衆議院

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第3号 令和5年11月17日(金曜日)

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令和五年十一月十七日(金曜日)

    午前九時十五分開議

 出席委員

   委員長 高階恵美子君

   理事 小寺 裕雄君 理事 小林 鷹之君

   理事 坂井  学君 理事 長島 昭久君

   理事 小熊 慎司君 理事 岡本あき子君

   理事 早坂  敦君 理事 庄子 賢一君

      五十嵐 清君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    菅家 一郎君

      小島 敏文君    小林 茂樹君

      冨樫 博之君    中曽根康隆君

      西野 太亮君    平沢 勝栄君

      平沼正二郎君    藤原  崇君

      古川 直季君    細野 豪志君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      山本 左近君    吉田 真次君

      鷲尾英一郎君    荒井  優君

      金子 恵美君    鎌田さゆり君

      近藤 和也君    馬場 雄基君

      市村浩一郎君    沢田  良君

      美延 映夫君    赤羽 一嘉君

      福重 隆浩君    鈴木  敦君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   内閣府副大臣       堀井  学君

   復興副大臣        高木 宏壽君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   復興大臣政務官      平沼正二郎君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田辺 康彦君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     宇野 善昌君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     桜町 道雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     森田  稔君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     瀧澤  謙君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林 美都子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         緒方 和之君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    山口潤一郎君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  魚谷 敏紀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       川野  豊君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         前佛 和秀君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          児嶋 洋平君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           山口 裕之君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     古川 直季君

  山本 左近君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     西野 太亮君

  山口  晋君     山本 左近君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

高階委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口裕之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官田辺康彦君、復興庁統括官宇野善昌君、復興庁統括官桜町道雄君、復興庁審議官森田稔君、復興庁審議官瀧澤謙君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、外務省大臣官房審議官林美都子君、外務省大臣官房審議官竹谷厚君、外務省大臣官房参事官林誠君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、農林水産省農村振興局整備部長緒方和之君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、水産庁資源管理部長魚谷敏紀君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊君、環境省環境再生・資源循環局長前佛和秀君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官佐藤暁君及び原子力規制庁長官官房審議官児嶋洋平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高階委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 自民党の坂井学でございます。

 私は、東日本大震災発災後、個人的に岩手県の大槌町の支援をしてまいりましたが、その中での私自身の経験に基づいて、今日はちょっと質問を何点かさせていただきたいと思います。

 大槌町と、支援をスタートした後、ひょんなことから、私の地元だったところでございますが、炊き出しに行った横浜市瀬谷区の仲間が漁師の方々とお会いをしたときに、船が欲しいということで涙されて、その涙に動かされ、結局、船を送ろうというような運動をいたしました。

 当時、三十二、三だったですかね、メンバーを中心に、瀬谷区の全域で募金活動を行って、募金箱も六百、七百置いて、そして、小学生にも協力してもらって、ブックオフさんと協力して、要らない本だとかゲームのソフトだとか、そういうのをブックオフに買ってもらって、募金を集めて、そして、三千六百二十五万円を二か月で集めて、それを自己資金、自己負担分として新おおつち漁協が定置網漁船を購入をした、こういう経緯がありました。

 瀬谷区の人たちが送ったので瀬谷丸と名づけて、今も操業されているわけでありますが、この一連の流れの中で私も漁協さんとつき合いができたわけでありますけれども、実は、この話の中も、初めに私どもが話しに行ったのは大槌漁協さんでありました。ところが、二〇一二年の一月に大槌漁協さんがいきなり破綻をしまして、そして組合員が約半分に減った形で、半分の組合員はもう漁業はやらないということで、要は脱退したということなんだろうと思いますが、半分ほどに縮小して、そして、新おおつち漁協というのが発足をして今に至っております。ですから、この瀬谷丸は新おおつち漁協に送った形になっているところでございます。

 これも四、五年前に話を聞いたのでありますけれども、新おおつち漁協は、大槌漁協そのものは、その前もなかなか問題があるところで、財政的には厳しかったということでありますが、震災で事務所もやられ、冷蔵庫もやられ、そして船もやられということで、震災でとどめを刺されて破綻をしたということでございまして、そこのメンバー、半分になったけれども、その半分で立ち上げたのが新おおつち漁協でありました。

 当時、ほかの港の漁協も同じような状況でございましたが、ここに、被災を受けた漁協は、通常の支援に上乗せをして、震災復興のための特別の支援、手厚い支援があったということを聞いております。ところが、この新おおつち漁協は、組合としては震災の後に誕生したということで、震災に関する支援が一切受けられていないということなんですね。

 元々は大槌漁協がありました。組合としては確かに違いますけれども、しかし、メンバーはみんな一緒だし、破綻をするまでということは、ほかの存続している漁協と比べても、より一層状況が厳しいということが容易に想像される中で、ここの漁協に対して震災関連の支援プログラムを、補助金等を充てないということを聞いて、これはおかしいなと思ったんですけれども、率直に、このお話をさせていただいて、土屋大臣の所感を、どうお考えになるか、お聞きをしたいと思います。

土屋国務大臣 坂井先生の大槌に対する思い、今お伺いしていて、地域においてすばらしい活動をされたということに感銘を受けたところでございます。

 今のお話の中で、水産庁関係でもあると思いますけれども、復興庁としては、やはり現場のそういう状況というのはしっかりと声を聞いて、そして、できる限りの支援をしていくというのが大事だと思っておりまして、今後、その状況もまた現地でしっかりとお伺いして、何ができるか考えながら、寄り添いながら、復興に全力で取り組んでいく必要があるなと思ってお伺いいたしました。

坂井委員 要は、被災を受けた漁協を支援をするのか、それとも被災された漁業者の皆さんを支援をするのかということでもあろうかと思います。

 水産庁にお伺いしますが、もう一度こういった地震があって、津波があって、同じような状況になったときに、同じように、こういった被災に遭った漁業者であっても、ここには震災に関する支援は引き続きしないのか、それとも、今度は漁協ではなくて漁業者に対してしっかり支援をする方向で考えていただけるのか、どうなんでしょう。

山口政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の大槌町漁協は、震災後に債務処理を行いまして清算されたものと承知をしてございます。新おおつち漁協は、震災後、新たに設立された漁協で、法的に別法人ということで、被災していない漁協自身の事務を行う事務所の施設は、復旧施設の対象外とされていたというふうに承知しております。

 一方で、漁協の施設でありましても、荷さばき施設や漁具保管倉庫等、漁業者の経営に不可欠な共同利用に供するものについては、復旧等への支援を行ってきたところでございます。

 こういったことも参考にしながら、漁業者への支援を念頭に、私どもも、同じようなケースについて今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

坂井委員 この瀬谷丸ですけれども、今年十周年を迎えてまいりまして、この九月、瀬谷区の皆さんと、大型バス一台、四、五十人で、十周年の記念の式典にも私も参加させていただいたところでありますが、そこで大槌の町長から、一万五千人いた人口が今何と一万人だ、こういうお話をお伺いをしたところでございます。そのほかにも、各地域同じように人口流出が大変厳しいという状況だと聞いておりますし、また、今年の三月の朝日新聞の記事などを見ますと、子供と若い女性が、ほかの全国の過疎地と比べても、特にこの被災地は流出をしているということが書かれておりました。

 大臣には、新規につくった町がこのように過疎の町になって、新しい過疎の町をつくっただけだという批判も私も聞くところでございますが、その点に関しての御所見と、それから、子供、若い女性が流出をしているというこの原因をどう考えるか、お伺いしたいと思います。

土屋国務大臣 私も、大臣に就任してから地域に入りましていろいろな方とお話ししている中で、やはり人口減少というのは特に重要な課題であろうと思います。日本全国、やはり地方においては人口減少はいつも課題でありますが、特に、やはり被災地の人口減少というのは厳しいものがありますし、また、若い人が本当に減っているというところが大きな課題だろうと思います。

 それで、今回私は、被災地に入って強く感じたのは、女性は、余り表には出てこないんですが、被災地復興に大変な力を発揮しているというのを感じた次第でございます。何かいろいろな事業をしても、やはりバックアップしているのが女性が多いなというのを感じました。

 そういう意味では、これからできる限り若い女性が、帰ってくる方もいるかもしれませんけれども、帰ってくる方よりも新しく移住する方が少しずつ増えているような気がしますので、そういう方たちのバックアップもしっかりと支援していければなと思っております。

 新しい事業を起こしたいという方、また、起こしている方と私は車座のお話会をちょっと開いたんですけれども、その中で、五人来た中で三人が女性でした。その五人の中の一人は元々住んでいる方なんですけれども、四人は外から入ってきた方なんですね。そういう方が何をおっしゃるかというと、復興のためというよりは、自分たちは外から来たので、この生まれ変わる地域で新しいことをしたいという思いを強くおっしゃったのが印象的でございました。

 これからも、移住も、またお戻りになる方も含めてしっかりと支援して、人口を少しでも増やすように努力していきたいと思います。

坂井委員 人口が減ってしまった一つに、私は、やはりこの巨大な防潮堤と盛土を中心とした町づくりというのがあったのではないかと思っております。

 私の知っているところでも、この防潮堤を造るのに時間がかかり、盛土を造って、そして、要は家が建てられるようになるまで八年かかったということであります。この八年という数字は、例えば二歳、三歳の子供にしてみると、二歳、三歳で被災をして、どこかに移住をして避難をしていると、その避難先で八年、例えば三歳から十歳、十一歳まで過ごすとなると、その子供にとっては、被災地がふるさとではなくて避難先がふるさとになってしまっているという時間です。

 一方で、釜石の花露辺でありますとか、気仙沼の唐桑という地域などは、防潮堤のない形で町づくりを進めている実例もございます。しかし、私も、その当時、現場で様々お話を聞く中で、やはり行政職員が、例えば、当時避難所にいた方々が防潮堤を造るということに同意をしないと、避難所から仮設に移るのを町で一番最後にしてやるとまで言って防潮堤を認めさせて、この防潮堤の計画に集約をしてきたというような話も私は聞いているところであります。

 そうした結果が時間を遅らせ、そして結果として人口減少になり、今大変、そういった意味で、復興と言えるのかという疑問が呈される状況になっているという事態がありますので、是非、次回このような災害があって同じような状況が生じたのであれば、この巨大防潮堤プラス盛土の町づくりのみならず、そこを、望むところがあればもちろん選択肢として残すべきだと思いますが、そのほかの、二重防御、二重防潮堤というような話もある、多重で防護していくという話もあった、しかし、なかなかそういったものがなく、一律、今被災地はほとんど巨大防潮堤プラス盛土の町づくりになってしまった結果が今の結果につながっていると私自身は感じる面がございますので、幅広い、様々な地元の方々の意見を集約をして、様々なやり方、手法で対応していただくようにお願いをしたいと思います。

 そして、十年以上大槌町と交流してきますと、支援する側、される側というよりは、ある種の交流となってきております。

 先日、十月二十一日でありましたが、大槌町の水産物を神奈川へということで、瀬谷区のメンバーが中心となって、横浜のホテルで大槌町の食材で試食会を、ホテルに協力していただいて試食会なども行って、神奈川県の副知事であるとか、横浜市の副市長、大和の副市長、そして、瀬谷区は二〇二七年に花博もやりますので、花博の事務総長などもおいでをいただいて、大槌町の物産を体験をしていただいたところでございますが、まさしくこういった動きが過疎地において一つの選択肢になり得る、つまり関係人口を増やしていく、そのことによって様々な可能性を広げていくということにつながるんだろうと思っております。

 この関係人口という考え方、もう既に出てきてしばらくたっているわけでございますが、まさしく今、被災地のみならずでありますが、過疎地においても大変重要な取組だと私は考えているところでございます。

 そこで、この関係人口を増やすために、今、二地域居住といったことも進め、言葉が出てきておりますし、実際、実践をしている方々もおられるわけでありますが、様々な話の中で、第二住民制度をつくって、二地域で住民票に登録をされるというような、こういった制度、在り方を提案、提言する方々も出てきております。

 実際に二地域居住を経験をしている人たちの中にも、こういった制度があるとありがたいという声がありますが、総務省さんにこの点についてお伺いをいたします。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 現行法上の住所につきましては、各人の生活の本拠をいうとされ、住所の認定は、客観的居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住意思を総合して市町村長が行うこととされております。

 住民票を二地域で作成することや、住所地とは別に居住地域等を認めることにつきましては、選挙権、被選挙権を二重に与えるようなことは適当でない旨の最高裁判例があり、また、納税の義務についても二重課税の問題が生じることなどから、制度化は困難であると考えております。

 一方、いわゆるふるさと住民登録につきましては、総務省が平成三十年度から令和二年度まで実施いたしました関係人口の創出、拡大モデル事業におきまして、例えば、鳥取県日野町のふるさと住民票、ふるさと帰り事業でありますとか、香川県三木町のふるさと住民を活用した関係人口交流推進事業など、域外の関係人口を登録し、地域との関わりを深化させる取組も見られました。このような取組は地域活性化の観点から有効な取組であると考えております。

 総務省として、これまでも関係人口の創出、拡大に係る経費に対しまして地方交付税措置を講じているところでございまして、引き続き、このような取組が全国各地に展開されるよう支援してまいります。

坂井委員 ここも、巨大防潮堤と盛土の町づくりもそうなんですけれども、結局、巨大防潮堤を造るとリスクが減るという話になって、みんなそれに流れていく。何かあったときに責任が取れるのか、リスクを負えるのかということから、こういう町になっていかざるを得ない。いわば、皆さんにそう言われれば、自分一人で責任を負えないという中で、結局リスクテイクができないという中で、どんどん安全な方、安心な方、そして何も変わらない方に動いていく。

 今の総務省さんのお話も、何年か前に同じ質問をした方の答弁とほぼ一緒ということでありまして、ふるさと何とか制度という、今やっている制度に関しては新しい情報を提供していただいたとは思いますが、しかし、そういったところ、実際にもう社会が変わってきている中で、問題があるのは分かっていますが、その課題を越えてやはり新しい制度をつくっていくことが必要だろうと私は感じておりますので、またそれをお願いをしたいと思っております。

 最後に、人口が減っていくということを申し上げました。就労者がいない。私も知っているところが、岩手に工場を出したけれども、働く人がいないから撤退をしてきております。つまり、人口がいないことによって産業が成り立たない。産業が成り立たなければ復興もこれはおぼつかないということになりますが、そこに関して大臣の対策を、ビジョンをお伺いをしたいと思います。

土屋国務大臣 坂井委員の本当に地元に対する思い、それから、いろいろな情報を持っていらっしゃるなということを伺いまして、特にこれから、今後大事なのはやはり産業の振興なのではないかと思いますけれども、産業が来るとともに、やはり企業に対しても、そこで働く人を、一緒に来てもらうような政策が必要なのではないかと伺っていて思ったところでございまして、そういう働きかけをこれからしっかりと、やはり新しい産業を起こすのに頑張っていきたいなと思っております。

 今日はどうもありがとうございます。

坂井委員 質問時間が来ているので終わりますが、大臣始め政務の皆さんには、現地視察などもされると思いますけれども、現地の行政の方がお膳立てをした会だけではなくて、是非様々な立場の方のお話をお伺いをしていただきたいし、行政マンをぞろぞろ連れていったら本音も出ませんので、是非、大変な話だと思いますが、私的に訪ねていただいて、胸襟を開いて現地の情報を取っていただければありがたいとお願いをして、終わります。

 ありがとうございました。

高階委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、心から御礼申し上げます。よろしくお願いいたします。

 私も福島県選出の国会議員であり、いまだに農林水産物を輸入規制している国もあれば、風評被害で深刻な状況の面もあります。そういった中で、被災地の地元産品や地域の魅力、これを海外に向けて情報発信をするということが重要だ、このように考えておりますが、まずは復興庁における取組状況をお示しいただきたいと思います。

土屋国務大臣 菅家先生には日頃大変お世話になっております。

 八月二十二日の関係閣僚等会議において取りまとめた、ALPS処理水処分に関する基本方針の実行と今後の取組についてを踏まえまして、ALPS処理水における問題の中で、それも含めて、地元産品や地域の魅力を更に効果的に発信することを一生懸命、今頑張っているところでございます。

 それで、海外に向けての情報発信については、具体的に、海外向けのポータルサイトにおいて、英語、中国語、韓国語等七か国語で処理水に対するQアンドA、そして、福島県の食、観光の魅力に関する動画を複数言語で配信しており、ポータルサイト閲覧数は約七百四十万回で、動画の再生回数は三千二百万回となっております。さらに、タイやベトナムで、福島の復興の状況に関する情報発信とともに、被災地産品の試食や販売を通じて地域の魅力を発信するイベントを開催する予定になっております。

 これからも引き続き政府一丸となって、福島の魅力、そして被災地産品の宣伝等をしっかりとしていきたいと思っております。

菅家委員 被災地の産品あるいは地域の魅力、これを海外に発信するということの政府のこのような取組は、本当に、原発事故で疲弊した被災地の復興のために大変歓迎すべきことであると思いますので、よろしく今後ともお願いしたいし、これは委員会の設置目的にも合致するため、私個人としても、復興委員としても、引き続き応援をしてまいりたいと思いますので、今後とも積極的にお願いしたいと思います。

 次に、ALPS処理水の件なんですが、まず、東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出について伺いたいと思います。

 ALPS処理水は、放出前の段階で、トリチウム以外の核種は安全に関する規制基準を確実に下回るまで浄化処理を行い、さらに、海水で百倍以上大幅に希釈をして、トリチウム濃度が国の規制基準の四十分の一未満であること、これを確認した上で放出をするという方針が出されている。

 今年七月のIAEAの包括報告書においては、東京電力の放出計画は国際的な安全基準に整合的であり、ALPS処理水の海洋放出が人及び環境に与える放射線の影響は無視できるほど、このように結論づけられているわけでありますが、やはり、県民もそうだし、漁業組合の方々も不安な思いは、いまだに強い思いがあるわけでありますから、今年八月、ALPS処理水の海洋放出が開始されたわけですが、処理水の安全性を国際社会に示していく必要がある。まずは、海洋放出開始後のこれまでのモニタリング結果、これについてお示し願いたいと思います。

 また、処理水のトリチウム濃度などのモニタリング結果を公表する際には、数値だけでは、それが安全なのかどうか、国内外の人々に分かりづらい。この公表では伝わりませんので、この数値が規制基準の例えば何分の一なのかなど、一般の人が見てもその安全性が分かりやすいような、すぐ見て、ああ、安全だというのが確認できるような公表をする必要があると考えますが、より分かりやすいモニタリング結果の公表の仕方について、政府の考えを伺いたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、トリチウム以外の二十九核種の放射性物質につきまして、ALPSにより、規制基準、これは告示濃度限度と呼びますけれども、それを満たすまで浄化をする。それから、放出前にそれらの濃度の比の総和が一を下回るということを測定、評価により確認して、トリチウムの濃度が国の規制基準の、先ほど先生からありましたけれども、四十分の一であります一リットル当たり千五百ベクレル未満となるように希釈するという手順になってございます。

