衆議院

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第4号 令和5年4月4日(火曜日)

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令和五年四月四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 稲田 朋美君

   理事 井原  巧君 理事 堀内 詔子君

   理事 宮崎 政久君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 勝彦君 理事 吉田 統彦君

   理事 池畑浩太朗君 理事 古屋 範子君

      上杉謙太郎君    柿沢 未途君

      勝目  康君    小林 鷹之君

      田畑 裕明君    武村 展英君

      土田  慎君    中山 展宏君

      鳩山 二郎君    平沼正二郎君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      松島みどり君    保岡 宏武君

      山口  晋君    青山 大人君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      梅谷  守君   大河原まさこ君

      早稲田ゆき君    浅川 義治君

      沢田  良君    國重  徹君

      吉田久美子君    田中  健君

      本村 伸子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       澤川 和宏君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局総務企画部長)      清水 雄策君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     黒田 岳士君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (国税庁調査査察部長)  木村 秀美君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           安楽岡 武君

   参考人

   (日本銀行決済機構局審議役)           鈴木公一郎君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     山口  晋君

  牧原 秀樹君     穂坂  泰君

  早稲田ゆき君     梅谷  守君

  田中  健君     鈴木  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     牧原 秀樹君

  山口  晋君     船田  元君

  梅谷  守君     早稲田ゆき君

  鈴木  敦君     田中  健君

    ―――――――――――――

四月三日

 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

稲田委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行決済機構局審議役鈴木公一郎さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府知的財産戦略推進事務局次長澤川和宏さん、警察庁長官官房審議官友井昌宏さん、カジノ管理委員会事務局総務企画部長清水雄策さん、金融庁総合政策局参事官柳瀬護さん、消費者庁次長黒田岳士さん、消費者庁政策立案総括審議官片岡進さん、消費者庁審議官真渕博さん、消費者庁審議官植田広信さん、消費者庁審議官依田学さん、国税庁調査査察部長木村秀美さん、文部科学省大臣官房審議官西條正明さん、文化庁審議官中原裕彦さん、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘さん、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子さん、農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人さん、農林水産省大臣官房審議官安楽岡武さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。早稲田ゆきさん。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 それでは、河野大臣に伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、昨年の安倍元総理の襲撃事件、あってはならないこの襲撃事件をきっかけに、改めて旧統一教会の悪質な霊感商法による高額献金等の被害実態が明らかになったことから、昨年末、新たな議員立法が成立をいたしました。与野党の議員の中心メンバーの皆様に大変御尽力をいただいて、この不当寄附勧誘防止法が四月一日から完全に施行されたわけでございます。

 被害者の救済に実効性ある法律にしていくため、対策を講ずるために、やはり、現在、合理的な判断力を奪う違法な活動を抑止すべく、政治の急務の課題として責任があると、私も強い認識の下、この質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さきの三月三十日、西村議員の質疑、そして答弁の中で、様々この六条の配慮義務についても議論がありましたので、これについて、やはり法律のこの処分基準案によって曖昧になってはならないという思いも私も強くいたしましたので、六条についてまず質問をさせていただきます。

 ちょっと順番を変えます。

 消費者庁が勧告を実際に出す要件として、配慮義務違反を認定して不法行為の成立を認めた裁判判例が存在する場合である、あるいは改善される見込みが薄い場合ということを、この六条の一項の処分基準案には書かれております。これでは余りにも要件が厳し過ぎまして、勧告が行われない懸念がある、おそれがあるのではないか。被害者の救済それから被害防止につながらないのでは本末転倒でありますので、このことについて西村議員も詳細に質問されておりました。その中で、修正案の提出者、この答弁が非常に重要であるというようなことも、政府の方からは御答弁が重ねてあったと思います。

 そこで、私も、我が党の提出者である山井和則議員の答弁をここで読ませていただき、そしてまた、その意図も山井議員に聞いてまいりましたところ、必ずしも、寄附の勧誘を受ける個人の権利が侵害されたことを認定する判決がある、この裁判例だけではないということも明言をされておりました。

 そこで、令和四年の十二月九日の答弁を読ませていただきますと、「また、更に同様の支障が生ずるおそれが著しいとは、例えば、今述べたような寄附の勧誘が組織的、計画的に行われ、現に多くの被害が生じているなどの事情から、将来的にも被害が繰り返されると容易に予見される場合などが該当するのではないか」、また、「政府においては、行政措置の要件について判断基準の策定を行うことなどにより、適時適切な判断を行うことができるよう体制を整備していただきたい」、それからまた、別の委員の質疑に対しましては、「修正部分も含め、不当な勧誘を防止し、不当な寄附の勧誘による被害を二度と生じさせないという本法案の目的に遺漏がないように運用してくれることを修正案提出者として期待しております。」と、はっきりと答弁をされております。

 そこで、こうした裁判例だけを例示するとか、それからまた、改善されているような見込みがある場合にはここに当てはまらないとか、こういうことでは非常に曖昧な基準になってしまうと思いますし、実際に勧告が出せるのかどうか心配であります。このことについて、河野大臣に伺います。

河野国務大臣 おはようございます。

 御指摘の不当寄附勧誘防止法第六条第一項の「著しい支障が生じていると明らかに認められる場合」の考え方につきまして、参議院での修正案の提出者の御答弁では、明らかに認められる場合というのは、要件を客観的に認めることができる場合を指すと考えており、例えば、当該法人等の勧誘行為について配慮義務違反を認定して不法行為の成立を認めた裁判例が存在する場合がこれに該当すると考えているとされ、あるいは、例えば、寄附の勧誘を受ける個人の権利が侵害されたことを認定した判決があるなど、著しい支障が生じていることが客観的に明らかになっている場合などを念頭に置いているとされており、この内容を処分基準等案に記載をしております。

 修正案提出者の御答弁は、客観的に認められる場合として、必ずしも確定判決である必要はないものの、配慮義務違反を認定して不法行為を認めた判決が存在するとの例を示されたものと承知をしております。

 また、御指摘の不当寄附勧誘防止法第六条第一項の「更に同様の支障が生ずるおそれが著しい」との記載の部分の考え方については、参議院での修正案の提出者の御答弁では、過去にその支障が生じていたが、既に勧誘の在り方が見直されて今後は改善が見込まれるような場合ではなく、今後も配慮義務違反の状態が改善される見込みは薄くて、このまま放置をすると同様の支障が生じ続けるような場合とされており、この内容を処分基準等案に記載をしております。

 いずれにいたしましても、衆議院における修正で盛り込まれた第六条の趣旨について、修正案提出者の御答弁では、原則としては、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当とされており、そのような御趣旨を踏まえながら適切に法を運用してまいりたいと考えております。

早稲田委員 三月三十日の御答弁と全く同じなわけですけれども、私も山井議員の答弁を読ませていただきました。そこには、判決だけではなくとおっしゃっています。

 それでは、大臣に伺いますが、例えば、この四月に施行されて、四月、五月に、統一教会など、そうした団体が配慮義務違反の献金勧誘を行った場合、そうした事例があった場合、御本人とか家族が弁護士に相談して、早くても一年以内に提訴、そしてまた、どんなに早くても、そこから判決は三年、五年とかかってしまうわけです。そこから消費者庁が勧告を出すということになれば、遅きに失しているわけで、全く被害防止に役立たないと思いますが、その点についてはどうでしょうか。

河野国務大臣 いずれにいたしましても、「著しい支障が生じていると明らかに認められる場合」という、この法の第六条第一項の条項にしっかりとのっとって運用してまいります。

早稲田委員 ですから、その著しいということを今議論させていただいているわけで、これは判決だけではないのではないのかということを申し上げております。そうでないと、またジャパンライフのように三十年あっという間にたってしまう、こんな心配も本当にございます。

 それなので、私たちは、具体的な根拠のある被害申告が消費生活センターや法テラスなどに相当程度寄せられた場合でも勧告が発動し得るようにすべきではないか、そのことも質問をさせていただきたいのですが、その中で、例えば、文化庁の報告徴収の基準におきましても、「風評等によらず、客観的な資料、根拠に基づいて判断することが相当である。」としつつも、公的機関に対し、当該法人に属する者に法令違反に関する情報が寄せられており、具体的な資料、根拠があると認められる場合も含まれている、そうした場合も「「疑い」を判断することが妥当」としております。

 こうしたことも踏まえれば、当然ながら、もちろん、明らかということにおいてですから、何も、多数相談が来ているから、そのまますぐに勧告ということではありません。でも、その明らかの基準の中にはそうしたことも含まれるのではないかということについて、もう一度お答えください。

河野国務大臣 この不当寄附勧誘防止法第六条第一項の「著しい支障が生じていると明らかに認められる場合」の考え方につきましては、先ほど、参議院での修正案の提出者の御答弁で申し上げたとおりでございます。修正案提出者の御答弁は、客観的に認められる場合として、配慮義務違反を認定して不法行為を認めた判決が存在するとの例を示されたものと承知をしております。第六条の配慮義務に係る行政措置については、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが適当とされていたことも踏まえ、修正案提案者により明示的に示された例は尊重すべきものと考えております。

 第六条第一項の勧告につきましては、条文において、寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護に著しい支障が生じていると明らかに認められる場合において、更に同様の支障が生ずるおそれが著しいと認めるときに行うことができるとされております。そのため、勧告を行うかどうかは、御指摘のような件数ではなく、先ほど答弁したような要件に該当するか否かで判断するものであると考えております。

 被害を訴える相談や情報提供は、行政措置との関係においては重要な端緒情報とすべきものであって、その件数を行政措置を発動する条件とすることは、一定の件数を超えれば行政措置をするといった十分条件とすることも、あるいは、一定の件数を超えなければ行政措置ができないという必要条件とすることも適切ではないと考えております。

早稲田委員 多数のお話でありますけれども、これは、処分基準案の中でも、六条一項の例として、抑圧状態に置かれている個人が多数に及んでいるときと書かれておりますし、また、七条の報告徴収の例としても、禁止行為が不特定又は多数の個人に繰り返し組織的に行われていると書かれております。多数というのはそういう使い方をされていて、そして、それに具体的な根拠があればということを私は申し上げているので、何も数だけのことを申し上げているわけではありません。

 それでは、大臣のお考えは、判決だけが明示例だから、もうそれ以外は考えられないということなんでしょうか。それでは、先ほど申し上げたように、今からまた三年も五年もたってしまう、そんなようなことが起こり得ます。

 それでは全然被害の防止になりませんが、大臣、せっかくこの検討会もいち早く立ち上げていただいて、有識者の方から意見を聞いて、その流れでこのような立法もできました。そのことは大変、私は大臣のリーダーシップだと思っております。そういう河野大臣であられますから、この処分基準案についても、骨抜きにならないようにしていただきたい。

 この多数ということについては、消費者安全法でも文言が法律の中で使われております。相当数を意味するもので、具体的な数値基準で判断されるものではないとしています。実際に勧告等を講ずべき事案かどうかは、同種の取引に係る消費生活相談の件数や急増度、地域的な広がり等も考慮して、多数の消費者の財産に被害を生じ、又は生じさせるおそれのあるものかどうかを個別事案で判断して勧告を行うというふうに考えも示しております。こうした消費者庁の勧告に対する考えがあるのに、これと矛盾していませんか。

 それから、今、私は、すぐに勧告が発動されるのではありませんと、明らかの解釈と申し上げているわけで、それを個別的に判断をするのは、執行アドバイザーの制度も設けていただきました、そこできちんとほかの要件を加味できるかどうかを審議していただくということが重要なのであって、法テラスそれから消費生活相談センターでも多数の意見が、いろいろ相談が寄せられている。これをやるべきだと、私は明示の例の中にも入れていただくべきだと思います。重ねて伺います。

 それから、過去に、意図的に人を集めて行政措置を発動された事例があったのでしょうか。これも重ねて、二問伺います。

河野国務大臣 違う法律でございますから、直ちにそれを使えるとは思っておりません。

早稲田委員 二問目の方もお答えください。過去に、意図的に人を集めて相談件数を多くして、こうしたことが懸念されると大臣は御答弁されております、三月三十日。これについて、行政措置を発動させた事例があったのか、立法事実があるのかということについてお伺いしております。

河野国務大臣 この法律はこれから運用するものでございますから、過去の事例はございません。

早稲田委員 この法律はそうです。だから、判決もこれからしか出ないということで、大変時間がかかるのではないかと懸念をしております。

 次の六条三項について伺います。

 勧告の要件についてですけれども、勧告の要件が全て満たされている場合に報告徴収を行うとされていますが、これでは、全て満たされているのであれば、そのまま勧告を出せばいいだけのことではないでしょうか。その勧告をする判断の材料として報告徴収、調査をするのではないか、当然ながら一般的にもそのように考えますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

 報告徴収は、勧告を出すかどうかを判断するための資料を集めるために行うという理解でよろしいでしょうか。

河野国務大臣 不当寄附勧誘防止法第六条第三項の報告徴収の要件、「第一項の規定による勧告をするために必要な限度において、」につきましては、参議院の質疑において、修正案の提出者が、報告徴収がなされる場合について、第六条第一項の勧告の要件を挙げた上で、更に勧告をするのに必要となる場合に必要な限度において報告徴収をすることになると答弁されていたこと、さらには、同条の趣旨としては、原則としては、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当であると御答弁されていたことを踏まえております。

 すなわち、第六条第三項の規定による報告徴収は、同条第一項の規定による勧告をするために必要な限度において、法人等に対し、法第三条各号に掲げる事項に係る配慮の状況に関して行うものとし、勧告の要件が全て満たされていると考えられる場合に行う旨を処分基準等案に記載をしているところでございます。

早稲田委員 報告徴収をするのは、勧告の要件が満たされているかどうかを判断するための資料を集めるということでよろしいかどうかを伺っております。もう一度、そのことだけを御答弁ください。

河野国務大臣 勧告の要件が満たされているという行政側の認識を確認するために報告徴収を行うものでございます。

早稲田委員 報告徴収は勧告を出すための要件の有無を確認すると、今大臣おっしゃっていただきました。

 その理解であるとすれば、報告徴収の要件は勧告の要件よりも緩やかな条件になると普通に考えますが、そのことでよろしいでしょうか。そのことだけをお答えください。

河野国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、不当寄附勧誘防止法第六条第三項の報告徴収の要件につきましては、参議院の質疑において修正案の提出者が、報告徴収がなされる場合について、第六条第一項の勧告の要件を挙げた上で、更に勧告をするのに必要となる場合に必要な限度において報告徴収をすることになると答弁されていたこと、さらには、同条の趣旨として、原則としては、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当であると御答弁されていたことを踏まえております。

 すなわち、第六条第三項の規定による報告徴収は、同条第一項の規定による勧告をするために必要な限度において、法人等に対し、法第三条各号に掲げる事項に係る配慮の状況に関して行うものとし、勧告の要件が全て満たされていると考えられる場合に行う旨を処分基準等案に記載をしております。

早稲田委員 それは本当におかしいと思います。

 私たちも提出者でありますから、そのことを納得するわけにはまいりません。我が党も、立憲民主党、提出者でありますけれども、そうした骨抜きの、ハードルが高い解釈では、事実上、法律がせっかくいいものができても、これもいろいろありましたけれども、それでもこれが施行された、その法律を使えなく、骨抜きにする解釈では了解ができません。

 提出者となった政党として到底理解ができないこの処分基準案、改善を強く求めまして、そして、仏を作って魂を入れずということに絶対にしないでいただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

稲田委員長 次に、青山大人さん。

青山(大)委員 令和三年六月に成立した改正特定商取引法によって、送りつけ商法やお試し定期購入に対して一定の規制強化ができたと思いますが、現在も被害相談があるというふうに伺っております。

 規制強化後の被害状況について、まずはお伺いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターによりますと、改正特定商取引法が施行された令和四年六月一日から令和五年三月三十一日までの間における定期購入に関する消費生活相談件数は、七万四千五百八十件でございます。

 この定期購入に関しましては、まずは迅速な注意喚起により被害拡大を防ぐべきと考えまして、消費者に向けて、お試しなどの誘い文句にかかわらず、通信販売利用の際には表示内容をしっかり確認し、不本意、不明確な契約をせぬよう、繰り返し消費者庁として注意喚起を行っているところでございます。

