衆議院

メインへスキップ



第19号 平成30年5月16日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十年五月十六日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    岩田 和親君

      尾身 朝子君    大岡 敏孝君

      加藤 寛治君    神田 憲次君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    津島  淳君

      長尾  敬君    百武 公親君

      藤丸  敏君    船橋 利実君

      三ッ林裕巳君    務台 俊介君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    長妻  昭君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      吉田 統彦君    大西 健介君

      白石 洋一君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      浦野 靖人君    柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           西村智奈美君

   議員           長谷川嘉一君

   議員           尾辻かな子君

   議員           大西 健介君

   議員           白石 洋一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         遠山 義和君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          井内 正敏君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       坂根 工博君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         宮川  晃君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    吉野 恭司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鈴木英二郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     岩田 和親君

  木村 哲也君     高木  啓君

  小泉進次郎君     津島  淳君

  塩崎 恭久君     務台 俊介君

  船橋 利実君     神田 憲次君

  三ッ林裕巳君     百武 公親君

  初鹿 明博君     長妻  昭君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     尾身 朝子君

  神田 憲次君     船橋 利実君

  高木  啓君     木村 哲也君

  津島  淳君     藤丸  敏君

  百武 公親君     加藤 寛治君

  務台 俊介君     塩崎 恭久君

  長妻  昭君     初鹿 明博君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     穴見 陽一君

  加藤 寛治君     三ッ林裕巳君

  藤丸  敏君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六三号)

 労働基準法等の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第一七号)

 雇用対策法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一四号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一五号)

 労働契約法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案、西村智奈美君外二名提出、労働基準法等の一部を改正する法律案、岡本充功君外四名提出、雇用対策法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案及び労働契約法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局次長遠山義和君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、消費者庁政策立案総括審議官井内正敏君、総務省自治行政局公務員部長佐々木浩君、厚生労働省医政局長武田俊彦君、労働基準局長山越敬一君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君、職業安定局雇用開発部長坂根工博君、雇用環境・均等局長宮川晃君、中小企業庁次長吉野恭司君、国土交通省大臣官房審議官鈴木英二郎君、大臣官房技術審議官五道仁実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、きのう出されました平成二十五年度労働時間総合実態調査に係る精査結果について御説明をお願いしたいと思います。

山越政府参考人 平成二十五年度労働時間等総合実態調査について、このたび、調査データの精査とこれに基づく再集計の作業が完了いたしましたので、御報告をさせていただきます。

 まず、精査に当たりましては、全ての調査対象事業場の調査票原票の内容とそれに基づき入力されたデータの突合による入力ミスのチェック、修正履歴の確認などを行うとともに、精査用に作成をいたしましたプログラムによる論理チェックを行いまして、統計としての正確性を担保する観点から、異常値である蓋然性が高いものは無効回答として当該事業場のデータ全体を母数から削除したものでございます。

 母数から削除したのは、具体的には、明らかな誤記と考えられるもの、理論上の上限値と考えられる数値を上回るもの、複数の調査項目間の回答に矛盾があるものでございまして、ここには、国会の場で精査が必要との御指摘をいただいた事項も全て含まれているものでございます。

 なお、裁量労働制のデータは既に撤回をしておりまして、この関係で、裁量労働制の対象事業場に係るデータにつきましては、一律に母数から削除を行いました。

 これによりまして、合計二千四百九十二事業場を除いた九千八十三事業場のデータに基づき再集計を行ったところ、精査前と比べて集計結果に大きな傾向の変化は見られなかったところでございます。

 お示しをいたしましたデータの中に、正確性が必ずしも担保されていないものがあったということについては反省し、今後、統計をつくっていくときはしっかりと対応をしていきたいと思います。

高橋(ひ)委員 精査前と比べて集計結果に大きな傾向の変化は見られなかったというような答弁でございました。しっかりと受けとめさせていただきまして、働き方改革法案の中で、中小企業、女性に関すること、高度プロフェッショナル制度の質問に入らせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 働き方改革が目指すものは、少子高齢化社会が進む中で、五十年後も人口一億人を維持し、職場、家庭、地域で誰もが活躍できる社会、活力ある日本を維持していくことだと承知しています。その鍵となるのが労働力であり、労働力が不足しないために女性や高齢者に働き手として社会参画をしてもらう、そして、欧米に比べて低いと言われている労働生産性を向上させる、出生率を上昇させるという三つの大きなテーマがあり、どれも一朝一夕にできることではありませんが、実現しなければならない、日本の未来にとってとても重要なことです。

 海外との比較がよく行われていますので、日本の労働の考え方の原点をまず見詰めてみたいと思っております。

 日本人は、アダムとイブが禁断の木の実、リンゴを食べた罰として労働があるといった西洋の根本思想と違い、日本神話では、神々が稲作をして布を織るといった、労働は罰ではない文化でした。勤労も頑張り、子育ても、家族団らんや趣味や、長寿社会をポジティブに生きてきた、そんな日本人の働き方の七十年ぶりの改革がスタートするということで、大きな分岐点となる法律にこれはなっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

山越政府参考人 高齢者も若者も、女性も男性も、そして障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んでいるところでございまして、その最大のチャレンジが働き方改革でございます。

 この働き方改革でございますけれども、働く方の立場に立ちまして、一人一人の事情に応じた多様な働き方、そういったことが選択できる社会を実現するためのものでございまして、労働基準法制定以来七十年ぶりの大改革でございます。法案では、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、同一労働同一賃金などを進めることといたしております。

 こうした一連の改革を通じまして、子育て、介護など、さまざまな事情を抱える皆さんが、働きたいという思い、希望を実現できるようにしていくとともに、誰もがその能力をより発揮できる、多様で柔軟な労働制度へと抜本的に改革する内容としているところでございます。

高橋(ひ)委員 御答弁ありがとうございます。

 私が所属しております自由民主党の厚生労働部会では、実にさまざまな働き方に関する議論があり、例えば、労働生産性には日本の繊細な美しさやおもてなしのすばらしさが評価されていない、例えばアメリカでしたらスーパーにばんばんばんと物をカートのまま置いている、でも、日本の陳列というのはすばらしい、そういうことが実は評価をされていないというようなお話を始め、例えば、移動する場合、それは労働とみなされるのかとか、そして、離島の労働力の確保などなど、この働き方改革については、本当にたくさんの時間をかけて、いろいろな調査をしながら、長い間、時間をかけて、意見が出されて今日に至っていると承知しております。日本の特性が生かされること、それもとても大切なことだと感じております。

 ですので、ここで次に、女性における働き方、女性の活躍促進について伺っていきたいと思います。

 少子高齢化社会の中で、労働力不足を解消するという大きな課題を克服するには、女性が鍵を握っていると言っても私は過言ではないと考えています。女性が子供を産まなければ、出生率は上がりません。母としての役割を果たしながら働くということが出生率の向上や労働力不足を補うことになることは、申し上げるまでもありません。少しでもその負担を軽くするということ、女性が自分に合った働き方を選択できる、こういう社会、環境づくり、これが本当に必要です。

 この点について、厚生労働省としてどのように認識をされ、どのような取組を行っていくのかをお聞かせいただきたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 日本の労働慣行の中で、特に長時間労働の問題は、仕事と家庭との両立を困難にし、女性のキャリア形成を阻む要因の一つであると認識しております。

 今回の法改正によりまして導入いたします時間外労働の上限規制などで長時間労働を是正していくことによりまして、さまざまな事情を抱えた女性が仕事につきやすくなり、労働参加率の向上に結びつくものと考えております。

 また、厚生労働省では、育児休業制度などの仕事と家庭の両立支援策の推進に取り組むとともに、就業を希望する女性が職業生活において活躍できるようなさまざまな施策を展開しているところでございます。

 具体的にちょっと申し上げますと、女性活躍推進ということで、男女雇用機会均等法の周知、法の履行確保ですとか、女性活躍推進法に基づきます事業主行動計画を認定するえるぼし認定、あるいは、助成金を通じた事業主の支援や女性の活躍推進企業データベースによる情報の公表、あるいは先進的な企業の表彰、仕事と家庭の両立支援ということに関しますれば、育児・介護休業法の周知、法の履行確保はもとより、次世代法に基づきます事業主行動計画の策定、認定、そのためのくるみん認定、あるいは、助成金を通じた事業主の支援や先進的な企業の表彰、さらに、男性の育休取得促進など育児へのかかわりの促進ということで、イクメンプロジェクトなどを実施しているところでございます。

 このような形で、こうした取組を通じまして、個々の女性が希望する働き方を選択できるよう、このような社会の実現を目指してまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 女性の社会参画を進めながら、一方では出生率を上昇させることを目指す、簡単なことではない。

 私も子育てをしながら働いてまいりました。フリーランスのアナウンサーのときは、時間外に子供を預かってくれるところは当時はありませんでした。どれだけの皆さんのお世話になってきたか。たくさんの方の御協力をいただきながら、親族や、また、他人の方々、地域の方々、あわせて、私は十四年前に母子寡婦になりましたものですから、本当に、例えば行政の支援、さまざまなものによって助けられてまいりました。

 実際に、男性の特性と女性の特性があります。こういうことをしっかりと生かしながら協力をし合うということが、健やかな子供の成長に必要だというふうに思っております。

 政府の方では、えるぼし認定、それから、くるみん、スーパーくるみん、こういういろいろな認定などもしてくださったり、後押しをしてくださっておりますが、働きたい女性と、それから子育てをしながら働きたい、子供をしっかりと育ててから働きたい、そして家のことをしながら子育てをしたい、そういう女性の皆様の全ての要望の選択ができる、これが本当に大事です。

 選択ができる、こういうことを進めているということに心から敬意を表し、引き続き、女性活躍のためにお力添えを心からお願いをしたいと思います。

 次に、中小企業関係についての質問をさせていただきたいと思います。

 御承知のように、日本の中小企業数の比率は全企業数の九九・七%。企業で働く従業員の数は、中小企業が全体の七〇%を超えているものです。ですから、中小企業において、経営者や従業員の皆さんの御意見を十分に酌み上げて進めていくということが非常に大切になってきます。

 週休二日で一日八時間労働に全てをしたい、これは理想です。でも、これを全て実現をしてしまったら、さまざまな問題が起きて、国民の社会生活に支障が起きることも考えられますよね。医療、そして公共交通、農産物、輸送、本当にさまざまな課題がある中で、その中で今後のベストを考えていかなければならない。

 きのうも、お会いした方々からたくさんの質問がありました。不安の声を払拭していく必要性を実感しておりますので、中小企業経営者の方からの質問をここでさせていただきたいと思います。

 働き方改革が進められ、長時間労働の是正が進められていく中で、労働力の不足を補うため、雇用を現在の有効求人倍率が高い状況下で確保できるのかが心配だという声が聞こえてきています。働き方改革を進めていくためには、中小企業の経営者の皆さんにその必要性を理解してもらうことは極めて重要です。

 改めて、働き方改革を進める意義について、厚生労働省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

牧原副大臣 先ほど議員が御指摘になられましたように、既に日本は、少子化、高齢化、人口減少等によりまして、現在では人手不足という状況が大変中小企業の方に悩みになっているということも私たちは承知をしております。その意味で、この国では、一人一人の全ての国民の皆様が活躍できる、その能力を発揮できて、そして働きがいを持って生きることができる、こういう一億総活躍社会が私たちは必要だというふうに考えております。

 その意味で、この働き方改革がその鍵となるわけですが、それを通じて、ぜひ経営者の皆様には魅力ある職場づくりをお願いをしていきたい、こう思っているところでございます。このために、各地働き方改革推進支援センターなど相談窓口を設けたり、あるいは、中小企業関係の経済団体の皆様とも協力しつつ、相談体制は充実していきたいと思いますので、悩みがあればそういうところに御相談をいただきたい、こう思うところでございます。

 と同時に、この改革を通じてぜひ実現をしていただきたいと思っていますのは、生産性の向上でございます。既に、人工知能等の進展、現在、第四次産業革命と言われているような最新技術の進展や、あるいはグローバル競争の深化など、さまざま、経営環境、取り巻く環境は変化をしております。

 こういう中で、私たちとしては、この技術の導入等によって生産性の向上ができるように、現在、官邸や、あるいは厚労省としては中企庁とも協力しながら、さまざまな検討会を立ち上げて生産性の向上をぜひ後押ししていきたい、こう思っているところでございます。

 このような、生産性の向上や魅力ある職場づくりをやることによって、ぜひ、人手がみんな集まってきたり、あるいは利益が向上していったりという好循環をつくっていきたいと思いますので、御理解をお願いしたいと思います。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 中小企業における働き方改革の取組の後押しをするという非常に力強い答弁でしたが、今のお話の中に、全都道府県に働き方改革推進支援センター、こういうことを設置するということは私もお聞きしているんですが、企業への支援を進めるに当たっては、地域の実情それから個々の事業内容など、それぞれの状況に応じたものとしていく必要があると思うんですね。

 本当に県によっても違いますし、それから、本当に、その企業の職種やいろんなことによっても違うと思うんですね。一律で、だめよ、これはもう許せないとか、そういうことではなくて、その体制や支援内容、こういうことをしっかりとお聞かせいただいて、具体的にお聞かせをいただきながら、それぞれの状況に合ったものということもお考えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

宮川政府参考人 中小企業、小規模事業者は、業種、地域、規模などにより多様である中、人手不足や取引慣行などにより厳しい状況に置かれている企業があることは認識しておりまして、働き方改革の取組を推進するため、必要な支援を行っていく必要があると考えております。

 今委員御指摘の働き方改革推進支援センターでございますが、本年四月より全国四十七都道府県に開設するこのセンターにおきまして、一つは、労務管理などの専門家によります個別訪問などによるコンサルティングを無料で実施する、あるいは、地域の事情をよく知る商工会議所、商工会などと連携を図りまして、中小企業、小規模事業者向けのセミナー、出張相談会を行う、さらには、生産性向上、IT投資など、企業経営に関する相談につきましては、よろず支援拠点と連携を図り、一体的に支援することとしておるところでございます。

 中小企業、小規模事業者の皆様には、働き方改革に前向きに取り組んでいただきますよう、こうした支援を丁寧にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 実際に、働き方改革が、この法案が通ったことによって、中小企業の方々が万が一にも倒産に追い込まれるようなことがあっては本当にならないと思うんですね。きめ細やかな、今御答弁いただいたような支援をしっかりとお願いをしたい。

 そして、さまざまな現場の声の聞き取りというお話がございましたが、場合によっては、予算の拡充などの声も上がってくると思うんですね。ぜひ、こういうことにも対応して、成果を出していくということもお願いをしたいと思います。

 今回の働き方改革で、中小企業の経営者の方々が不安をお持ちのこととして、もう一つあります。例えば割増し賃金率の猶予措置の廃止ということがあります。今お聞かせいただいた支援内容で、例えばどのようにこれに対応できるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

山越政府参考人 割増し賃金率、この引上げに御対応いただきますためには、まず、それぞれの事業者において、業務プロセスや業務分担の見直しなどをしていただきまして生産性の向上を図り、時間外労働の縮減を図っていくことが必要であるというふうに考えております。

 こうした観点から、中小企業や小規模事業者の事情に応じましたきめ細やかな支援をしていきたいと考えております。

 先ほども御答弁させていただきました働き方改革推進支援センターにおきまして、労務管理のノウハウなどをこういった中小企業、小規模事業者に提供する、あるいは相談に対応することで、こういった中小企業、小規模事業者の生産性向上、時間外労働縮減のための取組を支援していきたいと思っております。

 その中で、こういった相談の中では、例えば、労務管理機器の導入でございますとか生産設備の更新などによりまして労務管理改善を図る余地のある事業者につきましては、利用が可能な助成金制度がございますので、こういった助成金につきまして、具体的な手続も含めまして、しっかりと説明させていただきたいと考えております。

 こうした支援を行っていきますことで、割増し賃金率の引上げに円滑に対応いただけるよう、後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(ひ)委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。

 今、経営者の方の立場からの御質問をちょっとさせていただいてまいりましたが、続いては、労働者の、働く方の方の立場からの質問もさせていただきたいと思います。

 私、中小企業の労働者の賃金についての不安を大臣所信への質問の際にお尋ねをしましたが、きょうは一歩踏み込んでお伺いをしたいと思います。

 この改革によって長時間労働が是正される見込みですが、時間外手当が削減をされて、手取り所得が減少して、これによって、ローンの支払いはどうするんだろうか、学費は、そしてお財布のひもがかたくなって消費が減るのではないかという不安の声もあります。

 そこで、今回の改革によって、労働者にとってのメリットをどのようにお考えか、あわせて、日本経済にどのような影響を与えられると考えられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

田畑大臣政務官 お答え申し上げます。

 そもそも今回の働き方の改革は、労働者の視点に立って、働いている方々の視点に立って、まず、働いている方の就業機会の拡大であったりですとか、先ほど牧原副大臣からもお話がございましたが、この意義といたしましても、やはり、企業を含めた生産性の向上をしっかりなし遂げていただく、そのことを目指すわけでありますが、そうすることによりまして、働く方の意欲ですとか能力がより発揮できるような社会をつくっていくということ、ひいては成長と分配の好循環をしっかりつくり出していくということ、このことを目指しているわけでありまして、そのこと自身は、やはり労働者へのメリットにもつながるのではなかろうかと思います。

 また、長時間労働等の労働時間の短縮を図る中で労働生産性を向上することができれば、少ない労働時間で成果を出すことができ、給与原資は減らずに、残業代の減少を原資にして基本給に上乗せをしたりですとか、賃金に反映をすることが可能でなかろうかと思います。政府としては、そのような取組が広がることを働きかけていきたいとも思っております。

 また、賃金交渉における経営側の基本スタンスを示した今年度の経営労働政策特別委員会報告におきましては、労働生産性が向上した場合、社員への健康増進への助成であったり、職場環境の改善、賞与の増額や、今ほど申し上げましたが、基本給の引上げといった対応が選択肢となるという旨も報告として記載をされているところでございます。

高橋(ひ)委員 実際に、細やかにいろいろな、時間外手当の総額とか、それから経済指標にどういう影響が与えられるかというようなことを今後も分析をしながら、しっかりと取組をしていただければというふうに思っております。多分、ある程度のことはしていらっしゃるとは思うんですが、ぜひそういうことも今後公表などしていただければ幸いです。

 我が党は、中小企業に寄り添って、長年、企業の声をお聞きして、調査や議論を、PT、そして厚生労働部会などを含めて、本当に先輩たちからずっと重ねてきました。そして、やっと七十年ぶりに今回の法案が出された。中小企業がそれによって経営難になった、こういうことがないよう、本当に先輩たちの、実にびっくりするような、いろいろな提言を含めたものを私たち後輩たちは拝見をしております。その思いが詰まったこの法案、日本経済を支える中小企業に十分な配慮をしてくださるよう、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 次に、高度プロフェッショナル制度についてお伺いいたします。

 生産年齢人口の減少に直面する我が国では、働く方が意欲と能力を最大限発揮できるような環境をつくり、それぞれが希望する働き方を選択できる社会とする、それが生産性を高めていくということは理解できます。その中で、働く方が抱える事情、状況は実にさまざまであり、働き方に対するニーズも多様化しています。

 例えば、子育てや介護と仕事の両立、家庭生活の充実を望む方にとっては、我が国の企業文化に長年根づいてきた長時間労働の慣行が希望する働き方を選択するための障壁となっています。また、パートタイムや派遣労働といった働き方を選択しようとする方にとって、そこに正社員と比べて不合理な待遇差があるとすれば、それは希望にかなった働き方とは言えないのかもしれません。そうした待遇差は、働き方の選択肢の幅を狭める障壁となっていると言えます。

 さらに、例えば研究職のような高度専門職の方が、新しいアイデアが生まれたら集中をして働いて、その後はまとめて休むなど、成果を上げながら、めり張りのある働き方を希望する場合に、労働時間の長さに応じた評価しかなされないとすれば、こうしたクリエーティブな働き方の利点が生かされず、十分な能力の発揮を妨げる要因となります。

 こうした働き方の多様なニーズに応えるため、働き方改革関連法案では、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度が盛り込まれていると承知していますが、特に高度プロフェッショナル制度については、国民の皆様の間にも、期待や不安などさまざまな御意見があります。

 そこで、改めて、高度プロフェッショナル制度を創設することの意義について御説明をお願いしたいと思います。

田畑大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 多様で柔軟な働き方の選択肢の一つといたしまして、高度プロフェッショナル制度、今ほど先生もおっしゃっていただきましたが、時間ではなく成果で評価される働き方をみずから選択をできる、そういう制度として創設を考えているところであります。高い交渉力を有する高度専門職の方に限りまして、自律的な働き方を可能とする制度であるというふうに考えているものであります。

 そのような方々に限って制度の対象となることを明確にするために、一つには、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められる業務に従事をし、書面等による合意に基づき職務が明確に定められている労働者であるということ、また、労働契約により使用者から支払われると見込まれる一年間の賃金の額が、毎月決まって支給される給与の平均額を基礎として算定をした額の三倍を相当程度上回る水準であることを法律上の要件としているところであります。その上で、本人の同意がなければ制度は適用できないということであります。

 この制度を創設することにより、高度専門職の方で創造的な仕事を行う方について、健康を確保しつつ、働く時間の長さや時間帯をみずから決定をし、効率的に成果を出す働き方が可能となるというふうに考えているものでございます。

高橋(ひ)委員 今お話ございました。高度の専門的知識などを必要として、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務に従事すること、書面等による合意に基づき職務が明確に定められていること、高い収入が保障されていること、本人の同意があることなどの要件を設けると。

 私もちょっといろいろと勉強させていただいたんですが、希望する方だけに適用される制度として設定されるということで、この制度を創設することで、高度専門職の方で創造的な仕事を行う方について、健康を確保しつつ、働く時間の長さや時間帯等もみずから決定し、効率的に成果を出す働き方が可能となるというふうに考えるというふうな、こういう高度プロフェッショナル制度というものに大変誤解があるようですので、ぜひいろいろなところで、私たちも含めて、きちんとした説明と、そして、これを利用していただけるということの特性をお話しできればと思います。

 今回の法案では、時間外労働の上限規制の導入によって長時間労働の慣行を見直す一方、時間ではなく成果で評価をされる自律的な働き方を希望する人に対しては、そのニーズに応える新たな労働時間制度を創設することで、働き方改革が目指す多様な働き方を選択できる社会が実現できるものというふうに私は捉えております。

 ところで、高度プロフェッショナル制度は、労働基準法における労働時間や休日に関する規定の適用を除外するという制度ですが、この働き方を選択した人が長時間労働によって健康を損なうということが決してあってはなりせん。健康に働けるということがこの制度の大前提でなければなりません。

 そこで、高度プロフェッショナル制度では、一般的な労働時間規制の枠組みの適用を除外するかわりに、どのような健康確保の規制の仕組みを取り入れているのか、連合から要望があった経緯も含めて、具体的に御説明をお願いしたいと思います。

山越政府参考人 高度プロフェッショナル制度でございますけれども、対象業務や年収要件などによりまして対象者を絞った上で、労働時間、休日、休憩、これらの労働時間規制を外すこととしているところでございます。

 これは、昼間休んで夜働きたいといった多様な価値観、ライフスタイルに対応するものでございますけれども、同時に、今御指摘をいただきましたように、働く方の健康を確保するために、労働時間と賃金の関係を切り離す制度設計になじむ健康確保措置をさまざまに講ずることとしております。

 具体的には、昨年七月に連合から総理宛てに御要請いただいた内容も踏まえまして、法律上の要件といたしまして、年百四日かつ四週当たり四日以上の休暇の取得を義務づけますとともに、健康管理時間の客観的な把握を義務づけた上で、インターバル規制、そして深夜業の回数制限など、法律に規定する健康確保措置を選択して実施いただくこと、さらに、選択的措置として講じるものに加えまして、健康管理時間の状況に応じました健康確保措置、これを省令に規定することといたしまして、これにつきまして、労使委員会の五分の四以上の決議で選択した措置を義務づける、そして、対象労働者からの苦情処理に関する措置についても労使委員会で同様に決議することとしているところでございます。

 そして、労働安全衛生法の改正も行いまして、働く方が自分の判断で働かれている場合でも、健康管理時間が長時間に及ぶ場合には、医師による面接指導を一律に罰則つきで義務づけることとしております。一般労働者の場合は、面接指導の実施には本人の申出が要件となりますけれども、それに加えまして、厳しい措置を罰則つきで講ずるものでございます。

 そして、さらに、その医師の面接指導の後には、事業者が必要があると認めた場合には、労働者の実情を考慮して、職務内容の変更等の措置を講じなければならないことも定めることとしております。

 このように、高度プロフェッショナル制度につきましては、さまざまな健康確保措置を講ずることとしているところでございます。

高橋(ひ)委員 今の御答弁を聞いて、改めて、非常にいろいろと工夫されているなということを思いました。

 労働時間の規制を外すということをするために、健康確保のために、直接的な措置をさまざま講じる。実際、今いろいろなお話をしていただきましたが、連合の要望を踏まえて、法律上の要件として、たしか中には、年百四日以上の休日の取得とか健康管理時間の把握を義務づけた上で、インターバル規制などの健康確保措置を実施するというようなことも必要だというようなお話も私は伺っております。さらに、健康管理時間が長時間に及ぶ場合には、医師による面談指導を罰則つきで義務づけるということもありましたよね。

 それから、一般労働者において、休日労働が可能であること、医師による面接指導は本人の申出を要件として、罰則がないことと比べて厳しい措置だという、そういう内容も盛り込んでいるということを承知しております。ぜひ、誤解のないよう、いろいろなところで発信をしていただければというふうに思います。

 実は、いろいろな資料を拝見しているうちに、働き方改革についてこのような提案がありました。

 働き方改革は、一企業の残業時間を減らしたり生産性を上げたりという目的だけのためにとどまらない、一人一人がそれぞれにパフォーマンスを最大限発揮できる働き方を選択して、社会全体の仕組みとして取り組むべきものとなっています、制度だけではなく、社員一人一人のやる気と企業の業績には関係性があります、まずは、どうしたら社員のやる気を引き出し、持続し続けられるのか、このことを働き方改革の目的の一つに据えて企業の取組をスタートするということもよいでしょうというような提案がありました。

 働く方が意欲と能力を最大限発揮できるような環境をつくる、こういうことを目指す法律が働く方の健康を害することになっては本末転倒。くれぐれもそういうことがないよう万全の体制でお臨みいただきたい。そして、男性も女性も、若い人もお年寄りも、障害や難病を持つ方々も、一度失敗を経験した人々も、それぞれが希望する働き方を選択できる社会を実現すること、今から一歩ずつでも進めていかなければならないことだと思います。

 きょうよりあす、あすよりあさってと、容易なことではありませんが、国民の皆様と国が力を合わせて、そんな社会を実現できる、そのための大きなステップとなる働き方改革になりますことを心から期待をして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうぞ、国民の皆様方への周知、私たちも御一緒にさせていただきます、また、厚労省の皆様、大変な労働時間だと思いますが、お体を壊されませんよう、御一緒にこの改革を進められればと思っております。

 こういう機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 働き方改革法案、前回、私、政府提出の法案の方に大分質問をさせていただきました。今回、野党の皆様からも案が出されております。きょうはこちらについても質問をさせていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 いわゆる政府案と、国民民主党さんの出されている案、そして立憲民主党さんの出されている案、何点か違いがございます。一つは、長時間労働の残業時間の上限規制の考え方が違う。もう一つは、勤務間インターバルの扱いも違う。そして、高度プロフェッショナル制度。私は、非常に大きく言うとこの三つの考え方が違うのかなというふうに思っております。

