衆議院

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第2号 令和6年3月13日(水曜日)

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令和六年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田野瀬太道君

   理事 小寺 裕雄君 理事 中村 裕之君

   理事 永岡 桂子君 理事 山田 賢司君

   理事 坂本祐之輔君 理事 牧  義夫君

   理事 金村 龍那君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    井出 庸生君

      上杉謙太郎君    尾身 朝子君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      木村 次郎君    岸 信千世君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    西野 太亮君

      根本 幸典君    船田  元君

      古川 直季君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      青山 大人君   おおつき紅葉君

      菊田真紀子君    下条 みつ君

      吉川  元君    吉田はるみ君

      早坂  敦君    堀場 幸子君

      前原 誠司君    平林  晃君

      鰐淵 洋子君    宮本 岳志君

      西岡 秀子君

    …………………………………

   文部科学大臣       盛山 正仁君

   文部科学副大臣      あべ 俊子君

   会計検査院事務総局第四局長            遠藤 厚志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         豊岡 宏規君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部長)   笠原  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            池田 貴城君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            千原 由幸君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    茂里  毅君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   参考人

   (年金積立金管理運用独立行政法人理事長)     宮園 雅敬君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     西野 太亮君

  山本 左近君     川崎ひでと君

  笠  浩史君     おおつき紅葉君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     山本 左近君

  西野 太亮君     古川 直季君

  おおつき紅葉君    笠  浩史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田野瀬委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として年金積立金管理運用独立行政法人理事長宮園雅敬君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長小池信之君、文部科学省大臣官房総括審議官豊岡宏規君、大臣官房文教施設企画・防災部長笠原隆君、総合教育政策局長望月禎君、初等中等教育局長矢野和彦君、高等教育局長池田貴城君、科学技術・学術政策局長柿田恭良君、研究開発局長千原由幸君、スポーツ庁次長茂里毅君、文化庁次長合田哲雄君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長遠藤厚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧義夫君。

牧委員 おはようございます。

 ちょっと時間の都合で質問通告の順序が多少変わったりするかもしれませんけれども、あらかじめ御了解いただきたいと思います。

 まず、今日は大臣所信に対する質疑ということですから、本当に、教育行政全般についてしっかりお話を伺いたかったんですけれども、その前にまず、どうしても避けて通れないお話がありますので、そこから入らせていただきたいというふうに思います。

 大臣の不信任案は否決をされましたけれども、だからといって、多くの国民の皆さんがまだ疑念を抱いている、説明責任を十分に果たしているとは言えない状況だということは私は否めない事実だと思いますし、だからこそ、所信の前に一言、大臣に発言を求めたわけであります。

 しかし、その発言の内容、本当に残念な内容でした。少しでも、もう少しこの事実関係、明らかにしていただけるものかと。また、推薦確認書の取り交わしについて、これは軽率だったということを一言、国民に対するおわびの言葉もなかったわけで、ちょっと失望を禁じ得なかったと申し上げなければならないと思いますので、まずそこからちょっと入らせていただきたいと思うんですけれども、この間の金曜日のお話というのは、弁明を求めたわけですけれども、弁明になっていないわけであります。

 これは、考えると、大臣、最初の入口のところでもっと素直に、もっと率直に御答弁を例えば予算委員会でもしていただければ、こんなことをこんなに引きずらなくて済んだと思うんですよね。そうじゃないですか。本当に私は思うんですけれども、大臣、うそをついているとは言わないですよ、でも、うそをつくと、後々そのつじつまを合わせるために、いろいろな事実が出てきたときに後々苦労するんだよということ、これは多分、子供たちも見ていて、いい反面教師になっているというふうに思います。

 そういったことで、大変大臣は苦労されていると思いますので、ここで私なりにちょっと整理をさせていただくと、推薦確認書を取り交わしたこと、そのこと自体、統一教会も名称を変えたり、この確認書を交わすに当たっても関連団体の名前であったりするわけですから、これは、そういう認識ではなかったというふうに多分お答えになると思うんですけれども、認識がなかったとすると、かつて霊感商法等々で大きな社会問題になった話でありますから、その認識がなかったとすると、著しい認識の欠如だと言わざるを得ないというふうに思います。まず、それが第一。

 二番目。仮に、多少大臣の頭の中でこれはうさん臭い団体だなと思いつつも、選挙でいろいろお世話になるからまあいいかということで確認書を交わされたんだとすると、その判断は大変大きな間違いであるし、これは大きな、著しい判断力の欠如だと言わざるを得ないというふうに思います。

 三つ目は、全く覚えていないということであれば、これは著しい記憶力の欠如だと言わざるを得ないというふうに思います。

 もう一つ、四番目、本当は確信を持って推薦確認書を交わし、本当によく覚えているんだけれども、しかし、ただとぼけているということになると、これは重大なモラルの欠如だと言わざるを得ないと思います。

 この四つに一つだと私は思うんです。大臣のためにちょっと整理してさしあげると、この四つに一つだと思うんですね。重大な判断力の欠如なのか、あるいは重大な記憶力の欠如なのか、あるいは重大なモラルの欠如なのか。どれですか。

盛山国務大臣 整理をしていただいて、ありがとうございます。

 覚えていなかったというのが正直なところでございます。ですから、そういう点では、記憶力が悪いと言われればそれまでであります。それは、参議院のときにもその旨御答弁いたしました。

 それから、実質上、選挙戦に入っているときの会合でございまして、私の地元の有権者の方から集会をするから来てくれと言われて伺った、そして、そこへ入って、世界平和連合だったですかね、何かそんな名前のが書いてあったので、へえっと思ったんですけれども、そういう点で認識がなかった。そして、その段階では安倍元総理の銃撃の前でございましたので、旧教会の関係である、あるいは旧教会との関係が、旧教会それ自身がそれほど危険な団体であるという認識がなかったというのは、それは霊感商法のことも含めて、私の常識でありそういうのが欠落していたのではないかということを、これも参議院の方で御指摘をいただいて、それについては、そのとおりでございますと。そしてまた、幾らばたばたしていたそういうときであったとはいえ、軽率にサインをしたと思いますというふうに、参議院でも御答弁申し上げたところでございます。

牧委員 多分、そんな答弁だろうなとは思っておりました。何となく、まだまだこれ、恐らく多くの国民の皆さんが、もやもやしたものを今の御答弁では抱えたままになるだろうなということだけは申し添えておきたいというふうに思います。

 また、統一教会側から大臣も揺さぶられているというような発言もありました。確かに、指定法人にすべきだという諮問をしたときに新たな事実が出てきたということもありますし、またこれ、いろいろなことで揺さぶりがあろうかと私は思っております。

 解散命令請求が昨年十月に出されて、十二月に特措法の新法が立法され、それから、今度、その立法に基づいて、指定宗教法人にするという諮問を審議会にされて、翌日三月七日に指定をされたわけですけれども、諮問してから指定までは本当にスピード感があるんですけれども、この十月から今日に至るまで、何か非常に、私、緩慢なイメージがあって、こんなにのんびりしたことをやっていて本当に被害者の救済ができるのか、財産が散逸されないかという心配をするんですけれども、この間の経緯についてちょっと簡単に説明していただければと思います。簡単にでいいですから。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定不法行為等被害者特例法に基づく指定というのは不利益処分に当たりまして、その指定を行うに当たりましては、同法や行政手続法にのっとり、適切な手続を経る必要がございます。

 具体的には、今お話がございましたように、特例法は昨年十二月三十日に施行されたところでございますが、行政手続法第十二条等の規定を踏まえ、特例法に基づく指定に関する運用基準案、これを作成いたしまして、法施行後、最初の行政機関の業務日である本年一月四日より三十日間、二月三日まででございますが、行政手続法に基づく同基準案のパブリックコメントを実施したところでございます。パブリックコメントでは三千五百件を超える意見の提出があり、いただいた意見を十分考慮した上で、意見を踏まえ、二月の十五日に宗教法人審議会の委員である宗教家及び学識経験者から成る有識者会議を開催し、同基準案について相当との全会一致の意見を得たことから、同日中に運用基準の大臣決定として定めたところでございます。

 その後、同基準に基づき、旧統一教会に対して指定すべきと判断をし、指定するに当たりましては、行政手続法第十三条等の規定に基づき、二週間を期限として弁明の機会付与を行う必要がございます。具体的には、二月十六日、弁明通知書の発出を行い、十日後の二月二十六日、弁明書の提出があったところでございます。弁明書の内容を検討した上で、特例法第七条第二項の規定に基づき、三月六日に宗教法人審議会に諮問を行いました。同審議会からは旧統一教会を指定宗教法人として指定することについて全会一致で相当であるとの答申が得られたことから、翌日三月七日には旧統一教会を指定宗教法人とする指定の公示を速やかに行ったところでございます。

 このように、被害者救済に資するよう、特例法の趣旨を踏まえ、法令に定める手続に適切にのっとりながら、可及的速やかに対応を行ってきたものでございます。

牧委員 その丁寧な手続はよく分かるんですけれども、やはり、この解散命令請求をしている大臣と、その大臣が推薦確認書を交わしているということで、これは私、利益相反だと思うんですけれども、そういう大臣の下で行われている手続ですから、何かこう、緩いなというふうな印象を抱かざるを得ないということで質問をさせていただいた次第です。

 利益相反でない、そうでないとおっしゃるのであれば、これはただ単なる指定宗教法人じゃなくて、特別指定宗教法人にすべきだと思うんですけれども、そこはどうなんでしょうか。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定不法行為等被害者特例法に基づく指定に関しまして、先ほど申し上げました運用基準に基づいて検討した結果、旧統一教会が指定宗教法人の要件に該当することから、三月、今月七日に指定宗教法人の指定の公示を行ったところでございますが、他方で、現在把握している情報では、特別指定宗教法人の要件、すなわち、財産の内容、額、財産の処分、管理の状況等を考慮して、財産の隠匿、散逸のおそれがあることとの要件を満たすと認めるまでの状況は確認できておりません。

 指定宗教法人として指定される効果としては、不動産処分についての所轄庁への事前通知、それから二つ目には、四半期ごとの財務諸表の提出の義務を課され、所轄庁における財産の処分及び管理の状況の把握を強化するとともに、財産の隠匿、散逸の抑止効果が期待されているところでございまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

牧委員 今まさにおっしゃったように、財産の隠匿、散逸のおそれがある場合と。隠匿、散逸があった場合じゃなくて、おそれがある場合ですから、十分その要件を私は満たしていると思いますし、しっかりとそれは厳しく対処していただかないと。おそれがあるんですよ、今、この時点で。未然に散逸を防ぐためには、これは特別指定しか私はないと思いますし、今のやり方は私はちょっと手ぬるいなということだけは申し添えておきたいというふうに思います。

 時間もありませんので、大臣の基本的な価値観。推薦確認書を交わしているわけですから、中身はさらっとでも目は通されているというふうに思います。この中にいろいろ書かれていますけれども、ちょっと一つ一つ簡単に聞きます。

 LGBTの存在、これは大臣は許容されておりますか。

盛山国務大臣 具体的なところということでございますけれども、LGBT、性的マイノリティーの方々を始め、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指した取組を進めることが重要であると私も考えております。

 いわゆるLGBT理解増進法の成立を踏まえ、今後、内閣府を中心に基本計画の策定などが行われることとなりますので、文部科学省としても、学校現場等において適切な対応が取られるよう、引き続き取組の充実を進めてまいりたいと考えています。

牧委員 私、大臣に基本的な価値観をお伺いしたかったものですから、お役人さんの書いた答弁書じゃなくて、簡単に、簡潔に、そうだとかそうじゃないと答えていただければありがたいと思います。

 夫婦別姓についてはどう思われますか。

盛山国務大臣 夫婦別姓についても、これは私が担当する所管ではございませんので、ここで個人的見解を述べることは控えさせていただきたいと思いますが、内閣の一員としてその方針に従ってまいります。

牧委員 それでは、所管の話に戻りますけれども、子供の教育というのは、家庭が第一義的に責任を負うべきものなのか、あるいは社会が第一義的に責任を負うべきものなのか。大臣はどちらでお考えでしょうか。

盛山国務大臣 それは、子供の教育というのは、各家庭で行い、そしてまた同時に、社会という点でも併せて行っていく、我々みんなで見ていく。子供の学びであり育ち、そういうことを見守っていくことが必要ではないかと思います。

牧委員 今の回答は正解だったというふうには思います。

 それでは、ちょっと確認なんですけれども、確認書には、「以上の趣旨に賛同し、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会すると共に基本理念セミナーに参加する」と明記されておりますけれども、このセミナーに参加されましたかどうか。それから、この二つの会から、これは入会したと形式的にはなっているはずなんですけれども、この会から脱会したかどうか。

盛山国務大臣 御指摘の平和大使協議会やそういうものがどういうものか全く承知しておりませんので、なかなか、はっきりどうだということを言いづらいわけなんですけれども、私自身としては、これらに入会、出席したという認識はありません。

 そしてまた、二〇二二年の九月以降、自民党として旧統一教会及びその関係団体との関係の断絶を宣言しておりまして、私自身も関係を絶っているということを明確にすれば、それでよろしいのではないかと思っております。

牧委員 確認書には「入会する」と書いてあるので、是非きちっと形式的に退会届を出していただければというふうに、余計なことかもしれませんけれども、言っておきたいというふうに思います。

 それから、家庭教育支援法、それから青少年健全育成基本法がかつて議員立法で出されて、これは審査未了になっておりますけれども、当時、自民党の議員が早期成立に向けて請願窓口になっておりました。この二本の法案の趣旨に賛同されるかされないか、それもお聞かせいただければと思います。

盛山国務大臣 家庭教育支援法、青少年健全育成基本法につきましては、議員立法として検討されているものでございますので、私の方からその議員立法に対するコメントというのは差し控えたいと思います。

 その上で、文部科学省としては、引き続き、家庭教育や青少年の健全育成に向けた支援を推進していくつもりです。

牧委員 その件については分かりましたが、一連のこの御答弁で、覚えていないとか、その書類はもう既に手元にない、破棄したというお話ですけれども、一連のそういった答弁を多分その教団の方の人たちが聞いたら余り愉快な話ではないというふうに思うんですけれども、これは逆に、教団に対して失礼だとは思いますか、思いませんか。

盛山国務大臣 現在、私が旧統一教会に対して法令に基づいて解散命令請求を行っている当事者でもございますので、この団体に対するコメントをすることは差し控えたいと思いますし、そして、先ほどの牧先生からのアドバイスでございますけれども、関係を絶つというふうに自民党として明言した以上、旧統一教会関係団体に接触することは適切ではないと考えております。

牧委員 じゃ、ちょっともう話題を変えます。ちょっと時間がだんだん押してきたので、順番を入れ替えさせていただきますが、神宮外苑の再開発について。

 以前も質問させていただきましたが、納得のいく回答ではなかったので、再度質問させていただきたいと思って、一月の末に質問主意書を提出させていただきました。二月九日に答弁書が送付されておりますけれども、その中に、秩父宮ラグビー場の移転に関する質問に対する回答で、二月七日時点で独法日本スポーツ振興センターからの独法通則法に基づく重要な財産の処分等の認可の申請は行われていないという回答がありましたけれども、確認ですが、これ、現在はどうなんでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 秩父宮ラグビー場につきましては、その運営をJSCに行わせるために国が土地と建物を出資し、JSCの資産となったものでございます。

 神宮外苑地区の再開発事業におきましては、JSCが保有する資産について都市開発法に基づく権利変換を行うために、独立行政法人通則法第四十八条の規定に基づく財産処分の認可が必要となります。

 御指摘のありましたこの認可申請でございますが、現時点においては認可申請は行われておりません。

牧委員 次長にちょっと引き続いて聞きたいんですけれども、そうすると、これはいろいろ計画がもう進んでいるようですけれども、いつ認可申請を出されるんですか。

茂里政府参考人 申し上げます。

 当該財産処分の認可につきましては、都市再開発法に基づく権利変換手続を行うに当たって必要となりますが、現在、関係者の間において、権利変換に係る協議をしているものと承知しております。JSCは、この権利変換に係る関係者の合意の下、財産処分の認可申請を行うものと考えております。

牧委員 ということは、関係者というのは、JSCとスポーツ庁の関係者という理解でよろしいんですね。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 関係者というのは事業者でございまして、三井不動産、伊藤忠商事、明治神宮と、そして今申し上げましたJSCが関係者になるものと認識しております。

牧委員 ということは、スポーツ庁は全然関わっていないということですか。

茂里政府参考人 申し上げます。

 まず、この権利変換についての確認でございますけれども、この合意は関係者において行われるものと考えております。

 その上で、文部科学大臣に対して、独法通則法に基づく認可申請が行われることになるものと承知しております。その時点で、スポーツ庁始め文科省が関係するものと認識しております。

牧委員 ちょっと私、それは疑問に思うんですね。こんな大事な話で、国の財産を入れ替えるわけですから、こんな大事な話が、事前にいろいろな相談もなしにこっち側の関係者だけで進められるというのは、にわかに私は信じられませんし、前回質問したときも、これはあくまでも独法の方から出されるものだからこっちはあずかり知らないというお話でしたけれども、独法がその認可申請を出す前に絶対いろいろな相談があるはずですよ。それをそうやってとぼけられちゃうと、本当に更に疑心暗鬼が深まるばかりです。

 ちょっと皆さんのところにも資料をお配りさせていただきましたけれども、この表の中よりも下を御覧いただきたいと思うんですけれども、現在の秩父宮ラグビー場、これを財務省の路線価の評価で面積で計算させていただくと、評価額が七百四十五億六千六百五十七万円になります。新ラグビー場、面積としてはほぼ一緒なんですけれども、二百八十八億七千七十二万円ということになります。

 もしこれを入れ替えたとなると、この差額分については、明治神宮が国に対してこの差額分を支払う、そういう理解でよろしいか、会計検査院にお聞かせをいただければと思います。

遠藤会計検査院当局者 現時点において、秩父宮ラグビー場に係る財産処分につきましては、先ほどのとおり、センターの方から認可の申請は行われていないと承知しておりまして、まだ、検査の結果によらず、この場で認可があった場合のことを仮定してお答えするのは困難であるということを御理解いただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、土地の処分等の検査に当たって、その処分等の価格が法令等に基づいて適切に算定されているかなどについて、これまで検査を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘の点も念頭に置きながら、適切に検査を実施してまいりたいと思います。

牧委員 なぜ聞いたかというと、私の質問主意書に対する回答でこういうふうに書かれています。通則法第四十八条の趣旨は、独法が重要な財産の処分等を行おうとする場合にこれを主務大臣の認可に係らしめ、当該処分等が当該法人の業務運営を阻害しないことを確認できるようにするものであり、秩父宮ラグビー場に係る財産処分の認可についても、その趣旨にのっとり判断することとなると考えているというふうに書かれています。

 ただ、当該法人の業務運営を阻害しないことを確認できるようにというようなことは、独法通則法には書いていないんですよ。そうじゃなくて、今会計検査院が言ったように、その財産の処分が、本当にそのものが適正かどうか、その財産の処分の対価が適正なものかどうかをきちっと担保するためにこの通則法があるわけで。業務を阻害しないことを確認だけであれば、この秩父宮ラグビー場と新ラグビー場の広さがほぼ一緒ですから、これは業務運営を阻害しないということになっちゃうんですよ。

 そうじゃなくて、きちっと、国の財産を処分することに当たっては、これは言っておきますけれども、これはただ単なる交換では絶対済まされない話であるということをきちっと確認したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、認可に当たりましては、処分等の内容や方法が適正であるか、また、申請があった財産を処分することによりましてJSCの業務がその後しっかりと継続的に運営されるか、そういった観点からチェックすることが重要と考えています。

 いずれにいたしましても、独法通則法という法律がございますので、その法律の趣旨にしっかり照らしながら適切に対応してまいりたいと思います。

牧委員 じゃ、時間がありませんのでちょっと次へ進みますが、教員のなり手不足について。

 昨年九月の大臣の就任会見でもこの問題を問われて、正直名案はありませんとその場で即答されております。本当にこの人に文科行政を任せていいのかというような疑問の声も当時出ていたんですけれども、その後、何か名案は浮かんできたんでしょうか。

盛山国務大臣 教師不足への対応は大変重要な課題であると認識はしております。現在、今いろいろな理由で大量の退職その他、そういったこと、いろいろな構造的な要因があるもので現在こういうふうになっております。

 今の教師需要に対応できるようななり手の厚み、これを確保していくことが重要であると我々は考えておりまして、そのためには、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めていくことが重要であると考えております。

 その上で、現下の教師不足への対応については、喫緊の課題への対応として、令和五年度補正予算により、全国の教育委員会が教師人材の発掘をする取組を強化するための支援事業を実施することとしております。さらに、本年一月には、都道府県・指定都市等教育長会議の場において、私から各教育長に対し、当該事業も活用しつつ、教師人材の確保に向けた取組を強化していただくようお願いをいたしました。

 引き続き、教師不足解消のため、あらゆる取組を推進してまいりたいと考えております。

牧委員 是非お願いしたいというふうに思います。

 骨太の方針二〇二三では、こういった実態調査の結果を踏まえて、指導、運営体制の充実支援、今大臣がおっしゃったようなことが打ち出されているわけで、その中で、二〇二四年度中の給特法改正案の国会提出を検討するとされていますけれども、この改正の方向性というのをちょっとお示しいただければと思います。

盛山国務大臣 骨太二〇二三年におきましても、人材確保法の趣旨等を踏まえ、給特法等の法制的な枠組みを含め、具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直すとの方針が示されております。

 そして、これを踏まえまして、現在、中央教育審議会において、給特法の在り方を含め、教師を取り巻く環境整備について総合的に御検討いただいているところでございます。

 我々は、中央教育審議会における議論も踏まえ、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

牧委員 給特法だけじゃなくて、やはり教師のそれぞれの持ちこま数がかなり働き方に影響するということはもう指摘されていることで、そういった意味で、義務標準法の改正等も含めて、よろしく御検討いただければというふうに思います。

 また、もう一つ、教育職の奨学金返還免除制度というのがかつてあったわけですね、昭和二十八年から平成十五年度、大学院だと十六年度まであったわけですけれども。その当時の時代的な背景もあったと思うんですけれども、私は今こそ復活すべきだと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。

盛山国務大臣 二点ございました。

 一点目の方は、教師の勤務環境の改善ということかと思います。教師が安心して本務に集中し、誇りを持って子供に向き合うことができるようにするための、教師を取り巻く環境整備が重要でございます。このため、令和六年度予算案において、小学校における三十五人学級の計画的な整備、高学年における教科担任制の強化、通級による指導、日本語指導等の充実、生徒指導など、様々な教育課題への対応に必要な定数改善に係る経費を計上しております。今後とも、教職員定数の改善その他に取り組みます。

 そして、奨学金の問題につきましても、骨太二〇二三におきまして、速やかな検討を行うこととされておりまして、現在、中教審において様々な観点から御議論をいただいているところでございます。

牧委員 質問を終わります。

田野瀬委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 まず冒頭、大臣には通告をしてございませんけれども、お伺いをさせていただきたいと存じます。

 小学校の学習指導要領解説の道徳編の第三章「第二節 内容項目の指導の観点」に次のような文章があります。

  過ちや失敗は誰にも起こり得ることである。そのときに、ともするとそのことで自分自身が責められたり、不利な立場に立たされたりすることを回避しようとしてうそを言ったり、ごまかしをしたりすることがある。しかし、そのような振る舞いはあくまでも一時しのぎに過ぎず、真の解決には至らない。このことによって、他者の信頼を失うばかりか、自分自身の中に後悔や自責の念、強い良心の呵責などが生じる。

  それらを乗り越えようとすることが正直な心であり、自分自身に対する真面目さであり、伸び伸びと過ごそうとする心のすがすがしい明るさでもある。このような誠実な生き方を大切にする心を育てていくことが重要である。

と書かれています。

 盛山大臣は、旧統一教会からの選挙支援について、国会において、記憶がないなどの答弁、発言を繰り返されています。牧委員からも先ほど指摘がございました。小学校の学習指導要領にこのように書かれていることをよく御認識いただき、教育行政をつかさどる大臣として誠意ある対応を取っていただきたいと存じますが、お考えがありますでしょうか。

盛山国務大臣 御指摘とアドバイス、ありがとうございます。

 ただ、これも何度もお答え申し上げているとおり、記憶になかったことでございまして、ごまかそうと思って答弁したわけではございません。そして、これも何度も答弁しておりますが、恥ずべき行いをしたということはございません。

 ただ、先ほども牧先生に申し上げたとおり、記憶力が悪いのではないか、あるいは結果として軽率ではなかったか、そういうことに対してはそのとおりであると考えております。

坂本(祐)委員 是非、心ある対応をお願いをいたしたいと存じます。

 それでは、質問に移ります。

 大学等の無償化、負担軽減について質問いたします。

 出生数が八年連続で減少し、七十六万人を割りました。子育てに係る経済的負担が少子化の最も大きな原因であることは、共通の認識であると思います。そして、その子育てに係る経済的負担の中で最も大きな負担であるのが、大学など高等教育に係る負担であります。少子化に歯止めをかけるためには、真剣に大学を始めとする高等教育の学費の負担軽減や無償化に取り組まないと、本当に手のつけられない状況になってしまうと考えます。

 盛山大臣は、所信において、いかなる経済的な状況でも質の高い教育へのアクセスを確保できるよう、少子化対策の観点からも、幼児教育から高等教育段階まで、教育費負担の軽減に向けた取組を切れ目なく行うとし、令和六年度からの高等教育の修学支援新制度の中間層への拡大や、令和七年度からの、子供を三人以上扶養している多子世帯の学生等について、所得制限なしに、授業料と入学金を国が定めた一定の額まで無償にするとしていますが、これでは全く不十分であると考えます。

 異次元といった修飾語は必要ありません。必要なのは、言葉ではなく、実際の制度であると思います。子供を持ちたい方、子供を更に産みたい方全てが、大学等への進学に対する経済負担を理由に子供を産むことを諦めてしまうことがないよう、大学等の学費の無償化又は軽減をより一層拡大すべきと考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

盛山国務大臣 今、坂本先生の方から、我々が進めております取組についてはもう御紹介をしていただいたとおりでございます。我々としましても、少子化対策であり、そしてまた、学びというものを多くの方に、御家庭の状況にかかわらず、御希望される方には学びを継続していただけるようにしたい、そういうふうな環境を整えたいという気持ちは私たちも同様でございます。しかしながら、財源その他の課題もあるものでございますので、我々は一歩一歩、できるところから今検討しているというところでございます。

