衆議院

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第5号 令和5年5月9日(火曜日)

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令和五年五月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長島 昭久君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂井  学君

   理事 高階恵美子君 理事 谷川 とむ君

   理事 小熊 慎司君 理事 岡本あき子君

   理事 早坂  敦君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    東  国幹君

      伊藤信太郎君    岩田 和親君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      英利アルフィヤ君    小田原 潔君

      加藤 竜祥君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      塩崎 彰久君    杉田 水脈君

      瀬戸 隆一君    津島  淳君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    中野 英幸君

      西野 太亮君    平沢 勝栄君

      平沼正二郎君    深澤 陽一君

      藤原  崇君    細野 豪志君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      吉田 真次君    荒井  優君

      おおつき紅葉君    金子 恵美君

      鎌田さゆり君    玄葉光一郎君

      近藤 和也君    馬場 雄基君

      赤木 正幸君    漆間 譲司君

      掘井 健智君    赤羽 一嘉君

      河西 宏一君    鈴木  敦君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   復興副大臣        小島 敏文君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     中野 英幸君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      湯下 敦史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     角田  隆君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     森田  稔君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 北川 克郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     吉田 真次君

五月九日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     英利アルフィヤ君

  岩田 和親君     東  国幹君

  上杉謙太郎君     塩崎 彰久君

  小泉進次郎君     土田  慎君

  津島  淳君     深澤 陽一君

  宗清 皇一君     青山 周平君

  馬場 雄基君     おおつき紅葉君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宗清 皇一君

  東  国幹君     平沼正二郎君

  英利アルフィヤ君   伊藤信太郎君

  塩崎 彰久君     杉田 水脈君

  土田  慎君     小泉進次郎君

  深澤 陽一君     小森 卓郎君

  おおつき紅葉君    馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     瀬戸 隆一君

  杉田 水脈君     加藤 竜祥君

  平沼正二郎君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     上杉謙太郎君

  瀬戸 隆一君     上田 英俊君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

長島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部事務局次長湯下敦史君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、復興庁統括官角田隆君、復興庁統括官由良英雄君、復興庁審議官森田稔君、復興庁審議官岡本裕豪君、外務省大臣官房審議官伊藤茂樹君、外務省大臣官房審議官中村和彦君、外務省大臣官房審議官北川克郎君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、環境省大臣官房審議官針田哲君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がございますので、順次これを許します。藤原崇君。

藤原委員 おはようございます。自由民主党の藤原崇でございます。

 本日は、質問の機会を、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案についてお時間をいただきました。委員長、理事を始め委員の先生方に大変感謝申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問に入っていきたいと思います。

 本法の改正案については、帰還困難区域のうちいわゆる拠点区域外の地域において、帰還意思がある住民の方々の帰還に対応するため、まだ仮称ということなんですが、特定帰還居住区域をつくるというふうなことを大きな制度の内容としております。

 元々これの始まりというのは、令和三年の七月に与党の復興加速化本部から、復興拠点区域外の方針をどうするかということを早急に示していただきたい、そういう提言を受けまして、令和三年の八月に復興推進会議において、国は二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるよう避難指示解除の取組を進めていく、この考え方に基づいて進められてきたものというふうに考えております。

 そこで、まず最初に政府にお伺いをいたしますが、政府方針においては二〇二〇年代をかけてというふうに書いてあります。つまり、二〇年代で行うということでございますが、そうなると、今回新しく盛り込まれる特定帰還居住区域の認定というのは二〇年代の間に全てやり切ってしまう、逆に二〇年代を過ぎたらそれはやらないということなのか、その点について、まず基本的なところをお伺いしたいと思います。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、基本方針を二〇二一年、令和三年の八月に決定し、それに基づいて特定帰還居住区域の設定という制度を御提案させていただいております。

 御指摘のありました二〇二〇年代の後についてでございますけれども、特定帰還居住区域の設定について現時点で予断を持って申し上げることは難しい部分がございますけれども、二〇二〇年代という時間軸をお示しさせていただいたものというふうに考えてございまして、復興庁としては、その基本的な考え方に基づきながら、将来においても各自治体の個別の課題や要望を丁寧にお伺いして必要な取組を進めていくという考え方は基本にしていきたいと考えてございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 二〇二〇年代という時間軸をということで、すぱっと、分かる、分からないのところはあるんですが、まずは二〇年代にしっかりと取り組んでいくと同時に、その以降についてはいろいろな状況を見てということなんだろうというふうに御理解させていただきました。

 令和四年に大熊、双葉、浪江、富岡において帰還意向についてお伺いしたところ、いろいろな事情で、二〇%まではそれぞれ達していないんですが、二割弱、一割強の方々は帰還をするかしないかということはなかなか決められないという状況がまだあるというのも事実であります。もちろん、いつまでもずるずるとというのはなかなか難しいというのも分かるんですが、やはりそういうこともしっかり認識をしていただいた上で復興庁には是非対応していただきたいと思っております。

 次にお伺いをさせていただきますのは、この法律案の資料によりますと、特定帰還居住区域、これについては、家を一軒だけ除染するというわけではなくて、帰還住民の日常生活に必要な宅地、道路、集会所、墓地などを含む範囲で設定する、要件の中で、一体的な日常生活圏を構成していた、かつ事故前の住居で生活の再建を図ることができることということです。

 字というか、ある程度のちっちゃな集落というか、それくらいを最小単位にしているようにこれは読めるわけでありますが、仮に、帰還の意思がある方とない方というのは当然いらっしゃるわけであります、例えば、複数世帯がある字の集落のうち一軒や二軒しかなくて、ほかの五軒はそういう意向を持っていないというところ、あるいはちょっと決められないということ、あるいは、ぽつんと一軒家ではないんですけれども、地方によっては非常に離れたところに一軒だけあるというようなところもございます。そういうところというのは、お一人が帰りたいと言ったときに特定帰還居住区域の認定の要件に当たるのかどうなのかということ、これをお伺いしたいと思います。

由良政府参考人 避難指示の出ております区域の状況でございますけれども、一定程度の集落のある区域もございますし、一軒家が残っておられる区域もございます。一軒家の方であっても、帰還を御希望になる御意向がある方につきましては丁寧に対応していく必要があるというふうに考えておりまして、特定帰還居住区域につきましては、住民の方々の帰還に関する御意向を個別に丁寧に把握し、拠点区域からの地理的な距離や帰還の御意向のある世帯数にかかわらず、仮に一軒家の方であっても帰還に必要な箇所を区域に指定していただくことができることとしております。

藤原委員 ありがとうございました。世帯数にかかわらずということで、一軒であってもということでございました。特に集落で一軒ということもあるんだろうと思いますし、そこにしっかり最後のお一人まで寄り添って御努力をいただくということは、一つの判断として大変大切な判断かなというふうに思っております。

 生活に必要な範囲ということは、ある程度集落的なものであればイメージはつきやすいんだと思うんですが、これは質問ではないんですが、例えば離れに一軒があるときですね。周りが森林に囲まれているようなところ、ちょっとした畑はあるかもしれない、ある程度、山みたいなところに入って、その中で生活の糧になるようなものも得ていた、そういう方もいらっしゃるんだろうというふうに思っています。この森林の除染というのは非常に難しい問題がございますので、今の時点で、全部を生活に必要だからやってくれとか、それは際限がないから難しいという、そこは私の方からは質問はしませんけれども、是非、そういう問題をどういうふうに取り組むかというのは非常に大きな問題になってまいりますので、是非ともその点について御検討を引き続きいただきたいというふうに思っております。

 さらに、具体的なところのイメージを聞いていきたいと思うんです。

 この特定帰還居住区域をやっていく、特に帰還意向がある方というのは、帰るということを決めているのであれば早く帰りたいというふうに思うと思うんですが、一区域の認定というのはどれくらい時間がかかるというふうに復興庁の方では想定をしているのか、お答えをいただければと思います。

由良政府参考人 震災から十二年を過ぎております住民の方、帰還を御希望の方には、できるだけ早く戻っていただける環境を整備していくということも重要というふうに考えてございます。

 御指摘の計画の作成、認定、実際の除染にどのぐらい時間がかかるか、整備に時間がかかるかといったこと、それぞれどういう時間がかかるかということについては、できる限り速やかに進めていくということが重要というふうに考えてございますが、御質問いただきました計画の認定ということにつきまして取り出して検討をいたしますと、各計画の策定には自治体ごとの御事情を踏まえた検討の期間も要しますし、作成に当たって一定程度時間がかかる可能性はございます。政府が行います計画の認定につきましては、できるだけ速やかに取り組みたいということは考えてございます。

 具体的な区域ごとの取組といたしましては、令和五年度の政府予算においては、大熊町、双葉町の一部地域で先行的な除染に着手できるように、除染予算を含めた事業費の計上をしているところでございまして、先行的な除染につきましても令和五年度中に開始することができるように、計画の策定及び区域の認定に向けて速やかに地元自治体との相談を進めてまいりたいというふうに考えてございまして、この法律を通していただきましたら、今年度中に予算の執行のため、計画の認定をし除染に着手するというスケジュール感は持っていきたいというふうに考えているところでございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 自治体においてどのように対応するかというのは、自治体の方の事情もあるので一概には申し上げられないけれども、恐らく事前の相談なんかはもうしているんだと思いますが、大熊と双葉においては令和五年度中には除染を行いたい、逆に令和五年度中にはその前提として特定帰還居住区域の認定を行う、それは先行的にということなんですが、特定帰還居住区域復興再生計画の認定を大熊、双葉では目指していくということだと思います。非常にスピーディーな対応だというふうに思っています。

 福島の拠点区域外に住む方々にも実際にそういうのが進んでくるのを見ていただくということは、帰還意向がある方もそうですが、保留になっている方々も、それを見て、その先どうするかということを考えていく、その大事な一助になると思いますので、是非この点は大熊、双葉と相談をしていただいて、何とか五年度中の着手ということでお願いをしたいというふうに思っております。

 次にお伺いをしたいのは、制度の大まかな概要の骨格をお聞きさせていただきました。まずは二〇年代をかけて、そして一世帯であってもしっかりとやる、そして先行的に年度内には二件ぐらいはチャレンジをしたいということでありました。次にお聞きをするのは、その裏打ちとなる復興予算の状況でございます。

 これはもう御承知のとおり、いわゆる復興予算フレームというものの中で、当初の五年間ということだったと思いますが、十九兆、それが二十三兆、そして最終的には現在のところ三十二・九兆の予算を計上しております。ただ、既に、福島の復興はまだ道半ばなんですが、岩手、宮城のいわゆる大型のハード事業というのはめどがついております。いわゆる第二期復興・創生期間において必要となる予算としては、約一・六兆を予算として計上しているというふうに認識しております。

 今回の事業は、令和二年度に復興予算のフレームを更に改定したときには想定していなかった事業であります。この事業、想定していなかったものですが、これも含めて令和二年度に作成した復興予算フレームの中で収まるんでしょうか。この点についてお聞きしたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたとおり、現行の復興予算のフレームでございますが、令和七年度までの復興事業の規模と財源につきまして二〇二〇年、令和二年の七月の時点でお示ししたものである一方、拠点外の事業につきましては、政府としての具体的な基本的方針がその翌年の二〇二一年八月に決定され、制度設計の検討などを経て今般の法律案の提出に至っているものでございます。

 その上で、拠点外事業の予算額につきましては、今後、法案の成立を待ちまして、地元自治体による特定帰還居住区域復興再生計画の策定等を通じて除染を行う範囲等が定まっていくものであるために、現時点においてその見通しについて予断を持って申し上げることは困難と考えてございます。

 いずれにいたしましても、第二期復興・創生期間、令和三年から令和七年度の五年間の歳出のうち、実績といたしましては現時点で一年目の令和三年度の決算しか確定しておらず、現時点で復興財源の過不足を判断し難い状況にございますが、令和五年度税制改正大綱にも記載がございますとおり、拠点外への帰還、居住に向けた取組等といった息の長い取組をしっかりと支援できるよう、確実に復興財源を確保することとされてございます。必要な復興事業の実施に支障を来さぬよう、復興庁として万全を期してまいりたいと考えてございます。

藤原委員 最終的に決算まで確定したのが一年目ということで、フレームとしては五年間がどうなるかというのはまだ分からないというお話でございました。その一方で、しっかり復興予算については必要な額をそのたびごとに措置してきていただいております。十九兆、二十三兆、三十二兆ということで、フレーム自体が高さが上がってきている。そういうことをしっかり踏まえて、是非、震災からの復興、特に原発被害は、あえて言うまでもないんですが、息の長い支援が必要だということは是非認識をしていただいて、ここは、予算としてのフレームの高さはしっかりこの先も必要となれば対応していただいて伸ばしていただくということは、私の方からも委員会の場としてお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 息の長い支援が必要だということで、ちょっと話を変えます、いわゆる災害援護資金について少しお話をします。

 被災をした方に、金額はいろいろあるんですが、三百万円とか、ある程度まとまった金額を生活再建のものとしてお貸しする、それをある程度、十年とか時間をかけて返していただくという災害援護資金制度がございます。この制度、阪神・淡路大震災のときもなかなか償還が難しいということで苦労をしておりました。二十八年目だったかに最終的には免除の仕組みを導入したという経緯がございます。

 この災害援護資金は、今回の東日本大震災の際には国において特例法を作りまして、本来は三%とかの利息が当時は取れたものを、保証人がいればゼロ、保証人がないとしても一・五だったと思うんですが、そこまで利息を下げるという措置をしました。今は条例で、基礎自治体の判断でそういうふうな制度はできるんですが、三・一一のときはこの三%を一・五とゼロにした。これは国の特例法によって行いました。

 そして、大事なのは、この三%というのは、これを災害援護資金の回収業務の見合いの事務費に充ててくれ、そういうことを想定して三%というのはつくった当初はあったわけなんですが、これを国の方の特例法で減らしてしまったということがございます。かといって、厚労省が所管していた頃はいろいろな名目で事務見合いの費用を出していた例もあったらしいんですが、今は内閣防災に移ってそういうことはないということでございます。

 そういうことを踏まえると、今の時点で支払い期日が到来している件数のうち既に三六%が滞納しているという状況にございます。もちろん、いろいろな事情があるので一緒くたに全部を取り立てればいいというわけではないんですが、やはりこれへの対応が自治体にも必要になってくるんです。自治体への支援、ノウハウ的なもの、そして特例法で事務見合いの費用を、利息を下げたということを考えると財政的なものを含めて支援が必要になると思いますが、御見解を内閣防災にお聞きしたいと思います。

五味政府参考人 御指摘のとおり、東日本大震災に係る災害援護資金につきましては、被災者の生活再建に配慮いたしまして、利率について、通常三%以内で条例で定める率としているところを、保証人がいる場合は無利子、保証人がいない場合は一・五%となっているほか、償還期間は通常十年のところが十三年、据置期間は通常三年のところが六年とされており、さらに償還免除の特例が定められるなど、法による特例制度が設けられております。

 このうち金利分につきましては、市町村の収入として災害援護資金の事務費等に充てられるようになっておりますが、被災者に配慮して利率が無利子又は一・五%に特例的に引き下げられていることもございまして、財政的に厳しいとの自治体の声があることは承知をしております。

 内閣府といたしましては、これまでも、自治体との意見交換などを通じましてノウハウや他の自治体の取組事例の共有を図るとともに、日々の個別の案件の御相談に丁寧に対応してきております。

 災害援護資金につきましては、貸付金の原資として無利子で国が三分の二を負担していることからこれ以上の財政負担は困難であると考えておりますが、今後とも、自治体の債権管理が円滑に進みますように、ノウハウ、他の自治体の取組事例の共有、また丁寧に御相談に乗るなど、対応してまいりたいと考えております。

藤原委員 ありがとうございます。

 済みません、最後に、本法の施行によって福島の帰還が更に進むと思いますが、大臣の決意を伺わせていただければと思います。

渡辺国務大臣 私自身、特定復興再生拠点区域外の状況について視察をしてまいりました。草木が生い茂る御自宅や、御帰還に向けて手入れをされている御自宅など、この目で拝見をさせていただき、震災から十二年がたったということで、時の重さや、住民の皆様方の御自宅に帰りたいという思いを改めて実感させていただいたところでございます。

 住民の皆様の思いにしっかりと応えていくべく、特定帰還居住区域を創設する本法律案の早期成立を図りまして、帰還の御意向をいただいている住民の方々全員の一日も早い帰還を目指して、復興大臣として全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 引き続き、復興庁といたしまして、現場主義に徹して、被災地の意見をよくお伺いして、被災者に寄り添いながら、復興の司令塔としての機能をしっかり果たしながら、復興を更に加速化してまいりたいと思います。

藤原委員 ありがとうございます。終わります。

長島委員長 次に、上杉謙太郎君。

上杉委員 上杉謙太郎でございます。おはようございます。

 今日は、質問の時間を賜りまして、理事の先生方に感謝申し上げたいというふうに思います。

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案の審議ということで、私どもは、先ほど藤原先生からもありましたけれども、自民党加速化本部の中で相当な議論を繰り返してまいりました。

 特定復興再生拠点区域が設定されて、帰れる地域というのができ上がって、しかし一方で拠点区域外になった地域があった。私の住んでいる白河市にも避難をしてきて、確かにもう既に十二年ということで、そこの拠点でいろいろなことをして人間関係ができているんですけれども、しかし、もし帰れるというふうになった場合はやはり帰りたいというのが、そういう方もおっしゃっておりました。

 そういった中で、今回、自治体を主導としてこういうふうに設定して、拠点区域外で生活する、そのめどが立ってきたというのは本当に大きなことだというふうに思います。また、浜通り、福島県全体の復興を見てみても、例えば今年はF―REI、国際教育研究拠点がスタートしましたし、復興がどんどんどんどん進んでいるという状況であります。

 一方で、懸念材料としては処理水の問題等もあって、これは一つ一つ課題を解決していかなければならないということであります。そういった中で、まずは今日は処理水についてお伺いしたいというふうに思いますけれども、処理水の放出については、まさにこの春そして夏に放出の予定だということでありますけれども、現状の見通しについてお伺いできればと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原発の廃炉を着実に進め、福島の復興を実現するためには、ALPS処理水の処分は決して先送りできない課題だと考えております。

 政府としましては、本年一月の関係閣僚会議におきまして、海洋放出設備工事の完了、工事後の原子力規制委員会による使用前検査、IAEAの包括報告書の発出などを経て、本年春から夏頃に海洋放出を開始することを見込むとお示ししたところでございます。

 このうち、海洋放出設備につきましては、放水トンネルの掘削が完了するなど、本年第一・四半期中の設備設置に向けまして着実に進展していると承知してございます。工事の完了後、原子力規制委員会による使用前検査を受けることになります。

 また、IAEAにつきましても、専門家が複数回来日しておりまして、レビューを行っております。ALPS処理水の安全性、規制プロセスの妥当性につきましては、既に報告書も公表されてございます。今後、IAEAは、処理水の分析結果を示した報告書を公表した上で、放出前のレビューの結果を総括した包括報告書を本年前半に公表する予定と承知してございます。

 その上で、ALPS処理水の具体的な放出時期につきましては、安全性の確保や風評対策の取組の状況を政府全体で確認し判断してまいりたい、このように考えてございます。

上杉委員 ありがとうございます。IAEAの今年前半ということは六月、では七月以降ということになるのかなというふうに思いますけれども。

 前々から懸念されている漁業者に対して、流通の問題、そして水産物のみならず風評が出てきて農林産品にも影響が出るということがないようにしなければならないわけでありますし、仮に夏の放出というふうになると、夏は海水浴等の観光客も来るわけであります。観光業への打撃、海水浴に行く家族ですとか、遊びに行く方々の懸念というのもありますし、サーフィンを始めとしてマリンスポーツをやっている方々の懸念、そういうところに対して放射線に対する正しい理解というものを進めていかなければならないというふうにも考えております。漁業等々いろいろありますけれども、特に海水浴、マリンスポーツ関係に関してどのように取組をされているか、お答えいただけますか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の処分に当たりましては、風評を生じさせないよう、安全性の確認や周知の徹底が重要であると考えてございます。

 具体的には、ALPS処理水の海洋放出は安全性に関する規制基準を十分に満たした上で実施されること、それを東京電力だけではなくてJAEAなどの第三者機関も確認すること、放出前後で環境中のトリチウムなどの測定値のモニタリングを行うことなどを繰り返し様々な場において説明するとともに、テレビCM、ウェブ広告、新聞広告等での情報発信の取組を進めてございます。

 委員御指摘の海水浴やサーフィンなどマリンスポーツに関わる方々に対しましても、福島県で開催されたものを含めまして、サーフィン大会やあるいはサーフィン連盟の会合などの場をいただきまして、ALPS処理水の安全性や廃炉作業の進捗などを御説明させていただいているところでございます。

 さらに、こうした事業に関わる方々が付加価値を高め風評を乗り越えることへの支援としまして、特産品やサービスの開発支援などの中小企業施策による支援、海の魅力を高めるブルーツーリズム事業として海水浴場の受入れ環境整備やコンテンツの開発支援なども実施してございます。

 こうした施策につきまして関係省庁と連携しつつ着実に実行するとともに、安全性の確保や支援策につきまして丁寧に説明、情報発信をしてまいりたい、このように考えてございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 観光庁さんのブルーツーリズムを始めとして、経産省さんとしても海辺を整備したりですとか観光客が増加するような取組もやっていらっしゃいますし、あとは、例えば文科省さんでは、小中学生に対しては放射線副読本というのを使って、放射線の正しい理解を子供たちに進めるという活動をずっとやってきております。海辺、浜辺に来た人たちに対して何かチラシを配って、放射線の、大丈夫というわけではないですけれども、正しい理解をしてもらえるような分かりやすいコンテンツのものを配付する等々して、観光客の皆さんに対しても正しい理解が進むように取組をしていただきたいというふうに思います。

 国内の風評等以外にもやはり海外における風評対策というのも大事でありまして、特に処理水の放出に関しては、海の向こう側に太平洋の島嶼国が十四か国ありますけれども、前々から懸念を表明しているという国々もありました。確かに、過去に水爆実験等もありましたので、こういった問題に対して非常に懸念を示すというのは十分理解できることでありますから、そういった意味ではしっかりと、今までも丁寧に説明をしてきてくださっているわけでありますけれども、そういった国々を含めて、現在の感触、また外務省の取組を教えていただけたらと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 ALPS処理水の取扱いにつきましては、日本はIAEAのレビューを受けつつ、これまで国際法を遵守し、また国際慣行を踏まえて対応してきており、人及び環境にとって安全性が十分に確保できるものとなっております。こうした対応につきましては、高い関心を有している近隣諸国、地域を含めた国際社会に対し、科学的根拠に基づき、透明性を持って丁寧に説明してきております。

 ALPS処理水の海洋放出について過去に懸念を表明した太平洋島嶼国のうちミクロネシア連邦につきましては、二月に行われた日・ミクロネシア首脳会談でパニュエロ大統領から、海洋という共通資源を傷つけないという日本の意図や技術力への深い信頼が示され、以前ほどの恐れや懸念はもはや有していない旨表明されました。

 また、二月に太平洋諸島フォーラム、PIF代表団が訪日した際、岸田総理及び林外務大臣との間で本件に関する集中的な対話の重要性について一致したことを受けまして、三月に林大臣がソロモン諸島及びクック諸島を、四月から五月に武井副大臣がバヌアツ、フィジー、ツバルを訪問し、各国の首脳等に日本の立場を直接説明するなど、政治レベルの対話を実施するとともに専門家レベルでの対話も行い、太平洋島嶼国の理解を得られるよう努めているところでございます。

 引き続き、透明性高く情報発信、説明を行い、国際社会の理解醸成に取り組んでまいる所存であります。

上杉委員 ありがとうございます。私も、政務官時代にソロモンのソガバレ首相に対してはしっかりと説明させてもらいましたし、福島県のお土産を持って首相にも喜んでいただいたというのがありますが、引き続き誠心誠意努力していただけたらありがたいというふうに思います。

 続いて、近隣諸国はどうですかね。韓国ですとか中国ですとか、こちらも教えていただければと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 韓国につきましては、これまで、局長級の説明会などの機会を通じまして、ALPS処理水の安全性について科学的根拠に基づき丁寧に情報提供や説明を行ってきております。

 先般の日韓首脳会談では、岸田総理から、IAEAのレビューを受けつつ高い透明性を持って科学的根拠に基づく説明を誠実に行っていく旨述べた上で、両首脳は、韓国国内における理解を深める観点から、東電福島第一原発へ韓国専門家で構成される現地視察団を五月中に派遣することで一致したところであります。

 中国につきましては、科学的根拠に基づかない一方的な対外発信がなされていることについて、科学的な根拠に基づき反論を行うとともに、科学的、専門的見地から個別に説明を行う用意がある旨伝えてきております。

 四月二日の日中外相会談では、林外務大臣から科学的根拠に基づかない中国側の対外発信に抗議しており、四月十日の日中高級事務レベル海洋協議におきましても、ALPS処理水の海洋放出について、我が国の立場を改めて明確に述べるとともに、科学的見地に基づいた議論を行うよう求めたところであります。