 こうした手順どおりに海洋放出が安全に行われているということをお伝えする観点から、東京電力では、ALPS処理水のモニタリング結果を示しています。加えまして、環境省、水産庁などの関係機関も連携して、海水や魚のトリチウム濃度を迅速に分析をしておりますところでありまして、これまで計画どおりに放出できており、安全であることは確認されております。

 こうしたモニタリング結果につきましては、経済産業省のホームページでも、国が定めるトリチウムの規制基準、一リットル当たり六万ベクレルですけれども、これとの比較、あるいはWHOの飲料水の基準、リットル当たり一万ベクレルでありますけれども、これとの比較をしながらお示ししており、一般の方にも御理解を深めていただけるように取り組んでいるところでございます。

 引き続き、先生含めて、様々な御意見もいただきながら、正確で分かりやすい情報発信に取り組んでまいりたいと考えてございます。

菅家委員 数値だけで、羅列するような公表だけでは、これで一体安全かどうかというのは確認が取れませんので、そこはマネジメントをきちっと、分かりやすいというのはそういうことですから。専門的な観点で安全だというデータだけでは、本当に素人である我々は分かりませんので、そこはしっかりと戦略を持って公表していただきたいというふうにお願いしておきます。

 次に行きますね。

 中国は、ALPS処理水の海洋放出に反対しているわけですね。海洋放出開始以降、輸入規制を強化をしている。日本産水産物の輸入を全面的に停止をしている。

 そういう状況なんですが、先月十六日から二十三日にかけて、IAEAによる海洋モニタリングが実施をされたわけであります。独立した第三国の分析機関の一つとして中国の分析機関が参加をされた、これは歓迎だと私は思います。

 また、二十四日から二十七日にかけては、IAEAのタスクフォースによるレビューミッションも行われ、これにも中国出身の専門家が参加されたということを聞いています。

 ですから、レビューに伴い、IAEAは先月二十七日、処理水の放出は計画どおり、技術的な懸念なく進んでいるとしたプレスリリースを公表しているわけでありますが、今回のレビューミッション等がどのような取組状況であったのか、政府の認識を伺います。

 また、今回、海洋放出に反対している中国がIAEAのレビューミッション等に参加したことにおいて、中国に対して、科学的データを示して輸入規制の即時解除に向けて引き続き働きかけをすべき、このように私は期待をしているわけでありますが、公表される結果、これを受けて、政府として今後どのような対応をお考えなのか、伺いたいと思います。

児嶋政府参考人 お答えいたします。

 まず、海域モニタリングの状況につきまして、我が国と国際原子力機関、IAEAは、福島第一原子力発電所周辺の海域モニタリングデータの信頼性、透明性の確保を図るため、二〇一四年から分析機関間比較という事業を実施しております。

 本年は、十月十六日から二十三日にかけて、IAEAの専門家のほか、IAEAの選出したカナダ、中国及び韓国の分析機関の専門家が来日し、海水などの試料の採取や前処理を行う状況について確認が行われました。

 今後、今回の試料の採取等に参加した国及びIAEAの各分析機関が個別に試料の分析を行い、IAEAが各分析機関の比較評価を行った上で、まだ公表時期は示されておりませんが、IAEAにより報告書が公表されるものと承知しております。

吉田大臣政務官 菅家先生にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、本年十月二十四日から二十七日にかけて、中国の専門家を含むIAEAタスクフォースが来日し、レビューが実施されたところでございます。海洋放出開始後のモニタリングや放出設備などの状況を確認をいただき、東京電力福島第一原子力発電所の現地確認も実施をしていただきました。

 IAEAは、レビュー後に、ALPS処理水の海洋放出は計画どおり、技術的な懸念なく進んでいる旨が示されたプレスリリースを公表をしております。

 また、ALPS処理水の海洋放出について、我が国は、科学的根拠に基づき、高い透明性を持って、中国を含む国際社会に対して丁寧に説明してきた中で、中国政府が日本産水産物の輸入を全面的に一時停止してきたことは極めて遺憾でございます。

 今後とも、ALPS処理水の安全性については、IAEAが公表予定の報告書の内容を含めて、透明性高く国際社会に発信をしていくとともに、政府一丸となって、あらゆる機会を通じて科学的根拠に基づかない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めていく所存でございます。

菅家委員 是非この機会を生かすべきですよね、専門家が参加しているわけですから。その報告結果をもってしっかりと誤解を解くという、即時輸入規制撤廃に向けて頑張っていただきたいと思います。

 次に、ALPS処理水海洋放出以降、中国、韓国ですか、輸入規制を強化している。二〇二〇年、我が国の水産物輸出の実績で、国、地域別の輸出額の一位が中国であり、二位が香港だ。中国、香港向けの輸出額は全体の約四割を占めている。今回の輸入規制の影響は、漁業者を始め水産業に関係する幅広い業者に及ぶものと私は思料するわけでありますが、まずどのような影響が生じているのか、政府としての現状認識を伺います。

 また、今回の輸入規制強化により事業者に被害が生じた場合は、東京電力が迅速かつ丁寧に賠償を行うことになっているわけでありますので、そのために政府としてどのように東京電力を指導していくのか、これについても伺いたいと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、輸入規制を続けている一部国、地域に向けては、食用の日本産水産物について、例えば二〇二二年には、中国については八百三十六億円、香港については四百九十八億円を輸出してございます。その品目も、ホタテやナマコのほか、養殖クロマグロや養殖ブリ等にも及んでおり、全国的かつ生産者から流通業者等まで幅広く影響が生じ得ると認識してございます。

 特に大きな影響を受けるホタテにつきましては、二〇二二年には、中国、香港を合わせて六百億円を超える輸出額となっており、例えば中国の全面的な輸入停止措置により、一部産地の価格の下落や在庫の停留が生じていると認識しております。

 このため、今般の「水産業を守る」政策パッケージにおいて、国内加工体制の強化のための人材確保や機器導入への支援に加え、特に大きな影響を受けるホタテやナマコについて、既存の三百億円基金に加え、予備費二百七億円を活用し、一時買取り、保管、販路拡大等の支援、海外も含めた新規の販路開拓支援を措置しておりまして、その実施を推進しているところであります。

 引き続き、現場の情報把握、周知に努めながら、臨機応変な対策に万全を尽くしてまいります。

片岡政府参考人 賠償につきましてお答え申し上げます。

 中国を始めとします一部の国などによる輸入規制により、我が国の水産業に様々な影響が生じていることは、先ほど水産庁からの答弁のとおりでありまして、その声は経産省にも届いております。

 水産庁から答弁のありました支援措置などを講じてもなお被害が生じた場合の賠償につきましては、令和三年四月の関係閣僚会議におきまして、期間、地域、業種を画一的に限定することなく、被害の実態に見合った必要十分な賠償を行うよう東京電力を指導する、そういうことを政府の方針としてございます。

 これを踏まえまして、ALPS処理水放出開始の翌日でございますけれども、西村経産大臣から東京電力の会長、社長に対しまして、賠償に当たっては事業者に寄り添って対応するよう指導したところでございます。

 経産省といたしまして、東京電力が適切に対応しているかを確認をいたしまして、被害の実態に見合った必要十分な賠償が迅速かつ適切に実施されるよう、東京電力をしっかりと指導してまいりたいと考えてございます。

菅家委員 しっかりと現状を確認しながら、東電と連携を組んで、しっかり賠償すべきものはしっかり賠償するということで働きかけを更にお願いしたいと思います。

 次に行きます。

 我が国の漁業を取り巻く環境は厳しい。新規就業者の減少、高齢化、燃料等の基本コストの増大、これらの課題に直面をしているわけであり、これに加えて、今後、長期にわたってALPS処理水の海洋放出が行われるわけでありますから、今回、ALPS処理水の海洋放出に伴い、中国等が輸入規制を強化するなど大きな影響が出たところでありますので、例えば、ALPS処理水の海洋放出の影響を乗り越えて持続可能な漁業継続を実現するためのいわゆる五百億円の基金、この五百億円という金額が妥当なのかどうか、また、追加の対策を講ずる必要があるのかどうか、これについて政府の見解を伺いたいと思いますとともに、もう時間がありませんので一括で質問いたしますが、私も、中華人民共和国の中国新潟総領事着任レセプションにも参加して、このときに、中国政府が専門家を現地に派遣してALPS処理水の科学的調査をしていただくよう、日本と中国の懸け橋になってほしいと総領事にお願いをした経過があり、今月二十三日からは、フィリピンで開催される第三十一回アジア・太平洋フォーラム、APPFですね、参加をして、この会議の場でもALPS処理水の海洋放出の安全性について発言をしていこうと考えております。

 私も、一議員としてできる限りALPS処理水の安全性について国内外で説明してまいりますが、政府としても、各省庁連携の下、不安の解消と理解の醸成に向けて、国内外のあらゆる場所でALPS処理水の安全性について説明をしていただきたい、風評払拭に向けて復興庁が果たす司令塔としての役割は大変重要になるのではないかと思いますので、最後に大臣の決意を伺いたいと思います。

 以上です。

高階委員長 土屋復興大臣、簡潔に願います。

土屋国務大臣 はい。

 大臣に就任する前から、私も、外国要人とお会いする機会が多かったので、そのたびにこの処理水についてはお願いをしてまいりました。菅家先生が、そうして議員としてもいろいろなところで活動していただくことに敬意を表するとともに、私も閣議等でも各大臣にも度々お願いをしたりして、政府一丸となって頑張っていきたいと思いますし、また、各委員の皆様にも、是非そういうチャンスがあったらお願いしたいなと思います。頑張ってまいります。

片岡政府参考人 簡潔に。

 委員御指摘のとおり、漁業の厳しい状況、それからALPS処理水の放出が長期間続くということの懸念を踏まえまして、五百億円の基金を措置させていただいたところでございます。

 現在まだ執行を開始した段階でございまして、直ちに現在、予算の追加が必要となるという状況ではないと考えておりますけれども、今年八月の関係閣僚会議で、政府としてALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組むということとしておりまして、これに基づきまして引き続き適切に対応してまいりたいと考えてございます。

菅家委員 時間になりましたので終わりますが、ALPS処理水の海洋放出は長期にわたりますから、これに対する影響をしっかりと確認して、適切な対応を求めたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

高階委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 東日本大震災から十二年が経過をいたしました。被災地も整備が進み、町並みも大きく変わりました。また、震災時はまだ幼く、震災当時の記憶がない子供たちや、震災そのものを知らない子供たちも増えております。

 先日の所信表明において土屋大臣は、大臣就任以降、福島県、宮城県、岩手県を頻繁に訪問し、地震、津波被災地域における住まいの再建やインフラ整備などがおおむね完了する中で、被災者の心のケアなど残された課題について、被災者に寄り添いながら、きめ細かく対応してまいりたいと述べておられました。

 今後の大規模災害に備え、多くの教訓や記憶の風化を防ぎ、次の世代に伝えることが重要であります。この未曽有の東日本大震災を心にとどめ、教訓から学び、今後の防災・減災対策や復興に資することが求められます。まずは、大臣の御所見をお伺いいたします。

土屋国務大臣 将来の大規模災害に備えるということは非常に大事だと思います。この東日本大震災の風化を防止することによって、将来のどこで起こるか分からない大災害に備えることができると思います。

 記憶と教訓を後世へ継承する、これは非常に重要であるとともに、非常にまた難しいことでもあるかなということを私は各地を訪問して感じたところでございます。関係省庁ともしっかりと連携して力を合わせていくことが非常に重要でありますが、例えば、次世代の方々が被災地へ訪問等を通じ、自身の肌で被災状況や復興状況を学ぶことができるようにするということは非常に重要かなと思いますし、効果があるのではないかと思っています。

 震災遺構や伝承館のガイドブックを発行し、被災三県の全学校や全国の県教育委員会、公立図書館等に配付しておりますが、それを本当に理解して読んでもらうためには、今、復興庁でも、中学、高校生に福島の復興の状況や魅力を理解していただくために、出前授業を実施しているんですね。そういうことをリンクしていくことによって、非常に効果があるのではないかと思っています。

 それから、語り部の活動というのも非常に大きくて、やはり生きがいにもつながるのではないかと思っています。せんだって、私の地元の県会議員が福島へ五台のバスで訪れたときに、後援者の皆様の感想が、語り部の話を聞いたのが一番来てよかったと思ったということを聞きまして、風化させないためにはこういう活動が物すごく大事なのかなというのをすごく痛切に感じております。

 また、風化というよりは、こういうノウハウとか教訓を世界に向けて発信することも物すごく大事なのかなと思っていまして、例えば、ウクライナからもいろいろな働きかけがありますし、トルコ、シリア両国の駐日公館にノウハウ集を提供しております。この間も、ハワイから来たハワイ州知事にもノウハウ集を提供したわけでございまして、やはり風化というのは、日本だけでなく、世界中、非常に重要なことだと考えております。

福重委員 大臣の今思いをいただきました。私も、被災地を訪れて語り部の話を聞いて、本当にこの大きな問題をしっかり捉えていかなければいけないという思いを抱きました。しっかりと今大臣が御答弁していただいたことを進めていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、ALPS処理水の海洋放出とモニタリング、また東京電力の問題に関しましては、今、菅家委員さんから同趣旨で質問がございましたので、ここでは割愛をさせていただきます。

 ただ、今日、岸田総理と習主席との日中首脳会談が一年ぶりに開催をされるということになっております。そういった意味では、この問題に関しても実りある会談になるということを是非期待をしていきたいなというふうに思います。

 続きまして、水産物の販路拡大と国内需要の喚起ということに関しましても、菅家委員さんの方から質問がされて大臣の方で御答弁をされましたけれども、私の方からは、詳細に何か政府参考人の方からありましたら、お聞きをしたいと思います。

 農水省が公表した資料によりますと、九月単月の中国に対するホタテの輸出額はゼロとなり、金額ベースで前年比マイナス五十三億円とのことであります。水産事業者の方々は甚大な影響を受けておられます。

 一方で、政府が策定しました「水産業を守る」政策パッケージでは、総額一千七億円の予算が措置されました。この対応については、公明党農林水産部会が現場の声を拾い上げ、水産事業者を支援するための販路開拓や国内需要喚起など、対策の迅速な実行を求める緊急決議を農水省に提出をいたしました。

 具体的には、九月に米国向けの輸出額が大幅に増えました。前年同月比で十二倍増の約二十億円に上ったと承知しております。

 これは販路開拓の一例にすぎません。中国以外の代替輸出国の拡大や国内需要喚起も一層進めていかなくてはならないと思います。政府として具体的な政策、取組についてお伺いをいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中国など一部の国、地域による輸入規制の強化を踏まえまして、総額一千七億円から成る「水産業を守る」政策パッケージ、これを取りまとめまして、輸出先の転換の対策、国内消費の拡大を行って、支援しております。

 まず、輸出先の転換対策ですけれども、ジェトロなどのネットワークを生かしまして、見本市への出展、商談会の開催、専門家の伴走支援、越境ECを活用した輸出先の開拓、現地レストランにおける試食会などを通じまして、PRの強化などを図っております。

 また、国内消費につきましては、三百億円の基金を通じまして、学校給食での提供を始めとしまして、水産物の販路拡大への取組を支援をしております。

 また、一千者を超える企業の皆様に参画いただきました魅力発見!三陸・常磐ものネットワークでありますとか、様々なイベントをやっていただいていまして、この夏には五十万食を超える需要を創出してございます。

 こうした様々なイベント、キャンペーンなどを通じまして、日本産の水産物の安全性、魅力を積極的に発信する、それから、小売業界や経済団体、地方自治体に対しましても消費拡大の働きかけを行ってございます。

 今般の経済対策や補正予算案にも、輸出先の転換対策あるいは国内販路拡大の対策を盛り込んでおりまして、引き続き、全国の水産業の支援に万全を期してまいりたいと考えてございます。

福重委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間の関係もありますので順番を変えさせていただきまして、国内消費の拡大におけるふるさと納税の広報、情報発信の強化という点についてお伺いをしたいと思います。

 処理水の放出を開始決定以降、水産事業者は大きな影響を受けたことは、さっきの質問でも取り上げさせていただきました。

 一方、予期せぬ出来事として、福島県いわき市では、ふるさと納税の寄附が急増しているとのことでございます。海洋放出開始日が決まった八月二十二日から九月四日の二週間で五千三百五十三件の寄附があり、寄附額は約八千八百八十万円に上ったとのことであります。一日平均三百八十二件で、今年の八月二十一日までの四十件から約十倍に急増いたしました。特に人気が高い返礼品は、常磐物と呼ばれる地元の海産物の加工品とのこと。申込みとともに、風評に負けないよう食で応援しますとのメッセージもあるそうです。国民の皆様の福島を応援しようという心温まる気持ちに、日本人として誇りを感じる次第であります。

 改めて、水産物全般の国内消費拡大に向けた国民運動の展開を積極的に広報、推進していくべきと考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、水産物の国内消費を拡大していくことは重要であると考えてございます。

 農林水産省といたしましては、これまでも復興予算におきまして、三陸、常磐エリアの水産物を活用した外食店フェアの開催や、量販店やECサイト等を通じた水産加工品の販売促進等を行っているところでございます。

 さらに、「水産業を守る」政策パッケージにおきましては、水産物の消費拡大に向け、ふるさと納税の活用等も含めた大々的な国民運動の展開や、影響を受ける全国の水産物を対象に、三百億円基金を活用した各種事業者による様々な販路拡大の取組への支援に取り組んでございます。

 また、農林水産省の取組といたしまして、X、旧ツイッターにおきまして「#食べるぜニッポン」キャンペーンを展開いたしまして、水産物等の魅力発信に取り組んでいるほか、昨年十月に制定いたしましたさかなの日につきまして、本年十月末には賛同メンバーが八百を超えたところでございます。様々な業態の企業、団体等とともに、水産物の消費拡大に向けた取組を官民共同で実施しているところでございます。

 こうした中、特に影響を受ける自治体へのふるさと納税を通じた支援の動きが広がるなど、多くの皆様に御協力をいただいているところでございますが、引き続き、水産物の消費機運が続くよう、様々な取組を推進してまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 一過性の支援ではなく、継続して水産業者を守っていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 私の大先輩であり、公明党元参議院議員、元復興副大臣の浜田昌良さんが福島県双葉町に移住をいたしました。移住の理由は復興が終わっていないからだと言い切り、今度は町民として福島の復興に協力したいと力強く決意を述べられました。また、町づくりが動き出した場所に身を置いて、福島の復興を見守りたいとも話しておられます。

