衆議院

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第2号 平成29年4月3日(月曜日)

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平成二十九年四月三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 玄葉光一郎君

   理事 後藤田正純君 理事 瀬戸 隆一君

   理事 田畑 裕明君 理事 山際大志郎君

   理事 石関 貴史君 理事 松田 直久君

   理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      浅尾慶一郎君    甘利  明君

      遠藤 利明君    加藤 鮎子君

      河村 建夫君    神田 憲次君

      木村 太郎君    河野 太郎君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      鈴木 馨祐君    園田 博之君

      田中 英之君    田畑  毅君

      武部  新君    前川  恵君

      牧原 秀樹君    村上誠一郎君

      八木 哲也君    若狭  勝君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      馬淵 澄夫君   松木けんこう君

      山井 和則君    石田 祝稔君

      穀田 恵二君    宮本  徹君

      松浪 健太君    中村喜四郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   法務大臣         金田 勝年君

   文部科学大臣       松野 博一君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   財務副大臣        大塚  拓君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   会計検査院事務総局次長  岡村  肇君

   会計検査院事務総長官房審議官           柿沼  茂君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴土  靖君

   会計検査院事務総局第二局長            腰山 謙介君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     巻口 英司君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  萩本  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       下川眞樹太君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (国税庁次長)      飯塚  厚君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   決算行政監視委員会専門員 安齋 雄一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     武部  新君

  木村 弥生君     前川  恵君

  西村智奈美君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     河村 建夫君

  前川  恵君     若狭  勝君

  山井 和則君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     木村 弥生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における参考人出頭要求に関する件

 平成二十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十六年度政府関係機関決算書

 平成二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十六年度国有財産無償貸付状況総計算書

 平成二十七年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十七年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十七年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十七年度政府関係機関決算書

 平成二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書

 昭和十九年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算及び昭和二十年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算


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     ――――◇―――――

玄葉委員長 これより会議を開きます。

 平成二十六年度決算外二件、平成二十七年度決算外二件、昭和十九年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算及び昭和二十年度朝鮮総督府特別会計等歳入歳出決算を議題といたします。

 これより総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松木けんこう君。

松木委員 おはようございます。

 ちょっと恐れていたことが新聞に出ちゃいました。この決算の方がちょっと滞っている、こういうことが新聞に残念ながら出てしまいまして、歴代決算委員長というのは、初代は粕谷茂先生という大物の方がやって、二代目は原田昇左右先生、そして現状は玄葉先生がやって、外務大臣も経験した方。去年の委員長がちょっとしょぼくて、私、松木けんこうがやらせていただいて、そういうこともあってちょっと停滞してしまったのかなというふうに私も反省をしているわけでございます。

 ぜひここは、国における決算の意義、重要性というのはありますので、本当は決算を踏まえて翌年の予算を組むのが普通の手順と考えるわけですけれども、官房長官はどういうふうにお考えか、もしよかったらちょっと、質問通告はしていないんですけれども。簡単で結構です。

菅国務大臣 歴代の委員長は、まさにそうそうたる人だと私も思っております。そして同時に、やはり決算というのはしっかり行っていかなきゃならないということも承知をいたしております。

松木委員 私以外はそうそうたるメンバーだというふうに本当に思いますので、ぜひ進めていただきたい。

 そして、ことしも決算の総括質疑というのをやることになるんですけれども、これは二十六年、二十七年ということなんですけれども、二十四年、二十五年の締めくくり総括質疑をまだ終えていないわけですね。ですから、今、いろいろと皆さんが協力をし合いながらその方向に進んでいるようには聞いておりますけれども、残念ながらちょっと東京新聞にもそういう記事が出てしまいましたので、この二十四年、二十五年というのも締めくくり総括質疑を総理入りでしっかりやっていくというのは筋だと思いますので、これは委員長にお願いなんですけれども、ぜひその方向で、やはり大物委員長ですから、頑張っていただきたいというふうに思います。

 長官、どうですか。賛成ですよね。どうぞ。

菅国務大臣 私、政府側で言うことはどうかと思いますけれども、ただ、言われていることはそのとおりかなというふうに思います。

松木委員 これは衆議院の方の話ですから、長官がお答えするというわけでもないんでしょうけれども、いずれにしても、先ほど言ったとおり、初代の委員長粕谷先生、そして二代目の原田先生なんかもそうなんですけれども、やはり旧宏池会の方々で、今、数少ない党人派のお二人、副総理と菅先生もおられるわけですので、ぜひ政治主導ということで頑張っていただきたいというふうに思います。

 委員長、ぜひやりましょう。よろしくお願いします。

玄葉委員長 はい。

松木委員 それでは、東京では三月二十一日に桜の開花宣言というのが出まして、なかなかそれから進まなくて、何か決算委員会みたいな感じもしましたけれども、大分満開という感じに今はなってきているようでございます。私の地元の北海道なんかは全くつぼみにもなっていない状態なんですけれども、きょうあたりはかなり花見日和という感じもするんですけれども、国会はなかなかいろいろなことがあって、風雲急を告げて、そんなことを話したら怒られるような、そんな状態だというふうに思います。

 連日報道でも大きく取り扱われている森友学園の問題、これは随分クローズアップされまして、他の議論すべき国民生活に直結する重要な課題というのはまだまだいっぱいあると思うんですけれども、押しのけてとは言いませんけれども、非常に大きなウエートを占めてしまっているのではないかなと思います。非常に残念だなという一方、やはりこのテーマも非常に大切なものをはらんでいると思っておりますので、しっかりと議論する必要があるというふうに感じております。

 きょうは、私は、自分の地元でもありますけれども、JR北海道の問題、JR四国、JR貨物も同じことですけれども、そういう課題と、森友さんのことをちょっとお聞きしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 学校法人森友学園をめぐる一連の問題について、去る三月二十三日、衆参の予算委員会で籠池理事長の証人喚問が実施をされました。私、びっくりしたんですね。初めは参考人でという話だったと思うんですけれども、急に証人喚問ということになって、おお、すごいなという感じを受けました。

 このときの籠池理事長の証言の中に偽証の疑いがあるんじゃないかということで、与党では偽証罪での告発を検討しているという報道がどうもあるんですけれども、菅官房長官も、さきの参議院の決算委員会で偽証罪での告発について問われて、事実と違えばそうなると思うと答弁されているわけでございます。

 偽証罪での告発はルールに定められた事柄ではありますけれども、今回の一連の問題では、証人喚問に応じているのは籠池理事長一人だけなんですね。ほかの関係者というのは、フェイスブックとか、うそを言う人たちではないと思いますけれども、万が一そういうことがあっても別に刑事罰に問われるようなことはありません。ある意味安全な場所での発言にとどまっているというふうに思います。しかし、籠池さんは、刑事罰に問われる可能性があるところで、理事長本人にとっては多分責任ある発言をされたんだというふうに思います。

 こうした不公平な状況にある中でリスクを負って証人喚問の場に出てきた民間人である籠池理事長一人を告発に持ち込もうとするのは、随分乱暴な感じに受け取られてしまうのではないかなというふうに私は懸念しているんですね。そうであるならば、できれば関係者全てを証人喚問、証人喚問というのは余り好きじゃないですけれども、こういう場に籠池さんを呼んじゃったわけですから、こういうことに立っていただく必要性もあるのではないかというふうに考えているんですね。

 数多くいる関係者のうち一人だけを証人喚問して偽証したと声高に言い募るのは、またさらに告発までちらつかせるということは、やはり大きな権力を持っている人たち、我々、為政者としての権力を持っているわけですよね。ましてや、今の与党の方々というのは、動かす力は我々の何十倍、何百倍という立場で持っているわけですね。そういう方々が権力というものをがんがんがんがんそれで押していったら、私は大変だと思いますよ。

 私は長らく藤波孝生代議士の、元官房長官ですけれども、秘書をさせていただきました。その教えの中の一つに、ちょうど中曽根内閣が三百四議席の議席をとったときがあるんですね、このときに、藤波代議士はそのとき国対委員長をやっていたんですけれども、私は、これで国対はやりやすいですね、何でも通りますね、こういうことを言ったら、意外と藤波代議士が静かな顔をして、松木君、その考え方はよくないな、こういうふうにたしなめられたことがあるんですね。権力というのは抑制的に使うものだ、それを知らないとけがをするんだよ、こういうことを言われたのを私は今でも非常に覚えているんですね。

 自民党の中からも、やはり山東昭子先生という参議院副議長をやられた方も、かえって国会のレベルを低下させてしまうんじゃないかとか、そこまでやるのなら、そういうことは司法に任せるべきじゃないかというような発言もしています。

 私も全く同感なんです。真相解明を進めるという観点が一つありますので、そこは他の関係者の証人喚問も、籠池さんはやったわけですから、実現をさせて、そして関係者の全ての意見を聞いて、やはり偽証だという確証を得られたようなことがあるのであればそのときは告発するのが筋なのかなというふうに思っておりますけれども、官房長官、そこら辺はどういうふうにお考えか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

菅国務大臣 今、松木委員の言われたとおりだと思います。私も今までそのように申し上げています。

 例えば、三月二十九日の記者会見で、ちょっとよろしいですか、私どもの認識があくまで正しいということは申し上げるまでもありませんが、証拠のない言い合いを続けるより、誰にでもわかる客観的な証拠を示していくことが必要であって、そうした観点から、与党あるいは国会による調査が進み、確かな証拠のもとに事実が解明することを期待したい、このように思いますと私は申し上げました。

松木委員 まあ、そのとおりですね。

 どうですか、長官。偽証でやるんだ、こういう話が与党からぱっと出てしまうという、ここら辺が私はやはり非常に問題だと思うんです。先ほど言ったとおり、権力というものを使うときの、米が実ったらこうべを垂れるという話もあるじゃないですか、そういうところってすごく大切だと思うんですけれども、長官、そこら辺をもう一度。

菅国務大臣 これも参議院で、私、斎藤議員から決算委員会で質問を受けまして、先ほどの決算委員会を開く開かないと同じようなことなんですけれども、こういうことだったんです。

 虚偽の証言だということを言われているので、これは極めて大きなこと、これは議院証言法に基づいて告発していくということになろうかと思いますけれども、これはできるんですかということを問われました。私は、これは客観的な証拠を示す、そのことが一番大事だというふうに思っています、私はそういうものを、あの証言の中で違うことがあろうというふうに思っていますので、やはり真実を明らかにしたいというふうに思っています、こう申し上げました。

 これに対して、虚偽証言を告発するということでしょうかと問われたんです。それで私は、事実と違ったらそのようになろうかと思います、ですから、客観的な内容について私ども精査しています、こう言っただけなんです。

 これがあたかも私が告発するようなことを言われていることは、極めて心外だというふうに思います。

松木委員 長官、私は、長官はそういう人間じゃないと思っていますので、そういうお気持ちでお話しになったんだというふうに思います。

 それでは、もう一つちょっと聞きたいんですけれども、籠池さんが出てこられましたよね。私はすごいなというふうに思ったんです。

 昔、ロッキード事件のときでしたっけ、小佐野賢治さんという方がたしか証人喚問に出てきて、署名をしようとしたら、もう手が震えて手が震えて字が書けなかった、そういうことがありました。

 籠池さんというのは、まあ、大物なのか何か、全く平気な顔をして、ささっと署名しているわけですね。これはすごい人だなというのは、結構ちまたでうわさになっているぐらいですよ。

 そういう方が証言をしたんだということなので、これに対して、またいろいろな関係者の方がおられますよね、そういう方々も、それであれば、籠池さんと同じ立場にまでなれとは何か言いづらいような気もするけれども、しかし、フェアに物を考えるのであれば、そういうことも必要なんじゃなかろうかというふうに思わざるを得ないんですね。

 そこら辺は、長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 いわゆる他の方に対して、犯罪や違法な行為があればそうかと思いますけれども、多分委員は総理夫人を念頭に置かれているんだろうというふうに思いますけれども、そこについては全くないわけですから、私は、これもそうなんです、証人喚問が必要じゃないかと聞かれて今のような前提の話をして、総理夫人の行為は、犯罪、違法性のある行為ではない、本人は全く関与していないということ、ここは違法性のないことはもう明らかですから、喚問の必要はないですと申し上げたんです。

 これは越権だと。これも言われるんです。聞かれたから言ったのにもかかわらず、みんなこういう報道をされているんです。そこは御理解いただきたいというふうに思います。

松木委員 はい、よくわかりました。

 できれば、籠池さんを呼んでしまったという事実はもうあるんですから、まあ、これ以上というのもどうかなと思いますけれども、しかし、フェアにやることを考えたときに、違う方の喚問ということもやはり考えざるを得ないのかなというような印象も私は受けているわけでございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 森友学園で注目が集まった学校の開設認可というのがありますよね。これはすごく厳正なものであるべきだというふうに私は思います。

 私も実は学校法人の理事長をやっていまして、大学設置というのをやった経験があるんですね。このときに、やはり文部科学省への提出書類の作成や審議会での指摘への対応など、大変な労力を必要とするんですね。本当に細かいことまでやっていくんですね。やはり、大学をつくったのはいいけれども、おい、お金は大丈夫なのか、要するに運営できるのかということもすごく細かく聞かれる。そして、それを改善してまたお答えするというようなことをやるわけですね。

 教育機関の新設というのは、その重要性、社会的な影響の大きさを鑑みれば、やはり厳密にやって問題ない、当たり前だというふうに私は思っています。学校法人の経営にかかわる者の立場からすれば大変なことでありますけれども、文科省や関係する審議会が厳しく開設側にさまざまな質問をしたり、厳正に審議されるのは当然であり、私は引き続きやってもらいたいというふうに思っております。

 ただ、そういった私自身の経験から見ても、大阪府の審議会が進めた審議過程にはやはりちょっとクエスチョンマークがつくんですね。本来はスケジュールにはないはずの臨時の審議会を開いた。財政的にも多分相当脆弱であったと思うんですね、この学園というのは。この学園に対して、その臨時の場で一旦は条件つきで認可を与えるなど、随分と融通をきかせ過ぎていて、相当に不透明だという印象はやはり拭えないと思わざるを得ないなというふうに思います。

 あと、規制緩和ということもあってこれは何かここまで来たという話も聞いていますけれども、そもそも、規制緩和して新しい小学校をつくるというのは、子供が減っているこの時代に、どういう必要性があったのかなというのもよくわからないし、一校しか申し込みがなかったという話もあります。

 今回の学校の設置というのは、国ではなくて、やはり地方自治体である大阪府の問題ですけれども、この際、真相解明の一環として、きちんとした形で大阪府及び審議会関係者から聞き取り調査をどこかの場で進めるべきではないかなというふうに思っているんです。不透明さを疑われた状態のままで放置すれば、今後、いろいろな他の事例での審査の正当性にもやはり疑問がつくことになってしまうおそれがありますので、文教政策に明るい麻生副総理、どうですか。どういうふうに思われますか。

麻生国務大臣 学校というのをつくる場合、特に大阪の場合は、この何十年間か小学校はできていないでしょう。最近、大都会で小学校ができたという話、大阪でできたという話は聞いた記憶がないので、ちょっとその点に関しては、珍しい例だなというように思ったと思いますね、普通、これを受け取った人は。

 その上で、御存じのように、各都道府県の審査基準というのは、多分福岡県の方は詳しいんですけれども、大阪府でも同じようなルールになっていると思います。都道府県に設置をしますと、私立学園審議会というのがあろうと思いますが、その審議を得て多分都道府県知事が認可することになっていると思いますので、こうした仕組みになっていることを踏まえますと、学校法人森友学園の設置に関する審査及び内容の経緯等々について疑問があるというのであれば、一義的には認可をされた大阪府において適切に証明されるべきなんじゃないでしょうか。一義的にはそうだと思います。

松木委員 一義的にはそういうお考えというのは正しいというふうに僕は思いますけれども、しかし、国のお金なんかも入っていくわけですよね。そういう意味では、ちゃんと国会の方でも、あるいは何か公な形で、やはり次にものが残らないような、ああ、ちゃんとやっているんだなということになるようなことを考えてやっていくべきではないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。もう一度。

麻生国務大臣 何回も申し上げますけれども、これは、大阪府で設置をされるということを認めない限りは、航空局にしても近畿財務局にしても、そういったところからの正式なあれが来ない限りはそこに売ることはありませんから、そういった意味では、売るも何も、まず最初にそこから、こうなっていますのでというものをいただかない限りは私どもの近畿財務局としてもそれに対応しようがありませんので、全然、第三者に対しては、一義的には地方自治体、その次には公共団体、いわゆる介護施設とか学校とかそういったようなところにやるという順番が一応決まっておりますので、その意味では、学校が認可になるかならないかというようなところにおろすわけにはいかぬということだと思っております。

 加えて、ここは、公募をしたときに応募されたのは森友学園ただ一つだったと記憶しますので、その意味では、学校法人森友学園というところに許可をした形になるんだと思っております。やはり、売るも何も、そこの学校がきちんとしていないとどうにもならぬというのがこちらの立場だと思います。大阪府の認可を得た学校に対して出したというのが立場だと思っております。

松木委員 そういうことなんですけれども、ぜひこういうことはしっかり、どういうことだったのかなということを、変に疑われる方が出てもよくないと思いますので、何らかの形でやはりもっと明らかにしていくのが大切だというふうに思っています。

 それでは、国有地の払い下げのことにもつながっているんですけれども、今回の国有地払い下げをめぐっては、政府は法令に基づいて適切に算定しているはずだと私は思います。籠池理事長は大幅な値引きにびっくりしたと証言しておりますけれども、このことは、多くの国民が依然として疑問の目を向けているわけで、その原因というんですか、国民が疑問を持つ一番の原因になっているというふうに思っております。

 私は、財務省が八億円という値引きを、具体的な算定根拠もなしに減額したとは思わないんですね。もしそんなことをしたら、行政は成り立たないし、財務省側に何らかの不都合なそんたくがあったと後々批判を受けることは当然予想されていたはずだからです。

 そういう意味でも、きちんと、どうして八億円値引きされたのか、誰が見ても納得がいく算出根拠を、それがいかなる担当者の間で議論され導き出されたのかということも含めて、誰もが納得いく形で証明された方が、財務省に対する国民の信用を守るという意味でもよいというふうに私は思っておるわけです。

 また、今後は払い下げられた国有地の買い戻しや原状回復が必要となると考えられますけれども、代金返納や損害賠償の目途が立たないというふうになれば新たな損失が国に発生することが懸念されるわけですね。よく、安物買いの銭失いという言葉がありますけれども、今回の騒動では、そもそも安く売っておいてさらに損失をふやす、そういう始末になりかねない。随分また皮肉な話になっているわけですね。

 このような問題が将来またこの委員会で議論されることのないように、国有財産の売却に当たってはより慎重な対応が必要だということを改めて私は強く感じているわけでございます。

 行政監視に関する問題ですので、麻生先生の方からお答えいただければというふうに思います。

麻生国務大臣 これに関しましては、これまでも予算委員会、また参議院における予算委員会、またこの間行われました決算委員会等々、財政金融委員会でもいろいろこの話はされております。

 これは、きちんとした経緯を踏まえて、ここだけが一枚八億円も七億円も安くなっているんじゃないかというのは、その中にあります埋設物というものの経緯、経過なんです。これまでも、売った土地に後でそういった埋設物が出てきたということで、それらの除去費用にかかった金が売った金より大きくなっちゃって、結論、金を出して引き取ってもらったみたいな形になるといった例がないわけではありませんので、そういったことのないように、売りますよ、ただし、後の、引き受けるこっちにこんなものが出たから何とかしろなんという瑕疵条件はなしというのが今回の一番のみそなんだと思います。

 お隣の豊中の公園の方は十四億で売ったじゃないかというけれども、それに対しましては、たしかあれは、国からの地方交付税だ、何とか税だというので十三億八千万ぐらいの補助金がついていますので、あれは結果的に二千万ぐらいというような差だったと記憶します。

 そういった意味では、これは極めてきちんとやられて、土地の内容の値段がというけれども、一応、大阪航空局といえば、こういった飛行場の土地の検査やら何やらに手なれたというか、よくやっている人たちですから、時間も限られておったということでやられたところだったと思います。

 まあ、学校が始まっているから、もう既にできているんだからというところでああいうことになったんだと思いますが、そんなものは関係ない、うちは航空局です、うちは財務局です、それは文部省のあれで、俺は知ったことではないといって、そういった役人の気のきかないところをそのまま、気のきかないままにやっておけば、もうちょっと話は簡単で済んでいたのかなと思わないでもありませんけれども、何となく大変だろうな、子供もかわいそうだなと思ったのがちょっと間違えたかなという感じがしている人も多いんじゃないかなという感じはします。

