衆議院

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第3号 令和5年3月14日(火曜日)

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令和五年三月十四日(火曜日)

    午前九時二十五分開議

 出席委員

   委員長 長島 昭久君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂井  学君

   理事 高階恵美子君 理事 谷川 とむ君

   理事 小熊 慎司君 理事 岡本あき子君

   理事 早坂  敦君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      岩田 和親君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    津島  淳君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    中野 英幸君

      西野 太亮君    根本 幸典君

      平沢 勝栄君    藤原  崇君

      細野 豪志君    本田 太郎君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      荒井  優君    金子 恵美君

      鎌田さゆり君    玄葉光一郎君

      近藤 和也君    階   猛君

      馬場 雄基君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    掘井 健智君

      赤羽 一嘉君    河西 宏一君

      鈴木  敦君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   復興副大臣        小島 敏文君

   復興副大臣        竹谷とし子君

   復興大臣政務官      中野 英幸君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松下  整君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     角田  隆君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     森田  稔君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中村 英正君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    山口潤一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石原  大君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 佐藤  暁君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     土田  慎君

  小泉進次郎君     池田 佳隆君

  金子 恵美君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     本田 太郎君

  土田  慎君     伊藤信太郎君

  階   猛君     金子 恵美君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

長島委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、内閣府大臣官房審議官松下整君、復興庁統括官角田隆君、復興庁統括官由良英雄君、復興庁審議官森田稔君、復興庁審議官岡本裕豪君、財務省大臣官房審議官阿久澤孝君、財務省主計局次長中村英正君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省大臣官房審議官石原大君、運輸安全委員会事務局審議官岡野まさ子君及び原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官佐藤暁君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一と申します。

 私の母の実家は福島県郡山市でございまして、それを胸に、今日は質疑に立たせていただきます。

 三・一一東日本大震災から、十二年という歳月が過ぎました。

 今も、全国で三万八百八十四人の方が避難生活を余儀なくされております。また、これまでお亡くなりになられた方は震災関連死も含めまして一万九千六百九十四人、行方不明の方は二千五百二十三人に上ります。改めて、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。

 また、今後も、今日も様々質疑があると思いますが、新しい課題が顕在化し続けるであろう復興に向けて不断に取り組み続ける、その決意を申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 復興の長い道のり、これはまさに風化と風評の二つの風との戦いがあるわけでございます。

 その中で、政府は、福島第一原発で貯蔵されておりますいわゆるALPS処理水の海洋放出をこの春から夏頃に実施する方針であるというふうに承知しております。

 処理水の安全性につきましては政府といたしましても科学的な説明に努めていらっしゃるわけでありますけれども、被災地に寄り添う使命と責任を担う復興庁、ここにおきましては、特に風評といかに戦うのかが問われているんだろうというふうに思っております。大臣も、所信におきまして、科学的根拠に基づいた情報発信等、あるいは被災地産品の販路拡大、輸入規制の撤廃に向けた諸外国・地域への働きかけ等に取り組むとお述べになったところでございます。

 そこで、お伺いをいたしますが、ALPS処理水の海洋放出に関連して、風評払拭のために、特に被災地産品の販路拡大を始めといたしまして具体的にどうお取り組みになるのか、復興大臣また福島原発事故の再生総括担当大臣である渡辺大臣の御見解をいただきたいというふうに思っております。

渡辺国務大臣 お答えをいたします。

 ALPS処理水の処分は、先送りできない大変重要な課題であります。ALPS処理水の処分については、国内外の方々の理解と協力が極めて重要であり、政府として、国民や関係者の方々を始め継続的に丁寧に説明を尽くしていく必要があると思っております。

 特に、本件については、第三者でありますIAEAに検証いただき、客観的な検証結果を国内、全世界に分かりやすく発信していくことは極めて重要であると考えております。

 復興庁といたしましても、風評の影響の払拭に向けて、科学的根拠に基づく正確な情報について、インターネットやラジオ、新聞等、多くの媒体を活用して効果的な情報発信に取り組んでいるところであります。

 また、今委員御指摘がありました販路拡大等につきましては、福島県産農産物等については、農協等の団体が行う量販店等での販売フェアや商談会の開催を、また、被災地の水産加工業については、商談会等の開催や量販店等での販売促進、新商品の開発等の取組をそれぞれ支援しているところでございます。

 また、先般、私は経団連の方にお願いに行きました。経団連の各会社の社食又は様々な取扱いについて、福島産を是非ともお使いいただきたいということで要望したところでございます。

 いずれにしましても、ALPS処理水の処分に関する基本方針及び行動計画を踏まえて、政府一丸となって、決して風評影響を生じさせないという強い決意の下、科学的根拠に基づいて、情報発信等の風評対策に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

河西委員 ありがとうございます。是非、更なるお取組をお願い申し上げたいと思います。

 被災地産品に対する支援は、国としてできることは最大限やるべきなんだろうというふうに思っております。でなければ、なかなか、とりわけ地元福島の方々、また他の地域の方々も懸念を示しておられるわけでありますが、その御理解は得られないんだろうというふうに思っております。

 そこで、今日は、広島G7サミットに関連いたしまして一つ御提案でございます。

 四月に札幌市で行われる気候・エネルギー・環境大臣会合に向けまして、我が国が議長国として取りまとめる共同声明があるわけでありますが、ALPS処理水に関しまして、放出に向けた透明性のあるプロセスを歓迎する、この表現を盛り込むべく政府は調整を図っているというふうに承知しております。

 政府関係者は、報道、マスコミに対しまして、G7で結束できれば安全性をアピールできるとの認識を示しているわけでありますが、今日その上で申し上げたいのは、言葉に加えまして行動がやはり最も重要であるということでございます。そこで、G7各国の首脳あるいは関係閣僚に福島県産品を始めとした地元産品を是非振る舞っていただく機会を、できれば福島空港に降り立っていただいて、その機会を設けてはどうかという提案でございます。

 広島サミットでは、長い年月をかけて復興を果たしてきた広島県産品が当然振る舞われるんだろうというふうに推察いたしますが、ALPS処理水は先ほど大臣もお述べになったとおり科学的に安全であるからして、今風評と最前線で戦う福島県産品などの地元産品、これを振る舞わない理由はないというふうに考えるわけでございますが、是非大臣の御見解をいただきたいと思っております。

渡辺国務大臣 ただいま委員御指摘の問題点については、大変重要だというふうに思っております。

 G7という大きな、国際的な機会を通じて、日本にお越しいただいた首脳を始め閣僚の皆さん方に福島の農産品を振る舞っていきたいというのは私も考えているところでありますが、その中で、全て、あらゆる機会を通じて、福島の復興の状況や魅力について触れていただく、これをしっかりと進めていきたいというふうに思っております。実際に、G7広島サミット、まず広島ですね、さらにG7科学技術大臣会合は仙台市で行われます、このようにそれぞれの大臣会合がございますが、そういった大臣会合の場所でも振る舞うことができるかどうか検討していきたいというふうに思っているわけであります。

 いずれにしましても、ALPS処理水について、これは国内の理解醸成のみならず海外の皆さん方の理解醸成が必要でありますので、正確な情報発信を進めていくことが必要だというふうに思っております。

 G7サミットや関係閣僚会合では、多くのスタッフ等も訪日されるわけであります。実際の会議の運営や受入れについてはそれぞれ担当省庁が対応していることから、いただいた提案を関係省庁にもしっかりと働きかけてまいりたいと思っております。

河西委員 前向きな御答弁、大変にありがとうございます。是非、政府が前面に立って、そして共に風評に挑んでいく、この姿勢が非常に大事だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 震災から十二年を経た中にあって忘れてはならないのは、私も今、主に東京都内のいろいろな会合にお邪魔をしますが、福島第一原発事故による帰宅困難地域にある自治体を始めといたしまして、復興の時間軸というのは、地域で、あるいは人それぞれが抱える境遇によって大幅に異なるという点でございます。それを私も都民の方によくお話をさせていただきます。

 例えば、特定復興再生拠点区域、いわゆる拠点区域ですが、この避難指示解除に関しましては、大臣も所信で触れられたとおり、葛尾村、大熊町、双葉町は昨年解除されたばかり、そして浪江町、富岡町、飯舘村はこの春の解除が予定をされているということで、地元からは、ようやく復興のスタートラインに立ったばかり、あるいはこれから立とうとする段階だ、その思いを忘れないでほしいというお声をいただいているところでございます。加えまして、今後、拠点区域外におきましても、避難指示解除、住民の帰還、また、生活再建を目指す特定帰還居住区域を、仮称でありますけれども、設ける法改正も今国会に提出をされているわけでございます。

 やはり、震災から十二年がたった今も、やっと復興のスタートラインに立てた、あるいはこれから立とうとしている地域があることを国民の大多数が認識しているか、その実情を共有しているかと言われますと、なかなかそれはまだまだそうではないんだろうというふうに思っているところであります。このいわば風化に政府はどう挑むのか、その具体策も含めまして、是非大臣に御答弁をお願い申し上げたいと思っております。

渡辺国務大臣 三月十一日で十二年たちました。十二年たって、復興の状況を冷静に振り返っていったときに、ふるさとに帰りたいという人たちの思い、この思いにどれだけ我々は対応してきたのかということを振り返っていったときに、今の段階では帰還困難区域が設定をされておりまして、帰還困難区域の中でも、いわゆる復興再生拠点、ここの部分の避難指示解除というものが今進められようとしております。さらには、拠点外について今回特措法の改正を提出したところでありますが、避難している人たちに帰っていただけるような環境をつくっていくことというのは大変重要だ、私はそのように思っております。

 そういった意味においては、先ほどお話がありましたけれども、特定復興再生拠点区域で解除された大熊、双葉においては、まさにこれから、復興がスタートラインに立ったというふうに私は認識をしているところでありまして、福島の原子力災害被災地域における復興再生は中長期的な対応が必要であると認識をしているところであります。

 議員御指摘のとおり、被災地の復興の現状をよく知っていただくことは誠に重要なことであります。マスメディアによる発信はもとより、復興庁を始めといたしまして、行政による取組として効果的な情報発信を、これからも積極的に発信してまいりたいと思っております。

 また、現場を訪れていただくことが極めて重要でありますので、福島県が進めるホープツーリズムなど、交流人口の拡大を推進し、直接現地で復興の現状を見ていただく、こういった取組をしているところでございますし、復興のステージが進むにつれて生ずる新たな課題や多様なニーズに対してもきめ細かく対応していくことが重要でありまして、引き続き、国が前面に立って、福島の本格的な復興再生に向け、全力で取り組んでまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 そこで、まさにスタートラインに立ったからこそ引き続き十分な予算を確保していただきたい、こういったお声があるわけでございます。

 関連いたしまして、これは御案内のとおりでございますが、昨年閣議決定の税制改正大綱、ここには、防衛力強化に係る財源確保を目的といたしまして、来年以降の適切な時期にということでありますが、所得税一%の付加が検討されております。その際、全体として付加税率は上げない形で復興特別所得税の税率を一%下げ、かつ期限を延長していく、その中において復興財源の規模を維持していく、こういったスキームになるわけでございます。

 この点は、公明党の強い主張によりまして、税制改正大綱に、息の長い取組をしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源は引き続き責任を持って確実に確保することと明記されたところでございます。

 この閣議決定はちょうど渡辺大臣御就任の直前であったわけでありますが、当然、申し上げるまでもなく、その思いと責任は引き継がれていらっしゃるというふうに思うわけでございます。

 そこで、今後我が国は、防衛関係費のみならず少子化対策にも多くの予算を投じなければならない極めて厳しい情勢があるわけでありますが、その財政環境にある中でいかに復興財源の確保へ責任を果たされるのか、政府の方針、また大臣の御決意、お伺いをいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 原子力被災地域においては、本格的な復興再生に向けて今後も中長期的に対応が必要であると先ほど申し上げました。この点、政府方針として、ただいま御紹介をいただきました令和五年度税制改正の大綱におかれましても記載があるとおり、廃炉や特定復興再生拠点区域の整備、特定復興再生拠点外への帰還、居住に向けた取組といった息の長い取組をしっかりと支援できるよう、確実に復興財源を確保することになっております。

 この方針に基づきまして、現場主義を徹底し、被災地の皆様の声を聞き、寄り添いながら、復興に全力を尽くしていくことが復興大臣としての私の役目だ、そのように思っておりまして、必要な復興事業の実施に支障を来さないよう、財源確保にしっかりと取り組んでまいります。

河西委員 御答弁をありがとうございます。是非お取組をお願い申し上げます。

 先日、我が党の福島県議会議員の方々と様々意見交換を行わせていただきました。

 竹谷副大臣におかれましては、本当に毎週末のように福島に通われて、先日九日も福島市内で、浜通り観光の中心的な役割を担っておられる県の観光交流局、福島県の観光物産交流協会、また福島相双復興機構、そして福島イノベーション・コースト構想の推進機構、この四者と意見交換を持っていただいた、御参加いただいた。

 そのときに、先ほど大臣も触れられたホープツーリズムが話題になったというふうに伺っております。これは、先ほどまさに大臣がおっしゃっていただいたとおり、震災遺構などを巡りながら様々考え、未来へつなげていくスタディーツアープログラムでございます。このホープツーリズム、年々参加者数は伸びているわけでありますが、地元からは、先ほどの四者がより有機的に連携を取って、共通の目標の下で計画的な戦略を立てれば更に成果が期待できるのではないか、こういった御意見もいただき、我が党の真山祐一県議も精力的に取り組んでいるということでございます。

 そこで、副大臣にお伺いいたしますが、ホープツーリズムを始めといたしまして、浜通り観光、地域経済の立て直しには大きな起爆剤でございます。また、成長戦略でもあります。五類への移行時期も決まっておりまして、まさに今日もマスクの着用は個人の判断ということになっているわけでありますが、観光産業も新たなフェーズに入る。そこで、浜通りを始め福島県全体の観光産業の復活、復興庁として観光庁とも連携して更なる支援に取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、副大臣、是非よろしくお願いを申し上げます。

竹谷副大臣 福島県における観光復興は、交流人口の拡大による経済活動や投資を喚起し、原子力災害による風評の払拭を図る観点からも大変重要であると認識しております。

 そのため、政府としては、これまで、福島県における観光関連復興支援事業により県の観光復興促進のための取組を支援しており、原発事故からの復興に向けて挑戦し続ける福島の真の姿に触れていただく、議員もおっしゃられましたホープツーリズムの推進を支援してまいりました。

