衆議院

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第26号 平成30年6月6日(水曜日)

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平成三十年六月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    池田 佳隆君

      岩田 和親君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      岡下 昌平君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      神山 佐市君    神田  裕君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      佐々木 紀君    佐藤 明男君

      繁本  護君    白須賀貴樹君

      田所 嘉徳君    田畑  毅君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      中曽根康隆君    長尾  敬君

      船橋 利実君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    東出 浩一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月六日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     田所 嘉徳君

  穴見 陽一君     鬼木  誠君

  大岡 敏孝君     小寺 裕雄君

  国光あやの君     神田  裕君

  小泉進次郎君     宮路 拓馬君

  小林 鷹之君     神谷  昇君

  塩崎 恭久君     田畑  毅君

  繁本  護君     岡下 昌平君

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  田畑 裕明君     門  博文君

  高橋ひなこ君     高村 正大君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     繁本  護君

  鬼木  誠君     池田 佳隆君

  門  博文君     田畑 裕明君

  神谷  昇君     岩田 和親君

  神田  裕君     国光あやの君

  小寺 裕雄君     大岡 敏孝君

  高村 正大君     高橋ひなこ君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  田所 嘉徳君     赤澤 亮正君

  田畑  毅君     小田原 潔君

  宮路 拓馬君     小泉進次郎君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     穴見 陽一君

  岩田 和親君     中曽根康隆君

  小田原 潔君     宮内 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     小林 鷹之君

  宮内 秀樹君     神山 佐市君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     上杉謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

六月五日

 働き方改革一括法案の廃案を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六四七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六四八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六四九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六五〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六五一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六五三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一六五四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一六五五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六五六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六五七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六五八号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一六五九号)

 過労死と職場における差別の根絶に関する請願(畑野君枝君紹介)(第一六六〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第一六六一号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(門博文君紹介)(第一六六二号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第一六六三号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一六九三号)

 同(青山雅幸君紹介)(第一六九四号)

 同(青山大人君紹介)(第一六九五号)

 同(伊藤俊輔君紹介)(第一六九六号)

 同(石破茂君紹介)(第一六九七号)

 同(岩屋毅君紹介)(第一六九八号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一六九九号)

 同(大河原雅子君紹介)(第一七〇〇号)

 同(大西健介君紹介)(第一七〇一号)

 同(岡田克也君紹介)(第一七〇二号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一七〇三号)

 同(神谷裕君紹介)(第一七〇四号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第一七〇五号)

 同(河井克行君紹介)(第一七〇六号)

 同(岸本周平君紹介)(第一七〇七号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一七〇八号)

 同(小林茂樹君紹介)(第一七〇九号)

 同(國場幸之助君紹介)(第一七一〇号)

 同(櫻井周君紹介)(第一七一一号)

 同(塩谷立君紹介)(第一七一二号)

 同(階猛君紹介)(第一七一三号)

 同(鈴木馨祐君紹介)(第一七一四号)

 同(関芳弘君紹介)(第一七一五号)

 同(園田博之君紹介)(第一七一六号)

 同(田中和徳君紹介)(第一七一七号)

 同(武村展英君紹介)(第一七一八号)

 同(辻元清美君紹介)(第一七一九号)

 同(寺田学君紹介)(第一七二〇号)

 同(冨樫博之君紹介)(第一七二一号)

 同(中川正春君紹介)(第一七二二号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一七二三号)

 同(中谷真一君紹介)(第一七二四号)

 同(中野洋昌君紹介)(第一七二五号)

 同(中村裕之君紹介)(第一七二六号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第一七二七号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第一七二八号)

 同(濱村進君紹介)(第一七二九号)

 同(原口一博君紹介)(第一七三〇号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一七三一号)

 同(船田元君紹介)(第一七三二号)

 同(細田博之君紹介)(第一七三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七三四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七三五号)

 同(務台俊介君紹介)(第一七三六号)

 同(森山裕君紹介)(第一七三七号)

 同(八木哲也君紹介)(第一七三八号)

 同(矢上雅義君紹介)(第一七三九号)

 同(山田賢司君紹介)(第一七四〇号)

 同(山本幸三君紹介)(第一七四一号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第一七四二号)

 同(赤澤亮正君紹介)(第一七九〇号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第一七九一号)

 同(井上義久君紹介)(第一七九二号)

 同(稲田朋美君紹介)(第一七九三号)

 同(稲津久君紹介)(第一七九四号)

 同(稲富修二君紹介)(第一七九五号)

 同(大隈和英君紹介)(第一七九六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一七九七号)

 同(岡島一正君紹介)(第一七九八号)

 同(金子恵美君紹介)(第一七九九号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第一八〇〇号)

 同(吉良州司君紹介)(第一八〇一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一八〇二号)

 同(後藤祐一君紹介)(第一八〇三号)

 同(近藤和也君紹介)(第一八〇四号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一八〇五号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一八〇六号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一八〇七号)

 同(鈴木貴子君紹介)(第一八〇八号)

 同(関健一郎君紹介)(第一八〇九号)

 同(玉城デニー君紹介)(第一八一〇号)

 同(中野洋昌君紹介)(第一八一一号)

 同(西岡秀子君紹介)(第一八一二号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第一八一三号)

 同(前原誠司君紹介)(第一八一四号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第一八一五号)

 同(宮川伸君紹介)(第一八一六号)

 同(宗清皇一君紹介)(第一八一七号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一八一八号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八一九号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(石田祝稔君紹介)(第一六六四号)

 同(岩田和親君紹介)(第一六六五号)

 同(門博文君紹介)(第一六六六号)

 同(金子万寿夫君紹介)(第一六六七号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第一六六八号)

 同(坂本哲志君紹介)(第一六六九号)

 同(武井俊輔君紹介)(第一六七〇号)

 同(中野洋昌君紹介)(第一六七一号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第一六七二号)

 同(船橋利実君紹介)(第一六七三号)

 同(細野豪志君紹介)(第一六七四号)

 同(山井和則君紹介)(第一六七五号)

 同(伊藤渉君紹介)(第一七四七号)

 同(上野宏史君紹介)(第一七四八号)

 同(尾身朝子君紹介)(第一七四九号)

 同(小林茂樹君紹介)(第一七五〇号)

 同(辻元清美君紹介)(第一七五一号)

 同(平口洋君紹介)(第一七五二号)

 同(船田元君紹介)(第一七五三号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一七五四号)

 同(棚橋泰文君紹介)(第一八二二号)

 同(馬場伸幸君紹介)(第一八二三号)

 同(古川康君紹介)(第一八二四号)

 同(本多平直君紹介)(第一八二五号)

 労働時間を短縮し、人間らしい働き方を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六八三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六八四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六八六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一六八七号)

 同(藤野保史君紹介)(第一六八八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六八九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六九〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六九一号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(河井克行君紹介)(第一六九二号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第一七八九号)

 公正な賃金・労働条件に関する請願(浅野哲君紹介)(第一七四三号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第一七四四号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第一七四五号)

 同(山内康一君紹介)(第一七四六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一八二〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八二一号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一七八五号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一七八六号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(金子恵美君紹介)(第一七八七号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(重徳和彦君紹介)(第一七八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 食品衛生法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、食品衛生法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房人生一〇〇年時代構想推進室次長大島一博君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、消費者庁審議官東出浩一君、審議官橋本次郎君、厚生労働省大臣官房総括審議官坂口卓君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、健康局長福田祐典君、医薬・生活衛生局長宮本真司君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官新井ゆたか君、大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、水産庁漁政部長森健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木村哲也君。

木村(哲)委員 おはようございます。

 五十分という長い時間をいただきましたので、じっくり質問をさせていただきたいと思います。自民党の木村哲也でございます。

 特別国会におきましても、きょう触れるような問題、質問をさせていただきまして、健康食品についてお伺いをさせていただいたところでございます。一番の問題は、法的根拠がない、そしてまた、この定義づけがないというのが健康食品でありまして、やはり医薬品との区別という問題も含めて、これはまた間に触れさせていただきたいと思います。

 そしてまた、食中毒問題におきましては、私も市議会、県議会時代から、船橋市は中核市、中核都市でありまして、つまり、中核市というのは保健所政令市と呼ばれておりまして、県から独立をして保健所管轄を得られているというところでございまして、今回の件に限りましては、広域的な協議会を開いて本当に早期発見というものができるのか否かというところでありますので、過去の事例も含めまして議論をさせていただきたいと思います。

 それでは、順次質問に入らせていただきます。

 今回の法案改正の背景には、前回改正からもう既に十五年の月日がたっております。これには、時代のニーズや世帯構造の変化を背景に、調理加工食品、外食への需要の増加等食へのニーズの変化、そして輸入食品の増加など食のグローバル化の進展といった、環境が大きく変化をしてきたことが挙げられます。そこで問題となっているのが、都道府県を超える広域的な食中毒の発生とか、食品による健康被害への対応が喫緊の課題となっているわけであります。

 さかのぼりますと、死者を出してしまった都道府県をまたがる食中毒案件はどんなものがあったのかというところでございますけれども、これは、二〇一一年には、後ほどゆっくりお話をさせていただきますけれども、富山で焼き肉のトリミング問題がございました。そして、昨年でございますけれども、二〇一七年、集団食中毒をめぐっては、群馬県太田市の会社が運営する埼玉県と群馬県にある系列店で、八月にポテトサラダやマリネを買って食べた二十四人がO157に感染など、こちらも結局原因がわからずじまいであったということでございます。

 前回の食品衛生法改正後からの十五年間にもこのように集団感染している事案があるにもかかわらず、なぜ今、改正なのかというところに疑義が生じます。

 今までも集団食中毒が発生をしているわけでありまして、改正する機会は今までにもあったわけでありますけれども、なぜ今やるのかというところをお伺いさせていただきます。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

高木副大臣 お答えいたします。

 今回の食中毒に関する改正につきましては、従来の集団的な食中毒ではなく、同一の汚染原因が疑われる広域的な食中毒事案への対応を図るものでございます。

 具体的には、平成二十九年の夏に発生した同一遺伝子型の腸管出血性大腸菌感染症・食中毒事案におきまして、地方自治体間、また国と地方自治体との間、また食品衛生部門と感染症部門の間の情報共有が不十分であったことなどから、広域発生食中毒事案としての早期探知がおくれ、共通の汚染源の調査や特定が効果的に進まず、対応におくれが生じたという課題を契機といたしまして改正を行うものでございます。

 都道府県、また保健所を設置する市及び特別区の数は、平成三十年四月現在、百五十に上り、今後も増加が見込まれております。

 さらに、広域食中毒事例の発生状況といたしましては、全体の食中毒事件数のうち、三自治体以上で患者が発生した事例の割合を見ますと、平成十一年の三%から平成二十九年は一一・七%と増加傾向を示しておりまして、食品流通の広域化などに伴って、複数の地方自治体が関係する事案の増加が見込まれております。

 こうしたことを踏まえ、今回の法改正によりまして、法律上の枠組みを設け、制度として運用をしていくことで、広域的な食中毒対応のための関係者の連携協力体制の構築などを円滑に図り、各都道府県などにおける事案への対応の強化を図っていくことを考えているものでございます。

木村(哲)委員 では、広域食中毒事案なんですけれども、これは、早期発見がおくれて、共通の汚染源の調査と特定ができずに対応がおくれることによって死に至るケースがあるわけなんです。

 今回の広域連携協議会の中身は理解しております。今までも、各保健所中心であったことは変わらないわけでありますけれども、どのようなことが変わるのでしょうか。

 今、中核市がふえて、どんどん中核都市がふえているからそういう機関が百五十にも上るという答弁がありましたけれども、今までも保健所で処理をしていた、それが広域的協議会を開いてどのように変わっていくのか、それをお伺いいたします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食中毒が発生した場合の調査は保健所が行うことについて変わりはございませんが、広域的食中毒事案への対策強化としまして、まず、広域的な食中毒事案の発生防止等のための関係者の連携協力義務を明記いたしまして、次に、国、地方自治体等での情報共有の場として広域連携協議会を設置するとともに、緊急を要する場合には、厚生労働大臣は、協議会を活用し、食中毒の原因調査の方針等を示すなど、広域的な食中毒事案に対応することとしているところでございます。

 これによりまして、国、地方自治体等での情報共有等に基づきまして、同一の感染源による広域発生の早期探知を図るとともに、協議会において、国、地方自治体における早期の調査方針の共有や情報交換を行い、効果的な原因の調査、適切な情報発信等が可能となるということでございます。

 このような対策強化によりまして、広域的食中毒事案の発生やその拡大等の防止を図ってまいりたいと考えているところでございます。

木村(哲)委員 これから新しい体制になるんですけれども、私も、船橋市議会、船橋では保健所管轄となった、そして千葉県議会、千葉県も保健所管轄を持っているという中で、これからどういうふうな連携を図っていくのかというところ、それでまた他県にまたがったときには、情報収集が本当に早期にできるのか、原因究明ができるのかというところが、やはり心配をしているところでございます。

 先ほど触れさせていただきました、二〇一一年に起こった、富山県の焼き肉チェーン店焼肉酒家えびすにおいてユッケを食べたお客さんの百八十一人が食中毒を発症して、溶血性尿毒症症候群が三十二名、うち重症者が四人で、残念ながら五人の方が亡くなってしまったという事件、事故でございました。

 遺族九人が、運営会社であるフーズ・フォーラスと当時の社長らに二億円の損害賠償を求めたところ、結局は、社長らの賠償責任は認めず、同社にのみ一億七千万円の支払いを命じることになりました。

 ここで焦点となったのはどういうことかといいますと、報道によりますと、同社は、この会社自体は認めているものの、社長と店長に責任があるかどうかというところが焦点でありました。

 事件当時は、これはもう七年前でしょうか、八年前ですね、八年前は、ユッケとかレバ刺しとか、いろいろまだ出ていた時代であったかもしれませんけれども、生肉の提供が禁じられていなかったことや、肉の表面を削り取るトリミングの国の衛生基準というものが周知されていなかったことに着目をされました。

 社長に対してですが、国の基準に沿うように徹底していなくても重過失があったとは言えないという判決なんです。店長に対しては、社のマニュアルに従っただけということで、請求が棄却をされることになったということでございます。

 都道府県単位で連携を図るというのが、本当に迅速的な対応が可能となるのでしょうか。富山のこの焼き肉屋の問題や昨年の群馬県の総菜の問題などが起こったというところで、この新体制、新たな体制で、広域的に、食中毒に対してどのような対応が可能になるのか、説明を願います。具体的にお願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 広域連携協議会は、複数の地方自治体が関連する広域的な食中毒事案が発生した場合等に適切に調査、情報共有が可能な体制が機能するよう整備を進め、緊急を要する場合には、厚生労働大臣が、協議会を活用し、事案に対応できることとしているところでございます。

 このため、全国を地方厚生局単位の七ブロックに分けて広域連携協議会を設置しまして、平時から、ブロック内の地方自治体間で広域食中毒事案が発生した場合の連絡体制、調査方法、検査体制等に関する情報共有、応援体制の構築、確認を行う必要があると考えているところでございます。

 また、広域食中毒の発生時には、関係地方自治体は速やかに厚生労働省に発生情報を報告しまして、厚生労働省は、これらの情報を取りまとめて関係自治体と共有を行います。その上で、厚生労働省が必要に応じまして広域連携協議会を開催して、国と各地方自治体間における調査方針の共有、各地方自治体間の調査協力体制の構築を図るとともに、加えまして、昨年のような腸管出血性大腸菌の事案につきましては、遺伝子型検査手法の統一や共通IDでの情報管理について示すことで情報の一元化を行うこととしているところでございます。

 このように、広域連携協議会におきまして、国や地方自治体等の関係者間でこれらの情報集約、調査方針の策定、調査協力体制の確認等を迅速、適切に実施することにより、早期の原因究明を行い、被害拡大防止を図ることが可能になると考えておりまして、各関係機関が協力して事案の対応に当たってまいりたいと考えているところでございます。

木村(哲)委員 富山のこの案件というものが、例えばこの広域的連携協議会を開いて、原因が究明できなかったことが究明できるようになる、そしてまた、昨年起きた総菜問題、これも死亡者が出ていますけれども、こういう問題が早期発見につながって、原因をしっかりと究明できる、解明できるという協議会にこれからしっかりと築いていただきたいと思います。

 なぜこの富山の問題に思い入れがあるかといいますと、私が市議会からちょうど県議会に上がった年でございまして、こういう問題を本当に、例えば船橋と千葉県の連携、関東近県との連携を図って追跡調査ができるのかどうなのかというところを私は追跡した記憶がありまして、私も、前は厚生委員会という名だったんですが、今地方では健康福祉委員会という名に変わっておるわけでございますが、この席でもずっと問わせていただいたんですけれども、この件については、死亡者が出て、なぜ、原因究明、探求したけれどもわからなかったのかというところを追跡をしたことで、非常に思い入れがあります。

 この家族についても調査をさせていただいた経緯がありまして、これは先ほど申し述べたように、刑事では棄却されて、結局解決できずに、肉の卸売業者を民事で訴えるんです。そして、これは弁護士が、弁護団が誰もついていなかったんです、こんな五人も亡くなった案件で。これ自体がもうまさに異常事態だったわけですね。

 そこで、非常に膨大な、私も見ました、これぐらいの資料を自作して、自分でつくって、神田の弁護士に持ち込んで、この弁護士さんが立ち上がっていただいてこれが裁判になったというところがございまして、これは結局、そこまで行ったんですけれども、社長や店長への責任は棄却となって、会社のみの一億七千万ということになったということでございます。

 ここで、本当に、亡くなった方以外でも、この溶血性尿毒症症候群は非常にこれまた重いものでありまして、この重症患者さん、これから、もう八年前、七年前になりますけれども、五年、十年、十五年と、先まで経過観察をしなければならない、また発症する可能性があるというところで、それぐらい重いものなんです。

 だからこそ、しっかりとこれを予防しなければなりませんし、未然に防ぐことと、そして早期究明して、この家族、ただただ、あのときは家族で一家団らん、食事をとりに行っただけなのにというような感想、非常に気の毒でございまして、食中毒で家族を亡くすなんて、二度とこのような集団食中毒を起こしてはならないと。この言葉が非常に重く心に突き刺さっておりまして、私は思い入れを持って、この件も含めて、やはりしっかりと、こういうことが二度と起こらないように、例えば、なぜ今やるんですかと言ったのは、二〇一一年にこの件を重んじて広域連携的協議会を開いていれば、昨年のような事件、事故はなかったかもしれないんです。だから、なぜ今なんですかと聞いたんです。

 というように、しっかりと順応して、対応して法改正を行い、そして体制を整備していくというところがこれからも必要だと思いますので、今回の件は非常に期待をしております。よろしくお願いいたします。

 そして、HACCPについてでありますけれども、これも、都道府県にまたがる広域的な食中毒の発生とか、食中毒発生の下げどまりの傾向がある中で、国内の食品安全のさらなる向上が必要とされております。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを目途にというわけではございませんけれども、この開催や食品の輸出促進というもの、こういうものが今どんどん向上、発展しているわけでございまして、それらを見据えて、国際基準と整合的な食品衛生管理がこれから求められているところであります。

 そのためにも、食中毒の原因になり得る微生物や異物混入を予測して、食品危害が発生しないよう、一九九三年にコーデックス委員会でHACCPによる衛生管理が国際基準として位置づけられまして、欧米を中心に義務化が進んだところであります。

 このメリット、三つありますけれども、メリットの第一といたしましては、個々の事業者が使用する原材料、そして製造、調理の工程等に応じた衛生管理ができるように計画策定、記録保存を行い、見える化という形でフードチェーン全体を通じて我が国の食品全体の安全性の向上につながるわけでございます。

 第二に、マニュアルに基づいた取扱い方法を実施するために、働く社員の管理能力、そして意欲、意識の向上につながる。

 そして三つ目、原因追求と改善対応が迅速に行えるようになりまして、食に関するトラブルを未然に防ぐことができるため、業務の効率化につながるという三つのメリットがあります。

 このたびのHACCP義務化というのは、施設整備の必要ないレベルの義務化でありますけれども、実際には、厳しい基準と緩和された基準の二種類に分かれておりまして、A、Bですね、これらについて、日本のHACCPは、世界から見た場合に、いずれもしっかりと信頼性が得られるのかどうなのかというところをお伺いしたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、HACCPは工程管理、ソフトの基準でございまして、施設設備等ハードの整備を求めるものではなく、EUや米国等におきましても、同様の内容でHACCPが義務化されているところでございます。

 今般のHACCPに沿った衛生管理の制度化におきましては、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理を求めることとしてございます。

 具体的には、製造量が多く、従業員数も多い大規模事業者等には、国際的な食品の衛生基準をつくっておりますコーデックス委員会のHACCP七原則に即しましたHACCPに基づく衛生管理の実施を求めてございます。その一方で、このHACCPに基づく衛生管理をそのまま実施することが困難な小規模事業者等につきましては、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理でございますHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を求めることとしているところでございます。

 HACCPの制度化に当たりましては、コーデックス委員会のHACCPシステムとその適用に関するガイドラインの内容に即したものとしてございまして、このガイドラインでも、小規模事業者等に対するHACCP適用に当たっては弾力的な対応が重要とされてございまして、先ほど申しました後者のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理も、HACCPに沿った衛生管理の一つとして国際基準に即しているものということでございます。

木村(哲)委員 このHACCPは、考え方がいろいろあっちゃいけないんですけれども、今回はソフトの部分だというところでございまして、施設整備も要らない、それはもう本当に大手さんはHACCPは常識的にやられているわけで、認証を取っている。しかしながら、これから義務化まで行くのか、そういうところでございますけれども、中小事業所、例えばスナックとかバーとか、そういう食品を扱うところも含めて、認識はどうなんだというところがございます。

 先日、私、食品衛生協会、これにちょっと参加してきて、調理師会と一緒に議論をいたしてまいりました。大手百貨店、うちは船橋でございますから、東武百貨店から本当に個人のスナック、バーまでいろいろな方が集まってお話を聞いてきたんですけれども、理解しているかどうか。

 例えば、どんな意見が出たかというと、うちは火を使わないから大丈夫だよ、別にHACCPなんか要らないよ。いやいや、違いますよと。うちは生ものを出さないから、別に食中毒を起こさないから、乾き物だけだから要らないよ、今そういう認識です。

 今、そういう事業者の方がなぜHACCPをしなきゃいけないのというところも、非常にまだまだ全然浸透していないというのが現状です。なぜやらなきゃいけないのかというところ、これはまた別な観点で、異物混入の観点からもやらなきゃいけないんです。というところも、これはしっかりとそういう部分で周知徹底をしていかなければいけないんですけれども、このように、中小事業者、誤解をしている事業者がいる中で、理解をしていない末端まで周知徹底が一体できるのかというところが問題なんだと思います。

 例えば、先週の食品衛生協会に出てきて、出てきている人たちはいいんです。今までも、保健所が調査をするには、そういうところで組合、協会をつくっているところはいいんですけれども、入らないところも今大多数になってきている。そういうところを一軒一軒どうやって知らしめるの、ホームページを見てくださいと言うのというところなんですね。

 そういうところで、認識が非常に難しい、どうやって周知徹底をするのかというところでありまして、それも難しいんですけれども、今度、HACCPをやっているかどうかというのはどうやって管理をしていくのか。

 保健所などの限られた今のこの人材です。今、中核市もどんどんふえて、それも問題だということなので、どうやって、限られた人材の中で、HACCPを遵守していなかったり、さらには食中毒を今度出してしまった場合の行政処分まで、本当に管理できるのでしょうかというところが問題だと思うんですね。その辺について、ちょっと御見解をお伺いします。

高木副大臣 お答えいたします。

 HACCPのまず制度化に当たりましては、生活衛生分野や食品に関する事業者団体などと制度検討の段階から意見交換、また会員事業者への周知、また小規模事業者向けの手引書作成などの協力を得ております。

 今後の制度の円滑な施行に向けまして、業界団体に加入していない事業者を含めて、食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことができるよう、都道府県などの保健所、また事業者団体などが事業者に対して、講習会の開催、手引書配布など、きめ細かい支援を行い、周知徹底をしてまいることとしております。

 また、食品等事業者のHACCPに沿った衛生管理の遵守状況につきましては、御指摘の食中毒発生時の行政処分時以外におきましても、営業許可の更新時や、また定期的な立入検査時などに現行制度と同様に確認することとなるわけですが、従来の画一的、網羅的な指導ではなく、衛生管理計画やその実施状況に関する記録を検証することとなりますので、業務の効率化につながる面もあると考えております。

 また、御指摘の行政処分事案が発生した場合の対応でございますが、これは、県内保健所間での職員の派遣、また国立感染研究所からの職員の派遣などで対応することとしております。さらに、厚労省では、都道府県などの食品衛生監視員がこうした制度変更に適切に対応できるよう、HACCPの指導者を養成する研修をブロックごとに実施しておりまして、食品衛生監視員の資質の向上に努めてまいる所存でございます。

木村(哲)委員 本当にこれはいいことだと思います。先ほどの、私が申し述べた食中毒、広域化したときに、やはりおのおのの意識が高まっていれば食中毒を起こさないわけでありますけれども、それが本当に浸透できればいいというところでありまして、例えばHACCPをやっていますよというワッペンを張るのか、本当に世界で認められているなら、これからオリンピックを目途に、外国人の方々が多くいらっしゃる中で、やはりそういう証明にもなりますし、ここは衛生的できれいですよというような、そういうようなことも徹底できればいいんですけれども、その部分が、やはり期待をするしかないというところで、人的交流をしながら、同じ県内で派遣をしていくというような内容でございますけれども。

 もう一つ、これは、お店側が本当に浸透していくのかどうなのかという問題と、あと、これをやる都道府県、中核市、その保健所、この方々ともちょっと話合いをしました。どの程度HACCPを理解しているのというところでお話をしましたら、やはりまだまだ浸透していないのが現状で、どれぐらい厳しいHACCPなんでしょう、そして、どれぐらい徹底をしなければならないんでしょうか、そして、人員をどれぐらい割かなきゃいけないんでしょうかというところ、どれぐらいのペースで管理をしなければならないんでしょうかというところも含めて、やはり、都道府県、そして中核市あたりの、政令市もそうですね、保健所は悩んでいるというようなこともございました。

 というところで、これは膨大な業務内容の拡大というものが想定されます。そして、やはり人員増、やる、やろうと決めたときには、これはいっせいのせでやらなきゃならないわけでございますから、人員増も必要なんです。

 そうしますと、一番心配しているのが、やはり国からの支援を地方は心配をしているというところでございまして、これは、予算はどうするのというところも含めて、この事業を円滑に推進するために地方体制整備と支援を早急にやらなければならないと思いますけれども、その点、どうでしょうか。お伺いさせていただきます。

加藤国務大臣 今、木村委員御指摘のように、今回の法改正によって、HACCPに沿った衛生管理の監督指導をしていく必要があるということ、また届出制度の創設等、保健所の担っていく業務が増加をするという部分があるということ、こういったことをしっかり我々は認識をして対応していかなければならないと思います。

 その上で申し上げると、効率的な監視指導技術を普及させていくということと、今回、営業許可、届出、特に届出が平成三十三年からスタートすることになりますけれども、そうした申請について、オンラインのシステムを、三十三年度、施行に合わせて本格運用するということで、そういったことによって都道府県等の事務負担の軽減を図っていきたいと思っております。

 また、食中毒事例への対応や食品等事業者の監視指導を実施するためには、当然人手が必要でありますから、その必要な人員については各都道府県において確保していただく、こういう形になっておりますけれども、厚労省としても、食品衛生監視員の増加など、都道府県等の体制強化に対して、これは基本的に地方交付税で措置をされることになっておりますので、その措置の増額を要求していき、施行に向けた体制整備、この万全を期していきたいと思います。

木村(哲)委員 ぜひとも期待をさせていただきますけれども、HACCPは、ISOとの組合せとか、今まで、三、四年前でしょうか、HACCPチャレンジというのをやっていまして、厚生労働省は、HACCPへの取組をしたらどうかというところで、前段で頑張っておられました。

 というところでの今回義務化というところでありまして、やはり、これからどんどん輸出をしていかなければならないとなりますと、衛生管理をしっかりとしていく、ISOとの連携を図ってHACCPをしっかりと認証していくというような、やはり日本の食の安全、これは食中毒の事案だけではなくて、こういうことも行うきっかけとなりますので、この件も早急に、一旦軌道に乗れば日本の食の安全のブランド化というものが確立できるわけでございますから、人員体制と予算ですね、地方が円滑に図れるように、しっかりとそれは、厚生労働省、お願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきますけれども、特別国会で議論した内容、これの延長戦を行わせていただきたいと思います。

 食品による健康被害情報の収集というのが制度化されていないために、必要な情報収集が困難であり、健康被害の発生、拡大の防止をするための食品衛生法を適用するための根拠というものが不足をしております。

 健康食品で一番大切なのは、一番初めに申し上げさせていただきました、法律上の定義がないんです。明確になっていない、根拠規定がないということが健康食品で一番の問題だと思います。つまり、安全性の確保は製造販売業者の自主性に委ねられているのが現状なんです。

 そこで、健康被害が増大していることから、この改正案では、特に注意が必要なのは、成分、健康食品に含まれている成分を厚生労働省が指定して、その成分を含む食品を販売する業者に被害情報の報告を義務づけるというわけであります。

 今までは、これは厚生労働省じゃなくて消費者庁主導の被害情報でありましたが、指定成分を含む食品の健康被害情報について自治体が調査を行う場合、医療機関からの情報提供や調査協力というものが非常に有効であると考えます。そして、何はさておきタイムリーな情報でありますから、これが、なぜ医療機関からの情報提供というものが努力義務なのかというところ、医療機関ほど重要な情報が集まるのではないでしょうか。その部分をお伺いさせていただきます。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案におきましては、行政による必要な調査を速やかに行うことができるよう、医師等の関係者が、健康被害の内容についての情報提供等、調査への協力に努めることとする規定を設けまして、より的確な情報に基づき必要な対応をとることを目指しているところでございます。

 今御指摘いただきましたように、医療機関からの情報提供や調査協力は非常に有効でございますが、いわゆる健康食品による健康被害が食中毒のような急性かつ患者の集積性を持った発生として確認しにくいということがございます。また、因果関係の特定が困難な面がある、こういったことも踏まえまして、努力義務とさせていただいたところでございます。

木村(哲)委員 本当に、今健康被害が起こっているというのは、前回も言ったんですけれども、血圧を下げるお茶であったり薬であったりサプリメントであったり。この間もこういう例があったんです。市内の病院で、お医者さんが幾ら薬を出しても全く効き目がない。それで、ほかの薬は何にも飲んでいないです。なぜこれは効かないのというところで、あんた、何を飲んでいるんだいと言ったら、クロレラですね、ビタミンK、これを飲んでいて、青汁とかクロレラとかブロッコリー成分とかそういうのを飲んでいて、薬とサプリメントで相殺をしてしまった。これの逆のパターンもあります。増強してしまって内臓を壊してしまう、そういうケースがあるんです。

 これは消費者庁だけじゃどうしても認識できるわけがないんです。消費者庁はやはり、これを飲んだけれども返したいとか不良品であったとか、お金の面、経済の面であったり。内容の面じゃないんですね。

 というところで、やはりお医者さんに診ていただいて、その件も、初めて薬とサプリメントの飲み合わせで薬が全く効果がないんだというのがわかりました。というようなことも含めて、今法案では、特別に注意を必要とする成分を含む食品による健康被害でありますけれども、今問題となっているのは、健康食品の成分のみならず、その成分と薬の飲み合わせも問題だと思います。

 例えば、今、薬だけの問題もありますけれども、七十五歳以上の方、四割が一カ月で五種類以上の薬を飲まれている。そして、七十五歳以上の二五%が七種類以上の薬を飲まれている。六十五歳以上になりますと三割が五種類以上ですね。この副作用によって、うつとか記憶障害とか、妄想とか幻想とか、ふらつき、転倒、さまざまなことが生じている、これが現状なんです。これは薬と薬だけです。

 それ以外にどういうことがあるかというと、サプリメントであったり健康食品であったり、そういう成分が重なってどういう症状を体で起こしているのかというところが解明されていないわけでありますから、そういう部分を解明できるのがお医者さんなのかなというところで先ほどの質問をさせていただいたところでございまして、薬や健康食品の一つ一つというのは成分上全く問題ない、しかし、それらの成分の含有量が有害とは言えない場合であっても、組合せ、飲み合わせ、食べ合わせすることによって健康を損なうものに対して、研究や実態把握が重要だと考えております。

 今でも既に、飲み合わせによって健康を損なうおそれがあったり、薬の本来の効果を失わせてしまうようなことが知られている場合は、薬の添付文書に記載をして注意を促していると承知をしております。

 ただ、多様な健康食品が存在している現状において、健康を損なうおそれのある組合せ、これはあるように思うので、薬との相互作用に関する情報を、健康食品を使用している方々、もう八割とも九割とも言うわけでございますが、これを伝えることが大切なんですけれども、ここがまた難しい。

 そのためには、医師会や薬剤師会等とも連携をして、相互作用に関する情報収集や研究が不可欠と考えておりますけれども、これらをどのように使用者に伝えていくかを含めて、厚生労働省の考え方をお伺いいたします。

高木副大臣 お答えいたします。

 木村委員御指摘のとおり、いわゆる健康食品と医薬品の併用によりまして、予期せぬ健康被害が発生する可能性があります。

 厚生労働省では、薬を飲んでいる人は原則としていわゆる健康食品を併用しないよう、パンフレットなどで注意喚起をしております。

 また、独立行政法人医薬品医療機器総合機構では、製薬企業や医療関係者からの医薬品の副作用報告や最新の文献等の知見を収集しておりまして、併用してはいけない健康食品に関する知見が得られれば、厚生労働省は、医薬品の添付文書の改訂を製薬企業に指示するなどして、その旨、注意喚起を行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、このように、医薬品といわゆる健康食品との飲み合わせなどによる健康被害の回避に努めておりますが、医薬品と併用する場合には医師等の専門家に相談することが適切でありまして、そのため、医師会や薬剤師会等とも連携して、相互作用に関する情報収集を行い、適切な情報伝達に努めてまいりたいと考えております。

 さらに、消費者がいわゆる健康食品を購入する、その際には、摂取や、また医薬品との相互作用による健康被害回避のための相談支援が可能な人材の育成などを行ってまいりたいと考えております。

木村(哲)委員 今の件、こういう冊子を厚生労働省と医師会が出されておったり、協力体制をとってやられておるというところでございますから、やはりより徹底をしていただいて健康被害を防いでいただきたいなと思うところでございます。

 平成三十年五月、薬の手順などを記した、高齢者の医薬品適正使用の指針を策定しております。これは、これから主に医師や薬剤師向けに出すものでございますけれども、一般高齢者、一般の方々にも伝わるようにしなければならぬ。この部分を厚生労働省、どうお考えでしょうか。御見解を伺います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の高齢者の医薬品適正使用の指針は、高齢者の薬物療法の安全対策を推進するため、医師、歯科医師、薬剤師を主な利用対象として策定したものでございます。

 この中では、先ほど先生御指摘のありましたような一般薬あるいはサプリメントにつきましても考慮をしております。

 この指針は、本年五月二十九日に都道府県を通じて全国の医療機関、薬局に通知いたしまして、周知を図っております。

 一方、この指針が医療現場で広く活用されるためには、患者と家族を含む一般の方々の理解が必要であると認識しております。

 この指針におきましても、まずは医療関係者による一般の方への啓発をお願いしているところではございますが、広く国民に対して、みずから服用する薬剤の適正な使用に関する知識と理解が浸透するよう、例えば関係学会が作成したパンフレットなどを活用しながら、引き続き、国民への普及啓発のあり方についても検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

