衆議院

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第4号 令和4年11月2日(水曜日)

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令和四年十一月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 牧島かれん君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      勝目  康君    上川 陽子君

      神田 潤一君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    中川 郁子君

      長坂 康正君    西野 太亮君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      堀井  学君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山下 貴司君

      荒井  優君    大島  敦君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            高原  勇君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進政策統括調整官)        吾郷 進平君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     神田 潤一君

  細田 健一君     根本 幸典君

  松本 洋平君     勝目  康君

  山岡 達丸君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     松本 洋平君

  神田 潤一君     國場幸之助君

  根本 幸典君     中川 郁子君

  荒井  優君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     細田 健一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 ガス事業法及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、ガス事業法及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官茂呂賢吾君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官高原勇君、個人情報保護委員会事務局審議官山澄克君、金融庁総合政策局参事官柳瀬護君、デジタル庁審議官山本和徳君、文部科学省大臣官房審議官原克彦君、経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進政策統括調整官吾郷進平君、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、資源エネルギー庁長官保坂伸君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。土田慎君。

土田委員 おはようございます。自由民主党の土田慎でございます。

 今日は、朝一番で貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。また、役所の皆さんもよろしくお願いいたします。

 今日は、ガス事業法及びいわゆるJOGMEC法の一部を改正する法律案に対しての法案質疑ということで質問させていただきますけれども、このちょっと長ったらしくて何のことなのかよく分からない法律の名前ですけれども、簡単に言うと、LNG、都市ガスの需要と供給に関する法律案の改正だと思っております。

 何でそもそもこの法律が今必要なのかというと、まさに、エネルギー環境がかなり変わってきているというところがあると思います。

 いろいろな要素はあるにしても、大きく言うと私は三つだと思っておりまして、一つは脱炭素化の流れ。また、お隣の大国であります中国のLNGの長期調達の拡大。また、何よりも、ロシアを起点とするウクライナ侵攻によって、いわゆるヨーロッパ諸国、EU諸国が、ロシアから仕入れていた天然ガスを、ロシアではなくてほかの地域、国から買おうとしている。そういう流れがあって、世界におけるLNGの取引、市場が非常に変容してきているものだと思っております。

 そんな不確実性が増している中で、今回のこの法律案の審議があるわけでございますけれども、まずお伺いしたいのが、LNGの不足する、日本で必要なLNGが足りなくなってしまうというような見込みというのは、どのぐらい前からつくものなんでしょうか。よろしくお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 LNGの調達というのは、電力事業者、ガス事業者を始めとして、これを利用される事業者が調達に入るわけでございますが、ガス事業者で申し上げますと、年間のLNGの調達計画というものを策定しまして、自社のLNGタンクの貯蔵容量ですとかエリアの需要等を踏まえまして、入船のタイミングを調整して、安定供給と在庫というのをうまく両立させるということの取組を進めているというふうに承知しております。

 その上で、国としましても、各事業者から提出される供給計画によりまして、国全体のLNGの確保状況ということを確認するような取組を進めてございます。

 現在、ガス事業は、大体、おおむね二、三週間程度のLNGの在庫を有しております。契約自体も一定の期間、長期で取っておりますので、年間の計画の中で確保できるような状況というのは見えているわけでございますが、突発的なトラブル、若しくは国際的な市況の変化、様々、時々刻々、状況は動いてまいります。

 今御質問いただいたような、どれぐらい前かということを定量的に申し上げるのはなかなか難しいわけでございますが、国も、供給ガス事業者、電力事業者の取組の中で、何かしらの事象が生じたとき、そこから、契約の状況、在庫の確保の状況から、生じるであろう時期がいつぐらいかということを見通しながら確認をし、安定確保に取り組んでいきたいという状況にあると考えてございます。

土田委員 ありがとうございました。

 今、まさに部長におっしゃっていただいたように、余りにも外的要因が多くて曖昧な部分が非常に多いからこそ、何か起きてしまったときのいわゆる対応のプロセスであったりだとか、基準というのを明確にしておかないといけないというのが大事だと思っております。

 今回の改正法案の大きな概要は私は二つだと思っておりまして、一つは供給の話でございますけれども、何かLNGが不足しそうだという見込みが立ったときに、経産大臣の要請によってJOGMECがLNGの調達に乗り出す、また二つ目は、LNGの需要が逼迫したときにいわゆる使用制限を出す、この二つだと思っております。

 そもそも、私も恥ずかしながら国会議員になるまではJOGMECという組織そのものも知らなかったですし、名前すら聞いたことがなかった中で、JOGMECとはふだん何をやっているのかという話です。

 今回、LNGの話ですから、LNGに限ってお話ししますけれども、大枠はざっくりと、ファイナンスをしているというところと、いわゆる債務保証をしている、取引額が大きいですから、債務の保証をしているというのが主なJOGMECの仕事だと思っておりますけれども、そんな中で、プラスアルファの職務として、LNGが不足したときにJOGMECが直接乗り出していくわけでございます。

 また、民間に調達を依頼して、そのファイナンスをするということも大きな役目の中で、二つ目の質問なんですけれども、例えば、JOGMECが資金拠出をして民間に調達するときに、民間事業者の公募基準であったりだとか公募プロセスみたいな部分はどうなっているんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、JOGMECの通常の民間企業に対するリスクマネー支援に関する公募等の御質問と受け止めましたけれども、それに関しましては、基本的には、資源開発、石油、天然ガスの探鉱ですとか、実際に生産に至るまでの開発をやろうとしている企業からの申請に基づきまして、あくまでもJOGMECの支援は民間主導で、そこの民間が取れない部分のリスクを公的に補完するという原則でありますので、民間からしっかりこの事業でそれなりに回収ができそうだという前提での申請を上げていただいて、それでもやはり量的にリスクが取り切れない部分があるなら、そこはJOGMECが補ってくれというような申請が出てきたのを踏まえて、実際に、技術的にそこの石油、ガスの生産の見込みがどの程度あるのか、いろいろな財務面でのリスクがどれぐらいあるのか、カントリーリスクがどの程度想定されるのか等々のいろいろな判断基準をあらかじめ内規で定めておりますので、それに従って採択をJOGMEC全体として検討する。

 実際に出融資を決定する際には、経産大臣の方に同意の求めがありまして、エネルギー政策と合致しているかどうかということについての同意を行った上で最終的に出融資がなされるという手続でございます。

土田委員 御説明ありがとうございました。

 このLNGの市場というのは、冒頭に申し上げた、いろいろな、可変的な理由によって今かなり変動しているわけでございますけれども、そんな中で、例えば、長期契約によるLNGの調達というのは、二〇二六年までに供給を開始できるようなものは全てほぼ売り切れてしまっていると言われていて、また、我が国の近年の取引のうち大体三割ぐらいが五年以内の短期の契約であったりだとか、スポット、高値かもしれないけれども、その都度その都度、需給の調整として買うようなLNGになっているんだと思います。

 今申し上げたような、こういういろいろ不確実性が高い世の中、市場になってきているからこそ、日頃から、それこそエネ庁の皆さんとJOGMECの皆さんが、有事というか、LNGが不足しているときを想定して、シミュレーションしていくことも非常に大事なんだろうなというふうに思っております。

 そこでまた、JOGMECがLNGが不足したときに直接調達に動き出すときの質問をさせていただきたいんですけれども、恐らく、想定としては、長期、短期、スポット、いろいろありますけれども、ふだん買っているよりも高く買わないといけないような場面が想定されるんだろうなというふうに思っております。

 そんな中で、じゃ、JOGMECが直接、ある意味ふだんよりも高額でLNGを調達したときに、最終最後は我々国民一人一人の生活者の方に転嫁されるんだと思っておりますけれども、JOGMECからいわゆるLNG販売会社、ガス販売会社にLNGそのものを卸すときの価格転嫁の形であったりだとか、また、更にその先の我々生活者のガス価格への転嫁というのはどういうふうになるんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、今回、ガス事業法に基づいて、国の要請に基づくJOGMECのLNG調達という制度を提案させていただいていますけれども、令和二年度に、電気事業法の一部を改正する法律におきまして、発電用のいわゆる燃料についても同様に、国の要請に基づいてJOGMECにLNGの調達を要請できるという仕組みが既に入ってございます。今回、ガス事業法に基づく制度につきましても、基本的にはその電気事業法改正のときに導入した制度を援用していくということを想定してございます。

 具体的には、JOGMECが調達をまずマーケットからしてまいります。委員おっしゃるとおり、それは通常よりも需給が逼迫しているので、高い値段になっていることも想定されます。これを、実際JOGMECがガスを使うわけではございませんので、いわゆるガス事業者さんに転売するということになりますけれども、その際には、既に電気事業法で定められている規定によりますと、調達価格に必要な事務手数料を加えた価格で販売する、また、JOGMECが例えば市中の借入れでその調達を行った場合には、その利子分相当も追加して販売するということを想定してございます。

 その上で、そのときの状況によって、都市ガス等の事業者の皆様がJOGMECからのLNGを購入するための費用について、これはいろいろ不安がある、困難があるということがありましたらば、金融面での支援なども含めて、公的金融による支援などの可能性も含めて、適切な対応策を検討していきたいというふうに考えてございます。

土田委員 ありがとうございました。

 今回の改正案の大きなもう一つの柱であります、ガスの使用制限についてお伺いさせていただきます。

 これは、今回、ガスじゃなくて電気の話になってしまうんですけれども、今まで電気の使用制限がされたのは日本で二回だと聞いておりまして、一つは、私もはるかに生まれていない一九七四年のエネルギーショックのとき、オイルショックのとき、また、二回目は三・一一東日本大震災のときでございます。この東日本大震災のときはどういうプロセスで電気の使用制限が発令されたかというと、ちょっと時間がないので細かいところは避けますけれども、五月十三日に電力需給緊急対策本部が立ち上がって、七月の一日にいわゆる電気の使用制限が開始されたというような流れのようでございます。

 ガスの使用制限をするときは、どういうようなスキームで使用制限がされるんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回法案に盛り込んでございます使用制限のお話でございますが、電気、ガス共に、基本はガスについても供給を確保する、これが最優先ではございますけれども、万が一、世界的な情勢の中でLNGの確保が難しくなってくる、国内の需給が本当に緊迫してくるという状況についての対応策というのを、電気と同じような形で使用制限の仕組みを入れるという趣旨でございます。

 委員からお話がございましたけれども、電気の場合も、一定の期間を置きまして国民の皆様方にお知らせをした上で具体の実施に入っていくことになるわけでございますが、ガスの方も同様でございまして、一定の時間的な余裕を持った中で、特に産業界の方々と具体的な運用の、利用の調整ができていかなければなりません。業界によって、企業によって、事情が非常に違うところでございます。その実態のことをよく踏まえながら、取決めといいますか、どういう形で運用するかということを定めた上で、ルールにのっとった形での使用制限ということをやっていく。このために、しっかりと実態を踏まえた調整と一定の猶予を持った周知ということと、御説明ということを尽くしていく、こういう運用を念頭に置いているところでございます。

土田委員 ありがとうございました。

 ガスの使用制限と言うと、言葉がばっと出てきてびっくりしちゃうので、是非、その使用制限のスキームであったりだとか使用制限適用除外の基準だったりも国民の皆さんにしっかりと説明していただくように、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌です。

 ガス事業法及びJOGMEC法の一部を改正する法律案について、LNG調達の課題点も含め、質問をさせていただきたいと思います。

 ロシアのウクライナへの侵略が始まって、はや八か月がたちました。この間、残虐非道な行為が続き、先日もインフラ施設や集合住宅がミサイル攻撃を受けて甚大な被害が出ていると報じられております。重大な国際人道法違反であり、断じて許されない戦争犯罪でありまして、その責任は厳しく問われなければなりません。国際社会が更に一致団結して、一日も早い解決に至ることが何よりも大事であります。

 このロシアの侵略行為に対し、国際社会は強い制裁を科してきておりますが、ロシアからの報復とも取れる行為によって、欧州ではエネルギー価格の高騰など、大きな影響が出ております。日本、アメリカも価格高騰の波が押し寄せておりますが、欧州では特に高騰しております。

 サハリン1は、十月十四日付でロシア側で新会社が設立をされ、参画するかどうかの判断が必要となります。また、サハリン2の状況も不透明であります。このロシアの侵略の前段階においても、アジアを始めLNGの需要が高まる中、アメリカでのトラブルによる出荷停止などでLNG供給の不確実性が高まりました。

 このように様々な要因が重なって、日本でもこれまでにないLNGの調達環境となっておりますが、我が国のLNG調達の環境をどう分析し、どのように見ているのか、まず御見解をお伺いしたいと思います。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 まず構造的要因でございますけれども、そもそも、ここ数年、LNG市場に関係をいたしますガスの上流投資、石油も含めてでございますけれども、上流投資につきまして、過去の油価低迷と脱炭素化の流れの中で上流投資に滞りが見られておりまして、構造的に需給が逼迫するおそれがあるというふうに私ども分析しておりまして、IEA等にもそういう問題意識を伝えていたところでございます。

 これに加えまして、昨年の秋頃から、経済の回復や風力発電の不調などによりまして、欧州などにおきましてLNG、天然ガス需要が増加したこと、さらに、本年二月のロシアによるウクライナ侵略に伴いまして、ロシア産天然ガスの代替を求める動きが重なったことで、LNGの需要が一層高まったということだと考えております。

 さらに、来年以降でございますけれども、中国がコロナ後について経済が回復してくることに加えまして、欧州のLNG受入れ能力が拡大をすれば、より一層LNGの需給が逼迫してくるということを予想しているところでございます。

 我が国におきましては、LNGの多くを長期契約で調達してきたことも寄与しまして、欧州などと比べまして、足下では安定した確保はできておりますけれども、世界的にはLNGの争奪戦とも言える厳しい状況になってくるというふうに認識をしているところでございます。

中川(宏)委員 厳しい状況が続くということでございます。

 LNGの調達環境でありますけれども、産ガス国が多く、分散して輸入することができますので、原油ないし石油などいわゆる電気事業の調達環境に比べるとリスクが低いと言われてきました。

 その中で、JOGMECの役割でありますけれども、国際社会において、事前段階としての海外地質構造調査や様々な探査に始まり、探鉱段階、開発段階、生産段階と、広範囲に資源外交を行っていると承知をしております。今回、そのつながりや資金力をもちまして、日本のLNG調達環境のリスクに対して準備をしておくように法律が改正をされますけれども、大変重要な改正であると思っております。

 そこで、今回の改正において、供給面でいくと、公的枠組みによる都市ガス用のLNGの調達の仕組みが導入をされます。電力会社やガス会社などの枠組みが緩和をされ、それぞれが融通し合ってきていると伺っておりますが、今回は更に踏み込んで、ガスの安定供給に支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合、LNG調達が特に必要であり、民間事業者による調達が困難であると判断した場合に、経済産業大臣がJOGMECに対してLNGの調達を要請するということであります。

 元々、ガスは、先ほども申し上げましたが、電力に比べると、産ガス国が多く、分散輸入しているので調達リスクが低い状態で、かつ融通もできるという中で、今回なぜJOGMECに要請し、LNGを調達させる制度をつくるのか。また、どのような調達環境になった場合に要請をするのか。さらに、民間のガス事業者による調達が困難であるというのは具体的にどのような場合を想定しているのか、お伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたように、LNGの調達につきましては、電気とはちょっと違いまして、これまでも、官民挙げた調達の多角化を進め、上流開発投資もしっかり進めてきているところではございます。

 他方で、先ほども答弁ございましたけれども、LNGをめぐる国際的な市場の環境ということを考えますと、需要の増加と上流投資の停滞といった供給構造の問題、需給構造の問題、さらには国際情勢の変化、トラブルの発生、様々なことが生じておりまして、各国の獲得競争はかなり激化し、同時に、歴史的な価格の高騰に直面するというのが現状でございます。

 こうした中で、御指摘がございましたように、融通等々の措置を民間でやっていただくわけでございますが、国もそれを応援していくわけでございますが、例えば資源国や国有企業が売り渋りを行うなど、供給、需給に関する異常な事態が生じてくると、その場合、民間企業だけではなかなか調達がままならないというふうなことも起こりかねない、こういう万が一の事態に備える必要が我々はあると考えてございます。

 こうした事態において、JOGMECによるこれまでのLNG調達及び投資に関する信用力ですとか、その経験、知見、ネットワークを生かしながら交渉等を行い、獲得につなげていきたいという観点で、今回の法改正の中で、国の関与した形での調達ということを盛り込んでいるところでございます。

中川(宏)委員 今回、非常事態に備えて公的枠組みによる調達の仕組みを新たにつくったというのが一つのポイントであると思いますけれども、調達におきまして、スポット調達などでは、想定外のコストがかかった場合、小規模なガス会社は対応が困難になることが想定をされますけれども、金融面などの支援、また、それによる影響として需要家支援をどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの土田委員への答弁と一部重複するところもありますけれども、JOGMECが調達を行う際には、御指摘のとおり、LNG価格がスポット市場で高騰していることが見込まれます。この際、事業者への金融面での支援が必要であれば、公的金融による支援、あるいはJOGMECがガス事業者さんからの分割払いに応じるといったようなことも含めて、適切な対応策を検討してまいりたいと考えております。

 加えて、御指摘の需要家サイドへの支援でございますけれども、スポット市場で高く買ってきたガスの価格がいわゆるガスの小売の料金に転嫁される事態が想定されるわけですけれども、これは、その時々の状況、それから対象となる需要家への影響の度合いなどを踏まえながら、しっかりと必要な対策をその時点で検討していくということで考えてございます。

中川(宏)委員 次に、需要面での対策でありますけれども、電力の場合にはいわゆる消費のピークがありますけれども、ガスの場合にはそのピークが余りないように思われます。その中で、経済DRの効き目というのをどのように捉えているのか、この点についてもお伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電気とガスでは、材の違い、特性によって、サービス提供の違いによって、需要面での管理の在り方、抑制の在り方にちょっと違いがあるような認識でございます。

 電気について言いますと、需要について、全体の需要、総量を抑えるということに加えまして、電気は発電と需要量がちょうど一致しないと停電が生じてしまうものですから、瞬間的な需給バランスの不一致による停電を防ぐためのピークシフト、ちょうど合わせるためにということの中での裕度の中で、経済的な側面でのインセンティブをつけるというデマンドレスポンスのような取組というのは、これまでも電力事業者の方々若しくは我々の支援の中でも取り組まれてきているところではございます。

 これに比べますと、ガスの方は、全体としてのネットワークの在庫量、ガスの在庫量をうまく管理するという問題でございますので、なかなか働きにくい面があることは我々もよく認識しているところでございますが、一方で、需要の管理というのが非常に重要な局面になってまいります。電気と同様、ガスにつきましても、総量を抑制するために経済インセンティブをどう働かすことができるか、この辺りは、事業者の皆様方と一緒になり、一度検討を深め、策を講じるように検討を進めてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 そこで、今回、一定の大口需要家に対して、ガスの使用の制限等を命じ、又は勧告することができるとなっております。しかし、大口需要家でも、病院ですとか下水道などの重要施設は除外や緩和を講じることとなっておりますけれども、これは現場をよく確認していただきまして、国民の生活に大きな影響が出ないよう心がけていただきたいと思います。

 まず、この点についての御見解とともに、ガスの使用制限の命令や勧告が出た場合ですけれども、地方自治体との連携や、また、対象となる需要家への周知はどのように行われているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案に盛り込んでございます使用制限令のところは、供給確保を大前提とした上での、万が一のための使用制限令ということでございますが、いざとなりましたら、利用者の方々全体で負担を分かち合っていただかなければならない。

