衆議院

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第2号 令和6年3月13日(水曜日)

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令和六年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      東  国幹君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    大西 英男君

      金子 俊平君    菅家 一郎君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      高木  啓君    谷  公一君

      谷川 とむ君    土井  亨君

      中川 貴元君    中根 一幸君

      中村 裕之君    西野 太亮君

      古川 直季君    本田 太郎君

      三反園 訓君    武藤 容治君

      石川 香織君    小宮山泰子君

      神津たけし君    伴野  豊君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      湯原 俊二君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    空本 誠喜君

      高橋 英明君    伊藤  渉君

      日下 正喜君    高橋千鶴子君

      浅野  哲君    古川 元久君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   内閣府副大臣       古賀  篤君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田辺 康彦君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            尾崎  有君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永井 雅規君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           森  政之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           増田 嗣郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       中田 裕人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     東  国幹君

  谷  公一君     三反園 訓君

  古川  康君     西野 太亮君

  枝野 幸男君     湯原 俊二君

  漆間 譲司君     空本 誠喜君

  古川 元久君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     佐々木 紀君

  西野 太亮君     古川 直季君

  三反園 訓君     谷  公一君

  湯原 俊二君     枝野 幸男君

  空本 誠喜君     漆間 譲司君

  浅野  哲君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     中川 貴元君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     古川  康君

    ―――――――――――――

三月十二日

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長寺田吉道君、大臣官房土地政策審議官中田裕人君、総合政策局長長橋和久君、国土政策局長黒田昌義君、不動産・建設経済局長塩見英之君、都市局長天河宏文君、水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長石坂聡君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、港湾局長稲田雅裕君、観光庁次長加藤進君、内閣府大臣官房審議官田辺康彦君、警察庁長官官房審議官小林豊君、金融庁総合政策局審議官尾崎有君、出入国在留管理庁審議官福原道雄君、文部科学省大臣官房審議官永井雅規君、大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官森政之君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、大臣官房審議官増田嗣郎君及び経済産業省大臣官房審議官橋本真吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子さん。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日、参議院の方もありまして、冒頭での御挨拶をさせていただくことを感謝申し上げます。

 さて、まず、冒頭になりますけれども、本年元旦に発生いたしました令和六年能登半島地震で被災された皆様、被災地支援に向かう途中で命を落とされた海上保安庁機乗員にも、お悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 立憲民主党においても対策本部を設置し、石川県では近藤和也代議士、そのほか被災した地域の議員を中心に現場の状況の報告を受け、政府への要請などを続けております。

 改めて、対応に当たられている国土交通省、地方整備局始め、被災地対応をしていただいている関係の皆様に感謝を申し上げます。

 昨年来、日本の安全性、信頼度を損ねかねない案件も続いております。羽田空港航空機事故や新幹線架線トラブルでの運行停止など、国土交通省関連事案への再発防止への取組を徹底、豊田自動織機並びにダイハツ工業での不適切案件への分析と適切な対応をいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。大きくうなずいていただき、ありがとうございます。

 いわゆる有償のライドシェア、白タクの取締りについてお伺いしていきたいと思います。

 昨年来、日本でもライドシェア導入との声が上がっているのは承知しておりますが、配車仲介させるような提案には、公益を増進するものとならず、賛同できる要素はありません。

 日本におけるタクシー事業は明治四十五年に始まり、百年以上の歴史はありますが、戦後のモータリゼーションの発達とともに、粗暴運転、乗車拒否、不当運賃請求、交通事故多発、白タクの横行などが生じてきたため、現在のタクシー制度がつくられております。

 先週の大臣の所信表明において、地域交通の担い手不足や移動の足の不足に対応するため、タクシーの規制緩和を進めるとともに、地域の自家用車や一般ドライバーの活用について、実効性のある仕組みの設計を早急に行ってまいりますとありました。

 いわゆるライドシェアの懸念点は、危険性、交通事故、身体的暴行、性的暴行、また、低所得化の負のスパイラル、ギグワーカーの増加、プラットフォーマーの運賃や報酬決定のアルゴリズムがブラックボックスで、公平性、透明性の担保がされていないこと、安定しない供給と価格、ダイナミックプライシングで振れ幅が大きく、採算の取れない地区では運営されないなど指摘がされております。

 EU、欧州連合では、ウーバーが提供する当初のライドシェアは違法であるとの司法判決が出ています。違法というか、運送事業だということで、仲介事業ということは否定されているものであります。斉藤大臣は、白タクを容認することはないでしょうから、一般ドライバー活用のため、二種免許取得の支援を伴うとともに、道路運送法の下、安全が確保される規制緩和を進められるようにしているというふうに理解したいと思っております。

 公共交通、タクシー、バス、鉄道、歩いて回れるまちづくりなどの充実で、持続可能な都市交通計画、SUMPの発想を日本も積極的に取り入れるべきだと私自身は考えております。

 車両の整備、管理、保険、一般免許での運転手に対しての指導や健康状態確認、さらに、万が一の事故発生時についても、タクシー事業者が相当範囲の責任を負うことを表明して、地域公共交通の担い手として、安全、安心の確保に全力で取り組もうと準備されている関係者の皆様には、心から敬意を表したいと思います。

 ライドシェア推進派の方は、タクシー不足を導入理由に掲げますけれども、現在、新型コロナ禍から明けてきたことで、タクシー運転手は増加傾向にあり、国会近くの夜の赤坂周辺は空車タクシーが列を成しております。乗りたいときになかったこと、つまり、電車到着時などで出払い、タクシープールにたまたま空車がなかった、一時の需要集中で乗車できなかった経験から、タクシーが不足していると判断するのは適当ではありません。

 地域などにより差異が大きく、一概にタクシー不足と言えないことから、国土交通省として、タクシー不足と一律に言えるのか、調査しているのか、定義はあるのか、これについてお答えをください。

鶴田政府参考人 タクシーの運転者は、コロナ禍で減少しており、御指摘のように、最近増加に転じてはおりますが、地域、時期、時間帯によってはタクシーがつかまりづらいなど、需要に供給が追いつかなくなる状況が発生しておりますが、都市部、観光地、地方部などによって状況が異なるものと認識しております。

 このため、国土交通省では現在、配車アプリ事業者に協力いただいて、アプリでの配車依頼に対するマッチング率などによって、タクシーが地域、時期、時間帯においてどの程度不足しているのか、調査しているところです。

小宮山委員 一律にタクシー不足とは言えないということでいいんですよ。だからこそ調べているということであると思います。よりデータに基づく分析と、まずは現行制度の中で規制緩和をすべきと考えます。現行タクシー事業への規制緩和として、営業所の要件緩和、施設要件の緩和、二種免許の地理試験廃止など行われていると思いますが、現在並びに今後実施していく内容や課題についてお聞かせください。

鶴田政府参考人 タクシー事業への規制緩和につきましては、昨年制度改正を行いまして、御指摘ありました営業所ごとのタクシー車両の最低車両台数ですとか、営業所などの施設設置要件を緩和しました。これによって、特に地方部においてタクシーの固定費の削減効果が期待されます。

 また、カーナビが普及した現状を考えまして、タクシー運転者の就業を進める上で過剰な負担となっていました地理試験を、先月廃止したところです。

 さらに、道路運送法に基づきタクシー運転者になるために課せられている法定研修につきましても、現在は十日間としています期間の要件を、年度内に撤廃する予定です。

 これらのような、現行法の中におけるタクシー事業の規制緩和等を通じまして、地域交通の担い手不足や移動の足の不足に対応してまいります。

小宮山委員 タクシー不足というか人口減少によって、やはりタクシー会社も維持ができないというのが多々あるかと思います。しかし、様々な課題があるとは思いますが、これは国土交通省だけではなく、現実には二地域の住む問題とか都市部に人口が流入すること、人口減少が、去年で出生数が七十五万人台まで急激に下がり、予想よりも十二年も前倒しだという話もあります。これは国全体として、本来的なところ、要するに、需要が生まれる見込みが地方はなくなってしまっている、人口減少が起きている、働く場がない、いろいろな課題があります。そういう意味において、こちらを解決しない限りは、この有償のライドシェアというもの自体、成立しないんだと思っています。

 というのは、私ども立憲民主党の国土交通部門会議で、ライドシェア推進の方からヒアリングをした際、アメリカからのオンライン参加でありましたが、地方都市において、過疎地とかそういったところには、もうからないからとははっきりは言わなかった、言ったかな、導入しないと。ここに関しては、今までどおり地方自治体等がやる、国交省も認めておりますが、自家用有償運送でやってもらいますと明言をされた。つまり、都市部とか、もうかるところには入るということを明言をされておりました。

 そういう意味においては、つくられたイメージというもので、ライドシェアを入れれば地方のタクシー不足が解消されるということは、そもそも推進派の方からも否定されているということを目の当たりにいたしました。だからこそ、この問題というのは、移動の権利を守る、そして、そういったことによって地域を守るということにつながる重要な案件だとも、一つ思っております。

 そこで、二種免許を持たない運転手による有償旅客運送は、白ナンバーの自家用車タクシーで業務を行うという意味から、白タクとして禁止をされています。

 近年、海外からのインバウンド旅客の増加に伴い、例えば成田空港の到着ロビー出口側から、白ナンバーのミニバンやワンボックス車による白タク行為が行われている事例がしばしば報じられ、また、捜査機関による摘発、逮捕に至る事件が生じております。

 海外の旅行業者で、旅行申込みの時点で、日本国内の空港に到着後の移動方法を含めた内容で売り出されるなどして、あたかも知人、友人が空港まで迎えに来ているというていで事実上の白タク行為が繰り返されるなど、実態把握や、事件化がされているということであります。

 昨日もテレビの報道で、白タク運転手に質問をしている最中に逃げていった、それを追っかけていったら、熱海かどこか、静岡の方でそのバンが見つかって逮捕に至るというような報道がされておりました。

 これらの国際線空路の到着時だけでなく、白タク行為がどこでどれだけの規模で行われているのかについて、どのように把握され、白タク行為の取締りはどのように取り組まれているのか。事件化された件数などの現状、さらに、事件化された場合の行政処分などはどのように行われているかについて、国土交通省並びに警察庁よりお答えを、御説明をお願いいたします。

鶴田政府参考人 まず、国土交通省からお答え申し上げます。

 羽田、成田、関西空港や主要観光地において、白タク行為の実態調査を行うことに加えまして、警察、都道府県タクシー協会、出入国在留管理庁、施設管理者と白タク対策会議を実施して、関係者連携しまして白タク防止に取り組んでおります。

小林政府参考人 続きまして、警察庁からお答え申し上げます。

 警察では、いわゆる白タクと呼ばれる道路運送法違反について、国土交通省等の関係機関と連携し実態把握に努めるとともに、積極的に捜査を行っており、令和五年には三十三件を検挙いたしました。その内訳は、道路運送法第四条第一項違反となる無許可旅客運送事業が二十一件、第七十八条違反となる有償運送が十二件となっております。

 なお、これらの違反の法定刑については、第四条第一項違反は三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金又はこれの併科、第七十八条違反については一年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金又はこれの併科と規定されております。

 また、警察におきましては、これら白タク行為で検挙された者に対しまして、道路交通法の規定を適用し、最長六か月の運転免許の停止処分の適用に努めております。

 警察としては、引き続き国土交通省と連携し、白タクの未然防止のための広報啓発に努めるとともに、積極的な取締りを引き続き推進してまいります。

小宮山委員 令和五年で、たった三十三件ということであります。少な過ぎる。それで実態を捉えているとは私は思えませんし、この白タク行為があることで何が損じられているかといえば、日本の国内での事業や、二種免許とか、お金を出してしっかり取って安全運転に努めている運転者や事業者、この利益を失っているということです。日本にとってこの白タク行為というのは、実際には損失であるとはっきり言えると思います。

 その上、ヒアリングのときに伺いましたけれども、じゃ、実際にお金を出して乗っていた方たちというのはどういう処罰があるか。ないんですね。要するに、運転者はお金をもらう、仲介業者もお金をもらう、料金を出した旅行者は何のおとがめもない、これが法体系の状態でもあります。

 現行法でも、確かに、幇助とか共同正犯など、立件できるかもしれませんが、そこに行くまでの時間と、現実に有罪になるかといったら、取り調べるということはほぼ不可能で、白タクという行為が実は戦後もずっとあっても、結果として減らなかった、そして、そこにつけ込まれているのが今の日本の現状じゃないでしょうか。

 例えば、飲酒運転の場合であれば、運転手ではない同乗者やほかの関係者、飲酒の提供をした者、飲食店関係者についても、運転手が飲酒していることを知りながら運転するよう求めたり運転を容認した場合に、これらに対しても責任が問われます。

 白タク行為にしても同じじゃないでしょうか。関わった運転手本人、仲介した事業者、さらに、白タクを利用した者について、再発防止のために有効な罰則などが付されることが必要なのではないでしょうか。余り事件化されにくく、その上、実態が把握しにくい。仮に事件化されたといっても、ある意味、甘い処分に終わってしまうということ。これでは白タクはなくなりません。

 白タクをなくすためには、再犯を防ぐため、よりしっかり状況を把握し、関係する現場、捜査機関とも協力していただき、現行法以上に、取り得る行政処分などを含めた罰則も、充実して用いていくという対応が必要となると考えております。啓蒙活動、ポスター掲示などにも取り組んでいるとは説明を受けておりますが、より一層取り組んでいく課題があるのではないかと考えております。

 この点について、国土交通大臣から御所見をお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど小宮山委員からおっしゃっていただきましたように、まず、周知徹底、啓蒙活動という意味では、ポスター掲示やチラシ配布を行っているところです。

 そして、その上で、道路運送法に基づきまして、白タク行為の調査を行い、白タク行為を行った者に対しては、自家用自動車の車検証及びナンバープレートを取り上げる、そして使用禁止処分を行うといった厳しい措置を、我々としてはできる限りの厳しい措置を取っているところでございます。

 これから、引き続き、警察やタクシー業界と連携しながら、白タク行為に対して厳正に対処していきたいと思います。

小宮山委員 しかし、海外の仲介事業者や、海外でその場でお金を払わずオンライン決済等をしている利用者、お金を出す人ですね、ここに関しての対応というのは、現行法でできるんでしょうか。ここ、通告はしていませんけれども、やはり、お金を出す人が、啓蒙活動をやって、世界中で啓蒙活動が浸透するとは私は思えません。ここはしっかりと、国内で罰則があるから出しちゃいけないんだということを告知ができるようにしない限りは、これは止まらないんじゃないでしょうか。

 また、夜の町とか様々な課題はあります。そういう意味においては、もう一歩先に進んでいただかなければならないと思っておりますので、もう一度、その点、何かしら今後検討されるのかどうか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 今、例えば海外から関与している組織もあるというお話も、私も報道等で知っております。そういうことに対してどういうことができるか、この白タク行為を、厳正に対処していくためにどういう対応ができるかということも考えさせていただきたいと思います。

小宮山委員 よろしくお願いします。

 無責任な白タクによる違法事業を野放しにしないようにするため、また、安全、安心を確保したハイヤー、タクシー事業、有償運送事業の制度とするためには、デジタル行政改革会議など政府における関係会議で、ライドシェア解禁に対して懸念を示す、さらには反対意見を表明するメンバーの選定、さらには、十分な発言機会を設けられていないのが現状じゃないでしょうか。

 命を預かる、命を預けるには、無謀運転とか様々な法律改正を、これまでも国や国会も含めてやってきましたけれども、命を預けるには、議論や検討が、過程に大きな瑕疵が残されているというふうに感じております。

 これらの会議体は、国土交通省の下に設置していないことは承知しております。国土交通省としては、交通政策審議会自動車部会において責任を持って議論をしていこうと努めているのも理解はしておりますが、所管省庁でないほかの省庁で、規制緩和という名の下で安全を、国土交通省が頑張って、そして、理解をしている、現場を知っている方たちが守ろうとしている命に関する議論が、ほかで緩められて、危険を生む、リスクを生むという状況には、やはり私自身は違和感を禁じ得ません。

 国土交通省より、もっと強力に安全に関して声を上げていただきたいと思いますし、事業当事者や現場の方、事故に巻き込まれた方、そういった方も含まれて、内閣府かもしれませんけれども、しっかりと意見が言える環境を整えるべきだということを、内閣の中で是非リーダーシップを取って、国交大臣にしていただきたいんですが、この点に関しまして、大臣からの御見解をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 小宮山委員おっしゃるとおり、今回の地域交通の担い手不足の問題、また、タクシーが現実に足らないといった、地域の足の不足といった課題に対応することは、国土交通省が所管する交通政策そのものである、国土交通省が責任を持って対応する政策である、このように私も思います。

 国土交通省が所管しない会議体の在り方についてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、交通政策は様々な行政分野と関係するため、各省庁の観点に応じた検討を行っているものと考えております。

 国土交通省としては、交通政策の議論に際して、輸送サービスとして、一つに車やドライバーの安全性、二つ目に事故が起こった際の責任、三つ目に適切な労働条件の、バランスの取れた議論が重要であると考えておりまして、国土交通省に置かれている交通政策審議会自動車部会において、様々な立場の方から御議論をいただきながら、自家用車活用事業に係る制度案を含め、交通政策として、しっかりと議論を行ってまいりたい、このように思います。

小宮山委員 三月五日、総務省より、アプリ利用者の情報漏えいが相次いでいる事業者、具体的にはLINEヤフーに対して、行政指導が行われました。

 同事業者の代表取締役川辺健太郎会長は、さきに述べたデジタル行政改革会議の上にありますね、規制改革推進会議などで政府会議に委員として出席しており、ライドシェア解禁、新法制定について持論を述べるなどされております。本業の情報セキュリティー管理ですら、不十分である者が、行政指導を受ける事業者の代表がライドシェアの解禁を求めているというのは、ある意味、異常な事態だと指摘せざるを得ません。

 特に、ライドシェアはまたいろいろな、どこからどこに移動したとか、仲介業者は様々な個人情報を扱うことになり得ます。そこが情報漏えいの発信者になるということが、推進をしているということにも、私自身は違和感と危惧を隠すものではありません。

 安全、安心を重視して、交通、旅客政策を適切に論ずることのできるメンバーによる議論が行われていない、改めてこの点に問題があると指摘し、国交大臣には権限はないとおっしゃられますが、メンバーとしては入られているわけですから、ここは何らかの形で、しっかりと安全を守る、国土交通省所管の担当大臣として強く行動に移していただくことを要望させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 しっかり今、小宮山委員の御指摘を受けて、交通政策の責任者として頑張りたいと思います。

小宮山委員 交通政策の責任者として頑張っていただくこと、確認をさせていただきました。

 そして、次ですけれども、安全性ということで、消えた白線の予算確保の早期対応、実施についてお伺いしたいと思います。

 警察庁が二〇年八月に行ったサンプル調査によりますと、横断歩道が六一%摩耗していたものは一三・二%、四一%摩耗した場所は三〇%近くに全国の中で達したというサンプル調査が出ております。

 この点に関しまして、これまで、消えたあるいは消えかかった白線のために起きた事故は、裁判では和解や無罪など事例によって異なる判決が出ておりますが、一概に判断はできませんけれども、一番大切なのは安全であり人命です。この点は、いわゆるライドシェアの議論においても全く同じだと思っております。

 横断歩道など消えた白線に対し、道路を管理する側としての対策、予算措置、警察庁の調査から約三年経過し改善されたのか、実態状況についてお答えをお願いいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 警察庁では、横断歩道を含む道路標示の効率的な維持管理のため、優先順位を付して適切に更新するよう都道府県警察に指示をしており、各都道府県警察において道路標示の計画的な点検と更新に努めていると承知しております。

 委員御指摘のサンプル調査の結果につきましても、これを、計画期間が令和三年度から令和七年度までである第五次社会資本整備重点計画の指標に活用して、同計画の中で、信号機のない横断歩道を約八万本更新するとの指標を定め、取り組んでいるところでございます。

 また、警察庁では、道路標示の更新を含む交通安全施設等整備事業への補助金として、令和五年度に約百七十八億円を措置し、各都道府県警察へ交付しております。

 引き続き、道路交通の安全確保のため、必要な予算の確保に努めつつ、道路標示の適切な維持管理について都道府県警察を指導してまいります。

小宮山委員 ありがとうございます。安全、安心、道路上の問題、様々課題があります。これは命を守る国土交通省所管の事業でもありますので、しっかりと警察庁も、また、地方においての都道府県等、県警も含めまして、是非頑張っていただきたいと思います。

 つくづく、四十三兆円、五年間で防衛費に充てるといいますけれども、この一部でも、こういう安全対策の費用にしっかりと、更に回すべきだなと思う次第であります。

 さて、能登半島地震から考察する建築物の在り方についてお伺いしていきたいと思います。

 今回、元旦に起きた地震におきましては、多くの家屋が倒壊したとの報道がございます。能登半島地震における建物被害の特徴について、国交省の分析をお伺いいたします。

 あわせまして、今回、能登半島地震の経験から、震度七に至らない複数の地震により蓄積された被害と合わせ技による倒壊というんでしょうか、というようなことが起こっております。こうした知見から、建設物の耐震性能について、建築上の規定内容について何らかの見直しを行うことが必要なのではないかと感じておりますが、国交省の見解を二点お伺いいたします。

石坂政府参考人 今回の地震では、現時点において、古い木造住宅が多数倒壊している一方、比較的新しい住宅は無被害又は軽微な損傷にとどまっていると見られております。七階建ての鉄筋コンクリート造の建築物が倒壊したほか、複数の鉄筋コンクリート造の建築物が傾いております。また、広範囲で液状化による被害が生じているといったことが確認されております。

 国交省といたしましては、発災直後から現地調査に入るとともに、二月十七日から建築学会と連携した詳細な調査を開始しております。この中で、有識者委員会を設置し、被害の分析調査も行っております。これらにより、御指摘の新耐震基準による建築物も含め、建築物の被害について調査分析をしっかり進めてまいりたいと思っております。

 また、今回の地震では、能登地域におきましては震度六強以上の地震が連続して起きたという御指摘がございました。現行の建築基準法におきましては、震度五強程度の中地震まででは地震時は損傷しないこと、震度六強から七に至るまでの大地震では、損傷はしても倒壊しない性能を求めてございます。中地震であれば、繰り返し受けても損傷が蓄積することは考えにくいのでございますけれども、近年の能登地域、先ほど申し上げたように、震度六強以上の地震が続けて発生しておりますので、損傷していた可能性がございます。

 現在、先ほど申し上げましたように、現地調査を行っているところでございまして、今御指摘をいただいた点につきましても、過去の地震が倒壊の原因になったのかどうかについても有識者委員会におきましてしっかりと検証を進めてまいりたいと思っております。

小宮山委員 昨今、千葉沖等でも地震が続き、地震に対する備えとかは、非常に皆さん関心を持っているところでもあります。

 そして、今回の結果から、大規模地震発生時の対策として、地震が起きても生き続けられる役割を担えるように、住宅全体ではなく、部分耐震、低コスト耐震改修の導入促進というものが注目も浴び、また必要とされているかと思っております。全体では工事費もかかり、なかなか難しくて費用が賄えなくても、一部屋だけならば、ヒートショック、エネルギー高騰もありますので、省エネ性能を向上させられる改修工事の金額も含めて、抑えられると考えております。例えば、十五万円程度の支出で大きな効果が得られるという実例も伺っております。

 そこで、災害から命を守る、日常の暑さ寒さからも命を守るために、既存住宅、建築物の一部の居室に対して耐震性向上改修並びに高断熱、高気密改修について、補助制度の充実をしていくべきだと考えますが、国交省の見解を伺いたいと思います。

 あわせまして、この小さな改修工事というのは、地域工務店などでの受注の可能性もありますので、地域経済にも寄与すると考えます。リフォームや改修工事を既存住宅で行うことは重要と考えるものでありまして、また、今後の市場として成長する可能性も大きいと考えます。どの規模に市場が拡大すると試算しているかも、併せてお答えください。

石坂政府参考人 耐震性につきまして、議員御指摘の、一部の居室のみを改修する手法も、地方公共団体が当該住宅の安全性確保を図る上で適切と判断した場合には、国交省としても、防災・安全交付金において支援をさせていただいております。

 また、既存住宅の断熱改修につきましても、光熱費の削減効果だけでなく、健康面の効果も期待できることから、既存住宅の省エネ化は大変重要でございます。

 御指摘の、例えば居間やトイレ、浴室など、日常生活で使用する空間の断熱改修あるいは省エネ改修を推進することは大変効果があると思ってございます。そうした観点から、断熱窓の改修、床や壁の改修など、住宅の省エネ改修につきまして、引き続き環境省、経産省とも積極的に連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また、二点目の点でございますけれども、既存住宅のこうしたリフォーム、あるいは既存住宅の流通、こうした住宅市場の活性化については、地域の中小工務店の受注機会の役割が非常に大きいと思っています。また、地域でそういった方々が熱心に取り組んでいただくことで、耐震化や省エネ化が一層進むものだというふうに考えているところでございます。

 こうしたリフォーム市場でございますけれども、平成三十年時点で約十二兆円の市場規模、これにつきましては長期的に二十兆円に拡大させるという目標を掲げて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 二十兆円に拡大するリフォーム市場ということ、ここはしっかりと育てていかなければならないし、その機会を是非つくっていただくことを大臣には要請をさせていただきます。

 ちょっと時間の都合で、観光政策の方に幾つか入らせていただきます。

 観光資源としての日本文化、町並み保存の現状と今後についてお伺いしていきたいと思います。

 私の地元川越市は、町並みが整えられる中で、常に観光客の皆様でにぎわっております。昨年の暮れからも、本当にひっきりなしにテレビ番組等で取り上げていただいておりますし、また、歴史的町並みや伝統文化を象徴する町並み保存を、地方自治体や個人での維持、継続への努力が非常に大きいところでありますが、一方で、政策的には、任せ切りにしていたのでは、全国ではこのような歴史的な町並みというのは十分な対応ができないというのも現状ではないでしょうか。

 能登地震、熊本地震始め震災や豪雨災害、台風災害などが生じた際には、観光資源となるような建築物などにも大きな被害が生じる場合がございます。国指定や都道府県指定の文化財などに指定されている場合は、また、熊本城のように大規模な復旧の取組が行われるものに関しては多くの支援が集まりやすいですが、ここから外れたものは、なかなか町のシンボル的な建物であっても、ランドマークとなるものであっても、これが復興されるということは非常に難しいのが現状であると思います。

 そこで、観光資源ともなる町並み保存などに対して、観光庁としてどのように取り組んでいくのか。また、単に既存の町並みを守るだけではなく、更に、その隣接周辺地域に対して面的に拡大させていくような取組も行うべきと考えますが、観光庁の御所見をお聞かせください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が有する良好な景観や歴史的な町並みは、国内外の観光旅行者を魅了する、すばらしい観光資源の一つであります。これらを活用していくことは、観光立国の実現に当たっても不可欠な取組であると認識しております。

 このため、観光庁では、歴史的な資源を活用した観光まちづくりの取組、これを推進してきておりまして、これまでも、例えば古民家を宿泊施設や商業施設に改修する取組などを支援してまいりました。

