宅は約八二%、多数の方が利用する建築物は約八五%とされており、現在、平成三十年の住宅・土地統計調査及び平成三十一年四月に実施いたしました都道府県向けのアンケート調査結果等をもとに、平成三十年時点の住宅及び建築物の耐震化率の推計を行っているところでございます。その結果がまとまり次第、公表を行う予定でございます。

緑川委員 二〇一三年の数値は把握はしておりますけれども、やはり九五%の達成というのがことしまさに達成されるかどうかというところ、改正から七年たとうとしている中で、ことしに入っているのに、これまでの進捗が何も示されていないのか。これではチェックのしようもないわけであります。

 おととし以前の、例えば中間の年などの途中の経過報告はないんでしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ストックの推計につきましては、五年ごとに行われます住宅・土地統計調査等のデータをもとに推計を行うということを原則としておりますので、中間的な別の調査というものはございませんので、この五年ごとの調査の結果をもとに推計を行うということで進めているところでございます。

緑川委員 やはり、私、再三きょうは申し上げていますけれども、大きな地震はいつ起こるかわからない。例えば、首都直下地震は今から三十年以内に高い確率で起こるということは、二〇一一年の東日本大震災から言われてきていることであります。こういう危機感を持って、できるだけ早く自治体なども公表している結果も含めて取りまとめて、国として一元的に公表することで、誰でもチェックできる、ふだん利用しているような身近な建物の耐震性が一体どうであるのか、誰もがすぐに確認できるような、そういうものにしなければならないというふうに思いますよ。

 二〇一三年度の数字しかありませんので、私から、先ほども御答弁いただきましたけれども、住宅と多数の人が利用する建物、ともに八割。八二%、住宅、そして多くの人が集まる建物では八五%にとどまっています。住宅では、これは数にすれば九百万戸、多くの人が利用する建築物は六万棟になります。いまだにこれは耐震性がない状態です。

 耐震改修促進法で定義されているような、また、要緊急安全確認大規模建築物というものがあります。これは、例えば、病院や店舗、また旅館、あるいは学校や福祉施設など、不特定多数の人が利用する、あるいは避難への配慮が必要な人が利用する大きな建物のことでありますが、全国で一万棟余りあるこうした建物のうち千七百棟の建物で耐震的に問題があると言われています。東京都の公表では、多くの人が行き交うような渋谷とか新橋、新宿の駅前の建物の耐震性が不足していることもわかっています。

 仮に、この状況で、今後、想定されるような大地震が起きた場合に、国による被害想定は、建物の倒壊による死者は、首都直下地震がおよそ一万一千人、南海トラフ巨大地震では三万八千人にも上ると言われています。現状で八割の耐震化率が例えば九割に達するとすれば、四割の方の命が救われる。亡くなる人の数が圧倒的に減るわけですね。そういう大事な指標であります。

 着実に進めるべきこの重要な耐震化ですが、なかなか進まないところもあるというふうに聞いております。

 例えば、分譲マンションなど多くの所有者がいるような区分所有の建築物は、大規模な耐震改修を行う際の決議要件が所有者の四分の三以上から今過半数に緩和されています。これで合意をしやすくなっています。一方で、貸しビルなどは、まだ、関係者の意見の集約はいまだに厳しくなっています。

 また、耐震性が確保されていると認定されている建築物について、その表示が可能になる制度がつくられています。耐震改修計画の認定基準も緩和されることで、新たな工法も可能になったり、また、容積率や建ぺい率の特例措置も講じられています。一方で、こうした首都圏では、再開発による建設需要の高まりもある中で、しっかりと請け負える業者探しも問題になっていると言われています。

 耐震化の確かな実行につながるこれからの対策について、どのようにお考えでしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、住宅、建築物の耐震化率の向上に向けましては、まず、費用負担が大きいということ、耐震化の必要性に関する認識の不足ですとか、耐震化工事に対応可能な、御指摘の事業者に関する情報の不足、また、区分所有建物等における合意形成が難しいことなどの課題に対応することが求められております。

 このうち、費用負担の軽減につきましては、耐震診断の義務づけ対象となっている建築物等に対する重点的な補助でございますとか、積極的な取組を行っている地方公共団体と連携した定額補助の実施、さらには、診断義務づけ対象建築物や住宅の耐震改修を行った場合の固定資産税の減額措置の延長、こちらは、現在、地方税法等の一部を改正する法律案で御審議をいただいているところでございますけれども、そのような措置を通じまして、まず負担の軽減を図ることにしております。

 また、認識、情報の不足につきましては、耐震化の必要な建築物を把握した上で必要な対応を推進する観点から、不特定多数の方が利用する大規模建築物等における診断の義務づけでございますとか、耐震性を有することが明らかになった場合の表示制度、さらには、耐震改修に適切に対応できる設計者、施工者に関する情報の提供を推進しているところでございます。

 さらに、区分所有建物における合意形成の円滑化を図る観点から、御紹介のございましたような区分所有建物に関する決議要件の緩和についても行っているところでございます。

 今後とも、耐震化率の向上に向けまして、地方公共団体や関係事業者の方々と連携を図りつつ、実効性のある対策に取り組んでまいりたいと存じます。

緑川委員 今お話もある中で、この耐震改修促進法の中で、まず、この要緊急安全確認大規模建築物の中に定められる旅館とかホテル、こうしたものが、これからやはり避難所として、あるいは今感染症の疑いがある人の滞在する場所としても想定されている中で、しっかり耐震化のチェック、重要だというふうに思っておりますが、このあたりも御答弁いただけますか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、宿泊施設、特に災害時に避難所としても活用が想定されるようなホテル、旅館については、耐震化を推進するということは急務でございますので、地域防災計画において避難所として位置づけられているようなホテル、旅館の耐震改修につきましては、通常に比べて補助率のかさ上げ等を行うことを通じまして、そういう避難所ともなるような宿泊施設における耐震化の促進を図っているところでございます。

緑川委員 まさに防災のかなめに、減災のかなめにつながっていく耐震化の対策とあわせて、ここで申し上げたいと思いますが、建物の耐震性の公表をされるようにこれがなっていくことはいいんですけれども、耐震改修を更に促すために、命にかかわる情報をやはり早急に公表していただくことが国民の命を確保することに、守ることにつながっていくというふうに思います。

 これを踏まえまして、最後に大臣、この耐震化ということにより、また国土強靱化を推進していく最後の意気込みについて伺いたいと思います。

武田国務大臣 国土強靱化基本計画においても、住宅や防災拠点、学校施設等の建築物の耐震対策を推進することとしておりまして、今後も関係府省庁と緊密に連携して積極的に対策に取り組んでまいりたい、このように思います。

