衆議院

メインへスキップ



第3号 令和4年11月15日(火曜日)

会議録本文へ
令和四年十一月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 稲田 朋美君

   理事 井原  巧君 理事 堀内 詔子君

   理事 牧原 秀樹君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 勝彦君 理事 吉田 統彦君

   理事 池畑浩太朗君 理事 古屋 範子君

      上杉謙太郎君    柿沢 未途君

      勝目  康君    小林 鷹之君

      田畑 裕明君    武村 展英君

      土田  慎君    中山 展宏君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    平沼正二郎君

      船田  元君    松島みどり君

      宮崎 政久君    保岡 宏武君

      青山 大人君    伊藤 俊輔君

      石川 香織君   大河原まさこ君

      櫻井  周君    西村智奈美君

      早稲田ゆき君    浅川 義治君

      一谷勇一郎君    國重  徹君

      吉田久美子君    田中  健君

      本村 伸子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           安楽岡 武君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     西野 太亮君

  井坂 信彦君     伊藤 俊輔君

  石川 香織君     西村智奈美君

  沢田  良君     一谷勇一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     鳩山 二郎君

  伊藤 俊輔君     櫻井  周君

  西村智奈美君     石川 香織君

  一谷勇一郎君     沢田  良君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻井  周君     井坂 信彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

稲田委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局参事官柳瀬護さん、消費者庁政策立案総括審議官片岡進さん、消費者庁審議官真渕博さん、消費者庁審議官依田学さん、総務省自治行政局公務員部長大沢博さん、法務省大臣官房審議官柴田紀子さん、文化庁審議官小林万里子さん、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成さん、農林水産省大臣官房審議官安楽岡武さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康さん。

勝目委員 おはようございます。自由民主党、京都一区の勝目康でございます。

 本日は、消費者問題に関する特別委員会、初めての質問の機会を頂戴いたしました。委員長並びに理事各位、同僚議員の皆様、感謝を申し上げます。

 それでは、早速、さきの河野大臣の御挨拶の内容を踏まえまして、質問に入りたいと思います。是非、積極的な御答弁、よろしくお願いをいたします。

 まず初めに、霊感商法等の悪質商法や悪質な寄附による被害者の救済に係る制度改正についてお伺いをしたいと思います。

 旧統一教会につきましては、霊感商法、悪質献金、いわゆる宗教二世の問題、様々な御指摘があるところであります。凄惨な御経験をされた被害者の救済、あるいは再発防止、そしてまた宗教法人法上の適切な権限の執行、これらをしっかりやってほしいというのが、地元を歩いていましても、今、有権者の皆様、国民の皆様が求めておられることだろう、このように思うところであります。

 他方で、法改正あるいは新法の制定ということになりますと、これはもう一般規範ということであります。旧統一教会に対してのみならず、より広く、多くの方に適用され得るということになります。そのため、過度に広範な権限を行政権に与えることにならないか、あるいは憲法で保障されている信教の自由を本当に侵害することにつながらないか、こうした論点についても、リーガルマインドを持って検討を行って、将来に予期せぬ禍根を残さないようにしないといけない、こうした面にも留意が必要だと思うところであります。

 さて、大臣は、さきの委員会において、霊感商法等の悪質商法や悪質寄附等について、被害の発生を予防し、救済を容易にするために必要な法制度の整備を行います、このように述べておられます。

 十一月八日の会見において岸田総理は、今国会に消費者契約法と国民生活センター法の改正案を提出予定だ、最後の詰めを政府として行っているんだ、このように述べておられます。

 消費者担当大臣として、現行法についてどのような課題があると認識をされ、また、その課題にどう対応しようとされておられるのでしょうか。まだ議案として出されていない段階でありますが、大臣としての問題意識あるいは現時点での方針について、なるべく具体的にお聞かせいただきたいと思います。

 また、総理も新法に言及されていますけれども、消費者契約法の改正だけで、被害の予防、救済に関し十分な対応になるとお考えか、大臣としての思いをお聞かせください。

河野国務大臣 おはようございます。

 消費者庁が開催をいたしました検討会では、取消権の要件が現在の消費者契約法では厳し過ぎる、それから、俗にマインドコントロールと言われている期間のことを考えると取消権の行使期間が短過ぎる、それから、消費者契約法の対象にならない寄附で被害が出ているのではないか、そうした問題提起がなされているところでございますので、取消権の対象を拡大する、あるいは行使期間を延長する、こういうことを少しやっていかなければならないのではないかと思っております。

 また、献金などの悪質な被害の救済という観点からの新法の検討も行っているところでございます。

 また、法律を改正するというだけでなく、相談対応の充実あるいは消費者教育の推進ということも併せて行いながら、被害者の救済、再発防止というものを行っていきたいというふうに思っております。

勝目委員 ありがとうございます。

 まさに、今、河野大臣がおっしゃったような課題というもの、これはもう立法措置でないと対応できないもの、それからまた、現場の運用をしっかり改善していくこと、いろいろあるんだろうというふうに思います。

 まずは、立法措置につきましては、政府で今行われている詰めの論議をしっかり行っていただいて、国民の皆様の御期待にお応えできる、そういう法整備をお願いしたいというふうに思います。河野大臣の突破力に御期待を申し上げますとともに、関係省庁がしっかり連携をして、内閣としての総合的な御対応をお願いしたいというふうに思います。

 悪質商法等に限らず、消費者被害防止の最前線が相談業務でございます。

 令和四年版の消費者白書によりますと、令和三年の総相談件数が八十五万件。直近多かったのは二〇一八年ですが、この年は架空請求事案が非常に多くて、百三万件ということであります。おおむね八十万から百万件ぐらいの相談が毎年寄せられているということであります。

 この相談業務の担い手、これは主として地方の消費生活センターであります。したがって、地方のセンターの体制をしっかり確保していく、このことが消費者行政の肝だというふうに思います。

 地方のセンターの体制確保には、三つの側面があると思います。

 まず、面的にカバーをしていくということ。各都道府県はセンターが必置である一方、市町村は努力義務ということになっておりますけれども、きめ細かな相談対応、あるいは市町村行政の連携、こういった観点から多くの自治体で積極的に設置をされているというところでありまして、一定この面的な整備は進んできているのかなというふうに思っております。

 次に、相談員の数であります。社会のデジタル化等に応じて相談業務の執行体制の効率化というものも図っていくということでありますので、相談員の数の総数の増減だけを取り上げてどうこう言うというのは必ずしも適当でないかもしれませんが、いずれにしても、地域の実情に応じて一定の数を持続的に確保していかないといけない、こういうことだと思います。

 そして、何より重要なのが三点目でありますけれども、相談員そして相談業務の質をいかに確保し、向上させていくか、こういうことだと思います。

 社会は大きく変化し、また多様化をしております。例えば、今年度から成年年齢の引下げが行われました。彼ら、彼女らを狙った悪質な商法から被害を防止するために、消費者行政としても、これら若年層にしっかりアプローチをしていかないといけないわけであります。そのためにはデジタルの知見も必要ですし、SNSの活用など、デジタルツールでの対応も求められます。

 その一方で、単身世帯の高齢者、これも増えております。認知症等、脆弱性を抱える高齢者への対応というのは、地域での見守りの力もおかりしながら行っていく必要があるということで、求められるアプローチも全然違ってきているわけであります。

 聞くところによりますと、相談員の方の年齢構成、四割が六十歳以上ということであります。また、現時点でLINEでの相談を行っている団体は三団体、メール相談を含めても二百程度だ、このように伺っておるところでもあります。

 こうした現状を踏まえまして、地方の消費生活センターの体制について、特に質の確保、向上の観点から、現状と課題、今後の方向性をお伺いしたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、令和二年四月に地方消費者行政強化作戦二〇二〇を策定いたしまして、消費生活センターの設置や、消費生活相談員の配置、レベルアップ、それから見守りネットワークの設置などを進めてきているところでございます。

 消費生活センターの体制の現状につきましては、今委員からも御指摘ございましたように、現在、二十七の都道府県が、目標であるセンター設置市区町村の人口カバー率九〇%以上を達成しており、量的な面での体制につきましては一定の進捗が見られているところでございます。

 また、強化作戦では、誰もがどこにいても質の高い相談を受けられるよう、専門の国家資格を有する相談員を配置している自治体の人口カバー率についても目標として掲げてございまして、現在、四十一の都道府県が、目標である人口カバー率九〇%を達成してございます。

 また、見守りネットワークについてもお話ございましたけれども、設置市区町村の都道府県内人口カバー率五〇%以上を目標としているところ、現在、達成しているのは十六都道府県にとどまっているということで、引き続き自治体への働きかけや支援に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、消費生活センターの質の確保と向上につきましては、地方消費者行政強化交付金や相談員の担い手確保事業などの国が直接行う事業、それから相談員向けの研修などを通じまして、相談員の確保と相談員の質の向上など地方公共団体への支援を行っております。

 また、こうした取組に加えまして、本年四月にはSNS相談マニュアルを策定するなど、まさに若者がアクセスしやすいように、委員御指摘のSNS等を用いた相談受付手法の多様化にも取り組んでございまして、デジタル時代に即した相談対応についても引き続きしっかり対応をしてまいります。

 消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられますよう、また、高齢者、若者も含め、様々な世代のニーズに応えられるような地方消費者行政の質の確保、向上に向けて、今後とも取り組んでいきたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 デジタルと高齢者、特に今、言及いただきましたけれども、今後、消費者行政を担っていくに当たって、特に意を用いて対応していかないといけない分野だというふうに思います。国と地方と、そして民間と、それぞれの力を結集する必要がある、このように考えるところであります。

 とりわけ、デジタル時代にあっては、商取引というものは地方自治体の範囲をはるかに超えて行われるわけでありますから、国の責任として、安心、安全な暮らしの確保というものを支えていただく、そしてまた、地方の現場の声もよく聞いて、センターの質の確保と改善に取り組んでいただきたいというふうに思います。これは強く要望しておきたいと思います。

 続きましては、相談のしやすさという観点で、消費者ホットライン一八八、通称「いやや」、何で関西弁なのかなと思いますけれども、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは、電話で一八八にかけていただくと、当該区域を所管する地方消費生活センターにつながる仕組みでありまして、毎年おおむね三十万件程度でしょうか、利用があるというふうに伺っております。覚えやすい電話番号でありますし、これを通じて、気軽にといいますか、何か問題に直面したときに支障なく相談する先につながるということは非常に大事なことだと思います。

 ただ、そもそも電話というものをどう考えるかという、そんな時代であります。一般に、電話回線というのは、同時に通話しようとするとつながらない、通話料の負担、こういった問題もあります。先ほどSNSによる相談のお話、御答弁いただきましたけれども、ネットの普及によって、通信手段は電話回線によっての通話には全く限られないということになってきております。

 こういう状況下にあって、この一八八について、現状と、そして、消費者庁さんとしてどう評価されているか、また今後の方針についてお聞かせいただきたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、消費者トラブルで困ったときにすぐ相談していただけますように、平成二十七年度から消費者ホットライン一八八(いやや)を運用しておりまして、様々なツールを用いて周知を行い、相談窓口の活用促進を図ってきております。

 委員御指摘のように、令和三年度に消費者ホットライン一八八(いやや)を経由して行われた消費生活相談件数は大体三十万件ぐらいでございますけれども、消費者ホットラインは、消費者が消費生活相談を活用しやすい環境の整備に向けては一定の役割を果たしてきているものとは承知してございます。

 ただ、消費者ホットライン一八八(いやや)の認知度につきましては、令和三年度消費者意識基本調査によると、名前と内容の双方を知っていた人は八・六%、名前を知っていた人と合わせると四四・三%ということで、更なる認知度の向上は必要であるというふうに考えてございます。今後ともあらゆる機会を捉えて情報発信に努めていきたいと考えております。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、消費者庁では、地方消費者行政強化交付金を通じて、電話以外の相談ツール、メールやSNSなどの相談ツールの多様化に向けても取り組んできてございます。そうした地方公共団体の支援などにも取り組んでいるということで、全ての消費者が消費生活相談をより活用しやすくなるよう、しっかりと対応していきたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 デジタル時代といいましても、電話を中心に通話、通信されている方がほとんどであるというのが世の実態だと思いますので、この一八八(いやや)の認知度向上を是非お願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、今度は消費者行政に関する情報の流通についてお伺いしたいと思います。

 この機能を担っているのが、いわゆるPIO―NETであります。一九八四年に運用が開始をされて四十年という長い歴史と伝統を誇るシステムだということでございます。ただ、情報システムの場合、歴史と伝統と言っていると、これはパッチワーク的に更改を重ねる、いわゆるレガシーシステムに陥る危険と隣り合わせだというふうに思います。

 今年、消費者庁さんと国民生活センターさんでアクションプランを作っておられますけれども、この中でも、PIO―NETについては、システムが最適化されることなく重厚長大化した、このように記載をされております。

 このアクションプランにおいて示されている、いわば理想像というものがあるかと思います。これはもうまさに画期的なものだと思いますけれども、ただ、いざ実装していこうということになると、では過去蓄積されてきたデータはどうするんだとか、あるいは、現場を担う地方のセンターは対応できるのか、まさに、デビル・イン・ザ・ディテールと言いますけれども、詰めてから動かしていかないといけない。このフィージビリティーを確保することもプロジェクトマネジメントの観点からは重要かなというふうに思うところであります。

 尾崎政務官は、デジタル庁の御担当でもありますし、また、高知県知事として地方行政の御経験もおありです。こうした状況の中で、PIO―NETの更改、どういう方針で取り組まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

尾崎大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、消費者庁では、本年六月に消費生活相談デジタル・トランスフォーメーションアクションプラン二〇二二を策定したところでございまして、デジタル技術を活用したPIO―NETのシステム面の刷新など、中長期的なデジタル化の検討を進めているところであります。

 現時点までの成果としましては、地方消費者行政強化交付金などを活用しまして、メールやウェブフォーム、SNSなどによる相談受付手法の多様化に取り組む地方公共団体の支援を進めているところでございまして、本年八月末時点で約二百の団体においてメール等による相談受付を実施しているところです。また、SNS相談の導入支援の一環として、本年三月にSNSによる消費生活相談対応マニュアルを作成し、これを地方公共団体にも共有したところでございます。

 PIO―NETそのもののシステムの刷新ということも大変重要な課題でありまして、消費者向けFAQや、相談データの解析手法の開発、相談員向けオンラインマニュアルなど、アクションプランに記載されている項目の一部については先行的に整備を進め、順次実用化をしつつ、PIO―NETの回線や端末、システム体系等の刷新に向けた取組を業務体制の整備と併せて進めているところであります。

 そして、御指摘の地方公共団体における対応ということも非常に重要になってこようと考えるところでございまして、これらのシステム面の対応、相談機能の充実等が地方公共団体においても必要になるわけであります。地方の意見をよく聞きながら、地方消費者行政強化交付金などを活用して的確に支援してまいりたいと考えているところであります。

 今後とも、消費者のことを第一に考える視点を軸にしまして、相談員の働きやすさの向上なども進めながら、消費者被害の最小化に資するよう、しっかりとデジタル化を推進してまいりたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 まさに地方、現場の声をよく聞いていただいて、ただ、レガシーシステムの課題というのは、これはしっかり乗り越えていかないといけないわけですので、是非よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 今ほどはこの消費者行政のDXの基盤となるPIO―NETの更改についてお伺いをしましたが、このデジタル社会にあっては、広告の在り方も変わってきているということであります。今やもう誰もが発信者になれる時代であります。