 ただし、使用制限の対象となる需要家について言いますと、影響を最小限にとどめる観点から、電気の例も踏まえまして、一定規模以上の需要家のうち、状況に応じて必要な者を限定した上で、個別に制限をかけるという方向で考えてございますので、委員御指摘ございましたような、国民生活に密接に関わるインフラですとか生命等の安全確保に不可欠な施設については、使用制限の対象とすることは適当でないというふうに考えているところでございます。

 また、その上で、これを実際に実施する際には、準備期間がとても重要だと考えてございます。まず、対象となる供給エリア内の大口需要家や産業界、市町村などの地方自治体、関係省庁等と実施内容の調整をしっかりと行っていくというふうに考えておりますし、周知につきましても、一か月程度の十分な周知期間を設けてしっかりと周知してまいりますし、また、その地域の住民の方々に対しても、自治体と連携しつつ、様々な広報手段を通じてしっかりと周知を進めていきたいというふうに考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 これは万が一の対応ということでありますけれども、丁寧な対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問になりますけれども、LNGを取り巻く環境を見てみますと、現在輸入されているLNGのうち、約六五%が発電用で、約三五%が都市ガス用となっております。この比率からも、ガス事業は電気事業に引っ張られる面がありますので、電力での資源調達の環境がLNGの調達環境に大きな影響を及ぼすと見て取れます。

 また、LNGは長期保存に向いていない上、スポット調達は契約してから約一か月半後に日本に来る状態でありますので、天候の変化なども需要と供給に影響を及ぼします。このことから、ガス事業にとって、電力事業の安定がリスクヘッジになると考えます。

 電力をしっかりと確保するとともに、国として様々な点を検討し対応していただきたいという点と、これまでLNGというと安定性が重要視されてきましたけれども、これからは、加えて競争力としての経済性、柔軟性のウェートが高くなると思います。ロシア情勢などからこれまでにない調達環境になることを考えると、ガスでも、国による最終的な需給調整のための法制的手段の整備は不可欠だと考えます。

 改めて、今回の法改正の意義と重要性について、大臣の答弁を求めたいと思います。

西村(康)国務大臣 委員御指摘のとおり、電力そしてガスの安定供給をしっかり図っていく、そのために様々な対応をし、万全を期していきたいと考えております。

 そうした中で、本法案、御指摘のように、予期せぬプロジェクトの事故もあれば、あるいは国際情勢の変化、こうしたことを背景に、都市ガスの原料であるLNGの供給の不確実性が高まっております。こうしたことから、万が一の危機に備えて、需給両面で国の関与について法的措置を講じるものであります。

 LNGは、都市ガスのほぼ全量を供給しております。今回、JOGMECによる調達は、資源国で国際紛争あるいはテロ攻撃、経済制裁、大規模な自然災害などが発生し、世界規模でLNG需給が逼迫したような場合に、民間企業だけでは対応し切れない、そうした異常事態に備えてLNGの安定供給を確保していきたいというふうに考えております。

 そして、先ほど来答弁がありますけれども、ガスの使用制限は需給調整のための最後の手段でありますので、仮に需給逼迫のおそれが生じた場合にも、節約要請や需要抑制といった需要対策を実施する前に、事業者による代替調達、事業者間のLNGの融通、こうした供給対策を最大限講じていきたいというふうに考えております。

 世界的な情勢を踏まえて、万が一の場合の都市ガスの需給、この対策に万全を期す観点から、是非御審議いただき、御賛同いただければというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、こんにちは。改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。立憲民主党、福島県出身の馬場雄基でございます。

 実は私、大学時代に経済産業省のインターンシップを経験した一人でもございます。東日本大震災直後に大学に進学をいたしまして、そのときは全然心が整理できず、何をするにも中途半端な人間でございました。その年の夏、インターンとして経産省にチャレンジして、テーマであった、そのときは蓄電池、スマートハウスでしたけれども、そこにかけていく皆様方の熱い情熱、そして、そのときに集った一人一人のチームのメンバーの、ある意味、そこもまた情熱に押されて、いろいろな世界に飛び出していかなくてはならないのだというふうに気づかされた一面もございました。この場をかりて、また御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 この経験から、経済産業省は、日本の未来への産業を生み出し、そして育んで、次なるステージへとまた推し進めていくのが使命であるというふうに私は確信を持ってお伝えしたいと思います。時代の転換点にある今だからこそ、まさに経産省の歩み方一つで将来の日本が形作られていくのだというふうに思い、この質問にも立たせていただきたいと思っています。(発言する者あり)ありがとうございます。

 まず、この度の改正案についてでございます。

 今回の改正は、先ほど来ございましたが、ロシアによるウクライナ侵攻や様々な有事が想定される中、資源が乏しい日本において調達が不安定になる、そのリスクを想定したものだというふうに思っています。

 しかし、日本全国にある全ての供給拠点において、同じ国、同じ割合で輸入しているということではなく、どこから輸入しているかは各拠点によって変わっているのではないでしょうか。つまり、拠点ごとにリスクは変わってくる。

 その資料をいただきたいと申し上げたところ、民間企業ということもあり、その資料は手元にはいただけませんでした。企業戦略ということは十分理解しているつもりです。しかし、国を守るためには、リスクの見える化もまた必要だと思います。

 政府として、しっかりと、各拠点の輸入先の国々あるいはその割合、それぞれのリスクについて把握しているということでよろしいでしょうか。経産省さん、お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 都市ガスの事業者の方々、これも、電力もそうでございますが、LNGの調達の際には、その調達先の多角化、契約内容の多角化ということを進めていらっしゃるというふうに認識しているところでございます。

 ただ、これはお任せしたっきりというわけになかなかいきません。ですので、政府といたしましても、ガス事業法に基づきまして、原料調達先の国ですとか調達予定量、入船スケジュールですとかを含めまして経産大臣に御報告を頂戴することにしているところでございます。

 これは、企業の方々の調達戦略そのもの、ポートフォリオの張り方そのもの、リスク管理の戦略そのものでございますので、なかなかそれを一般的に開示するということは適切ではないと考えてございますが、これを全体で総合化していく中で、ガス及び電気それぞれの事業全体としてのLNGの調達についてのリスクの管理ということについては、こういったいただいた情報を基に確認をしているところでございます。

 こういう中で、昨今、この一、二年、様々なトラブルが生じているわけでございますが、その時々に、事業者間の融通等々を促すような取組を進めているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 大事なのは国益だというふうに思っています。ですので、民間企業ということの、戦略上ということであれば私はそういう理解をしますけれども、政府としてしっかりとその部分は確認をお願いしたいというふうに思っています。

 また、三月十六日に起きました福島県沖地震、その影響において電力が不足し、三月二十二日に、東京電力そして東北電力管内にて電力の需給逼迫が起きました。そして、警報も出されたと思っています。国民の皆様方の御協力で何とかその事態は乗り越えられたと思っていますが、本来、ガイドラインでは、前日十八時で発令すべきものでございます。実際に出たのは午後の九時過ぎという発令でして、混乱を招いたことに、私たちは教訓としてそれを受け止めなくてはならないと思っています。

 万が一を想定する改正案であるならば、これは先ほど西村大臣の御答弁にもございましたので同様のものになってしまうかなと思いましたが、ガスについても、電力同様、需給逼迫警報のガイドライン、最後の最後の手段だと思いますけれども、整えていくべきものではないかと思いますが、西村大臣の御見解をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 都市ガスの需給対策を講じるに当たっては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、LNGの代替調達、そして事業者間の融通、こういった供給面の対策を官民でまずは最大限講じることが基本となります。

 こうした自主的な取組を政府としてお願いする場合に加えて、万が一、国民の皆様や企業などの需要家に使用制限、使用の節約をお願いする場合には、その必要性を御理解、そして十分納得いただいて取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。

 そのため、委員御指摘のとおり、丁寧な情報発信、情報提供の実施が重要であります。例えば、過去の電気の使用制限、あるいは今も御指摘ありました需給逼迫警報の発動時の先例も参考にしながら、改善すべきは改善をし、そして、逼迫時の情報提供について丁寧にかつ的確に行えるように、しっかりと準備をしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、前向きな御答弁ありがとうございます。是非、そちらの準備も進めていただければ幸いです。

 先日、報道にて、大規模発電に対する投資を行い、収入保証を検討していくという記事を見受けました。

 あらゆるリスクを回避する視点から、様々なシステムを、ある意味で中央集権型から分散型へと変化し、転換させてきたというふうに私は理解をしています。私自身は、分散型エネルギー社会の実現こそ目指すべき姿でありまして、それをある意味で補完していくための大規模発電だというふうに思っています。

 国として、ある意味で、目指すべき方向性をこれから改めてまた変えていってしまうのか、あくまで、今私が申し上げたとおり、目指すべきは分散型エネルギー社会の構築であるというものなのか、西村大臣に経済産業省のお考えをお伺いさせてください。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、我が国の基本的なエネルギー政策として、SプラススリーEということで、安全性、安定供給、経済効率性、そして環境適合、これを掲げております。これら全てを満たす単一のエネルギー源があるわけではありませんので、そうした現状の下で、多様なエネルギー源をそれぞれの特徴を考慮しながら活用していくことが重要だというふうに考えております。

 御指摘のように、分散型電源、これも重要であります。再生可能エネルギーのように、分散型電源、この活用に向けて、全国規模、全国大で再エネ特別措置法に基づく導入支援、それから系統整備、それから、インターンもされたという、御関心の蓄電池、この設置支援に加えて、災害時のレジリエンス向上を目的に、大規模停電時に地域内の再エネから電力供給する、いわゆるマイクログリッド、この構築も支援をしているところであります。

 一方で、原子力、火力といった大規模集中型の電源についてでありますが、需給バランスの調整機能や優れた安定性、安定供給性を有しております。再エネの場合は出力の変動がありますので、この変動を伴う再エネの導入を進める中にあっても、引き続き一定程度活用していくことが必要であるというふうに認識をしております。

 そして、こうした取組の一環として、御指摘のありました、脱炭素化を前提として、事業者の予見可能性を確保し、発電所に加えて蓄電池も含めて新規投資を促す措置について、現在、審議会において導入に向けた検討を行っているところであります。

 以上のように、将来のエネルギー安定供給の確保、そしてカーボンニュートラル、この実現に向けて、様々な電源について、その特徴をよく考慮しながら、再エネ、原子力含めて、あらゆる選択肢を現在追求し、議論を進めているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 大事なのは、私も、何というんでしょう、青二才な部分でもあるんですけれども、政治において大切なのは、目指すべき方向性を指し示すことだというふうに思っています。

 分散型エネルギー社会を構築するという意味では、まだまだできることはたくさんあるというふうに思っています。それをあくまで補完する意味での大規模発電、行く行くはやはり分散型エネルギーでいくことが国としては私は望ましいというふうに思っています。これは多分考え方の違いかもしれませんが、私は、あらゆるリスクを回避する意味でも大切であると思いますし、そこに対する投資をぐっと持っていくということが大切なのかなと。理想の姿を描き、そこに全力で実現を求めていく、ただし、現実的なこともあるので、それを補完させていくというようなスタンスで是非大臣にも考えていただければというふうに思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。

 さて、分散型社会を目指す中で、最近、目まぐるしく進化を遂げている分野がございます。分散、自律、非中央集権、こういった言葉がしきりに駆け巡っている世界、それがウェブ3の世界でございます。

 ガラケーを持っていたときに、スマホの時代が来ると誰も予想ができていなかったのと同じように、そのときが来ればあっという間に世界が変わってしまうというのが今の時代だと思っています。その新たな時代、ウェブ3へと世界は変わりつつある中で、私たちは期待とそして危機感を持って挑まなくてはならないのだと思っています。よく私が伺うのは、ちょっとよく分からない、怖い、私も全て今分かっている状態ではないですけれども、そういうふうなことをよく聞かれます。今、日本政府としてなすべきことは、適切な情報発信と、来るべきそのときに備えて環境を整備することであるというふうに思っています。

 そこで、所管であるデジタル庁さんに伺います。

 ウェブ3がもたらす社会的インパクト並びにそのリスクがどのように整理されているのか、簡潔にお願いいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁におきましては、ウェブ3という新しい技術につきまして、本年九月にウェブ3・0研究会を設置して議論を行っているところでございます。これは、この新しい技術を様々な社会課題の解決を図るツールとするとともに、我が国の経済成長につなげていくとの視点を踏まえ、ウェブ3により実現を目指す経済、産業、社会の姿について検討を行うためのものでございます。

 この研究会の中におきましては、ウェブ3が与える社会的インパクトにつきましては、構成員から、例えば、若い世代が垣根なく社会参加できるようになる、世界に新たな価値の流通をもたらす、地域の課題解決に使えるなど、様々な可能性を見出す御意見がございました。一方で、委員御指摘のウェブ3がもたらすリスクについても、構成員からもお話がございました。例えば、容易な資金調達に伴う問題、国境を越えた取引に伴う問題、これらを踏まえた利用者保護の必要性といった指摘がございました。

 私どもとしては、多様なバックグラウンドを持つ研究会の構成員において御議論いただきまして、年末までに議論を取りまとめていただき、デジタル庁としては、その取りまとめを基に、デジタル社会実現の司令塔として、ウェブ3に関する政府全体の取組を推進してまいる所存でございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今まさに目まぐるしく世界が動いている状態ですので、情報の整理もすごく大変なのだということは私も理解をしたいと思うんですけれども、やはりそれの適切な情報発信を都度都度行っていくことが大切だと思います。

 委員の皆様方にも、よかったら、ウェブ3と検索してみていただきたいと思うんですけれども、なかなか行政のページというのは見つからないものでございます。デジタル庁のページを拝見させていただいても、例えば勉強会を開催しましたというのは出てくるんですけれども、それ以上の発信がなかなか見えてこない部分がございます。ですので、しっかりと、そのもたらす可能性、期待のわくわくする部分と、リスク、ここだけはしっかりやらなきゃいけないぞというところをしっかり理解していけば、国民一人一人がより理解し、より積極的にその世界へ進むことができると思いますので、是非その情報発信を強く求めていきたいというふうに思います。

 釈迦に説法ではございますが、ウェブ3とウェブ3・0というのは異なる概念であるというふうにも思っています。一般的に、3・0という世界は、二〇〇六年の五月、アメリカ、ニューヨーク・タイムズ紙で、ティム・バーナーズ・リーさん、www.、ワールドワイドウェブを開発されていた方が、SNSを中心としたウェブ2・0の延長線上にそこが見えてくる世界だというふうに提唱したものだと理解しています。一方で、ウェブ3というのは、イーサリアム、暗号資産のイーサリアムを創設したギャビン・ウッドさんが提唱した、ブロックチェーンという新たな技術をコアにして、そして生まれてきた新たな世界観だというふうにも思っています。

 いまだ定まった定義はないのかもしれません。それぞれで、皆さん自由に使っている用語でもあるというふうにも思っていますが、日本政府の中で様々な定義が行われてしまってはちょっと問題ではないかと思います。

 例えば、岩手県の紫波町、すごく頑張っていますよね、ウェブ3タウンというものをつくっていますが、そこではスリーなんです。でも、恐らく今使われている行政の用語では3・0の方を使われていると思います。今後のことも考えると、日本政府そして地方自治体、一体となって同じ表現を行っていった方がいいのではないかという御提案ですが、デジタル庁さんの見解をお伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、ウェブ3については、現時点では画一的な定義が定まっているものではないと私どもも認識しておりまして、表記についても、今御指摘のように、様々な論者によって異なるものと承知してございます。

 政府の閣議決定文書でありますデジタル社会の実現に向けた重点計画でございますとか、また、いわゆる骨太の方針におきましては、電子メールとウェブサイトを中心としたウェブ1・0や、スマートフォンとSNSに特徴づけられるウェブ2・0と対比的な概念であるということを踏まえまして、ウェブ3・0と記載して、ウェブスリーと読んでいるところでございます。

 現時点での整理はそのような形でございますけれども、今申し上げた研究会におきまして、先ほど、紫波町の方からもプレゼンテーションをいただくなど、我々としては、様々な関係者と連携をいたし、認識を共有していくことが重要だと考えております。

 研究会を通じて、目指すべき経済、産業、社会の姿についてしっかり議論を進め、取組も併せて進めてまいる所存でございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 年末までというふうにも言われていましたので、逆に言うと、来年には少し定まった表現で言っていただきたいなというふうに改めてここで申し上げたいですし、新しい世界観なので、様々表記が異なっていると、そこにまた新しく参入してこようとした人たちが、あれ、どっちなんだろうというふうに、変にそこで二の足を踏んでしまうのはもったいないというふうにも思っています。

 ですので、年末までということを言われましたけれども、その議論の過程、ある意味、そのわくわく感、そしてリスク、しっかりとやはり情報発信していくことが大切だと思いますし、年明けにはある一定程度の方向性、同じ表記というものを、霞が関とそして地方自治体、やはり一体であるのが私は日本政府だというふうに思っていますので、是非よかったら、御検討いただけたら幸いです。

 続きまして、今懸念されている、法人と個人それぞれへの課税制度について、金融庁さんに伺いたいと思っております。

 法人税では、暗号資産が期末時点で時価評価額で課税されているため、キャッシュがないのに現金で支払いが求められてしまうという点で、経営の継続が難しくなってしまいます。これはよくもう聞かれていることだと思います。

 また、個人においては、雑所得として計算されてしまうため、最高税率、所得税、住民税合わせて五五%かかってしまうなど、世界と比較しても制度化がなかなか進んでいない状態だというふうに思っています。

 このかいわいで活躍する、活躍を目指そうとする方々が海外に行ってしまう、人材流出が相当の問題であるというふうに認識していますが、それぞれの検討の方向性について、課題はもう認識していますので、その方向性について、金融庁さんに伺わせてください。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、経済産業省と共同で、令和五年度の税制改正に向け、法人が発行した暗号資産のうち、当該法人以外の者に割り当てられることなく、当該法人が継続して保有するものについて、期末時価評価課税の対象外とすることを要望してございます。

 現状、活発な市場が存在する暗号資産については、法人税法上、期末時価評価課税とされております。この結果、ただいま委員御指摘のとおり、キャッシュフローを伴う実現利益がなく、担税力がない中で継続して保有される暗号資産についても課税が求められるものとなり、ブロックチェーン技術を活用した起業等への阻害要因として指摘されております。

 今回の要望は、こうした状況を改め、ウェブ3推進に向けた環境整備を図る観点から進めておるものでございます。

 また、暗号資産の取引に係る所得税につきましても、委員御指摘のとおり、原則として雑所得に区分され、総合課税の対象となっております。

 こうした取扱いについて、関連団体において、上場株式等と同様に、暗号資産の取引による所得に二〇%の分離課税を採用するべきとの御意見、御要望があることは承知しておりますが、給与や事業で稼いだ方は最大五五%の税率が適用される一方で、暗号資産で稼いだ方は二〇%の税率でよいとすることについて国民の理解が得られるのか、株式のように、家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当なのかなど、様々な論点があると考えており、丁寧な検討が必要と考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今まさに要望として出されているということですので、ここはしっかりと私としてもお願いさせていただきたいというふうに思っていますし、経済産業省としても、金融庁さんとタッグを組んで、その部分を前に歩みを進めていただきたいと思っています。

 また、個人についても、論点がかなり、すごく難しいことは承知していますので、ここで何か結論を出すわけではなくて、何が正しいのか、引き続き議論をさせていただきながら、その方向性を一緒に考えさせていただけたらうれしいというふうに思ってございます。

 そして、デジタル環境の整備には、ある意味で、攻め手だけではなく、守り手も重要であるというふうに思います。

 そこで、個人情報保護について伺います。デジタル社会、これはウェブ3とかのレベルではなくて、今のデジタル社会においても問題だと思うんですが、デジタル社会を最も活用しながら、一方で権利が脅かされやすい存在、それが子供たちだというふうに思っています。

