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第6号 平成31年4月3日(水曜日)

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平成三十一年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      西田 昭二君    福山  守君

      船橋 利実君    古田 圭一君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      三ッ林裕巳君    御法川信英君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    吉田 統彦君

      稲富 修二君    岡本 充功君

      白石 洋一君    山井 和則君

      桝屋 敬悟君    鰐淵 洋子君

      高橋千鶴子君    串田 誠一君

      中島 克仁君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   法務副大臣        平口  洋君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   国土交通副大臣      塚田 一郎君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   会計検査院事務総局第二局長            原田 祐平君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         宮本 真司君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  木下 賢志君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   参考人

   (社会保険診療報酬支払基金理事長)        神田 裕二君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     務台 俊介君

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  木村 弥生君     鈴木 隼人君

  小林 鷹之君     小田原 潔君

  後藤田正純君     冨樫 博之君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小林 鷹之君

  鈴木 隼人君     福田 達夫君

  冨樫 博之君     後藤田正純君

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  務台 俊介君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     小倉 將信君

  福田 達夫君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     大隈 和英君

  本田 太郎君     木村 弥生君

四月三日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     鈴木 隼人君

  木村 弥生君     杉田 水脈君

  後藤田正純君     八木 哲也君

  田村 憲久君     福山  守君

  谷川 とむ君     上杉謙太郎君

  丹羽 秀樹君     高村 正大君

  船橋 利実君     牧島かれん君

  三ッ林裕巳君     穴見 陽一君

  渡辺 孝一君     西田 昭二君

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     三ッ林裕巳君

  上杉謙太郎君     吉川  赳君

  高村 正大君     御法川信英君

  杉田 水脈君     木村 弥生君

  鈴木 隼人君     宮路 拓馬君

  西田 昭二君     渡辺 孝一君

  福山  守君     田村 憲久君

  牧島かれん君     船橋 利実君

  八木 哲也君     後藤田正純君

  串田 誠一君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     丹羽 秀樹君

  宮路 拓馬君     今枝宗一郎君

  吉川  赳君     古田 圭一君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     大隈 和英君

  古田 圭一君     谷川 とむ君

    ―――――――――――――

四月二日

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(井野俊郎君紹介)(第五〇〇号)

 同(伊藤渉君紹介)(第五〇一号)

 同(石崎徹君紹介)(第五〇二号)

 同(石破茂君紹介)(第五〇三号)

 同(小渕優子君紹介)(第五〇四号)

 同(太田昭宏君紹介)(第五〇五号)

 同(岡本充功君紹介)(第五〇六号)

 同(門博文君紹介)(第五〇七号)

 同(上川陽子君紹介)(第五〇八号)

 同(木村次郎君紹介)(第五〇九号)

 同(佐藤公治君紹介)(第五一〇号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第五一一号)

 同(坂本哲志君紹介)(第五一二号)

 同(笹川博義君紹介)(第五一三号)

 同(重徳和彦君紹介)(第五一四号)

 同(田嶋要君紹介)(第五一五号)

 同(富田茂之君紹介)(第五一六号)

 同(西村智奈美君紹介)(第五一七号)

 同(野田毅君紹介)(第五一八号)

 同(原口一博君紹介)(第五一九号)

 同(古川康君紹介)(第五二〇号)

 同(細田健一君紹介)(第五二一号)

 同(牧島かれん君紹介)(第五二二号)

 同(松本剛明君紹介)(第五二三号)

 同(森山裕君紹介)(第五二四号)

 同(山本有二君紹介)(第五二五号)

 同(青山周平君紹介)(第五三三号)

 同(穴見陽一君紹介)(第五三四号)

 同(江田康幸君紹介)(第五三五号)

 同(金子恭之君紹介)(第五三六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第五三七号)

 同(後藤茂之君紹介)(第五三八号)

 同(高村正大君紹介)(第五三九号)

 同(杉本和巳君紹介)(第五四〇号)

 同(武村展英君紹介)(第五四一号)

 同(中野洋昌君紹介)(第五四二号)

 同(長坂康正君紹介)(第五四三号)

 同(三原朝彦君紹介)(第五四四号)

 同(吉川赳君紹介)(第五四五号)

 同(石田祝稔君紹介)(第五五七号)

 同(金子恵美君紹介)(第五五八号)

 同(小林茂樹君紹介)(第五五九号)

 同(後藤田正純君紹介)(第五六〇号)

 同(白石洋一君紹介)(第五六一号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第五六二号)

 同(田中和徳君紹介)(第五六三号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第五六四号)

 同(田畑裕明君紹介)(第五六五号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第五六六号)

 同(福田昭夫君紹介)(第五六七号)

 同(古田圭一君紹介)(第五六八号)

 同(本田太郎君紹介)(第五六九号)

 同(御法川信英君紹介)(第五七〇号)

 同(宗清皇一君紹介)(第五七一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五八九号)

 同(井上義久君紹介)(第五九〇号)

 同(大串博志君紹介)(第五九一号)

 同(大西健介君紹介)(第五九二号)

 同(奥野信亮君紹介)(第五九三号)

 同(木原稔君紹介)(第五九四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第五九五号)

 同(関健一郎君紹介)(第五九六号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第五九七号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第五九八号)

 同(前原誠司君紹介)(第五九九号)

 同(上杉謙太郎君紹介)(第六四二号)

 同(小川淳也君紹介)(第六四三号)

 同(吉良州司君紹介)(第六四四号)

 同(高木啓君紹介)(第六四五号)

 同(船田元君紹介)(第六四六号)

 同(山本拓君紹介)(第六四七号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第五三一号)

 同(櫻井周君紹介)(第五八六号)

 同(小川淳也君紹介)(第六三九号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため夜勤改善と大幅増員を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第五三二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五八七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第五八八号)

 同(小川淳也君紹介)(第六四一号)

 患者負担をふやさないことに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第五八四号)

 七十五歳以上の医療費負担の原則二割化に反対することに関する請願(小宮山泰子君紹介)(第五八五号)

 健康保険適用外の重粒子線治療に対する早期保険適用に関する請願(井野俊郎君紹介)(第六三六号)

 建設アスベスト被害の全面解決に関する請願(大河原雅子君紹介)(第六三七号)

 同(末松義規君紹介)(第六三八号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)を拡充し、子育て支援の充実を求めることに関する請願(西村智奈美君紹介)(第六四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として社会保険診療報酬支払基金理事長神田裕二君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、厚生労働省大臣官房長定塚由美子君、大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、医政局長吉田学君、健康局長宇都宮啓君、医薬・生活衛生局長宮本真司君、社会・援護局長谷内繁君、老健局長大島一博君、保険局長樽見英樹君、年金局長木下賢志君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 大臣、貴重な時間ですので早速質疑に入らせていただきます。

 まず、冒頭お伺いいたしますけれども、今回の法改正の内容が、健康保険法にとどまらず、介護保険法、支払基金法など多数の法律に及びますね。また、内容についても、被保険者資格を一元管理する仕組みの創設や医療情報化支援基金の創設、市町村において高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する仕組みの構築など、大臣、非常に多岐にわたります。また、どれも極めて今後非常に重要な課題になってくる、そういったところに関する部分であります。

 これを、本法案、別個に扱わずにあえて一本にして当委員会に提出した理由をまずお答えいただけますか。

根本国務大臣 今、委員のお尋ねがありましたが、二つ以上の法律の改正を提案しようとする場合には、一般に、二つのケースが想定されるんですが、一つは、法案に盛られた政策が統一的なものであって、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、あるいは、内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形づくっていると認められるときのような場合に、一つの改正法案として提案することができると承知をしております。

 今回の法案に盛り込まれた改正事項は、保険制度の適正かつ効率的な運営を実現するために、保険者事務の適正な実施、予防、健康づくりに資する保健事業の充実及び良質な医療の効率的な提供のために必要な措置を講ずるものであります。同一の趣旨、目的を有していることから、一つの改正案として提出しております。

 具体的な改正内容としては、例えばオンライン資格確認を導入しますが、これについては、医療保険各法それぞれの法律の改正によって、資格確認の方法を法定化し、医療介護総合確保法の改正によってこれを支援する基金を創設するという意味で、一体的な、関連するものになっております。

 そして、NDB、介護DB等の連結解析については、健康保険法、介護保険法などの改正によって各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関などへの提供に関する規定を整備する。

 そして、被扶養者等の要件の見直しについては、健康保険法、国民年金保険法等の改正によって、被扶養者等の資格の範囲の適正化のため、一定の例外を設けつつ国内居住要件を追加することとしております。

 内容的に、法案の条項が相互に関連しているものと考えております。

吉田委員 大臣、大分一生懸命お読みになられて。つまり、それだけ多岐にわたるということですし、安藤先生なんかはドクターですからどう思っていらっしゃるかあれですけれども、これはやはり、さっきの御説明だと全ての法案は関連しちゃいますので、今長々と御答弁いただいたように、多岐にわたる内容なので、審議時間をその分十分にとっていただくことが最低限必要なんじゃないかな、そのように思いますね。

 大臣、今、ずっと長い間、お疲れになったんじゃないかと思いますが、たくさん内容を読んでいらっしゃったので。それだけ盛り込まれているということなんですよ、大臣。だから、拙速な審議はせずに、ゆっくりと、しっかりと審議時間をとっていただく、それを大臣にまず御要望します。

 次に、社会保険診療報酬支払基金の組織の見直しについてお聞きします。

 今回の改正では、支部完結型の業務実施体制から、支部長の持っていた権限を本部に集約しますね、大臣。本部による調整機能を強化した組織体制の見直し、それが目的だと思います。各都道府県に支部が置かれていたのを廃止する、支部のもとにあった審査委員会を本部のもとに、各都道府県委員会を設置することにした、そういったことだと承知しております。大臣、間違いないですね。

 そこでお聞きしますが、さまざまなところで診療を行うと地域によって審査の基準に非常にばらつきがあるのが我々わかるんですね。例えば、ある県では予防投与、術前投与というのは保険適用が認められる、ある県では認められない、審査ではねられる、そういったことが現実に起こっています。委員長もよく御存じですよね。

 このような組織体制の見直しは、いわゆる現状の地域の格差、いわゆるローカルルールをなくしていくことで、そういう医療を提供する側そして受ける側の不公平を是正して、公正を目標にしていると考えてよいですか、大臣。

根本国務大臣 委員今御指摘のように、それぞれの地域で、それぞれの支部で必ずしも審査の中身が統一したルールで行われていない、不合理な差異の一因と今委員御指摘のように、それぞれによって審査の審査結果が、不合理な差異の一因として今のような課題がありました。

 今回、従来は紙でレセプトというのは提出してきましたので、その意味では、限られた期間の中で審査や医療機関への支払いを効率的に実施するためには、法制的にも実務面においても支部が決定権を有する支部完結型の組織体制となっておりましたが、近年、電子レセプトが導入されて、全レセプトについてコンピューターを活用した事前点検作業あるいは過去のレセプトや審査結果を活用した審査が可能となって、審査の平準化に向けた基盤が整備されました。

 そして、委員が御指摘のように、こういう電子レセプトの導入を踏まえますと、これまでの審査や再審査結果等の知見を踏まえて、それぞれの支部が独自のコンピューターチェックルールの設定を進めてきましたが、それが、それぞれ違った判断でやってきたということもありますので、これを今回の改正で審査委員会を本部直轄とするなどによって、支部完結型の業務実施から本部が中心となった全国統一的な業務実施として本部の調整機能を強化しますから、その意味で審査の平準化も図ることができると考えております。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。同じ内容は繰り返さずお話しいただければと思います。

 大臣、端的に聞きますけれども、それは基本的に厳しい方向への全国の平準化、統一になるんですか。そうすると、今より医療機関なんかは、経営者の安藤先生なんかいらっしゃいますけれども、持ち出し分が増加して医療機関に負担がふえる結果となる可能性が高いんですが、大臣、それはどうですか。端的に。

根本国務大臣 統一した、つまりチェックルールを統一しようということでありますから、そういうことが一概に言えるかどうかというのは、要はルールを統一するということですから、そこは実務の運用の問題ですから、私はそこは何とも言えないのかなと思います。

吉田委員 そこで、大事な問題なんですけれども、じゃ、誰がそこの運用を厳しい方に統一するのか、それとも緩やかな方に統一するのかということを、これは決めなきゃいけなくなるわけですよ、大臣。どこの誰が決めるんですか。

根本国務大臣 それは支払基金の本部であります。いずれにしても、何が合理的なルールかということは本部で決めていただくということになると思います。

吉田委員 本部で決めるのは承知しております、大臣。そうじゃなくて、どこの誰の意見を聞いて決めるのかということはどうですか。わからなければこれからということでもいいですが、誰かの意見を聞いてまいる、だから、役所がそれをしっかりグリップされるのかどうかということを一言教えていただけませんか。

根本国務大臣 審査委員の意見を聞きながら、本部において決める、こういうことであります。

吉田委員 そこをしっかり確認したかった。ありがとうございます。

 では、今回の法改正に関して、現在の支部に働く人たち、特にレセプト事務点検業務に従事する方々から、現在、四十七の支部に設置されているものが、当面、全国で十の審査事務センターに統合される、それによって転勤などの人事異動が生じるんじゃないか、なので、引き続きなれ親しんだ場所での業務に従事することが難しくなるなどという懸念の声があります。

 特に、この業務に従事する方は女性の割合が高いと聞いております。そこを勘案すると、雇用の継続性上問題が生じるのではないかと心配するわけでありますが、こういった事態により、例えば、もう異動するのが嫌だと急に皆さん退職されてしまって人員の確保ができなかった場合などを考えると、本当に組織の強化につながるのか少し心配な部分があるんですが、大臣、そこはどうですか。

根本国務大臣 今回の組織見直しにおいて、審査委員会は引き続き都道府県に設置します。このため、審査委員をサポートする体制、事務局、これも引き続き各都道府県に設置します。

 一方で、国民負担を軽減する観点から、審査委員による審査の前段階で職員が行うレセプト事務点検業務、これについては、職員の目視確認の前提となるコンピューターチェックについて内容の精緻化を進めてより査定につながる可能性が高いレセプトが抽出されるようにすることで、職員の調査業務に係る負担を軽減いたします。そして、レセプト点検業務の実施場所を集約して、組織の合理化を図ることとしております。

 今委員御指摘のレセプト事務点検業務の実施場所の集約に当たっては、職員から転居が必要になるのかといった懸念の声が上がっていることは承知をしています。

 支払基金の職員は保険診療に熟知した貴重な人材であると考えております。このような人材を失うことがないように、集約に当たっては、支払基金において職員の意向もしっかりと聞きながら丁寧に対応を決めることが必要で、国としても指導していきたいと思います。

吉田委員 しっかりと大臣に御答弁いただいたので、それはしっかりやってください。

 大臣、今もおっしゃったんですが、これは将来的な話になるんです。今の続きなんですが、ICTなどを利活用するんですよね、将来的にはAIなんかも使っていくかもしれない、そういう方向性を示されているわけですが。そうすると、将来的には、今、現時点では大臣にそういう御答弁をいただきましたが、本法案の改正が進んだ場合、最終的には人員の削減というのを視野に入れているんですか、入れていないんですか。そこをはっきり答えてください。

根本国務大臣 二〇二四年度までに八百人を削減することとしています。

吉田委員 やはり削減するんですよね。削減するということですよね。そこも、さっきの丁寧な説明とあわせて、ちゃんと今やっていただいているから、貴重な人材と大臣はおっしゃいましたから、そこはちゃんと整合性がとれるようにしっかりとやっていただかないといけない。お願いします。

 では、本質的な質問をしていきます。

 この組織機能の強化によって、現行行われている悪質な請求というのは、この改正で本当に減少するのかを聞きたいです。

 基本的に、保険診療というのは性善説を前提に設計されています。つまり、医療機関が必要不可欠で適正な検査や診療を行っているという前提で成り立っていますね、大臣。当然、水増し請求とか架空請求というのは現在もしっかりと取締りがなされていると承知していますが、非常にグレーな部分で収益を得ている医療機関も、非常にわずかですが、大臣、存在します。

 以前、生活保護受給者に対する不必要な検査や投薬、手術などの治療を繰り返して、切除不要な良性腫瘍に対する手術で患者さんが死亡しちゃったという結果になった、奈良でしたか、医療機関が摘発された事例、大臣、ありましたね。ただ、この医療機関でもちゃんと署名で同意書とかをとっているんですよ。

 例えば、ある手術を行う場合に、例えばですよ、同時に施行可能で、かつ医学的に不必要な手術を患者さんに勧めて、やりませんかと。そしてうまくムンテラ、説明をして、承諾書にも署名をさせる。そして、実際にその手術を行って、保険請求をする。こういったことを非常に多くの症例にしている医療機関も存在するわけであります。これは甚だ不自然なので、審査をした上でも当然不自然に映るわけであります。しかし、現行法上だと指導することも取り締まることも結構難しい状況に、大臣、なっているんです。

 こういった点でも、本法案の改正で一石を投じることができるのか。真に国民本位の医療を実現するために、本法案は本当に役に立つのか。この部分、大臣、お答えください。

根本国務大臣 支払基金では、従来から、査定などが多くて、改善要請を行っても改善が図られない医療機関については、各支部の判断によって、地方厚生局に対して情報提供を行ってきました。今後は、情報提供事例を本部で集約することによって、より効果的な厚生局への働きかけを行っていくこととしたいと思います。

 さらに、審査委員や職員は、審査業務の中で、適正なレセプトの提出に向けた医療機関に対する指導や啓発活動に重点的に取り組んでいくこととしております。このような取組を通じて、医療機関からの請求自体の適正化に努力していきたいと思います。

吉田委員 大臣、もう一度一言でお答えいただきたいんですが、本法案で、今まで看過されてきた非常にグレーな請求、過剰請求とも厚生労働省の方はおっしゃいますよね、過剰請求に関しては、しっかりと厚生局がリーダーシップ、その上に大臣が、当然、厚生労働省の大臣がいるわけですが、リーダーシップをとって、今までにないような、本当の意味の適正化、本当の意味でいう適正化を、大臣、されるということでよろしいですね。

根本国務大臣 そこは、きちんと厚生局との連携をしっかり強めて、今委員のおっしゃったような対応をしっかりとしていきたいと思います。

吉田委員 全国の審査の先生方も困っている部分が結構あるので、そのお言葉を聞くと皆さん非常に心強く思われると思うので、大臣、しっかりそこはやっていただくことをお約束ください。

 それでは、次の質問ですが、これはシンプルな質問ですが、現行では保険者が支払基金に支払う手数料はレセプトの枚数を基準としていますね。規制改革実施会議、平成三十年六月十五日閣議決定されたものでは、手数料体系につき、新システムの導入によって事務コストの低減等を踏まえて結論を得るとしていました。

 そこで、今回の法改正により手数料は減るんですか。

根本国務大臣 今回の支払基金改革によって、今後、コンピューターチェックのみで完結するレセプトの割合をふやす中で、レセプトの内容によって審査に要する職員の事務負担などが異なることが想定されています。このため、審査手数料の設定に当たってもそうした要素を勘案できるよう、手数料の規定の見直しを行うものであります。

 これによって、コンピューターチェックのみで完結するレセプトのように職員の事務負担などが相対的に低いものについては手数料は下がるものと考えています。具体的な手数料設定については、支払基金と保険者が協議をしながら進めていくことになります。

吉田委員 次に、本改正案の被扶養者等の要件の見直しについてお聞きします。

 本改正では、昨年十二月に成立した入出国管理法の改正によって新たな在留資格の創設などもあって、今後、それらの人が被扶養者として日本に来日して医療機関を受診する際に、健康保険による給付を受けることが増加することも考えられますね、大臣。そこで、今回の改正では、被扶養認定に際し、国内居住要件を導入することとしています。

 まずお聞きしますが、今回、そもそも、なぜ国内居住要件を導入することとしたのでしょうか。

根本国務大臣 被扶養者の認定においては、現行制度上、身分関係、生計維持関係、同居要件、これがその要件となっております。海外に在住する被扶養者の認定については、昨年三月に認定方法を公的証明書などによる認定に統一化し、認定の厳格化を行ってきました。

 今般、被扶養者の認定要件に原則として国内に居住することを追加した上で、留学生や海外赴任に同行する家族など一定の例外を設けることとしたところであります。

吉田委員 はっきりした理由が今のだと明らかにならないんですが、わかりました。時間があったら後でもう一回聞きますが。

 適正に運用をしっかりとこれはしなければいけないわけですが、今回、政府としては多分、要件導入の目的を達成するためには、当然、一定程度資格確認を厳格化する必要がありますよね。

 例えば、被保険者が離職して国民健康保険の加入手続を経ていない場合だとか、海外での出産その他の診療を受けたことを偽装し出産一時金、海外療養費などを受けようとする場合、三番目に成り済ましの場合など、厳格に資格を確認する必要がある場合があると思いますが、どのように資格確認の厳格化を図るつもりでしょうか。

根本国務大臣 要件については、まず、国内に居住することは住民票で確認する、そして、一定の例外に該当するかどうかはビザ、学生証等の書類により渡航理由を確認することを基本的に考えております。

吉田委員 それはわかるんですが、今私が例示をわざわざ一、二、三としたわけですけれども、それに関するお答えとしてはそれでは不十分じゃないですか、大臣。もうちょっとしっかりお答えいただかないと。

根本国務大臣 仮に、住所と居住実態が異なって、実際には海外で生活している被扶養者については、その被扶養者が海外の医療機関を受診した際の海外療養費の申請に対する保険者の審査の段階で、被扶養者の認定要件について改めて確認を行うことを考えております。

 具体的には、住民票を有する被扶養者であっても、海外療養費の審査の過程において、居住実態や海外への渡航理由、これは渡航の際のビザで確認しますが、渡航理由に照らし、明らかに日本に生活の基礎がなくて、他の被扶養者との公平性の観点から健康保険の適用になじまないことが判明した場合には、国内居住要件を満たさないものとすることを検討しております。

吉田委員 今の御答弁ではちょっと心もとないので、大臣、しっかりと今後やっていっていただくことを要望します。

 特に最後の成り済ましは、大臣、以前私も委員会の質疑で取り上げさせていただいておりますけれども、顔写真つきの保険証の発行の方が確実だと思いますよ。

 大臣、改めて伺いますけれども、顔写真つきの健康保険証を発行することについてちょっと意見を伺いたいんです。

 マイナンバーカードを外に持ち出す、外出時に持ち出すというのはやはりリスクがあるんですよ。ちょっと時間が来そうなので質問に行けないかもしれないんですが、アメリカのソーシャル・セキュリティー・ナンバーは持ち出しちゃいけないと書いてあるんですよ。私も持っていますけれども、絶対持って歩くなと書いてあるんですよ。

 そんなものを持ち歩くより、まず簡単にできることで適正化を図った方がいいと思いますよ。大臣、どうですか。

根本国務大臣 昨年末に総合的対応策をまとめました。その対応策を踏まえて、医療機関が必要と判断する場合には、被保険者証とともに本人確認書類の提示を求めることができる旨の通知を発出することを検討しております。その際、医療機関で本人確認を行う場合には、国籍による差別とならないよう、外国人、日本人にかかわらず実施することが必要であることを示すということを考えております。

吉田委員 全然かみ合っていない。これは多分、無理やりつくられた答弁書を読んじゃ、大臣、だめですよ、さすがに。言っていることと全然違うんだから。これはちょっとだめですよ。

 わかりました。まあ、いいです。大臣、だから、マイナンバーカードも、紛失や何か問題が起こったときにしっかり対応するように施策を進めてください。

 では、次の質問に行きます。

 今回の改正によって、大臣、例えば、一定の場合には母国で治療を受けることが難しくなる可能性があり得ます。また一方で、医療の現場において、日本語を母国語としない方の診療において、言葉が通じなくて十分なコミュニケーションがとれないといった問題が生じています。多様な外国人の方が日本を訪問また在住して、言葉の問題から主訴がきちんと伝わらない、こういうことが起こっているわけです。これは、患者だけではなくて、医師にとっても、医療従事者にとっても非常に大きなストレスなんですね、大臣。

 そこで、本改正では、医療通訳等に関してはどのような手当てをしようとしているのか、また、それについて患者さんに負担を求めるのか、何かしらの予算措置を考えているのか、大臣の見解をお伺いします。

根本国務大臣 これから訪日外国人旅行者の増加あるいは新たな外国人材の受入れが始まる中で、今委員おっしゃられましたように、外国人が日本各地において医療を受けることが予想されるので、昨年十二月の外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、これに基づいて、全ての居住圏において外国人患者が安心して受診できる体制づくりを進めております。

 医療通訳者に関しては、厚生労働省ではこれまでも各地域の受入れ拠点となる医療機関への配置を進めてきましたが、さらなるアクセスの向上のため、より多くの言語への対応、電話通訳等による利便性の確保が重要な課題と考えており、団体契約を通じた電話通訳の利用促進に努めてまいりました。

 さらに、二〇一九年度の予算においては、希少言語も含めて対応可能な遠隔通訳サービスの提供、翻訳ICT技術に対応したタブレット端末などの配置を行う予定でおります。

 委員御指摘のように、外国人患者が安心して医療機関を受診できる環境整備にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

吉田委員 ぜひ、大臣、今御開陳いただいたことに関しては、しっかりと医療機関でお伝えいただいて、活用いただけるように、大臣が責任を持って進めていただければと思います。

 それでは次に、今回の法改正案の対象範囲について具体的にお聞きします。

 例えば、日本国内で勤務する会社の健康保険に加入している方の配偶者、これは外国から来られた方ですが、配偶者が悪性腫瘍の手術を受ける、このときに、言葉の問題が不安だということで母国に帰国して手術を受ける。支払うとしたら海外療養費で支払われることになると思いますが、例えば、費用が三百万円かかりました、この場合、どこまで海外療養費が認められるのか。

 また、世界的に高額な水準になっている、例えば、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体の投与や、ヒト型抗ヒトPD―1モノクローナル抗体を海外で投与される場合はどのような取扱いになるでしょうか。

 逆に、海外に留学している学生が日本に一時帰国している際に日本の医療機関で診療を受けた、この場合は、通常、居住者とは言えないと思いますが、保険給付の対象となるのですか。

 また、それぞれの場合、今回の改正で給付の有無などが変わることになるのかどうかを教えてください。

根本国務大臣 例えば、日本で勤務する被保険者の国内に居住する配偶者は、生計維持関係が認められれば、国籍を問わず健康保険の被扶養者となることができる、この取扱いは今回の改正による変更はありません。

 また、被保険者、被扶養者が海外で医療を受けた場合で、国内での療養の給付が困難であると認めるとき、保険者がやむを得ないと認めるときのいずれかに該当するときに海外療養費が支給されます。

 御指摘のように、国内に居住する外国人配偶者が言語の問題などから母国に里帰りして医療を受けた場合には、国内での療養の給付が困難とは言えないと考えられます。そのため、個々の事例ごとに海外での医療がやむを得ないものかどうかを保険者が判断することとなります。

 公平性の観点からは、保険者により判断が異なるものとならないようにすることが必要であって、これは保険者とも調整しながら、一定の判断基準、これを示すことも、今、オプジーボ等々の高額の抗がん剤を用いた投薬治療、この話もありましたが、それを含めて保険者等とも調整しながら一定の判断基準を示すことも検討していきたいと思います。

 それから、お尋ねの、日本に住民票を残したまま留学等の理由で海外に住んでいる者が日本に一時帰国して治療を受けた場合の健康保険の適用については、日本に住民票を残したまま留学などの理由で海外に住んでいる者は、被保険者との身分関係、生計維持関係などが認められれば、国籍を問わず健康保険の被扶養者となります。こうした取扱いは、法改正後も原則として同様であります。健康保険の被扶養者である限りは、日本に一時帰国した際に受ける医療に対しても健康保険が適用されます。

吉田委員 大臣、そうすると、確認ですが、日本に住民票を残したままアメリカで例えば仕事をしていて、アメリカで保険に加入している方が、日本に一時帰国をして治療を受けた場合というのは対象にならないということですか。

根本国務大臣 繰り返しになりますが……(吉田委員「繰り返しは要らないです」と呼ぶ)

 要は、日本に住民票を残したまま留学等の理由で海外に住んでいる者、これについては、身分関係、生計維持関係が認められれば、国籍を問わず健康保険の被扶養者となれる、これは法改正後も原則として同様であります。

吉田委員 委員長はわかると思うんですけれども、アメリカって、私は普通に給料をもらって働いていたんですけれども、保険証だけもらって給与をほとんどもらっていない留学している研究者とかもいたり、また、ある一定程度定額の給料をもらっている研究者で留学している方もいらっしゃったり、いろいろなケースが想定されるんです。

 例えば、アメリカで働いている場合、留学といってもいろいろな留学があるし、アカデミアなんかで少し給料をもらいながら保険証も一応もらっている中で、いつかこういう人たちは日本に帰る方が多いわけですが、そういう方が日本に一時帰国をして治療を受けた場合というのは対象になるのかならないのか。

 これは大事な問題だと思うんです。後ろで局長うなずいていますけれども、大事ですよね。ちょっとお答えいただけますか、はっきり。

根本国務大臣 先ほど私申し上げましたが、身分関係そして生計維持関係、委員の御質問については生計維持関係が認められるかどうかということだと思います。

吉田委員 微妙なところになりますよね、生計維持関係といっても。

 わかりました。そこは今後またいろいろ課題として上がってくるんじゃないかと思うので、ぜひ少し整理をしておいていただいた方がいいんじゃないかなと思います。委員会ではっきり申し上げておきますが、そういうケースは多々出てくると思いますので、そこはしっかりと運用の方を確認していただければと思います。

 では、大臣、平成二十八年度の海外療養費は二十・五億円支払われていると聞いておりますが、この改正で金額はどのように変動していくと思われますか。お答えください。

根本国務大臣 グローバル化の進展に伴って、健康保険における海外療養費の全体の件数、金額、これについては、平成二十年度に比べて増加をしております。

 海外療養費の動向について正確に予測することは困難でありますが、今後、新たな在留資格の創設を始め、さらなるグローバル化の進展が見込まれるため、これに伴い海外療養費についても増加が見込まれるのではないかと考えています。

吉田委員 わかりました。予測はまだ現時点では困難だという理解でよろしいですかね、額がどのようになるか。わかりました。

 あと何点か簡潔に確認をしていきますが、日本で出産した場合というのは、大臣、出産育児一時金は四十二万円ですよね。四十・四万円に産科医療補償制度分一万六千円が加算された四十二万円。

 本法案の場合、先ほど、外国から来られた方の配偶者の方が里帰り出産をする場合というのは、出産育児一時金というのは四十・四万円支払われるという理解でよろしいですか。

根本国務大臣 まず、現在、産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合、これは先生既に御承知ですけれども、出産費用分の四十・四万円に、産科医療補償制度の掛金分の一・六万円、これが支給されます。それ以外の出産の場合には出産費用の四十・四万円が支給されますので、結論から言えば、海外の医療機関は産科医療補償制度の対象となっていないので、この場合の出産育児一時金の支給額は四十・四万円になります。

吉田委員 今大臣、先におっしゃっていただきましたけれども、だから、産科医療補償制度は対象外になるということですよね、大臣。今、多分、もう口頭でほぼおっしゃった内容なんですが、念のため確認ですが、産科医療補償制度は、今回の法改正、今同様の、海外で出産したケースは対象外ということでよろしいですか。一応、一言お願いします。

根本国務大臣 産科医療補償制度は対象外になります。

吉田委員 時間がなくなってしまいましたが。

 先ほどのマイナンバーのカードなんですけれども、最後に簡単に質問を申し上げて終わらせていただきますが、先ほど申し上げたように、やはり携行を前提としたものじゃないんですよね、米国のソーシャル・セキュリティー・ナンバーというのは。日本というのは非常に、マイナンバーカードをつくって、そしてそれを携行したりいろいろなことに用いようとすることがしばしば政府の政策であるわけですが、紛失、やはり今回の問題で漏えいしてしまったりそういったことが出る可能性があるわけですが、そういったときは厚生労働省として何か対応、御責任をとられるのか、それとも、そうならないような特別な配慮を今後していく予定なのか、簡潔にお答えください。

根本国務大臣 じゃ、簡潔に。

 安全面については、例えば、マイナンバーと診療情報が結びついて、マイナンバーカードを紛失すると病歴まで他人に知られるのではないかという懸念も聞いております。

 しかしながら、オンライン資格確認は、マイナンバーそのものは使わずにICチップの中の本人を確認する情報を読み取る仕組みとなっておりますので、医療機関でマイナンバーと例えば診療情報が結びつけられることはありません。

