衆議院

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第4号 令和5年6月8日(木曜日)

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令和五年六月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 石川 昭政君 理事 石原 宏高君

   理事 細田 健一君 理事 宮澤 博行君

   理事 野間  健君 理事 山岸 一生君

   理事 一谷勇一郎君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    赤澤 亮正君

      井林 辰憲君    泉田 裕彦君

      今村 雅弘君    江渡 聡徳君

      大岡 敏孝君    神田 憲次君

      神田 潤一君    高木 宏壽君

      津島  淳君    土井  亨君

      長坂 康正君    平沼正二郎君

      穂坂  泰君    宗清 皇一君

      阿部 知子君    逢坂 誠二君

      菅  直人君    田嶋  要君

      米山 隆一君    足立 康史君

      空本 誠喜君    中川 康洋君

      平林  晃君    浅野  哲君

      笠井  亮君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松下  整君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   嶋田 俊之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       美濃 芳郎君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    山口潤一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      古金谷敏之君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  上坂  充君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     平沼正二郎君

  津島  淳君     松本  尚君

  中川 康洋君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     神田 潤一君

  松本  尚君     津島  淳君

  福重 隆浩君     中川 康洋君

六月八日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長上坂充君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官松下整君、外務省大臣官房審議官伊藤茂樹君、外務省大臣官房審議官中村和彦君、財務省理財局次長嶋田俊之君、文部科学省大臣官房審議官奥野真君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官梶原輝昭君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長美濃芳郎君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監古金谷敏之君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川(昭)委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政です。

 委員長、それから役所の皆さん、ありがとうございます。

 先般、広島でG7サミットの首脳会合が開かれました。様々な形で日本から世界に発信していくということで、大変すばらしい成果が上がったと思います。そんな中、今現在抱えている問題として、ALPS処理水の放出について政府は地元と今様々な協議を行っていただいていると思います。

 私は、前回、経済産業委員会だったと思いますけれども、質疑の中で、このG7を活用しましてALPS処理水の理解活動を、風評被害を起こさないようにこういう絶好の機会を生かすべきだ、こういう質問をさせていただきました。

 そこで、政府において、今回のG7サミットにおいてALPS処理水の問題、課題について各国にいろいろ働きかけをし、安全性などのPRも行ったと承知をしております。また、IAEAが来日をしまして福島の現地に行って、装置などの確認また分析、こういったこともレビューを行ったということです。また、最近ですけれども、韓国から視察団が福島に来まして現地を視察しどういうような結果になったか、これについて是非政府の方からお答えをいただきたいと思います。

中村政府参考人 御質問のうち、まずG7広島サミットに向けた対応についてお答えいたします。

 G7広島サミットに向けました、先生からお話のあった各種情報提供、啓発の活動に加えまして、首脳コミュニケでの言及について政府として議論、交渉してまいったところでございます。

 その結果、広島サミット首脳コミュニケにおきましては、廃炉の着実な進展や、科学的根拠に基づきIAEAとともに行われている我が国の透明性のある取組、これらが歓迎されるとともに、ALPS処理水の放出が、IAEA安全基準及び国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するためのIAEAによる独立したレビューが支持されたところでございます。

 当省といたしましては、ほかの関係省庁と協力連携しつつ、こうした科学的根拠に基づく透明性のある取組を今後とも継続してまいりますとともに、今後とも、引き続き行われますIAEAによるALPS処理水の安全性レビューに万全の対応を取ってまいる所存でございます。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 三点お尋ねいただいたかと思います。

 まず、G7でございますけれども、今回の日本開催の機会を捉えまして、御指摘のとおり、訪日をする閣僚の方々等に対して、福島第一原発を始め福島県を訪問いただくという形で招待させていただきました。

 その結果ですけれども、ドイツのレムケ環境大臣や英国のハリソン自然環境大臣などに実際に福島第一原発へ入っていただいて、御視察をいただいたところでございます。ハリソン大臣からは、廃炉作業の進捗あるいはALPS処理水の安全性について大変理解が深まったというようなコメントもいただいたところでございます。

 次に、IAEAのレビューでございますけれども、五月三十一日に、六番目の報告書となりますALPS処理水の核種分析に関する報告書というのが公表されてございます。こちらでは、東京電力とIAEA研究所、それから第三国の分析機関、それぞれの分析結果を比較いたしまして、東京電力が高水準の測定の正確性と高い技術的能力を持つというような評価をいただいたところでございます。さらに、五月の二十九日から六月の二日にかけまして、これまでのレビューを総括する形で、包括的なレビューミッションが行われたところでございます。

 今後、海洋放出前の最終的な結論を含みます包括報告書というのが公表される予定というふうに承知しておりますけれども、公表後には、これまでと同様に、IAEAの協力もいただきながら、この内容を国内外に向けて分かりやすく発信していきたいというふうに考えてございます。

 最後に、韓国の視察団でございますけれども、韓国専門家現地視察団というのが五月二十二日から二十五日にかけまして訪日をいたしております。今回の視察では、韓国側の希望に可能な限り沿う形で、東電福島第一原発の視察箇所、こちらを設定いたしまして、さらに、韓国側から資料提供依頼といったこともございましたけれども、こちらにも誠実に対応したところでございます。また、東京電力及び日本政府から、各設備の仕様ですとかその運用方法、ALPS処理水の安全性等につきまして、データに基づいて丁寧に現地で御説明をいたしました。

 視察団の劉国熙団長ですけれども、五月三十一日にソウルで記者会見を行っておりまして、今回の視察は、現場を直接確認し、資料確保を通じて科学的、技術的検討過程において意味のある進展があったというコメントをいただいておりますし、視察の結果は今後公表するというふうに述べていると承知しております。

 今回の視察全体を通じまして、視察団のALPS処理水の安全性に関する理解が深まり、韓国国内においても理解醸成が進むことを期待しております。

石川(昭)委員 様々取り組みをいただいて、ありがとうございます。

 これからIAEAが包括の報告書を出すということであります。是非、グロッシー事務局長に機会があれば日本に来ていただいて、直接説明もいただきたい、こんな要望もしたいと思っております。

 韓国の方からも、高い技術力があるということを知ってもらい、また、分析力、透明性、いろいろなことが、韓国それから中国、ロシアなど、懸念を表明している国に対して是非今後もコミュニケーションを取っていっていただきたいと思います。

 問題は、これからこういった手続を踏んだ上で、春から夏頃という放出の時期、方針を決めておるわけですけれども、タイミングにつきましてはいろいろ議論があるところです。例えば、これから夏休みに入って、海水浴シーズンに入るわけですね。そこに合わせてまさか放出するようなことがないように、地元とはよくコミュニケーションを取っていただきたいというのがまず第一点。

 それから、放出が始まりますと、やはり一定の風評被害が発生するおそれがあると思っております。そういう意味では、水産業また水産加工業に対してどのように対策を打っていくのか。

 今、風評被害が起きた場合の基金を三百億円積んで、第三者機関において審査の上、基金を、そこから予算を執行する、こういう手続になっているわけですけれども、適正に迅速に対応していただかないと、これまでの賠償のスキーム、賠償のやり方ではやはり時間がかかり過ぎるということでございますので、是非こういったところを迅速に対応していただく必要があると思います。そして、水産業、水産加工業に対して国としてどう対処していくのか、併せてお聞かせいただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ALPS処理水の放出時期につきましては、本年一月の関係閣僚等会議におきまして、海洋放出設備工事の完了、工事後の原子力規制委員会による使用前検査、それから御指摘にありましたIAEAの包括報告書の発出を経まして、本年春から夏頃に放出を開始することを見込んでいるとしているところでございます。その上で、ALPS処理水の具体的な放出時期につきましては、安全性の確保や風評対策の取組の状況、こういったものを政府全体で確認いたしまして、最終的に判断をしていくこととしてございます。

 それから、御指摘の需要対策基金でございますけれども、需要者に過度の負担をかけないで迅速に執行できるような運営体制というのを今整備を進めているところでございます。

 また、水産物の需要減少等の風評が生じた場合でございますけれども、水産加工業につきましても、水産物の社員食堂等への提供やネット販売、販促のPR、直売会の開催、新商品開発などなどの多様な販路拡大の取組に対して支援を行うこととしてございます。

