衆議院

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第5号 令和5年4月11日(火曜日)

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令和五年四月十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 稲田 朋美君

   理事 井原  巧君 理事 堀内 詔子君

   理事 宮崎 政久君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 勝彦君 理事 吉田 統彦君

   理事 池畑浩太朗君 理事 古屋 範子君

      上田 英俊君    加藤 竜祥君

      柿沢 未途君    勝目  康君

      小寺 裕雄君    塩崎 彰久君

      武村 展英君    辻  清人君

      土田  慎君    中曽根康隆君

      中山 展宏君    平沼正二郎君

      船田  元君    本田 太郎君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      青山 大人君    井坂 信彦君

      大河原まさこ君    馬場 雄基君

      早稲田ゆき君    浅川 義治君

      沢田  良君    國重  徹君

      吉田久美子君    田中  健君

      本村 伸子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     黒田 岳士君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     小寺 裕雄君

  勝目  康君     加藤 竜祥君

  小林 鷹之君     辻  清人君

  田畑 裕明君     山口  晋君

  土田  慎君     上田 英俊君

  鳩山 二郎君     塩崎 彰久君

  石川 香織君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     土田  慎君

  加藤 竜祥君     勝目  康君

  小寺 裕雄君     上杉謙太郎君

  塩崎 彰久君     中曽根康隆君

  辻  清人君     小林 鷹之君

  山口  晋君     田畑 裕明君

  馬場 雄基君     石川 香織君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     鳩山 二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

稲田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁次長黒田岳士さん、消費者庁政策立案総括審議官片岡進さん、消費者庁審議官真渕博さん、消費者庁審議官依田学さん、厚生労働省大臣官房審議官山本史さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。保岡宏武さん。

保岡委員 委員会での質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 今回の景品表示法一部改正についてでございますが、最初の数問は政府参考人の方に、そして、最後の質問を大臣にお答えをお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 まず、前回の一部法改正から九年がたちました。二〇一四年というのがどのような年であったかというと、消費税が五%から八%に上がりました。そして、妖怪ウォッチがはやった、そんな年でございました。それからすると大分時間がたったなというふうにも思いますし、まだそんなものかなというふうにも思いますが、いずれにしましても、このコロナ禍を経て、世界の様相というのは大分変わったというふうに感じております。

 デジタル化の進展による電子商取引の増加、そして、広告表示などもそれによってインターネットによるものが主流となってきております。また、電子商取引の進展によって国際的な取引も盛んに現在行われております。

 このような社会情勢の変化がありまして、今回の法改正の必要性があったというふうに認識をしておりますが、改めまして、これ以外の点も含めて、この法改正の背景をお示しいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法は、直近では平成二十六年に改正をされておりまして、その際の附則では、施行後五年後の見直し規定が設けられております。この改正は、平成二十八年四月に施行されておりまして、既に施行後五年が経過しているところでございます。

 また、景品表示法が制定された昭和三十七年当時はもちろんですけれども、その法改正が行われた時点と比べましても、現在では大きく社会状況が変化していると認識をしております。特に、近年のデジタル化の進展によりまして、事業者が行う広告表示もインターネットによるものが主流となっていることもございまして、景品表示法違反被疑事件の端緒件数がかなり増加をしてきているところでございます。

 このような状況も踏まえまして、今回、事業者の自主的な取組により、不当表示の早期是正を図る確約手続を導入するとともに、繰り返し違反に対する課徴金の割増しや直罰の導入など、違反行為に対する抑止力の強化を図って、景品表示法全般の対応力を高めることを目的とする改正法案を提出させていただいた次第でございます。

保岡委員 ありがとうございます。

 この景品表示法一部改正に際しましては、検討会が開催されたというふうに伺っております。今日は、検討会報告書の概要というものを参考資料で皆様のお手元に提示をさせていただいておりますが、この中で、早期の対応事項と中長期の検討事項の線引きが行われた理由、また、早期対応事項の点線部以外が、今回一部改正に反映されたというふうに伺っていますが、この点線部以外のものが反映されない理由というのは何かございますでしょうか。お示しください。よろしくお願いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁させていただきましたけれども、景品表示法につきましては、最後の大きな改正から一定の期間が経過したこと及びデジタル化の進展などの景品表示法を取り巻く社会環境の変化などを踏まえまして、今回、改正法案を御提案させていただいております。

 その改正法案を検討するに当たりまして、消費者庁では、御指摘のありました景品表示法検討会を、令和四年三月から計十回にわたって開催をしております。

 検討会では、景品表示法を取り巻く課題のうち、早期に対応すべきと考えられるものと中長期に検討すべきと考えられるものに分けて検討を行って、提言が行われております。さらに、検討会から早期に対応すべきものとして提言されたもののうち、確約手続の導入のように現行法のままでは対応できないため法改正を要すると考えられるものと、現行法の運用によって対応可能などと考えられるものがあったところでございまして、前者の提言を踏まえまして、今回の改正法案を提出させていただいたところでございます。

保岡委員 今回は、特に必要なところ、消費者団体や、また経済界からも理解を得られたところからスタートというふうに認識をいたしました。

 その中で、中長期のデジタル表示の保存義務等の検討は、今後どのような工程計画が検討をされていくのか。また、あわせて、新設をされた特定適格消費者団体への情報提供の工程計画、また、厳正、円滑な法執行については地方公共団体の執行力強化も重要かと思いますが、どのように考えているか、お示しいただけますでしょうか。お願いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今、三点ほどお尋ねがございましたけれども、まず、最初のデジタル表示の保存義務につきましては、景品表示法は、あらゆる表示媒体における不当表示を規制するものでございまして、現在の法制上は、デジタル表示のみに一律の保存義務を課すことは困難であるというふうに考えております。

 ただ、事業者における表示の保存につきましては、景品表示法第二十六条に基づく表示等の管理上の措置に係る指針におきまして、不当表示の未然防止の観点から、昨年六月の改正でしたけれども、アフィリエイトプログラムを利用した広告のように、一旦削除されると回復させることが困難である表示などについて、事業者が表示等の保存を行うことを具体的事例としてお示ししたことから、まずは、この指針の周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

 次に、特定適格消費者団体への情報提供の制度につきましては、景品表示法検討会報告書におきまして、昨年六月から施行された特定商取引法などに関する書類の提供の運用状況を少なくとも一年程度見た上で、近い将来に検討すべき事項と整理されております。このため、今回の改正法案には盛り込んでおりませんけれども、今後、特定商取引法などに関する運用状況を踏まえまして、適切に検討してまいりたいというふうに考えております。

 最後に、都道府県との連携につきましては、従前から、消費者庁におきましては、年二回程度のブロック会議ですとか景品表示法執行担当者向けの研修を開催して、執行事例の共有ですとか調査事務に係るノウハウを都道府県と共有をしてきております。また、個別事案ごとに都道府県の担当者から御相談いただければ、それにも的確に対応してきているところでございます。

 消費者庁におきましては、引き続き、これらの会議、研修や、個別事案での担当者への相談対応に積極的に取り組むことによって、都道府県との連携を深めていきたいというふうに考えております。

保岡委員 特に、地方公共団体の執行力強化という点で、県、センターの相談員などとも連携を強化するなど、是非、その徹底に努めていただけたらというふうに思います。

 それでは、法改正の内容に入ってまいりますが、確約手続について伺いたいというふうに思います。

 今回の改正のポイントは、この確約手続と直罰規定、いわゆるあめとむちのような関係にあるかと思いますが、その二点だというふうに理解をしております。

 今回、この確約手続は、意図せずに結果的に不当表示を行った事業者が、表示の改善等、自主的な取組を積極的に行おうとする場合などによって、消費者保護や、また執行体制の円滑な、執行体制の強化などに資するものというふうに理解をしておりますが、一方で、罰を逃れるために悪用、濫用があってはならないというふうにも考えます。

 その点において留意しているポイントがあるのか、また、今回の一部改正が独占禁止法を参考にしたというふうにありますが、認定件数、並びに悪用、濫用事例がないのかなどをお示しいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきまして確約手続を導入する狙いですけれども、これは、長期間の調査を要する措置命令ですとか課徴金納付命令を行うことなく、事業者の自主的な取組によって不当表示事案の早期かつ確実な是正を行うことにございます。

 そして、この制度の悪用や濫用を防ぐには、悪質な事業者が、先ほど委員御指摘ございましたけれども、措置命令ですとか課徴金納付命令を逃れるためにこの制度を悪用する、そういうことがないようにするということがポイントであろうというふうに考えております。

 そのため、同様の優良誤認表示を繰り返し行っている場合ですとか、直罰に相当し得るような不当表示など悪質重大な事案の場合には、確約手続による早期是正は期待できず、確約手続の対象とはせずに、措置命令、課徴金納付命令を行うことになると想定をしておりまして、悪用、濫用につながることはないと考えております。

 また、是正措置計画の認定を受けた事業者が計画を履行しない場合には、認定を取り消して、措置命令、課徴金納付命令を行うこととしております。

 あと、独占禁止法の方の事例についてお尋ねがありましたけれども、委員御指摘のように、この改正は独占禁止法における確約手続を参考としております。独占禁止法における確約手続では、令和四年度末までに十三件の確約計画の認定が公表されておりますけれども、濫用、悪用された事案については、我々の方では承知をしておりません。

 いずれにいたしましても、景品表示法においても確約手続が事業者に濫用、悪用されないよう、適正かつ厳正に運用してまいりたいというふうに考えております。

保岡委員 ありがとうございます。

 今、ガイドラインが策定をされるというふうにおっしゃいましたが、透明性の確保というのも非常に重要かというふうに思いますので、是非、その点も御留意いただけたらというふうに思います。

 最後に、大臣に質問をさせていただきます。

 この法律に限らず、消費者保護には、法や執行体制の整備と消費者の注意、リテラシーの両輪が大事だというふうに私は考えております。いわゆる賢い消費者への啓蒙というのが大事なのかなというふうに思っております。

 今回、消費者センターに二十代以下の若年層と六十五歳以上の高齢者の相談が多いというデータもございまして、また、消費者庁や法務省も、その辺りの対策として啓蒙活動に力を入れているということは承知をしております。

 また、文科省とも協力をして、中高生へは様々な消費者教育教材を使っての家庭科の授業、そして、特別支援学校向け、社会人向け、保護者向け、事業者向けや高齢者向けなど、それぞれのターゲットに合わせて、パンフレットや動画を使って啓蒙を努力をされていますし、また、ポータルサイト、SNSも積極的に活用もされています。

 私は、これ以上内容を充実してほしいとか、教えることを増やせということではなくて、むしろ、そのようなことは子供たちや現場のことを考えるとナンセンスだというふうにも思っております。逆に、内容が中高生向けにはちょっとトゥーマッチかなというふうにも思えますし、もっと大事なことだけ繰り返し教えるということも必要かというふうにも考えております。

 例えば、私は、四人の子育て最中の子供がおりまして、インターネット利用については、非常に便利な社会にはなった反面、様々な情報や契約に手軽にアクセスできる社会でもあるので、悪い大人にだまされないか本当に心配なんですが、例えば、よくひっかかるパターンはこんなものだよとか、若いときはそうはいっても痛い目を見ないと分からないところもありますので、何か困ったことがあればどこに相談するかとか、それぐらいを繰り返し繰り返し刷り込むぐらいでも、僕はちょうどいいのかなというふうにも感じております。

 若しくは、子供たちに企画の段階から関わってこのような消費者教育、法教育を製作をさせたり、悪い大人はこんなふうに考えたり君たちに近づいてくるというものを伝えるために、元悪徳業者へのインタビュー動画とか、少しエッジの利いたものを作ったり、柔軟な発想でやってみてはどうかなというふうにも考えております。

 河野大臣は、ツイッターフォロワーが二百六十八万人、発信力にもたけておいでですし、伝え方、伝わり方にもこだわりがあられるというふうに思います。また、元外務大臣、元法務副大臣も歴任をされました。それらの御経験も踏まえて、消費者教育や消費者への啓蒙について、特に若年層への取組について、昨今の社会情勢なども鑑み、お考えなどあればお示しいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 やはりデジタル化がここまで進みますと、情報リテラシーとか情報モラルというものを消費者にもしっかり身につけていただく必要があるんだろうと思います。

 おっしゃるように、やはり中学生、高校生、あるいは小学生まで遡らなきゃいけないのかもしれませんが、若い方に、どうネットとつき合うか、あるいはどうネットの悪いことに巻き込まれないかというところと、高齢者のところに、やはりそこの二つの層に、ある程度フォーカスをしなきゃいけないなというふうに思っております。

 委員おっしゃったように、割と役所は、何か総花的に情報発信をしたくなるんですが、消費者庁のリソースにも限りがありますので、総花的にやると、結局何か伝わらないということになりがちですので、やはり本当に伝えなきゃいけないところ、それから、一八八、「いやや」、何か困ったらすぐに相談をしてくださいという、少し焦点を絞った情報発信をやっていかなければいけないのかなというふうに思っておりますので、今委員からおっしゃっていただいたように、特に重要なところを繰り返しやる、それから、困ったらなるべく早く相談をしてください、こういうところに少し力を入れた広報、周知活動をやっていかなければいけないのかなというふうに思っております。

保岡委員 ありがとうございました。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

稲田委員長 次に、吉田久美子さん。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 ステルスマーケティングに対する検討会における今後の景品表示法による規制について、まずお伺いします。

 事業者の表示でありながら消費者がそのことを判別できない、いわゆるステルスマーケティングが、五条三号の指定告示に追加をされ、不当表示として禁止される方向性が示されたわけですが、このステマが消費者の損失にどの程度影響を及ぼすのか、オックスフォード大学と南カリフォルニア大学の研究者らによる実験によりますと、偽レビューによって質の悪い商品の評価の星が一つ増えると需要は三八%アップし、その影響で質のよい商品の需要は四%下がってしまったそうであります。

 悪貨は良貨を駆逐すると言いますが、私も、ネットで物を購入するときは商品レビューを確認して、一〇〇%とは言いませんが、ほぼ信頼して購入をしてしまい、すぐ破損するなど損失を受けたことは数度あります。自分自身が損失を受けたことはもちろん不愉快ではありますが、同時に、質の高い商品を市場から駆逐することに加担することになっていたと思うと、一層腹立たしい思いがいたします。

 実際、事業者や広告主から大規模な偽レビューが募集され、広範にこのようなことが行われていることも明らかになってきております。

 二〇一九年にはインターネット広告がテレビ広告を上回り、二〇二一年にはマスメディア四媒体のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌を上回っているわけですから、現在、およそ二十兆円に及ぶEコマースの消費規模から考えても、莫大な損失を消費者に与えていると容易に予想されます。専門家からも、一日も早く政府のこの規制が進むことが望まれておりました。G7諸国の中でステルスマーケティングを禁止していないのは我が国だけであり、消費者の判断をゆがませるおそれのあるステマの規制の導入はしかるべきであり、評価をしたいと思います。

 そこで、改めて確認ですが、新たに指定する告示の具体的な内容、指定後の今後の日程、また告示施行後に向けた取組についてお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 御指摘のように、G7の中で日本がこのステマ規制は最後になりましたが、しっかりやってまいりたいと思います。

 いわゆるステルスマーケティングに関しまして、景品表示法に基づく告示の指定を行いました。これにより、広告であるにもかかわらず広告であることが分からないものは不当表示ということになります。

 施行は本年十月一日でございますが、消費生活センターですとか、消費者団体、事業者団体に対する説明会をしっかり開催をしてまいりたいと思っております。パンフレットの作成、配布といった従来型の周知手段も行いますけれども、ステマでございますから、インターネット広告をしっかり活用をしてまいりたいと思っております。

 また、インフルエンサーを抱えている事務所などにしっかり協力を仰ぐということ、また、対象となる方の属性の違いにもきちんと焦点を当てながら丁寧にやっていきたいと思っておりまして、十月一日から施行でございますが、施行前にも、ステマに当たるようなところは、しっかりとコミュニケーションを取りながら、これはステマに当たる可能性がありますよということはしっかりお伝えをしていかなければいけないなというふうに思っております。

 また、施行後は、問題となる具体的な事例がありましたら、厳正に対処していきたいというふうに考えているところでございます。

吉田(久)委員 続けて質問させていただきます。

 今法案では、違反行為に対する抑止力の強化を狙い、課徴金の見直しと直罰の新設、導入が盛り込まれました。ネット世界では、ステマではなくても様々な広告があふれております。見るからに怪しい、魔法のような効果をうたったものも多く見受けられます。悪質な不当表示を行う事業者を排除することは、消費者を守るだけでなく、信頼に基づいた公正な市場、優良な事業者を守り、活発な経済活動を下支えすることになり、極めて重要なことだと思います。