 そこで、時間も限られておりますので、ちょっとできる限り論点をお伺いしたいんですけれども、まず、立憲民主党さんの案、長時間労働の上限規制のところをお伺いをしたいというふうに思います。

 政府案は、単月百時間で、複数月平均八十時間という上限規制を、三六協定でも超えられないということで上限の規制をかけるということをやろうと。国民民主党さんの案は、これは政府案と同じでございます。立憲民主党さんの案は、百、八十というのが、八十と六十になっている。この数字の根拠につきましては、五月九日の委員会の方で、百と八十が過労死ラインだ、それを下回る、あるいは産業医の面接が努力義務として課せられているのが八十、あるいは割増し賃金率の適用というのが六十であるとか、幾つか根拠を述べられていたというふうに思います。

 私、長時間労働の上限規制、何時間にするのかというのを決めるに当たりまして、やはり、労使の方でかなりぎりぎりの議論をされた、その結果、お互いがぎりぎりに歩み寄れる範囲がこの百と八十であったというふうに思っておるんです。そういう意味では、八十と六十ということにしたときに、実際の働き方の今の実態を鑑みたときに、本当にこれを適用して、この時間でいける、百と八十というのは労使でぎりぎり歩み寄ったということであるんですけれども、八十と六十でもこれはいけるんだ、そういう具体的な根拠があるのか。あるいは、具体的なこういう取組でそれを実現していくんだ、そういうものがあるのかどうなのか。これについてまずお伺いをしたいというふうに思います。

長谷川議員 中野先生の御質問にお答えしたいと思います。

 一部重複することになるかもしれませんが、基本的なことをしっかりお伝えしたいと思います。

 まず、上限規制の時間について、単月百時間、二カ月から六カ月平均が八十時間を超える時間外労働が過労死認定基準とされていることを踏まえて、人間らしい質の高い働き方を実現するためには十分にこの基準を下回ることが必要であるということから、単月の上限を、休日労働を含めて八十時間未満、複数月平均の上限は休日労働を含めて六十時間としたところでございます。

 また、八十時間については、長時間労働によって疲労が蓄積していると認められるものとして産業医の面接が努力義務として課せられている時間とされており、また、六十時間については、労働基準法上、仕事と生活の調和を図り、長時間労働を抑制することを目的として割増し賃金の引上げが適用される時間とされていることも、上限時間の設定に当たり参考にしたところでございます。

 また、事業者側の人手不足の現状や繁忙期における対応等については、これは、業務の効率化であったり、変形労働時間制の導入や、ノー残業デーの設定による計画的な残業削減など、個々の企業側の工夫が必要であり、国や地方公共団体としても、啓発や支援策を講じて、このような対策を促していく必要があるものと考えております。

 また、人間らしい質の高い働き方を実現するためには、過重な長時間労働の是正が喫緊の課題となっており、官民一体となって、ありとあらゆる努力でもって、時間外労働を上限規制内におさめることが可能となるような職場環境を整備しなければならないと考えております。

中野委員 我々も、残業時間をできるだけ短くしたいという思いは一緒なんでございます。しかし、ただ、現実的に、長時間労働というものが非常に、業務のあり方として今残念ながらあるという現実がある中で、制度化できるぎりぎりのラインはどこなのかということをしっかり突き詰めたのが今回の法案だというふうに我々は思っております。ですので、私は、個々の会社が業務を効率化すればいいんだですとか、啓発をしていくんだみたいなことでこの八十と六十という数字が本当にできるのかと言われると、これはちょっと余りにも中身がですね。もうちょっと真剣に考えていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、ちょっと立憲民主党さんにお伺いしたいのが、百と八十というのは、労働者側もぎりぎり歩み寄ったラインなんです。使用者側も、ぎりぎりここまでだったら削減ができるんじゃないかということで歩み寄ったラインなんです。

 立憲民主党さんの先ほどの答弁を聞くと、百と八十というのは過労死ラインだから十分下回らないといけないんだという、労働者側の意見も否定をされているように聞こえるし、業務の効率化をしていけば八十と六十で何とかしないといけないんだということで、使用者側の意見も否定されているように私には聞こえたんです。

 ぎりぎりのところを詰めた今回の連合さんの労使合意というのを真っ正面から否定されるということでよろしいんですか。

長谷川議員 お答え申し上げます。

 労使側の協定、ぎりぎりのところで歩み寄ったとありますけれども、これはぎりぎりという部分であって、労働者側から見た視点でいけば、それを更に下回る、ゆとりを持ったという部分で考えますと、やはりこの辺の基準をしっかり持っていくことが必要である。

 また、産業医がどのタイミングでどのようにかかわれるかということでありますけれども、その時間に入って、産業医が入るのではなくて、予防的に、その以前の段階からしっかり関与しなければ、やはり過労死は防げない。

 もろもろの問題を抱えてこの案が出てきたと思いますが、その中で問題となることがありましたので、ゆとりを持って、決していいかげんなラインではなくて、ぎりぎりのラインではなくて、妥当なラインとしてこの辺を御提示申し上げた次第でございます。

中野委員 イエスかノーかでお答えしてほしいんですけれども、否定をされますか。連合さんの合意というのを否定されるということでよろしいですね。(発言する者あり)

高鳥委員長 静粛に願います。

長谷川議員 連合側の合意について、否定はしておりません。

 これはあくまでも立憲の案として、立憲の独自の案として出されたもの、連合の申入れも十分受けとめて、皆様方の合意も受け入れて、そしゃくした内容を立憲案として御提示しております。

中野委員 否定をされていないというお話をされました。国民民主党さんは、合意を尊重されて、政府案と同じ数字にしているんですね。否定をされていないというのであれば、同じ野党の皆様で二つ案が出てきているわけでございます。これは一体。でも、どちらも連合の合意に基づいたものである。

 それを、しかも、じゃ、具体的にどうやって更に前に進めていくのかというところで、啓発であるとか支援だというふわっとした答弁しか出てこない。

 私は、やはり、このような中身では、労働基準法という本当に影響の大きい法律でありますから、ぎりぎりできる、お互いが歩み寄れる、まあ、いろんな不安、不満、いろんなお声はもちろんあるんですけれども、制度化するというのは、そういうところをしっかり制度化をしていって、前に進めて、更に削減をするというのを知恵を使っていくということをしないといけないんじゃないかというふうに私は感じます。

 済みません、ちょっともう一個、余り時間があれなんですが、勤務間インターバルについてもお伺いをしたいと思います。

 それぞれ罰則つきの義務ということで、具体的な時間数は省令に落ちているんですけれども、国民民主党さん、立憲民主党さん、それぞれ何時間を想定されているのかということをお伺いしてよろしいでしょうか。勤務間インターバルの、具体的に何時間インターバルがあるのかというのを双方ともにお答えいただければと思います。

西村(智)議員 お答えいたします。

 インターバルの具体的な時間につきましては、私たち立憲民主党の案におきましては、十一時間を下回らない時間の範囲内において、今後の労政審の議論に委ねるものとしております。

 以上です。

大西(健)議員 御質問ありがとうございます。

 我が党の案では、インターバルの具体的な時間については、今後の労政審の議論に委ねるものとしております。

 以上です。

中野委員 国民民主党さんは全く労政審にということなんですけれども、ある程度の目安というか、大体このくらいの考え方でとか、そういうものは何かございませんか。

大西(健)議員 本法案で義務づけることとしているインターバルの時間については、労使双方について与える影響が大きいということに鑑みまして、法律的に一義的に定めるということではなくて、公労使の三者から成る労政審において決定されるべきものと考えまして、省令に委ねることといたしております。

中野委員 これももう少し制度として、やはり議論を煮詰める必要があると思っておりまして、立憲民主党さんは、十一時間ということで、ちゃんとある程度の数字というものを示しておられまして、逆に、国民民主党さんの方は、全く労政審にということであります。

 しかし、これは、何時間にするかによって、例えば病院であるとか交代制の勤務をとっているようなところは、どういうシフトを組めばずっと業務が継続できるのかであるとか、いろんな影響が非常に大きいということでありまして、なぜ法律で書かずに全く全て省令に落とすということにしたのかをお伺いしたいと思います。

大西(健)議員 今、中野先生御指摘のとおり、業種、業態によってかなり状況が異なるというふうに思います。だからこそ、インターバルについては導入を義務づけるけれども、その時間については労使でしっかり合意をしていただくというのが、私はいいのではないかなというふうに思っています。

 それでもなお義務づけるというのは、労働時間の延長を可能な限り短くすることで労働者の健康を保持し、誰もが安心して働いて、安心して暮らしていける社会を実現するためには、我々はこのインターバル制度というのが肝になるというふうに思っております。

 そして、インターバル規制については政府案のように努力義務ではなぜ不十分かといいますと、具体的な時間は、先ほど来申し上げていますように労使の協議に委ねるとしても、労働基準法上の義務として事業主に義務づけなければ、その実効性の確保がままならないと考えております。

 例えば、今回のこの働き方改革の発端になったのは電通における過労死自死だというふうに思いますけれども、私、非常にショックを受けたのは、あのときに、死ぬぐらいなら会社をやめればよかったんじゃないか、こういうことをネット上に書き込むような人がいました。ただ、高橋まつりさんは、死ぬ直前、ほとんど寝ておられない。そういう状況になると、まともな判断がもうできない状態、うつ状態になっているというふうに思います。

 高橋まつりさんの担当の弁護士でもあり、過労死弁護団全国連絡協議会の幹事長でもある川人博弁護士は、過労死のほとんどのケースは睡眠不足による疲労、そして、そこから生じるさまざまな病気によって発生しているため、日本の過労死のほとんどはインターバル規制を導入することによって防ぐことができる、こういうふうに指摘をされております。

 そういう意味では、私は義務づけることというのが必要だというふうに思いますけれども、本法律案では、労使協定によるインターバルの時間の短縮であったりとか、インターバル規制になじまない職種について、厚生労働省による別段の定めなど、一律にインターバル規制の義務づけが難しい場合を念頭に置いた例外的な規定も設けておりますので、十分に対応していただくこともできるというふうに思っています。

 その点で、繰り返しになりますけれども、時間は、中野先生おっしゃるように業務、業態、さまざまなところがありますから、ここは労使の御判断に委ねるということでありますが、義務づけはするべきではないかというふうに考えております。

中野委員 インターバル規制の重要性というのは全く私も感じておりまして、ですので、具体的な制度の設計というのが、義務づけるということで両党おっしゃられておりましたので、どのくらいあるのかなというところをちょっと確認をさせていただきたかったんです。

 済みません、ちょっと何回も国民民主党さんに聞いて申しわけないんですけれども、立憲民主党さんは、十一時間を下回らない範囲で省令ということで、一応、十一ということも示しておられるんですけれども、この十一という数字も含めて法律には書かない方がいいという御認識でよろしいんですか。

大西(健)議員 確かに、十一時間というのはEUの事例を参考にされているものというふうに思いますけれども、これも、先ほど前の前の質問でお答えいたしましたように、労使双方に与える影響というのは非常に大きいものだと思いますので、もちろん国会でしっかり議論するということも必要だと思いますが、法律的に一義的に定めるのではなくて、公労使三者から成る労政審においてこの基準についても定めていただいて、なおかつ、その実現性の部分については、それでもなおいろんな業種、業態がありますので、先ほど申し上げましたように、場合によっては、なじまない職種については別段の定めをしたり、労政審で決めた時間よりも更に短縮することも労使の協定によっては可能ということで実現性を保っていくという、現実的な考え方に立っております。

中野委員 そうしますと、なかなか、国民民主党さんの案でも、立憲民主党さんの案、まあ、業種によって多様だということは非常によくわかりました。しかし、そうすると、この十一ということを法律で書いたこと自体も適切ではないのかという、野党の皆様同士でもやはりいろんな意見があるということは、なかなかこの制度をつくるのが、やはり、もう一重、もう二重しっかり議論をしていかないとなかなか難しいのかなということをちょっと改めて痛感をしております。

 インターバルの重要性自体は全く否定をするものではございません、ぜひ前に進めたいというふうに我々も思っておりますので。ここの、しかし、制度のところを、しっかり煮詰めないままに義務づけという制度化というところは、なかなか今の段階では難しいということは、やはり、この議論を聞いていても皆様、感じられたのではないかなということを思っております。

 済みません、ちょっと政府の側にも幾つか質問を準備しておりましたので、お伺いをしたいというふうに思います。

 今回、いろんな取組を働き方改革でやっていく中で、やはり、一つ大きく言われますのが、どうしても、元請、下請の元下関係のようなところで、自分は労働時間を削減したい、あるいは賃金も上げたいんだけれども、なかなかそれが実現をしないというふうな、非常に立場が弱いというふうなことも伺います。

 経産省さんの方で今、下請Gメンというものをしておられると承知をしております。私、これはいい取組だと思っておりまして、こういうところでしっかり入っていって、やはり元請の皆様に理解をしていただかないとこれは進まないというふうに確信をしております。

 今、経産省さんの取組で取り組んだ結果、今どのようなことが把握をされていて、今後どういう形で強化をするのかということでお伺いをしたいというふうに思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 下請取引条件の改善に関しましては、平成二十八年九月以降、「未来志向型の取引慣行に向けて」というプランのもとで、関係法令の運用強化、下請代金法でございます、それから手形通達の改正を行うとともに、主要産業界に対しては、自主行動計画の策定、その実施といったところを要請してきているところでございます。

 さらに、今先生の方から御指摘がございました、現場の声をしっかり把握するためということで、昨年四月から八十名の規模の下請Gメンを配置しまして、三月から累計で三千件の下請中小企業のヒアリングを実施してきております。昨年の十月以降は、働き方改革に関する項目も追加をいたしまして、数としましては千二百社ぐらいから、その点も含めてヒアリングをしたところでございます。

 そのヒアリングの結果、働き方改革を進めるに当たりまして、現場の中小企業、小規模事業者からは、大企業の働き方改革の影響によって短納期発注などのしわ寄せが来るんじゃなかろうか、それから、人手不足の中、せっかく自分たちが生産性向上やコストダウンの努力をしても、その果実を大企業や親事業者に吸い上げられてしまうんじゃないか、こういった懸念の声が聞こえてくるところでございます。

 このヒアリング、まだ途中でございますけれども、今年度から、下請Gメンの体制を従来の八十名から百二十名規模に増強しまして、年間四千件超のヒアリングを実施することとしてきております。

 下請関係は、これまで、価格の低減要請でございますとか、それから金型を保管させた際の費用の問題ですとか、あとサイトの長い手形の支払いの問題ですとか、こういうところを重点的にやってまいりましたが、今後に関しましては、この働き方改革に伴うさまざまな課題をしっかりとヒアリングをして、具体的な対応に結びつけていきたいと考えております。

 以上でございます。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 長妻昭でございます。よろしくお願いいたします。

 質疑に先立ちまして、これまで過労死あるいは過労自死された全ての皆様に対して、心より御冥福をお祈り申し上げます。それだけこれは重い法案だというふうに思っております。

 まずは、政策の立案の前提となるデータについて質問をさせていただきたいと思います。

 御存じのように、平成二十五年度労働時間等総合実態調査、平成二十五年調査というふうに呼ばせていただきますけれども、これは単なる調査ではありませんで、これは加藤大臣もよく御存じのように、まずもって閣議決定で、早急に実態把握調査、分析を実施しなさいということで、まず調査の前に閣議決定で調査を命じられた調査が平成二十五年度調査でございまして、そして、これはこの委員会でも何度も引用されている二〇一三年の九月二十七日の百三回労政審分科会で、議論の出発点にしていただきたいと、この調査を。つまり、この調査というのは、一調査じゃなくて、全体を俯瞰するための前提となる大切な調査であるということを押さえなければならない。

 労政審、私、全部議事録を読んでみましたら、この二十五年度調査というタイトルが、委員の先生から、あるいは役所から言及されているだけ、検索してピックアップをしているだけでも七回ございまして、それ以外、この調査名を言わないでデータだけを引用した議論はもっと無数にあるというふうに思うわけでございます。

 まず大臣にお伺いしたいのは、二千五百件、二千五百事業所は除いたと。これは私も除いたものを、何を除いたのかなと見てみますと、一日の残業時間が二十四時間以上だったとか、あるいは一日の残業時間と一カ月の残業時間でいえば一日の残業時間が長い。はっきり言って、子供でも、子供と言うと失礼なんですけれども、子供でもわかるおかしな、もう誰が見てもわかるおかしなものは、それが二千五百事業所あったと。あとの九千事業所は確かだということじゃないんですね。

 つまり、一見、その数字は一応常識的な線にはおさまっているけれども、これだけ、二割もずさんだったから、九千が正しいとはもちろん言えないのでございますが、加藤大臣はぶら下がりでこうおっしゃっているんですね。結果においてそう大きな変化があると認識していないと。つまり、二千五百件を除いて試算をし直すと、大きな変化でない、つまり九千事業所を正しいという前提で発言をされておられるんですけれども、九千の事業所が正しいという根拠はどこにあるんですか。

加藤国務大臣 これは、通常の統計をとるときもそうでありますけれども、エラーチェックというのをするわけでありまして、そしてエラーチェックをしたものをベースに議論をしていく、これは一般的なことなんだろうと思います。

 今回の平成二十五年度のこの調査において、一応、こういったデータが入っていたら除外する、そして確認するという作業を一部してはいたんですけれども、それが決して十分ではなかったということで、本来合理的でないような、そうしたものがこの中に含まれていたということでありまして……(長妻委員「九千件が正しい理由」と呼ぶ)いや、ですから、含まれていたということで、今回それを抜かせていただいたということで、このデータについては、今申し上げましたように、明らかに異常値であるという、そうした例を、要するに、エラーチェック……(長妻委員「九千件が正しいか」と呼ぶ)いや、したがって、エラーチェックとして、すべきものとして我々が考えたもの、それを全部除外をして出させていただいたということでありますから、それにおいては、精査前に比べて、一定の、そうした意味での前進はあったというふうに思うわけであります。

 ただ、そもそも統計でありますから、統計というのは、そういった形で、まず一定のおかしなデータを外して、そしてその上で判断する、そういった手法を今回も更に精緻にやらせていただいた、こういうことであります。

長妻委員 私も統計の専門家にお伺いしました、何人かに。そうしたら、正式に発表する前に、幾ばくかのおかしなデータがある、これは必ず除いて、そして正式に発表する。正式に発表されたものの中に二割もおかしなものがあるというのは、これは驚きだということでございまして、今、大臣、おかしな答弁をされました。二千五百件を除いたら一定の前進があったと。だから、一定の前進があったということは、九千件も怪しいということですね。

加藤国務大臣 いや、ですから、今回のデータにおいては、異常値である蓋然性というものを外すということで、さらに、論理的におかしいものはないかということでチェックをさせていただいた、そういった意味で前進をしている、こういうふうに申し上げたわけであります。

長妻委員 これは、二割間違えた原因も解明していないまま、じゃ、異常値以外は一応その時間、常識的な線におさまっているから正しい、こういう推定というのはできないですよね、九千事業所。これは与党、どう思われますか。

 原因がわかればいいですよ。例えば、ある労基署がいいかげんにやっちゃった、そこだけがおかしい、あとは正しいのならいいですけれども、原因も何もわからない、それで、九千件は正しいという前提で試算し直して出してくるというのは、非常に腑に落ちないわけでありますし、大臣も、今おっしゃれないわけですよ、九千件は自信を持って正しいデータですと言えないわけですよね、もごもごおっしゃっておられて。

 それで、私が国会で質問を二月二十六日にした回答がまだなんですよ。これは同時にいただきたかったんですが、どういうことかといいますと、監督官の調査手法について、私、質問して、調査をいただくというようなお話をいただいたんですけれども、まだ出ていない。

 つまり、例えばきょうの毎日新聞にも出ておりました。当時の調査をした労基署の監督官の取材に基づいた発言が出ていましたが、「時間が十分に取れず、ずさんな調査になってしまった」「移動時間や報告書の作成時間を含め、一社あたり二時間で済ませるように」などとの指示を受けたと。

 そして、中日新聞、ことしの二月二十五日には、見出しで、「「時間取れず ずさんな調査に」 担当監督官が証言」というような見出しで、この監督官が証言しているのは、一日で五社を回らなければならない、企業が必要な資料を準備しておらず、正確な労働時間分布を調べられなかった、こういうふうに答弁しているわけでありまして、ほとんどみんな、監督官がこういう非常にきちっと調べられない体制に基づいて調査をしていたとしたら、これは全部やり直しじゃないですか。

 私が二月二十六日に、東京新聞、まあ中日新聞ですけれども、この報道をもとに質問しました。本当に監督官の調査は大丈夫ですかと言いましたら、加藤大臣は、こうしたこともございます、また委員からもございますので、私どもとしては、こうした各署におけるそうした状況についてしっかりと把握をしていきたいと。それで、私が第三者を入れた調査を求めると、委員が御指摘のように、その実態がどうなっていたのか、しっかり把握して、適切に行っていたのか、その把握に努めたいと思います、こういうふうに答弁されておられる。

 翌日、記者会見、二月二十七日。加藤大臣は、労働局における把握については、一件について一人日がベースとなっておりますので、一人日は恐らく八時間ぐらいだと思いますと。つまり、ルールとしては一社一日かける、こういうルールだった。それで、労働局から聞いている限りにおいては、実績もそうだということをヒアリングしているところでありますが、あわせて、監督署においてどうだったか、確認をしていきたい、こういうふうに答弁されているんですね。

 これは、本来は、きのう、このデータの報告書を出すときに、同時に、監督官も信頼性があったんだという調査結果を出さないと、あるいはなかったのかどうかわかりませんけれども、いけないんじゃないでしょうか。この調査は一体どうなっちゃっているんですか。

加藤国務大臣 今の御指摘は、ことしの二月の二十六日の予算委員会で、長妻委員との間のやりとりということでありまして、そういった意味では、長妻委員から御質問をいただいておりましたので、長妻委員に事前に御報告をしておくべきだったということ、これは反省をさせていただきたいというふうに思います。

 労働時間等総合実態調査は、臨検監督により実施するように指示を行っており、これは要するに直接乗り込んでということですが、各労働局においては、一件当たり一日程度を前提として実施するということにしていたわけであります。

 労働時間等総合実態調査は、全国の労働基準監督署の労働基準監督官が事業場を訪問し、事業場からの聞き取りを行い、関係書類を確認し、労働時間を調査する方法で実施をしております。

 局レベルについてのことは、そのときに御報告をいたしました。

 その後、署レベルについて実態把握を行いました。これは三百二十一署のうち三百十三署において一件一日以上、残り二・五%に当たる八署においても〇・九人日となっておりますから、平均でいくと一・一人日ぐらいであったというふうなことを確認をしておるところでございます。

長妻委員 これは文書で調査要請をしたんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 それぞれの労働局が、それぞれの署にある書類をチェックして出してきた数字であります。

長妻委員 いやいや、だから、調査依頼は文書でされたんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 本省から各局に電話にて連絡をし、また、数字は電話にて聴取をさせていただいた、こういうことであります。

長妻委員 ちょっと耳を疑うんですけれども、電話で。

 では、本部から四十七の労働局に電話して、その労働局がそれぞれの署に電話をした、それで戻ってきた。そうすると、調査も電話、結果も電話、何もない。ちょっとこれはあり得ないです、あり得ない。

加藤国務大臣 ですから、四十七の労働局に対しては電話にて指示をし、そして労働局においては、それぞれ署から資料等をとって、それを具体的にチェックをし、その結果について、また労働局から本省の方に電話にて報告があった、こういうふうに承知をしております。

長妻委員 そうすると、当時調査に当たった監督官全員にヒアリングはしていないわけですか。

加藤国務大臣 これは、局にあるそれぞれの関係書類を確認をして、そして労働時間を調査した、こういうことであります。一件当たりどのくらいやったかということを把握した、こういうことであります。

長妻委員 これは、ちょっと聞きますと、中に、調査は電話でしたというふうにおっしゃっておられる方もいます。電話でしたけれども、締切り期間を聞いたらば、これはできるだけ早く教えてくださいということで、基本的にその日か翌日か、一両日中に回答があったと言うんですよ、四十七都道府県から。

 これは一日で、そんなすぐわかるんですかね、電話で回答が。締切りはどのくらいの期間を設けたんですか。

加藤国務大臣 済みません、今委員が言われていたのは、私どもが電話でしたと今委員がおっしゃった、それは、今言った、各局に各署をと言ってやった作業のことを言っておられるのか。それとも、最初の段階で局にお聞きしましたから、その段階では局から一定の時間もいただいて、最初の段階ですね、二月の二十六日でしたっけ、最初に御質問いただいたときに、それは局に聞いてすぐ資料を上げるということで、そのぐらいのタームだと思いますが、委員御指摘のは、今私が説明した件について御指摘されていますか。

長妻委員 いや、私が聞いたのは、本省から四十七都道府県に電話で依頼をしたということなんですが、電話で依頼して、では、いつまでに回答くださいと四十七都道府県に期限を設定したんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 基本的に、局においてそうした資料が、最初にお答えしたのは、局でまとめた総括表から答弁をさせていただきました。その後、各署ごとにそうした資料を、これは局において把握をしておりますから、それを各局において何件やって、それに何人日かかっているか、そういう資料があって、それで、それを速やかに報告をしてほしいということで、大体数日以内に各局から上がってきたというふうに承知をしております。

長妻委員 私も、レクチャーを受けたときには、基本的には翌日まで、当日か翌日に回答が来たというふうに聞きまして、そして、一切書類は残っていないと。指示も電話、回答も電話、これは私、にわかに信じられないんですよね、ちゃんとしたのかどうかというのが。

 そうすると、その帳簿を確認したようなことを加藤大臣はおっしゃられましたけれども、それを提出いただけませんか、企業名は隠していただいても。どのぐらいの時間をかけたのかというのをチェックしたとおっしゃられておられますので。

加藤国務大臣 それは、監督署において何にどういう時間配分をしているか、そのものを示すわけですから、監督指導の実態そのものをつまびらかにするという資料でありますので、それをお出しするというのは控えさせていただきたいと思います。

長妻委員 いや、だから、会社名は別に書かずに。

 今回の調査に当たって、先ほど〇・九人日とかおっしゃいましたよね。では、〇・九人日の内訳をいただけますか。

加藤国務大臣 いや、ですから、今申し上げたのは、具体的にどういう計画をし、どういうふうにさまざまな監督指導に当たって、件数をし、それに対して人日をかけているか、そういう、それぞれの署ごとのそうした状況を持っているわけですね、各署ごとに集計をし、そして、それが局に上がってきていますから。

 その中で、今申し上げた労働時間等の監督的指導に当たったもの、それは本件でありますから、それがどれだかをピックアップして、それを局でまとめて、そして本省において報告をされたということでありまして、これは、今委員御指摘のように、各企業ごとではなくて、各労働監督署ごとにどういうふうにやったのか、そういう資料でありまして、その資料は、今申し上げた、それ以外にもいろいろなことがありますので、それを出すということは、結果的に各監督署でどういう監督指導を行っているかということを示すことになるので、それは控えさせていただきたいということを申し上げているわけです。

長妻委員 全然答えていないんですよ。〇・九人日の内容、内訳、どうやって〇・九人日が出たのか、これをお示しくださいと言っているわけですね。

加藤国務大臣 ですから、どれだけの件数をやり、そしてそれだけに……(長妻委員「資料を出してください、資料を」と呼ぶ)いや、だから、何人日かけているか、その資料から出しているわけでありまして、申しわけないですけれども、これ自体を出すということは、今申し上げた、署における実態を踏まえて、署における活動そのものをお出しをするわけでありますから、それは控えさせていただきたいということを申し上げているわけです。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 済みません。