上杉委員 ありがとうございます。中国に対しては毅然と説明を続けるということと、韓国については、先日の日韓首脳会談において、韓国側の視察団が来るということであります。

 IAEAが視察に来たときもそのメンバーの中に韓国の方が一人いらっしゃいましたけれども、今回は韓国として来てくださるということでありますから、我々は福島において、処理の施設に対して、是非とも見ていただいて。逆に、韓国の方々が見に来てくだされば、韓国国内に帰って、安心だ、ちゃんとした施設なんだということを韓国国内で話をしてくださるでしょうから、これは非常にプラスになるというふうに私は考えております。是非どんどん進めていっていただきたいというふうに思います。

 あともう一点、主要国に対しての処理水を含めた風評対策、また復興のPR、発信等々についてであります。

 今、我が国はG7の議長国であるわけであります。首脳級の会談、G7サミットもそうでありますし、バイの会談でもそうでありますけれども、こういったところでしっかりと処理水を含めて正しい発信をしていくということと、福島そして東北の復興をPRしていくということが大切であるというふうに思っておりますが、どういった取組をされているか、外務省からお答えいただけますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今月開催されるG7広島サミットでは、様々な取組を通じて東日本大震災からの被災地の復興を世界に向けて発信してまいる所存です。

 具体的には、福島県を含む被災地の産品をG7広島サミット会場における食事の機会で活用するほか、国際メディアセンターにおいて、国内外のメディア向けに、被災地の地元企業が製造する酒類、加工食品等の試食、試飲の機会を提供し、被災地の復興と産品の味わいをアピールしてまいりたいと考えております。

 また、国際メディアセンターでは、試食、試飲のほか、関係省庁及び被災地の地元自治体が広報展示ブースを設け、動画放映やパネル展示等を通じて被災地の復興状況を国内外のメディアに広く発信してまいる所存です。

上杉委員 ありがとうございます。是非、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。

 国内においても海外においても風評を払拭していくということ、また、処理水に対しても放射線に対しても科学的根拠に基づいた正しい理解をしっかりと誠意を持って続けていくことというのが福島の復興につながっていくことでありますし、区域の再生も含めて様々な一つ一つの課題を解決していくことが、それの積み重ねが福島の復興にどんどんつながっていくんだというふうに思っております。

 あともう一点、今度は諸外国の輸入規制についてお伺いしたいと思います。

 こうやって風評を払拭していくことによって、正しい理解を進めていくことによって、福島県産品を始めとした日本産食品の輸入について、いまだ制限をかけている国と地域があります。去年もそうでありますし、多くの国々が解除してきているところでありますが、まだ一部残っているところがあるということであります。そして、ヨーロッパ、欧州については今は制限つきの解除でありまして、まだ完全解除にはなっていない。しかし、これももう少しで解除できるような、そういった見込みができてきているというふうにも考えております。今どういった取組をされているか、お答えいただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 欧州連合、EUによります日本産食品の輸入規制措置につきましては、今年六月までの見直しに向けたEU内部のプロセスが開始されておりまして、議論が行われていると承知しております。

 政府といたしましては、これまで、岸田総理、林外務大臣を始めあらゆるレベルから、欧州委員会及びEU加盟国に対しまして、輸入規制措置の早期撤廃に向けた働きかけを行ってきております。

 例えば、今年四月でございますが、日・EU経済連携協定に基づく合同委員会の機会を捉えまして、林外務大臣からドムブロウスキス欧州委員会上級委員長に対しまして、科学的根拠に基づき措置を撤廃するよう強く要請したところでございます。

 EU側での議論の結果につきましては予断できませんけれども、日本産食品の安全性は科学的に証明されておりますので、このことを踏まえて引き続き措置の撤廃に向けて粘り強く働きかけてまいりたいと思っております。

上杉委員 ありがとうございます。是非、粘り強く交渉を続けていただけたらありがたいというふうに思います。処理水と輸入規制については以上であります。

 また、復興に関して、今年になって福島教育研究拠点がスタートいたしました。これは非常に大きいことであります。今回の機構のスタートによって更に復興が進むというふうに考えております。

 そういった中で、今回の五つの研究テーマもそうでありますし、また、年次計画を見させていただきましたけれども、様々に連携をしていくということも書いてありました。これは、福島県内の地域の連携もそうでありますし、大学を始め研究機関との連携、国際連携、そういったところもあるということであります。そこで、まず大臣に意気込みも込めてお答えいただきたいというふうに思いますが、特に地域連携のうち、地元の小中高校と連携していく、出前授業をする等々書いてありました。

 福島県は広いですから、研究教育拠点は浜の地域の子供たちにはすぐ行けるし来れるというふうに思うんですが、例えば私の住んでいる中通りもそうでありますし、中通り、会津だと結構時間がかかるわけであります。しかしながら、福島県全体として見ていただいて、教育連携を図っていくようであれば、しっかりと中通り、会津も含めた福島県全域の子供たちに対して出前授業をしたりとか何かしらのイベント等をやっていただきたいというふうに思いますが、意気込み等を含めてお答えいただけたらありがたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 地元教育機関と連携しながら福島の未来を担う若者たちに人材育成の取組を充実させること、これは大変重要なことだというふうに思っております。将来のF―REIの人材確保にもつながるわけであります。F―REIが地域に密着し長期的に発展するためにも、このことはしっかりと取り組んでいかなければならない問題だというふうに思っております。

 F―REIでは今後、大学院生や企業の人材を含む様々なレベルでの人材育成に取り組むこととしておりますが、中でも未来を担う若者世代に対しては、会津大学を始めとする県内の大学、高専や、福島高校、会津高校などの県内高校での開催を予定しておりますF―REI役員陣によるトップセミナーなど、研究者等による出前授業に加えて体験学習会や競技会といった、小中高校生等が最先端の研究に触れ、その魅力や可能性をプロの研究者とともに追求する多様な機会や人的交流の場の提供などについても、これまでの復興施策による取組や地元の教育機関とも連携しながら、近隣地域のみならず中通りそしてまた会津地域への展開も含めて検討していくこととなると思います。

 F―REIがこうした人材育成の取組を効果的に推進するためには、特に地域や各教育機関等のニーズやシーズを丁寧に酌み取りながら連携体制を構築していくことが不可欠であり、復興庁といたしましても関係省庁と連携してF―REIの取組を支えてまいる所存でございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 法案を始め質問は多々残っていますが、時間が来てしまいましたので、これで終了したいと思います。ありがとうございました。

長島委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。どうぞよろしくお願いします。

 質問の順番をちょっと変えて、四番目の質問を最初に大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今年の二月の予算委員会基本的質疑におきまして、私は、岸田総理に対して、住民の帰還について質問させていただきました。原発事故から十二年、被災された皆様、避難されている皆様の高齢化が進んでいるということに鑑みて、時間的な余裕はないということを御指摘をさせていただきました。その上で、法案成立後、スピード感を持って住民の帰還を進めていくべきだということを申し上げた上で、住民帰還の開始時期について、お答えはしにくいということは分かった上でということを前置きしながら、目標を示すように求めたところでございます。総理からは、その際に、めどを示したいと明確に御答弁をいただいたところでございました。

 改めて、復興大臣、帰還の開始時期についての目標をお聞かせいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所の事故から十二年が経過しました。事故により、いまだに多くの方々が避難生活を余儀なくされていることは重く受け止めていかなければならない、そのように思っております。

 特定帰還居住区域については、今後、地元自治体による特定帰還居住区域の復興再生計画の策定を通じて、除染を行う範囲やインフラ復旧の見通し等が具体的になっていくことになります。このため、現時点においては、御指摘の住民帰還の開始の時期について具体的なスケジュールをお示しすることは困難であると思います。

 復興庁としましては、帰還意向のある住民の方々全員が一日も早く帰還できるよう、各自治体と協議を重ねつつ、避難指示解除に向けた取組を着実に前に進め、その見通しをできる限りお示しをできるよう努力してまいりたいと思います。

庄子委員 繰り返しこのことを伺っているのは、全国に散らばっている被災された皆様の声、声なき声といいますか、そうした声を代弁させていただいております。住民の皆さんに帰還をしていただくというのは、つまり、元いた、住んでいた場所、家で元気に暮らしていただくために住民帰還というものがあるわけですので、元気で暮らしていただくためにスピード感を持ってやっていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、広域的な復興再生という課題についてお尋ねをさせていただきます。

 帰還困難区域が残っている幾つかの市町村を中心に、避難地域となりました相双地区、ここで、原発事故の復興について広域的に取り組んだ方がよりスケールメリットが生じるという分野があろうかと思っております。各自治体が同じような機能を同じように持つ必要があるかどうか、あるいは、役割や機能を分担し、補完し合いながら、俯瞰で、広域的な町づくり、これを進めていくということの方が効率的ではないか、こうした考えでございます。

 国として、地域一帯の復興まちづくり、これについてはどのように取り組んでいかれるお考えか、伺います。

渡辺国務大臣 復興に関しましては、各自治体ごとの自主的、主体的な復興の取組を基本としながら、委員御指摘のとおり、自治体間の広域連携によって効率的、効果的な町づくりを進めるべきとの視点も大変重要でございます。

 これまで、例えば、教育分野であれば、ふたば未来学園、医療分野であれば、ふたば医療センター附属病院など、広域を視野に入れた整備をされている事例がございます。今後どのような取組を進めるかについては、自治体の現状や意向を十分に踏まえて検討していく必要があると思っております。

 復興庁といたしましても、引き続き、現場主義を徹底して、現状や関係者の意向を丁寧に確認しながら、復興の取組を一つ一つ進めてまいりたいと思います。

庄子委員 是非お願いを申し上げたいと思います。

 今のお答えに関連して、次の問いは農業のことについてなんですが、とりわけ、市町村の垣根を越えて大規模に取り組んだ方がよりスケールメリットが出るという意味で申し上げれば、農業はそのジャンルなんだろうなというふうに思います。

 今、全国各地でスマート農業、大規模化、効率化をして取組を始めているところでありますけれども、この福島の沿岸地域は、これまでのいわゆるスマート農業の規模をはるかに超えて、より省力化、より大規模区画化した、国内には本当にここにしかない農業を創出できる、そういう土台ができているというふうに思っておりまして、農業についての御所見も伺いたいと思っております。

 一昨年、与党の第十次提言におきましては、二〇二五年度までに約一万ヘクタールの営農再開ということに言及をしております。農地の大区画化あるいは利用の集積、こうしたものを進めて、法人など外部からの新たな担い手参入、こうしたものを加速するようにも求めております。

 広域的な農業の確立、これに向けまして現状はどうなっているか、伺います。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地域の営農の再開の状況でございますけれども、令和三年度末の時点で七千三百七十ヘクタールの農地が営農を再開されておりまして、一万ヘクタールという目標を掲げさせていただいておりますが、それに対する進捗率が七四%となっているところでございます。

 国としては、地域の実情を踏まえまして、農業用機械、施設の導入、圃場整備等による農地の大区画化、福島特措法の改正で措置をしていただきました制度を活用した農地の利用の集積、外部からの参入も含めた担い手の確保、こういった取組を幅広く行い、力強く後押しをしていきたいというふうに考えております。

 こういった取組の成果の一つとして、一つの農業法人に数十ヘクタールの規模で集約、集積された事例も出てきているところでございます。

 引き続き、被災地の声に耳を傾けて、関係省庁、福島県等とも密接に連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

庄子委員 今の御答弁の中で、細かいことのようなんですが、よく農水省や地元との連携を取っていただきたいのは、広い土台がある中で、単に集積に終わらないように、集約化されていくように是非周到な準備をお願いしたいと思っています。スマート農業をやっているところなどを視察させていただきましても、確かに集積はできているんですが、飛び地が目立っていて、集積しているんだけれども効率が悪いというところがあります。

 困難な作業ではありますけれども、地元の自治体あるいは農業委員会、農水省、いろいろなところとの連携を進めていただきながら、集積を超えて、是非、面的に集約が進んでいくように、それがあって初めてスケールメリットも生かされてくるというふうに思っておりますので、この点は御指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、令和五年二月、会計検査院が公表しました報告書によりますと、特定復興再生拠点区域の再生計画書に基づく事業の進捗状況につきまして、令和四年六月時点で事業が完了しているものがおおむね一〇%台にとどまっているという報告でございます。

 既に計画期間の令和四年九月を過ぎているものも三つの町村でございまして、会計検査院からは、市町村に対し助言を行うべきとの指摘も出されておりますけれども、政府はこのことについてどのように対応を取っていかれるか、伺います。

由良政府参考人 御指摘の会計検査院の公表した報告書でございますけれども、特定復興再生拠点区域の復興再生計画の認定を受けております六町村の復興再生計画に記載されている事業につきまして、完了したものがおおむね一〇%台にとどまっているという御指摘でございまして、半数以上の事業が実施中の状況というところでございます。

 現在、引き続き実施をしている事業がございますけれども、こういった事業の実施につきましては、復興庁としては、これまで、各自治体の復興再生計画に記載されている事業等の進捗について、毎年の予算の執行状況の確認、日常的な各自治体との協議を通じて状況を把握し、助言をし、取組を進めてきているところでございます。

 復興庁としましては、各自治体の個別の課題や要望を丁寧に伺いながら、各事業の完了までしっかり支援をし、特定復興再生拠点区域の復興再生に向けた取組を引き続き進めていくことが重要と考えてございます。

庄子委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、F―REIについてでございます。

 当初から、政府としては、いわゆる世界に冠たるといった表現を用いながら、この研究教育拠点のレベルについて説明をしてこられました。令和四年五月十日のこの復興特におきましても、福島復興再生特別措置法改正案に対する附帯決議におきまして、機構が魅力ある取組を世界に発信し、世界レベルの研究者を呼び込むように努めること、これを附帯決議でも求めているところでございます。

 世界に冠たる、あるいは世界レベルとの位置づけに対しまして、現状及び今後の見通しについてはどのようになっていらっしゃるでしょうか。

角田政府参考人 情報発信というお話と、それから研究者を集めるという二点あると思うんです。順番に御説明を申し上げます。

 まず、F―REIは、第一期中期目標期間におきまして、まさにおっしゃられているとおり、基盤づくりと存在感の提示ということに重点を置くことといたしております。効果的に情報発信を行いまして認知度を向上させること、それから活動の基盤となる研究者を確保することが、これから取組を軌道に乗せる上で非常に重要だというふうに考えているところでございます。

 少し具体的に申し上げますと、例えば、先月の十五日でございますけれども、いわき市の会場に関係者約三百人、オンラインで三百四十人の方々に登録をいただきまして、設立記念シンポジウムを開催いたしました。まずは、組織の設立自体を内外に発信したというところでございます。

 今後とも、動画やパネルなどの情報発信コンテンツを有効に活用しながら、多言語でのホームページの整備ですとか、SNSでの情報発信を含む様々な機会を捉えた発信を行うことといたしております。

 また、世界レベルの研究者の確保に向けましては、新産業創出等研究開発基本計画におきまして、魅力的な研究環境と必要な研究資金の確保、成果や能力に応じて柔軟に設定した給与等による処遇、国内外の有力な大学や研究機関等と連携したクロスアポイントメント制度や組織的な人材交流の活用、先例にとらわれない若手、女性の積極的な登用といった、研究者にとって魅力的な研究環境の整備を進めることとしております。また、F―REIは、国際アドバイザー等を始めとする研究者ネットワークの活用によりまして、国内外の優秀な研究者へ積極的にアプローチをしていくということを予定しているところでございます。

庄子委員 やはり研究拠点という箱ではなくて、そこにどういう優れた研究者が世界中から来られるかということが、国内の若手研究者、学生、そうした方々がこのF―REIを目指して一層学びを進めていただける環境になるのだろうと思いますので、人材の確保には本当に力を入れて、今が大事だと思いますので、お取組をお願いしたいと思っております。

 ALPS処理水の問題についてもお尋ねをさせていただきます。

 海洋放出がこの夏以降にも予想をされております。近づいてまいりました。放出前にトリチウムの濃度等を厳格に検査をするということは当然であります。海水のモニタリング検査及び海洋動植物の検査、ここをしっかり行うことこそが風評を抑えていくということにつながります。このことについては、是非、東京電力ではなくて政府の責任で放出から迅速に検査結果を発表していくこと、これが非常に国民の皆様の安心感につながっていくんだろうというふうに思っております。

 最初の海洋放出直後からどのぐらいの時間軸で検査の結果を発表されるおつもりか、伺います。

小林副大臣 ALPS処理水の放出後も、政府としては、責任を持って海域モニタリングを行ってまいります。

 環境省では、これまで精度を重視して分析をしてまいりましたが、放出開始後は、これに加えて、速報性を優先した分析も並行して実施をしてまいります。IAEAの確認を受けた専門機関での分析というものが必要でありますので、一定の制約はありますが、可能な限り速やかに公表できるように検討を進めてまいります。

 以上です。

庄子委員 今のお答えは非常に大事だと思っております。速やかに政府としての、今、速報値とおっしゃっていただいたのは、つまり、従来であればもう少し時間がかかる検査結果の解析なんだけれども、しかし、放出直後、最初の放出日からできるだけ時間を置かずに検査の結果を速報値として出すということはとても重要だと思います。

 というのは、多分、東京電力も福島県もあるいは規制庁も、いろいろなところが検査をするんですが、仮に東京電力がすぐに速報値なるものを発表して、国がその後、間を置いてしまったならば、何で東京電力が発表できているのに国は発表できないのというふうに国民には受け止められる可能性があると思っています。

 したがって、ここの速報値を出すタイミングを、できるだけ私は電力事業者とそろえて、同じタイミングでそろえて発表していくということがとても大事ではないかなというふうに思っておりまして、その部分については、是非もう一言お答えを頂戴をしておきたいと思います。お願いします。

小林副大臣 庄子委員がお述べのとおり、政府として責任を持って、かつIAEAの確認を受けた専門機関ということでありますので、スピードとそして精度と両方求められるわけでありますけれども、海洋放出後は、今までに行っていなかったスピード重視の分析というものを行ってまいりますので、具体的にこの期間がどのぐらいかかるかということは申し上げられませんが、可能な限り速やかに公表できるように努力をしてまいりたいと考えております。

 以上です。

庄子委員 非常に大事なお答えを頂戴いたしました。

 我々としても、Xデーがいつになるのかは分かりませんが、不要なといいますか、風評被害を抑えるためのありとあらゆる努力をする必要があると思っております。科学的な知見、根拠、数値を示して安心感を供与していくということ、そして、同時に、海洋のモニタリングや動植物についての具体的かつ今おっしゃっていただいた精度の高い検査結果、これを分かりやすく国内外に発信をしていくということが最も肝要だというふうに私も理解をしております。

 今の御答弁どおり、着実に推進をしていただくことをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 先日、五月五日でございます、能登半島、珠洲市を中心として震度六強の地震がございました。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げます。そして、けがをされた方、現在もまだ住居が、屋根の修繕も含めて、家の中も、私たちの言葉で言えばかちゃかちゃの状態で、まだ住めない方もたくさんいらっしゃいます。避難所におられる方もいらっしゃいます。そのような方々にお見舞いを申し上げます。

 そして、市の職員の方、県の職員の方、国の職員の方、そして消防団、民間の方々も含めて頑張っていただいています。ボランティアの受付も今始まり、外部からも一部来ていただいているようでございます。そのような方々に感謝を申し上げます。

 そしてまた、ふるさと納税も、五月五日以降、数件、増えてきているということも聞いております。大変ありがたいなと思いますし、今日、この動画を見ていただいている方がいらっしゃると思いますので、ふるさと納税での御支援といったこともお力添えをいただければと思います。正直、電話等の問合せだと、役所の方々も、今、住むところの居住空間であったり、道路や、まだがたがたのところもありますので、てんやわんやの状況でございますので、ネットでのふるさと納税もできます、またファクス、郵送でもできますので、こういったところも様々な形で皆様に御支援をいただければというふうに思います。

 この珠洲市というところでございますが、私は、いつも質問するときに手を上げて、能登半島の近藤と言うんですが、今日はそういう気分でないので手を上げませんけれども、この指先の一番先っぽのところになります。金沢駅からでも二時間は優にかかります。そして、能登で最大の都市、七尾というところからも一時間半かかりますし、朝市で有名な輪島からも更に一時間かかるという場所でございます。

 平成に入りまして、人口も、二万半ばから今は一万三千人を切りました。三十数年で人口が半分、高齢化率も五二%、空き家率も二割ということで、東日本大震災の被災地の、海岸線の自治体も恐らく近いような状況だと思いますけれども、普通の災害に対する耐性といいますか、ダメージといったところが大変重いということも皆様に御理解をいただければと思います。

 その上で、昨年の六月に震度六弱がございました。そして、一年弱たって震度六強ということで、去年、家をせっかく修理したのに、また今年修理をしなければいけない。

 例えば、九十歳近くの御高齢の方が、給湯器が壊れた、どうしようかと去年も相談を受けたんですけれども、三十万、四十万かかる給湯器もございます。収入は年金しかないという中で大変困ったという方、まだその方と、今年、今回話はできていませんけれども、大変心配です。私の知り合いが神社なんですけれども、去年の地震で鳥居がずれました。鳥居がずれたところを直すだけでも二百万以上かかりました。それだけでも、氏子さんも減っていますので、大変苦しいんですけれども、それが今回倒壊をしたということで、倒壊をして、それを撤去する費用さえもどうしようか、そのような状況でございます。様々な皆様から御支援をいただければというふうに思います。

 その上で、現地を回りながら感じたことなんですけれども、去年の災害特でも私は質問したんですが、去年の四月の段階です、思い返していただけば、去年の三月も福島県で震度六強の地震がございました、さらに、一年前の二月、二〇二一年の二月にも震度六強の地震が福島そして宮城でございましたけれども、私も現地なども見ながら、言葉、表現がいいかどうか分からないですが、強くなってきているなという思いがございました。強くなってきているなといいますのは、震度六弱や六強に対して、もちろん、電柱が倒れて、新幹線のところで倒れたりとか、道路のずれだとか、そういったところはありながらも、皆様の暮らしの回復力というか、防災力、家具の固定化なども含めて、かなりしっかりしてきているなというふうに感じました。

 一方で、昨年の震度六弱、珠洲市で地震があったときには、家具の固定化等がやはり全然されていなかったという状況がございました。珠洲の、去年の段階でもう二年近く群発地震で震度四や震度五の地震があったんですけれども、こういった防災力という点ではなかなか上がっていないなというふうに思ったんです。

 昨年の四月で質問をしたのは、東日本大震災の被災地での知見、経験が、比較的災害の少ない地域に、いい意味で伝播していないのではないか、これをしっかりとしていくべきではないかということを質問をいたしました。これをしっかりと広げていくということを去年の四月に答弁をいただいたんですけれども、残念ながら、先週の五日の地震のときには、まだまだ家具の固定化も含めて進んでいなかったなというところは感じました。

 もちろん、行政の方々の経験値、今回も大変素早く対応していただいたと思いますし、民間事業者の方、そして一般にお住まいの方々に、注意をしてくださいね、対策をしてくださいねといったことは十分にしていただいていると思います。

 例えばですけれども、一番揺れた地域のガソリンスタンドは今も無事に営業しております。去年の震度六弱を経験して、耐震の、しっかりと補助もしてもらいながら準備もしたから、ガソリンスタンドはその日から営業できたということも聞いております。また、酒屋さんなども、一年前は、日本酒ですとかワインなどが下に落ちて、割れて大変な状況になっていたんですけれども、やはり工夫をされて、ワインは横に置いて陳列しようとか、そういった工夫はされておられました。

 恐らくは、民間事業者の方々は、もちろん、稼いでいかなくてはいけない、損をしたくはないからしっかりと準備をしようというところがあるんですが、普通に住まわれている方、特に御高齢の方々は、危ないな、しんどいな、怖いなと思いながらも、そこまでの、本当の意味での備えが今回もできていなかったというふうに感じています。

 ここで質問にさせていただきますが、東日本大震災を含めた大きな地震、災害からの教訓から学ぶこと、そして、具体的に、横展開、全国の各自治体に対して、さらに民間事業者の方、そして一般の方々に対して横展開しているということがあれば、教えてください。

中野大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先日、五日に発生した石川県能登地方を震源とする地震では、死者一名、重傷者二名などの人的被害のほか、多数の建物被害が発生をいたしております。お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 政府としましては、被災の現状や地域の声をしっかりと受け止め、政府一体となって、被災された方々が一日も早く元の生活に戻れるよう取り組んでまいります。

 我が国では、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大規模地震により大きな被害を受けました。いつ起こるか分からない災害に対しては、国民一人一人が、自分だけは大丈夫と思うことなく、自分の命は自分で守るという意識を持って、具体の行動を取っていただくことが重要であります。

 内閣府では、毎年、「ぼうさいこくたい」の開催等を通じて、国民の普及啓発に努めているところでございます。折しも、今年は関東大震災から百年の節目の年に当たることから、次の百年を見据え、過去の災害の教訓等を国民に広く発信する場としていきたいと考えております。