 また、来年度からは、例えば、宿泊施設の整備を軸として、周辺の歴史的な資源とも連携した面的な取組などを後押しするため、施設の棟数が複数となる大規模な施設改修計画に対しても、支援することとしているところでございます。

 今後も、歴史的な資源の活用を面的に広げる取組などを支援することにより、観光資源となる町並みの保全に向けた取組を進めてまいります。

小宮山委員 昨年、実はこの関係で質問をさせていただいたのは、私の地元の明治時代に建てられたお店、店蔵というんでしょうか、ここが火災によって焼け落ちました。延焼は免れるだけの設備というか、昔ながらの知恵が詰まったところでありますが、個人の所有だったこと、借りた方の店舗が保険に入っていなかったことで、どうしてもいろいろな補助金を合わせても再建には二億ぐらいかかると言われていたのですが、残念ながら、これに関しては復興することを諦められまして、所有者の方も、市の方も、結果として現在更地になっております。

 町の中で、町並みというのが一回壊れていく、失われていくと、どんどん歯抜けになるし、観光地として優秀になればなるほど、建物を除去すると時間割りのタイムパーキングとかが非常に入りやすくなって、ここでもうけられるようになってしまうので、駐車場だらけの町に実はなってしまうんじゃないでしょうか。

 こういう意味において、観光庁の方で昨年来、歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業というのを組んでいただいているようで、令和六年度予算も組んでいただいて、補助事業では最大二億円、五地区を、今後大規模改修等の支援をしていただけるという施策につないでいただいていると伺っております。

 現在、この関係では、歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業の補助対象事業と、事業化支援及びモデル創出の共通の地域公募をされている、公募を現在やっていらっしゃるということであります。是非、この点に関しましてはしっかりと広報していただき、多くの町が失われないように、歴史ある町並みを失わないようにしていただきたいなと思います。

 有形の建築物、無形の祭礼は、いずれも日常の文化の延長線上につくられ、継承されてきたものであり、日常があるからこそハレの日、特別な日、大切な日になっています。日常にある日本的な文化が継承、継続されなくては、有形無形の文化資産の価値も下がってしまうのではないでしょうか。

 木の特性を生かし、木と木を組み上げて建物を構成する伝統構法も、伝統建築工匠、伝統建築工のたくみの技が二〇二〇年ユネスコ無形文化遺産に決定されております。

 また、最近は和室にも注目が集まっております。日本文化の特徴は自然との共生を旨としており、季節により食器を変え、衣装も柄も変え、目から見る視覚からも季節を味わうなど、多様な感性が生かされているものであります。

 近年、こうした感性が失われつつあるのではないかと懸念を持っています。落語とか歌舞伎の舞台とかを見ても、江戸時代の風習というのが今伝わっていないので、なぜそうやっているのか、これの奥深い意味というのが伝わらなくなるんじゃないかと、演者の方たちもとても心配するのが聞こえてきます。

 この文化に関しまして、日本文化、日本の感性に触れていただくという点についても、いかに評価しているのか、またいかに生かしていくのか、他省庁を含めた連携を行っていくのか、大臣に御所見を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今御指摘ありましたように、我が国には、国内外の旅行者を魅了するすばらしい自然、気候、文化、そして食がそろっております。また、我が国の各地域において長い年月をかけて育まれてきた生活文化は、世界に誇る日本の宝でございます。

 日本を訪れる海外の方々が、こうした我が国の生活文化に触れ、地域の方々と交流することは、我が国での特別な体験であり、日本や日本人に対する理解、さらには国際相互理解の増進につながる、極めて意義のあることと認識しております。

 国土交通省としましては、こうした特別な体験の付加価値を一層高める、こういう考え方の下に、今後とも、文化庁等の関係省庁と連携して、各地域における特別なコンテンツの創出や、観光地、観光産業の高付加価値化等に取り組んでまいります。

 これまでの観光、観光ですから光を見ると書きますが、見るだけではなく体験していただく、そういうこれからの観光の一つの核をつくり上げていきたい、関係省庁又は地域と連携しながらつくり上げていきたいと思っております。

小宮山委員 非常に急を要するものかもしれません、日本文化というものが非常に失われている。

 私自身も、いろいろな国会議員の方々に伺いますし、また、例えば、開会日に着物を来ていらっしゃる皆様の大半はレンタル着物で着つけをしていただいているという、自分で着物すら着れない方々、自分で着物を持っていないとか、そういった状況があります。それで外国人に着物を着て町を歩かすとか、観光客は着物を着るというのも、何か本末転倒というか、何か違うかなと。

 観光資源というのじゃなく、日常を体験する。観光というのは、私たちの日常を、そこを、非日常である旅行者が来て、その私たちの日常を味わうことで、繰り返し繰り返し人生を深め、そして見識を深め、楽しまれ、人生を豊かにしていくものだと思っております。相互理解にも通じるものであり、この点に関しまして、また引き続き、いずれの時点でこういう議論をさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立憲民主党の馬淵でございます。

 大臣所信についての質疑をさせていただきます。

 限られた時間ですので、私は二項目、ライドシェア、そして能登半島地震、非常に重要な課題だと思いますので、これについてお尋ねをしたいと思います。

 まず、通告の順序をちょっと変えさせていただいて、先にライドシェアを伺いたいと思います。

 大臣は所信の中で、「地域交通の担い手不足や移動の足の不足に対応するため、タクシーの規制緩和を進めるとともに、地域の自家用車や一般ドライバーの活用について、実効性のある仕組みの設計を早急に行ってまいります。」このように述べられました。

 規制緩和策、これは当然議論が始まって、新年度実施ということに向けてのパブリックコメント、この開始が二月の九日より実施をされ、三月九日に締め切られました。

 このパブリックコメントですが、昨年十二月のデジタル行財政改革会議の中間とりまとめ、ここで、タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車、ドライバーを活用しての、この不足分の運送サービス供給、これは道路運送法七十八条第三号に基づく制度の創設、これが決定されたわけであります。

 そして、今後は、この不足する地域、時期、あるいは時間帯、こういった状況での不足状態を、七十八条三号で規定されている、公共の福祉のためやむを得ない場合、地域又は期間を限定してということで、大臣が認めればこれが可能となる、こうした形での自家用車活用事業、通常、自家用有償と言われるような形で、新たなサービスの提供、これを検討するということでのパブリックコメントということであります。

 そこで、今まさに、この三月九日に締め切ったところでありますから、鋭意これを整理そして分析、まとめられているさなかだとは思うんですが、現段階、現時点における整理、集計の中での把握できている論点と、そしてその主な意見、これについて端的にお答えいただけますでしょうか。事務方からで結構です。

鶴田政府参考人 御指摘のありましたパブリックコメントにおきましては、三月九日までに六千件以上の御意見をいただいております。論点としては、主に、運送主体、台数制限、運賃、営業区域に関する御意見が寄せられています。順に具体的に御紹介申し上げます。

 まず、運送主体につきましては、全国どこでもタクシー事業への新規参入を認めて、ライドシェア事業者等が参入できるようにするべきとの意見や、素人がドライバーとなることについては、安全面、車体トラブル、料金面での懸念があるといった御意見がありました。

 次に、台数制限につきましては、地域の状況によって、タクシー車両数を超えて実施できるよう柔軟に取り扱うべきとの御意見や、タクシー不足を補完するという制度趣旨に鑑みて、使用可能な自家用車の台数はタクシー車両の不足分を上限とするべきとの御意見がありました。

 次に、運賃につきましてですけれども、ダイナミックプライシングを導入するべきという御意見や、ダイナミックプライシングは低所得者等の移動を困難とするもので、導入するべきではないとの御意見がございました。

 続きまして、営業区域につきましては、タクシーの営業区域制度にとらわれると、過疎地域やタクシーが不足している地域での利便性を低下させるという御意見や、営業区域の制度がなければ自家用車が都心部に集中してしまって、タクシーが不足する地域などで輸送サービスが提供されなくなるという御意見がありました。

 こういった重要な御意見を多数いただいております。

馬淵委員 六千件ということですが、なかなか大変な数が集まっているかと思います。

 今、論点を四つ整理をいただきました。運送主体、そして台数制限、運賃、営業区域ということでありますが、この中で、七十八条三号に直接関わる部分ということで、二番目の台数制限に関わるところの論点、ここについてお尋ねをしたいんですが、大臣、今、局長から御説明ありましたけれども、都心部と地方では当然ながら事情が異なると思いますが、この台数制限の論点のところ、これはどのようにお考えになられているでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 台数制限でございますが、基本的には、タクシーの不足を補完するという今回の基本的な考え方にのっとりまして、各事業者が保有しているタクシー台数を上限とするということがまず基本でございます。

 その上で、今、馬淵委員おっしゃいましたように、各地域によって事情が異なる場合も十分あり得ます。事業者が保有するタクシーの台数が極めて少ない地域もございます。例外として、その台数を超えて自家用車を活用することができるよう検討していきたいと思っております。地域の実情に合わせたいと思っています。

馬淵委員 地域によってこれはかなり差があると思うんですね。私は端的に、都心部と地方ということで、どのように考えるかというふうにお尋ねしたんですが、普通に考えれば、都心部というのは大規模の台数を抱えている事業者さん、多数いらっしゃるということで、ここに関して言えば、台数制限をなくすということが、そもそも効果があるかないかというのは、これはもちろん検証してからということになるんでしょう。

 一方、地方部では、保有台数が少ない事業者さん、本当に中小零細と言われるようなタクシー事業者さんもいらっしゃって、逆にこれは、制限を撤廃というようなことにしても台数増が見込めるかどうかというのは、なかなか難しいのではないかといった声も私も耳にします。

 いずれにせよ、ここに関しては様々な地域の事情というものをしっかりと確認しなければならない点だというふうに、私もそのように思っておりますし、そこを今後、制度設計の中で考えていただくことになるかと思います。

 そしてさらに、四つのうちの三つ目、ダイナミックプライシングについてでありますが、ここに関して、このダイナミックプライシングの意見、導入すべき、すべきではないという御意見がありますが、この運賃の場合は、そもそも通達上、タクシー事業者であれば、プラスとマイナス、これは五割ということで、上限と下限の制限がなされています。ある一定期間、これは三か月という形で、規定の運賃に、ちょうどゼロベースに見合うような形という指導がなされてきているという中で、ライドシェアということの方針で考えれば、どうしても不足を補うということで上限に張りつく可能性も高いのではないかというふうに考えられます。特に都心部ですね。ここに関しては、どのようなお考えがありますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、四月から施行するものは、現在の道路運送法の範囲の中で、そして、タクシーが不足している地域、時間帯に限定して行うものです。タクシー不足を、足不足を補うものというのが基本的な考え方でございます。

 ということでございますので、現行法制度の中での制度ということでございますので、ダイナミックプライシングを導入することは想定しておりません。

 仮に、今後、ダイナミックプライシングを導入する場合にあっては、公共交通機関としてのタクシーの位置づけも踏まえて、適切に検討していきたいと思っております。

馬淵委員 大臣おっしゃるように、現行法の中でということですが、直ちにダイナミックプライシングを導入することにならないということは承知をしています。

 ただ一方で、今、私が申し上げたように、この不足分を補うという現行の仕組みの中で新たな制度を動かそうとすると、とりわけ都心部などでは、当然足りないところで要求をされるわけですから、現時点では考えられないとしても、今後考えるとした場合に、私は懸念点として、上限に張りついてしまう可能性があるのではないかというふうに申し上げているんですが、それについてはいかがお考えでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 当然、そういう現象が起きてくることは十分考えられます。ですので、先ほど申し上げましたように、今後、仮にダイナミックプライシングを導入する場合にあっては、公共交通機関としてのタクシーの位置づけも踏まえて、適切に検討するということでございます。ばあっと上に張りついて、それが非常に大きな格差を生むというようなプライシングではないという意味です。

馬淵委員 ありがとうございます。

 私は実は、もう大臣始め役所の皆さん御存じのように、超党派のライドシェアの勉強会、これの会長代行を務めさせていただいております。この超党派で行っている理由というのは、推進を唱える方もいらっしゃれば慎重論を唱える方もいらっしゃる、そしてライドシェアという言葉、これが一義的に何か特定の制度を指すものではない、我が国においては、まだこれから、どのように考えるかということをフラットに考えていこうという議連です。ある意味、勉強会として、大臣にも我々の考えを申入れに行かせていただきました。

 こうした中で、ダイナミックプライシングに対する要望をされる方も多数いらっしゃいますが、今おっしゃったような考え方の下に、これは動かしてみなければ分からないということは私もよく承知をしておりますので、どのような形が可能なのか。先ほど申し上げたように、想定すれば上限に張りつく可能性が高いとは思いますが、それがいかような形になっていくか、また、地域によっても差が出てくるでしょうから、ここはよく検証しなければならない部分だというふうにも申し上げておきたいと思います。

 そして、もう一つは、四つ目の営業区域というところであります。

 この営業区域が必要とされる理由というところ、これは両方の御意見を今局長からお示しいただきましたけれども、この営業区域、必要とされる理由という部分で、どのようにお考えか、大臣からもお答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 四月から始まる新制度におきまして、自家用車はタクシー事業の補完として活用されるという基本的な考え方でございます。したがいまして、タクシーの営業区域内で運行することを予定しております。

 仮に、営業区域がない場合には、自宅から遠方で働くことにより過労運転につながるなど、安全の確保の観点から問題が生じ得ること、それから、この制度で活用する自家用車が都心部のみに集中して、移動の足不足の解消につながらないおそれが生じること、このような理由から、基本的に営業区域の制度を活用することを考えております。

馬淵委員 現行制度の中でということですから、そこはよく承知をしておりますが、現行の制限の中でも、他の営業区域からの応援というのは、これは可能となっているということです。

 実際には、これも大臣よく御存じのように、ニセコのような観光地においては不足し、札幌市からの十台の応援。また、ニセコの近辺も同じく観光によって大変にぎわっていることから、応援台数を提供することが困難ということで、東京からも応援が十台行くというような形で運行されているというのも、現行、承知をしております。

 こうした状況で、今、この営業区域に関しては、現状、これを保持した形で進めていこうということでありますが、ある意味、大臣、これは大臣のお考えとして、懸念事項は今おっしゃったところではありますが、この応援という態勢でそのまま可能なのか、あるいは、一度そこは限定的に開放することも考えてみるというのも一つではないかと思いますが、そこはどのようにお考えでしょうか、大臣。

 じゃ、局長、手短に言ってください。

鶴田政府参考人 失礼いたします。

 営業区域に関しましては、先ほど大臣から御答弁申し上げた内容、これを基本としまして、今委員から御指摘があった点も十分に踏まえまして、制度設計を進めてまいりたいと考えております。

馬淵委員 局長が手を挙げる必要はないような御答弁をいただいたと思いますが、大臣、私は政治家としてお尋ねをしています。大臣、いかがでしょうか。私の先ほど質問の更問いです。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど局長が答弁しましたように、ちょっと検討させていただきたいと思いますが、私も現場を歩いておりますと、これは今回の三号の事案ではなくて二号の、いわゆるNPOや地方自治体が行っている自家用有償制度については、かなり厳しい区域制限があります。例えば、町内だけではなくて、昔の、合併前の町の区域を出ちゃいけないとかだと、もう町役場にも行けない、病院にも行けないというような事例などが報告されておりまして、この区域制限については非常に柔軟に考えるべきだ、私はこのように思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 とにかく、私も、検証しながら見定めていくことが必要だと思いますので、柔軟に考えていただくことが極めて重要だと思います。

 このように、四月からの新制度が動き出します。もちろん、様々な新法が必要だと主張される方々もいらっしゃいます。これは、検証が始まって、その検証結果を踏まえてということだと思いますが、一方、このようにドライバー不足を補う、いわゆる自家用有償の仕組みが動き出す一方、現時点においては、タクシーの特措法によって、特定地域並びに準特定地域という制限が、台数の使用制限が課されている地域がございます。

 ここは、百四十四の準特定地域、これに限定してちょっとお尋ねをしていきたいんですが、ここは、いわゆる運輸審議会への諮問等必要なく、前年度実績を基に指定されますので、機械的に計算して、その指定並びに解除が決まります。

 この百四十四の準特定の地域、これは大都市部を含んでいる。東京、大阪などのいわゆる大都市部、人口密集地、神奈川も入るんでしょうか。こういったところで、これが、今年の三月末までのデータ収集、そしてその後の集計によって、十月一日をもってその指定が決まる、言い換えれば解除も決まるということになりますね。

 この段階で、自家用有償の仕組みが動き出して、ドライバーがどれぐらい集まるか、分かりません。一日に数百人の応募があるというタクシー事業者の方もいらっしゃいますが、実態として、全ての方をドライバーとして採用するわけではないでしょうから、これはまだ動かしてみないと分からない。

 これでドライバー数が増えていく、タクシー台数は上限の、タクシー保有台数の上限までということでありますが、この上限が十月から変わる可能性があるわけです。言い換えれば、間違いなく、昨年、一昨年とコロナが収まりつつある中で、またインバウンドが増えていくという状況であれば、これは今年の三月末、もう間もなく締切りです。そこから集計がかかって、十月一日の指定の見直しの段階で大都市部は解除される、そのように私は思っていますし、多くの皆さん方、事業者の方々も、そのように認識をされています。つまり、状況が変わるんですね。

 この四月からの新制度だけではなく、準特定の解除という十月一日をもって、まあ、もう少し前倒しにしたいと河野大臣はおっしゃっておられますが、いずれにせよ、指定解除ということになれば、またタクシー業界の環境は変わります。この状況の中で、改めて、ライドシェアあるいはライドシェアと呼ばれる日本版ということになるんでしょうか、この制度の判断というものはいつ頃を目安とすべきか。

 四月からスタートして、二、三か月でそれを判断できるのではないかと言う方もいらっしゃいます。しかし、私が申し上げたいのは、この特措法による準特定の地域の指定解除がなされていくという状況であれば、これは十月以降も含めて、どの程度の時期を見定めてこの新たな制度ということを考えるべきか。つまり、検証期間の問題です。

 大臣、この検証期間、どれぐらいが目安だとお考えでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 この四月からの制度とは別の制度の議論に当たっては、四月からの制度の実施効果をしっかり検証した上で、また、委員御指摘の、準特定地域の指定解除という論点も踏まえ、六月に向けて議論していくということが政府の今の基本方針でございます。

馬淵委員 私も、このライドシェアの議論が国会審議にかかっている中で、全ての議事録も確認しましたけれども、もう大臣の答弁ラインが、六月に向けて議論、ここから一ミリたりとも動いていないのは承知しています。六月までじゃないんですね、六月に向けて議論ですから。ただ、私は、これはもう分かっていることなんですよ。毎年、三月で締めて十月一日で指定を判断する、これは機械的です。運輸審議会の諮問、かかりません。したがって、これはもう予見できることですよ、大臣。

 ですから、六月に向けての議論じゃない。十月から明らかに台数が増えていくという仮定の、もうこれは仮定でもありませんね、そのことが蓋然性が高いわけですから、すなわち、この判断の目安時期というのは、じゃ、十月までに判断できるかというと、私はそれは難しいんじゃないかと思っているんです。十月一日から環境が変わるわけですね。この新たな制度が四月から動いても、十月一日から更に環境が変わる。どれぐらいのタームを見るべきですか。

 常識的には、これ、四月から十月という半年間で済むかというと、私、そこは、環境が変わるのにそれで決められるかと、大変疑問に思います。急がなきゃならないという声があることも承知している。しかし、現実論を踏まえなければなりません。

 大臣、現実的には、これは半年とか一年とかいうタームにならざるを得ないんじゃないですか。半年は、先ほど申し上げているように十月一日から変わるんですから、非常に難しいかもしれない。つまり、来年度末までかかるのではないか。大臣、どうお考えですか。お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、この四月からの制度の実施効果をしっかりと検証した上で、また委員御指摘の、準特定地域の指定解除という論点も踏まえ、六月に向けて議論していくことが必要でございますが、今の、この十月に指定解除となる、そのことも見極めるべきではないか、そのときにどういうふうな状況になるかも見極めるべきではないかというその御指摘は非常に重く受け止めて、これから政府の中の議論をしっかりやっていきたいと思います。

馬淵委員 一ミリたりとも動いていないのは承知をしているんですが、私が申しているのは、この一定のターム、期間ということは、これはもう蓋然性が高いわけですから、これは考えざるを得ないと思うんですよね。

 逆に言えば、大臣、六月に向けてはもういいです。そんな答弁、私、要りません。つまり、一定期間見なければならないというのは、これは当たり前のことなんですよ。蓋然性が高いどころか、もうこれは間違いなく解除されるわけですから。

 とあれば、これは、六月に向けてなんて話はどうでもいい。少なくとも、十月一日から変わる段階で、変えられますか。台数が増えるんですよ。新たな制度でやって、そこで決められますか。決められないでしょう。十月以降も、そこからの半年ぐらい、見るんじゃないですか。つまり、新しいライドシェア制度というのは、来年度末まで見なきゃ進められないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 馬淵委員御主張の点は、非常によく理解できます。

 私も、これまで国会の中で、四月からの制度の状況をよく検証した上でという言い方をさせていただいております。政府の中で検証させていただいた上でと申し上げているのは私だけでございますけれども、今の御指摘も十分踏まえながら、重く受け止めて、今後、政府内の議論でしっかり行っていきたいと思います。

馬淵委員 これぐらいにしておきますよ。時間が、能登半島もやりたいのでね、済みません。

 重く受け止めると言っていただいていますので、私の指摘が、私は、推進派の方々も、あるいはそうではない方々も含めて、現実論をちゃんと見てこれからの議論をしていただきたいという願いを込めて、ここで、国会で議論にのせているわけです。ですから、多くの皆さん方がこの議論に参加される上においては、現実がどうかということをちゃんと把握した上で、今後の制度について、しっかりと、それぞれのお立場で議論を進めていただきたいと思います。これは国会の議事録に残りましたので。

 もう時間が余りありませんので、能登半島地震についてであります。

 これも、大臣、所信の冒頭に、とにかく、生活、なりわいの再建に向けて、省を挙げて全力で取り組むとおっしゃってくださっています。

 そこで、私も水局ともお話をして、現状の取りまとめを伺いました。主に国交省の中では水局が、災害などを、全体を取りまとめ、そして総政と情報共有しながら、内閣防災ともやり取りをするという仕組みになっていますが、道路、河川、海岸、港湾、空港、鉄道、土砂災害、下水道、液状化対応、住まい、この十項目ぐらいが取りまとめでしっかりとまとめられています。これも拝見させていただきました。

 緊急の道路啓開や、あるいは土砂撤去や、河川、河床の確保など、あるいは救助も含めてでありますが、また、海岸、港湾、空港のアクセス再開、これらは土木事業が主体です。しかし、震災から二か月半近くたって、もう被災者の方々は、ある意味、避難所から新たな自分の再建ということで、とりわけ、この能登半島地震、津波もございました、隆起もありましたが、地震動によるいわゆる住宅の崩壊、損壊、これが大変大きい。多くの皆さん方は、住宅の再建、これは修繕も含めて取り組みたいと考えておられます。

 そして、このような状況の中で、一方、建設業の協会のトップの方々、団体のトップ、あるいは万博の日本館建設を担う企業のトップの方々が、いわゆるこの万博のという部分でありますが、工事は今年中に終わり、恐らくその頃に着工になる、これは復興の事業がということです。こういう発言をされています。同様の発言を、複数の識者の方々や、あるいは業界の方々が、あるいは経済団体トップの方々もおっしゃっています。

 これは何を意味するかというと、つまり、万博の工事、これは建築ですね、それとかぶらないんだ、土木工事が今は中心だからかぶらないんだという趣旨を述べられています。私はこれを非常に不思議に思っているんです。なぜかといえば、七万六千棟余りの住宅が損壊したと言われていますが、もう被災者支援金を既に様々な形で渡し、もう建築に取り組み出している状況があります。

 そこで、私は大臣にお尋ねをしたいんですが、このような状況の中で、まずは今土木事業が中心だ、だから万博の事業とはかぶらない。建築は、その土木事業が、万博の建設が終わった頃に建築事業に取り組むから、だからかぶらないから大丈夫なんだ。これはつまり、建築の工事の逼迫が起きないということで、多くの方々が語っているんです。

 ところが、日建連などから発出されている文書では、設備工事費の上昇などについて、工事が、需給がタイトになって、価格も高騰、資機材も不足して遅延が発生しているんだ、こういうワーニングも発信しているんですね。

 それで、私、大臣の御所見を伺いたいんです。

 そもそも、もう既に建築は、当然、能登半島の中でも、これは始まり出しています。土木が先だから逼迫しないなんというこの判断なり見識というのは大きな間違いだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、住宅の再建築等は、倒壊家屋の除却が前提となりますが、そのための公費解体、今後本格化する予定であります。また、中小企業支援、この事業用施設の再生も始まりました。政府のなりわい再建支援の手続が今進められております。このため、支援策の進捗によりまして、建築需要も本格化していくと思われます。

 なお、平成二十八年の熊本地震の際の建築需要を振り返ってみますと、発災から六か月目頃から、前年を上回る建築着工が徐々に発生してきております。

 したがいまして、今後、自治体におきまして復興まちづくりに向けた計画の検討が進められている状況もございます、その具体化が進めば、住宅や民間施設の再建築も具体的に進んでいくものと考えられます。

 そういう状況でございますので、ふだんの能登地域における需要を上回る建築需要が発生することは考えられます。こうした建築工事に必要な資材や人員が円滑に確保されるよう、状況をきめ細かく注視し、建設業界とも緊密に連携しながら、必要な対策を機動的に講じてまいります。

 日建連等は、そういう危機感も持っていらっしゃいます。よく連携しながらやっていきたいと思います。

馬淵委員 東日本大震災のときも、まちづくりだとか都市計画、こういったものに関しては市町に任せるというまず前提があります。住民の意向も伺います。しかし、現実には、市町村では、そのようなまちづくりや都市計画を立てられる技官というのは少ないんですよ。

 ですから、あの当時、我々はそれぞれの市町村に技官を派遣して、都市局の若手を派遣して、伴走支援という形で共につくるということで、実態上は指導するという形で進めていきました。でも、これは確かに時間がかかる。一年以上たってから、ようやくです。しかし、目の前の建築再建、自宅の、我が家の再建というのは、すぐに起きています。

 ですので、大臣、是非私の方からお願いしたいことは、土木事業が先行しているから今は建築の逼迫はないんだというこの誤った認識を払拭していただきたいと思います。大臣はそれを所管される立場ですので、是非ともその一点、もう一度お願いと御答弁をいただきたいと思いますが、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 その点、能登の復興に支障が出ないよう、建築需要を注視しながら、しっかりと見ていきたいと思います。対応したいと思います。

馬淵委員 ありがとうございました。

 終わります。

長坂委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。

 斉藤大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、大臣所信について伺います。

 大臣所信の十七ページのところに、デジタルトランスフォーメーションに関して、i―Constructionとか、建築BIMとか、あるいはPLATEAUとか、不動産IDとか、これを読んだときに、えっ、何これって、みんな首をかしげちゃったんですよ。私も、はっきり言ってほとんど分かりませんでした。

