衆議院

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第3号 令和5年11月16日(木曜日)

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令和五年十一月十六日(木曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 あべ 俊子君 理事 井原  巧君

   理事 小倉 將信君 理事 若宮 健嗣君

   理事 山田 勝彦君 理事 吉田 統彦君

   理事 林  佑美君 理事 國重  徹君

      英利アルフィヤ君    大野敬太郎君

      勝目  康君    岸 信千世君

      鈴木 英敬君    高見 康裕君

      武井 俊輔君    中川 貴元君

      中山 展宏君    永岡 桂子君

      仁木 博文君    船田  元君

      堀内 詔子君    松島みどり君

      保岡 宏武君    青山 大人君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      大河原まさこ君    早稲田ゆき君

      浅川 義治君    岬  麻紀君

      吉田久美子君    鰐淵 洋子君

      田中  健君    本村 伸子君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         中  裕伸君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          小林真一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大橋 一夫君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (消費者庁消費者法制総括官)           黒木 理恵君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田 易範君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府食品安全委員会事務局長中裕伸君、内閣府消費者委員会事務局長小林真一郎君、警察庁長官官房審議官大橋一夫君、警察庁生活安全局長檜垣重臣君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、消費者庁審議官真渕博君、消費者庁審議官植田広信君、消費者庁審議官依田学君、消費者庁消費者法制総括官黒木理恵君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官吉田易範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康君。

勝目委員 おはようございます。自由民主党、京都一区選出の勝目康でございます。

 自見大臣、この度は御就任、誠におめでとうございます。消費者及び食品安全担当の大臣として、この消費者特委における質問、トップバッターに立たせていただきまして、誠にありがとうございます。大臣にはこれまで党の部会等で医療を中心に御指導いただいてまいりましたけれども、この消費者行政の分野でも、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 大臣の所信挨拶を伺っていまして、柱を五つ立てておられました。中でも、五本目の柱として、消費者、事業者が連携をして豊かな消費社会をつくり上げることも重要な課題だ、こう述べておられます。私も大いに賛同するところであります。そして、そのためには、消費者自身が果たすべき役割と責任、こういうのがあるということでありまして、本日は、このことを通奏する問題意識として、何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、カスタマーハラスメント対策についてお伺いをいたします。

 我が国の消費者法制というのは、伝統的に、情報の量や質あるいは資本力、交渉力、こういった事業者と消費者の間の格差に着目をして、契約自由の原則の例外として消費者保護を図ってきたんだ、こう考えています。

 さらに、今年の七月に取りまとめられました有識者懇談会における議論の整理においては、これだけではもう不十分なんだ、高齢者あるいは若者といった消費者の脆弱性そのものを正面から捉えて、消費者法制を抜本的に見直すべき、こういう問題意識が示されています。

 こういう消費者の脆弱性につけ込むような事業者の営業姿勢というのは、これは、我が国の健全な消費者市民社会の形成を阻害するものでありまして、許されないものだというふうに思います。この規制の在り方として、個別的、具体的な規制にするのか、一般的、包括的な規制にするのかというのは、これまでも論点になってきたところでありまして、ここは引き続き、難しい課題だとは思いますけれども、この間の議論の積み重ねを踏まえて制度の充実を望みたいというふうに思います。

 他方で、近年、消費者側の過剰な苦情であるとか不当な要求であるとか不適切な行動であるとか、こういういわゆるカスタマーハラスメントが大きな問題になっています。こうした苦情とか要求とかに対応させられる事業者側の現場、この現場の職員は、もうこれは疲弊をして、場合によっては、個人としての尊厳を傷つけられ、ブラック職場として離職を余儀なくされる。事業者サイドからすると、今大変な人手不足でありますけれども、そこに拍車がかかっていってしまう。こういうことすら懸念をされる、大きな問題だというふうに思っています。

 このような消費者の言動の背景には、お客様は神様という言葉が曲解をされて人口に膾炙し過ぎているんじゃないか、こういうふうに思うところであります。

 御参考までに、この言葉をおっしゃったとされる三波春夫さんのオフィシャルサイトを見に行きました。何て書いてあるかというと、生前、三波さんはインタビューに答えて、こう言っておられるそうです。「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な芸をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。」これはつまり、全身全霊で客と向き合うべしという、プロフェッショナルとしての、芸を披露するに当たっての心構えを説かれたものだということであります。

 どうでしょうか。一般に世間で捉えられているイメージとは実は随分違う意味なんじゃないか、こう思うところであります。お客様というのは、あくまで事業者、消費者、契約の一方当事者であって、事業者の側でも、何をされても我慢しなきゃならない、こういうことでは決してないんだということであります。

 このいわゆるカスタマーハラスメント、ここに来てようやく、各分野、対策が取られるようになってきました。

 例えば、今年の通常国会で改正をされました旅館業法においては、いわゆる迷惑客に対して宿泊拒否を可能とする法改正が行われまして、来月、十二月十三日から施行をされます。

 介護における利用者やその家族による身体的、精神的暴力であるとか、あるいは様々なハラスメント、これについては、厚生労働省の方から対策マニュアルが作成をされています。

 教育現場においては、これはカスハラとはちょっと意味合いが異なりますけれども、いわゆるモンスターペアレント問題、この対応事例の情報共有というのが行われていますし、また、我が党が出させていただいた令和の教育人材確保実現プラン、これにおいても、学校任せ、教師任せにするんじゃなくて、行政が対応を引き受ける、そういう仕組みを検討すべき、こう提言をさせていただいております。

 こうした中で、今年三月に閣議決定をされました消費者教育の推進に関する基本的な方針、これは改定版でありますけれども、ここの中で、消費者教育の意義として、「消費者自身が「加害者」となってしまう例もみられる中、消費者教育の重要性は高まっているといえる。」こういう記述があります。これは先ほど例を挙げた動きと呼応するものと評価できるわけですけれども、ただ、分野特定的でない包括的な消費者政策の方向性としてカスハラ対策が明確に打ち出されているとはちょっとまだ言い難いんじゃないかな、こういう印象を持っております。先ほど申し上げました有識者懇談会の議論の整理の中では、実は、カスハラ対策について全く言及がないということであります。

 これらはいずれも大臣御就任前に取りまとめられたものでありますので、大変恐縮ではあるんですが、消費者行政のトップとして、大臣にお伺いをしたいと思います。

 消費者庁として、カスタマーハラスメントについてどういう認識を持たれて対処しようとされているのか、方針をお聞かせいただきたいと思います。本来、閣議決定文書であるとか予算であるとか、しっかり明確に位置づける必要があるんじゃないかな、こう思うところでありますが、大臣、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者が事業者に適切に意見を伝えることは、消費者の提供する商品やサービスの改善を促すことにもつながるものでありまして、消費者市民社会の形成を目指す消費者教育の理念に沿ったものであると考えてございます。

 また一方で、著しい言動や土下座の強要などの行き過ぎた言動は、犯罪行為を構成する場合もございます。このため、消費者庁では、事業者に配慮した適切な意見の伝え方について、消費者向けの啓発チラシ等を作成をいたしまして、SNSやホームページを通じて情報発信するなどの取組を行ってきたところでございます。

 また、委員からも今問題意識、御披露いただきましたが、私どもといたしましても、消費者市民社会の形成というものに当たっては、消費者と事業者が従来の取引等において相対する関係から、公正かつ持続可能な社会の形成に向けて双方向のコミュニケーションをしっかりと深化させていくということ、また、共創や協働するパートナーとしての関係を高めていくということが非常に重要であると考えてございます。本年三月に変更の閣議決定をいたしました消費者教育推進基本方針におきましては、新たに消費者と事業者との連携また協働について盛り込むなどの拡充を図ったところであります。

 委員からの後押しも受けまして、消費者が従来の保護される脆弱な立場、存在としてだけではなく、消費者が自立した責任のある行動を通して社会的な役割をしっかりと果たしていくことができるように、消費者教育の取組を一層進めてまいりたいというふうに感じております。

 済みません、一番初めに私、言い間違えておったということで、大変失礼いたしました。訂正させていただきますが、消費者が事業者に適切に意見を伝えるということは、事業者の提供する商品ということで、言い間違いでございます。

 しっかり問題意識を受けて頑張ってまいります。

勝目委員 ありがとうございます。

 大臣今おっしゃったように、事業者と消費者というものを相対するものとして捉えるだけでは、やはり社会というものを構成していくことにはつながらないと思うんですね。第三者的な目線、あるいは公共の場をどうやってつくっていくのか、こういう視点も大事だと思いますし、その中では、やはり、消費者として果たすべき責任、当然、行き過ぎた要求というのは犯罪行為を構成するケースもあれば、あるいは権利の濫用、民事上の責任を問われることだってこれは大いにあり得るわけでありまして、そういうことをしっかり消費者サイドにもお伝えしていく、消費者教育の中で大変重要なパーツであるというふうに思います。間違った意味でのお客様は神様だというこの認識、もう社会から一掃していきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、食品ロス対策についてお伺いをいたします。

 まだ食べられるのに廃棄をされる食品ロス、その量、直近で五百二十三万トンということであります。世界の食料支援量の一・二倍という規模になっています。国内でも子供の貧困が大きな社会的課題となって、子供食堂などを通じた支援が拡大をしている、こういう足下でこれだけの食品が廃棄されているというのは、これは大きな矛盾を感じざるを得ないところであります。

 しかし、他方で、この食品ロスと、食品ロスがこっちにあって、別のところに食品のニーズがあるということでマッチングをしようとしても、賞味期限等との関係から加工食品が中心とならざるを得ない、こういう現実もあると聞くところであります。例えばカップ麺とかスナック菓子とか、こういうものばかりが子供食堂に提供されても、これはこれで別のミスマッチを生じてしまう、こういうことになるわけです。食品衛生上の課題もあって、丁寧にこれら論点を解きほぐしていかないといけない、こう考えております。

 食品ロスについては、二〇三〇年のロス量を二〇〇〇年比半減、九百八十万トンから四百八十九万トンへと減少させる目標が立てられています。大臣は、この目標の達成に向けて、関係省庁等と連携をし、食品の寄附等を促進するための措置を含む施策パッケージを年末までに策定をする、こう述べられました。

 十月十三日に中間報告が取りまとめられております。ここでは、一、食品の提供、二、賞味期限の設定、三、フードバンクの体制強化、そして、四、外食時の食べ残しの持ち帰りなど、論点が網羅的に示されているというふうに思います。この対応をパッケージ化しよう、こういうことだと思います。

 そこで、これらの論点それぞれの具体的な方向性であるとか、あるいは検討のスケジュール、こうしたものについて方針をお聞かせいただきたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の年末までに策定する予定の食品ロス削減に係る施策パッケージにつきましては、政府検討の場として、消費者及び食品安全担当大臣が会長を務めます食品ロス削減推進会議を活用することとしてございます。

 本年七月には、同会議の閣僚委員として民事基本法制を所管する法務大臣やこども政策担当大臣を総理から追加指名いただいて、食品関連事業者、フードバンク、子供食堂など、各方面の有識者の意見をお聞きしながら検討を進めているところでございます。

 委員御指摘のとおり、去る十月十三日に同会議を開催いたしまして、施策パッケージ検討の中間報告を行うとともに、特に、食品寄附や食べ残しの持ち帰りに係る法的責任の在り方につきましては、今後の検討を進めていく上での論点を事務局からお示しし、確認されたところでございます。

 今委員御指摘の事項について簡単に御報告させていただきます。

 まず、食品の提供に係る法的責任の関係でございますけれども、例えば、アメリカのように善意の食品提供について一律に民事、刑事上の法的責任を問わないとする制度を、これは一方では寄附促進には有効かもしれませんが、このような制度を日本にいきなり導入しますと、関係事業者による食品管理等に係るモラルハザードが引き起こされ、結果として寄附が進まない可能性がある。むしろ、関係する事業者同士の信頼関係や最終受益者からの信頼性を高める枠組みを検討する必要があるのではないか。

 また、賞味期限の在り方につきましては、平成十七年に厚生労働省及び農林水産省が策定しました食品期限表示の設定のためのガイドライン、これで今現在の秩序ができているわけでございますが、来年度、消費者庁が中心になりまして、期限表示の設定の根拠や、いわゆる安全係数の設定等の実態調査を通じまして、課題等を整理してまいりたいということでございます。

 また、フードバンク団体の体制強化につきましては、農林水産省が中心となりまして、フードバンクが寄附食品を受け入れ、また子供食堂へ提供するために輸配送費や倉庫、車両等の賃借料の支援を行うとともに、企業とフードバンクとのマッチングやネットワーク強化の推進を行う。

 また、外食時の食べ残し持ち帰りのルール整備あるいは促進につきましては、食べ残しの持ち帰りにおける法的取扱いや食品衛生に係るガイドラインを整備しまして、事業者そして消費者双方の持ち帰りに対する意識の変化に役立てていくべきではないか、こういった点が指摘されているところであります。

 これらの検討事項につきましては、いずれにしましても、年末までに施策パッケージとして取りまとめるべく、関係省庁全体で検討を加速化させてまいりたいと存じます。

 また、その後のスケジュール感でございますが、施策パッケージに盛り込まれた施策を着実に実行に移すとともに、令和元年度末に閣議決定されました食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針の見直しの検討に着手してまいりたいと存じます。

勝目委員 ありがとうございます。

 年末までにそれぞれの論点についてスケジュールがばちっとセットされるというよりは、その後検討していって実際に結論を得るということだと思いますけれども、これは本当にいち早く結論を出していただきたいと思います。

 私も、アメリカにいたときに、すごい量が出てきますので、持ち帰って次の日の朝御飯にしたりとか、よくしておりましたので、まさに、次にお伺いするエシカル消費にもつながっていく取組だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて、そのエシカル消費についてお伺いをしたいと思います。

 このエシカル消費、一般には、社会、地域、環境、人に配慮した消費行動ということで、消費者庁さんもこの十年程度取り組んでおられると思うんですけれども、こういうときに、エシカル消費という言葉の認知を高めよう、こういうKPIを設定してしまうという、よくありがちなことになってしまっています。英語圏の人がエシカルコンサンプションという言葉を認識するというのと、日本人が聞いたことのない横文字を認識するというのは、これは全然意味合いが違うわけで、言葉そのものを知られるのが大事なのかというと、そうじゃなくて、そこに込められている中身、サブスタンスが広がっていくことが大事なんだろう、こう思うわけです。

 このエシカル消費の中身というのは、地産地消であるとか、伝統工芸品であるとか、もったいないという精神であるとか、あるいは着物を世代を超えてつないでいくであるとか、農福連携商品を買うとか、我々、結構日常やっていること、意識していることが多いわけでありまして、こういうアクションをしっかり促していく、その施策こそが重要なんだろうというふうに思います。

 このエシカル消費について、これまでの取組の成果、あるいは今後の方針、お聞かせいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、消費者市民社会の構築に向けまして、消費者が社会課題を自分事として捉え、課題解決に取り組むことは、今後ますます重要であると考えております。

 消費者庁におきましては、エシカル消費につきまして、学校向け教材の作成ですとか、啓発資材の作成、貸与のほか、特設サイトやSNSによる優れた取組の普及啓発を行ってまいりました。

 この結果、令和五年度、第四回消費生活意識調査によりますと、エシカル消費の認知度は、言葉の認知度は二九%でありますが、七五%の消費者が、マイバッグ、マイ箸、マイカップなどの利用など、何らかの行動を実践しておりました。

 消費者庁におきましては、各年代のニーズに応じたエシカル消費などの啓発や情報発信の強化、事業主との協働に更に取り組んでまいりたいと考えております。

勝目委員 今ほど御答弁あったように、まさにその中身ですね、認知度とやっていることの間にそれだけのギャップがあるわけですから、その中身の促進を是非お願いしたいと思います。

 最後に、マルチ商法についてお伺いしたかったんですが、ちょっと時間が参りましたので、これは要望にとどめたいと思いますけれども、私の友人の家族もマルチにはまってしまって、もう大変な思いをしています。人間関係を使っての行為でありますので、非常に解決が難しい問題であります。これもしっかり厳正に法律を適用していただいて、また、そのための体制、消費者庁さんにおいて十分取っていただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 自由民主党・無所属の会の仁木博文です。