 政府としましては、自治体とも連携をし、国民一人一人の防災意識の向上にこれからも努めてまいります。

近藤(和)委員 関東大震災から百年ということで、やはり何らかの形で、今までのやり方では伝わっていなかった部分があるんだということは是非とも政府の皆様には御理解をいただきたいなというふうにも思いますので、百年ということを機会として何か行動を、催物がいいのかキャラバンがいいのか分かりませんけれども、動いていただければというふうに思います。

 そして、地震になれば、風評ということも大変心配です。せっかくコロナから明けて観光のお客様が戻ってきていただいている、このような状況の中で、珠洲市内の中であっても、御飯も食べられるところもありますし、泊まれるところもありますし、七日の時点で、漁港に行きましたら、早速お魚を揚げていました。もちろん、漁港ががたがたになっているところもあるんですけれども、営みがかなり戻ってきている部分もあるという状況でございます。

 そして、先ほど申し上げました、一時間半の七尾、和倉温泉というところがあります、一時間かかる輪島などは被害は出ておりませんので、どうか全国の皆様には、能登町や七尾や穴水や輪島、志賀町等々、南の自治体に行けばなおさら無事でございます、能登空港も、能登空港が珠洲まで一時間ぐらいかかるんですけれども、普通に機能しておりますので、そこは是非とも支援をするといったことで、いろいろな、今年は珠洲で、奥能登芸術祭、今まで大成功を収めてきている数年置きのイベントがあるんですけれども、奥能登芸術祭も行われる、地震があったので確定かどうかは分からないんですけれども、お越しをいただければというふうに思います。

 そして、次の質問に参りますが、この珠洲市は、先ほど申し上げましたように、もう一万三千人を人口は切っています。企業も少なく、財政力も極めて弱い。こういった中で、昨年の大雨の災害、特に金沢より南のところが強かったんですが、財政力の弱い自治体に対してやはり何らかの特別な支援というものが必要なのではないかなというふうに思います。面積も、本当に珠洲市というところは広いんです。ぐるっと回る、海岸線を回るだけでも五十キロございます。ここだけでトライアスロンをやっているような地域でございます。

 財政力の弱いところに対して何らかの配慮が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

中川大臣政務官 まず冒頭に、五月五日に発生をいたしました石川県能登地方を震源とする地震によりお亡くなりになられました方の御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、被害に遭われました皆々様方に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 さて、総務省では、今回の災害により被害を受けた自治体に対し、その要望等を踏まえまして、当面の資金繰りを円滑にするため、普通交付税の繰上げ交付に向けた所要の手続を進めているところでございます。

 今後、被災自治体において応急復旧対策などにどのような財政負担が生じるのか、その実情を丁寧にお伺いをしてまいりたいと存じます。

 そして、その上で、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じることにより、被災自治体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいりたいと存じます。

近藤(和)委員 様々な御配慮をお願いいたします。

 交付税の前倒しといったところ、特別交付税等もあると思いますけれども、住民の方々、住民というよりは行政の一歩手前の方々が、今、思いとして、私も昨日もおとといも聞いたことがあるんですが、激甚災害指定をしてくれという声を聞いています。ただし、皆様、釈迦に説法だと思いますけれども、基準が決まっているから、お願いをしても、されなくても、これは一定の金額を超えれば指定されるし、以下だったらされないわけですよね。ここの部分での期待感といいますか、ここは私は大変申し訳ないなというふうに思います。激甚災害指定をされたら負担が楽になるから期待しているんだという声を聞いたんですが、本当は逆なんですよね、指定にいかない方が被害額が少なかったということなので。

 ここは、世の中一般の方々に対して、本当の一般の方々ではなくて、行政にお願いをするような立場の方々に気持ちの面でのストレスをなくしていくために、私は、誤解という言い方がいいか分かりませんけれども、直していった方がいいのかなというふうに思っています。そのためにわざわざ陳情をすること自体が大変もったいないというふうに思っています。

 その上で、自治体に応じて、規模五十億円、標準税収入の二〇%を超えるということで、税収の五十億円以下の部分での自治体の大小の基準というものを設けていただいております。今日は質問しないですけれども、問題提起として、珠洲市は十数億円でございます。だんだんだんだん過疎化が進んできているところの、もちろん、自治体の財政力も弱くなってくるので、激甚の指定の云々というところは水準は決まっているということはこれも百も承知の上で、今、自治体での大小の規模が二段階というところを、これを後々、例えば五十億円以下ではなくて、五十億円以下も設けた中で、さらに、二十五億だとか十五億だとか十億だとか、こういったことを後々の長い目で考えていっていただければ、小さいところでも救われるんだ、ちゃんと更に国が配慮してくれているんだという安心感につながるのではないかなということは問題提起をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 さらに、この部分については最後になりますが、珠洲市の方々、そして奥能登全般に住まわれている方々の思いとして、過疎地をしっかりと見詰めておいてほしい、海岸線もそうですし、山の中もそうです、自分たちが国土を守っているんだと。海岸線を守るイコール国土を守るということでもございますし、山間地などはCO2の吸収も含めて、自分たちが国土を守っているんだという強い意識を持っていただいています。一票の格差の問題等も含めて、ここは地方をもうちょっと大事にするということを都市部の議員の方々にも是非とも思ってほしいなという声も日々出ておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、この度の法律についての質問に入らせていただきます。

 特定帰還居住区域を設定をし、戻ってきていただけるように準備をするということは大変大事なことだというふうに思っています。一方で、既に先ほどから出ております拠点区域、こちらで避難指示が解除された地域はどうなのかという現状把握、昨年の六月に葛尾村、大熊、そして双葉町は八月でございますが、こちらで現在は何人帰還しているか、どの程度把握されているか、教えてください。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 特定復興再生拠点区域においては、各自治体が作成した特定復興再生拠点区域復興再生計画に基づいて、除染やインフラ整備等を始めとする帰還環境の整備を進めてきたところであります。

 こうした取組によりまして各拠点区域の避難指示解除が着実に行われてきたところでありますが、帰還者数の目標は、各自治体が作成する復興再生計画において避難指示解除から五年後の目標として定められているものであり、実際の帰還者数についても、拠点区域と避難先での二地域での居住を継続する場合がある等、拠点区域での居住の実態は住民によって様々であることが想定されるため、丁寧な居住実態の把握が必要であるということから、復興庁としましては、今後、地元自治体ともよく相談しながら、実際の帰還者数の把握に努めつつ、帰還者数の目標達成に向けて、拠点区域の生活環境の整備等のために必要な取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

近藤(和)委員 住民によって様々、帰還の仕方も含めて、居住なのか帰還なのかも含めてですね。要は、具体的な数字が出ていないということなんですよね。ある新聞社、大手新聞によりますと、九十名という報道が出ておりました。これは二月八日の時点でございます。

 間もなく、葛尾や大熊では避難指示解除から一年たつわけでございます。住民によって様々ということで把握が遅れてしまえば、適切な対処、修繕、直していかなければいけない部分が遅れてしまいますので、そうすると更に帰還が遅れるということにもなると思いますので、どうか工夫をしていただければと思います。

 その上でなんですが、九十という数字は、復興庁での数字とは、数字というか認識とは全然違うと思いますが、イメージとしては、恐らく、まだ少ないなというイメージはお持ちだと思うんですね、恐らくは。予定よりもたくさん帰ってきているということはないですよね。うなずいていただいております。

 そこで、あくまでも、乖離をしている、少ないという前提で考えれば、何が足らないのかという想像力を私は働かせていいと思います。自治体への支援が足らないのか、見込みが過大だったのか、若しくは住民の気持ちが変わってきているのか、この基本計画を作ったときから。こういったことも含めて、どのように、仮定の話ではございますけれども、お答えいただければと思います。

渡辺国務大臣 私としましては、帰りたいという人たちを速やかに帰せる環境をつくっていくことが大変重要だというふうに思っておりますので、仮定の話ではちょっと私の方は答弁しかねるわけでありますけれども、速やかな環境整備はしていく必要があるというふうに思っております。

近藤(和)委員 そのときそのときで想像力を働かせていただければと思います。

 広野町は、福島原発から二十キロから三十キロ圏内で、私も十数回通っている自治体でございます、発災直後から。復興での本当の拠点でございました、今も拠点でございますけれども。ここで除染作業をしている方、五月か六月ぐらいでしょうか、始まったか始まらないかぐらいのときだったと思うんですが、除染作業をされておられる方が、人の帰れるところ、ここに人が帰れるということは大変いいことだけれども、自分は大熊に住んでいるんだ、自分はもっともっと帰れそうもない、帰れそうなところの人のところを助けるのは大変大事だけれども、大変苦しい、悔しい思いで作業しているということをおっしゃっていたのを思い出します。その方が今どういう立場かは分かりませんけれども、いろいろな局面での想像力を働かせて、私たちも進めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 今日は、どうもありがとうございました。

長島委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今ほど、近藤委員から石川県の珠洲市のお話がありました。五月五日に震度六強の地震が発生し、余震が続いています。地震で犠牲になった方に哀悼の意を、また被害を受けている方々の安全と一日も早い救済、復旧を求めます。

 また、今朝も地震予報のアラームが鳴りました。いつ聞いても不気味で、また十二年前を思い起こし、胸がざわついております。

 改めて、東日本大震災復興特別委員会、この委員会での質疑や指摘を踏まえた復興庁の取組が、被災地の方々の復興はもちろんですけれども、加えて、日本全国、いつ、どこに起きてもおかしくない自然災害への教訓、備え、そして実際の対応に生かしていただく委員会になっていただきたい、それに私たちも協力をしていく、その思いでございます。

 さて、今回の福島復興再生特別措置法の改正案、これについてなんですが、先ほど、二〇二〇年代を通してというお話がありました。当然、長年にわたってという取組なので、財源が必要になります。

 復興の財源について、復興特別所得税を防衛費に転用するということは決して認められません。昨年十二月、二〇二三年度税制改正大綱が閣議決定されました。復興特別所得税を一%減額して、徴収する期間をその分後ろに延ばしていく、減額した一%を防衛費に回すという、私たちからするとすり替えのような論理立てでありまして、復興税を巻き込まないでいただきたい、そう思っています。これは復興に対する間違ったメッセージにもつながりかねません。閣議決定のときは渡辺大臣は復興大臣に就任する前ですが、現復興大臣として、復興特別所得税を転用するようなごまかしの姿勢、これには毅然と対応していただきたいと思います。復興大臣としてのお答えを伺います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 今回の防衛力強化に係る財源確保のための税制措置は、防衛力強化のための新たな付加税をお願いすることに伴い、現下の家計の負担増にならないように、復興特別所得税の税率を引き下げるとともに課税期間を延長するものであるということは今御指摘のとおりでございます。

 復興大臣としては、復興事業に影響を及ぼさないということが最も重要だというふうに考えておりますし、そのために復興財源の総額の確保が大前提であるというふうに考えております。この点、今回の措置における課税期間の延長幅は、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされており、復興特別所得税を転用するものではなく、復興事業に影響を及ぼすこともないと考えているわけであります。

 引き続き、被災地の声に耳を傾けて寄り添いながら、丁寧な説明に万全を期してまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 今ほど、被災地の方々の声に耳を傾けるとおっしゃいました。

 資料一なんですけれども、復興財源については、福島民報さんの新聞によりますと、六割の方々は、所得税の徴収期限を延長すること、下げた分の一%を防衛費の財源にするということについては決して理解している状態ではありませんし、むしろ納得できないという方が六割を超えていらっしゃるという現実にしっかり耳を傾けていただきたいと思います。

 一%下げるということは、全国的にも、復興税が下がるということは、そういう財源で当面いいんだという誤解のメッセージにもなりかねません。期限は延長するとは言っていますが、総額は確保するとは言っていますけれども、復興税を下げていいんだということにつながりかねない、この点は重く受け止めていただきたいと思います。この指摘はさせていただきたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、私たちは、委員長の御配慮もいただきまして、一月にこの委員会で被災地の視察をさせていただきました。帰還困難区域の住宅を視察いたしました。実は、我が党としても三月にも大熊町の避難後の放置された住宅を視察させていただきました。

 資料三を御覧ください。これはちょっと直接の写真ではないんですけれども、放置された住宅。

 実は、何回か帰られてメンテナンスしているにもかかわらず、私たちが直接に中も見させていただいた住宅は空き巣に複数回入られていました。また、イノシシやアライグマ、ハクビシン、こういう野生動物が窓を破り、中に入って、食べ物のみならずいろいろなものを散らかしている、こういう状況が現実にあります。新築した住宅に五年しか住んでいないのに避難をさせられて、そこから十二年たってしまっている、その間に住宅が荒らされて、もう見る影もないというか、見る都度に涙がこぼれる、そういうような住宅は私も実際に拝見させていただいて想像を超えておりました。

 今回の法改正では、解除されても、居住できる住宅に戻すには資金も期間も必要になります。特定帰還居住区域を設定して除染やインフラ整備を行うと言われていますが、戻る意思を示した方の生活圏のみとなっております。自宅から長年離れているのもつらいですし、戻ることもつらく、また、戻らないという選択肢もつらいという声があります。時間を是非かけていただきたい。そして、御本人の意思を尊重すること。また、先ほど答弁の中でも、二拠点でまだ行き来をしていらっしゃる方々がいらっしゃいます。二地域での居住等も十分対応していただきたいと思います。是非この点を復興大臣からお答えください。

渡辺国務大臣 委員御指摘の資料を見させていただきました。私も現場を見させていただきました。このような状態をこの目で見ております。大変厳しい状況にあるなということを私自身も実感しております。避難生活が十二年たちますと、当然のことながら様々な課題が生じていることは事実でございます。

 居住人口の回復を通じた自治体全体の復興を後押しするためにも、最終的には帰還していただくことが必要であると考えておりますが、一時的に二地域の居住のような形になるケースはあり得るというふうに思っております。復興庁としましては、個々の御事情に寄り添いながら、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるように、避難指示解除に向けた取組に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 期限を区切って、いつまでに意思表示しなきゃ駄目、あるいは、いつまでに帰るなら帰ってもらわなきゃ駄目、そういうせかすようなことではなくて、一人一人の生活再建にしっかり応えられる、そういう制度にしていただきたいと思います。

 あと、最終的には、やはり全ての地域の除染をし終えるのが目的ではないかと思います。生活圏だけにこだわらず、福島県の、宮城県も一部放射能が高かった地域もありますけれども、やはり全ての地域で除染をし終える、これが真の復興ではないかと思います。この点も、大臣、お答えください。

渡辺国務大臣 特定復興再生拠点区域外については、まず、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の方々が全員まず帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行う方針を二〇二一年八月に決定しているところでございます。

 この方針を踏まえまして、本法案は、住民の帰還意向を基に特定帰還居住区域を設定し、除染やインフラ整備を始めとする避難指示解除に向けた取組を推進することとしております。したがって、この区域を定めるに当たって、帰還する住民が安全、安心に日常生活を営むことができるよう、十分に地元自治体と協議してまいりたいというふうに思っております。

 その上で、将来的には帰還困難区域全てを避難指示解除して、復興再生に責任を持って取り組むという決意の下、引き続き、各自治体の個別の課題や要望を丁寧に伺いながら、避難指示解除に向けた取組をしっかりと前に進めてまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 そして、私たちは、視察の中で、東北電力株式会社女川原発も視察をさせていただきました。東京電力の福島第一原発と何が違ったのか、その点は先日、小熊委員も指摘をさせていただきましたが、まさに女川原発の安全審査で想定する津波の高さが当時は九・一メートルだったために、本当は十二メートルのところに設置する予定のところを当時の平井弥之助副社長が地震、津波対策として主張され、実際には十四・八メートルまでかさ上げをされました。それでも、地盤沈下を踏まえると結構ぎりぎりだったと思います。

 当時は想定されていなかった古文書の記録を詳細にこの平井副社長は研究されて、貞観津波や慶長津波の記録から独自に算出をされて、技術者には法令に定める基準や指針を超えて結果責任が問われるんだと強く主張されて、それが信条だったということが実際の行動にも表れていたんだと思います。電源設備も重層に設置するなど、コストもかかっていたであろうけれども、東北電力はその判断を決定されました。

 改めて、安全性のためには、想定を超える余裕を持った設計が命と生活を守ったこの事実、そして結果責任が問われる、この教訓は決して忘れてはならないと思います。改めて原子力規制庁にお答えいただきたいと思います。この教訓をどう生かされますでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会といたしましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた上で、国際基準や我が国特有の自然条件の厳しさなども勘案して平成二十五年に新規制基準を作成したところでございます。

 この新規制基準におきましては、例えば津波に関してでございますけれども、敷地の周辺、敷地内についての文献の調査でありますとか、それから周辺の地盤の調査などに基づいて津波の高さというものをまず算定いたします。この算定に当たっては、当然のことながら、不確かさでありますとか、それから、津波によっては組合せを考えなければいけませんので、そういう組合せというものも考えた上で、最新の知見に基づいて基準となる津波というものを策定するというところでございます。

 この基準津波による津波が敷地に遡上又は流入しないようにするということで、通常はドライサイトと言ってございますけれども、このドライサイトを基本とした上で、津波が防潮堤を越えて敷地に流入するような事象などに対しても一定の耐性を付与するよう配慮して、多層的な津波対策というものを求めてございます。

 さらに、基準津波を超える津波などによりまして仮に設計基準を超えて重大事故に至った場合も想定した上で、常設の重大事故等対処設備とは異なる場所に可搬型の設備の保管、管理をするということを求めているということでございます。

 規制委員会といたしましては、考えられ得る限りの規制基準を要求し、いかに事業者が安全を確保しても絶対安全ということは申し上げられません。新規制基準への適合はリスクがゼロであるということを保証するものではないと認識してございます。安全神話に至ることなく、過酷事故が起こるリスクが存在するものとして、その残されたリスクを低減させる活動に事業者と規制当局の双方が継続的に取り組むことが重要であるというふうに考えてございます。

岡本(あ)委員 リスクはゼロではないということ、それから、私からはやはり結果責任が問われるんだということは強く申し上げたいと思っております。

 続きまして、視察の中で私たちは宮城県の気仙沼市にお伺いをして、漁業関係者とも意見交換をさせていただきました。

 ALPS処理水の対応ということについては、科学的根拠は一定理解するが、科学的根拠が正しくても起こるのが風評被害です。震災から十二年たった今でも、依然、先ほどのやり取りでもありましたが、EUを含む十二か国と地域で水産物の輸出規制、限定規制の解除が行われておりません。アメリカでも解除されるのに十年かかりました。処理水についても、当然、風評被害が起こり得る想定で対応するべきだと思います。この点も大臣にお伺いします。

渡辺国務大臣 ALPS処理水の処分については、風評を生じさせないために全力で取り組むことがまず必要だというふうに思っております。

 そのために、IAEAのレビューやモニタリング等による徹底した安全性を確保するとともに、テレビCM、新聞、インターネット等を活用した国内外への情報発信や、説明、意見交換等を通じた安全、安心への理解醸成に向けた取組を行うことが重要であると考えております。また、処理水の行動計画にも記載のとおり、風評に打ちかち、安心して事業を継続、拡大できる仕組みづくりが求められているところであります。

 具体的に申し上げますと、水産業を始めとする事業者への支援や、官民による三陸、常磐物の消費拡大のためのネットワーク構築等により、将来にわたり安心して事業継続、拡充ができる仕組みづくりを行っているところでございます。さらに、風評を生じさせない取組を行った上でもなお風評が生じた場合、需要の減少に対応する基金や賠償といった、風評に伴う需要変動に対応するセーフティーネットの構築を進めているところでございます。

 引き続き、ALPS処理水の処分に関する基本方針と行動計画を踏まえて政府一丸となって科学的根拠に基づいた正確な情報を発信していくことによって、理解の醸成と風評の払拭に向けた取組に全力で取り組んでまいる所存であります。

    〔委員長退席、菅家委員長代理着席〕

岡本(あ)委員 資料二を御覧ください。

 私たちがヒアリングしたときも、当事者の方からは、再びマイナスからのスタートになっちゃうんだ、漁業を諦める、次世代が漁業をすることに未来を見出せなくなることが最も残念なんだという御指摘をいただいております。

 資料二でも、十二年たってようやく、船の調達、養殖棚の復活、加工施設での処理や水産物の販路拡大など、漁業の復興に歩みを進めてきた、このタイミングも不運なんだと懸念をしている。それから、資料二でも赤で囲んでいますけれども、自分はいいけれども、でも次の世代には漁業はもう勧められないんだ、こういう声が実際に出ておりました。

 東北、そして茨城も含めて、太平洋沿岸部での新鮮でおいしい海産物を提供する誇りをこれからも維持していくための支援こそ必要なんだと思います。風評を起きなくするとか、万が一起きたら何とかするじゃなくて、要は次の世代に漁業が続けられる支援がなければ、損害を賠償するからだけでは成り立たない、被災地の漁業の継続をどう支えていくのか、この決意、それから、漁業者の理解なしには進めない、この点も是非決意としてお答えいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 ALPS処理水の取扱いは先送りできない重要な課題であります。それに伴う被災地の漁業の継続は大変重要であるというふうに認識をしているところであります。

 この点、まず、復興の特別会計による事業においては、青森県から千葉県までを対象にいたしまして、がんばる漁業復興支援事業として不漁魚種を含めた沿岸、沖合漁業への新船導入や、がんばる養殖復興事業支援でサケなどの不漁魚種の養殖業への転換、また、被災地次世代漁業人材確保支援事業で漁家子弟も含めた長期研修や就業に必要な漁船や漁具のリース等々を支援することとしております。

 さらに、経済産業省の令和四年度補正予算においては、ALPS処理水の海洋放出の影響を乗り越えて持続可能な漁業継続を実現するための五百億円の基金を措置し、新たな魚種それから漁場の開拓等への支援、燃油コスト削減に向けた支援、省エネ機器等の導入の支援等を実施することとしております。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、被災地における次世代の漁業者が誇りを持って漁業が続けられるよう、漁業復興に取り組んでまいる所存でございます。

    〔菅家委員長代理退席、委員長着席〕

岡本(あ)委員 これらの取組が、本当に今の漁業者が次の世代に任せられるのか、それから、私たちも東北の人間ですし、常磐物、太平洋沿岸の全ての地域において常磐物というのに誇りを持っているんです。これが評価されないということに本当につらい思いをしています。この声に寄り添っていただきたいと思いますし、重ねて、漁業者の理解なしには進めないでいただきたい、この点も申し上げたいと思います。

 最後に、まとめてお伺いします。福島県以外の復興についてです。

 移住ですとか企業誘致、心のケア、孤独死防止対策というソフト、それから人口減少の課題については、実際に、残念ながら復興の予算からは福島県以外は、ごめんなさい、心のケアは残っていますけれども、移住や企業誘致は全国の移住促進、地方創生のメニューに取り込まれてしまいました。改めて、福島県以外の被災地における移住促進、企業誘致、またソフトの部分では心のケアの継続的支援、ここをまとめて最後にお伺いしたいと思います。お答えください。

渡辺国務大臣 福島以外の地域についてでございますけれども、東日本大震災発災から十二年たちまして、これまでの被災地の方々の御努力と関係者の御尽力によりまして復興は着実に進展してきているところでありますが、一方で、地域によっては状況は様々でございます。被災者に寄り添いながらきめ細かく対応していくことが大変重要であるというふうに考えております。

 委員御指摘のとおり、沿岸部を始めとした人口減少等の中長期的な課題に対しては、まず、復興まちづくりや、産業、なりわいの再生等の復興に全力を尽くすべく、これまで、住まいの再建やインフラの整備のほか、産業、なりわいの再生に向け、雇用の創出を通じて地域経済の活性化を図る企業誘致の取組や、被災地域企業のハンズオン支援を進めてきているところでございます。

 第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針においては、地震、津波被災地域における復興については、町に人が戻ることを目指すのみならず、地域資源の活用等により産業、なりわいや教育研究を振興し、交流人口、関係人口や移住者の拡大を図り、魅力あふれる地域を創造することが望まれており、その際、復旧復興事業により強化されたインフラ基盤に加えて、復興期間を通じて培ってきたNPO、ボランティア、企業、大学等多様な主体との結びつきやノウハウ等を生かして、地方創生の施策を始めとする政府全体の施策を活用することにより、コミュニティーを再生し、持続可能で活力ある地域社会をつくり上げていくこととされております。

 こうした復興の基本姿勢の下、引き続き、私としては現場の状況をしっかりと把握しながら対応していきたいというふうに思っております。また、NPOの関係、被災地においては心のケアについては引き続き対応してまいりたい、そのように思っております。

岡本(あ)委員 まだまだ復興の課題は残されているということは指摘させていただき、質問を終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美です。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、五月五日に発災いたしました石川県での地震によりまして被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方に哀悼の意を表します。

 私の地元の福島県でも、東日本大震災原発事故発災以降も何度も様々な自然災害が起きました。そしてまた、先ほどもお話がありましたように、一昨年も昨年も大きな地震があり、多くの方々が今もなおその復旧復興のために懸命に闘っているという状況でありまして、東日本大震災原発事故だけではない形で様々な対応が必要となっているということであります。