 景品表示法違反に係る端緒件数を見ると、資料をお配りしておりますが、年々増加をし、令和三年度には一万二千五百七十件、これはあくまで氷山の一角で、表に表れた数であり、泣き寝入りしている、見えない件数は、それに相当倍する数だと想像できます。

 そこで、本改正案において、違反行為から十年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、つまり、不当表示を繰り返す悪質な事業者に対して、課徴金三%を、一・五倍の四・五%に加算する規定を新設することにしております。

 ただ、消費者団体からの意見として、抑止効果を高めるためには、そもそもの課徴金の算定率、この三%を大幅に引き上げて、違反行為に対して事前抑止が働くようにすべきだとの意見もあるとお聞きしておりますけれども、課徴金算定率を上げることを見送った経緯、また、加算を一・五倍にした根拠をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 課徴金の算定率、これは、この制度を導入したのが平成二十六年でございますが、措置命令事案における事業者の売上高営業利益率の中央値を参考に三%といたしました。その後、この売上高営業利益率の中央値は三・四%で、制度導入時からほぼ変化はないということで、今回も、三%の引上げではなく、三%ということにさせていただきました。

 悪質な場合、一・五倍、四・五%にいたしましたが、これは、独占禁止法など、繰り返し違反をしている者に対して課徴金を加算するという制度が、独占禁止法と金商法ですか、これは両方とも一・五倍ということにしておりますので、今回はそれに倣って一・五倍、三%を四・五%にするということにしたものでございます。

吉田(久)委員 ほかの法との整合性もあるかとは思いますけれども、課徴金、百五十万円未満なら請求されないことになっており、つまり、売上げ五千万円までなら不当表示をしてもやり逃げ可能ということでは、抑止力にならないのではないかと危惧しております。実効性のある法案改正になったのかどうか、今後の端緒件数も参考に、その効果をしっかりと今後見極めていただきたいと思います。

 続いて、円滑な法執行の実現に向けて、適格消費者団体による開示要請規定の導入が盛り込まれました。適格消費者団体は、優良誤認表示の疑いのある表示を行う事業者に対し、表示の裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提示を要請することができるとともに、事業者は当該要求に応ずる努力義務を負うこととしております。

 この法案の狙いは、不当表示に対する適格消費者団体の差止め請求権の実効性を強化するものと理解をしておりますが、この差止め請求とはどのような権限なのか、あわせて、現状、差止め請求の実施状況、消費者契約法、景品表示法、食品表示法のそれぞれ、法律ごとに実施数が分かれば、お示しいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 差止め請求権とは、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体が、事業者の不当な行為について、当該事業者に対し差止めを求めることができる権限でございます。具体的には、消費者契約法では不当な勧誘と契約条項について、景品表示法では不当な表示について、特定商取引法では不当な勧誘、契約条項、表示について、食品表示法では不当な食品表示について、差止めを求めることができることと規定しております。

 差止め請求権の実施状況につきまして、昨年度末、令和五年三月三十一日時点の累計で申し上げますと、消費者契約に関するものが千五百五十六件、特定商取引法に関するものが九十一件、景品表示法に基づくものが二百四件、食品表示法に基づくものはゼロ件でございます。

吉田(久)委員 食品表示法については差止め請求権の実施がゼロということでしたが、正直あり得ない数で、その権限が行使しにくい状況が背景にあるとしか考えられないところであります。

 食品は口に入れるもので、健康に直結する、極めて責任の重い表示責任が事業者にはあると思います。今回の開示要請規定を景品表示法に設けたのであれば、食品表示法にも今後規定を設けるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示法におきましては、事業者が販売に当たってあらかじめ遵守すべき食品表示基準、これを定めることになっておりまして、この食品表示基準の遵守の実効性を確保するためには、まずは、国及び都道府県などが、同法に基づく立入検査等の権限行使により、関係する食品関連事業者に対して適時適切に是正指示などの対応をしっかり行っていくことが重要だと考えてございます。

 その上で、違反行為に対する抑止力を強化し、食品表示法の対応力を高めるためにどのような工夫ができるか、委員御指摘の点も踏まえまして、今後の食品表示法の執行状況、あるいは景表法、今回の開示要求規定の新設の効果なども踏まえながら、不断に検討してまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 そもそも論になりますけれども、消費者を守る差止め請求権を発出することができる適格消費者団体の支援強化が必要だと思います。先ほど紹介した景品表示法に係る端緒件数と調査・措置件数のグラフでも示されていますが、端緒件数に対して、調査件数は僅か三%、措置件数は一・七%という、消費者行政が機能しているとは思えないほど、著しく低い値になっております。

 適格団体からは、差止め請求をすれば赤字になる、まさに手弁当による活動が実情だと伺っており、今法案で開示要請規定を付与されたとしても、権限を活用できないのではないか、消費者庁として、適格団体の支援を強化していくことは併せて必要だと思いますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者の利益の擁護を図る活動を実施する適格消費者団体が十分にその機能を発揮するためにも、団体に対する支援は重要であると考えております。

 消費者庁では、適格消費者団体による事業者の不特定かつ多数の消費者に対する不当な勧誘行為等の差止め請求に係る活動の促進のため、例えば、令和四年度第二次補正予算で措置された消費生活相談機能強化促進等補助金を団体に交付できる環境を整備しております。

 また、それ以外にも、例えば、昨年の通常国会において消費者契約法を改正し、毎年、事業年度の報告書の作成に必要な事務負担を軽減する措置を講じる、又は、例えば、団体の連携を強化するような団体同士の協議会といった取組なども、支援も行ってきているところでございます。

 引き続き、これらの取組についての運用状況等も踏まえつつ、適格消費者団体に対する効果的な支援の在り方を検討し、一層消費者の利益の擁護を図れるよう取り組んでまいりたいと思っております。

吉田(久)委員 地方の消費者行政の強化についてお伺いします。

 私も報道でも見聞しましたけれども、地域の消費生活の守り手とも言える消費生活相談員の人員不足が相次いでいると聞いております。会計年度採用職員という不安定な雇用での採用であり、専門性が求められるにもかかわらず、経験と知見を積んだ方が辞めてしまう。空きがあっても埋まらない。

 平成二十六年成立の景品表示法改正によって都道府県の執行体制が強化されることになり、措置命令や合理的根拠の提出要求に係る権限が都道府県知事に委任されておりますが、施行後から令和二年末まで、措置命令の発出は全国で僅か四十四件にとどまっております。この背景には、都道府県における担当する職員、人的資源が非常に不足しており、それぞれの案件には専門性の高い判断が求められるケースも多く、それらがこの法改正の適切な施行の足かせになっていると思われます。

 またさらに、今法案の改正によって確約手続という制度を導入し、事業者の自主的な是正措置の取組によってより迅速な問題の改善を図ることにしているわけですが、これに関連した業務においては、都道府県にとって情報共有など新たな業務が増えることになるわけですから、更なる地方消費者行政への支援強化は必要だと思います。

 消費生活相談員の処遇の改善に向けた具体的な施策や地方自治体の職員体制の強化、専門性向上に対する施策やインターネットなどを活用したDX等、しっかりと地方の消費者行政強化を図るべきだと思います。この点についての認識と、具体的な施策があればお伺いしたいと思います。

稲田委員長 河野大臣、質疑時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

河野国務大臣 はい。

 消費生活相談、これは自治事務ということになっておりますが、やはり現状を私も憂えておりまして、抜本的な対応が必要なんだろうというふうに思っております。

 処遇の改善あるいは相談員の方のキャリアパスが明確になること、これをするために、抜本的な改革、何ができるか、これを消費者庁で検討を指示しているところでございますので、また御報告申し上げたいと思います。

吉田(久)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、井坂信彦さん。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 今日は、野党のトップバッターで景品表示法の改正案についての質疑の機会をいただき、感謝申し上げます。

 今回の法改正の一つの柱は、確約手続であります。事業者が自ら不当表示や消費者への影響を是正する計画を立てたら、消費者庁がその内容を認定して、措置命令や課徴金命令を出さずに、速やかに問題を解決するというものであります。

 確約手続の導入には賛成の立場でありますが、一方で、これが悪質重大な違反をした業者の逃げ道になってはいけません。当局との事前の議論では、こうした悪質重大な違反に対しては確約手続を認めないということをガイドラインに明記すべきだという私の問いに対して、ちょっとまだそこまでは決めていない、今後の課題というふうにおっしゃっていましたが、そんなことでは本日ここで質疑をする意味がありません。

 大臣に確認をいたしますが、悪質かつ重大な事案は確約手続の対象にしないということをガイドラインに明記されますでしょうか。

河野国務大臣 しっかり明記いたします。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、確約手続の事業者名を公表して、返金の促進あるいは消費者やほかの会社への注意喚起を行うべきではないかと考えますが、参考人に伺います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 確約計画を認定した場合には、一般消費者の誤認を解消するとともに法運用の透明性を図る必要がございますので、違反のおそれがあった表示ですとか、確約計画により行われる措置の概要のほか、事業者名も公表することを想定しております。

 御指摘のとおり、このように事業者名などを公表することで、消費者への返金が促進されることやほかの事業者に対する注意喚起としての効果も期待しているところでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、事業者が作った是正措置計画、これを認定しても、結局、作ったままやらないという可能性もあり得るわけであります。そうなると、せっかく確約手続で措置命令とかを出さずにやろうとしていたのに、結局、事業者が自主的にやらないということで、では、そこからまた通常の措置命令に移行するということで、かえって余分に時間がかかってしまう上に、事業者も、悪質な事業者であれば時間稼ぎができてしまうわけであります。

 大臣に伺いますが、是正措置計画の不履行に対しては、これはペナルティーが必要ではないでしょうか。

河野国務大臣 不履行にペナルティーを設けることは考えておりません。不履行があった場合には、認定を取り消して、措置命令あるいは課徴金納付命令のための調査を再開いたします。

井坂委員 そういう答弁だということは事前に伺っていたわけでありますが、しかし、そういう不履行が大いに目に余るようになってきた、あるいは、結局、確約手続が単なる時間稼ぎに使われるようになってきたということがあれば、それは何らか対応を考える必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 今の時点でペナルティーをやると明言をしていただく状況ではないということは分かりますが、しかし、不履行が非常に制度の趣旨に反する結果をもたらす、あるいは悪用されるということがあったときにはこれは何らかの対応を考えていただけるということでよろしいでしょうか。これは大臣、お願いします。

河野国務大臣 まだ始まっておりませんから何とも申し上げられませんが、これは、認定をする際に、実現性があるのかどうか、実効性があるのかどうか、そこをまずきちんと見極めていくのが大事だと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、確約手続の是正措置計画の中身について伺います。

 今回、返金措置を更に強化しよう、もっと使ってもらえるようにしようという法改正も含まれているわけでありますが、しかし、そもそも、今回、是正措置計画というものを事業者から出していただく際に、やはりこれは、消費者の被害回復につながる要素も是正措置計画に入れてもらうというのが当然の筋だろうというふうに思います。

 参考人に伺いますが、返金措置など、こうした消費者の被害回復につながる項目を確約手続の是正措置計画に基本的には入れるべきだ。当然、例えば、間に問屋さんを幾つも挟んでいるようなメーカーとかそういうところは直接消費者への返金が事実上難しいというケースは分かります。ですから、返金が難しいとかそういうケースはこれは仕方がないわけでありますが、返金可能な大半のケースについてはやはり是正措置計画の中に返金措置を入れるべきだ、そういったものを認定していくべきだというふうに考えますが、参考人に伺います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のあった、消費者への返金を是正措置計画認定の必須要素とすべきではないかという点につきまして、そうした必須要素とした場合、行政が裁判等の手続を経ずに民事上の法律関係を認定することとなってしまうなど、我が国の司法制度等との関係に鑑みて適当ではなく、また、現実的にも、消費者と直接取引のないメーカーによる違反事案があることですとか、事業者の規模等によっては返金すべき消費者を具体的に把握することが困難な場合なども想定されますので、消費者への返金を原則とすることは困難であると考えております。

 このため、確約手続の是正措置計画に消費者への返金を必須とするということは考えておりませんけれども、消費者への任意的な返金は是正措置計画が十分なものであると認定する上で有益であるというふうに考えておりまして、改正法成立後に策定する予定の運用指針においてはその旨を盛り込んでいきたいというふうに考えております。

井坂委員 ありがとうございます。運用指針にそういったものを盛り込むというところまでは承りました。

 実際に先に確約手続をやっている独禁法の方では、指針で返金措置についてこう書かれているということであります。返金措置は計画認定において有益である。返金措置を入れた方が計画認定されやすいですよということだと思うんですけれども、ちょっと参考人に重ねて伺いますが、独禁法でそういう書き方をして、実際に、返金可能な業者は是正措置計画に返金措置をおおむね入れているのかどうか。要は、独禁法のその書き方で本当に効果が出ているのかどうかについて確認をすべきではないでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 独占禁止法の方における運用の状況についてお尋ねございましたけれども、今ちょっと手元に資料がございませんので記憶の限りでの御答弁になりますけれども、独占禁止法の方の確約計画の認定におきましても、違反被疑行為を行った事業者がその取引先などに対して返金を行った事例というものは幾つかあったというふうに承知をしております。

井坂委員 ちょっと、幾つかあったという程度では非常に寂しいことかなというふうに思いますので、本法ではこれからガイドラインにどう書くかということを決めていかれると思います。是非、その書きぶりも大事だと思いますので、ただ、独禁法並びの書き方でよいかどうかということは、実際に独禁法でその書き方で返金が必要なときにはきちんとおおむね行われているのかどうかというのを確認をして、不十分であれば更に強い書き方を検討していただきたいと思いますが、それは当然やっていただけますでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 運用基準を策定するに当たって、独占禁止法の方での運用基準も参考にしながら文言を作成していきたいというふうに思っておりますけれども、今委員の御指摘もございましたので、御指摘の趣旨も踏まえまして、どういう運用指針の書き方にできるか検討してまいりたいというふうに思っております。

井坂委員 踏み込んだ御答弁、ありがとうございます。

 是非、参考にしていただくというのは、コピペをするということではないと思いますから、むしろ、先行事例としてうまくいっているかいっていないかという実態をよく参考にしていただいて、更なる優れた書き方をやっていただきたいというふうに思います。

 次に、返金措置についてでありますが、今回の法改正では返金措置の弾力化ということが盛り込まれております。要は、返金措置、せっかくつくったのに全くというかほとんど使われていないという問題意識、これは消費者庁の側にもあって、今回、電子マネーによる返金も認めて、少しでも返金措置を使ってもらいやすいようにという趣旨であります。

 しかし、実際に事業者によるヒアリングの結果を見ますと、返金制度を利用しない理由というのは、独自に返金をした方が迅速だからというのが四五・五%で最多、そして、返金措置を使っても消費者の信頼をどうせ取り戻せないからというのが二二・一%、そして三番目に、現金と銀行振り込みしかないから返金制度を使わないんだというのが一八・八%、そして四番目が、課徴金を払った方が楽だからというのが一七・四%、こういう結果であります。

 参考人に伺いますが、この結果だけを見ると、仮に電子マネーを今回認めても、第三位、一八・八%の理由にしかなっていないということで、返金措置の利用というのはほとんど増えないのではないかという懸念がありますが、いかがでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 我々、制度設計をするに当たって、委員御指摘のようなアンケート調査を実施したところでございまして、委員から御説明のあったような回答結果であったということでございます。

 我々といたしましては、これらのアンケート調査の結果も踏まえまして、今回の法改正では電子マネー等の交付による返金措置も新たに認めることとしておりまして、返金措置のハードルが一定程度下がることで、新たに認められる電子マネー等の交付による返金措置ですとか、あとは、確約手続における確約計画の中での返金の実施、こういったものも一定程度進むというふうに考えられております。

 また、今述べましたアンケート結果を踏まえれば、事業者独自に消費者に返金を行う場合も想定されるところでございまして、そのような事業者の対応は、一般消費者の利益保護の観点からは望ましいことであるというふうに考えております。

井坂委員 今くしくも御答弁でおっしゃったように、やはり、確約手続の中でしっかり返金をしてもらうというのが返金を増やす大きな柱に実際はなってくると思いますので、一つ前の質問の、質疑のやり取りを十分やっていただきたいというふうに思います。

