衆議院

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第2号 令和5年3月30日(木曜日)

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令和五年三月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 石川 昭政君 理事 石原 宏高君

   理事 細田 健一君 理事 宮澤 博行君

   理事 野間  健君 理事 山岸 一生君

   理事 一谷勇一郎君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      井林 辰憲君    石橋林太郎君

      泉田 裕彦君    今村 雅弘君

      江渡 聡徳君    加藤 竜祥君

      神田 憲次君    神田 潤一君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      瀬戸 隆一君    高木 宏壽君

      津島  淳君    土井  亨君

      長坂 康正君    西野 太亮君

      穂坂  泰君    宗清 皇一君

      阿部 知子君    逢坂 誠二君

      菅  直人君    田嶋  要君

      米山 隆一君    足立 康史君

      空本 誠喜君    中川 康洋君

      平林  晃君    浅野  哲君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松下  整君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            覺道 崇文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  上坂  充君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     西野 太亮君

  神田 潤一君     加藤 竜祥君

  津島  淳君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     神田 潤一君

  瀬戸 隆一君     高村 正大君

  西野 太亮君     石橋林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     塩崎 彰久君

  高村 正大君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 この際、御報告いたします。

 第百九十三回国会、原子力問題調査特別委員会理事会の決定により、本委員会の活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。

 本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。山中原子力規制委員会委員長。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の山中伸介でございます。

 衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。

 まず第一に、原子力施設に係る規則の厳正かつ適切な実施について申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえて強化した規制基準への適合性審査については、これまでに申請がなされた二十七基の発電用原子炉のうち十七基に対して設置変更許可を行いました。また、申請がなされた二十一の核燃料施設等のうち、これまでに核燃料物質の加工施設、使用済燃料の再処理施設等について十一件の事業変更許可を、試験研究炉について二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。

 発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに申請がなされた六基のうち四基に対して認可を行いました。

 原子力施設の廃止措置計画については、これまでに発電用原子炉に対して計十八基の認可を、核燃料施設等に対して計九件の認可を行いました。

 また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、令和二年四月から原子力規制検査制度の運用を開始し、原子力事業者のあらゆる安全活動について監視を行っております。

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用事案及び核物質防護設備の機能一部喪失事案については、昨年九月に東京電力の改善措置活動を評価するための確認方針を定めて追加検査を継続し、原子力規制委員会委員長及び委員全員が現地を訪問し東京電力の改善状況を直接確認することを含め、重大な問題を繰り返さないための対策が実施されているかどうか等について確認を行っているところです。引き続き追加検査を進め、核物質防護への取組を監視、指導してまいります。

 原子力規制検査につきましては、引き続き、事業者等とのコミュニケーションを図りつつ、検査制度の継続的改善に努めてまいります。

 また、これ以外にも、原子力施設等で事故トラブルが発生した場合には、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対応してまいります。

 以上のとおり、原子力施設等に関する調査、検査を順次進めております。

 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、継続的に改善を図っております。

 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から、安全かつ確実に廃炉作業が進むよう、積極的な監視、指導を行うとともに、関係省庁とも連携し、環境放射線モニタリングの実施とその結果の公表を行っております。

 令和三年四月十三日に政府方針が決定された多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水の海洋放出については、ALPS処理水の海洋放出設備が昨年七月に認可した実施計画に沿って適切に設置されているか等について厳正に検査を進めるとともに、昨年十一月に東京電力から申請のあったALPS処理水の海洋放出時の運用等に係る実施計画については、先月取りまとめた審査書案に対して寄せられた科学的、技術的意見に対する精査を行っております。本年一月十六日から二十日には国際原子力機関、IAEAによる第二回ALPS処理水の海洋放出に関する規制レビューを受け入れ、審査等の客観性及び透明性を高める取組を進めました。昨年四月には、関係省庁と連携し、海洋放出が行われる前の海域の状況を把握するためのモニタリングを開始いたしました。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故調査については、令和三年四月から令和四年十二月までの放射性物質等の移行メカニズム、溶融炉心の挙動等の調査、分析に関する検討内容について、科学的、技術的意見の公募の結果を踏まえ、昨日、中間的な取りまとめを行いました。引き続きこれまでに得られた知見と規制との関係を精査するとともに、調査、分析を継続してまいります。

 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。

 原子力規制委員会では、原子力災害対策指針に基づき、本年三月に福井大学の高度被ばく医療支援センターへの新規指定を決定することなどにより原子力災害時における医療体制の着実な整備を進める等、原子力災害対策の充実を図っております。

 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所の体制整備及び関係道府県への技術的支援等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。

 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和活動にとどまっているとの評価を継続してIAEAより得ております。

 最後に、原子力利用における安全対策の一層の強化のための制度の見直しについて申し上げます。

 今般、政府としてGX実現に向けた基本方針が取りまとめられたことを受け、経済産業省において電気事業法を一部改正し、原子力発電所の運転期間に関する定めを整理することとしています。原子力規制委員会としては、これがどのような内容であっても高経年化した発電用原子炉に関する安全規制が損なわれることがないよう、厳格な安全規制の検討を進め、今国会に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正案を提出いたしました。原子力規制委員会としては、引き続き実効性の高い規制の実現に取り組んでまいります。

 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。

 原子力規制委員会は、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

鈴木委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長上坂充君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官松下整君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官覺道崇文君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、原子力規制庁次長金子修一君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一君。

宗清委員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一でございます。

 質問の機会をいただきました。心から感謝を申し上げます。

 本日は、エネルギー政策全体の観点から、原子力の問題について、私見を添えて質問させていただきたいと思います。

 現在、ロシアのウクライナへの侵略、またカーボンニュートラルの達成もございまして、世界的にエネルギーの政策が大きく変わってきていると思います。また、世界的な物価高、根強いインフレ圧力がしばらくは続いていくんだろうと思います。一方で、世界的な資源高、物価高に加えて、円安によっても我が国ではエネルギー価格の高騰が続いています。

 従来、円安は日本経済にとってプラスと言われてきましたけれども、今回の円安は海外の資源高と相まってインフレ圧力になっていますし、また、我が国の生産拠点が海外に移転したこと、産業競争力が低下をしていることなど、これを背景に、円安による輸出増という効果が相当なくなってきているというように思います。今後もしばらく世界的に物価高、資源高が予想される中で、これからも我が国としては円安、為替のことについても十分に注意していく必要があるというふうに思います。

 為替の安定のためには貿易収支の改善と金融政策の機動性の回復が必要ですけれども、金融政策の機動性を高めていくことはしばらく難しいと考えます。円安に歯止めをかける、円の価値を安定させていくためには、やるべきことというのは、経常収支を改善させる必要がございます。経常収支を改善するためには貿易赤字を改善する必要がございまして、そのためには化石燃料の輸入を減らす必要がございます。化石燃料の輸入を減らすには、原発の稼働率、利用率を上げていく、また、再生可能エネルギーの導入を増やしていくしかございません。

 また、二〇三〇年の温室効果ガス四六%削減、二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成、さらにはエネルギーの安定供給という意味でも原発の重要度は増しているというふうに思います。

 他方で、これから再エネへの転換、再生エネルギーを増やしていこうと思ったら、これはインフラコストが上昇するわけでありまして、これからカーボンプライシングによってエネルギー価格は下がりにくい構造になります。賃上げによって人件費も上昇する、産油国が増産にも慎重であり、原油価格は今後も下がりにくいことが予想されます。しばらくエネルギーコストは高止まりするのではないかというようなことが考えられます。こんな状況を考えますと、原子力政策が我が国の将来を決めると言っても過言ではないのではないかと思います。

 先ほど、山中委員長からも原子力規制委員会のこれまでの取組について御説明がございました。福島の事故の教訓から、安全性の向上、また我が国の原子力規制に対する信頼の回復のために、審査や検査制度の見直し、福島第一原発の廃炉作業に係る規制などに当たってきていただきました。改めて、これまでの取組に心から感謝を申し上げたいと思います。

 他方で、安全性を高めていく、これは大前提でございますが、先ほど御説明にあったように、現在、十年たっても十基しか稼働していない。これには、事業者側も規制側も政府も、まだまだ改善すべき点があるんだろうというふうに思います。

 その改善すべき一つとして、規制側と事業者側とのコミュニケーション不足が指摘をされています。

 規制側と事業者側との関係を、完全に上下関係であるとか、本当に言いたいことが言えない、先生と生徒の関係であるというような表現でもやゆされることもございました。この委員会でも、何度となく、規制側と事業者側で十分なコミュニケーションが取れていないのではないか、また、十分なコミュニケーションが取れていない、規制委員会は孤立しているのではないかと。少し改善はしてきているというように感じますが、更なる改善を求める御意見や御指摘もこの委員会ではございました。

 山中委員長も、先ほど、原子力規制検査については、引き続き事業者側等とのコミュニケーションを図りつつ検査制度の持続的改善に努めるという御発言もございました。私も、こうした意見には賛成でございます。規制委員会の独立性と透明性を、国民の皆さんから疑念を持たれないようにしっかりと堅持しながら厳正な規制や検査に努めるべきです。

 私は、規制委員会の独立性と審査の透明性を図ることと事業者側と十分なコミュニケーションを図ることは、トレードオフの関係ではないというふうに思います。事業者側と十分なコミュニケーションを取ることで、より安全性を高めていくことにつながりますし、むしろ安全性を高めるためのコミュニケーションにしなければならないというふうに思います。

 ここで確認をいたしますけれども、原子力発電をやっている諸外国の事例ですね、規制側と推進側、規制側と事業者側がコミュニケーションについてどのようなルールでやっているのか教えていただきたいと思いますし、我が国との違いがあれば御説明を願いたいと思います。

金子政府参考人 御指摘の、海外の規制機関における事業者とのコミュニケーションについてでございます。

 詳細を体系的に把握しているわけではございませんけれども、例えば我々は日頃から米国NRCとは密接な協力関係にございまして、いろいろな情報交換をしてございます。例えば、安全規制に関わる事業者とのやり取りについては基本的に公開の場で実施をするというルールを持っており、一方で、規制の内容に関係のないものは非公開でも実施可能というような運用をされていると聞いております。また、人の行き来に関しましても、特段のルール、制約があるということではなくて、例えば、退職したNRCの職員が退職後に電力会社などでお勤めになっているというケースもよく見られるというふうに聞いております。

 十二年前に東京電力福島第一原子力発電所の事故を経験した我が国でございますので、その教訓の一つでありました規制と推進の分離、これを旨として我々原子力規制委員会が設置されたということも踏まえますれば、公開の場の原則あるいは透明性、独立性といったものが設置法でも規定をされているということについては妥当であるというふうには考えております。

宗清委員 今、御答弁ではアメリカの事例が少しございました。レクのときには、質問をするのにレクを受けまして、フランスの事例なども教えていただいたんですけれども。

 諸外国では、我が国よりも事業者と規制側のコミュニケーションが取りやすい環境になっているというように思われます。他方で、問題は、私がレクでどうなっているんですかということをお聞きしたときに、諸外国のやり方とかルールは全く御存じではなかったというように思います。十分に今日もお調べをし切れていないんだというように思いますね。

 規制と推進は分離するという理屈の下、これは分かります。ですから、役所と規制庁は人事交流ができませんし、今はノーリターンルールになっています。それに、一旦規制庁に足を踏み入れると事業者側には入れないというルールにもなっている。また、日頃のコミュニケーションについても、説明を受ける限りでは、日本には諸外国よりも大きな制限がある。

 規制委員会は、意思決定を、より透明で厳正なルールに基づいて審査、検査をすれば社会の信頼は失うことはない。当たり前の話なんですが、人為的なことよりも、誰が検査、審査をやっても同じ結果が出る、蓄積された知見に基づいてルールや基準に沿って審査をすることで我が国の原子力規制の信頼が担保できるんだろうと思います。

 規制側には、これまでも孤立しないように事業者と適切なコミュニケーションを取ってきたというふうに言われていますけれども、諸外国の事例を規制庁が全く把握していないというのやはりよくないと思いますし、委員長はこの辺も御存じだったのか。また、諸外国の例をこれから参考にして比較して、よりいいものにやはりしていくべきだ、安全性を高めていくためにはというように思います。今の状態で十分であるというふうに考えているのかどうかも、規制委員長の見解を聞かせていただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 先ほど次長がお答え申し上げましたように、例えば米国NRCの取組と日本の原子力規制委員会の取組とでは、異なる部分があるということは承知しておりました。

 その上で、先ほどから次長からも申し上げましたように、原子力規制委員会の独立性、透明性を堅持した上で、引き続き審査に関係するようなコミュニケーションの改善は図ってまいりたいというふうに考えております。

宗清委員 狭い我が国の知見の中に閉じこもらないように、諸外国でやっているいい事例については取り入れていくという姿勢が大事だろうと思うんですね。今のまま、かたくなということはやはりよくないと思います。

 私は、十分なコミュニケーションが取れてこそ安全性が高められるというように思います。今が十分である、満足な状態であるとは私は思いませんので、更なる改善を求めたいと思いますし、これは運用上の問題であると思いますから、できることから始めていくという姿勢が大事だろうと思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、原発の利用率のことについてお尋ねをしたいと思います。

 今、稼働率や新規制基準適合審査の状況、先ほど御説明がございましたが、本当に心配をしておりまして、新しい規制基準の下で許可が出て再稼働しているプラントが十基ですね、そして、設置許可取得済みであっても稼働していないプラントが七基、十年たってもこのような状態でございます。これしか動いていないんですね。

 他方で、我が国の原発は、廃炉しなくて動かせる可能性のあるものも含めて全部で三十六基しかないんです。そのうち申請済みのものも更に十基あって、まだ申請するかどうかが分からないものも九基あるというふうに伺っています。これも今後廃炉になるかどうかも分からないと。

 我が国のエネルギー基本計画では二〇三〇年には原子力の割合が二〇%から二二%ということになっていますが、この数字を維持しようとすれば、検査で停止している期間もございますから、約三十基程度の原発が常時七割から八割程度稼働していないと維持できない。これは、ぎりぎりの状態であるというように思うんですね。

 GX実現に向けた基本方針の中でも、既存の原発を可能な限り活用するために次世代革新炉の開発、建設に取り組む、既存原発を可能な限り活用するために、運転期間延長、運転期間の四十年、延長二十年の制限を設けた上で、規制委員会の審査を前提に一定の停止期間に限って追加的な延長を認めることとして、政府は今国会にGX脱炭素電源法を提出されようとしています。この法案につきましては、これから議論を深めていくことになると思いますが。

 運転期間の延長については長期的に見て当然必要であるというふうに考えていますけれども、一方で、今ある原発を最大限活用するためには利用率を上げていくしかないわけであります。利用率を上げていくためには、運転サイクルの長期化、現在日本では十三か月で定期検査ということになりますが、これを十五か月、十八か月にしていくためには、運転中保全の導入拡大、定期検査の効率的な実施など、これから解決すべき課題もたくさんあるというように思います。

 私の理解では、現行法でも十三か月で定期検査をしている原発を、例えば、アメリカとかフランスは二十四か月でやっているものもございますし、イギリスは十八か月でやっているものもございます。延ばすということは、先ほど申し上げたように課題はたくさんございますので、解決はしなければなりませんけれども、原発の利用率を上げることができるんですね。また、できるというよりも、利用率を上げる取組を早急にやらなければならないという考え方に私は立っています。

 政府としても運転期間の延長について研究等補助金を出して間接的に支援していると聞いていますけれども、このような大切な問題をATENAや事業者側に任せていてはなかなか進まないというふうに思いますので、政府としても最大限後押しをしていく必要があると考えますけれども、見解を伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたように、エネルギーの安定供給の重要性というのは、近年、更に厳しい状況の中で高まってございます。また、国際的なカーボンニュートラルの波という中で、カーボンニュートラルの実現のための取組も進めなければならない。この両立の中で、原子力の活用というのは非常に重要な要素でございます。

 その中で、様々な取組をするわけでございますけれども、先ほど御指摘がございましたように、既設の原子力発電所を最大限活用するということはこの実現の上で非常に重要なポイントであると我々も認識しておりまして、安全性を確保した上での運転サイクルの長期化といったことなど、設備利用率の向上の取組を進めていくことについてもしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

 現在、電気事業者とメーカーから成る組織でございますATENAが中心となった取組が進められておりまして、まずは、PWRのプラントにおいて、運転サイクルを現在の十三か月から十五か月にまず延ばしていくことを目指しております。

 設備の点検方法の見直しなどの技術的な検討、また規制手続の明確化に向けた規制当局の議論などの取組を進めていると承知しておりますが、これは産業界に任せているだけではいけないと思っておりまして、政府としてもこれをしっかりと後押ししていくことが重要かと思っております。

 ATENAを中心とした技術的検討に対する支援というのも現在行っておりますし、また、安全性を確保した設備利用率の実現に向けた業界内での取組が必要になってまいりますので、こういったものを後押しすべく、政府としてもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

宗清委員 御答弁をありがとうございます。

 先ほどちょっと私が申し上げた、アメリカでも二十四か月とかでやっていますし、イギリス、フランス、こういったところでも十八か月の運転ができているわけでございまして、日本でできないはずはないというようにやはり思うんですね。それこそATENAと事業者側、そして規制側、規制委員会がしっかり、先ほど私は十分なコミュニケーションを取ることが大事だというお話を冒頭に申し上げましたけれども、コミュニケーションを更に深めていくことでこうした問題も解決ができるだろうというように思います。