 ですから、こういう委員会で、やはり国民の皆さんが見ているので、分かりやすい説明とか、あるいは別に注釈をつけていただくとか、そういう配慮をしていただきたかったんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 分かりやすい、御理解いただきやすい表現にすることは、非常に大切なことだと思います。

 国土交通行政では、専門技術性が高い分野が多く、片仮名やアルファベットを用いた専門用語の使用頻度が高くなりがちでございますが、そうした専門用語を使う場合には、できるだけ分かりやすい説明を加えるなど、また、一般の方も含め、十分御理解いただけるよう努めてまいりたいと思います。

 また、日本語で表現できるものは、できるだけ日本語で表現するというような努力も必要かと思います。

 ありがとうございます。

谷田川委員 じゃ、そこまでおっしゃっていただいたので、その前に、例えばウォーターPPP、私、何のことか分からなかったんですよ。よく見たら、これは水事業の官民連携だというんですね。こっちの方が分かりやすいですよね、大臣。そう思いませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 確かに、その方が分かりやすいと思います。

谷田川委員 大臣がそういうふうに言っていただいたので、この問題については、是非大臣がしっかり指導力を発揮していただきたいと思います。

 次に、能登半島地震に関して質問したいんですが、本当にもう想定外のことが新年早々起きたということで、私も非常にショックを受けました。

 それで、その後、私は千葉県に住んでいますので、首都直下型地震が向こう三十年以内に七〇%の確率で起きる、そういうことを私は聞いて、それで地元の集会でその話をしたんですよ。そうしたら、ある有権者の方が私に、谷田川さん、その話は私はもう今から十年以上前から聞いていますよ、あれから十年以上たっているんだったら、もう向こう二十年以内とか、そういうふうになるのが普通じゃないですか、そういう質問だったんですよ。

 私はそれに答えられなかったので、担当者に聞いたら、国交省の方は十年前に発表していると言ったけれども、正確に言うと、二十年前に、文科省の地震調査研究推進本部が平成十六年、二〇〇四年の評価で、マグニチュード六・七からマグニチュード七・二の地震が今後三十年以内に起こる確率が七〇%と言っているんですね。

 ということは、あれから二十年たっていますから、二十年前の評価が正しければ、向こう十年以内に起こる確率が七〇%なら分かるんですよね。それをいまだに、向こう三十年以内に七〇%と言っているから、何かこの発表自体が怪しいんじゃないかと思う人が増えているなと私は思うんですが、文科省の担当者、答弁をお願いします。

永井政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査研究推進本部で公表している地震発生確率は、得られている過去の歴史記録や地形、地質データ量などに応じて適用するモデルを使い分けて算定してございます。

 こうした記録等から、特定の震源域で同じような地震がほぼ一定間隔で繰り返し発生する、このようにみなせる地震については、直近の地震からの時間経過とともに発生確率が増加するモデルを用いて算定をしてございます。

 一方で、先ほど委員から御指摘いただきました地震、これは相模トラフ沿いのプレートの沈み込みに伴って南関東地域直下で発生するマグニチュード七程度の地震ということで理解してございますけれども、こちらについては、過去の発生履歴を見ますと、発生間隔のばらつきが大きいことに加えまして、震源域も南関東地域の様々な場所に分布している、こういったことから、特定の震源域で同じような地震がほぼ一定間隔で繰り返し発生すると扱うことは困難でありますので、先ほどとは異なったモデルを用いてございます。

 具体的には、これらの地震は、発生間隔のばらつきはあるものの、ある一定期間で、平均しますと二十七・五年に一回の頻度で発生してございます。このため、今後も同程度の平均発生間隔になると仮定し、三十年発生確率を七〇%としているわけでございます。これは時間の経過を考慮しない算定方法でございますので、どの時点でも一定の数値になる、七〇%になるということでございます。

 このように、地震発生確率は、なかなか一般の方に分かりにくいところもございますので、先ほどいただいた御指摘も踏まえつつ、より丁寧な情報発信に、これからも更に努めてまいりたいと思います。

谷田川委員 皆さん、今の説明、分かりましたか。何か余計混乱しましたよね。私は文科省にチャンスを与えると言ったんだけれども、これじゃ余計に国民は混乱しますよ。

 だから、例えば、二十年前に策定したのが正しいとするならば、向こう十年以内に地震が起こる確率は七〇%プラスアルファ、そんなようなことを言ってもいいじゃないですか。そう思いませんか。いかがですか。

永井政府参考人 お答えします。分かりづらくて大変恐縮でございます。

長坂委員長 もう少し声を大きくか、マイクに近づいて。

永井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、このモデルは時間の経過とともに確率が増加しないモデルですので、三十年というと引き続き七〇%程度となるんですけれども、これは先ほど申し上げましたとおり、平均発生頻度は二十七・五年に一回ということになりますので、仮に今後十年以内の発生確率という御説明をさせていただく場合には三〇%程度となります。三十年程度の発生確率という期間だと七〇%程度になるということでございます。

 分かりづらくて恐縮でございます。

谷田川委員 いずれにしても、大臣だって今苦笑されていますよ。

 やはりこれは、国民に対してなぜこの地震予測を発表するか、その目的を忘れているような気がします。やはりこれは危機意識ですよね、国民の皆さんに危機意識を持ってもらいたい、そのために発表するんでしょう。それなのに三十年前の数字をずっと羅列するだけだったら、国民は危機意識を持ちませんよ。そこをしっかり反省していただきたいと思います。改善を求めたいと思います。

 それで、大臣、能登半島地震で私は本当にびっくりしたのは、たしか七階建てでしたかね、鉄筋コンクリートの建物が倒れた、写真で見ましたよ。それで、近畿大学の津田和明教授が、産経新聞の二月一日の記事にこう述べていらっしゃるんですよ。耐震基準が厳格化されたのは地上の上の部分のみで、地下の基礎構造は設計者の考えによるところが大きい、耐震基準の新旧を問わず、くいに問題があれば大地震によるビルの倒壊は全国どこでも起き得る、土地の液状化の可能性を厳格に判定するなど改善が必要だ、こう述べていらっしゃるんですよね。

 それで、液状化ということを考えますと、東京都心の埋立地にタワーマンションが林立していますよね。これは本当に大丈夫かと私不安になったんですが、当局の答弁を求めます。

石坂政府参考人 建築基準法におきましては、高さ六十メートルを超える超高層建築物については、高度な構造計算を行い、地震に対して倒壊しないことを検証し、個別に大臣が認定しています。この大臣認定の中で、埋立地のような軟弱な地盤においても、基礎ぐい等の構造安全性を確かめており、倒壊等の可能性は低いものと考えているところでございます。

 ただ、今回の能登地震におきましては、御指摘いただきましたように、七階建ての鉄筋コンクリート造の建物が倒壊してございます。また、ほかにも、同じ地域におきまして複数の鉄筋コンクリート造の建物が傾いてございます。

 こうしたことにおきまして、その基礎の状況がどうだったのか、どういうふうに損傷したのかについて、発災直後から調査をしてございますけれども、現在、有識者委員会を設置して、被害の原因分析、こちらについて検討しているところでございます。

 御指摘の、鉄筋コンクリート造の建築物の被害調査について、調査分析、しっかり行って、対策してまいりたいと考えているところでございます。

谷田川委員 倒壊する可能性は低いとおっしゃった。絶対倒れませんとおっしゃらなかったので、非常にやはり危険性があると思いますので、しっかり検証していただきたいと思います。

 それで、東日本大震災の教訓として、津波等あって建物が壊れて、それで移転した人が、じゃ、自分の土地を売ろうと思っても売れない、それは境界が確定していない、地籍調査が進んでいなかったんですね。

 大臣は、今回の所信表明でも、「早期の災害復旧や社会資本整備の迅速化等に役立つ地籍調査を進めてまいります。」こう述べていらっしゃいます。

 実は、この二十年間で測量単価が大体二倍以上になっているらしいんですね。今の予算規模だと、終わるのに二百年かかるというんですよ。だから、かなりこれは予算を大幅アップしていかないと、とてもとても目的を達成できないと思うんですが、令和五年度当初予算は百九億円、そしてこの新年度の令和六年度予算は百十一億円と、まあ二億円は増えているんだけれども、ちょっとこれは焼け石に水だと私は思うんですよ。

 大臣、令和七年度、あるいは今年の令和六年度補正予算があったとしたら、是非この地籍調査、予算を倍増するぐらいの意気込みを示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 自然災害の際の復旧復興に地籍調査があるかないかで大きくスピードが違うというのは、過去の災害で体験されたところでございます。そういう意味で、災害対策という意味でも、この地籍調査を着実に進めていかなくてはなりません。

 先ほど言いましたように、令和五年度については補正予算、それから令和六年度、本年度予算におきましても増加をして、着実に増やしてきておりますけれども、確かに、このスピードでいけばなかなか時間がかかるということですが、しっかり地籍調査を進めていくために、その重要性を訴えていきたい、予算確保に努めていきたい、このように思います。

谷田川委員 この問題については、応援する人がたくさんいると思いますので、是非、大臣のリーダーシップを期待したいと思います。

 それで、お手元に資料が配られていますね。実は、二年前にも同じような資料をお配りしたんですが、今から二年ほど前に超党派の勉強会で、国交省の技監をお務めになられた大石久和さんから、私、この話を聞きまして、つまり、これを皆さん、見ていただくと分かるんですけれども、日本、韓国、フランス、イギリス、アメリカ、イタリア、中国、ドイツ、それぞれの首都圏の、ニューヨークは首都圏じゃありませんけれども、それぞれの地域の人口が、国全体の割合を示すグラフなんですね。

 これを見ていただくと、一九五〇年から二〇一五年ぐらいまで、日本の場合は二年前の数字まであるんですが、一貫してずっと日本だけ右肩上がりなんですよ。イタリアを除くあとの都市圏というのは、みんな地震の心配がない地域なんですね。日本の東京は地震多発地域ですよ。ですから、ますます地震の災害リスクが高まっている、そういうふうに私は認識するんですが、東京一極集中が進むことは災害リスクが高まると大臣も認識されているということでよろしいですね。

斉藤(鉄)国務大臣 東京への人口や諸機能の過度の集中により、二つ大きなことが言えるかと思います。

 一つは、地方における人口減少、流出や利便性の低下、地域産業の弱体化等の悪循環が進み、地方の活力喪失に拍車がかかること。そしてもう一つが、首都直下地震等の巨大災害により、広域かつ長期に及ぶ甚大な被害がもたらされるおそれがあるという、この二点でございます。

 昨年七月に閣議決定された国土形成計画におきましても、こうした国土構造における東京一極集中の弊害に鑑み、国土全体にわたり人口や諸機能の広域的な分散を図り、東京への過度な集中を是正することが喫緊の課題であるとされております。

 繰り返しますが、災害の大きさということも、一極集中の弊害の二つの中の一つでございます。

谷田川委員 東京一極集中という言葉が、いつ政府が使用したかというのを調べてもらったら、中曽根内閣のときがそうです。ですから、今から三十七年前。三十七年たっても東京一極集中の是正が全然進んでいないんですよね。

 なぜ、三十七年前から言っていることができなかったか、その原因についてしっかり分析して、その原因を除去するということをしない限り、東京一極集中の是正というのは私は実現不可能だと思いますよ。

 大臣、私、この質問は、もう二年前にもして、大臣も覚えていらっしゃると思いますけれども、そのときに大臣は、国土形成計画において、その視点はしっかり取り入れるとおっしゃっていただいたので、私、楽しみにして、ダイジェスト版しか見ていないけれども、東京一極集中がどうして是正できなかったか、その分析とか反省とか、一切ないんですよね。それなくして、東京一極集中の是正というのはできないんじゃないか、私はそう思っているんですよ。大臣、どう思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の国土形成計画に東京一極集中について議論がないではないかという、今、谷田川委員のお言葉には、ちょっと反論したいと思います。しっかり、東京一極集中の現状と、考えられる東京一極集中の要因らが記述されております。二年前も議論がありました。一年前の国土交通委員会でも、この議論を谷田川委員とさせていただきました。そういう意味で、しっかりとこの国土形成計画の中に入れ込んだつもりでございます。

 今回の国土形成計画の策定において、東京一極集中の原因として、若者世代、特に女性にとって魅力的な仕事の東京への集中、それから、就学、就職などにより、地方から人口が流出していることが指摘されているところでございます。

 このため、今回の国土形成計画では、東京一極集中の是正に向けて、国土全体にわたって人口や諸機能が分散的に配置される国土構造の構築を目指し、地方への人の流れの創出、拡大を図るとともに、若者世代や女性に開かれた魅力的な地域づくりを推進することとしております。

 これを踏まえ、国土交通省としては、関係府省と連携し、デジタルの活用と、官民の力を最大限活用することにより、暮らしに必要なサービスが持続的に提供される地域生活圏の形成を通じ、地域課題の解決と地域の魅力向上を図るとともに、地方への人の流れの創出、拡大に向けて、テレワークの活用等による転職なき移住や二地域居住の促進等に取り組んでいくこととしております。

谷田川委員 この問題については法案が出ますので、その法案の審議のときに、またもうちょっと深掘りして質問したいと思います。

 もう時間がないので、最後に、JRの問題について伺いたいと思います。

 去年のこの委員会でも、地域公共交通の活性化に関する法案の質疑で大臣にいろいろ質問したんですが、我が千葉県民にとって非常に衝撃的な事実がありました。それは、京葉線という線があるんですけれども、そこの通勤快速電車がなくなり、快速列車の本数が大幅に減らされる。この三月のダイヤ改正から実施されるんですが、その発表が十二月の十五日だったんですね。

 それで、その一日前の十二月十四日に、千葉市の方にJRの関係者が来て、あしたこれを発表しますと。もう相談も何もなく、あした発表しますと、もう通告ですよ。

 そこで、まずお聞きしたいんですが、ダイヤの改正については事前届出制ということでございますが、国交省の方に、いつ、このダイヤ、こういうふうにやりますよという報告というか届出がありましたか。鉄道局長、よろしくお願いします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました運行計画の届出でございますけれども、これは、京葉線につきましては、今般の三月十六日の改正に係る届出でございますけれども、鉄道事業法上におきましては、二月の二十二日に届出がJR東日本からされております。

 なお、今御質問ございましたように、このダイヤの改正内容につきましては、十二月十五日にJR東日本がプレス発表をされておりますので、その時点で私どもとしては承知をしていたところでございます。

谷田川委員 その時点で承知ということは、事前にJRの方から国交省に対して、あしたこう発表しますという話はなかったんですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 京葉線の今回の改正部分につきましては、事前にはございませんでした。

谷田川委員 いやあ、ちょっとびっくりしました。これじゃ届出制の意味がないんじゃないかと私は思ったんですが、大臣、そう思いませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 ダイヤ改正まで届け出る必要があるのかどうかというのは規則によるかと思いますが、ちょっと今、一概にはお答えできません。

谷田川委員 そうすると、ちょっと確認します。鉄道事業法で、何日までに届け出なさいとなっているのか、法律的な。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道事業法上は、あらかじめ届けるということになっておりまして、要は、実施の事前に届け出るということになっております。

 そういった意味で、正式に書類上届出がされましたのは二月の二十二日でございますけれども、大体、JRのダイヤ改正につきましては、どういったことをするかということについては、それよりも前に世の中の方にお知らせをしているということでございまして、この本件の部分につきましては、そういった中で私どもとしても把握をしているところでございます。

谷田川委員 せんだっての二月二十七日の予算委員会の分科会で、我が党の田嶋要議員がこの京葉線の問題について質問して、鉄道局長の答弁で、鉄道事業法に基づく事業改善命令の対象になる、そう思えるような答弁をしているんだけれども、そういうことでよろしいですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 そのように答弁をした趣旨では恐らくなかろうと思います。正式に、正式にというか、正確に申し上げますと、運行計画に関しましては、鉄道事業法二十三条に事業改善命令という規定がございまして、ここの規定によりますれば、国土交通大臣は、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときには列車の運行計画を変更することを命ずることができるという規定でございます、そういう趣旨を答弁させていただいたかと承知しております。

谷田川委員 だから、快速電車をなくすというのは、まさに公共の利益を損なうと私はみなしていいと思いますが、そうじゃありませんか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR東日本からは、本件の改正につきましては、今先生御指摘のように、通勤時間帯の通勤快速や快速が各駅停車に置き換わるということでございまして、蘇我駅より遠い方の旅客の方につきましては、東京駅など主要駅までの所要時間が増加する場合があるということでございますけれども、一方で、従来通過をしておりました市川塩浜駅でありますとか新習志野駅でありますとか、こういったところの方々にとりましては乗車機会が増加するということでございますし、また、こういったことによりまして、列車の混雑が平準化されるということと承知しておりまして、利便の増進が図られている側面もあるのではないかというふうに承知をしております。

谷田川委員 今の、公共の利益が何なのかというのが難しいのはよく分かりましたよ。ただ、これについては、千葉県、千葉市、それから千葉県経済界、沿線自治体、もう全てが何とか復活してもらいたいと。それは承知していらっしゃいますよね。

 ですから、是非、やはりこれはちょっと問題があると思うんですよ。だから、届出制も、もう少し早くやってもらうぐらいのことをした方がいいですよ。発表した後、国交省が指導しても、できないじゃないですか。発表前ぐらいに、是非、こういう変更があるときは事前に届出しないと困るというぐらいの改善を求めたいと思います。

 それと、大臣、私、前回の質問で、国鉄の民営化を推進した小坂徳三郎運輸大臣、在任中はしっかり鈴木善幸内閣の下、民営化、民営化とやったんだけれども、退陣した後、自分の著書の中でこういうことをおっしゃった。国鉄の長期債務は約三十七兆三千億円だが、簿価で固定資産を計算すると八兆九千億円、時価で再評価した場合は約五十兆円に膨らんだ、国鉄は債務超過の会社ではないというような内容の文章を残しているんですよ。大臣も同じ認識ですか。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘の、小坂元運輸大臣の見解につきましては、政府や当時の運輸省の見解ではなく、小坂元運輸大臣の個人的な見解と承知しております。コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、一般論として、国鉄は、国鉄改革の前年である昭和六十一年度には、三・九兆円の収入に対して一・四兆円の赤字を計上し、長期債務は二十五・一兆円となるなど、実質的に経営破綻に陥っていたものと認識しております。

谷田川委員 いろんな意見があるのは承知していますが、それは表向きの議論で私も承知していますが、実は私も国交委員会に長いこといるもので、鉄道局にお勤めになったOBとか、かつて国鉄民営化を推進した方と直接会って、本音を聞く場面が結構ありまして、そのときに、やはり地方ローカル線を廃止しようとするのは余りにも早過ぎる、国鉄改革のあの当時のことが忘れ去られている、この問題は徹底的にやった方がいいですよと、そういう助言を受けたんですよ。

 先ほど鉄道局長も、何となく、ぴしっとやりたいんだけれども民間会社じゃしようがない、そういうニュアンスを感じるんですよ。

 私は、大臣、まずお聞きしたいんだけれども、公営企業から民間会社になった例として、NTT、それからJT、JP、高速道路会社、これは全部法律で、三分の一以上の株式を国が持つことになっているんですよ。何でJRはそれをしなかったんですか。

斉藤(鉄)国務大臣 一般的に、高速道路会社等の特殊法人につきましては、当該法人が公共上の見地から事業を行っていること等に加え、法人の業務の的確な実施や経営の安定性の確保等の観点から国が当該法人の株式を保有している、このように認識しております。

 一方、分割・民営化の背景となった国鉄の破綻については、国鉄が公社制度の下で全国一元的な運営を行ってきたことが原因の一つであるとされました。具体的には、公社であったことから、運賃、予算等、経営上の重要な事項について、経営の自主性を喪失し、また、経営責任が不明確となっていたと指摘されております。

 こうした経緯を踏まえ、JR各社の経営形態の在り方については、経営責任を明確化し、効率性の確保を図る観点から、特殊会社としつつ、できるだけ民間企業と同様の経営の自由と自主性を有することとなるよう、人事、財務、事業運営等に対する国の監督規制は必要最小限にとどめることとされたところでございます。

 その上で、閣議決定に基づき、経営基盤の確立等の諸条件が整い次第、できる限り早期に完全民営化することとされたと認識しております。

谷田川委員 このJRの京葉線の問題じゃなくて、ほかにも例えば、今度、たがやさん、これから質問するみたいですけれども、前回も永田駅にトイレがなくなったとか、それから福島さんもよく言っていらっしゃいますよね。とにかく、何かJRは公共性を忘れてしまったのではないかと。ましてや、公明党の中川委員がいらっしゃいましたよね。私鉄の方は障害者に対してケアがいいんだけれどもJRができないと。

 そういう話を聞きますと、何か公共性を忘れてしまった今のJRの経営陣という感じがしてしまうんですよ。それを正すのがやはり政治ですから、株を持って指導しなきゃいけない、そう思っている国交省の職員、結構多いですよ。残念ながら、今、国は株を持っていませんから、民間会社だから言えないんです、これ以上。それで終わっちゃうんですよ。

 だから、そう考えると、是非私はJRの株式を持つことも検討すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 株式の件につきましては、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。

 民営化時の大臣指針におきまして、鉄道が持つ公共性について、しっかりこれまでの経緯も踏まえて、これを、公共性についても十分配慮するようにという大臣指針は、きちんと今でも存在しております。

谷田川委員 是非、大臣は国交省の現場の職員の本音を聞いていただいて、その本音を実現するにはどうしたらいいかとなれば、私は、JRに対して、もうちょっと指揮権、指揮権というのは大げさだけれども……

長坂委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

谷田川委員 指示できるというぐらいにしていただきたいと思います。

 終わります。

長坂委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 我が国の内政の最大の課題、それは、少子化、また、それに伴う人口減少になります。今、政府は、二〇三〇年までがラストチャンスとうたって、様々な少子化対策を講じようとしています。国交省としても、例えば公営住宅について、二〇二四年度から十年間で子育て世帯向けに三十万戸の供給ができるように目指す、こういった方針を先日示したと承知をしております。子育て支援として大事な取組だと思います。

 その上で、少子化の根本的な要因というのは、これは未婚化、晩婚化になります。この背景には複合的な要因がありますけれども、その大きな一つが所得の低さにあります。このようなことを踏まえますと、結婚、子育ての前段階にある未婚の単身の若者、ここに対する住宅支援について更に踏み込んで検討していくべきではないか、私はそう思っております。

 実質的な可処分所得を増やすためには、入りを増やすか、必要経費、出を減らすか、このいずれかになります。この点、大きな出費となっているのが家賃です。特に都心を中心に非常に重い負担になっています。

 他方で、今、日本全国で空き家が増えています。このような中で、例えば、若者のシェアハウスに利活用するといった、民間を含めた先駆的な取組も見受けられます。また、自治体によっては、地域活性化という文脈にはなりますけれども、公営住宅への単身、若者への入居を積極的に進めているところもあります。公平性の観点など、様々なバランスは考慮する必要はあると思いますけれども、こうした既存の空きストックをより有効活用していくというのは大事な視点になってくると思います。

 そこで国交省には、自治体や民間の知見もかりながら、また、若者自身の声もしっかりと聞きながら、若者の住宅支援として何ができるのか、この研究、検討を是非進めていっていただきたいと思います。そして、その前提として、今ある制度の中で何ができるのか、どこまでできるのか、この現状を整理し把握する、共有するということがまずは必要になります。

 そこで、今、国交省にある制度の中で、単身の未婚の若者の住宅支援に活用し得る枠組みとしてどのようなものがあるのか。それとともに、こども家庭庁を始め他省庁にも関連する施策がありますけれども、その全てを国交省が、私も事前レクで聞きましたけれども、必ずしも認識できているわけでもないというふうに聞きましたので、関係省庁とも連携をして、現状の制度の支援策の整理、共有を図っていく。そして、斉藤大臣には住宅分野を所管する大臣としてのリーダーシップを発揮していただきたいと思いますけれども、これに関する見解を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、現在国交省が行っている、若者また単身者向けの住宅政策でございますが、令和四年に、若年単身者が公営住宅に入居できるよう、入居要件の緩和を地方公共団体に促しました。それから、自治会活動に参加するということを条件に学生に空き室を提供して、地域コミュニティーの維持を図りながら経済的な負担を軽減するということ。それから、先ほど委員御指摘ありました、若者によるシェアハウス利用を含めた空き家の有効活用、これらを今進めているところでございます。

 そして二点目の、他の省庁との連携ということでございますが、少子化対策を所管するこども家庭庁などともよく連携して、また厚生労働省とも連携して、ライフステージごとの住み替えニーズに応じた住まい選びが可能となるよう、情報の集約、そして周知啓発にしっかり取り組んでいきたいと思います。リーダーシップを発揮したいと思います。

國重委員 是非よろしくお願いいたします。

 そして、様々な少子化対策を講じる一方で、人口減少を見据えた国づくりというのも重要になります。人が生きる土台、また生活の基盤になるもの、それが住宅になります。そこで、これからは人口減少時代における住宅政策の在り方について取り上げたいと思います。

 住宅政策、これについては、時代とともに変遷をしてまいりました。これからの人口減、世帯減、また、建設人材を含む労働人口の減少を見据えますと、新築だけをどんどん造っていくというよりは、既存の住宅ストックも適切に活用しながら豊かな住生活を実現していくという視点がこれまで以上に大事になってくると思います。

 この点、既存の住宅ストックの現状を見ますと、平成三十年のデータになりますけれども、その総数は約六千二百四十万戸、うち八百五十万戸が空き家とされています。空き家じゃなくても、昭和五十五年以前に建築された耐震性能不足の住宅も多くあります。

 また、省エネなどの質を見ましても、健康にも環境にも経済的にも優しいZEH住宅などが広がりつつある一方で、そうした高度な省エネ性能を持つ住宅はまだごく一部にとどまっています。

 これからの将来を見据えますと、まずは新築住宅の性能を上げていく、それとともに、既存住宅についても、可能なものについてはリフォームなどによって質を向上させていく、そして、それらを適切にメンテナンスをしながら良質なストックを次世代へ受け継いでいく、こういった方向性がこれまで以上に重要になってくると考えます。

 斉藤大臣、大臣は、この少子化、人口減少時代における住宅政策のあるべき姿、また、住宅産業の姿についてどのようにお考えか、お伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 大変重要な視点、ある意味で欧米に比べて日本が遅れている視点だと思います。

 将来世代に継承できる良質な住宅ストックを形成する、そしてライフステージに応じた住み替えを行っていく、これらが循環するシステムを構築する、そして既存住宅中心の施策体系へ転換を進めていくということは、非常に重要だと思っております。

 しかしながら、住宅ストックの現状を見ると、先ほど御指摘ありましたように、耐震性を満たさない住宅、それから、省エネ性能やバリアフリー性能が不十分な住宅もたくさんございます。

 こうしたことを踏まえまして、必要な建て替えやリフォームの推進により、良質な住宅の供給を促進するとともに、空き家の活用を進めるなど、施策をバランスよく講じていくことが必要であります。それらを支えるための既存住宅流通とリフォーム市場の一層の拡大、これが必要だと考えております。