 今日は、自見大臣、よろしくお願いします。

 時間の都合がありまして、通告しておりましたことですけれども、まず、今まで消費者行政において余り対象とならなかったことですけれども、いきなりですけれども、自見大臣もドクターでありました、患者とか、あるいはまた、学校教育とかでよくありますけれども、生徒、これは広い意味でいうと私は消費者だと思いますけれども、どのように思われていますか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 消費者とは、商品の購入、そしてサービスの利用等の消費活動をする者が広く含まれるものでございます。委員御指摘の、医療サービスを受ける患者や、あるいは商品等を購入する生徒も消費者であるというふうに認識をしてございます。

仁木委員 ありがとうございます。

 今日の私の大きな主題ですけれども、それは、消費者教育推進法、前の議席をいただいたときに、議員立法でありますけれども、私の事務所が頑張って取りまとめを行った、そういう議員立法でございます。そのときに、この消費者教育、教育という言葉が入っていると、どうしても文科省の方といろいろな形で交渉あるいは手続をしていかなければいけないわけですけれども、その当時は、学校の中で、全て先生がそういった技術あるいは知識を得た上で生徒に反映する、教育していくということであったと思うんですけれども、今、様々な事象が変わってきましたし、様々な形の消費活動が、あるいは経済活動が展開されております。

 さっきの話ですけれども、今まで余り連携がない、患者が消費者ということを大臣は答弁されましたけれども、そうであるならば、厚生労働省との連携も必要だと思うんですね。そういう意味でいいますと、今、例えば、保険診療のみならず自由診療というのもありまして、美容整形のことでありますとか、様々な、健康に関することがあると思います。

 この辺、消費者教育推進法の理念のような、いわゆる消費者行政において、これからは、もう社会の、あるいは経済活動、あるいは様々な医療活動も変わっている中で、厚労省とのこれからの関わり、どのように大臣は考えていらっしゃいますか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 消費者庁といたしましては、これまでも、日々変化をいたしております消費者政策の課題に対しまして、消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、施策を推進してきたところであります。

 例えば、委員も今おっしゃっていただきましたけれども、成年年齢引下げ対応に係る、文部科学省と連携いたしました教材の作成ですとか、あるいは医療サービスも含みます消費者事故等の関係行政機関への情報提供、あるいは美容医療等の利用上のリスクや、薬の購入量や飲み方などについての、厚生労働省や関係機関と連携した啓発資料の作成、また周知啓発等を実施しているところでもございます。

 今後も、我々といたしましても、消費者を取り巻く環境の変化も踏まえ、消費者の安全、安心の確保と豊かな消費社会の実現に向けまして、委員の御指摘もあるように、関係省庁と連携をし、しっかりとスピード感を持って施策を前進させていきたいと思っております。

仁木委員 医療とか教育もそうですけれども、情報の非対称の職業が展開されている現場であると思います。そういう中で、先ほど、患者目線に立った、いわば消費者の目線に立った医療ということもこれから重要でございまして、とかく、私もこの質問をするに当たってレクを行いましたが、やはり、消費者庁の方が厚生労働省の方々といろいろな形の関わりを持つということは今までなかったみたいです。

 そういう意味でいいますと、今後、大臣が今御答弁されたように、患者目線に立って、患者も消費者である、そういうことで、例えば今、医療を受けた場合のいろいろな明細もありますし、例えば手術前の医者から患者への説明とかということもあります。そういうことも、この消費者行政で培った理念とか手法がそういった医療の現場にも反映されるような形にあるべきだと私は考えていますので、是非とも、厚生労働省との今後の関わりも、この際深めていっていただきたいと思います。

 次にですけれども、消費者教育推進法、これも、地域に、教育委員会とパラレルの関係であるという形で、当初、消費者教育推進法で設置した消費者教育推進地域協議会というのがあります。これが、私も、十年以上経過してどのような進捗をされているのかということを調べましたけれども、まだ充実した形にはなっていないと思うんですね。

 もちろん、地域での推進協議会のメンバーには教育委員会の方も必ず一人入るということでございますけれども、例えば教材、学校で教える教材、これは私は、広い意味でいうと教える人、誰が教えるかという、人も大切な教材だと思います。

 今、出前授業等々ありますけれども、こういう方が学校で消費者行政を教える、あるいはそういった被害に遭った人が被害に遭った実例を子供たちに教える、そういうことも大切ですけれども、私のイメージするところでいうと、地域での推進協議会の中で選択された、選ばれた教材、人も、あるいは実際、具体的な狭い意味での教材も選ばれた上で、それでそれを教育委員会に出していって、教育委員会がオーケーとなればそういうふうなパターンの授業、消費者の出前授業等々もありかなというふうに思うわけですけれども、この関係が、どうしても教育委員会の方がまだ強いような気がします。

 ですから、消費者教育推進地域協議会の開催頻度であるとかそのメンバーであるとか、そういったこともよりチェックをされながら、よりよい消費者教育が特に学校の方で展開できるようにしていっていただきたいと思います。

 そういう中で、教材選定とか、あるいは、最近の様々なネット等のだまされるような事案が国民に、つまり消費者に生じていますけれども、そういう新しい事象とかをそういった消費者教育推進地域協議会の中の議題とかに上げる、あるいは話し合ってもらう内容に上げるような人たちが消費者教育コーディネーターという形でいらっしゃるわけですけれども、その辺の所管、いわゆる所管に関して、何か取組とかありましたら教えていただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者教育推進法及び基本方針におきまして、都道府県及び市町村は、消費者教育推進計画の作成及び消費者教育推進地域協議会の設置に努めることとされております。また、消費者教育の関係者と学校などをつなぐ消費者教育コーディネーターの配置促進を進めまして、相互の連携と学びを促す仕組みをつくることが必要とされております。

 これに基づきまして、消費者教育推進計画の策定は全都道府県及び二十政令市のうち十八政令市におきまして、消費者教育推進地域協議会の設置は全都道府県及び十九政令市において進んでおります。また、消費者教育コーディネーターにつきましては、今年度、全都道府県に設置される見込みと承知をしております。さらに、委員御指摘の中身の充実につきましても、我々としても更に取組を進めたいと考えております。

 これによりまして、地域社会におけます消費者教育を更に進めていきたいというふうに考えております。

仁木委員 これは私の提案ですけれども、そういう中で、学校のほかの科目の大学入試とかに際する試験の内容ですと、テストとかありまして、評価が客観的に数字で表れるわけですけれども、そういうことも一つあってもいいんじゃないかなと。つまり、消費者教育の進捗の度合い、あるいは浸透の度合い、理解の度合い、それをチェックするということもあってもいいんじゃないかということで、これも文科省の方に働きかけをしていただけたらと思います。

 また、この消費者教育推進法の中には、悪い事業者から国民、消費者がだまされないようにということもありますけれども、同時に、消費者市民社会をつくっていくということで、いわゆる消費モードが世の中をあるいは社会を変えていくという理念もあります。

 したがって、賢い消費者のマーケットが生まれてくると、総じてその地域あるいは国全体がよりよい社会になっていくということでございますので、最近では、さっきエシカル消費、エシカルコンサンプションの話が出ていましたけれども、あるいはSDGsを意識した、いわゆる持続可能な社会に向けての取組、これが消費モードという形で表れる、そういうことでいうと、教育が非常に大切だと思います。

 折しも、私は思い出したんですけれども、三・一一がこのまとめる過程において起こりまして、被災地では、電源が停電で得られないということで乾電池が足りないと言ったのに、関係ないというか被災していない西日本の地域で乾電池をみんな買占めしちゃって、肝腎の被災地に乾電池が届かないというようなことも起こりました。そういうこともこの消費者教育推進法の中にも盛り込んでいます。

 したがって、改めて、消費者教育は重要だということを、今日、私の一つの思いとしてお伝えしたいと思います。

 ちょっと個別のことを申し上げますけれども、この前、AIを用いたすごく巧妙なサイトが生まれました。これはフェイクショップとか言ったりしますけれども、そこに、例えばホテルの予約に関して、キャッシュカードの情報、パスワードを入れてしまって、結局ホテルに泊まれないし、予約も入っていないのにお金だけ取られるような、そういう事案も出ています。

 今後、こういった巧妙になりつつあるネットショッピングあるいは電子決済、そういうのに対して、私は、今、岸田政権も、岸田総理も、AIの利活用についてのガイドライン的な規制なりとかそういうのはまだ具体的に出されていませんが、消費者行政、特に、新しいこの手の犯罪というか、そういう悪い手口に対しての取組にAIを使うということも逆にいいと思うんですね。つまり、これがフェイクサイトなのかどうかということを見抜くようなそういうこと、あるいはこれはベンダーの方々とも連携していかなきゃいけないと思っていますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。

植田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ICTの利用が一般化する一方、様々、違法、有害情報の拡散等の課題が深刻化しております。御指摘いただきましたような問題への対策について、重要な課題であると認識しております。

 消費者庁では、これまでウェブサイトやSNS等で消費者に対して注意喚起を行ってきたところでございまして、今後も引き続き注意喚起を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、御提案の対応でございますけれども、例えば、詐欺事案への対応、プラットフォーム事業者に対する取組等、また、御指摘いただきましたAIの活用につきまして、関係省庁の連携が必要な取組が含まれていると考えておりますので、どのような対応が可能かについては、関係省庁とも連携してしっかり検討してまいりたいと存じます。

仁木委員 ちょっと時間が短くなりましたので、今度は、徳島県、私の選挙区に実は消費者庁の戦略本部、新未来創造戦略本部というのが設置されております。これは、古くというか二〇一七年にこの地に新未来創造戦略オフィスとして誕生しました。そのときには、実は地方分権という概念もあったと思うんですね。文化庁は京都にということでしたけれども、徳島にそういった消費者庁も移転できないか、もう本部ごとごっそりという話もありました。今そういう形にならないことはありますけれども。こういった消費活動のマスというか量でいうとやはり人口の多い東京等、あるいは都会の方がいいわけですけれども、人口七十万を切った我が県、徳島県にこういった新未来創造戦略本部、これが置かれております。

 そういうことのメリット、デメリットとか、あるいは、一七年ですから約七年弱、六年目を迎える今に至っての成果というかを、私もこの質問に先立って徳島の戦略本部に行ってまいりましたけれども、大臣がお聞きする中で、デメリットというか、特にやはり何かお感じになることというのはありますか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 徳島に設置をされております新未来創造戦略本部では、デジタル化等による新しい課題に関する消費者政策研究を行うほか、先駆的な取組を行うモデルプロジェクトとして、SNSを活用した消費生活相談の実証実験、また見守りネットワークの先駆的モデルの構築、そして消費者志向経営の推進などの取組を行っているところでございます。委員も御見学いただいたということで、感謝を申し上げます。

 具体的な例でございますけれども、見守りネットワークは、徳島そして香川県などにおいて全市町村で設置をしていただいたということでもございますし、また、消費者志向経営の自主宣言事業者数は、徳島が全国二位でございます。そういった実績を確実に上げていただいておりまして、その成果はすばらしいものがあると考えております。

 また、徳島県に設置していることのメリットを加えて申し上げますと、いわゆる人的な交流が盛んになったということも非常に大きく、土壌が育っているのではないかと思っておりますので、こういった下で体制が整ってきたということや、あるいは、SNSの実証実験のように、地域の協力が必要なものも多々ございますが、そのようなときに、徳島県等の実証フィールドを活用させていただきまして、先駆的な取組の試行などができている、検証ができている、そして全国展開ができているというふうに認識をしてございます。

 デメリット、強いて挙げるとでございますが、恐らく当初は、地理的なこともあるかと想像されていたかと思いますが、現在は、特にコロナ禍でオンライン会議も一般化いたしておりますので、支障は特に感じていないところでございます。

 引き続き、しっかりと期待される効果を出してまいりたいと思ってございます。

仁木委員 ありがとうございます。

 私も、デメリットだけで終わろうと思っていませんでしたので、メリットもしっかり強調してというふうに思っていました。

 大臣御案内のように、徳島は、日本の地方の様々な課題を、今後、例えば、ほかの地域でも体現する、あるいは体験していく、いわゆる課題先進県でもあるわけですね。ですから、徳島の事案、あるいは徳島のいろいろな人口動態とか様々な属性というのは、これから日本の地方でも起こり得る。つまり、具体的に消費活動においてもそうだと思っています。

 そういう意味で、徳島のモデル的な、そういった、消費者行政を推進していく上での事業、これをやっていって、それがうまくいけば横展開していく。日本の地方の課題解決にも、消費者行政においてつながっていくということだと思っておりますので、今後この取組は、さっき大臣もメリットを言われたように、私も地元の様々な方から聞いております。事業者の方も、そういった、消費者志向自主宣言というのを出されまして、よりよい商品やサービスを提供するような企業さんも増えていますから、これは横にもまた影響があると思います。

 そういう意味で、今後、この徳島の取組を、大臣、もちろん応援していただくのは当然ですけれども、私たちも、地元にそういう機関があるということで誇りに思って、また同時に、将来、消費活動を主たる形でやっていく子供たちにも大きな影響がある、そういった消費者教育推進のありようというのを今日確認できたということで。

 冒頭申し上げた厚生労働行政もそうですけれども、海外に行きますと、消費者庁は結構すごい権限を持っていると思います。新しい庁である、行政機関であるとはいえ、やはり、様々な消費活動というのは世の中を変えていくことになりますので、そういう意味で、今後しっかりとまた御活躍いただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、地方の消費者行政の充実についてお伺いします。

 高齢者や障害者、孤立、孤独の状況にある方が、消費生活の中で多く被害に遭っておられ、この方々を守る体制の強化は大変に重要です。当事者自身、そもそも被害を受けた認識さえなく、時間を置いて、誰かと話してやっと判明することもあるようです。

 私も、個人的に知っている方で、以前、被害に遭っていると認識することが難しく、何度お話ししても分かってもらえない、悔しい思いをしたことがありました。世に言うオレオレ詐欺だけでなくて、長期にわたって高齢者の財産を吸い上げていく巧妙な詐欺も、見えないところで多く高齢者を狙っていることを知りました。

 当時、国の年金制度が将来破綻するかもしれないというワイドショー等のマスコミ報道が盛んなときで、その不安につけ込んだあくどいものでした。年金給付よりもはるかに高額な配当がもらえます、そううたったもので、毎月、二万数千円を振り込んで、既に数年たっているという状況でした。現役時代はとても懸命に働いてこられた方で、まさか、そんな陳腐な話にだまされるなんて、とても信じられない思いでした。高齢になられ、お独り暮らしになられて、将来不安から信じてしまったと思われます。

 もう既に知られていることではありますけれども、二〇二五年には団塊の世代の方が全て後期高齢者になられ、推計では、認知症になられる方が高齢者の五人に一人の七百万人に及ぶとも推計をされております。

 昨年四月のこの委員会で提出された改正案の質疑において、私は、認知症の方、また認知症を疑われる方も含めて、いわゆる判断力の低下した消費者が自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消権の創設が見送られた経緯を質問させていただきました。昨年の法改正では、事業者側の情報提供の際の努力義務として、個々の消費者の年齢及び心身の状態に対する総合的な考慮を求めるものとなっていたからです。

 当時の若宮大臣からは、取消権については、強い効果と事業者の行為規範としての機能を持つことから、予見可能性あるいは明確性といった要素を全て満たす必要があるという理由から、消費者側の判断力に伴う取消権の創設が、規定が見送られたと答弁がありました。

 その上で、大臣からは、消費者契約を取り巻く環境が刻々と変化していることも含めて、既存の消費者契約の枠組みにとらわれない抜本的な検討が必要ではないか、将来に向けて、消費者契約法が果たすべき役割とは何なのか、こうした観点から消費者法全体の中で各法律の実効的な役割分担を考える、いわゆる骨太の議論が必要であると考えられ、今後、有識者の意見を伺いながらしっかりと検討していきたいとの御答弁をいただきました。