 もちろん、復興庁の今までの積み重ねによりますそのノウハウというものを様々な自然災害への対応としていただきたいということもお願い申し上げたいと思いますし、自然災害は起きるのですけれども、それを人災としないように防災、減災の対応をしっかりと進め、その上で少しでも被害を抑えるということをしていただきたいと思っていますので、まずそのことをお願い申し上げたいと思います。

 質問の内容に入ってまいります。

 五月一日に飯舘村の特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されて、県内六町村で計画されていた復興拠点区域の避難指示が全て解除されたということでございます。

 先ほど近藤委員も、どれだけの方が戻っているかということを質問されましたけれども、復興庁の方ではしっかりと把握した数字的なことは持っていないということだったと思うんです。結局、帰還というものに対する定義というものが明確に示されていない。いろいろな形があっていいんですけれども、そこをしっかりと捉まえた上で避難されている方々の生活等をしっかりと把握していくということは、私はすごく大切だと思っているんです。

 私は五月二日の朝日新聞の記事の中で朝日新聞が集計した数字を出させていただくんですが、百五十八名がこの六町村で戻っているということで、住民登録者数の一・二%だったということなんです。この数字をよく見ていくと、恐らく、元々住んでいらっしゃった方が帰還したということだけではなくて、移住された方の数字も入っているのではないかというふうに見ているところでもあります。国が予算を投じて帰還促進政策を進め、あるいは移住、定住の政策も進めている、でも、やはりなかなか実際にはそこに戻って居住するということにはならないという課題があると思うんです。

 例えば双葉町は昨年八月三十日に解除されて、解除五年後の目標を二千人としていますので、今現在、私たちが視察に行ってきたときも町長から説明がありましたけれども、帰還あるいは居住して町にいる方は六十名ということです。それを何とか二千名までに持っていけるのか、どうやって持っていけるのかというすごく大きな課題があると思うんです。また、大熊町は昨年六月三十日に解除されています。解除五年後の目標を二千六百人としていますけれども、帰還、居住者は六十名ということで、このような数字からいかに目標に向けて前進しているかということだと思うんです。

 そこで、大臣に、この数字を少し挙げさせていただきましたけれども、どのような御認識を持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 特定復興再生拠点区域については、先ほど御指摘のとおり、避難指示が完了したところでございます。各自治体が作成した特定復興再生拠点区域復興再生計画に基づきまして、除染やインフラ整備等を始めとする帰還環境の整備を進めてきているところでございます。こうした取組により、各拠点区域の避難指示解除が着実に行われてきたところでありますが、復興はまさにこれからスタートだというふうに思っております。

 復興庁としましては、F―REIや福島イノベーション・コースト構想を始めとする産業創出のための取組を進めるとともに、避難指示解除区域において、町の生活や経済を支える中心地となる市街地の開発、生活環境整備の支援、移住者の住まいの確保への支援等の取組を進めているところでございます。

 引き続き、地元自治体と相談しながら、地域の復興について国が前面に立って取り組んでまいりたいと思います。

金子(恵)委員 大臣、ありがとうございます。各自治体の計画に基づいて進めているんだからというような御答弁ですけれども。

 でも、復興庁としても、この仕組みをつくったのは政府ですから、しっかりと帰還者の方々の状況等も含め把握していかないと駄目だと思うんです。何が足りないのか、先ほどもお話がありました、私もそこを本当は伺いたかったんです、今後何をすべきなのか、今は何が足りないからこういう状況から打破できないのかということも含め。これからやっと、もしかするとスタートラインに立ったばかりかもしれませんけれども、スタートラインに立って、どういうふうな前進の仕方があるのかということをやはり考えていかなきゃいけない、とても重要なときに来ていると思いますので、是非、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、帰還困難区域の九二%は今申し上げた復興拠点区域から外れているんです。反対に言うとたった八%の話を今申し上げて、復興拠点区域でそれを解除したということをお話をしているだけで。たまたまその八%というのは集落だった場所を中心に認定しましたから、登録人口は約一万三千人で帰還困難区域の人口の六割を超えるということもありますけれども、今度はそれ以外の方々と帰還困難区域の九二%をどうしていくかということが今回の改正で決まっていくということだと思うんです。これは東京二十三区の半分に当たる約三万一千ヘクタールということですから、今回の改正で特定帰還居住区域が創設されるということになっていくわけなんです。

 我々はずっと、面的な除染をしっかりと進める、あるいはそれをきちんと約束した上で帰還の意向を確認すべきだということを申し上げさせていただいてきましたけれども、逆なんです。政府の考え方としては、まず意向を聞いて、帰還意向を示した方のところだけを中心として整備していくということなんですが、なぜこのような対応を決めたのか、お聞かせいただきたいと思います。

小島副大臣 お答えを申し上げます。

 特定復興再生拠点区域外につきましては、一昨年の夏まで政府の方針を示すに至っていなかったというところでありますけれども、拠点区域外の自宅に帰りたいという住民の皆様の切実な思いや、拠点区域外への帰還、居住に向けた方針を早急に示してほしいとの地元の強い要望をいただいてきたところでございます。

 復興庁としましては、こうした帰還の御意向のある住民の方々の一日も早い帰還を目指して全力で取り組んでいくことが必要と考えているところでございます。そのため、拠点区域外については、まず、二〇二〇年代をかけまして、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し避難指示解除を行うという基本方針を、二〇二一年、令和三年八月に決定したところでございます。

 復興庁としましては、この方針を踏まえまして特定帰還居住区域を設定してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 今までの復興拠点区域は、先ほど大臣からもお話があったんですけれども、地域経済再建の拠点ということがあったんだと思うんです。それを重点的に進めようとしていた。拠点内を広範囲に除染して、商業施設や医療機関、公営住宅の整備など、住民の帰還に加えて、移住の促進や産業の集積を進め、利便性を高めた新しい市街地を形成する計画だったと思います。

 一方、今回の拠点外に設定される特定帰還居住区域では、帰還を望む住民の宅地や周辺の道路、集会所など、日常生活に必要な範囲のみで除染が行われるということだと思うんです。そうしますと、復興拠点区域での国の対応と比べて生活環境の利便性を高めるための支援なども限定的になる可能性があるのではないかと思うんです。

 いろいろな方々の御意見を聞いていきますと、面的な再生が必要となる復興拠点を更に拡大することも可能だったかもしれないけれども、それをするよりは小規模な除染で済む区域を新設することで、もしかすると国費負担を抑える狙いがあったのではないか、予算が足りないからこれぐらいでやろう、そういうことなのではないか、そういう声も地元から上がっているわけなんですけれども、そういう事実はありますか。

小島副大臣 特定帰還居住区域におきまして、帰還する住民が安全、安心に日常生活を営むために必要となります、さっき先生がおっしゃったように、宅地、道路、集会所、墓地などを区域に含めた上で除染を始めとする生活の再建に向けた環境整備に取り組んでいくことを想定しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、各市町村において帰還意向確認の結果を地図上に整理いたしまして、帰還意向のある住民の方々の居住の隣接状況、地形、放射線量の状況、日常生活を営む上で必要となる施設等を考慮した上で特定帰還居住区域を定めていくこととなると考えております。

 その際、復興庁としましては、御指摘のような虫食いの状態により帰還する……(金子(恵)委員「そこはまだ聞いていない、これから聞きます」と呼ぶ)はい。

金子(恵)委員 まだこちらから指摘をしていないところを、虫食いという言葉を言っていただいたんですが、今からそこは質問しようと思っていました。政府の方針に従って拠点区域外を除染するということになりますと、本当に虫食い状態で避難指示を解除することになるのではないか、住民説明会では帰還を検討する住民の皆さんからそういう声が上がっていたということなんです。そういう不安の声が上がっていることについてどのような認識を持ち、実際にその声に対してどのように応えていくのか。

 虫食いになるという事実というのはあるんでしょうか。

小島副大臣 金子先生がおっしゃるように、虫食いということは、確かに、一般的に考えればそうじゃないかという意見もよく分かります。分かりますが、我々としましては、帰還する住民が安全、安心に生活を営むことができるように、しっかりと十分に地元自治体と協議しながら進めていきたい、このように考えているところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 住民説明会もそうなんですけれども、現地で不安の声が上がっているということですので、虫食い状態で避難指示を解除するということにはならない、しっかりと面的な対応をしていくということでよろしいでしょうか。一言。

小島副大臣 そのとおりでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。明確に、虫食い状態で避難指示解除することはないということでしたので、しっかりと地元自治体そして住民の皆さんと心合わせをしながらそのような対応をしていただきたいと思います。これはとても重要な部分だと思っています。ありがとうございます。

 次に、大臣にお伺いしたいんですが、二月七日の記者会見で表現されました、今回の新しい区域についてなんですけれども、最後の位置づけという形であるというふうにおっしゃった、この件です。今回の拠点外の特定帰還居住区域が、大臣の言葉によりますと最後の位置づけ、最後のスキームということでよろしいんでしょうか。

渡辺国務大臣 今御指摘がありました二月七日の会見において、今言われた内容でありますけれども、これは、これまで新しい町づくりの一環として特定復興再生拠点区域の整備を進めてきたところ、本法案によって拠点区域外にあるふるさとへの帰還を希望される住民の方々の帰還についても実現することが可能となりますということ。記者の方から、これは最後の帰還のスキームであるかというお尋ねがあったので、これにより帰還を希望する住民の方々全員の帰還の実現を目指すという私の意気込みを込めて述べさせていただいたところでございます。あくまでも、帰りたいという人たちをいかに帰すかというためのスキームであるということを御理解していただきたい、その趣旨で述べたものでございます。

金子(恵)委員 そこにいらっしゃった記者さんの質問に対して答える形でこの言葉を繰り返しおっしゃったということなんだと思うんですが、確認をしなくてはいけないのは、私は、特定復興再生拠点区域があって、今回の特定帰還居住区域、この二つ目ができます。帰還困難区域は、二〇二〇年代をかけてしっかりと解除に向けて頑張っていくわけですよね。ですから、最後のスキームだというふうなことを記者さんの問いかけに対して認めるような形になりますと、特定帰還居住区域を設定して、これをどんどん広げていって帰還困難区域を全部解除して終わりというふうに理解されてもおかしくないと思うんです。私はそのように理解しました。

 大臣の言葉というのはとても重大なものなので、もし誤解であるということであれば、そこは私は確認をさせていただきたいと思います。そういうことであれば、この二つ目の区域ができて、もしかすると今後は別な区域の設定というものも選択肢として残っているということなんでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 人によって随分捉え方が違うということ、私は大臣として慎重な答弁をしなければいけないということを改めて感じたところでございます。

 このスキーム、要するに特定復興再生拠点というものがございます、今は整備を進めている状況でありますが、それ以外のいわゆる帰還困難区域、この中の元々の住民であった人たちがふるさとに帰りたい、でも今のスキームの中ではそれがありませんということで、今回の法案の中で特定居住区域というものを設定することによって帰れるスキームをつくったという意味で、これは帰還スキームとしての最後でありますという意味で、そこに同意をしたところであります。

 いずれにしましても、最終的には避難指示解除に向けていかなければならない。それでなければ復興は終わりません。そういった意味で、私は、まずは居住していた人たちをいかに帰すか、帰ってもらえるか、その点が重要であるというふうに考えておりましたものですから、そのような発言をしたところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。帰還を希望している方に応えるということで、しっかりと環境整備をしていくためなんだ、その意気込みを語ったということについてはよく分かりました。

 ただ、一方で、私が確認をさせていただきたいところは、まず復興拠点があります、それ以外のところで今回の特定帰還居住区域がつくられます、それで終わりなのかどうかということです。その区域に含まれないところ、今回だって、大熊町で一区域、双葉町で二つの区域が予定されているだけなわけです。先ほど申し上げましたように、帰還困難区域の九二%が復興拠点区域外なんです。ですから、面的に広く、これからどのように解除に向けて整備をしていくかということが大きな課題になっている中で、最後のスキームでいいのか、それともほかに何か残されている手法があるのかどうかということを私はお伺いしたかったところであります。

 次に、問い五になってしまうんですけれども、済みません、特定復興再生拠点区域や特定帰還居住区域に含まれない、残された土地、家屋等の扱いについては今後どのような方針で決定していくのか、それも私はお伺いしたいと思いましたので、ここで大臣からお言葉をいただければと思います。

渡辺国務大臣 先ほどの最後の帰還スキームということに対して、ちょっとつけ加えさせていただきます。

 この法案が最後の復興再生施策というわけでは私はないと思っています。あくまでも帰還するためのスキームだということを御理解していただきたいというふうに思いますし。

 特定復興再生拠点の居住区域に含まれない、残された土地、家屋の問題でありますけれども、この問題は大変重要だというふうに思っております。本法案はまず早く成立をさせていただいて、帰還意向のある住民の方々が帰還できるように様々な施策を推進していかなければならないというふうに思っておりますが、一方で、残された土地そしてまた家屋の取扱いについては、この問題については引き続き重要な課題だというふうに認識をしております。

 したがいまして、地元自治体と協議を重ねながら検討を進め、先ほども申し上げました、将来的には帰還困難区域の地域全てを避難指示解除して、復興再生に責任を持って取り組んでまいりたい、そのように思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 特定帰還居住区域の設定に当たっては、一体的な日常生活圏を構成していたことという要件、第十七条の九第一項第二号、一体的な日常生活圏を構成していたことというのがあります。それ以外にも、線量の話、計画的かつ効率的な公共施設等の整備ができること、拠点区域と一体的に復興、再生ができることということで、十七条の九第一項第一号から第四号に要件があるわけなんです。そこで、一体的な日常生活圏というのを私は幅広く柔軟に見ていくべきだと思っているんですけれども、そこを伺いたい。

 まず、一体的な日常生活圏とは何かということ。それから、帰還意向確認調査をしたところ、帰還意向のある方のうち、例えば大熊町では営農意向がある方というのは五七%に上る、そして双葉町では六五%の方が営農意向があるわけなんです。ですので、営農再開を希望する場合、農地というのは一体的な日常生活圏に該当するのかどうかということも含めまして、住民の皆さんの分断とか地域間の不公平などが生じないように、設定に当たってはできるだけ柔軟に対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 特定帰還居住区域につきましては、先ほども何度も申し上げておりますけれども、帰還意向のある住民の日常生活に必要な、一体的な日常生活圏を構成していたことという要件に該当するものであることが必要でございます。この要件は、先ほども申し上げましたとおり、帰還する住民が安全、安心に日常生活を営むために必要となる宅地、道路、集会所、墓地などを含めた上で区域を設定することが必要であることを示したものでございます。

 復興庁としましては、御指摘のような住民同士の分断や地域間の不公平が生じないよう、十分に地元自治体と協議してまいりたいというふうに思っております。

 さらに、農地についてでございます。

 営農は地域における生活と一体であるという御指摘もいただいているところでございます。営農の再開に向けては、水路等のインフラ整備やその維持管理が必要となるため、インフラ等の維持管理主体となる帰還する地元住民や自治体とも十分に御相談しながら検討を進めていくことが必要だというふうに思っております。

 特定帰還居住区域の範囲の設定につきましては、一体的な日常生活圏を構成する区域を対象とするという考え方に基づいて、営農再開に向けた諸条件も踏まえ、今後も検討してまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。とにかく、しっかりと柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 時間が来ましたので最後になってしまうんですけれども、帰還については、今回、特定帰還居住区域というのが設定された場合でも二地域での居住を認めるということでよろしいかと思います。先ほど来答弁があったと認識をしています。

 様々な形で多様な帰還の在り方を認めていくべきだと思いますし、そういうことをもっと、全面的に帰還というものはこういうものだということを避難されている方々に伝えていくということが私はすごく大切なんだと思います。それぞれお一人お一人の帰還に対する考え方、あるいは、避難を継続したい、そういう意思というものを尊重することも大切ですし、そういった中でもふるさとをしっかりと守りながら戻していく、そういう姿勢を政府として是非お見せいただきたいと思いますので、最後に一言いただければと思います。

渡辺国務大臣 帰還しようとする人の気持ちというのは多種多様だと私は思います。ただ、ふるさとに対する思いというものは共通ではないかな、そのように思っております。その上で、最終的に帰還をしていただくことが必要であるというふうに考えております。最終的に帰還することが必要だと考えておりますけれども、一時的には二地域でも居住する、このようなケースは当然あり得るというふうに思っております。

 復興庁としましては、具体的な基準を設けることではなくて、個々の御事情に寄り添いながら、帰還意向のある住民の方々全員が帰還できるように、避難指示解除に向けた取組を今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉です。

 帰還困難区域の問題を、今日、この法案で扱っております。この間、同僚の議員の皆さんからも指摘がありましたけれども、帰還困難区域を避難指示解除するに当たっては、御承知のとおり、五年前に、まず、復興再生拠点を設けて、この拠点からスタートしよう、こういうことで始まったわけです。いろいろな心配もありました。全体像が示されないままスタートして大丈夫かとか、様々な指摘があったんですけれども、我々も結果としては、やむを得ないということで賛成をしてスタートしたということだと思います。

 この間も御指摘がありましたけれども、帰還困難区域の中の、まずは、今日の議題、この法案の内容とは違いますけれども、復興再生拠点について、避難指示解除がこの五年間で基本的に終わった。元々、戻す、帰還目標は大体八千人だったけれども、どうやら二%ぐらいしか戻っていない。まず、このことをどう評価するかということは、これからの帰還困難区域の次の段階、つまりは、今日の議題になっている特定帰還居住区域を考えるに当たっても大切なことだというふうに思うんです。

 残念ながら、居住目標に対しては、目標にほど遠いというのが現状ではないかというふうに考えておりますけれども、これはなぜそういう状況になっているというふうにお考えかということをまずお聞かせいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 特定復興再生拠点の現状ということでありますし、その評価をどのように考えているかということでございます。

 特定復興再生拠点においては、各自治体が作成をしております特定復興再生拠点区域の復興再生計画に基づいて、除染やインフラ整備等を始めとする帰還環境整備を進めてきたところでございます。こうした取組によって各拠点区域の避難指示解除が着実に行われてきたところでありますが、復興はまさにこれからスタートだという認識をしております。

 復興庁としましては、地域の活性化をどのように進めていくかということの一つとして、F―REIの創設や福島イノベーション・コースト構想を始めとする産業創出のための取組を進めております。避難指示解除区域において、町の生活や経済を支える中心地となる市街地の開発や、生活環境整備の支援、移住者の住まいの確保の支援等を進めてきているところでございます。

 こういった環境を整えているところでございますけれども、現在のところ、居住する人口は思ったほどいないという評価でございますが、一つは、やはりアピールの仕方も、広報、宣伝も一つあるのではないかなと。こういったことをやっていますよということを対外的に発信する、こういったことも重要ではないかなというふうに思っております。

 いずれにしましても、自治体と連携しながら、地域の振興について、国が前面に立ってこの点については取り組んでまいりたいというふうに思います。

玄葉委員 大臣、広報ではないと思うんですよね。避難した場所に住み慣れたとかですね。あとは、インフラの復旧とか、あるいは家屋の解体、除染等、いわゆる再生拠点については進んだんですけれども、私はずっとこの間気になっていたのは、あの当時から指摘をしておりましたけれども、全体像を示さないまま進んでいるんですよね。先ほども金子さんも言われたんですけれども、やはりそこはすごく気になるところなんですよ。

 つまりは、復興再生拠点ができますよというときは、残りの面積の九二%を占める帰還困難区域についてどうするかということは何も示されないまま復興再生拠点がスタートしたわけですね。そうすると、残された九二%がどうなるか分からないのに、帰ろうかということには、残念ながらなりにくいというところが、残念なことなんですけれども、あるんじゃないか。全部が全部、その理由ではないですよ。ただ、一因になっちゃっているんじゃないかなと思うんですけれども、この点はいかがですか。

渡辺国務大臣 実際に様々な課題があるというふうに思います。全体像を示していないから帰れないのではないかというお話でございますが、実際に、全体像を示す前提としては、まず、居住するということが、居住者の意向というのが私は大事だというふうに思っております。まず、拠点をつくって、その中において町づくりをしていく、そして環境整備をしていく。帰ってこられる環境をいかにつくっていくかということが大変重要だというふうに思っておりますので、この点にまず最優先に取り組んできたというのが今までのことでありまして、今回は、それ以外の、拠点外についてどのように、住居を持っていた、かつて住んでいた人たちが帰れる環境をつくっていくかというところに今回の法案の趣旨がございます。

 これは両方相まって、まず、そこに住んでいた人の意向というものを尊重していきたい、そのように思っておりますし、その際には、当然のことながら、国とその地域と、地方とやはり連携していかなければならない、それが大変重要だというふうに思っております。

玄葉委員 非常に難しい課題であることは重々承知をしておりますけれども、復興再生拠点にしても今回新たに設ける区域にしても、どうしても弱点を抱えたままだということも、私は、分かって、その上で進めていく必要があると思うんですね。

 つまりは、先ほど申し上げたように、全体像が示されないまま帰還意向を聞いているわけですから。ですから、今回も同じことになるんじゃないかという心配があるわけです。

 今度は、確かに、一見、一歩前進なんです。また、見方によっては確かに一歩前進なんです。つまりは、帰還困難区域の拠点区域の外に今度は手を出すということですから、見方によっては一歩前進なんです、確かに。だけれども、そのときも、先ほど来からお話があったような、帰還意向のない土地とか家屋等の扱いは引き続き重要な課題だということで、ここまで示されて初めて全体像なんですよね。そうですよね。その全体像が示されないまま、また今度次の手に入っているので、私はまた同じことになるのではないかという懸念を抱いているということなんですね。

 ですから、一見、一歩前進のように見えるけれども、他方、結果としては、帰還者、本来戻ってもよかったと思っている人を逃がしている可能性もあるんだということを分かった上でこの問題は進めざるを得ないんじゃないかと思っております。

 その上で、一つお聞きしたいのは、今回、特定帰還居住区域というのを設けるということになっています。これは、今議論があるように、拠点区域外に初めて設けるわけでありますけれども、帰還意向の確認調査結果というのをお示しになられています。令和五年四月三日時点ということです。帰還意向がある人、これは帰還困難区域のいわゆる拠点外の方々に聞いたんだと思うんですよね。大熊町、二四%、保留一三%、双葉町、帰還意向二二%、保留一八%、浪江町、帰還意向三〇%、保留一一%、富岡町、帰還意向三二%、保留一五%。私が想像していたよりはるかに多いです、帰還意向。非常に多い。

 これは事前に通告してありますが、なぜこんな数字になっているのか、評価をお聞かせいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 昨年の八月に大熊町、双葉町、十一月には浪江町、十二月には富岡町において、それぞれ町と内閣府が共同で特定復興再生拠点区域外の帰還、居住に向けた帰還意向調査を開始し、大熊町、双葉町については対象世帯のうち二割以上から、浪江町、富岡町については対象世帯のうち三割から帰還意向ありという回答をいただいたものであります。

 帰還の御意向については、住民の皆様方がそれぞれの事情を踏まえて回答をいただいているものであることから、多い、少ないといった評価はこの点では差し控えたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、復興庁としましては、帰還意向の割合等にかかわらず、帰還の御意向をいただいた住民の方々の一日も早い帰還を目指して全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 帰還のそれぞれの調査結果については、委員はもう既にお手元にあるというふうに思っておりますけれども、帰還意向ありということについては、それぞれ、大熊が二四%、双葉が二二%、そして浪江が三〇%、富岡が三二%ということであります。こういった状況を踏まえながら、帰還しよう、したいという人たちに全力で支援をしていきたいというふうに思っております。

玄葉委員 評価をお避けになりましたけれども、私は意外に多いと思います。

 何でだろうなと私は考えると、恐らく一つの理由は、野ざらしになって荒れ果てた、朽ち果てたままの家屋をやはりこのままにしておけない、希望することで解体もしてもらいたい、恐らくその感覚が結構あるんじゃないかという気がしているんですよ。

 だから、私はこの間も何回か申し上げていますけれども、帰還困難区域を全て除染しろなんというのは確かにコストがかかってなかなか大変なことだけれども、せめて家屋ぐらいはきちっと解体を国の責任で、あの事故があったわけですから、最終的にすべきだと私は考えているんです。

 帰還意向のない土地とか家屋等の扱いは引き続き重要な課題とされておりますけれども、それらについて家屋の解体を実施する場合、私は全ての除染はなかなか大変だとは思いますが、除染を実施する場合の解体経費とか工事費というものをどう見積もっているか。なぜこの間、冒頭から申し上げてきたように、全体像を示さないまま、弱点を抱えたまま進んでいるかといったら、全て除染する、全て家屋解体だといったらお金がかかってしようがない、多分そういう観点も入っている、はっきり申し上げて。だとすれば、一体どのくらいを見積もっているのかということについて、政府委員で結構でございますので、御答弁いただけますか。

由良政府参考人 今回の福島復興特別措置法の一部を改正する法律案が成立した後に、認定の特定帰還居住区域復興再生計画を検討していくことになります。この計画に含まれない残された土地や家屋については、この計画がそれぞれ具体化をしていくとともに明らかになっていくということになります。

 その数や範囲、あるいは残された土地や家屋の取扱いの方法や費用、こういったものをそれぞれ現時点で算出するということは、そういった事情から難しいというふうには考えてございますが、御指摘のとおり、これらの土地、家屋の取扱いについては、地元の自治体と協議を重ねつつ検討を進めていく必要がございます。計画の具体化とともに議論をできるように、明らかになっていく状況に応じて取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