國重委員 その上で、このリフォームのインセンティブが働くようにするためには、リフォームによるバリューアップが適切に評価されること、そして、きちんと流通していくことが大事になります。

 この点、住宅の流通における現状を見てみますと、全住宅の流通量に占める既存住宅の割合は、平成三十年時点で約一四・五%、増えてはきておるものの、まだその割合は少ないのが現状になります。

 特に、中古のマンションはまだいいんですけれども、戸建ての活用がなかなか進んでいません。中古の戸建て住宅の価値が適正に評価されるような取組が必要になります。

 ここでポイントとなるのが、物件の売買時における市場評価と金融機関の担保評価、この両側面からの環境整備であります。

 まず、この市場評価、中古の戸建て住宅では、実際の建物寿命ではなくて耐用年数、例えば、木造であれば二十二年といった耐用年数が指標となって、築年数の経過とともに価値が減っていってしまう、ローンを払い終わった時点で価値がゼロになってしまうというこれまでの慣行がありました。

 これを転換して、人が居住するという住宅本来の機能に着目して評価していこうということで、国交省が平成二十五年度に示したのが、中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針です。そして、これを踏まえて、翌平成二十六年度には宅建業者向けの価格査定マニュアルの改訂も行われました。

 そこで伺いますけれども、この価格査定マニュアルの現場への普及具合はどうなのか、また、これを始めとする政府の取組によって、市場評価がどの程度改善していると評価しているのか、国交省の認識を伺います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の価格査定マニュアルでございますけれども、先生の御説明いただいたとおり、戸建ての既存の住宅の建物評価、従来は一律に経年減価するという方法だったものを、リフォームを行った場合には住宅の価値が回復、向上する、こういう見直しを行ったところでございます。

 改訂後のこのマニュアルの現場での普及状況でございますけれども、宅建業者の声を聞きますと、既存住宅の査定の際にマニュアルを活用するケースが多いということであります。また、件数で見ましても、マニュアルに基づきます既存住宅の査定の件数、これが令和四年度で約六万件ということでございまして、見直し前に比べますと倍以上に増加しているということでございます。

 こうしたことからしますと、マニュアルが現場で一定程度普及が進んできているというふうに思っておりますし、また、この結果、リフォームが行われました既存住宅の取引価格、この価格が、以前よりも売主、買主双方にとって納得感を得られやすくなっている、こういう声も聞いてございますので、既存住宅に係ります市場評価の改善が進んできているというふうに考えてございます。

國重委員 適切な市場評価に向けた取組を、また更によろしくお願いします。

 一方で、金融機関の担保評価、これについてはより課題があると感じております。市場評価の価格が金融機関の担保評価に、これが適切に反映されない、つまり、価格査定マニュアルで算定された金額でローンが通らない、こういった声が現場からよく聞こえてきます。

 この金融機関の担保評価の適正化に向けて、国交省が今年度からモデル事業を行っていると承知をしておりますが、具体的にどのように適正化に取り組んでいるのか、また、その中で浮かび上がってきた実態や課題としてどのようなものがあるのか、答弁を求めます。

石坂政府参考人 既存住宅の流通の活性化については、リフォームや維持管理などの住宅の性能の向上について、売買時の評価額に加えまして、今御指摘がございました、金融機関の担保価値に反映することにより、適切な金額のローンの提供を促進することが重要でございます。

 このため、今年度より、地域の金融機関の担保評価の適正化に向けた取組を支援する住宅金融モデル事業を開始いたしました。本事業に、例えば京都市では、耐震診断やインスペクション等を基に、既存住宅の状態等の情報を整理して金融機関に提供する、そういうことによりまして適正な担保評価を促す仕組み、そういうことを検討しております。

 ただ、一方で課題がございまして、個別物件の担保評価をするために必要となる人員やコスト、これをどう確保していくかなどの課題があり、引き続き、金融機関とどう連携を深めていくかということを検討しているということでございます。

 国交省としましては、来年度も住宅金融モデル事業の実施を検討してございまして、金融機関の担保評価の適正化に向けて地域の取組を支援してまいりたいと考えているところでございます。

國重委員 済みません、大臣が参議院の本会議があるということで、ちょっと私の質問のところの時間が押してきたんですけれども、じゃ、済みません、質問順序を入れ替えるとちょっと変になるかもしれませんけれども、先にします。

 次に、金融庁に聞く予定だったんですけれども、金融機関の担保評価、これは、最後は金融機関が決めることになるんですけれども、現場の創意工夫を後押しするために、先駆的な取組を、周知を含めて、全国的に広げていっていただきたいと思います。そのために金融庁との連携を密にしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 既存住宅の流通の活性化は重要な政策分野でありますが、この推進に当たっては、リフォームを行っても価格として十分に反映されず、住宅の価格が築年数に応じて一律に減価されるという課題がございます。

 このため、リフォームや維持管理による住宅性能の維持向上が、売買時の時価評価のみならず、金融機関の担保評価においても適正に評価されることが重要と考えているところです。

 そのため、国土交通省では、金融機関の担保評価において、リフォームや維持管理による住宅性能の維持向上を適切に反映する先行的な取組に対して、今年度より支援を行っております。

 こうした取組について、金融庁とも共有して周知を行うなど、連携を図りつつ、既存住宅の価値が適正に評価される市場環境の整備に取り組んでまいります。

 アメリカ、欧米においてはまさに住宅ストックが非常に豊富で、詳しい数字は忘れましたが、市場の半分以上はまさにそういう魅力ある中古住宅市場になっております。日本もそうなっていかなければなりません。そのためには、まさにこういう取組が、リフォームを行ったときにそれが十分考慮される、そういう仕組みにしていく必要がありますので、金融庁とも連携して、しっかり進めてまいります。

國重委員 大臣はここで御退席いただいて結構ですので。

 次に、金融庁に伺います。

 先ほどの国交省のモデル事業のところに戻りますけれども、あくまでも、このモデル事業というのは、特定地域、特定スポットで行っているものであります。そこで、モデルケースをつくっていくというのは大事なことですけれども、最終的には、これを全国的に広げていく必要があります。そして、そのためには、国交省と金融庁との連携協力が不可欠になってまいります。私としても、その問題意識から、以前よりも金融庁とやり取りをさせていただいてまいりました。

 そんな中で、こういった問題意識も踏まえて、金融庁としても、金融機関へのヒアリングを行っていただいたと伺っておりますけれども、その結果や内容はどうだったのか、これを可能な範囲で結構ですので、答弁いただきたいと思います。

 それとともに、斉藤大臣は先ほど御答弁いただきましたので、あわせて、斉藤大臣自身、金融庁としっかりと連携をして取り組んでいくとおっしゃいました。では、金融庁としても、また、より国交省と連携を密にして、金融機関の担保価値の適正化に向けて取り組んでいっていただきたいと思いますけれども、これも含めて答弁を求めます。

尾崎政府参考人 金融機関におきましては、適切なリスク管理に取り組むとともに、顧客のニーズに応えて、金融仲介機能を発揮するための創意工夫が期待されております。

 金融庁では、金融仲介機能に関する金融機関へのヒアリング等を通じまして、金融機関における住宅ローンの審査については、担保不動産の価値のみならず、借入希望者の返済能力等の要素を勘案の上、総合的に判断することが一般的であるということを把握しております。

 また、足下では、一部の金融機関におきまして、中古住宅ローン審査の際に、リフォームによる住宅性能の向上を担保評価額に活用する取組があるものと承知しております。

 先ほどの大臣からの御答弁にもありましたとおり、国交省におきまして、既存住宅のリフォームや管理による性能の維持向上が適切に価格評価に反映されるよう様々な取組が進められていることは承知しております。金融機関が採用する担保評価の基準につきましては、基本的には各金融機関の判断により決定されるべきものと認識しておりますけれども、金融機関による融資審査におきまして、既存住宅を含む担保が適切に評価されるということは重要であると考えております。

 金融庁としましても、国交省における既存住宅流通市場の課題への取組について、引き続き、国交省と連携しつつ、必要に応じて金融機関と対話してまいりたいと思っております。

國重委員 国交省と金融庁との連携がより重要になってくると思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、小森卓郎君。

小森委員 石川県の金沢選出の小森卓郎です。

 委員の皆様、そして、国土交通省の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、貴重な質問の機会をいただき、ありがとうございます。能登半島地震への対応などについて伺います。

 発災から二か月半たちました。この間、救命救助活動や復旧活動、被災者の生活支援など、災害対応活動のフェーズは目まぐるしく変わりました。国土交通省の皆様には、その間、様々な形で献身的に対応していただいております。

 例えば、TEC―FORCEには、迅速に道路の啓開に当たっていただき、緊急車両の往来を可能にしてくれました。また、国が直接復旧を行う権限代行についても、道路、港湾、河川、地すべり、海岸、空港といった多くの分野の多くの箇所で引き受けていただいております。二月には、七尾に能登復興事務所を設置し、事業の迅速化に努めていただいております。挙げ切れませんけれども、心より感謝を申し上げます。

 しかし、二か月半たっても被災地の復旧はまだまだこれからだというのが現状であります。発災以来景色が全く変わらない、そうしたところは奥能登に数多く存在します。輪島の大規模火災の現場や、珠洲や能登町の津波による被災地、多く報道されている土地以外にも、ぺしゃんこに潰れた家が街路にはみ出したまま通行止めが続く地区はあちこちで見られます。液状化被害も深刻です。また、住まいがない若しくは断水などのために避難所生活をしている方は、昨日の時点でも一万人近くいます。

 副大臣に伺います。

 現段階での災害対応の課題はどういったものかという御認識、そしてまた、被災者のために今後の復旧を加速させる御決意を、まず概括的に伺います。

國場副大臣 ありがとうございます。

 斉藤大臣は、発災後、一月、二月と二度にわたり石川県の被災地を視察しております。視察を終えた大臣からは、改めて被害の大きさを実感する一方で、復旧に向けた様々な取組が着実に進み始めていることも確認でき、また、首長を始め被災地の声を直接伺い、被災地の復旧復興に全力で取り組んでいく決意を新たにしたと聞いております。

 国土交通省といたしましては、今後の被災地の復興に向けて、道路、港湾や上下水道などインフラの復旧に加え、液状化対策や復興まちづくり、観光業の復旧復興などに対して、より力を入れて取り組んでいく必要があると考えております。

 こうした考えに基づき、先般決定した予備費等を活用し、インフラの復旧を加速するとともに、被災自治体が行う復興まちづくり計画、住まいの復興計画の策定や、液状化災害の再発防止対策に向けた直轄調査の実施など、被災地の支援をしてまいります。

 また、観光業の復興に向けては、二次避難に支障が生じないよう十分に配慮の上、北陸応援割を今月十六日から開始します。また、民間団体において観光キャンペーンを準備しており、官民挙げて北陸の観光を支援してまいります。

 こうした取組を着実に進め、引き続き、被災地の声にしっかりと耳を傾けながら、一日も早く被災者の皆様が元の平穏な生活を取り戻すことができるよう、省を挙げて被災地の復旧復興に全力で取り組んでまいります。

小森委員 どうもありがとうございます。

 様々取り組んでいただいておりますし、また、関係者も懸命に働いていただいておられます。それでもなお膨大な量の仕事が横たわっているところでございます。石川県の馳知事も、昨日、二年間で解体の作業が終わるのかとして、人材の確保などの評価を挙げました。復旧復興は中長期に及びますけれども、今後とも力強い御支援をお願いしたいと思います。

 各論について伺いたいと思います。まず、上下水道の復旧について伺います。

 奥能登では、遠方に避難した被災者が戻ってこなければ今後コミュニティーを維持できないという悲痛な危機感があります。石川県は、被災者を必ず能登へ戻すという意気込みで対応をしています。

 焦眉の急は、断水の解消です。家屋が損壊を免れても、上下水道が復旧しないと元の生活が送れないために、多くの被災者が家に戻っていません。上下水道の復旧はまた、仮設住宅の供給の加速の鍵も握ります。

 これまで、全国からの応援を得ながら、上下水道の一体復旧を図ってきましたが、昨日の時点で断水世帯は約一万五千戸残っています。奥能登の二市二町は合計で二万五千世帯、七尾市を加えても四万五千世帯ですので、一万五千戸の断水は深刻です。

 今回、上下水道の復旧にかかる時間が電気などのインフラの復旧に比べて長いことは、目を背けることができない事実であります。

 管路の耐震化の遅れや、半島であることによって復旧に時間を要しているという特殊性もありますが、将来、今回と同様の事態がどこかで起きることを見据えた対策が必要です。

 こうした中、四月から上水道の所管が国土交通省に移りますので、上下水道一体の取組がより円滑になることが期待されます。今回の対応からの教訓、そして今後の取組について、能登での上下水道の復旧活動の加速化への取組と併せて、国土交通省に伺います。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 上下水道の復旧については、発災当初から、水道の供給開始に遅れることなく下水道を使えるようにするため、優先順位を明確にして、下水道の管路内に堆積した土砂を取り除くなどの応急復旧を進めてきたところです。

 現在、能登六市町の下水道管路は約八割で機能確保済みであり、万が一マンホールから汚水があふれた場合に備えて、バキュームカーにより吸引する体制も整えております。

 今後、機能確保に至っていない地区における支援体制を拡充するなど、一日も早い上下水道の復旧に向けて全力を挙げて支援してまいります。

 今回の災害対応では、改めて、住民の皆様の生活には水が必要不可欠なものであり、災害時においても上下水道の機能を確保することが非常に重要であることを認識したところです。

 そのため、昨日、上下水道地震対策検討委員会を設置し、上下水道施設の被害を踏まえた今後の地震対策の在り方や、上下水道一体での災害対応の在り方などについて議論を開始したところであり、災害に強い上下水道の構築に向けてしっかり取り組んでまいります。

小森委員 ありがとうございます。

 今御答弁もいただきましたけれども、昨日からいち早く委員会を立ち上げていただいて、検討を始められたところでございます。今回明らかになった課題も含めて、しっかり検証していただきたいというふうに思います。

 なお、四月からの上水道の移管に伴いまして、水道復旧事業も補助率のかさ上げなどの対象に追加されることとなっておりました。今回の地震はその前に発生したものでありますけれども、予算措置により、移管後と同様の支援を受けております。関係の方々に改めて御礼を申し上げたいと思います。

 次に、国による権限代行について伺います。

 地震の爪痕はかなり深いです。復旧に高度の技術が求められることから、道路や港湾などの数多くの被災箇所で、自治体に代わって国に本格復旧を代行してもらっております。

 道路では、幹線である能越自動車道と国道二百四十九号線の外浦沿岸部の復旧が権限代行の対象です。あさってには、能越自動車道、のと里山海道で、北に向かう一方向について全区間交通可能になりますけれども、これらの道路復旧は復興に不可欠な土台です。

 港湾では、大きな隆起などによって施設の機能が著しく低下した輪島、飯田、七尾、和倉などの港の復旧にも国の力が不可欠であります。今回は、過去の地震と比べても最大の数の港湾が権限代行の対象となっているところであります。

 このような権限代行を含めてですけれども、国が施行する災害復旧事業を迅速に進めることを是非改めてお願いしたいと思います。

 これらは、変わらない景色を早く変えるために欠かせない事業であります。また、復旧時期の見通しをなるべく早く示していただきたいと思います。代表して、道路局長と港湾局長、それぞれ簡潔な御答弁をよろしくお願いします。

丹羽政府参考人 まず、私の方から、道路の災害復旧の事業についてお答え申し上げたいと思います。

 能登半島地震によりまして甚大な被害が多数発生いたしました能越自動車道の石川県管理区間、また、国道二百四十九号の沿岸部につきましては、国により、権限代行で本格的な復旧を行っておりますけれども、斜面の崩壊、またトンネル内の崩落、被災が極めて大規模な箇所がありますことから、完成するまでには数年かかる見通しでございます。

 一方で、発災直後から、最低限の通行を確保するために、国が県に代わって緊急的な復旧を進めてきておりまして、この結果、能登半島の復旧復興の基幹となります能越自動車道、先ほど委員が御指摘されたとおり、明後日、十五日に全区間で北向き一車線での通行を確保することといたしております。

 今後、被災状況などを踏まえた技術基準について有識者委員会で検討を行いまして、幹線道路の本格的な復旧を進めるとともに、地元の意見も丁寧にお伺いしつつ、能越自動車道における対面通行、これの確保を含め、復旧作業の進捗に応じまして段階的に見通しをお示しするなど、被災地の早期の復旧復興に向けて、道路の強靱化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

稲田政府参考人 引き続き、港湾の災害復旧事業についてお答えいたします。

 港湾関係では、直轄に加えて権限代行により、金沢港や七尾港など十港におきまして、主要な係留施設や防波堤などの災害復旧を図ることとしてございます。

 災害復旧を進めるに当たり、被災した方々が希望する、地域全体としての復旧復興の在り方と足並みをそろえることが重要であります。

 その上で、港湾につきましては、船舶による被災地支援活動を継続しながら、地域の復旧復興のための資機材の供給あるいは災害廃棄物の搬出といった機能を確保するとともに、なりわいの再生に貢献するという視点も重要だと考えております。

 他方、地盤隆起の影響を受けている輪島港など、技術的な難易度が高いものもありますことから、学識経験者や地域の関係者などの知見を踏まえながら進める必要があると思います。

 このため、全体としての復旧に数年はかかる見通しでありますけれども、復旧時期の見通しを適切なタイミングで示すなど、進捗状況が見えるよう配慮しながら、迅速な災害復旧に全力で取り組んでまいります。

小森委員 ありがとうございます。

 それぞれ、段階的に見通しも示していただけるという御答弁もいただきました。復興を進める重要なポイントですので、是非前向きに今後も取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、同じく復興を進める観点から、国の工事に関する地元業者の参加機会の確保への配慮も是非お願いしたいというふうに思います。

 続いて、液状化について伺います。

 今回の地震で、石川、富山、新潟で約一万五千件の液状化が発生しました。液状化被害からの復旧は技術的にも容易ではなく、また、公共施設と宅地を一体的に行う必要もあります。熊本地震でも、液状化被害からの復旧に長い長い年月を要しております。

 今回、地盤が横に大きく動く側方流動によって甚大な被害を受けました内灘などでは、国が直轄で被害状況調査を行っているところであります。これらを踏まえつつ、今後、町や市が行う本格的な地質調査あるいは設計への支援、そしてまた、被災宅地と公共宅地の一体的な液状化対策などに対する補助率のかさ上げをお願いしたいと思います。

 何より被災者のことを考えて、なるべく早く調査や事業を進めていただきたいと思いますが、見解を伺います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和六年能登半島地震によりまして、石川県を始めとして、広い範囲で液状化による甚大な宅地被害が発生をしております。

 液状化に伴い地表面が横方向に移動するいわゆる側方流動、これが発生いたしまして、特に著しい液状化被害が集中した地域につきましては、三月一日に閣議決定されました令和五年度予備費を活用いたしまして、直轄調査により地質等を調査し、その結果を踏まえた効率的な対策工法や設計を検討するなど、地方公共団体に対して技術的な支援をしっかり実施してまいりたいと考えております。

 また、液状化被害を受けた地域につきましては、二月十六日の復旧・復興支援本部における総理指示を受け、熊本地震での対応も踏まえ、エリア一体的に対策を講ずる支援措置の強化について検討を進めているところでございます。

 こうした取組を着実に進めることによりまして、被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、地方公共団体が実施する液状化対策への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小森委員 内灘の現場は大臣にも御視察いただいておりまして、被害の深刻さは国土交通省にもよく伝わっていることと存じます。技術面や制度面、資金面も含めて、国の万全の支援をよろしくお願いいたします。

 次に、観光支援について伺いたかったんですけれども、御要望だけしておきます。

 北陸応援割でございますけれども、昨日から石川県でも受付が始まったところであります。既に応援割が完売した宿泊施設も多く出ているところなんですけれども、是非とも、石川県内の旅館、ホテルでは、地震の二次避難者を受け入れている中での応援割の開始でありますので、こうした特殊な状況にも配慮した御支援をお願いしたいと思います。

 そしてまた、能登では、営業再開のめどすら全く立たない旅館やホテルばかりであります。受入れが可能になった段階で、別途特別な応援割を実施して、手厚く観光喚起をしてもらうことをお願いをしておきます。

 最後に、北陸新幹線について伺います。

 今週の土曜日、三月十六日、北陸新幹線の敦賀の開業であります。福井県にとっては初めての新幹線の開通、石川県にとっては、県内の路線が全線開通するという待ちに待った日であります。しかしながら、こうしためでたいことでありますけれども、これで終わっては画竜点睛を欠くものであります。

 北陸新幹線は、構想の当初から、東海道新幹線の代替補完機能が期待されております。北回りで東京と大阪をつなぐことで、将来、仮に地震などで太平洋側が被災しても、北陸新幹線は東京―大阪間を高速鉄道で結びます。

 令和二年末の与党PTの決議、令和五年度当初の着工に対して、国土交通大臣は重く受け止めるというふうに表明いたしましたけれども、令和六年度でも着工が行われておりません。一日も早く新大阪の延伸に踏み切るべきと考えますが、今後の見通し、そして、新大阪開業に向けた決意表明を、國場副大臣によろしくお願いします。

國場副大臣 北陸新幹線は、関東、関西と北陸地域との結びつきを更に強め、広域的な経済活動を活性化させるとともに、複数の新幹線ネットワークの構築により、激甚化、頻発化する災害に対するリダンダンシーを確保する重要な事業です。

 いよいよ今週末十六日、北陸新幹線金沢―敦賀間が開業することとなりますが、これにより、北陸地域内外との交流が一層活性化することが期待されるとともに、今回の地震により大きな被害を受けた北陸地域の復旧復興の原動力となるものと期待しております。

 残る敦賀―新大阪間につきましては、今年度から鉄道・運輸機構において、北陸新幹線事業推進調査として、従来、工事実施計画の認可後に行っていた調査も含め、施工上の課題を解決するための調査を先行的、集中的に実施しております。

 引き続き、この調査等を活用し、着工に向けた諸条件についての検討を進め、一日も早い全線開業を実現してまいりたいと考えております。

小森委員 ありがとうございます。一日も早い開業ということで御答弁いただきました。

 交通ネットワークは、つながることで効果が飛躍的に上がります。敦賀―大阪間は最後のミッシングリンクでありまして、これをつなぐ効果は、金沢開業や敦賀開業を大きく上回るはずです。日本の国土づくりや経済成長において巨大な意味を持つプロジェクトでありまして、国土交通省には、強い意思を持って引き続き進めていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

長坂委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 自由民主党の菅家一郎でございます。

 このような質問の機会を与えていただきまして、まずは御礼を申し上げたいと思います。

 まず、三月十一日、東日本大震災の十三回目を迎える日に、福島県福島市で、東日本大震災追悼復興祈念式に総理も御出席され、私も参列してまいりました。心より哀悼の意を表したいと存じます。

 また、本年一月一日、最大震度七、能登半島の大地震でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 東日本大震災のときに、私は会津若松の市長として、原発事故で避難を余儀なくされた大熊町の方々の受入れをしていた経験を生かしながら、能登半島地震に対しての少しでもお役に立てればという観点から御質問を申し上げたいと存じますとともに、能登半島で、各市町村の皆様、震災から日夜問わずに、本当に大変な状況の解決に向けて取り組んでおられる市町村長の皆様方に心から敬意を、そして、職員、スタッフの皆様方も、大変な御労苦の中で取り組んでおられることに衷心より御慰労申し上げるとともに、どうかお体には御自愛されて職務に精励されますよう、御祈念を申し上げるところであります。

 まず初めに、二月二十三日、斉藤大臣が能登半島地震の現地視察をされたわけであります。内灘町における液状化被害状況、七尾市における旅館業関係施設の被害状況、輪島市朝市地区における被害状況等を確認して、関係者の皆様方とお会いして激励等をされ、国交省としてしっかり受け止め、全力で取り組む、このようなことが報道されているわけであります。

 私の経験では、やはり災害が起きて一番何が重要かというと、初期対応なんです。一日判断が遅れただけでダメージがあるんです。この初期対応が遅れれば全てが遅れてくる。これを担っているのは、市町村長の皆さんたちお一人お一人の判断なんです。ですから、県と国の役割は、適切な情報をしっかり提供する、連携を図る、あるいは、現地をしっかり確認する。適切な、的確なる、迅速なる対応が求められるんです。

 このようなことを踏まえて、視察をした状況、総理は、第一回目の視察は一月十四日に行われているわけですよ。大臣は、二月二十四日、第一回目でしょう。この辺の状況も踏まえて、現地を視察したときの現状の認識と、今後どのように国交省として対応していくのかの決意というか思いを、本来は大臣にお聞きしたかったんですが、どうか一つ、それを踏まえながら御答弁をいただきたいと思います。

堂故副大臣 斉藤大臣、発災直後から復旧復興に全力を尽くしておられますが、一月と二月と、二度にわたり石川県の被災地を視察しております。視察を終えた大臣からは、改めて、被害の大きさを実感する一方で、復旧に向けた様々な取組が着実に進み始めていることも確認でき、また、首長を始め被災地の声を直接伺い、被災地の復旧復興に全力で取り組んでいく決意を新たにしたとお聞きしています。

 私も、被災地である富山県を地元としておりますが、富山県、新潟県を視察させていただいておりますが、液状化を始めとする被害の甚大さ、深刻さを実感しているところです。

 今後、被災地の復興に向けては、先般決定した予備費等を活用し、道路、港湾や上下水道などインフラ復旧を加速してまいります。上下水道については、発災当初から厚生労働省とともに支援を行っており、昨日、今後の復旧の方向性などに関する有識者検討会を開催いたしました。こうした取組を通じて、上下水道一体となった支援を行ってまいります。

 また、被災自治体が行う復興まちづくり計画、住まいの復興計画の策定や、液状化災害の再発防止対策に向けた直轄調査の実施など、被災地の支援をしてまいりたいと思います。

 また、観光業の振興を含め、被災地の声にしっかりと耳を傾けながら、一日も早く被災者の皆様が元の平穏な生活を取り戻すことができるよう、国土交通省を挙げて被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。

菅家委員 二回目だったということで、大変御無礼しました。しっかりと各市町村長と、国、県と連携を組みながら、迅速かつ的確なる判断をもって、今御答弁された、これはかなり大変な課題でありますから、しっかりと予算を確保しながら取り組んでいただきたいと思います。

 さて、東日本大震災の大熊町の例を挙げますと、市長室に大熊の町長と教育長がお見えになった、当然、大熊町の町民を受入れしてくれと。それと併せてもう一つは、各地に、避難を余儀なくされ、大熊町の子供たちがばらばらに避難をしている、遠く会津若松市で学校施設があったら貸していただけないかという要請があったんです。ああ、これはいいことですからということで、本市にある学校施設を見ていただいて、合併して小学校を統合したものですから、廃校が三つぐらいあって、それを視察していただいて、一つ丸ごと大熊町にお貸しした経過があり、また、保育園も統合して空いていたというような、本市にある学校施設を大熊町にお貸しして、本市において、大熊町の幼稚園、大熊町の小学校、大熊町の中学校が本市で対応することになった。子供たちは、会津に、学校に集まれと。当然、子供たちだけではなくて、大人も、家族も本市に集まることになって、五千人を超える方々が本市で避難生活をすることになった経過があります。