 この骨太の議論、進むことを大変に期待をしておりますけれども、今、現状、どのようなアプローチで消費者保護、特に高齢者の方を、判断力が低下した方を守れるか。大臣所信にも触れておられたとおり、消費生活センターと地域の見守りの担い手をつなぐ見守りネットワークの設置を国としても促進し、活動を充実強化していくこととしておりますが、独り暮らしの方、高齢者の方を含めて更に増加していくことを思うと、極めて重要な取組だと思います。

 消費者ホットラインの一八八、「いやや」の周知も大事です。ただ、担い手不足、相談対応の専門性が不足しているなど、様々な課題もあると聞いております。

 現状、一八八の周知はどのくらい進んで、効果を生んでいるのか。また、見守りネットワークがある自治体は、二〇二三年九月末、四百六十九自治体、総自治体数の、千七百八十八の二六%ということでありますけれども、まだ仕組みがつくられていない原因は何なのか。また、地方の消費者行政の現実について、その御認識と、それについて具体的にどのように今後取り組んでいかれるのかをお伺いしたいと思います。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費者行政におきまして、誰がどこに住んでいても質の高い相談を受けられ、消費者の安全、安心が確保されることが重要と認識しております。

 そのため、消費者庁といたしましても、委員御指摘の消費者ホットライン一八八の周知や見守りネットワークの設置促進等の地方消費者行政の充実について、積極的に取り組んでいるところでございます。

 一八八の認知度向上に向けましては、大規模イベントを通じた啓発活動でございますとか、政府広報の活用、インターネットによる配信等、様々な機会を通じ周知を行うなどしておるところでございます。

 令和四年度の消費生活意識調査、こちらはインターネット調査でございますけれども、この調査におきまして、消費者ホットライン一八八の名前を知っていた人というのを聞いておりますけれども、その割合が約三割にとどまるということでございまして、更なる認知度の向上が必要であることから、今後もあらゆる機会を捉えて情報発信に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、見守りネットワークについてでございますけれども、委員御指摘いただきましたように、着実に設置自治体数は増加してきておりまして、見守りネットワークを設置した自治体からは、積極的な見守り活動により消費者被害の防止等に役立っているなど、取組を評価する声が上がっております。

 一方で、設置していない自治体についてでございますけれども、まず、福祉等の既存のネットワークで実質的に対応できているといったお話もある一方で、設置に関して関係課等の協力を得られていない等の課題についても声が聞こえてきております。

 消費者庁といたしましては、このような声も踏まえながら、見守りネットワーク設置促進のため、見守り活動の担い手養成のための講座等の開催や設置に向けたリーフレット等の作成、優良事例の収集、横展開等の事業を行っておりまして、引き続き設置促進の取組を進めてまいります。こうした取組をしっかりと進め、地方消費者行政の充実強化を図ってまいります。

吉田(久)委員 課題もたくさんあると思いますけれども、是非、地方消費者行政、進めていただきたいと思います。

 続いて、持続可能な社会の構築に資する消費者教育の在り方についてお伺いしたいと思います。送料無料という問題、二〇二四年問題に絡めて質問したいと思います。

 物流の二〇二四問題、来年四月から労働者の時間外労働について年間九百六十時間が上限になることによって生じる、特に物流の問題をこう呼ぶわけですが、このことを国民全員、消費者としても我が事としていく必要があるのではないかと感じております。物流の恩恵を受けていない国民はおらず、まさにエッセンシャルな仕事であるにもかかわらず、その認識がこれまで、自分自身の反省も含めて、薄かったのではないか。

 物流を担うドライバーさんの労働環境は過酷です。働き方改革、労働対価を適正にお給料として受け取っていただくことからいえば、二〇二四問題と言うべきではなく、二〇二四年改革と言うべきではないかと思います。

 ただ、やはりその改革による影響は少なくなく、私、九州・沖縄比例選出でありますけれども、九州では、二〇三〇年には運転手が二万四千七百七十一人不足すると試算をされております。また、荷物の三九%が運べなくなるとの試算もあります。

 様々なステークホルダーが解決策を模索をしているところではありますが、このことを消費者としてどう受け止めていくべきか、その一つに、送料無料が普通であるかのように受け止めることの問題を消費者も認知することは大事なことだと思います。

 つまり、物が無料で自宅に届くわけがなく、物の値段とともに送料がかかるのは当然であって、送料込みという表現があっても、誰かがただで届けてくれるわけではない、消費者は、物を購入するときはその対価を払うのは当たり前であり、無料を掲げたその裏で物流を担ってくださっている方の働き方や賃金が圧迫されていたのであれば、持続可能なわけがないと知るべきであり、もっと言えば、そのような、消費者に誤解を招くような書き方を許すべきではないと思います。

 そこで、お伺いします。

 物流の二〇二四年問題に関連して、消費者庁において送料無料の表示の見直しの問題が検討されているものと承知をしておりますが、現在の検討状況はどのようになっておりますでしょうか。

植田政府参考人 お答え申し上げます。

 物流の二〇二四年問題における送料無料表示の見直し問題に関しまして、その実態や見直しによる影響等を把握するため、消費者庁において、本年六月より意見交換会を開催しておるところでございます。

 意見交換会は、これまで九回開催をしておりまして、全日本トラック協会、労働組合、大手運送事業者などの運送事業者側の方、それから通信販売事業者団体などの通信事業者側の方、それから消費者団体の関係者の皆様から御意見を頂戴しているところでございます。

 消費者庁としては、これまでいただいた御意見の今整理を行っているところでございまして、鋭意検討を進めてまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 また、人間は欲しくて買ったものはやはりより早く受け取りたいという思いになるのは当然だとしても、そもそも翌日配送や当日配送を選択する緊急性があるのかどうか。これも、世の中には命に関わるような、滞ってはならない物流、最優先すべき物流があり、その物流の重要性を認識し、国民全体で守っていくべきと考えます。送料は無料と表示されていても、物流には相応のコストがかかっているということ、また、急がない場合は極力、当日配送や翌日配送を選択しないなど、物流を守る消費者教育の必要性を感じております。

 大臣も、「消費者力を育成、強化する消費者教育に取り組みます。」と所信で述べられておりますが、だまされないための教育だけでなく、持続可能な社会の一員として、エシカルな消費を促す消費者教育は極めて重要だと思います。この点についての大臣のお考えをお伺いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、だまされないための消費者教育のみならず、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に関与する消費者の育成は非常に重要であると思ってございます。

 本年三月に閣議決定をいたしました消費者教育の推進に関する基本的方針におきましては、教えられるだけでなく、消費者による自ら及び相互に学ぶ、考える、行動することを促進すること、及び消費者市民社会の一員としての行動を促進することを基本的視点として新たに盛り込みまして、自立した消費者の育成に一層取り組むこととしたところでもございます。

 人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費につきましてでございますけれども、学校でも活用できる教材作成のほか、エシカル消費に関する特設サイトにおける事業者や有識者による取組の紹介等を通じ、消費者の理解の促進を図っているところでもございます。

 また、委員からの問題意識、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

 送料の無料の表示につきましては、消費者庁のホームページにおきまして、物流のいわゆる二〇二四年問題や送料無料表示の見直しへの理解を促す消費者への呼びかけを掲載しているところであります。

 送料無料表示等の物流に係る課題を含めまして、消費者教育を通じ、消費者が社会的課題を自分事としてしっかりと捉えていくということ、課題解決に向け取り組むということができるように、今後とも理解の促進に努めてまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 よろしくお願いします。

 公益通報者保護法の更なる機能強化についてお伺いしたいと思います。

 平成十二年頃から、大手企業の食品偽装、リコール隠しなど、広範な消費者の安全、安心を損なう不祥事が事業者内部の通報を契機として明らかになりました。

 こうした公益通報者を不当な解雇などから守る体制が国民生活の安全や健全な社会経済活動を守ることにつながることから、公益通報者を保護する法整備が進められ、公益通報者保護法が平成十八年から施行されました。通報者の解雇など不利益な取扱いを禁止し、事業者、行政機関が取るべき措置が規定をされました。

 内部通報者対応体制の導入が大手企業から進み一定の成果を上げたものの、機能不全や形骸化も見られ、オリンパス、日本郵便には、配置転換や脅迫など、公益通報を理由とした不利益な取扱いも発生をしてしまいました。これらを受けて、令和二年に公益通報者保護法が改正をされ、同四年六月から施行されました。

 しかしながら、令和五年、今年に入っても、ビッグモーターでの不祥事が明らかになりました。大手保険会社も巻き込んで、不正が広く会社内では当たり前のように行われていたことは、社会に衝撃を与えました。

 大半の消費者から見れば、有名な大手企業が不正を組織的に行うとは想像しにくいわけですが、繰り返し発生し続けているのが現実です。その実態も外からは見えにくい、会社内部の通報者によって明らかにされる以外難しいという現実があります。ですから、内部通報者を守るこの制度は、消費者、健全な経済活動を守る上でも更に強化する必要があるのではないかと考えます。

 その上で、改正法には、附帯決議として、改正法の施行から三年後の令和七年をめどに検討すべき項目が明示をされております。その中で、通報者に不利益な取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰の導入を検討することなどが求められております。

 今後どのような見直しをしていかれるのか、現在の検討状況等を教えていただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 公益通報者保護法の改正法施行後三年を目途とする検討条項に対応しまして、消費者庁といたしましては、海外制度に関する実態調査、公益通報者保護法に関する裁判例の収集、分析を行っております。また、今後、事業者一万社に対する内部通報制度の実態調査、労働者一万人に対する通報に関する意識調査を行う予定であります。

 これらの調査結果を、来年以降、順次公表していく所存であります。その結果を踏まえまして、通報者に不利益な取扱いをした事業者に対する措置の在り方などの課題につきまして検討してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 是非、この体制の強化を進めていただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田です。自見大臣、よろしくお願いいたします。

 本日は、悪質なホストクラブ等の被害対策について伺ってまいります。

 大臣も御存じのように、近年、歌舞伎町などで悪質なホストやホストクラブによる、十代、二十代の若年女性に対して、資力を超えた、完全に支払い不能な多額な飲食代を請求し、そしてそれを売掛金という形で、払えなければ風俗をあっせんする、売春をあっせんするという悪質商法の被害が急増しております。連日報道もされておりますし、昨日もこうした報道が幾つもございました。

 そして、大臣には大変残念でありますが、この理事会で私が資料を提出いたしましたけれども、これが認められませんでしたが、こうした青伝票、これは百三十万円です。十一月九日一日限りの伝票、青伝票、百三十万円。そして、その下にある、このレシートのようなものは、総合計が三百四十一万九千円となっています。

 こうした資料が出せませんので、私は、たった今、この委員会が始まる前に伺ってきた、被害者の母親の方のヒアリングをリアルで今行ってまいりましたので、その内容を御紹介いたします。

 医学部生とだまして、だました方はホストだったわけですね、そしてそこにはまった女子大生、母親が怒りの告白です。

 娘はぼろ雑巾のように捨てられました、そして今は恐怖が家族にも及んでいるということなんです。性奴隷扱いされた後、ぼろ雑巾のように捨てられました。関東在住の公務員の母親であります。お父様は、御主人は亡くなられておりまして、女の子をお二人育てていらっしゃる。そしてまた、このお子さん、お嬢さんは、本当にごくごく一般の、おとなしい、一般の会社員であったということです。それなのに、あるとき、SNSで知り合ったんでしょう、医学部を名のるその男性と親しくなって、最初はボーイフレンドのようにお話、LINEでやり取りをしていた。しかし、このホストの方が、自分はホストのアルバイトをしているから遊びに来ないかというところから始まったと言っておられました。

 そして、その中で、この資料のページを見ていただきたいのですが、ここに、どういうふうにはまっていくかというのが書いてあります。最初は甘い言葉で声をかけ、一、二回、そして三、四回通うと、シャンパンを入れてほしい、そして、これは飲食代ですから、不足すると担当ホストが肩代わりをする、そしてそれを売掛金という形でやっていきます。そうすると、雪だるまのように増えていく。でも、それを断るすべがないんです、彼女たちには。

 次のページ、売り掛けが取り消せる可能性があることが認知されていない。そして、売春、風俗のあっせんをされるがままになっていく。それは、恋愛感情を誤認させる、お互いにとって恋愛感情があるということを誤信させるような形で、とにかくマインドコントロールだとお母様はもう涙ながらに語っておられました。

 そして、その後、最初は都内のソープランドに家から通っていたけれども、でも今度は出稼ぎで通うようになって。そしてさらに、このマインドコントロールされている状況の中で、そのホストの方と、それからお嬢さんと、そして駆け込み寺というところが、これは民間の支援団体ですけれども、そこの方たちにも同席をしていただいて会ったけれども、もう全然話にならないような状況だったということです。そして、ある時期、このホストの方と四者面談をしたとき、九百万円の借金があると民間の支援団体にはおっしゃったそうです、そのホストが。そして、三年たって、ホストに捨てられたと泣きながらお嬢さんから電話があって、今こそこれで離していかなければならない、切り離さなければならないということで、お母さんは今一生懸命やっています。

 こんな悪質なホストのやり方が許されるんでしょうか、公的機関にも何回も相談をしたけれども全然駄目だった、もう本当に穴が、すっぽり落ちているような状態、借金をさせて飲食をさせる、そんな日本の社会になってしまったのかと支援団体のNPO法人のぱっぷすさんもおっしゃっていました。これは自己責任ですか、ホストの方にマインドコントロールをされて借金をつぎ込んでいく、そして売春まで行う、そういうことは自己責任なんでしょうかとお母さんはおっしゃっていました。

 自見大臣、この案件について、これは氷山の一角です、このことについてどのような感想をお持ちでしょうか。

自見国務大臣 個別の事例につきましてのコメントは差し控えさせていただきますが、報道でされているような悪質なホストクラブによります被害や刺傷事件は、常識にかんがえて非常に問題があると考えているところでもございます。

 また、委員もおっしゃっていただきました取消しということでもございますが、消費者契約法は、消費者の利益を守るため、消費者契約について不当な勧誘による契約の取消し等を規定しているところでもございます。

 好意の感情ということも言及していただきましたけれども、好意の感情などを不当に利用した契約、いわゆるデート商法につきましては、消費者契約法の第四条第三項第六号に取消権を定めてございまして、悪質なホストクラブの手法が本条で定める要件に該当すれば、消費者の意思に基づき取り消すことができる可能性があると考えてございます。

早稲田委員 個別の事案とおっしゃいました。確かに、今お話ししたのはそうでありますけれども、こうした事案が多発をしていて、そして、この消費者契約法第四条三項六号の好意の感情の不当な利用、これがまさに絵に描いたようなこの悪質なホストクラブ等で行われている実態ではないでしょうか。

 大臣、今、デート商法違反、消費者契約法違反の疑いの可能性ということをお認めになったということでよろしいですか。

自見国務大臣 具体的には、消費者契約の締結を勧誘する際に、消費者が社会生活上の経験が乏しいといったところから、勧誘者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ勧誘者も消費者に同様の感情を抱いていると消費者が誤信していることを知りながら、これに乗じ、契約を締結しなければ消費者との関係が破綻することになってしまう、そういったことになることを告げることにより、消費者が困惑し契約を締結した場合にこれを取り消すことができるということで、四つの要件を書かせていただいているところでございます。

 個別の具体的な案件について申し上げることはできませんが、いずれにしても、この四つの要件を満たしていれば取消しができると考えてございます。

 勧誘者との関係が破綻するということでございます。

早稲田委員 そうなんです。乗じて、そうした恋愛感情に乗じて、そして借金をどんどん雪だるま式に増やしていく、そして売春をあっせんする。

 ここで重要なのは、消費者契約法違反の疑いがあるということです。それは、売春がなければ成り立たないのではなくて、まずはこの売掛金という過大な、資力を超えた売掛金をどんどん被害者にやっていく、そうしたこの商売のスキームということ自体がもう社会的に破綻をしていると私は思いますし、大臣も同じ思いでいらっしゃると思います。

 その上で、消費生活相談として、実態把握の状況、実態把握をもっと更にしていただきたいと思います。それについての大臣の御見解を伺います。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 ホストクラブが関係するものに限られるものではございませんが、いわゆるデート商法になります。デート商法に係る消費者生活相談の最近の件数でございますが、二〇二一年度が九百五十七件、二〇二二年度は八百四十七件でございまして、これはPIO―NETから検索をかけた数字ということで今お示しをしております。