 今後も、改正法の遵守状況を注視しまして、特定商取引法に違反する事実がある場合には厳正に対処してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 そうすると、特定商取引法、改正はされましたが、まだまだ不十分というような認識でよろしいでしょうか。お伺いいたします。

真渕政府参考人 先ほど委員御指摘ございましたけれども、特定商取引法は、令和三年に改正を行いまして、令和四年六月から施行されております。通信販売における詐欺的な定期購入商法対策の規定は令和四年六月から施行されておりますけれども、まずは、改正された部分の効果をしっかりと見なければならないと考えております。

 その上で、消費者庁としましては、引き続き、悪質商法や消費者被害の状況を注視するとともに、関係者とも広く意見交換や情報収集を行いながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 では、次の質問に行きます。

 投資やネットビジネス関連のマルチ商法で、若者に借金をさせて商品を買わせる被害の報告が相次いでおります。若年層に対しては、SNSが特に勧誘手段となっております。

 また、最近、実態として、商品のない物なしマルチや、一旦取引を終え、クーリングオフが過ぎてから勧誘をする後出しマルチといったものが出てきております。

 こういった新しいマルチ商法の手口にどういったものがあるのか、政府として把握をしているのか、そして、それらの新しい手口について現在対策を行っているのかをお伺いします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 新たないわゆるマルチ商法の手口についてのお尋ねであったかと思います。

 近時、ファンド型投資商品や副業などのサービスを対象とした、いわゆる物なしマルチ商法につきまして相談が増加しておりまして、平成三十年以降は、商品よりサービスを対象としたマルチ商法についての相談が多くなっているというふうに承知をしております。

 また、連鎖販売取引に加入させる目的で、まず商品を販売するなど経済的負担を伴う契約をさせて、その後に利益を収受し得ることを誘引するような、いわゆる後出しマルチという相談もあることは承知をしております。

 さらに、新たなマルチ商法の手口としまして、例えば、勧誘者がマッチングアプリですとかSNSを通じて消費者に接触した後、連鎖販売取引の勧誘を行うこと等があるというふうに承知をしております。

 また、先ほど、そういう新たな手口に対してどのような対策を行っているかというお尋ねがございましたけれども、消費者庁といたしましては、勧誘者がマッチングアプリやSNSを通じて消費者に接触した後、勧誘目的等を明らかにしなかったり、公衆の出入りしない場所で勧誘したり、連鎖販売契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘したりした連鎖販売事業者に対して行政処分を行うなど、法律に違反する事実がある場合には、特定商取引法に基づき厳正に対処をしております。

 また、特徴的な勧誘の手口などを示して消費者に注意喚起を行うなど、連鎖販売取引による消費者被害の防止に努めているところでございます。

青山(大)委員 現在の特定商取引法でこういった新たなマルチ商法についての対策は十分と考えていますでしょうか。お伺いします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁といたしましては、マッチングアプリやSNSを通じて違法な勧誘を行う連鎖販売事業者に対しまして現行法に基づき行政処分を行うとともに、特徴的な勧誘の手口などを示して消費者に注意喚起を行うなど、SNSを通じたマルチ商法への対策を強化しております。

 今後も、SNSを通じた勧誘などの新たな手口が見られた場合には、消費者に対する注意喚起ですとか、違反行為があれば厳正に対処する、こういった取組によって、引き続き連鎖販売による消費者被害の防止に努めてまいる所存でございます。

青山(大)委員 私は、現行の特定商取引法ではまだ不十分かなと思っております。

 次に、最近、消費者被害が多発する取引形態に、SNSを通して相対のやり取りをする、いわゆるチャット機能を利用して勧誘を行う行為が指摘をされております。

 消費者委員会のデジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループの議論でも、こういったSNSのチャット機能を使った勧誘販売は、特定商取引法の対象となる類型の電話勧誘販売と同様の規制を加える必要があるのではといった指摘もなされております。

 こうした指摘や消費者被害の実態を踏まえて、電話勧誘販売の電話の定義にSNSのチャット機能を含めることについて、特定商取引法の改正を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 電話勧誘販売における電話ですけれども、この電話とは、音声その他の音響を送り、伝え、又は受けるものであることが必要とされております。御指摘のあったSNSのチャット機能は、文字を送信するもので、音響を送り、伝え、又は受けるものではございません。

 また、双方向での音声のやり取りと文字でのやり取りでは、一般消費者に対する誘引性の点でも同一とは認められないと考えております。

 これらのことから、SNSのチャット機能を電話の方に含めるということは困難であると考えております。

青山(大)委員 なので、困難であるからこそ、特定商取引法を様々な被害状況に合わせて改正をすべきだと私は思っております。

 そこで、この質問、最後、大臣に伺いますけれども、こういったお試し定期購入の被害対策、物なしマルチや後出しマルチの被害対策、特定商取引法の対象となる類型の電話、訪問販売の電話の定義にSNSのチャット機能を加えるなどして、やはり消費者被害を未然に防いでいくことが私は必要かなと思っています。

 そのためにも、特定商取引法の更なる改正が必要だと私は思っていますが、大臣の御所見をお伺いします。

河野国務大臣 認識は同じです。この法律は不断に見直しをしていかなければならないわけで、最近の若い人を見ていると、スマホで電話しているかというと、むしろ、LINE交換したりチャットをしていたりということが多かったりということがあります。

 ただ、この法律は令和三年でしたかに改正をして、施行された状況をこれから見なければいけませんので、そこの状況をしっかり見ながら、今委員から問題提起があったようなことも含め、今後、不断に見直しをしていきたいというふうに思っております。

青山(大)委員 大臣と認識が一緒でよかったと思っております。まさに被害を防ぐ意味でも、特定商取引法の更なる改正に向けて是非取り組んでいただきたいと重ねて要望し、この質問を終わりにいたします。

 続きまして、医療福祉系の教育機関においてコロナワクチン接種を入学要件や実習要件としている実態に関して質問をさせていただきます。

 まさに今、入学式の季節でもございますが、医療福祉系の大学や専門学校などでは、入学要件や実習要件にコロナワクチン接種を設けているところがございます。医療福祉系の大学や専門学校にコロナワクチンを接種しないと入学ができないのでしょうか。まずはお伺いします。

西條政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、昨年度、臨地実習受入れ時にワクチン接種を受入れ要件とする施設等について、看護系大学等を対象に調査を実施しておりまして、その実習において新型コロナワクチンの接種を要件とする実習施設があることは把握しております。

 一方で、入学要件という形の調査は行っておりません。

大坪政府参考人 厚生労働省からもお答えをいたします。

 先生御指摘のワクチン接種でございますが、入学要件、実習要件として設けているかどうか網羅的に把握はしておりませんが、ワクチン接種を実習の要件にしているかどうか、これにつきましては、医療関係の看護師を始めとする十八職種に関しまして、令和三年十月に厚生労働省でアンケート調査を行っておりまして、その結果、一部の実習施設において、学生を受け入れる際に、新型コロナワクチンの接種、これを求めているということは承知をしておるところであります。

青山(大)委員 本来、コロナワクチンは任意接種であるというふうに私は思っていますけれども、今おっしゃったように、例えば、実習先の受入れ機関の病院がそういったことを課している現状がある中で、それは政府としてそういったコロナワクチンの接種の要件を求めているのでしょうか。もしそうでなければ、そういうことを実習先の受入れとしてやっちゃ駄目ですよということを言うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

西條政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省においては、令和三年五月十四日、また令和四年四月十四日の事務連絡におきまして、厚生労働省との連名によりまして、医療関係職種の各学校等に対しまして、ワクチン接種が実習の受入れの必須要件にならないよう、受入れ機関との対話を積極的に行うよう努めることを要請しております。

 なお、医療関係職種の学校等の実習施設に対しましては、令和三年六月十日付事務連絡において、厚生労働省より、ワクチン接種を実習の受入れの必須要件にしないよう協力を求めていると承知しております。

青山(大)委員 ですから、実際、その通知が現場でしっかりと認識されていないのが今の実態だと思っております。

 本来は任意接種であるため、自分でメリットやデメリットを判断し、自己の意思で接種をしないことを選択する学生もいるわけでございます。その学生が、将来の夢に向かって、これから例えば看護系とか福祉系の学校へ入るに当たって、入学するに当たって、教育機関側からそういった、入学する際に、将来、実習先でコロナワクチン接種が必要であるからを理由として、ワクチン接種をしているか否か、そういったことを書面で書かされたり、実習の際に、学生に対して実質上強制されているようなケースが見受けられているわけでございます。

 そこで、ちょっと今日、簗文部科学副大臣、お越しですけれども、先ほども昨年通知を出しているとなっていますけれども、まさに今、新しい入学の時期ですし、五月八日に二類相当の区分から見直しも予定されているわけでございます。なので、改めてですね、これは文科省だけじゃなくて、文科省と厚生労働省連名で、この時期にまさに医療や福祉系の学校へ入学する学生のためにも、入学要件、実習要件にコロナワクチン接種を課してはいけない、そういった通知をまさに今出してほしいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

簗副大臣 お答えいたします。

 文部科学省では、医療関係職種の各学校等に対し、厚生労働省との連名により、今年度も再度事務連絡を発出することを検討しております。

 さらに、引き続きまして、看護系大学の関係者が集まる会議等の場において、発出した事務連絡や調査結果を紹介することで、ワクチン接種が実習の受入れの必須要件にならないよう、受入れ機関との対話を積極的に行うよう努めることを周知してまいりたい、そのように考えております。

青山(大)委員 副大臣から前向きな答弁をもらったんですけれども、まあ、今年度ですよね、そうすると、まだ今日は四月四日なので、長いんですけれども、これは早めに、まさにちょうど今、年度の切替えですし、私はそういったのを早めに出してほしいと思います。

 そうしないと、今後も慣例で、こういった医療福祉系の学校に入るに当たって、ワクチン接種の要件が今後もずっと残っていくおそれがあると思うんですよ。なので、今年度とおっしゃいましたけれども、これは早めに、是非、文科省そして厚労省連名で通知を出してほしいと重ねて要望させていただきます。

 済みません、最後の質問なんですけれども、ちなみに、ある医療系の大学では、大学・専門学校等の学生への新型コロナワクチン接種促進事業に関する文部科学省の昨年十月七日の事務連絡を根拠の一つにして、入学予定者へ入学前にコロナワクチン接種を受けるよう求める内容の依頼文書が出されています。

 先ほど、昨年、文科省さんと厚労省さんで一回、連名で、ワクチン接種は強制ではないと文書を出したんですけれども、一方で大学・専門学校等の学生への新型コロナワクチン接種促進事業の通知文書を出している関係で、教育現場では、政府から接種を強制してはいけないという事務連絡が届く一方で接種促進事業の事務連絡も届く中で、ちょっと教育現場で混乱しているケースも見受けられます。

 確認ですけれども、大学・専門学校等の学生への新型コロナワクチン接種促進事業は、もう既にこの三月、いわゆる前年度で終了したという認識でよろしいでしょうか。

西條政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の大学・専門学校等の学生への新型コロナワクチン接種促進事業でございますけれども、これは、ワクチン接種を希望する学生が早期に三回目接種をできる環境を整備するために、大学等に対して経費の支援を行う事業でございます。御指摘のとおり、本事業によるワクチン接種は令和四年度には実施しており、昨年度末で事業を既に終了しているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、大学等に対して、ワクチン接種に関する適切な情報発信に努めてまいります。

青山(大)委員 なので、その辺、現場で混乱しないようにお願いいたします。

 重ねて、先ほど文部科学副大臣も、今年度、そういった、文科省、厚労省連名で、学生に対してワクチン接種を強制することはないと、そして、実習の受入先に対しても、そういうことは求めちゃ駄目ですよという通知を早い段階で是非発してください。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問させていただきます。

 まず、徳島県に新たに消費者庁の拠点ができました。新未来創造戦略本部についてお伺いをさせていただきます。

 消費者庁は、二〇二〇年の七月にこの新未来創造戦略本部を開設いたしました。東京一極集中を是正するということを目的にしまして、全国で初めて中央省庁の移転の実現になったということです。

 先日、京都に文化庁が移転しましたが、それよりも先に、初めてやっているということで、この本部ができて二年足らずという状況ですが、まず、どのような拠点なのかということにも触れていただきながら、どのようにお仕事が進められているのかということをお伺いします。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年七月に徳島県に設置いたしました新未来創造戦略本部は、デジタル化、国際化等の社会経済情勢の変化といった課題を解決するための消費者行政を創造し、発展させ、これを発信し、交流する拠点として機能を発揮することを任務としており、産学からも含め、いろいろ出入りがありますので、平均いたしますと、おおむねこの二年間で七十名程度の人材を集めて、その運用を行ってきております。

 これまでの取組としては、調査研究プロジェクトに加えまして、例えば、実証実験を通じて、SNSを活用した消費生活相談対応マニュアルを作成したり、諸外国の専門家を招聘しての国際シンポジウムを開催するなど、徳島発のモデル事業や実証事業、また国際プロジェクトなどを実施してきております。

 これまで職員の声を全て聞けたわけではございませんが、例えば消費者庁の採用パンフレットなどでは、現場の生の声が聞けるという声に加えまして、海の幸がおいしいとか、地方ならではの職住が近接した環境のすばらしさを実感しており、家族で食事を取る機会がとても増えていることが何よりも幸せだといったような声も紹介しております。

 昨年の夏以来、これまで以上に本部の未来志向を強調するとともに、グローバル、日本全国へ、官民連携の三つのキーワードに取組を強化しておりまして、今後ともしっかりとした成果を積み重ねてまいりたいと思います。

石川(香)委員 いろいろと声を答弁いただきましたけれども、私も徳島県の消費者政策課の方に直接電話とかメールでもちょっとお話を聞きまして、東京から徳島に移った方もいらっしゃいますし、民間や自治体からの出向もいるということで、非常に多様な人材がいるというお話をされておりました。

 この新未来創造戦略本部では、例えばエシカル消費の取組に非常に取り組んでいるということで、全国の高校生が徳島に集まって、エシカル消費の取組を発信するエシカル甲子園という開催もしているそうなんですが、徳島県には通称エシカル条例というものもあるということなんですね。県を挙げてエシカル消費の推進を行っていまして、令和四年度のエシカルの認知度は、全国ではまだ二六・九%なんですが、徳島県では五八・八%ということで、認知度が非常に高いということもあるそうです。

 そのほか、高齢者の消費者被害、特に霊感商法などの防止を図るための見守りネットワークというものがあるんですが、これを県内全部の市町村に設置しているのは兵庫県と徳島県のみとか、徳島県ならではの消費者政策の推進が可能になっていて、県民に安全、安心な暮らしを提供することができていますよというお話も直接伺いました。

 やはり、東京に一極集中するというのはいろいろなリスクもありますし、地方の新たな魅力を知っていただくということにもつながるということで、先日の京都の文化庁とか、こういう消費者庁の新未来創造戦略本部の取組がお手本になっていくといいなと非常に期待をしています。

 それでは、続いて、食品ロスについてお伺いをさせていただきます。

 私は北海道十勝地方というところに住んでおりますが、ここは食料自給率が一三〇〇%というところでして、日本の胃袋を支えると言っても過言ではない地域です。

 今、この食料自給率が三八%の日本で、例えば私の選挙区では、牛乳が余っているとか、それから、汗水流して育てた農作物が、たくさん取れ過ぎて価格が下落してしまって、逆に出荷すると赤字になるので廃棄してしまうだとか、そういうことが起きているということを目の当たりにしまして、やはりこういうミスマッチは政治が解決するべきではないかという信念で私も活動しておりますが、こういうことも消費者の方に分かってほしいなと思っておりますので、ちょっと質問させていただきます。

 よく街頭インタビューなどでも、価格が下がってしまったときに、お野菜が安くてうれしいわという、女性の方なんかがインタビューを受けていることもありますけれども、それは消費者にとって現実ではあるんですが、一方で、生産者の立場からしますと、非常に苦労して育てた農作物が価格が下落をしてしまうということになると、収入がダウンするということにもなりますし、非常に複雑な思いをしている。双方の立場で物事を捉えるということが非常に重要だなと思うんですが、この食品ロスに関しても、いかに自分事にして考えるかということが重要だと思います。

 ここで大臣にお伺いしますが、日頃大臣が行っている食品ロスをしない取組がありましたら教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 先ほどは、徳島の消費者庁の件、取り上げていただきまして、いろいろありがとうございます。消費者庁だけでなく、各省庁から、せっかくの徳島のオフィスですから、行ってもらえないかなと、今ちょっとそういうことも考えております。