 私が申し上げているのは、委員は原本をという御指摘だと思いますので……(長妻委員「言っていないでしょう、そんなこと。原本なんていつ言ったんですか」と呼ぶ)だから、原本ということであれば、お出しするのは難しいということを申し上げたのであります。

長妻委員 これは、記者会見できのう厚労省の課長がおっしゃっておられたのは、異常値が見つかった原因について問われて、こういうことをおっしゃっているんです。初めて調査する労働基準監督官もいて、調査票への記入方法などを徹底することができなかったと厚労省の課長がおっしゃっているんですよ。徹底できなかったということは、全部やり直しの可能性があるんですよ、これは。高プロも含めて、議論の出発点になった調査であるからこそ、やはりこれはきちっと信頼性を担保してほしい、こういうふうに思うから私は質問しているんですね。

 それで、私自身は、今まで、末端の労働監督官の方ともお話ししました。いろいろな情報を得た中で、私は、きちっと調査していないというふうに疑念を持っているんです。私は強い疑念を持っているんです。

 だからこそ、〇・九人日と加藤大臣がおっしゃられたわけですから、原本を出せなんて一言も言っていないですよ、曲解しないでいただいて、〇・九人日だったということですよね、一社当たり。ということは、四十七の労働局、その下にある監督署で、おっしゃったのは三百十三の監督署から上がってきて、それを計算したら〇・九人日だったとおっしゃっておられるわけですよね。まあ、三百以上の労基署から上がってきたものを試算すると〇・九人日だったというような趣旨の話だと思いますので。

 そうしたら、それぞれの労基署ごとに、じゃ、この労基署は一・一人日だった、この労基署は〇・八人日だった、それを積算をして、そして平均が〇・九人日だったということだと思いますので、別に帳簿を出せとかなんとかじゃない。じゃ、署ごとに〇・何人日だったのかというのを三百いただきたい、その数字ということです。

加藤国務大臣 委員の御指摘はあくまでも原本というふうに私は誤解をしたことがありますので、そこは失礼をいたしました。

 委員御指摘のように、そういう表をつくって、各署ごとに、何件やって、何人日、そういう表を出せ、こういう趣旨であれば、それに対応できるよう作業をさせていただきたいと思います。

長妻委員 そうしたら、それをきちっと出していただいて、本当に、監督官一人一人の記録に全部当たったということでしょう。

 監督官一人一人の記録が記載されている帳簿から基づいて、それを試算したということではないんですか。一人一人にはヒアリングはしていないというのは、先ほど確認しましたけれども。

加藤国務大臣 ですから、監督官一人一人の日々日々のもの、これは週レベルでまとめるか、月レベルでまとめるか、まあ、これは月レベルでまとめているやつが私の手元にありますが、それについて、それがどういう仕事をしていたのかということを各署ごとに、これはもう分析を持っているわけですね。その中から、今回の労働時間等の調査的監督、これに当たったもの、これでとれるわけですから、それを抜き出したということでありますので、それは各署ごとにまとまっていて、そしてそれが本省にも報告をされている、そういうことであります。

長妻委員 そうしましたら、今回の平成二十五年度調査の調査的監督について、全ての監督官のトータルの、一日一社当たりどのぐらい時間かかったか、これの集計が署ごとにあって、それが労働局ごとにあって、そして上がってきたのが今の数字だということだと思いますので、それぞれの今申し上げたようなデータを出していただきたい。これはしかるべき時期にやはり出していただきたい。先ほど出すとおっしゃられたので、ぜひこれはお願いします。しかるべき時期にです。

 次に参りますと、今回、この二十五年度調査が労政審に出されましたけれども、二次被害といいますか、三次被害といいますか、この二十五年度調査に基づいて、また新たな加工したデータを労政審に示しているというような案件があるんじゃないかと思うんですが、これはそれぞれどのくらいあるんですか、件数でいうと。

加藤国務大臣 済みません、その前に、出す資料をちょっと明らかにしておきたいと思いますが、私どもから、署、局、全体、これについてお出しをするということでよろしいですか。さっき監督官ごととおっしゃいましたが、ちょっとそれはとても無理なので、署ごとということでよろしいですね。

 それから、加工という意味は、それぞれ、例えば労政審にいろいろな資料を出させていただいておりますから、それは、ある意味ではそのままコピーをして出したのもあるかもしれませんし、見やすいように出させていただいたのもあると思いますので、それが何件かと言われても、それは多分労政審に出した枚数ということにもなるんだろうと思いますが。

長妻委員 労政審の先生には、これは言ったんですか。

加藤国務大臣 これというのは今回のこうしたこと、これについては個々の先生方には申し上げておりません。

長妻委員 これは対応の仕方としてどうなんですかね。

 もう御存じのように、ここに出ている法案は、閣法の法案は閣議決定されて出てきているんですが、労働法制の法案は厳格なルールがあるんですね。労政審に諮問して答申がなければ閣議決定できない、こういうルール。まあ、もう皆さん御存じ、当たり前ですけれども。

 ところが、その答申の信頼性が揺らいでいる、こういう今事態になっている。正当性が、ここで審議している法案の前提、この正当性が揺らいでいるという重大な事態になっているにもかかわらず、いっぱい加工しているんですよ、このデータを。

 それで、労政審の先生に何もまだお知らせしていないんですか。では、皆さん、先生方は新聞を読んで驚いちゃった、こういう状況になっているんですか。

加藤国務大臣 失礼しました。

 皆さんにお出ししたやつを、きのう付で、それぞれの労政審の皆さんに送付をしている、こういうことでございます。

長妻委員 郵便でただ送ったというようなことでありますけれども、それもいかがなものかと思いますよね、新聞に出た後に。

 それで、例えばいろいろあるんですけれども、この配付資料の十一ページ目でございますが、ここに資料の二の一というのが文中に出てくるんですが、これは、労政審の中で、平成二十五年度調査について、その二十五年度調査だけだとわかりづらいのでクロス集計をしてください、こういう委員のお求めがあったということであります。

 これは、村山課長がこういうふうに言っているんですね。それでは、ただいま御指示のありました資料二の一から御説明いたします、前回、多数の御質問、御意見を頂戴いたしましたけれども、クロス集計でお求めいただいたもののうちということで、クロス集計で出していると。下の方の議事録の中に、九ページから十二ページが次のまとまりの資料ですということで、るる議事録があるわけであります。

 九ページから十二ページ目というのは、これは資料をつけていますが、配付資料十六ページ目、これがクロス集計で労政審に出されたものでありまして、この資料の九、十、十一、十二と丸でページが囲っておりますけれども。

 例えばこの資料の十一ページ、全体のこの配付資料の番号でいうと二十ページ、ここに、これはクロス集計しているわけですよ。これも相当大きな論議になったわけでございますけれども、「特別条項付き時間外労働に関する労使協定において定める特別延長時間別の法定時間外労働の実績」ということで、例えば、この1のところにございますが、三百六十時間超四百時間以下の特別延長時間、一年ですね。ある企業では、平均の時間外労働が二百七十六・五十一分、そして千時間超であると四百六十七時間三十一分、こういうふうにあるわけですが、これは、だから間違っているわけですね、この数字は。正しい数字は、どういう数字ですか。

加藤国務大臣 これは二十五年度の実態調査のベースを踏まえてクロス集計を、これは実は集計をしていた委託先でお願いをしてつくっていただいたということでありますから、今回はデータそのものを精査をさせていただいたので、その委託先において加工していただいたものについてまで今精査をしているという状況にはございません。

長妻委員 そうすると、これですよね、きのう理事会に出てきた、皆さんが精査したデータ。

 だから、ここを幾ら見ても、この二次資料、こういうのはいろいろあるんですよ。二次資料についてのこのデータが、正しいデータが幾らなのかがわからない。じゃ、これが間違っているということは間違いないわけですね。

加藤国務大臣 これは、ですから、最初にお出しした、二十五年の当初と申し上げますけれども、当初の調査結果をベースにクロス集計をしたものが今委員御指摘のところであります。

長妻委員 これはめちゃくちゃだと思いませんかね、与党の皆さんも。寝ている方も多いんですけれども。

 これは大変なことだと思いますよ。この二十五年度調査に基づいて、そして委員の先生からクロス集計してほしいという依頼があって、それで業者にこれを出して、それでクロス集計。これで真剣に議論しているんですよ。議事録を私は全部読みましたけれども、相当な長い時間やっていますよ、これは何回も。そのデータがこれは違う。しかも、今、データが、これは幾らの数字が正しいのかわからないということですね、今の段階で。いつわかるんですか、これは。しかるべき時期に全部、二次加工データも含めて、正しいものを出していただかなければならないと思う。そうでなければ、これは全部撤回ですよね。

加藤国務大臣 今、御答弁申し上げましたように、現時点で、当初委託した先において、作業データをお出しして頂戴をした、そうした、これにかわる、要するに、新たな、私どもが出させていただいたデータをベースにしたクロス集計というのは、現時点で私どもは持っていないということでございますが、委員からも御指摘がありますので、こうしたデータを更にどうやって出していくのか。これはまた委託先ともちょっと話をしなきゃなりませんけれども、そこに、そうすべく努力をしたいというふうに思います。

長妻委員 これは、労政審の議事録、相当長いものがあります、何回も。

 ほかの重要データも含めて、じゃ、正しいデータというのは、これはいつごろ出てくるんですか。しかるべき時期に出てくるんですか。

加藤国務大臣 この件でお話をしてよろしいですか。(長妻委員「これ以外にもいっぱいあるんですか」と呼ぶ)いや、これ以外の件が、ちょっと何をおっしゃっているかわからないので……(長妻委員「だから、何があるのかわからない」と呼ぶ)いや、ですから、どのことを指摘されているかわからないので、わからないものを前提に私ちょっと申し上げられないんですが、本件について申し上げれば、今申し上げた、これは外部に委託してやらせていただいていますので、その委託先と、どういう計算手法で、どういうふうなプログラムでやったのか、こういったことの確認をやらせていただきたいと思います。

長妻委員 加藤大臣、これは全部撤回した方がいいんじゃないですか。相当ややこしくなりますよ、これは。

 加藤大臣、逆質問を今されましたけれども、私がちょっと見て、これは一個だけ、きのうわかったんですよ、一個だけ。ほかにもいっぱいあると思いますよ、言及されているのが。私に、どれだか教えてくれというのは無責任じゃないですか。大臣、調べてください、全部、二次加工データ。

加藤国務大臣 どういうデータが、要するに、労政審にどういう資料を出したのかということを精査させていただいて、そのうち、データをそのまま転用しているもの、そして今委員御指摘のように、加工して出したもの、これを精査させていただきたいと思います。

長妻委員 これは、きちっとしかるべき時期に出していただかないと、前提がこれは崩れる話になる。まあ、もうなっていると思うんですけれども。どこまで加藤大臣が、そう大きな変化があると認識していないとぶら下がりでおっしゃって、相当大きな変化だと思いますよ。

 じゃ、今のをぜひ、ちゃんと調査して出していただきたいと思います。

 この八ページ目でございますけれども、例えば、これは不親切なんですね、きのう出していただいたのは。正誤表がないわけですよ、全然。何が正しいのか。

 例えば、一つだけ例を挙げると、八ページ、誤っているのが、一年の法定時間外労働の実績、一般労働者、最長の者、これが、百五十七時間三十七分が、実際正しいというか、今回出されたのが百三十五時間十八分ということで、こんな、二十時間ぐらい違うわけですよ、これは。

 その前のページの七ページは、一年の法定時間外労働の実績、一般労働者、平均的な者、これは前の、間違ったというか、数字と言われているのが七十八時間三十分が、今回出てきたのが六十五時間五十一分なんですよ。これは全然、こういう議論を真面目にしているんですよね、労政審の先生方は。

 それこそ、この平成二十五年度調査を、労政審のみならず、政党とか、当時民主党が野党、ほかも野党ありましたけれども、そういう政党、国会に、このデータに基づいて加工したものを出したというのは一体どのぐらい、何件あるんですか。

加藤国務大臣 済みません、今、急な御質問なので、過去のやつ、どれだけ出しておられるのか、多分、正直言って、全部把握をしていないんだろうと思います。その場において、これを出してくれと言われてコピーした、あるいは一回つくった資料だからといって出している数字がありますから、そういう全体でどれだけかというのは正直言ってなかなか把握していないし、申し上げるのも難しいんじゃないかと思います。

長妻委員 把握していないって、これ、大問題じゃないですか。だから、全部撤回すればいいんですよ、全部撤回すれば。これ、研究者は転用しますよ、どんどんどんどん。この平成二十五年度調査は全て撤回というふうにしないと、おかしなことになりますよ。どれだけ出ているか把握できないって、これは無責任じゃないですか。

 厚労省が責任を持って、平成二十五年度調査を加工して、各政党、各国会だけでいいですよ、そうしたら。国会と政党へのレクチャー、それのデータも、訂正したものを出していただきたい、何件あるか調べて。これはお約束できますか。

加藤国務大臣 これは本件データに限らず、議員からいろいろ、これを加工してくれといって御質問をいただいて、それをお出ししているケース、これはいろいろありますから、それを全部把握しているのかと言われても、なかなかそれは把握しておりませんし、それについてお出しするのは難しいというふうに思います。

 ただ、こちらの方で、まず、先ほどお話にありました、基本的に、労政審等で使った資料、そういったものはそのまま使わせていただいているということ、あるいは政党等においてお出しをさせていただいたもの、これは政党の、例えば部会とか、そういったものは、ある程度把握できるのではないかと思いますが、個々の議員等々になると、これは正直言ってそこまで常に把握しているわけではありませんし、また、本件だけではなくて、一般においてもそこまで把握していないということであります。

長妻委員 そうしましたら、今、限定を言っていただいたので、限定すると、政党の部会及び国会、これに出した資料、これを訂正をする、案件を特定して。これはお約束いただけますね、しかるべき時期に。

加藤国務大臣 どういったデータを出しているかということを、まず把握をさせていただきたいと思います。

長妻委員 そして、結局、裁量労働制のデータを全面撤回したのは、異常値が二十五事業所あったんですね。これは裁量労働制の調査の全事業所の一・六%。これが間違っていたら全部撤回したわけですよ、裁量労働制については。

 ところが、一般労働者は、異常値が出た事業所は一般労働者の調査の全体の九・六%にも上るにもかかわらず、全面撤回しないということで、法案の前提、根拠が崩れたのに、九千件は正しいというふうに言い張って、そのまま撤回をしないということで、過去の日付のクレジットでも、加工された資料が政党あるいは国会経由で世間に出回っている可能性もあると思います。これは全面撤回しないと、相当これは混乱を呼ぶというふうに思いますので、我々はこのデータの撤回を求めていきたい。

 実は、今国会でも、逢坂さんが予算委員会の分科会で加藤大臣にこういう質問をしているんですね。今回のデータの調査結果が信頼に足るものでないと判断した場合は、データ自体を撤回する可能性はあるのかと聞かれたら、加藤大臣は、精査の結果次第であるというふうに答弁されているんですが、じゃ、この結果次第だということで、二割ぐらいだったから、まあ、撤回しないでよかったんじゃないかと。三割、四割だったら撤回したのかどうかだと思うんですけれども、何で撤回しないんですか。撤回しない根拠は、三割、四割のデータだったら撤回するんですか。どうなっているんですかね。

加藤国務大臣 るる説明をさせていただいていますように、今回は、明らかに異常値である蓋然性が高いというものをいろいろチェックをして、こうして精査をさせて、そして、サンプル数は、もちろん、サンプル数が相当減れば、それは委員の御指摘ということになると思いますけれども、そもそも裁量労働制は除外するということでありますから、それ以外も含めて九千件のデータということがあるということ、そうしたことも含めて、こうして改めて再集計してお出しをさせていただいた、こういうことであります。

長妻委員 とんでもない答弁だと思いますね、サンプル数が相当減れば別だけれどもみたいな。

 これは二割減っているんですよ。相当減るというのは、半分より減っちゃったらだめということなんですか。そんなばかな話、ないじゃないですか。

 相当減るというのは、相当というのはどのぐらいなんですか、結局。

加藤国務大臣 逆に言えば、九千件程度のデータがあれば、これはこういった形でお示しし得るものとして出させていただいた、こういうことであります。

長妻委員 だから、繰り返しですよ。

 九千件も、正しいかどうかは全くわからないわけですよ。厚労省の課長が、非常にデータのとり方自体が問題があったという発言をきのうされておられるわけですから、説得力がないと思うんですね。これは強く撤回を求めていきたいと思います。

 そしてもう一つ、高度プロフェッショナル制度の質問に入りますけれども、ちょっとこういうパネルをつくってまいりました。

 この間いろいろ、我が党立憲民主党でも、ほかの野党とも協力して多くの方の御意見を聞いて、弁護士の方も含めて、法曹関係者も含めて、お伺いをしました、当事者、過労死の御家族の方も含めて。そうすると、我々が得た結論としては、高度プロフェッショナル制度では、事実上、過労死の立証ができない制度である、こういうことなんですね。

 まず、過労死認定するには実労働時間の把握が不可欠である。実労働時間、把握する義務はないということです。管理監督者ですら、深夜残業はつけなきゃいけない。だから、深夜残業については賃金台帳できちっと明記しないと処罰される、こういうことになる。裁量労働制ですら、深夜残業プラス休日労働も賃金をつけなきゃいけないので、それについては賃金台帳に明記しなきゃいけないということでありますが、高度プロフェッショナル制度は、深夜残業割増し賃金もない、何も時間規制のない戦後初の制度である。

 健康管理時間というのがあるじゃないかと加藤大臣はよく言われます。健康管理時間は実労働時間と違いますよ、全然違いますよ。裁判になったときに使えません。これはもう常識です。

 かつ、裁判するときはダブルトラックで走るわけですが、労災認定で争う場合でも、国を訴えて、国の責任、労災認定をしてほしい、そして賠償については、損害賠償請求、会社に賠償請求する、この会社に賠償請求するときでも基本的に自己責任になってしまう。

 高プロという働き方は、会社の時間的な指示が全くないわけですから、深夜残業もないわけですから、自分が好きで働いて、そして亡くなる、こういうことで、自分が時間管理を誤って、健康管理を誤って、一切会社には責任がない、自分が張り切り過ぎて働いて、そして会社の責任はない、賠償は取れない、こういうことになってしまう。制度自身が、時間について会社は指示しないわけですから。

 こういうことで、法曹関係者と話した結論は、非常に危険である。高度プロフェッショナル制度では、過労死はない。つまりこれは、ないという意味は、あったとしても認定されないし、表に出てこない、賠償も取れない、泣き寝入り。過労死がない制度である。(発言する者あり)管理職。今、与党から、管理職だって同じだという不勉強な発言がありましたけれども、管理職は深夜残業がつくのを知っていますか、割増し手当。(発言する者あり)いますけれども、つく人はいますよ、管理監督者。つくんですよ、法的には。(発言する者あり)いや、管理監督者はつきますよ、深夜残業。あなた、お名前は何とおっしゃるんですか。管理監督者は深夜残業がつきますよ。

 今、与党が、管理監督者は、残業代、深夜割増し賃金はつかないとおっしゃいましたけれども、加藤大臣、どうですか。つかないんですか。

加藤国務大臣 管理監督者、休日はつきませんが、深夜残業はつくということであります。

長妻委員 だから、違うやじを言わないでくださいよ。(発言する者あり)いや、だからそういうやじを言わないでください。今回、私もいろいろ与党の議員の皆さんとテレビで時々働き方で討論するときがあるんですけれども、こういう働き方ができないから高プロなんだとおっしゃるんですが、多くの場合は、フレックスタイムとか、短時間正社員とか、限定正社員とか、成果主義の給与体系とか、いろんな形を組み合わせればできるんですよ、実は。だから、高プロでしかできないのは何かというのがなかなか出てこない。

 それで、大臣にお伺いしますけれども、健康管理時間ですね。これは弁護士の方々も心配されておられるのは、健康管理時間を会社が短くつけてしまうんじゃないのか、こういう懸念を言われているんですが、健康管理時間は本人には通知はあるんですか、百超えないときには。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今の健康管理時間でありますけれども、労働者への通知については、事業者の面接指導の実施義務の内容に当然含まれるものであり、そうした施行通達等にその旨を明記したいというふうに考えているところでございます。

長妻委員 いや、今、答えていない。つまり、わかりますよ、一カ月、健康管理時間が百時間を超えれば、それは医師の面接指導を受けなきゃいけない。これは本人に通知はあるんですけれども、百を超えない場合、会社が過少にしていて百を超えない場合は全然わかんないわけですね、本人が自分の健康管理時間、会社は何時間でつけているか。これは通知があるんですか。

加藤国務大臣 基本的には百時間ということで、いろんな仕組みがありますから、百時間の場合にはということでありまして、百時間未満の場合には、直接通知等するということにはならないんだろうと思います。

長妻委員 だから、加藤大臣、私も、企業の経営者、みんな信じたいですよ。企業の経営者の皆さん、本当に真面目にやられておられると思いますが、ただ、現実にはブラック企業と言われる企業もあるんですよね。ですから、労働法制は、弱い立場の労働者の権利、健康を守る最後のとりでですから、性悪説に立たなきゃいけない、ある程度。そうしたときに、健康管理時間を短く短く本人も知らない間に設定されていたときに、さっぱりわからないわけですよ。これは生煮えなんじゃないですか、制度自体。

 それと、例えば、これもお伺いするんですけれども、じゃ、健康管理時間が一切記載がない場合、これは高プロはどうなるんですか。

加藤国務大臣 先ほどの通知でありますけれども、通常の労働者の場合も、大体本人が把握しているケースが多いとは思いますけれども、逐一通知するということにはなっていないということであります。

 その上で、今御質問の点でありますけれども、把握されていない場合には、この高度プロフェッショナル制度の適用から外れる、こういうことになるわけであります。

長妻委員 外れるというのは、さかのぼるわけですか、始まったときからつけていない場合。

加藤国務大臣 この高度プロフェッショナル制度においては、使用者が健康管理時間を把握することを講ずることを要件としているわけでありますから、これを……(長妻委員「さかのぼるんですか」と呼ぶ)いや、ですから、これを実施して……(長妻委員「ちゃんと答えないから」と呼ぶ)いや、だから……(長妻委員「さかのぼるんですかと聞いているんです。はぐらかしてばかりいる」と呼ぶ)はぐらかしているわけじゃなくて、まず要件がこうだということを申し上げなければ……

高鳥委員長 御静粛にお願いします。大臣の答弁中であります。

加藤国務大臣 どうなるかということにはならないということで申し上げているので、高度プロフェッショナル制度においては、使用者が健康管理時間を把握する措置を講ずることを要件としており、これを実施していない場合には、実施していない時点までさかのぼって制度は無効になる、こういうことであります。

長妻委員 例えば、そうしたら、一年経過した、それで、初めから健康管理時間をつけていなかった場合、一年さかのぼった場合は、残業代が払われるわけですよね。でも、帳簿をつけていないわけですよ、時間管理していないから。残業代を払えないじゃないですか。

加藤国務大臣 いや、ですから、そういった事態というのは通常だってあり得るわけでありますから、そういった場合には、いずれにしても、健康管理時間があったとしても、それをそのままうのみにするのではなくて、これまで申し上げておりますように、パソコンのログとか、さまざまな関係者から話を聞くとか、そういった中で、こうした時間を働いていた、こういった認定をした上で、当該認定した時間に応じて賃金の支払いがなければ、その支払いを求めていく、こういうことになるわけです。

長妻委員 生煮えですよね。

 通常でもあると言いましたけれども、通常でも、確かに、時間を全然つけていないというのはありますけれども、これは罰則がついちゃうんですよ。知っていますか、賃金台帳不備ということで。賃金台帳に、普通の働き方は、深夜残業とか普通の残業とか休日出勤、これはつけないといけないわけです。即座に罰則ですよ、それは。罰則がずっとかからないまま長期間放置して、さかのぼって時間を見ろといったって見られないんですよ。

 そして、先ほど、いやいや、一般労働者も、残業時間、そんなの告知がないよ、同じだみたいな話がありましたけれども、加藤大臣、本当に大丈夫なんですか。一般労働者は、確かに、一般労働者に対して、残業代、あなたは今月何時間ですとか告知しませんけれども、残業代ということでお金がきちっと振り込まれるんですよ。それで毎月わかるんですよ、一般労働者は。裁量労働者の方も、休日と深夜残業は振り込まれるからわかるんですよ、ああ、ちゃんと管理してくれているんだなと、時間を。全然同じ文脈で言う話じゃないですよ。

 そして、もう一つお伺いしたいのは、一千七十五万の年収要件を一万円でも下回った場合、これは高プロはもとから無効になるわけですよね。あるいは、いつから無効になるのか。

 例えば、こういうケース。高プロを、例えば一年間、高プロで契約した、そして、ただ、一生懸命やっていたんだけれども、半年後に病気になって一カ月ぐらい休業してしまった、一、二カ月。そうすると、会社としては、ちょっと高プロ、一千七十五万というのはなかなか難しいので、解除したいと会社が言ったといった場合は、これはどうなるんでしょう。

加藤国務大臣 仮に解除となれば、解除したところまでにおいて、その時間に応じて、先ほど申し上げた要件に満たす年収が払われているかどうかで判断するということになるんだろうと思います。

 ただ、簡単に解除できるかどうか、そこはまた別途あると思います。仮にその解除が有効だということになればということでありますから。

長妻委員 いや、今の話、随分勝手なことができるんですね。会社から解除をぱっとさせてできるんですか。病気になったからだめだよと。いや、今、そうじゃないんですか。

 だから、一千七十五万円を一万円でも下回った場合は、これは高プロじゃないわけですよね。そうすると、例えば一カ月契約の場合、一カ月契約だと、一千七十五万を割り算して十二で割ると九十万です。そうすると、一カ月契約で高プロをしたときに八十五万円だった場合は、高プロは無効になるんですか。

加藤国務大臣 委員の前提になっている一千七十五というのはこれから決めることで、大体このぐらいの目安だろうということを申し上げた数字でありますから、それを前提にお話をさせていただきたいと思います。

 したがって、要件として、一年度、場合によっては、一千七十五万円にすればの話ですが、一千七十五万円は支払われることが見込まれるということが要件でありますから、当然、今委員のように、期間が短くなれば、その状況の中で、今申し上げた要件が満たされているかどうかということが問われるわけであります。

長妻委員 そうすると、正確には一千七十五かどうかわからないわけですけれども、おおむねそのぐらいの数字になると。

 そうすると、それだと、一カ月の高プロ契約であれば、一千七十五がそうだとしましょう。一千七十五割る十二、この十二カ月、一カ月分、それよりも一カ月の賃金が下回ってしまうと、一カ月分の高プロの契約というのも無効になるということでよろしいんですね。

加藤国務大臣 今、委員御指摘は、要するに、一カ月間という雇用契約を前提にしたということでありますよね。高プロにおいてそういうことがまずあるかないかというのはちょっと別に置いておいて、仮にそうした事態があれば、今申し上げたように、年収要件について、その一月ということで換算した金額を上回れば、年収要件についてはクリアするということになるわけであります。

長妻委員 これは、ブラック企業担当というか、ブラック企業と戦っておられる弁護士さんなんかと相当意見交換すると、高プロはいろいろな悪用パターンが考えられると。一つは、例えば、三月の期末、一カ月だけうちの会社は専門職を高プロにする、こういうようなことも十分考えられるということなので、今申し上げたところです。

