衆議院

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第2号 令和4年11月10日(木曜日)

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令和四年十一月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 石川 昭政君 理事 石原 宏高君

   理事 細田 健一君 理事 宮澤 博行君

   理事 野間  健君 理事 山岸 一生君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      井林 辰憲君    石橋林太郎君

      泉田 裕彦君    今村 雅弘君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      小林 史明君    新谷 正義君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      土井  亨君    中村 裕之君

      長坂 康正君    深澤 陽一君

      藤原  崇君    堀井  学君

      堀内 詔子君    宗清 皇一君

      阿部 知子君    逢坂 誠二君

      菅  直人君    田嶋  要君

      伴野  豊君    米山 隆一君

      足立 康史君    一谷勇一郎君

      空本 誠喜君    中川 康洋君

      平林  晃君    浅野  哲君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         土居健太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          森下  泰君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     石橋林太郎君

  津島  淳君     藤原  崇君

  堀内 詔子君     小林 史明君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     青山 周平君

  小林 史明君     深澤 陽一君

  藤原  崇君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告いたします。

 第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。

 本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。山中原子力規制委員会委員長。

山中政府特別補佐人 本年九月二十六日付で原子力規制委員会委員長を拝命いたしました山中伸介でございます。

 私は、五年前、原子力規制委員会の委員に任命され、東京電力福島第一原子力発電所事故のような原子力災害を二度と起こさないとの決意の下に、原子力発電所の審査、検査制度の見直し、東京電力福島第一原子力発電所における廃炉作業に係る規制などに当たってきました。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓とに基づき設置された組織です。委員長が交代しても、福島を決して忘れないという強い思いを持ち続け、独立性、透明性を堅持し、厳正な原子力規制を遂行することが原子力規制委員会にとって重要であると考えております。規制に関する情報発信と対話、現場の設備や運用の実態、規制に携わる人材育成などに重きを置き、常に自らに問いかけ、変化を恐れることなく改善を続けることが重要であり、委員や規制庁職員とともに最善を尽くす覚悟であります。よろしくお願いいたします。

 それでは、衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。

 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ強化した規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。

 このうち、発電用原子炉については、令和三年九月十五日の中国電力島根原子力発電所二号炉に対するものを含め、これまで計十七基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質の加工施設、使用済燃料の再処理施設等に対して、これまで十一件の事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまで二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。

 発電用原子炉の運転期間延長については、これまで関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。

 発電用原子炉の廃止措置計画については、これまで計十八基に対して認可を行いました。このほか、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計九件に対しても廃止措置計画の認可を行いました。

 また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、令和二年四月から原子力規制検査制度の運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っております。

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用事案及び核物質防護設備の機能の一部喪失事案については、昨年九月に東京電力から改善措置報告書が提出されたことから、昨年十月に追加検査の計画を決定し、検査を開始しております。その後、本年四月に追加検査の中間取りまとめを行い、東京電力に対応を求める事項を明らかにするとともに、本年九月に東京電力の改善措置活動を評価するための確認方針を策定し、東京電力による改善措置の効果が発揮され、重大な問題を繰り返さないための対策が実施されているかどうか等について確認を行っているところです。引き続き追加検査を進め、核物質防護への取組を監視、指導してまいります。

 原子力規制検査については、核物質防護に係る検査を原子力規制庁本庁の専門部門に加え現地の原子力規制事務所の検査官も行うこととするなど、継続的な改善にも取り組んでおります。引き続き、事業者等とのコミュニケーションを図りつつ、検査制度の改善に努めてまいります。

 また、これ以外にも、原子力施設等で事故トラブルが発生した場合には、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対応してまいります。

 以上のとおり、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。

 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、標準応答スペクトルの規制への取り入れ等に係る改正を行い、継続的に改善を行っております。

 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から、安全かつ着実な廃炉作業が進むよう、積極的な監視、指導を行うとともに、関係省庁等と連携し、環境放射線モニタリングの実施とその結果の公表を行っております。

 昨年四月十三日に政府方針が決定された多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水の海洋放出については、昨年十二月二十一日に東京電力から実施計画の変更認可が申請され、公開の審査会合において厳正に審査を行い、審査結果をまとめた審査書案に対するパブリックコメントを経て、七月に審査書を決定し、実施計画の変更を認可いたしました。本年三月二十一日から二十五日には国際原子力機関、IAEAによるALPS処理水の取扱いに関する規制レビューを受け入れ、審査等の客観性及び透明性を高める取組を進めてまいりました。本年四月には、関係省庁等と連携し、海洋放出が行われる前の海域の状況を把握するためのモニタリングを開始いたしました。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故調査につきましては、昨年三月の中間的な取りまとめを踏まえ、放射性物質等の放出又は漏えい経路、原子炉建屋における水素爆発等についての検討を重ねており、今後、これまでに得られた知見と規制との関係を精査するとともに、調査、分析を継続してまいります。

 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。

 原子力規制委員会では、七月六日に防災業務関係者の放射線防護対策の充実等を内容とする原子力災害対策指針の一部改正を決定するなど、原子力災害対策指針の継続的な改定を進めています。また、基幹高度被ばく医療支援センターの機能強化など原子力災害時における医療体制の着実な整備を進める等、原子力災害対策の充実を図っております。

 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及び関係道府県への技術的支援等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。

 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を継続してIAEAより得ております。

 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。

 原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえて、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

鈴木委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、環境省環境再生・資源循環局長土居健太郎君、原子力規制庁次長金子修一君、原子力規制庁長官官房審議官森下泰君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村でございます。

 質問の機会をいただいたことに感謝申し上げながら、早速質問に入っていきたいと思います。

 初めに、高レベル放射性廃棄物処分場についてでございます。

 私の地元の二つの自治体が、今、文献調査に手を挙げ、その調査を進行しているところであります。道内の報道を見ますと、自然豊かな北海道にそうした施設を持ち込んでいいのかというような論調が非常に高いわけでありますけれども、地元自治体はそれを推進しようということで、日本の国に、各自治体に一石を投じるという意味もあって手を挙げている部分もあるわけでありますが、決断した両首長はその後の選挙で勝利をして、私も勝利をしてこの場にいるわけでありますけれども、これからどうこの後の調査に臨んでいけるかいけないかというところに今来ているところであります。

 言うまでもなく、高レベル放射性廃棄物の最終処分場については、トイレのないマンションという日本の現状を解消し、そして核燃料サイクルを完成させる意味で日本にどうしても必要な施設でありますから、これを進める必要があると私は思っていますけれども、その中で地元住民にとっても悩ましい課題が一つございます。

 それは、北海道条例に核抜き条例という条例があるところであります。調査に手を挙げること自体が条例に違反しているのではないか、また、調査自体がこの条例がある以上無意味な調査に終わってしまうことはないのかという迷いが実際に地元にもございます。

 そこで、北海道条例、この核抜き条例を見てみますと、処分方法が十分確立されておらず、処分方法の試験研究を進める必要があるということから、特定放射性廃棄物の持込みは受け入れ難いとしている条例になっているわけです。

 この処分方法の確立ということが一つのキーワードになるわけでありますけれども、高レベル放射性廃棄物の処分方法の試験研究はどの程度進んでいるのでしょうか。仮に二つの自治体の調査が継続された場合、文献調査を終了し、概要調査や精密調査の期間を勘案すると今後二十年程度の調査期間を要することになりますけれども、その期間に最終処分を実現できるだけの処分技術は確立できるんでしょうか。この疑問に答えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 高レベル放射性廃棄物の処分技術についてのお尋ねでございますが、まず、一九九九年に当時の核燃料サイクル開発機構が取りまとめました地層処分に関する報告書によりますと、日本においては地層処分が技術的に実施可能であるということが国内外の専門家によって確認されたところであります。

 その上で、国、NUMO、JAEA等で連携をして、地層処分事業を安全かつ合理的に実施していくために、有識者の意見も踏まえて、地層処分に関する研究開発の見通しを盛り込んだ、地層処分研究開発に関する全体計画を策定しているところであります。

 この計画に基づいて、北海道に所在する幌延深地層研究センター等を活用しまして、オーバーパックと呼ばれるガラス固化体を封入する金属製の容器の性能確認試験や、地下水を通じた放射性物質の移行に関するシミュレーション技術の開発などを進めているところであります。

 処分場ができるまでは、こうした処分技術の信頼性の更なる向上を目指して、調査、技術開発に継続して取り組んでいくことが重要と考えておりまして、引き続いて計画的かつ効率的に進められるように努めてまいります。

 加えて、スウェーデンやフィンランドなど、最終処分の取組が進んでいる国の処分機関とNUMOとの研究開発協力などについても、これを強力に進めまして、地層処分の技術開発をより前進させてまいります。

 こうした取組を通じまして、信頼性の高い技術基盤の整備を進めまして、処分地選定に係る調査期間中には着実に地層処分を実現できる技術を確立してまいりたいと考えております。

中村(裕)委員 太田副大臣から、確実に確立をしていくという答弁がございました。少しほっとしておりますけれども、着実に進めていただければと思います。

 太田副大臣、お忙しければ退席をしていただいて結構です。もし議論に関心があれば残っていただいて。

 さて、今議論されている原発の運転期間についてであります。

 原発の運転期間については、原子炉等規制法に規定をされているわけでありますけれども、現在は、経済産業省は利用の観点から、そして規制委員会は高経年化した原子炉の安全規制について、それぞれ議論をしていると承知しております。この議論のきっかけになったのは令和二年七月に規制委員会が発出した見解であったというふうに私は理解をしておりますが、この運転期間の見直し、延長については国民の中にも不安を感じている方がいらっしゃると承知しております。

 令和二年七月に規制委員会が発出した見解の文書は極めて難解でありまして、なかなかこれは国民の皆さんにすとんと落ちる中身ではないのではないかなというふうに私は感じています。この令和二年七月の規制委員会が発出した見解についてやはり国民の皆様に分かりやすく御説明をするべきであると思いますし、これに基づいて議論している経緯についても国民の皆様に委員長から分かりやすく説明をいただきたいと思いますが、お願いいたします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、かねてから、運転期間の在り方について意見を述べる立場にないということを表明してまいりました。

 運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解は、事業者側から運転期間延長認可の審査に関し一定の期間を運転期間から除外してはどうかとの提案がなされたことに端を発し、原子力事業者との間で科学的、技術的な意見交換も行い、原子力規制委員会で議論を行い、まとめたものでございます。

 この見解では、原子力規制委員会の役割は、科学的、技術的な観点から基準を定め、個々のプラントがその基準に適合しているか否かを審査し、検査を通じた監視等を行うことに尽きますので、運転期間を四十年とする定めは、原子力規制委員会の立場から見ますと、基準適合性の評価を行うタイミングを特定する意味を持つものであると認識しております。

 その上で、劣化の進展については個別に科学的、技術的に評価を行うことができ、四十年という期間は唯一の評価を行う選択肢ではなく、現行制度における運転開始から四十年という期間そのものは発電用原子炉施設の運転期間について立法政策として定められたものであるとしています。

 すなわち、発電用原子炉施設の利用をどれぐらいの期間認めるかについては、原子力利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとの見解を原子力規制委員会で決定いたしました。

中村(裕)委員 運転期間については利用の観点から判断をするべきものだ、規制委員会としては技術的、科学的見地からきちんと審査をしていく、そういう役割分担であろうと思います。

 十一月二日の規制委員会では、高経年化した発電用原子炉の規制の在り方について素案が示されたと承知をしております。この案について山中委員長は、現行制度よりもはるかに厳しい制度であると説明をしたところであります。

 利用政策側が進める運転期間の延長の議論は、あくまでも規制当局による厳格な安全確認があってこそ成り立つものでありますから、規制委員会の審査というのは非常に大きな役割を持つわけでありますけれども、運転期間の安全確認を確保するための規制を原子炉等規制法において確立すべきではないでしょうか。そのことについての見解をまずは伺いたいと思います。また、その際、どのような問題意識を持ち、どのような規制強化を考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 高経年化した発電用原子炉に関する安全規制は、現在、二つの制度から成り立っております。

 一つは、二〇〇三年に導入された高経年化技術評価制度というものでございます。これは、運転開始後三十年とそれ以降の十年ごとに、経年劣化に関する技術的な評価結果や、その評価結果を踏まえた長期の施設管理方針が災害の防止上支障がないことを審査し認可する制度です。具体的には、事業者が原子炉施設を安全に運転、管理するために定める保安規定を審査するもので、ソフト面の規制であると言えます。

 もう一つは、二〇一二年の原子炉等規制法の改正により導入された運転期間延長認可制度というものでございます。これは、運転開始後四十年目の劣化状態の点検結果、劣化状況に関する評価結果や、これを踏まえました施設管理の方針から施設の基準適合性を審査し認可した場合に運転期間を最大二十年延長できる制度でございまして、ハード面の規制であると言えます。

 この度、十一月二日の第四十八回原子力規制委員会において原子力規制庁から、両制度を統合して、運転開始後三十年を超えて運転するタイミングで、また、以降十年を超えない期間ごとに先ほど申し上げたソフト、ハード両面から審査し認可する制度とする案の説明があったところでございます。

 原子力規制委員会の委員の間の討議では、引き続き詰めるべき点はあるものの、特段の異論は出なかったものと認識しております。原子力規制委員会としては、厳格な規制制度の成案が得られるよう、今後しっかりと議論、検討をしてまいりたいと思います。

中村(裕)委員 二〇〇三年のソフトの規制と二〇一二年のハードの規制、両面からこれを行っていくということで、この審査の信頼性が高ければ運転が認められる、そのことについても国民の皆さんの理解も得やすいのではないかと思っています。

 私は、規制委員会の取り組んでいる仕事というのは、もちろん法に基づいていますし、正しいことをやっているということは認識しておりますが、しかし、今の社会の要請というのは必ずしも規制委員会の行っていることを是としているとは思えない、そういうところがあります。

 現在、化石燃料を七八%たいて発電している。世界がエジプトに集まって、CO2、温暖化効果ガスを削減して一・五度まで下げようというときに、我が国はCO2を排出しない原子力を止めて、七八%の化石燃料をたいて発電している。そして、ウクライナに対するロシアの侵略もあり、エネルギー価格が高騰し、国民の皆さんは高い電気料金に悲鳴を上げている。また、国富の流出も止まらないということであります。加えて、私の地元の電源立地地域は経済的にも非常に疲弊をしていて、最も国のエネルギー政策に理解し協力してきたその地域が原子力発電所が止まっていることによって疲弊をしていて、周辺の町から比べて明らかにシャッター街が増えて厳しい状況にあるわけです。

 そうしたことを考えると、正しいことはやっているけれども、しかし、社会全体の社会益とか地球益を考えたときに、果たしてこのことを解消するすべはないのかということを私は思うわけです。

 それは、第一にやはり審査の迅速性だと思います。十一年半たって、まだまだ審査が必要で再稼働できない原子力発電所がこれだけ残っているというのは、やはり規制委員会としても反省をしていただく必要があると思いますし、私の地元の泊発電所においても、活断層があるかないかということについて、一度はないというふうに認めかかったものを振出しに戻して再度調査するというような、二度手間、ゴールポストを先に延ばすというようなことも行われました。本当に遺憾だなというふうに思っています。