 今後とも、少なくとも経済的理由により学生が修学を断念することがないような教育費負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 立憲民主党は、国公立大学の授業料の無償化と、私立大学や専門学校に対しても国公立大学と同額程度の負担軽減を掲げております。政府におかれましても、我が党と同程度の無償化、軽減策を是非実施するよう求めたいと思います。

 次の質問ですが、大学等の学費負担につきましては家庭の経済状況によるところが大きく、経済的に余裕のある家庭に生まれれば、その子供は学費の心配なく大学等に進むことができます。しかし、経済的に余裕のない家庭に生まれれば、奨学金を借りて大学等に進むか、場合によっては進学を諦めざるを得ない子供たちもいます。そして、多額の奨学金を借りて進学した子供たちは、卒業後はその借金を背負った状態で社会に出ていくことになります。

 子供は、生まれる家庭を選ぶことができません。生まれた家庭の経済状況によって受けられる教育に差が生じたり、学費負担に差が生じてしまうことについて、政府としてはどのように考えているでしょうか。御答弁をお願いします。

盛山国務大臣 高等教育費の負担軽減につきましては、意欲ある学生等が家庭の経済状況により修学を断念することがないよう、令和二年度から低所得世帯を対象に、授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて行う高等教育の修学支援新制度を実施しております。令和六年度からは、この給付型奨学金等について多子世帯及び理工農系の中間層への拡大等を行うとともに、令和七年度からは、子供三人以上を扶養している場合に国が定めた一定の額まで大学等の授業料、入学料を無償とすることとしております。

 今後とも経済的理由により学生が修学を断念することがないように、教育費の負担の軽減に今後とも努めてまいりたいと考えています。

坂本(祐)委員 それでは次に、資料一と資料二を御覧ください。文部科学省の国公私立大学の授業料等の推移の資料によりますと、昭和五十年度から大学の授業料は上昇を続けております。一方で、実質賃金は長い間横ばいの状況が続いています。

 この間、大学等の学費は、学生本人たちやその家族の努力により賄われてきております。しかし、近年の物価高騰により、家賃や生活費も上昇し、大学生等やその家庭を取り巻く経済環境はますます厳しくなっております。

 私は、日本経済、社会が長期的な低迷、閉塞感にある最も大きな原因は、人への投資を怠ってきたことにあると考えております。人への投資は、国の発展につながるものであります。子供たちが大学等に進み、専門的な知識を身につけることで、そのことによる恩恵は、本人だけでなく、国としても様々な分野で受けることになります。さらには、税収増という効果もあります。国としても大きな恩恵があるにもかかわらず、これまでは大学等の学費負担の多くを学生本人たちやその家庭に頼ってきました。しかしながら、歯止めのかからない少子化、経済格差と教育格差の拡大、物価高騰と上がらない賃金など、子育て家庭を取り巻く経済環境が悪化し続ける中、その負担について子供たちやその家庭に頼り続けるのも限界に来ているのではないでしょうか。

 人への投資やその効果について、政府としてはどのようにお考えでしょうか。その上で、大学等の学費などの負担を子供たちや家庭に頼っているこれまでの状況について、また今後の在り方について、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いいたします。

盛山国務大臣 もう言い古された言葉でありますけれども、教育は国の礎という言葉がございますし、そしてまた、我が国自身もこれまで、明治維新以来と言っていいのかどうか分かりませんが、資源のない国として、教育に力を入れてここまで発展してきたのではないかなと思います。そういった点で、坂本先生おっしゃるように、教育は大変大事なポイントであるというふうに考えます。

 そして、大学ということでございますので、高等教育は人材育成と知的創造活動の基盤でございます。大学等の教育研究体制の充実等を通じて、より高い能力を持った人材育成を行うとともに、アクセス機会を確保することにより、より多くの人材に高等教育を受けてもらうことなどにより、我が国の社会や経済を支えることのみならず、世界が直面する課題の解決に貢献しているものと考えます。

 特に、家庭における高等教育費の負担の軽減につきましては、先ほど来先生から御指摘があるとおり、少子化対策の観点からも重要であり、政府としては、より一層の負担軽減が喫緊の課題であると認識しております。

 このため、昨年十二月に閣議決定したこども未来戦略等に基づき、令和六年度及び令和七年度から奨学金制度の改正等を実施することとしており、これらの取組も含めて、今後とも高等教育費の負担軽減を進めてまいりたいと考えています。

坂本(祐)委員 私は、子供たちに希望を持っております。国費を投じて、お金の心配がなく安心して勉強できる環境をしっかりとつくるべきと考えております。将来、日本や世界の発展に貢献するために勉強をするのにもかかわらず、経済的な面で不安を抱えながら勉強しなくてはいけない、そんな国であってはならないと考えます。子供たちには、お金や将来の心配をしながらではなく、夢や希望を持って勉強していただきたいと願っています。

 次の質問ですが、大学に合格してからの学費だけでなく、受験に至るまでの塾などの費用も家計にとっては大変な負担となっています。現在、高校や大学等への進学のため、多くの子供たちが塾に通っています。そして、塾に通うためには高額の塾代が必要になります。まさに、高校や大学の受験が、子供の教育格差、そしてその子供の将来の経済格差を生む大きな要因になっているのではないでしょうか。

 これまでも議論になっていることと思いますが、大学の在り方として、入学試験を難しくするのではなくて、大学に入ってからしっかりと勉強し、卒業するのを難しくするといったような仕組みに変えていくべきと考えます。そもそも、高校の授業だけで受験に対応できず、受験のために塾に通うことが常態化しているという状況自体、問題があるのではないでしょうか。

 大学の入学試験ではなく、卒業に関わる基準を厳しくすることで、子育てにおける大学等への入学までの経済的負担を軽減し、かつ、大学等の学費の無償化や負担軽減があれば、意欲ある子供たちが経済的な心配をすることなく学ぶことができ、教育格差、経済格差の解消にもつながると考えます。

 大学入試の在り方、大学での学業の在り方についても見直していくべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 坂本先生御指摘のとおり、我が国の大学が、いわゆる入りにくく出やすいという課題はこれまでも指摘されております。また、中央教育審議会でも議論されてまいりました。

 こうした経緯を踏まえ、卒業認定の基準の具体化、明確化、そして成績評価の厳格化などを図るべく、平成二十九年から、各大学が卒業認定・学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受入れの方針から成る三つの方針を策定、公表することを義務化いたしました。

 また、これらを機能させるため、各大学における管理運営の方法を示した教学マネジメント指針を令和二年に策定、周知を行いました。これによりまして、大学が何を教えたかではなく、学生が何を学び、身につけることができたのかという、学修者本位への教育への転換を促しているところであります。

 大学入試については、当該大学での学修、卒業に必要な能力、適性等の判定を行うものであります。御指摘の大学入試の難易度につきましては、こうした役割を果たすことに加え、教育にふさわしい環境を確保するため定員を適正に管理する必要があることから、各大学において入学志願者数に応じた内容を設定しているものと承知しております。

 文部科学省としては、引き続き、具体的かつ明確な学修成果の下での厳格な成績評価と、出口を重視した質の保証の確立に向けて取り組んでまいりたいと考えています。

坂本(祐)委員 現在の大学の入試を考えたときに、そこに至るまでの初等中等教育の在り方にも大きく関係していると考えます。

 近年、初等中等教育段階での学力の二極化が問題になっておりますけれども、その原因も大学入試の在り方にあると考えます。家庭に経済的な余裕があり大学等への進学を目指して塾に通っている子供は学校の授業より先に進み、家庭に経済的な余裕がなく大学等への進学を考えていない子供の中には学校の授業についていけない子供もいます。このような状況はやはり問題があると思いますし、子供が学ぶ環境としてもよくないと考えます。まさに我が国の公教育の危機であって、その危機を文科省が容認しているというふうにも見えてしまいます。

 大学等への進学は、初等中等教育の延長線上にあるべきものと考えます。塾を否定するものではありませんけれども、塾に通わずとも、学校での勉強を頑張れば希望の大学等に進学でき、家庭の経済的事情で塾に行けないからと進学を諦めることがない、そのような仕組みであれと考えますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 私自身も、自分の子供の教育のことも考えましても、やはり基礎が大事だと思います。基礎さえよく理解すれば、応用が利くというふうに思います。

 そういう点で、我々文部科学省としても、大学入試において高等学校学習指導要領の範囲を逸脱した難問が出題され、こうした出題に対応するために入学志願者が学習塾等に通うことを強いられるようなことは好ましくないと考えております。

 このため、大学入試のルールとして毎年度各大学に通知しております大学入学者選抜実施要項において、各大学が実施する個別学力検査について、高等学校学習指導要領に準拠し、適切な方法により実施することを求めているところです。あわせて、この要領では、入学志願者の能力、意欲、適性等を多面的、総合的に評価するよう求めるとともに、年齢や性別、国籍、家庭環境等に関して多様な背景を持った学生の受入れに配慮することとしております。

 こうした要項の趣旨について、今後とも様々な機会を活用して、各大学に丁寧に説明してまいりたいと考えています。

坂本(祐)委員 これまでの大学の在り方、大学等の入試の在り方を変えていくのは大変に難しいことであるかもしれませんが、私は、教育の格差や教育のゆがみを正すには改革をしっかりとしていくしかない、このように考えております。

 次に、奨学金返済の軽減について質問いたします。

 資料三を御覧ください。奨学金につきましては、二〇二〇年で学生のおよそ半分の四九・五%が奨学金を受給しており、平均の借入額は三百二十四万円になっています。

 次に、資料四と五を御覧ください。昨年三月十三日の日本経済新聞の記事ですが、労働者福祉中央協議会の調査で、日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用し、返還を進める人の三割以上が結婚や出産に影響している、奨学金が人生設計の重荷になっているという記事がありました。また、昨年六月十八日の朝日新聞の記事ですが、奨学金返済苦、自殺動機に、二二年十人、氷山の一角との記事がありました。どちらも大変衝撃的な記事であります。

 将来に希望を持って大学に進んだにもかかわらず、奨学金返済のために人生が狂ってしまう、このようなことは絶対にあってはなりません。この問題を放置すれば、今奨学金を返済している三割を超える方々は、結婚も出産もせずに今後の人生を送ってしまうかもしれません。

 冒頭、出生数が七十六万人を割ったということに触れましたが、少子化対策という観点からも看過できない問題でありますし、当事者の方々の現況を考えれば、直ちに対策を打っていかなければなりません。早急に、奨学金を返済している方々の負担の軽減を行うべきと考えます。また、奨学金の返済苦で自殺をする人が一人も出ることがないよう、負担の軽減だけではなく、悩みに対する支援もしっかりと対応すべきと考えます。

 奨学金の返済が人生の重荷にならないよう、そして、将来に希望を持って働き、結婚し、子供を産み育てることができるように、返済中の奨学金を減免する仕組みを早急につくるべきと考えますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 今、坂本先生から御指摘がありましたように、奨学金の返済に関しまして、結婚や出産といったそういうライフイベントへの影響もある、その他負担感の重さ、こういったことについて様々な声があることは我々も承知しております。このため、厳しい経済状況などで奨学金の返還が困難な方に対しましては、返還の猶予や毎月の返還額を軽減する制度等により、負担の軽減を図ってきております。

 さらに、奨学金の返還が負担となって結婚、出産、子育てをためらうことがないよう、毎月の返還額を減額する制度につきまして、令和六年度から、利用可能な年収の上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げるとともに、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、子供二人の世帯は五百万円、子供三人以上の世帯は六百万円まで更に引き上げるなど、返還に伴う負担の更なる軽減を進めてまいる所存です。

坂本(祐)委員 次に、現在の日本学生支援機構の奨学金の手続に際し、見直すべきと考えている点について質問をいたします。

 奨学金の保証制度についてですが、現在、奨学金の保証は、人的保証と機関保証のいずれかを選択することになっております。

 人的保証については、連帯保証人と保証人の二人をつけることになっておりまして、一般的に、連帯保証人は親、保証人は連帯保証人と生計を同じにしない人ということで、祖父、祖母にお願いすることになっています。しかし、昨今の家族関係等を考えますと、親が一人っ子でおじ、おばがいなかったり、それぞれの家庭の経済的な理由があったりと、様々な理由で親以外の保証人をつけることが大変に難しくなってきております。

 一方で、人的保証がつけられない場合、保証料を支払って保証をつける機関保証という制度も選択できます。しかしながら、機関保証につきましては保証料がかかります。

 御参考までに資料六を御覧ください。保証料につきまして、借入れの条件次第で異なるため一概には言えませんけれども、例えば、令和五年度採用者の保証料の目安として、第二種奨学金を利用して貸与月額五万円、貸与期間四十八か月とすると、保証料月額は二千百四十五円となるとのことです。そして、この保証料は毎月の奨学金から差し引く方法で支払うことになるため、この場合、毎月借りることができる実際の奨学金は、貸与月額五万円から二千百四十五円の保証料が引かれて、四万七千八百五十五円になります。そして、貸与期間四十八か月では、総額十万二千九百六十円が保証料として奨学金から差し引かれることになります。

 経済的に余裕がなく大学等に進むために借りる奨学金で、人的保証がつけられず機関保証を選択した場合には約十万円の保証料を支払うこととなります。奨学金の負担軽減について、利子を無利子にという議論はありますが、この保証料についても負担が大きく、見直しが必要であると考えます。

 文部科学省が二〇二〇年五月八日に出している日本学生支援機構奨学金事業における保証制度の在り方についての中間報告まとめによりますと、機関保証が導入された二〇〇四年度における人的保証と機関保証の選択割合は、人的保証九〇・九%、機関保証が九・一%であったのに対し、二〇一九年度は、人的保証が四三・七%、機関保証五六・三%となっており、機関保証を選択する学生が増え、半数を超える方々が機関保証を利用しております。

 質問でありますけれども、奨学金の保証制度については、人的保証はなくして機関保証に一本化するとともに、保証化については国で負担するように見直すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 貸与型奨学金の保証制度の在り方につきましては、今委員御指摘のとおり、令和元年に文部科学省に設置した有識者会議におきまして検討を行いました。

 この中間報告の中では、将来的には機関保証への重点化を図ることは適当と考えられるが、保証の選択率が人的保証と機関保証でほぼ同等であること、奨学金の返還率は機関保証に比べ人的保証の方が高いこと、保証機関の健全性を確保する必要があること、高等教育の修学支援新制度による影響を見る必要があることなどの課題を考慮すれば、更なる慎重な検討が必要とされているところでございます。

 また、機関保証に係る保証料につきましては、平成二十九年度に無利子奨学金の機関保証率を年〇・六九%から年〇・五八九%へと引き下げ、学生等の負担軽減も図っております。その上で、今御指摘いただいたような保証料を国が負担することについて、毎年の国の財政支出が増大することや、これまで保証料を支払った方との公平性などの観点も考慮する必要があると考えております。

 奨学金制度につきましては、近年、様々な改善、充実に向けた制度改正を行ってきたところであり、保証制度の在り方につきましても、その運用状況を見ながら慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 家庭に経済的な余裕がない学生は、大学等で学ぶために奨学金を借り、利息も払い、保証料も払うことになります。学ぶことに対して、我が国の対応は厳し過ぎると考えます。奨学金に係る負担につきましても早急に見直していただきますようにお願いをいたします。

 最後の質問ですけれども、私の地元の埼玉県嵐山町に所在する独立行政法人国立女性教育会館について質問いたします。

 昨年十一月に関係府省から嵐山町に対して移転といった意向が示されたということで、地元嵐山町の議会や埼玉県議会、埼玉県知事等からも、存続に向けた意見書提出など様々な動きが出ております。

 この国立女性教育会館の今後の在り方について、現状どのようになっているのでしょうか。また、今回の件につきまして、嵐山町や埼玉県からも、丁寧な説明がないといった意見があるように、コミュニケーションが取れていないといったことも大きな問題であると思います。

 政府におかれては、嵐山町、埼玉県としっかりとコミュニケーションを取って、地元の声も聞きながら検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 独立行政法人国立女性教育会館につきましては、令和四年六月に決定されました女性版骨太におきまして、主管府省を内閣府に移管すること、法人の業務の在り方につきまして令和四年度に有識者会議において結論を得ることとされたところでございます。

 そして、この有識者会議におきまして、坂本先生から御紹介をいただきました現在の研修棟や宿泊棟といった施設の在り方についても検討していくことが必要であるという提言がされたところでございます。

 そして、御心配いただいております施設の在り方の検討につきましては、内閣府が主体となって検討が進められているところではございますけれども、埼玉県、嵐山町の声を丁寧に伺いながら、コミュニケーションを取りながら、内閣府とともに文部科学省としてもしっかりと検討してまいりたいと考えてございます。

坂本(祐)委員 地元とのしっかりと協議をしていくということでございますので、私は、国立女性会館につきましては、是非これまでどおり嵐山町で存続していただくことを強く要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今日は大臣に初めての質問となります。

 済みません、ちょっと冒頭、どうしてももやもやしているものがあるので、ちょっと言わずにはおれないなという気持ちになっているんですけれども、先ほど牧委員が質問していらっしゃるときに、ちょっと私、とても聞きにくかったんですね。後ろの方でいろいろなお話をなさっていらっしゃった方もいらっしゃって。

 ちょっとこれは私、初めてじゃなくて、以前、予算委員会に私、籍をいただいていたときにも、大変申し訳ないんですけれども、自民党の議員の方がお話しされていてちょっと議論が聞こえないときがあったんですよ。ちょうどその前に座っていた中川正春先生が、お話があるなら、申し訳ない、外でやっていただけますかというふうに言ってくださって、議論が聞こえてきたんですけれども。

 本当に僭越ながら、是非、自民党、やはりさすが自民党だというのは、恐らく、やはり組織として若手やみんなに目配りされているというところではないかなと思うんですね。

 ちょうど大臣が旧統一教会に関しての質問を受けているときでした。大臣も一生懸命答弁なさっていらっしゃるでしょうし、役所の方々ももうこの日のためにすごいお仕事をなさっているわけですよ。この委員会を開くためにたくさんの人が力を合わせているわけですから、ちょっと、本当に僭越ながら、大変生意気ですけれども、この点は是非御指摘させていただきたいと思います。それぞれ質問の準備や何かあると思うんですけれども、ちょっと議論だけは、済みません、聞こえるようにしていただきたいなというふうにお願い申し上げて、質問に入りたいと思います。

 文科大臣の所信では、令和四年度には、小中高等学校における不登校児童生徒やいじめ重大事態の発生件数、過去最多となり、小中高生の自殺者数が過去二番目となるという極めて憂慮すべき状況だというふうにおっしゃいました。そして、スクールカウンセラー等の配置充実のほか、自殺予防教育など、対策強化してまいりますというふうに大臣述べられたわけなんですが、御存じでしょうか、そのスクールカウンセラーに今、東京都では大変なことが起きています。

 三月五日、先週の火曜日ですけれども、都内のスクールカウンセラーで組織する労働組合、心理職ユニオンが記者会見を行って、東京都が、都内の公立学校に配置されているスクールカウンセラー二百五十人、二百五十人を一斉解雇したということが明らかになりました。応募者数は千九十六人中、二百五十人不採用、雇い止めの率にすると二二%です。

 これは、不採用となった、二百五十人かと思うかもしれないんですけれども、一人のスクールカウンセラーが週に一回学校を、大体三校程度担当していますので、今回の二百五十人の不採用というのは掛ける三で考えると七百五十校になって、その影響はとても計り知れないものがあります。

 私は、このニュースを見たとき、ここは問題だなと思ったんですけれども、そもそも、そのスクールカウンセラーは一年の契約なんですね。会計年度任用職員という形態の雇用であって、更新四回まで。五回目挑戦するときはゼロベースということになるんですよ。そのゼロベースの五回目の採用試験というのが面接だけ、その前の勤務評価なし、その前の実力実証なしということで、大変な問題だ、私はちょっとばかにしているんじゃないかというふうに思ったんですけれども、この点、伺いたいと思います。

 これは東京都で起きていることですけれども、全国各地のスクールカウンセラーの方々が、明日は我が身だというふうにおっしゃっています。文部科学省として、他の都道府県、実態を把握していらっしゃいますでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 スクールカウンセラーの採用条件や任用方法につきましては、各自治体の権限と責任の下、適切に判断されるものであり、お尋ねの東京都の事案についても、東京都教育委員会の判断によるものと認識しております。

 文部科学省において他の都道府県におけるスクールカウンセラーの雇い止めの問題については承知しておりませんけれども、各自治体において適切に判断されているものと考えております。

 以上でございます。

吉田(は)委員 他の都道府県任せではなく、自殺者数が過去二番目で、いじめ、不登校、過去最多です。やはり文科省がこれはちゃんと、他の都道府県任せになるのではなく、こういうことが起きている以上、実態調査をすべきだと私は申し上げたいというふうに思います。

 これはまだまだ問題がありまして、この雇い止め、実は年齢差別の疑いもあります。というのは、勤続年数別に雇い止め率を見ると、六から十年勤続、三〇・七%、十一から十五年の勤続、三二%、十六から二十年の勤続、三五・八%、二十一年以上、もう超ベテランですね、その方々は三六・二%と、きれいに勤続年数に応じて雇い止め率が高まっているわけです。この勤続年数が多いのは五十代、六十代の方なんですね。この雇い止め、三割近くになりまして、つまり、これを三年間やると、きれいにこの五十代、六十代のスクールカウンセラー、入れ替えることができるわけです。これは私はあんまりだと思います。

 この雇い止めが五十代、六十代のベテランに集中している、経験と知識を本当に豊富に持っていらっしゃる、この年齢層が明らかに不採用が多いということは、これは問題ではないでしょうか。大臣、お答えください。

盛山国務大臣 先ほど初等中等局長からお答えしたとおり、スクールカウンセラー等の採用条件や任用方法については、各自治体の権限と責任の下、地域の実情や能力等を踏まえ、適切に判断されるべきものであり、お尋ねの東京都の事案についても、東京都教育委員会の判断によるものと認識しております。

 その上で、文部科学省としては、不登校児童生徒が増加するなど、学校や教師が直面する課題が多様化、複雑化する中にあって、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラーなどが果たす役割は重要であると考えております。職務の遂行上必要となる専門性を考慮するなどして、十分な能力を持った者を任用することが大切だと考えております。

 引き続き、学校における教育相談体制の構築のため、必要な支援の充実に努めてまいる考えです。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。専門性を考慮するというところの御答弁をいただけたのは、大変心強い。

 やはり、こういう専門性のある仕事の方が、経験と知識を積み上げて、本当に子供たちに向き合うことができるようになったときに切られてしまうとなったら、この仕事を目指す方々は減ります。そして、スクールカウンセラーの質も向上できないのではないかと私は思うんですね。

 そこで、一つ総務省に伺います。

 総務省が二〇二三年に出した会計年度任用職員制度の適切な運用等に関して、これは通知ですけれども、前年度に同一の職務内容の職に任用されていた者について、客観的な能力の実証の一要因として、前の任期における勤務実態を考慮して選考を行うことは可能であるというふうに明記されています。

 でも、今回の東京都のスクールカウンセラー大量雇い止めは、面接のみで採用の可否が判断されているものであって、客観的な能力の実証、これはできていないわけです。これは、この通知に反する、不適切ではないでしょうか。短くお答えください。

小池政府参考人 会計年度任用職員の採用の方法につきましては、競争試験又は選考によることとされておりまして、選考による方法としては、面接や書類選考等による適宜の能力実証の方法によることができるとされております。

 また、採用における能力実証につきましては、各自治体において適切に実施されるべきものであり、御指摘の通知は、再度の任用を想定する場合の能力実証に当たって、客観的な能力実証を行うための判断要素の一つとして前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることを示したものであり、能力実証の具体的な手法について一律の対応を求めているものではありません。

 このため、一般論ではありますが、採用の方法が面接のみであることのみをもって能力実証として不適切であるとは言えないものと考えております。

吉田(は)委員 じゃ、面接だけでもいいというふうな理解ですか。

小池政府参考人 面接のみであることをもって能力実証として不適切ではない……(吉田(は)委員「はっきりと」と呼ぶ)はい。面接のみであっても構いません、構わないと、あくまでも一般論としてでございますが、面接のみで行うことをもって能力実証として不適切であるとは言えないと考えております。

吉田(は)委員 いや、ちょっと私、びっくりしちゃったなと思います。

 じゃ、面接のみで可能であるということが今言われたわけですが、ちょっとこれに関してもう少し、今度は文科大臣に伺いたいんですけれども、この面接の中で圧迫面接がどうもあったと。人によって、聞かれる面接の質問の項目が違うんですよ。

 確かに、面接の中で、この人は能力があるということを調査しようということになって、それももちろんできると思います、その一つとして。でも、面接官によって、何かすごいことをいろいろ聞かれているんですよ。もし教員が性加害しているのを知ったらどうしますか、管理職が性加害をしていたら、校長が性加害をしていたら、こういうふうに畳みかけるような質問をされる方もいる一方、全くこんな質問をされない人もいたと。

 こういう、面接の中で質問項目が違うのは、これは不適切じゃないですか。

盛山国務大臣 繰り返しになりますけれども、スクールカウンセラー等の採用条件や任用方法については、各自治体の権限と責任の下、地域の実情や能力等を踏まえ、適切に判断されるべきものと考えます。

 そして、お尋ねの東京都の事案につきましても、東京都教育委員会の判断によるものと認識しておりますので、その具体の判断について、今委員がおっしゃったようなことがあったのかどうかを含めて、コメントすることは差し控えさせていただきたいと考えます。

吉田(は)委員 自治体の方に任せているといって、今度、都議会の方で東京都の教育委員会とかに聞くと、いや、それはもう国だからと。こうやって、もう責任を、あっちこっちあっちこっちになって、じゃ、誰がこれに関して判断するのって思いますよ。これは私は不適切だと思います。

 何か、余り逃げの姿勢ではなくて、本当に、スクールカウンセラーというのは、子供たちの心のケアや保護者、そして、今、利用する中には教師の方も多くいらっしゃいます。三分の一ぐらい教師の方です。こういうとても大事な仕事なわけですよ。これは私、もっと真剣に捉えていただきたいなというふうに思います。