吉田委員 時間が来ましたのでもう終わりますが、まだ半分ぐらい質問が残っていますので、ぜひ、しっかり審議時間を確保して、いい法案にしていただくよう御努力していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 きょうは健康保険法の改正法案ということですけれども、審議に行く前に一つ確認をしておきたいことがありますので、お聞きします。

 年金事務所長のツイッターへの不適切な書き込みの対応についてということでお聞きしたいと思うんですけれども、日本年金機構の年金事務所長が匿名で、属国根性のひきょうな民族とか、在日一掃、新規入国拒否などとインターネットのツイッター上でつぶやいていたということで、これは報道でも明らかになっております。

 匿名性のもと、外国人を差別する内容で、本当にこれは看過しがたい行為だと思っております。

 年金事務所長という、個人情報もとれる、取り扱うことができる責任者がこのような人種差別的な行為そして投稿をしていたことというのは、本当に、日本に住む市民にとって、外国人住民にとっても非常に脅威となる出来事だと思います。

 まず、この件についてどのように対応されたのか、お聞かせください。

高橋政府参考人 年金事務所の所長が個人のツイッターで極めて不適切な発信をしていたということ、国民の信用を失うものでございまして、極めて不適切、まことに申しわけないと考えてございます。

 本件につきましては、日本年金機構におきまして三月二十四日日曜日の朝に本人から報告を受け、その後、直ちに機構の理事長から私にも連絡がございました。すぐ対応を協議いたしまして、翌日、三月二十五日月曜日の朝に速やかに前所長を解任したところでございます。また、同日、全職員に対しまして、ツイッター等の利用、SNSの利用につきまして、綱紀粛正に関する注意喚起の通知をしたところでございます。

 また、本人が個人情報を不正に利用していないことにつきましては機構におきまして現時点で確認しておりますが、引き続き調査の上、必要な厳正な対処を行うこととしてございます。

尾辻委員 これは信用失墜行為だと思うんですけれども、そういう認識はおありですか。

高橋政府参考人 まさに信用失墜行為でございまして、機構の就業規則におきましても、機構の内外を問わず、ソーシャルメディアの不適切な利用及びその他の不適切、不正不義の行為によって機構の体面を傷つけ、機構の名誉を汚し、あるいは信用を失墜させる行為をしないこと、こういうふうになってございます。

 また、勤務時間中にやっておりましたということもありまして、職務専念義務の点でも問題があるというふうに考えてございます。

尾辻委員 ということは、いつまでに調査を終えて処分をするということでいいんでしょうか。今後のことを教えてください。

高橋政府参考人 これにつきましては、近々にも厳正な対処をして、処分を機構の方で行うということとしてございます。

尾辻委員 これは個人の所長がやったということなのか、それとも、組織的にこういう発言をしてもいいんだという雰囲気があるのか。これから議論の中でもまた年金の話も出てきます。その職員が、私も消されたツイッターの内容を見ましたけれども、本当にひどいです。こういうことは、個人の処分だけで終わらないようにしていただきたいと思うんですね。例えば、ほかの職員や年金事務所の方々に対して何か研修とかを今後される予定はあるんでしょうか。

高橋政府参考人 ソーシャルメディアの利用につきましては、機構におきまして、これまでも情報セキュリティー研修等々で、業務関連のものにつきましては発信しないですとか、業務外のもので、個人のものであっても取扱いに注意する、こういうことを研修等でしてきたわけでございますが、今般、改めて全職員宛てに機構におきまして通知をするとともに、今後の研修等で徹底をしてまいりたいと考えてございます。

尾辻委員 二度と同じようなことが起こらないようにしていただきたいと思います。

 さらに、続けて、厚労省の職員の方のお話をお聞きしたいと思うんですが、もう新聞報道でもありますとおり、申請許可を受けていない状態で韓国に渡航された。その前、前の週にはタイにも行っておられたということでありますけれども、それも問題だと思いますし、逮捕されていたということをこの厚生労働委員会の理事会においてしか言わなかった、求めに応じてしか言わなかったということ、これもまた非常に問題だと思います。

 ただ、今回、私が問題にしたいのは、韓国の空港の中で、お酒を飲んだ上で、英語で韓国人は嫌いだと、これは報道でそういうふうに言われていますけれども、英語で言いながら、航空会社の職員に暴行したということでありまして、なぜこのようなことが起こっているんでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の前賃金課長の件につきましては、極めて遺憾でございまして、三月二十日付で直ちに大臣官房付に異動させる人事を行ったところでございます。

 本件についてでございますが、前賃金課長は、業務外の私的旅行で韓国に渡航中の三月十九日、ソウルの金浦空港において、大韓航空職員に暴行をしたということで警察に拘束、逮捕されたということでございます。

 また、三月十七日夕方には前課長が日本航空職員との間でトラブルを起こしたということも確認をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、課長の職務を継続させることは困難と判断して官房付に異動させたところでございます。

 また、事実関係につきましては、この事件の発覚直後に労働基準局の課長を現地に派遣いたしまして調査も行っておりますが、引き続き、事実関係について現在調査中でございます。事実関係をしっかり把握した上で厳正に対処する方針でございます。

尾辻委員 この方についてはいろいろ経緯があったというのは聞いているんですけれども、そのことと、こういうヘイトスピーチや、その国においてその国の人たちが嫌いだと言うようなことは別の話だと思っております。

 ちょっと新聞報道で見ると、大韓航空の労働組合が謝罪を要求して、賠償も要求するということなんですが、これは厚生労働省の方にもう届いておりますか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 大韓航空の労働組合からは、本人に対して謝罪と賠償を求めるという文書を出されているところでございまして、これについては厚生労働省にも届いているところでございます。

尾辻委員 それは厚生労働省に届いているということなので、厚生労働省としては本人に謝罪させるということになるわけですか。

定塚政府参考人 この大韓航空労働組合から届いている文書の中でも、本人個人に対して謝罪と賠償を求めるという内容になっておりまして、そのような対応を求めているものと理解しております。

尾辻委員 これは外交問題にもなる出来事だと思います。

 ヘイトスピーチというのは、相手を傷つけるだけではなくて、そういうことを言ってもいいんだということで、更に扇動していくわけですよね。あっ、こういうことを言っていいんだ、もっとあおっちゃってもいいんだということで、非常にこれは社会を不安に陥れます。これも、個人の問題では私はないと思っております。

 ここは大臣にお聞きしたいんですけれども、年金事務所長そしてこの厚労省の職員と、特に一番身近な隣国に対して差別的な発言や投稿が続いているわけなんです。これは本当に個人の問題なのか。やはり組織として、ヘイトスピーチをこれ以上広げないために、私は全庁的な取組が必要だと思います。

 今後、どのように大臣として防止策や対策をとられるのか、お聞きしたいと思います。

根本国務大臣 厚生労働省の職員などが不適切な行為、発言などをしたことについて、これは極めて遺憾です。

 年金事務所の所長が個人のツイッターで不適切な発言をしていた件については、既に日本年金機構において綱紀粛正に関する注意喚起を全職員に対して行ったと承知をしております。

 厚生労働省としても、日本年金機構において実効性のある再発防止策が構築されているかなど、しっかりと指導監督してまいります。

 そして、厚生労働省の元課長の件については、事実関係をしっかりと把握し、厳正に対処する方針であります。

 厚生労働省職員は、業務外の私的行為であったとしても、国民の疑惑や不信を招くような行為を厳に慎むべきであり、今般の事案も踏まえ、今後、綱紀粛正を通知等により改めて徹底するようにしたいと考えています。

尾辻委員 大臣、これは遺憾の言葉だけでいいんですか。そのヘイトスピーチをした方々に対して、またそれで恐怖を感じた方々に対して、極めて遺憾ですという言葉だけでいいのか。そして、綱紀粛正ということだけでいいのか。私は足りないと思います。もう一度お答えください。

根本国務大臣 業務外の私的行為であったとしても、国民の疑惑や不信を招くような行為、これは私は厳に慎むべきだと思います。そして、今般の事案も踏まえ、今後、綱紀粛正を通知するなどによって改めて徹底するようにしたいと考えています。

尾辻委員 私は、大臣であれば、差別は許されないとかそういうことを言っていただきたかったなと思うんですが、同じことを繰り返されたので、これは非常に残念だと思います。

 これから、四月一日には新しい在留資格、特定技能の方々も来られるわけです。労働とか健康保険とか年金とかの窓口にも来られるわけですよ。そういう人たちをこれから厚生労働省はしっかりとサポートしなければいけないのに、こういうことが立て続けに起こっているというのは一体どういうことなのか、大臣はもっと危機感を持っていただきたいと思います。

 それでは法案の方に行きたいんですけれども、吉田委員からもありましたとおり、これは束ね法案で出てきているんですよね。一体、何本束ねているんでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきまして、本則で改正する法案は八本でございます。

尾辻委員 八本もの法律を束ねられては、やはりなかなか論点が深まらないわけです。ですので、こういう出し方は本当はやめていただきたいと思います。きっちり、いろいろな論点があるのに八本も束ねられたら、こっちだってなかなかできないわけです。ですので、こういう出し方は本当は制限をしていくべきだと思います。

 今回、健康保険法の改正なんですけれども、先にちょっと、外国人の受入れ・共生のための総合的対応策の方からお聞きしていきたいと思います。

 これは本当に受入れ・共生のための総合的対応策なのかということをすごく思うんですね。何か、締めつけている、調査する、水際で何とかするみたいな、そういう趣旨のものが多いような気がしています。

 まず一つが、国民健康保険について、在留資格の本来活動を行っていない可能性があると考えられる場合に市町村が入国管理局に通知する枠組みについて、前回、去年は試行的だったんですけれども、通知対象を拡大するということで、ことしの一月十七日付で、保険局国民健康保険課長名において「在留外国人の国民健康保険適用の不適正事案に関する通知制度の運用について」という文書が出されております。私は試行的運用のときからずっとこれを質問してきたんですけれども、これが本当に外国人との共生の政策なのかという気がします。

 なぜこのような通知制度をする必要があるのか、立法事実があるのか、まずお聞かせください。

樽見政府参考人 通知制度でございますけれども、この通知制度につきましては、国民健康保険制度は、国内に住所を有する人を適用対象としておって、外国人についても、適正な在留資格を持って住所を有しておれば原則として国保の被保険者になるという制度でございます。

 ただ一方で、在留資格の本来活動を行わなくて専ら医療を受けている不適正事例があるというような指摘もあるわけでございますし、国籍によって差別することはあってはならないと考えていますが、被保険者の支え合いで成り立っている国保の信頼を確保するために適正かつ厳格な資格管理というものは必要だというふうに思っておりますので、こうした通知制度、あるいは、今回の改正におきます、報告を求めることのできる対象の拡大というようなものについて取り組むこととしているということでございます。

尾辻委員 前は高額の限度額適用認定証、これだけだったんですけれども、今回更にふえているわけです。そのような不適正な使用の事実があったのかどうかをお聞かせください。

樽見政府参考人 御指摘の通知制度の試行的運用の結果ということで申し上げます。

 平成三十年一月から五月までに市町村から地方入国管理局へ通知をした件数は二件ということでございます。これについて、地方入国管理局において在留資格の取消しがどうだったのかということでいうと、在留資格の取消しは行われなかったというふうに市町村から報告を受けております。

尾辻委員 試行的運用の取組状況、配付の資料の三ページ目の下のところですね、二件しかなかったということなんです。試行的運用で二件しかなかったものを、これはほとんど効果がなかったと私は思うんですね、なのに、なぜ、わざわざ今度また対象を広げて更に実行していくのかということが私にはよくわかりません。

 まず、この通知制度をしてほしいと法務省から要請があったのでしょうか、法務省の方にお聞きします。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の通知制度につきましては、国民健康保険の資格管理、適正化のため、厚生労働省から法務省への要請をいただき、運用しているところでございます。

尾辻委員 そうなんです。

 これは法務省から要請があったというならまだわかりますよ、協力していこうと。なのに、何で厚生労働省がわざわざ自分たちから取締りをやらせてくださいみたいなことをやるんでしょうか。それって厚生労働省の役割ですか。入国管理の役割は法務省、医療を必要な方々に、適切な医療が受けられるように保障していくのが厚生労働省の役割だと思うんですよ。

 ですから、本当に私は、一体何をやっているのかということで、驚きを禁じ得ません。

 ちょっとこの内容の方を聞いていきますけれども、これは通知にありますけれども、この調査をすることや、相手方、窓口に来た外国の方に、あなたは何で来たんですか、在留資格は何ですかというふうに聞くというのは、これは任意だということでまずいいですか。

樽見政府参考人 御指摘のように、任意でございます。

尾辻委員 それは任意だというのはどこに書かれているんでしょうか。

樽見政府参考人 文書上任意であるというふうに書いてあるわけではないのでありますけれども、そうしなかったときに強制措置とか罰則とかそういうことがついているわけではないという構成になっているということでございます。

尾辻委員 自治体の職員は、でも、こんなものが来たらやらなきゃいけないと思いますよね、どこにもそんな任意だということを書いていないんですから。自治体の職員が任意だとわからなかったら、聞かれた相手も、職員から聞かれているんだから答えなきゃいけないと思いますよね。どこかに任意であるということはしっかり周知しなければいけないんじゃないですか。

樽見政府参考人 自治体の職員への、こういう仕組みについて説明をしたり周知徹底をするという機会がありますので、そういうところで、今の御指摘を踏まえて、どういうことができるかということを考えていきたいと思います。

尾辻委員 しっかりと、これだけだったら、あっ、これはやるんだ、やらなきゃいけないと自治体の職員は思いますよ。なので、しっかりと、これは任意なんだということがわかるようにもう一度通知を出すなり説明をするなり、どこかでわかるようにしてください。

 ちなみに、これは任意だということですから、窓口で、いや、私はただ単に国民健康保険の例えば高額療養とか出産一時金の支給申請をやっているだけで、ここでそういうことを調べて、任意なので私はやる必要ないですよねということで調査をお断りした場合、この人の給付は制限されるのかどうか、確かめたいと思います。

樽見政府参考人 被保険者の方からの回答の有無によって給付制限を行うというものではありません。

尾辻委員 このこともしっかりとわかるようにしていただきたいと思います。

 本当にこれは不思議な文書でして、前回も、試行的運用のときにも言いましたけれども、例で書かれているのが、地方入国管理局に提出された書類が偽造だと判明した。窓口で、どうやって偽造だと国民健康保険の窓口の職員がわかるんでしょうか。在留資格が留学であるにもかかわらず通学していないということが、どうやってわかるのか。例示ですからね、これは。在留資格が経営・管理の経営者であるにもかかわらず給与所得を得ている又は税申告がある、これをどうやって国民健康保険の窓口の職員、最近は派遣の職員も民間委託でふえていますから、どうやって調べていくんでしょうか。

樽見政府参考人 具体的なその判断は各市町村でお願いをするわけでありますけれども、市町村職員の推測というようなことを許しているわけではなくて、各市町村において、本人からの聞き取り、あるいはその他の資料、例えば市町村の中で税の関係とかそういったようなことについては材料があると思いますけれども、そうしたところから把握をした具体的な事実関係等に基づいて行っているものというふうに承知をしています。

尾辻委員 こんなことを調査していいんですか、国民健康保険の窓口の人が。

樽見政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、まさに被保険者みんなで支える保険制度でございますので、資格の管理の適正ということについては、やはり制度の信頼を得るという意味で重要なことだというふうに思っているわけでございます。

 国民健康保険法におきましては、市町村は、被保険者の資格等に関して必要があると認めるときは、被保険者に対して聞き取りを行うことができるというふうに現行法はなっております。したがいまして、こういうことに基づいて聞き取りを行っているということでございます。

尾辻委員 これって、結局、外国から来られて国民健康保険になる方はみんな不正をしているんじゃないかということで、調べなさいと言っているのと一緒なんですよ。どこが外国人との共生の政策なのかということなんですよ。

 もともと、前も言いましたけれども、労働で来られている方は被用者保険に入るわけで、国民健康保険に本来であれば入らない人たちもいっぱいいるのに、労働者側の雇用者が被用者保険に入れていない場合もあるわけです。なので、こっちの水際対策ばかりやっているように私には思えます。

 こういうことをやることによって、外国人の被保険者がまるで常習的に不正を働いているというような偏見の拡大とか、診療抑制とか給付制限、給付金の請求を控えるなんということが私は起こり得ると思うんです。これについての対応策を、大臣、お答えください。

根本国務大臣 既に樽見局長からお話がありましたが、国保制度はお互いの支え合い、そして制度への信頼、これが私は大事だと思っております。

 国保制度において、適正な在留資格を有して日本国内に住所を有する者を被保険者としており、医療滞在ビザの者等は適用除外としております。

 その意味で、市町村から入国管理局に対する通知の仕組み、これについては、国保制度の被保険者資格を踏まえて、適正な資格管理を確保するという観点から行っているものであります。

 これは、市町村において、外国人被保険者に対し一律に対応するものではなくて、あくまでも在留資格の本来活動を行っていない可能性があると考えられる場合に、個別に聞き取りを行い、通知をするものであります。

 国籍による差別にならないことは当然であって、引き続き、国保の適正な利用に向けて取り組んでいきたいと考えています。

尾辻委員 しっかりと任意であることを周知していただいて、こういうふうに抑制になったり偏見を拡大するようなことを厚労省がこれ以上やらないようにお願いを申し上げます。

 次に、窓口における成り済まし対策の方を確認していきたいと思います。

 これも総合的対応策のところであるわけですけれども、他人の被保険者証を流用する成り済ましですけれども、これを、医療機関が必要と判断する場合は、被保険者証とともに本人確認書類の提示を求めることができるよう必要な対応を行うというふうに今回はなっております。

 そのときに、ここに書かれているように、その際、本人確認書類が提示されないことをもって保険給付を否定する取扱いはしないこととするということですけれども、答弁の中で検討ということを言っておられたかと思います。

 これは、何か通知を出されるということですか。

樽見政府参考人 いわゆる成り済まし対策、他人の保険証を流用して医療機関を受診するということでありますけれども、これはといいますか、これもといいますか、公的医療保険制度への信頼あるいは安全な医療を確保するという観点から、適切な対策を実施していく必要があるというふうに考えているところでございます。

 昨年末に取りまとめられた総合的対応策を踏まえまして、医療機関が必要と判断する場合に、被保険者証とともに本人確認書類の提示を求めることができる旨の通知を発出するということで、今検討しているところでございます。

 これは国籍を問わず発生する問題でございますので、外国人だからどうということではなくて、本人確認を行う際に、外国人、日本人にかかわらず必要があれば実施をするということについてその通知の中でも示していくことを考えているところでございます。

尾辻委員 病院の窓口で、この人には本人確認書類は必要だという判断は何を基準に行われることになるんでしょう。

樽見政府参考人 ちょっと具体的に、例えばというところで、なかなか、今思いついてあれなんですけれども、結局、医療機関に来てかかりたいということなんですけれども、例えば、今まで何度かかかって来ているんだけれども、それとどうも挙動が違うとか、あるいは、診察券を持っているはずなんだけれども診察券を持っていない、その理由について説明を求めるとちゃんと答えられないとか、ちょっといろいろなケースがあると思いますけれども、まさに、誰に対してもやるというようなことではなくて、やはり疑わしいケースということについて行うということでございます。

尾辻委員 いや、今、明確なお答えがなかったと思うんです。

 だから、どういうときに必要だと判断するのか、これは非常に大事なところで、そうしないと、みんな同じ保険料を払って健康保険証を持っている人に対して健康保険証だけじゃだめだよと言うわけですから、この判断は非常に今問題だと思いますよ。

 もう一回聞きますけれども、じゃ、どういう書類でもって本人確認書類を求めるのか。何を出せというんですか。

樽見政府参考人 例えば、外国人ということでありますと、在留カードあるいはパスポートということがすぐ思い浮かぶわけでございますけれども、日本人について、今まで、例えば郵便局で、本人限定受取郵便というところでどんなものを確認しているかということでいいますと、運転免許証、パスポートあるいはマイナンバーカードということが位置づけられておりますほか、複数の書類の組合せで本人確認が可能ということで、保険証、年金手帳あるいは学生証といったようなものが位置づけられているところでございます。

 したがいまして、同様のことを行っていくということを考えているところでございます。

尾辻委員 私は、これは本当に、医療が必要な外国人の方がこの成り済まし対策によって狙い撃ちされて医療を断られるんじゃないかというような懸念をしております。そして、平等原則から外れていると思うんです。

 ちょっと時間がないので、このことを言いたいんですけれども、添付資料の四ページ目に、ある病院の、外国人の方へというところで、持ってきました。

 これは、もとはもうちょっと文章が違ったんですね。とりあえず「外国人の方は、診療申込みの際に在留カードと健康保険証の確認をさせていただきます。」と。「在留資格が確認できない場合、」これは最初、受診をお断りさせていただきますというふうにされていたんですね。どうも、つい最近、このように、「受診をお断りすることがありますので、ご了承ください。」ということになりました。

 在留カードがないと受診をお断りするということは、これはいいんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医師法におきましては、医師の診療に応ずる義務というものが第十九条に規定をされておりまして、当該義務の有無を判断するに当たりましては、正当な事由の有無を個々の事由に即して具体的に検討することが必要となってございます。

 と申しますのは、今申し上げました第十九条、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」という規定でございます。

 その上で、一般的には、今御質問がございました、単に在留カードを確認できないことのみを理由として診療を拒むことはできないと考えております。

尾辻委員 診察の際に、在留カードと健康保険証を見せろというふうに求めることについてはどうでしょうか。

樽見政府参考人 保険診療を受けるためにまさに保険証の提示を求めているわけでありまして、それとともに、いわば在留カードというのが本人確認のためということであれば、診療自体というよりも、保険診療するかどうかということでそういうことを求めることはあるというふうに思います。

尾辻委員 じゃ、それを出せない場合に、うちは、例えばほかの病院でもあるんですよ、在留資格証と健康保険証の確認をさせてもらうというふうに書いてあって、それがなかった場合はお断りする場合があるので御了承願いますと。これはほかの病院でもあるんですね。これは許されるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 重ねて先ほどを申し上げることになりますが、医師法第十九条の規定に基づく正当な事由というものの個々の事例に即して具体的に検討することが必要であると思いますが、その上で、一般的に、今御質問いただいたようなことのみを理由として診療を受けさせないということについて行うことは医師法十九条に反するものと解すると思います。

 その上で、先ほど保険局の方から答弁がありましたように、保険診療というものの形につきましては、別途、保険診療としてのルールに基づいての手続があるものというふうに理解をしてございます。

尾辻委員 窓口に行った外国人の方が、診療を求めるということと窓口で出してくれという違いがわかるとは私は思えないんですね。結局、こういうことをしていて、たくさんの外国の方がこれから来られるのに、病院は排除しているんじゃないかという疑いを持たれると思うので、ここについてもしっかりと、通知の部分、成り済ましが外国人を狙い撃ちにするようなものにならないように対処していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、池田真紀君。

池田(真)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの池田真紀です。よろしくお願いします。

 先ほどから、他の委員から質問がありました。吉田委員であればマイナンバーの情報漏えいの問題ですとか、あと、尾辻委員の方では、先ほどの本人確認とかというのは、基本中の基本の入り口論のところがまだまだ詰められていないということで、非常に不安を抱いております。

 そういう中で質問をさせていただきますが、まず初めに、順序不同で申しわけありませんが、厚労省以外の出入国在留管理庁の方に来ていただいていますので、先にその質問をさせていただきます。

 まず、四月の一日に入管庁が発足しましたということで、新たな在留資格というところの受入れが始まりました。ワンストップセンターですね、外国人の相談窓口の整備状況の方をお伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの外国人受入環境整備交付金の対象となる地方公共団体は百十一団体でございますが、これまで整備費を申請した地方公共団体は三十七団体、運営費を申請した地方公共団体は六十二団体でございます。

 なお、整備費又は運営費のいずれか、あるいは双方について申請した地方公共団体は六十八団体でございます。

池田(真)委員 そのうち、相談支援員とかの研修状況というのはいかがでしょうか。あるいは、要件といったものは統一されているのでしょうか。あとは委託先ですね、実地先。

丸山政府参考人 お答えします。

 交付金の要綱等で一定の条件を示しているところでございますけれども、まだ詳細はちょっとこちらで御説明できる状況ではないということでございます。

池田(真)委員 やはり拙速審議だったなというふうに思っていまして、ちょっと、北海道の新聞でありますけれども、きょう資料につけさせていただきました。北海道の方では開設進まずというようなことになっていまして、理由はもちろん、準備不足、期間がないということであります。

 今、答弁の方でも、基準といいますか、交付の要件がありますと言っていましたけれども、まだまだ、資格の要件ですとか、同じ相談といってもどこまで相談するのか、地域によっては物すごい距離もあるので出向くのか、そういったものもいろいろ議論が必要だと思います。でなければ、設置されただけであって、今議題となっている医療受診に関するような支援、生活支援を行うというふうに言っているわけですから、きちんと生活支援をするための整備をお願いしておきたいというふうにお願いして質問を終了させていただきますので、この場で、もしよろしければ、もうお帰りいただいても結構です。

 引き続きまして、保険の問題をやらせていただきます。

 まず、オンライン資格状況についての導入でありますけれども、やはり私もそのリスクについて非常に不安を抱いております。ケアを必要とするような方、高齢者とか障害者とかそういう方々について、マイナンバーカードを持ち歩くことによって紛失するリスク、あるいは、こういったことに対してどういうふうに病院では、あるいは医療機関では手だてをするかというようなことは検討なされたのでしょうか。なされたのであれば、内容を教えていただきたいと思います。

樽見政府参考人 まず、念のためでございますが、マイナンバーカードが保険証として使えるようになるということに関して、例えばマイナンバーカードをなくしたり落としたりすると、マイナンバーと医療情報が結びついていて何か医療情報が外に漏れてしまうのではないかといったようなリスクあるいは心配という声もお聞きをするのでありますけれども、マイナンバーカードの中で使いますのは、中に入っているICチップの中の本人認証情報というところだけでございまして、マイナンバーと医療情報とが結びつくわけではないので、今私が申し上げたようなリスクについてはないような仕組みになっているというところについては、検討してそういう仕組みにしているということを最初に申し上げておきたいと思います。

 それでも、マイナンバーカードを例えば紛失してしまったといったようなときに、医療機関の方にそういう相談があると思います。そういうときに、医療機関の窓口で適切にそれを、相談に乗って、どうしたらいいかという御相談に応じることができるようなことについては、今後、ケースごとに対応案を整理して周知をしていきたいというふうに思います。

 マイナンバーカードを紛失、盗難というときには、例えばマイナンバー総合フリーダイヤルあるいはナビダイヤルというものがあるとか、それから警察の方に遺失届、盗難届を出しまして、その受理番号を控えておくとか、あるいは市町村にその警察の受理番号を届け出て、それで再発行の届出をお願いするとか、そういったようなルール、決まりがありますので、そういったようなところも含めまして、対応案を整理して医療機関の窓口等に周知をするということについて心がけたいと思います。

池田(真)委員 紛失の話の方に特化してしまったんですが、病院でどう確認をするのかというところも非常に個別で、既に想定されると思うんですね。

 今、特に要介護ではなくても、多くの高齢者の方々が、電子での診察カード、再診の受診だとかあるいは支払いとかそういったものもほとんど、病院で誰か介助がいないと、皆さん、どこに入れたらいいかわからないというような状況で、右往左往されているのが今の実態だと思います。

 そういう中で、そこら辺の人にマイナンバーカードを渡していいんですかという話なんですよ。そういうことも想定されるわけですから、誰にも渡さないでねと言っているマイナンバーカードを受診のたびに持っていくような誤解を招くようなことになりますから、非常にその辺は懸念をしています。

 病院だって疑われますし、あと、機械がやることですから、完璧なシステムをつくっていますといっても、何かのときには漏えいされてしまっているというのはもう既にあらゆるところで起きているわけですから、リスク管理といったものは双方向でやっていかなければいけないのではないかということを指摘して終わろうと思ったんですが、手を挙げられたので、何かコメントがあるようでしたらば、どうぞ。

樽見政府参考人 失礼しました。さっき質問の意図の中で、半分しかお答えしていなかったということがわかりましたので。

 例えば高齢者、成年後見を受けておられるような方、あるいは障害者で、御本人でそういう受渡しというのがなかなか難しいような方がいらっしゃると思います。今でも、医療機関あるいは薬局の窓口でそういう方は御苦労されているところがあるんだろうと思いますが、まさに、マイナンバーカードというものを使うところでそういう御苦労あるいは心配がふえるということがないように、施行までの間に、現行の運用などを踏まえまして、医療現場の意見をよく伺いながら対応策を整理したいというふうに思います。

池田(真)委員 ぜひよろしくお願いします。成年後見を利用している人はまだいいんですよ。そうじゃない人がいっぱいいますからということをお願いしておきたい。

 あともう一点ですけれども、マイナンバーカードはいずれその先一〇〇%を目指している、今回の改正を機にということではないということでよろしいですよね。その確認をさせてください。

樽見政府参考人 マイナンバーカードが保険証になるというふうになりますと、いわば患者さんにとっても、保険証というものを一々持っていかずにマイナンバーカードを、まあ、どっちが簡単かという御議論はあると思いますが、マイナンバーカードを持っていけばよい。それから、例えば長期入院しておられて、高額療養費の限度額証明書を、今は保険者に請求して、もらわないといけないんですが、そういったものを一々とる必要がなくなるといったようなメリットがございます。

 それから、医療機関にとっては、今まで、違う保険証を持ってこられて、例えば会社が変わって、前の保険証を持ってこられて、請求したら実はもうその人はやめていますということで請求し直す、そういう事務がなくなりますので、そういうメリットがございます。

 それから、保険者にとっては、保険証というものを印刷して配っている、あるいは数年に一度更新している、そういう事務が間なくなるというメリットがあります。

 そういうところのメリットというのは大きいと思いますけれども、今、マイナンバーカードの普及状態なんかを見ながら、保険証でもこれは当然かかれるという形でやっていくということで、まずはそういうメリットを念頭に置きながら、このオンライン資格確認のシステムというものをできるだけ多くの医療機関に普及していく、そういう取組をしたいというふうに思っているところです。

池田(真)委員 そういう何かメリットばかり言われると困るというのでお願いをしたかったんです。これをやらなければいけないということではないということを、誤解を招かないように周知していただきたいんです、利用者の方々へ。今言っていたような、マイナンバーに対する持ち出しについてのケアの問題だとか情報漏えいの問題とか、個々に応じたようなケースというのは全く今検討されていないし、はっきりしていない状況の中で懸念を払拭できませんから、こういう状況の中でメリットだけを広報するような御案内をしないでいただきたいというお願いをしようと思ったところでございました。ぜひその辺は御配慮いただきたいと思います。

 そうしましたら、次の質問をさせていただきます。

 被扶養者要件の見直しについてですけれども、不適正事例について。この間、レクも、もう三回も四回もお越しいただいていろいろお話を伺いましたが、これは平成二十七年から二十八年の一年間分のレセ調査の部分なんですけれども、千五百九十七件のうちどういうものを対象にというような結果も伺いましたが、説明の際に怪しいという言葉を何度も使われたりということに、やはりそもそも疑いの目を持ってこの調査をしているということをまずは遺憾に思っていますというのを皆さんにちょっとお伝えしておきたいというふうに思います。

 この中ですが、もう一度確認させていただきますが、その次の、二件ですね。平成三十年の一月からの分なんですけれども、厚労省の方で把握しているのは五月までということでありますが、二件報告があったということでありますけれども、これの取扱いについて最終的にどうなったかということを伺いたいのですが、取消しをしたのかしていないのか、教えてください。

樽見政府参考人 市町村から地方入管局へ通知できる制度の試行ということで、三十年の一月から五月までの間に通知をした件数が二件ということでございます。

 これについて、いずれも地方入管局における在留資格の取消しということについては行われなかったというふうに市町村から報告を受けております。

池田(真)委員 だから、怪しくなかったということですよね。それはぜひ認めていただきたいなというふうに思います。

 それと、あともう一点、要するにここの表記なんですけれども、今回の法案の説明の中にもやはり「不正な在留資格により、」というような言葉が書いてありますけれども、こちらについても根拠がないわけでございますので、非常に差別的な、誤解を生むような、疑いを持った表記になっていることはまず指摘しておきたいと思います。

 次の質問、関連にはなります。成り済ましの実態を教えていただきたいと思います。過去の件数ということで、事前に御質問させていただいております。

樽見政府参考人 成り済ましが行われた件数といったようなことでデータを持っておるかということになりますと、私どもとしては把握をしておりません。

池田(真)委員 そうなんですよ。成り済ましの理由も、成り済ましのその後の対処の方法も、そこが重要かなと思っていたら、その前段に、実績もないのに、把握もしていないのに、成り済まし対策ということで、いかにも成り済ましが多い実績があったかのような今回の法案の最初の提出といいますか、理由になっていることというのは非常に問題だというふうに思います。