 こういう中で、ステルスマーケティングというものが課題になっています。主要国の中で日本だけがステマ規制がない、こういうふうな指摘もあるところでございまして、消費者庁さんとしても問題意識を持って、急ピッチで御検討を進めていただいているというふうに承知をいたしております。この検討会の中で、グローバル企業が日本だけステマをやったという例、具体例としては書かれていませんが、そういう実例があるということは示されております。

 このステマ規制につきまして、具体的にどのように制度化を図っていくのか、スケジュール感、検討会で出ている論点等、方向性についても御教示いただければと思います。よろしくお願いします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、委員御指摘の問題意識も踏まえまして、ステルスマーケティング、すなわち、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す行為につきまして、景品表示法の観点からの対応を検討するため、本年九月から、各方面の有識者にお集まりいただいて、ステルスマーケティングに関する検討会を開催してきております。

 検討会では、年内を目途に一定の結論を得られるよう精力的に御議論をいただいておりまして、消費者庁といたしましては、今後、検討会での結論が得られ次第、その結論を踏まえまして、必要な対応を迅速に行ってまいりたいと考えております。

 具体的な制度化につきましては、検討会での議論が現在行われている最中ですので、確たることは申し上げられませんけれども、現行の景品表示法では、表示内容に有利誤認ですとか優良誤認がない場合にはステルスマーケティングを規制できないというのが実情でございますので、検討会においては、景品表示法の規制が及ばないステルスマーケティングに対する規制の必要性があるですとか、具体的な規制の在り方としては、迅速な規制の実現の観点から、景品表示法第五条第三号の告示に指定するということが考えられる、そういった方向で議論が進んでいるところでございます。

勝目委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 どうぞこれからも積極的な消費者行政の推進、よろしくお願いをいたしたいと思います。

稲田委員長 次に、土田慎さん。

土田委員 おはようございます。自由民主党の土田慎でございます。

 今日は、貴重な質問の時間を賜りまして、心から感謝申し上げます。

 今日は、先般の河野大臣の消費者行政に関する所信に対する質問ということでお時間を賜りましたけれども、二十年以上前に河野大臣に、私が小学生のときに、つきっきりで国会見学を案内していただいて、そんな大臣に対して質問する日が来るとは思いませんでしたけれども、今日はよろしくお願い申し上げます。

 今日、私が質問させていただこうと思っているのは、大きく三点でございます。一つが消費者庁の物価関連業務について、二点目は食品ロスについて、そして三点目は、若者の消費者被害の防止とそのアフターケアについてでございます。

 一点目の物価関係業務についてでございますけれども、冒頭から質問になってしまいますが、生活関連物資が値上がりしておりまして、そのモニタリングを消費者庁としてはやっていらっしゃると思いますが、モニタリングの結果、過度な生活関連物資の値上がりが認められたときに、消費者庁の取り得る手段を教えてください。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁におきましては、民間のPOSデータを活用して、生活関連物資の価格動向の迅速な把握に努めているところでございます。

 仮に、今後、生活関連物資に顕著な動向が認められるというような場合には、当該物資所管庁へのヒアリングなどにより、状況の把握をまずは行うことになります。

 その上で、物価が高騰し又は高騰するおそれがあって、生活関連物資等の価格が著しく上昇し又は上昇するおそれがあると認められるときには、必要に応じ、国民生活安定緊急措置法、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、そして物価統制令、いわゆる物価三法の適用を事業所管省庁とともに検討をし、価格や需給の安定を図ることになります。

土田委員 ありがとうございました。

 今、物価関連三法のお話をいただきましたけれども、この物価関連三法が作られた当時というのは、今の社会背景と大きく異なっているなというふうに私は考えております。

 というのが、例えば、国民生活安定緊急措置法は昭和四十八年十二月、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律は昭和四十八年七月、また、物価統制令に至っては昭和二十一年に施行されたわけでございます。

 今と大きく違う社会背景においてこの三法が作られたわけでございますけれども、この三法の内容とその立法背景を簡潔に教えていただければと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる物価三法につきましては、まさに生活関連物資等の価格及び需給の安定を目的としているものでございまして、委員御指摘のように、国民生活安定緊急措置法、それから生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律につきましては、第一次オイルショックの際に制定されたものでございます。

 前者につきましては、特定物資の標準価格の設定や、生産、輸入等に関する指示、それから後者については、特定物資を多量に保有する者に対して、売渡し、買い渡しの指示、命令を行うというものでございます。

 それから、物価統制令は、第二次世界大戦後の経済的混乱下において制定されたものでございまして、ほかの措置によっては価格等の安定を確保することが困難というときに、物価の統制額の指定や、それを超える金額での契約の禁止等を行うというものでございます。

土田委員 ありがとうございました。

 今いろいろ御説明いただいた中で、明らかに今とは社会状況が違うときに作られた三法なんだなというふうに改めて思った次第でございます。

 というのは、例えば、今、私なんかもよくネットで物を買いますけれども、ネットで、ECがいわゆる発展してきて、また、ECだけじゃなくて、ネットオークションであったりだとか、さらに、これはECの一つでございますけれども、個人がいわゆるECサイト、ネット上で物を売り買いできる時代になってきました。恐らく、こういう状況というのは、例の、今お話しいただいた関連三法が施行されたときにはなかった商業形態、商業主体だと思っております。

 これからどういうことがあるか、目下いろいろ国際情勢も変化してきている中で、どういうことがあるか分からない中で、消費者庁として、何かあったときにどういう主体に対してどういう指示ができるのかということを、しっかりと改めて整理し直す必要があるんだろうなというふうに思っておりますので、これは要望とさせていただきます。

 次に、公共料金についてでございます。

 公共料金等の新規設定や変更が消費者の過度な負担にならないようにということで、こちらは、令和四年の、今年の八月十九日に、消費者庁の黒田次長付で、公共料金等の新規設定や変更の協議に当たっての消費者庁における主なチェックポイント、こういうペーパーが出されておりますけれども、このペーパーの内容は、細かいこともありますけれども、大きく三点でございます。一点目が料金の決定過程の透明性の確保、二点目が消費者参画の機会の確保、そして三点目が料金の適正性の確保という項目でございます。

 このチェックポイントを挙げておりますけれども、これはいわゆる国の規制料金に対するチェックポイントだと思いますけれども、この三点、また、ひいてはこの三点の中に含まれている各項目というのは、チェックする形式になっておりますが、全て網羅していないと値上げというのはできないんでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 公共料金の改定に当たりましては、消費者基本法に、消費者に与える影響を十分に考慮するというふうになってございまして、一定の重要な案件につきましては、所管省庁が認可等を行うのに先立って、所管省庁から消費者庁に協議がなされるということになってございます。

 消費者庁で協議を受ける際には、所管省庁での考え方をよく聞いた上で、公共料金等の性質それから内容等に応じて、チェックポイントの各項目について丁寧に確認、検証をしていくということでございます。

土田委員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいて、ある意味裁量性も含まれる、柔軟性も含まれるチェックポイントなんだなというふうに改めて確認できましたけれども、更に突っ込んで質問させていただくと、先ほど申し上げた三点、チェックポイントの主な三点の中で、三つ目の料金の適正性の確保の項目の中に、チェックポイントとして、料金の算定に賃上げが適正に組み込まれているかという項目がございます。

 大前提として、私は、経済の成長のためにどんどんどんどん賃上げもしていかないといけない、そういうふうに思っておりますけれども、このチェックポイントが発出されたのが今年の八月十九日ということは、まさに、今の資源高、いわゆるウクライナ紛争、ウクライナ侵略によって生じた資源高を織り込んでの話だと思っております。

 資源高というのはガス・電気料金に反映されるわけですけれども、ある意味短期的な物価の変動だと思っています。規制料金が消費者庁また関係省庁に認められるには三、四か月かかるというお話でございましたけれども、基本的には短期的なもの。一方で、賃上げというのは最短であっても半年ぐらい、大体は各年単位でやっていく、いわゆる中期的なものだと私は思っています。

 何が言いたいかというと、このチェックポイントの中に短期のものと中期のものが一緒に含まれているというのは、値上げの観点としてはいかがなものなのかなというふうに私は思っております。

 賃上げに対しては大賛成でございますけれども、目下の資源高に対応するための公共料金の調整、値上げに対して、賃上げという要素が必要な項目として含まれてしまっていると、過度の公共料金の値上げを助長してしまうんじゃないかなと思いますけれども、そこに対する見解をお願いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、現在の物価上昇の状況下におきましては、公共料金の改定が消費者に与える影響を十分考慮しなければいけないというふうに考えてございますので、まずは事業者における経営努力が大変重要であるというふうに考えておりますし、また、便乗値上げというものが起きないように注視していくことも必要であるというふうに考えてございます。

 他方で、委員御指摘のように、燃料費を始め様々な原材料費が高騰しているという状況の中で、価格が適正に転嫁されていくということも必要であるというふうに考えてございます。また、政府が進める成長と分配の好循環の実現に向けまして、労働者の賃上げにもしっかりとこれらがつながっていくということが大事だろうというふうに考えてございます。

 消費者庁では、こうした観点でしっかりと目を光らせていきたいというふうに考えております。

土田委員 ありがとうございました。

 しっかりと賃上げそして適正な公共料金の価格反映というものを両立していただければと思います。

 次に、冒頭申し上げた今日の質問項目、大きく三つのうちの、二つ目の食品ロスについて質問させていただきます。

 大臣の所信の中で、二〇三〇年までに、二〇〇〇年比で日本社会全体における食品ロス、半減を目指すというようなお話がございました。

 これは参考人に質問でございますけれども、二〇〇〇年頃から近年までの食品ロスの量の変遷と、また、二〇三〇年に向けた目標値を教えてください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政府としましては、食品ロスの削減目標について、SDGなども踏まえまして、家庭系、事業系共に、二〇〇〇年度比で二〇三〇年度までに食品ロス量を半減させるという目標を設定しているところでございます。

 二〇〇〇年の食品ロスの量が家庭系、事業系合わせて九百八十万トンと推計してございますので、その後、二〇一三年度から二〇一八年度まで六百万トン前後で推移しておりましたけれども、足下の二〇一九年度で五百七十万トン、そして二〇二〇年度では五百二十二万トンまで削減しております。

 二〇三〇年度の目標との関係では、二〇〇〇年度比半減相当量が四百八十九万トンとなりますので、直近のこの五百二十二万トンの対二〇〇〇年度比の削減率は四七%、更に三十三万トンの削減が必要となる、こういう状況でございます。

土田委員 ありがとうございます。

 今のお話を聞いていると、二〇〇〇年に食品ロスを減らそうというような目標を立ててから、大分順調に推移しているなというふうに思っております。

 ただ一方で、私もなかなか成功しないですけれども、人間のダイエットと一緒で、最後の一絞りがなかなか難しい中で、やはり、二〇三〇年の目標達成に向けて、より戦略的に取り組んでいかないといけないというふうに思っております。

 ひとえに食品ロスといっても、大きく二つに分野が分かれていまして、一つは家庭系の食品ロス、いわゆる家庭で消費する食品の廃棄、二つ目は事業系の食品ロス、この二つがあります。事業系といっても、例えば外食もそうですし、食品製造業、また、スーパーなどの小売店での食品ロスなどが主に含まれますけれども、この二つの種別がある中で、近年の家庭系、事業系の食品ロスの割合を教えてください。

安楽岡政府参考人 お答えします。

 農林水産省が平成二十六年度に実施した食品ロス統計調査、世帯調査では、世帯における一人一日当たりの食品使用量に対する食品ロス量の割合は三・七%となっています。また、平成二十七年度に実施した食品ロス統計調査、外食調査では、食堂、レストランにおける食品使用量に対する食べ残し量の割合は三・六%となっています。

土田委員 ありがとうございます。

 今の家庭系、事業系における食品ロス率を聞いて、大分ロスを削減できているなというか、大分我々日本人は頑張っているなというふうな印象を受けます。例えば家庭系のロスは大体四%ぐらいだったりはしますけれども、これはなかなか、これ以上減らすのはちょっと感覚的に結構難しいなという印象を私は思っております。

 その中で、二〇三〇年の目標に向けて、二〇二〇年比で、家庭系は二百四十七万トンから二百十六万トンに減らしましょう、事業系は二百七十五万トンから二百七十三万トン、これは二万トンしか減っていないですから、ほぼ減っていない中で、二〇三〇年目標が、二〇二〇年比で、家庭系が一割に対して事業系の削減目標がほぼゼロの理由を教えてください。

依田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、家庭系につきましては、現在の足下の数字が二百四十七万トンということで、目標値までに、二百十六万トン、約一割、更なる三十一万トンほどの削減が必要となっているのに対して、事業系の方はほぼ目標値を達成してございます。

 これについての分析でございますけれども、家庭系、事業系共に、消費者の行動変容や事業者の商習慣の見直しを促す啓発活動などによって一定の成果が得られたものというふうに考えてございますが、事業系につきましては、近年の新型コロナウイルスの感染症拡大によって外食事業者等の営業活動に制限があったという上での推計値ということで、この点は留意する必要があるのではないかということでございます。

 いずれにいたしましても、目標達成に向けて着実に食品ロス削減をしていけるように、消費者庁としては、引き続き、関係省庁と連携しながら、一段と推進してまいりたいということでございます。

土田委員 ありがとうございました。

 事業系の食品ロスの中でも、いわゆる事業系の食品製造業における食品ロスの低減なんかというのは、取組なんかというのは、これからますます進めていかないといけないなというふうに思っております。ここの部分は、商習慣をいろいろ変えたり、需要予測の精度をより上げていくことなどによって、いろいろ改善できる点があると思いますので、引き続き取組をよろしくお願いいたします。

 最後、最初に項目を挙げた若者の消費者被害防止のアフターケアについてでございますけれども、時間がないので簡単に私から要望だけ申し上げさせていただくと、スマホが普及してきて、ほとんどの中学生、高校生がスマートフォンを持っている中で、消費者被害というのは若年化してきていると思います。

 ふだんからいろいろ消費者被害について調べている中高生というのはなかなか少ないですから、SEO対策なんかも含めて、何かあったときにしっかりと相談窓口が中高生の目に留まるように、対策をよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 今日は、旧統一教会の問題をテーマに質問してまいります。河野大臣、よろしくお願い申し上げます。

 旧統一教会に関しましては、長年にわたって霊感商法、高額献金の被害の訴えが相次いでおりまして、家庭崩壊、また困窮問題など、深刻な被害が生じております。

 十月十七日、大臣の音頭取りで設置をされました消費者庁の有識者会議では、被害者の救済また再発防止に向けて報告書が取りまとめられております。

 また、総合相談窓口、ここが九月の五日から十月三十一日まで開設をされております。その中で、旧統一教会による被害に関する相談、二千三百六十七件が寄せられております。うち金銭的なトラブルが六八%ということで、千六百十五件あったという報告がございます。多いと言わざるを得ないというふうに思っております。

 公明党の消費者対策本部におきましては、これまで六回にわたり、被害者、また有識者等、ヒアリングを行ってまいりました。十月の二十八日には、岸田総理に、霊感商法等による被害の救済及び防止に向けた提言を提出いたしました。悩んでいる方々一人一人に寄り添いながら、実効性ある仕組みを整える必要があると考えております。