 いずれにしても、きちんとした対応の結果ですから、私どもとしてはその点に関して瑕疵はありませんけれども、しかし、こういったような問題が出てきておりますから、そういった意味では、慎重に対応していかねばならぬ。これまでも慎重に対応していたと思いますし、この問題に関しましては、特に慎重を欠いたというわけではないと思っております。

松木委員 わかりました。慎重にやっていただきたいと思いますね。

 やはり、お役所仕事だとかいろいろな言葉というのはありますけれども、私、大切だと思うんですよ。何でもそうなんですけれども、おもんぱかって、ではちょっと鉛筆をなめてあげようかというのも、それは全然やっちゃいけないとは私は思わないけれども、しかし、私なんかは大学設置のときに本当に厳しいなと思ったことがあるんですよ。

 それは何かというと、学校で使う場合はいわゆる免税措置になるんですね、土地の税金だと思うんですけれども。それを何に使うのかという項目があるんですね。そこに大学とだけしか私の関係者は書かないで、はねられたことがあるんです。それはなぜかというと、専門学校が大学になったんですね。ですから、書く欄には大学と専門学校の二つを書かなきゃいけなかった。ところが、専門学校と書くのを忘れたんです。そうしたら、書類を全部出し直し。このぐらい厳しいんですよ、本当は。

 だから、ごく近いところにだけ優しくなるというのはやはり問題になるので、私は、そういう意味で、そういう役人さんの厳しさというのは悪いことではないと思いますので、やはりこういうことはきっちりやっていくべきだというふうに思います。

 それでは、あと十分しかなくなったので、JRのことをやりますけれども、国鉄分割・民営化から三十年経過しました。駅ナカでコンサートをやったり、いろいろとハッピーな、三十年頑張ってきたというので、いろいろなところで随分いろいろなイベントが開かれました。

 寂しいのは北海道。北海道は、おかげさまで三十周年なんという横断幕も何にも出ないで終わった。テレビなんかを見ていると、三十周年なんですけれども、どう思いますかと言うと、ああ、そうなんですかなんて、そんな状態なんですね。JR北海道の方々は、もうそれどころじゃない、余計なお金を一銭たりとも使いたくないということなんだと思います。それはどうかなと思いますけれども、一生懸命やっているんだなというふうに思いました。

 この三十年間でいろいろなことがありましたよね。鉄道利用者の減少、経営安定基金の運用益の本当に長期の低迷、安全投資や修繕費のためのコストが膨らむ、あるいは青函トンネルの維持管理費の負担など、JR北海道というのはいろいろなことがあったんですね。どんどんどんどん厳しくなってきているというのが事実、現状なんですね。JR北海道の経営は、持続可能が難しいんじゃないかというところまでもう来てしまったというふうに私は思っております。

 これは本当は国交大臣もお呼びしてということになるんですけれども、もう国交省だけのことじゃなくて、私は政府全体でお考えをいただきたい。もちろん、石井大臣も非常に真摯にこの件に関しては現場に耳を傾けていただいているということを聞いておりますし、公明党の稲津先生、この方も一生懸命取り組んでいただいておりますので非常に心強いと思っていますし、もちろん自民党の方々もそういうふうに思ってやっていただいているとは思います。とにかく、これは大変なことになってきているわけです。

 今後の対策プランは国交省の方にちょっとお話をいただいて、その後、副総理と長官に幾つか質問をしたいと思いますので、プランの方の御説明をお願いします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR北海道は、地域における人口減少でありますとかマイカーなどほかの交通手段の発達に伴いまして路線によりましては輸送人員が大きく減少して、鉄道特性を発揮しづらい路線が増加しているという大変厳しい状況に置かれているというふうに認識をいたしております。

 また、御指摘がありましたJR北海道の経営安定基金の運用益でございますけれども、金利の低下傾向に伴いまして、同社の発足当初に比べて減少いたしております。

 この経営安定基金の運用益が金利によって変動するということは国鉄改革の当初から想定された仕組みでございまして、長期的な情勢の変動に伴って運用益が変動することについては、基本的にはJR北海道の経営努力によって対処することが求められているというふうに考えております。

 しかしながら、こういう考えに立ちつつも、JR北海道の厳しい経営状況を踏まえまして、国といたしましても、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸し付け、青函トンネルの設備の改修、更新に対する補助など、累次にわたって支援を行ってまいりました。

 このようなJR北海道の置かれている厳しい状況を踏まえれば、今後、地域における持続可能な交通体系を構築していく必要がございまして、関係者において速やかに協議を始める必要があるというふうに考えております。

 国といたしましても、北海道庁と連携しながら、これらの協議に参画をいたしまして、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応について検討してまいりたい、かように認識いたしております。

松木委員 ありがとうございました。

 それでは、これは前に予算委員会でも私は使ったんですけれども、国交省の方、自由に使っていいんですからね。北海道は広いというのがわかりますよね。皆さんのお手元にありますけれども、このとおりなんですよ。北海道というのはこれだけ広い。

 こういうところでJR北海道というのは営業しているわけでございまして、大体二二%の広さがあるんですね。そして、人口は四・五%しかいないんです。でも、エリアとしてはすごく広いんですね。ですから、一北海道だけの話じゃないというふうに思っていただきたいんですね。

 あと五分しか時間がなくなったので、本当は、廃線になったり駅がなくなったり、いろいろなことをしていますけれども、こういうことは余りよくないぞということもちょっと聞きたかったんですけれども、それはお二人ともよくわかっていると思いますので、時間がないのでそこら辺はもう聞きません。

 とにかく、JRのあり方、とりわけ三島会社と言われますけれども、あとJR貨物は、国鉄民営化を進めるときに、果たして本当にこれでよかったのかということに尽きるというふうに私は思うんですね。

 JRは、東日本、東海、西日本といったドル箱が集中する会社と、そうでない会社、当初から経営維持というのは相当困難を予想されている会社に分割されてしまったんですね。それで三十年たったわけですけれども、やはりこれは無理だったんじゃないかなというふうに私は思っています。多分、官房長官も副総理もそう思われているというふうに思います。

 麻生副総理の場合は、いろいろなところでお答えをいただいています。今はお力を持っていますからね。若いときは俺は力がなかったから、なかなかこれに反対できなかったというお話もされています。しかし、今はお力があります。

 ぜひ、合併をさせるとかあるいは上下分離も国が主導していかないと、特に北海道なんかはそうなんですけれども、やはり今の地方に任せてもこれは無理ですよ。とても厳しい。ですから、ここはやはり国がかなりお力を出していただかなきゃ非常に厳しいというふうに私は思います。

 私は、質問というより、とにかく何とか助けてもらいたい。これは、乗る人が少ないからそんなものは要らないじゃないかという話じゃないんですよ。当然わかっていると思いますけれども、農作物を運ぶだとか、そういうこともできなくなるじゃないですか。ましてや、今、トラックの方の輸送というのがあるじゃないですか、こっちも人手不足になっちゃって、大変なことになっちゃっていますよね。それを考えたら、やはり鉄道網の維持というのは、赤字だ、黒字だ、いろいろなことはありますけれども、大変大切なことだというふうに私は思います。

 両大臣ともよく物事を知っている方ですので、当然そういうふうにお考えだとは思いますけれども、ぜひ総理にもそういう気持ちを伝えていただきたいというふうに思いますし、とにかく助けてもらいたい。助けてもらわないとね。これは一生懸命やってきました。会社側も労働組合の人たちも一生懸命やってきたんです。何といったって、人間が半分になって、それでも頑張っているんですから。それをぜひ心に入れてもらいたい。

 まず麻生大臣、そして官房長官、一言ずつお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 稚内から網走まで、これが一つの選挙区なんですよ。(松木委員「私のもとの選挙区」と呼ぶ)知っている。これは、東京から神戸までが一つの選挙区、ばかばかしく広いんですよ、本当に、一人。よく人口割りの話をしている人がいるけれども、地理もよく見て言った方がいいんじゃないかと僕はいつも思うんです。これが一つ。

 人がいない、確かです。ちなみに、例をよく引きますけれども、JR北海道の一日の乗降客が三十六万八千人で、これはどれくらいかといったら、渋谷駅が三十六万一千だから。JR東日本全ての、東京駅一個より北海道の方が少ないんだ。品川と渋谷はほとんど、三十七万ちょっとでしょう。

 もっとひどいのは、人が結構住んでいる割にだめなところは四国で、四国の場合は、十二万六千人しか乗らないんですね、十二万六千九百。どれくらいかというと、大体山手線の田町駅だから。それぐらいのものなんですよ、十四万何千というのは。だから、それはまず基本的には無理。前回、乗客だけでやるのは無理と思わなきゃいかぬと。

 九州はどうしたかといったら、鉄道の売り上げは三〇%前後じゃないか。あとのところは全てサイドビジネスで飯を食った。はっきりしていますよ。生卵から何からみんな売っているもの、今。赤坂なんかに、我々九州出身の者はみんなそこに連れていかれて、生卵かけ御飯というのを自分でつくらされて食べたよ、俺たちは、うまかったけれども。そこにみんな行くようになって、九州の宴会はそこでやろうとかいって、それをみんなで応援した。そういったものをつくり上げぬと、これはなかなか難しいのが一つ。

 それから、合併というのだと、東日本と北海道、西日本と、両方ともこっちは経常黒字だけで数千億出ていますから、そこで抱けばいいじゃないかと。これは、国鉄なら考えられるよ。しかし、これが今、民間となったら、松木さん、もうかっている会社にしたら、何でそんなぼろ会社を引き受けて合併するんだ、そんなのやっていられるかといって開き直るから、それはもたぬね、株主総会が。

 だから、そこのところは、何かしかるべきお化粧をちゃんとしてきちんとしたものを考えないとなかなかできぬので、北海道も考えないかぬ。

 九州は考えた者がいるのよ、いろいろ。そういう人は北海道にいるんですか。JR北海道の中にいるのか、JR四国の中にそういった者がいるのかというところをちょっと考えないと、こっちから考えてやると、また民主党の方から、おまえ、押しつけじゃないかとか言われるに決まっていますからね。だから、そんなうかつに乗るほど人がよくないから、俺の方も。ちょっとそこのところは真剣に考えていかないかぬ。

 全体としては、最終的な赤字は財務省に回ってきますから、そういったことになって、前回の国鉄が三十何兆円の赤字になりましたからね、あのときは。だから、そういったことにならないような対応を考えておかないかぬということだと思っています。

松木委員 では、長官、もうお時間がなくなったので。いいですか。やってくれますか。

玄葉委員長 では、簡潔に一言。

菅国務大臣 私も実は北海道が大好きで、北海道を今全面的に応援したいというふうに思っています。

 特に観光ですよね。国立公園が日本で三十四のうち、北海道は六カ所ですから。農水産物、これもやはり北海道だというふうに思っています。ですから、鉄道ということだけでなくて、千歳空港の共産枠も大幅に拡充しましたし、三十二回から四十二回ですか、一時間の発着回数もふえていますよね。ですから、観光というのはこれから大幅に伸びるというふうに私は思います。

 その中で、鉄道の位置づけであります。

 確かに、経営安定基金は、当時の予測よりもはるかに低金利になったということも事実であります。そこはやはりしっかり私どもも受けとめるべきだというふうに思います。地域の皆さんと相談しながら、しっかり応援していきたいと思います。

松木委員 ぜひ、両大臣、総理大臣にもお伝えいただきたいなというふうに思います。

 本当に助けてください。このままやったら、JR北海道は、札幌に新幹線が来るんですけれども、その前にだめになります。駅ナカビジネスというチャンスがこれからあります。ここまでももたないんです、このままいったら。ぜひチャンスをいただきたい。一生懸命考えます。一丸となって、私も一生懸命やりたいと思いますので、ぜひお願いを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 時間をオーバーして済みません。ありがとうございました。

玄葉委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 おはようございます。民進党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、決算行政監視委員会で四十分の時間をいただきました。ありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 私も、まず冒頭、森友問題に一点触れざるを得ません。いろいろな論点や登場人物がいるんですけれども、きょうは一点だけ伺ってまいります。

 麻生大臣は、これまでの国会答弁で、この国有地の売却、払い下げについては手続には問題ない、法的にも問題ない、文書管理についても問題ないとずっと答弁されてきておりますけれども、我々、週末地元に帰ると、この件、関心がやはりどうしても高いんですね。いろいろなことを聞かれますが、麻生大臣が幾ら法的に問題がないと言っていても、地元に帰ると、多くの有権者の方は、これは幾ら何でも不自然じゃないか、不透明じゃないか、不公平じゃないかという意見がとても多いですし、我々もそれをうまく説明することができない。だから、この問題は、幾ら法的に問題ないという説明をずっと通しても、国民の、多くの有権者の納得が得られない、納得責任を果たさないといけないんだろう、そういうことが問われているんだろうと思います。

 麻生財務大臣は副総理でもありますし、今の巨大与党の大幹部なので、この国民の関心の高い森友学園問題、特に土地の売却、払い下げについて、まず、どうして多くの国民が納得していないとお考えになっておりますか。そして、どうすればこの問題が収束すると考えられるか、あるいはもう大臣はこの件は終わっていると思いますか。その御見解、御所見について一点伺いたいと思います。

麻生国務大臣 青柳先生、法律的には、何回も申し上げておるように、これは終わっております。

 ただ、今言われますように、納得をしていないと言われるとね。それは世の中にいっぱいありますので、法律的にはあっても納得できないという話は、世の中には何ぼでも、この話以外にも、ほかにもいっぱいありますから。何で俺が落ちたか納得できないという人もいらっしゃいますから、それはいろいろあるんですよ。だから、それはなかなか難しいんだと思います。

 少なくともこの中で、何で安くなったかということを説明するというところが、やはり埋設物というのが出てくると、売った後、地下から埋設物が出てきて、その埋設物の撤去をする費用が売った金より高くなった。ほかにもそういう例がありますから、たしか。

 そうすると、国としては売ったはいいけれども後でさらに追い銭を払わないかぬというようなことになりかねぬというので、埋設物があったとわかった、その段階で、ではこれまででということで話を決めさせてもらった額というのが一番なんですけれども、その埋設物の内容がいいかげんだったんじゃないかとかいう話が多分いっぱい出てきているんだと思います。それは、理屈としてはわからぬことはありませんけれども。買った人はその埋設物を除去していないんじゃないかとか、いろいろお話があるんだとは思いますが、除去されなかった場合は、その土地は除去しない値段ですから、やはり高くはならぬということだと思いますので、誰も得した人はいないんじゃないかという感じがします。

 法律的な話ではなくて、そこらの点は、除去されないでその分だけポケットに入れたんじゃないかという話になっても、それはまだ払っていませんから、そういった意味では、その土地は御自分で今度は始末されることになりますので、御自分でどこかへ売却するんだということになった場合、今度はその値段でしか売れないということになるんだ、常識的にはそうだと思いますので、そこらのところは、そういう点をちょっとなかなか説明された方がこれまでおられないように思いますので、きちんと説明されてしかるべきなんじゃないのかなと思わないでもありませんけれども、ただ、これは役人が説明することかねという感じがしないでもありません。

青柳委員 埋設物の話をするのであれば、またほかにもいろいろな論点が出てきてしまうんですけれども、どうやったら収束すると思われますか。

麻生国務大臣 どうやってというのは、これは受け取る人の感情論の話ですから、何となく、そこにおられる方より周りの方々の方が言われたり、豊中の方がどう言っておられるのか、豊中の周辺の方がどう言っておられるのか、大阪の人がどう言っておられるのか、知っているのは結構いっぱいいますから、人によって反応が違いますので、ちょっと一概にはなかなか申し上げられぬかなという感じがします。

青柳委員 関係者を同時に全員呼んで、証人喚問でも参考人でもいいですけれども、同じ場に同時に呼んで、それは大臣なり総理がここで終わらそうと言えばもう終わるんじゃないかと私は思いますので、どうしても何か隠しているんじゃないかとか、余り積極的に解明する姿勢が見られないので関心がどんどん、まあ、そもそもスタート時点がそうだったんだろうと思いますよ。だから、いろいろな登場人物が後から後から出てきて拡大再生産されてしまったんじゃないかなと思います。ほかの委員会でも森友の問題が多く出ていますが、早く終わらせて、まともな議論にすべきだろう、私は個人的にはそう思っています。

 次に参ります。税制の課題について、きょうはちょっと取り上げてまいりたいと思います。

 まず、消費税の問題です。

 これまで安倍政権は、平成二十六年四月に消費税を五%から八%に引き上げましたが、その後、二回にわたって消費税の引き上げを延期しています。一回目は、平成二十七年三月の税制改正法で、平成二十七年十月からの分を平成二十九年の四月、つまりまさに今に延期することを一回目の延期のときに決めたわけですが、このときの延期の理由をお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 あのときは私ども財務省としてはこれは上げていただくつもりだったんですけれども、あれはオーストラリアのブリスベーンのG20サミットのときだったと記憶します。

 いわゆる状況変化というところを見て、いま一つ国民の消費性向が上がっていない、いわゆる消費に活力が見られない。消費税を上げたときには必ず消費が落ちるというこれまでの傾向、竹下内閣で一回、橋本内閣で一回、いずれも消費が伸びずに極めて厳しい状況になったという例を引かれておられましたが、これは決して間違っていない、その事実は確かですから、それにあわせて消費がいま一つ力強さを欠いているという状況で、延ばしたいという判断をされたと記憶します。

青柳委員 ちょっと役所の方に伺いますけれども、どの法律に従って延期を決めたんでしょうか、それは景気条項でしょうか。そこをちょっと説明していただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 その時点での消費税法には景気条項がございまして、その景気条項も勘案しながらそういった判断が行われたというふうに受けとめております。

青柳委員 その景気条項の条文をちょっと教えてください。

星野政府参考人 附則十八条の規定がございまして、その規定には、この法律の公布後、消費税率の引き上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、二条及び第三条に規定する消費税率の引き上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずるという規定でございます。

青柳委員 つまり、しっかり景気条項という法律があって、根拠があって、その上で総合的に、今大臣が答弁されたように、景気の変化、消費の問題で増税を延期されたということであります。これは非常によくわかります。

 次に、平成二十六年十一月に総理は記者会見をして再度増税延期を発表した、さらにその後、衆議院を解散し、アベノミクスを必ず軌道に乗せて、次は景気条項を外して必ず平成二十九年の四月、今ですね、平成二十九年の四月に消費増税すると約束して選挙を戦ったわけです。必ずアベノミクスを軌道に乗せて、景気条項を外し増税するということを約束して選挙を戦ったんです。

 しかし、平成二十八年六月に再び消費税引き上げ延期を表明し、平成三十一年十月まで延期するということを決められたわけでございます。このときの延期の理由と根拠となる法律を教えていただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御説明がありましたとおり、その時点におきまして総理の御判断がなされたわけでございます。先ほど申し述べました景気の判断条項につきましては、改正で削除されておりました。

 総理は、サミットに臨みまして、サミットで経済状況等も率直に話し合った上で、その時点で新たに危機に陥ることを回避するために適時に全ての政策対応を行うということで合意し、その時点で、リーマン・ショック級の事態は発生はしていないけれども、しかしながら世界の中である経済のリスクといったようなものも判断した上で、新しい判断として現時点で二年半消費税を延期するということが正しいということで、御判断をされたということと受けとめております。

青柳委員 つまり、このときは総理の新しい判断で増税を延期することを決めた。新しい判断があれば税制を変えられるということがわかったわけですね。同時に、そのときに、全く評判の悪い軽減税率の導入も一緒に決めてしまったわけであります。

 ここで、軽減税率反対派の麻生大臣に改めて伺いますけれども、済みませんが、税の基本原則を御答弁いただけませんでしょうか。

麻生国務大臣 基本ですね。基本は、公平、中立、簡素。それぐらいかな、基本は。

青柳委員 ありがとうございます。公平、中立、簡素、そういうことでございます。

 それでは、軽減税率の導入理由、そしてその効果、その説明を改めて伺った上で、麻生大臣は今御答弁いただいた軽減税率が税の基本原則に本当に沿っていると思われますでしょうか。何度も聞かれていると思いますけれども、改めてお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今申し上げたとおり、三つが基本的なところなんですけれども、ただし、公平、中立、簡素というもの、三原則というものの中には、こういうものは同時に全てが満たされるわけじゃありませんから、一つの原則を重視すれば他の原則をある程度損なうということは十分に考えられるので、一種のトレードオフ関係が成り立つということなんだと思っております。