 生活を始めた駅西の住宅は、現在も整備が続き、来年の十月までに全八十六戸中二十戸以上で移住者が暮らす予定であります。多くの人が町内に移り住むのは喜ぶ一方、溶け込める地域コミュニティーが整っていない点が懸念されていると言われておりました。町内唯一の診療所が今年二月に開設し、コンビニもオープン、買物を始めとする生活環境や教育環境も、徐々にではありますが、整いつつあります。

 町づくりの基本は双葉町が中心を担うこととなりますが、政府の支援が重要であります。今後、具体的にどのような支援を行っていくのか、政府の御見解をお伺いいたします。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 双葉町におきましては、昨年八月に特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されたところでございます。

 避難指示解除はゴールではなくスタートでございますので、関係省庁とも連携しながら、必要なインフラの整備、生活環境整備などに取り組んでいくことが大変重要だというふうに考えてございます。

 現在、双葉町では、町が策定した第三次復興まちづくり計画に基づきまして、公営住宅を始めとする双葉駅駅西地区の開発、駅東地区への商業施設の誘致などの生活環境整備に加えまして、町の働く拠点といたしまして、中野地区復興産業拠点への企業誘致など、復興再生に向けた取組が進められているところでございます。

 復興庁といたしましても、具体的にどう支援するかという御質問でございましたけれども、これは町の考えを十分踏まえることが必要であるというふうに考えてございまして、引き続き、町とも緊密に連携をしながら、双葉町の復興再生を支援してまいりたいと考えてございます。

福重委員 ありがとうございました。

 我々も、浜田先輩と今後もしっかりと連携を取りながら、住民の思いというものを皆さんにしっかりとお伝えをしていきたいと思いますので、しっかりとした支援をよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 国家プロジェクト、福島イノベーション・コースト構想の司令塔機能を併せ持つ機関に福島国際研究教育機構があります。我が党が推進し、福島県浪江町に今年四月に開所いたしました。この機構は、ロボット、エネルギー、原子力災害に関するデータや知見の集積、発信など、五つの研究分野で世界をリードし、日本の中心的な役割を果たすことを目的としており、人員的にも、国内外の研究者と職員を合わせて数百人規模を想定しており、内外から大きな期待が寄せられております。

 今年六月、赤羽衆議院議員を本部長とする公明党東日本大震災復興加速化本部は、同機構を視察し、山崎理事長と懇談をいたしました。山崎理事長は、福島国際研究教育機構が福島イノベーション・コースト構想の中核拠点を目指し、地元の学術機関などと連携する輪が広がっていることを説明されました。また、優秀な研究者を集めるため、居住整備、生活環境の改善が欠かせないことも訴えていらっしゃいました。

 そこで、お伺いいたしますが、本部施設を始め現状の整備状況、また今後の全般的な計画について政府の御答弁をお願いいたします。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 F―REIにつきましては、本年四月に設立されて以降、山崎理事長のリーダーシップの下、五分野における研究開発の各委託研究先の選定を順次進めるなど、着実に取組を始めたところでございます。

 今後は、段階的に直接雇用、クロスアポイントメントに移行することとし、第一期中期計画期間が終了する令和十一年度末には、五十程度の研究グループによる研究体制とすることを目指しております。

 F―REI本施設の施設整備につきましては、福島県や浪江町の協力を得て、これまでに都市計画手続を完了させ、必要な用地取得に向けて、現在、地権者の方々との交渉を進めているところでございます。

 また、並行して、F―REI施設の設計条件等を盛り込んだ施設基本計画を今年度中にまとめた上で、来年度からは施設の基本・実施設計に着手する方針でございます。

 その後の造成工事、建設工事等を含め、各工程を着実に進めることにより、復興庁設置期間内での施設の順次供用開始を目指し、さらに、可能な限りの前倒しに努めてまいりたいと考えております。

 F―REIの活動に参画する国内外の研究者等に福島浜通り地域等に居住、滞在していただくためには、住宅を始めとする良好な生活環境が重要でございます。復興庁としても、福島県や市町村が取り組む町づくりと緊密に連携して、前に進めていきたいと考えております。

福重委員 本当にここは地元の皆さんの希望が大きいですから、是非支援の方をよろしくお願い申し上げます。

 ちょっと次の質問に入ります。

 ゆゆしき問題が新聞報道にありました。福島第一原発が立地する福島県大熊町の図書館解体工事現場から鉄くずなどが無断で持ち出され、売却されていたとの報道でございます。

 放射性物質汚染対処特措法では、鉄くずなどが指定の仮置場に集められた後、放射能濃度の測定を受けます。そして、数値に応じて、中間貯蔵施設に運ばれるか再利用されること等が決まると承知しております。持ち出した作業員らは、法律に反し、買取り業者へ売却をしておりました。

 問題は、国やゼネコンの管理体制が不十分で、下請作業員任せのずさんな運用がされていたという実態であります。特措法では、収集、保管から処分に至るまで、国の責任が定められていると思います。加えて、除染作業で出た廃棄物の不法投棄も相次いでいると聞いております。

 元請業者並びに国のチェック体制を強化する必要とともに、地元住民の不安解消のため、国が適切な対応をしなければならないと考えますが、今後の対策につきまして御答弁をお願いいたします。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 大熊町の解体現場におきまして盗難事案が発生したことにより、被災地を始め皆様に大変御心配、御不安をおかけしたことについて、まずおわび申し上げたいというふうに思います。

 この事案を受けまして、環境省といたしましては、十月十三日に有識者による検討会を設置し、再発防止に向けた検討を進めているところでございます。

 この検討会における意見を踏まえ、当面の再発防止策を取りまとめ、十月二十六日に、現在、工事の受注者各社に対しまして、元請受注者が責任を持って、例えばですが、解体現場に入場する作業員や車両を事前に登録し確認をすること、また、廃棄物の発生状況や運搬予定等を管理することなどの指示を行ったところでございます。

 また、環境省といたしましても、こういった大型建物等の解体現場について定期的に巡回を行うなど、監督を強化することとしたところでございます。

 引き続き、過去の盗難や不法投棄の事案など、そういったものを踏まえましてまた更に検討を今進めているところでございまして、来年一月までに、解体工事におけます更なる再発防止策を取りまとめたいというふうに考えております。

 再発防止に向けて対策を強化してまいりたいというふうに思っております。

福重委員 本当に再発を防止するため、今、指導を強化してまいりますということではございますけれども、それが言葉倒れにならないようにしっかりと行っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 地震や水害などから生き延びたにもかかわらず、その後の避難所等の不自由な生活やストレスによる持病の悪化などの要因によって命を落とす災害関連死が日本各地の災害で起こっています。この災害関連死については、防ぎ得た死であることから、しっかりとした対応が求められます。

 そこで、お伺いをいたします。

 統計がある時点で構いませんが、東日本大震災以降、残念ながら、いわゆる災害関連死と言われ、お亡くなりになられた方は何人おられるのでしょうか。また、その定義等について、分かりましたら、御答弁をお願いいたします。

田辺政府参考人 内閣府では、平成三十一年四月、災害関連死を、災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたものと定義したところでございます。

 平成三十一年度以降、令和四年度末までに発生した災害において、この定義に該当するものとして自治体から報告を受けた災害関連死の人数は、現時点で四十九人となってございます。

福重委員 四十九人というのが報道されているのと大分誤差があるのかな、災害関連死の定義というものがやはりしっかりしているのかなという気がいたします。これはちょっとネットで見ました災害関連死についてということで内閣府政策統括官が作られたあれの中に、災害関連死を減らすためにもということがありますので、やはりまずは現状認識というものがしっかりとしているということが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それに関連して、災害関連死は様々な要因があると思います。

 私が日頃から連携をさせていただいている団体に、避難所・避難所生活学会さんがあります。会員の皆様は、医師や大学の先生、民間の企業の方々など、災害関連死ゼロを目指し、活動に取り組まれております。そして、避難所学会では、避難所の改善の観点から、TKB48を提言されております。これは、災害発生時、快適で十分な数のトイレ、温かい食事、簡易ベッドを四十八時間以内に被災地に届けることを目標とする言葉であります。

 災害時のベッドの支援は大変に重要です。ベッドがなく、床に雑魚寝状態で寝ることにより、睡眠不足に陥り、体力や免疫が低下し、消化器系疾患を引き起こす可能性があります。ベッドがあることで、これを防ぐことができます。

 東京立川広域防災基地には、政府として、段ボールベッド及びプライベート空間を間仕切る間仕切りが二千セット備蓄されていると内閣府からお聞きしております。予算上の問題もあるかと思いますが、南海トラフ地震を想定した場合、最低でも西日本にもう一か所、拠点を設置すべきではないかと思います。

 また、あわせて、自治体によって、段ボールベッド及び間仕切りの備蓄数量に違いがあると思います。避難所の設置の際、スムーズな段ボールベッド及び間仕切りの購入が重要です。既に自治体の連携協定等を結ばれているところもあろうかと思いますが、更に国が広域連携をプッシュすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

田辺政府参考人 議員御指摘の段ボールベッド、パーティションにつきましては、防災基本計画において市町村が備蓄に努めるものとして記載されており、各自治体において、公的備蓄や事業者との優先協定等により適切に確保いただいているものと承知しております。

 しかしながら、大規模災害の発生により、自治体による備蓄や調達の不足が見込まれる場合には、国が被災地に向けて必要な物資支援を行うことともしております。

 自治体における段ボールベッド及びパーティションは、災害時におけるその必要性について認識の高まりもあり、全国の自治体において備蓄が進んでいるところでございます。今後も、関係省庁や自治体とも適切に連携しながら、引き続き必要な支援に努めてまいりたいと考えてございます。

福重委員 私は、衆議院議員になる前、十八年間、群馬の県会議員をしていたんですけれども、私も避難所に行くと、いまだにやはり雑魚寝が多いんですね。今年は関東大震災から百年ということで、避難所・避難生活学会の皆さんは、そういう状況がこの百年ずっと続いていると。そしてまた、避難所を開設するときに、段ボールベッドとそれから間仕切り、そういったものがしっかりあるとゾーニングがしっかりできるというような形の、やはりそこにわっと人が押し寄せてきてからその後に段ボールベッドが来たりしても、なかなかこれを分けることが難しいというような御指摘もいただいております。

 そういった意味では、しっかり予算をやはり確保していく。災害の直接死を免れたとしても関連死で亡くなるということは、これは防げる命でございますので、やはり政府、我々政治がしっかりとここに思いを致して、予算配分とか、そういったこともしっかり進めていかなければならないと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 時間でございますので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高階委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 質問に入ります前に、大臣以下政務の皆さんに御承知おきいただきたいことがありますが、私の本日の質問だけに限らず、同僚議員も一度は必ず言われたことがありますが、復興庁職員の方から、所管外ですとか、あるいは、一義的にはほかの役所ですという発言が余りにも多い。復興庁さんが設置されたときの概要の中には、復興に関する行政各部の事業の総括及び監理と明記されているにもかかわらず、皆さんの所管外なんて存在しないと私は思います。この点は御理解をいただいた上で、私は質問させていただきます。

 復興庁さんが管理をされている地域、所管の地域で、所管されている施策が、もし事態が急変した場合、復興庁にどのようなレポートラインで上がってくるのか、まず御紹介いただきたいと思います。

土屋国務大臣 お答えします。

 被災三県で大規模な災害が発生したとき、政府災害対策本部が設置されて、復興庁も政府の一員として参画する場合には、必要な情報を共有することとなっております。災害の大きさによって参画するかどうかというのもあるんだろうと思いますけれども、基本的には、被災三県で大規模な災害が発生したとなれば、参画して、政府と一緒に行動します。

 それから、規模に応じて、復興庁内にも復興庁災害対策本部又は情報連絡室を設置することとしております。

 そして、この体制により、内閣府や国土交通省、消防庁などの関係省庁を通じて被害状況及び対応状況に関する情報を収集するほか、各復興局がありますので、復興局でも情報収集をして備えることになっております。

鈴木(敦)委員 今、上物の御説明をいただいただけであります。中央で何を管理するかということももちろん重要ではありますが、現場からどうやって復興庁に情報が上がってくるのかというレポートラインをしっかりしておかないと、どこの役所にばらばらに来て、後々復興庁に来ましたという話になりますよね。その下の部分はどうなっていますか。

土屋国務大臣 今お話ししましたとおり、復興局が各県にありますので、復興局からやはり現地の状況を逐一庁に上げてくるというのが大事だと思っております。

 そして、その上げてきた情報と、それによってどう対応するかというのは、いろいろな省庁との関係があれば、司令塔として、しっかりと情報を共有しながら対策を練っていくということだと思います。

鈴木(敦)委員 今ほどの大臣の御発言はホームページにもありますし、過去の答弁でもありました。各地の復興局等あるいは事務所からワンストップで情報を収集するということでありました。

 であれば、十月二十五日の薬液飛散事故がワンストップで上がってこなかったのは一体なぜでしょうか。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の中での先日の十月二十五日の事故でございますけれども、復興庁といたしましては、常日頃から経済産業省と連携を取ってございまして、経済産業省経由で情報を受領するということになってございまして、当日も、事故が起きたのは昼ぐらいでございましたけれども、夜半過ぎには情報をいただいていたところでございます。報道より多少、少し遅れてしまったわけではございますけれども、経済産業省からしっかりいただくということではございました。

 ただ、十月三十日の衆議院予算委員会におきまして岡本あき子先生からの御指摘を受けて、報道の前にしっかりスピーディーに情報を収集しようということで、東京電力から新たに直接復興庁が情報を受領するという体制を構築したところでございます。

鈴木(敦)委員 それはレクの際にも伺いましたけれども、復興庁ができてもう十一年ですよ。令和十三年まで続く組織で、今回の件は東京電力かもしれませんけれども、ほかの事態急変のときに、またほかの役所を経由するんでしょうか。国土交通省なりほかの役所を経由してまた情報を収集することになりますよね。

 この地域で起こる復興庁が所管している事業の問題については必ず復興局に連絡を入れる、それから本省に上がるという仕組みをつくらないと、今回と同じことが個別にまた起こるんじゃないですか。今回は東京電力でした。でも、ほかだったらどうしますか。国道事務所かもしれませんし、漁業組合かもしれませんよ。いろいろなところがありますけれども、全部ほかの役所を経由して、一度もんで、国会で問題になったら、またそこから直接復興庁に連絡を下さいと、一々全部やっていたら大変です。

 全部、復興庁、復興局、事務所で連絡を受ける体制にはできないんでしょうか。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろ防災とか災害とかの関係でどういうふうに情報をレポートラインとして上げていくかというお話だと思いますけれども、下の方ということで申しますと、私の部下のラインにリエゾン制というものをしいておりまして、例えば、防災であれば、内閣府防災との連携を取るリエゾンというのがおります、そういう者がしっかりいろいろ集めていく。復興局から情報を得る場合もありますし、関係省庁から情報を得る場合もあります。それをしっかりやっていくことで、それをしっかり上に伝えていくということで、いろいろな危機管理ということをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 今回、それがうまく機能しなかったから問題にしているわけですよ。

 今回だけじゃないでしょう。今回で終わりじゃないですよね。復興というのは長い道のりなんですよ、皆さんもずっと言っているじゃないですか。その間、何か問題が起こったときに、次にどうなるかという想定ができないと意味がないんですよ。起こったときに場当たり的に対応するのは誰でもできるんです。でも、十一年たっている組織で、次に何が起こるかを想定するための材料は持っていなきゃいけないと思います。

 次の質問です。

 復興庁さんが、今回の十月二十五日の薬液飛散事故について、第一報を受けていたはずです。正式な報告は夜中だったかもしれませんけれども、こういうことが起こったという話は入ってきていたと思います。その時点で、大体大まかに、どういう状況で事故が起こったのか、あるいは、どういう作業中に起こったのか、その後、どうやって収束していく見込みなのかという判断ができる材料はお持ちでしたか。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、この事故は昼に起きたものでございますけれども、私どもの方である程度のまとまった情報を入手したのは夜でございました。当日の夜でございました。

鈴木(敦)委員 いつ情報が入ってきたからということではなくて、どうも一Fでこういうことがあったかもしれないという話は一切夜中まで耳に入らなかったんだとしたら、それはそれで大きな問題だと思いますよ。第一報ぐらい入っていたんじゃないんですか。その上で、どういう状況だったから、今後、どうやって収束していくんだという見込みが立てられたのか立てられなかったのかです。皆さんは、一切全く何にも分からなかったのか、若しくは、そういう作業中にこういう事故があった、だから、こういうふうに収束するという見込みが立てられたかどうかを伺っています。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の件につきましては、第一報が私どもの方にはございませんでしたので、その後、夜中というか、夜になりましたけれども、まとまった情報を入手したというところでございますので、そういう状況を改善するために、先ほど申し上げました、繰り返しで恐縮でございますけれども、レポートラインを改善をいたしまして、東京電力から新たに直接復興庁の方にもその第一報がしっかり入るように、タイムリーに、改善したところでございます。

鈴木(敦)委員 経産省からの第一報ぐらいは入っていたと思いますよ、東電からなかったんだとしても。何にも、経産省からも復興庁に連絡がなかったんだとしたら、それは政府の中の連携が取れていないじゃないですか。調整もできていなければ管理もできていないじゃないですか。そういう話になると、復興庁さん、存在意義を失いますよ。何のためにいるのか分からなくなる、第一報が受けられる体制になかったのであれば。

 その点を改善していただきたいんですよ。連絡体制を個別にしくのは、それは当然、当たり前です、やらなきゃいけない。でも、まず第一報がちゃんと受けられる体制を整えていただかないと、今後、復興行政に関わる事務を管理しているとは到底私は言えないと思います。そういう観点でレポートラインは組んでください、今後。東電だけじゃないですよ、ほかの地区、地域についても全部。

 大臣、お考えをお願いします。

土屋国務大臣 岡本あき子議員から衆議院予算委員会で御質問いただいて、そのとき、私も、マスコミを通じて知ったということを答えさせていただきました。それで、私自身も、しっかりと、これでは駄目だという思いになりまして、その日のうちに、経産省と話し合ってラインをしっかりとつくるようにということを指示いたしたところでございます。

 今現在、その後、すごいスピードで、その直後から連絡を入れるようにということを東電と話合いをして、東電からも連絡があり、そして、今いろいろな問題が、ちっちゃなものでも全て入ってくるようになっておりますが、それ以外の認識も委員がお持ちですので、いろいろな省庁との連携のことは、もう一度、今どうなっているのか私もしっかりと見直していきたいと思います。そして、しっかりと司令塔としての役割を果たしていきたいと思っております。

