衆議院

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第4号 令和5年4月27日(木曜日)

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令和五年四月二十七日(木曜日)

    午前九時十五分開議

 出席委員

   委員長 長島 昭久君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂井  学君

   理事 高階恵美子君 理事 谷川 とむ君

   理事 小熊 慎司君 理事 岡本あき子君

   理事 早坂  敦君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    伊藤信太郎君

      岩田 和親君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    柿沢 未途君

      神田 潤一君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    土田  慎君

      冨樫 博之君    中野 英幸君

      西野 太亮君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    藤井比早之君

      藤原  崇君    細野 豪志君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      荒井  優君    金子 恵美君

      鎌田さゆり君    玄葉光一郎君

      近藤 和也君    馬場 雄基君

      赤木 正幸君    漆間 譲司君

      掘井 健智君    赤羽 一嘉君

      河西 宏一君    鈴木  敦君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   復興副大臣        小島 敏文君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     中野 英幸君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   国立国会図書館長     吉永 元信君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            高原  勇君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     角田  隆君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       鈴木 敏之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           五十嵐康之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       川野  豊君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            中村 広樹君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          森下  泰君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           酒井 大輔君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     土田  慎君

  上杉謙太郎君     深澤 陽一君

  小泉進次郎君     藤井比早之君

  中曽根康隆君     塩崎 彰久君

  八木 哲也君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沢 未途君     八木 哲也君

  塩崎 彰久君     神田 潤一君

  土田  慎君     伊藤信太郎君

  深澤 陽一君     上杉謙太郎君

  藤井比早之君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

長島委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長酒井大輔君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官高原勇君、復興庁統括官角田隆君、復興庁統括官由良英雄君、復興庁審議官岡本裕豪君、外務省大臣官房審議官伊藤茂樹君、文部科学省大臣官房審議官里見朋香君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官鈴木敏之君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、国土交通省大臣官房審議官五十嵐康之君、国土交通省大臣官房審議官楠田幹人君、国土交通省大臣官房審議官石原大君、国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊君、国土交通省道路局長丹羽克彦君、観光庁観光地域振興部長中村広樹君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君及び原子力規制庁長官官房審議官森下泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 おはようございます。自由民主党の谷川とむです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。東日本大震災復興特別委員会で初めて質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。

 東日本大震災から今年で十二年が経過をいたしました。阪神・淡路大震災からは二十八年が経過をいたしました。

 私は、阪神・淡路大震災で被災した一人であります。当時、私は高校三年生で、兵庫県の実家に住んでいました。実家は半壊、家を建て直すのに約二年を要しました。また、西宮に住んでいた親戚は、三名が貴い命を失いました。屋根が崩れ、その下敷きになって即死だったと思われます。二十八年が経過してもやはり忘れることはありません。同居していた家族は幸いにも無事でした。

 先ほども申しましたけれども、家が半壊でしたので不自由がありましたけれども、神戸に比べればまだ被害はましだったので、発災直後、私もボランティアに参加して神戸に行って一軒一軒歩かせていただきまして、何か困っていることがないかというふうにお伺いをさせていただきました。私が回っていたおうちは、まず水と食料が欲しいと。そして、お子さんがいらっしゃる御家庭は子供の食事とかおむつ等が欲しい、女性の方が住んでいるところは生理用品が欲しいといったことを聞かせていただきまして、発災直後でしたので救援物資がなかなかまだ届いていない状況で、本部に向かってこういう意見がありましたと、だからこういうところにはこういうものをできるだけ早く持っていけるようにしてほしいということも言わせていただいておりました。

 東日本大震災と阪神・淡路大震災の被害の違いというか、質が違う、ちょっと表現が難しいんですけれども。阪神・淡路大震災は縦と火の被害が多かったと思います。東日本大震災は平面、横と原子力災害。

 どんという地震で一気に家屋が崩れてしまって、そこに人が埋まっているというのは分かっているんですけれども、なかなか救助ができない、長田区においては大火災がありますから全然手出しができないという状況があったというふうに思います。東日本大震災はそれに比べて、平面、横というか、津波でどんどんどんどん全部流されていくわけですから、なかなか救助もしんどいですし、津波が収まらないと何もできない、それにプラス原子力災害というものがあったというふうに思います。

 いずれにせよ、大規模な地震や自然災害が起こればやはり我々人間の力は無力だなというふうに感じることもあるんですけれども、私であれば、親戚も亡くなっていますから、つらい思い出はありますけれども、それをしっかりと受け止めて我々生き残った者が何をすべきかということを考えたときに、何か起きたときに震災復興の教訓を生かしてやっていかないといけない、また、できるだけそういう災害に備えるような取組、防災・減災対策をしっかりと進めていかないといけないなというふうに感じております。

 そこで、まず、阪神・淡路大震災また東日本大震災はインフラの整備はおおむね終わったと聞いております。ただ、心のケアというものがなかなか終わりがない。私も、二十八年たっていますけれどもやはり思い出します。地震や災害が今自分が住んでいるところで起こらなかったとしても、その光景や情報を見聞きするだけで、フラッシュバックしてしまったりとか不安になってしまうことというのは多々あると思うんです。心のケアの支援の現状について渡辺大臣から御答弁いただきたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 東日本大震災の被災者の震災体験によりますPTSDや、震災後の環境の変化によります心身への影響など、被災者の心のケアのニーズに対することが大変重要であると考えております。

 このため、被災三県に心のケアセンターを設置しまして、保健師、精神保健福祉士等の専門職が被災者の心のケアに関する取組を実施しているところでございます。具体的に申し上げるならば、被災者への相談支援、訪問支援、さらには自治体職員等の支援者への支援、人材育成、研修、心の健康に関する普及啓発を実施しているところであります。

 被災者の心のケアにつきましては、発災から十二年たちましたけれども、現在でも相談件数は依然として高い水準で推移しているところでありますから、引き続き支援していくことが重要であると認識をしているところでございます。そのため、被災者支援総合交付金等によって厚生労働省とともに必要な支援を引き続き行ってまいりたいと思います。

谷川(と)委員 ありがとうございます。今御答弁がありましたとおり、まだまだ相談件数が非常に高いということがありますので、引き続きしっかりと支援策を講じていただければなというふうに思います。

 東日本大震災からの復興においては、今の心のケアを始めとする被災者支援のみならず、インフラ整備や産業再生など、様々な分野で多くの教訓が蓄積されたものと認識をしております。将来の大規模災害からの早期の復旧復興のためにはそうした教訓を継承することが非常に重要であると考えておりますが、復興庁としてどのような取組を行っているのか、御答弁願いたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 将来の大規模災害に備えるため、東日本大震災の記憶と教訓を後世へ継承し、今後の防災・減災対策や復興に生かしていくことは大変重要と考えてございます。

 このため、復興庁におきましては、関係省庁と連携いたしまして、国営追悼・祈念施設の整備の取組、教訓・ノウハウ集の公表、学校教育における防災教育の推進、被災者の生きがいづくりに資する伝承活動への支援などを行っております。また、国土交通省や被災自治体で構成される震災伝承ネットワーク協議会に参画をいたしまして、震災の記憶と教訓を伝える各地域の伝承施設と連携した情報発信などにも取り組んでいるところでございます。

 また、今後の大規模災害からの復興に当たりまして、東日本大震災の復興政策を参照し、教訓としてしっかり活用できるよう、これまでの復興政策の振り返りを現在進めているところでございます。昨年度から有識者会議を開催いたしまして、その課題や教訓などについて現在整理を進めておるところでございまして、夏頃までには最終的な文書を取りまとめる予定でございます。

 今後におきましても、あらゆる機会を通じて東日本大震災の風化防止、教訓の継承がなされるよう、自治体、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 国民一人一人が防災の意識を高めていかないと駄目だというふうに思います。なかなかやはり自分のところは大丈夫だというふうな思いがあります。私も、阪神・淡路大震災を経験する前は、近畿地方は基本的に余り地震がないということで、何の備えもしていなかったと思います。こういうところをしっかりといろいろ取りまとめていただきまして、各自治体や国民にも多く広めていく取組を引き続き進めていっていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、子供の支援の現状についてお伺いをいたします。

 東日本大震災は、子供たちを取り巻く環境も激変させたと思います。大好きな家族や親戚、友達を失った子もいます。今まで住んでいた家や地域から離れざるを得ない状況になったり、転校を余儀なくされた子も少なくないと思います。また、遊び場も減って、生活環境が非常に変わった。震災から十二年が経過しました現状でどのような支援を行っているのか、御答弁を願います。

里見政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、被災地や被災者に寄り添いながら、復興に向けて、就学支援や児童生徒の心のケア、大学等を活用した地域の再生などに取り組んでおります。具体的には、被災した子供が安心して学ぶことができるよう、東日本大震災により被災した児童生徒等に対するきめ細やかな学習支援や、心のケアを行うための教職員定数の加配措置やスクールカウンセラー等の派遣への支援、東日本大震災により経済的な理由から就学が困難になった児童生徒等に対する学用品費などへの支援、そして被災した世帯等の学生に対する授業料等減免措置や無利子奨学金の貸与等を行っているところでございます。

 また、教育、学びを通して復興や持続可能な地域づくりに貢献する人材を育成するため、福島県立ふたば未来学園や避難地域十二市町村の小中学校等におけるふるさと創造学等の特色ある教育や、福島イノベーション・コースト構想を担う人材育成に対して財政的、技術的に支援するとともに、地域住民の皆さんが学校を支え、学校が地域づくりの一翼を担うコミュニティースクールと地域学校協働活動を一体的に推進しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き被災地や被災者に寄り添いながら復興に全力で取り組んでまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。引き続き子供たちのためにはあらゆることをやっていただきたいなというふうに思います。

 続きまして、祭り、文化の継承についてお伺いをいたします。

 私の選挙区である泉州地域も、太鼓台やだんじり、やぐらなど、祭りが盛んな地域です。しかし、新型コロナウイルスの影響で二年中止となりました。東北地方もいろいろと、地域の祭礼行事や伝統芸能などを中止せざるを得ない状況が長く続いているところもあると思います。途絶えた団体もあるのではないかなというふうに思いますけれども、祭り、文化をしっかりと継承していくためにどのような支援策を講じているのか、御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 地域の伝統行事や民俗芸能等の文化遺産は、その地域に暮らす人々の心のよりどころとして、地域のコミュニティーを形成する上で重要であり、地域の振興や活性化にも資するものであると認識しております。また、御指摘の東日本大震災や最近のコロナ禍の例にあるとおり、災害によって行事等が中断することは伝統文化の継承にとって深刻な影響を及ぼしかねない問題と捉えております。

 このため、文化庁といたしましては、地域に根差した伝統行事等が次代にしっかりと継承されるよう、地域文化財総合活用推進事業を始め、令和五年度予算や令和四年度第二次補正予算において所要の経費を計上し、山車、衣装等の用具の修理、新調や後継者養成などの取組を支援しております。

 本年度の第一次募集におきましても、東日本大震災の影響により中止となり、その後再開した伝統行事等における用具の修理、後継者養成などの取組について、東北の被災三県をそれぞれ採択したところでございます。

 また、本事業につきましては、現在、六月一日を締切りとして二次募集も行っているところでありますので、被災地における伝統行事等の再開にも是非積極的に御活用いただきたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。引き続き、祭り、伝統文化というのは非常に重要でありますから、支援策を講じていただきたいなというふうに思います。

 次は、公的な施設や行政と災害協定を締結している避難所等には災害時に救援物資等が運び込まれます。しかし、お寺や神社が地域住民の避難所等の役割を担わざるを得ない状況であってもなかなか救援物資が運び込まれないという実情があります。災害時にはみんなが困っているわけですから、憲法二十条、八十九条の政教分離規定もありますけれども、もう少し柔軟に対応すると同時に、事前にいろいろと対策を講じておくことが必要であると考えます。

 最近ではお寺や神社も、各地方公共団体と災害協定を結ぶ取組を進めて地域住民の安全、安心を守るために尽力いただいている、国としてもこのような社会貢献活動をしっかりと支援していくべきであると考えますけれども、いかがお考えか、御答弁を願います。

五味政府参考人 災害時における避難所を確保するに当たりましては、地域の実情に応じましてお寺や神社を活用することも有益であると考えております。

 内閣府では、災害時に必要な避難所を確保し、適切な運営がなされるよう、避難所運営ガイドライン等におきまして、お寺、神社等施設の利用を検討すること、指定避難所として指定した施設にはあらかじめ応急的に必要と考えられる食料、飲料水の備蓄に努めること、備蓄拠点から各避難所への配付に対応できるようにすることなどにつきまして自治体の取組を促しているところでございます。

 また、昨年七月には自治体における先進的な避難所に係る取組をまとめた事例集の作成、周知を行っておりまして、この中で災害時に寺院を避難所として活用する協定の締結事例を紹介いたしまして、自治体の取組を促しているところでございます。

 内閣府におきましては、お寺や神社を避難所として活用することも含めまして、災害時に避難所が適切に確保、運営されるように引き続き取り組んでまいります。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 東日本大震災が風化することなく、できることをこれからも引き続きやっていっていただきたいなというふうに思います。

 時間が参りましたので質問を終えますけれども、政府参考人の皆さん、質問できなかった人は申し訳ないというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、宮城と岩手、つまり地震、津波被災地域のことについてお伺いをしたいと思います。福島のことは、特措法がありますので、そちらで質疑をさせていただきたいと思っております。

 十二年前のあの東日本大震災のとき、私は宮城県の県会議員をしておりました。連日、被災地、被災者の元に足を運んで、本当に困難な課題に向き合って悲鳴を聞いてまいりました。

 そのとき思ったのは、従前からこうした大きな災害に備える国の組織と予算というのが必要なんだと実感したことを今でも覚えておりまして、実際に復興庁が設置されましたのは、震災から一年後、二〇一二年のことでございました。刻一刻変化をする被災地の現場、被災者の皆様、そうしたことを前にして、時間がかかり過ぎているということに議員の一人として非常に悔しい思いをしたことも覚えているところであります。

 今後も、あの東日本大震災と同等若しくは被害想定でいうとそれよりも大きな自然災害が起きるという予測がある中で、平時から、つまり今の段階から災害対応への準備、検討を専門的に行っていく組織と予算と機能が必要ではないかというふうに思っておりまして、この点、考えを伺いたいと思います。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 大規模災害への政府の対応については、内閣総理大臣の指揮の下、内閣官房や内閣府が中心になって省庁横断的な取組を行い、関係省庁と自治体の適切な役割分担の下、被災地の迅速な復旧、早期の復興に取り組んできたところでございます。また、政府の迅速、円滑な初動対応と応急対策を強化する観点から、内閣危機管理監の下に関係省庁の局長級が集まる自然災害即応・連携チーム会議を定期的に開催するなど、平時から自然災害対応における連携強化を図っております。

 また、新たな組織を直ちに設置する必要性は低いと考えておりますが、防災体制の充実強化は重要な課題であり、関係省庁や地方自治体の連携の在り方についても不断の見直しを進め、万全の防災体制の確保にこれからも努めてまいります。

庄子委員 申し訳ありませんが、今の御答弁は少し私は納得がいきません。平時から、訓練され準備された組織、そして組織を動かす予算がなければ何か事が起きてから組織を立ち上げるという後手を踏んでしまうことが、あの東日本大震災でも明らかになりました。そうしたことを繰り返さないために平時からそうした準備をしておく必要性が高いという認識を私はしています。この点はちょっと見解が違いますので、これからも時間をかけて議論はさせていただきたいと思っておりますので、大臣にもどうぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。

 二点目ですけれども、宮城、岩手の地震、津波被災地域、ここは二〇二六年までに復興庁の役割を全うするということになっています。私は、単に期限を延ばすべきだというものでもありませんし、もっと急げというふうにせき立てるつもりもありませんけれども、しかし、今から約三年余りの中で宮城と岩手の復興庁の役割は全うするんだということを政府は示している、この具体的な絵姿というのはどういうふうにイメージをしていらっしゃるのか。私も宮城に住む一人として、ここはもう少し、具体的にどういうことをすれば役割が全うできると政府は考えていらっしゃるのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 現在の復興の基本方針であります第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針におきましては、地震、津波地域においては、過去の大規模な災害における取組事例等を踏まえまして、令和三年度から令和七年度までの五年間の第二期復興・創生期間において国と被災地方自治体が協力して被災者支援を始めとする残された事業に全力を挙げて取り組むことによって、復興事業がその役割を全うすることを目指すとされております。

 東日本大震災の発災から既に十二年が経過をしておりまして、被災地の方々や関係者の絶え間ない御尽力によりまして住まいの再建やインフラの整備などはおおむね完了しているところでありますが、その一方で残された課題もあると認識をしております。