 その上で、例えば個人所得において、公平の観点から個人の担税能力、個人の税負担能力というのを調整するということに立って、各種の控除などによって個々の納税者に対してきめ細かい配慮というものを行うことが可能でありますけれども、他方、簡素じゃなくなるということになりますから、その点は、公平でなおかつ簡素だったのが、簡素が外されるということになります。

 その上で、消費税の軽減税率というのを申し上げると、単一税制と比較してみればこれは複雑、それは間違いなく複雑であることは間違いありませんで、私、これをやったら面倒くさい、こんなものはと一番最初に言って、えらい批判されましたよ、民主党の集会で。面倒くさいとは何だと言うから、面倒くさいことは面倒くさいということですと言って説明して、えらいやられましたけれども、私は今でもそう思っています。

 しかし、いずれにしても複雑になるんですけれども、他方でいわゆる消費税の低所得者に対する逆進性ということがよく言われますから、その逆進性というあれもいわゆる垂直的な公平性というものに配慮しているということになるんですが、その点も一つのいろいろな配慮の仕方としてあるんだと思います。その他にも、逆進性というのは本当にそうかという説もありますのは、あなたが首をかしげられたとおり、思わないでもないけれども、そういう面もあるということは確かですから。

 また、対象品目を酒とか外食とかを除く飲食料品とさせていただいているんですが、飲食料品を全て含むというのが簡単じゃないか、イギリスを見ろとかそういう話もあるんですけれども、これはかなりの税額が要りますのでね。そうなると、そこまでやるとちょっと幾ら何でもということになって、そこの点に対しては控え目にということで、結果として外食ということにさせていただいたんですけれども。

 いずれにしても、中立的で簡素な仕組みになるべく近づけようとすると、あっちで妥協し、こっちで妥協し、いろいろなところで妥協してああいった案にならざるを得なかったというように御理解いただければと思います。

青柳委員 妥協の産物だというのが今の答弁でございましたけれども、それでは、飲食料品以外の対象品目というのはどうやって誰が決めたんでしょうか。

麻生国務大臣 これは多分、新聞を例に引いておられるんだと思いますけれども、新聞の場合、外食を除く飲食料品以外では、一番よく読まれるものとしてとか、日常の生活における情報の媒体としてはとにかく全国的にあまねく販売されている情報というので、幅広い層に日々購読されているというのが条件で、月に一遍出るとかいうのじゃなくて新聞と。やはり、購読料にかかわる消費税の負担というものが逆進的になっていることは、月々何千円というのはかなり逆進的になっていることも確かなので、軽減税率の適用範囲とさせていただいたところなんですけれども。

 ちなみに、調べてみますと、OECD諸国の中では、二十六カ国だか七カ国だかが新聞は適用除外になっておりましたので、そういったことも勘案させていただいて、これを適用させていただくことになった。たしか二十七カ国だったと記憶いたします。

青柳委員 今、軽減税率の導入の理由とその対象品目の御説明を改めていただいたところですけれども、私は何度聞いても軽減税率が逆進性の解消なんかにつながるとは到底思えませんし、税の基本を著しく大きく逸脱していると言わざるを得ませんし、麻生大臣御自身も現在の財務大臣時代に、逆進性の解消には税額控除の方がよっぽどいいという答弁をされているわけですね。

 そして今、繰り返しますけれども、対象品目の基準、これはめちゃくちゃ曖昧ですよ。曖昧そのものなので、どういうことが起こるかといえば、時の政権の恣意的運用につながるおそれがとても高いということなんです。ですから、我が党としても軽減税率は見直すべきだろうと思っています。

 先ほど、二回目の消費増税の延期を決めたのは、はっきり言って法的根拠がないわけです、新しい判断で増税の延期を決めたという、この説明以外の何物でもありませんでした。ということは、次の消費税の増税時期までまだあと二年半もあります、論理的には新しい判断があれば何でもできるんですから、論理的には新しい判断で三回目の増税の延期というのは可能ですよね、大臣。お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 こういうのにひっかかると、ろくなことはありませんので、青柳さんへの答弁は慎重の上にも慎重を期さないかぬところなんですけれども、今言われたように、二度あることは三度あるとか、そんないいかげんな表現じゃなくて、二度目があったんだから同じ理屈で三度目もあり得るのではないかという話は、それはそのとおりです、それは間違いない。二度目があれば同じ理屈で三度目もないとは言えぬのではないかと言われれば、それはそのとおりです。

 事実、そのときになったら景気が今よりどんとさらに、ヨーロッパが悪くなった、中国もえらいことになったとか、あっちこっちであり得る状況に今ありますので、そういった中では十分にあるとは思いますけれども、私どもとして見ました場合、少なくともそういう状況の中にあった場合には、その段階において本当にそういった異常事態が起きれば、それは我々としては当然判断を考えないかぬということははっきりしています。

 ただ、私どもとして、三党が合意した場合はいわゆる社会保障と税の一体改革という大義名分を立ててそれでスタートしていますから、少なくともこういったような大義名分というものはやはり一番忘れちゃいかぬ肝心なところなのであって、この大義名分は消費税と税の一体改革ということでやっておりますので、少なくとも借入金の額が巨大なものに膨れ上がってくる現状を考えたら、やはりこれは大事な大事なツールであって非常に大きな収入源でありますから、私どもとしては消費税というのは二〇一九年にはぜひさせていただきたい、私自身はそう思っております。

青柳委員 今の大臣の答弁の肝は、最初におっしゃられた答弁だと思います、ないことはないということなんだろうと思います。

 それでは、もう一つ、新しい判断があれば軽減税率も見直すことは当然論理的には、理論的ではないです、論理的にはあり得ますよね。

麻生国務大臣 さっきの答弁と同じで、理論的、論理的、どう違うんだとか言われたら、またその話の説明が難しくなりますけれども、先ほど申し上げたように、私どもとしてみれば、置かれている二年半の間に何が起きるかわからぬ、経済なんというのは生き物ですから何が起きるかわからぬのははっきりしておりますので、それまでの状況になったときには、そういうことも起こり得ないということを申し上げることはあり得ない、それはもう十分に考えておかないかぬ。そういったことも考えて、私どもは対応していかねばならぬと思っております。

青柳委員 ありがとうございます。一定程度踏み込んだ御答弁をいただいたんだろうと思います。

 まだ二年半も先ですから、ぜひ、よりよい制度を目指して不断の見直しを行っていただいて、そして何とぞ新しい判断を期待したいと思いますので、よろしくお願いします。この調子ですと安倍政権はまだ続きそうですから、ぜひお願いしたいと思います。

 次に、もう一つ、同じような問題で、法人税関係の租税特別措置について伺いたいと思います。

 政策減税の中で圧倒的に額が大きいものが研究開発税制ですね。この研究開発減税の額の大きさだけでなくて、特定の業界、特定の法人に恩恵がとても偏っている。研究開発減税というのは額も大きくて、そして特定の業界、特定の法人に恩恵が偏るという傾向があるのは間違いないと思います。

 そうすると、先ほど大臣に御答弁いただきました税の基本である公平、中立、簡素という、この基本原則からこれも曲がっているんじゃないかという指摘が多くありますが、大臣はどのようにお考えになりますか。

麻生国務大臣 研究開発税制については、今おっしゃったとおり、これまでもいろいろ御批判のあったところですが、適用件数から見ますと一万二千件ぐらいあるうちの約八千件ぐらいが中小法人になっておるというのがまず前提です、使っている件数からいきますと。

 いわゆる大企業優遇じゃないか、中でもまた特定企業優遇じゃないかという御批判というのは、その点からいくと幅広い数の企業に利用されておりますから、その点は違うのではないかというのが第一点。

 それから、二十七年度の税制改正においてあの法人税の改革をやらせていただいた中で、税額控除の上限枠を圧縮するということなどの見直しを行わせていただいておりますので、二十六年から二十七年度にかけて中小法人の適用額が増加して大企業の適用額が逆に減っております例とか、それから上位十社の占める割合が今まで三六、七%ありましたものが三〇%、三一%ぐらいに減っているなど、適用がある程度分散化する傾向が見られたところでもあります。御批判等々に対してのそれなりの対応はさせていただいていると思っております。

 いずれにいたしましても、租税特別措置のあり方については、企業を取り巻く環境というのがいろいろ変化しておりますので、この改正とかいうものの効果というのは、ある程度見直しながら、常に不断の改正というものを頭に入れて対応していかぬといかぬことになるんだと思っております。今、新しいものができてきているけれども、ここに金がないから伸びていないという小さなものがいっぱいある、シーズ、種がありますので、そういったものをきちんと伸ばしてまいりたい、私どもとしては、そういうようなことを基本に考えて頭に置いております。

青柳委員 今、見直しを行っていると。確かにそうなんですけれども、それでもまだ、この研究開発減税、税制については、やはり特定の業界と特定の法人に偏る傾向というのは変わらないんだろうと思います。それは、申請件数じゃなくて、やはり額で見ていただいた方がよろしいんじゃないかなと思いますが。

 研究開発減税の政策効果の検証について伺いますけれども、例えば毎年減収額が減収見込み額を大きく上回っているわけでございます。減収額が減収見込み額を毎年大きく上回っている、これが一点です。

 そしてもう一点は、この研究開発投資がどのように社会に還元されているのかというのが、誰がどのように検証し、どうやって発表しているのかということについてもう少し明快にお答えいただかないと、なかなか多くの国民あるいは中小企業からの理解は得られないんじゃないかと思います。これがクリアにならなければ、単にこの政策減税というのが大企業の節税対策として使われているだけじゃないかという指摘もありますので。

 この二点、減収額が減収見込み額をなぜ毎年大きく上回るのか、そしてもう一点は、この研究開発減税をした結果、どのように社会に還元されているのか、これを誰がどのように検証しているのかについて。二点、御説明をいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から、研究開発税制の適用額、実績について見込みよりも伸びている、まずそういう御指摘がございました。

 一つは、この間、企業の業績が改善していて、当然、減税ということでございますので、企業の収益がよくなり、そこが伸びれば減税額も大きくなるといったようなことが一つ要因として挙げられると思いますし、また、制度上の要因といたしましては、二十五年度の税制改正におきまして、いわゆる総額型の控除限度額、これがそれまで二〇%だったのを法人税額の三〇%に拡充したといったようなことが考えられるかと考えております。

 効果についてでございますけれども、効果につきましては、毎年、租特透明化法という法律によって実績が出ておりまして、その実績を見ますと、先ほど大臣からも答弁がございましたとおり、中小企業等につきましても幅広く利用されているということでございます。民間投資や雇用を喚起するために研究開発税制を含む政策税制をいろいろと講じてきたわけでございますけれども、こういったことが一つの効果として、きっかけとして経済の好循環に結びついていると考えておりますし、また、実際に民間の研究開発投資についても活発に行われているというふうに認識をしております。

青柳委員 それは金額や数で説明されればそういうことになろうかと思いますけれども、国民全体あるいは中小企業も含めた、中小企業が圧倒的な数で九九%なんですから、こういう税制を使えていない企業に向けての説明としては少し物足りない気はいたしましたし、研究開発減税に限らず、法人税の租特は既得権になっているんじゃないかという指摘も実際に多くあります。そして、法人税の租特で恩恵を受けている企業や団体が与党に献金しているという指摘も、これは多くあります、これまでも議論でありました。

 ですから、そうではなくて、やるのであれば実際に税の基本原則に沿って公平で中立で簡素にすればいいんだろう、この分野についてもそう思います。法人税の実効税率を下げて政策減税を縮小していく方がよっぽど公平なんじゃないか、税の基本原則にかなうんだろうと思います。

 先ほどの軽減税率の対象品目と法人税関係の政策減税が両方とも与党との構造的な癒着になるんじゃないかという指摘があることに対して、大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今の話に関して言わせていただければ、これに関していわゆる与党との、まあ、特に軽減税率というのが今まだ導入されているわけではありませんので、コンニャクを安くしろとか、何かそういったような特定品目に関する陳情等々が自民党に来たというのは、少なくとも財務大臣の段階で知っていることは一つもありませんので、その点は、これはもう少しして二年後になってきたらいずれもっと出てくるのかもしれませんが、ちょっと今の段階では申し上げられません。

 それから、その前の研究開発税制というのは、この二十年間を見てみましても、これは前からある税率ではあるんですが、基本的に今、日本の中で、内部留保というのが毎年二十三兆、二十五兆ふえて、この三年間で見ましてもトータル七十三兆円ぐらいの内部留保がふえておりますので、この内部留保というものが、本来だったらその金は賃金に回っていったり、また配当に回っていったりしてもおかしくない金だと思うんですけれども、それが内部留保にたまる。傍らで、おっしゃるように、法人税が下がって、下がった分の利益はどこに行ったかといえば企業の内部留保にたまっただけというんだったら、何のためにやったんだかわからぬということになりはせぬですかという話は、この三年間ずっと経団連と言い合っている話です。

 少なくとも、有効求人倍率なんという話も大事なところですけれども、労働分配率の話は、この四年間でどれぐらい下がりましたかね、七七、八あったものが今は七〇を切って、労働組合とすれば一番問題にすべきはこれじゃないかと思いますけれども、おたくらを応援してくれる連合はこの話はされませんものね。不思議だなと思って、この間も連合の人たちにも、おたくらは何で言わないんですか、これこそ組合に対して言うべきなのであって、俺たちが企業者に言っているのはおかしいでしょうがと言って、何回も申し上げたことがあります。

 そういった意味では、こういったような研究開発税制という、今やるべきAIとかロボットとかいったものに金を突っ込まずに、何となくじっと持っておられて新しい投資に金を突っ込まないという傾向は国としては長期的には極めて、今後この国は何で食っていくのかということを考えたら、進んだ技術というものにより多くの関心が行ってもらわない限りはなかなかちょっと金が回らぬ、そっちの方に国が発展していかないという点も考えて、この点はなかなか言った割にはやってもらえないというところがあって、やってくれる企業は一生懸命やってくれるというので、企業経営者の性格というか、そういった姿勢の問題かと。青柳さん、そこのところは難しいところです。ただ、私どもとしてはこの点は、今後とも日本がお国として伸ばしていかないかぬ大事なところだとは思っております。

青柳委員 残り時間が少なくなってしまったんですけれども、あと、予算の無駄遣いがないかについて、少しだけ質問させていただきたいと思います。

 まず、TPP関連予算の問題です。御案内のとおり、TPPは米国が離脱表明をしているので、少なくとも短期的にはTPPが当初の予定どおり発効する見込みはない、にもかかわらず多くのTPP関連予算がついている、見直しが全くされていない。これはそのままやるのかどうか。

 TPP発効の見込みがない中でTPP関連予算がそのまま計上されていることについて、これはまず政府というか参考人側から御説明いただきたいと思います。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、総合的なTPP関連政策大綱を実現、実施するための予算という形で整理をさせていただいているところでございます。大筋合意後、一昨年十一月に政策大綱を決定いたしましたが、この中に盛り込まれている施策は二種類ございまして、まず第一に、TPPを見据えて、これに備えることを契機として海外展開を行おうとする中小企業への支援、対内直接投資の活性化、農林水産業の体質強化など、これはTPPの発効を前提とせずに取り組むべき施策でございます。もう一つの種類として、米の買い入れなどTPP協定が発効した後に必要となる施策。この二種類がございますが、これまで措置をして、政策大綱を実施、実現するための予算として整理したものは、いずれも前者に該当するものでございます。

 したがって、いずれも、自由貿易の推進に主導的な役割を果たしていく我が国として、TPPにかかわらず実施していく必要があるものと考えているところでございます。

青柳委員 こういう財政が非常に厳しい状況の中で、今の説明だと余り納得できないんですね。

 時間が来てしまいましたので、一つ一つの事業についてきょうはちょっと取り上げることができませんでしたけれども、各省には結局TPP関連予算というのがまだ多く残っているわけですし、本当に問題だなと思う事業も幾つか、全部とは言いませんけれども、幾つかは本当にあります。

 最後に、麻生大臣に御所見をいただいて終わりたいと思います。この財政と予算が非常に厳しい状況の中、今のような説明で本当にいいのか、見直しは必要とお考えになられないのか、最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 会社をやっていれば誰でもわかるんですけれども、予算をやれば決算なんですよ。ここは決算が四年前だから、考えられないでしょう。私のように会社の経営者をしていたときから見ると、理解不能。最初のところで……(青柳委員「変えてください」と呼ぶ)いや、変えてくださいって、そっちが協力してくれればいいんですよ、こんなもの。だから、そっちの方が大事なんですよ。参議院のように少し動いてきたというところですし、そういった意味では、決算の重要性というのはもう少し理解させた方がいいなと私は率直に思いますので、全体としての考え方というのは少し考えないと、今のようにスピードが物すごく速くなってきていますから、そういったものに対する時代の対応というのもやらないかぬという感じが正直なところです。

青柳委員 きょうは終わります。どうもありがとうございました。

玄葉委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。民進党の篠原豪です。

 今、麻生財務大臣からありましたように、本日は決算審査でありますので、これまでの事業の振り返りと、また、これまでの他の委員会で議論になったことなど、重なる部分もあるかと思いますけれども、全体像を少しでも理解しながら議論させていただきたいということで、その点、御寛恕いただいて、そして、答弁される皆様方におかれましては、できるだけ的確に、かつわかりやすく、丁寧にお伝えいただければと思います。それでは、よろしくお願いします。

 まず、国有財産の管理と処分についてお伺いをいたします。

 これは財務省にお伺いしたいんですけれども、国有財産の売却について、随意契約による売却と競争入札による売却というのは、それぞれ具体的に、今、土地の問題そして行政財産の話、いろいろ話題になっていますけれども、きょうは二十六年、二十七年度決算ですので、例えば平成二十七年度とかでもいいんですが、大体どれぐらいのものが存在するのかということをまず最初に、基本的なことですけれども、適当な期間を区切って教えていただければと思います。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの、財務省所管一般会計所属普通財産、平成二十七年度における売却件数についてお答え申し上げます。

 まず、一般競争入札によるものが約六百件余でございます。

 それから、随意契約によるものが約三千七百件ほどございますが、その随意契約の内訳につきましては、まず、公共性の高い地方公共団体とか社会福祉施設、学校施設等の用途に供する場合につきまして、約二百二十件ございます。

 それ以外の随契でございますが、この場合、例えば、物納財産の土地で、その敷地の上に建物等の賃借権がある場合がございますが、そういうものがついているものはその権利者へ随契で売却できる。あるいは、旧法定外公共物と申しまして、昔、水路とか里道、細い道路に使っていたものなんかがもう使われなくなって、単独での処分が困難になるようなものがございますが、そういう旧法定外公共物を隣接の土地所有者に売却する場合なども認められておるわけでございます。そういう一般競争入札になじまない随契が約三千四百件余ございます。

篠原(豪)委員 今のお話ですと、一般競争入札が六百件ちょっとで、随意契約が三千七百件ぐらいだというお話でした。今おっしゃっていただいたように、旧法定外公共物であるとか、随意契約に資するものというのは確かにあるんだろうというふうに思っていまして、残りの二百件というものが実際に随意契約であるというふうに理解をいたしました。

 今おっしゃったのが公共契約件数のお話、これが、地方公共団体、その他でいえば、売り払い先は社会福祉法人とか学校法人とか、あるいは不落等随意契約となると思うんです。この辺で、随意契約による売却先というのはどのあたりがずっと多いのかということを教えていただければと思います。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、いわゆる公共的な随契のお話だと思いますが、約二百二十件の今申しました公共随契につきましては、ほとんどが地方公共団体で百九十件ほどでございまして、残りに社会福祉法人あるいは学校法人等がございます。それ以外の、その他の、先ほど説明した物納財産の話とか旧法定外公共物等につきましては、多くの場合、個人というのが売り先でございます。

篠原(豪)委員 国有財産の売却の話、まず一般的に教えていただいている最中なんですけれども、随意契約で売却したものというのはどのような理由で随契となっているのか、一部伺いました。

 今回の森友学園みたいなところはどういうところに入っているのかなと思って、私も全部それを調べるわけにいかないので、関東財務局の分とあと近畿財務局の分が具体的にどうなっているのかというのを少し見せていただきました、二十八年度分ですけれども。