 また、委員御指摘のとおり、私自身も先日福島を訪問し、福島県観光交流局を始めとし、関係機関より様々な取組についてお話を伺ったところであり、これからの福島の観光復興の重要性そして支援の必要性を改めて認識したところであります。

 復興庁としては、引き続き、福島県や観光庁、関係機関と連携し、滞在コンテンツの充実やプロモーションの強化等への支援を通じ、福島の観光復興を後押ししてまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 観光振興に関連しまして、先ほど触れた県内唯一の外国人の方を迎える玄関である福島空港は、震災以降、国際線の定期便が止まったままでございます。そうした中で、県の方では、ベトナムからのチャーター便、一月に続きまして三月も、合計十四本、往復二十八便の運航を決定いたしたところでございます。県といたしましても、昨年十月の水際対策緩和を受けて真っ先にベトナムと協議して、今後はタイまた台湾などにも呼びかけを行うということでございます。

 このベトナム便ですが、インバウンド旅客のみが対象ということで、搭乗率が一つの大きな焦点になってくる。一月二十七日のチャーター便は百八十三席に対して百七十一人、こういった実績でありますが、こういった積み上げがある、その先にある狙いは、まさに先ほど触れた、今止まっている国際線の定期便の再開の実現でございます。例えば、今外交面で大きく動きつつある韓国との定期便、これも震災前は極めて高いインバウンド効果をもたらしていたということでございます。

 したがいまして、国際定期便の再開は地域経済の振興と復興には欠かせないというふうに考えているわけでございまして、日韓関係をめぐる外交上のあらゆる機会も捉えつつ、是非政府としても後押しをしていただきたいと思うわけでございますが、引き続き副大臣に御答弁をお願い申し上げたいと思います。

竹谷副大臣 福島空港は、東日本大震災以降、特に国際線の利用が低迷しており、国際定期便の再開が課題であると承知をしております。一方で、福島県は首都圏に近接をしており、空港に加えて高速道路や新幹線等の広域交通ネットワークを最大限に活用して観光復興を図ることが効果的であると考えております。

 このため、これらの交通ネットワークを活用して国内外から広く福島に来てもらうように、福島の魅力発信や、空港を活用した旅行商品の造成に向けた福島県の取組を国としても支援してまいりました。具体的に、先ほども委員が御指摘されたベトナムのほか、台湾、タイ、欧米等における福島県のプロモーション活動に対して、復興庁としても観光庁と連携をして支援してきたところであります。

 委員御指摘のような国際的な情勢も注視しながら、復興庁としては、引き続き、福島県や関係省庁と連携しつつ、国内外から多くの観光客を誘致すること等を通じて福島の復興を支援してまいります。

河西委員 時間が参りましたので、終わります。大変にありがとうございました。

長島委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 それでは、早速質問をさせていただきます。震災関連死についてであります。

 福島県は、千六百人が地震や津波被害等で亡くなられ、一方、震災関連死は二千三百三十三人で、直接死のおよそ一・五倍ということであります。福島県は、ほかの被災地の宮城県、岩手県と比べても非常に多いということです。

 福島県の市町村別では、南相馬市が最も多い五百二十人、次いで富岡町が四百五十四人、浪江町が四百四十二人と、原発事故で避難を余儀なくされた浜通りの自治体が非常に多いということです。

 東日本大震災の震災関連死の主な原因は何なのか。特に福島県、とりわけ原発事故で避難を余儀なくされた浜通りの自治体において震災関連死が多いことについて、避難者数の絶対数が多いということは分かりますけれども、これ以外に主な原因は何であるか、こういうことを分析されておりますでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の震災関連死につきましては、復興庁におきまして、平成二十四年八月に報告書を公表してございます。

 この報告書におきましては、東日本大震災の震災関連死に関しまして、一つ目は、避難所等における生活の肉体、精神的疲労、それから二点目として、避難所等への移動中の肉体、精神的疲労、三点目として、被災に伴うストレスなどが主な原因であるというふうにされてございます。福島県の震災関連死につきましては、このうち、避難所等への移動中の肉体、精神的疲労を原因とする数が約三割と多くなっておりまして、避難の影響が大きいとされてございます。

 また、この報告書におきまして、市町村等の職員から、ヒアリングでも、福島県の浜通りにおいては地域の病院等の機能が喪失したため多くの患者を移動させることとなったことが大きいと感じたという意見もいただいております。

 また、この報告書におきましては、震災関連死に係る今後の対応策といたしまして、生活の再建の後押しをするということとともに、孤立防止や心身のケアに取り組むことが重要とされており、被災自治体の取組を支援し、震災関連死の防止に復興庁としても引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

掘井委員 よく分かりました。

 福島県にとどまらず、震災関連死者の多さが最近クローズアップされているということでございます。平成二十八年の熊本地震では、震災関連死が直接死の約四倍であったということです。先週、NHKの番組で、南海トラフ巨大地震が発生した場合の震災関連死者数は七万六千人となる可能性が指摘されました。

 復興大臣は、このように国民の命を守る上で非常に重要な課題となっている災害関連死に対し、国が予防にもっと取り組むことについてどのようにお考えでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 災害時に一命を取り留めながら、その後の避難生活を送る中で命を失うことは誠に残念なことであり、御家族にとっても、余りにも切なく、つらいことだと思います。このため、災害関連死として亡くなる方を一人でも少なくするための取組は非常に重要であると認識しているところであります。

 政府としましても、避難所の環境改善などの災害関連死の防止に向けた取組を進めているところでありまして、引き続き、東日本大震災の教訓が生かされるよう、関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

掘井委員 今後、災害関連死の防止が国の大きな使命になるというふうに思っております。

 続いての質問です。

 震災関連死の事例を一つ一つ検証して、国の防災対策に反映すべきであると思っております。関連死の関連文書から教訓を学ぶべきである、そのように思っております。しかし、現状、災害関連死の審査資料の保存期間や期限後の取扱いは各市町村が判断するということであります。

 共同通信社の今年の調査では、東日本大震災を含む五つの大災害で災害関連死の審査、認定に関わった百四十九の自治体のうち、三割の四十五の自治体が関連文書の永久保存を決めたということの一方で、関連文書を既に破棄を決定又は破棄を検討中としたのは一割強であります。五の自治体は廃棄済みということでした。

 災害列島の我が国では、国の責任でやはり災害関連死の関係文書をきちんと保存して、後世に役立てるべきであると思っております。災害関連死の認定は、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく自治事務であるために、各自治体によって差があります。ありますけれども、災害関連死の関連文書の保存につき国が是正を要求するということは認められております。

 そこで、大臣に質問いたします。

 まず、東日本大震災の震災関連死の関連文書で、破棄した自治体はどれぐらいあるのか教えてほしいです。それと、災害関連死の関連文書の重要性について大臣の御認識を伺いたいと思います。東日本大震災の震災関連死の関連文書について、国は直ちに、震災関連死の関連書類の破棄をやめるよう、是正を要求すべきではないでしょうか。そして、保存するためのガイドラインを策定すべきではないでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

渡辺国務大臣 震災関連死の審査資料を含めて、市町村における行政文書の保存期間については、文書の重要性等を踏まえ、各市町村の条例等により定められているものと承知をしております。震災関連死の審査資料の保存期限後の取扱いについては、各自治体の保存場所等の確保の観点も含め、それぞれの状況に応じて判断しているものと考えております。

 また、震災関連死の審査、認定に関わった十六都県の百四十九自治体のうち、既に廃棄を決定又は廃棄を検討中としている自治体があるとの報道は承知しております。令和五年二月二日の報道によりますと、既に廃棄を決定又は廃棄を検討中とした自治体は二十一自治体であったとのことであります。

 復興庁においては、平成二十四年に震災関連死防止のため報告書を公表しているほか、内閣府においても、市町村の審査会において令和元年度に審査が行われた事例を市町村の協力を得て収集、分析し、整理した事例集を作成しており、市町村が災害関連死について判断する際の参考としていただきたいと考えているところであります。

掘井委員 災害関連死事例集がありますけれども、その中に震災関連死の関連文書を集めて、それを載せていくという考えでよろしいんでしょうか。

渡辺国務大臣 基本的には、地方自治体のものを集めて関連事例集という形になっておりますので、この事例集を各自治体が参考にしていただきたいと考えております。

掘井委員 一度破棄されれば取り返しがつかないわけでありますから、やはり後世に残すためにきっちり把握して次に生かしていただきたい、このように思っております。

 次の質問であります。

 福島県は、震災関連死が多いだけでなく、震災関連自殺も多いんです。配付資料があります、御覧ください。

 東日本大震災の震災関連自殺者二百四十八人中百十九人、四七%でありますが、これが福島県であります。福島の震災関連自殺者数は、震災から二年後の平成二十五年度が最多の二十三人、次に多いのが震災から四年後の平成二十七年の十九人、令和に入ってからも十五人ということであります。岩手県と宮城県の震災関連自殺者数最多の年が震災の年であるのに対して、福島県はちょっと特別なんですね。これまで実施されてきた原発事故に関する復興政策は、やはり多くの震災関連の自殺を防ぐことができなかったんじゃないか、うまくいっていなかったんじゃないかというような思いもあります。

 そこで、なぜ福島県は震災関連自殺も多く、しかも震災から何年も経過してからの自殺者数が多いのか、大臣、分析なり御所見を伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 今委員から御報告もありました東日本大震災に関連する自殺者数については、平成二十三年と二十五年の比較においては、岩手県が十七人から四人というふうに減っております。宮城県については二十二人から十人と減っております。福島県は十人から二十三人に増加をしているということで、他の二県と異なる傾向があります。これを年齢別、原因、動機別に見ると、例えば岩手県ではほとんどの項目で減少している一方、福島県では、八十歳以上や、五十歳から五十九歳、また健康問題、経済、生活問題などが増加をしております。

 いずれにいたしましても、復興庁としては、震災関連自殺を防ぐためにも、被災者の方々の住まいや生活の再建の後押しをするとともに、孤立防止、さらには心のケアに取り組むことが重要であると考えているところであります。被災自治体とともに、被災者に寄り添ったきめ細かな支援に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

掘井委員 非常に分析しにくいところもありますけれども、それをしていただいて、やはり震災関連死とか関連自殺は復興の過程において発生したということでありますから、復興政策の在り方で防ぐことができた死である、このように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続いての質問です。

 震災関連死と震災関連自殺の事例を後の防災の教訓に生かしていく必要があると思っております。

 内閣府が令和三年四月に、先ほど取り上げました災害関連死の関連文書の一部などを参考に、災害関連死事例集を公表したということは非常に評価しております。NHKの番組で試算が指摘されました七万六千人の関連死を防ぐためにも、災害関連死事例集の内容を更に充実させて、今までの関連死の事例をしっかりと分析するとともに手引集を作成して、被災自治体が適切に対応できるようにすべきではないか、このように思っております。災害関連死事例集の活用方法と今後の課題について教えてほしいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 災害関連死につきましては、先ほどお話がありましたように、内閣府におきまして令和三年四月に事例集として公表しています。

 災害関連死には、高齢者や基礎疾患を抱える方を中心に、避難生活の肉体的、精神的負担や、電気、水道等のライフラインが停止したことによる影響、医療機関や社会福祉施設が被災したことによる医療、福祉サービスの低下など様々な要因があり、災害関連死を減らしていくためにはこうした課題に対応していくことが必要と考えております。

 災害関連死の事例調査は、今後の防災対策、被災者支援の検討を行う上でも必要であると考えております。

 現在、内閣府では、令和二年度そして三年度に市町村の審査会で審査された事例につきまして収集、分析を進めておりまして、その結果について事例ごとに要因となった事実を抽出するとともに、要因別の具体的なケースを参照できるようにするなど、自治体や医療、福祉関係者が対策を検討するための参考、手引としても活用いただけるよう工夫してまいります。

 以上でございます。

掘井委員 ありがとうございます。

 まだ質問を用意しておりましたけれども、時間がなくなりました。また後日にしたいと思います。ありがとうございました。

長島委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 先ほど、河西委員の方から、G7におけるアピールの方、発信の方の議論がございました。二〇二五年大阪・関西万博でも、世界中の国々が半年間にわたり同じ場所に集うということがございます。東日本大震災の復興を発信できるよい機会かと思いますが、この万博で復興がどう位置づけられているのか、まずはお伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博における東日本震災の復興の位置づけにつきましては、基本方針において、大阪・関西万博は国家プロジェクトであり、世界各国の注目が日本に集まるこの機会を最大限に生かし、東日本震災からの復興を成し遂げつつある姿を世界に発信するとなっておりまして、重要事項として、現在取組を検討しているところでございます。

 復興の進捗や被災地の状況を示しながら、命の大切さについて世界の皆様とともに考えていける万博にしていきたいと考えてございます。

漆間委員 続いて、万博に向けた具体の取組に関しまして、復興庁と経済産業省にそれぞれお伺いいたします。

角田政府参考人 まず、復興庁の方からお答え申し上げます。

 二〇二五年の万博ですけれども、復興の進捗、被災地の状況について発信いたしまして、風評払拭や観光振興につながる重要な機会だと認識いたしております。令和三年三月の復興基本方針におきましても、また、令和四年八月に定めました福島復興再生基本方針におきましても、この万博の機会を生かして世界に発信するということが盛り込まれております。

 具体的には、令和五年一月に閣議決定されましたアクションプラン・バージョン3に示したとおり、被災地の食にまつわる取組につきまして効果的な展示などを行いまして、来場者が被災地に魅力を感じていただけるように検討を進めているところでございます。加えまして、もう一つの点でございますけれども、被災地発の防災、減災技術などの、最先端の研究、技術に関する展示などにつきましても、その実施を検討しているところでございます。

 今後、具体的な取組につきまして、被災地の自治体や経済産業省を始めとする関係省庁などの関係機関等と連携しつつ、検討を深めてまいりたいと考えてございます。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二五年大阪・関西万博では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に続く国家プロジェクトでありまして、東日本大震災という複合災害からの復興の姿を世界に発信する絶好の機会だと考えてございます。

 昨年十二月に決定されました二〇二五年大阪・関西万博アクションプラン・バージョン3にも記載のとおり、被災地から生まれる未来社会に向けた創造的復興を力強く発信することといたしております。