鈴木(敦)委員 復興庁の位置づけは、ほかの役所と違って、長に総理が就いているわけです。それで、事務をつかさどる大臣がいらっしゃる。だから、ほかの役所よりも一つ上の司令塔機能があるんですから、レポートラインは皆さんが主導でつくればいいんです。皆さんのところに全部集約して、判断できるだけの材料もきちんと用意してください。

 今回の事故に関しても、細かいマニュアルは原子力規制庁は持っていません、私の所管じゃありませんと回答がありました。でも、復興庁は知っているべきです。それを全部読み込む必要はないと思いますが、何かがあったときに、どういう作業中にこうなった、この後、どうやって収束する見込みだと見通しは示していただきたいと思います。そういう考え方で事務に当たっていただきたいと思います。

 ここまでにして、次は大臣の所信についての質問に入りますけれども、コミュニティーの創出ですとか生活環境整備という御発言がありました。これは、これまでの委員会の中でも、私は、生活環境整備という部分では、お店だとかあるいはインフラとか、そういう部分ではなくて、人が生活していくための人と人のつながりの部分が重要だということを再三申し上げてきました。

 今のところ、進めてまいりますということでしたので、具体的な策、特に、人と人の結びつきという観点で、今、具体的に案があれば、お示しをいただきたいと思います。

土屋国務大臣 復興地だけではなくて、日本全国、過疎地においても、コミュニティーはすごく今重要な課題だと思っております。でも、特に、やはり帰還者が少ない復興地域においては、コミュニティーが形成できるかどうかが将来の鍵を握っていると私は思っております。

 そういう意味では、例えば、今やっていることを挙げさせていただきますが、飯舘村において、帰村した村民と今すぐ帰村できない村民同士が触れ合う交流の場を提供するため、村民交流会、ティーパーティーを定期的に開催するようなことを行っております。心と心をつなぐことをしっかりとやっていくことが大事だと思います。

 それから、浪江チョウにおいて……(発言する者あり)ごめんなさい、浪江マチでございます、失礼いたしました。浪江町において、町民集いの場づくり、地域行事の再開、特定復興再生拠点に帰還した町民への支援等に取り組む町民主体の活動等の自治体の取組を幅広く復興庁では支援しているところでございます。こういうことを広げていくことがすごく大事かなと思っております。

 今後、いろいろな施策についても、委員の皆さんの意見なんかも聞かせていただければありがたいなと思います。

鈴木(敦)委員 この質問をさせていただくときに役所にお願いしたのは、本当に小さなところ、単位が小さな事業を是非御紹介いただきたいと。

 なぜかというと、大きいものはすぐ話題になるからいいんですが、私のおやじの実家もそうですけれども、秋田県ですけれども、コミュニティーバスを運行しているのが実は町会議員だったりとか、バス一つ運行するのも大変だし、でも、ないと困るしという状況が非常に多くて、これからの復興地域についても恐らく同じ問題が発生すると思いましたので、できるだけ小さな単位を御紹介いただきましたし、恐らく大臣はそういうお考えだとは思いますが、小さなところに是非とも目を向けていただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。

 時間が少ないので簡潔にお願いしたいんですけれども、これは環境省さんにお願いしますが、以前、質問をさせていただいたと思いますけれども、特定帰還居住区域の除染を進めるに当たって廃棄物の処理の問題が起こるということを質問させていただいたと思いますが、その後、どのように解決をしたのか、教えていただきたいと思います。

前佛政府参考人 お答えをいたします。

 環境省といたしましては、特定帰還居住区域において今後解体工事等で発生する特定廃棄物の処分先の確保ということは大変重要というふうに認識しております。また、その処分先の確保に当たりましては、何よりまず地元の御理解をいただくということが大切であり、丁寧に調整を進めていくことが重要というふうに認識しております。

 このため、特定廃棄物の処分先につきまして、双葉郡の首長などで構成されます双葉地方広域市町村圏組合の管理者会議においてこの旨御説明をさせていただきまして、一応、方向性としましては、クリーンセンターふたばを活用させていただくということで御了解をいただいたところでございます。

 これを受けまして、環境省としましては、やはり今後追加的に発生するということになりますので、必要となりますその処分量といいますか、それを把握しなければいけないということでございます。ですので、今、各自治体の方で特定帰還居住区域の計画の検討というものが進んでおりますが、その状況等も踏まえながら、今現在、発生量の試算を行っているところでございます。また、あわせて、追加的にやはり施設が必要になるということでございますので、その規模等についても今検討をしているというところでございます。

 各自治体の一般廃棄物等の処分に影響を与えないように、処分先の確保に向けまして検討を進め、地元自治体や関係機関等とも調整を進めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 この点は結構大事な問題だと思いまして、人が戻ってくるときにごみを捨てる場所がなかったら困るわけで、試算は今順次やっていただいているところなので、試算が終わって規模も確定し次第、速やかにいろいろな対応を取っていただければと、これはお願いでございます。

 最後の質問でありますが、情報発信ということで、大臣も所信でおっしゃっておられました。効果的な発信というお言葉を使っておられたのですが、ホームページですとかユーチューブというのは、発信というよりは配信です。こちら側から何かお願いしても、見る人、見ない人はおられます。今日の議論の中でも、ページビューだとか閲覧数という御紹介はいただいたところではありますけれども、それ以外にも何か具体的な方法があれば。

 以前、私は言っていたのは外国ですね、太平洋島嶼国とか、いろいろなところにもPRしていただきたいということもお願いしてきましたけれども、土屋大臣として、一番効果的であろうというお考えがあれば、教えていただきたい。

土屋国務大臣 首都圏やいろいろな地域でイベントを行ってもらうのは結構効果的であるなと感じております。これから、たくさんまた手を挙げていただいているので、あちこちでイベントを行います。キッチンカーなども意外に、ちいちゃなことなんですけれども、やはりそこでお弁当を買っていただいたりすると何か思いが伝わるような気がいたします。

 それから、アジア諸国では、これからタイ、ベトナムで今計画をしておりまして、その地域において、やはり日本の、特に福島のもの、三陸、常磐物を宣伝していきたいと思います。今、日本食ブームでございますので、やはりそういうところをうまくリンクしていくことが重要だと思っております。

 これからも、できるだけ日本全国のいろいろなところにお願いをしていきたいと思います。

 それから、私は先ほどもお答えしたんですけれども、私の選挙区の県会議員が五台のバスをつくってくださって福島へ来ていただいたんですけれども、そうしたら、本当に風化しそうな、私の方はですね、地域でございますけれども、風化が、一気に風化しない状況になって、その来た方たちが地元へ帰って、とてもよかった、語り部の話がとてもよかったという話もして、そして魚介類も買って帰っていただいたので、これからうちの方でもイベントがあったらみんな買おうねなんという話もしていますので、そういうきめの細かいことが大事なのかなと思っております。

 これからも頑張ってまいります。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。引き続きお願いしたいと思います。

 最後に申し上げますけれども、何も教えない、何も聞かせない、何も知らない、こんなことは復興大臣として許さない、そういう司令塔を目指していただきたいと思います。

 終わります。

高階委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 震災から大分時がたって、風化という言葉も今質疑の中で出てきましたけれども、大臣におかれましては、公私共にいろいろ親交していただいて、いつもありがとうございます。

 あえて冒頭申しますけれども、やはりマチとチョウを間違えるというのは甚だ遺憾でありますし、今日の質疑の中でも、質問者の中でもそういうのがありましたので、これはこの復興の委員会ですら風化をしている。

 小さい話と、気にしない人もいますよ、地元でも。もういいよ、慣れているから。けれども、気にする人は気にするし、被災地に寄り添うというのにそれを体現していない。私も、小熊という名前が余り一般的な名字じゃないから、コグマさんと言われるときもあるけれども、気にしないけれども、でも、それに似たようなものだと思いますよ。やはり、被災地に寄り添うと言っているのにそれを間違えるというのは甚だ、委員の皆様にも申し上げます、委員の皆さんも間違いがありますから、それで被災地に寄り添うという言葉は空疎です。

 今回の、質問に移りますけれども、廃液事故もまさに空疎な状況を露呈したなと。今、鈴木委員も大変すばらしい質問をされましたけれども、早く一緒の党になってやれればいいのになと思いましたけれども。

 東電も来ていますので、新たな情報伝達、つないだと言っていても、元の東電が体質を改善しなければまた報告が遅れるわけですよ。直接復興庁に報告が行っても、大臣よく聞いてね、構築しましたけれども、改善して、岡本委員の指摘で。したけれども、元の発信が遅い。また、発信したけれども、訂正があった、最初の、状況を把握していなくて。これを何回も繰り返しているんです、東電は、これまでも。震災前もです、震災前に。私、この委員会でも、いろいろなほかの委員会でも何回も質問していて、本当にどうなるんだろうと思っているぐらいです。

 県議会のときに、福島県、東電の原発では、データ改ざん、事故隠しがありました。そのときも、出す情報が遅れる、間違えている、この繰り返しなんですよ。震災前からです。この体質改善が全然できていない、何年間も。

 今回の原因、根本的な原因ですよ、今回のケースで細かいところでこういうことがあったのでじゃなくて、何でこうなの。東電、お願いします。

山口参考人 東京電力ホールディングスの山口でございます。

 当社福島第一原子力発電所の事故から既に十二年と八か月が経過しておりますけれども、地域、それから広く社会の皆様に今もなお多大なる……(小熊委員「前置きはいいから、答弁だけしてくれ」と呼ぶ)はい、申し訳ありません。心よりおわびを申し上げます。

 まず、当日の時系列についてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。(小熊委員「要らない。根本原因だけを聞いている」と呼ぶ)はい。

 当社といたしましては、二〇一三年の三月に公表いたしております福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン、こちらにおきまして、福島第一原子力発電所の事故後の広報活動において迅速さと的確さを欠いた原因として、状況を誤って認識していたこと、迅速に公表するという積極的な姿勢が不足をしていたこと、外部との調整に時間を要したことと総括をさせていただいてございます。

 今回の発表につきましても、当社といたしましては迅速な公表に努めたものではございますが、いずれにしましても、地域の皆様や社会の関心事項も踏まえつつ、発信する内容の在り方などにつきまして引き続き不断に改善を加え、迅速かつ正確な情報発信に努めてまいりたいと思っております。

小熊委員 認識を問うけれども、東電として、全然、何十年も前から改善していないという認識はありますか、こうした点について。情報が遅れる、間違える、正確性を欠く、これを繰り返しているという自覚はありますか。何度も繰り返しているでしょう、この事案だけじゃなくて。今言ったとおり、震災前から。その自覚はありますか。

 御社はこういう情報発信について不得手である、きちっとできていないという自覚はありますか。その認識を聞きます。

山口参考人 お答えを申し上げます。

 迅速に公表させていただきたいということで、今回も迅速な発信に努めてきたわけでございますけれども、迅速な発信の中でも、これが、追加情報があるというようなことをしっかりと申し添えさせていただいたり、あるいは、今回の件に関しましては、エビデンスの確認が不足していたという反省をしてございます。

 これまでも何度かこういったお叱りを受けているわけでございますが、一つずつしっかりと前に進むように改善を進めていきたいというふうに思ってございます。

 以上でございます。

小熊委員 情報の正確性は非常に重要ですけれども、情報の遅れも罪ですから。

 情報が遅れること自体も罪だということに関してはどう思いますか。

山口参考人 お答えを申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、迅速性は非常に大切だというふうに認識してございまして、我々、今回に関しては……(小熊委員「罪だと思うかどうかを聞いているんです」と呼ぶ)はい。

 迅速に公表させていただくということは非常に大事なことだというふうに認識しております。(小熊委員「遅れるのが罪だと思いますかと聞いている」と呼ぶ)

高階委員長 答弁中でございますので。

山口参考人 できるだけ迅速にしっかりと公表させていただくという姿勢をしっかりと持つことが大切だというふうに考えてございます。

小熊委員 安っぽい官僚答弁みたいなことを言わないでくださいよ。かつて、勝俣社長は言ったんですよ。情報が遅れることも罪、そういう認識で今後情報発信に努めますと言ったんですよ。今、罪という言葉を認めなかったけれども、かつて社長が言ったんだから、勝俣さんが。それが徹底していないじゃない。その場しのぎでやり過ごしているだけなんですよ。改善できていない。改善する能力がないんですよ、もう何回もやっているんだから。もう自力で、この問題については、結果を出せないんですよ。そう思いませんか。

 かつて、勝俣社長は罪と言ったんだよ。そのかつての勝俣社長の言葉をどう解釈しますか。

山口参考人 お答えを申し上げます。

 当社の元社長が発言した内容でございますので、それはしっかりと引き継がせていただくというところが大事だというふうに思ってございます。

 ちょっと、今回の件に関しましては、迅速性につきまして、我々といたしましては、原災法に基づくこと、それから、当社が公表基準としてお示しをさせていただいている、その公表基準に基づいて公表させていただいたところでございますが、その中で、正確性を欠いたというところにつきましては反省をしているところでございます。

 以上でございます。

小熊委員 原発事故収束のために現場で働いている方々が、二次請、三次請、すごい下請がいっぱいいるけれども、そういう方々の努力は評価はしますし、また、電力の安定供給に資していることも評価はしますが、これはやはり、いろいろな議論を国会で賜りますけれども、グッド東電とバッド東電を分けて議論しないといけない、そういう組織にしていかなきゃいけないなというふうに思いますよ。東電、こういうことですよ、大臣。

 大臣に質問を移りますけれども、司令塔という言葉を使われて、歴代使ってきました。今日は理事会でも、高階委員長がしれっと司令塔と言っていましたけれども、これも空疎なんですよ、司令塔と言いながら。

 大臣、ここで約束してください。さっき鈴木委員が言ったとおり、私もレクのときに言われた、二度と所管外じゃないなんて、所管外ではありませんと言わせないでほしい、レクの段階でも。大臣、それを徹底していただけますか。

土屋国務大臣 先ほどはありがとうございました。私の間違いを指摘いただきまして、しっかりと気をつけるように心がけていきたいと思います。

 所管外ということは、私自身もしっかりと受け止めて、今後、チェックをしていきたいと思います。共に復興に向けて各省と協力していく、でありますから、そういう意味で、その思いで頑張っていきたいと思います。

小熊委員 我々は、復興庁、ちゃんとしてほしいという願いなんですよ。だから、司令塔としてちゃんとしてほしいと言うんだけれども、肝腎の復興庁がこれらの職員。大臣も毎年替わるということ自体が、適材適所といいながら主要大臣じゃないな、これも空疎だなと。もう我々自身が裸の王様になっているな、国会がこういうことを許しているということが。土屋大臣は人格、能力共にすばらしいんですけれども、もう最後まで、復興庁が終わるまでやってほしいなというふうに私は思います。

 司令塔でしょう。それは、いろいろ、現場現場、所管の省庁があるのも分かります。野球でいえば、プレーヤーが経産省であったり、賠償とかは文科省であったりして、監督とかコーチなわけでしょう。でも、それすらも外されていて、もう観客みたいになっちゃっていて、ワンストップでやるといって、ワンストップでもない。レクの段階だって、聞きおいて、それを復興庁の中で割り振ってやっていればいいだけの話なのに、逃げちゃう。

 だから、もう我々も本当に、本音でしゃべれば、復興庁も大臣も毎年の御褒美ポストなのかなと本音では思っちゃいますよ。毎年替わるんだもの。何年か前、被災地、大臣も行かれたとおり、知事に会いに行くけれども、毎年同じ説明をしなきゃいけないんですよ、地元の知事や首長たちは。だって、息の長い取組なのに毎年替わる。それだけでも苦労です、説明が。この大臣ポストも含め、復興庁というのは何なのかということが問われているんです。

 今回のこの廃液事故も一事が万事。今、構築したと言いましたけれども、ちゃんとすぐ情報が。今、分かるとおり、元が駄目なんですよ。大臣、どう国としてこういうことを、根本原因を直すところ、根本原因が直っていなかったら、情報が遅れますよ、また間違ったりする。正確性を欠く情報しか上がらないから。

 東電の体質を直すために、大臣、どうやって司令塔として働きますか。

土屋国務大臣 この度の事故に関しての東電の情報発信が非常に遅かったということは、私にとっても本当に遺憾なことでございまして、予算委員会でああいう答えを私がしなければならないことになったのも、今までの経産省から復興庁へというその情報の流れがあったということであると同時に、やはり現場が発信をするのが非常に遅かったということに尽きるのではないかと思っており、大変遺憾だと思っております。

 私も、就任して、第一原発、現場へ行って拝見いたしましたし、ALPSの処理の状況も見させてもらいましたけれども、そのときに申し上げたのは、もしささいな事故でもあったら、それはやはりこれからの処理水の問題が進まなくなる、だから、これは相当緊張感を持ってやっていただかなきゃならない、何しろ気をつけてやっていただきたいということを申し上げました。

 何十年も続くわけですから、本当に緊張感は切れやすいと思います。ですけれども、緊張感をしっかり持つためにどういうことをしていったらいいかということを考えていただきたいし、また、マニュアルをもう一度見直していただいて、きちっとしたマニュアルをもう一度構築し直す必要があると思っております。

小熊委員 時間が来たので終わりますけれども、近年出版された国会話法の本では、遺憾という言葉は軽くて偽装謝罪型の言葉であるので、具体的にどうするかです。マニュアルもあるんです、仕組みもあるんですよ。実行できない体質なんです。そこをどうメスを入れるかということです。そこなんですよ。仕組みはあるんです。でも、できない人たちなんです。そこをどうできるようにするかというところに突っ込まないと、だから、空疎で終わるということです。

 これからの大臣の任期の中で、復興庁が空疎でないと言われるように、評価されることを御期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

高階委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 よろしくお願いいたします。福島県出身、立憲民主党の馬場雄基です。

 土屋大臣とは初めての議論になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 初めての議論ではあるんですけれども、正直、こういう質問をしていいのかなというふうに思いながら、二年間、この復興特別委員会に所属をさせていただきまして、大臣所信に関して率直に思うことをまず述べさせていただきたいと思います。

 今回の所信ですが、過去の所信、計二年間の中で四人大臣が替わりましたが、ほとんどうり二つです。この議員生活の二年の中で四人替わった大臣、質問に立つたびに大臣が替わってしまうこの現状、余りいいものではないというふうに思います。あのとき質問したとき、どうなったのかなとか、現場はこういうふうに言っているけれども、行政としてどういうふうに取り組んでくれるのかなと。行政の安定性という言葉もあると思うんですけれども、度々替わってしまうと、この大臣所信そのものが空虚に、まさに空疎に感じてしまうところは多いのではないかなというふうに思いますし、この場に立ち、魂を込めて質問した全ての議員が同じことを思っているのではないかというふうに思います。