 委員御指摘のように、実態の状況を把握するということは非常に重要であると思ってございまして、引き続き、相談の状況等をしっかりと注視してまいりたいと思ってございます。

早稲田委員 これはデート商法全般的でありますけれども、この改正した後は九百何件ともう千件に近い数字で、この中にも多分に入っていると私は推測をしています。

 その意味でも、きちんとこれを広報啓発活動をもっと強めていただきたいんですね。そして、その中で、是非、被害予防のために、今ホームページや何かではやっていただいていますけれども、インスタとかティックトック、こうしたものも駆使して、若者に、若い女性に直接届くような、そうした啓発も必要なのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 被害の予防のためには、必要な方にしっかりと情報が届くということは重要であると考えてございます。

 インスタ等の、若い方が使う手法ということで具体的にも挙げていただきましたが、未成年の方や、あるいは若年の女性、またその家族への周知につきましては、関係省庁とも連携をしながら、どのような周知方法が効果的かつ実効的であるかということをしっかりと検討してまいりたいと思います。

早稲田委員 是非それは早く検討を進めていただきたい。今もこの被害が起こっています。多発をしています。

 そして、消費者ホットラインの一八八、「いやや」の紹介サイトに、是非この悪質ホストの被害事例というところを載せていただきたい。これは、統一教会の関係で、カルトというものが載りました。このように分かりやすい形で、デート商法は今載っていませんから、せっかく法改正をして、それを、今社会問題になっていることを是非載せていただきたい。そして、それをビラとして、私は、注意喚起をするために、この歌舞伎町周辺で、関係省庁、警察とももちろん強く連携をしていただいて、注意喚起のために配布をすべきではないかと思いますが、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 好意の感情などを不当に利用した契約が消費者契約法に基づく取消しの対象となるということは、これまでも周知をしてきたところではございますが、委員の問題意識を踏まえて、今後、いわゆるデート商法等に関する消費者契約法の取消権が悪質ホスト被害の場合にどのように活用できるのかを消費者庁のウェブサイト等で分かりやすく周知する等の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、チラシの配布などの御提案もいただいたところでございますが、効果的かつ実効的ということが非常に重要だと思いますので、どのような方法が可能か、関係省庁とも連携しながら、しっかりと検討してまいりたいと思ってございます。

早稲田委員 是非、緊急の配布ということもお考えをいただきたいと思います。もちろん、事例を載せていただくのは第一歩ですけれども、それをやっていただかないと、本当に伝わっておりません。

 そして、先ほど来申し上げている一番の課題である高額な売掛金という名の借金、これをさせるということの、この売掛金の問題、消費者契約法でも現行法ではこれ以上解決ができないのではないか、取消しはできるということは周知はもちろんしていただくんだけれども、解決はできないのではないか。

 私は、非常に今、現行法に無理があるのではないかと思っていますが、その点について、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

自見国務大臣 ありがとうございます。

 消費者庁といたしましても、悪質なホストクラブにおける消費者被害は、消費者行政上の課題の一つであると認識をしてございます。

 そのため、消費者契約法は、消費者の利益を守るため、消費者が事業者と結んだあらゆる契約について、不当な勧誘による契約の取消しや消費者利益を害する契約条項の無効等を規定した法律であります。契約に関する上限の金額や売掛金の禁止などを定めた法律ではございません。

 したがって、消費者契約法で委員からの御指摘のあった高額の売掛金などを規定することは難しいというふうに考えてございます。

早稲田委員 そうすると、なかなかこのままでは解決ができない、改善に向かえないという御認識でよろしいですか。

自見国務大臣 おっしゃったように、現行のものにおいてはそういった認識になってございますが、繰り返しになって恐縮ですが、我々に与えられております消費者契約法の取消権の施行につきまして等でありますけれども、まず執行をしっかりとさせていただくことで、あらゆる方法を駆使してまいりたいと思ってございます。

早稲田委員 もう緊急の課題であります。

 つまり、これは、一つのいろいろな事例がそのたびに出てきておりますけれども、歌舞伎町だけで今ホストクラブ等が三百軒、そこに二十人のホストの方がいたら六千人です。そして全国では、これは歌舞伎町だけじゃないんです、全国に今千軒あると言われています。そうすると、二万人以上の。そして、被害が、じゃ、どのくらいこのようなことが起こっているかといえば、これはもう十万にも達するかもしれない。それぐらいのスピードで、もう毎日毎日、私たちがヒアリングをしております日本駆け込み寺、そして青少年を守る父母の連絡協議会が七月に立ち上がったばかりですけれども、もう今までに二百件の相談を得ているということであります。

 是非、大臣におかれましては、この問題認識を、緊急の課題だということを思っていただきまして、悪質なホストクラブ被害者対策の関係省庁連絡会議なり政府対策本部の設置を、消費者庁が音頭を取って呼びかけるべきと私は考えますし、さらに、専用の被害者相談ダイヤル、これも設置を検討していただきたいと思いますが、最後に御決意を伺います。

秋葉委員長 では、自見大臣、簡潔にお願いします。

自見国務大臣 悪質なホストクラブにおけます消費者被害も消費者行政上の課題の一つとして認識してございますが、こういった被害の原因には、風俗営業法、消費者契約法、売春防止法、職業安定法などに接触し得る行為も含むものと承知をしてございます。

 深刻な状態を踏まえまして、まずは、現行法に基づいた適切な対応を取りつつ、関係省庁との間において必要な情報の共有などにも努めつつ、何ができるかを考えてまいりたいと思ってございます。また、周知の方法については、実効性のあるものにしてまいりたいと思います。

早稲田委員 これで終わりますが、この日本の社会でこうした売掛金ということの借金の話、それから売春、風俗ということが当たり前のように増加をしていくということに是非歯止めをかけていただく、その一番の核となる消費者契約法を持っている省庁としてお願いをしたいと思います。

 以上です。

秋葉委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 まず、公益通報者保護法について伺います。

 ビッグモーターの事件で問題となった公益通報、社員が二〇二一年に業界団体に不正を通報したが、不十分な調査で不正がもみ消され、今年になってマスコミ報道でようやく不正が明るみに出ました。公益通報者保護法に従ってビッグモーターが対応していれば、ここまで問題が大きくならなかったわけであります。

 私が厚生労働委員会で担当している介護や福祉や保育の現場でも虐待や不正があります。介護や福祉の虐待は、被害者が認知症や知的障害や子供などで、被害が伝えられない。ところが、虐待を、施設で働いている人が警察に通報すると、これは公益通報者保護法の対象になりますが、虐待防止法に従って自治体に通報してしまうと、刑事罰につながる法令違反ではないということで、公益通報者保護法の対象にならないということであります。通報を受けた自治体が虐待防止法の緩い枠組みでしか通報を受けてくれず、公益通報者保護法のように、通報者への進捗報告など、きっちりやってくれません。同じ虐待なのに、通報先によって公益通報にならないという変な縦割り状態になっているわけであります。

 参考人に伺いますが、公益通報者保護法の対象になっていない通報であっても、自治体は公益通報者保護法ガイドラインにのっとって通報を処理すべきではないでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者の法令遵守の確保と地域住民の生活の安定に向けまして、各地方公共団体が外部の労働者からの通報を積極的に活用し、早期に情報を把握して、適切な法執行を行うことが重要と考えております。

 こうした観点から、消費者庁では、地方公共団体の通報対応に関するガイドラインを策定しまして、地方公共団体が、公益通報者保護法上の公益通報には該当しない法令違反などに関する通報につきましても、公益通報に準ずる通報として必要な調査を行い、適切な措置を取るように定めております。

 各地方公共団体には、引き続き、説明会の開催などを通じまして、ガイドラインに沿った対応を促してまいりたいと考えております。

井坂委員 ところが、自治体の介護、福祉、保育部局の方々は、やはり、虐待防止法のことはよく知っているんですけれども、公益通報者保護法のことは御存じないわけであります。

 参考人に伺いますが、やはり、介護、福祉、保育部局を始めとする自治体職員に、公益通報者保護法のガイドラインにのっとって通報を処理するよう周知徹底をしていただけませんか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁では、通報対応に関するガイドラインの内容につきまして、地方公共団体の職員を対象とした説明会を定期的に開催しております。加えまして、説明会の動画を地方公共団体に広く共有して、内部の研修での活用を促すなど、内容の周知に努めているところであります。

 今年度は、地方公共団体を含めました行政機関向けに、通報対応に関する体制や運用状況についての実態調査を実施する予定であります。この結果も踏まえまして、より一層効果的な周知を検討してまいりたいと考えます。

井坂委員 大臣に伺います。

 ビッグモーターの事件を受け、消費者庁は、上場企業四千社を含む一万社の内部通報体制を調査するということです。企業だけでなく、今お話しした介護、福祉、保育事業所も調査をしていただき、事業所の経営者と従事者に公益通報ルールを周知していただきたいと思いますが、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁では、来月、様々な業種、規模、地域の事業者一万社に対しまして、内部通報制度の整備、運用状況の実態調査を開始する予定でございます。これには、委員から御質問いただいております介護、福祉、保育の事業所も対象にしっかりと含まれてございます。

 こうした実態調査を活用いたしまして、業種ごとに内部通報制度の導入状況を評価をいたしまして、関係省庁とも連携をいたしまして、更なる周知に努めていきたいと考えているところでございます。

 また、消費者庁では、中小事業者など、いまだ体制が整備されていない事業者の経営者や従業員向けに、公益通報者保護法に関する分かりやすい解説動画などを作成しているところであります。

 介護、福祉、そして保育事業者も含めまして、各事業者がこうした解説動画なども活用して体制整備を図れますように、新聞、そして雑誌、SNSなど様々な媒体も活用しながら、また、関係省庁ともしっかりと連携しながら周知啓発に取り組んでまいりたいと思っております。

井坂委員 介護、福祉、保育の虐待というのは、警察に言えば、これはもう刑事犯なわけですが、ところが、虐待防止法で自治体への通報義務があって、必ず自治体の方に通報が行ってしまいます。ここにやはり法律の隙間がありますから、是非、そこは、普通の事業所と違って、より命に関わる問題の通報ということで、徹底をしていただきたいというふうに思います。

 次に、SNSチャットによる消費者被害について伺います。

 令和五年の消費者白書によると、全国の消費生活相談の二九%がインターネット通販、これは店舗購入の二一%や訪問販売の八%、電話勧誘販売の五%を上回り、トップの割合であります。特に、二十歳未満の相談の六一%がインターネット通販。

 このネット通販というのが、昔のように、ただホームページに広告があって、それを消費者が見て買うという穏やかなものではありません。SNSで一旦つながったら、チャットやダイレクトメッセージを使って、夜中に何十回としつこくメッセージが来て、断り切れなくなって契約をしてしまうという電話勧誘販売に近い形であります。電子メールによる勧誘は規制をされているのに、SNSのチャットやダイレクトメッセージは野放しであります。

 大臣に伺いますが、SNSのダイレクトメッセージを通じた勧誘については、電話勧誘販売と同等のクーリングオフや勧誘規制をすべきではないでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 電話とSNSのダイレクトメッセージは、ウェブサイトなどとは異なり、当事者双方以外から内容が把握できないという面において共通してございます。

 他方で、SNSのダイレクトメッセージは、即時の応答は義務とは言えないことなど、ブロックや関係の解除の機能が備えられており、相手との通信を双方が任意に切断できることといった相違点もあるということでございます。

 規制の在り方については、このような電話とSNSのダイレクトメッセージの異同に加え、消費生活相談の実態、また、行政処分の状況等、様々な要素を勘案した上で慎重に検討を積み重ねていく必要があるというふうに考えてございます。

井坂委員 大臣、慎重に検討では駄目でしてね。SNSは確かにブロックとか遮断できるとおっしゃるんですが、今どうなっているかというと、切ってもまた別のアカウントから勝手につながられて、どんどんメッセージが来る、こういうことになっているんです。

 是非、大臣、お願いをしたいんですが、消費者委員会も今年の八月にチャットを利用した勧誘の規制に関する意見書というのを出しています。やはり電話勧誘と同等の特徴があるという問題意識から、こういう意見書が出されているわけであります。

 また、ネット通販を規制する特定商取引法は二〇一八年に改正されて、今年が附則に定められた五年後見直しの年でもあります。SNSを通じた勧誘の実態、それによる消費者被害の実態を調査をしていただき、現行法では規制が難しい部分について実効性ある法規制を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 委員御指摘のように、SNSによる消費者被害の実態は様々でございます。例えば、電話勧誘販売や連鎖販売取引に該当するようなものもあり、特定商取引法に違反する事実がある場合には厳正に対処をしているところであります。

 消費者庁では、メッセージアプリを契機といたしまして、オンラインミーティングに誘い込み、そのミーティングにおいて不適当な勧誘を行った連鎖販売業者に対しまして、令和五年七月に行政処分を行ったところでございます。

 消費者庁としては、引き続き、SNSを利用した事案に対しても行政処分をしっかりと行っていくことにより、SNSを活用した消費者被害の防止等に努めてまいりたいと思ってございます。

 加えまして、委員から今研究という言葉がございましたが、SNSに対する新たな規制が必要かどうかということも含めまして、消費者を取り巻く取引環境のデジタル化につきましては、引き続き研究を行ってまいりたいと思います。

井坂委員 研究をお願いしたのではなくて、実態調査、それから今の法規制では規制できない部分の新しい規制をお願いをしておりますので、是非やっていただきたいと思います。

 最後に、破綻必至商法について伺います。

 私は、ジャパンライフの問題を二〇〇〇年以降で初めて国会で取り上げ、巨額の消費者被害事件と、それから、当時、消費者庁の甘い対応を追及をしてまいりました。長い時間がかかり、ジャパンライフは潰れ、また、物を預かって貸し出し、その利益を配当するとうそをつく預託取引も全面的に禁止をする法律ができたわけであります。

 しかし、そもそも、預託取引に限らず、事業をしていないのにお金を集めて、集めたお金の一部をそのまま利益配当ですといってうそをついて配るやり方そのものを禁止しなければ、また第二のジャパンライフが現れ、巨額の消費者被害を巻き起こします。

 消費者委員会は、今年八月、ワーキンググループの報告書で、これらの詐欺的商法を破綻必至商法、必ず破綻する商法というふうに名づけ、横断的、一元的な対応、また消費者被害の回復をできる制度などの整備を求めています。

 大臣に伺いますが、この破綻必至商法を包括的に禁止し、被害の拡大防止や回復のための方策を用意すべきではないでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本年八月に、消費者委員会から、破綻必至商法という観点で、悪質事業者を市場からより効果的に排除するための制度整備等を行うための検討が必要であるとの指摘が、多数消費者被害に係る消費者問題に関する意見として出されたということを承知してございます。

 消費者庁といたしまして、一般論として、深刻な消費者被害をもたらすような悪質な商法への対応は重要であると考えてございます。事業者の中には、そのような悪質な商法を営む事業者がいる一方で、消費者被害の発生防止に積極的に取り組む優良な事業者もいるとも認識をしているところでもあります。

 消費者庁におきまして今年の夏までに開催をいたしました消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会においても、事業者の多様性を考慮し、グラデーションある規制とすることが必要であり、悪質性の高い事業者に対しては行政規制だけでなく刑事規制も視野に入れた対応が必要であるといった議論がされたところでございます。

 今後、こうした議論や既存の法制度の運用状況を踏まえまして、事業者の悪質性の度合いに応じた対策についてしっかりと対話を重ねながら検討してまいりたいと思ってございます。

井坂委員 ちょうどそれを次にお聞きをしようと思っていたんですが、この消費者法の将来の在り方を考える有識者懇談会で、確かに事業者の悪質度合いに応じて対応を変えるべきではないかと議論が進んでいるのは承知をしております。