 そのときに、やはり災害の未来を守るのは子供なんだという町長のあの判断はいまだに忘れられないし、このような災害のときこそ、やはり能登の地域の子供たちを守るというのは極めて大事なことだと改めて認識をしているところであります。

 そういった意味で、子供を守るという観点から、現在の能登半島地震においても、これからの復興に向け、子供たちの学ぶ場を守る、こういうことは極めて重要だ、この守る場とともに、子供を守ることが地域のアイデンティティーを守ることにもなるんですね、一体化。

 といっても、地域性、被害規模も、被災自治体によって大分異なっているということもありますから、でも、これから、まさしく進級、進学時期を迎えるわけでありますから、被害を受けた子供たちの状況を踏まえながら、周辺の自治体においても、使っていない学校施設等もあろうかと思いますので、水道施設等の復旧が進むまでの間、それらの施設を使用するということも念頭に置いて、教育の空白を生まない、大事なことですから、子供たちを守ることが未来の能登半島の復興に必ず役立つ、このように私は思います。

 できれば、家族と一緒に避難して学ぶというのも一つの選択肢かと思いますが、子供たちにとっても教室と校庭は必要ですので、被災地における使っていない学校施設等を活用した教育の現状と今後の対応について、お示しをいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、これまでも被災地のニーズの把握を積極的に進めながら、子供の環境に応じた学びの継続の確保や本格的な学校再開など、被災地の支援に取り組んでまいりました。

 こうした中、今回の能登半島地震につきましては、現在、全ての小中学校等は再開し、市外に集団避難されている子供たちも、その意向に応じまして、地元に戻って教育を受けることが可能な状況になっております。

 廃校等、現在使用されていない施設を、教育活動に必要な安全の確保等に留意しつつ、子供たちの教育機会の確保に活用することにつきましては、委員御指摘のとおり、ケースに応じて有効な手法と考えております。

 廃校等の公共施設をどのように活用するかにつきましては、地域のニーズ等を踏まえまして、各自治体において判断するものではございますけれども、文部科学省におきましては、全国の廃校施設の状況を集約し公表することで、その有効活用を促進しているところでございます。

 震災時など緊急時に、こうした情報を基に、当該廃校を所有する自治体に問合せを行い、相談を進めていくことは有効なものと考えております。

 文部科学省としましては、今後とも、被災地域における子供の学びの環境の確保に努めてまいります。

菅家委員 やはり、先ほど申し上げたように、判断するのは地域の市町村長の役割でありますから、しっかりとその辺の情報を伝え、連携して、適切、的確に対応するということを是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、被災者の健康を守るという視点でお聞きしますが、東日本震災の会津の場合は、とにかく、最初避難されてきた方は第一次避難で、体育館。体育館というのはやはり住むところじゃありませんから、二次避難で旅館、ホテルです。東山、芦ノ牧、市内の旅館、ホテルに住み替えていただいた。

 そのときは幾らだったかな。今は一万円ですけれども、七千円だったかななんて。でも、一人二十一万かかるわけですから、そこは、民間借り上げ住宅、空いているアパートとかマンション、ここを整理するまでの間、宅建協会と、データです、ここが空いていると。住み替えられる間は旅館、ホテル。民間借り上げ住宅に移っていただいて、それでもキャパがオーバーしている部分が、仮設住宅を設置して受入れした、こういった経験があります。

 これらを踏まえれば、また、現時点で、三月八日現在も、能登半島の石川県内の避難状況のデータですが、現在も百九十四か所の体育館等の一次避難所で四千九百四十五人の方々が生活を余儀なくされているということでありますから、これをこのままにしておくわけにいかないという視点で、やはり、旅館、ホテルに。まだ空いているんですね、データを見ると。石川県を含め、千百施設で三万二千百二十八人、受入れ人数は四千四百二十七です、かなりある。つまり、キャパがあるんですね。ですから、旅館、ホテルに住み替える。

 しかし、やはり民間借り上げ住宅というのを、しっかりこれを生かしていく、これが私は、極めて重要なのではないか。仮設住宅も四千六百戸を予定しているという報道があるわけですが、実際のところ、全壊している戸数は全体では七千三百十五、全壊、半壊、一部損壊も含めて八万六百二十九戸ですから、これでキャパ的に間に合うのかどうかを考えれば、やはり民間借り上げ住宅を、いかにこれを生かすかということが極めて私は重要なのではないか、このように考えているわけでありますが。

 これらを踏まえながら、政府としてどのように対応されるのか、お示しいただきたいと思います。

古賀副大臣 まず冒頭、菅家一郎委員から、東日本大震災、会津での貴重な御経験を御披露いただき、それを踏まえた大変示唆に富む御指摘をいただいたことを、現地の対策本部長としてもしっかり受け止め、また、震災対応に当たっていきたいということをまず御発言させていただきたいと思います。

 その上で、ちょっと丁寧に時系列で申し上げますと、今、二次避難、あるいはみなし仮設住宅についての御指摘をいただきました。

 一次避難所、まさに現地の被災地で避難所を設けておりますが、石川県内で、まず、一月一日に発災し、翌二日の時点で最大約四万人の方が一次避難所におられました。その後に、一月八日の時点で約二万八千人の方がおられる中、要配慮者を中心に、今おっしゃられたような旅館、ホテル等の二次避難所、あるいは、民間の賃貸住宅を活用したいわゆるみなし仮設に移っていただく中で、三月十二日時点で、二次避難所には約四千人の方が滞在され、みなし仮設は千九百二十五戸の入居が決定しているところであります。

 非常に難しい点は、石川の被災地、大変、半島という地域性がある中で、みなし仮設あるいは二次避難のホテル、旅館というのは、つまり、避難地外、県内においても県南の方に行き、あるいは県外にも行っていただくということになるわけでございます。

 一方で、仕事の御都合ですとか、住み慣れた地域を離れたくないといった様々な状況で、現在も約五千人の方が一次避難所に滞在されている。ある方によっては、二次避難から、これから公費解体が始まる中で、一次避難所に戻ってこられる、こういう方もおられるわけでございます。そういった状況の中で、一次避難所の生活環境の改善にも取り組んでいるところでございます。

 また、みなし仮設につきましては、応急的な住まいを迅速に確保する観点から、被災地の実情等を踏まえ、家賃の上限額を引き上げるなど、みなし仮設にも入っていただけるような環境づくりも進めているところであります。

 今後とも、仮設住宅に移っていただくことも含めて、どのような場所で避難生活を送られている方であっても、必要な支援が行われるように、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

菅家委員 やはりこれも、各市町村長の政治的な判断、これは重要ですから、やはり四千人の方は、少しでもゼロに近いように対応するということを踏まえながら対応していただきたいと思います。

 最後に、伝統を守る。まさに今回の地震で多くの輪島塗の工房が甚大な被害を受けたというわけでありますから、この被害の状況と、これからどのように対応するのか、お示しいただきたい。

 そして、私の地元、これは会津の伝統、会津塗があり、組合長から、輪島塗の文化を守るために何かお役に立てないか、工房も工具も使えない、避難場所もないという状況のものであるならば、国などの支援をいただきながらとにかくお支えしたいという提言を受けております。

 どうか、今後の震災によって輪島塗の工房や職人などがどのような状況になっているか、営業を継続していける状態なのか、さらに、この会津の組合長からの提言に対して、国として支援や助言できることはないか、お示しをいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年能登半島地震によりまして、輪島塗に関しましては、輪島朝市周辺の火災により十三の事業者が生産、販売拠点を喪失するなど、大きな被害を受けたものと承知いたしております。

 輪島塗を始めとした伝統的工芸品の再生と復興に向けましては、事業に不可欠な施設や整備の復旧に御活用いただけるなりわい補助金、あるいは事業再開に必要となる道具や原材料の確保を支援する伝統的工芸品産業支援補助金、被災事業者が仮設工房として活用できる集合型仮設施設の整備支援事業などの支援策を講じているところでございます。

 現在、また今後は、地元の石川県や輪島市などと連携し、被災された事業者から復旧に向けた課題の把握や御要望等を丁寧に伺うとともに、委員からの御指摘もございました会津漆器協同組合などからも被災地を支援したいとの温かい声が届いており、これらの協力も可能な限り得ながら、きめ細かく対応し、輪島塗の再生を支援してまいりたい、このように考えております。

菅家委員 能登半島の一日も早い復旧を心からお願いを申し上げて、終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 大臣、いよいよ二〇二四の四月がもう間近なんですけれども、やはり間近になってくるといろいろな問題が出てきますね、これは。本当にあちこちからいろいろなことを言われます。地元の企業を回っていますと、やはりみんな頑張っているなというのが本当にひしひしと伝わってくるんですけれども、この問題に対応するために。

 その中の一つに、これは、ちょっと物流からやりますけれども、一次下請の物流なんですけれども、ようやっと荷主と労働時間の削減分の賃上げの交渉ができたというふうに言っておりました。ああ、社長、よかったですね、ちなみに社長、下請はどうするんですかと聞いたら、いやいやいや、とてもとても賃上げなんかできるわけないよと。それはそうなんですよね。やはり自分の会社がやっとプラマイ・ゼロになったわけですから、それで下請に賃上げ分やったらマイナスになっちゃうから、これはできるわけないんですよ。

 それで、それは一次下請の下ですから、二次ですからね、その下の三次、四次になったら、これはえらいこっちゃなという話だと思うんですけれども、どんどんどんどんこれは格差が必然的に生まれてきますよね。

 まずは、この格差についてどのようにお考えなのかと、あと、国交省がやはり運賃の標準、基準、金額を決めているかと思うんですけれども、一体どの層をターゲットで基準を決めているのか、これをちょっとお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 トラックドライバーの賃上げと、その原資となる適正運賃の収受のためには、多重下請構造を可視化することが必要と考えております。

 今国会に提出している法律案においては、運送体制の可視化のための実運送体制管理簿の作成を元請事業者に義務づけております。これによりまして、元請事業者は、実運送事業者が収受すべき運賃に下請手数料を上乗せした金額を荷主に求め、荷主は、運送コストを適正化すべく、過度な下請構造の回避を運送事業者に求める、こういうこととなりまして、多重下請構造の是正が図られると考えております。

 また、こうした取組とともに、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化等に取り組んでいるところでございます。

 どこを見てこういう政策をつくっているのかという高橋委員の今の御指摘でございますが、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、実際に運んでいる実運送事業者、このように呼んでおりますが、この実運送事業者がきちんとしたしかるべき運賃を収受している、労働条件としても適正な労働条件になっているということが最も大切でございますので、それに対して荷主等は、しっかりこの構造を見てちゃんと最初の原資を払ってもらわなくてはいけない、こういうことを目指した法律案、こういうことで、実際に運送している人たちがしっかりとしたお給料をもらえるように、こういうことを目指しております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 見える化にするというのはもう大賛成なんですけれども、今言った実運送が例えば四次下請だったら、四次下請、三万円なら三万円でいいんですけれども、三次下請に中抜きされ、二次に中抜きされ、一次に中抜きされ、その分どんどんどんどん上乗せしていって、荷主がその金額を払うのかといったら、これは払うわけないですよね。

 だから、要は、国交省はこの多重構造をなくしたいんだというふうに思うんですけれども、これは間違いないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 多重下請構造、これは、多重になっているということは決して好ましいことではない、このように思います。

 だから、多重下請構造を全て、全面的に否定するという立場にはありませんけれども、できるだけそこは、その発注者と実際に運ぶ者が近い方がいい、このように思っております。

高橋(英)委員 何か随分苦しそうなんですけれども、賃金も法的拘束力はないわけですよね、運賃に関しても。やはりどう考えても、ある程度どこかで、多重構造、決めなければ、これは絶対できないというふうに思うんです。アメリカなんかは二次下請ですか、その辺で法的に決めているようですけれども、これをきちんとやるには、やはり法的に決めないとなかなかできないんだと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の法律案は、荷主に、実際の下請構造、そして誰が実際に運送しているかという構造を認識していただいて多重下請構造を是正していく、できるだけその次数が少ない形にしていくという、それは荷主にも利益になることだと思います。

 現状、いろいろなこれまでの経過や現実の市場の関係から、すぐに多重下請構造をなくす、荷主から実際に運送する人、その一本の線だけでやる、それが理想かもしれませんが、なかなかそれができない現実の中で、できるだけ多重下請構造を是正していこう、こういうものを目指した法律案だと思っています。

高橋(英)委員 要は、多重構造を減らしていくという方針なんだと思うんですよね、国交省は。今、標準運賃を決めているんだと思うんですけれども、これは逆に、最低運賃価格というのを決めた方がよいのではないかなというふうに思っているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに、実際に運ぶ実運送事業者がこれだけの運賃をもらうべきだ、こういうものを標準運賃として我々は示しているわけでございまして、その標準運賃を使いながら、実際に原資を出す荷主と交渉していただく、このように思っております。そういう意味で、同じ考えです。

高橋(英)委員 では、実際の事例があって興味深いんですけれども、アマゾンって皆さん御存じだと思うんです。何もアマゾンが憎くて言うわけじゃないんです、楽天とかでもそうなのかもしれないんですけれども。アマゾンの今配送で十社ぐらい一次下請がいるんですけれども、その一次下請の一社が、要はドライバーを抱えていないんですね。アマゾンの仕事をする分量のドライバーを抱えていないから、当然、二次下請の、これは法人ですよ、会社に出しているんです。そこの法人はドライバーをしっかり教育して持っているんですけれども、今度再契約になるんですけれども、そうしたら、再契約は打ち切られる、その二次下請は、法人。打ち切られて、ドライバーだけが残るじゃないですか、それだけを抱えようと、一次下請がね。

 要は、本当にとんでもない、道義的に問題があるんだと思うんです。アマゾンと一次下請の入札条件か契約かは分かりませんけれども、その中にやはり、今度再契約するときには、法人との再契約はするなみたいな条項があるんですよ。要は、多重構造をなくそうという、まさに国交省の方針に近いことをやろうとしているんだと思うんですけれども、でも、実際にいきなりそれをやられたら、これは二次下請はやっていられないですよね、どう考えても。

 こういった弊害が、実はこの二〇二四問題で、今本当に、まさに現実的になっているんですけれども、この点は、やはり国交省としても何か対応をしていかなければいけないんだろうと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 個人事業主である軽トラック事業者に対して、例えば、配達し切れないほどの大量の荷物を発注する場合や、運賃・料金を不当に据え置くといった場合、発注者である荷主や元請事業者等はトラックGメンの是正指導の対象となります。

 済みません、今の御質問をちょっと私、勘違いしておりました。今、私が申し上げたことは間違いではありません。

 その上で、個別事案の評価につきましては、事実関係に即して検討する必要がありますが、一般論として申し上げれば、国土交通省では、先ほど申し上げましたとおり、トラックGメンによる悪質な荷主、元請事業者等への是正指導の強化、標準的運賃における下請手数料の設定、今般の法改正による運送体制の可視化や契約条件の明確化などを通じて、多重下請構造を是正する環境を整備したいと考えております。

 その中で、適正な取引を阻害する疑いのある行為が確認された場合には、事案の内容に応じ、公正取引委員会や中小企業者などの関係省庁とも連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

高橋(英)委員 これは、やはり結構悪質だと思うんですよね。二次下請がしっかりとドライバーを教育して、再契約をしないで二次下請を取っ払っちゃうわけですから。それで残った、きちんと教育されたドライバーと直接契約するわけですよね。これは道義的に、大臣、どう思いますか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほども申し上げましたように、個別事案の評価につきましては、ちょっと私の立場から申し上げることはできませんけれども、先ほど申し上げましたように、排除された二次下請の会社が、これは明らかにいわゆる発注者と請負の上下関係、強い立場からの一方的な措置であるという形で、それが不当であるというふうに考えられたとしたら、トラックGメン等がしっかりその現状を把握して、もししかるべき対応を取るという判断をしたら、しかるべき対応を取る、行政として。そういう意味で、トラックGメンなどを使っていただければいいのではないかと思います。

高橋(英)委員 じゃ、これはトラックGメンの対象になるということでよろしいんですね。

鶴田政府参考人 個別事案の評価については、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおり、事実関係に即しての判断になるかと思いますけれども、トラックGメンはトラックGメンの権限を持って活動していて、その権限内のことであればしっかり行使をするということですし、あとは、政府部内の連携で、公正取引委員会の権限で対処できる場合もあるかもしれませんし、中小企業庁の出番もあるかもしれない、そういう意味で、しっかりと今連携を昨年来強化しておりますので、政府一体として対応していくということが肝要かというふうに思います。

高橋(英)委員 今日こういった質問をしているので、是非、トラックGメン、ちゃんと見ていただいて、ああ、これは対象だな、じゃなくて公正取引委員会だな、かもしれないですけれども、そういったことをちゃんとやっていただきたいなというふうに思います。

 これは質問ではございませんので。質問すると、何か苦しそうみたいなので。

 いずれにしても、これはスタートして、結構路頭に迷う人が出てくるんじゃないかなと、ちょっと危惧しているんですよね。だから、本当にもう短期で、これはしっかりと検証した方がいいですよ。じゃないと、大きな問題が起こりそうなので、是非これはお願いをしたいというように思います。

 じゃ、今度は物流じゃなくて建築の方に行きます。

 今、担い手不足と結構言われています。何となく、これは担い手不足を外国人労働者でカバーしようかなみたいな感覚があるんですけれども、先ほど東京一極集中の話がありました。これは、建築の労働力も、まさに東京、首都圏に、もう物すごい一極集中状態なんですよね。そして、もしここで何か、首都直下型だとか、そういう大きな災害が起きたら、外国人労働者はみんな帰っちゃいますよ。これは現場の人たちもみんな言っていますから、ゼネコンだとか。現に、東日本のときも、ああいった大きな災害があったら、やはり海外に帰っちゃう、自国に帰っちゃった方々が大勢おりますから、これはやはり国内で担い手不足の解消というのをしっかりと考えていかなければ絶対に駄目だと思うんですよ。

 そこを考えると、どうしても建築業界というのは三Kのイメージがいまだにあるんでしょうけれども、それと、思うのは、やはり、建築現場というのはこういうものなんだよという教育を、全く学校ではしないですよね。もし担い手不足を国内で解消するとしたら、例えばですけれども、小学生の社会科見学に、施工中の現場を段階的に見に行かせるとか、多分、施工中だから、危険だからと嫌がるのかもしれないですけれども、でも、やはり、そうすれば現場も、子供らが来るんだからと、これは安全性も絶対高まりますし、そういった国内での担い手不足の解消、これに関してどのようにお考えか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 建設業の将来を担う若い人たちが入ってくる、そういう魅力的な建設業にすべきだ、こういう趣旨の御質問かと思います。

 若手人材の確保が本当に重要な課題となっております。このため、まず、担い手の賃上げに向けて、賃金原資の確保と行き渡りを徹底いたします。先日開催した建設業団体との意見交換会でも、私から直接、賃上げを要請したところでございます。

 この賃上げと、そして働き方改革、労働時間の適正化に向けて、適正な工期の徹底や週休二日の確保を推進いたします。

 さらに、建設業で働く場合の将来について、若者やその御両親などが希望と見通しを持てるようにすることも重要であり、技能者の将来的なキャリアパスと賃金目安をお示しするレベル別年収の普及や、公共事業費の安定的確保にも努めてまいります。

 その上で、建設業が持つ仕事としての魅力をより多くの国民に知ってもらえるよう、戦略的な広報を展開していかなければなりません。

 我々のキャッチフレーズとして、建設業が新四K、給与がよく、休暇が取れ、希望が持てる、そして格好いい、新四Kと呼んでいるんですが、こういう夢のある産業となって若い人たちがしっかり入ってくる、そういう産業にすることが必要であり、かつ、地方を元気にすることになる、このように私は思っております。

高橋(英)委員 新四K、済みません、勉強不足で、初めて聞きました。はやらせますよ、新四K。

 でも、現状ではそうなっていないですからね。やはりどうしても三Kのイメージも強いし、何しろやはり給料が安過ぎですよ。昔は現場というのは稼げたから、一般のサラリーマンより、どんどんどんどん一生懸命働いていた。今度、もう残業もなくなるわけですよ。

 今回の、労務単価ってあるじゃないですか。これは一体どこを見て労務単価を設定しているのかなというのをお聞きしたいんですね。要は、施主とゼネコンとの見積りの中での労務単価なのか、それとも、本当に、要は職人ですよね、例えば鉄筋屋さんだったら鉄筋工の労務単価の設定で見ているのか。これをちょっとお聞かせください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事の発注に当たりまして積算を行う際に、公共工事の設計労務単価というものを用いております。

 その設定でございますけれども、毎年秋に、公共工事の現場で実際に働いていらっしゃる方の賃金、これは、元請で雇用されている方、一次下請で雇用されている方、あるいは四次下請で雇用されている方、まさに、実際の現場で働いていらっしゃる技能者の方の賃金を、賃金台帳の確認も含めて調査をさせていただき、その結果に基づいて労務単価の設定を行っているということでございます。

 そういう意味で、実際に払われている現場の職人の方の賃金を確認した上で設定をさせていただいているということでございます。

高橋(英)委員 それは違うと思いますけれどもね。全く見合っていないと思いますよ、実際に職人としてやっている方々の賃金というのは。

 先ほど物流でも言っていましたけれども、物流の方が進んでいるなと思っているんです、実は、しっかり見える化させていく、そういった部分では。建築の方も、ちょっと物流を見習って、きちんと見える化をした方が絶対いいと思いますけれども、いかがですか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 契約金額は、それぞれ、元請と一次下請、一次と二次という形で契約の交渉が行われてまいりますけれども、その中で、労務費についても、その契約の中で決まっていくということになります。

 今回、今国会に建設業法の改正を提出させていただいておりますけれども、この法案の中では、あらかじめ国の方で適切と考える労務費の設定をさせていただいた上で、その額を著しく下回るような契約を元請と一次下請、一次と二次の間で結び、そして、それが末端の技能者の方に行き渡らないような、そういう契約については法律上禁止をする、そういう内容の法案を提出させていただいております。

 そういう、見積りをお互いに出し合う中で、著しく低い労務費が設定されないように、そういう意味では、ある意味、見える化をするということだと思います。今回の法案の中で、それを実現できるようにしてまいりたいというふうに存じます。

高橋(英)委員 実際の話で、さっき鉄筋の話をしたから鉄筋の組合みたいなのでもいいですけれども、どこでも一緒なんだと思うので。

 みんなまとまると、ゼネコンに、もっと上げろ、値上げをしろとみんな言うんだそうです。当たり前でしょうけれどもね。みんなで行けば怖くないんでしょうから。

 ただ、それが終わると、ゼネコンが、一本釣りじゃないですけれども、こういった現場があるんだけれどもやるかと、やはり来るらしいんですよ。そうすると、先ほどの勢いはなくなって、ああ、やります状態に、結局そういう業者が出てくるというんですね。この辺はどうやって是正するんでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、同じ建設業者同士でも、厳しい競争の中で、安い価格で受注をせざるを得ない、安い労務費で受注をせざるを得ないというのが建設業者の悩みであります。

 先ほど私が十分御説明できませんでした今回の建設業法の改正の中では、国が標準的な労務費というものを定めた上で、それが末端の技能者まで行き渡るような、そういう請負契約、下請契約というものを担保していこうというふうにしております。

 したがいまして、ある社は非常に安くできるということを思ったとしても、標準的な労務費を著しく下回るような契約については法律上禁止をするという形に今回していきたいというふうに思いますので、そういう意味では、契約交渉の中で、これ以上安くするというふうに注文者側から申し出ることについては禁止ということになりますし、また、受注する側も、標準的な労務費を著しく下回るような価格で契約すること自体が禁止ということになってまいりますので、その契約交渉の中で妥当な労務費が確保されていくということを期待しているところでございます。

高橋(英)委員 これは先ほど物流でも言いましたけれども、建築も、やはり最低賃金ですか、その方向でやった方がいいような気がしています。サラリーマンの平均給料よりこれは絶対に稼げるように、両方とも、そういったことをやはり考えていっていただかないと、担い手不足、これの解消は絶対できないと思いますので、要は、やはり賃金ですから、賃金が高ければ、相当しんどくてもやりますので、是非お願いを申し上げて、今日の質疑を終了いたします。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、空本誠喜でございます。

 今日は、理事、委員の皆様にこの発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。御礼申し上げます。

 先ほどの高橋議員からの二〇二四年問題に引き続き、同じく、この物流の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来ありましたけれども、やはり規制緩和を行って、それによって不毛な過当競争が行われている。そして、運賃の値下げ、さらにはいろいろな附帯作業のサービスがあって、それをサービス競争をする。さらには、どんどん労働環境が過酷になる。更にドライバーの収入が減ってしまう。それで人手不足になった。まさに負のスパイラルを今巻いているところ。

 そこで、政府は、今回、様々な政策パッケージを出されておられますが、これをしっかり見させていただいたんですが、やはり小手先、小手先です、どう見ても。

 大臣に、一問、最初に聞こうかと思いましたが、先ほど高橋議員も同じことを聞いておりますので、最後にまとめて、また聞きたいと思います。トラックドライバーと零細企業の運賃、収入をどうするか、最後にまたお聞きしたいと思います。

 そこで、今回、平成三十年に、この二〇二四年問題に対する対策としていろいろなことを、法律改正が行われて、五年間の猶予があったんですよ。五年間あったんだけれども、今更ながらのこの政策パッケージというのは何なんだろうと。五年間あったのに何もやっていない、私はそう感じますが、これは政府、国交省として、どういうふうな対策をこの五年間にやったのか。また、このパッケージは遅過ぎるんじゃないか。どうお考えでしょうか。

鶴田政府参考人 今御指摘がありました、平成三十年に働き方改革に関する法律が成立しました。その同じ年に、議員立法によりまして貨物自動車運送事業法が改正されまして、標準的運賃の制度、それから荷主に対する要請等の制度、この二つが設けられたところでございます。国土交通省としましては、これらの制度を直ちに具体化をしまして、以来、その浸透を進めてきております。

 その結果、年間労働時間ですとか年間賃金の全産業平均との差は縮まりつつあるということです。しかし一方で、労働条件を改善して、担い手を確保するための取組は道半ばということで、このような状況を踏まえまして、昨年六月に再び貨物自動車運送事業法が同じく議員立法で改正をされまして、これらの制度の、先ほど申し上げた二つの制度の適用期限が延長されたものと認識しております。

 政府としましても、このような状況を受けまして、昨年六月に政策パッケージをまとめた、これは取組を加速化すべく、関係閣僚会議でまとめたものでございます。引き続き、スピード感を持って、この具体化を進めてまいりたいと考えております。

空本委員 今お聞きしたんですが、私、それでもちょっとまだまだ甘いのかなと思っています。

 そして、大臣にお聞きしたいんですが、このパッケージ、やはりいつまでに何をやるかという達成時期と、そしてその責任、こういったものを明確にしなきゃいけない、それについてどうお考えか。