木村(哲)委員 ありがとうございました。

 というところで、まずは、本当に、一番初め、冒頭も申し上げた、定義づけというのは難しいところでございますけれども、健康食品と一概に言っても、栄養補助食品、健康補助食品、健康機能食品、機能性表示食品、栄養機能食品、そして特別用途食品、私たちがよく知っている特定保健用食品というふうに分けられておりまして、本当に、こんなの国民の皆さんは知らないですよ。

 というようなことも含めて、インターネットでも購入できるようになってしまっているというようなことで、健康食品、健康、健康と言っておきながら、医療費が下がっていないんですよ。というところも含めて、これは健康になっていないという証拠ですから、どういう状況になるかというのをしっかりと、こういうエビデンスを、健康食品は、前回質問した内容は、食品メーカー、医療メーカー、医薬メーカー、さまざまな協力体制をとって、健康食品というものを一回精査をしていく、研究をしていくというところが必要である。

 二〇二五年には六十兆円にも及ぶ医療費があるわけでございまして、腎臓を悪くしますと、糖尿病の方々が人工透析になりますと、今三十二万人いるわけですけれども、三十二万人の方々が例えば年間五百万円かかってしまう、これで一兆五千億ですよ。そういう問題も事前に防ぐような、そのような健康食品のあり方にしていかなければならないというところもございます。

 最後、リコールについてでございます。

 ちょっと、余り時間がございませんので、リコールに関してでございますけれども、これは主に、今は自主回収というところでございます。これは年間千件にも及んでいるというところにもございます。

 そして、中には、自治体の条例、これで決めておりまして、条例によって、自主回収をさせて、各都道府県のページで公表している。これがリコールですよ、例えばこのお菓子、アレルギー性物質が間違って入っていました、消費期限が間違っていました、さまざまな形で都道府県で公表しているわけでございます。そういうのを国で一元化しようじゃないかというところでございます。

 このリコールに関しまして、多くの食品販売、製造業を営む企業は、報告義務はないにせよ、自治体や関係省庁への自主的な報告や、メディア及び自治体ホームページなどを通じて消費者に対してリコール情報を発信しております。

 例えば、事業者が破片、ガラス破片とか部品、虫混入、これを把握し、まずはこの事業者自身がリコールに着手して、回収情報を都道府県等に届けますけれども、各都道府県等で条例や綱領が違う場合がある中で、今回の制度化に当たり、厚生労働省は、条例に関する必要な手続等を考慮しているんでしょうかというところをお伺いさせていただきます。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正におきましては、食品衛生法に違反などをした食品のリコール情報を網羅的に、全国一律に、制度として、ホームページで一覧化して国民の皆様方にお伝えして、リコールされた食品の喫食の防止を図ることができるように創設することとしているところでございます。

 これに伴いまして、現在、御指摘いただきましたように、都道府県等の条例や要綱で定められている食品リコール情報の届出の手続、内容等につきましては、厚生労働省令で定めまして、統一的な取扱いとすることとしているところでございます。

 なお、食品リコール情報の報告制度は、届出のシステムの構築や、各都道府県等の条例の改廃等に必要な手続の時間などを考慮いたしまして、法律の公布の日から起算して三年を超えない範囲内に政令で定める日の施行を予定しているところでございます。

木村(哲)委員 最後にでございますけれども、各都道府県のホームページを見ますと、かなり、見切れないぐらいの公表が掲載されておりまして、中には重要なものもあります。子供に対するお菓子とかですね、先ほども、エビが含まれていたり、小麦が含まれていたり。アレルギーのお菓子を食べたらどうなるかというのを、なかなかホームページに見に来ないですよ。

 そして、これを厚生労働省が……(発言する者あり)残念なことですね、非常に残念ですけれどもね。厚生労働省が把握をして一覧として表に載せた場合に、消費者がそれを見に来た場合にどうなるのか。まずもって探し切れませんよ。命にかかわるそのような情報でも、莫大な情報過ぎて、ホームページで全く見ることができない。

 例えば、そういう判断も、厚生労働省が国民に対して、周知、知らしめるのであれば、やはり命に対する危険度、そういうものも含めて危険性が高いものから上位に上げていく、分類をする、さまざまな公表の仕方があると思いますけれども、そういう点、厚生労働省のこれからのやり方、お伺いいたします。

橋本委員長代理 申合せの時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、都道府県知事等から報告があった食品衛生法に違反などした食品の名称、出荷数や重量、回収を行う者の名称、その回収状況、主な販売地域等や健康被害が発生するおそれの程度、今御指摘いただきましたようなそういう程度なども含めまして、一覧化して、厚生労働省のホームページでわかりやすく情報を提供していくこととしてございます。

 また、重篤な健康被害が発生している食品等の情報があった場合には、ホームページによる情報発信に加え、報道機関等を通じた情報発信にも努めていきたいと考えているところでございます。

木村(哲)委員 この食品衛生法改正ほど、口に入るものですから、命に直結するものでございますから、しっかりと今の体制を整えていただきたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 これから三十分間、御質問をさせていただきますが、最初に、私ごとなんですけれども、ちょっと私の話をさせていただきたいんですけれども、先週ちょっと……。割っていますか。

橋本委員長代理 いや、どうぞどうぞ、続けてください。

白須賀委員 先週ちょっと私は仕事が忙しくて大分寝不足で、きのうは早く寝たいなと思っていたんですよ。きのう、早く寝たいなと思って、二十三時二十分ぐらいにはベッドに入って、さあ寝ようかなと思ったら、二十三時二十四分にある方から電話をいただいたんです。その電話をいただいたのが山井先生で、山井先生がいなくなっちゃったんですよね、今ここで山井先生と和やかに話そうと思っていたぐらいだったんですけれども、ちょっといなくなっちゃって寂しいなと思いながら。

 電話の内容は政策の中身で、充実した内容だったんですけれども、山井先生の、委員会での質問のあのテンション、あるじゃないですか。あれは多分、素ですね。電話でもあのままの状態で、すごいテンションで早口でお電話を頂戴して、私もそれから五分ぐらい話していたら完全に目が覚めてしまって、そこから全く寝れずに今この委員会を迎えております。本当は本人の前でお話ししたかったんですけれども、本人に会えず、残念でございます。

 まず最初に、今回の質問に入る前に、日本の現状というか、日本というのはどういう国だということも、ちょっと皆さん、考えなきゃいけないと思います。

 日本は一億二千七百万人の人口を有していますから、世界で十一番ぐらいの人口を有している国で、しかも、皆さん、メルカトル図法になれてしまっていますから、日本というのはちっちゃいというイメージがあるんですけれども、実は大きさでちゃんと比べると、ヨーロッパのところに日本地図を持っていきますと、ポルトガルぐらいからフランスぐらいまで、非常に長くて大きいんですね。

 そしてまた、日本は、四季折々、春夏秋冬があって、世界的に見て砂よりも土が多くて、どこに植えても作物をつくることができて、また、水が豊富で傾斜が緩やかにありますので、よどむことなく水が流れて、農産物をつくるに当たっても自然の恩恵をいただける、本当にすばらしい日本という国。

 そしてまた、日本は、国民の方々が思っている以上に大きくて、人口規模がある。例えば、ノルウェーやフィンランドというのは五百五十万人ぐらいの人口ですから、私の住んでいる千葉県で六百二十六万人、もう千葉県だけでも世界で見れば一つの国のレベルぐらいある。スウェーデンも一千万人ぐらいで、経済規模は神奈川県、神奈川県の人口とほぼ一緒、経済規模もほとんど一緒。

 つまり、本当に、四十七都道府県の一つだけでも、世界から見ると一つの国レベルの、そんな、日本というのは実は大きいという、そのイメージをまず皆さんに持っていただきたいんです。

 その国で、どうやってさまざまな法律を通したり、そしてまたいろいろな基準をつくったり、認知させたり、これがいかに大変か、そして少し時間がかかってしまうところもある、そのことを大前提に皆さんに御理解していただきながら、今回の食品衛生法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたいと思います。

 私は今回、この法律、私も、先ほど木村哲也先生が質問で地元の方々とお話ししてという例を挙げていましたが、実は、なかなか皆さん、物すごく大変なシステムが入るんじゃないかなと心配されたり、何というんですか、法律が難しい言葉ばかり書いてあるので、これから何が起こるんだろうと思っている飲食店の方々がたくさんいらっしゃるので、できれば、答弁される方は易しいお言葉で、余り難しくなく、わかりやすく御説明をしていただけたらありがたいと思っております。

 今回の法改正は、十五年ぶりの大改正であります。この十五年間の食品を取り巻く環境というのは大きく変わりました。私も小さなころは家で食事をすることがほとんどで、外食というのは余りしなかったんですけれども、今、週末になりますと、外食産業のいわゆるレストランとか、物すごく待ち時間、一時間ぐらい待ちながら混んでいるところもあったり、本当に外食産業というのは今大分華やかになってきました。そしてまた、単身世帯や共働き世帯、高齢者世帯などの増加によって、いわゆる中食そしてまた外食などのニーズが物すごく今上がってきているのは皆さん実感していると思います。

 そしてまた、健康志向の高まりも背景とした、いわゆる健康食品のブームでもありまして、昔だったら、恐らくコンビニとか、そういったところに行って、サプリメントって、ばあっと並んでいる光景というのはなかったと思います。でも、最近は、私もコンビニでよく買うんですけれども、四十代からのサプリメント、四十歳の方が必要な栄養素が全部入っている一パックみたいなのがあって、それは僕も欠かさず飲んでいたりしているんですけれども、そういった新しいニーズが発生してきた。そしてまた、食のグローバル化の進行、そういったものが、さまざまな、私たちの周囲で、取り巻きが変わってきたことは皆さん肌で感じていると思います。

 その中で、今回の制度改正は、そうした事情に対応すべく、広域的な食中毒への対応、対策強化、HACCPに沿った衛生管理の制度化、営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設などといった多くの改正メニューが含まれております。

 個別的な質問に先立つ前に、今回のこの法律改正、本法律案の趣旨、必要性、これまでの議論の経過について、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 前回の食品衛生法等の改正から約十五年が経過いたしまして、国民の食へのニーズの多様化、食のグローバル化の進展などによりまして、我が国の食を取り巻く環境が大きく変化しているところでございます。

 このような変化の中で、都道府県等を越える広域的な食中毒事案の発生や、食中毒発生件数の下げどまり傾向、これは最近、千件、二万人程度で推移していて、それ以上なかなか下がらないという状況がございます。こういった傾向がございまして、事業者における、より一層の衛生管理や、行政による的確な対応が喫緊の課題となっているところでございます。さらには、食品の輸出促進等も見据えまして、国際標準と整合的な食品衛生管理が求められているということでございます。

 こうした状況を踏まえまして、食品の安全を確保するために、広域的な食中毒事案への対応強化、HACCPに沿った衛生管理の制度化などを内容とする本改正案を提出するものでございます。

 経緯ということでございますが、本改正案の提出に当たりましては、平成二十九年九月から十一月にかけまして、食品衛生規制全般の検討を行った懇談会を合計五回開催いたしまして、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会に、懇談会での議論の内容を四回にわたりまして報告いたしますとともに、例えばHACCPの制度化につきましては、懇談会の開催に先立ちまして、平成二十八年三月から十二月にかけて検討会を九回開催いたしました。そのうち、五回にわたりまして事業者団体のヒアリングを行うなど、関係者の意見を十分にお聞きした上で検討を進めてきたところでございます。

 また、先ほど申し上げました懇談会の取りまとめ後に、食品衛生規制の見直しに関する骨子案、これは食品衛生法等の改正骨子案でございますが、それを作成いたしまして、平成三十年一月から二月にかけて意見公募手続を経た上で、今回の改正案を国会に提出させていただいたということでございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 今のお話の中で、一年間に二万人、食中毒になられる方がいらっしゃると。私も一回、一回どころじゃないですけれども、何回か、食中毒というか、今考えてみると、ひょっとしたらノロだったのかな。私が中学生ぐらいのとき、今から二十数年前、あのときの症状を考えたら、恐らくノロウイルスだったんじゃないかなと思う事例もあります。多分そのときにはノロだという感覚がなかったのかもしれませんが、いや、本当に苦しいですよね。もう私、トイレから動けなくて、親が病院に連れていくと言われても立てない、今動いたら出ちゃうという話をしながら、何とか何とか、だましだまし行って、点滴をしてもらったり、さまざまに苦労をした記憶がございます。

 そういった、私たちにとって一番身近な食品、この食品を取り巻くさまざまな課題に対して総合的な対策を図っていこうとするのが今回の法律の趣旨であって、そして一刻も早い、そういった食中毒ゼロへ向けて、ただ、やはりどうしてもなかなか防げないというものも世の中には存在しますが、限りなくゼロに向けて、今回の法整備をしっかりしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 法改正全体の趣旨を御説明していただきましたので、個別の改正項目に対して、特にHACCPに関して幾つかお尋ねをしたいと思います。

 HACCPによる衛生管理は、一九九三年に、食品の国際基準を策定する政府間組織でございます、いわゆるコーデックス委員会においてガイドラインが取りまとめられて、欧米を始め諸外国において義務化が進んでいるものと聞いております。

 近年、我が国の食中毒の発生件数、患者数が下げどまりの傾向にあるそうでございますが、先ほど説明していただきました。食中毒原因施設の多くを飲食店が占めていることからも、大規模な事業者のみならず、町中の飲食店のような小規模な事業者も含めて、食品衛生管理の水準の底上げを図っていかなければなりません。そのためにも、今回の法案で、全ての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことは大変重要なことだと私は考えております。

 他方、我が国では、現状、大規模な事業者におきましては、ISOなどの民間認証を用いた任意の取組に取り組んでもらったおかげでHACCPが比較的浸透している一方で、中小規模の事業者にはなかなか十分に認知されていないようでございます。

 町中の飲食店の方々に私も幾つか質問をして、先ほど言ったようにお話をしてみましたら、どんなことを聞かれたか。HACCPについて私聞きましたら、まず最初に聞いたのは、具体的に何をすればいいのかわからない、とりあえず難しそう。HACCPという名前自体が恐らく難しいですし、英語で書かれるともっとわからないという方がたくさんいらっしゃると思います。そしてまた、実施のための十分な情報がどこで得られればいいか、そういった御質問もいただきました。また、そのためにどれぐらい施設にお金を投資しなければいけないのか不安ですという御質問もございました。

 こういった懸念を持たれる方々が多いと私は今感じておりますが、今回のHACCPの制度化においては、事業者の取り組むべき内容に関して、事業規模などを踏まえてグラデーションを設けると聞いております。中小零細規模の事業者が取り組むべきHACCPの内容についてお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食品の国際基準を策定いたしますコーデックス委員会のHACCPのガイドラインにおきまして、小規模事業者における弾力的な取扱いを認めているところでございます。これを踏まえまして、小規模事業者に実施を求めますHACCPの考え方を取り入れた衛生管理につきましても、コーデックスのガイドラインの範囲内で、個々の事業者の取り扱う食品、業種や業態の特性に応じました衛生管理を行うことによりまして、効果的に食品衛生管理の向上を図ることが可能だということでございます。

 具体的には、このHACCPの考え方を取り入れた衛生管理につきましては、事業者団体が作成しまして厚生労働省が確認する手引書、そういったものを事業者ごとにおつくりいただきまして、これを利用しまして、例えば温度管理あるいは手洗い等の手順、こういったものを定めまして、簡便な記録を行うことを想定しているところでございます。

 こういったものでございますので、中小あるいは零細の事業者にも、比較的容易に取り組めるものと考えているところでございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 答弁は易しくと言ったんですけれども、やはり難しくなっちゃいますよね。恐らく、この今の会話を聞いて理解をする中小零細の飲食店の方というのは多分いらっしゃらないと思うので、もう本当に簡単に説明すると、簡単に言うと、本当に手は洗いましたかとか、冷蔵庫はちゃんと機能していますか、また、例えば、お肉と野菜を一緒に使っているときにまないたをかえていますかとか、そのチェック項目をつくってチェックをしてもらって、そして、簡単に言うと、毎日の衛生管理を見える化して、トイレ洗っていますかとか、私たちがいわゆるレストランチェーンとかに行くと、トイレのところに行くと、きょう洗いましたとかのチェック項目、そこに判こを押してあったり、チェックしてあったりしますよね、あれをちょっと広げた形にして、毎日ちゃんと記録をとってもらって。

 本来だったら当たり前ですよね。料理をする前に手を洗いましたかとか、その後、料理中にお手洗いに行った後に手をちゃんと洗っていますかとか、食品の管理をしっかりしていますか、冷蔵庫の温度は正しいですか、ハンバーグ等、例えば例で挙げて、ハンバーグとかを扱っている飲食店だったら、中までしっかりと焼けていますかとか、そのためのガイドラインで例えば三分間焼きましょうとか、五分間蒸しましょうとか、そういったものをちゃんと履行しているかとか。

 そういった、大して難しくない内容をチェック項目にして、それを毎日やってもらって見える化して、それで皆さんの衛生に対する知識を日本全体で底上げしていきたいよねというのが、今回の法案の僕は一番の、今回のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の根底はそこだと思います。

 ですから、書類のための書類ではなくて、何のための書類かといったら、日本全体で衛生状態というか、そういう衛生に対する知識を全体で一回底上げしようよというのが、今回の思いというか趣旨だと思っておりますけれども、それで正しいでしょうか、どうでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 非常にわかりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。そのとおりでございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 ですから、中小零細の飲食店の方々はそんなに恐れることなく、ただ、やはり、ちゃんとした書面で見える化をしていかないと、伝聞というか口伝というか、そういうのでやりなさいと言われて、はい、わかりましただけだと、基本的に、先ほど言ったように、二万人毎年出てしまっていて、今下げどまりをしている食中毒の患者さんの発生率、発生数を抑えることがまだできないんじゃないかという思いと、やはり、外国人の観光客の方々も、これからまたたくさんいらっしゃるかもしれない。そのときに、先ほど、最初に話したように、これだけ自然が豊かでおいしい農産物があって、そしてまた料理をすることに関しても物すごく繊細でおいしく料理ができて、そして提供するときにも清潔で、この日本のすばらしい飲食店のすばらしさをより安全に体験して帰っていただく、これが今回の法律の思いと私は受け取っておりますので、その思いをそのまま、厚労省の方々には頑張っていただきたいと思います。

 大体、私、海外に行っていつも思うんですけれども、ワンコインの五百円でこれだけおいしいものが提供される国というのは、多分日本ぐらいだと思いますよ。だって、今、牛丼を食べても五百円でお釣りが十分来ますし、おみそ汁とサラダまでつけたらちょっとオーバーする可能性もありますけれども、ぴったりかもしれない。とりあえず、非常に、五百円でこれだけおいしいものを食べられて、私、海外に行って、言い方は悪いですけれども、五ドルで余りおいしいものを食べた記憶がないんですよね。行ったところが悪いと言われたらそれまでなんですけれども。

 ですから、やはり日本というのはすごく恵まれているし、すごく、何というんですかね、おもてなしというか、外食産業の方々も頑張っているし、本当にすばらしい産業だと思っていますので、もう一歩の、日本全体で衛生管理に対する考え方の底上げをしていきたいと思います。

 さて、今回、もう一つ質問したいのが、いわゆる事業者団体さんが作成した手引書、いわゆるレストランチェーンさんとかがつくっている自分たちのマニュアルとかも含めてなんですけれども、中小規模の事業者の取組にとっては、これは大きな参考資料という形になると思いますが、これは事業団体が作成したものとはいえ、十分な衛生管理を確保できているということでよろしいでしょうか。ですから、今回のこのマニュアルをそのまま使って大丈夫ですかという質問なんですけれども、よろしくお願いいたします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 HACCPに沿った衛生管理を導入するに当たりましては、それぞれ取り扱う食品の特性を踏まえました衛生管理が必要となるということで、その特性等を熟知した事業者団体御自身が、衛生管理計画策定のための手引書の案を作成するということが必要であると考えているところでございます。

 そういった、それぞれの特性に応じているその上で、厚生労働省は、その案につきまして、事前に相談いただいた上で意見交換等を行いまして、食品衛生管理の実務に関する専門家や研究者などの有識者で構成する検討会におきまして内容を確認して、HACCPに沿った衛生管理の手引書として十分な内容になるよう対応しているということでございます。

 ですから、先ほど御説明いただいたように、結果としては非常にシンプルで、まさに単純なものでございましても、衛生管理のポイントはきちんと押さえたものをつくるということで、十分な衛生管理は確保できるということでございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 使えるということで今御答弁いただきましたので、そんなに皆さん、簡単に言うと、飲食店の方々は難しく考えないでいただいてもらって、皆さんで、スタッフの方々も含めて、衛生管理の知識をまた底上げしていただきたいと思います。

 あと、もう一つ、ちょっと聞きたいのが、いわゆる小規模な、博多の出店とかとは違うんですが、出店じゃなくて屋台ですか、あれはもう常設みたいなものですから、飲食店、多分、そういう許可をとっているとは思うんですが、移動販売のお弁当屋さんとか、あと、お祭りのイベントとか、そういったものに対する衛生管理とかも、それなりには必要になってくると思います。

 今回の制度改正の項目の一つでございます営業許可や届出創設に関して、自治会が主催するイベントでの出店や露店販売とか移動販売などについてはどんな扱いになるか、教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 イベントでの出店や露店、あるいは自動車等による移動販売などのうち、営業に該当するものにつきましては、飲食店営業やその他の販売業と同様にHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が必要であることから、営業許可又は届出が必要だと考えているところでございます。

 ただ、具体的な許可業種あるいは届出業種につきましては、その業種によっていろいろございますので、今後、食品の製造、加工、調理、販売など、業態ごとの現状あるいはリスクなどを踏まえまして、有識者、関係団体、地方自治体等の御意見を伺いながら検討させていただきたいと思っているところでございます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 そこを、もちろん、衛生管理の知識としては出して教育をしていかなきゃいけないし、そういうのはやっていかなきゃいけないんですけれども、余り厳しくし過ぎてしまうと、それこそ、お祭り、最近は、昔でいうテキ屋さんみたいな、そういったお店じゃなくて、今は自治会で、皆さんでフランクフルトを焼いたり焼きそばをつくったりとか、もう本当に小規模になってきちゃったので、自分たちでやって自分たちで賄うみたいな、そういったものも大分ふえてきましたから、余りぎゅうぎゅう締め過ぎてしまうのも、そういったことができなくなる可能性もちょっとありますので、やはり柔軟に考えていただきたいし、例えば学校の文化祭とか、そういったものでもやはり飲食の提供はしていますから、そういったものも、子供たちがつくるものですから、余り締め過ぎてしまったりしてはいけない。

 だけれども、もちろん、当たり前ですけれども、食中毒が発生しても困りますから、弾力的な、そういった対応をよろしくお願いしたいと思います。

 先ほどから御質問させてもらったとおり、本当に今回の法律の主眼は、基本的に、私、今回、小規模とか中小零細の飲食店の話をメーンで、つまりHACCPの考え方を取り入れた衛生管理だけを質問させていただいたのは、恐らく、一番そこの方々が、何が起こるんだろうと。私、どこに行っても、どんなシステムを入れるのとか、非常に皆さん、複雑に考えられている方がたくさんいらっしゃるので、まず最初に、この法律をちゃんと通させてもらったら、厚労省の方々には、そんなに難しいことじゃなくて、非常に実はシンプルで、自分たちの目的は、本当に今まだ下げどまりになっている食中毒をどうやって減らすか、そのための、日本全体の衛生状態の、衛生的な知識の底上げをしていくんだというので徹底していただきたいと思います。

 もちろん、その上のHACCPに基づく衛生管理、こちらの方の、それなりの、屠畜場とか、そういったところの、大きなところの屠畜場とかの衛生管理に対しても、やはりしっかりとしていかなきゃいけないですし、また、輸出のときは、HACCPも含めて、より安心な日本の農産物も含めてさまざまなものを輸出できる、加工品も含めて輸出できる、そういう環境をつくっていきたいと思いますので、今回のこの法律を契機に、皆さんでしっかりと衛生に対する考え方をもう一度考え直してもらって、そういう契機になる法律になっていただけたらなと思っております。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 食品衛生法の質疑に入る前に、どうしても、ちょっと一点、大臣に質問したいことがございます。それは、これまで、先日も、この厚生労働委員会において与野党を超えて同僚の皆さんが取り上げた障害年金の話です。

 障害年金が突然打ち切られた。御自身の症状は何も変わっていないのに、急に生活の糧を失うようなことになった。これまで、障害認定には地域間格差があったと言われておりますので、今回、障害年金センターでその認定を一元化しましょう、これは平成二十九年度からです、これによってばらつきを是正しようという話でした。すると、中には、今まで何十年とずっともらってきたのに急に生活の糧を失う、打ち切られる方がいらっしゃった。先日の大臣の答弁にもありました。一年間の猶予期間を設けることになって、大臣からも、障害年金のこの制度の趣旨というのは、そもそも、本来続くものという法制度上のたてつけになっているんだ、こういう御答弁でした。障害年金というのは、障害者にとって生活の大きな支えなんだ、こういう厚労省の認識も、大臣の認識も示していただきました。

 その上で、きょう大臣にぜひ聞いていただきたいのは、今回議論になっている範囲にすらぎりぎり入らなかった方たちがいる。つまり、さっき答弁を紹介したような、猶予期間であったりとかあるいは配慮する、こういうのが受けられない方々がいるということなんです。

 今回一元化されたのは、平成二十九年度、昨年度からです。その一年前、平成二十八年度、厚労省から糖尿病についての障害認定基準の通知が出されました。これは資料をお配りしております。一枚目、これが配られたわけです。糖尿病の障害認定の基準がこうして通知された、この内容について厚労省に確認しました。すると、別に今までと基準が変わったわけじゃないんです、ただ趣旨を徹底する、こういう通知なんですということでした。

 なぜかというと、実は、大阪で、地元なんですが、障害認定の担当をされていた方がかわった。今まで認定を出していたんだけれども、二十八年度から厳しくなって、これまでもらっていた人がもらえなくなった。とりわけ、糖尿病の中でも一型と言われている方々、つまり生まれつき腎臓にいろんな問題を抱えていらっしゃって腎臓が機能しない、そういう病気で、生活習慣病で発症する糖尿病とはまた違うわけです。御本人がどうしようもないところの病気で、透析やインスリン注射、医療費が物すごいかかる。指定難病にもなっていないんです。この方々が突如打ち切られた。

 資料の二枚目を見ていただくと、これは実際にいただいて、使っていいよというふうに御本人も言っていただいたんですが、支給日の一週間前にこの一枚がぴらっと届いた。ぱっとあけてみると、合計年金額ゼロ円と書いてある。今までちゃんともらっていたものが急にゼロになっていたので、あれ、おかしいなと思って問い合わせたそうです。裏を見ると何と書いてあるかというと、下のところですね、障害等級の三級の状態なので支給を停止しましたということです。

 こういう方々、一型の方というのは、もともとの病気なので、二十前に発症する方が多いので、ほとんどの方々が障害基礎年金です。つまり、三級なんてないんですよ。二級までしかないんです。そうすると、当然、あなたは三級ですと変わってしまったので、ゼロになるわけです。

 この方は、社会保険事務所に相談しに行って、何回も相談に行って、診断書を書いてもらって、お医者さんとも相談して行きました。そのたびに送られてくるのが、資料三、定める程度に該当していない。資料四もそうです、定める状態に該当しない。資料五も、障害の状態に該当しない。これが一枚送られてくるという状況でした。

 社会保険事務所に、何でなんですかと聞いても、認定基準が変わったからですかねという曖昧な答えしか返ってこなかった。現場も実ははっきり理由がわかっていなかったという状況。

 さっき申し上げたように、同僚の皆さんが取り上げていただいたのとは一年違いなんです。一元化されて、その一年後の方々は猶予期間があって、もう一回丁寧に診断書を見ましょうとなっていますが、こういう方々は何もない、何の配慮もないんです。

 という中で、大臣、先日答弁いただきましたが、こうした一型糖尿病の方々、これも同じように扱っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 前回は、一千人の方々に対する対応、委員は猶予とおっしゃっているんですが、これは猶予ではありません。基本的には、この法律は、受給者が障害等級に該当しなくなったときは支給停止をするということでありますから、支給を停止していない、そして、一年後にまたそれをもう一回提出をしてください、こういう扱いにしているということであります。その上で、今申し上げたように、定期的に医師の診断書の提出を受け、認定基準に該当しない場合には支給停止となるということでありまして。

 ちょっと、本件、個別の話なので、個別化していくとなかなか物が言いにくいのでありますけれども、一つは、訴訟が今なされております、取消し訴訟がなされております。それについては、その訴訟の中でしっかりと我々も認定状況、経緯、妥当性について説明等していきたい、明らかにしていきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つ、今委員御指摘の、いただいた資料でありますけれども、糖尿病の場合には三級ということの判断にそのことがかかわってきておりまして、二級以上については、糖尿病そのものというよりも、そこから生じてくるさまざまな障害、そこを見て判断するということになって、その判断の中において、結果、該当しなくなったという判断がなされ、そして支給停止がなされた事例だというふうに承知をしております。

伊佐委員 大臣、猶予じゃないんだ、停止していないというだけなんだと。私、言葉はどちらでもいいと思っておりまして、停止していないということは、もしかすると、受け取る側からすれば猶予してもらっているというふうに思うかもしれません。そこは余り議論しても仕方ないことかなと思っていますが。

 もちろん、今この件で裁判している方々もいると聞いていますので、なかなか今、厚労省としては、いろんなことを申し上げるのは、非常に言いにくいところだというふうにも思っております。ただ、その方の思いというか、一枚、本当に、ゼロ円というのだけ送られてきて、一年間一生懸命頑張ったけれども、結局もう疲れ果ててしまって。五十歳までいただいていたものが五十歳になって急に打ち切られて、体を押して仕事を見つけて、今パートで働いていらっしゃるわけです。そもそも、もちろん認定のばらつきがあったのは事実で、それがある日突然打ち切られる。行政の、もちろんいろんなものがあると思いますが、そのしわ寄せが一番立場の弱い人たちに行くようなことがあっちゃいけないというふうに私は思いますので、ぜひまた御配慮いただければというふうに思っております。

 それでは、食品衛生法について議論させていただきたいと思います。

 今回の法律、立法事実というもの、さまざまございまして、いろんな要因がある。食生活の多様化であったりとか、あるいは食品流通のグローバル化、健康意識の高まり、いろんなものがこの法案の前提条件と言われていますが、そのうち重要なものの一つに、日本の食品の輸出促進というのも私は一つあると思っております。

 成長戦略の一つに今掲げられておりまして、日本の農林水産物あるいは食品をしっかり輸出していこうと。政府は二〇一九年に輸出額一兆円を目指すという目標を掲げて今やっておりますが、着実に今、一兆円を目指して伸びてきています。昨年、二〇一七年までに八千億円まで来ました。あと毎年一〇%ずつ伸びれば目標達成というところまで来ているわけですが、成長戦略の一環、日本食品の輸出のために政府はどういう取組をしているのか、何が必要だと思うのか、まず農水省に伺いたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の農林水産物、食品の輸出額は平成二十九年度には八千七十一億円と五年連続で過去最高を更新しておりますけれども、平成三十一年の輸出額一兆円の目標を達成するためには、今後二年間で年率一一・三%輸出額を増加させていく必要がございます。

 このため、二十八年五月に策定いたしました農林水産業の輸出力強化戦略に基づく各種の取組を進めるとともに、さらなる加速を図るため、本年一月から本格開始いたしました日本食海外プロモーションセンター、JFOODOによります七つのテーマについての戦略的なプロモーション、海外バイヤーを招聘して行う日本食品輸出EXPOの開催、農林水産省食料産業局内に設置いたしました輸出拡大チームによる国内事業者と海外バイヤーとのマッチングの推進、さらには規格、認証の取得の促進、知的財産制度の戦略的活用等を進めているところでございます。

 今回制度化されるHACCPに沿った衛生管理のうち、HACCPに基づく衛生管理については、国際的なガイドラインの内容に即したものでありまして、欧米等への輸出で必要とされますHACCP部分の要件と同様の内容でございます。

 また、HACCPに沿った衛生管理を制度化することは、国内の食品事業者の衛生管理の向上につながることから、輸出の拡大にとっても重要な施策であると考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 つまり、この法案も、日本食品の輸出促進という観点で非常に重要だという認識を示していただきました。

 HACCP、紹介していただいたとおりで食品の製造、販売の安全管理、これはまた後ほど質問したいと思いますが、それともう一個、食品のあれじゃなくて、農産物をつくる、生産の段階での、生産過程での安全管理というのも国際基準がありまして、これはGAPと言われております農業生産工程管理、これも私は重要な一つの工程管理じゃないかと思っております。

 例えばアメリカのコストコみたいな欧米の大手流通企業というのは、こうした国際認証、農産物の生産過程での認証というのを求める場合が多いです。これはグローバルGAPというふうに言われておりますが、例えば、肥料をどういうふうに使ったかとか、農薬の残留基準はどうなっているかとか、あるいは労働環境がどうなっているか。

 このグローバルGAPについて言えば、世界で約十八万の農業者が取得している。きのう、ちょっと農水省に来てもらって話したときに、じゃ日本でどれぐらい取得しているんですかと聞いたら、世界十八万に対して日本は四百八十と。これは桁が二桁ぐらい違うんじゃないかなと私は思ったんですが。

 このGAP制度というのも、これだけ世界に認知されているのであれば、もし日本の農産品というのをしっかり輸出しようというのであれば、これもぜひ支援すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今ほど答弁ありましたとおり、農林水産省では、二〇一九年の農林水産物、食品の輸出額一兆円目標の達成を目指して、農林水産業の体質強化に向けた必要な施策を推進しているところであります。こうした中で、委員御指摘のとおり、GAPの取組及び認証取得の推進は、農林水産省といたしましても、輸出の拡大や農業人材の育成など、我が国の農業競争力の強化を図る観点から極めて重要であると考えております。

 このため、特に、国内環境整備の一環として、グローバルGAPなどのGAP認証の取得の拡大に向けた指導体制の整備や、認証取得に係る補助などの取組や、日本発のGAP認証をグローバルGAPと同等の仕組みとするよう、国際規格化に向けて、国際的なステークホルダーへの官民連携した働きかけの取組などを進めているところであります。

 こうしたGAPの認証取得の拡大などの取組を通じて、我が国農産物の輸出の拡大を進めてまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 しっかりGAPについても支援いただきたいと思います。

 生産の過程がGAPであれば、さっき申し上げた製造、販売の安全管理というのがHACCPということになるわけですが、私も勉強して、ああ、そうなんだと気づいたのは、これは一九六〇年代から始まっておりまして、最初はNASA、宇宙食の製造の衛生管理で始まった、宇宙の閉鎖空間でもし食中毒みたいなのが起こったら、それこそ命取りになるので、そこから始まったということだそうです。これが今や世界的な食品衛生の基準になっている。

 日本の導入企業、販売金額五十億円以上の大手の場合は七割が導入している。一億円から五十億円の中小規模の事業者では三割が導入している。ましてや一億円以下の、本当に町の小さないろんな販売店とかの場合は、もうましていわんやという状況だと思います。