 具体的には、経済産業省といたしまして、福島の復興の現状に加えまして、廃炉で活躍するロボットや空飛ぶ車のような未来社会に向けた被災地発の最先端技術・イノベーション、水素の浪江町、ロボットの南相馬市のような新たなコンセプトによる町づくりのモデルなどを世界に発信することを検討しているところでございます。

 今後とも、地元関係者と連携しながら、福島で進む創造的復興を国内外に力強く発信すべく準備を進めてまいりたい、このように考えてございます。

漆間委員 是非、二〇二五年に向けてしっかり進めてほしいと思います。

 万博では、新たな取組として、開催期間中にテーマウィークというものを行います。政府資料によりますと、テーマウィークは、一週間ごとに異なる地球的課題をテーマに設定し、主催者だけでなく、公式参加国、日本政府、自治体、共創事業参加者、出展企業等の万博参加者及び全国の自治体や産業界が集い、解決策を話し合う対話プログラムと、具体的な行動のためのビジネス交流などを実施とされているところです。

 ここに是非震災復興も関わっていくことが重要であると思いますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 テーマウィークにつきましては、いのちを救う、いのちに力を与える、いのちをつなぐという三つのサブテーマの下に、地球規模の課題につきまして日本全国で様々な主体が対話やビジネス交流を行うものであります。政府の国際博覧会推進本部で取りまとめているアクションプランにも位置づけて、実施を現在検討しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、災害からの復興といったテーマは、日本としてこれまでの知見や経験に基づいて議論を主導すべき重要なテーマであると認識しておりまして、テーマ決定に向けた今後の検討の参考とさせていただきたいと考えてございます。

漆間委員 是非、テーマウィークでやっていただきますように、よろしくお願いいたします。

 続きまして、福島ロボットテストフィールドにおける空飛ぶ車の取組についてお伺いいたします。

 万博では、空飛ぶ車の実用化に向けて、国、大阪府、大阪市で進めているところであります。一方で、福島ロボットテストフィールドにおける空飛ぶ車関連の報道も多く目にするところでありますが、福島ロボットテストフィールドにおける空飛ぶ車の取組状況についてお伺いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、福島イノベーション・コースト構想の推進に向けまして、中核施設となる福島ロボットテストフィールドの整備、空飛ぶ車を始めとします先端分野の実用化開発への支援を実施してきたところでございます。

 これらの支援によりまして、福島ロボットテストフィールドでは、空飛ぶ車を始め、これまで七百件を超える実証試験が行われてまいりました。実証試験を終えた事業者の中には、福島ロボットテストフィールドに隣接する産業団地に工場を建設し、事業化する事例も生まれてきているところでございます。

 今後、ドローンなどの長距離飛行の実証環境を提供するために、新たに、福島ロボットテストフィールドの南相馬拠点と浪江拠点を結ぶ、約十三キロに及ぶ長距離飛行ルートを二〇二三年度中に整備する予定でございます。経済産業省、福島県、南相馬市、浪江町などが連携しまして、福島ロボットテストフィールドを主体に、道路管理者などの関係者との調整や、事業者への周知を進めてまいりたい、このように考えてございます。

 引き続き、福島ロボットテストフィールドや実用化開発に向けた補助金などを活用しまして、福島浜通り地域を空飛ぶ車などに取り組むスタートアップの先進地とすべく、しっかり支援してまいりたい、このように考えてございます。

漆間委員 先日、大阪でも空飛ぶ車の運航事業者選定の報道がございましたが、使われる予定の機体は外国産が多かったところです。機体開発は日本も頑張っていきたいところでありますので、福島テストフィールドが日本の空飛ぶ車の機体開発能力向上に資するよう、是非進めていただきたいと思います。

 続きまして、ALPS処理水の海洋放出に向けた関係者の理解についてお伺いいたします。

 政府は、令和三年四月、東京電力福島第一原発に日々たまり続けるALPS処理水の処分方法を海洋放出とすることを決定し、東京電力には、二年程度をめどに福島第一原発の敷地から放出する準備を進めることを求めました。本年一月には、具体的な海洋放出の時期を本年春から夏頃と見込むと発表したところです。

 しかし、一方で、政府及び東京電力は、処理水の処分をめぐり、平成二十七年に福島県漁連に対して、関係者の理解なしにはいかなる処分もしないと文書で約束をしております。これについては、令和四年の全漁連会長の談話においても、全国の漁業者、国民の理解を得られないALPS処理水の海洋放出に反対であることは変わるものではないと述べております。

 岸田総理は、今月三日の参議院予算委員会の答弁においても、処理水の海洋放出の時期について今年の春から夏を見込むことに変更はない旨の答弁をしましたが、関係者の理解、漁業関係者の理解を得たとの判断をどのように行うのでしょうか。お伺いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないという経済産業省から福島県漁連への回答における理解の度合いにつきまして、特定の指標や数値によって一律に判断することは困難だと考えてございます。しかしながら、地元の漁業者の方々などを始めとする皆様との意思疎通を密にすることが重要だと考えてございます。

 これまで、漁業者や地元の方々を始めとしまして、安全性の確保や風評対策に関する説明、意見交換を一千回以上実施し、テレビCM、ウェブ広告、新聞広告などでの情報発信を行ってまいりました。

 また、これまでIAEAの専門家が複数回来日しておりまして、レビューを行っております。昨年五月にはグロッシー事務局長が、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるとコメントしております。本年前半には包括報告書が公表される予定でありまして、その内容も分かりやすく発信してまいりたいと考えてございます。

 漁業者と西村大臣の車座での意見交換を踏まえまして、昨年末、三陸、常磐物の消費拡大を図る官民連携の枠組みとしまして、魅力発見、三陸、常磐物ネットワークを立ち上げ、既に九百者以上の企業等に参加いただいてございます。

 さらに、本年度の補正予算におきまして措置しました漁業者の事業継続のための基金につきましては、現在執行に向けた準備を行っておりますけれども、全漁連会長から、信頼関係構築に向けての姿勢と評価する談話も示されてございます。

 引き続き、安全性の確保と風評対策の徹底に万全を期すとともに、今後も地元の皆様と十分にコミュニケーションを取り、丁寧な説明を重ねてまいりたい、このように考えてございます。

漆間委員 最後に、ALPS処理水の海洋放出に向けた渡辺大臣の思いについてお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 ALPS処理水の処分というのは、先送りできない重要な課題だというふうに認識をしております。

 ALPS処理水の処分については、まずは国の内外の理解醸成というのは本当に必要だというふうに思っておりますし、政府としては、地元を始めとする方々に対して継続的、丁寧に説明を尽くしていくことが必要です。

 復興庁といたしましても、風評の影響の払拭に向けて、科学的根拠に基づく正確な情報について、インターネット、ラジオ、新聞等、多くの媒体を活用しながら効果的な情報発信に取り組んでいるところであります。

 いずれにしましても、ALPS処理水の処分に関する基本方針や行動計画を踏まえまして、政府一丸となって、決して風評の影響を生じさせないという強い決意の下、科学的根拠に基づいた情報発信の風評対策に引き続き全力で取り組んでまいります。

漆間委員 先日、日本維新の会、馬場代表も発信しましたとおり、我が党も、福島県及び周辺地域に対する風評被害の払拭に全力で取り組んでまいりたいと思います。また、福島県内で生じた除染土の処理についても、早急に道筋をつけるべく、政府に強く働きかけてまいります。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。

長島委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 大臣は、昨年の臨時国会閉会後、秋葉前大臣の辞任表明により再登板となりました。会見で大臣は、大臣として、まず清廉で、そして、疑い、疑惑のないような形でしっかりと物事を進めてまいりたい、被災地の皆さんが信頼できる大臣でありたいと述べられました。

 ところが、先週の週刊誌報道、非常に残念に思いました。最初の復興大臣時代に、詐欺と思われる投資話に加担してしまったという疑いであります。

 大臣は十日の会見で、その関与を否定した。警察にも相談をするというお話だったと思いますが、されたんでしょうか。

渡辺国務大臣 委員御指摘の、私は、復興大臣としてまずは信頼を回復することが大変重要であるということで、秋葉大臣の後の大臣として記者会見をしたことはあります。

 今回の報道は、私にとっても大変残念な報道であります。私には全く関与していないことであります。特に、確約書それから名刺等、全く私に関与していない、勝手に書かれた内容であることは間違いございません。

 したがって、この点についても、私自身はもう既に警察に相談をしているところでございます。

高橋(千)委員 有印私文書偽造という形で大臣がおっしゃったということで、既に警察に出されたということで、そうであれば、それがしっかりと潔白であるということが証明されることを期待したいと思うんですね。

 それで、実は、私は本当は大臣に対してこんな質問をしたくなかったんですけれども、二〇〇六年の十一月に、大臣が経済産業副大臣だったときにも、我が党の佐々木憲昭元衆議院議員が、大臣の親族会社である渡辺交通、二〇〇六年七月に二十四億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請しているにもかかわらず、借金返済として、大臣、今の渡辺大臣に、当時です、六千八百七十万円、亡くなった実父や長女らに約一億円が渡っていた、これは民事再生法に関わる詐欺再生罪に当たるのではないかという疑いが追及されました。

 また、大臣が支部長を務める自民党千葉県第六選挙区支部が渡辺交通から四百二十万円の献金を受けたことも政治資金規正法違反に当たるのではと追及をされています。

 秋葉前大臣が問われたときも、地元事務所と親族とのお金の流れであって、なぜまたこんなことになるのかなと思うのであります。

 このとき、大臣は、民事再生法の中だからということで一切説明をしておりません。政治資金の方は返済をしたということでありました。でも、やはり返済したとしても、当時の答弁は、違反に当たる、負債を抱えているところだと知らなかったという答弁だったわけですよね。でも、それはおかしくて、六五%の筆頭株主であった渡辺大臣が全く知らなかったということ自体がおかしい。

 そういう意味で、最初の会見でお話しされたような、被災者の信頼を裏切ることはないということがやはり本当なのかなと。たとえ法律で罰せられることはないとしても、道義的な責任がないのか、そうしたことも含めて、潔白であるということはしっかりと説明していただきたいと思います。

 もし何か一言あれば。

渡辺国務大臣 御指摘の復興大臣のときの報道は存じ上げております、当然のことながら。

 でも、私自身は、あの問題についてはきちんと説明したというふうに思っておりますし、法的にも全く問題ないという認識であります。

 その上で、私が復興大臣に初めて就任した二〇一八年、一九年でありますけれども、このときも、私自身は、被災地との信頼関係が極めて重要であるということで、できるだけ多くの被災地を訪問してまいりました。そういった個々の被災地との信頼関係の醸成はしっかりとつくってきたというふうに私自身は自負をしているところでございます。

 ただ、先ほどの週刊誌の報道のように、いろいろな形で出されることはあると思いますけれども、できるだけそういうものはしっかりと答えていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 最後に、しっかりと答えていきたいというお答えがありましたので、私も、大臣は前回のときからよく存じ上げておりますので、注視をしていきたい、このように思っております。

 次に、全然議題が変わりますが、一月二十八日、青森県六ケ所村の再処理工場前処理建屋において電源盤メンテナンスの際に、一部消灯して作業をするはずが、バックアップの照明が切れていたために全部消灯となって、国際原子力機関、IAEAによる監視が約二時間にわたってできなかったという事案がありました。何とその照明は二〇一七年に切れていたことが分かっていたにもかかわらず、しかも、製造が終わって補給もできていないまま放置をされていました。

 なぜ一月二十八日に起こったトラブルが二月二十二日まで公表されなかったのか。IAEAが原子力規制庁及び原燃に対して全消灯の理由を問い合わせたのは二月九日だと聞いています。

 そこで、原子力規制庁に伺います。

 規制庁は、原燃に対して、原因と再発防止策について三月二十二日までの報告を求めていますが、規制庁としてはいつの時点でどこまで把握していたのでしょうか。簡潔にお願いします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお尋ねの、規制庁としていつの時点でどこまで把握していたのかということでございますので、時系列的に御説明させていただきます。

 御指摘のように、原燃は、本年一月二十八日に再処理施設前処理建屋において、電源盤メンテナンスのため、保障措置上の監視対象区域で一部消灯を予定しており、その旨を一月十八日に原子力規制庁、IAEA及び核物質管理センターに事前に連絡してきました。事後においては、当該区域の監視カメラを所有しているIAEAが、一月二十八日の約二時間、一部区域が監視カメラにより監視できない状況になっていたことについて、二月九日に、原子力規制庁及び日本原燃に対し、事実関係の確認依頼をしてきたところであります。その後、IAEAは、二月の二十日に、全消灯により二時間監視ができていなかったことを認定し、原子力規制庁にその旨を連絡してきたところでございます。

 原子力規制庁としては、これらのことを踏まえまして、日本原燃への当面の対応を原子力規制委員会で御決定いただくために、IAEAから連絡のあった翌々日となる二月の二十二日、この日に定例会に付議したところでございます。

 以上です。

高橋(千)委員 事前の連絡があったわけで、二月九日に、最終的な確認をしたのは二月二十日だったと今おっしゃっておりましたけれども、九日に一旦連絡があったわけですよね。やはり日にち的な問題、五年間ほったらかしていたということが非常に驚く話であって、何かもう少しできなかったのかという思いをするわけです。前回も同じように、報告書を原燃に求めて、期日までに来なかったということがございました。厳粛な対応を求めたいと思うんですね。

 今日は、原子力規制委員会の山中委員長にもおいでいただいています。

 二十二日の記者会見で、IAEAの活動がきちんとできなくなったという極めて重大な事案であるとおっしゃっています。事業者の怠慢だとしか言いようがないともおっしゃっています。私は当然だと思います。

 IAEAが常時監視する対象施設であり、それが一時的にでもできなかったことの意味について、山中委員長の所見を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 我が国は、核兵器の不拡散に関する条約における国際約束の履行担保をいたしますために、日・IAEA保障措置協定に基づき、国際原子力機関、IAEAによる保障措置活動である査察等を受けております。特に、日本原燃の再処理施設はプルトニウムを扱っており、また非核兵器国で唯一の商業用大型再処理施設であることから、保障措置活動が確実に実施されることは重要であると認識しております。