 次に、大臣に繰り返し質問ないし提案をしております不動産おとり広告について伺います。

 今回、課徴金を増額したり直罰規定を新設したり、罰則の強化が不当表示に行われます。一方で、不動産おとり広告については、罰則以前に、措置命令や指導すら、ここ最近一件も行われていないという事実があります。

 不動産おとり広告というのは、この間のスシローみたいな通常のおとり広告とわざわざ分けて、おとり広告とまた並んで不動産広告というのが告示に書かれており、それだけ、特出しの対応をすべき問題と当初は認識されていたんだと思いますが、いまだにネット上や町中にはこの不動産おとり広告が満ちあふれている、違反件数の多い不当表示だというふうに思います。

 消費者庁とこの議論をしますと、業界団体の自主規制で削除した件数が年々減ってきている、だから、不動産おとり広告は減っていて、規制は民間主導でうまくいっているんだ、こういうふうに答えるわけでありますが、私は、これは現状認識が違うのではないかということで、担当者の方と昨日、結構強い議論をさせていただきました。強いというか、激しい議論をさせていただきました。

 先日も申し上げましたが、不動産大手の調査では、やはり、不動産おとりにひっかかった可能性があるという人は、たくさん、お客さん自身が自覚として、ああ、ひっかかったなと思っている人は、遭遇したことがある人は四六%、ひっかかった可能性があると思う人は二七%ということでありますし、また、実際に、進んだポータルサイトなんかは、不動産おとり広告と思われる物件をAIで削除し始めたら、その削除件数が月五万件にも上る、こういう実態も一方であるわけであります。

 昨日の段階では、消費者庁の担当の方は、業界団体が実際にどのようなルールで自主規制をかけて不動産おとり広告を削除しているのかということも把握はできていない状況でありました。実際は、契約済みの物件が二週間以上の長きにわたって掲載をされていたら業界団体が注意をして削除するなど、非常に長いタイムラグを認めた上での削除件数ではないかというふうに思われます。

 大臣に伺いますが、やはり、業界団体が自主規制でやっていただいているというのは、これはよいことだというふうに思います。一方で、消費者庁としては、そこに丸ごと任せて、そこの削除件数が減ったから問題解決しているんだという認識ではなくて、じゃ、その自主規制のルールはどうなっているのか、運用は実際どうなっているのか、それで十分なのかといったことを、やはりもっと踏み込んで、実態として不動産おとり広告がなくなるような、より主導的な役割を果たしていただきたいというふうに思いますが、大臣に伺います。

河野国務大臣 前回、五万件という数字を聞いて調べさせましたが、その多くが、成約されたものがポータルサイトからの削除が遅れて残っているものが削除された。AIが別に五万件削除しているわけではなくて、成約済みのやつが削除されていて、その合計が五万件ということなんだろうと思いますので、地域の公正取引協議会にまずはしっかり対応していただきたいと思っております。

井坂委員 その民間任せが私は問題だと思っていて、要は、タイムラグ、もちろん、成約したものが翌日載っていたからおとり広告だとかいうのは私は行き過ぎだと思いますけれども、恐らく、実際、二週間ぐらいのタイムラグを認めているわけなんですよね。

 実際、ネット上の体験談でもよくあるのは、いい物件だと思って行ったら、もう成約済みですと言われた、成約済みですと言われたのに、一週間たってもまだそれが載っていると、ああ、これはやはりよくある不動産おとり広告だったんだ、こうなるわけなんですよ。

 これは本当にあるので、何か、協会に任せているから大丈夫だというのは、私は大臣の御答弁として不十分ではないかなというふうに思います。

 もう一つちょっと御提案をしたいのは、月五万件削除しているようなポータルサイトもあるわけですが、タイムラグ問題も含めて、しかも長過ぎるタイムラグ問題も含めて、やはり適正化をしていく必要があるというふうに思います。

 不動産おとり広告、中には、長過ぎるタイムラグにより成約済みなのに掲載が続いているというケースもあると思いますが、こういった不動産おとり広告を排除する仕組みを、不動産ポータルサイトの運営者にも消費者庁としてしっかり求めていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 公正取引協議会とポータルサイトの運営者、これは、連携をして決まったものは定期的に落としてくださいということでやっているんだろうと思いますので、まずは、その仕組みがどの程度機能しているのか、そこを見ていきたいと思います。

井坂委員 何か事前にもう少し踏み込んだ御答弁をいただけるかと思っていたんですが、ちょっと詳しく聞きますね。

 どのような運営になっているかを見ていきたいということでありますけれども、これは参考人でもいいですが、それ以前に、どういう基準で、どういうタイミングで削除しているのかとか、ちゃんと把握しているんですか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 業界団体であります不動産公正取引協議会におきましては、不動産に関するおとり広告の告示に該当するようなものについて、必要に応じて削除をしているというふうに考えております。

 ちょっと、具体的な基準につきましては、今、この場に手持ちの資料がございませんので、ちょっとお答えを持ち合わせておりません。

井坂委員 このやり取りは昨日、事前に担当の方ともしたんですけれども、今資料がないんじゃなくて、消費者庁が現状把握をしていないんだと思うんですよね。何週間たったら削除するルールになっているのかとか、実際どれぐらいの頻度で削除しているのかとか、把握していないと思うんですよ。そういう状況で、削除件数が減っているから不動産おとり広告は減っているんだなんという答弁はやめていただきたいと思うんですけれども、参考人、いかがですか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産公正取引協議会の運用の詳しいところにつきましては、我々も、今委員御指摘ございましたけれども、しっかりと把握してまいりたいというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 是非把握をしていただいて、やはり、DXとか、大臣もDX、本当に熱心にやっておられますけれども、そういう時代に、二週間削除できない、そのルールで取り締まればいいんだということでは私はないと思いますので、是非、そこはしっかり、消費者庁として、業界団体任せではなくやっていただきたいということを強く申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

稲田委員長 次に、青山大人さん。

青山(大)委員 法案の質疑に入る前に、一点だけ。

 四月一日、今月から、食品表示基準の一部が変更となっております。この変更ですけれども、政府側の説明によれば、遺伝子組み換え材料が僅かにでも混在する可能性がある食品に対して、遺伝子組み換えでないとの表示は消費者に誤認させるからとして、消費者保護の観点から、食品表示基準が改正されたとのことでございます。

 しかし、少量の混入を恐れて、国産原料の製品でも事業者が遺伝子組み換えでない表示を自粛し、結果として、遺伝子組み換え食品と遺伝子組み換えでない食品が、表示上、区別ができない状態が生じております。また、分別生産流通管理済みの表示が新設されましたが、分かりにくいとの指摘もございます。

 食の安全、安心を考えて、遺伝子組み換えでない表示を頼りに食品を選択している消費者がいた中で、遺伝子組み換えでないの表示をゼロ基準にすることでかえってこの表示が使えなくなり、一方で、遺伝子組み換え原料の許容混入率が五%というのは、EUや台湾、韓国に比べて高いのではないか、そういった指摘もございます。

 遺伝子組み換え表示制度について、消費者側の立場から、消費者庁には消費者へ更に寄り添った施策をお願いしたい、そういった声が寄せられております。

 まだ、始まったこの表示制度ですが、遺伝子組み換え原料を使わない事業者や消費者目線に立った分かりやすい表示への見直し、遺伝子組み換えでない食品を求める消費者の声に対してどう応えていくのか、お伺いいたします。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、遺伝子組み換えの表示制度につきましては、分別生産流通管理をしている農産物を原材料としております加工食品につきましては、当該農産物を原材料名として単純に表示する、あるいは、遺伝子組み換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われた旨を表示することとされております。この骨格は変えておりません。このうち、これまでは、遺伝子組み換え農産物が混入しないように分別生産流通管理が行われた旨の表示に代えて、遺伝子組み換えでないとの表示、これは可能としてきたところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、分別生産流通管理しても遺伝子組み換え農産物が混入している可能性はございますので、遺伝子組み換えでない表示をすることは、消費者の誤認防止の表示や正確性の担保の観点から問題であるということ、御意見を踏まえまして、今般の改正によりまして、遺伝子組み換えでないという表示につきましては、混入がないということが科学的に検証できる場合に限定したということでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、分別生産流通管理済みなどといった表現では、何を分別しているのかよく分からないというような御指摘、確かにございます。

 といった問題意識から、遺伝子組み換え農産物と分別生産流通管理をしていることを端的に表現する方法としまして、例えば、遺伝子組み換え混入防止管理済み、あるいは遺伝子組み換えの混入を防ぐための分別、あるいは遺伝子組み換え農産物混入を防ぐために分別生産流通管理を行っていますなどといった表示の例を、パンフレットなどを通じまして周知をしているところでございます。

 引き続き、遺伝子組み換え表示に関する表示を求める消費者の皆様の声に対応した事業者の取組を適切に促進してまいりたいと存じます。

青山(大)委員 まだ始まったばかりですのでこれからといった点もあると思うんですけれども、今後これが広まる中で、とはいえ、やはり、余りにもこの分別生産流通管理済み、なかなかちょっと分かりにくいじゃないですか。これがなかなか浸透しない場合は、もう一回、再度の見直しなんかもあるというような考えはあるのでしょうか。

依田政府参考人 このGMの、遺伝子組み換えの表示につきましては、制度の骨格自体は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、遺伝子組み換えの分別管理の表現というものが分かりづらいということでございますので、遺伝子組み換え農産物に言及した上で、それをきちっと分別しているという旨、これは事業者さんの努力もございますので、どのような表現が可能かというものについては、不断に、また先生などの御指摘も踏まえまして、分かりやすい表示に努めてまいりたいと存じます。

青山(大)委員 是非、消費者庁ですので消費者目線に立って、いろいろな声を聞きながら、不断の努力の方を重ねてお願いいたします。

 それでは、法案の質疑に入っていきます。

 ほかの委員からも御指摘ございましたけれども、課徴金の算定率の引上げでございますけれども、いわゆる繰り返し行った事業者に対して三%から四・五%に規定を新設ということですけれども、やはり課徴金制度による抑止効果を高めるには、そもそも、現行の課徴金算定率三%、まずはここを大幅に引き上げて、不当表示の事前抑制に実効性を持たせることが必要ではないかと考えますけれども、消費者庁として今後の対応方針も含めてお伺いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございました現行の課徴金算定率三%でございますけれども、これにつきましては、平成二十六年の制度導入時に、消費者庁設置後の措置命令事案における事業者の売上高営業利益率の中央値を参考に、不当表示規制の抑止力を高めるものとして、三%という形で設定されたものでございます。課徴金制度導入後の措置命令事案における事業者の売上高営業利益率を今回データに当たりましたけれども、その中央値は三・四%でございまして、平成二十六年の制度導入時からほぼ変化はない状況でございます。

 したがって、今回の改正法案の中では、三%は引き続きそのまま三%という形にさせていただいております。

青山(大)委員 ここはちょっと、今後の検討として、是非、次回の法改正に向けては検討してほしいなと思っております。

 また、確約手続についてもお伺いしますけれども、これもほかの委員からも出ていました。景品表示法検討会では、当初、今後の検討の方向性を示し、そこでは、消費者利益の回復の充実を掲げて検討をされていたところでございます。また、検討会では、不当表示が是正されることも重要ですが、やはり消費者被害回復が第一であることから、返金計画書に自主的に返金する制度を設けてほしいとの意見も出されておりました。

 そこで、今後、改正後、返金措置の実施状況等も踏まえて、確約手続に事業者の自主的な返金措置制度を導入することの検討が必要だと考えています。例えば、返金計画を立てることが必要な事案についてガイドラインなどで例示することも考えられますが、消費者庁の見解をお伺いします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、確約手続の是正措置計画におきまして消費者への返金を必須要素とした場合にはもろもろ支障がございまして、消費者への返金を原則とすることは困難であるというふうに考えております。

 ただ一方、確約手続の是正措置計画に消費者への返金を必須とすることは考えておりませんけれども、消費者への任意的な返金は是正措置計画が十分なものであると認定をする上で有益であるというふうに考えておりまして、改正法成立後に策定する予定でおります運用指針の中にはその旨を盛り込みたいというふうに考えております。

青山(大)委員 ちょっと確認ですけれども、では、今後の運用指針の中に、返金計画を立てることが必要な事案についてしっかり明記をするということでよろしいでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 運用指針の中では、消費者への任意的な返金が是正措置計画が十分なものであると認定をする上で有益であるということをガイドラインの中で明記したいというふうに考えているということでございます。

青山(大)委員 明確な御答弁をありがとうございました。

 次に、適格消費者団体による資料開示要請規定についてお伺いします。

 本改正案では、適格消費者団体の資料開示要請の要件として、事業者が現にする表示が優良誤認表示に該当すると疑うに足る相当な理由があるときとすることとされていますが、まず、資料開示要請できる対象の表示について、なぜ、現にする表示に限定したのでしょうか。お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 差止め請求権につきましては、その名のとおり、行為を差し止めるということでございますので、不当表示を現に行い又は行うおそれがあると認められる者について行うということでございますので、例えば、過去の表示ということであれば、そもそも、既に差止め対象が存在しないということなので、差止めの必要性が認められないということになってしまいます。

 ということで、この開示要請規定は、差止め請求権の実効性を確保するための規定でございますので、差止め請求権の行使が認められない場合について規定してもしようがないということで、このような、現にする表示というふうにしたものでございます。

青山(大)委員 例えば、季節物の商品、例えばクリスマスケーキですとか、何か季節物の商品で不当表示を行うおそれがある事業者について、昨年も不当表示が行われていたと。今年もその販売の季節が間近に迫っており、事業者が商品の準備を進めているといった状況の場合、条文を設けておくことで不当行為を抑止する効果を考えれば、過去にした表示に関する資料をも対象とすることも検討する必要があると思いますが、政府の見解を伺います。

黒田政府参考人 今回の開示要請規定につきましては、そもそも、適格消費者団体側から、いわゆる不実証広告規制に類似する措置というもので導入を求められたということで検討したものでございます。

 そのような経緯を踏まえますと、不実証広告規制は、そもそも、現に行われるおそれがある表示というのは、これから行われるおそれがある表示というのは対象にしていないため、今回の開示要請規定についても、行われるおそれがある表示については対象外としたものでございますが、また、今後、こういった開示要請規定の実行の運用状況を見ながら、制度は不断に見直していきたいと思っておりますので、まずは、今回の規定を実施したところで、その実施状況に応じてまた考えていきたいというふうに思います。

青山(大)委員 改正案の三十四条一項に定める差止め請求の提訴要件には、行うおそれがあるときも規定されています。過去にした表示に関する資料の開示要請ができれば、近い将来その事業者が不当表示を行うおそれがあることを原告側が示すことに資するとも考えられます。是非、ちょっと今後検討してほしいなと思って、要請させていただきます。

 次に、これは今回、外国執行当局との協力についてというふうに明記されましたけれども、これまでにそういった日本と外国が協力しておった例があるのか、また、今回こういったことを条文化した趣旨についてお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法の執行業務を行う上で、これまでに日本と外国が協力した例というのは存在はしておりません。ただ、まだ多くはないものの、海外事業者への景品表示法に基づく執行事例というものも存在しておりまして、今後、越境的な取引やインターネット上の広告の増大に伴い、海外事業者による不当表示事案は増えていくということが想定されているということでございます。

 そこで、今回の改正も踏まえまして、外国執行当局との連携を含めた、海外事業者の不当表示への対応を強化してまいりたいと考えたところでございます。

青山(大)委員 ここについては以上で終わりにしますけれども。

 次に、ステルスマーケティング、指定告示におけるインフルエンサーですね、今回の改正案で新設された直罰の対象に、どういった場合に対象になり得ることがあるのか。そもそも、こういったインフルエンサーは直罰の対象になることはないのか、お伺いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案に盛り込まれております直罰の対象となるのは優良誤認表示等でございまして、景品表示法第三条第五号による指定告示は直罰の対象外であります。

 直罰の対象となる優良誤認表示等であったとしても、直罰の対象となるのは、自ら商品又は役務を供給する者であるため、自ら商品、役務を供給していないインフルエンサーは、原則として直罰の対象とはならないというものでございます。

青山(大)委員 インフルエンサーには若年層の方が大半でございますし、軽い気持ちでこういった不当表示に加担している人、本人は気づかないでいる可能性も当然ございます。

 今回の法改正によって、それぞれの行為が直罰の対象になり得るかとかならないかとか、是非、消費者庁として、そういった啓発についても力を入れてほしいなと思っていますけれども、何かお考えはありますか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 ステルスマーケティングにつきましては、先般、告示を、指定したところでございまして、現在、施行に向けて普及啓発活動を行っております。国民各層、様々な各層に対しまして普及啓発をきめ細かくやっていくことが大事だというふうに思っておりますので、しっかりと普及啓発していきたいというふうに思っております。