 大都市圏を含みます全国規模での消費拡大ということでございますが、テレビCM等を通じた情報発信に加えまして、SNSなどでシェアしやすいコンテンツを作成、発信することや、生活情報誌への福島の水産物の魅力、ALPS処理水の安全性を伝える広報掲載など、広報活動に取り組んできております。それから、ごひいき!三陸常磐キャンペーンと打ちまして、よみうりランドや東京ドーム等のイベントで三陸、常磐産品の魅力発信も行ってまいりました。さらに、小売関係の業界団体と経産省との連絡会を定期的に開催しておりまして、この中で小売業界から、三陸、常磐物をこれまでどおり取り扱っていきたいというお考えをお示しいただいたところでございます。

 さらに、官民連携の枠組みとして立ち上げました魅力発見!三陸・常磐ものネットワークでございますけれども、こちらも約千者の企業の方々に全国から参画をいただいたところでございます。二月から三月にかけまして三陸・常磐ウィークスというのを開催いたしましたけれども、こちらでは、約十五万食の三陸、常磐物を提供したところでございまして、この夏にも消費拡大キャンペーンを実施する予定でございます。

 風評影響を生じさせないという決意の下で、こうした魅力発信を含む対策に引き続き取り組んでいきたいと思っております。

山口政府参考人 お答えいたします。

 水産関係の対策といたしましては、ただいま御答弁のありました基金のほかに、風評を生じさせないために、水産物のトリチウム検査を強化するとともに、生産、加工、流通、消費、それぞれの段階において各種支援策を講じてございます。

 具体的には、漁業への支援につきましては、被災地次世代漁業人材確保支援事業で、漁家子弟を含めた長期研修支援等や、新規就業者の就業に必要な漁船、漁具のリース方式による導入支援の対象県を、令和五年度から、従来の福島県に加えまして、茨城県を含む青森県から千葉県に対象を拡大したところでございます。加えて、がんばる漁業復興支援事業で、収益向上メニュー、こちらを追加したところでございます。

 また、水産加工業への支援につきましては、昨年度から、水産業復興販売加速化支援事業で、茨城県を含む被災地の水産加工品の魅力発信、具体的には、三陸、常磐エリアの水産加工品情報を作り手の思いとともに発信する取組や、外食店を活用したフェアの開催、量販店やECサイト等を通じた被災地水産加工品の販売の取組などを実施してございます。

 今後とも、こうした対策の実施状況を踏まえながら、関係省庁とも連携し、関連対策が円滑に実施されるよう万全を尽くしてまいります。

石川(昭)委員 ありがとうございます。対象地域を拡大して幅広く救済していく、こういう考え方でやっていただいて、本当にありがとうございます。

 それでは、次に、委員長にお尋ねをしたいと思います。

 最近、新規制基準の審査の中で書類のミス、不備が大量に見つかっている、こういうことでございます。本来であれば、事業者が責任を持って書類を作り、審査に臨むべきものであります。一方で、書類は、審査会合の二週間前程度に提出するような、そういう運用でやっているというふうに思います。提出期限に間に合わせるため、詳細まで詰め切れずに精度の低い書類をもしかしたら提出している、そういうことがあったらルールとして意味がないんだろうと思います。

 お互いの審査の効率化のためには、双方の事前確認というのが私は大事だと思います。ヒアリング二回ルールというのがあって、審査会合までには二回ヒアリングが行われるということでありますけれども、こういったことももう少し柔軟に行った方がお互いのためだと思うんですけれども、委員長の今の御見解を、ルールの柔軟化についてどう考えるか、お伺いしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 審査会合において必要な審査をしっかりと行うために、事業者が基準適合性を示すための科学的、技術的に精度の高い資料を準備することは、規制委員会としても強く望むところでございます。

 そのような資料を用いて審査会合での充実した確認を行うためには、規制委員会側も資料を事前に読み込む必要がございます。事業者から二週間程度前に資料の提出を求めている場合もございます。その上で、審査会合で充実した議論ができない資料となっている場合には、審査会合の日程を再調整するなど、柔軟に対応することが可能であると考えております。

 また、規制委員会としては、審査の透明性を確保する観点から、公開の会合で審査を行うことが大前提であると考えております。そのため、審査会合前のヒアリングは同一案件について目安として二回までとして、それ以上のヒアリングが必要と考える場合であっても、その時点で一度、公開の審査会合において問題を取り上げることとしております。その上で、審査会合を頻度高く開催するなどの対応を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、審査が適切に行われるよう、引き続き、事業者とコミュニケーションを図りつつ、審査プロセスの改善に努めてまいります。

石川(昭)委員 済みません、時間が少ないものですから、ちょっと飛ばしまして、質問の四に飛びたいと思います。

 今、次世代のがん治療、BNCTという、難治性がんを治すための機器の開発というのを、東海村のいばらき中性子医療研究センターというところで筑波大学と連携して進めているところでございます。このがん治療は極めて難治性がんなどでも有効だということでございますが、これから国としてどう支援していくのか、また、今後の見通し等がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 いばらき中性子医療研究センターにおきましては、筑波大学や高エネルギー加速器研究機構などが連携いたしまして、産学官の連携チームを形成し、加速器を用いたBNCTの開発等を行っているものと承知してございます。

 文部科学省におきましては、このBNCTに関しましては、現在、橋渡し研究プログラム事業におきまして、悪性脳腫瘍に対するBNCTを用いた治療法の研究開発等への支援を筑波大学に対して行っておるところです。

 このように、今後も、文部科学省といたしましては、こうした放射線医科学に関するがん治療法の研究開発の推進に向けまして、第四期がん対策基本計画やがん研究十か年戦略などに基づきまして、関係府省と連携して取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

鳥井政府参考人 厚生労働省からもお答え申し上げます。

 御指摘のBNCTにつきましては、これまで研究開発を進めてきたところでございますが、現状では、一部の頭頸部がんに対する治療として、医療機器、医薬品共に薬事承認をされ、保険適用となってございます。

 厚生労働省におきましては、本年三月に閣議決定された第四期がん対策推進基本計画、それから現在見直しに向けて議論を行っておりますがん研究十か年戦略に基づきましてがん研究の推進に取り組んでいるところでございまして、引き続き、BNCTを含む先進的ながん治療法の開発支援に努めてまいりたいと考えております。

石川(昭)委員 ありがとうございました。是非、全国展開も含めて研究開発を進めていただきたいと思います。

 積み残しの質問につきましては、また次回の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、宮澤博行君。

宮澤委員 おはようございます。自民党の宮澤博行です。

 早速質疑に入ってまいります。

 終盤国会になってきますと、骨太の方針、経済財政運営の基本方針の議論が与党の中で非常に活発になってくるんですけれども、それに向けて国会開会からずっといろいろな議員連盟やプロジェクトチームで政策を練ってきて練ってきて、それを最後に大臣にぶつけて骨太の中に落とし込んでいく、そういう作業、サイクルがあるわけなんです。

 今回の提言を様々見てみても、カーボンニュートラルに向けてどうするのか、そして物価高に対してどう対応していくのかということが非常に大きな柱、論点になってきているなというふうに感じます。そういう中においても、カーボンニュートラル、脱炭素、それに一番貢献できるのは原子力でしかない、それは断言しなくちゃいけないと思うんですね。

 ですから、再稼働推進、確かにそれは政治的な立場かもしれませんが、少なくとも審査を急がなければならない。しかも、標準処理期間、二年ですからね、それが十年以上かかっているというのは行政における不作為だというふうに指摘されてもおかしくない事象だと思います。そういう点において、審査の迅速化、これは国としても非常に重要な責務だと考えています。

 我々は再稼働を進めるべきだという立場ですけれども、私は静岡の人間なんですけれども、浜岡を抱えております。東日本大震災以降、放射性物質が検出されたものですから、静岡県のお茶というものは売行きが一気にダウンいたしました。ですから、再稼働に最も反対されている住民はどんな方々かというと、お茶農家であったわけです。ところが、肥料も高い、油も高い、電気も高いという中において、お茶農家の皆さんも、これは再稼働を進めていただいて電気代を安くしていかないと経営が立ち行かない、そういう声が出てきているわけなんです。