 まず、最も大きな心配事の一つは、今回のHACCPというのは、ある意味ほとんど、ほぼ全て、どんな食品製造とか販売事業者にも適用されるということになります、町の小さい八百屋さんでも、お魚屋さん、お総菜屋さんであったりとか。だから、大手のスーパーとか工場みたいに例えば管理部門があるようなそういうところはまだ一生懸命できるかもしれませんが、ある意味夫婦でやりくりしているようなお総菜屋さんとか食堂とか、こういうところで果たしてできるのかどうかということです。実際にいろんなものが必要になって大変になって御商売が回らなくなるようになっては実現可能性もありませんので、ここを厚労省としてどう考えるかということです。

 先ほど、同僚の白須賀議員の方から非常にわかりやすい説明をいただきました。改めて、副大臣の口からもこの心配を払拭していただきたいと思います。どうぞ。

高木副大臣 お答えいたします。

 HACCPに沿った衛生管理の内容につきましては、これまで求められてきた衛生管理を、個々の事業者が使用する原材料、また製造、調理の工程等に分けた衛生管理となるよう計画策定、記録保存を行い、最適化、見える化するものでございます。

 中小零細事業者に求めることとしているHACCPの考え方を取り入れた衛生管理については、事業者団体が作成し厚生労働省が確認する手引書を利用して、温度管理や手洗いなどの手順を定め、簡便な記録を行うことを想定しておりまして、中小零細事業者にも比較的容易に取り組めるものと考えております。

 そのほか、HACCPの導入に関する事業者への支援策を講じておりまして、今後も、小規模事業者を含む食品等事業者が円滑かつ適切にHACCPに沿った衛生管理に取り組むことができるよう支援をし、中小零細事業者の心配を払拭するよう努めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 今、副大臣が御説明していただいた特に中小あるいは小規模事業者に適用されるのが、HACCPの考え方を取り入れる衛生管理。法案上二種類ありまして、HACCPに基づく衛生管理というものと、HACCPの考え方を取り入れる衛生管理、二つあるわけです。それぞれ求められるレベルも違うということなんです。

 ちょっと伺いたいのは、適用範囲、それぞれどうなっているのか。つまり、HACCPに基づく、より厳しい衛生管理を受けるのはどういう企業で、HACCPの考え方を取り入れる衛生管理というのが適用されるのはどういう事業所で、その線引きがどうなっているかということと、あわせて、それぞれ現場でやることがどう変わるかということを伺いたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今般のHACCPに沿った衛生管理の制度化につきましては、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理を求めることとしているところでございます。

 具体的には、今御指摘ございましたように二通りございますが、一つ目は、製造量が多く、従業員数も多い大規模事業者等には、コーデックスHACCPの七原則に即したHACCPに基づく衛生管理の実施を求めるということでございます。

 一方、HACCPに基づく衛生管理をそのまま実施することが困難な小規模事業者等につきましては、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理でございますHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を求めることとしているところでございます。

 このHACCPの考え方を取り入れました衛生管理の対象となる事業者につきましては、その要件を政令で定めることとしてございますが、具体的には、まず一つ目には、小規模な製造、加工事業者、二つ目には、併設された店舗で小売販売のみを目的とした菓子や豆腐などを製造、加工する事業者、三つ目には、提供する食品の種類が多く、頻繁に変える飲食店等の業種、四つ目には、低温保存が必要な包装食品の販売等、一般衛生管理のみの対応で管理が可能な業種などを想定しているところでございます。

 このHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となる小規模事業所の範囲につきましては、労働集約型の業種の事業者団体が策定する手引書の内容等も踏まえまして判断基準を示すことを考えているところでございますが、食品等事業者の実態を踏まえまして、準備期間を十分とれるよう、速やかに具体的な検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員 やはりちょっと難しいと思います。もうちょっと簡単に言うと、もっと具体的に言いますと、恐らく、厚労省が資料でも示しているとおり、考え方を取り入れる方の衛生管理、つまり、より、日ごろからされているような、日常的にされているようなものをしっかりチェックしましょうということをするのが、例えば菓子の製造、販売であったりとか、あるいは食肉業、魚介類の販売、あるいは町の豆腐屋さんであったりとか、飲食店、給食、お総菜屋さん、弁当屋さん、こういうような、軒並み、町の小さな食品を扱っているところというのはほぼこちらに該当する。さっき申し上げた管理部門があるような大きな工場であるとか、牛乳の工場であったり、肉の製造工場、こういうようなものが厳しい方に該当するということだと思います。

 その上で、じゃ、このHACCPを適用されたときに、初期投資、つまり、どれぐらい事業者は投資が必要か、コストが必要と見込まれるか。どうぞ、御見解をいただければ。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 HACCPに沿った衛生管理の内容につきましては、これまで求められてきた衛生管理を、個々の事業者が使用する原材料、製造、調理の工程等に分けた衛生管理となるよう計画策定、記録保存を行うということで、今までの一般衛生管理をプロセスごとに分けて、見える化して最適化するというようなものでございます。

 コスト、資金投入についてお尋ねいただきましたけれども、このHACCPは、あくまで工程管理ということで、すなわちソフトの基準でございまして、必ずしも施設設備等ハードの整備を求めるものではございません。ということで、今回の制度化に当たりましても、HACCPに基づく衛生管理、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のいずれにおきましても、現行の施設設備を前提とした対応が可能でございまして、負担がふえるようなものではないと考えているところでございます。

 なお、中小零細事業者に求めることとなるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理につきましては、事業者団体が作成して厚生労働省が確認する手引書を利用して、先ほども御説明ございましたが、温度管理あるいは手洗い等の手順を定めまして、簡便な記録を行うことを想定してございまして、容易に取り組めるものと考えているところでございます。

伊佐委員 何か新たな施設や設備が必要なものじゃない、つまり、今までやってきたものをしっかりとチェックしていただくということで、コストが何かかかるものじゃないんだ、基本的には見える化をどうやってするかということでした。ただ、そうはいっても、やはり、今までやってきたことのないことをこれからやろうというわけですから、相当、現場に対する配慮というのはこれからも必要なんじゃないかなというふうに思っております。

 その上で、ちょっと事業者団体の件で伺いたいと思います。

 いわゆる生活衛生同業組合と言われるものですが、この役割が、今回の法案の中でも非常に大きいものがあります。HACCPの考え方を取り入れる小規模の事業者をしっかりとサポートする。まず、この事業者団体が手引書をつくる。その手引書にオーケーをもらって、それに従って事業者がそれぞれ計画を作成する。当然その中では、各団体が懇切丁寧に、各ちいちゃい小規模な事業者に対していろいろ配慮していくということになると思うんですが、私の地元でも、話を聞くと、生活衛生同業組合は、もう既に、この法案が通る前からHACCPの研修を開いています。それで、一生懸命取り組んでいるという状況です。

 こういうことは、もちろん、本来、保健所がやるべきことなんですが、ただ、保健所も、今もう人もいないし、各地域地域、大変な状況になっております。そうはいっても、組合は組合で大変なんです、今、どんどん組合の参加する人たちも減っておりまして。もちろん、こういった法案を受けて、HACCPだということになれば、自分たちのこととして捉えて一生懸命頑張って。厚労省の見解も、もちろん各事業所の、事業の現場に合ったものをつくった方がいいから組合がやるんだというふうに説明されていますが、そもそも、だから、これは組合の協力がないと成り立たない法案だというふうに思っております。

 さっき申し上げたように、衛生組合に参加する、例えば、私の地元で食鳥肉の販売の組合の方に話を聞くと、十万人都市ですけれども、十万人都市で食鳥肉の組合にどれぐらい加盟していますかと聞くと、四、五店舗、四か五という状況なんです。それぐらいしか実はいないんです、今。昔と比べて本当に激減していまして、何とかふやそうと思って、今、組合も頑張っていますが。

 ただ、こうして役割はどんどんどんどん大きくなっていくという状況の中で、組合員をふやしてあげられるようなインセンティブも厚労省として何か工夫できないかなというふうに思っておりますが、この点について、いかがでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 厚生労働省では、ただいま御指摘いただきましたとおり、中小零細事業者を含む食品等事業者が円滑にHACCPに沿った衛生管理を行うことができるよう、一つは、事業者団体が開催する講習会、これは地域において中心的な役割を果たす食品等事業者を育成するための講習会です、また、都道府県等が事業者団体と連携して行う事業者の研修会など、HACCPの導入支援を進めております。

 その上で、HACCPの制度化に当たりましては、委員御指摘のとおり、中小零細事業者の負担軽減のため、取り扱う食品の特性を熟知している生活衛生分野や食品に関する事業者団体等との協力は不可欠だと考えております。

 このため、生活衛生同業組合などの事業者団体には、制度検討の段階から意見交換、また会員事業者への周知、そして手引書作成等の協力を得ているところでございます。引き続き、中小零細事業者の支援に当たりまして、生活衛生同業組合などの事業者団体とともに個別業種のための手引書の作成等を進めていきたいと考えております。

 さらに、こうした事業者団体が手引書を作成する際には、農林水産省が支援を行うなど、関係省庁とも連携をしながらHACCPの制度化を図っているところでございまして、こうした事業は各事業者団体における活動の支援にも資するものと考えております。

 なかなか直接的な支援というわけにはいきませんが、こうした、ともに取り組んでいただくこと、そしてまた、そのための情報提供等々をして支援をさせていただきたいと考えております。

伊佐委員 もちろん、HACCPのこうしたものにかかわることは自分のこととして彼らも捉えていますので、当然、我々の衛生管理を向上させ、維持して向上していく意味では我々にとっても大事なことだというのは、もう副大臣がおっしゃっていただいたとおりなんですが、ただ、その上で、そこは政府としても、やはり彼らの協力がないとできなくて、彼らが非常に今役割がふえているのに、今非常に困っている状況でありますので、今この場でこうというのは難しいかもしれませんが、ぜひ何か工夫できるところは工夫をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、健康食品について伺いたいと思います。

 健康食品は、法律上、今まで明確な定義というものはありませんでした。つまり、安全性の確保という点についても、ここはもう完全に業者の自主性に任せられていたという状況です。ところが、健康食品によるさまざまな健康被害というものも報道されて、昨年も、アンチエージングというものをうたって、そういう効果があるよと言っていたものがありましたが、これも、健康被害があって、国民生活センターから注意喚起というような状況にもなっております。

 今回の法案では、健康食品についても、注意が必要な成分というものをまず厚労大臣が指定する、それで、その成分において被害情報があったら都道府県に届けるということになっておりますが、ちょっとわかりにくいのは、届けるのはわかるんですが、届けた後、都道府県に被害状況を届けた後、どういう対応になるのかについて伺いたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働大臣が特別な注意が必要なものとして指定した成分等を含む食品に関しまして、都道府県等の地方自治体に届出された健康被害情報につきましては、地方自治体からまず厚生労働省に報告されるということでございます。

 そして、厚生労働省におきましては、収集した健康被害情報や地方自治体が実施する事業者等への調査結果に基づきまして、専門家による科学的な検討を行います。その科学的な検討の結果、必要に応じまして、場合によっては、食品衛生法に基づく販売禁止等の措置、あるいは事業者や消費者に対する注意喚起、また事業者に対する改善指導等、その程度に応じまして対応を行うこととしているところでございます。

伊佐委員 つまり、被害情報を受けて、これをしっかりと分析をして、食品との間で因果関係があるかどうかというものを分析をしたりとか、あるいはもともとの御病気でそうなられているのかというところをしっかり見ていく、それによって対応していくということだと思いますが、そのときに、この健康食品の製造過程に問題があったと言うためには、当然、製造工程についても規制をしていないとそれは言えないわけで、これまでそういうのはなかったわけです。そもそも健康食品の定義すらなかったわけですから。

 今回、こうして何か被害が起こって被害情報があればこうやって動きますよという、何か起こって報告をとるというのをもしやるのであれば、事前に製造工程に対しても規制するのが当然じゃないかというふうに思いますが、ただ、この法律の中でこれは見えてこないんです。ここはどうなるんでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 今回の特別な注意が必要な成分等を含む食品による健康被害情報の収集につきましては、成分等を指定する際に、国内の健康被害だけではなく、例えば海外の注意喚起情報や毒性情報を踏まえて指定を検討することとしておりまして、健康被害の発生を未然に防止する観点も含まれております。

 また、委員御指摘のとおり、健康被害情報の届出だけではなく、製造工程での安全性の確保が重要でございます。このため、今回の制度改正では、一つは、法改正により、厚生労働大臣が特別な注意が必要な成分等を指定し、健康被害情報の届出を義務づける、これに加えまして、告示改正によりまして、適切な製造管理を義務づけることとしております。

 適切な製造管理を通じて、製品中の成分等の含有量が均一となるなど製品の品質が確保されることで、特別な注意が必要な成分を含む食品による健康被害の発生を未然に防止できるものと考えております。

 このように、今回の制度改正を通じて、事後対策のみならず未然防止にも取り組んでまいります。

伊佐委員 ありがとうございます。

 ここがちょっと法律から見えてこなかったもので、確認で答弁いただきました。確かに、製造工程についても、今まで全く何もなかったものが、今回は告示でしっかりとここも規制をしていく、ルールをつくっていく。事前と事後が合わさってしっかりとした衛生管理ができるというふうに思っております。

 次の質問に移りたいと思います。

 HACCPでは、しっかりと食の安全を追求していくということですが、そのHACCPの範囲というのはあくまで、例えばO157であったりとかノロウイルスであったりとか、こういう微生物の食中毒というものが対象になっております。残留の、例えば農薬であるとか、あるいは食品添加物であるとか、あるいは遺伝子組み換えというものであるとか、こういうものの対策はHACCPの外にあるわけです。

 ちょっと懸念として伺ったのは、例えば、HACCPを皆さん適用してください、HACCPをやりましょうとなったときに、わかった、じゃ一生懸命やろう、食中毒に気をつけないといけないというので、例えば、生野菜を一生懸命洗う。今、殺菌しようと思えば次亜塩素酸ナトリウムというものを使うそうですが、例えば、しっかりと洗おうというので次亜塩素酸ナトリウムをいつもよりちょっとたくさん使った。そうすると、食中毒という点での食の安全がもし過度に強調されてしまうと、逆に、例えば食品添加物とか、過剰に塩素が使われて、別の観点で食の安全を脅かすんじゃないかというような心配の声も伺いました。そういう、食中毒ばかりじゃないんだと私は思うんですが、厚労省、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたような、殺菌のために使用する食品添加物や食品中の残留農薬につきましては、科学的根拠に基づく食品安全委員会におけるリスク評価を踏まえまして、厚労省の方で、薬事・食品衛生審議会における審議結果に基づきまして、公衆衛生上の観点から厚生労働大臣が残留基準値や使用方法等の規格基準の設定を行っているところでございます。

 このように設定されました規格基準に基づいて適切に使用されていれば安全性に問題はないと考えておりまして、また、監視指導によりまして、規格基準に適合しない食品の輸入や国内での流通が行われないことを確保する体制を整備しているところでございます。

 引き続き、これらの取組によりまして食の安全の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 添加物であったりとかあるいは農薬についても、これも同じように食品衛生法の中に書かれているということで、ここをしっかりとまた守っていくということです。

 営業許可制度の見直しについて伺いたいと思います。

 今、食品の製造、販売について営業許可をとらなきゃいけないと言われているものが、今現行においては三十四業種ある。これは都道府県知事の許可が必要になります。

 その中身、三十四業種を見てみますと、例えば飲食店とか喫茶店とか菓子製造と非常にわかりやすいものもあるんですが、例えば牛乳関係だけ見ると物すごい細かくて、牛乳関係だけでも、乳処理業、特別牛乳搾取処理業、乳製品製造業、集乳業、乳類販売業、アイスクリーム製造業というものまである。非常に細かく分かれているわけです。

 昭和四十七年に改正してこの三十四業種をつくったわけですが、当然、もう五十年近くたって、今の現状、実態に合っていないところもある。当時、コンビニも当然ありませんので。今、コンビニ、どういう営業許可になっているかというと、いろんな営業許可を複数とらなきゃいけない。飲食だけじゃなくて、食肉販売、乳類、魚介類、菓子類、こういうのを複数とっているわけです。今回、これを一度、整理し直しましょうと。すると、心配なことは、新たな基準で新たな許可、もしなるとすれば、今までとっていた小規模な事業者の継続性がどうなるんだという話です。

 今まで問題なくずっと営業を行ってきたのに、今回の新たな許可制度によって、例えば、急にハードルが上がって許可がとりにくくなったりとか、あるいは店舗の改修が必要ですよということになったりすると、極端な変化というのは非常に現場にとってつらいものがあるんじゃないかと思いますが、ここはいかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 営業許可制度の見直しにおきましては、許可の対象となる業種を政令改正により定めることとなるところでございますが、その検討に当たりましては、現行の三十四営業許可業種を検討のベースとしつつ、食中毒等のリスクを考慮して見直すこととしているところでございます。

 また、現行、営業許可の基準につきましては、都道府県等が条例で定めることとされてございますが、今回の改正によりまして、全国的な規則の平準化の観点から、厚生労働省令で定める基準を参酌した上で条例で定めることとなるということでございます。

 これら政省令の改正に当たりましては、ただいま御指摘いただきましたような問題が起こらないように、現に営業許可を有しているものにつきまして、当該許可の期限までの間、引き続き営業が継続できるよう措置するとともに、現行の自治体の基準も配慮することとしているところでございます。

伊佐委員 配慮するということでしたので、しっかりと、現場が混乱のないように対応していただければというふうに思っております。

 最後に一問伺います。

 先ほど副大臣からも答弁いただきましたが、やはりこの法案というのは組合、そうした事業者の皆さんの協力がないとできないということでした。その上で、当然、本来は、保健所機能の強化、つまり、衛生監視員というのが全国におられますが、営業許可の更新とか立入検査をされますけれども、全国で今七、八千人いらっしゃる。ただ、七、八千人といっても、兼職の方もいらっしゃいますので、ぜひ食品衛生監視員の充実をしっかりと、この法案を機に図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 食中毒事例への対応や食品等事業者の監視指導等を実施するために必要な食品衛生監視員につきましては、各都道府県等におきまして確保を図っていただいているところでございます。

 委員御指摘のとおり、保健所機能の強化ということも含めまして、先般、私も千葉県市川市の保健所を視察しまして、多岐にわたる業務を限られた人員で実施してくださっている状況を改めて認識をさせていただいたところでございます。

 厚生労働省といたしましても、今回の食品衛生法等の改正に伴い、食品衛生監視員の増員など、都道府県等の体制強化に関する地方交付税措置を要求いたしまして、施行に向けた体制整備に万全を期していきたいと思っております。

 ぜひとも御支援をお願いいたします。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、食品衛生法等の一部を改正する法律案、そしてまた、健康食品、サプリメント、この関連の部分に関して質問をさせていただきたいと思います。

 早速でございますが、ほとんどの方が、日本国民は健康食品とかサプリメントという言葉を知っていますよね。ただ、実はその用語に対して行政的な定義というのは日本の場合、ないですよね。一般的に、健康食品というのは健康の保持増進に資する食品全般、また、サプリメントというのは特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品が、何となくですがそれに該当すると考えられます。しかし、明確な定義がないので、一般の消費者が認識している健康食品とかサプリメントというのは、通常の食材であったり、お菓子や飲料、医薬品と類似した、薬剤、カプセルまで、非常に多岐にわたるわけであります。

 ちなみに、アメリカでは、大体、サプリメントというのは、従来の食品、医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状、錠剤やカプセルですよね、のものと定義があります。また、ヨーロッパでも同様なものをフードサプリメントと定義するわけでありますが、日本ではこういう行政的な定義というものを今後も定めていくことはないのか、まずちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のように、いわゆるサプリメントや健康食品は、健康の保持や増進に資する食品として販売、利用されているものと考えております。

 このような食品について、法律上の定義というものは行っておらず、厚生労働省としても特段用語の使い分けはしていないところでございます。

吉田委員 特にそういった定義づけを今後も行っていかなくても問題はないというふうにお考えなんでしょうかね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 特に問題がある、ないということではなくて、いわゆる食品衛生法上の食品として摂取するという範囲の中でそれぞれの業者等が呼ぶ名前がある、そのように理解しているところでございます。

吉田委員 よくわからないというか、答えていないですけれどもね。まあいいでしょう。ちょっとそのこともまた後ほどやっていきたいと思います。

 では、この食品衛生法の法律自体の問題、まずちょっと詳しく聞いていきたいんですが、食品衛生法というのは、平成十五年の見直しから約十五年経過していますね。その間に、食のグローバル化の進展だとか、食品衛生規制をめぐる環境が大きく変化してきています。制度の見直しというのは、比較的やはり後手に回っていたと思わざるを得ないかなと思います。

 今回の見直しは、TPP協定や二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等を控えて、やはり国際的基準への適合が意識されたことが一つの契機なのかなと思っておりますが、食の安全を守るための必要なこういった制度の見直しというのは、その都度やはり迅速かつ確実にやっていく必要があるのではないかなと思う次第なんです。

 今回、十五年ぶりの改正ということですが、今回の改正のポイントと改正に至った背景を教えていただきたい。そして、十五年、今回やはり長くかかっていますので、今後どういった感じで見直しや改正というものを考えていくのか、時間的なタイムスケジュールも含めて教えていただきたいと思います。

大沼大臣政務官 前回の食品衛生法等の改正から約十五年が経過いたしまして、国民の食へのニーズの多様化であったり食のグローバル化の進展等により、我が国の食を取り巻く環境が変化しているところでございます。

 このような変化の中で、都道府県等を超える広域的な食中毒事案の発生や食中毒発生件数の下げどまり傾向があり、事業者における一層の衛生管理であったり、行政による的確な対応が喫緊の課題となっております。さらに、食品の輸出促進等も見据えて、国際標準と整合的な食品衛生管理が求められているところです。

 こうした状況を踏まえまして、食品の安全を確保するため、広域的な食中毒事案への対応強化、HACCPに沿った衛生管理の制度化などを内容とする本改正案を提出するところでございます。

 特にHACCPに沿った衛生管理につきましては、行政や民間団体によるHACCPの普及であったり、国際的なガイドラインへの小規模事業者等への配慮規定の追加や欧米等における義務化等も踏まえまして、今般、改正法案の提出に至ったものでございます。近年、特に、平成十八年ではEUにおけるHACCPの義務化であったり、平成二十八年には欧米において随時HACCPを義務化するなど、国際的なこうした流れもございます。

 今後の改正につきましては、まずこの法律の施行後五年を目途といたしまして、施行状況をしっかり勘案しながら検討してまいりたいと考えております。

吉田委員 十五年、今度は五年ということで、十五年間見直してこなかったということに関しては、それで今までふぐあいがなかったというか、その必要性がなかったのでしょうかね。

 今回、十五年というかなり長い期間かかっての改正、今度は五年で見直しということで、やはり本当はそもそもそれぐらいのスピード感で見直すことが必要だったんじゃないかなと思うんですけれども、確認ですが、十五年たったということに関して、適正だったとお考えかどうかだけちょっと一言答えてください。

大沼大臣政務官 今回、十五年ぶりということで、食品衛生法の改正という運びになりました。この十五年間のさまざまな動きを反映する中で、本法律改正案を提出させていただきました。その時間につきましてはいろいろな御評価があるとは思いますが、先ほど申し上げましたように、速やかに御審議いただいて、成立いただいて、また今後については、この施行後五年後を目途として、しっかりと施行状況を見てまいりたいと思っております。

吉田委員 わかりました。

 では、ちょっと食中毒、もうさっき言及されましたけれども、食中毒に関して聞いていきたいと思います。

 今法案では、厚生労働大臣は、広域な食中毒事案への対応等に資するものとして、国と関係自治体等によって構成される広域連携協議会を設置することができるようになりますよね。現行法では、広域的な食中毒事案等が発生した場合は、厚生労働大臣は都道府県知事等に対して調査要請等を行うことができる仕組みが設けられていますね。

 現行制度における調査要請等の仕組みではどのような点が不足していたから今回こういった広域連携協議会を設けることになったのかということを教えていただきたいんです。お願いします。

加藤国務大臣 先ほど吉田委員から、今回の法案、十五年ぶり、適正なのかということにもかかわると思うんですけれども、例えば、平成二十九年夏に発生した同一遺伝子型の腸管出血性大腸菌感染症・食中毒事案、これは、地方自治体間、また国と地方自治体の間、あるいは食品衛生部門と感染症部門の間の情報共有が十分できていたのか、やはり謙虚に反省をしていかなければならないというふうに思います。

 そして、広域発生食中毒事案として、要するに、広域のものだということの早期発見がおくれて、あるいは共通の汚染源の調査、特定が結果的に十分できなかった、そのことはやはり課題でありますから、そういったことを捉えて、今回、対策を強化していこうということで、今委員お話のありました、特に広域的な食中毒事案に、これまでは都道府県ごとでしたから、やはり平素からブロック的な、そうはいってもブロックを超える場合もありますけれども、一応ある程度の人の動き等を見たブロック単位で日ごろから連携をとりながら、そして、いざとなればその仕組みを使って対応していく。

 もちろん、広域が広がれば、そこにブロック以外の都道府県の方にも入っていただくということはあり得ると思いますけれども、やはりそういった仕組みをすることによって今申し上げたような課題にしっかりと対応していきたい、そういう思いで、今回、こうした広域の連携協議会、これを設置し、活用し、そして緊急を要する場合はこうする、こういう規定を設けた、こういうことであります。

吉田委員 大臣、本当におっしゃるとおりですよね。やはり流通がこれだけ広がっているわけですから、おっしゃるように、広域的な措置をどんどんしていく、県単位ではちょっと狭いという、大臣のおっしゃるとおりだと思いますので。もう今、山奥でもおすしが食べられる時代ですよね、大臣。なので、やはりここはしっかりやっていただきたいなと思います。

 それでは、ちょっとHACCPに沿った衛生管理制度化ということに関して次に伺いたいんですが、今回の法案では、全ての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理を義務づけることとしていますね。小規模事業者の場合は、各業界団体が作成するガイドラインを参考に、日々の衛生管理の記録をチェックシートに記録する等の対応が求められているはずです。

 この内容で本当に我が国における食品衛生の水準を引き上げることができるとお考えなのかどうか、また、これらの改正によってどのようなメリットが生まれると政府はお考えなのか、この二点、教えてください。

加藤国務大臣 今回の改正の柱の一つということで、HACCPに沿った衛生管理の制度化、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理を求める、こういうことにしております。

 具体的には、HACCPに基づく衛生管理というのとHACCPの考え方を取り入れた衛生管理、二本立てをすることによって、それぞれの対象に応じた衛生管理をしていただこうということであります。

 こういった考え方は、食品の国際基準を策定するコーデックス委員会のHACCPのガイドラインにおいても小規模事業者における弾力的な取扱いが認められているということでございますので、それに沿ったものということでありますが、こうした小規模事業者等が、個々の事業者の取り扱う食品、業種や業態の特性に応じた衛生管理がしっかり行われる、そして、しかも、こういった一つのシステムがありますから、非常に効果的に食品衛生管理が行われて、その向上を図っていくことが可能になるというふうに考えております。

 先ほど来、ちょっと具体的なお話もありました。HACCPというと、何かすごい投資もしなきゃいけないという、ある意味では誤解があるわけでありますけれども、むしろソフトの面でしっかりやっていきましょうと。

 特に、この中小規模等々の方に対するHACCPの考え方を取り入れた衛生管理というのは、それほどの負担ではない中で一連の衛生管理をしっかりやっていただく、そういう仕組みになっているわけでありますから、それがしっかり浸透していくということによって、我が国の食品衛生管理が向上するとともに、食品による事件、事故、こういった防止にもつながっていく、そういった意味で国民の皆さんにもメリットがある、こういうふうに考えております。

吉田委員 なるほど、わかりました。

 では、また次の質問に移っていきたいんですが、健康食品等の安全確保の観点から質問させていただきたいんです。

 今回のこの法案というのは、医師等は都道府県知事等から厚生労働大臣が指定した成分等による健康被害の調査協力要請を受けた場合は情報提供等の必要な協力をするよう努めることとしていますね。

 健康食品の摂取で実際に健康被害が生じたものに対して医師等は協力するわけですから、医師等は適切な診断を行うことができる必要がありますし、また、都道府県知事等からの調査協力要請に対しても、適切な情報提供等の対応、協力が医師側からできるようにしなければいけないので、そういったことを前提に、医師等に対しては指定成分等による健康被害の症例等に関してどのような仕組みで調査協力の依頼がなされるのか。また、そのために必要な情報提供、要は県側からの情報提供ですね、ちょっとわかりにくくて恐縮なんですが、県側からの情報提供はどのように行われることになるか。これはちょっと重要な話なので、大臣、教えていただけますでしょうか。どうぞ、政務官でも結構です。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のように、改正法案においては、行政による必要な調査を速やかに行うことができるように、医師、歯科医師、薬剤師その他の関係者が、行政の調査に際し、健康被害の内容について情報提供等、調査への協力に努めることとしています。

 例えば医療機関について、診療等の場面で食品による健康被害情報を把握し得るわけであります。おなかを壊して、それで病院へ行ってお医者さんに診断していただく。その行った情報を病院、機関はお持ちであるので、行政から、そういった健康被害事案が出ているけれども、病院側の方に、その調査の趣旨であったり、把握したい患者の情報、例えば、患者さんは点滴を打ってもらったということは報告していても、何の点滴だったかというようなことは覚えていなかったりすると、保健所の方からその医療機関に対して、どういった診断をして、どういった診療をされましたかといったようなことを協力を依頼することを通じて、正確な健康被害情報及び原因特定に有用であると考えられる情報を提供していただくというように考えているところでございます。

 この詳細につきましては、いろいろなケースが考え得ると思います。例えば、児童が食中毒になってA病院にかかった、B病院、C病院にはかかっていないけれども、B病院、C病院にその情報提供を県とか自治体の方からする必要もあるでしょうし、先ほど申し上げたように、医療機関にかかったけれども、どんな診察だったか、どんなお薬が出たのか、本人がきちっと報告ができない場合には、県の方から情報提供をして、医療機関の方からそういった協力をいただくというようなこともあり得ると思います。

 そうした詳細につきましては、今後、施行までに、医療機関や地方自治体の御意見をいただきながら検討していきたいと考えております。

吉田委員 大分丁寧にお答えいただいて、大体わかったんですが、要は、まずは、通常のケースは当該の医療機関ということですね。いわゆる健康被害が発生した医療機関に対して、どういったことがなされた、診療行為を含めてどういう状況だったかを情報提供、もらうという意味なんですね。

 ただ、政務官がおっしゃったように、ほかの医療機関に対しての調査協力要請をする場合もあると今おっしゃいましたね。A病院で発生して、患者さんはみんなA病院だけれども、B病院、C病院、例えば、A病院がちょっと小規模の医療機関だった場合に関して、B、Cの、そういった専門家の知識や経験が必要な場合ということを多分おっしゃっているんだと思うんですけれども、だとすると、そこというのは、ちょっと、個人情報の取扱いとか、非常にデリケートな部分や難しい問題が出てくる可能性があるんです。

 これは大事なことなので、やらなきゃいけないんですよ、やらなきゃいけないけれども、そういったルールづくりをあらかじめ相当分しておかないと、いきなり決めていくではちょっと立ちおくれちゃうわけで、劇症型のウイルスとか、バクテリアだったり寄生虫、そういったものの健康被害というのはもう待ったなしのときもあるわけですから、ちょっとそこを詳しく、その辺のところはどういうルールづくりになるのか、もう一度ちょっとお答えいただけますか。

大沼大臣政務官 委員御指摘のように、いろいろなケースが想定されるというふうに考えております。先ほど申したのも例えばの事例の一つでございまして、今後、医療機関と地方自治体の意見をしっかりと伺って、検討していきたいというふうに考えております。

吉田委員 政務官、そのお答えだと、今何も決まっていないことになってしまうので、ちょっとお答えとしては不十分だと思いますよ。それは、だから、やはりかなりデリケートな問題を含んでくるので、今の段階である程度しっかり国会の場でお答えできるようなものは要ると思うんですが、ちょっとそれでは不十分だと思います。

 もう一言、後ろから声を入れていただいても結構ですので、ちょっとお答えいただけませんか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 現在御議論いただいているのは指定成分の健康被害の報告制度ということでございまして、基本的には、今おっしゃったようなウイルスとか感染症的なものは余り考えられず、そういったある成分が含まれる、そういう場合でございますので、基本的には、指定された成分を含むいわゆる健康食品をつくっている業者から健康被害の情報が上がってきて、それをもとに、この患者さんはどこそこの医療機関にかかりました、じゃ、その医療機関に詳しくお話を聞きましょう、情報をとりましょうというのが基本となるということでございます。

 もし仮に、同じようにそういう食品をとった方々についての情報もということであれば、それはこちらの方からいきなり指定するというよりは、例えば、関係団体の方でそういうものを把握しているものを出していただくとか、やり方はいろいろまた違ったものがあると思いますので、それはまた今後検討させていただければと思います。

吉田委員 検討結果はぜひまた教えていただきたいと思います。

 今回の法案で、製造側、メーカー側における安全性の担保ということに関しては、本法案の改正で十分とお考えなのかどうか、ちょっと一言答えていただきたいんです。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 人の健康に必要な栄養素を補給する目的で使われるものを始めといたしまして、いわゆる健康食品として摂取されるものは多岐にわたります。

 こうした中、特に人に対する作用が相当で、かつ健康影響のおそれがあると考えられる成分等を厚生労働大臣が指定し、健康被害情報の報告や製造管理を今回の本法案改正によって義務づけることといたしました。

 一方、そのような成分等の指定にかかわらず、いわゆる健康食品につきましては、従来から、行政指導により健康被害情報の届出や製造管理を求めてきたところでございます。

 今後、健康被害情報の報告内容を、より健康被害の防止に資する情報が得られるようにし、さらに、製造工程での原材料の安全性確認であったり、含有量の確認の方法がより明確なものとなるよう見直すこととしております。この見直しの内容に基づいて、適切な管理指導を行ってまいりたいと考えております。

吉田委員 わかりました。

 では、次はちょっと、食品営業に係る許可制度に関して教えていただきたいと思います。

 今回の法案では、公衆衛生に与える影響が著しい食品関係の営業について、都道府県は、厚生労働省令で定める基準を参酌して営業許可の施設基準を条例で定めることとしていますね。

 地方自治体が地域の実情に応じて必要な施設基準を定めることを認めることと、全国的に施設基準の平準化を図ることとのバランスをどのように考えて今回こういった参酌基準を示すという結論に至ったのかどうかということをちょっと教えていただけますか。

大沼大臣政務官 営業許可制度におきましては、現在、公衆衛生上の影響が著しいとして政令で定める業種につきまして、建物の構造であったり設備等の施設基準を都道府県等が条例で定めることとされていますが、今回の改正により、全国的な規則の平準化の観点から、厚生労働省令で定める基準を参酌した上で条例を定めることといたしております。

 全国統一の基準を示しつつ、地域の特性を踏まえ、条例により必要な基準を定めることでバランスを図ってまいりたいと考えております。

吉田委員 わかりました。

 それでは、ちょっと、サプリメントと健康食品に関して重要な点をいろいろ伺っていきたいと思います。

 含有する成分を一見しただけで、明らかに生理活性とか薬理活性が認められるサプリメントはたくさんあるんですが、こういったものは、野方図にこういったサプリメントのままでいいんですか。つまり、明らかにこれは何かの生理活性、薬理活性があるとわかる物質が入っているにもかかわらず、サプリメントとして何の規制も受けていないものが世にはたくさんあるんですが、そういったものを規制する仕組みが必要なんじゃないでしょうか。どうでしょうか。政府のお考えをお伺いしたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えさせていただきます。