 これはどのような傾向があるかと調べてみると、何でこの二つをやったかというと、大体の傾向が把握できるだろうということで見たんですけれども、関東財務局で計九十六件で、そのうち公共随契八十一件。内訳は、地方公共団体が七十一件、その他、これは社会福祉法人や学校法人等が十件となっています。そして、不落随意契約件数。これは、競争入札したところに入札者がいないとき、再入札しても落札者がいないところ、ここには随意契約ができるとされているものが十五件。個人が四件、法人、例えば不動産とか建設業などが十一件で、個人よりも不動産屋さんとかが多いのかなというふうに思いました。

 近畿財務局でいえば、不落等随意契約件数が二十五件中七件、うち、法人が三、個人が四。そして、先ほどの関東財務局で御説明した公共随意契約件数が十八件、うち、公共団体が十一件、その他の社会福祉法人や学校法人が七件で、ここに今問題となっている森友学園が含まれるという理解でございます。

 それはそれとして、売却とちょっとまた違うんですけれども、無償貸し付けで民間に対して貸していることがあるのかどうかということも具体的に教えていただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御質問の無償貸し付けでございますが、国有地の貸し付けは時価によることが原則でございます。ただ、国有財産法等によりまして、地方公共団体等に一定の公共の用途のために貸し付けを行う場合には、政策的配慮から無償貸し付けが認められているところでございます。

 具体的には、国有財産法等に書いてございますが、地方公共団体等に対しまして、緑地、公園、ため池、用排水路等の用途のために貸し付ける場合、あるいは、地方公共団体や社会福祉法人等に対しまして、児童福祉施設あるいは更生保護施設等の用途のために貸し付ける場合には、無償貸し付けが認められているところでございます。

 したがいまして、今委員御指摘の民間の法人ということでございますれば、今申し上げました、社会福祉法人などに対しての無償貸し付けが認められているところでございまして、現実にも、児童福祉施設あるいは更生保護施設等に無償の貸し付けをしている事例はございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 売却や貸付契約を結ぶに当たって、これは大丈夫かな、後々問題になりそうだなというような特殊な契約と思われる場合があるとすると、財務省さんだけで決めるんじゃなくて、事前に、会計検査院さんとかどこかほかのところに理財局が相談してやるということはこれまであるのかどうかということも、ちょっと確認させてください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院は、検査院法に基づきまして決算の検査を行っているわけでございますが、国有地の売却につきましては、私ども、会計法令等に従って行った後に、会計検査院法に基づきまして、契約書などの証拠書類を検査院に提出するということになってございます。

 こうした資料に基づいて検査院は検査を行っておると承知してございまして、国有地を売却する場合に事前に会計検査院に相談するということは行ってございません。

篠原(豪)委員 そうなると、理財局さんが国有財産を売るときには、全て、法的にも、そしてその後問題になっても、どうなるかということに対しても最初から責任を持って契約する、契約した後にいろいろな書類を提出して会計検査院がチェックするということでよろしいんですね。わかりました。そうなると、やはり相当理財局さんのお力に頼るところが大きいんだと思います。

 この貸し付けのことで、今申し上げましたように、それが妥当だったかというのは後に会計検査院さんがやられるということでございます。

 きょうは、会計検査院さんに来ていただいておりますので、ちょっといろいろとお伺いしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 まず、今の流れがありますので、国有財産に係る検査についてお伺いさせていただきたいと思います。

 会計検査院さんは国有財産についてどのような検査を行っているのか、わかりやすく御説明いただければと思います。

鈴土会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、国の会計経理について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から検査を行っております。

 一般的に、国有財産の管理及び処分については、国有財産台帳等の表示は適切か、対価に見合った国有財産を取得できているか、保有している財産の価値や機能が失われたりしていないか、貸付料等は適切に徴収されているか、国有財産は有効に活用されているか、会計法令等に基づき適切に売り払われているかなどに着眼して検査しております。

篠原(豪)委員 では、その中で、国有財産、特に土地等の利用で、処分の状況に着目して検査して指摘する事項というのはどういうことがあるのか、森友学園さんのような、今回のようなケースというのも過去にあったのかどうか、教えてください。

鈴土会計検査院当局者 お答えいたします。

 土地等の利用や処分の状況について指摘した事項といたしましては、所管がえにより引き受けた土地について、貸付契約の更改等を行わず貸付料が納付されていなかったもの、森林レクリエーション事業のため国有林野の使用を許可する場合の許可使用料の算定を誤ったため、許可使用料が低額となっていたもの、そして、国有港湾施設有償貸付契約において、貸付料の算定を誤ったため、契約額が低額となっていたものなどがございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 こういった検査をするときに、先ほどの、最初の方の質問の続きとして実は確認したいんですけれども、これは三月二日の参議院の予算委員会で河戸会計検査院長がお答えになっていることなんですけれども、今回の国有地の売却については、まずは一連の事実関係の確認をしっかり行うことが重要であると考えている、その後、国会での議論も踏まえて、正確性、合規性、経済性等の多角的な観点から検査を実施したいということでした。

 既に着手をされているという理解ですけれども、会計経理の裏づけとなる関係書類が廃棄された場合には、その詳細について正確に把握できない場合があるとしていますけれども、これは確認なんですけれども、会計検査院としては、国会での議論を踏まえてということになると、文書が存在しない面会等の交渉の担当者に聞き取りで調査を行ったりすることはあり得るんでしょうか。

鈴土会計検査院当局者 申しわけございません、通告になかった事項でございますので、私の知識の範囲内でお答え申し上げますけれども、これも答弁させていただいていたかと思いますけれども、一連の会計経理について検査する過程におきまして、その文書の存在等についてもあわせて見ていくということになっていたと記憶しております。

篠原(豪)委員 ごめんなさい、私がお伺いしたいのは、いわゆる先ほどの理財局長からの会計検査院さんに送る決まった書類というものだけじゃなくて、国会での議論は、その枠を超えてしっかりと会計検査をした方がいいんじゃないかという話になっていて、会計検査院長さんは、私の理解によれば、国会での議論というものを、国民の皆さんのお声がありますので、しっかり聞いた上で調査をするんじゃないかというふうに思っていて、そのときに、やるとすると、従来の行政文書だけじゃなくて、行政文書じゃない文書も調べることもあり得るのかどうかということと、もう一つは、聞き取り調査というようなものも場合によっては会計検査院が行うことがあり得るのかということを伺いたいと思います。

 ですので、一つは、行政文書じゃない文書を調べる、そしてもう一つは、これまでと違って、あるいはこれでもいいです。これまで、行政文書じゃない文書も会計検査院さんが検査するときに調べたことがあるのかどうか、そして、聞き取り調査なども行って総合的に最後に報告を出すのかどうかということについてお伺いさせていただければと思います。そういうことがあるかということ、あり得るかということです。

鈴土会計検査院当局者 お答えいたします。

 検査の基本は、会計経理に関する書類あるいは行政文書になるわけですけれども、それらを見る過程において、十分な心証を得るために、必要があれば聞き取り等の調査といいますか検査を行うこともございます。

篠原(豪)委員 その際には、聞き取りもそうなんですけれども、これまで、過去の他の検査において、行政文書以外の文書というものも総合的に見せてもらって、出していただいて検査するということもやっているかどうかということをもう一度確認させてください。

鈴土会計検査院当局者 会計検査院としてそういう記録をとっているかと言われると、ちょっと正直自信がございませんけれども、私個人の経験からしても、そういうことはあるということでございます。

篠原(豪)委員 はい、わかりました。

 では、今のお話でいえば、ふだんの会計検査に提出をする財務省からの書類、行政文書、あるものだけじゃなくて、場合によっては、やろうとすれば、これは、個別メモ、いわゆる行政文書じゃない文書、あるいは聞き取り調査というものをしてしっかりと事実を把握していくこともできるということだと理解しました。ありがとうございます。

 それで、なぜこのことを改めてきょう伺ったのかといえば、この一週間の新聞を見ましても、やはりこの森友学園の問題、僕はきょうは森友学園の問題をメーンで聞こうということじゃなくて、安倍夫人の話とかも出てきません。これは石関委員も先週そうだったのかもしれない。私のところでも出てこないんですけれども、きょう。

 これはなぜかというと、国民の皆さんの関心がやはりいまだに物すごく高いんだということだと思います。この高いのは、透明であるべき国有地の売却の経緯というものがなかなか見えづらくなっていて、その中において、新聞各紙もずっと記事を取り上げています。

 この一週間だけ見ても、社説に注目しますと、内容の一部を御紹介いたしますけれども、三月二十八日の読売新聞に、売却価格が八億円減額されたことをめぐり、政治家の関与と行政側のそんたくの有無が焦点となった、政府は引き続き、ちょっと途中つまみますけれども、説明すべきだけれども、与野党も、この問題の本質がどこにあるのか、熟考して質疑に臨むべきではないか。

 また、三十日の産経新聞の「主張」には、平成二十九年度予算が成立した国会は、今も学校法人森友学園の国有地の払い下げ問題が焦点となっている、国有財産の処分をめぐり、行政への疑惑を生じさせただけに、事実解明は欠かせないというふうになっていまして、この二紙は、その他のこともしっかりと国会だから議論しなければいけないというふうに、論調の中でもそういうことをしています。

 きのうの朝日新聞には、籠池氏発言は、虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問でのもので、その証人喚問での主張と政権側の主張には食い違いがあり、だからこそ、真相は何なのか、究明に力を尽くすことが国会の使命のはずだとした上で、憲法で国会に認められた国政調査権を駆使し、さらなる関係者の証人喚問や、交渉記録を破棄したとしている財務省など官公庁に記録の提出を求めることも欠かせないという内容もある。

 先週行われた共同通信の調査でも、国有地が格安で払い下げられた問題の経緯については、政府が十分説明していると思わない、八二・五%ということです。

 やはり、そもそもの問題は、この土地が何で安く売られたのか、鑑定評価も本当に妥当だったのかどうか、そして、支払いも長期にわたって分割される、なぜこういうふうになったか知りたいんですけれども、そのことを明らかにする面談のやりとりや記録文書が破棄されてしまったというふうになっていることで、これは、国民の皆さんからすれば、国民の皆さんの土地ですから、税金を納めていて、その納めたお金に色はないんだけれども、使う段になるとめぐりめぐって不公平になっているんじゃないかというような、先ほども申し上げました一番透明でなければならない部分がよく見えないので、世論もおさまらぬように思います。

 この件はこの件で、引き続き国民の思いを酌み取っていただいてしっかりと政府には対応していただきたいと思っていますけれども、麻生大臣、国民の皆さんが、八〇%を超えて、やはりもう少し説明していただいた方がよろしいんじゃないかというふうに思っているようですけれども、今の話、会計検査院の話もありましたけれども、調べ方はいろいろあるんだということでございましたので、一言、御感想をいただければと思います。

麻生国務大臣 これは、もうこれまでも各委員、決算委員会に限らず、その他の先生方からいろいろ御質問をいただいておりますし、同じ答弁なので恐縮ですけれども、引き続き丁寧に説明させていただきたいと思っております。

篠原(豪)委員 わかりました。ぜひ、本当にしっかりとやっていただきたいと思います。

 ここまで財務省、会計検査院さんに確認させていただいた中で、やはり気になるのが、国有財産の売買の交渉記録が、これまでの答弁とかも含めて、一年未満の行政文書というものは破棄していることが明らかになったということなんです。

 確認をさせていただきたいんですが、面会等の交渉記録の保存期間は一年未満ということなんですけれども、これは森友学園以外のその他の案件、さっき申し上げた例えば随意契約による国の財産の場合、売り払い先の内訳を見ると、公共随契の中で百九十件、そして不落等随意契約も何件かあるんだと思うんですけれども、この辺の、地方公共団体はともかくとして、そうじゃないところにかかわる売買の交渉、やりとり、そういった契約に至るまでの経緯の文書というのは、これは全部、売買契約の締結をもって一年未満であっても廃棄するというふうに立っているんでしょうか、確認させてください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、公文書管理法の規定に基づいた財務省の行政文書管理規則に基づいて管理を行っておりまして、国有財産の管理、処分につきましては、決裁文書あるいは売り払い決議書、契約書等々をきちんと保存しておるところでございます。

 したがいまして、それ以外の個別の面会等の記録につきましては保存期間一年未満、それから、具体的な廃棄時期は事案終了後ということで、ほかの案件についても同様でございます。

篠原(豪)委員 その御説明はずっと聞いているんです。

 私の質問は、そうじゃなくて、例えば、随意契約の中でも公共随契そして不落等随契がある中で、これは全部そういうふうな扱い、森友学園と同じような、契約の締結をもって破棄するということになっているんでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には事案終了後に廃棄というふうになってございますので、個別に全部見ているわけではございませんが、基本は、契約が締結すれば事案終了ということで廃棄しているということでございます。

篠原(豪)委員 まあそうですね、局長が全て見るわけにはいかないと思いますので、大変な件数がありますので、それはそうだと思うんですけれども。

 これは、実際には文書管理者の方に任されています。その文書管理者も、個々人の考えで恐らくやっているんじゃないかと思います。これは全部確認されていないと思いますけれども、もしかしたら、人によって、別に廃棄をしているわけじゃなくて残していたり、残していなかったりするというのが結構あるんじゃないか、実は全員が一年で捨てているわけじゃない、一年未満で捨てているわけじゃないというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども財務省の行政文書管理規則上、行政文書につきましては、あらかじめ、保存期間あるいは保存期間満了後の措置について定めなければならないということになってございまして、保存期間満了後、例えば国立公文書館に移管しないというようなものについては廃棄するということになっておりますので、規則に基づいて事案終了後廃棄しているということでございます。

篠原(豪)委員 済みません、では、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、この文書管理規則に一年未満となっているのは、これは細則で決められているんですか。一年未満で破棄していいかどうかというのはどこに書かれているかということをちょっと教えていただきたいと思うんです。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 基本の大もとは、財務省の行政文書管理規則にそれぞれの事項ごとに、国有財産でありますれば、国有財産の管理及び処分の実施に関する事項ということで、決裁文書等は三十年等々と定めてございます。

 その文書管理規則の中に注書きがございまして、本表が適用されない行政文書については、事務及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする、こうございまして、今委員おっしゃいましたように、その保存期間基準を定めるというのを管理規則の細則に落として、そこの条文の中に、それぞれ保存期間については一年とか一年未満のいずれかの期間とすると書いてございまして、歴史公文書等に該当しない行政文書につきましては、先ほどのようなことになるということでございます。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 その細則というのは、我々も見ることができるんでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、その細則自身が開示になっているかどうか、今ちょっと確認できておりませんので、確認させていただきます。

篠原(豪)委員 私の手元にも、その根拠となっている備考の六、本表が云々かんぬんというところ、書いてありまして、最後に、保存期間基準を定めるものとするとなっていまして、ではどこに書いているんだろうと見ると、ないんですよね。私は探し切れませんでした。それを根拠に一年未満、一年未満ということになっているそうなので、これは見た方がいいのかなというふうに思ってお伺いをしたものでございます。

 ちなみに、細則というのは誰が定めるものなのか、決めるものなのかということを、もしわかれば教えていただきたいと思うんです。細則の中身を決める方ということで、教えていただきたいと思います。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、財務省の行政文書管理規則ということでございまして、この行政文書管理規則は大臣官房において定めてございますので、細則につきましても大臣官房において定めているんだというふうに考えてございます。

篠原(豪)委員 この公文書の行政文書管理規則を書きかえるときは、誰が書きかえを承認するかといえば、これは総理大臣なんです。この中身の細則の方は誰の許可を得るかというか必要なのかというのがちょっとわからなかったので、もうちょっと簡単に説明していただくことは可能ですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮ですが、私ども理財局は、財務省の中の一部局として、この財務省の行政文書管理規則に基づいて行政行為を行っておりますので、この管理規則そのものについて子細に、誰が定めてどういう手続論なのかと言われても、今ちょっと手元にございませんのでお答え申し上げられません。

篠原(豪)委員 今回、この森友学園をめぐる国有地の売却に関して、国民の皆さんが非常に興味を持たれているところであります。

 今、一年間で、一年未満で交渉の記録というものは破棄していいというふうになっている、これが法令の根拠であって、それにのっとってやっているんだから問題ないという御説明だと思います。それはそうなんだと思います。

 そのことについて、ただし、こういうことになっているわけですから、本来であれば、会計検査院さんも、先ほどおっしゃったように、本当に会計検査をしなければいけないものが出てきて、出てきたときに調べるメモがないみたいなことになって、そしてどうしたらいいかわからないみたいなことになっているということであれば、これは総理大臣が変えるということにもなっていますから、麻生財務大臣、副総理、きょう総理がいらっしゃらないので、国民によりわかりやすい説明をこれまでの答弁同様心がけていくというふうにおっしゃっていますので、この辺について少し総理と一緒にお話しいただいて、少なくとも、国の財産、土地そして建物とかいろいろありますけれども、そのものに対してのやりとりはしっかりと、今までの財務省さんが言ったようなことじゃなくて、記録するんだというようなことに向けて検討されるということはできないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 これは、たびたび、どういうことを言えば納得するかというのは、なかなか話が、これまで私どもでやってきたところで、我々はできる限りの文書はこれまで提出をしてきておりますけれども、それでも納得できないと言われる面がありますので、私どもとしてはそれは苦慮しておるところなんですけれども、いずれにしても、こういったものは引き続き丁寧に説明する努力は続けてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 私が質問させていただいたのは、これから国の土地、国民の皆さんの財産ですから、これを売っていくというときには、そのやりとりも含めて、今ある行政文書管理規則を変えればこれはできることですので、それを変えるというのは総理ということになっていますけれども、このことについて、やはりそういった議論を、副総理であられてそして財務大臣をやられている麻生副総理、この所管でもありますし、こういったことが起きているので、前向きに検討されてみてはいかがでしょうかというお願いであります。

麻生国務大臣 先生御存じのように、今までもずっと、この種の話は年間に大体私ども四千件ぐらい毎年ある、年によって違いますけれども、平均四千件くらいありますので、そのことに関しましては規則どおり、従来どおりやってきて、そんなにこういった騒ぎになったことはほかには私はちょっと寡聞にして例を知らぬのです。今回の場合は、たまたま向こうが学校を建てられるので急いでやらないかぬなというような温情を示したら間違えたという話になっております、結果としてはね。

 だから、役人は役人らしくやっていろという御意見なんでしょう、多分。そうやったらこんなことは起きなかったじゃないかとおっしゃりたいのかもしれぬけれども、それをすると、もっと温情を何とかしてどうたらこうたらというのがまた来るというところがなかなか難しいところで、そこらのところの対応に苦慮せないかぬところなんですけれども。

 私どもとしては、これまでもきちんとした対応をやってきておりまして、少なくとも、その他のものに関して過去にそんなに大きな騒ぎになった例がありませんので、これまでも、これからもきちんと対応はさせていきたいと思っております。

篠原(豪)委員 別に役人の方々は役人らしくお働きくださいなんという話はしていなくて、こういった事件が起きて問題になっているので、これから将来にわたって、せっかくいい機会なので、今はたった一年未満で国有財産の売却の経緯というものがなくなってしまって、それを見ることができないんですよ。なので、その経緯というものを残したらいいんじゃないかというふうに言っているだけのつもりなんですけれども。何かほかにありますか。

麻生国務大臣 これは、裁判やらそういったことにおける資料というのは残っているんですよ。忘れぬでくださいね。

 ふだんの対話やら何やらで、その場面でのメモ書きみたいなものは一年以内で破棄することになっておるというのを、これを二年ためろ、三年ためろという御趣旨じゃないでしょう。全部ためるわけ。膨大な資料になりますね。何千件もあるんですよ。それは、どれをためておいて、どれをためなくていいというような選択をせないかぬということになりますね。だって、これはためて、何でこれはためていないんだということになりますから。そうすると、ウン千件全部ためとかないかぬということになりますと、それは膨大な資料になるというのが実態なんだと思いますが。

篠原(豪)委員 では、私も申し上げたいんですが、別にパソコンで、データでためればいいだけの話であって、実は、先週の石関委員の質問のときに、文書はきちっと提出されていて、裁判のときにも近畿財務局から必要な情報を得ているから大丈夫だみたいな話、これまでもされていますけれども、その文書をどういうふうに破棄したかという話になったときに、これは、業者に溶かしてもらってそして廃棄をするという方法が一点と、シュレッダーにかけてそれで廃棄をするという方法があって、それがこの年度には四回ありましたと。たしか六月、七月、八月、十月だったか、大体そんな感じでというお話だったんです。