 しかし、私は、福島第一発電所の悲劇を見ると、我々の責任は決して過酷事故を起こさないことだというふうにも決意しているところでありますが、一番の原因は安全神話だったんですよ。やはり、原子力発電所にはリスクがあるんだ、しかし、そのリスクは専門家がしっかりコントロールできるものなんだということを国民の皆さんにも理解いただいて。

 CO2排出は専門家がしっかり取り組んでも抑制できないんですよ。だから、出ないお化けを怖がってどんどんどんどん環境を悪くしているというふうにしか私には思えないわけです。そういうようなことを考えたときに、重要なことは、規制委員会の哲学を見直すべきだなと思いますが、まずは体制を整えて、審査の迅速性を図ることが重要だと思っています。

 私は平成二十八年の本委員会でこの体制について田中委員長に質問をしたんですが、当時、委員長は、職員が高齢化し定年退職者も増加しているというふうに危機感を述べておりました。その後、どのような対策を取って、どのような成果があったのか、お伺いしたいと思います。まだまだ審査は続きますし、福島第一発電所の廃炉作業の監視なども含めると本当に大変な仕事がたくさんある中でこの審査というのは急いでもらわなきゃならない、その審査体制を大幅に拡充していく必要があると考えていますけれども、どのように対応していかれるのか、お伺いします。

金子政府参考人 御指摘をいただきました審査体制の充実につきましては、原子力規制委員会として様々な取組をこれまで重ねております。具体的には、例えば、審査の即戦力となります経験者を積極的に中途採用で採用させていただくこと、また、科学的、技術的に知見を蓄積した職員が継続的に勤務していただけるように、六十三歳あるいは六十五歳まで定年を延長して勤務が可能となるような特例定年制度というのも設けさせていただいております。

 さらに、職員の能力向上によって対応が強化されるようにということで、平成二十九年度より任用資格制度を導入し、これに対応した教育訓練を実施しております。原子力施設の審査に係る資格につきましては、制度発足当初には約百六十名の職員が資格を取得しているにすぎませんでしたが、現在は約二百八十名が資格を保有しているということで、母集団も拡大しております。

 こうした努力を重ねて審査官を確保しつつ、審査の進捗に応じて適切に配置してまいりたいと考えております。

 その上で、審査の長期化について御指摘をいただきました。長期化しているプラントについては、地点ごとに置かれた状況が異なるいわゆる自然ハザードの評価におきまして事業者による立証に時間を要しており、その内容については事業者との間で納得のいくまで議論をすることが大事であるというふうに考えております。

 規制委員会は安全確保が大前提でございますが、引き続き、審査体制を的確に構築して、審査プロセスの改善にも努めてまいりたいと考えております。

中村(裕)委員 審査の体制強化とともに審査の迅速性を強く求めて、時間になりましたので、質問を終わります。

 ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、石川昭政君。

石川(昭)委員 自由民主党の石川昭政です。

 山中委員長、初めてこうして委員会で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 震災があって、国会事故調の提言に基づきまして原子力問題調査特別委員会が設置をされました。私はそこにこの十年所属いたしまして、初代の田中委員長、それから更田委員長、そして今回、山中委員長ということで、三代の委員長にこういう原子力問題について、規制の問題について質問し、改善を求めてまいりました。私自身、自分自身の力不足もあったかと思いますけれども、なかなか思うように、審査の改善、規制のあるべき姿というものをなかなか規制庁、規制委員会の皆様と共有できなかったという反省もここにあり、今回、山中委員長が新しく御就任されまして、大変期待をしているところでございます。

 そこで、この十年間を振り返りましてどうだったかという、やはり一定の総括というか反省は必要かなと思っております。後ほど委員長にはお伺いしたいと思いますが、委員から含めると五年、六年目になりましょうかね、経過したところだと思いますので、これまでの田中委員長、更田委員長の規制に対する姿勢、それを踏まえて山中委員長はどのように今後この規制を導いていくというか、先ほどの御挨拶の中でも、改革する、前進していくという趣旨の御挨拶があったかと思いますけれども、私はそこの部分は非常に重要だと思っております。

 先ほど中村委員の質疑の中にありましたけれども、原子力を取り巻く状況は当時とまたこの十年たって異なってまいりました。それにどのように規制庁は対応していくのか、この基本姿勢は極めて重要だと感じています。

 ちょっとつけ加えて申し上げますと、私たちが、規制とそれから被規制者、原子力事業者のやり取りを横から見ていますと、やはり先生と生徒のような立場で、何か生徒が思うように自由に発言できないような、そういう関係性だっただろうなと思います。

 具体的に申し上げると、やはり規制というのは、お互いに、あるべき方向に向かって、規制の方も推進側の方もいろいろな手段を使って目標に向かっていくことだと考えておりますけれども、原子力事業者の側から、こういうすばらしい機器ができたので、これを取り入れればもっと効率よく、また安全性が高まるような、そういう機器ができるので、それを規制に取り入れられないかというような提案が、この十年間、目ぼしいものがないわけですね。それは取りも直さずやはり規制と被規制の関係を表しているものでありまして、お互い競い合うように安全性に向かって進んでいくという、そういう協調関係というものがちょっと欠けていたのではないかな、こんなふうに考えております。

 これまでの歩みを振り返って、山中委員長はどのように取り組んでいくかという基本姿勢をお伺いできればと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓に基づき設置されました。原子力規制委員会発足以来、田中、更田両委員長の下で、福島を決して忘れないという強い思いを持ち続け、独立性、透明性を堅持し、厳正な規制を遂行してきたこと、これは私も変わらず引き継いでまいります。

 その中で、御指摘のような原子力規制委員会と事業者との健全な議論は、原子力施設の安全性向上のために重要な要素であると考えております。私は、原子力規制委員会が今後重点的に取り組むべき項目の一つに、事業者も含めた関係者との対話を考えております。原子力規制委員会の討議においても、その共通認識が得られたところです。今後、事業者も含めた幅広い関係者との対話に積極的に取り組んでまいります。

石川(昭)委員 是非そういう姿勢で規制に臨んでいただきたいと思います。

 それで、これまで二人の委員長がしいてきた規制の路線を急に変えるというのはなかなか難しいと思いますけれども、やはり少しずつ改善の方向に向かう必要があるかと思います。

 例えば、最近の原子力事業者の声からすれば、やはり特重の問題というのは大きな問題だと思っています。これは、原子炉本体の施設工事の認可から五年ということが今のルールになっていると思います。それ以前には、新規制基準、バックフィットルールができてから五年ということで、一旦は見直して、本体工事の工認から五年ということで、これは事業者の声を聞いた結果、後ろに動かしたということを一度やっていただいたわけですけれども、これがかなりの難工事であるということがだんだんと判明をしてまいりました。

 それで、私もいろいろ調べてみますと、特重施設の申請それから認可、それから工事認可と進むわけですけれども、この期間がかなり、その五年の中で、一年、長いものでは一年半、二年三か月、高浜三、四号、このぐらいかかっているわけですね。そうしますと、そこから工事に取りかかると二年弱で完成しなければならないというような、時間的な制約が極めて厳しい状況になっているというふうに承知をしています。

 私の考えを申し上げると、やはり原子炉本体の工認から五年ではなくて、特重の工認から五年というふうにカウントすることによって、審査にも十分時間をかけられますし、お互いに納得の下で工事が進められるんじゃないかな、このように考えているわけですけれども、山中委員長の今の考えについて、また、今のルール変更その他についてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 特定重大事故等対処施設につきましては、その位置づけが信頼性向上のためのバックアップ施設でございます。その設置の有無が直ちに安全性に影響を与えるものでないため、当初は、新規制基準施行後五年の経過措置期間を設けました。

 しかしながら、この経過措置について、事業者からの意見を聴取した上で、新規制基準適合性審査において、本体施設の詳細設計が固まった上でなければ審査することが困難であること、また、新規制基準適合性審査が当初の見込みより長期化していること等の事情を踏まえまして、経過措置の起点を変更いたしました。本体施設の設工認、設計及び工事の計画の認可後五年と見直しをいたしました。これは議員の御指摘のとおりでございます。

 また、議員から御指摘がありましたように、仮に経過措置期間を特定重大事故等対処施設の設計及び工事の計画の認可後五年へと見直すこととした場合には、事業者にとって、特定重大事故等対処施設を早期に完成させるというインセンティブが失われてしまうことを懸念しております。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の最も重要な反省の一つは、継続的な改善が欠けていたということでございます。その約束した改善が果たせないような事態は避けるべきであると考えております。

石川(昭)委員 確かに、当初の見込みでは五年でいけると事業者の方も言っておったわけですけれども、様々な外的な状況の変化によってなかなかそれが実行できなかった。また、委員長がおっしゃったように、自らの改善を怠るのではないか、そういう心配をお持ちだというふうにおっしゃっておりますけれども、事業者の姿勢を見ていて、私はそうは思わないんですね。それぞれ皆さん、本当に真摯に規制に対して、一日も早く実現しようという努力は怠っていないと私は思っております。そこはやはり、委員長、そういうところを見てほしいんですね。事業者の本当に苦労している、実現しようと思っているけれどもできない。だから、事業者の方から見直してほしいという声が上がっているわけですから、そこはやはりもう少し聞く力を発揮していただきたいと思っております。

 すぐには難しい変更かと思いますけれども、委員長がおっしゃるように、特重がないことによって、じゃ、リスクがどれだけ上がるのか。ほとんど変わらないということを委員長自身もおっしゃっているわけですし、そこはもう少し代替のプランを考えるとか、柔軟に発想を変えるということも私は委員長に期待したいところでございます。

 次に、ノーリターンルールについてお伺いしたいと思います。

 御案内のとおり、規制庁が発足してから、規制と推進は分離するという理屈の下で、人事は行ったきりでもう帰れないということをルール化しているわけでございます。それによってどういうことが起きているかというと、一旦規制庁に足を踏み入れると自分のキャリアを生かした次のステップになかなか進めない。ということは、単線キャリアで先がない、終着駅まで行くしかない、こういう人事システムに陥ってしまっているというわけです。

 当初はそれでも推進と規制を変えるという意義があったと思いますけれども、今は、御案内のとおり、大学の原子力工学部とか工学科というものがどんどん姿を消し、学生の志願者数も減っている、そしてまた日本全体の人口も減少していくという中で、これだけの原子力に関わる人材、とりわけ規制に関わる人材を維持していくというのは極めて先行きは難しいと私は思っています。委員長はどういうふうにお考えなのか、ちょっとその辺も加えてお聞きしたいんですけれども。

 それに加えまして、規制と推進、どちらにとっても人材確保というのは重要であり、大きなテーマでございますので、私は、原子力を、運転とかメンテナンスとか規制するとか、そういう実践を学べるような教育機関、大学校、職業訓練校のようなものがやはり日本に必要ではないかなというふうに思いますが、これに対して委員長のお考えを是非お伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力安全規制に必要な知見、経験を有し、規制行政の遂行能力が高い人材を確保することは、議員が御指摘いただきましたように、極めて重要であると考えております。

 現在、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織にそのような人材が多く存在するというよりは、民間企業等での経験者を積極的に採用することが効果的であると認識しております。したがいまして、ノーリターンルールの存在が人材確保の大きな妨げになっているとは考えておりません。

 一方、御指摘、御提案のありましたように、原子力の利用と規制を問わず、原子力分野における人材の確保というのは極めて重要な問題でございます。御提案の、課題に対処するための一つのアイデアとして、議員が御提案されたようなアイデアは非常に貴重かと思います。より多くの人材を必要とする利用側においてこうしたアイデアが具体化されれば、規制委員会としても協力してまいりたいと考えております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 あらゆる分野で人材確保というのは極めて重要でありますし、これは委員長の仕事だと思うんですよ。これだけ魅力的な仕事だよということを若い方々に示さなきゃならないんですね。

 ところが、今の状況ですと、とても、規制庁に踏み入れよう、足を踏み入れてみたいというような学生さん、若い人たちがどれだけいるのか。今は中途採用で確かに採れるかもしれませんけれども、それは原子力事業者が今仕事が止まっているから採れるわけであって、これから全国各地の原子炉が動いていくと人材の取り合い競争になりますから、いずれ枯渇します。

 今、人材キャリアの民間のサイトを見ますと、規制庁の募集がたくさん出ていますよね。今は来ているかもしれませんけれども、こういうことが恐らく今後難しくなっていくんじゃないかなと私は今から懸念していますので、これはちょっと警告しておきます。

 次に、安全目標の設定についてお伺いします。

 私は、田中委員長にも更田委員長にも、安全目標をお互い示し合って、この安全目標に向かって事業者も規制庁もリスク情報を活用しながら規制を行うべきだということを何遍も求めてきたわけですけれども、そういうリスク情報を活用するようなやり方はしないんだ、何か懸念があれば審査の過程であってもちゃぶ台返しをして、もう一回、一からやり直すんだということを明言をされているわけですよね。なかなか、予見性のない、効率的な審査になっていない。

 なぜこういうことになっているかというと、やはり検査官、審査官も二年か三年ごとに人事異動をするわけですよね。そうすると、それまで蓄積してきた審査の過程が、違う方に替わって考え方が変わっていくとまたやり直しということが、間々、引き継がれていかないというような、こういう問題があるわけなんですね。

 なので、私は、やはりこのリスク情報、スリーマイル事故以降、アメリカはそれを活用しながら、リスク情報に基づいた規制というものをやって今うまく回っている、そんなことを聞いておりますが、この安全目標というのをなぜ取り入れないのか、日本の規制にですね。それについて山中委員長はどうお考えなのか、考えをお伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 安全目標については、リスクは決してゼロにはならない、絶対安全はないという認識の下で、残されたリスクを小さくする、安全性向上に向けた継続的な改善を行うための目標として活用するべきものであるというふうに考えております。

石川(昭)委員 いや、それは分かるんですが、なぜそれを日本の規制で取り入れてやっていかないのかという、そこの部分をお聞きしたいんです。

山中政府特別補佐人 安全目標につきましては、原子力規制委員会において、旧原子力安全委員会で検討がなされた、炉心損傷頻度について一万炉年に一回、格納容器機能喪失頻度について十万炉年に一回といった目標を基礎として議論を重ねてきました。これは規制基準ではなく、規制を進めていく上で目指す目標であると原子力規制委員会は位置づけております。

石川(昭)委員 炉心損傷頻度とか、性能目標に近いことを今持ち出しながら御説明をされましたけれども、私は、そうではなくて、なぜこれが必要かと感じるのは、裁判のときに、各地で裁判、訴訟が起きますけれども、そのときに裁判官が、これは差止めだ、いや、これは合法だというふうに判断する際に、やはり客観的なエビデンスとして、これだけ対策工事は行ったからこれだけリスクが下がりましたよ、安全目標に対してこれだけ前進しましたよということが数値で分かることによってその裁判官の印象、心証、判決も変わると思いますし、国民に対しても、あっ、これだけリスクが下がったんだということが明示的に分かるから、是非取り入れられないかということを申し上げたかったわけでございます。