 食品ロスに関して申し上げると、なるべく残さない、一生懸命食べるということかなと思っております。時々、昼飯で、食べ終わった空になった容器をツイートしたり、そういうこともやっております。

石川(香)委員 よく、食べ終わった様子をツイートされているのを私も見ております。それも本当に一つの取組だと思います。

 結構簡単なことからできる、今日からできる取組もありまして、例えば買物の前に冷蔵庫を点検してから行くとか、あと、買物リストを書いて買物に行くとか、そういうことも、買い過ぎにつながるということで、結構誰でもできることはたくさんあると思います。

 私のアイデアとしましては、例えば生鮮食品に生産者の顔の写真を載せる、表示するだけで、やはりこれは効果があるんじゃないかなと思います。作ってくれている人の顔を見ますと、これは無駄にしちゃいけないという意識が働くのではないかなと思います。

 そんな中で、二〇一二年以降、食品ロスの統計を取っていると思います。この食品ロスが、統計して以来、過去最少の五百二十二万トンに今年なったということですが、この理由をどのように分析しているか、御答弁いただきたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の、二〇二〇年度、令和二年度の食品ロスにつきましては、委員御指摘のとおり、過去最低のものになっております。

 これについての分析でございますが、事業者、消費者双方の削減努力による一定の成果であると考えられる一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う消費者の外出機会の減少、あるいは飲食店の営業自粛などによる影響を受けている可能性があると考えてございます。

石川(香)委員 御答弁いただきました。皆さん御想像のとおり、やはりコロナによる影響が大きかったんじゃないか、外出制限などもあって外食の機会が減った、買物の回数が減ったということがあるんだと思いますが、これは、コロナが収束しつつある中で、また元に戻ってしまう可能性があるんじゃないかと思います。

 しかも、今、世界を見ますと輸出制限をする国がある。国内での肥料、飼料価格が高騰する中で、十分に食料が国内に供給されないんじゃないかという可能性がある中で、食料を確保していくためにも、食料を無駄にしないということは本当に大事だと思います。

 世界に目を向けてみますと、国連食糧農業機関、FAOの報告書、これは二〇一一年ですけれども、世界全体での食品ロスは年間十三億トン発生しており、これは食料生産量の三分の一を占めるとされているそうです。その一方で、世界にはおよそ八億人、食べられない、十分に食べられない人たちがいるということがあれば、もっと、この三分の一、無駄になってしまっている部分があるとすれば、必要としている人に行き渡るようにする工夫が、日本だけではなくて世界中で取組が必要なんだということになると思います。

 今年、日本の食品ロスは過去最少といっても五百二十二万トンありまして、これは国連世界食糧計画、WFPの世界各国で援助する食料四百二十万トンを大きく上回っているということであります。

 では、どうやって減らしていくかということで、日本では、食品ロスを三〇年までに二〇〇〇年度と比べて半減するという目標を掲げておりますが、どのように達成していくのでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としましては、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で食品ロス量を半減させるとの目標達成に向けて取り組んでいるところでございます。

 これにつきましては、委員御指摘の国連の持続可能な開発目標の目標十二でもうたわれておりますけれども、事業者と消費者が、それぞれ作る責任と使う責任を認識した上で取り組んでいただくことが重要かと考えてございます。

 このため、食品関連事業者に対しましては、厳しい納品期限等の商慣習の見直し、あるいは賞味期限の年月日表示を年月の大くくり表示にする。こういった努力でもまだ残ってしまうものにつきましては、フードバンクや子供食堂に寄附する取組を推進してございます。

 一方で、これらの事業者による商慣習の見直しにつきましては、最終的な消費者の行動変容を伴わないと効果は発現されないと考えておりまして、消費者に対しましては、賞味期限はあくまでもおいしく食べることができる期限であって、食べない方がよい期限である消費期限とは異なりますよとか、あるいはコンビニ業界で連携した手前取り運動の促進など、事業者が行う商慣習の見直しを購買行動で評価していただくような様々な行動を促進し、消費者の皆様がそれぞれの立場で食品ロスの削減に自発的に取り組んでいただく普及啓発活動を促進していくことが肝要かと考えてございます。

石川(香)委員 先日の委員会でも取り上げておられましたが、手前取りは非常に分かりやすい取組だと思います。こうした取組を知っていただくということももちろんそうでしょうし、答弁の中にも触れていただきましたが、賞味期限、おいしく食べられる期限であるにもかかわらず捨てられているものもあるということで、これを何とかしようということですが、賞味期限の大くくり化、十日単位とか年月単位にする、まとめて表示するということですが、このことについて、非常に効果的だと思いますが、現状の表示のルールについて、ちょっともう一度お伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示法に基づく食品表示基準第三条におきまして、食品関連事業者には、販売する加工食品に対して、品質が急速に劣化しやすい食品にあっては消費期限、それ以外の食品にあっては賞味期限をそれぞれ表示することが義務づけられております。

 これらの表示につきましては、いずれも年月日で表示していただくことが原則ではございますけれども、賞味期限につきましては、製造又は加工の日から賞味期限までの期間が三月を超える場合にあっては、年月での表示に代えることが可能とされてございます。

石川(香)委員 大くくり化できることができるということなんですが、ただ、それを、表示をどうするかというのはあくまで食品事業者の判断になるということですが、食品事業者の働きかけなどはどうなっているんでしょうか。

 今日は農水省にお越しいただいております。御答弁をよろしくお願いいたします。

安楽岡政府参考人 お答えします。

 食品を取り扱う卸、小売事業者は、先に入荷した商品を先に出荷、棚出しするという、いわゆる先入れ先出しという在庫管理を行っており、賞味期限が年月日から年月に変わることで在庫管理の負担が軽減され、日付に基づく受入れ拒否も減少すると承知しています。

 他方で、賞味期限を年月表示にする場合、端数となる期間が切捨てとなるため、食品ロス削減には賞味期限の延長と併せて行うことが重要と考えています。

 農林水産省では、毎年十月の食品ロス削減月間等を通じて、賞味期限の年月表示化や延長に取り組む事業者を募集、公表するとともに、他者の参考となるような優良事例について具体的な取組内容を公表し、昨年九月には大臣名でもメッセージを発出し、業界全体への普及を図っているところです。

 引き続き、関係省庁、関係業界と連携し、食品ロスの削減に向けた取組を進めてまいりたいと考えています。

石川(香)委員 農水省もこの取組をもっとしてくださいというような立場であるということで、流通の現場でも、この表示のルールについて、こうした効果というものも認識をされてきつつあると思いますので、できる取組はどんどん進んでいってほしいなと思います。

 そして、もう一つ、私が日頃スーパーなどでお買物して感じること、日本のスーパーと海外のスーパーで大きく違うなと思いますのが、日本は同じ大きさにまとめられた野菜がまとめて売ってあることがある、ジャガイモとかニンジンとかですね。海外は、いろいろな大きさ、形の野菜が山積みになっていて、消費者がそれを手に取っています。好きなもの、使いたいものを買うということが大きく違うかなと思います。

 つまり、日本の生産現場では規格がかなり厳密だと言えると思います。生産現場、出荷する際に規格というものが厳格に決められておりますが、これは生産するコストも、かなり手間がかかりますし、コストもかかりますし、挙げ句、食べられるのに規格外として残念ながら出荷されないということもあると思います。見た目にこだわらず、中身は安全だよ、安心だよ、中身は同じですよというメッセージをもっと国民に知ってもらうことは、これは食品ロスの観点からも非常に私は重要だと思っています。

 消費者の方はどう捉えているかということですが、消費者庁では、見た目は多少悪くても中身が同じであれば構わないかといったような趣旨のことについて国民の意識調査を行っていると思います。その結果にも触れていただきまして、消費者の意識として、どんなニーズなのか、また、そういったニーズはどんなことにつながっていくかということも含めて、御答弁いただきたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年三月に閣議決定されました食品ロス削減の推進に関する基本的な方針、こちらにおきましては、農林漁業者、食品関連事業者に期待される行動、これにつきまして、規格外農産物の活用が含まれております。したがいまして、委員御指摘のとおり、規格外農産物の活用、こちらは食品ロス削減において重要な課題だというふうに認識してございます。

 その上で、委員御指摘の、令和四年三月に消費者庁が実施しました、全国満十八歳以上の男女五千人の方を対象としました消費者の意識に関する調査におきますと、形や見た目が悪くても品質が変わらなければ購入すると回答していただいた方の割合がいまだ五割強にとどまっているというところでございまして、規格外農産物の活用促進に当たっては、消費者の行動変容を更に促していく必要があると考えてございます。

 規格外農産物を積極的に選ぶことは、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費の観点からも推奨する必要があるかと考えてございます。引き続きまして、関係省庁とも連携しまして、形や見た目にこだわることのない消費者の行動変容を促してまいりたいと存じます。

石川(香)委員 見た目にこだわらず、中身が同じであれば構わないと感じている方が半分ぐらいいらっしゃるということですので、非常にこれも食品ロスの観点で重要な問題として捉えていただければなと思います。

 食品ロスの問題は、今、物流の二〇二四年問題でしたり、災害時の対応とか備蓄とか、様々な問題のダメージを少なくする、問題解決にも非常に重要な問題だと思いますので、引き続き、私もまた機会があれば質問させていただきたいと思います。

 では、最後になるかもしれませんが、ゲノム編集食品についてお伺いさせていただきます。

 今、国内で流通しているゲノム編集食品はどのぐらいの種類があるんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 これまでに届出がなされたゲノム編集技術応用食品は四種類ございます。具体的には、ギャバ、ガンマアミノ酪酸の含有量を高めたトマト、可食部である筋肉量を増やしたマダイ、早く成長するトラフグ、アミロペクチンの含有量を増やしたトウモロコシとなっております。

石川(香)委員 今、四種類ということですが、ただ、現在は、主に予約販売ですとかクラウドファンディングの返礼品といったものが多くて、スーパーなどで実際に並んで簡単に手にするという状況ではないと思いますが、引き続き、表示義務の在り方については今後も議論になっていくかと思います。

 安全性については、ゲノム編集食品、従来の品種改良と同程度のリスクであって、科学的に見分けがつかないということで表示義務は見送られていますが、食べたくないという方もいらっしゃる。これは表示義務をやはり課すべきではないかということを最後にお伺いします。

依田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ゲノム編集技術応用食品のうち、厚生労働省において、食品衛生法上の取扱いについて、遺伝子組み換え食品に該当するものにつきましては、食品表示基準に基づく遺伝子組み換え食品に関する表示制度に基づいて事業者に表示を義務づけてございます。

 他方で、遺伝子組み換え食品に該当しないものにつきましては、ゲノム編集技術を用いたものか、あるいは従来の育種技術を用いたものかを判別するための実効的な検査方法の確立が現時点での科学的知見では困難であります。したがいまして、表示監視における科学的な検証が困難であるといった課題がございますので、罰則の伴う措置を講ずることは現時点においては困難だと考えてございます。

石川(香)委員 時間が来ましたので、また議論させていただければと思います。

 ありがとうございました。

稲田委員長 次に、吉田統彦さん。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、昨年の通常国会の与党筆頭理事であられた委員長から当時お約束をいただいた一般質疑、非常に有意義な議論ができますこと、まず冒頭お礼を申し上げまして、質疑に入りたいと思います。

 まず、旧統一教会の問題に関する法案、処分基準案の禁止行為に係る報告、勧告等、法第七条についてお伺いをいたします。

 報告徴収について、「禁止行為が不特定又は多数の個人に対して繰り返し組織的に行われており、」以下略しますが、としてありますが、いわゆるマインドコントロールの影響を受けた信者自身が自主的に勧誘する事例も既に国会質疑で共有されていること、また、組織的に行われているか否かは外部から必ずしも明らかではないことから、上記の表現から「組織的に」の文言は削除すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 不当寄附勧誘防止法は、法人などによる不当な寄附の勧誘を防止するものでありますので、禁止行為に係る報告徴収などについては、個人が法人などの組織とは関係なく行った不当勧誘行為ではなく、法人等が組織的に行った不当な勧誘行為を対象として想定していることから、処分基準等にその旨を記載することは適当であると考えております。

吉田(統)委員 もう一問、では。

 本法は、法人による不当な寄附勧誘を防止するものであり、個人によるものは対象ではないから、処分基準に組織性と明記しておく必要があるということですね、大臣。

 七条は、第四条及び第五条の規定の施行に関し、一項、あるいは、第四条及び第五条の規定に違反する行為をしていると認められる場合、二項の規定であり、法人等による寄附勧誘であることは当然の前提とされています。処分基準で重ねて組織性を明記する理由にはならないと思います。より高度な組織性が求められて、ほとんどの報告徴収、勧告が行われないことになりかねないと危惧をいたします。

 なぜここだけ組織性と明記する必要があるのか、もう一度、大臣、しっかりとお答えください。

河野国務大臣 繰り返しになりますが、不当寄附勧誘防止法は、法人等による不当な寄附の勧誘を防止するものであって、禁止行為に係る報告徴収等については、個人が組織とは関係なく行った不当な勧誘行為ではなく、法人等が組織的に行った不当な勧誘行為を対象として想定していることから、処分基準等にその旨を記載することが適当であると考えております。

吉田(統)委員 大臣がそうやってお答えになられると思いまして、聡明な大臣のことですから。では、次のような御質問はどうでしょうか。

 結局、個人なのか組織的なのか、組織性というか組織的なのかを非常に判別しづらい場合があります。例えば、ある法人の役職者の行為なら組織なのか、役職を持っていない個人の、いわゆる会員や所属している人間の行為であれば組織ではないのか、あるいは元役職者の行為は組織の行為に該当するのか、こういったことが、非常に境界が曖昧になります。

 ですので、例えば、大臣、ある組織の役職者がその組織の関連行為で行った場合に関しては組織の行為なんでしょうか、あるいは、役職がつかない個人がその所属する組織のために行った行為は組織の行為、組織性と認められるか、ここをはっきり、大臣、お答えいただけますか。

河野国務大臣 個別の案件は、その個別の案件に応じて、その事象に応じて適切に判断してまいります。

吉田(統)委員 聡明な大臣らしくないお答えで。こんなの全然、全く個別じゃないですよ。例として、しっかりとした例示となりますから。

 では、役所としてはどうですか。役所の参考人の方から御答弁、できないですか、できなければ結構です。

 本当に、今の御答弁では、全部そういった答弁でごまかされてしまうので。今のは大変重要なことなんですよね。そして、個々の事案の話では全くない。ですから、またこの質問はさせていただきたいと思いますので、しっかりとした御答弁を役所の方で御準備しておいてください。

 それでは、フードロス、先ほど来、先日来よく質問、消費者委員会でされていますこのフードロスについてお聞きします。

 フードロスというのは廃棄物となり、また、無駄な食料の生産は温室効果ガスの排出源ともなります。環境問題を引き起こすわけであります。使われない食材は、我が国の食料問題上でも大きな問題です。さらに、この問題は、廃棄コストや無駄な支払いをしているということで、経済的な損失、経済的な問題でもあります。

 このような状況の下、我が国では、二〇一九年に食品ロス削減推進法が成立しています。消費者に食品ロス削減について自主的に取り組む役割が同法に明記されています。しかし、フランスや中国などと異なり、罰則がありません。逆に優遇措置もないものであって、国民の間への浸透は進んでいません。実際、二〇二一年の東京オリンピックで大量の弁当が廃棄されたことが発覚するなど、我が国の取組はまだまだこれからの課題であることが世界中に明らかになってしまいました。

 そこで、本日は、フードロス、食品ロスの現状の問題点とその解決へ向けた提案として、フードロスの現状や我が国の商習慣、諸外国における取組などについてお聞きしていきます。

 まずお聞きしますが、フードロス、法律では食品ロスというのが正しいようですね。何を食品ロスと言うのか、食品ロスの現状を教えてください。また、今次のコロナ禍の影響で変化があるようでしたら、それもお答えいただけますでしょうか。

河野国務大臣 まず、国連の持続可能な開発目標、SDGsにおいては、二〇三〇年度までに、小売、消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄、フードウェーストを半減させるという目標を掲げ、また、収穫後損失などの生産、サプライチェーンにおける食料の損失、フードロスを減少させるという目標をうたっております。