 私、今の話を聞いていて、実はデータはたまっているんじゃないかというふうに逆に思いました。私が思うに、文書は手書きじゃないと思いますので、メモというものはワードか何かでもしかしたらためているのかもしれない。防衛省の話じゃありませんけれども、それはサーバーにあるのかもしれない。近畿財務局にありますという話だったんですが、これは本省とつながっているのかどうかわからないので、きょうは調べていないのでどうかわかりませんけれども。

 そういうことであれば、データでたまっているかもしれないので、森友学園じゃなくても、ほかの案件でもいいと思うので、一年未満で本当に捨てられているのかどうかも含めて、残っているものがあるんじゃないか、その件数がどのぐらいあるのかというのを一度お調べになって、お調べになってから、旧法定外公共物みたいな三千六百件のものは別にいいですが、残り二百件の、やりとりをしてちゃんとした売買をやった土地というものがありますから、そういったものに関して。

 さらに言えば、不落、だから、競争入札をしなくてその後に随意契約になったというものがあります。そういったものを例えば不動産業者とか建設業者が買っています。そういったものに関しても、重大さの度合いというのは違うと思うので、せっかくなので、そういったものを一回、本当に文書が残っているかどうか調べていただいて、調べていただければ国民の皆さんも、やはり財務省さんはしっかり調べてやっているんだな、本当に森友だけだったんだということになるかもしれませんので、それを見れば本当にできるかできないかということもわかってくると思うので。

 私は御提案させていただきたいんですけれども、いま一度調べて、USBにあるかわかりません、USBを持っていっていいのかわかりませんけれども、探しているうちに何かほかのものがぽこっと出てきたり何か新しく出てきて、それが国民の皆さんに説明がつくようなものであればそれはいいことでありますので、ぜひ御提案させていただきたいと思うんですが、理財局長、いかがでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、行政文書は、紙もパソコン上のデータも同様の取り扱いにしてございます。紙の方は、先ほど申しましたように、さまざまな不要になりました紙はそういうことで処理をしてございます。パソコン上のデータも、今ちょっと手元にございませんが、前に一度お答えしたことがございますが、短期間でそこは自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にもそういうやりとりみたいなデータは残っていないということでございます。

篠原(豪)委員 最後の一言ですけれども、一度調べていただいて、それでもう一度そういうふうに言っていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長有松育子君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 先ほど麻生大臣から決算は大事だという御発言がありましたけれども、四年分の決算同時並行という状態になりました。私たち野党の側はさんざん決算をやるべきだということを言ってまいりましたが、この間、安保法制やTPPを優先する官邸、それを受けての与党国対というところの責任は重大だということを初めに指摘しまして、質問に入ります。

 まず、ヘイトスピーチ対策について伺います。

 大相撲の三月場所で、照ノ富士に対してモンゴルに帰れというやじが飛んだことが大きく報じられております。私も大相撲ファンの一人として大変悲しい気持ちにもなりまして、憤りも持ちました。モンゴルへ帰れという大見出しをつけたスポーツ新聞もあって、この新聞はその後、批判もあって、ネット上の記事から文言を削除した上で、ヘイトスピーチを想起させる表現があったとおわびの表明をいたしました。

 きょうは法務大臣に来ていただいておりますが、このモンゴルに帰れというのはヘイトスピーチに当たるんじゃないですか。

金田国務大臣 お答えします。

 委員御指摘の件につきましては報道等により承知はいたしておりますが、具体的にどのような言動が不当な差別的言動に該当するかどうかは、具体的な言動の背景や前後の文脈、趣旨等によって判断されることになりますため、一概にお答えすることは困難であります。コメントは差し控えたいと思います。

 なお、いわゆるヘイトスピーチに関して一般論として申し上げますと、不当な差別的言動はいかなる者に対してもあってはならないものであります。ヘイトスピーチの解消に向けた法律の趣旨を踏まえて、今後もその解消に向けた取り組みは適切に推進してまいらなければならない、このように考えております。

宮本(徹)委員 法務省作成の典型的なヘイトスピーチの例を見ても、地域社会から排除することを扇動する言動という例の中で、○○人は祖国へ帰れというのがありますよね。これに当たるんじゃないですか。○○人は祖国へ帰れ、これは典型的なヘイトスピーチだ、間違いないですね。

金田国務大臣 繰り返しにはなりますが、具体的にどのような言動が不当な差別的言動に該当するかどうかというものは、具体的な言動の背景、前後の文脈、趣旨等によって判断されることになりますため、一概にお答えすることは困難であります。

 なお、ヘイトスピーチに関して一般論として申し上げますと、不当な差別的言動はいかなる者に対してもあってはならないものであるということが大切でありまして、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の趣旨を踏まえて、今後もその解消に向けた取り組みは適切に推進しなければならない、このように考えております。

宮本(徹)委員 同じことを二回読まれても困るんです。典型的なヘイトスピーチの例で、法務省自身が○○人は祖国へ帰れと挙げているんだから、当然これはヘイトスピーチに当たるんじゃないですか。○○人は祖国へ帰れという表現はヘイトスピーチの典型例ですよね。これは変えたんですか。

金田国務大臣 委員御指摘の件について報道では承知しておりますが、その詳細について承知しているわけではありません。コメントは差し控えたいと申し上げたとおりであります。しかし、一般論では、申し上げたとおりでもございます。

宮本(徹)委員 だから、一般論では、○○人は祖国へ帰れというので典型的なヘイトスピーチ例として法務省自身が作成しているのは、これは変えていないわけですよね。そこは確認させてください。

萩本政府参考人 今委員から御指摘のありました法務省がつくっている資料というのは、恐らく、法務省が、ヘイトスピーチの解消に向けた法律の昨年の施行を踏まえまして、地方公共団体がヘイトスピーチの解消に向けた施策を行うに当たって参考となる情報をまとめて提供したものを指しておっしゃっているというように今理解をいたしました。

 作成した事務局の立場でお答えしたいと思いますが、御指摘のとおり、法務省が作成したその資料の中で、○○人は祖国へ帰れというものがヘイトスピーチあるいはヘイトスピーチの解消に向けた法律の定めるところの不当な差別的な言動に当たり得るということは、そう指摘したとおりで、そこは変わっておりません。

 ただ、それはあくまで該当し得ると言っているものでございまして、むしろ、その前後をごらんいただければおわかりのとおりですが、同一の文言であれば常に該当するというものでもなく、どのような状況や背景のもとで行われたのか、あるいはその前後の文脈、どのような意味合いで用いられたのか等によって該当するか否かの判断は変わり得るということをあわせて付言しているところでございます。

宮本(徹)委員 ヘイトスピーチ対策法ができたんですから、もっと真剣にこういう問題に対応しなきゃいけないと思いますよ。

 かつてJリーグでは、サポーターがジャパニーズオンリーという横断幕を掲げたことがありました。その際、Jリーグは、浦和に対して無観客試合にしました。そして、浦和も、そのサポーターについては出入り禁止の処分というのをやったわけですね。FIFAも日本サッカー協会も、人種差別等は許さないガイドラインを定めております。

 私は、相撲協会でも、こういった○○へ帰れ、ヘイトスピーチの類いを許さない相撲観戦のルールをしっかりつくっていく必要があるというふうに思います。

 大相撲では、相撲競技観戦契約約款というのがあります。これを見ると、暴言は禁止行為となっているんですね。その場合は退場だとかもできるという規定にはなっていますが、こういうのを知らない観客も多いと思いますし、ヘイトスピーチはだめというのは明示的には入っておりません。

 文科大臣、モンゴルへ帰れ、こういったヘイトスピーチ再発防止のための対策を具体的に相撲協会と協議、助言する必要があるんじゃないかと思いますが、どうですか。

松野国務大臣 議員御指摘の件につきましては報道等により承知をしておりますが、その詳細については承知をしておりません。

 一般論で言えば、スポーツは人種、言語、宗教等の区別なく参画できるものであり、いかなる差別も許容されるべきではありません。

 日本相撲協会では、今委員の方から御紹介があった協会が定める相撲競技観戦契約約款において、暴言や脅迫等の粗暴行為を禁止し、こうした行為を行う観戦者に対しては必要に応じ退場など厳しく対処することと聞いております。

 文部科学省としては、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律が施行されたことなども踏まえ、スポーツ関連団体に対して不当な差別的言動の解消の必要性について広く周知を行うなど、スポーツ界における差別の根絶に取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 今回の件を受けて、具体的に相撲協会と協議される、こういう考えはないですか。

松野国務大臣 今、相撲協会は御承知のとおり直接的に文科省の所管ではございませんが、相撲を広くスポーツとして考えたときに、やはり大相撲のありようも、委員のお話があったとおり適切に運営されることが肝要かと存じます。まず事実関係をしっかりと確認させていただいた上で、適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 適切に対応されるということですので、しっかり協議、助言していっていただきたいというふうに思います。

 次のテーマに移ります。法務大臣、御退席いただいて結構でございます。

 次に、森友学園の問題についてお伺いいたします。

 国有地の値引き額八・二億円が妥当なのかということがずっと議論になってまいりました。これまでの政府の説明では、深さ九・九メートルまで高密度でごみがあるという説明、ごみの混入率は四七・一%、これが八・二億円値引きの根拠だったわけですね。

 ところが、この間の国会での答弁を聞いていても、九・九メートルの深さまでごみがあるのを実際に確認したわけではないわけですよね。誰も確認していないわけです。説明で出てくるのは、掘削工事中に廃材が出てきた、掘削機の先端部に絡みつくほどの廃材があった、だから九・九メートルまであったんだろうという推察だけが述べられるわけですよ。

 推察ではなくて確たる根拠というのは結局示せないんですか、石井大臣。

石井国務大臣 今回の当該土地の地下のごみでありますけれども、くいが掘削した箇所については九・九メーター、対象面積五千百九十平米ですが、そのほかのところは三・八メーターと判断してごみの量を算出しているわけであります。

 くいの掘削箇所の九・九メーターの深さにつきましては、一つは、近畿財務局、大阪航空局の職員が、平成二十八年三月十四日でありますけれども、実際に廃材等を含む土砂が現場で積み上がっていることを現地確認した。これは前年の十一月の現地調査では廃材等が確認できなかったことから、くい工事中に廃材が出たと判断できるということであります。

 二つ目には、平成二十八年二月から三月にかけて実施された九・九メーターのくい掘削工事において廃材等のごみが大量に発見され、これを工事関係者からのヒアリングや掘削中の様子を示す工事写真により確認をしたこと。

 さらに、この土地が昭和四十年代初頭まで池や沼でありまして、その後、昭和四十二年から四十三年にかけて埋め立てられたわけでありますが、昭和四十五年の廃棄物処理法の施行前でございましたので、埋め立てた当時、あるいはそれ以前から地下の深い層から浅い層にかけて廃材等を含む相当量のごみが捨てられた、蓄積していると考えられること。

 こういったことを踏まえまして、くい掘削箇所につきましては地下九・九メートルの深さまで廃材等が存在すると判断をしたものでございます。

宮本(徹)委員 その答弁は何回も聞いているんですけれども、あったであろうという話であって、九・九メートルまでごみがあったというのは誰一人現認していないんですよ。そういう推論で国民が納得していないというのが、この間の世論調査で示されていることだと思うんですよね。

 私はきょう、石井大臣に一つ提案したいんです。本当に九・九メートルまで高密度のごみがあったのかどうかはっきりさせるために、今からあの土地を掘るべきじゃないですか。どうですか。

石井国務大臣 本件土地につきましては、売買契約において、瑕疵担保責任を免除する、将来にわたって本件土地が抱える一切の瑕疵について売り主である国の責任を免除する特約を付すことを前提に地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりをしているわけですが、これは、先ほど申し上げた検証可能なあらゆる材料を用いて判断しているということ、さらに校舎や児童の生活の安全性の確保の視点も踏まえて、将来にわたってリスクとなり得る地下埋設物の存在範囲を合理的に設定し、その上で、国土交通省が定め、かつ、一般にも公表されております公共工事の一般的、標準的手法である空港土木請負工事積算基準に基づき見積もりを実施していることから、この八・二億円の見積もりは適正なものであったと考えておりまして、改めて試掘を行う必要はないと考えております。

宮本(徹)委員 いや、八・二億円が幾ら適切だというふうに大臣がおっしゃっても、九・九メートルまでごみがあったというのは誰も見ていないんですよ。それは大臣も認めるわけでしょう。誰も見ていないものを信じろ信じろ信じろと言ったって、国民は信じようがないですよ。

 今から試掘すればいいじゃないですか。掘ってみればわかるんですよ、あるかどうか。それがプリンかどうか確認するためには食べてみればわかるんだと言った方もいますけれども、掘ればわかるじゃないですか。これだけ国民が疑念を持っているんですよ。正しい正しいと言うんじゃなくて、掘ればいいじゃないですか。どうですか。

石井国務大臣 繰り返しの答弁になりますが、本件土地につきましては、買い主が将来にわたって売り主である国の責任を一切問えないという瑕疵担保責任を免除する特約を付すことから、現在のリスクのみならず将来にわたるリスクも含めてこの瑕疵担保責任を剥がすということを考えているわけでございます。

 したがって、将来にわたってリスクとなり得る地下埋設物の存在範囲を合理的に設定し適正な見積もりを実施しておりますことから、改めて試掘を行う必要はないと考えております。

宮本(徹)委員 それは、もう国民の疑念を晴らす必要はないと言っているようなものに等しい答弁ですよ。将来のリスクと言いますけれども、九・九メートルまでごみがなければリスクにならないわけですよ。九・九メートルまでごみがあるということを証明しない限り、今の石井大臣の答弁というのは成り立たないんですね。

 麻生大臣、この土地は、国に戻ってくる手続を今始めていると思いますけれども、戻ってきたらどうせまた売ることになりますよね。売る際には、ごみがどれだけあるのかというのをまた調べなきゃいけないわけですよ。いずれにしても、このごみの確認というのはこれから国にとっては絶対必要な作業になるわけですね。

 だったら、これだけ国民が疑念を持っているんですから、白黒はっきりさせるために今掘る。いずれ掘るんですから、ごみの確認をしなきゃいけないんですから、一緒だと思いますよ。麻生大臣、そう思われませんか。

麻生国務大臣 これは、今、石井大臣が答弁されていたんだと思いますが、まず、いずれ売ることになる。買う人がいますかね、真面目な話。これはすごく大事なことですよ、すぐ簡単に売ると言うけれども。買う人がいないからこれはこれだけ問題になったんですから、もともと。

 だから、その上で、買う人がいる当てもないのに今ボーリングすればそれだけ政府としては金がかかりますから、私どもとしては、なるべく経費は少ない方がいいです。買う人が決まってから、その上でその方と相談させていただきます。

宮本(徹)委員 いや、別に買う人がいなかったわけじゃなくて、大阪音大だって手を挙げていたわけじゃないですか、森友学園の前に。欲しいというところは、豊中市だって、一番初めは、市の計画としてはあの土地まで含めて防災公園にしたかった、でも、費用の面で話がつかなかったという経過があるわけですよ。

 結局、ごみがあったかどうか、真実を確認するのが怖いという話なんじゃないですか。今の政府の答弁を聞いていても、そうとしか聞こえないですよ。結局、掘らないというのは、真実を隠したい、これだけじゃないですか、石井大臣。違いますか。

石井国務大臣 先ほど答弁したとおりでございます。

宮本(徹)委員 それでは国民は絶対納得しない、真実を隠したい、ごみがないと証明されることが怖いんだということを言わざるを得ないと思います。

 きょう、会計検査院にも来ていただいております。

 森友学園への国有地払い下げの値引きの妥当性を検証されていると思いますが、九・九メートルまで試掘するというのも私は重要なツールの一つではないかと思いますが、お考えを聞かせていただけるでしょうか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの国有地の売却につきましては、去る三月六日に参議院予算委員会から、国会法の規定により、「学校法人森友学園に対する国有地の売却等について」との検査の御要請をいただいたところでございます。

 具体的な検査の内容としては、大阪府豊中市の国有地の貸し付け及び売却の経緯、貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性、当該国有地の貸し付け及び売却に関する行政文書の管理状況の三事項とされたところでございます。

 御要請を受けて、会計検査院は、三月七日に、会計検査院法の規定に基づき、当該検査を実施する旨を参議院議長宛てに通知申し上げたところでございます。

 現在、検査を実施中の個別の事項に関する検査手法についてお答えできないことを御理解いただきたいと存じますが、会計検査院といたしましては、御要請をいただいた本件国有地の売却等につきましては、多角的な観点から適切な方法で検査を実施してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 多角的な観点からと。この問題をはっきりさせるためには、やはりごみが九・九メートルまであったかどうかをはっきりさせるというのが値引きの妥当性を検証する上でどうしても必要なことだと思いますので、予算も確保していただいて掘る、はっきりさせるということも含めて検査していただきたいと思いますので、御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 次のテーマに移ります。国交大臣、石井大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

 次に、教育勅語についてお伺いをいたします。

 配付資料を見ていただきたいと思います。これは、塚本幼稚園の新理事長が出された新しい声明でございます。

 この中で、これまで教育勅語の暗唱だとか自衛隊行事への参加ということをやってきたわけですけれども、これは改正教育基本法の愛国心に基づいてやってきたけれども、今後はその考え方を見直す、そして、一九四七年の旧教育基本法で定めた、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を念頭に置いて、内容、カリキュラムを見直すというふうに言われております。つまり、塚本幼稚園自身は、体制がかわったもとで、教育勅語の暗唱を見直す方向を打ち出しているわけです。

 ところが、その一方で、先週末の閣議決定でこういう答弁書を安倍政権は出したわけですね、憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語について教材として用いることまでは否定されることがないと。この意味を私はきょう確認したいと思っています。

 大臣御存じのとおり、戦後、衆議院の教育勅語の排除の決議では、教育勅語についてこう言っていますね。根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損ない、かつ国際的信義に対して疑点を残すものとなる、こう書いてあります。つまり、教育勅語は徹頭徹尾主権在君、天皇から国民への道徳を守れという命令であって、国民主権を定めた憲法に反していると思います。

 きょう大臣にお伺いしたいのは、教育勅語の中で憲法に反しない部分というのは一カ所でもあるんでしょうか、その点を確認したいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 委員の方から、この内容に関して一カ所でも反しない部分があるかということでございますが、教育勅語に対しては、文部科学省の見解は、日本国憲法及び教育基本法の制定等をもって法制上の効力が喪失しているということでございまして、どの部分が憲法に反するか反しないかに関しての判断を文部科学省においてするものではないと考えております。

宮本(徹)委員 驚いた答弁ですね。だって、閣議決定で、憲法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではないと言っているんですよ。憲法に反しないような形で教材として用いることが否定されるものではない。だから、憲法に反するような形では使っちゃだめですよと言っているんですから、憲法に基づいて、これが反しているのか反していないのかとはっきりさせないと、こんな答弁書を閣議決定できるはずがないじゃないですか。

 一カ所もないんじゃないですか、憲法に反しない部分は。はっきりさせてくださいよ。憲法に全て反している、憲法に反しない部分は一カ所もないと思いますよ。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございます。どの一文をもってこれが憲法に反するか反しないかという解釈権の問題については、文部省が解釈権を持っているわけではないというのが先ほどの答弁の趣旨でございます。

宮本(徹)委員 それでは、そういう答弁だと、結局、先週の閣議決定された答弁書の、憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではないというのは、実践のしようがないじゃないですか、実践のしようが。

 もちろん我々、歴史教育の中で、戦前の教育の間違い、戦前、ああいう戦争に向かっていく中で、教育に関する勅語やあるいは軍人勅諭が国民を思想的に動員するものになった、こういう反面教師の材料として使う、扱うというのはあり得る話だと思いますよ。だけれども、それ以外のやり方で、教育勅語に、どこかこの中に一文でも、きょう資料でもつけていますけれども、憲法に反しないところがあるということを考えていたら大問題だと思うんですね。その点はどうですか。

松野国務大臣 今回の閣議決定した答弁書において、憲法や教育基本法に反しない形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されるものではないという答弁でございます。ですから、今の話のとおりでありますけれども、憲法や教育基本法に例えばその内容自体が趣旨として反するものであっても、要はそれの教え方がどうかということがポイントだということでございます。