 そこで、個人情報保護委員会さんに伺います。

 イギリスなどではチルドレンズコードといった規制がございますが、日本における子供の個人情報規制、今、そういうふうな規制はございますでしょうか。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の英国のチルドレンズコードは、子供に関するデータ利用につきまして、その利用目的などを公表することですとか、保護者のコントロールを求めることなどによりまして、子供の保護を図るというものだと承知してございます。

 一方、我が国の個人情報保護法におきましても、個人情報保護取扱事業者が子供の個人データの第三者提供などを行う際には、親権者などの同意を必要とする、あるいは個人情報の利用目的の通知、公表を求めるということ、そういうような措置を通じまして子供の個人情報の保護を図っているところでございます。

 今後とも、これらの規定を適切に、確実に運用していくということを通じまして、子供を含む個人情報の十分な保護を私ども図ってまいりたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 先ほどデジタル庁さんからも、この期待の部分では、やはり若い方の活躍というのが一部言われていたと思っています。ですので、やはりここは、しっかりと子供たちをいかに守っていくかということもまた大切だと思っています。

 今、世界の流れとして、欧米ですよね、子供たちの個人情報の保護を企業に徹底させる動きがすごく活発になってきていると思っています。先日もございました、アイルランドがインスタグラムを運営するメタに、子供のデータに関する管理の甘さを理由に制裁金を科した例もございます。

 日本が得意とするゲームの産業等において、ある意味、ここで今、日本企業が行っているのは、先ほどおっしゃっていました親権者の同意というような、あくまでやはり抽象的な部分になってしまいかねないのではないかと思います。これからやはりデジタルは国を越えていく産業そのものですから、今の日本の国内ルールに慣れてしまった状態で世界で競い合うことは、やや危険なのではないかと指摘をさせていただきたいと思います。

 早期に明確な法律を定めるべきではないか、あるいはそういう規制を明確に示していくべきではないかというふうに思いますので、個人情報保護委員会さんには是非とも検討をお願いしたいというふうに思ってございます。

 最後に、産業創出の観点について、経済産業省さんに伺いたいと思います。

 ウェブ3関係において行っている具体的な取組について、経済産業省さんとしての取組について簡潔にお伺いさせてください。

吾郷政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、ウェブ3関連企業が用いる資金調達、組織体などの新たな手法に対応するための課題整理、制度的な検討を行いまして、日本ではウェブ3の事業はできないというような事業環境を改善していくということが必要と考えております。税制、会計、法制度などの課題について、所管省庁とも相談しながら制度的な検討を進めてまいりたいと考えております。

 その上で、スタートアップの促進や文化経済領域の振興という観点も踏まえまして、スタートアップの立ち上げ期の人的、ネットワーク面での支援や成長に向けた資金供給強化、ウェブ3、メタバースも含めた新技術を活用したライブエンターテインメントに対する支援などに取り組んでまいります。

 さらに、ウェブ3の分野で世界的に活躍する起業家、投資家、アカデミアが集まるイベントなどのサポートについても、官民連携して検討してまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさに、今マイナスになっているところをゼロに直していく、そして、今はまだ生まれていない世界をプラスにしていく、双方の政策が必要であるというふうに思っていますし、今まさにお答えいただいたことがその内容になるというふうに信じています。

 日本の例えばゲーム産業はやはり世界に誇れるものですし、世界から愛されるキャラクターもたくさん多く存在しています。産業を創出する黎明期だからこそ、そのようなクリエーターさんあるいは技術者さんも巻き込みながら機運を盛り上げていく、それが経済産業省さんとしての、ある意味で一つの役割ではないかというふうにも思ってございます。

 西村大臣、実は私、先日、福島の地元の方々と月に行ってきました。ぽかんですよね。月に行って何をしたかというと、ラジオ体操をしてまいりました。

 これは何を言っているかというと、ここだけ切り取られてしまうと何を言っているんだと思われるかもしれないですが、先ほど言われていましたメタバースの世界観で、一緒に企画、イベントを行いながら、月で例えば一緒にお話合いをしたり、あるいはそこで講演を聞いたりするような企画がございました。遊び心もまたすごく大切だなというふうに思っています。

 ウェブ3はいまだ発展途上の技術ではございますが、日本経済の命運を分ける可能性も秘めている分野だと思っています。日本の産業を創出していく立場として、西村大臣の、ウェブ3に対する経済産業省としての役割、そしてこれからの決意についてお伺いさせていただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 今、世界でGAFAが、いわゆるプラットフォーマーへの情報集中とか富の偏在、こうしたことが課題視されてきたわけであります。そうした中で、まさに御指摘の世界的なウェブ3というものは、ブロックチェーン技術を基礎として、分散型の情報処理であったり、それから関係者間での公正な利益配分、こうしたことを可能にするとの期待感が非常に高まっているのではないかというふうに思います。

 御指摘の、御経験されたメタバースも含めて、現時点では、コンテンツとかゲームとかスポーツなど、文化経済の領域での活用可能性に注目が集まっております。仮に、このブロックチェーン技術が、課題もあります、電力の浪費とかあるいはセキュリティーの脆弱性、こうした課題を乗り越えてそれが可能になってくれば、将来的に、商取引、サプライチェーン、あるいは資金調達の在り方にも変化をもたらす、そうした画期的な技術になるというふうに認識をしております。

 こうした様々な技術的課題がイノベーションによって解決される、そうした可能性はやはり追求していかなきゃいけないと思っておりまして、日本でウェブ3事業はできないと指摘されるような事業環境があれば、それは改善していく、このことが必要だというふうに考えております。先ほど来御議論いただいたとおりであります。こうした問題意識に立ちまして、経産省においては、部局横断組織としてウェブ3・0政策推進室を立ち上げたところであります。今申し上げたような課題の整理も進めております。

 その上で、今年度は、まず、先ほど来ありました、金融庁とともに、事業者が自ら発行し、手元に保有する暗号資産に対する法人課税の在り方の見直しを要望しているところであります。

 今後も、デジタル庁、そして金融庁を始め関係省庁と連携しながら、スピードが大事だと思いますので、スピード感を持って事業環境の課題、この解決を目指していきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非ともこの幕開けをさせていきたい。そして、これはもしかしたら難しいのかも分からないです、それは行ってみなければ分からない世界ですが、やらなくて後悔することだけは日本政府としてはあってはならない世界だというふうに思っています。この世界でリードしていくためにも、来年はまさにG7でもございます、ここでリードできるか否かがまさにまた問われてくる世界だと思います。

 今回、ウェブ3、質問させていただくに当たりまして、様々な関係省庁の方々と議論をさせていただきました。どのようなことがどこで起こるか分からないからこそ、新分野だからこそ、省庁の枠組みを超えて、行政それぞれがお互いの取組だという、領域を見合うのではなく取り合う形をつくっていかなくてはならないのだと思います。分野を横断しながら協力し合う体制、それを西村大臣としても強力に推し進めていただきたいというふうに思いますし、デジタル庁、全て、そして今日話してくださった皆様、そしてここにいらっしゃらない関係省庁の皆様方も、自分事として、領域を取りこぼすことなく、次の時代を切り開くために全集中していただきたいことを最後に申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 エネルギーの問題、今日は、閣法もございますし、広く、大臣の認識を中心にお聞きをしたいなと思っております。基本的な、大事なポイントだと思いますので、是非御答弁の方をよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、世界平和統一家庭連合、旧統一教会関連団体の推薦確認書について、太田経済副大臣にお聞きをしたいと思います。

 御出張、お疲れさまでございました。前回お聞きをしたのでありますが、副大臣はいらっしゃらなかったので、この件、旧統一教会の問題はまだまだ様々、世間をにぎわせておりまして、大変やはり深刻な事態であります。

 この推薦確認書について、太田副大臣、サインをしたことがあるかどうか、確認させてください。

太田副大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘の推薦確認書につきましては、私は一切存じ上げません。

山崎(誠)委員 よかったです。ありがとうございます。

 それでは、本論に入りたいと思います。

 閣法でございますが、今もるる質問がありました。私も前の質問の皆さんと同じ懸念を持っておりまして、いざというときにJOGMECが本当にLNGを適切に調達できるのかというのが私の一番の大きな疑問であります。

 というのは、LNGの調達が民間のレベルで大変厳しい、難しい、そういう中で、そのタイミングでJOGMECが出てくることによってこの調達がうまくいくという保証がどこにあるのかなと。あるいは、JOGMECという機関が今、最近、毎国会ごとに名前が出てきまして、この機能、非常に期待が大きくなっているということだと思うんですが、JOGMECがこれを本当に調達することについての意義、有効性、そういったところについて、まずお答えをいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、LNGは都市ガスのほぼ全量を供給しております重要な資源であります。国際紛争やテロ攻撃、経済制裁、自然災害などが発生した場合に世界規模でLNG需給が逼迫した結果、LNGの調達に民間企業だけでは対応し切れないような異常な場合において、LNGを確保していくことが重要であります。

 そうした事態にJOGMECを活用するというのが今回の法改正の案でございますが、JOGMECはそもそも国の信用力を活用した組織であって、これまで様々な上流開発への支援を培ってきております。このため、資源国とも様々なネットワークを有しておりますし、経験、知見があります。政府と協力しながら資源国と交渉や調達を行うことでLNGの安定供給を図ることができる、そういう組織であるというふうに認識をしております。

 そのため、今次の改正において、JOGMECを活用し、調達を図っていくということの改正をお願いしているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 これまでの議論もありました。かなり細かな議論もあったと思います。例えば、調達を大臣の方から要請をするときのタイミング、リードタイムをどういうふうに見て、どういう事態になったらそれを発動するのか、そういう意思決定のルールなども、様々なケーススタディーを重ねてやはり準備をしていただかなければいけないと思いますので、是非よろしくお願いを申し上げます。

 それから、もう一点は、調達されたLNGの配分について。

 これもやはり、電力で使う部分とガスの製造で使う部分とあると思います。この公平な分配というんでしょうか、有効な分配というんでしょうか。ある特定な事業者に有利になったり、あるいは不利になったりというようなことがあってもいけませんし、コストをどういうふうに負担していくのかというような話もあると思います。そういうルール作りの重要性というのは認識されていると思いますが、今後どういうふうに取り組んでいくか、お聞かせください。

西村(康)国務大臣 今般の改正案でありますけれども、これに基づいてJOGMECが調達するLNGは、電気又はガスの安定供給に支障が生じるおそれのある事業者に対して、需給逼迫の程度や供給の支障による影響の大小等を踏まえつつ、必要量を販売していく、提供していくことを想定をしております。

 その際の販売価格については、基本的には、JOGMECによる調達価格に事務手数料などを加えた価格で事業者へ販売することを想定しておりますので、民間企業が自ら調達する場合と比べて大幅に割安な価格で販売することなどによって不公平が生じる、こうしたことがないように運用していきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、JOGMECが調達したLNGを事業者に販売、提供する場合には、事業者間で不公平が生じないような、御指摘のようなことがないように、適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 是非、予見可能性も、やはりビジネスの世界でありますから大事であります。是非、そういったところも配慮していただいて、今お話しいただいたルールの具体化をお願いをしたいと思います。

 それでは、関連してエネルギーの質問を幾つかさせていただこうと思います。

 まず、電力需給の逼迫というのが非常に問題になっておりますが、私は、この電力需給の逼迫というものがどういうものなのかというその認識あるいは政府の説明については、私はすごく誤解を生じかねない問題を抱えていると思っております。

 資料一を見ていただきたいのでありますが、これはGXの実行会議の資料の一枚であります。左下の方に「十年に一度の厳寒を想定した需要に対する予備率」ということが書いてありまして、これを見ると、一月、例えば東京、東北が一・五%、二月が一・六%、そんな説明なのでありますね。

 これを見ると、一月、二月というのがずっと厳しいんだというふうに見えてしまわないか。一月、二月の間ずっと非常に逼迫した状況が続いて、緊迫した状態が続くというふうに取られる。だから、いわゆるベースロード電源と言われるような電源、特に原発のようなものの再稼働が必要なんだということで、そういう印象、あるいはそういう論理づけを与えている資料になるのではないかというふうに懸念しています。

 実際には、資料の、ちょっとページが一番最後のページになりましたが、これは、済みません、参考としてつけました。経産省の方から、東京電力管内、去年の六月に注意報が出たのであります。六月に注意報が出ました。電力需給逼迫の注意報。二十七、二十八、二十九、三十と、この四日間、注意報が出たんですね。この期間に、実際に、ではどういうふうに逼迫が起こっているかというのを出していただきました。

 赤で囲ったところが予備率、大変小さくて申し訳ございませんけれども、下を見ていただくと、十時台が三・四、十一時台が三・四、ここが逼迫といえば逼迫なのであります。これは当日のデータです。このように、結論から申し上げると、逼迫というのはピークで一時的に起こるものなんですよ。

 大臣、これは通告をしたので、数字、数えていただいたと思うんですが、二十七、二十八、二十九、三十の四日間、九十六時間の間で、四%の予備率を切った時間帯は何時間ありましたか。

西村(康)国務大臣 まず、政府においては、前日の十六時を目途にして、その段階で、翌日の広域予備率が五%を下回る見込みとなった場合には電力需給の逼迫注意報を発令をする、そして、三%を下回る見込みになった場合には電力需給逼迫の警報を発令することとしております。

 そして、御指摘の六月二十七日から三十日のこの四日間、東京電力管内におきましては、電力需給逼迫注意報を発令をしたところであります。この四日間のエリア予備率が四%を下回った時間は合計九時間でありました。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 要するに、九十六時間の中の九時間なんですよ。だから、約一割の時間。それも、この六月という中の四日間において、そういう状況が電力逼迫の現実なのであります。それを、この危なかったときだけを取って六月の間ずっと電力逼迫が続いたような資料を作ることは、私は大きな問題だというふうに思っております。

 もう一つ、ついででありますが、上記のタイミングで揚水発電はどのような運転を行っていたのか、御説明いただけますか。

西村(康)国務大臣 御質問の六月二十七日―三十日の、この四日間のうち、エリアで予備率が四%を下回ったのは合計九時間ということで申し上げました。この各時間においては、御指摘の揚水発電は、発電又は上の池へのくみ上げのために電力を消費しておりますが、それぞれ、発電消費量は十六・八万キロワットアワーから四十二・六万キロワットアワー、消費電力はその間、五十六・四万キロワットアワーから百二十七・二万キロワットアワーでありました。

 ちなみに、東京電力管内の揚水の発電設備容量は、一千九十万キロワット程度であるということでございます。

山崎(誠)委員 今の御説明、ちょっと数字が細かいので、大変、大臣には申し訳なかったのでありますが、要するに、揚水、まだまだ使えるんですよ。

 危ないときに揚水発電が発電をしていない。あるいは、極端な例では、電力が危ない、逼迫しそうなときに、揚水を、水を上げるために使っていた。マイナスになっているわけですよ、供給力を。そういう運用を変えて、本当にこの揚水のパフォーマンスを上げれば、一割、二割はこの揚水の発電で上げられるんですよ、予備率を。一〇%、二〇%の改善できるんです。そういうデータをしっかり分析すると実態が見えてくるんです。決して、もちろん安定的な電源をある程度持つことを否定するものではありませんが、それが足りなくて逼迫が起きているということではないということは、この情報をきちっと分析すれば分かる。

 大臣、お尋ねしたいのは、こういう、例えば揚水の運用改善などはお金はかかりません。あるいは、ピーク時の九時間の需要をもう少し抑える、その努力をすること、そのためのコストと、供給力をアップしよう、これから原発を動かそう、どっちがコストメリットがあるか、電力逼迫に対してどちらの施策が有効かを御判断いただけないですか。

西村(康)国務大臣 まず、揚水発電についてでありますが、その性質上、休止している火力発電所の稼働、それから発電所の増出力運転、あるいは地域間の電力融通といった追加的な供給力対策を講じた上で、それでも直前まで変動する需要と供給を最終的に一致させるための調整力、いわば最後のとりでともいうべき役割を担っているところであります。

 その上で申し上げれば、この当該期間はそれぞれ、日中、夕方の予備率が低くなる傾向であったため、それまで可能な限りの揚水のくみ上げを行う運用を行ったものというふうに承知をしております。

 この点、この期間の午前中は、エリア予備率が四%を下回っていた時間帯もあるものの、仮に午前中の段階で揚水発電を活用した場合に、供給余力の先食いとなりますので、当日の夕方にかけて供給力を十分に確保できないおそれがあったというふうに承知をしております。さらに、翌日の需給も厳しい見込みであった。それが想定される中で、揚水発電による一定の供給力を翌日のために確保しておく、そういう必要があった。このために、午前中は、実際の需給状況を見ながら、ぎりぎりまで発電せずに、揚水のくみ上げを行っていたということであります。

 このように、揚水発電は、特定の数時間のためではなく、当日それから翌日、需給の見通しを踏まえた運用を行う必要があるものと承知をしております。言ってみれば、最終の抑えの、最後のとりでのピッチャーのようなもので、二回、三回からは投げない、やはりいざというときに登板してもらうということであります。

 その上で、御指摘の需要と供給のコストについてでありますが、電力安定供給のためには、需要、供給、一致させる必要がありますので、まずは供給力の対策によって必要な量を確実に確保する、これが重要でありますので、申し上げたような休止中の火力発電所の稼働や地域間の電力融通、これは事業者に指示することで供給力をコントロールできるものであります。一方で、いわゆるディマンドレスポンス、需要家がどれだけ応じるか、その次第で効果が変わり得るものでありますので、そうした供給側の取組と需要側の取組、これはそれぞれの効果、確実性等に差があるために単純な比較は困難であるというふうに認識をしております。

 ちなみに、この夏、追加供給力対策のために実施した公募では、落札量が百三十五・七万キロワットなんですが、平均落札額はキロワット当たり約七千八百円、このうち、ディマンドレスポンス、需要側の対応で落札した量は〇・四万キロワットでありまして、落札平均の価格はキロワット当たり約一万円ということで、これは変動するものであると思いますけれども。

 いずれにしても、ディマンドレスポンスなどの取組、これも実績を積み上げながら、最大限活用しながら、安定供給確保に努めていきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 揚水については、もう一回データを精査してください。大臣が言っているのも分かりますよ。だけれども、そんなに使っていませんよ。残っていますって、余力は。今までのいろいろな運用実績を全部分析していただければ、どういうふうに使うのが正しいか分かると思います。それはしっかりと分析をした上で議論してもらいたい。

 私、経産省と何度もこの資料、やっていますけれども、一向に出てこないんですよ。ようやく質問のぎりぎりで出てきています。

 陪席、頼んでいないので、ちょっと、いないでいただけますか。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)いやいや、だって、陪席を頼んでいない人が入ってくるのはおかしいじゃないですか。認めていませんので。

 分かりました、これはこういうことで。

 私は、国民の皆さんに知っていただきたい。電力の逼迫というのは、どういうことが起きているか。その対策はいろいろあってもいいでしょう。ただ、一・何%が一か月続く、二か月続くという話ではないのであります。そこは十分に注意しないと政策を誤りますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に行きます。

 これも前々から議論してきた内容でありまして、原発に対する武力攻撃の事態に対する質問であります。

 ロシアによるウクライナ侵攻、例えば、ヨーロッパ最大の原発、ザポリージャ原発が武力攻撃を受ける、そのリスクが高いというお話であります。

 それから、今、今日も飛んできたようでありますが、北朝鮮からのミサイル発射みたいなお話もあり、日本にとっては、これは繰り返しになりますが、原発を抱えていること自体が国家の安全保障上の大きなリスクだということは明白だと思います。