 最後に一問残りましたけれども、また別の機会にさせていただきまして、また今後ともいろいろな議論をさせていただきたいと思います。

 本日は、誠にありがとうございました。

鈴木委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 先ほど自民党の中村先生、石川先生の御質問でも、様々、今の規制庁の規制の見直しの議論もございました。少し重複する部分もございますが、私からも改めて質問もさせていただきます。

 山中委員長、交代されて初めての質疑ということで、どうかよろしくお願い申し上げます。

 私も、原子力問題調査特別委員会、田中委員長、更田委員長のときも所属をさせていただきましたので、様々な意見を闘わせてまいりました。

 しかし、やはり東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてできたのがまさに原子力規制委員会ということでありますけれども、何といっても原子力の規制の行政の信頼を回復をしないといけない、それが大変大きな使命だというふうに思っております。利用と規制を分離しないといけないという、非常に大きな、今までの在り方をやはり変えないと、事故を受けて、原子力の規制というものの国民からの信頼というのが回復をしないんじゃないか、こういう問題意識の下につくられた組織であるというふうに思っておりますので、また山中委員長の新体制におきましても、やはり改めて、原子力規制行政に対してしっかり国民の信頼を回復をしていくんだ、それがなければ原子力行政そのものが成り立っていかないんだ、こういうところを是非、改めてその思いで取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 冒頭、初めての質問ということでございますので、山中委員長の思いと、また、今後新しい体制でどういう点に具体的に力を入れていきたいかも含めて、私からも改めてお伺いをしたいというふうに思います。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓に基づき設置された機関でございます。

 旧組織の反省に立って、何物にもとらわれず、科学的、技術的な見地から独立して意思決定を行うべく、審査会合等の公開等、透明性の確保、関係者との規制に係る意見交換、透明で開かれた組織運営に努めてまいりました。

 引き続き、安全に妥協することなく規制判断を重ねていくことが信頼の回復につながるものであると考えております。

 私は、原子力規制委員会委員長として、原子力規制委員会の組織理念にのっとりまして、今後、情報発信と対話、現場重視の規制、原子力規制に関する人材育成、国際機関による外部評価、継続的な改善の五点、これに重点を置いて取り組んでまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 透明性の確保というお話もしていただきました。また、情報発信と対話というお話もしていただきました。やはり委員長がどういう思いでどういう発信をされるかというのは非常に大事だと思います。是非分かりやすい、ともすればかなり専門的な分野でもございますので、やはり国民に分かりやすく届くような言葉で是非いろいろな情報発信もしていただきたいと思っております。

 続いて、電気料金の問題を経済産業省にちょっと一問確認をしたいと思います。

 一昨日、補正予算の概算の決定も行われまして、電気代への支援というのも今具体化が進んでおります。一キロワットアワー当たり、家庭ですと七円ということで制度設計がされております。

 当初、電気料金はずっと値上がりをしている、そしてまた、当然、自由料金で上がっていっている部分もあれば、燃料費の調整制度で上がっている部分もあれば、規制料金そのものもやはり上げていかないと経営自体が成り立たないのではないかというふうな、各社、大変赤字になっている中ですので、そういう動きがあることは十分理解はするんですけれども、様々な値上げをなるべくカバーできるようにというふうな予算を準備をしていただいているというふうに理解をしております。

 今、政府として、この春、具体的に規制料金の値上げがどの程度出てくるかというのはまだ全部見通せない部分は当然あろうかと思いますけれども、今後の電気料金の上昇の見込みがどうなっているか、政府がどう思っているかというところが一つ。

 もう一つは、今回こういう支援があるということでありまして、それがあるから安易に値上げができるということであってもやはりこれは本末転倒でございますので、料金審査は料金審査で、もし上がってくればこれはしっかり厳格に是非やっていただきたい。その上で、やはり国民負担の軽減ということでこういう予算をやっていくということでございますので、しっかりそういう姿勢で臨んでいただきたいということも、併せて答弁を政府の方に求めたいと思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ情勢などに伴いまして燃料価格が高騰し、多くの大手電力会社は、先日公表された今年度第二・四半期決算で大幅な赤字となり、今年度の業績予想も大変厳しい状況にあると認識をしております。そのため、複数の大手電力会社が来年四月からの規制料金の値上げに言及している状況にあると承知をしております。

 その上で、電源構成など各社の事情が異なり、値上げ幅も異なるものと想定されますが、まだ値上げ申請は行われていないという状況であるため、具体的な値上げ幅については現時点で承知をしていないという状況にございます。

 仮に、大手電力会社から規制料金の値上げ申請があり、経済産業大臣から当委員会に意見聴取がなされた場合には、当委員会において、経営効率化の取組がしっかりと行われているか、燃料調達の費用見込みが妥当であるか、保有資産の活用が適切であるかなどにつきまして厳格に審査を行いたいと考えております。

 御指摘のように、経済対策にかかわらず、安易な値上げとならないようにしっかりと審査を行ってまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 エネルギー価格の高騰を受けて、やはりこのような、電気料金自体も上がっていくような、そういう見通しもある、また、冬の電力需給の逼迫という状況もあるということでありますので、やはりエネルギー安全保障という観点から、そして、これをまたカーボンニュートラルと併せて実現をする、こういうことでありますので、こうした状況の中で、原子力の活用ということも政府の中では検討されている。そして、先日も原子力の小委員会で、具体的には運転期間の延長、先ほども少し議論がありましたけれども、これについて議論が行われている、こういう状況は承知をしております。

 しかし、政府全体としては、あくまで原子力を利用する側として、どういうことをしていかないといけないのか、こういう政策の議論をしているということでありますけれども、原子力規制委員会自体は安全を担保するという規制の側でありますので、どういった意見があるのかということを是非何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。

 一つは、運転期間の在り方。先ほど、令和二年の規制委員会の見解の解説を委員長の方から割と分かりやすくやっていただいたと思っております。運転期間の在り方そのものは、それは原子力をどう利用するのかということであるので、意見を述べるべき事柄では委員会としてはないのではないかというふうなこともありましたし、運転期間の四十年のタイミングで安全性を科学的にチェックをする、そういうタイミングなんだということも御説明をいただきました。

 現在の運転期間の延長認可というのは、運転期間が四十年ということで、これが安全性を確認するタイミングだというお話もありましたけれども、二十年延長できる、六十年までという、現行はそういう制度であります。

 今の行われている議論は、運転期間を延長できないかという議論があるということで、直感的に考えると、やはり今まで四十年、六十年でやってきたものを延ばすというのは、何か安全じゃなくなるんじゃないか、直感的にはどうしてもそう感じてしまうわけであります。

 先ほど、安全性の確認を科学的にチェックをするタイミングなんだということもありましたけれども、ちょっと改めて、この六十年という年数の持つ意味、これをもう一度、何度かこの委員会でも議論になってはおりますけれども、規制庁の見解ということで、事務方の方から確認をしたいというふうに思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 運転期間の六十年についてでございますけれども、原子炉等規制法第四十三条の三の三十二におきまして、発電用原子炉を運転することができる期間を運転開始から四十年とし、その期間の満了に際し、原子力規制委員会の認可を受ければ一回に限りその期間を最大二十年延長することができる旨定めてございます。この規定につきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を踏まえ、国会における法案審議を踏まえて改正された原子炉等規制法で定められたものというふうに認識をしてございます。

 この四十年と六十年に関しましては、先ほど委員からも御指摘がありましたとおり、令和二年七月二十九日の第十八回原子力規制委員会における見解におきまして、運転開始から四十年、さらには一度に限り二十年延長できるという期間そのものは、発電用原子炉施設の運転期間について立法政策で定められたものであり、発電用原子炉施設の利用をどのくらいの期間認めることとするかについては、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会として意見を述べる事柄ではないというふうに考えているというところでございます。

中野(洋)委員 当時の経緯も含めて改めて、立法政策として決めたんだという事務方の御説明はございました。

 今、規制庁で安全規制の見直しの議論をまさにしている。先日、十一月二日にも、安全規制の検討ということで、委員間の討議の資料も発表されたと承知をしております。

 少し御説明もありましたけれども、今あるのがいわゆる運転期間延長認可という四十年、二十年、六十年までという、これは割とハードも含めて検査するというものに加えて、今現在、既に高経年化技術評価というのが三十年、その後十年ずつという、こういうソフト面の審査がある、二つの審査を組み合わせるというか強化するというか、そういう形の案はどうだろうかということを今議論をされているというふうに承知をしております。恐らく、具体的には、三十年で審査をして、その後十年ずつ十年ずつ延長で審査をしていくということなんだろうと想像しますけれども、この案の狙いというのは何なのかというのが一点目の質問。

 もう一つは、運転期間の上限というのがあるのかどうかということだと思うんですけれども、十年ごとに審査をしていくということになっておりますけれども、じゃ、これがどこまで安全なのかという議論は他方であろうかと思っておりまして、どこかに限界はさすがにあるんじゃないか。十年ごとの審査というのを繰り返す場合にどこまで延長できると考えているのかという、この二点を併せて事務方の方から答弁をいただきたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 高経年化した発電用原子炉に関する安全規制は、現在、二つの制度から成ってございます。

 一つは、運転開始後三十年目と、それ以降十年ごとに、経年劣化に関する技術的な評価結果、その評価結果を踏まえた長期の施設管理方針が災害の防止上支障がないことを審査し認可する高経年化技術評価制度でございます。具体的には、事業者が原子炉施設を安全に運転、管理するために定める保安規定を審査するもので、ソフト面の規制であるとも言えると思ってございます。

 もう一つは、運転開始後四十年目に、劣化状態の点検結果、劣化状況に関する評価結果や、これを踏まえた施設管理方針から施設の基準適合性を審査し認可した場合に運転期間を最大二十年延長できる運転期間延長認可制度でございまして、ハード面の規制であるというふうに言えます。

 去る十一月二日の第四十八回原子力規制委員会におきまして、運転開始後三十年を超えて運転するタイミングで、また、それ以降十年を超えない期間ごとに先ほど申し上げたソフト、ハードの両面から審査し認可する制度とする案につきまして、原子力規制庁から説明をし、御議論をいただいたところでございます。

 また、御質問の上限についてでございますけれども、一般論で言わせていただきますれば、運転を長く行い、高経年化が進むほど劣化が進み、基準適合性の立証は難しくなるというふうに考えてございます。

 一方、発電用原子炉施設の設備、機器等の劣化に関しましては、その使用履歴や保守管理の状況などにより、設備、機器等の劣化の進展状況は一様ではございません。

 したがいまして、発電用原子炉施設の運転に当たっては、個別に最新の規制基準に適合していることを厳格に確認することになっております。したがいまして、事業者において基準適合性の立証ができない場合には、その施設は運転できなくなるというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 今の議論の状況も踏まえて御説明をいただきました。一般論としてということですけれども、基本的には、劣化は当然進むので、立証自体は難しくなるだろうということ、使用履歴が一様でないので、個別に適合するかを厳格に審査することになるのではないかというふうな御説明だったかと思います。

 一般論としては理解はいたしますけれども、他方で、やはりそれが本当に大丈夫なのか、信頼に結びつくのかというところも私は大事な観点かというふうに思っております。これは引き続き議論をしていくということであろうかと思いますので、またしっかり議論させていただきたいと思っておりますけれども。

 もう一つ、ちょっと基本的な考え方ということで今日は確認をしたいのは、現行の運転期間の六十年ということに加えまして、原子炉の運転を停止をしていた期間というのが結構この間あるということで、これを延長のできる期間として加えてはどうかという議論もあるというふうに伺っております。

 恐らく、以前に原子力事業者の皆様から、運転停止をしている期間というのがかなり長くなってきて、これは当初想定をしていない、そういう期間なのではないかというふうな、そういう御意見が出た記憶がございます。

 こうしたことも踏まえてということかもしれませんけれども、規制庁として、原子炉の運転が停止をしている期間、これも令和たしか二年ぐらいに一度議論されておられたかと思いますけれども、この期間の原子炉の劣化についてどのように評価をし、考えているのかというところを、これを事務方から確認をしたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問がございましたとおり、劣化に関しましては、令和二年の見解のきっかけとなるところでございまして、事業者とも意見交換をしているというところでございます。

 具体的には、発電用原子炉施設の長期停止期間においては放射線が照射される環境にならないことから、中性子照射脆化等の事象については劣化の原因として考慮しなくてもよいと考えてございます。

 他方で、コンクリート構造物の中性化や塩分浸透等の事象については、長期停止期間中も劣化が進展します。これらの劣化事象の長期停止期間中の進展につきましては、発電用原子炉施設を構成する各種機器、構造物の劣化の状況が様々であること、また、その管理などについて状況が変わりますので、個別の施設ごとに機器等の種類に応じて評価を行う必要があるというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 済みません、時間も、最後でございますので、ちょっと簡単に。

 最後に委員長に、今後の議論の進め方をするに当たって、信頼回復というふうな大きな使命を考えると、安全最優先でこの後の規制の在り方をしっかり検討していく、やはりその姿勢を示すことが大事だと思います。この点について、山中委員長に最後にお伺いをしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 運転期間につきましては、これまで述べてきましたように、利用政策側の観点から検討されるものであると考えておりますけれども、それがどのような定めになっても、高経年化した発電用原子炉施設に対する安全規制は、引き続き、原子力規制委員会が専門的な知見に基づき中立公正な独立した立場で行うべきものであるということに変わりがないというふうに考えております。

 原子力規制委員会としては、高経年化した発電用原子炉施設に対する安全規制について、厳格な規制となるよう、私を含めた五人の委員と公開の場で議論、検討を進めてまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 山中新委員長には、これから是非様々な観点から原子力規制行政に関する議論を深めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 まずは、新体制における方向性について質疑をさせていただきます。更田前委員長体制下での原子力規制委員会の運営方針の中で、委員長がどのような部分を引き継ぎ、そしてどのような部分は変えたいと考えているのか、委員長自身のお考えをお聞かせください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、原子力規制委員会は東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓に基づき設置された機関でございます。発足以来、原子力規制委員会は、田中、更田両委員長の下で、福島を決して忘れないという強い思いの下で、独立性、透明性を堅持して、厳正な原子力規制を遂行してこられました。そのような福島への強い思い、厳正な規制、また原子力規制委員会の組織理念は、両委員長に引き続き私も継続してまいりたいというふうに思っております。

 その上で、さきにもお述べさせていただきましたけれども、私といたしましては、今後、情報発信と対話、現場重視の規制、原子力規制に関する人材の育成、さらに国際機関による外部評価、継続的な改善、この五点に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 五つの大方針というのは先日の規制委員会の議事録でも確認させていただいておりますが、特に私が重視したいと思っておりますのは、情報発信と対話、そして現場重視の規制、また継続的な改善、ここに注目をいたしております。

 更問いになりますが、特に住民に対する情報発信と対話というのは以前から重要性は認識されておるようですけれども、実際、コロナ禍になってからその実態がないということ、あるいは、現在事業者の取組はされておりますが、この事業者の取組と比較しても、規制委員会側の情報発信、これは非常に細く弱い印象を持っております。ホームページを見ても、やはりそういった部分に弱さがあるのではないか、そのように感じておりますので、しっかりお願いしたいと思います。これについて委員長の見解を一言いただきたいのが一つ。