 医薬品と食品の区分につきましては、医薬品医療機器法と食品衛生法で医薬品と食品がそれぞれ定義されているところでございまして、医薬品医療機器法の医薬品とならない飲食物は食品として取り扱うということで販売されるということとなっているところでございます。

 食品として取り扱うものにつきましては食品衛生法の規制を受けることとなりますが、今回の法改正によりまして、生理活性を含めまして、特に人に対する作用が相当で、かつ健康影響のおそれがあると考えられる成分等を厚生労働大臣が指定して、健康被害情報の報告や製造管理を義務づけることとしたものでございます。

 今後、改正食品衛生法の施行後には、健康被害の未然防止の観点から、食品担当と医薬担当がお互いに連携して情報収集に努めまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

宮本政府参考人 先生から、薬理活性が認められるサプリメント等につきましての対応につきましてお尋ねがありましたので、そこにつきましてお答えさせていただきます。

 人が経口的に口にするものに関しましては、それが医薬品に該当するか、食品など医薬品以外のものに該当するのかにつきましては、昭和四十六年に発出いたしました通知におきまして判断の基準を示しているところでございます。

 少しかいつまんで申し上げさせていただきますと、野菜、果物、調理品などその外観、形状等から明らかに食品と認識されるものにつきましては、通常人が医薬品として、そういう目的で使うものではないということですので、そのような形での医薬品としての認識はしないということにしております。

 ただし、そのようなものにつきまして、食品につきまして、医療的な効能、効果を標榜しているものは食品とするということにしております。

 また、それ以外のものにつきましては、そのものに含まれている成分本質、その成分の中心的なもの、物質でございますが、これが専ら医薬品として使用実績があるものであるとか、麻薬、向精神薬及び覚醒剤作用があるもの、あるいは処方箋医薬品に相当する成分を含むものであって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要があるものなどにつきましては、医薬品に関する規制の対象という考え方が示されておりまして、従来からこのような考え方で取締りを行っております。

 したがいまして、御指摘のサプリメントが食品として販売されたといたしましても、今申し上げましたような基準に従い、医薬品として規制すべきという場合には、いわゆる無承認医薬品の販売等に該当するものとして、医薬品医療機器等法に基づいて取締りを行うこととしております。

吉田委員 ありがとうございます。

 しっかりと御答弁いただいたんですけれども、例えばグレープフルーツは誰も薬なんて思っていませんよね。でも、グレープフルーツは、かなりほかの薬に、クマリン誘導体とかそういった関係で影響を与えるのは御存じですよね。こういったものは意外と放置をされているんですよ。ドクターは、グレープフルーツは多分そういう薬を飲んでいる人には注意して説明すると思いますし、薬局もしなきゃいけないですが、結構、意外とこういう事例はあるんですよね。

 だから、ここは、ルールづくり、今回、後でその成分の指定に関しても質問させていただきますけれども、慎重にやるべきものや、この際、啓発をしっかりしたいものがかなりの部分あるのじゃないかなと思います。

 次の質問に行きますけれども、インターネットで販売されるサプリメントも増大の一途をたどっていますよね。

 こういったインターネットで販売される本当に有象無象のサプリメントに対して、今後これを規制していくということに関してはどういったお考えをお持ちなのか、これは消費庁と厚生労働省、両方にちょっと伺わせていただきたいと思います。

東出政府参考人 インターネット上で宣伝されて売られている健康食品でございますけれども、消費者庁では、景品表示法とそれから健康増進法の観点から問題となるような表示がないか、ロボット型全文検索システムというのを使いまして、年間を通じて監視を行っております。

 必要に応じて事業者に対し指導等を行っているところでございまして、昨年度の例で申しますと、約二千件、インターネット上の健康食品に関する広告表示を収集いたしまして、三百八十一の事業者に対して改善要請を行っているところです。

宮本政府参考人 御指摘のように、近年、インターネットの普及に伴い、インターネット上で薬事効能を明示的又は暗示的に標榜するいわゆる無承認医薬品の販売等が増加しており、これに対応した監視の必要性が高まっていると認識しております。

 このため、厚生労働省におきましては、平成二十六年四月からなんですが、インターネットでの違法サイトの検索それから発見に実績のあるサイバー犯罪の専門調査会社に委託いたしまして、薬事効能を標榜して健康食品の販売を行っているサイトを発見し、その削除等をプロバイダー等に依頼するインターネットパトロール事業というものを実施してきております。この事業によりまして、国内外のサイト等につきまして、事業開始から平成三十年三月末までに約二千八百サイトを削除いたしました。

 当然、このほか、都道府県におきましても、県の職員がインターネット上の販売サイトの確認を行い、健康食品の広告で薬事効能を標榜している事例を把握した場合には、業者への指導等を通じて国内の違法サイトの閉鎖や削除などを行っているところでございます。

 また、厚生労働省におきまして、あやしいヤクブツ連絡ネットというものを整備いたしまして、海外の医薬品、サプリメントに関しては、国民の皆様からの疑問や相談を受け、必要なアドバイスを行うとともに、収集いたしました情報について、取締り、注意喚起を行っているところでございます。

 今後とも、こうした取組によりまして、インターネット上で薬事効能を標榜する無承認医薬品の広告、販売を行うサイト等の取締りに努力してまいりたいと思っております。

吉田委員 ちょっと時間が、答弁が結構長いので、時間がなくなってきたので簡潔にお願いしますね。

 じゃ、ちょっと飛ばしていきますけれども、先ほどとは逆に、明らかに生理活性とか薬理活性が認められない、根拠が希薄であるにもかかわらず、そういった薬理活性を暗示するようなCMや宣伝をしているサプリメントはたくさんありますよね。こういったものの取締りや宣伝の禁止に関しての考えを簡潔に聞きたいです。

 以前は野方図に、野放しになっていましたし、今でも暗示するようなCMはよく、しばしば見るんですね。そういった取締り、改善しているのか、ちょっと消費者庁から簡潔にお願いします。

東出政府参考人 消費者庁では、合理的な根拠なく効果等を標榜する健康食品の不当表示事案に対しては厳正に対処するということでやっておりまして、不当表示を行いますと景品表示法上の措置命令という行政処分の対象になるんですけれども、平成二十七年度ですと六件、二十八年度ですと七件、平成二十九年度ですと十八件の措置命令を行っております。

 また、景品表示法では平成二十八年度から課徴金というのが入っておりますけれども、健康食品に係る不当表示事案につきまして、これまでに十一事業者に対しまして合計で一億八千九百八十九万円の課徴金の納付を命じているところでございます。

吉田委員 わかりました。しっかりと今後もやってくださいね。

 それでは、食品の機能性表示制度についてお伺いしたいんですが、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品とありますね、三類型あります。それ以外のものはグレーゾーンになっていて、その他のいわゆる健康食品となっていますが、こういったものの今後の取扱いはどういうふうに、つまり、グレーゾーンのまま放っておいていいのかどうかということを簡潔にちょっと一言いただけますか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の機能性を表示できる制度としましては、御指摘のとおり保健機能食品制度があり、これには特定保健用食品制度、栄養機能食品制度及び機能性表示食品制度の三つの制度が含まれます。こうした既存の制度にのっとって食品の機能性を表示することのできる保健機能食品は、国又は事業者等の責任で科学的根拠が明確にされているため、それ以外の健康食品に比べて、食品を選択する消費者にとっては信頼性の高いものと認識しております。

 引き続き、保健機能食品制度を活用する事業者に対して制度に関する普及啓発の取組を行うとともに、食品を選択する消費者に対し、それぞれの制度への理解の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の制度改正におきましては、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の区分にかかわりなく、法改正によりまして厚生労働大臣が特別な注意が必要な成分等を指定しまして健康被害情報の届出を義務づけることに加えまして、成分等が指定される都度、現行の食品衛生法第十一条に基づく規格基準を告示改正することにより、適切な製造管理を義務づけることとしているところでございます。

 一方、特別な注意を必要とする成分等を含む食品以外のいわゆる健康食品につきましては、従来から、行政指導により健康被害情報の届出や製造管理を求めてまいりました。今後、今回の制度改正の施行に合わせまして、健康被害情報の報告内容をより健康被害の防止に資する情報が得られるようにするとともに、製造工程での原材料の安全性確認や含有量の確認方法がより明確なものとなるよう通知の中の手順を見直すこととして、その徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

吉田委員 本当に長いので、もっと簡潔にお願いしますね。ちょっと長過ぎますよ、答弁が。

 要は、ちゃんとしたものは三類型にちゃんと入るわけだから、基本的には。さっきの最後のお話もわかるんですけれども、やはりそういった指導もしながら、だって、同じ生理活性、薬理活性を持つものが、片方がグレーゾーンのままで、片方が例えば特定保健用食品になっていたらおかしいですよね、同じ効果のあるものが。そういった状況をやはりなくしていかなきゃいけないと思いますよ。まあ、それは一言申し上げるだけで。

 機能性表示食品は、ある程度の論文等の評価があれば全て事前届出制で申請ができますね。しかし、その科学的根拠は和文論文の提出と聞いています。論文の質とか信頼度を考えると、和文論文による科学的根拠の担保でいいんですか。今後、見直しの必要があるのかどうか、ちょっとまず、それを簡潔に答えてください。

橋本政府参考人 議員御指摘のとおり、機能性表示食品につきましては、機能性の根拠をどう担保するかというところが制度のかなめであると考えております。

 それで、御存じのとおり、機能性表示食品については、届出しようとする食品の機能性について、最終製品を用いた臨床試験の実施、あるいは最終製品又は機能性関与成分に関する研究レビューのいずれかの方法により科学的根拠を明確にすることとしており、それらは原則、査読つき論文として公表されたものを求めております。

 御指摘のとおり、一概に査読つき論文といっても、掲載雑誌によってさまざまなレベルの論文が存在しているということは承知しておりますので、消費者庁は事後チェックとして、機能性等の科学的根拠に関する情報を公開することで寄せられる疑義情報も活用しつつ、有識者の意見を踏まえながら、機能性食品として届け出られた食品の機能性に関する科学的根拠について、その根拠をもとに機能性を表示することが本当に適切かどうかを検証しているところでございまして、引き続き事後チェックを適切に運用していくことによりまして、結果として機能性表示食品の科学的根拠となる論文の質の向上にもつながるよう、制度の信頼性を高めてまいりたいと考えております。

橋本委員長代理 答弁者に申し上げますが、簡潔に答弁というのは、早口で読めということではなくて、ポイントを言えということですから、よろしくお願いいたします。

吉田委員 委員長、ありがとうございます。私が言いたかったことを今委員長から言っていただいて。本当にそのとおりですよ。簡潔というのは違いますからね。委員長のお裁きに感謝しますが。

 じゃ、もっと言いますけれども、論文で査読がない論文なんてないんですよ。知っていますか、それ。査読つき論文と言いましたけれども、論文で査読がないものなんてなくて、基本的に日本語の論文というのはほぼ査読というのは読むだけなんですよ。それで、リビジョンとかそういうものがないのを知っていますよね。

 基本的に、厚生労働省もそうだし、政府は、科学的根拠、例えば医療とか医学に関しては特にそうですが、根拠を求めるときは、インパクトファクターが存在するような英字論文というものを必ず求めますよ。なぜそれが、今回、こういったものに関してだけは同じような厳しい基準でやらないのか。インパクトファクターが〇・一点でもいいんですよ。インパクトファクターが〇・一点でも、英語のしっかりとした論文だと、やはりそのバックグラウンドであるちゃんとしたレビューがされているということになるので。そうしないとやはり、今るる早口でおっしゃっていただきましたけれども、全然そんな、実効性を持ちませんよ。

 そこをちょっともう一回答えてください。簡潔にね。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、国際的な学会等において、英語の論文による評価等が一般的に主流であるということは承知しております。

 ただ、実態としまして、さまざまな論文が存在しておりまして、英語、日本語という言語のカテゴリーだけで機能性の科学的根拠として使えるか否かを一概に示すことは非常に困難であると考えているところでございます。

 しかしながら、消費者庁としても、機能性表示食品の信頼性を高める観点から、根拠となる論文の質の向上は喫緊の課題であると認識しておりますので、精力的に検証事業を行ってまいりたいと考えております。

吉田委員 いや、だから、違うんですよ。語学のことなんかを言っているんじゃなくて、その評価に国際的な評価や、ある一定程度安全性の評価に資するかどうかということを言っているんです。だから、しっかりとした学術的な評価のある論文じゃないと。要は、和文の論文というのは、我々が三時間ぐらいでちょちょちょっと書いて出している論文、結構あるんですよ、こういう言い方をすると語弊があるかもしれないけれども。

 そういう本当に有象無象のものがあるから気をつけないといけないし、本当は、だって、そうじゃないですか、厚生労働省の皆さん、ふだん、いろいろな話をしても、英語の論文じゃないと信頼性はありませんねと言うじゃないですか。局長、笑っていますけれども、本当にそうだと思いますよ。

 だから、それをちゃんとやはりやらないと、消費者庁、責任をとらなきゃいけなくなる可能性だってあるんだから、ちゃんとこれをやってくださいよね。英語の論文にするとか、もうちょっと明確なルールをちゃんとつけてください。

 最後に、ごめんなさい、もう時間が来たので申し上げますが、今回、先ほど来話に出ていますが、健康食品のカテゴリーの中で特別な注意が必要な成分等というものを厚生労働大臣が指定するということ、これはすごく大事だし、今法案の極めて重要な骨格だと思います。今後、どのような成分を、どのような観点から、どのようなスケジュール感で厚生労働大臣がしていくかということを最後の問いとしてお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、指定する仕組みについては、国内外の健康被害情報や文献等による知見を科学的な観点で整理をして、薬事・食品衛生審議会、また食品安全委員会の意見を聞き、パブリックコメント等を行い、成分等に関する情報収集、実態把握を目的とした事業者からのヒアリングも実施した上で告示をし、指定する、こういうことになります。

 指定する成分としては、現時点で具体的にということではありませんが、食品に含まれるアルカロイドやホルモン様作用成分のうち、一定以上の量を摂取することにより健康被害が生じるおそれのあるものなどが想定されております。

 具体的には、今後、先ほど申し上げた健康被害情報や文献等による知見を科学的な観点で個別具体的に検討した上で決定していくということになります。

 スケジュールに関しては、公布の日から起算して二年を超えない範囲で、政令で定める日から施行ということでございますから、それに間に合うよう必要な手続等あるいは検討等を行っていきたいと思います。

吉田委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。初鹿明博です。

 引き続き、食品衛生法改正案について質問をいたしますが、その前にちょっと二つほど、以前、質問主意書を出していた件について、更にちょっと突っ込んで聞いていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、皆さんのお手元に幾つか資料があるんですが、とじている方の資料を見ていただきたいんですが、まず最初に、はしかについてお伺いいたします。

 御存じのとおり、はしかがことしも流行しておりまして、新聞記事をつけているんですが、これはわかりやすいのでつけているんですが、ここだと百十九件になっているんですけれども、ちょっと裏を見ていただくと、今、直近の数字、二十一週までで百六十四人の方がはしかにことし感染をしているということになっております。

 WHOが排除を認定をしてから、毎年百五十人を超えて感染しているんですよ。これは本当にゆゆしき事態じゃないかと思います。

 一六年に関空を起点にして感染した際にも、私、質問主意書を出して、そのときにも、しっかり対策をとらないといけないんじゃないかということを指摘をいたしました。

 そして、これはもう皆さん方もわかっていると思うんですけれども、何で感染が拡大しているのかといったら、予防接種が実施されるようになって、今二回接種ですけれども、一回接種だった世代がまだ十分に抗体を持っていなくて、その人たちが感染をしているということで感染が広まっているわけですよね。

 これを一枚めくっていただければ、感染者の年齢別の円グラフをつけておりますが、これは黄色が二十代で緑が三十代なんですが、二十代、三十代でこれだけ、半数以上になっているということで、もうターゲットははっきりしているわけですよ。ですから、この人たちにやはりちゃんと二回目も接種してもらうようにしていくことが、これを防いでいくことにつながるんだと思うんです。

 この最初の図のところの二〇〇八年、大流行したんですけれども、この前の年に大流行していて、二〇〇八年から五年間、三期、四期ということで、一回しか接種していない世代に中一と高三で二回目の接種をするということを五年間やりました。しかし、やったんですけれども、これは定期接種で無料で接種できたんですけれども、接種率を見てみると、八割までいっていないんですよね。つまり、二割の人はここで打っていないわけであります。

 その方々が抗体をきちんと持っているのかどうかということがやはり問われているんだと思いますが、昨日、ちょっと確認をしたら、各世代で九五%以上は抗体を保有しているという調査を聞いたんですけれども、何か、にわかにやはりそれは信じがたいなと思っているわけですよ。あえてきょうは、そのことは聞かないんですけれども。

 それで、質問主意書を出した答弁が、めくっていただくと、答弁書をつけていますけれども、未接種の者や一回しか接種していない者に対し、予防接種を受けるよう働きかけることが必要であると示しており、厚生労働省及び地方公共団体において、未接種の者や一回しか接種していない者等に対して麻疹の予防接種を受けることを推奨しているところであると、あたかもやっているように言っているんですけれども、担当の人に聞いたら、自治体のホームページで載せていますみたいなことを言うんですけれども、これで二十代、三十代の人に届きますか。実際にやはり打ってもらいたい人に、きちんと、あなた、もう一回打った方がいいですよということが届かなかったら、推奨していることにならないと思うんですよ。

 ですから、ホームページとかに載せるだけじゃなくて、今、一回しか接種していなくて、皆さん方が接種してもらいたいと思っている、そういう二十代、三十代の方々に対して、具体的にどうやって接種を促していくのかということをお聞かせください。

高木副大臣 お答えいたします。

 麻疹の予防接種につきましては、申し上げるまでもないとは思いますが、定期接種化されておりまして、予防接種法に基づき、一歳児、第一期と、小学校入学前の一年間の幼児、第二期を対象に、市町村が予防接種台帳や母子手帳等を活用して、定期接種の実施率の向上に努めているところでございます。

 二〇〇七年から二〇〇八年にかけて、十歳代から二十歳代を中心に麻疹が大流行をいたしましたが、これを受けて、厚生労働省としては、二〇〇八年度から二〇一二年度の五年間に限りまして、中学一年生と高校三年生相当の年齢の人に対し、追加で二回目のワクチンを定期接種として行いました。

 こうした取組等によりまして、麻疹の患者は順調に減少し、ただいま委員からもお話ありましたとおり、二〇一五年にはWHOから麻疹の排除認定を受けております。また、二〇一六年度感染症流行予測調査によりますと、二歳以降の全ての年代について九五%以上の抗体保有率を達成していることが示されております。

 こうした状況下の現在では、海外渡航先で麻疹にかかった方が入国後に麻疹を発症する例や、そのような方を発端とした集団感染などが発生しておりまして、先般の沖縄の例も、このような輸入症例に関係したケースに該当すると考えます。

 厚生労働省といたしましては、国内において患者が発生した場合は、自治体や医療機関等と連携し、接触者に対する健康観察等を実施することで、早期発見及び感染拡大防止の対応をしているところでございます。

 さらに、御指摘の、麻しんに関する特定感染症予防指針に基づきまして、自治体を通じて、予防接種が未接種や一回接種の方に対して予防接種を推奨しているほか、その周知手段といたしましては、ホームページのみならず、政府広報といたしまして新聞に掲載したり、より個人に届くよう、ツイッターやメールマガジンなども活用しているところでございます。

 こうした若年世代に届くように、麻疹対策の普及啓発のため、アニメキャラクター、マジンガーZを起用し、「みんなで目指そう「麻しんがゼロ」」と広報を行っているところでございます。

初鹿委員 ちょっと答弁が長い。前段が、私が質問したものを言っているのと、あと、キャラクター。キャラクターは二十代、三十代に受けませんよね、皆さん。これは十代以下の子供には受けるけれども、副大臣も答弁しながら笑っていますけれども、今の答弁を書いた担当者、ちょっと反省してください。

 私は、二十代、三十代にどうやったら届くかと言っているのに、新聞に広告を出したって、自治体のホームページに出したって、それは届きませんよ。だから、そこをちゃんと考えてくださいということを言ったんです。

 もうこれ以上言いませんけれども、キャラクターをやったって、子供は喜ぶかもしれないけれども、二十代、三十代は大人ですからね、ばかにしちゃいけませんよということを指摘をさせていただきます。

 その上で、私、質問主意書で言ったのは、まず、輸入してくることが多いんだったら、空港で働く人、これはお土産物屋さんとか、そういうところの人も含めて、やはりこの人たちにはきちんと打ってもらうべきじゃないか、そのためには公費での助成が必要じゃないかということを言ったんですけれども、まあ、結構冷たい答弁でした。

 私もいろいろ考えたんですけれども、そうはいっても、やはり二十代、三十代にきちんと打ってもらおうということをしなければいけない。ただ、財政的な問題もあるということで、ここからはちょっと前向きな提案をさせていただきます。

 事業所で一人仮に感染者がいた場合に、みんな社員にうつってしまったら、それは大変ですよね。また、お客さんに対してうつしてしまって、それが明らかになったりしたら、それはそれなりに社会的に批判も浴びる。そういうことを考えると、事業所にとってみても、自分のところの従業員がきちんと予防接種を打ってもらうということはメリットになるわけです。

 そういう面を考えたら、お金がたくさんあるところを探してみたら、労働保険特別会計にはまだたくさんあるんだと思いますから、ここを使って、雇用保険制度の中で、例えば、従業員が予防接種を受けるのに事業所としてその費用の助成をつくる、そういう制度をつくった事業所に対して雇用保険の方から一定の助成をするとか、休業したときの補償をするとか、何かそういう制度をつくったらどうかなと思います。

 事業主に、そういう制度をつくりましたということを周知すれば、事業主の側から二十代、三十代の自分の従業員に、君たち打ったことありますかということを聞いていくことになるわけですから、ホームページや新聞で載せるよりも、より直接本人に伝わっていくんじゃないかと思うわけです。

 やはり、今、自分で打とうと思うと九千円ぐらいかかるわけですよ。この費用の負担は重いですし、仕事を休んで予防接種を打ちに行くということがしづらい世代ですよね、二十代、三十代。そういうことを考えると、こういう制度をつくる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

高木副大臣 お答えいたします。

 労働者の方で未接種や一回接種の方について、より予防接種を受けていただけるよう、事業者団体等に協力を求め、雇入れ時などのさまざまな機会を利用して、麻疹に関する情報提供を行うよう依頼することなどを今検討しております。

 この際の費用につきましては、他の予防接種とのバランスを考えますと、自己負担が原則だと考えますが、委員の御指摘、御懸念もそのとおりかと思います。厚生労働省としては、今回の沖縄の事例も踏まえて、接種の必要性について、より広く周知してまいりたいと考えます。

 なお、委員から、雇用保険二事業を充ててはどうかという御提案も既にいただいておりますが、この事業は、事業主の保険料のみを財源に、失業の予防や雇用機会の増大等に資する事業のうち、事業主の共同連帯により負担することが適切なものに限定して実施しておりまして、これを財源に麻疹の予防接種に対する支援をすることはなかなか難しいのではないかと考えております。

初鹿委員 先ほども言いましたけれども、事業主にもメリットがあると思いますので、少し検討をぜひしてみて、事業主さんの意見も聞いていただきたいなと思います。

 何でこんなことを言うかというと、二〇二〇年にオリンピックがあるわけですよね。そうすると、麻疹が排除されていないような国からもたくさんの方が来ます。そして、場合によっては持ち込まれて、今回の沖縄の例みたいに国内で感染をすることも、可能性はあるわけですよ。そこでとまっていればまだいいんですけれども、二〇二〇年のオリンピックのときのように、たくさんの外国人が来たら、日本に来てうつって自分の国に持って帰ってしまうという、日本が輸出国になってしまう可能性も否定できないわけですよね。だから、今ここで、しっかり抗体を持っていない世代に打っておきましょうということを私は強く申し上げているわけです。ぜひそのことも考えていただいて、御検討いただきたいと思います。

 それでは、次に移りますが、ちょっと一枚、後で追加した資料を見ていただきたいんですが、表と質問主意書が書いてあるものなんですが、ことしは診療報酬と介護報酬そして障害の報酬とトリプル改定の年だったんですが、毎年というか毎回毎回、診療報酬の改定があるたびに私が感じていることなんですけれども、四月一日から何が何でも実施しなければいけないものなのかということなんです。

 ことしも具体的な中身が出てくるのは三月の半ばぐらいなわけですよ。そこから、今は大体レセコン、レセプトコンピューターでやるわけですから、レセコンの業者がそこからいろいろソフトをつくって、そして医療機関、年度末で忙しいところで入れて、使い方を教えて、そして三月三十日になってやっと疑義解釈というのが出てきて、それが百五十ページもあるわけですよ。これも読み込んで、それで四月一日から実施というのは、非常に長時間労働を助長するし、そして対応が非常に厳しいと思います。

 そして、その結果、どうなっているかというと、皆さんのお手元に返戻の数を出したんですが、返戻というのは、報酬を請求して、そして支払基金や国保連から、それはおかしいんじゃないか、何か問題があるんじゃないかというふうに医療機関の方に戻ってくる例ですね。

 この件数を見ると、やはり四月、五月が多いんですよ。二十八年は突出していますよね。二十六年も、三十八、三十万台ですけれども、全体の件数から見ると、やはり割合としては高いんですよ。これを見ると、やはり最初混乱をしたまま始まって、みんなきちんと理解しないまま請求をしている。これは、場合によっては、本来点数をつけられるのにつけないで出している場合もあるから、そういうのを適切につけるようにするということを考えたら、本当はもっと多いのかもしれないんですよね。

 そう考えると、何が何でも四月一日実施ということに私はこだわらずに、一定の、二カ月ぐらいの周知期間を置くのが必要じゃないかと思います。医療機関の皆さん、本当に三月末とか大変ですよね。今、安藤さんがうんとうなずいてくれましたけれども、自民党の先生方の中にもお医者さん、たくさんいると思いますが、みんなてんてこ舞いしていると思うんです。

 質問主意書の答弁は、今のところ考えていないということですけれども、ちょっとやはり現場の実態を聞いてみてください。アンケートなり調査なりして、現場がどれだけ今大変なことになっているのかということを確認をした上で、私は、二カ月ぐらいは猶予期間を持って、六月からの実施とか七月からの実施とかにする必要があるんじゃないかと思いますので、ぜひ、まずは現場の実態を調べてください。

加藤国務大臣 初鹿委員からは、質問主意書を含めて、そうした御提案をいただいております。

 今の回答については、そこにも書かせていただいておりますし、また、特に診療報酬の場合には二年に一回という、こういうサイクルなんで、それを後ろにずらしていくと、結果的に、影響している期間をどう捉えていくのかという、そういった、いろんな意味での問題点もあるわけであります。

 一方で、診療機関の事務負担、この件も含めて、これを軽減していく、これはもうしっかり取り組まなきゃいけないということで、私どもとしても、届出書類等の簡素化等、さまざまな努力、これからもしていかなければならないというふうに思います。

 そういう意味において、今御提案の件について、聞き取り調査をしたらということであります。また、診療報酬を取り巻くさまざまな課題については、関係団体からも意見を伺うこととしておりますので、そういった中において、改定の施行日についても、それぞれの団体等がどのように考えているのか、こういったことも、そうした機会に伺わせていただきたいというふうに思います。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

初鹿委員 ぜひ、長時間労働を是正しようということも一方で言っているわけですから、確実に三月末に長時間労働になるのがわかっているような制度設計はやはり改める必要があるということを指摘をさせていただきます。

 では、食品衛生法に移っていきますが、また資料を見ていただきたいんですけれども、先ほども木村議員なども質問しておりましたが、大体、与党の皆さんと我々も、ちょっと心配だなと思うところは一緒だなということを思いました。

 こちら、国内のHACCPの導入状況という資料をつけさせていただきました。

 私も、このHACCPが、諸外国が義務づけされている中で、日本がおくれてきたのはいかがなものかなと思っていたので、今回の方針は、それは私も、よりよい方向に進んでいるというふうに思います。

 しかし、さはさりながら、やはり中小の事業者にこのHACCPの考え方を徹底していくことは非常に難しいんじゃないかと思います。それは先ほど木村先生も言っていましたけれども、ここで、中小企業だと六五%はまだ導入していないわけですよね。

 この考え方、そもそもHACCPという単語自体、知らない人が圧倒的に多いんじゃないかという中で、それが徹底をどうやってやっていくのかということが私は非常に疑問なんです。

 先ほど、たしか副大臣も答弁されていましたけれども、各業界団体に手引書をつくってもらって、それを業界を通じておろしていくということで、これは本当に必要だし、こういうことでその業界の人には行き渡っていくと思うんですけれども、でも、業界団体に加盟していない中小は圧倒的に多いわけですよ、加盟していない方が。そういう加盟していない人たちにはどうやって徹底していこうと思っているのか、そこが私は非常に疑問なんです。多分、与党の皆さんも、すごく心配なんだと思います。その点についてどう考えているのか、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 先ほどからの議論の中で、やはりHACCPというものに対する、もともと言葉を知らない、あるいは、やや何か、相当大変なことをしなきゃと。実は私も、この議論が始まる前、数年前は、HACCPというのは、ああ、何か全部、厨房を全部やりかえなきゃいけないのではないか、そういうような、正直言って、認識も持っておりました。

 そういったことも含めて、実際どういうことをお願いをしていくのか、そういったことをしっかり御理解をいただく。そして、その中で、更に具体的な対応についてもよく知っていただく。そういった意味においては、さまざまな機会を通じて、講習会を開催したり手引書を配付したり、あるいは手引書の中身について説明をしたり、こういったことが必要だと思います。

 今委員御指摘のように、事業者団体はもちろんでありますけれども、都道府県等の保健所等々も、管轄のそれぞれの事業所さんにも声をかけていただいたり、そういったことを通じて、きめ細かく、広報や、そして必要に応じて支援をしていく、そういう対応が必要なんだろうというふうに思います。

初鹿委員 午前中の時間が終わりますので、最後に一言だけ言っておきますが、講習会とかを各保健所でやるにしても、やはり業界団体を通じて人を集めたりするので、私が指摘したような人たちになかなか届かないので、そこの工夫というのはやはり必要だということを指摘をさせていただき、午前中の質問を終わらせていただきます。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。初鹿明博君。

初鹿委員 皆さん、お疲れさまです。引き続き、休憩前に続いて、私、初鹿から質問をさせていただきます。

 大臣、ワンヘルスという言葉がありますけれども、御存じですよね。これは、人の健康を守るためには動物や環境にも目を配っていこうということで、人も動物も環境も同じように健康であることが大切だという考え方であります。このワンヘルスを実現する上で、動物の福祉、アニマルウエルフェアにも配慮をしていかなければならないというのが世界の流れになっているわけであります。

 特に、畜産業でいうと、動物に抗菌薬を使って、それに対して、今度は菌の方が薬剤耐性菌に変わっていって、またそれに対応するということが繰り返されて、そういう菌が今度は畜産業をやっている人にうつってしまったりとか、またそれが食肉を通じて我々消費者のところにもたらされるとか、そういう問題があるわけで、食品衛生ということを考えても、動物の健康を維持していく、その上で動物の福祉をきちんと整えていくということは非常に私は重要なんだというふうに思っております。

 そこで、改めて大臣にお伺いいたしますが、食品衛生上、このアニマルウエルフェアにも配慮をしていくことが私は必要だと思いますが、御見解をお伺いいたします。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

加藤国務大臣 食品衛生という立場において、いかにその衛生を守っていくのか、今委員御指摘のように、さまざまな観点からの取組が必要だろうというふうに思います。

 例えば、動物の福祉という、その福祉というところをどこまで勘案するかということもあるんだろうと思います。ただ、広い意味で福祉ということになると、例えば、OIEコードの動物福祉規約というのがあって、それを遵守させるということになる。そうすると、我が国の場合には動物愛護管理法というのがまずあるわけで、やはりそういう全体の法律がどうなっていくのかということを踏まえながら、ひとつ我々としても対応させていただく、これは多分基本的な姿勢になるんだろうというふうに思います。

 ただ、個々について言えば、安全衛生という観点から立って、やるべきものはもちろんしっかりやっていく、こういうことだと思います。

初鹿委員 今大臣から重要なお話がありましたけれども、まず動物愛護法というのがある、これは環境省の所管でありますが、この夏に改正に向けて、今動き出しているところであります。これはこれでありますけれども、今大臣が例に出したOIEコード、国際獣疫事務局というところが、世界的に動物衛生の向上を図ろうということでつくられている組織ですけれども、OIEコードというものを設けていて、日本もこのコードをつくるのに積極的に参加していった側ですから、やはりここに、きちんと遵守をしていくということが私は必要なんだと思います。義務はないにしても、これは遵守をしていくことが日本のやはり務めだと思うんですね。

 そういう面で考えると、今回、食品衛生法の対象になっている屠畜場又は食鳥処理場、この二つ、これから取り上げさせていただきますが、十分にこのOIEコードを守っているのかというと甚だ疑問であるし、衛生面でもちょっと心配なところがあるわけであります。

 皆さんのところに資料をお配りしておりますが、ちょっと順番を間違えてしまったので、真ん中あたりの、この屠畜場のところを見ていただきたいんです。

 ここに、牛の屠畜場、五〇・四%が飲水できない、豚だと八六・四%が飲水できないと書いてありますが、牛の屠畜場だと半分、豚だと八六%が、水を飲む施設が、設備がついていないんですよ。それで、十二時間とかそれぐらいの時間、そのまま置いておかれるわけですね。これから屠畜をされて、我々の食に供するために命をささげてくれる牛さんや豚さんが、死ぬ前に、飢えに苦しんで死んでいく。場合によっては、ここ、写真に書いてありますが、ふん尿がまじった水を飲んでいたりするわけです。これ、一般の人たちが聞いたら、日本の豚とか牛とかは外国に比べて安全だと思っているわけですが、どう思いますかね。直ちにこれで肉が安全じゃないよということにはならないと思うんですけれども、やはりちょっと、こんなことでいいのかなと思うと思うんですよ。

 これに対して何もしていないかというと、ちゃんと、去年三月八日に、各都道府県や保健所設置市の衛生部長宛てに通知を発出しているわけですよ。ただ、この通知が、何て書いてあるかというと、「新設及び改築等が行われると畜場の獣畜の飲用水設備の設置について」、そういうタイトルで、皆さんのところに一枚お配りしていますけれども、何て書いてあるかというと、「一方、」以下を読み上げますが、「国内のと畜場の獣畜の飲用水設備の設置状況については、牛を処理すると畜場で四九・六%、豚を処理すると畜場で一三・六%に留まるとする調査報告もあり、その設置が進んでいない状況が認められます。」先ほど、飲めないところの裏返しだから、反対になっているわけですね。

 「つきましては、今後もと畜場の新設及び改築等が行われる際には、当該通知に基づく獣畜の飲用水設備の設置について、引き続き、関係事業者に対して指導するよう特段の御配慮をお願いします。」となっていて、新築や改築するときに設備をつくりましょうという通知になっているわけです。

 じゃ、厚労省としては、新築や改築がされない間は、牛さんや豚さん、そのまま飲み水が飲めない状態でいるのは、もうそのままでしようがないという考えなんですか。私は、新築や改築のときは当然そうなんだけれども、やはり飲用水設備を早急に設置するように求めていくことが厚労省の立場ではないかと思います。いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、平成六年に、屠畜場の新設又は改築を行う際の施設及び設備に関するガイドラインを策定いたしました。そして、今御指摘のように、平成二十九年三月には、平成六年のガイドラインに基づきまして、獣畜の飲用水設備の設置について、引き続き関係事業者に対して指導するよう、都道府県等に通知したところでございます。