 それで、先ほどのGXの資料の二番を見ていただきたいのでありますが、「「危機克服」と「GX推進」」と、初めの方に出てくる資料でありまして、「グローバル」、「現状」という中に、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する石油ガス市場攪乱というのがありますよね。ここに、何で原子力発電所の武力攻撃のリスクというのが入っていないんですか、西村大臣。

西村(康)国務大臣 原子力発電所への武力攻撃に対する安全の確保については、引き続き、関係省庁、関係機関が連携をして、安全確保に万全を期していく必要があると考えております。

 その上で、原子力発電所への武力攻撃によって事故が発生した場合に、被害者の救済や除染について、国として必要な措置を講ずることになる。

 これは、ある意味で、私ども、これまでもそうした姿勢で臨んでおりますので、そうしたことについてあえて記載はしておりませんが、しかし、当然、先ほど来申し上げておりますとおり、国際紛争、そして様々なテロ、こういったことも頭に置いて考えていかなきゃいけないということであります。

山崎(誠)委員 これ、ジュネーブ条約がありまして、原発みたいなものを攻撃しちゃいけないというルールがあったんだけれども、それが今回のケースでは壊されているので、前提が大きく変わった。危機克服というのであれば、この危機の一つの大きな柱に置かなきゃいけないと思います。だから、GX実行会議のこの資料の作りは、私は、落ち度がある、欠落があるというふうに思います。

 今お話がありました、国として賠償などの措置をするんだという大臣の認識はあるんですが、原子力損害の賠償に関する法律、原賠法、これでは、武力攻撃事態をどのように扱うことになっているか、事業者の損害賠償の対象になっているかどうか、これ、文科省の、来ていただいていますね、政務官、お願いします。

山本大臣政務官 お答え申し上げます。

 原賠法第三条第一項ただし書が適用される場合におきまして、仮定の御質問に関してお答えすることは困難でありますけれども、原子力事業者が原子力損害の賠償責任を負わない場合には、原賠法第十七条において、政府は、被災者の救助及び被害の拡大の防止のための必要な措置を講ずるようにするものとされており、当該規定に基づいて、実際に生じた原子力損害の個別具体の状況を踏まえて、必要な措置を講ずることとしております。

山崎(誠)委員 大丈夫ですか。

 戦争の、今、ザポリージャの原発のような武力攻撃が起きているんですよ、大臣。これが日本で起きたときには、この賠償の責任が事業者に発生するんですか。

山本大臣政務官 お答え申し上げます。

 一般的には、海外からの武力攻撃や戦争によって原子力損害が発生した場合には、原賠法第三条第一項ただし書の免責規定が適用されるものと解されておりますが、仮に原子力損害が発生した場合には、実際に免責事由に該当するか否かについては、当該原子力損害が発生した際の個別具体の状況を踏まえて判断することと考えております。

山崎(誠)委員 海外から武力攻撃があって損害が発生したら、それは免責ですよ。ただし書の適用です。

 じゃ、十七条、政府は被災者の救助及び被害の拡大防止のため必要な措置を講ずるとあるんですよ。じゃ、具体的に何をするんですか。例えば国は、損害賠償請求を受けたら、それを賠償するんですか。あるいは、被害の復旧はどこまでやるんですか。福島のような除染作業は国が責任を持ってやるんですか。

山本大臣政務官 お尋ねの内容については、免責事由である、異常に巨大な天災地変又は社会的動乱のような極めて例外的な事態における被災者の状況等をあらかじめ予見することは困難であり、実際に個別の災害が発生した際にその状況に応じて講じられるものと考えておりますが、例えば、原子力施設への武力攻撃が生じた場合には、事態対処法や国民保護法等の枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令、住民避難等の措置を準備していると承知しております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 国民保護法が出てきました。停止命令ができるという話であります。

 規制委員長、原発を停止命令で停止した後、武力攻撃を受けたときのリスク、運転中はまあ大きいでしょう、でも、停止した後、武力攻撃を受けて、原発は大丈夫ですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 運転中と停止直後の原子力発電所を比べてみても、武力攻撃を受けた際には放射性物質が放出されるリスクの差は余りございません。

 運転停止してから時間の経過とともに放射性物質が放出されるリスクは比較的小さくなると考えられますけれども、停止中とはいえ、原子力発電所には多量の放射性物質が存在いたしますので、武力攻撃によってそれらが飛散すれば重大な被害が出るものと考えられます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 そうなんですよ。運転停止の意味というのはほとんどないと思いますよ。そのタイミングにもよりますけれどもね。五年前に止めてくれれば、まあ少しは安全かもしれない。でも、武力攻撃が起こりそうだと、緊急事態で国民保護法が発動したときの運転停止の意味はないと思いますが、政務官、どう思いますか。

山本大臣政務官 お答え申し上げます。

 運転停止に意味があるかどうかという御質問かと思いますけれども、それは文部科学省の所管外の質問かと思いますので、答弁は控えさせていただきたいと思います。

山崎(誠)委員 政務官がお話しになったので聞いたので。

 西村大臣、どうですか。

西村(康)国務大臣 今、規制委員会委員長が答弁されましたけれども、直後はリスクは、ないとはいえ、やはりその後リスクは低減していくわけでありますので、やはりこれは止めるのが正しい対応だというふうに思いますし、しかし、その武力攻撃をされないように、外交的な努力あるいは国全体で様々な防衛的な措置を取って対応していくということだと思います。

山崎(誠)委員 もう一つ。まあ、今のはもう話にならない。私は規制委員長の言うとおりだと思いますよ。

 避難をするんだというお話がありましたけれども、じゃ、避難に対して、この武力攻撃の損害が起きたときの避難は誰が責任を持つ、どうやって実施するんでしょうか。避難計画は策定されているんでしょうか。

 原発事故、これは避難計画を立案するのは自治体の責任になっています。これも大変難しくて、大変です、難しいです。

 平時の避難計画とこの国民保護法で言う避難計画は同じものですか、違うものですか。誰がどういうふうに責任を持つんですか。

西村(康)国務大臣 御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 我が国への武力攻撃のおそれがあると認められるような場合、内閣総理大臣が原子力発電所の立地する地域に警報を発令した場合に、先ほどありましたけれども、原子力規制委員会がその原発の運転停止を原子力事業者に命ずるとともに、内閣総理大臣が事態の推移を踏まえて都道府県知事に避難すべき地域を指示し、それを踏まえ、都道府県知事が市町村長を経由して住民に避難を指示するとの対処がなされるものと承知をしております。

山崎(誠)委員 じゃ、国が指示をして、自治体が動いて避難をするということですね。

 じゃ、避難計画は自治体の責任で作るんですか。この国民保護法制のベースの避難計画は、自治体が責任を持って作るんですね。

西村(康)国務大臣 国民保護法の運用の話でありますので、私が直接所管しているわけではございませんが、自治体が避難計画を作るというふうに承知しております。

山崎(誠)委員 じゃ、自治体は、平時の事故の避難と軍事的な危険が迫ったときの避難計画、二本作らなきゃいけない、そういうことだというのがこの質疑で分かりました。

 で、お聞きをしたいんです。

 今お話ししたように、こうした武力攻撃のリスクというのはもう顕在化している。その中で、立地自治体の住民の皆さんは、このリスクに対する今の政府の対応について合意を得る必要があるんじゃないですか。想定が変わりました。住民の皆さんの合意がなければ運転できないんじゃないですか。

 例えば、賠償の問題。事業者は賠償しません、国の対応はどこまでやるかもまだ分からない、その事象に合わせて対応する、避難計画は国が指示をするから自治体が考えてくれと。

 武力攻撃ですよ。武力攻撃の避難を自治体に任せるんですか。これが今の政府の答弁です。

 これで、住民の皆さん、立地自治体の皆さん、合意ができているんですか、納得しているんですか。

西村(康)国務大臣 まず、原子力発電所の再稼働に向けては、もう言うまでもありませんけれども、規制委員会の安全基準に適合するということが認められたものについて、地元の皆さんの理解を得た上で再稼働していく。その際に、当然、避難計画を作っていただき、それを作る際にも、私ども、様々な声をいただいておりますので、協力しながらそうしたものを作り、地元の皆さんに理解をいただいて再稼働していくと。

 そして、武力攻撃については、これは国民保護法の下で対応がなされていくということで先ほど答弁があったところでありますし、私自身も答弁したところでありますが、仮に、この国民保護法の運用について、細かい条文の解釈あるいは対応についてお聞きになりたいとすれば、それは担当の省庁を呼んでいただくということでありますが、いずれにしても、原子力発電所を所管をしております私の立場から、様々な事態を想定をしながら、関係省庁と連携をして安全確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 私が聞いているのは単純なんです。

 武力攻撃のリスクが、この事態が想定されるようになりました、それに対しての対応はこうこうこうこうです、それが日本の法制度上決まっていることですと。それを、住民の皆さんに説明をして、合意を得ていますか。そうでなければ、住民の皆さん、運転に合意しないんじゃないですか。それが聞きたいんですよ。

 この後、この問題について住民の皆さんと議論をする予定はありますか、西村さん。

西村(康)国務大臣 原子力発電所の、再稼働と言っていいと思いますけれども、再稼働については、安全基準を満たした上で、地元の皆さんの理解を得て、そして、その上で再稼働していくということでありますので、地元の皆さんの理解を得る中で避難計画を作り、様々な住民の皆さんの声をお聞きし、議論をする中で、私どももそれに対してお答えをしながら、その上で、地元の皆さんの理解を得て再稼働していくという方針でございます。

山崎(誠)委員 それは一般論を繰り返しているだけですよ。私が聞いているのは、武力攻撃に対する対処ですから。

 まあ、いいです。もうこれ以上は水かけ論で、答えられないんだと思いますよ。お答えできないんだったら、それは、今この質疑で、住民の皆さん、見ていらっしゃると思いますから、住民の皆さんから声を上げていただこうと思います。

 次、ちょっと飛ばします、六番。六ケ所再処理工場の運転開始、これは延期が続いておりまして、この問題を取り上げたいと思います。

 というのは、GXの中で、再処理を含むバックエンドの加速化というのが検討項目に入っているんです。これは二十六回も延期をして、聞くと、審査に時間がかかってなかなか前に進まないという状況です。こういう中で、これはどうやって再処理工場を動かすつもりなのか、お聞きをしたいと思います。

 それで、もう一つ大きな問題がありまして、昨年の十二月の内閣府中央防災会議で、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震、この想定が変わりました。推定地震規模のマグニチュードが九・〇から九・一に変わったのであります。六ケ所村は震度六強と予想されています。

 時間がないので私から説明をすると、マグニチュードが〇・一高くなった。マグニチュード九からマグニチュード九・一に変わった。これは、エネルギー量としては一・四倍になる地震のエネルギー量、そういうふうに計算をされておりますが、これは事実でしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 日本原子燃料株式会社再処理事業所に対する審査において、モーメントマグニチュード九・〇のプレート間地震を用いて地震動評価が行われていることを確認しております。

 委員御指摘のとおり、モーメントマグニチュード九・一のエネルギーは、モーメントマグニチュード九・〇のエネルギーの約一・四倍と認識しております。

山崎(誠)委員 これは、素人でありますが、大変な大きな差異だと思うんですよ、一・四倍。これで、元々の再処理工場は、一・四倍のエネルギーに耐えられると思いますか、山中委員長。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 日本原子燃料株式会社再処理事業所につきましては、令和二年四月に公表されました内閣府日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会の概要報告について、同年五月の技術情報検討会において、日本原子燃料株式会社再処理事業所に対する審査内容に影響がないことを確認しております。その結果を、同年五月の、令和二年度第五回の原子力規制委員会で報告を受けた上で、同年七月に、再処理事業所の事業変更許可を行っております。

 さらに、令和四年一月に、標準応答スペクトルの取り入れのための事業変更許可申請が日本原子燃料株式会社から提出されました。同年二月の審査会合において、内閣府の検討会の概要報告の内容が既許可の地震動評価結果に影響がないことを改めて確認しております。

山崎(誠)委員 じゃ、規制委員会としては、この一・四倍の地震にも大丈夫だということで結論をつけたということでよろしいですね。委員長、委員長の責任として、この一・四倍の揺れに耐えられるということをお墨つきをつけたということでいいですね。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 日本原燃株式会社再処理事業所について、先ほどお答えいたしたとおり、内閣府の検討会の概要報告の内容が既許可の地震動評価に影響がないことを確認しております。

山崎(誠)委員 影響がないというのはどういう意味ですか。だから、一・四倍の揺れは発生しない、エネルギーを発生しないということなんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 そのような地震が発生いたしましても、既許可に影響を与えないことを確認しております。

山崎(誠)委員 じゃ、規制委員会として、これを運転をしても大丈夫だ、一・四倍の揺れに耐えられるということをお墨つきをつけたということですね。イエス、ノーで答えてください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

山崎(誠)委員 了解しました。これは非常に私は大きな決断だと思いますよ。もう一回これは御質問させていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 七番に行きまして、今日は秋本外務政務官にもお越しをいただきました。済みません、お忙しいところ。

 私は、気候危機に対して、日本の国際的なコミットメント、この現状と、今の日本の政府の方針の対応状況、これがやはり非常に気になっております。

 まずは、日本は、世界的に気候変動に対して、特に、エネルギーの分野に対してどのような国際的な約束を交わしているのか。具体的には、昨年のCOP26グラスゴーの気候合意だとか、あるいは、今年の六月のG7の首脳会合、約束を取り交わしていると思いますが、特にエネルギー分野の部分でポイントになるところ、簡潔に御説明いただければと思います。

秋本大臣政務官 気候変動問題は人類共通の危機であり、国際社会全体が連携して取り組むべき重要な課題であります。

 地球温暖化を摂氏一・五度以内に収めるためには、エネルギーシステムの脱炭素化の取組を加速させることが必要であり、近年も、重要な国際的なコミットメントが、おっしゃるとおり、行われています。

 例えば、昨年のCOP26で採択されたグラスゴー気候合意には、低排出なエネルギーシステムへの移行に向けた技術開発、実装、普及及び政策の採用を加速することを全ての国に求める等の内容が盛り込まれています。

 また、本年六月のG7の首脳コミュニケには、二〇三五年までに電力部門の完全な又は大宗の脱炭素化を達成すること、また、国内の排出削減対策が講じられていない石炭火力発電所のフェーズアウトを加速するという目標に向けた具体的かつ適時の取組を重点的に行うこと、及び、発電を含む全ての部門で再生可能エネルギーの使用を増加させること等が盛り込まれました。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的な二〇三〇年度の目標達成に向けて、引き続き、これまでのCOPやG7における国際的コミットメントに基づく世界全体での脱炭素化の実現に向けて、国際社会を主導していきたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 G7のお話で、二〇三五年に発電の分野では脱炭素化を実現する、大宗という言葉もありましたけれども、実現するという目標設定です。

 日本の政府のエネルギーミックスを見ると、石炭火力が今一九%残ります。電力会社の供給計画を見ると、さらに、二〇%以上という計画も見られるんですが、このエネルギーミックスで、今御説明いただいた国際的な合意を達成することができるのか、整合を取れているというふうにお考えですか。

秋本大臣政務官 非常に厳しい質問だなというふうに思いますけれども、直ちに所管する省庁ではありませんので、経産省ともしっかりと連携しながら、この国際的な約束というものを達成するべく、しっかりと鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 もう一点、資料の六をつけさせていただきました。少々古いとはいえ、これは大事な私は文書だと思います。

 二〇一八年のでございまして、当時の河野外務大臣は、IRENAという国際会議において、再生可能エネルギー導入拡大の重要性を訴えられました。今もホームページに出ている文書でございます。まさに、再生可能エネルギーの時代を目指す、その先頭に立つんだという意思表示だったと思います。

 読めば、現状の分析もすごくされていて、系統の制約の問題とか、価格の問題とか、まさに必要な施策というものを網羅されたスピーチだったというふうに思います。

 私は、このスピーチのとおり政府が動いていれば、もう二〇二二年でありますから、随分様子は変わったのではないかというふうに思っておって、非常に残念なのであります。

 外務省の立場ではなかなかお答えは難しいと思いますが、このスピーチの外務省内での現時点での意義についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

秋本大臣政務官 このスピーチの現状の外務省での意義ということでありますけれども、今朝も外務省の中で役人と議論を交わして確認をしましたけれども、当時の大臣のこのスピーチの内容については、現在でも外務省はこれは踏襲しているということでございますので、全く意識に変化はありません。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。心強い、大変重要な御発言だと思います。

 是非、これは、外務省さんは、当然、国際的な動きをずっとウォッチしながら、交渉をしながら、そしてその中で様々な合意をし、地球レベルのまず視点で物事を考えていらっしゃる、それを国内につなぐ大事な役目があるんだろうというふうに思っておりまして、決して国内の事情だけで動く役所であってはいけないのでありまして、まさに今お話しいただいたような、国際的な要請について、こういうスタンスを取るべきだという発信をしていただいていることについて、私はすごく意義があると思います。

 大臣、この河野さんのスピーチについてコメントをいただけますか。

西村(康)国務大臣 このスピーチ、二〇一八年でありますけれども、現在、日本は、二〇三〇年度に非化石電源約六割を目標としております。

 今も答弁がありましたけれども、この三〇年に向けて、高効率な石炭火力発電を活用しながらも、非効率な石炭火力のフェードアウト、これを着実に進めたいと思いますし、さらに、その先に向けて、水素、アンモニア、CCUSなども活用して脱炭素型の火力に置き換えていく、こうした取組を加速していきたいと考えておりますので、この一八年の時点よりも更に、私ども議論をして、カーボンニュートラルに向けて歩み始めているということであります。

山崎(誠)委員 大事なのは再生可能エネルギーなんですよ。もちろん、CCU、CCSをやっていただく、アンモニア、水素、やっていただくのはありとしても、再生可能エネルギーをもっと入れなさいよ、それが世界の動向だよ、世界に対して責任を果たすためにはそれが必要なんだというのがこのメッセージでありまして、もう一回読み直していただきたいというふうにお願いをしておきます。

 もう時間がなくなりました。

 最後に、GX実行会議の結論、結果、この年内に出るというお話でありますが、その意義、それをどういうふうに今後に、政策につなげていくか、大臣、お考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 GX実行会議におきましては、本年六月に閣議決定された、いわゆる骨太方針二〇二二及び新しい資本主義のグランドデザイン実行計画、これに基づいて、年内に取りまとめるべく議論を行っている、御指摘のとおりであります。

 現在、まさにエネルギーの安定供給、この確保に向けて、再エネ、原子力、資源確保などの論点について議論を行っております。

 どのような結果、取りまとめになるかは今後の議論次第でありますけれども、いずれにしても、この検討の結果は適切にエネルギー政策に反映していくことになります。その具体的な内容、方法については、今後の議論の中でしっかり議論していきたいと思います。

 いずれにしても、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けてあらゆる選択肢を追求する、そういう議論をしていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 時間になりましたので、一言だけ。

 日本のエネルギー政策の基本は、エネルギー基本計画です。エネルギー政策基本法があって、それに総合資源エネルギー調査会なども設定されていて、法定されている手続があるんです。それに従ってエネルギー政策というのは動いている。予算も動く。GX実行会議は総理が決裁されてできたものでありまして、公的な機関と言えるかどうか。まあ、総理でありますから公的機関とは言っていいでしょう。でも、総理の相談機関であります。その決定はエネルギー基本計画を優越するものではないと思いますので、そこをまた議論したいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 ガス法の改正案につきまして、順次質問をしていきたいと思います。