 例えば、産業、なりわいの再生については、被災地の中核産業である水産業の売上げの回復が課題であり、引き続き販路回復等の取組を支援することとしております。また、人口減少や産業空洞化等の全国の地域に共通する中長期的な課題については、地域の特性等も踏まえながら、政府全体の施策の総合的な活用を図ることとしております。

 復興庁といたしましても、引き続き、被災された方々お一人お一人が安心して暮らせる日常を取り戻し、希望を持って生活できるよう、引き続き政府一丸となって取り組んでいく所存でございます。復興の状況は地域によって様々であります。まだ残された課題も様々ありますが、関係省庁や関係自治体と連携しながら、復興事業が早期にその役割を全うできますよう全力を尽くしてまいりたいと思います。

庄子委員 今大臣が水産業に具体的に触れていただいたことは大変うれしく思います。三陸の沿岸地域は押しなべて水産業が基幹産業でもありますので、ここの販路の回復とか、なりわいを、もう一回立ち直っていただくという支援を今大臣がおっしゃっていただいたのは非常に感謝申し上げますし、これから是非御期待をさせていただきたいと思います。

 加えて、被災沿岸地域の大きな課題、残された課題の一つはやはり人口減少。自然減に加えて大規模災害によって失われた人口を回復できていないという、地域の空洞化という問題が本当に大きな問題だと思っております。ここは是非リーダーシップを発揮していただきまして、人口が元に戻るということを想定して申し上げているわけではありませんが、地域の空洞化を防ぐということは是非大きな課題として捉まえていただきたいというふうに思っております。

 先ほどの谷川委員の御質問にもありました、ハードの整備はいざ知らず、ソフトの部分の特に被災された皆様の心のケアをどうするかといった問題については、私は、二〇二六年度までの三年間で完了するだろうという確証はとてもありません。

 最大被災地でもあります石巻に、からころステーションという相談支援センターがございます。

 先日、からころステーションの資料を拝見させていただきましたが、年度ごとの延べ相談件数は、二〇一二年度から二〇二〇年度にかけては平均、一年間で九千五百件余り、二〇二一年度では一万八百八十五件の相談が寄せられております。これら全部が震災由来かというとそうではありませんが、しかし、ああした一つの市の相談センターにこれだけ多くの相談が今もひっきりなしに寄せられているということを考えると二〇二六年度で役割を全うするとは到底思えないわけでありまして、当面の間は政府から財政的な支援等も含めて力強く支えていただく必要があると思いますが、改めて認識を伺いたいと思います。

小島副大臣 お答えいたします。

 東日本大震災から十二年が経過いたしました。避難生活の長期化に伴って被災者の状況が多様化、個別化していくことは十分に認識しています。それぞれの状況におきまして被災者の支援をきめ細かく行っていきたいというふうに認識いたしております。

 そういう中で、具体的に申し上げますと、災害公営住宅等への移転後のコミュニティー形成への支援、被災者の心のケアを支えるための個別相談、人と人とのつながりをつくり、被災者の生きがいをつくるための心の復興事業、高齢者等に対する日常的な見守り、相談など、被災自治体の取組を幅広く応援しているところでございます。

 今質問のありました第二期復興・創生期間以降の復興の基本方針において、心のケア等の被災者支援は事業の進捗に応じた支援を継続するとされているところでありまして、引き続き、被災自治体のニーズを丁寧に伺いながら、被災者に寄り添った取組を行っていきたいと考えているところでございます。

庄子委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 さて、来月、五月にニューヨークの国連本部で開かれます首脳級会合に仙台市の郡市長が出席をされまして、東日本大震災からの復興や防災の取組について、仙台防災枠組への中間評価という形で演説をすることになりました。

 仙台防災枠組というのは、二〇一五年に国連で採択をされまして、二〇三〇年までに災害による死者数を削減するなど、七つの指標を掲げた国際的な大きな指針でございます。この仙台防災枠組への取組とその中間評価、これは大震災を経験した地方の教訓と知見を反映しているという点で極めて重要だと私は理解しています。政府はこの中間評価についてどのように捉えていらっしゃるか、また国の防災対策にそれをどのように反映するお考えがあるのか、伺います。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 平成二十七年に我が国の主導により国連が採択した仙台防災枠組は、今年、二〇二三年が推進期間の中間年に当たります。このため、国連においても中間レビューを実施することとしており、我が国も仙台防災枠組策定以降の防災対策の進捗状況等を取りまとめた報告書を国連に提出したところでございます。一方、仙台市においても自主的に東北大学と共同で中間評価を行ったと承知しており、これは自治体レベルでの世界に先駆けた取組であると認識をいたしております。

 委員御指摘のとおり、来月、ニューヨークにおいて国連ハイレベル会合が開催をされ、会合には仙台市長も出席されると承知をいたしております。政府としましては、このように、地域における先進的な防災対策の取組を海外に発信していくことは大変に重要であると認識しており、引き続き積極的に取り組んでまいります。

 いずれにしても、仙台市を始めとする地方自治体ともしっかりと連携しながら、我が国の経験や知見等を通じた国際防災協力を推進してまいりたいと考えております。

庄子委員 中間評価についての国の捉え方や評価というのはちょっと聞けなかったような気がしておりますが、これからも議論させていただきます。

 是非、仙台防災枠組という取組が国内でまだまだ周知されておりませんし、国民の皆様にも知られていない側面もございますので、この中間評価、国連での演説を機に一層周知徹底していただき、また、国としても是非、いいところはしっかり捉まえて反映させていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。福島二区、立憲民主党の馬場雄基です。

 本日は一般質疑ということで、改めて今何を題材にすべきかということを正直考え、悩みました。至った結論はすごくシンプルでして、東日本大震災の教訓を必ず生かしていくために何をすべきなのかというところにたどり着いてまいりました。

 既に大震災から十二年が過ぎまして、あの広域災害を経験した私たちが、次に同様の災害が起きた際に同じことを繰り返してはならない、あのときに学び、今何を考え、何に備えなきゃいけないのかということを考え、実践する必要性があるんだと私は思っています。

 そこで、大切にしていきたいことですけれども、避難者の定義です。以前、様々こういったところでも議論させていただいておりますけれども、私だけではなく、たくさんの方々が指摘した点でもあります。市町村を始めとする基礎自治体と、そして国や県が公表する避難者数、避難者というところが、ある意味でいうと、数字が大きく異なっているという実態がございます。

 以前では、その御回答として、各市町村それぞれに考え方があり、市町村独自の避難者数の把握、公表をしていますという現状の御報告をいただきました。現状は分かるんです。ですが、このままでいいのかというところがどうしても不安になるわけです。それぞれに考え方があるのは分かりますが、それを理由に避難者数が大幅に異なっていることを是としてはならないんだというふうに思っています。

 なぜというふうに伺いましても、多分、同じ答えが返ってきてしまうと思いますので、質問の角度をやや変えまして、復興庁さんに伺いたいと思います。

 今後、東日本大震災同様の有事も考えられる中で、今度は避難者をどのように定義し、カウントしようとするのか、混乱をどのように防ごうとしているのか、明確にお答えください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、復興庁が行う避難者数調査におきましては、調査対象となる避難者を、東日本大震災をきっかけに住居の移転を行い、その後、前の住居に戻る意思を有する者というふうに定めておりまして、避難先である全国の市区町村が把握した人数の報告に基づいて復興庁が集計し、公表させていただいているところでございます。

 御指摘のありました今後大規模な災害が起きた場合の取扱いということでございますが、そのような際に多数の避難者が発生した場合に、適切に把握することは重要であるというふうに復興庁としても認識してございます。

 その上で、今後の有事の際にどのように避難者を定義し、把握するかにつきましては、これは災害のそのときの規模ですとかあるいは態様、それから被害状況、被災自治体の、対応できるかといった状況も踏まえながら、支援の在り方などと併せて検討されるべきものというふうに考えてございまして、現時点で、復興庁としてこういう定義が望ましいということについて言及することは差し控えたいと考えております。

 復興庁といたしましては、いずれにいたしましても、現在進めております東日本大震災における避難者数の適切な把握に引き続き努めてまいりたいというふうに考えてございます。

馬場(雄)委員 是非大臣そして委員の皆様も御一緒に考えさせていただければうれしいんですが、このままでいいのかというところだというふうに思います。

 これまで被災された方々が感じてきた不安、ある意味、怒り、嘆き、様々なものがあった中で、これらの教訓をしっかり生かし、二度と同じような思いをする方が出ないようにこの教訓を生かしてほしいというのが恐らく現場の方々の願いなんだというふうに私は思っています。今のお答えですと、また有事になってみないと分からないというところになってしまうわけです。

 国として、基礎自治体も広域自治体も含めて、避難者というものはこういうふうにカウントしようというところは定義はして、そして、例外事項として、各基礎自治体ではこういうところを踏まえて考えていますと。つまり、原則と例外というふうにちゃんと分けて記載するなど、そういうふうな表記改正とかは考えるべき必要性があるんだというふうに思うんですけれども、大臣、この点を少し御検討いただくことはかないませんでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 被災者の人数というのは大変重要なものでありまして、特に、被災者への見守り、相談支援、さらには心のケア等、様々な支援がございますので、やはりこれはしっかりとした人数を確保することは大事だというふうに思っておりますので、今後検討させていただきます。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非とも、今まで苦しみ、嘆きを覚えてきた被災者の方々の思いを受け止めて、次に絶対にそういった方を出さないようにするためにも、カウントというところはしっかりと行政体制を整えていただきたいというふうに切に願っております。

 続いて、被災後に造られた復興公営住宅についての教訓について伺いたいと思っております。

 正直、国会議員に送り出させていただく前からこの問題にずっと向き合い続けてきたものですので、一言で言い表せない課題が山積しているものだというふうに思っております。もちろん、宮城そして岩手、それぞれにも課題があると思いますけれども、福島独特の課題という点についてどのように今政府が認識されているのか、お聞かせください。

由良政府参考人 御質問いただきました災害公営住宅でございます。

 原子力災害の被災者に係る災害公営住宅については、原子力災害における避難が長期間にわたることが予想されたことから、ほかの東日本大震災被災地域の被災者の方々への対応とは異なる対応が必要だったというふうに認識をしております。

 具体的には、住宅を失った被災者用の新たな住宅を元の居住地区近隣に整備をするということではなくて、福島県では、全住民の避難が余儀なくされた町において、避難指示が出ていないほかの自治体に避難して受け入れていただくという形での災害公営住宅を整備をする必要がございました。また、こうした避難生活が長期にわたることを前提に、避難者の方々へのコミュニティー維持等の配慮も行うことが求められたと考えてございます。また、加えまして、避難指示の解除が進みますと、帰還される方に向けての避難指示解除済みの区域での災害公営住宅の整備というニーズも出てまいってございます。

 このような福島特有の課題について、引き続き対応していきたいというふうに考えてございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 これは私自身が感じるだけかもしれませんが、今のお答えは若干造る側の目線に立っていらっしゃるんじゃないかなと思いまして、避難される方々の願い、あるいはそれを受け入れる側の地域の思いというところに少しちょっと立脚していただきたいなというふうに思うわけです。

 私自身、いろいろな方々とお話をしてきた中で思うのは、一言で言えば、何回も何回も転々としなきゃいけなかった方々がずっと福島の特有の課題なんだと思うわけです。ずっとその場にいることができなくて、また次に替わらなきゃならない、また次に替わらなきゃならない。そして、復興公営住宅に来ることはできたけれども、実際に戻りたいのは本当のふるさと、そこに帰れると願いを込めてそこに入っていた。つまり、いっときの仮住まいというのが恐らく福島独特の、多分、公営住宅の課題というか、認識だったんだというふうに思います。

 ですが、今、結局、この時間がもう十二年たってきている中で、なかなかそういうふうに考えることも難しくなりつつあるのもまた事実。つまり、理想と現実がここで大きくずれ始めているというのが問題だというふうに思っております。

 最近、復興庁を始め政府、行政の書類の中で目にする言葉が、地元の強い要望というお言葉がございます。これは是非とも考えていただきたいんです、強い要望なのかと。

 私自身は、何か圧をかけたいメッセージをしているわけじゃなくて、切なる願いなんだと思うわけです。言葉に言い表せない、本当はこうしたい、でも、事実、みんなにもお世話になっているし、どうしていいか分からないというような本当に切実な思いというのが恐らく表れている言葉で、それを強い要望として一言でまとめてしまうと、若干意味合いが、ニュアンスがずれてきてしまうんじゃないかなというところを私は正直危惧しています。この気持ちを酌み取って、教訓にして、それを実践に生かしていくということが、私は真の復興である、それが復興の道だというふうに改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 そして、宮城、岩手のいわゆる復興公営住宅から私が学びたいのは、コミュニティー創生の形です。

 福島は、先ほど申し上げたとおり、いっときの仮住まい、こういうふうに考えていた部分も多いので、正直、いまだに地元地域、そしてコミュニティー創生という意識には差があるのが現状です。今はまだ復興庁の予算としてコミュニティーを支援してくださっていますので、何とかそこがつながっていますけれども、もしこれが仮にだんだんと縮小していくようなことがあれば、これは孤独、孤立というのは更に深刻になりかねないというふうに思っています。

 この点の教訓をどのように整理されて、次に同じような、緊急的に復興公営住宅を建てなければいけないというふうに思ったときに、どんな工夫をしなければいけないと復興庁は今考えているのか、教えてください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 復興公営住宅につきましては、一からの町づくりの中で新たに公営住宅を造っていくということで、入居者の方々も、従前お住まいだった地域からばらばらの方が集まってまいります。そういった観点で、入居者の間だけではなくて、もちろん、既存の地域との間でしっかりと地域のつながりをつくっていく、あるいは生きがいを持って暮らしていく、そういう環境づくりが大変重要かと認識してございます。

 このため、復興庁におきましては、被災者支援総合交付金を通じまして、これまでコミュニティー形成等に資する自治体の取組を支援させていただいておるところでございます。具体的には、避難者と避難先住民とが相互に理解し合うことを目的とした、例えば、ふるさとツアーや料理等を通じた文化交流、それから、地域の子供たちによります復興公営住宅等への訪問や避難者との交流といった取組を行われてきているところでございます。

 こうした様々な取組というのが来るべきまた災害の際に教訓として活用されるよう、我々としても、しっかりと教訓、ノウハウなどの取りまとめに生かしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 是非ともそちらをまとめていただきたいと思うわけですけれども、私は、住民自治の視点だというふうに思っています。立地地域の方の理解、そして、その方々と一緒にコミュニティーをつくっていこうとする機会の創出、これが生きがい創出の一つの中に入っていればいいと思うんですけれども、確たるものは、生きがい創出という一人一人の観点よりも、その人たち、その町の地域として住民自治をどのように発展させていくかというところが極めて大事なんじゃないかなというふうに思っています。

 入居される方々と地域が一体となる、その視点というものをこれから、今まで来た教訓を生かして、次につくるときには、行政区長さんとかあるいは民生委員さんとか、様々な方々が交流に入れるように、そして入居する方々もそこに一体となっていけるような枠組みの設定をしていくということ、これを私は是非とも皆様方にお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 大臣も先ほどお手を挙げていただきまして、ありがとうございます。教訓について今回議論させていただいたこと、一つのテーマにしていただいて、次に生かす努力というものを是非とも担保していただきたいんですけれども、大臣、お願いできないでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 コミュニティーというのは大変重要だというふうに思っております。

 現在、未曽有の大災害において、東日本大震災からの早期の住まいの再建を図るためには、約三万戸に及ぶ災害公営住宅の整備が行われてきたところであります。

 災害公営住宅の整備に当たっては、計画の段階においては、まず、被災者の意向が時間の経過とともに変化することを踏まえまして、建設前に、入居者の意向調査を繰り返し丁寧に行ってきております。整備の段階においては、大量の災害公営住宅を迅速に整備するため、民間事業者から買取り、買上げを行うなど、早期の住まいの確保に向け、多様な主体が連携すること、このように取り組んできております。また、コミュニティーの形成や高齢者の見守り等に配慮した施設の整備を行うこと、維持管理においては、空き室の公営住宅以外への転用や戸建て災害公営住宅の払下げなどにより、安定的な管理運営に取り組むことなどが重要な教訓であると考えております。

 こういった教訓が生かされますよう、復興庁では、令和三年三月に東日本大震災復興教訓・ノウハウ集を取りまとめるとともに、現在、東日本大震災の復興政策十年間の振り返りを進めているところでございます。