 もう一点、二問一緒にお聞きします。さっき、トラックGメンの件がございました。トラックGメンって、一般の方々は、トラックドライバーを締めつける、監視する、規制するトラックGメンというふうに、みんなが認識しています。いや、荷主を規制するんだったら、トラック荷主Gメンに変えてもらいたいんですが、どうでしょうか。二問。

斉藤(鉄)国務大臣 まず前段の、政策パッケージ、もう少し加速化して充実すべきではないかというお話でございますが、六月に総理を中心とする関係閣僚会議を開いています。内閣を挙げて取り組んでいこうということで進めております。六月に政策パッケージ、そして十月に、緊急的に、特に急がなくてはいけないことについて緊急パッケージをまとめたところでございます。こういう中長期的な措置、そして短期的な措置を、今一生懸命、担当省庁を明らかにした上で、取り組むべき政策を取り決めたところでございます。

 また、先月十六日の関係閣僚会議で、半年間の取組状況のフォローアップを行うとともに、二〇三〇年度に向けた政府の中長期計画を策定し、ロードマップや目指すべき施策の効果を定め、引き続き、毎年度、進捗を確認していくこととしております。

 今後、継続的に担い手世代の減少が続くと見込まれている中、取組を継続、強化していくべく、荷主、物流事業者などの産業界、関係省庁とも連携し、国民の理解と協力を得ながら、物流の持続的成長の実現に全力を尽くしてまいりたいと思います。

 そして後段の、トラックGメンの用語が世の中的に誤解されているというお話でございますけれども、それは我々の、国土交通省の広報、PRが足らないということかと思いますけれども、もちろん、もう御存じのように、トラックGメンは荷主への監視、勧告を行うものでございます。荷主等に対して弱い立場にある運送会社やドライバーを守るために設置したものだということを、より一層広報に努めていきたい、このように思います。

空本委員 ですから、用語はやはり大切なので、トラック荷主Gメン若しくはトラック元請Gメン、そこに用語、ワードがないとやはりそれは誤解します。トラックGメンはトラックドライバー監視Gメンとみんなが思っていますので、そこの用語をもう一度変えていただきたいと思いますし、そこは御検討をお願いします。

 続いて、先ほども高橋議員から低賃金問題がありました。これはどの産業も同じなんですね。農業、また今、製造業も、そして、労働集約型産業が全て低賃金問題になっています。だからこそ、後でお話しするんですが、外国人を入れていかなきゃいけないということになっている。ですから、やはり先ほど高橋議員の方からも質問があったとおり、ドライバーの最低収入、そして下請零細企業の運賃、これを、先ほど皆さんから拍手がありましたけれども、それを規制するやり方でなければ、労働集約型産業のこの問題、これは解決しない。

 ここを中小じゃなくて零細企業、まあ、トラックは一つの会社に五台というふうに聞いておりますし、ちゃんと持っているけれども、やはり家族経営の方がかなりいらっしゃる。そうすると、仕事を取ってきても、元請からどんどん低い運賃でやれと。そうすると、一回につき十時間残業するけれども、零細企業の場合はみんな経営者になってしまいます。となると、最賃法、ここにひっかからない。十二時間、二十時間働いてようやく一万、二万もらった、それでも千円を切ってしまうとか、八百円を切ってしまうとか、やはりこれは最低賃金の問題。この国の、そういう収入、賃金の在り方全体を変えていかないとまずいのかな、特にこの労働集約型の産業については。

 そこで、厚生労働省、これは難しい課題だと思うんですが、いかがお考えか。最低賃金は、これは労働者、従業員に対する法律でありますけれども、やはり、零細企業のトラックドライバーをしながら働いている社長さん、専務さん、家族、こういった方々を支える仕組みに、こういう最低賃金を変えていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。厚生労働省にお願いします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 下請となります零細企業における賃金原資の確保に向けましては、やはりサプライチェーン全体で、労務費を含め、適切な価格転嫁を定着させることが重要であるというふうに考えております。

 運送業に関しましては、国土交通省と連携いたしまして、労働基準監督署においても、荷主に対しまして、恒常的な長時間の荷待ち時間を発生させないこと等について要請する際に、あわせて、賃金水準向上に向けて適正な運賃を支払うよう、標準的な運賃の周知を行っているところでございます。

 また、厚生労働省では、昨年十二月以降、関係省庁と連携をいたしまして、各都道府県におきまして、地方公共団体や労使団体も参加いたします地方版政労使会議を開催しており、この会議におきまして、内閣官房、公正取引委員会において作成されました労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、また、パートナーシップ構築宣言など、取引適正化に向けた取組について周知がなされているところでございます。

 引き続き、零細企業における労務費の価格転嫁が図られますように、関係省庁とも連携しながら取組を進めてまいります。

空本委員 御説明ありがとうございます。

 この問題は、なかなか難しい問題であることは間違いございませんが、零細企業の経営者の方々、自己責任ということもあろうかもしれませんけれども、適正な収入が得られるかどうか、そこはやはり厚生労働省、ちゃんと監視する必要があると思いますので、是非仕組みを考えていただければと思います。

 そして次、長距離運送についてちょっと考えていきたいんですが、今、働き方改革で、長距離運送のドライバーさんも大変かなというところでございます。残業ができなくなる、そうすると、ある方は簡単に言うんですね、トラックドライバー、一台に二人乗っければいいじゃないと言うんです。けれども、長距離ドライバーのよさって、一人で乗っているからなんですね。夜走っている、すごく眠くなるんですよ。そうするとどうするかというと、放歌高吟、歌を歌うんです。そうやってドライバーさんは眠気覚ましをやっている。

 そこで、後ろ側に、あそこはベッドがあります。そこに、二人ドライバーだから寝ている方がいらっしゃる。そういう方が、そのがんがん歌われているところで寝られるか、そういう問題もあって、本当に、今、バスでは下のところに寝られるスペースをつくったりされていますけれども、そういう物流関係のトラックの構造も変えなきゃいけないのかもしれませんけれども、二人ドライバー、やはりなかなか難しい。そういうときに、長距離ドライバーの方々というのは、やはり一人で乗って、時間を自由に利用できる、そういうのが一番いいと。

 だけれども、今この人手不足ですから、今、国交省さんの方では、ダブル連結トラックとか考えて試行されていらっしゃるというふうには聞いていますけれども、そういう中で、やはりもう少しドライバーの方々の規制をというか、車自身の規制を緩和してほしい。

 例えば、私もちょうど運送会社さんからちょっとお借りしてきたんですが、特殊車両通行許可申請書というのがあります。中を見てみると大変複雑で、これを丁寧に出すというのは、何か月か一年か、こういった期間、この申請を出して通らせてもらうということなんですけれども、この仕組み自身も、すごく普通の中小零細企業では難しい。行政書士の方に任せるとか、そういうことをやられていらっしゃいますけれども、なかなか簡単にはいかない。

 となるとすると、ある程度、車の重量、物流拠点から、そして高速道路に乗って、また物流拠点、こういったところだった場合、それはもうある基準を、幅と高さと、また重量、荷重分散、こういったものをしっかりやっている車については規制緩和をどんどん広げてほしいという声も多くございます。

 国土交通省、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道路の構造を保全し、交通の危険を防止するためには、一定の重量、寸法を超える車両が道路を通行する場合には、車両また経路ごとに通行の許可等が必要となっております。

 これまでも、事業者のニーズまた車両性能の向上などを踏まえまして、道路構造の保全また交通の安全の確保が可能な範囲で様々な規制の緩和を進めてまいりました。

 具体的には、道路を通行できる車両の大きさ、また重さの最高限度、これについては、高速自動車国道等、規格が高く、また安全な走行が可能な道路については、セミトレーラーの連結車、またフルトレーラーの連結車に対して緩和をしてきているところでございます。

 また、近年では、先ほど委員がおっしゃられました、平成三十一年でありますけれども、一台で通常の大型トラック二台分の輸送が可能となるダブル連結トラック、これの通行を認めたり、また、令和元年には、国際競争力を確保するために、国際海上コンテナ、四十フィート、背高のコンテナでありますが、それの車両の通行許可等を不要とする措置などを行ってきたところでございます。

 今後も、事業者のニーズを把握した上で、物流効率化等の観点も踏まえまして、特殊車両の通行の在り方、引き続き検討してまいりたいと考えております。

空本委員 是非よろしくお願いします。

 それと、大型トラック、トレーラー、またフルトレーラー、ダブル連結トラック、こういったもののETC割引制度があります。でも、よく見ると、高速道路で結構、深夜零時とか、ある時間になるとゲートの前で待っている、それで大渋滞を起こしている。それで逆に交通事故が頻発する可能性があるんじゃないか、そういうこともございます。

 この深夜割引制度というものについてですが、もっと拡充すべきじゃないかなという声がトラックドライバーの皆さんから上がっているんですが、これからどうなるのでしょうか。お答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路の深夜割引でございますが、一般道の沿道環境を改善するために、交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用を促進することを目的として、全体の料金をこれは三割引きとしているものでございます。

 この割引につきましては、零時から四時の深夜時間帯に高速道路を少しでも走行すれば適用が受けられるということから、料金所を通過する時間を調整する車両が、零時前後に料金所前のスペースなどに滞留するといった課題が生じてございます。

 こうした課題に対しまして、有識者委員会での議論も踏まえて、割引が適用される時間帯の走行分のみを割引の対象とし、あわせて、この割引適用時間帯、これを二十二時から五時に拡大すること、また、長距離を利用した場合に料金を逓減するという制度を拡充する、そういった見直しの方針を昨年の一月に公表したところでございます。

 現在、高速道路会社におきまして、車両の位置を把握するためのアンテナの設置などを行っておりまして、令和六年度中に開始することを予定しております。

空本委員 しっかりとそれは対策をお願いします。

 そして、もう一つ、外国人の受入れ、これから拡充すると。運送業も、今法務省さんが考えている育成就労制度の移行に合わせて、運送業を特定技能へ移行させるといいますか、特定産業分野へ取り込みをしようとしている。

 じゃ、いろいろなコンビニとか物流拠点で、仕分作業で外国人を見ますが、実際、運送業で、どういう方、ドライバーをターゲットにしているのか。物流作業、中での作業をしている方をターゲットにしているのかという質問と併せて、この仕組み、実は破綻しているんじゃないかなと私はずっと考えていまして、もしトラックドライバーならば受け入れて、運転免許を持っていなかったら運転免許を取らせなきゃいけない。そうなると、それは受入れ企業が負担しなきゃいけない。また、その時間、数か月、受入れ企業が賃金を払っていかなきゃいけない。零細企業が多いですから、やっていけない。大手の企業ならできるかもしれないけれども、難しいんじゃないかなという意味で、どういう産業を狙っていらっしゃるのか。この外国人受入れ、破綻しているんじゃないかな。いかがお考えか。

 まず国交省から、そして大臣から、続けてお答えください。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、賃上げや働き方改革、先ほど来議論されていますような、これらによって処遇を改善する、それから、省人化で生産性を向上させる、そういった取組を行っているところですけれども、あわせて、外国人材の活用に向けた、特定技能制度の対象分野に自動車運転業を追加するということについて、検討を進めております。

 今御質問のありました検討の対象につきましては、まさに運行業務や荷役業務といった、日本人ドライバーと同じ業務に従事できる人材を対象としてございます。

斉藤(鉄)国務大臣 これらの外国人材の活用につきましては、今、特定技能制度について政府全体で検討を行っているところでございまして、そういう中で、しっかりと基本的な考え方、つまり、日本人と同じ待遇、そして、働き続けたいと考えている人は日本の中で働き続けてもらえるような制度、こういう基本的な考え方に基づいて、また、物流の分野にもしっかりとした優秀な人材が集まってきていただけるように頑張りたいと思います。

空本委員 今、国土交通省さんから、やはりドライバー、同待遇で受け入れるということだというふうに私は認識したんですけれども、うなずいていらっしゃるので。

 そうなると、運転免許を持っている方はいいんですが、トラックの運転免許を持っていないという方もたくさん入れていかなきゃいけない。そうなると、ドライバーの、免許を取るための期間とか、その間の保障とか、やはり受入れ企業は難しい。ならば、それをどうするのか、法務省さんとしてどうお考えか。

 また、もう一点。育成就労制度に移行するときに、今、技能実習生で来ている方がたくさんいます。これから三年間の猶予期間を、報道ベースですが、取ろうとしていると聞いていますが、その間に、来ていらっしゃる方、技能実習制度から育成就労制度に移行、日本国内にいるときにできるのだろうか。やはりこれはすごく難しい問題をたくさん抱えていると思うんですが、いかがでしょうか。法務省からお答えください。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の自動車運送業につきましては、国土交通省の方から御説明がありましたとおり、現在、特定技能への追加の可否を検討しているというふうに承知しております。

 出入国在留管理庁といたしましては、この分野追加の可否の検討に当たりまして、自動車運送業を所管する国土交通省や、運転免許制度を所管する警察庁としっかり連携しながら、適切に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 それから二点目の、技能実習制度の廃止、それに伴う経過措置等について、御質問についてお答えいたします。

 政府におきましては、現在、現行の技能実習制度に代わる制度といたしまして、人材育成と人材確保を目的といたします育成就労制度を創設する検討を進めております。この育成就労制度への移行期間や経過措置等の詳細については、現時点についてはまだお答えすることは困難ですけれども、制度の移行の際には、現在、多くの技能実習生を受け入れられているという状況等に留意いたしまして、移行期間を十分に確保し、丁寧な事前広報を行うとともに、現行の技能実習制度を利用している関係者に不当な不利益を生じさせないよう、必要な経過措置を設ける予定でございます。

 なお、育成就労制度は、人手不足を解消するため、外国人にとって魅力ある制度を構築し、長期にわたり産業を支える人材を確保すること、これを目指すものでございます。そのため、御指摘のように、技能実習制度がなくなることで人手不足が生じることなどは想定しておらず、そのような事態を招くことがないよう円滑な移行に努めてまいりたいと考えています。

空本委員 最後に、大臣にお聞きします。

 この問題、やはり外国人を入れるのも簡単ではないしということでございます。そして、二〇二四年問題は全て、やはり労働集約型産業の低賃金の問題。ですから、大企業だけ運送業は残ればいいというのであればいいんですが、やはり、下請している中小零細企業を助けるためには、標準運賃、これを最低運賃にするというのが絶対必要です。だから、今の標準運賃の四分の三ぐらいを最低運賃にする、そういう決定をしない限り、これは前に進まないと思います。是非御検討ください。どうでしょうか。

長坂委員長 斉藤国土交通大臣、答弁は簡潔に願います。

斉藤(鉄)国務大臣 実際に運送している人がしっかりとした運賃をもらう、これがまず基本だと思います。そのために今回、法改正も予定しております。

 今の御提案、即受け入れるわけにはいきませんけれども、しっかりとその精神は通じていると思いますので、今回の法改正、どうか御協力よろしくお願いいたします。

空本委員 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日、私も物流関係のテーマで質疑をさせていただきたいと思うんですけれども、時間が三十分、皆様の御配慮によっていただきましたので、まず最初は、政府が発表しております物流革新に向けた政策パッケージの中に含まれている、高速道路におけるトラックの最高速度規制の見直し、また、先ほども少し出ましたけれども、特殊車両通行制度の運用状況について伺っていきたいと思っております。

 まず、高速道路に係る速度規制の見直しについてなんですけれども、政府は、先般、八トン以上のトラックについて、四月から高速道路上の最高速度を時速八十キロから九十キロに緩和することを決定をしております。

 有識者検討会においては、トラックが既に速度を九十キロに抑える速度抑制装置、いわゆるリミッターの装着を義務づけられており、高速道路での人身事故も減っている状況などを鑑みて、大きな影響をもたらすものとは考えられないとして、これを肯定する見解を表明しております。

 改めて政府に伺いたいのは、今、輸送のキャパシティーが本当にいっぱいいっぱいになっている環境の中で、最高速度を引き上げて輸送効率を高めよう、その考え方については理解ができるんですが、なぜ九十キロなのか、それ以上の速度というのは選択肢になかったのか、議論の経過、そして九十キロという理由について伺いたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 高速道路における大型トラックの速度規制の見直しにつきましては、警察庁において、学識経験者や運送事業者団体等の方々を構成員とする有識者検討会を立ち上げ、検討を行ってまいりました。

 有識者検討会におきましては、交通事故の発生状況、車両の安全に係る新技術の状況のほか、運送事業者やドライバーの方々へのヒアリングやアンケートを通じて、トラックドライバーの精神的負担の観点からも検討が行われたところであります。

 検討の結果、有識者検討会の提言において、九十キロメートル毎時を上限とする現在の速度抑制装置の装着義務を存置した上で、大型トラックの法定速度を九十キロメートル毎時に引き上げることが可能とされました。

 これを受けて、道路交通法施行令の一部を改正する政令が三月一日に公布され、四月一日から、高速道路における大型トラックの最高速度が九十キロメートルに引き上げられることとなったところでございます。

 九十キロメートル以上の引上げに関しましては、現在の技術的な現状からしても難しいという結論になっておるところでございます。

 引き続き、高速道路における道路交通の安全が確保されるよう、広報、周知の徹底や交通違反の取締り強化等の安全対策を推進してまいります。

浅野委員 ありがとうございます。

 今の答弁の中で、九十キロ以上については技術的な課題があるので今は難しいということなんですけれども、そこをもう少し詳しく答弁をいただきたいんですね。

 車両の能力的には九十キロ以上を出すことは可能ですし、また、ドライバーの方も、普通の乗用車であれば、最高時速百キロで運転した経験がある方ばかりだと思いますので、その職業のプロの方ですから、どういった技術的課題があるのか、どんなハードルを越えればそれが実現性が更に近づいてくるのか、その観点で答弁をお願いします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議におきましては、トラックを製造しているメーカー各社からもヒアリングを行いましたところ、現在の大型トラックについては、九十キロメートルを前提とした技術的な検証しか行っておらず、それ以上の技術的な引き上げるための根拠はないということでございまして、現在の技術的な条件としては、これ以上の引上げは難しいということの結論をいただいております。

 また、九十キロ以上に引き上げた場合の安全性に関しても、影響は検証されないということを踏まえて、現時点では、九十キロ以上の引上げは不適切であると判断したところでございます。

浅野委員 今の話を聞いておりますと、検証ができていない、つまり、データがないので九十キロ以上に引き上げる判断ができないというふうに聞こえたんですが、逆に言うと、九十キロ以上の速度で安全性能の検証ができれば、この九十キロという四月からの施行令というのは、また更に見直しが可能ということでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどのメーカーからのヒアリングによりますと、現在の車両については九十キロを前提とした設計となっておりまして、それ以上の設計はしておらず、現状としてもする予定はないということを伺っておりますので、また、世界的に見ても、大体九十キロを規制としているところが多いということがありまして、そういった条件が変わってこない限りは、なかなか九十キロ以上の車両の開発は難しいのかなというふうに受け止めております。

浅野委員 状況は理解ができました。

 メーカー側の設計が九十キロまでということであればそうかもしれませんけれども、そこはもう少し、今のやり取りの中では確証が得られていませんので、これはまた引き続き議論をさせてください。

 では、次の質問に移りたいと思いますが、次は、特殊車両の通行制度です。

 令和四年度から、特殊車両の通行手続については運用改善が図られているというふうに承知をしております。以前は、こんな分厚いファイルを、毎回毎回、通行申請をするときに、ルートを紙に印刷したりして申請をして、それを車両に載っけていないといけなかった。こんなキングファイルが一個必要だったわけですね。これを効率改善して、一部デジタル化しているというふうに聞いておりますが、それから約二年たちました。現在の運用状況と現状の課題について、まずは伺いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年の四月から、あらかじめ登録を受けた一定の寸法、重量を超える車両につきまして、通行が可能な経路をオンラインで確認できる新たな制度、特殊車両通行確認制度の運用を開始したところでございます。

 この確認制度を用いると、主要な道路について、一度に複数の経路が通行可能となるほか、また、即時性もありますので、従来の許可制度と比較して、使い勝手がよくなっているものというふうに考えております。

 この制度は、道路情報が電子化された道路を対象としているため、道路情報の電子化を進めることが重要となってきます。

 道路情報の電子化は、既に、高速道路また国が管理している国道、これでは完了いたしておりますが、都道府県道また市町村道においては、電子化が完了していない部分がございます。この電子化をどんどん進めていくことが重要だというふうに思っております。

 そこで、事業者からの御意見を聞きつつ、平成三十年度以降、実際に利用実績のあったニーズの高い道路の電子化、これを令和八年度までに概成することを目指しまして、これまで年一回の更新作業をしていたわけでありますが、令和四年度から四回に更新の作業を増やしまして、道路情報の電子化の促進を図っているところでございます。

 今後とも、この道路情報の電子化を進めまして、特殊車両通行確認制度の利便性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 令和八年度までに市町村道も含めて全て電子、データ化を完了させるということで、是非そこは推進していただきたいんですが、その際、ちょっと現場の運送業者の方に聞いた声を一つだけお届けさせていただきたいんですけれども、目的地付近の、近くまでは国道、幹線道路があって、そこから先、最後の目的地までのいわゆるワンマイル、ここはどうしても市町村道、県道を通らないと行けないと。ここで電子化されている道とされていない道があったときに、電子化されている道しか選択できないケースが考えられますし、本当はこっちの道を行った方がずっと早いんだけれども、それが選択できないと、非常に効率が、せっかく目の前まで行けても、そこから先の申請に非常に手間取るというケースがどうやら考え得るそうなんですね。

 ですので、この令和八年までの完全データ化を進める際には、そういった、ニーズが高いところからというふうにおっしゃったんですが、今申し上げたような、目的地までの幾つか選択肢があるところをしっかり重点的に、複数確保した上で電子化を進めていっていただきたいと思うんですけれども、そうした配慮をされる予定があるかどうか、ちょっと改めて教えていただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今先生がおっしゃられた最後のラストワンマイルが市町村道であったり県道であったりするわけでございますので、そこを重点的な区間として電子化を進めているところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非、引き続きよろしくお願いいたします。この質問は定期的にさせていただいておりますけれども、また改めて状況を教えてください。

 続いては、ライドシェア事業について話題を移したいと思います。

 今、ライドシェア事業についての議論、この国会でも活発に行われておりますけれども、やはり多くの委員の方々がこれまで質問をされていると思うんですが、ライドシェアといったときに、その定義が定まっていないという問題があると思います。

 今、明確な定義がないというのは、これまでも私、議事録の中で確認済みなんですが、これから、四月から、道路運送法第七十八条の枠内で、タクシー事業者が管理の下でいわゆるライドシェア事業が一部始まるということも言われておりますが、その先には、この後議論になりますけれども、六月までに新たな制度の検討も進めるというふうに中間とりまとめでは述べられております。

 であるならば、やはりここでライドシェアの明確な定義をしておかないと、これは法律の中にライドシェアという言葉の定義も書くべきだと思いますし、これが曖昧なままライドシェアがよいのか悪いのかというのを議論をするのは、国会としてもやはり非常に議論がしづらいわけでありまして、これはちゃんと定義をするべきじゃないかと思うんですが、現状、政府はどのように考えているのか、御答弁をお願いいたします。

鶴田政府参考人 今御指摘がありましたように、ライドシェアとは、一般的には、アプリ等で、自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせて、輸送サービスを提供するものであると考えておりますけれども、決まった定義はないという認識でございます。

 このライドシェアという言葉ですが、これも御指摘のように、場面によって様々な意味で使われていると思いますので、必要に応じて、相互の、お互いの認識を確認しながら議論するということが重要ではないかというふうに思っております。

 ちなみに、今御指摘のありました四月から開始する予定の道路運送法の七十八条第三号に基づく新しいサービスですけれども、これにつきましては、いろいろな意味で使われているライドシェアという言葉ではないんですけれども、名前としまして自家用車活用事業ということで、今検討を進めているところでございます。

浅野委員 必要に応じてお互いの認識を確認しながら議論すべきというふうにおっしゃったんですが、ただ、法律をこれから作ろうとしている、新法を作ろうとしているわけなので、ここでライドシェアの定義を明確にしなければ、なかなかやはり私は難しいと思うんです。

 例えば、今おっしゃったのは、配車専用アプリを活用して、タクシー事業者以外の一般車両が運送事業を行うというような表現をされましたけれども、この表現だけだと実は不十分だと思っていて、例えば、ドライバーの定義がないんですね。

 淑徳大学の松野准教授という方が、一般的な表現として用いているのは、タクシーの営業資格を持たない一般の運転手であること、そして、その運転手が、配車専用アプリ等を提供するプラットフォーム事業者の仲介により、自家用車を使って、営利目的で乗客を運送するサービスだと。今、言葉で申し上げましたけれども、いろいろな要素がこの表現の中に含まれていて、それらがちゃんと満たされたものがライドシェアだというふうに考えるべきじゃないかという提言なんです。

 配車アプリを使っているから、じゃ、ライドシェアなのか、あるいは、タクシーの営業資格を持たないドライバーが人を乗せることがライドシェアなのか。それだけではやはり定義としては不十分だと思いますので、私としては、是非、ライドシェアという言葉の定義を明確にした上で、要件を明確にした上で、そして、法律の、今後の議論に入っていただきたい。それがないと、なかなか新法の議論といっても、また、捉える人の捉え方によって、それはライドシェアではないとか、自家用車活用事業ですねとか、そういう議論がされても、何か話が、ここでの議論がまとまらない懸念が非常に大きいと思いますので、是非そこはお願いしたいと思います。

 次の質問です。

 先ほど申し上げましたが、四月から始まるいわゆる自家用車活用事業というのは、道路運送法第七十八条三号に基づく事業だということですね。

 この第七十八条三号を少し読み上げさせていただきますが、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運用の用に供するとき、そういう記載があります。つまり、公共の福祉を確保するために、大臣の許可を受けて、地域と期間を限定して行うものだというものなんですね。ですから、それは、タクシー事業を大幅に毀損するものではないんじゃないかという捉え方もできます。それでも反対意見は多くありますよ。

 私が伺いたいのは、四月から始まる自家用車活用事業の先に、政府が考えている新法、新たな制度というのもあるやに聞いています。その前提として、道路運送法第七十八条の枠内で行うものなのか、それとも、七十八条の枠を超えて、つまりは、公共の福祉を確保しなければいけないやむを得ない事情がないときでもできるものなのか。今、どのように考えているのか、是非、政府の今の認識を教えてください。

鶴田政府参考人 今御指摘ありましたように、四月から行う予定で今検討を進めていますのは、道路運送法七十八条の第三号に基づくものでございます。

 さっき御質問ありました、六月に向けて議論することとなっている法制度につきましては、これは同じく、道路運送法の第七十八条との関係を含めまして、現時点において決まった内容はないというふうに認識しております。

浅野委員 そうなると、やはりタクシー事業を営んでいる方々の立場からすると、今、現状、タクシー運転手不足です、乗務員不足で、それを補うために、公共の福祉を維持するために、第七十八条の三号の規定を適用して、第二種免許を持っていない、タクシー事業者ではない一般のドライバーの方の力をかりましょう、それで何とか地域の移動の足をみんなで守っていきましょう、そういう理念だと思うので、そこに関しては理解をする人が一定程度いるわけですね。