緑川委員 本当に、改めまして、建設の技術として、一方で改めて注目されている工法もあります。いながら工事というものが可能になっている。今、耐震化の課題になっているこうした工法についてもしっかりと御検討をいただくことを申し上げて、質問を終わります。

山本委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、大臣に、避難所のあり方、避難所の改善について質問をします。

 東日本大震災から九年がたちました。四月になりますと、熊本地震、四年目を迎えます。昨年は、一連の台風、そして大雨被害が列島を襲いました。これまで私も数々の災害現場、避難所を見てまいりましたけれども、変わらないのは、大臣、やはり避難所の姿、避難所の光景ではないかと思うわけです。

 公共施設の体育館にひしめき合って人が集まっていく。雑魚寝をする。そして、食事は、おにぎり、パン、レトルト、冷たい弁当。炊き出しがあれば、きょうはよかったかなと。温かい汁物が欲しい、野菜が食べたいという要求は、どの災害、どの避難所からも起こり得る、そういう状況がありました。プライバシーも当面はなく、生活を送る場としては余りにも劣悪な環境であります。

 国は、避難所運営ガイドラインを示していますけれども、自治体によってはふなれなところもあったり、温度差が生じています。

 被災前と同じ生活を提供させる、こうした考え方が世界の中では広がっています。諸外国では、避難者の人権を大切にした取組が進められています。国会においては、イタリアの先進例やあるいはスフィア基準などが何度も論議されてまいりました。

 そこで、大臣に一つ提案させていただきたいと思うんですけれども、TKBという言葉があります。TKB、トイレ、キッチン、ベッドです。清潔な洋式のトイレ、避難所は往々にして和式です。清潔な洋式のトイレ。そして、温かい食事を提供できる施設、キッチンですね。それから、避難者が床のほこりをずっと吸い続けて体調を悪くしてしまう、こういうことがないように、段ボールでもほかの資材でもいいですけれども、ベッドを置いていく、それは椅子にもなる施設です。こうしたものを七十二時間ぐらい以内に被災地に届けることができてこそ、やはり被災者は安心できるし、そして人権が守られていくのではないかと思うんです。

 長く、阪神・淡路大震災から今日の災害まで、避難所は変わらないねと多くの人が言っています。この機会に、やはり、外国の進んだ例も学びながら、日本の避難所のあり方とそして改善を求めていきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕

武田国務大臣 避難所における生活環境のさらなる改善というものは本当に重要である、このように認識をいたしております。

 先ほど御指摘ありました取組指針をもって自治体に周知し、適切な対応を求めているところであります。

 また、災害発生時には、災害救助法に基づき、仮設トイレ、簡易台所等の整備に係る費用については国庫負担の対象とするとともに、段ボールベッド等の生活に必要な物資のプッシュ型支援を行っております。

 さらに、内閣府としては、大規模災害時により速やかなプッシュ型支援を可能とするため、本年度補正予算において段ボールベッドの備蓄を行うとともに、来年度、海外における避難所の実態について調査をすることとしております。

 今後とも、避難所における良好な生活環境の確保につながるよう、不断の見直しを進めていきたいと思います。

田村(貴)委員 段ボールベッドのプッシュ型、私は熊本地震のときにこれが早く来ればいいなと思ったんですけれども、今とその当時はやはり大きな違いがありました。去年の一連の災害では、我が党の志位和夫委員長から直接、大臣、連絡と要望も受けとめていただいて、そして、すぐ指示を出していただいたことについては感謝申し上げています。

 災害のたびに改善はあるんです。しかし、基本的には、大きな体育館で、初めは段ボールもなく、そこで雑魚寝から始まっているんですよね。そこは、今、コロナウイルスがこれだけ蔓延しているという中において見たら、やはり大きな変更と改善が求められると思います。

 先ほど緑川議員からも、避難所の感染問題についてお話がありました。私も同じ質問をさせていただきたいと思うんです。

 今度のコロナウイルスの感染拡大の中で、厚労省のホームページにこういう記載があります。「集団感染の共通点は、特に、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」です。」「換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けてください。」と書いておるわけですよ。

 避難所は、まさにこういう状況下にあるわけですよね。感染クラスターがつくられ、感染が広がっていく、そういう状況に避難所は置かれるわけです。

 私も、東日本大震災、九年で、昔の写真とかずっと見ていましたら、本当に怖いと思いました。今、もしどこかで大規模災害が起こったら、きょう避難所に集まるんですよね、被災者は。きょう集まるんですよ。それは子供も集まるんですよ。今、学校休業ですよね。学校休業の子供たちがそこしか行くところがないから、学校の体育館が避難所になる。おじいちゃん、おばあちゃんも来る、老若男女、大人も集まる。密集したところで、今、コロナ感染がこれだけ拡散している、感染予防のために学校は閉校するといった中で、学校を使わざるを得ない、こういう状況が生まれるんですよ。ですから、私は、本当に、今災害が起こったら大変だなというふうに思っているわけです。

 こうした災害と感染症が同時に起こった場合のシミュレーションは、今この状況でされているのでしょうか。青柳統括官、一番詳しいと思うんですけれども、そういうことをシミュレーションされていますか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今災害が起こった場合に、避難所に多数の被災者が集中するということは避けなければならないと考えております。

 そうしますと、通常の避難所の数を開設するというだけにとどまらず、指定避難所に指定されていない避難所の開設、さらには、高齢者等の弱者については旅館、ホテルといった施設の活用も図らなければならないということは想定はしておりまして、こういったことは、レベルはさておき、厚生労働省さん等とお話をしているところでございまして、また、関係する旅館、ホテルというと国土交通省とも関連してまいりますので、関連する省庁ともよくシミュレーションを、協議、調整をして、いざ災害が起こったときに速やかに自治体に対しての周知や働きかけが行えるように対応してまいりたいと考えております。

    〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕

田村(貴)委員 自治体への通知、連絡、これが大事なんですよね。しかし、そこから始まるのであれば、私は本当に大変なことになると思うんですよ。

 今、やはり、自治体を中心として、民間施設とかリスク回避のための新たな避難場所というのを、災害協定を結んでおく必要があるんじゃないでしょうか。今この瞬間から結んでおかないと、もしどこかで災害が起こったときに、これはDMATのテントぐらいじゃどうにもならないわけです。病院が震災に遭ったら機能を失うわけですよね。こういうのは多々ありました。ですから、リスク分散で新たに感染予防のための避難所というのをどうやって図っていくのか、これはもう今から進めていかなくちゃいけないというふうに思うわけです。