 明らかに世の中が変わってまいりました。安全が確認されたのであるならばきちんと再稼働を進めてほしい、そういう声が出てきております。だからこそ、まずは審査を急いでいただきたい、私はそう思います。

 でありますが、新規制基準適合性審査の進め方、これは令和四年の九月七日に出ているんですね、原子力規制庁の方から。この行政文書を読むと、まず一言申し上げます、分かりにくい。難し過ぎるんですよ、言葉が。いや、それは、宮澤、あんたが頭悪いからしょんないだろうと言われるかもしらぬけれども、これからやはりコミュニケーションが必要になってきますよ、国民の皆さんと。こんな難解な文書でいいんですか。しかも、重複がたくさんあるように思うんですよ。きちんと、行政文書においても、論点を整理した上で、分かりやすい表現を心がけるべきだ、まずはそれを申し上げておきたいなと思います。

 その中において、令和四年九月七日の適合性審査の進め方の文書、私なりに論点を整理すると、三点だと思います。一点目は、論点の明確化、二点目は、進め方の整理若しくは進め方の共有、三点目は、規制委員、規制庁職員の現地確認、この三点に集約されると思います。ですので、この三点において、いろいろ細かく書いてありますが、それぞれについてどういう進捗状況なのか聞いていきたいと思います。

 まず、論点の明確化においては、細かく三点。規制庁と事業者の共通理解、必要に応じた文書化が一点目、二点目は、基準や審査ガイドの明確化、三点目は、論点や確認事項の事前通知、こういう細部にわたる三点に整理されると思いますけれども、それぞれについて進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。お願いします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、令和四年九月七日に、新規制基準適合性プロセスの改善というものを委員会に諮らせていただいております。

 この中で、論点の明確化の取組については、審査会合の最後に指摘事項を事業者と規制庁側双方で確認し、共通理解を得るという取組をしております。例えば、北海道電力の泊三号炉につきましては、これまで二十一回審査会合をしておりますけれども、そのたびにこのような確認をしているところでございます。

 また、規制基準をより分かりやすいものにする観点から、基準の更なる具体化や表現の改善を行うため、事業者からも具体的な意見等を提案してもらい、反映させる取組を行っております。

 さらに、残された論点を規制庁が文書化し、事業者に提示するという取組でございますけれども、これも泊三号炉の例でございますと、残された論点を提示して、その後の審査会合で作業状況を確認するということを徹底している。

 このような工夫をしているところでございます。

宮澤委員 文書化、そして会合の最後での確認、それは確かにいいですよ。大丈夫でしょうね、それ。新しい知見とかなんとかいって、会合の中で、これはこういうふうにまたやってくださいよと新しく言われる。ゴールポストを動かすというような言い方をしますけれども、そんなことはこれからないかどうか断言していただきたいと思うんですよ。それについてはどうですか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のようなことがないように、あらかじめ論点をしっかりと整理し、それを事業者と共通理解を図った上で行う、これを徹底することによって審査の手戻りがないようにしていきたいというふうに考えてございます。

宮澤委員 是非とも、そこのところはやっていただきたいと思います。強く要望しておきます。

 二点目、進め方の共有、ここですよね。進め方の議論、審査会合の開催頻度の改善。たったかたったかとリズムよくやっていかぬとこれはいつまでたっても終わらぬ問題ですけれども、これについてはどういうふうに整理されているんでしょうか。お願いします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、審査会合の場合、自然ハザードの審査に時間がかかっていることは御存じのとおりでございます。この点につきましては、事業者の地質等の調査というものが必要になっておりますので、規制側としては、調査方針や実施内容をあらかじめ確認し、早い段階から指摘を行うための審査会合を追加的に開催するなどの取組を行っているところでございます。

 具体的には、調査結果が出てから審議をするのでは時間がかかってしまいますので、まず調査を始める前の段階でどういうことをやるのかということを確認しております。例えば、中部電力浜岡原子力発電所三号炉及び四号炉の敷地内断層の活動性評価に関する事業者の追加調査の実施と並行いたしまして、その方針を確認するための審査会合を追加で二回行ったり、同じ発電所の基準津波の策定に関する方針をあらかじめ確認するための審査会合を先日も追加で行ったところでございます。また、北海道電力泊原子力発電所三号炉の基準津波の策定に関しては、評価方針を確認するためにあらかじめ追加で審査会合を行って、規制側から指摘事項を行うというような取組を行っているところでございます。

宮澤委員 ありがとうございました。調査を始める前にその内容や論点についてまとめておく、非常に重要なことだと思いますので、これもまた徹底していただきたいなと思います。

 ですけれども、委員の方の他の仕事の都合とか、委員の方の体調とか、そういうもので開けないだなんて、こんなばかな話があったらやはりいかぬですよ。そうすると、いろいろな専門分野があろうかと思いますが、その専門分野においては複数の委員をあらかじめ選任しておき、審査会合はリズムよくやるということが私は必要だと思います。

 これについては、大きな問題ですので、是非委員長にお答えいただきたいんですけれども、これをやっていかないと審査が進んでいかないと思いますけれども、見解はいかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 審査会合は、原則として担当の委員出席の下で行うこととしております。

 委員の担当につきましては、原子力規制委員会設置法において委員長及び委員が専門的知見に基づき職権を行使することとされていることから、それぞれの委員の専門性を生かして効果的な議論が行えるよう、公開の委員会で議論を行い、役割分担を決めたものでございます。

 その上で、審査の長期化しているサイトについては、担当する委員の数的な制約というよりは、地震や津波の規模の想定、敷地内断層の選定などの審査過程において、事業者の調査や検討が追加で必要となり、それらに時間を要しているところが大きいと考えております。

 いずれにいたしましても、審査が適切に行われるように、引き続き、事業者とコミュニケーションを図りつつ、審査プロセスの改善に努めてまいりたいと考えております。

宮澤委員 事業者の方のとか、地元の調査の難易度とか、確かにそれはそうかもしれませんけれども、学者さんにおいても、学会がどうのとか、大学の中での会議があるとか、そういった都合で委員会が設定できないだなんという事例は、じゃ、これからはないと断言できるんですか。そこをちゃんとやっていただきたい。

 学会だから駄目です、だったら学会を欠席してくださいよ、これは国家の方の重要な仕事なんですよ、そういうふうにして引きずり出してくることは、これからやっていただかなければなりませんが、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 審査会合につきましては、原子力規制委員会委員が直接担当することになっておりますので、外部の方々の御都合ということは特段問題にならないと思いますし、委員はそれに専念するということになっておりますので、審査会合については適切に進めてまいりたいというふうに考えております。

宮澤委員 委員はそれに専念することになっているということであって、学会だろうと学内の理事会や会議だろうと、こちらを優先していただくということでよろしいんですね。はい、確認させていただきました。ありがとうございました。

 それでは、三点目の論点といたしまして、規制委員や規制庁職員の現地確認。審査資料上議論のある論点を踏まえた現地視察ということが盛り込まれておりますけれども、実績、今後の見通し等々は今いかがなっていますでしょうか。お願いします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、審査資料上議論のある論点につきまして、議論の前提となる認識を共有し、審査を円滑に進めるために、これまでより早いタイミングで、委員、原子力規制庁職員による現地調査の取組を始めたところでございます。これにつきましては、先ほども御答弁させていただきました令和四年九月七日の進め方を踏まえて対応しているところでございます。

 具体的には、例えば、電源開発大間原子力発電所では、敷地内断層の活動性評価に係る露頭、トレンチ、ボーリング調査のコア試料等を現地であらかじめ実際に確認するということを行っております。また、中部電力浜岡原子力発電所三号炉及び四号炉では、敷地内断層の活動性評価に関する事業者の追加調査を進めるということで審査会合で説明がございました。これについては、先ほども申しましたけれども、評価結果が出てから我々が審査会合を行うのでは遅くなりますので、調査する地点をあらかじめ確認させていただくということで、これも規制庁職員が現地で実際に、現場に行って、これから調査をやるところがどういう状況になっているのかということを確認させていただきました。