 しかも、日本人と外国人それぞれの内訳というのも本当は知りたかったんです。でも、その前段階でわからないということでありましたから、こちらについても非常に指摘をしたいと思います。

 それと、あと、グローバル化に伴ってふえるだろうというような話をおっしゃっておりましたけれども、厚生省の保険局が提出をしている、海外療養費に関する自治体の取組状況についての問題ですね、こちらも、出産一時金についても外国人の割合は多いとは言えないというふうに書いてありますし、あと、海外療養費の支給状況も、外国人被保険者に対する海外療養費の支給件数、支給額は年々減少傾向にあると。

 外国人は減少しているんですよ。そして、多いとは言っていないんですよ。何を根拠に、外国人だけこういう調査をしたりとか、あるいは対策をしようとしているのでしょうか。

樽見政府参考人 先ほど尾辻先生の御質問のときにもお答えをしたと記憶をしていますけれども、グローバル化が進んでいるといったようなことがある中で、例えば、在留資格の本来活動を行わないで専ら医療を受けている不適正な事例があるといったような指摘もある、それから、これも繰り返しになって恐縮でございますけれども、医療保険制度は被保険者の支えで成り立っている制度でありますので、適正かつ厳格な資格管理というものが必要であるといったような観点から、こうした資格確認に関する調査でありますとか対策でありますとか、そういうことを行いたいというふうに考えているところでございます。

池田(真)委員 これは、外国人だけではなくて、日本人も同じ確認をしていくということでよろしいですか。

樽見政府参考人 考え方としては同じでございます。

池田(真)委員 それでありましたら、先ほど言った海外療養費の外国人、それとあと外国人の出産一時金、こちらは統計が出ているわけですよね。そこは減少傾向だったり、あるいは外国人の比に対して多いとは言えないというふうに出ているので、むしろグローバル化に伴ってふえているのは日本人なんじゃないですか。

 海外に在住する日本人の場合ですとか、あるいは、日本に住居を残したまま海外に居住をしている、居住実態が、ほぼ海外にいらっしゃる、それで海外療養費が出れば向こうから請求がある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、長年慢性疾患であるから、一年に一回は日本で受診しよう、薬をもらってこようという方もいらっしゃるかもしれない。

 そういうような統計もとっていらっしゃらないということでありましたから、いろいろなパターンを私もお聞きしたんですけれども、高齢の方がふえていて、しかも年金で海外で暮らしている方はふえているわけですよ、でも、その実態はどうなっているかということを把握されていないということでありましたので、そういうこともあわせてちゃんと調査をすべきだと私は思います。

 そして、次の質問にさせていただきますけれども、関連しますが、国内の居住要件の確認です。こちらですけれども、部会で説明をいただいたりとか、あとお部屋の方で説明をいただいたりする中で、ちょっと二転三転、はっきりしないところがありましたので、改めてここで確認をさせていただきたいと思います。

 まずは住民票で確認をしたいということ、後は、具体的にはどうやって居住実態を確認するのかということで、水道代の使用状況とかというふうに例を挙げられました。訪問調査とかもあわせてするのかどうか、どういうことまでを考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

樽見政府参考人 今の御質問は、健康保険の今度は被扶養者の国内居住要件というものを入れるということにこの法律案はなっております、その国内居住要件ということを確認するときに何によって確認するのかという御質問であるというふうに理解をいたしますけれども、全ての被扶養者の居住実態を保険者が全て確認するというのはなかなか現実的ではないものですから、住民票ということで確認するということを考えているわけでございます。

 住所と居住実態が異なって、住民票は国内にあるけれども実際には海外で生活している被扶養者ということになりますと、実際、その被扶養者の方が海外で医療機関にかかって、それを海外療養費で保険で払ってくださいというふうに申請が来るという形になるものですから、その審査の段階で被扶養者の認定要件についても改めて確認を行うということになるわけでございます。

 ですので、具体的には、住民票を持っておられる被扶養者の方であっても、海外療養費の請求が来るということになりますと、その審査の過程において、例えば海外への渡航理由、渡航の際のビザで、それが就労であるというふうになっているかどうかとか、あるいは、実態を聞きまして、明らかに日本に生活の基礎がないというようなことで、ほかの被扶養者との公平性の観点から健康保険の適用になじまないということが判明した場合などには、国内居住要件を満たさないものとするということを検討しています。

 水道の使用状況というようなことについて。これは、自治体なんかですと水道使用状況というようなことはわかるかもしれませんけれども、健保組合等の健康保険の保険者が被扶養者について確認をするというところで水道の使用状況とかあるいは訪問調査というようなことをやるのは、現実問題としてなかなか難しい面が多いかなというふうに考えています。

池田(真)委員 大した確認ができないということだと思います。

 一方では、特定の人にだけ疑いをかけてこういう確認をしていくような可能性が非常に高いと思いますので、まず、実態把握で、不正な在留資格によって国保に加入している人が何件あって、こういうふうにふえたからこういう対策が必要なんだと根拠を持って、こういう対策をするのであればすべきだというふうに思います。それをまず申し上げて、次の質問を確認させていただきます。

 被保険者番号の確認、この間の話をしているときに、ちょっと今度は改正の話ではなくて一般論、原則論のお話になりますが、救急搬送のときですね。救急搬送あるいは救急受診で、倒れていました、しゃべれません、身元もわかりません、何も持っていませんといったときにはどうなるか、対応を教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 御質問の趣旨は、まさに救急搬送時において医療機関がそれを受け入れるかどうかという問題意識に基づいての御質問というふうに受けとめさせていただきました。

 医師法におきましては、医師の診療に応ずる義務を第十九条に規定してございます。その上で、その規定に基づく、「正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」という規定でございますので、当該義務の有無を判断するに当たりましては、正当な事由の有無を個々の事例に即して具体的に検討することが必要であるということがまず大事だと思います。

 その上で、緊急搬送時の対応において正当な事由の有無を判断するに当たりましては、患者を受入れ可能な状況か否か、あるいは他の医療機関における受入れ体制など個々の事情を総合的に勘案する必要があると考えておりまして、一概には申し上げにくいというふうに思います。

池田(真)委員 国籍でも、あるいは保険の確認をしなくても受診はできるということでいいですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医師法の第十九条から導かれるものといたしましては、先ほど申し上げたように、個々の事例に即して具体的に正当な事由の有無を検討することが必要でございますが、一般的には、単に保険資格を確認できないことなど、今御指摘いただいたことのみをもってして、それを理由に診療を拒むことはできません。

池田(真)委員 あと、対応というふうに聞いたので、どういう対応をしますかということだったので、それが確認できないときはこういう対応をします、あるいはこういう対応をしますというようなことをお答えいただきたかったというふうに思います。

 続けてなんですが、同様、似たような話になるかと思いますので、そこでお答えいただければと思いますけれども、無保険だった方がいらっしゃった場合の対応はいかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 医師法の十九条につきましては、先ほど来申し上げているような解釈あるいは構造になってございますので、一般的には、単に保険資格を確認できない、今おっしゃったように無保険であることをもってして診療を拒むということはできないと思います。

池田(真)委員 そうしましたら、じゃ、外国人の場合はいかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医師法第十九条の導かれるところといたしまして、患者さんの国籍要件によって診療を拒む、それのみを理由として、正当な事由として診療を拒むということは考えておりません。

池田(真)委員 そうしましたら、今、保険を持っていなかったりとかしても、病院で必ず受けられるというふうに捉えてよろしいですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 医師法十九条は、その理由において、「正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と規定されているところでございます。

池田(真)委員 医師法はわかるんです、応招義務で。でも、結局は、それを受けられずに訴訟も起きている、判例もたくさんあるわけですから、そのときのその病院の状態は、何で拒んだのかというところをきちんと状況把握していただきたいというふうに思った次第であります。

 外国人でいえば、今、社保の方ですが、滞納状況を確認すると言っていますけれども、日本人でも、滞納でいうと、一千八百万世帯状態の中で一五%が滞納している国保ですけれども、その中でも、短期の被保険者証の交付も四・四%していますし、被保険者の資格証明書で対応しているという、ちょっとわずかですけれども、一%でぎりぎり。でも、ここに結びついていない無保険の方々も、今若い方でもいらっしゃるわけですから、そういう方たちが被保険者証の確認にとらわれ過ぎて医療を受けられないということを私は懸念しておりますので、ちょっと質問させていただいた次第です。応招義務で受けられるということでありましたから、期待をしたいと思います。

 ただ、この間にですが、身寄りがいない高齢者、高齢者に特化して今検討チームをつくられているということで、四日ぐらい前に報道されたかと思いますけれども、身元保証人がいなくても入院できるような制度改正、制度整備をすべきだというガイドラインを来月にもまとめるということでありましたから、より多様な例を入れていただいて、誰もが安心して医療を受けられる国であるというように、ガイドラインにも盛り込んでいただきたいというふうに思います。

 一点確認をさせていただきたいと思いますが、こういう中で、きょう資料をつけました。東京都のはつけていないんですけれども、その下の要綱です。特別区それぞれまた場所で違いますけれども、法律自体は、行旅病人等死亡人取扱ということで、これは明治の三十二年にできた法律でありますが、なかなかその後、改正といっても、負担割合の変更が二、三度されたぐらいで、中身のところについてはまだ議論がなされていなかったというふうに思います。

 この中を見ると、例えば板橋区の例であると、人道的な立場からということで外国人を救護するというようなこと、そして、新宿でありますと、当初から、六十二年でももう多くの外国人がいらっしゃっていたというふうに思いますので、第三条のあたりでいうと、板橋区とはまた若干違った文言が入っていて、救護を行った場合には引取りの協力を求めていこうと。地域によって特色が出ている要綱になっているかと思います。

 これもぽつぽつと私がいた時代には使われていたなと思っていたんですが、ちょっと確認をしたところ、過去五年、実績がゼロということを聞いて驚いております。これは使わないようにしているとか、そういう何か働きかけがあるんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づきます行旅病人に対する医療の提供でございますけれども、これにつきましては、特にこれを使っちゃいけないとかそういったことを通知したことはございません。

 議員おっしゃいましたように、我々も、行旅病人がどれほど医療にかかっているかという統計は持っておりませんけれども、議員から昨日御指摘がございましたので東京都に照会しましたところ、平成二十七年度から平成三十年度の間では零件であったというふうに聞いているところでございます。

池田(真)委員 これを勧めましょうということではないんですが、こういう制度があるということ自体、自治体職員が残念ながら知らないという場合もありますので、異動、異動だけで、適正に利用されることを。適正に利用するというのは、取締りの方ばかり一生懸命やっていますけれども、保険とか医療を受けられるように、適正に受給できるように、利用者側の立場となって適正化も進めるべきだと思います。わざわざちゃんと外国人用ということも書いてあります、まあ時代背景はかなり違いますけれども。であれば、今回の、これからの時代にどういう制度が必要なのかということにつながるのではないかと思います。

 外国人の医療費の未回収ですけれども、昨年の十月で、一カ月間であるけれども平均四十二万円も未回収であったというような新聞報道もかなり多くあります。こういうところで何とかしようという手だてをしていると思いますので、総合的に法律制度をきちんと見直していただいて、人道差別がないように、そして、受診ができなかった、手おくれだったということで、医療が受けられなくて命を落としてしまう、あるいは悪化してしまうということがないように、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 最後に、大臣に質問させていただきたいです。

 グローバル化といっても、日本も、日本人ということが多いと思いますけれども、でも、外国人に特化して見直しが行われているように思いますが、特に今回、この法律ではないんですけれども、入管法の改正で家族帯同を認めないよということが意思としてははっきり示されたとか、あるいは日常の中で、通常の中で外国人がふえるという中で、海外に住む被扶養者を、特に子供を被扶養者から外すということについて、厚労大臣として何かお考えというか、所感で結構ですので、ありませんでしょうか。コメントをお願いしたいと思います。

根本国務大臣 今回の法案においては、国内の保険医療機関を受診した場合の保険給付が原則だという健康保険制度の基本的な考え方に立ち返り、海外の医療機関を受診した場合の給付は例外であることを徹底する観点、適正な認定事務を確保する観点から、諸外国との制度比較を行った上で、被扶養者について原則として国内居住要件を設けることとしました。

 被保険者との扶養関係のみに着目して、特定技能一号の帯同できない家族などの海外居住者について、引き続き健康保険でカバーするということも一つの考え方としてはあり得ると思いますが、しかしながら、海外で居住する者はその国の公的社会保障を受けることが原則と考えられる中で、日本で生活する蓋然性が低い海外居住者まで被扶養者とすることについては、健康保険が労使の保険料によって運営されている支え合いの仕組みであるということを踏まえれば、保険料を負担する方のコンセンサスを得られるかどうかという観点からは適当ではないと考えております。

池田(真)委員 何か余り感情がなくて、ちょっと残念でありましたけれども。

 ただ、大変懸念されることというのは、身寄りがいない人とか、マイナンバーをどうするんだ、入院するときの受診手続をどうするんだという個々の対応策について、かなり不十分だと思います。当事者に対してではなくて、医療機関も疑いを持たれますから、情報漏えいも含めて。こういった点もあわせて検討しなければいけないというふうに思います。そこは、やはり厚労省としてきちんと対策をとった上でないと、法案審議もなかなか難しいのではないかというふうに思います。

 あともう一点は、どうしても差別的な発言も多かったり、今回、法案の根拠というところで、根拠がないのに根拠になっているんですよ、課題という形で。成り済ましだとか外国人の不正がふえている、こういった表記については大変不適正だと思いますので、削除するなり変更するなりすべきだということを申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 本日は、医療保険制度についての適正かつ効率的な運営を図るための諸改正ということで御質問をいたしますが、先ほど来何人かの方の御指摘のように、今回の改正はいろいろなものが雑多に紛れ込んでいて、その一つ一つ、問題、課題が多かろうと思います。

 そこで、私は、本日、初回でありますので、根本大臣には、医療保険制度の根幹となる生存権ということについてお話を伺いたいと思います。

 まず、具体的に起きた事案ですが、公立の福生病院で、昨年八月、透析治療をやめる選択肢を外科医が四十四歳の女性患者に提示し、それにのっとって、女性患者とその御家族、夫が、透析をしないというふうに署名をしたわけでありますが、その後、この女性は、苦しくなって、透析を再開してくれというふうにおっしゃりながら、再開されずに亡くなっていったという事案であります。

 やめた方の病院側の主張は、透析は終末期であるということを外科医がおっしゃるわけです。

 これは当然、例えば厚生労働省の地域医療計画課のお話等々、一連の行為は国のガイドラインからも外れて、透析は現在の日本の中で日常的に行われていますから、現在の医療水準や一般社会の認識からも外れている、あるいは、吉田医政局長は、「透析医療を行っておられることをもって直ちに人生の最終段階ということではない」というふうに国光議員の質疑にも答えておられます。

 大臣にお伺いいたしますが、透析は終末医療でしょうか、端的にお答えください。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

根本国務大臣 透析医療をしていることをもって終末期とは言えないと思います。

阿部委員 こんな当たり前過ぎるほど当たり前なことを確認しなければならないほど、今、医療の基本が揺らいでいるんだと私は思います。

 大臣のお手元に一枚目の資料がございますが、これは慢性透析患者さんの年齢分布を示してございます。この亡くなられた四十歳代の女性は、現在三十三万五千人おられる患者さんの中の約二%、四十歳の前半女性ということで、同じような女性は、二%ですから、七千人余りおられるわけであります。

 こうした女性は、この女性の知り得る限りの情報では、うつになり、自殺を試みられたこともある等々、非常に苦しい、あるいは、これから長い先、透析を考えると、ともすれば絶望とか失望の方に気持ちが傾くと思います。

 二問目の質問ですが、つけてございます二枚目の資料をあけていただきますと、ここには、日本透析医会並びに全国腎臓病協議会そして統計研究会の調査で、果たして、透析を受けていらっしゃる年齢の方、各年代別にどんな問題を抱えておるだろうということで示されております。

 とりわけここで注目していただきたいのは、四十歳未満の方が、経済的に見ても暮らしが非常に苦しい、やや苦しいも合わせると四割にも及ぶ方がそうした不安を抱えておられるという実態であります。

 このたび、日本透析医学会は、これまで透析中止のガイドラインを定めてきましたが、当然、この福生病院の事案のように、若い世代で、本来終末期ではありませんが絶望されて中止の希望を出されたとき、どう対処するかということで、ガイドラインもつくり直さなければならないやにおまとめですが、そもそも透析医学会がガイドラインをつくっても四分の三しか従っていなかったりする中で、こうした事案が起きております。

 大臣は、この実態、すなわち医療には社会的要因というものが非常に大きく影響している、先ほどの在日外国人のこともそうでありますが、これを見られたときに、今必要なこの透析について、私たちが生存権の保障という意味で考えておくべきことは何であるのかについてお答えをお願いします。

根本国務大臣 透析をされている方は、私もさまざま知っております。

 一般的には、透析などについては、やはりそのような治療を受けている方に対する医療のあり方について、国民一人一人の生命観や倫理観に深くかかわる事柄であって、幅広い観点から議論されるべきものだと思います。

 今、阿部委員の、社会的にどういうことが必要かということについて、多少ストレートな答弁になっていないかもしれませんが、やはりそこは、治療を受けている方に対する医療のあり方について幅広い観点から議論される必要があるのではないかと思います。

阿部委員 私は、この福生病院の事案は、もちろん、厚生労働省の定めておられるいろいろな疾病のガイドライン、特に終末期のガイドラインにも反しますし、終末期ではありませんし、加えて、医師だけが治療の判断、中止の判断をされて、それを一方的に患者さんにお話をされる。

 そして、私がここで指摘したいのは、三十代、四十代であれば、もちろん透析の費用は医療保険でカバーされますが、しかし、そのほかにも生活苦というものに直面をしていて、本来この患者さんに必要なケアとは、どういう状態でもうやめようと思っていらっしゃるのかよくお話を聞いて支える仕組みが必要だったと思うんです。いわゆるソーシャルワーカーさんなどの活動も、もっともっとこうした若い世代には必要となります、もちろん御高齢期にも必要となりますが。ところが、この病院での対応は、もちろん倫理委員会にもかけなかった、そして多職種の中でこの患者さんを支える仕組みも考えなかった結果、本当に社会的要因のところが抜けてしまったのではないかなと強く思うものです。

 ちなみに、四十歳代の透析の方は、当然ながらお体が悪いので、非正規雇用率が三十数%に上ると言われていて、それはそれでやはり不安なことだと思います。

 ぜひ、今後、透析患者さんの実態を厚生労働省として把握する場合には、そうした社会的背景も含めて実態調査をしていただきたいですが、いかがでしょう。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの事案につきましては、現在、日本透析医学会の方で調査をしているというところでございますので、まずその調査結果も見ながら、我々としても実態把握については検討してまいりたいと考えてございます。

阿部委員 もちろん、都の立入調査もありましたし、透析医学会も調査されます。それは、余りに異様な中止だからであります。

 ただ、やはりその背景には抱える困難ということがあろうかと思って、厚生労働省が国民の生存権を守る、生存権というのは社会権なんです、そうした観点からぜひ分析をしていただきたいということでお伺いをして、根本大臣には御理解と思いますので、次に進めさせていただきます。

 同時に、先ほどちょっと御紹介しましたが、人生の最終段階における医療、ケアというもののガイドラインを厚生労働省は昨年三月に改定しておられます、お手元の資料三ページ目につけてございますが。

 このガイドラインでは、特に、アドバンスト・ケア・プランニング、ACPといいますが、もしものときに備えて自分の医療に関する希望について考え、話し合い、文書を残しておこうという手順も盛り込まれておりまして、これについて診療報酬も加算をされております。そして、その一方で、ここで繰り返し述べられているのは、本人が気持ちが変わることもあるし、必要に応じて、いろいろな話を周りの医療者もその方にしながら意思を確認していくという作業も、このガイドラインでは強く強調されております。

 しかしながら、私がちょっとだけ気になるのは、二〇〇七年の旧ガイドラインとこの新ガイドラインを含めますと、お手元の資料で赤線を引いてございますが、特に本人の意思が確認できない場合の意思決定についてのところで、これまで、家族等ではなく、家族が本人の意思をとなっておりました。あるいは、本人にとって最善の治療方針をとることを基本とするというのが二〇〇七年のガイドラインでした。ところが、ここには、最善の方針をとることとなっております。

 なぜ治療という言葉が抜けたのか、また、家族等という場合、等というのはとても範囲が広うございますから、この二点は何か意味のある改正なのかどうか。これは、じゃ、お願いします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきました人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン、これは、平成二十七年にそれまでの名称を変えてつくっておりましたものを、今般、有識者の方々の御意見を踏まえて見直させていただいたものでございますが、まず、その見直しに当たっての視点として、ケア、この間における高齢多死社会の進行に伴う地域包括ケアの構築ということが望まれている中で、医療及びケアに関して支援を入れるべきではないかということから、まず全体としての名称を医療及びケアという形に入れさせていただいております。

 そういう意味から、ガイドラインの記載について二点御質問いただきました、特に最善の方針というところに治療という言葉が抜けましたのは、介護施設あるいは在宅の現場も想定した上でこういうガイドラインの表記にさせていただいたものでありまして、考え方そのものは変わるものではございません。

 また、もう一点、家族について、家族等という形に変更した部分についてもお尋ねがございました。これにつきましても、今後、単身世帯がふえるということなど社会状態の変化も想定いたしまして、現場においては、本人が信頼を寄せて、人生の最終段階の本人を支える存在にきちっとここにコミットしていただくという趣旨からこれまでも設けておりましたので、法的な意味での親族関係のみを意味せずに、より広い範囲の方々、あるいは複数人存在するということも想定して家族等という表現に有識者の意見を聞いて直させていただいた、経緯はそういうことでございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 ちょっと、わかったような、わからないようなことだと思うんです。

 なぜならば、施設におられても、その方については治療方針なのです。そうであれば、治療、ケア方針となさればよろしいのであって、ここで医療とか治療とかを落とすことによって、これは余分な臆測を呼んでしまいます、すなわち治療中止の方針ではないかというふうに。

 それから、家族等で幅広くとると申しましても、ここは逆に、先ほど申しました医療現場で多職種の人がいろいろ、おのおののつかさつかさで、その方にとってよりよいことを話すということが現実なんだと思います。家族等といって、遠いところの家族、知り合い、親戚に聞いても、なかなかこれは現実的ではありません。

 精神は変わることがないという御答弁でしたので、それを信じて、私は、むしろ、現場のコメディカルも含めた体制、先ほど申し上げましたソーシャルワーカーさん等の活用。大体、医師が決めて、看護師さんがそれをそばで聞いてというところで今、医療界は終わっております。でも、これからは恐らくそうではない。心理士さんも入り、そしてソーシャルワーカーさんも入り、自分の意思を伝えられない、あるいはいろいろな思いがある方の思いを酌めるような医療体制でなければいけない。

 大臣、それには当然、ある意味で費用がかかります。そうしたことを充実するには人件費もかかってまいります。しかし、それをもって本当に御本人のよい見送りだったりケアができるんだと思いますので、この点はぜひ念頭に押さえていただきたいと思います。

 そうしたことと真っ逆さではないかと思う事案がありますので、また御紹介いたしますが、大臣のお手元に、開いて四ページ目、京都市が配っておられる終末期医療に関する事前指示書というものがあります。これは京都市の市役所の棚に置いてございまして、この事前指示書がチェックシートのように置かれております。

 ここには、「終末期とは、「生命維持処置を行わなければ比較的短期間で死に至るであろう、不治で回復不能の状態」のことです。」とアナウンスした上で、下に、心マッサージしますか、延命治療しますか、抗生物質をどうこうしますかと。私は、こういうものがぺらっと置かれて、患者さんがというか市民がここから何をイメージするかということで、大変問題だと思います。

 例えば、根本大臣、お伺いいたしますが、嚥下性肺炎というのがありますよね、飲み込みが悪くなって肺炎になる。果たして、今の私どもの国の医療体制で、嚥下性肺炎と診断されて、どのくらいの人が回復され、あるいは、それゆえに呼吸器がついてどのくらいの人が回復されると、イメージで結構です、思っておられますでしょうか。

根本国務大臣 急なお尋ねで、私も感想を述べるのはどうかと思いますけれども、やはり私も、私の支持者が高齢になりますと、嚥下性肺炎、肺炎で亡くなる方は大変多いと思っております。これは私のつながりの中でいろいろお話を聞くという点でいえば、高齢者の皆さんが嚥下で肺炎になるとなかなか、治療をしても、治る方もいるんだろうと思いますが、肺炎になると非常に大変だなと考えております。

阿部委員 別に大臣に意地悪をしたわけではなくて、でも、今大臣がおっしゃったようなのが一般的国民の受けとめなんだと思うんですね。

 でも、DPCといって、厚生労働省が一定の水準の治療を行っているという認定を与えた病院、三百二十六床と四百五十床、合わせて八百床近くをやっておられる石心会というところのデータで御紹介しますと、肺炎の患者さんも嚥下性肺炎の患者さんも九五%以上は御高齢者なのですが、そのうち約八〇%は回復をされる。これは、一般に言われている、嚥下性肺炎だから死んじゃう、もうだめなんだというのと随分違うんですね。

 もう一つ言わせていただくと、嚥下性肺炎に限っても、先ほどの施設から入院した患者さんの死亡率が特に高いわけでもない、再発率も高いわけでもない。なぜそうなるかというと、喉頭の嚥下ケアとかいろいろな治療がちゃんとできれば再発率も高くない。それから、施設から来られたからといって、亡くなってしまうわけでもないんです。

 二〇一五年にこの病院で嚥下性肺炎において人工呼吸器を装着した、このチェックシートにある、もうだめだと言われて、人工呼吸器をどうするかということで、延命治療は要りませんとか大体誘導されがちなんですけれども、ここで人工呼吸器を装着した方が二十八人、二〇一五年、嚥下性肺炎でおられて、亡くなった方が十人、お元気になって帰られた方が十八人。すなわち、このチェックシートでもういいわとチェックしちゃって、そのまま何のケアとか話合いもなければ、三分の二の救える命、生きられる命を、ここで私たちは、患者さんの意思だということで、亡くしてしまうことになります。

 本当に私は、安易にこういうチェックシートがただ単に出回って、そして、皆さんは誤解されていると思います。胃瘻についても同じようなデータはありますけれども、今、時間の関係で、一番皆さんが考える人工呼吸器について御紹介をさせていただきました。

 これは日本の医療の現状で、ただただ延命しているわけでもなく、その方のベストな、生存を含めて、ケアしている実態で、私は日本の医療をその意味で誇っていいと思っておるものでありますから、くれぐれもこういうチェックシートだけで事を運ぶというような終末期のあり方はやめていただきたいし、必ずその場面場面で、こういうことをすればこうよくなります、そういう前向きなデータも含めて、あるいは、経済的な困難はこういうサポートがありますということも含めてやれる医療現場にしていただきたいですが、大臣、いかがでしょう。

根本国務大臣 今の委員のお話を聞いていて、やはり今まで、ACPの概念を踏まえて、人生の最終段階の医療、ケアについて、昨年、先ほど委員からもお話がありましたが、人生の最終段階の医療の決定プロセスに関するガイドラインを改定しました。

 そして、やはり大事なのは、医師などの医療従事者から患者、家族に適切な情報の提供と説明がなされた上で、本人による意思決定を基本として行われることが重要、これは明記をいたしました。また、まさに本人の意思は変化し得るものであり、医療、ケアの方針についての話合いは繰り返すことが重要であるということも明記させていただきました。

 ACPについては、やはり、本人が家族などや医療、ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス、これが非常に大切だと思っております。

阿部委員 福生病院の事案も、透析はしても無駄ですよ、どうせ死ぬんだからと。あるいは、呼吸器も、つけてもやがて死にます。それは、人間はみんな、やがて死ぬんです。だけれども、医療を求めて来られて、そこで、まず私は、医師からの情報にも最近すごく偏りがありますので、それをある種本当の、患者さんに寄り添った情報にしていくために、コメディカルの活用を重ねてお願いしたいと思います。

 もう一点、お伺いいたします。

 今回の法改正で、御高齢者の保健事業ということに力を入れようと。これは悪くはないのですが、どうやって力を入れるかという、入れ方の問題もあろうかと思います。

 一般介護予防事業というところに保健師さん等の人材の配置ということが言われておりますが、そもそも二〇〇六年に始まった地域支援事業創設の中で始まった介護予防事業は、二〇一四年の見直しで、一般介護予防の方によりウエートが移されたと思います。どういうことを言っているかというと、要支援の一とか二の患者さんのリハビリ、通所あるいは在宅でのさまざまなサポートは正直言って減らされております。

 私は、今回、一般介護予防に保健師さんを入れる云々以前に、まず、この間のいわゆる介護予防事業の総括をしていただきたい。特に、要支援一、二の方がどうなっていったか。ここはいかがでしょう。

大島政府参考人 平成二十六年の介護保険法改正によりまして、要支援一、二の方の予防給付、特に訪問介護と通所介護につきましては、地域支援事業、介護予防・日常生活支援総合事業と呼んでおりますが、そちらの方に移行いたしました。それから、それに加えまして、通いの場の取組を中心とした一般介護予防というのも創設しまして、全市町村で取組が始まっております。

 予防給付から総合事業へ移行しました通所と訪問につきまして、平成二十九年に実施した調査で見ますと、事業数で、訪問の場合はほぼ横ばい、三万四千八十六カ所が三万四千二百九十六カ所、通所では増加、三万九千百十八カ所が四万三千三百四十一カ所となっています。

 サービス利用に問題が生じているとは認識しておりませんが、引き続き調査をして実態を把握してまいりたいと考えております。

阿部委員 正直言って、横ばいであれば、やはり問題があるんだと思います。だって、御高齢者の数はふえるんですもの。

 そして、もともと、要支援の一、二とかが要介護にならないためにとやっていたんですよ。ところが、そこは問題ないと思いますと総括されますが、御高齢者の数がふえたら、当然、ふえて、予防して、要介護にならないようにしなきゃいけないと始まったものじゃないですか。私は、そういう安易なことを言わないでほしいと思います。横ばいだって、御高齢者がふえていなきゃいいですよ。もっときちんとした総括をしていただかなければ困ります。

 そして、大臣にお伺いいたしますが、今度、保健師さんはどこの配属になるんですか。この保健師さんは例えばデイの事業に配置するとかになった場合、今、地域包括ケアにも人手がありますね、あるいはこの方は市町村に配属されて、市町村で業務を担うんですか。この方の所属はどこになるんですか、保健師さんの雇主は。大臣にお願いします。

根本国務大臣 今回、一体事業ということで取組を行う保健師などの医療専門職の配置を各市町村で進めていただくようにしています。特別調整交付金なども活用して支援することとしています。

 今御質問の医療専門職、保健師さんなどの具体的な所属先については市町村の判断によるものでありますが、いずれにしても、保健事業と介護予防の関係部局、地域包括支援センター等の連携を強化していただいて、各地域の創意工夫を生かした保健指導などに取り組んでいただきたいと考えています。

阿部委員 人間がきちんと仕事をしていくためには、その所属と役割、身分というのが必要なんですね。昔、各市町村は保健師さんを大変活用されていて、保健婦さんは、アウトリーチ、各お宅を訪ねて、子供の健診から精神疾患の患者さんから、今は御高齢期の方もそうでしょう、でも、この間ずっと政府の中で縮小されてきたんだと思います。

 それゆえに、私は、市町村に保健婦さんをふやすというのはとてもいいことだと思いますので、一人というのはちょっと寂しいですけれども、きちんとした処遇をしていただきたい。処遇がないと、その方のおっしゃったことが本当はどこにどうつながっていくのかというのができない部分です。大臣には、今御答弁いただきましたので、私の問題意識を共有していただきたいと思います。

 そして、私がもう一点指摘をしたいのは、未来投資会議が三月二十日に開催されておりまして、ここでは「全世代型社会保障における疾病・介護の予防・健康インセンティブ」ということが掲げられておりますが、その一方で、これだけ見ますと、お手元の資料ですね、健康ということはとてもよいことですが、強調される余り、もちろん人間は生もの、生き物ですから御病気にもなられましょうし、介護も必要となるでしょうが、そうしたときに肩身がちょっと狭くなるような打ち出しなんだと思うんです。

 大臣にお伺いいたしますが、今、医療費が高騰していく、それも高齢者がふえるからと言われておりますが、このあたりの、大臣は、医療費がふえていく、増加要因が基本的には何であると思っておられましょうか。