 それも含めて、大臣、先ほどイタリアの例も出しましたけれども、こうしたときに、やはり、リスク分散で家族を核としたコンテナとかテントとか、これを出していくというのは一つの参考になると思うんです。それを量的に確保するというのは非常に大変なことだと思うんですけれども、こうした方向性も含めて、やはり避難所における感染拡大予防、これは本当に大事だと思うんですけれども、大臣の決意もお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 常に、避難所における生活環境の向上というものは、これは我々は考え続けていかなくちゃならぬと思います。御指摘のイタリアのケース等々も参考にしながら、さらなる改善に努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 続いて、被災者生活再建支援法の拡充について質問します。

 東日本大震災で半壊戸数は約二十八万戸です。熊本地震では約三万四千。そして、一連の去年の台風、大雨被害では、全国で、私の手計算で大体三万五千を超える住宅が半壊被害に遭いました。しかし、被災者生活再建支援法では一円も出ません。これは東日本大震災以降もずっと一緒であります。ところが、昨年、救助法の方で、一部損壊世帯への応急修理代が支給されるようになりました。これは前進であります。

 そうなりますと、一部損壊と半壊は同じ支援の規模になったわけなんですよね。だったら、やはり半壊という災害規模に即応する支援が必要だと。それは、全国知事会が求めている、半壊世帯に支援法を適用する、拡大するという要望を実現するのが一番の近道であります。これしかないと思います。

 一昨年の十一月、二〇一八年の十一月、全国知事会が支援法の支給対象を半壊までに広げることを提案しました。その後、内閣府と全国知事会は内部の協議を重ねてきているわけですけれども、もうそれで一年四カ月たっているわけですよ。いつまでも協議している段階ではないと思うんですよ。

 ことしだって、どれだけ多くの被害に遭うかもわかりません。実現に向けての新しいステップに来ているのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の半壊世帯までの対象拡大については、全国知事会からの提言も踏まえて、御指摘のとおり、全国知事会と協力をして、最近でいきますと、宮城県など、昨年災害が発生した地域等において半壊世帯の詳細な実態把握を行っているところでございまして、また、実務者会議については、昨年六月からスタートしておりますけれども、十二月、二月と、第四回、第五回という形で開催しておりまして、継続的に意見交換を行っているところでございます。

 いつまでやっているんだというお話もございますけれども、国、都道府県の財政負担の課題、あるいは半壊世帯の支給対象をどこまでとするのか、結論を出す時期はまだ予断を持って申し上げることはできませんけれども、しっかり検討は進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 全国知事会の事務局も、いつまでもこういう協議をやるつもりはないというふうに私は聞いたこともありますので、やはり、宮城県において詳細な半壊世帯の状況を把握していると。もう把握されたでしょう。これほど半壊世帯というのは復旧にお金がかかるんだ、瓦屋根が落ちてしまったら数百万円のお金になるんだ、それは応急修理代では間尺に合わないということはもう重々承知じゃないですか。ここは、野党の方も法案も出してずっと主張してきているわけですから、早くまとめて、そして実行に移していただきたいと思います。

 大臣は、被災者再建支援法の半壊世帯が一部損壊と一緒になってしまって、ここでずれが生じているという認識はあると思うんですけれども、早くこれは前に進めないといけないと思いますが、いかがですか。

武田国務大臣 先ほど答弁にもありましたけれども、五回の実務者会議も行っておりまして、やはり財政負担の問題も絡んでまいりますので、しっかりと知事会と協議を重ねて、ある一定の答えを出していきたいと思います。

田村(貴)委員 スピーディーに進めていただきたいというふうに思っています。

 次に、鹿児島県の桜島の噴火活動における影響、被害対策について質問したいと思います。

 最初に、桜島から流れ出る河川によって運ばれる軽石の養殖被害についてお話をします。

 鹿児島県の桜島の東側の垂水市というところに、牛根漁港があります。牛根漁協では、養殖のブリをぶり大将というブランドネーミングで全国に出荷しています。これはアメリカにも、大変人気で、輸出されているそうであります。

 しかし、この桜島の黒神川から流れ出るボラと呼ばれる、ボラは魚のボラじゃありません、軽石をボラと言うそうですね、ボラと呼ばれる軽石が湾内を漂い、ブリ養殖業に被害を与えています。

 資料で写真をお配りしています。地元でいただきました。こんなふうに、ちょっとオレンジがかった粉みたいな、これがボラと言われる軽石なんですね。これが大量に、桜島の噴火によって、川を伝って流れてきて海に注がれる。海に注がれたら、ここは浜からすぐ水深が深くなるので、近場で養殖業が盛んに行われているということであります。この養殖の生けすの写真が下にあるんですけれども、これだけ入ってくるわけですね。網の目を抜けて軽石が入ってくる。

 これがどうなるかといいますと、小さい軽石をブリが誤って食べてしまうということが起こる。誤って食べてしまったら死んでしまう。それから、体表が、活発に動き回るので、軽石で体がこすれてしまって、感染症にかかって死ぬケースもある。それから、漁船の方は、船体やプロペラシャフトにも破損が生じて、エンジンの冷却水の吸い込み口に詰まって故障するなど、いろいろなやはり影響、被害が出ているということであります。

 これをどうやって除却するかといったら、漁師さんたちが、たもですくい上げるしか方法がないと言うんですよ。八メートル四方の生けすで、たもですくい上げるというのは本当に大変なんですよね。こうしたところの支援についてお伺いをしたいと思うんです。

 まず、国土交通省にお伺いいたします。

 きょうは御法川副大臣にもお越しいただいております。副大臣が答弁していただいても結構ですけれども、最初に質問します。

 黒神川の流域、上流部の方には、砂防ダムがある地獄河原というところがあるんですね。ここでは、土砂とともに大量の軽石が今たまっています。地元はしゅんせつして除去してほしいというふうに要望しているんですけれども、ずっとたまっている状況。どう対応されているのでしょうか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 桜島の火山活動の影響で海に流出する軽石ということでございますけれども、それにつきましては、委員御指摘の垂水市を始め、御要望についてお話を聞いているところでございます。

 今お話がございました黒神川におきましては、活発な火山活動に伴って噴出した大量の土砂が洪水のたびに流出することから、国土交通省においては、この地獄河原に設置した遊砂地と砂防堰堤により毎年十万立米を超える土砂を捕捉し、その掘削除去を行っているところでございます。

 しかしながら、海まで流出している軽石については、粒径が非常に細かく、水に浮かぶほど軽いため、川の水の流れと一体となって流出することから、砂防堰堤により全てを捕捉するということは困難な状況でございます。