 このような取組を引き続き行っていきたいというふうに思ってございます。

宮澤委員 改めて地元の市長さんだったり市役所にヒアリングもしてみたんですけれども、仮に適合性審査が通った場合ですけれども、通った場合、やはり気になる論点がまだまだあると言うんですよ。

 それは、一点目は住民説明なんです。通ったはいいけれども、この説明を市役所だとか市長さんにやらせるだったら、これはたまったもんじゃないというのが本音ですよ。この住民説明をきちんと国が責任持ってやっていただけるか、このところはいかがですか。御見解をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の再稼働に当たりましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、進めていくわけでございます。その際には、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくというのが基本の方針でございます。

 その際は、委員今御指摘頂戴しましたように、決して地域任せにするわけではなく、国も前面に立ちまして、原子力の意義、必要性等について丁寧な説明を尽くし、立地自治体など関係者の理解と御協力が得られるよう、粘り強く努めていく所存でございます。

 具体的に申し上げますと、住民説明会等の機会の場には国の担当者もしっかりと参りまして、エネルギーを取り巻く状況やエネルギー政策における原子力の意義、必要性について丁寧に説明を行うなど、地元の理解活動に取り組む所存であり、原子力発電事業の重要性がこれほど認識が高まっている中でいいますと、今まで以上に私どもも全力を尽くしまして、地元の方々の御理解を得るために取り組んでまいりたいと考えてございます。

宮澤委員 もう一つ、地元からの御要望が出ているのは、避難計画、広域避難についてなんですね。避難する、受入れ側の体制ができていないとそれを受け入れていただけないわけなので、御前崎だったらまずは浜松にという感じなんですけれども、だったら、その浜松の方のいろいろなものの整備をしてくださいね、御前崎に対するお金じゃなくて、そういう意味でも浜松の方にお金が行っていますかという話なんですよね。

 もう一つ、本当に大きくなったら長野に逃げていくわけなんですけれども、じゃ、その途中途中の道路は大丈夫か、信号は大丈夫か、そのときの誘導員は大丈夫か、避難体制における事前の体制整備も必要だというんですよ。

 こういうことに対してはちゃんとお金が出ているのかどうなのか、それについてはちょっと整理させてください。お願いします。

松下政府参考人 お答え申し上げます。

 原発災害時の広域避難につきましては、原発の所在地域ごとに設置しております原子力防災協議会、ここにおきまして国の関係省庁と関係自治体等でしっかりと検討を進めているというところでございます。今先生から御紹介がありましたけれども、浜岡地域においては、大規模地震との複合災害が想定されますので、当然、遠方への避難ということも想定をしていろいろ準備しているというところでございます。

 その上で、避難先、避難車両の確保等を進めるのは当然でございますけれども、付随して必要となるもの、様々な問題についても検討を進めておりまして、先生お話しの財政支援につきましても、避難先と避難元が協定を結べば、避難先を通じた形になりますけれども、財政支援を行うことは可能な仕組みになっているというところでございます。

宮澤委員 協定を結べば可能となってくるということは、そうすると、今、そういうお金は出ていないということですか。これからということなんですかね。いかがですか、そこのところは。

松下政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、今、現時点で、具体的に静岡県から避難先へ、どの程度お金があるか、資料を持ち合わせておりませんので、それは後ほど調べさせていただきたいと思いますけれども、基本的にはそれぞれの避難元の自治体からの要請に基づいて交付金等を精査して支出しておりますので、当然、出せるものであれば出せるということであると考えております。

宮澤委員 確かに、仮にですよ、地元の話で済みませんが、御前崎がもらえるお金を浜松に回されちゃったら、それは嫌ですからね。確かに言っていることは分かりますので、これからそういった論点をどういうふうに整理していくのか、是非お願いしたいと思います。

 最後に聞きたかったのは、使用済燃料の最終処分についてどういうふうに進んでいるかなんですけれども、これは、もう時間がありませんから、お答えは結構です。

 ここのところも、実は住民が納得するにおいては極めて重要な論点です。自分のところに使用済燃料が埋められるというわけではないにしても、今、浜岡のサイトの中に貯蔵されているものもありますので、最終的なところの処分地が決まっていないと、やはり再稼働に向けてはなかなか賛成できないねという世論もないわけではありません。ですので、少なくとも最終処分については話が進んでいるんだということを国の方でもアピールしながら、今回の再稼働、さらには審査が通った後の説明に努めていっていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。答弁をいただきたかったですけれども、次がありますので、この程度にさせていただきます。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、平林晃君。

平林委員 おはようございます。公明党の平林晃と申します。

 昨年六月三日以来の、ほぼ一年ぶりの当委員会での質問となります。そのときにお聞きしたこと、また、その間に様々進んだことがございますので、その辺りを中心にお聞きできればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めは、先月、五月三十一日に成立をいたしましたGX脱炭素電源法について確認をさせていただきたく思っております。

 今回、運転期間の延長に関する認可が原子炉等規制法から電気事業法に移管されることに伴い、四十年を超える延長申請の際、五つの要件、関連法令の制定、変更対応、行政処分、行政指導、裁判所仮処分命令、その他事業者が予見し難い事由、この五要件によって運転を停止していた期間については運転期間のカウントから除外できることとされております。これにより、運転開始後六十年を超える運転の申請が可能になってまいります。その一方で、原子炉等規制法の改正において、安全規制制度も変更をされているということであります。

 現行をまず確認いたしますと、ソフト的な規制として、運転開始後三十年以降十年ごとに長期施設管理方針の認可を受けることと、ハード的な規制として、運転開始後四十年に最大二十年の運転延長をするためには技術基準適合性の認可が必要だった、これが現行制度ですね。

 これに対しまして、新制度では、ソフト、ハードの規制を統合している。運転開始後三十年以降十年を超えない期間ごとに、長期施設管理計画、これを申請をし、認可を受けなければならなくなった。この認可にはソフト面、ハード面、両方含まれているということですので、従来制度では実施をされていなかったハード面の審査が、三十年、五十年でもされることになる。また、四十年目と六十年目、まず四十年目には特別点検、六十年超においては特別点検に更なる項目を加えた追加点検を実施する、このように認識をさせていただいております。これらの点検が厳格に行われることが、今回の法改正における安全性担保のために非常に重要と考えております。

 そこで、原子力規制委員長にお伺いいたします。

 運転開始から三十年目以降十年ごとに行われる審査及び四十年目の特別点検、また六十年目以降の追加点検、この内容と意義をお伺いをいたします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 ただいま委員から御紹介がございましたように、今般国会で可決されました新制度は、運転開始後四十年に一度限り行っておりました原子力発電所の基準適合性審査を行う運転延長認可制度と、運転開始後三十年とそれ以降十年ごとに長期の施設管理方針を審査する高経年化技術評価制度、これを統合いたしまして、強化するものでございます。

 これにより、基準への適合性を審査するタイミングが、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、その後十年を超えない期間ごととなり、現行制度に比べてより高い頻度で厳正に審査を行うことになります。

 また、新たに認可対象として策定を義務づけます長期施設管理計画には、これまで高経年化技術評価制度に基づき定めるように求めておりました長期施設管理方針の内容に加えまして、劣化評価の方法を含む施設の劣化状態並びに劣化予測に関する詳細な記載を求めることで、より厳格な審査を行うこととなると考えております。

 さらに、計画に詳細な記載を求めることを通じて、最新の知見により劣化評価の方法等に変更が必要となる場合には、劣化評価のやり直し、また計画の変更などをより柔軟かつ機動的に求めることにより、最新の知見を反映し、安全性を向上しやすい仕組みとなっております。

 その上で、四十年目の特別点検では、事業者による日常的な保守点検で確認していないものを含めて、経年劣化による異常がないかの点検の実施を求めております。

 また、六十年目以降の追加点検では、四十年目に行います特別点検と原則同じ項目の実施を求めることに加えまして、これまでの運転履歴、国内外の最新知見を踏まえて、プラントごとの特徴に応じた必要な点検の実施を求めることとしております。