 政府は補助金を出してやってくれていますけれども、るる申し上げてきたような課題を解決するために重要なことでありますので、是非国が前面に立ってやっていただきたいと思います。規制委員会側にも努力をお願いしたいというように思います。

 核燃料サイクルについて質問したいと思います。

 我が国は、資源が乏しい国でありますから、再処理をやって使用済燃料からウランやプルトニウムを回収して再利用する政策が進められてきました。九割以上のリサイクルが可能でありまして、軽水炉で再利用することができます。まず、資源の有効活用という意味でも重要ですし、高レベル放射性廃棄物を減らすこともできますし、有害度の低減にもつながりますので、是非ともこの政策をこれからも進めていく必要があると思います。

 現在、日本原燃の再処理工場が二〇二〇年七月に新規制基準に基づいて事業変更許可を得ておりまして、工事も進んでいると聞いていますが、これは絶対に遅れるわけにはいかないというように思いますので、竣工に向けた見通しについてまず確認をしたいと思います。

 また、我が国が保有する国内外の分離プルトニウムは二〇二一年末時点で四十五・八トンあると聞いています。これらを使用して、減らしていかなくてはなりません。再稼働しているプラント十基のうちプルサーマル炉は僅か四基しかございませんので、二〇三〇年までに少なくとも十二基のプルサーマル炉を動かす計画、これは動かさないと駄目だと思いますし、そういう計画があるというように聞いていますが、現在の審査状況から考えると、相当な努力をしてスピードアップをしていかないとこうした計画は達成できないと思いますけれども、併せて見通しを聞かせてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力を進めていく上で、核燃料サイクルは非常に重要な課題でございます。しっかりと実現するべく私どもは取組を継続していきたいと思っておりますが、御指摘いただきました、御質問を頂戴しました六ケ所の再処理工場につきましては、二〇二〇年七月に事業変更許可を、昨年末には第一回の設計及び工事計画の認可を取得いたしました。昨年内に主要な安全対策工事はおおむね完了してございますので、まさに大詰めの段階にあるところでございます。

 ただ、規制委員会における厳格な審査を経た上で竣工に向けていくわけでございますので、今後、日本原燃が二〇二四年度上期のできるだけ早期の竣工に向けて安全審査等の対応を着実に進めることができるよう、経済産業省といたしましても、その産業界の取組を随時確認しながら日本原燃を指導し、しっかりと前に進んでいけるように指導していきたいと考えております。

 また、プルトニウムの管理、プルサーマルにつきましては、電気事業連合会が二〇二〇年十二月に基本的なプルサーマル導入の方針を示すプルサーマル計画を公表してございます。その中で、地元の御理解を前提に、稼働する全ての原子炉を対象に一基でも多くプルサーマルを導入し、二〇三〇年度までに少なくとも十二基のプルサーマルの実施を目指すという旨を表明してございます。

 現在は、プルサーマル計画を有している原発のうち、高浜三、四号機、玄海三号機など四基がプルサーマルで再稼働済みであるわけですが、更に六基が原子力規制委員会の審査を受けている途上にあると承知しております。

 今後、審査が進み、プルサーマルを実施する原発の再稼働が増えればプルトニウムの消費も進んでいくものと考えておりますので、政府といたしましても、プルサーマルの政策的意義を国民や地元に対して丁寧に説明するなど、プルサーマルについても一層推進に向けた取組を続けてまいりたいと考えております。

宗清委員 我が国は、エネルギー事情、カーボンニュートラルのことも考えると革新炉の研究開発、建設は必要でございますし、現在様々な革新炉の開発、商用化に向けて研究段階にあると聞いていますけれども、革新軽水炉、これも課題としては初期投資が非常に大きくて、建設の長期化の場合はファイナンスリスクもございます。また、小型のモジュール炉、その他高圧ガス炉、核融合高速炉のいずれにしても、こうした新しい原発を建設しようとすれば莫大な時間、十年、二十年という歳月を要すること、長くなればなるほどこうした投資は先を見通すことができなくなりますから投資しにくい。

 こうした次世代革新炉の実用化に向けて、研究開発にGX経済移行債の先行投資を、一・六兆のうち百二十三億を既に原発のプラントメーカーに対して補助しようとされていますけれども、こういう取組には感謝しますけれども、開発に更なる支援が生じた場合、ちゅうちょなく政府としても大きな支援をしていく、この覚悟をこれからも示してほしいというように思います。このことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、穂坂泰君。

穂坂委員 自由民主党衆議院議員の穂坂泰です。

 本日は、このような質問の機会をいただきましたこと、理事の皆様を始め同僚議員に感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 岸田総理が、GX実行会議で原子力発電について様々述べられております。令和四年の八月二十四日、第二回GX会議、日本のエネルギーの安定供給の再構築、こういった議題でありましたが、その中で発言されたこと、私は、大きく再稼働に向けてかじを切った、そしてまた、今、日本が置かれている現状、これを本当に考えていかなければいけない、そのように感じました。

 岸田総理がおっしゃられた点、三つポイントを挙げさせていただきますと、まず一つ目が、再稼働済み十基の稼働確保に加えて、設置許可済みの原発再稼働、これは七基になりますが、関係者の総力を結集、そして国が前面に立ってあらゆる対応を取っていく、こういった発言をされました。そして、二つ目でありますが、安全性の確保を前提とした運転期間の延長、既存の原発を最大限活用していく、こういった方針も出されました。そして、三つ目が、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設。まさに大きな政治判断が必要となる項目、これを述べられたというふうに思っています。

 その上で、再エネや原子力はGXを進める上で不可欠な脱炭素エネルギーであり、これらを将来にわたる選択肢として強化するための制度的な枠組み、国民理解を更に深めるための関係者の尽力の在り方など、あらゆる方策について、年末に具体的な結論を出せるよう、検討を進めていきました。

 こういった発言に至る背景、今の日本の置かれている状況、これを考えていかなければなりません。

 まず、物価高、エネルギー高、御存じのとおりだというふうに思いますが、国民の家計をこの高騰がまさに襲って直撃をしている、非常に国民の皆さんの苦しい声を聞いているところであります。政府も今回予備費を使いながら支援をしているところでありますけれども、ウクライナ、ロシアの状況を見ていますと、まだまだ厳しい状況は続いていく、そのように思っています。

 今、賃上げのトレンドが大きく動いています。そんな中で、エネルギーの負担増は、固定費の負担増になりますので、やはり可処分所得が減っていく。そうなりますと、今取り組んでいる少子化にも大きな影響を及ぼしてしまうだろう、このように思っています。少子化は、経済的な問題が非常に大きいということもデータで出ているところであります。

 そして、脱炭素に向けても、やはり原発というものが必要になってくるというふうに思います。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、エネルギー基本計画には、原子力は二〇三〇年には二〇%から二二%、これを達成していかなければならない。原子力はクリーンなエネルギーとして位置づけられておりますので、こちらも推進をしていかなければならないと思います。

 そして、ウクライナ、ロシア、戦争がありました。LNGに関しては、ロシアからの供給は止まりましたけれども、オーストラリアがあるということで今動いているというふうに思います。しかしながら、昨今の国際情勢を考えていくと、LNGというものが安定して本当に日本に供給ができるのか、こういったことも考えなければなりません。

 エネルギー自給率も、日本は一二・一%。OECDの中では非常に低い水準だと、二〇一九年の数字ですが、言われております。

 また、LNGに関しては、石油と比べると保管も非常に難しい状況だというふうに聞いています。

 そして、経済面でも考えなければいけません。岸田総理が、九月二十二日、ニューヨーク証券取引所で講演した際にも、原子力に積極的に取り組む姿勢、これもなされました。まさにニューヨーク証券取引所というものは、やはり機関投資家、金融機関、こういった方々に呼びかけたわけですから、日本への投資、これをどんどん呼び込もうという講演だというふうに思っております。そんな中でわざわざ原子力に触れたということは、やはり投資を呼び込むためにも電力の安定供給、こういったものが絶対に必要だというふうに思いますし、また、成長にも電力の安定供給は欠かせないものだというふうに思います。

 海外だけでなく、国内産業の成長、これにも大きく電力は関わってまいります。DX、GX、これを成長の柱に置いておりますけれども、まさにDXがこれからどんどん進むに当たり、大量の電気を必要とする。中には、四千倍必要なんだというデータも出ております。IoTもどんどん進んでいくでしょう。安定供給で、そして安価でなければ私たちの経済成長を支えることができないというふうに思いますし、GX、これも成長の一つの大きな柱になっておりますが、CO2を抑えるための技術、SAFなど合成燃料も、多くの水素も必要になってまいります。

 水素を作るに当たっても、日本では技術を持っているにもかかわらず、やはり電気がないということで、海外でグリーンなエネルギーを使って水素を輸入する。これでは、やはり自分たちの、自前の電気ではないものになってしまいますし、また、コスト面を考えても、海外から輸入というものは非常に高いものになってまいります。

 電力格差というものは、国力にも直結する話になると言っても過言ではないというふうに思います。今日、報道でもありましたけれども、電気の逼迫状況、夏にまた非常に厳しい状況になる、こんな話も出ておりましたけれども、やはり生活面でも支えなければいけませんが、こういった経済成長の面でもしっかりと支えていかなければならない、そんなふうに考えていかなければいけないというふうに思います。

 科学技術の技術力ということを考えても、昨日、ニュースでありました、ある大学で、原子力に関する学科を廃止をして、大学院だけでやっていくんだ、東海大学の例でありますけれども、こういった報道もありました。どんどんどんどん科学技術力が衰退をしていって、結局は海外の技術に頼らざるを得ない、こういった状況にもなりかねないというふうに思っています。

 世界の情勢を見れば、ドイツも、脱原発を見直していこう、そんな話もありますし、フランスでは原発が十四基、そしてイギリスも八基、新たに計画を策定いたしました。

 るる述べさせていただきましたけれども、やはり原発というものはいろいろなリスクがあるというふうに思います。日本は、福島第一原発、この事故で多くの犠牲を払いました。そうした事故も決して忘れてはいけないことだというふうに思っております。

 でも、こういったリスクはあるにはあるんですけれども、やはり動かすリスクもある中で、動かさないリスクというものが今非常に大きなものになっているというふうに思います。危険だから動かさない、こういった状況を放置しておりますと、それ以外のもの、日本全体が沈んでいく、私はそんな危機感を持っているところであります。

 今、再稼働すべきという世論、これもどんどん大きくなってきています。足下の物価高、エネルギー高、こういったことにも起因していると思います。

 それも重要なんですけれども、やはり私たちは、十年、二十年、この先の日本を考えていったときに、このままエネルギー格差で、技術力、そして経済力、国際競争力、こういった国力が落ちていくというリスクも考えていかなければならないというふうに思います。

 そういった背景の下、岸田総理が大きな決断をして、前に進めよう、そんな発言だというふうに思っておりますが、これを言ってすぐに決着できるものではありません。次世代革新炉などは、先ほど宗清先生のお話にもありましたけれども、十年、二十年先を見据えて動かなければいけないと思いますし、また、国民の皆様への説明も十分必要になってくるというふうに思います。

 私は、今決断して動いていかなければならない、そんな決意を持ってエネルギー政策、原子力政策を考えていきたい、そのように思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 前置きが長くなりましたが、この岸田総理の発言について御質問をさせていただきます。

 一つ目なんですけれども、設置許可済みの原発再稼働に向けて関係者の総力を結集、そして国が前面に立ってあらゆる対応を取っていく、このような発言がありました。許可済みで再稼働していない原発、これが七基ありますけれども、この七基についての言及をされたというふうに思います。

 質問ですが、国が前面に立ってあらゆる対応を取っていく、岸田総理の発言がありましたが、この具体的な内容、対応の仕方、まだ決まっていないと思いますが、分かる範囲でその方向性について教えていただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、原子力発電所の再稼働に当たりましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、これが基本の方針でございます。

 その上で、岸田総理から御指示がございましたように、今の我が国を取り巻く経済社会の状況ということを踏まえたときに、GXの重要性、その中で、安全性の確保を最優先として、再稼働を加速し、安定的で低廉な価格による電力供給を実現していくということが喫緊の課題であるということかと承知しております。その中では、今委員から御指摘がありました原発七基の再稼働、これのみならずでございますが、再稼働に関し、関係者の総力を結集して、国が前面に立って取り組んでいくということかと思います。

 基本方針の中でも、安全性ということ、あと、地域を始めとした理解の促進という観点から、原子力活用の大前提として、東電福島第一原発事故の反省と教訓を忘れることなく、安全神話からの脱却を不断に問い直し、自主的な安全性の向上、運営、組織体制の改革に取り組んでいくこと、また、立地地域との共生やコミュニケーションの深化、充実等に国が前面に立って取り組んでいくなど、こういった取組の方向性を示しているところでございます。

 具体的にということで申し上げますと、例えば安全について申し上げますと、安全マネジメントの改革、的確な審査対応に向けた、個別事業者、原子力エネルギー協議会、これはATENAですね、等のメーカーも含めた産業全体の組織に対する指導若しくは一体的な取組ということを進めていきたいと考えておりますし、エネルギー政策に関する理解活動、また、地域における避難計画の策定、充実等に向けて国も一体となり支援していくということの強化、また、消費地域を含めた政策の説明会、対話型意見交換会の実施などによる理解の促進、こういった取組について全力を尽くして取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

穂坂委員 ありがとうございます。

 前面に立つということは、やはりリスクを負っていく、そしてまた責任を取っていく、私はこういった文脈なんだろうというふうに思っています。

 炉規法の方では、原子炉の設置者、これはあくまで電力会社ということになります。先日、福島第一原発の事故でも十三兆円を超える賠償の、まだ結審はしておりませんけれども、こういったリスクもあるというふうに思います。また、立地自治体の理解、これは法令上の拘束力はないものの、やはり選挙を経て選ばれた首長が決断をしていくというのは、非常にこれも大きなリスクをしょってしまうことになるというふうに思います。

 やはり前面に立っていくというのはそういったリスクを少しでも軽減をしてあげる、若しくはもっともっと国が前面に立って責任をしょっていくんだ、こういった私は姿勢が今は必要なのではないか、このように考えているところであります。是非、政府のその覚悟については私は敬意を表するところではございますけれども、二〇三〇年、二〇五〇年の目標に向かって、そして昨今の、現状のエネルギー高、生活苦、こういったものにも対応するためにもしっかりと動いていっていただければと思います。

 続いての質問に入りますが、運転期間の延長など、既存の原発を最大限活用していく、こういったことがありました。十二月二十二日に開催されたGX実行会議、こちらの方で、原則四十年、延長は、二十年の制限があって、一回のみ、一定の停止期間に限り延長を認めるとの見解も出されました。また、原子炉等規制法、炉規法の方では、三十年を超えた原発については、電力会社に対し、規制委員会による十年後の設備劣化状況の審査と認可を受けることを義務づける、このように報道でもありました。

 お聞きさせていただきますが、運転期間は原則四十年、最長二十年まで、一回に限り延長することができるとあるこの規制の根拠、なぜこうなったのか、教えていただければと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘のございました現行の運転期間につきましては、当時の国会審議において、安全性に関する科学的、技術的見地のみならず、政策上の判断を含めた幅広い観点から原子炉等規制法に盛り込まれたものと承知しております。

 まず、運転期間を原則四十年とした根拠につきましては、当時の国会審議において、既設炉の許認可申請において、原子炉圧力容器の中性子脆化について、想定年数を四十年として申請していることを挙げておりました。

 しかしながら、当時の国会の議論においても、四十年たてばそのときから急に危険になるわけではない、四十年は政治的な数字であり、科学的な知見に基づいて決定した数字でもないとの答弁もございました。

 また、最大延長を二十年としたことについては、当時の国会審議において、高経年化の技術評価では、運転開始後六十年後を見通した経年劣化の評価を行っていること、米国の事例として、運転許可の更新は一回につき二十年を超えない期間としていること等を考慮した結果、四十年に加えて最大二十年の延長規定が設けられた旨の説明があったと認識しております。

穂坂委員 ありがとうございます。

 この延長に関しては、国民の皆様に、四十年しか使えないものをあたかも何か政府が延ばしているような印象を与えているような私は気がしております。今、アメリカの例もありました。四十年使って二十年間延長、これを何回でも、一回の上限というのは設けていません。そしてまた、ほかの外国を見ますと、十年ごとに検査をしていって、駄目なものは駄目、いいものはいい、これで使っていく、このようなルールになっています。今回、延長が変な誤解を招かないように、是非、今話がありました、四十年たって急に危険になるものではないということもしっかりと説明をしながら進めていただければというふうに思います。

 今のお話にちょっと関連しますけれども、やはり私は、イギリス、フランス、韓国、十年ごとに安全審査を受けるような、そんな制度の方がいいと思います。上限を設けないで、これからまた新しい開発が進んでいく中で、また延長するのかということになるのでしたら、ここでやはり見解を変えていくべきではないか、そのように思っておりますが、見解をお聞かせ願えればと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から先ほどコメントがございました岸田総理からの指示、それを受けたGXの基本方針という中で、既設原発を有効活用していくということについて、運転期間の延長について、様々議論をしてまいりました。