 そこでお聞きしたいのが、今お話しした少なくとも破綻必至商法、明らかに最初からうそなんです、事業なんかやっていないんです。やっていないのに、配当が出たといって、人から受け取ったお金をただ別の人に一部配当金として渡しているだけなんです。全部同じパターンなんです。これを、破綻必至商法をやっている事業者、それが強く疑われる事業者は、まさに極めて悪質性の高い事業者でありますから、そういった事業者は、まず、通常より厳しく調査、規制、処分すべきだと思いますが、いかがでしょうか。通告どおりです。

自見国務大臣 お答えいたします。

 事業者の多様性を考慮し、グラデーションのある規律とすることが必要であるとの議論や、あるいは既存の法制度の運用状況を踏まえ、将来に向けて事業者の悪質性の度合いに応じた対策についてしっかりと検討してまいりたいと考えてございます。

 また、預託法の改正によりまして、販売を伴う預託等取引が原則禁止となったところでもございます。消費者庁においては、預託法を厳正に執行し、消費者被害の防止に努めてまいりたいと思います。

井坂委員 預託法だけじゃ駄目だから、破綻必至商法というわざわざ新しいくくりを消費者委員会が出してきていますので、そのことは本当に重く受け止めていただきたいというふうに思います。

 本日は、介護、福祉、保育の虐待を防ぐ、それから、若者をSNSの強引な勧誘から守る、そして、ジャパンライフのような巨額消費者被害を防ぐという三点で質問をいたしました。是非、危機感を持って迅速に対応していただきたいとお願いを申し上げて、質疑を終わります。

 どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党、山田勝彦です。

 自見大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣は、所信で、厚生労働省がこれまで担っていた食品衛生基準行政が消費者庁へ移管されることを述べられました。

 食品中の残留農薬の基準、使用可能な食品添加物の指定など、食品の安全性を確保することは国民の健康を守ることであり、大変重要な役割をこれから消費者庁が新たに担うことになります。消費者団体の間には、このような改正内容が十分に周知されていないことから、食品安全行政の後退を招かないかという懸念の声が上がっています。

 厚生労働省という大きな役所から消費者庁へ移管することで、今後、食品衛生行政を担う人員体制やその予算規模はどうなっていくのでしょうか。大臣、教えてください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 昨年九月の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、感染症対応能力を強化するために厚生労働省の組織を見直し、同省の生活衛生関係組織のうち、食品衛生基準行政につきましては、食品安全行政の司令塔機能を担う消費者庁に移管をし、同庁が食品衛生に関する規格基準の策定を所管することで、食品衛生についての科学的な安全を確保し、消費者利益の更なる増進を図るとの方針が示されたところであります。

 その後、関連する整備法案が本年五月に成立をいたしまして、令和六年四月から食品衛生基準行政が消費者庁に移管されることとなったところでもございます。

 それに伴いまして、来年の四月でありますが、食品衛生基準行政が消費者庁に移管された後におきましても、食品安全基本法に基づきまして、リスク分析の考え方により、科学的見地に基づいた衛生規格基準を策定するという政府内の基本的な枠組みは変更されません。

 また、委員から御不安の声もあるということでございますので、少し、恐縮ですが、詳しく御説明させていただきます。

 具体的には、移管後も引き続き科学的な知見に裏打ちをされました衛生規格基準の策定等を行うことができるよう、食品衛生基準行政に関する調査審議におきましては、消費者庁に新たに設置をされます食品衛生基準審議会が厚生労働省の薬事・食品衛生審議会から引き継ぐこととしております。

 また、現在、食品安全行政の総合調整や食品に関するリスクコミュニケーションの推進も担っています消費者庁でございますが、その消費者庁が食品衛生基準行政も担うことによりまして、三点のことが可能になると考えております。

 一点目は、食品安全に関する科学的知見に裏打ちをされた啓発の促進、そして二点目が、販売現場におけますニーズや消費者行動等の規格基準策定の議論へのタイムリーな反映、そして三点目が、コーデックス等の国際的な対応に当たって、食品の表示基準と衛生基準の一体的な参画が可能となります。これによりまして、消費者利益の更なる増進が図られるものと考えてございます。

 このように、今まで担ってきましたものと含めまして、有機的な連携により消費者利益の更なる増進を図るべく、来年度に向け、必要な予算や定員、そして体制の確保、整備に全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。

山田(勝)委員 決して人員や予算が削減されていくわけではない、むしろ、今の大臣の御説明では、機能強化を目指していきたいという意思だと思っております。是非ともよろしくお願い申し上げます。

 そして、予定を変更して、次、二つ目じゃなくて三つ目の質問に移りたいと思います。食品表示についてです。

 資料一を御覧ください。

 麺やパンなどの食品表示で、「小麦粉(国内製造)」という表示が現在されています。消費者に、まるで国産小麦が使用されている、このように明らかに誤解を与えています。消費者は、原料がどこで生産されたのか、国産なのか外国産なのかを知りたいのであって、どこの国で、どの場所で製造されたのかを知りたいわけではありません。

 消費者団体が街頭で消費者意識調査をした結果、「小麦粉(国内製造)」と製造地表示されたパンの原料小麦の産地について、国産であると答えた消費者が三分の一もいました。ちなみに、残りの三分の一は生産地が分からない、そして、もう三分の一が外国産であるという答えでした。

 つまり、消費者は混乱しています。国内製造という表示は、原料原産地が分からないだけではなく、国産と紛らわしい表示であり、現行の原料原産地表示は明らかに問題があるのではないでしょうか。

 消費者にこのような誤解を与え続けることのないよう早急な改善が必要だと思いますが、自見大臣はどのようにお考えでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 原料原産地表示制度では、輸入品を除く全ての加工食品について、重量割合上位一位の原材料の原産地表示を義務づけておるところでございまして、生鮮食品の場合は原産国を、加工食品の場合は製造された国を表示することになってございます。

 重量割合上位一位の原材料が加工食品の場合、原産地として製造された地名を表示することを基本としている趣旨は、その原材料となった加工食品の製造に使用されている原材料の調達先が変わることや、あるいは、当該加工食品の生鮮原材料まで遡って産地を特定することが困難なことなどによるものでございます。

 他方で、加工食品の原材料であっても、客観的に確認できる場合は、生鮮原材料の原産地まで遡って表示することは可能となってございます。

 このような制度の仕組みにつきましては、消費者向けのパンフレット及びチラシの作成、表示制度に係る消費者セミナーの開催などによりまして周知、普及を行ってきたところでありまして、引き続き制度の普及啓発をしっかりと図ってまいりたいと存じます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 今大臣から原産地の確認が困難であるためという趣旨の説明があったかと思いますが、全くその説明が理解できないんです。

 資料一の3を御覧ください。

 ちなみに、これはスーパーで並んでいるような小麦粉。小麦粉に関しては、このように既にその原料である小麦の生産地が表示されているんです。なぜ、パンや麺の小麦粉の原材料がどこの国のものなのかすら表示できないのか、これは全く理解に苦しみます。

 そして、更に言わせていただくと、その下、資料一の4、これはお隣の韓国。お隣の韓国では、上位三位の原料まで原料原産地の表示が徹底されています。日本と比較して、1、4と比較しても明らかです。同じカップ麺でも、韓国ではこのように、どこの国なのか、その原料の主たる原料の小麦がどこの国のものなのかというのがしっかりと表示されているのにかかわらず、日本では国内製造という表示になっている。

 韓国も日本も、同じように食料を海外に依存する、食料自給率の低い、同じような事情を抱えた国です。なぜ、韓国ではできている表示が日本ではできないのでしょうか。明確にその理由を教えてください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 加工食品の原料の原産地表示制度につきましては、表示義務の対象となる原材料が加工食品の場合、製造地表示を基本としているところであります。これは、当該加工原材料の調達先が変わることや、当該加工原材料の原材料が加工食品の場合もあり、生鮮原材料まで遡って産地を特定することが困難なことによるものでございます。

 ただし、表示義務の対象となる原材料が加工食品の場合において、原材料のうち最も重量割合が大きい生鮮原材料の原産地が確認できる場合には、製造地表示に加えて、その生鮮原材料の原産国の表示を可能としているところでございます。

 輸入品を除く全ての加工食品を対象とした制度でございますので、中間加工原材料について、実施可能な内容を原則としつつ、産地を特定できる場合は特例として原産国表示も可能とする現在の仕組みは、妥当であると考えてございます。

 また、委員から、加えまして、韓国でできているといったことで、日本ではなぜできないのかという問いがございました。

 これにつきましては、義務表示の対象となる原材料につきまして、制度検討時の有識者会議におきまして、消費者への情報提供の観点からはできるだけ多くの原材料を義務表示の対象とすることが望ましく、製品に占める重量割合が上位二位、三位までの原材料を対象とすべきとの意見もございましたが、事業者の実行可能性ということも勘案いたしまして、上位一位の原材料を義務表示の対象とすることが適当であるとの意見を踏まえ、制度化をしたものとなってございます。

 なお、本制度は、平成二十九年九月に施行されまして、四年以上の準備期間を経て、令和四年度、昨年度から本格施行されたところでございます。まずは、制度の定着、普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 韓国でできているわけで、今の答えは全く理解ができません。

 できない理由が、明らかに、これは製粉協会が言われている、業者、業界の声を聞いて消費者行政がなされている、今の答弁でそういうふうにしか捉えられません。是非とも消費者の声を聞いていただきたいということです。

 この問題なんですけれども、消費者委員会からも、既に消費者庁へ意見書が出されています。加工食品の原料原産地表示に係る消費者の理解度、活用度、表示に対する満足度などに関する調査を定期的に実施し、その結果を公表するように求められています。

 消費者庁は、来年度、この制度の見直しについて議論することとなっていますが、今現在、まさに調査をされている段階かと思われます。

 これは、はっきりと、私が最初、冒頭指摘したように、消費者は誤解をしているんですね。そういった消費者の理解度など、消費者庁は把握できているのでしょうか。

 大臣、お願いがあります。ちょっと簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

依田政府参考人 簡潔にという御答弁でございますが、委員御指摘の消費者委員会、こちらは、この制度を導入した当時、食品表示基準の改正を諮問した際に、委員御指摘の消費者委員会の答申書に、委員御指摘のような趣旨の内容が記されているところでございます。

 すなわち、この制度は、輸入品を除く全ての加工食品を対象とするということで、事業者の実行可能性を担保するために複雑な制度になっているのは事実でございます。

 一方では、消費者に提供する情報量の拡大というメリットがある一方で、日本の中小事業者への負担増、食品産業の競争力の低下などのデメリットが生じるおそれもあるということから、経過措置期間終了後二年後、つまり、来年度以降、各種調査に基づいて、表示に対する消費者ニーズの変化状況や事業者の状況等を確認し、制度導入の効果について検証を行い、必要に応じ、制度の拡大や廃止も含めて、幅広く見直しを実施するということとされたわけでございます。

 この答申の趣旨を踏まえまして、消費者庁としましては、表示に対する消費者ニーズの変化状況、あるいは事業者の実施状況の確認、そして制度導入の効果についての検証を、まさに今現在調査をしているところでございます。

山田(勝)委員 これは、調査してもらったら明らかなんですが、製造地表示に対しては消費者は理解できていないということで、制度を改善していただきたい。原料原産地の表示を徹底していただきたいと思っております。

 その上で、これは消費者だけではなくて、資料二を御覧いただきたいんですけれども、生産者も願っているんです。JA全農は、自主基準を設けて、韓国と近い形で加工食品の原料の生産地表示を実践しています。政府の基準より手間がかかる自主基準をあえて行っている。これは、大臣、なぜそれをやっているか分かりますか。国産の農産物が選ばれるからです。

 私は、本委員会で、三月三十日の質疑で、消費者庁は、製造地でなく生産地表示に改められれば、多くの国民が積極的に国産原料を選択することになり、我が国の食料自給率が向上することを既に認めています。我が国の食料安全保障の観点からも、原料原産地表示制度は生産地表示へと改めるべきではないでしょうか。最後、大臣、お答えください。大臣に通告しています。大臣にお願いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 現在、先ほど審議官から御説明もありましたが、調査の結果などを踏まえまして、令和六年度以降の見直しの必要性についても検討してまいりたいと思ってございます。

 委員の、消費者そして生産者双方の御意見といったところも丁寧に対応しながら進めてまいりたいと思います。

山田(勝)委員 是非とも、業界団体、事業者の声を聞くことも大事ですが、消費者行政として、消費者の声や、特にこの問題は生産者の声も聞いていただいて、必要な改善を強く求めて私の質疑といたします。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 短い時間ですので、今日、原稿を全部送ってありますので、しっかりとした御答弁、正確な御答弁をいただけるものと期待をいたします。

 今日は、特定商取引法、いわゆる特商法の改正についてお伺いをしていきます。

 平成二十八年改正の際に規定された附則には、五年後の改定と定められていますね、大臣。しかし、勧誘を繰り返し断っているにもかかわらず、必要のない高額な請負契約をさせる訪問販売被害やSNSによる勧誘を契機とした高額な副業トラブルなど、悪質商法による被害は、後を絶たないどころかますます巧妙化している気がいたします。是非、自見大臣には在任中にこの特商法の改正を実現してほしいという期待を込めて、特商法に関して質問をいたします。

 まず、インターネット上での詐欺的な定期購入販売被害についてお伺いします。

 詐欺的定期購入被害は、昨年六月に改正特定商取引法が施行された後も、国民生活センターによると、月別の相談件数は二〇二二年末から急増し、大臣、本年一月には月間一万件を超えています。

 まずお聞きしますが、消費者庁は、この原因についてどのような分析をされておられますか。

自見国務大臣 PIO―NETに登録をされました定期購読に関する消費生活相談件数につきましては、改正特定商取引法の施行後、一月当たりでありますが、月間一万件を超える期間もあったものでありますが、おおむね減少傾向となってございます。

 この期間におきましては、消費者意識の高まりなどもございます。たくさんメディアでも取り上げていただいたということもあったかと思います。そういったことなどにもよりました。また、例えば低価格を強調するものや注文をせかしたりするものに係る、内容でございますが、相談が増加したものと承知をしております。

 これを受けまして、消費者及び国民生活センターにおいて現在注意喚起を行うとともに、最終確認画面における誤認表示の禁止規定についての周知活動を進めてきたところでもございます。

 分析をということでございますが、繰り返しになって恐縮ですが、消費者意識の高まりがあったというふうにも思ってございますし、また、この間でございますけれども、おおむね増えているということでございますが、その後減少傾向と申し上げました。この時期はコロナ禍であったということも非常に大きかったのではないかということも考えておりますが、いずれにいたしましても、我々といたしましては、きちんと相談に応じている件数の中身を大事にしておりますので、その分析等もしっかりと引き続き行ってまいりたいと思います。

 また、前段で申し上げました、PIO―NETに登録された定期購入でございます。

吉田(統)委員 大臣、文書を全部渡してありますので、適切かつ簡潔に答弁をしっかりしてください。

 増えた原因は、広告画面についての改正がほとんどなされなかったことや、最終確認画面で初回分と二回目以降の契約条件を分離表示することをガイドライン等で明示的に禁止していないことによる脱法事例が多発していると考えられます。

 広告画面について最終確認画面と同様に誤認表示を禁止したり、最終申込画面の分離表示を禁止して、支払い総額の明瞭表示を義務づけるなどの抜本的な改正が必要だと考えます。

 早急に特商法を改正して、こういった抜本的な対応をするべきではないですか。お答えください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁といたしましては、詐欺的な定期購入商法対策といたしまして、昨年六月に施行された改正特定商取引法で、最終画面において定期購入契約でないと人を誤認させるような表示等を禁止するなどの規制を設けたところであり、まずはその周知活動や注意喚起に努めてきたところでもございます。

 また、定期購入に係る消費生活相談の状況を注視してございまして、違反する事実があれば積極的な対処を現在行ってございます。令和五年六月になりますが、最終確認画面において定期購入契約でないと人を誤認させるような表示をしていたものとして、通信販売業者に対する行政処分も行っているところでございます。

 消費者庁といたしましては、まずは改正法に基づく執行を適切に行い、その遵守状況等を確認していく段階であると考えてございます。

吉田(統)委員 ですので、もう一度申し上げますけれども、最終確認画面と同様に誤認表示を禁止する、最終申込画面の分離表示を禁止する、支払い総額の明瞭表示を義務づけるということが、大臣、私は大事だと言っているんです。そこに関してのことだけを再度お聞きしますが、そこはいかがですか。改正するんですか。