 なお、先ほど、ちょっと答弁の中で、景品表示法第三条第五号による指定告示と申し上げましたけれども、第五条第三号による指定告示の誤りでございますので、おわびして訂正させていただきます。

青山(大)委員 しっかり啓発の方、お願いいたします。

 最後に、インターネット上の広告表示に関してお伺いします。

 SNSを含めインターネットの世界では、広告収益モデルが支えているという構造の背景もあって、近年ますますインターネット上の広告が過剰に増加をしています。

 こうした中、インターネット上の不当表示広告について、広告を発信する事業者側に表示の保存義務を課すなど、何らかの踏み込んだ対策が必要と考えます。

 また、事業者向けの規制で健全な市場を育成する必要がある一方、消費者教育も被害防止のために必要と考えます。SNSの影響を受けやすい若年層を対象に、判断を養うことを学校教育に取り入れるほか、インターネット不当表示広告に関する周知啓発が一層求められると考えますが、政府の対策、今後の方針をお伺いいたします。

河野国務大臣 昨年の告示でアフィリエイト広告を対象にし、また、今回、ステマを規制をいたします。今後とも、インターネットに関する広告についてはしっかり見ていきたいというふうに思っております。

 また、今委員からもお話がありましたような若年層、若者への周知啓発というのは、これはしっかりやっていかなければいかぬと思いますし、また、御高齢の方々についてもやはり周知啓発というのは非常に大事になってくると思いますので、消費者庁としてもそこら辺に力を入れてしっかりやっていきたいと思います。

青山(大)委員 最後に、あわせて、今、いわゆる選挙も最近はインターネット広告が結構つくようになってきて、これは本当に、公職選挙法との絡みもあるんですけれども、このルールは結構曖昧な部分もございます。もちろん、中身に関しても、当然、選挙は過激になっちゃうと誇大に広告、中身も誇大にしちゃう傾向があるんですけれども、この辺、大臣、公職選挙法との兼ね合いも考えながら、ちょっと今後、インターネット広告については検討してほしいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

稲田委員長 次に、山田勝彦さん。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 不当景品及び不当表示防止法の一部を改正する法律案について質疑をいたします。

 今回の改正は、一般消費者の利益の一層の保護を図ることを目的としています。あくまで消費者の立場で、その観点から質問をいたします。

 まず、確約手続についてです。

 先ほど来議論があっていますが、確約手続は、自ら是正措置計画を申請することで、その契約内容について認定を受けたときは、違反行為から、措置命令、課徴金納付命令などの罰則を適用しないという趣旨の内容です。

 この確約手続の導入により、善良な事業者であれば迅速に不当表示が是正され、消費者に対して早期の被害拡大防止、被害回復が期待できます。よって、速やかにこの制度を導入すべきと考えますが、法改正後、消費者庁としてはいつまでにこの制度を導入することを考えているのでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の景品表示法の改正案におきましては、事業者の自主的な取組により不当表示の早期是正を図るため、まさに委員の御指摘でございますけれども、そのために確約手続を導入することとしております。

 この改正につきましては、公布の日から起算して一年六か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

山田(勝)委員 一年半もかけている理由、一年半かける、この一年半の間にどういった取組をするのでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律案の成立後におきましては、下位法令ですとか、新たに導入する確約手続に関する運用基準を策定する必要があります。また、直罰の導入を含め、改正内容の周知に十分な期間を必要とするため、一年六か月という期間を設けているところでございます。

山田(勝)委員 今回の改正の大きな目玉の一つがこの確約手続で、十分な周知期間も当然必要だと思われます。これからまさに運用基準を細かいところまで策定されていくという趣旨の御答弁でありました。

 ここで重要なのが、やはりこういった、これから要件設定や運用の内容を決めていかれるということなんですけれども、効果的な確約計画を今後作成していくためには、必要事項を事前に公表する、広く第三者から意見募集を行うこともとても重要なことだと思われます。こういった第三者に対する意見を募集していく、そういった考えはございますでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 確約計画を認定するに当たりまして、事前に第三者の意見を聞く予定があるかというお尋ねだったかと思いますけれども、確約手続において、最終的な行政処分である認定が行われるまでの間といいますのは調査の一つの過程でございますので、その間に第三者の方の意見を求めるというような手続を行う、そういうことは現段階では考えておりません。

山田(勝)委員 冒頭申し上げたとおり、これはあくまで一般消費者の利益の一層の保護、守ることが目的であるはずです。であれば、その一般消費者の声を聞かなければ、本当の意味で保護できるシステムになるのかどうか。大変重要な指摘だと思っておりますので、是非検討いただきたいと思います。そして、被害防止、なるべく早く改善していくためにも、速やかな導入も併せてお願いいたします。

 それでは、確約手続の、今後決められていく点もあろうかと思いますが、運用ガイドライン、何点か留意点をお尋ねしていきます。

 前回の改正から約七年間経過し、自主返金、これは三事業所、僅か四件にとどまっています。こういった不当な表示によって被害を受けた消費者は、まず返金を望みます。しかし、現状の法律は全く機能していないという状況です。

 先ほど他の委員からも指摘はあったんですが、この確約手続には、自主返金を、原則返金すべき、そういう内容にしないと執行力が伴わないというふうに思っております。しかしながら、先ほど来の答弁だと、あくまで民間同士の争いでもあって、消費者庁がなかなか介入しづらいので、原則としての強制力を持たせるのは難しい、そういった趣旨の答弁がありました。

 ただ、そのお話を聞いていてすごく違和感を感じるのは、これはあくまで、違法性のある、課徴金の対象であるような事業者に対して自主返金を求めるのであって、そもそも民間同士の対等な関係というよりも、既に消費者被害の回復に努めなければならない義務を負っているはずです。ましてや、一般消費者、普通の国民と大企業が司法で争うことなんて、なかなか想定できません。結局は被害者救済につながらない。だからこそ、こういった場合に政治の力が必要なんだというふうに私は思います。

 そこで、大臣、お伺いしたいんですけれども、今回の確約手続の中に、あくまで違法な不当表示で被害を受けた消費者に対し、その事業者が自主返金を、原則自主返金にする、そういうガイドラインを作成いただけないでしょうか。

河野国務大臣 返金を必須とするということは、行政が裁判などの手続を経ずに民事上の法律関係を決めてしまうということになりますので、これは日本の司法制度に鑑みてあり得ないことだと思います。また、現実的に消費者と直接取引のないメーカーも対象となり得りますので、必須とすることは考えておりません。

山田(勝)委員 そういうふうに、返金への強制がどうしてもできないと。

 なかなか納得いく答弁ではないんですが、制度上できないとおっしゃるのであれば、例えば、課徴金を企業から集めていらっしゃいます。調べたところ、令和二年では十一億七千二百三十八万円もの課徴金を企業から国は徴収している。こういった課徴金を国庫に入れるのではなく、本来、この課徴金は消費者に還元されるべきものです。もしここに、原則、消費者への返金というのがガイドライン上規定できないのであれば、新たにこういった課徴金を原資にして消費者被害の補填を行うような制度をつくっていくべきではないでしょうか。

 この件に関して、参考人でも大臣でもいいですが、お答えください。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 課徴金制度につきましては、委員御指摘のように、現状はそれを国庫の方に納めていただくという仕組みになっております。

 この点につきましては、独占禁止法ですとか金融商品取引法といった課徴金制度を持っている他の制度でも同様でございますので、そことの並びもございますので、なかなか、消費者に還元する仕組みというのは難しいのかなというふうに考えております。

山田(勝)委員 残念ながら、今改正でも消費者への自主返金がなかなか進まないということがこの議論で明確になりました。

 次に、事業者名の公表についてです。

 不当表示による被害を受けた消費者への返金を進めていくには、まず、消費者が事業者の情報を知る必要があります。加えて、仮に確約手続の対象となった事業者の事業者名を公表されたとしても、それは事業者にとって制裁ではなく、元々適切な事業を目指していられるのであれば、真摯に対応する姿勢はむしろ消費者に一定評価されるとも考えます。

 そういった意味において、確約手続の場合、事業者名を公表すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 認定した場合は公表いたします。

山田(勝)委員 ありがとうございます。事業者の自主的な取組の促進を促す、消費者保護を徹底していく、こういったことに賛成でございます。

 次に、抑止力の問題についてです。

 違反事業者に対してどういう対応をしていくのか。これは抑止力の強化が大変重要な問題だというふうに思っております。

 配付資料一を御覧ください。そもそも、景品表示法の違反件数、平成二十六年の改正後も増え続けています。改正時六千五百件程度だったものが年々増加し続け、令和三年では約一万二千五百件、改正時よりも二倍も増えている。いかに現行制度のペナルティーが機能していないか。今回、改正するのであれば、相当の抑止力の強化がなければ悪質な事業者の不当表示から消費者を守ることはかないません。

 課徴金が総売上額の僅か三%に設定されている、先ほどの委員からも質問があっているので重複するので避けますが、こういった三%の設定の根拠が、先ほどの回答だと、あくまで事業者の最終利益が三・数%だからという回答だったんですが、消費者に被害を与えているような、加害者である事業者の経営になぜそこまで配慮する必要があるんでしょうか。むしろ守るべきは消費者で、こういった問題で、どんどんどんどん被害が拡大し続けることによって、多くの一般消費者、国民の皆様は泣き寝入りをしている状況です。

 違反行為に対する抑止力の強化の名目で、例えば、過去同じような問題を起こした事業者は一・五倍に加算するとか、百万円の直罰とか、そういったことも新設されていますが、原則の三%のままでは到底、先ほどお伝えしたとおり、消費者保護の観点から不十分です。

 大臣、いかがでしょうか。これは三%で消費者被害を本当に防げると思われますでしょうか。

河野国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、売上高営業利益率の比率は変わっておりませんので、このままにいたします。

山田(勝)委員 消費者を守るという観点が明らかに不足しているように感じます。

 資料二を御覧いただきたいと思います。それでは、一体、日本のこのペナルティーが海外と比較してどうなのか。これは、実際、消費者庁の景品表示法検討会でも扱われた、専門家による資料です。

 資料三と明記のところには、例えばフランス、これは一ユーロ百四十四円で計算させてもらっておりますが、いわゆるエンフォースメント、罰則を科すことということで、日本の不当表示に係るような、こういった悪質な業者に対しては二年の収監及び四千三百二十万円もの罰金が科せられています。また、罰金の額、これは直近三年間の総売上額を基に算出される平均総売上高の一〇%と設定されています。

 いかに日本が、消費者庁の制度が企業に優しくて消費者に厳しいのか、これを表しているか、そういうデータかと思いますが、これを受けても、河野大臣は全く改善する必要はないと思われていますか。

河野国務大臣 先ほどの答弁のとおりです。

山田(勝)委員 いや、本当に、そういう答弁、インターネットで、国民の皆さん、消費者の皆さん、河野大臣のこういう姿勢を是非見ていただきたいと思います。消費者の方を守ろう、そういう姿勢が全くあられない。本当にこれで大丈夫なんでしょうか。消費者庁を所管する大臣としての資質が問われているのではないでしょうか。

 いかに三%という額が問題なのか。例えば、一億円規模の売上げに対してはたった三百万円程度なんですよ。不当表示を繰り返し、こういった悪質な事業を展開し続けることで利益を上げているところ、例えば、不当表示で数千万円規模の売上げを上げている事業者にとっては、三百万とか、それが一・五倍の四百五十万になったとしても全くこたえません。これは、こういったペナルティーを強化すべきだ、消費者を保護する観点からも、日本のペナルティーが甘いということをしっかりと御指摘させていただきたいと思います。

 次に、おとり広告です。

 おとり広告は、一般消費者に誤認されるおそれがある表示として内閣総理大臣が指定していますが、課徴金の対象となっていません。また、近年ではウェブサイト広告を用いた社会的関心を集める事件もあり、指定告示に係る表示も課徴金の対象とする必要があると指摘されています。

 おとり広告などの表示で、措置命令後も違反行為を繰り返す場合には課徴金の対象とすべきではないでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のおとり広告のような指定告示事項につきましては、法律上禁止されている一般消費者に誤認される優良誤認表示などとは異なり、一般消費者に誤認されるおそれがあるにとどまる表示を内閣総理大臣が指定して禁止するものでございます。このため、現在の法制上は、優良誤認表示などと同じように課徴金納付命令の対象とすることは困難であるというふうに考えております。

 もっとも、指定告示に該当する表示を含む事案の中には、同時に優良誤認表示などにも該当する表示を含むものがあり得ますので、そのような事案に接した場合には、消費者庁としても、課徴金納付命令を含め厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 是非、課徴金の対象となるように厳しく対応していただきたいと思います。

 続いて、デジタル広告についてです。

 デジタル表示に関する消費生活相談が寄せられても、当該表示は、注文が完了した後の画面が限定的にしか表示されない場合があり、事後的に確認することが難しいという問題になっています。デジタル表示は、チラシなどのアナログ表示と異なり変更や削除が容易なため、仮に不当表示が行われたとしても事後的な検証が困難であることから、デジタル表示を行う事業者に対し当該表示の保存義務を課す必要があると各方面から指摘がなされています。

 このように、デジタル広告の削除、変更による被害が顕在化している中、全体ではないです、これも事前に、消費者庁は全体の事業者にこういった保存義務を課すのは負担があるからという理由で消極的であったので、全体という意味ではありません、あくまで悪質なデジタル広告を行っている事業者を特定し、その事業者に対し、当面の間、デジタル表示の保存を義務化したり、若しくは課徴金の対象とすべきではないでしょうか。お答えください。

河野国務大臣 景品表示法というのはあらゆる表示をカバーするものですから、その中でデジタル表示だけを取り上げて一律に義務を課すというのは、これは現在の法制上困難だと思います。

山田(勝)委員 デジタル広告による被害が顕在化している、そして、こういった法改正の審議を今まさにしているわけです。今の法律上難しいのであれば、是非、今後そういった改正も検討すべきだということを御指摘させていただきます。

 その上で、繰り返し違反行為を行う事業者に対し、先ほども質問しましたが、一・五倍の割増しした課徴金を課すことになっておりますが、これでは十分な抑止効果が働かず、消費者被害が拡大してしまう可能性があります。このような悪質な事業者に対し、業務停止命令や業務禁止命令の導入などの更なる罰則の強化が必要ではないでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、事業者の中には、表示内容について何ら根拠を有していないことを認識したまま表示を行うなど、表示と実際に乖離があることを認識しつつ、これを認容して違反行為を行うような悪質な事業者が存在することも事実でございます。今般、より強い抑止手段として、社会的制裁を与えるために、優良誤認表示などに対して直接罰する規定を導入することとしております。

 他方、特定商取引法が、訪問販売などの特定の取引を規制対象とすることから特定の取引に関する業務停止命令が行えるものであるのに対しまして、景品表示法は、全ての業種を対象に不当な顧客誘引行為の防止を目的として不当表示を規制するものでございまして、業務停止命令などの導入は、現時点では法制的にも社会的にも困難であるのではないかというふうに考えております。

稲田委員長 質疑時間が来ております。

山田(勝)委員 はい。

 消費者を守る上でも、より厳しく対応していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

稲田委員長 次に、吉田統彦さん。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、景表法改正案に対する質疑ということで、短い時間ですので早速始めさせていただきます。

 以前からお話ししているように、最近の消費者庁所管の法改正の状況を見ますと、今も質疑の中であったとおり、現在の消費者庁は、消費者の保護という観点から後退しているようにも感じるところがございます。今回の法改正が消費者庁の目的である消費者の保護に資するようなものとなるよう、しっかりと議論させていただきたいと思います。

 健康食品について、ちょっと、表示の規制等について議論したいと思います。

 まず冒頭、私が以前から質問している健康食品の表示についてということで。

 健康食品の中には、栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品などがあり、それぞれが栄養成分の機能、機能性関与成分、保健効能成分を示すことが認められています。しかし、実際のところ、健康に効くものがどれくらいあるかは非常に疑問です。例えば、カンゾウやウコンなどは一定の機能があることが知られていますが、その反面、過剰摂取すると健康を害することがございます。

 ちまたには健康食品の広告があふれていますが、テレビのCMなんて本当に高いわけですから、こういったものをこれだけ広告して売ろうとするのは、当然、業者としては売れば売るほどもうかるわけであります。したがって、価値のないものを売りつけている例も多いわけであると私は思います。また、最近は、新型コロナ予防に効果があるなどの表現がされているものもあり、あたかも医薬品であるような表現をしたものがあります。