 このような認識の下、一月二十八日に発生いたしました査察機器監視対象区域における全消灯事案は、照明に使う電球の単なる球切れというよりは、これによりIAEAによる監視ができない時間帯があったことが保障措置上極めて重大な事案であると認識しております。

 また、電球が切れていることについて、日本原燃内の部署間の情報共有が適切に実施されておらず、速やかに電球を交換していなかったことは、事業者の怠慢としか言いようがないと思っております。

 今回の全消灯事案の原因究明や再発防止対策は、三月二十二日までの日本原燃の報告を待って明らかにしていきますが、二月二十二日の定例会で受けた報告も踏まえまして、今回の日本原燃の全消灯事案は誠に遺憾であり、原子力規制委員会として、再発防止を徹底させたいと考えております。

高橋(千)委員 誠に遺憾であるというお答えがあったと思います。やはりプルトニウムを扱う施設であるということで、また、唯一の、核兵器を持たない国として商業炉を持っている、そうした意味での非常に重い意味があったと思います。

 ただ、原燃もそうですが、もちろん東電もそうですが、何か事象が起こるときというのは、本当にヒューマンエラーだったり、そして、そのヒューマンエラーの後の情報発信というんでしょうか、報告が非常に遅れる、そういうことが繰り返されているということがやはり非常に大きな事象を引き起こす端緒になるのではないかと思って、改めて指摘をさせていただきました。ありがとうございます。

 それで、GX実現に向けた基本方針では、核燃サイクルの推進等、高レベル放射性廃棄物の最終処分についても着実に行っていくというようなことが書かれております。仮に最終処分の候補地のめどがついたとしても、一つは、使用済みMOX燃料、これはプルサーマルをやった後に出るわけですけれども、処理処分について、また、東電福島第一原発から取り出す使用済燃料の処理処分について、そして、燃料デブリの取り出し後の処理処分について、それぞれ違うということ、また決まっていないということを確認したいと思います。

松山政府参考人 まず、使用済みMOX燃料の処理について御答弁申し上げます。

 政府といたしましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用の観点から核燃料サイクルを推進していることとしておりまして、使用済燃料につきましては、使用済みMOX燃料も含めて再処理することが我が国の基本的な方針でございます。

 その中で、お尋ねがございました使用済みMOX燃料の再処理についてでございますが、現在、その必要な技術の研究開発を行っている段階にございます。例えば、ガラス溶融炉の運転を阻害する原因を抑制する技術ですとか、発熱性の高い元素を除去する技術、こういったものを研究開発を行っているところでございます。

 今後、使用済みMOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き、二〇三〇年代後半の技術確立をめどに研究開発に取り組んでいきつつ、検討を進めていくということにしているところでございます。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原発の使用済燃料と燃料デブリにつきまして、現在、国が定めた中長期ロードマップに基づいて取組を進めております。

 使用済燃料につきましては、順次取り出しを進めておりまして、共用プール等において適切に保管するとともに、その燃料の一部を乾式キャスク仮保管設備へ移送し、保管をしてございます。福島第一原発の使用済燃料については、事故によりまして海水や瓦れきによる影響が生じている可能性がございますため、その後の取扱いについては、これらの影響を評価した上で検討する必要があると考えてございます。

 また、燃料デブリにつきましては、二号機での試験的取り出しに向けたロボットアームの開発等を行っているところでございますが、取り出した燃料デブリの処理処分の方法につきましては、燃料デブリの取り出しを開始後に燃料デブリの性状の分析を進めまして、その上で決定することとしております。

 このため、使用済燃料それから燃料デブリの取扱いについては、まずは技術的な検討を進めるということにしてございまして、その上で適切に処理処分がされますよう、国としても最後まで責任を持って対応してまいります。

高橋(千)委員 最初に質問で言ったように、高レベル放射性廃棄物の処理処分の候補地、最終処分地の候補地すらまだ決まっていない段階ですが、それ以外にも、今、使用済みMOX燃料ですとか、東電福島第一原発から取り出した燃料やデブリの処理の仕方さえも決まっていないということが明らかになったと思います。今、処理の技術を議論しているということだったということを確認したいと思います。

 それから、MOX燃料は、再処理とおっしゃいましたけれども、永遠に再処理できるわけじゃありませんから、いずれにしても、能力が落ちて処分をしなきゃいけないということはちゃんと直視しなきゃいけないと思うんですね。

 そういう中で、廃炉の、ここでいう廃炉というのは東電第一原発の話ですが、最終的な姿をどのように見通しをつけていくのか。今日は、原子力災害対策特措法の緊急事態宣言がどういうものであるかというのと、解除のときについて資料を配っておりますが、どのタイミングで解除をするのかということを聞きたいと思います。

 原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときと書いているわけですから、今言った取り出しの作業やその先がまだ見えない、続く限り、宣言解除にはならないと思うんですが、いかがでしょうか。

湯本政府参考人 それでは、まず、福島第一原発の廃炉の最終的な姿についてお答えいたします。

 福島第一原発の廃止措置を終了した状態でございますけれども、事故を起こした炉内の状況ですとか廃棄物の性状など、今後明らかにしていかなければならない要素が多々ございますため、現時点では具体的な絵姿を示せる状況ではございません。更なる調査、分析や研究開発を進めながら検討を深めていく必要があると考えてございます。

 また、廃止措置を終了した状態は、地域の将来像に関わることでもありますため、技術的観点に加えまして、地元の皆様の思いもしっかりと受け止めながら検討していく必要があると考えてございます。

松下政府参考人 原子力緊急事態宣言の解除につきましては、ただいま委員からも御紹介がありましたが、原子力災害対策特別措置法第十五条第四項において、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときに原子力緊急事態解除宣言を行うこととされております。

 具体的には、住民の避難や、福島第一原子力発電所の施設及び設備の応急の復旧等の実施状況を踏まえつつ、総合的な見地から判断することとなりますが、現時点においては、解除の時期について確たることを申し上げることは困難な状況でございます。

高橋(千)委員 山中委員長にもう一度伺いたいと思います。二問通告していましたが、後の方のだけでお願いします。

 廃炉のあらゆるプロセスで規制委員会の審査が必要になると思います。三月十日、委員長は職員への訓示の中で、数百年から数万年もの期間を考える必要があるものもありますと述べています。本日、行き先も処理方法もこれからだよねと改めて聞いたのも、廃炉は三十年から五十年という短いスパンの話じゃないと思ったからであります。委員長に、この発言の趣旨を伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の私の職員訓示の趣旨は、原子力施設の運転やその廃止措置など、今後数十年先にわたる規制に加えまして、そこから出てまいります放射性廃棄物につきましては、半減期が非常に長い放射性物質も含まれる場合もあることから、数百年から数万年と長いスパンでの視野が必要になるということを職員に訓示として述べたものでございます。

 私ども原子力規制委員会としては、職員に対して、このように長いスパンを持った安全規制を真摯に行うことを求めております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 こうした時間がかかる問題なんだということを受け止めて、住民にもしっかりと説明をしていただきたいと、これはエネ庁に向かって言っておりますが、思いますことと、そうした、やはり一たび事故を起こしたときの収束というのは大変なことなんだということを改めて指摘をして、原発回帰の今の政府の方針は認められない、このことを訴えて、終わりたいと思います。

長島委員長 次に、鎌田さゆり君。

鎌田委員 宮城二区、沿岸部から山間部までを地元としております、立憲の鎌田さゆりでございます。

 秋葉大臣のときに、相対してというか、一緒に共通課題を共有して質問に立ちたかったんですが、それはもうかないません、残念ですけれども。改めて、渡辺大臣に質問をしてまいります。

 まず、先週の土曜日、三月十一日をもって、東日本大震災から丸十二年が経過をいたしました。コロナの中でも、大変な中であっても、全国の皆さんから、世界中の皆さんから応援をいただいて、特に復興特別所得税という税の御負担もいただきながら、私たちは応援をしてもらいました。そのことに感謝をしながら必死に前を向いてきた、生き抜いてきたこの十二年であったということは、まず申し上げておきたいと思います。

 今日は資料を四つ提示をいたしましたが、二つは却下をされましたので、まず、資料一を御覧ください。令和五年度の税制改正の大綱から抜粋をしたものであります。下線部は、私の事務所の方で線を引いております。

 所得税のところなんですが、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、所得税額に対し、当分の間、税率一%の新たな付加税を課す、ただ、現下の家計を取り巻く状況に配慮し、復興特別所得税の税率を一%引き下げるとともにというふうにあります。

 これは、結局、いつからいつまで復興特別所得税は引き下げられるのかということはこれだけでは分かりません。教えていただけますでしょうか。

阿久澤政府参考人 お答えをさせていただきます。

 我が国の防衛力の抜本的な強化を行うに当たりまして、そのための歳出、これは恒久的なものであるということから、その安定的な財源を確保するという観点から、先ほど御指摘があった与党税制改正大綱におきまして、所得税につきましては、所得税額に対し、当分の間、税率一%の新たな付加税を課すと明記をされております。すなわち、期限のない税制措置とされているものと承知をしております。

鎌田委員 所得税の方は期限のない、ただ、復興特別所得税の方は延長するということは伝わっているところなんですけれども、大臣、これは私はあらかじめ説明を受けました。所得税の方で、新たな課税として付加税、一%上げるんだ、復興特別所得税は、今、国民の暮らしが大変な状況だから一%下げて、今まで二・一%だったものを一・一%にするんだ、でも、復興特別所得税は延長するから、総つかみとしては変わらないんだから大丈夫なんですという説明を受けたけれども、ここに、明らかに防衛力強化に係る財源確保のためのということで復興特別所得税が引き下げられる、そして延長されるということなんです。

 はっきり申し上げますと、これは防衛力強化のための財源確保のために復興特別所得税が人質に取られているようなものじゃないですか。私はそう思いますけれども、大臣、この点について何か討論をなさいましたか。

渡辺国務大臣 今委員の御指摘でございますけれども、まず、私の立場として、復興大臣、まさに復興事業の執行に影響を及ぼさないことが最も重要であるというふうにまず認識をしているところであります。そのために復興財源の総額を確保するということが私にとりましても大前提なんです。

 これまで私からは、御指摘の措置が、復興財源の総額を確保することが大前提であるということ、そして復興特別所得税を転用するものではないこと、被災地の皆様方には危惧なさらないでいただきたいといったことを記者会見で御説明をしているところであります。

 引き続き、復興庁としては、被災地の不安や懸念を払拭すべく丁寧な説明を、万全を尽くしていきたいというふうに思っているわけでありまして、私自身は、あくまでも、二・一が一・一になったのは、これは国民の負担を軽減するための措置というふうに理解をしているわけでありまして、防衛力強化のための財源確保のためにではないというふうに理解をしております。

鎌田委員 大臣、違いますよ、違います。今のはこの税制大綱に反する答弁ですよ。

 税制大綱の中に、所得税を上げる、でも、現下の家計の状況に鑑みて復興特別所得税を一%下げると。一パー片方で上げて、一パー下げるんですよ。そして、これは防衛力強化に係る財源確保のための税制措置なんです。復興特別所得税で入ってきたお金に数字とか記号がついているわけじゃないので、それが転用されるおそれはありませんと言われても何の説得力もありません、この税制大綱にそう書かれているんだから。これはどんなに説明を丁寧にしたとしても、所得税を一%上げる、そして代わりにこっちで下げる、数字の単なるトリックですよ。

 今の大臣の御答弁では、説明に足り得るとは私は思えません。何か一言ありますか。

渡辺国務大臣 まず、所得税のところの項目をよく御覧いただきたいと思います。所得税額に対し、当分の間、税率一%の新たな付加税を課すというふうになっています。その上で、現下の家計を取り巻く状況に配慮しということで、復興特別所得税の税率を一%下げることにしているということなんです。

 理由は、あくまでも現下の家計を取り巻く状況を勘案してということであります。

鎌田委員 だから、現下の家計の状況というのは、防衛力強化のために財源確保をする、そのために所得税を当分の間一%上げる、そして現下の家計なんだから、ここにその流れを、ただ日本語をそのまま読めば、私たちとしては、宮城県の人間としては、今までたくさん応援をいただいてきた、税負担をいただいてまでも。なのに、ここで、たばこ税と法人税と一緒に所得税を上げる。新たな付加税だと説明をされても、復興特別所得税が一%、同じ数字下がるとなったら、何だってなとなります。情けないですよ。

 だから、復興大臣としてここをきちんと政府に、政権の中で閣僚として、これでは駄目だということをちゃんと言っていただきたいんですね。その意味を込めて、今、再三伺いました。

 資料二を見ていただきたいと思います。

 これは、三月十一日の、地元紙の河北新報社という地元の多くの方が愛読、愛読というのか、読んでいる新聞社で、三・一一の朝刊で出たものです。災害公営住宅の入居者、八割は疾病を抱えている方、それから三割は体調に不安を抱えている方という見出しが見えます。そして、実は宮城県では、二段目と一番下のところですが、県では、もう二〇二〇年度に災害公営住宅の健康調査を終了しているんです。だけれども、この健康調査を引き続き行っていかないと、先ほど来出ていました災害公営住宅での孤独死ですとか震災関連死ですとか、まだまだ被災三県では、支援の手を差し伸べてほしいという声が、医療費の高齢者の窓口負担も上がっています、本当にまだ大変なんですよ、そういったところの生活相談支援員への人件費ですとか。

 そして、併せて申し上げますが、今日はネットで地元の人も見ていますので、こちらの与党理事の庄子賢一代議士の地元でもあります仙台市は宮城野区それから若林区というところに、江戸の伊達藩政から続いている貞山堀という運河があるんですね。この運河は、震災の瓦れきがまだ残っているんですよ。その震災瓦れきを取り除いてくれというのは、再三にわたって地元の住民が行政に要望しているんです。瓦れきを取り除いた後、その水門を開けてまた水を流して、シジミやハゼの大漁の時代、これをまた復活させよう、そういう運動が実はすごく盛んなんです。私は、三月十一日も、翌日の十二日の日曜日も、この貞山堀に行ってその運動をやってきました。まだまだ予算がかかるんです、ぶっちゃけ、本当のところ。

 だから、大臣、よかったら、この特別委員会の場で、災害公営住宅の方々の孤独死を絶対にもう増やさない、そして、宮城県に、インバウンド、観光資源にも資する貞山堀という運河の復活、再生に興味と関心を示していただいて、是非踏み込んだ御答弁をお願いしたいと思います。