 今後も、様々な機会を通じまして、東日本大震災の教訓が継承されるよう、自治体や関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非ともその教訓を生かし、しっかりと、同じような災害が起きたときに同じことを繰り返さないようにしていただきたいというふうに思っております。

 コミュニティーの支援というのは、やはり住民自治そのものだというふうに思うんですよね。今、復興公営住宅で空き室もだんだん見えてきている部分もありますけれども、そこに、例えば誰かをまた別な角度で入居をお願いしたいというような、施策もだんだん移りつつありますが、そういったことをするときにも、結局、住民自治の視点がしっかりと枠組みにはまっていれば、恐らく順回転していくものだというふうに思っています。やはり今必要なのは、福島は、いっときの仮住まいというふうにしていた前提から、地域と一体になるという恐らく大きな節目を迎えなきゃいけない、その課題にぶつかっているというふうに思っています。

 是非とも、今、現場レベルでは様々動いています、社協さんも動いています、民生委員さんも動いています。ですが、その部分をしっかり行政としても見守りながら、適時適切なフォローアップ体制というものを私はお願いさせていただきたいというふうに思っております。

 最後に、ALPS処理水海洋放出について伺いたいというふうに思っております。

 こちらは違う委員会ですけれども、三月二十九日、経済産業委員会にて、経済産業委員長にお取り計らいいただいた資料がございました。先日あったロシアと中国の共同声明に関する抗議、我々がする抗議をどのように行ったのかということを伺わせていただいた際だったんですけれども、いただいた資料としては、結果として、電子メールと書面で行ったというふうに返ってきました。

 伝えることに意味があるわけではなくて、伝わらなければ意味がありません。ここは本当に正念場だというふうに思っています。福島だけではなくて、国としてのプライド、これを持って対応していただきたいというふうに思っています。

 その際、私は二つ申し上げさせていただきました。一つは、外交の常識では書面や電子メールというのは普通だというふうなお答えもいただきましたけれども、復興の命運が懸かっているものですから、正々堂々、直接お会いしに行っていただきたいという点が一点目。もしそれがかなわないのであれば、二点目として申し上げたのは、IAEA、国際的な機関に対して、中国やロシアに対して指導を行うような、そういうふうなフォローアップ体制を外交的努力の中で行っていただけないかというところの二つを申し上げさせていただきました。

 あれから一か月たちますけれども、具体的な行動をどのように行ったか、教えてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、三月二十一日に発表された中ロ首脳共同声明のALPS処理水の海洋放出に関する科学的根拠に基づかない一方的な発信につきましては、中国及びロシアに対してそれぞれ我が国の立場に基づき抗議を行い、先方から、日本側の抗議を受領したことを確認しております。

 具体的には、我が国は、これまで中国及びロシアに対し、ALPS処理水の海洋放出をめぐる我が国の取組について様々な機会を捉え説明を行い、また、その際に、科学的、専門的見地から個別に説明を行う用意がある旨伝えていたにもかかわらず、中ロ首脳共同声明において、放射能汚染水との表現を用いて、科学的根拠に基づかない一方的な発信を行ったことに対し、抗議を行ったものであります。

 また、あわせて、このような発信が復興に向けて努力している被災地の人々の感情をも大きく損なっていることを指摘し、科学的見地に立って我が国と意思疎通を行うべきことを両国に対し、強く求めたところでございます。

 加えて、中国に対しましては、四月二日、日中外相会談におきましても、林外務大臣から、科学的根拠に基づかない中国側の対外発信に抗議しており、四月十日の日中高級事務レベル海洋協議においても、ALPS処理水の海洋放出について、我が国の立場を改めて明確に述べるとともに、科学的見地に基づいた議論を行うよう求めたところでございます。

馬場(雄)委員 是非、私のことに明確にお答えいただきたいんですけれども、お願いさせていただいた二つです。直接お会いするように働きかけたのか、IAEAに対して外交的努力の中でそういうふうに迫ることがあったのか、その点だけ教えてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、今申し上げましたように、中国に対しては、四月二日の日中首脳会談、あと、四月十日の日中高級事務レベル海洋協議においてしっかりと対面でこれは伝えております。

 IAEAとの関係について申し上げますと、我が国は、ALPS処理水の取扱いに関し、原子力の専門機関であるIAEAからの科学的見地に基づく評価や発信が極めて重要であると考えておりまして、これまでも、中国やロシアの国際専門家の参加も得たIAEAのレビューを受けてきております。日本側からは、IAEAのレビューなどにおいて、科学的根拠に基づいた評価や発信の重要性をIAEA側に伝えてきております。

 四月十二日には、林外務大臣がグロッシーIAEA事務局長とテレビ会談を行い、ALPS処理水のレビューなどのIAEAの関連活動について意見交換を行っております。

 このように、IAEAとは平素からやり取りを行っておりまして、IAEAも日本側の考えを理解しているものと考えております。現に、IAEAは、ALPS処理水に関する特設サイトを設けるなど、国際社会に対する科学的根拠に基づく発信を行っております。

 我が国としては、透明性の高い情報発信を継続しつつ、専門機関であるIAEAによる中立的立場からの科学的見地に基づく評価を重視しながら、国際社会の理解の醸成に取り組んでまいる所存であります。

馬場(雄)委員 伝えるだけではなく、伝わらなければ意味がないというふうに思っています。是非ともそこはお願いしたいと思いますし、福島の復興なくしてという言葉が、言葉だけで躍ってしまっては意味がありません。プライドを持って、覚悟を持って、やはり実践していかなくてはならないと思っています。それは、これまでの教訓をしっかり生かすという意思と、やれることは全てやり尽くすという覚悟だというふうに私は思っておりますので、そのことを最後に申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 今日の質疑は、一義的には一月の視察を踏まえた質疑にもなっています。長島委員長を先頭に、一月にこの委員会では被災地を視察してまいりました。震災から十二年が経過して、この委員会でも様々な議論が積み重なっていますし。

 東電にまずお聞きいたしますけれども、この件は被災当時から言われていることで、様々な事故調査会でも指摘をされ、各種委員会でも指摘をされてきましたけれども、我々の委員会でも、東北電力の女川原発に行きまして、震災前の様々な対応を聞いてまいりました。十二年たって議論は出尽くされているというか、いろいろ指摘はされているんですけれども、改めて、あの東北電力の対応と東京電力の対応が同じであれば福島の事故は防げたんじゃないかという思いがまた去来をし、国会事故調でもそういったことを踏まえて人災だと言い切っていましたから、改めて東電にお聞きしますけれども、東北電力と東京電力の差の根底にあるのは、何がそうさせてしまったのか、改めて反省を込めて答えてください。

酒井参考人 東京電力ホールディングスの酒井でございます。

 福島第一原子力発電所の事故から十二年が経過いたしましたが、今なお広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしておりますことを改めて心よりおわび申し上げます。

 福島第一原子力発電所一―四号機の主要な建物の敷地の高さは十メートルでございました。一方で、女川原子力発電所は十四・八メートルでございました。今回の津波が十三から十四メートルであったということを踏まえますと、福島第一原子力発電所では津波による被害をまさしく受けたものと考えてございます。

 福島第一の事故が防げなかったのは、震災後に振り返ってみますと、設計段階における配慮が足りなかったこと、それによりまして全電源喪失という過酷な状況を招き、多数の安全設備を機能喪失させてしまったことや、技術的な知見を踏まえた継続的なリスク低減の努力が足りず、設備面や人的な面で過酷事故への備えが不十分であったということが要因と考えてございます。

 また、震災後に振り返ってみますと、敷地の高さにつきましては、津波の高さの想定や土量配分によるものではございますが、当社におきましては、知見が十分とは言えないこの津波に対しまして、想定を上回る津波が来る可能性は低いと判断し、自ら対策を考えて迅速に幾つもの深層防護の備えを行う姿勢が足りなかったと考えてございます。

 こうした事故の教訓と反省を踏まえまして、あらゆるリスク情報を収集し、知見が十分とは言えない段階でございましても、その情報を共有し、重大なリスクに対しましては、十分に安全であるかどうか、最高責任者である社長が主体性を持って判断してまいりたいと思います。

 以上でございます。

小熊委員 想定を上回ると言っていたけれども、東北電力は想定内に入れていたんですよね。耐震バックチェックの話が震災前にいろいろあった中で、東北電力の人も言っていましたけれども、千年以上前の貞観地震のことも考慮したんですよ。地震調査研究推進本部で議論されたときに、津波評価への干渉を東電はしているんですね。貞観地震まで、そんな昔の話まで入れるなと。東北電力は自主的に、貞観地震を意識してかさ上げしていて、想定内にしているんですよ。法律上は想定外だったかもしれないけれども、余裕を持ってやらなきゃいけないというところでやっていた。

 今の規制委員会と違って保安院でしたから、保安院も、ちゃんとしろよというのを、ちゃんとチェックしていなかったから遅れていたという反省もありますけれども。そういう意味では政府側も緩かった、ないだろうということがあった。皆さん、車の免許を持っている人は多いけれども、教習所へ行ったら、大丈夫だろうとやっちゃ駄目だ、かもしれないで運転しろと口酸っぱく教えられるじゃないですか。だろう運転だったんですよ。

 今、自主的にちゃんとやりますと言っているけれども、その後も、いろいろなデータの公表とかを含めれば、体質が何も変わっていない。東電の信頼がないから、ある意味事故処理の部分で福島県民の信頼も高まっていないというのはそういうことなんですよ。事故前から、データ改ざん、隠蔽があったわけでしょう。何ら変わっていない。

 まして、地震の前の東北電力がやったことは国際的な評価も受けているし、表彰も受けていますけれども、女川原発で説明を受けたけれども、彼らは別に気負った感じでもないですよ、当たり前にやっていたという感じなんです。東電は、安全対策というのはお金がかかるから、いろいろな損益を考えてぎりぎりのところでやっていたんだなという気はしますし。

 時計の針は戻りませんけれども、東北電力と東京電力の差というのは本当に天と地の差なので、今も反省があるとはちょっと思えないので、実際ね、体質的に。これは大きいことだし、多くの人の人生を変えてしまったし。当時の勝俣さんも反省の弁が昔あったけれども、全体的には変わっているとは思えないですよね。もう一回答弁をお願いします。

酒井参考人 津波の想定につきましては、御指摘のとおり、私どもは歴史上最大の津波は当時におきましてはチリ地震津波によるものと評価しておりまして、当社の事故報告書におきましても慶長三陸津波、貞観津波について検討した旨を言及はしており、その際にもチリ地震が最大というふうにはしてはございましたが、振り返ってみますと、当社におきましては、知見が十分とは言えないこの津波に対しまして、想定を上回る津波が来る可能性は低いと判断し、自ら対策を考えて迅速に対応できていなかったというところ、こちらの姿勢が足りなかったというところは御指摘のとおりだと思ってございます。

 こちらは本当に、教訓と反省を踏まえて、とにかく態度で示していくしかないというふうに考えてございまして、透明性を持って、一つ一つ、信頼を得られるように積み上げてまいりたいと思っております。

小熊委員 どこまでやっても平行線になるので。とにかく、想定していなかったと言うけれども、東北電力は想定している、根っこが何なのかということを自覚していないんですよ、反省はしているが。根っこが違ったんだから、想定内に入れていたんだよ、東北電力は。その違いが、これだけの大きな結果を生んだんですよ。根っこのところの体質がまだ変わっていないと言わざるを得ませんので、今後しっかりやっていただきたいんだけれども、十二年たっても何ら変わっていないというふうに思っています。

 次に移ります。

 今月行われました、主要七か国、いわゆるG7気候・エネルギー・環境相会合の共同声明の記述に関して担当の西村大臣が、処理水の海洋放出を含む廃炉の着実な進展、科学的根拠に基づく我が国の透明性のある取組が歓迎されると説明したときに、同席されていましたドイツのレムケ大臣が、東電や日本政府の努力には非常に敬意を払うとしつつ、処理水の放出に関しては歓迎するということはできないと横やりを入れたわけですよ。これで、放出を歓迎するという文言は共同声明に盛り込まれずに、政府の思惑よりも抑えた表現での共同声明になってしまいました。

 共同声明を出す上ではいろいろな調整を国際会議ではするにもかかわらず、そのときの記者会見でこんな横やりが入ってしまうというのは、やはり調整不足もあったと思いますし、こういうことを言われてニュースになること自体が、まさに福島の国際的な風評被害につながるわけですよ。先ほど我が党の馬場委員も国際的なことを話しましたけれども、この経緯をまずお聞かせください。

太田副大臣 御指摘の点につきまして、交渉の過程に関するお答えは差し控えますけれども、G7気候・エネルギー・環境大臣会合の閣僚声明において、廃炉の着実な進展や科学的根拠に基づく我が国の透明性のある取組が歓迎されるとともに、ALPS処理水の海洋放出がIAEA安全基準及び国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するためのIAEAの独立したレビューが支持されたことは重要な成果でございました。

 本閣僚声明自体はドイツも賛成いたしております。G7でも歓迎された科学的根拠に基づく透明性ある取組を今後も継続させていただいて、IAEAによるALPS処理水の安全性レビューに万全の対応を行うことでG7からの支持にしっかり応えていきたいと考えております。

 引き続いて、今回のG7での合意内容も踏まえながら、透明性高く情報発信を行い、国際社会の理解醸成に取り組んでまいります。

小熊委員 だから、最初から歓迎するなんという言葉を使わなきゃよかったんですよ。ちゃんと冷静にやっておけば、するっと終わったんですから。

 共同声明も見ましたけれども、あの文言で最初から説明しておけばよかったのに、気負ってやるからこういうことになるんですよ。その心意気やよしなんだけれども、もっと現実に即して、勢いじゃなくて淡々とやっていることの方が福島県民としても正しいし、気負って言うことの方が逆にうそくさく思うし、福島県民としても上からやられているなという感じもするので、冷静に粛々とやる、しっかりやっていくということの基本姿勢を改めて貫いてほしいということを指摘させていただきます。

 時間がないので、大臣答弁もあるんだけれども、飛ばします。

 今は処理水の話でしたけれども、一方で土の話があります。除染土再利用の実証事業が行われようとしていますけれども、首都圏でも新宿御苑とか所沢とかいろいろありますけれども、地元の反対が起きていて思うように進んでいないという状況であります。地域住民の理解が必要だということを政府も言っていますけれども、地元同意のプロセスを今後どうやって踏んでいくのか、住民理解をどう進めるのか、まずお聞きいたします。

柳本大臣政務官 お答えをいたします。

 環境調査研修所や新宿御苑における実証事業につきましては、地元自治体と相談しつつ、昨年十二月に近隣にお住まいの住民の方々を対象として説明会を開催いたしました。環境省としては、これまでいただいた御意見、御質問に対して引き続き丁寧にお答えしていくほか、追加の説明会や広く丁寧に周知する方法についても地元自治体と相談しながら検討していきたいと考えております。

 実証事業の実施に当たっては地域住民の皆様方の理解が大変重要と認識しておりますので、引き続き丁寧に説明をしてまいります。

小熊委員 柳本さんも政治家だから、役人じゃないんだから分かるとおり、新宿御苑でやるときの住民説明会はどうやって告知したか知っていますか、知っているでしょう、掲示板に貼っただけですよ。それで、二十人前後が来た。こんなのが住民への丁寧な説明と思うの。自分が選挙区でいろいろな人に理解を得ようと思って、そんな告知の仕方だったら怒られるでしょう、あり得ないじゃん。

 ずっと言っているけれども、言葉はいいんだ。十二年もたてば、答弁もマニュアルができていて言葉には問題はないけれども、実態が伴っていない、丁寧な説明になっていないでしょう、思いませんか、なっていますか、これ。最大限の努力になっていないじゃん。

 こういうことで進めるから、再利用してもらうことによって、科学的根拠に従えば安全ですよと私も言いたいし。でも、そんなことをやるから、また福島が悪いイメージになるわけですよ。だって、大臣のところだって千葉で、この除染土、県内で収めると言ったけれども、大臣は自分のところの選挙区に持ってこいなんて言えないでしょう。仮置きでしょう、あれ。最終的な処理は決まっていないわけですよ。福島のやつは県外に持っていくと決めているわけなんだけれども、実証実験の中でこれですよ。

 環境省の役人も西村大臣も言っているんだけれども、実は、住民の理解を得られなくても事業を行うことについて、得られなくてもですよ、可能性は否定しないと言っているんですよ、大臣が。あと、役人においては、地元同意のプロセスは想定しておらず、最終的にどうするかは環境省の判断と言っちゃっているんです。オフィシャルで、環境省の役人が。