 具体的に、こういうのはどうですかというのをちょっと提案します。

 貧困やDVなど困難な問題を抱える女性を支援する婦人相談員に関して、令和元年六月十四日、厚生労働省の子ども家庭局家庭福祉課長から各都道府県民生主管部部長宛てに通達が出されました。その通達の内容は、ちょっと全部読もうかと思ったんですけれども、時間がないのでやめます。内容は、きちんと能力実証をして、ちゃんとその人に能力があるか、それを確かめて、その人の仕事をするに十分な能力を持っているというふうに分かった人は、契約期間にとらわれず再度雇用しましょうねということをこの婦人相談員に関しては言っています。やはり、会計年度任用職員ということの大変難しさだと思うんですけれども、一律、契約だからと、能力のある人をばっさり切ったりしないようにねという通達なんですが、これは、盛山大臣、今回のスクールカウンセラーにも私は適用すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 不登校児童生徒の今の現状ですとか学校や教師が直面する課題が多様化、複雑する中にありまして、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラー等が果たす役割は大変重要でございます。職務の遂行上必要となる専門性を考慮するなどして、十分な能力を持った者を任用することが大切だと考えております。

 しかしながら、繰り返しになりますけれども、スクールカウンセラーの採用条件や任用方法については、各自治体の責任と権限の下、適切に判断されるもの、その権限の問題としてそういうふうになっているものでございますから、各教育委員会等に対して、様々な、悩みを抱える課題等に対して適切な対応がなされるような体制整備に努めていただきたいというふうにこれからも対応していきたいと考えております。

吉田(は)委員 大臣、任用方法ではなくて、今回、婦人相談員に通達を出しているのは厚労省なんですよ。今回、スクールカウンセラー、こういう雇用形態というものに対して、今、現場が非常に混乱しているわけですから、文科省から通達を出していただけませんかというシンプルな質問です。イエスかノーかだけでお答えください。是非出してください。

盛山国務大臣 我々文部科学省では、令和二年に、会計年度任用職員の任用について、再度の任用の際、客観的な能力実証の一要素として前の任期における勤務実態を考慮して選考を行い、再度の任用を行うことは可能である旨を記載した事務処理マニュアルを各教育委員会等に対して周知しております。この取扱いはスクールカウンセラーの任用にも当てはまります。各教育委員会等に対しては、これらの運用マニュアルを踏まえつつ適切に制度を運用することについて引き続き周知を、周知に努めてまいります。

吉田(は)委員 周知というところを強調されたわけですけれども、盛山大臣、やはり、ああ、やはり盛山大臣でよかったなと皆さんに思っていただくには、やはり人ができないことに是非踏み込んでいただきたいんですよ、本当に。ええっ、やったぞという、やはり盛山大臣に声が届いたな、そういうのを是非御期待申し上げます。

 ちょっと時間が迫ってきたんですけれども、ちょっとこれだけ最後、スクールカウンセラーに関しては申し上げたいなというふうに思います。

 これは結構知らない実態なんですけれども、東京都の場合は、都の採用、それから、都の採用だけで週一では間に合わずに、区の採用になっているスクールカウンセラーもいらっしゃるんですね。同じ週に、一日は都の採用のカウンセラー、次の人は区の採用のカウンセラーというふうになっていて、待遇は三分の一ですって、区の採用ですと。

 今回、都のスクールカウンセラーで不採用になった方が、今度は区のカウンセラーという形で応募される方もいらっしゃるんですけれども、こういう、やはり、雇用形態が違って、かつ、こんなにも待遇に差があるというスクールカウンセラーがいるというこの実態を、大臣、是非考えていただきたい。これは文科省の責任だと思います。やる仕事は一緒ですよ、待遇が変わっても。当たり前ですけれども、本当にガラスのような子供たちの心のケアをしていく、とても大事な仕事ですので、是非この点は、いやあ、さすが盛山大臣、あのときの声が届いたわということを是非お願いしたいなというふうに思います。ありがとうございます。

 では、ちょっと残り時間で盛山大臣に、ちょっとお聞きにくいところもあるんですけれども、質問させていただきたいというふうに思います。

 牧委員からも冒頭ありました、旧統一教会との関係に関してなんですけれども、本年二月七日の予算委員会、西村智奈美委員の質疑のところで、これは岸田総理ですね、盛山大臣については、過去の関係にかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していないことを前提として任命を行っていますと。

 一切有していないことを前提としてということだったんですけれども、先ほど牧委員からも質問がありました、今日、皆様のお手元に配付しています推薦確認書、私、ここでやはり注目したのが、「以上の趣旨に賛同し、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会する」と書いてあるんですよ。ここに盛山大臣はサインしちゃったわけですから、相手様はもう入会していると思っていらっしゃると思うんですね。

 先ほどの牧委員の御質問には、ちょっとはっきり、どっちなんだろうなと、分からなかったので、お伺いしたいんですが、これは退会届を出した方がよろしいと思います。テレビや新聞や、自民党としてもう関係を絶ちますと言っていますと言うんですけれども、あらゆる正式な手続というのはやはり文書だと思いますので、これはきちんと退会届、まず、出していらっしゃるか。出していないのであれば、お出しいただけないでしょうか。

盛山国務大臣 これは何度ももう衆参共に御答弁申し上げているとおりでございますけれども、二〇二二年九月の段階で、我々自民党は旧教会とは関係をすっぱり絶つということを明言しております。そしてまた、昨年の十月に私どもが旧教会に対して解散命令請求を行っている。そういうことも踏まえまして、我々としては、一切、旧教会側に対して連絡を含めてすることは適切ではないというふうに考えております。

吉田(は)委員 じゃ、退会届は出さないということでいいんですか。出さない、大臣。でも、それだと、多分、はっきり分からないと思います。入会されたままですよ、この内容だと。出した方がいいと思います。お出しになりませんか。

盛山国務大臣 それは、国会の答弁も含めまして、我々はすっぱり関係を絶つというふうに言っておりますので、もうその必要はないと考えております。

吉田(は)委員 いや、私が相手方だったら、書面で入会というのを、これをもらっていて、その後何にも連絡がないので入っていますよと、何か言われると思いますよ。私は、ちょっとそれは相手様には伝わらないんじゃないかなと。もちろん、いろいろなところで発言されているのは承知しているんですが、やはり書面で、これは確認書を取り交わしたわけですから、退会もきちんと書面で交わされるのがよろしいかというふうに思います。

 そこで、ちょっと一つ、大臣、本当に私も、僭越で、甚だこんなことを申し上げるのは恐縮なんですけれども、三月七日の参議院の予算委員会で、杉尾委員の答弁の中でこういうことを、少しずつ小出しにして我々を揺さぶっているのではないかというふうに述べられました。これは、まだまだネタはあるということなんでしょうか、大臣。

盛山国務大臣 これは私自身のことだけを言ったわけではなくて、こういう御時世でございますので、携帯や何やを含めていろいろな形で、デジタルで情報が残る御時世になっております。そういう点で、私に対しての、某新聞社に載ったタイミングですとか、今回の動画がテレビで放映されたタイミングですとか、予算委員会でテレビ入りで始まるタイミング、あるいは、旧統一教会に対して議法に基づきまして指定をするというタイミング、そういうようなタイミング、一番効果的なタイミングと思われるところを彼らが判断して、わざと出してきている、そんなふうに私どもは考えています。

 そういう点で、私だけではなく、自民党だけかどうか分かりませんですけれども、いろいろな議員の、彼らが持っている情報を彼らが有効と考えるタイミングで今後とも出してくる、揺さぶりをかける、そういう可能性があるのではないかと我々は考えているということを申し上げたわけでございます。

吉田(は)委員 まさに今大臣がおっしゃられたように、そのタイミングが余りにもいろいろ合い過ぎているということで、これはまずいんじゃないですか、逆に。それにもあらがって、そんなものに負けるかというので大臣頑張っていらっしゃるのかなと思って、わ、すごいなって思ったんですけれども、でも、でもですよ、大臣、やはりそういう材料がない方の方が、今このまさに正念場に来ているときには、いや全然揺さぶられる材料はありませんよという方の方が適任なのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 これまで申し上げたとおり、現在、旧統一教会との関係を絶っておりますし、そして、御指摘のものにつきましても、二〇二二年七月の安倍元総理が銃撃される事件の前の段階でございました。その段階で、旧教会あるいはその関係団体に対して、ここまで危険な、悪意のある団体であるということは認識されておりませんでした。

 さらに、私自身も、これも何度も申し上げておりますが、旧教会の会合ということではなく、地元の関係者から集会があるから来てくれであり、あるいは、世界平和連盟だったですかね、そんな名前の会合にということで伺ったわけでございますので、その段階で何ら違法性があるような行為をしたというふうには私は考えていません。

 ただ、杉尾議員から御指摘があったように、そういうことに対して十分な認識をしていなかったことに対しては、私がよく認識をしていないということがいかぬのではないかということに対しては、おっしゃるとおりですと申し上げたわけでございますが、とにかく、私自身として恥ずべき行いをしたということは全く考えておりません。

 その上で、昨年九月にこのポストに就任して以来、所轄庁である私自身が十月十三日に解散命令請求を行いました。裁判所における審理への対応に関係省庁とともに万全を期して取り組んでまいりました。また、昨年の暮れの特定不法行為等被害者特例法、この臨時国会で成立した議法に基づきまして、速やかに手続を進め、この七日に指定宗教法人の指定の公示を行ったところでございます。このように、厳正、公正な取組を続けてきたところであります。

 私としては、しっかり、今後とも、旧統一教会の被害者救済を含めて、職責を果たしていきたいと考えております。

吉田(は)委員 ちょっと私の問いには率直なお答えは返していただけなかったんですけれども。

 大臣、じゃ、ちょっともう時間がなくなったので、最後一つ、今多分大臣が最後おっしゃったのは、私だからこそここまで来られたんだ、ここまで、指定宗教法人にもなったし、この間毅然とやっていらっしゃったんだということをお述べになったんだと思うんですね。

 二つ本当は質問しようと思っていたんですけれども、自分でもう答えます。

 宗教法人、毎年出されている年次財務報告、これは監査の必要がないんです。私、これは以前文化庁にレクいただきまして、びっくりしたんですけれども、監査の必要がなくて、文化庁に出されたら、そのままただ保管されると。え、じゃ、何、出す意味あるのって思ったんですね。

 これが、今度、指定宗教法人になって、三か月毎になる。これは、またただ提出されるだけでは意味がないんですよ。大臣、これは、もう本当に関係を絶ったとおっしゃるなら、この三か月毎の財務報告、これは現金も帳簿と、ただ帳簿を預かるだけではなく実態的な調査もする、そこまで踏み込んでいただけないでしょうか。これは提出されるだけでは全く意味がありません。

盛山国務大臣 法律にのっとって、我々、適正な対応を行うということでございます。

 今回の指定ということに対しての効果ということにもなるわけでございますけれども、不動産の処分等については、所轄庁への事前の通知、一か月前の事前の通知、そして四半期ごとの財務諸表の提出という義務が課されることになりました。引き続き、旧統一教会の情報収集に努めて、財産の隠匿や散逸のおそれ、こういったものの有無について、我々、その把握をするようにやっていく、努めていくところでございます。

 旧統一教会の財産状況の詳細についてはこの場でお答えをすることはできませんですけれども、今後とも、法令にのっとりまして適切な対応をしていく所存でございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 でも、そうすると、大臣、盛山大臣じゃなきゃ駄目だったという感じじゃないと思うんですよ。だって、それはマニュアルどおりですもの、そうなっちゃったら。

 だから、済みません、本当に小生意気な感じで申し訳ないんですけれども、そこまで踏み込んで、今まで財務諸表、私もかつて企業に勤めていましたので分かりますけれども、こういう財務諸表、幾らでも作れます。実態はどうなのかというところと合わせて見てです。だから、文化庁に、こういった財務諸表を読み解いて、それと、まさに民間企業では監査というものをして、ここに書かれているものが本当かという監査をするわけです。こういうことまで指示されたら、いやあ、盛山大臣本気だわ、今回というふうに思っていただけると思うんですが、是非踏み込んでいただけないでしょうか。最後に聞きます。

盛山国務大臣 法の支配という言葉がございます。我々は、法令にのっとって行政をつかさどるわけでございます。

 別に、大臣に限らず、局長でも課長でもそうでございます、個人によってカラーが出るのは事実でございますけれども、ただ、私たちは、行政というのは、誰がそこに座っているかで判断が変わるというものではおかしいと私は思います。つまり、行政というのは法令にのっとって適切な対応を行っていくこと、誰がそこに座っていても基本的な判断は変わらない、それが行政のあるべき姿であると考えております。

 いずれにせよ、吉田委員の御期待にどこまで沿えるか分かりませんですけれども、多くの国民の皆様に、文化庁というか文部科学省、あるいは政府全体、ほかの関係省庁もございますので、挙げてこの旧教会の問題に対して取り組んでいる、あるいは被害者の救済に取り組んでいる、そういうことを御理解賜ることができるよう、我々は政府全体で努力を続けていく所存です。

吉田(は)委員 盛山大臣、ありがとうございます。法令に基づいて。

 ただ、そこに誰が座っていても同じということは、大臣、ないんじゃないでしょうか。行政の方が決めるのではなくて、やはりそこには政治家である盛山大臣がいらっしゃるわけですから、私はそこは是非御期待申し上げたいなということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 立憲民主党の青山でございます。

 先日、盛山大臣からの所信をいただきました。本当に非常に大切なことを述べてある中で、その所信から幾つか質問をさせていただきます。

 まずは、先ほどほかの委員からもございましたけれども、「令和七年度から、子供三人以上を扶養している多子世帯の学生等について、所得制限なしに、授業料、入学金を国が定めた一定の額まで無償とする措置を講じます。」とおっしゃられましたけれども、この措置の一番の目的をもう一度大臣に確認させていただきます。

盛山国務大臣 ちょっと青山委員の御趣旨にうまく、御期待に応えられる答えになるかどうか分かりませんですけれども、私どもが考えておりますことは、子育てや教育費により理想の子供の数を持てない状況、これを打破していく必要があると考えておりまして、そのため、令和五年十二月に閣議決定をしたこども未来戦略に基づいて、令和七年度から多子世帯の大学等の授業料等無償化を進めることといたしました。

 ここで三人以上を扶養する世帯を対象といたしましたのは、理想の子供の数を断念する理由として、長年、子育てや教育にお金がかかり過ぎるという答えが一位となっていること、そして、その傾向が三人以上の子供の数を理想とする夫婦において顕著であること、こういったことを踏まえまして、限られた財源の中で、三人同時に扶養して負担が集中している期間を優先して支援をすることといたしました。そういうようなことで、今般こういう対応を取ろうとしたところでございます。

 今般の支援拡充の狙いを今後とも丁寧に発信すること、こういったことを通じて少子化対策上の効果を上げていきたい、そんなふうに考えております。

青山(大)委員 実際、私も今、六歳、四歳の子供を育てております。当然、同じような子供を持った親御さんと触れ合う機会が必然的に多くなります。

 これは最初は、じゃ、三人子供がいたら、大学の学費、全員無償なのかな、これは思い切ったことをやったな、ただ、でも財源的に大丈夫なのかなと思っていろいろ見ていったら、いわゆる三人同時はほぼないわけですよね。

 しかも、これは基本的に一番目の子供がそれを受けやすくなるじゃないですか。ただ、一番目の子供が果たして絶対日本の大学に行きたいのか。ここって大きなことだと思うんですよね。本人は、例えば、高校を出てすぐ社会に出て働きたい。又は、今、文科省の方でも、日本人の留学、非常に後押しをしているじゃないですか。じゃ、海外の大学に行きたい、そういう一番目の子供の選択をこの制度によって逆にゆがめてしまうんじゃないか、そういうおそれがある。

 また、一番目の子はそうかもしれない。でも、二番目のお子さんは、それこそ結構学費がかかる私立の医学部に行きたいかもしれない。でも、第一子が扶養から外れてしまって、結果的に、さっきおっしゃった経済的な困難とかいいながらも、やはりそこは適用できないというおそれもある。

 兄弟間で分断が起きてしまう、そのような危険性もある。場合によっては、第二子もこの無償化の恩恵を受けられるよう、本当だったら一番目のお子さんが卒業して扶養を外れるかもしれないけれども、あえて大学に残って留年をして、弟や妹のために、いや、これは実際ありますよ。

 ですから、私はなぜもう一回趣旨を聞いたかというと、その少子化という観点からこの制度を導入したということが私は非常に疑問なんです。それを堂々と大臣が述べられることに対して、申し訳ない、今現在、幼稚園、小学生、もっと、赤ちゃんを育てている我々世代は、その現実との乖離に正直驚くというか、あきれるわけなんです。

 大臣、これは令和七年度からスタートしようということですけれども、一年間ございます。まだ細かい制度設計、変えていくような考えはあるでしょうか。伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも答弁申し上げましたとおり、今回の政策、少子化対策、子供、子育て支援という面もございますけれども、当然、大学に行く若者への支援でございますので、教育政策という面もありまして、これは両方を政府内や与党内でも議論しながら、昨年末のこども未来戦略で決定したものでございます。

 これは、令和六年度から、この四月から新しく改正する部分と、それから令和七年度から先ほど御指摘の支援拡大というのがございますが、未来戦略の中では、更にその先、六年度、七年度の実施分も踏まえて将来の在り方を議論して、次なる政策を打ち出すということも盛り込まれておりますので、そうした中で、さらに、今、限られた財源の中で、こうした扶養するお子さんが三子以上ということになっておりますけれども、更にその先をどうするかということもこれから検討していくことになっております。

青山(大)委員 改めて確認ですけれども、令和七年度、この措置が講じられた場合、予算は大体どのぐらいでしたか。

池田政府参考人 これは具体的に詰めていく必要がありますが、二千七百億円程度であると承知しております。

青山(大)委員 繰り返します。この制度は少子化対策にはつながらないと思います。

 もし二千七百億円もの多額の予算があれば、これは極端な話ですよ、基礎自治体に一億円ずつ、少子化対策、それぞれの基礎自治体に合わせて少子化対策に使ってください、むしろそのように私は配った方が効果はあると思いますよ。だって、基礎自治体ごとによってそれぞれ違うんですから、少子化対策の観点というのは。

 例えば、私の地元つくば市なんかは、逆に人口、子供たちが増えている。一方、同じ、かすみがうら市とかでは、逆に子供たちは減っている中で、それぞれ首長さんたちが工夫をしながらやっている中で、それで、さっき私、大臣になぜもう一回この趣旨を聞いたかというと、少子化対策ということを堂々とうたっているからなんです。これは絶対につながらない。

 だったら、経済的な理由からというのであれば、所得制限をかけて、今、現行制度、やっているじゃないですか、そこをもう少し手厚くするとか。だって、つらくないですか。経済的な理由で、第一子、俺は本当はもう働きたいんだよ、でも、せっかく三人いて、長男だから大学に行ってくれと言われて、それは本人が希望しない四年間を過ごす、それがこういった政策でゆがめられる危険性がある。だったら、行きたい子たちの幅を広げたりとか、そういう工夫の方が私は必要じゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

盛山国務大臣 先生から、あるいは先生以外の方からも、少子化対策に資するものではないという厳しい御意見があることは我々も承知しております。

 しかしながら、先ほども申し上げましたけれども、三人以上のお子さんを産まない、その背景として、理想の子供の数を断念する理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるというお答えが一位になっている、こういうことを踏まえた判断でございます。そして、限られた財源の中でどのように優先をするのかということでございます。

 そして、先ほど池田局長からも申し上げましたとおり、今後とも、このやり方、政策についてどうすればいいのか、これはもちろん、これから政府としても検討を続けてまいる所存であります。

青山(大)委員 ですから、経済的な理由から第三子をちゅうちょする、それはまさに今、赤ちゃんとか小さい子を育てているこの瞬間なんですよ。この子が十八歳まで育つまでの間、特に小さい間が一番苦しいんですよ。そこなんですよ。だから、私は、申し訳ない、今の岸田政権の少子化対策は、ずれている、というふうに言わざるを得ないんです。しかも、二千七百億円もの巨額な予算を投じて。

 私は、この見直しをしてほしい。むしろ、まさに今、今日生まれる、まさに今、赤ん坊を夜も寝る暇もなくてあやしているお母さんたちに対する、むしろそっちの支援の方が私は大切だと思って、まずはこの質問については一旦終わりにさせていただきます。

 続いて、大学の話でしたので、高等教育に関連して質問いたしますけれども、大臣が、激しい社会の変化の中で、高等教育機関は、人材育成や知的創造活動の基盤として、社会の将来的な発展を支え、推進する使命を有しています、まさにそのとおりだと私は思います。

 ただ、実際、今、大学、全国の私立大学でいうと約五割が入学者数が定員割れとなっている現状を踏まえた上で、大臣は、この後、所信表明で、少子化の進展等を踏まえ、高等教育全体の適正な規模を視野に入れつつとおっしゃっていますけれども、この適正な規模について大臣はどのように考えているのか、お伺いします。

盛山国務大臣 青山先生が今おっしゃっていただいたとおり、大学は、人材育成と知的創造活動の基盤として、我が国の社会や経済を支えるのみならず、世界が直面する課題の解決に貢献するという使命を有している、大変大事な機関だと思います。

 そう申し上げた上で、現在、急速な少子化が進行しております。昨年の出生数七十六万人割れということでもございます。今後、大学進学率の伸びを仮に加味したとしましても、二〇四〇年代の大学入学者数は五十万人前後で推移するのではないかと予想されます。現在の規模に比べて十万人以上減少することが見込まれるということになるわけです。

 これらの状況は、国公私立問わず、全ての大学が避けて通ることができないものでございますので、今後の高等教育全体の適正な規模の在り方等は早急に検討しなければならない課題であると認識しているわけであります。

 このため、昨年の九月に中央教育審議会に対して、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について諮問を行い、現在御議論をいただいているところでございますので、今後、これらの議論も踏まえつつ、大学改革にしっかり取り組んでまいる所存です。

青山(大)委員 ちょっと大学についてもう一問質問させてください。

 二〇二一年に第四十九回衆議院総選挙が、十月十九日公示、十月三十一日投開票で行われました。この選挙期間中の十月の二十五日、つくば市内で、あるシンポジウムが開催されました。

 そのチラシによれば、テーマは科学技術、アントレプレナーシップ教育についてと書いてあり、登壇者に、筑波大学学長永田恭介氏、自民党の衆議院議員候補者の名前、筑波大学教授等が記載されています。主催はつくばグローバル・イノベーション推進機構となっております。つくばグローバル・イノベーション推進機構とは、二〇一一年に設立された、筑波大学の中の組織が端緒となった法人でございます。

 このシンポジウムは、一般参加者を募り、つくば市民の参加が多かったと伺っています。

 当日は、衆議院選挙の真っただ中であり、登壇者として記載されていた衆議院選の候補者の方は、何と、選挙カーから、イメージカラーのジャンパーを着て、まさに選挙候補者の姿で、Zoomでシンポジウムに登壇しました。講演では、本人が選挙公約に掲げる、つくば市内に高校を設置する話を展開し、そのうちの一つの案として、筑波大学附属高校の可能性も示唆しています。画面に表示されたパワーポイントの資料の冒頭では、茨城六区の地図と国会議事堂、議員バッジをつけた候補者の写真が堂々と映し出されていました。講演終わりの最後のパワーポイントでは、頑張りますの文字でガッツポーズを決め、議員バッジをつけた候補者の写真が映し出されたとのことであります。

 このように、シンポジウムのテーマであるアントレプレナーシップ教育とは直接関係がない、特に専門性のある話でもなく、選挙公約の説明に近く、ビジュアル的にも選挙を意識した講演が行われました。

 シンポジウムでは、筑波大学の永田学長のパソコンのデスクトップ画面が参加者の前に一定期間表示され、そこには、当該自民党候補者の名前が堂々と入った、講演依頼という名称のついたフォルダが置かれている様子が映し出されました。シンポジウムの開催、運営に永田学長が関わっていたことが推察されます。

 ここで、選挙期間中のこうした国立大学学長の行動に法律上の問題が生じないのか、大変気になるところでございます。確かに、国立大学法人となってからは、非公務員であり、学長も一個人としての政治活動は自由でしょう。しかし、公職選挙法第百三十七条、教育者の地位利用の選挙運動の禁止の趣旨は、学生やその保護者との間における影響力を利用して選挙運動をすることを禁ずることにあります。

 永田学長が講演依頼したと思われるこの特定の候補者は、その講演内容も、シンポジウムのテーマに沿わず、学術的なものではなく、あえてこの候補者を人選する必要はなかったと言えます。選挙期間中に行われたこのシンポジウムに附属高校入学を希望する子の保護者が参加しているおそれもあり、学長は、附属高校の選挙区内移転を公約に含める候補者に講演依頼をする行為は、慎重さに欠けると言わざるを得ません。むしろ、選挙期間中であることを考慮して慎重な人選をすべきではなかったかと考えます。

 今回は国立大学学長の極端な事例かもしれませんが、同様な手法をまねる者が出てきて、例えば、国立大学附属高校の教員、附属幼稚園の園長などが、選挙期間中に選挙区内で、御自身も登壇するシンポジウム、講演へ特定の候補者をスピーカーやパネリストとして招き、その候補者が公約とする内容を知らしめ、シンポジウムに参加する高校生や入学を希望する者の保護者に対して印象操作をするとしたら、この問題の持つ危険性が見えてくるかと思います。

 大臣に伺います。

 国立大学法人学長である永田氏が選挙期間中に行った、さきに述べた行為についてどのように思われるか、お伺いします。

盛山国務大臣 まず、国立大学の学長による政治的活動は、教育基本法や公職選挙法を遵守していただくことが必要であるということをまず申し述べます。

 その上で、委員御指摘の件につきましては、今伺ったところでございまして、具体的な事情を承知しておりませんので、ちょっと今この場でこれ以上お答えすることは困難でございます。

青山(大)委員 もう少しこのことについて取り上げさせていただきます。この後もう一度、大臣と政府参考人の方にもちょっと答弁を求めますので。

 御承知のように、選挙権が十八歳に引き下げられました。一方で、民主主義が健全に機能するためには、自立性ある主権者の存在が大前提です。しかし、主権者教育が日本ではこれまでしっかりと行われていたのか、心もとない状況でもございます。デンマークやスウェーデンなど、主権者教育が充実し、投票率も高い国と比べ、日本は主権者教育が十分に担保されているとはまだまだ言えない状況です。