 その中で、今回、国会の方に改正法案を今日提出し、審議が始まったところなわけでございますけれども、安全規制という、令和二年の規制委員会の見解ということをベースとしながら、参考にしながら、私どもからしますと、運転期間というものについて、電気事業法と炉規法の整理を改めてさせていただき、規制制度を新たにつくり直すというものの提案でございます。

 安全規制について申し上げますと、これは原子炉等規制法の中で、原子力規制委員会で実施するわけでございますが、審査を通った原子力発電所をどう利用していくかという利用政策、これをどういう期間としてやっていくか、こういうことについては電気事業法の方で利用政策として検討してまいったというのが現状でございます。

 この利用政策の方のお話を申し上げますと、審議会の中で様々な案が出され、議論がございました。一つの立場から、今委員からも御指摘がございましたように、アメリカ、フランス、イギリスの制度と同様に運転期間については特段の制限を設けないという案、若しくは、現行の制度を変更せずそのまま維持する案、そして、今回の案になっておりますけれども、現行の枠組みを維持した上で、運転期間のカウントから震災後の停止期間を除外する案、こういった三案を比較検討したわけであります。

 また、多くの委員からは、安全規制ということを考えていった場合、運転期間には特段制限を設けないこととすべきという御意見も多くいただいたところでもあるところでございますが、一方で、立地地域の方々を含めまして、高経年化した炉の運転期間に制限を設けないこととすることへの不安という声もございましたし、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて制限を設けてきた現行規定の趣旨ということを考慮すべきだという御意見もございました。

 そうした様々な意見を総合的に勘案しまして、運転期間の在り方につきましては、実質的な運転期間は六十年という上限は維持しつつ、運転期間のカウントから一定の停止期間を除外することを認めるという政策判断を利用政策の立場から行い、案として提出しているものでございます。

穂坂委員 ありがとうございます。

 是非、安全なものを安全な期間延ばすんだ、そういった見解でお願いできればというふうに思います。

 最後になります、済みません、ALPS処理水についてお聞きします。

 現在、年間二十二兆ベクレルを下回る水準として放出するという形になります。海外と比べてこの排出量はどんな評価になっているのか、そしてまた、IAEAの評価を受けていると思いますが、そちらの評価について教えていただければと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 世界の多くの原子力関連施設におきまして、国際的な考え方に基づいて各国が定めた規制基準を遵守する形で、トリチウムを含みます液体廃棄物が海洋等に排出されております。

 ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、トリチウムの年間放出量、これを二十二兆ベクレル未満としておりますけれども、例えば、中国の泰山第三原子力発電所では年間百四十三兆ベクレル、韓国の月城原子力発電所では年間七十一兆ベクレルのトリチウムが液体廃棄物として排出がされております。こうした施設、海外の多くの関連施設と比べましても、低い水準であると認識しております。

 なお、ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、トリチウム以外の放射性物質について規制基準を満たすまで浄化した上で、トリチウムの濃度を、国の規制基準の四十分の一、WHOの飲料水基準の約七分の一であります一リットル当たり千五百ベクレル未満になるよう希釈し、安全性を確保することとしております。

 こうしたことにつきましては、御指摘がございましたIAEAから、高い専門性を持つ国際機関でありますIAEAから客観的に厳しく確認をいただいているところでございます。

 二〇二一年の秋からIAEAの職員、国際専門家が複数来日しておりまして、レビューを行っております。昨年四月に公表されました第一回の安全性レビューの報告書でありますけれども、設備の設計、運用手順の中で的確に予防措置が講じられていること、人への放射線影響は規制当局が定める基準より大幅に小さいことといった確認がされた旨報告されております。

 さらに、五月にはグロッシー事務局長が、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるとコメントをいただいております。

 今後、これらの内容を踏まえてIAEAにおいて包括的な報告書が取りまとめられ、本年前半に公表される予定と聞いております。こうした報告書などについても、引き続き、透明性高く情報発信を行い、国際社会の理解醸成に取り組んでまいりたいと思います。

穂坂委員 済みません、ありがとうございます。

 先日の中ロ首脳会談で、日本の放射能汚染水海洋投棄計画に深刻な懸念を表明、こんな腹立たしいことがありました。是非ともしっかり打ち消していただいて、その安全性をアピールしていただければと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 本日は、原子力特別委員会での質疑ではありますが、委員長に原子力政策をお伺いする前に、現在、国民生活において喫緊の課題であります光熱費の対策、これについて初めに確認的に何点か伺いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、大手電力会社からの再引上げ申請に対する政府の対応について伺います。

 この再引上げ申請につきましては、二月二十二日の予算委員会で、我が党の赤羽委員の質問でも指摘し、当時、西村経産大臣からも、問題意識はまさに共有しており、厳格に審査していきたいとの答弁があったとおり、私も、この引上げ申請については、例えば、各電力会社の経営効率化や直近の燃料調達価格の見通しを勘案しなければ値上げは認められないという厳格かつ丁寧な審査、これを行うことが必要であると考えております。

 そこで、まず、経産省に伺いますが、再引上げ申請に対する現在の審査の状況及び今後の方向性について御答弁願います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 電気の規制料金につきましては、三月十六日に電力・ガス取引監視等委員会として、直近の燃料価格などを踏まえて再算定することが適切との見解を示し、経済産業大臣から各事業者に再算定が求められたところと承知しております。

 今後、各事業者における再算定の結果を踏まえ、燃料費の見積りが適正か、更なる経営効率化の余地がないかなど、必要な時間をかけて引き続き丁寧かつ厳格に審査を行ってまいります。

中川(康)委員 今後の方向性として、いつぐらいに結論が出るかというところもお伺いしたかったんですが。

 今回の内容については、私は、総理の御決断がありましてこういった動きになった、要するに、安易には認めないという方向性が出たかと思います。やはり国民の皆様は本当にここのところを注視していますので、その国民の皆さんの思いに沿うような判断をしていただきたいということを御要望申し上げます。

 続きまして、LPガスについてもちょっとお伺いしたいと思います。LPガスの配送合理化の補助金等の取組状況について。

 これは、令和四年度の第二次補正予算で予算化をされましたLPガスの配送合理化補助金、さらには設備導入促進補助金については、現在、二月下旬から三月末の、まさしくあしたまでを期限に現在公募が進められております。

 そこで、まず初めに、現在までの申請の件数など、両補助金の公募の状況について御答弁願いたいと思います。

 また、今回の補助金は、LPガス事業者を支援するだけではなく、最終的にはLPガスのユーザーそのものに恩恵が行くことも目的の一つであると私は考えておりますが、今回のおよそ百五十億円に及ぶLPガス配送合理化補助金は、最終的にユーザーの使用料に具体的にどのように反映していくのか、この点、お答えをいただきたいと思います。

定光政府参考人 委員御指摘のとおり、国といたしましては、LPガスの人件費あるいは配送費の抑制に効果があります配送合理化補助金などの手続を先月末から開始してございます。

 一次締切り、これは十三日でございましたが、までに申請のあった案件を今審査しておりまして、今月中には、第一弾として数十件程度の交付決定を行う予定であります。これらも含めまして既に数百件程度の申請をいただいているところでございまして、審査が終了し次第、順次交付決定を行いますし、また、二次、三次の公募も行う予定にしてございます。

 こうした支援を通じましてLPガス販売事業者の事業構造を改善することを通じまして、構造的に高いLPガスの小売価格の上昇を抑制するとともに、公明党さんからも提言をいただいておりましたけれども、価格抑制効果、これをホームページなどを通じて分かりやすく国民の皆様にお示ししていきたいと考えてございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この取組は昨年十二月の補正で決まったわけなんですけれども、私は、肌感覚として、ちょっと取組が遅いんじゃないかというふうに感じておりました。今まさしくこの公募が第一次、第二次、第三次と進んでいるんですけれども、ここはやはり的確にしっかりと行っていって、最終的には、価格抑制効果というお話がありましたが、ユーザーに対してどういった効果が出てくるのか、これはこの後聞く内容とも合わさりますけれども、そういった部分、国民における約半数に近いところはLP、プロパンでございますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、確認したいと思うんですが、今回の新たな物価高の追加策に、政府はLPガスの負担軽減策を入れております。三月二十二日に決定された追加策でその内容が入っておりまして、今回新たに積み増された地方創生臨時交付金を活用したLPガスの負担軽減策、これが具体的に示されております。

 私は、この負担軽減策については、既に一月から軽減策が進められている都市ガスとの公平性の観点及び足下におけるLPガスの高騰の実情からも、早急に取り組む必要があるというふうに思っております。

 そこで、お伺いしますが、現時点で政府が考える取組の手法について、地方自治体に対する具体的な例示も含めて御答弁をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

中谷副大臣 先生御下問のとおり、公平性、また物価高騰、特にエネルギー価格の高騰等がございますので、これはしっかり対策を打っていかなければいけないというふうに考えているところであります。

 特に、エネルギー、食料品を中心に物価上昇が続いているところを踏まえまして、予備費二兆円を活用して必要な追加対策をまとめたところであります。その中でも、地域の実情に応じてエネルギーや食料品等の物価上昇に対応できるよう、ちょっと名前は長いんですが、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を七千億積み増すとしております。

 これまで、栃木県、茨城県では、LPガスを使用する一般家庭などに対しまして値引き支援を行うほか、大分県では、LPガスの料金の支払いにも利用できる地域商品券を発行するなど、その地域の事情に応じた様々な対策がなされていると承知しているところであります。

 今後は、地方自治の自主性を尊重しながらも、LPガス利用者の多い地域にはこれが重点的に配分されるように、ちょっと額を増しまして、配分を踏まえまして、経済産業省といたしましても、自治体や関係団体に対しましてLPガス使用者に対する支援の強化を積極的に働きかけていくというところであります。

 事務的コスト等を考えますと、直接給付がいいのかななんというふうには思っているところでありますが、しっかり徹底していきたいというふうに考えているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは国民からの声が本当に大きくて、我々与党からも、今回、強く提言をさせていただいたわけでございます。

 そういった意味において重点配分がされているわけなんですけれども、しかし、この交付金にミシン目がついているわけではありませんので、やはりここのところ、政府としては、今回の件について、間違っても交付金を配付したらそれで終わりということではなくて、都道府県や自治体任せにせずに、最後まで責任を持って取組をしていただきたい。今日は中谷副大臣にも御答弁いただきましたので、そこのところを御要望しながら、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 続きまして、原子力政策に関連して何点かお伺いさせていただきます。

 初めに、高経年化した原子炉に対する規制の厳格化及び原子力発電の運転期間に関する規律の整備の関係性について、委員長にお伺いをしたいと思います。

 既に何回もこの点は議論をされている感じがありますが、政府は、昨年十二月にGX実行会議で取りまとめましたGX実現に向けた基本方針に基づき、原子力発電の運転期間については、その期間を四十年とし、安定供給確保や自主的安全性向上などについて経産大臣の認可を受けた場合に限り延長を認める、また、その延長期間は二十年を基礎とし、原子力事業者が予見し難い事由による停止期間を考慮した期間に限定すると明記されるとともに、高経年化した原子炉に対する規制については、原子力事業者に対して、運転から三十年を超えて運転しようとする場合、十年以内ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行うこと、また、その結果に基づき長期施設管理計画を作成し、原子力規制委員会の認可を受けることを新たに法律で義務づけることとしております。

 この今回新たに示された原子力の活用の方向性については、これはあくまで私の感想でございますが、これまでの報道などでは、残念ながら、三十年プラス十年プラス十年の規制の制度より、どちらかというと、利用政策の考え方である四十年プラス二十年プラスアルファという運転延長の報道ばかりが書かれがちであったのではないか、こんなふうに感じているところがあります。

 また、地域を歩いておりましても、今回の方針によって原子力発電の運転期間が更に長くなるのではないかとの一部不安の声も聞かれているところです。

 そこで、山中委員長にお伺いしますが、今回決定している規制に関する新たな案は、従来にも増して、どのような厳格な、かつ実効性の高い制度となっているのか、そこのところ、改めての御答弁を願います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今般取りまとめました新制度案は、原子炉を運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、その十年を超えない期間ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行うなど、より高い頻度で厳正に審査を行います。

 さらに、認可対象である長期施設管理計画に施設の劣化状況、劣化予測に関する詳細な記載を求めることで、より厳格な審査を行うことになると考えています。

 その結果、運転期間がどうあれ、基準への適合性を確認できない発電用原子炉の運転は認めないという、より厳格な規制となっております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この議論が昨年の十二月ぐらいからされてきた中で、報道の嫌いを見ますと、私はいたずらにそういったところを出していたような感じがするんですけれども、やはり四十年プラス二十年プラスアルファというところで、どんどんどんどん延長していくんだみたいな、そんな方向性が出てきた。具体的にはできる方向性ですので、それを全く否定するものではないんですけれども。

 しかし、あわせて、規制の考え方がより明確になっている、ここの部分の報道等がやはりちょっと少なかったんじゃないかなというふうに思います。このバランスのところが国民の皆様にどういった印象を与えているのかというところを感じたゆえに、今回この部分を質問させていただきました。

 やはり原子力発電、原子力を平和利用していく、そして安全利用していくという、この原則というのはいっときも揺らいではいけないと思いますので、規制の部分が優先するんだ、そこがやはり大前提になるんだというところを、今後、山中委員長を始め原子力規制委員会の皆さんは、よりここを明確に国民の皆様に示していっていただきたい。その上で、やはり原子力発電、これは必要性がありますので、平和利用につながっていく、こういった流れを我が国においてしっかりと位置づけていただいて、そして、国民の皆さんも、安心して国民生活を送っていけるような、そういった状況をおつくりいただきたいと思いますので、この点、要望として、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、少しちょっと具体的な話に入りますが、運転の延長期間におけるカウントの除外規定についてお伺いしたいと思います。

 電気事業法第二十七条の二十九の二の第四項では、運転する期間は最長で六十年に制限するという枠組みは維持し、以下の停止期間については六十年の運転期間から除外するという除外規定がございまして、その除外規定として、例えば安全規制に係る制度の運用の変更とか仮処分命令など、五つの項目が明記をされております。

 私は、この五つの項目をずっと見ておりまして、その中で三つ目に示されております、行政指導に従って運転を停止した期間についてもその期間を除外するという項目は、ほかの内容に比べて少し違和感を感じております。なぜなら、本来、行政指導というのは、何か具体的な行政上の問題があったために指導を受けていると捉えるものであり、なぜその行政指導の期間まで除外する必要があるのか、そこのところがちょっと私は疑問に感じました。

 そこで、伺いますが、三つ目に示されております、行政指導に従って運転を停止した期間というのは具体的にどのような事案を示しているのか。既に事例等があるのであれば、その内容も含めて答弁を願いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御質問の中にございましたように、今回の法案の規定の中には、カウントの除外として、幾つかの項目を限定して書き込んでございます。それは、行政運用、処分のお話、裁判所の仮処分といったものに併せて、行政指導によるというものが書かれてございます。

 基本的には、何らかの理由により行政機関が原子力発電所の運転停止を求める場合には、原子炉等規制法に基づく運転停止命令など、法令に基づく行政処分となることが一般的であるということは我々も承知しているわけでございますが、一方で、ケースによっては、行政指導によって運転を停止することが求められることもあり、事業者によっては、これは予見し難いことであることは考えられるものだと認識してございます。

 このため、行政指導による停止についても、これによる停止期間は他律的な事由によるものとなり得るため、運転期間のカウントから除外する事由の一つとして規定しているものでございます。

 具体例でというのは、個々の当てはめになりますので、なかなか申し上げるのは難しいところではございますが、現時点で該当し得る行政指導として考えますと、二〇一一年五月に行われました浜岡原子力発電所に対する運転停止の要請、また、二〇一一年七月に行われましたストレステストを参考にした安全評価といったものが想定されるところでございます。

 いずれにせよ、個々の発電所についての判断を行うに当たりましては、事業者からの申請内容を踏まえ、予見し難い他律的な事由による停止期間のみカウント除外を認めるという法律の趣旨に沿って判断していくことになると考えてございます。

中川(康)委員 よく分かりました。

 行政指導に従って運転を停止した期間というと、今話があったように、一般的には、やはり法令に基づいた行政処分が行われているんじゃないかというふうに感じるところがあるんですね。しかし、そうではなくて、行政指導による停止、もっと言うと、二〇一一年の五月の浜岡、当時、私もよく覚えていますけれども、これは当時の経産大臣が停止の要請をしたわけなんですよね。極端なことを言うと、何の根拠もなく停止を要請して、当時の社会的状況から停止をした。そこから今に至るまで、再稼働、運転ができていない状況があるということなんです。

 ここの部分は、当時の状況はありましたけれども、よく見ていく必要が私はあるなというふうに思っていまして、そういった意味においては、今回、行政指導をした期間についても除外規定に入れるというのは、私は正しい判断だというふうに思っていますし、ここに基づいて、二〇一一年五月に停止された浜岡等についてもやはりしっかりとした判断をしていく、この必要性を今回感じたものですから、改めてここの質問をさせていただきました。よろしくお願いをいたします。