 その一方で、例えば機能性表示食品は、国の定めるルールに基づいて、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができることになっています。科学的根拠は、医薬品と異なり、事業者が科学的根拠ありと届ければよいことになっています。また、届出のため、表示は事後的にしか審査できないなど、様々な問題があります。

 あえて申し上げますと、大臣、健康食品で効能があるなどとうたっていても実際に効能がないもの、これは毒であります。実際、サプリメントの摂取でスティーブンス・ジョンソン症候群を発症する例も報告されています。実際あった例で、妊娠中の葉酸サプリ、この添加物によってスティーブンス・ジョンソン症候群が起こったことがあります。実際に、それ以外にも例えば、ビタミンC、アスコルビン酸と安息酸ナトリウム、これを両方含有しているものがベンゼンを生じさせることも実はあるんです。つまり、不必要な健康食品というのは絶対摂取しない方がいいわけであります。

 そうすると、これは正しい表示が大変重要になってくるということになります。消費者庁は、今回改正される景表法や、健康増進法は厚生労働省ですけれども、どんな規制がなされるのか、どのような規制ができるのかを、大臣、お答えいただけますか。

河野国務大臣 健康食品の広告に関して、合理的な根拠を有することなく一定の効能、効果を表示する場合、優良誤認表示として景品表示法に違反することになります。

 健康食品の広告に関する景品表示法の実際の執行状況につきましては、過去三年度において、合計十七件、表示の是正、一般消費者への誤認排除、再発防止策、将来不作為を命じる措置命令を行うとともに、十一件に対し合計四億四千三十万円の課徴金納付命令を行いました。過去の最高額は二億四千九百八十八万円、酵素ダイエット食品を販売している会社に対するものであります。

 健康食品の広告に関して、優良誤認表示に該当し得る具体的な表示に接した場合には、景品表示法に基づき厳正に対処してまいりたいと思います。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございました。三番目にする質問もまとめてお答えいただきまして、大丈夫です、非常によく分かりました。

 では、大臣、大変にしっかりとした御対応をしていただいている、数字上はそういうふうに見えるんですが、あまたあるわけですよね。数が、母数がすごく多い中で、そのやっていただいているものは今かなり大臣がしっかりと御答弁いただいたとおりなんですが、これもちゃんと通告してありますが、ネット広告が多くなっていますね、大臣、昔より圧倒的に。そういった中で、不当な表示を監視するパトロールが重要ですが、なかなかこれは大変なんですよね、大臣。重要なことですけれども、それを行っていくことが消費者庁として大変だと思うんですよ。

 消費者庁として、どのように実際この不当表示に対するパトロールを行っているのかということをお答えいただけますか。

河野国務大臣 おっしゃるように、テレビ、新聞に加えてインターネットなどの広告媒体で健康食品の不当表示に該当し得るものというのが出てきております。

 景品表示法及び健康増進法の観点から、ロボット型の全文検索システムを活用したインターネット表示の常時監視及びその結果に基づく指導というものを継続的に実施をしてきているところでございます。おっしゃるように、インターネットへ広告が移りつつある中で、文字については、こういうロボットを使った全文監視をやっております。

 そのほかに、動画型というのもございますので、こういうものについて今後どうしていくか。一番考え得るのは、ちょっと先かもしれませんが、やはりAIを使った監視ということになるのかなというふうに個人的には思っているところでございます。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、大臣今おっしゃっていただいたように、大臣も常々おっしゃるんですけれども、消費者庁もやはり人的ソースが限界がある中で、やはり相当こういったAIを含めた先進的な取組をしていかないと取組は難しいんじゃないか。大臣おっしゃるとおり、是非大臣、ちょっと頑張ってやっていただければ。大臣はデジタルもお詳しい大臣ですから、やっていただきたい。

 それでは、ほぼ同様の視点なんですけれども、これはどうしても、厚生労働省とのはざま、ボーダーラインにある部分なんですよね。山本審議官、今日来ていただいて、以前、薬機法を作るとき、大変に御指導いただいたのをよく覚えております。大改正をしましたので大変だったんですけれども。

 では、様々な効能や機能の表示について、効能があるとされている健康食品の摂取は、消費者の認識の中では医薬品類似のものを摂取しているという感覚なんだと思います。これは偽らざる思いだと思います、消費者の。実際、今まで見てきた例でも、がんが治るとか高血圧に効くとか血糖値を改善するとか書いてあって、これを見ると、どう見てもこれは医薬品と変わらない効能ですよね、どう考えても。

 これは、健康食品の概念がかなり曖昧だという部分もやはり問題なんですが、本来医薬品として承認を受けなければならないものを承認を受けずに販売している薬機法違反事案である場合も多々あるわけであります。厚生労働省は当然規制に動くべきだと私は考えます。しかし、私が見ているところ、健康食品にまで厚生労働省の手が回っていない印象を受けます。こちらも予算をつけてパトロールとかをしていただいているというのは、従前、当時の宮本局長からも御説明を受けています、国会でも。

 しかし、ここで確認したいんですが、厚生労働省としては、このような医薬品まがいの効能を表示する健康食品、薬、薬剤とのボーダーライン上にある健康食品について、何を規制できて、また現実的に厚生労働省がどのような規制をしているのかということを、ちょっとしっかりと、この際、御答弁いただけますか。審議官、どうぞ。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる健康食品の中には、先生御指摘のように、その表示等から消費者に病気の予防や治療に効果があると誤認させるような製品がございまして、そのような製品は未承認の医薬品に該当するおそれがあると考えております。

 消費者がこれらの製品を用いることにより適切な治療を受ける機会を逸する可能性もあることから、医薬品医療機器等法では、こうした未承認の医薬品に当たる製品の広告、販売等を禁止しており、監視指導、取締りの対象としております。具体的に、令和三年度の違反発見件数などを見ますと、承認ない状態ということで七十四件、未承認医薬品等の広告が二百四十件ほど出ております。

 引き続き、消費者庁とも連携し、先生御指摘のようなネットパトロールも含め、健康食品の販売業者等への監視指導、取締りを徹底してまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 では、審議官、今のお答えでもう一個だけちょっと確認しますが、今、消費者庁との連携ということをくしくもおっしゃった。そこをどういう連携をするのかということを問おうと思ったんですが、これは消費者庁との連携と簡単におっしゃるんですけれども、どういった連携をするかは非常に大事なところなんですね。連携といってもいろいろあるわけです。

 ここを具体的に、何か今後の連携で考えていることがあれば御開陳いただきたいんですが、いかがですか。

山本政府参考人 常々、消費者庁と厚生労働省の方の担当部局で連携させていただいておりますし、また、薬機法におきましては、実際の監視指導を行いますのが、地方自治体なども主力となって取り組んでおります。そうしたところ全体を、うまく情報共有などをして、業者あるいはネット上の広告の状況など、しっかり対峙して取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 ちょっと審議官にしては頼りない御答弁だったので、またちょっと後日教えてください。

 では、また消費者庁に確認をしますが、こういった健康食品を規制するためにも、今も山本審議官もおっしゃっていただいたパトロールをしっかり行って、都度都度しっかりやはり対応、大臣も個々のことはしっかりと対応していかれていらっしゃるようですが、それしかないんです。

 ただ、これは総務省の所管にも若干関わってくるかもしれないんですけれども、大臣、結局、テレビ広告とか新聞だとかネット広告などの広告を掲載するメディアやデジタルプラットフォーム、そういったところの責任というのも重要なんだと思います。

 実際、最近は減ってはいないですね、新聞の下のところの広告ですよね、ああいったところに、がんに効くとかがんが治るとか、医学博士とかが出てきて、私も医学博士ですけれども、医学博士がみんな相当な知見を持っているわけでも全然なくて、怪しい医学博士も正直結構いるんですよ、これは実際に申し上げると。ただ、やはり、一級紙の新聞の、普通の全国紙の下に、医学博士何ちゃらかんちゃらと書いて、これはがんに効くとか高血圧に効くとか血液がさらさらになるとか書いてあると、それを信用しちゃうんですよ、本当に。

 テレビもまたそうですよね。何か、個人の感想ですとか全員に効能があるわけではありませんとか、あれは免罪符にならないということは消費者庁ははっきりとおっしゃってくださっていますが、メディアとしてテレビは消費者から見ると結構信頼性が高いんですよね、まだ。

 そういった中で、ここをやはり、幾らお金を払ってくれるからって、有象無象のおかしなものを載せるということは、これはある意味、さっき言ったように、サプリメントでスティーブンス・ジョンソン症候群を起こして取り返しのつかない障害を負う方もいらっしゃるわけですから、一定程度、本当に責任を相当持っていただかないといけないわけですよ。

 だから、そこを消費者庁としては、何らかの規制やルール作り、そういったものはやはりどうしても必要だと私は思うんですが、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 健康食品に関して申しますと、健康増進法は、広告主を規制対象とする景品表示法とは異なりまして、何人も虚偽、誇大表示をしてはならないと定めております。

 表現の自由という観点がございますから、まずは、おっしゃいましたように、新聞社などの自主的な取組というのが大事ではありますけれども、今話がありましたように、医者に行かなくてもこの健康食品でがんが治るみたいな、広告の内容が明らかに虚偽、誇大であるというものが容易に分かるようなそういう場合には、新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体など、広告媒体もこの健康増進法の規制の対象となります。現に、民放連に対して、行政指導ではありますが、要請をしたという実績もございますので、健康食品の不当表示については、こうした所管法令を積極的かつ厳正に適用していきたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、私が知る限り、知る限りというか、やはりスティーブンス・ジョンソンやアナフィラキシーというのは生命に関わる状況でして、これは量が多いとか、大臣も御存じだと思いますけれども、関係ないんですよね。たまたま不幸なことに、ちょっとした量でも起こってしまうことがあったりするわけでありまして。今大臣、かなり詳細な御答弁をいただきましたし、関心もお持ちいただいているのかなと思ったので、少し安心をしたところなんですが。

 やはり積極的にそこに踏み込んで、正直な話、サプリメントを飲んで、アミラーゼとかでほとんど消化されて分解されるので、それが膝や腰に行くというのは、なかなか科学的には、大臣、ないと思うんですよね。しかしながら、テレビとかでそういうのが出ると信用しちゃう方も一定程度いるんですよね。私は、そういうのを聞くと、なかなか言いづらいですけれどもね、本人が信じて飲んでいるときは。科学的な根拠は乏しいという言い方をせざるを得ないんですけれども。やはりそういうところはしっかりと、今の御答弁、ちょっと期待をしますので、是非お願いをいたします。

 それでは、ちょっと時間がなくなってきちゃったので、残り、直罰規定のところだけ大臣に確認をさせてください。

 今回の法改正第四十八条で、優良誤認表示及び有利誤認表示に関し、表示と実際に乖離があることを認識しつつ、これを認容して違反を行うような悪質な者に対して百万円以下の罰金を科すこととし、さらに、第四十九条では、この罰則に加え、優良誤認表示及び有利誤認表示を行った事業者に対しても百万円以下の罰金を科することとした両罰規定を置きました。

 そこで、なぜこのような規定を新設したのか、導入の理由と目的を簡潔にお答えください。

河野国務大臣 景品表示法は一般消費者の商品選択を守る法律であることから、現行法上、不当表示を行った事業者に対しては、まず行政処分としての措置命令が行われ、さらに、この措置命令に違反した場合の罰則はあるものの、不当表示を行ったことを直接罰する規定はございません。

 しかしながら、景品表示法違反に係る端緒件数を見ると、端緒件数は年々増加傾向にあり、さらに、事業者の中には、表示内容について何ら根拠を有していないことを認識したまま表示を行うなど、表示と実際に乖離があることを認識しながらこれを許容して違反行為を行うような悪質な事業者が存在するというのも事実でございます。端緒件数に関して申し上げれば、平成二十六年度六千四百八十七件が令和三年度には一万二千五百七十件、倍近く増えている。

 そういう中で、こうした事業者にとって行政処分による抑止力だけでは不十分と考えられることから、より強い抑止手段として、社会的制裁を与えるために、優良誤認表示及び有利誤認表示を行った者を直接罰する規定及び両罰規定を導入することとしたわけでございます。

吉田(統)委員 もう時間がなくなってまいりましたが、直罰規定とも関係が大きいんですが、大臣、現状で、警察が介入すると考えられるような悪質な事案はどれくらいあると御認識なんでしょうか。

河野国務大臣 現状に関して、なかなか一概に申し上げられるようなデータがございません。警察がどれぐらいの事案で介入するかというのを、これはなかなか一概に申し上げるのは困難でございます。

 今回の改正で直罰規定を設けていただいておりますので、よっぽど悪質なものについてはこれが適用されることになると思いますが、そこは、消費者庁というよりは警察当局、刑事当局、裁判所の判断ということになりますので、消費者庁としてはその辺りの状況をしっかり注視していきたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 もう時間が来そうですので、最後になりますが。

 確認ですが、本改正案では、前述のとおり、直罰規定を導入して、両罰規定を置いて罰金を科すことにしています。一方、景品表示法における現行の罰則規定だと、行政処分に違反した場合の例で、措置命令に従わない者に三百万円以下の罰金、事業者に三億円以下の罰金を科すこととして、同様に両罰規定を設けていますね。

 このような両者の処罰規定の違いに関連して、本改正案の直罰規定における事業者へ科する罰金額の妥当性について、違反行為に対する抑止力の強化の必要性を見ると、これは大臣、どのようにお考えになられていますか。これで終わりたいと思います。

稲田委員長 質疑時間が来ております。

河野国務大臣 はい。

 同様の直罰規定があります特定商取引法においても百万円の罰金ということでございますから、我が国の刑事罰体系においては妥当なものかなというふうに思っております。

 三百万円以下の罰金、法人の場合には三億円以下の罰金というのは、これは行政処分の実効性確保ということで設けられているものでございますので、不当表示という犯罪に対しての罰則を科す今回の直罰とは趣旨、目的が異なっておりますので、ここは違ってもいいのかなと思っております。

吉田(統)委員 終わります。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、池畑浩太朗さん。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 今回は、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 ここに至るまで、今、大臣また政府参考人からの質疑を聞いておりまして、十分、質問が重なっているということもあります。しかし、見られている方も違うというふうに思いますし、各党によって見られている角度も違ってくると思います。思い切りかぶりながら質問させていただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、一九六二年、高度成長期の頃に制定された法律であるということは理解をさせていただいております。まだ私は生まれておりませんが、一九六〇年、いわゆる偽牛缶、牛の缶詰を契機に、消費者保護という考え方が意識をされ始めたというふうに認識をさせていただいております。当時の消費者団体の方々が、厚生労働省や公取に問題意識を持って回ったらしいです。そのときにも、なかなか、こういう消費者の立場で何かを考えるといった法律もなかったということで、かなり対応が難しかったということでございました。

 その中で、景品表示法、先ほどからたくさん質問が出ておりますけれども、特に、いろいろな面で角度を変えようと思ったんですが、角度は変えようがありませんので、少しまとめて質問を三点させていただきたいと思います。

 例えば、先ほど来ありますが、アフィリエイトの広告の一部において虚偽の広告、不当表示をかなり行っているという経緯だとか、ステルスマーケティング、インフルエンサー広告について、コンプライアンスの強化について政府はどのように取り組んでおられるかということと、また、電子商取引が盛んになっている昨今でございますので、デジタル社会の進展に伴って、どのような対策を取ろうとしておられるか。

 そして、私が、注意をしていかなきゃいけない、また、一番最初に自民党の先生からも質問がありましたけれども、子供たちがいかに、どういう場面でそういうデジタル的なものにひっかかってしまうかというのは心配なことでありますが、特に、消費者の意識を含めて、若者をターゲットにした、もうけ話とかをかたった被害などが増えている。

 政府は、単身世帯ゆえに誰にも相談できない環境に置かれている、先ほどから申し上げております若者に対して、また高齢者に対して、どのように注意喚起を行っているのか、お聞きをさせていただきたいと思います。

 その中で、資料まで用意されて、立憲の委員の方、ありましたけれども、EUでは既に多く取り組んでおられます。その中で、子供向けの広告をいかに規制するかということは、まだ我が国ではなかなかできていないというふうに認識をしておりますが、その辺も含めて、三点、政府参考人から、また大臣からありましたら、よろしくお願いいたしたいと思います。

    〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕

河野国務大臣 近年増加しておりますデジタル広告の中には、外形上、作成者が分からない、広告か個人の感想か分からないといった特徴のものがございます。従来の表示に比べて、デジタルの表示は虚偽、誇大広告を生じやすい特性があると思っていいと思います。消費者庁といたしましては、このような特徴を持ちますアフィリエイト広告あるいはステルスマーケティングに対して、必要な制度整備を急ぎたいと思っております。

 具体的には、アフィリエイト広告につきましては、昨年六月に、景品表示法第二十六条に基づく告示の一部改正をいたしました。広告主が不当表示を未然に防止するために管理をしなければいけない表示の中にアフィリエイト広告が含まれることを明確化いたしました。

 また、ステルスマーケティングにつきましては、今年三月末に、景品表示法に基づく告示により不当表示として指定をし、本年十月一日からこれを施行したいというふうに思っております。

 また、景品表示法、これは、商品、サービスの取引に関連する不当な顧客誘引を防止する法律で、あらゆる商品、サービスについて、一般消費者を誤認させる不当表示を禁止いたします。高齢者向きの広告だろうが若者向けの広告であろうが、この法律の不当表示に該当すれば適用対象となるわけでございます。

 今回の改正法が成立した暁には、改正法の内容はもちろん、景品表示法の規制内容を含め、事業者のみならず、広く若年層から高齢層を含めた国民階層に周知を図っていかなければならないと思っておりますが、特に、ネットに触れる機会の多い若者、中高生、小学生も入るのかもしれませんが、そこの分野と、なかなかデジタルに慣れない御高齢の方のところ、ここが特に気をつけなければいけないというふうに思っております。

 それから、海外で子供向けの広告の規制がございますが、その理由は様々だと思いますけれども、我が国の景品表示法は、あらゆる商品、サービスについて一般消費者を誤認させる不当表示を禁止するものでありますので、特定の消費者向けの広告を規制することは法目的との関係から困難なのかなと思っておりますが、子供を含め一般消費者を誤認させる不当表示に該当し得る事案については、厳正に対処していきたいというふうに思っております。

池畑委員 大臣、丁寧にありがとうございました。

 本当に、各委員から、今、皆様はよくお聞きをされているというふうに思います。

 注意喚起のやり方も多くあると思います。大臣も、先ほどツイッターの件もありましたけれども、いかにこれを見ていただきながら、いかに注意をしてもらうかということを常にやり続けなきゃいけないというふうに私自身も思っておりまして。

 是非、今、海外の取組でいいものは取り入れながら、しかし、厳重に注意しながらも、商売でやられている方の邪魔にならない、これも大切なことだというふうに思いますので、それも含めながら、いろいろなやり方もあると思いますし、大臣が今答弁いただきましたように、御高齢向けだろうが若者向けだろうが、どこまでが若者か分かりませんけれども、しっかり注意喚起をしていただくように要望させていただきたいと思います。

 確約手続の導入について、これもたくさん質問がございましたけれども、是非もう一回答弁いただきたいと思いますが、自主的な改善計画を提出して、それを消費者庁が認めた場合に、措置命令、課徴金納付等の行政処分が行われない確約手続がこれから導入されます。

 その中で、措置命令を受けるリスクがあり、ありがたい制度という意見がある一方で、社名を公表された上に、当然ですけれども返金による金銭的な負担を負うことになる、事実上制裁を受けているので、利用のインセンティブがないという声もあります。

 さらに、独禁法の確約手続でカルテル等は対象外で、比較的軽微な行為が対象になっております。対象行為の線引きに行政の裁量が入ることになる、これも先ほど議論になっておりましたけれども、運用に対する懸念があるという声もあります。

 これらの意見に対して、政府はどのように見解を持っておられるのか、改めて答弁をいただきたいと思います。

    〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の確約手続でございますけれども、これは、事業者の自主的な取組の促進を通じまして、違反被疑行為を早期かつ確実に是正させることを目的とするものでございまして、事業者にとりましては、違反行為を認定されない上、措置命令や課徴金納付命令という行政処分が行われないことになりますので、事業者においても確約手続を利用するインセンティブはあるものというふうに考えております。

 また、確約手続の対象や認定要件は法律で定められておりますけれども、さらに、確約手続に係る法運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保する観点から、どのような事案が確約手続の対象となるのか、認定をした場合に公表するのかどうかなどについて、法案成立後、ガイドラインにおいて明確化していきたいというふうに考えているところでございます。

池畑委員 それで、本年一月十三日に取りまとめられました景品表示法の検討会の報告書においてもそういったことも含めてありましたが、課徴金制度の一環として導入された返金措置についても質問させていただきたいと思います。

 これも山田委員からもありましたけれども、利用件数が四件と低迷しております。事業者の利用が促進されるよう、返金措置の仕組みを改善する必要があるというふうに考えておりますけれども、「返金措置において電子マネー等の金銭以外の支払手段による返金も可能とすべき」と記載があります。

 支払いの手段に関しては、電子マネー等の活用について政府の見解をお伺いさせていただいておりますけれども、改めて政府の見解もお伺いさせていただきたいと思います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これまでの課徴金制度における返金措置の利用件数は四件でございまして、利用がそれほど活発ではない状況にあるという状況でございます。

 その理由につきましては、先ほどの質疑の中でもございましたけれども、消費者庁が行ったアンケート調査におきまして、返金措置を使わないと思うといったような回答をした者のうち約二割が、その理由として、現金の交付又は銀行振り込みしか認められておらず面倒だからというような回答をしております。こうしたことから、法律上認められている手段が金銭の交付に限定されている現行法では、手続のハードルの高さが一つの原因になっていると考えられるところでございます。

 そのため、今回の改正法案では、返金手段として電子マネー等の交付も許容することで、事業者の方のインセンティブを高めることとしたところでございます。

 新たに許容される返金手段は、いわゆる電子マネー等の金額表示の第三者型前払い式支払い手段のうち、金銭と同様に通常使用することができるものとして内閣府令で定める基準に適合するものでございますけれども、具体的には、世の中で広く普及しております交通系電子マネーですとか、全国的に汎用的に利用できるギフトカード、こういったものを想定しているところでございます。

池畑委員 その答弁をいただきまして、国際化の取組についても併せて質問させていただきたいと思います。

 電子商取引の説明も今いただきましたし、主に電子マネーの活用についてもお話をいただきました。

 国際的な取引は、当然盛んに行われるようになりました。今回は、この法律案の改正案に関しまして、外国事業者も対象になるというふうに理解をしておりますが、検討会の報告書には、課徴金納付命令の公示送達等の送達規定と同様な規定を措置命令についても整備すべきとしてありました。また、外国当局への情報提供に係る規定も整備すべきとありました。

 政府は、今いろいろ答弁をいただきましたけれども、国際化への対応について、政府としてどのように取り組んでおられるのか、質問させていただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 国際化の進展に伴いまして、日本の国内に支店や代理人等を置かない在外事業者による日本の一般消費者向けの不当表示が増加し得ると考えております。

 このため、今回の改正におきましては、まず、不当表示に対する措置命令につきまして、直接手渡しするのではなく、書類送達制度を導入することにいたしまして、これにより、領事を通じた送達、また公示送達といった手法を使いまして、在外の事業者への行政処分の円滑な実施を可能としたいと考えております。

 また、外国の執行当局から外国に存在する事業者についての情報共有また調査支援等の協力を得るためには、相互主義の確保の観点から、消費者庁から外国の執行当局に対しても同様の協力をできる制度的基盤を構築するといったことで、外国執行当局に対する情報提供制度を創設することとしております。

 本法案が成立した暁には、国際事案が生じた場合にはこれらの規定を活用して厳正に対処してまいりたいと考えております。

池畑委員 国内は、しっかりと、いろいろな注意喚起も必要だと思いますし、海外に対しては、商売の邪魔をしないまでも、きっちりと、こういうふうに、送達の速さだとか、いろいろな意識を持って消費者庁は取り組んでいるんだということ自身も是非広報していただきたい、こういうことも取り組んでいるんだということを、是非分かりやすく広報していただきたいと思います。それが一番の注意喚起だというふうに思っております。

 今後とも、一緒にやれることはやっていきたいと思いますし、今大臣からもるる答弁をいただきましたように、いかに注意喚起をすることが大事なのかということを最後まとめさせて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

稲田委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会の、埼玉の沢田良です。

 本日は、景品表示法改正に関する質疑ということで、消費の在り方が複雑化、多様化する中で、どのように消費者を守っていくか、また、いかにして消費者自身の防御力を向上させていくかといった観点から質問させていただければと思います。

 稲田特別委員長始め理事、委員の皆様、委員部の皆様、河野大臣始め消費者庁の皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、景品表示法改正について質疑に入らせていただきます。

 令和三年版の消費者白書によりますと、デジタルコンテンツに関する相談は若者でも高齢者でも相談件数の上位に入り、インターネット通販に関する相談やSNSに関連した相談も増加傾向にあることが報告されています。例えば、ネットショッピングでは、商品の実物を手に取ることができませんので、商品に関する表示の重要性がほかの取引より高いことは言うまでもありません。

 スマートフォンの普及が一般的となり、民間の取引がどんどんデジタル化されていく中で、デジタルの進化といった喜ばしい技術革新と表裏一体で、消費者を守るために、消費者庁の役割が相当数に大きくなっているというふうに感じております。今の消費者庁の四百人の職員数という規模感では、私は、アリと象で戦っていくようなものかなというふうに感じている部分もありまして、本当にこのままの形でよいのだろうかという問題意識を持っております。

 一番最初に、河野大臣はデジタル庁の大臣も兼任をしておられますが、私は、河野大臣の在任中に消費者庁が最もデジタル化に対応した省庁になることがまさに一つの答えだというふうに考えている一国民でありますが、デジタル化の波の中で、河野大臣だからこそ見えている景色であったり、また問題など、省庁におけることも含めて、あったら、ちょっと教えていただくことはできませんか。

河野国務大臣 広告業界も、新聞、テレビからインターネットに随分シフトしてきているようでございますので、デジタルの広告というものがこれからますます重要になってくるんだと思います。量ももちろん増えてきますし、いつでもどこでもスマホで見られる、若者からお年寄りまでみんな見られるということを考えると、質も大分違ってくるんだろうというふうに思います。アリと象というお話がありましたが、実際やってみると、そういう感じはございます。

 先ほど申し上げましたように、サイトの全文検索みたいなものを、もうこれは人間ではとてもできませんので、ロボットでやるというようなことはやっておりますが、動画になりますとなかなかそれも大変でございまして、人工知能を使っていくということを真剣に考えていかなければいけない時代にはなってきているのかなというふうに思っております。

 そういう中で、相談をいただいて、それに対していかにしっかり対応できるかというところが大事だと思いますし、また、若い方に関しては、何かあったらすぐ、一八八(いやや)でも結構ですし、とにかく相談しやすい、敷居を下げなきゃいけないのかなと思っております。

 これはまた、過去にもございましたけれども、人間が受けるより、例えば、LINEみたいなものでチャットボットみたいなものにすると、相談件数が一気に増えた。例えば、アダルト関係のにひっかかっちゃって、さあ、どうしよう。なかなか人間には相談しづらいけれども、ロボットだったら、こうなっちゃったんだけれどもというと、それは心配しないでこうしてくださいという対応ができるとか。いろいろな、やはり技術には技術で対抗していかなければいけないのかなと。

 おっしゃるように、ここの分野は少し、消費者庁とデジタル庁で連携ができる部分は連携も考えていかなければいけないかなというふうに思っております。

沢田委員 大臣、御丁寧にありがとうございました。

 私ごとですけれども、私も若い頃に、サイトでアダルトのが出たら、いきなりお金を払えというのが来て、まさか警察には相談に行かれず、父親に渋々、こんなことになってしまったという相談をして、ちょっと、黙っていろという形になったことがあるんですけれども。確かに、チャットとかですと、やはりちょっと言いづらいこととかが相談しやすいという部分もありますので、まさに妙を得たりというか、今日お話を聞かせていただいて納得いたしました。

 是非、大臣の実行力があるうちに、方向性というか、やはりデジタルをどんどん取り入れる方向でお願いを申し上げます。

 続きまして、返金措置における電子マネーの活用についてお伺いいたします。

 課徴金制度における返金措置は、よりスピーディーに不当表示による消費者の被害を回復する観点から導入されましたが、まだ、この制度が導入された件数はたったの四件にとどまっていると伺っております。この状況を改善するためにも、今回の改正では、被害を受けた当事者が承諾した場合には、いわゆる電子マネーでの返金が可能となりました。

 この詳細について内閣府令で定めるということになっておりますが、検討会での議論の内容を含めて、私、結構これは踏み込んで取り組んでいただいて、かなり前に進んだ話だなというふうに感じているので、消費者庁より御説明をお願いいたします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 課徴金制度における返金措置につきましては、景品表示法検討会におきまして、これまでの利用件数が四件にとどまっていて、活発に利用されているとは言い難い状況にあって、事業者の利用が促進されるような返金措置の仕組みの改善の必要があるというふうにした上で、近年、電子マネー等が広く浸透している、それと、あと、返金に要する時間、コストを抑えられるため、電子マネー等の金銭以外の支払い手段による返金も可能とすべきであるというふうに提言をされております。

 このような提言を踏まえまして、あと、我々、法律案について立案する過程で、いろいろ、先ほど来から質疑に出ておりますアンケート調査なども行いまして、その結果も踏まえまして、本改正法案においては、課徴金制度における返金措置に関して、電子マネー等による返金も可能としたということでございます。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 新しいやり方をすると、どうしても批判や、いろいろな物事がつきものだと思うんですけれども、やはりキャッシュレス決済の比率が三六%に経産省の発表では上っており、デジタル給与支払いというのも、ちょっと一週間ぐらい前にいろいろ報道も出たと思うんですけれども、こういう審査が始まるなど、キャッシュレス自体、こうやって前に進めていくことは私はすごい大事だと思っていますので、是非、いろいろな声があると思うんですけれども、前に進めていっていただければと思います。

 続きまして、景品表示法改正後の対応について伺います。

 消費に関わる在り方の複雑性が増す中、対応も複雑化しており、対応件数も増えております。先ほど大臣もいろいろ御答弁いただいたんですけれども、民間では最先端の技術とイノベーションで戦っており、携帯会社の電話対応は、私も最近かけると、ほぼもうデジタルというか、人がいないのに私の名前まで言ってくれるような、そういう自動音声で対応しており、正直、オペレーターにつなげる方が技術が要るんじゃないかというぐらい、すごくうまくできているなと。

 また、アマゾンやメルカリのように、消費者自身にレビューを書かせたり、自己責任に対するサポートのアイデア、こういったものを渡したり、先ほどの話にちょっとつながるんですけれども、ユーチューブのように動画だった場合には、AIによる判定、こういう技術を高めたり、そういった工夫をしております。

 ただ、先ほどもお伝えしましたが、消費者の側を守る消費者庁の予算がこの規模で本当にこれは戦っていけるんだろうかということが、私自身、やはり何度も問題意識を持っておりまして、四百人いるうちの七十人の方が景品表示の対策に当たられているということで、私もいろいろレクを受けるんですけれども、本当に優秀な方がいっぱいいるんですけれども、そういった方が七十人もポストを使わなきゃいけないということが、今回の法改正の先にある抜本的な改正であったり予算増額にやはりつなげていかなきゃいけないのかなというふうに感じております。

 そこで、大臣にお伺いしますが、景品表示法の改正後に、民間の最先端のレベルでのデジタル技術等も積極的に活用していく、また人員体制の見直しをしていく、また予算の拡大とか、そういったところでのお考え、あったら教えてください。

河野国務大臣 今委員がおっしゃったことをみんなやります、こう言えればいいんですが、IT企業が、売上げに直結するから、そこへの投資は本当に惜しまずにやるわけですよね。ところが、消費者庁の場合は、これは政府の税金を財源とする予算でやっているものですから、民間と同レベルをと言われても、なかなか予算が正直追いつかないというふうになるわけですが、余り泣き言ばかり言ってもいけませんので、限られたリソースではありますが、そこはきっちりやっていきたい。

 本当に悪質なものについては消費者庁がきっちり把握して、やるぞという姿勢を見せていくことが大事だと思いますし、様々、業界団体を始めいろいろなところと連携をして、消費者庁だけでは足らないところを、いろいろなお力をおかりしてやってまいりたいというふうに考えております。

沢田委員 本当に日進月歩なジャンルですので、どうしても後追いになってしまうこともしようがないですし、動きの中でやれることも限られてくると思うんですけれども、何度も申し上げますが、河野大臣だからできるデジタル庁との連携を含めて、消費者庁の新しい挑戦になると私は感じておりますので、是非頑張っていただければと思います。