 もう一つは、現場重視の規制というふうにおっしゃるんですが、現場に行くことに規制委員会の会議の中で委員長は触れておりました。ただ、現場に行くことと現場を重視することというのは若干意味合いが違うと思います。現場重視の規制という言葉からは、現場実態を正確に捉えた上で規制行政を実施するという意味合いと解釈しておりますが、それでよいのかどうか。

 この二点について、委員長の見解をお聞かせください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 まず、原子力規制委員会の情報発信でございますけれども、御指摘のようにまだまだ不十分な点がございます。透明性を確保しつつ様々な情報についてできる限り情報発信に努めているところでございますけれども、国民の皆様に分かりやすい情報発信の仕方、これを更に工夫していく必要があるかと思います。これは御指摘のとおりかと思います。

 また、様々な関係者との対話、これも努めてきたところではございますけれども、新型コロナウイルス感染症の問題もございまして、地元首長の皆様方との対話の機会というのがここ三年ほど途絶えておりますが、このような状況に今はなってございますので、是非とも対話については復活させて積極的に時間を取ってまいりたいというふうに思っております。

 また、現場重視の規制につきましては、現場をまず委員の先生方あるいは審査官、検査官に見ていただいて、その見た事実を様々な規制にきちっと反映していくということを重視していきたいというふうに考えております。

 委員についても、是非とも判断する前に現場の実態を見ていただいて判断に役立てていただきたいということで、昨今委員が現場に行く機会も増えているかと思いますので、今後そういう様子を見ていただければというふうに思っております。

浅野委員 情報発信、そして現場との向き合い方、いずれも大変重要な論点だと思いますので、引き続き改善をよろしくお願いしたいと思います。

 とりわけ情報発信については、立地地域の住民に限らず、国民の皆様が目にするのはやはりメディアでの報道であります。それだけが全てを反映しているものではないとは私も思いますので、是非、当事者、事業者であったり規制委員会であったり、やはりそうした皆様からの情報発信がいかに国民の理解を深めるかというところをよく御検討いただければというふうに思います。

 次の質問です。効率性というものの位置づけについて確認をさせていただきたいと思います。

 原子力規制委員会の組織理念には効率性の概念というのは明記されておりません。ただ、山中委員長自身は、先日の委員会の議事の中でもこの効率性というものに言及をしておられますけれども、原子力規制行政における効率性というのをどのように認識し、そして組織の中で今後どのように具現化しようとしているのか、その点について伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 業務を効率的に進めるということは、原子力規制を含むあらゆる行政に求められるものであると認識しております。原子力規制委員会の組織理念においても当然含まれるべき概念であると考えております。

 この効率性は、必ずしも時間的な速さだけではなくて、リスクに応じた規制対応や継続的な改善、これまで原子力規制委員会が議論してきた様々なテーマに密接に関係したものであるというふうに考えております。

 一方で、時間的な効率にとらわれる余り、厳格な規制がおろそかになるようなことは決してあってはなりません。

 その上で、原子力規制業務を効率的に行うためのプロセスの改善というのは、原子力規制委員会における議論だけでなく、職員のアイデアによって様々な場面で継続的に取り組まれるべきものであるというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 今、政府の中ではGX実行会議というのが行われておりますけれども、その中では、エネルギー安全保障の観点から我が国のエネルギー政策に関する自己決定力の確保というのが極めて重要だという形で明記をされております。

 原子力規制委員会の役割というのは、そのような国家の政策を推進する中でも確実に安全を確保することによって、原子力規制委員会設置法にある、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するということであると思います。規制行政の機能上、能力上の制約によって日本という国の自己決定力が毀損されるということは避けなければいけない、これは、委員長もうなずかれていますけれども、そのとおりだと思います。

 委員長は十月二十六日の会議でも効率性を追求することが当然行政機関としての前提というふうにおっしゃっていますので、しっかり今の観点は進めていただきたいというふうに思います。これは質問ではなく意見ですので、是非今後のお取組に反映をしていただきたいというふうに思います。

 続いての質問なんですが、これは関連したものになります。私がこの委員会で以前も指摘をさせていただきました事前ヒアリングの改善について伺いたいと思います。

 いわゆる審査会合前の事前ヒアリングについては、従来は事業者側からの説明予定内容の確認のみで、説明内容の過不足確認を含む論点整理は行われていなかったですけれども、審査プロセスの更なる改善のためにも、内容を文書等で公開することを前提に、ヒアリング時であっても事実確認や論点整理を行うべきではないかというふうに考えております。

 まさに現場の実態として、事前のヒアリングのときに例えば説明内容の過不足であったり論点そのものが欠如していたりといったことが後から分かって、膨大な手戻りが発生したという実例も既に多く私も認知をしております。この事前ヒアリングの改善について是非委員長には前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会といたしましては、審査の透明性を確保する観点から、公開の会合で審査を行うことが大前提であると考えております。

 本年四月から十月にかけて実施した原子力事業者経営層との意見交換において、事業者から、審査会合前のヒアリングで審査の論点や指摘事項をあらかじめ提示してほしいという提案がございました。これまでと同様に、審査の会合は公開で行うべきであるとした上で、できる限り手戻りがなくなるよう、事業者の対応方針を確認するための審査会合を頻度高く開催する、審査チームからの指摘が事業者に正確に理解されていることを確認する場、これは審査会合の終了時に設けるようにしておるんですが、必要に応じて文書化を行うといった改善を進めることで事業者の要望に応えられるというふうに考えております。

 原子力規制委員会としては、審査プロセスの改善を進めながら、引き続き、安全の確保を最優先に、厳正に審査を進めてまいります。

浅野委員 この点についてなんですが、今日の配付資料を御覧いただきたいんですけれども、平成三十年の第十三回原子力規制委員会の中で、当時、山中委員が、黄色くハイライトした部分ですが、審査の透明性という観点で更田委員長からヒアリングに関する御指示があったかと思うのですけれども、ヒアリングで何を話し合うかということが透明性に関しては重要かなと思います、事実確認とか論点整理という観点であれば、それをきちんと文書で簡潔に公開するということがなされればいいかな、そんな発言をされておりますし、こういう論点整理がされましたよとか、あるいはこういう事実確認がされましたよというところがはっきり示されていればそれでいいかな、こういった重ねての発言もされております。

 私が今指摘した問題意識と恐らく似たような問題意識を当時の山中委員はお持ちだったんだろうと思いますし、今の答弁の内容からも改善に向けた取組を進めていただけるというふうに感じ取りましたけれども。

 私が聞いている中でも、例えば、漂流物に関するどういう定義をするかですとか、あるいは、信頼性の高い装置を設置するんだけれども、その装置がないという前提で評価をし直さなければならなくなったとか、そういった事例があったというふうに聞いております。ですので、相互の規制の中身に対する規制側と事業者側の認識合わせ、本当に同じ定義をお互いに持って審査に臨んでいるのかといったところもしっかり事前にすり合わせなければ、本当に手戻りが多くなって、審査会合を頻繁にやるといっても、審査会合に向けた準備が現場の作業負荷を高めている原因にもなっておりますので、是非この部分をしっかり改善していただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますけれども、新しい原子炉に関する規制基準の検討について伺いたいと思います。

 国民民主党ではこれまでも、原子炉のリプレースについて推進するべきだというような政策を掲げて様々な議論を行ってきておりますけれども、新しい原子炉といっても様々な種類があるのは御認識のとおりです。ただ、新しい原子炉に関する規制基準を作ることや規制基準に関する調査研究を行うということをどのように規制委員会が認識しているのか、規制委員会にとって、その規制対象となる原子炉の導入を想定したり容認するということにそのまま直結してしまうのか、それとは切り離して調査研究であったり規制基準の検討というのは行われてもよしとするのか、その辺りの御認識を伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 新型炉の規制基準の整備につきましては、原子炉には様々なタイプがございますので、原子力事業者がどのような炉型を採用するか定まらなければ、原子力規制委員会としても規制基準の検討を始めることは困難であるというふうに考えております。

 例えば、令和三年十月十五日の原子力規制委員会と主要原子力施設設置者の原子力部門の責任者との意見交換会では原子力事業者から例えばSMRの導入の計画はないとの発言がなされており、現時点で規制基準の検討を始める段階ではないというふうに判断をしております。

 一方、原子力規制委員会においても何もしないということではなく、例えばSMR規制者フォーラムなどの国際的な議論には参加し、情報収集を行っているところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非、現場の声を聞きながら規制委員会としても柔軟に対応していただくというのはよろしいことかと思いますが、先日、十月二十六日の規制委員会の議論の中で、大きな方針を議論される中で委員の皆様からも、新しい原子炉についてもリスクに基づいて新しい施設の基準作りのようなものをやっていくべきではないか、このような投げかけもされておりますし、議事録を見る限り、大方針の最後の五番目、継続的改善というものの中の柱に据えられるような言及もございましたので、しっかりその点は幅広に検討していただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 山中委員長には、福島原発事故から十一年目ということで、いろいろ状況が変化する中、大変御苦労なお役目だと思っております。

 少し角度が違いますけれども、幾つかの御質問をしたいと思います。

 まず、現在ウクライナに対してロシアが攻撃をしていることは、もちろん御承知のことだと思います。ウクライナには原発があるわけで、そういった意味で、原発が武力攻撃を受けるリスクというのは、これは必ずしもウクライナだけではありません。ザポリージャ原発がウクライナにはあります。日本にも原発は、日本海側、太平洋側、主に海岸沿いにたくさんの原発が今でも稼働する、あるいは並んでおります。原子力規制委員会というか山中委員長としては原発への武力攻撃のリスクということについてどのようにお考えか、その意見をお聞かせください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 武力攻撃につきましては原子炉等規制法の範疇外でありまして、原子力規制委員会として、事業者に対して施設設備で武力攻撃に何か対応するということは求めておりません。

 ただし、武力攻撃のような事態になったと政府が判断された場合には、国民保護法の下で、原子力規制委員会が事業者に原子炉の停止命令をかけることができると考えております。

菅(直)委員 私は、範疇外というのは大変、何といいましょうか、びっくりしました。何で範疇外なんですか。つまり、こういう場合には原子力は止める、あるいはこういう場合には原発そのものを廃止する、そういうリスクですよ、言っておきますけれども。そういう一番大きなリスクに対して範疇外というのは、どういうことですか。もう一回答弁ください。

山中政府特別補佐人 武力攻撃につきましては、原子炉等規制法で取り扱っていない事柄であるということで、範疇外という表現をさせていただきました。国際的に見ても、武力攻撃を原子力の施設で守るという、そのような規制はされておりませんので、日本の原子力規制委員会としても、武力攻撃に対して何か事業者に対して施設で守ることを求めていないということでございます。

菅(直)委員 何か、いい答弁だと、変なやじが飛んでいますけれども。

 一番大変なことなわけですよ、それを原子力委員会がやらないとしても、誰かが判断しなきゃいけないわけですよ。現実にこれが起きていないんなら、そんなことはまずは起きませんということが言えるけれども、現実にウクライナで起きているわけです。ザポリージャ原発が攻撃をされてあれが本当にどんと当たったら、ウクライナだけではなくて近隣の国にまで放射能が飛び散ることは明らかなわけです。そういう問題を範疇外と。では誰が議論するんですかということ。やじも飛んでいますけれども、では今の内閣がきちんとそれに対して議論しているか。

 私の結論は簡単です。原発は日本に持つべきでない、そして、原発を持たなくても必要な電力は十分に供給できる。これは委員長からするとそれこそ範疇外かもしれませんが、私が今一番勧めているのは、営農型太陽光発電というのを推進すべきだということをあちらこちらで言っています。委員長は、この営農型太陽光発電を御存じですか。

山中政府特別補佐人 言葉は存じ上げております。

菅(直)委員 昨日は経産委員会がありましたので、その場でもかなり詳しくやりました。日本には四百万ヘクタールの農地があります。その農地を潰すんじゃないんですよ。農地は農地として使いながら、そこに柱を立てて、その上にソーラーパネルを載せる。これは農林省が進めていることです。それを計算上やると一ヘクタールについて五百キロワットのパネルが載りますから、それを千時間発電して、一年間ですよ、四百万ヘクタールを掛けると計算上は二兆キロワットアワーです。

 これがどういう数字かは、多分、山中委員長は御存じでしょう。日本が今使っている電力の二倍が二兆キロワットという数字です。もちろん簡単ではありませんが、農林省はこの営農型太陽光発電を積極的に進めています。つまり、範疇外ではなくてそれ以外のやり方もあるんだということの、簡単に言うと原発以外のやり方もあるんだということの認識はおありですか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会はエネルギーの利用政策に対して物申す立場ではございませんので、御意見を申すのは差し控えさせていただきます。

菅(直)委員 今の答弁は何ですか。エネルギーについて、差し控える。原子力というのはエネルギーじゃないんですか。(発言する者あり)うるさいね、本当に。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会は安全規制に係る規制を推進する機関でございまして、エネルギー政策、利用政策に関して何か物申す機関ではございませんので、私としては意見を申し上げる立場にはないと考えております。

菅(直)委員 私は、原子力規制委員会の委員長がそこまで限定的に言われるのであれば、その意見としてはお聞きします。しかし、日本のことを考えているこの委員会ですから、変なやじも飛んでいますけれども、日本のこの将来について、本当に原発をこれ以上、いろいろ工夫をするにしても使っていくのか、それとも、もういっそのことやめて今申し上げたようなほかのやり方でやるのかという議論は当然やるべきで、それを今の委員長のところでやられないというんであればほかでやるしかないわけで、そういうことだけは申し上げておきたいと思います。

 そこで、次の質問として、原子炉等規制法四十三条の三の三十二で定める運転期間四十年について、更田前委員長は、定期点検など原子炉の停止期間を含むとの認識をこれまで述べておられます。今の委員長である山中委員長はこの認識は変わっていませんか、変わっていますか。

山中政府特別補佐人 この見解につきましては、令和四年十月五日の第四十二回原子力規制委員会において見解を変える必要はないということを確認しておりますし、法に規定する四十年というのは原子炉の停止期間などを含めた暦年で数えるという更田前委員長と同じ認識でございます。

菅(直)委員 認識は変わっていない。私も、ちょっとほっとしました。

 いろいろな報道によると、例えばここにあります核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律でいえば、その四十三条の中で、四十年とする、延長する期間は二十年を超えない期間であってと書いてあります。これは全く変わっていないということですね。念を押しますが、最近の報道では、これを変えようという動きがいろいろあるという報道が少なくとも出ています。これは委員会としては変わっていないということですね。念を押しておきます。

山中政府特別補佐人 原子炉等規制法の第四十三条に定められております運転期間延長についての規定でございますけれども、この規定には、運転期間に関する定めと高経年化した原子炉の安全規制に関する定め、二つがセットで規定されております。

 令和二年七月の委員会で決定された見解として、運転期間に関する定めについては原子力規制委員会は何か考えを持つ立場ではないという見解をまとめております。これについては、その当時の見解と変わりがございません。