田村(貴)委員 そこで、陸域部の捕捉施設に加えて、海域部の捕捉施設が必要になってくるわけであります。

 海域部の捕捉施設をやっているわけですね、国土交通省。二〇〇二年、平成十四年から、河口部に軽石流出を防ぐネットを張って、試験的に行いました。漁協によると、この間は流出がほとんどなく、大変ありがたかったというわけですよ。ところが、三年後に撤去された。

 なぜ撤去したんですか。経過について簡単に教えてください。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、軽石の海への流出を少しでも抑制するということで、先ほどの地獄河原による捕捉、掘削に加えまして、平成十四年に、試験的に黒神川河口に軽石流出防止ネットの設置をしたところでございます。

 しかしながら、設置後の出水、それから波浪の影響によってネットが破損するというようなことなど、適正に維持管理をしていくということが困難であるということから、平成十七年にネットを撤去したところでございます。

田村(貴)委員 それで、撤去してしまったら、軽石がこれだけ流れて、これだけの被害を生んでいるわけなんですよ。だから、きょうは農水省から伊東副大臣にもお越しいただきました。何とかやはり政治の力で解決しなければいけないと思うわけです。

 上流部の捕捉施設についても、もうちょっと予算をふやさないと、十万立米を超える土砂の撤去、もっと予算づけしたら、もっと捕捉できるんじゃないですか。それはちょっと、私、よくわかりませんけれども。

 上流部においても対策が必要だし、そして河口部においては、海域部においては、試験的なやり方で一定効果を上げたんだから、それで破損してだめになったというんだったら、これは事業を継続したらいいじゃないですか。そういうことをやらないと、やはり生産活動にこれだけの影響が出ているということについて、政府は手を打たないということになってしまいますよ。

 きょうは御法川副大臣にお越しいただきました。ここでちょっと行き詰まっているわけですよ。何らかのやはり対応が必要だと思います。国土交通省は責任を持って、桜島の噴火活動における土砂、軽石撤去に当たって力を尽くしてほしいと思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

御法川副大臣 国土交通省では、桜島直轄砂防事業により、火山活動に伴い噴出した大量の土砂を遊砂地や砂防堰堤によって捕捉をして、下流の集落あるいは道路等に被害が発生しないように、まずは努めてきたところでございます。

 また、これまでも、今答弁ありましたけれども、このボラ、軽石の海への流出を極力軽減できるように、コンクリートブロックによる水抜きスクリーンの設置、あるいは遊砂地の中で軽石を捕捉するためのくぼ地をつくるなどの対策を、これは試験的に実施をしてきたところでございます。

 現在は、遊砂地に流れ込んでくる軽石を含んだ土砂まじりの水の勢いを弱めるということによって軽石の沈降を進めるよう、掘削の形状あるいは範囲というものを工夫しながら、この遊砂地の掘削を進めているところでございます。

 今後とも、軽石の海への流出の軽減、これにくれぐれも留意をしながら、直轄砂防事業を進めてまいりたいというふうに思います。

田村(貴)委員 対策についてはわかりました。しかし、とまっていないんですよね。大変な状況なんですよ。

 農水省、水産庁には、軽石がこうやって海に出てきて養殖に大きな影響を与えるという被害が出ている、この防止、除去対策、何か支援策はありますか。

伊東副大臣 お答えいたします。

 従来から、田村委員お話しのとおり、鹿児島県桜島の火山活動によって生じました軽石が、降雨時に黒神川から海に流出後、風や波の影響で漁場に流入をしているところであります。

 お話にありましたように、これが養殖魚への給餌の前に軽石を除去する作業が発生することがあります。また、軽石を誤ってのみ込んだ状態で死んだ魚がいるとの報告を、地元の垂水市の市役所やあるいは漁協からお聞きしたところでもあります。

 このため、鹿児島県では、昭和五十九年度から、軽石の除去等を行う桜島軽石等除去事業を実施するとともに、関係者が国土交通省に対しまして、砂防ダムにたまった軽石除去を要望している、また、今御答弁あった国土交通省の対応であろう、このように思う次第でもあります。

 農水省といたしましても、今後、鹿児島県から相談があれば、どのような対応ができるか検討してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 農水省、水産庁としては、漂泊ごみの中に軽石があることについて除去施策は地元にある、水産庁としては独自の施策がないというふうな受けとめなんですけれども、ここは、国土交通省と、それから農林水産省、水産庁とぜひ合い議をしていただいて、こういう窮状は早く解決するという対策を打っていただきたいと思うんです。

 その調整として、武田大臣、コーディネートしていただきたい。笑っておられる。内閣府はこうしたところの調整が必要だと思うんです。(武田国務大臣「どう答えれば」と呼ぶ)武田大臣、突然なのでいいです。ぜひ調整してください。

 両副大臣にこういう状況にあるということはおわかりいただいたと思いますし、地元は熱意を持っています。それから、御法川副大臣がいみじくもおっしゃられたように、国の直轄なんですよ。活発な火山活動を伴っているところなんです。

 最後、一言聞いていただきたいんですけれども、気象庁に、桜島の火山活動、今はどういう状況にあって、今後どういうことが予想されるのか、簡単にちょっと御説明いただけますか。

関田政府参考人 お答えいたします。

 桜島では、昭和三十年、一九五五年以降、活発な噴火活動が続いておりまして、先月、令和二年二月でございますが、におきましても、一月で百二十九回の噴火が発生するといった状況でございまして、今後もこのような活発な噴火活動が続くものと考えております。

 また、桜島の北側に姶良カルデラというのがございまして、そこでは地下深部の膨張が観測されており、マグマの蓄積が長期にわたり継続しているものと考えられております。

 現在の桜島の火山活動からは、大正噴火のような大規模な噴火が直ちに発生するという兆候は見られておりませんが、そのような噴火も発生するという可能性も視野に、引き続きしっかりと火山活動の監視に当たってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 今後、大きな爆発が予想されるかもわからないといったところです。そして、今起こっている状況について対応ができなかったら、今後の対策もやはりおくれてしまうということです。

 両副大臣、連携してこの問題の解決に当たっていただけますか。一言、イエスと言っていただいたらいいんですけれども、御法川副大臣、いかがですか。

御法川副大臣 しっかり取り組んでまいりたいと思います。

田村(貴)委員 伊東副大臣、いかがですか。

伊東副大臣 実は、私、先月の十八日、ちょうど一月前に、この垂水市に行って、ハマチの養殖場を見てまいりました。ちょうど爆発もあった直後でありまして、噴煙も上がっていたところであります。