玄葉委員 ある意味、簡単な話でもあるんですけれども、帰還意向のない土地、家屋等の扱いは引き続き重要な課題だとなっておりますけれども、少なくとも、復興再生拠点以外にどれだけ家屋があるかというのは、帰還困難区域にですね、単純に分かるはずでありまして、これは大体何件ぐらいありますか。

由良政府参考人 先ほど先生から御指摘もいただいております帰還意向調査結果の資料に基づいて、帰還意向をお尋ねをした世帯数で数えますと、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、合わせましておおむね二千世帯の方にお尋ねをしております。当時居住をされておられた世帯の方にお尋ねをしておりますので、おおむねこの数が一つの議論の入口になろうかと思います。

玄葉委員 そういうことでしょう。もっと言えば、なかなか、今住んでおられないなんということも、住んでおられないわけですから誰に送っていいか分からないというような家屋もあるでしょうから、多くて三千ぐらいなんじゃないでしょうか。大体、一件当たりの解体経費というのは多くて一千万ぐらいでしょう。そうすると、単純に大体二、三百億円なんですよ。二、三百億円で、実は、帰還困難区域の中の朽ち果てた家屋の解体というのはできるんです。

 これをどういうふうに考えますかということですよ。全ての除染をやれば、恐らく兆単位でかかります。私は、それはなかなか大変なことだと先ほどから申し上げている。でも、家屋の解体ぐらいは前向きに考えたらいいんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

渡辺国務大臣 今、具体的な数字が出てきたところでありますけれども、この問題についても検討させていただきたいというふうに思います。

玄葉委員 どういうふうに検討されますか。

渡辺国務大臣 まずは検討させてください。

玄葉委員 いやいや、前向きに検討するのか、それともただ検討するのか、それによって全く違うんですね。

 さっき申し上げたように、朽ち果てた家屋をそのままに放置するということが我が日本であってよいのですか。原発事故があって、それで結果として避難をされた方々の家屋を放置するのですか。これから、外国からもたくさん、それこそホープツーリズムだ何だかんだで来るでしょう。そのまま、そんな朽ち果てた家屋を見せるんですか。

 はっきり言って、たかだか二、三百億でしょう。どういうふうに考えるかです。

渡辺国務大臣 まず、地方自治体という現実が、地方自治体の皆さん方との協議というのがやはり必要だというふうに思いますので、この点を踏まえて検討させていただきたいというふうに思います。

 そして、今御指摘のとおり、要するに、総額はある程度分かっているというお話でありますけれども、やはり復興を最終的に成し遂げていくためにはそういった課題も解決していかなければならないというふうに思っております。

玄葉委員 大臣が在任中に方針を示すというくらいの意気込みで是非やってほしいと思います。

 そして、次のテーマですけれども、F1の処理水の海洋放出に当たって韓国の専門家を受け入れるということに日韓の首脳で合意されたわけでありますけれども、このことに対する日本政府の対処方針を聞かせてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 韓国につきましては、これまで、局長級の説明会などの機会を通じまして、ALPS処理水の安全性について科学的根拠に基づき丁寧に情報提供や説明を行ってきております。

 委員御指摘のように、先般の日韓首脳会談では、岸田総理から、IAEAのレビューを受けつつ高い透明性を持って科学的根拠に基づく説明を誠実に行っていく旨述べた上で、両首脳は、韓国国内における理解を深める観点から、東電福島第一原発へ韓国専門家で構成される現地視察団を五月中に派遣することで一致したところでございます。

 政府としましては、この韓国専門家現地視察団の派遣や、これまで行われてきている局長級の説明会などの機会を通じまして、引き続き、高い透明性を持って科学的根拠に基づく誠実な説明を行うことによって、ALPS処理水の海洋放出の安全性について韓国国内における理解が深まるように努めてまいる考えでございます。

玄葉委員 これは、もろ刃のやいばですけれども、私はチャンスだと思っております。

 すごくショックな数字があって、去年の三月に調査をされたということですが、東大の准教授の関谷さんという方が、処理水が海洋放出された場合、福島県産の食品が危険だと考える人はどのくらいいるかということを調査をした。そうしたら、今年発表になったんですけれども、十か国、日本、韓国、中国、台湾、シンガポール、ロシア、ドイツ、フランス、イギリス、米国、十か国で調査をしたらば、日本国内は三六%。だから、日本国内の理解は少しずつは進んでいるんだと思うんですね。

 他方で、何と、とても危険だ、やや危険だと回答した数が、韓国が九三%なんですよ。中国は八七%、ドイツが八二%、米国でさえ七四%あるんですね。せっかく、今、風評対策とかをやっていたり輸出規制を解除したりなんてやっていたって、また処理水を流したら、こんな数字ですから、県産品を輸出するなんということは全くできなくなっちゃうという数字なんですね、少なくともアンケートだと。

 そうすると、海外に向けて相当上手に説明をしていかなきゃいけなくて、今回、韓国の専門家を受け入れるというのは私はチャンスだと思っているんです。専門家だからいいんですよ。政治性を帯びた政治家、韓国でいえば、韓国の野党の主張に乗るなんということは毛頭私は考えておりませんけれども、ただ、日本国内でも懸念があること、これは事実ですからね。ですから、きちっと科学的に論破していく。

 大事なことは、外務省、例えば尹さんとの相互理解は進んでいるんでしょうから、韓国の専門家が、一言で言えば偏っていない、非常に冷静にきちっと判断できる人たちに来てもらう、そして、相互理解が進んだら発信してもらうということが仮にできれば、これは他国にも広げてもいいかもしれませんね、むしろこちらから。どうですか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、今回の韓国専門家現地視察団の派遣、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、我々が高い透明性を持って科学的根拠に基づく説明を行うことによって、ALPS処理水の海洋放出の安全性につきまして韓国国内の理解が深まるように努めていく、その目的で行うものでございます。

 本件視察につきましては、韓国政府からの要請を受けまして、これまで両国間で行われてきました意思疎通の一環として行うことで調整しているものでございまして、具体的には、ALPS処理水の海洋放出が国際法及び国際基準に沿って実施されることなどにつきまして日本側から説明、情報提供を行い、韓国側が東電福島第一原発の視察を行うことによって、ALPS処理水の安全性に関する韓国国内における理解を深めることを目的とするものでございまして、このように調整をしていくということでございます。

 国際社会につきまして、我々もいろいろな形で各国それぞれ説明をしてまいっているところでございますし、あと、国際会議の場においても、我々の主張、立場、こういったことを発信しているところでございます。更に言えば、海外のメディア、これを通じて、福島のALPS処理水の安全性につきまして科学的根拠に基づき透明性を高く持って説明をしてきているところでございますので、引き続きここはしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。

玄葉委員 私も、IAEAは、例えば、私も議長をやって一緒に原子力の会議を開催したこともあるくらい、IAEAは信頼していますけれども、ただ、世界中から見ると、IAEAは一般的には信頼されていますが、今回の例えばウクライナの問題でも非常によく頑張っているんですけれども、やはり日本が結構負担金を出しているものだから、日本寄りだろうと思われているところはあるんですよね、処理水の問題では。

 ですから、こうやって二国間で受け入れて、結構だと思いますよ。メディアフルオープンでやったらいいですよ、メディアフルオープンで。フルオープンでやって、見てもらって、隠すことは何もないでしょう、はっきり申し上げて。それでいて全く風評が払拭されない、国内も国外も払拭されないといったら、本当にトリチウムの分離を考えるしかなくなるんじゃないかなというくらいに私は思っていますよ。全然払拭されなかったら、県産品なんて全く輸出できなくなりますからね。

 だから、二国間で受け入れていくというのは結構大事なことだと思うので、むしろチャンスと捉えて、今回を一つのモデルにするんだという意気込みで是非頑張ってほしいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

長島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十三分開議

長島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 先日衆議院で可決したいわゆるGX電源法におきます、我が党が関わりました、原発立地地域だけではなく都市住民にも理解と協力を求めるとした修正内容につきまして、これによって、大消費地である都市住民の原子力に関する十分な理解であったり、海産物の大消費地である都市に住む消費者の理解が進むかと思うんですけれども、これがどのようにALPS処理水の海洋放出に影響するのか、具体的取組内容について今後どう変わっていくのか、経産省にまずはお伺いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ALPS処理水の取扱いを含みます原子力に係る課題につきましては、原子力の立地地域のみならず、電力の大消費地にお住まいの方々も含めて広く国民の方々に御認識をいただき、考えていただくことが重要だと認識してございます。

 これまでも、ALPS処理水の処分につきましては、御地元を中心にですけれども、一千回以上の説明や意見交換を行ってまいりました。これに加えまして、テレビCM、新聞、雑誌等での広告、ウェブ広告など、全国規模での情報発信にも取り組んでいるところでございます。

 今後も、こうした取組に加えまして、ALPS処理水の安全性やその処分の必要性などをより詳しく解説したウェブ動画を配信するなど、地元だけではなくて、より一層、電力の大消費地を含む全国での理解醸成に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

長島委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

長島委員長 速記を起こしてください。

 漆間譲司君。

漆間委員 御答弁いただきましたが、基本的には、この修正内容が法文に明記されて、都市住民の理解を深めるところが法案に明記されたことで、この取組内容がより一層後押しされたと考えてよろしいんでしょうか。もう一度お伺いさせていただきます。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 修正も踏まえまして、より一層、大消費地を含めた理解醸成に努めてまいりたい、このように考えてございます。

漆間委員 我が党も関わりましたこの修正に基づいて、より一層取組が強まるということで理解させていただきました。

 同様に、GX電源法における修正内容について、これが除染土の処理について具体的にどう変わっていくのか、環境省にもお伺いしたいと思います。

土居政府参考人 福島県内で生じました除去土壌等の三十年以内の福島県外最終処分という方針につきましては、国としての約束でございまして、法律にも規定された国の重要な責務でございます。

 委員御指摘のとおり、除去土壌の県外最終処分に向けましては、電力の大消費地にお住まいの方々も含めまして、原子力や放射線に関します国民の御理解をいただくことは非常に重要だというふうに考えております。

 今後とも、放射線や除去土壌についての分かりやすい説明に努めるとともに、この修正も踏まえまして、より一層幅広い国民の皆様方に情報発信ができるように工夫を更にしていきたいというふうに考えております。

漆間委員 経産省と環境省にお伺いさせていただきましたが、同じ問いを復興庁にもお伺いしたいと思います。

 ALPS処理水の海洋放出や除染土の処理以外にも、復興庁の行う取組内容について、今後この修正内容に基づいて取組として変わっていくもの、また後押しされるものはあるのか、お伺いさせていただきます。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 復興庁の施策というか、東日本大震災からの復興につきましては、発災当初から多くの国民の方の御支持を都市部の方も含めていただいてまいりまして、おかげさまで、多くの方の御尽力の結果、今日まで迎えたところ、ただ、まだ道半ばということを我々は引き続き強調しなければいけないと思いますし、その道半ばの中の象徴的なお話として、今のALPS処理水とか汚染土壌の処理の話がございますので、それらがこういった法改正を踏まえて前進するというのが、今、経産省あるいは環境省から説明があったとおりでございますので、私としても、非常にそういう意味では心強く思っているところでございます。

 引き続き、復興庁といたしましても、多くの国民の皆様に、復興の現状と、さらに、これからも進めていかないといけない課題が残っていることについての御理解を深めていただくために努力してまいりたいと思っております。

漆間委員 GX電源法の修正内容が様々な復興の取組を後押しするということを確認させていただきました。

 続きまして、ちょっと順番は変わりますけれども、F―REIについてお伺いさせていただきます。

 ロボットや放射線科学などの五分野で重点的に研究開発を進め、研究開発成果の産業化、人材育成に取り組むこととされておりますが、国内外からどのように優秀な人材を呼び込むのか、令和十一年度までに一千億円程度と見込まれる財源をどのように確保するのか、お伺いいたします。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 先月発足いたしましたF―REIでございますけれども、まずは、基盤づくりと存在感の提示に重点を置いて取り組みます。F―REIの活動の基盤となる優秀な研究者を確保することは大変重要な課題ということでございます。

 国内外からの研究者を呼び込むためには、新産業創出等研究開発基本計画におきまして、魅力的な研究環境と必要な研究資金の確保、成果や能力に応じて柔軟に設定した給与等による処遇、国内外の有力な大学や研究機関等と連携したクロスアポイントメント制度や組織的な人材交流の活用、先例にとらわれない若手や女性の積極的な登用といった、研究者にとって魅力的な研究環境の整備を進めることとしておりまして、また、F―REIは、国際アドバイザー等を始めとする研究者のネットワークの活用によりまして、国内外の優秀な研究者に積極的なアプローチを図っていくことを予定しております。

 財源の件でございますけれども、F―REIの中期計画におきまして、七年間で一千億円規模の事業規模、そういうことも含めまして、これは主務大臣の認可を、財務大臣も含めまして、いただいております。今後、研究開発の進捗状況等も踏まえて、適切に予算要求をしてまいります。

 なお、令和四年八月に決定いたしました基本計画におきまして、復興特会設置中は復興財源等で必要な予算を確保するとともに、復興特会終了以降も見据え、外部資金や恒久財源による運営への移行を段階的、計画的に進めることとされております。

 また、令和五年度の税制改正大綱におきましては、F―REIを含めた息の長い取組をしっかり支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源は確実に確保することとしております。

 F―REIが世界に冠たる創造的復興の中核拠点として福島を始め東北の復興を前進させられますよう、関係省庁と連携しながら、政府一丸となって対応してまいります。

 以上でございます。

漆間委員 先ほど御答弁の中にありましたクロスアポイントメント制度や組織的な人材交流の活用、こういったことであったり、また、特に海外の優秀な研究者は独自のラボを持っていたりと、柔軟な人材確保や研究投資を可能とするためには、研究所のコンプライアンスをかなり詳細まで詰めておくことも必要かと思いますが、この点、いかがでしょうか。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 F―REIが、企業や関係機関と連携いたしまして、優秀な人材がその能力を最大限に発揮できる体制を整えつつ、組織として法律に基づく業務を適切に遂行するためには、コンプライアンス事項をしっかりと定め、法人としての適切なガバナンス体制を構築することが大変重要となります。

 F―REIでは、法律の規定により作成し、主務大臣の認可を受けることとしております業務方法書におきまして、業務委託の基準、競争入札等の契約に関する基本的事項、業務の適正を確保するための体制等について定めているところでございます。

 この中で、役員の職務の遂行が法令に適合すること等を確保するための内部統制の体制の整備等についても規定されておりまして、これに基づいて、内部統制に関する業務の実施状況の把握、検証等の取組がなされることとなってございます。

 また、法律に基づきまして内閣総理大臣が任命した監事二名がF―REIの業務を監査することとなっていることに加えまして、各事業年度の財務諸表、事業報告書及び決算報告書については会計監査人の監査を受けるということになってございます。

 これらの取組によりまして、F―REIのコンプライアンスが適切に保たれ、また持続的な財務状況を継続していけるよう、所管省庁として引き続き見守ってまいります。

漆間委員 海外の研究所では、柔軟な人材確保であったり研究投資を可能とするために、例えば、研究者の使うペン一本まで、これをお金でどうやって調達するのかというところまでかなり細かくコンプライアンスで決まっているというふうにお聞きしておりますので、そういったところもしっかり詰めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、研究者の生活環境整備に向けた取組状況についてお伺いいたします。

 福島県浜通りには、既に、南相馬市のロボット研究開発拠点、福島ロボットテストフィールドや、浪江町の世界最大級の水素製造施設、福島水素エネルギー研究フィールドなど、先端科学の開発や製造の拠点が相次いで整備されてきています。機構には、これらの拠点の連携による研究の相乗効果を浜通りの地場産業として発展させる役割が期待されています。将来的に、機構には国内外から数百人の研究者やその家族が集まる想定で、浜通り全体の居住人口回復や関係人口増加により、地域のにぎわい創出に寄与することも見込まれています。

 そこで、早急に数百人規模の研究者等に対応できる生活環境を整える必要があると思いますが、政府の取組状況、現状及び今後の見通しをお伺いいたします。

由良政府参考人 F―REIの活動に参画する様々な研究人材に居住や滞在の形で立地地域や周辺地域で生活していただくためには、生活環境の充実は極めて重要でございます。

 これまで復興庁としては、被災地域の課題や多様なニーズに対応して、医療、買物環境、教育、交通アクセスの整備等の必要な生活環境整備をこれまで行ってきたところでございますけれども、さらに、これからF―REIに関連します多くの方においでいただくに当たっては、F―REIの整備に対応した周辺環境整備として、復興庁及び福島県が連携をいたしまして、浜通り地域等の現状を改めて確認をするため、データの整理等の先行的な作業も実施をしているところでございます。今後、さらに、福島県と連携をいたしまして、検討に向けて準備を進めているところでございます。引き続き、福島県、市町村が取り組む町づくりと緊密に連携してまいりたいと思います。

 また、関連で、F―REI自身も、本年四月に設立されて以降、研究の一環として様々な取組、町づくりに関する課題の解決に貢献できる研究等も予定をしておりますので、そういった取組とも連携を進めていく予定でございます。

漆間委員 次に、地域の産業創出についてお伺いします。

 令和元年十一月の福島浜通り地域の国際教育研究拠点に関する有識者会議において、坂根座長は、結局は研究所をたくさんつくることが目的ではなくて、浜通りに雇用が生まれ、定着する人が増えることが目的ですね、私は最初、国際と名がついているから日本一、世界一と言いましたけれども、福島浜通りにとっては、それが世界一でなくても、産業が発展して定着人口が増えてくれることが一番いいはずなので、そういう意味からいきますと、私は、今、チャレンジしているあのテーマだけでも結構幅広くやっているので、先ほどお願いしたように、どれだけの人が働いていて、どれぐらい定着が期待できるのかという事実をしっかりと見詰めて、どのテーマでどの地域で焦点を当ててやっていけばいいのかというのが、今から、私がもしマネジメントをやるとしたらそこから始めると思うのですと述べておられます。

 この坂根座長の御指摘は、浜通りのにぎわい回復にとって極めて重要な視点であると考えます。どんなに優秀な研究者を呼び込んでも、浜通りの復興のためには、新たな産業を創出し、地元の雇用を創出しなければなりません。

 先月の機構の設立を受け、政府は、産業発展による定着人口の実現、地元雇用の創出に向けて今後どのように取組を進めていくのか、お伺いいたします。

由良政府参考人 御指摘いただきましたF―REIによる研究開発の成果を福島を始め東北の復興に結びつけるための取組として、広く企業の参加を得ながら、実用化や新産業創出に着実につないでいく必要があると考えてございます。

 F―REIの中期計画では、研究開発の進捗と合わせて、研究開発成果の活用を促進するF―REI発のベンチャー等への支援を行うこととしております。また、関係機関とも連携をして、企業等との共同研究、技術移転等を実施し、産業集積に向けた取組を推進することといたしております。研究テーマの選定及び実施体制としても、企業の参画というのが重要であるというふうに考えてございます。さらに、企業人材への専門教育、F―REIの施設設備の利活用等を通じて、地元の企業がF―REIの研究開発成果を活用できるということも、環境の整備を進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 これまで政府としては、浜通り地域の産業再生に向けて、企業立地補助金を始めとする企業誘致等の支援や、福島イノベーション・コースト構想を通じた新たな産業基盤の構築等に取り組んできているところでございますので、こういったこれまでの取組とF―REIの産業化等の取組、これをうまく組み合わせながら、新たな産業の発展と定住人口の増加につながるような取組を推進してまいりたいと考えてございます。

漆間委員 是非、新たな産業の発展と定住人口の増加、やっていただきたいと思います。

 イノベーション・コースト構想、前回のこの委員会の質疑では、私も空飛ぶ車の質問もさせていただいたところです。是非ここから空飛ぶ車、すばらしいものが生まれてくることを期待して、私は地元は大阪なんですけれども、関西万博では空飛ぶ車の実用化も目指しておりますので、こちらも是非連携してやっていければいいのかなと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、法案の方の質疑に入らせていただきます。

 これまで議論のあったところをちょっと一つ飛ばしまして、二つ目、平成二十九年から三十年に作成された特定復興再生拠点区域復興再生計画の経験を踏まえ、本法案に基づき作成される特定帰還居住区域復興再生計画を実効性のあるものにしていくために現在検討している具体的な方策についてお伺いいたします。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 福島復興再生基本方針を改定をいたしました後、地元自治体による特定帰還居住区域復興再生計画が策定されることとなります。御指摘いただいたとおり、こうした方針や計画策定及び計画認定のそれぞれの段階で、特定復興再生拠点区域での経験を踏まえつつ、地元自治体や関係省庁とも連携しながら、今回の計画が実効性のあるものとなるよう、検討を深めてまいりたいと考えてございます。

 具体的な例として、例えば、特定復興再生拠点区域内の除染作業において蓄積された線量低減手法の知見を生かすことや、道路の修繕といった生活環境の整備の取組を参考にするなど、関係省庁とも連携して検討を進めてまいりたいと考えております。

漆間委員 これまでもたくさん議論のあったところなんですけれども、特定区域外の全域をまず除染してから住民の方々に対して帰還の意向を確認する方法もあったかと思いますが、そういった方法は検討したのでしょうか、なぜ今回の除染方法に至ったのか、その経緯についてお伺いいたします。

由良政府参考人 震災、原発事故から十年以上が経過する中で、特定復興再生拠点区域外については、一昨年の夏まで政府の方針をお示しすることに至っていなかったところでございました。そういった中で検討を進めておりました中、拠点区域外の自宅に帰りたいという住民の皆様の切実なお声や、拠点区域外への帰還、居住に向けた方針を早急に示してほしいという地元の強い要望は常に受けておりましたところでございました。

 こうした状況を受け止めまして、拠点区域外について、今回の法案の提案につながります基本方針を二〇二一年の八月に政府として決定をしたところでございます。

 御指摘の点を踏まえまして、こういった経緯の中で取り組んできているということを地元でもしっかり御説明をし、計画の策定につなげていく取組を進めてきているというところでございます。

漆間委員 本法案の除染費用については、政府は、本方針の実施に係る予算については、一般会計の財政収支に影響を与えることなく、東日本大震災復興特別会計及びエネルギー対策特別会計の応分の負担により確保するとしておりますが、具体的な財源についてお伺いいたします。また、防衛力強化に関わる増税の影響についてもお伺いいたします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の方針につきましては、令和三年八月の原子力災害対策本部及び復興推進会議にて決定されました、特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方において示しているものでございます。

 その上で、拠点外の事業の除染費用等の予算額につきましては、今後、法案の成立後、地元自治体による計画の策定等を通じまして除染を行う範囲等が定まっていくものであるため、現時点においては、その見通しについて予断を持って申し上げることは困難な状況にございます。

 そうしたことを踏まえまして、令和三年八月の方針でお示しした復興特会及びエネルギー特会の応分の負担の具体的な対応につきましても、今後、事業の進捗状況等も踏まえつつ、引き続き検討してまいりたいと考えております。

 また、防衛力強化に伴う対応につきまして、復興特別所得税の税率を引き下げるとともに、課税期間を延長するものでありますが、復興財源の総額を確保することが大前提とされていることなどから、復興事業に影響を及ぼすことはないと考えているところでございます。

 加えて、令和五年度税制改正大綱にも記載があるとおり、息の長い取組をしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源を確実に確保することとされておりまして、必要な復興事業の実施に支障を来さぬよう、万全を期してまいりたいと考えてございます。

漆間委員 このことにつきましてはこれまでもたくさん議論がありましたが、私も、復興特別所得税の重要性を毀損する、よくないことだと思っております。この点につきましては、我が党としても、防衛費増額に関わる増税は反対の立場でこれからも議論を進めてまいりたいと考えております。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長島委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の掘井健智でございます。

 福島県飯舘村の拠点区域の避難指示が五月一日に解除されまして、六町村に設けられた拠点区域で住民帰還を伴う解除はこれで完了ということになります。復興へ向けて確実に前進していることに対しまして関係各位の皆さんに敬意を示しますけれども、今後も更なる復興に向けて加速をお願いしたいと思っております。

 拠点区域は地理的まとまりがあるのに対しまして、今回の改正案の帰還居住区域は元住民の帰還希望に応じるために点在する場合がございます。改正案の除染方式だと除染区域がいわば虫食い状態になると午前中の質疑で指摘があり、お答えとしても面でやっていくとありました。住居だけではなく、集会所、道路、お墓など生活圏は除染するということを聞いておりますけれども、森林、山ですね、林とか、そういったことはどうなるんでしょうか。日常では近寄らない森林も、子供が例えば夏休みに虫を捕りに行くとか、こういうことも考えられますね。生活圏でなくても除染されていない区域と近接しているという危機意識がひょっとしたら実際に帰還する住民を少なくしているのではないか、このように思います。いかがでしょうか。

由良政府参考人 特定帰還居住区域でございますけれども、帰還する住民が安全、安心に日常生活を営むために必要となる宅地、道路、集会所、墓地などを区域に含めた上で、除染を始めとする生活の再建に向けた環境整備に取り組んでいくことを想定しております。