 本ガイドラインにおきましては、と畜場法の構造設備の基準には規定がない動物福祉を目的とした獣畜の飲用水設備の設置の記載があるということでございます。食品衛生の観点からは、飲用水設備の設置は必ずしも必要ということではございませんが、これは、先進的とされる対米輸出食肉を取り扱う屠畜場の基準を参考としたものということでございます。

初鹿委員 ほとんど答えていないんですけれども、それは今、現状をなぞっただけなんです。

 大臣、わかりますけれども、民間の事業者が多いでしょうから、簡単に、つくれと言って、はい、そうですねとはならないと思うんですけれども、やはり、そうはいっても、厚生労働省の立場として、私は、きちんと、できるだけ速やかに飲用水の設備をつくるように求めるべきだと思います。

 そして、何よりも、我々のために命をささげてくれているわけですから、そういう牛や豚に対する敬意をきちんと持って、感謝の気持ちを持っていたら、このまま水が飲めないままで放置をするということはできないと思いますので、大臣、もう一回大臣から、ちょっと答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げました、全体としては、多分これは環境省になるんですかね、そういったところがどうしていくのかという大きな方針というのは大事なんだと思います。ただ、我々として、個々において、安全衛生とかさまざまな施策の観点から、そうした政策を進めていくというのもあるんだろう。

 本件も、今、説明をさせていただきましたけれども、食品衛生の観点から直接設置は必要ない、まさに、と畜場法の構造設備の基準には、飲用水設備の設置規定、これはないんですね、委員御承知のとおり。他方で、対米輸出ということも考えたら、やはりそういった対米輸出をしやすい環境をつくっていくということでこの措置がとられた、そういう経緯があるわけであります。

 したがって、本件、そういった形の中で進めているということなので、どうしても新築、改築等をしたときには、あわせてそれをやってくれ、こういう多分言いぶりになっているんだろうと思います。

 そこから先、どう進めていくのかというのが委員の御質問なんだと思いますけれども、それについては、先ほど申し上げた、もちろん私ども、生きているものをいわば殺してというんでしょうかね、屠殺をして、そしてそれによって我々は栄養を得てこうして生きている、そのことに対する感謝というのは、いろんな形で持つことは、これは当然必要なんだと思いますが、トータルとしてどうしていくのかということに関しては、やはり全体としての方針というものを受けながら我々としても考えさせていただきたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。

 次は、食鳥処理場の方に移ります。

 では、このちょっとショッキングな写真を見ていただきたいんですけれども、日本では、ここ、見出しを見ていただきたいんですが、「二〇一六年、約五十万羽が生きたまま熱湯で茹でられた。」数や割合は増加傾向にあるということです。

 どういうことかというと、鳥を処理をするに当たって、まず首を切って血を全部放血をして、血がなくなった段階で熱湯処理をするんですけれども、首の切り方が甘かったりして、絶命しない段階で熱湯につけてしまって、生きたままゆでられていると。こうなるとどうなるかというと、写真のように、肉が赤くなってしまうんですよ。この赤くなった肉というのはどうなっているかというと、全部廃棄されているんです。その数が五十万羽なんですよ、皆さん。

 割合でいうと、日本だと〇・〇六四八%で、全体の鳥からすると少ないけれども、でも五十万羽なんです。アメリカはどうかというと、これは一桁少なくなっているんです、〇・〇〇六七%。日本とアメリカで比較すると、日本は九・六倍生きたまま熱湯で亡くなって、そのまま廃棄処分になっている。これは、やはり私は改めなければいけないと思うんです。

 一枚めくっていただいて、じゃ、どうすればいいのかということなんです。

 ここに、こちらの方なんですけれども、日本では気絶処理が行われない食鳥処理場が多いということが書いてありますが、まず基本的に、気絶をさせて、それでつるして暴れないようにして、首を切って血を全部抜くということがやり方らしいんですけれども、気絶をしないから、暴れている鳥を切るからうまく切れないということなんですね。場合によっては、また電気水槽という、電気を通した水槽に頭を入れて、そこで気絶をさせるというやり方もあるんですが、それだと、首をもたげたりして頭が十分に入らないと、気絶をしないでまた暴れたりとかして、それで首がきちんと切れないということもあるということで、最近は、ここに書いてあるように、ガスを利用することが多くなっているということなんです。

 こういう方法が今出てきているわけですので、ぜひ、こういうやり方をとっていって、生きたまま熱湯に入れて、赤くなって廃棄されるという数を減らしていただきたいと思います。五十万羽ですから、捨てられているわけですから、これは非常に大きな問題だと思います。

 それと、特に多いのがどういう鳥かというと、採卵鶏といって、今まで卵を産んでいた鳥で、もう卵を産めなくなったから、一、二年してから廃棄になってという鳥の方が割合が高いんですよね。これも、私たちのために一年、二年、一生懸命卵を産んでくれた鳥に対する敬意に物すごい欠けているというふうに思うんです。

 ぜひ、このスタニング、気絶処理をスタニングというんですけれども、この徹底を、ガスを使ってやるやり方に切りかえて、行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 動物の福祉という観点については、先ほど申し上げた、全体の、動物愛護管理法等々の対応を見ながら我々は対応させていただきたいと思いますが、ただ、今委員御指摘のように、放血不良というものがある。その屠体については、今でも、その後の解体処理が行えないよう食鳥処理法で規定されているということですから、その放血不良になった状態というのは、いわばロスになるわけで、したがって、ロス率が高いということを今御指摘されている。

 そういった意味においては、やはりこうしたロス率を下げるということは、効率が上がる、生産性が上がるということでもありますから、そういった観点から議論すべき部分もあるんじゃないかなと。

 ただ、今おっしゃった、何をやると、確かに放血不良が減ったとしても、例えば肉等に対する影響とか、そういったものも当然あるんだろうと思いますから、そういうのをやはり総合的には考えなきゃいけないと思いますが、委員の御指摘の、福祉という観点は全体としてやるにしても、生産性を上げるという観点から考えても、今の委員の御示唆というのは非常に我々としても受けとめるべきものだ、こういうふうに思います。

初鹿委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったとおり、動物にとっても、気絶をしてから処理をされるから痛みを伴わなくてよいですし、この五十万羽廃棄しているものが数が減っていけば、ロスもなくなるということで、経済的にも効果があるということで、どちらにもやはりプラスになるので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 同じく、この鳥の話ですけれども、もう一つ資料を出しておりますが、長時間放置の問題です。先ほど例に出した採卵鶏の場合、コンテナに詰められて食鳥工場に、処理場に持ってこられて、一晩ずっと放置をされているとか、長時間放置をされることが多いということなんです。

 これは何が問題かというと、長時間狭いコンテナの中に入れられるということで、鳥に対しても本当にひどいなということでもありますが、夜だと野生動物に襲われて食べられてしまったり、ぎゅうぎゅうに詰められていて身動きがとれないから、中には死んでしまう鳥もいて、その死んだ鳥と一緒にずっと同じ環境の中にいたりとか、ふん尿は垂れ流しの状態ですから、卵も産んだりとかするわけですから、それが積んであると、下に垂れ流されるわけですよ。だから、下にいる鳥とかはふん尿まみれになったり、卵が上からかかってきたりとか、そういう状態になっていて、とても衛生的にもいいとは思えない状態になっているということなんです。

 最後のページを見ていただければ、野生動物に食べられちゃった写真もつけておりますが、こういう状態を放置をしているのは、やはり衛生ということからしても不適切ではないかというふうに思います。

 この件については、ことしの三月二十六日にまず農水省が通知を出していて、これは厚生労働省宛てにも、農水省、通知を出しているんですよね。これは、食鳥処理場への鳥を計画的に出荷をしてくださいという通知になっているんですが、それを受けた食鳥処理場も、きちんと長時間放置にならないようにしていく、また、時間的に置いておかなきゃいけない場合には、どういうふうに置いておくのかということも考えていく必要があるんだと思います。

 ぜひここを徹底をしていただきたいと思いますので、まず、通知が出たわけですから、きちんとこれが遵守されているのかどうかということを確認をしていただきたいのと、きちんと徹底をしていくということをお約束をしていただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食鳥処理法施行規則におきましては、まず、生体の受入れにおいて、食鳥の集荷に当たっては、異常なものの排除に努めるとともに、生体の健康の保持に留意して輸送すること、それから、食鳥検査において排除するべき異常として、潤滑油又は炎症産物等による汚染、こういったものを具体的に規定してございまして、大規模食鳥処理場に常駐する食鳥検査員や、認定小規模食鳥処理場を監督する保健所等の食鳥検査員が監視指導を実施しているところでございます。

 ただいま御指摘いただきましたように、本年三月二十六日、農林水産省より、養鶏業者等に対しまして、鳥の計画的な食鳥処理場への出荷を要請する通知が発出されました。これを踏まえまして、同日に厚生労働省におきましても、食鳥処理場の規定が遵守されますよう、都道府県等の公衆衛生部局に対して、計画的な出荷が行われず、鳥の保管時の滞留が発生することにより、積み上げられた生体輸送容器上段の鳥の排せつ物が下段の鳥を著しく汚染させる状態がないか確認するよう、通知したところでございます。

 通知発出後、二カ月が経過したところでございますので、今後、その後の状況を把握し、徹底したいと思っているところでございます。

初鹿委員 時間が来ましたので終わりますが、大臣、ぜひ食品衛生にも、このアニマルウエルフェアの観点をしっかり入れて取り組んでいただきたいということをお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

橋本委員長代理 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 まず最初に、きょうの委員会が委員長職権で立てられていることに抗議をいたします。

 我々、食品衛生法の審議には平穏に入れるというふうに思っておりました。しかし、与野党で合意していたはずの一般質疑の時間が極めて不十分、また、生活保護法それから生活困窮者自立支援法の補充質疑もまだ十分に行われてはいません。そういう中で、きょうの委員会が職権立てということは極めて不本意でありますが、このことについて一言抗議を申したいと思っております。

 委員長、何かありましたら、一言お願いいたします。

橋本委員長代理 委員長として一言申し上げます。(発言する者あり)済みません、委員長代理でございますけれども。

 きょうの委員会につきましては、理事会で御議論いただいた上で、高鳥委員長の職権で立てられたというのは、そのとおりでございます。

 今後も、高鳥委員長においてですけれども、理事会で与野党協議の上、運営されるように取り計らわれるものと承知をしております。

西村(智)委員 それでは、私は、きょうはまず生活保護の基準について伺いたいと思っております。

 今回の生活保護基準の見直しによって、約四割の世帯が基準の引下げということになりました。政府の方は、六割引き上がったということで言い逃れをしたいようでありますけれども、四割の世帯において減額されているということ、基準が引き下げられているということは大変大きな問題だと思っております。

 そもそも、もう生活保護の基準の決定の方法そのものが限界に来ているのではないかという指摘はいろんなところから出ている。全国消費実態調査というデータだけでは不十分なのではないかということや、それから水準均衡方式、これがもう限界に来ているのではないかということが言われている中で、ちょっと全国消費実態調査の内容について伺いたいと思っているんです。

 家計のミクロデータを調査するものとしては、ほかに国民生活基礎調査があります。こちらと比較すると、全国消費実態調査の方は単身世帯のサンプルが少ないというふうに思うのですけれども、この点について厚労省はどういうふうに認識しておられるのでしょうか。

加藤国務大臣 生活保護の議論においては、一般世帯の消費の実態に関する統計調査である全国消費実態調査を用いて、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態の均衡が適切に図られるか定期的に検証を行っているところであります。

 今お話しの全国消費実態調査については、サンプル数が約五万四千世帯である大規模調査であり、審議会の報告書においても、現在実施している消費支出に関する調査の中ではサンプル数も多く、構造分析が可能な調査であるとされているところであります。

 御指摘の高齢単身世帯については、全体のサンプル数、今、約五万四千世帯と申し上げましたが、うち五%の約二千九百サンプルということになっております。

西村(智)委員 国勢調査によれば、単身世帯の割合は全体の世帯のうちの三二・四%、最も多い世帯構成になっているわけですね。先ほど大臣は高齢の単身世帯というふうに限定つきでおっしゃった、答弁されたんですけれども、全体の三分の一が単身世帯ということからすれば、五・何%ですか、それの対象にしかなっていないということは、やはりサンプルとしては、私、少ないというふうに思うんですよ。もう少し正確に全体を把握できるような調査方法を検討すべきではないか、もう少し別の調査方法を生かしての基準の検討ということもされるべきではないかということは、一点申し上げておきたいと思っております。

 それで、さらになんですけれども、前回の生活扶助基準の引下げのときに、政府は、生活扶助は食費や水道光熱費といった基礎的な日常生活費を補うものだ、このため、生活扶助に相当する消費品目のCPI、物価指数を見る必要があるというふうに言って、引下げを行っているわけなんです。今回、ところが、基準部会の議論においては、前回の基準見直しで導入された生活扶助相当CPIについては検証されていないというふうに承知をしております。

 やはりこれはいかがなものかというふうに思うんです。前回の基準の引下げがどういう影響を及ぼしたのかしっかり検証した上で、今回の基準の見直しがされてしかるべきであったにもかかわらず、今回はどうして検証を行わなかったのか、これについて大臣の回答をお願いします。

加藤国務大臣 前回は、まさに、低所得世帯と生活保護基準との比較をしていなかった、しかし、それぞれの地域、あるいは世帯、あるいは年齢、そのバランスについてはとった、こういうことで、そのときに、デフレ傾向が続いていったけれども、平成二十年の基準の見直し以降、生活扶助基準そのものが据え置かれてきたことから、物価変動分を反映した見直しを行ったということであります。

 今回は、先ほどありましたが、平成二十六年度の全国消費実態調査のデータをもとに、年齢、世帯構成、地域別のバランスだけではなくて、生活保護基準と一般低所得世帯の消費の水準、あるいはどこを比較の基準にすべきか、そういったことの比較検証を行っているわけでありまして、そして、この比較検証を行った一般低所得世帯の消費水準には、この間のさまざまな物価変動も踏まえた形での消費の実態というものが反映されているわけですから、重ねて物価について考慮する必要はないということで、今言われたように物価についての検証は行っていない、こういうことであります。

西村(智)委員 私、今回の生活保護の基準の見直しについて、今まで厚生労働省が棚上げにしてきた問題が、やはり一気に噴出してきたんじゃないかというふうに思うんですよ。

 全国消費実態調査、それから水準均衡方式、もうそういったものが限界に来ているのではないか。生活扶助相当CPIについては、これは検証されていない。そして、今回、四割の世帯が引下げとなる、そういう見直しが行われた。このままのやり方で続けていったら、やはり憲法二十五条で言われている最低限度の生活、これを維持するということが難しくなってくるというふうに、大変強く危惧をいたしております。

 今回の基準部会の中でも、新たな検証方法、調査方法ですね、これについて議論するべきだというふうに言われております。社会保障審議会保護基準部会の報告書、昨年の十二月に出たものですけれども、新たな検証方法の開発に早急かつ不断に取り組むために、データの収集、分析や新たな検証方法の検討を継続的に行う体制を厚生労働省として整備する必要があり、そのために、年次計画を立てて計画的かつ不断に検討を進めていくことを強く求めたいと。

 強く求めたい、基準部会が強く求めたいと言うのはなかなかないことだというふうに思うんですね。これを、大臣、受けとめて、どういうふうに今後していくおつもりですか。

加藤国務大臣 まず、これまで御説明したように、基準そのものを今回下げているわけではないということでありまして、一般低所得者世帯のどこを対象にするかということで、いわゆる変曲点とか、固定的な消費額の割合が急激に変わっていないか、こういう検証をした上で、対象とすべき一般低所得者世帯を定め、そして現行の生活扶助の基準と突合した結果、これは均衡しているということで下げておりません。

 今回、今委員御指摘のような状況が生まれた背景には、地域別、世帯別、年齢別、このバランスをとったという結果でありまして、これは前回の改定のときとも同じ考えをまずとっているということであります。

 ただ、そうした中において、審議会において今委員御指摘のような点が指摘を受けているわけでありますので、私どもとしても、次回の検証に向けては、こうした課題への対応も含めて、データの収集、分析や、新たな検証手法の検討を継続的に行う体制を整え、また計画的に検証手法の改善、開発、これに取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

西村(智)委員 この基準部会の、強く求めたいと言われている報告書から、もう既に半年がたっているわけです。半年間、大臣の答弁が全く変わっていないということですと、本当にこの先、思いやられますね。次の改定、このままいくと、あっという間にやってまいりますよ。そのときまでに新たな検証方法の開発、それから調査方法の検討、これについては、私は、半年たっているからもう少し踏み込んだ答えが出てくるのかと思っていましたけれども、大変残念です。

 ちょっと具体的に伺いたいんですけれども、生活保護の基準を決めるに当たっては、社保審の中の基準部会というものはあるんですけれども、それ以外に、生活保護とはどういうものであるべきかということを議論する場がないと私は思います。

 つまり、憲法二十五条で言う最低限の生活、それを実践、実行するための最低生活費をどういうふうに捉えるのか、どういうふうに考えるのか、言ってみれば、基準の話は基準の話としてやるんだけれども、それの前提として、どういう生活費でなければいけないかということを議論する場がない。これが、生活保護の基準の見直しに際して、やはり私、常に、欠落しているところであるがゆえに、基準の話だけに議論がとんがっていって、なかなか総体の中で生活保護をどう捉えるかという話ができてこなかった理由の一つではないかというふうに思うんです。ぜひそういった場を、大臣、設けてほしいと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 基準そのものについては、生活保護法の第八条で、「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。」と書いてあるわけでありますから、じゃ、実際それはどういうものなのかという、まさに基準づくりが大事なのではないかなというふうには思います。

 そういった意味において、生活保護基準部会においては、これまでも、家計の状況や生活意識を把握するための調査なども実施をし、いろいろ検討していただいている、こういう経緯があるというふうには承知をしております。

 ただ、いずれにしても、先ほど申し上げたように、データの収集、分析、新たな検証手法の検討を継続的に行う体制を整えと申し上げましたので、どういう場所において、生活保護基準部会で行うのか、あるいは違う形で検討する場所を設けるのか、その辺も生活保護基準部会のメンバーの方とも御相談をしながら考えていきたいと思います。

西村(智)委員 ぜひ検討してください。よく意見を聞いてください。

 それに際して、私はやはり当事者の声を聞く必要があると思っております。我が党の中谷議員が本会議でも質問いたしておりましたように、当事者の意見を聞かずして政策を決めることなし、これは、さまざまな政策決定の中でもう原則になってきておりますので、当事者の意見を聞いた上でそうしたあり方を検討するということ、これをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 これまでも、さまざまな機会を通じて、そうした関係団体あるいはそうした方々からもお話を聞き、それを部会の方にもいろいろと私どもの方から説明をさせていただいているというふうに思いますので、引き続き、そうした方々の声、当事者というのは、もちろん受給されている方も当事者ですけれども、その負担をしている国民の皆さんもある意味では当事者でありますから、広くそういった皆さん方の声が反映できるように努めていきたいと思います。

西村(智)委員 そんなことを言ったら、全国民の意見を聞かなきゃいけないというのは全ての政策において当然のことなんですよ。障害者への支援策だって、これは税金でやっているわけですよね。そうしたら、全国民の声を聞いてやらなきゃいけない。大臣、大臣の答弁にしては何だかちょっと、余りに雑なのでびっくりしているんですけれども。

 私が申し上げているのは、当事者の団体からも意見を聞いている、だけれども、これは大臣が直接聞いているわけではなくて、恐らく省内の担当者なりが話を聞くというところで終わっているはずなんです。そうではなくて、いわゆる受給当事者としての声を発する場、そういう意味で当事者の意見を聞く場、これを設けるということをやっていただきたいと思うんですけれども、これについて、これくらいは、大臣、どうですか、聞いてもらえませんか。

加藤国務大臣 場という意味があれですけれども、これまでもさまざまな機会を通じてお話を聞かせていただいているというふうに承知をしておりますので、また次の改正へ向けて、あるいはこれから議論をすることに対して、またいろんな形でそういった皆さんの声も聞かせていただきたいと思います。

西村(智)委員 聞く気がないということですね、大臣の今の答弁ですと。

 私はやはり、大臣、この間、またここで高プロの話をするのもなんなんですけれども、高プロのヒアリングをしたのが十二人だったというのもすごくびっくりしたんですけれども、この高プロのヒアリングをしたのがことしの二月、法案を策定した後だというので、本当にびっくりしました。アリバイ的にそうやってヒアリングをやって、だから政府の提案はいいんだという正当化を図ろうとする。一方で、この生活保護の問題については、全く冷たい態度、聞こうともしないということは、本当に厚生労働大臣としていかがなものかというふうに思います。

 ぜひ、当事者の声を含めてそういった幅広い意見を聞く場を設けてください。ここは要望しておきます。大臣、今の時点ではお答えになられないでしょうけれども、ぜひこれは次の改定に向けてお願いをしたいと思っております。

 それで、食品衛生法の議論に入ります。

 今回、十五年ぶりの見直しということで、大変盛りだくさんです。既に幾つか論点が出ておりますので、私のところからは重ならない範囲内で質問したいと思っておりますけれども、一つ目に伺いたいのは、営業許可制度の見直しについてでございます。

 先ほどもどなたかが質問しておられましたけれども、例えば、牛乳の製造から販売までということになりますと随分細かく分かれているんですね、乳製品の製造から販売まで。

 私、以前ちょっと聞いたことがあるんですけれども、牛乳を売る場所には水道の施設がなければいけないということになっていたんですよ。昔は、牛乳を何か別の売り方をしていた時代があったのかもしれません。だけれども、済みません、私が生まれた時代は、牛乳というのは、瓶に入って売られているか紙パックに入って売られているかどっちかなので、水道の施設がないところで売れないというのは、これは変だろうと聞いたことがあったんですよね。そのときのこともこれありで、今回、営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設ということについては、もちろん食の安全、安心、これが最優先ではありつつも、もう時代に合わない古い仕組みは見直すという意味でも私はこれは評価をしたい部分でありますし、ぜひいい形で前に進めていただきたいというふうに思っているんです。

 現行の施行令が昭和二十八年ですから、このときに決められた三十四業種というのは当てはまらないものが大変多くなってきている。

 それで、ちょっときょうは一例を御紹介したいんですけれども、私の地元の県内であったことなんです。

 朝市って御存じですか。一週間のうち曜日とか、月で日にちを決めて、定時で、定例で市場が出ます。魚とか肉とか野菜とか乾物とか、いろんなものを売ったりするんですけれども、その朝市でコーヒーを出していた店があったんだけれども、県の条例によって朝市ではコーヒー販売は認められていないということで、コーヒーの販売ができなくなっちゃった。地元の市は、朝市を通じて交流人口を拡大しようとか、出店者をふやして人の流れをつくろうということで取り組んでいた中だったんだけれども、その条例が足かせになったということなんです。

 それで、これは新潟県だけかもしれませんが、県の条例ですと、朝市での食べ物や飲物の販売は食品行商に該当する。行商で販売できるのは豆腐とかお総菜とか菓子。昔は確かに豆腐とか売ってきていましたけれども、コーヒーは販売できない。要するに、コーヒーは行商の中に入っていないということで、これができないということになったそうなんです。

 こういうことを聞いたり、それから先ほどの牛乳の話とか、それから私の知り合いでも、いろんな、地産地消といいましょうか、自分のところの畑でとれた野菜を使って何か総菜をつくって売ったりしている人が、野菜が余ったときなんかにそれを加工して瓶詰にして売ろうとすると、また別の許可をとらなきゃいけない、また別の届出をしなきゃいけない。何か瓶詰と総菜って、たしか別なんですよ。そういうので、本当に複雑な手続になっていて、これは何とかならないかということで聞いたんですけれども、恐らく全ての自治体がそうだと思いますが、食品衛生法の施行令に準じた形で条例なりをつくっているので、それはできないということだったようなんです。

 今回の見直しは、そういう意味では、地域の皆さんの人口対策、交流人口の増加とか、それからいわゆる自分のところのビジネスのためのものとしても期待をしているところではあるんですけれども、今、現時点において、許可業種とする判断基準の例が実は余り明確には見えておりません。食中毒のリスクが高いもの、規格基準等が定められているもの、それから過去の食品事故や食中毒の発生状況等を踏まえて衛生上の配慮を特に要するものという基本的な考え方が示されているだけで、この届出制度がどういうふうになるのか全くわからない。

 何か、さっきの午前中の答弁を聞いていますと、三十四業種をまとめるとか、くっつけるとか、別に新たなものをつくるとか、そういう三十四業種をベースとしたものというふうになるのかなというふうに聞こえたんですけれども、これから先、いろんなことが考えられると思うんですよ。

 つまり、昭和二十八年のときには考えられなかったケースが平成の三十年、三十年どころじゃない、平成に入るといろんな業態も出てきていますし、いろんな技術も進歩してきていますし、くくりを見直すというときに、本当に三十四業種をベースとするということで、今後の、いろんな意味で食品衛生を担保していくために十分なのかどうか、できるのかどうかというふうに思っているんですけれども、この基準の見直し、判断基準について、今、現時点ではどういうふうに考えられているんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、現行の三十四の営業許可業種でございますが、先生は昭和二十八年の施行令とおっしゃいましたけれども、実は昭和四十七年の政令でございまして、それにいたしましても、それ以後四十数年たってございますので、食品産業の実態からかなり乖離が生じているということでございます。

 加えまして、また、御指摘いただきましたように、各自治体の条例などで、またまちまちとなっているというようなのが現状でございます。

 そこで今回の見直しを行うわけでございますが、見直しは、許可業種の見直しのみならず、届出制度の創設とあわせて行うということでございます。その届出の上に、許可業種をつくるという判断、その基準というのがあるわけでございますが、そこにつきましては、今先生から御指摘いただきました食中毒等のリスクその他三点ということでございます。そういった公衆衛生学的なリスクあるいは基準等ということで、基本的には、今、現時点ではその辺から余り変わってございません。

 ただ、具体的な許可業種のあり方につきましては、今後、食品の製造、加工、調理、販売などの業態ごとの現状やリスクを踏まえまして、有識者、関係団体、都道府県等の意見を聞きながら検討していくこととしているところでございまして、また、この施行につきましては三年以内をめどということにしてございますので、その間に整えていこうということでございます。

西村(智)委員 何か、結局、新しいことは何も答えてもらっていないですね。もう少し何か具体的に見えると、これは業者の皆さんにも安心していただけたんではないかというふうに思うんですよ。

 三十四業種をベースとして、業種を少しくっつけたりとか、新たなものをつけたりとか、そういうレベルのものを考えているということですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、許可につきましては、先ほど申しましたリスクに基づいて特に製造業などリスクの高いものを許可と考えてございますが、そのときに、確かに、非常に現状から見ると細分化されているとか、あるいは逆のケースもあるということで、現状を踏まえまして、当然、くっつける、あるいは分けるということはあり得ると思います。

 それからもう一つ。例えば、今コンビニエンスストアのようなところでは、一店で幾つもの許可をとらなきゃいけないというような、お困りというようなお話もいただいておりますので、例えばそういうところはもう少しまとめるとか、そういうことも含めまして総合的に検討したいというふうに考えてございます。

西村(智)委員 じゃ、具体的に聞きますが、先ほど私が申し上げたようなケース、つまり定期的に開催される朝市でコーヒーを販売するということも、これは可能になりますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 具体的なものについては、先ほどから申していますように今後の検討になりますので、現時点でなかなか申し上げるのは難しいということと、あと、実際、朝市でどのような形態で売るとか、どのぐらいの頻度とか、あるいは業としてやるかとか、結構さまざまな要因があると思いますので、ここで、できるできないをお答えするのはちょっと難しいかと思います。

西村(智)委員 できるだけ幅広い方の意見を聞いてください。

 それから、私、安全基準で、ここで厚生労働省が示している三つの基準ですね、食中毒等のリスクが高いもの、それから規格基準等が定められているもの、それから過去の食品事故や食中毒の発生状況を踏まえて衛生上の配慮を特に要するもの、ここからスタートするということがいいと思っているんですよ。ですので、その上でどういう区分にするかということを、ぜひ多くの人から意見を聞いてやってもらいたいというふうに思っております。

 それから、器具、容器包装のポジティブリスト化について、ちょっと一点だけ伺いたいと思っているんです。

 今現在、国内で製造されている器具及び容器包装よりも、輸入されているものの方が圧倒的に多いですよね。輸入件数、届出数量ともに年々増加していて、輸入件数でいいますと、十年前が約二十万件だったのが平成二十八年では五十五万件と、倍以上に件数としてはなっているということからすると、やはり輸入の方も、輸入される原材料、それから製造品、製造品として輸入されるものってそんなにないのかな、そういったものの検疫体制、監視体制、これを十分にやっていくことが必要だというふうに考えるんですけれども、今回の法改正によって何がどういうふうに変わりますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御質問いただきました食品用の器具、容器包装、特に輸入品についてということでございますが、輸入品につきましては、輸入事業者に対しまして、輸入の都度、材質の届出を義務づけてございまして、これに基づいて検疫所において審査及び検査を行っているところでございます。

 今後、ポジティブリスト化されますと、届出されたものがポジティブリストに収載されているものかどうかというようなことをもって審査などを行うということになりますが、ただ、これにつきましても、猶予期間を置きまして、現場が混乱しないようにということで考えているところでございます。

西村(智)委員 今回、容器包装の規制の整備については、厚生労働省の中で設置された検討会において議論がされて、取りまとめがされた内容に基づいた改正内容だというふうに承知をしております。

 器具、容器包装の衛生規制の見直し、衛生規則ですね、衛生規制の見直しについては、ポジティブリストを導入するというその必要性から結構、検討会の中では継続的に検討が行われてきたんだけれども、今回の法改正ではそこまで至らなかったということなんですけれども、これはどういう理由から、今回の法改正にその衛生規制の見直しについて見送るということになったんでしょうか。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。

 業界の意見も十分伺いながら、現場も混乱しないようにということで検討しているというところでございます。

西村(智)委員 器具、容器包装で幸いなことに大きな食中毒事件等々は発生していないわけですけれども、今後何が起きてくるかわからないわけです。先回りしてポジティブリスト化するというのが今回の趣旨でしょうから、ぜひ、そこのところはよくよく話合いをしていただいて、検討会の中で、とにかく必要だというふうに言われて議論されてきた経緯がありますので、今後、しっかりとそこはまた留意をしてもらいたいというふうに思っております。

 ちょっと最後に一つ、大臣に伺わないとどうもらちの明かないことがありますので、伺いたいと思っております。

 一つといいますか、具体的には、例の裁量労働制のデータ作成のプロセスについて、今、厚生労働省の中の監察チームで調査を行っているというふうに聞いております。いつになったらこれがまとまって出てくるのかということを要求し続けているんですけれども、理事会でそのことは明らかにされておりません。まず、いつ出てくるのか、これについてお答えをいただきたい。

 それから二つ目は、どういう指示を大臣からこの監察チームに対して行ったのか、それを答えてください。大臣からの指示があって監察チームが動くということになっている。ところが、この指示が、紙で行われたんじゃなくて大臣の口頭で行われたというふうに聞いているんですね。どういうふうに指示を出したのか、これを明確に答えてください。

加藤国務大臣 裁量労働制に関しては、比較すべきでない形で比較した資料の作成の経緯について確認するということで、第三者的な目というお話を委員会でもいただきました。五月九日の衆議院の厚生労働委員会の議論の中で委員からも頂戴いたしました。

 これまで、三月下旬以降、監察チームの事務局である大臣官房において、職員十七名のヒアリングを行うなど確認を行っておりましたけれども、委員の御指摘も踏まえて、私から、五月十五日の火曜日でありますが、監察チームの外部有識者の方々の意見を聞きながら監察チームとして確認を進めるよう、監察チームの主査であります官房長に指示を行った、こういうことでございます。

西村(智)委員 それだけですか。具体的にもう少し、対象はどこで、期日はいつまでで、こういうことに留意してとか、そういう指示はされなかったということですか。

加藤国務大臣 対象というのはもう既にわかっている話でありますから、今回のこうした経緯、比較すべきでない形で比較した資料が作成された経緯、これを調べるということであります。

 そのヒアリングの対象者や今後の進め方、これについては、監察チーム、あるいは特に外部有識者の方の意見を聞きながら進めていく、こういうことであります。

西村(智)委員 チームに対して大臣からは具体的な指示、あるいは期日ということは提示されていないということなんですけれども、ちょっと困りますよ、大臣。

 裁量労働制のデータは、働き方改革の議論の前提として行われた平成二十五年度労働時間等総合実態調査の内容ですので、今参議院で議論されている最中ですので、少なくとも、この参議院の議論が行われている途中までには出してもらわなければ困ります。それについて明確に、そうするとかしないとかいうふうに言っていただきたいのが一点。

 それから、私、今回、森友学園の財務省の調査を見ていて、お手盛りの調査だったという今批判を受けていますよね、森友学園のあの問題について。イラクの日報のときもそうだったんですけれども、つまり、役所の中だけのヒアリングをしているんですよ。役所の中のヒアリングだけでは全体像は明らかにならないと思います。私は、やはり、あのときに政務がどういうふうにかかわったのか、それを明らかにするために、役所の人たちだけではなくて、当時かかわった政務、大臣、副大臣、政務官、知っている人はおられると思いますので、そこのところもヒアリングの対象にしてほしいということをぜひ大臣から伝えてほしいと思うんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、現状でありますけれども、先ほど申し上げた十七名の方のヒアリング、そういった状況を提供した上で、外部有識者に、ヒアリングの、更にどういう対象を進めるかということを相談し、実際に既にヒアリングを行って、その報告をまとめているというふうに承知をしております。

 加えて、六月の監察チームの会合において、六月一日の衆議院厚生労働委員会において、野党理事より、当時の政務もヒアリングの対象にすべきとの意見があったということ、このことはお伝えをしております。

 ただ、いずれにしても、この進め方については、監察チームの外部有識者の意見も聞きながら進めていきたいと思います。

 確認結果については、現状、いつまでにという時期を申し上げる状況にはございませんけれども、今委員の御指摘、これも含めて監察チームの方にも伝えて、判断を仰ぎたいと思います。

西村(智)委員 当時の橋本岳政務官、今は自民党の厚労部会長が、厚生労働省の職員がうっかりつくって、うっかり受領して、大臣にもうっかり答弁させちゃったというふうにフェイスブックで書かれていたんですけれども、本当にそんなことがあるのかどうかというふうに思うんですよね。だから、少なくとも、私は、橋本岳議員はそのヒアリングの対象になるというふうに思います。だって、うっかりつくっちゃったといって証言しているわけですから、本当にそうなのかどうなのかというのはヒアリングをしてもらいたいと思いますし、歴代、答弁してきた方もいらっしゃると思います。そういう人がどういうふうに説明を受けて、自分でどういう判断でそれを言ったのかということもちゃんと調査してもらいたいと思います。

 官房長がこの監察チームの主査だということなんです。委員会には官房長が何か来ないということになっているようなので、坂口さんに伺いますが、きちんとそういうふうに伝えてもらいたい。また、期日もきちんと区切るようにしてもらいたいと思いますが、どうですか。そこは必要なところだと思いますよ。この調査の後でまた、本当にちゃんと聞くべき人に聞いたのかとかいうことを言われないために必要なことだと思うんですけれども、ちゃんとやってください。いかがですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 監察チームでの確認作業につきましては、今大臣の方からも御答弁申し上げたとおりでございます。外部有識者の方にも、これまでも、ヒアリングの対象者などの進め方も御相談をしながら、また、今大臣からもありましたように、先週金曜日での理事からの指摘ということはお伝えをしておりますけれども、きょうまた委員会での御指摘があったということは伝えながら、外部有識者の御意見を伺いながら作業を進めてまいりたいと思います。