 ただ、七十八条の枠を超えて、つまりは、我々のこの日本社会の最低限の機能を満たすためにしようがなくやる、仕方なくやるというか、そうではない、必要に迫られていないんだけれども、全く新しい、タクシー事業とは異なる公共交通枠組みというものも射程の中に入るかもしれないとなると、これは非常に大きなインパクトを、タクシー業、既存の輸送業界にも与えるのではないか、この不安が生まれるのは当然だと思うんですね。

 ですから、ここはしっかり、六月までに新法を検討すると言っているんですから、今三月ですよね、ですから、早くこの辺りの、どういう枠の中で新たな制度を考えていくのか、ここぐらいはきちんと政府の方で明確にしていただかないと、国民としても不安でしようがないと思うんです。ですから、そこは早く表明していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

鶴田政府参考人 今、四月から開始する予定のサービスというのは、昨年来、地域交通における担い手の不足、それから移動の足の不足、こういった喫緊の課題に対応するために検討を重ねて、タクシーを補完するものとして、現行の法の枠内で、今、導入をすべく準備を進めている、そういうものでございます。

 六月に向けて法制度を議論するというふうになっておりますけれども、それにつきましては、四月から開始する新しい制度の実施効果をしっかりと検証した上で議論をしていくべき事柄というふうに考えております。

浅野委員 ちょっと更問いが続いて申し訳ないんですけれども、四月から始まる自家用車活用制度の効果を見て、検証して、六月に向けてということなんですが、ということは、六月までに何らか結論を出そうというものではないんですか。

 六月に向けてという、その向けての表現がよく分からないんですが、四月から始まったら、どう考えても一か月以上は利用状況を見ないと、やはり統計的なデータも集まらないと私は思うんですが、六月に向けてというのは、何を意図して向けているんですか。

鶴田政府参考人 まさに六月に向けて議論ということで、それ以上でもそれ以下でもないというふうに考えております。

浅野委員 済みません、では、時間は流れていきますので、六月に向けてということは、七月にも向けているし八月にも向けているということですので、その六月が何で出てきたのかが、この議論を通してよく分からなくなってしまったんですけれども。

 私が申し上げたいのは、六月というと、皆さんもおっしゃっていますが、通常国会会期末の時期ですから、その頃に何らかまた新しい方針を出せるようにみたいなお考えを持っているのか、それとも、六月がなぜ出てきたのかが、ちょっと今の議論からだとよく分からない。六月に何かあるんですか、それ以外に。もう少し、なぜ六月なのかを教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の事の始まりは、地域の足が不足しているという現状から、総理からデジタル行財政改革会議に検討の指示があったものでございます。

 その中で、デジタル行財政改革の中で、いわゆる現行法制度を超えた部分もあるような制度について議論を進めるということで、そのデジタル行財政改革の中の、現在は、この四月から始まる制度を検証しつつ六月に向けて議論をする、こういう表現になっております。

 私は、先ほど馬淵委員にお答えしたとおり、この四月から始まるこの事業を検証した上で、六月に向けて議論する、このように申し上げているところでございます。これが現状でございます。

浅野委員 大臣が答弁をいただいたんですけれども、それでもやはり、その六月という数字がどこから出てきたのか、総理の指示なのか、ちょっと今の答弁だと分からなかったので、是非引き続き教えていただきたいと思います、事務方の皆さんでも構いませんので。

 時間が来ていますので、次の質問に。今、大臣、既存の枠も超えて、いろいろ幅広に検討するように総理から指示があったというふうな趣旨をおっしゃいましたので、ちょうど次の質問でそれを聞こうと思っていたんです。

 今回、デジタル行財政改革、中間とりまとめの議論が行われました。その中でもやはり、既存のタクシー事業あるいは道路運送法第七十八条の枠の外も視野に入れた新法を六月に向けて検討するというようなやり取りがあったわけですね。このデジタル行財政改革の議論の中で参加者の皆さんがどういう意見を言っていたのかというところが非常に私は重要だと思っているんです。一つの目安になると思っております。

 そこで伺いたいのは、タクシー事業とライドシェア事業が将来的に同一の市場で競争関係になることを容認したり、あるいは、それを推進するような意見がこの会議体の中で出たのか、あるいは、両事業が将来的にも相互補完的な関係であるべきという意見が出たのか。これまでの議論もありましたように、この四月からの自家用車活用事業というのは、あくまでも第七十八条の範疇で、公共の福祉を確保するために時間と期間を限定して行われる事業ですから、将来的にも競争関係になるのか相互補完関係になるのか分かりませんけれども、ライドシェアとタクシー事業が将来的に共存していくべき、それに関わる意見というのは出ていたんでしょうか。

鶴田政府参考人 デジタル行財政改革の年末の中間とりまとめに向けた議論におきましては、ライドシェア事業というものに関して、具体的な内容はこうだということが議論されたわけではございませんので、今御質問のありましたような、タクシー事業とライドシェア事業が将来的に同一の市場で競争関係になることを容認するとか推進するとか、そういった意見はございませんでしたし、また逆に、将来的にもその二つの事業が相互補完的な関係であるべきだという御意見もなかったところでございます。

 ただ、関連しまして、新しい交通サービスについて議論する場合には、今現に存在しているタクシー事業とのイコールフッティングの観点が重要であるといったような御意見はあったと承知しております。

浅野委員 これは非常に、是非私は議論していただかないといけないんじゃないかなと思うんですね。なぜなら、やはり、この議論の出発点はドライバー不足で、公共交通の輸送能力不足から端を発してこうした議論になっていますので、タクシーのドライバーがこれから増えて、タクシー事業者のみで輸送能力を充実させられるのであれば、それはいいのかもしれませんが、そうではないですよね、今後の見通しとしては。現状、大変厳しいというふうに聞いております。

 そういった中で、では、タクシー事業とライドシェアというのがどれだけの期間共存しなければいけないのか、その間、相互補完的な関係になるべきなのか、競争関係になって、もっと料金を下げる方向に行くべきみたいな意見も出てもおかしくないと思うんですね。私は、それには余り賛成しないんですけれども。ですから、こういったテーマでの議論というのは是非やっていただきたいというふうに思います。

 続いて、大臣に、もう時間が来ましたので伺いたいと思うんですが、私は、今、六月に向けて検討される新たな制度に対して、賛成とも反対とも、何も情報がないので、自分の意見を明確に示すことができません。

 ただ、一つ言えるのは、アメリカでウーバーが導入されて、二〇〇九年から二〇一五年のデータを使って、オックスフォード大学の研究者が調査を行いました。その結果、既存のタクシードライバーの平均賃金が一〇%減少し、ウーバーを利用しているドライバーの賃金が一〇%増加したというデータが出てきたそうであります。

 最終的にどうなったかというと、アメリカでは、全てのドライバーに最低賃金保障、そしてウーバーというプラットフォームを既存のタクシー事業にも導入する、全員が同じプラットフォームの中で、まさにイコールフッティングということもありましたが、同じ環境の中でやっていきましょう、そんな流れも出てきているんです。

 ここで是非大臣にお願いしたいのは、ライドシェア事業も含めて、運転手に一定以上の賃金を保障すべきであり、それを法定化すべきだと思いますし、また、これはちょっと観点がずれますが、労務管理の観点から、ライドシェアのドライバーは副業としてやる場合もある、その場合、本来の業務と副業を含めた過重労働のリスクが出てくる、この労働時間管理、そして最低の賃金保障、これらを法定化すべき、それを議論していくべきだというふうに思うんですけれども、これに対して大臣の見解を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私は、この議論の中で一貫して申し上げておりますのは、第一に、ドライバーや車の安全、これをどうしっかり担保するか。二番目に、事故が起きたときの責任、この責任を明確にしておかなければなりません。そして三点目に、一点目と二点目と同じような重要さで、いわゆる働く人の労働条件、これが守られるべきである、このように申し上げてまいりました。

 本年四月から実施予定である自家用車活用事業においても、適切な賃金、そして過重労働とならないよう、現行法を前提として制度設計を行っているところでございます。

 六月に向けて議論することとなっている法制度については、タクシー事業に係る規制緩和や四月から実施する新制度の実施効果を検証した上で、丁寧に議論をしていく必要があると考えております。

 その際にも、政府が掲げる賃上げの方針と矛盾することがあってはなりませんし、また、過重労働となるような雇用形態があってはならないと私は考えております。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は、大臣所信に対する質疑ということで、私、大臣所信のスモールコンセッションとか、i―Constructionとか、建築BIMとか、PLATEAUというのが分からなかったので、本当に質問しようかと思ったんですけれども、人格者の大臣のことなので、意地悪はやめて、でも、所信は、国民に対する大臣の所信ですから、是非、国民に分かる言葉で、我々にも分からないし、誰にも分からない言葉で格好をつけないで、大体霞が関が横文字を使うときは内容に自信がない場合でございますので、分かりやすく説明していただけたらと思います。

 まず第一点目に、JR東日本の事故について議論したいと思います。

 資料一がございます。

 これは、二〇二三年から、一月から三月までの間でこれだけ多くの事故が起きております。一月十七日の東海道貨物線大船駅構内であわや感電事故、これも大きいんですけれども、その後の、川越線は列車が正面衝突しそうになったりとか、六月は内房線で感電で死亡事故、六月二十四日は、これは皆さん記憶にあると思いますけれども、Suicaが不具合になって全然使えなくなっちゃったとか、七月には今度は大崎駅の信号トラブルで山手線がラッシュ時に動かなかったとか、八月には、これも記憶にあるかと思いますけれども、東海道線で電柱のところに電車が突っ込んで、ガラスが割れて運転手がけがをしたとか、今年になってからも立て続けに、東北新幹線の上野―大宮間で架線がだらっとなって、その修復作業中の作業員が感電したりとか、翌月には横須賀線のトンネル崩落で約十時間運転見合せ、二月には横浜線の中山駅でも作業員が墜落死亡、つい先日は、東北新幹線でオーバーランをして東京―盛岡間で一時運転見合せ。これは、普通は考えられないような事故が立て続けに起こっているんですね。

 私は、令和四年五月のこの委員会の質疑で、最近のJR東は何かおかしいんじゃないかという質問をさせていただきました。トイレのない駅とか、これはたがやさんも取り上げましたけれども、女性一人で夜なかなか乗れないようなワンマン運転とか、駅から時計がなくなるいじめとか、公益企業としての異常な労使関係とか、いろいろなことを言いましたけれども。

 破れ窓理論というのがあって、窓が一枚破れていると、その町の治安は著しく悪化して、凶悪事件が起こるというのがあるんですね。これは、破れ窓以上の事故が相次いでいて、単なる保安体制の不備とかじゃない、全体的な会社の体質、雰囲気、そうしたものが、こうした相次ぐ事故を起こさせているんじゃないかと思うんですよ。

 二〇〇五年のJR西日本の福知山線の事故も記憶に新しいですけれども、そうしたものが起きかねないと思わなければならないんだと思いますけれども、大臣、御認識いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 令和五年度四月から十二月におきまして、JR東日本では、鉄道運転事故が速報値として百二十七件発生し、このうち鉄道事業者の責任によるものは、御指摘の大船駅構内での事故など二件となっており、その他は踏切障害事故などでございます。

 また、同じく令和五年度四月から十二月において、事故が発生するおそれがあると認められるインシデントについてはゼロ件となっております。

 御指摘の東海道線大船駅構内での事故については、令和五年八月五日に、走行中の列車が電柱と衝突し、乗客、乗務員計五名が負傷したものであり、長時間にわたり運転を休止するなど、利用者に多大な影響を与えたことは誠に遺憾であります。

 国土交通省としては、一般論としても鉄道事故は発生しないことが望ましいことから、JR東日本に対し、このようなトラブルについて、原因究明や再発防止措置について速やかに指示しており、今後とも、鉄道の安全、安定輸送の確保に向け、事業者を適切に指導してまいりたいと思います。

福島委員 何かJRの方みたいな答弁なんですけれども、表面的な件数じゃないんですよ、私が言っているのは。それを見ているから分からないんです。

 これは具体的な、起こっていること一つ一つ、ごく初歩的だけれども、深刻な問題なんですよ。だから、私は、普通の保安規定がどうだとか、そういうことじゃない、会社全体の問題じゃないかと思うんですね。

 前回のときも、大臣は、国土交通省として、仮に鉄道の安全、安定輸送に関わる問題が生じてくることがあれば適切に対処していくことになると考えていますけれども、これだけ起きるのは、私は、まさにそういう事態だと思いますよ。

 鉄道事業法五十六条に立入検査の規定があって、それを基に、鉄道事業等監査規則というのがあります。その七条二項で、国土交通大臣は、特に必要があると認める場合監査を行うものとするとして、監査ができるんですね。

 これは、私、特別に一回入って、保安の監査とか、事業の監査、業務の監査とか、別にして、しっかりこれは、警告するだけじゃなくて、見ないと、いずれ大きな事故が起きたら、遅いと思うんですよ。知床のあの船のような事故が起こらないと限りませんから。是非、私は、これは鉄道事業法に基づく特別な監査を行うべきであると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、JR東日本に対しては、鉄道事業法第五十六条に基づき、輸送の安全を確保するための取組が適切であるかどうかなどを確認するため、毎年定期的に保安監査を行っております。

 保安監査におきましては、鉄道営業法に基づく技術基準などの関係法令への不適合が確認された場合には、会社の安全管理体制などの背後の要因についても確認を行っており、事業者に対しては、それらの要因も含めて原因を究明した上で、再発防止策を講じるよう改善指導を実施しているところです。

 国土交通省としましては、今後とも、こうした保安監査も活用しながら、鉄道の安全、安定輸送が確保されるよう、JR東日本も含む鉄道事業者に対して適切に指導を行ってまいりたいと思います。

福島委員 いや、だから私は、その保安監査で見抜けない、もっと体質的な、構造的な問題があるんじゃないかと申し上げているんです。私はこれは、極めて近い将来、事故が起きる可能性はかなり高いと思っていますよ。そうなったときにまた慌てないように、是非今から、JR東日本の業務の運行体制というのはしっかりと見て、今までの監査のやり方じゃ見えなかったところに必ず原因はあるんです。そういう思いで是非見詰めていただければと思います。

 二点目は、水道事業の一元化であります。

 所信でも、上下水道一体となった体制の下で、効率化と基盤強化を図ってまいりますと答弁されております。昨年四月二十六日に、この法改正の厚生労働委員会の連合審査で私も質疑に立たせていただきました。

 問題は、これまで上水道というのは、飲む水ですから、公衆衛生とか人の健康についての立場から厚生労働省が見ていたんですけれども、新しい法律は、国土交通省と環境省の共管です。環境省には、公衆衛生とか人の健康についての知見もなければ、その権限もないんですね。法律上、国交大臣や環境大臣には様々な権限があるんですけれども、厚生労働大臣にはございません。仮に、水道水に毒薬がまかれたというテロが起きる、バイオテロとか、あるいは疫病が水道経由ではやったというときは、やはりこれは厚生労働省に頼らなきゃならないけれども、取っかかりになる法律の権限がないんですね。

 これは、一元化した後、厚生労働省、どのように対応するか、是非答弁をお願いします。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 現状では、健康への影響が懸念される水道の水質事故等が発生した場合には、必要に応じて、水道担当部局が、省内の感染症対策ですとか保健所等を所掌する関係部局等へ情報提供いたしまして、連携して取り組むということにしてございます。

 こうした対応につきましては、水道行政移管後の四月以降についても変わることはなく、国土交通省から厚生労働省へ情報が提供されるものと承知しておりまして、これは、両省において連携しながら必要な対応を取っていくということでございます。

福島委員 私は、本来はこれは法律で権限を決めるべきだと思います。というのは、やはり行政は法律がないと動かないんですね。いざというときに動かない。私と斉藤大臣は何度も原子力でその思いをしているわけです。最初、事故が起きたときはきちっとやるけれども、喉元を過ぎて十年たつと忘れちゃって、また三・一一のときに、対応できないということが起きるわけですね。

 行政はやはり文書主義なんですよ。私は、どういう業務で何をやるかというのを、ちゃんと内部規定なりマニュアルを作って、特に危機管理の部分については、国土交通省と厚生労働省の役割というのを文書としてちゃんと決めて、ずっとそれができるようにするべきだと思うんですけれども、私、これは通告は出していないんですけれども、大臣、それをやっていただけませんかね。

斉藤(鉄)国務大臣 いよいよ四月一日から上水道行政が国交省に移管されまして、国交省、これまで下水道を担当しておりましたので、上下水道一体として行政を担当してまいります。

 その上で、先ほどの疫病とか感染症等の心配が起きたときの対応でございますが、これは先ほど厚労省からお答えがあったように、これまでと全く変わりません。我々が厚生労働省の担当部局に連携し、研究機関や部局と連携し、必要な対応を行っている、これまでと全く変わりません。

 本年四月の水道行政の移管後は、国土交通省が責任を持って同様の対応ができるよう、厚生労働省や水道水質基準を所管する環境省との連携体制や、水道事業者への立入検査を始めとした対策などに関するマニュアル、法律ではありませんけれども、文書に書いたマニュアル、これを整備しております。

 国土交通省としましては、水質事故の迅速かつ適切な対応も含め、水道行政の円滑な移管に向けて、本省、地方整備局等の移管準備チームを中心に着実に準備を進め、対応に万全を期していきたいと思います。

福島委員 是非よろしくお願いします。

 次は、盛土等規制法の施行状況です。

 所信でも、盛土対策については、昨年施行されました盛土規制法の規制措置が実効性を持って行われるように取り組んでまいりますと言っています。

 私は、盛土と言っているから駄目だと思うんですね。盛土等なんですよ。今回、新しいのは、例えば、メガソーラーを山を削って造るというのもこの盛土等規制法の改正なんですけれども、国土交通省の頭は、住宅の宅地造成の盛土が頭にあるから、等とつけられないんですね。このことを私は令和四年の四月の審議でも何度も議論させていただきました。

 特に森林というのは、参考人質疑でもありましたけれども、平地に盛土をするのじゃなくて傾斜地に、硬い岩盤の上に盛土をすると、それがごそっと落ちたりとか、あるいは、別に切土をすると、今度は地形の影響によって水が一気に集まってほかのところに影響を与えたりとか、一般的な盛土じゃない様々なリスクがあるということを、参考人質疑で太田参考人もおっしゃっております。

 ですから、切土とか山に対する盛土の基準というのは従来と違うものが必要ですよという議論を行ってきたんですけれども、この盛土等規制法施行令第二十三条では、工事許可を要する特定盛土等の定義として、切土では、切土であって、高さ五メートルを超える崖を生じることと。

 この五メートルの根拠は何かと事前のレクで問うたら、これは土砂災害防止法等の急傾斜地の対象を根拠と。これはおかしいんですよ。土砂災害防止法等の急傾斜地というのは、今ある崖が五メートルなんですよ。新たに五メートルを積むというリスクと、今五メートルの崖があるというのは全く違って、土砂災害防止法等で五メートルだから盛土とか切土が五メートルで安心というのは、全く私は科学的根拠がないと思うんです。

 恐らく、これは政令を作るときに手抜きの議論をしているんじゃないかと思うんですけれども、工事許可を与える要件でありますから、手抜きしないで、もうちょっとちゃんと、山の場合、山林の場合、平地の場合、傾斜地の場合、下が岩盤の場合、土砂の場合、それぞれで全くリスクが違いますし、盛土でも切土でも違うんですよ。もうちょっとこれは科学的に、丁寧に基準を作った方がいいと思うんですけれども、大臣いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 この基準は、有識者委員会での検討を踏まえ決定したものでございます。

 そのことをまず最初にお話しし、ちょっと細かくなりますが……(福島委員「じゃ、もういいです」と呼ぶ)いや、今のお話に反論するためには細かい議論になりますが。

 でも、いいかげんに決めたというような趣旨がございました。決してそうではありません。有識者委員会できちっと検討して決まったものでございます。

福島委員 私は、決してそうは思いません。あの根拠を聞いて、五メートルとかというのは。もっと複雑な基準になるはずなんです、本来は。

 さらに、特定盛土等規制区域、都道府県が指定するんですけれども、これは私、ここで法律の議論でもしましたけれども、要件が厳し過ぎて、本来幅広く区域が設定できるようにすべきじゃないかと言ったんですけれども、斉藤大臣は、人家等被害を及ぼすおそれのないエリアも含めて国土の全域を規制対象とすることは、過剰な規制となるだけでなく、届出の処理や区域内の監視を行う地方公共団体にとっても過剰な負担になると考えておりますと答弁しています。

 実際、今のところ、特定盛土区域を指定しているのは、どういう区域を指定しているんでしょうか。お答えください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 盛土規制法に基づく規制区域の指定でございますが、広島県が令和五年九月二十八日に、鳥取県、鳥取市が令和六年一月一日に、それぞれ規制区域を指定しております。広島県につきましては、指定都市である広島市、それから中核市である呉市、福山市は除いております。

 これらの自治体における規制区域の範囲につきましては、宅地造成等工事規制区域それから特定盛土等規制区域、これを合わせまして、管内全域が指定されたということで承知をしております。

福島委員 そうなんですよ。管内全域なんですよ。私の地元の茨城県も県内全域。

 大臣、だから、法案審議のときにいいかげんな答弁書を役所から渡されているんですよ。あのときに法律をちゃんと修正して、全県が適用できるような定義にしていればよかったんですよ。結局、私が言ったことを、事実上運用でやっているんですよ。

 その結果、茨城県では、この資料の裏にありますけれども、残土無許可埋立てみたいなものが出てきているんですね。早く施行しなければならないのに、都道府県だって悩むと思うんですよ、条文を見れば。全県指定していればいいんですよ、こんなものは。結局、答弁と違う方向になってしまっている。

 さらに、盛土等規制法第十一条、二十九条では、盛土等の許可を受けようとする工事主が、あらかじめ周辺土地の住民に対して説明会の開催その他の措置を講じなければならないと。

 「その他」と「その他の」では法律の効果が違って、「その他の」と言われているから、説明会が開催されなくなるおそれがある。どういうふうにこれは省令で決めるんですかとやったら、宇野局長は、今後検討しますと言ったんですけれども、結局、施行規則第六条は、住民の周知の方法等は次に掲げるいずれかの方法といって、一、説明会の開催、二、書面を住民に配布、三、適当な場所に工事内容を掲示してインターネットに出せばいいと。

 こんなの誰も説明会なんてやらないですよ、インターネットで出すのが楽なんだから。結局これも、説明会なんて法律の条文で書いてあるけれども、全くの骨抜きになっているんですよ、大臣。だから私は、法律の条文の審査を一条一条丁寧にやっているし、おかしなところは国会で直せばいいんです、我々は立法府なんですから。

 先ほどの都道府県の指定区域だって、私は、なるべく広くした方がいい。特に、茨城県なんかは平地が多いから、急傾斜地とかだけを指定したら、県内はほとんど入らなくなるんですよ。でも、この記事に出ている鹿嶋というのは平地ですから、やはりここをやっておかなきゃならないわけですよ。それと、条文に差があるから条文を見直した方がいいでしょうと言ったし、さっきのも、「その他の」を「その他」とすれば、必ず説明会を開かなきゃならなくなるから、「の」を削除するという修正をやれば私はいいと思うんですね。

 是非、今後も、これからも、私は、国土交通委員会での法案質疑は、条文に基づいて、丁寧な議論をやりたいと思っていますので。

 大体、役所が渡す答弁というのはいいかげんですよ。誰も、こうやって法律の施行後、質問しないんですよ。だから私は、今日あえて質問したんです。法律で施行したときに、全部答弁から覆してまた別の方向をやっているわけですよ。そうならないようにするために抑えるのが我々立法府の役割ですから。

 大臣、今後の法案審議で修正の提案とか、あるいは、答弁できなくて止まっちゃったこともありましたよね、あれだったら、もう間違いなく、この場で条文修正して、よりよき法律を作った方がいいと思うんですけれども、大臣のこの国土交通委員会で法律改正に臨む姿勢というのを是非お伺いできればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず最初に、結果的に全区域指定になったではないかというお話でございますが、これは、あの当時、あの法律の枠組みとして、非常に強い規制のものであって、そういう法律の在り方からして、最初から国が全地域を指定するというやり方がいいのだろうかと。今回のように、よく現場を知っている地方が考えて、地方が最終的に広い範囲を指定した、こういう方が適当であるという法律の枠組みになっている、これは御理解をいただきたいと思います。

 それから、常に、福島委員は役人が渡した答弁書を読むだけだとおっしゃいますが、その答弁書を作るために、これは全省庁挙げて、例えば、ゆうべも夜遅くまで国交省の幹部も一緒になって、どういうふうにお一人お一人の御質問に対して答弁していくかということをきちんと議論して、国交省全体の意見としてまとめたものでございまして、役人が勝手に私に渡したものではございません。そういう意味で、私がここで読み上げる答弁は、国土交通省を代表した、そして、国土交通省の全ての者が納得している、そういう答弁である、こういうふうに御認識をいただきたいと思います。

 そして、その上で、しっかりとこれからこの法案につきまして提案させていただきますので、審議をいただければ、このように心からお願いする次第です。

福島委員 大臣は、行政府の人間であるとともに立法府の人間であることに議院内閣制の意味があるわけですよ。ですから、法律を作る側の立場に立って役所を指導しなければなりませんので、是非とも国会議員として、国会側の立場に立ってこれから審議に応じていただければと思います。

 この国会は、政治改革が最大のテーマですけれども、本来、我々がやらなければならないのは立法府の機能の強化、本来の立法府の機能の役割を果たすことであると思いますので、これからもそうした質問をしてまいりますので、是非、これからもよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組で唯一牛歩をしていない、たがや亮です。

 斉藤大臣、委員長を始め理事、委員の皆様、今国会もどうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、大臣所信では、新時代に地域力をつなぐ国土とうたい、地方への人の流れの創出、拡大を図ることが重要として、すばらしい所信が述べられました。

 しかし、その政府の方針に著しく逆行しているのではないかという事案がありますので、取り上げたいと思います。

 前の国会でも、私やほかの委員からも、先ほども谷田川委員、福島委員からも質疑がありましたけれども、JR東日本が鉄道利用者をないがしろにして、利便性よりも利益の追求に走っているのではないかということを指摘させていただきましたが、トイレがない、時計もない、みどりの窓口もない、有人改札もない。ない、ない、ないです。吉幾三やシブがき隊の歌じゃあるまいしという話です。

 さらに、大臣、今度は快速電車がなくなるんです。

 資料一を御覧ください。

 今、千葉県では、JR東日本から京葉線の快速をなくす方針が示され、大変な騒ぎになっています。資料の青と赤の部分、通勤快速と快速電車の運行が、今週末、三日後に廃止されます。

 続けて、資料二を御覧ください。

 これを危惧した千葉県内の二十の自治体から、今年二月、JR東日本宛てに要望書が提出されました。要望書の提出以降、国交省から自治体とJRがコミュニケーションを取るように指導したとのことですが、具体的にどのような内容で協議しているのか、大臣、把握されていますでしょうか。お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 今春の京葉線のダイヤ改正につきまして、今年二月に、千葉県内の二十の市町からJR東日本に対しダイヤの再検討を求める要望書が提出されたことは承知しております。