自見国務大臣 ありがとうございます。お答えを申し上げます。

 繰り返しになって恐縮ですが……(吉田(統)委員「繰り返しは要らないです。今のことに答えてください」と呼ぶ)はい。消費者庁としては、まずは改正法に基づく執行を適切に行い、その遵守状況を確認していく段階であると考えておりますが、委員が御指摘いただきました個別の具体事例につきましても、その遵守状況等を確認していく中でも意識を高く持って対応してまいりたいと思います。

吉田(統)委員 大臣、個別の具体事例じゃなくて、もうここが問題になっていることは分かっているので、大臣、そこをちゃんとやらないと、個別の具体事例という表現では、誤った認識を大臣がされていると世の中に伝わりますので、気をつけた方がいいと思います。

 次に、近年、消費者の利用が増えているSNS関連の消費者トラブルについてお聞きします。

 近年、消費者が利用するSNSなどに販売業者からのメッセージが送信されたり、SNS等の利用中に表示される広告をきっかけとしたトラブルが多く見受けられますね、大臣。

 内閣府消費者委員会は、ワーキンググループ報告書を受けた建議で、SNSメッセージ等による勧誘と電話勧誘との類似性から勧誘規制の検討の必要について触れ、さらに、今年になり、チャット勧誘に行政規制、民事ルールを設けるなど、消費者庁に十分な検討を求めました。

 そこでお聞きしますが、消費者委員会のこのような提案に対して、消費者庁はどのような検討を行っているのか、あるいは今後行う予定なのか、お答えください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁といたしましては、独立した第三者機関でございます消費者委員会からのSNSやチャットに係る提案を真摯に受け止めております。

 消費者被害の防止に向けまして、法の執行に強化的に取り組んできたところでもございます。

 例えばでございますが、SNSを含めまして、スマートフォンにより申込みが行われる通信販売に一層注力した調査を行うとともに、SNSを利用した事案に対する執行強化を目的に、事業者による特定商取引法の広告表示義務の遵守状況が具体的に確認、検証できるよう、国民生活センターの協力も得つつ、消費者に広告及び最終確認画面のスクリーンショットの保存を繰り返し呼びかけていることにも取り組んできたところでもあります。また、SNSを利用した事案としては、消費者庁は、メッセージアプリを契機として誘い込み、オンラインミーティングなどにおいて不適当な勧誘を行った連鎖販売業者に対しまして、令和五年七月に行政処分を行ったところでもございます。

 このような取組を進めるとともに、関係機関と密接に連携をして、消費生活相談の実態また行政処分の状況等、様々な要素を勘案した上で、慎重に検討を積み重ねてまいりたいと思ってございます。

吉田(統)委員 大臣、ですので、るるおっしゃっていただきましたが、それでは駄目だと消費者委員会は提案しているわけであります。これは本当に、今るる御説明した、多分大臣は聡明な方なので分かっていらっしゃると思いますけれども、違うんですよ。消費者庁の対応が、現に多発している被害への対応としては遅過ぎると言っているんです。

 ですから、現実に発生している被害を防ぐためには特商法を改正しないとならない、特商法の改正が急務だ、そう言っているわけだし、我々も言っているわけです。そこに関してはっきりとお答えください。

自見国務大臣 特定商取引法につきましては、近年では、令和三年に詐欺的な定期購入商法対策に係る改正をし、令和四年六月に施行されたところでもございます。私といたしましては、まずは改正された部分の効果をしっかりと見定めなければならないと考えてございます。

吉田(統)委員 大臣、それは、当時から不十分だと言われていたんです。当時から、この改正では不十分だと言われた。案の定、不十分なわけですよ。だから、再改正しなきゃいけないのは当然なんですよ、大臣。

 ちょっと役所の皆さん、私、これは親切で、本当、文書を全部分かりやすく、しっかり答弁していただくように送ったのに、全然駄目じゃないですか。役所の方も、大臣に余り恥をかかせちゃいかぬと思いますよ、はっきり言って。こんなひどい答弁で。

 じゃ、次、行きます。

 今回取り上げた問題も、内閣府消費者委員会などから消費者保護に寄り添った提案がなされていた、いるにもかかわらず、実際の法改正では、一歩も二歩も後退した法案が提出されて法改正されている例がずっと続いているんですよ。この消費者問題に関する特別委員会に提出される法案は、毎回そうです。もう本当に、提案より大分後退した、とても消費者庁が消費者に寄り添っているとは思えない法案ばかりなんです。

 だから、自見大臣におかれましては、ここをはっきり答えてほしいですけれども、消費者庁創設の原点に戻って、消費者保護のために、消費者委員会などの意見に十分に配慮した、消費者目線に立った法改正を一日も早く実現していただきたいんです。是非、今ちょっと残念な答弁をされましたが、特商法改正、改正したばかりだから、改正が不十分だから問題が起こっているんです。当時から指摘されていた、だから、もう一回特商法を改正しなきゃいけないんです、抜本的に。そこは大臣、どうですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者行政全般に対して建議等を行う消費者委員会の意見は極めて重たいものとして受け止めてございます。消費者保護のために、消費者目線に立った取組が非常に重要だと考えております。

 例えばでございますが、消費者教育の充実や相談体制等の強化、また情報収集の支援といった取組も行いつつ、引き続き、悪質商法や消費者被害の状況、特定商取引法の執行状況の全体を注視しながら、検討を積み重ね、適切に対応してまいりたいと存じます。

吉田(統)委員 間もなく終わりですので。

 ちょっと大臣、ちゃんと特商法を改正すると言わないと駄目だと思いますよ。これはちゃんと、将来的には抜本的に。

 最後、ちょっとだけ時間があるので。

 これは通告していないので役所からでも結構ですけれども、やはり、悪質な様々なビジネス、特殊なファンドとかを除いた場合は、明らかに高利なビジネスをうたうものをボトルネックで抑えないといけない。つまり、エビデンスを提示させて許可制にすると、ほとんど許可できないものばかりになるはずですからね。こういったあり得ないような高利をうたうビジネスに関して、やはり全体的に取り締まる必要があると思います。

 ここは大臣じゃなくても、役所からでも結構ですが、一言いただけますか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者をしっかり保護していくというのは我々の役割だと考えております。とりわけ特商法というのは、その中で大事な役割を果たしているというふうに考えております。

 そういう意味では、特商法のまずは法改正に関する執行をしっかり行いつつ、まずは、そういう段階ではあるとは思いますけれども、委員の御指摘もしっかり踏まえたいと思います。ありがとうございます。

吉田(統)委員 終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 食品表示についてお尋ねしたいと思いますが、まず自見大臣に伺います。

 大臣は、今大変お忙しいのでスーパーとか買物に行かれることは少ないかもしれませんが、食品を購入されるときに特に気にされる食品表示などはございますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 塩分を見ております。

林(佑)委員 ありがとうございます。

 ちなみに、私も塩分、とても気にしておりまして、あと、産地や内容量などを気にして食品を選んでおります。

 さて、御承知のこととは思いますが、スーパーなどでよく見かけるパックに入ったお肉、お魚、あるいは加工食品などには、産地や消費期限、内容量や保存方法、添加物など、食品の種類ごとに記載が必要な項目が細かく規定され、表示されております。商品の見た目だけでは知ることのできない情報が記載されている商品表示は、私たち消費者が買物をする上で必要な、欠かすことのできない情報であることは言うまでもありません。

 しかしながら、お年寄りや目が不自由な方にとって、表示が小さいこともあり、見えづらい面があることも事実だと思います。私もよくスーパーで買物をしますが、買ってきた商品の消費期限の記載場所がどうしても見つからずに時間がかかってしまったことが何度もあります。高齢化社会を迎えた日本において、そういった方々が満足に食品表示を見ることができずに買物せざるを得ないのであれば、これは消費者として大きな不利益になると思います。

 また、昨今のアレルギーの増加や食の安全に対する意識の変化、健康志向の高まり、宗教上の慣習や個人的嗜好により、消費者は現在の商品表示項目よりも多くの情報を求めるようになってきています。

 そうすると、表示項目は今後更に増加していくものと思われますが、表示面積には限界があり、今よりも文字の大きさが小さくなる可能性があります。消費者によって関心のある情報、必要な情報が違うことは承知しておりますが、増え続ける表示項目について、容器包装に記載する表示事項を選択、整理して、見やすく表示する必要があるのではないかと思います。大臣所信では、「食品表示に関する制度の適切な運用に努めます。」とおっしゃっていましたが、大臣の御見解をお聞かせください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 食品表示基準では、容器包装に入れられた加工食品につきまして、名称、保存の方法、期限表示、原材料名、添加物、栄養成分の量及び熱量、アレルゲン、多くの事項を表示することを義務づけているところであります。

 その際、委員御指摘のとおり、消費者のニーズが多様化する一方で、容器包装上の表示可能な面積の部分が限られている中でございますので、今以上の表示の見やすさを確保しつつ、表示すべき事項を適切に容器包装上に表示させることは、両立が難しい課題であるとも認識をしているところでもあります。

 また、容器包装上の表示事項を減らして見やすくすべきという考え方もある一方で、表示事項の間に優劣をつけて議論することには慎重であるべきとの意見もあるということを認識しているところでございます。

 御提案のありました容器包装上の食品表示へのデジタルツールの活用でございますが、表示の見やすさと表示内容の充実という、これまで両立が難しかった課題を両立させ、消費者及び事業者の多様なニーズに応えるという点で有効な手段になり得ると考えていますが、一方で、容器包装に表示されなくなるという懸念もある、そういう慎重な御議論もございまして、様々な御意見があることも踏まえ、引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 大臣の御答弁にデジタルツールの活用というお言葉がありました。消費者の多様なニーズによって増え続ける表示項目、そして、見づらい食品表示を解消するため、昨今のデジタル化の流れに伴って、情報機器や端末の活用、QRコード等の導入なども考えられると思います。そうすることによって、消費者一人一人が必要な情報を自由に選んで取得することが可能になります。

 また、最近の日本は、海外からの旅行者も急激に増えてきております。今年の八月には、前年比一一六九・五%アップの二百十五万六千九百人の方が日本を訪れています。

 このように、日本に訪れた外国の方や日本にお住まいの外国の方は、スーパーやコンビニ、薬局等でお土産や食べ物、飲物を買われます。店員さんが全てのお客様に対応できればよいのですが、労働力不足の中、語学堪能な人材もなかなか集まりません。これは何だろうと思いながら商品を選ぶ海外の方にも、情報機器や端末、QRコードを利用することで、多彩な言語で示すことができます。多言語で表記できれば売上げも変わっていくのではないでしょうか。

 食品表示は、消費者が商品を購入するとき、食品の内容を正しく理解し、選択する際の重要な情報源となっております。全ての方が安全、安心に食品を選択し、摂取するためにも、QRコード等のデジタル化を早急に進めていくことが必要だと思いますが、消費者庁のお考えをお聞かせください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、食品表示で義務づけられた事項を容器包装上に行う必要があるわけですが、委員御指摘のとおり、表示事項が増えますと、消費者にとって表示が見づらく活用しづらい、こういう御指摘も認識してございます。

 このような問題に対応しまして、消費者庁としましては、デジタルツールを活用した食品情報の提供の可能性を検討するために、スマートフォン向けのアプリケーションを構築した実証、あるいは、事業者における食品表示情報データ管理に係る実態を把握することを目的として、ヒアリング調査などを実施しまして、消費者の意向あるいは技術的課題の把握に取り組んできているところでございます。

 その結果としまして、実証に参加した消費者の皆様からは、デジタルツールの活用により食品表示情報がより理解できたというような声が上がる一方で、信頼や利便性の観点から、やはり容器包装上にきちっと記載してほしいという慎重な御意見もあるのは事実でございます。

 また、私どもが非常に問題意識を持っておりますのは、例えば期限表示とかそういった容器包装上の表示をデジタルツールを利用して代替するということにつきましては、その情報と物とが一対一で対応していることをどのように担保するか、こういった課題があると認識してございます。このような課題は諸外国でも対応を検討中でございまして、特にコーデックスの方でもそういった議論が始まっております。

 こういった国際的な議論の動向も踏まえながら、委員御指摘のような問題意識を持ちつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 食品表示が見づらいという消費者の声はずっと問題視されてきた課題だと思います。今後も予想される食品表示の増加と食品表示の見やすさの両立を考えますと、食品表示の早急なデジタル化の推進を強くお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。次は、消費生活相談のデジタル化についてお尋ねいたします。

 今まで、新型コロナウイルスの感染拡大、コロナ禍によって、社会では新しい生活様式が推奨されてきました。この新しい生活様式は、日本のデジタルシフトを一層加速させ、テレワーク、リモートワークの普及など、働き方にも大きな変化をもたらしました。

 そのような中、消費者庁においても、昨今のデジタル社会に対応するため、消費生活相談のデジタル化、DXを進めるべく各種の検討をされていると承知しております。今年の七月には、消費生活相談デジタル・トランスフォーメーションアクションプラン二〇二三が取りまとめられ、そこには、消費者の利便性の向上や相談業務の支援といった面で、DX化における様々な期待が示されています。

 相談様式をデジタル社会のニーズに合わせ、また、人手不足が叫ばれる消費生活相談センターの相談員の方々の負担軽減ということも、非常に大切な問題だと思います。

 そこで、お尋ねいたします。この消費生活相談デジタル化の概要、狙い、効果、スケジュール等について具体的にお示しください。それによって相談員の方々の働き方がどう変わっていくのかも含めて、よろしくお願いいたします。

植田政府参考人 お答えいたします。

 オンライン取引が拡大し、巧妙な悪質商法による被害が増加する中、消費生活センター等で受け付ける相談も複雑化、多様化しております。

 こうした状況を踏まえ、相談対応の質の向上や地域の機能維持、相談員が十分に力を発揮できる環境づくり等の課題解決に資するよう、消費生活相談のデジタル化を進めていくということとしておるところでございます。

 具体的にはでございますけれども、相談者の自己解決支援のためのFAQや消費者向けのポータルサイト、相談員の業務支援システム、音声認識によるデータ入力など、一部民間企業でも活用されているような業務支援策の導入を検討しておるところでございます。

 こうした取組によりまして、消費者の皆様にとりましては相談の利便性が向上するということ、相談員にとっては業務負担の軽減や相談対応の質の向上が可能になる、行政にとっては地域でのサービス維持や分析機能の充実が可能になるといった効果を期待しておるところでございます。

 特に相談員の働き方につきましては、テレワークも可能となるシステムの導入、それからデータ入力の負担の軽減等によりまして、多様な働き方ができる環境が醸成されるものと考えております。

 これらのシステムは二〇二六年度の導入を目指しておりまして、具体的な進め方をまとめました、御指摘いただきましたアクションプランに基づきまして、まずは、デジタル化の取組をできることから着実に進め、次に、デジタル化のためのシステム基盤の整備、これを契機とした相談対応の業務基盤の整備を進めた上で、デジタル化や国と地方の役割を踏まえ相談体制の再構築を図るといった、こういった三段階で取り組んでいくこととしているところでございます。

 消費者被害の未然防止、被害の最小化に資するよう、消費生活相談のデジタル化を着実に推進してまいります。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 質問の途中ではありますが、時間が参りましたので終了させていただきます。どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 お疲れさまでございます。引き続きまして、日本維新の会、岬麻紀でございます。

 早速、時間がございませんので質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 さて、先日十四日、七十五年ぶりとなる大麻取締法などの改正案が衆議院本会議で可決をされました。一方で、大麻と同じような感覚や似たような作用があると言われる合法大麻の蔓延が懸念されております。先日の十一月九日の新聞記事にもなっております。このような危険ドラッグの販売店、二〇一五年に一掃されたということでございますが、現在は三百店舗に急増しているということです。これは厚生労働省の調査で確認がされました。

 なぜ撲滅したはずが急増しているとお考えでしょうか、お答えください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる危険ドラッグでございますけれども、二〇一四年の危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策に基づき、徹底した取締りにより、二〇一五年七月には、委員御指摘のとおり、危険ドラッグ販売店舗は全て廃業に追い込んだところでございます。