 復興庁としては、御指摘のような、区域の虫食いの状態というようなことで帰還する住民が安全、安心に日常生活を営むことができないといった事態が生じないようにしていくことが重要であるというふうに考えてございます。

 森林につきましては、帰還困難区域だけではございませんけれども、福島の避難地域におきまして、一般的に森林の除染は山林の安全の確保の観点から限界があるということで、除染をしていない森林も多くございます。こういった除染に関する基本的な考え方、取組の方針も踏まえて取組を進めていくことになろうかと考えてございます。

 いずれにしましても、住民の方々に帰っていただくに当たって、安全、安心に日常生活を営んでいただくということが基本的な視点というふうに考えてございますので、そのための取組を進めてまいりたいというところでございます。

掘井委員 汚染されて全ての国土を除染するか否かは、住民ばかりではなくて国民が見ていると思うんですよね。今後仮に原発を動かしていくということの際に国民に理解されるんでしょうか、こんなことを思います。そもそも、全ての区域で除染を進めていくべきではないのかなと思うんですね。よく経費がかかるといいますけれども、できない理由は何でしょうか。できなければどうやって、今の森林のことでありますとか、そういうところを解決していきますでしょうか。

渡辺国務大臣 委員の御指摘は、帰還意向にかかわらず全域を除染すべきだという御質問でございます。

 震災、原発事故から十年以上経過する中で、特定復興再生拠点区域外について、先ほど説明もありましたけれども、一昨年の夏まで政府の方針を示していなかったわけでありますが、拠点区域外の自宅に帰りたいという住民の皆様方の切なるお声や、拠点区域外への帰還、居住に向けた方針を早急に示してほしいという地元の強い要望がございました。

 こういった要望を踏まえた上で、拠点区域外において、まずは、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染し避難指示解除を行うという基本方針を二〇二一年八月に決定し、この法案を提出させていただいたところでございます。

 将来的には、当然のことながら、帰還困難区域全てを避難指示解除して復興再生に責任を持って取り組むとの決意の下、政府としては、本法案の早期成立を図りまして、帰還意向のある住民の方々の一日も早い帰還を目指してまずは全力で取り組んでまいりたい、そのように思っております。

掘井委員 もちろん、政府の思いはよく分かっておるんです。希望する住民全員が二〇二〇年代までに帰還できるようにするという、二〇二一年の八月に定められた、今おっしゃりました基本方針があります。本法案が実現されれば基本方針が達成されたということの理解でよろしいんでしょうか、改めて。

渡辺国務大臣 今の御質問でございますが、特定復興再生拠点区域外については、今申し上げましたとおり、二〇二〇年をかけて帰還意向のある住民が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染して避難指示を行うという基本方針を、先ほど述べたとおりでありますが、この方針を実現すべく、本法案では、帰還意向のある住民の方々が帰還して安全、安心に居住できる範囲を特定帰還居住区域として設定し、除染やインフラ整備を始めとする避難指示解除に向けた取組を推進しようとしているところでございます。

掘井委員 何が言いたいかといいますと、これで終わりではないと思うんですよね。今後も例えば希望調査をして、住民に寄り添ったスキームをいろいろな施策でもって考えていただきたい、このように希望します。

 続いての質問です。

 帰還希望の住民は二〇%台ということで、決して多くはないと思います。元住民の視点からしますと幸せに暮らせるかどうかということが本当は一番問題であって、幾らインフラ整備ができたとしても、幸せに暮らせると思えなければそれは意味がないことなんだ、そんなふうに思います。インフラの整備だけではなくて、元住民が帰還後にどのような暮らしをしたいのかをやはり自治体とすり合わせておく必要があると思うんです。それがなければ、戻るかどうかということ以前の問題で、元住民は帰還についてなかなか判断できない状況ではないのかな、こんなふうに思います。

 帰還居住区域をどこに設定するか、また、住民たちが納得する形にしていくために自治体と元住民がきちんと話し合う場が必要であって、そのような場をつくるということを法律や基本方針とかガイドラインなんかで、制度で盛り込んだ方がいいのかなと思うんですけれども、この辺、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 帰還に伴う不安の払拭のために地元の自治体と帰還意向のある住民が対話できるようなスキームというようなお話もございましたけれども、これまでも、住民の方々に対しては政府方針について地元自治体とともに説明を実施するとともに、意向調査の実施に際しては、各自治体と共同で自治体の行政区ごとに住民同士の対話も含めた意見交換会や座談会などを開催するなど、地域別に住民の御疑問、御懸念を丁寧にお伺いするような取組を実施してきたところでございます。

 今後も、住民が安心して帰還できるよう、地元自治体とともに相談しながら、帰還に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

掘井委員 行政の努力で実施しているということには敬意を表します。制度的に担保することも必要であるかなと思います。

 次の質問ですけれども、廃炉について質問します。

 原発の被災地の復興は廃炉と表裏一体であります。廃炉には三十年から四十年かかって、長期にわたり廃炉作業が続くということになります。廃炉作業が安全に進むかどうかは住民の暮らしに非常に影響するということで、前回の法改正による拠点区域や今回の法改正による居住地区の避難解除により、原発の近くに住民が住み始めていくということになっていくと思うんです。廃炉を担う東京電力、国と住民が対話する場も必要ではないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原発の廃炉につきましては、地元の皆様からの御理解と信頼を得ながら進めていく必要があると考えてございます。

 先般、西村経産大臣からも、住民の方々が不安を抱かれることがないように、これまで、東京電力の小林会長あるいは小早川社長に対しまして、ささいなミスも許されないことから、緊張感を持って作業を進めるとともに住民の皆様にできるだけ分かりやすく丁寧に説明するように指導してまいったところでございます。

 また、国としましても、地元自治体や各種団体の代表者などが参加します廃炉・汚染水・処理水対策福島評議会、あるいは地元住民の方々が参加する福島県原子力発電所の廃炉に関する安全確保県民会議等におきまして廃炉の進捗などについて説明、意見交換を実施してございます。

 また、御指摘の東京電力におきましても、現在避難している方も含めまして住民の皆様を対象としまして、福島第一原発の現状を見ていただいた後に、国の職員も参加し車座にて意見交換を行う視察・座談会も毎月実施しているところでございます。

掘井委員 原子力政策に関するということで、経産省さんにお答えいただきました。近隣住民との信頼関係を醸成していくということに努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問です。帰還を希望しても実際にはなかなか帰還に時間がかかる場合がある、そんなふうに思います。例えば、幼い子供がいる家庭では、子供の年齢が一区切りするまで避難先での生活を希望する人もいるんだろうと思います。やはり帰還希望者に寄り添うということが大切でありますことから、まずは避難先と帰還居住区域の二地域での居住であったりといった多様な帰還アプローチを認めるべきだと考えますが、大臣の所見を伺います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 避難生活が現在で十二年も続いております。帰還に際して、ふるさとでの生活を少しずつ確立される方も多いと想定されるところでございます。居住人口の回復を通じた自治体全体の復興を後押しするためにも最終的には帰還していただくことが必要であると考えておりますが、一時的に二地域居住のような形になるケースは当然あり得ると思っております。

 復興庁といたしましては、個々の御事情に寄り添いながら、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるように、避難指示解除に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

掘井委員 住民に寄り添ったスキームでお願いしたいと思います。

 避難解除になるということは、日常にだんだん近づいていくということになります。今まで免除されていた煩わしい権利関係とか納税なども通常に戻ることになっていくのかなと思います。帰還を希望しなくとも、近隣住民が希望した結果として帰還居住区域となった場合に避難指示が解除されると例えば固定資産税がかかるように変更されると聞いておりますけれども、二か所で生活することになると、先ほど言いましたけれども、なおさら大変だと思うんですね。帰還を希望しない元住民にとっては、原発事故によって管理不能となって失われた土地、建物の価値を放棄したつもりが避難指示解除によって蒸し返される事態になる、こういった問題もひょっとしたら想定できるんじゃないのかなと思います。この辺、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 今委員御指摘の点については、避難指示が解除されたことによって、土地、特に家屋等の固定資産税が出てくるというようなお話が今あったわけでありますけれども、まずは、避難指示解除を進めるに当たっては、地元自治体との協議を踏まえて取組を進めてきたところでございます。具体的に先ほど申し上げましたけれども、住民説明会を実施しながら地元の住民の皆様方から御意見等をお伺いしてきたところでございます。

 今の御指摘でありますけれども、引き続き、避難指示解除を進めるに当たって、地元自治体からの個別の課題、要望、御事情を丁寧に伺いながら必要な取組を行ってまいりたいというふうに思っております。実際に解除されて減免はどうするのかどうか、こういった課題についても議論を自治体としていきたいというふうに思います。

掘井委員 ごめんなさい、実際に固定資産なんかには何か措置があったんでしょうかね。

由良政府参考人 御指摘の固定資産税でございますけれども、避難指示が出ております間は通常は固定資産税の免除をしております。避難指示を解除するに伴いまして、各自治体とも御相談をさせていただきながらでございますけれども、一定程度の免除あるいは減免をしばらく継続された後に固定資産税の課税が始まるということで取り組んでいただいている自治体が通常かと存じます。

掘井委員 分かりました。措置があるということであります。例えば自治体による土地の買取りなど、あってもいいのかなと思うんですけれども、意見として聞いていただけたらなと思います。

 次の質問であります。帰還居住区域の創設の四要件であります。特に、三号要件と四号要件についてであります。

 三号要件は計画的かつ効率的な公共施設等の整備ができること、四号要件は拠点区域と一体的に復興、再生ができることでありますけれども、この要件は帰還意向がある住民にとってハードルになるのではないかと心配しております。効率的な公共施設の整備と拠点区域と一体として復興していくとは、自治体にどんなことを期待しておるのか、伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 御質問の内容でございますけれども、特定居住区域の要件として、十七条の九の一項第三号の内容ということと、さらに十七条の九第一項第四号の内容ということでよろしいんですね。

 まず、十七条の九の第一項第三号の内容いかんということでございますが、特定帰還居住区域については、計画的かつ効率的に帰還する住民の居住の安定の確保に必要な施設の整備を行うことができると認められることという要件に該当することが必要というふうになっております。この要件は、集会所といった公共施設について、事故前の施設を有効に活用するとともに、計画的に修繕等を行うことにより居住の安定の確保を図るためのものであり、帰還を希望する住民の方々の帰還を妨げるものではありません。

 十七条の九の第一項四号の関係でございますけれども、特定居住区域についてですが、特定復興再生拠点区域と一体的に復興及び再生を推進することができると認められることという要件に該当するものであることが必要だというふうにされておりますが、この要件は、帰還困難区域内にある特定復興再生拠点区域との施設の一体性を担保するため特定復興再生拠点区域との交通アクセスを十分に確保する等の取組を求めることを示したものでありまして、帰還を希望する方々の帰還を妨げる内容のものではございません。あくまでも生活の安定確保をするための内容ということで御理解していただければというふうに思います。

掘井委員 分かりました。

 余り時間がないので、質問をちょっと前後させていただきます。

 除染費用が東電による帰還困難区域の住民に対する賠償の中に含まれているとしますと、住民の二重取りと評価することもできるわけです。逆に含まれなかったとしますと、国は東電へ求償するべきと評価できると思うんですね。

 詳細を見ますと、賠償項目の中に財物損害があります。財物損害とは避難指示等に伴い管理不能となって失われた土地、建物の価値の全額を賠償するものであるとすれば、今回の帰還居住区域の対象となる土地はもう既に賠償として評価されていることになります。更に突っ込めば、除染に伴い解体される建物には最大三百万円が支払われるということになります。

 これは二重取りにならないのか、純粋に聞きたいと思うんです。大臣、よろしくお願いします。

由良政府参考人 御指摘の財物賠償でございますけれども、帰還困難区域につきましては、土地を全損したという評価の下に土地の評価を行い、財物賠償として東京電力から土地の所有者に対して賠償を行ってございます。これは賠償として行っているものでございます。

 一方、帰還困難区域における除染の費用でございますけれども、土地の所有者に給付をするものではございませんので、土地の賠償と二重取りということには当たらないというふうに考えてございます。

掘井委員 ありがとうございました。委員会質問で明らかにしておく必要があると思っておりましたので、あえて質問をさせていただきました。東電は賠償するということで、国は復興のための町づくりであるということになるのかな、そんなふうに思っておりますけれども、賠償の問題と国の施策はやはり次元が異なる、そういうふうに理解しました。

 逆の視点から確認したいんですけれども、政策として、拠点区域外の帰還実現、居住人口の回復を通じて自治体全体の復興を後押しするということ、これが将来の町づくりであるならば、除染費用だけではなくて政策としてもっともっとできることがあるのかな、そんなふうに思っております。帰還、居住を後押しする支援をもっともっとしていくことに対してどう思われますでしょうか。例えば帰還する元住民の建物の建設費用も国が出す、こういうことも考えられないこともないと思うんですよ。このことも含めて、いかがでしょうか。

由良政府参考人 まず、帰還環境の整備ということにつきましては、これまでるる御説明をさせていただき御答弁がございますように、帰還環境の整備として、医療、生活、買物あるいは教育の環境整備、こういったものをまず進めていく必要があると考えてございます。また、これに加えまして住居につきましても、これまで拠点区域におきましては賃貸住宅の整備等を進めてきております。こういった町づくりの取組として拠点区域における生活環境の整備を進めてきたところでございます。

 今回の制度の帰還居住区域につきましては、元の場所に住民の方が戻っていただくということで考えてございますので、帰還をされる住民の方の住宅の確保についてどういう御支援ができるのか検討していく必要があろうかと思っております。個人の住宅の取得ということに国費を投入することについては制約もございますので、そういった中でどういった御支援ができるか検討していく必要があるというところでございます。

掘井委員 もう時間がありませんので終わりますけれども、この法案の改正によって、住民の皆さんが復興が進んで幸せになるということを心からお祈りいたしたいと思います。

 終わります。

長島委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 特定復興再生拠点区域への帰還者とその目標数の乖離については、私も非常に大きな関心を持っておりました。午前中の議論の中でも大臣からも御答弁をいただきましたし、何より復興は今が、これからがスタートだという考え方については私も同意をいたしますので、これから順次増えていくのであろうと思います。なので、質問は飛ばさせていただきますが、あえて指摘をさせていただくのであれば、平成二十四年から帰還意向調査をずっとしてきたわけであります。にもかかわらず目標数と現在の実態が乖離しているというのは、いささか見通しが甘かったのではないか。これはほかの議論でも申し上げさせていただきますが、ほかの政策についても非常に見通しが甘い点が幾つかあると思いますので、指摘をさせていただきたいと思います。

 一点だけ確認させていただきたいんですが、帰還者ではない、新規に入居してくる方、新規の方をどれぐらいと見積もっていらっしゃるのか、事務方に確認したいと思います。

由良政府参考人 特定復興再生拠点区域の復興再生計画に基づきまして居住人口の目標を定めるとともに、その中でも帰還者の目標の数字が別途定められている場合がございますので、御指摘の新規の移住者という意味では、居住人口の目標から帰還者の目標を差し引いた人口ということになります。

 各町村が定めている居住人口及び帰還者数の目標を見てまいりますと、例えば双葉町では、目標人数二千人のうち帰還者数の目標を差し引きますと移住者数が六百人というふうに見込まれております。同様に大熊町では二千六百人のうち千百人を移住者と、浪江町では千五百人のうち二百人、飯舘村では、ここは少のうございまして移住者は二人ということ、葛尾村でも目標数八十人に対して帰還者数八十となってございます。

 移住者数だけを合計しますと、五町村で約二千人という目標の数字になっているというふうに把握しておるところでございます。

鈴木(敦)委員 今御紹介いただいた人数、双葉町六百、大熊千百という数字を、私は地元が川崎で大都会だからあれなんですけれども、今、ただでさえ、Uターン就職をしたりとか、いろいろな誘致をして地域づくりを青年隊にやってもらったりしていてもなかなか人が集まってこないというのが地方の実態だと思いますが、この千百だとか六百という数字はかなり野心的な数字であると言わざるを得ないと思います。

 加えて、先ほど来議論のあった、帰還される方というのが目標数どおりに積み上がっていかないということになりますと、復興再生計画そのものの数字に沿わせていくのがなかなか難しくなってくることが想定をされるんですね。

 ただでさえ、Uターン、Iターン、あれだけ就職してくださいと若者に言ってもなかなか進まない。今はオンラインが増えていますから多少は増えているのかもしれませんが、それでも千百、六百を満たすには至らないという中で、改めて、走り出していることについては仕方がないと思います、ただ、これから先どうやって人を増やしていくかについてはもう少し知恵を絞らないと、現状のまま、戻ってきてください、入ってきてくださいと言っただけでは恐らく集まらないと思いますので、大臣、何かお考えはございますか。

渡辺国務大臣 この問題は大変重要な課題であります。目標設定をして、実際に帰ってこられる人数また移住者の人数というものを今お示ししたところでございますけれども、その人数を実現していくというには相当な努力は必要だと私は思います。

 私どもは復興庁そして自治体との連携によって今回の計画を立ち上げてきたわけでありますので、まずは、冒頭申し上げましたけれども、避難指示解除はゴールではなくスタートだという、その意識で今進めていくところなんですが、その中でも、まずは必要なインフラの整備や買物環境、医療、介護の生活環境などを整備していくことは大変重要だというふうに思っております。こういったところをしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思いますし、定住関係につきましては、令和三年度から福島再生加速化交付金によりまして移住・定住促進事業を創設いたしまして、移住相談体制の強化を始め、各自治体の移住、定住の促進に向けた取組を支援してきているところでございます。避難指示解除をされた地域の復興に向けて、こういった点に全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

鈴木(敦)委員 様々なやり方があると思いますが、一方で、復興地域だけではありませんけれども、ほかの地域でもやはり若い方を取り込みたいということで、移り住んでくれたらお金を上げますとか建物を差し上げますとか、いろいろなことをやっている自治体もあります。なので、今は都市部から地方に対して移っていく方を取り合いになっている状態ですから、ただでさえ復興の地域に人を戻したいという大きな目標があるわけですから、より一層の議論をしていかなければいけないと思います。

 加えて、今日午前中ずっと議論を聞いている中でいろいろありましたが、どうして帰還しようと思わないのか、帰還できないのか、いろいろ議論がありました。全体的な大枠でいうと、全体像が示されていないからという議論もありました、建物の問題があるというのもありました。なので、これはいろいろな複合的な問題があって、帰りたいけれども帰れないという選択をされる方が多いと思います。

 私は、今日、その中でも一つ、余り考えていなかったであろうことについてちょっと議論させていただきたいと思います。それはごみです。

 我々はふだん何も考えずにごみを捨てていますけれども、ペットボトルとか缶であればリサイクルが可能かもしれませんが、どうしても生活する中でごみはかなりの量が出ます。後ほど申し上げますが、かなり埋立地とか最終処分については難しいものがあると思いますけれども、まず最初に事務方に確認しますが、中間貯蔵施設の整備状況と、あと残余容量をどれくらいと見積もっておられますか。

土居政府参考人 これまで、中間貯蔵施設は、発生します除去土壌等の発生量の把握を進めつつ必要な施設の整備を行ってきたところでございます。

 二〇二三年三月末時点におきまして、施設の貯蔵能力、容量につきましては千三百十万立方メートル、また、除去土壌の貯蔵量につきましては千百六十一万立方メートル、残余容量としましてはその差が百四十九万立方メートルというふうになっております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。今整備している中で、百四十九万立方メートルしか残りは埋められないということになります。

 ちなみに、これは試算というか資料ですけれども、特定復興再生拠点区域由来の搬入量については約百二十万立方メートルですから、これまでに整備した特定復興再生拠点の地域だけでも今の残余容量とほぼ同等ぐらいの量の十万ベクレル以上の廃棄物が出ているということになります。

 次に、それ以外の、中間貯蔵施設に入れなくてもよい線量の比較的低い廃棄物を処理しているのはどこかというと、旧エコテックと言われる部分で大部分の処理をしていると思いますけれども、そこだけでは手狭になってきましたので、新しく、今、クリーンセンターふたばというものを整備中だと認識しております。

 このクリーンセンターふたばは、第一期と第二期の埋立計画で、合わせて二十八万立方メートルしか入りません。計画では、二〇二七年から供用開始がされて、そこに一般廃棄物を含めて搬入するということになっていますが、法案の中でもありますように特定帰還居住区域を設定して、午前中の議論の中でもあって大切な話でしたけれども、帰還意向のある方の家だけを虫食いで除染するのではなくて、面除染をされるということでした。

 ということは、そこの面で発生した土砂、あるいは建物を壊したのであれば建材の中で線量が中くらいの八千ベクレル程度のものについてはこういった施設に搬入をしなければならなくなります。そうすると除染した廃棄物と一般廃棄物が混在をすることになりますが、その容量は総量で二十八万立方メートルしかないわけです。だから、幾ら人を増やして戻ってきてもらったとしても、その方々が捨てる一般廃棄物のための最終処分場を特定廃棄物が圧迫してしまうということが発生します。このことについて復興庁は計算に入れて、クリーンセンターふたばの供用年数を計算されたんですか。

土居政府参考人 特定帰還居住区域から発生いたします特定廃棄物の数量の見込みやその処分先につきましては、本法案が成立した後、市町村が作成されます特定帰還居住区域の復興再生計画に基づく区域によってどれぐらい発生するかという見込みが検討されますので、現時点ではどれぐらい発生するという見込みを申し上げることは困難でございますけれども、今後、特定帰還居住区域からの特定廃棄物の発生時期また発生量の把握を進めまして、必要な処分先の確保につきまして検討していきたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 だから問題だということを言っているんですよ。入れる場所もないのに、大量の土砂と建材を発生させてしまったらどうするんですか。

 六〇年代とか五〇年代だったら、夢の島みたいに、壁みたいにごみを捨てればよかったんです。でも、結局、夢の島処分場はどうなりましたか。一九六五年に、ハエが大量発生して自衛隊と消防が一緒に最終処分場を焼き払いましたよね。そうならないために、今、ガスが発生したり虫が発生したりしないように、周りをしっかり固めた最終処分場を造っているわけじゃないですか。クリーンセンターふたばも同じ設備ですね。なのに、その容量、どれぐらい入るのか。しかも、これは特定廃棄物のためだけの処分場じゃないんですよ、一般廃棄物も入るんですよ。ここに戻ってきてくださいと言われている方々が日常で捨てるごみが処分されるところなんです。

 もし二十八万立方メートル以上の土砂や建材が出たらどうしますか。住んでいる方々の一般廃棄物をどこに捨てるんですか、どういう計算をされているんですか。

土居政府参考人 御説明が足りなかった部分がございますが、これら特定廃棄物につきましては、家屋を解体した際にかなり多く出ますのが木材でございまして、こちらにつきましては、中間貯蔵施設の中に設置をしております仮設焼却炉、こちらで焼却した後、かさを小さくして埋め立てているというのが現状でございます。それらの取組もしながら、なるべくかさを減らしまして処分先を確保していきたいと思います。

 ただ、先ほど申し上げましたように、発生量の把握につきましては、計画を見ながら地元とよく御相談させていただき、必要な処分先の確保について引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 つまり、クリーンセンターふたば以外に処分場を整備するということですよね。というか、今のうちに整備しておかないと、検討もしておかないと、処分場を造りますといって地元の理解を得るのにどれぐらい時間がかかるかは皆さんがよく分かっているじゃないですか。だから、計画の段階で、もしかしたら足りなくなるかもしれないから、残余のためにも用意するという議論をしていなきゃいけないと思いますけれども、されていないし、する気もないんですか、今は。

土居政府参考人 これまでも、クリーンセンターふたばにつきましても、御地元の御理解を得るために密にコミュニケーションさせていただきながら、苦渋の選択といたしましてこちらを環境省としても使わせていただくということになっておりますので、その議論につきましては引き続き、コミュニケーションしておりますので、ここの新しい計画につきましても御説明をし、どのような対応ができるのかということを詰めていきたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 そういうことを聞いたんじゃありません。前回の議論もそうでしたけれども、高性能容器に入れるものについても、いざ、満タンになりそうだからといって議論を始めたりとか、やることが遅いんですよ。ここだってそうですよ、クリーンセンターふたばだって、いっぱいになりかけたときに、場所が足りないんですと地元に頭を下げに行って、やむなくそこに建ててもらうとか、そういうことじゃなくて、もっと丁寧に、もしかしたらこれでは容量が足らないかもしれないから、新しいものを整備する必要性があるかもしれないということを考えなければいけないし。

 どれぐらい出るかという積算をしないでクリーンセンターふたばを造ったんですか。そういうことになりますよね、全く試算がないままこの処分場を建設して、一期、二期を合わせて二十八万立方メートルと設定したということになりますよ。そういうことですか、全く試算はないんですか。

土居政府参考人 現状整備させていただきましたクリーンセンターふたばにつきましては、震災前にこの地域におきまして活用されていた最終処分場を最大限活用させていただき、一期、二期を合わせまして二十八万立方メートルの処分場として再開させていただいたというものでございます。ですので、どちらかといいますと、現状ある施設につきましては、既存の活用していたものを新たにリニューアルしたというものでございます。