 学長が特定候補者に肩入れした活動をする、それに精神的感化や影響を受けずに自分の目で見て考える、考えるきっかけを公平に提供するべき教育が一方で行われていないのであれば、こうした学長の軽率な行動は民主主義の根幹をゆがませるおそれがあると私は思います。

 国立大学法人の学長はこのような方ばかりじゃないと当然思いますが、永田氏は一般社団法人国立大学協会の会長も務めています。御自身の影響力を認識して、慎重な振る舞いが必要だったのではないでしょうか。国立大学法人の学長は、言うまでもなく学術機関のトップでもあります。政治的中立性や公平性を保ちつつ、学術的な使命を遂行することが期待されるのではないでしょうか。そのような中、学術機関のリーダーでもある筑波大学の学長が、その地位や権限を活用して特定の候補者を当選させるための選挙活動を行ったと見受けられる行動を取ることは、民主主義の価値観や公平性に対する信頼を失う可能性があります。

 学術機関は、中立性と公平性を尊重し、学問の自由を守ることが求められます。政治的な立場や選挙活動は個人の自由ではありますが、公職を持つ者はその職務との間で適切な境界を守ることが必要ではないでしょうか。

 なお、このシンポジウムの数日前、十月の二十一日、筑波大学の学内の情報ネットで、在学生へのお知らせとして、文部科学省から、第四十九回衆議院総選挙について、選挙期日の周知、投票参加の呼びかけについて周知依頼がありましたとして、積極的な投票をお願いしますとの掲示があったことが確認されています。

 しかし、文部科学省に確認したところ、国公立法人担当課宛てに第四十九回衆議院議員総選挙に係る選挙啓発について(依頼)の事務連絡を発出したのは十月の二十五日付であり、まだ十月二十一日の段階では発出されていません。シンポジウムに合わせて学内で勝手に出したんじゃないでしょうか。総務省が文科省へ選挙啓発依頼を出したのが十月の十九日、それを受けて文科省から大学法人等へ依頼を出したのが十月の二十五日だからです。

 このように、永田氏が学長を務める筑波大学では、文科省からの依頼がまだない時点で、依頼があったとし、投票参加への呼びかけを在校生へ発信されました。そして、数日後には、学長も登壇するシンポジウムに選挙カーから選挙運動中の特定の候補者がZoomで登場し、その候補の選挙公約について主に講演しました。

 また、この候補者は、選挙期間中に政党でない者によるインターネット有料広告という、公職選挙法で禁止された行為も行いました。この広告内容は、シンポジウムで話した内容と同じ、つくば市に高校を設置するという公約でした。

 以上の事実を踏まえた上で、大臣の御感想、そして参考人の御感想をお伺いします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今いろいろ御指摘をいただきましたが、先ほど大臣からもお答え申し上げたとおり、私ども、詳細な事実関係を承知しておりませんので、ここで明確にお答えすることは難しゅうございますが、一般論として言えば、先ほど委員御指摘いただいたように、大学あるいは大学の教員、学長の政治的活動につきましては、教育基本法とそれから公職選挙法で規定されている。これらの法律を踏まえて、大学教員の政治的活動については適切に御対応いただく必要があると思いますが、個々のシンポジウムなり行事なりに政治家が参加して、それと学長が御一緒に同席するということは、一般論で言えば、いろいろあるかと思いますので、まさに、先ほど申し上げた法律を踏まえて適切に対応していただくことが重要であると考えております。

盛山国務大臣 今局長が答弁したこととちょっとダブりますけれども、教育基本法十四条二項では、法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動はしてはならない、また、公職選挙法百三十七条でも、教育者は、学校の児童生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることはできないとなっておりますので、こういった規定を十分に踏まえて適切に対応していただく必要があるというふうに我々考えます。

 その上で、具体的なところはちょっと承知をしておりませんので、これ以上の御答弁はできないということでございます。

青山(大)委員 参考人、一点、今の話は選挙期間中の話ということで、そこだけは誤解ないですね。

 あと、私、これはもう正直三年前の話でですね、私もいろいろ思いはあったんですけれども、あえて取り上げませんでした。でも、やはり筑波大学の学生から、学生から、青山さん、これはおかしいんじゃないか、学生からあるんですよ。私は、そのことが、教育者としてはやはりこれはちょっと行動に思慮が欠けていたんじゃないかということを最後に指摘し、私の質問を終わらせていただきます。

 多分、文科省の方たちも、今の話を聞いた中で、三年前の話ですよ、多分これをまた事実確認とかする手間とか、大変だと思います。じゃなくて、これからこういうことが私はない方がいいのかなという思いで取り上げさせていただきました。

 以上です。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、中村裕之君。

中村(裕)委員 自由民主党の中村裕之です。

 大臣所信に対しての質疑をさせていただきます。

 初めに、教師の処遇改善等についてでございます。

 大臣所信では、教師は公教育の再生に欠かせない存在とし、教師を取り巻く環境整備は喫緊の課題だというふうに述べております。採用試験の平均倍率は、かつて十三倍あったものが、今三・七倍まで低下をしているということでありまして、教師のなり手不足への対応はもう喫緊の課題だと私も考えております。

 政府の骨太方針二〇二三では、令和六年度からの三年間を集中改革期間とし、教師の働き方改革、処遇改善、指導、運営体制の充実、育成支援を一体的に進めるとしております。その初年度となる令和六年度には具体的にどのような取組を行う予算とされているのか、その点について伺いたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 教師は学校教育の充実発展を通じた公教育の再生に欠かせない存在であり、教師に優れた人材を確保するため、教師を取り巻く環境整備を図ることは喫緊の課題であるというふうに考えております。

 このため、骨太の方針二〇二三や中央教育審議会の緊急提言等を踏まえ、令和六年度予算案におきましては、まず、小学校高学年の教科担任制の一年前倒しでの実施、教員業務支援員の全ての小中学校への配置、副校長、教頭マネジメント支援員の創設、そして、保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等に対する行政による支援体制の構築等に必要な経費を盛り込んだところでございます。

 文部科学省といたしましては、現在国会で御審議いただいている令和六年度予算案をお認めいただければ、その着実な実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

中村(裕)委員 高学年教科担任制、業務支援員等々、全学校に配置をするということでありますから、先生方の負担も少しは減るのかなというふうに思いますけれども、しかし、私、概算要求に盛り込んでいた手当の充実というのが、この令和六年度予算案に計上されていないということにショックを受けました。遺憾に思っています。やはりここの部分というのは目に見える改革の一歩でありますから、これは集中改革期間の初年度に確実に行うべき施策だったというふうに思っているんですよね。これをやっていないということは、何か本気度が伝わらないというか、本当にやるんだろうか、そういった疑心暗鬼を生むことになると思っていまして、残念に思っています。

 この三年間、どのようにこの集中改革期間、施策を取り組んでいくのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 手当につきましては十分な御説明ができておらず、誠に申し訳ございませんでした。

 教師の処遇改善につきましては、骨太の方針二〇二三におきまして、令和六年度中の給特法改正案の国会提出を検討することといたしておりまして、令和六年度予算案における文部科学大臣と財務大臣の折衝の結果、令和六年度予算において部分的な見直しを図るのではなく、令和七年度予算において給特法等の法制的な枠組みを含めた処遇全体の見直しを図ることとし、引き続き折衝を行い整理するということとなったところでございます。

 現在、中央教育審議会におきまして、教師の処遇改善の在り方を含め、教師を取り巻く環境整備について、具体的な制度設計に関わる検討を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、三年間の集中改革期間を通じて、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

中村(裕)委員 給特法の改正も令和六年度中に行って、令和七年度には今の四%を一〇%に上げるべきだというのが自民党からの提言にも入っているわけですけれども、手当は、それとは別に、それこそ手当てをできたはずなんですよね。そこをやはり頭出しでしっかりやっておくことというのは重要だったと思いますが、この点も含めて、令和七年度にはしっかりとした対応をしていただきたいと思っています。

 そこで、確認をしたいことがございます。かつて、教師に優秀な人材を確保するために、給特法に基づいて、最大七・四二%の加算があったわけです。今、それが、何でしょうね、行革なのか、構造改革なのか、その七・四二%がほとんどなくなっているという状況でありまして、こうしたところが教師は割に合わない職業だというふうに学生から見られる傾向にあるのではないかと思っています。

 教師の処遇を改善する上では、給特法の改正にとどまらずに、人確法に基づく加算についても重要だと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

あべ副大臣 中村委員にお答えさせていただきます。

 昭和四十九年に制定されました人確法でございますが、教師の給与を一般の公務員よりも優遇することによりまして、教師に優れた人材を確保し、また、学校教育の水準の維持向上を図ることを目的としておりまして、その重要性は現在ますます高まっている、中村委員の御指摘のとおりでございます。

 骨太方針の二〇二三年におきましても、崇高な使命と高度な専門性、裁量性を有する専門職である教職の特殊性、また人材確保、人確法の趣旨を踏まえて、教職調整額の水準、新たな手当の創設を求めた各種手当の見直しなど、具体的な制度設計の検討を含め、教師の処遇を抜本的に見直すとの方向性が示されているところでございます。

 また、現在行われている中教審の議論におきましても、複数の委員から、中村委員がおっしゃるように、人確法を踏まえた処遇改善の必要性についての意見が示されているところでございます。

 文科省といたしましても、中教審における議論も踏まえた上で、また、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。

 以上でございます。

中村(裕)委員 副大臣、ありがとうございます。

 教職調整額の増額だけではやはりまだまだ足りないと思っていますので、是非、この人確法の部分も考慮に入れた対応をいただきたいと思います。

 優秀な人材を確保するためには、できるだけ多くの方々に採用試験に挑戦をしていただきたいというふうに考えていますけれども、現在、その採用試験の時期が遅いために、民間企業に人材が流れているというような指摘があります。

 令和六年度には、六月十六日を一定の標準日として一次選考をしていくということを考えていらっしゃるというふうに聞いていますけれども、今の情勢で大学生が動き出すことを考えると、この六月十六日でもまだ遅いというふうに思いますよね。是非更なる前倒しを検討していただきたいと思いますけれども、是非お答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

あべ副大臣 中村委員にお答えさせていただきます。

 教育の質の向上のために、できるだけ多くの教師志願者を確保し、優れた教師人材を採用することがまさに重要でございます。各業種で採用が多様化している中におきまして、教員採用においても意欲ある教師志願者を確保するために、文科省といたしましても、昨年五月に、教員採用選考の早期化、複数回実施等の改善の方向性を提示したところでございます。

 特に、早期化につきまして、まずは一里塚として、令和六年度の第一次選考の日程については六月十六日を一つの目安としまして、できるだけ前倒しを要請いたしまして、多くの教育委員会において積極的に対応いただける見込みとなっております。

 しかしながら、中村委員の御指摘のように、他業種との人材獲得競争の状況に鑑みれば、更に一か月程度の前倒しが必要だというふうに考えているところでございまして、今後、改めて各教育委員会や大学に対して要請をしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上です。

中村(裕)委員 その更に一か月の前倒し等の取組が成果を上げることを期待しておりますけれども、まずは、時期のみならず、処遇改善、働き方改革等々をしっかりとこの三年間で集中して成果を上げていただきたい、そのことを期待したいと思います。

 次に、高等教育の予算、主に国立大学法人についてお伺いしたいと思います。

 大臣所信では、国立大学法人運営費交付金を安定的に確保すると述べております。この運営費交付金は、二〇〇四年の国立大学法人化の後、資料一にあるように、毎年一%の減額が開始をされまして、二十年を経過しました。その結果、当時と比べて一千六百億円を超える減額がなされているわけであります。

 私、これ、何でこんなことをしたんだろうという疑問があるんですけれども、こうした財政政策はどのような意図、どのような手続により進められたのか、お伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の財政健全化に向け、政府全体で徹底した歳出の見直しが図られる中、国立大学法人運営費交付金についても、骨太の方針二〇〇六におきまして、各年度の予算額を名目値で対前年度比一%減とすることが明記されまして、効率化ルールの徹底を図ることが求められた等の経緯があり、法人化後、予算額が減少してきた状況でございます。

 文部科学省としては、社会経済情勢や政府の方針等も踏まえつつ、各大学の教育研究を支える基盤的経費である運営費交付金の確保に努めてまいりまして、平成二十七年度以降はほぼ同額の予算額を確保しております。

中村(裕)委員 よく言われる財政健全化、効率化ということで、行革のような考え方ですけれども、大学は教育と研究を担うわけですけれども、その研究というのは我が国の将来の果実を得る重要な役割を担っています。なかなか資源が乏しい日本にとっては、人材というのが大きな資源であり、将来の日本を支えるわけでありますけれども、この部分にも財政健全化、効率化を求められてきたということでありまして、このことが私は残念に思っているところです。

 この間、運営費交付金のほかに、競争的研究費というのが導入されているようであります。高等教育予算案は、特に国立大学法人の予算というのが、千六百億円は運営費交付金で減ったけれども、しかし競争的資金等で賄われて、総額でどういう状況になっているのか、お伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人等における科研費やその他の競争的研究費を含む補助金等の令和四年度の受入額は、三千四百九十億円でございます。法人化初年度と比べると千九百九十億円の増となってございます。

中村(裕)委員 総額としては増えているということですけれども、しかし、基盤的経費というものと違って、大学の競争的資金というのは、大学の研究者がこの競争的資金を確保するために大変な申請書を書いて、そして、その競争的資金を獲得した研究が成果を上げたのかどうかということの報告書も作るわけであります。そうした研究以外の事務処理等に多くの時間を割かれていて、研究に没頭できないという状況が指摘をされています。

 特に、知的好奇心に基づいた研究をしたいのに、競争的資金の予算を取れる研究を促されたり、また、民間企業からの資金を導入するようにということもあって、すぐに成果が出そうな研究にばかり向いていったり、そういう傾向が見られていて、重要な基礎研究に没頭できるような環境にないというところが指摘をされています。

 基盤的経費を確保していない状況の中で、こういった状況というのは私は適切でないなというふうに思っていまして、資料二にあるように、日本の研究力が、特に運営費交付金の減額が始まった頃から、資料二の赤い線のグラフが日本の論文のトップ一〇の引用頻度ですけれども、見事に運営費交付金の減額が始まった頃から低下をしているという状況にあるわけであります。

 これは、効率化というプランを立てて、それで実行してみた結果、これを今チェックをすると、PDCAのサイクルでいうと、この政策がどうもまずいぞというふうに我々は気づかなければならないし、もう既に気づいていなければならなかったと思うわけです。ここはやはり、しっかりと基盤的経費を確保できるような、国立大学法人の予算を取れるような方向に変えていくということが私は必要だと思っています。

 日本のノーベル賞を取った学者さん、特に地方大学でも山梨大学とか北海道大学とか、地方大学でもノーベル賞を取っている方がいらっしゃいますけれども、それぞれの皆さんが今後日本からノーベル賞学者が出なくなるよという不安を口にする状況というのは、早期に改善する必要があると思っています。

 国立大学法人の予算の在り方について、運営費交付金とほかの資金、この在り方について抜本的に見直しを検討すべきと考えますけれども、文部科学省の決意を伺いたいと思います。

あべ副大臣 中村委員にお答えいたします。

 御指摘の点も含めまして、我が国の相対的な研究力の低下の原因は、諸外国の研究開発投資の増資が著しいことに加えまして、我が国におきましては、博士課程の後期課程学生のキャリアパスが不透明であること、また、研究者が腰を据えて自由で挑戦的な研究に取り組める環境が不足をしていること、また、国際頭脳循環の流れに出遅れていることなどがあるというふうに認識しているところでございます。

 文部科学省におきましては、基盤的経費としての運営費交付金の確保に加えまして、新たな仕組みとして、世界最高水準の研究大学の実現に向けました国際卓越研究大学制度、また、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学に対しての、この各大学の強みや特色を生かした取組の支援など、これを通しまして大学の研究力の強化に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、中村委員の御指摘もありましたように、しっかりと私ども、これらの施策を総合的に推進いたしまして、我が国全体の大学の抜本的な研究力強化に取り組んでまいります。

 以上でございます。

中村(裕)委員 あべ副大臣から力強い答弁をいただきました。今後の取組に期待をして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

田野瀬委員長 次に、小寺裕雄君。

小寺委員 自由民主党の小寺裕雄でございます。

 昨年の秋から文科に移らせていただきまして、初めて質問の機会をいただきました。ありがとうございます。

 実は、私は、滋賀県の東近江市というところの生まれ育ちでございます。東近江市というと、実は、昨年の十月の首長会議で、私の地元の市長の発言によって、不登校の問題、そしてフリースクールの問題が一躍全国的に脚光を浴びることになりました。

 実は、私も既に子育てを卒業してしばらくたつわけでありますけれども、自分自身ではそうした学校の問題についてある程度理解をしているつもりではありましたが、改めて、そうした問題がクローズアップされたことによって、不登校の実態であったり、またフリースクールに対する認識というものを勉強する機会をいただいたというふうに考えております。

 そこで、今回は、不登校の問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 不登校が増えているのは先生方も御承知のとおりであろうと思います。直近の五年間で倍増をしているというふうに承知をしています。非常事態と言えるのではないかというふうに思うわけですけれども、まず、不登校というのは一体どういう状況にある児童生徒のことを不登校と申し上げるのか、その定義について伺いたいと思います。

 そして、冒頭申し上げました、直近五年間で倍増しているというふうに承知をしていますが、不登校の現状についてどのようなものなのか。

 その子供たちが不登校になる主な原因というのにはどのようなものがあるのか。

 あわせて、なぜこの五年間に倍増するほど不登校の児童生徒が急増しているのか、そのことをどう分析されているのか。

 大きく四点についてお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、不登校の定義についてのお尋ねでございますが、文部科学省が実施をしている児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして定義が設けられておりまして、一年間に三十日以上欠席した長期欠席者数のうち、病気、経済的な理由等を除き、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因、背景により、登校しないあるいはしたくともできない者を不登校児童生徒数として把握をしてきたところでございます。

 現状でございますが、不登校の子供の数については長らく十万人から十五万人の間を行ったり来たりしていたわけでございますが、令和四年度の調査結果では、小中学校の不登校児童生徒数が二十九万九千四十八人となり、十年連続で増加している状況となっておりますが、とりわけ令和二年度からの二年間で約十万人の増加ということになっております。

 不登校の要因につきまして、令和四年度の調査によると、不登校の半数以上が無気力、不安によるものとされておりますが、その背景には様々な要因が複雑に関わっている場合が多いと認識しております。

 その上で、近年の不登校の増加につきましてですが、例えば、平成二十年代後半からかなり増えてきているんですが、学校における保護者、児童生徒自身の意識の変化など、社会全体の変化の影響が考えられます。また、ここ二年間について十万人と申しましたけれども、やはり、新型コロナ感染症により学校生活においても様々な制約がある中、交友関係を築くことが難しかった子供や登校する意欲を持ちにくい子供もいた可能性がある、こういったことが考えられるというふうに考えております。

小寺委員 ありがとうございます。

 いろいろ分析していただいてはいるとはいうものの、私が聞いた限りでは、よく分からないのではないかなというふうに正直思います。本当に分かったら、これは食い止めることも減少させることもできたのではないかと思います。

 このような状況にある現下の不登校の状況に対して、何と、永岡前文部科学大臣の下、昨年の三月に、誰一人取り残さない学びの保障に向けた不登校対策、いわゆるCOCOLOプランが策定されたわけであります。ずっと拝見して、危機的なこの現状に対してしっかりと対応できている画期的なプランであるというふうに私自身は高く評価をさせていただいております。

 そこで、この昨年策定された不登校対策、いわゆるCOCOLOプランというのはどういったものなのか、これは説明し出すと多分相当長いことかかるので、できるだけ分かりやすく簡単に御説明いただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御紹介がありましたとおり、永岡大臣の下、昨年三月に取りまとめたCOCOLOプランでは、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保すること、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援すること、学校の風土の見える化を通じて、学校をみんなが安心して学べる場所にすることを柱といたしまして、不登校により学びにつながることができない子供たちをゼロにするということを目的として策定したものでございまして、令和五年度の補正予算で更に前倒し実施をしているところでございます。

 以上です。

小寺委員 ありがとうございます。

 ざっと不登校の児童生徒さんは三十万人おられて、私の記憶が確かであれば、いわゆる今まででいうところの、教育支援センターであったり特例校であったりスペシャルサポートチームで校内で支援を受けている方々以外に、手の届かない方が約四割。ですから、十二万人近くは結局そうした公的機関の支援を受けておられない。そのうちのたしか半数近くが、実はもう全く、九十日以上休んでいるにもかかわらず、ほったらかしみたいな状況になっているというふうに承知しています。

 ですから、六割を超える、いわゆる手の届かない四割の方々を本当にどうしていくのかといったところの危機感が相当あって、このCOCOLOプランができたものだというふうに思います。

 これまでの不登校対策というのは、教育委員会等を中心に、新たに不登校特例校をつくって、学びの多様化学校ということで全国に三百校を目指して、今一生懸命進めていただいている一方で、教育支援センター、これから、いわゆるGIGAスクールの端末を使ったオンライン形式であったり、それから、いわゆる民間との交流ということを進めながら、つまり、この絵がすごいよくできているなと思って今日参考につけさせていただいたんですけれども。

 子供の中には、学校に行けるけれどもクラスには入れぬ子供、それから、家からは出るけれども自分の学校には行かれへん子供、それから、家からは出られるけれども学校には行かれない子供、そして、全く家から出ない子供、それぞれに応じて、学校の中には、違うクラスで、スペシャルサポートチーム等の支援センターであったり、家からは出られるけれども自分のところは行かれへん代わりに学びの多様化学校で勉強しながらというお子さん、それから今度は、家からは出られるけれども学校には行かれへん方々のために教育支援センターと併せてこれから民間ともっと連携してやっていこうということで、そこにフリースクールがしっかりと位置づけられてやっていこうということで、こういうふうに計画がまとまったものというふうに承知をしております。

 そういう意味でいうと、このフリースクールというのは、今回のCOCOLOプランの中で私は大変重要な位置づけにあるのではないかというふうに考えるわけです。つまり、COCOLOプランの中で、不登校の児童生徒に対して学びの場を確保すること、それから、それらの子供が学びたいと思ったときに学べる環境を整えるために、多様な学びの場というのが今申し上げたようなところになるのかなと。一方で、フリースクールは、なかなか勉強がしづらい子供の中に、とはいえ、居場所をやはりしっかり確保してあげないかぬのではないかということで位置づけられているものと承知をしています。

 フリースクールというのは、私は不勉強で申し訳なかったんですが、存じ上げませんでした。改めて調べてみると、もうこれは古くからあるものでして、一九七五年ぐらいに広まり始めて、現在、正確な数字が捉まえられていませんが、五百か所以上、それから、四千人以上の子供が不登校の状況でフリースクールに通われているというふうに書いてありました。

 ただし、フリースクールは民間施設であるがために、その規模もまちまちでありますし、また、そのフリースクールによって考え方が違うので、運営方針も違う、具体的にやっていることも違えば運営主体もそれぞれ異なるということなので、いわゆる基礎自治体の市長の発言の真意もそこに一つはあったのかなというふうに思いますけれども、COCOLOプランの中で行政や不登校特例校と連携、業務委託、人事交流などを行うフリースクールとは一体どういうものなんでしょうかというその定義について、お伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 フリースクール、これは読んで名のごとくというふうに考えておりまして、その規模や活動内容が様々でございまして、私立学校とは異なり、法的規制や行政上の指導監督に服することなく、民間主体として自由に設置、運営されているものと承知しております。

 不登校児童生徒の支援に当たっては、まずは公の機関である教育委員会が主体となり、学校内外の学習の場を整備することが重要と考えておりますが、子供の状況によっては、こうしたフリースクール等の民間団体等と連携しながら、相談、指導、支援体制の強化等を図っていくことが必要と考えております。

 以上です。

小寺委員 ありがとうございます。

 そういうぐらいのお答えやと、なかなか、自治体からすると若干不安も残るのかなという気がするわけですけれども、自治体は何もフリースクールのことを否定しているわけでも何でもありません、そうしたそれぞれの市町の不登校の子供たちの状況を考えたときに、フリースクールにも一定の役割を果たしていただかなければならないということは承知しているわけであります。

 ところが、フリースクールはいわゆる民間機関ということで、保護者の負担もなかなか必要というふうに承知しています。義務教育課程に子供を預けていても一定のお金が必要なことは誰でも分かることですけれども、フリースクールへ通わせている保護者の負担は大体、平均で三万三千円ぐらい、大体三万円から五万円ぐらいの幅のところが多いというふうに聞いておりますけれども、年間四十万から五十万となります。

 そこでお尋ねしますが、フリースクールの運営に係る費用に対する国からの補助であったり、あるいは子供をフリースクールに通わせる保護者への直接的な負担軽減策はあるのでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、フリースクールについては、法的規制や行政上の指導監督に服することなく、自由に設置、運営されているものでございますので、フリースクールに対する直接支援をすることは困難でございますけれども、昨年三月に策定いたしましたCOCOLOプランにおいても教育支援センターのフリースクール等への一部の業務委託という形で連携を明記しているほか、教育委員会や学校がフリースクール等との連携を強化するための補助事業を実施しているところでございます。

 また、フリースクール等に子供を通わせる世帯への経済的負担につきましては、文部科学省におきまして、困窮家庭の不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方に関する調査研究、調査研究という段階で実施しているところでございます。

 個々の状況に応じた多様な学びの場の確保について、必要な取組を引き続き推進してまいりたいと考えております。

小寺委員 ありがとうございます。

 つまり、基礎自治体サイドから出る不安の声というのは結果的にそこにあるわけですね。やはり、いわゆる市町の教育委員会や教育支援センターとこれから業務委託という一定の手法はあるものの、連携であったり、人事交流していかなければならない。一方で、フリースクールの運営にも直接的な支援がないということで、実はフリースクールの運営もなかなか大変であるという、つまり、月謝でというか月々の利用料金でなかなかこれ以上値上げできない中で、フリースクールを本当に継続して運営がしていけるのかといった声も一方ある中で、財政的な支援をやはり何らかの形で考えていかないと、今、これからCOCOLOプランで実際に効果を上げていくようなことにつながっていくんだろうかという不安があります。