 しかしながら、今年八月の危険ドラッグに関する実態調査結果や昨年の危険ドラッグ事犯の検挙人員数によれば、現在、危険ドラッグの乱用が再燃しているというふうに考えられます。

 この要因といたしましては、SNSの普及とともに、使用が容易な電子たばこ形態の新しいタイプの危険ドラッグの流通や大麻に類似する危険ドラッグ成分を合法大麻と称して販売する広告や店舗などの増加といったところが挙げられるというふうに考えてございます。

 厚生労働省といたしましては、いずれにしましても、危険ドラッグにつきまして、包括指定も含めた指定薬物への迅速な指定を行うとともに、販売店舗への立入検査、検査命令、販売停止命令などを行い、関係機関とも連携して取り締まってまいりたいという考えでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 今お話がありましたように、店舗だけではなくインターネットも使いまして気軽に買えるようになり、ハードルが更に低くなっていると考えられます。また、この数日では、大麻グミなる訳の分からないものも出現しまして、食べた人が体調不良で搬送もされております。

 大麻や合法大麻の広がりは、特に若者世代、また大学生の中にも広がる状況、依存性から健康被害も深刻な問題であると考えています。

 毎年十月―十一月は麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動の実施中であると承知しておりますが、厚生労働省、この事態をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の昨今の大麻グミという案件につきましては、現在、麻薬取締部が自治体から情報を受け内容の精査をしておりますし、さらに、警察において、その成分についても分析しているところでございます。本件についても、警察庁あるいは関係自治体と連携して、速やかに対応を取ってまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、いわゆる危険ドラッグ、あるいは先般衆議院を通過しました大麻取締法の改正法案の施行も踏まえ、薬物に対しての取締りについては、関係機関と連携して適切に取り締まってまいりたいというふうに考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 では次に、消費者庁としては、健康被害など消費者被害も出ている若年層の危険ドラッグの蔓延が懸念されているこの事態、どうでしょう、自見大臣、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 被害の実態ということも御懸念だったのかと思いますけれども、消費者庁の事故情報データバンク、三十万件でありますが、これにおきまして、合法大麻による可能性が疑われる危害事案というものも調べてみましたところ、三件という結果でございました。こうした結果については、大麻取締法や薬機法を所管する厚生労働省を含む関係省庁にも共有しているところでもございます。

 所管は厚生労働省ですので、厚労省に具体的なことはお尋ねいただいておりますけれども、消費者庁といたしましても、消費者保護のためにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

岬委員 自見大臣、ありがとうございます。

 では、次の質問です。

 最近の消費者生活相談の傾向と特徴ということで質問を進めていきます。

 よく聞くのが、化粧品や美容品、健康食品、サプリ等のお試しであるとか、初回大幅値引きということで、定期縛りはなし、いつでも解約オーケーという魅力的な広告が目立っています。しかし、購入をしますと、実は定期購入になっていたり、毎月届いてくる、さらに、解約しようとしても、インターネットで解約の項目が見つけられない、電話をしてもつながらない、このようになっている事案です。最近は、チャット形式でも会話をしているような臨場感のある販売形式が目立っていると感じられます。

 自見大臣、うっかりこのようなものにクリックをしてしまうであるとか、だまされてしまいそうになる、又は全くそういうことはない、どんな御経験をお持ちでしょうか。

自見国務大臣 全くございません。

岬委員 ありがとうございます。

 お忙しくて、そのような暇もないかもしれませんけれども、実は、この報告書を見ますと、若者だけというわけではなく、五十代が過去最多となっております。まだ自見大臣はそこまでではないかもしれませんが、私は五十代のそこにしっかりはまってしまいまして、私自身も実際に、商品画像と大分違うなというものが届いたという経験があったり、また、うちの家族では、年末にお節料理を注文したら物が届かなかった、そういったことも聞かれております。これから年末、特に心配ではないかと思われます。

 消費者生活相談の全体件数、レクによりますと九十万件、そのうちの通信販売に関する件数は三十六万件、さらにそのうちのインターネットの販売は件数として二十八万件。そこから見える傾向と特徴を消費者庁はどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりですが、国民生活センターによりますと、二〇二二年度に寄せられた消費生活相談の件数は約九十万件となっております。このうち、通信販売につきましては、応じた相談が約三十七万件でありまして、通信販売における定期購入に関して応じた相談が約十万件に上っていると承知しております。

 消費者庁としましては、詐欺的な定期購入商法対策としまして、昨年六月に施行された改正特定商取引法で、最終確認画面におきまして定期購入契約でないと人を誤認させるような表示などを禁止するなどの規制を設けたところであります。その周知活動や注意喚起に努めてきたところです。

 また、定期購入に係る消費生活相談の状況を注視しておりまして、違反する事実があれば積極的な対処を行っております。令和五年六月には、最終確認画面におきまして定期購入契約でないと人を誤認させるような表示をしていたとして、通信販売事業者に対して行政処分も行いました。

 消費者庁といたしましては、引き続き、改正法の遵守状況を注視して、改正特定商取引法に違反する事実がある場合には法律に基づき厳正に対処し、消費者被害の防止に取り組んでまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 ここで問題となるのは、上がっている数字だけではないと思われます。実際には、なかなか相談まで至らない人も多くいるのではないでしょうか。また、相談するというのは結構エネルギーが要ります。手間もかかる、時間もかかる、そして面倒であるということです。また、高齢者になればなるほどおっくうになりますし、相談しよう、しようと思いながら忘れていってしまう、そういった方の声をいかに拾い上げていくか。そのために、自見大臣からも、所信発言にもありましたように、消費者ホットラインの一八八、「いやや」を周知してもらうために私たちもバッジをつけております。

 以前、五月二十五日の質疑におきまして、当時の河野大臣も、何かあったときにすぐ相談をしていただく一八八が実は余り周知されておらず、これはちょっと問題だと思っています、少し力を入れていかなければいけないなと思っているという御答弁がございました。

 今後、自見大臣、国民、消費者にいかに呼びかけていこうとお考えでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 一八八、まず、イヤヤンのバッジをつけていただきましてありがとうございます。私も毎日つけておりますけれども、子供や若者たちにも消費者教育をしっかりとしていくこと、また、それぞれの地域の消費生活相談センター等、国民センター等もございますので、そういったところも活用して消費者行政を前に進めていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

岬委員 ありがとうございます。

 時間がなくなりますので、質問を飛ばしまして、最後になります。

 以前の質疑で、AIによるいわゆる闇バイトの対策、九月をめどに準備をしているということでしたが、進捗状況、手応え、見えてきた更なる課題、どのような見解でしょうか。警察庁、お願いします。

大橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のAIを活用した対策につきましては、警察庁の委託事業であるサイバーパトロールセンターにおいて、本年九月二十九日にAI検索システムを導入し、自動収集した犯罪実行者募集情報をインターネット・ホットラインセンターへ通報する運用を開始いたしました。これにより、強盗や特殊詐欺などの犯罪に加担させるようなインターネット上の情報について、その把握や削除依頼が推進され、犯罪等への利用防止が図られているところであります。

 一方、御指摘にもございますけれども、課題につきましては、投稿に用いられる隠語などは一般人には分かりにくく、かつ頻繁に変更されるものもあることから、いかにしてAIの精度を高め、把握していくかが課題であると認識しております。この点、本AI検索システムについては、収集された隠語等の分析で得た知見を反映させていくこととしております。

 こうした取組を通じまして、削除されるべき情報の迅速かつ確実な把握に努め、効果的な対策を推進してまいります。

岬委員 ありがとうございます。しっかりと進んでいるということが確認できまして、安心しました。これも、中身を更に、実態を把握していただいて、対策を進めていただきたいと思います。

 ただ、ここで一つだけ申し伝えたいのですが、呼称として、闇バイトという気軽な、手を出してしまう、バイト感覚という感覚が拭えません。重大な、人生を狂わせかねない犯罪であるということの注意喚起も併せてお願いをしたいと思います。呼称を当然のように使わず、呼び方も今後考えていただければと思っております。

 お時間となりましたので、終了いたします。今日はありがとうございました。

秋葉委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 自見大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、まず、オンラインカジノについて伺います。

 この委員会でも何度か触れて、質問を続けてまいりました。その中で、当時の河野大臣が、通常国会の中で、所管ごとの対応を呼びかけ、要請をしていただいております。自見大臣もこのことを引き継いでいらっしゃるかと思うんですけれども、このオンラインカジノにおける大臣の問題意識と、また改めてのこの取締りへの意気込みというのをお聞かせください。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 日本国内からオンラインカジノサイトに接続して賭博を行うことは犯罪でありまして、警察による厳正な取締りが重要であると認識をしております。

 委員からの御質問を受けまして、五月二十五日のこの委員会において河野前大臣から、関係省庁に集まっていただき、それぞれで必要な対応を行ってもらっている旨のお答えをしたところでございます。

 関係省庁で必要な対応を行っていただいているものと承知してございますが、前大臣の御意向も私もしっかりと受け継いで、関係機関による対応を注視してまいりたいと思ってございます。

田中(健)委員 この問題は消費者庁が中心になって、先頭に立って今取り組んでいただいておりますので、是非大臣にも力を入れていただきたいと思います。

 今日は警察庁にも来ていただいております。

 河野前大臣、消費者庁と警察庁でポスターを作って貼ってもほとんど効果はない、やはり警察が取り締まり、オンラインカジノをやったら捕まるよということを国民に知らしめることがいいんだろう、警察庁の覚悟と体制が求められるという中で、この間、オンラインカジノに関する検挙が相次いでいます。つい先日もオンラインカジノの決済事業者等を検挙したと理解をしておりますが、一方、オンラインカジノと皆さんも携帯で打っていただきますと、まだまだカジノサイトは多数存在をしておる状況です。

 警察としては、今後、どういう方針と体制で取り締まっていくのか、伺います。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 警察庁では、全国の都道府県警察に対し、いわゆるオンラインカジノに係る賭博事犯について、その実態の把握と取締りを強化するよう指示しているところであり、本年では、オンラインカジノの利用状況を動画配信した者やオンラインカジノの決済システムを運用していた者等を検挙しているところでございます。

 引き続き、オンラインカジノの運営に関与する者を始め、賭博事犯に関与する者の取締りを推進するとともに、より一層の広報啓発を図るよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 まさに今出してもらった決済事業者、今回取り締まった例なんですけれども、二年間で六百億の入金があって、そこで四万二千人が日本国内で登録していたということであります。

 私、前回の質問の中で、この決済代行業者を取り締まることで全容が分かるんじゃないかということを質問したんですが、そのときは、法と根拠に基づいて判断と、その是非については述べられなかったんですけれども、今回、この決済代行業者を捕まえることで多くの全容が分かってきたということであります。

 この逮捕は異例だという評価もいただいているんですが、どのような形でこの決済代行業者を今回、法と証拠に基づいて逮捕するに至ったのか、その中身を教えてもらえればと思います。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 今議員おっしゃられた事件につきましては、いまだ警視庁の方で捜査中でございますので、ちょっと詳細については御答弁を控えさせていただきます。

田中(健)委員 これについても質問を入れていたんですが、これまでは、決済代行業者というのは賭博させる側であって、なかなか逮捕できなかったんですけれども、今回、それを賭博する側の幇助ということで捉えて逮捕ということをお聞きをしております。是非、これを突破口として、更なる拡大に努めていただきたいと思っています。

 その中で、さらに、この要請のときに、総務省に対してもオンラインカジノのブロッキング対策を要請したということもお聞きをしています。その後の検討について総務省に伺います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 オンラインカジノサイトへのブロッキングを行うためには、電気通信事業者がユーザーが閲覧しようとする先を検知をしまして、その通信を遮断する必要がございます。これは、憲法第二十一条第二項の規定を受けまして電気通信事業法に規定されております通信の秘密の保護を侵す行為、そういうものに該当すると考えられております。

 また、ブロッキングについては、ユーザー側の操作で回避できる手段が複数あるというふうな、その実効性に関する指摘もあるところでございます。

 ただ、オンラインカジノサイトへのブロッキングを行うことにつきましては、これらを踏まえて、保護される法益と考量しまして慎重に検討すべきというふうに考えているところでございます。

 ただ、総務省としましても、オンラインカジノに係る問題、これは認識しているところでございまして、例えば、通信関係団体によります違法・有害情報への対応等に関する契約モデル条項というのがございます。これの策定を支援するなどの対策を従来より講じてきているところでございます。

 具体的に申し上げますと、このモデル条項におきまして、賭博を行うためのサイトの開設のみならず、オンラインカジノの広告の表示だとか、あるいはオンラインカジノを紹介するサイトの開設、こういった行為も禁止事項に当たることが本年六月に明記されたところでございます。

 総務省としましては、引き続き、各事業者に対しましてこのモデル条項を踏まえた適切な対応を取るように促してまいるとともに、警察庁など関係府省庁とも連携をしまして、ブロッキング以外の方策も含めて必要な対策を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに、要請のときには、このブロッキングの可否だけでなく、それに相当する措置の検討もということを要請があったということを聞いています。

 なかなか、ブロッキング法制については、通信の秘密ということで、憲法二十一条に抵触するということも議論が続いてまいりましたので難しいかとは思うんですけれども、是非、効果的に何が必要なのかということを引き続き議論をしていただきたいと思っていますし、著作権法の改正のときにはリーチサイト規制なども議論をされて、これが適用をされています。このリーチサイト規制も、海賊版のサイト対策で使われたんですけれども、カジノにおいても、宣伝するアフィリエイトの問題も取り上げさせてもらいましたが、こういった問題にも適用できないかということも、また私も研究をして提案をしたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、著名人を使った偽広告について行いたいと思います。

 先日は、岸田総理の声のデータなどをAIに読み取らせて作られた偽動画が拡散されて問題にもなりました。他の委員会でも取り上げられました。安倍元総理や菅前総理の偽動画も出回っているということで、AI技術が進歩する中でこうした動画も簡単に作れてしまうということです。

 そんな中、フェイスブックを始めとするSNSの中で、著名な方の肖像画を使って投資を呼びかける偽の広告、偽の投資ということが大変問題になっています。私もフェイスブックをやっておりますが、そのようなものが出てきます。さらに、これによって、もう実際に被害を受けたという方も多数顕在化をしています。

 こうした偽広告、偽投資において、消費者庁としてはどう認識し、取り組んでいく決意なのか、お伺いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 SNSなどを通じたもうけ話に関する消費生活相談の中には、著名人や有名人の成り済ましと考えられる事例もあり、消費者庁はこれまでも、ウェブページやSNS等で消費者に対し注意喚起を行ってきたところでございまして、今後も引き続き注意喚起にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

 仮に、著名人に成り済ました偽広告が景品表示法等の所管法令に接触する場合においては、法と事実に照らして厳正に対処するとともに、行政処分を行った場合には公表し、デジタルプラットフォーム事業者を含む関係者に広くその情報を提供することとしております。

 こうした情報も活用しつつ、デジタルプラットフォーム事業においても適切な取組を行うということを期待してまいりたいと思っております。

田中(健)委員 なかなか、啓発したり要請するだけでは取り除けない問題というのがありまして、例えば、名前を出しています企業家の前沢さんは、自分で調べて、二千もの広告がこの数か月で出たということで、これをプラットフォーム業者に削除を要請しているんですけれども、なかなか応じてくれないということであります。

 今、大臣から少し、プラットフォーム事業者についての言及がありましたけれども、この削除要請を出すとか、ないしは消費者庁の方からそれに対して働きかけとかというのは、できることなんでしょうか。お伺いします。

自見国務大臣 成り済まし自体は消費者庁の所管法令における違法行為ではないため、消費者庁から直接デジタルプラットフォーム事業者に削除を要請することは困難であります。そこは委員も御理解いただいていると思いますが。偽広告の内容が所管法令に違反する場合には、デジタルプラットフォーム事業者への対応も含め、適切に対応してまいりたいと思っております。