 例えば、教育勅語の全文または一部が、もう既に中学校の社会科の教科書や高等学校の歴史科、公民科の教科書において歴史的事実を学ぶための参考資料として掲載されているところであります。これは、各学校、児童生徒が我が国の歴史についての理解を深める観点からその資料を使っているわけでありまして、そういった用い方、教育指導の内容においてこれらが教育勅語を教材として用いることには問題がないというのが今回の答弁書の趣旨でございます。

宮本(徹)委員 つまり、戦前の教育がおかしかったという歴史的事実を学ぶ材料として使うのは今でもやっていることだ、そういう意味以上のものではないということですね。その範囲なら、それは当然のことだと思いますよ。

 ただ、先ほど来、教育勅語の内容について憲法に反するかどうかという点についての答弁は避けられ続けているわけですけれども、もし、教育勅語の中にどこか一カ所でも憲法に反しない部分があるかのような解釈をもってこれを教育現場で教えるということになったら、私は、戦前の二の舞ですし、昨年度までの塚本幼稚園のような教育を広げていくという過ちにつながっていくことを厳しく指摘しておきたいと思います。

 もう一点、きょうは稲田大臣にも来ていただきました、籠池氏への累次にわたっての防衛省からの感謝状についてお伺いしたいというふうに思います。

 籠池氏に防衛大臣感謝状が贈呈された理由は、海上幕僚長が出した上申書によりますと、将来の青少年への防衛思想の普及、ここに功労があったということでございます。

 きょう、資料を配っています。資料の三をごらんいただきたいと思います。籠池氏が園長を務めている塚本幼稚園の児童が、自衛隊が支援している行事に参加したものの一覧でございます。

 これを見ればわかりますけれども、毎年、海軍慰霊祭というものに参加しております。ここで塚本幼稚園児がセレモニーの一環として教育勅語の唱和を行っていることは、塚本幼稚園のホームページにも、そしてこの資料の下にも書いてありますように、水交会、自衛隊OBなどが入っております団体であります水交会のホームページにも記載をされております。そして、そこにありますように、海軍慰霊祭には、自衛隊の儀仗隊、それから幹部の皆さん、呉地方総監、阪神基地隊司令、あと、この資料に出ていませんけれども、近畿中部防衛局長なども参加しております。

 稲田大臣にお伺いしますけれども、自衛隊が支援するこうした行事で幼稚園児が教育勅語の唱和を行うということについて、幹部の皆さんも行事に参加されてきたわけですが、誰一人としておかしいと思う人はいらっしゃらなかったんでしょうか。

稲田国務大臣 まず、委員御指摘の行事ですけれども、それは部外の団体が主催したもので、防衛省・自衛隊が参加した行事に塚本幼稚園の園児が参加された十四件のうち、十三件の行事に海上自衛隊呉地方総監や阪神基地隊司令が参加していることを確認いたしております。

 その上で、塚本幼稚園の園児が参加した当該十四件の行事の中で塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っているか否かについて関係者への聞き取りや残されている資料の確認をいたしましたが、現時点で、塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っていたことを確認はしていない、これは前回も外務委員会で御答弁をしたとおりだと聞いております。

 いずれにいたしましても、部外の団体主催の行事の内容について防衛省としてお答えする立場にはなく、お答えは差し控えたいというふうに思います。

宮本(徹)委員 部外、部外と言いますけれども、水交会というのは自衛隊のOBの皆さんがつくられている団体で、自衛隊が相当支援しているわけですね。儀仗隊だとかラッパ隊だとか、みんな一緒に参加してやっているわけですよ。幹部の皆さんも参加しているわけですよ。全く無関係の団体で、何かどこかのセレモニーにちょこっと行ったという話じゃないんですね。毎年のように自衛隊が部隊まで派遣して、儀仗隊やラッパ隊まで派遣して、幹部の皆さんも必ず行くようにしているこの海軍慰霊祭の行事の話を聞いているわけですね。そこに毎年、位置づけて参加されているわけですね、自衛隊の幹部の皆さんも。承知していないという話じゃないと思うんですね。

 先ほど、聞き取りを行ったと言いますけれども、聞き取りすればわかるはずですよ。ホームページにも教育勅語を唱和する様子というのは動画でも出ているわけでありますし、日報問題と一緒ですよ。大臣がちゃんと調べろということをやれば、すぐわかる話だと思いますよ。ちゃんとこれを調べさせてくださいよ。

稲田国務大臣 当該十四件の行事の中で塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っているか否かについて、関係者への聞き取りや残されている資料の確認をいたしました。ホームページに記載されていることは承知をいたしておりますが、現時点で、関係者への聞き取り、残されている資料等において塚本幼稚園の園児が教育勅語の唱和を行っていたことを確認はしていないということを申し上げているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、これらは部外の団体が主催した行事であって、他の参加者が行う内容について防衛省としてお答えする立場にはないことを申し上げているということでございます。

宮本(徹)委員 ですから、ホームページは承知しているというお話なわけですよ。ホームページには出て、世間の公然とした事実になっているのに、防衛省の職員に聞いたら、そんなものは知りませんと。何か、この間の陸上自衛隊の日報問題と同じじゃないですか。世間はあるんじゃないかということを言って、今報道されているわけですけれども、聞き取りをやっても、ないないないとみんなが答える。同じことが起きているじゃないですか。

 これはちゃんと調べさせることが必要だと私は思いますよ、稲田大臣の責任で。どうですか。

稲田国務大臣 まず、日報に関しては、私の指示で、用済み後廃棄としたものを探して公表したわけでございます。しかしながら、今、報道を受けて、特別監察をして徹底的に事実調査をしている、まさしくそういう段階でございます。

 この十四の行事に関しては、自衛隊・防衛省ではなく部外団体が主催した行事に、また他の参加者が行う内容について防衛省としてお答えする立場にはないということを申し上げているところでございます。

宮本(徹)委員 調べようともしないというのは、本当にひどい話だと思いますよ。

 結局、教育勅語に対する認識が、稲田大臣自身がこれはすばらしいものだと心の中で思っているから、そういうかばうような甘い対応になっていくんじゃないですか。一大事があれば天皇のために命を差し出せということを自衛隊支援行事で幼稚園児に暗唱させてきた、これを防衛思想の普及だといって、防衛思想の高揚だといって感謝状を出してきたわけですよ。

 最後に一問だけ聞きます、時間ですので。なぜいまだに感謝状を取り消さないんですか。

玄葉委員長 稲田防衛大臣、時間なので簡潔で結構です。

稲田国務大臣 籠池氏に関しては、現在、国会における議論がなされ、またさまざまな報道等がなされているところでございます。本件については、籠池氏に関する事実関係を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 結局、いまだに取り消さないのは、教育勅語の問題を大臣自身が擁護している姿勢があるからだと厳しく指摘して、質問を終わります。

玄葉委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 本日も、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、冒頭でありますけれども、先ほどから報道の話が出ておりました。決算四年分、衆議院で未議決ということであります。ちょうど、今まで停滞しているというときであればこれも効いたのかなと思いますけれども、先般から行政監視については参議院にもない動きをこの場でさせていただいている。何代前かわかりませんけれども、谷畑委員長時代に、もう五、六年前でしょうか、衆議院では非政策的質疑というイギリス型の、大臣、副大臣といった政治家による質問よりも、やはりこれからは決算においては役所とやりとりする。

 以前も、非常に恥ずかしいことでありますけれども、四年前は三年分一括審議というのをした。そのときなんかでも政府側と、そして、政権交代をしているので、それを決めたのは当時の民主党じゃないかというような話になりかねない話も多い。

 我々はこれから新しい文化をつくっていかなければならないと思いますし、こうやって動き出してはいるんですが、先ほどの理事会でも、今国会で二十四、二十五、二十六、二十七を上げられないんだったら閉中審査でもやろうじゃないかという声が与党、野党の間から、これは党派関係なくこういう話が出ていた。

 これを議事録に残しておくことも私は重要かと思いますので、その点、後刻理事会での協議をお願いしたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

玄葉委員長 ただいまの件につきまして、理事会でしっかり協議をしたいと思います。

松浪委員 ありがとうございます。

 先ほど共産さんも野党からやるべきだと言ってきたと言いますけれども、やはり野党の側も大臣を出せとか、そういうところでスタックしてきたのがこの決算委員会だと思いますので、このあり方も含めて改善をしていくべきだというふうに思います。

 個人的には私は、予算委員会の裏で副大臣で動かす、総括で総理にお出になっていただく、こうした切り分けで最低限いいのではないかなと思いますけれども、こうした論点のもとに今後は決算審議を行っていくようにお願いしたいと思います。

 それでは、質疑の方に入らせていただきます。

 一問目は、特に平成二十七年度決算においてであります。

 平成二十七年度決算、会計検査院からの指摘が約一・二兆円あって、そのうちの約一・一兆円が預金保険機構の金融機能早期健全化勘定についてであります。

 一・二兆円のうちの一・一兆円なんですけれども、私は参議院での議論も読ませていただいて、衆議院の青柳議員も以前一度質疑をされている。どれを見ても一往復ぐらいでありまして、なかなか一・一兆という大きな額の割には議論がされていない。

 なぜかなと思いますと、報道ベースでは正直言ってこの一・一兆円は埋蔵金だと言われた、麻生大臣はこれは埋蔵金ではないというふうにおっしゃっている、これはどちらともとれる部分があるのではないかなと思います。

 実際、会計検査院が今回、会計検査報告書を出しているときも、これもなかなか興味深いわけでありますけれども、何と、金融機能早期健全化勘定に係る余裕資金の活用については、金融庁の見解というもの、つまり会計検査院が自分が調査した金融庁の言い分というもの、私はこうして切り抜きを持っていますけれども、これを会計検査院は載せてきた、それだけに一概にこの問題をばっさりと切ることが難しいという問題だと思います。

 私は個人的にはこの問題は、余裕資金という、税金の無駄遣いとは言えないと思いますし、逆に単に埋蔵金と言うのも難しい、一種の埋蔵金というのが実際の位置づけであろうというふうに思います。この問題、金融危機を端緒にして議員立法でなされている、それがために、法改正するにしても金融庁側もちょっとさわりにくいところがあるのではないかなというふうに思うわけであります。

 こうした中で、特に話をややこしくしている問題が一点あろうかと思います。

 今まで発行した機構債もほぼ完済されているわけでありまして、これまで機構債もほぼ完済されているし、損失も確定してきているわけであります。ここでこれをややこしくしているのは、東日本大震災のときに六つの協同組織金融機関向けの特例というものが行われた。結局、これを後で入れてきたことによって、解決が図られてから余裕資金を国庫に返すということが法律に明記されているがために、勘定が終わらないから返すに返せない、国庫に返せないという現状が続いているというふうに思うわけであります。

 そこで、まず金融庁に伺いたいのは、六つの金融機関向け特例について伺いたいと思います。現状についてお願いします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、金融機能強化法附則第十一条に定める特定震災特例協同組織金融機関に係る経営強化計画等の特例に基づきまして、六つの金融機関、これは四つの信用金庫と二つの信用組合でございますけれども、これに対して平成二十四年一月から二月にかけて合計九百九十億円の資本参加を実施いたしました。

 これらの金融機関の平成二十八年三月期の決算におきましては、いずれの金融機関におきましても当期純利益が確保され、これまでのところ、利益剰余金は合計三百十五億円ということで順調に積み上がっております。

 現在のところ、公的資金の返済について懸念が生じている金融機関はないというふうに考えております。

 引き続き、金融仲介機能の発揮、金融システムの健全性を確保する観点から、金融庁といたしましては、資本参加金融機関における収益性、財務の健全性の維持向上のための取り組み等をモニタリングしてまいりたいというふうに考えております。

松浪委員 今お答えにもありましたように、余裕資金というか余剰資金は一・六兆円程度にまで回復している、以前、金融危機のときに金融機関が自分たちで借りたお金をこれだけ余り余って積み上げてきた、このことは私はすばらしいことだと思います。一方で、今おっしゃったように、六つの機関に対する特例はほとんど心配ないところまで来ていますけれども、その分のペイオフコストを考えたとしても、まだこの一兆一千億が残ってくるというわけであります。

 ですから、剰余金を国庫に納付できない理由というのはもう明らかだと思うんですけれども、もう一度御説明をお願いいたします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 早期健全化勘定の剰余金について現在国庫納付ができないというのは、金融機能早期健全化法上、同勘定の廃止時に国庫納付するという規定があるからでございます。

 現在、早期健全化法に基づく業務につきましては、新生銀行株式の管理業務でありますとか、金融機能強化法の震災特例の損失負担に係る業務といった業務が継続しているところでございます。

 当該剰余金は預金保険機構において適切に管理されておりますけれども、こういった早期健全化法上の規定に基づきまして現在国庫納付はできないということでございます。

松浪委員 つまり、当面これを廃止することはできないわけでありますので、我々はまた次の方法を考えないといけませんけれども、積み上がっている剰余金、今この剰余金が埋蔵金だと言われるゆえんは、やはり活用がなかなかなされないからだと思うんです。剰余金の運用は今どのようになっていますか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 預金保険機構の業務上の余裕金につきましては、預金保険機構の規定によりまして、国債等の有価証券や金融機関への預金等により運用することとされております。

 早期健全化勘定の利益剰余金は、これまで国債による運用が大宗を占めておりました。足元では、現下の金利情勢等を踏まえまして、日本銀行当座預金への預け入れとしているというふうに聞いております。

松浪委員 つまり、このマイナス金利下では、国債とか、ほとんどブタ積みになっているというのが今の現状だと思います。

 結論的に申し上げて、冒頭にもこれは議員立法ででき上がったということを申し上げました。

 金融庁は、冒頭に申し上げた、金融機能早期健全化勘定における余裕資金の活用についての見解というのを会計検査報告にも載せているわけであります。

 まさにそこで書かれていることは、二十七年度末現在でありますけれども、金融再生勘定、区分経理でありますけれども、当時の金融国会で金融再生法という法律が同時につくられております。この金融再生法では破綻した金融機関の事後処理のための金融再生勘定を設けている、これがマイナスになっている。一方、早期健全化法は、金融機関に対する事前予防的な資本増強の目的で当該の今の勘定がつくられているということで、私はこれは表裏一体の、一体的な面があろうかと思います。

 こうしたことを考えると、当面、今のままでは金融機能早期健全化勘定が廃止される見通しが立たないために、法の定めにより巨額の余裕資金を国庫に納付することができないというところが一方である。一方、やはりこれは議員立法ですので、この裏表は、ほとんどの損失も確定しているので、議員立法では、私はやるべきだと思いますけれども、政府のところではやりにくいと思うんです。そこで、私も一度議員立法を考えてみたい、法制局と詰めてみたいとは思いますけれども、その前に、立法で解決するにはどのような課題があるのか。これは事務方に、どういう課題があるのか伺いたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたように、早期健全化勘定の剰余金は、法律上、この勘定の廃止時に国庫納付することとされております。

 この早期健全化勘定の剰余金の取り扱いに関して勘案すべきところとしては、まず、一部の勘定の現状のみに着目するものではないということ、平成金融危機への対応を進める中で、預金等の全額保護のため約十・四兆円という巨額の国民負担が確定しているといった経緯があること、預金保険機構の金融再生勘定に委員御指摘のように欠損金あるいは含み損等が発生していること、それから金融資本市場の状況等によりその含み損等は変動することなどを踏まえまして、総合的に検討していく必要があるというふうに考えております。

松浪委員 御答弁はいつも総合的、総合的とあるんですけれども、総合的とお答えになって迅速に物が動くことというのは私は余り見たことがないわけであります。総合的は否定しませんけれども、やはり迅速に、金融再生勘定とこの勘定、そして十兆四千億、これはもう戻る当てはなかなか難しいと思いますので、やはりそこは政治決断で、与野党のコンセンサスを得てやるべき課題かなということをこの委員会で申し上げておきます。

 今、一・一兆円という大きな話を伺いましたけれども、次は、預金者保護における問題を伺おうと思います。

 といいますのも、私、この間ある方から伺って、ある会社が盗難に遭った、印鑑と通帳を盗まれた、別々に保管している印鑑と通帳をですね。これを大手銀行、メガバンクにその盗んだ人たちが持っていったところ、普通、個人の預金は預金者保護法で今は全額保護されるわけであります。よほど注意義務を怠っていない限り保護されるわけですけれども、法人というのはそうではない。個人で行っても大体、免許証を出してくださいとか、かなりのチェックがあるんですけれども、何とノーチェックで億単位のお金がぽんと、盗みに入った犯罪者に持っていかれたというんです。

 銀行窓口対応というのは、法人の場合はこんな簡単なことで、ほぼノーチェックで、私がここの社長ですと言って身分証明書も出さずに、印鑑とこれだけで数億をすっと動かす、こんなことに銀行は何の瑕疵もない、こういうことが言えるのかどうか、伺います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これは法人における本人確認に関する関連の分野だと思いますけれども、犯罪収益移転防止法という法律がございます。この犯罪収益移転防止法におきましては、銀行は、預金契約の締結すなわち預金口座の開設を行う際には本人特定事項を確認しなければならないと規定されております。一方で、その後に預金の引き出し等の取引を行う場合には改めて本人特定事項等の確認を要しないというふうにされております。

 法人の場合は、本人特定事項は名称及び本店または主たる事務所の所在地でございますし、そのときに本人を確定する本人確認書類は登記事項証明書あるいは印鑑登録証明書等でございます。ただし、犯罪収益移転防止法の施行令及び施行規則におきまして、取引の相手方が個人顧客あるいは法人顧客の取引の任に当たっている自然人に成り済ましている疑いがある場合においては、本人特定事項の確認の方法とは異なる方法によって確認を行うものという規定がございます。

 施行規則で具体的にどういった確認を行うのかということが書かれておりまして、法人顧客の場合であれば、委任状や取引の任に当たっていることを証する書面の提示を求めたり、あるいは銀行から法人顧客に電話をかけ取引の任に当たっていることを確認することになっております。

 金融庁で規定しております監督指針でございますけれども、この監督指針におきましても、盗難通帳等による預金の不正払い戻しを防止するために、窓口での預金の支払い等に当たっては必要に応じ取引時確認を行う態勢が整備されているか等を規定しております。

 引き続き、預金引き出しに当たっての確認を徹底するよう指導してまいりたいというふうに考えております。

松浪委員 では、今私が申し上げた件については、やはりその規則については明らかに瑕疵がある、違反しているような状況になるのかということを伺います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の事実、個別事案に基づきまして具体的に見ていかないと、こういった規定に実際に当たるのかどうかというのが何ともお答えしがたいのでございますけれども、いろいろと金融機関等に実務はどうなっているのかという話を聞きますと、通常の例えば企業の会計の担当者の人間が引き出しに来るという場合は問題がないわけでございますけれども、それ以外の人間が来て預金通帳であるとか印鑑を持ってきた場合というのは、これはやはり先ほど申しました法人顧客の取引の任に当たっている自然人に成り済ましている疑いがあるというふうに考えられる場合があるのではないかなというふうに考えられますので、そこら辺は個別の事案に基づいて適用を考えなければいけませんけれども、もしそういう具体的な事案があるのであれば、そこについてはきちっと検討していかなければいけないというふうに考えております。

松浪委員 今委員の皆さんからも、こんなのは処分に値するというお話も出ていますけれども、まさに私は、テロ等準備罪とか今言われている中でこうした犯罪が行われるのであれば、こういうことはしっかりと指導していただく必要があろうかと思います。

 通告をたくさんしていたんですが、ちょっと厚労省にも伺おうと思っていたんですが、先に国会での取り組みについて伺おうと思います。

 日本維新の会では今ペーパーレス化ということを行わせていただいておりまして、部会の資料というのが紙では一切出ないようになっています。当初は各省庁も、こんなのを一々電子化するのか、維新のためだけにということだったんですけれども、今は逆にこれは楽ちんになっていまして、我が党の部会に来るとプロジェクターにデータを移すだけでいいということになっています。

 これは使う側にとっても便利がとてもいいものでありまして、今までであれば一国会終わると資料を全部捨てたりということをしないといけなかったんですけれども、部会ごとに日付と、どの省がどのような法案を出してきたか、また、法案の資料もよく、こんな太い資料もありますよね。何かこれで体でも鍛えるのかというぐらい重い本もあるわけでありますけれども、そうした太い資料もこれに入れておくだけでアクセスできる、大変便利がいいということがあります。