 ですから、ちょっとこれは、日本は食品ロスと言っていますけれども、本当は食品ウェーストと言わなきゃいけない、ラベルを貼り間違えたかなというところがありまして、ちょっとどうしたものかなと正直思っております。

 ということで、SDGsによるフードウェーストを半減させるということで、この食品ロス削減推進法においては、食品ロスの、SDGsによるところのフードウェーストに近いものでございますが、これの削減目標を設定し、二〇三〇年度までに、家庭系、事業系、それぞれ半減させるという目標を設定しております。

 食品ロスの最新の数量は、先ほども答弁をいたしましたが、令和二年度五百二十二万トンと大きく減りました。令和二年度の数値を除く直近五か年の数値は六百十四万トンでございますから、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う消費者の外出機会の減少、飲食店の営業自粛などによる影響は非常に大きくなっている。ですから、ここは気をつけないと、また戻ってしまう可能性はある。これは先ほどのやり取りにあったとおりでございます。

吉田(統)委員 大臣おっしゃるとおりで、後ほどちょっと議論していこうと思っていたんですが、フードウェーストとフードロス、これが、日本の食品ロスと食品廃棄物と、ちょっと概念が混乱しやすい状況になっています。ここはちょっと、大臣、どこかで整理した方がいいですよね、どう考えても。これは質問していく上でもちょっとやりにくくなるんですよね。

 では、今大臣からいろいろ御答弁いただいたので、大変ありがたいことで、ちょっと先に進みます。

 少し具体的なことですが、例えば、大臣、生産調整で畑などに放置されている野菜というのは、食品ロス、今はこの食品ロスという言葉でいきますが、に当たりますか。また、家庭菜園で収穫されずに放置された野菜などは家庭系食品ロスに当たるのかどうか。大臣、あれだったら事務方でも結構ですが。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、規格外などの理由で出荷されずに処分される野菜、若しくは、豊作時などで、出荷をしてもコストが賄えないなどの理由で破棄される野菜といったものがございます。こういったものは、食品やその原材料として出荷される前の段階ということで、食品ロスの数字には含まれていないところでございます。そのように承知しております。

 一方で、規格にかかわらず、やはり食べられるところは有効活用するということは非常に重要でございます。規格外であっても、実際、現場では、カットされた野菜とか、ジュース、漬物用など加工用に活用する、さらには自家消費や地域の直売所で販売するなど、できるだけ有効活用されているところでございます。

吉田(統)委員 もう少し、ちょっと具体的な。これも役所からの答弁で結構です。

 ある日本酒メーカーのホームページに次のような記述があります。何とか酒かすをよいもの、意味のあるものにしたいと使い道を開発してきた、それが現在の○○焼酎です、中略しますが、焼酎を取った後にその焼酎のかすが残るんです、焼酎業界でも大きな問題になっていますが、焼酎かすの処分は大きな問題です、今現在は焼酎かすは飼料として引き取ってもらっていますと。このほか、このホームページには、精米して生じた米ぬかを食品メーカーに販売しているということも記載されています。

 それでは、この食品メーカーに販売した米ぬかや飼料として引き取ってもらった焼酎かすは食品ロスに該当しますか。役所からで結構です。

安楽岡政府参考人 お答えします。

 日本酒の製造工程で発生する酒かすは、食用として利用が可能であり、それが廃棄された場合には食品ロスに該当すると考えられます。(吉田(統)委員「販売された場合は」と呼ぶ)食品ロスに該当すると考えられます。

 次に、米ぬかについてですけれども、玄米の表面を削り、食用の白米に加工する際に生ずる米ぬかは、食用困難であり、食品ロスに該当しないものと考えられます。一方で、日本酒の製造工程では、米の表面にある雑味の元を取り除くため、食用の白米に加工する場合よりも更に米の表面を削ることが一般的であり、これが食品の原材料として利用可能な場合には食品ロスに該当するものと考えています。(吉田(統)委員「焼酎かすは」と呼ぶ)

稲田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

稲田委員長 速記を起こしてください。

安楽岡政府参考人 大変失礼しました。

 焼酎の場合には、食品利用が不可能なため食品ロスに該当しないものと考えています。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと時間がなくなってきたので、諸外国におけるフードロスの取組に関して、日本でも導入すべきだと私が考える施策についてお伺いします。

 まず、寄附を促進するための税制優遇です。

 消費者庁の委託調査によると、アメリカでは各州が食品ロス削減に貢献する様々な税制優遇措置を設置しています。例えばコロラド州だと、納税者が穀物、果物、野菜といった農作物や家畜、卵、乳製品などを非営利の慈善団体に寄附する場合、卸売価格の二五%、最大年間五千ドルまで税制控除を受けることができるとのことです。

 また、フランスでは、所得税や法人税の課税対象となる企業が食品などの現物出資を行った場合、金銭出資と同様、売上高の〇・五%を限度として、出資額の六〇%まで減税されて、五会計年度繰越しが可能です。欧州の飲料メーカーやフランスの大手スーパーが実践しているとの報告がございます。

 このような食品の寄附に関する税制優遇措置について、消費者庁としての見解又は感想、現在、もし検討などが進んでいるようでしたら、大臣、その点もお答えいただけますでしょうか。

河野国務大臣 食品ロスの削減に関しまして、フードバンクというのは非常に有効だと思っております。

 税制優遇、それからフードバンクなどに寄附したときの法的な責任の在り方、これは各国の状況の調査を進めておりまして、我が国でも、こうしたものの導入に向けて、しっかり検討してまいりたいと思っております。

吉田(統)委員 大臣、すばらしい御答弁でありがとうございます。是非、河野大臣の在任中に進めていただきたいと心からお願いします。

 今、大臣、少しお触れになったんですが、食品の寄附を行った際の食品提供者の免責条項、よきサマリア人の法についてお聞きします。

 いわゆる、よきサマリア人法は、英米法系のコモンロー上の制度に由来するものです。大陸法系の我が国の民法、刑法等の法体系に取り入れるには調整が必要であるとされています。

 しかし、例えばニュージーランドでは、二〇一四年の食品法の食品寄附に関する免責条項により、それまで提供に尻込みをしていた食品工場やスーパーが積極的に参加するようになりました。食品の寄附が極めて進んだと言われています。また、韓国でも、寄附食品による死傷事故に関して、重大な過失がない場合に、フードバンク及び食品事業者などの寄附者の刑の減免を想定しています。

 消費者庁として、食品ロス削減のための一策として、食品提供者の免責条項についての見解又は感想、今検討という話がありましたが、もし、ちょっと具体的なお考えが大臣にあったら、是非御開陳ください。

河野国務大臣 これはやりたいと思っておりまして、そのための検討をしているところでございます。

吉田(統)委員 大変力強いお言葉で、安心しました。

 それでは、逆に、大臣、売れ残り食品の廃棄禁止の法整備、罰則等についてもお伺いします。

 もう時間がなくなってきているのであれですけれども、やはり食品ロス問題の根本的解決のためには、売れ残り食品の廃棄の問題を解決する必要があると私は考えます。

 フランスでは、二〇一三年の六月に食品廃棄物削減に関する協定が政府により策定され、二〇二五年までに、サプライチェーン上の食品廃棄物、可食部分ですね、二〇一三年比で五〇%削減するという国家目標が掲げられています。

 二〇一六年二月には食品廃棄物削減に関する法律が制定、公布されて、同法では、食品流通業者、小売業者に対する規制に重点が置かれています、規制ですね。特に、食品小売店に対して、慈善組織との食品寄附に関する協定締結を義務づけています。食用可能な食品、売れ残り等を意図的に消費不可能な状態にすることを禁止しています。そして、意図的に消費不可能な状態にした事業者には三千七百五十ユーロの罰金が科されるとか、食品の寄附に関する協定を締結することの義務づけに反する違反には罰金四百五十ユーロが科されるなどとされています。

 今度は、優遇措置というより罰則的な規制なんですけれども、ここに関しては、大臣、今、力強い、大変いい御答弁をいただいて安心したんです。こちらに関しては、いかがですか。

河野国務大臣 済みません。通告がなかったものですから、食品の廃棄に関する規制の調査というのも、たしかやっていたんじゃないかと思いますが、どこの国を対象にしていたかというのは、ちょっと今、よく分かりません。

吉田(統)委員 通告はしたので、多分そちらの調整が漏れたんだと思うんですけれども。

 大臣、逆に、大臣の答えられる範囲で結構なんですけれども、通告はしてあるので、こういった罰則、さっきの優遇措置とは反対の措置になるわけですが、ここに関しても、大臣はやはり踏み込んで検討すべきと思われるか否かは、お答えいただけませんでしょうか。

河野国務大臣 やはり、まずは盛り上げていく方を先にやりたいな、これは個人的な感想でございますが。

吉田(統)委員 多分もう終わりの札が回るのでこれで終わりますが、大臣、最後に、フードバンク、フードドライブというのはやはりまだ日本は理解が進んでいないと思うんです。フードバンク、国内で約七千トン弱の食品を取り扱っているとされていますが、年間食品ロス量五百二十二万トンの〇・一%程度ですね。

 セカンドハーベストという民間団体が一生懸命頑張っているんですけれども、これは残念ながら日本の方によって設立されたんじゃなくて、アメリカの方が設立したものなんですね。つまり、日本人が日本で、こういった様々な習慣の上でフードバンク、フードドライブをやろうとしたものでは残念ながらないんです。

 フードバンク、フードドライブは、食品ロスの削減だけじゃなくて、やはり食料問題、子供の貧困対策にも当然寄与できますよね。ニュージーランドなんかは、中継基地を開設して、必要時に無償で使えるようにしているなどということがあるんですが、このフードドライブ、フードバンクも、政府としてやはりしっかりと支援など、啓発も含めてしていくべきだと思うんですが、大臣、一言ここをいただいて、質問を終わりたいと思います。

河野国務大臣 フードバンク、フードドライブ、いい試みだと思っております。消費者庁としても、eワーク愛媛とか、ハローズとか、そういう活動を表彰させていただいて、周知に努めております。

 今後も、消費者庁として、しっかり広報、周知をやってまいりたいと思います。

吉田(統)委員 時間なので終わります。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、大河原まさこさん。

大河原委員 立憲民主党の大河原まさこです。

 本日は、二十分の質疑時間をいただきました。車椅子から着座での質疑となりますこと、また、資料の出し入れ等、介助のための秘書の陪席も御許可をいただきまして、御配慮をいただきました。委員長を始め委員各位に感謝を申し上げ、質問に入ります。

 まず、香りの害、香害についてお尋ねします。

 私は、これまでも、衣服の洗濯洗剤や柔軟仕上げ剤、芳香剤等に含まれる化学物質である香料による健康被害について質問を重ねてきました。香害の被害実態は深刻なケースも多く、学校に行けない、登校しても保健室に行くしかない、学校に訴えても相手にされない、また、集合住宅などでは、お隣のベランダの洗濯物から、においつきの風で具合が悪くなってしまうなど、様々な被害の御相談がございました。

 私は、被害当事者やその家族を含む市民団体、香害をなくす連絡会の皆さんと関係省庁の意見交換の場を度々つくり、つないでまいりました。香害をなくす連絡会の皆さんは、消費者庁、厚生労働省、経済産業省、環境省、文科省、国民生活センターの御担当者の皆さんと粘り強く意見交換を重ねてこられましたし、今後もこうした意見交換の会は開催していくことになるかと思います。

 そこで質問です。

 まず、いわゆる香害問題関係省庁担当者会議など、香害問題についての消費者庁の取組状況について、現状を伺いたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁の対応といたしましては、今ほど委員から御指摘のありました、関係省庁の担当者が参加する会議を開催し、各省庁の取組状況等を定期的に情報共有をしてございます。

 令和三年八月には、この枠組みを通じまして、五省庁連名で「その香り 困っている人がいるかも?」と題したポスターを制作をし、全国の消費生活センターや都道府県等に配付をして周知啓発を行っております。また、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省等を通じて、教育委員会や関係業界、団体にも周知を進めてきているところでございます。

 さらに、香害をなくす連絡会の方との面会など様々な機会を通じて、いわゆる香害について被害を訴える当事者の方々の御意見も伺ってきてございます。

 このような取組を通じまして、様々な場での香りへの配慮について、関係省庁とも連携をしながら対応していきたいというふうに考えてございます。

大河原委員 ただいま御答弁をいただいたように、自治体ではポスター等を独自に作成している状況になりました。また、先ほど紹介した香害をなくす連絡会の皆さんは国土交通省とも意見交換され、その後、鉄道駅にも五省庁作成のポスターが掲示されました。

 お手元配付の資料を御覧ください。

 高知県では、「香りつき洗剤・柔軟剤・香水などは、できるだけ使用を控えるように配慮をお願いします。」と一歩踏み出した啓発をしております。

 五省庁による香害の啓発ポスターが作成されたことは、私は大変評価をしているものですが、残念ながらその表現ぶりは「その香り 困っている人がいるかも?」にとどまっています。

 私は、高知県が、被害実態を捉え、被害を減らしていこうとする積極的な姿勢があると評価をします。せっかく作った五省庁のポスターも、消費者被害をなくす方向へと更に一歩踏み出すべきだと考えております。

 好評を博しておりますこの消費者庁のポスターも、これから増刷を重ねると思いますが、ポスター増刷の際に文言修正を是非ともお願いしたいのですが、河野大臣、文言修正、是非お約束いただけませんでしょうか。お答えをお願いします。

河野国務大臣 化学物質に過敏な方がいらっしゃる、そういう方への配慮をお願いするというのは、これからもしっかり周知していきたいというふうに思っております。

 五省庁で作っているポスター、あなたの周りにもそういう方がいるかもしれませんよ、気をつけてくださいねという意味では、意味のあるポスターだと思います。これからどうするか、それは五省庁で検討していきたいと思います。

大河原委員 せっかく作っていただいたポスターです。そして、自治体も、改めて自治体としての責任を果たそうと独自にポスター作成をし、啓発を広めております。

 ただ、残念だなと思う部分。香りの害に困っておられる方々は、香りが、このポスターで言えば、感じ方は人それぞれ個人差だというような文言がここに入ってしまっていることや、特に香りを強くしたいと思って使っているわけではなく、適正な量を使っていることが前提で柔軟剤や洗剤が使われているということを是非忘れないように。その上で被害を受けている人がいるということでございます。

 消費者庁は、消費者行政を統一的に、一元的に推進するための新しい組織としてスタートしたはずです。河野大臣は、消費者保護から消費者法に変わる際にも大変御尽力されたことを存じ上げておりますけれども、消費者行政の司令塔として、消費者の安全、安心に関わる問題について幅広く所管し、消費者の視点から取り組む省庁、役所として、私は、更に消費者目線、消費者の権利の中にある被害救済にもきちんと対応する、向き合う役所として、大臣から発信をしていただきたいと思います。

 文言修正を河野大臣のリーダーシップで、そして消費者庁のリーダーシップで、是非とも進めていただきたいと思いますので、今後とも大きな関心を持って取り組ませていただきます。

 河野大臣、いかがでしょうか。もう一度、文言修正の可能性について、御見解をお願いします。

河野国務大臣 文言修正するかどうかも含め、五省庁で検討してもらいたいと思いますが、この問題について、しっかり周知、広報してまいりたいと思います。

大河原委員 河野大臣、ありがとうございます。

 やはり、消費者庁がしっかり取り組んでいくその姿勢が自治体にも大きな影響を及ぼしますので、大臣の姿勢、そして消費者庁挙げてこの問題に取り組んでいることが、自治体ポスターを通じても更に啓発が広がるわけですから、自信を持ってお進めいただければと思います。

 次に、食品表示について伺います。

 遺伝子組み換え食品の表示が四月一日から変わりました。三月三十日の当消費者問題特別委員会でも、立憲民主党の同僚議員からも食品表示に関しての質疑がありました。今回の表示変更では、実は、表示が大変分かりにくくなってしまったと言われております。