根本国務大臣 いろいろ増加要因というのは指摘されておりますけれども、医療費の増加の要因は、高齢化あるいは医療の高度化、さまざまな要因が組み合わさっているというのが私の認識で、一概にはそこは言えないんだろうと思います。さまざまな要因が組み合わさって医療費が増加しているということだと考えています。

阿部委員 大臣にはぜひ国立社会保障・人口問題研究所の遠藤さんという所長がお述べになっていることをテークノートしていただきたいですが、この方が医療費の増加要因を分析されて、一応、医療費は長期的には経済成長に見合うようにコントロールされてきた、高齢者数と医療費との相関は小さい、二〇〇〇年代の医療費自然増は三%だが、二〇一二年度からは二%へ低下していると。私どもから見ればそれは削減策であると言いたいところもありますが、これは結果を分析したものです。

 あわせて、二〇〇〇年代の医療費増加の主な要因は、外来プラス調剤の増加である。そして、四点目、高齢者の増加は医療費増加要因ではあるが一定程度コントロール可能で、二〇〇八年度以降、高齢者一人当たりの医療費の増加率は、入院も外来も若人の増加率を下回っている。

 これはどういう意味かというと、高度化の方が当然ながら、あるいはオプジーボのような高価な薬品の方が今の増加要因にはきいてくるということであって、私がここで指摘したいのは、高齢者がふえたら医療費がふえるんだ的な論調が最近非常に目立ちますので、冷静に分析してもそうではないということを重ねて大臣にも指摘をさせていただきました。

 最後の質問に入りますが、これは尾辻さんや池田真紀さんがお取上げになった、在日外国人の健康保険制度における、扶養者の海外居住の方を外していくという問題であります。

 これは立法事実がない、例えば外国人がたくさんの医療費を使う、あるいは不正利用しているんだ等々は実態がない、何事も具体的には指摘されなかったと今の質疑の中で思います。

 じゃ、どうして外していくのということになると、先ほど来の質疑を聞いておりますと、健康保険制度の基本的な考え方、大臣はこれを、国内で医療を受けることが原則だとおっしゃいました。

 しかし、グローバル化した今日、日本人が海外で受ける医療への給付も当然ながらカバーされるようになりました。これは私は、さっきの未来何とか会議の全世代型社会保障プラス、グローバル化の社会保障というのがこれからの課題だと思うんです。

 大臣にそもそもお尋ねいたしますが、なぜ、日本の医療保険制度の中で扶養家族を、特に組合健保や協会けんぽといわれる勤労健保において扶養家族をその範疇に取り込んできたのか、この歴史を御存じでしょうか。大臣にお願いします。

根本国務大臣 私も、昨年大臣に就任してから、この被用者保険の被扶養者の問題、これは歴史をさかのぼって勉強させていただきました。

 やはり、昭和十四年に家族給付が支給されましたが、これは、要は兵隊さんにとって家族が健康であることが必要であるという考え方もあると思い、そういうところで被保険者が後顧の憂いなく勤務に励めるようというようなこと、それから、要は兵隊さんが国外に行ったときに、残された家族について、そこはきちんと扶養する、そういう歴史的な経緯の中で被扶養者が日本の場合は拡大されていったというのが一番の、その辺がスタートだと思っています。

阿部委員 大臣は全てに正直でいらっしゃいますから、そのとおりであって、健保法は大正十一年に制定されて、昭和二年施行時は本人のみでした、労働者の生活安定と。昭和十四年の改正で家族給付というものが導入されて、さらに昭和十七年、今おっしゃった配偶者、子、あるいは、このときは同一世帯要件も外されて、配偶者や子、同一世帯要件なしであります。そこまで広げて、すなわち、勤労者が当時は兵隊さんに行く、銃後の家族を守るという形でした。

 今のいわゆる特定技能にしても、外国から来られた方が、家族を祖国に残して来られている。このことは、連れてくることができない法制度にしてしまっています。特定技能の方の家族の帯同は認められません。

 でも、この方が本当に安定して働くために、御家族の健康への不安とかなく働いてもらいたいと思うならば、私は、ここは考えどきです。それから、もっと言えば、家族の帯同はもともと人権の一つですから、認められるべきです。そこは遮断しておいて、祖国で離れて住んでいるから適用しないというのは、一人の勤労者を、かつては、兵隊さん、働いてくれと思ってやってきたこと以下に置いているんだと思います。

 問題が多々あると思うこの扶養家族外しはぜひやめていただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。

 今回の改正案、もう既に多くの方がおっしゃっていますけれども、八本もの法律を束ねる、厚生労働省の最近の常套手段であります。安倍政権、政府全体の常套手段と言ってもいいかもしれません。

 本来であれば、少なくとももう少し小さいくくりにするとか、そういう工夫があってしかるべきだったと思いますし、また、今回、入管法の改正に伴って急遽つけ加えられた内容もございます。こういった拙速な審議ではなく、もっとしっかりと時間をかけて議論できるように、強くそこは要求をしたいと思っております。

 早速ですけれども、法案の中身について質問したいと思います。

 まず、支払基金法の改正について。

 今回、全国で四十七ある支払基金の審査委員会それから審査事務局の設置場所、これを都道府県に置くという必置規定が廃止されることになります。これに伴っていろいろ懸念されること、それから、もちろんそこから、いわゆるローカルルールというものがどういうふうになっているのか。ここは今、多分いろいろなところで情報の共有はなされていると思いますので、本当のローカルルール、皆さんが言うようなあしきローカルルールというものは私はなくなってきているんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういったものも、今後どういうふうになるのか、しっかりと見ていかなければいけないと思います。

 まず一つ目に伺いたいのが、今回の改正案の中で、医療機関等への診療報酬の適正な請求に資する支援というふうに記載をされることになっております。この内容について伺いたいと思います。

根本国務大臣 支払基金の審査は、レセプトが保険診療ルールに基づいて正しく請求されているか、これを確認し、適正でないと判断した場合には査定を行っております。

 このような審査は引き続き重要でありますが、これまで審査によって培われた知見を活用して、医療機関における適正なレセプトの提出に向けた支援を行うことも重要だと考えています。そういう観点から、このような考え方についてまず法律上の理念規定に位置づけました。

 そして、今回の改革では、レセプト事務点検業務について、ICTを最大限活用してその効率化に取り組むこととしています。その上で、審査委員や職員は、ICTでは対応できないより高度な医学判断を必要とする審査に加えて、この適正なレセプトの提出に向けた医療機関への支援を重点的に実施していくということとしております。

西村(智)委員 そういう改正の趣旨であれば、今後の審査委員会の設置場所がどういうふうになるのか、これはやはり極めて重要だというふうに思います。

 今までの経験を生かしてもらう、知見を生かしてもらうということからすると、審査委員会は今後、四十七都道府県に設置するということになりましょうか、大臣。

根本国務大臣 審査委員会は、引き続き各都道府県に設置することが必要だと考えています。

西村(智)委員 そこで、じゃ、どういう業務が出てくるのか。社保審の中では審査委員の補助業務を行うというふうに書かれておりますけれども、審査委員の単なる補助業務なのか、それとも支援業務といったようなものをやることになるのか。どういう業務量になるのか伺いたいと思うんです。

根本国務大臣 審査事務局の業務については、審査委員の補助業務に加えて、審査委員と連携しながら実施する医療機関に対する指導、啓発活動、これが中心になるものと考えておりますが、具体的な業務内容については、今後、支払基金において検討を進めることとしております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 そこで、今後は全国で十カ所程度、審査事務センターを設置するというふうになっておりますけれども、これはどういう考え方で、十カ所をどこに置くのか、どのくらいの規模のものを置くのか、この点について、今の時点でぜひ厚労省の考え方を伺いたいと思います。

根本国務大臣 審査に要する費用は国民の拠出する保険料で賄われております。国民負担の軽減の観点から業務効率化を進める必要がありますので、職員のレセプト事務点検業務の効率化にあわせて、その実施場所を全国十カ所程度の審査事務センターに順次集約して組織の合理化を図ることとしています。

 これは、現在、支払基金では全国六カ所のブロック単位でさまざまな業務運営が行われていることを基本としながら、職員の通勤が可能かどうかや職員の配転希望状況等を考慮したものでありますが、審査事務センターの具体的な設置箇所数や場所については、集約に伴うコストや建物の規模なども勘案して、今後、支払基金において検討がなされるものと承知をしております。

西村(智)委員 今後、支払基金の方で検討をということなんですけれども、非常に重要な我が国の健康保険、ここを審査するところでありますので、支払基金の動向をやはり厚生労働省としてもきちんと見守っていく必要があるというふうに思っています。

 先ほど吉田委員の質問にもありましたけれども、やはり懸念されるのは、全国十カ所の審査事務センター、ここのところに異動をしなければいけないということも出てくるかと思います。あるいは、スケールメリットが出るんだからということで、整理解雇などという話も出てきかねないと思っております。

 やはりそういったことはまずないようにということと、それから、地元で採用されている方も多いと聞いていますので、そういった方々のワーク・ライフ・バランス等にも配慮した設置そして運営になるように、支払基金の動向等を厚労省としても注視していくべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 一昨年の七月に支払基金業務効率化・高度化計画を策定いたしましたが、本計画に基づいて業務効率化を着実に進め、遅くとも二〇二四年度末段階で現行定員の二〇%程度、八百人程度の削減を計画的に進めることとしています。

 八百人分の業務削減については、職員の業務負担を減らすことを通じて対応していくということを考えています。具体的には、査定につながる可能性の高いレセプトを抽出するためにコンピューターチェックの精度を向上させること、判断が明らかなレセプトについて、請求受け付け時点で職員の目視確認の対象から除く機能をシステム導入すること等により対応していくということで対応したいと思います。

 一方、具体的な定員削減の方法については、定年退職者等の退職者と新規採用職員などの雇用を調整していくことにより対応可能と考えています。このため、整理解雇が必要となるとは考えておらず、支払基金においてもそのような考えであるものと承知しています。

 さらに、支払基金の職員の人事配置については、支払基金において職員の意向をしっかりと聞きながら丁寧に対応を進めていくよう、国としても指導していきたいと思います。

西村(智)委員 随分長かったです。後半部分の答弁だけいただければ十分でした。

 ぜひ厚労省としても注視していっていただきたいと要請をいたしたいと思います。

 それでは次に、健康保険法の方なんですけれども、やはり、先ほどもずっと質疑、答弁を伺っていまして、内外無差別原則が本当に貫かれるんだろうかということ、あるいは、言い方をかえれば、厚労省の中で本当に内外無差別原則を貫こうとしているのかということが大変疑わしいというふうに言わざるを得ないと思いながらきょうは聞かせていただいていました。

 法改正の部分から先に質問をさせていただきたいと思います。

 今回、健康保険法の改正で国内居住要件を導入する。これについては、私たちの手元に配られた資料ですと、社会保険方式でやっている各国、ドイツ、フランス、韓国ですね、中国もそうなんですけれども、そういった中で、ドイツ、フランス、韓国、ここが日本と比較対象になるだろうということで例示をいただいている資料なんです。

 ここで、国内居住要件はそれぞれあるし、そして他方、日本に生活の基礎があると認められる者については例外的に要件を満たすということにするから大丈夫ですというふうに説明をいただいているんです。

 では伺いますけれども、日本国内に住所を有しない者のうち、日本に生活の基礎があると認められる者というのは一体どういう人のことを指しますか。

根本国務大臣 現時点では、これまで日本で生活しており、渡航目的に照らして今後再び日本で生活する蓋然性が高いと認められる者、一時的な渡航である者であって、渡航目的が就労でない者とすることを考えています。

西村(智)委員 それで、例外となる者の詳細は省令で規定するということなんですけれども、今いただいている資料ですと、留学生や海外赴任に同行する家族など、先ほど言った、今後再び日本で生活する蓋然性の高い者等を例示する予定だというふうに書かれています。

 きのう私、厚生労働省に、このくらいは立法事実としてデータを持っているんだろうというふうに思って聞いたんですけれども、実はとっていなかった。それで、けさ間に合ったというので、改めて質問したいと思います。

 ちょっと大臣、時間がないので短くお答えいただきたいんですが、ドイツ、フランス、韓国、ここで、留学生それから海外赴任に同行する家族、こういった方々は国内居住要件の例外的取扱いになっているか、それぞれ簡単にお答えをいただきたいと思います。

根本国務大臣 ドイツ、フランス、韓国は、いずれの国も被扶養者に国内要件を課していますが、留学により海外に居住する場合は引き続き適用対象とする取扱いになっていると承知をしています。

 現時点で把握している範囲でお答えすると、ドイツでは、EU等に留学する場合、EU等で利用できる欧州疾病保険カードにより滞在国での医療に保険が適用されますが、その他の国の場合の取扱いについては確認できておりません。

 フランスでは、EU等に留学する場合、欧州疾病保険カードにより滞在国での医療に保険が適用され、その他の国に留学する場合でも滞在国での医療費の償還が可能とされております。そして、いずれについても、留学の期間に制限はありません。これがフランスのケース。

 韓国については、具体的な条件は確認できておりませんが、被保険者の子が海外に留学する場合は引き続き適用対象としていると承知をしております。

西村(智)委員 海外赴任に同行する家族のことについては今答弁がなかったんですけれども、私の方で申し上げていいですか。

 ドイツは、海外赴任に同行する家族が国内居住要件の例外とは確認できませんでした。フランスは、海外同行家族は例外的取扱いがされています。韓国は、海外同行家族は例外というふうには確認できませんでした。言ってみれば、一言で言うと、結構ばらばらなんですよね。

 日本がなぜこれを今回導入することになったのか。立法事実というふうに質問しますと、先ほどの尾辻委員とか池田委員、あるいは阿部委員の質問にもありましたけれども、ほとんど立法事実らしきものがない。出てきた資料がこれ。これなんだけれども、聞くと、その内容についてはきのうの夜まで調べていなかったというようなことで、これは一体何のためにやる措置、法改正なのかなということを私は思わざるを得ないです。

 つまり、例えば海外赴任で同行する家族について、例外的な取扱いとされている国はフランスだけなんですよ。ほかの国は、例外的な取扱いだというふうには確認できなかった。その中で、日本が国内居住要件を入れるというために、何かあえてこのような資料の説明の仕方をしている、それで、省令で今後定めるというふうにしているわけなんですけれども、結果として、実態として、該当する被扶養者というのは、やはり外国人が極めて少なくなってくると思います。

 結果として、これは外国人差別になってくるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 今回の法案においては、国内の保険医療機関を受診した場合の保険給付が原則という健康保険制度の基本的な考え方に立ち返り、海外の医療機関を受診した場合の給付は例外であることを徹底する観点や、適正な認定事務を確保する観点から、諸外国との制度比較を行った上で、被扶養者について原則として国内居住要件を設けることとしたところであります。

 被保険者との扶養関係だけに着目して、今回の特定技能一号の帯同できない家族などの海外居住者について、引き続き健康保険でカバーするということも一つの考え方としてはあり得ると思いますが、しかしながら、海外で居住する者はその国の公的保障を受けることが原則と考えられる中で、日本で生活する蓋然性が低い海外居住者まで被扶養者とすることについては、健康保険が労使の保険料によって運営されている支え合いの仕組みであることを踏まえれば、保険料を負担する方のコンセンサスが得られるかどうかという観点からは適当ではないと考えております。

西村(智)委員 国内に来られる外国人の方も保険料は同様に払うわけですよね。保険者の信頼ということであれば、そういう方々からも信頼を得るような仕組みにするということが必要なんじゃないですか。そういう発想がないから、やはりこういうふうに、何だかうまく取り繕おうとするような措置をとろうとしているんじゃないか。

 ちょっとこれは通告していませんけれども、資料の中に、今後どういう人が例外的取扱いの対象となるのか例示をするということになっておりますが、例示をもとにして、これは例外的取扱いかどうかというのを保険者がそれぞれの判断で認定する、こういうことになりましょうか。

根本国務大臣 具体的には省令において定めることとしておりますが、一つは留学生、海外赴任に同行する家族、そして三つ目が、海外赴任中に生まれた子や海外赴任中に結婚した配偶者など、身分関係の変更があって新たに同行家族とみなすことができる者などを規定することを想定しております。

西村(智)委員 何もお答えになっていない。

 例示をもとに保険者が認定をするということになるわけですよね。これはなかなかきついと思いますよ、窓口の人たちも。恣意的に判断することになるのか、あるいは、やり方一つ間違えば、それは差別的な取扱いだということになりかねないわけです。

 私、ここはやはりもうちょっときちんと議論した上で、省令の内容も含めて提案をしてもらわないと、とてもとても議論に足る中身ではないというふうに思います。ここはもう一回、後で質問させていただきたいと思っていますので、整理をしておいてください。

 それで、法案に直接ではないところなんですけれども、いわゆる受入れ・共生のための総合的対応策というところで、先ほども質問がありましたけれども、社会保険料を滞納した外国人等へはどういうふうになるのか。それは、厚労省の方から法務省に依頼があって、要請があって、それでこの総合的対応策をとるということにしたというお話がありましたけれども、社会保険料を滞納した外国人への対応、きょうは法務省、法務副大臣からお越しいただいていますが、どういうふうになるんでしょうか。日本人と差がありますか。

平口副大臣 お答えをいたします。

 外国人材を適正に受け入れ、共生社会の実現を図るためには、外国人にも社会保険制度上の義務を適正に履行してもらうことが重要であると認識いたしております。

 昨年十二月に関係閣僚会議で了承された総合的対応策においては、外国人に対する社会保険制度上の義務の履行を促進するための施策が盛り込まれております。

 具体的には、特定技能外国人の在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請に際して、地方出入国在留管理局において、外国人本人及び受入れ機関の社会保険制度上の義務の履行状況を確認することとしております。そして、社会保険制度上の義務を履行せず、一定程度の滞納等があることを把握した場合には、地方出入国在留管理局においてまずは義務を履行するように指導し、それでも義務を履行しない場合には、在留資格の変更や在留期間の更新を認めないということとしております。

 なお、特定技能制度においては、受入れ機関や登録支援機関が一号特定技能外国人に対し社会保険の手続に関する情報を提供するほか、必要に応じて、当該手続を行う関係行政機関の窓口まで特定技能外国人に同行し、手続の補助を行うなどの支援を行うこととしております。

 これらの取組により、特定技能外国人による社会保険制度上の義務の適正な履行を確保してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 私、やはり非常に問題だと思うのは、保険料を一定程度滞納した者から、先ほど副大臣の答弁がありました、在留期間更新許可申請等を不許可とする、変更の方も許可しないということがあり得るということなんだと思うんですけれども、事業主が社会保険に加入させなかった場合、これも多分そうなってくるというふうに思うんですよね。そういうケースまでも対象とする、労働者が罰則を受けるというのは、これはやはり私は人権的におかしい、あってはいけないことだというふうに思います。それは指摘なんですけれども、それについてまたお考えがあったらお聞かせいただきたい。

 それから、保険料を一定程度滞納した者からというのは、一定程度というのはどのくらいの額ですか。これは、日本の国内の今までの徴収業務の流れでいえば、結構、滞納した人に対しても、何か納付相談をやったり、ちゃんと督促したりとかいろいろな努力を自治体がやって、債権の未回収がないようにというのを努力するわけですよね。やはり自治体もそういうふうにするということを原則として貫いておいた方がいいんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。

平口副大臣 お答えをいたします。

 特定技能制度においては、特定技能雇用契約の適正な履行を確保し、特定技能外国人の保護を図るため、受入れ機関の基準として、労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していることを求めております。

 したがいまして、受入れ機関が社会保険制度上の義務を履行しない場合は地方出入国在留管理局において指導を行い、それでも義務を履行しない場合には特定技能外国人の受入れを認めないこととしております。

 また、受入れ後においても当該義務を履行しない場合は、特定技能外国人の受入れを継続することができなくなるわけでございます。もっとも、この場合でありましても、登録支援機関等の支援を得て、特定技能外国人が他の適正な受入れ機関との間で雇用契約を締結する場合には、在留が認められることとなります。

 なお、社会保険の適正な運用を確保するため、在留資格の特定技能で受け入れる外国人については、法務省から社会保険に係る関係機関に勤務先事業所情報等の一定の情報を提供することにより、関係機関において当該情報を活用した社会保険の加入促進が図れるような取組を行うこととしております。

 それと、一定の程度の滞納ということについて、どの程度の滞納期間であるかという御質問でございましたが、お尋ねの点につきましては個々の審査における審査手法にかかわるものであるため、具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきたい、このように思っております。

西村(智)委員 非常に重要なことなのに、お答えにならないんですね。大変問題だと思いますよ。

 ちょっともう時間がありませんので、次の機会にぜひまた質問させていただくとして、後期高齢者医療制度、いわゆる保険料の軽減特例がありましたけれども、今回廃止されるということで、今年度それから三十二年度、年金収入が八十万円以下の高齢者の負担がふえますね、三十二年度に。幾らふえますか、大臣、お答えください。年金収入八十万円以下の高齢者。

根本国務大臣 年金収入が年額八十万円以下の方については、保険料均等割、これは本則では七割軽減となっておりますが、九割軽減と今されてまいりました。その方の保険料金額、全国平均で見ると月額三百八十円程度でありましたが、今年度は月額平均では七百五十円程度になります。

 九割軽減とされてきた場合は月額三百八十円程度、そして、今年度を通して見ると、簡単に言いますと、今年度は、月額平均では三百七十円増の七百五十円程度。これは、本年十月からの国庫補助二割分の廃止は年間で見れば一割相当に当たるものなので、こういう数字に今年度はなります。(西村(智)委員「来年度、平成三十二年度も聞いております」と呼ぶ)

 来年度は、月額平均では千百三十円程度になります。

西村(智)委員 平成三十二年度になると、今よりも月額九百十円ふえるんですね。これは大変大きいと思いますよ。社会保障費が今圧縮されている中であってもこれだけふえちゃう。消費税が上がるタイミングでふえていくわけですよね。大変大きな問題であると思います。

 時間になりましたので、残念ながら、これだけ指摘して、きょうは質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第二局長原田祐平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介でございます。

 きょうは、法案の中身そのものの問題はもちろんですけれども、せっかくの機会ですので、保険医療に関するその他の問題についてもお聞きをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、法改正の一つの柱になっているオンライン資格審査導入についてお聞きをしたいと思うんですけれども、配付資料の一枚目にこのシステムの構成図というかポンチ絵をお配りしておりますけれども、上の方のところに、ビルのような絵が描いてある下に医療保険者中間サーバーというのがあります。これが今現在稼働しているわけですけれども、この保守管理費用、運用コストというのは、これは現在保険者が負担しているということだというふうに思います。

 今回、この左の部分、少し色が濃くなっている部分、ここにオンライン資格確認等システムという新しいシステムができるということですけれども、この保守管理、運用コストというのは一体どれぐらいかかるのか、そして、誰がどのような形で負担するのかを、事務方からで結構ですのでお答えいただきたいと思います。

樽見政府参考人 オンライン資格確認のシステムのコストということになりますけれども、運用、保守費用ということで年間約二十億円程度というふうに見込んでおりまして、保険者が負担をするという考え方でございます。

大西(健)委員 今局長から御答弁があったように、年間二十億円程度の新たな負担が発生をして、これは保険者が負担をするということです。現在も中間サーバーの保守管理費用を負担していて、その上に新たにまた二十億負担がふえるということです。

 資料の次のページをめくっていただきますと、下の方ですけれども、ここには、ただ、保険者側にもメリットがあるんですよと、資格喪失後の受診に伴う請求確認が要らなくなるので年間約三十億円の事務コストが解消できるんだというふうに書いてありますけれども、私は正直言ってここは少し眉唾なんじゃないかなというふうに思います。

 ただ、いずれにしろ、医療機関側には初期導入費用の補助等がありますけれども、保険者の方は、今回、中間サーバーのデータに個人単位被保険者番号の入力など新たな作業も発生するわけですよね。にもかかわらず、保険者の方には何の補助もない、三十億円コスト削減できると言っているけれども、私はちょっと本当なのかなというところがありますけれども。健保の財政も非常に年々厳しさを増している中で、保守、運用費の新たなコスト増というのは、私はばかにならないんじゃないかというふうに思っているんです。

 こういうことに関連して、この被用者保険の負担増ということについて続けて質問したいというふうに思うんですけれども、後期高齢者支援金の全面総報酬割導入に続けて、今、介護納付金の方も段階的に全面総報酬割に移行しつつあるということでありますけれども、この負担増が非常に健保の財政に重くのしかかっております。

 平成二十九年度の途中から始まって、二分の一、四分の三と段階的に引き上げてきて、二〇二〇年度に、つまり令和二年度ということになるんですかね、全面総報酬割が完成をするというか、全部、全面総報酬割になるということなんですけれども、全面総報酬割に全部なった段階で、全加入者割の場合と比べて健保組合の全体の負担はどれぐらいふえるのか、これについて、改めて厚労省として公式な数字を明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

樽見政府参考人 今お尋ねの介護保険の関係につきましては老健局長から御答弁申し上げますが、まず一言。

 先ほど先生御指摘のオンライン資格確認の導入について、保険者側でございますけれども、保険者側につきましても、中間サーバーのクラウド化、オンライン資格確認システムの構築経費、それから保険者のシステム改修経費ということで、三百億円強の補助というものを保険者側にも入れておりますので、そのことだけまず私から申し上げておきたいと思います。

大島政府参考人 お尋ねがありました二〇二〇年度の介護保険における総報酬割の全面導入に伴う健保組合等への納付金の負担額の影響でございますが、介護納付金、二号の被保険者数、それから共済組合を含めた医療保険者の総報酬の額などさまざまな要因が影響いたしますので、正確な数字を申し上げることは困難でございますが、近年、介護給付費が増大していることを踏まえますと、二年半前の導入時点では一千百億円の見込みをしておりましたが、それよりもふえる可能性があることになるというふうに考えております。

大西(健)委員 保険者側の方に補助がないというのは間違いだったということで今訂正していただきましたので。済みません。

 介護納付金の方ですけれども、資料の三ページ目の方、健保連の資料でありますけれども見ていただきますと、まず上段の方、後期高齢者支援金の全面総報酬割を導入したときであります。このとき、これについて平成三十一年度で被用者保険の負担は二千二百億円の増となっていますけれども、これに対しては毎年度の予算で約七百億円の拠出金に対する支援というのが行われています。

 同様に、下段を見ていただきますと、介護納付金の総報酬割の影響、健保連の試算ですけれども、今御答弁があったように、一千百億円という数字が載っていますけれども、今の御答弁ではこれ以上にふえる可能性があるという御答弁でありました。

 これを見ていただくと、来年度は八百二十五億、そして再来年度は一千百億、まあこれ以上ということですけれども、負担増が見込まれている。これに対して、予算において、平成二十九年度から三十一年度までの三年間、毎年約九十四億円というやはり支援が行われております、後期高齢者支援金のときと同じように。ただ、三十一年度で切れてしまって、次年度は一千百億円と負担増が最高になる、今の話だと一千百億円以上ということですけれども、最高になるにもかかわらず、この支援はなくなってしまうということであります。

 そもそも、九十四億円というのも私は少な過ぎるというふうに思いますけれども、この支援を後期高齢者支援金同様に全面総報酬割が完成して以降も継続をしていただきたいと強く要望したいというふうに思いますけれども、大臣から御答弁をいただきたいと思います。

根本国務大臣 二〇一七年の介護保険法改正では、世代内の負担の公平、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、介護納付金に総報酬割を導入したところであります。

 これによる激変緩和措置を二〇一七年度から二〇一九年度までの三年間で実施しました。委員のお話にもありましたように、二〇二〇年度に向けて総報酬割を段階導入する、被保険者一人当たりの介護納付金の額が高い健康保険組合等に上限額を設定いたしました。

 このような激変緩和措置への財政支援として、二〇一九年度予算においては、一七年、一八年度と同様、九十四億円を計上いたしました。

 この財政支援は、激変緩和という趣旨に鑑みた時限措置として位置づけておりまして、二〇二〇年度以降は本来の姿に戻すべきものと考えております。

大西(健)委員 激変緩和措置ということでありますけれども、上の方は総報酬割が完成して以降もずっと七百億円の予算措置がされているわけです。下の方も、少なくとも平成三十二年度、三十二年はないわけですけれども、再来年度、一千百億円の増が見込まれる、今御答弁があったように、それ以上のものがあるわけですから、せめて、三年じゃなくて、再来年度も続くということはぜひお願いしたいというふうに思いますけれども、御検討だけでもお願いできませんでしょうか。

根本国務大臣 今いろいろ委員からお話がありましたが、やはり、今回の財政支援は激変緩和という趣旨に鑑みた時限措置という位置づけにしておりますので、二〇二〇年度以降は本来の姿に戻すべきものだと考えております。

大西(健)委員 大臣御存じのように、この四月一日から大きな健保組合が解散をしました。今お話ししたように、例えば、こういう新たなシステムの保守管理費とか介護納付金についても、今の答弁で、一千百億円と言ってきたけれどもそれ以上だと言っている。こういうことを考えると、健保組合の財政も非常に厳しくなっておりますので、私は、これは、激変緩和は激変緩和ということで結構ですけれども、後期高齢者支援金の方と比べても、介護納付金についても、激変緩和と別の理由づけでも結構ですが、やはり支援をしていくということが必要だというふうに思いますので、このことはぜひお願いをしておきたいというふうに思っております。

 次に、電子カルテの標準化ということについて聞きたいと思うんです。

 電子カルテの仕様を標準化することでデータの連結が可能になって、医療機関のコストの削減はもちろんですけれども、医療費適正化にもつながる、これはずっと言われてきていることなんですけれども、法案にも電子カルテ導入支援というのが入っていますけれども、電子カルテの導入や運営の費用というのは極めて高額で、さらに、個別病院に合わせてカスタマイズするとこの費用も非常に莫大だと言われています。電子カルテの費用は病院収益の一・五%に相当して、急性期病院の利益率を上回っている、こういう指摘もあります。

 この点に関して、社会保障審議会の医療部会においても、次のような意見がありました。ベンダーに任せていては囲い込みがあって動かない、早く標準化するほど費用が低廉で済む、一刻も早く厚労省はもちろん政府全体で標準仕様の整備を進めるべきだといった意見が出ていました。これに対して、厚労省の課長はこんなふうに答えています。我が国の実態、海外の状況を含めて情報を収集し課題の整理を行うことから始めたいと。

 私は、余りにもこの答弁というのは悠長過ぎるんじゃないか、そんなことを言っている場合なのかと。大臣、私は、国主導でこの電子カルテの標準化というのを強力に推進する、政治的リーダーシップでぜひ大臣にやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

根本国務大臣 私も委員と同じ問題意識で、部内でもこの議論はいたしました。やはり、電子カルテの標準化は重要だと思います。

 厚生労働省としては、平成十三年度から、電子カルテで使用する医療用語などの標準規格の整備や普及推進を行う事業を実施していますから、私もそこは委員と意見は同じくしておりますので、電子カルテの標準化にしっかり取り組んでいきたいと思います。

 そして、電子カルテの標準化を更に進めるために、今回の法案で医療情報化支援基金を創設して、そして国の指定する標準規格を実装する電子カルテの導入を支援することとしております。これによって技術的な方向性を明らかにすることとなり、業界全体を標準化へ誘導することもできるものと考えております。

大西(健)委員 先ほども囲い込みという話がありましたけれども、ベンダー側からすれば、自分のところの仕様にしておいてほかのところに乗りかえできないようにしておいた方が好都合ということもあるんだと思います。でも、そんなことをしていたら大事な医療費がどんどん無駄に使われてしまうわけですから、先ほど申し上げたように急性期病院の利益率を上回っているということですから、こういうところは無駄なことをやめて、私は仕様を統一するべきだと。でも、それを要はベンダーに任せていたんじゃ絶対そういうふうになりませんから、ですから、政治的なリーダーシップをぜひ発揮していただきたいというふうに思います。

 次に、法案の中にある支払基金の組織の見直しについて確認をしておきたいんです。

 資料の四ページ、これは厚労省の法案説明資料の中にあるものですけれども、今回の法改正でレセプト点検業務を全国大体十カ所程度の審査事務センターに順次集約するようになった。

 一方で、これは上の方の囲みの3の一つ目のポツにありますように、審査委員会については、地域医療の特性等を踏まえて、設置場所はこれまで同様、四十七都道府県に置くとしています。ただ、ここに括弧書きで、小さくですけれども、基金内部規程事項というふうに書いてあります。

 法律の第十六条というところを見ると、審査を行うため、定款の定めるところにより、審査委員会を設けることとするとしか規定をされていません。つまり、設置場所については定款に委ねられているということであります。