 また、いつまでにということにつきましても、私どももいたずらに時期を、かけるというつもりはございませんけれども、いずれにしましても、外部有識者の方と相談しながらしっかり進めてまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。

西村(智)委員 官房長が主査ですから、主査としての責任をちゃんと果たしてください。

 終わります。

橋本委員長代理 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 岡本充功です。

 きょうは、食品衛生法等の一部改正案ということで質問させていただきます。

 まず、論点を幾つか整理したいと思いますが、今回の改正案で、食中毒はこれから先、減っていくのかということであります。そういう意味で、今回の法改正が、食中毒事案を減らしていく、若しくは規模を縮小する、若しくは重篤さを軽減する、そういうことにつながるのかということであります。

 そもそも食中毒の定義というのはどういうふうに定義をしているのか。そして、その評価、統計的な評価はどのように、先ほど言った重症度、例えば労働安全衛生の世界だと、強度率だとか度数率だとかいうような名前で労災事案の評価をしています。食中毒の評価というのは、定義はどうで、どういう評価でやってきているのか。その評価に基づくと、昨今の食中毒は一体どういう傾向にあるのか、御答弁をいただきたいと思います。事務方で結構です。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生法におきましては、食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者を診断し、又はその死体を検案した医師は、二十四時間以内に最寄りの保健所に届出を行うということが定められてございまして、それをもとに、厚生労働省では食中毒統計調査を実施しているということでございます。

 この調査におきましては、都道府県等の保健所において調査を行った食中毒の患者並びに食中毒死者の発生状況を的確に把握しまして、食品衛生対策の基礎資料を得ることを目的に、年次ごとに、事件数、患者数、都道府県別発生状況、発生原因別発生状況等についてまとめているところでございます。

 そして、評価と申しますか、最近の傾向といたしましては、先ほども出てございましたが、年間に、食中毒千件、患者は二万人ほどということで、なかなか下げどまらず、横ばいの傾向にあるというようなことでございます。

岡本(充)委員 今の定義でいうと、食品の中に含まれている毒素によって健康に被害が出た場合は食中毒としない、こういうことです。添加物に限るわけですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今の、先生御指摘の毒素というのがどういうものかちょっとわからないんですが、例えばフグ毒とか、そういう食品に自然に含まれているようなものであれば、当然食中毒に入ると思いますし、犯罪的なものであれば、それは基本的には入らないのではないかと思います。

岡本(充)委員 ですから聞いているんです。

 食中毒の定義は、今、先ほど言った添加物というものは、それはわかりますが、自然に入っている毒素は、では、先ほどの定義のどこで読めるんですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 最初に、添加物の前に申し上げました食品というところに含まれると考えてございます。

岡本(充)委員 そうすると、毒素も食品という理解でいいんですか。

宇都宮政府参考人 なかなか難しいところでございますが、例えば、たまたま入った寄生虫あるいは細菌なども、やはり、食品とともに食して食中毒ということでございますので、そのようなことになるのではないかと思います。

岡本(充)委員 驚きですね。寄生虫も食品ですか。毒素も食品ですか。テトロドトキシンも食品、こういう理解でいいんですね。それでいいですか、定義。変えるなら今ですよ。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しました定義として、こういったものに起因して中毒したという、そこの部分でございますが、具体的に中毒となる原因ということでは必ずしもなくて、もう少し包括的な意味ではないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 違うんです。科学的に毒素とわかっているものまで食品と定義するということでいいんですね。明らかに毒性がある化学物質を食品だ、こういう定義にするということでいいんですか、こう聞いているんです。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 毒素あるいは寄生虫のみを取り出せば、それはもちろん、御指摘のように食品ではございませんけれども、たまたま混入したということであれば、食品に起因したということにつながるのではないかと思います。

岡本(充)委員 たまたま混入したじゃないですよ。要するに、ある蓋然性が高いわけですよ。じゃ、フグの肝臓、たまたま混入しているから、運が悪く食べたということですか。違うでしょう。入っている蓋然性が高いから、それについて規制しているわけですよ。蓋然性が高い毒キノコ、たまたま入っていたんですか。違いますよね。そこは毒物が入っている蓋然性が高いから、これについて食中毒の情報を出すわけです。食べてはいけない、食品として扱ってはいけないと言っているわけです。

 だから、食品の定義、もう一回きちっと整理して答えてください。ちょっと整理してもらっていいですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 なかなか難しいところでございますが、一般的な食べ物として食べるというようなものをやはり食品という定義で言うということだと思います。

 その中に、そういった健康被害を及ぼすようなものが混入している、それに起因して食中毒を起こすというようなことではないかと思います。

岡本(充)委員 もうこれ以上やってもなかなか明確な答弁が得られないだろうし、整理しておくべきだと思いますよ。要するに、食品と、食べてはいけないものと、やはりそこで違いがあるんだと思いますよ。

 したがって、食中毒にたまたま、たまたまというか、先ほどの、故意ではなくて、何らかの健康に被害が生ずるようなものが付着若しくは発生しているもの、これによって体への危害が生じた、これが食中毒だというのならわかるんですが、そもそも入っていることが明らかである、若しくは蓋然性が高いものを食べる、これは食品なのかという定義、どうなのかということは、ぜひ整理をしてもらいたいと思います。

 その上で、ちょっと確認をしたいんですが、今回、広域的な食中毒事案への対策強化と言っていますが、今回、こういう形で関係自治体が、つまり自治体が中核市などで保健所を持って、県から独立して食中毒事案に臨む。

 ところが、工場は例えばどこかの県にあって、その提供された飲食店は別の市にあって、そして、会社の本社は別のところにある、広域的に確かに対策をとらなきゃいけないことがあるでしょう。その場合、一体どこが音頭をとるのか。この広域的な自治体の食中毒事案ごとに、地域ブロックごとと言っていますが、ブロックをまたいで起こったときに一体誰がこれを音頭をとるのか、ここについてはどのように考えているのか。

 また、そのときに発生する費用、特に、大規模になれば、いろいろ交通費もかかるでしょう。自治体に費用が発生すると思いますが、これについては交付税などで措置する予定であるのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、広域連携協議会は、地方厚生局単位のブロックで基本的に組織して設けるものでございます。

 ただ、広域食中毒の発生時には、ブロックをまたいで自治体が関与するということもありますので、必要な場合には、この広域連携協議会にブロック外の地方自治体を構成員として加えることとしているところでございます。

 また、今回の食品衛生法改正に伴います費用負担軽減のために、地方自治体の体制強化等に要する地方交付税の措置を要求することとしているところでございます。

岡本(充)委員 災害とは違うのかもしれませんけれども、先ほどの話に戻るんです。一体どういう基準で大規模若しくは重篤だという評価をするのか、ここのところを答えていないんですね。食中毒の評価というのは人数なんですか。それとも、症状の重症度なんですか。一体何を食中毒の重症度として評価をするのか、その評価の基軸が定まっていないんじゃないかと思っているんですね。これを定める必要があると私は思うんですよ。

 やはり、もちろん、単一のメジャーでははかれないと思いますけれども、大臣、こういうことについて少し検討されてみてはいかがですか。今の答弁で、ないんですね、これは。

加藤国務大臣 まさしくこういった広域連携をしてこなかったということ、これが今回の反省にあるわけでありまして、こうして協議会をつくって運営をしていく。これは日ごろからいろいろな情報交換をし、そして、緊急な事態、まさに広域的な初動のときに対応していく、こういうことであります。

 今委員御指摘のように、一律に決めるというのはなかなかそぐわなくても、一つのメジャー、視点、これを持つことは非常に大事だというふうに思いますので、私どもとしても、幾つか、このアラーミングポイントみたいな、要するに、ここはやはり警告点だねというものとしてどういう指標があるのか、どういうものがあるのか、これをしっかり検証し、対応に努めていきたいと思います。

岡本(充)委員 なかなか難しいと思います。もちろん、数が多ければ大規模です。軽症でも、すごくたくさんの人がということもあるでしょうし、人数は少ないけれども、重篤な後遺症が残ったというのもこれは重篤でしょうし、だから、そういう意味で、検証の方法はあると思いますが、ぜひお願いしたいと思います。

 その上で、一般の飲食店で食中毒若しくは食品による健康被害が起こることをどうやって防ぐのかということは極めて重要だと思います。

 今回、HACCPに沿った衛生管理の制度化をするという話でありますが、そもそも、今、現行では、一般の食堂では、食品衛生のいわゆる指導する者は一体どういう人がいるのか、どういう人が責任を持ってやっているのか、この現状は今どうなっていますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 現在の食品衛生監視につきましては、自治体の食品衛生監視員、主に保健所などに勤務してございますが、その食品衛生監視員が食品等事業者への立入検査等の監視指導を行っているところでございます。

岡本(充)委員 食堂の方には、要するに飲食店の方にはどういう人がいますか。

宇都宮政府参考人 飲食店などにも立入検査しているところでございます。(岡本(充)委員「違う、違う」と呼ぶ)

橋本委員長代理 飲食店の方のこれに関する責任体制はどうなっていますかという質問だと思いますので、もう一回答弁してください。(宇都宮政府参考人「責任体制ですか」と呼ぶ)そういうものが制度的にあるのかどうかとか。あるのかないのかとか、そういうことですよね。

宇都宮政府参考人 飲食店につきましても、いわゆる食品事業者の衛生管理につきましては、自治体がそういった食品衛生の監視を行う、そういう体制でございます。

岡本(充)委員 ちょっと整理して。ちょっと答弁整理して。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 飲食店などにおいては、食品衛生責任者を置いて衛生管理をすることとしているところでございます。

岡本(充)委員 そうなんです。責任者がいますね。この養成が一体どうなっているのかというのが次の私の論点なんです。

 じゃ、HACCPを導入するというけれども、責任者の養成は一体誰が行っていますか。要するに、私が指摘をしたいのは、いわゆる日本食品衛生協会若しくはその会員が行っている以外でこうした責任者を養成している講習はありますか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 平成二十九年度の登録講習会実施機関といたしましては、日本食品衛生協会以外に全国食肉学校というものがございます。

岡本(充)委員 それは、一体何人ぐらい養成していますか。ほとんどが食品衛生協会がやっているんじゃないんですか。どうですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 大変失礼いたしました。

 先ほどの全国食肉学校は、食品衛生管理者の方でございまして、責任者ではございませんでした。

 食品衛生責任者につきましては、都道府県知事、指定都市の市長及び中核市長が行う講習会又は知事等が適正と認めた講習会の受講修了者ということになってございまして、知事等が適正と認めた講習会については、食品衛生協会の都道府県支部などが行っているということでございます。

岡本(充)委員 つまり、それしかないんですよ。私も調べましたよ。責任者を養成しているのは食品衛生協会しかないんです。何でこんなことになるんですか。どうしてこういう絵になるのか、よくわからない。

 法的根拠は特にありますか。食品衛生協会だけがやっている法的根拠。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生協会が行うという法的根拠はございません。

岡本(充)委員 結局、じゃ、どういう講習をやっているのかというと、大臣、調べてみたんですよ。六時間。その昔はどうやら、平成九年より前はばらばらだったらしいです。どうやら平成九年に一緒になって、全国統一的なルールになって、六時間。

 それで、試験をやるんですよ。どんな試験をやるのか。授業の最後の方に、この六時間の中に入っているんです、この試験時間も。三択五問、こんな試験ですよね。確認をとりましたよね。どうですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 申しわけございません。

 こちらで確認できてございません。

岡本(充)委員 確認するように言ったんです。

 三択五問の試験をやって、落ちたところで、結局、ちょっと居残りして、それで責任者の資格が取れる。取った責任者の資格は更新不要なんです。更新不要ですよね、どうですか。

宇都宮政府参考人 はい。更新不要でございます。

岡本(充)委員 HACCPを導入します、新しいことを導入します、結構ですよ。でも、その受け手である現場にいる食品衛生の責任者の講習の実態がこうで、更新不要だと。

 でも、一方でこんな話もあるんです。銭湯で牛乳を売っているおばさんが、牛乳を売るために責任者になる必要がありますよね。どうですか、銭湯で牛乳を売るのなら。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 条例においてそういったものが定められていれば、責任者を置くことになります。

岡本(充)委員 つまり、銭湯で牛乳を売るために六時間の講習を受けに行って、それで受ける試験、これが難しくちゃ困るという声もあるでしょう。一緒なんですよ、これは。

 大臣、やはりちょっと、現場の責任者の養成のあり方、それから、先ほど言った求められる知識の水準、かなり違うと思いますよ。銭湯でコーヒー牛乳を売っているおばあさんと、本当に、すし屋で、若しくは仕出し弁当を出して、後でちょっと時間があったら話をしますけれども、やはりこの衛生協会がやっている保険でも、仕出し弁当は保険の掛金が高いんです。リスクが高いからだと思います。そういう意味で、リスクの高い、低いが随分わかってきているんですよね。その中で、本当にこういう画一的な資格でいいのかということ、これをやはり考えるべきだと思います。どうですか、大臣。

加藤国務大臣 今言った三択五問ですか、初めてお伺いをしたのであれですけれども、基本的に、そうした場所においては食品衛生責任者を置くという規定があって、そしてその食品衛生責任者として今言った研修がなされている、こういう仕組みなんだろうというふうに思います。

 ですから、委員の御指摘は、逆に言うと、それぞれのリスクというんでしょうか、それに応じて求められるものが違うということになると、食品衛生責任者の中に、例えばですが、一級、二級、三級みたいな区分けをしてそういったものを置くという、そんなことも御示唆をされているのかなと思ってお聞かせをいただきました。

 ちょっと、いずれにしても、今お話を聞かせていただきましたので、要するに、全体として、HACCP制度ないし日本の食品衛生をどういう形で守り、そして向上していくのかという観点から、現行について不断に見直しをしていくということは必要なんだろうというふうに思いますので、今いただきました御意見も踏まえて、しっかり検討させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 先ほど言いましたように、責任者のほかに管理者がいるんです、食品衛生の管理者。これは、業の中で、例えばマーガリンだとかをつくる人とか、製造業の中で、業で区切って管理者を置くというものもあるんです。ただ、管理者になると急に大変になるんだよね。講習に一カ月ぐらい行かなきゃいけない、三十万円ぐらい費用が必要なんです。先ほどの責任者は一万円、大体。それで一日で終わり。この間が余りにもあいていると私は思うんですね。

 だから、そういう意味で、HACCPを導入する、そういう話がひとり歩きしていますが、受け手の方の体制整備をどうしていくかというのは非常に重要だと思います。

 もう一つ、ちょっと私、全然、今度別件から食中毒のことに関して聞きたいんです。

 食中毒の疑いがあるということでお医者さんに届出を課していますね。自分の実体験から言うのもなんなんですが、私も病院で、当然、勤務しているときに判断を迫られることがあるんです。これは食中毒じゃないかと疑って、だけれども、これは遅滞なくですか、どちらでしたっけ。

 いずれにしろ、比較的早いタイミングで保健所へ届けなきゃいけないんですが、例えば届け出て違っていたときの損害賠償請求の責任は医師が負うんでしょうか。それとも、それは医師が負わなくていいものなのか。どういう判断になっているのか、ここは厚生労働省に聞きたいし、一方で、もし責任があるとすると、医師の方はやはり届け出るのに萎縮するわけですね。もし違っていたら、これはえらいこっちゃと。そういうことであれば、やはりそれを回避する何かすべを考えるべきじゃないか。

 つまり、本当に先ほどから言っている千件なのか、食中毒案件は。ここも私はすごい疑問を持っているんです。どうでしょう。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生法におきまして、食中毒の患者若しくはその疑いのある者を診断し、又はその死体を検案した医師は、二十四時間以内に最寄りの保健所に届出を行うことが定められてございますが、一方、その食中毒の調査については保健所が実施することとなっているところでございます。

 したがいまして、保健所は、医師からの届出等に基づきまして情報を探知した場合、患者の便や食品の検査、施設の調査等に着手しまして、十分な疫学的調査を踏まえて最終的に保健所長が食中毒としての総合的な判断を行い、被害の抑制や再発防止に必要となる営業停止等の措置をとることとなるということでございます。

 このような一連の食中毒発生に伴う行政処分につきましては、保健所が定められた手続に基づき行うものでございまして、届出を行った医師が責任を問われることはないというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 本当ですかね。これはやはり民事訴訟ですから、訴えることは可能だと思うんですね。

 きのうも言ったんです。大きい自治体ならわかりません。比較的中規模、小規模の自治体だと、今、二十四時間以内と言ったけれども、やはり、夜、今発生しているのは今とめなきゃいけないという思いになるわけですよ。夜、当直しているのは私しかいないとは言いませんが、数名でやっている。その中で今発生している食中毒、これをとめるかどうかは極めて重要な判断になるわけですね。二十四時間後に言ったんじゃ、これはもう原因のものがなくなっている可能性がありますから。

 したがって、やはり迅速に届け出る体制をとるという意味においては、やはりそうした医師がちゅうちょする仕組みを回避するというか、除去する必要があるんじゃないかと私は思っているんです、大臣。これも私の実体験なんですけれどもね。

 そういう意味で、今回の法改正には盛り込まれていませんけれども、厚生労働省の中でぜひ検討してもらいたい。本当に千件なのか、若しくは、疑いのもので防げるものがあるのかもしれない、そういう意味でこれを回避する仕組みを考えてみたらどうかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

加藤国務大臣 今の委員がおっしゃっている千件というのは、もっと多いのではないだろうかと。それが今言われた、医師等が自分の責任が問われたら困るということも含めて何らか抑止が働いて、あるいは、確信がなかなか持てないので、確信が持てれば多分通告するんでしょうけれども、どうかなという場合においてはなかなか報告がなされていない、多分、そういうことをおっしゃっておられるんだろうというふうに思います。

 今、訴訟についても、確かに、保健所がやるわけですけれども、何で保健所に通告したんだ、そうした訴えもないことはないかなというふうに思います。

 基本的に、多分、保健所側は誰から通告があったということに対しては当然守秘義務がかかっているんだろうとは思いますけれども、そういったことも含めて、委員のまずベースにある、実態がどこまでというふうに把握できるようなシステムになっているのか、そういった点について御疑念もいただいておりますから、ちょっと、どういうふうなやり方があるのかわかりません、なかなか難しいと思うんですね、本当のところはどうなんですかというのはなかなか難しいと思いますけれども、関係するお医者さん等にまず話を聞くようなところから始めてみたいと思います。

岡本(充)委員 お話ししておくと、結局、さっきの中ぐらいの市だと、夜やっている、夜間救急をやっている病院は大体限られるんですよ。そこのその日の当直は一体誰かというのはわかるんですよ。守秘義務がかかっていたって、そこのお店の人は、誰がそのときに通報したか、蓋然性が高い医者が誰かというのはわかるんですよ。やはりそういう意味で、そこにちゅうちょが働くのではないか、自信が持てない、疑わしいなという中で、なかなか通報の電話が遅くなるんじゃないか、こう思っているわけです。

 さて、じゃ、またもとの食品衛生協会の話に戻るんですが、食品衛生協会、こうして食中毒の重要な予防のための役を担う責任者を養成する講習をやっているんですが、ここの役員は結局、常勤は、日本食品衛生協会ですよ、二人で、そのうち一人が厚生労働省からのOB、こういう理解で正しいですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

岡本(充)委員 皆さんにお配りした大きい方のペーパー、後からちょっとお配りしましたこれは、決算ベースで見たときに、こうやって見ると、役員の報酬は、なぜか事業費と管理費に分かれているんですが、これを足し合わせるとおよそ二千九百万円を超える、こういう金額だということでいいんですか。二人の役員で二千九百万円払っている、こういうことですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 二人のもののみではございませんが、ほぼ二人分だと考えてよろしいかと思います。

岡本(充)委員 これは規程だと、月給百十万円が規程なんですね。それなのに二千九百万円払うというのは、これは規程より多い金額を払っている、こういう理解でいいんですか、そうすると。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 規程どおり行われているというふうに理解してございます。

岡本(充)委員 役員の報酬は、一号で一番高いのが百十万円なんですよ。きょうこれはつけていないですけれども、百十万円。二人とも百十万円なんでしょうかね。ボーナスが三・二と書いていました。これは、本当にそうなのかというのは確認してくれと言ったはずです。まあ、今確認するすべもないのかもしれないけれども、ちゃんと後で説明してください。

 もう一つ、僕、解せないのが、ここの中の一番高いのは支払い手数料ですよ。支払い手数料が五千万、それから光熱水費は毎月三百万かかっているんですよ。なかなか、光熱水費で三百万かけようと思ったら大変だと思います。

 一方、自社ビルを持っているのかもしれませんが、自社ビルの減価償却は年間二千万円程度、余り大きなものを持っているのではないんじゃないかと思うんですが。一方で、賃借料は八百四十万、これは事業費の方ですけれども。

 これで考えると、三百万の光熱水費は到底想定ができないし、もっと言えば、先ほど言いました、支払い手数料が五千万もかかるような支払い手数料というのは何を払っているんですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 支払い手数料につきましては、多くは、認可特定保険料の支部への代行事務費として、四十七都道府県の支部などに支払っているものだということでございます。

 また、光熱水料につきましては、三千六百万円は、町田にも自社ビルの研究所がございまして、それも込みのため、この金額になっているという説明でございました。

岡本(充)委員 結局これは、集めているお金はほとんどが、要するに先ほど言った講習などの事業収益なんですよね。事業でお金を集めて、それで、先ほど言ったような高い給料とそして光熱水費、それからもっと言えば、支払い負担金、支払い助成金、支払い寄附金、よくわからないこんな項目も並んでいる。

 本当にこれが公益性の高い事業をやっているのかどうか。ほとんどが独占している事業で、これが公益性が高いと言っているのであって、ある意味、本当に公益性があるのかというのが問われるんじゃないかと思いますが、この講習がなかりせば、公益性もないんじゃないんですか。そこの検証を一回やってみてくださいよ。ちゃんと公益性のある法人なのか。通告していないから、今、あるのかないのかは聞きません。事業が公益性のあるものになっているのかどうかをちゃんと検証してほしいと思います。

 そういう意味で、改めてこの説明を私はしていただきたいと思うんですが、説明していただけますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 本日はちょっとそれはできませんので、これから検証させていただきます。

岡本(充)委員 ここが全て担っているというこの現実を先ほどお話ししたんですよ。食品衛生責任者は誰が養成しているのかと。ここがほぼ全て養成しているんですよ。

 ちなみに、その一部の団体が出しているホームページを見ると、会員のメリットは何かというと、提携デパートでのお買物が安くなると書いているんですよ。それがメリットじゃ困るんです。やはりメリットはそういうメリットではない、食品衛生協会に入っていることのメリットはどこにあるのかというのをちゃんとやっていただくことが重要なんじゃないかという意味で、きょうは改めて指摘をしました。

 じゃ、続いて、HACCPの話に戻りますが、HACCPというのは、一九六〇年代の宇宙へ行く食品の話から始まったんじゃないかとうろ覚えですけれども思っていますが、これは、本当にHACCPは効果があるのか、どういう効果があるのか一回検証してみたらどうかという提案をきのうしました。

 ちなみに、厚生労働省が出している「ご存知ですか?HACCP」というこの紙には、クレームやロス率が下がり、品質のばらつきが少なくなった、こう書いているんです。クレームやロス率が下がり、品質のばらつきが少なくなった、根拠は何でしたっけ。

 時間がもったいないから言います。HACCPの普及・導入支援のための実態調査結果、平成二十六年十二月三十一日の実施期日のこのアンケートじゃないかと思うんです。そうですよね。そうですね。

 これで見ると、実際、調査に回答したのは三六%なんですよ。そのうち、実際、本当にHACCPを導入しているのはどれだけですかというと、一割ない。一割ないんですよ。その三六%の一割ない施設が、なおかつ一割程度、ロス率が下がったと言っている。つまり、掛け算していくと、一%あるかないか、もっと少ない。HACCPを導入してロス率が下がったと言っているのは、もうコンマ以下の施設だったんじゃないんですか、調査対象全体からいえば。どうですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。お答えいたします。

 導入の有無にかかわらずに調査票を送って、その中で導入して回答してきたのが三割ということでございますので、実際に導入したうちの何割が回答したかとか、その辺については把握できてございません。

岡本(充)委員 違うでしょう。これは、答えてきたのが三六・四%で、そのうちの一割がHACCPを導入していると答えたんでしょう。その一割答えた中でロス率が下がったのはその更に一割だ、こう言っているんでしょう、このペーパー。違うんですか。それを掛け合わせていくと、三六・四掛ける〇・一掛ける〇・一になるんじゃないかと言っているんです。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 申しわけございません。ちょっと手元に細かいデータがございませんので、わかりません。

岡本(充)委員 私の手元にしか資料がなくて申しわけないけれども、これは、三六・四%が回答して、その回答の中でHACCPの導入状況も見ているんです。この中で、HACCPを導入しているところは、まだ、導入しようかなと思っているところを含めても二一・四。実際に導入しているところはこれよりずっと少ない。こういう状況の中で、じゃ、本当にロス率が下がったのか。いや、これがいいか悪いかと言っているわけじゃない。やはり、きちっと検証するべきだと思います。

 HACCPを導入するのであれば、もう長いんですよ、HACCPという考え方が導入されて。ヨーロッパでも導入されて、私の記憶が正しければ、ヨーロッパは二〇〇六年ですか、アメリカも二〇一六年ですか、HACCP導入が義務化されてきている。ヨーロッパなんか長いんだから、本当にこれによってどういう食品衛生上のリスクアナリシスが進んだのか、いわゆるクリティカル・コントロール・ポイントと言っていますが、そのポイントは今のポイントでいいのか、その検証をやっているのかというのは、コーデックス委員会がやっているのか、私もちょっと調べ切れませんでしたが、日本においても、やはり、先行事例でどういうような効果があるかというのを調べるべきだと思うんです。

 どうですか、宇都宮さん。調べてみてはいかがですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 HACCPの効果について検証することは大切だと思いますので、調べたいと思います。

岡本(充)委員 効果があるということでやはり導入するんですよ。効果があるかどうかを今から検証するけれども、とにかく中小企業も含めてやってちょうだい、こういう話になっているのは、それはどうかという思いがありますよ。でも、私も効果があるんじゃないかと正直、ざくっとした感想としては持っていますけれども、ただ、本当にあるのかといったら、いろいろ調べたけれども、なかなか、疫学的にはっきりとしたものがわからなかったです。

 では、続いて、健康被害情報届出制度について聞きたいと思います。

 お手元にお配りをしているページでは七と書いているものでありますけれども、ちょっと、きのうも議論をしていて気になったんですが、販売業者届出義務、それから都道府県報告義務もありますが、販売、製造業者、届出は遅滞なくということですね。一体どのぐらいの期間を定めているんでしょうか。

橋本委員長代理 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 遅滞なくというのは、具体的な定義はございませんが、一般的に、直ちに及び速やかにに比べると時間的即時性が弱い場合が多く、正当な又は合理的な遅滞は許されるものと解されているものであるというように文献には書いてございます。

岡本(充)委員 では、なぜ速やかにしなかったんですか。健康被害が起こっているのに、なぜ速やかににせずに、遅滞なくにしたのか。より時間を置いていいという、その根拠は何ですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 営業者の届出から登録までの時間ということでございますけれども、今申し上げましたように、遅滞なくという場合は、正当な又は合理的な遅滞はあり得るということで、このような表現になっているということでございます。

岡本(充)委員 遅滞があってはまずいんじゃないか。もっと言えば、健康被害情報、海外から例えば買ってきたもの、製造販売業者も海外にある、こういう可能性もあります。その中にどういう成分が入っているか、販売業者も知らずに売っている可能性もあります。

 そういった中で、健康被害が散発する、それを聞いた販売、製造業者は、俺のせいじゃないと思うかもしれない。届出義務を課す以上は、この製造販売業者が自分のものだと、自分の販売したもの、製造したものに起因するんだと合理的に判断する判断基準が必要だと思います。その基準はどこですか。

橋本委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

橋本委員長代理 速記を起こしてください。

 宇都宮生活衛生・食品安全審議官。

宇都宮政府参考人 失礼いたしました。

 今の御質問は、自分のところの製品で起きた健康被害だという合理的な、そういう判断をする基準という理解でよろしいでしょうか。

 そこについては、難しいのでございますが、ですから、そこも含めて御報告をいただいて、それを踏まえまして、こちらの側で、厚生労働省の側で、例えば、健康被害に遭った方が受診された医療機関などに詳細な情報を聞くなどして、更に専門家の御検討をいただいた上で、その因果関係などを調べるというようなことでございます。

岡本(充)委員 大臣、これは違うんです。要するに届出があった後の話をしているんです、今の宇都宮さんの話は。違うんです。

 最初、業者が届け出るときには、うちのつくった製品、販売した製品が健康被害を出しているんじゃないかということで届出義務が発生する、若しくは届出が出るんです。それを受けて、本当かどうかを確定をさせる、検証をするためには今の話です。業者の方で、私の売ったもの、つくったものが健康被害を発生しているんじゃないかと判断する基準は何ですかと言っているんです。最初のきっかけです。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 明確な判断基準というよりも、厚生労働大臣が指定する成分等を含む食品による健康被害として消費者等から事業者に申告がなされたもののうち、食品の摂取との関係が否定できないような、死亡あるいは重篤な後遺症、あるいは入院、あるいは特異的な症状等が認められる症例について届出をいただくことを検討してございますが、詳細な具体的な症状、内容などにつきましては、施行までに今後検討したいということでございます。

岡本(充)委員 これは結局、最も重要な最初のトリガーを一体誰が引くのかというのがはっきりしていないんですよ。

 結局、健康被害があった、患者はいる、でも、その原因がその物質かどうかわからない。もっと言えば、その物質が入っているかどうかもわからない。最初の食品の定義のところで言いました。その食品に付随して若しくは物に付随していて、そういったものがついているかどうかわからないから使用した、こういう最終消費者はいるはずですよ。結果として、消費者だって、まさか厚生労働省が指定をしているそういう物質が自分の体内に入っているとは思わない、こういう可能性もあるわけです。

 したがって、被害が出ている方が、これを食べてからちょっと、若しくはこれを使ってからおかしくなったんですけれども、おたくのものじゃないですかと問合せをしてきたときに、業者はどういう判断基準でこれを届け出る義務を負うのかというところをきちっと整理をしてくれ、こう言っているわけです。大臣、ぜひこれは、きちっと整理をしなければ最初のトリガーが引かれませんから、やっていただきたい。

 あわせて、もう一つ、これは審議官に確認したいんですが、医療機関が情報提供をする、これは矢印になっています。これは違いますね。改正法の八条を読むと、都道府県、保健所からの協力要請に協力をするということだけであって、何も医療機関は努力義務が課された情報提供をする矢印ではないですね。これは、協力要請に協力してください、当たり前のことじゃないんですか。したがって、この矢印は違うんじゃないかと思いますが、そこの点については、私は、どういう考えか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの図につきましては、先生がおっしゃるとおりでございまして、自治体が行う指定成分等の摂取によるものと疑われる被害に関する調査に必要な情報提供の協力をするようお願いしたときに提供していただく、そういうようなものでございます。

岡本(充)委員 当たり前のことなんですよ、これは。ほかの法令でもこれは十分、医師が協力要請を受けたときに、そういう被害の情報がある、そういうときにやはり協力するのは当たり前の話であって、これで努力義務と書いたら、何かすごく新しいことがあるように見えるじゃないですか。あわせて、やはりここのスキームをきちっと整理した方がいいですよ。

 大臣、どうですか、私の指摘を受けて。

加藤国務大臣 今、いろいろ御指摘をいただきました。

 この法律をこれからお認めいただいた先ということになりますけれども、施行に向けて、今御指摘いただいた点も含めて、準備といいますか、体制の整備、あるいはそれに対する受け手側も含めて、しっかりと当たらせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 時間が来たから、最後に、食品のリコール情報についても同じです。

 食品のリコール情報、八ページにありますけれども、報告、公表のところ、矢印に、横に文字が書いていますが、一番最初、どういう機序でこのトリガーが引かれるか。営業者が、自分の売っているもの、食品衛生法違反又はおそれがあると探知をするのは一体どういうときで、どういうものなのか、同じようにこれも検討するべきだと思いますから、あわせて、ぜひ、最後に大臣、検討していただけますか。お願いをしたいんですが、それだけ答えていただいて、終わります。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど来御指摘をいただいた点、しっかり検討して、この施行に向けて、怠りなきよう対応させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 まだまだ論点があって、もう少しやりたいところではありますが、きょうはこの辺にしておきます。終わります。

橋本委員長代理 次に、山井和則君。

山井委員 山井です。よろしくお願いいたします。

 四十五分間、質問をさせていただきます。前半は閣法の食品安全衛生法について、そして後半は、前回の続きの、幼児教育の無償化について質問をさせていただきたいと思います。

 白須賀委員もおられますが、本当に、前回の幼児教育の無償化については、白須賀委員を始め自民党の方々ともいろいろその後も話をさせていただきました。与野党を超えて、この閣法の問題も、また幼児教育無償化の問題も、前向きな議論をさせていただければというふうに思っております。

 まず閣法についてですが、最初にちょっと一冊の本を紹介したいんですけれども、私の健康についての師匠が京都におられる山田豊文先生という方で、こういう「家族みんなが病気にならない食べ方事典」という本も出しておられます。例えば、王貞治名誉監督の健康アドバイザーとか、著名なアスリート、スポーツ選手の健康指導もずっとされている、私の尊敬する方でありまして、私も健康にこうやって仕事をさせてもらっているのは山田先生のおかげだと思っております。

 それで、例えば冒頭に一言申し上げますと、この山田先生の理論は、マゴワヤサシイという理論で、国会議員の中でも山田先生のファンは与野党を超えて多いんですけれども、マゴワヤサシイという教え、つまり、マは豆類を食べなさい、ゴはゴマを食べなさい、ワはワカメなど海藻類を食べなさい、ヤは野菜を食べなさい、サは魚を食べなさい、シはシイタケやキノコを食べなさい、イは芋類を食べなさい、こういうふうな簡単な健康の教えなんですけれども、多くの実績が上げられております。

 そして、この山田先生に私も二十年来御指導いただいているんですが、山田先生の御指導のもと、私がずっと取り上げてきましたのは、トランス脂肪酸なんですね。このトランス脂肪酸による健康被害というものが、これからますます深刻になるのではないかと。アメリカでは厳しく禁止をされております。そのことを事例にとって、きょう前半は質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 この一ページ目の配付資料にもありますように、赤線が引いてある真ん中、一定以上の量の摂取により健康被害が生じるおそれのある成分等、こういう中にトランス脂肪酸というものも含める必要があるのではないかと。

 次のページをお願いをいたします。食品衛生法等の一部を改正する法律案の概要ということで、国際化等に対応し、食品の安全を確保するためと。まさに、国際的には、このトランス脂肪というのは厳しく取り締まられております。

 順番に話を進めていきたいと思いますが、その山田先生の書かれた文章でありますが、トランス脂肪酸、アメリカでは規制によって摂取量が減少したところ、いろいろな病気が減りました。しかし、日本では含有量の表示義務すらありません。

 次のページ、四ページ目。

 世界の趨勢として、がんや糖尿病のリスクを高めるほか、脳に深刻な影響を及ぼし、認知症にもつながることが報告されていますということですね。

 それで、次のページ、五ページ目を見てください。

 そして、左にもありますように、これはCNNのホームページですけれども、トランス脂肪酸、二〇二三年までに根絶を呼びかけ、WHOということであります。

 それで、更にちょっと御説明をさせていただきます、この表示義務の問題。

 そして、七ページ目。

 菓子パン、スナック、食べ過ぎちゃう、トランス脂肪酸、若い女性に御注意、脳梗塞などリスク、米で原則禁止に。やはり、あと、お子さんたちにとっても深刻な健康被害が出るのではないかと言われております。