 実態をしっかりこの目で確かめてきたところでありまして、国交省、また内閣府と御相談をしっかりさせていただきたいと思います。

田村(貴)委員 そういう答弁が出ましたので、しっかりと合い議して進めていただければと思います。

 両副大臣は、ここで御退室していただいて結構です。役所に戻るときに一緒に合い議していただければ幸いです。ありがとうございました。

 最後の質問に移りたいと思います。

 社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金について伺います。

 この間の災害で被災した福祉施設などから、災害復旧費国庫補助金制度が、現実の実態と合っておらず使えないという声が多く上がっています。

 一例を申し上げますと、例えば西日本豪雨災害で被災したある地域活動支援センター、ここでは外にあったエアコンの室外機が冠水してしまいました。それで、新しい室外機を、同じ場所にあったらまた冠水してしまうので、二階に上げようとしたんです。重量があるので軽量化する必要があり、二つの室外機を四つに分けて二階に上げて設置したい、そしてこの制度を活用したいということだったんですけれども、同じものなら二台を二階に、四台はだめと言われたとの対応であります。

 厚生労働省にお伺いしたいと思うんですけれども、原状復旧からはみ出した部分は当然自己負担として事業者が払うんですけれども、こうした改良を進めるための変形復旧というのは、これは可能でしょう。可能だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 原状復旧以外の工事についてのお尋ねがございました。

 復旧に当たりましては、原状復旧を原則としておりますが、原状復旧以外の工事についても、個別具体的に申請内容を精査し、必要性が認められる場合には補助対象としているところでございます。

田村(貴)委員 改良型、そして変形復旧について、ぜひ弾力的に適用できるように、地元から相談があれば乗っていただきたいと思います。

 最後の最後に、一つちょっと戻るんですけれども、降灰対策で、灰が降ってきます、そして学校で芝生のグラウンドがあります、そこに灰がたまってしまいますと、これはなかなか除去ができにくい、しにくいという問題を抱えています。

 この降灰除去、グラウンドの芝生からの降灰除去に、文科省にお伺いします、学校施設環境改善交付金制度、この制度の活用が可能だというふうに考えますけれども、地元の自治体は降灰除去と芝の張りかえを要求しています。そうじゃないと、灰が積もったところはグラウンドがかさが高くなるんですね。そして、トラックの部分、その砂の部分、土の部分とは段差が生まれてしまう。これは非常に危ないという問題があるので、降灰除去と芝の張りかえを同時に国の支援策でやらせていただきたいと言っているんですけれども、学校施設環境改善交付金制度、芝の張りかえ、降灰除去、このメニューは使えそうですか。いかがでしょうか。

山本委員長 文部科学省笠原技術参事官、答弁は簡潔に願います。

笠原政府参考人 文部科学省におきまして、公立学校施設のグラウンド等の降灰除去につきましては、降灰量に応じまして、その除去についての補助の対象としてございます。

 また、先生御指摘の学校施設環境改善交付金の屋外教育環境整備事業におきましては、公立学校の校庭の芝生化等のグラウンド整備のうち、一定規模の整備に対しまして補助を行ってございます。これには、降灰等により使用困難となった芝生の張りかえも含まれているところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 時間が参りました。

 質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 災害対策特別委員会におきまして質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今、世界じゅうで新型コロナウイルス感染症が拡大をしており、いまだ終息が見えない状況に、不安な毎日を過ごしている国民が多いと思います。

 現在のような、感染症が流行している時期や一斉休校が行われている時期にも、災害が起こらないとは言えません。想定外を想定して防災対策をする必要がありますが、実際に、今のような感染症流行時や一斉休校時に、大勢が集まることを避けなければならない中で、学校の体育館などを避難所として通常どおりに利用することは難しいと思います。国民の皆様からも不安の声を聞いております。

 感染症流行時に災害が発生し、自宅にいることができない方々に対しては、避難所はどうされるのでしょうか、何か対策を考えられているのでしょうか。武田大臣、よろしくお願いします。

武田国務大臣 現在、政府を挙げて感染症拡大防止に努めておるわけでありますけれども、そうした中において、やはり避難所における感染症対策は徹底して行わなければなりません。

 従来からの取組として、政府としては、避難所にかかわる各種ガイドラインを定めておりまして、手洗い、うがいの励行、マスクの着用、感染症発症者のための個室の確保、医師、看護師等の巡回、派遣体制の確保等、避難所において必要な感染症対策を講じるよう市町村に対して周知しているところであります。また、被災者の状況等によっては、あらかじめ指定した指定避難所以外の避難所の開設も検討して、環境の確保を図るよう促しております。

 今般の状況下においては、万一災害が発生した場合には、従来から周知してきたものに加えて、新型コロナウイルスも想定しながら、避難所において避難者が十分なスペースを確保できるよう、指定避難所以外の開設や、ホテルや旅館の活用等、関係府省とも連携して、避難所における感染症対策を徹底するよう改めて周知することといたしております。

 また、災害発生後、避難所における感染症対策を支援するために、必要となるマスクや消毒液などの物資についてのプッシュ型支援など必要な支援にも努めてまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 指定していない避難所以外のところも利用して、しっかりと感染症が拡大しないように取り組んでいただけるとのことです。新型コロナウイルスのことも想定して準備をしていただくということですけれども、新型コロナウイルスよりも感染力、致死率の高い感染症がいつ国内に入ってくることがあるかわかりませんので、そういった危険も想定をして準備をしていただきたいと思います。

 感染症の流行時だけでなく、熱中症が心配されるような三十八度、三十九度といった猛暑日が続く時期や真冬の時期に災害が起こる可能性もあります。避難所の対策については、最悪の天候、最悪の環境を考えて準備する必要があるかと思いますので、引き続き、この避難所の確保については検討をよろしくお願いいたします。

 先ほど大臣からもありましたけれども、旅館やホテルなども利用して避難所の確保をしていくといったお話もありましたけれども、ある地域の避難所が全て使えないとなった場合には、近隣の自治体に避難所を借りる、近隣の自治体と協定を結ぶなどして、災害時には提供し合う、協力し合う必要もあると思います。避難所提供に関して、広域連携は進んでいるのでしょうか、また、検討などはされているのでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 避難所の広域連携という課題についてですけれども、昨年の台風十九号においては、荒川下流域など、浸水想定区域が広い範囲にわたって、避難場所の確保が難しい一部の自治体では、現状で市町村界を越えて住民が避難する広域避難の必要性が改めて明らかとなったところでございます。