 この点、この審査委員会及び審査事務局の設置場所は四十七都道府県ということで間違いないのかどうなのか、この点を確認させていただきたいと思います。

樽見政府参考人 今般の法改正で、支払基金の支部というものは廃止をする、審査委員会につきましても、今までは支部にありましたけれども、本部のもとに設置をするというふうなたてつけに見直すということにしているわけでございます。

 その際、審査ということがどういうことをやっているかというと、医療というのは一つ一つが非常に個別性があるものでございますけれども、その個別性のあるものといわば全国統一的な保険診療として認められる範囲のルールというものを当てはめていくという作業でございます。そういうことで、審査結果に対するその地域のお医者さんの信頼感、納得感ということも必要であるというふうに考えておりますので、審査委員会につきましては引き続き各都道府県に存置する、設置するということが適切だというふうに考えているわけでございます。

 審査の事務局につきましても、本部の事務執行機関という位置づけにはなりますけれども、各審査委員会ごとに設置するということでありますので、四十七都道府県に設置をするという考えです。

大西(健)委員 この説明資料の中にも何度も四十七都道府県にということが書かれておりますので、これについては今後もしっかり担保していただきたいというふうに思っています。

 規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループの中からは、一時期、この支払基金については相当厳しい意見が出ていました。現行の支払基金を前提とした組織体制の見直しではなくて、診療報酬の審査のあり方をゼロベースで見直す、ここまで厳しいことを言われたということで、私は、この間、支払基金の方でも相当な御努力をされたというふうに思います。それは評価をしなければならないというふうに思います。

 今回、先ほど申し上げましたように、審査業務が審査事務センターに集約されるということでありますけれども、これについては先ほど西村委員から話がありましたので繰り返しませんけれども、私からも、整理解雇につながったりとか、あるいは家庭環境等の事情を無視した無理な配置転換、こういうことが行われないように、厚労省としても支払基金の動向にぜひ注意を払っていただきたいということはお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、任意継続被保険者制度というものについてお聞きをしたいと思うんです。

 この任意継続という制度ですけれども、大正十五年の健康保険法の施行時から存在をする仕組みであるということです。昭和三十六年に国民皆保険が実現する以前は、解雇や退職に伴う無保険を回避するためにこういう制度があったということであります。その後、国保への移行による給付率の低下の防止というものを主たる目的にしていましたけれども、これについても、平成十五年の給付率七割統一ということができて、もう必要性は薄れているんじゃないかということが指摘をされています。

 資料の五ページ目に入れておきましたけれども、過去の任意継続被保険者制度の改正の中の国会の議論の中でも、この制度については当面の措置であるということが答弁で繰り返し言われています。

 現在の制度だと、一年間働いて二年間任意継続被保険者になることもできてしまう、これはさすがにちょっと私は不合理なのではないかというふうに思います。

 この任意継続被保険制度については、縮小、それから将来的には廃止も含めた検討というのが私は必要ではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

樽見政府参考人 任意継続被保険者制度、二カ月以上社会保険の被保険者であった方については、退職した後も本人の選択によって引き続き最大二年間これまで加入していた健康保険の被保険者になることができるという制度でございます。

 これについては、これまでも医療保険部会等において議論が重ねられておりまして、任意継続被保険者制度を廃止すべきという議論、加入期間の二年というところを一年とかもっと短くしろという議論、あるいは、加入要件というものを過去二カ月じゃなくてもっと長くするべきという議論。

 一方で、任意継続被保険者の加入期間を短くすると結果的に国保の方の財政負担というものを増すことになるのではないか、それから、加入要件を二カ月から一年に延ばすという形にすると、有期労働者や派遣労働者など比較的弱い立場の方が利用できなくなるというしわ寄せが回るのではないかといったようないろいろな議論があるわけでございまして、こういう国保と被用者保険の適用範囲に係る課題ということでございますので、そうした双方の制度への影響といったようなことも考慮しながら検討すべきものというふうに考えているところでございます。

大西(健)委員 今の中で、一年働いて二年任意継続被保険者になれるというのは、それを短くすることについては国保の負担がふえるということだけれども、でも、それは完全に国保側の言い分であって、被用者保険からすれば、何で一年しか入っていない人を、働いて保険料を納めていない人を、二年間サービスを提供しなきゃいけないのかと。それは国保の負担がふえるからといって、被保険者制度の側からすると、それはそっちの勝手な御都合であって、全く理由にならないと思いますけれども、一年入って二年というのはどうなんですか。これでいいんでしょうか。改めてちょっと局長に御答弁をお願いします。

樽見政府参考人 この任意継続被保険者制度の意義というところに立ち返った議論になるんだろうと思います。

 先生御指摘のように、当初は、国民健康保険がない中で、健康保険制度、会社をやめた後に無保険になるということの回避が目的ということで任意継続という制度ができたわけでございます。

 その後、給付率が社会保険と国民健康保険で違うということもあったわけでありますが、その辺については大分そろってきておりまして、そういうことでいいますと、任意継続という形で続けるところの違いというものは、いわば保険料負担の、社会保険から国民健康保険に入るところの激変緩和が現在のところの実質的な意義ということなのかなというふうに考えているところでございます。

 いずれにしても、先ほど申し上げたことでありますけれども、国民健康保険と被用者保険の間の適用範囲に係る問題ということでございますので、それを見直したことに伴う各保険者への影響というものを考慮しながら検討すべき問題というふうに考えているところでございまして、前からこれについては議論がございます。御指摘も踏まえまして、引き続いて検討させていただきたいというふうに思っています。

大西(健)委員 先ほども言いましたように、当面の措置ということでありますので、ぜひとも検討していただきたいと思います。

 それでは、ちょっと本題から離れますけれども、少し療養費の問題についてお聞きしたいと思うんです。

 ある健康保険組合から、約八年半分の施術費用七十四万五千三百四十三円の返金を、突然、接骨院に求めてきた、こういう例があったそうであります。私は具体的にこの報告をいただきました。

 健保組合も、毎月審査を適切に行っていれば八年以上の長期にわたる返金を求めるということは本来私はないことなのではないかなというふうに思います。また、審査、調査を行って不適切な請求であることが判明した場合は、本来のルールでいうと、被保険者である患者さんに対して返金を求める、これが法律上のたてつけであって、接骨院に対して返金を求めてくるというのも、これも違うんじゃないかと。

 一般論で結構ですので、健康保険組合がこういう八年以上とか長期にわたって接骨院に対して施術費用の返金を求めること、こういうことは許されるんでしょうか。いかがですか。

樽見政府参考人 療養費の支払いということでございます。

 保険者が療養費の支払いを行った、それが何らかの理由で、これは実は法律上の原因のないものであったということが後でわかったということになりますと、これは、支払った費用については不当利得というものがその療養費を受け取った方に、この場合、例えば接骨院が受け取っているとすればそこに生じているということになります。

 これは民法上の不当利得返還請求権ということになりますので、民法上の不当利得返還請求権の消滅時効は十年ということになりますので、十年までさかのぼって行うということが可能という法律上のたてつけになります。

 もちろん、こういう診療報酬債権みたいなものについて、できるだけ早期に確定するということが望ましいということは、一般論としてはそのとおりでございますけれども、十年間は消滅時効にかかっておらないということでございます。

大西(健)委員 民法上の不当利得債権だから十年が消滅時効だと言いますけれども、接骨院というのは大体小規模なところが多いですよね。毎月毎月の資金繰りをやっている中で、八年半分を返せなんて言われたら経営が私は成り立たないと思いますよ。

 ですから、これは、さっきも言いましたように、ちゃんと審査をしていれば、おかしいものがあるということであればもっと早い段階で気づくはずであって、八年も気づかずに、八年半分返せなんというのは、やはりこれはさすがにちょっと、いかがなものかというふうに思うんですね。

 あわせて、そういうことがあった場合に、じゃ、接骨院の側が何ができるかということなんですけれども、現物給付される療養の給付、療養の給付というのは、いわゆる普通の、わかりやすく言えば、平たく言えば医療サービスです。この医療サービスの場合には、例えばこうしたケース、つまり医療保険機関がこうしたケースで返せと言われた場合には、医療保険機関は自己の診療報酬請求権を根拠にして保険者に対して給付訴訟を提起することができます。

 ただ、これに対して、柔整師の場合は、これは療養費ですから、施術者は療養費の受領を委任されているにとどまっていて、保険者に対して自身の報酬債権を獲得するわけではないので、報酬債権を根拠にした給付訴訟を提起することはできない。さらに、不支給決定に対しても、当該不支給決定というのは被保険者、つまり施術を受けた患者さんに対する処分であって、施術者は不支給決定を争う原告適格もないというふうにされています。

 つまり、柔整師は、自分がやったサービス提供に疑義を示された場合に、いかなる訴訟形式によっても当事者として主体的に争うことができないということになってしまいます。これは、柔整療養費というのが受領委任払いになっていること、つまり、健康保険法第八十七条の、保険者がやむを得ないものと認めるときには支給することができる、こういう規定を受けた通知に基づいて、協定又は契約上の仕組みによって行われているということに全ては起因しているんだというふうに思います。

 この点について、不支給決定に対して当事者が争うこともできないというのは、私はいかにも不合理ではないかと。この際、入院時の食事療養費や保険外併用療養費の支給と同様に、健康保険上明記をするということもあっていいんじゃないかという意見がありますけれども、この点についてどう思われるか、御答弁をお願いします。

樽見政府参考人 健康保険法等におきまして、端的には、健康保険法上の扱いというのは、不服審査、審査請求を誰が申し出られるのかという形で条文に書いてあるわけでございます。

 健康保険等におきまして、保険者が行う保険給付に対する処分に不服がある者というところについて審査請求が行えるわけですが、その処分に不服がある者というのは、審査請求の対象である処分によって直接権利を侵害された者でなければならないというのが考え方でございます。

 ですので、先ほど先生がおっしゃったように、療養の給付という形になりますと、それは医療機関の方に行くということが法律上のたてつけになっておるので、その療養の給付を受けた医療機関ということが処分に不服がある者という適格があるという形になるわけであります。

 接骨院のような療養費という形で受けているというところについては、まさに先生おっしゃるように、療養費という形で、それを契約でかわりにもらっているというたてつけになっているというところでございまして、ここは、いわば患者さん御本人が受けるべき療養費であって、したがって、患者さん御本人がその費用の請求を行い、あるいは不服の請求を行うという考え方になっておりますので、接骨院のような医療の提供者という形をここに位置づけるということについては、こうしたたてつけの中では適切ではないというふうに考えております。

大西(健)委員 そのたてつけは私はわかった上で聞いているわけですけれども。ですから、先ほど言ったように、八年半分返せと言われてもそれは認められるんだ、しかも、そのことについて不服があっても接骨院は訴えさえできないんだ、この現実が私はいいんですかということを申し上げているのであって、これ以上話してもここでは結論は出ないと思いますので。

 これは聞いていただいた皆さんもわかっていただけるんじゃないか。七十何万という八年半分を返せと言われて、それで不服があっても自分は訴訟さえできない、こういうことが私はいいのかなということを問題提起しているのであって、ぜひこのことは検討していただきたいというふうに思います。

 最後に、残された時間、ちょっと本題から離れますけれども、アフターピルについて聞きたいと思うんです。

 避妊に失敗した、レイプされた場合などに、性交から七十二時間以内に飲むことで妊娠を回避できる薬、これが緊急避妊薬、アフターピルというものでありますけれども、日本では、先進国よりも十年程度おくれて、二〇一一年にノルレボ錠が認可をされました。

 フランスやアメリカなどでは、薬局で処方箋なしで購入できるようになっています。日本では医師の診察、処方箋がないと買えないんですけれども。このため、多くの医療機関が休む週末だとか年末年始というのは入手が困難です。

 ことしは、御代がわりで十連休が予定されています。この十連休のときに、こういう緊急避妊薬を要するような事態が起きたときにどうしたらいいのか、大変私は困るんじゃないかと思うんですけれども、この点について、まさにこの機会に、処方箋なしで入手できるような方法というのを私は検討すべきじゃないかというふうに思いますけれども、この十連休との関係で御答弁をいただければと思います。

根本国務大臣 医薬品を使用する際、医師などの診断に基づいて治療方針等が検討され、患者の病状や体質等に応じて適切に選択されなければ安全かつ有効に使用できない場合には、処方箋が必要な医薬品として取り扱われております。

 今委員の御指摘の緊急避妊薬、これについては、二つ理由がありますが、完全に妊娠を防止させるものではなくて、投与後の経過観察が極めて重要であること、服用後における適切な避妊手段の指導も含め、その使用に際して医師から服用者に対して指導がなされる必要があることの理由によって、現状においては処方箋が必要な医薬品として取り扱われているものであります。

大西(健)委員 全然十連休との関係について御答弁をいただけないんですけれども。これは本当に、私は十連休との関係でそういう困る人が出てくるのではないかというふうに思うんですけれども、しかも、世界の先進国では当たり前のように認められているということであります。

 これについて、厚労省の方も何もしていないわけじゃなくて、例えば、望まない妊娠というのは人目が気になって受診自体をためらうという傾向にある、そこで、今、厚労省の方でも、スマートフォンやパソコンを通じてオンライン診療で緊急避妊薬を手に入れやすくする方法というのが検討されているというふうに聞いています。

 ただ、次善の策としてオンライン診療というのが認められれば、私はそれはそれで前進だと思いますけれども、この点、例外として、患者がすぐに適切な医療を受けられない場合に限って対面による初診を省くことが認められているんだとして、じゃ、アフターピルがこの例外に当たるのかということについては、厚労省は、やはり初診は対面診療が原則で、不適切な事例にこのアフターピルは当たってしまう可能性があるというふうに言っていると聞いたんですけれども、それだとせっかくのオンライン診療の意味がないというふうに思いますけれども、厚労省、この点、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、オンライン診療そのものにつきましては、患者の状態について医師が得られる情報が対面診療に比べて限定的であることから、主に診断等の判断が必要となる初診は対面診療が原則と。ただし、今委員御指摘いただきましたように、オンライン診療を用いて得られた患者の心身の状態に関する情報のみであっても、診断や治療方針の決定が可能である、かつ、リスクが極めて低い場合においては、例外として初診からのオンライン診療を可能とするという扱いになってございます。

 このような扱いをオンライン診療の適切な実施に関する指針、ガイドラインとして平成三十年の三月に発出をしておりますけれども、その後の実施状況を踏まえて、現在、この見直しに向けた検討会を開催して議論をしているところでございます。

 御指摘の緊急避妊薬につきましては、性交後七十二時間以内に内服する必要がある、あるいは迅速な対応が求められるという一方で、プライバシーの観点などから、地方においてあるいは犯罪などが関係する場合などにおいては産婦人科を受診しにくい状況があるという御指摘をいただいているところでもございまして、これについては受けとめております。

 先ほど申しました検討会におきまして、初診対面診療の原則の例外として、オンライン診療における緊急避妊薬の処方をテーマとして取り上げて現在議論をしているところでございます。

 緊急避妊薬へのアクセスの一つの手段として、オンライン診療が安全かつ適切な手段になり得るか、慎重に議論を続けたいと思います。

大西(健)委員 十連休の問題に対して、このオンライン診療というのがもし例外として認められれば、私は一つの方法になるんじゃないかと思いますので、これはぜひ真剣に検討していただきたいと思います。

 アフターピルの一般用医薬品への変更について、二〇一七年の九月から一カ月間パブコメが実施されて、集まった三百四十八件の意見のうち、賛成が三百二十件、反対が二十八件と、賛成が圧倒的多数でした。しかし、同年の十一月十五日に開かれた第三回の医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議では、このアフターピルを一般用医薬品とすることについては否という結論になりました。

 これはもう否の結論ありきで、パブコメの募集というのは形式的なものでしかないんじゃないか、何のためのパブコメなのか、政府はこの国民の声を反映させるべきじゃないかという意見がありますけれども、この点、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 医療用医薬品を薬局、薬店において処方箋なしで購入できるようにする、いわゆるスイッチOTC化の可否、一般薬として売るということですが、市販薬として売るということの可否につきましては、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議という会議において専門家による評価、検討を行っているところでございまして、この会議は公開で議論を行っております。

 今先生御指摘の緊急避妊薬につきましては、平成二十九年にこの検討会議で検討がなされた結果、OTC化については、性教育の浸透あるいは避妊薬の認知度が高いとは言いがたいとか、個室などプライバシーへの配慮など薬剤師、薬局の受入れ体制の準備が不十分ではないかとか、あるいは、さっき先生も御指摘のような、非常に厳しい状況でお使いになる患者さんがいらっしゃることを考えますと、産婦人科のフォロー体制が必要といったことなども示しまして、パブコメをさせていただきました。

 パブコメをするに当たりましては、公開で議論を行っている上に、パブコメで、公開で議論しました資料なども提供いたしまして、さまざまな議論をいただく手続として行っているわけでございますが、パブリックコメントは、私どもは、多数決によってスイッチOTC化の可否を判断するというよりは、検討会の委員以外の方々から幅広い視点や考え方を取り入れた、そういった議論をしていただくために、いろいろな御指摘をいただく場というふうに考えておりまして、先ほども申しましたように、パブリックコメントにつきましては、検討会の議論の状況あるいは議事録、それから資料等を提出させていただきまして、それに基づく議論をいただいているところでございまして、決して形式的なものではございません。

大西(健)委員 パブコメでは圧倒的多数の国民の声は賛成なんです。

 最後のページをちょっとだけ見ていただきたいんですけれども、妊娠人工中絶、平成二十九年度、二十未満の中絶数が一万四千百二十八件。三百六十五日で単純に割り戻すと、毎日約四十人、中絶を十代の方がしている。最後のページ、今、虐待の問題が大きな課題になっていますけれども、心中以外の虐待死における零歳児の割合は四七・五%、中でも零日児、つまり生まれてすぐ殺されてしまう赤ちゃん、この多くは望まない妊娠ということが多いというふうに思われますけれども、これが一八・六%。

 こういうことを考えても、世界の先進国で当たり前のように一般用医薬品になっているこの緊急避妊薬というのを、やはり、この際、国民の声もしっかり受けとめて、真剣に私は検討すべきだと思いますが、最後に大臣からいただいて、終わりたいと思います。

根本国務大臣 緊急避妊薬のスイッチOTC化、これは先ほど局長から答弁したとおりでありますが、時期尚早とは判断されましたけれども、OTC化のための課題の解決状況等により、将来的に再度議論を行うことは妨げられておりません。

 現在、課題の解決に向けて、医師、薬剤師の関連団体において、緊急避妊薬の扱いも含めて産婦人科領域の研修等が開始されたと承知しております。厚生労働省として、今後の状況を注視していきたいと思います。

 他方、やはり予期せぬ妊娠に対応していくことは重要であり、教育や相談体制の整備を進めていきたいと思います。

 具体的には、避妊等の正しい知識の普及啓発の徹底などによって予期せぬ妊娠を防ぐ、あるいは、匿名で相談できる女性健康支援センターなど妊娠に悩む女性が安心して相談できる窓口を整備するなどによって、安全、安心に出産ができて、未来の宝である子供の命が守られ、育まれるよう、総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

大西(健)委員 時間なので終わります。

冨岡委員長 次に、山井和則君。

山井委員 四十分間、健康保険法を中心に質問させていただきたいと思います。

 この健康保険法に関しては、私も、特に外国人に対する医療について非常に関心を持っております。

 といいますのは、ここに持ってまいりましたけれども、去年来、技能実習生の方々が、最低賃金割れ、長時間労働、また自殺、そういう命を落とされたり、非常に劣悪な処遇で働いているということが問題になりまして、そのことを私もここで根本大臣に、ぜひ未払い賃金を払ってほしいとか、外国人の方々にも日本人同等あるいはそれ以上の労働環境をぜひとも手厚く保障してほしいというお願いをさせていただいたと思います。

 その調査報告が先週金曜日に出てまいりました。残念ながら、非常にずさんな調査だと言わざるを得ません。

 そして、その中で、外国人技能実習生の労働環境が非常に悪い、労災の確率も非常に高くて、二階から落ちて骨折したとか、カキの養殖で、もりで目を突いたとか、あげくの果てはカキの養殖でボートから落ちて死んでしまったとか、外国人技能実習生の方々が必要な治療、医療を受けられない、そういうふうな問題も起こっております。

 そういう意味では、健康保険法の議論をする大々前提として、技能実習生の方がそもそも十分な医療を受けられているのか、人間らしい労働条件で働けているのか、そのことの議論を、きょうは初日ですので、させていただきたいと思っております。

 もちろんそれをメーンに質問したいと思うんですが、その前段で、塚田国土交通副大臣にもお越しをいただいております。

 塚田国土交通副大臣におかれましては、今も内閣委員会で、安倍総理入りの幼児教育無償化の法案審議の中で、今回のそんたく発言について初鹿議員と質疑をされたと承知をしております。そして、安倍総理もその答弁の中で、塚田副大臣には、本人が説明すべきだという答弁をされておられますので、そういう意味では、内閣委員会でもこの議論をされておりますので、この厚労委員会でも引き続きさせていただきたいと思います。

 まず、観光担当と聞いておりますけれども、技能実習生、宿泊とかそういうことにも技能実習生は多く受入れが想定されておりますけれども、受入れの見通しと、宿泊業の技能測定試験の応募状況、そして予想どおりの人が集まりそうなのか、あるいは集まりにくそうなのか、そういうことについて、現状認識を塚田副大臣にお聞きしたいと思います。

塚田副大臣 まず冒頭、私の、四月一日の会合で事実と異なる発言をいたしましたことにより、大変多くの皆様に多大なる御迷惑をおかけいたしました。改めて、その発言を撤回し、国民の皆様に謝罪を申し上げたいと存じます。まことに申しわけございませんでした。

 御質問のございました宿泊分野における向こう五年間の受入れ人数といたしましては、最大二万二千人を見込んでいるところでございます。また、宿泊分野の試験実施主体である一般社団法人宿泊業技能試験センターからお伺いしているところでは、本日現在、宿泊分野の技能試験の応募状況は七百五十九名となっております。宿泊分野においては、年二回程度の技能試験を予定しており、また、初年度に千人程度の外国人材の受入れを見込んでおります。

 今後も、宿泊業におけるニーズをきめ細かく把握しながら受入れを行ってまいりたいと思います。

山井委員 これは、宿泊や観光に技能実習生が入ってくるということで、日本人の雇用やまた労働条件にどういう影響が出るのか、一歩間違えば悪影響が出るのではないか、そんなことについても質問したいんですけれども、今、冒頭、塚田副大臣からおわびがありました。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、虚偽の発言をされたわけですか。どういう発言をされて、どういう発言を撤回されたんですか、ちょっと御説明ください。

塚田副大臣 四月一日の福岡県におきます会合におきまして私が下関北九州道路の関係で発言をいたしました内容につきましては、事実と異なる内容でございましたので、その点を撤回させていただき、謝罪をさせていただきました。まことに申しわけございません。

山井委員 事実と異なる発言ということですが、ここに、発言された内容を私は聞いておりますが、参議院の自民党の吉田幹事長、吉田先生が私の顔を見て、塚田、わかっているなと言ったということを発言されているんですね。ここに議事録があります。

 そうしたら、参議院の吉田博美幹事長が私の顔を見て、塚田、わかっているなとおっしゃったということは事実なんですか。これがうそだったわけですか。

塚田副大臣 吉田幹事長の御発言ということで私が引用しました点全てについて、事実ではございません。間違った、事実と違う発言を申し上げてしまいました。まことに申しわけございません。

山井委員 いや、ちょっと理解がしづらいんですけれども。

 確認しますが、そうしたら、選挙演説でおっしゃったんですよね、四月一日に。吉田先生が私の顔を見て、塚田、わかっているなと言ったという、これは、事実無根のうそをおっしゃったということですか、選挙応援で。

塚田副大臣 事実と異なる発言をいたしてしまいました。まことに申しわけございません。

山井委員 本当に私も、外国人の人権を守るためにいろいろな質問を山のようにきのうの晩遅くまで準備して用意してきたんですけれども、結局、安倍内閣の副大臣が簡単に選挙演説で、いや、うそをついたんですよという話ではこれは終わらないと思うんですよね。やはり丁寧にそこは説明してもらわないと、内閣の一員の方がそんな簡単に選挙応援で、いや、うそをついたんですと言って、じゃ、うそをついて選挙応援をして回っているのかということになりますからね。

 もう一回言いますよ。ということは、吉田博美幹事長、先生が私の顔を見て、塚田、わかっているなとおっしゃったという事実はあったんですか、なかったんですか。

塚田副大臣 その事実はございません。

山井委員 不思議なんですけれども、事実がないんだったら、これは、作り話をされて選挙演説でおっしゃったんですか。なぜ事実じゃないことをおっしゃったんですか。

塚田副大臣 結果として事実と異なることを発言しましたのは、私の不徳のいたすところでございます。まことに申しわけなく、おわびを申し上げる次第であります。

山井委員 私も別に謝ってくれと言っているわけじゃないんですけれども、なかなかすとんと納得できないんですよ。

 選挙演説というのは我々にとって大事ですからね、心を込めて。おまけに、お立場は国土交通副大臣ですよ。重みがあるんです。その方が、根も葉もない話を思いつかれて選挙演説でされたということですか。それとも、この吉田博美先生が私の顔を見て、塚田、わかっているなと言ったけれども、表現が違って、ほかの似たようなことはおっしゃったんですか。それとも、全く根も葉もない作り話をされたということですか。もうちょっと丁寧に言ってもらわないと。事実と異なるとおっしゃっても、普通、事実と異なる発言なんか副大臣が選挙演説でしませんから。

塚田副大臣 下関北九州道路に関します御要望については、吉田参議院議員、自民党幹事長よりお受けをした事実はございますが、そのときにそういった発言は一切ございませんでした。私がその御要望をお受けしたという事実の中で、そのような発言があったという事実と違う発言をしてしまったということが、私が今、撤回をし、おわびを申し上げていることでございます。

山井委員 ということは、吉田博美幹事長からは、塚田、わかっているなという表現ではなかったけれども、要望は受けていたんですね、この道路に関しては。それはお認めいただけますか。

塚田副大臣 この当該事業に関する御要望については、吉田参議院議員からお受けしたことはございます。

山井委員 いつ、どこで、どういう形でお受けになりましたか、それは。

塚田副大臣 平成三十年十二月二十日でございますが、吉田参議院議員が、私の副大臣室だったと思いますが、御要望に来られまして、当該事業についての御説明をされたということでございます。

山井委員 御説明をされたというか、要望をされたわけですよね。うなずいておられます。そのときに、塚田、わかっているなという発言をされたんですか。

塚田副大臣 御要望をお承りしたことは事実でございますが、先ほど申し上げた、塚田、わかっているなという趣旨の発言はございませんでした。私がそこは事実誤認で発言をしたということでございます。

山井委員 でも、事実誤認って、おっしゃっていないことをおっしゃったとおっしゃった。

 それで、続きに、これは総理と副総理の地元の事業だよ、俺が何で来たかわかるかと。私は物わかりがいい、すぐそんたくします、わかりましたと。総理とか副総理はそんなことは言えません、私はそんたくしました、この事業を再スタートするには国の調査を引き取らせていただくと、具体的にやりとりを説明されているんです。

 これは総理と副総理の地元の事業だよ、これは、吉田博美参議院幹事長は塚田副大臣におっしゃったんですか。

塚田副大臣 今委員がお読みになられました文脈の御発言は、吉田参議院議員はされておりません。私がそれを誤って、私の発言として、事実と違うことを発言いたしました。申しわけございません。

山井委員 いや、これはちょっとにわかに信じがたいんですけれども。

 そうしたら、根も葉もないことを選挙演説で塚田副大臣はおっしゃったということですか。根も葉もない作り話をつくり上げて選挙演説でおっしゃったということですか。

塚田副大臣 御要望をいただいたということは事実でございますが、そうした発言はなかったわけでございます。

 したがいまして、私が発言を誤って事実のように伝えてしまったということは、全て私の責任でございます。まことに申しわけございません。

山井委員 これはかなり具体的におっしゃったので、誤ったというふうに私たちはすんなりとは理解しないんですけれども。

 全ての国会議員が地元の公共事業のこととかさまざまな運動はしますが、当然、私たちの理解としては、与党、野党関係なく、優先順位が一番高い最優先の事業に調査費や予算がつくんだというふうに理解しているんですけれども、こういうふうに、参議院の自民党の幹事長が要請したからついたとか、総理と副総理の地元の事業だから私がそんたくしましたということを公の選挙演説で公式に言われると、これは本当に私たちも、ああそうですかとは言えないんです。

 そうしたら、吉田博美幹事長が要望されたからこの調査費、予算は今年度予算についたと理解してよろしいですか。

塚田副大臣 当該下関北九州道路につきましては、平成二十年より、福岡、山口県、北九州市などによって道路のルートや構造、整備手法について調査が実施されており、三月八日には下関北九州道路調査検討会が開催され、調査検討の取りまとめがされたと承知をしております。

 その調査結果を踏まえて、国土交通省の道路局におきまして、国としての個別路線の概略の構造やルートにかかわる調査を実施することの必要性が高いと判断し、関係省庁と協議の上で、直轄調査に着手することといたしました。そのように理解をしております。

 したがいまして、私がそんたくをしたという事実もございませんし、吉田幹事長の発言によってそれが決定したという事実もございません。申しわけございません。

山井委員 これはちょっと、発言されたのは吉田博美自民党参議院幹事長となっていますので、吉田幹事長の話も聞かないとだめだと思いますが、にわかに、根も葉もない話を塚田副大臣がおっしゃるとは、私たちはそう簡単には理解ができません。

 では、この道路が安倍総理と麻生副総理の地元の事業だという認識はありましたか、塚田副大臣。

塚田副大臣 先ほどの私の答弁におきまして、平成二十九年というところを二十年と申し上げたというふうに承知いたしております。まず、平成二十九年よりでございますので、訂正をさせていただきます。

 当該下関北九州道路に関連する地域が安倍総理、麻生副総理の御地元に関係があるということについては認識をしておりました。

山井委員 これは十一年前から凍結されているんですけれども、ということは、安倍総理の地元、麻生副総理の地元の事業だということと、凍結されていたのが今年度予算で解除されたということは関係していますか。

塚田副大臣 先ほど御答弁をいたしましたが、下関北九州道路調査検討会の開催をされた調査結果を踏まえまして国土交通省としてそれを判断したということで、安倍総理、麻生副総理の地元ということには関連性はございません。

山井委員 覆水盆に返らずというか、もう公の場で総理と副総理の地元の事業だからそんたくして予算をつけましたとまでおっしゃっているわけですから、今さら関係がありませんと言われても私たちは納得できませんし、昔、越智金融再生委員長が、結局、金融問題の検査について、検査の仕方がきついとかあったら、どんどん直接おっしゃってください、書類かなんか渡してもらったら、彼が私のところに来たら最大限考慮しますから、それはとおっしゃって、越智委員長も辞任をされているんです。

 やはり、公正公平であるべき政府なのに、そういうふうに大物の自民党の参議院幹事長とか、総理とか副総理の地元だからとか、そういうことで国民の大切な予算配分が決まっているとしたら、本当に、今年度の予算でも、漏れている大切な道路の予算とかはいっぱいあると思うんですよね、国民として納得できないし、ということは、今年度の予算というのは、道路とか、そんたく予算ですか。副大臣が総理や副総理のことをそんたくして、そんたくの予算を組んで、利益誘導の予算を組んで、そのことを選挙で言って票を集めてくる、そんなことは、私は、国民は許さないと思います。

 これは、塚田副大臣、うそでした、取り消しますでは、私たちは信用もできないし納得もできないし、今後、塚田副大臣がされる発言、される行為は色眼鏡で見られてしまうと思います。越智委員長は辞任をされました。

 国土交通省というのは災害対策も含めて非常に重要な役所で、国土交通行政というのは大切です。そういう意味では、うそのことを選挙応援で言って票を集めようとした、やはりこれは国土交通副大臣としては不適切だと思うんです。職を辞するべきだと思いますが、いかがですか。

塚田副大臣 私の事実と異なる発言によりまして行政の信頼性をゆがめることになりましたことについては、大変に申しわけなく思っております。

 昨日、菅官房長官、石井国土交通大臣に、私より、事実と異なる旨、撤回をさせていただき、謝罪をしたということを御報告いたしました。それぞれ、厳重注意を頂戴いたしまして、しっかりと説明責任を果たしていくように指示をいただいたところでございます。

 私は、このことを説明責任を果たすことによってしっかりと職務を全うしてまいりたい、そのように考えている次第であります。

山井委員 私がどうしても納得できないのは、そうしたら、塚田副大臣としては、選挙応援は、うそをついて、自分たちの力で予算をつけたとか、うその内容を作り話で言って選挙応援する、選挙演説するというのは、それはオーケーだと考えておられるんですか。