 今回の改正の結果、特別点検や追加点検から得られた情報が前提となる劣化評価の結果や、それに基づく劣化管理のための措置などを盛り込んだ長期施設管理計画を厳正に審査し、基準に適合していると判断すれば認可することとなります。さらに、認可された計画に基づく措置の状況も、今後、原子力規制検査を通じて監視、評価する対象に追加してまいります。

 いずれにいたしましても、規制委員会としては、引き続き厳正かつ着実に規制を進め、基準への適合性が確認できない原子力発電所の運転は認めないという姿勢には変わりはございません。

平林委員 丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 本当に、厳正なる審査をしっかりとしていただいて、またそれを国民に分かりやすく説明いただく、こういった観点も重要ではないかなというふうに思っておりますので、是非ともよろしくお願いできればと思います。

 続きまして、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に関しましてお聞きできればと存じます。

 まず、二号機におけます燃料デブリの試験的取り出しに関しまして伺います。

 本件について、昨年の本委員会でもお伺いをいたしました。この段階で既に一度の延期がなされておりまして、今後の見通しを尋ねたわけでございます。それに対する政府側のそのときの御答弁は、おおむね、当初目標の令和三年内の、これを目標にしていた作業開始が、一年遅れの令和四年内ということになって、これに向けて取組を進めていく、こういうことでありました。

 ところが、この質問は四月だったんですけれども、四か月後の八月二十五日に、東京電力は、最長一年半程度延期するということを発表されたわけでございます。

 現在は、二〇二三年度内の作業着手をめどに準備が進められていると伺っていますが、経済産業省にお伺いできればと思っておりますが、所管官庁といたしまして、これまでの経緯及び現状についての御認識、また、今後の見通しあるいは今後の指導方針をどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原発の廃炉作業ですけれども、福島復興の大前提ということでありまして、中長期ロードマップに基づいて安全かつ着実な取組を進めております。

 御指摘のありました二号機の燃料デブリの試験的取り出しについてでございますが、令和三年内に取り出しに着手するということを目指しておりましたところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、一年延期したところでございます。

 その後、楢葉町にございます模擬試験施設におきまして実証試験を行っておりましたけれども、この結果を踏まえまして、作業上の安全性と確実性を高める観点からロボットアームの改良が必要と判断いたしまして、昨年夏に改めて計画を見直しております。取り出し着手時期を令和五年度後半を目途というふうに変更いたしたところでございます。

 現在、ロボットアームのソフトウェアの改良、それからその検証作業を進めてございまして、並行して、二号機建屋内におきましては、放射性物質を閉じ込める隔離部屋等の設置作業を行っております。原子炉格納容器内につながるハッチを開けるための作業を現在進めているところでございます。

 非常に難しい作業となりますけれども、燃料デブリの取り出しに向けまして、作業を安全かつ着実に進められるよう、引き続き、経済産業省としましても進捗状況を適切に確認をしまして、東京電力を指導してまいりたいと考えております。

平林委員 おっしゃられたとおり、非常に難しい作業ということは、私も想像をさせていただいております。

 こういう作業も、進展の透明性は非常に重要であると思っております。私は、二度目の延期が発表されたのが昨年の八月末だったわけですけれども、三週間後の九月の十六日に福島県を訪問いたしまして、東京電力廃炉資料館にも足を運んだのですが、説明員の方が、その僅か三週間前の延期発表にも触れられずに、令和四年以内の作業開始目標があたかもなかったかのように説明されたことがちょっと印象に残っておりまして、困難な作業であることは本当に想像しておりますので、率直に公開していただいて、明確な見通しを公表していただく、こういった透明性が重要と思っておりますので、所管官庁としての御指導を何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、一号機ペデスタルの損傷に関して伺えればと思います。

 これも昨年六月三日の本委員会で質問した内容になりますけれども、そのときは、昨年の五月十九日に東京電力によって撮影された動画に基づいての質問でありました。当時の更田委員長は、おおむね、まだごく一部の視野しか見えていないので、どういうことが起きたらどういう対処をする、このような想定をした上での対応、こういうような御答弁をいただいたかと認識をしております。

 今年に入りまして、三月、東京電力は、再び水中ロボットを使った映像を撮影されたことが報道をされておりました。そして、ペデスタルの損傷が半周以上にわたって確認をされたということで、最悪の場合は、ペデスタル上の構造物が落下をして、放射性物質が放出されるリスクが懸念されている、このように伺っております。

 山中委員長もその映像を御覧になられたのかなというふうに、勝手な想像ですけれども。この辺の現状をどのように評価しておられるのでしょうか、委員長に御見解を伺います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 委員から御指摘がございましたように、一号機のペデスタルの損傷を踏まえまして、原子力規制委員会は、東京電力に対して、ペデスタルの支持機能が喪失したことを前提で、新たな開口部からの放射性ダストの放出による環境への影響及び取り得る対策について早急に評価、検討を行うことを報告するよう指示をしております。

 その検討結果については、六月五日の公開の技術会合において聴取したところでございます。東京電力から、ペデスタル支持機能喪失に起因する環境への放射性ダストの放出の影響は小さいとの報告を受けたところでございます。

 今後、取り得る対策等の詳細については、東京電力から聴取することといたしております。

 原子力規制委員会としては、引き続き、東京電力による検討状況の確認を行いますとともに、東京電力福島第一原子力発電所のリスク低減を着実に実施していく観点から監視、指導をしてまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 六月五日の公開会合で評価を受けたということでございました。是非、その評価をきちっと規制委員会も評価をしていただくということが重要かというふうに思いますので、引き続き必要な情報を集めながら、適切な対応を取っていっていただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 ちょっと順序を変えて、後ろの質問、四ポツの質問から行かせていただければと思います。

 放射線影響研究所、いわゆる放影研というものについて伺えればと思います。これは、広島と長崎にある放影研ですけれども、広島に関する話題でございます。

 放影研そのものは、一九七五年四月に、米国の原爆傷害調査委員会、いわゆるABCCと厚生省国立予防衛生研究所原子爆弾影響研究所を再編して発足をしているということでございます。

 前身のABCCは、一九四六年、原爆投下直後に原爆被爆者の調査研究機関として設立をされております。これは調査機関でありまして、治療には一切当たっていなかったということで、被爆者の皆様の多くは、自分たちは原爆の効果を調べるための研究材料にされたということでABCCを批判をしているということがございます。

 ABCCは、一九五〇年に、現在放影研のあります比治山に移転をされまして、これは広島市南区にある比治山という、本当に山なんですけれども、移転をされています。

 そもそも、比治山という場所なんですけれども、広島市民にとっては特別な場所であると。私も広島市民ですが、そこまでちょっと詳しく分かっていない部分はありますが、広島市民にとって特別な場所であって、移転に市民は反対であったということでありますが、当時、占領下であったということもあり、その移転が実施をされた。

 七五年にABCCから放影研に改組されて、広島市は比治山からの移転を強く求めてきた、ただし、米国の財政難などでなかなか進んでこなかったということですが、急転直下、ようやく今年の二月に、広島大学の医学部がある霞キャンパス、これも実は南区でして、本当に歩いてでも行けるぐらいの距離なんですけれども、キャンパスに移設されることが発表されて、長年の懸念がようやく解決をされることになったということで、ありがたく思っております。

 その一方で、広島市としては、比治山一帯を平和の丘として整備する構想を被爆七十年の二〇一五年に発表しておられます。比治山にある放影研の広島研究所の跡地に関しましては、当該敷地が国有地なんですね、であることから、広島市と国が協議をしていると認識をしております。

 ただ、二〇一五年の計画発表の二年後の基本計画から放影研が消えているなど、ちょっと跡地活用に不安を感じておられる市民もおられるということであります。

 そこで、国有地のお話ですので、財務省にお聞きできればと思います。放影研広島研究所移転後の国有地の活用について見解を伺います。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からお話のありました放射線影響研究所広島研究所が広島大学霞キャンパス内へ移転を決定したということは、これは私どもも承知しております。