鈴木(敦)委員 だから、リニューアルするに際して、どれぐらいの量を見積もって一期、二期を設定したんですか。量の見積りがないんだったら一期、二期で分ける必要はなかったし、一期に入れればよかった。でも、二十八万立方メートルを一期、二期に分けて、三万と二十五万で分けているんですよ。

 何で三万と二十五万で分けたか。除染が進んできて量が増えそうになるのは二期だからでしょう。そういう試算ができているから三万と二十五万で分けているんじゃないですか。

土居政府参考人 まず、二十八万立方メートルの内訳でございますが、大きく分けますと三種類でございますが、一つが先生御指摘の双葉郡内で発生します一般廃棄物を入れるもの、二つ目といたしましては、この双葉郡内でインフラ整備などで生じる産業廃棄物、これが約十万立方メートルということで予定しております。また、特定復興再生拠点などで生じます特定廃棄物、これが十八万立方メートルというのが計画としてございます。

 また、質問いただきました三万と二十五万の話でございますけれども、こちらにつきましては、元々、震災前の廃棄物の最終処分場自体が一期、二期に分かれておりまして、一期がもう既にごみが入りつつあったというものをリニューアルいたしましたので、残り容量が三万しかなかったということでございまして、必要容量というよりは現状、リニューアルしたときの残り容量というものでその数字が決まってございます。

鈴木(敦)委員 だから、これを超えたときにどうするかということを考えなきゃいけないわけですね。十万と十八万という内訳も大体試算が出ている、計画があるわけですから。計画と実態がどうなっているのかを考えればいいわけですよ。

 この話はいつまでもしませんけれども、大臣、なぜこの話をしたかというと、全国的に最終処分場が足りていないわけですよ。環境省の試算だと、全国平均で二十一・四年で日本中の最終処分場は満杯になっちゃうんです。首都圏だと三十・一年ぐらいです。

 なので、ごみをどうするかという問題と、プラスアルファで特定廃棄物が出ている地域ということですから、より厳格に試算をしていかなくちゃいけないと思うんです。それがないと、普通に生活しているときにごみを収集されて、それがどこに行って、また夢の島みたいになるということも考えちゃうと、私みたいな若い人間はごみ収集をしてくれないとどうしても、焼却炉で焼くという経験が私はないものですからなかなか移り住めないわけです。これも一つの要因ではないかと思って、今回、この御質問をさせていただいているので。

 是非、前もって議論を進めていただくという癖をどうか役所につけさせていただきたいと思います。特にごみの件については時間がかかるので、検討して調整して建設してとやっていたら、あっという間に何年もたちますので、是非その癖をつけるように指導していただきたいと思いますが、大臣、お願いします。

渡辺国務大臣 今委員御指摘の内容、私は大変重要だというふうに思っています。

 インフラの整備という形で我々が今考えていたのは、例えば、先ほども申し上げましたけれども、医療、介護とか、さらには買物環境、こういったところを主体としてよく例示させていただいたんですけれども、帰還するための環境というのは、今言ったような形で、ごみの処分ということは生活する上で大変重要なことであります。したがって、この内容についてはしっかりと早めに早めに対応していくことが大変重要だ、私はそのように思っております。この点について、まず除染の範囲や規模については地元の自治体と協議をしまして、復興再生計画の策定を通じてより具体的になっていくというふうに思います。

 地元との連携によって、そのときに必要なのは、この場合でいうならば、ごみについてどのように考えているかということも、逆に言うと、こちらから提案していくことも大事ではないかな、そのように思っておりますので、いずれにしましても自治体の皆様方との連携を密にして対応していきたいと思いますし、先ほど環境省の方でも、今後の問題だということでありますけれども、どんどんどんどん前倒ししていろいろな形で検討していくことは大変重要だということで、そのような形で環境省とも連携をしていきたいというふうに思います。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 ごみの件だけではありませんけれども、結局、前回やった高性能容器にしてもそうですし、ぎりぎりになってからどうなっていますかと確認をして、やはりできていませんでしたというのは、これは役所でなければ許されないです、一般企業でこんなことをやったら大変なことになりますので、是非進めていただきたいと思います。大臣は是非リーダーシップを取っていただいて、この件についても検討を続けていただければと思います。

 少し話題が変わりますけれども、復興関連の基金事業についての質問であります。

 御承知のとおり、会計検査院法三十条の二に基づく報告書の中でも、復興関係の基金事業で、保有割合といいますけれども、要するに余剰金が発生している基金が多数あるということでありました。事前に復興庁さんのお話を聞いたところ、足りないよりは多い方がいいだろう、基金なので、予算とは違いますからということでしたけれども。

 勘定方法が曖昧だと計画全体に波及するんですよ。どれぐらいの人が戻ってくるのかとかいう試算に大きな影響をもたらすので、やはり基金についてもしっかり計算をして、これぐらいの見込みがあって実際にこれぐらい使ったんだということをブラッシュアップしていただかないと。会計検査院の資料を見たら結構すごいですよ、随分昔から、平成二十三年度の三次補正予算から余っているんですよ。こういうことが散見されるので、しっかり帳尻を合わせる癖をつけていただきたいと思いますけれども、これは大臣にお伺いします。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 住まいの復興給付金につきましては、東日本大震災で被災された方に対し、復興まちづくりに係る区域指定や宅地造成の時期など、外的要因により住宅取得等に際して被災者間で生ずる負担の不均衡を是正するため消費税負担の増加分を給付するものであり、平成二十五年に二百五十億円の基金として創設をされたところであります。その後、令和元年度に、当時の残高ではそれ以降の給付が困難となるおそれがあったことから、給付実績が減少傾向であることを踏まえた上で五十億円を追加したところであります。

 令和四年度現在、基金の保有割合は一・五五となっておりますが、今後は、避難指示の解除等による原子力災害被災地域における給付件数の増加に備え、帰還者等の住宅再建ニーズに迅速かつ柔軟に対応するため基金として確保することが適当であると考えております。

 復興庁としましても、今後、避難指示の解除による給付の動向等を注視しながら、適切に基金が運用されていくように努めてまいる所存でございます。

鈴木(敦)委員 この基金は、私も足りなくなるよりはあった方がいいとは思いますが、その計算がしっかり実態に合ったものでないと使われないままのお金になるということと、あるいは宅地造成もそうですね。宅地造成をしたんだけれども建物は建たない、あるいは福島県側が留保しているという事例もありますね。

 なので、せっかくお金を使って建てたり整備したりしたのに、そのままそれが宅地として利用できないとかいうことが発生するのは、やはりニーズがちゃんとつかめていないということだと私は思います。マーケティング的に言えば、来たいという人がいて、マッチングができていないので、取りあえず土壌だけつくっちゃって誰も帰ってこないという状態になっているということも多数あります。

 一問飛ばしてその話をしますけれども、災害公営住宅を整備するという場合に、入居者が未定のまま空室になっている建物等々がたくさん出ております。全体でいうと二千百七十九戸ですけれども、これこそが見通しが甘かった最たる例です。これぐらいの人は帰ってくるだろうと思っていて帰ってこないで、三年たって一般公営住宅化するというのを進めてもいますけれども。造っちゃったものはしようがないと思います、これを取り壊すわけにいかないので。ただ、そこに人を入れていく方法を考えなくちゃいけませんし、一般公営住宅にするならするで、後押ししてどんどん人を入れなきゃいけないと思います。

 復興地域については、かつ、もう一つ、これは御提案ですけれども、こういう公営住宅は、例えば市営も県営もそうなんですけれども、入れる要件が高齢者だったり、あるいはお子さんのいる御夫婦だったりに限定されているんですね。でも、一番公営住宅に入りたいお金のない層は若者、単身者なんですよ。こういう人たちは働き手でもあるんですね。地元の雇用にもつながるし、経済も活性化するので、こういう人たちが入れるようにすると爆発的に人は増えると思います。

 私も昔、非正規雇用をやっていたときに公営住宅に入りたいと思って相談したら、結婚していないと駄目だと言われたんです。でも、そういう若者は結構多いので是非検討していただいて、もしかしたらそういうニーズがあるかもしれないと思いますので、省内で検討していただきたいと思います。というのが一つの提案ですが、今後どういうふうに運用されていくかを伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 現在、公営住宅は二千戸以上が空き室となっております。こういった現状を踏まえて、どのように進めていくかということでございます。

 東日本大震災からの早期の住まいの再建を図るために、約三万戸の公営住宅の整備が進められてきたところでございます。災害公営住宅の入居率は現在九割超となっておりまして、必ずしも空き室が多い状況ではないと思います。被災者の退去等により空き室が増加していくことから、自治体の判断により、被災者以外の方を入居させたり、公営住宅以外の用途で活用するなどの有効活用が進められているところでございます。

 他方、原子力災害被災地域においては、避難指示の解除が進む中で、引き続き、避難先から帰還される方々のための災害公営住宅等の整備を進めているところでございます。

 現在、福島県においては、管理戸数が七千八百八十、入居決定戸数が六千八百三十七ということで、入居率は八六・八%でございます。差し引いて空室率は一三・二%ということで、多いことでありますが。

 今後も、委員が御提案のようなことでできるだけ空室をなくしていくように、住宅を有効に活用できるように、関係省庁とも連携しながら、また自治体と連携しながら対応してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので終わりますが、最後に質問しようと思ったんですけれども、食品の輸入規制の撤廃についてはG7でも首脳でやり取りをしていただきたいので、是非大臣からも総理に御提案をいただきたいと思います。

 終わります。

長島委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 午前からの議論とダブるところもあるかとは思いますが、流れがありますので、よろしくお願いいたします。

 二〇一七年五月に福島法が改正され、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域内に、避難指示を解除し、居住を可能とする特定復興再生拠点区域を整備する制度が創設されました。富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の六町村の拠点の面積は二十七・五平方キロメートルで、帰還困難区域全体の面積三百三十七平方キロメートルに対しては、まだ約八%にすぎないわけです。とはいえ、今月をもって六町村全てで拠点区域の避難指示が解除されました。

 資料の1に双葉町と、それから2に大熊町の地図、特定復興再生拠点区域の復興再生計画を落としたものを配りました。この地図の中にちっちゃく書いてあるんですけれども、解除後五年を目途に住民が居住できることを目指し、双葉町では五年後の目標として居住人口約二千人、大熊町では約二千六百人を目標に整備を進めてきました。

 現状をどのように見ているのか、大臣に伺います。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 特定復興再生拠点区域においては、各自治体が作成した特定復興再生拠点区域の復興再生計画に基づきまして除染やインフラ整備等の取組を進め、今月一日までに、先ほどお話がございましたけれども、六町村の特定復興再生拠点区域について避難指示が解除されたところでございます。

 御指摘の居住人口数については、自治体からも、現時点では目標と比較的少ない状況であるとの報告はいただいているところでありますが、避難指示解除はゴールではなくスタートだということで、復興庁としましても、目標の実現に向けて引き続き必要な取組を進めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 午前からもこの数字の話があって、私は少ないじゃないかと国を責めるという議論をするつもりは一切ないんです。

 会計検査院の今年の二月の報告、「東日本大震災からの復興等に関する事業の実施状況について」の中で、先ほどお話しした拠点計画について、国が、六町村の認定特定復興再生拠点区域復興再生計画に基づき行われた事業等の進捗状況や達成状況を踏まえた上で、帰還困難区域が認定されている市町村の課題などを的確に把握し、支援、助言等の取組を行っていくことが必要と指摘をされているんですね。

 九十五点の拠点を整備する予定ですが、まだ未着手が二十二点ある。なので、遅い、早いとかではなく、ちゃんと把握しているのかという、手のひらに乗っているのか、そのことがまず大事だと思いますので、いかがでしょうか。

由良政府参考人 特定拠点区域の復興のための計画、取組でございますけれども、福島再生加速化交付金等の予算の執行を通じて、各市町村、それから地元、現場の状況を把握しながら事業を進めてきているところでございます。

 再生加速化交付金につきましては、毎年、予算の、地元のニーズを把握をさせていただきまして、計画に基づく取組を具体的にどういうふうに進めるのか、あるいは新しいニーズとしてどういったことがあるのか、それを予算事業として反映をしていくという取組を通じて、地域のニーズに合った取組を具体化をしてきているところでございます。

 現在進めております取組につきましても、引き続き、予算の執行、それから、それの具体化のための関係者の連携の中で、状況を把握しながら取組を進めてまいりますので、引き続き御指導をいただきながら、国としても、市町村の取組をしっかり、一緒に取り組む形で支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 ここは指摘をしておきたいと思います。しっかりとお願いいたします。

 町の事情、さっきお話があったように、居住している数を何によって数えるかということを町が発表したくない場合もあるわけですよ。その思いと、県が把握していなくて国の数字を使っているとか、様々なところが実際にあります。そういう点では、さっきから大臣は、聞いていると、ずっと、自治体と力を合わせてと、連携してとおっしゃっていますが、現実をやはりちゃんと合わせるということをやっていただきたい、ここは指摘したいと思います。

 前回の改正の審議の際に、拠点は飛び地になってしまうこと、点ではなく面として除染を行うべきだということを提案してきました。これは自治体の首長らの訴えも同じだったと思います。

 それで、今回、拠点外についても、特定帰還居住区域として帰還を促すとしています。この点は、ですから、面になるのかというまず確認と、それから、復興再生拠点とこの帰還居住区域の違いは何か。お願いします。

由良政府参考人 御質問いただきました二つの区域の違いの方から先に御答弁をさせていただきますと、特定復興再生拠点区域は、新しい町づくりの一環として、帰還される住民に加えて、移住される方の生活や地域経済の再建の拠点となる地域が選定されたものでございます。これに対して、特定帰還居住区域は、帰還意向のある住民の皆様の生活の再建を目指し、日常生活圏を一体的に捉えて区域を設定するものと考えてございます。

 どちらの区域につきましても、帰還あるいは居住のための環境整備に取り組んでまいりますし、除染等の取組を進めていく上では、御指摘いただきましたような、点、飛び地になるといったことに伴う課題が生じないように、しっかりと区域の設定から除染の取組まで進めていきたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 私は、これは本当は違いがない方がいいと思います。復興再生拠点が広がっていく、本来はそうあるべきだ、違いを出すべきじゃない、このことを指摘します。

 二〇二一年八月三十一日の原子力災害対策本部決定、特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方、これにおいて、国は、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるように避難指示解除の取組を進めていくとしており、すぐに帰還について判断できない住民にも配慮して、複数回にわたり話合いをしていく、こういうふうに言っているわけです。

 実際に、昨年六月、大熊町で開催された住民説明会においても、一回だけでなく、繰り返し行うことを答えているわけですね。区域外での解除が具体化し、住民の意向を繰り返し聞くという姿勢は評価したいと思います。

 しかし、これでいくと、一番早く帰還を果たすのは何年先になるでしょうか。

由良政府参考人 特定帰還居住区域の計画につきましては、今後、地元自治体による計画の策定等を通じて、除染を行う範囲やインフラ復旧の見通し等が具体的になってくることになります。

 午前中の質疑でも答弁をさせていただきましたが、大熊町、双葉町で先行的に取り組みます計画の認定と除染につきましては、令和五年度の予算で除染の取組が進められるように、速やかに認定まで進めて、除染の開始を取り組んでいきたいと考えてございます。

 また、その後の計画の推進につきましても、住民の方の早く戻りたいという御意向を踏まえて、しっかりした取組を進めていきたいと考えてございます。

 最終的にどういったスケジュールになるかということについて現時点でお示しをすることはまだちょっと難しゅうございますけれども、計画の具体化を通じて見通しをお示しをしていく努力をするということで、政府としても取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今はっきり分かるのは、令和五年度内に除染を開始するというだけなんですよ。だから、帰れるのがそれからまた何年先かも分からないし、しかも、それが、誰が帰って、どこの区域を除染するのかは分からないわけでしょう、帰った人に合わせて除染するんですもの。そうすると、町は一体どうやって将来像を描けばいいんですか。そういうことになるんですよ。だから、拠点を延ばしていくべきだということを言っているわけです。

 それで、原子力災害対策本部決定には、拠点区域外の住民の帰還に関する意向を個別に丁寧に把握した上で、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行うとあります。この必要な箇所とは何か。

 自分は、家は何ともないし、帰りたい、だけれども、周りのみんなが帰らないから帰れないと訴えた女性がおりました。そういう複雑な気持ちにさせているんですよ。帰還すればその周辺は除染すると言われると、自分だけがと、なかなか決心がつかないんですよ。どのように思いますか。

由良政府参考人 御指摘いただきました住民の方が迷っておられる状況ということも、あらかじめ住民の御意向をお伺いするアンケート等を通じて把握できる部分もございました。そういったことを念頭に、私どもは、特定復興再生拠点区域外の住民の方に対する意向確認については、昨年の夏以降、各自治体と共同で進めていく際に、各自治体とともに、行政区ごとの住民同士の対話も含めた意見交換あるいは座談会を開催するなど、地域別に住民の方の御疑問、御懸念を丁寧にお伺いするような取組も実施をしてきたところでございます。

 そういった取組を通じて、御帰還の御意向を相互に御相談していただくことも含めて確認、把握をさせていただき、御帰還できるような環境整備をしていくという取組を進めてまいりました。

 今般の意向確認につきましても、複数回実施をさせていただきますので、一回目の状況を見て、さらに、住民の方がそれぞれ相互に意思疎通をされながら取り組める環境づくりにも取り組んでまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 行政区ごとにやると、今私が言ったように、みんなが帰らないと言うと言い出しにくいとか、その逆とか、様々ありますので、行政区ごと、やはりコミュニティーを再生したいという気持ちだと思うんですよ、それと、個々の意見を出しやすい、そしてイメージしやすいということを議論していかなきゃいけないということを指摘したいと思います。

 それで、特定復興再生拠点区域内の解体、除染もまだ残っているわけです。そういう中で、拠点の中と、これからつくる拠点の中で自宅の再建をしていく、そのときに被災者生活再建支援法が使えるはずであり、六町村においては申請期限が来年四月までと延長していますが、今聞いてきたように、来年までだと間に合わないなというのが誰もが分かっていると思うんです。そうすると、やはり更に延長をまず最低でもしなきゃいけない。

 それから、事故直後は住居の損壊というのは余りないということで、半壊だよねということで、基礎支援金さえもらっていないところもいっぱいあると思うんですね。

 二〇二一年四月の二十二日でしたが、朝日の夕刊で、千五百戸、浪江、双葉、大熊、富岡で半壊がそのくらいあるよという調査を記事にしておりました。そういうことからいっても、今は半壊じゃないよね、もう十二年もたっている、長期間戻れなかった状況に鑑み、全壊として対象とするべきだと思いますが、この二点、お願いします。

五味政府参考人 被災者生活再建支援金の申請期限についてでございますが、できる限り早期に被災者に生活再建を図っていただく観点から設けられているものでございまして、被災地の状況等、地域のやむを得ない事情により期限内の申請をすることができないと都道府県が認める場合には期間延長できることとされております。

 これまでも一年ごとに延長してきておりまして、今後も、福島県において、必要に応じて延長の可否を判断するものと認識しております。内閣府としても丁寧に相談に乗ってまいりたいと存じます。

 また、被災者生活再建支援法におきましては、制度上、自然災害により住宅に半壊被害を受けた世帯であっても、やむを得ない事由により住宅を解体した場合には、全壊と同様の支援金の支給を行うこととされております。

 引き続き、福島県や関係省庁等と連携し、被災者の生活再建等が進むよう、適切に取り組んでまいりたいと存じます。

高橋(千)委員 二つとも可能だという答弁だったと思います。

 もちろん、三百万でどうにかなるかという問題はあるんです。だけれども、やはり制度を使えるものは使っていただきたいということで確認をさせていただきました。

 それから、解体、除染についても、さっきいろいろ議論があったと思うんですが、帰還したいと思っても、隣の家が全く放置状態では、とても残念なわけです。それから、放置状態になっているその家の持ち主が、今すぐは帰れないけれども、しかし、おうちをそのままにしておきたくないということで、どちらから見ても、やはり解体、除染というのは進める必要があると思うんですが、国費でやるべきだと思いますが、いかがですか。

由良政府参考人 特定帰還居住区域でございますけれども、区域の設定に当たっては、帰還する住民の皆様が安心、安全に日常生活を営むための範囲で設定をするという考え方でございます。これを具体的に当てはめるに当たりましては、帰還意向のある方の区域を中心にその日常生活圏を設定をしていくということになります。

 したがいまして、例えば、帰還居住区域に設定をされましたエリアの中に残されております帰還意向のない方の家屋、これも、区域、日常生活圏の整備という取組の中で家屋の解体、除染の取組を行うという部分が出てくるというふうに考えてございます。そういった取組も含めまして、必要な解体、除染を進めてまいります。

 その上で、残された土地、家屋も残ってまいります。これは、大臣からもるる御答弁をさせていただいておりますように、引き続き重要な課題として取り組んでいくというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 これは行うと言ったと思います。

 それから、営農についても希望調査をしておりますけれども、帰還は今すぐできないけれども、営農はしたいという方がどのくらいいるのか、支援の対象に入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

由良政府参考人 帰還意向調査における営農再開意向の確認でございますけれども、帰還の御意向があるというふうにお示しをいただいた方について、営農再開についても併せてお伺いをしてまいりました。

 一方で、帰還意向のない方の所有する農地等の残された土地については、帰還意向のない方の家屋と同様に、引き続き重要な課題として検討をしていく必要があるというふうに考えてございます。

 営農だけということで考えますと、まずは、拠点区域で整備をした農地もございますので、そちらを使っていただくことも是非お勧めをしていきたいというふうに考えておりまして、営農の再開については、帰還される方の中でまずは意向を確認をしているというところでございます。

高橋(千)委員 どうしてそこに別な拠点が出てくるんですかね。今帰らなくても自分の土地で営農したいというのは、次の一歩に必ずつながるんですから、支援したらいいんじゃないですか。

由良政府参考人 帰還意向の確認をさせていただく際に、まずは御帰還の御意向があるかどうか、その上で営農の再開の御意向についても伺っております。

 二地域居住についてもやり取りを、御質疑をいただきましたように、帰還の在り方については幾つかの柔軟なパターンを考えていかないといけないというふうには考えてございます。

高橋(千)委員 それはそうですよね。ですから、泊まれないけれども、立入りを認めますよとか、準備宿泊をやりますよと、そうやって順々にやってきたんじゃないですか。それで、自分の土地で営農したいという人たちを支援しませんという、それは絶対まずいですよ。検討していきたいということだったので、これは、是非大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、前回の法案で問題としたのは、復興再生拠点は新しい方針だから国が行うんだ、東電には求償しないと決めたことであります。私は、除染特措法において国直轄で除染を行う除染特別区域には帰還困難区域も含まれていること、だから、国はその後で東電に求償するというふうになっているのに、おかしいじゃないか、帰還困難区域は最もひどく汚染され、住民が最もひどく苦しめられた地域なんだ、なぜ求償しないのかと追及したんです。

 今回、帰還居住区域も同じ扱いをするわけですね。さらに、求償しない、東電に責任を負わせない対象が広がっちゃう、これはすごい矛盾だと思うんですよ。この際、どちらの拠点も東電に求償するということで見直すべきではないでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 帰還困難区域は、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域として設定されたものでありますが、放射線量が低下していることや地元からの要望を踏まえ、二〇一六年に、従来の方針から前に踏み出し、住民の居住を目指す復興拠点を整備する方針が示されたところでございます。

 この整備は、復興のステージに応じた新たな町づくりとして実施するものであるため、特定復興再生拠点区域においては、国の負担による除染等の取組が行われてきたところであります。

 今回の特定帰還居住区域における整備は、人口回復などを通じて復興を後押しするために実施するものであるため、特定復興再生拠点区域と同様に国の負担で行うことが適切であると考えております。

 福島の復興は、まさにスタートラインに立ったばかりであります。引き続いて、国が前面に立って取組を進めてまいります。

高橋(千)委員 復興を後押しするための方針だから、なぜ東電に求償しないんですか。意味が分かりませんが。

渡辺国務大臣 基本的に、前回の二十九年の改正、国費で負担するということで法律が決められておりまして、その方針に基づいて、基本的に今回も同様な視点で対応したところであります。

 復興を後押しするために実施するものであるということで、今回のものは前回同様ということで、国が負担するということが適切であると考えております。

高橋(千)委員 大臣も御自分でお気づきになったと思いますが、答えになっていないです、残念ながら。法律で決めちゃったからという話でしかないと思うんですね。

 やはり長く将来にわたって帰らないと言っていたところを、方針を変えたからと。方針を変えたから、国として整備はするけれども、東電がそれを後押しするのは当たり前だ、そこに責任を果たさせるのは当たり前だということで、改めて検討するべきだと思っているんです。

 長く避難させられる地域であって、東電に求償している地域というのは、中間貯蔵区域があります。双葉町と大熊町にまたがっておりますよね。ここは求償するわけです。そういうことからいっても、やはり検討するべきだと思います。