 今回の改正案について、国際エネルギー市場の混乱や価格高騰、国内での電力やガスの需給逼迫が懸念されるということでガス法の改正になってきたんだと思うんですが、例えば、コロナ禍で、職場と自宅でリモートで仕事をするということになって、結局、今までは会社に出てきていましたから、ある意味ではエネルギー効率がよかったのかもしれません。会社に出てくる人もいれば、自宅で勤務する、リモートで仕事をするということは、結局、需要量が増えちゃったんですよね。それで、八月のときは、猛暑も続いたのもあるんですけれども、結局、電気が足らないということで、今の西村大臣が緊急事態ですという宣言をされたと思うんですけれども。

 結局、毎年毎年、経産省だけでやっているわけじゃないんだと思うんですが、来年の建物をどのぐらい建てるのかとか、これは住宅もそうですし、鉄筋コンクリートだとか鉄骨で造るような大きな建物もあるだろうし、中には、工場を増設するとか、そういうエネルギー需要がある程度予測できなければ、また同じことを繰り返していくだけになっていくんじゃないかと思うんです。その辺は経産省として把握されているのか。

 また、もう一つ言えば、経産委員会で九月のときに熊本に視察へ行って、TSMCか、建設現場を見てきましたけれども、そういった大口の需要家さんが日本にぽっと来たときに、結局、電力会社だけで対応できるのかどうかです。要するに、需要と供給の間に政府が何らかの形でコミットするのかどうか。そこを併せてお尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模施設のエネルギー消費量につきまして、安定供給の観点から事前に見通しを把握するということは、委員御指摘のとおり、大変重要だと考えてございます。

 そのため、大規模な建築物や工場が新設される際には、系統接続やガス導管接続といった手続の中で、電気事業者、ガス事業者がその施設のエネルギー消費量を把握し、それぞれの供給計画に反映させるという状況になっております。

 また、一定規模以上の建築物につきましては、建築物省エネ法に基づきまして、着工前に省エネ基準への適合性審査を受けることとなっております。さらに、大規模需要家に対しましては、省エネ法におきまして、毎年度、エネルギー使用量等の報告を義務づけております。これらを通じまして、エネルギー消費量の把握と省エネの促進を図っているところでございます。

 このように、現行の制度におきましては、安定供給や省エネなどの目的に応じまして、大規模施設のエネルギー消費を把握する仕組みが存在をしておりまして、こうした仕組みを着実に執行していくことが重要かとまず考えてございます。

鈴木(義)委員 例えば事業者側の方で、設備をしてエネルギーをガスなり電気なり使っていく中で、次の年、次の年に効率を求めろといっても、最初に設計した段階で、どのぐらいのエネルギーを使うかというのを基にして設計しているはずなんですね。それが、自助努力でそれを減らしていくことができるかといったときに、それはちょっとかなわないんじゃないかと思うんです。

 今回のガス事業法の改正の中にも、大口の需要家さんにちょっと待ってくださいと勧告なり命令ができるような法案になっているんですけれども、果たしてそれができるかということなんです。

 では、住宅の、例えばタワーマンションでも結構なんですけれども、そこに人が住んでいる、十世帯、二十世帯じゃなくて、何百世帯も、下手すれば千世帯ぐらい住んでいるマンションもあると思うんです。そこは大きな需要家さんだから、ちょっと待ってくださいと止められるのかということなんですけれども、大臣、どうですか。

西村(康)国務大臣 大口需要家の工場などを新設する場合には、確かにTSMCもかなり大規模なものでありました、そうした場合には、地域の電気事業者あるいはガス事業者の間であらかじめ供給について調整が行われて、その上で供給がなされる。当然のことでありますが、まず、それがなされる。

 電力、ガスの安定供給については、国内立地、工場などを、まさに円安でもありますし、進めていく上でも非常に重要でありますので、国としても、引き続き事業者と連携しながら、この安定供給には万全を期していきたいと考えておりますし、万が一のときには、今回の法案で用意をさせていただいたような対応をするということでございます。

鈴木(義)委員 よく日本の企業さんが海外に出ていくときに、確かに労働力が安いからということで海外に出ていくらしいんですけれども、電気も自前よというんだそうですね。自分で電気を起こさなくちゃいけない。そういうことになれば、やはり二の足を踏む。日本が外に出ていくということじゃなくて、向こうから来てもらうということも踏まえて、やはりそこのところは国が責任を持つ。債務負担行為とまではいかなくても、やらないと。

 私の記憶が定かじゃないんですけれども、九州で太陽光発電がどんどんどんどん設置されて、結局、九州電力に太陽光発電で作った電気を買ってくれと言ったら、これ以上集まったらパンクしちゃうからといって、すぱっと切ったことで大騒ぎになったことがあったと思うんですね。

 だから、そこのところの需要と供給のバランスを、計画はいいんですけれども、やはり需要の予測というのは、難しいところもありますけれども、何か届出を出すような、事前にその仕組みをつくっていかないと、需給バランスの逼迫ということの解消にはならないんじゃないか。例えば、電気でいえば、需要プラス三%、若しくは五、八%が理想だというふうに言われているわけですけれども、その状態をいつもつくるというのをどう担保していくのかというのが大切だと思います。

 自分でべらべらしゃべっていてもしようがないので、次に質問いたします。

 令和四年六月七日の新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画に、「クリーンエネルギー戦略中間整理に基づき、本年内に、今後十年のロードマップを取りまとめる。」というふうにあるんですが、十月というのはもう、昨日で十一月に入りましたから、どこまで進んでいるのか、簡略に御説明いただきたいと思います。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今年六月七日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇二二及び新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画におきまして、クリーンエネルギー戦略の中間整理に基づき、年内にロードマップの取りまとめを行うため、本年夏に総理官邸に新たにGX実行会議を設置し、議論を深めていくとの方針が示され、これを受けて、クリーンエネルギー戦略の中間整理に基づくロードマップにつきましては、GX実行会議において御議論をいただいているところでございます。

 この十月の第三回GX実行会議で、岸田総理より、次回会議には今後十年を見据えた具体的なロードマップの素案を提出するよう指示を受けているところでございまして、次回に提出するべく今検討を進めているところでございます。

鈴木(義)委員 是非頑張ってください。

 そもそも、需要側がどのぐらい使用するのかが分からなくて供給側にハッパをかけても、これは問題の解決にはならないと思うんですね。

 例えば、使用量に応じてなんですけれども、電気であれば何日か分の、特に大口の需要家さんを対象にした方がいいかなと思っているんですが、蓄電池を設置してもらう。ガスも同じです、自分のところで何日分かのストックをしてもらう、何か月やってもらえるのが一番いいんですけれども。そういう一定のストックを、義務づけという言い方はちょっと失礼かもしれませんけれども、そういう協力、どこかでためるというのを供給事業者だけに押しつけるんじゃなくて、使う側にも、ある一定の量を使うところにはストックしてもらうような仕組みをつくっていった方が、価格のこういう変動に対しての緩衝役になるんじゃないかと思うんですが、その点について。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電気、出力制御とかということを考えますと、しっかり貯蔵するということは大事だと考えておりまして、現行、電気を貯蔵する手法としては、代表的なものは蓄電池でございます。更なる導入コストの低減が必要でありますけれども、家庭や工場などに設置された蓄電池や、系統に直接連系された蓄電池など、様々な蓄電池を活用することで、需給の逼迫や価格変動への対応にも資するというふうに考えてございます。

 今般の経済対策におきましても、蓄電池の導入拡大を盛り込んでおりまして、引き続き、需給逼迫等に資する蓄電池の導入をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 電気ばかりじゃなくてガスもできればいいかなというふうに思っているんですが、電気やガス事業者、発電やガスを供給するのに、年間の使用量に対してどのぐらい備蓄しているものなのかということですね。例えば、石炭でも、石油、原油でもいいです、LNGでもいいし、CNGでもいいし、そういったものがどのぐらい日本の国内でストックしているのかというのが分かれば、各分野ごと教えてもらえればなと思うんですけれども。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、需要するサイドで燃料となるものをある程度持っておくということは非常に重要なところだと考えてございます。

 一方で、例えばガスについて申し上げますと、LNGで持ってきて、在庫として置いておくものはだんだん気化していくということを考えてまいりますと、経済合理性との見合いの中でどれぐらい持ち得るかということですので、一般的に、いわゆる商品在庫のような形で備蓄するというのはなかなか難しいというのが現状でございます。

 そういう中で、電力会社、ガス会社でいいますと、おおむね、これはLNGタンクの容量ですとか船の入船状況、エリアの需給によっていろいろ違いますけれども、なべて申し上げますと、大体二、三週間程度のLNGの在庫があるというふうに認識してございます。

 一方、石炭について申しますと、これは火力発電の方での在庫になってまいりますけれども、大体一、二か月程度の在庫量というものを持ちながら発電に供していく。ただ、これも需要等の変動に応じて、増やしたり減らしたりという状況になっているというふうに認識してございます。

鈴木(義)委員 ガスについては、いろいろな説があって、今、持たないというのもあるんですけれども、外国にタンカーを向けて、そこで液化させて、それで日本に持ってくるまで一か月も二か月もかかっている場合もあるんですってね。だから、何か、持ってきたらすぐ気化しちゃうよということじゃないわけだから、そこのところはやはり、先ほど何回も同じ話をしていますけれども、大口の需要家さんにストックするようなものを義務づけるような形を取らないと、今回の需給の逼迫に関して対応できない。いつも大臣がテレビの前で、少し抑えてください、電気は消してくださいと言っていても、それは、では供給側なのか、需要側なのか。需要側に言ったとしても、日々備えがあれば、そこのところを、ピークアウトをしないところで協力してもらうような仕組みをやはり国全体でつくっていかなければ、同じことが繰り返されるんじゃないかというふうに思います。

 LNGを長期保存をすると、LNGの成分がメタンが約九五%というふうに聞いております、それが変化してエタンやプロパンの比率が高くなることで発電用燃料には適さない成分比になってしまう可能性があるというふうに聞きました。プロパンになるなら、それを抜き出して充填すればプロパンで使えるんじゃないかと思うんですけれども。ちょっと漫画チックな言い方かもしれませんが。

 過去に、今話題になっているJOGMECの職員さんなんだと思うんですが、LNGはマイナス百六十二度に冷却してストックして、再ガス化するときに冷熱を有効に利用する複数の方法が実用化されているというんですね。受入れ基地の内部と、近接している工場や倉庫で利用されています。方法は、冷熱発電、貯蔵中に蒸発したガスの再液化、空気分離による液体酸素と液体窒素の製造、液化炭酸の製造、冷蔵倉庫の五種類だというんです。それでも冷熱の一部使用にすぎないので、今後の用途開発が望まれますというふうにJOGMECの方が言っているんですね。

 では、今回の円安だとかウクライナの件も含めて、ロシアの件も含めて、需給が逼迫しているからガス法の改正になってくるんですけれども、ある意味、では、もう少しトータルで、LNGを使って消費しちゃうだけじゃなくて、いろいろな付随するものがあるんだったら、それを併せてエネルギーの効率化ということで使ってもらうようなことを経産省が主導するというのは、大臣、どうですか。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

西村(康)国務大臣 LNG基地を有する事業者においては、議員御指摘の冷熱を利用したような取組も行われていると承知をしております。

 一部、省エネ設備への更新を支援する補助金で、LNG未利用冷熱を利用した冷凍設備への更新を支援した例はありますけれども、現在、現時点で、経産省として関連の何か研究開発の支援を行っているというわけではございません。

 他方、最近の取組として、冷熱を利用した養殖の実証の事例とか、あるいは未利用冷熱を活用したCO2分離、回収の実証など、事業者においては様々な取組がなされているというふうに承知をしておりますし、様々なアイデア、研究のテーマなどあるんだと思いますので、今後もそういった方々とコミュニケーションを取りながら、ニーズをしっかりと伺い、可能性は追求していければというふうに考えております。

鈴木(義)委員 是非、燃料として使うだけじゃなくて、そこから取り出すエネルギーをやはり有効に使っていくこと。そうすれば、将来、外国から、簡単にはいかないと思うんですけれども、エネルギーのもと、資源を輸入しなくてもいい国にしていけば、こういった、世界の中でいろいろな事案、事件が起きたときに翻弄されないで済むのではないか。これは五年とか十年ではできないと思うんですけれども、そういった意味での、日本社会の中でのエネルギーを効率に使っていくということを、やはりリーダーシップを取ってやっていくのは経産省じゃないかというふうに思います。

 次に、JOGMECについてお尋ねいたします。

 令和三年度、百十八億円の赤字、令和二年度、三百十六億円の黒字、令和元年、四百三十六億円の赤字、平成三十年は四百二十六億円の赤字なんですね。これだけ赤字を出している団体にLNGの調達が任せられるのか、まずお尋ねしたいと思うんですが、大丈夫ですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMECのいわゆる収支に基づくお尋ねかと思いますけれども、JOGMECについて、財務の状況で特に我々として注視しておりますのは、やはりこれまでのいろいろな、リスクマネー投資をやっておりますので、それの損失が積み上がっている。

 特に、繰越欠損金が、今御指摘いただいた数字、ちょっと私も手元にないので確認できませんが、繰越欠損金に関しましては約三千億円、今ございます。ただし、この繰越欠損金は、いろいろな供給不安なども背景に、JOGMECがこれまでリスクの高い資源開発に民間の要請に応じて積極的に取り組んだ結果によるものでありまして、一定程度発生するということはやむを得ないと考えてございます。

 また、資源開発は、投資回収期間も三十年、四十年かかるものもありまして、長くて不確実性の高い事業でもありますので、今後、これらの事業が生産段階に移行し、一定の収益を生み出していく段階になれば、この繰越欠損金は次第に減少していくと見込んでございます。

 JOGMECの前身の石油公団でございますけれども、約四十年間の活動で、最終年度には約五千億の欠損金を計上してございましたけれども、その後、国が承継した資産は、令和二年度末の時価評価でこの欠損の分を回復しておりまして、約四千億円の含み益があるという状況でございまして、長い目で評価をしていく必要があるというふうに考えてございます。

 今回の調達業務に関しましてですけれども、JOGMECは、この調達を行うための資金については、政府保証つきの長期借入れあるいは債券発行などの手段で確保することを予定しておりまして、基本的には、調達に要した費用はそれを転売するガス事業者の方に負担をしていただくというスキームを考えてございますので、JOGMECにこの業務が加わることによって追加的な損失は発生しないということを考えてございます。

鈴木(義)委員 それともう一点、細かい話なんですけれども、各年度の内訳を見ると、経常収支のうち債務保証料収入とか受取配当金が年度によってばらつきがあるんですね。多い年もあれば、少ない年もある。この四年分ぐらいしか私も目を通していないので分からないんですけれども、これの主な要因はどうなのか。

 先ほど御答弁いただいたときに、五千億の赤字を引き継いで、四千億の含み資産がある。それは、売れるか売れないか分かりませんよ、一千億の赤字なんだ、これから四十年、五十年かけて少しずつ黒字にしていってその穴を埋めますよという御答弁はいいんですけれども、結局、経常収支のうちこういった要因があるということが、これが意図的になのか、外的要因でなってしまうのか、その辺をもし教えてもらえればと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの債務保証料収入でございますけれども、令和三年度末でいきますと約三十七億円、受取配当金は約三十四億円となってございます。

 御指摘の、期によって変動があるのではないかという点につきましては、まず債務保証料収入に関しましては、これはいわゆるJOGMECが保証している民間からの融資の額がありますけれども、ここに一定の比率を掛けて保証料として徴収するという形になってございます。これは資源プロジェクトですので、一件当たりの保証の金額が数百億円の大台に上るものもありますので、まさに債務保証の残高が増えたり減ったりということに応じて、保証料収入が増減するということでございます。これは基本的にルールに基づいて算定される数字でございます。

 それから、受取配当金でございますけれども、これに関しましても、支援先企業の配当性向がありますし、変動する要因としましては、様々な資源価格、市況に応じて動いてまいります。また、プロジェクトの状況も、開発から生産にいけば配当も出るでしょうし、他方で、途中でいろいろなトラブルに遭遇するということもありますので、その場合は配当も減るというようなことがありますので、そういう資源価格、プロジェクトの進捗に応じて変動が生じるということでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 次に、そもそも日本には資源が乏しいから、LNGやCNGを資源国から購入しなくてはならない、その発想が今回の資源危機を迎えているんだとすれば、発想を転換して、国内でメタンを製造しようという動きを後押ししたらどうだという考え方です。それは経済効率だとかコストの面だとかいろいろあるんですけれども、結局、外国から調達しないのではなくて、国内で作っていこうという考えはお持ちなのかどうか。大臣でも副大臣でも。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、エネルギーの海外依存度を低減するという観点からは、バイオガスあるいは合成メタン、こうしたものの国内製造、利用は極めて重要であるというふうに思います。

 天然ガス、LNGの主成分であるメタンは、バイオガスや合成メタンの形で製造が可能でありますので、既に、発電分野では、再エネ特措法の下、制度創設以来、家畜ふん尿などのメタン発酵ガスを支援対象としております。

 また、合成メタンについても、工場等で回収した二酸化炭素、水素から製造し、工場等で利用するための技術開発、実証が始まっているところであります。

 具体的には、本年四月にグリーンイノベーション基金を活用して、大阪ガスの高効率化に向けた革新的技術開発などを支援をしているところであります。

 バイオガス、そして合成メタンについては、第六次エネルギー基本計画においても、現在の都市ガス利用について、二〇三〇年に五%、二〇五〇年に全て導入することとしておりますので、経産省としても引き続き、制度面、予算面、積極的に後押しをしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 今回のウクライナ危機に端を発した燃料価格の高騰について、幾つもの対策を行っているというのは承知しているんですけれども、しかし、ヨーロッパ、アメリカ、中国でも、LNG、CNGに着目し、大型商用車、トラックとかダンプですね、船舶に関しても導入を進めているんだ。もう既に、メタンガスを使って、結局、船も、これからやはり地球温暖化、CO2の削減に向けて、今は重油をベースにして使っていると思うんですけれども、それをみんな天然ガスに換えていく。そうすると、もっと需要が逼迫してきますよ、天然ガス自体。

 英国では、百万世帯が農場や生ごみから得られるグリーンガスを暖房や調理に使っているといい、今大臣からお答えがあったんですけれども、バイオメタン工場が現在六十か所、英国にあるんだそうです。日本ではこのような施設が何か所設置されているのか、まずお尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜排せつ物などを燃料といたしましたメタン発酵ガスを含めて、バイオマスの利用を推進することは大変重要なものだ、地域活性化からも重要だと考えておりまして、環境省さんの調査によりますと、生ごみなどのメタン化を行いましてガス供給等をする一般廃棄物処理施設は、令和二年度末時点で国内に二十三か所設置されているというふうに認識しております。

鈴木(義)委員 こういう質問をすると、今御答弁いただいたんですけれども、一般廃棄物の生ごみを処理するというと環境省、家畜のふん尿からメタンを作るというと農水省。みんな、省庁ごと、ばらばらなんです。だから、やはり経産省がエネルギー政策の中心でやっていこうとするのであれば、需要と供給もありますし、これから新しい、国内の中でメタンなり合成メタンも作っていくというのを主導していかなければ、結局、縦割りでやっている。下水処理場のところからメタンガスを取って発電をしているところも聞きます、そこは国土交通省。みんな違う。

 副大臣、どうでしょう。こういったトータルの、効率のよいエネルギー政策や、トータルでコストを抑えられるような施策を経産省が主導してやはり進めていくべき。大臣から御答弁いただいたんですけれども、二〇三〇年で何%、ちょっと遅いんじゃないかなと思うんですけれども、御答弁いただければと思います。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 おっしゃったように、エネルギーはあらゆる産業の根幹でありますから、エネルギー政策を実効あるものにするためには、運輸、通信、農林水産業、それぞれを所管する官庁と私どもが大いに連携をしていくことが必要不可欠であると思います。