 大臣、七日ですけれども、消費者契約法の改正案を今国会に提出するという考えをお示しになりました。

 霊感商法、以前は主に高額なつぼ、印鑑を売りつけるという手法でしたけれども、最近は、高額な献金、寄附を要求する、教典などを授けるという形に変わってきております。

 物を売りつける霊感商法については、二〇一八年、消費者契約法改正の中で取消権が盛り込まれました。しかし、献金、寄附については、ほとんど対策が取られてこなかったと指摘があります。確かに、現行の消費者契約法で取消権を行使した裁判例というのはなくて、現行法では、救済すべき者が救済できない可能性があります。この取消権の対象範囲の拡大など、要件を緩和して、取消権行使による被害救済の実効性を高める必要があると考えます。

 また、霊感商法において、取消権の行使期間が短過ぎるとの指摘がございます。被害の実態を踏まえた上で、この権利を行使できる期間を延長すべきと考えております。

 救済手段として早期に実現が見込めるのが、消費者契約法の改正です。一刻も早く改正案を提出し、成立を急ぐべきと考えます。消費者庁の見解を求めたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先日総理からも御発言がございました、旧統一教会問題を受けまして、被害者の救済と再発防止の観点から、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案を今国会に提出すべく、政府として、現在、最後の詰めを行っているところでございます。一刻も早く改正案を提出できますように準備をしてまいります。

古屋(範)委員 早急に検討し、提出をしていただきたいと思います。提出をされた暁には、しっかりと成立をさせてまいりたいと決意をいたしております。

 次に、新法の方向性についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 宗教法人が正体を隠して勧誘する、信者が判断不能の心理状態に追い込んで献金をさせる、このようなことがあってはならないと思っております。この消費者契約法の規制対象とならない悪質な寄附、献金の勧誘行為による被害を防止していく、また救済をしていくために、新たな立法措置等、実効的な方策を講ずる必要があると思っております。

 岸田総理は、八日、悪質な寄附要求行為の禁止などを盛り込んだ新法を今国会に提出したい、新たな法制度の実現に取り組む決意を示されました。霊感商法等の悪質な寄附による被害者の救済に万全を尽くすとともに、一刻も早く、二度とこのような被害者が生まれないよう、早急な対策が求められております。

 さらに、度重なる高額献金を行って家庭が破綻をしたとの報告も数多く寄せられております。また、困窮に陥ったいわゆる宗教二世の問題も放置できません。

 そのために、まず、消費者契約法の対象とならない寄附一般について、社会的に容認し難い悪質な勧誘行為を禁止していく、そして、悪質な勧誘行為に基づく寄附について、取消しや損害賠償を可能とする、また、子や配偶者に生じた被害の救済を可能にする等を盛り込んだ新法を早急に検討すべきと考えております。

 その際、信教の自由とか、また個人の財産権等、憲法との整合性を図る必要があると思いますので、憲法等専門家の意見も聴取しながら検討を進めていただきたいと思っております。

 被害救済に向けて、実効性を確保し、また、家族の被害救済の仕組みなど、具体像を早急かつ慎重に固めて、実効性ある新法としていただきたいと思います。この被害救済に向けての新法の方向性、また今後のスケジュールについて、消費者庁にお伺いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも既に細かく御指摘をいただきましたけれども、新法につきましては、まさに信教の自由、それから憲法規定との関係などにも配慮しながら、消費者契約法の対象とならない寄附一般について、社会的に許容し難い悪質な勧誘行為を禁止すること、それから、そうした悪質な勧誘行為に基づく寄附について、取消しや損害賠償請求を可能とすること、そして、子や配偶者に生じた被害の救済を可能とすることということを主な内容として検討しているところでございます。

 具体的なスケジュールにつきましては、今国会を視野に、できるだけ早く法案を提出すべく、現在、最大限の努力を行っているところでございます。

古屋(範)委員 早急にしっかりとした検討を進めていただきたいというふうに思います。

 次に、相談体制の充実についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 昨日、十四日なんですが、霊感商法の被害者を救済するための電話相談窓口が新設をされました。これは、公明党の提言を取り入れていただいたと思っております。霊感商法等による被害者の相談機能の継続とともに、弁護士、心理専門職を配置した形で的確な支援ができるよう、体制が強化されたものと承知をしております。

 国民生活センター、また消費生活センターなどにおきましては、相談者や被害者の相談の対応に当たるスタッフのスキル向上に向けた研修などの取組強化を図る必要があると思っております。宗教などというと、そこで相談員の方もちゅうちょしがちであるかと思います。霊感商法による消費者被害について、消費生活相談の対応の一層の充実を図って、公認心理師、精神保健福祉士、精神科医、宗教者、社会学者、弁護士など専門家との連携をしていくということが大変重要であると思っております。

 旧統一教会の信者の二世の方からの訴えのうち、現在、児童の福祉に関するものとして、保護者の事情に起因する問題について、そもそもどこに相談していいか分からない、誰にも相談できなかった、また、児童相談所などに相談しても、児童虐待に該当すると思われるケースであっても、家庭内で話し合うようにと言われて、話を十分に聞いてもらえなかったという事例があったそうであります。

 そこで、宗教という原因に限らず、これは依存症などが原因であるということも考えられるんですが、保護者の社会的、経済的生活に関する問題に起因して児童の福祉が損なわれる場合において、相談できることを明確化して、切れ目ない支援が行われなければならないと思います。保護者のこうした事情、様々な事情に応じて、被害を被っている児童に対して、実態を把握して、切れ目ない支援が行われるようにしていかなければいけない、その体制整備を求めたいと思います。そして、こういう機関が利用されるように周知啓発、また、裏づけとなる財政的な措置も必要だと考えます。

 消費生活相談の専門性の強化、旧統一教会をめぐる宗教二世、三世の実態把握、また総合的な支援、相談体制の充実について、これは法務省、それから消費者庁、両省にお伺いをいたします。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 先日、十一月十日、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の第三回会議を開催し、関係省庁において、被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策を確認し、申合せをいたしました。

 その方策の一つとして、法テラスにおいて、合同電話相談窓口の機能等を継承した対応窓口である霊感商法等対応ダイヤルを新設し、金銭的トラブルに限らず、心の悩み、家族の悩み、生活困窮等に関する相談に幅広く対応し、二世、三世信者の実態把握に努めるとともに、心理専門職等を配置した対応部署を新設し、二世、三世信者の様々な相談事例を含むデータの分析や支援策の企画立案等を実施していくこととし、十一月十四日、昨日ですが、対応窓口等の業務を開始いたしました。

 また、関係省庁におきましても、法テラスを中核として関係相談機関等を互いにつなぐネットワークを強化するとともに、寄せられた相談等のデータの収集、分析を行って、二世、三世信者の抱える課題の実態等を把握し、関係省庁間で共有するなどして、相談対応の充実に努めてまいります。

 また、委員御指摘のいわゆる二世、三世信者が抱える悩みや問題に関しましては、特に子供、若者の救済の観点から申し上げますと、市町村及び児童相談所における虐待対応に関するQアンドAの作成やSNSによる相談体制の整備、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる支援の推進、ハローワーク等を通じた就労支援、高等教育の修学支援新制度等を通じた修学支援、人権擁護機関による人権教室、出前講座等の消費者教育等の方策を取りまとめたところでございます。

 今後とも、申し合わせた方策について、関係省庁間で連携しながらしっかりと推進し、総合的な支援や相談対応の充実に努めてまいります。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議取りまとめにおきましては、消費生活相談につきましてもその強化を図ることとされたところでございます。

 これを受けまして、消費者庁といたしましては、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的な対応を行わないよう、改めて周知をいたしました。

 また、霊感商法等に関する現場の相談員向け研修の充実などを通じて、スキルや対応力の向上にも取り組んでまいります。

 それから、先ほども御答弁ありましたけれども、関係機関、関係省庁との連携の強化にも努めてまいりたいというふうに考えてございます。

古屋(範)委員 法務省としても、法テラスで対応強化をしてくださるということでございました。

 先ほども言いましたように、まず、子供たちがどこに相談していいか分からない。学校の教師が応じてくれるかというと、これも難しいかもしれない。また、児童相談所に相談をするということもなかなか難しいことであります。児童相談所の方も、この問題に関してはやはり家庭内の問題と捉えがちであると思います。

 献金問題によって進学ができないというお子さんもいるかと思います。確かに、奨学金制度、給付型の奨学金等もありますけれども、子供が一人でまずは受験をしていくということも、経済的な基盤がなければ難しいですし、自分一人で進学の手続をして、そして奨学金の手続をする、こうしたこともなかなか困難ではないかなという気がしております。

 ですので、窓口に相談が来たら、法律家、あるいはこうしたスクールソーシャルワーカーですとか、また学校関係者等、必要な専門家につなげていただくということが重要かと思っております。こうした問題で悩む二世、三世への救済、これをしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 最後の質問になりました。大臣にお伺いいたします。神奈川で大変いろいろとお世話になっております。

 この旧統一教会の問題につきましては、まず事態を分析して、被害者一人一人に寄り添ったきめ細かな対策を講じるべきであると思います。また、苦しんでいる方々の相談、支援、これを一体的に進めるなど、体制の充実が不可欠であります。霊感商法等による消費者被害の救済については、実効性ある救済の仕組みを早急に構築すべきと考えます。最後に大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 消費者庁で行いました検討会から報告書が出されておりますので、それを踏まえまして、相談対応を充実する、あるいは消費者教育をしっかりと推進をしていくとともに、被害の発生を予防し、あるいは救済を容易にするために必要な法律の整備といったものを速やかに行ってまいりたいというふうに思います。

古屋(範)委員 大臣の御決意をお伺いいたしました。相談対応の充実、それから消費者教育の充実、また、予防、救済、こうした構築をしっかりとしていただきたいと思っております。

 今、消費者契約法の改正案、早急に検討していただくことになっておりますけれども、是非その先にある新法も視野に入れて早急に検討をしていただきたい、作り上げていただきたいと思っております。

 時間を少し残しておりますけれども、そろそろ時間でございますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、西村智奈美さん。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 まず、河野大臣、私、十月の五日に衆議院の本会議で質問いたしました。北海道におけるゴーカートの事故に関しての質問、答弁から伺いたいと思っております。

 代表質問でゴーカート事故について取り上げました。これは規制の隙間にあって、何らの法規制がなされていなかったということです。安全対策は完全に事業者任せになっていたということで、総理からはこういう答弁をいただいているんですね。「私が以前、消費者行政推進担当大臣であった時期に、当時、公園の遊具等、子供の施設の安全について全国で点検を実施した経験があります。今回についても、何ができるか検討していきたいと考えております。」ということでした。

 この事故は、十一歳の女の子が運転していたゴーカートで、観覧席で見ていた二歳の男の子が亡くなったという本当に痛ましい事故、事件でした。

 具体的に、この法規制について、大臣、検討していただけたでしょうか。

河野国務大臣 十月五日に委員から御質問があった事案、大変痛ましい事案というふうに承知をしております。

 消費者庁といたしましては、こども家庭庁の設立準備室と連名で、スポーツ庁を通じまして、こうした四輪のモータースポーツ統括団体でありますJAFを通じて、カート競技あるいは体験イベントといったものに関して、観客席を含めた安全点検あるいは安全対策の徹底を要請しているところでございます。JAFからおよそ百団体に点検が依頼され、昨日、三十団体から回答があったと承知をしております。

西村(智)委員 是非、その点検結果を含めて、またより一層の対応を消費者庁にはお願いしたいです。

 なおかつ、私が質問いたしましたのは、何らかのやはり法規制が必要ではないかということなのであります。要請をしたということは、これは行政上の一つの対応になります。やはり法律できちんと規制する、このことの重みというか重要性は非常にあるというふうに思っていますので、大臣、引き続き検討をよろしくお願いいたします。

 それでは、旧統一教会の問題について質問をさせていただきます。

 先ほど与党の方からも御質問がありましたけれども、私は、旧統一教会の問題については、やはりこの国会でしっかりと、政府、与党、野党、これはもう政争の具にするとかということではなくて、与野党が協力して結論を出していかなければいけない問題だというふうに思っています。

 私たち立憲民主党は、七月の二十五日に旧統一教会被害対策本部というのを設置しました。私が本部長で、吉田統彦筆頭理事が本部長代理ということで、二十回以上の会合を重ね、役員会を含めますと三十回ぐらいになりますけれども、それで法案を既に国会に提出いたしております。是非これは成立をさせていきたいというふうに思います。

 被害当事者の皆さん、脱会した皆さん、宗教二世の皆さん、宗教学者の皆さん、憲法学者の皆さん、そのほか有識者の方々からもいろいろなお声をお聞きしました。是非成立をさせていきたいということを、この委員室にいらっしゃる皆さんにも心から呼びかけたいと思っております。

 さて、大臣、総理は、被害者にお会いになったというふうに先日述べておられました。どんな立場の方に会って、どういうお話を伺ったのか、どういう被害実態を伺ったのか、ここは明確にはなっていないものの、とにかく総理は被害者、宗教二世の方に会われたということなんですけれども、大臣は被害者の方にお会いになったことがありますでしょうか。また、お会いになったとすれば、どういうお話を伺ったのか。あるいは、会ったことがないということであれば、旧統一教会の被害実態についてどういうふうに知っておられるのか、知っていらっしゃる旧統一教会の被害実態についてお聞かせいただけませんか。

河野国務大臣 被害者に直接お話を伺ったことはございませんが、消費者庁が行いました検討会で、被害の救済のための御努力をされている有識者にお入りをいただき、また、この検討会で様々な方からヒアリングをしております。そこで出された検討会の報告書に基づいて、速やかに法律案を今国会に提出してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 消費者庁を所管する大臣が、総理が被害者の方にお会いになっていらっしゃるというのに、大臣がお会いになっていないというのは、これはやはり問題だというふうに思うんですよ。是非お会いしていただけませんか。そこは検討していただけませんか。会っていただけませんか、大臣。

河野国務大臣 特に予定はございません。

西村(智)委員 予定をつくっていただけないかということの御質問なんですけれども、いかがですか。

河野国務大臣 必要とあらば考えますが、今のところ、予定はございません。

西村(智)委員 お会いになると、なぜ今新法が必要なのかということが分かると思うんですよ。やはりお話を聞いていないから、消費者契約法あるいは国民生活センター法、この改正案でやめておこう、この国会はと。新法については、新法を視野に入れて検討するというふうに答弁されていますけれども、これはいつのことにするか、先延ばし先延ばしでいいんじゃないか、こういうことになっているんじゃないですか。是非会ってください。

 大臣、要請いたしますけれども、会うべきだと思います。会わなければ、この消費者被害、まさに旧統一教会に係る被害の、言ってみれば本当の肝のところを規制することはできないと思いますので、どうでしょうか。

河野国務大臣 別にお目にかかることを否定しているわけではございませんけれども、検討会で様々な有識者から御議論をいただき、それも伺っておりました。

西村(智)委員 では、お会いにならなくても、お話を聞かなくても、大臣が本当にマインドコントロールによる被害を救済しようという仕事をされるのかどうか、私たちはここをちゃんと注目しなければいけないと思っています。

 私たちの法案については、今日、資料でおつけしておりますので、ちょっと御覧いただきたいと思います。

 少し簡単に説明をさせていただきますと、私たちの法案、これは新法なんですけれども、特定財産損害誘導行為による被害の防止及び救済等に関する法律案ということで、これは言ってみれば、肝になっているのは真ん中にあります特定財産損害誘導行為、これを、手段の悪質性、それから結果の重大性、この二つの要素で定義をして、それを禁止するということ。それに対して、被害の防止ということでは、行政的あるいは刑事的な規制、これは段階を踏んで行うことといたしております。