 こうしたことで、きょう、「議案類印刷費 予算・決算額等調」を衆議院にお出しいただきました。こうした法案と行政の資料というのを、立法府と行政府はありますけれども、同じような形で共有できるようにすれば、恐らく自民党の先生方も部会の資料を、下に行ったらピジョンボックスにあって、きょうのがあったから、出ていないのをこれでもらっておこうなんということもあるかと思うんですけれども、非常に便利になるわけでありますし、これはコストだけの話ではないですね。やはりエコロジーという点で、膨大な無駄な紙がこの国会から消えていくというのも一つであろうかと思います。

 そこで、衆議院に伺いますけれども、こうした改革というのを衆議院の中でこれから検討していく、また試算していくというような取り組みはどのようにすればよろしいんでしょうか。

向大野事務総長 お答えさせていただきます。

 先生おっしゃるとおり、ペーパーレス化というのは世の中の趨勢になっているんじゃないか、これは我々も認識しております。

 ただ、議案類につきましては、配られている資料にあると思うんですが、多くは印刷配付するということが法規上、規則とか国会法で定められておりますので、どうしてもなかなか事務局限りでは済みませんので、当然これは議運の理事会でしっかり協議していっていただければと思っております。

 以上です。

松浪委員 まさにそのような答えが返ってくるということは予想がされたわけでありますけれども、これはまた、我が党の遠藤国対委員長も、二十八日の日ですか、議運の理事会でも提起をしているということであります。このペーパーレス化はまさに法にかかわる問題ということで、我々議員がこれを変えていかなければならないというふうに思うわけでありますし、この努力はこれからしっかり続けさせていただきたいというふうに思います。

 今、事務総長にお答えをいただきました。私も知らなかったんですけれども、事務総長のお給料というのは事務次官よりもまださらに上だということでありまして、まさにこの権威ある衆議院の合理化というのは衆議院の権威にもかかわるものであると思いますので、また各党の先生方もこれからこの課題を各党に持ち帰っていただいて、議運の担当者に国会改革も、無駄遣いとか、まさに政府が二十九日の経済財政諮問会議で行政面ではIT化を進めて行政コストを二割削減していこうという時宜を得た提案をされていますので、それに対応して衆議院もしっかりと合理化していただくことをお願い申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

玄葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。神田憲次君。

神田委員 お疲れさまでございます。自由民主党の神田憲次でございます。

 本日は、質疑の時間をいただきまして、委員長初め理事の先生方に心より感謝申し上げます。また、答弁対応ということでございまして、国税庁の飯塚次長と総務省の林崎自治税務局長にお運びいただいております。いつもありがとうございます。

 本日は、決算行政監視委員会での質疑ということでございまして、原点に立ち返りまして、決算審査の意義に関する問題意識から始めさせていただきたいと存じます。

 いわゆる公会計の立場からするならば、予算は、国民から委託され、国会が認めた行政による国政の運営計画であります。であるからこそ、国の予算審議は非常に重視されるわけです。まさに、哲学や理念を含めた国家運営の本質を問いかける質疑であるわけですから。

 ところが、その一方で、決算は国政の運営実績と言われております。予算執行の結果が決算でありますから、決算には予算編成や執行の結果を評価する意義があると思います。一般経済で言うところの決算すなわち企業業績などに比べると、国家運営の指標としての役割は目立たないと思いますが、予算執行の受益者であり、税金という形で資本を提供している国民の立場から見ましたら、この決算が妥当なものであったのか否かを国会で審議すること、これはまさに国政の運営が適切であったかどうかを判断し次の予算に反映させるという重要な意義を持っているはずです。

 予算審議にせよ、決算審議にせよ、ことしは何だか違う問題ばかりに審議時間を使ってしまって、私自身も地元で、真摯に国を思う方であればあるほど、国政の本筋から道を踏み外すなとか、何だか今度の国会はがっかりだというようなお話をお伺いするし、厳しく叱責をいただいているところでございます。もっともな話なんだと思います。

 決算行政監視委員会では、ぜひ本論に立ち返りまして国政の運営実績としての決算の審議を続けてまいりたいと考えておりますし、会派を問わずそうあってほしいと思う次第です。

 先ほど、決算は予算執行の結果の検証であり評価であると申しましたのですが、本日は、予算のうちでも、歳入、特に税の徴収について御質問いたしたく考えております。

 まず、地方税の電子申告制度、eLTAXの件ですが、平成十五年からシステムの開発が始まりまして、平成二十二年四月には全国千八百の自治体が全て接続を完了しまして、現在は国税の電子申告、e―Taxとも接続されまして、制度として定着してきたなと感じている一人であります。この電子申告は事務コストの削減ということで非常にいいことであると思いますし、またこれを地道に進めてこられた方々の御努力もあったからこそと敬意を表するものであります。

 そこで、実は、ことしの確定申告から大きな変化がございました。それはマイナンバーなわけです。マイナンバーの添付義務、提出が必要になったわけであります。

 このマイナンバーのせいなのかどうかわかりませんが、あるいはふるさと納税が人気沸騰のせいなのか、そこのところの本質的な理由はわかりませんが、ことしの一月三十一日は、十一月決算法人の確定申告、また五月決算法人の中間申告、さらには給与支払い報告書の提出、それから償却資産税、固定資産税の申告と、四つの締め切りが重なる日でして、こんな重なる日にeLTAXのシステムダウンが発生しました。既に報道もされておりますが、長いところですと数日間、電子申告による申告が受理されたかどうか、申告した側、納税者側にわからない状況が続きました。

 私自身も、二月二十二日の予算委員会の第二分科会でこの件について質問をさせていただきました。あのときも林崎局長に御答弁いただきましたのですが、事態は進行中ということもありまして、データの未達の申告情報も追って到着するであろうといった、まだはっきりしない中での予想だったわけですが、このところの状況を見ておりますと、どうもそういう状況じゃないんじゃないかなという心配がございまして、一度きちんと状況を確認させていただきたく思っております。

 状況の把握ということでは、二月十日に、システムを運用する地方税電子化協議会が事態を分析した報告書を公式ホームページで公表しております。これによりますと、予想を超えたアクセスがeLTAXに集中したことによって、あらかじめeLTAXに設定されている負荷上限を超えたためと発表された文中にはございます。

 実際にどのようにアクセスが集中したのか、事実関係を具体的に御説明していただけますでしょうか。そして、解決に向けてはどのような対応をとったのか、また来年以降同じような混乱が生じないのか、どのような策を講じているのか、御説明いただけたらと存じます。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたように、今般、eLTAXにおきまして、一月二十七日以降、アクセス集中とシステム障害が生じまして、二月一日午後までの間、電子申告などがつながったり、つながらなくなったりという、一時的につながりにくい状況となったと承知しているところでございます。現状は、それらの問題は改善しまして、安定的に稼働していると承知しております。

 eLTAXのアクセス集中の原因、先ほども御紹介いただきましたけれども、給与支払い報告書の提出また償却資産申告書等の申告期限が一月末ということもございますし、加えて今年度から、これもまた先ほど御紹介いただきましたが、給与支払い報告書へのマイナンバーの記載が始まったということで、その確認作業等があったのかと思いますが、例年に増して提出期限間際のアクセスが増加した、これが原因ではないかというふうに私どもは考えているところでございます。

 企業や税理士を初めとするeLTAXの利用者の方々に御迷惑がかかったこと、これは地方税制度を所管する総務省としても大変遺憾であると考えているところでございます。

 このeLTAXでございますけれども、改めて御紹介させていただきますが、全地方公共団体で運営されている共同システムということで、地方税電子化協議会というところがその運営主体となっておりまして、一義的には同協議会が責任を持って対応すべきものということでございます。

 そうした中で、同協議会におきまして今回のふぐあいの原因を究明いたしまして、それに対する対応策として、利用者のパソコンとeLTAXが同時に通信を行うことができる最大上限の引き上げ、それからシステムを構成しております一部の通信機器の設定の変更など、必要な対策を講じたと承知しているところでございます。

 私どもとしても、このようなふぐあいが今後生じることがないよう、これまでに講じられた対応策に加えまして、通信機器の増設など、来年度以降に向けて万全の再発防止策を講ずるよう、同協議会に対して申し入れを行ってきているところでございます。

神田委員 御答弁ありがとうございます。

 二月の予算委員会の質疑の際にもお願い申し上げたことではございますが、ぜひ、二度とこのようなことが発生しないように対策を講じていただきたくお願い申し上げるものです。

 今御答弁にもありましたように、予想を超えたアクセス集中ということでございましたのですが、そもそも、先ほど申し上げましたように、締め切りが四つも重なっているということ。振り返ってみますと、もともとばらばらに分散していた四つの締め切りを一月三十一日に集約したということの趣旨、これには、申告のうっかり忘れがないように納税者の意識を高揚させることにあるんだと思いますのですが、こういった形の集中をさせますと、物理的にも技術的にも弊害が生じることも否定できないと思います。

 恐らく、こういった事務に携わる関係者の方々は、この時期になると、その分量の多さ、煩雑さ、これらの事務に本当に気が重くてしようがないといったようなことになるのかと思います。一部自治体では、今回の事態を受けて、条例の定めをもって償却資産申告書の期限を後ろにずらした自治体もあると聞いております。一度集約したものをまたずらすということですから、制度にはなじまないのかもしれませんですが、集中している各種申告期限を分散することについてはいかがお考えでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 特に、今回、今御議論いただいておりますeLTAXへのアクセス集中がふぐあいの原因の一つであるということでございますので、まずは早急にeLTAXのシステムをアクセス集中にたえられるものとすることが必要だということで、eLTAXの運営主体でもある地方税電子化協議会に対しまして私どもの方からも申し入れているところでございますが、今御提案のございましたeLTAXへのアクセス集中を緩和するという観点から各種申告の期限をずらすということは、一つの意味あるアイデアだなというふうに考えるところでございます。

 ただ、申告期限のあり方は、住民税や固定資産税の賦課決定の時期といった地方団体の課税実務に影響するものでございますので、地方団体の意見も踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。

 委員からは、今も御紹介がございましたように、二月二十二日の予算委員会第二分科会でも、電子申告の受け付け時間を二十四時間三百六十五日に拡大してはどうかといった御提案もいただいているところでございまして、これらの御提案も含めまして、地方税電子化協議会と十分協議しながら、今後研究してまいりたいと考えているところでございます。

神田委員 御答弁ありがとうございます。

 実務的にはもう少しいろいろなところに余裕ができるといいんですが、これはあくまでも私見ということで。

 ただ、締め切り日が集中しますと、当然のことながら特定日に集中して、先ほども申しましたように事務量がふえて、地方自治体の関係職員にとっても大変だろうなと思うわけです。さらには、残業代を初め各種事務コストもふえるのであろうということは予想にかたくないわけです。それが正直な感想であります。

 二月の段階で質問させていただいたときにはまだはっきりしないところもあったわけですが、現在、税務の専門紙などでは、一月三十一日、月末のサーバーダウンの際に、データを送ったはずのものが受理されず、納税者側、申告者側はデータを送ったつもりで安心している、しかしながら地方公共団体側ではきちんと受理できていない法人が相当数あるというふうに報道されています。

 どういうことかと申しますと、システム上、申告自体をしていない未申告法人と同じ分類に含まれてしまっておりまして、地方公共団体側では、どの法人が申告したのにデータが未達なのか、そもそも申告自体をしていなかったのか、自治体側ではわからないわけであります。申告側である法人側にもデータが未達である自覚ができておりません。

 そういうおそれがあるようですが、地方税当局としてはどのような対応を考えて、また実際に行っておられるのでしょうか。この場合に十分注意しなければいけない点は、申告側、納税者側に瑕疵はないわけですから当局の側から気づきを促さなければならないと思いますのですが、どういった形で未達の法人に対して督促、促しておるか、できるだけ具体的にお教えいただければと思います。

 ここでまた、一番問題となりますのが、今の段階で申告が未達ということになってしまいますと、五月末までに、おおむねそれぐらいの時期だと思いますのですが、発送されるはずの住民税の特別徴収の税額通知が間に合うのか否かというおそれですね。率直に申し上げて時期的に大分厳しいと思いますのですが、現実に間に合うのか否か。

 また、間に合わなかった場合には当然、一回当たりの税額通知が高額になる、税金の額が上がってしまうということにもなると思いますから、こちらについてはどのような対応を考えておられるのか、教えていただけますでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今御紹介がありましたとおり、eLTAXにふぐあいが生じた間に給与支払い報告書などの電子申告を行った際に、申告ソフトによっては利用者が電子申告が完了したかどうかが適切に確認できない事象が発生し、結果的に市区町村に到達していないというケースがある旨、市区町村などから地方税電子化協議会に対しまして報告されたということを承知しております。

 ソフトは何種類かあるんですけれども、そのうちの一つと聞いておりますが、その申告ソフトでは今申し上げたように確認できないということのようで、その他のソフトを使った場合は確認できるということのようでございますが、そういう状況でございます。

 eLTAXは、先ほど御紹介しましたとおり、地方団体全体で運営している共同システムでありまして、同協議会が対応を今図っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、市区町村に対しまして給与支払い報告書が到達していないと思われる企業、例えば去年電子申告をしたけれどもことしは来ていないとか、あるいは昨年一年間中に設立されたという届けが出ているんだけれどもまだ来ていないといったようなところでございますけれども、そのような企業につきまして再提出の要請などを行うように協議会から市区町村に対して求めているというのがまず一つ、それから、日本税理士連合会を通じまして、税理士の皆さん方に対しましても、市区町村から再提出の要請が来るといったような場合につきましての理解を求めているという状況でございます。

 先ほど御指摘があったとおり、給与支払い報告書は本年五月に市区町村から特別徴収義務者に対して送付されます税額通知の基礎となりますので、市区町村及び同協議会においては課税実務に影響が生じないように速やかな対応に努めていただきたいと考えているところでございます。

 総務省としましては、eLTAXのふぐあいによってやむを得ず申告等が期限までに行えなかった企業などに不利益が生じることがないように、地方団体に対しまして、地方税に係る申告の期限の延長などについて適切に処理することに加えまして、企業等の声に丁寧に対応することを要請する通知を発出したところでございまして、現在各地方団体において対応中という状況でございます。

 先ほど御指摘のあった五月の特徴通知に間に合うのかという点でございますけれども、現時点、今月の上旬から市区町村に対しまして、給与支払い報告書が到達していないと思われる企業について再提出いただくよう要請を行っているところでございまして、各市区町村において、課税実務に影響が生じないように、企業や税理士の御協力を得ながら速やかな対応に努めていただいているところと承知しているところでございます。

 仮にというお話もございましたが、現在そのような形で鋭意努力中という状況であることを御報告申し上げます。

神田委員 御答弁ありがとうございます。

 事態はまだ進行中なわけですし、当局からもきちんと御指導いただきたいと思っておりますし、くどくなりますが、二度とこのようなことが起きないように是正策を講じていただく、そしてまた今後の推移についても御報告をいただければと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、税制改正の内容についてです。

 平成二十九年度の税制改正で、上場株式の配当等について、所得税の確定申告で選択した課税方式と異なる課税方式を個人住民税の方で選択することが明確化されました。つまり、所得税の確定申告と個人住民税の課税方式が異なってもよいと明確化されたというふうに理解しておるわけですが、根拠条文としては地方税法の三十二条それから三百十三条の十三項及び第十五項関連ですね、この改正の趣旨と適用年度をお教えいただけますでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますが、上場株式等の配当等につきましては、所得税、個人住民税ともに三つの課税方式、すなわち、納税義務者の選択によりまして、一、総合課税方式、二としまして源泉徴収のみで課税関係が終了する申告不要方式、三といたしまして申告分離課税方式がございます。

 個人住民税におけるこれらの課税方式の選択は、個人住民税の申告書といったものを提出いただくことによって行うことができるわけでございます。

 この課税方式の選択につきまして、地方団体から、所得税と個人住民税で異なる課税方式を希望するため総合課税を選択した確定申告書と申告分離を選択した住民税申告書の提出があった場合の課税方式について疑義があるとして問い合わせがございましたので、私どもとしては、もともと現行法上も所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択することは許容されると考えていたところでございますが、課税現場で疑義が生じていることも踏まえまして、この点を明確化するために、関係規定の整備を行うとともに地方団体に対しまして周知することとしたところでございます。

 地方団体に対しましては、平成二十九年四月一日付の地方税法の施行に関する取り扱いに係る通知におきまして、住民税申告書及び確定申告書のいずれもが提出された場合には、必ずしも確定申告書を優先して課税方式を決定するのではなく、これらの申告書に記載された事項その他の事情を勘案して決定するものと明記したところでございます。

 適用につきましては、今申し上げましたように、私どもは、もともとこういったことができるという解釈でございましたので、そういった意味では、適用年度について、いつ以降ということではございませんが、この通知そのものは、つい先日、四月一日付で発出をしているところでございます。

神田委員 御答弁ありがとうございます。

 税務実務の経験上、このような取り扱いができるというのであれば、希望する納税者は多いと感じております。

 先ほど御答弁の中にあった三つの申告方式、申告不要制度、それから総合課税、さらには申告分離課税の三つの中から選択することができる。この三つの課税方式には、納税者の所得の多寡にもよるのですが、メリット、デメリットがあります。

 税法を含めて先月二十七日に成立したばかりですから、さらに政省令については三十一日に出たばかりですので、気が早いと思われると思いますのですが、税の専門新聞やそういった業界誌などでは早速取り上げられまして、関係者は興味津々というようなところだと思います。ただ、具体的な手続がちょっと見えてきておりませんので、そこのところで、現状で結構ですからお教えいただければ。

 さらには、地方公共団体では、ホームページ上にこの件について公表している自治体、していない自治体といったばらつきが見られます。地方公共団体への周知、それからこの取り扱いについて、どのように進めていくお考えでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択する場合には、一般的には、所得税で総合課税を選択し、そして個人住民税では申告不要または申告分離課税を選択する場合が多いと考えられるところでございますけれども、その場合は、所得税の確定申告書においては総合課税として上場株式等に係る配当等の記載をする一方で、個人住民税の申告におきまして申告不要のときには、上場株式等に係る配当等を個人住民税の申告書に記載しないで提出する。つまり、確定申告の際に総合課税を選択している、それがそのまま適用されるのではなく、申告書を提出しながら記載はしないで提出するといったやり方。それから、申告分離のときには、分離課税等用の申告書に上場株式等に係る配当等を記載して提出することによりまして異なる課税方式を選択する意思表示が可能という状況でございます。

 上場株式等に係る配当等について個人住民税において所得税と異なる課税方式が選択できると明記したこの点につきましては、去年の十二月二十二日に閣議決定されました平成二十九年度税制改正の大綱に記載されておりまして、この閣議決定につきましては私どもの方から地方団体に対して周知を行っておりますし、また、そもそもこの記載は、先ほど申し上げたとおり、地方団体からの問い合わせに答えたものでございます。

 したがいまして、課税を行う各地方団体において納税義務者に対しまして必要に応じて適切な説明が行われているものと考えておりますが、今の御指摘もございますので、改めて確認してみたいと思っているところでございます。

神田委員 ありがとうございます。

 上場株式の配当の申告の仕方、納税者有利の原則を働かせればいいというところでひとまず捉えてよろしいのかと思いますし、もう一点、マイナンバーの定着率、この辺の話を質疑したかったわけですが、時間も参りましたので、これで終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

玄葉委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 きょうも、月曜の朝一から、麻生財務大臣におかれましては、一月二十三日の衆議院予算委員会から始まりまして、参議院予算委員会、そして参議院決算委員会、衆議院決算委員会、それでその間で外交交渉と、本当にフル回転の御活躍に心からの敬意を表する次第でございます。きょうは、衆議院の決算は私で最後でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず初めに、決算です。

 ちょうど今、二十七年度の決算まで国会に提出をされておりますけれども、国の財務書類のポイントというものとあわせて、二十六年度から、個別事業のフルコスト情報というものが開示をされているのは御存じのとおりだと思います。これは、財務省で大臣政務官としてお世話になりました竹谷とし子参議院議員また杉久武参議院議員などが中心になりまして、会計士そして税理士のノウハウも生かしながら、財務省の皆様にも御助言をいただいて、個別事業のコスト情報というものの開示に取り組み、二十七年度で二カ年目でございます。

 簡単に紹介をさせていただきますと、直接行政サービスを実施している代表的な事業について、各事業の単位当たりコスト情報の提供、また、資源配分を行っている代表的な事業については、国から交付された資金が最終的に国民に行き渡るまでの中間コスト、間接経費について情報を提供してはどうかということで、平成二十七年四月三十日、財政審のワーキンググループで提言がなされて、取り組みが始まっているところでございます。