 実は今、いわゆる地方議会でも、三月議会、二月定例議会、予算審議が行われておりますけれども、先ほど申し上げた私の地元の東近江市も、三百万円新たに単独で調査費をつけて、これからどうやって連携がしていけるのかといったことを改めて取組を進めております。

 一方で、もう既に支援を取り組んでいる自治体とやっていない自治体とのやはり短い距離で格差があって、保護者の情報が行き来する中で、あそこの町はお金を支援してもらえるのに、こっちはやってもらえへんのかと。つまり、今、滋賀県では、県に対して、いわゆる、もう一遍、フリースクールを、やはりどういうやり方、県も実は今度調査費をつけて令和六年にやるわけですけれども、こうなってどんどんどんどん周知が進んで利用が促進され連携が進んでくると、いよいよその財源をどうするのかといったことを、是非これは文科省でも改めて考えていただきたいというふうに思うところであります。

 それともう一点、同じように大事な役割はスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーにあると思います。十一月の新たな計画でも充実するというふうに伺っておりますけれども、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの充実に対してはどのようにお考えいただいているのでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、COCOLOプランにおきまして、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの配置をチーム学校による子供への早期支援や悩みを抱える保護者への支援策の一つとして位置づけており、昨年十月の不登校・いじめ緊急対策パッケージにおきまして、COCOLOプランを前倒しし、より課題を抱える重点配置校への配置充実をしたところでございます。

 これを踏まえ、令和五年度補正予算において七億円を計上するとともに、令和六年度当初予算案では八十四億円を計上しており、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実に向けて取り組んでいるところでございます。

小寺委員 配置の充実はしていかなければならないことですし、そうやってお取組を前向きにしていただいていることは大変ありがたいと思いますし、評価をいたします。

 ただ、現下の現場の状況からすると、まだまだ十分ではない。週に何時間、あるいは先ほど東京の御質問の中にあったように、お一人で何校も見られている中で、非常に時間が限られている中で相談件数が増えているということを考えますと、私、ちょうど滋賀県が毎年二回行っている政策提言のコピーを持ってきたんですけれども、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに対する支援体制の充実と人材の確保というのを繰り返し繰り返しやはり県としても出させていただいている実情がありますので、是非そのことは御承知おきいただいて、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ここまで政府参考人にお伺いさせていただきましたけれども、最後にあべ副大臣にお尋ねをいたします。

 不登校の子供は、大人になってから引きこもりにつながる可能性が高いという調査結果がございます。十五歳から三十九歳を対象にした内閣府の調査では、若者の引きこもりは今、五十四万人おられるそうですが、そして、その要因の一つにやはり不登校があるというふうに言われているわけであります。

 二〇二四年問題に象徴されるように、あらゆる産業分野で人手や担い手が不足している状況でありますので、みんなで、社会で支えていかなければならない。将来ある若者が社会の担い手として活用が期待されているにもかかわらず、引きこもりになってしまうような状況は何としても避けなければならないと思います。

 そこで、あべ副大臣に、不登校問題に対する決意を是非お聞かせ願いたいと思います。

あべ副大臣 委員の御指摘のとおり、内閣府の調査におきましては、外出頻度が低い者に対しまして、その状態になった年齢を問う質問項目におきまして、学齢期に外出頻度が低い状況となり、その最も大きな理由として不登校を挙げている者が一定数いるなど、不登校が理由となり、将来の引きこもりにつながっている場合もあると承知しているところでございます。

 文部科学省といたしましても、全ての児童生徒が学びにつながることができるよう、受皿を整備することが重要だと考えておりまして、昨年三月、永岡前文部科学大臣の下で取りまとめられましたCOCOLOプラン及び昨年十月に公表いたしました不登校・いじめ緊急対策パッケージに基づきまして、学びの多様化学校の設置促進、学校内外の教育支援センターの整備、スクールカウンセラー等の配置充実などを強力に進めてまいりますとともに、あわせて、民間団体などとも連携した取組も進めていくこととしているところでございます。

 引き続き、委員始め皆様に御指導を賜りながら、児童生徒一人一人に寄り添っていきながら、きめの細やかな支援を行うことを通じまして、児童生徒の社会的自立につながりますよう、不登校対策にしっかりと取り組んでまいります。

 以上でございます。

小寺委員 終わります。

田野瀬委員長 午後零時五十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十五分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前原誠司君。

前原委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の前原でございます。

 まずは、大学ファンドのことについて質問をさせていただきたいと思いますが、比較をする意味におきまして、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIF、今日は、宮園理事長、お越しをいただきましてありがとうございます。せっかくお越しをいただきましたので、GPIFに関わる質問を少しさせていただきたいと思います。

 まず、GPIFは、二〇二四年度にも、保有する外国株式の貸付運用、いわゆる貸し株を再開されるとされております。二〇一九年に貸し株の運用を停止した際には、貸し株で株式の所有権が借り手に移ることで、保有の実質的空白状態が生まれ、投資先企業に対して議決権を行使したり対話で企業価値向上を促すスチュワードシップ・コードとの整合性が取れないと判断したと理解をしております。

 二〇一九年にこういった理由で停止をして、今回再開をされるということでありますが、その理由について御説明をいただきたいと思います。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 二〇一九年に外国株式の貸付けを停止いたしまして、停止ということでございますので、その際に、今議員の御指摘いただいたような課題があるという判断でございました。

 その停止したときに、この課題が解決されるようであれば再開を検討する、こういう文言もつけておりました。それに従いまして、課題が解決しているかどうか、あるいは問題点が解消できているかということにつきまして調査を行いまして、その結果、その課題がおおむね解決されたという確信を持ちましたので、再開に向けて中で議論を始めた、このような経緯でございます。

 よろしくお願いします。

前原委員 その課題についてお話しいただけますか。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 まず、株式市場に、私どもの貸付業務による株式の需給等について何か影響がないかどうか。それから、貸し出しました株式がどのような人にどのような用途で使われているか、これが不透明なところがある、こういうこと。それからもう一つは、議員の御指摘のありましたスチュワードシップとの関係、議決権行使。

 これらにつきましてそれぞれ検討をいたしまして、まず、借り手が誰かとか、どのような目的だということは、市場の方でも大分研究なり措置が進みまして、大体もう把握できるようになってございますし、また、何か弊害があるような使い方があるときはそれを防止する仕組みも大体確立してきておるということでございます。

 それから、議決権の行使につきましても、必要があれば、私ども、リコールというやり方で所有権を戻す、そういうことも可能でございますので、そういう意味で、スチュワードシップ活動との両立もスキームを工夫すればできる、このような判断でございます。

前原委員 貸し株停止を推進した前最高投資責任者、CIOの水野弘道氏は、貸し株停止を称賛したテスラの社外取締役に二〇二〇年の四月に就任をされて、去年退任されているということでありますけれども、こういったことについてはコンプライアンスに関わる問題はなかったかどうか、その点、お答えいただけますか。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 水野氏の退任後の就職につきましては、私ども関知をしてございませんで、もし利害関係先に就職するという場合は理事長の承認を得ることが必要でございますけれども、水野氏の場合はそれにも該当いたしませんので、御本人の自由な意思と行動で行われたというふうに理解しております。

前原委員 今日は文科委員会なので、余りこればかり続けることはありませんが、私は、貸し株を再開されることは賛成なんですね。評価をするということなんですが。

 今、GPIFの運用資産額は約二百二十四兆円あります。鯨と言われている強大な投資家でありますけれども、この強大な投資家が証券を大量に抱え込むことで、市場に出回る流通量は減少しますね。取引が減れば、市場参加者の評価が価格に反映されにくくなり、市場の価格発見機能が低下するという指摘もありますし、現に、東京証券取引所では上場株式の取引全体のうち約四割が空売りであるということでありまして、貸し株は株式市場の売買には不可欠な要素でもあり、自由な取引が制限されれば、海外投資家の資金が離れるという懸念も生じます。

 しかも、GPIFは、二〇一七年から二〇一九年に外国株式や内外の債券の貸付けで得た収益は九百二十億円、年平均しますと三百六億円になりまして、二〇一九年度にGPIFが運用会社や資産管理機関に支払った手数料は三百十九億円ですので、ほぼそこで賄えるということになれば、年金積立金という本来の目的の収益に与える影響も、プラスの影響も大きいということであります。

 そういう意味では評価をしたいと思いますが、残るは日本株なんですね。日本株の貸付け、これをどのように考えていかれるか。今の肯定的な見方の中で、それをどのように考えておられるのかをお答えをいただきたいと思います。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 今回は、従来行っておりました外国株式の停止を解くということで議論しておるわけでございまして、元々、日本株式につきましては貸付けを行っておりませんでした。

 また、今回も日本株式については議論はしておりませんけれども、私どもが保有しております日本株式が全体の時価に対して七%ぐらいのウェートがございますので、市場に与える影響は外国株式とは比較にならないと考えておりますので、市場に与える影響とかそういったこともよく慎重に検討する必要があろうかと考えております。

 以上でございます。

前原委員 ある雑誌で今後検討課題だとおっしゃっていたのでこの質問をしているわけでありますが、いかがですか。検討されているんですか。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 外国株式の再開の議論で手いっぱいで、まだそこまで検討いたしておりません。

 以上でございます。

前原委員 それでは、本題の大学ファンドとの比較に入りたいと思いますけれども、まず、皆様方にお配りをしている資料一ページを、図一を御覧いただきたいというふうに思います。御承知のように、この年金の運用というのは二〇〇一年から始まっておりまして、そして、二〇二三年度第三・四半期までの運用状況というものがこの一ページでございます。

 累積収益額は百三十二兆四千百十三億円、平均収益率は三・九九%。年金積立金の運用目標は賃金上昇率プラス一・七%ということで、二〇二二年度までの二十二年間の名目運用利回りが三・六〇。これは、最近の株価の上昇で、二〇二三年まで含めますと三・六〇が三・九九まで上がっていますけれども、二〇二二年までだと三・六〇。

 これも大きな問題なんですけれども、二〇〇一年から二〇二二年度までの名目賃金上昇率というのは〇・〇一%なんですね。本当に、名目で変わっていないという恐ろしい国でございまして、ですから、〇・〇一に一・七を加えた一・七一が運用目標となり、運用目標の倍以上の成果を上げている、こういうことだというふうに思います。

 さて、図二を御覧いただきたいと思うわけでありますが、GPIFはうまくいっているわけです。二〇二二年度は一・五、二〇二三年度については上半期が九・一五、四月から十二月が一二、そして、何と、二〇二〇年から二二年度、この三年間の平均利回りは一〇・二二なんですね。非常にすばらしいパフォーマンスになっているわけでありますけれども、それに対して、大学ファンドというものは極めて問題があるということであります。

 この大学ファンドの議論をする前に、GPIFの平均利回りが高まってきている、その背景には、今のCIOの植田栄治さんの手腕というのが非常に大きいと思うわけでありますけれども、GPIFの今までの運用の改善点で、そして、この運用が高くなっていることについて、端的に、理事長に、どこを改善してこのような利回りが高くなっているのかということについて、まずはお聞きをしたいと思います。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 私どもの運用は、基本ポートフォリオというものを組みまして、これに従って運用しておりまして、世界の資本市場の成長の果実をリターンとして着実に受け取る、獲得する、これがまず収益の基本になっておりまして、これをまずしっかりと押さえまして、つまり、市場平均並みの収益をきちんと押さえる。その上で、それをプラスする形で超過収益を取っていく。

 この二つでございまして、市場平均並みの利回りをこの規模で実現していくというのは、これは実は大変難度の高い作業でございまして、これにつきまして、データサイエンスの活用も含めまして、御指摘いただきました植田CIOを筆頭に高度化を進めてまいったところでございます。

 また、超過収益につきましては、市場平均よりもへこんだ利回りではやる意味はございませんので、市場平均よりも高い超過収益を得られるような可能性が、確信を持てるような、そういうものに対して運用する。その確信を持つために、運用を委託する運用者の評価、選定に、これもデータサイエンスの活用をいたしまして高度化をいたしてまいりました。

 そのほかに、オルタナティブ投資ですとか、そういった運用の多様化も行ってまいりました。

 その結果、ここもと順調な収益を獲得できている、このように自己評価しております。

前原委員 私が植田さんから個人的に伺ったときには、この四分の一、四分の一、四分の一、四分の一の基本ポートフォリオですね、日本株、外国株、国債、外債、こういったものの言ってみれば見直しをかなり短期間でやられるようになってきたということで、今おっしゃったような、市場利回りプラス超過収益をどのように獲得をするかということを様々やっておられ、そしてまたオルタナティブ投資にも御検討を始めておられるということを伺っております。また、非常に割合的には少ないと思いますけれども、そういったものをやっておられると。

 さて、盛山大臣でありますが、大学ファンドの意義というのは私は大変大きなものがあると思っておりますし、後でアメリカやイギリスとの比較をすると、これをもっと頑張らなきゃいけないという思いで質問をするんですが、GPIFと比べると、いかにも大学ファンドの運用は失敗をしていると言っても過言ではないですね。だって、市場の環境は同じですよ。それにもかかわらず、このような利回りしか出ていないということであります。

 まずは、なぜここまで悪い運用になっているのか。それから二つ目には、これでは、国際卓越研究大学に対する資金提供、毎年三千億すると言っていて、しかも期待利回りは四・四九ですよ。これは実現できますか。つまりは、なぜこういう運用になっているかということと、資金提供が当初どおり三千億できるかどうかというところについてお答えをいただきたいと思います。

盛山国務大臣 前原先生が御提示いただいたこの資料二と比べると、その差が大変大きいというのはもう事実でございます。

 若干言い訳風になりますけれども、大学ファンドは、令和三年度末に運用を開始したところでございまして、運用元本の約九割は財政投融資資金となっております。そのため、価格変動の激しい市場環境の下でリスクが大きくならないよう、債券等の安定資産を中心に投資を行い、為替リスクも抑制するなど、慎重な運用を行ったため、令和四年度の収益率はマイナス二・二%になったと承知しております。

 しかしながら、この年度の、二〇二二年度の収益率がマイナス二・二%である一方で、利子や売買益等から成る助成可能額は同年度末時点で六百八十一億円を確保しており、令和六年度の助成開始に向けて、JSTの置かれている条件下においては着実に運用を進めているものと考えております。

 そして、この大学ファンドにつきましては、我々文部科学省が定める助成資金運用の基本指針において、令和八年度までに三千億円の運用益の達成、令和十三年度までに三%プラス物価上昇率の長期運用目標を達成するための資産構成割合の構築を目指すこととされております。

 今の時点では、大学ファンドは運用立ち上げ期にあるため、これらの運用目標の達成を求めておりませんけれども、JSTにおいて、今後、目標達成を可能とする資産構成割合の実現に向けて着実に取り組んでいただけるものと考えております。

前原委員 大臣も私もこういった金融の世界の専門家ではありませんので、専門家でない者同士が余り難しい議論をしても私は仕方がないと思うんですけれども、ただ、一般の金融市場では完全に素人の運用という酷評をされているのは事実であります。

 確かに、政府出資が一・一兆ですし、それから財政投融資が八・九兆円でありますので、九割が財投だというのは、それはそのとおりでありますけれども、慎重にやって、逆に下手を打っているというのがこの大学ファンドの実態であります。

 例えば、元々のレファレンスポートフォリオというのは、株式が六五パー、それから債券が三五パーなんですね。このとおりやっていたらというのが、この図二の大学ファンドの米印、これを御覧いただきたいんですけれども、このRPというのは、レファレンスポートフォリオどおりにやっていればこれだけの利回りを得られたということなんですね。となると、レファレンスポートフォリオどおりやったらマイナス二・二が一・〇になっていたし、そして、二〇二三年度の上半期だと、何と一五%の利回りが出ていたということでありまして、前倒しでかなり多くの大学に対する資金供与ができていたというのが厳然たる事実なんですね。

 資本不足で四割しかリスクを取らなかったということとして、じゃ、四割でリスクを取った場合、二〇二二年度は〇・四になるし、そして一五で〇・四を掛けても六パーになるわけですよ、仮にですね。

 そういう意味においては、やはり、始まったばかりだ、そしてまた資本が一〇%程度しかないといっても、取り巻く環境というのはGPIFと全く同じなので、運用面での言ってみればまずさというものが際立っているということは、これは指摘をせざるを得ないですし、幾ら大臣が御答弁をされても、御自身でおっしゃいましたけれども、言い訳にしか聞こえない。これは結果が全てでございますので。

 そういう意味では、これについて今後、このことばかり責めても私も仕方がないので、今後どうしていくのかということで、少し前向きなお話をしていきたいと思うんですが、私、先月の六日に衆議院の予算委員会で質問に立たせていただきまして、この大学ファンドの運用に関して、岸田総理に対して、GPIFを言ってみればお手本にしたらどうですか、こういうような提案を差し上げました。そのときに、岸田総理からはこういった御答弁でありました。GPIFを参考にする取組について、そのノウハウを参考にしていく、こういったことは重要であると思っています、こう岸田総理も答弁されているんですね。

 さて、宮園理事長に伺いますけれども、こういった、岸田総理がもう、ノウハウを参考にしていく、GPIFの参考にする取組、重要だとおっしゃっているわけですけれども、大学ファンドへの助言、協力を求められた場合、どのようなアドバイスを行われますか。

宮園参考人 お答え申し上げます。

 まず、GPIFといたしましては、大学ファンド立ち上げに際しまして、JSTさんからの御依頼もございましたので、運用受託機関の募集方法とか、それから投資一任運用の具体的な進め方、あるいは法人内の会計の仕方とか、あるいは情報開示の方法とか、こういったことにつきまして様々な情報を御提供させていただいたところでございます。また、大学ファンドの運用開始後におきましても、お互いに継続して情報交換を行ってございます。

 ファンド立ち上げ期といいましょうか、ポートフォリオの構築時期の御苦労は察するに余りあるところでございますので、私どもといたしましても、今後も引き続きJSTさんとの必要な連携を取ってまいりたいと思っておりますし、お聞きになりたいことがありましたら何でもお聞きください、このような姿勢で連携を取っていくところでございます。

前原委員 盛山大臣、今、宮園理事長、こういう御答弁をされていますけれども、極端に言ったら、もう任してもいいぐらいだと思うんですね。もうノウハウがあるわけですから、任してもいいぐらいだと思いますが。

 私は任すことも一つだと思いますけれども、どのようにGPIFとの協力をしていくべきと考えられるか、その点について文科大臣から御答弁をいただきたいと思います。

盛山国務大臣 今、宮園理事長から大変温かい御答弁をいただいたところでございます。

 大学ファンドは、その運用益を用いて、世界トップレベルを目指す我が国の研究大学の研究基盤を長期的、安定的に支援することを目的としているため、御指摘のGPIFではなく、大学に対する資金配分業務の豊富な経験を持つJSTにおいて運用することとしております。

 特に、大学ファンドは、ファンドの運用と毎年の大学に対する助成を長期的、安定的に行う必要があること、運用開始時点の運用元本の約九割が財投の資金であり、リスクを抑えて運用する必要があることから、GPIFによる運用と比較した場合、その方針や手法は必ずしも同一ではありません。

 しかしながら、先日の岸田総理の答弁にもございましたし、そして、今の宮園理事長の御答弁にもありましたが、今後とも、長期にわたって実際にすばらしい運用実績を有しておりますGPIFの取組を参考にしながら、JSTにおいて長期的、安定的な助成が行えるよう、運用に我々としても取り組んでいただきたいと考えておりますし、また、GPIFさんにも教えを請うことになれば教えを請いたい、こんなふうに考えております。

前原委員 教えを請うことになればじゃなくて、教えを請われた方がいいと思いますよ。

 これだけ立派なパフォーマンスをやっているところ、しかも人材が、百六十人ぐらいでしたかね、百六十人おられて、その運用のノウハウ、またそういったすばらしさというもの、まさに、おっしゃるように、これだけ大きなファンドを市場利回りプラス超過利益を出しているということは、すごく私はこれは頼もしい集団だと思いますので、是非、協力関係を持っていただきたいと思います。

 しかも、JSTに任した話でいつも違和感があるのは、配分業務に優れているのと運用に優れているのは別ですからね。ですから、JSTは配分業務に優れているからそこに任しているというのでは、説得力はないですよ。

 ですから、私は、今からも質問しますように、別に、ここは頑張ってもらいたいなと思うわけです。つまりは、GPIFだけでもいかぬし、今からお話しするように、アメリカ、イギリスと比べると本当に彼我の差が出てしまっているので、そういう意味においては、圧倒的に後れを取っている運用というものについてしっかりと国がやはり乗り出すということが大事だと思いますので、是非連携を強化していただきたいということをお願いしたいと思います。

 図三を御覧いただきたいと思います。この右下を見ていただきますと、大学の基金の差というものについて、絶望的な差ですよね、これは。ゼロが一つ違うんじゃないですよ、ゼロが二つ違うんですよね。ゼロが二つ違う。

 しかも、ハーバード大学とイエール大学、二つ取りますと、かなり前から基金を運用しておりまして、両方とも五十年間の運用実績があります、五十年。この五十年といったら、湾岸戦争もあったし、それから九・一一もあったし、そしてイラク戦争もあったし、それからリーマン・ショックもあったし、コロナもあったし、こういうような様々な変動の中で、ハーバード大学は平均利回り、どれぐらいか。一一%ですよ、五十年間の平均利回り一一%。まさに、先ほど宮園理事長がおっしゃったオルタナティブ投資というのをやっていて、一一%。イエール大学に至っては、この五十年間で平均利回り一三・四%ですよ。

 つまりは、まさにこの彼我の差というものは、五十年間の運用でそれだけの利回りの差があり、あるいは、そういった意識を持っていなくて、ただ単に寄附金だけを集めているという日本の大学とそれからアメリカの大学の大きな差が出てきていて、そして、これについては、じゃ、その果実をどのように使っているかというと、生徒への支援。例えば、アメリカの大学というのは、授業料は高いですけれども、だけれども、優秀な子たちは皆さん授業料が免除される、そして優秀な教授陣に対しては給料が上乗せされる、そして施設も非常に立派なものになっていくということで、まさにこういった果実というものをプラスにしているわけであります。

 さて、先ほど文科大臣が、令和八年度から三千億円ということでありますが、GPIFとも連携していただいて、必ずこれは成し遂げてもらわなければいけないと思うんですけれども、私は大学ファンドだけでも足りないというぐらいの気持ちなんです。

 つまり、この図三を御覧をいただくと、それぞれの大学でやっているんですね。ですから、日本はそういった個々の大学でやる体力もないし、ノウハウもないので、まず、国が大学ファンドというものを組成して、そして、これについて運用をしっかりやっていく中で、年間三千億円ということを令和八年度からやって、五、六校に渡していこう、こういうことでありますが、最終目標をどこに置くか。つまりは、大学ファンドだけでは私は不十分だと思うんですね。

 それで、これも私、岸田さんに伺ったんですけれども、私が同じことを申し上げたわけです。私の質問に対して岸田さんはこう答えられたんですね。大学ファンドの対象を増やしていく、こうした考え方は重要であると考えますと。そばで聞いておられて覚えておられると思いますけれども。

 つまり、要は、この図三の右下のような状況というものを少しでも縮めていこうと思ったら、まずは、大学ファンドの数を増やすか、大学ファンド十兆円の規模を大きくしていくか、どちらかをしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思うんですが、最終ゴールはどのように考えておられますか、文科大臣として。

盛山国務大臣 なかなか厳しい御質問でございますけれども、まず、利回りというか運用、もちろん、資金規模もありますし、歴史もありますし、そういった差もあるんですが、他方、やはり、マーケットの差というんですか、アメリカのマーケットと日本のマーケットでの金利やそういうような差があるということは、これも言い訳にしかならぬのでしょうけれども、やはりそこは是非御理解を賜りたいと思います。

 その上で、今、我々はやっとこのような政府主導でのファンドというのをつくり出すわけでございますけれども、前原先生がおっしゃるように、これは、こういうファンドを大きくする、これも一つでございますし、そして、それぞれの各大学が、それぞれの実力でそういうような資金を集め、そして資金を運用する、こういったことも必要でございますので、AかBかということではなくて、AもBも両方をということになるのではないかと思います。

 いずれにせよ、今、大学の置かれている環境というのが昔のような形とはもう大きく変わってきたんだ、そしてまた、ここにあるハーバード、イエールということだけではなく、ほかの国の大学、こういったところ等も含めて、研究の質ですとかそういうことも含めて、国際競争力を高めていくためには、どちらかというとアカデミックな世界はお金に対して余りこれまで積極的に評価をしないところがあったのかもしれませんですけれども、やはりそれも基礎体力を高めていくためには必要なんだというふうにそれぞれの組織で認識を一層深めていただいて取り組んでいただきたいな、そんなふうに思います。

前原委員 マーケットの差とおっしゃいましたけれども、マーケットはこれは世界中ですから、差はないんです。つまりは、運用においてはグローバルでやっていくわけですから、差はないので、それは、申し訳ありませんが、言い訳にしかならないと思います。

 いかに、このような、カルチャーの違い、それはあると思います、大学運営の違いというのはあると思いますし、それを、これから意識を変えてもらってやっていかなきゃいけないということでありますので、是非、大学ファンドを成功させるために、これは覚悟を持ってやっていただき、GPIFさんとも連携を取っていただくということと、人材の育成ですね、運用人材の育成、これをしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 それから、最後、もう残り時間が僅かになってまいりましたけれども、一つ、これも、先月六日、衆議院予算委員会で私が岸田総理に対して伺ったことでありまして、三人以上の子供さんがいるところの大学を無償化していくということで、これは私は、一人からやるべきだということで、今日は時間がないのでこれを繰り返しはしませんけれども、ある時点で大学無償化をやったら、その直前までの子との差別、不公平が生まれるということの中で、やはり奨学金の免除というものを考えなくてはいけないのではないかという質問をしたのに対して、岸田総理は、免除することになった場合には、公平性の観点から検討を要することになってしまう、これは御指摘のとおりと思いますと答弁されているんですね。

 私は、やはり、一部、我々は不満でありますけれども、三人以上の子供さんがおられる御家庭の大学の無償化、所得制限なしが始まるまでに、やはり奨学金の、総理が、公平性の観点、それから検討を要するとおっしゃったことについては、結論を得て、周知徹底すべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