 実は、これは過去四人の大臣所信ですけれども、黄色く塗られているところは全て同じ言葉です。句読点含めて、ほぼ同じです。このことを知っているはずの、まず復興庁さんに伺いたいんですけれども、この所信演説をそもそも誇れるのか、大臣や政務三役の引継ぎがどういうふうに行われているのか、簡潔に教えていただけないでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大臣交代に際しましては、渡辺前大臣から、現場主義の徹底など復興大臣としての心構えのほか、ALPS処理水の海洋放出への対応、帰還困難区域への帰還促進、福島国際研究教育機構の円滑な運営の支援等、今後重点的に取り組むべき課題について、丁寧な引継ぎが行われたと考えております。

 また、事務方からも、渡辺前大臣の在任中の功績や成果を含め、復興がどこまで進み、また、残された課題としてどのようなものがあるかについて、丁寧に御説明をさせていただいたところでございます。

馬場(雄)委員 それでこれなんですか。成果が分かっているならば、成果を書いてほしいですし、少なくとも、前大臣のときにこういう課題があった、だからこういう努力をした、でも、それでもここができなかった、だから、今回の大臣ではこういうところに気をつけて、こうこうこういう提案をさせていただきたいがこの所信に含まれるものなんじゃないんですか。

 私、誇りを持って仕事をしていきたいと思っていますし、行政にもそうあっていただきたいという趣旨で、決して揚げ足を取りたいというわけじゃないんです。この大臣所信はそういうものなんじゃないのかなと思い、過去四人、資料を上げるのはちょっと心もとなかったのであれですけれども、ほとんど黄色なんです。ここを是非とも大臣も認識をしていただいた中で、ここを意識していただきたいというふうに本当に思っています。

 質問に立つ私たちの魂は本当にどこへ行ってしまったんだろうというふうに思いますし、今回、あえて大臣の所信の特徴を申し上げます。

 各地訪問に、挨拶に行ったという文言が追記されています。しかし、その各地の表敬訪問というのは、先ほど小熊議員からも指摘がありましたけれども、交代しましたという挨拶では意味がないと思うんです。先ほど申し上げたところまでがワンセット。その全てのストーリーがあって初めて現場に行って、こういう提案でいきたいと思いますけれども、現場ではどうですか、それを伺って初めて表敬訪問になるのではないかと思いますが、現場で話を聞いていると、同じ説明を繰り返しているのみというふうにしか聞こえてきません。

 大臣、ここを是非お願いしたいんですけれども、質問が前後します、一番最後に行きます。

 土屋大臣が今このタイミング、この瞬間に大臣になられたということは、私は極めて大きいと思います。所信には一切書かれていませんが、第二期復興・創生期間、二年と残り僅かとなっています。第三期創生期間、つくるのか否か。あるいは、そのつくっていく中において、第二期創生期間の中での課題がどういうところにあったのか、予算組みとしてどうするのか。今からプロジェクトチームを発足させていかないと、到底間に合うことではないというふうに思いますけれども、大臣、この場で、第三期創生期間、そこに向けて、あるいは、第三期創生期間という言葉は仮称でございますけれども、どういうふうに捉えられているのか、是非大臣の言葉でお願いします。

土屋国務大臣 今おっしゃった、第二期復興・創生期間と位置づけた、それは令和三年度から令和七年度ということでございまして、私は、その途中で大臣に就任したわけでございます。

 今後、やはりこの七年までをしっかり全うしていかなきゃならないと思っています。計画案はできているわけですから、それにしっかりと、遅れることなく仕上げていくのが私の仕事だと思っております。

 それで、その後どうするかというのは、やりながら議論は必要だと思っております。その中で、やはり委員の皆様のいろいろな声を聞くのも大事だと思っておりまして、しっかりと先に向かっていきたいなと思います。

 私が地域を回って歩いて切実に感じたのは、やはり福島はスタート台にまだ上っていないのかなというような感覚を持っておりまして、福島に関しては、ちょっと特出しが必要なのかなというのも今感じているところでございまして、今後、庁内でも、いろいろな議論の中で、皆様にお示し、今すぐできない状況でございますけれども、頑張ってしっかりとした先行きを考えていきたいと思っております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 各地回られてきた中で、どういうふうに今課題が浮き彫りになってきているのか、当初予定されていたものよりもより深刻になっている場合も数多くあると思っています。もしよかったらこの場で、そのプロジェクトチームなり、第二期創生期間が終わり、もう見えてきている、折り返し地点がもう過ぎたわけですから、第三期創生期間、恐らく先週、福島県庁からの緊急要望等もあったと思いますけれども、その点を踏まえて、しっかりと動いていくんだ、検討ぐらいのお言葉を是非ともいただきたいんですが、いかがでしょうか。

土屋国務大臣 せんだって、福島県知事にお会いして、今後の要望というのをいただいた中で、やはり皆さん、次年度の予算を大変心配しておられます。この件については、市町村会もそうでございますし、やはりきちっとした予算が取れなければ自分たちが考えている計画が頓挫するのではないかという思いでありますが、この点については、我々復興庁としては、最大限の努力をして、計画どおり予算を取っていきたいと思っております。

馬場(雄)委員 是非、チームの設置を検討いただけないでしょうか。

土屋国務大臣 これは、七年度中に、その段階での復興の状況を踏まえて必要な検討を行っていくべきだと思いますので、考えていきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 本当に、これからが勝負になっている自治体も数多くありますから、第三期創生期間を見据えられるか否かで大きく変わります。現場を回っている限り、復興庁や様々な人たちの覚悟が見えなくなってきているということに不安を覚えている現場の方々はいます。だからこそ、今ここで、安心してください、私たちはあなたたちに寄り添います、だから、こういうところの課題を、よかったら現場の方々から教えてほしい、それを踏まえてプロジェクトをつくっていくんだと、そういう願いを込めて、是非ともチームを発足していただきたいと思いますし、今検討するというお言葉をいただきましたので、是非とも、それが具体的に動くことを期待させていただきたいと思います。

 続いて、この大臣所信に関する質疑の、もう一つ気になった点があります。過去の大臣、具体的に言うと西銘大臣と秋葉大臣の言葉の中であったのは、風評という言葉を使うときに、風評被害という言葉を使われています。一方、前大臣だった渡辺大臣は風評影響という言葉を使われています。言葉尻で遊びたくはないんですけれども、エネ庁に確認をしたところ、具体的に双方分けているわけではないですが、経済的な被害があったときに風評被害と一般的に呼んでいるかもしれない。一方、復興庁にレクを聞いてみると、風評影響の方がより強い意味合いで使っている可能性があるのではないか、しかし、具体的に分けているわけではないと思うと。双方、具体的ではないがというふうに言うんですね。これは結構問題じゃないかなと思うんです。

 非常に繊細な議論をするときに、両省庁が全然違う言葉で使っていってしまえば、そのときに与える相手の混乱は、私は計り知れないものがあると思っています。もう違うのが二つ存在しているのは仕方ないことだと思うんですけれども、土屋大臣の所信には風評対策という言葉で一貫して述べられていましたので、その違いを見分けることが私はできませんでした。

 少なくとも、両省庁間の中で、風評被害、風評影響、これを具体的にどういうふうに定義されているのか。これは整理する必要性があるのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、風評被害と風評影響、この二つの言葉でございますけれども、これに関する一義的な定義は政府の中ではないのではないかというふうには考えてございますが、復興庁といたしましては、風評によって生じた経済的被害を重視した概念を風評被害、風評影響は、むしろ、その前段のもう少し広い概念として使っていることが多いのではないかというふうに考えてございまして、そういう意味では、エネ庁がという今お話がございましたけれども、そんなに大きく違った捉え方をしているわけではないのではないかというふうに考えてございます。

馬場(雄)委員 ちょっとそこの答弁、私は撤回していただきたい部分もあるんですけれども、そんなに違いはないというんですが、かなり違うと思います。

 経済的被害をいうときに風評被害と言い、風評被害よりもより強い意味合いをやるときに風評影響と使いたいという復興庁さんがいる。経済的被害とちゃんと定義づけしている風評被害の言葉と影響の言葉は、まるで違うと私は理解しているんですけれども、それが余り離れている意味合いとは感じていないと政府答弁でこれを引き出してしまうと、余計に周りが混乱するんではないかなと思うんですけれども、お願いしたいのは、両定義を整理してほしいという、ただそれだけです。お願いできないでしょうか。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたのは、風評影響の方が強いということではございませんで、風評影響という言葉は、風評被害が生じる前の、その前段のもう少し広い概念として使われているものだろうというふうに捉えているところでございます。

 いずれにいたしましても、エネ庁とはよくコミュニケーションを取って、しっかりすり合わせしてまいりたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 先ほどからの議論にもなるんですけれども、連携を取っていくという言葉は聞こえるんですけれども、その先の実践が見えないというのが、いつもこの委員会で取り上げられている問題だと思っています。

 今回の話も、結局、やると言ってくださらないんですよね。こういう積み重ねなんだと思うんです。だって、両省庁間で使っている言葉が違う、おかしいじゃないですか。同じ事象を扱っているのに両省庁間で使っている言葉が違っていて、お互い思っていることが若干違和感ありながらそれぞれ動いていく、これで政府の一体の動きは私はできないと思いますので、そこはやるとはっきりと言っていただいた方が私はいいんじゃないかなというふうに思います。

 ここで多分、返ってこないのでいいと思うんですけれども、それは、大臣を含めてしっかりと、まさに大臣にやると言っていただければすぐ動くものだと思いますから、両省庁間でしっかり連携を取る上でも、定義づけまでしっかりやりましょう、同じ歩調を合わせていきましょう、同じ言葉で復興を成し遂げていきましょう、そういうところは当たり前だと私は思っているので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど鈴木議員、いなくなっちゃいましたけれども、鈴木議員と小熊議員からお話があった件について、私からは端的に一つだけお願いしたいというふうに思いました。

 今回の、ALPSの配管の作業をなされている方で身体汚染が確認されてしまったその事件については、やはりあってはならないことですし、作業員の方にはお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 先ほどからずっと議論がありましたので、端的に一つだけ。

 大臣から、連携を図っていく、レポートラインをつくるというところまで明言をいただけていなかったんじゃないかなというふうに思いました。そこについて、やはりつくるという言葉が、どうしても私たちはこの場でしか行政にしっかりとお願いすることができませんから、つくるというところのしっかりとしたお言葉をいただきたいということ、そして、東電さんだけじゃなくて、先ほどありました、ほかのところでも起きる可能性がある、だから、その場においてもしっかりと構築するんだ、その明言を一ついただけないでしょうか。

土屋国務大臣 今回の事故の問題で、東電と、それから経産省と復興庁との関係で、一本筋は通ったと思うんですね、情報の。

 ほかの庁に関しても、今どうなっているか、私、まだ把握できていないので、そこら辺をまず把握させていただいて、今後必要であるかどうか庁内で話し合って、今、はいとは言えない状況ですけれども、私もしっかりと、方向性はそういう方向になるように考えていきたいと思います。

馬場(雄)委員 是非、三人連続の質疑の中身にもなってしまっていますし、こう思うのは、私たちは代弁者としてもここに立っているわけですから、恐らく国民全員の方が、全員とは言いませんけれども、本当に多くの方がそれを望んでいるというふうに思います。その点を踏まえて、検討するだけではなくて、しっかりと行っていただきたいというふうに思います。

 続いて、この東電さんの資料に移りたいと思います、皆様にお渡しした資料です。

 ちなみに、この東電さんの資料では風評被害という言葉を使っています。この風評被害、先ほどのことでいうならば、経済的損害があるというところなんですけれども、実は、数式、算定方式を考えると、価格に前提があります。価格差がなければ被害は生じていないというふうな表現になってしまうのがこの算定スキームではあるんですけれども、風評が払拭されるというイメージですけれども、全体像のイメージですけれども、価格が戻ることだけを指すのではないと私は思います。自立経営ができていく、まさに棚を取り戻す、そういったところまで含めた、販路のところまで含めたのが本来の意味合いのものではないかなというふうに思います。

 また、「お支払いの対象となる方」というところの黒ポツ三つ目ですけれども、新規に事業参入された方は賠償対象にならないということがあります。今、お魚も温暖化の原因があって、捕れるものが変わってきてしまっているという現状があります。そういったところも含めてちゃんと対象になっていくのかどうか、ここはしっかりと言質を取りたいというふうに思いますけれども、参考人さん、お願いいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放水に伴う賠償ですけれども、令和三年四月の関係閣僚会議におきまして、東京電力が、期間、地域、業種を画一的に限定することなく、被害の実態に見合った必要十分な賠償を行うということを政府の基本方針としております。

 漁業者の方々を中心としまして、風評の御懸念を承知してございます。被害が発生した場合には、被害の実態に見合った必要十分な賠償が迅速かつ適切に実施されるように指導をしてまいりたいと思います。

 今御指摘がございました、二点あったと思います、価格だけではなくて、数量についてどうかということでございます。

 こちらにつきましては、今の基本的な算定式におきましては、価格がどう下落しているか、それに今捕った数量を掛けるということで算定していますけれども、先ほどの新たな魚種、例えば福島でもフグが捕れているとか、魚種が変わってございます。そうしたものにつきましても丁寧に、基本的には算定式はそうなんですが、丁寧に個別の事情を伺いながら、賠償をしっかり被害に応じて行うよう指導してまいりたいというふうに考えてございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 貴重な御答弁をいただいたと思ったんですけれども、逆に、算定方式があくまで基準であると言われてしまうと、例外的なものが、じゃ、どういうふうに設定されてくるのか、具体的にそれは確認を取っていかないといけないんじゃないのかなと。

 これは漁連ごとに分けられているというふうに言われていましたので、福島県漁連、宮城県漁連、もちろん茨城県漁連、様々な漁連の方々との折衝が必要になると思うんですが、それぞれがそれぞれで個別具体的に上がってしまうと、やれ、不公平が起きるんじゃないかとか、そういう目線も出てきかねない問題だと思っていますので、具体的にどういうものになっていくのか、ここは正直、資料の提出を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 漁業者の方々への賠償につきましては、委員御指摘のとおり、漁協単位、漁業組合単位、あるいは県漁協の単位で、県漁協の中でもそれぞれ分かれているケースもありますけれども、個々別々であります。個別にやるところもあれば、あるいは漁協単位でやられるところもございまして、これはまさに、漁業者の皆様の御意向を伺いながら、東京電力がそれぞれ個別に交渉しているものだと承知してございます。それぞれの賠償の内容につきまして、それぞれ個別に相対のものもあると思いますので、全てが公表できるものではないというふうに考えてございます。

馬場(雄)委員 いつも復興特別委員会に立つときに言います。復興においては、公明正大かつ堂々とやっていただきたいということだと思っていますし、そこの、やはり塗られてしまう、見えなくなってしまうところがあっては私はならないと思っています。

 その点をやはり強く申し上げたいというふうに思いますし、幾分、少し気になっているのが、第二期創生期間の反省点だと思うんですけれども、イベントはやります、イベントはやるんですけれども、その販路までちゃんと開拓し切れていない状態で、私、イベントをやったからもういいよねにはなっていただきたくないというふうに思っています。

 その点をしっかりと踏まえた上での政策論議をさせていただきたいと思っていますし、やはり風評払拭というのは決して価格だけではない、そこが自立的経営ができるまで、最後の最後まで復興庁が寄り添うんだというその強い気合を見せていただきたいというふうに切に願って、質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高階委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党、衆議院議員の荒井優でございます。

 先日、僕も、先ほどの馬場委員と同じように、四人目の大臣の所信表明演説を同じような思いで伺っておりました。今回、僕は最初に、まさに適材適所についてお伺いしたいと思います。

 それは何も、何かをやらかしたからとか、そういうことではなくて、今回、自民党の政権になってから、特に、大臣が東北の被災地出身者じゃない大臣というのが続いているかと思います。今まで数えたら、お二人しかいなかったと思います。もちろん、それのよしあしはあると思いますが、かつ、今回、政務三役の方々も含めて、被災地選出ではない議員を配置されていらっしゃるわけですが、このことについて大臣はどのようにお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

土屋国務大臣 私は埼玉県出身でございます。復興大臣を拝命したときに一瞬戸惑ったというのが正直なところでございますけれども、でも、私自身は、発災直後、ちょうど浪人中でございまして、発災直後の一か月後、一般人が東北道を通れるようになるのを待って、私は、いろいろな仲間が、被災地に住んでいる方が多いので、被災地を訪れました。

 被災された皆さんを激励して、そして、やはり、何もなくなった浜を見たり、それから港の悲惨な状況を見たりして、それは今も頭の中にはっきりと思い浮かべることができるぐらい衝撃的な状況を見させていただきまして、これは大変なことが起こったなというのが実感でございました。

 それから、その後当選を果たしまして、環境委員会に所属いたしまして、ちょうど除染が始まったときの環境委員会でございました。環境委員会では、除染は現場を見なきゃ分からないねということになって、私もみんなと現場へ参りました。それで、瓦の一枚一枚を拭いているその現場も見させていただいて、これは気が遠くなるほどの作業だなというのを感じたところでございます。

 それから、二年後に福島原発に入りました。そのときは、防護服を着て、大変な状況の中で入らせていただいて、まだまだ非常に線量が高い中で、それこそ反対側まで私たちは行きまして、それはもう歩ける状況じゃないですから、物すごいスピードでバスで通過した。それでも、二十二マイクロシーベルトを浴びて帰ってきたんですけれども、そんな思いもございまして、今回、そういう経験を生かせればと思った次第でございます。

 それでまた、ちょっと長くなってごめんなさい、私は春日部市というところに住んでいるんですが、私の家の隣の隣が東電のアパートメントだったんですね。それで、そのアパートが全く使われていなくて、もう壊すという状況だったので、私は東電にかけ合いまして、このアパートを皆さんが避難してくる場所に貸してもらえないかということでお願いして、そうしたら、そういうことで使えるようになって、今でも多分まだ住んでいらっしゃる。

 それから、埼玉県は福島県人が非常に多くて、各地に福島県人会ができております。ですから、この災害が起こる前から、福島の人たちに対する思いは私たちの地域も非常に大きいんですね。

 そういう意味で、私は、やはり違う地域の人が大臣になるということもプラスに働くのではないかと思っております。それから、副大臣も、もうかつて経験したお二人でございますので、そういう意味では、一緒に連携して頑張っていきたいと思います。