 また、右側の方に行きまして、被害の救済ということで、これはもうかねてから議論になっております、消費者契約法の取消権でこれまで対象になってこなかったものを取り消すことができるようにする、なおかつ、御家族などが家庭裁判所の審判で行うことができるようになるというようなものでございます。もちろん、相談体制の整備等もしっかりと法律の中に基づいて行っていこうというものであります。

 大臣、お伺いいたします。

 今、省内で消費者契約法と国民生活センター法の改正が議論されていると聞いておりますけれども、例えば消費者契約法ではどういう条文を考えておられるのでしょうか。

 一部、まあ一部ではない、ほとんど全てのマスコミで既にこの改正案が出回っているんですね。それによりますと、取消権のところを規定した第四条第三項六号、ここでこういうふうに改正すると。

 当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、ここは現行法と同じなんですけれども、ここからです、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、乗じて、これはいいんですよ。不安を抱いているということに乗じて、これはなかった、追加される、いいと思います。しかし、更にその先です。その重大な不安を回避するためには当該消費者契約を締結することが必要不可欠であるという、告げることが、要するに、これをやらなければ回避できませんよということを告げることが必要不可欠だという改正案になっているんです。

 私、これを見まして、乗じてというのが入ったのはいいと思うんです。だけれども、必要不可欠であるというふうな改正案に仮になるとすると、これは逆に、現行法よりも取消権の範囲が縮小されることになりませんか。大臣、どうお考えになりますか。

河野国務大臣 今、法案につきましては最終調整中でございますので、コメントするのは差し控えます。

西村(智)委員 では、このような改正案で出てくるということはないんですか。私が今申し上げた条文というのは、これはないということでよろしいんでしょうか。

河野国務大臣 最終調整中でございますので、回答は差し控えます。

西村(智)委員 これは、必要不可欠であるというふうに書いちゃうと、本当に、逆に取消権、縮小されてしまいますよ。必ず告げなきゃいけないということになりますから。

 例えばなんですけれども、消費者庁に十月十七日に報告されました霊感商法等の悪質商法への対策検討会、ここの報告書が出ておりますけれども、この報告の六ページに、「いわゆるつけ込み型の不当勧誘に対する取消権」、これも「法制化に向けた検討を早急に行うべきである。」というふうに書かれています。

 つけ込み型というのが、言ってみれば旧統一教会の一つの手段なんですね。日本語にすると、つけ込むというと、相手の弱みとか隙につけ込んで何か事を行うということになるんですけれども、これは参議院の法務委員会で附帯決議がついておりまして、平成三十年六月十二日、これは消費者庁の報告書にも書かれているんですけれども、「知識・経験・判断力の不足など消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権」というふうにされております。

 このつけ込み型の不当勧誘に関する取消権、これは消費者契約法で規定されることになりますか。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、今、最終調整中でございますので、回答は差し控えます。

西村(智)委員 これは報告書に書かれていることですよ。報告書に書かれていて、しかも、早急に法制化に向けた検討を行うべきである、割と強く書いてあるんですよ。ほかのところは、何か、重要であるとか必要と考えられるとか、そういうふうに割とぼやっと書いてあるところもあるんですけれども、割とここは強く書いてあるんですよ。

 報告書で書かれているこの検討すらも消費者契約法に盛り込まれないということですか、大臣。

河野国務大臣 繰り返しですが、最終調整中でございますので、回答は差し控えます。

西村(智)委員 旧統一教会の悪質な手段というのは、本当に私たちの考えることをちょっと超絶しています。

 消費者契約法は、勧誘と献金が言ってみればひもづいた状態で規制されているんですね。勧誘されました、献金しました、こういうことなんですけれども、マインドコントロール下に置かれると、勧誘されなくても献金をするということなんですよ。

 例えば、どういうことが具体的に起きているかというと、十数代前の先祖の霊が苦しんでいる、男の子が早死にする家系だと言われて、正体を隠したまま、まさに正体隠しですね、物品購入を勧誘されて、次第にビデオセンターに通うようになって、正体を明かされた後も、文鮮明氏をメシアとして受け入れて、自ら献金を行って、伝道活動にも従事するようになって、預貯金が尽きるまでになった、多額の借金を消費者金融からしちゃうというケース。

 また、旧統一教会に渡したお金は統一教会の借金だというふうに言われていたけれども、お金がそのまま返ってこない。旧統一教会の方からは、献金は預かったものだというふうに主張されている。

 認知症になられたと、被害者の方が。なんだけれども、念書を書かされていたんですね。献金は、私が自由意思によって行ったものであり、違法、不当な働きかけによって行ったものではありません、こういうケースなども発生をしているんです。事実です、これは。事実なんです。

 こういうケースは、大臣、消費者契約法の改正案で取消権の対象になりますか。

河野国務大臣 繰り返しですが、改正案の中身についてコメントすることは差し控えます。

西村(智)委員 私は、改正案の中身を教えてくださいという質問はしていません。今のような深刻な事例がまさに旧統一教会の被害の実態なんだから、少なくともそれらは取消権の対象になります、そういう法改正になりますということは言っていただきたいんですけれども、それも答えていただけない。残念でなりません。

 申し上げたように、旧統一教会の被害というのは、マインドコントロールという特殊性があるわけですね。ですけれども、消費者契約法には、そもそも、マインドコントロールという、言ってみれば特殊性が加味されていないんです。

 だから、いかにこの消費者契約法の条文を変更したとしても、旧統一教会については、勧誘と献金、さっき言った事例なんかすると、そうですよね。勧誘されていない、あるいは、勧誘されていないのに献金したり物を買ったりということをやられているわけですから、その関連は明らかにするのが難しいということになれば、取消権の対象として立証しにくいんだと思うんですよ。

 大臣、私の言っていること、理解していただけますか。

河野国務大臣 法案の中身に関わってくることでございますので、具体的にお答えするのはやはり差し控えたいと思います。

西村(智)委員 いや、私、何も新しい法案の中身について言っているんじゃありません。

 消費者契約法が、言ってみれば旧統一教会のような被害実態が生じているときに、勧誘と献金のひもづけが難しいから取消権の対象として立証しにくいのではないか、ある意味、現行法制の解釈を聞いていますけれども、どうですか。

河野国務大臣 法案の中身に関わりますので、回答を差し控えたいと思います。

西村(智)委員 関わっていないと思うんですけれども、聞いていただけたんでしょうか。現行法制の解釈を聞いています。

 消費者契約法で、マインドコントロール下での勧誘と献金がひもづいていない場合の取消権を立証するのは困難だった。だったから、現行法で取消権の行使がなされてこなかったんじゃないでしょうか。

 では、聞きますけれども、現行法で、例えば四条三項六号、これに基づいた取消権は、今までに行使された事例を消費者庁は把握していますか。

河野国務大臣 なかったと承知しております。

西村(智)委員 ないんですよ。結局、難しい、できてこなかったんです。だから、消費者契約法、これは当然、改正すれば、何がしかのケースは救えるように、救済できるようになってくるかもしれません、六号を適切に改正すれば。だけれども、先ほど申し上げたように、少なくとも、私が聞いている内容では、告げるのが必要不可欠ですという条文案が今まさに出回っているんです。与党の皆さん、知っているでしょう。皆さんも御覧になったでしょう、部会で。必要不可欠と何で入るんだと議論になりませんでしたか。ここをきちんとしないと、幾ら改正したって、逆に縮小されますよ、取消権。

 大臣、では、消費者契約法はこれで縮小される、私は認めませんよ、それを。認めませんけれども、政府がそういうふうにするということであれば、徹底的にうちの対案も同時進行で議論してもらいたいです。国民生活センター法、それも出てくる。その後の新法はどうするんですか。新法は提出するんですか、この国会中に。お答えください。

河野国務大臣 新規立法についても検討しているところでございます。

西村(智)委員 この国会中に提出しますかと聞いております。消費者契約法でこうやって取消権が縮小されたら、えらいことになります。新法を作らないと。早く作ってほしい。この国会で出してくれませんか。

河野国務大臣 この国会での提出も視野に入れて検討しております。

西村(智)委員 視野に入ると、いつかは出ていくんじゃないですかね。

 やはり、私たちの法案をベースに議論しませんか。私たちの法案、先ほど見ていただいたように、手段の悪質性、それから結果の重大性、これによって、二つで特定財産損害誘導行為、本当に慎重に慎重にここは定義をしたつもりです。余りに対象になる行為が広過ぎると、まさにいろいろな公益財団法人を含めて信教の自由を脅かすということになるし、余りに狭過ぎると、今度は規制すべき対象から漏れてしまうし、本当に慎重に定義をしたつもりなんです、ここは。だから、私たち、ここは自信を持って提案をしています。この法案を基に議論していくことが、やはり一番スピーディーだというふうに思うんですよ。

 もちろん、政府の方からも、行政的、刑事的規制はやりましょうという話が出ていたりする、それは大変ありがたいと思っていますけれども、是非ここをベースに議論していくべきだというふうに強く皆様に訴えたいと思っております。

 そうしますと、大臣、この国会で出てくるのは、消費者契約法と国民生活センター法の二法だけということになりますか。新法については視野に入れて検討するということで、この国会では出てこないということですか。

河野国務大臣 新法については、この国会の提出も視野に入れて検討していると先ほどから申し上げております。

西村(智)委員 同じことの繰り返しなので、もう新法についてはあれですけれども、では、この国会は消費者契約法と国民生活センター法の改正案が出てくる、その二本だけが出てくると。だって、国会、もうあと残すところ一か月ないですよ。そのくらいは言っていただけませんか。(発言する者あり)そんなことないよというふうに今、与党の方から声が聞こえましたので、では、どうぞ大臣、答弁してください。

河野国務大臣 先ほど申し上げたとおりです。

西村(智)委員 いや、総理は、十一月八日、記者会見で、随分新法の制定について前向きなことをおっしゃっているんですよ。

 大臣、この総理の考えを是非酌んでいただいて、それとも、総理がこの国会でなくてもいいよというふうに言っているんだったら、それは大臣を余り責めることもいたしませんけれども、総理が前向きに、新たな法制度実現に取り組む決意をいたしましたというふうに言っておられるんだから、大臣もその意を酌んで、是非新法をこの国会中に出していただきたい。

 そうじゃないよとさっき自民党の議員の方がおっしゃったので、新法の提出はこの国会でもあるということでよろしいですか。あり得るということでよろしいですか。

河野国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げているとおり、新法の国会提出を視野に入れて検討している、そう申し上げております。

西村(智)委員 これは、仮に、この国会、消費者契約法と国民生活センター法の改正だけで終わったら、大変なことになりますよ。四条三項六号が今までの取消権より更に、今まで一件も取消権が行使された事案がないというのに、更にそれをまた縮めよう、縮小しようというんですから、大変なことになりますよ。そこのところをよく踏まえていただいて、是非、視野に入れるではなくて、必ず、救済法案、この国会で成立をさせるべきだと思います。与野党の間でもこの国会中に救済法案の成立を期すということで合意をいたしておりますので、そこは重ねて申し上げます。

 さて、次に、被害実態について伺いたいと思います。時間がなくなってきてしまいました。

 被害実態について、実は、やはりまだ明らかになっていないことが多いと思います。国民生活センターで受け付けた案件で旧統一教会関係のものは何件あるんですか、どのくらいの被害実態ですかということを、私たちは夏の七月の時点からずっと消費者庁に求めてきました、開示してくれと。ない、ない、精査中、精査中と言って、二か月かかって、九月三十日にやっと数字が出てきました。すごく時間がかかっちゃって、これらについて本当に抗議をしたいと思っております。大串副大臣のところにまで申入れに行ったんですけれども、それからまた二か月近く待たされたということです。

 さて、質問は、そうした被害実態の件数、例えば消費者庁が把握している旧統一教会の関係の消費者相談の件数などについては、これは消費者庁の方から文化庁に情報提供をしていたんでしょうか。してこなかったとすれば、なぜ情報提供をしてこなかったんでしょうか。

河野国務大臣 PIO―NETのアクセスにつきましては、要望のあった省庁はPIO―NETに、中身を見ることができるようになっておりますが、文化庁からは御要望がございませんでした。

 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の場で関係省庁と情報共有を行ってきたほか、消費者政策担当課長会議の構成省庁に対して霊感商法等の悪質商法への対策検討会における議論の状況をお知らせする、そういう中で文化庁と情報共有を行ったわけでございます。

西村(智)委員 これは、本来であれば、文化庁の方にどうして情報共有を図ってこなかったのかというのを聞かなくちゃいけないんですけれども、ここは、やはり消費者庁というのは、言ってみればいろいろな役所をつなぐ役所でもあるので、そこのところをちゃんとやっていただかないと、ここの先、国民生活センター法の改正等があるとしても、こういった対応が今までやられていたということだと、やはり、法改正してどうなのかなと懸念は生じるところです。

 それで、もう一つ私が伺いたいのが相談窓口です。

 もちろん、人員不足とかいろいろなことはあると思うんですけれども、やはり、全国の消費生活センター、ここのところに例えば旧統一教会の関係の相談の話を持っていくと、宗教問題、宗教団体との関わりであれば、それは相談には乗れませんよというお断りがずっと続いていたというふうに伺いました。これは、家族会の皆さんが、北から順番に全国のセンターに電話していって、もう例外なく断られたというふうにもおっしゃっていました。そこのところをまず把握していらっしゃるのかどうか。それから、改善策を何か講じたのかどうか、この間。旧統一教会の、七月八日以降、何か対策を行ったのかどうか。

 それから、もう一つは、やはりマインドコントロールというのは、言ってみれば特殊なものです。かつて、以前、オウム真理教の問題について関係省庁連絡会議をやはりつくって、そこで研究班をつくって研究報告書を出しているんですよね。そこなどによると、例えば、特定集団に関するマニュアルを作成したらいいんじゃないか、こういう話が出ていました。もっと言えば、公的な機関としてカルト研究センターみたいなものをつくるべきじゃないかという話もそこの報告書の中には出ていました。

 ですから、私も、ある意味、それは本当にそのとおりだなというふうに思って、やはり、例えば臨床心理士なども含めて、保健所、それから精神保健福祉センター、こういったものを含めたチームとして相談に当たる、何かそういう仕組みが必要だ。それは、消費相談に来ていただいたものをつなぐのか、それとも、窓口の近くにそのチームがいてくれるのか。いろいろなやり方があるとは思うんですけれども、そういうケアマネジメントの仕組み、それが必要じゃないか、それに対応できるような体制を整えるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 消費生活相談におきましては、相談者の気持ちに寄り添った聞き取りを行うとともに、相談者が商品購入やサービス利用に関して返金を希望する場合、関係する法律について確認し助言するほか、相談内容が専門的な場合にはほかの適切な相談窓口を紹介するといった対応を取ってきたと承知をしております。

 他方、契約から一定期間が経過している場合、あるいは寄附や献金が主なトラブルになっている場合、家族などからの相談で本人には相談の意思がない場合については対応が難しいことがあったと報告を受けております。

 こうしたことを踏まえまして、旧統一教会に関する合同電話相談窓口における対応などを含めた知見をQアンドAという形にまとめていると承知しておりますが、地方公共団体とも共有し、取組を強化しているところでございます。