 そうすると、高プロの職種なんですけれども、SEは含まれるんですか。

加藤国務大臣 基本的に、高度プロフェッショナル制度の対象については、これから議論するということになるわけでありますけれども、これが、専門的な技能が求められ、そして従事した時間と成果との関係が通常高くない、こういう業務ということでありますから、そうした業務が何があるのかということで、もう委員御承知のように、労政審では幾つかの事例を具体に挙げておりますけれども、それはこれから更に議論をするということになるわけであります。

長妻委員 そうすると、SEも入る可能性は排除されないということですね。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 したがって、同じことになりますけれども、その従事していた時間……(長妻委員「可能性があるのかどうか」と呼ぶ)いや、ですから、従事していた時間と従事した成果との関連性があるもの、また、専門的知識等を要しないもの、これは対象とならないということでありますから、御指摘のSEといってもいろいろなパターンがあるんだろうというふうに思いますから、今申し上げたような、どういう業種にするかということ、これは労政審で決めていただいた中で、今おっしゃるSEの中でもそれが対象になるかならないか、これで決めていくということになるわけであります。

長妻委員 排除されないということで、これは驚くべき答弁だというふうに思います。

 私自身も、かつて電機メーカーの営業マンをしていたときに、SEの方と一緒に仕事をしていました。単純なプログラムをつくる人はプログラマーといいます。SEは、みんなコンサルタントなんですよ。コンサルをしてプログラムをつくるわけでありますから。

 SEが入ったら、私は大変なことになると思いますよ。みんな残業、長時間残業。私のかつて周りにいた人は、もう百時間以上とか二百近くとか、そういう方々が、会社にとっては一千七十五払っても安いもんだというようなことになれば、どんどんどんどんそういう方が過労死されるということは、私は火を見るより明らかであると思います。

 最後に質問しますけれども、では、例えば高プロで、徹夜しないとできないような業務を与える、こういうのはいいんですか。

加藤国務大臣 徹夜しなきゃできない業務ということは、先ほど申し上げた、その成果と時間との関係が通常高くないということでありますから、それはどういうことを具体的におっしゃっておられるのかということなんだろうと思います。

 それから、もう一つは、具体的に、この高度プロフェッショナル制度の場合には、どういう職務をするかについて事前に文書で合意をするということになっているわけでありますから、そういったことを含めて、しっかりこの要件、これから詰めなきゃいけない、労政審で議論していただくところがありますから、そういったところでも議論していただいた上で、その要件を具体的には詰めていきたいと思います。

長妻委員 明確に否定されないということであります。

 その職務を詰めると言っても、私もいろいろ議論すると、例えば金融コンサルタント全般とか、そういう一行でもいいわけですよね、職務は。そうしたら、そんな日々の仕事量というのは、それはそこに書けないわけでありますから。

 最後に、これは質問ではありませんけれども、申し上げたいのは、これは与党の皆様にもぜひ御理解をいただきたいということで申し上げるのは、この高度プロフェッショナル制度を本当に削除してほしい。戦後初の時間管理がゼロの制度だ。深夜残業ですら、管理職、つくんですよ。なぜ深夜残業がつくかというと、深夜は負荷がかかる、労働の。だから、企業に、抑止するために割増し賃金で、深夜割増し賃金制度がある、こういうことは国会答弁でもあります。

 ですから、それも外しちゃっている。安全弁ですよ。最後のセーフティーネットも外している働き方を入れて、性悪説にやはり立たなきゃいけない。ブラック企業は虎視たんたんと狙っていますよ、この高プロ。これが、高プロのもとで過労死されると、労災認定も事実上できない、賠償も事実上取れないということで、事実上、立証ができない制度になる。つまり、過労死がない制度になるんですよ、高度プロフェッショナル制度。企業にとっては、過労死がない制度になるんですよ。つまり、正確に言えば、過労死が見えない制度になるんです。世間からも隠されます。

 ぜひ、これは与党の皆様も含めて、ここについては、だって、裁量労働制の営業を削っていただいたわけですから、これは後ろ倒しにするわけでしょう、いずれ。だから、それと一緒に高プロも後ろ倒しにして、そしてデータもそろえて、議論し直してもいいじゃないですか。全部撤回しろなんて言っていないんだから。ここだけですよ。この部分だけ、この部分だけ撤回してくださいよ、これはせめて。

 田村元大臣も力があるんだから、加藤大臣と連動すれば、これはできますから。ぜひ、ぜひお願いします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 冒頭、今、深夜の仕事の話、出ておりましたですね。大臣、おわかりだと思うんですけれども、結局、深夜に仕事をするということ自体がサーカディアンリズムを崩しますので、糖尿病のリスクとか、さまざまな心血管イベントのリスク等を上げるということも実はあるんですよ。ですから、大臣、これは通告していない話なんで、今聞いていて思ったことなんですけれども、そういった仕事をさせるということが、今この日本で問題になっている健康寿命を延ばしたり、また国民の健康を守るという意味でも影響があるということを、大臣、ちょっと一言最初に申し添えて、答弁は大丈夫です、ちょっと質問に入りたいと思います。

 まず、平成二十五年度の労働時間等総合実態調査に係る精査結果について、ちょっと確認をさせていただきたいことが幾つかあります。

 この厚生労働省の精査結果によりますと、一万一千五百七十五事業場のうち、裁量労働制のデータに係る調査事業場も含めると、二千四百九十二事業所のデータに異常値が見つかった。先ほど、長妻元厚生労働大臣の質問の中にもありましたが、一カ所一カ所の調査の時間が不十分だったんじゃないかとか、そういう指摘を先ほど長妻委員がされていましたが、これだけ調査データに多くの間違いや異常値が発生した理由は、大臣、先ほどあった、不十分な時間であったとか、そういったもの以外にどういったものがあるとお考えですか。

加藤国務大臣 時間に対しては、さっき答弁させていただいたように、一件について平均一・一人日ということで対応させていただいたというふうに承知をしております。

 ただ、そういう中で、こうした合理的でないといいますか、そうした数字が入ってしまった、このことは、我々、本当に反省をしていかなきゃいけないと思いますけれども、そういった中において、例えば、担当する者が、この調査の中身といいますか、記入要領等を十分に認識をしていたのかどうかという問題と、それから、やはり、事後処理としてエラーチェック等、その辺がしっかりできていたのか等、そういったところについて反省すべきところがあるというふうに思っております。

吉田委員 総理が、働き方改革国会でしたっけ、と銘打って、目玉法案として挙げた法案の基礎になる、根幹になるデータにしては、大変に問題がある調査の仕方であった。そして、大臣はそうおっしゃっていただいていますが、本当に、普通ならあり得ないようなミスがかなりありますよ、大臣。

 例えば、まず、調査そのものが、アンケート調査じゃなくて、全国の労働基準監督署の労働基準監督官が事業場を訪問して聞き取りや書類の確認をしているわけですよね。事業場の記載という話も今大臣されましたけれども、アンケート調査そのものでやるのであれば、記入者が誤って記入したり、質問の意味を取り間違えている等のミスは起こり得ると思います。しかし、労働基準監督官、専門家である労働基準監督官による調査でこのような問題が発生したのは、相当な問題だと思いますよ。

 労働基準監督官による監督指導に対する信頼すら失墜すると、大臣、思われませんか。

加藤国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、調査手法、それから記入方法、あるいは間違ってここに書くべきものをここで書いてしまった、そういった事例もあったんだろうというふうに思いますから、そういったことはしっかり徹底をしていく必要があるということと、そして、間違った記入、間違ったところに書くとか、やはり、それをチェックするという仕組み、これはしっかり持っておかなきゃいけないというのは先ほど申し上げたとおりであります。

 それから、今、労働基準監督に対する信頼という話がありました。その言葉は我々謙虚に受けとめなきゃいけないというふうに思っております。

 実態においては、調査票だけじゃなくて、実際の監督指導では、さまざまから、事業主等から話を聞くとか、いろんな資料の確認をするとか、あるいはそこで働いている方に質問をするとか、いろんなことを重ねた上で監督指導を行っているわけでありますが、その監督指導をやる主体である監督官がこの調査に参加をしてこうしたことがあったということ、このことは我々謙虚に反省しなきゃいけないというふうに思います。

吉田委員 大臣、謙虚に反省をいただくというお言葉をいただきましたが、これは本来あってはならないことですし、労働基準監督官が信頼できないなんてことになってしまったら、大臣、本当に深刻ですよ。ぜひ、二度とこんなことが起こらないように、相当な指導と、今後、再発防止、もう二度とこういった労働基準監督署に対する信頼が落ちないような対応をとると、それはちょっと今、大臣、お約束していただけませんか。

加藤国務大臣 今委員からも御指摘ありましたように、労働基準行政、それぞれ働く方のそうしたことを守っていくという最前線でやる仕事でありますから、そうしたことに対するしっかりと信頼を得て、また、各種権限の公正な行使を確保する、これは大変大事でありますから、そういった点を労働局に対してまた徹底をしていく。

 また、各監督署においても、署の管理者が各監督官の監督指導等の内容を確認して、具体的な指導を行っていくと同時に、やはり、特に、新任の方々の監督官がおられます。今日でもいろんな研修をさせているわけでありますけれども、そうした研修がしっかりと行われているかどうか、そしてそれによって、研修によって、所期の目的がありますから、その目的がしっかりと達成されていくかどうか、そういったものをしっかりと検証しながら、監督官の資質の向上、能力の向上、これをしっかり努めていきたいというふうに思いますし、同時に、監督官の人数、体制強化、これも御指摘をいただいておりますから、そういったことにもしっかり当たっていきたいと思います。

吉田委員 前段はヒューマンエラーを防止するという話で、後半はシステムエラーを最小限にするという答弁だったと思いますけれども、これは本当にしっかりやっていただかなきゃいけません、大臣。

 もうちょっとこの問題は指摘していきたいんですが、この調査データにかかわる間違いというのは野党の指摘によって今回判明したわけですよね。これはすごく重要なこととして受けとめていただかなきゃいけませんよ、大臣。

 例えば、ミスの内容、細かいことをちょっと指摘して申しわけないんですが、例えば、一日の時間外労働が二十四時間を超えていたなんというミスや……(発言する者あり)あり得ないですよ、これは本当に。一週と月の時間外労働時間数に逆転があったとか、データを見れば誰が見ても容易にわかるようなミスですよね。野党から指摘されなければ見つからなかったというのは大問題だと、大臣、思われませんか。

 それとともに、今後、各種調査においてこういった間違いが発生しないように、今大臣にそうおっしゃっていただきましたけれども、やはり、今回、野党が指摘されなかったら発覚しなかったことだと思いますよ。そこに関してどう思われますか、大臣。

加藤国務大臣 野党からの御指摘をいただいたところ、これを端緒に、裁量労働制の話も含めて、一連の精査をさせていただいているところであります。

 最初に申し上げましたように、したがって、こうした異常である蓋然性が高いというものがそのまま残ってしまった、そういった意味では、事前にさまざまなチェックをするとか、論理的なチェック、今委員御指摘のような、本来あり得ないような関係の数値があったとかいったものをやはりしっかりチェックしていくことが必要なんだろうと思いますから、これからは、その辺も含めて、こうしたことがないように対応させていただきたいというふうに思います。

吉田委員 今、大臣、野党の指摘を端緒にと言っていただきました。そして、精査をしていくと。そして、恐らく、大臣、こういったデータを今後ブラッシュアップして、より精緻な、精密なデータを集めていこうと思われているんだと思います。そうですよね、大臣。だとしたら、やはり、今回、高度プロフェッショナル制度を含めて、法案自体もう一回見直して、ゼロベースでもう一回やられるのが一番いいんじゃないかなとは思うんです。本当にそれはもうみんな思っていることですから、大臣、ちょっと、ぜひ御検討いただければと思います。

 そして、ちょっと、大事なことを聞いていきます。

 今回精査した結果、結局、裁量労働制で働く方の労働時間は平均的な方で比べれば一般労働者より短いと以前指摘していた内容は、事実として確認できたんですか。どうですか。

加藤国務大臣 これは、今回の精査の前の段階で、平均的な者等について、一般労働者と裁量労働者で異なる仕方で数値を選んでいるわけでありますから、そもそも、そうしたものを比較した、その時点でこれは適切ではないということで、そのデータを含めて撤回させていただいたということでありますから、今回改めてそのデータを出しているわけでは、特に裁量労働制については新たなデータを出しているわけではございません。

吉田委員 であれば、やはり、もう一度更に、本当に、繰り返しになりますが、全体の法案の見直しも必要であると申し上げざるを得ません。

 そして、これは大変、ちょっとうがった見方になってしまうんですが、こういうことを本当は聞きたくないんですけれども、あえて聞かせていただきますが、裁量労働制で働く者の労働時間が一般労働者より短いというデータをつくるために調査データを改ざんしたという疑いを持つ方も、それは当然、どうしても出てきてしまうんですが、データの改ざんはなかったということは確認、大臣、されましたか。

加藤国務大臣 もともとは、もともとのお示しをした段階では、裁量労働制と一般労働者について比較をするということをそもそも前提にしていなかった、にもかかわらず、先ほど申し上げたいろんな経緯の中で、そういうことで当時の民主党にまず最初にお示しをさせていただいた、そういう経緯でありますから、もともと、どっちを長くとか短くとかいうことをそもそも想定をしていたわけではなくて、残念ながら、ある意味では誤ったミスといいますか、そういったことが重なってこういうことになったというふうに認識をしております。

吉田委員 わかりました。

 ちょっと大事な話があるので次に進みますが、再集計した結果、今回いただきましたこのデータ、ここで、結局、時間外労働の状況がどうなっているかということをちょっと確認させていただきたいんです。

 例えば、一カ月の時間外労働の実績が八十時間を超えている事業場の割合と百時間を超えている事業場の割合は、再集計前後で結局どうなっていたのかということをちょっと教えてほしいんです。ふえたのか、減ったのか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 一カ月の法定時間外労働の実績、平均的な者でございますけれども、八十時間超百時間以下のものが、従前ですと、〇・一%、百時間超が〇・一%、合計〇・二%だったものが、再集計したところ、八十時間超百時間以下が〇・一、百時間超はありませんので、合計〇・一。〇・二が〇・一に下がったということでございます。

吉田委員 一応把握していただいているということで、ありがとうございます。

 もっとこのデータのことを聞きたいんですけれども、ちょっとほかにも野党案等聞きたいことがありますので、先に進ませていただきたいと思います。

 大臣、先般、医療に関して、医師の働き方改革で議論させていただきました。田畑政務官も大変重要な答弁をしていただきましたが、ちょっとそこを、この前時間がなかったのであれですけれども、きょうはもう少し切り込んでお話をさせていただきたい。

 大臣は先日、タスクシフトによる医師からコメディカルスタッフ、事務スタッフ、クラークへの業務移行によって医師の業務負担を軽減するとおっしゃいましたね。しかし、現実は、大臣、逆タスクシフトというべきことが起こっているんです。

 例えば、以前は、病院の保険病名をつけるのは、事務スタッフがつけて、それを医者が確認するとかこういう効率のいいことがされていたんですけれども、今は、いろいろ、特に大きな病院なんかだと、医師に全部つけてくれというふうに逆タスクシフトがすごく起こっているんですよ。例えば、あと、学会等やさまざまな理由で予約を変更するときなんかも、かつては事務のスタッフが全部してくれたものが、今、実は、医者が自分で患者さんのところへ電話して予約をずらしたりしているということがあるんです。

 つまり、大臣がこの前おっしゃっていた、大沼政務官がおっしゃっていただいたタスクシフトの逆のことが今横行しているんですけれども、大臣、これはどう思われますか。

加藤国務大臣 委員はまさに現場を熟知しておられるので、多分そういうところもあるんだろうというふうに思いますし、多分、その背景には、逆に、これまで事務のスタッフの方がやっていた仕事が医者じゃなきゃいけないというふうに変わったわけではなくて、制度自体が。多分、事務職を例えば削減するとか、あるいは事務職がそういうことができなくなった結果として、お医者さんにその分の仕事がしわ寄せをされている、そういうことなんだろうというふうに思います。

 したがって、今回の診療報酬でも、医師の行う事務作業の補助者を配置している体制を評価する医師事務作業補助体制加算の評価の引上げとか、こういったようなことをすることによって、いわゆるタスクシフティングが進むよう対応させていただいているところではあります。

吉田委員 大臣、そうおっしゃっていただくんですが、例えば、もっと具体的な話をさせていただくと、これは本当に前回の議論を踏まえて大事だと思うのでちょっと確認させていただくんですが、例えば、若手や中堅の医者が勇気を出してスタッフに、これは医者がやるべき仕事じゃないよと医者が言っても、看護師始め周囲のスタッフがそれを聞き入れてくれない場合に、例えば、今、厚生労働省は、そういった診療報酬とかいろんな方法を用いてタスクシフティングをして、医師の業務をできるだけ診療に特化させるために減らすように指導しているんですよと医師が言っても、大体、そのベテランの看護師さんとかスタッフに、そんなことは現場に全くおりてきていません、知りませんね、先生、自分でやってくださいねと言われる始末なんです。これが、大臣、現実なんですよ。

 こういった傾向は、特に、国立病院機構だとか自治体の市立病院、町立病院でもいいですよ、市立病院とかの公的病院、あと大学病院、そして公立病院、あと公的病院に多い傾向がありますが、具体的に、大臣、こういったタスクシフティングをするとおっしゃっていただいているわけですから、これを徹底するように、例えば厚生労働大臣名や若しくは担当局長名で通知とか指示を出される考えというのはないんでしょうか。

加藤国務大臣 先ほどの例えばタスクシフティングの推進といったこと、これは先般の、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組ということの中にも盛り込ませていただいたところでありますし、また、これまでも、例えば平成十九年の通知等々もあるわけでありますので。ただ、それが進んでいないということもございます。

 来年三月に向かって、また取りまとめもするということでもございますから、今委員御指摘のところもよく、実態をよく我々も把握して、それに対して、どういうやり方がいいのか。基本的には、まず、それぞれの病院等において体制を組んでいただいたり、どういう形でやっていくのかということも大事なんだろうと思いますし、そういったことを含めて、どういう形をとればよりタスクシフティングが実態的に、実効的に進んでいくのか、我々、よく研究しながら、必要な措置はとっていきたいというふうに思います。

吉田委員 ぜひ、大臣、やらないと、これは絵に描いた餅ですし、全然進みませんよ。

 もうちょっと、じゃ、具体的な、もっと話をさせていただきます。

 岡本先生も御経験されたと思いますけれども、私が大学病院の若手だったときに、土日の当直って、二十四時間勤務なんですよ。これは今でもそうだと思います。これは働き方改革的にはアウトですよね、二十四時間ずっとやるというのは、土曜日、日曜日に。

 そうですけれども、さらに、例えば我々はどういう仕事をしていたかというと、朝、入院患者さんを四十人ぐらい診察する中で、看護師さんでもできる検査を自分でやるんですよ。看護師、やってくださいと言っても、絶対やってくれないんです。(発言する者あり)いや、それは事実ですから。事実ですから。やめてください。これは事実だから。僕の経験した事実だから。

 さらに……(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛にお願いします。

吉田委員 いやいや、これは多くのところでやられているから。静粛にして。わかっていないんだから、全然。

 これで、例えば点滴なんかも自分でやりながら……(発言する者あり)だから、本質的な議論をさせてくれないか。(発言する者あり)そうだよ。もういいかげんにしてくれ。そうだよ。

 点滴も自分でやりながら、さらに救急外来に途中に呼ばれるんですよ。こういう勤務をしているんです。こういう勤務をして、救急外来からも途中で呼ばれちゃうんですよ。そういった勤務を本当にしているんです。これは余り今でも変わっていないですし、相当本腰を入れないと変わらないんですよ、大臣。

 実際、だけれども、大学病院や中核病院の勤務医がそういった自己犠牲に近い勤務をしているから医療崩壊が起こらずに済んでいる、そういった一面もあるわけです。

 だから、今ちょっと場外からありましたけれども、タスクシフティングなんですよ。だから、今みたいなことが行われていることが、やはりタスクシフティングが進んでいない最たる例なので、ぜひ、これはちょっとやっていただきたい。

 ちょっと、外から声が入ったので、私の質問がちょっと、もう気持ちが折れたのでちょっと続きに行きますけれども、いや、あれね、今のね、でも、国会の場であんな現実がわかっていないやじが飛ぶということは、本当に、大臣、大臣が進めようとしているタスクシフティングがいかに理解されていないかという例になっちゃうわけですよ。こんな議場で、こんな現実がわかっていないやじが出るということは。

 まあ、それはいいです、それは、ごめんなさい、いいんですけれども、そういったところをやはりしっかりと考えてやっていかなきゃいけないし、ちょっと次のあれに行きますけれども、例えば、今ちょっと、働き方改革というものが前面に出てくる中で、医療側が過度に反応している部分もあるんですよ。

 例えば、都内の私立の大学病院なんかでは、今回の働き方改革の法案を見て、五年後まで除外項目になっているけれども、自分たちもちょっと早目にやらなきゃいけないというメッセージだと思ってしまって、すごくいびつな、タスクシフトが不十分なまま、いびつな診療体制に入ってしまっている病院なんかも、いるんですね。だから、当然、当直二十四時間というのはよくないので、半分半分で入れかえたりとか、そういうことをすべきなんですけれども、そうすることによって、実際の診療がちょっと、負荷がふえてしまっていたりする現状があるんです。

 だから、そういうことも含めて、このタスクシフティングも含めて、医師や医療現場の働き方ということに関して、大臣からしっかりとしたメッセージを現場に出してほしいんですけれども、それをちょっと一言お願いします。

加藤国務大臣 今委員からもお話があり、また、他の方向からもありました。それぞれいろんな病院があったり、いろんな状況が多分あるんだろうというふうに思って聞かせていただきました。

 確かに、医師の働き方改革、これはしっかり進めていく必要はあります。しかし、医師の皆さんが担っている国民のまさに生命とそして安全を、そして特に救急医療を含めて対応していただいている、ちょっと、サービスという言い方がいいかどうかはあれですけれども、それがしっかりと提供されていく、その基盤をしっかり維持をしていく、これも当然必要なわけでありまして、どっちか一個とって、どっちか一個捨てるということには絶対ならない。

 逆に言えば、提供の方だけとって、じゃ、医師の皆さんがへとへとになるまでやっていいかというと、これはもう、持続可能性という意味からも、ならないわけでありますから、そこをよく見きわめながら医師の働き方改革を進めていかなきゃならないということで、二年間かけて、もう約一年半ぐらいたちましたけれども、まずよく検討していただいて、そして、実行するにしても五年間の猶予ということをさせていただいているわけであります。

 ただ、この間において、こうした流れを踏まえて、タスクシフティング等々さまざまな工夫をし、既に先取りをしてやっていただいているところもあります。これは大いにやっていただきたいというふうに思いますけれども、ただ、今委員がお話があったように、生半可というか、上からでは都合がいいけれども、下は全然ワークしない、これじゃ、当初の見込み、どっちも、しっかりとしたサービスの提供も、またそこで働く医師の方の健康管理、これは両方とも成り立たないわけでありますから、そこがしっかり進んでいけるように進めていくのは当然だというふうに思いますが、まずは来年の三月まで、医師の働き方改革について、より実態を踏まえて議論を進め、そしてこれからの方向性をしっかり打ち出させていただきたいと思います。

吉田委員 ぜひお願いします。

 この議題はこれでそろそろ終わりにさせていただきますが、実際、大臣、電子カルテなんというのももう導入が始まって、電子カルテも、実は、便利なように見えて、事務仕事がふえているんですよ。教授とか偉い先生はシュライバーというのがつくんですけれども、横にクラークさんがつくんですけれども、中堅の一番忙しい医師なんかに対してそれが十分なされていない現状なんかもあるんです。

 さっきのやじは、ありがたく私も頂戴しますし、誤解がないように言っておきますけれども、私は、全てコメディカルスタッフというのは尊敬していますし、やはり、チーム医療なので、本当に有機的に関係を持っていかなければいけないんですよ。ただ、やはり、医療の現場、特に中核病院においては、若手の医者や中堅の医者って、立場はそんな、大臣、強くないんですよ。やはり、周りの皆さんの意見によって、なかなか、これがいいと思っても提案できない現状もありますので、そこはよくお含みおきいただきたいなと思う次第であります。

 では、次に、建築に関して、ちょっといろいろまた確認をさせていただきたいと思います。

 建設業、前回、田畑政務官にいろいろ御答弁いただきましたが、まず、働き方改革を進めていくのであれば、当然、建設業務に従事する人員を確保するための労務費を含んだ額での発注がなされなければいけないですよね。

 国発注の公共工事は、入札額を監視して、社会保障にまつわるさまざまな費用も踏まえた設計単価での発注がなされると聞いておりますが、同様に、やはり、県、市町村発注の工事に対しても適切な労務費での発注がなされることが重要だと思いますが、この点、いかがですか。

 つまり、不当に安い入札での発注がなされると、人員確保なども滞りまして、働き方改革どころか、ブラックな職場をつくり出すことにつながるわけであります。そういった点に関してどのような、今回、働き方改革を契機に取組をされるのかということを教えていただけますか。どなたでも結構です。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

秋本大臣政務官 国や地方公共団体が発注する契約におきまして適切な労務費を確保することは、建設業の将来の担い手の確保や、そのための技能労働者の処遇改善のための重要な課題であるというふうに考えております。

 公共工事設計労務単価は、公共工事の予定価格の積算に用いることを目的とし、公共工事に従事する技能労働者の賃金を調査した上で、職種毎、都道府県毎に設定しております。

 本年三月一日には、調査によって得られた全国の公共工事に従事する技能労働者への賃金の支払い実績を反映し、設計労務単価の引上げを行ったところでございます。

 国土交通省といたしましても、公共工事設計労務単価の上昇が現場の技能労働者の賃金の上昇という好循環につながるよう、地公体に対しまして、これまでも繰り返しその活用を促してきたところでございます。

 委員から、地方公共団体において設計労務単価が余り使われていないのではないかという指摘でございますけれども、入札契約適正化法に基づきまして平成二十九年に我々が調査したところによりますと、九八%の自治体において設計労務単価が適正に活用されているということでございます。二%、残りございますので、引き続き、調査をいたしまして、これらの自治体におきましても活用していただけるように今後とも努めてまいりたいというふうに思っております。

吉田委員 働き方改革を純粋に厳格に適用すると、工期の延長なんというものが起こってくる可能性が単純には考えられますね。工期を守るためには、当然、IT化や機械化等といった対策で生産性の向上を図る必要もありますが、これはやはり中小の、零細の建築業をされている方には大変負担になるわけですが、ここは何か手当てされるんですか。

秋本大臣政務官 国土交通省では、人口減少社会を迎える我が国において、働き手の減少を上回る生産性の向上と担い手確保に向けた働き方改革を進めるため、建設現場において、ICTの活用や、施工時期の平準化等を進めるi―Constructionを推進しているところでございます。

 特に、中小企業がICTを活用した工事に取り組みやすい環境を整備することが重要であり、具体的には、小規模工事の実態を踏まえたICT工事の積算基準の改善、ICT工事の未経験企業に対する三次元測量や設計データの作成支援、中小企業の技術者等への研修の充実、地方公共団体が発注する工事に対する専門家の派遣等、取り組んでいるところでございます。

 今後とも、こうした取組を通じまして、建設現場の生産性がより一層向上するよう努めてまいる所存でございます。

吉田委員 わかりました。

 では、ちょっと賃金の話をさせていただきたいんですけれども、突然、法案の中で、月々の実働日数が減ると、当然ながら、月々に支払われる賃金が減ってしまう可能性がありますよね。ただ、工期に関しては、大手ゼネコンは、土日休みでも、なるべくそれは今と同じ工期でおさめたいと思う中で、工期は一緒で実働日数が下がってしまうと、中小のこういった建築業を担われている皆さんに対する支払いが減ってしまう可能性がありますよね。そこはちょっと、政府としてどのようにお考えになっているのか。