荒井委員 大臣の思いを聞かせていただきました。

 大臣が就任されてからしばらく時間がたったと思いますけれども、今日、実はまさに、小熊委員の、途中で声が入りましたけれども、浪江チョウということに対して、浪江マチですよという声がありました。僕も、これはまさに、二〇一一年から五年ほど東北の、特に福島の原発の被災地に足しげく通った一番最初のときに、地域の皆さんから結構厳しく怒られた一言でした。荒井君、あんた、うちの町はチョウじゃないんだよというふうにですね。

 まさに、それは先ほど、小熊先生なりに優しい言い方だったというふうに僕は思いますけれども、でも、地元の人たちからすると、自分たちの町をそんなところで間違えてほしくない。でも、間違われやすい言葉なんだということを皆さんもよく理解しているわけですね。

 大臣、僕が今日ここの質疑を聞いていて感じていたのは、でも、これが大臣というポストの難しさなんじゃないかと思うんですね。

 もう就任されてから随分時間がたち、そして、大臣も随分と被災地を回られた、浪江町、双葉町、大熊町、いろいろ回られたと思います。そして、いろいろなところで恐らく町についての発言をされたと思うんですけれども、ひょっとすると、分かりません、今日がたまたまかもしれませんが、チョウと言ってしまったこともあったんじゃないかと思いますが、でも、この間、誰もそれを大臣に対して、ここは違うんですよ、マチなんですよということを呈せなかったんじゃないかというふうに思っているんです。

 ここは、今日は委員会ですし、僕たちは大臣に質疑をする、こういう時間をもらっていますから、そういう場で、違いますよということを言える立場ですけれども、特に被災地にいらっしゃる方々、若しくは、東京からそうやって大臣が、黒い大きな車に乗って、たくさんの役所の人たちを連れてやってきた人たちに対して、そうじゃないんですよということをかけられない、そういう被災地の皆さんの思いというものに対して、でも、これはきっとチョウとマチのことだけじゃないと思うんですね。ありとあらゆるところにそうやって、特に、我々、東京から行く人たちは、まさに支援する側というのは、やはり被災を受けた人たちにとっては、それは非常に難しい受入れをしなければいけないということを是非御理解いただきたいと思っております。

 僕は本当に、女性の大臣、大臣の所信や、また記者会見でも、総理からも女性らしさをということは言われて、いろいろと工夫してやっていきたいということをおっしゃっていたかと思いますが、だからこそ復興大臣に期待をするところがあるものですから、是非そうやって被災者の人たちの気持ちによくよく寄り添っていただきたいというふうに思っております。

 大臣、もう一度、受け止めをお願いいたします。

土屋国務大臣 本当に、小熊委員から指摘してもらってよかったなと思います。

 それで、私、実は、また違う話なんですけれども、選挙区が大きく替わりまして、そのときに、新しい選挙区に入ったときもミスをしまして、さいたま市の岩槻区というところがあるんですけれども、元々岩槻市だったときに選挙区だったので、つい市と言ってしまって、やはりそういう状況があったんですね。それから、春日部市で、合併したので、合併した町の方は地区になったんですよ。ところが、つい昔の町ということを言ってしまったりして、緊張感がないなと自分でも思ったんですけれども、今回、ちょっと緊張感に欠けたかなと、その一瞬の。

 そういう意味では、まさに被災者に寄り添うというのはそういうところからが大事だと思いますので、十二分に気をつけていきたいと思います。

荒井委員 もちろん、人間ですから間違いはありますし、選挙区の人たちは、それでも自分たちで誰を選ぶかというふうに選ぶことができますけれども、被災地の方々は自分たちで大臣を選ぶことはできないわけですから、少し違いがありますし、だからこそ、被災地にしっかり寄り添っていただきたいというふうに思っております。

 毎回、僕も、今日で三人目の大臣に直接伺うんですが、復興とは何なのかということをお伺いしてきています。大臣にとって復興とはそもそも何なのか、端的にお願いできますでしょうか。

土屋国務大臣 難しいという声が今聞こえたんですけれども、本当に難しい言葉だなと、言葉というか解釈だと思います。何というのか、ハード面が幾ら整ったとしても、それも復興ではありますけれども、やはり最終的には、人と人をどうつなげるかということが一番最後まで残るのではないかと思っております。

 ですから、そういう意味では、私、被災して、ほかの地域、特に東京地域に避難している方にもお会いして、話をさせていただきました。その人たちは、帰ろうか帰るまいか、相当迷っている人たちでした。ですけれども、私は、いつか帰るだろうなということを肌で感じたわけでございまして、それは、自分の町がだんだんだんだん変わっていく姿を時々帰っては見ている中で、やはりふるさとだなという思いを持っていくんじゃないか、期待も半分ありますけれども、そういう思いを持ちました。

 そういう意味では、人と人とをつなげるふるさとづくりというのがちゃんとできるかどうかが、やはり復興が完成したということになるのかなと思います。それまでは長い道のりだと思いますけれども、皆さんとともに、人と人とをどうつなげていけるかということを考えながら歩いていきたいなと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 大臣は、先日、大熊町でふたばワールドというイベントに参加されてきたと思いますが、こちらに参加されての御感想を教えていただけますでしょうか。

土屋国務大臣 大勢の皆様がお集まりで、本当にびっくりいたしました。本当に笑顔が皆様とても明るくて、やっとこういうお祭り、集まりができるようになったということを伺いましたけれども、そういうこと一つ取っても、本当に災害が起こる前までは何となく集まっていて、ずっと歴史的にやっていたお祭りだけれども、できなくなって、やっとできたときの思いは相当深いんだろうなと思った次第でございます。

 それで、私が地元へ戻ったときに皆さんに言ったのは、こういうお祭りを大切にして、コミュニティーをしっかりと継続できるようにみんなで頑張っていきましょうねということを伝えたんですけれども、やはり被災地から学ぶものが私はたくさんあったという思いでございます。

荒井委員 二〇一四年、ちょうど八年前になりますけれども、震災から三年後にふたばワールドが川内村で再開されました。震災から三年たちましたけれども、川内村で行いました。そのときに、僕も民間人の一人としてこのふたばワールドをお手伝いしまして、当日、自分でコーヒーを二百杯入れながら、皆さんに振る舞ったりしておりました。復興庁や経産省の役人も一緒に、みんな手弁当で集まっていただきましたし、マイクロソフトやグーグル、ヤフーといったインターネットの企業の仲間たちも一緒に手伝ってくださいました。

 多くの方が、まさに今大臣おっしゃっていただいたように、あのときも、本当に三年間そういうことができなかったものが、これは震災前からあったイベントですけれども、ようやくできたという喜びと、そして、たくさんの方がいらして、みんないろいろできた。教育委員会等々が中心になってやったかと思っております。

 実は、終わった後、お祭りというのは終わった後に後片づけが結構大変だということはお分かりだと思いますが、観客もはけて、片づけもある程度一段落したところに、このとき、実は川内村の小学校を使ったんですけれども、木造の大変すばらしい小学校なんですが、いずれ大臣も行かれることがあると思いますけれども、そこで、校内放送をかけまして、集まってくださいというお話をしまして、関係者、つまり、一緒に主催した、イベントをやった地域の皆さんに集まっていただいて、曲を歌ってもらったんですね。

 実は、この僕がやったカフェの店長になっている人が歌手でして、その方に歌を歌ってもらったのが、今日、資料でおつけいたしました福島県立双葉高校の校歌になります。本当はこの曲そのものを流したかったんですけれども、なかなかそういうことはこういうところではできないということでしたので、校歌をここに張らせていただきました。土井晩翠作詞、信時潔作曲。これは当代一流のまさに作詞、作曲家が作られた校歌です。

 福島県立双葉高校は今は休校していまして、まさに休校した上で、福島県立ふたば未来学園というのができ上がっているわけですので、今この学校は休校しているんですけれども、この地域の名門校の一つでありました。この校歌をプロの歌手の方に歌ってもらったら、集まった人全員が号泣したんですね。ほとんどの人が双葉高校御出身なんです。そして、久しぶりに校歌を聞いて、それ以降、なかなか歌われることは、当然、休校していますから、ないわけですね。

 大臣、僕がお伝えしたいのは、まさに今年、大臣にはふたばワールドに行っていただきました。一年に一回、双葉のあの地域の皆さんが今、一生懸命やられています。でも、それは震災前から続いていて、そして、みんないろいろな思いを持って、こうしてつなげてきているものなんだということを是非御理解いただきたいですし、そういう中で、まさに復興の総責任者として、是非大臣には寄り添って対応いただきたい、そんな思いでございます。

 もう一つ、ALPS処理水の影響について話をさせてください。

 もう一枚資料をめくっていただきますと、地図をおつけしていますが、僕は北海道選出ですので、北海道の僕の知り合いがこのまさにオホーツク湧鮮館というところにお勤めの方で、ALPS処理水のこと以来、中国の禁輸があって以来、本当に売上げが減って困っているから何とかしてほしい、そういう思いをいろいろな各所に、僕のところにも届けられていらっしゃいます。

 この地図をつけたのは、これだけ遠くて、これだけ北海道と福島というのは離れたところにもかかわらず、ホタテの売上げが大変下がってしまっている、これを何とかできないかということを、こういった湧鮮館の皆さんが一生懸命頑張られているということを是非御理解いただきたいですし、ここに向けての対応というものが今しっかりなされているのかどうか是非教えてください。よろしくお願いします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出以降、中国ほか一部の国、地域の輸入規制の強化がございました。これを踏まえまして、全国の水産業の支援に万全を期すべく一千七億円の対策パッケージを取りまとめて、支援をしております。

 この中では、特に輸出できなくなって需要の減少が顕著なホタテ、これは北海道が中心ですけれども、などに対しまして、一時買取り、保管する取組への支援でありますとか、新規の販路開拓、ビジネスマッチングの支援などによる海外のほかの輸出先の転換対策、あるいは国内の加工体制の強化対策も講じております。

 また、国内の水産物の販売、消費拡大、これは様々なイベントも行っております。総理を始めとしまして、多くの閣僚もホタテを含めて食べて、その魅力や安全性をアピールをしてございます。

 また、一千者を超える企業の皆さんに参加いただきまして、ネットワークをつくってございます。ここでも三陸、常磐物が中心ですけれども、イベント等を開催しまして、この夏には五十万食を超える需要を創出しています。

 こうしたものも加えまして、三百億円の基金、さらには今般の経済対策でも、ホタテなどの輸出減少が顕著な品目、これにつきまして、学校の給食、こうした動きも出てきます。あるいは、社員食堂での取組も広がっております。

 こうした国内外の販路拡大や一時買取り、保管、それから、地域の拠点となる加工施設の整備、そうしたものについても支援を行おうとしておりまして、今後も、水産庁を含めまして、あるいは復興庁を含めまして、北海道を含め全国の水産業を守る決意の下で、スピード感を持って対策を行ってまいりたいと考えてございます。

荒井委員 ありがとうございます。是非取組を促進させていただきたいと思います。

 JRの新橋駅のところでも様々な取組が行われているやには聞いております。是非、多くの国民の皆さんに、安全性と、そして、いろいろお買い求めいただく機会を提供いただきたいというふうに思っております。

 最後になりますけれども、先日、仙台に行ってまいりました。ホスピス学会がありまして、そこに出る若いナースの方から、荒井さん、参加してほしいと言われて行きました。彼女は震災の当時は高校生でして、僕たちのやっている復興のプログラムに参加してくれた、当時、震災の直前にお父さんを亡くされた高校生でしたが、今は立派なコミュニティーナースになって、コンパッションコミュニティー、人が亡くなっていくことを前提とした地域づくりというのをやっているので、そういったものを学会で発表したいので見てほしいというふうに言われました。

 僕は、復興というのは、こうやって子供が大きくなることだと思います。僕の前に質問いただいた馬場委員も、震災の当時、高校三年生でしたけれども、こうして今まさに党の若手のリーダーとして頑張っています。まさに若手の育成、被災地の子供たちのために、どうぞ大臣、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高階委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村浩一郎でございます。

 今日は、質疑をさせていただきたいと思います。

 二〇一一年三月十一日二時四十六分だったわけでありますけれども、発災いたしました。そのときに、私は、民主党政権の中で国土交通省の大臣政務官という役職を担わせていただいておりました。特に、空と海の関係及び住宅、そして災害対策を私が担当をさせていただいたということもありまして、発災直後の会議の中で当時の官房長だった方から、政府調査団を現地に送るので、その一員に政務官がなっていただけないかという申出がありましたので、私は即座に行かせてくださいということで、発災の当日六時半に、市ケ谷の防衛省の屋上からUHという双発のヘリコプターに乗せていただいて仙台の霞目基地に降り、大体八時半ぐらいだったと思います、それからバスに乗り込みまして、宮城県庁の方に入らせていただきました。宮城県庁の知事室が二階だったと思いますが、二階にあったので、その奥に一応、控室といいますか、調査団として部屋をお借りするということで、発災当日の九時頃に現地に入らせていただいたということでございます。

 そこから、翌日、まさに福島の水素爆発が起きたということで、その夕方だったと思いますが、現地対策本部というのが立ち上がったわけであります。その段階で、当時一緒に行かせていただいておりました東内閣府副大臣が現地対策本部長ということに任命されて、私はその段階ではまだ国交省の政務官、政府調査団の一員ということでありました。

 その数日後に、東本部長の方が東京に戻るということで、また戻ってくるという話だったんですが、結局、戻ってこられなかったんですけれども。その段階で、東本部長の方から、私ともう一人、内閣府の大臣政務官であられた阿久津さんが、じゃ、本部長代行ということで二人で頑張ってくれということで、特に地震、津波の被災地を担当すると。福島の原発事故の方は中央政府の方が、当時の菅総理や枝野官房長、また細野環境大臣とか、そういう皆さんが担当されるということでありましたが、私の方で地震、津波の被災地についての対応を陣頭指揮を執らせていただくということになった。

 そういう経験を持つ者として、今日は、大臣と一緒にいろいろ議論をさせていただきたいと思っております。

 そうした経験をさせていただきまして、ほぼ一か月間、現地に張りつかせていただきまして、いろいろやらせていただきましたが、そんな中でいろいろと考えたことがあります。

 そのときに考えたことの中で、今日、是非とも大臣の御意見を賜りたいんですが、これから、例えば南海トラフ、三連動の大地震も、また五連動とも言われていますが、起こる可能性は極めて高いわけでありまして、こうした、東日本大震災もそうだったんですけれども、複数の都道府県にまたがるような災害が起きた場合、その復興に関して、国土のバランスの取れた形成という観点から、復興を都道府県が主体となってやるということで本当にいいのかどうかということを考えたことがあります。

 特に、これから南海トラフ大震災は、多分、今回は東北三県ということになっていますが、恐らくもっと大きな、まさに都道府県、ひょっとして都は入らないかもしれませんが、道府県、道も、大きな災害が想定されていることもあります、府県ということになるのかもしれませんが、複数の府県にまたがるような災害が起きた場合に、その復興は、国がやはり主体的に関与していく方がいいのではないかというふうに私は考えているわけです。

 なぜそう思うかといいますと、結局、災害対策基本法におきますと、復旧復興は、県じゃなくて、実は市町村になっているんですね。市町村が復旧復興の主体になるということになっているんですけれども、これもまた都道府県だけでも、複数の場合に、多分、復旧復興の過程でいろいろな意見が出てきます。なかなかまとまらないということもあります。ましてや市町村ということになっていますと、大災害の場合は、これはなかなか意見がまとまらないことが容易に想定をされます。しかも、市町村でも、意欲のある市町村と、全くもうお手上げ状態で、結局、何とか国がしてくれという市町村と当時あったわけです。

 ですから、要望があれば、国の方はお手伝いはします。でも、制度上、あのときに我々が、我々と言っておりますが、国ができたことは、要するに、アドバイスなんですね。皆さんが主体ですよ、皆さんから上がってきたことをいろいろ精査して、そしてバランスを取っていきましょう、こういうことになっているわけですね。

 しかし、これでは、この東日本大震災の復興も、先ほど坂井委員の方から、八年もかかっているぞとか、そういういろいろな御指摘もあったように、合意形成をしていると、基本的に大変遅れていくんです。ですから、こうしたことは、今後のことも考えますと、大災害はもうあることが分かっているわけですから、平時にしっかりと議論をして備えておく。そして、都道府県、あえて都道府県と言いますが、多くの都道府県にまたがる大災害の場合は国が主体になってやるんだという制度を私は平時に構築をしておくべきだ、こういう考えであります。

 最後にちょっと大臣の御意見をいただきたいと思いますが、まず、ちょっと具体的な例を一つ挙げさせていただきたいと思います。

 まさに坂井委員が先ほど御指摘されていた、土盛り等、いわゆる防潮堤を張り巡らせる町づくりが本当にいいのかどうかという御意見が先ほどありましたけれども、当時、私が国交省の政務官として国交省の皆さんと議論していたことは、まさに坂井委員が疑問を呈したことはしないということを議論していたんですね。まずは、千年に一回のああいう大津波には、もはや防潮堤、防波堤、防波堤はちょっと別の概念ですけれども、堤防とかはもはや通用しないんだということなんですね。ですから、そういうふうに壁のような、この場合は堤防と言っていいんでしょうか、防潮堤と言っていいんでしょうか、そういうものを張り巡らせることについては、これはばかげているので、やらない。

 そのときに出てきた言葉が、一線防御から多重防御へという概念だったんですね。この多重防御というのは、ソフトも含めた多重防御なんです。ハードの整備だけじゃなくて、ソフトも含めた防御ということだったんです。

 このソフトというのは何かというと、やはり過去からの知恵なんですね。そのときに言われた言葉で一番象徴的なのは、津波てんでんこです。すなわち、地震が起きたらとにかく高台に逃げろということなんです。それを徹底させようと。

 家族同士が連絡を取り合っているうちに、結局、逃げ遅れたわけですね。だから、津波が起きたら、子供たちにも、とにかく高台に逃げなさい、高いところに逃げなさいと。親も、子供のことは心配だろうけれども、まずは親も命を。親が命を守らないと、その後の子供を誰が面倒を見るんですかとなりますから、子供のことは心配だろうけれども、子供の安否確認をする前にとにかく逃げなさいということだったんですね。

 そういう津波てんでんこという考え方をソフトとして徹底させていく。とにかく地震が起きたら逃げるんだというところがある。だから、そうしておかないと、結局、犠牲者は出るということだったんです。そういう議論をしていたんです。それで、景観上の問題もあるし、そういう堤防を張り巡らせるというような考えは、少なくとも、あのとき、私が政務官として担当していたときにはなかったんです。

 ところが、ちょっと私も九年ぐらい浪人していましたので、国会にまた戻していただいていろいろお聞きしていると、結局、延長四百キロにわたる海岸堤防が築かれていたということになって、私としては、一体あのときの話はどこに行っちゃったんだろうな、こういう思いがあるということであります。