塚田副大臣 選挙応援において、いかなる場所においてでも事実と異なることを言うことは許されることではございません。したがいまして、そのことは本当に私自身反省をいたしておりますし、改めておわびを申し上げたいと思います。まことに申しわけありません。

山井委員 私は、逆にこれはうそじゃないんだと思いますよ。本当のことを塚田副大臣はおっしゃったんじゃないですか。

 これは、吉田博美参議院幹事長にも確かめないとだめですけれども、逆にこの発言が事実であって、それをまた事実と違うことを国会答弁したら、それこそ虚偽答弁になりますからね。

 改めて塚田副大臣にお聞きますが、四月一日におっしゃったことが本当だったんじゃないんですか。それを、みんなから怒られて大問題になったから事実と異なっていると言っているけれども、改めて、政府の一員として国会答弁の重みを考えて答弁いただきたい。本当のことをおっしゃったんじゃないんですか。いかがですか。

塚田副大臣 先ほども申し上げましたとおり、発言は、私が事実と異なる発言をしたということで間違いございません。吉田参議院議員に対しましても、誤った発言を私がしたことにより御迷惑をおかけしたというふうに思っております。申しわけございません。

山井委員 いや、本当に申しわけないんだけれども、ちょっと納得できないんですよ。何で作り話をされたんですか。理解できないんですよ。

 塚田副大臣、ちょっと表現が違うとかだったらいいけれども、全くこういう事実がなかったのに、大切な選挙応援演説でなぜ作り話をされたんですか。その理由をちょっと言っていただけませんか、理由を。

塚田副大臣 繰り返しになりますが、私が事実と異なる発言をしたということでございまして、それについてはおわびをするしかないと思っております。まことに申しわけございませんでした。

山井委員 一言、理由を言ってもらえませんか、なぜうそをついたのかという理由を。

塚田副大臣 当該会合の場において、私が本来発言できることではないことを申し上げたということでございます。大勢の皆様が集まる会の席でございましたので、私自身が我を忘れて誤った発言、事実とは違う発言をしたということで、まことに申しわけなく思っております。

山井委員 私も、けさまでは法案審議をするつもりでしたので、お聞きしたいことはありますけれども、塚田副大臣にはここでお引取りをいただきたいと思います。

 ただ、今、統一地方選挙の最中ですけれども、自民党や政府の方々がうそをついて選挙演説をして票を集めようとしているとしたら、私たちはそんなことは絶対許せませんから、そのことは強く言いたいと思います。

 改めまして、これだけうそをつき、また、恐らく本当だったんだと思いますが、こういうそんたくな予算を組んでいるわけですから、辞任をすべきだと申し上げます。

 それでは、お引き取りください。

 それで、こういうふうに何党がどうとかというのじゃなくて、与野党関係なく、政治あるいは予算のつくり方というのは、本当に、利益誘導とか特定の党とか、特定の者とか特定の大臣とか、そういう人の影響ではなくて、国民の利益最優先でやらねばと思っております。

 そういう中で、今回、失踪された外国人労働者の報告書が出てまいりました。

 その中で、配付資料をごらんいただきたいんですけれども。配付資料の中の十五ページを見ていただけますか。

 話を本題に戻しますが、思い出していただきたいんですが、昨年末、私たちは、二千八百枚の失踪された技能実習生の聴取票、それを手写しさせていただきました、二千八百枚。この委員会でもやりました。

 一番びっくりしたのは、七割以上の方々が最賃割れだったんですね。ここの記述によると、この方も、月額給与が十万円、最賃割れ、そういうふうなことになっていた。だから、その計算からいうと、今回、五千人調査をされた、七割が最賃割れだったんだから、三千五百人ぐらいが最賃割れの疑いだろうと思っていたら、何と、今回の調査結果では、たった五十八人なんですね、最賃割れ。これは最賃割れが確定じゃないですよ。疑いのあるものだけで五十八人しかいない。ということは、百分の一ぐらいなんです。最賃割れの疑いのものが、ほとんど最賃割れの疑いになっていないわけなんです。

 そこで、きょうは政府参考人にもお越しをいただいておりますが、これは、本人にちゃんと意見聴取したんですか。まさか、事業主の帳簿だけを見て最賃割れじゃなかったと判断したんじゃないでしょうね。

 私、先ほども、失踪実習生弁護団の共同代表である指宿弁護士や、移住連という外国人の方々を支援する団体の代表の鳥井さんと話をしていましたけれども、基本的には、どんな違法な案件でも、ほぼ全て、台帳は最賃割れにはなっていないんですよ。台帳にはちゃんと最賃以上となっているんですよ。それはそうに決まっているんです。それはもう当たり前なんですよ。常識なんですよ。

 まさか、台帳だけをチェックして、技能実習生本人の聞き取りもせずに最賃割れじゃなかったと判断したんじゃないでしょうね。本人への聞き取り、いかがでしたか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法務省でのプロジェクトチームの調査では、可能な限り賃金台帳やタイムカードといった客観的資料を入手して、実際に支払われた賃金の額などを調査したところでございます。

 その結果、今委員御指摘のとおり、三千五百六十人分の賃金台帳などを確認し、そのうち最低賃金以下の疑いを今回新たに認めたのが五十七人であったところです。

 ただ、それに加えまして、調査報告書にも書いてございますが、過去に聴取票に記載された方でまだ日本に残っていらっしゃる方、そのうちで連絡がとれる方、七十数名の方からは再度お話を聞いているところでございます。

山井委員 本人に聞かなくて帳簿だけ見たら、それはもう、帳簿上は正しいのは常識じゃないですか。当たり前じゃないですか。

 これは、ちゃんと残りの方々にも、本国に帰国された方も含めて、連絡をとって再調査をしていただけませんか。

 なぜならば、きょうの配付資料のラスト、二十二ページ、昨年の十二月五日の審議で根本厚労大臣はこう答弁されているんですね。二十一ページ、連絡がつく場合には遡及して未払い賃金を払う、それで、海外に送金するということまでおっしゃっているんです。それで、二十二ページを見ると、根本大臣は、法務省が徹底的に調査しますから、法務省で徹底した実態調査を行いますと。根本大臣は、今、法務省がしっかりとプロジェクトチームで徹底的に調査をしておりますと。徹底的に調査をしておりますと言いながら、当事者の人の話も聞かずに帳簿だけ見て、問題なかった。こんなのは調査になっていないじゃないですか。

 これは、もう一回、連絡先を調べて、ベトナム、中国、連絡がつく方には、書面や、弁護士さんに手伝ってもらったり、通訳に手伝ってもらったりして、やり直してもらえませんか。

 なぜならば、この調査の目的は被害者の救済なんでしょう。野党の書き写した聴取票では七割以上が最賃割れ、あるいは残業代未払いだったにもかかわらず、調査したら、ほとんどそういう人はいませんでした。これだったら調査になっていないじゃないですか。

 やはり、帰国された方の連絡先を見つけて、その方々にも、どうですかということを確認していただけませんか。いかがですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 技能実習生の帰国後の連絡先につきましては、一般に、入手法等、関係法令上はこれを把握することが求められているものではございませんので、当庁として把握しているものではございません。

 今回の調査は、受入れ機関における不正行為の有無を明らかにする目的で入管法等に基づいて実施した調査である上、その調査の結果によりましては、技能実習法令上の不正行為の認定につながる、あるいは労働関係法令違反等による刑事手続の対象となる可能性もございます。

 このため、御指摘のような帰国後の元実習生に対する調査を行うこととした場合、相手国の主権の侵害ともとられ得ないことから、そのような調査を実施することについては慎重な検討が必要と考えております。

山井委員 何を言っているんですか。賃金未払いで、日本の国が違法行為をして、払うべきお金を払わずに本国に帰しておいて、調査しない、ヒアリングしないというのは、余りにも無責任です。全く調査になっていませんよ、これでは。

 根本大臣、昨年十二月五日のときに法務省が徹底した調査をやると言ったけれども、やっていないじゃないですか、全然。おまけに、これは、聞くところによると、事前にこれから行きますよといって連絡した上で行っている。そんなことを事前にしたら、帳簿をきっちりそろえるに決まっているじゃないですか。だから、全くこれは調査になっていないんです。

 根本大臣、十二月五日も、帰国した方にも送金して、連絡先がわかれば支払うとおっしゃっているんですから、私は十二月五日もここできつく言ったと思いますよ、最終責任者は根本大臣、そう言って二千八百人の聴取票をこの場でお渡ししましたよね、法務省がやらないのであれば、最賃割れの被害を救済する最終責任は根本大臣だと思います。

 厚生労働省として、私がお渡しした二千八百人のこの徴取票、これは労基法違反、最賃割れの端緒であるわけですから、疑いがある人が数千人分の資料をお渡ししたわけですから、法務省が万一やらないのであれば、厚生労働省、労基署が乗り出してしっかりとヒアリングして調査して支払うべきじゃないですか、いかがですか。

根本国務大臣 この聞き取り票は法務省がつくって、そして、聞き取り票の内容をベースに法務省において、これは出入国管理機関ですから、この出入国管理機関等で事実関係を調査していただく必要があったために、法務省のプロジェクトチームで実態調査が行われているものと承知をしております。

 やはりこれは、法務省がこの失踪聞き取り票を作成して、その上でプロジェクトチームで調査をしたわけですから、私は、基本的には法務省がしっかりと調査をしていただいて、その上で、我々、労働基準関係法令に違反する疑いのある事案、要は、法務省のプロジェクトチームが行った実態調査の結果、失踪した技能実習生について労働関係法に違反する疑いがある事実については、出入国管理機関等から都道府県労働局に通報されて、そして我々はそれを受けて対応するのが私は筋だと思います。

山井委員 全く無法地帯じゃないですか。あれだけの議論を経て大問題になって、調べてみたら、最賃割れも労基法違反もほとんど摘発もできない。大問題だと思います。

 おまけに、きょうも持ってきましたが、私たちが二千八百枚、これを書き写したけれども、それを情報開示請求したら、二千八百枚、真っ黒じゃないですか、これは。新制度になって状況は改善しているというけれども、こういう実態、無法地帯が、外国人だからといって、最賃割れだと訴えても、ろくな調査もされない。人権侵害です、これは。外国人差別ですよ。

 そういう意味では、新制度になってこういう被害が減ったというのであれば、今後も、最新の新制度になってからのこの徴取票を、法務省、公表してください。それで本当に改善しているのかチェックさせてください。いかがですか。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のそもそも徴取票につきましては、入管法に違反して資格外活動等を行った失踪実習生から任意に聴取した情報を記載したものでございます。その聴取は、内容の公開を前提として行われてはおりません。その記載内容は、失踪者本人などの個人に関する情報そのものでございます。

 したがって、聴取票の記載内容を広く開示することについては、自己が供述した内容が他人に知られるということが周知され、今後、調査や捜査への協力を得られなくなる可能性があるほか、個人の特定につながったり、失踪者本人のプライバシー等が損なわれるおそれもあるといった重大な問題があります。

 そのため、聴取票は、本来、閲覧や公開には応じられない性質の文書と考えております。

山井委員 何を言っているんですか。そういう議論を乗り越えて、でも、これを公表しないと実態がわからないということで公表させたんじゃないですか。今さら何を去年の十一月までさかのぼっているんですか、話を。これは当然公表せねばなりません。強く言います。

 きょう、前半、ほかの質問をしたので時間がなくなりましたので、ちょっと十一ページに移ります。

 今回の法案は介護予防のこととかも関係しておりますので、この四月一日に新たな告示が介護について出ましたので、一問、介護の質問をします。

 十一ページにありますように、十月から二千億円の財源で介護職員、さらに、障害者福祉職員の処遇改善ということになったと思います。

 この件は何回も私も根本大臣に質問しましたが、今回のこの処遇改善の中で、従来とは違って、事業所の裁量によって介護職員以外の一般職員の賃金引上げも可能になったという理解でよろしいですか。私はかねてからそれを要望しておりましたから。それとともに、このように一般の職員の賃上げも、事業所の判断で賃金引上げを十月からできる、これは、介護職員のみならず、障害者福祉職員においても同様でしょうか。そして、引き続き更に、今回の賃上げは低いですから、もっと引き上げるべきだと思いますが、根本大臣、いかがですか。

根本国務大臣 今回の介護職員の処遇改善、これは、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指して、経験、技能のある介護職員に重点化をしました。あくまで介護職員のさらなる処遇改善を行う趣旨であります。そして、介護職員以外の職員についても、その趣旨を損なわない程度において処遇改善を行う柔軟な運用を認めることといたしました。

 そして、要は、障害者福祉サービス事業所においても、介護事業所と同様に、障害福祉人材以外の職員に対しても処遇改善加算を充てて賃金改善を行うことが可能であります。

山井委員 次は、四月一日から高度プロフェッショナルが導入されました。配付資料一ページにあります。この四月二日時点で、高プロは幾つの事業所、何人に適用されているのか。さらに、もしまだわかっていないのであれば、この一ページにありますように六カ月以内に状況報告することになっておりますので、状況報告がされたら、幾つの企業、何人に適用されたかということを公表すべきだと思いますが、いかがですか、質問通告してありますので。

根本国務大臣 高度プロフェッショナル制度を導入する場合には、労働基準法に基づいて、労使委員会による決議をし、高度プロフェッショナル制度に関する決議届を所轄の労働基準監督署に届け出ることが必要であります。その意味で、当該労働基準監督署においては、決議届の件数を把握しております。

 そして、制度の導入事業所数などについては今後取りまとめて把握する予定でありますが、現時点においては、制度の運用が開始されたばかりであり、取りまとめの時期、公表の内容等については今後検討していきたいと思います。

山井委員 過労死を招くと大きな批判があったわけですから、早急に公表していただきたいと思います。

 それともう一問、先週金曜日、実質賃金検討会の中間報告が出ました。この配付資料にも入れてありますように、今公表されている実質賃金は昨年プラスでしたけれども、多くのエコノミストは、共通事業所、同じ事業所で比べたらマイナスではないかという批判が出ておりまして、私たちもそう思います。しかし、中間整理案ではこれを当面公表しないとなっているんですけれども、統計委員会にこの中間整理案は報告したんですか。

 なぜならば、先週金曜日の議論の中でも、総務省統計委員会が共通事業所系列を景気指標としての伸び率として重視すべきと言っているのに、その考え方に関して異を唱えるような発言がたくさん出て、統計委員会の共通事業所の伸び率を重視するという見解と、実質賃金検討会の意見が異なっているんですね。

 ついては、この中間整理について、統計委員会にいつ報告したのか、そして統計委員会はどう言っているのか、あるいは、今後、いつ報告するのか、そしていつまでに実質賃金を公表するのか、お答えください。

根本国務大臣 三月二十九日に中間整理が取りまとめられました。私も山井議員とは随分議論をさせていただいて、そして、この共通事業所をめぐるさまざまな統計的な観点からの課題、問題があるということが指摘されている。その辺の課題、問題があるということは中間的整理において具体的に指摘をされております。

 そして、三月六日の統計委員会では、検討会の資料をベースに共通事業所の賃金の実質化について検討を行っている旨を説明し、西村委員長から、統計委員会としては何らの議論をする予定はないと言われているところであります。

 今後とも、必要に応じ、統計委員会への説明なども検討していきたいと思いますが、この中間整理について今さまざまな課題、問題が指摘されておりますので、これからもこの検討会でさまざまな課題そして論点を煮詰めて、今いろいろと検討会でさらなる詰めをやっていっているところでありますので、その検討会の結果を待ちたいと思っております。

山井委員 時間が来ましたので終わりますが、早急に中間整理について統計委員会に報告していただくとともに、この健康保険法の改正の一つの大きなポイントは外国人労働者の医療や人権の問題でありますが、その大前提となる人権侵害の実態に関して法務省は全くずさんな調査だということは強く抗議して、終わります。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、健康保険法の改正ということで、健康保険についてさまざまな角度から議論したいと思います。

 まず確認をしておきたいんですけれども、きょうは介護の分野でもちょっと聞いておきたいと思いますけれども、介護の分野で、介護予防とその後の介護に必要な費用について、介護予防の結果、介護に係る費用が改善した、こういうエビデンスは現時点であるんでしょうか。

大島政府参考人 現時点で明確なエビデンスはないと承知していますが、ただ、今、各市町村で通いの場を相当たくさんつくっておりまして、そういったところにたくさん高齢者が集まっている自治体では要介護認定率が落ちているといったデータが出始めています。これが介護費用にどこまでどう結びつくかとか、あるいは、正確な研究調査でやっているわけではございませんので、そういう可能性が示唆されているということはあり得るかもしれませんが、先生の御指摘のようなエビデンスという意味では、現時点ではないと言った方が正しいかと思います。

岡本(充)委員 これからエビデンスをきちっと研究事業として集めていく、そういうつもりがあるという理解でいいですか。今、現時点ではないけれども、きちっとしたエビデンスを得るための研究を行う、そういう理解でいいですか。

大島政府参考人 今委員御指摘のように、基本的には、各介護サービスによって利用者の方の日常生活動作などの状態の改善効果がどのくらい得られているかということにつきまして、情報を十分に今収集できていない状況にございます。

 こうしたことから、こうした状態改善の効果が科学的に裏づけられた介護サービスへと結びつくような方法論を確立、普及していくための検討会を今やっております。現在、具体的に収集すべき項目や分析方法について議論しているところでございます。

岡本(充)委員 研究会、後ほど言いますけれども、いろいろな方法で研究のあり方はあるんでしょうけれども、きちっとしたエビデンスとなるためには、やはりいろいろな議論にたえ得る研究じゃなきゃいけないと思います。

 そういう意味で、きょうは保険局長に来ていただいていますが、では、健康保険の分野で、さまざまな予防とその後の医療費に適正化効果があった、医療費の抑制効果があったというエビデンスはどういうもので得られているか、御説明をいただきたいと思います。

樽見政府参考人 特定保健指導の医療費適正化効果ということで、平成二十八年三月に、公衆衛生や医学、経済学の専門家の方々に御協力いただきまして、レセプトデータと特定健診等データを突合し、特定保健指導を受けた方と受けていない方の五年間の経年データというものを分析した。

 この分析におきまして、特定保健指導を受けた方は、受けていない方に比べて糖尿病等、糖尿病、高血圧症、脂質異常症ということでございますけれども、そうした生活習慣病に係ります外来医療費が年平均で約六千円下回るといった効果が確認をされているというところでございます。

岡本(充)委員 私がお配りしている資料の七ページのところなんだと思いますけれども。これは、ぎりぎりやっていって、本当に科学的根拠があると言い切っていいですか。大丈夫ですか、局長。ちゃんと答弁してください。科学的根拠があると言い切っていいですか。

樽見政府参考人 おのずと、一定の範囲のレセプトの分析でありますし、一定の期間のものでございますので、そうした限界はあるというふうに思いますけれども、専門家の方々に御協力をいただいてこうした分析を行った結果としてはこういう数字が出ているということでございます。

岡本(充)委員 違うんです。はっきり言ってください。特定保健指導が医療費の抑制に効果があった科学的エビデンスとして、厚生労働省として、これが科学的な議論にたえ得るそういう研究内容だ、こう言い切れますかというふうに聞いているんです。言い切れるんですか、どうですか。

樽見政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、まさに、一定の前提、一定の範囲での研究ということでございますけれども、専門家の方々に御協力いただいて分析をした結果ということでございますので、そうした意味のある数字であろうというふうに思っています。

岡本(充)委員 何で私がこんなにしつこくこれを聞いているか。それでもまだ答えてくれない。

 これは科学的に根拠のある数字なんですかと聞いているんです。一定の範囲でとか言っていますけれども、これはどんな研究でも一定の範囲ですよ。科学的なデータとして、エビデンスとして、これをもとに医療費適正化効果があったと厚生労働省は考えているんですか。それとも、これにはデータの出し方、対象に問題があって、必ずしもそうした科学的なエビデンスとはなり得ない、その可能性を否定しないんですか。どちらですか、はっきり言ってください。

樽見政府参考人 まさに、そういう意味でいいますと、医療費の適正化に関して特定健診・保健指導というものについて効果があるというデータであるというふうに思っています。

岡本(充)委員 では、大臣に聞きます。

 生活習慣病というのは、がんが入りますか、入りませんか。

根本国務大臣 今、突然の御指摘なので。

 要は、生活習慣からいろいろな疾病が起こる、それは岡本議員の方が詳しいと思いますけれども。生活習慣病自体ががんかというお尋ねだとすれば、生活習慣によってがんとかいろいろな疾病があらわれるということだと思います。

岡本(充)委員 がんは生活習慣病に入るんですか、入らないんですか。

根本国務大臣 生活習慣からいろいろな疾病が出る、その意味では、要は、生活習慣からくる疾病にがんは入ると思います。

岡本(充)委員 そうすると、特定保健指導の対象はがんも入るんですね。

根本国務大臣 この適正化効果の研究……(岡本(充)委員「違う、それは聞いていません。委員長、もう一回」と呼ぶ)

冨岡委員長 では、もう一度質問を。

岡本(充)委員 特定保健指導の対象にがんは入るんですか。

根本国務大臣 特定保健指導の対象にはがんは入りません。

岡本(充)委員 そうすると、喫煙をしている方に対して特定保健指導は禁煙を勧めない、こういう理解でいいですか。大臣に聞いているんです、基本的なことですから。

根本国務大臣 いやいや、基本的なことでも、大臣だからちゃんと答えないといけないんですよね。

 特定保健指導においては、喫煙者に対しては禁煙指導を行っております。

岡本(充)委員 がんが対象にならないのに禁煙指導を行う、その理由は何ですか。整理してください。整理していないよ。時間がかかるから、委員長、とめて、整理してください。

冨岡委員長 では、ちょっと時間をとめて。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

根本国務大臣 がんの最大の危険因子である喫煙、これは将来がんになる可能性がありますので、特定保健指導において喫煙者に対しては禁煙指導を行う、こういうことであります。

岡本(充)委員 先ほど大臣は、特定保健指導にがんは入らないと言われたんですよ。がんは入らないのに喫煙指導をする。何で喫煙指導をするんですかと言ったら、がんにならないために保健指導をする。合っていないじゃないですか、答弁が。きちっと整理してください。

根本国務大臣 がん検診自体が対象になっているということではありません。

岡本(充)委員 違う。がん検診じゃない。私は、特定保健指導ががんになることを予防するために行われているのかと聞いたわけですよ。対象になっているんですかと聞いたら、なっていないと言ったじゃないですか、先ほど。では、訂正されるんですか。整理してください、どこが対象でどうなのか。

根本国務大臣 がんになる可能性があるから、特定保健指導において禁煙指導を行っているということであります。(岡本(充)委員「ちょっと、基本的なことなんだから、そこから話を進めたいんだから。とめて、ちょっと整理してくださいよ」と呼ぶ)

冨岡委員長 では、ちょっととめて。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こして。

根本国務大臣 がん検診自体は特定保健指導には入りませんが、ただ、将来がんになる可能性がある喫煙者に対しては禁煙指導を行う。要は、がん検診自体は特定保健指導には入らない、こういう整理であります。

岡本(充)委員 大臣、もう次に進めた方がいいんじゃないかというフロアからの声もありますから。だから、生活習慣病にがんは入るんでしょう。したがって、特定保健指導でがんを予防するための保健指導も行う、そういう理解でいいですよね。そう聞いているんですから、それはイエスかどうか。

根本国務大臣 それはイエスです。

岡本(充)委員 こう答えてほしいわけですよね、最初から。大臣、お願いします。

 その上で、だから聞きたいんです。今回のこのデータは、なぜか生活習慣病からがんを外している、なおかつ、最初からレセプトに記載がある、つまりは発症している人のみ対象にしている、それは事実ですね。

樽見政府参考人 事実でございます。

岡本(充)委員 もっと言うと、検査データがよくわからない人も対象にしている、これは事実ですね。

樽見政府参考人 恐縮でございます。検査データがよくわからない人というところのちょっと意味が、やや受け取りかねておるのでございます。

岡本(充)委員 検査結果が、数字が明らかでない人を対象にしている、はっきり検査の結果の有無がわかる人以外を対象にしている、これは事実ですね。

樽見政府参考人 検査値の分析では、検査値を確認できる者のみを対象とし、特定健診で検査項目に欠損値があった者は分析から除外をしたという整理になってございます。

岡本(充)委員 とすると、じゃ、ここのところの書きぶりは一体どういう理解なのかということをちょっと聞きたいんですけれども、その前に、なぜがんを外したのか、まず聞きます。

 生活習慣病という意味ではがんが入る、そして保健指導の目的としてはがんを減らすことが入っているにもかかわらず、あえてがんを抜いて、そしてなおかつ発症している者のみ。つまり、未然に防ぐというのが特定健診の大きな目的なはずであります。そういう意味では、なぜこれを除いた者のみを集めて効果があるということをしているのか。つまり、効果がありそうなところだけ選んでいるんじゃないか、恣意的に対象者を選んでいるんじゃないかと言われちゃいますよ。なぜ全員を対象にしなかったんですか。

 もっと言えば、これは八〇%の確率でレセプトと突合できる者全員を本当にスタートは対象にしているんですか。そこを確認したいです。

樽見政府参考人 まず、がんについてなぜ除外をしているのかということでございます。

 これは、先ほど申し上げましたとおり、専門家の方々の医療費適正効果の検証のためのワーキンググループというところでの御議論を踏まえて分析を行っているわけでございますけれども、そこの御議論の中で、がんというのは保険診療費が高額となる、特定健診や保健指導は内臓脂肪の蓄積に起因する生活習慣病の発症や重症化の予防ということがスタートでございますけれども、がんについては、がんというだけで保険診療費が高額となって、がんのレセプトを含んで分析をしますと、一人のがんのレセプトの発生というのがグループ全体の外来医療費の平均値に大きな影響を及ぼす。したがって、内臓脂肪の蓄積に起因する生活習慣病の発症、重症化予防という観点からすると、がんというのが一人発生して大きな影響が出る、そういう要素については除外をして検討するのが適切であるという御議論であったということでございます。

岡本(充)委員 そもそも概要版には、こういう注釈が出ているんです。「一人当たり入院外医療費及び外来受診率の分析は、検査値の確認できる者のみを対象とした分析と、検査値の有無に関わらず、平成二十年度の特定保健指導の参加者と不参加者を対象とした分析の二つを行った(この概要に示している分析結果は後者である)。」こう書いています。

 検査値の有無にかかわらず検討したんじゃないんですか、概要版は。違うんですか。

冨岡委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

樽見政府参考人 まさに今、注のところ、先生おっしゃったとおりでございます。

 この分析結果は、特定保健指導の参加者と不参加者を対象として、参加している人、不参加の人ということを比べているという分析をやっているという意味でございます。

岡本(充)委員 さっき、検査値の欠損があったら外していると言ったじゃないですか。検査値の有無にかかわらずこれは解析しているんでしょう。ここにそう書いてあるじゃないですか。言っていることと違うじゃないですか。

冨岡委員長 とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こして。

 樽見保険局長。

樽見政府参考人 恐縮でございます。先ほど申し上げましたのは、検査値の分析における注で、欠損値があった者は分析から除外したというふうに書いてあるということでございます。

 今御指摘の、一人当たりの医療費とか受診率の分析というものについては、検査値の有無にかかわらず、参加者と不参加者を対象とした分析の二つを行ったということが書いてあるということでございます。

 恐縮でございます。検査値の分析というところと医療費の分析というところがそれぞれ違いますので、そういう意味でいいますと、私先ほど、検査値の分析というところを読んでしまいましたので、そういう点では、先ほど私が申し上げたのは、今先生おっしゃっている文脈でいうとちょっと違うところの注を読んでしまったということかなというふうに思います。そこはおわび申し上げます。

岡本(充)委員 きょうは時間が限られていますから、次回たっぷりこれをやろうかと思っていますけれども、これは本当に医療費が軽減しているというエビデンスだと言えるのか。

 先ほども言いましたけれども、内臓脂肪の蓄積にかかわる生活習慣病に限ってなんという言葉はタイトルに載っていないんですよ。生活習慣病の改善にどう影響があったかということでしょう。だとしたら、がんも含まなきゃいけないじゃないですか。わざわざがんを除いて、そしてなおかつ、今お話をしましたように、検査値がない者も含めて解析を行う。

 もっと言えば、そもそもスタートが、当時病気がある人だけを選んでいる。病気がない人がどうだったかまで見ていない。トータルで見たときに本当に効果があるかということを見なきゃいけないのに、ある一部だけ抽出をして、その一部に効果があったから全体にも効果があるといってやろうというのは、これはエビデンスとしては不十分じゃないかということを言っているんです。

 来週もやるのか、一度ここで、整理をするためにこれをもう一度分析し直すということでお答えいただくのか、はっきりしてください。これでもまだあるというのなら、来週にまたみっちりやりたいと思います。

 大臣、どうですか。大臣ですよ、大臣。役所が答えられないんだから大臣ですよ。これはおかしいと言っているんですから、ぜひ、もう一回ちょっと検討して出し直させますと。うちにもう一度相談に来てくれたら、もう一回話をしますよ。来週みっちりここでやりたいか、うちの事務所でもう一回先にやるか。

根本国務大臣 この特定保健指導の医療費適正化効果の検討、これは岡本議員が国会でいろいろ御指摘があって、それもあってこれをやったというふうに私は理解をしておりますが、この内容については、事務方が答弁できないのは私が政治判断でというのもやはり変なんですね。事実は何かということを理解した上でやはり答弁しないと、これは余り責任を持った答弁になりませんので。

 今、委員からもいろいろな御指摘がありました。やはり大事なのは、特定健診の検査値における改善効果、この研究会報告についても、今いろいろと委員からの御指摘もありました。その御指摘も踏まえて、この改善効果については今後とも検討していきたいと思います。

岡本(充)委員 つまり、これは改善効果があったエビデンスだと今押し切るつもりはない、こういう理解でいいですね。もう一回ちょっとこれは、いや、おっしゃるとおり、これが一番最初にスタートしたのは、私がそちら側に座っていたときにスタートしようと言ってやり始めたんです。でも、途中のデザインから何か変になってきて、これではちょっと比較ができないと思いますよ。そういう意味で、もう一回やるべきだ、やり方なりデータの解析をするべきだ、こう言っているわけです。

 もう一回ちょっと検討するべきだと思います。どうですか。

根本国務大臣 これはこれで、要は専門家にやっていただいたものだと思います。ただ、これが全てということではありませんので、これからも特定健診の検査値における改善効果、これは、今委員の御指摘があったようなことを含めて更に検討していきたいと思います。

岡本(充)委員 これは医療費適正化のエビデンスだといって、もう大上段に構えて国会で説明したりすることは避けた方がいいですよ。今お話をしたように、ぎりぎりやるのなら、どこがおかしいか、また次回もやりますけれども。内容とか、あるデータをきちっともう一回整理し直すべきですよ。それで、何を出すか見るべきです。

 そういう意味で、それを政治判断できるのは大臣だけですよ、それは。役所としてはそれ以上できないんですから。だから大臣に政治判断を求めているんです。大臣、政治判断。ぜひこれは、きちっとどういうのがいいのか考えて、もう一回、堂々と出せるデータをつくるべきですよ。

 私は、つくった方がいいと言っているんです。医療費適正化をやるべきなんです。これでは弱いと言っているんです。応援しているんですよ、大臣。にもかかわらず、やらないという選択肢はないと思います。どうですか。

根本国務大臣 私も、やらないと言っていませんから。これだけで決める問題ではないので、きちんとしたエビデンスのもとに、どれだけ改善効果があるか、これはやはり私も大事なテーマだと思いますから、これはこの報告書だけで判断するわけではありませんので、さまざま更に検討をしていきたいと思います。

岡本(充)委員 大分時間がかかって会計検査院に来ていただきました。きょうは、会計検査院から重要な指摘があったことをちょっと御報告して答弁いただこうと思っていましたけれども、時間がないので。

 大臣、これは国民健康保険のコンピューターの運営に問題があった、そういう指摘であったと思います。被用者健保についても同様に、査定のあり方について適正に行われているのか、厚生労働省みずから調査するべきだと思います。きちっと調査していただけますか。

根本国務大臣 審査支払い機関が行うレセプト審査、これは、コンピューターチェックを効果的に実施することによって審査の精緻化や審査事務コストの低減などが見込まれているので、国民負担の軽減の観点からも重要な課題だと認識しています。

 現在、国保連合会においては、審査の精緻化に向けて、統一的なコンピューターチェックルールの設定などについて検討中であります。御指摘についても、どのような対応が可能か、国保連合会、支払基金の意見も伺いながら検討を進めていきたいと思います。