秋本大臣政務官 建設業における働き方改革は、将来の担い手を確保する観点からも重要であり、週休二日の確保や長時間労働是正に向けた取組を進めていくことが必要であると思っております。

 このため、国土交通省では、直轄工事から率先して取り組むべく、昨年度より、工事準備期間や後片づけ期間の見直し、適正な工期を自動算出するシステムの導入などを通じ、週休二日を確保できる工期の設定に取り組んできたところでございます。

 今年度の発注に当たりましては、建設企業が週休二日に取り組む際に必要となる経費として、実態を踏まえまして、労務費や機械のリース料の補正を、今回は四月一日に行ったわけでございますけれども、新たに導入し、昨年度から導入している現場の安全管理等の間接経費を補正する係数の引上げなどを実施しまして、建設技能者の賃金確保に取り組んでいるわけでございます。

 さらに、全ての地公体等が参画する地域発注者協議会等の場において、こうした直轄工事における取組や、週休二日の確保等に向けて適切な工期設定のためのガイドラインの周知徹底を図っているところでございます。

 確かに、委員のおっしゃるとおりでございますけれども、その分、係数をふやして、賃金をふやして、工期が延びたとしてもということでございます。

 そういった取組を通じて、今後ともしっかりと、委員の御指摘、御心配、そういったことが起こらないようにしっかりと努めていくつもりでございます。

吉田委員 ありがとうございます。しっかりと対応していただきたいと思います。

 建築に関してもう一問ちょっとお伺いしたいんですけれども、技術者不足が今大変深刻になってきていますよね。外国人研修生というのが今、賃金も安いですし、いわゆるそういった現場の一翼を担っている現状というのはもう御存じだと思います。

 そういった中で、技能者育成というのに時間がかかる職種だし、支援をしていく必要もあると思うんですが、かつて中国からの外国人研修生が多かったんですが、これが今、ベトナムの方に移行している現実があるわけです。十年先、二十年先を見ていくと、やはり中国、自分のところで需要が多くなって、日本に余り来られなくなった面がありますね。ベトナムだって、今、経済成長していく中で、ベトナムからもまた、なかなかこういった研修生が来てくれなくなる可能性があるわけです。そうすると、また日本は人手不足になる上に、技能者の育成というのはやはり、なかなかそう一長一短ではないわけですよね。

 こういったことに関して、この人員確保、人員確保ができないと働き方改革はできませんから、そういった面では政府としてはどのようにお考えですか。

田畑大臣政務官 お答えをいたします。

 先生の問題意識、大変重要だと感じるわけでありますし、若年技能者の特に育成、これはしっかり取り組んでいかなければいけないと思っています。

 このため、厚労省では、労働安全衛生法に基づく教習や技能講習、個々の労働者のキャリアに応じた実習を行った場合の費用の一部に対する助成金について、今年度からでありますが、三十五歳未満の者を対象として実施した場合の助成率の引上げを行ったりしております。

 また、平成二十七年度から五カ年の時限措置でありますが、転職者ですとか離職者等を対象として、建設技能に関する訓練から就職支援に至るまでのパッケージ支援を行う建設労働者緊急育成支援事業、こういうことも行っているところであります。

 また、建設機械の運転技能とパソコンスキル講習等とを組み合わせた訓練コースですとか、広く建設分野における人材育成を実施するハロートレーニングの実施といったことも展開をさせていただいているわけであります。

 引き続き、建設業における、先生御指摘の若年技能者の育成にはしっかり取り組んでいきたいと思います。

吉田委員 ありがとうございます。

 それでは、立憲民主党案に関してちょっと質問させていただきたいと思います。

 まず、立憲民主党案では、裁量労働制の適正化を図るための規制強化策の中で、これまで同意手続が決定されていなかった専門業務型裁量労働制についても、企画業務型裁量労働制と同様に、対象労働者への事前説明と対象労働者の同意を要件化するとともに、その同意の撤回を法定化していますが、その趣旨と概要に関して御説明いただけますか。

尾辻議員 お答え申し上げます。

 裁量労働制については、使用者が定額働かせ放題の制度として労働者を酷使することにつながりやすく、長時間労働が生じやすい働き方であります。また、裁量労働制が適用されると、労働者の働き方に大きな変化が生じ、その生活に多大な影響を与えることになります。それにもかかわらず、労働者が認識しない間に裁量労働制が適用されているようなケースや、労働者が裁量労働制の内容を十分に理解していないようなケースもよく見られ、この制度の適用に当たり労働者の意思が十分に反映されていないという問題点があります。

 そして、専門業務型裁量労働制についても、制度の基本的な仕組みや長時間労働が生じるリスクは企画業務型裁量労働制と同様であることから、労働者本人の同意という基本的な要件については、企画業務型裁量労働制と同様に必要であると考えます。

 そこで、本法案においては、専門業務型裁量労働制についても、労働者が裁量労働制を適用されることによる影響を十分に理解した上で、その意思を反映できるよう、対象労働者への事前説明と対象労働者の同意を要件とすることとしています。

 具体的には、対象労働者に対し、事前に、その事業場において具体的に適用される専門業務型裁量労働制の概要、人事評価及び賃金決定の方法、同意しなかった場合の配置及び待遇について、書面交付による説明を義務づけております。

 また、対象労働者の書面による同意を得ることを専門業務型裁量労働制の要件としております。

 その上で、同意をしなかった労働者に対して、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことを規定しております。

 さらに、労働者の同意については、新たに適用される場面だけではなく、その後の適用を継続する場面でも求められるべきものと考えております。

 そのため、本法案では、一度同意したことにより裁量労働制が適用されている対象労働者であっても、その後、専門業務型裁量労働制の適用を望まなくなった場合には、少なくとも三十日の予告期間を設けての同意の撤回ができることとしています。

 このようにして専門業務型裁量労働制の要件を厳格にすることで、全ての労働者が人間らしい質の高い働き方ができる社会の実現を図ることとしております。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

吉田委員 ありがとうございます。

 もう少しちょっと聞かせていただきたいんですけれども、この立憲民主党案というのは、企画業務型裁量労働制について、対象労働者の要件の厳格化、労使委員会決議の指針への適合並びに行政官庁による助言及び指導、同意手続の適正化として事前説明の強化や同意の撤回の法定化等を規定していますが、その趣旨と概要に関して御説明いただけますか。

尾辻議員 お答え申し上げます。

 企画業務型裁量労働制については、野村不動産の事例に代表されるように、本来であれば裁量労働制が適用されるべきではない労働者についてまで違法な適用がなされ、裁量労働制が濫用されております。労働者が認識しない間に裁量労働制が適用されていたり、労働者が裁量労働制の内容を十分に理解していないケースがよく見られ、この制度の適用に当たり労働者の意思が十分に反映されていないなどの理由から、その適用について現行の規制を更に強化したところです。

 具体的には、まず、対象労働者の要件の厳格化を行っております。

 現行法における企画業務型裁量労働制の対象となる労働者の要件は、対象業務を適切に遂行するための知識経験等を有する労働者とされています。しかし、この定義が曖昧なため、現実には、これに当てはまらない労働者に対しても裁量労働制が適用されてしまっている現状があります。このような現状を改善するために、企画業務型裁量労働制の対象となる労働者の範囲を明確に定める必要があることから、対象業務を適切に遂行するために必要な知識経験等を厚生労働大臣が定める基準により明らかにすることとしました。

 次に、裁量労働制における対象労働者の適正な労働条件の確保を図るため、企画業務型裁量労働制に係る労使委員会決議について、国が定める指針への適合を義務づけを行っております。また、労使委員会決議の指針への適合義務の実効性を確保するため、行政官庁による助言及び指導についても規定をしております。さらに、同意手続の適正化を行っております。

 裁量労働制は、何時間働いてもあらかじめ定めた時間しか働いたとみなされない制度であることから、その対象となる労働者は、自分に適用される裁量労働制の制度や、自分が裁量労働制が適用される労働者であることを理解している必要があります。現行法においても、企画業務型裁量労働制については、本人の同意を必要としていますが、本人の明確な同意や十分な理解を得ないまま適用されている場合もあると聞いております。そこで、企画業務型裁量労働制が適用される労働者に対しては、事前に書面による同意を要求するとともに、事前の書面説明や同意撤回の法定化を行っております。

吉田委員 ありがとうございます。

 時間が近づいてまいりましたので、最後に一言申し上げたい。

 やはり、大臣、本当に、データがかなり間違った、誤ったデータがあったということ、そして、少し、調査の仕方にもかなり問題があったということは、真摯に責任を、責任というか問題意識を持っていただいたので、今後は絶対にそういったことが起こらないように。やはり議論のもとになるデータでございますし、また、逆に労働者を守るためにもすごく重要なデータですよね。そこはしっかりと今後は監視指導いただきたいということ。

 そして、やじは議場の花ですけれども、私がちょっと本当にショックを受けたのは、現場のことが意外と本当に、ああいう与党の議員、厚生労働委員会の与党の議員でも御理解がいただいていないんだなということが私は非常に残念だなと思うんです。しかし、大臣は再三にわたって、タスクシフティング、しっかりやると言ってくださっておりますので、私はそれを信頼してですね。

 本当に現場、おのおの、いろいろ、それは濃淡はあります。全部が私が言ったような状況じゃありません。ただ、やはり、申し上げたように、大きな病院、中核病院、大学病院、アカデミア、そういった病院ではそういったところが色濃く残っているのが現状でありますので、そこはやはり、現場に精通する議員も、与党、おられますので、そういった方の意見もしっかり取り入れていただいて、よりよい医療に対する働き方改革も大臣に進めていただきたい。

 これを最後に申し述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

高鳥委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 昨日の理事会で、平成二十五年度労働時間等総合実態調査に係る精査結果についてというものが出てまいりました。一万一千五百七十五事業場のデータから二千四百九十二事業場を除いた九千八十三事業場について再集計を行ったということでございます。

 そもそもの問題なんですけれども、二割ものデータが明らかな誤りであるというその調査結果全体に対して、率直に申し上げて、信憑性は完全に失われたというふうに言わなければならないと思っております。ですから、私は、やはりこのデータ、もう一回とり直しをした上で、労政審にかけ直すということが必要であるというふうに考えております。

 先ほど長妻委員との質疑の中で、労政審の委員の方には郵便で送ったという話がありましたけれども、果たして、そんなことで労政審の皆さんに対する説明が十分だというふうに大臣はお思いなんでしょうか。

 このデータを出発点にして働き方改革の議論が行われるということは、労政審の議論の中でも言われておりますし、これをもとにいろいろなクロス集計も行われている。私たちも、このデータをもとに、これを真実のものだと信じて、いろいろな議論をこれまで行ってきたわけでありますね。

 大臣、二千四百九十二事業場については、これは明らかな間違いだった。これはもう誰が見てもわかる間違いです。一日の時間外労働が二十四時間を超える、あるいは一日の時間外労働と法定の時間を足したら二十四時間を超える、そして、一週間と月、一日と月、一日と一週についても逆転が見られる。それから、ほかの数字、月の労働時間がゼロなのに、一日や一週間の記載がちゃんと書いてあるとか、あるいはその逆とか、もう見ればはっきりとわかるような間違いについてが二割あったということなんですけれども、そのほかの九千八十三事業場のデータについて、これは全く誤りがないということを大臣は答弁できますか。

加藤国務大臣 まず、労政審のメンバー、済みません、郵送と申し上げたのは、ちょっと私はメールと聞いて、それを郵送と申し上げたんですが、メールで送らせていただいたということでございます。それから、分科会長というんですかね、の方には別個説明に行っているということでございます。

 その上で、今、この残った事業場についてどうかというお話であります。

 ただ、これは一般的な統計調査においても、調査段階で一定数の異常値の混在、これを避けるということで、一定の条件を設定してエラーチェックを行ってデータを活用しているということであります。

 今回も、当初の段階においてもエラーチェックを一部行っていたわけでありますけれども、それが十分ではなかったということで、今回改めて、異常値である蓋然性が高いというもの、それについてさまざまな要件を設定し、それを、そうしたデータが一個でもある事業所については全て除外をする、それから、裁量労働制については、裁量労働制を入れている事業所、これは全て除外をするということでつくらせていただいたということでありますので、先ほど申し上げましたけれども、そうしたエラーチェックをしっかりやる、より精度を上げたということによって、従前よりも信頼性の高いものとして提出をさせていただいたということであります。

西村(智)委員 全然答えていただいておりません。

 私、残りの九千八十三事業場のデータについて、誤りがないと言い切れますか、こういうふうに聞いたつもりなんです。大臣、その点についてはどうですか。

加藤国務大臣 ですから、今回は、一定の異常値の混在があったということで、さまざまな観点からエラーチェックをいたしまして、そうした蓋然性が高いものを除外をして出させていただいたということで、従前に比べて信頼性の高いものになっている、こういうことを申し上げているわけであります。(西村(智)委員「とめてください。これ、典型的な御飯論法じゃないですか」と呼ぶ)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ですから、一般的な統計においても、さまざまなデータの混在を避けるということで、エラーチェックはさせていただいているわけでして、その上で出させていただいている。今回は、最初にお出しをさせていただいたときにその辺が十分じゃなかったということを反省をした上で、改めてエラーチェックをきちんと行って出させていただいたということであります。

西村(智)委員 委員長、ちょっと今のは答えていないので、もう一回答弁させてください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ですから、一般的な統計調査においてもなされているということ、そして、それを、今回更にエラーチェックを入念にやらせていただいて、より信頼性の高いものとして出させていただいた、こういうことであります。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 先ほどからも申し上げておりますように、こうした統計、もともと、統計調査そのものが、そうしたエラーチェック等をやりながら、できるだけ信頼に足るものにするということでやらせていただき、今回は、最初にお出しをしたデータにおいて異常値である蓋然性が高いものが、いろいろ御指摘をいただきましたので、そこをしっかり踏まえて、改めてエラーチェックをし、統計として御議論いただくにたえ得るものとして提出をさせていただいた、こういうことでございます。

西村(智)委員 労働基準監督官が、とにかく、監督に入りながら調査をやるというこの仕組み、これについて、問題ではないかということ、やはり新聞報道でも出されておりますし、私たちも実際に監督官の方から聞くと、本当に短時間で、監督しながら調査でチェックをしていくというのは、これはもうやり方として限界なんですよ。私は、この調査の仕方、やり方そのものを見直していかなければいけないというふうに思うんです。正しい情報だというふうに、正しいデータだというふうに信じているというふうな大臣の答弁は、今は今として受けとめますけれども。

 それで、先ほど長妻委員が幾つか論点を明らかにされました。私から改めて、委員長に理事会協議事項として申入れをしたいと思います。

 まず一つは、大臣、クロス集計をやり直しすべく委託先と相談するというふうに答弁をされました。これについて、いつごろ、どういう形でやるのか、きちんと出していただきたいということが一つ。

 それから二つ目。監督官が一社当たり〇・九人日、そのくらいの時間をかけてやっているということなんですけれども、各労働局でどのくらいの数字なのか、それから、各監督署でどのくらいの数字なのか、それぞれ出した上で、実績として積み上げて出していただきたいというのが二つ目。

 三つ目は、過去のデータ、要するに精査前のデータをもとに加工して、二次データとしていろんなところに使われていると思います。労政審、それから政党の部会、あるいは国会に提出されているもの、それの一覧を、精査結果を踏まえたものを改めてもう一回出していただきたい。

 そして四つ目。相当数のデータが、この精査後の結果としてもまだ九千八十三事業所ですね、残っているから、このデータは、先ほど大臣がおっしゃいました、何か信頼できるものだということのようなんですけれども、撤回しないというふうにおっしゃいました。では、幾つを相当数というふうにみなしているのか、幾つのデータに誤りがあれば、相当数だとみなしてこのデータを撤回しようというふうに考えておられるのか。

 この四点について、理事会協議事項としてください。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

 西村君に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

西村(智)委員 はい。終わります。

高鳥委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 国民民主党の柚木です。よろしくお願いいたします。

 大臣、二十分間しかありませんので、端的に御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、長妻委員以降もずっとされてきた中で、私も全く同感だと思っていることがありまして。長妻委員の資料を見ていただくと、八、九あたりの正誤表、私もきょうの資料、つけておりますので、皆さんごらんをいただきたいんですが、私の場合はまだ正誤表にはなっておりませんが、資料の三ページ目以降ですね、これはきのう公表された、まさに二割削除データの内訳の表なんですね。

 私は四例ほど示しました。この間、学者さん、統計学も含めて、やりとりをきのう、きょうもしてまいりましたが、例えば、これは四つ示しておりましたけれども、大臣は手元にお持ちだと思いますので、きのうのこの冊子、その中の表二十三、二十四、表二十六、そして表二十八。二十七、二十八については、長妻さんの資料には正誤表という形でついていると思うんですね。

 これは大臣、それぞれごらんをいただくとおわかりいただけるんですけれども、二十三からですよ、一週間の法定時間外労働の実績、最長、それから平均的な者、それぞれ見ていただくと、もとは五時間五十二分だったのが五時間十九分になっています。つまり三十三分間短縮。それから次が、今二時間三十分になっています。これは二時間四十七分です、もとは。十七分短縮。ちなみに、二十六、これはもとは八時間五分です。一カ月の法定時間外労働の実績、一般労働者、平均的な者です。これは一時間十分短縮です。二十八をごらんください。これは長妻さんのでもあったと思うし、けさも報道されていますね。一年の法定時間外労働の実績、一般労働者、平均的な者。これは、七十八時間三十分が六十五時間五十一分になっていて、十二時間三十九分短縮です。

 ちなみに、それぞれパーセンテージを出すと、二十三、二十四がそれぞれ約一〇%、二十六が約一四%、一四・四%、二十八は一五%です。

 加藤大臣、このそれぞれの平均的な差ですね、私も卒論を統計でやりましたけれども、統計的な有意差、こういったことも含めて、委託先の、専門の統計学者とかに、統計的な有意差のあるなしまで含めてちゃんと検証した上で、大した結果の差がないと言われたんですか、コメント。イエスかノーかでお答えください。

加藤国務大臣 統計的な有意差というのはあれなんですけれども、当然サンプル数が少なくなりますから、その分だけその有意差が下がってくるということでありまして、この全体のサンプル数が減ったことによって、有意差の数字ですよ、全体の数字じゃないですよ、有意差ですよ、有意差の数字が一割ぐらい違うという話は承知をしております。

柚木委員 ちょっと待ってくださいよ。有意差の数字が一割違うといったら、これは統計的にもう信頼性がない、妥当でない結果ということになりますよ。有意差が一割も、統計的な有意差ですよ。この今のは実数のパーセンテージですよ、私が申し上げたのは。統計的な有意差が一割も下がるということは、これははっきり言って統計的に信頼性がない無効なデータということになりますね。それでよろしいですね。

加藤国務大臣 私が申し上げたのは、例えば、どの表でもいいんですけれども、ちょっとここから離れますが、わかりやすく言わせていただきますと、平均値が一〇〇とします。それが本当に平均値であるかどうかということですよね、有意差というのは。通常は約五%、当初では五%ぐらいでしたので、したがって一〇〇と言った場合には九五から一〇五の範囲だろうということでありまして、それが一割違うということは、ざくっと言うと九四・五から一〇五・五、そういう意味で一割ということを申し上げたわけであります。

柚木委員 そうすると、まさに統計的には、結果において大きな変化はないと逆に言えませんよ、大臣。そういうふうにきのうコメントされていますけれども。

 ですから、私、ぜひお願いしたいのは、理事会に提出いただきたいのは、今私は表二十三、二十四、二十六、二十八と言いましたけれども、それぞれの私が示したパーセンテージが、統計的な有意差がある、ないによってまさに結果そのものが変わってきますからね。それを報告をいただいて、そうじゃないと、この後まともな議論が深まりませんから。その点を委員長、ぜひお取り計らいをお願いいたします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

柚木委員 そして、冒頭のこの調査のページに、私たち野党は、1、2、3、4と、実際、一日の時間外労働、残業が二十四時間を超えるとか、あるいは一日の労働時間が二十四時間を超える、あるいは一日の残業時間と月の残業時間が一日の方が長くなるとか、これはあり得ませんよね。こういうことが、1、2、3、4が実際どれぐらいの件数がそれぞれあって、そしてどれぐらいの内容、数値なのかについても出してもらわないと、議論が深まらないんですよ。

 これについても、結果をお持ちだと思いますから、きのう、きょうまでに出してくださいと言ったんですよ。きょうまでに出してくださいと言ったのに、出してくれていないんですよ。

 これはちょっと答弁いただけますか。ちゃんとそれも出してもらえますね、加藤大臣。お願いします。

加藤国務大臣 済みません、細かい経緯はちょっと、きのう云々と言われてもよくわかりませんけれども、今御指摘をいただいた数字は精査させていただきたいと思います。

柚木委員 これも理事会に提出をお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

柚木委員 そして、私、驚いているのは、残り九千のサンプルがあるから大丈夫と。これも先ほどまで統計の方と話をしていたんですけれども、一般的に、全体の二割ものデータが不適切で削除なんて言ったら、この残りのサンプルも含めて、もっと言うと、今回は調査手法、まさに長妻さんもコメントされていましたけれども、調査員自体が調査のあり方を根本から見直してほしいと苦言を呈しているんですよ。こういう状況もある中で、調査手法、質問の仕方も問題があると言われている中で、二割もサンプルが不適切で削除したら、残りの九千、これも怪しいと、全体の調査、統計的な信頼性に疑義があると考えるのが基本中の基本だというふうに先ほども教えていただきました。

 これは加藤大臣、郵送を労政審の方にしている場合じゃないんですよ。(発言する者あり)メールか。これは、まさに今申し上げた、それぞれのデータを統計学の専門家のコメントも付して労政審にちゃんとその会を開いて報告をして、そしてその上で労政審での審議をやり直さないと。

 きょうも過労死の御遺族の会の皆さん、来られていますけれども、過労死がふえるんじゃないかといってみんなが心配して大反対して、一枚目につけているように、七割もの国民の方が法改正する必要がないと考えている法律を、調査はでたらめで強行するなんというのはあり得ませんから。労政審でちゃんと今のようなデータを出して、そして専門家の皆さんのもとで議論をしていただく、この手続をぜひ踏んでください。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 労政審では、このデータはもちろん大事な資料として出させていただきましたけれども、先ほど申し上げた、傾向においては大きな変化がないということを申し上げさせていただきました。

 また、更にいろいろな議論をした結果として、御議論をいただき、そして今回大事なことは、やはり時間外労働の上限規制を罰則つきでどうするか、あるいは中小企業における割増し賃金率の猶予を廃止するか、こういったことでありましたので、これについては、この議論に関して、今回の精査した結果から、今申し上げたそうしたことが必要だという結論、これは変わるものではないというふうに考えております。

柚木委員 そんな認識をしていると、これはそもそも、今回のこの働き方改革法案の一つの、これはある意味与野党で、もちろん上限の見方はありますけれども、月時間上限を設定して、そして過労死、過労自殺を防ごうという、この時間上限の設定自体も今回のこの調査によっているわけですから、まさに、高プロどころか時間外上限も含めた全体の見直しが必要になるというのが今回の二割削除ですよ、大臣。

 それも含めて、メールじゃなくて、ちゃんと間違ったデータの内訳、あるいは、表の四つのこういうデータの統計的な有意差があるのかないのか、そういうことも含めて、もっと言うと、私、驚いているのは、異常値があったかも詳しく確かめないまま削除したケースもあると。つまり、異常値で削除している今回の九百六十六件はわかりますよ、異常値であるかどうかも確認しないまま削除しているものもあるといったら、そもそも残りの九千の信頼性なんかあるはずないじゃないですか。

 ぜひ、いずれにしても、これは時間外労働の月時間上限も含めた大事なもとになっている調査ですから、労政審に差し戻して、そして疑義のあるデータの内訳をしっかりと示していただいて、その上で議論をやり直すとぜひここで約束してくださいよ、加藤大臣。働く皆さんの命がかかっているんですから。みんな激怒していますよ、この二割削除で。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 ですから、私どもとして、過労死等をいかにこれ以上発生させないようにするかということで、労使にもぎりぎりの合意をしていただいて、今回この法案を提出をさせていただきました。

 もちろんそれを、労政審で議論するときの資料としてこの精査する前のデータを出させていただいたところは事実でありますけれども、今お示しをいたしました精査後のデータを見ても、先ほど申し上げた中小企業における割増し賃金率の猶予の廃止とか、あるいは時間外労働の罰則つきの上限規制が必要だ、この結論には、私は何ら変わるものはないというふうに思います。

柚木委員 働く皆さんやその家族をばかにするような答弁はやめてくださいよ、大臣。安倍総理が肝いりで働き方改革国会だと言うから、それで、はっきり言って、みんな言っていますよ、働いている現場の皆さんも、モリカケ問題と一緒じゃないかと。安倍総理が、自分がちょっとでもかかわっていたら、昭恵夫人がかかわっていたら総理も議員もやめるからと言って、それで佐川さんも柳瀬さんもみんなつき合って、そして公文書改ざん、虚偽答弁、それと同じじゃないですかと言っているんですよ、現場の人が。

 安倍総理が働き方改革国会だと言うから、働く皆さんを守るんじゃなくて、安倍総理のメンツを守るために過労自殺を隠蔽して、そしてこのデータの捏造、裁量労働をやって、撤回したと思ったら二割の削除、そしてそのデータの内訳も出さないまま、何ですか、来週強行採決ともう報道されているじゃないですか。そんなこと許されるんですか、加藤大臣。働く皆さんに、そんなこと許されるんですか。来週の強行採決、少なくともデータを出すまでは、そんなことは政府としても求めないとここで約束してください。

加藤国務大臣 ですから、まず一つは、一日も早くこれを施行する中で、長時間労働について早く罰則つきを進めていく、そういうことが必要だということで、私どもぎりぎりの、労使の合意も……(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛に願います。大臣の答弁中ですので、御静粛にお願いいたします。

加藤国務大臣 労使の合意をしていただいて、そしてここに至り、そして、今出させた……(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛にお願いします。

加藤国務大臣 出させていただいた数字、今回の精査後のデータについても、先ほど申し上げた、それぞれの時間外労働の上限規制などについては必要だ、この結論には何ら変わるものもないということで御審議をお願いをしているわけでありまして、あと、審議のやり方については、これは私が一つ一つ申し上げる立場にはないということは再三申し上げているところであります。

柚木委員 高プロは関係ないとやじが飛んでいますけれども、学者はそんなこと言っていませんよ。私の手元にも、この一般労働者の今例に挙げた集計、これは、上記の九百六十六事業所、今回の削除だけじゃなくて、裁量労働制に係る調査対象千五百二十六事業所の削除からも影響を受けている、こういうコメントが出ていますよ。影響を受けていますよ。

 だからこそ、私は、一旦労政審に差し戻して、そして、この削除データ、影響の度合い、統計的な有意性、こういったものを明らかにした上で、働く皆さんの命がかかっているんですから。何で急ぐんですか。誰のために急いでいるんですか。経団連からの要望があるからですか。誰のための働き方改革なんですか。ぜひやり直すこと、高プロも含めてお願いしたいと思います。

 一点、私、前回もハラスメント対策も重要だということを申し上げましたが、実は昨日、資料の十四ページ目、おつけしておりますけれども、働く女性記者の皆さん、このネットワーク設立の会が行われていて、麻生大臣への抗議、そして、安倍総理や野田女性活躍担当大臣に、セクハラ根絶に向けた法整備などを求める書面を出しているんです。