 そこで、今日は担当者に来ていただいていると思いますが、一体どういう経緯で、一線防御から多重防御へとなるはずだったのが、結局、延長四百キロの海岸堤防というのは、これはまさに一線防御ですよ、一線防御と言わざるを得ない状況になったのはどういう過程であったのか、ちょっと教えてください。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災からの海岸堤防の復旧復興については、海岸管理者である県等が、比較的発生頻度の高い数十年から百数十年に一度の津波を想定しつつ、地元市町村の町づくりとの整合性や環境保全、周辺の景観との調和などを図りながら、海岸堤防の計画を適切に定め、進めてきたものと承知しております。

市村委員 それで、まさに今おっしゃったことの中で、ポイントはやはり県ということになるんですよね。

 県によっては、それは県の中で市町村との話合いもあるでしょうけれども、結局、ある県にとっては、僕は、海岸堤防、特に宮城県さんとかは三十年に一回ぐらい、それなりの地震から津波というのがあるから分からぬでもないんですけれども、しかしながら、じゃ、本当に一線防御から多重防御と言っていたあの考えはどこに行っちゃったのかなと。

 国としては、そういう思いでやっていたわけですよ。一線防御から多重防御へということでやっていたわけです。でも、結果としては、いろいろ県さんも、宮城県さんだけじゃなくて、岩手県さん、福島県さんも、福島はまだこれからだという先ほど大臣の御答弁もありましたので、特に、多分、この場合は宮城県だと思いますけれども、県の方としてはそういう方針になったとしても、どうですかと、やはり国として、大規模災害のときに、そういう海岸線を堤防で、一線防御でもっていくという考え方が本当にいいことなんでしょうかということをやはり私は言っておくべきだったと思いますが、結局は、震災復興は市町村が単位であり、海岸は県が主体であるというところで、国もアドバイスしかできない。こういうことで、恐らくそうなっていったのではないかと拝察をいたしております。

 ですから、これから起こり得ることを考えると、やはり震災復興の過程で、特に、都道府県をまたがるような災害においては国が主体的に関わる制度を平時の今のうちにつくっておくという努力を国会はすべきではないか、私はこういうふうに思っておるところであります。

 もう一個例を挙げて、最後にちょっと大臣の御見解を伺いたいんですが、あと、仮設住宅のこともありました。

 仮設住宅も、結局、市町村がここに造ってくれということを厚労省に、今はどうも内閣府に移ったらしいんですけれども、当時は厚生労働省だったんです、厚生労働省に申請をするわけですね。厚生労働省がハウスメーカーといろいろ話をするのかな、国交省がするのかな、とにかく造るのは国交省なんです。とにかく厚生労働省にまず市町村が言って、そこから国交省に造れといって、支払いは厚生労働省がする、こういう話で、非常にこの連携で、一応、国交省の住宅局と厚生労働省のその部門はいろいろ人的交換をしていましたので、ある程度スムーズだったんですけれども、結局、省庁にまたがって仮設住宅も回っていく。

 結局、あのとき、本当は、たしか二か月以内に仮設住宅というのは造らにゃいかぬかったんですよね。ところが、結局、できたのは四か月後とか、仮設住宅への移動が始まったのは、たしか七月ぐらいだったというふうに思っています。

 ここで、当時、国交省の皆さんが何を言っていたかというと、あれは三月ですから、四か月ぐらいですよね。実際、復旧するのはもっとかかるんですね。政務官、今、仮設という話になっていますけれども、もしこの期間をいただければ、仮設じゃなくて我々は復興住宅を建てられますという話をしていたんですね。復興住宅を建てられます、すなわち、仮設じゃないものを建てられますということを話をしていました。

 結局、これからまた南海トラフとかが起こることを想定した場合、平時のうちに、各都道府県なり市町村は、どれだけの被害想定が出て、どれだけの人が避難所に行っていただくと。それから、避難所も、あのときに工夫したのは、空き家を賃貸で借りて避難所にするとか、いつまでも体育館にいていただくのは大変申し訳ないということで、空き家を、公営住宅とかの空いているところを、とにかく空けてくださいということで、そこに、賃貸料は国が払うということ。あとは、ホテルにもお願いしまして、空いている部屋を国が借りるので、買うので、そこに行っていただくとか、特に、福島の場合はそうでした。福島からの被災者の方に関しては、特にそういう措置を取ったような記憶を持っています。被災地から逃げていただいて、とにかくホテルに行ってくださいということもやった覚えがあります。

 とにかく、平時にしっかりと想定をして、本当は仮設でもいいんですが、やはりちゃんと、そういう大災害が起きた場合はここに仮設を造るということを、恐らくここだったら災害は受けないだろうというところですよね、災害が起きるようなところにしていたら大変ですけれども、災害は受けないだろうという想定をされているところを平時に考えて用意しておくということが必要だというふうに思うんですね。それもやはり国が主導で、都道府県と話をし、都道府県は市町村と話をしていただいて、いざというときはここに造りましょうと。

 しかも、そのぐらいの期間、四か月ぐらいあれば、四、五か月であれば、仮設じゃない住宅を造り上げるということができる。ですから、基礎が一番時間がかかると思いますし、基礎が大切ですので、日頃からそういうところは基礎をちゃんと造っておいて、何棟造ると想定しておいて、そして、平時は例えば公園にしておいて、上に土をかぶせて緑化して平時は使っておいて、いざとなったらそれをすぐに剥がして、基礎ができていますから、そこに復興住宅といいますか、この場合、僕は、仮設ではなくて恒設住宅を建てる、こういう発想が必要ではないかというふうに思うんです。

 これもやはり国が復興を主導するという、多くの都道府県にまたがる場合ですよ、別に全てやれと言っているわけではなくて、後でちょっと瓦れき処理の件で環境省さんと議論しますが、環境省さんは、あれから大分しっかりと、こういう災害のときはこうする、こういう災害のときはこうするといって瓦れき処理をされているということは、後からお聞きしますけれども。そういうところで国がしっかり関与して、例えば、海岸はどうする、海岸の復興をどうする、津波対策をどうする、仮設についても、この場合、私は、公じゃなくて恒久の恒の恒設住宅、こういうことを考えるためにも、国が主体となって復興に関わるという制度を平時に設けておく必要があると思いますが、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

堀井(学)副大臣 災害時の被災者向け住宅を仮設ではなく恒設として整備すべきではないかの問いにお答えをさせていただきます。

 災害救助法では、災害により住居が全壊等し、居住する住家がなくなった被災者の方々に対しまして、自宅の再建や災害公営住宅の整備がされるまでの間、一時的な住まいとして、応急仮設住宅の供与を支援しているところであります。この応急仮設住宅は、できる限り速やかに供与される必要があることから、建築基準法令の規定が適用されない応急仮設建築物として整備しているところであります。

 御指摘の被災者向け恒設住宅を整備することについては、応急的に必要な救助を行うという災害救助法の目的との整合性、応急的な住まいを迅速に確保する観点から、建設期間のコストの妥当性など、整理すべき課題が多いと考えております。

 一方、供与期間終了後の応急仮設住宅の取扱いについては、復旧復興の町づくりの観点も踏まえ、被災自治体において判断されるべきものと考えております。

 内閣府としましては、被災自治体とも連携の上、被災者のニーズに寄り添い、住まいの整備にしっかり対応してまいりたいと考えております。

土屋国務大臣 委員のいろいろな知見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 未曽有の大震災でありますから、経験したことのないことで右往左往の中でいろいろなことをした経験なんだろうと思います。その中で、十二年もたっていますから、これからやはり振り返ってそういう問題点を一つ一つしっかりとチェックして、今後、自治体との連携、そういうときにどうするかということもしっかり考えていく必要があるのかなと思いました。

 我々は復興庁でございますので、その知見を持っていますから、それを提供していくということが大事だと思っております。

市村委員 そうですね。ですから、この知見をしっかりと生かしていくということが大切だという思いでございます。本当にいろいろあります。

 それから、環境省さん、今日せっかく来ていただいていますので、瓦れき処理。

 当時、本部長代行として、瓦れき処理をどう考えるということで環境省さんにお問合せをしますと、翌日に持ってきた資料は、何と平時のごみ処理マニュアルだったんですね。これはどう考えているんですかということで大変申し上げたことがありますが、どうも大分改善されているということですので、どうぞ、お願いします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災前に環境省が策定しておりました震災廃棄物対策指針におきましては、津波被害を想定しておらず、また、関係者の役割分担は必ずしも明確ではございませんでした。

 こうした中、東日本大震災では、津波等により、質、量共にこれまで想定していなかった規模の災害廃棄物が発生し、必要な体制が迅速に構築できませんでした。こうした点において、事前の備えが十分ではなかったということが課題であったと考えております。

 こうした教訓を踏まえまして、平成二十七年の廃棄物処理法及び災害対策基本法の改正が行われたところですが、この改正では、災害廃棄物について、国、都道府県、市町村、民間事業者が連携協力して取り組む責務を有することの明確化、災害時の廃棄物処理施設の新設等に関する手続の簡素化、そして、大規模な災害が発生した際には環境大臣が処理指針を策定すること及び環境大臣による廃棄物処理の代行を可能にすることなど、災害廃棄物対策を強化するための制度整備が行われたところでございます。

 また、平成二十六年には災害廃棄物対策指針を策定をいたしまして、津波を含め地震災害等に対応した内容を盛り込み、関係者の具体的な役割分担や連携内容を記載するなど、地方公共団体の災害廃棄物対策に当たり、実用的な指針といたしました。

 また、その後も指針の改定等をしっかりと進めてきたところでございまして、引き続き、災害発生時に災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理が可能となるよう、平時からの備えにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

市村委員 もう時間がないので、最後に。

 先日、福島の相馬市の方と話をしたときに、その方は、いち早く被災地に戻って事業再開をして頑張っておられるという方だったんですけれども、その方いわく、先に戻って努力している人間にはほとんど何の支援も、国の支援は得られないということなんですね。後から、後からと言ってはいけないけれども、国の支援を使っていろいろ事業を起こされている方は、もちろん、そういう努力は大切なんだろうけれども、中には、はなから一、二年で、補助金だけ使ってもう終わりというような人も見受けられる、一方で、我々みたいにいち早く戻って努力している者には国の支援はないということに関してやはり非常に憤りを感じているということであって、是非とも、何か機会があったら、市村さん、ちゃんと国に伝えてくれ、こういう話でありました。

 大臣、大臣はいろいろ今被災地を回られているということであります。大臣の方は、各地のいろいろな状況も違うしということで、やはり各地で丁寧に話を聞くということを大臣はおっしゃっておられる、そう思っておられるということはお聞きしています。ですので、是非とも、そういう声もあるということも踏まえて、丁寧にまた大臣には被災地の声を聞いていただきたいと思いますが、最後によろしくお願いします、いかがでしょうか。

土屋国務大臣 まさにやはり被災地にしっかりと根を下ろしてやっていきたいという方たちの声を丁寧に聞いていくことが大事だと思いますので、その姿勢を持って、しっかりと声を聞きながら支援していきたいと思います。

市村委員 東日本大震災では、二万人の方が亡くなられ、また行方不明であります。そうした方の無念に報いるためにも、しっかりと知見、これまでの震災から得られる教訓を未来に生かしていかなければいけないと思いますので、また大臣、いろいろ御指導いただきたいと思います。

 そういうことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

高階委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 土屋大臣に初めて質問をいたします。

 先ほど来、大臣の所信に対する皆さんの質問の意見というか趣旨というか、同じことをみんな感じているんだなと思いましたし、同時に、大臣が非常に誠意を持ってお答えいただいているということは、とてもその気持ちは伝わってきたなと思っております。

 就任以降、福島、宮城、岩手を頻繁に訪問して、被災地の声を聞いてきたとおっしゃいました。ただ、復興大臣として被災地を訪ねるのは本当に敬意を表したいと思うんですが、被災地にしてみると、毎回違う大臣が初めましてとなると、それはどうなんでしょうかと、やはりどうしてもそれを言いたくなるんですね。

 改造のたびに復興大臣が替わるというのは、政府の復興に対する姿勢が問われるのではないか、やはり軽く見られている、そう思うんですが、大臣の受け止めを伺いたいと思います。

土屋国務大臣 これは、人事に関しては、私が言うまでもなく総理の専権事項でございますので、なかなか、私からそれ以上は言えない状況でございますけれども。

 私自身は、復興大臣に指名されたとき、先ほどもちょっと話しましたけれども、戸惑った部分もあったんです。ですけれども、待てよといろいろ考えてみますと、法律にも書かれているように、司令塔の機能であるということを考えますと、私も議員生活が非常に長くなっておりますので、いろいろな委員会にも所属しておりますし、いろいろな省との関係も築いてこられましたので、もしかして私に向いているのかなという気持ちは持ちました。

 そしてまた、地域を回って歩いて女性たちの声をしっかり聞いていきたいなというのが私の思いでございましたけれども、まだそんなに大勢の女性と話はしておりませんけれども、やはり災害があると、見えないけれども女性がバックで頑張っているというのは前から言われていることでございますので、そういう点も見ながらしっかりと活動していきたいなと思っております。

 どうぞよろしくお願いします。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 人事に対しては言えないんだというお話でしたけれども、その思いをしっかりと伝えて、やはり復興大臣というのは責任を持ってやるべきなんだということ、司令塔の役割を、正直、やはりちょっと、皆さんも指摘されたように、各省庁に遠慮しているというような事態がありまして、復興庁をつくるときに、ほかとは違うんだ、司令塔の役割なんだということを確認して、私もその場にいましたので、やはりそこを大いに発揮をしていただきたいと思うし、また、せっかく女性たちの声も生かしたいということをおっしゃいましたので、どうしても、大臣が来る、総理が来るというと、いいところを見せたくなるというのもありますから、そうじゃなくてリアルなところを話を聞きたい、そういうことで頑張っていただければいいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 資料の1を見てください。先ほど来議論になっておりますけれども、東電福島第一原発で十月二十五日に発生した増設ALPS配管洗浄作業における身体汚染の、これは時系列の表であります。ALPSの運転に伴い配管内にたまった炭酸塩を硝酸で溶かして洗浄するという作業だそうです。

 洗浄廃液を受入れタンクに注ぐホースが外れて、作業員がこれを浴びてしまったということで、資料の2にあるように、その作業員は五人、三次下請であります。三つの協力会社の社員であって、元請は東芝エネルギーシステムズ。計画線量が〇・六ミリシーベルトで、ガンマ〇・五ミリシーベルト、ベータ五ミリシーベルトのところを、APDが振り切ってアラームが鳴ったということでありました。

 山中原子力委員長は、今回の事態、事案を東電の実施計画違反とコメントしています。資料の二枚目にあるように、本来は、タイベックを二重に着て、その上にアノラックを着て、やはり撥水性がないといけないというべきところが、着ていなかったことが指摘されておりますが、実施計画上はどうなっていたのか。

 つまり、資料の3に五人の配置図があるんですけれども、これは、協力会社、X、Y、Zで分けて描いております。受入れタンクの前にいた作業員Aさんは、一時的にCさんと交代したということなんですね。それをちゃんと言わなかったのが悪いとかいうのもあるんですが、元々、交代云々にかかわらず、五人全員が着ているべきだったという理解でよいのか、そのほかには違反はないのか、お願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力が福島第一原子力発電所事故後に必要な作業を行うに当たっては、認可された実施計画に従って保安措置等を実施することが法律では義務づけられております。

 御指摘の事案については、五人の作業員のうち、身体汚染を受けた作業員が、本来作業手順に定められているアノラックの着用を行っていない状態で作業に従事していたことなど、東京電力が定めた手順に違反していたことが既に確認されていることから、実施計画に違反していると考えております。

 原子力規制委員会としては、今回の事案が発生した直後から、現地の検査官が中心となり、他に違反がなかったかという観点を含めまして、事案の発生経緯等について保安上の問題点の確認をしているところでございます。

 この検査の結果を受けて、実施計画違反の影響の程度や再発防止策の妥当性等について判断する予定でございます。

高橋(千)委員 今、手順違反だというところで、実施計画違反ではあるだろうと。ただ、ほかにもあるということについては詳細な審査の上でというお答えだったかと思います。

 それで、エネ庁に伺います。

 昨日、東電から、「増設ALPS配管洗浄作業における身体汚染発生を踏まえた対応について」が公表されました。当初、広報は五人全員が東芝傘下の同じ企業の社員だと認識していた、こう書いてあって驚きました。

 さらに、配付資料にはなかった工事担当者一人、今、五人の配置図を広げているんですが、このほかに工事担当者一人と放射線管理員二人が図の中に追加されていて、参考ということで、その五人の作業員とは別に、工事担当者、設計担当者、管理員二人、別現場にいた作業責任者の方の被曝線量も記されていて、身体の汚染付着がありませんので、大したことはないという資料なんですよね。

 ただ、そのうち四名は元請である東芝の社員であった。そのうち四名というのは、ここに描いている人以外の人は東芝の社員であったということが、昨日の資料を見て分かったわけです。そして、班長資格のない三次請のBさんに班長を代行させていた。ちょっとこれ自体、大変驚く中身だったわけですね。

 二十五日に事故発生して、最初の規制庁と東電の面談が三十一日、規制委員会で議論されたのは翌一日です。詳細な事故原因などがすぐに分からないのはやむを得ないと思っていましたが、当日その場にいた人の数が二週間以上たって初めて分かるというのはどういうことなんでしょうか。

 私が通告していたのは、本来、班長などが、その場にいなければならなかった人はほかにもいるんですよね、つまり、五人のほかにも、いなければならなかった人という質問を通告しておりました。実際は何人で、何人いなければならなかったのかということを、お分かりになったら、お答えください。

 それから、せっかくですので、この問題について、人の配置が全然最初の報告と違っていたということについて、山中委員長の感想を一言伺いたいと思います。

 先にエネ庁。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨日、東京電力が公表いたしました資料によりますと、今回の事案が発生した現場にいた人数ということでは、十名ということになります。

 広報の関係では、これまで身体汚染というところで事実関係を御説明してきたということでございまして、そういう意味で、これまで身体汚染の懸念があった作業員の方を中心に御説明をしてまいりました。

 昨日、東芝の方から正式な形で今回の事案についての結果の報告書が上がってきたということで、その中に含まれておりましたその他の工事担当者等の情報についても御説明をさせていただいているというふうに承知しております。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力の発表が、本事案につきまして二転三転しているということは承知しております。

 繰り返しになりますけれども、原子力規制委員会としては、今回の事案が発生した直後から、現地の検査官が中心となって状況を正確に把握するとともに、他に違反がなかったのかどうかという観点を含めまして、事案の発生の経緯、保安上の問題点の確認を現在行っているところでございます。