 バイオガスについては言及がございましたけれども、こういったものを含めて新エネルギーの利用の促進、そして、省エネルギー対策の実施に当たりましても、効率性の観点にも留意をしながら、関係省庁が今も連携して取組は進めておるところであります。

 SプラススリーE、これを大前提に、二〇五〇年のカーボンニュートラルの目標の実現に向けて連携をしていくわけでございますが、御指摘のように、二〇五〇年に向けての歩みが少し遅いのではないかというような御指摘もあるわけでございますから、実効性のあるエネルギー政策を、エネルギー政策の所管官庁であります我々経産省がしっかりとリーダーシップを取って、これを進めていきたいと考えております。

鈴木(義)委員 先ほど冷熱の話をお尋ねしたんですけれども、結局同じことなんです。結局は、LNGをためているところを発電に使うといったときに、ロスが出ているわけですね。だから、官庁ごとにみんなロスがあるんです。それをどこかで主体的にやるところがないと、結局、ばらばらでやってもうまくいかない。それを申し上げているんです。

 そうしないと、これから人口減少がもっと厳しくなっていったときに、もっと一人当たりのコストが上がっていく時代がもう目の前に来ているんだと私は思いますので、是非、経産省挙げて、頑張って取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 太田副大臣、通告していないので帰っちゃいましたけれども、何か経産省のOB会みたいになりかけていましたが、また、大臣、それから今日は役所の先輩方も来ていただいて、恐縮です。よろしくお願いします。

 今日は法案審議ですが、法案審議に入る前にちょっと、内閣府に来ていただいていまして、一言だけ、なかなか質問の機会がないものですから、総合経済対策の効果について一言質問させていただきたいと思います。内閣府茂呂大臣官房審議官、お願いします。

 要は、総合経済対策が出ていますが、その効果、官邸のホームページにも総合経済対策の効果ということで書いていただいていますが、物価抑制、負担軽減効果、これは高く評価します。私は、今回の経済対策、これから野党、立憲とも連携しながらか、しないか、分かりませんが、賛否も含めて議論がこれから予算委員会を含めてされていくと思いますが、私は、この物価抑制、負担軽減効果は高く評価します。これはやるべき対策が入っている。

 ただ、直接的なGDP押し上げ効果四・六%、実質GDP換算で四・六%と出ています。これはよく分からないんですね。この四・六%の算出根拠を教えていただきたいのと、これは、もちろん単年度じゃなくて、何年にもわたる効果ですよねということを確認させてください。

茂呂政府参考人 お答えいたします。

 四・六%のGDP押し上げ効果でございますけれども、これはもちろん単年度ではございません。複数年度にわたって、この経済対策全体の効果として、どのぐらいGDPを今後押し上げる効果を持つかといった視点でございます。

足立委員 そうなんですよね。当たり前ですよね、当たり前。だって、補正予算だから足下と思うかもしれませんが、今回、二十五兆とか三十兆円近くとかいろいろ報道されていますが、所詮、いや、悪い意味じゃないですよ、悪口じゃないですが、中長期のアイテムもたくさん入っているわけでありまして、だから、もう一言いただくと、要は、足下、単年度のGDP押し上げ効果を例えば教えてくれと申し上げても、それはなかなか難しいということですよね。ちょっと一応、難しいと。

茂呂政府参考人 単年度、年度ごとと申しますのは、各年度の経済状況がございますので、あくまでも経済対策全体としてという試算となっております。単年度ではございません。

足立委員 したがって、この規模について、これから予算委員会でも議論されると思いますが、私は、何かよく、GDPギャップ、需給ギャップを取り上げて議論するとか、さらには、一部ネットで、NAIRU、雇用を取り上げて議論するとかいうふうな議論がちまたにはあるわけでありますが、いずれも算定が非常に難しいんですね。

 そういう中で、私は、やはり物価、インフレ率を注視しながら、金融緩和を維持しながら、財政政策はまさにファインチューニングしていくということをやるべきだと考えていまして、そういう観点からも、経産省を中心とするこの物価高対策については高く評価しているということをまず申し上げておきたいと思います。

 さて、今日は法案審議でございますが、私たちは政治家ですから、細かいことはもう行政にお任せをするわけであります。ただ、政治として、あるいは野党として、ここだけはちょっと確認しておきたいということで、今日は、カーボンニュートラルとの関係というか、カーボンニュートラルを中心に取り上げます。

 もちろん、今回のガス事業法等改正案は、いわゆる緊急時対応に係る制度整備ですから、中長期のそういうカーボンニュートラルとは関係ないといえば関係ないわけでありますが、私の問題意識の中では、そこは、何といいますか、カーボンニュートラル目標達成に向けて、二月からのロシア・ウクライナ戦争ということもあり、そういうカーボンニュートラル目標、GXを推進していくという中長期の取組と並行して、この緊急時対応というのは、GXを推進していくからこそ、こういう緊急時対応をしっかりしていただく必要があるというふうに受け止めていますが、大臣のその点に関する御見解をお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、カーボンニュートラルとそれからエネルギーの安定供給、両方重要なわけであります。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成に向けて、民間投資を呼び込みながら、我が国の産業競争力も高めていく、その中で、経済社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に転換していく必要があるというのは、まず大きな方向性であります。

 同時に、昨今のエネルギー情勢、ロシアによるウクライナ侵略、あるいは電力需給の逼迫などが生じておりますので、GXの前提となりますエネルギーの安定供給の確保、これに向けても取組の具体化が喫緊の課題となっております。

 そんな中で、今回のガス事業改正は、このような危機への対応の一環であります。国際情勢の変化、そして予期せぬプロジェクトの事故発生なども背景にして、都市ガスの原料であるLNG供給の不確実性が量そして価格両面で高まっております。このために、ガス供給に深刻な支障が生じる万が一の危機に備え、需給両面で国の関与について法的措置を講じるものであります。

 今回の改正はエネルギー安定供給確保に資するものであり、GXの推進と併せて、共に取り組んでいきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。同じ認識でございます。

 ちょっと、法律について細かいことは、もう私の前の質問者の質疑を聞いていてほぼ解決していますので、おおむねこの法案に反対の方もいらっしゃらないと思いますので、ちょっと話をカーボンニュートラルに寄せていきたいと思います。

 十月二十六日のGX実行会議で、岸田総理が、いわゆるカーボンプライシングについて重大な発表をされました。これは、炭素に対する賦課金、炭素税とかそういうことだと思いますが、炭素に対する賦課金と排出量取引市場の双方を組み合わせるハイブリッド型ということを検討せよという御指示があったということですが、私は、端的に言うと、炭素税は反対なんですね。

 まず一つは、今日はこの質問をするために来たようなものですが、例えば、同一の経済主体に両方かかる、要は、排出量取引市場、排出量取引制度を使うということを例えば大口の経済主体が決めた、その主体にも重ねて炭素に着目した賦課金がかかるとなると、私は、経済活動に対する、何といいますか、カーボンニュートラルという政策はもちろん推進せなあかんわけですが、大変費用対効果が悪いというか、マーケットに与える影響もよくないと思いますから、二重に適用することはないと私は思っているんですが、大臣、そこは御明言いただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、岸田総理から大きな方向性の表明がございまして、指示がございました。まさに、御指摘のように、組み合わせて、炭素に対する賦課金と排出量取引、これを組み合わせる形で検討を進めるようにということであります。

 そして、御指摘の炭素税についてでありますが、世界でもヨーロッパを中心に幾つかの国で導入をされておりまして、CO2排出削減の一つの手段であるということは認識をしております。

 ただし、御指摘もありました、CO2の排出削減を進めるために利用可能な技術が必ずしも幅広く存在しているわけでもない場合に、負担を重くするだけでは、単に国際競争力への影響もありますし、成長を阻害する、そして、脱炭素への投資も進まず、CO2も減らないという負の効果を生じることにもなります。

 これを踏まえれば、まさに今検討をしております成長志向型のカーボンプライシング、これは成長に資するという観点が重要だと考えておりますので、何点か申し上げるとすれば、一つには、GX投資の効果の発現には一定の期間が必要だということでありますので、最初は低い負担で導入して徐々に引き上げていく、その間に様々な投資で技術も開発していくという、この時間的な猶予の観点が一つ。二つ目には、もう一点、総理は重要なことをおっしゃっておられまして、エネルギーに係る公的負担の総額が中長期的にも増えないようにということでありますので、まさに、御指摘ありました、過度な負担とならないように、そして公平な負担となるように、こうした視点も重要だと考えております。

 ヨーロッパの制度などもありますので、そういったものも研究もしながら、その方針を、年末までに大きな方針を取りまとめて、GX投資を進めながら、一定のこうした財源についても確保していけるような仕組みは考えていきたいというふうに考えております。

足立委員 何か、聞いちゃいけないことを聞いちゃったのかもしれませんが。

 局長、これ、御担当ですよね、畠山さん。大臣は、大臣ですからちょっと丁寧に今お答えいただきましたが、結局、二重に適用することはあるのかないのかというのがもう一つ分からなかったんですけれども、やはり、ないとは言えない、ないとは言い切れない、それは検討中だから、ちょっとまだ早いということですね。局長に振ったって一緒なのね。

 ただ、さすがに、例えばヨーロッパとかを見ても、大口のところは排出量取引制度、小さなところはそういう何か賦課金みたいなこともあるようですから、私はやはり、仮に議論するとしても、ある程度すみ分けていく、あるいは本当に薄く広くというかですね。

 例えば、ちょっと通告でいうと次になりますが、事務方で結構ですが、炭素に対する賦課金のイメージなんですけれども、炭素税、炭素税と言うと何か振りかぶっちゃうんですけれども、身構えちゃうんですけれども、例えば、今でも、炭素に着目した税というのは、温対税みたいなものがあると承知しています。今既にある温対税も、この総理指示にある炭素に対する賦課金だといえばそうだと思うんですが、そうですよね。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の御指摘の温対税につきましては、炭素排出に対して負担を課すというものでありまして、賦課金と同様の性格を有するものだというふうに理解しております。

 他方で、御指摘の十月二十六日のGX実行会議におきましては、GXに取り組む期間を設けた上で導入する成長志向型カーボンプライシングの具体的な制度案を検討するよう指示を受けておりまして、岸田総理からそういう指示を受けてのことですので、ここでの炭素に対する賦課金というのは、現行の制度というか、新しい措置のことをおっしゃっておられるんだというふうに我々は理解をしております。

足立委員 なるほど。ありがとうございます。そういうふうに受け止めるのが普通やと思いますが。

 ただ、私は、炭素税、さっき、冒頭申し上げたように反対なので、もうあるからいいじゃないかというぐらいの気持ちで今申し上げたんですが、畠山局長がおっしゃったように、いやいや、新しい何らかのハイブリッド制度を構想せよということだと受け止めているということですから、まあ、それはそうでしょう。

 ただ、何で総理がこんなハイブリッド型みたいなことを言い出したのかというのがね。多分、西村大臣はほんまは反対だと思うんですよ、炭素税。普通の人は反対です、こんなものは。これは、だから、ハイブリッドという知恵、知恵というか、私からすれば極めて筋の悪い知恵。何かいろいろもめているから、とにかく組み合わせてやれという。これは大臣から総理に言っていただいたんですか。それか、総理から落ちてきて、嫌だなと思いながら受け止めているんですか。どっちですか。

西村(康)国務大臣 今回の御指示は総理からいただいたものでありますが、ヨーロッパなどで様々な制度ももう既に先行して行われておりますし、私ども、東証で今、排出量取引の実証をやっておりまして、来年春以降、GXリーグということで具体的な取引もやっていこうと。全体の排出量の四割をカバーするということで、これは大体ヨーロッパと同じぐらいのカバー率であります。

 しかし、それで十分かという議論もありますので、今回、排出量取引、そして炭素への賦課、両方、ハイブリッド型で検討せよという御指示でありますから、私ども、ヨーロッパの制度も参考にしながら、いろいろな対応を考えております。

 そうした中で、もう一点、大事な点が、中長期的に負担が増えないようにということもありますので、足立委員御指摘の、御懸念の過度な負担とか、そうしたことにならないように、公平な負担であるとか、そういったことも考えながら、具体的な制度設計、次回のGX会議に向けてしっかりと検討を急ぎたいというふうに考えております。

足立委員 今大臣がおっしゃった、十分かと。民間主導で、大口のところでやっていくと。

 排出量取引市場というのを政府が主導でつくるとすれば、またそれはそれで大口が中心になると思います。小さなところは、それは余り、難しいと思うので。だから、大口の排出権取引市場というものができれば、というか、私、早くつくった方がいいと思っているんです、本当は。だって、世界は動いているんだから。でも、それで私は十分だと思っているんですよ。

 そこで、事務方でも結構ですが、何であえて小さなところまで、そこをカバーしていきたくなるのかということについては、事務方に行く前に、さっき大臣がおっしゃったように、だから、排出量取引制度で十分じゃないかなと。本当は十分だと思っているんですよ、西村大臣も。思っているんだけれども、例えば財源にしたいとか、要はお金が足りないんだ、政府は。だから増税したいんだということでの炭素税というのは、後でもうちょっと議論しますが、そういう財源を期待しての議論、あるいは何か国民の行動変容とかね。ちょっと細かいことはいいです、細かいことはちょっと畠山局長とやりますので。

 何で排出量取引だけでは駄目なんだろう。急に総理がハイブリッドと言って、炭素税にも手をかけてきてしまった。私は大変悔しいわけでありまして、残念なわけでありまして。やはりそこは、さっき四割とおっしゃったのは、今民間でカバーしようとしている領域ですよね。四割というのはボリュームで、炭素排出のボリュームで四割。それは、排出量取引制度ができても、政府主導で、民間での取組から入って、その後に排出権取引制度をしっかりとつくっていく、そしてその上に賦課金がどうという議論だと思うんですけれども、政府主導で排出量取引市場というのをしっかりとつくっていっても、まだなおカーボンニュートラルに向けて足りないのである、やはりハイブリッドなんだというところが腑に落ちないんですよ。

 何か、もし、大局的なところから、大臣、ちょっとお願いします。

西村(康)国務大臣 具体的な制度設計を急いでおりますので、まだ検討段階でありますが、一つには、負担の公平性ですね。四割をカバーする、大口を中心としたところだけの負担でいいのかということもあるかと思います。

 それから、他方、排出量取引のメリットとしては、これは企業が野心的に取り組みますので、効率的、効果的に排出可能という面もあるんですが、一方で、価格が市場で決まりますから、予見可能性が低いという面があります。炭素に対する賦課金は予見可能性がその分高くなるという面もありますので、こういった辺り、公平性、そして過度な負担にならないように、そして、全体として、総理からの御指示で、エネルギーに係る負担の総額が増えないようにというのがありますので、その下で検討を急ぎたいというふうに考えております。

足立委員 今、検討を急ぐということですが、私もちょっと報道ベース、資料をちゃんと読み込んでいませんが、総理の指示は、何か、十月二十六日のGX実行会議で指示をした、一応その制度の案を十一月、今月の、次のGX実行会議に持ってきてくれみたいなことになっているんでしたっけ。たしかそうですよね。そうだとすると、もうめちゃくちゃ時間がないというか、今月中、GX実行会議が次にいつあるのかはちょっと承知していませんが、めちゃめちゃ時間がないんですけれども。

 だから、みんなこれはちゃんと議論しましょう。野党の皆さんも、何か山崎先生も、原発ゼロ法案はもう撤回したんだから。撤回したんでしょう。野党も大分心を入れ替えまして、原発ゼロ法案はもう撤回していますから。だから、みんなでもっと、こういう国の未来をつくっていくような大事な議論にもっともっと時間を割いて、今日みたいなあんな、避難計画も大事だけれども、細かいことをここでやってもしゃあないから、もう少し大枠の議論をしたいと思うんですね。(発言する者あり)また行きましょう、ゆっくりね。

 今の私の最後の議論ですが、畠山さん、やはり小口主体の炭素税みたいになると、財源効果は限られるし、また逆進性が高いわけですよ。逆進性があるんです、この炭素税というのは、逆進性。消費税であれだけ議論になっている。これは消費抑制効果しかないですよ。その辺、ちょっと炭素税の悪口を言っていただいて、終わりにしたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 成長志向型カーボンプライシングの具体的な制度案、次回のGX会議で提示するようにという御指示でありまして、その検討をまさにしておるところでございますので、なかなかその中身についてお答えすることは困難なんですが、一方で、一般論で申し上げれば、炭素税について、これは炭素に課すものであるわけですけれども、課税対象あるいは税率の制度設計によって、社会に与える影響というのは異なると思います。小規模の主体にとって合理性や公平性、公平感がないということで、制度自体で論じ切るというのはなかなか難しいところかと思います。

 他方で、大臣からも答弁申し上げているとおり、前回のGX実行会議において、総理からは、エネルギーに係る公的負担の総額が中長期的にも増えないよう、具体的な制度案を検討するよう指示を受けておりまして、その合理性や公平性、公正性の観点も含めて、検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございました。

 大変重要な議論ですので、また引き続き質問させていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 ガス事業法についてまずは質問させていただきたいと思いますけれども、ガスの安定供給に支障を来すおそれがある場合に、JOGMECに対して天然ガスの調達を要請できるというところです。

 現在、ロシアのウクライナ侵攻によってLNGの需給が逼迫している中で、ロシアからの天然ガスの依存度が四三%と高かったドイツがカタールからLNGの供給を受ける契約をしたりとか、こういった背景がある中で、世界的にLNGを取り巻く環境が厳しくなっている。

 今回の法案については非常に意義があるものだと思いますけれども、現状は二〇二五年までに供給を開始できる長期契約は全て契約済みであるとの指摘がある中で、具体的にどのように、まずはLNGの安定的な供給確保を図っていくのか、お尋ねしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、LNGは我が国の電力の約四割、都市ガスのほぼ全量を供給する重要な資源でございます。

 足下では、LNGの長期契約が多かったことも寄与して、ヨーロッパなどと比べて、我が国では安定した確保ができておりますけれども、世界的にはLNGの争奪戦と言われる厳しい状況になっておりまして、更なる取組が必要でございます。

 短期的には、例えば、足下のLNG価格の高騰を踏まえ、公的金融機関の融資による電力、ガス会社のLNG調達支援の実施、あるいは、LNG確保に向けた事業者間の融通などの新たな制度的枠組みの創設を検討してございます。

 こうした取組に加えまして、本日御議論いただいておりますガス事業法等の改正法案におきましても、民間事業者による通常のLNG調達が困難な場合に、国がJOGMECに調達を要請できる仕組みを盛り込んでおりまして、国としても戦略的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 長期契約は二〇二六年ぐらいまでなかなか、今、出物がないという状況ではあるんですけれども、スポット市場ではまだ出物はありますので、これはまた状況によって変化はしますけれども、基本的には、国として、民間が調達できないという事態に遭遇した場合には、当面は、まずスポット市場からの調達ということを想定してございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 エネルギー基本計画では、二〇二〇年度の電源構成では、先ほどありましたけれども、LNGが四〇%だというところですけれども、二〇三〇年度にはこれが二〇%ぐらいまで低下していく見通しだと思いますけれども、これは脱炭素を推進しているものだと思います。これ自体は、原子力が四%だったものを二〇%から二二%まで引き上げることを前提としているところだと思いますけれども、こうした想定に基づいて、LNGの逼迫状況は生じると思うんですけれども、その点に関していかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、エネルギー基本計画、最新のものでは、いわゆる非化石電源の導入の拡大、これは原子力も含みますけれども、によりまして、LNG火力の構成比率は二〇一九年の三七%から二〇%程度となる見込みでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、LNGの需要は、発電用のみならず、いわゆる産業、家庭の熱需要、都市ガスとして使うという需要もかなりのボリュームがありまして、それを踏まえた、いわゆる電力以外も踏まえた、一次エネルギー供給と言っていますけれども、日本として使うエネルギー全体の中での天然ガスのシェアは、同じ期間で二二パーから一八%と、そこまで落ち込まないという状況でございます。