 このフルコスト情報は、人にかかるコスト、人件費、物にかかるコスト、物件費、そして庁舎費等と事業そのものの事業コスト、主に四項目から成り立っております。ぜひ、決算委員の皆様のお部屋には配られておると思いますので、これはいろいろな方にごらんいただいて、いろいろな角度で切っていただくと大変おもしろい書類になっていると思います。

 きょうは資料としては提供しておりませんけれども、お部屋にあるであろう二十七年度のフルコスト情報、例えば、ぺらっとめくって三ページを見ますと、最初、国会の衆議院業務とあるんですね。フルコスト、衆議院、六百六十五・四億、これを国民一人当たりのコストにすると五百二十四円。これが絶対値としてどういうふうかというのは、まだこれだけだとよくわからないんですけれども。ちなみに、参議院は、フルコストが四百五億、国民一人当たりで三百十九円。

 ただ、御存じのとおり、衆議院は国会議員が四百七十五名おりまして、参議院は二百四十二名ですから、私は、これは人口一人で割るというより議員一人で割った方がいいんじゃないかと思って、議員一人で割ってみると、衆議院は議員一人当たり一億四千万円かけていただいています。そして、参議院は一億六千七百万円かけていただいています。下院より上院の方がやはりコストは高い、そういうことも見てとれるわけでございます。

 また、ほかにもいろいろな使い方があると思っていまして、例えば、財務省の通関業務というのもフルコスト情報が開示をされていまして、これは単位当たりコスト、輸出入許可件数当たりのコストは四百六十八円となっているんですね。通関業務と同じような、検疫と法務省の入国管理というのがあると思うんですけれども、今、厚生労働省の検疫はやはり情報開示されていまして、検疫実施者一人当たりコストが六十四円、通関が四百六十八円に対して検疫が六十四円。

 これも中身をきちんと精査しないと、この絶対値だけで云々言いにくいわけですけれども、要は、他の省庁がやっている同じような業務を比較することによって見えてくることがあると思いますし、多くの議員の方に見ていただくことでいろいろな切り口があり、まさに無駄の削減ということで非常に有効になってくる、こういうふうに思います。

 これは、平成二十六年度はまず二十四業種行っていただいて、二十七年度は約倍の四十一業種に拡大をしていただきました。一回仕組みをつくってしまえば、毎年、多分数字を置きかえるだけでできると思うので、まずは徐々にこれを拡大していくべきだということについて一つ。

 そして、もう一つは、今申し上げたように、対象拡大に当たっては、例えば厚労省の検疫、財務省の税関、今まだ法務省の入国管理はないので、横並びでも比較できるようなことも念頭に、どうせ広げるならそういうところに広げていっていただきたい。

 この二点について、まず財務省主計局、では、大臣、よろしくお願いします。

麻生国務大臣 個別事業のフルコスト情報の開示、おっしゃるように、竹谷先生が政務官のときにスタートされておるんですけれども、財政の透明性とか、またわかりやすくするという観点から、これは極めて有効だと思っております。

 単に直接かかった事業費だけじゃなくて、人件費、物件費、減価償却、そういったものを含めまして、全体のコストというか、その部分のあれがよくわかりますし、一人頭幾らかかっているとか、やはり参議院は無駄だなとか、いろいろな意見が出てきたんですね。正直なことを言おうや、お互い、決算をやっているんだから。そういう話も出たんですよ、そのときは。何で、こっちは高いじゃないかと。それまで全然逆のことを思っていました、私も。へえ、一人頭になるとこうなるのかと、すごく参考になったんです。

 また、国から交付されておる資金というものが独立行政法人を通じて国民に行き渡るまでの、要するに間接業務というものを含めた全体コストもそれでやるとわかるようになったということも大きいんです。

 平成二十六年度の決算分からこれは試行的に開示をさせていただいて、平成二十七年度の決算分に関しては二十四事業から四十一事業に拡大をしておりますが、減価償却の内訳を示すなど表示項目も改善をさせていただいております。

 この取り組み対象事業については、財政制度審議会の法制・公会計部会だったかな、の委員会からも、これは各省庁の事業コストの比較を図る観点から、複数の省庁で行っている性質の類似した事業も対象にしろという御意見もいただいたところでありますので、伊藤先生御指摘のように、比較検討の可能性がある業務について見える化というのから進めさせていただいて、こういったことを進めていくのは極めて重要であろうと考えております。

 三年目になりますが、二十八年度の決算以降につきましても、これは各省庁の業務負担というものに配慮はいたしますが、フルコスト情報の活用の視点というものを踏まえながら、この取り組みはさらに前に進めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 大臣のお墨つきで進めていただけると大変心強く思います。

 また、もう一つ紹介すると、この二十七年度を見ますと、経済産業省の弁理士試験業務というもののコストも明らかになっておりまして、これだと、志願者一人当たりコスト、二万一千四十二円。多分、この手の試験というのは各省庁さまざまありますので、これも横に展開していただくといろいろなことが見えてくるだろうと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思います。

 何といっても、予算、やはり最も大きいのは社会保障でございます。これは保険の仕組みもありますし、大変ボリュームがありますので、このコスト情報を明らかにしていくことはかなり骨の折れる作業かと思いますけれども、やはりここをしっかり見える化していくことは、これは国民的関心も非常に高いと思いますし、我々も、決算という意味で、そうしたできるだけさまざまな角度で切った情報があれば議論もしやすくなりますので、特に社会保障にかかわる事業の見える化が重要と考えますけれども、この取り組みについて御答弁をお願いいたします。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、予算規模も大きく、国民の関心が高い社会保障に関する事業のコストを明らかにしていくことは意義があることと考えております。

 平成二十六年度決算分からフルコスト情報の開示を試行的に実施しておりまして、社会保障分野におきましては、初年度の特別児童扶養手当給付事業、これに加えまして、本年一月に公表した平成二十七年度決算分では、生活保護費負担金の交付業務、そして障害者就業・生活支援センター事業を対象としております。

 これまでの取り組みの中で、社会保障分野の業務は、多数の職員がかかわり、一人の職員が複数の業務を兼務する場合も多いことから、人件費の個別事業への配分方法などの課題が見えてきているところでございます。

 今後とも、これらの課題について、関係省庁と対応策を検討しつつ、社会保障に関する事業の見える化を図りまして、国民にわかりやすく説明することに努めてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに今、審議官から御紹介いただいたように、厚生労働省の業務でも、特別児童扶養手当給付事業とか生活保護費負担金の交付業務等々は既に明らかにされておりまして、例えば、扶養手当ですと受給者一人当たりコストは二十二円、生活保護負担金の交付業務ですと被保護世帯数当たり一・四円、少なくとも国がかけているコストで見ると非常に効率的に行われていると思います。

 一方で、厚生労働省のかかわる業務はどうしても地方自治体と連携をしますので、その同じ業務を行うに当たって地方自治体でどの程度のコストがかかっているか、これは、総務省とも連携をしながら、そこもやはり明らかにしていく必要があるのだろうと思いますので、この話は一朝一夕にできることではありませんけれども、着実に進展をしていくことですので、しっかり進めていきたいと思います。

 では、次に、ものづくり補助金について質問をさせていただきます。

 これは、我々、私は特に地元が愛知ですので、物づくりの集積地でもございまして、この補助金は非常に好評を得ております。よって、より一層使い勝手の向上ができればなという角度で質問をさせていただきます。

 このものづくり補助金は補正予算で組まれておりまして、例えば一昨年は、一月に成立をして、一月から、募集を四月で締め切って、合格発表が六月、その年の十二月中の導入、こういうふうになっていました。昨年は、十月に成立、十一月から募集で、一月で締め切って、合否が三月、ですから、そこから十二月中の導入で、少し期間があった。

 支払いが三月末なものですから、検査等を見込んで現場で設備をつくって、その事業を終えるのが大体十二月になっている、これは現場を回っていくとそういう話をよく聞くんですね。

 実は、公共事業もそうなんですけれども、年度末に仕事が集中するということを平準化して仕事の効率化を図ろう、年間を通してフラットに仕事があることが民間事業者にとってはいいことですし、公共事業は実はそういうことをやり始めているんです。

 私、きょうの提案は、そんなに簡単じゃないことは百も承知していますけれども、設備補助についてもできるだけ平準化が図れるような仕組みにすべきではないかという提案なんです。

 これは通告の段階でもいろいろやりとりさせていただきました。もちろん、もともとは基金でしたからお尻がこんなにタイトじゃなかったんですけれども、基金をやめて予算にしたので、年度末までに締めなきゃいけませんから、現場で物を納めるのは十二月、こうなっているわけですけれども、公共事業も同じで、では、どうやって平準化を図っているかというと、債務負担行為で平準化を図っているんですね。

 確かに、公共事業と違って、何となく、今年度ここまでつくって来年度ここまでつくるとか、事前に計画を立てづらいのかもしれませんけれども、ものづくり補助金も、もしそういうことが見られれば、現場の中小零細企業が年間を通して安定的に仕事ができるとか、そういう可能性を秘めるものですから、ぜひとも、このものづくり補助金についても債務負担行為、一部ね、全部じゃなくていいんです、債務負担行為ということも活用しながら、いわゆる現場の仕事の平準化ということにも取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 ものづくり補助金についてのお尋ねでございます。

 ただいま御指摘ございましたとおり、このものづくり補助金は平成二十七年度補正予算事業から基金ではなくなっているところでございまして、その後、事業期間が短いという御意見があるということは承知をいたしております。

 このため、事業の公募を可能な限り早く実施しますとともに、交付決定の事務作業を迅速に行うために見積書を申請段階で出させるなどの工夫をいたしまして、できるだけ事業期間の確保に努めているところでございます。

 また、平成二十七年度の補正予算事業、これは本年の三月で終了しておりますけれども、これに際しまして、事業実績報告書の提出でございますとか確定作業の期限、こういったものにつきまして、可能な限り事業者の方々の個別の実態に応じまして弾力的に対応することで事業期間を極力長く確保できるよう、補助金事業の事務局であります全国中小企業団体中央会に依頼しまして柔軟な対応をしてきているところでございます。

 ものづくり補助金による事業は、その時々の経済情勢や政策課題に対応するため緊急に必要となる事業として経済対策などに盛り込まれ、補正予算に計上して実施をしてきておりますために、国庫債務負担行為を活用することにはなじまないと考えておりますけれども、このような努力を積み重ねて可能な限り事業期間を確保しますとともに、引き続き事業者側の要望などに丁寧に耳を傾けまして使い勝手の向上に努めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 難しいのは承知で少し御提案をさせていただきました。今言っていただいたように、大事なことは現場ができるだけ動きやすくするということですので、よく検討していただきたいと思います。

 このものづくり補助金は、もちろん今サービス業にも拡大をしていただきまして、いわゆる生産性の向上を図るために御活用いただいております。なぜ生産性の向上を図るかといえば、人手不足への対応、賃金の上昇、最終的にはこういうところにつなげていきたいということで国費を投入しているところでございます。

 そういう意味で、政府として、投資効果を検証する意味で、生産性の向上など、この予算を投じた結果としてどの程度現場でよい影響が広がっているか、またどのような効果が見られるか等々について、把握していることについて少々御教示をいただきたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 ものづくり補助金につきましては、事業終了後五年以内に事業化を達成した事業が半数を超えること、これを成果目標といたしております。このために、開発した製品などの売り上げや取引状況などを、補助期間終了の翌年度から五年間にわたりまして、毎年、事業化状況報告書として提出を求めているところでございます。

 本年二月の段階におきまして、平成二十四年度の補正予算事業を完了した九千六百六十六の事業者、事業終了後二年たっておりますけれども、その方々のうち三千五百八十三事業者、約三七%の方々は事業化を達成しております。また、平成二十五年度の補正事業を完了した一万三千四百十五事業者のうち、この方々は事業終了後一年たっておりますけれども、そのうち四千六百七十四事業者、約三五%の方々は事業化を達成しているところでございます。

 以上のとおり、事業終了五年後までに半数以上を事業化するという成果目標につきましては、今のところ順調に推移しているものと考えているところでございます。

 また、付加価値の総額につきましても、事業採択前と比較をしまして、平成二十四年度、平成二十五年度とも約六%向上しているという結果が出ております。また、雇用につきましても、採択前と比較をいたしまして、平成二十四年度は五・二%、平成二十五年度は三・六%増加をしているところでございます。

 以上のような成果が出ていると思っておりますけれども、引き続き、政策効果の把握に努めますとともに、中小企業、小規模事業者の生産性向上に向けて効果的な支援に力を尽くしてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 生産性の向上は我が国の大きな課題の一つです。その中にあって、ものづくり補助金は現場で大変喜ばれております。なおかつ、これも言わずもがなですけれども、サービス業における生産性の向上が極めて重要でございますので、引き続きの取り組み、また、現場の声をよく反映していきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、また話がかわりまして、透析治療について御質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、現在透析を行っている患者様の数及びそれに要する医療費、また、それがどういった経年変化の傾向をたどっているか、またわかれば、あわせて今後の推計等について、厚生労働省、答弁をお願いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 日本透析医学会の調査によりますと、平成七年末時点での慢性透析患者数が約十五万四千人でございましたけれども、平成二十七年末では三十二万五千人となっておりまして、平成十七年ぐらいまでは年間約一万人ぐらい増加しておりましたけれども、近年では増加の速度が鈍っております。

 日本透析医会の医療費実態調査を使って推計いたしますと、平成七年では約八千億円ぐらいが使われておりましたけれども、平成二十七年では一兆六千億ぐらいとなっております。

 将来の動向でございますが、平成二十四年のこれも透析医学会の統計調査委員会からの報告によりますと、年間の透析開始患者数の増加速度が鈍ってきている一方で、高齢化によって透析で亡くなる方が、透析の患者数で死亡数が増加している、こういう傾向もございますので、平成三十三年末ぐらいから透析患者数は減少に転じるという推計がされておるところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに、約三十万人超の方が現在透析をなさり、そこに投じられている医療費は約一・六兆と、大変大きな資源を投じておるわけでございます。

 この透析ですけれども、いわゆる末期腎不全の腎代替療法は、今報告をいただいた、日本の場合はほとんど血液透析ですけれども、それ以外には腹膜透析及び腎移植、この三つが腎代替療法であると承知をしております。

 臓器移植法案も成立をしており、環境整備を進めているものの、末期腎不全を根本的に治療するであろう腎移植、特に死体腎移植はほとんど行われていないという現状がございます。ここの課題がどこにあるのか、現在、わかる範囲でまず御答弁をいただければと思います。

福島政府参考人 腎移植でございますけれども、平成二十七年に実施されました生体腎移植の方が千四百九十四例でございまして、一方、脳死下それから心停止下の腎移植につきましては、平成二十六年が合計で百二十七件、二十七年が百六十七件、二十八年が百七十七件と、増加はしてきておるわけでございます。

 この腎移植を含めた移植医療を我が国で進めるためには、国民の皆様への普及啓発と、それから医療側、特に臓器を提供する提供施設側の体制整備が重要と考えております。

 これまで、普及啓発としては、例えば、中学生に向けたパンフレットを作成し、授業などで活用いただけるように全国の中学校に配付をしております。また、提供施設における体制整備に関しましては、医療機関向けの臓器提供マニュアルを整備したり、臓器提供事例が発生した際に医療機関や実際に提供にかかわる医療従事者の皆さんが院内でどう動くか、どういう動きをすべきかということについての臓器提供シミュレーション、こういうものを開催するなどしております。

 近年、臓器提供数が増加しておりますのは、このような普及啓発や体制整備事業が一定の効果をあらわしていると考えておりますけれども、今後とも普及啓発、体制整備に努めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 健康局長、もう一回ちょっとお願いします。

 今ので、生体腎移植が約二千、死体腎移植が約二百。今、幾つか理由をおっしゃっていただきましたけれども、なぜ死体腎移植がふえていかないのかというところが実はいまいち私自身はぴんときていなくて、そこがぴんとこないものですから、次に何をすべきかがわからずにおります。

 なぜ我が国は、この死体腎移植が法律的には整備されているけれどもなかなか進まないのか、どういったところに課題があるのか、もう一度、もう少しわかりやすく御答弁いただけるとありがたいです。

福島政府参考人 お答えいたします。

 死体腎移植でございますが、臓器移植法ができまして、平成二十二年ぐらいまではおおむね百十件ぐらいございました。そして、心停止下のものが減ってきて脳死下のものに置きかわっていったというのが実態でございますけれども、その後、若干件数は減りましたけれども、平成二十六年以降また増加傾向に転じておるわけでございます。

 臓器提供したいという意思を持っていらっしゃる方は非常に多うございますが、実際になかなか結びついていないというところに、一つには、やはり、脳死判定における医療機関を指定している、限定しておることもございますけれども、そこにおける医療機関側の負担というものがあるというふうに考えております。例えば、救急で今まで治療をしていた方が、医療提供者側が家族に臓器を提供してもらえないかということを話したりすることも負担であるという声も聞いております。

 脳死判定のマニュアルについても改定して、できるだけ医療機関側の負担を軽くするように変えてきておりますけれども、さまざまな要因があると思いますけれども、それを一つ一つ解消すべく、私ども努力してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 私も、しっかりそこをまたよくいろいろ教えていただきながら取り組みを進めたいと思います。

 時間も迫ってまいりましたので、最後の質問に移らせていただきます。これは予算委員会の分科会でも同じことを聞かせていただいて、再度お伺いするわけですけれども、奨学金の話です。

 今国会では給付型奨学金のことが大きく話題となっておりまして、やはり、子供たちが学びたいと望むのであれば、学べる環境を整えていくこと、これが政治にとって大きな課題であります。もちろん、限られた財源の中での取り組みですから、そこは一気呵成にはいきませんけれども、一歩ずつ前進をさせたい。

 予算委員会で私がお伺いをしたのは、いわゆる母子父子寡婦福祉資金における大学院進学生への貸し付けの拡大でございます。これもまだこの間聞いたばかりで、検討すると御答弁をいただきましたけれども、そう簡単に検討が進んでいるともちろん思っていないわけですが、そのときも、大学院進学率は全体から見れば一一%だと文科省が答弁をされたんですけれども、私も理系ですけれども、理系においては、今や大学院への進学率は多分過半を超えていると思います。大学院に行くことが極めて自然になってきているのが現状です。

 よって、母子父子寡婦福祉資金は、現在、大学進学者までは貸し付けを行っていますが、大学院への進学者には貸し付けを行っていない、そこに線を引くことが現代において本当に論理的に正しいのかどうかというのは非常に疑問がございます。

 多分、平成三十年度予算に向けてその辺の議論を加速化していただけると思いますけれども、最後に、この母子父子寡婦福祉資金貸付制度の大学院生への利用拡大について、改めて、厚生労働省、答弁をお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねいただきました母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、一人親の家庭の方々に対して、高等学校、高等専門学校、専修学校、大学に進学する際の必要な授業料に充てるための修学資金と、この入学金等に充てるための就学支度資金を無利子で貸し付ける制度でございます。

 今お話がございましたように、これまでも、大学を卒業することが就職に有利になるということなどを考慮いたしまして、子の進学意欲をそぐことのないように、大学への進学まで支援をさせていただいております。

 それを、さらに大学院への進学を貸し付けの対象にという御指摘でございます。

 先ほど、先日の答弁を御引用いただきましたように、一般の大学卒業生のうちの大学院への進学率が約一一%であることですとか、あるいは、一人親家庭に、これは無利子とはいえ貸付金でございますので、これまで以上に返済の負担を負わせることをどう考えるか、あるいは他の制度における扱いなどを課題と思っておりますが、これまでも御指摘をいただいてございます。私どもとして、限られた財源の中ではございますけれども、引き続き、実態もよく見て、さらに検討させていただきたいというふうに思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今の、母子家庭への貸し付けの量をふやすことということもありますけれども、いずれにしても、どこかで借りて行っているのが実態ですので、できれば無利子で借りたいというのが庶民の心ですので、引き続き前向きに御検討をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

玄葉委員長 大臣、御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

玄葉委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成二十六年度決算外二件及び平成二十七年度決算外二件審査のため、四個の分科会を設置することとし、分科会の区分については

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁、消費者庁)、復興庁、外務省、環境省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計

 第二分科会は、総務省、財務省、文部科学省、防衛省所管

 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省所管

 第四分科会は、法務省、国土交通省所管

以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、分科会審査の際、日本銀行及び独立行政法人等の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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