 最後、人材の育成についてお伺いをさせていただきます。

 今回の新たなる方向性では、原子力基本法第二条の三で示されているとおり、原子力利用の基本的施策の一つとして、原子力発電に係る人材の育成、確保、これが明記されております。

 私は、今後、我が国における原子力政策が仮にどのような方向に行くであれ、この人材の育成、確保は大変重要な視点であると考えます。特に、今後の原子力発電の高経年化を考えると、廃炉の人材をどう育成、確保していくのかということがより重要になるのではないでしょうか。

 そこで、伺いますが、人材の育成、確保については、今後、その財源、また体制の維持や確保について具体的にどのように進めていくのか、ここのところを答弁を願いたいと思います。

 また、もう一点、原子力規制庁における原子力安全人材育成センターの職員を対象とした基本的知識の習得や、またマルチプラントシミュレーター等を活用した高い専門性と実行力を備えた人材育成についても私は大変重要な取組と捉えますが、原子力規制庁における今後の人材育成及び職員の確保の方向性についても併せて答弁を願います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、規制庁のところ以外の部分について、全体像を御説明申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国の原子力産業の高度な人材、技術、産業基盤というのは、足下の発電所の安全かつ着実な運営ということに加えまして、今後の円滑な廃炉の実現にも不可欠だと考えておりまして、その維持強化は重要な課題だと認識してございます。

 こういう観点から、今回の法案の中にも、原子力基本法第二条の三に、原子力利用に関して国が講ずる基本的施策として、技術開発や人材育成や産業基盤の維持強化に関する施策などを盛り込んでいるところでございます。

 今、具体的な施策、予算、財源というお話がございますが、まず、今、足下で考えますと、行っているものとして、原子力施設の廃炉、メンテナンスを行う企業等を対象とした技能実習の支援事業というのを行っております。また、デジタル技術活用による保守技術継承の取組に対する支援事業、機器製造から撤退する企業の技能継承を支援するもの、こういったものを今の現行の措置でやっているところでございますが、具体のものに応じて必要な予算措置を取っていくということになろうかと考えてございます。

 また、文部科学省における原子力人材育成のコンソーシアムと連携して、大学、高専等の教育機関と産業界による人材育成を検討してきたところでございまして、こういった教育機関との連携というものも進めてまいりたいと考えております。

金子政府参考人 原子力規制庁の職員の人材育成について、委員が御指摘いただきましたプラントシミュレーター、これは、様々なタイプの原子炉について通常運転時あるいは事故時の状況を模擬ができるものになっておりますので、現場の実感を持った能力を身につけるという上で非常に意義が高いと考えております。

 例えば、我々は、入庁から数年たった若手職員には、一年間業務を離れて研修に専念するという期間の研修をやっておりますが、その中でプラントシミュレーターの研修の時間をかなり多く割いておりまして、これで規制実務を担うことができるような人材育成を行っております。

 また、実務経験のある職員の中途採用のようなものも進めまして、専門性や実務能力を備えた人材の育成と確保に努めているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この人材の育成を本当に実効性あるものにしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間となりましたので、以上で終わります。大変にありがとうございました。

鈴木委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、十七分間という時間をいただきました。また、他委員会との調整で、質疑時間に御配慮いただきました各位にも感謝を申し上げたいというふうに思います。

 本日は、この国会にGX脱炭素電源法が審議される予定ということもありまして、原子力政策について質問させていただきたいというふうに思っております。

 早速質問に入りたいと思うんですけれども、今回予定されている法改正の中では、原子力発電所の運転期間について、新たに電気事業法の中で規定をし、炉規法からは規定を削除するといった内容となっております。まず伺いたいのは、この炉規法の見直しについてはこれまで原子力規制庁と経産省との間でどのような調整や確認作業が行われてきたのかを、まず事実関係を中心に伺いたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 運転期間の定めにつきましては、令和二年七月二十九日に決定した見解のとおり、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないというふうに考えてございます。

 その後、昨年の八月のGX実行会議における総理の指示を受け、経済産業省の審議会で、利用政策の観点から運転期間の在り方についての審議が開始されたところでございます。

 このため、昨年十月五日の規制委員会で、経済産業省から利用政策側の法令による運転期間の規定に関する検討状況を聴取した上で、どのような運転期間の定めになろうとも高経年化した発電用原子炉に対する安全規制が損なわれることのないよう検討を始めたところでございます。

 それから四か月以上の期間で計九回にわたりまして規制委員会で議論を重ねてきた結果、運転期間に関する利用政策上の定めがどうであれ高経年化した発電用原子炉に対する安全規制を厳格に実施できる新制度案を取りまとめたところでございます。

 以上のように、高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討につきましては、規制委員会が専門的見地に基づき、独立した立場で議論を進めてきたところでございます。経済産業省との間では、その安全規制に関する調整等は行ってございません。

浅野委員 ありがとうございました。

 まず、どのような利用規制、利用の内容になろうとも原子力規制委員会としてはしっかり独立した観点で検討してきたということで今伺いました。

 経産省の方に伺いたいんですけれども、経産省では利用政策としての運転期間の在り方についてこれまで検討されてきたということでありますが、私が今気になっておりますのは、規制法である炉規法で運転期間を定める場合と、利用のための法律である電気事業法で運転期間を定める場合とでは、運転期間というものの概念そのものの位置づけが変わるのではないかというふうに感じております。

 電気事業法で運転期間を四十年に定めることとするには、それなりの、炉規法からの載せ替えだから四十年という理屈では当然不十分なわけでありまして、しっかり科学的、技術的、合理的根拠が必要だと思いますので、その点の御認識を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど規制庁の方から御答弁がございましたけれども、今回のGXの基本方針に沿った中で、私どもは、高経年化したといいますか、運転期間をより長く、既設原子力発電所を利用していくことができないかという議論を開始してきたところでございます。その中で、令和二年の原子力規制委員会の見解も踏まえまして、運転期間というものについて、利用という観点と規制という観点についてはしっかりと峻別をして、整理し直すことが必要ではないかというふうに、我々は考えに至ったところでございます。

 そうなってまいりますと、安全規制については、先ほども答弁がありましたけれども、原子力規制委員会、原子力規制庁でしっかり御議論いただくべき話、これについて、経済産業省、資源エネルギー庁は一切御意見を申し上げることはございませんし、来たこともございません。そういう立場にないわけでございます。そうなった中で、我々の審議会の中で、利用政策、安全規制がどう守られるかということ、これを前提とした、確保された上で、安全審査がされた発電所をどう利用していくか、エネルギー政策の観点から考えていくということになろうかと思います。

 そうなりますと、審議会の中でも様々御議論がございました。例えば、アメリカ、フランス、イギリスのように運転期間について特段制限を設ける必要はないのではないかというお考え、案もございましたし、一方で、今の現行規定と同じでいいのではないか、四十年、二十年という規定をはめたままにしたらいいんじゃないかと。

 それで、最終的な案に至るわけでございますが、実態を踏まえて実質六十年となるような一定のカウント除外を設けるべきではないかという、利用政策として発電所の利用をどう考えていくのかという観点で様々議論していく中で、立地地域等における高経年化炉に対する運転期間に制限を設けないことへの不安ですとか、東京電力福島第一原発の事故を踏まえて制限を設けた現行規定の経緯、趣旨というものを考慮しなければならないのではないかということの意見もあったところで、総合的な勘案の結果、運転期間の在り方について総合勘案した結果、実質的な期間の六十年という上限を維持しつつ運転期間のカウントから一定の停止期間を除外することを認めるという、利用の立場からの政策の案を作成し、今回の法案の提出に至っているということでございます。

浅野委員 今の御答弁を伺っていますと、例えば、これまでの運用からの連続性、一貫性であったり、あるいは他国の状況、合理的に運転停止期間を除外すべきかどうか、こういった観点での検討がされたということなんですが。

 私が今ちょっと問題意識を持っておりますのは、この法案が、いずれ、将来的に、例えば材料技術、素材の技術であったり管理技術が向上して更に長く堅牢な施設にできるかもしれない、そういった余地がまだまだ技術的には残っていると思います、そうしたときに、今回、電事法の中で四十年プラス二十年プラスアルファというふうに、どのような技術的な根拠、科学的な根拠で決めたのかというのをしっかり整理しておかないと。

 単純にこれまでの政策との連続性であったり、あるいはその時々のある種の政治判断で決まりましたというだけでは、将来的な国会での議論の際の材料としては不十分なのではないか。しっかり物性だとか科学的な検証に基づいてそのような期間を定めたということにしないと、これは利用政策ですから、非常に政治的な要素、あるいは過去の規制法から持ってきた理屈だけを盾にしてはやはり不十分だと私は思うんですね。

 是非、これはこれからも議論させていただきたいと思うんですが、運転期間については、これからは電事法で定めるのであれば、経済産業省が主体的に、技術的、科学的な根拠の検証というもの、そして考え方の整理を是非行っていくべきだということを申し上げたいというふうに思います。

 続いての質問に移りたいと思いますが、ちょっと時間が迫ってまいりましたので質問を飛ばさせていただきまして、長期施設管理計画について伺いたいと思います。

 長期施設管理計画では、高経年化の技術評価に加えて、劣化管理のための措置を盛り込むこととしております。長期施設管理計画の期間や、実施した劣化評価の方法及びその結果などについて原子力規制委員会規則に基づいて事業者が記載しなければいけないこととされているんですが、規則がどうなるのかというのが今の時点では見えてきておりません。具体的にはどのような事項が原子力規制委員会規則に規定されることになるのか、現時点でのお考えを伺いたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回国会に提出させていただいております原子炉等規制法の一部改正案では、長期施設管理計画には原子力規制委員会規則で定めることとしております。具体的な内容といたしましては、長期施設管理計画の期間、劣化評価の方法及びその結果、劣化を管理するために必要な措置、その他原子力規制委員会規則で定める事項を記載しなければならないというふうにされているところでございます。

 長期施設管理計画の記載事項の詳細につきましては、二月十五日に設置しました高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チームにおいて現在検討を進めているところでございまして、これまで既に三回ほど、公開の場で、委員も加えた形で検討をさせていただいております。

 記載内容につきましては、例えば劣化評価の実施方法などを記載することになります。具体的には、劣化評価の実施については安全施設に属する機器及び構造等について実施すること、劣化評価の実施については発電用原子炉施設が受けた地震その他の自然現象の影響、運転経験等を適切に考慮することなどにつきまして記載を求めることを検討しているというところでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 是非、検討状況を含め、検討の結論が出た際にはそれをしっかり周知することが大事ですし、次の質問でもありますが、これらの評価、認可をしっかり迅速に行う必要もあると思いますので、その観点から次の質問をさせていただきたいと思います。

 これまで、原子力規制委員会の審査については、この委員会でも効率性の向上について様々な議論がなされてまいりました。今回、審査方法の変更によって原子力規制委員会には長期施設管理計画の審査への新たな対応が求められるため、審査の期間がこれまでよりも長期化する可能性があるのではないか、これを懸念しております。

 これまでは、審査の効率化についての対応方針として、審査会合の開催頻度の改善や、審査実績を踏まえた効率的な審査を実施することなどが挙げられてきましたけれども、やはり従来からある規制委員会の審査体制、人員という観点でも更なる改善が必要なのではないかというふうに感じるわけです。審査体制の強化を行う必要性についてどのように認識しているのか、御認識を伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 審査プロセスの改善につきましては、これまでも規制委員会で取り組んできておるところでございます。できる限り手戻りがなくなるよう、事業者の対応方針の確認をするための審査会合をできるだけ頻度高く開催するなどの工夫をしております。

 また、今般の制度改正による移行につきましては、既に原子力事業者との意見交換を行うとともに、新制度の詳細を検討していく中でも、原子力事業者との意見交換を行い、基準類についても共通理解を得るなど、制度の円滑な移行を図ることとしております。

 原子力規制委員会としては、審査体制の強化を含めて、審査を着実に進めていくために取り組んでいるところでございます。

浅野委員 最後の質問になるかと思います。これは少しテーマが変わりまして、放射性廃棄物の有害度を低減する技術の現状について伺いたいと思います。

 我が国では、放射性廃棄物の処理技術として、高速炉や、加速器を用いた核種変換技術というのが長年研究されてまいりました。とりわけ、高速炉については「もんじゅ」の一件もありますので、本日は加速器について特段伺えればと思うんですが。

 加速器を用いた核種変換技術というものが実用化されますと、放射性廃棄物の有害度を低減する、さらには、半減期の長い核種を取り除き、半減期の短い使用済核燃料の状態にして、地中の保管で管理すべき期間も大幅に短縮できるようなことが考えられております。

 そうしたニーズは国際的にも大変多くこれから出てくるのではないかと思いますので、我が国としても、加速器を用いた、あるいは高速炉でもよいですが、核種変換技術の早期実用化にしっかりと取り組んでいくべきだと思うんです。最近の研究動向や実用化に向けた現状の課題、今後の政府の施策の方向性について、最後に伺いたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、第六次エネルギー基本計画において、放射性廃棄物の減容化、有害度の低減に向け、高速炉や、加速器を用いた核種変換などの技術開発を推進することとしており、原子力機構等において研究開発が進められているところでございます。

 特に、加速器を用いた核変換技術、ADSと呼んでおりますけれども、これについては、実現性、実用性等の判断に必要な技術基盤の確立を目指し、核破砕ターゲット材、冷却材として使用する鉛ビスマス合金の挙動を確認するための流動試験や材料腐食試験、また、ADSに用いる大強度陽子ビームの制御技術の開発などを原子力機構で進めているところでございます。

 これらにつきましては、科学技術・学術審議会原子力科学技術委員会の下の作業部会において、核変換技術等に必要な研究開発項目などについて議論の上、令和三年十二月に報告書を取りまとめ、これに基づき原子力機構の中長期目標にも、令和四年度から十年度になりますけれども、位置づけて進めているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き必要な予算を確保するとともに、これらの研究開発を中長期的に支援してまいりたいと思っています。

浅野委員 ありがとうございます。是非予算も確保していただいて、この研究をより深めていただきたいと思うんですが、事前に事務方から聞きますと、この研究テーマに割かれている予算規模はこのところずっと横ばいで、年間四億円程度というふうに聞いております。

 私は、高速炉を使って低害化するという方法も実用化を考えるべきだと思うんですけれども、高速炉については、立地のための様々な、自治体の理解ですとか政治的な課題もはらむ問題なんですが、加速器を使った核種変換技術についてはシンプルに技術の力で実現が可能なものだと思っております。

 ですから、これから世界中で原子力発電所が建設をされて、二〇五〇年には現状の二倍近くまで原子力の発電容量が増えるという中で、当然排出される廃棄物も増える、ただ、最終処分の問題はいずれの国も大変苦慮している、そんな中で加速器を使った核種変換技術というものが実用化できれば、世界でも、まだほとんど、本格的に研究に着手をしている、実用化のめどが見えた国はないというふうに聞いておりますので、我が国がこの技術をリードして、これから世界中が直面するこの廃棄物の問題に一筋の光をしっかり示していくべきだと思います。この研究テーマ、更に強力に取り組んでいただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して質問いたします。

 何度も聞かれて大変恐縮ではあるんですけれども、原子炉の使用年数を現在の原則四十年、最長六十年とする現在の原子炉等規制法から削除して、経済産業省が所管する電気事業法に移して、停止期間分を加算して六十年を超える運転ができるようにするという、この改正案について御質問させていただきます。

 何回も聞かれているんでしょうけれども、まずもって、この改正の中身の当否はさておいて、なぜこの法律を、原子炉等規制法の四十三条の三の三十二の改正ではなく、同条を削除して電気事業法第二十七条の二十九の二に移したのか、その理由を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 運転期間の延長につきましては、原子炉等規制法において、運転期間に関する定めと高経年化した発電用原子炉に関する安全規制についての定めがセットで規定をされております。

 このうち、運転期間の定めについては、令和二年七月二十九日に決定した見解のとおり、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないと考えております。

 今般、利用の在り方として運転期間の定めを変更しようとしているので、利用と規制の分離の観点から、利用側の法体系の中で運転期間を規定することは自然なことであると考えております。

米山委員 当然その御見解を繰り返されるんだと思うんですけれども、これは非常に不可解な理屈といいますか、まるで当然かのようにおっしゃられているんですけれども、そもそも利用と規制はそんなに画然と分けられるものなんですかというのを非常に疑問に感じるんです。

 例えば、非常によく知られた基準、規制として、車検、日本人ならほぼ誰もが知っている車検があると思うんですけれども、あれは、車検を通さなければ乗れませんという意味では規制ではあるわけです。一方、例えば私が車を自作して、自動車を造ったとして、車検を通せば乗れるわけですよね。ですから、あれはそういう意味では利用側の仕組みでもあるわけなんです。そもそも、一つの決まりといいますかね、それを利用だとか規制だとかに画然と分けるなんということはそもそも不可能なんだと思います。

 その上で、どこが所轄すべきかということになったら、車検は国交省がやるわけですよ。何せ、その法律に基づいて車検を実施するのは国交省なわけですから。だから、やるわけです。そして、原子炉に関しましても、検査するのは原子力規制委員会なんですから、通常、それは原子力規制委員会がやるべきことだと思うんです。