 他方で、同研究所が所在する国有地につきましては、現に貸付中ということでございます。したがいまして、貸付終了後の活用については、今のところ、現段階で確たることを申し上げられないことは御理解いただければと思います。

 その上で、一般論を申し上げますれば、国有財産の利活用に当たりましては、公用、公共用優先、すなわち、国や地方公共団体などの利用を優先する考え方を基本としております。

 本地国有地につきましても、同様の考え方にのっとって有効活用に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

平林委員 ありがとうございます。

 公用、公共用優先という考え方を基本としているということでありまして、広島市の現在の計画も、まさにその公用、公共用、こういう計画でございますので、是非その考え方にのっとって有効活用を図っていただければというふうに思っております。

 広島市民にとって複雑な思いを抱かせる放影研の跡地が有効に活用されまして、比治山一帯が、平和を思い、芸術文化に親しむエリアに生まれ変わることを切に願っているということでございます。

 時間があと一分少々かと考えておりますが、一つだけ、では、残している質問をお聞きできればと思います。

 先ほど石川委員も聞かれたお話ではございますが、ALPS処理水の海洋放出に関しましてお聞きできればというふうに思います。

 本年夏頃の放出時期が迫っているわけですけれども、NHKの放出に関する千二百名規模の調査によりますと、賛成が二七%、反対が二四%、どちらとも言えないが四一%ということで、こういう結果が現段階であるんですけれども、この結果は二年前のアンケート結果とそれほど大きな変化がない、こういうことも報道をされておりまして、なかなか理解が思うように進んでいない、そういったことを感じております。昨日も、西村経産大臣の元に漁協長が面会をされ、風評被害の補償を求められたということも報道されておりました。

 改めまして、ALPS処理水海洋放出における風評被害を起こさない取組もそうなんですけれども、起こってしまった場合の対策について、今後更に検討していることについて政府の見解を伺います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出につきましては、安全性の確保と風評対策の徹底を前提に進めることとしておりまして、これを踏まえて、風評影響の発生を防止し抑制するための広報活動を幅広く行ってきております。

 その上で、水産物の需要減少等の風評影響が生じた場合に備えまして、三百億円の基金により、水産物の販路拡大あるいは一時的買取り、保管への支援等を行うこととしております。また、昨年度の補正予算におきまして、漁業者の事業継続のための五百億円の基金を新たに設置しております。全漁連会長からも、信頼関係構築に向けての姿勢と評価をいただいたところでございます。

 さらに、経済界あるいは全国の自治体、政府関係機関による福島県産品などの需要拡大にも取り組んでいるところでございまして、昨年立ち上げました魅力発見!三陸・常磐ものネットワークにつきましては、現在、千者の企業の方に参加をいただいております。

 それでもなお風評被害が発生した場合の賠償ということでございますけれども、こちらにつきましては、統計データを用いた風評被害の推認を行いまして、立証負担を軽減するというのを政府の方針としてございます。

 これを踏まえて、東京電力では、昨年十二月に賠償の基本的な考え方を公表し、これを基に、今、関係団体等との調整を進め、具体的な内容を検討しているというふうに承知しております。

 引き続き、安全確保と風評対策の徹底に取り組むとともに、風評影響が発生した場合にも必要な支援が適切に届くよう、丁寧に対応してまいります。

平林委員 幅広の対応をお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 本日は、敦賀原子力発電所二号機の地質調査の経過について少し質問をしていきたいと思います。

 皆様のお手元に資料を配付させていただきました。これは、これまでの経緯、ごくごく一部ではあるんですが、まず、二〇一一年の十月三十一日、いわゆる東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の知見を踏まえた耐震バックチェックというものが開始をされ、そして、翌年の九月十九日、原子力規制委員会が発足し、その下で、十二月、有識者会合が行われまして、この敦賀原子力発電所二号機の現地調査が行われました。そして、二〇一三年の五月十五日なんですが、有識者会合が、敦賀二号機の真下を通っているD―1破砕帯という断層があるそうなんですが、これが活断層であると結論づけたということなんです。

 発電所の直下に活断層があるということは極めて重大なこと、もし本当にそうなれば極めて重大なことで、とても重要な検討項目になるんですが、まず伺いたいのは、このD―1破砕帯の評価について有識者会議を設けて評価を行うこととした理由と経緯、これについて、まずは当時の状況を教えていただきたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の敷地内破砕帯調査に関する有識者会合の評価でございますけれども、これは、旧原子力安全・保安院からの指示に基づきまして、敦賀原子力発電所を含む六つの発電所につきまして、事業者が実施した追加調査の結果を科学的に根拠に基づき評価をするというものでございました。この有識者会合につきましては、規制委員会としては、それを引き継いだものというものでございます。

 一方で、現在行っております新規制基準への適合性審査におきましては、有識者会合の評価結果を重要な知見の一つとして参考としつつ、規制委員会が最終的な判断をすることとしているというところでございます。

浅野委員 原子力保安院時代に定めたことをそのまま継承したということでありました。

 先ほど申し上げた二〇一三年の五月十五日に有識者会合がD―1破砕帯が活断層であると結論づけたその直後の原子力規制委員会第七回、平成二十五年の五月二十二日に開催された第七回の規制委員会の中で、当時の田中委員長が、D―1破砕帯が活断層に相当するという発言をされたんです。

 規制委員会がそのような認識を示すに当たって、有識者会議の評価以外に、原子力規制委員会が主体的に実施した評価結果というのは当時あったんでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の有識者会合の評価以外に、当該破砕帯について原子力規制委員会が了承した評価結果はございません。

浅野委員 ということは、つまり、先ほどの答弁では、最終的に主体的に決めるのは規制委員会であって、有識者会議の結論というのは一つの重要な参考であるということなんですが、それをそのまま、ほかの検証なしに、当時は、活断層に相当するというような一定の認識を規制委員会が示したということになって、これはちょっと、ですから、主体性のない認識だったのではないかなというふうに思うわけであります。

 私は今言ってしまいましたけれども、このときの結論というか規制委員会の認識というのは、規制委員会の主体的な評価、主体的に評価をした結果であると私は言えないと思うんですが、これは言えるんでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の有識者会合の結論につきましては、新規制基準施行前に、平成二十五年五月二十二日に委員会へ報告がなされ、了承がなされたものというところでございます。

 これにつきましては、その後の平成二十六年十二月三日の原子力規制委員会におきまして、敷地内破砕帯調査に関する有識者会合の進捗状況が報告をされてございます。その中で、新規制基準適合性審査に当たりましては、原子力規制委員会が審査を行い、許認可の可否を決定をする、この際、有識者会合による評価を重要な知見の一つとして参考とするほか、事業者から追加調査等による新たな知見の提出があれば、これを含めて厳正に確認を行っていくということで決定をされているというところでございます。

浅野委員 今、これまでの内容を確認させていただいた上でちょっと思いますのは、そもそも有識者会議にD―1破砕帯が活断層かどうかを結論づけさせては駄目だと思うんですね。

 あくまでも、有識者会議が果たすべき役割というのは、規制委員会に対して、これが活断層であるかどうかを評価をするための指標、確認すべき項目の提示、論点の提示、こういったものにとどめるべきであって、その有識者会議から提示された論点や確認項目などに対して規制委員会が主体的に確認作業を実施し、そして主体的にこれは活断層かどうかを判断する。しかも、それを、科学的、技術的に行うことはもちろんなんですが、透明性の高い方法で行いながら、被規制者、つまり事業者に対しても迅速に情報開示をしながら、一緒に確認を進めていくべきだと思うんですね。

 実は、先ほど少し触れました第七回、二〇一三年五月二十二日に行われた第七回規制委員会の議事録を見ますと、有識者会議が活断層であるという結論を出してしまったことによって、有識者の方々に対して非難の照準が合ってしまった。これが、当時、更田委員も、何で有識者の方々が責められるんだということで、こんなことがないようにしなければいけないという発言をされて、政府、規制庁としては、今後、重く受け止めて、再発しないように努めたい、そんなやり取りもされているわけですね。