菅(直)委員 半分はほっとしました。

 資料一とか資料二というのを私の質問につけて、書かれておりますけれども、例えば資料二では、これはもちろん新聞の記事ですが、朝日新聞ですが、原発の運転、六十年超も可能案、規制庁が提示云々とかですね。その次の資料三には、原発停止中は運転期間外、経産省、六十年超の案、最終調整。これについて、少なくとも原子力委員会はそういう考えではない、元の考えだということをもう先ほどの二度で確認しましたので、それで大いに結構です。

 そこで、少し話を進めたいと思いますが、もう一度重ねますが、たしか平成十九年十一月二十八日、前委員長であった更田委員長は、原子炉等規制法が定める運転期間四十年は御質問の中にもありましたように暦の上での年数であり、原子炉の停止期間を含むものでありますと。停止期間も暦が一日経れば一日増える、この考え方も変わっていないんですね。

山中政府特別補佐人 運転期間の扱いにつきましては、先ほどお話をさせていただきましたが、令和二年七月二十九日の第十八回原子力規制委員会で決定をいたしました、運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解において、運転期間に長期停止期間を含めるべきか否かについて科学的、技術的に一意の結論を得ることは困難である、劣化が進展していないとして除外できる特定の期間を定量的に定めることはできないということを定めております。

 この点については、私も同じ見解でございます。

菅(直)委員 ちょっと、最後の一言が少し私には理解しにくかったんですが、先ほど申し上げました平成十九年十一月二十八日の前更田委員長のこの発言、先ほど申し上げたように、原子炉等規制法が定める運転期間四十年は御質問の中にもありましたように暦の上での年数であり、原子炉の停止期間を含むものでありますと。これは変わっていないんですか。それをはっきり言ってください。

山中政府特別補佐人 前委員長のその考え方と私の考え方は一致しております。

菅(直)委員 少しは安心したところもあります。

 どうも、その後の資料二あるいは資料三、これは報道ベースですけれども、この報道ベースによれば、何か規制庁が、これは規制委員会とは違いますけれども、規制庁が三十年以降は十年ごとに審査してとかいろいろなことを示して、それが報道でされております。そういった意味で、どんどんどんどん骨抜きになっていくんじゃないかということを心配いたしております。

 余り重ねて申し上げたくはないんですけれども、私は、原子力からの卒業を専門家である皆さんこそが考えていただきたいと思います。

 私も大学では多少は原子力のことを学びました、学部ですから大したことはありませんが。そして、福島原発事故にも当たりました。そして、今のウクライナ情勢も見ています。

 どうしても原発でなければほかに代替物がないというんであれば、例えば発電に関してですね、原発を非常に注意深く使うということはあり得るかもしれません。しかし、今や、先ほど申し上げたような営農型太陽光発電というのは現実に農林省は非常に積極的に進めております、そういう形でどんどん広がっています。それ以外のやり方があるというときに、少なくともこの資料二の新聞や資料三の新聞紙上では、経産省を中心に停止期間を除外する案が議論されているというのは、少なくとも報道ベースでははっきりと報道されています。

 ですから、こういうことに対して原子力規制委員会は全く考えていないんだという先ほどの答弁をいただいたので、若干予定の時間を短くなりますが、一番いい答弁をいただいたところで、今日の質問はこれで終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、いわゆる日本の原子力発電所が原則四十年しか使えないという四十年ルール、これについてお伺いをしますが、まず、これを規定している炉規制法四十三条の三の三十二、これの所管はどこかということと、この四十年ルールは議員立法、議員提案によって決められたものであるとの理解でよいのかということ、この二点、お伺いします。

山中政府特別補佐人 御指摘の条項につきましては、原子力規制委員会が所管しております。

 また、御指摘の条項は、国会において議論された結果、議員立法により定められたものと承知しております。

逢坂委員 それでは、次に、規制委員会は、今年の十月五日、エネ庁からのヒアリングを実施していますが、これの法的根拠は何でしょうか。

 加えて、このヒアリングはエネ庁からの要請によるものではなく、山中委員長独自の判断で実施したというふうに記者会見で述べていると承知をしているんですが、それでよろしいでしょうか。

山中政府特別補佐人 九月の二十八日の原子力規制委員会において、私から、できるだけ早く原子力規制委員会の公開の場で資源エネルギー庁から運転期間に関する取扱いの方針について詳しい説明が受けられるように指示をいたしました。

逢坂委員 答弁されていないんですけれども、法的根拠はありますか、そのヒアリングの。

山中政府特別補佐人 御質問の趣旨は、資源エネルギー庁に私が意見を原子力規制委員会の公開の場で求めた法的根拠は何かという御質問だったかと思うんですけれども、原子力規制委員会が担っております高経年化した原子炉に対する安全性を確認するための規制については、資源エネルギー庁の検討結果によっては原子炉等規制法の条文に影響が出ると考えまして、原子力規制委員会の公開の場で資源エネルギー庁から審議会での検討結果を聴取することにしたものでございます。

 原子力規制委員会は、原子力規制委員会設置法第三条において、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全及び我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ることが任務とされております。

 運転期間がどのような定めになろうとも、高経年化した原子炉の安全性の確認をどう法的に担保するかということが我々にとって大切であるために、原子力規制委員会の任務によって公開の原子力規制委員会の場で検討の状況を確認し、五人の委員で議論、検討を行っているところでございます。

逢坂委員 何を答弁しているんだか全く分からないんですが、法的根拠を聞いているんですよ。法的根拠はないということでよいですか。

 それと、今回のヒアリングは山中委員長が決めたんだということでよろしいですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回のヒアリングは私自身が指示して決定したことでございますし、委員の間で議論をして、呼ぶということを九月二十八日の委員会で決定させていただきました。

逢坂委員 今回のヒアリングは、エネ庁からの要請があって判断したものではなく、委員長自身が、世間のニュースなどを見て、これはヒアリングが必要だ、そう判断したものでよろしいですね。

山中政府特別補佐人 そのとおりでございます。

逢坂委員 それで、そのヒアリングの結果、エネ庁から運転期間について利用政策側の法体系の中で検討するとの方針が示された、それでよろしいですか。

山中政府特別補佐人 そのとおりでございます。

逢坂委員 そこで、十月五日の記者会見によれば、エネ庁からのこの方針を伺って、運転期間についての規定が炉規制法から抜けるのであれば、高経年化した原子炉の規制について規制委員会で議論する必要性を感じた、このように記者会見で述べているようですが、これは間違いございませんか。更に加えて、なぜ必要性を感じたのか、これを御答弁ください。

山中政府特別補佐人 原子炉等規制法の第四十三条において、運転延長認可制度について、運転期間を定める規定と高経年化した原子力発電所の安全規制を行う定め、この二本がセットになって規定をされております。

 一方、運転期間を規定する定めについては、令和二年の原子力規制委員会において、これは利用政策側が判断をされることであって、原子力規制委員会が意見を述べる立場にはないとの見解を示しております。

 したがいまして、運転期間について利用政策側が何か変更を提案された場合には原子力の安全規制に影響が出ると判断をいたしました。

逢坂委員 今御指摘になった四十三条の三の三十二、これが二つの柱で構成されていることは私も承知しておりますし、この条文が規制委員会の所管であるということは先ほど答弁いただいたとおりなんですが、規制委員会の所管であるこの法律に関してエネ庁があれやこれや言うということは、規制委員会の独立性に反するんじゃないですか。

 そんなことを、御用聞きのように、向こうから要請もされていないのに、こちらから、規制委員会の方からエネ庁に来てくださいと言って話を聞いて、それに沿うような行動をするというのは、どう考えてみても独立性に反するんじゃないですか。いかがですか。

山中政府特別補佐人 これは、令和二年七月二十九日の原子力規制委員会で決定した事項でございます。運転期間に関する定めについては利用政策側が判断をされることであって、私ども原子力規制委員会が判断することではないとの見解を示しております。

 その見解を改めて本年の十月五日の委員会で確認をさせていただいて、この方針について利用政策側が変更を加えられるのであれば高経年化した原子力発電所の安全規制に影響が出ると判断し、この検討を進めてきた次第でございます。

逢坂委員 繰り返し、記者会見でもこの委員会の議事録に残る形ででも、令和二年七月の原子力規制委員会の運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解、このことを持ち出して、政策側で運転期間については判断するんだ、そういうことが決められているんだということを繰り返し答弁されていますが、本当にその答弁でよろしいですか。

山中政府特別補佐人 運転期間に対する原子力規制委員会の考え方については、前委員長も同じような答弁を国会でされていると思いますし、この見解については、令和二年七月二十九日の原子力規制委員会で決定された見解が継続して、私も保持されているものと考えております。

逢坂委員 それでは、委員長、お手元にその令和二年七月二十九日の見解をお配りしました。お配りしましたので、そのどこに運転期間については利用政策側が判断することと書いてあるんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 お配りいただいた資料の一にその内容が記載されております。

逢坂委員 委員長、そこをちょっと読み上げてくださいよ。どこに利用政策側が判断すると書いてあるんですか。

山中政府特別補佐人 済みません、ちょっと混乱しまして、申し訳ございません。

 六番です。お配りしていただいた六番です。

 このように、現行制度における運転開始から四十年という期間そのものは、上記三の評価に行う時期として唯一の選択肢というものではなく、発電用原子炉施設の運転期間についての立法政策として定められたものである。そして、発電用原子炉施設の利用をどれぐらいの期間認めることにするかは、原子力利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないと記載されております。

逢坂委員 繰り返しますけれども、このどこに利用政策側が判断すると書いてあるんですかと私は聞いているんですよ。利用政策側が判断するなんという議論は、原子力規制委員会でやっていますか。令和二年の七月の議事録も、私は詳細に読ませていただきましたよ。利用政策側が判断するなんという議論はしていないはずですよ。この文書にも、どこに書いてあるんですか、このことは。

山中政府特別補佐人 二ページ目の六の下から二行目ですけれども、原子力利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないという見解が示されております。

逢坂委員 それしか書いてないんです。すなわち、四十年という期間そのものは、立法政策として定められた、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない。意見を述べるべき事柄ではない、これが書いてあるだけなんですよ。そして、その判断は誰がするかということは、ここには一言も書いてないんですよ。書いてありますか。

 もしかしたら、この類いのものは、議員立法で出していますから、国会に判断を委ねようという選択肢もあるでしょうし、今回、委員会が取られたように、それはエネ庁に判断させようという選択肢も場合によってはあるかもしれませんが、そのどちらもこれには書いてないんですよ。

 今回の法律の四十三条の三の三十二の見直しに当たっては、これはエネ庁がやるなんということはどこでも決まっていないんです。決まっているんですか。

山中政府特別補佐人 いずれにいたしましても、私どもは、高経年化した原子力発電所の安全規制に抜けが生じることがないような制度設計を早急にする必要がございますので、その点について検討を進めている次第です。

逢坂委員 長い時間使っている原子力発電所の安全性をどう確保するかという議論は、それは徹底的にやるべきだと思いますし、それには私は何の異論もありません。

 ただ、この四十三条で決めている四十年というのは、これは制定当時も随分議論がありまして、四十年がいいのか、三十五年がいいのか、もっと長い方がいいのかと、いろいろな議論がありましたよ。しかしながら、それは科学的、技術的には一律に決められないけれども、ある一定程度の根拠を持って四十年としようということで、政治の判断として、運転規制として入れたものなんですよ。それについて、何でそれを十分に議論もしないで、エネ庁に議論させるということを言えるんですか。

 これは法律の決めなんですよ。それをなぜこの令和二年の七月の議論をもって、政策の推進側、そちらで議論してもらうんだということがどこで決まっているんですか。何にも決まっていないじゃないですか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会におきましては、運転期間に関しての定めについては我々は意見を申し述べる立場にないという、この見解については継続的に今も維持しているものであると考えますし、これは利用政策側で御判断いただくべき事柄であるというふうに考えております。

逢坂委員 違うんですよ。

 原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではない、それはそれでいいんですよ。そのとおりだと思いますよ。規制委員会が技術的、科学的に見て、三十五年がいいのか、四十年がいいのか、きちっとした厳格な科学的根拠を持ってそれは言えないんだという判断は、それはそれでいいでしょう。ただそれを言っているにすぎないんですよ。その後、誰が決めるかということは委員会で議論しましたか、それでは。していないでしょう。

 令和二年の七月の委員会、私は議事録を読みましたよ。誰が政策判断をするのだ、そのことは議論していないんですよ。これは、だから、極めて私は慎重に作られた文章だと思いますよ。原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない、ここでピリオドを打っているんですよ。いかがですか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会は運転期間について意見を述べる立場にはないという、これはもう間違いございません。ただ、どなたが考えられるかということについても、私どもは何かを申し上げる立場でもないということは事実でございます。

逢坂委員 誰が議論するかも述べる立場にない、私は今の答弁は正しいと思いますよ。それがこの令和二年の見解、確認だと私は思いますよ。

 にもかかわらず、記者会見でも今日の答弁の中でも、運転期間については利用政策側が判断することであってということを繰り返し答弁されているんです。これは間違いじゃないですか。

山中政府特別補佐人 利用政策側が御判断されることだと私は判断しております。

逢坂委員 先ほど、誰が判断するか、それに言及することも原子力規制委員会はやるべきではないという答弁をされたんじゃないですか。にもかかわらず、運転期間については利用政策側が判断するというのは、同じ委員会の中で矛盾した答弁をしているんじゃないですか。整理してください。

山中政府特別補佐人 利用政策に関して意見を申し述べる立場にはないというその見解は、原子力規制委員会の立場でございます。

逢坂委員 利用政策についてしゃべる必要はない、しゃべる立場にはない、それはそれで私はいいと思うんですよ。原発に賛成であるとか反対であるとか、原発を促進しようとか脱原発しようとか、それについて委員会がしゃべり始めたらとんでもないことになるので、それはそれで私はいいと思うんです。

 でも、ここで言っているじゃないですか、利用政策側が判断することだと。誰が議論するかについて、それは規制委員会が言える立場なんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 我々は、高経年化した原子炉の安全規制に抜けがあってはいけませんので、それについての議論を開始したということでございまして、そこが一番重要なポイントでございます。

逢坂委員 四十年ルールというのは、委員長はどうお考えになっているか知りませんけれども、確かに、原子力を何年使うかということは利用政策の観点から重要なポイントであることは、私もそれは認識いたします。

 しかし、一方で、運転期間を限定させるという利用規制でもあるんですよ、規制。その規制については、科学的、技術的に明確に立証する、一律に確立することはできないという委員会の主張も私は分かりますよ。だからこそ、政治の政策判断として、四十年という利用規制を設けたんですよ。そうなんじゃないですか。利用規制なんですよ、これは。純粋な政策判断というものではないんですよ。規制なんですよ、これは。

 だから、それでは、誰がこの規制をこれから中身を議論するのだということを規制委員会が発言すること自体がおかしいんじゃないですか。いかがですか。それは令和二年の見解に反するんじゃないですか。

山中政府特別補佐人 見解に反するとは考えておりませんし、私どもが考えるのは、繰り返しになりますけれども、高経年化した原子力発電所の安全規制に抜けが出ないような制度設計をすることでございます。そのための検討を進めてきているところでございます。