 さらに、そもそも使用年限は利用側で制限するようなものなのか。だって、車検の話にまた戻しますけれども、例えば私が自作で車を造ったとして、一回車検を通したら二十年でも三十年でも検査なしで使いたいわけですよ、当たり前じゃないですか。だけれども、それじゃ危ないですよ、何年に一回やってくださいね、そうして検査しないと、とてもそんな、一回検査したからって分からないですよと。それが車検という仕組みだと思うんです。

 原子炉の使用年数といいますか耐用年数も、同じ話だと思われる。もちろん最初に適合性審査を、審査するわけですよ。最初に審査するけれども、年限がたってくるといろいろなところが劣化してきて、脆化してきて、とても審査し切れません、だから一定の年限でやめましょうよということなので。

 検査し切れないというのが年限の理由なんですから、その法律は検査している原子力規制庁が所管すべきだと思います。ですので、改めて、もう一度、原子炉等規制法でそもそもやるべきじゃないですかということについて御所見を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所の事故を教訓といたしまして、利用と規制を分離することとし、原子力規制委員会は独立した立場で原子力の規制を行っております。

 原子力規制委員会の役割は、科学的、技術的な観点から、安全面での基準を定めて、個々の施設がその基準に適合しているか否かを審査し、あるいは検査を通じた監視等を行うことに尽きると考えております。

 一方で、現行の運転期間延長認可制度は、運転開始後六十年を迎えた原子炉については、たとえ安全面から基準に適合していることを確認しても運転することはできなくなります。もはやそれは安全の観点ではなく利用の観点であり、原子力規制委員会で判断するものではございません。

 今般、利用の在り方として運転期間の定めを変更しようとしており、利用と規制の分離の観点からも、利用側の法体系の中で運転期間を規定することは極めて自然なことであると考えています。

米山委員 では、ちょっとお伺いしたいんですけれども、所管は経産省でいいとしましょう、電気事業法でいいとしましょう。通告ではないですけれども、更問いだから許していただきたいんですが。

 その御主張なら、まさに経産省の側からしたら、別に年限を設ける必要はないんだと思うんですよ。そうでしょう、だって利用したいんだから。いつまでだって利用したいですよね。何で、原則六十年で、更に六十年を超えて、停止期間が十年あるなら七十年、そこでやめるんですか。そこでやめる理由を教えてもらっていいですか。

山中政府特別補佐人 私どもが今新しく提案しております高経年化した原子炉に対する安全規制につきましては、いずれの運転期間の定めによらず高経年化した原子炉の安全規制ができるよう、三十年以降十年を超えない年限ごとに審査を行うという制度を設けております。したがいまして、運転期間によらず高経年化した原子炉の安全規制ができるというふうに考えております。

米山委員 それは、質問に対する答えじゃなくて。

 所轄じゃないからしようがないという話なのかもしれませんけれども、原子力の安全性に対して非常に責任を持つお立場なので、所轄じゃない法律に関しても御所見を伺いたいと思うんです。もう自分の所轄から離れました、でも、今まで委員長の所轄にあったこの年限規制というものは残るわけですよ。所轄は電気事業法に移るけれども、ちゃんと残っています。何で残っているとお思いなのか。原子力規制委員会委員長としての御所見を伺います。科学者としての御所見を伺います。

山中政府特別補佐人 令和二年七月二十九日の私ども原子力規制委員会で決定した事項として、運転期間については、原子力の利用政策で判断いただくべきことであって、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないというふうに決定しておりますので、運転期間について私どもが何か意見を申し述べることはございません。

米山委員 意見を聞いていません。そこは恐縮ながら、確かにそうでしょうと。差し出がましく、それがいいとか悪いとか、そういう意見を言ってほしいと言っているのではありません。でも、委員長は科学者でもあるわけですよ。科学者でもあり、自分として、あれは何であそこにあるのかなと思っている、それは言っていいじゃないですか。科学者としての御所見として、別にそれを実行しろと言っているんじゃないですよ、だって経産省が駄目なら駄目なんだから。だけれども科学者として、何であそこに使用年限が決まっていると思っておられるのか。御見解を伺ってよろしいですか。

山中政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、私どもの役割としては、高経年化した原子炉の安全規制を行うのが私どもの役割であって、科学的、技術的に見て一義的に運転期間を定めることは個々の原子炉についてはできないというのが我々の見解でございます。

米山委員 そうしたら、しつこくて恐縮ですが、また聞かせていただきたいんですけれども。

 実は、この改正案、もちろん当然ながら、まだ成立しておりません。ということは、現時点ではちゃんと使用年限がある原子炉等規制法がございます、そこには使用年限があります。これは委員長の所管です。なぜこれに使用年限が決まっているのか、これは答えなきゃいけないと思うんですけれども、お答えいただけますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 これまでも原子力規制委員会委員長が国会で答弁させていただいておりますように、四十年、六十年というのは、原子力規制委員会にとっては規制を行うタイミングでございます。

米山委員 規制を行うタイミングであって、つまり、タイミングでしかないから、六十年たっても原発は全く安全である、そういうふうに原子力規制委員会委員長として述べられたということでよろしいですか。

山中政府特別補佐人 私どもは、一〇〇%安全ということはこれまでも申し上げたことはございませんし、高経年化した原子炉に対しての安全規制を行うのが我々の務めでございます。我々は、あくまでも高経年化した原子炉の安全規制に関する基準を定めて、事業者が申請してきた劣化の状況をそれと見比べて、基準に合致していれば運転の延長を認めますし、合致していなければ運転を認めないという、それだけのことでございます。

米山委員 分かりました。そう言い張るなら、それはそれでいいんですけれども。

 そうしましたら、四十年のところでタイミングがあるわけですよね、何で四十年のところにタイミングがあるんですか。そのタイミングの理由を、科学者でもあるわけですから、科学的な根拠を持って言っていただけますか。

山中政府特別補佐人 四十年という年限、これは、様々な議論があって、国会で定められたものというふうに考えております。

 先ほど答弁をさせていただきましたように、国会の議論の中では、例えば、既存の許可申請の中で想定年数として四十年というのが年限として設けられているというのが一つの根拠となっております。加えまして、四十年をもって何か急に原子炉が危険になるものではない、そういう御議論もございましたし、また、四十年というのは政治的な意味合いがあるものであるという御議論もございました。

 四十年というのは、そういうふうに、国会の中で定められたものであるというふうに考えております。

米山委員 もう一回同じ質問を、本当に恐縮ですけれども、させていただきたいんですけれども。

 私は別に、国会で決まった経緯というのは議事録を見れば分かりますので、御説明いただかなくても結構なんですね。そうではなくて、原子力規制委員会委員長というのは科学者が選ばれるわけですよ。科学的知見を持って、自分たちのやっている規制が正しいのかどうかということに関しても一定の御知見を持っていただかないと困るわけですよね。

 単に、国会で決まりましたと。国会で、政治的な意味合いもあって、すごく科学的に不合理なものが決まっているんですけれども、私は職としてあるからそれを実行しているんですというのであれば、それはそれで結構。でも、そう言っていただくべきだと思うんです。科学者としてはこれは正しいと思わないけれども、政治的だと。

 でも、科学者として正しいと思うからやっているのか、それとも、科学者としては正しいとは全く思わない、単なる政治的な取決めだと思ってやっているのか、それはきちんと言っていただけますか。

山中政府特別補佐人 これまでも私は国会の答弁の中で申し上げておりますけれども、個々の原子力発電所の寿命というのは科学的、技術的に一義的に決まるものではないということでございます。四十年という定めにつきましても、それを超えたから急に何か危険なことが起きるというような年限ではございません。

米山委員 もちろん、それは存じております。

 車だって同じですよね。車だって、一義的に、どこで動かなくなるかと決まらないわけですよ、そうですよね。だけれども、やはりだんだん古くなって、前の経産省への質問でも言いましたけれども、私は三十年ほど同じ車に乗ったんですけれども、最初のうちは車検を通せば大丈夫だったのが、だんだんだんだん、車検を幾ら通してもすぐ故障するようになる、幾ら検査したって調べ切れない、そうなるわけですよ。

 今委員長も一義的には決められないと言いましたけれども、やがてだんだんと経年劣化している部分が増えていって、脆化する部分が増えていってどんどん検査が難しくなるということはお認めになるということでよろしいですか。

山中政府特別補佐人 私ども原子力規制委員会の務めは、高経年化した原子炉についての安全規制を行うことでございます。つまり、基準を作って、その基準に適合しているかどうかを我々は審査する、あるいは検査の中で見ていく。その基準に適合しているかどうかを立証するのは事業者の責任でございます。

米山委員 質問に答えていないんです。答えていないですよ。答えていません、答えていません。(発言する者あり)

鈴木委員長 御静粛に願います。

米山委員 いいですか、私が聞いたのは、経年劣化して、時間がたっていったらだんだん故障が増えていって審査しづらくなりませんかということに対する科学者としての知見を伺っているわけです。

 それに、検査が御使命だとおっしゃるんだったら、検査のタイミングだって御使命ですよね。そういうふうに、決まっているからそれでやりますだけじゃなくて、所轄なんですから、この法律がきちんと原子炉の安全性というものを検査できるように、科学的知見の下に、今の法律が合っているかどうかを言っていただかなきゃ困るわけですよ。

 立場としては、科学的知見のある方として選ばれて、原子炉等規制法は御自分の御所管で、これが現実に合っているか合っていないかと私が聞いて、もし違うなら、違うと言っていただいたら、では我々が立法しようか、それが立法府と行政府の在り方じゃないですか。それが御担当の所轄だということですよ。

 ですから、年限の規制というものは一義的には決まらないかもしれない、でも車検だってそうですって。何だってそうです。だけれども、少なくとも、だんだん年限がたっていったらどんどんと故障箇所や脆化や劣化が増えるから一定の年限、ある年限でやめるということだと私は思っているんですけれども、その考え方は正しいですか、正しくないですか、御所管として。何せ、今、原子炉等規制法は委員長の御所管ですから。それは正しいと思っているか、思っていないのか教えてくださいと聞いています。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 認識のずれがあると思います。我々は、少なくとも、高経年化した原子炉の安全規制を行う、すなわち基準をきちっと策定して審査を行うのが我々の務めであって、その基準に合致していなければ我々は運転延長を認めませんし、合致していれば運転延長を認める。それを立証するのは事業者の責任である。

 当然、おっしゃるとおり、劣化が進んでいくのは自然な現象でございますけれども、我々は、劣化がいかように進むか、あるいは運転期間がどのようになろうとも、きちっと審査ができる基準を作って審査、検査を行っていくのが我々の務めですという、繰り返しになりますが、我々の務めはそこにございますので、劣化が進んでいくことと基準の話というのは別の話だというふうに考えていただいて。

米山委員 そうじゃなくてですね。押し問答になっていますけれども、でも、ちゃんとそこはしなきゃいけないことだと思うんですけれども。車検の規制の中に車検の検査項目はありますよ。でも、何年に一回車検をするかというのも車検の規制項目の中にあるんです。

 今委員長は、我々は規制を決めることだとおっしゃいましたよね。そうだとしたら、検査をするタイミングを決めるのも規制のうちなんです、そうですよね。そして、検査をしなくなるタイミングを決めるのも。改正したら我々は関係ないと言えますよ、でも、現時点では年限規制というものは、委員長の所管である原子炉等規制法に入っていますので。しかも、御自分の所管している中に定められている期限というものに合理性があると思うか思わないか、担当者としてお答えくださいというのはまともな質問なんです。是非お答えください。

山中政府特別補佐人 お答えをさせていただいております。

 四十年というのはあくまでもタイミングで、我々は安全規制をそこで行います。基準に合致していれば認可をして、二十年延長することができます。ただし、六十年たったときに、基準に合致していても我々は運転を許可することはできません。自動的に運転が停止されます。それは、もう既にそこで、六十年という年限は安全規制ではなく利用政策の問題である、そういうお答えをさせていただきました。その答えに尽きると思います。

米山委員 分かりました。というのは、そこから先は利用規制だというのは改正法が通ったらですからね。改正法が通る前はそうじゃないので。そこはそれでいいんです。

 でも、委員長のお答えは、ともかく、ひたすら、幾ら年限がたっても大丈夫だ、私たちさえ審査すれば大丈夫……(発言する者あり)いや、言っていますでしょう。単なるタイミングの問題だと言っていますよ、言っています。それでは答えにならないんですよ。(発言する者あり)

鈴木委員長 御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に願います。

米山委員 言っているんですよ、それは。審査の年限は関係ない、我々が審査すれば全部安全にできます、利用側の問題だけです、しかもそれは改正法が通る前からそうだ、そうおっしゃっているわけです。でも、それは新たな審査神話なんですよ。

 私が先ほど自分の車で言ったみたいに、幾ら車検を通したって、三十年たった車はどんどんどんどん壊れて使えないです。原子炉だって同じで、一定程度たったら脆化もするし劣化もするし、そんな、審査し切れるなんというのは神話です。

 もちろん、それが六十年なのか百年なのか、それは分かりません、正直言って。でも、やはりどこかに一定の年限をつけて、しかも、できることならそれに科学的根拠、できることならじゃなくて、そもそも科学的根拠があるべきなんです。きっちり全部分かるという意味じゃないですよ。統計的でもいい、実験的でもいい、やはり一定の根拠を持って年限を決める、それが私はあるべき姿だと思うんです。

 先ほど、浅野委員からもお話がありました。科学的根拠はないんですか、そんな決定をしたら禍根を残しますよと言われたんですけれども。

 今ほどの答弁からいきますと、年限を延長できるということに対して科学的知見すら必要ないと思っていらっしゃるようなんですが、そのように思っているということでよろしいですか。

山中政府特別補佐人 これまでの答弁の繰り返しになりますけれども、運転期間については、私ども原子力規制委員会が意見を申し述べる事柄ではないということでございます。

米山委員 何度も言っているんですけれども、改正法が通ったらその答弁は通るんですけれども、今、改正法は通っていないんですよ。通っていないので、まだちゃんと年限規制はあるんですけれども。ともかく、年限をどうするかは全く科学的根拠なく政治的に決めていいということだと伺いました。そうおっしゃられているので。

 でも、その在り方はよくないですよ。そんなことをして、またどこかで事故を起こして、日本が沈みますからね。先ほど来、原発を再開しなければ日本が沈むみたいな話がありましたけれども。同時に、もう一回事故を起こしたら本当に沈みますよ。もう一回やったら誰も日本の科学技術なんて信じなくなるし、本当に誰も来なくなります。絶対にもう一回起こしちゃいけないんですよ。多少なりとも、もしかして百年使えるものを七十年にしているのかもしれない、だけれども、そこはちゃんと安全のセーフティーを取って、できる限り科学的根拠に基づいたセーフティーを取ってきちんと決めるべきことです。それが原子力規制委員会委員長たる方の使命なんですよ。

 是非、私は、きちんと科学的論拠を持って、どこで年限を決めるのか、今後の所管は経産省になるんでしょうから、むしろ、経産省の担当の方の所管になるんでしょうけれども、そちらがやってほしいし、それに対して、原子力に対して専門的知見を持っておられる原子力規制庁は是非様々な知見を提供していただきたいと思います。

 予定している質問事項が全然終わらなかったんですけれども、済みませんね。

 時間となりましたので、次の方に譲りたいと思います。大変ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、三代目となられた山中委員長に、現在、原子力規制委員会並びに原子力規制庁への信頼が大きく揺らいでいる、このことをしっかりと私は受け止めていただいて、安全規制のため二〇一二年九月にできた組織、しっかりと任を果たしていただきたいと思いますので、順次質問をしてまいります。

 まず一点は、この間、盛んに取り上げられる令和二年の七月見解というものでございます。

 これは、先ほど来問題になっておりますような運転延長ということも含めて、運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解でありますが、これに先立って、令和二年の七月までの間に、原子力事業者の皆さん、ATENAとの会合が、五回でしょうか、あって、その結果を、七月の二十二日、山中委員長がおまとめであります。

 まず、これについて、どのようなまとめをされたのか、お伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 令和二年七月の見解につきましては、平成二十九年に原子力事業者から、安全規制の枠組みの中で、運転開始から四十年、二十年という運転期間から停止期間を除外してはどうかとの提案をされたことを機に検討を開始したものでございます。

 具体的には、その提案を踏まえまして、原子力エネルギー協議会、ATENAと経年劣化の管理に関する取組について技術的な意見交換を行った結果について、御指摘の令和二年七月二十二日の規制委員会で規制庁から報告があり、その際の議論がきっかけとなって見解文を検討することとなりました。

 その際の議論の内容につきましては、七月二十二日の原子力規制委員会において、私から、運転期間延長認可制度の期間については原子力規制委員会が議論すべき問題ではなく、長期運転停止期間をそれに含めるかどうかについても規制委員会が判断すべき事柄ではない等の意見を述べたところでございます。当時の更田委員長から、こうした考え方は重要であるため、原子力規制委員会として見解文を取りまとめるべきではないかとの提案がございまして、これに反対する委員がございませんでしたので、事務方に見解文書案の作成を指示することになったものでございます。