 大臣は、この点、どうお思いでしょうか。お答えください。

河野国務大臣 遺伝子組み換え食品につきましては、これまでは、遺伝子組み換えではないという表示はされているものの、五%までの混入は認められておりました。

 遺伝子組み換えでないという表示がありながら、遺伝子組み換えされたものが最大で五%まで入っていることについて、これは表示と実態が乖離しているのではないかという消費者の皆様からの声を受けて、様々検討した結果、遺伝子組み換えでないというのは、遺伝子組み換えの混入がないと科学的に実証できる、つまり、遺伝子組み換えでないものは遺伝子組み換えでないということに限定をする、そして、これまでのように、遺伝子組み換え農作物が混入しないように分別生産流通管理をしたものは、その旨、遺伝子組み換えの混入を防ぐための分別生産流通管理を行っているよという表示をすることを可能としたものでございまして、これまでより、より正確な情報を消費者に伝え、消費者の選択の幅が広がったと思っております。

大河原委員 食品選択のよりどころとなる、選択しやすい、分かりやすい表示が重要であることは言うまでもございません。食品選択は消費者の重大な権利であり、選択のよりどころとなる食品表示の果たす役割は極めて重大であると重ねて申し上げます。

 私自身は、飲物、飲料を含む食品全般にトレーサビリティーを義務づける新しい制度が必要だと考えておりますが、記録に基づいて表示の正しさの検証が確実にできるので、遺伝子組み換え食品の表示も見直すことができます。生産段階における環境配慮への監視を通じて、持続可能な食と農業の実現にもつながるのではないでしょうか。

 消費者の知る権利を保障するために、トレーサビリティーを導入する可能性について、大臣のお考えをお聞かせください。

河野国務大臣 食品トレーサビリティーとは、食品流通の各段階で各事業者が食品を取り扱ったときの記録を作成して残しておくことで、食品事故などがあったときに原因究明や商品の回収の円滑化に資する重要な取組でございます。しかし、全ての食品に対してトレーサビリティー制度を義務づけることは、事業者の負担や実行可能性の観点から困難であり、我が国の食品衛生法上でも事業者による努力義務にとどめております。

 いずれにしましても、食品事業者による自主的な取組を推進することが適切であり、農林水産省が推進していると認識をしております。

 食品表示法に基づく食品表示基準におきましては、表示の根拠としての記録を保存するよう努めなければならないとされており、引き続き消費者の商品選択に資するよう、制度を適切に運用してまいります。

大河原委員 大臣の御答弁は、これまでどおりの模範解答ということかと思いますけれども、やはり、私たち、人が生きていく上で、食品をどう選び取り、体のもとになるものでございますから、食品、それから食料、水、呼吸をしているときの大気、そして食品、農産物も、農産物が作られる土、こうした土壌が汚染されないことが本当に大事です。

 さて、最後の質問になりますが、食品安全委員会において、現在、有機フッ素化合物ワーキンググループが設置されております。有機フッ素化合物による地下水汚染が、沖縄でも、そしてこの東京でも報告されており、私の地元、多摩地域でも、大変、市民が自らの血液検査を行うなど、不安が増すとともに、自治体に、そして国に対策を求める動きが高まってきております。

 河野大臣は、この有機フッ素化合物による汚染問題、こうした問題に対しての御認識はいかがでしょうか。

河野国務大臣 この有機フッ素化合物、PFOSあるいはPFASと言われているものが、例えば沖縄では米軍基地の消火剤として使われておりました。外務大臣、防衛大臣、あるいは沖縄問題担当大臣をしていたときに、これも沖縄の皆様と様々意見交換をさせていただいて、今厚労省、環境省で、この問題、科学的な知見に基づく水質基準、これの検討を行ってくれているところでございます。

 食品安全委員会でも、ワーキンググループが設置されて、様々知見の収集、整理をしているところでございます。

大河原委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 事は、水、土、食べ物と、汚染が進めば、連鎖汚染ということで、究極の環境と考えます人の体、ここに既に血液から有機フッ素化合物が検出をされる事態になっております。私自身もこの血液検査の運動に参加をしておりますので、もうすぐその結果が出てくると思っております。連鎖汚染を起こさせないためにも、この対策はしっかりと取られなければならない。

 そして、水というのは、長い商習慣の中で表示というものがございませんが、行く行く、そうした問題も私は視野に入れて、消費者行政の司令塔たる消費者庁は、先を見越した、消費者の不安に応える対策を、リーダーシップを取って、集められた最新の知見、科学的に消費者に説明責任を果たしてほしい、そして、消費者の権利を守る、その大きな役割を果たしていく、その方向性を、是非とも消費者庁を挙げて御奮闘いただきますよう重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 本日は、誠にありがとうございました。

稲田委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会の、埼玉の沢田良です。

 本日は、技術の進化や革新的なアイデアによって日々変容していく環境の中で、自由闊達な経済活動を阻害することなく、消費者の自主的かつ合理的な選択を守っていくにはどうするべきかを念頭に議論ができればと考えております。

 河野大臣、稲田特別委員長を始め、理事、委員の皆様、委員部の皆様、消費者庁の皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質疑に参ります。

 先日の大臣所信に対する質疑でも御議論ございましたが、現在、主にインターネット上で問題となっておりますのがステルスマーケティングです。実際には依頼主から金銭その他の利益を得ているにもかかわらず、そのことを隠して商品やサービスを宣伝する手法は、消費者の選択を不当にゆがめかねない危険性をはらんでおりますが、現段階では直接的に規制する仕組みがなく、そうしたステルスマーケティングがどこに潜んでいるのか、消費者の側からは分からない状態となっています。また、インスタグラムやユーチューブなどが市民権を得て、案件又はインフルエンサーという言葉とともに、大変身近な環境にあふれている現状もございます。

 そして、このステルスマーケティングによる被害を防ごうと考えたときに、そもそも、販売者側、サービスの提供側は宣伝であることを隠そうとしているのですから、そうしたことが起きてから取り締まるというよりも、未然防止の取組が最も重要になってくることは言うまでもありません。

 現在は業界団体独自のガイドライン策定など自主的な取組によるところが大きいと思いますが、消費者庁として、ステルスマーケティングの未然防止に向けた現在の取組、また今後に向けて検討している点などございましたら教えてください。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、そもそも、いわゆるステルスマーケティングを生じさせないという未然防止の観点からの対応を行っていくことが重要であるというふうに考えております。

 そのため、先般指定しました告示でございますけれども、この施行が本年十月一日を予定しております。その施行までの間に、本告示の存在ですとか内容をより多くの消費者や事業者に御理解いただくための周知活動を行っていくことになろうかと思っております。

 具体的には、説明会の開催ですとかパンフレットの作成といった従来型の周知手段に加えまして、例えば、インターネット広告の活用ですとか、インフルエンサーを抱えていらっしゃる事務所との協力など、様々な周知手段を活用してまいりたいと思っております。

 また、ステルスマーケティングの理解度が消費者の年齢や事業者の業態などによって異なっているというふうにも考えられますので、こういった属性の違いにも配慮しながら、丁寧な周知活動を行ってまいりたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 多分、河野大臣がやられたもので、「スパイファミリー」とコラボする、あれはすごいよかったと思うんですよね。うちの娘も見ていて、やはり、子供たちがああいうところに一瞬で興味を持てる方法というのは、是非とも大臣主導でやっていただければと思います。

 ステルスマーケティング自体もインターネット上に氾濫しており、知らず知らずのうちに選択をゆがめられている消費者が今この瞬間にも日本中にいると思いますので、早急に御対応いただければと。

 また、今回、景品表示法第五条第三号の指定告示への追加という方法が用いられております。これは比較的短い期間で規制ルールを設けることができるため、やはりどんどんどんどん変わっていく中で、私は、今回、非常に有効な手段で、すぐ動いていただけたことがよかったと思っております。

 一方で、ステルスマーケティングに関する検討会では、今後もステルスマーケティングがなくならない場合には、仲介業者やインフルエンサーに対する規制、また、プラットフォーム提供者への働きかけ、課徴金制度の導入も含め、中長期的には現行の景品表示法の見直しなど、更なる規制が必要であるとも指摘されています。

 検討会では、同様に、今後、メタバース等の仮想空間が発展し、出どころ不明の情報に接する機会が増大していくことを見据え、今の段階で規制を考えて対応していくべきとの意見も表明されておりました。これは、被害が起きてから後手後手に対処するのではなく、先手を打っていくという意味では非常に重要な議論が進んでいるというふうに期待しております。

 今回の指定告示の追加を十月以降どのように運用し、どのように見直していくのかということ、先ほど教えていただいたんですけれども、また、ステルスマーケティングは、今回の規制をすり抜けて、更にどんどん巧妙化することも想定されると思います。現在の技術で思いも寄らない問題、こういったことも出てくることを想定した上で、将来的に法改正や新法での対応、こういったものも考えていらっしゃるのか、教えてください。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 まずは、先ほどお答えいたしましたように、告示、制定したばかりでございますので、未然防止に向けた取組をしっかり行ってまいりたいと思っております。

 そして、告示が施行された十月一日以降につきましては、具体的な違反事件がございましたら、それに対して厳正に対処していくということが大事だろうと思っております。それによって告示の実効性を確保できるよう対応してまいりたいと思っております。

 法改正の必要性についてのお尋ねがございましたけれども、その点に関しましては、私どもが開催しましたステルスマーケティングに関する検討会の報告書の中で、中長期的な課題として、ステルスマーケティングを解決するために必要であると判断される場合には規制の対象範囲を拡大するよう検討すべきであると指摘がなされておりまして、こうした指摘や告示の施行状況も踏まえまして、必要な対応を検討したいと思っております。

 いずれにいたしましても、まずは本告示を運用してみまして、足らざる部分があればその際に検討してまいりたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 この検討会、本当に、内容を見たら、すばらしい内容が結構載っていたので、是非今後も検討会の方で煮詰めていただければと思います。

 未然防止に向けて、消費者庁さんでは、既に、中学生向けの消費者教育プログラムの作成、公開や、成年年齢の引下げが決まってからも、十八歳前後の方を対象とした周知活動に取り組んでいただいていることは、すばらしい取組と感じます。

 ただ、中学生からで本当にいいのかというのを、個人的には疑問を持っています。というのも、私、八歳の息子がおりますが、ユーチューブを見て、プロモーションという記載が最近出るんですね、これを聞いてくることがありました、プロモーションって何なのという感じで。こういうふうに、ユーチューブなどが完全に身近になっている状況の中で、小さい子供であっても、プロモーションといういわゆる商品紹介、元々はステルスマーケティングになってしまったようなものが、理解が必要になって質問が入るような、こういう環境になっている状況になっています。

 私自身もPTA活動をずっとやっていたんですけれども、児童のスマートフォンの保有率は結構増えておりまして、持っていなくても保護者のスマートフォンの使い方をしっかり分かるという子はかなり多いんですね。小さい子供や、ガラケーやスマホに替えたばかりの高齢者など、特に情報の正しい取捨選択が難しい方を積極的に保護していくと考えると、やはり中学生以上というふうに考えるよりかは、広く考えていった方がいいのかなというふうに思うんですけれども、現在、消費者庁としての周知、広報については、そういった部分についてもどのように考えられていますでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、まさに若者、中学生に限らず小学生、さらに、最近ではオンラインゲームの課金などは幼児でもやっているというような実態がございますので、我々としても、小学生とは言わず幼児からの消費者教育ということで、実は、先月二十八日に消費者教育の推進に関する基本的な方針というものを閣議決定をさせていただいておりますけれども、その中でもライフステージに応じた消費者教育の必要性ということを掲げてございます。

 そういった意味では、委員御指摘のように、幼児からの消費者教育ということについてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 本当にすごい大事な部分だと思いますので、是非ちょっと広範にわたって、「スパイファミリー」を使うとか、そういう方法も、本当に子供たちというのは、よく分からないでも学んでいって気づくことは多くあると思うので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、河野大臣にお伺いしたいと思います。

 消費者庁として、消費者教育や注意喚起、広報といった部分にも力を入れていただいていると思います。今や、消費に関する情報リテラシーは、この国に生きる誰にとっても必要不可欠な知識であるとは考えております。消費者庁主導で更に消費者教育を拡大していくことや、又は文科省との連携なども視野に考えていただくというような方法もあるとは思うんですけれども、例えばスウェーデンとかのように民主教育が大変進んでいるような国になっていると、小学校の大体四年生、五年生、六年生の社会科の授業の中で、例えば情報の取捨選択の授業があったり、広告とは一体何なのかという授業が義務教育のようなものに完全に組み込まれている体系でやっている国もございます。

 先ほど御答弁いただいたように、やはり幼児からそういった情報が入ってくるような状況も踏まえると、そういった先進的に民主教育をやっていた国プラス、また更に深掘りして日本の方でも考えなきゃいけないのかなと思うと、根本的にこの問題をやはり教育をしていくというふうになったときに、消費者庁が本当にこれを進めていくことがいいのか、それとも、やはり文科省が主導でしっかりと義務教育下に入れていくことが大事なのか。

 この前、河野大臣も御答弁の中で、四百人ぐらい職員がいらっしゃって、大変、やはり今、消費者庁というのは新しい時代の中でお忙しいと思いますし、やれるリソースというのも限られていると思うんですね。その中で、やはりばしっとこれは方向性を決めて、義務教育に入れる、文科省の方でやるのか、それとも、やはり消費者庁も、本当に人間が足りない状態で、無理をしてやっていく方がいいのか、大臣として御意見があったら教えていただけませんか。

河野国務大臣 やはり、トラブルに巻き込まれやすい子供、若者、それからデジタルになかなか慣れない高齢者、恐らくこの二つの層への教育、周知をどうするのかというのが大きな問題だと思います。

 子供、若者については、これは文科省と連携をして、学校教育の中でそれなりにやっていかなければいけない分野なのかなというふうに思っております。また、高齢者につきましては、これは総務省と協力しながら、デジタルに関する講座の提供とか情報の提供というのをやっていかなければいけないと思いまして、消費者庁単独でやり切るというわけにはこれはいきませんので、おっしゃるように、文科省とどこまで連携をして、どこまで教育の中でデジタルを取り入れることができるのか。

 特に、最近は、AIみたいなものを子供たちもそれなりに自由に使うことができるようになると、教育そのものもやはり変わってくるんだろうと思いますので、それは消費者庁というよりはデジタル庁の話かもしれませんが、やはり文科省と連携をして、これからの教育に何を取り入れていくのかというところはしっかり考えていかなければいかぬなというふうに思っております。

 ちなみに、「スパイファミリー」はデジ庁の方でやらせていただいておりまして、いろいろありがとうございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 是非、河野大臣が両方担っている間に、消費者の方でも面白い仕掛けをかけていただけるといいなと思っております。

 続いては、転売問題についての質問に参ります。

 いわゆるフリマサイト等、個人間の売り買いが容易になったことなどで、転売による価格高騰や買占め等の問題が顕在化しております。

 しかし、転売そのものは自由な経済活動の範疇であり、法律で規制されてはおりません。不用品をフリマアプリでやり取りしたり、会社員の副業としても一般的に行われている行為とも感じます。

 そんな中、二〇一九年六月に施行されたのが、いわゆるチケット不正転売禁止法です。施行から四年もたっていませんが、人気のコンサートやスポーツの試合などでチケットの不正転売が確認され、有罪判決が出ている事案も報道されております。

 もちろん、その公演を見たい人たちからすれば、チケットが取れなくなったり不当に価格がつり上げられるなど、非常に迷惑な行為ですが、これが法律で規制されていない普通の転売と異なるのはどういった点なのでしょうか。規制が必要となった理由や法律制定の経緯を含め、文化庁に詳しく御説明をお願いいたします。

中原政府参考人 物やサービスの転売により利益を得る行為につきましては、自由な経済活動として一般的に行われているというところでございます。

 しかし、コンサートやスポーツの試合といった興行のチケットにつきましては、その試合やコンサートと全く同じものを、それを逃したら観覧することができないという意味で、代替性がなく、希少性が高いと言えます。また、チケットの中には、興行主によって転売が禁止され、購入者本人しか入場できないとされているものもありまして、転売チケットを購入した者が入場を拒まれてしまうような、いわば無効なチケットの流通は、消費者保護の観点から防ぐ必要があると考えられております。

 このように、興行のチケットは、他の物、サービスと比較しまして、興行主の承諾のない転売を防止して、その適正な流通を確保する必要性が特に高いと認められますことから、一定の要件を満たす特定興行入場券の不正転売等に限って罰則を設けて規制する法律が整備されるというふうに理解をさせていただいております。