 台風十九号で広域避難が実際に実施された利根川中流域の茨城県の境町では、隣接する坂東市、古河市、五霞町等々、避難が必要な被災者の受入れを含む災害時等における相互応援に関する協定が結ばれているといった形で、一部の自治体においては避難に関する広域的な連携が行われていることは承知をしておりますけれども、網羅的に把握できているところではございません。

 大規模災害あるいは感染症の対策においては、市町村界を越えての広域連携が重要であるというふうに認識しておりまして、今後、災害対応における自治体間の広域的な連携について、よく調べて検討してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 一部では広域連携が進んでいるとのことでした。災害が起こってからではなく、日ごろから連携していくことが必要だと思いますので、国がリーダーシップをとって広域連携を推進していただきたいと思います。

 大臣の所信の中で、国民一人一人がみずからの命はみずからが守る意識を持ち、みずからの判断で行動する社会の実現に向けた取組を進めてまいりますとおっしゃられておりましたが、大変重要なことだと思います。

 避難所の体制を整えておくことも重要ですが、全国一斉に避難所が使えない場合、どうするのか。国民一人一人が、避難所が使えない場合には、親戚や友人の家など、お互い避難し合える場所を日ごろから確保しておくことも必要かと思います。公助も必要ですが、自助、共助をぜひ国民運動として推進していただきたいと思います。

 感染症流行時、体育館などが使えない場合には、テントも非常に有効なのではないかと思います。以前からも、避難所のプライバシーの問題も指摘をされていると思います。感染症の拡大防止や避難所でのプライベート確保のためにも、テント配備も必要と考えますが、検討をされているのでしょうか。災害避難用テントの配備状況と今後の計画について教えてください。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のテントの配備状況について把握しておりませんけれども、内閣府としては、取組指針あるいはガイドラインにおいて間仕切り用のパーティションの整備を市町村に促しておりまして、また、加えて、被災地のニーズや課題を把握するとともに、物資のプッシュ型支援を進めて、避難所における生活環境の改善には努めてきたところです。

 内閣府としては、令和元年度の補正予算において、間仕切り用のパーティション、段ボールベッド、それぞれ千五百個の備蓄を始めたところでございます。今後、プライバシー確保のための物資の備蓄状況の把握についても検討してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 プライバシーの観点での間仕切り用ということでは準備が進んでいるようですけれども、感染症を防ぐことは難しいと思いますので、テントの配備というのも今後しっかりと検討をしていただきたいと思います。感染症流行時にテントは屋外でも使えますので、ぜひ備蓄をお願いしたいと思っております。

 次に、防災備蓄品の種類や量の見直しについて伺います。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、改めて、マスクとアルコール消毒液の備蓄不足を実感いたしました。先月から政府がマスクの増産要請と、今月に入りマスクの転売禁止も指示されましたが、マスクとアルコール消毒液はいまだに店頭に並びません。マスクが医療関係の方々に優先的に供給されることは必要なことだと思いますし、国民の皆さんも不安を抱えながらも我慢をされていると思います。

 週末に地元の障害者福祉センターのカフェに行ってまいりましたが、皆さん、新型コロナウイルス対策をしっかりされて、仕事をされておりました。マスクの在庫の残りが少なく、大変不安だ、入荷の予定もないと心配をされております。

 マスクやアルコール消毒液の備蓄をもっとしておけば、今回のように混乱する前に国民に提供できたのではないかと思います。防災備蓄品の種類や量の見直しが必要と考えますが、今後、検討されるのでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 内閣府としては、これまで、取組指針におきまして、避難所における感染症予防の観点からマスクや消毒液等の備蓄について市町村を促してきたところではございますけれども、今のような状況になっているということで、今般の新型コロナウイルスに関する事態を踏まえて、感染症対策としての備蓄との関係も含めて、防災備蓄品についてどのような対応をすべきか、厚生労働省等関係省庁とも連携して検討してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ関係省庁と連携して、備蓄品の見直しもしていただきたいと思います。医療現場でマスクが不足するという事態はあってはなりませんので、この教訓を生かしていただきたいと思います。

 次に、国民への防災備蓄の意識改革の必要性について大臣に伺います。

 誤報であったとはいえ、トイレットペーパーがなくなるなどのうわさが出回り、実際に、ドラッグストアやスーパーの棚からトイレットペーパーが消え、トイレットペーパーを買うためにお店の前に長蛇の列ができるという事態が起きました。今回の件で、国民一人一人が備蓄ができていないことが明らかとなりました。災害に備えるためにも防災備蓄が必要であると思いますが、国民の意識改革が必要なのではないかと思います。

 他の地域で災害のニュースを目にし、備蓄が必要だと思っていても、実際に必要なものが備蓄できている人は少ないと思います。特に災害を経験していない人は、災害が人ごととなっております。私もこれまで複数の被災地に視察をさせていただいておりますが、被災された皆さんにお聞きしますと、まさか自分のところが、まさか自分がこんなことになるとは思ってもみなかった、被災して初めて災害に備えておく必要があると思ったとおっしゃられておりました。

 大臣に伺います。国民の防災備蓄に対する意識改革の必要性と今後の対策についてお答え願います。

武田国務大臣 先ほど委員が御指摘あられましたように、災害による被害を軽減するには、公助、これはもう最大限バックアップするのはもとより、一番大事なのは、やはり、国民一人一人そして地域による自助、共助であるということであります。

 備蓄というのは、災害時に物品が一時的に入手できなくなっても生活を継続していくためのものであって、これは、自助、共助の紛れもなく取組であろうかと思います。

 これまで、内閣府は、パンフレットや動画、防災推進国民大会での情報提供等により、例えば、水は一日一人三リットルを最低三日分備蓄することを推奨する等、具体的な情報提供を行って備蓄を推進してきたところであります。

 今般、さまざまな情報があふれる中で、御指摘のような買占めが発生し、店舗の一部の商品棚が空という状況を経験しておりますが、このような状況は災害時にも十分起こり得るものであります。

 国民の皆さんに平常時から適切な備蓄を行うことの重要性を改めて御認識いただき、備蓄を日常生活の当たり前の取組として、災害時にも慌てず対応していただけるよう、国民の意識改革につながるような、わかりやすい備蓄の普及啓発活動を工夫してまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣からありましたけれども、パンフレットや動画などで情報発信はしていただいておりますけれども、やはり意識改革というのが必要だと思います。備蓄など本当に気にかけている方、防災に対して気にかけている方は、自分から情報をとりに行って、しっかり準備をされておりますけれども、やはり人ごとに考えている方はなかなか備蓄も進んでおりませんので、情報提供を工夫していただきたいと思います。