 その事務方による見解文の案については、令和二年七月二十九日の原子力規制委員会の場で規制庁から説明があって、五名の原子力規制委員会委員と事務方との間の質疑を経て、これに反対する委員がございませんでしたので、原子力規制委員会として同見解文を決定するに至ったものでございます。

阿部(知)委員 今、山中委員長から御説明のように、二十二日の日に山中委員長が提言、提案されて、その後、二十九日のまとめに向かっていくわけです。

 まとめられた文書というものもお手元につけましたが、山中委員長の二十二日の御発言も一枚目、そして、二枚目にも更に山中委員長の御発言で、それを受けて、更田前委員長、当時の委員長の御発言がありました。

 この七月二十九日に取りまとめられた見解というものの一番要旨の部分というのは、三番と六番にポイントがあろうということで、更田さんのお話でしたので、私もこれをここに提示させていただきました。四十年とする定めは検査を行うタイミングであるということ、発電用原子炉施設の利用をどのくらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならないと。

 さて、この原子力利用の在り方に関する政策判断ということで私が受け止めますのは、原子力の利用の在り方は、例えば、非常に国民の不安が強い、事故の直後である、あるいは、欧米の運転の、どのくらいの期間原子力が使われているかの世界情勢などを見る、単に原子力事業者の運転政策ではないのですね。原子力利用の在り方というのは、より広く、原子力の運転を受け入れる、受け止める側の思いも加わったものであろうかと思います。

 私は、このことに関して、お手元の資料をつけさせていただきましたが、この間の論議の進め方は、あたかも令和二年の九月の見解が独り歩きをしているのではないかというような石渡委員の御指摘、先ほどの、ATENAとの会合は六回でした、失礼いたしました。ここで、ATENAとの様々な会合で、六回の議事録を全部石渡委員は読んだけれども、原子力規制委員会が関わるべき事柄ではないということについて、その内容をよく議論してまとめたものであるのかどうかということで、お手元の資料四枚目に石渡委員の御意見が書いてあります。加えて、この文章をあたかも金科玉条のように使って、原子力規制委員会が関わるべき事柄ではないということが原子力規制委員会の全体の意思として確保されてはいないということをおっしゃって、二月に反対の意を述べられました。

 私は、さっきの、原子力規制委員会が関わるべきでないということの中身を、もう少し丁寧に原子力規制委員会で御論議さるべきだったんだと思います。

 今、委員長、山中さんは、原子力事業者の政策、何年動かすかというところに切り詰めていってございますが、先ほど米山委員も御指摘のように、規制とそれから運転というのはそんなに簡単に分けられない部分もございます。原子力規制委員会は、幾ら事業者が長くやりたいといっても、様々な要件を勘案した上で、年月を延ばして本当に大丈夫だろうかというような科学的知見もまた求められるわけであります。そこをすっぽり抜け落ちさせて、利用、事業者側の判断や政策でよしとしたところに大きな私は間違いが発生したと思います。

 ちなみに、この見解をまとめられた直後に更田さんが御発言した委員会の議事録等々を見てみますと、電力が今、自主の拡大を訴えるのであれば、電力事業者が、かつての自主はどうであったか、自主によるシビアアクシデント対策、これは福島第一原子力発電所事故のときに機能しませんでした、自らの自主がかつてどうであったかをきちんと検証した上で、その上で自主の拡大を訴えるべきとおっしゃっています。

 まさに事業者がやるべきことは、過去の検証。加えて、これから事業者の運転政策にのっとって原子力の運転期間を決めていくなどということは、そもそもが私はこの間の事故を検証していないと思います。

 山中委員長に伺いますが、原子力利用の政策が、在り方も含めてということがあるときに、なぜ事業者の、運転する側の政策に、そこだけにいわば切り詰められてしまうのですか。今もそうお考えですか。いかがでしょう。

山中政府特別補佐人 規制基準に適合した原子炉の利用をどれぐらいの期間認めるか、あるいは認めないとするかという運転期間の定めというのは、原子力利用の在り方に関する政策判断にほかならないというふうに考えております。令和二年七月二十九日に取りまとめた、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないということは、私は改めて明確にさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、運転期間を短くするにせよ長くするにせよ、その在り方を変えるならば、利用の在り方として検討すべき事柄であり、そして、利用の在り方として運転期間を定めるのであれば、利用と政策の分離の観点から、利用側の法体系の中で運転期間を規定すべきであるというふうに私は考えます。

阿部(知)委員 何度も申し上げますが、利用の在り方に関する政策判断なんです。事業者は利用しようと思いますよ。しかし、その在り方がどうかということの政策判断であると更田さんはおっしゃっているのです。

 そして、委員長、石渡さんが反対をされましたけれども、多数決で議決をされました。そのことについて、運転期間の延長は規制の本質に関わることなので、多数決で決めるべきではありません、これは更田さんの三月の言葉です、徹底的に議論すべきでしたと。前委員長がそこまでおっしゃる事態を生んでいるのが今の山中委員長の采配なのです。

 私は、原子力利用の在り方政策について、何を規制委員会が関与すべきでなく、どこで決められるべきものなのか、もう一度丁寧に議論をすべきです。まさに更田さんのおっしゃるとおりであります。規制委の信頼の根幹は独立性であり、また、規制委が政治や行政に牛耳られる印象を国民に与えてはいけない、徹底論議をすべきで、もしこれを骨抜きにしてしまえば原子力に関する国民の信頼は地に落ちる、それでは原子力に将来はない、ここまでおっしゃっている事態であります。

 先ほどの令和二年九月の見解のときにも更田さんはおられました。そして、その後の国会答弁の中でも、これは立法政策、すなわち原子力の利用そのものの国としての意思、立法政策の在り方として決めるべきだ、だから規制委員会だけがそこで一義的に決めるものではないという趣旨でありました。

 いつの日か趣旨を取り違えて、事業者側の運転の問題にすり替えた大きな責任は山中委員長にあると思いますが、いかがでしょう。

山中政府特別補佐人 御指摘の令和二年七月二十九日の見解につきましては、利用と規制の分離の観点から、安全上の基準に適合した原子炉の運転をどれぐらいの期間認めるかは、もはや安全規制ではなく、原子力利用の在り方に関する政策の判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではない、これを明らかにしたものでございまして、前更田委員長もこの趣旨に賛同いただいて、全員一致の上、令和二年七月二十九日に決定したものでございます。私は、文言上、異なる解釈の余地はないというふうに考えております。

阿部(知)委員 失礼しました、先ほどのインタビューは田中委員長でした。議事録での更田さんの、その後の御答弁は更田さんであります。議事録の訂正をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 山中委員長が余地がないと言い、石渡委員は、いや、もっと十分に議論さるべきだと言っているわけです。そういたしますと、その五人を預かる委員長は、そこで打ち切るんじゃなくて、きっちりと議論してこそ信頼性ができるということなんだと思います。山中委員長は余地がないと言い、事業者側の判断でよいとする、そうではないのではないかと私は思います。

 山中委員長がそういう判断をされたことから、次に、経済産業省がそれを受けて、今盛んに問題になっております規制庁と資源エネ庁の会合が始まるわけです。

 今日は経産省政務官にお越しいただいておりますが、経産省として、今の令和二年の九月の見解をお知りになったのはいつかということと、その後、今、山中委員長がおっしゃったように、事業者側、すなわち原子力利用側の問題であるという山中さんの御判断ですから、それを受けて何か経産省内で検討されましたか。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のありました令和二年七月の原子力規制委員会における見解、すなわち、運転期間の在り方は安全規制ではなく利用政策である、この見解が示されましたので、その後、原子力発電所の停止期間の扱いについて経済産業省での審議会でも議論が行われております。

 さらに、令和三年十月に閣議決定されました第六次エネルギー基本計画においては、安全性を確保しつつ長期運転を進めていく上での諸課題について、官民それぞれの役割に応じ検討するとされておりまして、事務方は、利用政策の観点から、運転期間の在り方も一つの政策課題になると認識していたというふうに聞いております。

 こうした中で、昨年七月二十七日の第一回GX実行会議において、岸田総理から、原発の再稼働とその先の展開策など、具体的な方策について政治決断が求められる項目を示すよう御指示があったことを踏まえまして、事務的に法的措置に関する具体的な検討を開始したものというふうに聞いております。

阿部(知)委員 令和二年の九月から規制庁とのやり取りがあるまでの間、何回、経産省の中では御論議が重ねられましたでしょう。昨年の七月に資源エネ庁と規制庁の会合が始まるわけですが、それまでの間、何回くらい経産省の中では論議があったか、そのメモは残されているか、いかがでしょう。

松山政府参考人 済みません、事務的な作業の件なので、私の方から御答弁申し上げます。

 先ほど政務官から御答弁申し上げましたように、令和二年七月に規制委員会の方で見解が示されたことについては、私どもも、規制当局、規制委員会がどういう形で見解を持つかということについては常々よく勉強しておるところでございますので、このことは承知しておりました。

 その後も、様々な審議会で議論する際にもそういうことは念頭に置いておったわけでございますが、令和三年十月のエネルギー基本計画を策定する際にも、様々な課題の一つには、整理の一つとしては念頭にはございました。

 ただ、今回御提案しておるような具体的な制度についての検討は、これまでも明示的な形で行っているわけではございませんで、済みません、私の承知している限りでは、それに関するメモのようなものは残っていないと承知しております。

阿部(知)委員 大問題じゃないですか。明示的に何も示されないで、メモも残されないで、そして、結果的に、資源エネ庁が、経産省側の法案になるから、原子力規制庁を呼んで、かくかく決まったのだと言った。それが七月です。全くメモがない、明示的でない、政策意思決定が。今、原子炉等規制法は、環境省の一応外局である規制委員会の扱いであります。それを経産省側に持ってこようというお話でありますが、そのメモもない、審議の、議事の明示的なメモもない。

 どうですか、政務官。そういうことで政策の意思決定が国民に理解されますでしょうか。ブラックボックスじゃないですか。いかがですか。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 事務的なレベルでの様々なやり取り、これは先ほど部長から御答弁申し上げたとおりであります。

 法律上の検討というのは、先ほど申し上げました、昨年七月、第一回GX実行会議において、総理から政治決断が求められる項目も示すよう御指示があったということを踏まえまして、事務的に法律に関する具体的な検討を開始したということでございますので、それまでの間は、事務的に様々な、事務的な検討についてやり取りがあったということは承知しておりますが、法律に関する具体的な検討を開始したのは、昨年の七月の第一回GX実行会議においての総理指示を受けたものということでございます。

阿部(知)委員 里見政務官は事務的とおっしゃいましたが、すなわち、そこに政策意思決定に関わる、ある意味、全てがあるんだと思います。

 そして、総理から言われたから、じゃ、資源エネ庁が規制庁を呼んでいいか。私は、全く本末転倒だと思います。

 規制庁は、独立性が要求されます規制委員会の事務局であります。そこに、経産省を介して総理が次の法案の指示をするとなれば、独立性は担保されません。大きな問題ではないですか。

 皆さんのお手元に資料をつけさせていただきましたが、開いて六枚目、ここには、資源エネ庁から規制庁に話があったということで、七月の二十八日、もう既に、原子力発電所の運転期間の見直しに関して、経産省として原子炉等規制法を含む法案の検討を開始したと。法案です、もう既に法案の検討を開始する。よその法律を持ってきて、自分のところで法案の検討を開始する、そんなルールはないと私は理解します。

 果たして、今まで所管である環境省にはどのように経産省としてお話をされたんでしょう。お願いします。

松山政府参考人 私の方から御答弁申し上げますけれども、まず、七月二十七日にGX実行会議があったわけでございますが、そこで岸田総理の方から、原子力政策に関して、GXという観点から、政治的な決断を求められるような項目も含めてしっかりと検討しろという御指示を頂戴しました。私どもは総理を支える行政職員でございますので、これを具体化するための策について早急に検討していく必要がございます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、これまでの規制委員会の見解も我々も承知しておりました。エネルギー基本計画の中でも、課題として長期運転ということは挙がってございました。様々な政策検討というのは、もちろんのことながら、我々は原子力政策を担当しているのでやってきておりますので、すぐさまその中での可能な対応策というのは検討し、ここは、先ほどの御質問では呼びつけてでございましたが、私どもの方からお伺いいたしました。

 これは、規制庁のみならず、たくさんの省庁と関わってございます、当然のことながら、これについて御説明に上がり、同時に、どう進めていく、もちろん、安全規制の中身には一切触れていくものではございませんが、利用政策という観点での電気事業法、この当時、電気事業法と決めているわけでもございませんが、事業政策としてどう位置づけていくかという検討を始めているということをお示ししつつ、じゃ、全体の体系では何を考えていくべきかということを御相談をしていかなければならないということから、すぐさま我々としても行動に移して、各省に対して御説明に上がっていったということでございます。

阿部(知)委員 すぐさま過ぎるんですよね。だって、令和二年の七月から下準備をされていたと。しかし、そのメモもない、議事録もない。そして、急に、七月の二十七日に総理がおっしゃった。あ、そうかと、翌日、束ね法案ですという案が出てくる。その意思決定過程、見えないじゃないですか。そのことが問題なんですよ。原子力は元々、自主、民主、公開、公開性、透明性が物すごく重要な分野であります。全部メモだから、途中経過だから何もない。

 おまけに、松山さん、今日は私は本当は片山さんをお呼びしたかったですが、そもそも、それだけ経産省が準備に関わり、そして規制庁にお声をかけて、この間のいわば七回のメモですよね、七月の二十八から九月の二十八までに至る七回の規制庁とのメモ、一切出していただいていません。規制庁が出されたものがここに示したものです。

 出すべきじゃないですか。いかがですか、政務官。メモも出さない、どこで決めたかも分からない。おまけに、これは、規制庁の側の資料によれば、駅で受け渡して、そして、捨てたかどうにか分からないけれども、その後どうなっているのですか、経産省側、資源エネ庁側の資料は。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 運転期間の在り方に関する利用政策の観点からの検討状況につきましては、日常的な事務連絡などを通じまして、原子力規制庁を含む関係省庁への情報提供を行ってきております。

 その上で、原子力規制庁が公表した資料につきまして、その公表の在り方については原子力規制庁において責任を持って判断をされたものと承知をしております。

 経済産業省といたしましては、これらの資料の公表について、情報公開法の考え方を参照しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。

 いずれにしても、こうした面談において、原子力規制委員会が検討する原子力安全規制の在り方について、経済産業省から具体的な意見の申出等を行った事実はございません。

阿部(知)委員 具体的な申入れをしないで、これだけの打合せはないものと思います。

 そして、規制庁が出されているんですから、見合いの経産省も出されるべきです。

 今度の、委員長がなされた一月二十五日の法改正で、ノーリターンの相手となる省庁とのやり取りも全部メモを残せとなっております。そして、おまけに、それは規制庁の側からでも相手側の資料を開示すべきであります、できるはずであります。二〇一二年の九月の定めの中で、それは事業者とのコンタクトのことですが、委員長は今度それをノーリターンルールのある省庁にも拡大したわけですから、必ず経産省としてお出しいただきたい。政策の意思決定が分かりません。

 委員長、よろしくお取り計らいください。お願いいたします。

鈴木委員長 後刻、理事会で協議します。

 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 しかし、本当に立憲民主党の委員の皆様の国会質問というのはひどいですね、聞くに堪えない。聞くに堪えないです。(発言する者あり)じゃ、今から、どうひどいか、ちゃんと説明してあげますよ。

 私は、五五年体制下の国会というのは付加価値が非常に低くて、本当にひどい質問が多いと思ってきたし、よく、官僚の皆さんが私の事務所に来たら、国会廃止法案を出そうと。こう言うぐらい生産性が低いことが多かったんです。ただ、行政監視もありますから、国会というのはあった方がいいんだけれども。

 私は、やはり鋭い質問を通じて政府のいろいろな事実を明らかにしていきたい、こう思ってやってきましたが、今日分かったことは、ひどい質問でも政府のすばらしさがよく分かった。すばらしい質問だけじゃなくて、あほな質問でも、山中委員長の先ほどの御答弁は、私、すばらしいと思いますね。松山さんも、さすがですよ。だから、改めて、先ほどの立民とのやり取りを通じて、今回の原子力政策のハンドリング、これがいかに真っ当かということはよく分かりました。

 阿部さんが、信頼が揺らいでいるとか、何か言っていましたけれども、むしろ、山中委員長になって、更に原子力規制委員会の信頼は高まっています。

 それからもう一つ、先ほど米山さんが、またひどいことを言っていましたね。米山さん、ひどいね、これ。何と言ったか。幾ら年限がたっても、幾ら時間がたっても大丈夫だと山中委員長が言ったんだと言ったんですよ。言ったか、そんなこと。言っていないですよ。

 委員長、後ほど理事会で、この議事録、削除すべきだということ、議論をお願いします。

鈴木委員長 後刻、理事会で協議します。

足立委員 だって、これはデマですから、デマ。

 それから、利用と規制は分けられない。ばかかと。利用と規制が分かれていなかったことが、福島第一原発事故の最大の教訓として、問題だということで二〇一一年、二〇一二年に法整備をして、今の規制委員会をつくったわけでしょう。まさに、利用と規制を分けることが福島第一原発事故の教訓じゃないですか。それを何、立憲民主党は。その法律を作ったんじゃないの、当時、政権で。その法律を作った立憲民主党の委員たちが、いや、利用と規制は分けられないんだと。これをばかとかあほとかと言わずして、どう表現していいか私には分からないんですよ。