 だから、結局、アリバイ的に説明会をやっているだけじゃないの。住民理解をどこまで得るかというまさに定量的なプロセスはないんだけれども、どうするの、回数をやったから、反対者は何人かいるけれども、やるということなの。もう言っちゃっているんだもん、関係ないと。住民理解の努力はするけれども地元同意のプロセスは関係ないと言っているんですよ、大臣も役人も。答えて。

柳本大臣政務官 お答えをいたします。

 昨年末に開催されました住民説明会におきましても、住民周知の仕方、様々なことについて御意見をいただいてまいりました。こういった御意見を踏まえまして、広く丁寧に周知する方法についても地元自治体と今後も相談しながら、開催を重ね、説明に尽くしてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 説明は尽くすけれども、同意は前提じゃないということでしょう。そういうふうに言っているんだから、大臣も役人も。そういうことでいいですか、柳本さん。同意がなければやらないのか。同意がなくても、一定程度努力して、説明を尽くしたらやるのか。やると言っているんだから、大臣も役人も。確認です、それでいいんですね、環境省の方向性としては。説明はやるけれども、同意は関係ないということでしょう。政治家として答えて。

柳本大臣政務官 お答えをいたします。

 実証事業の実施については、地域への説明を尽くしていく中で環境省として判断してまいります。

小熊委員 いやいや、ちゃんと答弁して。尽くすんじゃなくて、同意がなくてもやるのかどうか。イエスかノーかで言ってくれ。

柳本大臣政務官 繰り返しになりますが、住民への説明を尽くしていく中で環境省として判断してまいります。

小熊委員 同意がなくてもやるのかどうかということを答えてください。委員長、答えさせて。

柳本大臣政務官 お答えいたします。

 環境省として判断するということは事実でございます。地域の皆様方に説明を尽くしていく中で判断してまいります。

小熊委員 同意は関係ないということが確認されたというふうに思います。これは非常に問題であって、実証実験の中でこれですから、実際にやっていくとなると、もっと大変なことになるわけですよ。なおかつ、東京ドーム十杯分ぐらいで、減容化すれば処理しなきゃいけないものは少なくなって、でも東京ドーム十個分ぐらいは再利用しなきゃいけないというんだけれども。

 大臣のところだって、公共事業をやるときに使えと言ってほしいの、本当は、アナウンス効果的に。言えないよ、確かに。うんと大臣は言っちゃっているけれども。結局、再利用されなければどこに持っていくのかというと、福島県に。残らないはずなのに、残るわけですよ、そういう問題なんですよ、これ。

 しかも、再利用は、次の質問に移りますけれども、いろいろな法律の根拠が実はないんですよ。閣議決定で基本方針に示した中で再利用というのをやっているだけで、これに関係する特措法とか、放射性物質のいろいろなものを規定している炉規法とかではないんですよ、再利用というのは。閣議決定の基本方針だけでやっているのであって、法的根拠はない。このまま進むのか、法的根拠を作るのか。やらなければあやふやなところが明らかにならないので、法律制定についての努力はどうしますか。

長島委員長 柳本政務官、時間が来ていますので、簡潔に。

柳本大臣政務官 お答えをいたします。

 除去土壌の再生利用につきましては、放射性物質汚染対処特措法第四十一条第一項に規定する処分に該当するものと解釈しております。

 これまでに放射線防護等の外部有識者から成る検討会において安全性評価を含む議論を行うとともに再生利用の実証事業を実施しており、今後、これらの成果も踏まえ、特措法の省令を改正し、再生利用に係る基準を定めることとしております。

小熊委員 最後に一言申します。

 基準値に下がれば土は県外に持っていけるんだけれども、処理水をアナウンス効果のためにトラック一杯分でも福島県外で放出したらと言ったら、いや、基準値に下げたって放射性物質だったものはできませんと言っていたの。我が党の会合のときに水と土はどう違うのと言ったら、役人は何にも答えなかったけれども。

 こういう矛盾があるんですよ。ちゃんとした規定を持ってやっていかないと、根拠を持ってやらないといろいろ今後も問題が起きますし、今日明らかになった、住民説明はするけれども同意が前提じゃないということが確認できたことは、大変な問題だというふうに思っています。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦です。本日は、会派を代表して質問をさせていただきます。

 本年の一月に、本委員会の委員派遣で、宮城と福島の両県に行ってまいりました。視察に際し調査室や関係省庁の皆様には細やかな御配慮をいただき、おかげさまで充実した視察を行うことができましたので、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 さて、今回の視察を通じて改めて考えさせられることや疑問を感じることがありましたので、幾つか伺いたいと思います。

 今回視察した東北電力女川原子力発電所は、私は初めて原子力発電所に入ったんですが、セキュリティーの厳しさに驚きました。九・一一のテロ後、セキュリティーが厳重になったとの説明でしたが、身分チェックに三十分以上かかりました。

 東日本大震災の際は、震源地から百三十キロと最も近い発電所でありながら大事故につながることがなく、設計段階から地震や津波被害を想定し安全対策に反映していた、津波を意識して敷地の高さを高めに設定していたという説明でした。安全に対する意識が高いという印象を受けると同時に、福島第一原子力発電所もこのくらい安全対策をやっていればと悔やまれるばかりです。

 さらに、震災時、地域の方々が女川原子力発電所に避難をしてこられて、約三百六十名の方がおよそ三か月もの間、発電所員の方々と避難を続けられたという話も伺いました。原発施設に避難した唯一の例ということで、ここで伺います。現法令における避難所の法的位置づけ、要件、条件等、御説明をお願いします。

五味政府参考人 指定避難所につきましては、災害対策基本法第四十九条の七に基づきまして、市町村長が、想定される災害の状況、人口の状況その他の状況を勘案いたしまして指定することとされております。さらに、災害対策基本法施行令第二十条の六におきまして指定避難所の基準を定めておりまして、その中で、被災者を滞在させるために必要かつ適切な規模のものであること、被災者等を受け入れ、生活関連物資を配布することが可能な構造又は設備を有するものであること、立地場所について、想定される災害による影響が比較的少ない場所にあることなどを定めております。

 また、内閣府では、災害時に必要な避難所を確保し、適切な運営がなされるよう、避難所に関する取組指針やガイドラインを作成しておりまして、指定避難所においては、平時から事前に必要な施設を指定すること、管内の公共施設のみでは指定避難所を確保することが困難な場合には旅館、ホテルのほか企業の研修施設等を活用できるよう、事前に協定を締結することなどにつきまして自治体の取組を促しているところでございます。

 内閣府におきましては、自治体において必要な避難所が確保されるように引き続き取り組んでまいります。

長島委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

長島委員長 速記を起こしてください。

 早坂敦君。

早坂委員 先ほど、震災時に地域の方々約三百六十名が女川原子力発電所に避難し、およそ三か月もの間、発電所員の方々と避難を続けていたという話は紹介しましたが、長期間避難生活が続くと、物資不足はもちろん、避難者は精神的につらい状況にもなってくると思います。避難所の質の向上について政府としてどう取り組んでいるのか、どう取り組んでいくべきなのかを伺います。

五味政府参考人 避難所の今後の課題といたしましては、避難所生活が長期化するほど健康への負担が増大し、避難者の心身に悪影響を及ぼし、その後の生活再建を大きく阻害する要因となりかねないことから、避難所において良好な生活環境を確保し、質の向上を図ることが極めて重要であると認識しております。

 このため、内閣府におきましては、避難所の取組指針や運営に関するガイドラインにおきまして、例えば、トイレについては十分な数を確保するとともに、衛生、快適性の配慮を始め適切な管理をすること、食事については適温食の提供、栄養バランスの確保など質の確保について配慮すること、生活スペースにつきましては段ボールベッド等の設置やパーティション等を活用することなどについて自治体に対して周知を図っているところでございます。

 また、自治体における先進的な取組をまとめた事例集の作成、周知を行っておりまして、この中では、ボランティア等による炊き出しやキッチンカーの派遣、学校給食施設の活用、トイレトレーラーの導入や、各避難所の想定避難者数に合わせた携帯トイレの備蓄などの優れた取組事例を紹介し、自治体の取組を促しているところでございます。

 内閣府といたしましては、引き続き関係省庁や自治体と連携しながら避難所の質の向上に努めてまいります。

早坂委員 ありがとうございます。

 私は十二年前に被災地に物資を運んでいったんですよ、そのとき、高台の病院があるんですけれども、そこに皆さんはまず避難をしていましたが、そこの周りを三百六十度見ても何もないんですよ。だから、避難するにも車もない、学校もないんですよ、だからこそ原発の発電所に行ったんだなというのがありますが。

 現在、女川原子力発電所は二十九メートルの防潮堤も建設しており、安全面でこれ以上ないほどに安全な施設ではないかと思います。南海トラフ地震も近い将来起きるかもしれないと言われていますので、女川に限らず、今後原子力災害のおそれがないという前提の下、原子力発電所を緊急避難施設として活用することはできないのか、政府、関係省庁で議論を進めるべきじゃないんでしょうかね。セキュリティー対策など課題が大変多くあると思いますが、女川原子力発電所の例もありますから、できないことはないのではないかなと思います。いつ東日本大震災のような災害が来るか分かりませんので、是非、今からでも遅くないんです、だからこそ可能性のある対策を考えていただきたい。是非お願いしますね。

 では、次の質問をさせていただきます。災害対策情報収集手段としてのいろいろな開発が進んでいると思うので、実用化の状況をちょっとお伺いしたいんですけれども。

 視察に行きまして、福島県の相馬市にありますTERRA LABO Fukushimaという企業の研究施設を視察しました。この企業は、大規模災害発生時に正確な被災状況を長距離無人航空機で収集し、データ解析をするなど、広域災害システムの研究開発を行っております。災害対策に関する研究開発を進めると同時に、地域の雇用創出と産業振興を行うなど、復興に大きく貢献してくださっております。

 災害が発生した場合、人間が直接入ることができない地域の情報収集や人命の安否確認など、ドローンやAIの技術が今後更に重要になってくると思います、自然災害が多発する日本においてドローンなど先端技術を駆使して災害対策における情報収集に生かすことは必須ではないかと思います。民間企業の協力が大変必要だと思いますが、研究開発、実用化の現状を伺います。

高原政府参考人 お答えします。

 頻発する自然災害に対して、広域かつ迅速に被災状況を把握し、的確な初動対応につなげるため、先端技術を活用した情報収集手段の整備を推進していくことは非常に重要であると認識しております。

 政府としては、JAXAによる小型無人航空機技術を活用した放射線モニタリングシステムの開発など、これまでにも災害情報収集技術の開発を進めてまいりました。

 また、内閣府の施策である戦略的イノベーション創造プログラムでは、ゲリラ豪雨の早期検知を可能とする気象レーダーや国内外の人工衛星によるデータを活用し、台風や線状降水帯による広域被災状況を把握する技術など、先進的な研究開発を行ってまいりました。

 さらに、今後の取組としましては、御指摘の無人飛行機、ドローンや地上の各種センサー、カメラなどから得られる情報を組み合わせた、よりきめ細かい情報の創出とデータ利活用を進めていく必要があると認識しております。

 これらの課題については、今年度から実施します戦略的イノベーション創造プログラムで取組計画としているところであります。具体的には、先端ICT、AIなどを活用した災害対応を支える情報収集、把握の更なる高度化と、情報分析結果に基づいた個人、自治体、企業による災害への対応力の強化に取り組み、被害の最小化を目指していくものです。

 引き続き、災害情報の収集や分析などの災害対応の高度化に向けて研究開発を推進してまいります。

早坂委員 ありがとうございます、課題まで言ってくれて。課題の質問をしようと思ったんですけれども、課題のことも答弁いただいて、ありがとうございます。

 産官学の連携や、官民一体になって取り組む必要があると思います。十二年前はドローンがあったのか、ちょっと私も認識不足で申し訳ないんですけれども、今は本当に実用化できるように進化していますので、是非ともどんどんどんどん進めていっていただきたいという思いです。

 次に、観光需要の喚起策についてお伺いしたいんです。

 現在、日本に訪れる訪日外国人は、コロナ前に及ばないものの、入国再開後、百八十万人を超えました。仙台駅も人がいっぱいです。東京はもっとすごい人だと思いますが、日本人の旅行者も大分増えているようですが、インバウンド需要もかなり戻ってきているようです。そこで、福島県はどうか、伺いたいと思います。

 放射性物質による汚染の有無、その状況が正しく認識されていないため、農林水産業や観光業を中心に風評被害の影響がまだ残っております。また、今年の春から夏にかけてALPS処理水の海洋放出が行われるということですが、特に被災地の住民や漁業関係者などから新たな風評影響について依然として懸念の声があります。

 政府には、風評払拭に向けた情報発信など対策、取組をしっかりしていただき、観光業の再興に重点的に集中して入れていただきたいと思います。福島県の観光需要喚起策の取組について伺います。

中村政府参考人 お答えさせていただきます。

 観光庁では、震災による被害ですとか原子力災害に伴う風評被害からの観光復興を促進するため、福島県が実施する滞在コンテンツの充実ですとか強化、さらには受入れ環境整備、プロモーション強化などの取組に対しまして継続して支援を行ってきているところでございます。

 具体的に申し上げると、福島県が推進しておられますホープツーリズムとサイクリングを組み合わせた旅行ができるような、これらの知識を兼ね備えたガイドの養成ですとか、教育関係者などを対象としたモニターツアーの実施によるモデルコースの磨き上げ、さらには海外旅行博における福島の魅力のプロモーションなどの支援を行っているところでございます。

 引き続き、関係機関と連携しながらこうした支援を着実に実施してまいります。

早坂委員 しっかりお願い申し上げます。

 ここで、大臣に福島の観光業再興にかけての意気込みをちょっと聞きたいんですが。

 ここ数年、一年に一度、福島県、宮城県では大きな地震が起きております。東日本大震災の余震とも言われておりますが、中でも二〇二二年三月十六日の地震では甚大な被害を受けました。私が視察に訪れた相馬市の旅館は、建物が傾き、壁は倒れ、床も崩れるなど、すさまじい光景でした。三月十六日は実は三連休前で、予約も満室、食材も通常より多く仕入れており、大幅な赤字です。オーナーは大変肩を落としておりました。

 昨年の十二月に、改めてそのオーナーに話を伺いました。旅館は二年後に建て替えることが決まり、これから解体工事が始まるということでしたが、今は旅館の駐車場で家族全員で海産物を焼いて販売しているんですよ。是非、大臣に行っていただきたいなと思います。本当においしかったです。

 このような話は珍しいものじゃないんです。度重なる震災の余震で建て替えたばかりの建物が被災するなど、苦しんでいる方は本当に多くいらっしゃいます。皆さんは、グループ補助金の活用をしながら困難を乗り越えてきています。

 また、今回の委員派遣で、福島県の旅館ホテル生活衛生同業組合の方々と面談をしました。皆さんは、ALPS処理水の海洋放出に伴う観光業への影響を懸念しておりました。同時に、福島県全体の観光需要喚起策を切望されていらっしゃいました。

 福島県の未来をどう描いていくのか、大臣に御決意を伺います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 観光につきましては、今、観光庁の方から観光の関係についてもお話がございました。ただ、私の方としては、まず、福島の復興をどのように進めていくか、その意気込みというものをまずお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、原子力災害の被災地域においてはいまだ多くの方が避難されております。引き続いてこの問題については国が前面に立って中長期的に対応していく必要があるというふうに思っております。

 そのために、復興の基本方針を踏まえまして、生活環境整備、長期避難者への支援などのほかに、特定復興再生拠点区域の整備、拠点区域外の避難指示解除に向けた取組、福島国際研究教育機構の構築、なりわいや農林水産業の再生、風評の払拭と風化の防止、さらには帰還、移住の促進などを着実に進めてまいりたいと思っております。

 その上で、福島の魅力をいかに発信していくか、大変重要な課題だというふうに思っておりますので、福島の魅力をこれから更に発信していきたい、そのように思っております。

 その中で、例えば、実際に福島に来てもらう、福島の現状を見てもらう、そして食材を食べてもらう、こういったことを進めていくことが大変重要だというふうに思っております。さらには、震災遺構、伝承館等もございます、こういったところに是非ともお越しいただいて、防災教育等を実施していただければな、そのように思っているところでございます。

早坂委員 そうですね、東日本大震災から十二年たちまして、私の息子も当時は十歳だったんですけれども、今は二十二歳です。覚えていますよね。ただ、生まれたばかりの子は本当に覚えていませんから、防災教育を含めて、東日本大震災を風化させることなく、私も全身全霊を懸けてしっかり頑張ってまいります。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 今日は、原発、原子力震災と避難に関する質問をさせていただきます。