沢田委員 ありがとうございます。

 チケットの売り方については、私、本当は、こういうルールでどんどん規制するのはよくないと思っている側なので、例えば、BiSHという女性グループがあるのですが、このグループが、今度、六月に東京ドームでライブを行うそうです。このライブの最前列のチケットを、NFT、暗号資産イーサリアムで販売をしています。いわゆるオークション販売となりますね。入札期間を決めて、販売開始価格は〇・六イーサリアム。決済方法ももちろんイーサリアムです。このように、どうしても見たい、よい席で見たいというファンの方は一定数います。

 例えば、今後もこのような、今まで想定できなかったような販売方法を、デジタルの力を使って、やはり業者自体がどんどんどんどんやっていくことによって、いろいろな工夫で、私はこの法律がなくても乗り越えられるのかなというふうには個人的には思っています。

 こういった転売禁止を、私自体は、独占させるということには問題があるとしても、やはり消費者の自由ということが、ある程度規制がかからないようなところを、議論を今後も重ねていきたいというふうに思っております。

 続きまして、トレーディングカードの価格高騰についてお伺いいたします。

 トレーディングカード自体は古くから存在しておりますので、この中にもカード収集などをされたことのある方はいらっしゃるのではないかと思いますが、対戦ゲームに用いるカード、具体的に申し上げますと、ポケモンカード、遊戯王カードなどが日本では有名で、最近では人気漫画の「ワンピース」を題材にしたカードも発売され、品薄状態が続いております。希少性の高いカードは高値がつけられ、数千万円で取引されるものもあります。

 こうしたカードゲームのユーザー、またカードを取り扱うショップにおいては、オリジナルパックという文化が存在します。これは何かといいますと、例えば、カードショップがユーザーから買い取ったカードを数枚まとめて独自の非公式カードパックとして売り出すという行為で、トレーディングカードゲームかいわいでは流行初期から行われてきました。ところが、最近では、先ほどのチケット転売の話でも申し上げたように、個人同士での物の売り買いが容易になってきたことから、個人でもこのオリジナルパックを作成、販売する人が出てきました。安いものでは数百円程度から、中には十万円以上するオリジナルパックも存在します。

 一定の基準やルールを設けてオリジナルパックを作成、販売している店舗、個人もありますが、そうでない店舗、また個人も存在しており、たとえ販売サイトにレアカードの排出率などの基準が、そういったルールが明記されたとしても、それが守られているかどうかを検証するのは全てを買い占めない限り証明できないという、実質的に不可能な状態となっております。

 ユーチューバーが人気カードゲームのオリジナルパックを開封してレアリティーの高いカードが出るかといった検証をするといった動画も、カードゲームファンの注目を集めていますが、これらは、オリジナルパックの作成者がわざとレアカードの入っているパックをユーチューバーに渡して宣伝に利用する、まさにステルスマーケティングのような手法が取られる場合もあるのではないかと指摘もされております。

 ここまで説明してきたように、オリジナルパックとは、何ら規制のない非公式のカードパックですが、消費者の射幸心をあおり、中身が分からないにもかかわらず高額の取引も大量に発生している現状を踏まえれば、必ずしも消費者の利益が現状守られているとは言えない部分があるというふうに感じております。

 まず、消費者庁より、こうしたオリジナルパックの問題をどのように認識しているのか、また、消費者庁としてどのように対応ができる可能性があるのかということをお伺いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としてになりますけれども、事業者が、自己の供給する商品・サービスの内容や取引条件について、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく優良又は有利であると誤認させるような表示を行う場合には、景品表示法上、問題となってまいります。

 お尋ねのトレーディングカードにつきましても、例えば、事業者がカードのパック販売を行うに当たりまして、例えば百口に一口はレアカードが含まれているかのように表示していながら、実際にはレアカードが全く含まれていないといったようなケースなど、今申し上げたような一般的な考え方に当てはまる場合には景品表示法に違反するおそれがあるというふうに考えております。

 いずれにせよ、消費者庁としましては、景品表示法上問題となる具体的な事案に接した場合には、同法に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 最後に、大串副大臣に、これまでの議論を踏まえて、こういった証明ができないようなものがあるという前提で、消費者の方々は、やはりこの問題というのは警察の問題なのか公正取引委員会の問題なのか消費者庁の問題なのかといったら、すぐ消費者庁にやはり頼ると思うんですね。

 こういった状況も踏まえて、大串副大臣、何か御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。

大串副大臣 今ほど答弁ございましたとおり、消費者庁としましては、景品表示法上問題となる具体的な事案に接した場合には、同法に基づいて厳正に対処をしていくという方針でございます。

 さらに、委員御指摘のトレーディングカードの販売に関しまして、消費者生活相談の状況を始め、動向をしっかりと注視してまいりたいと思います。

沢田委員 どうもありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。

 以上で終了とさせていただきます。

稲田委員長 次に、浅川義治さん。

浅川委員 沢田さんは埼玉ですけれども、私は横浜です。日本維新の会の浅川義治です。

 先日の当委員会で、インターネットのカジノの議論が田中委員の方からありました。そこで、もう少し私、ちょっと深めていきたいと思います。

 その前に、まず、インターネット関連の消費者トラブルについて、どのような事例があるかをちょっと簡単に御説明いただければと思います。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、インターネット関連の消費者トラブルといたしましては、幾つか例を申し上げたいと思いますけれども、偽サイトで商品を購入してしまったというインターネット通販に関する相談でございますとか、無料だと認識してアダルト情報サイトを閲覧したが、会員登録されたと表示され、高額な利用料金を請求されたといった相談、それから、婚活アプリで知り合った人に出会い系サイトに誘導され、高額な手数料の請求を受けたといった相談、また、オンラインゲームの課金に関する消費生活相談が多く寄せられておるということでございます。

 また、インターネット上の情報へのアクセスが手軽になった反面、不適切な情報に接する機会も増えておりまして、中には、オンラインカジノといった、国内法規に照らし違法な商品、サービスに関する相談というものも増えておるところでございます。

浅川委員 そもそも、このインターネット関連のトラブルというのは、いつ頃から相談が入るようになったんでしょうか。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 いつ頃からということをちょっと厳密に申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、例えばでございますけれども、インターネットについての消費者問題に関しましては、例えば二〇〇〇年、平成十二年でございますけれども、十二月に消費者保護会議の決定というものがありまして、その中では、「インターネット上での取引の安全・信頼の確保、個人情報の保護などを図ることにより国民が情報通信技術に親しみ、安心して活用できる環境づくり等が求められている」というような記載がございます。

 また、その中には、「インターネット通販におけるトラブル増加に対応するため、」といったような記載もございますことから、この頃からこういった問題が増加してきておるということでございまして、この時期から消費者問題として認識をしていたものというふうに承知をしておるところでございます。

浅川委員 今この動画を御覧になっている方は、そもそも消費者委員会でこういうインターネットトラブルというのが議論されているということも御存じない方もいらっしゃると思うので、今、基本的なところをちょっとお話しいただいたんですけれども。

 ここからちょっと本論に入るんですけれども、オンラインのカジノですね、今御紹介のあったオンラインのカジノの取締りについて、先般、大臣の方からも、警察庁の方での賭博罪の問題ということでお話がありました。摘発が年間十数件ぐらいということもあったんですが、警察庁のホームページの方を見ますと、令和元年、二年、三年で十八件、十六件、十六件検挙していますというのがあるんですね。

 ところが、これがいずれも賭博店において行われたものというふうになっているんですが、賭博店以外で、いわゆるオンラインカジノ、普通にスマホだとか一般の人が個人でやったりしているもので摘発、検挙されているというのはあるんでしょうか。

友井政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノ、海外のオンラインカジノを自宅等において利用した賭博事犯についても、過去に摘発した事例はございます。

 以上です。

浅川委員 その場合、件数は圧倒的に少ないと思うんですね、全てで十数件ということで。

 そうしますと、先日に田中委員の指摘もあったかと思うんですけれども、どうしてこの検挙ができないのか。利用している人は物すごい大量にいるはずだと思うんですけれども、検挙できない理由というのはどこにあるんでしょうか。

友井政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノを利用した賭博事犯につきましては、被害者のいる犯罪とは異なり、警察において各種捜査活動を展開して必要な証拠を収集しなければならないものでありますが、その中で、近年、年間十数件の事件を検挙しているところであります。

 警察庁といたしましては、全国の都道府県警察に対しまして、同事犯の実態解明や取締りを更に強化するよう指示しているところであり、引き続き、各都道府県警察において適切に捜査が推進されるよう指導してまいりたいと考えております。

浅川委員 そうしますと、今明確にはお答えにならなかったんですけれども、必要な証拠が集められないからということでいいんでしょうか。

友井政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノに係る賭博事犯につきましては、サイバーパトロールはもとより、他事件の捜査を通じまして端緒情報の収集に努めるとともに、賭客の検挙にとどまらず、犯罪収益の面からも捜査を推進するよう指導しておるところでございます。

浅川委員 済みません、私が聞いたのは、どうして検挙できないか、それが証拠が集められないかどうかということです。

友井政府参考人 お答えいたします。

 犯罪を立件する上では必要な証拠を収集する必要があり、その上での証拠の収集に努めているところでございます。

浅川委員 ですから、私が聞いているのは、立件できないのは証拠が集められないかどうか、イエスかノーかで答えてください。

友井政府参考人 お答えいたします。

 はい、必要な証拠を収集できて必要な立証ができたものについては検挙に至っているところでございます。

浅川委員 つまり、立件できないのは証拠が集められないからということですよね。

 そうしますと、技術的に、インターネットの技術的なところで、IPアドレスをリアルタイムで特定して使用者が誰かということを特定できない、つまりそれは、例えば個人の情報だから捜査令状がなければできないんじゃないかと私は思うんですね、不確かな知識ですけれども。そうすると、裁判所の方にリアルタイムで、例えば、サイバーで捜査していて、このIPアドレスだということが仮に分かったとしても、捜査令状をリアルタイムで取ってそこで押さえなければ、オンラインが終わってしまったら分からなくなるとか、あるいは、履歴が残っていても、その一件一件捜査令状を取らなきゃいけないということになるのかなと思うんですね。

 ただ、それともう一つは、人的な問題。ただでさえ今、地元の警察の方もオレオレ詐欺だとかで人員が足りない。人も足りない、予算も足りない、物資も足りない、そういうお話もよく聞いているんですけれども、この賭博罪、海外のインターネットカジノ、賭博罪と言われるものが、そもそも今、警察としてはそれほど重大な犯罪だとは感じていないために、捜査としては消極的なんじゃないかというふうに思われてしまう余地があると思いますけれども、いかがでしょうか。

友井政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、全国の都道府県警察に対しまして同事犯の実態解明や取締りを更に強化するよう指示しているところであり、引き続き、各都道府県警察において適切に捜査が推進されるよう指導してまいりたいと考えております。

浅川委員 ただ、具体的に各都道府県本部の方に、この捜査をこういうふうにやったらいいんじゃないかとか技術的なこととか指導しているのかどうかというと、ほとんどしていないと思うんですね。だから賭博店の立件しかできないんだと思うんですよ。

 それで、一つ重要な問題があるのは、今、政府はIRでカジノを推進して、もう少しで実際にどこか候補地が選定されて出てくるわけです。いわゆる現実の、現場のあるカジノを解禁して、やろうとしているにもかかわらず、インターネット上でのカジノが野放しになっているとすると、これは、インターネットはそこに行かなくてもできるわけですし、入場料も払わなくてもできるわけですから、安易に資金がそっちに流れてしまうわけですよね。

 ある意味、インターネットのカジノをそのまま野放しにしていたら、政府がIRを推進してカジノをやると言っていたところが全然意味がなくなってしまうと思うんですけれども、その辺はどういうふうに警察庁では考えていますか。

友井政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノにつきましては、関係省庁がそれぞれの所掌事務に基づいて対策を実施するとされておりまして、このうち賭博事犯の取締りにつきましては捜査当局が行っているところでありますので、引き続き、関係省庁とも連携して必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

浅川委員 それでは、河野大臣、今のやり取りをちょっと聞かれて、もちろん、所管というところもあるんですけれども、いずれ、大臣、いろいろな所管を超えて全体を見られるお立場になると思いますので、今、政府としてIRを推進してカジノもやる、でも、インターネット上で筒抜けになって、資金がそっちへ行ってカジノが楽しめてしまう、こういう現状をどういうふうにお考えでしょうか。

河野国務大臣 委員の御認識はよく理解できます。このオンラインカジノというのは、賭博罪、常習賭博罪という、刑法に違反をしている、そういう案件でございますから、これに対応するには、まず警察庁が覚悟と体制を示さなければ、それは政府全体でといっても、捜査をするのは警察庁でございますから、これはもうひとえに警察庁の覚悟と体制、これにかかっていると思います。

浅川委員 警察庁、国家公安委員長が指導されると思いますので、また機会があったらやってみたいと思います。

 続いて、もう、ちょっと時間が少なくなってしまったんですけれども、デジタル円について。

 これは、いわゆる中央銀行の公式なデジタル通貨ということですけれども、財務省さん、今日お越しいただいたので、既に日銀といろいろ協議されていると思うんですけれども、どこまで進んでいるのか。先日、NHKの報道では、近々にいろいろ何か発表もあるかというふうに報道されていましたけれども、いかがでしょうか。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 CBDC、中央銀行デジタル通貨に関しましては、欧州や米国及び各国において、それぞれ調査研究されているんだろうというふうに承知をしております。我が国に関しましても、社会経済のデジタル化の流れの中で、当然調査研究されていくべきものだというふうに思います。

 その上で、今日は日本銀行もお越しになられておりますけれども、日銀において、二〇二一年四月より技術的な実現可能性の検証をするための実証実験をさせていただいておりまして、本年四月からはパイロット実験を開始しております。

 財務省といたしましても、こうした日本銀行の実証実験の結果と、そして国際的な動向を踏まえつつ、日銀、金融庁と緊密な連携を取って、また検討させていただきたいというふうに思います。

浅川委員 今、諸外国の動向の話もありましたけれども、中国のデジタル人民元は、もう既に一部の地域では実用というか、実証実験を相当やっている。これは、通貨の国際化という意味でいうと、基軸通貨はドルなんですけれども、私は、デジタル円を早期に進めて、少なくともアジア諸国に普及してもらう、システムをデジタル円で導入してもらって、諸外国でもデジタル円が使ってもらえるようにするというのが一ついいんじゃないかなと思っております。

 日銀の方でいろいろ調査等もされていると思いますけれども、このデジタル円、将来的に、やる場合には、クレジットカードとかデビットカードとの競合という点が出てくるかと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

鈴木参考人 お答えいたします。

 日本銀行では、CBDCに関する技術的な検証を順調に進めております。CBDCの発行、還収などの基本的な機能の検証に加えまして、一括送金、それから保有額の上限設定の可否といった周辺機能についても、この三月までに予定されていた検証を完了したところでございます。

 また、中央銀行と民間事業者の協調、役割分担の在り方など、制度設計面の検討にも取り組んでいるところでございます。

 今、先生おっしゃったように、そのほかのキャッシュレスの手段というのもございますけれども、デジタル化の中でどういった手段が適当なのかというのは、いろいろな選択肢があるところだと考えております。そういった形態の中の一つにCBDCというものがありますけれども、そういったものの役割分担ですとか在り方といったものについても、今後の国民的な議論の中で決まってくるものなのかなというふうに考えております。

 そういう意味では、我が国でCBDCを導入するかどうかということについては、内外の情勢も踏まえまして、今後の国民的な議論の中で決まっていくものというように考えておりますけれども、日本銀行といたしましては、その前提となるものといたしまして、CBDCに関する技術面、制度面の検討を引き続きしっかり進めてまいりたいと考えておりますし、実験の方が順調に進捗しておりますので、この四月からパイロット実験という段階に入りまして、民間事業者の方々にも検討に御参加いただきまして、民間でお持ちの有用な技術ですとか御知見を活用させていただきながら、更に検証を深めてまいりたいと考えているところでございます。

浅川委員 まだ決定していないとはいっても、方向性としては導入すると思うんですね、各国がやるので。

 そのときに、今、インターネットの話を、先ほどお話ししましたけれども、このデジタル円ができてきたときに、一般の市民、生活者が、いろいろな問題、トラブルに巻き込まれる可能性があるんじゃないかと思うんですよ。インターネットが出てきたときにはそれほど考えていなかったかもしれないんですけれども、二十年ぐらい前からトラブルが出てきたのと同じように、このデジタル円がもし実用化されたときに、何かだまされたりとか、そういう問題が起きるかもしれない。