 それから、四十年の科学的根拠を、委員長は科学者だから、科学者として述べよ。いやいや、そういう科学的根拠の薄い数字を入れたのは民主党政権でしょう。自公は我慢して同意したかもしれないけれども、それを作ったのは民主党政権じゃないか。それの科学的根拠を説明すべきは民主党の人たちですよ、元民主党の人たち。ちょっと落ち着きましょう。(発言する者あり)米山さんは当時自民党だから、責任はないのか。そういうことね。そういうことであれば理解が、米山さんは常に野党、万年野党なんですよ、そういうことで。

 今日は十五分しかないので、質問が終わってしまいますが。

 いや、しかし、今日はひどかったね、今日の米山さんの質問は、この間の逢坂さんのもひどかったけれども、今日のも本当にひどかったから、議事録をもう一回精査したいと思いますが。

 委員長、今日あったみたいな議論は、もういいです、いいですよ、実は私の今日の質問通告の一問目はこうなっているんですよ、電事法とか炉規法とか、GX電源法案に係る維新以外の野党からの批判についてという通告をしてあるので、今みたいな立憲民主党のひどい質問に対して改めて、言いたいことがあったら言っていただいても。もういいですよね。委員長、何か言いたいことは。いいですか。じゃ、それは割愛をして。

 ただ、私は実は経済産業省にいました、二〇一一年の三月十一日の東日本大震災と福島第一原発事故の発災を機に政治を志して、その月末に辞表を出して地元大阪に戻って、政治を十年やってきました。経済産業委員会、この原子力問題調査特別委員会にも、おおむね、ずっと所属をさせていただいていたのは、そういう背景があります。

 そうした観点で、今回のGX電源法案の原子力基本法には新たに安全神話という言葉が入ります、この表現がいいかはともかくとして、安全神話ということが初めて閣法の条文に入るわけです。僕はこれはすばらしいと思う。安全神話に陥らないためには何が必要かということについて、山中委員長の御見解をいただきたいと思います。私は、今日申し上げたみたいに、ひどい質問しかしない立憲民主党を脇に追いやって日本維新の会が野党第一党になることが大事だと思っていますが、委員長、見解をお願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制に関わる機関にとって、安全神話とは、策定した規制基準に適合しているかどうかだけを確認することで満足するのではなくて、残されたリスクに思いを致さず絶対的に安全だと思い込む、科学的、技術的でない姿勢のことであるというふうに考えております。

 原子力規制委員会としては、原子力の安全については、リスクは決してゼロにはならないとの認識で、残されたリスクを低減させるために規制当局と事業者双方が継続的に取り組むことが重要であると考えております。このことを基本姿勢として審査、検査を実施していきたいと考えております。

足立委員 全くそういうことだと私も思っています。

 というのは、規制委員会というのは安全委員会じゃないわけですね。だから、規制委員会が何か安全を確保するんじゃないんです。それは、電力会社というか、民間がやるわけです。でも、それを規制基準という形で、まさに委員長、委員会がちゃんとそれを取り仕切っていくということですから、今日の立憲の言いがかりは全て筋が外れているわけです。

 私も三月十日に、委員長はもう結構ですが、聞いていただいたらいいですが、やはり答えてもらおうかな、三月十日に西村経済産業大臣に今みたいな話をしました。こういうふうに西村さんはおっしゃいました。

 四十年、六十年というんだけれども、あるいはそれ以上というんだけれども、しかし、規制委員会がそれは駄目だと、四十年以下であっても、とても四十年もできないといえば、四十年もできませんし、二十年延長の六十年も、できないといえばできないし、さらに、止まっている期間を申請しても、これはもう劣化しているから無理だと言われればできないんだと。

 当たり前ですよね。規制委員長も、そういうことでいいですよね。

 四十、六十というのは今までのいろいろな経緯の中でそういう法体系になっていて、民主党政権が作った法律で、余りに出来が悪いので今回その法律を直すんです、そこにはまだ四十とか六十という数字は残っているけれども、でも、規制委員会は、仮にそれが十年であっても、不良品であれば原発を止めなあかんしと。

 当たり前ですよね、そこだけ、一応、そうだということだけ。そうだの三文字で結構です。

山中政府特別補佐人 基準を満たしていなければ、運転延長は認めません。

足立委員 これが分かっていないんですよ、立憲民主党は。だから、さっきみたいな、言いがかりみたいな質問がずっと続くわけです。

 ところが、私は経産省もまだまだ課題があると思っているんです。

 原子力に今起こっているイノベーション、あれかな、松山さん、これは、僕、言っていないね、通告で、言っているかな、原子力に今起こっているイノベーション、次世代の原子炉はどんな姿ということで、SMRのことが書いてあります。経産省のホームページに行くと、いいことしか書いていないんですよ。これはやはり私は、また神話ができると。兆しをちょっと感じるんですね。SMRだって課題はあるわけですから、いいこと、夢だけを語るのはやめた方がいいんじゃないかということですが、松山部長、どうですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきました記事でございますが、資源エネルギー庁のホームページの中で、スペシャルコンテンツという形で、エネルギー政策をめぐる様々な課題、様々な技術、取組を御紹介するページを作っています。数字は、済みません、手元にないんですけれども、かなり頻度高くテーマを決めて御紹介するということの中の一つに、二〇二〇年八月二十日の記事のところで、原子力に起こっているイノベーションということで、次世代原子炉の話を取り上げています。

 確かに、委員御指摘のように、その中では、コストの削減、冷却しやすい、モジュール工法の利便性等、基本的には革新性、利点のところに力点を置いて、申し訳ございません、イノベーションのところに力を置こうという意識を持ってやったものですから、課題の面がちょっと欠けているのかもしれません。

 他方で、SMR自体について申し上げますと、審議会の中では全体を見渡した議論をしております。この中では、小規模であるため発電量当たりのコストが高くなるという面ですとか、高い耐震性等が求められる国内においてはコスト高になる可能性がある、さらには国内の審査経験がなく審査プロセスに時間を要するといったところも指摘されておりまして、全体的に評価し、今後の方策として考えております。

 いずれにしろ、今後の広報の在り方については、御指摘も踏まえて様々検討していきたいと考えております。

足立委員 是非お願いします。

 この記事を見ると、一つを取り上げてぎゃあぎゃあ言うつもりは私は立憲民主党じゃないのでありませんが、例えば、経済性が向上すると書いてあるんですよ。これは広報の話だと思うんだけれども。しかし、原発全体で見ると規模が小さいと経済性は落ちるわけですから、そういうことはちゃんとやはり書いた方がいいなということです。

 最後に、委員長、先ほど石渡委員の話が出ていました。山中委員長は全会一致にならなかったことを残念だとおっしゃいましたが、私は、すばらしいと思って拍手したんですよ。だって、反対意見があるのは、民主主義ですから当たり前です。別に、科学だけで決まっているわけではない、不完全情報の中で政策決定、政策判断をしていくんだから。それは、意見が割れるのはいいことだから、共産党じゃないんだから。だから、石渡委員が反対だということがあらわになったことは、私は、プラスだ、褒めるべきだ、いいことだと思いますが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 私としては、制度の大枠を取りまとめる段階で、できれば全員一致で賛成いただくのが望ましいと考えておりました。結果としてそうならなかったことについて、残念であると発言をしたものでございます。

 一方で、透明性を確保した上で、各委員がその専門的な立場から、反対意見を含めて独立して議論して意見の表明を行うことは、原子力規制委員会の独立性あるいは信頼性の観点から重要であるというふうに考えております。今回、各委員が率直な意見を公開の場で述べて、様々な意見が出たことにつきましては、私ども原子力規制委員会の独立性、透明性をまさしく示すものであると考えております。

足立委員 是非、そういう点、間違わないようにお願いしたいと思います。

 私も党内で党の幹部、党の代表とかにいろいろ異論を言って、政治生命が危うくなったりしかけることはありますが、しかけても、日本維新の会はちゃんとこうやって活躍させてもらえるわけです。共産党は除名になります。これからも、日本維新の会の委員としてしっかり頑張ってまいりたいと思います。

 以上です。終わります。

鈴木委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会、空本でございます。

 今日は、原子力の専門家として、原子力規制委員長のみならず、今日は原子力委員長の上坂先生にも来ていただきまして、いろいろ御意見をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 上坂先生、私、東京大学の東海村の原子力工学施設でいろいろお世話になりまして。しかしながら、今日は、原子力行政をどうこれから進めていくかということも含めて、原子力委員長の立場からしっかりと御発言いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、私のスタンスとしましては、原子力にはや四十年弱関わってきた人間としまして、原子力平和利用の推進、そして電力安定供給のための原子力利用の促進、また、四十年を超えたプラントを、予防保全の観点から高経年化したものについても安全というふうに評価できるものは運転延長をすべきだろう、また、原子力、古いものは例えば浜岡原発一号機、二号機のように廃止措置を行って、更地化して、そこに新増設する、リプレースする、そういったことも必要ではないかなと。

 さらに、私自身、改良型の、ABWRの開発なんかもやってきましたので、今、革新炉と言っていますが、新たに、安全性を高めるような原子力発電所、原子力プラントの開発、さらには高速炉、「もんじゅ」は少し悲しい現実、でも放射性物質の問題ではなくてナトリウムの問題でございましたけれども、高速炉、高速増殖炉、こういったものの必要性もございます。さらには、核燃サイクル、プルサーマルのみならず、高速炉を使った運転といったものを進めていかなければならないという立場なんですが。

 先ほど米山委員からあった四十年の問題、エネ庁さんの方は少し残念な回答であったと思いますし、山中委員長の方も。

 私、実は発電技検の高経年化に関わる研究を十一年ぐらいやってきましたが、それも、実質、東芝で担当してきました。ASMEのセクション11という、アメリカの機械学会にも行かせていただきまして、そちらで基準を確認し、日本への取り込みをどうするかということもやってきました。

 寿命延長、私たちは技術者のときには寿命延長と言っていました。四十年というのは、ある程度設計に基づいて四十年は安全であろう、ただし、いろいろなことがございましてまだまだ寿命を延長する、供用期間を延長していかなきゃいけない、そういう経済的な問題もあったものですから、それを延長するに当たって、我が国でも約十年ぐらい、発電技検において、経年劣化がどうであるかということを確認しながら寿命延長を行う。今、寿命はないと言っているんですけれども、技術者の立場からすると、設計上の寿命は四十年、ただし、様々な経年劣化といったものを評価した上で寿命を更に延長する、供用期間を延長する、運転期間を延長するということは許されるであろう。

 そのときの法律のたてつけ、実は、今回、私はすごく、推進する方なんですが、違和感を感じます、この法律。何かというと、ダブルスタンダードになっちゃうんですよ、これ。

 実際、電事法の方に四十年運転を持っていってもいいです。けれども、その認可権というのが経済産業大臣なんですよ。ほかの、例えば、規制庁からいただく規制の枠組みがありますが、新しいプラントを新設する、設工認というんですが、設置許可といったものを出すに当たっては、全て規制委員会なんですよ。それが、なぜか、四十年にしようというところだけ、経済産業省というか資源エネルギー庁が出てくる。何かダブルスタンダード。

 本来ならば、電事法の中に書いたっていい。けれども、それは、規制委員会でしっかり四十年を。一応、電事法の法文を見させていただいて、電事法の二十七条の二十九の二の二項かな、ここには書かれていて、経済産業大臣の認可と書いてあって、また、炉規法の方の四十三条の三の二十一から三十一の間で、例えば三十二のところで長期施設管理計画を定めて、規制委員会がこれを認可すると。ここで二つの認可が発生している。すごく複雑なんですよ。

 こういった意味で、この法案というのは、原子力基本法をしっかりまず審議した上で、その後に電事法と炉規法を審議するという順番。その中で、経済産業委員会。

 先ほど、エネ庁の方からは利用政策の立場からということでおっしゃるんですが、利用政策の立場と規制の立場は技術的な話合いの場をオープンな形でやってよかったんですよ、やるべきだったんですよ。やった上で、しかし、四十年というのは、エネ庁側から、こういう科学的論拠を持って四十年若しくは更に延長できるのではないかと、過去の発電技検とかで研究してきた内容をもってしっかり規制委員会に説明し、その中で最終的に原子力委員会の方でこれが妥当かどうか審議していただいて、それは大丈夫だ、そうなれば国民の理解が深まった。しかし、今回はそうではなくて、手順が違っているんですよね。ここがすごく残念でありまして。

 ここは、できれば、本当は、四十年延長の規制の認可権限は規制委員会に持たせて、規制の一元化というものをしっかり果たすべきだと私は思うんですが、まず、原子力委員長の上坂先生の方から、今の私の発言に対して御見解をお願いいたします。

上坂参考人 原子力委員会委員長上坂でございます。

 脱炭素社会の実現に向けました電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案について、かつ諸課題について見解を申し上げるに当たり、私が委員長を務める原子力委員会での、今年二月に決定いたしました原子力利用に関する基本的考え方について御紹介申し上げたいと存じます。

 この基本的考え方は、今後の原子力政策について政府としての長期的な方向性を示す羅針盤となるものであります。

 基本的考え方の策定に当たりましては、原子力分野の専門家に加え、社会、人文科学の専門家や、東電福島第一原子力発電所事故の民間事故調査委員会の有識者を含め、五十名以上の多様な分野や立場の有識者等からのヒアリングを実施し、原子力委員会の場で約一年かけて検討を重ねてまいりました。

 基本的考え方の理念として、原子力は、エネルギーとしての利用のみならず、工業、医療、農業分野における放射線利用など、幅広い分野において人類の発展に貢献し得ること、加えて、エネルギー保障やカーボンニュートラルの達成に向けあらゆる選択肢を追求する観点から、原子力エネルギーの活用は我が国にとって重要であるということ、また、その一方で甚大な原子力災害をもたらし得ることを常に意識することが必要であります。原子力のプラスの面とマイナスの面を正しく認識した上で、安全面での最大限の注意を払いつつ原子力を利用することが重要であると考えております。

 特に、東電福島第一原発事故によって、我々は制御が利かなくなった原子力の危険性を再認識させられました。

 原子力利用に関係する者は、原子力が人々の生活や人生及び社会に大きな負の影響を及ぼす潜在的な危険性を内包していることを片時も忘れることなく心に留め、利用する者の責任として、誠実に科学的見地に基づいた効果的な安全対策活動を追求し続けるとともに、広範なステークホルダーからの意見を積極的に取り入れ、改善に生かしていくこと、国民の信頼を得るよう努力を積み重ねていかなければならないと考えております。

 こうした安全の確保に向けた取組を大前提としつつ、原子力を取り巻く現状と環境変化についても考慮する必要があると考えます。

 近年は、カーボンニュートラルに向けた世界的な動きが加速するとともに、電力の安定供給をめぐる状況の変化が生じつつあります。特に、昨年のロシアによるウクライナ侵略により地政学リスクが高まる中、エネルギーの安全保障の問題への懸念が増幅されている状況であります。

 このような中、我が国としても、エネルギー供給における自己決定力を確保するために、CO2などの温室効果ガスを発電時に排出せず、準国産エネルギーとも言える原子力エネルギーの活用を図っていくことが非常に重要であると考えております。

 原子力のエネルギー利用に際しては、既存原発の再稼働や長期利用などが注目されています。

 安全性確保が大前提という認識の下、安全性向上の努力を継続すること、さらには、使用済燃料対策、核燃料サイクル、放射性廃棄物の最終処分、廃炉など、いわゆるバックエンド問題等からも目を背けることなく、国民と丁寧にコミュニケーションを図りつつ、国、業界が取り組んでいく強い決意を改めて示すことが必要であると考えております。

 その上で、円滑に事業を進めていくために、原子力エネルギー業界が抱える事業の経済性、予見性の低下、原発の建設及び製造の現場の空白期間の継続、再稼働の遅れ等に伴うサプライチェーンの劣化や人材不足などの具体的な課題に取り組んでいくことが必要であります。

 加えて、原子力利用の基盤である人材育成を強化すべく、人材の確保、育成、それらを支える試験研究炉や、放射性物質を取り扱う研究施設等の基盤的施設、設備の強化が重要であります。

 また、繰り返しになりますが、原子力については、そのプラス面とマイナス面を正しく認識した上で、安全面での最大限の注意を払いつつ利用することが重要と考えております。

 その際、国や原子力関係事業者など、原子力利用に関与する者は、それぞれの責任を十分に果たしつつ、国民一人一人が原子力利用について自分事として捉え、議論を進めていけるような、現実的な環境整備を行うとともに、対話等の双方向コミュニケーションを行っていくことも重要であります。原子力委員会としても、率先してその役割の一端を担っていきたいと考えております。

 今回の法律案の原子力に関する内容につきましては、これまで述べてきた原子力委員会の基本的考え方と方向を同じくするものと理解しております。したがって、本法案は、基本的考え方も十分に踏まえて、政府が様々な検討を行った上で国会に提出されたものと理解しております。