 それで、今日は、中間貯蔵施設についても聞きたいと思っているんです。3が除去土壌の工程表になります。細かいので詳しくはお話しできませんが、今年、今年度が大体の目標がめどがつく年だということが分かります。ただし、一番下の最終処分の場所とかやり方などについては、全くこれからということになります。

 資料の4を見てください。全体面積一千六百ヘクタールのうち、民有地が千二百七十ヘクタールで七九%。土地の登記がある人たちは二千三百六十人いるんですが、連絡先掌握済みの地権者約二千百人の八九%、千八百五十三人については、用地についての契約が済んでいるといいます。どのような契約か、内訳でお答えください。

土居政府参考人 二〇二三年三月末時点の契約済みの件数でございますが、今委員から御指摘がありました連絡先把握済み二千百人のうち千八百五十三件になっておりますが、このうち、土地の売買契約を行いまして国が所有権を取得したものにつきましては千六百九十六件、地上権設定を行ったものが百五十七件ということになっております。

高橋(千)委員 三十年後に返しますといっても、実際、地上権設定は百五十七件だということなんです。

 JESCO法において、三十年後の県外処分が定められています。私は、まだ仮設住宅の頃でしたが、大熊町の地権者の皆さんと懇談したことがあります。そのときに、三十年先に返すと言われても、自分がそのときまで待って帰れるとは思えないと口々におっしゃいました。だけれども、先祖代々の墓地だけは残してほしいという声もありました。

 それから、資料の2の大熊町の地図の左下の方についています大川原地区、一番最初に拠点整備をしたところがありますよね。そこに住みたい、そういう声もあったんです。最初、環境省は、家を買ってくれと言っても応じてくれませんでした。今、千六百九十六件が買取りをしたというお話だったんですが、東電からの賠償金が出ているんだからいいじゃないか、こういう言い方をされたんですよ。そういう中で、私は、きちんと頭を下げて、集団移転も検討するべきだと思いました。それがみんなの思いだったんです。それがこうした形で買取りが進んだということは確認できました。墓地は、実は移転も進んでいるということも聞いております。

 それで、質問は、今回の法案である特定帰還居住区域には、この地域は入っておりません。それは承知しています。しかし、この区域の人たちにもきちんと、今紹介したようにいろいろな思いがあるんです、帰還の意向も含め、要望を聞くべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 お答えいたします。

 中間貯蔵地域の元の地主さん、それぞれの思いがあるというふうに私も思っております。委員は既に御理解をしていただいているんですが、今回は、この区域は、帰還して居住することは当面想定されていない地域であるということの御理解はよろしいわけですね。このようなことは、まず、対象外としてきていることについては御理解を今しているということでありますけれども。

 現時点において、中間貯蔵施設の区域については帰還意向調査を行う予定は現在ありませんが、将来的には帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意を持っております。

 したがって、この点については、しっかりとその点について対応してまいりたい、そのように思っております。

高橋(千)委員 現在ありませんがとおっしゃいました。将来って、三十年先に意向調査をされても間に合わないよという話を今したわけです。なので、やはり聞いてほしい、なるべく早く聞いてほしい、これは、是非大臣、お分かりいただけたと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今日、本当はもう一つ質問する予定でしたが、時間が来ましたので、説明だけします。

 資料の5に、除去土壌の放射能濃度分布というのがあります、八千ベクレルを超えたもの。四分の三あるんですね、それは再生利用をするんだ、濃縮して減容してという話ですけれども、それにしたって、東京ドーム十一杯分の土壌なわけです。

 これに、これから拠点の除染を進めた土壌がもっと入ってくる。それから、家屋の解体などに伴う特定廃棄物が更に入ってくるわけなんです。その中には十万ベクレルを超えるものがある。それをどうするかというのを質問したかったんですが、それは県外処分をすることになっていますと言っていて、土壌とはまた違う処分をしなくちゃいけないわけですね。課題はとてもある。

 そういう中で、三十年先というだけではちょっと見通しは立たないだろう、そのことも含めてしっかりと住民の皆さんと議論するべきだということをまず指摘をして、今日は終わりたいと思います。

長島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 用意していた質問はこれまでの質疑と大分趣旨が同じところはあるんですが、ただ、ちょっと深める観点から議論いたしますので、極力、紙を読み上げるだけではなくて、質問を聞いていただいて、その趣旨に沿っていただければと思います。

 一昨年八月、先ほどからあります特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方では、与党から政府に対して、復興拠点区域外の自宅に帰りたいという住民が帰還し、生活できるようにするとの観点から、拠点区域外の避難指示解除に向けた方針の具体化に向けた基本的視座が提言されていると。

 私が役人のとき、余り与党のことを政府の紙に書くことはなかったので、そのこともちょっと違和感があったんですけれども、その上で、国は二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるよう避難指示解除の取組を進めていくというふうになっていて、今回、私は、帰還を望む人から先行して帰還するというこの法案の趣旨はそのとおりかなというふうに理解はするんですが、しかし、この復興拠点区域外がどういう地域になっていくのか、国はどういうふうな地域にしたいのかという理念とか姿勢が見えないんですね。

 国とか、あるいは自治体と共同してでもいいんですけれども、町づくりの将来の姿を見せることなく、まず自宅に戻りたいという皆さんを帰すという、そうした意思決定をした理由は何なのか、その点をまずお聞きしたいと思います。

由良政府参考人 御質問をいただきました帰還困難区域の全体像を含む考え方でございますけれども、拠点区域を設定をいたしました際には、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域をつぶさに見てまいりますと、放射線量が低下していることや、地元からの要望も強うございましたので、平成二十八年に、新たな町づくりとして住民の居住を目指す区域を整備するという方針で取組を始めたところでございます。

 この区域には、帰還に加えまして、移住の取組あるいは経済の再生の取組の拠点、こういった意味合いで区域を設定をし、住民の方に戻っていただく、住んでいただくという取組を進めてきたところでございます。

 これに対しまして、今般、拠点外の住民の方の御意向を確認をするという手法を取りましたけれども、これにつきましては、拠点区域の取組を進めている中で、拠点区域に居住をされる方の数の推移も状況を見ながら取り組んでいくという拠点区域の考え方を一方で捉えつつ、こちらの拠点外の住民の方の御意向が、拠点に戻るということではなくて、元住んでいた場所に戻りたいという御意向でございましたので、そういったことを並行して進めていくという意味では、拠点と異なる制度整備をすることが必要だという考え方の下に、速やかに整備できる仕組みとして、帰還居住区域の制度を御提案させていただいたところでございます。

福島委員 私がお聞きしたのは、どうしてそういうやり方を取ったかということで、今の答弁で、拠点と異なる考え方を取ると言ったんですけれども、拠点と異なる考えとは何ですか。拠点であろうが拠点外であろうが、住民の皆さんが住んでなりわいを立てることは同じなわけでありまして、拠点と異なる考えとはどういうことなんですか。ちょっと教えてください。

渡辺国務大臣 まず、全体にいいますと、帰還困難区域が設定されている、その中で、六町村が、少なくとも町づくり、そして中心市街地、こういったところも含めて特定復興再生拠点区域ということを設定しました。ここの中で、設定した後に、結果的に帰還困難区域の避難指示が解除されたという状況であります。五月一日で全ての、六町村が解除されました。この六町村が解除された後に、今回の法案については、それ以外の、拠点区域外について居住していた人、こういう人たちにいかに早く帰還してもらうかということに主眼を置いてございます。

 したがって、根本的に違うのは、トータルとして町づくりとして考えてきた部分と個々の部分がございますので、個の帰還者に焦点を合わせて今回は法案として提出させていただいたところであります。

福島委員 何で私がこのことを申し上げるかというと、やはり人間は一人で生きていけないんですね、ぽつんと一軒家の人もいらっしゃいますけれども。この地域は農村ですから、集団で住んで、みんなで共同でいろいろな作業をしながら、お祭りをしたり、行事をしながら暮らしているという地域であって、単に家に住めば暮らしが成り立つというものじゃないと思うんですね。

 資料で、先ほど来ある調査の数字をうちの事務所でちょっと分けて書いていますけれども、帰還希望ありが二割、三割あるのは結構多いというのが玄葉先生からありましたが、返答していない人が五割近く、半分近くいるし、希望なしとか保留とかというのを合わせるとかなりの方が迷っているのは、要は、帰ったらどういう生活になるかというのが、ただ単に家に住むというんじゃなくて、災害の前の同じ暮らしになるかどうかが見通せないからなんですね。それを示さないと、帰還の希望を出してもなかなか帰ってこられないと思うんですよ。

 そういう意味では、私は、帰還を希望する人だけじゃなくて、その地域に定住をしたいとか、新たな被災地でなりわいを立てたいという人も入れるべきだと思うんですね。二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の帰還をすると言っていますけれども、この帰還には、新たに入る人とか、そういう人は想定しているんでしょうか。

渡辺国務大臣 基本的には、復興拠点の場合については移住、定住の人たちも考えておりますので、拠点の中に是非とも入っていただきたい、そういった考え方でございます。

 ただ、今回の法案については、かつて居住していた人が帰ってこられる環境をつくるためにはどうしたらいいかということで、生活環境や又は様々なインフラを整備していこうということで進めていこうということでございます。

福島委員 それだと、帰る人がどういう町になるか分からないんですね。

 同じ考え方の中で、先ほど来ありますけれども、残された土地、家屋等の扱いについては、地元自治体と協議を重ねつつ、検討を進め、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除する、それはしっかりやるというのは何度も大臣は答弁されておりますけれども。

 私は、二〇二〇年代というとまだ結構ありますよね、それまでぽつぽつぽつぽつ、一軒一軒帰る地域というのは物すごく残酷だと思うんですよ。やはりそこでどういうふうな暮らしがされるのか。元のみんなで肩を寄せ合って暮らせればいいけれども、それは現実には無理なわけなんですよ。そうしたら、新しい人も入れて、農業も、例えば新しいタイプの農業をやるとか、こういう産業があるとか、あるいは、近くにこういう職場が出るから、そこに人に住んでもらうとか、そういう全体像がなければ、帰れと言っても、なかなか帰る判断ができないと思うんですよ。

 検討すると書いてありますけれども、残された土地、家屋等、それが決まれば、例えば今ある土地を壊して次の人に売ろうとか、いろいろなことが今の所有者、元の居住者も考えることができるんですけれども、そうした新たな区域外についての町づくりの考えというのはいつ頃示される予定なんでしょうか。

由良政府参考人 帰還居住区域の設定につきましては、昨年から今年にかけて調査を行ってまいりました。帰還の御意向に沿って速やかに計画を策定をしていくということで考えてございます。そうした計画の策定を経て、残された区域というものが逆に特定をされていくということを考えてございます。戻りたいという住民の御意向をできるだけ尊重して、その取組を速やかに進めていくということを先行しております。

 その上で、残された課題についてはしっかり取り組んでいくということは方針として掲げさせていただいておりますけれども、いましばらく時間をいただいて、帰還居住区域の計画の策定、推進、こういったことを進めるのと並行して検討を深めていく、自治体の皆さんと協議を進めていくという考え方でございます。

福島委員 由良さんは、私が採用のときにお世話になった先輩なので、余りきつく言えないんですけれども。

 この法案自体も、実は、町づくりを想定されているんじゃないかと思うんですよ。法案の第十七条の十で、帰還・移住等環境整備推進法人による計画の作成の提案ができるということが規定されております。帰還・移住等環境整備推進法人というのは、産業の再生、復興とか、住民の帰還とか移住に関する幅広い事業を行う法人ですから、この条文を入れたということは、移住とか新しい産業の創出というのも想定してこの条文を入れたんじゃないですか、どうですか。

由良政府参考人 二つのことを御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、今御指摘いただきました帰還・移住等環境整備推進法人でございますけれども、自治体が指定をして、民間における町づくりのための人的資源やノウハウを補完をしていただいて、町づくりのパートナーとして公的な位置づけを得て、地域の町づくりに貢献をしていただく法人でございます。

 今回の法案との関係で申し上げますと、帰還居住区域における生活環境の整備といったことについてノウハウを計画に反映させることを考えてございますが、この法人が帰還居住区域における移住の促進まで取り組むということは、現時点で想定をしていないところでございます。これは、今回の帰還居住計画が、帰還することを念頭に置いて計画をしているためでございます。

 もう一点が拠点区域との関係でございますけれども、法案の要件の中の一つとして……(福島委員「聞いていないです」と呼ぶ)よろしゅうございますか、済みません。

福島委員 何で移住とかを想定していないんですか。だって、先ほど、民間の町づくりのノウハウで貢献なんだから、まさに町づくりなわけですよ。町づくりから移住とか新しい産業とかを排除したら、そんな町づくりなんてできっこないじゃないですか。何のためにこの法律の条文を入れたかということになると思います。

 もう一点、町づくり全体の面的なものをやっているのは、先ほど高橋委員からもありましたけれども、これは私は逆の観点ですけれども、今回の除染を国が負担するということです。

 これも一昨年の八月の考え方の中では、将来にわたって居住を制限することを原則とした帰還困難区域への居住を可能とし、拠点区域外への帰還実現、居住人口の回復を通じて自治体全体の復興を後押しする措置であることからやるわけだから、個人が帰る家の除染だったら、やはりそれは汚染者負担で東電がやるべきなんですよ。

 ただ、国が、我々がここで国会で法律を変えて、国のお金として、まさに国民の皆様方の税金としてやるということは、全体の町づくり、パブリックなことに使うからということで我々はこれからこの法案の賛否を決めようとしているわけでありまして、帰還者だけ、希望者だけじゃない、町づくり全体も含めてこの区域外についても考えるというのは、この法案のそもそもに流れている思想ではないかと思うんですけれども、この点は、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 今回の法案で新たに除染等の措置を講ずることとする特定帰還居住区域再生計画では、新たな町づくりの一環として整備した特定復興再生拠点と一体的に復興及び再生を推進できることを認定要件とするなど、御指摘のように、自治体全体の復興や地域づくりも見据えたものとなっております。

 計画の策定に当たっては、地元自治体の地域づくりに関する考え方がしっかりと反映されるものとなるよう、復興庁としても丁寧に相談、協議をしてまいりたいと思います。

福島委員 とにかく面的にやらないと、税金で出すという理由にならないと思うんですね。

 ちょっと残りの時間、細かい法律的なことをお聞きしますけれども、法案第十七条の九第一項で、特定帰還居住区域の定義が、「特定避難指示区域内の区域(特定復興再生拠点区域の区域その他復興庁令で定める区域を除く。)」となっているんですけれども、この復興庁令というのは何を定めるんでしょうか。

由良政府参考人 御指摘をいただきました省令では、特定帰還居住区域の対象から除く区域として、復興庁令にて中間貯蔵施設区域を定めることを想定をしております。

福島委員 はっきり中間貯蔵施設と言った方がいいと思うんです。そこのところはもう帰れないということをこの法律で確定することになるわけですね。

 定義が続きますけれども、それであって次に掲げる条件のいずれにも該当するもののうち、特定避難指示の解除による住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指すものとあって、先ほど来の議論、また戻るんですが、帰還、生活の再建を目指すものというのは、住民の帰還意向があるその地点だけを示すのか、それとも、目指すところなわけだから、たとえその帰還の意向が個人のものがなくても、帰ってほしいというふうに思うような目指すという、包括的な広い概念と捉えてよろしいんでしょうか。

由良政府参考人 帰還を目指す御意向のある方というのは、個人単位で意見交換をさせていただき、確認をしておりますけれども、その御意向の確認に当たっては、集落単位ということがありますと、戻られる方も生活がしやすいということでございます。

 生活の再建を目指すという意味では、共同での生活を営まれる方の生活再建ということも念頭に置いて取り組んでいく必要があると考えてございます。

福島委員 もうちょっと明確化したいんです、条文単位で、今やっていることじゃなくて、住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指すものの目指すものには、住民の帰還と生活の再建と両方がかかると思うんですね。目指すものなんだから、たとえ帰還の意向が調査で示されていなくても、ここに帰ってほしいと思うエリアであったら入るんですか、どうですかということをお聞きしています。

由良政府参考人 条文上の考え方といたしましても、生活の再建を目指すということを念頭に置いておりますので、どういった方、どなたが生活をされるのかということは、一定程度想定されることを念頭に置いていると考えてございます。

福島委員 よく分からないですね。まあ、いいです。これ以上は、時間がないので、あれですけれども。

 なぜその議論をしたかというと、市町村が計画を定めるときに、法案第十七条の九第二項第二号のときに、特定帰還居住区域復興再生計画の意義及び目標を書くんですよ。何を書くかというときに、先ほど来の議論の繰り返しになりますけれども、単に誰々さんが帰ってどこどこを除染します、そういう意義じゃなくて、この区域外においてもどういうなりわいが再生されて、どういうふうな地域をつくっていくかという意義、目標を私は定めるべきだと思うんですけれども、ここは何を定めることになるんでしょうか。

由良政府参考人 お尋ねの計画の意義及び目標につきましては、帰還意向のある住民の方々の御帰還と生活の再建をどのような形で実現していくかということについて記載いただくことをその趣旨としております。

 計画については、今後、地元自治体において作成されることになりますけれども、その作成に当たっては、復興庁としても、地元自治体からの個別の課題、要望、御事情を丁寧にお伺いをして、計画が円滑に実現できるように協議を進めてまいりたいと考えてございます。

福島委員 私は今の答弁を聞いて、この法案は賛成しようと思っていたんですけれども、今、賛成しようかどうか、非常に迷っております。

 というのは、やはりこれは人単位なんですよ。帰還する人の、そのことしか考えていなくて、その先のその地域がどうなるかというビジョンを国は全然示そうとしていないわけです。帰りたければ帰ればいいねという、そうしたある意味、無責任とまでは言わないけれども、ほったらかしの姿勢に私は見えるんですね。本来、ここの意義とかも、市町村がきちっと、その地域が将来どういう地域になるのか、そこに住む人がどういうなりわいを立てていくのかということまで示さなければ、人間は生きていけません。

 大臣、その辺りをちょっともう一度、最後に答弁をいただけませんでしょうか。

長島委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

渡辺国務大臣 今回の法案の中で、個々を中心にして考えていることは事実ですが、今委員がおっしゃったように、一人では生活できないんですよ。

 したがって、その地域をやはり考えていかなければならないし、この問題については、復興庁も自治体とやはり連携をしていくことが大事です。自分たちの地域はどのようにしていくかというのは、自治体の、やはり責任があるわけですので、それをしっかりと支援してまいりたいと思います。

福島委員 是非そういう方向で運用していただきたいと思いますし、大臣が本当に真摯に取り組んでいることは拝見させていただいておりますので、大臣の今の答弁の方向で頑張っていただければと思います。

 以上です。

長島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。

 大震災と原発事故から十二年がたち、今春をもって全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。本法案により拠点区域外に新たな特定帰還居住区域を指定し、居住を可能とすることは一定の前進です。その上で、反対する第一の理由は、生活のための環境整備としては極めて不十分であり、かつ住民間に新たな分断が生じかねないからです。

 本法案では、帰還の意向を示した住民の周辺にある宅地、道路、集会所、墓地等を含む範囲に限り、除染等やインフラ整備等の環境整備を行うとしています。

 これまで政府が環境整備を進めてきた復興再生拠点区域は、町の総面積の大部分を占める帰還困難区域のほんの一部にすぎず、帰還した人でさえ今後の生活に不安を感じています。本法案により拠点区域外の住民も帰還が可能となるものの、避難者にとっては、コミュニティー全体が再生することにより初めて帰還の意思が生まれるのであって、希望者の周辺のみの除染を行うのではその動機づけになりません。

 政府の帰還意向調査では、長期の避難生活が続き、避難先での生活が確立したことで、戻らないと決めている方々も多くいるだけではなく、拠点区域外の帰還意向調査でも、帰還希望なしと保留、無回答を合わせて約七割以上になっています。そうした中で、住民に、帰還するならその周囲を除染すると決断を迫るものであり、町が求めてきた面的除染にはなり得ないばかりか、将来像が見通せないこと、選択を迫られる住民間に新たな分断が生じかねません。国がやるべきことは、全域の除染等を行い、安心して帰還できる環境整備を行うことです。

 第二は、特定帰還居住区域の環境整備に係る費用を国が負担することで、原発事故の原因者である東京電力の責任を免責するものだからです。

 帰還困難区域も、放射性物質汚染対処特措法四十三条並びに四十四条で定めている、国が除染した後に原子力事業者に求償する規定に含まれています。ところが、国は、復興再生拠点区域は新たな方針だから国費で行うのだと説明してきました。今回もそれに準ずるものです。国費だからその予算の範囲内の除染にとどまるのかという懸念も拭えません。本来、最も汚染され、長く帰還を制限された地域だからこそ、東電に求償すべきです。これまで以上に東京電力の責任を免罪することは断じて認められません。

 最後に、国は、これまで累次にわたり東電救済の仕組みを設けてきましたが、それは、一旦原発事故を起こせば一企業では到底対応できないことが明らかだという証左ではありませんか。福島第一原発の事故を原点といいながらも、廃炉の道筋さえも示すことができない中、原発推進法案を拙速な審議で採決するなど、原発政策に固執する姿勢は言語道断です。本当に原発事故からの教訓を得たのであれば、原発推進ではなく原発ゼロへ転換するべきだと申し述べ、以上、討論といたします。

長島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長島委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

長島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井学君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鎌田さゆり君。

鎌田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 特定帰還居住区域の避難指示解除に向け、住民が安心して帰還できるよう、各地域の現状や住民・地元自治体等の意向を十分に踏まえ、生活圏を幅広く捉えながら、除染の手法・範囲等を決定するとともに、住民間の分断や不公平が生じないよう十分に配慮し、早期に除染や環境整備等に取り組むこと。

 二 帰還意向のない住民の土地・家屋等の扱いについては、住民・地元自治体等と協議を重ね、その意向を十分に踏まえながら、可能な限り早急に方針を示すこと。

 三 政府は、帰還政策に加え、移住政策を推進するとしても、自主避難者、県外避難者を含めた避難者の人権を最大限尊重し、最後の一人に至るまで必要な支援を継続すること。

 四 特定帰還居住区域の設定に当たっては、長期にわたり避難生活を行ってきた避難者の事情を十分に考慮し、当面の間、住民の意向を踏まえ、柔軟に対応し、避難先と特定帰還居住区域での二地域での居住等、多様な帰還の在り方を認めること。

 五 帰還者等の安全を確保し、安心して生活できるよう、国は生活環境整備を着実に実施した上で、将来的に帰還困難区域全ての避難指示解除を行うこと。また、福島の森林・林業の再生や帰還環境の整備に向けた必要な措置を講じること。

 六 避難指示解除区域等に帰還した住民が安心して生活できる環境を整えるため、引き続き、営農再開、事業・生業の再生、教育環境、医療、介護・福祉サービスの再構築を進めるための支援を継続すること。

 七 避難指示解除区域等の帰還環境の整備に加え、福島国際研究教育機構の設立により、移住・定住の推進、交流・関係人口の拡大が見込まれることから、帰還者と移住者が共生できるまちづくりを進めること。その際、地域の伝統や文化の再構築にも十分配慮すること。

 八 福島浜通り地域等はいまだ人口が回復しておらず、産業の担い手不足が続いており、働く場を十分に確保する必要があることから、福島国際研究教育機構の設立に伴う産業集積に資する必要な支援を継続すること。

 九 福島浜通り地域等が持続的な発展を遂げるには、復興をリードする地域の人材育成が重要であることから、地域の教育機関等との連携の下、地域の高専生や高校生を始め、小中学生も含めたシームレスな形での福島国際研究教育機構による地域人材に対する育成の仕組みを構築するなど、機構の教育機能を充実させること。また、福島国際研究教育機構が世界に冠たる創造的復興の中核拠点となるよう世界最先端の研究を実施するのにふさわしい研究マネジメント体制を早急に構築すること。

 十 重要な課題であるALPS処理水の処分については、これまで以上に積極的な情報公開や広報活動を行うことによって国民的議論を深め、関係者の声に真摯に耳を傾けつつ、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を重ね、信頼関係を構築すること。ALPS処理水の処分により、新たな風評を発生させず、事業者が将来に向け安心して事業を継続していけるようにするとともに、諸外国への輸入規制撤廃に向けた更なる働き掛け、食の安全確保や放射線に関する理解の増進など、国を挙げて風評払拭に取り組むこと。

 十一 福島県内の除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分に向け、全国民的な理解醸成を確実に推進するとともに、県外最終処分に向けた具体的な方針・工程を早期に明示し、県民・国民の目に見える形で取組を加速させること。

 十二 原子力災害における国の責務として、「第二期復興・創生期間」以降も必要な財源を確実に確保するとともに、福島の復興・再生の実現に向けた総合的な支援措置を継続すること。

 十三 東日本大震災により被災した全ての自治体が、真の復興を成し遂げるためにも、政府は、引き続ききめ細やかに被災者の心のケアや孤独死防止対策等の課題に対応するとともに、活力あるまちづくりの実現に向けた移住施策や企業誘致の取組を着実に進めること。被災した全ての自治体が、残された課題の解決に向け、不安なく取組を進められるよう、今後も復興特別所得税等による必要な財源の確保に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

長島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣渡辺博道君。

渡辺国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

長島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

長島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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