逢坂委員 本来、規制委員会が所管している法律に他省庁がいろいろ物を言ってきたら、それは独立性の侵害ではないかというふうにチェックをするのが妥当だと私は思いますよ。

 エネ庁からのヒアリングを踏まえて、十一月二日、規制委員会で、現行の原則四十年という運転期間を炉規制法から外す、そして、それを今後どう扱うかについては、原発を推進する経産省で議論、エネ庁で議論し、エネ庁が所管する法律で規定することを規制委員会が容認した、その理解でいいですか。

山中政府特別補佐人 利用政策側の御判断であって、運転期間について私どもが何か意見を申し上げる立場にないという、その考えに変わりはございません。

逢坂委員 私の質問にきちんとお答えいただきたいんですけれども、十一月二日の原子力規制委員会で、まず、運転期間については炉規制法から外す、委員長の言葉をかりれば抜けるという言い方をしていますけれども、抜ける、それから、その運転期間についてはエネ庁が所管する法律で規定することを規制委員会が容認した、この理解でいいですか。

山中政府特別補佐人 運転期間に関する定めが抜けるという表現は、私は使ったかと思います。これについては、いずれにしろ、原子力規制委員会が何か物申す事柄ではない、その点についても、多分、原子力規制委員会の見解は変わっていないと思います。

 ということで、私どもは、その二番目の定め、高経年化した原子力発電所の安全規制について緩みが出ないような取組を始めているところでございます。

逢坂委員 確かに、令和二年七月の見解によれば、原子力の運転期間については原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないということが書かれているわけです。だから、運転の時間の長い、短いも含めて、そもそもそのことについては言及しないということだと思うんですよね。

 でも、今回、言及しているじゃないですか。要するに、所管する法律の四十三条の三の三十二、ここから抜くということを容認しているじゃないですか。これは言及していることにならないんですか。手をつけてはならない、議論すらこれはやる事柄ではないということを令和二年に言っているんですよ。この法律から抜くということを容認したんじゃないですか。

山中政府特別補佐人 運転期間についての定めを議論する立場にはないという、そういう原子力規制委員会の立場でございます。

逢坂委員 議論する立場でないのに、なぜ、それでは、法律に定められている、あなた方が所管している法律にある事項を抜くことを容認するんですか。おかしいじゃないですか。

山中政府特別補佐人 私どもの務めは、二番目の、高経年化した原子力発電所の安全規制をきちっと遂行していくことが私どもの務めでございます。この点についての制度設計をきちっとするということが私ども原子力規制委員会の務めであるということで議論を始めた次第です。

逢坂委員 原子力規制委員会の立場としては、科学的、技術的に、そういう観点から原子力の安全性、規制基準をしっかり達成できるようにしようということは私は理解できます。

 一方で、法律の立場から、立法政策の立場からいうと、四十三条の三の三十二で利用期間の規制をかけているわけですよ、利用期間の規制。これについては、中身についても規制委員会は言及する事柄ではないんだという言い方をしている。私はそれは正しいと思うんですよ、これは立法府で決めたことですから。だから、それはそれできちんと守ってもらわなきゃならない。だから、委員長はそれを守る立場の人なんです。

 ところが、それを、エネ庁からの要請に、向こうから言われたわけでもないのにあえてヒアリングをして、では、それを抜くのを容認しましょう、そういうふうに言っているというのはおかしくないですか。

 こちら側の人たちは、多分、よく議事録も読んでいないから分からないんだと思いますが、私は丁寧に議事録も読みました。政策側が今後判断するなんということは、ただの一言も議論されていませんよ。いかがですか。

山中政府特別補佐人 運転期間の定めについては利用政策側の御判断いただくことでございまして、我々の務めは、繰り返しになりますけれども、高経年化した原子力発電所の安全規制をきちっと遂行していくことでございます。そのための制度設計について検討を始めた次第でございます。

逢坂委員 繰り返しお尋ねします。

 利用政策側が判断すると誰が決めたんですか、そんなことを。ここ、どこも書いてないじゃないですか。これは違いますよ、書いてあることは。立法政策として定められた、そして政策判断にほかならない、これしか書いてないんですよ。その内容を誰がどう議論するかなんて一言も書いてないんです。それで、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない、極めて慎重な立場を取っているんですよ。法の規定をちゃんと守る立場にあるのが、実は規制委員会の皆さんなんです。これは立法府の意思で決めたんですよ。何でそれを政策の側が今度は判断するんだということを言えるんですか。根拠を示してください。

鈴木委員長 山中原子力規制委員会委員長。(逢坂委員「書いてないじゃないですか。どこに書いてあるんですか。書いてあるなら、その条文、文言を言ってくださいよ」と呼ぶ)静粛に願います。

山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、この六ポツの下から二行目、原子力利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではない、ここでそのように読めるのではないかと思います。

逢坂委員 それでは、これは立法府で議論しちゃいけないんですか。政策の推進側でしか議論できないんですか。なぜその選択肢を規制委員会が政策の推進側だけに規定するんですか。

山中政府特別補佐人 利用政策側で御議論いただければよろしいことかと思いますし、最終的には国会の決議でお決めいただくことになろうかと思います。

逢坂委員 原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない、こういう見解を出しておきながら、利用政策側で議論すればいいことですという今の答弁そのものがもう矛盾しているじゃないですか。これについては言及することすら委員会は控えるというのがこの令和二年の七月なんですよ。

 必ずしも内容のことだけを言っているんじゃないんですよ。言っている事実は、ここに書かれていること以外の事実はないんですよ。何で、それなのに、政策の推進側で議論するんだと言えるんですか。これはもう完全な、今回のは勇み足ですよ。令和二年七月の見解を曲解した勇み足じゃないですか。

山中政府特別補佐人 原子力発電所の運転期間について意見を申し述べる立場にはないというのは、これまで国会でも前委員長も答弁されてきた事柄でございますし、私もそれについては同じ意見でございます。

 私どもとしては、高経年化した原子力発電所の安全規制をしっかりと行っていく、そのための制度設計を進めているというのが現在でございます。

逢坂委員 原発が高経年化したものの安全規制について議論するのは、私は、それはそれで全然問題ないと思うんですよ。ただ、法律には、四十三条の三の三十二に原則四十年ということが書いてあるわけですよ。これを守らなきゃならないということも当然あるんじゃないですか。そこはもうエネ庁に議論してもらうからいいんだ、そういう意味なんですか。

山中政府特別補佐人 運転期間については利用政策でお考えいただくことで、私どもが意見を申し述べる立場にはない、そういう見解でございまして、少なくとも、二番目の定め、安全規制に抜けが出ないような制度設計をすることが私どもの義務であるというふうに考えております。

逢坂委員 利用政策の側で議論するということをおっしゃられましたが、先ほど私は若干言いましたけれども、運転期間四十年というのは純粋な利用政策ですか。これは規制政策でもあるんじゃないですか。四十年しか原則使えませんという規制なんじゃないですか。これは規制じゃないんですか。

山中政府特別補佐人 政策判断でされることだと思います。

逢坂委員 もちろん、政策判断ですよ。立法府としての政策判断で四十年という利用規制を入れたんですよ。四十年は、これは規制じゃないんですか。何なんですか、それでは。

山中政府特別補佐人 これは前委員長も繰り返し答弁の中で申し述べられておりますけれども、あくまでも、我々、安全規制にとっては一つのタイミングでしかございません。

逢坂委員 私はその考えは理解できます。規制委員会の立場に立ってみると、一つ審査をするタイミングだということは私は理解できます。

 だからこそ、政治の判断として、規制委員会が技術的に、科学的にできないものについては、政治の意思として利用規制、期間は四十年までだと。なぜそういうものを入れるか。経年変化するときに四十年というのは一つの節目だろう、そういう論拠も幾つかあの当時の議論で出ましたよ。それから、脱原発、原子力を極力少なくしていこう、そういう政治の意思、それも含めての四十年なんですよ。

 だから、これは何も完全に利用政策のものではなくて、規制の意味合いも含むんですよ。だから、全てそれを推進側で議論してくださいというのは、それはとんでもない暴挙ですよ。いかがですか。

山中政府特別補佐人 利用政策というのは、原子力に反対される側の政策もあれば、原子力を進められる政策もあろうかと思います。それについて、私ども原子力規制委員会が何か物申す立場ではございません。

逢坂委員 だったら、なぜ政策側が判断するということを言ったのですか。現行法律には、政治の意思として四十年というのが含まれているんです。なぜそのことに対して規制委員会が、それはエネ庁で議論すべき案件だなんということが言えるんですか。その根拠を教えてください。

山中政府特別補佐人 運転期間に抜けが生じますと私どもの高経年化した原子炉の安全規制に支障が出るというふうに考えまして、制度設計を進めた次第でございます。

逢坂委員 抜けが出るということを認めたのは十一月二日の規制委員会ですよ。自らエネ庁を呼んでヒアリングをして、その一月後に、抜けが出ることを認めたのは皆さんなんですよ。誰かが勝手に抜いたわけじゃないんですよ。だから、何でそんな判断ができるんだと私は繰り返し聞いているんですよ。

山中政府特別補佐人 運転期間に関する定めに抜けが生じる可能性があるということを鑑みて、制度設計を始めた次第でございます。

逢坂委員 そういう抜けが出るような提案をされた場合、規制委員会のやるべき態度としては、それは我々の自立性に反するんだ、だからそれはやめてくださいと、例えば原子力規制委員会設置法四条二項の規定に基づいて勧告をするなり抗議をするなり、それをするのがあなた方の立場なんじゃないですか。いかがですか。

山中政府特別補佐人 利用政策に何か物申すということは、我々の独立性に逆に反すると思いますが、いかがでしょうか。

逢坂委員 運転期間四十年というのは、利用政策ばかりではなくて、これは期間の規制です、期間の規制政策です。だから、利用政策では必ずしもありません。それをしっかり受け止めて、今回のこの委員会の決定、十一月二日の決定は撤回するように要請します。

 終わります。

鈴木委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 先日の環境委員会でも質問させていただいております、原子力について。今日も、深掘りはできないんですが、二十分と限られた時間でございますが、その中で全体的に見ていきたいと思っております。

 今お配りしております資料を御覧いただければと思います。表裏で三枚、表裏六ページになります。

 まず、資料1でございますが、原子力施設に対する新規制基準に係る主な検討課題ということで、これまでの炉規法並びに規制庁のホームページの情報、様々な情報を加味して、私の方で作らせていただきました。

 この中には、先ほど来、規制委員会の在り方、規制庁の在り方、さらには適合性審査、バックフィット、今一番議論が熱かった四十年の運転の問題、さらに特重施設の問題、運転停止、こういった、いろいろ挙げております。先ほど、原子力人材についても取り上げられました。さらに、リプレースメントの話もございました。そして、ミサイル防衛といいますか、そういった問題、新規制基準にないそれ以外の課題、こういったものについての議論がなされたかと思います。

 資料2を御覧いただきたいと思うんですが、配付資料2、こちらには、今回の原子力施設に対する新規制基準、これの全体像を体系的に私なりにまとめさせていただきました。

 私自身、原子力の一応専門家といいますか、学生時代から今も日本原子力学会の、入会して三十五年、シルバー会員になっておりますし、既に原子力プラントの設計、また開発、定期検査、全てやってまいりました。そういった中で、いろいろと考えて、これまでの規制基準、どう変わったか、そういったことを含めて書いております。

 時間がありましたら、後ほどこれも御紹介させていただきたいんですが、その中でも、やはり今回一番問題となっている、いろいろな問題、新基準の在り方について、その下の四ポツ、新規制基準の主な変更点というところでございます。炉規法への電事法の一元化。また、(二)には、設置許可基準の政令、省令に落としているもの。さらに、一番今問題となっています新しい制度の導入、バックフィット、四十年運転制限、あとは型式証明とか。さらには、シビアアクシデント、テロ対策、特重施設の問題。さらに、施設の停止命令の話もございます。そういった問題について取りまとめておりますので、また時間がありましたら、御紹介させていただけると思います。

 その中で、今回は、(二)と(五)、(十一)、この三つについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、(二)、新規制基準への適合性審査、検査とバックフィット制度に絡む問題でございます。

 資料3を見ていただきたいんですが、資料3、こちらには、日本原子力学会の二〇一八年の春の年会で関西電力さんが発表されたものでございます。バックフィットにかかる経過措置期間の在り方、これについて議論されたものでございまして、今、この経過措置については個々に判断をされていらっしゃいます。電力業界、事業者、皆、この在り方といいますか、合理的、客観的な在り方を求めているというところでございまして、今、規制庁の中で議論を深めていることは確かであります。しかしながら、ここが不明瞭である、場当たり的ではないかというところの問題点があります。

 しかしながら、今まで判断してきた問題について見ますと、大体、ケース一はどういったものかといいますと、即時適用しなければならない、そして、もしそれが適合していないんだったらプラントを停止して適合性を確認する、ケース二は、数か月程度の短期間の経過措置を設ける、ケース三は、明確な期限は設けていないけれども遅滞なく対応するというような分類であります。

 それで、これまでいろいろ電力さんの方で、バックフィットに対する事例がございます。有毒ガス対応とか高エネルギーアーク損傷、燃料被覆管の耐震の評価などなど、また火山の降下灰の話、降下物の話、こういったものなどがありまして、これら全て、やはりケース一、ケース二ではなくてケース三が大体該当してきた、しかしながら、こういったものをもう少し合理的また客観的に見ていかなければならない、その合理性、客観性がまだまだ足りないのではないかなというところが指摘されています。専門家の中で、やはりこれを早く詰めてほしいということがございます。

 その中で、令和四年六月十五日の「「バックフィットに関する考え方の整理」の策定に向けて」の中間報告はなされておりますけれども、規制庁として、バックフィットのこれまでの事例に対して、その経過措置の設定の考え方というものはどうだったのか、まず説明をお願いします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな規制基準を設けて、それを既存の施設等に適用する場合には、経過措置を設けることを基本としており、経過措置期間の設定につきましては、平成二十七年の原子力規制委員会において、規制基準の新設、変更の安全上の重要性、事業者が対応するために必要な期間等を総合的に判断して個別に設定すると決定しております。

 この決定に基づきまして、原子力規制委員会としては、必要に応じて事業者の意見を聴取した上で、合理的な期間内の経過措置を定めてきているところでございます。

空本委員 委員長の方にお聞きしたいんですが、規制委員会として、バックフィットの要否の検討をする際の客観的、合理的な基準、並びに、これから経過措置をどういうふうに決めていこうか、その方針、取りまとめのやり方、それについてお願いします。

山中政府特別補佐人 バックフィットの要否を判断するに当たりましては、施設の安全性への想定される影響、あるいはその影響が生じる蓋然性及び切迫度等を踏まえまして、その知見の安全上の重要性を考慮するとともに、原子力事業者等の対応状況等も考慮する必要があるなど、様々な要素がございますので、単一の客観的な基準設定は困難であるというふうに考えております。