 この中で、大変心配されているのは、皆さん、名乗り出た人が処罰をされたり、こういう不利益変更が行われたら、現場の記者はみんな名乗り出られなくなるし、もっと言うと、公益通報者保護法ですよ。これも欠陥法案なんですよ。労務関係がなければ、つまり、部下、上司とかじゃなければ、公益通報保護の対象にならない。

 こんなことであったら、一般企業の人だって、取引先からその関係でセクハラを受ける、幾らでも起こっています。そういう人たちも公益通報の保護の対象にならないから、実際、公益通報者保護法の実効性を高めていくための検討会の最終答申の中で、労務関係のある、ないにかかわらず、何人も、セクハラの被害、これを公益通報したら保護の対象にすべきだと。

 こういう結果が出ているのに、きょう消費者庁来ていますね、きのう何で教えてくれないんですか、今のことを。検討課題になっているじゃないですか。ヒアリングに来た人は、そんなこと一言も言わなかったよ。

 こういう欠陥、穴があるんだから、答申も出ているんだから、ぜひ法改正に向けた検討を消費者庁として進める。安倍政権が本気で、お題目でなくて女性活躍を掲げるんだったら、この公益通報者保護法改正に向けて検討を始めると御答弁ください。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 公益通報者保護法は、労働者が、労務提供先について、法の定める通報対象事実が生じ、又は生じようとする旨を所定の要件を満たして通報した場合に、これを公益通報者として、労務提供先からの解雇その他の不利益取扱いから保護する旨を規定しているところでございます。

 公益通報者保護法につきましては、規律のあり方や行政の果たすべき役割等に係る方策を検討するため、本年一月、内閣総理大臣から内閣府の消費者委員会に対して諮問が行われたところでございます。現在、同委員会の専門調査会において調査審議が行われているところでございます。

 消費者庁といたしましては、同委員会における審議状況等も踏まえつつ、引き続き、制度の実効性の向上に努めてまいりたいと考えております。

柚木委員 消費者庁はまさに最終答申を踏まえて、今対応を進めるという答弁ですけれども、これはハラスメント対策の所管でもある加藤大臣にもコメントいただきたいんですが、公益通報者保護法、今のように、一番今回論点になっているのは、やはり労務提供先であるかどうか。これはもちろん人事院規則の処罰も関係ないんです。だから今回も財務前次官が処分されているんですよ。ですから、これはハラスメント対策の所管の、もっと言うと、この後の質問にも絡みますが、麻生大臣がセクハラ罪という罪はないという大変罪のある発言をされているんですね。現場で、セクハラをやっても処罰されない、蔓延しているんですよ、今。

 だから、実際に、通告しているのは、セクハラというのは雇用機会均等法上も処罰対象なんですよ。これは資料もつけています、十三ページ目。指針の中に、「職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動を行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書に規定し、」「労働者に周知・啓発すること。」そして、実際に具体的に認められる例として、「懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発すること。」これに従って、民間企業では、懲戒解雇から減給、停職、さまざまな規定が実際に書かれているんです。

 加藤大臣、セクハラというのは、これは法的に処罰され得る、そういう行為だということでよろしいですね。

加藤国務大臣 男女雇用機会均等法については、今委員が御説明されたところでありまして、処罰という言葉は法律用語としてどう使うのか、ちょっと私もにわかにわかりませんが、ここに書いてあることは改めてもう一回読んでもあれなので、今、柚木議員がおっしゃったようになっております。今、そこは、ガイドライン、指針かな、それを読まれましたが、そのベースには法律がある、そういうことであります。

柚木委員 では最後に、終わりますが、ぜひ、現場が誤解をしないように、あるいはセクハラの被害が蔓延しないように、実際には処罰規定もあるんです、均等法上。指針も出されて、民間企業も対応しているんです。セクハラ罪という罪はないという罪のある発言は、現場でセクハラ撲滅に向けて取り組んでいるさまざまな企業に、所管の厚生労働省あるいは大臣として、この発言は現場に誤解を与える発言だと、安倍総理もそういう発言は厳に慎むべきだと言っている、所管の大臣としても、これは、セクハラ罪という罪はないという内容じゃなくて発言自体が現場に誤解を及ぼす発言だということで、不適切な発言だということで、ぜひそこをコメントいただけますか。

加藤国務大臣 いずれにしても……(柚木委員「いやいや、いずれにしてもじゃなくて、答えてくださいよ、お願いします」と呼ぶ)ですから、答えさせていただいているんですけれども、職場におけるセクハラ、セクシュアルハラスメント、これは、働く方の尊厳や人格を傷つけて、職場環境を悪化させるものであって、あってはならない、こういうふうに私どもは考えているわけであります。

 それを含めて、今、男女雇用機会均等法にもそうした規定を設ける中で、第十一条でありますけれども、事業主は、適正に対応するため必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない、こういう規定があり、そして、その具体的な話は、先ほど委員がお示しをされた中に設けられているわけでありますから、その旨をしっかり我々としても周知啓発をしていきたいというふうに思います。

柚木委員 終わります。

 ぜひ加藤大臣、麻生大臣に、セクハラ罪という罪はないという罪のある発言は完全撤回するように、ほかの発言は謝罪、撤回したじゃないですか。この発言も撤回するように求めていただきたいし、この法案自体も、こんなでたらめな、二割もデータ削除して、信頼性も統計的にもない、疑いの高い法案も完全撤回することを強く求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 山井です。これから三十分間、質問をさせていただきます。

 冒頭に申し上げますが、答弁を聞いていると、加藤大臣、わざとのようにすれ違い答弁で、肝心なところを答弁しない。二回、三回質問して、わざとそれまで時間稼ぎをする。私たちは、これは人の命が奪われるということで真剣に議論しているんですよ。きょう、働く仲間の皆さんや過労死の御遺族の皆さんも傍聴に来られています。そういう不誠実な答弁で対応するのはやめていただきたいということを冒頭申し上げたいと思います。

 きょうもるる質問がございましたが、私たちの願いは、とにかくこの高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度、過労死促進法というふうに御遺族の方々は恐れておられます。過労死防止法が、過労死の御家族のお力によって三年前に成立しました。きょうの配付資料にもございます。しかし、その当時から、過重労働と過労死を助長する働き方改革関連法案に反対します、そして裏面にもありますように、労働時間規制の根幹を覆す高度プロフェッショナル制度に反対します、過労死防止法に逆行して過労死を広げるということが大問題なんですね。

 何やら、来週にでも強行採決といううわさも出てきておりますけれども、人の命を奪う法律を強行採決なんて、あり得ない話ですよ。はっきり言いまして、国家賠償訴訟をされかねませんよ。高プロで必ず過労死が出ますよ、導入したら。ただ、残念ながら、これは過労死認定すら受けられませんよ。泣き寝入りですよ、証拠も残らないから。でも、その方々は企業を訴えるだけじゃなくて、あれだけ人が亡くなる制度だと言ったのに強行した日本の政府、国は自分の家族を殺したんじゃないか、そういう訴訟になりかねませんよ。

 そういう意味では、私たちのこの一字一句、議事録に残ります。歴史に残ります。加藤大臣、大丈夫だ、大丈夫だと言って、それで、これは過労死、必ずふえますからね。そのとき、どう責任をとるんですか。

 まず、私、きょう、ショックなことがございました。きょう、理事会提出資料、高度専門職に関するヒアリング、理事会に出ました。高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度についての意見等々、十二人について聞いたと。これが、高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度がいいという理由の一つの根拠だということをおっしゃったので、出してくれと言ったら出てきた。

 もう読み上げませんけれども、この十二人、ほぼ全員、高プロ的な規制緩和、賛成という意見なんですよ。これは何なんですか。賛成の人ばかりの声を聞かれたんですか。ちょっと、もうあきれました。こういう高プロに賛成の人のヒアリングをして、それを根拠にする。

 ついては、委員長にお願いしたいと思います。

 たしか二月か三月、きょうも傍聴に来られています過労死の家族会の方々と加藤大臣は懇談されたと思います。そのときには、これと真っ向から違う意見が出たと思いますので、どのような意見が出たのか、そのときも十数人の方が来られていたと思いますので、その大まかな概要を、ぜひあしたの理事懇に御提出願いたいと思います。委員長、お願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 当然だと思うんですよね。賛成の人だけの声を聞いて決めるなんていうことはあり得ないと思います。

 そこで、きょうの配付資料の、見ていただきたいんですけれども、まず、今回、あっという間に、この高度プロフェッショナル、高額所得者だけじゃないようになるんじゃないかと思うんですが、配付資料の十七ページ、例えば労働者派遣法も、一九八五年に最初始まったときは専門十三業務でした、一九八五年。ところが、二〇一五年、この場で強行採決されて、事実上、全分野に拡大しました。十三業務だったものが、三十年たって全分野に広がる。つまり、そういうものなんですね。

 さらに、有料職業紹介の規制緩和、二〇〇二年に年収千二百万円以上となった。ところが、翌年には千二百万が七百万に下がっているんです。今回の高プロも、最初は千七十五万円以上と言われていても、法改正を、年収の三倍以上を二倍以上にすれば、そして、今回もしようとされているのかもしれませんが、強行採決すれば、あっという間に年収千七十五万円以上が年収六百万円以上にでも広げることができます。

 そこで、加藤大臣にお伺いします。

 このように、業種や年収要件は、法改正をすればあっという間に広げることができるわけで、今までから加藤大臣は拡大は考えていないと言っていますけれども、例えば安倍総理も、消費税増税延期は考えていないと言っていながら、気が変わったといって延期をしたり、ころころ変わられるんですよね。だから、考えている、考えていないじゃなくて、今後、高度プロフェッショナルの業種が拡大することや年収要件が引き下げられて拡大することは、可能性としてゼロなのかゼロでないのか。イエスかノーでお答えください。

加藤国務大臣 最初に、委員から不誠実ということでレッテルを張られましたけれども、私としては、政府の立場で、最大限この法案の審議を真摯にいただけるよう、誠実に答弁をさせていただいているということをまず申し上げたいと思います。

 それから、今委員お話しの資料ですが、これは、どういうニーズが労働側にあるかということを出してくれということで出したのでありますから、当然そういったものが反映されているということでありますので、ちょっと、我々が出した、あるいは出してほしいという趣旨と、もし違いがあれば、そこは我々の方でまた対応させていただかなきゃならないというふうに思います。

 それから、法案の可能性云々ということで、一般論でお話がありましたけれども、例えば、我々、スタンスとして、今回について、どういう業種にするのかということについても考え方を法案に書かせていただき、また、年収要件についても法案に書かせていただいているわけでありますから、我々としてその考え方を変えるつもりはないということを、ここで明言をさせていただいているわけであります。

山井委員 案の定、可能性はゼロということは、あれだけ言ったのに答えられませんでしたね。ということは、現時点では変えるつもりはないといっても、将来的には、過去の例が物語るように、派遣法が全面的に解禁をされた、最初は小さくだったけれども全面的に解禁されたし、有料職業紹介も、千二百万から翌年には七百万に下がった。ということは、一千七十五万の高プロも、あっという間に六百万、七百万に変わる可能性があることが今までの事例であるということを申し上げたいと思います。

 それで、この高プロ、なぜ私たちが、過労死がふえる、人が亡くなる法案だと恐れているかというと、過重な業務を、ブレーキをかけるブレーキがないんですね。

 まず、今までの最大のブレーキは労働時間だったんです。ところが、このきょうの配付資料にありますように、史上初めて労働時間を把握しなくてもいい。九ページ、今まで、管理監督者でさえ、裁量労働制でさえ、深夜や休日の割増し賃金の関係で労働時間を把握していました。つまり、ブレーキがないんです。恐ろしいです。

 そのかわりに健康管理時間というものを今回導入するということなんですけれども、この健康管理時間、在社時間、会社にいる時間と事業外で働いた時間の合計だそうなんですけれども、初めての概念なんですね。おまけに、これは労災認定にも使われないけれども、在社時間と事業外で働いた時間だということなので、ここの配付資料にもありますように、今までは、労働時間を把握して、それに実際の労働時間をちょっとプラスアルファで積み上げていた。しかし、今回は健康管理時間、その中には自己研さんや食事や休憩も含まれているかもしれないで、わからない。

 そこで、まず加藤大臣にお聞きします。

 この健康管理時間、例えば月に二百時間でも違法ではないんですか。

加藤国務大臣 まず、健康管理時間については、もう委員も御承知のとおりでありますけれども……(山井委員「イエスかノーかで答えてください。説明はいいですから。全部私、もう理解していますから。聞いたことだけに答えてください」と呼ぶ)申しわけないんですけれども、やはり背景を申しながら説明をしなければ、先ほど委員がおっしゃったように、議事録……(山井委員「時間稼ぎはやめてください」と呼ぶ)時間稼ぎではなくて、さっき委員がおっしゃった、これは議事録に残るとおっしゃったわけでありますから、我々の立場もしっかり議事録に残させていただかなければ、それは答弁にならないのではないかということで……(山井委員「時間稼ぎはやめてください。端的に答えてください」と呼ぶ)

 先ほど申し上げましたように、健康管理時間が長期に及ぶ場合には、安全衛生法を改正して、例えば医師による面接指導を一律に罰則つきで義務づける、こういったことで抑止をさせていただいているということで、今委員御指摘の、長時間になって体を壊さないようにといった措置を盛り込ませていただいているということであります。(山井委員「ちょっと、委員長、注意してください。いいかげんにしてくださいよ、二百時間がオーケーかどうか聞いているのに。とめてください。失礼ですよ」と呼ぶ)

高鳥委員長 発言は委員長の指名を受けてお願いします。(山井委員「とめてくださいよ」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 いや、ですから、今言った百時間を超えたところで、これは本人の申出にかかわらず、医師による面接指導が行われ、そして、面接指導の結果として医師から意見が出され、そして、意見によって企業側が対応し、それでもなければ勧告をし、こういう一連の過程があるわけでありますから、そういったところに問題があれば、当然それにのっとって指導していく、こういうことであります。

高鳥委員長 山井和則君、質問を続けてください。(山井委員「二百時間は合法かどうか聞いているでしょう、最初から」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山井和則君。

山井委員 ほかの要件が合法だった場合、健康管理時間が月二百時間を超えているというケースは違法となりますか、合法となりますか、高プロの場合は。

加藤国務大臣 いや、ですから、違法、合法をおっしゃったお話ですから、そういった、先ほど申し上げた安全衛生法の問題が出てくれば、そういったことにおいて監督指導するということでありまして、仮に、今委員おっしゃるように、そういった問題もない、ほかに何もない、単なる健康管理時間だけが月二百、そういうことがあるのかどうかというのはありますけれども、単純にそれを言えば、それは、別にそれだけをもってして違法性を問えるものではないというふうに思います。

山井委員 最初からそれを言えばいい話じゃないですか。

 つまり、健康管理時間、在社時間と事業場外の労働時間が二百時間を超えても合法なんですよ。過労死合法化法案じゃないですか。これは人が死にますよ、二百時間もやったら。

 では、加藤大臣、続けて聞きます。

 この高プロで多くの仕事の業務を与えました。結果的に、後でわかったのは、その労働者が月二百時間残業をされていた。これは、ほかのことは全て合法だったという条件において、結果的に労働時間が二百時間、残業時間が二百時間になっていた。これは法律に違反しますか、しませんか。

加藤国務大臣 ですから、おっしゃっているのは、これはもともと、委員御承知のように、高プロには残業時間という概念がないので、多分、委員がおっしゃっているのは、労災の話をされておりましたから、その実労働時間というんでしょうか、それが四十時間プラス百であれば百四十時間を超えているということでありますけれども、それに対して、その百四十時間を超えるに至った背景というのは当然あるわけでありまして、さんざん答弁させていただいているように、実際に今回、省令も含めて担保する中において、例えば残業命令に近いような話があれば、もともとこれが適用されないとかいったことを一個一個チェックをしていくということになるわけでありまして、今委員がおっしゃるように、それを全部飛ばしたところでという話であれば、さっき申し上げたことになるわけであります。

山井委員 さっき申し上げたこととは、具体的に言ってください。

加藤国務大臣 ですから、それだけをもってすれば、直ちに違法ということではないわけですが、ただ、さっき申し上げておりますように、そういうものが続いているということにおいてはさまざまな問題が当然出てきているわけでありますから、そうした問題があれば、それを一つ一つ指導したり是正したりさせていただく、こういうことになるわけであります。

山井委員 いやあ、本当に怖い働き方です。月二百時間残業をしても違法にならない、月二百時間の健康管理時間でも違法にならない。過労死を減らすどころか、過労死しても違法にすらならないんじゃないですか。これは本当に死にますよ、人。

 今まではなぜブレーキがかかっていたかというと、そういう働かせ方をしたら、残業代を払わせないとだめだ、そして、安全衛生、安全配慮義務違反になって裁判で負ける、大変な問題になるからです。

 しかし、今もある方からやじが出ましたが、好きで働いているんだったらいいじゃないかと。結局、高プロって、そう言われちゃうんですよね。これは過労死の認定すら受けられなくなる。

 例えば、ここにありますように、私、この間、弁護士の方々とも相談しましたけれども、結局、今回、もし過労死になっても、今やじがあったように、好きで働いているんだからということで、これは使用者側に責任は問われない。おまけに、今までは少なくとも労働時間が把握されていて、それが正しいかどうかのチェックだったんです、プラスアルファで。ところが、これからは、労働時間自体がチェックされていないから、労災認定が受けられる可能性は、高プロの場合は極めて低いというふうに、弁護士の方々もおっしゃっておられます。

 おまけに、そのときに、使用者側といっても、過労死でお亡くなりになった方々の話を聞かせていただきましたけれども、例えば、実際お亡くなりになった過労死の御遺族の方々は会社からこんなことを言われているんですよ。長時間労働は会社が命令したのではない、勝手に働いて勝手に死んだ、会社に責任はない。今の与党からのやじと全く一緒じゃないですか。高プロになったら、今でさえ、勝手に働いて勝手に死んだ、会社に責任はない、長時間労働は会社が命令したのではない。でも、業務量が多かったら、そうしないと仕事が終わらないんですよ。

 これは、加藤大臣、結局、今も、何年かかってでも、例えばここにいる方々は労災認定を受けるのに数年かかった、御遺族が、ない証拠を得ようとして必死に頑張った。例えば、先ほど、SEも、システムエンジニアもこの高プロの対象になるかもしれないと言っていたけれども、ある方は、労災認定、何度も却下された、でも、幸いにも、勇気あるすばらしい同僚のSEの方が労働時間を証言してくださったから何とか労災認定がとれた、しかし、同僚の証言がなかったら労災認定も受けられなかった、それが今の現実なんですよ。

 にもかかわらず、この高プロというのは労働時間も把握していないわけですから、労災認定、極めて今までより受けにくくなると、大臣、思われませんか。

加藤国務大臣 先ほど安全配慮義務の話がありましたけれども、今回の法案では、対象となる方の健康確保について、労働安全衛生法において使用者に重い責任を課しているということでありますから、高プロだからといって、労働契約上の使用者の安全配慮義務がなくなるということにはならないんじゃないかというふうに思っているところであります。

 それから、労災認定については、今お示しをいただいておりますけれども、これは基本的に、そうした申請があれば、私どもにおいて、これまで申し上げておりますように、タイムカードとかパソコンの使用記録とか、そういったものを含めて労働時間を把握をして、それに基づいて認定をしているということでありますから、その点においては、もちろん、そういった各種記録をしっかりと保存をしておくとか、これは非常に大事なことだというふうに思いますけれども、そういったことをベースにして認定をしていくという意味においては、通常の労働の場合にも、もちろん労働時間というのはそこに記載がされている。高プロの場合には健康管理時間ということにはなりますけれども、それをそのまま労災認定では採用するわけではなくて、それらももちろん参考にしながら、今申し上げたようなデータ、あるいは、先ほど委員のお話がありましたけれども、同僚の方のお話、それらを含めて労災の認定等をやらせていただいているということであります。

山井委員 申しわけないけれども、机上の空論ですね。きょうも来られている御遺族の方々は、いざ労災申請したら、好きで働いていたんでしょう、そして家庭内に問題があったんじゃないんですかといって、長時間労働を使用者側はほとんど認めてくれないんですよ、お酒を飲んでおられたんじゃないですかとか。本当にハードルは非常に高いんですね。

 特に高プロではどうなるか。いや、任せていましたから労働時間知りませんよ、任せていましたから、そう言われますよ。何か証拠を出してください、証拠もありませんよ、そう言われますよ。そうやったときに、御遺族が労働時間を割り出すのは至難のわざです。今まではまだ、労働時間を管理監督者でさえ今までは把握していました。しかし、今度は把握義務がないんですから、知りませんよ、労働時間なんかわかりませんよ、証拠もありませんよと。御本人が好きで働いておられたと言われたら、これは泣き寝入りする危険性が非常に高いんです。

 そこでお伺いしたいんですが、先ほど長妻委員も質問されていましたけれども、きょうの配付資料に出ておりますように、七ページ、使用者が高プロ対象労働者に対し、徹夜しないと完了できないような分量の業務を与える場合、これについても何ら禁止されていないんですね。これについては、ここの厚労省の回答にあるように、省令において働く時間帯の選択や時間配分は労働者自らが決定する、こうですけれども、これを省令に書かれるんでしたら、罰則はあるんですか。もし徹夜しないと完了できないような分量の業務を言って省令に違反した場合、これは罰則に何か問われるんですか。

加藤国務大臣 その場合には対象業務にならないということでありますから、対象業務にならないということになれば、通常の働き方ということで、それにのっとって対処される、こういうことであります。

山井委員 加藤大臣、本当にそんな答弁でいいんですか。

 もう一回言いますよ。高プロが導入された、徹夜しないと完了できないような分量の業務を与える場合、山ほどありますよ、これは。そうしたら、そのことを言ったら、その時点で高プロから外れる。本当ですか。いいかげんな答弁しないでくださいよ。あり得るに決まっているじゃないですか。あり得るに決まっているじゃないですか。何を言っているんですか。

加藤国務大臣 いやいや、今委員から、省令違反があればとおっしゃったわけでありますから、省令違反があれば適用されないということを申し上げたということであります。

山井委員 いやいや、だから、ということは、徹夜しないと完了できないような分量の業務を与えたら、それでもう高プロは外れる、本当にその答弁でいいんですね。これは大事な答弁ですよ。

加藤国務大臣 ですから、委員の御質問が、省令を定め、それに違反したらどうかという御質問だったので、そうなったら適用外になりますよということを申し上げたということであります。

山井委員 答えてください。使用者が対象者に対して徹夜しないと完了できないような分量の業務を与えた場合、与えてしまった場合、これは高プロ違反になって、高プロから外れるんですか、外れないんですか。イエスかノーで答えてください。

加藤国務大臣 ですから、それは具体的にどういう指示に基づくのかということでありまして、例えば、もともと、この高プロの対象業務というのは、時間と成果が通常高くないという業務でありますから、そして、今委員御指摘のように、この時間やらなきゃできなくて、この時間かかりますよということになれば、それが対象業務ということになっているのか、あるいは、もともと合意をしていた職務の内容に合致をしていくのか、そういった点においてしっかり見ていかなきゃならないんだろうというふうに思います。

山井委員 つまり、それで高プロが外れるわけではないんですよ。

 例えば、野村不動産。違法な営業に十五年間も、二〇〇三年から二〇一七年までやっていて、十五年間、五百人も違法していて、厚生労働省は一切指導もできなかったんですよ。そういう裁量労働制でさえ、違法であっても、十五年間、五百人がやっても発見できなかったのに、こういうことをやったら高プロから外れますとか、全く説得力がありません。全く説得力がありません。ということは、もうやりたい放題なんです、この世界に入っちゃったら。

 それで、あと、先ほど驚いたのは、SEも入る可能性があるということで、じゃ七ページ、この七ページの中に、高プロの業務の中に、例えばコンサルタントがあります。コンサルタントの中には、例えば委託研究とか研究機関とか法人営業とか入ると思うんですね。

 このコンサルタントなどに関して、法人営業、研究調査は、例えば、どこかからの委託研究を年間十本とってきてください、そうしたら千七十五万円の高プロになります、こういう法人営業ですね。こういうのは入りますか、入りませんか。

加藤国務大臣 その今おっしゃる営業というのは、例えば、これから具体的な中身は、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認める業務とこれは法律に書いてありまして、それを踏まえて省令で決めるということになり、そのためには労政審での議論をいただきますが、その前提としては、労政審の建議において、今お話があったコンサルタントの業務ということであれば、これは事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務というふうに書いてあるので、今委員おっしゃった、その営業ということ、それが……(山井委員「研究やコンサルタントの営業ですよ」と呼ぶ)研究やコンサルタントの営業というのは、ちょっとイメージが湧かないんですが、こういうことをコンサルタントしてあげますからどうですかという、これは通常対象にはならないんじゃないかというふうに思いますけれども。

山井委員 例えばコンサルタントで、いろんな法人のコンサルタント十社ぐらいをやる、あるいは研究、委託研究、厚生労働省でもいろんな民間企業でも、そういうところの研究開発の委託業務を十件受ける、そういうふうな仕事は対象に入りますか、入りませんか。法人営業です。

加藤国務大臣 というのは、要するに、そういうコンサルタントを、コンサルタント業務を委託しませんかとか、研究開発業務を委託しませんかと言って回るという、まさに営業そのものということでありまして、それは通常これには該当し得ないものだというふうに思いますけれども、いずれにしても、具体的な中身については、先ほど申し上げた、どういうものにするかはこれから議論をさせていただくということになるわけであります。

山井委員 いや、はっきり答弁してください。営業的なものは一切入らないのか入るのか。法人営業的な顧客があるようなものは、顧客のあるようなコンサルタントや研究開発業務、営業と呼んでいる会社もあります、そういうのも入るのか入らないのか、イエスかノーで。法案審議やっているんですから。

加藤国務大臣 いや、ですから、通常、コンサルタント業務というのは、相手、具体的な人がいなければ当然コンサルタントできないわけでありますから、相手がいないコンサルタントというのは多分ないんだろう、相手が想定していないコンサルタントというのは多分ないんだろうというふうに思いますし、その営業の、営業といっても幅が広いわけでありますから、いわゆる単純な営業、これを売りますとか、このサービスを売りますとか、これは到底対象にはなり得ないというふうに思います。

山井委員 結局、SEや単純でない法人営業も入り得る、これは本当に過労死がふえてしまいますね。

 そうしたら、一千七十五万ということですけれども、例えば十件年間コンサルタントをやる、そういう業務量で一千七十五万をやっていました、ところが、最後になって、いや、もう体がきつくて無理です、八件しかことしはコンサルできませんでしたという場合は、これは高プロから四月にさかのぼって外れるんですか。それとも、十件の約束が八件までしかできなくても、約束どおり千七十五万は高プロとして払われるんですか。どっちですか。

加藤国務大臣 その約束という意味があれですけれども、職務として、具体的に、じゃ十社分ですか、十社分のコンサルについて、それに対応するようなアウトプットを出してほしいという話に対して八件しかなかった、こういう話なんだろうというふうに思います。

 ただ、これはもともと、職務を受けて、それを実施するということで、高度プロフェッショナル契約といいますか、ということを結んでいるわけでありますから、当然、そこで約束をした金額を、少なくとも千七十五は支払うということでありますから、千七十五万は少なくとも支払っていただかなければならないということであります。

山井委員 そうですか。ということは、成果主義じゃないんですね。本当に、その答弁でいいんですか。

 はあ、十件、コンサルタントするという約束だったけれども、体調とか、もう労働時間が長いから、五件でしたとなっても、千七十五万円は、そうしたら、業績、成果にかかわらず、契約した以上は、千七十五万は払われるということですね、加藤大臣。