 加えて、コロナ後の景気回復、それから経済成長による中国などの需要の拡大が見込まれております。さらに、欧州が参入してくるということでございまして、非常に、LNGの需給の逼迫状況というのは続いていくということが想定されてございます。

 我が国としては、国内全体の需要が下がっていく中でも、冬場などで需給が逼迫し、必要なLNGが確保できないといった、そういうあらゆる事態を想定して備えておく必要があると考えてございます。

 したがって、今回のガス事業法の改正による支援措置でありますとか、様々な業界の垣根を越えた融通、供給源の多角化など、LNGの安定供給に向けた不断の努力を続けていきたいというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 現在、LNGの輸入先については、オーストラリア、マレーシア、アメリカ、カタールが多い。これで全体の七〇%を占めているようですけれども、オーストラリアやアメリカに対しての天然ガスの増産の依頼であったり、LNGの安定供給のためには、供給先の開拓や働きかけも必要になってくるかなと思いますけれども、そうした方向性についてお尋ねしたいと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 供給源の多角化に向けまして、これまでJOGMEC等を活用した権益確保やLNG投資の支援を進め、十か国以上からのLNG輸入を可能とするなど、一定程度の多角化は実現してきたところでございます。

 これに加えまして、更なるLNGの安定供給に向けて、委員御指摘いただきました、アメリカ、オーストラリアの、生産国に対する継続的な増産の働きかけを実施するとともに、直近では、シンガポール等のアジアの同志国と共同で、上流投資や危機時の相互協力に向けた覚書の締結を行ったところでございます。

 今後、特に生産開始までの期間が比較的早いとされます既存の液化プロジェクトの拡張案件を始め、より積極的なLNGの上中流投資を政府として後押ししていく考えでございます。

 特定の国からの調達に頼ることのない供給源の多角化は、LNG安定供給の要諦でございますので、積極的な資源外交等によりまして、多角化を進めてまいりたいと存じます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 多角化されていく中で、日本維新の会では、サハリンの権益を確保すべきということを従来主張してきましたけれども、サハリン2において、日本企業は引き続き新会社に出資をすることが認められていると思いますけれども、三井物産であったり三菱商事が参画をしている。サハリン2については、輸入のうちの九%近くを占めているという状況だと思います。

 今後、引き続きこれが供給されるようにどういった対策をされるのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、サハリン2は、日本のLNG輸入量の約九%を供給し、総発電量の約三%に相当するなど、我が国のエネルギー安定供給の観点から極めて重要なプロジェクトであり、権益を維持する方針は変わりがございません。

 八月末に、御指摘のように、三井物産及び三菱商事がサハリン2新会社に参画することについてロシア政府から承認が下りましたけれども、このことは、我が国のエネルギー安定供給の観点から、非常に意義があるというふうに考えております。

 その上で、サハリン2からのLNGが今後とも安定的に供給されるか否かについては、予断を持って判断することはできませんけれども、安定的な供給が継続されるよう、状況をよく注視しながら、官民一体となって万全の対応をしてまいりたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ロシアに関しては非常に重要なLNGの供給先だと思いますけれども、ロシアにおいては北極LNG2というものがありますけれども、これは三井物産やJOGMECが一〇%出資している。これが開発中で、二〇二三年頃から生産開始予定ということなんですけれども、このプロジェクトについての現状をお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 足下、世界的にLNG需給が逼迫しておりますし、さらに、来年以降、二三年以降も、ロシア産ガスの代替を求める欧州の動き、また、コロナ後の経済回復が見込まれる中国を中心にLNGの需要が高まる、そして、より一層需給が厳しくなることが想定されております。

 そうした中で、御指摘のアークティックLNG2のプロジェクトでありますけれども、二〇二三年末の生産開始を目指しております。したがって、我が国のエネルギー安定供給を考える上で重要なプロジェクトであって、引き続き権益を維持する方針であります。

 オペレーターから、予定どおり操業が開始できる旨の発言があることは承知をしておりますけれども、今後とも、本プロジェクトの関係者と意思疎通を図り、連携しながら、二〇二三年末に生産が開始できるように適切に対応していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。

 ロシアは非常に重要ですし、この権益確保が本当に重要だと思います。サハリン2も引き続き注視されていくということで、是非よろしくお願いします。

 LNGの備蓄について、質問もありましたけれども、お尋ねを少しさせていただきたいと思います。

 LNGは、常温では気体であって、超低温で冷却しなければ気化してしまうという性質があって、長期間在庫として確保することが難しいということですけれども、石炭や石油のような国による備蓄の制度もない。実際、LNGの貯蔵は、民間企業では二、三週間程度貯蔵できるということなんですけれども、今回は、国によって備蓄について検討する、民間企業ではなくて国として備蓄を検討していくこと、技術的には難しいのかどうか、この辺り、ちょっとお尋ねしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、LNGは、マイナス百六十二度以下の低温という形で輸送、貯蔵するわけでございますし、日々そういう管理をしても蒸発し、一年で全量がなくなってしまうというのが現実でございます。ゆえに、いわゆるほかの一般的な物品と違いまして、在庫という形で持ち続けるということがなかなか難しいという中で、先ほどございましたけれども、大体二、三週間程度の在庫を持ちながら、継ぎ足し継ぎ足しLNGを輸入して需要を満たしていくというような状況でございます。

 対応策としては、これは調達を多角化していく、スポットで保有していく、あとは融通していくということになるわけでございますが、委員から御質問、御提案ございましたように、国が、在庫確保量というのに対して、もうちょっと多く持っていくということに対して応援することはできないかというようなことについて、我々も今検討しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、既に行っている仕組みから申し上げますと、電力のサイドでございますが、キロワットアワー、発電量として燃料をより多く持ってもらうということについて追加公募、公募をいたしまして、それに対して、支援の下で確保するというメカニズムを始めました。また、電力会社相互若しくはガス会社とともに、取った上で融通し合うという前提での確保に入っていただくということも考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、そういった手はずを取ってもなお異常な事態が生じたときのための国の関与した仕組みというのが今回提案したものでございますが、足下ではできることはしっかりと進めていきたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 国としてもしっかりと支援していただきたいと思いますけれども、中国や韓国では、LNGの安定供給のために、国営企業が中心となってLNGの長期契約を行う動きが見られていると思いますけれども、民間企業だけでなくて、JOGMECを含めて国が積極的に支援に乗り出すことも考えられると思いますけれども、その辺り、いかがでしょう。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりかと存じます。近隣国では、LNGの安定供給のため、国の方針に基づいて、中国ですとか韓国ですけれども、国営企業が中心になって、LNGの調達を積極的に行っております。また、ヨーロッパでも、首相や大統領が最近は中東やアフリカにLNG、天然ガスの供給増をまさにトップレベルで要請するなど、政府が積極的な資源外交を行っているという状況でございます。

 こうした状況の中にありまして、我が国としても、国として一歩踏み込んだ支援が必要だと考えておりまして、今回のガス事業法の改正案による、国によるJOGMECへの調達要請の仕組み、あるいは更に公的金融機関のファイナンスをより強力に活用していく、あるいはJOGMECによるリスクマネーの供給など、国の関与というのはこれまでよりも一層高めていくことで安定供給を図っていく必要があるというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 JOGMECでは日本国内で金属資源の探鉱に融資を行っているということですけれども、対象となるのは銅、亜鉛、マンガン、金などだということで、こういった金属資源に限定があるのは、なぜこういった限定がされているのか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMECの国内探鉱融資ですけれども、昭和三十八年度に制度が発足してございまして、その目的は、金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給、それから、金属鉱業などの健全な発展に寄与するということでございました。

 発足当時は、貿易自由化の中で、国際競争の中、大変苦境にあった国内鉱山の国際競争力の強化を目指しまして、当時、国内の主要生産鉱物でありました銅、鉛、亜鉛、マンガンの四つをこの融資制度の対象としてスタートしたところでございます。

 その後、国内の鉱山開発をめぐる情勢の変化、それから鉱物のいわゆる市況、事業者のニーズなどを総合的に勘案しまして追加を行ってきておりまして、昭和四十四年には金、平成元年にはタングステンを追加し、現在、六つが対象となってございます。

 基本的には、国内で鉱山をすることで採算が取れるかどうか、現在は金を除いてなかなか厳しいという状況だと我々は把握しておりますので、そういうことを踏まえて今の対象鉱種の設定になっているということでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 国内の金属資源の価格が非常に厳しい、海外と輸入が合わなくなってきたという状況だと思いますけれども、先週の経産委員会においても、僕の地元の養父市の明延鉱山についてもお尋ねしたと思うんですけれども、やはりちょっと国内の、国内回帰というのが非常に重要かなというふうに思っています。大臣が前回の委員会の際に、陸上の鉱山は厳しい状況であり、鹿児島で三か所、鉱山開発を行っているのみであるという御答弁をされたと思いますけれども、明延鉱山は、御承知のとおり、スズの生産量が過去日本一だったということで、スズについては、月単位で見ると単価は下がっているんですけれども、年単位で見ると価格は上昇傾向にあるんじゃないかなというふうに見ています。

 スズは、半導体の接合に使うハンダの原料になっていますけれども、この半導体、やはり世界的にも不足していますし、大切な資源だと思います。先ほどの金属の対象の中に拡大してスズを含めていくなど、JOGMECの融資対象にしていくとか、そういったことのお考えはいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 先般来御議論、御質疑をいただいておりますスズでありますけれども、ハンダやブリキ、電子部品などの合金材料として利用されるということで、重要な鉱物資源の一つであるというふうに認識をしております。

 JOGMECの探鉱融資の対象については、先ほども答弁がありましたが、国内の鉱山開発をめぐる情勢の変化、鉱物の市況、御指摘もありました、そして事業者のニーズなどを総合的に判断をして追加をしているところであります。

 スズに関しては、国内で採算を見込んだ新たな事業参入の動きは今のところないものというふうに承知をしておりますけれども、今後、企業からの具体的な案件の相談があった場合には、経済産業省として、探鉱に必要な支援は検討していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 大臣からのしっかりした回答をいただきました。これは是非、非常に重要な資源でありますし、検討いただきたいと思います。

 レアアースの発掘についてちょっとお尋ねしていきたいと思いますけれども、小笠原諸島、南鳥島沖の水深六千メートルの海底でレアアースが含まれている泥の採掘に乗り出すということで、来年度には採掘法の確立に向けた技術開発に着手して、五年以内に採掘できるように目指すということを承知しています。

 レアアース自体は、御承知のとおり、スマートフォンであったりとかパソコンであったりとか次世代の電気自動車に、貴重なこれも資源である。今現在は中国からの輸入が非常に大きいというところだと思いますけれども、中国からの輸入依存を脱却していこうというふうなことも考えられると思いますけれども、コストが課題であるということなんですが、二〇二八年以降に民間企業が参入できるようにする方向性とのことですけれども、これの見通しはどんな状況でしょうか。

高原政府参考人 お答えします。

 本件は、戦略的イノベーション創造プログラム、通称SIPの革新的深海資源調査技術で取り組んでいるものです。

 これまでの成果として、南鳥島海域におけるレアアースの概略資源量の精緻化、自律型無人探査機、通称AUVの複数機同時運用による隊列制御、茨城沖水深二千四百七十メーターからの揚泥の技術実証及び定置型小型海洋観測装置「江戸っ子」を用いた環境モニタリング技術の確立などに成功してきたところであります。

 さらに、この国産レアアース泥の資源開発については、来年度から始まる次期SIPのテーマ候補の一つとしてフィージビリティースタディーが進められているところであり、今後どのように取り組むのかについて詳細を検討しております。

 国産レアアース資源の開発は、資源安全保障上、非常に重要な課題であると認識しており、引き続き、経済産業省を始めとした関係省庁と協力しながら取り組んでまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 JOGMECを含めて、民間企業が参入できるよう対応していただければと思いますけれども、国内の海洋資源については、様々なものが、先ほども御紹介いただきましたけれども、この利活用についてはどういったお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 レアアース泥以外にも、我が国周辺の海域には、銅、鉛、亜鉛といったベースメタルを含む海底熱水鉱床、コバルトやニッケルなどレアメタルを含むコバルトリッチクラストなどが存在することが確認をされております。

 これらは、世界でも商業開発の事例がなく、深海に存在するため、その開発に当たりましては、正確な資源量の把握、生産技術の確立、開発コストの低減など、様々な課題が存在しております。

 このため、エネルギー基本計画及び海洋基本計画に基づき、こうした課題を解決していきながら、国産海洋鉱物資源の開発利用の実現にしっかりと取り組んでまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 日本の国内回帰、資源の世界的な高騰を含めて、是非、政府としても積極的に調査を含めて取り組んでいただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 十一月六日からのCOP27に向けた国連報告書は、世界各国が温室効果ガス排出削減二〇三〇年目標を達成しても、今世紀末までに産業革命前よりも気温が二・五度上昇するおそれがあると警告をして、パリ協定の一・五度C目標に向けて、目標強化を求めております。

 こうした中で、西村大臣、化石燃料の大幅な削減ということ、これ自体は待ったなしの課題という認識、当然おありですよね。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、カーボンニュートラルに向けた取組、これはもう極めて重要であります。二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減、そして二〇五〇年カーボンニュートラル実現というこの野心的な目標を実現していくために、排出量の多くを占めるエネルギーの脱炭素化、これを進めていく必要があります。

 また、ロシアによるウクライナ侵略による燃料価格の高騰、そしてグローバルな化石資源からの投資撤退などの動きを踏まえると、化石燃料依存度が高い経済ほど経済の不安定化要因が大きくなる構造へと変化しつつあるということも認識をしております。

 他方で、エネルギー脱炭素化を進める過程においても、安価で安定的なエネルギー供給を確保することも最重要課題であります。エネルギーの安定供給は大事だというふうに考えております。したがって、必要な化石燃料は確保しながらも、新たな技術等を活用して化石燃料そのものの脱炭素化の可能性も模索しながら、クリーンエネルギー中心の経済社会、産業構造への転換を進めていくという方針であります。

 エネルギー基本計画においても、今、現時点で恐らく七五から八〇%ぐらいの化石燃料依存度を四割程度まで下げるという目標を持って進めているところでございます。

笠井委員 二〇三〇年度目標四六%、それじゃ、私たちは低いと思っていますけれども、二〇三〇年はもうすぐそこで、待ったなしということであります。ところが、本法案で、化石燃料のLNGの大量利用それから海外エネルギー依存を続けて、JOGMECに調達させるということは、やはり世界の流れから見て大いに問題だと言わざるを得ないと思います。

 そこで、JOGMECについて伺います。

 商社や電力会社が海外で行う資源開発のために供給してきたリスクマネーの出資累計額というのは幾らになっていますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 石油、天然ガス開発関係の出資の累計額は、令和二年度末で約八千三百億円となってございます。

笠井委員 八千三百四億円ということで数字は伺っておりますが、そういうことであります。

 JOGMECの繰越欠損金は、さきの通常国会でもただしましたけれども、その時点で、二〇二〇年度は二千八百三億円ということで、二〇一一年から実に二十倍に膨らんでいたと。

 では伺いますけれども、直近、二〇二一年度の繰越欠損金というのは額として幾らですか。額だけ答えてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年度末の繰越欠損金の額は、約二千九百二十二億円となってございます。

笠井委員 四月十五日の当委員会でただした際に、当時の萩生田経済産業大臣は、失敗案件も成功案件もある、全体で最終的にプラスにすれば理解いただけるというふうな答弁をされていました。最終的にプラスにすればと言いながら、さらに、今答弁がありましたけれども、昨年度で百十九億円も増えたではないかということであります。二〇一一年からの十年間で二十四倍以上に膨らんでいる。

 これは前大臣の答弁との関係なので、西村大臣、こんなことをずるずる続けていいのか、この点はどういうふうにお考えでしょうか、大臣。

西村(康)国務大臣 JOGMECの繰越欠損金、令和三年度末で約三千億円となっておりますけれども、これは、供給不安なども背景に、JOGMECはこれまで高いリスクのある資源開発に積極的に取り組んできた結果によるものであります。安定供給を確保していく上で、民間では取れないリスクを、それを支援してきたということでありますので、一定程度の発生はやむを得ない部分もあると思います。当然、事業計画そして採算なども見ながら支援をしていくわけですが、リスクが高いということを前提に考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 資源開発は、投資の回収期間も長いわけですし、不確実性の高い事業でもあります。今後、これらの事業が生産段階に移行してきて、そして一定の収益を生み出していくことで、この繰越欠損金は次第に減少するものというふうに見込んでおります。

 例えば、JOGMECの前身、石油公団は、四十年間で、最終年度、約五千二百四十三億円の欠損金を計上しておりましたが、国が承継した資産は、令和二年度末の時価総額で、この欠損金を回復し約四千百十四億円の含み益があるというふうに見込まれております。時間的なずれもあるということも御認識をいただければと思います。

 また、独立行政法人通則法に基づいて、JOGMECの主務大臣として、中期目標を指示するとともに業務の実績を評価しているところであります。こうした仕組みも通じて、この法人の業務運営の効率性などについても、今後も適切に監督していきたいというふうに考えております。

笠井委員 ずるずる続けるつもりかということについて伺ったんですが、そのことについては、こういう状態が続いていいという認識はないですよね、どんどん増えていくと。

西村(康)国務大臣 リスクの高い案件を支援をしているということでありますので、その中で、もちろん一定程度そうした欠損金が発生するということはやむを得ない面があると思いますが、長い目で見てこれを回復していく、利益が上がっていく段階になればそれは回収できるということも頭に置きながら、中期目標を指示し、しっかりと監督をして見ていきたいというふうに思います。

笠井委員 前大臣と同じように、最終的にプラスになれば、長い目で見ればという話なんですけれども、私、四月十五日の質問で、多額の繰越欠損金は、出資に同意した経産省も共同責任があるということでただした際に、定光資源・燃料部長は、経産大臣が出資に同意した経緯を示す決裁文書の提出を検討するというふうに言われました。

 結局、どういう形で決裁したのかということもちゃんと明らかにならないと、今大臣答えられたような形で、リスクが高いからということでやってきた、その結果としてどんどん増えてきたわけですから、検証もできないわけですけれども、この決裁文書の提出、検討すると答弁されたこと、その後どうなったんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の委員会で、議員から、このプロセス、国が行う同意に関するプロセスに関する文書の提出の御依頼がありまして、委員会の後に、関連する出資細則でありますとか業務方法書などのルールについては提出をさせていただいたところでございます。

 その後、改めて、同意手続に関する決裁文書の個別事例についても提出を求められているというふうに理解してございます。

 私どもとしては、今、先生からの要請に対して誠実に対応させていただくつもりでおりますけれども、個別の同意手続におきましては、まさに省内で作成します決裁文書の中に、個別企業の営業秘密でありますとか、産油国政府との外交上のやり取り、あるいは国のエネルギー政策との整合性に関する経産省としての評価などの機微な情報も含まれておりまして、これを一律開示することは、将来のプロジェクトに関するJOGMECの審査、あるいは大臣の同意に予断を与えてしまうなどの支障をもたらす可能性も考えられます。