渡辺国務大臣 今、鎌田委員の熱意がひしひしと感じました。

 貞山堀、その地域においてはまさに地域資源だというふうに思います。こういった地域資源をいかに活用するかということは、やはり地域活性化のため、またこれからの観光需要のためにも大変重要だというふうに認識をしております。

 それも含めて、震災はまだ終わっていないということであります。当然であります。私自身も、地域の中で活性化していくための阻害要因というものがあれば、震災に起因するものであればしっかりとこれは除去していく必要がある、そのように認識をしておりまして、震災復興を成し遂げることが復興庁の役目だというふうに思っております。

鎌田委員 大臣、よかったら、是非在任中、貞山堀にいらっしゃってください。ハゼが釣れています。昔はシジミが豊漁でした。そして、エネルギー、原発などない時代は、あそこの、津波で松が大分やられてしまいましたけれども、落ちた松の葉でもって燃料源にして、暖を取って、そしてまた、いろりの火にしていたんですよ。その文化を今でも守っている人たちが、もう住めない地区です、人は住めません、でも、地域コミュニティーを維持するために頑張っているんですよ。よかったら、在任中是非いらっしゃってください。

 これは大臣への、就任中是非というエールを込めてなんですけれども、そのエールを込めた後に次の質問に移らなきゃいけないのが非常に私も高橋議員と同様に残念なんですけれども、ですが、やはり大臣、信頼をと、被災地からの信頼を得ることが大事だという御答弁もありましたので、事実関係の確認をさせていただきたいと思います。あらかじめ通告もしておりますので、事実としてお答えをいただきたいと思います。

 三月九日発信の報道で、詐欺疑惑案件と大臣との関係性が問われました。そこにある確約書、大臣の署名押印がありますけれども、これはしていない、書いていないということです。よろしいんですね。

渡辺国務大臣 明確に私はそれは否定をしたいと思います。

 その一つの大きな理由は、住所が全く違うんです。しかも、筆跡が違う。こんな明らかに私の署名でないものを、いかにも私が書いたように示していること、これはまさに犯罪です。これはしっかりと警察に相談をしているところであります。

鎌田委員 まさにこれは、今大臣が御答弁なさったのが事実であれば、有印私文書偽造という疑いが出てきますので、御答弁のとおりに対応されるべきだと思います。

 続けて伺いますが、報道にありました、その週刊誌報道ですけれども、M氏というのは、これは大臣の義理の叔父に当たられる方で間違いないですか。

渡辺国務大臣 事実関係はそのとおりであります。

 私の結婚したときが、今からもう数十年前でありますけれども、そのときにお会いし、その後、何度かというか、パーティーのときに、写真が出ているようでありまして、私がそのときにお会いしたというふうになっておりますが、私の記憶の中では、そこまで親しくお話をしたという記憶はございません。

鎌田委員 大臣、今日は資料としてははじかれたんですけれども、今大臣がおっしゃった二〇一九年の三月十三日の、大臣が所属されていらっしゃる会派でしょうか、平成研のパーティーで、大臣とM氏、義理の叔父様に当たられる方が、この報道で詐欺をしているのではないかと疑われている方と親しげに名刺交換をして、それで、M氏と思われる叔父さんから大臣をその人に紹介しているという写真もあるんですよ。

 ですから、信頼が大事であれば、やはりそこの記憶のところ、曖昧になっていらっしゃるかもしれませんが、明確に記憶と記録をたどって、この委員会の理事会で結構です、そこに御説明をされるべきじゃないでしょうか。

渡辺国務大臣 委員会で私は明確に説明をしたいというふうに思います。

 まず、我々政治家は、いろいろなパーティーがあります。そのときに、いろいろな人から、写真を一緒にどうですかと何人かに声をかけられ、それを否認することはできない立場だというふうに思います。

 その上で、何年も会っていなかった方に、当然のことながら、縁戚があるわけですから、顔も風体も当然分かるだろうというふうに思うんですが、何十年も会っていないと、どういう状況になるか、はっきり言って分かりません。そのときに声をかけられて、一緒に写真を撮ろうというふうに言われたときに、それを否定する何物もなかったわけでありまして、それ以外のものでも何でもありません。

 したがって、それは、多くの方の中の一人にすぎないということです。

鎌田委員 確かに、私たちはそういう部分もございます。ございますが、このMさんという方は大臣の叔父さんですから呼び捨てにして、大臣も小さいときは叔父さん、叔父さんと慕っていらっしゃったというふうにMさんは証言をなさっていて、そして、Mさんというのは、大臣の名刺に誰々様と書かれてあるんですね、名刺に。そして、大臣に就任しました、また会いましょう、そして叔父をよろしくということで、渡辺という印が押されているものも入手をしております。

 そうすると、この名刺は、大臣の事務所から叔父様に渡った名刺なんでしょうか。どこから渡った名刺なんでしょうか。

渡辺国務大臣 名刺がどこから渡ったかというのは、私は知る由もありません。

 それは、私どもは、名刺はいろいろな人と会ったときには当然渡しておりますので、さらには、事務所で、来たときにも、事務の方で、秘書の方で渡すこともあります。

 そういった状況の中で、復興大臣という大臣職になったときには、やはり大臣の名刺が欲しいという、そういう人も当然いらっしゃるわけでありますので、私は、どういう経過で私の名刺を入手したか、それは全く私自身は分かりません。

 それと、実際にそこに書かれた筆跡でありますけれども、私の筆跡ではありません。任意に書かれたものであります。それから、印鑑も、私の印鑑ではありません。これは明確に申し上げたいというふうに思います。

鎌田委員 私が問題視しているのは、いわゆる衆議院議員の、一人の衆議院議員としての名刺ではなくて、復興大臣としての名刺なんですね。復興大臣としての名刺に、叔父をよろしく、判こなんです。そして、最初に復興大臣に就任された当時の名刺なんです。ですから、どこから出たのか分からないではなくて、やはり信頼ですから。Mさんという叔父様は、私が調査をしたところ、何か数十枚持ち歩いて、いろいろな方に、自分のおいっ子は大臣なんだぞ、博道なんだぞというふうにおっしゃっているようなんです。ですので、これは疑惑のままではいけないと思います。

 ですから、そこはこれから、警察とも相談されているようですから、いろいろなことを、捜査に協力をされたりもするんでしょうけれども、きちんと、委員会でと大臣がおっしゃるのであれば、是非この委員会で、復興大臣としての名刺が、なぜ叔父様が数十枚持ち歩いて、詐欺と疑われるような経緯の中で使われたのか、大臣の名前までも使われて。それをちゃんと調査をして報告をされた方がよろしいんじゃないでしょうか。報告されるおつもりはございますか。

渡辺国務大臣 できるならば、私は委員の皆様宛てにも報告したいと思いますが、本当に経路がどうなったかというのは、はっきり申し上げて、どういう入手があったかというのは分かりません。私は、少なくとも復興大臣の名刺は千部ぐらいは今まで発注しているわけですよ。それがどういうところに行ったかというのを一々チェックはしておりません。それをやれといっても、まず不可能だと私は思います。

 さらに、十枚持っているといっても、私はそれは認識しておりません。それは誰から聞いた話か私は分かりませんが、私は、あくまでも、その名刺が、何枚持っているかも分かりませんし、どの経路でそこに行ったかも分かりませんが、ただ、言えることは、その名刺に勝手に名前を使われたというのが私の方で、まさに被害者なんです。それから、確約書もそうです。勝手に書いた。

 したがって、私は今警察の方に相談をしているということでありますので、是非ともこの辺は理解をしていただきたいと思います。

鎌田委員 これで最後にします、もう時間も間もなく終わりますので。

 大臣、確認をさせていただきたいんですけれども、叔父様に当たるM氏と最後に会われたのはいつなんでしょうか。その二〇一九年の平成研のパーティーなんでしょうか。それとも、二〇二一年の、二一年というと、おととしですね、我々の総選挙のときです、そのときなのでしょうか。長らくお会いになっていないというコメントを出されていますけれども、最後に会われたのはいつなんでしょうか。これで終わりにします。

渡辺国務大臣 大変申し訳ないんですけれども、私の記憶には最後はいつかというのは、私はちょっといつだか、はっきり言って分かりません。

 ただ、言えることは、パーティーのときですか、二〇一九年のときに写真があるということであれば、そのときに会っているんだろうというふうに思いますが、その後について、全く私は、元々疎遠でありましたものですから、その後の一緒に会ったという記憶は全くございません。

鎌田委員 終わります。

長島委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉です。

 渡辺大臣、図らずも再度の御就任ということでございます。改めて、再度の御就任ということでありますから、是非それを生かして、リーダーシップを発揮してもらいたいというふうに思います。

 まず、F―REI、福島国際研究教育機構について質問をさせてください。

 私、このF―REI、大変期待をしているところであります。四月一日から鳴り物入りでスタートするわけであります。何とかよいものに仕上げなきゃいけない、世界に冠たる研究機関にしてみたいと思うのですが、残念ながら現時点では私自身はまだ将来の成功を確信するまでには至っていない、不安があるということなんです。

 特に何が不安かというと、ここにも通告させていただきましたけれども、目玉とすべき研究テーマが十分練られていないんじゃないかということを私自身も感じますし、実は、多くの関係者の皆さんから私に心配だという声を届ける方々が多いです。実態です。どういう研究を、どんな研究者が、どんな設備で行うのかということについて、これは復興大臣が腹を据えてどこかで決めていかなきゃいけないというふうに思いますけれども、このことについて、通告してございますので、是非私の不安を払拭するような御説明をいただければと思います。

渡辺国務大臣 玄葉委員、ありがとうございます。

 私の認識も、玄葉委員の認識も、やはり福島の創造的復興の中核的な位置づけであるという認識はF―REIについてお持ちだというふうに思っております。その中で、四月一日の設立に向けて現在準備を進めているところであります。

 不満な点があるということでありますが、まず基本的なところをちょっとお話をさせていただきたいというふうに思います。

 研究内容については、新産業創出等の研究開発基本計画に基づいて現在五分野を予定しております。F―REI設立時において主務大臣が策定、指示する中期目標などを受けて取り組むこととなりますが、例えば、ロボット分野では、廃炉に資する高度な遠隔技術や、過酷な環境を含めた様々な環境下での使用を想定したロボット等の研究開発、また、放射線科学、創薬医療分野では、放射線及び放射線同位元素の利用に関する基礎基盤研究を軸とした、多様な分野への成果の応用を見据えた一体的な研究開発や、放射線の先端的医学利用や先端的な創薬技術開発等を進めていくこととしております。

 こういった先端的なものを進めていくためには、国内外の優秀な研究者の参画を得なければなりません。福島を始め東北の被災地の中長期的な課題、ひいては世界の課題の解決に資する、国内外に誇れる研究開発を実施していきたい、そのように思っております。

 F―REIは、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引する、世界に冠たる機関として研究開発を実施できるよう、復興大臣として福島の復興再生に全力で取り組んでまいりたいと思います。

玄葉委員 急に改めてまた復興大臣になられて、前任者が突然お辞めになるということもあって、大変だとは思います。ただ、すごく大事な時期なんですね。もっと具体的に、是非お答えいただきたいと思います。つまりは、先ほど申し上げたように、目玉とすべき研究テーマを何にするのか、そして、どういう研究者を中心に行うのか。それが決まれば、どういう設備を整えるのかということが決まります。

 実は、元々の予定は、令和四年の段階で設備の仕様とかを決めるという予定だったはずなんですね。だから、私は不満というより不安なんです。これは、大臣の交代のデメリットでもあると思うんですよね。だから、しっかりとここはリーダーシップを取ってもらいたい。

 私もかつて科学技術担当の大臣もやらせていただいたことがあったんですけれども、復興庁という組織がこういう研究施設のいわゆる先頭に立つというのは初めてだと思うんですよね。だから、なかなか大変だと思います。恐らく職員は、各省庁から来ていると思いますけれども、みんなでお見合いしていると思います。どういうふうにしていいか分からない。

 だから、誰かが腹を据えて、こうだ、放射線医学なら放射線医学をやるんだ、がん研究の世界のメッカにするんだとどこかで決めて、もちろん相当周到な準備をした上でですけれどもね。誰に分野長を頼むんだ、だから世界一のこういう加速器が必要なんだとかですね。そういうふうに決めていかないと、多分うまくいかなくなるので。

 大臣、是非、今日はどこまで答えられるかというのはあるかもしれないんですけれども、今私が言ったことは是非頭に入れていただいて、よく省内で検討してください。

渡辺国務大臣 当初、私が前回の復興大臣のときに、福島国際研究教育機構の設立が必要だという発案をさせていただいたのであります。

 それはなぜかと申しますと、当然のことながら福島は世界では有名。有名であっても、これはマイナスイメージであります。このマイナスをプラスにいかに転換していくかということが大変重要だということで、ポジティブなものは一体何だろうかと。ここには、多くの海外からの優秀な人材に福島に来てもらおう、日本からも来てもらおう、それは研究だけでなく、産業に転換していく、社会に実装していく、そういった仕組みが必要だろうということで、当初、私が発案をさせていただき、それぞれの有識者の皆さん方に検討していただいたところであります。

 こういった状況の中で、私は、玄葉委員と全く同じで、せっかく立ち上げたものは、途中で潰れていってしまうのは絶対許されないというふうに思っておりますので、その中で、大事な、現在の段階で、まず五つの基本的な目標設定をさせていただきました。この五つの目標設定の中では、それで十分ではないじゃないかという意見もありますが、まずはここの中で優秀な世界の学者の皆さん方又はアドバイザーの皆さん方に来ていただいて方向性を決めていただこう、そのように思っているところであります。

 したがいまして、委員御指摘の中で、がんのお話も今ありました、加速器の問題もありますけれども、当然のことながら加速器というのは時代によってまた変わってまいりますので、最先端のいいものを是非ともそういったところでは設置して、世界の優秀な学者の皆さん方に来ていただける、こういった環境ができればいいなと。これは、ちょっと個人的な見解も含めてでありますけれども。こういったものを含めて、これからのF―REIは絶対失敗してはいけない、そんな思いで今後も進めてまいりたい、そのように思っております。

玄葉委員 山崎新学長ともいろいろとお話をしたんですけれども、山崎さんに任せ切りでは駄目だと思います。山崎さんは山崎さんで、全体のマネジメントとか、ほかにいろいろなことをやらなきゃいけないので。