田中(健)委員 確かに直接の契約者ではないんですね、事業者ではないので、それを載せているというだけなんですけれども。しかしながら、その偽の広告、投資話を、利益を取って、つまり、広告費を取って、手数料を取ってやはりもうけているというのは大きな問題だと思いますので、このプラットフォーム事業者に対しても責任があるということは明確にしていただきまして、対応を図ってもらえればと思っています。

 引き続きまして、食品表示について行いたいと思います。

 大臣は所信で、消費者の食品の選択に当たっての重要な判断材料である食品表示に関する制度の適切な運用に努めるという発言がありました。今日の委員会の中でも何人もこの食品表示のことについて質疑がありましたが、その中で、ゲノム編集技術応用食品についてお聞きをしたいと思います。

 遺伝子の組み換えに関する食品においては、この表示が義務づけられ、また任意表示の変更というのが今年四月に始まっています。しかし、ゲノム表示というのは、これまでの議論の中でも、その判別また検知がなかなかできないということで、表示の義務づけが求められていません。しかしながら、ゲノム商品は食品選択には重要な判断材料と考えておりまして、やはり大臣が申したように、食品の選択に当たっての貴重な情報かとは思うんですけれども、これについて大臣はどのような見解をお持ちか、伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 ゲノム編集技術応用食品のうち、厚生労働省の安全性審査の要否に関する整理におきまして、遺伝子組み換え食品に該当するものにつきましては、食品表示基準に基づく遺伝子組み換え食品に関する表示制度に基づき表示を義務づけているところでございます。

 他方、遺伝子組み換え食品に該当しないものにつきましては、ゲノム編集技術を用いたものなのか、あるいは従来の技術を用いたものなのかを判別するための実質的な検査方法の確立が困難であるということで、これらを見分ける検査法の確立が現時点の科学的知見では困難でございます。委員もよく御存じのように、遺伝子の欠損、置換、挿入といったものでございます。表示監視における科学的な検証が困難であるということでございますので、罰則の伴う表示の義務づけを行うことは難しいと考えてございます。とはいえ、ここも届出と公表はしてございます。

 引き続き、ゲノム編集を利用した食品の流通実態や諸外国の表示制度の動向等を注視し、そして、新たな知見が得られた場合には、必要に応じ食品表示の在り方について速やかに検討してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 その答弁は、以前からずっと変わらずにそのままなんですね。是非、考えは変わらないんですけれども、実際のゲノム食品というのはどんどんと進んでいまして、これまではトマト、マダイ、トラフグということで、よく大きなトマトとか大きなマダイの写真が表示されておりますが、これは分かりやすく、ないしは、研究機関やベンチャーの方がやっていますのでまだそれほど流通がされておりませんので、これはゲノム編集だというのが分かる食品であったんですけれども、今年、アメリカの種子大手のコルテバ・アグリサイエンスというところが、トウモロコシをゲノム編集で、初めて海外の食品で、そして四番目のゲノム商品としてこれが認められました。

 やはり国内のものですと、説明を受けたときには、自主的に事業者がこれはゲノム食品だということで今までは表示をしていた、義務づけなくてもですね。それはいい関係が保たれていたと思うんですけれども、それはあくまで国内の話でありまして、今後、アメリカ、さらに、世界の大手の穀物事業者などがこのようにゲノム食品に参入してまいりますと、そのような信頼関係や、また任意でということでは通じないと思っております。

 さらに、トウモロコシになりますと、これは粉末状にしてコーンスターチにして食品に紛れてしまいますから、もはや全く判別もつきませんし、ゲノム商品が入っているかどうかも分かりません。

 こういったことが懸念されますので、今までどおりに、検知ができないからというだけでこの議論をずっととどめていくのは、私はいかがなものかなと。

 同時に、このトウモロコシによって心配を求める声というのが日に日に大きくなってはいるんですけれども、それについて大臣のお考えがありましたら、お聞かせください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 現時点では、遺伝子組み換え食品に該当しないゲノム編集技術応用食品につきまして、その旨の表示をすることを規定し、具体的なルールを定めて運用している国と地域はないと承知をしております。

 国内では、遺伝子組み換え食品に該当しないもので厚生労働省に届出され市場に流通しているものにつきましては、食品表示基準による表示の義務はないものの、ゲノム編集技術を利用したことについて消費者に対する情報提供に自発的に取り組んでいる状況でございます。

 委員からも新しい技術の話を今たくさん伺いました。引き続き、ゲノム編集技術を利用した食品の流通の実態ですとか諸外国の表示の制度の動向等を注視し、新たな知見等が得られた場合には、必要に応じ表示の在り方についても検討してまいりたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 ゲノム編集技術、その表示が海外にないと言ったんですけれども、海外で流通していないからなんですね。やはり、ゲノム編集の食品、日本が最も今流通して、最先端と言われていますので、是非、日本から発信するというような覚悟で、また思いで取り組んでいただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 統一協会の被害者の方々の救済、そして被害の根絶の立場から質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、統一協会、統一協会関係団体とどのような関係をいつから持ってきたのか、自見はなこ大臣、そして工藤彰三副大臣、古賀友一郎大臣政務官、それぞれにお伺いをしたいと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 旧統一教会及び旧統一教会関係団体と関係を持ったことはございません。

工藤副大臣 お答えいたします。

 平成二十四年、二〇一二年十二月十六日に行われた第四十六回衆議院選挙の前に、統一教会関連の世界平和連合愛知県事務局長が選挙の数か月前に事務所を訪問されたのが最初の面会だと認識しております。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 私の場合、令和三年八月七日に開催されました水産県長崎の未来をつくるフォーラムというものに出席をいたしましたけれども、その主催団体である長崎平和大使協議会なる団体が実は旧統一教会の関連団体である、こういった指摘を受けまして、昨年九月の自民党本部の点検に報告をいたしまして、既に公表されているところでございます。また、私自身のホームページでも、本件の経緯、そして今後の対処方針について御説明申し上げているところでございます。

 当該フォーラムは、長崎県と長崎市から後援名義を付与されておりましたほか、開催会場も長崎県庁内の会議室であったことなどから、当時の私としては特段の問題意識もなく出席をしてしまったわけでございますけれども、そのことが旧統一教会の活動に利用された可能性があるとすれば、これは大変心外でございますので、今後は、そうしたことのないよう十分に注意を払い、当該団体と一切関係を持たないという我が党の方針を徹底してまいりたい、このように考えております。

 以上です。

本村委員 古賀友一郎大臣政務官については、参議院の審議がこれからあるということで、ここで御退室ということでございますので。

 それで、質問の順序を変えたいというふうに思います。

 工藤副大臣についてお伺いをいたしますけれども、資料一を見ていただきますと、二〇二二年七月二十六日付の中日新聞、三段落目、線を引いていなくて申し訳ないんですけれども、工藤副大臣は取材に対して、「教団側とは国会議員になる前に知人を介して知り合ったとし、選挙では「人を出してもらい電話をかけてもらうなど、とても助かっている」」というふうにお答えになっております。

 統一協会、統一協会関係団体、信者などから、何年から、どのように選挙の応援を受けてきたのか、伺いたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 初めて面会したのは、先ほどお答えした二〇一二年でございます。次の第四十七回の選挙中に、東京の本部から幹部の方が表敬訪問で私の選挙事務所に訪ねてみえて、激励を受けたことは記憶しております。四十八回選挙は、終盤だと思いますが、統一教会、平和連合の方や地元の方々が集会を開いていただきまして、そこで選挙の演説をお願いをしたことがございます。第四十九回、前回の選挙でありますが、コロナ禍でありましたので集会等はございません。事務所内で、パネル、プラスチックの板を置いて、ちゃんとして距離を置いて、来ていただいて、電話作戦をしていただいたことがあります。

 住所、氏名等は把握しておりますが、全て選挙区内、愛知四区の住民の方であったということを申し添えます。

本村委員 資料二を見ていただきたいんですけれども、もう一つ、統一協会の関係団体に年会費を払っていたというふうに、工藤副大臣、お認めになった報道があるんですけれども、何の年会費を幾ら、どこに支払っていたのか、お示しをいただきたいと思います。

工藤副大臣 お答えいたします。

 年会費は、FWP、いわゆる世界平和連合に対して、月額、これは工藤彰三個人で三千円を、まだ通帳云々はしっかり見入っていないですが、たしか三千円毎月払っていたと記憶しております。そして、当然ながら、昨年の事件後、きちっと距離を置いて関係を絶っておりますので、それ以後は全くそういうことは、年会費等の支払いはございません。

本村委員 次に、統一協会の韓鶴子総裁に何回会ったことがあるでしょうか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 自分の中では、たしか五回お会いしたと思います。

本村委員 資料三を見ていただきたいんですけれども、二〇二二年七月三十日、TBSのニュースでございます。同趣旨のニュースは、資料一にもございますけれども、ほかのメディアでもございます。反社会的勢力と認定されれば関係を絶つが、そうではないのでおつき合いしていくつもりと工藤副大臣は昨年の七月の段階で言って、報道をされているわけです。

 そのときに、例えば新世事件ですとか、青春を返せ訴訟ですとか、被害者の方々が必死に訴えた、そうした判決は全く知らなかったんでしょうか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 過去にそのようなことがあったことは記憶しておりますが、私とおつき合いがあった頃から、身近に接した人たちには、そういうそぶりは、私はなかったように考えておりました。

本村委員 資料八を見ていただきますと、全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆様の資料がございます。霊感商法の被害というのは、総額千二百八十二億円にも上ります。

 こうした大きな被害、そして二〇一五年以降も大きな被害が、副大臣は二〇一二年からとおっしゃいましたけれども、それ以降も大きな被害があるというのをどのように捉えておられるんでしょうか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 私の中では、先日行われました解散命令請求の中では、被害の規模は、過去四十年間以上にわたり組織的に行われた不法行為により、少なくとも被害者千五百五十人に対し総額約二百四億円以上の被害を与えていると承知しております。

 また、全国霊感商法弁護士連絡会の集計は、資料のとおりだと思います。

本村委員 鈴木エイトさんの御著書、「自民党の統一教会汚染 追跡三千日」という御著書、今日提示をしようと思いましたけれども、理事会の中でお認めいただけませんでした。

 工藤副大臣は、この鈴木エイトさんの御著書の中で、年を追って申し上げたいと思いますけれども、二〇一五年十月十二日、幕張メッセにおける統一協会の教団名変更式典、世界平和統一家庭連合出帆記念大会にも参加し、議員として来賓祝辞まで行っております。その来賓祝辞をこの御著書の中で書かれているんですけれども、こういうふうに書かれています。

 本日は、この大会にお招きいただきましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。世界平和統一家庭連合出帆記念大会、名称が変更しました。家庭という二文字が入りました。まことの親方様でございます。私は、総裁でありました文鮮明総裁、韓鶴子総裁、このお二人のすばらしい活動を今日皆様の前でお話しするとき、本当に心から感動を覚えております。身震いする思いで今お話しさせていただいておりますというふうに挨拶をされております。

 新しい教団名で、統一協会と分からず被害に遭った方々もおられます。責任をどう考えておられるんでしょうか。

工藤副大臣 今お話がありました幕張メッセの会には、急遽先輩議員から、たしか日曜日の会でありますが、金曜日の午前中に代わりに行ってくれという話があってお受けしたのは覚えております。

 そして、何をお話ししたらよろしいですかと尋ねたところ、原稿は向こうが用意するからそれを読めということでお話をさせていただいて、今の中の文章も、ちょっと私も言葉を間違えたところもあったのと、そのときに、やはり、今委員御指摘のとおりでありまして、本当に軽率なことで、出かけて挨拶を受けたと、深く今は反省しているところでございます。

本村委員 このほかにも、二〇一六年十一月十七日、統一協会関係団体の天宙平和連合を前面に立てた世界平和国会議員連合の創設大会、ILC、国際指導者会議、ジャパン二〇一六に議員として参加をしております。二〇一七年五月九日、統一協会の幹部などが来日したときに、日本・アメリカ国会議員有識者晩さん会に議員として参加をされておられます。

 そして、二〇一八年六月、全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆さんが議員会館で緊急院内集会を開き、統一協会からの支援を受けないように声明文を採択し、全ての国会議員に届けたということです。

 そこには、「政治家の皆さん、家庭連合(旧統一教会)からの支援を受けないで下さい」と題した声明文がありました。政治家が同教団の式典へ来賓参加し、祝電を送る行為は、教団側にお墨つきを与え、反社会的な活動を容易にするものであり、その連携がどのような社会的弊害をもたらすか考えるべきというふうに言われていたにもかかわらず、工藤副大臣はその後も参加をし続けております。

 二〇一八年七月一日、統一協会が全国から二万人の信者、韓鶴子総裁も参加をした、さいたまスーパーアリーナにおきまして、日本宣教六十周年記念二〇一八、シン日本と言いますかカミ日本と言うのか分かりませんけれども、神日本家庭連合希望前進決意二万名大会に参加をしております。

 全国弁連の皆さんの必死の訴えにもかかわらず、なぜ参加をしたのか。そこではまた挨拶をされておりまして、まことのお父様、まことのお母様などと言い、今日は皆様とともに、韓鶴子総裁、まことのお母様とともにこのようなお祝いの場を設けることができた、本当にうれしく思いますと祝辞を述べておられます。

 二〇一九年九月二十七日、全国弁連の集会で採択された、統一協会やその関連団体が開くイベントに参加しないようにと、また要望書が全ての国会議員に配られました。

 しかし、工藤副大臣は、十月五日、ホテルナゴヤキャッスルでの、教団関係団体である天宙平和連合の国際指導者会議、ジャパンサミット・アンド・リーダーシップカンファレンスに参加をしております。その証拠写真が資料の六になってまいります。韓鶴子総裁と写真が、一緒に写っております。

 その翌日、十月六日には、常滑市の愛知県国際会議場で、韓鶴子総裁参加の、教団が開催した四万人信者集会、孝情文化祝福フェスティバルに参加し、来賓祝辞をしているというふうに書かれております。

 そして、二〇二一年六月十一日、日本・世界平和議員連合懇談会第一回総会、この議員連合の顧問に、天宙平和連合の議長が顧問を務めているところですけれども、その総会にも参加をしております。

 この一連の流れを見てみますと、被害者の声を聞いてこなかった、軽視をしてきたということではないですか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 大変軽率な行為だと深く反省しております。

 また、本当に、要請を受けたのは、平和連合、統一教会というよりは、地域の会員さんの方から、やはり自分の地元の支援者の方から要請を受けますと、どうしても政治家でありますから、出ていってほしい、挨拶をということで出かけていったことは本当に軽率で、恥じ入るべき行為だったと深く反省しております。

本村委員 この委員会では、統一協会の被害者救済、被害の根絶のために、新しい法律についても議論をしてまいりました。

 このように、今申し上げましたように、統一協会や統一協会関係団体と癒着をしてきた人が霊感商法の相談、被害者救済にも関わる消費者問題の担当副大臣になることは、被害者の方々を軽視し、そして政府の方針にも反するのではないですか。岸田総理の任命責任が大きく問われるというふうに思います。これは適材適所とはとても言えません。

 自見大臣にお伺いをいたします。

 被害者救済、被害の根絶のために、工藤氏は副大臣とふさわしくないと総理に進言するべきじゃないですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 人事については総理の専権事項であり、私の大臣の立場としてのコメントは差し控えたいと思ってございます。

 岸田政権におきましては、各閣僚等が旧統一教会との関係を精査し、それぞれが説明責任を果たすということ、また、旧統一教会及び関係団体との関係を絶つことを徹底するということの方針をしているところでもございます。当該団体との関係を絶つということは引き続き徹底をするということは言うまでもございません。

 工藤副大臣、古賀政務官とともに、消費者の利益の擁護及び増進に関する施策の推進に全力を尽くしてまいりたいと存じます。

本村委員 統一協会の被害者の方々を軽視してきた、被害者の方々の声を軽視してきた工藤副大臣は、副大臣を辞任するべきだというふうに私は考えております。

 そして、被害者を泣き寝入りさせないためにも、統一協会の持つ財産を海外に流出させないために急いで保全をしなければなりません。与党PTが財産保全を盛り込まない提言をまとめたというふうに報道されておりますけれども、被害者救済のために最善を尽くすべきだということを強く申し上げ、質問を終わらせていただきます。

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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