 まず、自然災害では、一般的に住民の皆様というのは被災地の近くで避難生活を送る場合が多いと思うんですけれども、いわゆる原発震災では、放射能の汚染も当然広いんですけれども、被災者の方の避難がかなり広範囲になっていると考えています。場合によっては、全国に及ぶものになっております。さらに、避難期間がかなり長期間になることも原発震災の特徴と認識しています。

 原発事故に伴う避難指示区域に居住していた方の住居というのが、地震による倒壊とか洪水による浸水のように使えない状態に実はなっていたりとか、滅失していない場合が多いということも一つの特徴かと認識しています。ですので、こういった広範囲かつ長期、そして避難前の住居が残された状態での避難が、平時の生活に戻る際、これからですけれども、どういった課題、論点があるかというようなことを中心に質問させていただきます。

 原発事故から十二年経過しまして、避難指示解除区域市町村では、その間に除染やインフラ復旧、再生などが行われて、今まさに帰宅困難区域を除いて避難指示が解除されつつあるんですけれども、住民の皆様が避難指示が解除された地域に帰還することが可能になった上で、長期に、繰り返しになるんですけれども、避難指示が続いたために自宅が荒廃している場合が非常に多いというか、ほぼほぼそうなんでしょうけれども、あとは帰還意向の強い方、特に高齢者の方が多いかと思われるんですが、やはり自宅を新たに造り直したりとか購入したりすることが現実的に難しい場合が多々あると考えております。

 こういった方のためにも、避難指示解除区域市町村では、帰還者向け災害公営住宅若しくは福島再生賃貸住宅などの公的な賃貸住宅が供給されつつあると認識しています。この二つの賃貸住宅、公営住宅と再生賃貸住宅は入居条件が違うというところはあると思うんですけれども、ここで質問になりますが、それぞれの概要を含めて、入居要件だけじゃなくて、建物のスペックとか賃料とか建設における補助等、何かしら、どういった違いがあるのかといったところを御回答いただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 福島再生賃貸住宅及び帰還者向け災害公営住宅につきましては、いずれも、避難指示が解除された市町村への帰還環境の整備を目的として市町村等で整備をする住宅でございまして、国におきまして、福島再生加速化交付金を活用し、その整備でありますとか家賃低廉化のための費用を、通常より補助率をかさ上げをいたしまして支援をしているところでございます。

 このうち、お尋ねがありました福島再生賃貸住宅につきましては、入居要件は、収入分位八〇%以下の帰還者及び移住者となっております。家賃につきましては、近傍同種家賃から市町村が一定程度引き下げた額、整備につきましても、広さあるいは省エネ性能などが一定の基準に適合するものなどの要件がございます。

 また、帰還者向け災害公営住宅につきましては、入居要件は、帰還者であることでございます。家賃は、一般の公営住宅と同様に、収入に応じて決定された額、整備につきましては、国の方で定める基準を参酌をして地方自治体の方で条例で定める基準に適合するものなどとなってございます。

赤木委員 そういった二つの住宅が、既に相当数の供給計画と供給実績があると思われますが、この福島再生賃貸住宅と帰還者向け災害公営住宅について、その計画と実績、さらに進め方を含めた評価について御見解をいただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 福島再生賃貸住宅につきましては、現時点での計画戸数は三百二十二戸、このうち二百一戸が既に完成をしておりまして、残る百二十一戸につきましては令和七年度中までに完成予定となってございます。

 それから、帰還者向け災害公営住宅につきましては、現時点での計画戸数は四百五十三戸、このうち四百三十一戸が既に完成をしておりまして、残る二十二戸は令和六年度中までに完成予定となっているところでございます。

 これらの整備につきましては、避難指示区域の解除に合わせて行われておりまして、おおむね順調に進められてきているものというふうに認識をしております。

赤木委員 ありがとうございます。

 それぞれの住宅の立地場所を決める上で、避難者の方の意向とか、当然、自治体の復興計画とか復興拠点にしよう等々、いろいろな考え方があるとは思われますが、実際に立地場所の選定方法、選定理由というのはどのようなものになっているかを御回答をお願いします。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 福島再生賃貸住宅及び帰還者向け災害公営住宅につきましては、避難指示等により住民が避難をし、地域の再生に支障が生じている市町村が整備を進めているところでございます。

 先生御指摘の立地場所につきましては、国で基準等を定めるということは行っておりませんで、実際に整備を行う市町村の方で、放射線量が低いことでありますとか、役場に近いなど、生活や交通の利便が高いこと、それから町有地など、活用できるまとまった土地があることといったようなことを勘案して個別に選定がされているというふうに聞いております。

赤木委員 ただの住宅としてだけの立地じゃなくて、利便性を含めたりとか、復興の拠点としての役割も果たすようなものになっているということ、理解できました。

 先ほどの実績という部分で、住宅として建ち上がっているとのことですが、実際の入居状況について、どの程度の稼働率というか、入居状態になっているかを教えていただきたいのと、あと、福島再生賃貸住宅の場合は、帰還者以外も、移転されてくる方も入居が可能とのことですが、実際、どれぐらいの割合でこの移転者の方が入居されているかといったことも教えていただけますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 入居状況につきましては、令和五年三月三十一日時点でございますが、福島再生賃貸住宅は、管理を開始している百九十二戸のうち百七十八戸について入居又は入居予定となってございます。

 また、帰還者向け災害公営住宅につきましては、管理を開始している四百三十一戸のうち三百九十九戸が入居又は入居予定というふうになってございます。

 そして、福島再生賃貸住宅の入居者のうち移住者の占める割合についてでございますが、管理をする市町村からは、おおむね半数程度というふうに伺っているところでございます。

赤木委員 ちょっと通告と質問の順番が一つ入れ替わるんですけれども、かなり高い稼働率というか、入居状態ということなんですけれども、一方で、入居を希望された方が全員入居できているのか。あとは、逆に、空きができれば実は入りたいとかという方が実際にいらっしゃるのかという、入居希望状況ですね。あとは、足りなくなった場合に追加の建設をする計画があるのかといった点についても御回答いただけますでしょうか。

由良政府参考人 先生御指摘の福島再生賃貸住宅及び災害公営住宅において、募集戸数に対して応募世帯数が超過し、希望しても入居できないケースがあるということは承知をいたしております。

 国においては、各自治体が自らの町の復興のために実施する必要のある事業について、福島再生加速化交付金により様々な支援を行っているところでございます。

 住民の居住の安定を図るため、福島再生賃貸住宅及び災害公営住宅の整備についても、各自治体において必要な事業が進められるように、引き続き国として必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

赤木委員 ちょっといま一つ理解がうまくできなかったんですけれども、追加で増やしていく予定というのは、基本的に自治体が決めることという理解でよろしいでしょうか。

由良政府参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、各自治体において、入居希望者の方、特に、抽せんで漏れた方がどういう御希望をされるか改めて確認をし、地域における建物の需要を踏まえて、各自治体においてまず計画を検討いただいて、その上で、復興庁として御支援をしていくということで考えております。

赤木委員 分かりました。

 あと、入居者の内訳が、私は勝手に、ほとんど帰還者の方ばかりなのかと思ったんですけれども、先ほどのお話だと、半数ぐらいが、移住者の方が多いとのことです。

 実際、帰還された方も、長い間、十年以上離れられているということもありますし、さらに、移転されてきた方との交流というのがどれぐらい発生しているかというのが少し懸念をしています。特に、被災された方は、高齢者の方も多いですので、孤独感を感じられたりとか、不安を感じられているという部分があるとは思うんですけれども。

 そういった入居者さんたちのコミュニティー等の形成に対して、何かしらの支援をされていたりとか、対策、施策を取られているかといった点について御回答いただけますでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 福島再生賃貸住宅や帰還者向け災害公営住宅等に帰還あるいは転居された方につきましては、新たな住まいにおけます被災者の復興のステージに応じたきめ細やかな支援が必要と考えてございます。

 このため、復興庁におきましては、被災者支援総合交付金を通じまして、自治会の設立支援や、交流会の開催などのコミュニティー形成に対する支援、人と人とのつながりをつくり、被災者の生きがいをつくるための心の復興事業に対する支援、生活支援相談員による見守り、相談、あるいは買物、通院など、日常生活の困り事への支援など、自治体の取組を幅広く支援させていただいているところでございます。

 引き続き、被災自治体のニーズを丁寧に伺いながら、被災者に寄り添った取組を推進してまいりたいと考えてございます。

赤木委員 私がお会いする被災者の方も住民の交流の機会の充実を、今のお話のように、求められている方も多いんですけれども、一方で、戻ってからの新しい生活をするという意味で、生活環境の満足度に関して、例えば医療環境とか買物環境に不安を持たれている方が非常に多いと感じていますので、ハードだけではなくて、今までの質問にも多々出てきましたが、ソフト面の両側面から、生活環境に関わる課題の解消に向けた取組を進めていただけるようによろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと質問のテーマを、特定復興再生拠点区域における建物、家財の国費解体処分、除染に移らせていただきます。

 まず、国費で家を解体する若しくは処分するといった点について制度の概要を教えていただきたいということと、あと、実際にどれぐらいの申請件数があって、さらに、それがどの程度実施済みなのかといった実施状況についても御回答いただきたいと思っています。

 あと、追加でたくさん申し訳ないんですけれども、実施されていない案件に関して何かしらの課題があるのかということですね。例えば、申請されたばかりでまだ実施できていないよというだけ、時間の問題なのか、逆に、いざ解体しようと思うと、実は、すごく放射線量が多くてちょっと手が出せないものがあったりとか、若しくは、持ち主さんの気持ちがかなり揺れ動いていて、申請はしたものの、途中で撤回、撤回というか、申請を取り下げられる方が多いのか、そういった部分もかなり気になっていますので、以上、御回答いただけますでしょうか。

    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕

土居政府参考人 特定復興再生拠点におきます家屋等の解体につきましては、内閣総理大臣が認定をしました各町村作成の復興再生計画に基づきまして、建物の所有者の解体意向を、申請を受けることにより確認をしまして、実施しているという制度になっております。

 この実績といたしましては、令和五年二月末時点での解体申請受付件数、こちらは六町村全体で四千五百八件となっております。そのうち、解体実施済件数は三千八百八十七件でございまして、申請を受け付けた家屋等の八割を超える件数につきましては解体を終了しております。環境省といたしましては、できるだけ早く解体に着手してきたというところでございます。

 今後の見通しとしましては、引き続き、解体申請をいただいた案件につきましては、できるだけ速やかに解体していこうというふうに思っております。

 御質問いただきました、これが少しスピードが上がらない要因といたしましては、例えば、権利関係の整理に若干時間を要しているであるとか、あと、中の家財道具で思い出のあるものを是非出したいという御意向のために少し時間を待ってくださいというお話もございますので、その様々な要件につきましては、申請者のお気持ちを丁寧に伺いながら、スピード感を持って対応したいというふうに考えております。

    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕

赤木委員 私は、国土交通委員会の方で今まさに空き家法の改正も携わっていたりするんですけれども、ちょっと同じ、空き家ではないんですけれども、解体、除却となったとき、少し意味合いが違ってくると思いますので、先ほど御回答いただいたみたいに、まさに被災者の方に寄り添った形で進めていただければと考えております。

 さらに、解体の申請期限が、これも自治体の裁量に委ねられているとは思っているんですけれども、実質的に避難指示の解除から一年以内が申請期限になっていると認識しています。これについて、この申請期限の妥当性というか、一年が果たして長いのか短いのかといった部分、現場の状況も踏まえて御回答いただきたいなということと、あと、遠方に避難されている方がそのことを知らなかったりとか、所有者が亡くなられて家を相続された方が実は国費取壊し制度そのものを知らない場合、申請期限を過ぎてから問合せをされることもあるという話を少し聞いていますので、そういった場合に、柔軟な対応をされているのか、やはり期限は期限だよという形で打ち切られているのかといった点について御回答いただけますでしょうか。

土居政府参考人 従来、避難指示が出されている地域におきましては、避難指示の解除後に初めて自身の所有します家屋等の現状を認識され、解体をするか否かを検討される方もいらっしゃるというのが実態でございます。このような事情も考慮いたしまして、拠点区域の解体申請の期限につきましては、環境省から各町村に個別に御相談をさせていただき、決定してきたところでございます。こうしたプロセスを経ることによりまして、各町村の状況を踏まえた期限を設定できているというふうには考えております。

 なお、申請期限後に寄せられた申請につきましては、基本的には受け付けないということにしておりますが、そういう仕組みでございますので、期限までに申請をいただけるように、環境省といたしましては、各町村と連携をさせていただきまして、広報紙を通じた周知であるとか、あと避難先への郵送による告知、こういったもののほか、申請を検討されている方々の相談窓口を環境省といたしまして各町村に設けさせていただきまして、個別の御相談を承るなど、対応を進めてきているというところでございます。

赤木委員 特に、相続を受けられている方なんかはそもそもが知らなかったりする場合もあって、非常に大変な業務になるとは思いますけれども、少しでも周知をしていただければと考えております。

 次に、最後の質問になってくるんですけれども、避難者の方が戻られたとしても、そもそも事業というか、お店とかがなければなかなか生活することはできないという問題は当然あると思います。それで、避難区域内に元々いらっしゃった方たち、事業者さんたちが事業の再開状況をどのように考えられているかということについての質問になります。

 避難区域内の事業再開状況について、例えば業種とか企業形態とか、あと、そもそも事業者さんがどの程度戻ってこようとされているかという、再開の希望状況とか意向をどのように把握されているかといった点について、さらに、その意向を踏まえて、今後、事業再開についての支援をどのように進められるかといったことについての御見解をいただけますでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力災害被災地域におきます被災事業者の事業再開につきましては、福島相双復興官民合同チームがございまして、これまで約五千八百者の事業者への個別訪問などを通じまして支援を行ってきたところでございます。その結果でございますけれども、震災前の約三割強に当たります事業者の方々が地元で事業を再開されたものと認識してございます。

 今後とも、被災事業者の事業の再開や継続に向けまして、官民合同チームを通じまして個々の事業者の意向、これを丁寧に伺いつつ、事業計画の策定、設備投資、人材確保、販路開拓などの支援を継続してまいりたいと考えてございます。また、新たな企業の誘致や福島イノベーション・コースト構想による新産業の創出などによりまして、被災地で働いたり、あるいは住んだりする方々を増やし、消費需要を増やしていくことも重要でございます。引き続き企業立地に向けた支援なども進めてまいりたいと考えてございます。

 被災事業者の事業、なりわいの再建に加えまして、新産業の創出を産業復興の両輪として全力で取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

赤木委員 まさに官民合同チームで六千者近い事業者さんに直接ヒアリングしてコミュニケーションを取られているということですけれども、そういった実際の活動をなかなか我々も知るのが難しい部分もありますので、是非そういう手厚いというか、同じ目線に立った支援をされているといったことも周知していただきながら、続けていただければと考えております。

 最後に、質問ではないんですけれども、是非ちょっと大臣にこんなことがあるというのを知っていただきたいことがあって、少しお話をさせていただきますと、ローマ字でBOUSAIというものが、かなり今、福島、福島というか仙台とかも含めて広がっています。

 東北大学さんは、防災ISOで、国際基準を作ろうとしていたりとか、あとは仙台防災テックイノベーションプラットフォームという、かなり面白いことをされていまして、防災とテクノロジーとビジネスを組み合わせたことをされていたりもしますので、是非、国として、政府としてもそういったことの支援を全力で進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

長島委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 一月の視察は、オブザーバーの私も連れていっていただきまして、本当にありがとうございました。原子力発電所は二度目の訪問でありました。初回は、十二年前、震災の直後、陸上自衛隊員として行きました。それ以降、二回ぶりでしたけれども、あの防潮堤というもの、テレビでは見ていましたが、初めて見て、大変すばらしい大きな建造物でありました。あれは、やはりインターネットで見る分には分からないだけの大きなものでありました。その後で、我が党のエネルギー調査会としても、東海発電所、東海第二発電所を視察をさせていただいて、防潮壁も拝見をしてまいりました。おおむね完成しているということで、来年ぐらいには完成をするということでありました。

 これはやはり津波への備えということでやっておりますが、この国の中で、至らないとはいえ、いろいろ防災について備えている組織というのは、やはり自衛隊であろうと思います。

 私が十八で入隊したときに教官に言われたのは、腕立て伏せをして鍛えているんじゃない、備えているんだ、我々の体力をつくることがいざというときのために役立つんだということで訓練をさせられ、また、東日本の震災を経た後で言われたのは、三月十一日という日は、東日本の震災の日だけではなくて、予備自衛官に初めて出動命令が出た日であると。これは、今まで自衛隊が備えてきたことが、いいことではありませんが、役に立った瞬間だったと思います。