 目玉決めを、本当に腹を据えて復興大臣の下でやらざるを得ません。首相と相談してもらって、首相もある意味引き込んで。首相が本部長ですから。首相を引き込んで、いわば分野長のような、その目玉となる分野長を国家を挙げて決める、その姿勢だと思うんですよね。それはすごく大事なので。復興大臣、もう一言だけ、そういう腹積もりでやるということだけは言ってください。

渡辺国務大臣 私にとって、福島を復興再生することが最大の目的であります。したがって、F―REIについては、まずは、福島の方で既に福島イノベーション・コースト構想という構想がございます、これだけでは不十分だ、これと連携しながら牽引する役割がまさにF―REIだというふうに思っておりますので、この牽引役が頓挫したら困ってしまいますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

玄葉委員 いや、是非もう一回。首相を巻き込んで、この目玉とすべきテーマについては首相を巻き込んで分野長も含めてしっかり決めていくということを言ってくださいということを申し上げています。

渡辺国務大臣 政府全体として、これは総理も含めて政府全体として取り組んでまいります。

玄葉委員 是非、本当に私は不安なので。これまで、この問題にイノベーション・コーストから始まって努力された方々はたくさんいらっしゃると思います。その方々の思いも込めて、とにかくよいものに最後は仕上げて、まだ最後じゃないけれども、スタートなんですけれども、やはり結構遅れていますので、しっかりと仕上げていくということをしていきましょうということなんです。

 質問通告を、朝、急に申し訳なかったんですが、追加したんですが、ちょっとできないですね、時間がなくて。

 もう一つだけ申し上げますと、今度、特定帰還居住区域という言葉を使いますね。いわゆる復興拠点と違う、復興拠点外、帰還困難区域の話ですけれども、テーマが変わりました。復興拠点以外の問題で、今度は、その中のいわゆる帰りたいという人たちのための区域設定をするわけです。

 問題は、いつも申し上げてきたんですけれども、帰還しない人の土地とか家屋とか、そういうものも含めた全体像がやはり最後は問題になるんですね。今回の帰還居住区域というのは一歩前進だという評価もあります。私もそういう面はあると思うんですけれども、他方で、逆に複雑になったという方々もいらっしゃるんですね。やはり問題は、帰還しない人たちも含めた全体像をどうしていくかということの提示がないと、なかなかこの問題は前へ進まない面もあるというふうに思いますので、この点についての基本的な考え方を今日は聞いておきたいと思います。

渡辺国務大臣 今回、法案の中で、特措法の一部を改正する法律案を提出させていただきました。その中に特定帰還居住区域という新たな概念を設けさせていただいたわけでありますが、ふるさとに帰りたくても帰れない人たちが三万人近くいらっしゃる、こういう人たちが帰れる環境をつくるためには、その居住区に対する除染とか、生活環境を整備する、こういったことが必要になってまいります。

 まずは、帰りたいという人たちに、まず第一歩、帰っていただいて、その中で今後の課題について市町村との連携をしながら対応してまいりたいというふうに思っております。(玄葉委員「帰還しない人たちの全体像」と呼ぶ)全体像については、まず第一歩、一つ、帰還したい人たちのために環境整備をしていく、そういうふうにしていきたいというふうに思っております。

玄葉委員 今日は終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 私は、岩手出身ということもありまして、委員外ではありますけれども、今日は質問の機会をいただきました。誠にありがとうございます。

 先ほど、鎌田議員とのやり取りを伺っていて、私がちょっと疑問に思ったのは、名刺が何十枚か問題の人に渡っていたというところは、きちんと説明していただく必要があるのではないか。その原因などがどうなっているのかといったことは大臣も委員会で説明するということでしたから、是非そこはお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 まず、何十枚も持っているというそのお話が、どこから聞いたか、私は存じ上げておりません。

 したがって、この問題については、どこにどういうふうに行ったかということは、はっきり言って申し上げられないというふうに思います。

階委員 それでは、その点についてはまた、事実関係については、我が方でもしっかり調査した上で、また大臣と議論をさせていただければと思います。

 ところで、三・一一の日、大臣には岩手の釜石に来ていただきました。ありがとうございました。

 私は、その日、久慈市の追悼式典に行ってまいりました。久慈市といえば、三陸鉄道の「あまちゃん」で有名な場所です。今日は、地方の鉄道のことについて最初にお尋ねしたいんですけれども。

 昨年七月になりますが、JR東日本が二〇一九年度に平均通過人員が二千人未満だった路線や区間を公表しています。私は、この二千人未満という数字がどういう意味を持つのかというのがよく分かりませんでした。

 国交省の方、来ていただいていると思うんですが、この二千人未満というのはどういう意味なのかというのを教えていただけますか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からお尋ねのございました、輸送密度とも言っていますけれども、輸送密度二千人ということですけれども、これはJR東日本などが利用者の少ない線区の経営情報の開示において使用している基準でございます。これは、かつての国鉄再建特別措置法に基づきまして、鉄道に代えてバスによる輸送が適当とされた特定地方交通線、このうち、その中でも他の路線に先立ってまず選定すべきとされた路線の基準と同一でございますので、これをJRは用いている、このように考えてございます。

階委員 時代が変わりまして、確かに人口減少が進んできている、鉄道の利用者が少なくなっているというのは事実だと思うんです。ただ、この輸送密度という考え方、これが果たして正しい唯一の指標なのかということは、私、疑問を持っています。

 輸送密度というのはどういうふうに計算するかということなんですが、一日当たりの旅客輸送量といいますか、要は客数に移動距離を掛け合わせたもの、これを足し合わせたものを営業キロ数で割って導くわけですよね。つまりは、最後は営業キロ数で割るので、長い距離を走る路線であればあるほど、この輸送密度というのは必然的に低くなるわけですよ。

 ただ、一方で、利用者のニーズに立てば、輸送密度よりも輸送量に着目すべきではないかと思っています。例えば、私の地元盛岡と沿岸部の宮古市、これを結ぶ山田線という路線は百キロあるわけですよ。コロナ前は二百人という輸送密度だったわけですけれども、仮に輸送密度ではなくて輸送量という指標で表すとすれば、二百人じゃなくて二万人になるわけですね。こういう考え方、この方が地元のニーズに立っていると思うんですけれども、輸送密度ということはなぜ大事なんでしょうか、教えてください。

石原政府参考人 輸送密度と申しますのは、これはあくまでも指標の一つでございまして、輸送密度の方を特に国が重視して考えている、こういうことはございません。

階委員 それは、いい答えだと思います。

 私は、輸送量に着目することによって、客数だけではなくて、移動距離を伸ばそうというインセンティブが働いてくると思うんですね。つまりは、交流人口、観光人口、こういうことを増やせば輸送量には効果が高い。

 それをやることによって、今まではともすれば人数に着目するので、地元の、買物とか病院に行くとか、あるいは通学とか、そういう短距離の人数を増やそうということで、狭い範囲で考えているような気がするんです。これを、沿線の自治体が協力して観光客をどんどん引っ張ってくる、こういうふうに発想が変わってくるきっかけになるような気がするんです、輸送量に着目することによって。この点、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 前回、私、復興大臣のときに三陸鉄道の開通式にお邪魔をさせていただきました。全線開通、本当にうれしかったです。こういった鉄道の役割というものは、単に輸送をするのみならず、交流人口又は関係人口を増やしていく上で大変重要なものだというふうに感じているところであります。

 被災地における鉄道を始めとする交通インフラというものは、特に沿岸部と内陸部を結ぶ交通ネットワークは復興に必要な重要なインフラであると感じております。これは、鉄道のみならず、復興支援道路、復興道路というものができたことによって、観光のルートもまたいろいろと設定することができるわけであります。

 今般提出されております地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正案の中にローカル鉄道の再構築に関する仕組みの創設、拡充が含まれており、国土交通省において、今お話がありましたけれども、取組が検討されていると承知しております。復興庁といたしましては、こうした取組を通じて被災地にとって最適な交通ネットワークを確保することが重要であると考えておりますので、これをしっかりと進めていきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、地域公共交通の確保は、地域の人々の生活交通の確保のみならず、先生も御指摘がありましたとおり、交流人口の拡大や町づくりと連動した地域経済の活性化などにとって大変重要なものと認識をしており、私自身、復興庁として、関係省庁と連携しながら、引き続き被災地の復興に全力で取り組んでまいる所存であります。

階委員 重要性の認識、ありがとうございました。

 それで、岩手県では、ちなみに、二千人未満という路線が、先ほど言った盛岡と宮古間だけではなくて、花巻と釜石間、そして一ノ関と気仙沼間、三つあるわけですね。これらが全て対象になって、もし廃止されたということになると大変なことになります。是非ここはしっかりと復興庁として、被災地の活性化のためにしかるべく対応をしていただきたいと思っています。

 指摘だけにとどめますけれども、BRTというのがこの資料の一ページ目の一番右下にありますけれども、被災直後、被害が甚大な地域において鉄道復旧には時間とコストがかかるということでBRTが導入されたわけですね。先日、ある会合でJRの方から説明を受けたのは、かえってBRTの方が営業費用がかかるんだみたいな話も出ておりましてですね。なおかつ、さっき言ったような広域を結ぶネットワーク効果もBRTはないわけでして、私は、やはり、このBRTに安易に切り替えるのは少し慎重に進めた方がいいんじゃないか、むしろ鉄道を残した方がいいんじゃないかということを申し添えたいと思います。

 さて、話題を移しますけれども、被災地の企業立地や商業施設の整備について、これは復興大臣も所信の中で述べられていました。これは非常に大事です。

 ところで、復興の事業の中でやられたことの中に立地補助金というのがありますね。二ページ目にその数字がいろいろと出ています。気になる数字が、この表、細かくて恐縮なんですが、真ん中あたりに辞退率と。採択を受けてお金が出てくることになったんだけれども結局辞退しているということで、この辞退の理由について会計検査院が今年二月の報告書で三つほど述べています。資材価格の高騰等により事業計画を見直す必要が出たこと、用地交渉が不調に終わったこと、あるいは新規地元雇用者確保が難航したこと、こういったことが理由で辞退率が増えてしまったということだそうであります。

 大臣に伺いたいんですが、一点目のいわゆる物価の値上がりについては全体で対応すべきことだと思います。これは政府全体で取り組んでいただきたい。二点目、三点目が問題です。

 二点目の、用地交渉の不調ということですね。

 土地バンクというものを復興庁でもやられて、被災された地域において、土地区画整理でかさ上げされた土地、あるいは防集で移転された後の元地、こうしたところに空き地がたくさんあるところをマッチングして有効活用しようということをやってきたと思います。

 先日、土地バンクの実績についても伺ったところ、登録したものに対して実際に成約したのが二三%ぐらいにしか至っていなかった。他方で、さっきのような、立地の補助金の辞退率の大きな原因が用地交渉の不調というところがあるわけですね。ここをしっかりやることによって、一石二鳥ですよ、土地の活用は進む、そして立地が進んで雇用が増える。これは是非力を入れていただきたいのが一点。

 もう一つ、会計検査院が挙げていた理由として、地元雇用者の確保が困難だということを挙げていますね。

 私、この場で以前申し上げたことがあるんですけれども、雇用者を増やすのになぜ地元にこだわるんですか、ほかの地域から引っ張ってきてもいいんじゃないですかと。そうすれば人は集まるわけですよね、条件にもよるけれども。補助金の要件、地元雇用にこだわっているところが私は問題だったのではないかと思っております。

 私は、補助金については是非活用していただいて、地元の被災地の雇用をどんどん増やしてほしいと思っていますので、今言った二点目と三点目に対するこれまでの経過を踏まえた新たな対策、私の提案についてどうお考えになるか、お答えいただいてもいいでしょうか。

渡辺国務大臣 私も、現地に度々お邪魔をして、例えば高台移転した後の元地がなかなか埋まっていない、こういった現実も見てまいりました。実際のデータとしては、先ほど先生がお示しのとおり、結局、辞退率そのものが岩手県で四七%ですね、こういった辞退率の要因として、交渉ができなかったという点もありますよね。こういったところをやはりしっかりとバックアップしていかなければいけないというふうに思っております。

 この辞退率の高さについては、まず被災地の人口減少、さらには公共工事の遅れなどによって申請時に予定していた事業の要件である雇用の確保が困難だったという一つの理由があります。土地の取得が円滑に行われなかったということもまた一つありますね。採択後の状況の変化に伴って事業計画を変更せざるを得なかったこと、こういった要因があります。この要因で辞退する事業者が多かったというふうに認識をしているところであります。

 一方で、採択事業者の辞退により生じた金額分を含めて事業者を公募することにより新たな事業者を採択しており、新規雇用者数については当初予定の六千人程度の水準を達成できる見込みであります。

 いずれにしましても、今後、関係省庁と連携しまして、地震、津波被災地域において、被災地の復興に全力を挙げてまいります。

 ただ、こういった問題は、やはり、今御議論させていただいておりますけれども、現場の状況をしっかり見ていったときに、このままでは絶対いけないというふうに私自身も思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

階委員 確かに、辞退はしたけれども、そこを埋めるために新たに公募して、埋めようとはしています。ただ、また公募して集まったとしても、その方たちが辞退する可能性もあるわけですね。あと、そもそも、辞退しているということは当初予定の時期よりも遅れちゃうじゃないですか、雇用の発生時期が。それが被災地の復興の足かせとなっている。だから、急いでこれはやらなくちゃいけない。

 さっき言ったように、地域外から人を呼び込むために、災害公営住宅は空き部屋が多くなっています、また、孤独、孤立に苦しんでいる方が御高齢の方を中心に多くなっています、そこで、災害公営住宅に、ほかの地域から、若い、学生でもいいです、あるいはお子さんをお持ちの世帯でもいいです、そういう方々たちをどんどん招き入れて、雇用も増やすことに貢献させ、災害公営住宅の空き部屋解消、孤独、孤立解消にもつなげていく。これも以前提案したことではあるんですけれども、大臣にもお伝えして、最後、一言だけ、この点について是非、やるという前向きなことを言っていただきたいんですが。

渡辺国務大臣 被災地で一番今困っているのは人口減少等。要するに、どうやって受け入れていくかといったときに、移住者をどのように導入していくかということになりますと、当然、家がなければなりません。こういったことを踏まえて、しっかりと検討してまいりたいと思います。