盛山国務大臣 前原先生御案内のとおり、今回、午前中も議論がございましたけれども、少子化対策、こういったことも含めて、もちろん、我々、当省としては教育のということが重点になるわけでございますけれども、第三子ですとか、大学生に対する理工農系その他の支援を手厚くしてきたところではありますけれども、奨学金につきましても、給付制と貸与制の在り方、そして返済においての免除ですとか、そういうことも含めてどのようにするのか、現在検討を進めているところでございます。

 昨年十二月にこども未来戦略というところを閣議決定したところでございますので、これに基づきまして、高等教育費の負担軽減を進めていく、そしてその中で検討を一層進めていきたい、そんなふうに考えております。

前原委員 私が申し上げている視点も含めて検討を進めるということですね。

盛山国務大臣 どこまでできるか分かりませんですけれども、そういう御指摘があるということは我々も承知しております。

前原委員 総理が検討を要すると答弁されたことでありますので、重く受け止めて、検討し、実現していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。教育無償化を実現する会との会派を代表して、質問させていただきたいと思います。

 大臣、やはり一番最初に、さっき吉田さんもやられていましたけれども、旧統一教会の問題、一問だけ聞かせていただきたいと思います。

 私たち、大臣の不信任案、否決させていただいている、反対をさせていただいているんですけれども、それはやはり政策がゆがめられていないですよねということが根拠となっています。私たち、それからこの文科部会は本当に、この旧統一教会の問題が起こってから、大臣も含めてみんなすごく質疑をたくさんしてきましたし、この宗教法人、特に旧統一教会に対する思いというのは、多分思いは非常に強いんだろうと思います。そして、私たち自身としても、被害者救済法をやりたかったですし、財産保全についての議論も非常にたくさんやってきたところです。

 そんな中で、旧統一教会を指定宗教法人に指定されました。ちょっと、あれっ、これで大丈夫なのかなというのが正直な感想です。宗務課の皆さんが財産目録を何回も見ることができますよねとか、不動産を処分する前に分かりますよね、それは当然分かるんですけれども、やはりこれは民事裁判をできやすくするためにやろうねとみんなで決めた法律だったと思ったので、そこに至るまでどういうことがあったのか、なぜ特別指定宗教法人とならなかったのか、大臣の口から是非御説明いただければと思います。

    〔委員長退席、中村(裕)委員長代理着席〕

盛山国務大臣 まず、不信任案に反対をしていただいたことに心から感謝を申し上げます。

 そして、本件に入りますと、昨年の臨時国会で、ほぼ全ての党の賛成により特定不法行為等被害者特例法が成立したところであります。そして、これに基づいて、先月、運用基準というものを策定し、公表し、そしてそれにのっとって検討した結果、旧統一教会が指定宗教法人の要件に該当することから、今月の七日に指定宗教法人の指定の公示を行ったというところでございます。

 御質問の趣旨は、なぜ指定であって、特別指定でないのかということではないかと思いますが、現状で我々が把握している情報では、特別指定宗教法人の要件を満たすと認められるまでの状況が確認できておりません。

 ただし、そうは言いましたけれども、指定宗教法人として指定される効果として、これはもう既に宗務課から御説明があったかもしれませんが、不動産の処分等についての所轄庁への一か月前の事前通知、そして四半期ごとの財務諸表の提出、初回は令和五年度の第四・四半期分、つまり今ということになります。つまり、この三月末までのもの、これが提出されるように今後なるわけでございますが、こういった義務を、当該団体が義務を課されることになりますので、所轄庁における財産の処分及び管理の状況の把握が強化されることになります。そしてまた同時に、財産の隠匿、散逸の抑止効果が期待されると我々は考えているところでございます。

 今後、これらの情報を含めまして旧統一教会についての情報収集に努め、財産の隠匿、散逸のおそれが把握された場合には特別指定宗教法人の指定の手続を速やかに行うなど、被害者の救済に資するよう、法令を踏まえて適切に対応してまいる所存であります。

堀場委員 それはよく分かるんですけれども、ここまで来るときにさんざん議論をしてきて、やはり被害者の皆さんを助けるというところからスタートしていたと思うので、そこの部分を忘れずにいただきたいのと、一つだけ気になるのは、やはり運用基準は大臣決定だったと思うので、そういう運用基準を決められたのはもちろん宗務課の皆さんだと思いますが、最終決定は大臣がされたわけでありまして、それで、その規定にのっとって指定宗教法人になりましたよということなので、ちょっと本当に大丈夫ですかという気持ちがありましたので、質問をさせていただきました。

 それでは、二問目に行きたいなと思います。今日は幼児教育をちょっとやらせていただきたいなと思っております。

 幼児教育と幼保小の架け橋プログラムについての質問をさせていただきたいんですけれども、年々減少傾向に幼稚園はあるんですけれども、幼児教育というものの意義と保育の違いについて、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 済みません、一点だけ、先ほどの補足説明をさせてください。

 最終的に決めるのは大臣名ということになりますけれども、有識者に御議論をしていただいて基準を決めておりますし、そういったものは全会一致で決められたというふうに承知しておりますので、御安心していただきたいと思います。

 さて、本件でございますけれども、幼稚園は、学校教育法に基づく学校です。保育所は、児童福祉法に基づく児童福祉施設でございます。法的性格が異なる施設でありますが、どちらも幼児の心身の発達を図ることを目的とする幼児教育施設であります。

 幼児期の教育というのは、生涯にわたる人格形成の基礎を培う極めて重要なものであると考えております。海外の調査においても、学力や社会情緒面の成長、その後の健康や収入などにも長期的な影響を及ぼすことが指摘されております。

 このため、文部科学省としては、幼稚園、保育所、認定こども園といった施設の類型を問わず、質の高い幼児教育が提供されることが重要と考えており、これまでも関係府省と連携して、幼稚園教育要領や保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領における教育内容の整合性を確保してきております。

 また、文部科学省においては、地方自治体における幼児教育センターの設置や幼児教育アドバイザーの配置、育成等の推進、各地域における幼保小接続の改善の推進、幼児期の環境や学びがその後の成長に与える影響に関する長期的な追跡調査の実施、こういったものに取り組んでおりますので、引き続き、これらの施策を通じて、施設類型を問わず、全ての子供たちに格差なく質の高い学びを保障するため、こども家庭庁ほかと連携しながら、幼児教育の質の向上に取り組んでまいるつもりです。

    〔中村(裕)委員長代理退席、委員長着席〕

堀場委員 ありがとうございます。

 今るる聞かせていただいたんですけれども、私は、小一の壁の問題というのはよくマスコミさんとかも報じられていると思うんですけれども、小一の壁の問題を見ていると、やはり保育園で育ってきたお子さんたちというのは、例えば保護者の方から見させていただくと、何回トイレに行きましたとか、しっかり一日一日の生活の様子というものを記録して、保育園というのはお母様たち、お父様たちに報告をしているというふうに聞いているんですけれども、そういうふうにされて小学校に入ってきたときに、小学校というのは何もやってくれないよねという思いになられる方は非常に多いですね。

 うちの子は幼稚園でしたので、幼稚園というのは、一か月に一回、こんなのでしたよみたいな、何回行きましたねとか、そういうところから、こういうときに頑張りましたねみたいなことを書いてくれるコメントがある、そういうのが幼稚園なんですけれども。そういった一つ一つ、保育園の非常に丁寧なサービスを受けてこられた方が、小学校一年生になったときに、保護者として非常に強い戸惑いを覚えられる、これも一つあると思います。つまり、文化が違うということがあって、そういうものも、もし統一していくのであれば、指導要領、全然統一されていないものがどんどん統一していくのであれば、そういう方向も行かなきゃいけないんじゃないかなと思っています。

 懸け橋プランの現状ということなんですけれども、大臣、ちょっと短めに答弁をしていただけると非常にありがたいんですが。

 それと小一の壁について、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 はい、簡潔にということで。

 堀場先生がおっしゃるとおり、親御さんによってもいろいろ、期待されるものというんですか、要望の水準が違うと思います。そういうことも踏まえながら、幼稚園、保育所、認定こども園、こういったところと小学校教育との円滑な接続を図るため、幼保小の架け橋プログラム、これを推進してまいりますので、保護者や地域の方々に参画をしていただきながら、幼児教育の重要性や小学校教育との一貫性、連続性に対する理解を図っていくことが重要であると考えています。

 それから、いわゆる小一の壁ということでございますけれども、現在、こども家庭庁におきまして、こども未来戦略に基づいて、放課後の児童クラブの受皿の拡大を図っていると承知しております。文部科学省としても、こども家庭庁と放課後児童対策パッケージを策定し、連携を図りながら対応してまいりたいと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 具体的に引継ぎがうまくいっていないんだよねというのが小学校、まあ幼稚園とは言わないですけれども、幼保の懸け橋プランの必要性の一つだと思うんですけれども、幼児期というのは発達に非常に個人差がある、月齢によっても大分違うんですけれども、そういう時期なんですけれども、幼児教育の中でどのような教育的アプローチというものを行っているのかという質問をさせていただきたいと思います。

 これは小学校の、今、公立に行くと通級とか特別支援教室というものがありまして、これに入級するためには様々な項目があるんですけれども、それをやはり一年生の四月から入級したいという方は結構たくさんいらっしゃるんですが、そのためには幼稚園若しくは保育園、認定こども園、こういったところでしっかりと教育的なアプローチをしていかなければ、小学校一年生の四月からの通級をしようというのはなかなか難しいなというふうに、小学校の方で特別支援教育を見ているとそういうふうに見えるんですけれども、そういった就学前の子供たちの発達に関する支援について、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 今、堀場先生がおっしゃったとおり、幼児期というのは子供一人一人の発達の個人差が大変大きいと思います。例えば、小学校、入園前の五歳のお子さん、四月生まれの方と三月生まれでは、やはりこれはもう本当に大きな差があるわけでございますので、幼児教育においては子供の発達状況や考え方、感じ方、関わり方などを理解し、それぞれのお子さんの発達に即した指導を行うことが必要でございます。

 そして、具体的には、各園において、子供の発達の実情に照らし合わせながら、一人一人の子供が生活を通して必要な経験が得られるよう、教師等の専門性の向上を図りつつ、指導や援助等を行っております。各園におけるこうした支援を通じて、幼児期に小学校以降の生活や学習の基盤となる資質、能力を育んでまいりたいと考えております。

堀場委員 私が、ではこの幼児教育で何が言いたかったかというのは、やはり、保育園の方々と認定こども園と幼稚園に行ってから上がってきた、この三種類が小学校に上がってくるということが、小学校の現場で受ける側としては結構大変なんだと思うんですね、引継ぎの内容のレベルも違ったり、様々課題があると。でも、一年生スタートして、はい、学校ですとなったときに、小学校の子供たちが慣れていったり、そして様々な学びをしていくには、やはり幼児教育というものがもう少し教育的観点から力が入っていないといけないんじゃないかなということを思っているんですね。

 だから、大臣、さっき放課後のこと、小一プログラム、放課後はこども家庭庁さんですと。こども家庭庁さんもそれはそれでいいんですけれども、やはり視点が保育から抜け出せない部分があるんじゃないかなという懸念があるので、やはりここはしっかりと教育という視点で幼児を見る、幼児教育を見るということをもう少しこども家庭庁さんに負けないでやっていただきたいというのが思いでございます。是非頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、教員になりたい人を増やす方策。

 これは、私、ちょっと時間がないので、一問目だけ飛ばさせていただこうかなと思っているんですが、教員を希望したい人が減っていますよねというところなんですが、るる理由はあると思います。

 ただ、大学で教職課程を教えていらっしゃる先生方に聞くと、やはり最初、先生になりたくて学校に入ってくる、教育学部等に入ってくるんですけれども、だんだんやっていくうちに、ちょっと自信ないなとか、教育実習に行って帰ってきたらもう嫌だなと言う人が非常に多いから、これは危機的だと。だから、もっともっと先生になりたいなと思えるような方法を国会で議論するべきだという御助言をいただきまして、しっかりとこれに取り組まなきゃいけないなという認識を再度持っているところなんですけれども。

 私も仲間をたくさん見てきましたけれども、教員が一つしんどいなと思うのは、希望したときにお休みが取れないということですね。子供が入学式とか学校行事があっても、それは自分の職場の入学式や卒業式といったものと重なっていたりして、なかなか、お休みを取る、それだけじゃなくて、風邪を引くのもままならないぐらいの学校の現場が今あります。

 なので、教員が希望したときに休みが取れる仕組みをつくるには何が必要だと大臣がお考えか、教えてください。

盛山国務大臣 例えば、令和四年度の教員勤務実態調査の速報値によると、教師の有給休暇の年間平均取得日数は小学校で十三・六日、中学校で十・七日となっていますが、堀場先生の御指摘は、トータルの日数だけではなく、取りたいときに取れるような、そういう環境をどうやってつくるか、こういうことだろうと思いますので。今の平均取得日数はそのほかの業種と比べてそれほど差があるわけではないんですけれども、ただ、どうすれば本当に休暇を希望する日にうまく取得できるか、そういうような環境の整備、これが必要です。

 また、教育職員の健康や福祉の確保、こういうことも必要でございますので、令和元年の給特法改正を踏まえた指針においても休暇の取得促進を示しているところではございますけれども、まず、我々が今取り組んでおりますのは、令和六年度予算案において、小学校三十五人学級制の計画的な整備、あるいは教科担任制の強化、通級による指導、日本語指導等の充実、生徒指導など様々な教育課程への対応、こういった経費、こんなことも要求しながら環境を整えていきたいと思っております。

 今後とも、我々といたしましても、休暇を望むようなタイミングで取得できるような環境の整備を含めた学校における働き方改革、指導、運営体制の強化充実を促してまいりたいと考えています。

堀場委員 学校の先生たちがお休み、有休を取られているのは、多くは長期休暇中にまとめて取られているパターンが多いんですね。

 例えば小学校の先生、乗ずる数だと二十四こまですね。週休二日だったら、月、火、水曜日が四こまが多いですが、木、金、これは五時間ずつ、五こまずつ持って、五こま、五こま、四こま、五こま、五こま、これがまあ大体二十四こまになりますよね。そうすると、お休み一人が取られた補教をどこで入れるのかといったら、空いている一こましかなくて、人数が多い学校だったら何人か回るかもしれないですけれども、ほとんど回らないというのが現状ですよね。

 ということは、どうやったら希望するときにお休みを取れる仕組みになるのか。学校に先生を増やすしかないんですよね。つまり、今の乗ずる数では、今の基礎定数では足りないということを言っている。それは週休二日であるという前提ですけれども、週休二日で二十四こまとやるのであれば、絶対数、足りないですよね。どうやってお休みを取るんですか、補教を回すんですかということを言っています。

 例えば小学校において、中学校教諭の免許を持った先生が専科で入った場合、補教には入れないですよね。そういうところを一つ一つ考えると、なかなか、やらなければならないことというのが多くて、優先的にやるのはやはり、加配をするのではなくて、定数を増やすことなんだというふうに私自身は考えています。

 次に、大臣、職務分掌によって手当をつけるべきだと考えているんです。例えば特別支援コーディネーター、こういった方々というのは、学校の中で会議が、校内委員会というものがあると、その都度出なきゃいけないんですね。非常に多くのお仕事がありますが、特別支援コーディネーターの方は手当はつきません。例えば主任手当というのも一日二百円ぐらいというふうにおっしゃっていたので、非常に少ない金額しかいただいていないんですね。

 こういった分掌による手当をつけるべきだと考えるんですが、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 堀場先生から今日ももう大分厳しい御指摘を頂戴したわけでございますけれども、教育は人なりと言われますが、学校教育の成否は教師に懸かっております。つまり、教師になりたいという有為な人材を増やすことが大変大事なことだと思います。教職の魅力の向上、あるいは優れた人材の確保は大変重要であると我々も認識しているところです。

 この職務分掌による手当その他、こういうことにつきましては、骨太の方針二〇二三において、我が国の未来を開く子供たちを育てるという崇高な使命や人材確保法の趣旨等を踏まえ、職務の負荷に応じためり張りのある給与体系の改善を行うなど、具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直すとの方向性が示されているところです。

 文部科学省としては、中教審における議論も踏まえ、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援について、一体的に進めていきたいと考えております。

堀場委員 その大臣の答弁もよく分かるんですけれども、なかなかやはり学校の現場に教員を増やすというのは難しいのは分かるんですけれども、子供のためを考えたら絶対的に増やさなければならないというのもそうですし、働きたいなと思う環境をつくるためにも、そのためでもあるんだよということをお話をさせていただきたいと思うんです。

 さっき中村先生もおっしゃっていた手当の充実という質問になるんですけれども、やはり給与とかが上がるのはモチベーションが上がるんですけれども、それは正しい評価をしてもらえるかということにつながっていると思うんですね。それがやはり給与というか、もらえるお金に反映されるべきだというふうに思っています。一般企業では至極当たり前だと思うんですけれども、それがなかなか学校の先生では実現できていないですよねというのが現状だと思います。

 教員免許一種と二種というのは、私は一種なんですけれども、取らなきゃいけない単位数が結構違うんですよね。多分、結構頑張って取ってきた人が多いですよね。通常の教育課程にプラス取ってくるということなので、それで頑張ったなと思うんですけれども、一種と二種が同じ給与。これは、同一労働同一賃金なので、百歩譲って仕方ないかなと思うんですけれども、でも、たくさん勉強してきて様々な専門性を持って、何か自分はここに興味があるというようなものを持っているんですけれども、それが目に見える形にならないんですね、今の現状の仕組みというのは。

 なので、私としては、日本語教育とか、通常級における特別支援の教育とか、特別支援というと今はやはり特別支援学級とか学校の話なので、通常級でやる特別支援教育であったりとか、不登校の支援とか、生徒指導とか、あとは道徳とか情報のモラル教育、こういったものを専門性があるよということを目に見える形にするために、ライトな教員免許を新設したらどうかなと思っているんです。

 そうしたら、目に見えないからそれが評価につながらないし、給料のアップにつながらないので、何か新しい、別に新しいライトな教員免許じゃなくてもいいんですけれども、何とかしてこれを見える形にして評価につなげて、そして給与が上がる、こういう仕組みをつくるべきだと思うんですけれども、大臣の御所見をお願いします。

盛山国務大臣 教員免許というのは、教師として共通的に必要となる教職に関する素養と指導する教科等に関する専門性を担保し、それを証明する制度でございます。

 各分野の専門性の証明は各種資格や履修証明書などの方法も考えられ、また、御指摘の特別支援教育や不登校の支援、道徳、情報モラル教育などは現行の教職課程の内容として含まれており、これらを新たな教員免許として創設することは、教師が共通的に備えるべき素養との関係性などの観点から慎重な検討を要するものと思います。

 他方で、公立学校の教師の給与については、地方公務員法に定める職務給の原則にのっとり、その職務と責任に応じて、各都道府県等により適切に今、決定されているものと承知しております。

 そして、より高い専門性を発揮し活躍している教師については、人事評価、これが先生の御指摘ではなかなかうまく公正な、公平な人事評価になっていないんじゃないかと言われましたけれども、それぞれの組織での人事評価を踏まえて、昇級のスピードが速くなったり、あるいは勤勉手当が増額するなどして処遇されているのではないかと承知しております。

 その上で、先生御指摘のように、今後の教師の処遇改善の在り方につきましては、現在、中央教育審議会で議論が進められております。

 文部科学省としては、中教審における議論も踏まえ、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、そして教師の育成支援、こういったものを一体的に進めてまいりたいと考えております。

堀場委員 免許という点ではそうなんでしょうけれども、ただ、評価を目に見える形でするというのは、例えば、普通に有資格者、こういう資格を持っているので給与が高いですよというのは非常に分かりやすい仕組みだと思います。あと、中教審でも、職務に関してもっとめり張りをつけていくというような議論もあると思うんですね。

 やはり、何が今、給特法の改正というものを私たちも絶対しなきゃいけないと思っていますけれども、それは抜本的に改革されるべきだということをずっと主張しているんですけれども、どうやったら先生になりたいなと思うかというと、民間企業と同じように、評価をされる、自分のやった仕事のパフォーマンスによって評価をされる、若しくは、そういう、職務で何か特別な職務に就いたときにはしっかり手当がつく、さっき言った特別支援コーディネーターみたいなのであったり、もう少し主任手当が上がるとか。そういうことをしないと、やはり、主任、主幹、管理職と増えていく、それになろうとも思わないんですよね。今の先生は結構、余り、主任まではいいけれども主幹はちょっととか、やはりそういう方が多いですよね。管理職には余りなりたくないな、そうすると、最終的には校長先生は非常に少なくなりますし。

 さっき私、一問飛ばしましたけれども、教員を目指す人が少ないという話で、大事なことは、私、今四十四歳、三月生まれで、月齢がひどかったので発達が非常に遅くて大変だったんですけれども、三月生まれですけれども、四十五歳の学年ですが、私たちの世代、教員免許を取ったときに教職員になれなかったんですよね。教員の募集が全然ない超氷河期で、そういう時代だったので、全然、教員免許を取っても就職口がなかったという時代でした。しかも、私、社会でしたので、特に社会は男性の先生が多くて、ずっと終身雇用でやられる先生が多いので、女性が多い国語や英語とは違って全く枠がないという時代でした。

 それがあると、今、学校の現場を見ると、四十代の先生が本当に少ないんです。四十五歳、これから主任、主幹をやっていく先生、管理職を目指していく先生の層がめちゃくちゃ少ないですね。そこでいらっしゃったとしても、途中で採用されてくる。そうなると、十年たったら管理職になる人がいなくなっちゃう、非常に少ないという問題になっちゃうんじゃないかなという懸念があるんですね。

 だから、こういう学校の現場というのは、時代時代のことはあると思うんですけれども、もうちょっと途中採用の人が増えるとか、もう少したくさんの人が、私たちの世代みたいに、教員免許を持っているんだけれども使っていない人もたくさんいますし、そういう人たちをもっともっと教育の現場にもう一度来てもらおうと思ってもらうためには、やはりお給料、そしてお休みが取れる、この二つは非常に重要だと思いますので、大臣、しっかりとこの辺りも取り組んでいただければなと思います。

 最後に一つだけちょっと、私、もっとやりたかったんですけれども、本当、ムーンショットのことをやらせていただきたいと思います。

 ムーンショット研究として上げられていますフュージョンエネルギーの計画、宇宙分野でも活用が非常に期待されているフュージョンエネルギーの現在地、これについて教えてください。

盛山国務大臣 フュージョンエネルギーにつきましては、国際競争が今、大変激化しております。そんな中、昨年四月に我が国初めてとなる国家戦略を策定し、サプライチェーンの観点も含め、新たな産業と位置づけ、産業の育成や技術の開発など、関係省庁が一丸となって取り組んでいるところです。

 我が国は、これまでも、ITER計画における主要機器の調達や、超電導プラズマ実験装置、JT60SAの建設、運転等を通じて、フュージョンエネルギーに必要となるコア技術を着実に獲得しているところです。さらに、多様な社会実装に向けて、ムーンショット型研究開発制度を活用し、小型化、高度化等の新興技術の開発を支援することとしております。

 文部科学省としては、引き続き、ITER計画等を着実に推進するとともに、これまで培った技術や人材を最大限活用し、アカデミアや民間企業を結集して原型炉に必要な基盤整備を加速するなど、フュージョンエネルギーの早期実現に向けてしっかり取り組みたいと考えております。

堀場委員 この間、核融合の勉強会というか、それに行かせていただいたときに、やはりそれを作っている機械を造る、母機械の原則じゃないですけれども、元々の機械を造るのもやはり原子力の技術が活用されていたり、本当に今まで日本が培ってきた技術が集大成としてこの核融合の技術に入っていると思うんですね。

 これはすごく重要なところだとして、さっきおっしゃっていたサプライチェーンのところで、原材料は仕方なかったとしても、その原材料を加工してそれをもとにするという、その加工する技術というのも、是非、日本というのは何でも技術屋さんですから、そういった技術一つ一つにもしっかりと目を配っていただいて、この核融合、フュージョンエネルギー、是非前に進むようにしていただければなと思います。

 本日はありがとうございました。

田野瀬委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時休憩

     ――――◇―――――

    午後三時一分開議

田野瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず最初に、どうしてもたださなければならないのが、大臣と統一協会関連団体との関係であります。

 大臣への不信任決議案は与党の数の力で否決をされましたけれども、説明責任は依然として果たされておりません。それどころか、それ以降も、大臣の署名の入った推薦確認書や、推薦状を受け取っている姿など、新たな写真がメディアで報じられております。

 大臣は、三月七日の参議院予算委員会で署名について問われ、推薦状を受け取ったのではないかと思います、新聞報道等を踏まえれば、推薦確認書に署名したのではないかと考えられますと答えられました。さらには、サインの筆跡を問われて、私のサインに似ていると思いましたと述べ、サインした可能性が高いと思いますと答弁をされました。

 思い出されましたか、大臣。

盛山国務大臣 宮本先生御指摘のとおり、参議院側でそのような答弁をいたしました。

 それで、似ていると申し上げましたのは、あのときの配られた資料では、小さい写真というんですかね、だったもので、余りはっきりしなかった、鮮明ではなかったものですから、そういう言い方をしたものでございまして、その後、今、お手元にも行っていますけれども、そういう大きいものを見て、多分これは私のサインであろう、そういうふうに思います。

 思い出しましたかと言われますと、その会合のことについては正直覚えていなかったわけでございますけれども、そういうような映像ですとか資料を見て、そういうことであるというふうに感じております。

宮本(岳)委員 大臣は、記憶にない、覚えていないとおっしゃるんですが、事実無根とか一点の曇りもないとはおっしゃらないわけです。それどころか、サインし、推薦状を受け取った可能性が高い、こういうことですね。

 私は、過日、あなたに対する不信任決議案に賛成の討論を行いましたけれども、その最大の理由は、そもそも、文部科学大臣こそ、統一協会との関係で一点の曇りもあってはならないからであります。

 一点の曇りもないと言うこともできない大臣が、恥ずべき行動はないなどと語って恥じないのは、一つは、解散命令請求を行ったこと、二つは、指定宗教法人の指定を行ったこと、この二つを挙げておられます。

 しかし、解散命令の請求は、永岡前大臣の下で、私も繰り返し要求し、報告徴収、質問権の行使を繰り返しながら準備してきたものであり、特定不法行為等被害者特例法は議員立法であって、あなたが行ったのは指定の公示をしただけであります。