加藤国務大臣 それは、高プロの要件としてそうなっているわけでありますから、そのときに千七十五万を払うということを約束をし、それを実施していただかなければ、この高プロとしての要件は満たさない、こういうことになるわけです。

山井委員 さまざまな疑問がたくさんありますけれども、私たちの願いは、とにかく、これは過労死防止法違反であります。法律というのは人の命を守るものでありますし、人の命を奪う法律を、私たちは強行採決は許すわけにはいきません。

 何よりも、与党が、野党がというより、一番の当事者である過労死の御遺族の方々が、ここにありますように、人の命を奪う、過労死をふやす法案だということをおっしゃっているわけですから、何としても、この高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度は削除をしてもらわないと、繰り返し言いますけれども、人の命を奪う法律の強行採決だけは絶対にだめですし、過労死の御遺族の方々の大反対を押し切って強行採決をするのは絶対やめていただきたい。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 岡本です。

 大臣、いろんな議論をここまで聞いてきて、きょうの午前中ちょっと気になったことがあるから、一点確認だけしたいんです。大臣じゃなくていい。局長でいいです。

 この高プロの制度というのは、年一千七十五万円、これが一つの要件になりますけれども、これというのは、月単位、場合によっては日単位で割り戻して高プロとしての契約が結ぶことができる、こういう制度ですか。

山越政府参考人 例えば、高プロで働く契約期間が一年の半分だということであれば、一千七十五万円、これは額は決めるものでございますけれども、最低額、支払う額については、案分するということかというふうに思っております。

岡本(充)委員 ということは、あれですか、もっと短い、何日単位でも有期雇用契約だったらあり得る、こういうことですか。

山越政府参考人 高プロは、職務を明確に定めていただいて契約するものでございまして、その期間に成果を上げていただくという制度でございますので、そういった契約が通常ふさわしいものとしてあるかどうかということはあると思いますけれども、もう少し短い単位で契約すること自体が法律上、制限されているものではないというふうに思っております。

岡本(充)委員 違う。もう少しじゃないですよ。すごく短くなって。

 それで、大変気になるのは、短くなったら百四日の休日はどうなるんですか。

山越政府参考人 この期間、百四日の休日でございますけれども、それも案分して、最低限そうしていただくということが必要かというふうに思います。

岡本(充)委員 例えば、これまでも私は聞いてきていますけれども、四十八日連続勤務することは可能ですね、高プロの制度の中で。四十八日のもし有期雇用契約であった場合には、四十八日間連続勤務は可能ですか。それとも、何日休ませなきゃいけませんか。理屈上、四週四日ですよ、だから最初の四日休ませて四週働いて、次の四週、最後四日、これは可能なんです。四十八日、いけると思いますけれども、四十八日雇用契約の場合、何日休ませなきゃいけませんか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 今、四十八日でございますけれども、その場合でありましても、休日を絶対確保していただく日数については案分……(岡本(充)委員「何日ですか」と呼ぶ)ちょっと今直ちに……(岡本(充)委員「じゃ、計算してください」と呼ぶ)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 年間百四日を案分するということでございまして、四十八日ということでございますと、計算すると十四日、最低ということかというふうに思います。

岡本(充)委員 そうすると、これは四週四日以外に十四日なんですか。四週四日は、これは別途あるんじゃないんですか。絶対、四週、だって、四十八日の雇用契約なんですから、その四日分も足されて十八じゃないの、正確には。

山越政府参考人 百四日と四週四休の関係でございますけれども、四週の間では必ず四日休まなくちゃいけない、一年間の間で百四日休まなくちゃいけないということでございますので、百四日の方がこれは日数の割合としては多くなりますので、十四日ということで計算されることになるのではないかと思います。

岡本(充)委員 いずれにしても、短い労働契約も可能で、短期で有期雇用契約を結んで、割り戻した賃金だけ払うからこの期間だけ集中的に働く、こういう話になるともう大変なことだと思いますね。

 私、後で高プロをやりたいんですけれども、その前にちょっとどうしても確認したいから、労働時間の上限規制についてちょっと確認しておきます。

 労働時間の上限規制の適用除外となっている自動車の運転業務について、過労死の率が非常に高いと承知していますけれども、政府として、業界の働き方の現状をどのように捉えているか。また、できる限り早期に一般則を適用していくべきではないかと考えているんですが、一般則を適用するとして、その内容で、自動車運転業務の過労死防止対策として十分だというふうに考えているか、答弁を求めます。

山越政府参考人 現在の自動車運転業務につきましては、大臣告示でございます労働時間の延長の限度に関する基準の適用除外となっておりまして、一般と異なる取扱いになっておりますけれども、今回の法案では、長年のこの取扱いを改めまして、罰則つきの上限規制を適用することといたしておりまして、このことは大変大きな前進と考えております。

 一方で、自動車運転業務については、現に、他の産業に比べまして労働時間が長い実態にございます。その背景には、取引慣行の問題といった、個々の事業主の努力では解決できない問題があるというふうに考えております。

 この時間外労働の上限規制を実効あるものとし、できる限り長時間労働を是正していくためには、荷主や発注者を含めた取組が必要であるというふうに考えております。

 自動車運転業務につきましては、関係省庁連絡会議におきまして、自動車運送事業の働き方改革に関する行動計画を早期に策定、公表することといたしておりまして、必要な関連施策の見直し、支援施策を行っていくことといたしております。

 具体的には、荷待ち時間あるいは再配達等の削減による長時間労働の是正、それからパレット化による荷役の機械化などの業務の効率化、そういったことに取り組むことにしております。

 猶予期間中におきましても、こうした長時間労働を是正するための環境の整備に関係省庁とも連携して取り組みまして、まずは、年九百六十時間の上限規制に円滑に対応していただくように対応してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 なかなか本当に厳しい仕事なんですよ。自動車の運転業務に関して、バス、タクシー、トラック業界の労使代表と厚生労働省との合意の上で、一九八七年に制定した改善基準告示があると承知していますけれども、法改正に合わせて、こちらも改正法の趣旨に合わせて見直していくつもりがあるのか、それについても答弁を求めます。

山越政府参考人 今申し上げましたように、自動車の運転業務につきましては、まず、一般則の施行後五年後の、年九百六十時間、その上限規制の導入について進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、働き方改革実行計画の決定に当たりましては、できるだけ月四十五時間、年三百六十時間の原則的上限に近づける努力が重要であるという合意もなされておりますので、この合意を踏まえまして、今回の労働基準法の改正におきましては、この法律に根拠規定を設けまして、新たな指針を定めまして、使用者あるいは労働組合等に対しても必要な助言指導をしていくこととしております。自動車の運転業務も含めて、長時間労働の削減に向けた労使の取組を促していく考えでございます。

 他方で、今、現行の改善基準告示につきましては、これは、自動車運転者の業務の特性も踏まえまして、手待ち時間も含めた拘束時間の上限でございますとか連続運転時間などにつきまして、運送事業者が遵守すべき事項を定めたものでございます。

 これにつきましては、これまで、改善基準告示を遵守するため、私どもも監督署を通じまして監督指導等に努めてきたところでございますし、国土交通省と連携した取組も進めてきたところでございます。引き続き、こうした取組を着実に実施していきたいと思います。

 そして、一般則の施行後五年後の上限規制の導入に向けて、この改善基準告示のあり方につきましては、国土交通省とも相談し、検討してまいりたいというふうに思います。

岡本(充)委員 確認です。ということは、今のこの法が成立したとしても改善基準告示は変えない、五年後に変えることがあり得る、こういう答弁ですか。

山越政府参考人 まずは、現行の改善基準告示、その遵守に向けての取組を着実に実施してまいりたいと思います。

 そして、この改善基準告示のあり方につきましては、今後、国土交通省とも相談をいたしまして、どうするか検討していきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、渡辺(孝)委員長代理着席〕

岡本(充)委員 これはなかなか冷たい話ですね。トラックの運転手、本当に労災は多いわけですよね。やはり、どういうふうにするか、これは大変重要な話ですよ。それを、今回、法案の中でも先送りするだけでなくて、告示も見直さない。これでは、やはり過労死が減らないんじゃないかという気がするんですね。

 大臣、ちょっと、見直すことも含めて考えるぐらい、答弁してあげてくださいよ。トラックの運転手さん、みんな見ているよ。お願いしますよ。

加藤国務大臣 先ほど局長からは、今の取組をしっかりやるとともに、一般則の施行五年後の上限規制の導入に向けて、導入に向けて、この改善基準告示のあり方について国交省と相談、検討してまいりたいと申し上げたわけでありますから、五年後に見直すんじゃなくて、これを導入していくということに向けて、これをどうあるべきかということを議論していくということでありますから、別に、五年後まで待つとか、そういったことを言っているわけではありません。

 今申し上げた今のプログラムというか流れがありますから、それにのっとってしっかり進むように、この改善告示についても、あり方についても国交省と相談して検討していきたい、こう思います。

岡本(充)委員 本当に、早くこれは検討するべきだと思いますよ。そして、結果を出して、実際に実施するのは大分先になるんですから、ぜひそれはお願いしたいと思います。

 続いて、先ほどからずっと出ている産業医の面接指導、長時間労働の話に今度また戻るんですけれども、産業医の面接指導という話が出ていますが、産業医の面接指導を受けると長時間労働の負荷はどのように変わるんでしょうか。産業医の面接指導を受けると一体どういうふうにして過労死を減らすことにつながるんでしょうか。このロジックをちょっと説明してもらいたいんです。私もいろんな会社の産業医をやっていますよ。どうしてこれが過労死を減らすことにつながるのか、正直、ぜひ答弁いただきたいと思いますが、明確にお願いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 産業医の面接指導につきましては、平成十七年の法律改正で、長時間労働の面接指導の制度ということで導入されて、十年以上たっておるわけでございます。

 この面接指導というのは、単に面接指導をするということではなくて、その面接指導の結果、必要な措置というところにつなげていくというのが本来の趣旨でございます。

 そういうことで、医師の意見を聞きつつ、長時間労働者の状況、これは心身の状況それから業務の状況も含めて総合的に問診等の形で医師の面接指導を行い、就業の調整をしていただく。そういうふうに実際の就業の仕方を、過重な労働の負荷がかかっている場合は、その過重な負荷がかからないように改めていただくというプロセスを動かすことによって、それを動かすことを通じて、長時間労働の改善、過重労働の負荷の改善が図られるという形になっております。

岡本(充)委員 だけれども、従業員の勤務環境を変えるのは使用者ですよ。医師が勤務環境を変えてくださいと言って、会社側から変えられないと言われたときには、どういう対抗措置が医師にはありますか。

田中政府参考人 労働安全衛生法十三条第三項に基づきまして、産業医には勧告権というものがございます。勧告につきましては、事業者がそれを尊重する義務がございます。

 この点については、この尊重ということについて、一昨年のこの委員会でも委員の御質問をいただきました。そういう御指摘も踏まえまして、この勧告の内容につきましては、今回、事業者から衛生委員会に報告をするような義務を、今回の法律の改正とあわせて省令で措置をしたいというふうに考えております。

 これを通じまして、衛生委員会で労働時間の状況等を総合的にまた調査審議しまして、過重労働の状況があれば事業者に対して必要な意見を述べ、その衛生委員会の調査審議の結果を踏まえて事業者が改善を行う、そういうプロセスになると考えております。

岡本(充)委員 産業医に、要するに責任を投げて、結果として、会社側が、若しくは使用者側が責任回避するロジックをつくるためにあるわけじゃないんですよ。

 私が本当に思うのは、一つ問題点は、会社側が、そんなことを言う産業医は解任だと言った場合、対抗する措置は産業医にありますか。

田中政府参考人 産業医が、その専門的な立場から、客観的な判断のもとに事業者に意見を言うことが非常に大事であります。それを担保するために、現在は、省令で、産業医がそうした観点から事業者に勧告を行ったことを理由として、産業医に対し、事業者は解任その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないという規定がございます。これは努力義務でございます。

 ただ、この点についても委員からも以前指摘がございました。

 この点につきましては、今回、これもこの法律の改正に伴う省令の措置ということになりますけれども、仮に事業者が産業医を解任した場合、あるいは産業医が離任した場合、これについては、その旨とその理由を衛生委員会に報告しなければならないという報告義務を課すことにいたしまして、これは労政審で一致した意見をいただいたところでございますけれども、そういう形で、産業医の判断とその解任の関係について、そのような不利益な取扱いにならないように担保をしたいと考えております。

岡本(充)委員 全然だめなんです。それではやはり、安全衛生委員会に報告しますと言うけれども、安全衛生委員会も、いろんなところで私、出ていますけれども、そこで報告を受けたから、じゃ、おかしいじゃないかといって安全衛生委員会が使用者に詰め寄るんですか。それはないですよ。あり得ないです。それから、もっと言ったら、産業医が何らかの意見を言ったことをある意味不利益で取り扱ったかどうかわからないように、解任の理由は別でもつけられるんですよ。

 したがって、本当に産業医がきちっと意見が言える環境ができているのかということをもっと、私は政策として詰めるべきだと思う。そうじゃなければ、二百時間働いていたら産業医が言うんですよと大臣が答弁するけれども、これは産業医に投げている話ですよ、責任を。

 もっと言いましょうか。産業医がいる事業所で働いている労働者と産業医がいないところで働いている労働者、どっちが多いんですか。

田中政府参考人 基本的に産業医を選任する義務のある事業場は、常時使用する労働者の数が五十人以上ということでございます。その事業場の数というのは十六万程度と考えております。五十人未満の事業所になりますと、労災保険適用ベースですと全体で三百万を超えていますので、そういう意味での、事業所ベースでの数字で答えさせていただきますけれども、そういった差があると考えております。

岡本(充)委員 私は、だから、そういう意味で、もっと言えば、専任の産業医を選ばなければならないのは何人以上の会社で、何社ありますか。

渡辺(孝)委員長代理 時間をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺(孝)委員長代理 スタートしてください。

 田中安全衛生部長。

田中政府参考人 原則として専任の産業医を選任する義務があるのは事業所規模千人以上の事業所数ですけれども、二十六年経済センサスで千九百四十四事業所となっております。

岡本(充)委員 つまり、毎日いないんですよ。私が行っているところも、みんな、もちろん、私、専任でできないから、みんな非常勤ですよ。非常勤で行っているところがほとんどだと思いますよ。

 今言ったように、じゃ、長時間労働をしている労働者がいて面接指導を受けたいと言ったときに、その労働者はたまたまそのとき出張しているかもしれない。そうしたら産業医に会えない。そういうケースは間々あるわけですよ。

 そういう意味で、本当に長時間労働をしている人、例えば、さっきの、面接指導を受けさせなければいけない、二百時間だ、面接指導を受けさせようと言っても、産業医の来る日と労働者の勤務のタイミングが合わない可能性がある。そうすると、面接指導を受けさせる義務を、合理的な努力をしたけれども面接指導させられなかった、こういうケースが出てくることもあり得るわけです。そういう意味で、本当にこれが適切なのか。

 もっと言えば、小さな事業所でそもそも産業医を選任していないところで高プロを採用したらどうなるのか。そこはどうなるんですか、大臣。

田中政府参考人 確かに、産業医の選任義務につきましては五十人以上の事業場ということになっておりますけれども、労働安全衛生法十三条の二によりまして、五十人未満の事業場につきましても、健康管理等を担当する医師等を選任するよう努力義務を課しております。

 また、その努力義務の履行につきましては、国としても、産業保健総合支援センターなどでサポートをして、産業医の選任というところまではいけませんけれども、専門的な産業保健サービスを受けられる体制を五十人未満の小規模事業場についても整備するよう努力しているところでございます。

岡本(充)委員 高プロについてはどうですか。ちょっと答えていない。高プロについてはどうですか。

田中政府参考人 失礼いたしました。

 高度プロフェッショナル制度で、医師の面接指導につきまして、健康管理時間が百時間以上になった場合に医師の面接指導という義務が課されるわけですけれども、これにつきましては、五十人未満の事業所についても同様に義務が課されるということでございます。

岡本(充)委員 どこか近くの医者に行ってくれ、こういう話ですよね。そこは、労働安全衛生委員会との絡みがある人でもない、全く外部の人になるわけですよね。私は、これはまた機会を見つけてやりたいと思いますけれども、本当にこれが健康確保になるのかという強い疑いを持っています。

 それと、僕はきょうちょっともう一つ皆さんに聞きたいのは、先ほどの長妻さんの絵じゃないですけれども、過労死があった、過労死と本来なるべき、残念ながら亡くなられた方がいて、御遺族が自分の家族は過労死なんじゃないかといったときに、本当に時間が把握できるのかというのを随分この間やりました。

 もう一つ気になるのは、賠償が本当に取れるのか。これは、先ほどの長妻さんがやられたけれども、いろんな裁判例を見ていると、どうやら、最高裁の判決及びこれまでの裁判例、関係法令、通達及びさまざまな条理等からは、使用者がその雇用する労働者を過労死させないために負っている具体的な注意義務というのがある。これは、どうやら、いろいろ物の本を読んでいくと、適正労働条件措置義務、そして健康管理義務、適正労働配置義務、看護、治療義務、こういう義務があるというんですね。

 こういう義務は、当然、高プロの労働者に対しても使用者は負う、こういう理解でいいですか。

渡辺(孝)委員長代理 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺(孝)委員長代理 スタートしてください。速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 高度プロフェッショナルの対象者も、これは労働契約で働いておられるものでございますので、労働契約に基づく義務、こういったものは、使用者は負うことになると思います。

 具体的なその義務内容というのは、これは民事の話でございますので、ちょっと私、御答弁申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、労働契約上の使用者の義務は、高度プロフェッショナルの場合も負うことになるというふうに考えられるというふうに思います。

    〔渡辺(孝)委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(充)委員 例えば適正配置義務なんというのは、高プロの論理からいえば、適正配置は使用者に義務として課されないでしょう。どうですか。

山越政府参考人 いずれにいたしましても、高度プロフェッショナルであれ、一般労働者でありましても、これは労働契約上、使用者が負う義務というものがあると思いますけれども、その範囲がどうなっているかということについては、ちょっと私、承知をしておりませんので、御答弁はできないということでございます。

岡本(充)委員 労働基準局長ですよ、日本の。それが把握をしていないという話じゃいけないでしょう。

 だって、適正に配置する義務ということになったら、結局、就業場所等の変更等を指示しなきゃいけなくなりますよ、高プロの労働者に。そんなことはさすがにできないでしょう。したがって、これは、配置義務、本当に適正な配置をする義務は使用者に発生するんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 山越労働基準局長。

山越政府参考人 その関係で申し上げれば、医師の面接指導、その後の事後の措置というものがございまして、その中で措置ということをしていくということを労働安全衛生法上、規定しているわけでございまして、そういったことをしていくということにつきまして事業者が責任を負うということは、労働安全衛生法との関係では生じてくるというふうに思います。

岡本(充)委員 じゃ、これは労働基準法上の話ではない、確かに安全衛生法上の話かもしれないから、田中さんでいいよ。

 実際に、適正配置義務は、高プロの労働者に対して使用者はその義務を負うんですか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、先ほどお答えしました、医師の面接指導の後、その状況に応じて、必要と認められる措置を事業者が行う義務があるわけですけれども、その中に、今回、高プロの労働者につきましては、職務内容の変更等の項目を法律に明記をしておりますので、民事上の配置義務と完全に一致するかはちょっとここではわかりませんけれども、職務内容の変更ということになりますと、例えば、高プロから外す、外れてもらうということも含めて、あり得るのではないかと考えております。

岡本(充)委員 もう時間だからやめますけれども、職務内容の変更じゃなくて、適正配置をすること。

 要するに、少人数で、さっきの話、二十四時間やらなきゃいけないような仕事を業務命令しているんじゃないか。きのう僕は言いましたように、世界じゅうの市場を見ろ、こういう業務命令で、実質的に寝られないような仕事を与えていたら、これはいかぬでしょうという話をしたんですよ。そういうときに、内容を変えることと、何人で見るかですよ。それを五人、十人で見なさいというのなら見れるかもしれない。そういう意味で、適正に配置する義務とは違うんじゃないかということを私は指摘をして、この点についてぜひ明らかにしていただきたい。理事会にでもいいので、きちっと文書で答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 終わります。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 安倍総理は、二〇一六年の施政方針演説で、本年取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えでありますと発言しました。

 翌二〇一七年には、同一労働同一賃金を実現します、ガイドライン案を策定しました、その根拠となる法改正について、早期の国会提出を目指し、立案作業を進めますと言いました。

 そして、働き方改革国会と言われる今国会、施政方針演説では、長年議論だけが繰り返されてきた同一労働同一賃金、いよいよ実現のときが来ました、ここまで強調されました。

 まさに総理肝いりの案件であり、労働者の中にも期待はありました。

 大臣に伺いますが、法案にはその同一労働同一賃金の名前さえないのはなぜですか。

加藤国務大臣 今、高橋委員、総理の施政方針演説で言及をいただきました同一労働同一賃金は、同一企業、団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指そうというものでありまして、そういった意味において、総理は、例えば百九十三回の国会でも、不合理な待遇差を個別具体的に是正するということを申し上げているわけでありまして、それについて、今回、この中身について、もうこちらから申し上げませんけれども、そうした中身を入れているということでありまして、法案には同一労働同一賃金という言葉は使っておりませんけれども、これらの改正内容が、まさに同一労働同一賃金の実現、すなわち、正規と非正規で働く方の間の不合理な待遇差の改善を目指すというものであるということであります。

高橋(千)委員 労政審の建議にも、同一労働同一賃金の実現に向けてとちゃんと銘打っていたわけですよね。それででき上がったものが要綱が資料の一枚目にあるわけですけれども、それがない。

 ないということは、同じなんだ、今おっしゃっている、不合理な差をなくすんだということで、同じ意味なんだと言っているのか、あるいは、我々がイメージしている以上に、もっと広い意味で正規と非正規の違いをなくすんだとおっしゃっているのか、曖昧になっているような気がしますが、いかがですか。

加藤国務大臣 まさに今委員が出していただいたこの資料の上の方の箱書きにありますけれども、企業内にある正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の実効ある是正を図っていくということが、今回の法案の目的であります。

高橋(千)委員 私は、何一つ変わっていないと思います。総理が何回も実現しますと言って、私たちとともに運動している労働者の皆さんも、もしかしてと期待をしていました。だけれども、ふたをあけてみたら、パート労働法に有期雇用契約労働者を加えたこと、同じ趣旨を派遣法に盛り込んだだけじゃありませんか。

 パート法第九条、差別的取扱いの禁止の対象となり得るパート労働者はどのくらいなんですか。全体のパート労働者数と割合で答えてください。

宮川政府参考人 お答えさせていただきます。

 全体のパート労働者、いわゆる一週間の就業時間が三十五時間未満の者という労働力調査のものでございますが、千六百八十三万人でございます。

 今回、平成二十八年パートタイム労働者総合実態調査によれば、正社員とパートの両方を雇用している事業所において、職務、これは業務の内容及び責任の程度でございますが、職務が正社員と同じであり、かつ、人事異動等の有無や範囲も正社員と同じパートの割合は一・五%となっているところでございます。

高橋(千)委員 そうなんですよ。一・五%、余りに少なくないですか。これはパート労働法を議論したときにも、一体何人がその対象者になるのよという話をしていました。そのころよりも少ないような気がします。全然変わらないじゃないですか。違いますか。

宮川政府参考人 今回の法律改正は、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者につきまして不合理な待遇差、差別的取扱いを禁止するということでございまして、具体的には、現行パート労働法におきます八条の均衡規定と九条の均等規定。今先生の御指摘になりました、いわゆる差別的取扱いの禁止、九条につきましては先ほど申し上げた数字が対象となりますが、第八条、これは全てのいわゆる非正規雇用労働者が対象となるところでございます。

高橋(千)委員 今、全てのパート労働者が対象になる、有期も入りますからね、という意味でおっしゃったと思うんですけれども、今、パート法にある八条、不合理な待遇の禁止、これを均衡処遇と呼ぶと。九条、差別的取扱いの禁止、これを均等待遇と呼んでいるわけですよね。

 だけれども、今までは、全てのとおっしゃったように、短時間労働者の待遇の原則としていたわけです。それが、不合理な待遇の禁止に変わったのはなぜでしょうか。また、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法第二十条を削除して、パート法の八条に含めました。これまでとどう違いますか。二つを一つで聞いています。

宮川政府参考人 御指摘の今回の見出しの問題で、現行のパートタイム労働法八条の見出しは、御指摘のとおり、短時間労働者の待遇の原則となっておりまして、また、現行の労働契約法第二十条の見出しは、期間の定めがあることによる不合理な待遇の禁止となってございます。

 現行のパートタイム労働法は、第八条から第十二条までが待遇に関する規定でありますが、同法九条から十二条までの規定は一部の短時間労働者又は一部の待遇を対象とすることに対しまして、パートタイム労働法第八条は全ての短時間労働者の全ての待遇に関する規定であることも踏まえ、現行規定では、短時間労働者の待遇の原則としているところでございます。

 今回の改正におきまして、労働契約法第二十条を新しいパート・有期労働法第八条に統合することといたしておりますが、改正後の新第八条の見出しにつきまして、この第八条が不合理な待遇差を禁止するものであるという趣旨がより明確になるように、現行の労働契約法第二十条に倣いまして、不合理な待遇の禁止としたものでございます。

 また、二問目の方を引き続き説明させていただきます。

 パート法に有期雇用労働者が組み込まれ、労働契約法二十条が移されたわけでございますが、今回の改正によりまして、現行の労働契約法は、パート・有期労働法では第八条に統合されます。現行パートタイム労働法第九条の規定については、有期雇用労働者も新たに対象となる。

 このほか、今回の改正法案によりまして、有期雇用労働者につきましても、本人の待遇に関する説明、それから正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等に関する説明が事業主に義務づけられます。さらに、有期雇用労働者に関する均等・均衡待遇規定について、行政による助言指導などや、裁判外の紛争解決手段、いわゆる行政ADRの対象とする、こういうような形になるわけでございます。

高橋(千)委員 まず、八条にこれを入れたことによって、不利益な条件の禁止をより明確にするものだとおっしゃいました。でも、全ての短期間、短時間労働者の待遇を均衡待遇ということで改善していこうというときに、逆に、この不利益な条件の禁止ということで三要件を張りつけて、かつ、その他の事情、これは職務の成果とか能力とか経験ということが例示をされていますよね。これは結果として、不利益な条件の禁止に当たるものが狭められたと言えませんか。

 それと、労契法の場合は、これまで均衡処遇しかありませんでした。それが禁止規定に入る、均等待遇に入る、それはあると思います。だけれども、やはり労契法の二十条を根拠として戦っている人たちがいるわけです。日弁連などは、これによって私法的効力が後退するのではないかと心配しております。それについて、そんなことはない、だとすれば、それを明確にしていただきたい。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案におきましては、パートタイム労働法第九条を改正し、有期雇用労働者も新たにその対象とすることといたしました。この規定は、職務の内容及び職務の内容、配置の変更範囲が通常の労働者と同一である有期雇用労働者に対して、全ての待遇の差別的取扱いを禁止するものでございます。

 また、今回の改正では、現行の労働契約法第二十条をパート・有期労働法第八条に統合することとしておりまして、この改正後のパート・有期労働法第八条の規定におきましては、現行の労働契約法第二十条と同様に、個々の待遇によっては、職務の内容や職務の内容、配置の変更範囲が異なる場合であっても、相違を設けることが不合理であると認められ、同一の取扱いが求められるものもあると考えられるところでございます。