岡本(充)委員 では、よろしくお願いします。

 終わります。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに、法律事項ではありませんが、ことし十月から後期高齢者の保険料について軽減特例が本則に戻されます。午前も質問がありましたけれども、確認をさせていただきます。これにより、現在最も所得の低い年金収入が年額八十万円未満の方がどのくらいの負担増になるのか、お答えください。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、年金収入が年額八十万円以下の方につきましては、保険料均等割が本則では七割軽減であるところを九割軽減というふうにされてきておりまして、そうした方の保険料は全国平均で見ると月額三百八十円程度、年額四千五百十円程度ということでございました。

 ことしの十月から低所得者に対する介護保険料の軽減強化や年金生活者支援給付金の支給が開始されることとあわせまして、後期高齢者医療の保険料均等割の軽減特例について見直し、これまで特例的に上乗せされていた二割分の国庫補助、七割軽減を九割軽減していた二割分の国庫補助を廃止することとしているところでありまして、これが三十一年度予算に盛り込まれたところでございます。

 十月から二割分廃止ということは、年間で見ますと一割相当に当たるものでありますことから、今年度を通して見れば保険料均等割を八割軽減にしているのと同じということでございます。ですので、今年度、月額平均では約三百七十円増の七百五十円程度、年額で四千五百十円増の九千二十円程度となるということでございます。

 ただ、先ほど申し上げたように、一方で、介護保険料が更に軽減されるということで、介護保険料は月額平均で約四百四十円軽減される、また、十月からは月額五千円を基準とする年金生活者支援給付金が対象者の方々には支給をされるということになるわけでございます。

高橋(千)委員 先ほども大臣が同じようなことを言ったんですけれども、今九割軽減になっていて月額が三百八十円である、それが、十月から七割に戻るんだけれども、半年だから一年にならせば七百五十円だ。そういう計算というのは、意味がないんじゃありませんか。現実には、三百八十円の方が一月で見れば三倍になる、これは間違いないですね。

橋本委員長代理 恐れ入ります。速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

冨岡委員長 速記を起こして。

 高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 先ほど、年額八十万未満の収入の方は、今九割軽減していて月額三百八十円だ、それが、十月から七割という本則に戻るので七百五十円だというふうなことをおっしゃったんだけれども、年にならしてという考え方というのは、やはり被保険者から見たら関係ない話であって、三百八十円の方が三倍になるということは間違いないと思います。そこだけは確認させてください。

樽見政府参考人 予算の中で、十月以降、低所得者に対する均等割の特例を廃止するということになっているわけでございますが、結局、半年分そういう形でこの二割のところがなくなるということなので、これを、全国の後期高齢者広域連合におきまして、こういう予算に基づいて保険料を賦課するということになるわけであります。

 そうすると、これは、年度を通して見れば、保険料均等割を八割軽減にしたというのと同じだけお金がついているということでございますので、後期高齢者広域連合の方で保険料を賦課するやり方を全国平均で金額に直しますと、全国で八割軽減というふうにしたのと同じで、月額平均では三百八十円が七百五十円程度になるということでございます。

高橋(千)委員 今の答弁はおかしいです。

 何で過去にさかのぼって、一年にならせばそうだと言うんですか。私は、被保険者から見て、自分の負担がどうなるかということを聞いているんです。一月三百八十円払っていた方が三倍になる、それ自体は事実じゃありませんか。

樽見政府参考人 政府の予算で十月からそういうふうになっているということだと思いますが、これに基づいて、後期高齢者広域連合で保険料を各条例で決めるわけでございます。そのときに、保険料を各広域連合が条例で決めるのがどういうふうになっているかというと、平均いたしますと、さっき申し上げたように七百五十円程度というふうになっているということです。

高橋(千)委員 統計不正と同じですよ、こういうやり方は。

 払う人の立場に立って聞いているんです。払う人の立場になったら三倍になるということに違いがないじゃないですか。予算を出す人はならしたら八割だと、そんなの問題じゃないんですよ。そうじゃないですか。

 大臣、わかるでしょう、私の言っている意味。

樽見政府参考人 恐縮でございますが、まさに被保険者の方がどれだけ払うかということで計算いたしたものが、これまでが月額三百八十円程度だったものが今年度は七百五十円程度になるということでございますので、まさに、払う被保険者の方が幾ら払うのか、これは、恐縮です、繰り返しになりますが、広域連合が条例で保険料を決めるわけです。そこにそういうふうに書かれるということでございます。

高橋(千)委員 半年分まとめて保険料を払うんじゃないんですよ。当たり前じゃないですか。年金から天引きされているわけでしょう、その中には天引きじゃない方も入っていますけれども。それを、一年にならしたら七百五十円で済むんだと、そんなばかなことを言っちゃだめですよ。絶対認められません。

 資料の一枚目を見てください。

 これ自体も全くのごまかしなんです。これを低所得者に対する介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施することにすると。あわせて実施というこの描き方がおかしいんです。

 緑の丸の中を見てください。まず介護保険料の軽減、それから年金給付金、この二つとも消費税財源なわけですよね。つまり、増税による負担増を書いていない。こっちには負担増がどのくらいかは書いていないわけです。

 総理は何度も、消費税増税で低所得者に負担増ではないかと聞かれたときに、年金給付金があると答えたじゃありませんか。そうすると、増税の負担増に対する年金給付金でそこはもう相殺されているんですよ。またここで、高齢者の保険料がもとに戻ったとしてもここでいきますよなんて、そんなばかな話はありません。

 まして、給付金は、保険料を四十年間丸々払ってもらえる額であり、全員がもらえるわけではありません。それはもうわかったことだと思います。

 何より、年金がことし、〇・一%増にとどまりました。物価との関係でいえば、実質〇・九%減、年八十万円の年金の方は七千二百円も減になるわけです。

 こういう何か数字のまやかしで、いかにもつじつまはとれていますよみたいな話じゃないんです。実態をちゃんと見て軽減策は当然維持しなければだめだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 今回の対応ですが、基本的には、平成二十八年十二月の社会保障制度改革推進本部で、均等割の軽減特例の見直しについては、低所得者に対する介護保険料軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給とあわせて実施すると、実はもう既にその時点で決定されております。

 そして、今回、消費税というのは、釈迦に説法ですが、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するものであります。

 そして、今回の低所得者の高齢者についても、今般の引上げによる消費税財源を活用して、低年金者への年金生活者支援給付金の創設や介護保険料のさらなる負担軽減という措置を講ずることによって支援の充実を図る。実は、もうこういう対応を今回させていただいて、そして本来の本則に戻させていただいた、こういうことであります。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

高橋(千)委員 だから、あっちにもこっちにも給付金があるからいいよという話だったらおかしいと言っているんです。数字の話ですよ。わかり切ったことじゃありませんか。

 毎年発表している全日本民医連の無保険などによる手おくれ事例は、過去最高の七十七件ありました。うち、後期高齢者短期保険証が五件もあったんです。

 七十代の男性は、ひとり暮らしで、月十万円の年金から家賃三万円、生活保護基準ぎりぎりでやりくりをしています。症状はあったものの医療費が払えないため我慢し続け、昨年、買物先で動けなくなり緊急搬送した。右上葉がんと診断をされて、もう手術とか化学療法が手おくれだったわけです。ただ、運ばれた先が民医連だったので、無料低額診療なわけですね。そこで初めてお金がなくてもちゃんと診てくれるんだと気づいた、もっと早く来ればよかったなと述べたそうです。でも、遅過ぎて、入院して二十六日目に亡くなりました。

 後期高齢者保険料は、年十八万円、月わずか一万五千円の年金からもいや応なしに天引きする仕組みであります。一万五千円未満の人は切符でみずから納めることになりますが、二〇一六年度の調べで、二十三万一千六人の滞納者がいて、うち二万四千二百三人には今言った短期被保険者証が出されているんです。二万四千ですよ。これが更にふえる。命さえも落とす人がふえるんじゃないですか。

 そのことを、ちゃんと実態を見て、負担増はやめるべきではありませんか。もう一度。

根本国務大臣 高齢者医療の保険料均等割の軽減特例、これは制度創設時の暫定的な特例措置によって本則の七割軽減に更に上乗せして軽減されていたものであります。

 繰り返しになりますが、今回、年金生活者支援給付金の支給や介護保険料の軽減強化といった低所得者の高齢者に対する支援の充実が行われることとあわせて、本来の七割軽減に戻すこととさせていただくものであります。

 毎年、現役世代の拠出金や公的負担がふえていること、あるいは国民健康保険制度においても保険料軽減幅は最大七割であることなども踏まえて、世代間や世代内の公平の観点等から見直しをお願いするものであり、御理解をいただきたいと思います。

高橋(千)委員 繰り返しませんが、要望します。ちゃんと大臣、調査なり受けとめていただきたいと思います。

 先ほど、本則はもともと約束されていたからという趣旨のことをおっしゃったと思うんです。だけれども、これはやはり本則に戻せない事情があったんですよ。高齢者の実態があったからこそ、また国民の反対の声があったからこそ、これまで維持してきたわけじゃありませんか。

 しかも、後期高齢者医療制度が始まったときは年金カット法なんてなかったんです。マクロ経済スライドをキャリーオーバーしてためていってばっさり削るとか、これから先は賃金スライドも始まるわけですよね。全く状況が違います。

 そういうこともちゃんと見きわめて、払えない実態の中で後期高齢者が命を縮める事態になっているんだということをきちんと認めていただきたい。そのことを重ねて指摘をして、次に行きたいと思います。

 法案の中身に入ります。

 これは資料の二枚目にポンチ絵がありますけれども、オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金、三百億を創設しますが、なぜこの財源が消費税なんでしょうか。

樽見政府参考人 医療情報化支援基金、オンライン資格確認の導入のための医療機関等のシステム整備、それから、電子カルテの標準化に向けた医療機関電子カルテシステム等の導入というものを支援するものということでございまして、こうした医療機関等におけるシステムの整備等を通じて効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するものでございます。

 消費税法の中で、消費税の使途として、「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」ということでございまして、まさに社会保障給付に要する経費に使うということにされている消費税の収入というものにふさわしいものであるというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 それを言ってしまったら、年金、医療に関係したら何でも消費税で入るよ、そうしたら消費税は全然足りないよ、そういう議論になっていくんですよ。全然おかしいと思います。だって、そもそもオンライン資格確認の導入は、保険医療機関の任意の選択なわけですよね。全体をどうしてもやらなきゃいけないということを言っていないのに、なぜ財源が消費税なのかということがまずわかりません。

 それで、逆に言うと、もしかしてこれは、今マイナンバーカードの普及が、交付枚数一二・二%です、今後、今は被保険者証をそのまま使ってもいいよ、保険証を使ってもいいよ、マイナンバーカードでもいいよと言っているけれども、いずれ統一したいという意味なんでしょうか。

樽見政府参考人 午前中もちょっと申し上げたんですが、まさにマイナンバーカードの普及というのはまだまだという状況ではございますが、マイナンバーカードによる資格確認ということが広まっていきますといろいろメリットがある。

 御本人様も、マイナンバーカード一枚で受診ができる、あるいは高額医療の認定証というものを一々請求する必要がないとか、それから、医療機関にとっても保険者である健保組合等にとっても事務コストの軽減ということでメリットがあるということで、このオンライン資格確認のシステムが広がっていくといいというふうに思っているわけです。

 ただ一方で、先生おっしゃるとおり、保険証でもかかれるというふうにしておりますし、マイナンバーカードの普及ということも前提として必要であるというふうに思っているところでございまして、私どもとしては、まずはできる限り多くの医療機関等においてオンライン資格確認のシステムの整備が進むようにしていくということで、この制度の普及に取り組んでいきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 統一化するつもりはない、つもりはないと言うと、そうだとは言いにくいかもしれないけれども、統一化ではないということだと思います。

 一応確認ですけれども、オンライン資格情報で得られる情報というのは、保険者が変わった、勤務先が変わったりとかしたときに変わっていますよというのはすぐわかる、それはそうなんです。ただ、理論的に言うと、滞納情報、つまり本来であれば資格証明書が出ている状態ですよ、現金で払わなきゃいけないですよみたいなことがわかるようなシステムも可能なんですか。

樽見政府参考人 御指摘の滞納状況という情報については、提供することを予定しておりません。ただ、これは保険証のかわりといいますか、保険証に当たる情報の部分を電子的に提供するということでございますので、被保険者資格証明書あるいは短期被保険者証に記載されている資格情報というものは保険医療機関に提供する情報に入っているということでございます。

高橋(千)委員 最初はまず、おりませんということで否定をされました。ただ、保険医療機関としては情報として得ることができると。

 そうすると、やはり、今、保険者によって短期証を熱心に出しているところとそうじゃないところとかさまざまなことがあって、それを出すよりはカードでぱっとわかった方が簡単だなというところに進んだら困るなという問題意識を持って指摘をさせていただきました。理論上は可能だということであったので、それは極めて重大な活用方法である、今後、そういう検討はやめてほしいということを指摘しておきたい、このように思います。

 それで、少し時間の節約をしたいと思うんですけれども、支払基金について先ほどから議論がありました。資料の三枚目に「診療報酬の請求から審査支払までの流れ」というのをつけておいて、おさらいをします。ここを読むだけにしますけれども。

 審査支払い機関が扱う全国のレセプト受け付け件数というのは、支払基金でいうと月で九千百万件、年でいうと十一億件、国保連は八千六百万件、年でいうと十億件という膨大なデータを扱っている。それを、コンピューターによるチェックから職員のチェック、そして審査委員会、こういうふうな格好になるわけなんですけれども、ですから、非常に専門的な技術が職員には必要となっているということだと思います。

 それで、今回、全国四十七都道府県にある支部を廃止して、全国十カ所程度の審査事務センターに集約をすると言われています。私は、これはやめた方がいい、今のままの方がいいと思っているんですけれども、集約がうまくいくかということで実証テストを行った。それでどのような課題が明らかになったのか、お答えください。

神田参考人 お答えいたします。

 昨年の六月から十二月にかけまして、遠隔地で行います審査事務処理に伴う課題等を把握するために実証テストを実施したところでございます。その結果につきまして、職員及び審査委員から随時意見を聴取して課題を整理しておりますが、主な課題としては三点ございます。

 一点目は、審査の質を維持する上では審査委員と職員とが緊密な連携を図ることが重要でございますけれども、現在の審査支払いシステムでは審査委員と職員が同じレセプトを同時に見ることができなかったということから十分な連携がとれなかったという意見が、職員、審査委員の双方から出されております。また、紙のレセプトにつきましては、支部間で何回か送付、受取、その確認をする必要があったことから予想以上に時間がかかったということ。それから、集約支部に新たに勤務することとなった職員の通勤時間がふえたといった課題が把握できております。

 二〇二二年以降の集約に向けましては、今回の実証テストで明らかになった課題につきまして、審査委員、職員の声をよく聞きながら、課題の解消に向けて検討を進めていくこととしております。

高橋(千)委員 今御説明いただいた実証テストの実施内容、資料の4と5につけておきました。

 十の支部に対して三つの集約支部ということで宮城、福岡、大阪ですので、本当に限定的だというふうに言わせてもらいたいと思いますけれども、ただ、今いただいた三つの課題というのは結構やる前からわかっていたことかなという気はしますよね。

 宮城に集約して審査委員と職員が話合いをするときにサーバーが福島にそのままあったので議論が難しかったとか、紙レセプトを輸送しなきゃいけないので結構リスクがありますよねとか、それはやる前からわかっていたことかなと思います。一・何%といっても、紙レセプト百五十万とかそのくらいの結構な数でありますから、その処理なども議論になるのかなと思っております。

 それで、資料の六枚目に、全国の支払基金の職員数を出しておきました。四千二百八十人、臨時職員、常勤換算で百七十九人なんですが、手書きで書いておきました、男女比が四十九対五十一で、今、女性職員が多いですね。それだけの職場で八百人の定員削減を行う予定だと聞いております。

 そうすると、さっきやった実証テストでは、宮城に行った人は福島の人しかテストをまだ今回はしていないわけですよね。だけれども、私の感覚からいうと、じゃ、青森の人はとても通いは無理ですよね。そういうふうな意味ではサンプル数がとても少なかったと思うし、そういう限定的なテストでさえも通勤が困難であると認められた職員、例えば、本人が病気を持っていて通勤コースから病院が外れちゃったとか、配偶者や親の介護があるとか、子供さんを保育所に送り迎えしなきゃいけないんだけれどもそれがもう行けなくなっちゃったとか、そういう方たちだけで、テストだけで十五人の方が無理だというふうなことを言われているということを聞いています。

 そうすると、集約支部への転勤では働き続けられない人が出てくるんじゃないかと非常に心配しています。身分保障をどのように行うか、お答えください。

神田参考人 お答え申し上げます。

 今回の実証テストに当たりましては、ただいま先生御指摘ございましたような、本人の病気ですとか親の介護、子供の養育等の事情のある方は、そのまま、もとの支部で勤務していただくこととしたわけでございます。

 今後、集約を進めるに当たりましては、現在も年に一回は転勤調書といいまして転勤が可能かどうか、困難な事情があるかどうか、またそれはいつごろ解消するのかとか、希望する場合には、その理由ですとか、どこの支部に行きたいかというようなことを丁寧に聞くようにいたしておりますので、今後、集約に当たりましても、職員のさまざまな事情ですとか希望を十分聞いた上で、職員の不安を払拭できるように進めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、大事なことをおっしゃったと思うんですが、そういう事情のある方はもとの支部で働いてもらうんだと。結果としては、結局、異動に応えられなくてやめざるを得ないとか、そういうことがないということを保証できるということでよろしいでしょうか。

神田参考人 私どもの方からも、職員には支部長を通じまして今回の制度改正の中身等については説明をいたしておりますが、その一環といたしまして、支払基金の都合で、転勤できないからといって、一方的な解雇はしないという方針も伝えているところでございますので、職員の事情、意向を丁寧に聞き取りながら進めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 理事長、続けて質問したいと思います。

 資料の次のページなんですけれども、これは、支払基金が各自治体の独自の医療費助成事業の支払い審査業務を受託しているという状況の一覧表であります。三十五都道府県、千三百七十四市町村。

 皆さんがよく承知をしている乳幼児医療費とか、一人親家庭とか、重度心身障害者などの主要事業のほかに、右の方を見ていきますと、特定疾患ですとか、ウイルス性肝炎とか、川崎の小児ぜんそくとか、長崎の被爆体験者精神影響調査研究など、やはり自治体独自の特殊性というかそういうものがわかるわけですけれども、こういう独自の事業が支部の廃止によって受託できないということがあってはならないなと思うんですけれども、影響はないんでしょうか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

神田参考人 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘ございましたように、私どものところでは、乳幼児医療、一人親家庭医療、重度心身障害者の医療のほか、独自の地方単独事業につきましても受託をいたしておりまして、現在のところ、三十六都道府県で五千三百四十四事業の受託をしているところでございます。

 これは、医療機関にとりましても個別に地方公共団体に専用の書類をつくる必要がないということですとか、住民の方も窓口で医療費の支払いが要らなくなるあるいは負担が軽減される、それから、保険者にとりましても高額療養費の支払い事務が不要になるといったことがございます。

 また、私どものところで受託することによりまして、通常ですと請求どおりに支払っているものを審査をすることによりまして、内容に問題があるものについては審査をした上でお支払いするということにもつながっておりますので、今後とも、地方単独医療費の助成事業の受託の重要性を認識いたしまして、引き続きその受託に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 確認をさせていただきました。

 では、少し質問を飛ばしたいと思います。また戻ってこられたらいいなと思っているんですが、時間との競争でありますので。

 経産省にきょうは来ていただいております。公的保険外サービスの産業群をヘルスケア産業と呼びますけれども、この市場規模を、二〇一六年は約二十五兆、二〇二五年には約三十三兆円と推計をされました。

 資料の8にそのイメージ図があります。真ん中が公的医療保険、介護保険、この黄色い楕円形ですが、その外側に、ヘルスケア産業、いろいろな可能性がありまして、左側が健康保持、推進に働きかけるものとして、衣、食、住、睡眠、癒やしなどがあります。右側が、要支援、要介護者の生活を支援するもの、これがどんどん膨らむイメージなんですね。ただ、気になっているのは、この黄色い方が、公的なところが縮んでいくのかなというのが気になっているところではあるんですが。

 めくっていただきますと、九枚目の資料は、この一つ一つの産業の内訳を書いておりまして、例えば、わかりやすいところでいいますと、癒やしというのは何かというと、エステとかリラクゼーションサービスが四千億円の市場だけれども五千二百億円になるであろうと。こうしたものをトータルしていってさっきの数字になったと思います。

 ただ、更に気になっているのは、周辺サービスというのがあって、終活とみとりをどこに入れるかみたいなのが、ここにちょっと入っているのが、一つ気になるということですが。

 それと、右側の下に書いているのは、星印、米印というのかがありまして、保険とちょっと切り分けが難しいよねというのが入っています。例えば、フィットネスクラブが介護予防で使われていたりとか、予防接種は自治体の事業で使われていることもあるよねと。

 こういうふうな切り分けをしてみたわけですけれども、これから先はこうした産業が互いに連携とか補完し合ってどんどん発展していくんだろう、それを、経産省としては、多分、ビジネスとして成り立つためにも、公的機関の保有する医療、介護などのビッグデータを活用したいと思っているだろうし、生かしたいと思っていると思うんですが、それはどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

江崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘がありましたヘルスケア産業の市場規模でございますけれども、我が国社会の今後の長寿化、さらには高齢化の進展に伴いまして拡大していくものと考えられます。

 特に、今後、疾患のウエートがかつての感染症型のような疾患から生活習慣病や老化型にシフトすることに鑑みますと、予防を基本とする生活管理の重要性は増すものと考えられまして、日々の健康情報や医療情報を活用したヘルスケアサービスのニーズが高まるものと期待されます。

 他方、健康・医療分野におけます適切なサービスの提供には、本人性の確認を始めとするデータの質の確保が不可欠でございます。したがいまして、収集したデータの管理も含めた医療体制が重要と考えられます。

 ちなみに、現在、経済産業省におきましては、日本医療研究開発機構、AMEDでございますけれども、AMEDの事業といたしまして、糖尿病の軽症者など約千名以上を対象に、本人同意のもとで、ウエアラブル端末などを用いて健康データを取得、分析し、重症化予防サービスを構築、提供する実証事業を行っているところでございます。

 今後、ヘルスケア産業を健全に発展させますためには、個人情報保護法を始めとする関係法令の遵守を前提に、公的な医療介護情報を活用することでより効果的なサービスの創出を加速することが重要と考えます。経済産業省としましては、引き続き関係省庁と連携しながら、健康医療データを活用した質の高いヘルスケアサービスの創出に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 ヘルスケア産業に対する国民の関心というのは非常に高いと思うんです。それは全くそのとおりだと思うんですが、ただ、同時に、公的保険がこれまで育ってきた背景からいっても、保険で一定補いながら自己負担を抑えてきたものと、いやいや、こんな便利なものがありますよといって自己負担がどんどんふえるということでは、結局、それができない人には入っていけない世界になっていくという問題。

 もう一つは、さっき聞いたビッグデータの問題というのは、やはり個人情報との兼ね合いというのが極めて重大だと思うんです。それはビジネスの側から見たら、幾らでもデータがあればあったほどいいと思うかもしれないけれども、個人の医療情報というのは極めて機微性が高いものなわけです。

 それで、伺いたいのは、次世代ヘルスケア産業協議会のアクションプラン二〇一八の中で、健康医療情報が民間においても安全かつ効率的に活用されるための検討という、要するに私が聞いた、健康医療情報を民間において、安全というのはもちろんあるんですが、活用したいということが前提にあって今御説明いただいた糖尿病の大規模臨床試験というのもやられていたと思います。

 それについては、ちょっともう時間がないので、資料だけつけておきましたので見ていただいて、七福神アプリという愛知で企画されたアプリを使うそうですが、今、ウエアラブルが主流になっていますので、腕時計みたいにはめておけば、歩数計だとか、さまざまやってデータがたまっていくんだけれども、その入力するデータの多さが、最後のページにあるように、これだけのデータを入力してやったんだなとなったときに、これは、この瞬間、契約した相手との関係で、もうほかでは絶対使わないよといってやったかもしれないけれども、いろいろなものとひもづいていったときには大変な情報になる、こういうことになるわけなんですね。

 それで、これに対して個人情報保護法の仕切りだけでは到底無理なんじゃないのかということに対して、私は大臣に最後に意見を聞きたいというふうに思います。

 特に、先ほど来議論してきた支払基金に集約をするのと同時に、新しい業務として、ビッグデータの利活用、データの分析かつ連結解析、こうしたものをやらせるというふうに今度の法案はなっているわけなんですね。やはりこれは、医療機関をチェックするという、最も信頼が問われる仕事と相入れないと私は思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

根本国務大臣 今後の医療の質の向上や医療関係者の働き方の見直しを進めていく上で、データヘルスの推進は大きな柱であります。

 このような中で、支払基金や国保連においては、これまで膨大なレセプトの審査支払い業務を担ってきた経験や知見を生かした役割を果たしていくことが期待されております。

 具体的には、現時点において期待されるものとして、支払基金や国保などの既存のインフラを活用して、次のような取組を行うことが考えられます。

 健保組合等の保険者に対し、保健事業に資するよう、加入者の健康状態や医療費、予防、健康づくりへの取組状況などのデータを提供する、あるいは、疾病別や地域別に医療費を分析し、その結果を都道府県等に提供することで、医療費適正化計画などの作成、実施を支援する。

 このため、支払基金や国保連の基本理念に、新たに診療報酬請求書情報等の分析等を通じた国民の保健医療の向上及び福祉の増進などを位置づけるとともに、データ分析等に関する業務を追加することとしたものであります。

 支払基金において具体的にどのような業務を行うかについては、現行の審査支払い業務の見直し状況なども踏まえ今後検討していきますが、まずは、NDBや介護DBの連結解析に係る業務を行うことなどを想定しています。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来たのでまた次にしたいと思うんですが、やはり、個人情報に対しての、とりわけ医療や介護の大事な情報にどう向き合っていくのかというお話がなかったのが残念だなと思っております。

 けさの日経一面に、個人が企業に自分のデータの利用を停止できる権利を盛り込むための法改正を目指しているというような報道がありました。諸外国に比べても日本は非常におくれているのではないかという指摘もあったと思うんです。

 私は、これだけのネット社会で、先ほどお話ししたようにヘルスケア産業が広がっている、それはそうだけれども、こうした体制整備が全くできていない中で、全くと言ったらあれですけれども、不十分な中で、データの活用というところにだけ走るということはやはり慎重であるべきだということを指摘して、きょうは終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 きょうは、オンライン資格確認ですね、これについてちょっとお伺いしたいと思うんですが、地元でも、マイナンバーとかマイナンバーカードと今回の保険関係、しっかりと私自身もなるべく正確に説明していきたいし、また、地元の医療関係から、マイナンバーについての利用は反対してくれというような要望書もいただいていまして、どうして反対なのかなというようなこともちょっと確認をさせていただきながら、これは賛成していいのか、反対していいのかということもしっかりと見きわめていきたいと思いまして、きょうはこの点に絞って質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、オンライン資格確認というものが非常に重要である、これが非常に手段としては適切であるというようなことが取り上げられ始めたのはいつごろであるのかを確認させていただきたいと思います。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 オンライン資格確認というのが必要だ、そして、マイナンバーカードが保険証として利用できるというのがいいのではないか、そういう議論につきましては、平成二十六年の六月に閣議決定されました世界最先端IT国家創造宣言という文書がございます。ここにおきまして、個人番号カードについて、「ICチップの空き領域や公的個人認証サービス等を活用し、」とあって、健康保険証あれこれなど公的サービスに係るカード類の一体化を進めるんだということが入っているということでございまして、こういう文書の中ではこのころからということだと思います。

串田委員 資格確認というぐらいですから、被保険者としての資格を確認するとかそういったようなことだと思うんですけれども、オンラインの資格確認がなされていないときにはどのような対応策を検討されていたんでしょうか。

樽見政府参考人 オンライン資格確認ができることによるメリットといいますか、マイナンバーでかかれるというところは一つございますが、保険のシステムというところでいいますと、大きいのは、被保険者の方が転職をして、しかし前の保険証を持ってきちゃうということになりますと、医療機関では、それが今の保険証なのか前の保険証なのかわからないものですから、その結果として、レセプトがある健保組合に請求したところ、この人はもうやめていますといって払ってもらえない、こういうことが一番困ることであったわけでございます。

 では、今までどうしていたのかという御質問でございますけれども、受診時に加入している保険者、健保組合とか協会けんぽとか国保でなく、以前に加入していた保険者が一旦医療給付費を医療機関に支払って、その後、保険者から御本人に医療給付費の返還を求め、御本人は現在加入している新しい保険者にその分を請求して療養費としてもらう、理屈としてはそういうことになるのでありますけれども、実際は、各保険者の間でそのお金を清算するという仕組みをここ数年はつくりまして、そういう形で対処をしてきたということでございます。

 こうした手間あるいはコストといったようなものが、オンライン資格確認ができますれば解消できるということになります。

串田委員 そういう煩雑なことがなくなるということなんだろうと思います。

 私たちも、医療機関に行ったときには、毎月、月がわりになると、保険証を見せてくださいと言われて見せているわけですが、そういったようなことで、それでもある程度の期間については空白期間が出てくるのかなということがありますので、そこがしっかりとできるということなんだと思います。

 そういう意味で、今回、マイナンバーカードが保険証と一体となるというようなことであって、そうすると、前の保険証は使えないのかという質問はほかの委員からあったわけでございますけれども、それで重ねては質問しませんが。そうなりますと、マイナンバーカードと保険証を両方所持している人は、医療機関で診療を受けるときには個人が自由にこれは選択をしてよいというような理解でよろしいんでしょうか。

樽見政府参考人 そういうことになります。

串田委員 マイナンバーも非常に普及率が低くて、もっと普及した方がいいというようなこともあります。

 高速道路のETCなどは、ETCを使うと高速料金が安いというようなことでETCを促進するというようなことがありました。今回も、マイナンバーカードを利用することによって煩雑なことがかなり合理化されるということを先ほどの回答でいただいているわけでございますので、そうなりますと、合理化に対して協力をしているわけです。

 今の御返答によりますと、どちらでも使っていいということでありますれば、またこれはマイナンバーカードによる保険証の一体化というのも促進されにくくなるのではないか、そうすると、何らかのインセンティブがあってもいいのではないかなというふうに思っているんですが、その点についての御検討はないんでしょうか。

樽見政府参考人 保険証でかかったときに比べて、マイナンバーカードでかかったときにどういうメリットがあるのかということになると思います。

 被保険者の方については、一つ、先ほども別の先生に御答弁を申し上げたのでありますけれども、例えば、入院が何カ月か続いて高額療養費を連続して受けるような対象になる。今は、高額療養費については一旦全部払って償還になるのですが、保険者からこの人は高額療養費の対象になる人ですという証明書をもらうと、高額療養費部分について一旦全額を払う必要がないという形なんですが、ただ、それは証明書をもらわないといけないということになります。

 マイナンバーカードでかかりますと、マイナンバーの個人で認証できる資格情報の中にそういう情報も入りますので、そういう高額療養費を受けておられるような方について、証明書というのをもらう必要がないというのが加入者についての一つのメリットということでございます。

 ただ、さらに、これは今、仕組みとしてまだできているというわけではありませんが、マイナンバーカードを使いますと本人認証というのが確実にできますので、そういうメリットをどう生かしていくか、あるいは、機械でピッと読み取る形でいきますので、病院に行ったときに、保険証で行きますと、病院の方が保険証を見て、診察券の番号とか保険証の番号をキーボードで打ち込むんですね。それがピッで済みますので、少し順番が早くなるのではないかとか、あるいはその先、病院内の事務の処理のところでより合理化できるのではないかとか、いろいろな可能性があると思います。

 こういうところについては、例えば実験をしてみるようなことを含めて、加入者の方にメリットを感じていただけるようなことについて更に検討を深めたいと思います。

串田委員 国民が非常にわかりやすいメリットがあればもっと普及もしていくのではないかなと思いますので、その点の御検討をいただきたいと思うんですが、今、回答にあった、ピッというところですね、これがむしろ逆にデメリットになる部分があるのかなというのはちょっと感じている部分もありまして、その点、ちょっとお聞きしたいんです。

 保険証は今、カードになっています。それは券面に記載があります。ですから、機械がなくても、目視して、ある程度の保険情報というのをそこから読み取ることができる、人間の目で確認できるわけですね。