 そういう意味でいうと、消費者庁の方で、今、財務省と日銀の方でやっている構想段階から消費者行政としても関わりを持つべきじゃないかなと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

河野国務大臣 消費者庁、限られたリソースでございますので、現在のところ、日銀が技術的検証をやっている段階でとやかくすることはございません。

浅川委員 限られたリソースなので、そのリソースを拡大するのは、きっと河野大臣がもう少し立場が変わった頃じゃないかなと思っておりますが。

 いずれにしても、将来、想定外を想定するのが私は政治家の責任だと思っておりまして、デジタル通貨、デジタル円はきっともう想定内に政府としても入っている前提だとすると、そこで起こる消費者トラブルというか生活者トラブルについて、消費者庁でも前向きに、早いうちに手をつけていただくということの方が重要じゃないかなと思っております。

 このデジタル通貨、足跡をつけて、どういうふうに動いていったかというのをなくして暗号通貨としてやるのが普通だと思うんですけれども、場合によっては、どういう履歴があるかということを検証できるようなシステムというのも可能だと思うんですね。そうすると、先ほどのインターネットカジノで使われるような場合、あるいは犯罪資金で使われるような場合に、デジタル通貨になったときには早くに捜査を進めることができるんじゃないかと私は考えております。

 ですから、これは技術的なところなので、是非、警察のそういうサイバーのところと、日銀さん、財務省さんの方でも、デジタル円ができたときには、場合によってはシステムの状況でそういう犯罪捜査にも使えるように、もちろん、国の方が私有財産のところをチェックするのかということができてしまうんですけれども、場合によってはそういうことも検討しておいた方がいいんじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか、警察庁さん、あるいは日銀さんの方でも。

鈴木参考人 お答えいたします。

 今委員おっしゃっていたように、犯罪に対してどう取り組むのかといったところは、海外の中央銀行で検討を進めている中でもいろいろ話題になっているところでございます。例えばマネロン対策とか、あるいはテロ資金対策といったこともありますし、あるいは非合法な取引に対してどういうことをするのかというのは一つの論点であります。

 一方で、もう一つ、民主主義の中の一つの価値の根幹として、プライバシーの保護をどういうふうにシステム的に確保していくのか、公的なセクターがどこまでそういうようなところの情報を見ることができる、あるいは見ていくということを許すような仕組みにするのかというのはなかなか難しい議論でございまして、先生御指摘のように、この部分は、私たち、いろいろな中央銀行と議論をしていますけれども、各国ともいろいろ悩みを抱えているところでございます。

 そうした中で、どういったものが適切なのかということについては、引き続き議論、検討してまいりたいと考えているところでございます。

浅川委員 どうもありがとうございました。

 デジタル円について、私は是非推進してもらいたいと思いますし、それに伴って起きることについて、あらかじめいろいろな角度で検討を進めていただきたいと思います。河野大臣にも是非、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

稲田委員長 次に、田中健さん。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 今回も立憲さんと維新さんから時間の御配慮をいただきました。ありがとうございます。

 今回は、前回時間切れでできませんでしたオンラインカジノについて、また前回は前向きな答弁がなく、何か対策ができないかということで、関係する様々な方にもお越しをいただきまして、一つでも解決に向かえるような議論をさせてもらえればと思い、取り上げさせていただきたいと思います。

 前回指摘をしたとおり、インターネットでは既に多くの海外のオンラインカジノが存在し、多くの消費者も利用できる状態にあります。中にはトラブルに巻き込まれるケースもあると聞いておりますが、国民生活センター、また越境消費者センターにどの程度相談が来ているのか、消費者庁に伺います。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国民生活センターと各地の消費生活センターをオンラインで結んでおります全国消費生活情報ネットワークシステム、いわゆるPIO―NETでございますけれども、これに関する、登録されている相談件数でございますけれども、二〇二一年度は一千十九件、二〇二二年度は六百六十三件となっております。

 また、御指摘いただきました、国民生活センターが運営している越境消費者センター、いわゆるCCJと言っておりますけれども、これに寄せられたオンラインカジノに関する相談件数につきましては、二〇二一年度が十六件、二〇二二年度は九件ということでございます。

田中(健)委員 数多く相談が寄せられているとは思うんですけれども、オンラインカジノは、一度に賭けられる金額が大きくて、短い間に何度もギャンブルを繰り返してしまうため、大金を一気に失ってしまうという特徴があります。つまり、借金の額も多くなります。ギャンブル依存症の調査でも、パチンコ、スロットの借金額が平均百六十万円なのに対して、オンラインカジノは平均四百九十四万円、中には九千万円以上の借金をしたということも報告されています。

 さらに、オンラインカジノの運営会社の資料では、三十五歳以下の比率、合法で認められているヨーロッパでも四二%なんですが、日本は五四%ということであります。ヨーロッパは、若者にギャンブルさせない、ないしは、身元確認の規制があったり、ライセンスを取るのにも上限の賭け金の規制をかけているところが多いからだと言われていますが、日本は野放しであります。

 負け金が非常に大きく、若い世代が多いという、大変に問題が大きくなっていると思いますが、様々なトラブルの中、国民が損害を被った場合に救済するようなスキームというのは、現時点では消費者庁にはあるんでしょうか。伺います。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 海外事業者とのトラブルにつきましては、先ほど申し上げましたCCJなど、解決の支援などを行っているところでございますけれども、オンラインカジノについて申し上げますと、一般論になりますけれども、基本的に、オンラインカジノを利用して賭博を行った場合に、その賭博に投じた金額の返還を受けるということが救済ということでございましたら、自ら刑法に違反する行為を行っているということでありますので、そういった損害については、救済すべき消費者被害には該当しないのではないかというふうに考えております。

田中(健)委員 まさに、トラブルといいましても、自分が賭けた賭博でありますから、それ自体が問題であるということでありますが、一方で、依存症と先ほど言いました、これも大きな問題でありまして、アルコールや薬物の場合はそのものを遠ざければいいわけですけれども、スマホでもできてしまいますから、二十四時間、ないしはトイレでもやり続けるというような依存症の方が多いということで、危険な状態になるまで周囲も家族も気づかないという場合がほとんどだといいます。

 この諸悪の根源は海外の事業者です。一方で、彼らが違法かというと難しく、自国ではライセンスを取り合法的に運営しているという会社もおります。しかし、もっと言えば、フィリピンなどは、自国民に対してオンラインカジノを禁止していますが、外貨の獲得の手段として、海外向けのオンラインは合法としているんです。海外事業者は適法なのに、日本で利用する日本人が違法となってしまう、実に理不尽な話だと思います。

 警察庁からは、前回、適正に取り締まるという一言、ないしは法と証拠を集めるということでありましたが、日本人が一方的に取り締まられる事態を政府はどのように考えているんでしょうか。

 前回、河野大臣、違法だから今回手を引くと、もちろん刑法違反で、警察にお任せというような答弁もされましたが、日本人をどんどんと追い込んでしまうような事態に対して問題意識というのを、どうお考えになっていますか。是非、政府全体として、消費者保護の観点から、議論を喚起する、その先頭に立っていただきたいと思いますが、見解を伺います。

河野国務大臣 以前にも申し上げましたけれども、これはもう賭博罪、常習賭博罪という刑法違反でございますから、警察庁が検挙をする、警察がこういう犯罪を検挙するということが報道で広く知られるというのが、周知、広報の中でも一番役に立つんだろうと思います。

 消費者庁と警察庁でポスターを作って貼ってみても、ほとんど効果はないんだろうと。そういうところに、ポスターを作りましたといって何か言い訳をするのはお金の無駄だと思っておりますので、むしろこれは、警察がばんばんこれを取り締まる、オンラインカジノをやったら捕まるよというのが一番いいことなんだろうと思いますので、これはもうひとえに、警察庁の、さっきも申し上げましたけれども、覚悟と体制、この問題でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 もちろん、ばんばんと日本人を逮捕すればいいわけですけれども、ばんばん日本人が逮捕されて、そして一方で、海外の事業者は日本人のお金でうはうはもうかっているような状況は、何か私、理不尽だと思わざるを得ません。

 消費者の立場でいいますと、被害を被っているという考えもできると思うんですけれども、一方、日本の国益が被害を被っているという状態でもあるかと思います。すなわち、日本は、先ほどのフィリピンではありませんが、フィリピンは自国で違法にして、海外の資金を調達するためにやっておりますから、日本はカモにされていると言っても過言ではありません。

 これは財務省に伺いますが、海外のオンラインカジノの事業者の日本人を相手に上げた収益についてどのように把握をされているのか、また、法人税などで課税をして取ったりするということができるのかということについて伺います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案に係る事実関係により課税関係が異なりますが、一般論として、外国法人が国内で行う事業に係る課税関係について申し上げますと、外国法人がその事業に係る支店、事務所などの恒久的施設を国内に有している場合には、その恒久的施設に帰属する所得は法人税の課税対象となり、一方で、外国法人が国内に恒久的施設を有していない場合には、その事業から生じる収益に対して法人税は課税されません。

 そのため、お尋ねのオンラインカジノ事業者が国内に恒久的施設を有していない場合には、その収益に対して法人税は課税されないことになります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 つまり、日本には税金が全く入らず、取られているだけになっているというわけです。その状態を指をくわえて見ているわけにはいきませんので、何か手だてがないか、議論を進めていきたいと思いますが、前回、決済代行業者についてもお聞きをしました。これは警察庁にお聞きをしましたけれども、これも答弁は法と事実に基づくということでありましたけれども、今度は所管の金融庁に伺いたいと思います。

 オンラインカジノというのは、指定口座に送金をすることでオンラインカジノのアカウントを得て、そしてカジノの権利を、参加権を得ることができます。つまり、決済代行業者をかませるわけでありますけれども、この資金の流れは、ある意味、為替取引に当たりまして、銀行業許可ないしは資金移動業の許可が必要になるかと思います。

 このオンラインカジノの決済代行業者というのは、これらの許可や登録というのを得て運営しているんでしょうか。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、いわゆる決済代行業者の行為が銀行法、資金決済法上の為替取引に該当するか否かにつきましては、各々の事業者が提供するサービスに照らし個別具体的に判断する必要があり、一概には申し上げられませんが、事業者の行為が為替取引に該当し、これを業として営む場合には、銀行業の免許又は資金移動業の登録が必要となります。

 また、無免許、無登録で為替取引を業として営む事業者につきましては、刑事罰の対象となります。

 金融庁は、法令に基づき、免許を受けた銀行や登録を行った資金移動業者の監督を所管しておりまして、当庁の監督権限は、これらの事業者に対してのみ及ぶものとなっております。しかしながら、無免許、無登録営業に関する情報を入手した場合には、捜査当局等と連携し、適切に対応してまいる所存でございます。

田中(健)委員 各々、個別具体的に対応するということでありますけれども、この決済代行業者を私たちが知ることになったのは、昨年、山口県の阿武町が給付金を間違えてある人に送ってしまって、その人がカジノをやっていて、オンラインカジノで、それを三つの決済代行業者に送金をしたということで、決済代行業者というのを私も知ることになりました。

 このときは三つの決済代行業者が使われて、そして、その決済代行業者は返金を町の要請に伴ってしたわけでありますけれども、この決済代行業者というのは、今の話でいいますと、許可や登録を得ていたんでしょうか。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 当該事案に関して、我々どもの承知している限りにおいては、免許、登録等については取っていないところでございます。

田中(健)委員 つまり、取っていないような業者が数多くあるということであります。

 さらに、これをネットでオンラインカジノ、決済代行業者と打ちますと、代行業者一覧がずらっと出てきます。これをどのように把握をされているのか伺いたいと思うんですけれども、日本人向けお勧めカジノ決済業者一覧、大々的に宣伝をして、ホームページも、詳細に会社の中身も載っています。明らかに違法な金融取引ではないんでしょうか。

 また、金融庁、これを指導監督することはできないんでしょうか。カジノ向けの、ないしは決済代行業者を使うのは危険だと。使うこと自体がカジノをやることですから、違法になりますから、先ほど大臣が言ったように、違法だということを明確に金融庁からも伝えるということはできないんでしょうか。お伺いします。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、当庁は、法令に基づき、あくまでも、免許を受けた銀行や登録を行った資金移動業者の監督権限を有していることでございます。

 無免許、無登録営業に関する情報を我々どもが入手、例えば我々どもの利用者相談室等に寄せられた場合には、捜査当局の方にその情報を入れまして、連携して対応してまいるということになってございます。

田中(健)委員 子供でも見られるような、ネットでも見られるような一覧表を見て見ぬふりというか、それは登録を取っていないから知らないというのは大変残念なんですけれども、お金の本を絶てば一つ解決策になるかなと思いましたけれども、それも駄目のようです。

 更に取り得る対策として、それでは、諸外国では、オンラインカジノのサイトをブロッキングして、国民が利用できないようにしている国もあります。また、サイト利用に対して、開きますと警告が出て、これは違法ですよというようなポップを出すような方法もあります。

 今度は知財本部に伺いますけれども、政府内で、違法漫画サイトなどについての対処で、これまで様々な対策をして議論を深めてきました。また、対策も実際やってきたと思いますが、このオンラインカジノについて、その中の知見で何か取り得る手段はないでしょうか。

澤川政府参考人 お答えいたします。

 インターネットによる海賊版は、我が国のコンテンツ産業及びクリエーターの利益を著しく侵害する重大な問題でありまして、二〇一九年十月、内閣府におきまして、インターネット上の海賊版に対する総合的対策メニューを取りまとめたところでございます。

 その中に、例えば、海外の海賊版サイトを摘発するための国際連携、国際執行の強化、海賊版サイトへの広告出稿の抑制、セキュリティー事業者等と連携したアクセス抑止機能の導入、プロバイダー責任制限法の一部改正による発信者情報開示制度の改善など様々な施策を盛り込んでおり、引き続き、関係省庁、民間団体と一体となって取組を進めてまいりたいと考えております。

 また、先ほど申し上げたこれら対策の中にはオンラインカジノ対策として有効なものもあり得るというふうに考えておりますが、両者は保護法益また侵害の実態等が異なっておりますので、更なる精査が必要だというふうに考えております。

 これまでの海賊版対策に係る私どもの知見が適切に活用されるよう、担当部局への情報提供に努めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 ブロッキングについて伺いたいんですけれども、漫画村のときに、ブロッキングをして海外を遮断するということで、アクセス法とまたプロバイダーとの連携、今、セキュリティーアクセスのプロバイダー法の話も出ましたけれども、実際、このブロッキングというのは、今現時点での法で取り得る手段としてできるんでしょうか。お伺いします。

澤川政府参考人 お答えいたします。

 ブロッキングにつきましては、様々な御意見があるというふうに承知しております。先ほど私から申し上げました内閣府の総合的対策メニューの中に、ブロッキングにつきましては、ブロッキングに係る法制度整備については他の取組の効果や被害状況等を見ながら検討するというふうに書かれているところでございます。

 先ほど申し上げたような様々な施策を一体的に推進するということで、海賊版対策を更に進めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 まだブロッキングを発令したことはないということではあるんですけれども、犯罪行為でありますし、今言った本当に大きな課題を含んでいますので、是非検討してまいりたいと思っています。

 海外の事業者が提供する違法なサービスというのは、今、知財本部からお話がありましたが、何もオンラインカジノに始まったわけではなく、二〇〇四年には模倣品対策で総合窓口が特許庁にできましたし、漫画村の事件のように、文化庁にも対処するための総合窓口があります。

 そのほかにも、漫画や書籍、ゲームやアニメ、音楽など、業界団体の方で通報窓口をつくって対処をしています。それは、体力のある企業が主語だからこそ政府も動けますし、業界もできているかと思います。ある意味、産業界が危機感を持って対処することで、国民を結果的に守るということにつながったとも言えます。

 オンラインカジノはそもそも違法でありますし、賭博罪でありますから、それに対する業界もないですし、それに対して民間のバックアップというものはないわけであります。ですから、オンラインカジノの問題については、消費者庁や警察庁のみで対処することは難しい。大臣から、消費者庁がポスターを貼ってもしようがない、確かに、本当におっしゃるとおりです。やった感だけ出しても、これでは一歩も解決へ進まないと思うんですけれども。