 引き続き、消費生活相談員向けの研修を充実させるなど、相談員の専門性やスキルの向上に取り組んでいきたいと思っております。

 また、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の取りまとめにおいて、法テラスの対応窓口や対応部署を中核としつつ、消費生活センター等を始めとする関係機関、団体を網羅的にネットワーク化することとされました。

 引き続き、専門機関リストの共有などを通じて、消費生活センターが各機関としっかり連携できる体制を構築してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 全く御説明いただいた内容では支える仕組みが見えません。是非見える形をつくっていただきたい。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、吉田統彦さん。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、消費者問題に関する特別委員会で、大臣への所信質疑ということでお願いを申し上げます。

 報道によれば、旧統一教会による被害者救済のための立法措置がされるということでございますので、繰り返しの内容も一部、与党から質問された内容も含めてあるかと思いますが、まずこの問題を中心にお聞きしたいと思います。

 まず、冒頭申し上げますが、我々野党は、昨日、十一月十四日までに要綱を示すように求めてまいりました。しかし、結果的には、昨日まで何も示されることはありませんでした。今国会は、この法案以外にも、補正予算など、まだまだ懸案事項が本当に山積しています。一日でも早く案を示すことが被害者救済への一日も早い着手になる、そう感じ、まず冒頭、強く抗議を申し上げます。

 その上で、本日の十六時から与野党協議がセットされているようでありますが、そこで何らかの案が示されるんでしょうか、大臣、教えてください。

河野国務大臣 与野党協議でございますので、これは与野党で御議論がされるものと承知しております。

吉田(統)委員 与党イコール政府でありますから、連携が当然されているものですから、何か御存じだとは思うんですが、そういったお答えですので、次に参ります。

 提出時期ですね、法案の。政府案についてお伺いしてまいります。

 なかなか、先ほど西村委員の質問にも余り真摯な御答弁がなかったのでございますが、さきの、十一月八日に、河野大臣、御自身の所信的挨拶におきまして、霊感商法等の悪質商法や悪質な寄附による被害者の救済に万全を尽くすとともに、今後同様の被害を生じさせないための制度的措置が必要ですとはっきりおっしゃっています。

 また、本年十月に取りまとめられた霊感商法等の悪質商法への対策検討会の報告書を踏まえ、相談対応の充実や消費者教育を推進するとともに、被害の発生を予防し、救済を容易にするための必要な法制度の整備を行いますとおっしゃいましたね。

 しかしながら、政府・与党の動きは極めて緩慢と言わざるを得ません。この問題は、参議院選挙中の七月八日、安倍元総理が銃撃されて亡くなるという事件を経て、選挙後から国民の間で対応すべき問題であると認識が高まっている中でございます。

 我が党は、七月二十一日、当時の西村幹事長、先ほど質問に立たれましたが、旧統一教会被害対策本部の設置を表明して、それ以降、精力的にヒアリング、そして立法化の検討を進めてまいりました。その後、日本維新の会との協議を経て、十月十七日、もう間もなく一か月になろうとしておりますが、法案を提出しています。

 法案提出から既に一か月たとうとしていますが、私たち立憲民主党は、一日も早い被害者救済と再発防止のために、真摯に今もヒアリングを続けています。しかし、残念ながら、先ほどの大臣の御答弁もそうなんですが、政府・与党には、本当に今国会で必要な法案を成立させようという姿勢が余り見えないのが現実であります。

 そこで、河野大臣にお伺いしますが、政府として、本当にこの国会で法案の提出をして、かつ成立を目指すのでしょうか。お答えください。

河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、現在、法案の最終調整中でございます。一刻も早く準備できるように努力してまいりたいと思います。

吉田(統)委員 一刻も早く、大臣、お願いをいたします。仮に、大臣、今国会で成立したとしても、施行期日がかなり先であると、被害者救済、再発防止は十分にならないわけであります。

 そこで、今の御答弁を受けてあえてお伺いしますが、閣法が成立した場合の施行期日はどのように定められるおつもりでしょうか。

河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、法案の内容については、今、最終調整中でございますので、申し上げるのは差し控えさせていただきます。

吉田(統)委員 では、続きに参りますが、今回提出する法案の目的は、大きく分ければ、被害者の救済、将来の被害の防止、関係者の処罰といったことが考えられるわけですが、政府が何を目的として法案を提出するのかは極めて重要になります。

 これまで私たちは、消費者関係の部門会議や旧統一教会被害対策本部といった会議体で、消費者庁や警察庁などの関係官庁からもヒアリングを行ってまいりました。そこで旧統一教会やその他消費者被害の実態の報告を求めたところ、個別の被害事例が旧統一教会によるものであるかどうかを把握していないなどとして、その報告を拒絶されています。

 私たちは、被害の実態を把握して、そしてその対策を取ること、そして、それによって、消費者、国民の皆様がそれを認識して消費者被害を受けないようにすることが重要であると考えます。

 お尋ねしますけれども、なぜ被害者からヒアリングした詳細の実態の報告をしないのか。私たちが提出した法案の目的は、何よりも現在被害を受けている方々の救済と今後の被害の防止が重要であると考えています。しかし、ヒアリングの様子を見る限り、消費者庁の姿勢は、関係者の処罰など、法の執行に重点があるように思えます。関係者の処罰はもちろん重要であると思いますが、同順位かそれ以上に、将来の被害防止が重要ではないでしょうか。

 旧統一教会の問題だけでなく、例えば、被害の報告が少なからずある事業者などの実名は直ちに公表すべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 政府の改正案は、被害者の救済、それから将来の被害の防止というものを目的として検討しているところでございます。

 被害の実態については、これは必要があれば、公表する必要があれば公表するということでこれまでもやってまいりました。この統一教会の問題に限らず、消費者庁としてはそういう対応をしっかりやってまいりたいと思っております。

吉田(統)委員 大臣、そうですよね。大臣はそうお考えですよね。しかし、実際、消費者庁の役所の対応や発言は違いますよ。彼らははっきりと、自分たちは取締りをするために、旧統一教会だけでなく全ての消費者被害に関して、未然に防いだり被害を拡大させないことよりも、彼らを捕まえる、処罰するために、開示をすると余計な情報を彼らに与えてしまうから開示をしないとはっきり言うんですよ。

 今の大臣のお言葉を私が受け取ると、やはり大臣は、それは被害を未然に防いだり拡大させない方が大事だと思っていらっしゃるように私の耳には聞こえました。しかし、消費者庁は違いますよ。我々にはっきりと、被害を未然に防いだり拡大させないよりも、自分たちが余計な情報を開示することによって彼らにいろいろな情報を提供してしまう、だから、もっと泳がせておいて、我々は彼らの犯罪行為を最終的に処罰するんだということを言うんですよ。これはもう何回も同じことを私に言っていますから、否定はさせませんけれども。

 やはり、大臣、ここはちょっと、統一教会の話から若干ずれますが、非常に重要なことなので。未然に被害を防ぐことや被害の拡大を防ぐことに重点を置いて、やはり国民や様々な方に、こういう悪質業者がいて、こういう犯罪行為をしている、違法行為をしているということをいち早く提供することは極めて重要だと思いますから、大臣、もう一度ちょっとそこに関して、大臣の御見解、これは私、期待して聞いておりますが、お答えください。

河野国務大臣 消費者庁でございますから、消費者の被害を未然に防止をする、あるいは被害の拡大を防ぐ、これが何よりも大事であるというのは言うまでもございません。

 それに加えまして、悪質な事業者が捕まり、処罰されるということが被害を起こさせないということにもつながるわけでございますから、それに協力をするということはもちろんあると思います。それを否定するものではございませんが、消費者庁として、被害を起こさせない、被害の拡大を防ぐ、これが大事だということは、委員と全く同じでございます。

吉田(統)委員 是非、消費者庁の皆さんは、今の大臣のお言葉をしっかり耳に、よく聞いて、しっかりやってください。

 もう一言付言すると、やはり、高利や、非常に高い利率を出して商売する、破綻商法みたいなのは大抵そうですが、そういうものに関しては、やはり、そういう商法をやっている人たちにエビデンスを出させて、確実にそういった、本当に収益が得られるということを証明させた上で事業許可を与えるというような、ボトルネックのところで押さえた方が私は本当にいいと思います。

 これは大臣、ちょっと答弁、もし可能であれば、そういった高額をうたうようなビジネスはいっぱいありますし、本当にそんなにもうかるのか、そういったものがたくさん横行しているわけですけれども、やはり、そういったものに関して、本当にそういった収益が得られるというエビデンスを一定程度示すような、そういった許可制、登録制みたいなことも是非お考えいただきたいんですが、これは大臣、もしお答えいただけるようなら、一言お答えいただけますか。

河野国務大臣 非常に高い利益を生みますといううたい言葉の投資案件というのはあると思いますが、そういうものが本当にあるのであるなら、みんなやっているんだろうと思いますので、そこは消費者の皆様にも気をつけていただかなければいけないことなんだと思います。

 エビデンスを出させてというところがどこまでできるのか、それは何をもって高利、ほかが三%のところを三・一%と言ったら高利になるのかとか、そこはビジネスモデルの違いというのもあるでしょうから、なかなかビジネスモデルまで全部出せというのはこれは難しいのかもしれませんが、余りに、明らかにほかと違うような案件というものがあった場合には、これは消費者庁としても少し気をつけて見なければいけませんし、必要なアクションを取る必要というのがあれば、そこはちゅうちょなく消費者庁としても動かなければいかぬと思います。

吉田(統)委員 是非、消費者庁の役所の皆さんは、今の大臣のお言葉を重く受け止めて対応を今後してください。

 大臣、今くしくもおっしゃっていただきましたけれども、本当にそんな高利なお仕事がありましたら、自分でやるんだと思います。例えば、一五%の収益が本当に得られるんだったら、五億円借金してやった方がいいですよね。当たり前ですよね、自分で五億円借金してやった方がもうかるに決まっているわけですから。そういったものに関して、消費者庁、ちょっとしっかりとやっていただきたい。

 本当に、被害報告に関しても、さっき申し上げたように、旧統一教会の問題、ほかの問題、しっかりとやっていただきたい。

 それでは、また少し、ここからはちょっと、大臣に先ほど来聞いてもなかなかお答えをいただけないので、役所の皆さんに答えていただきましょうかね。

 政府案について、報道されている内容に関してちょっと確認させてください。

 まず、消費者契約法上の契約の取消し期間を五年から十年に延長するということで、そのような改正を予定していますか。役所の皆さんで結構ですよ。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁の検討会におきましても、取消権の行使期間の延長ということは検討すべきという御報告をいただいておりますので、そうしたことも含めて検討はさせていただいてございます。

吉田(統)委員 取消し期間の延長は、一定の意味はあると思います。しかし、本質的な取消し事由が変わらないのであれば、事実上、取消権の行使は不可能ではないんでしょうか。消費者庁、お答えください。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 取消権の行使につきましては、御指摘のとおりだというふうに考えてございます。

吉田(統)委員 では、消費者庁に引き続きお伺いします。

 被害に気づいてから取消しできる期間を一年から三年に延長するとも言われていますが、これについても同様にそのような法改正を予定されていますか。消費者庁にお伺いします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 同様に、消費者庁の検討会におきましては、取消権の行使期間の延長につきましては、契約締結時からの取消権の行使期間と、それから追認できるときからの取消権の行使期間の延長ということの双方についての御提言をいただいているということでございます。

吉田(統)委員 今の二点について、検討会での提案に従ってということですか。ほかに何か理由がありますか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは検討会での報告書で御指摘をいただいたということもございますし、それから、政府の合同の関係省庁連絡窓口においての相談件数と、相談の実態ということも踏まえてということでございます。

吉田(統)委員 今の後段の一年から三年に延長も、本質的な取消し事由が変わらないのであれば、事実上、取消権の行使が不可能ではないかと思うんですが、そこに関していかがでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 検討会の報告の中でも、取消権の、先ほども裁判での行使事例がないということがございましたけれども、そうした実態も踏まえて行使期間の延長ということを考えているところでございますので、必ずしも事実関係だけではないというふうに理解をしてございます。

吉田(統)委員 また、これも、取消しの対象に、本人への行為だけだったものを、親族の生命や身体、財産などに関わる不安をあおる行為を加えるということですが、そのような改正を予定していますか。

片岡政府参考人 先ほど来大臣からも御答弁させていただいておりますように、なかなか、今の改正法案の中身についてはコメントを差し控えたいと思いますけれども、消費者庁の検討会の報告書の中では、そういうことも含めて問題提起がされているということでございます。

吉田(統)委員 大臣の立場ではさっきの答弁でもしようがない部分はあるんですけれども、役所が同じ答弁をしたら駄目ですよ。

 それでは、親族という言葉が入っていますね。親族とはどの範囲の親族を指すのかということを確認したいです。

 例えば、旧統一教会の場合、数百代前にまで遡る先祖の霊を引き合いに出すことが多いようでありますが、このような場合は含まれるのでしょうか。そもそも、亡くなった人はこの親族に含まれますか。役所にお尋ねします。

片岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 親族の範囲につきましても、現在、検討をさせていただいているところでございます。

吉田(統)委員 いや、ちょっと、だから、亡くなった人が入るかどうかは答えられるでしょう、今の事態。検討会があったわけだから、それに沿ってやるんだったら。どうですか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 親族の範囲を検討する中で検討させていただいているということでございますので、亡くなっているか亡くなっていないかということに着目をしているわけではございません。

吉田(統)委員 いや、着目しないと最終的に難しい部分もあると思いますけれどもね。

 では、不安をあおる行為というのはどのような行為を想定しますか。本人が不安を感じたかどうかは問題となりますか。問題となるなら、どのように不安を感じたのか判断するのか、お聞かせください。役所にお伺いします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 不安をあおるという行為につきましては、まさに文字どおりでございまして、不安を感じるということでございますので、勧誘者の行為によって当該消費者が不安を感じるということでございます。

吉田(統)委員 つまり、本人が不安を感じたかどうかが一番重要ということですよね。うなずいていただいたら、それで結構です。

 分かりました。

 次は、文科省に聞いてまいります。役所の御答弁で結構です。

 十月十七日の衆議院予算委員会で岸田総理が、報告徴収、質問権を行使して実態解明を目指すという考えを表明されましたね。そして、これを受けて、十一月十一日に永岡文部科学大臣は、宗教法人法に基づく質問権を行使すると表明しました。

 まず、文科省に確認したいんですが、先ほどから私が申し上げている早急な被害者救済、将来の被害防止の観点から考えると、早急な質問権の行使が望まれると思いますが、文科省は今後どのような手続を進めるのか、そして、結果として質問権の行使の時期についてめどをつけているのか、お答えください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 先週金曜日、十一月十一日に、文部科学大臣が旧統一教会に対して宗教法人法第七十八条の二に基づく報告徴収、質問権を行使することを表明したところでございます。

 報告徴収、質問権の行使に当たりましては、同条第二項において、文部科学大臣があらかじめ宗教法人審議会に……(吉田(統)委員「聞いたことだけに答えてください」と呼ぶ)はい。

 諮問してその意見を聞くこととなっておりまして、現在、宗教法人審議会に諮問する具体的な事項とその理由の精査を進めているところでございまして、できるだけ速やかに宗教法人審議会を開催したいと考えております。