階委員 どうもありがとうございました。

長島委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 まず冒頭、水産加工品について伺いたいと思いますが、このところ、ちょくちょく現地の方に赴きまして現地のものをいただいてまいるんですけれども、カレイとかヒラメとか、大変においしいもので、あれほどのものを、関東近辺は市場はたくさんあるとはいえ、なかなか得難いものだろうと私は思いました。

 所信の中でも、水産加工品の販路拡大ということを大臣もおっしゃっていらっしゃいました。拡大というよりは、私は、むしろこれは販路の復興なんだろうというふうにも考えております。

 先ほどまでの議論の中でも、経産省の事業としてのプロジェクトもあるんですけれども、魅力発見、三陸、常磐物の発見、キャンペーンはあるんですけれども、あれは企業とかあるいはキッチンカーとのマッチングが主な主体になっておりまして、大手の企業の社食とか、大臣が経団連にお願いしていただいたのと同様のものになるかと思うんですが、やはり首都圏に住んでいる方ですとか、それよりも西に住んでいる方々に直接口に入るということ、これが何より風評の解決に結びつくのではないかと私自身は思いました。

 なので、直接、産直品をこっちの方に持ってくる必要があるわけですが、なかなか大量のものを持ってくる手段というものが限られております。

 令和三年の四月ですが、JR東日本が特急を使って、貨客混載でいわき市から品川に運んできたという事例があります。その日のお昼に、その日に捕れたものを品川駅の中で提供した。これは非常にいい取組だと思うんですが、品川駅に行かないと食べられないんですね。私のように品川より先に住んでいる人間だとか、品川の先の新橋で降りちゃうような人間は、なかなかそれを口にする機会がないわけでございます。

 是非、鉄道を利用して産直品をこちらの方に持ってきて、一般消費者に向けて提供するような体制というのも一案としてあると思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほど委員から、大変いい例として、貨客混載という形で品川に持ってきたという魚、おいしい魚があるということで、こういったことを進めていくことは大変重要だというふうに思っております。特に、三陸物、常磐物というものをしっかりとブランド化をし、そのブランド化したものを多くの消費者に召し上がっていただく、こういったことが本当に重要な取組だというふうに思っております。

 その中で、販路拡大というよりも、まず販路を維持する、そして販路を拡大するためには、輸送に当たっての、公共交通機関としての鉄道等の広域ネットワーク、これは本当に必要だ、これを効果的に活用することが本当に重要だと思います。

 先ほどのお話のとおり、都市部に向けてしっかりとおいしい水産物を、水産品を新鮮なまま届けて、そして多くの消費者に召し上がってもらう、こういった仕組みを今後しっかりと取り組んでいかなければなりません。

 復興庁といたしましても、この点をしっかり念頭に置きながら対応してまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 私は鉄道が好きなものですから、鉄道の成り立ちを結構調べていたんですが、日本の鉄道というのは、元々海運業が主だった日本において、内陸に向けて造られております。なので、余り目にする機会はないと思いますが、JR貨物だとか、東日本もそうですが、内陸部に向けて、あるいは日本海側から太平洋側とか、こういった部分を結ぶ路線が非常に多くなっております。

 今回この内容を申し上げたのは、東日本大震災からの復興の中で、これをノウハウとして蓄積することで、今後起こる震災においても、産直品だとかあるいは物品を輸送するという、その教訓になるわけですね。例えば、次に首都圏で直下地震が起こる可能性が非常に高いと言われていますが、このときに海運と道路だけで、あるいは空路だけで物資を輸送しようと思ったら、これは困難だと言わざるを得ないと思います。その際にも鉄道は大いに利用できると思いますので、東日本大震災復興の観点から一つ教訓をつくっていただいて、ノウハウとして、そのときにも使えるように是非整備をしていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 また、続いて、風評についてですけれども、これも、済みません、恐縮ですが、前大臣にもお願いをいたしました。風評について主に懸念を抱いている国というのは特定の国でございます。この国々に対して我々も主張をしておりますし、インターネット等を通じて、それぞれの国に対しての言語で放送をやっていたりいたしますが、彼らに対して幾ら何度も何度も言い続けても、なかなか困難なんです。ですから、それ以外の国際社会にもしっかり理解していただくということが非常に重要だと思います。

 今、コロナから復興、諸外国はもうマスクを我々よりも早く外しておりますので、今、議員外交が復活をし始めました。今年に入ってから、私も、数か国の議員団とあるいは大使と、外務委員なものですから、よくお会いをして意見交換をさせていただく中で、そこまで表面化しているわけではありませんが、少なからず懸念があるということは言われております。

 なので、G7を始めとして、G20も含めてですが、特定の国々だけではなく広い国々に対してやはりPRしていかなくちゃならぬのですが、外務大臣だけにお願いするのはなかなか大変なんです。

 一方で、東南アジアを含めて、復興庁ではないですが、気象に関して、あるいは天変地異に対して、自然災害に対応する官庁がある国も多くございますから、復興大臣として直接お話をされて、この内容について御理解をいただくということも一案かと思いますけれども、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 一番頭に描いている国が二か国ほど近くにあります。ここの皆さん方にまず理解してもらおうということを今までやってきているけれども、なかなか対応できません。

 でも、その分、ほかの国について私自身が今までやってきたことをちょっと申し上げますと、在京の大使館を福島にお呼びして、そして被災地の現状を見ていただきました。そのような形で、被災地の状況を在京の大使に見てもらう、これはまずやってきた状況でありますけれども、これも引き続き対応していく必要があるなというふうに思っております。

 さらには、各役所の関係においても、常にPRをしていただかなければならないというふうに思っております。日本のALPS処理水、こういったものがこれから海洋放出するのであれば、事前に、これは安全でありますということは、最低限、まず安全であるということを示していくことが必要だというふうに思っておりますので、外務大臣も当然のことながら、ほかの各役所についても、大臣についてもお話をさせていただいております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 ちょっと諸外国との関係というものも見据えながらということでお願いをしたいというお願いでございますので、大臣とお考えは共有していただいているというふうに考えております。

 ちょっと議題が変わりますが、昨年も同じ御答弁というか所信があったので更にお伺いするんですけれども、復興の手法、取組あるいは民間のノウハウなどを取りまとめて関係機関と共有するということがありました。早期にやりたいということでずっと御報告をいただいていたんですが、改めてこの進捗を伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 教訓・ノウハウ集というものは、東日本大震災における現場の事例を基にしまして、復興の手法や取組、民間のノウハウについて主に自治体職員用に参考となるよう、令和三年三月に取りまとめております。

 こうした復興に係る知見については、委員御指摘のとおり、諸外国における復興においても十分役に立つものだというふうに思います。現在、英訳を含めて進めているところでありますが、来年度、関係省庁を始めとする関係機関の確認を経た上で、できる限り早期に公表したいと考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 これを急いでいただきたかったのは、次の質問をさせていただきたいからであります。

 今、トルコとシリアで、二月の八日に地震がありました。大変大きな被害が出ております。建物の倒壊だけで十五万棟ということですから、我が国では比べ物にならない揺れになっております。死者の数も五万人以上になっておりますので、かなり大きな地震が世界では起こっているわけですね。

 じゃ、日本に目を向けてみるとどうかというと、阪神の地震があって、そのときに建築基準法を見直されて、それからも複数の地震を経験して、東日本大震災も経験をしてきた、これまでの間、あらゆる面で我々はブラッシュアップしてきたはずです。避難所の開設も、あるいは段ボールベッド、避難所でどうやって間仕切りを作るかとか、いろいろなことを考えて、コストや自治体の負担も考えながら最適な基準を見出してきたわけですね。

 今までやってきたことを積み重ねて教訓とノウハウ集を作る。令和三年度に、委託事業で復興庁さんがお作りになった教訓とノウハウ集は非常にいいものだと思います。なぜかというと、政府がこれをやりました、自治体がこれをやりましたと功をひけらかすのではなくて、これではうまくいきませんでしたということがまず前提に書いてあって、それに対してどういうふうに民間がやったとか自治体がやったといって、最終的に教訓はこうでした、こうまとめてあるんですよ。それが各項目ごとにあるんですね。これは非常にいいまとめ方だと思います。

 政府が作ると、とかく、政府がこれをやりましたというので終わってしまうんですよ。これについては、原発の事故調もそうでしたけれども、政府の検証委員会がやるとそうなるんですけれども、事故調がやるとやはりそういうふうにまとまっていくという意味で、この作られたノウハウ集、私の席にありますけれども、すごく量は多いですけれども、非常によくできている、参考になる文書でした。

 この中で、例えば、学校の復旧だとかあるいは商店街の復活だとかという部分は、確かに日本にローカライズした部分なので、国内でしか共有できないと思います。ただ、瓦れきあるいは廃棄物の撤去だとか、あるいは応急復旧住宅をどう用地確保をした、この点は諸外国でも絶対困るんですよ。あれだけ国土の中で十五万棟の建物が倒壊したような国に関しては。どこに開設するか、瓦れきをどう撤去するか、水をどう通すか、道路とか電気をどうするか、これは日本が今まで得てきた知識の中で非常に有益なんですよ。

 だからこそ、英訳版を含めてと大臣は今おっしゃっていただきました。復興庁さんともお話をしましたけれども、とにかく英訳版を作るんだということでした。ただ、これは、英語圏であればいいんですけれども、今回のように、トルコやシリアといった国で大地震が起こったときには、現地語で届けたりとかすることも非常に重要なんです。

 あの復興ノウハウ集を丸ごと全部外国語にする必要は全くなくて、私が見た中で、あの中でも二、三十ページ分ぐらい外国語になっていれば、恐らく向こうで使える内容になっていると思います。本当にいい資料なんですよ。

 だから、先日、外務委員会で、外務大臣にお願いしておきました。この復興のノウハウ集を外国語にして、トルコに持っていく。あるいは、この周辺だとインドネシアですかね、津波が多いので。ああいう国々に、このノウハウ集をそれぞれの現地語にして、これは外交ツールにもなるので、是非、復興庁さんだけでこれをやって、いろいろな外国語、あるいは戦略的な言語は何にするか決められないので、外務省としても協力してほしいと大臣に言ったら、もちろんやると言っていましたよ。前向きにやると言っていました。なので、所管が違いますのでという前置きをした上で大臣にお願いをして、そうしたら、大臣からも、一義的には復興庁にお願いしてほしいということでした。

 是非いろいろな言語に翻訳を続けていただいて、世界各国、地震はどこでも起きますし、特に、紛争地域でも使える、ウクライナにこれをどうやって使うかとか。復興支援という意味では、これは最高の復興支援ですよ。日本にしかできないです。是非外務省と協力してやっていただきたいと思います。お願いします。

渡辺国務大臣 ただいま委員の御指摘、本当にありがとうございます。

 復興庁として、まずは教訓・ノウハウ集が高い評価をいただいたことに心から感謝を申し上げます。

 そして、今お話がありましたとおり、トルコ、シリアの地震、こういった状況の中で、これから復興を成し遂げていかなければなりません。そういったときに少しでも日本のノウハウ集が生かされていけば、これは本当にすばらしいことだというふうに思いますし、それから、インドネシアの津波についても同じであります。

 そういった意味では、災害が起きているところ又は被災されている地域を中心にして、まず、その国の言語に変換していくことは大変重要だというふうに思いますし、日本が東日本大震災でお世話になったことのまさにお返しだ、私はそのように思っておりますので、これはしっかりと今後取り組んでまいりたいというふうに思います。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 これは日本の外交にとっても非常に重要なところでもあると思いますので、引き続き御検討いただきたいと思います。

 最後になりますけれども、今この御指摘をさせていただいた中で、これは具体的には国を挙げさせていただきますが、今現状、ウクライナが紛争中でございます。まだ継続中なので、復興という段階までは至っておりません。ただ、日本からもかなりの知識が恐らく行っているんだろうと思います、瓦れきの撤去だとか、あるいは水、暖房といったものが。ただ、これだけでは恐らく復興には至らないと思います。

 ウクライナの場合には、水産業というよりは農業なんだろうと思いますし、周辺地域では原発への砲撃があったりですとか、あるいは多数の爆薬を使っておりますので、土壌汚染が広がったりとか恐らくするんだろうと思いますので、我が国の除染の経験ですとか教訓ですとか、これは生きてくると思うんですね。我が国ですら除染土をどうするかということが非常に議論になっている中で、あれだけ国土にジェット燃料がまかれているわけですから、それは、土壌にとっては、そして口に入れるものにとっては非常に大きな影響が出てまいります。

 これは提案ですけれども、まず、ウクライナ語から始めていただいた方がいいかと思います。彼らに対して、紛争が終わる前に今から着手をして、紛争が終わってからやるべきなんだろうと思うんですね。

 以前ですけれども、去年、ゼレンスキー大統領が、国会の講堂で我々に対して演説をしていただきました。そのときにも、我々に対する取組に非常に感謝するという中で、復興への支援をお願いしたいと言っていただいたのが非常に印象的だったんです。

 その後で、ウクライナ大使館に伺って大使ともお話をしたんですが、そのときも、私の名刺に復興と書いてあったら、東日本の復興の話ですか、是非聞きたい話があるんだといって、瓦れきの話になったんですよ。これは去年のことでございました。つまり、彼らはもう既に復興を見据えているわけなんですね。

 世界で最も復興した国はどこか。そのときに大使とちょっとお話をしたのは、あれだけアメリカに燃やされて焼け野原になった東京に新幹線を十五年で通した国だとすごい評価をいただきました。この十二年間の東日本からの復興も、同時に、彼らからは喉から手が出るほど欲しい情報だということでした。

 是非、これは提案です、ウクライナ語を御検討いただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 私は大変すばらしい御提言だというふうに思っております。

 日本の復興というものが世界のありとあらゆる事象においても役に立つということを是非とも示していきたいというふうに思っておりますので、言語の翻訳化についてまた検討させていただきたいというふうに思います。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 引き続き、委員会が開かれるときにはいろいろな提言もさせていただきたいと思いますし、大臣、すごく誠実にお答えをいただいて、本当にありがとうございます。

 私は東北の出身じゃありませんが、おやじが秋田で、おふくろは会津でございます。血は北の人間でございますので、これからも引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。