 実際、IR法案がありまして、カジノを監督している所管の内閣府があるわけでありまして、カジノ規制を所管しているところ。また、このオンラインプラットフォームが介在する取引に関する消費者保護を議論している消費者委員会、これは内閣府にあります。これらの委員会が中心となって民間や産業界を巻き込んで、つまり、応援するんじゃなくて、駄目だというようなキャンペーンを張るような動きというのは取り得ることはできないんでしょうか。

清水政府参考人 お答えします。

 内閣府の任務には、特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法に基づくカジノの設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保があり、具体的には、内閣府の外局でありますカジノ管理委員会において担当しております。

 このIR整備法では、カジノ事業者が実施することができるカジノ行為とは、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて行われる行為に限るとされており、いわゆるオンラインカジノは認められておりません。

 したがいまして、カジノ管理委員会としては、オンラインカジノの規制について答弁を申し上げる立場にはございませんが、引き続き、IR整備法に基づきまして、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保のために取り組んでまいる所存でございます。

河野国務大臣 委員の問題意識はよく分かりましたので、ちょっと何ができるか、引き取らせてください。考えて、また御報告申し上げたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、消費者庁でありますから、消費者を守るという観点で、冒頭、依存症の話もしましたけれども、これは日本で既に三百二十万のギャンブル依存症がおりまして、その人たちの温床にもなって、このオンラインカジノにもつながるということも、今、専門家から指摘をされております。是非、野放しで被害者がどんどん増えていってしまう、しかも私たち日本人の富が海外に奪われてしまうようなことが、今大臣からも問題意識を共有していただきましたので、取組を進めていただき、発信力のある大臣から、是非、政府全体の問題として取り上げていただければと思います。

 ありがとうございます。以上で質問を終わります。

稲田委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 統一協会の被害者の救済、そして被害根絶が急務ですけれども、昨年成立をいたしました法人等の寄附の不当勧誘防止法の勧告、報告徴収など、処分基準等の案についてパブリックコメントが行われました。どのような意見が多かったのか、主な論点と、論点に対する消費者庁の考え、お示しをいただきたいというふうに思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 処分基準等の案につきましては、現在、二月一日から三月二日まで行いましたパブリックコメントでいただいた御意見のほか、国会での御議論も含めて整理、検討を行い、成案の公表に向けた準備をしているところでございます。

 パブリックコメントでいただいた意見の内容や、これに対する消費者庁の考え方につきましては、処分基準等の公表の際に文書で公表したいと考えております。

 これまでの議論も、まさに主要な論点というふうに考えてはおります。第十二条のような法律の運用についての配慮規定というのは、消費者庁が所管しております三十八本の法律で初めて課せられている中でありまして、消費者庁の不当寄附勧誘に立ち向かう姿勢が問われ続けている、別の言い方で言えば、疑われ続けているというふうに認識しております。

 行政府として、国会の議論で与えられたマンデートの中で、八分目は駄目だというのも分かるんですけれども、十二分目も駄目だ、十全で、本当にやる気があるのか、その魂が問われているというふうに認識しております。誠に心外かつ残念ではございますが、これも我々のふだんのパフォーマンスに対する御評価が反映されたものと真摯に受け止めております。

 ただし、やる気とか魂につきましては、文書を幾ら躍らせたところで説得力は全くございませんので、我々の適切かつ厳正な不当寄附勧誘防止法の執行でもってお示ししたいというふうに考えております。

本村委員 やる気は示していただいたというふうに思っております。

 パブリックコメントに出されました、全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口先生、木村先生、川井先生のパブリックコメントに出された意見については、資料で出させていただきました。長年被害者の皆さんの救済のために御尽力をされてこられた皆さんの御意見ということで、非常に重いものがあるというふうに考えております。

 こういうパブリックコメントをしっかりと拝読をさせていただいて、そして考えて質疑もさせていただきたかったんですけれども、パブリックコメントは、一体公表はいつぐらいになるのか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、国会における御議論も併せて整理、検討しているところでございまして、国会の議論の推移を見ながら適切なタイミングで公表したいというふうに考えております。

本村委員 もう一つお伺いしたいのが、消費者庁のホームページのところに、寄附の不当勧誘と考えられる行為に関する情報提供フォームが開設をされました。現在、数日しかたっておりませんけれども、何件来て、どのような情報提供がされているのか、お示しをいただきたいと思います。

黒田政府参考人 消費者庁のウェブフォームにおきましては、不当な寄附勧誘を防止していくために、必要な情報を幅広く受け付け、情報を精査しているところでございます。

 また、情報収集につきましては、ウェブフォームに加えまして、消費生活センターや法テラスも窓口としております。三つの窓口に寄せられた情報を整理、集約した上で、法を的確に運用していきたいと考えております。

 消費生活センターや法テラスに寄せられた情報につきましては、件数を計上するまでにタイムラグがあるものも含まれていることから、件数についてミスリードをしないために、しっかりと全体を精査する必要があると考えておりますので、現時点におきまして、ウェブフォームに寄せられた情報のみを、件数等をお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

 しかしながら、本件につきましては国民の皆様の関心も高いというふうに認識していることから、まずは法施行から一か月後を目途に、三つの窓口に寄せられた情報を取りまとめた上で件数を公表したいというふうに考えております。

本村委員 公表された折には、それをまた議論させていただきたいというふうに思っております。

 消費者庁のホームページを見せていただきましたけれども、今、トップページに新着情報ということで情報提供フォームが見つけることができるんですけれども、もし新着情報でなくなった場合に分からないのではないかというふうに感じました。是非目立つように改善していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 おっしゃるとおりで、大変申し訳なく思っております。スマホで見る方が多いと思いますので、スマホで見たときに、開けたらそこにどんとフォームの入口があるように改善指示を出しました。

 まだ間に合っているかどうか分かりませんが、早急にそういうところにフォームの入口を入れる予定にしております。済みません。

本村委員 ありがとうございます。

 それで、やはり、情報提供フォームを作られたということで、情報提供が集中するであろう、集中して、あってほしいというふうに思っているんですけれども、そういう集中する情報に基づいて迅速に被害者の救済を図っていくためにも、定員の純増で体制強化を行っていくべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 先ほどから答弁しているように、三つのルートで情報を幅広く収集をしてまいります。

 体制面では、消費者庁の中で運用を担う寄附勧誘対策室を消費者政策課に設置をいたしました。四月一日付で、担当の参事官、室長及び室員十名、合計十二名の体制で発足をしたところでございますので、法の運用を適切に行ってまいりたいと思います。

本村委員 いろいろやっていただきたいことがあるわけですから、もし足りないときは早急に定員増をしていただきたいというふうに思っております。

 この防止法の処分基準の案なんですけれども、配慮義務違反の勧告についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 先ほど来御議論があったというふうに思いますけれども、私、ちょっと法務委員会の方にも所属をしておりまして、法務委員会に出席をさせていただいて、聞けていない部分もあるんですけれども。

 「当該法人等から寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護に著しい支障が生じていると明らかに認められる場合」とあります。ここで求められる、著しい支障が生じていることを客観的に認めることができる場合は、必ず判例がなければならないのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 御指摘の不当寄附勧誘防止法第六条第一項の「著しい支障が生じていると明らかに認められる場合」の考え方につきまして、参議院での修正案の提出者の御答弁では、明らかに認められる場合というのは、要件を客観的に認めることができる場合を指すと考えており、例えば、当該法人等の勧誘行為について、配慮義務違反を認定して不法行為の成立を認めた裁判例が存在する場合がこれに該当すると考えているとされ、あるいは、例えば、寄附の勧誘を受ける個人の権利が侵害されたことを認定した判決があるなど、著しい支障が生じていることが客観的に明らかになっている場合などを念頭に置いているとされており、この内容を処分基準等案に記載をしております。

 修正案提出者の御答弁は、客観的に認められる場合として、必ずしも確定判決である必要はないものの、配慮義務違反を認定して不法行為を認めた判決が存在するとの例を示されたものと承知をしております。

 これまでも答弁しているとおり、第六条、配慮義務に係る行政措置については、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが適当とされていたことも踏まえ、修正案の提出者より明示的に示された例は尊重すべきものと考えているところでございます。

本村委員 謙抑的そして慎重にという点については、ちょっと少し後でお伺いしたいんですけれども。

 この著しい支障が生じていることを客観的に認めることができるのは、判例以外にどのようなものを考えているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

河野国務大臣 修正案提出者の御答弁は、客観的に認められる場合として、配慮義務違反を認定して不法行為を認めた判決が存在するとの例を示されているものと承知をしております。

 第六条の配慮義務に係る行政措置については、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが適当とされていたことも踏まえ、修正案の提出者より明示的に示された例は尊重すべきものと考えております。

 いずれにせよ、そのような修正案提出者から示された御趣旨も踏まえ、適切に法運用を行ってまいります。

本村委員 謙抑的、慎重という言葉が独り歩きをして、救済しなければいけないそうした被害者の方が救済できないということはあってはならないと思いますけれども、大臣、その点いかがでしょうか。

河野国務大臣 この法の趣旨にのっとって、適切に運用してまいりたいと思います。

本村委員 配慮義務違反の勧告についてなんですけれども、消費生活センター、法テラス、消費者庁など窓口に深刻な相談内容が来た場合、情報が寄せられた場合、勧告を出せるようにするべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 全国の例えば消費生活センターに多数の相談が寄せられている場合ということでいいますと、多数の相談の基準というのが必ずしも明確ではない、それから第六条の趣旨を踏まえますと、相談の件数の多い少ないだけでは必ずしも要件を満たさない場合があると思います。

 例えば、特定の法人を陥れる目的で、インターネット上で人を集めて当該法人に関する相談が集中的に行われるということも想定し得るわけでございますので、こうしたことを処分基準に記載することは適切ではないと認識をしております。

本村委員 私、多数ではなくて、深刻な相談があった場合ということを申し上げました。先回、多数でそういうふうに大臣がおっしゃったので、深刻な相談が寄せられた場合のことをお尋ねしております。

河野国務大臣 何をもって深刻というのか、ここは基準がなかなか難しいんだろうと思います。

本村委員 謙抑的、慎重という言葉の背景には信仰の自由の関係があるというふうに思いますけれども、例えば統一協会でいいますと、信仰の自由が、統一協会のやり方は信仰の自由を侵害しているというふうな判決がありまして、信仰の自由を守るためにも被害者を救済しないといけないということだというふうに思いますけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 様々なことを配慮しながら基準を作ってまいりたいと思います。

本村委員 是非、正体を隠して勧誘をしている、そういう統一協会のやり方が信仰の自由を侵害しているんだという点は踏まえて、是非基準を作っていただきたいというふうに考えております。

 次にお伺いしたいんですけれども、寄附により個人又はその配偶者若しくは親族の生活の維持を困難にすることがないようにする配慮義務に違反をした場合、早急な救済が必要だというふうに思うんですけれども、報告徴収や勧告はどのようになされますでしょうか。

河野国務大臣 報告徴収につきましては、申し上げておりますように、参議院での修正案の提出者の御答弁を踏まえ、配慮義務違反を認定して不法行為責任を認めた裁判例が存在する場合などにおいて実施することとしております。

本村委員 それで、お伺いしたいんですけれども、寄附により個人又はその配偶者若しくは親族の生活の維持を困難にすることがないようにする配慮義務違反に関わる判例や裁判例があればお示しをいただきたいというふうに思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 この不当寄附勧誘防止法は施行からまだ間もないこともありまして、同法の配慮義務違反を認定した判例、裁判例は承知しておりません。

本村委員 早急に救済が求められる場合、判例を待っているといつまでも救済できないということになるというふうに思うんですけれども、早急に救わなければいけない場合はどういうふうに消費者庁としては動くんでしょうか。

黒田政府参考人 法律にのっとり、この処分基準にのっとり、迅速に対応したいというふうに考えます。

本村委員 だから、その処分基準で判例が出ていないとというと早急に救済できないと思うんですけれども、その前に消費者庁としては何をやってくださるんでしょうか。

黒田政府参考人 この判例の例示につきましては、国会での答弁に従って入れておる例示でございますので、判例がないと我々が何もできないということではございませんと認識しております。

本村委員 御家族など、生活の維持が困難になるような、そうした不当な寄附の勧誘に関しましてはしっかりと対応していただいて、被害者の方を救済していただきたいというふうに思っております。

 この配慮義務違反の勧告について、「過去に著しい支障が生じていたが、既に勧誘の在り方が見直されて今後は改善が見込まれる場合には、この要件を満たさないと考えられる。」というふうにありますけれども、過去にも、改善すると宣言をして被害が続く事例がありました。この一文は削除するべきだと、これは繰り返し、ほかの党の議員の皆様からも提案があると思うんですけれども、是非、この一文、削除するべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 御指摘の不当寄附勧誘防止法第六条第一項の「更に同様の支障が生ずるおそれが著しい」との記載の部分の考え方につきましては、参議院での修正案の提出者の御答弁で、過去にその支障が生じていたが、既に勧誘の在り方が見直されて今後は改善が見込まれるような場合ではなく、今後も配慮義務違反の状態が改善される見込みは薄くて、このまま放置をすると同様の支障が生じ続けるような場合とされており、この内容を処分基準等案に記載をしております。

 また、「なお、過去に著しい支障が生じていたが、既に勧誘の在り方が見直されて今後は改善が見込まれる場合には、この要件を満たさないと考えられる。」の部分を削除すべきであるとの御指摘につきましては、修正で盛り込まれた第六条の趣旨について、修正案提出者の御答弁において、原則としては、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当とされていたことを踏まえると、既に勧誘の在り方が見直されて改善が見込まれる場合には同条の行政措置の対象とすべきではないことから、この点は処分基準等に記載する必要があると認識をしております。

 また、当然のことながら、過去に著しい支障を生じさせていた法人自身が改善を図ったと言っているだけで改善が見込まれる場合に該当するわけでもございません。一般論として、御指摘のような表向きだけの改善というようなものである場合には、改善が見込まれる場合には当たらないものと考えております。

本村委員 大臣にお伺いしたいんですが、統一協会は、二〇〇九年、コンプライアンス宣言を出したにもかかわらず、被害が続いてまいりました。なぜ被害が続いてきたと大臣はお考えでしょうか。

河野国務大臣 個別の団体、個別の案件についてお答えをするのは差し控えたいと思いますが、消費者庁としては、しっかりと法運用をしてまいります。

本村委員 配慮義務違反もそうですけれども、禁止行為があった場合に、早急に報告徴収、勧告を出していただき、そして被害者の救済に全力を挙げていただきたいということを強く申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

稲田委員長 次に、内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。

    ―――――――――――――

 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 近年の商品等の取引に関する表示をめぐる状況を踏まえ、不当景品類及び不当表示防止法の抑止力を高めるとともに、不当表示の迅速な是正を実現し、一般消費者の利益の一層の保護を図る必要があります。そこで、過去に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して課す課徴金の額を加算する措置、不当表示に係る規定等に違反する疑いのある事業者が疑いの理由となった行為について是正措置計画の認定を受けたときは当該行為について措置命令等の規定を適用しないこととする措置等を講ずる必要があるため、この法律案を提出した次第です。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、課徴金の納付を命ずる場合において、対象となる違反行為から遡り十年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対し、課徴金の額を加算する措置を講ずるものとしています。さらに、優良誤認表示及び有利誤認表示をしたときについて罰則を定めることとしています。

 第二に、不当表示に係る規定等に違反する疑いのある事業者が疑いの理由となった行為についての是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から当該是正措置計画について認定を受けたときは、当該行為について措置命令及び課徴金納付命令の規定を適用しないこととする措置を講ずるものとしています。

 第三に、事業者が所定の手続に沿って返金措置を実施した場合には課徴金を減額することとする措置について、金銭による返金措置に加えて、当該返金措置の対象となる消費者が承諾した場合に金銭と同様に使用することができる前払い式支払い手段を交付することによる返金措置を可能とする規定を整備することとしています。

 第四に、適格消費者団体は、優良誤認表示の疑いのある表示を行う事業者に対し、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるとともに、事業者は当該要請に応ずる努力義務を負う旨の規定を整備することとしています。

 その他、所要の規定を整備することとしています。

 なお、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年半を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

稲田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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