 続きまして、先日も質問させていただきましたステルスマーケティングについて、追加で幾つか質問させていただければと思います。

 広告であることを隠してインフルエンサーなどに宣伝の投稿をさせるステルスマーケティングですが、今回、サンプリング、ギフティングといった手法も問題になっていることを私初めて知りました。

 これは、商品のサンプル又は商品そのものをインフルエンサーに渡すことで、商品をもらったインフルエンサーが口コミなどを投稿してくれることを期待するということで、やはり、インターネットを調べると、もう今回の消費者庁の対策について、更にそのやり方を指南するといった広告の業者が、インフルエンサーの皆様へという形でいろいろと、ギフティング、これはいいけれどもこれは駄目みたいな感じで載っけている部分がございましたので、すごいちゃんと対応しているなというふうに思ったんですけれども。

 そこで、無償で商品提供をして無償で商品レビューしていただくのはオーケー、ただ、無償で商品提供をして視聴回数などで成功報酬を払ったりなど、有償であればNGというような感じで、一つ何か基準が、解説というふうになっていたんですね。ただ、無償で商品提供をして無償でレビューしてもらうのは人気がないようで、一〇%くらいの人しかインフルエンサーの方も引き受けてくださらないということも載っていました。

 ここで、二つ個人的に感じたこととして、一つ目が、商品提供をするものが過度に高価なものであったり、又は話題性といった意味で付加価値の高いものである場合に、有償と捉えられる状況が起こるのではないかということ。もう一つが、大手企業から、ギフティングであれば、よい口コミを書けばまた今後仕事をもらえるかもというような思い、忖度が生まれて、正当なレビューにならない可能性もあるのではということを、二つ感じました。

 そこで、高額商品や話題性の高い商品のギフティング、また大手企業からのギフティングなどは、告示の対象になるのでしょうか。また、状況も教えていただければと思います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、景品表示法の規定に基づきまして指定を行いましたいわゆるステルスマーケティング告示の対象としまして、事業者の表示となるかどうかという判断における基準でございますけれども、広告主である事業者がインフルエンサーの投稿内容、つまり表示内容の決定に関与したと言えるか否かという点でございまして、広告主がインフルエンサーに対して無償で商品、サービスを提供するか、有償で提供するかという点ではございません。まずこの点を申し上げたいと思います。

 御指摘のあったように、高額な商品ですとか話題性のある商品、こういったものを無償で提供した場合は、それと同時に広告主が表示内容の決定に関与しているのであれば、これは今回の告示の対象となってまいります。ただ、告示の対象になるんですけれども、広告であるということを明示していただければ、これは景品表示法上、問題になってこないということでございます。

 また、あと、お尋ねのありました、大企業がインフルエンサーに対して経済上の利益をもたらすようなことを言外から感じさせたり言動から推認させたりするなどの結果として、広告主がインフルエンサーの表示内容の決定に関与しているというような場合があれば、これも、表示内容の決定に関与しているわけですから、今回の告示の対象になってまいります。ただ、この場合にも、広告であるということが分かるようにしていただければ、告示上は問題ないということになってまいります。

沢田委員 ありがとうございます。

 ちなみに、この前ちょっとレクをさせてもらいましたら、事業者に対する周知活動の取組などについていろいろちょっと教えていただきまして、簡単に御紹介していただければと思います。お願いします。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたステルスマーケティング規制の実効性を高めるためには、広告主である事業者自身が告示や運用基準の内容を把握して不当表示を生じさせないようにすることが重要でありまして、消費者庁としては、事業者に対する説明会を行うなどの普及啓発活動に注力しているところでございます。実際に、事業者団体などの方から説明会実施の依頼ですとか要望が接到しているところでございまして、既に複数の事業者団体に対して説明会を実施しておりまして、今後も実施していく予定でおります。

 また、説明会だけではなくて、より様々な事業者に向けて告示や運用基準の内容を説明するパンフレットの作成も進めておりまして、引き続き、事業者に告示の内容を理解してもらえるよう、丁寧な周知活動を行ってまいりたいというふうに考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が短くなってきましたので、次のメタバースの方は、ちょっと、通告していたんですけれども、飛ばさせていただきます。申し訳ございません。

 続きまして、消費者教育に関する質問に移らせていただきます。

 先日も質問させていただいたんですけれども、消費者教育は、被害の未然防止に向けても早急な対応が必要だと考えております。先般改訂されました学習指導要領の中でも、消費者教育の項目が拡充され、消費者自身が自分の身を守ることができるよう、まずは学校教育の中で教えていくという方向は、文科省とも連携の取れた、すばらしい取組だというふうに感じております。

 一方、既に学校を卒業してしまった消費者もかなりの割合で当然いらっしゃいます。よって、幅広い世代に遡及する消費者教育もまた重要となりますが、消費者教育推進会議の下に昨年設置されたのが「消費者力」育成・強化ワーキングチームです。こちらでは、より幅広い世代に向けた新たな教材を開発していると伺っておりますが、どのような議論が進んでいるのか、教えてください。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の教材につきましては、霊感商法等の悪質商法への対策検討会において、消費者被害の未然防止のための消費者教育の取組強化が必要であるという旨の指摘がされたことを踏まえまして、被害防止に必要な実践的な消費者力を育成、強化することが必要であると考えて、委員御指摘のワーキングチームの中で議論を進めているものでございます。

 消費者力につきましては、怪しい、おかしいと気づく力、断る力、相談する力、それから周囲に働きかける力がその構成要素に含まれるのではないかといったような議論がされているところでございますし、また、具体的な教材の内容につきましては、世代ごとに巻き込まれやすいトラブルに特徴があるということで、それを踏まえたトピックを用意をして、消費者が見たいと思うような、徹底したユーザー視点に立った構成を検討すべきではないか、あるいは、関心のない人も巻き込んで、自分事化できるような動画教材等を検討すべきではないかといったような意見が議論の中で出されてきているところでございます。

 今年の夏目途に議論を取りまとめて、年度内の教材完成を目指すこととしておりますけれども、多くの消費者に活用いただけるコンテンツとなるように努めてまいりたいと考えております。

沢田委員 是非、面白いコンテンツを作っていただければと思います。

 最後の質問になるんですけれども、今年の三月に見直し、変更が行われました、消費者教育の推進に関する基本的な方針についてお伺いいたします。

 こちらを拝見しますと、国や地方、事業者や消費者自身も含めた、全ての消費者教育の担い手にとっての指針となっており、大変幅広い内容を書き込んでおります。もちろん、きめ細やかに作っていただいていると思いますし、どれを取っても重要なポイントと感じるんですが、正直申し上げますと、早急に対応が必要な課題にもかかわらず、丁寧過ぎる考察で、実現にどれだけ時間がかかるんだろうというふうに感じました。担い手の教育などといった現場レベルでの更なる負担も考えている点も見直さないと、確実に進むまでの時間が相当数必要となるというふうに感じます。

 大事なことは、情報の取捨選択や広告についての基礎的な知識をスピード感を持って教育していくことではないかというふうに私は思っております。

 ちなみに、法務省でも、私は法務委員なんですけれども、法教育というものをコンテンツを作ってやっておりまして、これが結構面白いんですね。私の十一歳と八歳の子供が、上の子は五年生で、六年生になったんですけれども、中学生向けのこのコンテンツを普通にけらけら笑いながら見ていたり、八歳の、二年生の子がこれも見ていたりということで。

 私、正直、何々教育といったものの政府の方で作るものは、何か面白くないものなのかなと個人的に思っていたのが、大分意見が変わりまして、法務省の方々にもすごい面白いという話をして、これをこのまま見ているだけでけらけら笑って覚えていくんだったら、一番は、何か、余り関わらせずに、やはりコンテンツに注力をした方がいいんじゃないのかなというふうに、これは法務委員会でも提案をさせていただいたんですね。

 河野大臣の「スパイファミリー」、僕、よく取り上げるんですけれども、何でかというと、十一歳とか八歳の子供が政府の広告に反応を示すということ自体が実は結構すごいことで、ほとんどがやはりスルーなんですね。スルーとか見ていないとか、そういうものが、ずっと見ているというものを親として見ていると、こういう斬新な取組をするだけでも、やはり全然広告の効果って違うんだなというふうに感じました。

 是非、行動経済学とか心理学も活用しつつ、テキスト型の教材だけでなく、動画や体験型の教材開発などに振り切って、学校現場での先生の負担を減らす、消費者自身が自ら教育に触れるように進めていってほしいと考えますが、大臣の方の御見解をお願いいたします。

河野国務大臣 我が消費者庁にもそういう、何というか、能力のある人材がいたら是非やりたいと思っております。金融庁とか公正取引委員会が「うんこドリル」と提携してやっていたりとか、いろいろなことを考えているんだなと。とにかく、ネット広告の件ですから、これはやはり今おっしゃったような、ネットでのコンテンツ、面白いものを見てくれるというのがやはり一番いいんだろうなと思いますので、ちょっと消費者庁のクリエーティビティーが問われるのかなと思っております。

沢田委員 是非、大臣のリーダーシップでよろしくお願いいたします。

 今日はありがとうございました。

稲田委員長 次に、田中健さん。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 また今回も、立憲さん、維新さんから時間を御配慮いただきました。ありがとうございます。

 今日は、景品表示法の改正法案について、どのようにして違法な表示を取り締まっていくのか、また、どのようにして被害者を防ぎ、また消費者を守っていけるのかという観点から質問をしていきたいと思っています。

 まず、確約手続の導入についてです。

 これは議論が続いておりましたが、不当表示の事案の端緒件数は年々増加をしておりますが、調査件数は増えるどころか減ってしまっておる現状です。措置件数も伸びておりません。端緒情報把握から措置命令までの平均処理日数三百二十一日、また、課徴金調査終了まで五百七十五日となっておりまして、課徴金制度が導入されたことにより事件処理に要する期間が長期化しています。消費者庁にも人的リソースが限られている中、この措置件数をなかなか増加できない状況を生んでいます。

 今回、事業者の自主的な取組を促して迅速に違反を是正するための独占禁止法を参照とした確約手続を導入するとしています。法務の行政執行から通知された違法行為について、事業者が確約計画を自主的に作成、申請し、その計画を消費者庁が認定し、措置命令や課徴金納付命令を免除するというものであります。

 独占禁止法で既に導入されておる確約手続は、比較的軽微な行為が対象となっています。一方、景品表示法では、悪質性の高い行為類型を明確に区分できずに、本来対象とすべきでない行為が対象とされたり、その逆があったりするのではないかとの懸念も上がっています。

 比較的軽微な行為というのを、基準というのをどのように考えてこの制度というものを機能させていくのか、大臣にお伺いいたします。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 従来の景品表示法におきましては、疑い事案について調査を開始した以上、違反行為の早期是正や再発防止に向けた取組を自主的かつ積極的に事業者が講じようとしても、措置命令とか課徴金納付命令を行う以外の法的な制度がありませんでした。

 自主的な取組が期待できる事業者の事案についても、重大かつ悪質な事案についても、同じように消費者庁のリソースを投入せざるを得ないということがございましたので、今回の改正案で、事業者が自主的な取組により不当表示の早期是正を図る、こういう確約手続の導入、それから、違反行為に対する抑止力を強化するということで景品表示法の対応力を高めていきたい、改正法の施行後はめり張りを持った運用を可能としていきたいと思っております。

 したがって、これまでのような優良誤認表示を繰り返し行っている場合、直罰に相当し得るような不当表示などの悪質重大な事案については、解約手続による早期是正は行わずに、措置命令、課徴金納付命令を行うことによって厳正に対処していきたいと思っております。また、そこにリソースを集中するためにも、軽微なものについては確約手続の対象にして、そちらへ行ってもらおうというふうに思っております。

 確約手続の対象、その他、運用基準に今後明記をしてまいりたいというふうに思っておりますので、運用基準でかなり明確に分かるような、そういうものを出したいと思っております。

田中(健)委員 運用基準の中でしっかりと分かりやすい基準というのを示していただきたいと思っています。

 一方、独占禁止法の確約計画、先ほどもありましたけれども、まだ十三件ですかね、令和元年が二件、令和二年が六件、令和三年二件と、毎年数件という状況であります。

 消費者庁においては、この数では物足りないというか、もう少し数を増やしてこれが機能できるようにしていきたいと思っていますが、しっかりと機能させるためには幾つかの課題があると思っておりますので、それを問うていきたいと思っています。

 一つは、是正措置計画を策定し認定してもらっても社名が公表されるということでありますが、これに対する事業者の負担をどう考えるかということです。つまり、公表されてまでこの確約計画の策定を、負担を負うかという点であります。

 認定された確約計画の公表については、認定の取消しがない限り一律に公表されるということは、違反性を認定するものではないとしても、企業にとってはリスクがあります。確約手続を利用することで、景品法違反の疑いがあったとして事業者名が公表されるのであるならば、事業者としては、結局、措置命令を受ける場合と変わらない、また、ないしは、確約手続に乗らずに調査が継続した結果は行政指導にとどまるのであれば、事業者名は公表されないということでありますから、確約手続に乗らない方がいいと判断する事業者も存在することが想定をされます。

 つまり、積極的に利用しようとするインセンティブが本当に働くのかなということに少し懸念が残っていますが、これについての考えと、具体的な対応方針などを伺えればと思います。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我々が確約計画を認定した場合には、事業者名など一定の事項を公表することを予定をしております。

 確約計画は、事業者の自主的な取組を促進するものでございまして、違反行為を認定するものではございません。先ほど委員御指摘のあった、事業者サイドの公表に伴う御懸念というのは理解できるところでございますので、公表をする際には、一般消費者等に誤解が生じないよう、対象となった事業者の行為は景品表示法違反と認定されたものではない、疑いの段階のものであるということですとか、自主的な取組を評価するといったことを明らかにして、事業者の社会的評価が低下することのないよう配慮していきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 是非、事業者が自主的にということでありますから、この制度を使って、機能するために工夫をしてもらいたいと思っています。

 一方、消費者の立場からすれば、このような疑いがある表示商品を知らせてほしい、知りたい、そして自分たちは被害を受けたくないという思いがあるかと思いますが、この疑いのある表示商品が消費者に知られるためにはどのような手続が踏まれるか。確約手続対象表示が消費者に分かるように、どういうふうに公表されるのかといったことについて伺いたいと思います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁におきましては、これまでも、個別の事案について行政処分を行った場合には、その都度、その内容を公表してきております。

 今後、確約計画を認定した場合にも、一般消費者の誤認を解消するとともに法運用の透明化を図る必要がございますので、違反のおそれがあった表示などを公表することを想定しております。公表の仕方としましては、我々が通常行っておりますように、記者発表をしたり、ホームページ上に資料を掲載したりといったような形を考えているところでございます。

田中(健)委員 記者発表していただけるということであれば広く消費者に周知されると思うのでいいんですけれども、ホームページだけですと、消費者庁のホームページ、なかなか私たち一般人は見ませんので、是非、どのようにして消費者に知らせるかという観点を大事にしていただきたいと思います。

 これも独占禁止法を参考にさせていただきますと、去年、ラーメンチェーン店の確約手続の表示がありました。これは、独占禁止法ですから消費者には直接関係ないのでありますが、しかし、マスコミにも取り上げられて、そしてかなり多くの話題となりました。これは何でかなというふうに調べてみますと、独占禁止法の場合の確約手続に、このラーメンチェーンがこの措置を取って、取引先卸売事業者、小売事業者に通知するとともに、一般消費者にも周知徹底する、従業員にも周知徹底する、これを明記をしてありました。

 是非、消費者庁における確約手続においても、もちろん消費者庁が発信したり記者発表するのも大事なんですけれども、事業者自体にも、その問題について一般消費者に周知するようなことを、ガイドライン等でも結構ですから、確約計画に入れ込むような工夫というのを考えていただきたいと思っています。

 その意味で、この導入後には、制度の詳細を定めたガイドラインを、運用方針を決めるということでありますが、パブリックコメントを、意見を募るだけではなく、今言ったような消費者庁の方針というものを、是非、独占禁止法の例に倣って、幅広く意見を聞いた上で、ガイドラインというものの作成をしてほしいと思っていますが、この考え方や、また進め方についても伺います。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 確約手続に関する運用基準につきましては、今後策定することを予定しております。

 その中でどういうものを書き込むかということでございますけれども、どのような事案、事業者を確約手続の対象とするのか、確約計画の認定時に公表していくといったようなことを現段階では内容として盛り込んでいくということを考えております。