 そのため、原子力規制委員会としては、個別の性質等を総合的に勘案して、科学的、技術的な観点から判断を行う必要があると考えております。

 また、バックフィットの適用に当たりましては、一定の経過措置を設けることを基本として、原子力規制委員会として、保安のために必要な限度において、個別の具体的事例を総合的に考慮して経過措置期間等について判断する必要があると考えております。

 現在、原子力規制委員会としては、バックフィットに係る基本的な考え方を整理した上で、バックフィットの適用を適切に実施するために、バックフィットのプロセスを分かりやすく示すことができるよう検討を進めているところでございます。

空本委員 バックフィットについて、これから、客観的、そういったものは、こう言っちゃいけないですが、ケース・バイ・ケースになってしまうところはあるのかもしれませんが、でも、ここは、資料3にあるような、ある程度基準を作っていただくことが大事なのかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 そのときに一番考えるべきことは、運転停止命令、先ほど言いましたが、(五)番の問題でございます。運転停止命令、これは法律で停止するというふうに書かれていますが、それを停止するに当たって原因があるわけで、それが解消されたときにどうやって解除するのか、その解除する手順ですね、停止命令を解除する手順について規制庁の方でどうお考えか、お願いいたします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原子炉等規制法第四十三条の三の二十三第一項におきまして、原子力規制委員会は、発電用原子炉施設の位置、構造若しくは設備が技術基準に適合しないなどが認められたときには、発電用原子炉設置者に対し、その発電用原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転等保安のために必要な措置を命ずることができるというふうに規定をされてございます。

 この使用停止等の命令につきましては、行政手続法第二条第四号に定義をされております不利益処分に該当しますので、原子力規制委員会は、命令の実施に当たり、行政手続法第十三条第一項に定められているとおり、当該不利益処分の名宛て人、すなわち原子力事業者について、聴聞又は弁明の機会の付与のための手続を取ることになります。また、命令の実施に関しましては、行政手続法第十四条に定められているとおり、当該不利益処分の理由を書面で提示することになってございます。

 こうした手続を経て行われた命令がどのようにしたら解除されるかについてでございます。一般論で申し上げますと、その不利益処分である使用停止等の命令の原因の究明と再発防止対策等について報告を求めて、必要に応じて検査官が確認をするなどし、最終的には、公開の原子力規制委員会において御議論いただき、妥当と判断された場合には、この命令の解除がなされるものと考えてございます。

空本委員 そういうふうに、解除のやり方、これはなかったものですから、これは事業者が一番心配するところでございます。

 そういった意味で、これは余り変えていなかったと思いますが、しかしながら、事業者としては、なかなか規制委員会、規制庁の方に相談しづらいという現状がございます。ATENAという、原子力エネルギー協議会という協議の場がございますが、事業者、またメーカー、そういう立場はやはり弱いので、なかなか相談しにくいという声も聞かれております。そういった中で、今、相談の窓口というのは、規制庁としてどうなっていますか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、原子力規制委員会における活動でございますけれども、平成二十六年十月以来、各原子力事業者の経営層、いわゆるCEOでございます、との間で、安全性向上の取組等についての意見交換を継続的に行ってきてございます。また、平成二十九年一月からは、原子力規制委員と原子力部門の責任者とも、新型燃料の導入等、具体的な規制課題について意見交換を継続的に行ってきているというところでございます。

 また、原子力規制庁としても、例えば規制制度に関する相談であれば、制度所管部署でございます原子力規制企画課がございます。ここが窓口になりますので、透明性の確保を前提とした上で、事業者のみならず、メーカー等が会員となってございます原子力エネルギー協会、ATENAでございます、これと定期的に面談を行っているということでございますし、その内容とか必要性に応じまして個々の事業者とも面談を行ってきてございます。

 原子力規制委員会といたしましては、事業者から規制に関する相談の要望があれば、その相談に対して常に門戸を開いてございますし、今後もその姿勢は堅持しているというところでございます。

空本委員 事業者の声、メーカーの声を聞いていただくように、よろしくお願いします。

 今日一番言いたかったことなんですが、小型炉、SMR、そして高速炉、核融合炉、実は、これに対して国会議員の皆さんもメディアの皆さんもすごく期待をしているということはあります。しかし、私、原子力をやってきた人間からすると、夢を見過ぎていらっしゃるというふうに思います。そこを現実を知っていただきたい。

 今、革新炉とか小型炉、高速炉というものは、既存の軽水炉技術とか高速炉技術の延長線にございます。これをまず正しく理解いただきたい。ただし、その中でも、固有の安全性、自己制御性とか燃料インベントリーとかというような具体的な安全性を高める仕組みを取り入れたものが新しい革新炉であったり、小型炉だったり、高速炉であるということでございまして、そこをやはりみんなが夢を見過ぎちゃうと、大変、逆に原子力業界の人間はそこは一番心配します。またうそをつかれたのではないかと、国民の皆さんがまた不信感を抱く可能性がある。そこについて、まず、委員長としてどういうふうに御判断されていますか。

山中政府特別補佐人 議員が具体的に挙げられました大型の革新炉については、公開されている情報の範囲で申し上げますと、基本的には、いずれの原子炉につきましても、既存の原子炉の延長上にあるものと理解しております。SMRについては、軽水炉や高温ガス炉、高速炉など、様々なタイプの原子炉が開発されております。既存炉とはかなり異なる炉型ではないかと想像いたします。

 いずれにいたしましても、これらの原子炉は、国内への導入計画、いずれも具体的に至ってはいないものと承知しており、原子力規制委員会委員長の立場から何か特段のコメントを申し上げることはないかと思います。

空本委員 一応、私も委員長も原子力畑でございますので、理解は同じだと思っております。

 そういった中で、先ほどリプレースの話が出ました。どこに置くんだ、新しい革新炉若しくは小型炉をどこに置くんだ。核セキュリティーの面、あと経済合理性の面から、やはり今ある、廃炉をした上でそこにリプレースをするしかないことは確かなんです。

 そういった意味で、エネ庁として、経済合理性、核セキュリティーの面から、新しい炉を設置するんだったらどうなるか、見解をお願いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 次世代革新炉の経済性につきましては、立地環境や設置条件等の状況に加えて、今後の研究開発の進展等によっても変わるため、現段階で一概に評価することはできないものでございますが、いずれにしても、委員御指摘のとおり、セキュリティー対策も含めて、新たな安全メカニズムを組み込んだものとして開発を進めているところでございます。

 現在、八月のGX会議における総理の指示も踏まえまして、その開発、建設について、資源エネルギー庁の審議会において専門家の方々の御意見もいただきながら議論を行っているところでございまして、立地について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、原子力発電所を建設するに当たっては、様々な関係者の御理解が重要になってまいります。

 このため、今後とも、広報活動などを通じまして国民の皆様に幅広い御理解を得られるように取り組んでいくとともに、また、産学官の関係者が共有できる研究開発の目標時期を示し、次世代革新炉の研究開発への支援やサプライチェーンの維持強化、事業環境の整備など、実現への課題やその解決に向けて、国や産業界が進めるべき取組を具体化してまいりたいと考えております。

空本委員 もう少し明確な答えをいただきたかったんですが、やはり新しいプラントを、発電所を新規立地する、今、計画はありますが、難しい。やはり地域の方の同意を得なければならない。ならば、やはり今ある発電所、そういったところに、廃炉にするわけですから、廃止措置を行うわけですから、そこを更地にして新たに建てる。また、そこはやはり耐震性の問題等もクリアできておる、そういう形で、新しい小型炉、私としては、小型炉よりも革新的な既存の炉の方が経済合理性はいいだろうと。ただし、燃料インベントリーの問題があったりするんですが、固有安全性を高めるということの新しい技術開発、日本のメーカー、三菱、東芝、日立、三社やっておりますので、そういったところをしっかりと見ていただきながら、議員の皆さんにも御判断いただきたいと思っております。

 そのときに、規制基準、先ほど規制庁の方から話はありましたが、これからそれに対して取り組むかは、ちょっとそこはおいておいて、もう一個、核融合炉だけ話をしたいと思います。

 核融合炉、一億度のDT、トリチウムも含みますが、こういったものをやる。これはちょっと先の話でございますが、それに対してエネ庁としてどうお考えか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 核融合につきましては、基盤技術の確立に向けて、国際連携による研究開発を進めている段階と承知をしております。

 経済産業省としては、次世代革新炉の研究開発やサプライチェーンの維持強化に向けた支援を進めておりますけれども、こうした研究開発の成果は将来の核融合炉の実用化にもつながるものと認識しております。

 現在、内閣府を中心に核融合戦略の策定に向けた議論を進めているところでございまして、引き続き、関係省庁と連携しつつ、核融合も含めた次世代革新炉の研究開発等の取組を進めてまいりたいと考えております。

空本委員 核融合はちょっと遠い将来の話であります。しかしながら、こういったことを開発することによって、加速器とか、科学技術の発展につながるものでございますので、そういった意味で確かにやっていただきたい。プラス、今の新しい炉の規制においても、アメリカ、カナダで動きがございます。そういったものを反映させながら取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ちょっと、睡眠は別のところで。寝るぐらいだったら、来ない方がいいと思うのでね。苦言だけ申し上げておきたいと思います。

 委員長、ありがとうございます。就任されて、大変手堅い御答弁で、敬意を表します。

 最初、私の通告に入る前に、今日、逢坂委員からるるいろいろありました。私、逢坂さんが一体何を聞きたいのか分からないんですけれども、分かりますでしょうか。逢坂委員が一体何を委員長に問うていたのか、もし御理解があったら教えてください。

山中政府特別補佐人 原子炉等規制法の、炉規法の第四十三条、運転期間延長認可制度についての問題意識を持たれて、私に問いかけられたというふうに認識しております。

足立委員 手堅い御答弁、ありがとうございます。

 利用政策側が決めるって当たり前ですよね、当たり前。誰が決めるんですか、ほかに。私たち、まだ政権に就いたことがない国会議員や政党がいろいろ分からぬことを言うときは、それは分かっていないだけですから仕方ないんですが、一回政権に就いた方々、あるいはルールを作ってきた方々が、それも新任の規制委員長に言いがかりのような質問を繰り返す。これは、私は一兵卒なので、何でも言えるので、言わせていただいていますが、本当に非生産的でありますので、しっかり私は国会議員の一人として、立法府の役割をしっかりと果たしていきたい、こう思います。

 政府が、経産省が原発について、あるいは岸田総理が原発について少し踏み込んでいるということについては、それは多分、本当にそうだと思うので、私は高く評価しています。岸田内閣全体で停滞ぎみというか低位安定と言われているんですが、低位かどうか、済みません、与党の皆様。低位安定、でも、岸田内閣が低位で安定できるのは、自民党の中もちょっとだらしないし、私たち野党がやはりだらしないから低位安定できるので、しっかり責任を痛感しながら精進していきたいと思いますが、その中で原子力政策については粛々とやるべき仕事を踏み出されているということで、私は評価をしているわけであります。

 ただ、日本維新の会は、私が中心になって原発再稼働責任法案というのを作ってきたんですね。それは何を言いたいかというと、要は、無責任体制の中で原発事故を起こしてしまった、あるいは安全に関する考え方が間違っているというか後進国だったので事故を起こしてしまったと私は思っているんですが、そういう中で、東京電力福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえて改革して次に進んでいかなあかんということで本当にいいのかなと。

 いや、私はあれですよ、評価しているんですよ。評価しているんだけれども、この十年の教訓というのをしっかりと卒業。先ほど菅元総理が、原発を卒業すべきだ、こうおっしゃいましたが、原発を卒業するというのは自衛隊をなくせに等しい考え方でありますから、もうやめた方がいいと思うんですが、他方、福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえた改革が終わったのか、要は福島第一原発事故の教訓を卒業できたのか。これは、私が常に、バッジをつけさせていただいている立場として気になっているところであります。

 そうした観点から、今日は三点質問させていただきたいと思います。

 一点は、一体あの事故は何だったんだというときに、様々な検証、規制委員会も今いろいろ検証していただいていますが、まだずっと続いていると思う、だから、そういう意味では卒業はないということかもしれません。ただ、推進していくにはやはり一定の区切りをつけていく必要があると思っていまして。ではあの事故は何だったのか、いろいろな膨大な議論があるわけですが。

 一つ、私がこれを卒業したいなと思って、さきの国会の最終盤に質問主意書を、私は質問主意書は、役所の後輩たちが忙殺されるのは申し訳ないので、この十年、質問主意書を出したことがありませんでした。ただ、これだけはやはり記録に残しておきたいということで、東京電力福島第一原発事故を通じて大気中に放出された放射性物質の総量は幾らなのか、これを問いました。これは、伺うと、規制庁で答弁を作っていただいたということですが、当時はざくっとしか答えていただけていない。いや、もうちょっと答えられるはずだということで事務方にお願いしまして、規制委員長から、恐縮ですが、御答弁いただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故を通じて大気中に放出された放射性物質の総量については、平成二十三年九月に原子力災害対策本部にて決定された国際原子力機関に対する日本政府の追加報告書において五十万テラベクレルから百万テラベクレル程度と評価されているものと承知しております。

 この値は、IAEAの国際原子力・放射線事象評価尺度、INESに従い、セシウム137をヨウ素に換算するなどにより、ヨウ素131の放射能量として推定されたものでございます。

 なお、海上と陸地に降り注いだそれぞれの放射性物質の総量については、原子力規制委員会としては現時点で把握しておりません。

足立委員 事務方でも結構ですが、いつだったかな、日付がすぐ出てきませんが、広瀬当時の東電社長に同じ質問をしたことがありました。これは、事故の二〇一一年の三月十一日から三月中に放出された、三月三十一日までの総量について、東電の答弁は、セシウム137とセシウム134についてそれぞれ十ペタベクレル、一ペタというのは千兆なので一万兆ベクレルという御答弁をいただいているんです。大分違うんですが。

 テラとペタだから、ギガ、テラでしたっけ、ギガ、テラ、ペタでしょう、東電社長はセシウム137だけで十ペタとおっしゃっているわけです。それに対して今の規制委員長の御答弁は、これは事務方でいいですよ、放射性物質の総量を、あっ、あれか、ヨウ素に換算しているからか、ヨウ素131に換算して五十万から百万テラベクレル。換算しているからだね、だからおかしくないんだ。なるほど、もう解決しちゃいましたね、一人で。ちょっと格好悪いですね。なるほど。

 最後に、最後にというか、先ほど規制委員長が、要は海に降り注いだものと陸地に降り注いだものがあるわけですが、以前、環境省にそれを聞いたときに、何か二割、二割がどっちだろう、二割とか何割とかそういう議論が国会でもなされたんですが、あの当時は何となく言ったんだ、今はちょっと言えないということか、十年たったからより正確に、これはもうフィックスしていないと。今確定しておかなければ百年後は散逸するだけですから、資料が。

 だから、今日この国会答弁で一旦、あの事故で出た放射性物質はどれだけなんだということを確定しておきたいし、それは今の規制委員長の御答弁で確定できた。これは閣議決定もされています。さて、陸地と陸地以外ということでは何か分かりますか。