吉田(統)委員 聞いたことだけ答えてください、時間がもったいないので。

 この質問権行使に関して、これまで、立憲民主党の会議で数回、文部科学省などに確認しましたが、なかなか進んでいません。

 そこで、確認ですが、今回の質問権の行使は、宗教法人法第七十八条の二第一項のどの要件に該当するということで行使できると考えたんでしょうか。簡潔に。

 委員長、時間を止めてください。

稲田委員長 小林審議官、答えられますか。

小林政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。

 旧統一教会につきましては、法人自身やその信者等の行為について不法行為責任を認めた判決が多数ございます。このことは、基準で言います公的機関において当該法人に属する者による法令違反や当該法人の法的責任を認める判断があることといった点に該当すると考えられます。これは、先日発表いたしました基準に照らしてということでございます。これらの判決は、約三十年間にわたり全国各地で広く認められたものであり、その損害賠償額が少なくとも累計で約十四億に上るということから、基準で言う法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている疑いがあると認められることに該当すると考えられます。

吉田(統)委員 ちゃんと細かくレクしていますから、しっかり答弁してくださいね。

 これまで、我々の会議での答えと全く違うんですよね、結論が。これは基準を変更したということなんですかね。基準とさっき言葉を使われましたが、基準を変更したということですよね、我々の会議体でお話しになったとき、全然違うことを言っていますから。何をもって変更したのかをお答えください。

 これは、ある意味、教団が自民党の支援団体ということで忖度してきたということを思われちゃいますよ、文科省、いいですか。どうぞ。

小林政府参考人 文部科学省といたしましては、社会的に問題がある団体に関しまして、宗教法人法を含め、関係法令との関係を改めて確認しながら厳正に対応していくという方針の下、旧統一教会につきましては、一つは、平成二十八年、二十九年において、法人自体の組織的な不法行為責任を認めた民事裁判の例が見られること、もう一つは、政府が設けた合同電話相談窓口におきまして、金銭トラブルから心の健康に関するものまで、九月三十日時点で千七百件以上の相談が寄せられ、法テラスや警察を含め、関係機関に相談がつながれていることなどから、宗教法人法第七十八条の二に基づき、報告徴収、質問権の行使に向けた手続を進めてまいりました。

 そして、先ほど申し上げました宗教法人制度の運用に関する調査研究協力者会議において一般的な基準をお示しいただき、その基準に基づいて、旧統一教会がその基準に該当すると判断したところでございます。こうした経緯で今回の判断がなされたものでございます。

吉田(統)委員 だから、基準を変更したのか、していないのかと聞いているんでしょう。そんなこと全く聞いていないじゃないですか、いいかげんにしてくださいよ。基準を変更したのか、していないのか、基準を変更していないんだったら、何で我々の会議体であれだけでたらめなことを言っていたということになるじゃないですか。基準を変更したのか、していないのかだけ、はっきり答えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 質問権行使に関する一般的な基準は、今回初めて作ったものでございます。

 また、基準ではございませんけれども、総理答弁の中で、民事も解散命令請求の要件になるのかという、その判断のことでございましたら、今回、政府で改めて検討いたしまして、そこにつきましては改めた整理をしたというところでございます。(発言する者あり)

吉田(統)委員 だから、そういうふうに僕らに言っていないです。基準は、民法は関係ない、刑法だと我々にはずっと説明していたんです。だから、変更したと言えばいいじゃないですか。本当に、よしじゃないですよ、こんなの全然、全然よくない。

 では、ちょっと、もっと質問したいことがあるので、時間がないので。

 質問権行使の時期とかそういったことをお伺いしましたが、同様に解散命令の事由があったとして、今後の手続をどのように進められるのか、また、請求の時期はどのように、最終的に解散命令が出せるまでの期間をどの程度と考えているのかをお答えください、役所から。

小林政府参考人 解散命令の請求に関しましてお答え申し上げます。

 文部科学省としては、宗教法人法に照らして解散命令請求の適否を判断するためにも、まずは報告徴収、質問権の行使を通じて、行為の組織性、悪質性、継続性等について、具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにした上で、法律にのっとり必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 ちゃんと私の言っている質問を聞いた方がいいと思いますよ。合っていないです。答弁書ばかり読むんじゃなくて、役所から来ているんだから、大臣ならしようがないかもしれないけれども、もうちょっとちゃんとお答えいただかないと、政府参考人を呼んでいる意味がありません。

 では、この問題、やはり、いろいろ議論をしていく中で、信教の自由に反するのではないかという声をどうしてもお聞きすることがあります。政府はこの解散命令と信教の自由との関係をどのように捉えているのか、お答えいただけますか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人法は、憲法の定める信教の自由の保障と政教分離の原則に従って、所轄庁の権限行使に関して抑制的であることを求めております。

 宗教法人の解散命令に関する規定の合憲性につきましては、オウム真理教に対する解散命令に関する最高裁判所決定におきまして、解散命令の規定自体は憲法に違反しないと判示されていますが、その過程におきまして、幾つか指摘がございます。

 一つは、解散命令によって宗教法人が解散しても、信者は、法人格を有しない宗教団体を存続させることが妨げられるわけではなく、解散命令は、信教の、宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないものであるとしつつ、解散命令が確定したときにはその清算手続が行われ、その結果、信者らが行ってきた宗教上の行為を継続するのに何らかの支障を生じることがあり得るとした上で、さらに、憲法が保障する精神的自由の一つとして信教の自由の重要性に思いを致し、憲法がそのような規制を許容するものであるかどうかを慎重に吟味しなければならないとされております。

 文部科学省としましては、宗教法人法に照らして解散命令請求の適否を判断するためにも、先ほど申し上げましたように、客観的な事実を明らかにした上で、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 もう時間がないので、次、議論をまた。本当は、我々が提出した法案に関して、役所の皆さん、また大臣の評価もいただきたかったと思うんですが、ただ、大臣の先ほどの御答弁を見ると、なかなか、踏み込んだ内容に関しては、やはり法案が出た後じゃないと有意義な議論はできないなと思ったので、またそこに預けるとして。

 ただ、基準を変えられたなら、役所は別に、潔く変えられたと言えばいいんだと思います。だって、もう終わりますけれども、例えば外交問題だって、南千島、北方領土だって、一旦は放棄したと言っていたわけですよ、政府は。だけれども、これを変えて、答弁を変えて、南千島は我が国固有の領土だと変えたじゃないですか。これは国会答弁上も明らかな事実なわけですよね。私、これは林大臣ともいろいろ議論しましたが。

 基準を明らかに変えられたのを、詭弁を弄しては、やはり国民の信頼を失いますよ。基準を変えたなら変えたとおっしゃればいい。変えた理由をちゃんと付言すればいいんじゃないでしょうか。

 政府に対して、役所に対して、そういった本当に真摯な、国民に対して信頼を失わないような真摯な御答弁、対応を最後にお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、浅川義治さん。

浅川委員 日本維新の会の神奈川一区の浅川義治でございます。

 今日は、稲田委員長、各会派の理事の皆さん、委員の皆さん、どうもありがとうございます。また、事前に質問関係の調整というかレクを各所管の係の方にいただきまして、本当に参考になりましたので、併せて御礼申し上げます。

 私も、一年少し、議員になりまして、委員会で何度か質問しているんですけれども、いつも心がけているのは、ネット中継を見ている方あるいは後で議事録を読まれた方が分かりやすい質問で、お願いしたいのは、分かりやすい御答弁もお願いしたいと思っております。

 その点、河野大臣は、神奈川で有名なだけではなく、全国的に有名な代議士、大臣でいらっしゃいます。ツイッターのフォロワーが二百六十二万人、非常に影響力もあって、私も実はフォローして、しょっちゅう見せていただいているんですけれども、モールス信号での問いかけにもモールス信号でお答えになるとか、非常に私、大臣を見習いたいなと思っているところなんですね。大臣のように影響力のあるような議員になれるとは、なかなか今、確信は持っておりませんけれども、目指しております。

 今日は、せんだって四月の十九日の当委員会で私が質問しました生ガキの生食用の問題と、それから中古車販売についてお伺いをいたします。

 大臣も神奈川でいらっしゃいますけれども、私も神奈川一区、全国的に有名なところでいうと、八景島シーパラダイスというのがありまして、そのすぐ横に住んでおります。そのシーパラダイスのすぐ横には、海の公園という、横浜市が造った海の公園があるんですけれども、そこでこの冬場にカキの小屋ができまして、三年間、コロナでやっていなかったんですけれども、せんだっても、この質問のときに、その海の公園のカキ小屋という話をしたために、浅川がカキにあたったのはそのカキ小屋だったんじゃないかというちょっと誤解が生じまして、今日、この委員会の場で、私がカキにあたったのはスーパーで買った生食用のカキだったという点を、ちょっともう一度、委員会の議事録に残させていただきたいと思います。

 スーパーで買った生食用のカキ、生食用と書いてあるので、私は安心して食べたんですね、前回も申し上げたんですけれども。それで、カキにあたって、どうなっているんだと。質問したときの答弁としては、生食用といっても、あたる原因のノロウイルスについては、何の検査もないからということだったんです。

 私も、党のスタンスもそうですけれども、いろいろ経済規制をしていくというのは余り賛同できないんですが、ただ、食の安全という点では規制はもちろん必要だと思っております。生食用という表示があっても、ノロウイルスについては何らそのリスクについては排除されていないという点について、改めて、河野大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

河野国務大臣 生食用のカキにつきまして、食品の表示基準では、原産地表示に加えて、それぞれの都道府県の衛生当局が定めました採取された水域、これが表示されなければならぬということになっております。

 これは、平成十年でしたか、カキがノロウイルスに汚染されて食中毒が発生をした、そういう場合に、食中毒が発生した際に、どこで採取されたのか、そのカキの採取水域まで遡って調査をし、食中毒の被害の拡大を防ぐ、そういう措置が取られ、そのまま食品表示基準に引き継がれたということでございますので、生食用のカキに係る安全性に重要な影響を及ぼす事項については、食品表示法上、適切に表示をしてくださいということになっており、また、食中毒が生じた場合には、この採取水域の情報に応じて、都道府県の衛生当局が、食品衛生法に基づいて、生食用から加熱加工用に用途変更する、そのような必要な措置を取ることになっております。

 消費者の皆様には、生食用のカキですから生食されるんだろうと思いますが、体調その他、十分に気をつけていただきたいと思います。

浅川委員 実は、海域のいろいろな雑菌等については調査をされているんですが、ノロウイルスについては、そもそも因果関係が統計上余りないという事前のお話がありまして、私はノロの検査をするべきだと思うんですけれども、今日、厚労省の方から医官の方にもお越しいただいているんですけれども、通常、カキにあたったときに、患者さんが症状を訴えたときにどのような対応をされるのか、臨床現場での作業についてお伺いしたいんですけれども。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 カキを食べて食中毒の症状が出ている患者様が病院等を受診した場合、通常、食事の状況やその臨床症状、また、周囲の感染状況などから、総合的にノロウイルスを原因と推定して診察がなされることが多いものと承知しております。

 なお、ノロウイルスの検査は、医師が医学的に必要と認めた場合に行われているものと承知しております。

浅川委員 つまり、大体私も三十六時間ぐらいたって激しい症状が出るんですね。別にノロかどうかという検便とかをするわけじゃない、一回もされたことはないんですけれども。でも、お医者様が判断して、ほぼノロウイルスだろうというふうに診断される。にもかかわらず、生食用のカキにノロが入っているか入っていないか、あるいは何らかの調査を進めるということがこれまでなかった。

 この点について、四月の十九日の私の質問で若宮前大臣が、「厚労省とも連携いたしまして、どういうやり方が一番望ましいのか、消費者庁といたしましてもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。」という御答弁をいただきました。

 ちなみに、若宮大臣もカキにあたって大変苦しい思いをされたということだったんですけれども、河野大臣はカキにあたったことはありますか。

河野国務大臣 運よくというか、これまでございません。

浅川委員 答弁に影響される可能性も若干あるかなと思うんですが、是非このノロのことについて、当時の若宮大臣が厚労省とも連携してという御答弁があって、今日はそれ以上はちょっと出ないとは思うんですけれども、是非ノロウイルス対策というのも、例えば、生食はリスクがあるんですよ、生食とパッケージに書いたときに、生食用だけれどもノロのリスクはあるんですよとか、あるいは、せめてこの時期、これから生ガキのシーズンですけれども、いろいろ広報するとか、そういった点、いかがでしょうか。

河野国務大臣 カキにあたるというのは、カキにあたっているわけで、ノロウイルスがどれぐらいの影響があるものなんだろうか、ちょっとその辺を厚労省と確認をしたいというふうに思いますので、済みません、少々お時間をいただけたらと思います。

 別に答弁に影響するということはないと思いますので、余り、カキの生にあたろうとは思っておりませんが、影響のないように、きちんと厚労省と連携してやってまいりたいと思います。

浅川委員 ありがとうございます。

 今日は旧統一教会絡みの質疑は私はいたしませんけれども、時期が来たら我が党の委員がいろいろとさせていただくと思います。

 今日は、この生ガキの件、大臣の前向きな答弁をいただけたので、非常に私は満足しております。

 実は、河野大臣には本当はこの委員会じゃないところで、非常に関心を持っている質疑を本当はしたいんですけれども、たまたま大臣がこの所管になられているし、この場で質問することができないので、私も、議員経験をもう少し積ませていただいて、いつか大臣にいろいろ御質問をさせていただきたいこともあります。

 続きまして、中古車の販売の問題について、これは具体的な事例が私の身近にありまして、私も直接、中古車販売会社にも問合せもしたんですけれども、どういうことが起きたかといいますと、非常に規模の大きな中古車販売店で見て、この車をと言った方が、若干車高が低くなっているな、いわゆるサスペンションが換わっているんじゃないのかなと見た目で思われたので、購入を、契約をするときに、このサスペンションは手を入れていませんかというふうに販売の営業マンにお話をしたら、ノーマルですというお話があったんですね。

 ところが、試乗はごく僅かなところでしかしていないので分からなかったようなんですけれども、実際、購入した後に乗ってみたところ、いわゆる走り屋という、直進性能はいいんですけれども乗り心地の悪い、そういう車になっているんじゃないかということがありまして、専門の修理工場で見てもらったら、これは非常に高価なサスペンションがついています、いわゆるメーカーの通常のものとは違って改造されていますということが分かったんですね。

 それで、その中古車の販売会社のところに、これはノーマルじゃなかった、乗り心地のこともあるから、通常のものに換えてほしいというお話をしたところ、その担当者は、会社の判断を伝えるけれども、多分換えられませんというお話だったんですね。実際に会社の判断というのは、換えられませんと。

 ところが、その会社の判断を指示をされた店長さん、その店長さん、私も後から電話でお話ししたんですけれども、何と、販売の営業担当者からは、お客様が納得していますという報告をしているんですね。その店長さんはブロック長に報告し、取締役の営業本部長にまで、いや、お客さんは納得して買っていましたという虚偽の報告をされている。この会社が、何と、お客様相談室もコンプライアンス室もありません、直接そういうところへ電話をすることもできませんということを、販売店に指示をして、そういうふうに言わせていたんですね。それは私が直接確認しました。

 悪質な、超悪質な事例じゃないかもしれないんですけれども、こういった中古車の販売で、お客さんがそういった場合には泣き寝入りすることが多いんじゃないかなと思うんですね。