 以上でございます。

空本委員 原子力委員会でも審議されたということで。

 環境委員会、次の委員会でも審議したいと思いますので、またよろしくお願いいたします。

 規制委員長の方からお願いいたします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回の新たな制度につきましては、運転期間に関する利用政策上の判断がどうあれ、規制委員会として、高経年化した発電用原子炉の安全規制を継続して行うことができるよう、今国会に法案を提出することを目標として審議してまいりました。

 その上で、原子力規制委員会では、高経年化した発電用原子炉の新たな安全規制について、昨年十月五日より四か月以上の期間をかけて、九回にわたり、五人の委員で議論を行ってまいりました。少なくとも、令和二年の運転期間に関する見解につきまして、昨年十月五日、議論を開始する前に、全員の委員でその見解を改めて了承していただいたところでございます。進め方については、昨年の十一月二日に改めて議論をして、今後そのような形で進めていこうということで、丁寧に議論を進めてきたところでございます。

 新たな制度の取りまとめに当たりましては、二月の八日の規制委員会で石渡委員が反対の意見を表明されましたので、改めて二月十三日の規制委員会において議論を行いました。

 この際、私を含めた五人の委員からの改正案に対する賛否の意見は以下のとおりでございます。

 まず、田中委員からは、原子力規制委員会は科学的、技術的な観点から安全が確保されているのかを判断、確認することが一番重要な点だとの意見があり、その上で、改正案について了承するとの意見の表明をいただきました。

 次に、杉山委員からは、改正案について了承するとの意見の表明がありましたが、新たな制度について対外的に圧倒的に説明が足りないとの意見がありました。さらに、規制委員会が新制度案や改正案を了承するに当たり、外から定められた締切りを守らなければならないという感じでせかされて議論をしてきたとの意見もございました。

 次に、伴委員から、改正案について、合理的な変化であることから了承するとの意見の表明がありましたが、制度論ばかりが先行してしまい、我々にとってのサブスタンス、特に六十年超えをどうするのかという議論が後回しになってしまったとの意見もございました。

 次に、石渡委員から改正案に対する反対の意見の表明がございました。具体的には、今回の法律の変更というのが科学的、技術的な知見に基づくものではない、安全側への改変とは言えない、審査を厳格に行えば行うほど、将来、より高経年化した炉を運転することになるといった趣旨の意見が出されました。

 最後に、私から、運転期間については令和二年七月の原子力規制委員会において我々が判断すべき事柄ではないとの見解を示しており、どのような運転期間になろうとも高経年化した原子炉の安全規制をきっちりと行うことが我々の務めであるとの意見を出した上で、改正案について賛成するとの意見を表明いたしました。

 反対の意見を表明された石渡委員の意見は、新たな安全規制の科学的、技術的論点ではなく、運転期間の定めについて規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとした令和二年七月の見解についての根本的な考えに相違があることが分かりました。そのため、私としては、合議制の下、多数決により今回の制度案を決定することにいたしたものでございます。

 多数決そのものは、原子力規制委員会設置法に定められた決定方式であり、私としては、公開の場で、透明性を確保した上で、各委員がその専門的な立場から反対意見を含めて独立して議論し、意思表明を行うことが、規制委員会の独立性、信頼性の観点から重要であると考えております。

 なお、今後は、今回新たに設置した公開の検討チームにおいて、制度の詳細を更に詰めた上で、規則やガイド類として形にするための作業を進めているところでございます。公開の場で引き続き丁寧に議論をして、国民の皆様にも分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。

 次に、GX電源法案という束ね法案で原子炉等規制法を改正することについては、まず、一般的には、二つ以上の法律の改正を提案しようとする場合、内容的に法案の事項が相互に関連して一つの体系をつくっていると認められるとき等には一つの改正法案として提案することができると考えられていると承知しております。

 今般、経済産業省において電気事業法の一部を改正し、原子力発電所の運転期間に関する定めを新たに設けることへの対応として、原子力規制委員会として、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制を厳格に行うための原子炉等規制法の改正を行うこととしております。

 このように相互に関係しており、一方が成立して他方が成立しないという不具合が生じないよう、一括して改正する法案の提出が行われることになったと承知しております。

空本委員 今日、両委員長からお聞きしましたので、それをもって、多分、来月四日に、環境委員会でございます、そこで深まった議論をさせていただきたいと思いますが、一点だけ。

 今回の運転延長は私も賛成なんですが、電事法と炉規法の一元化を外してダブルスタンダードにしてしまうというところは、国民から理解が得られないと思います。ダブルスタンダードじゃなくて一本化する、そこに対しては、規制委員長、規制委員会が認可をするとか、そういった改正が本当はあっていいと思います。これは、逆に、今直しておかないと、原子力行政に対する不信感を招きます、もっと不信になると思います、もし何かあったときに。原子力をやってきた人間としてはすごく気にするところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 原子炉等規制法に定めた原発の運転期間をめぐって、私も質問いたします。

 岸田総理が昨年七月二十七日に第一回GX実行会議で原発回帰の方針を示した翌日から、原子力規制庁と資源エネルギー庁の面談が行われていたことが、規制庁の公表によって明らかになっております。

 七月二十八日の第一回面談で、規制庁は、二〇一二年、炉規法改正時に内閣法制局に提出した資料提供をエネ庁から依頼をされ、七月二十九日にその資料をエネ庁に送っております。二〇一二年七月に内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室がまとめた「原子力規制委員会設置法〈解説〉(原子炉等規制法、電気事業法改正関係)」という資料であります。

 経産省に伺います。なぜこの資料提供を規制庁に求めたんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、第一回GX実行会議での総理の指示を受けまして、関係省庁との間でその後の進め方の相談を始めたわけでございますが、原子力発電所の運転期間に関する制度の在り方についての具体的な検討を開始するに当たりまして、元々のベースとなります二〇一二年の原子炉等規制法改正時の内閣法制局資料を勉強させていただきたい、そういう技術的な、及び制度趣旨というのがどうあるかをしっかり勉強しないと具体的な検討が進まないものですから、そういう趣旨を確認するために、今御質問を頂戴しました資料の提出を依頼したものでございます。

笠井委員 運転期間の制限について、規定が設置された当時の法改正の趣旨を確認する観点ということであります。

 山中委員長に伺います。

 その資料に何が書かれているか。ここにありますが、これですけれども、二十七ページには、原発運転期間の制限として、炉規法第四十三条の三の三十二について解説があり、当時の改正の趣旨に次のことが明記をされています。一般的に、設備、機器等は、使用年数の経過に従って、経年劣化等によりその安全上のリスクが増大することから、こうしたリスクを低減するという趣旨から、本条は、運転することができる期間を制限するものである、こう書かれているのは間違いありませんね。

山中政府特別補佐人 間違いございません。

笠井委員 では、四十年という運転期間の年限について、そこにはどう書かれているでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の四十年という運転期間の年限につきましては、原子炉設置許可の審査に際して、重要な設備、機器等に係る設計上の評価が、運転開始後四十年の使用を想定して行われることが多いこと、具体的には、中性子照射による劣化の評価について、ほとんどの施設が四十年を目安に評価していること、重要な設備の疲労評価についても四十年程度の運転期間を想定していたことを考慮し、当該運転期間を制限した旨記載されていると承知しております。

 一方で、劣化評価による安全性のリスクは年数を経過するとともに徐々に大きくなるものであり、原子炉の運転開始後四十年までは安全上全く問題がなく、四十年を経過すると急に危険になるものではない、加えて、メンテナンスの状況、原子炉の設置された年代等に個々のプラントごとに施設の状況が異なると言えるとも記載されております。

笠井委員 さらに、この二十八ページには、四十年という年限で運転の期間を制限する規定としたのは、前述のとおり、今紹介がありました、経年劣化による安全上のリスクを低減するという趣旨からであると明記されております。

 山中委員長、言うまでもないことですけれども、法律改正の趣旨に、利用政策であるとか、それから政策判断に関する事項などとは一言も書かれていないわけであります。

 原発の運転期間の年限の趣旨は、原発を運転しても安全を確保するために、リスクを低減させるためのものということじゃないんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 現行の運転延長認可制度は、運転開始後六十年を迎えた原子炉について、規制委員会がたとえ科学的、技術的に安全面から基準に適合していることを確認したとしても、事業者が運転することはできなくなります。

 すなわち、この仕組みは、安全上の基準に適合した原子炉を更にどの程度の期間にわたって運転することを認めるかというものであり、もはや安全上の観点ではなく、利用の在り方の観点の判断にほかならないと考えております。

笠井委員 この趣旨について聞いているわけです、当時の法改正ですね。運転期間の規定というのは、利用政策に関する規定ではなくて、安全を確保するための規定ということになっているわけですよ。

 今国会の法改正で、原子炉等規制法から運転期間の条文を削除してはならないということになるんじゃないですか。

山中政府特別補佐人 これまでも答弁の中で申し述べてきましたように、令和二年七月二十九日の原子力規制委員会の見解のとおり、私ども原子力規制委員会は、運転期間について、判断を、何か意見を申し述べるべき事柄ではないというふうに考えておりますので、この点についての見解は変わりません。

笠井委員 そのことはまた議論しますが、この資料の一ページ、そもそも、炉規法第一条の目的規定から計画的利用を削除する趣旨が明記をされております。原子力規制委員会設置法の趣旨が、そこにあるのを読み上げますと、原子力の規制と利用を同一の行政組織が担っていることによる弊害をなくすために、原子力の規制と利用を分離するということであることに鑑みると、原子炉の設置及び運転等に関する規制に当たり、法律の目的に計画的な利用が含まれると、計画的な利用の観点からの判断が原子力安全規制の判断に影響を与えるとの疑義が生じ、規制と利用の分離という観点から望ましくないと言える、このため、目的及び許可等の基準から開発及び利用の計画的な遂行を削除することにしたと。

 現行の炉規法の目的には、利用に関することは一切ないわけです。それなのに、山中委員長が、繰り返し、運転期間は利用政策、運転期間に関する規定は利用に関する規定と言われる根拠、これは何なんですか。今、現行法でやっていますからね。

山中政府特別補佐人 原子炉等規制法の中で、運転期間に関する定めと高経年化した原子炉に対する安全規制の定め、これが同時にセットされて定められております。この点について、原子力規制委員会で長い時間議論をさせていただいて、令和二年七月二十九日の見解をまとめたものでございます。

 すなわち、繰り返しになりますけれども、運転期間については原子力の利用政策側が判断すべき事柄であって、原子力規制委員会は意見を述べる事柄ではないということでございます。

笠井委員 現行法で今やっている中で、見解の話はこれからやりますが、大体、現行法に基づいたら、運転期間は利用政策とか、運転期間に関する規定は利用に関する規定なんという委員長の答弁とか発言は出ないはずであります。法律に書かれているのと、それと違うことを言うわけですから。

 しかも、今、二〇二〇年七月の、運転期間延長認可の審査と長期停止期間中の発電用原子炉施設の経年劣化との関係に関する見解、先ほど来出ております、委員長も今繰り返し言われました。これを金科玉条のごとく引き合いに出されますけれども、ならば、かつて更田委員長にもただしましたが、改めて山中委員長に問いたいと思います。

 まず、この見解をまとめることになった発端について、冒頭の前文にどう書かれていますか。

山中政府特別補佐人 令和二年七月の見解につきましては、平成二十九年に原子力事業者から、安全規制の枠組みの中で、運転開始から四十年、二十年という運転期間から運転停止期間を除外してはどうかと提案されたことを機に検討を開始したものでございます。

笠井委員 一定期間を運転期間から除外してはどうかという事業者側の提案について、当時の更田委員長は、昨年四月七日の当委員会での私の質問に、こう答弁をされました。

 ATENAの要望をはねつける見解となっております、停止期間を四十年から除くべきではないかという主張を再三ATENAから求められたのに対し、私たちは、運転開始から四十年、時計の針は止められないという旨の見解を述べたものということで、明確に答弁をされました。

 見解をまとめた当時、委員でおられた山中委員長も、当然、見解は全会一致で決まったわけですから、同じ立場ということですね。違ったら大変です。

山中政府特別補佐人 当然、令和二年七月二十九日の見解の中に、運転停止期間については運転期間から除かないという科学的、技術的な議論の結果を記載しております。

 それと同時に、運転期間については利用政策側が判断すべき事柄であって、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないという見解も同時にまとめてございます。

笠井委員 時計の針は止まらない、その点はそのとおりだとおっしゃった。そして、その間に原発の機器は劣化するということであります。この点では、私は見解はそのとおりだと思います。

 しかし、この見解の、運転期間を四十年とする定めは、四十年超の運転延長認可の評価を行うタイミング、これを特定するという意味を持つものである、こう書かれている。この部分については問題があると思います、そもそものやはり炉規法の立場からいって。

 このことは、私は更田委員長にもただしましたが、四十年というのはタイミングではなくて、原発の運転期間のことであります。条文は、運転期間を四十年とするとなっているわけです。炉規法四十三条の三の三十二にあることで、誰がどう見ても原発の運転期間であって、二十年延長の評価のタイミングではありません。これを曲解してはいけないと思うんです。見解そのものの重大な誤りがあるんじゃないか。

 山中委員長は、二つ言われたけれども、どちらだと考えていらっしゃいますか。

山中政府特別補佐人 更田前委員長も国会答弁の中で答えられていると思いますけれども、四十年、六十年というのは、原子力規制委員会にとっては審査のタイミングであるというふうに考えております。

笠井委員 これは、今言ったように、四十年というのはタイミングじゃなくて、原発の運転期間のことをそもそも法律で定めているわけですよ。そこを本当に曲解しては駄目です。

 見解の最後には、発電用原子炉施設の利用をどのぐらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとある。

 原子力の利用の在り方に関する政策判断に対して、つまり利用の在り方、さっきもありました、この在り方に関する政策判断に関して規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないというのは、私はそのとおりだと思います。

 しかし、原発の運転期間というのは、既に示したとおり、運転させてもリスクを低減させる措置について、安全を確保するために定めたものであります。これは原子力の利用の在り方に関する規定ではありません。

 それでもまだ山中委員長は、運転期間に関する定めは政策判断に関する事柄、運転期間の規定は利用政策に関する規定である、だから規制委員会が意見を申し述べる立場にはない、このようにおっしゃるんでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 令和二年の見解の中で、運転期間延長認可制度における原子力規制委員会の役割は、原子炉等の設備について、運転開始から一定期間を経過した時点で、延長する期間において原子炉等の劣化を考慮した上で技術基準規則に定める基準に適合するか否かを、科学的、技術的観点から評価することである、運転期間を四十年とする定めは、このような原子力規制委員会の立場から見ると、かかる評価を行うタイミング、運転開始から一定期間を経過した時点を特定する意味を持つものであるとされておるとおりであり、私も同意見でございます。

笠井委員 まとめられたということで、山中委員長もその当時の当事者だということでその見解のことを持ち出されてやるんだけれども、見解については、私が申し上げたように、重大な問題点がある、そもそも炉規法との関係でいいのかという問題があるわけですよ。

 それをあくまでタイミングということにして、そして、そもそも時計の針が止められないということについてはお認めになったけれども、その間に原発の機器は劣化するわけですから、そういうことでいうと、結局、それを理由にして、運転期間に関する規定は利用政策だから経産省所管の電気事業法に移すという考え方は重大な誤りだということになると思うんですよ。運転期間を炉規法から削除して電事法に移す法案というのは、これは撤回すべきだ、このことは強く求めておきたいと思います。

 もう一問だけ伺います。

 規制委員会が行うのは適合性審査ですよね。それなのに、経産省や経産大臣が、また事もあろうに原子力規制委員の方までもが安全審査と呼ぶ問題を、昨年十二月八日の当委員会で私はただしました。山中委員長は、一〇〇%原子力に安全はないという認識ではおりますので、言葉遣いにはできるだけ注意をしているつもりというふうに答弁をされました。

 ところが、山中委員長御自身が、今年一月三十一日の衆議院予算委員会で答弁された中で、審査は、その安全について判断を行うものでありますと言われました。審査は安全の判断をするんだと。

 本来ならば、審査は基準に適合しているかどうかを判断しているものと言うべきものだったんじゃないんですか。こういうのは本当に軽い問題じゃないと思うんですよ、規制委員会の本来の任務が何かということなので。ここでまた安全審査なんということを言って、審査が通ったら安全なんですと言ったら、安全神話ですよ、これは。この点はいかがですか。

山中政府特別補佐人 御指摘のとおり、一〇〇%安全はないという認識でございます。その点については御指摘のとおりでございます。

 改めて、原子力規制委員会の役割は、科学的、技術的な観点から安全面での基準を定めて、個々の施設がその基準に適合しているか否かを審査して、検査を通じた監視等を行うことに尽きると考えております。

笠井委員 時間がなくなりました。

 要するに、一点だけですけれども、では、一月三十一日の委員長のその答弁は、適切でなかった、正確でなかったということでいいですね。

山中政府特別補佐人 安全に関して基準に適合しているかどうかを審査するのが我々の役割だと考えております。

笠井委員 言葉遣いにはやはり価値観が反映してきますので、きちんと正されたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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