 今回、マイナンバーカードのICチップの余白の部分に保険証関係の個人識別の部分が入力をされるということですから、マイナンバーカードの中の健康保険証としての情報が券面的には、物理的には目視で確認できない、要するに、ICチップの、デジタル化という形でしかチップの中に入力がされていないという状況であります。

 私が言いたいのは、もしも通信障害が発生している場合、要するに、保険証であれば、通信障害がなくても保険証としての物理的なカードから確認をすることができるんですが、それがマイナンバーカードのICチップに入っているがために、通信障害になってしまうと、本人も、そんなに健康保険証の番号なんか暗記している人もいないですし、そういうようなときに非常にデメリットが発生するのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

樽見政府参考人 まず、先ほどの私の御説明で、もしかして私の御説明が悪くてちょっと誤解が生じたかもしれませんのであれですが。

 マイナンバーカードのICチップの情報を使うということで私申し上げましたが、そこに被保険者情報が入るということではありません。被保険者の個人を特定する情報がそこに入っていますので、医療機関でピッという形で御本人ということを確認しますと、その情報が、支払基金又は国保連にある、そういう被保険者情報を持っている情報の塊のところにアクセスをしまして、そこで、この方がリアルタイムでどういう被保険者資格を持っているかということがすぐ医療機関に戻ってくるという仕組みです。ですので、マイナンバーカードの中にそういう被保険者の情報みたいなものが入ってしまうということではないんです。

 ただ、いずれにしても、そういう通信でやるということでございますので、通信障害があったときにはそこのリアルタイムでのオンライン資格確認というのができないということにはならざるを得ません。

 ただ、できるだけ通信障害が起こりにくいシステムという形でシステムの開発をするということで取り組んでいるということと、仮にそこが一時的にできなかったとしても、そのときには仮で受け付けを病院でしていただいて、後で、例えば診察が終わったところでもう一遍、通信障害が復旧していればそこでできますし、あるいは、後日確認していただいて被保険者資格を確認できれば、そこで保険診療という扱いにするということもできるというふうに考えております。

 まずは、通信障害ができるだけ起こらないようなそういう仕組みにするということでございますけれども、それが診療を受ける上での決定的な障害にならないように、そういう二重三重の形で心がけていきたいというふうに思っています。

串田委員 要するに、ICチップの中には個人の識別の部分が入っていて、医療機関がある意味クラウド的な感じで情報を収集してくる、それが通信障害が発生している場合には情報収集できないのでということなんですが、今ちょっと気になることがありまして、そうなったときに、今の発言ですと、通信障害というのは患者の責任ではないのに、一旦自由診療として自由診療代を払った上で、後で通信障害が解消されたときには健康保険として解消されると。これは逆じゃないかなと思うんですが、いかがですか。

樽見政府参考人 そういう意味で申しますと、患者の責任ではありません。先生おっしゃるとおりです。

 ですので、そこは患者さんの負担がふえることがないような形にしなきゃいかぬということでございますので、私、後で保険診療になると言ったのは、ちょっと言葉が適切でなかったと思います。保険診療として扱うわけでありますけれども、その確認事務が後でできるというふうに訂正をさせていただきます。

串田委員 安心しました。

 それと、ここは基本的なことなんですが、マイナンバーとマイナンバーカードというのが非常にわかりづらいという意見もよく聞くんです。私もちょっといろいろと調べて、また教えてもらったりして自分なりにある程度は理解しているんですが、もう一度ここの部分、今回、マイナンバーではなくてマイナンバーカードを利用するんだというところが非常にわかりづらいと思うので、ここをちょっと明確に説明いただきたいと思います。

樽見政府参考人 マイナンバーカードによるオンライン資格確認ということでございまして、どういうふうな仕組みになっているかといいますと、医療機関あるいは薬局の窓口で、患者の皆さんがお持ちのマイナンバーカードのICチップの中の、本人を確認するための電子証明書というものを読み取る、それで、医療機関、薬局から支払基金あるいは国保連が管理するオンライン資格確認等システムというものにアクセスをしまして、オンラインで資格情報を照会する、その情報が医療機関に戻ってくるということで、支払基金と国保中央会では保険者から資格情報の管理の委託を受けるという仕組みになっておりますので、それで患者の電子証明情報をもとに患者の資格情報を検索しまして、医療機関、薬局に対してオンラインで資格情報をリアルタイムで提供するということになるわけです。

 ですので、マイナンバーカードと言っていますけれども、マイナンバーそのものはこの仕組みの中にどこにも出てこないのでございます。ですので、マイナンバーと診療情報が結びつけられるといったようなことはないという仕組みでございます。

串田委員 そこが非常にわかりづらいんだろうなと思うんですね。マイナンバーカードを使いながらマイナンバーは使わないというおっしゃり方なんですけれども、これは、マイナンバー法に関してこれが使えないという理解で使わないのか、マイナンバー法からすると使えるんだけれども、今回は使わない方が適切であるというふうに思っているのか、その辺はどちらなんでしょうか。

樽見政府参考人 マイナンバー制度の中で一定の利用範囲というものが定められておりまして、それとの関係で、法律上も、そういう診療情報ということで結びつけて使うことは、使えないということでございます。

串田委員 マイナンバー法ですと、保険料の徴収はいいわけですよね。それなのに被保険者の資格確認はできないというのがどうもよくわからないんですが、その点についてちょっと説明をいただけますか。

樽見政府参考人 おっしゃいますとおり、今、法律でと申し上げましたが、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律ということでございますが、その中で、マイナンバーの利用の範囲として、医療保険の保険料徴収等の保険者の手続と書いてあります。ですから、健保組合とか国保、市町村とか、保険者はこれを使うことができるわけでございます。

 先ほど申し上げましたのは、医療機関でマイナンバーカードから本人情報というものをICチップで読み取るということでございますけれども、医療機関がいわば医療情報ということと組み合わせてマイナンバーというものを使うということに、マイナンバー法でなっていない。

 ですから、保険者は使えるんですが、医療機関は使えないということでございます。

串田委員 そうなりますと、法改正という点に関して、選択肢が二種類あったわけですね。マイナンバー法で医療機関も使えるようにする法改正にしてマイナンバーとして一元化した方が、非常に一元化という点ではスマートなんじゃないかなという部分と、マイナンバー法はそのまま存続をさせたまま、今回のような医療等IDを新たにつけるという二つの方法があったわけですが、どうして前者を利用しなかったんでしょうか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーは、基本的には、先ほど法律の条項について申し上げましたが、こうした一定の、主として行政分野における利用という形になっているわけでございまして、それを広げるというところについてはいろいろな議論があるということだというふうに思います。特にまた、こういう医療情報のような、個人情報としてある意味非常にタッチーな情報でございますけれども、こうしたところにマイナンバーを使っていくということについては、そのことに対するいろいろな心配もあるということだと思います。

 そういう意味で、ちょっと先走って恐縮でございますが、今度、このオンライン資格確認で、健康保険証の番号も個人お一人お一人の番号ということになるわけでございます。お一人お一人の番号という形で、これは健康保険証の番号という形でいわば医療保険者における医療情報あるいはレセプト情報なんかと密接に結びつくわけでございますけれども、こういうところについて告知要求制限という制限を新たに設けて、それが広く使われないようにするというような措置をそちらについてはとっているわけでございます。

 ですので、そういうマイナンバーあるいは個人情報をどういう番号で管理するのが適当かということについてはいろいろな議論があるところでございますけれども、そういう中で、医療の情報というところについてはマイナンバーを直接使わないという形にしたというところでございます。

串田委員 現実にちょっと利用方法を教えていただきたいんですが、例えば処方箋をいただいて薬局に薬をもらいに行くときに、患者は非常にぐあいが悪い、高齢である場合もあれば、家から出られないというような場合に、薬局に対して健康保険証を提示しなければいけないときに、その者に対しては、マイナンバーカードを渡して薬局から処方箋による薬をもらってくる以外の方法はないのか。あるいは、そういうようにして他人がマイナンバーカードを持っていけば、薬局は処方箋どおりの薬を渡すということは可能なのかどうか。そこら辺の具体的な、実務的な利用方法などを説明していただければと思います。

樽見政府参考人 御指摘のようなことが、今、保険証でかかっているというところでもあるんだろうと思います。ですので、例えば年寄りがお医者さんにかかって、息子の私が薬局に父親の保険証を持っていって薬を受け取りに行くというようなことというのは、現実にあったりするわけですね。そこで御本人様の身分関係とかそういうところを確認して実際やっているということだと思います。

 マイナンバーカードになりますと、写真が入っているんですね。マイナンバーカードという形で、逆に、写真が入って本人確認ということをきっちりやると、本人じゃないという形になるんですが、そういうところで現実の、今でも保険証で同じようなことがあるという範囲のところでは、現場で患者さんが困らないように、ちょっとここは実情をよく聞いて、ある程度統一的な運用みたいなものについて検討していきたいと思います。

串田委員 ちょっと私も、マイナンバーカードと保険証のカードというのがどちらが大事かというのはわかりませんけれども、今どうなんでしょう、処方箋さえあれば保険証は、でもやはり保険証を見せなきゃいけないのかなとは思うんですけれども、誰か、例えば子供に、処方箋で薬をもらってほしいと親が頼んだときに、マイナンバーカードを子供に渡さなければいけないのかというのは大変不安になるんだと思うんですね。そこら辺の実務の扱い方も、これから続いていく中ではいろいろ改善しなきゃいけないこととか訂正しなきゃいけないこともあるかと思うので、その点について検討していただきたいと思うんです。

 先ほどの医療等IDというのがICチップの中に入る、IDだけが入るんだということだと思うんですが、これはいつの段階で入力がされるという理解でよろしいんでしょうか。一番最初にかかったところの医療機関でID番号がICチップに入るのか。私も今マイナンバーカードを持っていますけれども、入っているかどうかちょっとわからないんですが、いつ入るんだろうかというのはちょっと知りたいと思います。

樽見政府参考人 マイナンバーカードの中にある電子証明書という形の言い方を私申し上げましたけれども、マイナンバーカードのICチップの中に、お一人お一人様、それを特定する情報というものが既に入っています。それを使うということでございまして、新たにどこかで入れるというのではなくて、マイナンバーカードの中に、マイナンバーという番号列とは別のものでございますけれども、そういう情報がICチップの中に入っていますので、それを確認するということでございます。

串田委員 もう既に入っているとは思わなかったんですけれども、入っていて、そうすると、それが健康保険証番号と一致しているというわけではないわけですね。今の健康保険証とは違っていて、今後それを健康保険証番号にするんだという理解なんですかね。

 そうなると、その番号と現在持っている健康保険証、どちらも自由に選択していいということなんですが、番号が違っているということもあり得るんですか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 健康保険証の番号は健康保険証の番号として、個人単位化をしてつけます。これは、これからもつけていきます。

 マイナンバーはマイナンバーであって、マイナンバーカードはマイナンバーカードとしてあって、その中に個人を認証する情報があるんですが、そこの数字、文字列が被保険者番号の文字列になるというわけではありません。そこはあくまで別のものです。別のものですが、マイナンバーカードのそういう個人を認証するシステムというものを利用しながら、各保険者が持っているお一人お一人様の被保険者番号というものと、リアルタイムで、この方の被保険者番号はこれであるという状況、ステータスを支払基金と国保連で常に把握しておくシステムをつくるということなんです。

 ですので、マイナンバーカードに入っております、個人のICチップに入っている御本人を証明する情報というものからいわば被保険者の方の保険証の被保険者番号というものを引いて、その方が今どこの被保険者になっているかというところを確認できるようなシステムをつくるということでございます。

串田委員 要するに、ICチップの中に入っている識別番号でアクセスをすると、クラウドにつながっていて、それが健康保険証番号とひもづいていくということですね。これは、まだひもづいていないという理解でいいんですか。それがこれからはひもづくことが、この法律によって初めて成立をするのか、もう既にひもづけがされているのか。

樽見政府参考人 現在、健康保険の被保険者番号は世帯単位でついています。これを、あと二桁足して個人単位にするという作業をこれからやりますので、その上でひもづけるということになります。

串田委員 今度は、マイナンバーカードというのは、一度もらうと更新というのは随分長いわけですね。健康保険証も、ある程度一定の期間で新しいのが届くわけですけれども、これからは、毎回確認するというときに、健康保険証というのは月がわりで見せてくださいと今医療機関で言われるんですが、今後、診療を受けるたびにそのカードはピッと見せるのか、やはり一月ごとにやるのか、この運用はどうなんでしょうか。

樽見政府参考人 その辺のルールにつきましてもこれから精緻に決めていくということになるんですけれども、恐縮でございますが、今までも、保険証は保険診療を受けるたびごとに見せてくださいというのが実は原則なんです。ただ、レセプトの請求が月に一遍ですので、そういう意味で、月に一遍という医療機関が多いということだろうと思います。

 そこの状況は、レセプトの請求が月に一遍というのは変わりませんので、そういう意味でいうと、原則としてはやはり毎回見せてくださいではありますが、医療機関の方でそこで特定できないと困るという状態は月に一遍来るということでございます。

串田委員 融通をきかせてくれているというのは知らなかったんですけれども、これからもちょっと融通をきかせていただいた方が楽かなと思うんですが。

 子供は、歯医者さんに結構定期的によく行くんだと思うんですね。今、個人的なということだと思うんですが、個人の、例えば今言った、本当は毎回見せるのが原則であるというのを仮に貫いたときに、子供が歯医者さんに通うときに、御自身がマイナンバーカードをいつも持ち歩いていかなければいけないのか。これもやはり、ちっちゃな子供が、小学生、中学生がいつも親と一緒になって歯医者に行っているわけじゃないと思うので、これについてはどんなふうな対策を考えたらいいんでしょうか。

樽見政府参考人 今でも保険証を見せていただくのが原則になっているとは申し上げましたけれども、実際は医療機関の方で診察券みたいなものを発行して、特にお子さんなんかは歯医者さんなんかにその診察券を持っていく、月に一遍は親御さんが保険証を見せに行くというようなことじゃないかなというふうに思うんですね。

 ですので、そういうところは、やはりこれまでに比べて患者さんが不便になったり、あるいは、それでマイナンバーを持っていってお子さんが落っことしちゃったら大変みたいな心配のないように、そういうところはよく現場の意見を聞きながら運用を決めていきたいと思います。

串田委員 ありがとうございます。地元でも質問されたら答えなきゃいけないので、今の、そういったような柔軟な対応をしていただけるということであればいいかなと思います。

 次に、外国人もやはり同じような形で扱われていくのか、マイナンバーカードに保険証が一体となっていくのかということの方向性を教えていただきたいと思います。

樽見政府参考人 マイナンバーカードは、住民登録がありますればマイナンバーカードをもらうことができます。オンライン資格確認の導入後、したがいまして、外国人の方も、国内に住民登録をされて、国内のいずれかの医療保険制度に加入をして、マイナンバーカードを取得しているという方であれば、マイナンバーカードが被保険者証として利用できるということになります。

串田委員 そういう意味では、在留資格も今、在留資格カードというのが別にあるんですが、やはりマイナンバーカードのICチップの余白部分にこれを入れていけばいいのかなと思うんですけれども、なかなかこれが進まないのがなぜかよくわからないんですが。先ほどからの議論の中で、マイナンバーはいろいろな意味で制約がある、しかし、ICチップはかなり余裕がいっぱいあるわけですから、それを利用することによって一つのカードに集約ができるというようなことをこれからも進めていただければなと思います。

 次に、最後になりましたが、このような形でマイナンバーカードをどんどん普及していきたいと思いますし、非常に合理的ではあるかなと思うんですね。何枚もカードを持って歩くのも煩雑でもありますし、それによって行政が合理化されるということで、いろいろな意味での節約にもつながっていくと思うんですが、なかなか普及が進まない。

 地元の医療関係の団体が反対している理由というのは、そういったような機材をちっちゃな医療機関がこれから用意しなきゃいけないというようなことに対する費用負担というものが非常にあるんだということが一番の大きな反対理由、書面を読ませていただいた上ではそういったふうに私は読み取っているんですね。

 今後、このような形でのマイナンバーカードによる健康保険との組合せ等も含めまして、普及をしていくということに対してどのような対策を大臣としてお考えになられているのかを最後にお聞きしたいと思います。

根本国務大臣 委員おっしゃるように、マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認の仕組みを医療現場に普及させていく、これは非常に必要だと思います。その意味では、医療機関、薬局で円滑にシステム導入が進むように支援していくことが重要だと考えています。

 本法案によって新たに創設される医療情報化支援基金、これについて、平成三十一年度予算では三百億円を確保しております。この基金を積極的に活用して、できる限り多くの医療機関、薬局で早期に導入が進むように、システム整備などを支援していきたいと考えています。

串田委員 地元で全部答えられるかはちょっとわかりませんけれども、かなり正確に答えられるのではないかなと思います。

 どうもありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 朝から質疑、長い時間でお疲れかと思いますけれども、最後の質疑者でございますので、おつき合いをいただければと思います。

 本法律案、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等改正案でございますが、これは、ある意味、現行の法律、医療制度は適正になっていない、一方で効率化もほころびが出ているととられなくもない。

 これはもう言うまでもなく、もちろん完璧な制度はないわけでございまして、時代の変化、また社会背景、随時制度を改正していく必要があるということで、今回の医療保険制度、まあ社会保障制度全般に言えると思いますが、昨今、少子高齢化、さらには人口減少、この構造的課題を抱えた中で、この適正そして効率化の意味というものは非常に大事になってくるというふうに考えています。

 そこで、法案の中身もなんですが、きょう、こういう今後の医療、社会保障の適正化、効率化という観点で聞きますが、一昨日、新元号が決まり、発表がされました。平成時代から、来月には新しい令和という時代に入るということで、新しい時代を迎えるに当たって、まず、平成という時代がどういう時代だったのか、総括というものは必要だと思います。

 ここは厚生労働委員会でございますし、大臣には、まず、厚生労働行政、また社会保障制度改革、節目となった、また分岐点となった出来事、いろいろあるとは思いますが、あえて、大きな節目となった、転換となったと言ってもいいでしょうか、三つの出来事、どういったものが挙げられるのか。

 さらに、平成という時代、厚生労働分野において、その総括とともに、令和という時代をどのように切り開き、展開をしていくと考えておられるのか、大臣にお尋ねしたいと思います。

根本国務大臣 この平成の三十年を総括する。この三十年というのは、高齢化率が一二%から二八%となって、急速に少子高齢化が進展した時代だと思います。

 私も平成五年に初当選ですから、その意味で、この平成の三十年間、大体私も、政治家として、社会保障も含めてやってまいりました。

 振り返ってみると、この三十年というのは、年金、医療、介護の負担と給付のバランスを図って、また、少子化対策を社会全体の課題として位置づけて、同時に、女性や若者、高齢者の就労促進に積極的に取り組むなどしてきた結果、社会保障制度は国民の安心の基盤として機能していると思います。

 節目となった出来事を三つということで、さまざまな重要政策がありましたが、私の取り組んできたことも含めてあえて申し上げれば、やはり介護保険制度の創設。これは、急激な高齢化と需要増に対応して高齢者福祉のあり方を大きく変えたんだろうと私は思います。そのとき、私は厚生政務次官をやらせていただきました。

 そして、社会保障制度を将来の世代にしっかり伝えるために取り組んできた社会保障と税の一体改革。私は、これが非常に大きいと思います。

 そして、もう一つは、直近でいえば、多様な働き方を選択できる社会を実現するために労働制度の抜本改革を行った働き方改革。

 この三つ、まだいろいろありますけれども、これを挙げたいと思います。

 令和の時代では、高齢化が引き続き進展する一方で、現役世代の人口減少へと局面が変わってまいります。また、働くことに対する意識の多様化は一層進んでいくと思います。

 このような新たな時代の変化に対応すべく、二〇四〇年を見据えた社会保障制度の改革やあるいは働き方改革にしっかり取り組んでいきたいと思います。

中島委員 短い時間でたくさん総括をしていただいて、ありがとうございます。

 まさに、少子化、高齢化、それに伴う年金、介護、医療、この給付の負担、そういう平成の時代に取り組んだことが一番メーンだったと。

 一方で、三つ挙げていただいたのは、介護保険の創設、そして社保・税一体改革、働き方改革。私も三つ挙げろと言われれば、私は、三番目の働き方改革よりも、これも大事ではありますが、やはり障害者自立支援法、後の総合支援法でございます。

 これは、介護保険と同様に、福祉から介護が、障害者もそうですが、措置から個人等への契約へ、これは大きな変革であって、介護に至っては、福祉から切り抜かれたというか、介護という独立したカテゴリーとも言える状況になり、そして、高齢化に伴って、現在は、地域包括ケアシステム、今後のビジョンをどう構築していくか。

 こういう大きな節目、また分岐点となった出来事がるるあったということでございました。

 そして、新しい時代に向けては、人口減少社会への対応、また多様な働き方ということの大臣からの御答弁でありました。

 三つ挙げていただいた、その社保・税一体改革、これは、まさにこういう時代を迎えて、給付と負担の議論は避けて通れない。三党合意で始まった社保・税一体改革、その改革スケジュールも間もなく一区切りがつく、その次のステージに向けて国民的議論の場はどのように今後設定されていくのか、私自身も大変気になりますし、先週、桝屋先生もそのような御質問をされておりました。

 スケジュールが決まっていないことは十分承知しながら、大臣として、今後、社会保障と税の一体改革後の社会保障政策の国民的議論の場、どのような形で、どのような設定を考えておられるのか、お答えになれる範囲で構いませんので、お答えいただきたいと思います。

根本国務大臣 その前に少しお話をさせていただきたいと思いますが、これからの社会保障は、社会保障というのは古くは救貧や防貧を基本的な考え方としていましたが、人生百年時代を迎えようとする今、求められる社会保障の姿は、国民誰もがより長く、元気に活躍できて、そして全ての世代が安心できる全世代型社会保障だと思います。

 特に、団塊ジュニア世代が高齢者となって、現役世代の減少が進む二〇四〇年ごろを見据えて、さらなる社会保障、働き方改革に取り組んでいきたいと思います。

 現在鋭意検討作業を進めていますが、本年夏をめどに健康寿命延伸プランと医療・福祉サービス改革プランを策定して、まずは、二〇四〇年を見据えた社会保障全般にわたる改革を着実に進めていく。あわせて、社会保障の持続可能性を確保するために、これまで進めてきた給付と負担の見直しについても引き続き検討したいと思います。特に、この点については国民的議論あるいは国民的理解と納得、こういうものが必要だと思っております。

 国民会議のような議論の場の設置については、これは内閣全体で判断する話だと思いますが、私から軽々に申し上げるということはできませんが、まずは今申し上げたような検討を着実に進めていくことが重要で、いずれにしても、国民的なしっかりとした議論が必要だと思っております。

中島委員 さまざま、プランを立てたり、行われていることは承知しております。社保・税一体改革は、まさに国民を巻き込んで、これからの給付と負担のあり方、また提供体制も含めてスケジュールを決めてきた。その検証も必要だとは思いますし、ぜひ、国民を巻き込むような、まさに国民会議的な場を設定していただきたい。

 我々の会派は社会保障を立て直す国民会議というわけでございまして、それは何を意味するかというと、医療、介護を含む社会保障の不安に、閉塞感に包まれた日本社会とも言える。それは、半世紀以上前にできた国民皆保険はすばらしい制度だと思います、それが土台となってその後の日本の成長につながった、今、その土台が不安にさいなまれているということから鑑みると、社保・税一体改革後のこの国の社会保障のあり方、まさに国民に理解をしていただくことも必要ですし、これは与党だけで議論するということではなくて、三党合意の精神は与野党が責任を持ち合うことであって、政争の具にはしない、このような精神で党派を超えて、また開かれた場所で早期に議論を始める、こういう場をぜひ大臣には旗振りをしていただき設定していただきたいということを強く希望したいと思います。

 そして、三つ以外にもたくさん大きな節目、ポイントとなった場はあったと思うんですが、何よりもと言ったら変ですが、この平成の時代に、平成十三年ですか、中央省庁再編によって、旧厚生省、労働省が統合して厚生労働省ができた、これも大きなことだったというふうに思います。

 昨今では、統計不正調査の問題であり、さまざまな問題で、総務省からは、遵法意識が欠如した事なかれ主義の蔓延であったりとか、運営体制見直し、ガバナンスをしっかりせいと言われたり、ぼろかすという状況なわけでありますが、こういう状況になると、もちろん厚生労働省自体は予算規模も人員体制も省庁最大ということで、また旧厚生省と労働省に戻したらいいんじゃないかとか、そういう議論が多々あるわけですよね。

 私も、当初、そういう方がいいのかなと思った時期もあったんですが、厚生労働省の若手と話をしていると、もう既に十八年がたって、厚生労働省として入省された方々は非常に、労働政策と社会保障政策、横串的に考えられ、高い志を持っておる。

 そういう意味では、厚生労働省となった総括というのも必要なんじゃないかというふうに思うのです。ここについて、厚生労働省になって十八年、昨今はぼろかすに言われているわけですが、この総括も必要かと思うので、大臣に御答弁いただきたいと思います。

根本国務大臣 厚生労働省は、国民生活の保障、向上と経済の発展を目指している、これは設置法に書いてあります。そして、社会保障、公衆衛生の向上、雇用労働施策などを総合的、一体的に推進することを使命として設立されました。

 要は、あのときの中央省庁改革というのは、各省庁を大くくり再編をしたんですね、大くくり再編。例えば、国交省は建設省と運輸省を要は大くくり再編をしたというのがあのときの中央省庁改革で、厚生労働省についても、やはり厚生省と労働省、この両方の施策を一体としてやる必要があるのではないか、そういう議論であの厚生省と労働省が一体化したと思います。

 一体化しましたから、保健医療、介護、福祉、年金、子育て、雇用、労働、極めて広範囲、しかも、いずれも国民生活に密着した行政分野を担当しているということで、私も厚生労働大臣で半年過ぎましたが、やはり改めて三つぐらい例を挙げれば、仕事と家庭の両立支援施策と子育て支援施策、これを一体としてやっております。それから、障害者に対する福祉サービスを一方でやりますが、一方で企業などでの雇用を促進する、これも福祉と雇用の連携。あるいは、介護、福祉のサービス基盤整備と人材の確保。この社会保障施策と雇用労働施策を一体的、横断的に実施してきました。私は、これはやはりシナジー効果、相乗効果があると改めて感じております。

 この意味で、しっかりと社会保障施策と雇用労働施策を一体的、横断的に実施する必要性がより一層高まっていると思いますし、要は、各局とも、まあ、私の感じでは、縦割りあるいはタコつぼに陥ることなく横断的に総合的に前に進めていく、その意味では、省内でも司令塔的な中枢機能あるいは官房機能の強化、こういうものも必要ではないかと思っております。

中島委員 雇用政策と社会保障政策を横断的に、シナジー効果という話もありましたが、私もそう思います。特にこういう時代を迎えて、労働人口が減って生産力が減る、さらには、人口減少で社会保障政策、このあり方をシームレスにやっていくという必要性、これは厚生労働省だからこそ一体的にやれる、効果があると。

 ただ、一方では、ガバナンスが欠如している、遵法意識が薄いということを再三指摘されてきている組織。

 きのう、大臣は閣議後の会見でも、厚生省改革を進める意向ということで、三点ですか、挙げられて示されているわけですが、先ほど申し上げたように、もう既に厚生労働省として入省された、もう既に中堅クラスだと思うんですよね、そういう方々が、将来、これからの本当に主軸になっていく。決して、局長たちとか、旧厚生省、労働省の方々が前例踏襲しているからなかなか文化は変わらないんだと言っているわけではありませんが、若手と話をしていると、非常にこの社会保障に対する危機感が高いし、志も高い方が多い、そういうことを私自身感じる。もちろん、大臣が旗を振られ、これで改革をしていくんだというのも、それはそれでいいんですが、ぜひ、そういう若手が今思うこと、さらに、若手が、これからこういう省庁に再編していくんだ、改革していくんだという、いわゆるプロジェクトチームではないですけれども、他省庁ではできないような、そういった改革のあり方をぜひ進めていただければと思います。

 時間がございませんので、これは質問にしていたんですが、お答えはいいです。ぜひ進めていただきたいと思います。

 法案の中身にちょっと入りますが、まず、オンライン資格確認の導入と、オンライン資格確認、電子カルテの普及のための基金の創設について質問いたします。

 マイナンバーカードを利用して受診時の資格確認、被保険者番号の個人単位化、また、個人情報保護の観点から告知要求制限する今回の内容だというふうに思いますが、同時に、導入費用また電子カルテの普及のための新たな基金も含まれておる。

 まず、ちょっとお尋ねしたいんですが、オンライン資格確認が、運用面でのメリットということはきょうも質疑の中で何度か質問されておりましたが、患者さん側から見て一体どういうメリットがあるのか、具体的にお示しいただければと思います。

樽見政府参考人 オンライン資格確認によりまして、転職あるいは転居などによって属する保険が変わっても、保険証を提示せずに、マイナンバーカード一枚で医療機関の窓口で資格確認を受けて受診ができるようになるという点が一つ。

 それから、入院などの場合で高額な医療費がかかった場合に、現在は、限度額適用認定証というものを保険者に申請してそれをもらわないと、高額療養費部分について、自己負担の上限を超えた部分について一旦払って償還されるという形になるわけですけれども、今度は、この限度額適用認定証の情報がマイナンバーカードによるオンライン資格確認の情報に入りますので、一々それを保険者に申請して受け取って医療機関に提出する、その作業がなくなるというところが患者さんにとっての今のはっきりしたメリットという形になります。

 ただ、同時に、先ほども御答弁申し上げましたけれども、要は、医療機関におけるいろいろな事務が電子的にできるというところの取っかかりになる仕組みなものですから、そういうところを活用していろいろな、少しでも待ち時間が少なくできないかとか、患者さんにとってメリットが少しでもふえるようなこと、そういうことについても実験的なことも含めていろいろ検討して、メリットを実感していただけるようなそういう工夫をちょっと検討していきたいと思います。

中島委員 今、メリット、デメリットをるる言っていただいたんですが、いま一つやはり、マイナンバーカードもそうなんですが、交付率が低い。

 そして、今回、運用面の効率化を図ることはわかるんですが、患者さんにとってどういういい面があるとか、まあ、待ち時間とかというのもちょっとざっくりした話でして、今回の導入が将来どういう形につながっていくのか、いわゆるグランドデザインというか、その第一歩だということを明確に示すことが必要だと私は思うんです。

 ここはちょっと通告していないので確認ですが、今回の、マイナンバー制度のインフラを活用して医療分野における番号制度を導入する、これを基盤として、その先には医療分野の情報連携を強化、推進するという、その先がつながるという理解でよろしいでしょうか。

樽見政府参考人 このオンライン資格確認のシステムということ、マイナンバーカードの個人認証の仕組みを使って被保険者の資格を確認する、これが、全部、医療機関それから保険者、支払基金、国保連というところが結ばれますので、そういう意味で、これからそういう医療の面における情報化ということを進めていく上の基盤という形につながってくるとは言えると思います。

中島委員 ぜひ、そういうその先、この後ちょっと時間がないので、また次回のときに質問いたしますが、今回、オンライン資格確認導入、これはこれでいいんですが、その先に、基金でさらにまた電子カルテの普及であったりとか、オンライン確認のための設備投資も、先ほど午前中も質疑がありましたが、資料の一枚目にあるように、電カルの普及状況は、一般病院四六・七%、一般診療所では四一・六%。これは、診療報酬でインセンティブをつけたり、もう何年も何年も前から取り組まれていて、今こういう状況にある。

 さらには、電子カルテの標準化もしかるところなんですが、その先に、今、島根県とか滋賀県であったりとか広島とか、それぞれこの基金を使って情報共有をしながらネットワーク化している地域はたくさんあるわけですよね。

 私、お隣は佐久地域になりますが、佐久総合病院は、従来から、親病院は中央病院があって、子病院である分院があって、サテライトの診療所があって、全て医療情報を共有している、その中間にある介護施設にもそれが共有されている地域がある。

 要するに、国として、この普及状況、今回のオンライン確認もそうなんですが、一体、いつになったらそういう絵面がしっかりこの国の医療体制としてでき上がるのか、これをいつまでにやるおつもりなのか明確に示して、これを第一段階という絵面を国民に示す必要があると思いますが、見解をいただきたいと思います。

樽見政府参考人 オンライン資格確認につきましては、二〇二一年三月からの開始ということに向けて準備を進めたいということでございまして、それを普及、定着させるために、できるだけ多くの医療機関や薬局における円滑なシステム導入が進むように支援を行いたいというふうに考えているところでございます。

中島委員 続きはまた来週質問いたします。ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


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