 この後、体制のこととかもいろいろお伺いしたいと思うんですけれども、ここまで聞かれて、大臣、感想としてどういうふうに思われますか。

河野国務大臣 生食のカキだけでなく、ここ最近、車の運転もしていないものですから、サスペンションの違いというのが余り理解できているかどうか分かりませんが、スポーツタイプのサスペンションの方が恐らく価格は高いんですよね。ですから、何か粗悪なものを売りつけられたというわけではないんだけれども、やはり買手のニーズと若干合わないというところがあって、そのときの説明が誤っていたというのは、それはやはり消費者からしてみると迷惑な話なんだろうというふうに思います。

 業界として、やはり、そういうときにしっかりと説明をする、正確な説明をする、あるいはクレームがあったときに何らかの対応ができるような仕組みというのがあるのが望ましいんだと思います。中古車には公正競争規約というのがあるはずでございますから、それにどのように合うのかというのは確認はしてみたいというふうに思いますが、やはり、消費者と売手の間でそうした誤解がないような商売をしていただくということが、商売の将来の発展にもつながっていくことだと思いますし、業界の健全な発展にもつながっていくんだろうと思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 では、これが法律的にどうなのか。例えば、これが消費者センター、消費生活センターの方に相談があった場合に、それぞれの地方のセンターの方がどのような対応をされるのか、所管の方からでも結構ですので、お答えいただければと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者が消費生活において商品やサービスの契約などのトラブルに直面をして、最寄りの消費生活センターに相談をした場合には、消費生活相談員が相談内容に応じてまず助言やあっせんを行うことになります。

 一般的な対応といたしましては、消費生活相談員が消費者から契約の状況等について丁寧に聞き取りを行って、相談内容を把握いたします。その上で、消費者に助言を行ったり、あるいは、場合によっては専門の適切な機関を紹介したり、あるいは事業者と消費者の間に入って必要なあっせん行為を行う、そういうふうな対応を行ってございます。

浅川委員 是非、ネット中継を御覧の方、あるいは後で議事録を御覧になっている国民の皆さん、ちゅうちょすることなく消費者センターの方に御相談をしていただきたいなと思います。

 今日、この中古車問題の本論は、実は相談内容というよりかは、むしろ、今、消費者庁でも言われています、会社の経営側ですね、消費者志向の経営というのを補助するというか、バックアップされているかと思うんですね。

 今回、実は昨日の夕方、この会社の取締役営業本部長にも一時間ほどお会いしましてお話をしたところ、社内体制も含めていろいろ改善をしていかなければいけない時期になってきているというお話をいただきました。

 つまり、営業の担当者が上司に対して違うことを言っているんじゃないかとか、あるいは、そもそもお客さんに対しての説明が十分じゃなかったときのその後のクレームの対応とか、そういったことがある程度の規模のある会社で起きるというのは、今の時代にとっては非常に恥ずかしいことだと思うんですね。

 私も昔、地元の横浜銀行に勤めておりまして、いわゆる銀行というのは数字が至上主義でした。特にそれでバブルもあったんだと思うんですけれども、私が入行した後は、当然、コンプライアンスですとかお客様第一主義ということを本当に真剣にやり始めて、経営も大きく変わった時期です。

 今や、上場企業は多くがCS活動に取り組んで、そういったクレームこそが商品改善あるいは対応の改善につながるという方向を出していると思うんですね。ただ、まだまだそうじゃない企業もあるということもよく分かりました。

 消費者センターと企業の、事業者の団体、今回も、この中古車の事業者団体の方では、実は相談窓口があるんですけれども、そこは、直接相談は受けるけれども、その企業や販売店を指導したり仲介したりすることがないということでした。それについては、今後、そういう団体の在り方というのも考えなければいけないんですけれども、そもそもの企業の経営側のスタンスに対して、先ほどお話ししました消費者志向経営について、いろいろ消費者庁も支援をし始めているということなんですが、企業側から何か求められるものがあった場合に、何らかの対応というのが今後されるかどうか、お伺いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、消費者志向経営につきましては、これからまさに事業者と消費者の協働、共創ということがますます重要になっていく中におきまして、我々としても取組を推進していきたいと思っておりますので、我々からは、事業者に対してこういう取組ができますよということをPR、周知をさせていただき、また、事業者からは、消費者志向経営を、我々は自主宣言という形で推進をさせていただいておりますけれども、どういう形で自主宣言をさせていただけるのか、あるいはどういう基準なのかということについての照会があった場合にはそういうことにお答えをしていくということで、消費者志向経営の取組の推進をしていきたいというふうには考えてございます。

浅川委員 例えば、企業の側で、自らそういうトラブルとかまずい点が分かってきたというときに、消費者庁あるいは消費者センターの方でたくさん情報があるわけで、例えば、こういうふうなことをしたらどうかという講師の派遣とか、もし依頼があった場合、そういったことについては対応可能でしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、消費者志向経営につきましては、民間の団体さんで取組を推進していただいている団体がございまして、ここはまさに消費者の相談窓口を専門にされている方々の団体になってございます。そうした団体で、まさにどういうふうに相談を受け付けていくのか、消費者の声を聞くというのはどういうことなのかということについての知見を大変持ってございますので、そうした団体を御紹介させていただきながら、相談の質の向上みたいなものを図っていただくということはできるかとは思います。

浅川委員 大臣、こういう企業の消費者向けの経営スタンスというのは、今は当然、どこの企業も行われているかのように大企業では思うんですけれども、中堅企業あるいは規模が大きくなっても非上場企業とか、営業の売上数字第一で、お客さんと多少トラブルがあっても目をつぶるというような企業も少なからずあるんだと思うんですね。そういったところを、消費者のトラブルを未然に防ぐという意味で、経営者側のスタンスを変えていくということを、大臣、今、消費者庁担当大臣でもありますけれども、幅広く、政治家として御経験もありますし人脈もありますので、そういった消費者志向の経営という点を是非いろいろな場で広めていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 消費者庁としても、消費者志向経営というのをしっかり広めていくというのは重要なことだと思っております。様々な場面を活用して、いろいろなことをやっていきたいと思っております。

 今、SNSを始め、いろいろな情報が瞬時に広がるわけですから、消費者の間でも、どこの企業がどういう消費者に対する対応をしてくれたかという情報は、ネットを通じた口コミでもかなり早く広まるということを考えると、この消費者志向経営というのは企業の本来ビジネスにとっても有益なことだと思っておりますので、消費者庁としてもそこはしっかりそういう企業をサポートしてまいりたいと思っております。

浅川委員 どうもありがとうございました。

 以上です。

稲田委員長 次に、田中健さん。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 私からは、ゲノムの編集技術の応用食品について伺いたいと思います。

 まず、食品表示制度についてです。

 遺伝子を効率よく改変するゲノムの編集技術で開発された食品が、国内流通、やっと今年から始まりました。このゲノム編集食品第一号、皆さんもトマトで御案内かと思います。このトマトについては、食品のゲノムを編集したものであるということをしっかりと表示をして今販売がされています。また、昨年承認を受けたトラフグ、これにおいても、遺伝情報などのデータを公開して、ネット上で見ることもできます。この開発主体というのは、それぞれ、筑波大学であったり京都大学ということで、大学発のベンチャーということでございまして、研究の一環ということでもあり、自主的にこのような取組を進められていると聞いています。

 このゲノムの範囲というのは応用範囲が広く、大きな可能性を秘めており、食料の安定供給や、温暖化や食料危機といったものにも対応できるという期待もあります。しかし、国内の食品メーカーの中には、まだまだ二の足を踏む企業が多いとも聞いています。それは、やはり消費者の不安がまだ払拭できていないからであるということです。

 食品を選ぶのは、それぞれの消費者の権利であります。今のままだと、食べたくないと思う人も知らないうちにゲノム食品を食べている、ないしは、家族や子供さんにも食べさせてしまうということにもなりかねません。消費者が不安なく自分の意思で選択できるためにも、また、企業自体も自信を持って販売、流通をこれからさせていくためにも、是非この表示の義務づけということも必要かと考えますが、大臣の見解を伺います。

河野国務大臣 初めて私が衆議院に当選したのが九六年でしたけれども、政策的に私が最初に手がけたのが、当時始まっておりました遺伝子組み換え食品の表示をしっかりやらにゃいかぬということで、今の岸田総理と一緒に、この消費特に小委員会をつくって、遺伝子組み換え食品の表示の問題というのを、これは与野党一緒に始めたわけでございます。ですから、今回のゲノム編集技術というものを使ったものの表示については、私も少なからず興味を持っております。

 このゲノム編集技術を使ったものの中で遺伝子組み換えに当たるものは、もうこれは遺伝子組み換え食品として取り扱われるわけでございます。それ以外のものについて、今委員おっしゃったトマトとトラフグ、マダイ、多分この三つなんだというふうに思っておりますが、ゲノム編集技術を用いたものではあるんだけれども、普通の品種改良と同等のものの場合、これは、後からゲノム編集技術なのかそうでないのかというのを確認するのがなかなか難しいということがございます。

 これは、遺伝子組み換え食品のときも、例えば大豆をベースにした油について表示をしろという議論がありましたけれども、油をどういうふうに遺伝子組み換えかどうか確認するのか。結局、確認ができないということで表示の義務づけはしなかったということがございます。

 それから、このゲノム編集技術に関して言うと、諸外国から輸入したものについて、今、諸外国でゲノム編集技術について表示をしているところはないのではないかと思うんですよね。そうすると、輸入したときにそれが果たしてゲノム編集技術のものかどうかというやはり科学的な確認ができないということで、科学的な確認ができないものについて罰則を持った表示義務というのは、これはなかなか厳しいんだろうと思っております。

 ただ、今委員おっしゃいましたように、今、日本で流通しているトマト、マダイ、トラフグについては事業者側が積極的に表示をし、情報公開してくださって、消費者が安心して選択ができるという状況になっておりますので、消費者庁といたしましては、これからこうしたゲノム編集技術を使ったものが流通するときには、事業者に積極的な情報公開、それから表示を求めていきたい。これは事業者側がそれぞれやられることではありますが、やっていただきたいと思っておりますし、そういうものの積み重ねの中でゲノム編集技術についての標準的な情報公開、表示のルールというのができていったらいいなというふうに思っておりまして、消費者庁でも、なかなか表示義務というわけにはいきませんが、表示について積極的に奨励をしていくということはやっていかなきゃいかぬと思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 大臣が大変理解があって、また、遺伝子組み換えのときにも議論をしたということでお聞きをさせてもらいました。まさに、遺伝子組み換え食品においては、カルタヘナ議定書のように取扱安全基準というのは国際基準がありますが、今回のゲノム編集には、おっしゃられたように国際的な基準がありません。ですから、どうしても海外の様子を見ながらということで、今まで消費者庁も、この議論、令和元年で報告書が出ていてもう四年がたっていますが、まだまだ進展が見られないというのも事実であります。

 そんな中で、もう一つの視点、安全性についても伺いたいと思っています。

 安全性については、アメリカの企業がゲノム編集技術で、角がなく、育てやすい乳牛というのを開発したことがありました。このときは、FDAが調べたところ、抗生物質耐性遺伝子が発見されたり、これはゲノム編集でなく、先ほど大臣からありました遺伝子組み換えだということに認定されまして、結局、出荷中止になりました。このように、例はアメリカにありますし、また、目的外の遺伝子を誤って編集してしまうという可能性もなくはないというふうにも言われています。つまり、潜在的なリスクというのはゼロではありません。

 ですので、今後、これが豚や牛などにもゲノム編集が将来広がったときに、今のゲノム編集の流通や販売というのは国の届出制になっておりまして、安全性の検査自体も企業自身が行い、それを国が承認するという形になっています。これではなかなか、企業が幾ら真摯に調査をしたとしても、消費者というのは、本当に大丈夫なんだろうかというやはり不安の払拭というのは、否めないですね。

 そういう意味で、生産者や企業が安心を確保できる日本独自の安全性の基準、国際的基準がなければ我が国、自国で作るしかないと思っておりますけれども、このような安全基準を確立などして消費者との信頼を築くことが、結果、誰もの、皆さんの納得につながってくるんじゃないかと思っていますが、所管の厚労省の方から見解を伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 ゲノム編集食品の取扱いにつきましては、先ほど河野大臣からも御答弁いただいたとおりでございまして、自然界等で起こり得ない範囲の遺伝子変化によるものに関しましては、食品衛生法に基づく規格基準告示によりまして、食品安全委員会の安全性審査を経ることとしております。

 一方、自然界等で起こり得る範囲の遺伝子変化によるものに関しましては、安全性審査を経る必要はないが、ゲノム編集食品が新しい技術であることなどを踏まえまして、事業者に届出を求め、ゲノム編集食品に関する情報を把握していく仕組みとしているところでございます。

 具体的な流れといたしましては、個別のゲノム編集食品の開発者等から相談があった場合には、まずは、厚生労働省におきまして開発者等からの事前相談に基づきゲノム編集食品のゲノム編集内容等を把握した上で、薬事・食品衛生審議会の専門家の御議論や、必要に応じまして食品安全委員会の諮問を経て、自然界等で起こり得る範囲の遺伝子変化かどうかの確認を行い、安全性審査又は届出の手続に進むこととしております。

 このように、自然界等でも起こり得る範囲の遺伝子変化によるゲノム編集食品につきましては、自然界等と同程度の安全性は確保されていると考えておりますが、今後、新たな科学的知見が得られた場合には必要に応じて取扱いを見直すことも視野に入れ、ゲノム編集食品の安全を確保する取組を継続してまいりたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 安全性、しっかりやっていただけているということなんですけれども、どうしても、届出制だけだというような認識があるものですから、それですと本当に大丈夫なのかというまだまだ消費者の不安がありますので、是非、まだこれは始まったばかりでありますので、これから海外の知見やまた取組もしっかりと見て取り組んでいただければと思っています。

 その中でやはり必要なのは、消費者庁が取り組む食品表示の在り方のリスクコミュニケーションだと思っています。これについての必要性は消費者庁も述べており、これまで取組を進めてきたところであります。どうしても、食に関わるバイオテクノロジーというのは日々進歩していますので、私もついていくのにやっとでございますが、理解不足や誤解というのを生みやすい。そのためには、常にリスクコミュニケーション、これはワクチンのときにも議論になりましたけれども、必要だと思っています。

 これまでの消費者庁の取組、また今後の展開について伺いたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 この問題のリスクコミュニケーションの一環といたしまして、令和元年度に五回、これは関係省庁、農林水産省、厚労省、消費者庁でございますが、二年度、三年度は岐阜県であったり徳島県あるいは滋賀県の大津市ですか、地方自治体にも入っていただいて、二年度、三年度は二回ずつこうした意見交換会をやってまいりました。

 四年度も熊本で開催予定だったんですけれども、ちょっと専門家の方のスケジュールが合わずに別なテーマでの開催ということになってしまいましたが、これからこのゲノム編集技術を用いたものの流通というのが増えていくだろうということを考えると、やはりこうしたリスクコミュニケーションの機会というのはしっかりやっていかなければいかぬと思っております。

 意見交換会に限らず、消費者にしっかりと情報が伝わるような、それこそネットを使ったような情報発信というのもやっていかなければいかぬというふうに思っておりますので、消費者の方々に正確な情報を伝えてまいりたいと思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 不安払拭のためにはやはり発信と、特に大臣は発信力があると先ほどから皆さんおっしゃっておりますけれども、その発信力で、是非、消費者の不安払拭とまた信頼関係を築くためのコミュニケーションを続けていただければと思います。