 こうした観点から、引き続き慎重に検討させていただきたいと考えております。

笠井委員 一律に開示することは支障を来すと言われますけれども、やはり行政に対して国会がチェックするという機能が必要なので、しっかりと責任を果たしているかどうかを確認する必要があると思うんですね。

 それで、あのとき、萩生田大臣は、「時の経産大臣、重たい責任を持って事に当たってまいる、当然のことだと思います。」というふうに答弁されました。やはり決裁文書の提出がないと、経産大臣がきちんと責任を持っているか確認できないということになると思うんですよ。

 それで、今、企業の経営秘密とか外交上のやり取りとか、その他、言われましたけれども、どうしてもという機微情報は、よくあなた方はなさるけれども、黒塗りでも、その上でも提出すべきだと思うんですけれども、最低限、そういうことをやはり何らかの形できちっと分かるようにする、責任の果たし方について。どういう経過できちっとやったのかということが分かるようにする決裁文書ということで提出が必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 今、答弁、部長からありましたけれども、情報開示に当たっては、御指摘のように慎重な検討が必要な部分がございます。

 その上で、いただいた御依頼には誠実に対応させていただきたいと思いますし、委員会の御指示に従いながら、私どもで対応できる範囲でしっかり対応したいというふうに思います。

笠井委員 是非対応いただきたいと思います。

 大臣、八千三百億円以上のリスクマネー供給で、いわば大企業に巨大な利益をもたらす一方で、国民には失敗した事業のツケを回して、経産大臣が同意した経過もなかなか確認できない、こういう状態でJOGMECに新たな任務付与なんというのはやはりあり得ないと思うんですけれども、その点はいかがですか。

西村(康)国務大臣 JOGMECの財務状況については先ほど来答弁を申し上げているとおりでありますが、長い目で見て考えていくということ、さらには、まさに今、エネルギーの安定供給が何よりの重要課題になってきている、国民生活そして産業の活動を維持していく上で、エネルギーそして電力をしっかりと供給をしていくことが重要である、そうした観点から、引き続き、リスクの高い案件についてはこのJOGMECが支援をし、今回、改正案を出させていただいておりますけれども、新たな機能も付与しながら、電力、ガス安定供給をしっかり図っていきたいというふうに考えております。

笠井委員 今、何より安定供給が重要だということでありました。安定供給そのものは本当に重要なことでありますが、西村大臣、本法案で、都市ガスの原料であるLNG供給の不確実性が高まっている状況を踏まえて万一の危機に備えるということを繰り返し言われますけれども、この冬に、じゃ、都市ガスに需給逼迫が想定されるのか、この点はいかがですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 LNGの国際市場は、国際情勢の変化、あと需給についての逼迫化という中において、非常に厳しい需給状況が続いているところでございます。

 しかしながら、民間事業者の調達努力若しくは私どもからの支援というのもいろいろしておりまして、官民協力の下での対応によって、この冬に向けての調達は一定程度確保できるのではないかと考えております。ですので、今の段階で逼迫が生じるとは想定してございません。

 しかしながら、今回の法案で考えておりますのは、今後、国際情勢の変化ということもございますし、大規模な生産設備のトラブルというのも発生してございます。いつ何どき何が起こるか分からない中で、極めて逼迫したこの国際市場の中での対応策として、本法案を提出しているところでございます。

笠井委員 この冬の逼迫は想定していないということでありますが、日本は長年、世界最大のLNG輸入国でありました。日本は世界のLNG輸入量の何割を占めているというふうになりますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年のデータが公開されてございますが、LNGの輸入量は、日本は約七千四百万トンでございまして、これは、世界全体のいわゆる貿易量約三・八億トンに対しまして約二割を占めているというふうに認識してございます。

笠井委員 日本にLNGを輸入するという、日本の上位五社というのはどこになりますか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 各社が必ずしも正式に日本への輸入量を公表しているわけではございませんけれども、業界の、報道機関の聞き取りに基づく公表情報によれば、二〇二一年度における日本のLNGを輸入する上位五社は、順に、JERA、東京ガス、大阪ガス、関西電力、東北電力となってございます。

笠井委員 本法案の前提となっているガス制度検討ワーキンググループがまとめた都市ガス需給対策についてという文書がありますが、そこでは、都市ガス事業者はリスクを見越して必要な原料の在庫を確保してきたとしております。

 つまり、ガス事業者自身が万一の危機に備えてきた結果、今、需給逼迫は起こっていないということでよろしいんですね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。現時点で逼迫が起きているわけではございません。

笠井委員 二〇二一年一月の電力需給逼迫がありました。そのときには、都市ガスから電力へ、LNGを融通したということがありました。

 電力が需給逼迫したときも、ガスは逼迫せずに、むしろ電力への融通をした、そういう経過だったわけですね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員が御指摘いただきました、二〇二一年の一月、このときに電力の需給が逼迫いたしまして、供給が足りなくなる、その前提として、供給力というものと同時に、燃料が電力会社の方で足りなくなってきつつあることが制約運転につながったというものがございました。

 非常に、一月は綱渡りの状況で、我々も一緒に対応したわけでございますが、その際には、委員御指摘のとおり、ガスの方に余力がございましたので、大手ガス会社の方に私どもの方からも要請を行いまして、大手ガス会社から電力会社に対してのLNGの融通が行われることになりました。

 具体的には、ガス会社と電力会社の間でのLNG船の配船の調整ですとか、ガス会社が電力会社から供給を受けてガス供給を行っているガスを一時的に止める対応を行い、発電用のLNGへの供給を確保するですとか、ガス会社が導管を通じて発電所にガスを融通するとか、様々な対応策を取ったというふうに承知しております。

笠井委員 経産大臣によるJOGMECへの発電用燃料調達の要請というのは、二〇二〇年の電気事業法の改定で盛り込まれたものでありますけれども、その何条にどう規定されているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のございました電気事業法の規定でございますが、電気事業法第三十三条の三という規定におきまして、経産大臣からJOGMECに対して発電用燃料の調達を要請することができると規定しているところでございます。

 この当時、二年前の常会でございますけれども、電気事業の方をより先に、回転率も高く在庫も必要なところがあるところでございまして、当時の状況を踏まえ、まず先行して電気事業法で整備した、これと同様な形で、これを電気用だけではなく都市ガス用にも使うための規定を今回整備すべく、法案を提出しているところでございます。

笠井委員 二〇二〇年に電気事業法を改定して盛り込んだこの条項というのを紹介ありましたが、その発動の実績というのはありますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点までの中では発動の実績はございません。その発動に至る前に様々な形での融通等を行いまして、需給の確保を行っているところでございます。

笠井委員 じゃ、この冬にこの発動をして要請するという想定はありますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど冒頭で委員の御質問にも御答弁申し上げましたけれども、対応を行っておりますのは、ガス会社と同時に、電力会社も同様でございます。

 今、電力会社、ガス会社共に、一定の余分ということを考え、一定のリスクということを考え、私どもの支援も行い、融通の仕組みをつくって対応しているところでございまして、現時点で逼迫のことを想定しているわけではございません。

笠井委員 輸入したLNGの用途は、電力が全体の六割であります。都市ガス用のLNGが足りない事態であれば、電力用のLNGが先に不足しているはずなので、今ありましたけれども電気事業法で発動した実績もないのに、ガス事業法で同じ規定を設ける必要などないのではないかということを指摘したいと思います。

 そこで、西村大臣に伺いますが、JOGMECに新たに追加されるという、この法案で言われている任務というのは、スポット市場でLNGを調達するということですか。

西村(康)国務大臣 調達は様々なやり方があり得ると思いますが、スポット市場で買うこともあり得るというふうに思います。

 当然、関係国、調達国と交渉の上、一定調達するということもあると思います。

笠井委員 長期はこれまでということがあるわけですから、スポットということで、今度、新たに追加するということになるんだということだと思うんです。

 電力・ガス基本政策小委員会第三十五回で、二〇二一年五月二十五日、そこでは、JERAの中村常務執行役員が、二〇二一年初頭にJERAが行った三百万トンの緊急スポット調達について、こう言っております。経済活動を行う事業者としては取れるリスクではないということを本来認識すべき、余剰となった場合の収支インパクトは非常に大きい、リスクは国全体でカバーするような仕組みが望ましいというふうに述べておられます。

 つまり、今回の法案というのは、スポット価格が上昇する中で、事業者の余剰在庫リスクをJOGMECが肩代わりしようというものになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 電気事業法に基づいてJOGMECが調達する制度は、既に制度として立ち上げてございまして、それに関しましては業務方法書を定めてございます。それによりますと、基本的には、JOGMECが調達した価格に必要な事務手数料などを乗せた形で事業者に販売するということを想定してございます。

 したがいまして、今般追加される業務によってJOGMECに新たな損失が計上されるということは基本的には想定してございません。

笠井委員 要するに、リスクは国全体でカバーする、これを本当にJOGMECでそういう形で調達をさせるという流れのことではないか。

 元々、事業者は十五年から二十年という長期契約でLNGを調達しているわけですよね。ところが、この間、需要が全体として減ってきた上に、今後も脱炭素化を迫られると冒頭にありました、そういう状況の中でスポット取引を拡大してきた。

 JERAが二〇一六年に発表した二〇三〇年度の事業計画で、LNGの長期契約率九〇%、それを二〇三〇年度に約四〇%までに引き下げて、短期、スポットの割合を増やして、より環境変化に強い体制を構築するとしていました。そのスポット価格が上昇したから税金で面倒を見てくれというのは虫がよ過ぎる話になってくると、私は強く指摘をしたいと思います。

 そこで、西村大臣に伺いますけれども、原発一基動けばLNG輸入が百万トン減るということで、参議院予算委員会を始めとして、国会でも何度も答弁をされていますが、結局、LNGと都市ガスの危機をあおりながら原発再稼働を推し進めようということだけではないのかと思うんですが、その点はいかがですか。

西村(康)国務大臣 エネルギーの安定供給と、それから中長期的な課題でありますカーボンニュートラル、いわゆるGXを両方進めていかなきゃいけないという中で、今、あらゆる選択肢を私どもは追求をし、検討を進めているところであります。再エネも最大限導入をしていく、そして、LNGについても当然、確保をしていかなければならない。まさにガスがヨーロッパで足らない中で、ガス市場が非常に逼迫している、価格も高騰している、その中で一定の確保もやはり求めていかなきゃいけない。それから、原子力についても、様々な課題がございますが、それについて今後どうしていくのかということについて検討を進めているところであります。

 いずれにしましても、再エネ、原子力、そしてLNG、もちろんカーボンニュートラルもありますから、あわせて、LNGを燃やすときも、ガスを燃やすときも、水素との混焼であるとか、あるいは、石炭を燃やすときも、アンモニアの混焼であるとか、それから、CO2が出たときのCCUSであるとか、こうしたあらゆる技術の可能性も含めて、安定供給とGXの両立を図っていくべく検討を進めているところでございます。

笠井委員 あらゆる選択肢ということで、繰り返しこの間、大臣自身もGXの会議あるいはいろいろな場面でもおっしゃっているわけですけれども、そうおっしゃりながら、私が問うた、原発一基動けばLNG輸入が百万トン減る、片や、逼迫しているんだ、大変だ、どうするんだ、争奪戦があるんだ、こういうことを繰り返されている中で、結局、そういう形で、原発一基動かせば百万トン減るんだぞ、LNG輸入が減るんだぞということになると、国民に対しては、そして世界に対しても、日本はそういう形で原発を進めるぞというのがこの点でも大事なんだということがぐんとメッセージで出るわけですよ、あらゆると言いながら。

 結局、そういうことでいったら、原発をかなり、本当にそこに、本当にその再稼働にかけていくみたいな話になってくるんじゃないかと思う、あらゆると言いながら。そういうことになるんじゃないでしょうか、大臣のメッセージというのは。

西村(康)国務大臣 繰り返しになる部分もありますけれども、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル、GXを進めていく、この両立が、どう進めていくのかということが極めて重要であります。

 そうした中で、原子力発電所については、規制委員会の、世界で最も厳しいとも言われる基準に適合したものについて、地元の理解も得ながら再稼働を進めるというのが今の政権の方針でございます。その上で、さらに、幾つかの課題について、年末に向けて検討を進めている。

 御指摘のように、原発一基動けばLNG百万トンに相当するものが、その分、いわば浮いてくる、買わなくても済むということで、今、世界全体で、特にヨーロッパがガスがないという状況が続いてきている。この冬は何とか乗り切っても、その後もどうしていくのか。そうした中で、世界全体のLNG市場の逼迫を緩和する、そうした効果を持つものである、そうした市場への効果もあるということを申し上げているわけでございまして、いずれにしても、再エネ、原子力、LNGの確保を含めて、安定供給とGXをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 東京電力福島第一原発事故から十一年半たった中で、やはり事故は終わっていない状況で、収束だってままならないということで、そして、被災者の皆さん、大変困難な状況が引き続き続いているというわけですよね。二度とああいうことを繰り返しちゃいけないというところから、やはり原発依存そのものをやめて、原発ゼロの決断が必要だという世論も大きく広がっている、そういう中でのやはり政治の判断、決断というのが求められていると思うんですよ。

 大臣、LNGの輸入量を減らすということであれば、私は、再エネこそ本当にもっと進めるべきだと。再エネこそ、純国産で、燃料費がゼロ。そして、円安にもびくともせず、スポット市場の上昇にも左右されない。そして、世界のLNG市場にも貢献できるし、よく国富の流出ということを言われたりするけれども、国富流出とは逆に、貿易収支の改善にもつながる。地域にも金が回ってくる。まさに、それこそ、本当にかじを切って進めるのが一番今必要じゃないかと思うんだけれども。

 いろいろあります、あらゆる選択肢よりも、本当にそこに力を注ぐ。省エネとともに再エネを本当に思い切って進める。ここに総力を集中することが、今議論しているような、本当にいろいろなエネルギー問題を解決する上でも必要じゃないかと思うんだけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、再エネも非常に重要であります。大量に導入していくべく、二〇三〇年度三六%から三八%という、いわば野心的な目標も掲げております。そのために、近く洋上風力についてもまた手続を取ることになりますし、太陽光についても、一定の改善する部分、改善をしながら導入をしていく、あるいは地熱についても進めていく、こうした目標を持っているところであります。

 その上で申し上げれば、再エネで全て賄えるかというと、雨の日あるいは風が吹かない日はあるわけでありまして、実際に二〇一七年の一月、ヨーロッパは、風も吹かず、曇りが続いて、太陽光もほとんど稼働しないという状況が続いて、大変なエネルギー危機も経験しているわけであります。

 再エネも大量に導入しながら、それをカバーする、調整する電源も必要でありますし、原子力そしてLNGを含めてあらゆる選択肢を追求して、エネルギーの安定供給とGXをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 再エネが重要ということを言われた、そのことは重要だと思うんですけれども、しかし、二〇三〇年の再エネ目標というのは、これは野心的でも何でもない、もっとやらなきゃいけないということは言わなきゃいけないと思うんですよ。

 そして、不安定だとか、再エネがヨーロッパでもなかなかと言われるけれども、そこで本当に苦労しながらも、ヨーロッパではどんどん進めている。おとといと昨日は日・EUの議員会議が衆参の正式の行事として開かれて、そして私も参加して、この問題も議論してきました。

 そういう点では、エネルギー問題は本当に大事なんだけれども、やはり原発こそ、むしろ再エネを阻害している。原発二基稼働の九州電力は、この十月だけでも二十一回も再エネの出力調整で抑制を行っているわけです。出力の抑制を行っている、その指示をしている。

 世界は、出力が変動する再エネを含めてどうやって系統全体をマネージするかという考え方にとっくに変わっていて、世界が急速に脱化石燃料に移行する中で、日本も整合性の取れた再エネ中心のエネルギー政策に抜本的に転換すべきだ、こういう時期に来ているということを強く思うんです。

 時間が来ましたので終わりますけれども、そういうことをしっかりと政府も経産省も受け止めて、やはりエネルギー政策全体を見直して転換するということを求めたいと思いますし、本案の質疑終局には反対であり、更なる徹底審議を求めて、今日の質問は終わります。

竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、ガス事業法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 気候危機という非常事態で、二〇三〇年までに温室効果ガスをいかに削減するかが問われています。一刻の猶予もありません。

 一・五度目標の達成のためにこれまで以上の排出削減が求められる中、本法案は世界の流れに逆行するものとなっており、容認できません。

 反対理由の第一は、LNGを輸入する電力や都市ガス、商社などの大企業が負うべき取引のリスクを、JOGMECを通じ、国民に肩代わりさせるものだからです。

 JOGMECがこれまで投入した八千三百億円を超えるリスクマネーによって、大企業には巨額の利益がもたらされました。その一方、事業終結、失敗のツケによる繰越欠損金が三千億円近くにまで積み上がっています。出資案件に対して経産大臣、エネ庁が監督責任を果たしているのかすら明らかにせず、JOGMECに新たな任務を付与することは、一兆円を超える欠損金を出して解体された石油公団の二の舞になりかねません。

 第二は、政府自身が都市ガスの逼迫は生じていないと認めながら、殊更エネルギーの争奪戦、需給逼迫による万一の危機をあおることで、原発再稼働を推し進める口実にしているからです。

 我が国に輸入されるLNGの六割が電力、三割が都市ガスに利用されています。万一のLNG不足の際には、既にある電気事業法の規定で対応可能です。ガス事業法にまで同様の規定を盛り込む必要性は認められません。

 西村大臣自身が、原発が一基動けばLNG輸入が百万トン減ると答弁を繰り返していることは看過できません。東京電力福島第一原発事故から十一年半たってもなお、事故は続いている現実を直視すべきです。

 純国産のエネルギー源で、燃料費ゼロの再生可能エネルギー中心のエネルギー政策に転換することを強く求めて、反対討論といたします。

竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、ガス事業法及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、岩田和親君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠君。

山崎(誠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    ガス事業法及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による液化天然ガス(LNG)の調達については、経済産業大臣の要請が行われる場合の要件を具体的に例示するなど、予見可能性を高めるよう努めること。また、調達から利用まで相当な時間を要することから、世界的なLNGの需給状況を踏まえつつ、民間事業者と緊密に連携をとって、緊急時に速やかに必要なLNGを調達できるよう万全を期すこと。

 二 緊急時にJOGMECが調達するLNGは、今回措置するガスの製造のみならず、発電用燃料にも使用されることに鑑み、発電事業者やガス事業者等への供給について、運用の明確化を行い、適切な配分が行われるよう努めること。

 三 緊急時にJOGMECがLNG調達に関する業務を適切に実施できるよう、JOGMECの体制の整備に必要な措置を講ずること。

 四 ガスの使用を制限することは、国民生活及び企業活動等に重大な影響を与えるおそれがあることに鑑み、平時から、資源外交の積極的な展開やLNG輸入事業者に対する支援等を通じて、LNGの安価かつ安定的な調達に努めつつ、需要家に対する節ガスの呼びかけや経済インセンティブの活用等を進めるなど、ガス需給の両面において可能な限りの対策を講ずること。

 五 ガスの使用制限を実施するに当たっては、対象となる需要家等と事前に十分な調整を行い、制度の趣旨及び対象範囲や制限の方法等について国民や関係者に対する周知徹底を図るなど、需要家等の予見可能性を確保し、制度の運用に万全を期すこと。また、使用制限による需要家への影響が最小限に抑えられるよう、十分に配慮すること。

 六 ガス分野における二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、合成メタンを製造するためのメタネーション技術の開発や効率的な熱利用等の熱需要における脱炭素化の促進のために実効的な措置を講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、西村経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村経済産業大臣。

西村(康)国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

竹内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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