長島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 この委員会で茨城県選出の議員は与野党で私だけですので、その茨城の思いを込めて質問させていただきたいと思います。

 まず一点目は、処理水の排水に伴う風評被害対策なんですけれども、秋葉大臣にも申し上げましたが、よく常磐物というのは、大臣も常磐線沿線なのでお分かりだと思いますけれども、常陸と磐城ですから、茨城県と福島県は一体です。あとは、普通は常磐・鹿島灘と海域的には言われていまして、あそこら辺の漁船はみんな茨城と福島を、お互い、海域を群れに応じて行ったり来たりしているんですね。

 今日は、茨城新聞、地元の新聞の三月十日の一面の記事を、漁業復興なお遠くと書いていて、一番上の段の最後のパラグラフに、最大の懸案は震災まで行っていた福島沖の操業の自粛ということで、今非常に、魚価自体はかなり回復はしているらしいですけれども、非常にまだ震災の影響を受けているということが書かれております。

 裏の方にも、次は十四日の茨城新聞ですけれども、処理水、根強い懸念ということで、風評被害、苦い記憶。我々は、一九九九年にジェー・シー・オーの事故があって、それで風評被害があって、また次に東日本大震災で風評被害があって、今度は三番目ということで、この風評被害、苦い記憶ということで、漁業だけじゃなく、ここの一番下の段落では、干し芋、茨城県の名産の。ここに出ている社長さんは私の高校の先輩なんですけれども、散々な思いをした、今も忘れられないということで、こうした非常に風評被害を懸念する思いがあるということを、昨年も十一月十五日の委員会で述べさせていただきました。

 担当の太田房江副大臣、今日は何か福島に御出張ということで、現地に行かれるのは私はすばらしいことだと思うので、どんどん現地に行っていただきたいんですけれども。そこで、太田副大臣に、政治家が自分で行って見てくれということを申し上げたところ、早速茨城県に来ていただきました。漁業関係者の方は本当に喜んでくれて、やはり役人に対して話をするのと政治家に対して話をするのでは全然違うんですね。

 非常に喜んでいたんですが、そこからが問題で、この後、様々な業界とも意見交換をしてきたんですけれども、二月二十七日に経産省と水産庁がやってきて、漁協との間で協議をしたんですけれども、予算の対応が非常に冷たい。

 例えば、漁船のリースの補助というのがあって、新規参入に四分の三補助なんですけれども、自分の子供が後を継ぐ場合には出ないんですね。昨日、何で出ないんだと言ったら、その人が新しく独立したら出しますよと。独立したら、後継ぎにならないんですよ。何でそんな差があるのか。

 あとは、栽培漁業の補助金。アワビとかヒラメが盛んなんですけれども、これも何か査定されて、財務省が駄目だといって要求額が通らなかった。数百万の世界ですよ。

 あるいは、遊漁船に対する補助。遊漁船も、遊漁も盛んで、風評被害が一番大きい部分なんですけれども、エンジンには二分の一補助するけれども、船体には補助できませんと。何でなのと言ったら、これは経産省の、中小企業庁の補助金だからと。共同利用施設の補助を受けてほしいと言ったら、既存の補助制度があるからそこに出してくれというんだけれども。

 こんなことをやっていたら、本当にみんな怒りますよ。だって、風評被害は、漁業者には何の非もないんですよ。それに対していろいろな支援制度があるにもかかわらず、いざ予算を出してみたら、細々と小役人的なことばかりを言われてしまう。せっかく関係改善の糸口が見えたのに、それが台なしになっちゃうんですよ。やはり政治の出番です。

 今日は政務官にいらしていただいておりますけれども、役人って、私も役人をやっていて、選挙に出ると、おまえは頭が高いとか官僚的だとさんざん今でも言われているんですけれども、やはり心をつかむのは政治家なんですよ。政治家がその場で、法律じゃないんだから、運用でできるんだから、よし、俺に任せろと言えば済む話なんですけれども、きちんとそこのところを監督しないと、せっかくの副大臣の努力が無に帰してしまうんですけれども、きちんと指導いただけないでしょうか。

里見大臣政務官 福島委員に御答弁申し上げます。

 ALPS処理水の処分に関しまして、福島県のみならず、漁業者を始め近隣県の皆様にも丁寧に御説明していく必要があるものと考えております。

 委員から御指摘も受けまして、昨年十二月、経済産業省太田副大臣が、茨城県の漁連を訪問させていただきまして、ALPS処理水の処分の必要性や、魅力発見、三陸、常磐ネットワークによる消費拡大などの支援について御説明申し上げるとともに、意見交換を行ってまいりました。

 このほかにも、茨城県の漁業者に対して事務方より、説明会を開催しておりまして、ALPS処理水の処分の安全性や風評対策についても御説明をし、その中で御意見や御要望もいただいております。

 いただいた御意見、御要望を踏まえつつ、これまでも、福島県の漁業者を対象とする生産性向上支援や担い手確保のための支援、これについては、新たに茨城県を始め近隣県も対象として拡充をし、令和五年度政府予算案において措置するなど、対応してきたところでございます。

 また、これ以外の要望については、どのようにお応えできるかを含め、関係省庁で検討するとともに、丁寧な説明と意見交換を重ねてまいりたいと考えております。

福島委員 だから、そういう役人答弁が駄目だと言っているんです、私は。何で読むんですか、役所の答弁を長々と。もう心が冷めちゃったの、太田大臣の何とかと言っているけれども。それは、役所の対応が全ての心を、相手は人間なんだから、そういう答弁をしちゃいけないんですよ。よし、俺に任せろ、役所に俺が言うと一言言えばいいのに、何でそれが言えないんですか。もう一回答弁をお願いします。

里見大臣政務官 今ほど御答弁を申し上げましたけれども、既に令和五年度予算案で措置しているものもございますし、それ以外についても関係省庁でしっかりと検討して、そして、しっかりと地元とも丁寧なコミュニケーションを重ねてまいりたいと思っております。

福島委員 措置していても、いろいろな予算上の制約があってできないのがあるから、それを突破するのが政治の役割なんですよ。ちゃんと現場を見てください、担当の政務官なんだから。お願いしますよ。

 もう一点、腹が立つというか、それは、福島第一原発の処理水の放出を今年の春から夏というふうに一月に発表しました。その途端に何が起きたか。私の知り合いの旅館は、夏の子供たちの合宿、毎年来ていたのがキャンセルになりました。もう風評被害は始まっているんですよ。

 春とか夏というのは、うちの地元だと、春は、ネモフィラが咲くひたち海浜公園というのがあって、そこに大勢来て、那珂湊の魚市場でお魚を食べて帰るという旅行があるし、夏は、大洗や河原子といった海での海水浴が来て、子供たちが、栃木とか群馬の人たちが、海のない県から合宿に来るんですね。そういうのがなくなったり、団体旅行がなぜか、全然予約がホテルに入らないということを言って、風評被害はもう始まっております。

 何で一月にわざわざ春から夏に放出すると言うかというのも、これは非常に気持ちをつかまない無神経な話だと思うんです、いかにも官僚の知恵、法律上の規制当局の許可が下りるのはいつだからとか、工事が終わるのはどこだからと考えているだけなんですよ。放出される側のことを考えていないんですよ、さっきの政務官の答弁も含めて。

 それで見たときに、観光に対する予算もないんです。漁業関係は手厚いんですけれども、観光庁の何とか補助、ブルーツーリズム支援事業があるというけれども、結局、主に恩恵を受けるのは自治体とかであって、個別の事業者はない。東電は、風評被害対策の補償の説明に来るらしいです。でも、まだ少なくとも茨城の観光関係には国は一度も何の説明にも来てくれておりません。

 風評被害といったって、コロナで落ち込んでいるから、ベースがどこになるか分からないんですよ。去年も、コロナで落ち込んでいるのに風評被害が出たり、あるいは、コロナが終わって、今いろいろな支援措置があるから逆に増えていたりするんです、でも、団体旅行は入らない。でも、これから海水浴は、茨城に今まで行っていた人が反対側の新潟に行っちゃうかもしれないんです。

 やはり風評被害対策は水産だけでなく観光もあるんです。福島県も同じだと思います。観光関係へのもっと使いやすい、水産並みの観光への風評被害対策を講じていただけませんかね。政治家としての答弁、是非お願いします。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 観光業界の皆様から風評を懸念する声があるということを認識しておりまして、風評を生じさせないように、安全性の確認、周知の徹底が重要だというふうに考えております。

 具体的には、ALPS処理水の海洋放出は、規制基準を満たして実施をされること、そして第三者機関も確認すること、放出前後で環境中のトリチウムの測定値に大きな変動が発生していないことなどを確認することを、繰り返し、そして様々な場において説明をするとともに、テレビCM、ウェブ広告、新聞広告での情報発信等の強化をしっかりと進めてまいります。

 さらに、観光業への支援として、海水浴場の受入れ環境整備、またコンテンツの開発支援など、海の魅力を高める先生御指摘のブルーツーリズム事業、また、特産品やサービスの開発支援等の中小企業施策による支援も実施をしております。

 それでもなお風評被害が発生した場合、東電が適切に賠償を行うこととなります。

 こうした施策について、関係省庁とも連携しつつ着実に実行するとともに、安全性の確実な確保、周知や支援策について、地元や全国の皆様に対して丁寧に説明、情報発信をしてまいります。

 以上でございます。

福島委員 行儀の悪い質問者で申し訳ないんですけれども、私も役人をやっていたので、そういう答弁を予想して、全部それを埋めたんですよ。風評被害はもう生じています。既存の中小企業対策では、さっきの漁船の例みたいに、足りない部分が多いから新しい制度を入れろと言っているんですよ。ブルーツーリズムは、自治体ばかりで観光業者に行かないから駄目だと言っているんですよ。そして、経産省は、東電任せにして、補償が出ると言っているけれども、実際、補償ではない、不安があるからと言っているのに、ちょっと自分の頭で考えられたらいかがですか、本当に。申し訳ないけれども。

 こっちはみんな生活が懸かっているんですよ。今の答弁は聞かせられないですよ。皆さんが放出しなくていいんだったら言ったらいいけれども、今の答弁で到底地元は納得できません。きちんと大臣と副大臣に伝えてください、今日の様子を。余りにも頼りにならない、申し訳ないけれども。官僚が行くのと一緒ですよ、それでは。済みません、悪口を言って。

 最後に、F―REIについてお聞きしたいと思います。

 資料がございますけれども、ホームページを見ると、この上の半分ですけれども、準備中となっていて、わくわく感がないんですね。資料の二枚目の上の部分です。下を見ると、お役所の資料が、クリックしたら飛ぶようになっていて、全くわくわく感がない。大臣が世界に冠たる創造的復興の中核拠点と言っているけれども、ホームページから何からが全く創造的じゃないんですね。

 もう既に研究予算は百二十六億円ついているんですよ。これもおかしいと思っていて、家を造るのに大事なのはやはり土台なんです。これまで私は、昨年の五月十日、法案審議のときにF―REIのことも当然三十分間議論いたしましたし、十一月十五日には、秋葉前大臣にも所信でしました。それは、OIST、沖縄との比較。西銘大臣の地元でしたから、西銘大臣からは力のこもった答弁をいただいたんですけれども、問題は運営体制なんですよ。

 この法案に基づくF―REIは、残念ながら、独立行政法人と同じたてつけになっています。独立行政法人は失敗の歴史なんですよ。だから、日本はこれだけ三十年間停滞しているんですよ。それに比べてOISTは、学長を高額で外国の方を入れたりとか、評議員に、ノーベル賞を取った人を何人も入れたりという、運営にまさに創造的なものを入れたんです。

 研究者、先ほどから世界から呼ぶと言っているけれども、何に来るかといったら、一つは設備もありますよ、もう一つはちゃんとした研究環境があるかなんですよ。

 次の資料の下を見ると、福島国際研究教育機構設立委員名簿を見ると、ずらっとこれもお役人が並んでいるんです。産総研の理事も、研究者と思ったら、片岡、もう一人の片岡さんですけれども、やはり経産省の私の先輩ですよ。

 お役所が研究所をつくってうまくいったためしは世界では一度もありません。やはりちゃんとしたアカデミズムの人間を入れてやらないとできないんですよ。その前に予算だけ取って委託研究だといって投げたら、これがもう一番の失敗の構造ですよ。委託研究の予算目当てに、大体、いい研究所の研究から外された二線級の人が、申し訳ないけれどもね、集まってくる結果になるんです。

 私は、ここは立ち止まる必要があると思うんです。まだ建物もできていない、重点的な研究分野も、先ほど玄葉先生がおっしゃったようにまだちゃんと決まっていないというときに、運営の仕方を考えなきゃ駄目ですよ。説明に来る役所の人、総務省の方とかだけれども、総務省の人は有能ではあるけれども、でも、教育とか研究分野は素人ですよ。博士号を持っていない人が口を出すことなんて、この分野はできないんですよ。東大法学部なんて、最低学歴なんですから。

 ですから、私は、大臣、もう一度、企画段階から練り直した方がいいと思います。最初の段階でつまずくと駄目なんですよ。木はちゃんと根っこを張らないと、葉も茂らないし、花も咲きません、実もなりません。今、根がない段階で木を生やしているんですよ。

 ですので、もう一度、立ち止まって、新しく四月一日に機構が発足した後に、誰が研究分野をつくるのか、どういう、その研究者に魅力的な環境を整えるかというのは、もう一度検討し直した方がいいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 F―REIにつきましては、何しろ成功させなくちゃいけない。これはもう、私のみならず、委員の皆さん方も同じような考え方だというふうに思います。

 様々な課題を今言われました。先ほどの一覧表で、運営の、行政の世界だけが入っている、これはうまくいかないんだ、こんなお話もありました。これを全てやはりいろいろな角度から、成功するためにはどうするかということをしっかりと今後検討してまいります。

 ただ、今、四月一日が、仮設の事務所で発足するわけです。スタートはこれからなんですよ、実際には。したがって、運営するためには、いろいろと皆さん方の御意見も伺いながら、そして地元の意見を伺って対応してまいりたいと思っております。

福島委員 大臣のその思いをしっかりと私も受け止めさせていただきます。

 常磐線でつながっておりますから、大臣のところも私のところもF―REIも全部常磐線一本で行けますし、私の地元には原子力関係の研究機関も収束しておりますので、私も力になれることは何でもやっていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。ありがとうございました。

長島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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