 ここで、防災グッズの国民への情報提供について伺いたいと思います。

 ある被災地の方に伺いましたが、その方は、ふだんから防災リュックも準備して、避難経路も確認して、避難訓練にも参加していたけれども、想定していた災害と違った場合、これらは何の役にも立たなかったと。全ての災害に備えるというのは難しいと思いますが、国民に対して、最低限何を備蓄しておく必要があるのか、国民一人一人に情報提供をお願いしたいと思います。

 今後、防災グッズなど、どのように情報提供をしていくのか、また、備蓄の必要性があるもの、特に必要なものを御紹介いただけたらと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 国民の皆様が適切に日用品の備蓄あるいは非常時の防災グッズの準備をしていただけるように、内閣府で、パンフレット、動画等で具体的な情報をお伝えする普及啓発活動を行っているところです。

 例えば、飲料水については備蓄量の目安を示すことに加えまして、食料品については、ふだん食べているものを多目に買い置きしておいて、期限が切れる前に食べて、不足分を新たに補充する、ローリングストックというのを推奨していたり、トイレットペーパー、ごみ袋等の生活用品は、ふだんの生活の中に組み込んで備蓄を更新していく、それから、懐中電灯、救急用品といった、非常時の持ち出し袋に常備しておくとよいものなどをお伝えして、平常時からの備えを推進しているところでございます。

 さまざまな事態を想定して、今後、更に国民の皆さんにわかりやすく、かつ、備蓄の備えを日常生活で習慣化して、継続していただけるような周知内容を更に工夫してまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣からもありましたけれども、三リットルを三日間といったようなわかりやすいものを、情報提供をしっかりとお願いをしたいと思います。

 備蓄とともに、例えば、一週間買物に行かなくても生活ができるとか、水道を使わないで三日間生活をしてみるなど、国民の皆さんにもそういった訓練などもあわせてやっていただきたいと思います。災害時に実際に役に立つ備えをお願いしたいと思います。

 次に、避難所における性被害対策について伺います。

 以前にも同様の質問をさせていただきましたが、避難所における性被害について、被害者の方が、自分と同じ目に遭ってほしくないと、時間がたってから告白をしてくれる人がいると聞いておりますが、国として、避難所の性被害について把握をされているのでしょうか。以前の答弁では、避難所での婦人警官をふやすなどの取組をしていると伺いましたが、そのほかに新たに取り組んでいることなどがあれば教えてください。

小柳政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察におきましては、大規模災害が発生した際には、避難所における性犯罪を含め、被災地における各種犯罪の発生状況の把握に努めますとともに、災害の規模や態様を踏まえ、女性警察官を含む応援部隊の派遣などにより体制を強化いたしました上で、被災地域におけるパトロール活動を強化しておりますほか、警察官に避難所を巡回させ、性犯罪被害に遭わないための防犯指導や各種相談の聞き取りによる不安感の除去などに努めております。

 今後とも、災害が発生した際には、女性を含む被災者の方々の安全、安心を確保するための取組を的確に推進してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 避難所での対策というのは、避難所では取り組んでいるということですけれども、未然に防ぐという意味ではまだまだ対策がとられていないのかと思います。

 避難所での性被害は、被害者が被害届を出しにくい、泣き寝入りをしやすいものです。今後も、被害者を出さないために、被害に遭った女性の声を女性がしっかりと聞くことも必要だと思います。国として、情報収集をしっかりしていただいて、これ以上の被害者を出さないようにしていただきたいと思います。

 小学校の高学年や中学生になると、夜一人でトイレに行くことができるようになるため、避難所で一人でトイレに行き、後ろから男の人についてこられる被害に遭う、体育館の中で体をさわられるなど、被災をし、つらい思いをしている上に、避難所で被害に遭っている事実があります。

 避難所での性被害を出さないために、子供たちに危険があることを知らせる必要があると思いますが、何か対策は考えられているのでしょうか。

小柳政府参考人 先ほども答弁申し上げたところでございますけれども、警察におきましては、大規模災害が発生した場合には、女性警察官を含む応援部隊の派遣などをいたしておりまして、体制を強化した上で、パトロール活動の強化をしておりますほか、警察官に避難所を巡回させまして、性犯罪に遭わないための防犯指導でありますとか、あるいは各種相談の聞き取り等を行っておりまして、不安感の除去などに努めているところでございます。

 災害発生時には、こうした活動を通じまして、子供を含む被災者の方々の犯罪被害を防止するための取組を引き続き推進してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 私の質問は、子供たちに危険を、守るためにという質問で、何か対策をとられているのかということでしたが、避難所で女性警察官をふやしているという答弁だけなんですけれども、被害に遭った、迷いながらも声を上げてくださった方の声はしっかりと収集していただいて、今後の対策に取り入れていただきたいと思います。

 被害に遭うのは、子供たちだけでなく、大人も被害に遭っています。災害は自分の身に起こってみないと人ごとにしか思えないという被災者の声と同じように、性被害対策に対しても、何もしないというのは人ごとと考えているからだと思います。

 大臣も、被災者の方々の気持ちに寄り添いとおっしゃっていました。被害に遭われた方の身になって考えることが必要だと思います。被害を訴えづらい避難所での性被害について、今後、被害者を出さないための取組、女性そして子供たちを守るための取組をしっかりとお願いをしたいと思います。

 順番を変えさせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。

 南海トラフ地震が三十年以内に八〇%の確率で起こると言われています。三十年以内というのは、ことし起こるかもしれませんし、来年起こるかもしれません。最大三十二万人もの死者数が予想されている南海トラフ地震ですが、余りの規模に、非現実的に感じてしまい、これも人ごとのように感じてしまう地震かと思います。国民の命を守ることを最優先に対策を講じなければならないと思います。

 そこで、大臣に伺います。この南海トラフ地震において一人でも多くの命を守る対策について、どのようにお考えでしょうか。

武田国務大臣 南海トラフ地震につきましては、中央防災会議のもとに設置しましたワーキンググループにおいて平成二十四年に被害想定が算出されており、想定される死者数が最大約三十二万三千人とされているところであります。

 このため、南海トラフ地震対策については、南海トラフ地震防災対策推進基本計画において、想定される最大死者数のおおむね八割、建築物全壊棟数のおおむね五割の減少という減災目標達成のため、定量的な具体目標等を定め、関係省庁が連携し、建築物の耐震化や津波ハザードマップの整備などさまざまな対策を推進しているところであります。

 また、発災時に一人でも多くの命を守れるよう、救助、救急、医療等の応急対策については、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画に基づき、被害の全容把握を待たずに被災地に入るための緊急輸送ルートの確保、警察、消防、自衛隊の部隊や、DMATなど医療チームの進出等を行うこととしております。