 もう一点伺います。これは暗号資産です。

 アメリカのFTXの破綻によりまして、ブロックチェーン市場に大きな不安が広がっています。AP通信によりますと、債権者十万人以上、また資産と負債は共に百億ドル、一兆円から七兆円の範囲の被害が出ているんじゃないかと言われています。今回は暗号資産業界で最大規模の経営破綻となりまして、よく言われるビットコインなどというものも暴落を今しています。

 このFTXはFTXジャパンというものが事業展開をしておりまして、日本でも事業展開をしているんですけれども、このFTX傘下の国内事業者であるFTXジャパンは、ユーザーの資産は適切に管理されているというような報道も一部ありましたが、実態はどうなっているのか、ユーザー側への適切な返還というのがこれからなされていくのか、これは金融庁にお伺いいたします。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の資金決済法では、暗号資産交換業者は、利用者の資産を事業者自身の資産から分別して管理、保全すること、財務の状況について外部監査を受けた上で毎年当局に報告し、かつ公表することなど、利用者保護のための措置が義務づけられております。

 FTXジャパン社は、我が国に登録されている暗号資産交換業者として、利用者の金銭は日本の信託会社に預託しており、利用者の暗号資産は同社が国内で管理するオフラインのウォレットで保管している旨、公表しております。また、顧客資産の返還に向けた今後の対応策について、現在検討しているところと承知しております。

 当局としては、当社に対し、利用者保護に万全の措置を講じること、利用者の資産保全の状況について利用者に周知徹底すること、日本居住者に対する債務を履行するための資産を国内に保有することなどを内容とする行政処分を行ったところでございます。

 利用者資産が速やかに返還される体制の整備など、利用者保護に関する措置が適切に講じられるよう、しっかりとモニタリングを行ってまいります。

田中(健)委員 まさに、信託預託ですとかオフラインの話は、コインチェックのハッキングのとき以来、業界として大変取り組んできたことであります。お話も聞かせていただきました。それが今このような形で正確に守られ、安全性が確保できているということは、業界の人の努力もあったんだろう、また行政の指導もあったんだろうと思っています。

 そんな中で、このFTX破綻の引き金となったものが、FTXトークンという、FTTという独自のトークンを発行しているということです。このトークンについては、日本でも上場審査がなされて流通をしていると承知をしておりますが、価格は直近で十分の一に下落をしまして、ピークからは三分の一と大暴落をいたしました。

 ウェブ3におけるトークンエコノミーというのは、企業又は個人によって、現在のブロックチェーンの技術を用いて発行された独自の通貨によって成り立つ経済圏と言われておりまして、このトークンエコノミーが新しい経済を、新しい資本主義をということで今大きな期待もあるのが一方、しかしながら、余りに投機性の高いトークン等の審査や上場のことについては適切になされる、消費者を守るためにも、必要があるというのは当然であります。

 今回のFTXの破綻と、このような独自のトークン発行がいろいろなところで相次いでいるわけでございますが、この新しい経済とのバランスというのをどのように取っていくのか、大臣の所見を伺えればと思います。

河野国務大臣 ウェブ3というのが、今盛んに議論され、話題にもなっております。新しい技術であり、新しい経済と言ってもいいのかもしれません。

 特に、この暗号資産というのは、これは法定通貨ではありませんから、価値が極めて振れ幅が大きく上下をする、大きな損をする可能性もあるということは、消費者の皆さんに理解をしていただかなければなりません。

 この暗号資産について投資をしようという際には、その内容とか、これはいろいろなものが出ておりますから、その内容だったりリスクだったり、それをしっかりと理解をした上で、自分のリスクの許容範囲の中で投資をしていただかなければいけませんし、最近はマッチングアプリなんかで知り合った方から投資話を持ちかけられてというようなことがあるようでございますが、その際には十分気をつけていただかなければいけないんだと思っております。

 ただ、このトークンエコノミーという言葉がありますように、このウェブ3というのは様々な可能性を秘めておりますから、このような事案があったからといっていきなりぺしゃっとやってしまうのではなく、消費者、事業者の皆さんに、このリスクを十分に理解をしていただいた上で、自分が取れるリスクの許容範囲の中で、様々、経済活動をやっていただきたいというふうに思っております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 日本の取引所、当初は大変厳しい、また、なかなか順番待ちで許可も下りないということがあったんですけれども、それが結果としてこのように、安全で、そして市場が構築できていると思っています。遅れてしまったのではなくて、まさに大臣に言ってもらったように、ここからがチャンスだというぐらいの思いで、このトークンやトークンエコノミーの、まあ、新しい技術ですから、その発展というものもこの消費者庁でしっかりと見守っていただいて、取り組んでいただければと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、統一協会の被害者の救済、被害の根絶について質問をさせていただきたいと思います。

 今こそ、これを実現しなければいけない。ただ、報道されている法案ではそれができるのかということが大変疑問でございます。

 まず、前提として、この被害者救済、被害の根絶の先頭に立っていただくべき政務三役の皆さんと統一協会との関係について、お伺いをしたいというふうに思います。

 統一協会あるいは統一協会関係団体と、推薦確認書や、あるいは別の政策での類似の確認書を交わしたことがそれぞれあるかという点、また、自民党への自己申告ですとか報道などで明らかになっている御自身の関係についてお話をいただきたいというふうに思います。また、公になっている関係以外に、統一協会及び統一協会関係団体との関係はほかにはないか、この点についてお伺いを、それぞれお三人にお願いしたいと思います。

河野国務大臣 報道されているもの以外に関係はございません。統一教会とは関係性を持たないというのが方針でございまして、それでずっとやってまいりました。

大串副大臣 お答えいたします。

 旧統一教会及びその関連団体との関係につきましては、確認できる限り、既に委員会で答弁したもの以外にはございません。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 旧統一教会との関係につきましては、支部役員に挨拶に行くとともに、選挙前に施設にて少人数を前に短時間挨拶をしたこと、また、私も事務所も覚えはありませんし、記録もありませんが、二〇一一年に関連団体の会合に祝電を送ったのではと地元紙から指摘をされたことがあります。

 これらは党に申告をし、若しくは既に報道されておりまして、これら以外に、私の把握の限り、旧統一教会及び関係団体との関係はございません。

 また、推薦確認書等につきましても、提示もなく、またサインもしておりません。

本村委員 大串副大臣は、統一協会関係の団体と推薦確認書、政策協定を取り交わしたということで、ほかの委員会でも質問されておられましたけれども、選挙では何も応援をもらっていないというような御説明もあったようですけれども、では、何のために取り交わしたのかという点、御説明いただきたいと思います。

大串副大臣 恐らく、その団体の関係者の方が投票に行っていただけるという認識で、私も、それ以外の応援はしていただいていないという認識でございます。

本村委員 そういう、選挙に利するためにやったんだということで、やはり、こうした癒着というのは断ち切らなければいけないというふうに思っております。

 河野大臣も、関係を持たないんだというふうにお話しされたんですけれども、報道では、統一協会関係団体の創設の大会に祝辞を出したという報道がございます。また、外務大臣時代に統一協会関係者に表彰したということを、ほかの委員会でも追及をされているわけです。

 大臣に代表してお伺いをしたいんですけれども、なぜ統一協会との関係を断ち切る必要があるのかという点、どういう御認識か、お伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 霊感商法その他、様々、社会的な問題が指摘されている団体でございますので、今後は関係を持たないということで統一していきたいと思います。

本村委員 本当に、この癒着を断ち切ってこそ、被害者の救済、被害の根絶ができるということでございますので、そうした対応を徹底していかなければいけないというふうに思っております。

 検討会も行われておりますけれども、その中で、一つお伺いしたいことがあるんです。

 マインドコントロール下で合理的な判断ができない状況の被害者も救済できるようにするためには、この検討会の中でも指摘をされた、二〇一四年に日本弁護士連合会の皆さんが作成をされた改正試案の中で、消費者は、事業者が、当該消費者の困窮、経験の不足、知識の不足、判断力の不足その他当該消費者が消費者契約を締結するかどうかを合理的に判断することができない事情があることを不当に利用して、当該消費者に消費者契約の申込み又は承諾の意思表示をさせたときは、これを取り消すことができるというような包括的な規定が必要だというふうに言われているわけですけれども、やはりこうした方向に進むべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 合理的な判断ができない状況の消費者への対応は必要だというふうに思っております。しかし、今おっしゃったものをそのまま条文に盛り込むというのは様々課題があるんだろうと思っております。

 現在、政府の法案について最終的な調整をしておりますので、閣議決定次第、国会に提出をさせていただきたいと思います。

本村委員 こうした包括的な規定というのは、ずっともうこの間求められてきたことで、それが遅れているがゆえに救うことができない被害者の方々がいらっしゃるということで、是非この点も前に進めていただきたいというふうに思っております。

 この対策検討会の報告書の中では、消費生活相談の対応の一層の充実ということも書かれております。

 そこで、今日、資料もお出しをしているんですけれども、これは自治労連の皆様の、会計年度任用職員の方々の実態アンケートです。全体は二万人以上の回答があるわけですけれども、その中から消費生活相談員の皆様のデータをピックアップしたデータの資料です。

 これを見ていただきますと、やはり女性が多く、非正規、会計年度任用職員の方々が多いという、これは会計年度任用職員の方々の資料ですから、当然、全員会計年度任用職員の方々の資料なんですけれども、幾ら研さんを積んでも見合った賃金にはならないという状況にございます。

 一と書かれた資料で少し御紹介をしたいというふうに思いますけれども、ちょうど真ん中のところにあります、女性の四十代の消費生活相談員の方のお声を御紹介したいと思います。

 仕事にやりがいは感じているが、仕事量が多く持ち帰っての仕事が多い、啓発講座の準備は特に職場ではできない、三年前から人員不足だが、募集をしても待遇が悪過ぎて応募はないということです。自分の収入と生活保護費がほぼ変わらず、最低限度の生活が送れない、精神的にも限界だが、相談先もない、会計年度職員になったら、今までの年収を毎月の給料プラスボーナスで割って支給されるようになっただけで、ボーナス時には保険料を引かれ収入は減った、自治体のうまみしかない、死にたいというお声です。

 そして、下から二番目のお声ですけれども、実際に年収がかなり減りました、一時金はいただけるようになりましたが、年収がかなり減ったので、改善された実感は全くありません、退職金制度も検討していただきたいですというお声です。

 二枚目、二種類目の、これはピックアップした全てのものですけれども、これを見ていただきますと、上から二番目の、週五日、七・五時間、ほぼ正規と同じ時間働いているんですけれども、パートタイムという位置づけで、二百万円から二百五十万円未満という昨年の年収という状況でございます。

 大臣は、こういう実態をもう御存じだとは思うんですけれども、このままでいいというふうにお考えでしょうか。

河野国務大臣 消費生活相談員の方々の報酬は、ここ最近は少し上昇しておりまして、令和四年度、過去最高だというふうに報告を受けております。しかし、自治体ごとに差があって、かなり報酬水準の低い自治体があるのも事実でございます。

 過去と比べるとそういうことでございますが、やはり、この消費生活相談員の皆さんの仕事というのは、今の現実社会の中でかなり重要な仕事をやっていただいておりまして、こうした方々の専門性を高めると同時に、その人たちの能力に応じたキャリアパスというのがしっかり見えるようにしていくというのは大事なことだと思っておりますので、若干待遇がよくなりましたといって、私はこれをよしとするのではなくて、やはり、もう少ししっかりとした、自分たちのキャリアパスが見えて、将来の自分の絵姿が描けるような待遇にしていかなければならないというふうに思っております。

 これは地方公共団体がお決めになることでございますが、交付金その他を活用していただいて、是非しっかりとしたキャリアパスが描けるような待遇にしていただきたいと思っておりますし、また、消費者庁の方でも、様々、テレワークなどいろいろな技術の活用を含め、こうした相談員の方々が専門性を磨き、更にやりがいのある仕事ができるようなことをしっかり支援をしてまいりたいというふうに思っております。

本村委員 以前もこの委員会の中で指摘させていただいたんですけれども、いろいろな専門機関を紹介するというのは、裁判ということもあるかもしれないんですけれども、例えば高齢者の方でいいますと、年齢や体力的にも、そして資力でも裁判というのはハードルが高く、消費生活センターでもっと役割を果たしたいということを現場の皆さんのお声として紹介させていただきましたけれども、やはり、そうした専門性を保っていくためにも、この消費生活相談員の方々の処遇の改善あるいは常勤でしっかりと位置づけていくというのが必要だというふうに思います。

 先ほどもお話がありましたけれども、仕事は恒常的にあり、全国の相談事例の調査研究ですとか法改正など学び続けなければ対応できない、そして、消費者教育の準備もある、研修の参加も求められます。そういうことも含めて、常勤の職員、任期の定めのない常勤の職員とするのが望ましいと思いますけれども、大臣、御見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 相談員の方々が雇用に不安を持たず、また、自分の能力が正当に評価されているというふうに感じる職場環境、雇用条件というのが必要だと思っております。

 様々な交付金ですとかあるいは地方交付税措置というのがありますが、残念ながら、この交付税措置を下回って実際様々財政が組まれているのが現実でございますので、地方公共団体には、これからの消費者問題の一つの要であります相談員の皆さんの待遇をしっかりと改善をし、能力を生かし、やりがいがある、そういう職場に是非していただきたいと、消費者庁からもお願いをしていきたいと思います。

本村委員 総務副大臣にも来ていただきました。

 やはり、正規で採用、雇用できる、そして、処遇改善をしっかりとやるためには財源が必要です。財源の措置をしっかりとやっていただきたいと思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 消費生活相談に係る地方公共団体の人員体制の在り方につきましては、まず所管省庁において検討されるものと承知してございます。

 各地方公共団体における定員管理については、地域の実情を踏まえて御判断いただくべきものですが、総務省といたしましては、行政の合理化、能率化を図りつつ、その時々の行政課題に的確に対応できるよう、各団体に対して、適正な定員管理に関し、必要な助言を行っているところでございます。

 今後とも、所管省庁とよく相談して実行してまいります。

本村委員 消費者庁としては、毎年財源については要求をしている現状があるわけで、しっかりとそのことも地方自治体にお伝えいただきたいんですね。しっかりと伝わっていないのか分からないんですけれども、やはり会計年度任用職員が多いという現実があります。

 以前、森まさこ消費者担当大臣のときに、雇い止めの解消と消費生活相談員の処遇改善の大臣メッセージを発出をしていただきました。そのことは効果があって、雇い止めという規定を持っている自治体は金沢市のみになったようですけれども、しかし、今、会計年度任用職員であるがゆえに、三年あるいは五年で、同じ仕事をしていても、結局、三年後、五年後には公募とかハローワークで試験、面接を受けないといけない、応募しなければいけないという現状がございます。

 会計年度任用職員が始まった今、改めて、処遇改善と併せて、雇い止め解消にとどまらず、正規で採用するということを、是非大臣としてメッセージを出していただきたいと思いますけれども、お願いします。

河野国務大臣 森大臣の御努力で、雇い止めというのが解消されつつありまして、任期の回数の更新制限というのが今なくなるように、消費者庁としても努力をしているところでございます。

 委員おっしゃるように、相談員の方々が正規で採用されるのが我々望ましいと思っておりますので、そうしたメッセージは折に触れてしっかり出していきたいと思います。

本村委員 ありがとうございます。終わります。

稲田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.