 統一協会には一切の忖度をせず厳正に対処しているというのが唯一の身のあかしだとおっしゃるのならば、これまで私が求めてきたにもかかわらず、公にすることにより、当該法人すなわち統一協会の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるためなどと言って統一協会を守ってやり、公開を拒んできた、二〇一五年、名称変更に関わる統一協会と文化庁の面談記録について、文科大臣として裁量開示するぐらいのことをやるのは当然のことではありませんか、大臣。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 旧統一教会の解散命令請求につきまして、統一教会関係の資料につきましての開示請求についてのお尋ねでございます。

 御案内のとおり、旧統一教会の解散命令請求については、現在、裁判所において審理がなされているところでございますので、そういう意味においては、裁判所の判断の前提となるような仮定を前提としたお答えは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、私ども、解散命令請求あるいは旧統一教会の資料につきましては、公益上の裁量的開示を行うに際しましては、資料を開示することによって、不開示とする理由を上回る公益上の必要性があると行政機関の長が確信を持って判断できなければならないというふうに考えてございまして、御指摘の開示請求に関する資料につきましては、そのような判断をし得る状況にない限り、裁量的開示を行う必要があるとは考えていないところでございます。

盛山国務大臣 今の開示請求については、次長からお話を申し上げました。

 そして、宮本議員からの御指摘に対しましては、繰り返し、ここの場ということではなくて、衆議院の予算委員会ほかの場でということでございますが、そこで御説明したことの繰り返しになりますけれども、私が、実質選挙戦の二〇二一年十月の段階で、ある集会に出たというのは、私の地元の有権者から集会があるから来てくれと言われたものであり、そして、そういうような関係団体の集会であるということは全く知らされておらず、そして、これは私が記憶が悪いと言われればそれまでですが、一切覚えていなかったということであります。そして、その次の二〇二二年春のものも、世界平和連合とかいう名前の会合で、是非来てくれということで、伺ったということでありました。

 いずれにせよ、その二つとも、二〇二二年七月の安倍総理襲撃前の段階のものでありまして、その段階では、旧統一教会もそうですし、ましてやその関連の団体というものに対して、ここまで危険性のある団体であるということが分からない段階でありました。そうでありましても、昔の霊感商法のことを含めて、なぜそういうことを含めておまえはよく認識しなかったのかと言われればそうかもしれませんが、いずれにせよ、そういうような段階のことでありました。

 そして、二〇二二年の九月、安倍総理が亡くなって以降、我々自民党は一切関係を絶つということを明言したわけでございまして、私もそれにのっとって、一切関係は絶っております。

 そして、先ほど、これも委員からお話がありましたが、永岡大臣から引継ぎを受けまして、その翌月、十月の当該団体の、教会の解散命令請求を行ったわけでございますけれども、これに向けまして、私も全力で、公正な立場でというようなことで取り組んでまいりましたし、内部の話になりますので余り詳しく申し上げるわけにはまいりませんですけれども、十分な実態把握、あるいは具体的な証拠の積み上げ、関係法令に基づくデュー・プロセス・オブ・ロー、こういうようなことをしっかりやろうということを指示をし、協議をしながら、十月の解散命令請求を行いましたし、その後におきましても、議員立法ということで、我々、閣法ではございませんですけれども、そういったものに対してのいろいろな協議というか実質的な支援、あるいはそれに基づいての今回の指定、こういったことに対してしっかりやってきたところでございますので、これは今朝も申し上げましたけれども、私としては、恥ずべき行為は全く行っておりません。

 そして、しっかりと、被害者救済も含めまして、本件含め、私に与えられた職責をしっかり果たしていく、そういうようなつもりで取り組んでいるところでございます。

宮本(岳)委員 るるおっしゃいましたけれども、安倍前総理がお亡くなりになった後の調査の段階では出てこなかったわけですね。今、忖度していない、関係を遮断した、こうおっしゃるわけですけれども、次長から答弁があったとおり、私が求めている文書開示については、正当な利益を害するおそれがあるなどという理由でこれは開示していないわけですね。

 名前が変わったから、あの事件があるまで、あなたは平和連合というものが統一協会であることを認識しなかったような答弁をされているわけですね。つまり、この名称の変更というのはそういう効果を持つということですね。だから重大だということを私は申し上げているんですよ。

 だから、きっぱりとしているんだ、一切忖度していないというのであれば、直ちに必要な資料を開示する。そして、それができないのであれば、私は、不信任案が否決されたからといって、文部科学大臣を務めるやはり資格はない、自ら潔く責任を取って辞任すべきだということを申し上げざるを得ないわけであります。

 次に、奈良教育大学附属小学校の強制出向問題を聞きます。

 三月十一日、奈良教育大学の附属小学校教諭の強制出向に反対する緊急署名が提出されて、ニュースになりました。しかし、大学側は、附属小学校を支えている十九名の大学固有の正規教員全員を、最初の二年で十名という具合に、県内の公立小学校などに同意なしで出向させる強硬な姿勢を取っています。

 全国の多くの研究者や教育関係者からも抗議の声が上がっておりまして、何より困っているのは、保護者と子供たちであります。保護者が独自に、強硬な異動措置には断固反対いたしますという二千筆以上の署名を提出し、子供たちが校長室に抗議に行ったという話も現地で聞いてまいりました。

 この附属小学校は、一口で言えば、私はよい教育実践をしてきた学校だと思います。子供たちが実に伸び伸びしていて、不登校も少なく、「みんなのねがいでつくる学校」という、こういう本にも教育内容はなっております。多動のお孫さんが附属小学校に通うようになってから見違えるように明るくなったと、涙を流して日々感謝されているという話も聞きました。県教委出身の附属小学校の校長先生も、本校の教員は子供に対して実に丁寧にきめ細かく指導していたことは間違いなく、驚くほど前向きに自分の言葉で話せる児童が多いことも事実ですと認めておられます。

 ところが、四名も強制出向させられたら、一体この教育はどうなってしまうのか。現地で伺ったら、育休取得や一年契約の先生もいて、不補充もある、それに四人出向が加わると、何と、今いるフルタイムの枠三十二名のうち十一名が四月に学校にいなくなるということになり、これでは到底これまでどおりの丁寧なきめ細かい教育ができなくなると先生たちは訴えておられました。

 大臣、こんな本当にひどい大量の強制出向は、子供のことを考えたら到底認められないと私は思いますが、いかがですか、大臣。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 奈良教育大学の附属学校につきましては、長年にわたりまして不適切な授業の展開を行っていたということでございます。ただ、先生おっしゃいますように、非常にモデル的な、いい教育をやってきたことも事実だと思ってございます。

 その中で、附属学校の人事につきましては、各国立大学法人の権限と責任に基づいて行われるものというふうに考えてございます。

 附属学校の教員の人事交流について、これまで文部科学省が大学に対して指示をしたということはございませんけれども、それぞれの大学で、人事交流を含めていろいろな観点での検討をしているものというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 いや、不適切だとおっしゃるけれども、その中身、私は、教育の中身、教育の専門職として考えた上でやってこられたことだと思います。

 例えば、ローマ字を、指導要領どおり三年でなく、四年で扱っている。聞きますと、やはりこれは子音と母音という抽象的概念が理解できる学年で扱うことがふさわしい、そういうことも長年の実践の中でつかみ取って、四年生で扱うことにしているというふうにお聞きしました。書写で毛筆を使っていないのは、準備や片づけの時間への配慮や多様な家庭の条件も考慮して、筆ペンで対応していたということでした。

 指導要領を無視してやっていたんじゃなくて、指導要領を参考にした上で創意工夫しているだけのことだというふうに思います。

 そもそも、七生養護学校事件の確定判決は、二〇一一年九月十六日の東京高裁判決でありますが、そこでは、学習指導要領について、「学習指導要領に記述されている内容は、膨大であり、記述の仕方にも様々なものがあるところ、その一言一句が拘束力すなわち法規としての効力を有するということは困難である。」と述べております。

 教科書を使っていなかったということも言われておりますが、例えば今日持ってきた、これは「子どもの美術」というものですが、これは図工の教科書に使っておられるらしいです。

 これは、非常に優れた教科書なんですが、もう今作られなくなって、この教科書出版が止まってしまって、父母たちの力もかりて、三百冊、寄附してもらい、これを修繕しながら使ってきた。

 この教科書は、安野光雅氏、佐藤忠良氏など、日本を代表する美術家が書かれた「子どもの美術」という本でありますけれども、元NHKのアナウンサー室長の山根基世さんたちが絶版を惜しんで復刻版を出された幻の名著であり、これを教科書に使ってきたということでありました。

 報告書を受け取ったということでありますけれども、私は、文科省がこの報告書について圧力をかけたり、あるいは介入をしたりしたのではないかという疑義を感じます。

 報告書を見ると、当該報告書が策定される前に二つの報告書が作成されていることが分かります。一つは中間まとめであり、もう一つは最終まとめであります。

 中間まとめがまとめられた段階の二〇二三年十月十日、文科省は、大学学長、調査委員長、副学長、校長を呼びつけております。昨日、総合教育政策局が私に提出した、昨年十月十日の会議の概要によると、まず、会議の冒頭で奈良教育大の学長から説明を受けた後、確かに文部科学省は、総時間数が足りていないのであれば法令違反の可能性があるとか、双方向の人事交流についても考えてみたらどうかなどと言及をしております。

 この面談の際に、文科省は学校側の調査報告に圧力をかける言動をしたのではありませんか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘ございました十月十日、奈良教育大学の学長から、それまでの事案の経緯あるいは今後の対応方針について御説明をいただいたところでございます。

 その際、文部科学省の方からは、教育課程のこととともに、人事交流については、あくまで一般的な例として、他の国立大学法人でも多くなされている附属学校における人事交流について言及したものでございまして、大学に対して具体的な指示をしたものではございません。

宮本(岳)委員 そうですかね。この十日の面談を機に、厳しい追調査、法令違反を取り締まるかのような厳しいものに変わっていったと聞いております。そして、前代未聞の強制出向自体、文部科学省が圧力をかけて行わせようとしているのではないかという疑念が残ります。

 確認しますけれども、出向や交流人事については、任命権者、この場合、大学法人の判断で決めることであって、文部科学省から命じたり指示したりする、そういう権限はありませんね。

望月政府参考人 大学の責任と判断によりまして実施されるものでございます。

宮本(岳)委員 大学法人の人事については国が命じたり指示できないことは確認いたしました。

 ところが、冒頭に紹介した、保護者の皆さんの署名の呼びかけを読みますと、学長先生から、文部科学省は法令違反をした教員が次年度も附小の教育を続けるのを避けて全員入れ替えるべきという見解だと伺いましたと書かれております。

 しかし、大学の報告書には、法令違反をしたなどとは、大学の報告書自身には書いていないわけですね。

 文科省は大学に、教員を全員入れ替えるべきだと迫ったんですか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 そのような事実はございません。

 また、先ほどから繰り返し申し上げましたけれども、人事交流につきまして、一般的に、どこの学校法人、国立大学法人とそれから地方が連携をして人事交流を行っている、そういう例を捉えまして、閉鎖性を打破するという観点から、一般的に、人事交流を行ってはどうかということを申し上げましたけれども、先生御指摘のように全ての教員を入れ替えてはどうかというようなことをこちらから具体的に申し上げたことはございません。

宮本(岳)委員 では、学長がうそをついたということになりますね。

 私が聞くところによると、保護者は、学長からしっかり、全入替えは文科省の見解だと聞いております。それだけではありません。先生たちも、この一月の三十一日、学長同席の場で三木副学長から、自民党の文科部会で議案に上がり、かなりの御意見、批判を受けた、文科に、まさかこのメンバーでこの四月を迎えるのではないでしょうねと言われた、文科省の上層部から全員替えろと言われて、それでは運営ができないということで何回も折衝した結果、こういうことになってしまったと説明されたと私に証言をいたしました。この証言は極めてリアルで、記録もあります。言い逃れはできません。

 文科省が大学の望まない全員出向を強要したのが真相ではありませんか。政治的圧力で、文科省は違法に大学の人事に全入替えの圧力をかけたことは私は明白であり、この罪は本当に重いと思います。まさに政治権力が行ってはならない教育への不当な支配そのものでありまして、まさに、みんなの願い、こういう、みんなの願いでつくる学校を国の圧力で壊す、このような強制出向は絶対に認められないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、高等教育の無償化についてお伺いします。

 二〇一二年九月、当時民主党政権でしたが、国際人権規約A規約十三条の2(b)、(c)の留保が撤回されました。高等教育については(c)ですけれども、高等教育は、全ての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、全ての者に対して均等に機会が与えられるものとすることとされております。

 この留保撤回によって、日本政府はこれらの規定に拘束される、つまり、段階的ではあっても、やがては全ての学生の学費は無償にすべきであるということを受け入れた、こういう立場に立った、これは間違いありませんね、高等教育局長。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 漸進的に無償化に向けて取組をしていくというふうに理解しております。

宮本(岳)委員 そうです。段階的、漸進的に向かっていく。しかし、終着地点は、ゴールは全ての学生の学費が高等教育に至るまで無償にならなければならない、これが国際人権A規約十三条二項(c)の精神でありますから、終着駅は一緒なんです。同じなんですね。

 無償教育の漸進的な導入により拘束され、その実現に日本は責任を負っているということでありまして、この項目には、能力に応じ、全ての者に対し均等に機会が与えられるものと書かれておりますし、十三条一項には、教育についての全ての者の権利を認めると定められております。全ての者、学びたいと思うあらゆる人に分け隔てなく人権としての学ぶ権利を保障することがこの条約の精神なんですね。一部の者だけでよいというものではありません。

 政府は現在、新制度を進めていると言いますが、全学生の僅か一割、昨年十二月二十二日に閣議決定されたこども未来戦略において、高等教育費の負担軽減が打ち出され、修学支援新制度の拡大、奨学金制度の充実、修士段階の授業料後払い制度などが挙げられております。

 資料一をおつけいたしました。多子世帯の、子供三人を扶養している間の大学等無償化のイメージというものであります。

 この図によると、子供を一人か二人扶養している、困窮家庭ではない家庭の場合は何の恩恵もありません。しかし、三人を扶養する家庭ならば、少なくとも第一子、場合によっては、例えば、年子の三兄弟あるいは三つ子、あるいは、年がばらけていても浪人等々の事情で三人がそろって同じ学年ということになれば、これは実は三人とも全く授業料を払わずに卒業できるという、これは困窮とか関係なしですよ。家計に関係なく、そういう無償の制度になります。

 これは事実問題ですから確認していただきたいんですが、そういう制度設計になりますね。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 その部分については、令和七年度からの取組はそうでございますが、その前段階として、従来型の貸与型奨学金に加え、令和二年度から給付型と授業料減免を組み合わせた新制度などを導入しておりますし、令和六年度からの改善もございますので、午前中の質疑でもお答え申し上げたように、今後、まず令和六年度から改善する部分と、今委員御指摘の令和七年度から改善する部分、ここが第二弾ですけれども、さらに、これらの実績を踏まえて、更にその先、第三弾、何ができるかということも、これから政府全体の中で議論してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 第三弾はこれから議論していきたい、でも、現状は私の言ったとおりだ、そう答えていただいたらいいんですけれどもね。

 子供を三人以上扶養していることが前提なんですね。つまり、少子化対策、それも三人の子供を持つことを奨励する政策、こういうことですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 三人以上の子供を持つことを奨励するということではございませんで、これは、家庭単位で、世帯単位で見た場合に、教育費の負担が非常にかかるという、アンケート結果からも明らかでございますので、扶養する子供が三人以上の場合にこれを支援するという、まずは令和七年度から漸進的に進めているところでございます。

宮本(岳)委員 だから、私の言うとおりなわけですよ。今おっしゃったようなことは、これから漸進的に検討していくというだけの話なんですね。

 これは、私は非常に矛盾のある制度になってしまうと。全学生を救う政策ではなく、子供二人以下の世帯と三人以上の世帯にくっきりと差をつけることによって政策誘導しようということになるんですね。

 しかし、終着駅は、全ての学生が無償にならないと駄目なんですよ。終着駅はみんな無償と言っているのに、何でこういう政策誘導に使うのか。私は、これは国際人権規約の精神を踏み破ったものだと言わざるを得ません。

 次に、奨学金の成績要件について、給付型の。

 これも、この間、学生から話があったんです。成績要件が設けられておりまして、そして、警告を受けると、警告を受けて、連続して警告を受けた場合は支援が打ち切られる、打ち切られたらもう大学に通えなくなるという学生の声がありました。

 聞きますが、この成績要件、GPA下位四分の一という要件があるんですが、これは相対評価ですか、絶対評価ですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 GPA下位四分の一でございますので、これは相対評価ということになると。

宮本(岳)委員 相対評価なんですよ。これは、自身がどんなに頑張ろうと、周りが頑張ったら下位四分の一に入ってしまう可能性があるんですね。成績要件で警告を受けた、次受けると支援が打ち切られる。しかし、どんなに頑張ったって、みんな頑張ったら下位四分の一に入っちゃうんですよ。

 こんな理不尽な制度はないですよ。せめて絶対評価にすべきじゃないですか。それとも、自分が頑張っていても、周りが頑張って、相対評価から外れていきそうになったら、人の勉強の邪魔をするんですか。そんなばかな話ないじゃないですか。

 私は、本当に制度に大きなゆがみがあると。この後、資料を使っての展開がやりにくいんですけれども、なぜこんな成績要件、しかも今度は厳しくするという話が出ておりまして、そうです。その厳しくするというのは、最初はなかったんですよ。突如として、こども未来戦略に入れられたんです、昨年の十二月二十二日に。それは、十月十一日の財政制度審議会歳出改革部会に財務省が出したペーパーに、拡充に際しては、対象となる大学や学生の要件を見直し、経営に問題のある大学や学習意欲の低い学生の単なる救済とならないようにすべきである、こう財政審が言ったから、これをつけたというんですよ。

 全然国際条約の精神と違うじゃないですか、これは。違うでしょう。皆さん方、国際人権規約、分かっているでしょう。全然違うんです。そういう点では、私、改めて国際人権規約の精神に立って、本当にゴールを見定めて歩いていただきたい。

 我が党は、だから、人で区別せずに、全ての学費を半額に、入学金は無償に、それから、奨学金も今の負債をぼんと半額に、みんな半額、こういう提案をしているんです。

 是非、最後に大臣から、この人権規約、本当にゴールまで歩き抜く決意を表明していただいて、私の質問を終わりたいと思います。

盛山国務大臣 目指すところは、人権規約ということで、同じだと思いますが、山へ登る道もいろいろな道があろうかと思います。それで、我々は、財源の制約、こういったことも含めて、何ができるかということで、今、局長その他が御説明したような、そういうようなことを順次やっているわけでございますので、今後とも高等教育の負担軽減に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えています。

宮本(岳)委員 海に潜るようなことのないように、頑張ってください。

 終わります。

田野瀬委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 令和六年能登半島地震によって、多くの貴い命が失われました。心からまず御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 また、石川県、新潟県、富山県を中心に学校現場にも大きな被害がありまして、子供たちへの影響や、また、学校教育施設への影響が発生をいたしました。被災三県におきましては、国公立、私立とも、例えば窓ガラスが割れる被害から校舎や設備の被害まで、様々な被害が発生をいたしております。

 盛山大臣も被災地に入りまして、学校現場を視察され、様々な現場のお声を聞き、支援の方針を示されてまいりましたし、文科省の職員の皆様も現地に入られて、被災地児童生徒の支援に当たって、様々な御対応をしていただいております。

 時期的にも、入試、入学試験とも重なりまして、受験生も大変不安でいっぱいだったというふうに思いますけれども、いまだに避難生活が余儀なくされている状況もあって、石川県では、学校が指定避難所としてまだ運営をされている状況もありまして、学校活動への影響も引き続き続いている、これが現状でございます。

 安心、安全な生活に戻るためには、長期的な時間がかかると思います。今回の地震による被害状況、また、今後、長期的な視野に立って、安心、安全な学びの確保や子供たちが安心できる居場所づくりなど、震災によって環境が変わって不安を抱える子供たちの心に寄り添った、きめ細やかな支援が必要であると考えております。

 盛山大臣から、今後の取組について、まずお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 今般の能登半島地震でございますけれども、私も一月とそして先日、三月九日に被災地を視察し、厳しい状況の中にある中で、子供たちの学びを継続するために御尽力いただいている関係者の方々から、率直な声、切実な声を直接お伺いしたところでございます。

 また、実際の学校現場を拝見いたしましても、現在、石川県内の全ての学校が始業するようになりましたが、近隣の学校の教室を間借りしてでの授業ですとか、オンラインの学習を併用するなど、本格的な再開というのにはまだまだ遠い状態であろうかと思います。

 これまで文部科学省では、学校の本格的な再開に向けまして、学校施設の早期復旧を図りつつ、児童生徒の環境に応じた学びの継続を図るために、教職員や心のケアのためのスクールカウンセラーの派遣支援、教科書の無償給与への支援や一人一台端末の無償貸与、スクールバスによる通学支援など、様々な支援を行ってまいりました。

 引き続き、現在実施中の学校施設の被災度区分判定の結果を踏まえた校舎の復旧ですとか、仮設校舎の建設等の支援を進めるとともに、被災地のニーズを踏まえつつ、教職員の加配、スクールカウンセラー、学習指導員等の配置支援など、必要な対応を進めていくこととしております。

 被災地の全ての子供たちが安全、安心な学校生活を取り戻すことができるよう、地域のインフラの復旧とともに、早期の本格的な学校再開に向けまして、石川県教育委員会、あるいは各市町の教育委員会、関係府省庁と密接に連携を図りながら、そのニーズに寄り添った支援に全力で取り組む所存でございます。

西岡委員 今、大臣からお取組についてお話をしていただきましたけれども、自治体において今、仮設校舎を建てるということも進んでいる、そういうことも進んでいくというふうにお聞きをいたしておりますけれども、学びの環境、子供たちのまた心のケアを含めて、今回の震災によって、お友達と離れ離れになったり、また、日頃遊んでいた場所で遊べなくなったり、子供たちが一堂に集う機会がなかなか少なくなったりというような日々を過ごしてきているので、しっかり子供の心のケアについても、先ほど大臣からおっしゃったような様々な対策を取っていただいているというふうに思いますけれども、引き続きのお取組を是非お願い申し上げたいと思います。

 また、三月十一日は、東日本大震災から十三年目を迎えました。改めて、お亡くなりになった皆様に心から哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 また、学校現場においても、東日本大震災においては、子供たちや教職員の皆様も含めて多くの方が犠牲になられました。また、災害関連死も含めて犠牲となられた方は二万二千人以上となって、今なお、故郷に戻ることができず避難生活を続けておられる方が二万九千人に上ります。

 ハード面の復興は進んでいる状況でございますけれども、ソフト面も含めて復興はまだ道半ばということでございますけれども、やはり、この東日本大震災の教訓、記憶を風化させることなく、しっかり次世代につなげて継承していくということが必要だと思っております。

 これは、東日本大震災のほかの地域においても様々な災害が起こっております。頻発化、激甚化する自然災害に対しては、いつ、どこで、どんな災害が起こるか分からない状況の中で、子供たちの生活の多くの時間を過ごす学校現場において実践的な防災教育が行われるということは極めて重要なことだと思います。特に幼稚園、保育園など、幼い頃からの防災教育が大変重要です。

 現在、全国の学校で避難訓練も含めて防災教育の取組が進められているというふうに認識をいたしておりますけれども、現状の取組についてお伺いをして、また、令和四年度から令和八年度までの間で、第三次学校安全推進に関する計画を基に、実践的な防災教育の手引の作成が進められているとお聞きをいたしております。この手引作成の進捗状況について、併せてお伺いをさせていただきます。

望月政府参考人 西岡先生御指摘のとおり、令和四年三月に閣議決定をされました第三次学校安全の推進に関する計画では、地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育、防災訓練の実施を推進することとしてございます。

 このため、各学校で地域の災害リスク等を踏まえた実践的な防災教育また避難訓練ができるように、昨年、学校安全ポータルサイトにおきまして、教員向けの指導のための参考資料「実践的な防災教育の手引き」の小学校編を公開いたしました。そして、中学校編、高等学校編については、今年、もうすぐ公開する予定でございます。

 これらの資料では、震災の教訓を生かした被災地における実践もるる紹介してございまして、各学校で実践的な防災教育を推進する参考としてもらいたいというふうに考えてございます。

 文部科学省といたしましては、全国の学校で実践的な防災教育が実施できるよう、今後も指導参考資料の作成あるいは周知、教職員向けの防災に関するセミナーの開催なども実施してございまして、これらを推進する中で防災教育の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

西岡委員 今、お取組が進んでいるということで御説明がありましたけれども、この防災教育は、やはり、自分自身が住んでいる地域で過去どんな災害が起きたのか、どういう災害がその地域で起こりやすいのかということも含めて防災対策に取り組んでいくというのが大変重要だと思っておりますので、引き続いてしっかりそのお取組を続けていただきたいということと、被災された方から体験に基づいた話を聞く機会というのも大変重要だと思っておりますので、その機会も含めたお取組を是非、防災教育の充実強化をお願いをいたしたいと思いますし、先ほども申し上げましたように、やはり幼い頃からの教育というものが大切でございますので、幼保段階からの体系的な防災教育というものに是非お取り組みをいただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、大臣所信においても、公教育の再生が極めて重要であり、その充実発展に欠かせない教師の待遇改善、教師を取り巻く環境整備は文科省の最重要課題であると述べられております。教員のなり手も大変深刻な状況の中で、教育界で優れた人材に活躍していただくためには、教員の働き方改革とともに、やはり待遇の改善が喫緊の課題であるというふうに思います。

 昨年、文科省の調査委員会から、質の高い教師確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方に関する論点整理案の概要が提出をされました。教師の処遇改善や勤務制度、更なる学校における働き方改革や学校の指導、運営体制の充実の在り方を一体的に、総合的に検討するという中で論点整理がなされたわけでございますけれども、大臣にもこの論点については御報告があったというふうに思いますが、今後どのような方針を持って取り組んでいかれるのか、盛山大臣にお伺いをいたします。

盛山国務大臣 教師は、学校教育の充実発展に欠かせない存在であります。教師に優れた人材を確保するため、教師の処遇改善は重要な課題であると認識しております。

 昨年の四月には、中央教育審議会における円滑な検討に資するよう、あらかじめ有識者等から構成される調査研究会におきまして、給与や勤務制度、働き方改革、教職員定数、支援スタッフの在り方など、多岐にわたる論点が整理されたところでございます。