 ですから、本来、有識者会議に課せられている役割というのは、活断層かどうかの判断ではなくて、活断層かどうかを判断するための指標の提示や論点の整理であって、判断自体をさせてはいけなかったのではないかと思うんですが、済みません、質問の延長線上になりますが、ここについてはどう見解をお持ちになられていますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 有識者会合の役割でございますけれども、科学者、技術者としての詳細な議論をいただいて、科学者としての責任の下、科学的な議論をまとめていただいたものというふうに考えております。あくまでも、行政上の処分の責任は原子力規制委員会に帰するものと考えています。

 したがいまして、原子力規制委員会は、有識者会合における評価を重要な知見の一つとして参考にして、事業者においては有識者会合の評価結果を踏まえて追加的な知見を得るような対応をしながら、新規制基準適合性審査を進めているところでございます。

浅野委員 現在の対応状況については分かりました。

 ただ、何度も申し上げますが、有識者会議に、最終的な、活断層かどうかまでの判断をさせてはいけないと思うんです。なぜなら、一回そこで出してしまうと、今回まさに事業者側は、いや、そうではないということで追加調査を実施して、活断層ではない根拠というのを示して、結局、有識者会議が出した結論を覆さなきゃいけない、どっちが正しいか論争になってしまっているんですね。これは極めて非生産的ですし、それによって膨大な時間と労力が費やされている。

 先ほどからありますように、標準処理期間二年という中でいかに正確で透明性の高い審査を行っていくか、これは非常に重要な問題だと思いますので、そういった意味では、有識者会議の今後の役割、有識者会議に出してもらうべき結論といいましょうか、提示してもらうべき内容、これはしっかり規制委員会としても精査をしていただいて、このようなことが起こらないように是非改善を図っていただきたいと思います。

 続いての質問になりますけれども、今回の敦賀二号機の審査の中で、このやり取りの後なんですが、聞いておりますと、二〇二〇年に事業者が指摘を受けた内容がありまして、それは、それまで肉眼で確認をしていた試験片に対する評価、これを顕微鏡で見るようになって、当然、顕微鏡で見た方が詳細な情報が分かりますので、規制委員会に提出する資料、これを肉眼で確認した内容から顕微鏡で確認した内容に変えて出した。ところが、それが勝手に変えたということになって、調査データのトレーサビリティーなどが確保できないということで審査会合が一時留保されていたということなんですね。

 先日送られてきました令和四年度の原子力規制委員会の年次報告の中にもそれが書いてあるんですけれども、令和二年の二月七日にその資料の書換えが分かり、一旦その審査が止まってから、内容の確認をして審査が再開されたのが令和四年の十二月九日、この間、実に二年十か月ということなんです。

 よくよく話を聞いていますと、要するに、追加の調査データを示すときに、文書の差し替えでいいのか、両方添付すればいいのか、こんな書類の扱い方の意思疎通ができなかったばかりに、事業者は差し替えをしてしまって、それは問題だということで二年十か月審査が止まった、結局、そういうことだったんですよね。

 これは、単純に言えば、規制委員会と事業者との間で書類の取扱いに対するコミュニケーションが不足していただけなんじゃないか。それによって二年十か月も時間が使われてしまった。これは非常に問題だと思いますので、是非今後は、これを反省していただき、書類の作成、追加、修正等に関する基本的なルールは、規制委員会と全ての被規制者との間で事前に確認するようにしていただきたい。そうすれば、書類の差し替えか同時添付か、そんな問題で二年以上も審議が止まるなんということは避けられますから、是非これをやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘がございました日本原電のボーリング柱状図のデータ書換えは、誤記等の問題ではなく、新規制基準への適合性の判断の根拠となる科学的、技術的データを元データと異なるものに書き換えたということでございます。事業者とのコミュニケーションの問題によるものではないと認識しております。

 一方で、審査が効率的かつ効果的に進むことは、原子力規制委員会としても望ましいことだと考えております。このため、審査の予見性を確保するため、審査の早い段階で論点を明示するとともに、審査会合の最後に指摘事項を双方で確認し、共通理解を得るなどの取組を行っております。

 いずれにしても、規制委員会としては、審査が適切に行えるよう、引き続き、事業者とのコミュニケーションを図りつつ、審査プロセスの改善にも努めてまいりたいと考えております。

浅野委員 これは書換えであってコミュニケーション不足によるものではないということなんですが、それは規制委員会の立場からの一方的な見方だと思いますね。私のような立法府、あるいはこれを客観的に見ている立場からすると、事前に、差し替えるべきなのか、変えた部分は両方添付をするべきなのかを決めておけば、この問題は未然に防止できたはずだと思います。

 この事案が起きてから、規制委員会としては、今回の書換えの問題は、深刻度判定というのがありますけれども、深刻度をSL3という段階に評価をしたということであります。これは、原子力安全上又は核物質防護上一定の影響を有する事態をもたらした、又はそうした事態になり得たものということで、深刻度が下から二つ目の評価になるわけですけれども、これは、でも、私から見れば、単純なコミュニケーション不足による、書類の扱いの意思の疎通が図れていなかったことによる極めて単純な原因から起きた甚大な時間と労力の損失である、そういうふうに見えます。

 是非ここは謙虚に受け止めていただいて、今回の事案が書換えであってコミュニケーション不足ではない、そういうふうに規制委員会が認識されるのは規制委員会の裁量の範囲かもしれませんが、是非こうした指摘を謙虚に受け止めていただいて、今後は、こうした書類の取扱いによる長期間の審査が止まることを避けるために、是非、被規制者との十分なコミュニケーションを取っていただくことをお願いをして、時間が来ましたので、私の質問は終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日、私は、二〇一一年の三月十一日の東京電力福島第一原発事故以降十二年も経過いたしましたが、事故の収束作業にしばしも休まず従事してくださっている現場の労働者の問題について質疑をさせていただきます。

 実は、昨年、厚生労働委員会で福一の作業に関わる皆さんの被曝の問題を取り上げさせていただきましたが、そもそも原子力規制委員会は、その三条に国民の生命、健康そして財産の保護とありますので、被曝労働者も含めた生命あるいは健康の保護ということもまた規制委員会の任と思いますので、その観点からお尋ねをいたします。

 お示しいたしました資料一枚目、御覧いただきたいと思いますが、これは、本年の三月に放射線障害によるがんというふうに労災認定されました、福島の第一原発で働く労働者の中からの十一例目の労災認定事案でございます。労災の御病名は白血病ということでありますが、この十二年間で十一人の認定がされております。ちなみに、この一年で三人余りが認定をされております。

 めくって二枚目を見ていただきますと、これまでのいわゆる被曝によるがんの認定、昭和五十一年、一九七六年から記録のある限りをたどってみますと、福島の事故以降、とりわけ平成二十七年以降はほとんどの認定が福島第一原発の作業に従事した方である。下に数値を並べてございます。一九七六年からの総計二十五名のうち福一が十一で、それは大半、もちろん二十三年以降ですが、特に平成二十七年あたりからの認定でございます。

 これを見ますと、極めて福一での作業による被曝、発がんが、幾つかは労災認定されているということだと思いますが、多いというふうに認識をいたしますが、これはまず参考人の方にお伺いいたします。どうでしょう。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 全国の原子力発電所の業務に従事した労働者の放射線被曝によるがんの労災認定件数は、先ほど先生から御説明いただきましたとおり、昭和五十一年度から東京電力福島第一原子力発電所事故が発生した平成二十二年度までの三十五年間で九件、これに対し、事故後の平成二十三年度から令和四年度までの十二年間で十六件であります。

 事故の前後を比べた場合、事故後の件数の方が多くなっております。

阿部(知)委員 件数が多いだけではなくて、事故前はほとんどの労災認定は白血病でありましたが、現在は多様な疾患が認定をされてございます。逐一は、次のページを見ていただけますと、労災の認定状況で、一九七〇年から一応二〇一一年の三月十日までで区切っておりますが、ほとんどが血液系の白血病であるということ。下には、特に資料三としてつけさせていただきましたが、福一での被曝の状況と、そこから様々ながんを来した一覧、十一人のプロフィールが載せてございます。