 この結果を受けまして、実施計画違反の影響の程度あるいは発生防止策の妥当性等について今後判断をする予定にしております。

高橋(千)委員 先ほどの十名という答弁は、正直、すごく驚くんですよね。五人しか図に載っていない理由が、線量評価の必要がある人ではないみたいなことを言っておりましたけれども、それもおかしいと思うんですよね。そもそも、東芝の社員だと思い込んでいたということ、班長資格のない人がやっていた。ここにあるCさんという方は現場を離れています。別エリアに移動しているから、汚染されていないんですよ。その理屈でいったら、ここにいた方は、東芝の社員であろうと、当然、図に載っていて報告されるべきではなかったか。これは曖昧にできないと思いますが、いかがですか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力の方で事案の内容について御説明をしている際に、それぞれ、東芝から幾つかの下請を介していますけれども、どういった下請の構造の中でこの事案が行われたかということも御説明をしてきたかと思います。

 実際に、現場の地図の形ではお示しはしておりませんけれども、こういったことが判明した都度、追加の情報という形で公表させていただいているというふうに承知しております。

高橋(千)委員 規制委員会が最初に聞き取りをしてから二週間たっているんですよ。線量評価の話はこの後しますけれども、それは難しいのは分かっています。でも、その場にいた人が何人かも二週間たたなきゃ分からない、それは分からないんじゃなくて、教えていないというだけの話ですよね。そういうことがやはり姿勢が問われる、このように思うんですね。

 それで、ちょっと時間の関係で一つ飛ばしますが、線量計が振り切れてアラームが鳴って、管理区域退出基準以下に除染しても落とせなかったというほどの汚染があったわけですけれども、まだ線量評価は完成していないという状態でありますけれども、これをきちっと求める理由、重要性について山中委員長に伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力は、福島第一原子力発電所事故の影響を受けまして、福島第一原子力発電所事故の敷地のほぼ全体を放射線管理の対象区域として指定した上で、規制委員会の認可を受けた実施計画に基づいて、放射線業務従事者の被曝を合理的に達成できる限り低くするよう、放射線防護の措置や作業管理を行うことになっております。

 また、事故トラブルの発生によって放射線業務従事者の全身に対する実効線量が五ミリシーベルト、又は皮膚に対する等価線量が年間五百ミリシーベルトを超える被曝があったときには、原子炉等規制法に基づき定めた規則等により、事業者が規制委員会にその旨を報告することを求めております。

 こうしたことを踏まえまして、東京電力は、汚染による被曝が生じた放射線業務従事者の被曝線量を評価する必要があり、規制委員会としてもこの状況の把握に努めているところでございます。

高橋(千)委員 今、法令報告に該当する基準かどうかというのを評価する必要があると。やはり全体が放射線管理区域であるからという御指摘があったのはとても大事なことだと思いますし、十一月一日の記者会見で山中委員長自身が、作業員の健康の問題というのは非常に重要ですので、実効線量の評価というのは重要なポイントの一つだとおっしゃっております。やはりそういう立場ではないのかなと思っています。

 今回の作業員のBさんという方が、この作業を前にもやったことがあって、今まで一度も飛散する、浴びるということがなかったから、アノラックを着なくてもいいと思ったと。つまり、三次下請なのに自分の経験で判断しちゃっているという、本当にこういう深刻な事態が起こっているんだなと思って、徹底していかなければならないと思うんですね。

 それで、私は八日の記者会見で山中委員長がおっしゃったことはとても大事だなと思うんですが、東電の社員が現場に出て、きちっと現場が分かった上で作業を進めてくださいということをお願いしていると答えていらっしゃいます。これは本当に、実際に元請の東芝ですらちゃんと把握していなくて、まして、そこに委託した東電自体は事のてんまつをほとんど分かっていないということなわけですよね。そして、こういうラインが無数にあるということでは、やはりもっと東電が現場に出なければいけない、そういう事態なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所における廃炉作業に当たっては、東京電力の社員自身が現場の状況をよく把握した上で作業を管理して進めることが重要であると考えております。この考えについては、私が現場を視察する際にも常々東京電力に伝えているところでございます。

 なお、今回の事案については、東京電力の作業管理の在り方も含め、発生要因など、現地の検査官が中心となって検査で確認をしているところであり、具体的な再発防止策の妥当性については、今後の検査の結果を通じて判断をしていくことになると考えております。

高橋(千)委員 一つ一つの事案については、再発防止ということで、大事には至らない、そういう判断かもしれないんですね。だけれども、それが無数に積み重なって、三十年、四十年、五十年とずっとこの作業をやっていかなきゃいけないんだということを考えたときに、やはり作業員もかなりの限界ですよね、タイベックを着てマスクを着けているだけでも私は本当につらいと、自分自身がF1に入ったときにそう思いましたけれども、その上にアノラックを着て作業しているわけですよ。

 こういうことを考えても、本当にこの作業を、モチベーションを続けていけるように東電がもっともっと責任を果たさなきゃいけないし、そのためには、やはり廃炉作業に集中すべきだと思うんです。

 申し訳なかったです、この質問は、吉田政務官にいらしていただいているんですが、時間が来てしまいましたので、要望にしたいと思うんですけれども。

 やはり規制委員会も、この東電の福島の事故を取り上げているその傍らで、また柏崎刈羽の原発の再審査の問題もやっているわけですよね。でも、同じ東電、やはりそこに集中する、それだけの人がもういるんじゃないんだ、再稼働を考えている場合じゃないんだということを私は今日は言いたかったということであります。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

高階委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 時間がないので、早速質問に入らせていただきます。

 資料の一番というのがありまして、ALPS処理水放出に反対表明した国ということで、中国、香港、マカオ、そして十月になってからロシア、南太平洋のソロモン諸島も、中国の影響を大きく受けてか、九月二十二日の国連総会の演説でこうしたことも言っております。

 私は、これまでの日本政府の働きの努力でこれだけにとどまっているというところは、その政府の努力に対して敬意を表したいというふうに思っております。

 ただ、一方、最近も私は地元の漁連の会長さんとも話をしましたけれども、地元の漁業関係者の皆さん方からは、中国政府に撤回を申し入れているだけで何にも動いていないんじゃないか、口だけで行動していないんじゃないかという不満の声も聞きます。そもそも、漁業関係者の皆さんはずっと処理水の放出に反対をしていて、これは国がやっていることだからと我慢している中で、自分たちの我慢に相当するだけの行動を本当に政府はしてくれているのかという不満の声があります。

 中国は八月三十一日にWTOに輸入禁止措置を行ったことを通報して、日本は九月四日にそれに対する反論書を提出しておりますが、関係者にはWTOの場で提訴などの毅然とした対応を期待する声が強いんですけれども、これまでWTOの場でどのような対応をしてきたのか、御説明をお願いします。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 中国などが科学的根拠に基づかない新たな措置を導入したことは、極めて遺憾であると思っております。我が国はこれまでもWTOにおいて、中国を含む各国の規制につきまして、早期の規制撤廃を一貫して強く働きかけてまいりました。具体的には、例えば、WTOのSPS委員会におきまして、規制の早期撤廃を求めております。

 今般、中国などがWTO・SPS協定に基づく通報を行ったことを受けまして、我が国はWTOに対して中国等の主張に反論する書面を提出いたしまして、これはWTOの全メンバーに回覧されております。また、SPS協定に基づき中国などに討議要請を行いましたほか、WTOの関連委員会におきましても日本の立場を説明しております。

福島委員 済みません、先輩、ありがとうございます。

 今おっしゃっているとおりなんですけれども、ただ、特に二番目におっしゃったSPS協定の附属書Bの六に基づく討議要請というのは、討議要請を出してもちゃんと相手が応じるか分からないんです。一応、義務的規定にはなっておりますけれども、何条かということが分かりません。

 そして、やはり中国の言い分というのはどこにあるかというのもきっちり見なければならないと思っておりまして、SPS協定では、加盟国は、衛生植物検疫措置を必要な限度においてのみ適用する、科学的な原則に基づいて取ること、十分な科学的根拠なしに維持しないことを確保するとなっているんですが、例外として、第五条7に規定する場合を除くとなっていて、この五条七項は、関連する科学的証拠が不十分な場合には、暫定的に衛生植物検疫措置を採用することができるとなっていて、これは予防原則と言われるものなんですね。恐らく、この神学論争をやっていると、永遠に私はWTOの場では解決できないか、非常に時間と手間もかかるというふうに思っております。

 九月八日にやったこの閉会中審査の場でも、外務省の政務官は、WTO協定に照らして問題がある場合、紛争解決手続、これを利用することは可能でございます、したがいまして、そういったこともしっかり念頭に置きながら、何が効果的か、こうした観点からしっかり検討を行いたいと言っておりまして、私は何を聞きたいかというと、やはり、WTO提訴に対する期待は強いんだけれども、しかし、なかなかWTOで我が方の要望が受け止められるということまではいかない、いろいろな問題があるんじゃないかと思うんですけれども、その点についての認識はいかがでしょうか。

深澤大臣政務官 お答え申し上げます。

 少し重なる部分がありますけれども、御答弁申し上げます。

 中国等が従来の輸入規制措置に加えて、同様に科学的根拠に基づかない新たな措置を導入したことは極めて遺憾でございます。今般、中国等がWTO・SPS協定に基づく通報を行ったことを受け、我が国はWTOに対して中国等の主張に反論する書面を提出し、全WTOメンバーに回覧をされております。また、SPS協定に基づき中国等に討議要請を行ったほか、WTOの関連委員会においても日本の立場を説明しているということでございます。

 今後の対応につき予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきますが、WTOその他の関連協定の枠組み等の下で、何が最も効果的かとの観点から、中国等の対応も見つつ、引き続き、様々な選択肢を不断に検討してまいります。

福島委員 ありがとうございます。

 前段は結構でございます。日本の立場はもう耳にたこができるほど聞いているので、大丈夫なんです。

 その他の協定に、一つ、RCEPがあると思うんですね。RCEPの五・十一条の2で、締約国は、緊急措置を採用する締約国との討議を要請することができると。この討議は要請しているんだと思うんですね、今。ただ、これも、先ほどのWTOと同じで期限がないんですね。

 もう一つ規定があって、RCEPに五・十四条2というのがあって、そこに、締約国は、衛生植物防疫措置の適用から生ずる特定の問題に関する懸念を解決するため、他の締約国と技術的協議を行うことが要請できるとなっていて、その3のところで、技術的協議を要請する場合は、その要請の受領から三十日以内に行われるものとすると、期限に定めがあります。しかも、その当該技術的協議は、その要請の日から百八十日以内に問題を解決することを目的とすべきであるというふうになっていて、これも使える規定じゃないかなと思うんですね。

 今日、今まさに日中首脳会談が行われていると思いますけれども、中国はCPTPPへの加入の意思を示しておりますが、このCPTPPは全加入国が認めなければ交渉入りすることができません。私は、少なくとも、総理が言うんだったらどぎつくても、外務大臣やその他の大臣が、この処理水の問題で科学的な根拠のあるきちんとした規制を行わないんだったら、そもそも、あなたたち、CPTPPに交渉入りする権利はありませんよと、そのメッセージを発することも大事だと思うんですね。

 ですから、そうした様々な手を尽くしてやるべきだと思うんですけれども、今の答弁と同じ答弁にならないように、もうちょっと、もう一歩踏み出した、RCEPでももうちょっと使える条文があるんです、CPTPPの交渉でもやれることがあるんです、そうしたあらゆる手を尽くすべきだと思うんですけれども、外務省の見解をお伺いしたいと思います。

深澤大臣政務官 お答え申し上げます。

 今の委員の御指摘いただきました同章第五の十四条、技術的協議に基づく技術的協議につきましては、二〇二二年十二月に日本産食品に対する輸入規制措置について同協議を要請しましたが、御指摘のとおり、中国側は現在まで何ら応じておりません。

 我が国としては、引き続き、こうした中国側の対応ぶりも踏まえ、様々な方法も検討しつつ、中国が協定の義務に従って要請に応じるよう求めていく、これが基本的スタンスでございます。

 なお、CPTPPへの加入要請については、締約国のコンセンサスにより対応することとなっておりまして、我が国として個別の評価をお答えすることは差し控えさせていただきますが、しかし、中国の貿易慣行に関してはこれまでも様々な意見がありまして、厳しい目が向けられている現状にあり、中国のこうした対応は国際社会の疑念を裏づけるものであるというふうに認識をしております。

 その上で、CPTPP締約国では、ハイスタンダードの維持を大前提として、加入要請エコノミーの貿易投資等に関する実績、コミットメントの遵守状況を考慮することについて一致をしております。

 以上です。

福島委員 それを官僚が作った東大話法というんですね。個別の論点を一般論に置き換えて答えないというやり方なんです。

 もう一つ、漁業関係の枠組みがあると思っております。資料の裏の二なんですけれども、中国船が捕ると自国産、日本船が捕ると禁輸へといって、サンマを北太平洋の同じ海域で、日本漁船が捕って日本の漁港に水揚げして中国に輸出するのは禁止されているけれども、同じ海域で中国の漁船が捕って中国で水揚げされればできると。一番最後を見ると、沖縄本島の沖でも同じようなことをやっているというんですね。

 私はこれは許すべきじゃないと思っているんですよ。日中間には日中漁業協定があるんですが、二〇一六年以降、日中間の関係が冷え込んで以降、中国との間の日本の排他的経済水域における漁獲に関する何らかの合意はありません。つまり、日本の排他的水域で操業している中国の漁船は全て違法の状態だと考えます。

 もう既に、令和四年で十九隻、令和五年で四十四隻の中国の漁船が漁業取締り船による退去警告などを受けているということなんですけれども、外国人漁業規則法第六条の二では立入検査とか様々な強い権限もありますから、私はこれは見せしめとは言わないけれども、放水しているらしいですよ、放水だけじゃ駄目ですよ、実際、立入検査で漁船にまで立ち入って、場合によっては拘束までして、それぐらいの強いことをやって、おまえらふざけるなという姿勢を見せることもできると思うんですけれども、農水省、もっと強い取締りをやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

武村副大臣 お答えを申し上げます。

 中国漁船を含む外国漁船の取締りに当たりましては、違反が頻発する海域、期間に重点的に漁業取締り船を派遣するなど、対応を強化をしてきております。日本海の大和堆周辺水域において違法操業を行う中国漁船に対しましても、放水を含む厳しい措置により我が国水域から退去させております。また、昨年十二月には、東シナ海の我が国の水域において、中国サンゴ船の船長を、漁業取締り船による立入検査を拒否した容疑で逮捕したところです。

 今後とも、中国漁船を含む外国漁船による違法操業に対しては、厳正に対応してまいります。

 以上です。

福島委員 ありがとうございます。

 もっともっとしっかりと厳しくやっていっていただきたいと思いますし、同じこの日中漁業協定では、尖閣諸島の周辺の暫定措置水域では、中国の漁船に対して日本は取り締まれないことになっております。だから、中国は、尖閣沖にちょろちょろちょろちょろ漁船が来ているんですね。

 いろいろ、日中韓、私、硬軟織り交ぜた対応が必要だと思いますけれども、そもそも、この日中漁業協定なんて廃棄しちゃおうということも一つなんです、メッセージとして。そうすれば、尖閣諸島沖で操業している中国漁船は、我が国の排他的経済水域なり領海であれば堂々と取り締まることができるようになるんですね。そうした硬軟両面の対応が私は必要だと思います。

 地元の水産関係の皆さんは本当に苦しい思いをしているんですよ。理不尽な思いをしているんですよ。それを我々は、政府は我慢するようにしながら放水をしたんですね。じゃ、あんた、我々の被害、こうした犠牲に対して何をやっているんだということが問われるんだと私は思います。

 言うだけ番長じゃ駄目なんですね。私、幾つか手段を示しましたから、そのどれか一つでもやっていただきたいと思うんです。口だけじゃなくて、今日も、あらゆる機会を通じて科学的根拠に基づかない輸入規制の撤廃を求めていくと、耳にたこができるほど言っているんですよ。そんなことを言ったぐらいで中国は変わるわけがないんです。

 総理と習近平さんの間で言うのが問題を起こすんだったら、逆にほかの大臣とか、あるいは与党のしかるべき立場の人とか、いろいろなルートでそうした強硬なメッセージをやることによってでしか、このことは私は動かせないと思うんですけれども、そうした行動を、なぜ今日政務をお呼びしたかというのは、官僚答弁を読んでほしくないからなんですね。政務官、是非、政治家としてそういうことを訴えていくべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

深澤大臣政務官 政務官として個別にお答えすることはなかなか難しいんですけれども、先ほど御指摘いただきましたように、先ほども日中の首脳会談が行われたと。この内容につきましてはまだつまびらかにされておりませんので、ここで御報告するわけにはいきませんけれども、ただ、内容に関しましてはそのようなことも含まれているだろうということで伺っておりますので、そういった場面を通じて、トップ同士で適切にしっかりとやられることと思っております。

 以上です。

福島委員 一回、一発相手を殴っておいた方がいいんですよ。それで首脳会談をやると初めて交渉が成り立つんですよ。

 そこで、やはり頼りになるのは復興大臣なんですね。復興大臣がどれだけ被災地の人に寄り添ってもらえる姿勢を示せるかで、地元で大きな被害を受けている人たちは多少は救われる部分があるわけでありまして、是非、土屋大臣にも、政府の中で役割分担をしてほしいんですよ。

 中国と仲よくする人も必要、でも、強く言う人も必要。強い措置を求めることもやはり私は復興大臣の役割だと思うんですけれども、そうした役割を果たしていただきたいんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

土屋国務大臣 今、答弁又は御質問の中でRCEPとかいろいろ話が出ていましたけれども、そこら辺の役割は、やはり外務省にしっかりとやってもらいたいなと思うところでございます。それで、それは手を抜かず、やはりずっとやり続けることが大事だと思いますし、また、外務省の中でも人間関係がいろいろあると思いますので、その辺を硬軟取り合わせてやってもらいたいなと思います。

 私の方の役割は、やはり地元との関係が非常に大事だと思います。そしてまた、世界に対しても、閣僚の間でしっかりとお互いに、外国へ行くチャンスがあったらちゃんと話し合う、そして頼むということが大事だと思いますけれども、今は日本に反対している国を増やさないこと、これも大事だと思いますので、その点を心して頑張っていきます。また、地元に本当にできるだけ体力の続く限り入ろうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

福島委員 真摯な答弁、ありがとうございます。

 かつて、言うだけ番長という言葉がありますけれども、言うだけ番長ではない具体的な行動を求めまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高階委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十分散会


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