 運用基準の策定に向けての手続でございますけれども、パブリックコメントを実施するなど、関係者の意見を聞く必要がございます。あらかじめ広く周知する必要があることから、早期の策定が望ましいと考えておりまして、今回の改正法案が成立した暁には、速やかに策定に向けた作業に着手してまいりたいというふうに思っております。

田中(健)委員 是非、この確約手続が、オープンなもので、そして消費者を守る立場に立って、そして誰もが見られるという環境づくりを進めていただければと思っています。

 もう一点、課徴金制度における返金措置の弾力化について伺います。

 これについても議論が進んでおりました。二〇一六年からの課徴金納付命令件数は百一件ありまして、課徴金の総額三十七億八千八百八十一億円に上がりますが、一方で、返金措置が取られたのは僅か四件の四億円にとどまっております。

 返金しやすい仕組みの導入、現行の手続の要件、実施要件の緩和等、検討会で様々な意見も出されておりましたが、今回は電子マネーの活用ということが掲げられましたが、この返金措置について、もちろん一義的には、まずしっかりと課徴金を納付させる、課徴金を取るということが大事であるんですが、今回、この返金措置について増やしていくという考えを持っていらっしゃるのか。今回の電子マネー活用を導入したことについて伺いたいと思います。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のありました現行の課徴金制度における返金措置制度につきましては、先ほど来の質疑の中でも出ておりますけれども、消費者庁が実施したアンケート調査の結果を踏まえて制度設計をしたものでございます。

 今回の法改正では、電子マネー等の交付による返金措置も新たに認めるということでございまして、返金措置のハードルが下がることで、新たに認められる電子マネー等の交付による法律上の返金措置のみならず、確約手続の方でも一定の返金の実施が行われるのではないかというふうに考えておりまして、総じて返金措置が進んでいくものというふうに考えております。

田中(健)委員 電子マネー、一つの方法ではあるんですけれども、まだ様々な提案がされていますから、一つずつ検討いただいて、この辺、ひとつ進むような取組を進めていってほしいと思っています。

 次に移ります。

 今回の法律が規制する不当表示行為を行った場合は、これまでは当該表示の主体となった法人に対する措置命令及び課徴金命令で対応していましたが、中には、これら行政処分を受けて、そしてその会社を潰して、また次の方が新しい法人をつくって、そしてまたそのような悪徳行為をする、そういうことを続けているという業者もいるというふうに言われています。

 このような悪徳業者に対しては、どのような取締りで対応ができるんでしょうか。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の法改正の中では、直罰の導入というものがございますけれども、この直罰は、優良誤認表示などを行った者、すなわち自然人を処罰するものでございまして、名称や法人を変えて繰り返し景品表示法違反行為を行うような悪質な事業者に対して一定の抑止効果があるものというふうに考えております。

 また、景品表示法検討会報告書においては、法人を隠れみのとしながら、自然人が実質的には不当表示を行っていると認められる場合には、実質的な違反行為者と評価できるその当該自然人に供給主体性や表示主体性が認められるときは、当該自然人を事業者として認定して措置命令、課徴金納付命令の対象とするなど、運用上の工夫をすべきとの提言がなされておりまして、消費者庁としましては、この提言を踏まえて運用上の工夫を考えてまいりたいというふうに思っております。

稲田委員長 質疑時間が来ております。

田中(健)委員 済みません。

 今の答弁では、刑事罰で、表示主体の法人に加えて、行為者である個人、自然人ですね、にも直罰が導入されるということで、今まで対応できなかったものに対応できるということでありますし、今後、規制対象というのを自然人に拡大していくということで、運用を広げていくということでありますから、今までどうしても、法人に隠れみので個人が特定できなかったり、ないしは個人が逃げてしまって追えなかったということに対してもしっかりと取り組めるということが確認できましたので、是非、この運用拡大も更に検討していただきまして、しっかりとした取締りができるようにお願いしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

稲田委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 質疑の順番を変えさせていただきまして、まず審議官に確認をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど来、端緒件数が増えているというお話でございましたけれども、不当表示などは、店頭であるですとか、あるいはSNSなどの、どういうルートで発見されることが多いのかという点、伺いたいというふうに思います。また、インターネット上に掲載された不当表示などの実態をどういうふうにつかんでいるのかという点、お示しをいただきたいと思います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法上の違反被疑情報についてのお尋ねでございましたけれども、一般論として申し上げますと、インターネット上の表示を含めた景品表示法の違反被疑情報につきましては、一般消費者の方ですとか、あと同業他社、取引先といった事業者の方など外部からの情報提供が寄せられるほか、我々調査を担当する職員も一般消費者の一員でございますので、そういった職員が自ら職権探知を行うような場合がございます。

 以上でございます。

本村委員 インターネット上のものが増えているというふうにも思うんですけれども、ユーチューブですとかインスタグラム、ツイッターなどのSNSプラットフォーム事業者に対して、虚偽ですとかその疑いのある、あるいは誤認するような表示、広告の収入で利益を得るということがないように、社会的な責任を果たさせる方策の検討が必要だというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 景品表示法の規制対象は商品又はサービスを供給する事業者でございますので、商品又はサービスを供給しないプラットフォーム事業者は規制対象にはなっておりません。しかしながら、プラットフォーム事業者などが事業者の表示の場を提供しているから、インターネット上の問題表示の改善指導をする際には、そうした表示が掲載されていた事業者にも情報提供をしっかりしていく、そういう取組をこれまでも行ってまいりましたし、今後もやってまいりたいと思っております。

 また、今回の改正案が成立した暁には、その内容を含めて景品表示法について広く事業者への周知啓発を行いたいと思っておりまして、その一環として、御指摘のプラットフォーム事業者にも景品表示法に関する周知啓発をしっかりやってまいります。

本村委員 是非、SNSプラットフォーム事業者に対して社会的責任を果たしていただいて、ユーザーの方が被害に遭うことがないようにしていただきたいというふうに思っております。

 今回の確約手続についてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、商品、サービスについての虚偽やその疑いのある、あるいは誤認をさせる、そうした不当表示などを行った事業者が是正措置計画を申請し、消費者庁が認定をするという確約手続ですけれども、規制逃れの方法になるのではないかというような御懸念の声もございます。そうした規制逃れの方法とされることがないように、要件を明確化するべきだというふうに考えております。

 その点についてもお伺いしたいんですが、例えば、日本弁護士連合会の皆さんの御意見では、早期の違反行為の中止、二つ目に違反事実の公表、三つ目に返金措置、四つ目に将来に向けた違反の疑いのある行為の取りやめ、五つ目に再発防止策の策定などが提言をされております。

 また、検討会の佐藤吾郎岡山大学大学院教授の御意見では、確約計画認定の総合的評価を行うに当たって、事業者の違反歴の有無ですとか、コンプライアンス体制の整備の程度ですとか、新製品、新規参入の際の表示なども考慮するなどが必要なのではないかというふうな御意見がございます。

 どういうような要件を想定しているのか、こうした有識者のお声をしっかりと踏まえたものにするべきではないかという点、そして、先ほど来御議論がありますけれども、悪質な事案はやはり確約手続の適用除外として課徴金納付命令ですとか措置命令をするなど、行政措置が弱まることがないようにするべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 今回導入いたします確約手続は、法律上、法の第二十七条第三項第一号に規定をしている、事業者が策定した確約計画が違反の疑いを是正するために十分なものであるという措置の十分性、それに加えまして、法の第二十七条第三項第二号、確約計画が確実に実施されると見込まれるという措置実施の確実性、これを要件としております。このため、不十分な確約計画を行おうとする事業者や、認定された確約計画を実施しないと見込まれるような事業者による規制逃れは認められません。

 また、確約手続の対象事案につきましては、同様の優良誤認表示を繰り返し行っている場合、あるいは直罰に相当し得るような不当表示など悪質重大な事案の場合には、確約手続による早期是正は期待できませんので、確約手続の対象とはせず、措置命令、課徴金納付命令を行って厳正に対処してまいりたいというふうに思っております。

本村委員 確約手続に入る要件に関しましても、やはりこうした有識者の方の御提言を入れていただきたいというふうに思っております。

 確約手続の認定が行われた全ての事業者について、是正措置計画及び事業者名などの情報を広く公表するべきだというふうに考えます。公表するということは聞いているんですけれども、どのような方法で公表する予定なのかという点、お伺いしたいと思います。

河野国務大臣 公表はしっかりやらせていただきます。方法としては、消費者庁のホームページを考えているところでございます。

本村委員 ありがとうございます。

 効率的な確約計画を策定するためには、必要な事項を公表して、広く第三者からの意見募集も行うことが必要だという御意見がございます。実効性、再発防止の観点からも、必要に応じて意見募集というものもする必要があるのではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 確約手続は事件調査の手続の一つでありまして、確約手続が認定されれば、これは公表をいたしますが、認定前というのは、これはまだ調査中の事案でございます。

 第三者から意見募集を行うというのは、まだ調査中の事案の段階でございますので、御指摘のように、第三者からの意見募集を行うということでは、そこの要する時間もございますので、是正措置計画の認定を早期に行うことができにくくなるだろうというふうに思っておりまして、この確約手続を導入するというのは、早く認定をして、早く対応をして、なるべく消費者庁のリソースを重大事案に振り分けるということでございますので、第三者からの意見募集を行うということは今考えていないところでございます。

本村委員 より実効ある計画を作るためにも、こうした観点を入れていく必要があるというふうに思っております。

 独占禁止法の方では、公正取引委員会が必要だと考える場合に、認定前に第三者から意見募集を行うことになっております。是非こうしたことも参考にしていただいて、この点も前に進めていただけたらというふうに思っております。

 次に、返金措置に関してなんですけれども、確約手続による被害の事前防止ということと同時に、不当表示により既に被害を受けておられる方の被害回復も柱に据えるべきだというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。

河野国務大臣 景品表示法は、一般消費者に誤認を与える不当なものを規制することで一般消費者の消費者選択を守るということを目的としておりまして、個々の消費者の被害回復そのものは、これはこの法律の直接的な目的ではございません。

 ただ、消費者庁としては、消費者被害の回復の観点も重要だと思っておりますので、今回の改正において導入いたします確約手続に関して、その運用指針において、消費者への任意の返金、これは、確約計画の認定要件である十分性を満たすということでは有益であるということはガイドラインの中に示していきたいというふうに思っております。

本村委員 ガイドラインで例示をしていただくなどして確約手続の返金措置を促す取組をしていただけるということだというふうに思うんですけれども、この確約手続における返金措置の検討につきましては、課徴金納付命令対象事業者が被害者に返金措置を行った場合に課徴金が減額される仕組みがあるわけですけれども、メーカーによる返金措置の実績が、実際にはまだ少しだと思いますけれども、実際にある。

 その方法は、事業者が返金を行うことをホームページなどで周知をして、被害者の申出により事業者が被害者を確認するということを行っております。また、通信販売などでは、顧客情報を既に事業者は持っておりますので、返金が物理的に可能だというふうに思います。

 返金が可能なものは返金を促すということをやっていただけないでしょうか。

河野国務大臣 先ほども答弁いたしましたが、どなたでしたかのときに答弁をいたしましたけれども、確約計画において消費者への返金を原則とすると、これは行政が裁判手続を経ずに民事上の法律関係を認めてしまうというようなこともございますので、これはちょっと困難だと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、消費者への任意の返金は、確約計画の認定要件である十分性を満たすのには有益だと思っておりますので、こういう考え方、返金に関して、これは十分性を満たすために有益であるというような考え方は、ガイドラインの中でしっかり明記をしていきたいというふうに思います。

本村委員 先ほど来、大臣から裁判を経ずにというお話もあったんですけれども、是非、裁判の手続などを経なくても、もっと簡易に、迅速に、返金、返済の仕組みをつくっていくべきではないかというふうに思いますけれども、是非そういう点も進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 現行法の自主返金措置は、違反行為の抑止策として導入されました課徴金制度において、本来国庫に納付すべき課徴金、これの減免を受けるという特別な恩恵を事業者に与えるというものでございまして、領収書などによる消費者の特定、返金申出に係る消費者への周知など、一定の手続、要件の下で行われることが必要で、今回の改正法案では、自主返金制度の基本的な手続や要件は変更しておりません。

 ただ、今回の改正法案では、返金措置の手続上のハードルを下げるために、これまでの金銭に加えて電子マネーの交付などの新たな返金措置も認めるということにしてございますので、こうしたことによって自主的な返金措置が一定程度進むと思っております。

 今回はそういうことにさせていただきますが、制度は不断に見直しをしなければいけないというのはそのとおりでございますので、今後、この改正案が、お認めいただいて施行されました暁には、どういう状況になるかというのを見た上で、関係者とも広く意見交換、情報収集していきたいというふうに思っております。

本村委員 迅速な被害者の救済を求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

稲田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

稲田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

稲田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

稲田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、宮崎政久さん外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び日本共産党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山田勝彦さん。

山田(勝)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 不当表示の抑止に係る実効性の観点から、本法の施行状況について不断の評価を継続し、上乗せ課徴金算定率の導入、罰則導入等によって、不当表示に対する十分な抑止力が働いたか否かを改めて評価し、抑止力が不十分と評価された場合には、原則的な課徴金算定率の引上げ、課徴金対象期間の延長、規模基準の引下げ、罰則の強化等について検討すること。また、業務停止命令等が可能な特定商取引法の執行と連携し、表示違反行為に対して両法律を適切かつ有効に活用すること。

 二 確約手続については、ガイドライン等により、確約手続を利用し得る事案・事業者の対象範囲や、消費者に対し妥当な額を算定して返金することが確約措置の十分性を満たすために有益であること及び確約手続の対象となった事業者名・事案の概要を公表することを明確にすること。また、法改正後にガイドライン等の詳細を速やかに明らかにすること。

 三 ステルスマーケティングを景品表示法第五条第三号の指定告示事項として不当表示規制の対象に取り込んだ結果として、インターネットを始めとする通信技術の発達により今後も生起しうる、消費者の自主的意思決定に不当な影響を及ぼす表示について必要十分な抑止機能が働いているか否かにつき、関連する消費者被害の発生状況・態様を継続して注視し、必要に応じて告示・ガイドラインの変更を迅速・柔軟に検討していくこと。

 四 景品表示法検討会の報告書において中長期的に検討すべき課題と整理された課徴金の対象の拡大や、差止請求の範囲の見直しについて、指定告示に係る表示の執行状況も注視しつつ、更なる検討を行うこと。また、同様に中長期的に検討すべき課題と整理されたデジタルの表示の保存義務や、供給要件を満たさない者への規制対象の拡大についても、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の取組状況も注視しつつ、更なる検討を行うこと。

 五 返金措置による課徴金額の減額等については、事業者が行う返金措置の実施方法が弾力化されたことに伴い、事業者に対し、金銭と同様に通常使用することができるものに限られることを周知するとともに、事業者が提出する返金措置計画を認定する際には、消費者庁は当該計画が適正なものであるか否かについて厳正に判断を行うこと。

 六 消費者裁判手続特例法第九十一条第一項により、内閣総理大臣が特定適格消費者団体に対して提供できる書類として、景品表示法に基づく処分に関して作成したものも提供できるよう、同法同条項の施行後の運用実態を踏まえ検討すること。

 七 通信技術の発展により、今後もインターネット上での不当表示の増加が予想されることから、消費者庁において景品表示法の運用に必要となる人員の適正な配置を行い、十分な予算を確保するとともに、より一層、都道府県と密接な連携をとること。

 八 広告・表示の適正化に向けた事業者団体や消費者団体等による自主的な取組を促進するため、情報の提供を始め、財政的支援その他の必要な支援を行うこと。とりわけ、景品表示法に基づく適格消費者団体の差止請求については、国・都道府県がなすべき行政処分を補完するものとして機能している社会的実態を踏まえ、当該団体に対する財政的支援その他の必要な支援について検討すること。また、本法により導入される適格消費者団体による開示要請規定の施行状況を踏まえ、必要な場合には、更なる適格消費者団体の立証負担の軽減策について検討を行うこと。

 九 外国の事業者から我が国の一般消費者に対して行う不当表示が増加する可能性があることを踏まえ、厳正な執行の観点から、今後も国際化の進展に対応する制度を整備・拡充すること。

 十 消費者が商品や役務の取引を行うに当たり判断の情報源となるデジタル広告表示の保存に関し、消費者庁は事業者に対し「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の更なる周知徹底に努めること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

稲田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

稲田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河野国務大臣。

河野国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

稲田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

稲田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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