 ですから、原発についての備えも、もちろん、止める、冷やす、閉じ込める、これが大原則でありますし、そもそも津波というものに対しての対応はちゃんと知っておくべきだと思いますが、あの防潮壁も、造ってこれから先使っていくということでは非常にいいものなんですが、一方で、じゃ、あの防潮壁はいつまで使うのかということですね。

 原子力発電所については、運転期間が定められて、延長も認められる。しかし、その後で廃炉に至るまで、東海発電所も含めてですけれども、まだ建屋は残っております。あれが今進行中の初めての廃炉作業ですから、それですら建物がまだ残っているものということは、今、防潮堤を造って、発電、再稼働に向けていろいろ議論をしている発電所についても、再稼働の期間が終わって、その後、廃炉に至るまでの期間もずっと防潮壁が機能し続けなければいけないわけであります。

 そう考えると、廃炉までの期間を見据えたロードマップ、計画を立てておかないと、動かします、いつまで大丈夫ですだけではなくて、その後、完全に除去されるまでの期間、備えが続いていなければいけないということですから、この計画をあらかじめ策定しておくというのが一つの備えであると思いますけれども、これは経産省に伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の重要設備の保全につきましては、今般、国会に提出し、御審議いただいているGX脱炭素電源法案におきまして、原子炉等規制法を改正し、原子力規制委員会が、運転期間が三十年を超える原子炉について、十年以内ごとに事業者の長期施設管理計画の認可を行うとともに、その実行状況を確認する厳格な制度を創設することとしていると承知をしております。

 一方、そうした制度とは別に、事業者においても、規制基準を充足するのみならず、自ら安全性を不断に追求する体制を整備することが重要と認識しております。

 経済産業省といたしましても、審議会での議論を通じ、規制基準の充足に加えて、事業者に自主的、継続的な安全性向上の取組を促してきたところでございます。

 これを受けまして、電気事業者とメーカーが連携し、事業者間での設備保全に関する知見の共有や、米国など海外の知見の取り込みなどを進めているものと承知をしております。

 引き続き、経済産業省といたしましても、こうした事業者の取組をしっかりと指導していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 運転を安全に行うということは大前提です。それはやっていただかなきゃいけないし、十年ごとに検査をするのも当然です。

 ただし、それ以上に安全性を確保するべきかどうかということを事業者に任せているということですが、東海発電所が商業運転を始めた一九六六年七月以降、原子力発電を国策でやってきたわけじゃないですか。国でやってきたものに対して、事業者にそれ以上のことをやってくださいとお願いするだけではなくて、国もしっかり責任を取って計画を立てなければいけないと思います。

 また、先ほども申し上げたとおり、運転している間だけではないんですよ。運転が終わって廃炉を待っているプラントが想定以上の津波に襲われたらどうしますか、大地震に襲われたらどうしますか、そういうことも踏まえて計画を立てなければいけないということを申し上げているんです。

 もう一度、ちょっとその点を踏まえてお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございました原子力施設につきましての安全につきましては、事業者の方で様々な取組が行われているところでございます。

 もちろん、原子力規制委員会における規制もございますけれども、我々といたしましても、自主的、継続的な安全性向上の取組ということで、引き続きの取組を進めていきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 何度も言いますけれども、国策で進めてきたことを事業者に丸投げするようなことはあってはならないんです。国も責任を取ってやるべきだと思います。それで事業者だけが言われるというのは私は違うと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、ちょっとジャンルが変わりますけれども、これは大臣に伺いたいと思うんですが、つい先日、県がアンケートを取ったところ、災害公営住宅に入居する、恒久化するとなったときに、精神面での安定が見られたと。要するに、健康被害に至らないようになったということで、先ほど来議論がありましたけれども、住み替えをしなくてもよくなったということ、これが精神的に与える影響というのは非常に大きいんだろうと思います。

 かつ、申し上げれば、幾つかの場所では、NPO法人が例えばコミュニティー交流員というのを派遣したりとかして、お茶会をやったり懇談会を開いてくれたりとか、あるいは、空き家を有効活用して、そこをシェアハウスのような形にして、入居者とあるいは地域住民たちが一緒に野菜とか花を作って、そこで取れた野菜でパーティーを開くとか、こういうことを運用しているという実例もあったりするようで、やはりコミュニティーの形成というのは非常に重要ですし、今までも取り組んできていただいたものだと思います。

 ちなみに、今挙げた例は、私が先日来申し上げているノウハウ集に載っております。非常によくできているというのはそういうことです。こういうことがちゃんとノウハウとして認められているということは非常にいいことだと思うんですけれども、ノウハウ集の中には数字が書いていないんですよ。こういうことをやりましたと、先ほど申し上げたように、NPO法人がやりましたとか、シェアハウスをつくりましたと書いてあります。こういう取組をやっています、非常にいい取組だということは分かるんですが、これが定量的にどういう効果があったかというところまではまだ追えていないんですね。だから、あのノウハウ集は、まだ私は概成段階だと思っています。

 今回のアンケート調査の結果も踏まえて、こういう取組をやったことによって、災害公営住宅に入った方々の精神面の健康でこれぐらいの効果があったんだというところまで落とし込んで、やはり少しずつブラッシュアップしていっていただきたいと思いますので、国としてもう一回再検査すると何万という数になりますから、それをすると大変なので、あらかじめ今あるデータを共有する形でノウハウ集をブラッシュアップしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 委員は既にノウハウ集を御覧になっていただいたということで御質問でございますが、このノウハウ集につきましては、令和三年三月に公表した冊子版のほかに、昨年度から、検索性等に優れた、使い勝手のいいウェブサイトも構築したところであります。このサイトでは、各分野の教訓ごとに、関連する事例や文献、調査等についてリンクを設けること等によって参照できるようにしております。

 委員御指摘のとおり、公営住宅等の入居者の健康調査を始めとします現在掲載されていない調査等についても、関係省庁との連携や被災自治体との連携によって、このサイトへの掲載等を検討してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 教訓を生かしていくということでは、これに一つ一つ追加して、よりいいものに是非していただきたいと思います。

 では、質問はまた変わりますけれども、今ほど申し上げたように、復興のデータベースみたいなものは非常に重要なんですが、各地で、予算不足とかあるいは交付金がもう支給されなくなったということで、震災のアーカイブが閉鎖が相次いでおります。

 まず、今日は、国会図書館の館長をお呼びしておりますので、実際にどれぐらいの数が閉鎖になったか、お答えいただければと思います。

吉永国立国会図書館長 お答えいたします。

 閉鎖のアーカイブは、実際のところ、当館が受け継いだものとしては四件ございます。

 以上でございます。

鈴木(敦)委員 閉鎖が相次ぐというのは、結局、震災が起こった直後に作ったアーカイブについては、関心があるので非常に多くアクセスがあった、だんだんこれがアクセス数が減ってきていて、費用対効果が悪くなったので、もう運営できないということで、閉鎖をせざるを得ないという状況になっています。

 こういうのは、自治体だけではなくて、大学とか研究施設とか、いろいろなところがぽこぽこいろいろアーカイブを持っていて、幾つかあるんですけれども、それも補助金が入らなくなると、どんどんどんどん閉鎖に追い込まれるところが増えていっています。

 館長からいただきたいと思うんですけれども、今、閉鎖してしまって、そこにある資料、写真、こういったものは国立国会図書館としてどう対応されていらっしゃいますか。

吉永国立国会図書館長 お答えいたします。

 国立国会図書館は、東日本大震災を始めとする地震災害に関する記録を一元的に検索できるポータルサイトとして、国立国会図書館東日本大震災アーカイブ、愛称「ひなぎく」を運営し、インターネットで公開しております。国立国会図書館が収集した震災記録はもちろん、公的機関に加え、報道機関、教育機関、NPO、ボランティア団体、民間企業などの震災アーカイブと連携し、それぞれが所蔵する震災記録を四百万件以上を一元的に検索し、活用することができます。

 「ひなぎく」は、これまで四件の閉鎖された震災アーカイブから一万五千件以上の震災記録を引き継ぎました。

 国立国会図書館といたしましては、震災アーカイブが閉鎖される際には、所蔵されていた震災記録を可能な限り同じ地域で引き継がれ、活用されることが望ましいと考えております。しかし、地域における引継ぎが困難である場合には、公開されていた震災記録が永続的に利用できるように、「ひなぎく」による引継ぎを含めて、貴重な震災記録を保存するための役割が果たせるよう努めてまいります。

 以上です。

鈴木(敦)委員 大臣、今ほどのように、閉鎖されてしまったものでどうしようもないものは国で、国立国会図書館が管理をしています。ただ、一方で、被災された地域ごとに伝承館のようなものをたくさん設けているにもかかわらず、そこから離散してしまって、国が一元管理をしなければならなくなるアーカイブが、一定数、一万以上存在しているということなんですよ。

 だから、やはり現地のものは現地で持っていていただいた方が私はいいと思いますし、それは現地で語り継いでいただく歴史だと思います。もちろん、国が関与することに文句は言いませんが。ただ、そのための枠組みは国でつくってあげなきゃいけないと思うんですよ。国立国会図書館が全て管理してくれるということではなくて、現地で、基本的には現地の人たちに伝えていってもらう、何が起こったのかということをちゃんと子供たちにも伝えていくということですね。

 これは国もやってほしいし、地域地域でも語り継いでいっていただかなきゃいけないところだと思いますので、是非、ルートを決めていただくというか、どうしてもしようがない場合はしようがないですが、地域でもできる限りアーカイブを保全できる体制、これを整えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、何かお答えがあれば。

渡辺国務大臣 突然の御質問でございますが、大変関心があることです、私も。伝承していく、記憶と教訓、これをどのように伝えていくかということは大変重要でございます。

 現在も各地域において震災遺構や伝承館があります。これがあることによって、逆に言うと、まず、教訓がそこでしっかりと継承できるというふうに思いますし、さらに、その場所は今後様々な形で利用できるというふうに思います。一つは、観光資源になるかもしれません。又は、防災教育につながっていくかもしれない。その意味では、地域で存在していることがすごく重要だ、そのように思っておりますので、しっかりとその辺は検討していきたいと思います。

鈴木(敦)委員 突然申し訳ありません、ありがとうございます。

 この件はちょっと私も大事なことだと思っていまして、写真が残っていたりインターネットに残っていたりしても、結局、現地のことを子供たちが何も知らないということ。これも、委員の皆さんたちも御存じのことだと思いますけれども、少なくとも、地元にいたとしても、郷土史家でない限り、地元に何があったか知らない方は多いと思います。私は地元が川崎ですけれども、川崎市電というのが通っていたことを誰も知りません。市電通りという名前があるのは知っていますけれども、その時代のことを誰も知らなかったり、これは現地にアーカイブがないからであります。是非、これは震災に関連して残していただきたいことだと思います。

 次に、ちょっと毛色が変わるんですけれども、放射性物質の汚泥の処理についてであります。

 もう既に数千基のタンクに泥が入っている状態になっておりますけれども、当初の予定よりも早い期間で充足していってしまっているという状態であります。

 この点につきまして、高性能容器の耐用期間がどれぐらいのものか、それから、どれぐらい置いておかなくちゃいけないと考えていらっしゃるのかを伺いたいと思います。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 ALPSによって汚染水を浄化処理する際に生ずる泥状の放射性廃棄物、いわゆるスラリーにつきましては、御指摘のように、HICという専用の容器に入れて保管をしております。

 この容器は、放射性廃棄物から吸収する放射線量を積算して五千キログレイを超えないようにする観点から利用されるわけですけれども、線量は容器ごとにそれぞれ異なるので、一律に耐用年数が決められるわけではございません。これまでの事例を参考にしますと、二〇一三年からこの保管を開始をし、積算の吸収線量が上限に近いものから順次別の新しいものに入れ替えていくという作業を行ってまいりましたけれども、その実績を踏まえますと、約十年程度利用できるというふうに見込まれます。

 また、HICの今後の残置期間についてもお尋ねがございましたけれども、HICからスラリーを取り出し、脱水する処理設備の設置によって、この残置期間を短くしながら、よりリスクの低い形態で保管を目指しているところでございます。

 この計画が着実に進んで、できるだけこの保管をしっかりやっていくように我々も努めてまいりたいと思いますし、東京電力も指導してまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 更に伺いたいと思いますが、この高性能容器だけではなくて、ALPSを通してもう一度こし取ったスラリーについての増加分が、現在の増加の見通しに含まれておりません。今のまま処理をしている分の増加率でいうと、早くて二〇二六年四月頃、うまくいけば二七年六月頃まで満杯を避けられるという説明がありますが、これはあくまで今のままの処理を続けた場合の数値。ALPSで処理をして更に増加した分については、これは入っておりません。

 入っていないということは、この予想よりもはるかに早く満杯の時期が来てしまうという可能性があるわけですが、これについてはどうお考えでしょうか。

太田副大臣 ALPS処理水の海洋放出を進めるに当たりましては、今後、東京電力におきまして毎年放出計画を策定することにしておりますので、これを踏まえて、ALPSの再浄化において発生するHICにつきましても今後の保管容量の見込みに順次反映していく予定でございます。

 ただ、これについては、委員御指摘のとおり、現時点では、ALPSの再浄化により生ずるスラリーの発生量は考慮されておりません。このことについては御説明をしてまいりました。

 ですから、これらを踏まえまして、東京電力に対して、HICの保管容量が逼迫することがないように、必要な対策に万全を期すよう指導しておるところでございます。

鈴木(敦)委員 この点についても申し上げたいと思いますが、ですから、原子力発電は国策でやったんですから、これについても、東京電力を指導するだけではなくて、国も考えなければいけないんです。

 先ほど副大臣からも言っていただいたとおり、耐用年数は十年程度を見通している、残置期間もこれからできるだけ短くしようという御努力をされておられるということですが、とはいえ、敷地だって有限なわけです。

 この敷地の云々の話については次の一般の質疑でもさせていただきますが、敷地に限界があってタンクが置けなくなるから、マックスで置ける量が決まってしまうという状況の中で、想定に、ALPS処理水の処理が終わった後のHICの増加分が考慮されていなかったり、あるいは、それが事業者任せになっていたりということがあると、実際にどのぐらい場所が確保できて、どれぐらいの量が置けてという期間の見通しが全く立たないということになるわけです。事業者が言っていることと国が言っていることが全然違うわけですからね。

 更に申し上げますけれども、脱水処理施設について、規制庁の方も来ておられますけれども、脱水処理施設はそもそもまだ稼働していないわけです。だから、今ほどいろいろ御説明があったとおりの、増加分と期間、満杯が避けられると言われている時期については、あくまで本当に見通しになってしまうと思います。

 この脱水処理施設についてちょっと伺えますか。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御質問の東京電力が設置を検討しているALPSスラリー脱水化設備についてでございますが、令和三年の一月七日付で実施計画の変更認可申請を東電から受理をして、現在も審査中でございます。

 その状況でございますけれども、原子力規制委員会としましては、この申請の審査の中で、放射性物質の閉じ込め機能の維持、それから作業員の被曝対策などなどについて指摘をいたしまして、その結果、昨年の十月二十六日の第百三回、細かいですけれども、特定原子力施設監視・評価検討会というのがございまして、その場におきまして、東京電力から、この設備の設計を見直す旨の報告を受けているところでございます。

 原子力規制委員会といたしましては、設計の見直しや設備の設置工事に東京電力が要する期間などを踏まえまして、スラリーの脱水開始を二〇二六年度の目標として東京電力に提示しておりまして、この目標が達成されるよう、引き続き監視、指導してまいります。

鈴木(敦)委員 最後に大臣、ここまで伺って、脱水処理施設の認可がまだ、二年も行われていないわけですから、もっとずれますよ。満杯の時期も、もっと早まる可能性があります。どうお考えですか。

渡辺国務大臣 満杯の時期、この問題については、今の段階ではっきりと申し上げることはできないと思いますけれども。

 まず、私は、廃炉の関係、また処理水の関係につきましては、少なくとも福島復興の大前提だと思っております。これがしっかりと対応できなければ福島の復興はなし得ないというふうに思っておりますので、まず廃炉、汚染水、そして処理水の対策、これをしっかりとやっていかなければならないというふうに思っておりますし、国が定めた中長期のロードマップに基づいて、国が前面に立って必要な安全対策を着実に進めていかなければならないというふうに思っております。

 引き続き、国が一丸となって、政府一丸となって、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 お願いします。

 終わります。

長島委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、広域防災拠点について質問します。

 まず、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画が二〇一五年三月に出されておりますが、ここに盛り込まれた大規模な広域防災拠点とはどのようなものなのか、日本海溝・千島海溝型地震についても同様の検討がされているのか、伺いたいと思います。