 その上で、JR東日本が行っている主な地方自治体との具体的な協議の概要については報告を受けており、引き続き、沿線自治体等に丁寧に説明するよう指導しているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 指導し、話合いをしたとのことですが、自治体は全くいまだに納得しておりません。解決していないんです。

 資料三を御覧ください。

 鉄道事業法二十三条で、「事業改善の命令」として、国土交通大臣は、鉄道事業者の事業について輸送の安全、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めたときは、鉄道事業者に対し、列車の運行計画を変更することを命ずることができると規定されているが、京葉線の快速廃止について、現状、二十三条にのっとり、大臣命令を出さずに様子見をしている理由は以下のどちらでしょうか。一、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実がないと判断。二、阻害しているが命令を出すまでではないと判断。大臣、どちらでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道事業法第二十三条に定める事業改善命令については、同条第一項に、国土交通大臣は、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときに、列車の運行計画を変更することを命ずることができると規定されております。

 本件ダイヤ改正においては、通勤時間帯の通勤快速及び快速が各駅停車に置き換わるものであり、蘇我駅以遠からの一部の旅客については、東京駅等主要駅までの所要時間が増加する場合がある一方で、従来通過していた市川塩浜駅や新習志野駅等の旅客の乗車機会が増加するほか、混雑が平準化されるなど、利便の増進が図られている側面もあるものと承知しております。

 このため、全体としては、公共の利益を阻害している事実があると認められるとまでは言えないと考えております。

たがや委員 JRの言い分をうのみにしちゃうとよくないと思うんですよね。

 JRの言い分の中に、快速をなくしても総武線があるからいい、そういう強弁もあります。京葉線を利用する方々は、新木場駅で大半が乗り換えるんです。総武線は新木場駅を通らない、結果不便になる。実態を把握されていないと思うんですよね。利用者である二十もの自治体からこれだけ厳しい意見が出ている中、その判断は大問題だと思いますけれども。

 では、そもそも利便性とは何でしょうか。一、サービスを提供する側が決めるのか。二、それを利用する側が決めるのか。どちらが主体的に決めるのか、大臣、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道事業法第二十三条に定める事業改善命令については、この第一項に、国土交通大臣は、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときに、列車の運行計画を変更することを命ずることができると規定されており、御質問の利便を阻害する事実があるかどうかは、国土交通大臣が判断するものとされております。

 この際、一般論で申し上げますと、鉄道事業者や利用者の状況等を踏まえ、総合的に判断するものと考えております。

たがや委員 えっ、どっちが、今、判断ですかね。今、判断できますか、大臣。大臣の判断でいいということですね。

 時間がないので、ちょっと進めますね。

 快速をなくせば利便性が高まるというJRの論理でいえば、例えば東海道新幹線、「ひかり」、「のぞみ」がありますけれども、全部各駅でもいいという話にもなっちゃうんですよね。

 私も、京葉線沿線の自治体に、独自の緊急アンケートを先週末にしました。その結果、先ほどの要望書が生ぬるいと感じてしまうほど、物すごく辛辣な意見が多く寄せられました。

 資料四を御覧ください。読み上げますね。千葉県、県民の利便性が大きく低下する内容が含まれており、県内各地域への速達性が損なわれることによって、本県や市町村のまちづくりや企業の経済活動への影響、沿線地域の価値低下といった影響が懸念される。東京オリンピックサーフィン会場の一宮町、強く抗議の意を表し、早急な撤回をお願いしている、朝晩通勤時間帯の速達性を根本から奪い去るもの、外房線沿線の住民の利便性を大きく損ない、生活形態を崩壊させるばかりでなく、今後の沿線地域における発展の機会をも消失させる、都心への交通網がなくなれば、移住者の動向や今後のまちづくりにさえ影響しかねない。タレント小倉優子さんのふるさと、こりん星、茂原市、東京方面への速達性が低下し、これまで進めてきた都市づくり、まちづくりに多大な影響を及ぼす可能性が高く、企業活動や経済活動にも影響が出る。住みたい田舎ランキング一位のいすみ市、外房地域からの通勤通学の利便性の低下、観光客減少などによる経済的影響、移住、定住者の減少など、市民の生活を始め、まちづくりや産業、観光など様々なものに影響を及ぼす。睦沢町、今回のダイヤ改正は断じて受け入れ難い。

 大臣、アンケート内容には、利便性だけでなく、地域経済の発展を阻害するなど、利便性と公共の利益について懸念する厳しい意見が出ています。アンケート結果を見てもなお、大臣、命令を出さなくてもいいと、今、判断されますか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどもお答えしたとおりでございますけれども、今回、一部通勤時間が増すという場合がある一方で、従来通過していた駅の旅客の乗車機会が増加する、また、全体として混雑が平準化されるなど、利便の増進が図られている側面もあるものと承知しております。

 このため、利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認められるとまでは言えないと考えておりまして、事業改善命令を発出する状況ではない、このように思っております。

たがや委員 大臣、様々見てまいりましたが、やはり大臣が所信で思い描く地方、地域の形と今回のJRダイヤ改正は、矛盾をはらんでいると思います。大臣所信や、速達性がなくなるということで、広域的な地域活性化という総合的な政策に逆行することにはならないでしょうか。今後、成り行きを見守り、阻害する事実が出てきた場合は、大臣、快速廃止を撤回する命令を出すということで決断していただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、コロナ禍を経て、若者、子育て世帯を中心とする二地域居住へのニーズが高まっておりまして、このような二地域居住の促進を通じた広域的地域活性化のための基盤整備を一層促進し、地方への人の流れの創出、拡大を図ることが必要であると考えており、今回の法案を提出し、地方の活性化を目指したものでございます。

 この二地域居住の促進のためには、一般論として、交通基盤を含む居住者の利便性の確保も重要と考えております。

 いずれにいたしましても、JR東日本からは、今後、地域とよく話をしながら柔軟に検討していく意向と聞いております。引き続き、沿線自治体等とよくコミュニケーションを取るよう指導してまいりたいと思います。

たがや委員 言いたいことは山ほどあるんですけれども、もう時間が来ましたので、まとめます。

 多くの自治体の首長さんたちがここまで厳しい意見を口をそろえて言われているので、線引きは難しいと思いますけれども、一つの事案を許すと全国に同じような事案が瞬く間に広がってしまう懸念があります。最初が肝腎で、ここで一定の歯止めが必要だと私は思います。利用者の観点、地方への人の流れへの創出、拡大を図るという大臣所信の理念を踏まえ、必要ならば大臣命令を出していただくことを強く要望し、質問を終わります。

 よろしくお願いします。

長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、多くの委員も取り上げたところでありますが、物流二〇二四年問題、トラックドライバーの件について質問をいたします。

 大臣に伺いますが、いわゆる二〇二四年問題とは具体的にどういうことか、何が問題と思いますか。

斉藤(鉄)国務大臣 物流産業を魅力あるものとするため、本年四月から時間外労働の上限規制がトラックドライバーに適用されます。一方、何も対策を講じなければ物流の停滞が生じかねないという、いわゆるこれが二〇二四年問題でございます。具体的には、二〇二四年度に一四%、三〇年度に三四%の輸送力が不足する可能性があると試算されております。賃上げや働き方改革による物流の担い手不足の解消や、生産性向上が大きな課題となっております。

 このため、荷主、物流事業者、消費者が協力して我が国の物流を支える環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容を対策の三本柱とする物流の革新に向けた政策パッケージを取りまとめ、抜本的、総合的な対策を進めております。

 国土交通省としては、物流の停滞が生じないよう、また、物流産業が魅力あるものとなるよう、関係省庁、産業界と連携し、この二〇二四年問題に対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 四億トンの荷物が運べなくなるなど、非常に大きな問題として取り上げられています。だけれども、元々は何かと考えたときに、やはりドライバーの働き方を改善するんだ、そこからスタートしていたはずなんですね。私は、本末転倒になっている、このように思います。

 資料の1を見ていただきたいのですが、左上、青色が大型トラック、オレンジ色が中小型トラックの運転手、緑が全産業の平均です。解説にあるように、全産業平均よりも約二割、四百時間から四百五十時間長く働いています。一方、年間賃金は全産業平均より二十万から六十万も低い。長く働いて賃金はむしろ安い、これでは、人手不足になるのは当然だと思います。

 2を見てください。

 左が令和四年度の労災請求件数、一番目の自動車運転従事者がそれに該当すると思うんですが、百四十四件で、二位の販売、四十八件と比べても三倍もあります。右が決定件数、これも一位なんですが、五十七件、二位のサービス業、接客などが十三件に比べると四倍以上です。運転手の過労死などは十四年連続ワーストワンなんですね。

 大臣、なぜトラック運転手の過労死などが毎年ワーストだと思われますか。二〇二四年問題、荷物を運べないなどと言う前に、これを解決するのが最も急がれる課題だし、そのための働き方改革ではなかったんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 トラック運転者は、今資料で示していただいたように、他の産業に比べ労働時間が長く、過労死の件数が多いことから、時間外労働の上限規制の適用などにより、健康と安全を確保することが重要です。まさにここがスタート点だと私は思います。

 本年四月からトラックドライバーに適用される時間外労働の上限規制は、トラック運送業を、適正な労働時間と、そして、適正な労働時間でもちゃんと賃金がもらえる適正な賃金、これが両立する魅力ある職場とするための大前提条件でございます。

 国土交通省としては、トラック運転者の健康と安全を確保しつつ、物流を持続的に成長させるべく、厚生労働省とも緊密に連携し、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)委員 資料の3に、トラック運送業界の働き方改革が四月からどうなるかがあります。

 これは、上のところに、年間九百六十時間超となるドライバーがいるというのが、全体で二九・一%、長距離運転の方は三八・六%がいるということで、一般労働者は、働き方改革、七百二十時間なわけです。五年間の猶予を経てなお多い。

 私は、やはり長時間運転するドライバーこそ、本当は一般の労働者よりもむしろ厳しく規制をすべきだと思っているんですね。そして、もっと早くやるべきだと思う。だけれども、それが残念ながらかなわなかった、そう簡単にすぐには整えられなかった、だけれども、もう五年間たってしまった、このこと自体が本当に責任が問われると思うんです。改善基準告示がまだ一般労働者よりは長い、月単位で見れば過労死ラインも認める極めて不十分な中身だと思っております。

 こうした中、昨年六月、物流革新に向けた政策パッケージ案が出され、高速道路での大型トラックの最高速度制限を引き上げることが提案されました。これを受け、高速道路における最高速度の在り方に関する有識者検討会が開かれ、十二月にまとめた提言では、トレーラーは現状維持だけれども、大型トラックは九十キロまで引き上げることとされました。その理由を述べてください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 高速道路における大型トラックの速度規制の見直しについては、警察庁において、学識経験者や運送事業者団体等の方々を構成員とする有識者検討会を立ち上げ、検討を行ってまいりました。有識者検討会におきましては、交通事故の発生状況、車両の安全に係る新技術の状況のほか、運送事業者やドライバーの方々へのヒアリングやアンケートを通じて、トラックドライバーの精神的負担の観点からも検討が行われました。

 検討の結果、大型トラックについては、交通実態として九十キロメートル毎時に近い実勢速度が確認されていること、そうした中でも安全装置の普及により交通事故件数が全車種と同程度減少していることなどを踏まえ、九十キロメートル毎時を上限とする現在の速度抑制装置の装着義務を存置した上で、その法定速度を九十キロメートル毎時に引き上げることは可能という結論に至ったところでございます。

高橋(千)委員 確かに、交通事故の件数は減っております。しかし、平成三十年から令和四年までの普通自動車等の死亡事故、これは五年単位で数字を出しておりますので、事故率は、二・二%に対して、同時期の大型貨物自動車等の死亡事故率はその二倍以上となっています。その二倍以上となっているという指摘は、第一回の有識者会議で出された資料であります。

 これは、もっと言えば、一年単位で見ますと、令和二年度から二年、三年、四年と行きますと、大型トラックの交通事故件数は二百七十七から三百五十四、そして三百八十四と増えています。死亡重傷事故の件数で見ても、令和二年から、四十三、五十六、六十五件と、この三年間増えているんですね。私はそもそも、増えている、減っていると言っても、これだけの数があるということ自体、無視できないはずだと思っています。

 この間も、普通自動車、大型乗用自動車など、順々に速度規制を上げてきました。そして、大型トラックについても、全日本トラック協会などから要望が上がっていました。それでも八十キロのまま据え置いてきたのは理由があると思いますが、警察庁に再度伺います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 高速道路における大型トラックの速度規制の見直しにつきましては、大型トラックは、ほかの車両より重量が大きいため、事故発生時に被害が重大化しやすく、高速道路における死亡事故率は普通自動車と比較して高いこと等から慎重な検討が必要であるとされてきたところであります。

 一方、高速道路における大型トラックの速度の規制の見直しが物流革新に向けた政策パッケージの検討課題の一つとされたことを受け、警察庁において有識者検討会を立ち上げ、検討してまいったところでございます。

 その結果、大型トラックの交通事故件数及び死亡重傷事故件数が全車種と同程度減少していること、さらに、この三十年間で死亡事故率についても約四割減少していること等を踏まえ、九十キロメートル毎時を上限とする現在の速度抑制装置の装着義務を存置した上で、大型トラックの法定速度を九十キロメートル毎時に引き上げることは可能という結論に至ったところでございます。

高橋(千)委員 二〇〇九年、二〇一一年と規制改革要望、全日本トラック協会から出されて、いずれも、警察庁としては、交通事故の発生実態等に基づき、適時、最高速度の見直しを行っているが、大型貨物自動車に関わる交通事故は、交通事故等が普通自動車に比べて高いこと、高速度での事故は重大事故となるおそれが高いことなどから、八十キロが合理的であると答えてきたわけです。全国規模で対応不可のC判定を出していたと思います。

 今おっしゃった慎重に見てきた理由の、重量が大きいから、当然、崩れたときのぶれ方とか制動距離とか様々あるわけですけれども、その問題というのは、つまり、事故の件数が減ったとかいろいろなリミッターをつけたとか、そういうことでは覆せない理由ではないか。つまり、事故が一たび起こってしまったときの影響ということが問題だと思うんです。

 有識者会議の中では、交通事故の被害者団体からのヒアリングも行われています。北海道交通事故被害者の会は反対だと明確に言っています。TAV交通死被害者の会は大反対と答えました。その理由は、高速度になればなるほど制動距離が長くなり衝突などの危険性が高くなる、運転者の視野が狭くなることなどにより危険回避が困難だ、衝突時のエネルギーが高くなり被害がより深刻になる、技術等の向上により自動車の安全性能が向上したとしてもこの事実は変わることはないと指摘をしています。

 技術が向上したとしてもこの事実は変わることがない、この点はお認めになりますか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 高速道路における事故、最終的には一件も起こらないようにしていかなければなりませんが、その中で、技術の進歩が一歩一歩進む中で、その安全性についても向上しているものと考えております。

 速度規制につきましても、今回、総合的に検討して、様々な観点から、事故の現状そして安全装置の装着状況、これを勘案して、九十キロへの引上げを決定したところでございます。

高橋(千)委員 事故が、技術が進歩した、減った、その話は分かっています。その上で聞いています。影響というのは、大型トラックという特性からくる事故が起こってしまったときの影響というのが大きい、それは変わらないでしょうという指摘について、同じだと、いいですかと聞いています。

小林政府参考人 お答えいたします。

 大型貨物自動車に関する事故のデータ、かつ、これまで、スピードリミッターの装着でありますとか様々な安全装置の装着の義務づけ等によりまして、かなり事故の低減というものは図られてきているという状況がございます。この事故データ、こうしたものについてもしっかり見ていく必要があると考えております。

 ただ、大型自動車のエネルギーが大きいことによる事故の発生という可能性はございます。それを最低限抑えていくということの方策を様々な観点で進めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 きちんと正面から答えていないと思うんですね。それはやはり、なぜか、やらなきゃいけないという前提が先にある、そういうことだと思います。

 パブリックコメントを見ました。車体重量が重く、重心が高いなどの特徴があるからこそ、スピードが強くなるほどその影響は大きく、衝撃力や遠心力が大きくなり、重大事故の危険性が大きい。現場をよく知っている方たちの意見は本当に重要だと思います。この理由はやはり変わらないというのが基本じゃないかと思います。

 その上で伺いますが、一般ドライバーへのアンケートの中で、大型トラックの速度規制引上げについて、追越し車線を走行するトラックが増えることを懸念していますね。トラックが九十キロで走っている場合、普通車が追い越すのも大変になるし、あるいは、二車線をトラックが塞いでしまって渋滞の原因にもなる、こういう指摘も出されています。これはパブコメの中でも多数指摘があります。

 本来、大型トラックは、高速道路では基本第一車線、左側の車線を走ることが決められていますが、こうした指摘に対してどう考えますか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、有識者検討会においては、そこで実施をしました一般ドライバーに対するアンケートにおいて、追越し車線を走行する大型トラックが増加することを懸念する声があったほか、トラックドライバーの交通ルール遵守でありますとか運転マナーの向上、悪質、危険な交通違反の取締りの強化等の対策を求める意見もありました。

 こうしたアンケート結果を踏まえまして、キープレフトの原則や、追い越されるときは追越しが終わるまで速度を上げてはならないといった交通ルールを改めて周知するとともに、追越し車線を継続して走行する通行帯違反等について重点的に交通指導取締りを推進してまいります。

高橋(千)委員 新しい懸念、影響が出てきているということだと思うんですね。

 実勢速度は既に八十七キロになっていると聞きました。九十キロ以上は技術的に出ないことになっている、安全性には問題がないといった結論が出たわけです。その間に、例えば、いすゞとか、三菱ふそうとか、日野自動車など、トラックメーカーからのヒアリングでも大丈夫だと言われたと。それはそうでしょう、メーカーにしてみればそう言うに決まっています。

 では、逆に、大したことがないよ、もう既に九十キロ近くまで今走っているんだから大したことないよとおっしゃる皆さんの、最高速度九十キロへの引上げが、いわゆる二四年問題にどれほどの効果をもたらすと考えていますか。

鶴田政府参考人 高速道路の速度規制の引上げにつきましては、トラックドライバーの労働時間の短縮、物流の効率化に資するものと考えております。

 例えば、高速道路の東京―大阪間、約五百五十キロでございますが、これにつきまして、現在は休憩時間を含めて七時間三十分程度かかりますが、速度規制の見直しによって、これが六時間四十五分程度に短縮されると推計しております。

高橋(千)委員 あっさりしていましたね。

 では、資料の4を見てください。

 高速道路における平均速度のシミュレーション、これは一日の拘束時間というふうにあります。上段は今の速度規制に応じて見た場合であります。

 これは全日本トラック協会の試算でありますけれども、今、法定速度は八十キロだけれども、連続運転の中断時間なども踏まえて平均速度を七十キロとしたと。朝九時に出発して、一・五時間かけて荷物を積み込み、約七百キロメートルの高速道路を十一時間かけて運ぶことになる、間に一時間の休憩を入れ、高速を降りて二十三時になり、そのまま市場に向かうと一日の拘束時間は十六時間、改善基準告示違反になってしまう、なので、インターバル、休息時間九時間を取らなければならないですというのが上の表です。

 下の段は、運行のところが七百キロメートルを九十キロで走るので、同じく休憩を一時間入れても八・七五時間で高速道路を降りることができる、そうすると、休息時間を入れずに一気に目的地に着いて、翌日の市場の競りに間に合うようになる、輸送をできる、こう言っているわけですね。

 これというのは、結局二時間短縮したら、休息時間を取らなくてもよくなる、よく言えば回転率がよくなる、悪く言えば更に忙しくなって緊張が続くと言えませんか。

鶴田政府参考人 トラックドライバーの改善基準告示、これは、健康や安全の考慮を十分にした上でどれだけの連続運転などが許容されるかという観点で、厚生労働省において、政労使で協議、検討を重ねて定められたというふうに承知しております。

 これを遵守するという大前提の下で、速度規制が変わるとこういった効果が出るというふうに試算をされているものというふうに承知しております。

高橋(千)委員 今日、厚労省は呼んでいませんからね。こういうときに、厚労省の決めたことみたいに責任を投げないようにしていただきたいと思います。

 資料の5を見ていただきたいんです。トラックドライバーの、先ほど来、私、過労死が多いよという話をしてきましたけれども、脳、心臓疾患の発症で最も多いのは、荷扱い中、五八・一%ですよね。これは、有識者会議などでも指摘をされます。早く着いたって、待ちぼうけなら意味ないじゃないか、こういう指摘もありました。

 また、最後の資料は、なぜ過労死になったのかという原因別で見ると、拘束時間が長い、五八・一%なんですよ。だから、言いたいのは、さっき、二時間短縮になるよって言いましたけれども、より早く運べるという規制緩和が、むしろ、荷主からの圧力など、運転手の緊張を高め、心理的負荷を強めることになりかねないと思いますが、どうでしょうか。これは大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 走行速度が高くなることで、トラックドライバーの緊張度、疲労度が増加する懸念は、警察庁が開催した検討会において昨年十二月に取りまとめられた提言でも指摘されていると承知しております。

 国土交通省としては、トラックドライバーに過度な負担がかからないよう、物流業界と連携して、適切な運行管理に向けしっかりと取り組んでいきたいと思っております。荷主からの圧力が増すことのないよう、荷主団体への普及啓発等も含めてしっかりと対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 荷主からの圧力という表現、私、しましたけれども、早く走れるんだから、その分、だから、最初に言った二〇二四年問題と叫ばれているときに、四億トンの荷物が運べなくなる、それを達成するためには、速く走った分更にもう一回転しろよと、こういう形の圧力になっちゃったら、やはり、最初に言った過労死対策、働き方改革とはかけ離れたものになるわけですよね。

 その認識、もう一度伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 私も冒頭申し上げましたとおり、今回の改革のスタートは、トラックドライバーの労働環境の改善ということでございました。その原点が忘れられてはならないと思います。

 今回は、荷主団体も含めて、このトラックドライバーの健康とそして労働環境の改善を図っていこうということで、荷主団体にも入っていただいていろいろな関係閣僚会議等も行っております。しっかり取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)委員 原点を忘れてはならないと大臣がおっしゃいましたので、非常に大事な答弁だったと思います。何のためにやっているのかなというのが、どんどん忘れてしまってはならない。荷主との関係性だとか、国交省が努力をされていることは承知しています。その上で言っているわけですから。

 それで、私は、やはり速度制限の緩和は反対です。これ以上、事故や労災が増えるなら、物流の危機に拍車をかけるだけだと思います。これは、こういう意見、パブコメの中にもありました。結果として、二〇二四年問題を解決できないどころか、もっと深刻になるのではないか、このように思っております。

 最初に話したとおり、本来の働き方改革、運転手不足を解決する道は、長時間労働に頼らなくても安心して暮らせる賃金引上げ、これを目指すべきだと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 物流を持続的に成長させるためには、適正な労働時間と適正な賃金が両立する、魅力ある職場としていくことが重要です。このため、国土交通省としては、物流の効率化に向けた取組と併せて、賃金の原資となる適正運賃を収受できる環境の整備を進めてまいります。

 具体的には、トラックGメン、これは荷主Gメンに改めるべきだという意見もございましたけれども、このGメンの設置により、荷主等への是正指導を強化するとともに、標準的運賃についても、年度内の引上げや、荷待ち、荷役の対価、下請手数料など、新たな運賃項目の設定等に取り組んでおります。

 加えて、多重下請構造の是正に向けた取組を元請事業者に義務づけることなどを盛り込んだ法律案を今国会に提出しております。

 国土交通省としては、これらの取組を通じて、関係省庁、産業界とも連携し、ドライバーの賃上げや労働環境の向上に向けてしっかり取り組んでまいります。

高橋(千)委員 法案については、これからまた議論が始まるので、そのときに、今大臣がおっしゃったことなどを深めていきたいなと思うんですが。

 本当に、例えば私どものところに、もっと働けるようにしてほしいという声も寄せられているんです。労働時間の規制があることによって給料が安くなっちゃう、そういう声がある。とても切ないと思うんですよね。それは、賃金引上げが期待できない、長時間労働で自分の健康を犠牲にしても、まともな賃金をやっとそれでもらえている、それがやはり当たり前になってはいけないと思うんです。

 また、正直、この委員会の議論を聞いていて、ふと思ったんですけれども、時間が長く働けなくなると、じゃ、副業が議論されるんじゃないか。そういうときに、ライドシェアという言葉が出てきたり、やはりこれは、本当に話が本末転倒になってしまうということを重ねて指摘をしなくちゃいけないなと思うんです。だから、大切なドライバーを増やさなきゃいけないけれども、減らしたらもう絶対駄目なんだという立場に立たなきゃいけないと思うんですね。

 過重労働であるトラックドライバーは、改善基準告示を一般労働者よりも厳しくあるべきだと思っています。これは、私、医師なども同じだと思っているんです。だから、本当は一気にやってほしいんだけれども、ただ、一日も早く、一般労働者と同じ基準、これは諦めないでほしい、これを目指してほしい、決めるのは厚労省だと逃げないで、国交省のリードがあってこそ実現すると思いますが、一言お答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに今日は、トラックドライバー、運送業の話題になりましたが、建設業も含めまして、社会を支えているエッセンシャルワーカーでございます。そういう方々がきちんとした労働条件の中、一般の労働者の方々と同じような労働条件の中で、かつ、全産業平均以上の待遇が得られる、そういうことが持続的な産業になっていく根本だと思いますので、それに向けて、所轄官庁である国土交通省は頑張っていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今日は、かけ持ちしていたら、珍しく時間にちょっと余裕がありましたので、ここで終わりたいと思います。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

長坂委員長 次に、内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 奄美群島及び小笠原諸島につきましては、それぞれ昭和二十八年、昭和四十三年の本土復帰以来、国による特別措置を講じ、関係地方公共団体や島民の方々の不断の努力により、基礎条件の改善と振興開発を着実に実施してまいりました。

 しかしながら、両地域は、本土から隔絶した外海に位置しているなど、厳しい地理的、自然的特性等の特殊事情による不利な条件を抱え、なお本土との間に経済面、生活面での格差が存在しております。両地域の自立的な発展、住民の生活の安定及び福祉の向上並びに移住及び定住の促進を図るため、引き続き、特別の措置を講ずるとともに、地域主体の振興開発の取組を進めていく必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、それぞれの法律の有効期限を令和十一年三月三十一日まで五年間延長することとしております。

 第二に、それぞれの法律の目的と、両地域の基本方針及び振興開発計画に定める事項に、移住の促進に関する事項を追加することとしております。

 第三に、奄美群島の振興開発に関する基本理念に、沖縄との連携の促進を追加するとともに、鹿児島県が作成する交付金事業計画の対象事業及び独立行政法人奄美群島振興開発基金の業務を拡充することとしております。

 第四に、両地域の振興開発を図るに当たって必要な配慮規定を充実させることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十六分散会


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