 引き続き、関係省庁、地方公共団体等と緊密に連携しながら、各種訓練によりこの具体計画の実効性を確保、向上していくとともに、建築物の耐震化などハード面の対策も推進し、一人でも多くの命を守れるよう、減災、応急対策の観点から南海トラフ地震に備えてまいりたい、このように考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、関係省庁と連携して、しっかりと対策をお願いしたいと思います。東日本大震災から九年がたちました。ぜひ、被災された皆さんの思い、教訓を生かして、一人でも多くの命を守るために、危機意識を持って取り組んでいただきたいと思います。

 次に、南海トラフ地震発生時に三十メートル以上の津波が想定されている地域への対策を伺います。

 全ての海岸線に防潮堤をつくるわけにはいきませんし、防潮堤は決壊することもあります。津波が予想を上回り、防潮堤を越えることもあります。想定外が起こり得ることを、東日本大震災を始め、近年の大規模災害で誰もが知ったはずです。

 震源の位置によって津波の到達速度も変わりますが、三十メートルの津波から逃げることのできない方もいると思います。南海トラフ地震発生時に三十メートル以上の津波が予想されている地域において、一人でも多くの命を守るために、どのような対策を考えているのでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ地震では、御指摘のとおり、静岡県あるいは高知県等の一部で三十メートルを超える津波が発生するなど、津波による大きな被害が想定されているところです。

 こういった最大クラスの津波に対する防災対策としては、命を守るために、津波避難施設や高台へできるだけ早く避難することが重要であると考えております。例えば、最大三十四メートルの津波が想定される高知県の黒潮町では、避難困難地域解消のために津波避難タワー七基を整備するなど、津波からの避難が可能となるような対策を進められているところです。

 今後とも、関係省庁、地方公共団体とも連携しながら、津波避難タワーや避難路の整備に対して補助率かさ上げの支援を行うなど、津波に対する防災対策を推進してまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 緊急時にライフジャケットになる通学バッグや水に浮くことのできる防災リュックなども既に販売されているそうです。一人でも多くの命を守るためには、二十メートル、三十メートルの津波が想定されている地域の全ての子供たちに無料配付することも必要なのではないかと考えております。防潮堤をつくるよりも時間もお金もかからないと思いますし、今後検討していただきたいと思います。

 水に浮く一人用や少人数用のシェルターなどもあるようですので、津波避難タワーやシェルターの設置とあわせて、三十メートル以上の津波が想定される地域には、水に浮いて命を守れるような対策もぜひ検討していただきたいと思います。

 大臣所信でもございましたが、火山災害対策についても、中央防災会議のもとに設置されたワーキンググループにおいてさまざまな検討がされているところと承知をしております。

 地震と同じく、火山も予知のできない災害の一つであります。そしてまた、大規模な噴火が起これば、大変な被害となることは容易に想像がつきます。

 南海トラフ地震、首都直下型地震などに加え、火山災害対策もしっかり備えておく必要があると思います。火山災害対策の現状と今後の対策について教えてください。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年の御嶽山の噴火災害を受けまして、平成二十七年に活動火山対策特別措置法が改正され、全国の火山地域において、避難計画の策定、集客施設等における避難確保計画の作成等、警戒避難体制の整備が行われているところでございます。

 内閣府では、各火山地域での避難計画の検討が円滑に行われるように避難計画の策定の手引や事例集を作成しているところで、令和二年の一月三十一日時点で、対象が百九十市町村ございますけれども、このうちおおむね三分の二に当たる百二十一市町村において避難計画の策定がなされているところでございます。

 引き続き、地元自治体とも連携しながら、各火山地域における避難計画それから集客施設等における避難確保計画の作成を支援するなど、火山防災対策を進めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大規模噴火への備えは十分過ぎるぐらい徹底していただいてよいと思いますので、これまでの災害の教訓をしっかり生かして取組をお願いしたいと思います。

 最後に、オリンピック、パラリンピック開催期間中に災害が起こった場合の避難所について伺いたいと思います。

 新型コロナウイルスの影響で、オリパラが開催できるかとの不安の声はありますけれども、昨日の段階では、IOCが予定どおりの開催に向け準備を進めていくとの考えを確認したとのことですので、開催に向け、今後もさまざまな準備を進めていかれると思います。

 オリンピック、パラリンピック開催期間中に災害が起こった場合の避難所について、どのように考えているのでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間中、多数の観客等来訪者が想定されることから、万が一災害が発生した場合には、東京都においては、一時的な避難場所も開設をして、情報提供あるいは観客等の誘導を行うとともに、避難所に関する市区町村の支援などを行うこととしていると聞いております。

 内閣府としても、十分な避難所が、あるいは避難場所が確保されるように、東京都あるいは関係省庁とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、外国人の方々が被災されたときの対応をしっかりとお願いをしたいと思います。

 多言語対応も重要だと思います。被災された場合にボランティアの方々も実際に集まるかどうかもわかりませんので、今は多言語の音声翻訳機などもございますので、この音声翻訳機も各避難所に備品として置いていただけたらと思います。

 さまざまな災害、悪条件が重なるなど、想定外を想定した防災対策をよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山本委員長 この際、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等で御協議を願っておりましたが、協議が調いましたので、委員各位のお手元に配付いたしましたとおり委員長において起草案を作成いたしました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律は、昭和五十五年五月に災害対策特別委員会提出による五年間の時限立法として制定されたものであり、これまで、五年ごとにその有効期限を延長してまいりました。

 この間、本法律に基づき、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業が四十年にわたり鋭意実施されてきたところでありますが、本法律は、本年三月三十一日をもってその効力を失うこととなっております。

 しかしながら、地震対策緊急整備事業には、現行計画で執行できなかった事業がある上、現行計画には盛り込めなかったものの地震防災対策の推進上緊急に整備すべき事業も少なからず存在しております。

 本起草案は、このような状況に鑑み、本法律の有効期限を更に延長し、当該事業を引き続き実施することにより、地震防災対策強化地域における地震防災対策の充実強化を図ろうとするものであります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明いたします。

 第一に、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を五年延長し、令和七年三月三十一日までとすることとしております。

 第二に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。武田防災担当大臣。

武田国務大臣 本法律案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表します。

 政府としては、本法律案については特に異存ありません。

 御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて、適切な運用に努め、地震対策緊急整備事業が速やかに達成されるよう、関係省庁と密接な連携をとりつつ、事業の一層の推進を図ってまいります。

山本委員長 お諮りいたします。

 地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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