五味政府参考人 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画における大規模な広域防災拠点につきましては、南海トラフ地震が発生した場合に、都道府県が全国の防災関係機関から災害応急対策活動に係る広域応援を受けるために設置する防災拠点のうち、救助、救急、消火活動等、医療活動、物資の受入れ、集積、分配を総合的かつ広域的に行うものをいいます。

 また、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震につきましては、現在、具体的な応急対策活動に関する計画の策定に向けて検討を進めており、同計画に大規模な広域防災拠点について記載する予定でございます。

高橋(千)委員 まず、検討中だということが分かりました。

 広域防災拠点とは何かという国の定義や根拠法はないと言われております。二〇〇三年三月の、消防庁の広域防災拠点が果たすべき消防防災機能のあり方に関する調査検討会の報告書にその考え方が示されています。今質問した南海トラフのような大規模地震等に対する基幹的広域防災拠点は複数の都道府県にまたがるので、広域防災拠点の一つというふうに説明されています。

 そこで、東日本大震災を受けて、東北の各地で地域防災拠点とか防災拠点公園などが整備されてきたと思います。本委員会の視察でも、例えば岩手県久慈市の総合防災公園に行ったことがあります。ふだんは、サッカー場など、日常的に市民の憩いの場として利用されて、災害時は、一時避難所にもなるし、各地の応援隊が集積される、そういう場になっていると思います。広域防災拠点の必要性や整備の現状についてどのように認識しているのか、大臣に伺います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 東日本大震災からの復興に当たりまして、インフラ等の復旧のみならず、災害に強い地域づくりとして、復興交付金等を活用いたしまして、防災機能を有する公園や緑地の整備が進められてきたところでございます。

 これらの公園等については、平常時における公園や緑地としての機能のみならず、発災時においては、樹林による津波エネルギーの減衰、要するにエネルギーを減衰させること、また、津波による避難地、さらには救援、救護活動の拠点や、資材置場などの復旧復興支援の場であることなど、様々な機能を有する公園として整備が進められてきたところでありまして、これらの地域の防災性の向上に寄与するものと考えているところでございます。

高橋(千)委員 質問すれば時間がなくなるので要望にしておきますけれども、広域防災拠点の定義というのを、今回ここで質問するまでに所管がはっきりしないし定義もないと言われましたので、是非、内閣府防災の方で位置づけていただきたいということを要望したいと思います。

 資料の一を見てください。今年二月二十五日付の河北新報です。「広域防災拠点 完成三二年度」とあります。仙台市宮城野区にあるJR貨物ターミナル駅を移転した上で整備する宮城県の広域防災拠点構想というのがあります。当初は二〇二〇年度完成の予定が三回延期され、二〇二九年度に移転が完了して二〇三二年度に整備完了の予定だと宮城県議会で村井知事が明らかにしたものであります。延期のたびに事業費も膨らみ、当初は二百九十五億円だったものが現在は総事業費三百二十四億円とされていますが、今後更に増えるのではないかと言われております。

 宮城県の広域防災拠点基本構想・計画が発表されたのは二〇一四年二月です。東日本大震災時の医療救援活動などの教訓を生かして検討してきたとしています。また、予算においても、社会資本整備総合交付金が充てられていますが、その中に復興枠がプラスされているのと、県費に対しても復興特別交付税が更に補填されております。

 宮城県の進める広域防災拠点について、復興庁の認識を伺います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました宮城県で整備が進められております広域防災拠点につきましては、大規模災害時に広域支援部隊の集結や全国からの支援物資輸送の中継あるいは災害医療活動の拠点等の役割を果たす目的で宮城県において整備を進めているものでありまして、二〇一四年度から、御指摘がありましたとおり、社会資本整備総合交付金の復興枠、それから、国土交通省所管でございますが、防災・安全交付金により支援を行ってきたところと承知してございます。

 現在は防災・安全交付金により引き続き支援が継続されており、今後、事業主体であります宮城県により適切に事業管理がなされるものというふうに承知しております。

高橋(千)委員 もちろん、党としては反対をしています。ただ、結局十年以上遅れてしまって、まだ貨物は一個も移っておりません、そういう中で、いつ大きな地震が来るかも分からない。このやり方がどうなのかということが本当に問われると思うんです。県議会では、我が党のみならず与党会派からも意見が出るなど、問題が様々指摘されております。そもそも予定地に長町―利府線断層帯があり、震度六強の揺れや液状化の危険があるなど、多くの論点が出されておりますが、私は、JR貨物ターミナルを移転させてまで予定地に整備する理由について疑問があるわけです。

 資料の二枚目に地図をつけておりますが、下が今のJR貨物ターミナルで十七ヘクタール、広域防災拠点の予定地です。上が貨物ターミナルの移転先で宮城野区岩切地区、二十三ヘクタールと、今より広いところに貨物が移転することになります。この広域防災拠点の候補地となる前に元々JR貨物が移転を検討していたと聞きますが、事実関係を伺いたいと思います。

石原政府参考人 お答えを申し上げます。

 仙台貨物ターミナル駅の具体的な移転計画につきましては、あくまでも宮城県の進める広域防災拠点整備事業を受けて検討されたもの、このように承知しております。

高橋(千)委員 貨物のことを聞いています。予定候補地になる前に移転の話があったよ、でも断念したよということを聞いていますので、事実関係を伺ったということです。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の仙台貨物ターミナル駅といいますのが、構造上、短い荷役線にコンテナ車両を引き込んで、分割、併合して荷役をする、このような非効率な作業を強いられているということで、JR貨物としては、抜本的な機能強化を図りたい、こういう思いはありつつも、現在の立地のままではそれは困難だ、こういう認識は持っていたというふうに理解しておりますけれども、岩切への移転を具体的に検討していた、こういう事実はございません。

高橋(千)委員 そんなことを聞いていません。岩切への移転なんて、ずっと後に決まったことです。この計画が起こってから聞いた。

 だから、貨物をどこかに移転したいなという思いがあったということは今おっしゃったので、事実ですね。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の立地のままでは機能強化を図ることは困難であったということについては認識を持っていた、そして、機能を抜本的に強化するにはどこかに移転するしかないというようなことは、これは、どこまでの検討というところを、検討の意味にもよりますけれども、JR貨物の中でも恐らくそのような一つの考えは出ていたということは、それは事実かと思います。

高橋(千)委員 お認めになったと思います。

 宮城県の整備検討会の中で、県の後藤震災・企画部理事兼次長がはっきり言っているんですよ。第一回の検討会のときに、東日本大震災後、JR貨物でも移転を再度検討してみようという声があったと受け止め、この機会が宮城野原地区を広域防災拠点として整備していくタイミングだというふうにおっしゃっている。

 第三回のときには、現実的には、JR貨物用地の土地利用については過去二十年間に何回か浮上し、投資的な課題、都市的な制約などから実現できずに来た、貨物の移転がスムーズに進むのであれば、東日本大震災を踏まえながら、県、仙台市にとって貴重な使い方は広域防災拠点であろうと。

 つまり、順番が逆なんですよ、後づけなんですね。貨物を何とかしたいという要望が元々あって、そこに、あら、ちょうどいいわという話じゃないですか。第五回の検討会の中でも、宮城野原ありきではないかというのが委員の中からも上がっているんですよ、そういうことだと思います。今お認めになったので、ここは指摘だけにとどめます。

 JR貨物ターミナル駅の土地売買契約は、二〇一四年八月に百三十七億八千万円で契約済みです。うち九十六億四千万円は支払い済みであります。同年に県が行った大規模事業評価を見ると、用地費等だけで二百七十億円と見込んでおります。

 このJR貨物のターミナル駅は公共施設に当たるということで、公共補償であると県は説明しています。この公共補償が民間の財産に対する補償とどう違うのか、一般論で伺います。簡潔にお願いします。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 公共事業における施設の用地移転補償につきましては、当該施設が、公共事業、すなわち土地収用法等により土地等を収用できる事業の用に供する施設である場合には、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱に定めるところによりまして公共補償が行われるということでございます。鉄道事業で一般の需要に応ずるものの用に供する施設につきましては土地収用法の収用適格事業とされておりますので、JR貨物の用地移転補償は一般的には公共補償が適用されるものと考えられます。

 委員御指摘の、民間の財産に対する補償と公共補償の違いについてでございますけれども、民間の財産に対する補償につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づきまして財産権に対する補償を行うものでございます。財産価値の正常な取引価格を評価し、補償することになります。一方、公共補償は、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱に基づきまして、公共施設等の機能を現実に回復させることを目的として、そのために必要な費用を補償することになります。

高橋(千)委員 機能を現実に回復すること、だから余計なものをつけちゃいけないとか、いわゆる災害でいうところの原形復旧に近いものだと思いますし、一定の時間による償却も控除してということが要綱には書かれていたかと思っております。今後の、時間が延びたことによって貨物の補填が今後追加されるのかどうかといったときに大事な基準になるのかなと思って伺いました。

 宮城県の広域防災拠点構想は、国交省の防災・安全交付金の広域防災拠点の機能を有する都市公園事業として採択されたと承知しています。

 社会資本総合交付金の都市公園事業だけであれば、二ヘクタール以上、事業費五億円以上といった要件にすぎません。広域防災拠点の機能を有するといった場合の要件はどのようになるのか、伺います。

 また、広域防災拠点となる貨物ターミナルの敷地は十七ヘクタールですが、隣接する楽天スタジアム、宮城野原公園総合運動場、国立病院機構仙台医療センターなどが一体として交付申請されていると聞いていますが、それで面積要件をクリアしたという理解でよろしいでしょうか。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 宮城県の広域防災拠点に関する宮城野原公園については、防災・安全交付金の都市公園事業により支援を行っております。

 広域防災拠点の機能を有する都市公園の要件としては、災害が発生した場合において、災害復旧活動の支援拠点、復旧のための資機材や生活物資の中継拠点など、広域防災拠点の機能を発揮するもので、面積がおおむね五十ヘクタール以上のものとしております。

 なお、平成二十六年二月に作成された宮城県広域防災拠点基本構想・計画における広域防災拠点の区域には楽天スタジアム、仙台医療センターが含まれますけれども、都市公園としての採択要件の中では、仙台医療センターは含まない形で、都市公園の中の面積として評価をさせていただいております。

 以上です。

高橋(千)委員 今の答弁、皆さんはお分かりになったでしょうか。おおむね五十ヘクタールとおっしゃったんですよね。だから、その要件を、十七ヘクタールでは余りにも遠い、単なる都市公園にはなるかもしれないけれども、そうじゃなくて、これを全部足したら四十三ヘクタールだと聞いておりますが、それでおおむね五十ヘクタールにしちゃった、そういうことじゃないですか。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 宮城県では、宮城県広域防災拠点基本構想・計画において、東日本大震災を踏まえた防災性向上の必要性や広域支援の実態を踏まえ展開が想定される防災活動を基に、宮城野原公園で必要とされる面積を算定したものと承知しております。宮城野原公園としては全体で三十三ヘクタールでございまして、都市公園としての広域性、広域防災拠点に必要な機能を備えている計画であるというふうに認識しており、加えて、隣接する仙台医療センターと連携して広域的な防災性を向上させるものであると承知しております。

高橋(千)委員 ですから、広域防災拠点としては、医療センターとは連携をするかもしれないけれども、それで都市公園の広域防災拠点ですというふうなやり方自体がおかしいと言っているんです。でも、さっき言ったように規定がないものだから、国交省の予算の交付金としては入っていくからいいんですという話になっているんですよ。そんな曖昧なことで国費の支出がよろしいのかということを指摘したい。これは改めて明らかにしていきたいなと思うんです、もう一つ聞きたいものですから。

 宮城県の広域防災拠点整備検討会議で、二〇一三年十一月二十日、五回目の会議において唐突に、つまり、五回分を読みましたけれども、一度も出てこない言葉が唐突に出てきた。それが仙台東道路です。細かい話にそのときはなっていて、アンダーパスが高さが足りないから消防車は通れないねとか、防災拠点の中を走る道路をどうしようかとか、そういう議論をしていたときに、事務局が、仙台東道路の関係もあるのでこれを含めて検討すると述べたわけなんです。

 仙台東道路というのは今も調査中で、ルートは決まっておりません。だけれども、国交省は、国際海上コンテナ車両向けの特別に許可する重要物流道路に既に指定しているんですね。おかしくないでしょうか。

 広域防災拠点と仙台東道路の関係について伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 仙台東道路でございますけれども、仙台市中心部と沿岸部を結ぶ高規格道路の調査中の路線でございます。仙台市東部地域の渋滞緩和、また仙台駅と高速道路網とのアクセスの向上を期待している道路でございます。

 仙台東道路につきましては、平成三十年より計画段階評価の手続に着手しておりまして、現在、地域の現状、課題、この道路が有すべき機能などの検討を進めているところでございます。委員御指摘の広域防災拠点とのアクセス機能につきましては、非常時における広域防災力の機能確保を図る観点から、計画段階評価における政策目標の一つに位置づけまして検討を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き関係自治体と連携して必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 宮城県が決めるものとかいいながら、国交省が、セットで取り組んでいることだと。さっき言ったようにルートは決まっていないわけですよ、だけれども一体でやるんだということですよね。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに調査中でございまして、アクセスするポイントとして広域防災拠点が一つ考えられるというところでございまして、どういうことになるのかは今後の展開によるかと思います。

高橋(千)委員 続きは国交委員会でやります。

 宮城県出身の中野正志元参議院議員が二〇一八年四月十日の国交委員会で、仙台東道路が物流、観光、復興に必要だということを言って、新規事業化はいつかと質問しています。それに対して当時の石川道路局長は、仙台東部地区におきましては、仙台貨物ターミナルの移転跡地に広域防災拠点の整備が形成されるなど、沿岸部の高速道路利用を念頭に置いた新たな開発計画や地域づくりが進められていますと、聞かれてもいないのに防災拠点があるのでと答弁しているんです。

 翌年の二月三日、仙台市内で仙台都市圏の将来を考えるシンポジウムが開催されて知事や市長も出ていますが、仙台東道路の実現へ共に歩むとプレゼンをしたのは国交省の当時事務次官だった森昌文氏です。森氏は、地方整備局のときに仙台西道路を手がけ、それからNEXCO東日本に出向して、現在は総理補佐官であります。こういう経歴を持つ方が一緒になって進めている。

 国会で質問され、やりますと言って、国交省も肝煎りで進めている、こういう中で市民の声が置き去りにされているのではないか、このことを指摘して、今日は終わります。

長島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 これまで一般質疑では処理水の放出とF―REIの二つを二本柱でやってまいりましたけれども、今日もその続編をやらせていただきたいと思います。

 まず、資料一で記事をつけておりますけれども、四月二十三日の、この間の日曜日の産経新聞、処理水の放出、七月以降かと。こういう記事が出ると、この間も申し上げましたけれども、早速、こういうのは、風評被害がすぐ発生して、海水浴に行くのは、茨城の海じゃなくて新潟の海に今年はしようかななんという状況が既に始まっておりまして、こういう生殺し状態が一番風評被害を生んでしまうというふうに思うんですね。

 政府は、処理水の放出は、春から夏に放出するというふうに決定をしておりますけれども、たとえ工事が終わっても、残念ながら、今の漁業関係者との協議の状況を見たら、春から夏といっても、春はもう五月で終わりです、夏というのは数か月です。この数か月で何かが変わるようには思えないんですけれども、本当に夏までに放出するんですか、どうでしょうか、お答えください。

中谷副大臣 ALPS処理水の処分につきましては、本年一月、関係閣僚会議において、海洋放出設備工事の完了、工事後の規制委員会による使用前検査、IAEAの包括報告書等を経て、海洋放出の時期を本年春から夏頃に見込むとお示しをしたところであります。

 その中で、二〇一五年に福島県漁連に回答した、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとの方針は遵守をいたします。安全性の確保と風評対策の徹底に取り組んでいるところであります。

 これまで、地元の方々を始め、一千回以上の説明、意見交換に加えまして、地元での新聞広告、テレビCM、ラジオCM、ウェブ広告、SNSを通じまして科学的根拠に基づく分かりやすい情報発信を行うなど、取組を進めてきたところであります。

 また、安全性の確保につきましては、専門的かつ客観的な立場からIAEAの専門家が複数回来日してレビューを行っており、本年前半には、海洋放出前のレビューの結論を含む包括報告書が公表される予定であります。その内容も分かりやすく発信をしていきたいというふうに考えてございます。

 この風評払拭に向けた対応につきましては、昨年末、三陸、常磐物消費拡大を図る官民連携の枠組みとして、魅力発見!三陸・常磐ものネットワークを立ち上げ、現在、約一千者の企業にも参加をいただいているところであります。