 次のページ、八ページ目ですね。

 トランス脂肪酸、アメリカで禁止へと。理由は、食品に使う上で安全とは認められないということで、ちょうど今月から禁止ということになっております。

 日本でも、八ページにありますように、減らす方向では進んでおりますが、まだまだ緒についたばかりでありまして、ここに、八ページの記事にありますように、厚生労働省によると、日本ではトランス脂肪酸の摂取量が比較的少ないといい、規制に向けた動きはない。一方、アメリカでは、ことし六月から、部分水素添加油脂を食品に使うには米国食品医薬品局の承認が必要になるということ。

 九ページ目、マーガリン、原料見直し、健康への懸念から、アメリカでトランス脂肪酸を含む油脂の使用規制が六月に始まるというふうになっております。

 私、この問題を十年以上取り組んでいるんですけれども、特に、やはり子供たちの健康に被害が大きいのではないかというふうに思っております。

 それで、ちょっと基本的なところからお伺いしたいと思います。

 健康に悪影響を及ぼすと言われているこのトランス脂肪酸の問題なんですが、どのような食品に使用され、健康被害は、国内で届出をされた事例はありますか。

高木副大臣 お答えいたします。

 今のマゴワヤサシイは、私もよく承知をさせていただいております。

 トランス脂肪酸は、脂質の構成成分である脂肪酸の一種でありまして、主に植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造する際や、植物油を高温にして脱臭する工程で生じることが知られております。

 トランス脂肪酸を含む主な食品としては、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなどがあります。

 また、トランス脂肪酸による健康被害につきましては、厚生労働省による平成二十九年までの食中毒統計調査においては、トランス脂肪酸を原因とした報告はありません。

山井委員 ありがとうございます。

 食中毒とかはないんですけれども、やはり、子供たちがアレルギー体質になったり、さまざまな問題があるというふうに国際的には言われております。

 それでは、質問通告に従っていきますけれども、このトランス脂肪酸については、どのような健康への悪影響があるというふうに認識をされておられますか。

高木副大臣 お答えいたします。

 内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価の結果によりますと、平均的な日本人よりもトランス脂肪酸の摂取量が多い米国等の研究結果では、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされております。

 ちなみに、日本よりもトランス脂肪酸の摂取量が多い主な国といたしましては、日本が、例えばエネルギー比で〇・三〇%、米国は二・二%、フランスは一・一%、イギリスは女性で一・二%となっております。

 また、肥満やアレルギー性疾患につきましても関連が認められていますが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症などについての関連はわかっていないとされております。

 こうした研究結果は、トランス脂肪酸の摂取量が平均的な日本人よりも相当程度多い海外のケースの結果でありまして、平均的な日本人の摂取量においては、これらの疾患リスクとの関連は明らかになっておりません。

山井委員 確かに、平均的にはアメリカなどに比べると摂取量は少ないということなんですけれども、ファストフードとか、特に子供たちで、ファストフードが大好きという子供たちもいるわけですし、さまざまな問題点があるのではないかと思っております。

 それで、三番目、質問通告に従いますが、トランス脂肪酸やトランス脂肪酸を含む食品を、健康被害が生じるおそれのある食品として指定すべきではないですか。

高木副大臣 今回の法改正におきましては、特別な注意が必要なものとして指定した成分等を含む食品による健康被害情報を事業者から把握できる制度を設けるものとしております。この指定する成分等としましては、食品に含まれるアルカロイドやホルモン様作用成分のうち、一定以上の量を摂取することにより健康被害が生じるおそれのあるものなどが想定されます。

 ただし、具体的に、今後、健康被害情報や文献等による知見を科学的な視点で個別具体的に検討した上で、指定する成分等を決定していくこととしております。

 トランス脂肪酸は、脂質の構成成分である脂肪酸の一種でありまして、主に植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造する際や、植物油を高温にして脱臭する工程で生じることが知られております。

 そのため、特定の成分を濃縮、加工したものとは異なるということから、トランス脂肪酸に関する対策といたしましては、栄養バランスのよい食事や、製造、加工段階での低減に努めることが適切であると考えております。

山井委員 ここで、アメリカと日本の違いはあるんですけれども、この八ページの資料にもありますように、やはり首をかしげざるを得ないのは、アメリカでは今月から禁止なんですね。ところが日本は緩いんです。

 それで、平均的に摂取量が低いから大丈夫だということなんですけれども、私は、これは平均的な問題じゃなくて、やはりこういうものをかなり大量に食べている子供たちも多いわけであって、単なる平均が低いからいいんだということでは済まないのではないかと思っています。ですから、具体的に言うと、アメリカではトランス脂肪酸は使わないけれども、同じような店が日本ではトランス脂肪酸を使っているというようなこともあるわけなんですね。

 そこで、問題ではないかと思うんですが、四番目、質問させていただきますが、アメリカではトランス脂肪酸でどのような問題が起こり、どのように規制されているのか。なぜ日本はアメリカのように規制を強化しないのか。日本のトランス脂肪酸の規制の現状はどうなっているのでしょうか。

高木副大臣 FDA、米国食品医薬品庁におきましては、心疾患系のリスクを低減するため、トランス脂肪酸の削減を目的としまして、平成三十年六月十八日以降、ただいま委員の御指摘のとおりでございます、トランス脂肪酸が多く含まれる部分水素添加油脂の食品への使用を原則禁止しまして、食品に使用するためにはFDAの承認を新たに必要とすることを平成二十七年六月に決定したものと承知をしております。

 WHO、世界保健機関は、心血管系疾患リスクを低減し、健康を増進するための目標とすべき基準といたしまして、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の一%未満に抑えるよう提示をしております。

 日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均値で総エネルギー摂取量の〇・三%であることがわかっておりまして、平成二十四年三月に食品安全委員会が取りまとめた食品健康影響評価におきましては、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられております。

 こうしたことを踏まえまして、我が国では、食品に含まれるトランス脂肪酸について規制は行っておりませんが、脂質に偏った食事をしている人は脂質の過剰摂取を控えるよう留意する必要がありまして、栄養バランスのよい食事を心がけるよう、厚生労働省のホームページに記載するなど注意喚起を行っているところでございます。

山井委員 ここで、私、ずっと前から要望しておりますのが、やはり表示なんですね。もちろん、大丈夫、気にしないという人はそれでいいんですけれども、結局、表示をしていただければ、それを気にする本人、お子さんや、あるいは保護者の方が、トランス脂肪酸が入っていないものを選ぶことができるけれども、表示されていないからわからないんですね。

 そこで、消費者庁にお伺いします。トランス脂肪酸の表示の義務化など、日本でも規制強化すべきではないですか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年に施行されました食品表示法に基づきまして、必要な栄養成分の表示を義務化する仕組みが構築されたところでございます。

 その際、消費者委員会の食品表示部会の調査会での議論を経まして、栄養成分表示の義務化に当たっては、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性、そして国際整合性、この三点全てを満たすこととされたところでございまして、トランス脂肪酸については、これら三つの観点全てを満たしているわけではないため、現在、義務表示とはしておりません。

 しかしながら、消費者庁では、消費者が食品を適切に選択して、栄養バランスのとれた食生活を営む観点から、平成二十三年に通知文書を発出して、食品事業者に対して、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示するよう要請しているところでございます。

山井委員 事業者の自主的な表示に期待するということでは不十分だと思うんです。

 それで、六ページ目を見ていただきたいんですけれども、「選択奪う「非表示」」、赤線を引いてありますけれども、これについて、やはりJA全農食品品質・表示管理部長の立石氏は、「任意表示ありきの雰囲気はおかしい。」赤線を引いてあるところですが、「表示義務付けが海外の流れだ。若者の食生活が欧米化されて久しく、国民の健康リスクを考えれば、表示義務が当然だ」というふうに立石氏はおっしゃっておられます。さらに、「日本の企業も海外で売る食品には表示している。なぜ国内では隠すのか」と。海外では表示しているわけですよね。

 さらに、トランス脂肪酸に詳しい富山短大の竹内教授は、下の赤線にありますように、「トランス脂肪酸を五%以上含む食品を食べ続ければ健康に害を生じる可能性が高まる。表示を義務付けた方がいい」「食品の情報はしっかりと公開し、消費者が安全だと思う食品を選択できるようにするべきだ」というふうに強調をされているんです。

 改めて消費者庁橋本審議官にお伺いしますが、やはり選択をする上では、まず大前提として表示が必要だと思うんですけれども、ここは一歩、歩を進めて、表示に向けて検討していただくことはできませんか。

橋本政府参考人 表示の義務化に当たりましては、先ほどの三点について全て満たす場合に義務化をするというふうにルール化されておりまして、例えば、消費者における表示の必要性でございますけれども、日本人の大多数のトランス脂肪酸の摂取量はWHOの目標を下回っており、食品安全委員会の食品に含まれるトランス脂肪酸評価書においても、通常の食生活では健康への影響は小さいとされており、消費者全体への必要性は必ずしも高いとは考えられないということでございますので、義務化という点からはこういったものを踏まえて対応しておりますが、先ほど申しましたとおり、消費者庁では通知を発出して、事業者に対して積極的な情報開示を要請しているというところでございます。

山井委員 私、十年ぐらい前からこの議論をしているんですが、やはり平均が少ないから大丈夫だという議論は成り立たないというふうに思います。特に、子供にとっては人生の健康にかかわることですので、ぜひこの表示については前向きに検討していただければと思います。

 それで、加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、今の表示は確かに消費者庁の担当ではあるんですけれども、やはり厚生労働省も国民の健康をつかさどる役所として、このトランス脂肪酸の規制に向けて何らかの対応をすべきではないかと考えるんですけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど来、高木副大臣からも御答弁させていただきました。日本においてはトランス脂肪酸の摂取量はかなり諸外国と比べて低いということ、また、その水準は、WHOが心血管系疾患リスクを低減し、健康を増進するための目標とすべき基準である一%というんでしょうかね、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の一%未満に抑えるようということから見ると、それよりも低いということであります。

 ただ、だから大丈夫かという先ほどの委員の御指摘、特に子供等においては、やはりこういったものをよく摂取しがちという部分もないことはないんだろうというふうに思います。したがって、少し多脂質に偏った食事をしている人が脂質の過剰摂取を控えるよう留意をしていただく必要があります。

 また、バランスのよい食事を心がけるよう、そういった意味で、今、ホームページで記載するなど注意喚起を行っているところではありますけれども、例えばどんなものにトランス脂肪酸がどのくらい入っているかとか、そういったことを含めたPRといったことも考えていく必要があるのかもしれないと思います。

山井委員 とにかく健康にとって重要なのは、体によいものを、健康的な食品を食べて、そして健康に悪いものを食べない。その峻別をするためには表示の義務、あるいはそういうものが子供たちの口に入らない、手の届かないように規制することが必要ではないかと思っております。

 この食品衛生法については、後ほどまた時間があったら戻りたいと思いますが、少し後半、先日の続きとして、幼児教育の無償化について質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、内閣府の川又子ども・子育て本部審議官、内閣官房から大島人生一〇〇年時代構想推進室次長にもお越しをいただいております。

 まず冒頭、申し上げますと、きょうの配付資料、ちょっと前回のおさらいをさせていただきますと、今回の幼児教育の無償化、きのう骨太の素案が出ましたけれども、これは、この厚生労働委員会にとって、配付資料十四ページ、与野党を超えて前向きに議論すべきことだというふうに思っております。

 一言で言えば、過ちを改むるにはばかることなかれ。一回決まったことであっても、ここは勇気を持って変えねばならないと思います。なぜならば、今の案のまま突き進めば、厚生労働史上最悪の子供政策として、後世の笑い物になるのではないかと私は非常に心配をしております。

 なぜならば、あえて申し上げますが、例えば民進党も、幼児教育の無償化というものを今までから言っておりましたから、選挙の当時も、全否定を幼児教育無償化についてする気はありません。もちろん、将来的な、理想的な姿としては、幼児教育の無償化、所得制限なしでやるのが目指すべき方向性だということは認識しておりますから、私は、幼児教育無償化をやめろとか、そういうことを言う気はないんですね。

 ただ、今回、八千億を使って、保育士の処遇改善が不十分、保育士の質に回る予算が不十分、そして子供の貧困対策が不十分な中で八千億やるのは少しバランスを欠くのではないか、やり方を変えるべきではないかということを申し上げたいと思います。

 それで、ここにありますように、もう前回見ましたように、低所得者とかは、非課税世帯は、既にかなり無償化しちゃっているんですね。この緑とか、あるいは黄色の部分はやってしまっています。残っているのは白の部分だけですから、そういう意味では、今後、無償化するといえば、低所得者に余り恩恵が行かなくて、高所得者に多くの恩恵が行くということは、この図を見たらおわかりかと思うんです。

 これは頭ではわかるんですけれども、問題は、この八千億、まあ八千億も確定していませんよ、当然。八千億も確定していないけれども、ちまたで言われているのは、年八千億円ぐらいの財源じゃないかと言われておりますが、そう言われておりますのでそれを前提にしますと、これは一回導入したら永遠に続くわけですから、相当きっちりと制度設計をしないと大変なことになると思います。

 ついては、前回宿題でお願いしましたように、八千億ともし仮にすればですけれども、例えば年収八百万円以上の世帯、一千万円以上の高所得世帯には幾らぐらいの無償化の恩恵があるのか、あるいは非課税世帯には幾らぐらいあるのか、そういうことの試算を出していただいて、その上で、与野党を超えて、また国民の皆様からも意見を聞きながら、ちょっとここは変えていった方がいいなというところは議論をやはりした方がいいというふうに私は考えます。

 そこで、先週金曜日、年収別のこの試算、幼児教育無償化についての試算を要求しましたが、試算結果は出ましたでしょうか。もし、まだ出ていないというんでしたら、いつ試算結果は出るでしょうか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 幼児教育無償化につきまして、現段階におきましては、制度の詳細について結論を得ていない段階でございます。これから年末にかけて、予算、制度について具体的に検討していく予定としております。今後、幼児教育無償化の具体的な制度設計や予算編成の過程におきまして、政府として正式な所要額を算出してまいりたいと考えております。

 関係省庁あるいは財政当局等との調整もございます。現時点で具体的時期をお示しすることはできない状況でございますが、予算編成に向けて検討していく中で、できる限り早く対応できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

山井委員 予算編成に向けてということは、年末までには公表するということですか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な制度設計とあわせて、予算編成とあわせて作業を進めていく必要がございます。そういう意味では、年末までに来年度の予算の骨格は固めるということでございますので、それまでには試算をする必要があるというふうに考えております。

山井委員 まあ、それは試算しないと来年の予算は組めませんからね。ただ、試算をしたら、その試算結果は公表する、年内にということでよろしいですか。

川又政府参考人 そのように考えております。

山井委員 ただ、それで決まってからでは遅過ぎると思うんです。

 六月中旬にも骨太の方針が発表される、きのう、素案が出ましたよね。ホームページから私もダウンロードしましたが、これが出ました。この中に、きょうも配付資料に入れておりますけれども、出ているんですね、幼児教育無償化について。十六ページ、十七ページ、読み上げませんけれども、既に出てきております。

 でも、私は大枠が間違っていると思っているんです、残念ながら。この大枠をやはり変えないと大変なことになると思いますので、年末ではなくて、今、ぜひ早急に試算を公表していただいて、集中審議をこの厚労委員会でやっていただきたいと思います。

 改めて要求したいと思います。委員長、お願いします。

橋本委員長代理 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 これは、なぜならば、本当にこの八千億の使い道によって、子供たちの人生がかなり決まると思います。

 そこで、私としては早急に政府に出していただきたいんですけれども、残念ながら、すぐに出ないということで、山井事務所でこの試算をさせていただいております。

 エビデンス・ベースト・ポリシー、やはり数値とデータと根拠に基づいた政策議論をすべきだと思っていますし、私も、大学院まで行って酵母菌の研究をしておりました者の研究職ですので、そういうことができればと思っております。

 それで、きょうの配付資料に、その山井事務所の試算を出させていただきました。十ページ目であります。

 それで、改めて、これは私というより、私の事務所の政策秘書の吉沢直樹さん、本当に私は永田町で一番政策に詳しいというふうに尊敬している秘書さんですけれども、ここ数日、内閣府、内閣官房、文科省、厚生労働省とも相談しながら、資料をいただきながらつくったものであります。

 前回より高所得者の方々の恩恵がちょっと減っておりますが、その違いは何かといいますと、前回は、平成二十八年度の国民生活基礎調査というデータで所得を、国民生活基礎調査の乳幼児のいる世帯の年収分布でさせていただきましたけれども、役所の方々と議論する中で、それよりも、こちらにあります、これを見てください、十一ページ、十二ページ、この福祉行政報告、私立保育所の実態、これでやった方がより実態に近い数字が出るんじゃないかというアドバイスを役所からもいただきまして、それでやりました。その結果、ちょっと高所得者のところが減ったわけであります。

 それで、繰り返し言いますけれども、本当はこれは政府に出していただかないと、議論の前提としては不十分だと私も思います。ただ、出てこない以上は、議論のきっかけとなるという意味で、申しわけない、この数字自体は、さまざまな前提と粗い試算ですから、多少変動が当然あろうかとは思いますが、ここに書いてありますように、「基本的な考え方」、年収階層に属する受給者の受給額を確認、政府資料の今お見せした一の資料でありますね。それと、二番目が、今お見せした福祉行政報告例で、年収階層別の利用者数の構成率を抜き出す。

 ですから、もとになっているのが、順番に言いますと、この十三ページ目、ここで幼稚園と保育園の無償化の額が出ております。この資料をもとに、そして、保育園の保護者の年収分布を当てはめ、そして、それを、幼稚園のデータはありませんので、幼稚園にも援用し、準用し、その上で、この十四ページの幼稚園、保育園のお子さんたちの数で掛け算をしていく、そういうことで予算総額を大まかに試算できるのではないかということ。

 それで、さまざまな見解については、この二、三、四に書かせていただいております。一番下、米印でありますように、本試算は、内閣官房、内閣府、厚労省、文科省から入手した限られたデータをもとに山井事務所で行った本日時点のものであり、本来であれば、政府がより精度の高い試算を行い、公表すべきですというふうに考えております。

 それで、簡単に申し上げますと、例えば、年収一千万以上には五百六十六億円ぐらい。八千億とすればですよ、仮にトータル八千億とすれば、五百六十五億円ぐらいの無償化の恩恵が行くのではないか。八百万以上一千万までが九百七億ですから、合わせると、一千五百億円ぐらいの無償化の恩恵が八百万円以上に行くのではないか。

 一方、非課税世帯、低所得世帯に関しては、生活保護は変動なしですから、二百五十八億円ぐらいの恩恵ではないか。非常に大ざっぱな傾向としてはこういうふうなことではないだろうかというふうに計算をさせていただきました。

 そこで、まず、このような基本的な考え方、試算のやり方、こういう基本的なやり方については、これで大体はよろしいのでしょうか。いかがですか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府として、ただいまの試算の前提あるいはその結果の是非についてどうかということは、なかなかお答えをしかねるところでございますけれども、一定の前提を置いた上で算出された一つの結果であるということは理解をしております。一つの試算結果として受けとめさせていただきます。

山井委員 そこなんですけれども、そこをもうちょっとお聞きしたいんですけれども、一つの試算結果というか、やはり、低所得層には恩恵が低くて高所得層にはこのように恩恵が多い、そういう傾向があるという、この傾向自体はこれでよろしいですか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 この試算結果を見る限りということでございますけれども、全体の傾向として、高所得者の方にも、ある程度の給付があるという御指摘については認識はしておりますけれども、ただ、それをどう評価するかということにつきましては、現行の保育料の設定におきまして、低所得者層の保育料は既にもう相当程度軽減されているなど、さまざまな要素というものを考慮する必要があるというふうに考えております。

 以上です。

山井委員 確認しますが、まず、低所得者層は、今おっしゃったように、さまざまな施策が、もう既に軽減、無償化が行われているから恩恵が少ない、それはよろしいですか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 そうしたさまざまな要素を勘案して、これをどう評価するかというところを考えなければいけないということかと考えております。

山井委員 そして、この試算を見ると、高所得者層にもかなりの恩恵、給付が行くということでよろしいですか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 そこをどう評価するかというところは、現時点では、評価については困難であります。現時点で、今すぐ結論の出るような評価は難しいと考えております。

山井委員 いや、評価を聞いているんじゃなくて、傾向を聞いているんです。

 このような、低所得の方に対する恩恵は比較的少なくて、高所得の方々にはかなりの給付があるという傾向は、これでよろしいですか。傾向。

川又政府参考人 こうした数字をどう見るかということにつきましては、ただいまの点に加えまして、例えば保育料は、地方単独事業で地方が設定して、単独事業で補助している部分等もございます。そうした要素も総合的に勘案していかないと、評価というものは、総合的な評価、どうこれを評価するかということはできないのではないかというふうに考えております。

山井委員 評価は聞いておりません。傾向を聞いているんです。傾向は、こういう傾向ということでよろしいですか。

川又政府参考人 傾向という意味をちょっと私がなかなか理解ができておりませんけれども、傾向ということの中には、どう見るかという評価ということが含まれているのではないかと思いますので、これをどう評価するかということは、現時点ではなかなか言いがたい面があるのではないかというふうに考えております。

山井委員 加藤大臣にもお聞きしたいんですけれども、評価ではなくて、低所得者に対する給付は少なそうで、高所得者に関してはまあまあの給付があるという、これは山井事務所の試算なんですけれども、今言ったような方法でやったんですけれども、傾向としては、こういう傾向でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 まず、御試算をされた吉沢さんという秘書でしたっけ、大変な御労苦に対して心から敬意を表させていただきたいというふうに思いますし、先ほど、何か委員から深夜に電話もあったという話が委員会でもありましたが。

 ちょっと、これは私の理解なので、もし違ったら訂正していただきたいんですけれども、話をわかりやすくするために八千億ということにします、とりあえず。これは最終的には予算をセットしなければわかりません。

 ただ、今、我々の今やっている事業の中で、我々として、地方において、それぞれの個人が負担していただく金額というのが八千億ということですけれども、各都道府県あるいは市町村においては、それをトータル減額するためにさまざまな地方単独事業が行われていて、私の記憶では、多分三割か四割ぐらいはそういったお金が出ている。そうすると、実際に個々の人が負担しているのは、今、八千億を前提に、例えば四割が地方単独だとすれば、六掛けるが、八、六、四千八百億ということになります。そうすると、残りの四割の部分がどこに帰着をするかというのは、結果的に、今度この四千億の地単分が浮くわけですから、それぞれの地方公共団体がそれを何に使うかによって、またそれによって帰属が変わってくるのではないのかな、そういう要素も含まれているのではないかなというふうに私は認識をしておりまして、そうすると、その四割がどういうふうに配分されるかによっては随分物事が変わってくるのではないのかな、こういうふうに思います。

山井委員 これは地方で、既に独自でやっているところもあります。しかし、このお金の流れ、その流れの傾向は、試算によればこういう傾向になるのではないかと思っております。

 これ、ちょっと考えてみていただきたいんですけれども、例えば、この試算の前提で言いますよ、どこまで正確かというのはおいておいて。しかし、この試算によると、八百万円以上で約千五百億円、そして、非課税世帯の低所得の世帯で約二百五十億円。つまり、六倍、低所得よりも高所得の層に恩恵があるんですね。しかし、人口でいうと、今の非課税世帯は一七%、八百万円以上は一三%なんです。高所得の方が少ないにもかかわらず千四百七十二億円、低所得の方が人数が多いのにもかかわらず二百五十八億円、五倍以上の差があるんですね。

 更に言うと、市区民税非課税世帯に保育の利用負担ゼロとしている自治体は、例えば、ぱっと調べただけでも、仙台市、宇都宮市、高崎市、さいたま市、船橋市、八王子市、川崎市、富士宮市、豊橋市、広島市、中野区、渋谷区、世田谷区、江戸川区などなど、かなりあるわけですから、実態としては低所得の方の恩恵はもっと少ないのではないかというふうに私は思うわけなんですね。

 つまり、低所得の方よりも高所得の方に、今回の八千億は、より多くの、数倍の恩恵が行くということは、一言で言えば逆社会保障じゃないかと私は思うんです。社会保障の逆なんですよ。格差拡大に結果的にはなってしまうんです。これは、今までの厚生労働省の歴史の中で、こんな、逆にお金を投じることで貧困家庭の子供と高所得の子供の格差を広げるような政策というのは、厚生労働省はとったことがないでしょうし、恐らく世界じゅう、あり得ないと思います。

 だから、私が皆さんに申し上げたいのは、この政策は逆社会保障、社会保障じゃないんです。消費税は社会保障目的と言われているけれども、もし社会保障であれば、せめて高所得者世帯と低所得者世帯に同じ額が行くというんだったらわかるんですけれども、違うんですよ。高所得者世帯の方が数倍行っちゃうんですよ。逆社会保障というのは前代未聞です。

 これは来年の通常国会で法案を出されるのかもしれません、幼児教育無償化法案。この法案は、私は国民の理解は絶対得られない。限られた消費税の財源を、低所得者には少なく、高所得者には多く再配分する、そんな格差を拡大させるような法案を、私は通らないと思いますし、下手をすれば来年の統一地方選挙の争点なんかにもなりかねないと思います。私は、でも、これは政争の具にはすべきではないと思いますので、今の段階で軌道修正しないと大変なことになると言いたいんです。

 例えば、ヘックマン教授がおられます、ノーベル経済学賞受賞。ここに幾つか資料がありますが、ヘックマン教授は、就学前の教育の無償化や、就学前の子供たちに投資するのが一番公共政策として効果があると言った、すばらしい教授です。しかし、このヘックマン教授の論文でも、より貧困家庭の子供に手厚く、より教育や保育の質を上げる、そこに重点的にお金を出せば効果があると言っている。

 そう考えたら、今回の幼児教育無償化は逆ヘックマン理論なんです。裕福な人にたくさんお金をやって、貧困家庭には恩恵が少なくて、保育の質にはほとんど効果が上がらなくて、ただ親に出す。つまり、これはちょっと根本的な問題提起で、子供の視点じゃないんです、親の視点なんです。子供へのメリットは、申しわけない、かなり少ないんです。

 そこで、加藤大臣に申し上げたいんですけれども、これが八千億とすれば、一方、保育士の処遇改善は、来年四月からたった二百億円、三千円、一%です。八千億の幼児教育無償化に比べて、待機児童対策や保育の質の改善につながる保育士の改善が二百億は、余りにも、八千対二百、これは絶対、国民の理解は得られません。

 高所得層への所得制限を設けるなり、あるいは無償化にして一部支援を削るなり、そのお金を回すなり、ほかの方法でもいいですよ。とにかくそういう形にして、保育士の処遇改善、一%じゃなくて、もっと大幅に引き上げるべきだと思いますが、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 これは前回も山井議員と議論させていただいたんですけれども、幼児教育ということで、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障するという意味でありますから、例えば、今の義務教育の延長線上だというふうに考えれば、公立学校において、今委員御指摘のような、所得の格差に応じた授業料を取っていないわけですね。ですから、教育という意味において考えたときに、やはり無償化をしていく。これは別に日本だけではなくて、諸外国においても、三歳児から五歳児の幼児教育については所得制限を設けずに行われているというふうに承知をしているわけでありますから、まず、どういうものを目指していくのかということなんだろうというふうに思います。

 そういった意味で、私どもは、その点も含めて選挙でも申し上げ、そして御支持をいただいたということでありますので、それを今まさに具体的に制度設計をさせていただいているということであります。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、山井委員のさっきの試算は、八千億を全ての階層に配分するということですが、今、八千億を全ての階層がそのように負担しているわけではなくて、先ほど申し上げた地方単独事業ということですから、地方公共団体が多分四割程度負担しているんですね。そうすると、今度、その四割部分の負担をしなくて済むとなったときに、じゃ、その四割負担をどういうふうに使っていくのか。それを例えば低所得者層に使えば、それは結果として低所得者層にその恩恵は回っていく、こういうことにもなるわけなので、そこは全体として見ていかなければならないのではないかなというふうに思います。

 それから、処遇改善のお話がありました。保育士の給与、これは平成二十五年が底なんですね。実は、平成二十二年からずっと下がっていって、二十五年を底にし、それから今、平成二十九年で約二十七万、上がってきました。それ以外に、これには入っておりません、技能、経験に応じた月額四万円の処遇も改善をされていくということであります。

 そして、それに加えて、先ほど、たったという言い方をされましたけれども、一%、月三千円相当の賃金の引上げも行うということでありますので、我々としては、そういった形で保育士の処遇の改善を図り、保育士を確保し、そして、ひいては待機児童の解消、これにもしっかりと取り組ませていただきたいというふうに思います。

山井委員 ちょっと、あと一点だけ。

 これは、八百万円以上の年収のところに千五百億円ぐらいの恩恵がある一方、本当にゼロ歳から五歳の低所得世帯には、ほとんど恩恵がないんですよ。そういう意味では、この表、十八ページにありますように、児童扶養手当を一万円底上げするとか、二十まで児童扶養手当を年数拡大するとか、これでも支給拡大が国費で百九十億円、そして一万円の底上げが国費で三百六億円ですから、やはり高所得世帯にこれだけのボリュームの予算を上げるのであれば、ヘックマン教授の理論じゃないですけれども、貧困家庭にもセットで支援をすべきだというふうに考えております。

 例えば、高校授業料無償化に関しても、きょうの配付資料に入れておりますが、将来的には私は全ての教育無償化だと思いますが、実際、政府・与党がされているこの十五ページの高校授業料無償化も、九百十万円以下にしてあるんですよね。そういう意味では、この幼児教育の無償化も、多少の上限なり、高所得者を支給を減らすということも、可能性としてはあるのではないかと思います。

 とにかく、子供の貧困対策、児童扶養手当の拡大に予算を使うべきではないかということについて、いかがでしょうか。

橋本委員長代理 申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたのは義務教育ということでありますから、高等教育ということになれば、今申し上げたような形で、今回もそうですが、特に大学等も含めて、低所得者世帯を対象とした政策を進めていく。あるいは、ゼロ―二歳ということにおいても今回そういった対応をさせていただいているということですから、一体それがどういう目的を持って、何をするかによって、当然、負担のあり方は変わってくるべきだというふうに思います。

 それから、処遇改善とか、多分、あるいは児童扶養手当のことをおっしゃられたのかな、等々も含めて、今回もいろいろ手当について拡充もさせていただいております。

 我々も、できるところは対応させていただきながら、しかし、もう一つ大事なことは、いかに就労をして自立をしていただくかということも大事でありますから、そういったこととのバランスをとりながら、しっかり施策を進めていき、所期の目的を達するように努力をしていきたいと思います。

橋本委員長代理 山井和則君、既に持ち時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

山井委員 最後にお願いをして終わらせていただきますが、とにかく、これだけ巨額の財源を使うにもかかわらず、試算も出さず、幾ら高所得者世帯、低所得者世帯に行くかも表に出さないということは、当然国民の理解を得られません。きょう話があったように、どっちにしても年末までには試算が出るということで、もっと早急に出していただきたいですけれども、このままでは国民は納得しないと思います。これは、正直言って、自民党の方々も、厚生労働省の方々も……

橋本委員長代理 山井君に申し上げます。

 申合せの時間が経過をしておりますので、御協力をお願いします。

山井委員 本音では反対の方が多いのではないかと思いますので、このことについてはしっかりと、使い道を変えるべく、集中審議をやっていただきたいと思います。

 以上で終わります。

橋本委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十五年ぶりの食品衛生法改正ということで、私にとっても今回が初めての同法改正に対する質問になります。

 ちょうど二〇〇三年十月に私は国会に参りましたので、改正が終わった後でありまして、そのときは農林水産委員会に所属をして、BSEやら鳥インフルエンザ、あるいは明治乳業の食品衛生法違反などもございました。食の安全、安心にかかわって厚労省にも随分質問したわけですけれども、厚労委員会に来てみますと、逆に、ほかの問題が多過ぎてなかなか取り上げることができなかったわけであります。そしてまた、ちょうど法改正もなかった。どうしてそうなったのかなと改めて思うわけでありますが、まず大臣に伺います。食品衛生法はなぜ十五年間改正がなかったのでしょうか。

加藤国務大臣 まさに私も高橋委員と同期で当選させていただいておりますので、同じような思いというか、十五年間たったという思いも持たせていただいております。

 この間なぜされなかったのかということについては、例えば、昨年の夏、食中毒事案が広域で発生をしたわけでありますけれども、残念ながら十分な対応ができなかった。そういった点については、我々は真摯に反省をしていかなきゃいけない。そういったことも含めて、また、現在、国民の食へのニーズの多様化、食のグローバル化の進展、そうしたことによる我が国の食を取り巻く環境が変化をしている、そして、先ほど申し上げた食中毒事案、あるいは食品の輸出促進、そういった観点等々も考えて今回のこうした法案を提出させていただいた、こういう経緯でございます。

高橋(千)委員 なぜという答えはなかなかないわけでありますけれども、結局、ためてしまったというんでしょうかね、随分たくさんの中身がございます。これをきょう一日で終わらせるというのはちょっとあんまりじゃないかなというのと、十五年間改正しないできて二年で施行するというのはかなり拙速ではないか、その割には準備が余りにも間に合っていないと思います。そもそも、懇談会、最初の審議会を始めるときも、タイトなスケジュールでございますのでということを事務局の方からお断りをしながら議論を始めたという経過もございますので、やはりこのことは本当によく考えて必要な対応をとっていくことが求められるんじゃないかなと思います。

 それで、まず中身に少し入っていきたいんですけれども、今回最も大きな改正のポイントが、もうたくさんの方がお取り上げになりましたけれども、HACCPの対応だと思います。

 基準A、Bという使い方はもうしないんですと言われましたので、長い表現で話しますけれども、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組、HACCPに基づく衛生管理、若しくはHACCPの考え方を取り入れた衛生管理、このどちらかを全ての食品等事業者に義務づけるといいます。

 食品等事業者とは、飲食店営業等の営業許可を要する施設は、今、二百四十六万八千三百五十二の施設がございます。その他の営業許可を要しない施設は百三十五万七千八百八十六施設あるわけであります。これだけの施設で、まさに従業員が何百人の工場から一人で販売しているお店まで入る。それが、全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理の実施を求めるのはなぜでしょうか。

    〔橋本委員長代理退席、渡辺(孝)委員長代理着席〕

加藤国務大臣 食品安全基本法では、食品の安全性の確保は、農林水産物の生産から食品の販売に至るフードチェーンの各段階で講じる必要がある、こういうふうに規定されているわけであります。

 生産段階ではGAP等、また、それ以後のフードチェーン全体で今回のHACCPによる衛生管理に取り組むことによって、原材料の受入れから製造、加工、販売に至るまで、各段階にかかわる食品等事業者のそれぞれの衛生管理を進めることで、食品の衛生管理が向上し、ひいては、食品による事件、事故の防止を図ることが可能になっていく、こういう観点から、全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理、ただ、先ほど委員がおっしゃった二つのパターンがあるわけでありますけれども、それぞれの事情に応じてそうしたことを適用することによって衛生管理を着実に実施していく、そういうことでございます。