高橋(千)委員 今のお答えは、私法的効力が弱まるものではないということでいいんですね。

宮川政府参考人 私どもの考えとして、このパートタイム労働法に統合するということでございますので、法的効力に変化はないものと考えております。

高橋(千)委員 確認させていただきました。

 これまで、同一労働同一賃金については、田村元厚労大臣が何度も答弁をされておりまして、欧米の職務給と比べ、日本は職能給だから単純な比較はできないということを何度も何度もおっしゃっておりました。そのことをこの間ずっと議論してきたわけですよね。検討会もやり、労政審もやり、そういう中で、結果として乗り越えられていなかったのかなと思うんです。だけれども、私は、やはり現実に裁判が多数行われていて、労働者の現場の中、実態の中にこそ同一労働はあるんだということを言いたいなと思うんです。

 資料の二枚目を見てください。

 これは見出しがまずちょっと衝撃的な見出しですけれども、「正社員の待遇下げ格差是正」と。ちょっと大変な見出しですよね。朝日の四月十三日付です。

 二十四万人を擁するJP労組が、ことしの春闘で、組合員の半分を占める非正社員の待遇改善を図るために、正社員だけに認められている扶養手当や住居手当など五つの手当を非正社員にも支給するように求めたのだそうです。それに対して会社側は、一部の正社員の住居手当を廃止、これは対象になる人が五千人いらっしゃいます、寒冷地手当の削減を提案してきた。それで、要するに、正社員を下げて非正規に近づけた。これで同一労働同一賃金だと言われたらたまりませんよねという話なんですよ。

 めくっていただいて、資料の三枚目。

 通信文化新報、四月三十日付。「注目される最高裁の判断」という論説がありますけれども、まさに今私が質問した労契法二十条の法案先取りのような訴訟が今相次いで争われているということが三段目あたりに紹介をされています。でも、何か法案に合わせたのかどうかわからないんですが、最高裁の判決は六月一日に出るそうであります。

 その中で、今言った日本郵政の非正規労働者の起こした裁判、裁判の方が先ですよ、言っておきますが、について、下から二段目に書いています。東京地裁、大阪地裁はそれぞれ、住居手当の、東京は六割払いなさいと言った、大阪は十割払いなさい、こういうふうな判決を出しているわけなんです。もちろん、住居手当だけではなく、さまざま、全く認められなかったものもあるわけですけれども、そういうのがあったんです。

 でも、これは地裁だから、これから争うわけなんですよね。ところが、春闘という形をもって手当をなくしちゃったといったら、比べるものがなくなっちゃって判決の効力が失効してしまう、そういうことに今なっているわけなんですね。

 それで、ここから先は一般論で大臣に伺いますが、このように、正社員の待遇を下げて非正規労働者と均等待遇にするというのは法の趣旨とは違うと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今、委員から一般論としてということでございますので、ちょっと個別の件に関してはコメントは差し控えたいと思いますけれども、まさに一般論としては、同一労働同一賃金の目的は非正規雇用労働者の待遇の改善であり、不合理に低くなっている方の待遇の改善を図るわけでありまして、ならせばいいというものではないというわけであります。

 したがって、正規雇用労働者の待遇を引き下げようとするなど労働条件を不利益に変更する場合、これは、労働契約法上、原則として労使双方の合意が必要になります。

 また、労使で合意することなく就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合は、労働契約法の規定に照らして合理的な変更でなければならないとされているわけでありまして、いずれにしても、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消に向けて、まずは各企業において処遇体系全体を労使の話合いにおいて確認し、非正規雇用労働者を含む労使で共有していることが肝要だということでありますけれども、基本的には、同一労働同一賃金に対応するために、まさに各社の労使で合意することなく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とは言えない、こういうふうに思います。

高橋(千)委員 しっかりと答えていただきました。望ましい対応とは言えないということだと思います。当然ですよね、これまで非正規の待遇を改善するんだということで訴えてきたわけですからね。

 原告の一人、二〇〇七年から九年間、十九回も契約更新をして集配業務に従事していたAさんからお話を聞きました。集配の仕事に正規、非正規の違いはないんですよね。シフトローテーションも全く同じなんです。慢性的な人手不足の中、繁忙期でもある夏季、冬季の休暇もとれずに、国民の祝日も関係なく働いて業務を支えてきたのに、病気になって休めば無給になるわけです。余りにも格差が大き過ぎると訴えました。

 ところが、驚いたことに、このAさんの裁判のときに、右陪席が、裁判官の一人ですよね、Aさんに聞いたそうです。なぜ正社員にならないんですか、そうすれば同一労働同一賃金になるのにと。Aさんは驚いて、私はもう何年も正社員登用試験を受けましたが、でも受からないのですとお答えになりました。

 かんぽ生命のコマーシャルは人生夢だらけなどとうたっていますが、これを支える現場の労働者は夢も希望も奪われているんです。正社員に望んでなれるなら苦労しませんよね。

 郵政民営化以来、毎年登用試験はやられていて、ことし四月でいえば三千四百五十二人が正社員になりました。でも、その何倍も試験で落とされて、依然として、グループ全体の半分に迫る十九万二千人以上の非正規労働者によって維持されているのが職場なんです。

 こうした現場の実態を見て、正しい判決が出ることを強く望みたいと思います。これ以上個別の話はいたしません。

 それで、もう一つ伺いますが、パート法第二条の定義における、比較対象労働者と非正規の労働者の、比較するときの同一の事業主というのは、現行法では同一の事業所となっていますが、その違いと趣旨を述べてください。

宮川政府参考人 現行のパートタイム労働法第二条におきましては、短時間労働者、これは同一の事業所に雇用される通常の労働者との所定労働時間の比較により定義されておりまして、適用単位は事業所でございます。

 均等待遇あるいは均衡待遇規定につきましても、同一の事業所に雇用される通常の労働者と比較することとされております。

 一方、現行の労働契約法第二十条は、同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者と比較することとされており、適用単位は事業主であります。

 昨今は、同一の事業所内には待遇を比較すべき正規雇用労働者が存在しないケースも見られるなど、事業所単位では十分に保護が図られない場合が生じていると考えられることから、労働契約法第二十条をパート・有期労働法第八条に統合することも踏まえ、事業主単位とすることとしたものでございます。

 これによりまして、他の事業所の正社員との比較が可能となり、結果として不合理な待遇差の解消が進む効果が期待されるところでございます。

高橋(千)委員 私も、この事業所と事業主というのを考えたときに、要するに、一つの事業所にパート店長とアルバイトの学生しかいなかったりして比較のしようがないよねとか、そういう場合には確かに有効かなと思いました。でも、その逆もあるんですね。

 資料の四枚目、朝日新聞の二〇一四年七月十一日付です。メトロコマース、地下鉄の売店業務に従事していた契約社員が、労働契約法二十条違反を争った裁判を紹介した記事です。

 売店四十八店舗、正社員十九人に対し、契約社員は八十一人。一番上の段に少し仕事の内容を書いています。商品の発注や、売れ残った新聞や雑誌の返品、売上金の管理など、正社員と契約社員で仕事の中身や責任は変わらない、これは容易に想像ができると思うんですね。制服なども全く一緒、外から見て何一つわからないわけです。

 ところが、次をめくっていただいて、資料の5、この裁判、契約社員側が地裁判決で敗訴いたしました。二〇一七年三月二十四日付の産経新聞です。吉田徹裁判長は、契約社員と正社員は責任が大きく異なるなどと指摘をし、原告側の訴えの大部分を棄却したと報じています。

 実は、裁判長は、今述べたように、同じ売店業務、専ら売店業務だけに従事している正社員がいるにもかかわらず、さまざまな業種に従事している正社員六百名、いろいろな人がいる、指導的な人もいる、そういう人たち全部と比較をして、差別を合理的と判断をしたのです。

 ちょっとだけ売店をやることがあっても、主には違う、指導的な仕事をしている、そういう人もひっくるめて比較して、差別は当然、正社員の方が責任が重い、合理的だと。これをやられたら、大ベテランで同じ重さの仕事をしている契約社員であっても、もっと指導的な立場の正社員がいるよとなったら、何も変えることができません。

 またここから一般論で大臣に伺いますが、まず、比較可能な労働者の範囲が問われると思います、今回の法案の中でも。まずは、業務が同じ、職務の内容が同じ、そこから、一致するところから見ていくものだと思う。極端に違うことを、違うのがわかっているのを比較するというのは違うと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 一般論になりますけれども、改正後のパート・有期労働法においては、非正規雇用労働者と待遇を比較することとなる通常の労働者とは、いわゆる正社員を含む無期雇用フルタイムの労働者ということになります。

 このパート・有期労働法第八条では、事業主に対して、非正規雇用労働者の待遇について、職務の内容等が近い通常の労働者との間の不合理な処遇差を禁止をする、また、職務の内容等がかけ離れた通常の労働者との間には不合理な待遇差を禁止するということで、これは非正規雇用労働者の待遇改善に資するというふうに考えております。

 非正規雇用労働者は、不合理な待遇差の是正を求める際には、通常の労働者の中でどの労働者との待遇差について争うのか、これについては選ぶことができるというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 ということは、かけ離れた、見てすぐわかるような、いわゆる職務の内容が違う人を比較するということはまず考えられないと。今、選ぶことができるというふうなことをおっしゃいましたよね。それでよろしいんですよね。

加藤国務大臣 ですから、かけ離れた人を選ぶ中でも不合理差というのはあるわけでありますから、ただ、どの人を選択して不合理だというのは、そこの、今度は事業主ですから、事業所じゃなくて事業主全体の中で働いている中において比較する人をピックアップして、そこと、この人と違うというなら、この人ということは、これはまさに訴える側が選ぶことができる、こういうことであります。

高橋(千)委員 ですから、ごめんなさい、この人と基本は同じ職務なのに待遇が違うということは、訴える側が選べる、そういう意味ですよね。

加藤国務大臣 多分、私が言ったことと同じことをおっしゃっているというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。確認をしました。

 それで、やはり、合理的でなければならないなのか、不合理であってはならないなのかということが随分議論をされてきたと思うんですが、最後の資料で、これは、二〇一六年七月十九日に経団連が同一労働同一賃金の実現に向けてと発表していますが、その概要なんですね。

 まず私、言っておきたいんですが、上の段の四角が三つあるんですが、この真ん中、現行法の基本的考え方を維持すべきと経団連は言っているわけ。だから、何だ、結局変わらないのかということを言いたくなるし、そのとおりに進んじゃったら困るじゃないのということが言いたいわけです。

 左の下に、日本型同一労働同一賃金というのがあります。さまざまな要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に同じ賃金を支払うことを基本とする、こう言っちゃうと、結局、同一か差があるのかというのは会社が決めるんだという話になっちゃうわけですよね。これでは救うことができないわけであります。

 これは、違いが合理的であるとするなら、企業の側が立証するべきだと思うが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 立証責任の話と経団連の考え方の話、一緒に御質問されているんですが、経団連は二十八年七月にはこうしたことを言われたわけでありますが、その後、経団連も参画した働き方改革実現会議や労政審の議論を踏まえて今回の内容のものが出てきているということであります。

 例えば、処遇についても、これは総合的にというふうに書いてありますけれども、処遇ごとに見ていくというふうに今度条文には明確に書いてあるわけでありますから、そういったことも含めて、今回の法案が取りまとめられたということであります。

 他方で、裁判上の立証責任について、どちらが負うかという議論、これはこれまでもこの委員会の場等でもあったように記憶をしておりますけれども、ただ、いずれにしても、訴訟においては、訴える側も訴えられる側もそれぞれが主張して立証していくということになるわけでありますから、それが当然なのではないかなというふうに思います。

 ただ、待遇差に関しては企業側しか持っていない情報が多々あるわけでありますから、非正規雇用労働者もそれを知ることができて、そして訴訟において不利にならないようにしていくということが必要でありますので、今回の法案では、非正規雇用労働者が事業主に求めた場合、正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等についても説明義務を事業主に課す、また、説明を求めたことを理由とする不利益取扱いは禁止するということを明文化しているわけであります。

高橋(千)委員 実は、さっきのメトロコマースの判決の中に、労働者も立証せよ、企業も立証せよという二つのことが書かれているわけなんですね。やはりこの背景に、確かにこれは二〇一六年のものだとおっしゃいましたけれども、なるべく今よりも変えたくないという、背景にこうした思想があれば、どうしてもそれがひっかかってくるということが言いたかったわけですが、大臣が今おっしゃってくれたように、待遇差というのは、企業側がやはり有利な情報を持っているわけですから、やはり、そこをきちんと資料を求めるというふうに書いたんだということは大事なことであるし、それが本当に実効性が上がるということを期待したいなと思います。

 あともう一問、これはちょっと芽出しになると思いますが、男女の賃金格差についての言及が法案に全くないのはなぜでしょうか。

 出発点の、さっき私、三年分言いましたけれども、一億総活躍は、女性活躍も大きな柱であったと思います。男女の賃金格差が縮小してきたとはいえ、まだ七割など、固定化していることは指摘され続けてきたわけです。正社員であっても、配転の可否などを理由に昇給、昇進に差をつけられている、男女の差がつけられている、それがずっと固定化するということがこれまでも何度も言われてきたということを考えたときに、やはりILO百号条約に照らしても、ここをしっかりと、同一労働同一賃金とうたってきたわけですから、男女の格差も是正するということをきちっと位置づけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、男女の賃金格差については、もう御承知のように、労働基準法第四条において、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」こう明確に規定をしているわけであります。

 また、今回は、もう御承知のように、私どもが今提案している法案は、同一企業、団体における、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すわけであります。

 今委員もお話がありましたように、非正規雇用で働く女性の割合、これは男性と比べてかなり高いわけでありますから、こうした法案を進め、そして待遇差を埋めていくということは、男女間の賃金格差解消にもつながる側面があるというふうに思います。

 また、これまでも、労働者の職種、資格等に基づき複数のコースを設定し、コースごとに異なる配置、昇進、教育訓練等の雇用管理を行ういわゆるコース別雇用管理、これが事実上の男女別雇用管理と言われてきたこともあります。したがって、そうしたことにならないように指針を策定して、その周知にも取り組み、また、男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合には、企業に対して助言指導等をしっかり行っていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 非正規の中に女性が多くいる、でも、そこだけでやはり丸めるわけにはいかないわけで、確かに労基法の四条には書いていますが、これはやはり男女の賃金格差を明確にしてほしいということで、女性活躍推進法のときも随分議論をいたしました。その課題はまだ残っていると思いますので、引き続き求めていきたいと思います。

 終わります。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 きょうは、まず一点目に、労務士の活用から質疑をしたいと思います。

 これは前回の質疑でも少し触れさせていただきましたけれども、労務士さん、社会保険労務士さんは、もちろん請け負った企業の労務管理、法律を守らすということが仕事の一つですけれども、もう一つ、法律の行間の意味を、いろいろとすき間を見つけてアドバイスをしていくというのも労務士さんの仕事になるんだろうと、実務的に私は思っております。

 ということで、今回の法案改正でも、どういった改正がされたのかとか、これによってどういうふうなことを会社はしていかないといけないのか。労務士さんの役割は非常に大きい、そもそも大きいですけれども、今回の法案改正で大きくなると思います。

 今回の法案で、何か労務士の職務に関するものが変わるというか、法律で今までと違う扱いを受けるとか、そういったものがあるかどうかというのをまず確認をしたいと思います。

山越政府参考人 社会保険労務士は、労働社会保険諸法令の専門家でいらっしゃいまして、事業主が労務管理の見直しを行っていく上で大きな役割を有しておられるというふうに考えております。

 今回の法案では、社会保険労務士の業務を改正する内容は含まれておりませんけれども、他方で、現行の社労士法には、例えば、労働社会保険に関する申請書等の作成、あるいは、労務管理などについての相談に応じ、指導することということが定められておりますので、こうした業務を行うことによりまして、事業者が労務管理の見直しを図ることを支援していく、そういったことを期待しているところでございます。

浦野委員 何も基本的にはないということを確認したんですけれども。

 私は、ちまたでいろいろと、やはり大きな社会問題にもなりました電通の過労死の件であるとか、その他いろいろな、そういう重大な件があります。そういったときに、その会社にも必ず労務士さんはいてはったと思うんですよね。ただ、そういった事件を受けて、例えば電通の件で、その請け負っていた労務士さんたちは、何かペナルティーを受けたという事実はあるんでしょうか。

山越政府参考人 個別の事案についてお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、社会保険労務士法におきましては、例えば、社会保険労務士が真正の事実に反して申請書等の作成、あるいは申請等に係る事務代理をした場合でございますとか、労働社会保険諸法令に違反する行為について指示し、相談に応じるなどしたときには、失格処分あるいは業務停止、戒告などの懲戒処分を行うという規定がございまして、こういった規定に触れる場合は懲戒処分を受けるということだと思います。

浦野委員 実際、その年によって数は変わると思いますけれども、今まで大体、じゃ、そういった重大な案件を受けたということがあるのは、年間どれぐらいになるんですか。

山越政府参考人 社会保険労務士の懲戒処分でございますけれども、今申しましたこと以外の事由による懲戒処分も含めまして、二十一年度から二十九年度までで、全体で四十三件となっております。

浦野委員 日本全国でその期間中に行われた労基違反の数に比べれば、恐らく労務士の皆さんの処分の数というのは、もう絶対的に少ないと思うんですね。

 ただ、私も一応、自分のところの経営の一端を担っている一個人として、例えば職員の待遇を決めるときには、必ず労務士さんと相談をしていますよね。保育園なんか特にそういったのは非常にしっかりやってくださいということで指導を受けることが多いので、もちろん、手とり足とり、社会保険労務士の方と相談をしながら、就労規則とか、そういうようなものをつくっています。変えるときも必ず、こういった場合はどうやろうとか、そういったことを事前に必ず相談をします。これが普通だと思うんですね。

 いろいろと労基違反を犯す会社も、大きな、大企業なんかだったら、絶対にそういった労務士さんがいてるはずなんですよね。いていながら、重大な労基違反を繰り返したり、起こしたりする会社が多数あるというのは、私は、労務士がしっかり仕事をしているのかという疑問を持たざるを得ないと思うんですね。

 そういう意味では、私は、今回の法改正でも、労務士の皆さんの役割はもっと重要になって、そういったことをしっかりと会社に助言指導できるようなことをやらないとだめだと思うんですね。

 私は、逆に、今、先ほど、ちゃんと別の法律で、労務士法でそういうのがあるということですけれども、その中に、「社会保険労務士が、相当の注意を怠り、前項に規定する行為をしたときは、戒告又は一年以内の」という文言があるんですね。

 その「相当の注意を怠り、」というのは、じゃ一体、具体的にどんなものなのかというのは曖昧でわからない。だから、ここが結局は、労務士さんが責任を持っていろいろと、会社に指導しない、アドバイスをしない、若しくは、逆に法の抜け穴のアドバイスをしたりする根拠になってしまっているんじゃないかと私は思っています。

 そういったところを、私は、しっかりと考えて、変えるべきと思いますが、いかがでしょうか。

山越政府参考人 社会保険労務士が、事業主に対しまして、例えば、労働社会保険諸法令に反するような具体的な方法を教示して違反行為を行わせたような場合でございますとか、法令違反の行為について相談に応じて、その行為に肯定的な回答を行ったような場合には、非違行為といたしまして、先ほど申し上げました社会保険労務士の懲戒処分の対象となるというふうに考えております。

 こういった事案がありました場合については、私ども、厳正に、適正に対処してまいりたいというふうに考えます。

浦野委員 これ以上聞いても繰り返しの答弁になると思いますけれども、ここは本当に、社会保険労務士さんの仕事というのは非常に重要だと私は思っているので、ぜひ、ここら辺のところをもうちょっと整理をしていただいて、それが労働者の皆さんのためになるようにやっていっていただけたらなと思っています。

 もう一つ心配しているのは、労務士さんを雇えないような中小企業、零細企業なんかは、今回の法案でも、労務管理とか、そういったことも、例えば地元の商工会議所、商工会とか、そういったところに相談をする。いろんな仕組みを今回の法案でも皆さんが考えていただいております。ただ、そこにたどり着く会社、全部の会社がそこにたどり着けるかということを私は心配しているんですね。

 その点について、しっかりやっていきますという恐らく答弁になると思うんですけれども、私は、そこは非常に心配をしています。日本国内の全企業が、零細、中小企業から大企業、大企業なんかは心配していませんけれども、そういったアドバイスを受けたりとか、誰に相談したらいいのかわからないとか、そういったことは絶対起こると思うので、一応答弁いただきたいと思います。

牧原副大臣 まさに議員御指摘の点というのは、非常に重要だというふうに我々も思っております。

 基本的には、働き方改革推進支援センターを各四十七都道府県に設置をし、そこで、単に待っているだけではなくて、労務管理などの専門家による個別訪問などによるコンサルティングを無料で実施するとともに、先生御指摘のような、商工会議所や商工会等の、中小企業を所管する、見ている経済団体とも連携をしながら、小規模事業者向けのセミナーや出張相談会という、出向く形での形も行いたいというふうに思います。

 私、長崎の方に行きましたけれども、長崎の方では、一社一社全部回りたいというような話もされておりましたので、こういうことも連携していきたいと思います。

 また、中企庁が設置しています、よろず支援拠点とも連携を図って、生産性向上やIT投資など企業経営に関する相談については、こういうところともしっかり連携をしていきたいというふうに思っているところでございます。

 さらには、金融機関や税理士会、労働保険事務組合など、日ごろから中小企業や小規模事業者との接点が多いあらゆるルートを通じて、こうした働き方改革を行っています、あるいは、こうした身近な相談拠点がありますというようなことは周知して、利用を促進をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 今答弁をいただいた中に、アドバイスをする、こっちから出向いてやっていくという部分もありましたが、地元のある企業の方は、その人って実はそう言いながらGメンなんじゃないか、労基違反を調べるために、そう言って近づいてくる人たちなんじゃないかという心配をされている方もいらっしゃいました。

 明確に、そういう調べる方と、ちゃんとしっかりアドバイスをする方、二種類あるということも、皆さん、まだわかっていらっしゃらない方もいますので、そこはぜひ、しっかりと親身になって相談を受けていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 二つ目になりますけれども、次は、公務員の過労死についてなんですけれども、私、これも以前の委員会で取り上げさせていただきました。十五年間で各省庁で九十九名の方が過労死認定を受けているということで、これは全く国会でも余り話題にもならないので、何でなんやろうなと思いますけれども。

 今回の改正案が公務員の皆さんの働き方に与える影響というのを、まず具体的に教えていただきたいと思います。

遠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に提出された働き方改革関連法案については、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置が盛り込まれているものと承知しております。

 国家公務員についても、長時間労働の是正等の必要性は民間と変わるものではなく、働き方改革関連法案に関する国会における御議論を踏まえつつ、必要な措置について検討を進めてまいりたいと思います。

佐々木政府参考人 地方公務員についてお答えいたします。

 地方公務員には労働基準法が原則適用されており、労働基準法別表第一に掲げる業務に従事する職員、いわゆる現業職員ということになろうかと思いますが、民間労働者と同様に、時間外労働の上限規制が適用されることになります。

 一方、それ以外の職員、いわゆる非現業の、一般職の人ですが、現行法上、適正な公務運営の確保の観点から、公務のため臨時の必要がある場合には、いわゆる三六協定を締結せずに時間外勤務を命じることができるとされており、時間外労働の上限規制は適用されないことになります。

 地方公務員における時間外勤務のあり方については、民間法制の議論や、それを踏まえた国の動向も踏まえた上で対応する必要があると考えております。

浦野委員 今御答弁いただいたとおり、分かれてしまうんですね、今回の対応も。適用されている方々は、この法律にのっとってやっていけばいいとは思うんですけれども、適用されない国家公務員の方は、ほとんどその対象になりません。なりませんけれども、御答弁いただいたように、公務員といえども同じ人間ですから、構造は一緒ですので。

 過労死というのは、本当に、これは国会の、我々の働き方に左右されて、鬼のように働かされるという皆さんの職業ですから、それに対して、皆さんが我々国会議員に、おいおい、何とかしてくれよなんて一言も言えませんからね、立場上、かわいそうに。私は、でも、それはどこかのタイミングで、皆さん、声を上げた方がいいと思っています。

 労基法が適用されていない公務員の皆さんはそういうあれがありますけれども、そのかわりに人事院というのがあるんですけれども、その人事院の皆さんは、じゃ、労働基準監督署のように、いろいろなことについて改善をするとか指摘をするとか、そういった権限を持たされているのかというと、持っていらっしゃらないですよね。

遠山政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の過労死対策ということでございますけれども、人事院では、過労死対策は重要な課題と考えており、中でも重要性の高い長時間労働の是正について、さまざまな対策を講じているところでございます。

 職員の長時間労働の是正、特に超過勤務の縮減については、従来から重要課題の一つとして政府全体で連携しつつ取り組んできたところであり、人事院では、超過勤務の縮減に関する指針を発出し、一年につき三百六十時間、他律的業務の多い部署においては一年につき七百二十時間の上限の目安を設け、これを超えて超過勤務をさせないよう努めること等を各府省に求めるなどの取組を行っております。

 長時間勤務を行った職員の健康管理については、人事院規則一〇―四、職員の保健及び安全保持において、長時間勤務を行った職員に対して医師による面接指導を行うことを定め、各省各庁の長は医師の意見を勘案し、適切な措置を講ずることを義務づけております。

 また、心の健康については、各府省の健康管理担当者向けの研修や職員向けの啓発を実施する、あるいは、こころの健康相談室を全国十カ所で開設している、また、平成二十七年十二月より、いわゆるストレスチェック制度を導入しているところであります。

 さらに、人事院規則一〇―四では、各省各庁の長は、疾病の早期発見等につながる健康診断については、実施結果及び職員に対し行った健康管理上の指導事項の概要を人事院に報告しなければならないとしております。

 このように、各省各庁の長に必要な報告等を義務づけるとともに、人事院は毎年、一定数の官署に実地に赴き、職員の保健及び安全保持が法令に適合して実施されるかを確認し、必要な指導を行っているところであります。

 人事院としては、過労死防止のため、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと存じます。

浦野委員 今、いろいろと対策していることを述べていただきましたけれども、じゃ、それを守っていなかったからといって是正を勧告できるのかというと、できないんですよね、人事院は。私は、人事院に労基並みの権限を、むしろ本当は与えないといけないんじゃないかというふうにも思います。

 ただ、そういう、そこの議論はありますけれども、じゃ、今、各省庁の社長、ボスは各大臣ですよね、各所管大臣です。私は、その各大臣が、毎年、過労死だけではないですけれども、各省庁、自分たちの省庁の公務員の皆さんの働き方について、この一年、どういう労働形態だったかというのを必ずちゃんと人事院に報告する制度をとるべきだと思うんですね。その上で、それをまた人事院が確認をして、各省庁の大臣に、こういうところを改善しなさいということを毎年やるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

遠山政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院といたしましては、先ほど申し上げましたような過労死防止の種々の措置をとっているところでございます。

 委員御指摘の点なども含めまして、民間の状況あるいは各府省や職員団体の意見等も聞きながら、今後どういった措置が必要か、そういったことについて検討してまいりたいと存じます。

浦野委員 今そこで、ぜひお願いしますと答弁したらできたんですけれども、なかなか人事院の皆さんも言えないみたいで。

 でも、これはぜひ検討していただきたいなと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。答弁されますか。

加藤国務大臣 政府全体の話は人事院ということでありますけれども、厚生労働省、実際、長時間労働等々いろいろございますから、そうしたことがないように厚労省の中においてはしっかりと実態を把握をして、また長時間労働の是正等、取り組める措置、一つ一つ実行していきたいと思います。

浦野委員 済みません、あとほかに質問を用意していましたけれども、また次の機会にしたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十二日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.