 さらに、昨年度補正予算にて、漁業者の事業継続のため、五百億円の基金を新たに措置をしているところでありまして、全漁連会長から、信頼関係構築に向けての姿勢を評価する談話も示されているところであります。

 全漁連からは、このほかにも、漁業者、国民への説明、風評被害対策、ALPS処理水の安全性担保の対応を求められており、これに真摯に対応していくというところであります。

 今後も、モニタリング強化、被災地水産物の消費拡大、水産物の流通維持に関わる環境整備等、安全確保や風評対策に万全を期すとともに、地元を始めとする多くの方々に対し、繰り返し丁寧に説明していきたいというふうに考えております。

福島委員 朗読、お疲れさまでした。せっかく政治家として答弁していただいているので、政治家としての答弁をお願いしたんですけれども、私は、本当にこれでできるのかと判断を聞いているんですよ。今やっている所管事項を聞いているわけじゃありません。

 しかも、政治家だから聞きますよ、今、解散するかもしれないと言っている状況で、夏に放出する前に漁業関係者の理解を得るためにどういうプロセスを取っていくんですか。少なくとも、私の地元の茨城の漁連との関係において、ここの数か月以内に何かが根本的に転換するような状況は私には全然見えておりません。どういうプロセスでこれから具体的に放出までやるつもりなのか、政治家としての判断をお聞かせください。どうぞ。

中谷副大臣 御指摘いただいたプロセス、放出プロセスでありますが、これは、地元の方々を始め、一千回以上にわたる説明や意見交換に加えまして、先ほど申し上げたとおり、様々な媒体を通じて科学的根拠に基づく分かりやすい情報発信を行うなど、取組を進めてきております。

 また、安全性の確保について、専門的かつ客観的な立場からIAEAの専門家が複数回来日してレビューを行っており、本年前半には、海洋放出前のレビューの結論を含む包括報告書が公表される予定であります。内容も分かりやすく発信をしていきたいというふうに考えているところであります。

 また、先ほど申し上げたような様々な施策を行いながら、今後もしっかりとモニタリング強化、こういったことを行っていきたいというふうに考えているところであります。

 その上で、具体的な海洋放出時期につきましては、海洋放出設備工事の完了、工事後の規制委員会による使用前検査やIAEAの包括的報告書を経て、本年春から夏頃と見込んでいるというところであります。

福島委員 そんなことは聞いていないですよ。政治家としてどうやって漁業関係者を説得するつもりですかということを聞いているんですよ。私は、この委員会で何度も、そういう役人答弁が放出を遅らせているということを言っているんですよ。

 いろいろ業務説明をしましたけれども、じゃ、成果が上がっているのかというのが次の資料二です。

 二〇二二年十月に日本原子力文化財団が行った原子力に関する世論調査ということで、これは二〇〇六年から定点的に行っているしっかりした調査なので、私も毎年楽しみに見ているんですけれども、今年、初めて処理水の放出についてアンケートの結果を出しております。ある意味、今副大臣が説明したことの成績表がこの世論調査です。

 これを見ると、資料二ですけれども、海洋放出の方針の決定は半分近くの国民の皆さんは聞いたことがあると言っています。しかし、中が問題で、何を放出するかというのを見たときに、汚染水だというのは五二%なんですよ。一方、処理水というのはその半分以下の二二・五%、上から五番目にありますけれども。つまり、多くの人は、政府は何かを海洋放出をするけれども、汚染水を排出すると思っているんですね。それは、まさにこここそが風評被害の始まりでありまして、処理水を排出するんじゃなくて、汚染水を排出すると。

 私は、今副大臣が長々としゃべった広報活動が全く、全くとは言いませんけれども、余り効果を上げていない、そういうものだと思うんですけれども、これを御覧になって、どう思いますか。

中谷副大臣 委員御指摘のこの調査でありますけれども、放出されるものが汚染水か否かということを質問されたものではないというところでありまして、この調査をもって汚染水を放出すると誤解している人が多いということは言い切れないというふうに考えているところであります。

 その上で、御指摘の調査が実施されたのは昨年の十月であります。ALPS処理水に関わる広報について、例えば、昨年の十二月に、テレビCM、ウェブ、新聞広告、SNS等を通じまして、ALPS処理水が安全に関する規制基準を十分に満たした上で海洋放出されるという内容を分かりやすく情報発信をしてきたところでありまして、ちょっと時間にそごがあるというところであります。

 また、その後も、SNSなどでシェアしやすい一枚の画像に情報をまとめまして、コンテンツ作成、発信するとともに、生活情報誌への福島水産物の魅力、ALPS処理水の安全性を伝える広告掲載、全国の高校を対象といたしまして出前授業の実施等にも取り組んでいるところであります。

 さらに、先ほど申し上げたとおり、様々行っているところでありまして、引き続き、ALPS処理水の処分の安全性確保に関わる有効な情報発信の手段について検討しつつ、理解醸成活動を実施してまいりたいというふうに考えております。

福島委員 何で紙ばかりを読み上げるんですか。何のために政治家をやっているのか、本当にそう思いますね。でも、時期があるといっても、これも全部事務方の言っていることと同じでしょう。事務方の若い補佐クラスの人が言っている説明と同じなんですよ。もっと真摯に向き合った方がいいですよ。

 皆さん、CMでこの処理水のことをいっぱい見たことはありますか。そもそも、政府広報なんてなかなか信用されないんですよ。テレビCMとか全面広告とかがありましたけれども、私にとって一番頭に残ったのは、東京駅の全部の柱に東京電力がやった広告、あれは結構頭に残りましたけれども、それ以外は、見ているけれども、そんなに頭に残っていないんですよ。

 だから、次の、資料二の裏面ですけれども、処理水を海洋放出することについて国民の理解を得られていないというのは五一・九%、過半数ですよ。それから半年たったからそれが劇的に減ったなんという状況じゃなくて、処理水の話題が報道でも上がらなくなって、むしろ、得られていない状況は維持されていると思いますよ。しかも、得られているという人は六・五%しかいないわけですよ。

 全然効果が上がっていないし、漁協との調整も進まない中で、さっきも言いましたけれども、一番地元にとって嫌なのは生殺しなんですよ。春から夏に放出するといって、次は秋に放出する、冬に放出する、その間ずっと風評被害が出続けるからこそ、仕切り直すべきところは私は仕切り直すべきだと思うんですよ。そうしないと、ずっとこれを長い間やっていったら、いつまでたっても放出できなくて、経済的な被害も大きくなると思いますよ。もう副大臣には聞いても仕方ないので、答弁は求めません。

 そのことを申し上げて、次のF―REIの話に行きたいと思います。

 資料三を御覧になっていただければと思います。四月一日に、昨年法案を審議いたしまして、F―REIが、新組織がスタートして、新しい人事、体制が発表されました。私は、法案の審議のときに理事の要件を見て、これは絶対役所からの天下りを役員にするためだなと申し上げましたけれども、案の定、役員は、理事長、理事二人、監事二人の五人しかいないんですけれども、一人が役人。別に私は、役人だから悪いとは申し上げるつもりはありません。新たに法律上には規定されていない執行役というのができまして、このうち一人も、よく携わっていらっしゃった坂内さんという役人。現役ばりばりの、役人としての仕事ができるちゃんとした方だというのは、私はそうは思います。

 こうした体制の人事というのは、まず、大臣、どういうことを考えて行われたんでしょうか。江村さんという方とか国際アドバイザーとか、いろいろな工夫もされているとは思うんですけれども、どういうふうなお考えでされたのか、御答弁をお願いいたします。

渡辺国務大臣 F―REIの業務は、研究開発に加えまして、産業化、人材育成等、多岐にわたることを踏まえまして、法律に基づき、理事長を補佐し、F―REIの業務を掌理する者として理事長が任命する理事二人、F―REIの業務を監査する者として内閣総理大臣が任命する監事二名に加え、業務の推進に要する高度な交渉や判断を行うための執行役二名を置いております。

 まず、理事二名は、F―REIの運営全体の総括をしていただきます。さらに、F―REIの研究開発業務の管理を担っていただくことになります。執行役二名は、事業企画、産業化及び人材育成、国際化、外部資金をそれぞれ担当することとしております。

 このように、運営総括のほか、研究開発、産業化、人材育成等の主要な業務を分担する形を基本としていますが、役員は、相互に十分連携し、取り組むことが重要であると考えております。

 また、具体の人選に当たっては、高度な研究開発等の知見とマネジメント能力を有し、かつ幅広いバックグラウンドを有する人材を確保する必要があることから、自ら研究開発に従事し、研究分野に高い見識を有する方、産業界において社会実装や組織マネジメントに関する高度な経験、見識を有する方、関係省庁と研究開発等の方針や予算要求に係る調整を担うことができる中央省庁出身の方のバランスについても十分考慮されたものと承知をしているところでございます。

福島委員 大臣、具体的な人の評価をお聞きしたいんですよ。例えば、理事に入っている江村さん、元NECのCTOという方で、多分、恐らくかなりの、それなりの報酬をいただいている中、このF―REIに来てくれていると思うんですね。役人二人は分かるんですけれども、あと大和田さん、東北大学の総長特別補佐、どういう観点を頭に置いてこうした方を人選されたのか、その点についてお聞かせいただければと思います。

渡辺国務大臣 個々の人選につきましては、人事案件ということでありまして、検討の経緯の詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

福島委員 私は、ここは大臣が胸を張って自慢するところだと思ったので、お聞きをしたんですけれども。私は、よく来てくれたと思うんです。

 私も、かつて落選中に東京財団というところでシンクタンクの運営に携わったときがありまして、構想日本に行った加藤秀樹さんが会長になって、おまえ、手伝えということで、研究部ディレクターということで、新しいシンクタンクをつくろうということで、亡くなられた青木昌彦スタンフォード大学名誉教授をお招きして、やはり同じような新しい研究組織を取り組んだときがあります。

 青木先生は、そのときのアメリカでの様々な研究環境を踏まえて、きつく言われたことは、まず、事務方の運営管理部門は研究部門に干渉するな、そこに一線を引きなさい、あなたはただの東大を出た学士でしかないから、PhDも持っていないようなやつは研究者に一々干渉するなということをきつく言われました。もう一つは、研究部門は研究者同士の間の厳しいピアレビューを受ける仕組みをつくりなさいと。三つ目は、研究部門の事業の管理を行うことが必要なんですね、マネジャーが必要なんですけれども、それは事務方の人じゃなくて、きちんとPhDを持った同じ研究者にしてくれというのを、三つ、きつく言われたんですよ。

 何でそれを言うかというと、この理事を見ると、理事、執行役四人のうちの二人が役人で、二人が技術の分かる人なんですけれども、これだけでは、私はF―REIの研究をうまくマネジメントできないんじゃないかと思うんですよ。

 今、成功されていると言われる沖縄の科学技術大学院大学、OISTは理事が十六人おります。日本人は二人しかおりません。ノーベル賞を受けた人と、もう一人は科学技術庁出身者で、その人が事務局長です。まさに事務部門です。あとはノーベル賞級の人とかの研究者だけで、まさに研究部門同士のピアレビューを行うための理事会というのになっているんですね、OISTは。それがない。これはずっと法案審議のときから指摘してきたことなんですね。

 ただ、ここで今できたのはまだ第一段階でしょうから、これからやるときに、個々のプロジェクトを実施していくと思うんですよ、そのプロジェクトを実施するプロジェクトオフィサーとかプロジェクトマネジャーというのがいるんですけれども、そこに、若手の博士課程を出たオーバードクターの人とか、研究の最前線で、ノーベル賞は取ることはいかないけれども、優秀な人を集めるとか、やはり運営体制、マネジメント体制をどうつくるかがコアだと思うんですけれども、そこについてどうお考えか、大臣のお考えをお聞かせください。

渡辺国務大臣 委員御指摘の、今までお話があった内容は、まさにそのとおりだなというふうに思っています。

 今回、理事の中で、特に、江村さんのお話もありましたけれども、この分野についてはやはり実務者としてかなり実績があった方だというふうに思っておりますので、一応評価をさせていただきました。

 その上で、F―REIは、まず五分野について研究開発をしていくわけでありますけれども、それに加えて、産業化、人材育成まで幅広い業務を的確に推進していくために、様々な分野の関係者の意見を踏まえて事業を進める仕組みを設けることは大変重要だというふうに思っております。

 そのため、F―REIでは、国内外の有識者等によるアドバイザー体制を構築することとしております。ここに国際アドバイザーというのがございます。そのうち、国際的なネットワークの形成等に助言をいただくための国際アドバイザーとして、四人の、既に海外の専門家に委嘱することが先日公表されたところであります。

 これに加えて、F―REIでは、外部有識者によるアドバイザリーボードを設け、運営全般にわたる俯瞰的な視点から意見を得ることとしております。

 また、実際にF―REIならではの優れた研究開発を推進するために、各研究分野において専門的知見や人的ネットワークを有し、企画力、実行力のある方を分野長などのポストに就任していただくことも重要であるというふうに考えておりまして、F―REIにおいては適切な人材の確保に全力で取り組んでいるというふうにお伺いをしているところであります。

 こうした取組において、理事長を始めとします役員の人脈の活用だけでなく、関係機関との様々な連携や、さきに申し上げましたアドバイザー体制などを有効に活用して、多くの知見を結集しながら、山崎理事長のリーダーシップを支える適切な運営体制を構築していっていただきたいというふうに思っております。

福島委員 極めて前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。

 やはり人が命であります。どうしても、役所の人に聞くと、産業化とか人材育成ばかり言うんですよ。それは自分たちが得意だから。でも、エンジンになるのはやはり研究部門なんですね。

 研究部門をどう動かしていくかというのが一番難しいんですよ。大体、研究者というのは個性的で、群れない人が多いですから、その人をどう動かしていくのかというのは非常に難しいんですよ。それを動かせる人材が大事ですから、あらゆる人脈を使って、学長も頑張っていらっしゃるんだと思います、聞くところ、この一か月の働きぶりを見ても、頑張っていらっしゃると思いますけれども、学長任せにするんじゃなくて、是非大臣のリーダーシップで、いい人材を求めていただければと思います。

 最後なんですけれども、その人材育成とか産業化のときに、やはり地元との連携が大事だと思っておりまして、それをこの四人の理事とか執行役でどうやるのか。事前にレクで聞いたんですけれども、よく要領を得ないんですよ。

 私は、ちゃんと地元回りをするような人も必要だと思っておりまして、できれば、この四人全員でやるみたいなことを言っているんですけれども、やはりこれも人間関係なんですよね。地元の県庁の人、福島だけじゃなくて宮城とか茨城も含めた近隣の自治体とか、そういうところとの人間関係をつくった上でのコミュニケーションが必要であると思っておりまして、それをやる方というのは、今の理事、執行役では誰なのか。いないとするならば、そうした方をつくるのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 地元との連携は非常に大事な話でございまして、実際、事前レクで申し上げたと思いますけれども、理事長を筆頭にみんなでやろうということがベースにあって、ただ、日々の調整とか連絡とかがありますので、それは事務レベルで、具体的な課の名前でいえば経営企画課というところで連絡調整とか法定の協議会とかの回しをやらせていただきますので、そうしたところを中心に、具体的な、人と人が顔がつながるような形で運営に心がけていくことになるだろうというふうに考えてございます。

福島委員 是非しっかりやっていただければと思います。

 ただ、処理水の放出は、私自身は原子力の立地にも携わっていましたけれども、それで見ても、余りにも事務的過ぎると思うんですよ。漁業関係者の心を動かすか、納得いただくためには、前面に立つ政治家が今のままの姿勢では到底私たちの地元では受け入れられないということを申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

長島委員長 次に、内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。復興大臣渡辺博道君。

    ―――――――――――――

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺国務大臣 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、令和五年度予算に盛り込まれた措置の実施に必要な法律上の手当てを含め、福島の復興及び再生を一層推進するため、提出するものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、帰還困難区域をその区域に含む市町村長は、福島県知事と協議の上、特定帰還居住区域の復興及び再生を推進するための計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けることができることとしております。

 第二に、その認定を受けたときは、国による公共事業の代行等を活用することができることとしております。

 第三に、認定された計画に従って、環境大臣が、土壌の汚染の措置や廃棄物の処理等を国の負担により行うことができることとしております。

 その他所要の改正を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 福島の復興及び再生は喫緊の課題であり、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 ちょっと読み間違えてしまいました。一点ございます。第三のところでございますが、第三に、認定された計画に従って、環境大臣が、土壌の除染、先ほど汚染と言ってしまいまして、除染の措置ということで訂正をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

長島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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