土居政府参考人 今委員から御質問いただきましたのが、平成二十八年に国会でやり取りさせていただいたことだと理解しております。その際にも、事前の勉強のときにもやり取りさせていただきまして、我々が除染などの作業を行っておりますのが、特措法に基づきまして除染などの作業をさせていただいておりますが、その法律に基づいては、放射性物質の総量というのは必ずしも適正に管理するために必要なデータではないものですから把握はしておりませんと。ただ、やり取りの中で、御質問の中で、いろいろなデータを使いながら、大体これぐらいなものかという推定を別途させていただいたということで答弁させていただいております。

 現時点でどうなのかということでございますが、環境省におきましては、今申し上げましたように、特措法に基づいて除染で発生しました除去土壌などの管理は実際に行っているところでありますが、その管理に必要なデータといたしまして、放射性物質の総量というのが必要なデータではないものですから、今この瞬間では、現時点では把握しておりません。

足立委員 いいと思います。それは、当時も無理やり私が詰め詰めに、役所の方に計算してよと言って無理やり出していただいた御答弁だったので、それは余りねということは、それはそれで結構だと思います。

 今日通告し切れていないんですが、一方、環境省が除染とかで管理をしている、この十年間で。それは手元に今日はないかな。要は、環境省が、除染とかなんとかとか、そういうことでその総量をマネジメントし切れているもの、福島第一原発事故から放出された放射性物質のうち、政府が、環境省がマネジメントできているものと、どこに行ったか分からない、海に沈んでいるとか、そこに分かれるわけで、それは何か手元にありますか。

土居政府参考人 環境省が把握しておりますのが、除染の作業をさせていただきまして、そこで取り除いた土の総量につきましてはカウントをしておりまして、これが十月末現在で千三百四十四万立米の土、あとは除染で出ました草などを管理しております。

 また、指定廃棄物という区分もありますが、これが約四十万トンございますので、重量としては把握しているのがそのデータでございます。

足立委員 まあまあ、今日はこれは、よく考えたら時間が来てしまったんですが、あと一分。質問があと二つあって、委員長、済みません、一つは人材の話をしようと思っていました。やばいですよ、このままいったら原子力人材がいなくなりますよと。だから、直ちに、国民民主党と同じ意見になっちゃってあれですが、リプレースをやはりした方がいい、そこは政府がもっと背中を押していく、軽水炉だっていい、いいものであればね。

 そういう議論をしたかったのと、もう一つは、原発事故調、これが、政府事故調、民間事故調、国会事故調、あと学術やったかな、そういうまとめた本があるんですが、やはり、事故調の教訓、事故調がまとめた提言とかがどれぐらいできているのか、そういうことをちゃんと精査し切った上で、しっかり政府を、背中を押して、原発、エネルギー、国の繁栄のために働いていきたいということを申し上げて、終わります。

 委員長、またこれからも御指導をよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 山中委員長に質問いたします。

 まず、原子力規制委員会の基本的立場に関わって確認したいんですが、去る六月三日の当委員会で当時の更田委員長は私にこう答弁されました。何よりも推進の論理であるとか需給の論理に影響されて安全の判断をしてしまうようなことがあれば一瞬で規制に対する信頼は再び地に落ちる、最も大事なことの一つでありますけれども、その中心にあるのは推進と規制の分離、これは行政の中できちんと守られるべきだというふうに考えております、こう更田委員長は言われておりました。山中委員長も、当然同じ立場で規制委員会に臨まれますね。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会として、厳正な規制を行うという方針については、更田前委員長と全く私も同じ考えでございます。独立性と透明性をきちっと担保して原子力規制を行ってまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 原子力規制委員会は、去る十月五日の定例会議に経産省資源エネルギー庁を呼んで、原発運転期間延長に関する考えと原発の廃炉の進め方について松山電力・ガス事業部長らから説明を受けました。規制委員会は、経産省が、あるいは資源エネ庁が求めてもいないのに、なぜ規制委員会の会議に呼んで意見を聴取したんでしょうか。

山中政府特別補佐人 先ほどからお話が出ておりますけれども、原子力発電所の運転期間延長認可制度につきましては、原子炉等規制法の第四十三条に規定された条文でございます。その条文の中に、運転期間に関する定めと高経年化した原子力発電所の安全規制に関する定めの二つがセットになって定められてございます。

 運転期間に関する定めにつきましては、これまでも答弁させていただいていますように、利用政策側で判断されることであって、私どもが判断するべきことではないという見解は、これまで原子力規制委員会が取ってきた見解と私も変わりませんし、十月五日の原子力規制委員会において再度確認させていただいたところでございます。

 ということでございまして、八月末ほどからGX会議等において原子力発電所の運転期間について議論が始まっているということを認識してございます。個人的には非常に重要な案件であって、これについてもし何か提案がなされるならば高経年化した原子力発電所の安全規制に影響が出る可能性があるという認識でずっとおりました。

 九月二十二日の資源エネルギー庁の原子力小委員会においてその案が具体的に提示されたということを個人的に知りまして、原子力規制委員会、九月二十八日だったかと思いますが、委員の先生方と改めてこの件について検討する、資源エネルギー庁からこの運転期間に対する方針について意見を伺うということを議論させていただいて、委員の皆さんと合意を得た上で、十月五日に資源エネルギー庁に直接来ていただいて方針を確認した次第でございます。

笠井委員 山中委員長は冒頭に強調を自らされたんですが、独立性を掲げる規制委員会が、原発推進の政策、しかも議論中、始まったところについて意見聴取するということ自体が、マスコミも指摘しておりますけれども、まさに異例中の異例のことということだと思うんです。

 この十月五日の規制委員会の会議で経産省資源エネルギー庁の松山電力・ガス事業部長らが、原発推進政策、特に原発運転期間制度それから運転期間の論点等を説明しております。その内容を原子力規制庁がまとめ、十一月二日の規制委員会に提出した資料によりますと、こうあります。

 資源エネルギー庁は、原子力利用政策の観点から運転期間を見直すための検討を進めていることを明らかにし、運転期間を延長するためには関係法令の改正を含めた制度整備を行う必要があるとの見通しを示した。また、運転期間は、現行の原子炉等規制法ではなく、原子力利用省庁が所管する法令で定める方が適切であるとの見解を示したと。ここまで踏み込んでいるわけですが、こういう内容の説明があったというのは間違いありませんね。あったかないかだけ、お答えください。

山中政府特別補佐人 資源エネルギー庁からそのような方針について説明を受けました。

笠井委員 このことについて山中委員長は、現行の運転期間の定めについて利用政策制度の中で見直していくということでよろしいでしょうか、それと確認ですが、その制度というのは法律で設計されるという方針でよろしいでしょうかと念押しをなさっております。

 これに対して松山部長が、利用政策としての運転ということでありますれば、そういう定めについては我々としては、利用政策として運転期間としての見直し、延長ということについて検討していかなければならない、必要に応じてはそれについて法的な措置も講じなければならない、こういうふうに答えておられます。

 山中委員長は、なぜ経産省にこのような確認質問までやったんでしょうか。

山中政府特別補佐人 先ほどからの答弁でもお話をさせていただいていますように、運転期間の延長認可につきましては、運転期間と高経年化した原子炉の安全規制に関する、その二つの規定が定められてございます。一方に抜けが生じますと高経年化した原子力発電所の安全規制に重大な影響が出ると判断をいたしましたので、そのような確認をいたしました。

笠井委員 先ほど来委員長は二〇二〇年の見解のことを繰り返し挙げられて、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないということを繰り返し言われていますが、資源エネ庁は規制委員会が二年前の見解で言っているからと、口を挟む根拠にしておりますけれども、私はその見解自体がおかしいと。

 原子力産業の要求で、ATENAに言われて、原発の寿命をタイミングにすり替えていたものであります。しかも、先ほど逢坂議員が指摘したように、誰が判断するとも言っていない、六項のところで。そんな見解を錦の御旗にしているのが経産省資源エネ庁でありまして、条文の話なのに勝手な解釈をやっている。利用政策の観点ということがしきりに言われるんだけれども、炉規法自体が平和的、安全に利用を規制するルール、法律だということであります。

 そこで、山中委員長に伺いますけれども、委員長は利用政策側で判断していただければと答弁を繰り返しされておりますが、二〇二〇年七月二十九日にあの見解が出されました。ここに見解がありますけれども。出された後の同年十二月三日の当委員会で、我が党の藤野保史議員がこの問題を取り上げて質問しております。更田委員長はそれに対してこう答弁されています。四十年をどう考えるか、それは立法政策の場において決められるべきだということがあの見解の最大のメッセージでありますと。

 立法政策の場において決められるべき、それが最大のメッセージ。つまり、あの見解の最大のメッセージは、推進側の経産省でも資源エネ庁でもなく、立法政策の場、国会の場で決めるということだったんじゃないんですか。

山中政府特別補佐人 運転期間については、最終的に国会で御議論して決定されるべきものであろうと思います。

笠井委員 最終的にと言われますけれども、まだ決まっていないんです。先ほど委員長が言われたように、経産省資源エネ庁の方で議論が始まっている、それでGX会議で始まっていると承知していると。始まっているので、こちらがどうするかというので、呼んでくれとも言われていないのに呼んで、そしてやっているということになるわけで、これ自体が本当に重大なことだと思うんですよ。あの見解は、最終的にはとかと書いていないです、立法政策の場においてということがはっきり書かれている、そこで決められるべきことだということを言っているわけであります。

 委員長に伺いますが、今年三月三日の衆議院議院運営委員会でも原子力規制委員長の候補として聴聞を受けられました。そのときに、原発の運転期間について、私の質問に、政策的にお決めいただいた年限でございますと答弁をされました。原則四十年というのはそもそも、東京電力福島第一原発が運転期間四十年で事故を起こしたので、自民党や公明党両党も合意をして、老朽原発は危ない、しかも予期せぬ不具合のおそれもある、だからということで政策判断で四十年と決めて国会で立法化された、これは間違いありませんね。

山中政府特別補佐人 所信のときにそのような発言をさせていただいたのは事実でございます。

笠井委員 年限でございますということを私は聞いたんじゃなくて、原則四十年というのはそもそも、四十年で福島第一原発が事故を起こしたので、とにかくそれに対して国会を挙げて、老朽原発は危ないから、そして予期せぬ不具合のおそれもあるからということで政策判断で四十年を決めて立法化した、そのことについてはそのとおりですねというふうに伺ったんです。

山中政府特別補佐人 運転期間については原子力規制委員会は何か物を申す立場ではないということでございますので、特に何もコメントすることはございません。

笠井委員 ちょっとこれはそもそもの話ですよ、何でこの法律ができたのか、こういう規定ができたのか。しかも、あのときに原子力規制委員会もやはりそういう中できちっとつくられたわけですから、立場を述べることではない、コメントしないというのはちょっとあんまりじゃないですか。何でこの法律ができたかということについて、事実経過も承知していらっしゃらないで委員長をやっていらっしゃるんですか。

山中政府特別補佐人 立法政策として成立したものであるという認識は、議員がおっしゃっているとおりだと私も認識しております。

笠井委員 ですから、四十年に根拠はない、科学的根拠はないというふうな議論がなされたりしますけれども、片やそうして運転期間を延ばそうなんという議論がどんどんされていますけれども、やはり福島事故の反省がどこに行ったのかということになってくると思うんですよ。

 利用政策の観点からというのは、要するに原発推進の観点ということであります。規制委員長から資源エネ庁への念押しのやり取り、先ほど私も紹介して、そのとおりあったということですけれども、そのやり取りは、原発の運転期間を規制の観点から原子力規制委員会が所管している現行の原子炉等規制法から削除して、そして推進の観点から運転期間の新たなルールを、つまり、規制庁に言わせると、そういう法律ですから電気事業法の中に移してしまおう、こういうことではないかと思うんですが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 運転期間については利用政策側で御判断いただくことであるという原子力規制委員会の見解は変わりません。

 したがいまして、利用政策が原子力に反対される側あるいは推進される側のいずれにあっても私どもは何か意見を申し上げる立場にはないという見解でございます。

笠井委員 先ほども確認はしましたが、利用政策の側としきりに言われますけれども、更田委員長が言っていた最大のメッセージというのは立法政策の場において決めるということですから、国会で決めるということで、それをきちっとやっていくというのが規制委員会としても必要だということですね。それを基にやっていく、それはいいですね。

山中政府特別補佐人 私もそのような認識でおります。

笠井委員 原子力規制委員会の設置法の第一条は、設置の目的の中に、一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生じる問題を解消するためということを明記しているわけでありまして、何か原発の賛成派、反対派みたいな話をされたけれども、そういう問題じゃないということだと思うんですよ。

 それで、原発の運転期間原則四十年ルールというのは福島事故の大きな教訓の一つであります。原子力利用の在り方に関する政策判断ではなくて、明らかに規制の領域であります。経産省という原発推進官庁から規制の領域に乗り出してくるというのは越権行為であって、規制委員会の権限にのっとって、別の法律で原発の運転期間の規定を変えたいと言ってきたら、認める認めない以前に、そして事情を聞く聞かない以前に、そんなことははっきり拒絶すべきじゃないかと思うんだけれども。

 規制委員会としての独立性と冒頭に言われた、しかも設置法の一条で書かれている、そういう立場からはっきりとそういうことについてはノーと言うべきじゃないんですか。立法政策で決まって、国会で決まった下で仕事をされているということですから。いかがですか。

山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、運転期間については利用政策側で御判断いただくことであって、原子力規制委員会は何か意見を申し上げる立場にはないということでございます。

笠井委員 意見を言わないと言いながら、推進側の話で、それを前提にした議論を進めるということになっていると。

 山中委員長は、十月二日の規制委員会後の記者会見で問われて、こう答えておられます。原子炉等規制法の運転期間に関するところは利用政策側の法体系の中で規定されるものと考えている。運転期間については利用政策側の法体系の中で位置づけるという、今日資源エネルギー庁の方針を聞いたので、その部分については抜け落ちることになろうかと思う。資源エネ庁が利用政策側の法体系で運転期間についての定めを引き取るという方針をきちんと確認した上で、我々が検討しないといけない要素をあらかじめ事項として考えておきたかったというのがまず出発点と。

 そうなると、一体何のための規制委員会なのか。任務放棄ということに取れるような発言じゃないんでしょうか。

山中政府特別補佐人 我々の責務は、高経年化した原子力発電所の安全規制をきちっと遂行していくことであろうと考えております。そのための制度設計を今検討しているところでございます。

笠井委員 まだ決まってもいない、国会でも決まっていないことを、どんどん先に制度設計をやるという前提でやっていると。いつから規制委員会は経産省の下僕になったのかというふうに言われても仕方がないと思うんですよ。(発言する者あり)

鈴木委員長 静粛に願います。

笠井委員 規制に対する側が推進する側の意向を酌んで飛び込んでいく、まさに規制のとりこの再来そのものではないか。

 東電の福島第一原発事故の最大の教訓は、規制と推進を分離したことであります。その最大の教訓を投げ捨てるのかということになってくる。そうでないなら原発運転期間の原則四十年ルールを原子炉等規制法から削除して電気事業法に移すことには断固ノーを貫くべきだ、このことを強く申し上げて、今日の質問を終わります。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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