 また、その後、骨太方針二〇二三においても、崇高な使命と高度な専門性、裁量性を有する専門職である教職の特殊性や人材確保法の趣旨等を踏まえ、具体的な制度設計を進め、教師の処遇を抜本的に見直すとの方向性が示されております。

 これらを踏まえ、現在、中央教育審議会において、教師の処遇改善の在り方を含め、教師を取り巻く環境整備について総合的に御検討をしていただいているところでございます。

 文部科学省としては、中央教育審議会における議論も踏まえ、教育の質の向上に向け、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいります。

西岡委員 先ほどから議論があっておりますやはり給特法、これを抜本的に改正していくということが大変喫緊の重要な課題であると考えております。給特法は、超過勤務訴訟を受けまして、設立当初は教育職員の待遇改善のための第一歩の法律として制定されたものでございますけれども、半世紀を経て、抜本的な見直しをしないままに現在に至っているために、今の状況にそぐわない内容となっております。

 この抜本的な取組、抜本的な改革、改正こそ重要な課題だと思っておりますけれども、改正へ向けた盛山大臣のお考えをお伺いをいたします。

盛山国務大臣 先ほども申し上げたところでございますけれども、学校における働き方改革、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実を一体的に進めることが必要であります。

 そのため、まず令和六年度予算案では、小学校高学年の教科担任制の一年前倒しでの実施など、教職員定数の改善、教員業務支援員の全ての小中学校への配置などに必要な経費を計上しているところでございます。

 今御指摘の給特法につきましては、その在り方も含め、具体的に検討すべき課題であるというふうに我々も認識しております。

 現在、中央教育審議会において総合的に御検討いただいているところでございますので、文部科学省としては、引き続き、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境の整備に取り組みたいと考えております。

西岡委員 一方で、先ほど、午前中に中村委員の方からも御指摘があったんですけれども、いわゆる人材確保法、この法律が給特法が成立した後に成立をいたしまして、まさに法律の名前のとおり、教員の給与を一般の公務員より優遇することを定めて、優れた人材を教育界に確保して、義務教育の維持向上を目指す法律でございます。

 当初は、人材確保法に基づいて七・二六%の教師給与の優遇分が定められまして、実際に、昭和四十八年度から昭和五十三年度については、計画的改善によって合計二五%の予算措置が取られておりました。しかし、その後、二〇〇五年十二月の行政改革の基本方針の閣議決定によって、廃止も含めた見直しも行うということまで明記をされた後、二〇〇六年の行革推進法が施行されたことによりまして、七月に、小泉政権の三位一体の改革の下で、人確法に基づく教員給与の優遇分の取扱いについて、当面の措置として、優遇分については縮減することが決定をされ、二・七六%が縮減をされたという経緯がございます。

 その後、教員給与の優遇措置が低下しておりまして、実際的には、この法律の実効性が担保されない状況が続いている状況でございます。

 先ほど大臣からも、骨太の方針の中で、人確法の内容を尊重してというお言葉がございましたけれども、やはり、この縮減を含めた長期的なこれまでの教育行政の結果が、今の教育の、先生を含めた在り方につながっているというふうに私は問題意識を持っておりますけれども、この状況をどのように捉えて、どのような対応をされていく方針であるかということを盛山大臣にお伺いをしたいと思います。

盛山国務大臣 西岡委員のお父上でいらっしゃいます西岡武夫先生の御尽力で、昭和四十九年に人材確保法ができたというふうに承知しておりまして、この法律は、教師の給与を一般の公務員よりも優遇することによって、教師に優れた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上を図ることを目的としているというものでございますが、今、西岡委員から御指摘がありました当時、現状では、給与の優遇分につきましては、法制定当時に比べて減少しているということは我々も認識しているところでございます。

 骨太二〇二三におきましては、崇高な使命と高度な専門性、裁量性を有する専門職である教職の特殊性や人材確保法の趣旨等を踏まえ、教職調整額の水準や新たな手当の創設を含めた各種手当の見直しなど、具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直すとの方向性が示されております。

 そして、現在の中教審の議論におきましても、複数の委員から、人材確保法を踏まえた処遇改善の必要性について意見が示されているところでございます。

 我々、文部科学省としましては、中教審の議論も踏まえ、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、学校の指導、運営体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 今大臣からも御答弁いただきましたけれども、二〇〇六年の骨太の方針、実は、この方針の中では、人材立国の実現というものが掲げられながら、一方で、行革のターゲットとしてこの優遇分が削減をされたという経緯がございます。このことは質問は大臣にいたさないんですけれども、同時に、義務教育費の国庫負担金の国負担分が二分の一から三分の一になったのもこのときでございます。これは財源移譲とともに地方に移管されたわけでございますけれども、このことも含めて今の教育の状況になっている、私はこのことも大きな原因の一つであるということも考えておりますので、この負担金の在り方についてもしっかりまた議論をしていきたいというふうに思います。

 また、人確法の実効的な運用についても、やはり今こそこの人確法の理念が必要だというふうに思いますので、大臣としても積極的に、またリーダーシップを持って是非お取り組みをいただくということをお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、社会人の学び直しの充実やリカレント教育についても大臣所信の中で述べられております。他省庁と連携をしながら取り組んでいく課題でありますけれども、文部科学省の果たす役割が極めて重要だと考えております。DX、GXを始めとした新しいスキルや技術の習得等が求められておりまして、教育プログラムの充実への取組や、また全ての国民が自分が望むときに望む教育を受けることができる体制、そういうスキームをどのように構築していくかということも大変な重要な課題でございます。

 今後、盛山大臣としてどのように取り組んでいかれる方針かということを、お伺いをさせていただきます。

盛山国務大臣 文部科学省におきましては、これまで、リカレント教育の推進に向けて、デジタル、グリーンなどの成長分野を始めとする社会人向け教育プログラムを開発する大学等への支援、厚生労働省の教育訓練給付制度との連携を通じた費用負担の軽減、放送などを活用し、学びたい人がいつでもどこでも学べる放送大学の振興などを実施してまいりました。

 また、全国の大学、専門学校等におけるリカレント教育プログラムなどが一覧できるポータルサイトでございますマナパス、こういったものを開設し、受講内容や費用、通学の要否等、国民の皆さんが望む教育プログラムを選びやすくする取組を充実しております。

 現在、社会人が学ぶ上での課題として、時間や費用の捻出、学んだことに対する適切な評価などが挙げられております。そのため、今後は、誰もが自らの関心に応じて学べる学習機会の提供や情報の充実に努めるとともに、これらの課題の観点も含め、企業と大学等が連携、協働し、誰もが働きながら学ぶことができるための取組を推進してまいるつもりです。

西岡委員 是非、文部科学大臣としてのリーダーシップを持ったリカレント教育の在り方、体制整備に御尽力をいただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 もう時間が残り少なくなっているんですけれども、公立学校の施設の整備の中で、今日お配りをさせていただいておりますけれども、防災、減災の取組について、避難所としての防災力強化も学校に求められる中で、学校のほかの普通教室等の整備は進んでいるんですけれども、学校体育館への空調設置率が全国的に大変低いままの状況でございます。災害の頻発化、激甚化に加えて、近年の熱中症による児童生徒の緊急搬送の事例が多発していることを考えると、学校体育館施設への早急な設置への取組が必要であると思います。

 私の地元長崎県においても、まだまだ設置率、大変低いパーセントでございますけれども、やはり費用面の課題が大きいということを聞いております。その中で、様々な政策、補助率を含めた今お取組をしていただいているんですけれども、ちょっと時間がないのでまとめて質問させていただきますけれども、しっかり目標を定めた中で、いつまでに設置を完了するのか。

 また、この国庫補助率が二分の一ということで、令和七年度までということで、断熱性を確保することを前提とした制度が今運用されているところでございますけれども、断熱性を確保するということも、様々、学校の立地条件や、確保するということの理解も、どの状態であれば断熱性を確保することになるのかということも、なかなか、自治体が取り組む中で、一歩踏み出せない、分からない部分ではないかというふうに思います。

 今取り組んでいただいている事例の共有化も含めまして、文科省の今のお取組と、早急な設置への道筋をつけるべきだというふうに考えますけれども、文科省からの御見解をお伺いいたします。

笠原政府参考人 先生から、学校施設の空調設備の設置についてお尋ねがございました。

 学校施設は、児童生徒の学習、生活の場であるとともに、災害時には地域の避難所としての役割を果たすことから、体育館等における空調設備の設置は重要な課題であるというふうに認識してございます。

 体育館の空調設備の設置の状況でございますけれども、まず目標といたしましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策におきまして、中長期の目標として、令和十七年度までに九五%、当面の令和七年度までに三五%という目標を掲げてございます。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、公立小中学校の体育館等の空調設置の状況は、令和四年九月一日現在におきまして一一・九%となってございます。そのため、五か年加速化対策の期間であります令和七年度までの間に、体育館への空調設備の新設につきましては、断熱性の確保を前提に、国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げているところでございます。

 断熱の内容でございますけれども、先生も御指摘ございましたように、個別の体育館ごとの日照等の立地条件ですとか、様々な建物の現状によって検討する必要がございますので、断熱性を確保する工事の設計に際して、選択した断熱方法ごとに工期ですとか工事費を示す事例を我々としても周知をしながら、一緒になって考えております。

西岡委員 やはり、十七年までにということでございますけれども、大変喫緊の課題であるというふうに思いますので、財政措置も含めて、要件についても是非、地方自治体が進めて設置していける方向を文科省としても示していただきますことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 本日最後の質疑者となりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、一月一日に起きてしまった能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りさせていただくとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。

 また、大臣には冒頭、心から御礼を申し上げさせていただきたいと思います。

 と申しますのは、一月一日、地震が起きてしまった後、そして二日、私の携帯に学生から電話がたくさん入りました。大学入学共通テストを受けるのに、受けられないかもしれない、ここに命を懸けて勉強してきた、どうしたらいいんだろうと、泣きながらの電話でした。そのお言葉を大臣に、二日の日にお届けをさせていただき、どうか大臣から、子供たちが安心できるようにメッセージを早急に出していただきたいとお願いをさせていただき、大臣の方からは、三日の夕刻、メッセージを出していただきました。学生からは、本当に温かいメッセージをいただいたということでお礼の電話もあったところでございます。

 本当にスピード感を持った対応をしていただきましたこと、心から、まず冒頭、お礼を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

 また、本日は、まず初めに、昨年の十一月八日、当委員会で質問をさせていただきましたけれども、時間がなかったために要望にとどめたことから始めさせていただきたいと思います。それは、教師の奨学金返還免除についてでございます。

 教育は大変重要でありまして、質のよい教育は教師に懸かっていると思います。近年の教師不足は、いまだ解消の兆しが全く見えておりません。文科省内には、今後、教師の採用について、人数は減少し、志望者数も余り減少していないことから、採用倍率は上がっていくという楽観論もあるようでございますけれども、昨今、我が国では人手不足の状況に更に拍車がかかっており、人材獲得競争も激しくなる一方であることを鑑みると、その認識で本当に大丈夫なのかと私は不安になります。

 教師の奨学金返還免除について速やかな検討が必要ということが昨年の六月の骨太方針にも明記されており、公明党はこれまで文科大臣に提言をしてきましたけれども、文科省内は教職大学院を中心とした返還免除に限定しようという動きがあるということも伺っているところでございます。

 この教職大学院出身者の九〇%以上は教師になると聞いておりますけれども、それでは政策効果は極めて少ないのではないかと思います。また、今は教師不足で、大学生の手もかりなければならないという状況になっております。大学院に進学を促すような施策は、教師の志望者に誤ったメッセージも出してしまうのではないかなというふうにも思います。

 本件は追加の予算も必要がないということも伺っているところでございますけれども、学部卒業後に教職を選んだ教師を含めた形で導入を図るべきだと私は思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 教師になった者に対する奨学金の返還支援につきましては、現在、御案内かと思いますが、中央教育審議会において御議論いただいているところでございます。

 その上で、御議論いただいている内容を踏まえれば、優れた教師人材の確保という観点から、現行の大学院生を対象とした返還免除制度を活用し、教職大学院生を対象に、教師の職に就いた者への返還免除を実施することで、大学院レベルの高度な学習にいざない、教師の指導の質向上と高度専門職としての社会的地位の向上を図っていくことが考えられます。これにより、安定的な教師志願者の確保につながっていくことが期待されます。

 また、多様な専門人材を確保する観点から、教職大学院以外でも、教職志向の高い大学院生を返還免除の対象に含めていくことも検討すべきと考えます。

 より具体的な制度設計も含め、中央教育審議会において優れた教師人材の確保に関する取組の方向性を示していただき、それを踏まえて、文部科学省としても速やかに対応してまいりたいと考えております。

浮島委員 今、中教審で議論中という言葉もありましたけれども、本件は、この政策の効果を疑うお声とか、なぜ教師だけなのという声もあることも承知しております。でも、教師は、その数の多さと求められる人材の高潔さから、歴史的に見ても、その人材確保に常に時の政府また自治体は苦労してきており、給費制や奨学金返還免除などの、教師を重視する象徴的な政策をずっと取ってきたところでもあります。そのような政策がない今のような状況は、むしろ二十世紀までにはありませんでした。

 防衛省や厚労省においても、自衛官又は介護福祉士のために給費制や奨学金返還免除などの様々な施策を取っており、教師不足が深刻化し、人材確保の競争が更に激化する今ではありますけれども、文科省は堂々と、もっとしっかりと主張すべきだと私は思っております。是非積極的に取り組んでいただきたいと思います。学部卒業後に教職を選んだ教師を含めた形での導入を、大臣先頭の下で、よろしくお願い申し上げます。

 次に、家族滞在の資格で日本に滞在する子供たちの奨学金の申請の資格についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の拡大などで一時は減少した在留外国人でございますけれども、感染の収束に伴い再び増加しており、昨年六月現在、三百十一万人の在留外国人が日本において大事なパートナーとして活動しております。

 その中で、家族滞在の資格で日本に滞在する方の中には、日本で経済活動に取り組む保護者とともに来日した子供たちが多数含まれており、この子供たちは、地域の学校に通い、そして希望を持って学び、自分の進路を真剣に考えておられます。しかし、いざ関心や適性に応じて進路を選択しようとすると、大きな壁に直面してしまいます。

 現在の奨学金制度では、日本国籍の学生のほか、永住者、定住者などの方々は日本学生支援機構、JASSOの奨学金を利用することができますけれども、家族滞在の在留資格で日本に在留する外国籍の学生等は対象外となっております。

 昨年、二〇二三年六月の二十六日、バングラデシュからいらしたハリマさんという女性の方にお会いしました。私が本部長を務めている教育改革推進本部にて要望をいただきました。

 この方は、生まれて一歳で日本に来日、保育園は日本に滞在して、小学校まではいました。そして、小中学校はバングラデシュの学校に通い、でも、高校に行っているときも、御両親が日本で働いているために、毎年春には二か月こちらに帰ってきていたそうです。そして、再度、高校生の頃から来日し、現在、武蔵野大学の一年生であるということでございました。将来は日本で働きたい、でも、家族滞在だったため奨学金を受けられず、アルバイトをしながら学費を稼いでいるとの話でございました。でも、みんなから、大変だからやめた方がいいのではないかという声もたくさんあったそうですけれども、絶対に諦めたくないということで、必死で頑張っているという声でした。このハリマさんは、日本語はもちろんのこと、ベンガル語、英語、ヒンディー語、四か国語を話せる、とても優秀な学生さんであります。

 なぜ家族滞在が対象外となっているかというと、例えば貸与奨学金であれば、卒業後の返還が必ずしも見通せないためと聞いております。

 幼い頃、家族と一緒に日本に来日をして、日本の学校を卒業し、大学を卒業した後も日本で就職し、日本の社会の一員として活躍したいと思っている学生さんたちはたくさんいらっしゃいます。

 公明党は、昨年の七月十二日、子どもの夢応援ネットワークの金光敏さん、世話人とともに、当時の永岡大臣の下に伺い、家族滞在の在留資格を持つ外国人学生も受給の申請の対象に加えるよう要望をさせていただきました。当時の永岡大臣からは、検討を進めたいという前向きな御答弁をいただいたところでもございました。

 そこで、盛山大臣にお伺いをいたしますけれども、この家族滞在の在留資格を持つ外国人の子供たちも、日本学生支援機構、JASSOの奨学金の受給資格対象に加えていただきたいと思いますけれども、大臣の御決断をお伺いしたいと思います。

盛山国務大臣 今、浮島先生から御指摘あったとおり、現在、日本学生支援機構の奨学金の対象は、日本国籍の方に加えて、永住者や日本人の配偶者等などとしているところです。

 この対象者につきまして、御党からいただいた御提言も踏まえて拡大を検討いたしました。令和六年の四月から、日本の小学校から高校までを卒業し、大学等の卒業後も日本で就労して定着する意思があるなど、一定の要件を満たす家族滞在の学生等を加えることといたしております。令和六年度からは、これらの要件を満たす学生等は、日本国籍の学生等と同じように、各大学や高校等において実施される奨学金の採用に申し込むことで支援を受けられますので、各大学の窓口や高校の先生などに御相談をいただければと思います。

 文部科学省としても、制度の対象となる在留資格等について周知に取り組むこととしており、引き続き、経済的に困難を抱える学生等の支援に努めてまいります。

浮島委員 我が党の提言を踏まえてということで、この令和六年四月から一定の要件を満たすこととしてくださったことは大きな第一歩でありますので、本当にありがとうございます。しっかりとこれを周知徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、能登半島地震による被災に対する支援、特に文化財、これに関する復興支援についてお聞きしたいと思います。

 言うまでもなく、北陸、特に石川県は、文化、文化財が多数存在する、日本の文化の都であります。

 例えば、重要無形文化財認定保持者、いわゆる人間国宝の方々は、きゅう漆、釉裏金彩など分野にわたって九名おられ、全国の最多です。また、重要伝統的建造群保存地区というのも、輪島市、加賀市など八区で、これも全国最多となっております。また、ブエノスアイレスで日本のオリパラが招致が決まったときに私の方から発案をさせていただいた日本遺産、これも、北前船、珠玉、キリコ祭り、これは輪島、珠洲とか六市町、三件あります。また、ユネスコ無形文化財、これは四件にも上っております。さらに、奥能登の国際芸術祭など、博物館、美術館などの文化イベントも数多く、本当に文化の都、これを形作っているところでもあります。

 復興の希望である文化財や文化施設を何としても立て直し、保存し、発展させ、そして次代に引き継いでいかなければなりません。

 そこで、文化庁にお伺いをさせていただきたいんですけれども、能登半島地震における文化財や文化施設などの被害状況、それと、それに対する支援の状況、現在の課題についての説明を願います。特に、国の重要無形文化財に指定されている輪島塗の継承が今大きな危機に直面しています。現在、輪島塗の仮設工房の支援などが行われていることはありますけれども、文化庁として、この輪島塗の継承、発展のためにどう対応していくのか、お答えください。

合田政府参考人 お答え申し上げます。手短に、端的にお答え申し上げたいと存じます。

 本日時点で文化庁として把握している情報では、被災各県において合計三百九十七件の文化財、百二十五件の文化施設に被害があると承知をいたしてございます。

 文化財につきましては、文化庁の専門職員等の現地調査、これを直ちに行いまして、被害状況の早急な把握と緊急的な保全に取り組んでございます。

 課題でございますが、文化財所有者等の災害復旧に向けた費用負担と創造的な復興に向けた対応が課題でございまして、引き続き、技術的、財政的支援をしっかり行ってまいりたいと存じます。そのうち、重要無形文化財、輪島塗を含む輪島の漆芸技術につきましては、被災前におきましても、これらの保存ということについて私ども支援を行っていたところでございます。

 文化庁としては、今回の震災によって御指摘のとおり伝承者養成のための活動が途絶えることのないように、他省庁が行っている事業、これにつきましても、政府全体の様々な支援策を保存会の皆様方にお伝えをし、その周知の状況を把握する、あるいは関係者からのヒアリングをしながら、地に足の着いた必要な支援をさせていただくということを行ってございまして、引き続きしっかりと取り組ませていただきたいと存じております。

浮島委員 大切な経済活動でもありますので、どうかスピード感を持って対応していただけるよう、よろしくお願いいたします。

 次に、能登半島地震が発生してから、文科省は、全国の教育委員会と協力して、輪島市等の中学生の集団の避難先への教職員やスクールカウンセラーを派遣しています。また、学校施設の安全確保のために、応急危険度判定士の派遣も行っているところでもあります。

 それぞれ、すばらしい民間のNPO等々の活動もありますけれども、二月の五日の衆議院の予算委員会で我が党の稲津議員から提起をしたとおり、教育DMATのように、迅速に組織の縦割りを超えて支援する仕組みが必要だと我々は考えております。

 御存じのとおり、DMATとは、災害急性期に活動できる機動性を持った、トレーニングを受けた医師、看護師、業務調整員で構成される医療のチームで、発生後四十八時間という災害の急性期に現地に入り、救護を行っています。この教育DMAT、子供たちを支えるというために、今こそ仕組みとしてしっかりと確立をさせるべきだと思っております。

 稲津議員の質問に対して、総理からは、そういった考えはまず重要だと思います、今後、文科省において、国としてどのようなことができるか、これを考えさせてまいりたいとの御答弁をいただいておりますけれども、その後の文科省の検討状況をお伺いさせていただきたいと思います。

 あわせて、発生した場合に、公立小学校の学校の体育館、最も身近な避難場所となります。公明党は、これまでも、命を守る、住民の皆様の避難場所を守るという観点から、避難場所となる学校体育館の耐震化一〇〇%を強く訴え、予算も確保してきました。そこで、今回の地震において、液状化等々で少し崩れてしまったということはありましたけれども、校舎等々が倒壊することはなかったということも聞いております。これも大きな成果だと思っているところでございます。

 そこで、避難所として指定されている公立学校の体育館の、先ほどもありましたけれども空調の整備、この整備状況、そして、全国、そして石川県、能登半島の各自治体ではどうなっているのか。それを一〇〇%整備するためにどのような段取りで整備計画を進めていくのか。

 さらに、空調の設備は、整備したから終わりではありません。しっかりとこれを動かすためのランニングコスト、これも必要となってきます。電気代などランニングコストの負担についてどう支援していくお考えなのか、お聞かせください。

笠原政府参考人 先生の方から、まず、子供たちのメンタルですとか、学び等の教育再開に向けた支援についてのお尋ねがございました。

 先生御指摘のとおり、今回の能登半島地震では、全国の教育委員会と協力した教職員の派遣支援ですとか、児童生徒等の心のケアのために必要なスクールカウンセラーの追加派遣支援ですとか、学校施設の使用の可否を判断するための専門家等を派遣してございます。

 また、兵庫県を始めとした六府県による自主的な取組として、避難所運営ですとか学校再開をサポートするための教職員の派遣ですとか、NPO法人等による、子供の居場所づくりの一環としての避難所における学習支援なども行われております。

 文部科学省としましては、こうした取組を参考にしながら、発災後から学校の再開までを継続的に支援できる取組について検討を進めてまいります。

 もう一つ、体育館の空調についてのお尋ねがございました。

 先生の方からお話もございましたけれども、耐震化ですとか教室の空調につきましては、まさに公明党の御尽力もありまして、格段に整備が進み、避難所として活用できたものと考えてございます。

 一方、先生御指摘のございました体育館等の空調につきましては、令和四年九月一日時点の調査におきまして、全国で一一・九%、石川県内で一・一%、今回地震の起きております能登半島では〇・九%となっております。

 このように、体育館は空調設置率が非常に低いという状況がございますので、体育館への空調設備の新設につきまして、断熱性の確保を前提に、本年度から令和七年度までの間、国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げているところでございまして、それに必要な予算としまして、令和六年度予算案で六百八十三億円、令和五年度第一次補正予算で一千五百五十八億円と、合わせまして総額で二千二百四十二億円を計上して、各自治体が計画的に整備を行えるように取り組んでいるところでございます。

 それから、ランニングコストの問題もございました。

 電気代等のランニングコストの負担の軽減に資するよう、体育館の空調設備と併せて、断熱性を確保するための工事につきましても補助率を引き上げて支援をしているところでございます。

 いずれにしましても、引き続き安全、安心な教育環境の構築と避難所としての機能強化を図るため、各自治体が計画的に空調設備の整備を行えるよう、引き続き支援をしてまいります。

浮島委員 我々も全力で応援してまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 最後に、能登半島地震について、公立学校の体育館の空調、そして教育DMAT、そして文化財の復旧、継承についてお伺いを今してきましたけれども、現地にもお足を運んでくださっている大臣の復興支援についての御決意を最後お伺いをさせていただきたいと思います。

盛山国務大臣 今、具体的なところは笠原部長の方から御説明したところでございますけれども、私も二回被災地を訪問させていただきまして、特に、先日九日は輪島に伺いました。被災した文化財、学校の状況、こういったもの、それから地すべりですとか、そういうものを見まして、改めて被害の大きさを実感しました。

 被災地の皆様が一日でも早く元の生活に戻ることができるよう、我々、全力を尽くすとともに、安全、安心な社会の実現に向けて全力を尽くす決意を新たにしたところであります。

 他方、文部科学省といたしましては、発災直後から、関係省庁や被災自治体等と連携しながら、被害実態等をきめ細かく把握するとともに、省を挙げて、教職員やスクールカウンセラーの派遣支援、学校施設の復旧に向けた専門家の派遣などに取り組んでまいりました。

 また、文化財につきましても、復旧に向けた現地調査等を順次実施し、被害状況の早急な把握と緊急的な保全に努めてきたところですが、先ほども御指摘ありました、重要無形文化財であります輪島塗の復旧復興に向けまして、今般、審議官級をトップとするプロジェクトチームを文化庁に設置し、具体的な支援策の検討を各省横断で進めることを指示しました。今週中にも初回の会合を金沢で開催すべく、準備を進めているところです。

 私としましては、今後の災害に備えた取組を着実に進めていくことはもちろん、現に被災した子供たちが安全、安心な学校生活を取り戻すことができるよう、早期の本格的な学校の再開、そして地域の誇りであります文化財の災害の復旧に向けまして、地域のニーズに、しっかり踏まえました上で全力で支援してまいりたいと考えております。

浮島委員 スピード感を持った対応を今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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