高橋(千)委員 これは、なぜという答えにはなっていないと思うんですね。フードチェーン全体にというのは、今これを位置づけようということで、HACCPでなければならない、あるいはHACCPの考え方を取り入れた基準でなければならないということの理由にはなっていないと思うんですね。

 資料の一枚目につけておいたのは、第一回の食品衛生法改正懇談会に出された資料ですが、我が国の食品安全の国際標準化というのがタイトルであります。世界じゅうのお客様が集まるであろう二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本の食品安全対策の国際標準化を推進すべきだと。

 やはり、さっき言いましたけれども、十五年改正せずに、オリンピックだからと、二年以内に施行だと、多くがこれから省令などに委ねられて決まっていない中で、大変拙速な改正であるし、オリンピックにも輸出拡大にも全く関係のない業者まで義務づけられるのは、やはり理由にはなってないのではないか、このように思うんですね。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 目の前に、もちろんオリンピックはあるわけでありますけれども、それのみならず、先ほど申し上げたように、我が国の食を取り巻く環境、これが変化している、こういうことを踏まえて対応させていただくということでありますし、オリンピックだけ見ても、来られた方はいろんなところに行かれるわけでありますから、別に、輸出する、そうした部分だけではなくて、国内において提供される部分、これも当然、食品衛生上の向上等を図っていくということも必要なのではないかというふうに思います。

高橋(千)委員 今何も対策がとれていない状況であれば、それはわかるんですよ。そうではないわけでしょう。それを今、HACCP対応にしましょうと、それも一律に。そこに、なぜかということを投げかけているわけです。

 私ごとですが、私は、両親が生きていたころは秋田県の片田舎ですし屋を営業しておりました。小さな鉱山町で、当時はほかに同業者もいませんでしたので、ウナギも出しましたし、宴会料理も出して、先生方が学期末というと必ずいらっしゃるというのを見てきたわけなんですけれども、当然、いつも証状を見ていまして、食品衛生法の営業許可、調理師免許はもちろん、その後は栄養士の免許も取り、すし組合の役員として全体の指導ということでも忙しくしていたなと思います。だから、人の口に入るものというのは、厳しくてもちゃんと守らなければ、基準を守らなきゃいけない、それは当たり前なんだ、それだけの役割は果たさなきゃいけないんだということは子供心にも思っていたわけなんです。

 だから、何が言いたいかといいますと、HACCPが絶対に必要で、それを満たさなければ食品衛生が保てないんだとか、食中毒を避けるためにはやむを得ないんだという絶対的な理由があるんだったら、同じシステムを全てに義務づけるべきだと思うんです。それが、かつてはA、Bという分け方をしまして、考えを取り入れていればよい、手引書でよいけれども効果は同じなんだ、そう言っているから、逆に中途半端であり、納得がいかないんです。だったら、今までとどこが違うのか、これを明確にするべきだと思います。

 ここで伺いますが、この二つの取組はどこで線引きをするのか。しかも、猶予期間が、施行までと合わせて三年しかないわけですよね。線引きが決まらなければ準備が間に合わないわけです。いつまでにするのか、これも明確にお答えください。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となる食品等事業者につきましては、政令で定めることとしてございまして、小規模事業所の範囲につきましては、労働集約型の業種の事業者団体が策定する手引書の内容等も踏まえまして判断基準を示すことを考えているところでございます。

 この判断基準を示す時期につきましては、現時点では具体的にはなかなかお答えが難しいところでございますが、小規模事業者を含む食品等事業者が円滑かつ適切にHACCPに沿った衛生管理に取り組むことができるよう、十分な準備期間を設けるようにしていきたいと考えているところでございます。

 なお、小規模事業者を含む食品等事業者が円滑かつ適切にHACCPに沿った衛生管理に取り組むことができるよう、事業者団体が作成する手引書の活用等により、きめ細かい支援を行っていくこととしているところでございます。

高橋(千)委員 まず、今の答え方、ちょっと、いっぱい聞かなきゃいけなくなって困ったなと思っているんですが、まず、全体としてはHACCP対応をするんだ、そして、そうじゃない労働集約型の小規模事業者は考え方を取り入れたやり方だという説明だったんでしょうか。その小規模といったときに、人数で区切るとかではないということでよろしいんでしょうか。まず、そこ。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 その小規模事業所、労働集約型ということでございますが、先ほど申しましたように、現在さまざまな業種の事業者団体が手引書を作成してくださっているところでございまして、そういうものを踏まえまして、やはり人数的な目安をつくってその規模というものを考えようかというふうに検討しているところでございます。

高橋(千)委員 目安ということは、何人以上ということを決めるということなんでしょうか。手引書を厚労省と相談しながらつくりますよね。そうすると、その段階で、団体としては、うちはこの手引書で十分だと思うよという希望が多かった場合、でも、それをかなえるという意味ではないということでしょうか。二点聞きました。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 いろいろな事業所にお聞きしまして、大体、ある程度このぐらいの人数というところが集約してくれば、その辺を参考にしまして決めさせていただきたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 このくらいの人数というのはどういう意味ですか。このくらいの人数だったらHACCP対応でもいいという意味ですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの事業者に、小規模事業所といった場合、どのくらいの人数の規模を考えるかというようなことを書いていただいてございまして、その人数を見て検討するということでございます。

高橋(千)委員 大変、これでは不安だと思いますよ。

 当然、事業者にしてみたら、もちろん、今、厚労省のホームページに出ているあの手引書も私、拝見しました。いろいろな今努力をされているわけで、その努力でいいんじゃないかと当然出てくるんだと思うんです。

 食品衛生管理の国際基準化に関する検討会の最終取りまとめでは、関係業界の現状と制度化への対応を聞いていますよね。

 例えば、日本缶詰びん詰レトルト食品協会は、三百名以上の大企業はほぼ導入済みである。ここはもう線引きと言わなくてもいいんでしょうと。中小企業では約半分程度が導入済みだ。管理指導のできる人材確保や、特性に合わせた段階的導入を希望する声が多いというのが特徴だったと思います。

 それから、HACCP対応を求める予定になっている屠畜、食肉関係では、例えば全農ミートフーズ株式会社は、食肉販売業のうち個人経営の事業者の六五%がもう六十歳以上であり、事業者のレベルに合わせた選択が必要だと言っているわけですよね。HACCP導入のための土壌をつくることも重要だと述べている。

 食肉センター協議会は、もうISO22000を導入しているところもあるんだけれども、何を実施すればHACCPに取り組んでいることになるのか明確にしてほしいとおっしゃっているし、これは、食鳥協会も同じことを言っていますよね。何を実施すれば取り組んでいることになるのかと。

 そうすると、こうした現状を見れば、とてもあと三年では難しいと思うんです。なので、まず、今の手引書をしっかりとやっていく。もちろん、輸出しなきゃいけないからそれに対応するHACCPは必要だというところは、当然やっていくんですよ。そうではないところは、手引書でまずやってみるということでもよろしいんじゃないでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今般のHACCPに沿った衛生管理の制度化は、原則として、全ての事業者にHACCPに沿った衛生管理を求めることとしているところでございますが、HACCPに基づく衛生管理をそのまま実施することが困難な小規模事業者や飲食店等の一定の業種につきましては、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理であるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を求めることを想定しているというところでございます。

 このHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象となる事業者につきまして、政令で定めることとしてございますけれども、例えば、その範囲につきましては、食肉加工、水産加工等の事業者団体が策定する手引書の内容等も踏まえまして判断基準を示すことを考えてございまして、そういった事業者の実態を踏まえて具体的な検討を進めてまいりたいということでございまして、その手引書をおつくりになるときに厚労省にも御相談いただいておりまして、そういうやりとりを通しながらつくっていく、そういうことで進めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 何で答弁がもとに戻るんですか。それはさっき言ったでしょうが。それをさっき言って、それから一つずつ聞いているわけでしょう。本当に必要なことならみんなに義務づけなきゃいけないと言ったじゃないですか。それをあえて例外をつくると言っているのに、その物差しもわからない。要望は聞く、一緒に相談する、だけれども、どこで決めるかわからない。それだと、とてもじゃないが、業者の皆さんが不安になっているじゃないですか。

 今、手引書を見せていただきましたけれども、例えば、交差汚染、二次汚染の防止、器具等の洗浄、消毒、殺菌、トイレの洗浄、消毒、それをどのタイミングでやるのか。作業中にやる場合と、使用後にやる場合と、始業前にやる場合と、そういうチェック項目があって、最後は、毎日毎日、それをやりましたとやるんですよ。

 大変負担ではありますよね。参議院でも、これは負担だという議論が出たと思います。零細業者にとっては大変負担だというのも出た。だけれども、必要なことならやらなきゃいけないけれども、これ自体が十分、私は、これまでの基準を踏まえて備えていると思うんですよ。だから、やってみればいいんじゃないでしょうか、事業者がそれで頑張ってやってみたいと言うのであれば。

 大臣に通告をしていましたので、この点、もう一回伺いたいんですけれども。

加藤国務大臣 やってみたいという、ちょっと御質問の意味は、いずれにしても、この二つのパターンの中で、今委員は、どこで線引きをするんだ、そこが全然明確じゃないじゃないかという御指摘は、私も聞いていて、早くこれを具体化しなきゃいけない、具体化しないと、特にこの線引きの真ん中にある人、どっちになるかわからないということだと準備もできない、こういう御指摘、それはそのとおりだと思います。

 ただ、あと、したらいいんじゃないかという、その線引きより下の方の、いわゆるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理という対象者、これについては、やはり、このHACCPの考え方を取り入れてやっていただくということが衛生管理として、しかも国際的にもそういう形で進んできている。さらに、ある意味では、統一的にやっていくことによって、より、多分、今までやっておられた方から見れば、これは大体自分のところもやっているよというのもあるんだろうと思います。そういうのも確認をしていただきながら、ある意味では、足らない部分は足していただく、そういったことにつながっていくのではないかなというふうに思います。

    〔渡辺(孝)委員長代理退席、橋本委員長代理着席〕

高橋(千)委員 線引きが決まらないのはそのとおりだと、大臣、認めていただきましたので、よく考えていただいて。猶予三年というのはどうかなと言わなきゃいけないと思います。罰則つきの義務化をこの短期間でやるのは、やはり問題です。罰則までは、そこまではすぐにはいかないよと、大臣、答弁していますよね。行政指導があるからいきなり罰則まではいかないんだよとおっしゃっているけれども、そう言うんだったら、やはり、とりあえずオリンピックの年に全部、HACCP対応をまず始めましたと宣言したいアリバイづくりのためなのかなと言わざるを得なくなっちゃうわけなんですね。それではだめなんだと指摘をしたいと思います。

 きょうは農水省に来ていただいていますので、伺います。

 輸出を希望している、若しくは既に行っている事業場のうち、HACCPの導入、どのくらい進んでいるでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省が行いました平成二十八年度食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査によりますと、既に輸出をしていると回答した企業の四二%、また、輸出を検討していると回答した企業の二六%がHACCPを導入済みと回答しているところでございます。

高橋(千)委員 そうですよね。既に輸出を検討している企業の導入済みと検討中あるいは途中を合わせますと七二・九%、そういうところが既にもうやっている。だから、私は、そこはそこできちんと支援の道筋があるんだから、大事なことでしょうと言っているわけなんです。

 それで、資料の二枚目は、農林水産物輸出インフラ整備プログラムに基づく輸出拠点整備ということで、弘前のリンゴもありますけれども、これは具体の手挙げの施設について整備事業が始まっているということで紹介をしております。

 そこで伺いますが、HACCP導入の予算は、ハード、ソフト、それぞれどのようになっており、実績はどうでしょうか。簡潔にお願いします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 水産関係の方で申し上げますと、農林水産省といたしましては、EU、米国等の輸出先国のHACCP基準への対応を目指す水産加工業者等に対しまして、ハード面では、HACCP対応のための施設改修等への支援、ソフト面では、HACCP導入のための研修会の開催ですとか専門家による現地指導など、きめ細かい対策を講じているところでございます。

高橋(千)委員 実績はどうかと聞きましたけれども。

森政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたハード面、ソフト面の事業のうち、ハード面の事業につきましては、平成二十四年度以来、これまでに百四十三件の水産加工施設の改修、整備等に対する支援を実施してきているというところでございます。ソフト面につきましては、例えば研修会でございますと、昨年の二十九年度につきましては八十回、約三千人、現地指導につきましても、約二百八十回の指導を行っているというところでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 資料の三枚目ですけれども、これは食料産業局でつくっていただいた、食品の品質管理体制強化対策事業、一億三千七百万円ですよね。これは真ん中より下のところに書いてあるんですけれども、衛生・品質管理体制強化のための人材育成とか、HACCP指導者養成研修等の開催などが盛り込まれております。

 それから、今紹介していただいたことなんですけれども、一つ飛んでいただいて、5のところですね、これはソフト事業なんですけれども、水産物輸出倍増環境整備対策事業ということで、やはりこれも、現地指導、指導員育成費などということでついているわけなんです。

 それで、私、やはり、水産加工の分野では、HACCP対応というのが、震災もあったものですから、そこで今回思い切って切りかえたところも多いですし、輸出促進ということでいろいろな予算がついているだろうということで、水産庁にもお伺いをしたわけなんです。

 それで、すごく疑問に思ったのは、疑問に思ったのは厚労省に対して思ったんです。というのは、参議院でも、随分、いわゆる考え方を取り入れた方のHACCP対応、つまり、いわゆる基準Bと言われていた方ですよね、小規模だからといっても、それはそれなりにいろんな、人件費ですとか研修のためのお金ですとか予算が必要なんじゃないかという指摘がたくさんの方からあったと思うんですけれども、いやいや、それはハードではないのでお金は要らないんだというふうなことをおっしゃっていました。でも、私はそれは違うんじゃないかなと思うんですね。

 やはりきちんとした考え方を、それは、手引自体は厚労省が相談に乗って団体としてつくるかもしれないけれども、軌道に乗せていくためにコンサルの支援をいただくとか、温度管理を初めてやるんだとか、さまざまなことがやはりあるんだと思うんですね。こういうときに一切予算がないというのはおかしいんじゃないか。これは農水省の事業を使えばよいという考え方なんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚労省としてのHACCPの推進につきましては、さまざまな研修事業、あるいはそういった関係団体などの手引作成の支援、それから、今お話ございました、農水省の方でそういったものについての支援の予算がございますので、そういう関係省庁と連携しながら支援をしてまいりたい、そういうことでございます。

高橋(千)委員 極めて、私は不誠実な答弁だったと思いますよ。農水省にきのう聞いて、いやいや、それは農水関係でなくても使えますということを確認をして私は質問しているんですけれども、参議院であれだけ聞かれても、一切お金はかかりませんって、逆におかしいんですよ。全くかかりませんという方がおかしい。それはちゃんと支援しますという立場に立って答えるべきだし、それを他省庁と連携するというのは、それはそれでいいことだと思います。そうちゃんと答えればよかったんじゃないか。これはあえて指摘をさせていただきました。

 戻っていただいて、資料の4ですけれども、HACCP対応のためのハード事業の予算資料なんですね。さっき大臣が言っていた、イメージしていたやつ、最初はやはりハードだったということで、手洗い場を改修したり床面を改修したり、こういうことはやはり最初はかなり重点的にやられたと思うんですけれども、真ん中のところに、新たに対EU・HACCP又は対米HACCP認定を取得すること、これが事業の要件になっているということで、対米と対EUでは同じHACCPでも違いがあるんだ、特徴があるらしいんですね。そこを少し説明していただけるでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 米国向け、EU向けにおける水産加工施設の認定基準につきましてはおおむね同様ということでございますが、若干、それぞれの制度における違いも見られるというところでございます。

 例えばということで事例を申し上げますと、例えば、アメリカ向けの基準ということにつきましては、床や壁につきまして、適切に洗浄が行え、清潔で良好な状態が保たれるような構造であることというのが求められておりますけれども、EUの基準では、こうした構造面に加えまして、床、壁の素材につきましても、不浸透性、非吸収性といったような素材についての条件もあるというようなことがございます。

 また、米国の基準では、例えば、冷凍の原材料は凍結状態で保管するということが求められておりますけれども、EUの基準では、さらに、マイナス十八度以下といった保存温度の要件も求められているといったような若干の違いがあるというところでございます。

高橋(千)委員 EUの方はマイナス何度以下というふうな基準があると。きのう聞いたときには、海域の問題ですとか、それを運んでくる漁船の登録が必要であるとか、やはりEUの方が厳し目であるというふうな報告を受けました。

 やはり厚労省のHACCP対応の中にもプラスアルファの部分があって、対米、対EUと分かれているわけなんですけれども、やはり、明らかに目指すところが違っていればそこを目指せばいいわけであって、要するに、コーデックスのあの七原則さえ守ればいいというわけではないわけですよね。そういう意味で、先ほどからお話をしているのは、やはりめり張りをつければいいのではないか。そこに向かっているところはそこにちゃんと支援をすればいいわけだし、そこまで、輸出まで御縁がないよというところに同じ基準でなくてもよいのではないか。もちろん、それは衛生は守れるということを保証した上での話ですけれども。そういうことを指摘しています。

 それで、もう余り時間がなくなってきましたので、少し飛んで、法案がちょっといっぱいあるものですからとても間に合わなくて、次に行きたいと思うんですが、資料の6の方に行きたいと思います。いわゆる健康食品について。

 健康食品とは何かというところで、定義はないということを大臣は何度もお答えになっておりました。ところが、左下のグラフにあるように、ほとんど毎日利用している方とたまに利用している方合わせて五八%が利用している。私も、ほとんど毎日の方に入るわけですけれども。

 右側が、過去の取締りの例として、第七条二項による流通禁止一件、第六条二号による販売禁止が一件。コンフリーですとか、ガルシニアですとか、コエンザイムQ10など、よく聞く名前が並んでいるわけなんですね。

 それで、いわゆると言っているこの健康食品、どのくらいあると把握しているでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘ございましたように、いわゆる健康食品と呼ばれるものについて、現在、法律上の定義はないということでございまして、どのぐらいということですが、売上高、流通量等について、厚生労働省においては把握していないところでございます。

高橋(千)委員 定義がわからないけれども、どのくらいかもわからないというお答えですよね。そうすると、やはり、指定成分をどのくらい決めても、出発点がわからないわけですから、目標が見えてこないということにもなるわけですよね。やはりこれをもっと、いわゆるを最終的には取っていく、曖昧なものをなくしていく、ここを目指すべきではないかなと思うんですね。

 それで、二つ続けて言います、時間の関係で。

 指定する成分を含有する食品を告示することになります。それをどのくらいのテンポで、どのくらいの成分を指定していくのか。つまり、言っていることは、一回で何十とかと決めて、当分それっきりよというのか、毎年少しずつ明らかにしていくという意味なのかということを聞いています。

 それで、やはり、指定されない成分も含めて健康食品全体の情報をつかむべきだということが参議院で指摘されたと思うんですけれども、結局、それはこのテンポに関係あるんですよ。つまり、フィードバックしなければ、実際に健康食品の事故情報があって、それで、これは指定成分が何らかあるのではないか、そういう形も当然やっていかなければ、指定したらそれっきり、事故情報が出るまで待っていますではだめなわけで、そういう意味で聞いていますけれども、いかがでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働大臣が指定する成分等につきましては、国内外の健康被害情報や文献等による知見を科学的な観点で整理して、薬事・食品衛生審議会や食品安全委員会の意見を聞いて、パブリックコメント等を行うとともに、成分等に関する情報収集や実態把握を目的とした事業者からのヒアリング等を行い、告示により指定するという手続で行うことになります。

 そのテンポにつきましてですが、例えば毎年何件というようなことは現在のところ考えてございません。

 指定される成分等としましては、食品に含まれるアルカロイドやホルモン様作用成分のうち、一定以上の量を摂取することにより健康被害が生じるおそれのあるものなどが想定されるということですが、具体的には、今後の健康被害情報あるいは文献等による知見を科学的な観点で個別具体的に検討した上で、指定する成分等を決定していくということになるため、先ほど申しましたように、その指定のテンポ、あるいはペース、数等につきましては、現時点ではお答えすることは難しいところでございます。

高橋(千)委員 毎年ではないということはわかりました。ですが、さっき言ったフィードバックの考え方があるのかということです。

 実際に、それは文献だとかいろんな科学的知見があると思います。でも、動き出してしまえば、動き出したことの、実際に起こったことから学ぶことが一番の効果的なアプローチだと思うんですね。懇談会の最終取りまとめでも、適切な規制に活用するためにも、行政がいわゆる健康食品の製造事業者を把握する仕組みも設ける必要があると提起をされています。やはりそこに迫っていく必要があると思います。

 フィードバックの考え方、取り入れてくださるでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 大臣が指定する成分等につきましての検討におきまして、その結果、場合によっては、委員から提出いただきました資料にございますように、健康被害が非常に強く疑われる、あるいは原因が明確な場合については流通禁止、販売禁止等の措置をとることもございますし、そこまではいかないけれども何らかの注意喚起が必要だということであれば、当然、国民に対してそういう注意喚起というようなフィードバックはしていくというようなことでございます。

高橋(千)委員 確認をしました。

 ここで今度は大臣に伺いたいんですが、広告の問題なんです、ネットの広告。

 それで、先ほどどなたかもネットの広告規制のことを質問されていましたけれども、お答えは、ネットパトロールとか、いわゆる危険ドラッグのときとか、違法ドラッグをどうするかという議論のお答えだったと思うんです。私が聞いているのはそういうことではなくて、もう今本当にネットが氾濫していますので、私なんかもまさに標的になっているわけなんですけれども、一つ何かの食品を、サプリとか開いてしまうと、別に買わなくても履歴が残るわけですよね。あなたはきっとこれに興味があるでしょうという形で、繰り返し繰り返し出てくる。ツイッターのタイムラインにまで出てくる。そういう形でなってくるわけですよね。

 だから、違法かどうかとか有害かどうかの前に、そこまでの過剰な、これでもかこれでもかという広告をやはり規制すべきじゃないかなと思うんです。なので、それは大臣の方から関係省庁にも呼びかけて、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 多分、今の話は、健康食品だけじゃなくてさまざまな商品について、たまたまそれをアクセスしたら、関連する、あるいは、こういうものを選んだ人はこういうのもお好きじゃありませんか、そういう流れなんだと思います。まさにそれは、全体として、インターネットの世界の中でそれをどう規制していくのかということでありまして、それはどこになるんでしょうか、総務省になるんでしょうか、それぞれ担当のところで、これはまず全体として御議論していただかなきゃならないということであります。

 また、健康食品ということに限ると今度は消費者庁ということになるので、別に私ども逃げるわけではありませんけれども、そういった省庁がどういうふうに対応していくのかという流れの中で、ただ、当然、厚生労働省として対応すべきものがあればそれはしっかり対応させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 それこそ、高鳥委員長と一緒に、ネットの、医薬品の海外視察に行ったときに、レコメンド機能ということで、どうですかというのを各国に聞いて、どこもやっているところがなくて、やはり日本は特殊だねということで規制をしたということがあったということで、やはり健康食品の分野でもやっていただきたいなと思います。

 最後に一言だけ。EUがことしの一月に、プラスチックごみに対する戦略を採択いたしました。今回、容器包装や食品用器具のポジティブリストをやるわけですけれども、やはり、プラスチックそのものを減らしていくということで、EUに学んで取組を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 欧州委員会が、ことしの一月に欧州プラスチック戦略を採択し、現在、当該戦略を履行するための理事会指令案に基づき、使い捨てプラスチック製品の使用制限等の検討を進めているということは承知をしております。

 使い捨ての製品を含むプラスチック製品由来のごみをどう低減していくのか、また、その環境放出に伴う環境汚染の防止、これは地球環境を守る上においても大変重要な課題だというふうに認識をしておりまして、環境省が先頭に立ってということになろうかと思いますけれども、厚労省としても連携して検討させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

橋本委員長代理 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 日本は世界でも類を見ないほど生食の文化が根づいていますね。以前に生卵の話とかもしたことがありますけれども、今からの季節は岩ガキなんかは本当においしいですよね。まあ、感想を言っただけですけれども、済みません、質問には全く関係ありません。

 以前にも触れさせてもらいましたカンピロバクターについて、きょうはちょっといろいろと先に質問をしていきたいと思っております。

 これは厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会というところで資料として出されている食中毒の関係の資料の中にあるんですけれども、食中毒の大半が、およそ九〇%が細菌による食中毒ということで、その中でも、やはりノロウイルスとカンピロバクター食中毒がその大半を、一番多いパーセンテージで占めているという資料がこの分科会でも出されておりました。

 食中毒といっても、たくさん、いろいろ種類があるんですけれども、サルモネラだったり、腸炎ビブリオだったり、O157とか、そんなものがありますけれども、大体、対策をとって、それ以降、減少はちゃんとしていっているんですね。サルモネラもそうですし、ビブリオもそうですし、しっかりと対策を、例えばサルモネラなんかだったら、生産段階から加工、流通過程で総合的な対策を講じたということで、それ以降減少傾向にあると。ビブリオなんかも、規格基準を生食用の鮮魚介類とか生食用カキ、あっ、出てきますね、生食用カキが。ゆでダコ、ゆでガニに設定以降、腸炎ビブリオ食中毒は減少傾向にあるということで、減っていっているんですね。

 結局、しっかりとそういった設定をして対策をとれば減っていっているわけですけれども、カンピロバクターについては、実は下げどまっています。なかなかぐうっと下がっていかないのが現状です。その現状についてどう思われておりますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 カンピロバクターは鶏の常在菌でございまして、鳥肉の流通段階における汚染実態調査の結果、直近の平成二十六年度におきましては、四二%であることが確認されているところでございます。こういったことから、喫食前に十分に加熱調理することが重要と考えているところでございます。

 対策についても申し上げますと、鳥肉には、こういったカンピロバクターの汚染が一定程度あるということを前提としまして、食鳥処理段階のリスク低減策を検討する一方、従前より、食品等事業者及び消費者に対しまして、喫食前に十分に加熱するよう都道府県等を通じて指導するほか、厚生労働省ホームページのQアンドAやリーフレット等の掲載及びツイッター等を通じた注意喚起等を行ってきたところでございます。

 また、今回の食品衛生法改正法案におきましては、食鳥処理場や鳥肉を取り扱う飲食店等に対しまして、HACCPに沿った衛生管理を求めることとしているところでございますので、カンピロバクターなどによる食中毒の発生予防をより効果的に図ることが可能ではないかと考えているところでございます。

浦野委員 前回のときも同じようなことを言っていただいていたと思うんですけれども、基本的にはやはり加熱を十分すれば大丈夫だということなんですね。ただ、冒頭に言いましたけれども、日本は珍しく、鳥を生で食べるというのは本当に珍しいみたいで、それが普通に生食ができるという文化でもあります。例えば海外なんかは、生食の文化がない中で、それでもカンピロバクターでいろいろ食中毒事件が発生しているんですね。

 それは、やはり加熱が不十分だとか、包丁とかの交差汚染だということになっていますけれども、国を挙げて、それはやはり具体的な数字を挙げてちゃんと対策をしているんですね。もちろん、上流から、農場から食鳥処理場、サプライチェーン、全体を巻き込んで対策をとった。例えば、ニュージーランドなんかでは、二〇〇七年から二〇一二年、六年間で患者数を約五〇%削減できて、減少させています。

 しっかり加熱することというのは基本だとは思うんですけれども、実際、加熱してもカンピロバクターで食中毒を起こしているという現状がある以上、今の答弁では、ちょっと生食に対する対応はできないかなと私は思うんですね。

 きのう来ていただいた方に見せていただいた資料では、検体、いわゆるカンピロバクターにどれぐらい汚染されているのかという検体の検査結果、鳥のレバーと砂肝と鶏肉、身の部分ですね。鶏肉がびっくりしたんですけれども、検体数が九しかないんですけれども、その九の全てにカンピロバクターが入っていた。いわば一〇〇%カンピロバクターに汚染されていたというやはり結果も見せていただきました。

 それぐらい当たり前のように鳥に含まれているものである以上、やはりこれはしっかりと検査をして、そういうものをやっていかないといけない、確認をしないといけないと思うんですけれども、汚染されているかどうかはしっかりと確認しないといけないと思うんですけれども、それについて何か見解はありますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 流通の段階の汚染ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、汚染の実態調査につきましては、直近の平成二十六年度、四二%というデータも出てございますし、また、先生御指摘のように一〇〇%という場合もあったということで、やはりそういった、もう汚染されているという前提で一般の流通については対応せざるを得ないのかなというふうに考えてございます。

浦野委員 でも、生食を禁止することはないんですよね。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、平成二十五年に、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会の下に食肉等の生食に関する調査会というものを設置いたしまして、鳥の食肉等の生食に係る規制のあり方について検討を行ったところでございます。

 検討の結果、鳥肉の公衆衛生上のリスクの大きさは中程度とされて、牛肉や豚肉のように飲食に起因する危害が生命そのものにかかわるような公衆衛生上のリスクが高いものではなくて、現在検討されているリスク低減策に関する研究結果等を踏まえて具体的な対応策を検討することとするとされたところでございます。

 これを踏まえまして、直ちに食品衛生法に基づく規制を検討するのではなくて、厚生労働科学研究等を通じて、リスクの管理に資するデータの蓄積を行ってきたところでございます。

 具体的には、現在、大規模食鳥処理場で解体工程に使用する殺菌剤の使用や、南九州地方で提供されている生食用鳥肉の製造工程で導入されている表面加熱等のリスク軽減策に関する効果の検証事業を実施しているところでございまして、これらの結果を踏まえて、具体的な対策を検討してまいりたいと考えているところでございます。

浦野委員 これは、食品衛生法の中に衛生基準と規格基準というのがありますよね。衛生基準というのは、要はガイドラインのようなもので、罰則規定も何もなくて、ちゃんとやってくださいよというものですよね。規格基準というのは、しっかりと罰則規定もちゃんとあって、結構厳格な基準であるというふうに認識はしているんです。

 例えば、この間、三月か何かですかね、カンピロバクター食中毒案件に対する告発についてという通知ですか、が出されたんですかね、そのときに、加熱用表示を無視して生食の提供をする事業者に対する告発の制度が伝達されたということでしたけれども、そもそも、加熱用表示というのは、これは通知で決めたんですけれども、これは罰則規定とか拘束力がないものなんですよね。だから、こういったことでどれぐらいの効果があるのかというのは、私は疑問やと思うんですね。だから、そうなると、規格基準とかでしっかりと対応した方がいいんじゃないかというふうに思うんです。

 検査が非常に難しいということも、きのう来られた厚生労働省の方がおっしゃっておりました。検査のあり方についても、もちろん対応しないといけないと思うんですけれども、こういった規格基準とかについてはどうお考えですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、規格基準をつくる前に、先ほど申しましたように、通常の流通ですと、かなりの割合でカンピロバクターに汚染されているということがわかってございますので、これも先ほど申しました、大規模食鳥処理場の解体工程に使用する殺菌剤の使用、あるいは南九州地方で提供されている生食用鳥肉の製造工程で導入されている表面加熱等、こういった施策によってどのくらいカンピロバクターの汚染というものが抑えられるかということを十分検証した上で、抑えられていることがわかれば、それに基づいた基準という話になるのではないかというふうに考えてございます。

浦野委員 宮崎県と鹿児島県でしたかね、は県で独自に水準をつくってやっていますよね。鳥を食べる文化が産業として成り立っている、大きな産業ですから、やっている。

 我々、私の住んでいる大阪もそうですし、東京もそうですけれども、鳥の生食を出す店は結構普通にありますよね。私が心配しているのは、東京五輪が二年後に行われます。そのときに、鳥の生を食べる文化がない国の方々がたくさんいらっしゃって、せっかくやからチャレンジして食べてみたら食中毒にかかりました。これは前回のときも指摘をしていますけれども、このカンピロバクターがギラン・バレー症候群の原因になっているんじゃないかという指摘もありますから、これはやはりしっかりとやらないといけないと思うんですね。

 そういった東京五輪が行われる時期にこそ、やはりちょっと食中毒は怖いなというふうに思っていますので、そこら辺の具体的な対応策というのはあるんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 オリンピックは夏に開催されるということで、こういった夏の時期に多発する食中毒等の食品による事故の防止ということでございますが、積極的に食品衛生の向上を図るため、毎年、全国一斉に食品、添加物等の夏期一斉取締りを実施しているところでございます。

 具体的には、全国の都道府県等の保健所が中心となりまして、食中毒の原因となる頻度が高い大量調理施設、過去に重大事案等が発生して継続的な監視指導が必要な施設等への立入検査、食中毒防止に係る事業者への情報提供等を行っているということでございます。

 また、厚生労働省、都道府県等が主催しまして、八月を食品衛生月間と定めて、関係団体と連携した食品等事業者、消費者等に対する食品衛生思想の普及啓発、食品の安全性に関する情報提供、食品等事業者のコンプライアンスの徹底等を通じた食品の安全確保を推進しているところでございます。

 さらに、政府広報、新聞広告、インターネット等、さまざまな媒体を活用した食中毒予防や食品安全に関する情報提供を実施しているところでございまして、こうした取組を確実に実施することによりまして、そういった食中毒の予防に努めてまいりたいと考えているところでございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

浦野委員 ありがとうございます。

 私の地元で実は有名なカモがありまして、河内鴨という、それはブランドで、その店のカモしか河内鴨という名前は使えないんですけれども、河内鴨も鳥ですから、カモも鳥ですから、同じようにカンピロバクターとか、そういうのもあるのかなと思っているんですけれども、そういったカモとかでも、結局鳥と同じ扱いという認識でいいんですよね。カモと鳥、鶏は一緒かという、扱いで。

宇都宮政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には同じ取扱いということでございます。(発言する者あり)

浦野委員 そこですか。取扱いのトリ、そういうつもりで宇都宮さんが言ったわけではなかったと思いますけれども。

 河内鴨、おいしいですので、皆さんも一度食べていただきたいなと思っていますので、興味のある方は、ぜひ御自分で買っていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 HACCPの件について質問を予定していたんですけれども、午前中の質疑とかで結構重なっている部分がありましたので、ちょっと聞くのをどうしようかなと思ったんですけれども、いろいろとブロック協議会とかをつくって、リスクコミュニケーションをとったりとかするということもわかっていますし、あと、これはHACCPを対応するに当たって、いろいろな機器を導入したりとかするのにHACCPの支援法があるということもおっしゃっていましたので、そこら辺については、もう割愛をします。

 あと一つ、これも質問の中で何件かありました、健康食品による健康被害、この件について、具体的にどんな事案があったのかを、ちょっと最後、聞かせていただけますか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 これまで、いわゆる健康食品の摂取による健康被害事例といたしましては、例えば、アマメシバ加工食品による閉塞性細気管支炎の事例が国内で三例、台湾で二百例ということで、これは食品衛生法第七条に基づきまして、暫定的に販売を禁止したということでございます。また、コンフリーによる肝障害の事例が海外で多数生じたということで、これにつきましては食品衛生法第六条に基づいて販売禁止になったということでございます。

 直近で申し上げますと、これも話題になってございましたが、昨年の七月、自治体向けに行った調査によれば、過去五年間で、プエラリア・ミリフィカを含むいわゆる健康食品による不正出血や月経不順等の健康被害が、国内で二百二十三例生じたというような事例がございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 これからも、恐らく同じような被害が出るようなものも出てくると思いますので、しっかりと対応していただけたらと思います。

 最後に、カンピロバクターの件については、私は、今答弁をいただいても、やはりもうちょっと具体的な対策をとるべきだと思うんですね。実際、いろいろやって下げどまりで、それ以上なかなか減らないというのが現状ですので、それをしっかりと抑えるためには新たな対策が必要だと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、質問を終わります。

高鳥委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、食品衛生法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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