 ここで、再び参考人にお伺いいたしますが、私がこれを拝見いたしますと、被曝線量は一F内のものと合計を分けてございますが、特に一F内での被曝線量を見ますと、いわゆる百ミリシーベルトを超えた方は甲状腺がんのお二人のみで、他は百ミリ以下の九人というふうに理解してよろしいでしょうか。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 事故後の作業に従事し、放射線被曝によるがんとして労災認定された件数は、御指摘のとおり、令和四年度末時点で十一人、十一件でございます。

 この十一件のうち、事故後の作業における被曝線量が百ミリシーベルト未満である事案は、御指摘のとおり、九件となっております。

阿部(知)委員 福島の中での被曝だけでなく、全体の被曝状況を含めての労災認定とは思いますが、私が特に福島の中で百ミリシーベルト以下でしたねと申し上げたのは、次に開いていただきます資料四を見ていただきますと、これは東京電力福島第一原発事故の後です。緊急に被曝線量の上限を二百五十ミリシーベルトに国が上げまして、そのときの緊急作業従事者のフォローアップの中で、二万人に対しては登録証を送る、五十ミリシーベルト以上であった方については白内障の検診、百ミリシーベルト以上の方にはがん検診という三つの組立てが実施されております。正直言って、私は、このフォローアップというものが極めて不十分であるし、今後も福一の中で働く人の中の健康、生命を守れるかどうかという心配、懸念を持っております。

 まず、二万人に登録証を送って健康相談等々を受けるシステムになっておりますが、これについて、相談件数は五百五十しかない、フォローも今は一万七千何がしになっておる。白内障の検診も、表を見ていただきますと、受診率が五一・六%。それから、がんは、百ミリシーベルト以上の方の受診率が七九・八で百三十八人となっております。私はここでお尋ねしたいですが、果たして、この百三十八人の方の中でがんが発見された方、結果はどうだったでしょう。これも参考人にお願いします。

美濃政府参考人 お答え申し上げます。

 毎年、東京電力福島第一原子力発電所における緊急作業従事者の長期的健康管理の実施状況を公表しており、その中で、大臣指針に定めるがん検診の受診者数等の受診状況についてもお示ししているところでございます。

 一方で、がん検診の結果につきましては、受診者の同意を得られた場合のみ御報告をいただいているものであり、その結果のみをもって放射線の影響によるものかどうかを科学的に評価することができないこと等から、その結果については公表していないところでございます。

阿部(知)委員 公表していなくても、把握はしているのですか。この百ミリシーベルト超えの方の検診結果で、結果を教えてください。どなたということは伺っていません。

 私がこれを伺うのは、先ほどお示ししたように、福一の中では、百ミリシーベルト以下の被曝線量で、しかし、そこからもう九人、がんの労災認定がされているわけです。一方、この仕組みの中で百ミリを超える方をフォローしていますが、果たしてこの中におられたのか、これは事実でありますので把握しておく必要があると思います。いかがですか。

美濃政府参考人 お答え申し上げます。

 がん検診等の結果につきましては、先ほど申し上げましたように、当該者の同意を得られた場合のみ御報告を受けているものでございまして、また、がん検診以降の精密検査結果の報告については必ずしも求めておりませんで、最終的にがんと診断された方の数については、把握しているものではございません。

阿部(知)委員 すなわち、これはやっただけ、ポーズだけになってしまって、また、仕組みとしても不十分だと思うんです。

 繰り返し申し上げますが、百ミリシーベルト以下でもう既に九人出ておられます。一方の百ミリ超えの方は報告がないから分からない。このとき暫定的に放射線量の基準を上げましたから、国の責任においてフォローするという姿勢は大事と思いますが、長い年月の中で発がんということに至った方は必ずしもこの検査方法では分かってこない、浮かんでこない、出てこないということが明らかになっていると思うのです。

 特に、二万人の方、登録証などをいただきましても、相談件数が五百五十件だということは、もしその方たちが懸念を抱かれても相談に終わってしまう。本来は、私は、この方々はいわゆる放射線業務に伴うがんのリスクもあるわけですから、放射線の健康管理手帳と言われるものを、登録証じゃなくて管理手帳をお渡しして、受診できるようにすべきであると思います。

 実は、この件は昨年の厚労委員会でも取り上げましたが、他の発がんによる健康手帳を持っている方に比べて著しく頻度が高くないからこれは健康手帳の対象ではないというお答えでした。でも、今のこの方法で果たして本当に働く人を守れるかということが私の問題意識でありますが、いかがでしょう、厚生労働省。参考人じゃなくて、政務官がおられますか。お願いします。

畦元大臣政務官 手帳に関することですけれども、お答えいたします。

 緊急作業従事者に対する長期的健康管理は非常に重要であると認識はしております。

 緊急作業従事者の方の健康管理につきましては、大臣指針に基づき、事業者に対し、通常の被曝の限度を超えて被曝された方に対するがん検診等の実施のほか、健康診断結果を踏まえた保健指導の実施などを求めているところでございます。

 また、国におきましても、既に退職された方などに対するがん検診等の費用を援助するとともに、緊急作業に従事された全ての方が利用できる健康相談窓口を整備し、健康相談や保健指導を実施しているほか、定期的な健康管理に関する情報提供等を行っております。

 さらに、緊急作業従事者を対象とし、その生涯にわたって放射線被曝による健康影響を調査する疫学研究の中で、研究に参加する全ての緊急作業従事者が、法定の定期健診と同等の基本健診を年に一回、人間ドックと同等の多項目健診を、がん検診も含まれておりますが、五年に一回受診することができるようにしております。

 これらの取組により、今後とも、緊急作業従事者の方の長期的健康管理にしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

 手帳のことに関しては、参考とさせていただきますので。

阿部(知)委員 御丁寧な答弁をありがとうございます。

 引き続いて、資料の五を見ていただきますと、今、畦元政務官がお話しいただきましたことを書いてございます。二万人について、今は一万七千五百五十六人ですが、フォローして、しかし、先ほど申し上げました健康相談は五百五十件しかない。その他の五十ミリシーベルト、百ミリシーベルト超えの現状については、先ほど私が申し上げましたが、把握されていない。

 もう一つ、疫学調査として任意に御協力いただいてやっているものについても今御答弁でありましたので申し添えますが、参加者というものは三割少々であります、すなわち任意で。本当に、自分の健康についてしっかりと、自分も管理できてフォローされるという確信がなければ、疫学調査等々のものの同意とか参加は少なくなります。それではフォローができないので、私が健康管理手帳はどうでしょうとお伺いいたしました。それで、今、検討していただくということです。

 これは、本当に、福一の事故ということ、この瞬間も働いてくださっている人、私は全部をカバーしてもいいと思うくらいです。でも、取りあえず今お名前が登録証で分かっているこの方々、二万人についてですよ、ここについて、まずやれることをやっていただきたい。

 いわゆる健康管理手帳、これは、自分が持っていれば、がんについての検診とか検査は医療的には無料で受けられます。今、がんの様々な指標は血液を採っただけでも分かってくるものも増えて、早期発見、早期治療もかなうわけです。一日も早くアクセスしていただきたい。私たちは、あの方々の労働なくして安穏と暮らしてはおられないということも心に刻んで、特に政治に関わる者はそのようにすべきと思います。

 山中委員長にお伺いいたしますが、私は、この間、厚労省が専らで、規制委員会の方は例えば今後に向けてどのような課題や検討があることとお思いでしょう。お願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会としては、東京電力福島第一原子力発電所における作業環境が事故前に比べて高い線量下にあることから、これをできる限り低減させることが重要であると認識しております。

 そのため、東京電力に対しては、作業環境の改善、除染等を進めることで作業員の被曝線量を低減させるよう指導してきており、現時点では、事故当時に比べて状況が改善されているものと承知しております。

 引き続き、原子力規制委員会としては、実施計画の審査、検査を通じて、作業員の被曝線量低減、作業環境改善に係る東京電力の取組を監視、指導してまいります。

阿部(知)委員 もう一つ、山中委員長にはお願いがあります。

 日本は、被曝線量管理について、例えばNRCがその方の生涯線量を一括管理しております、被曝労働は福一でも起こるし、他でも起こるし、いろいろなところでトータルな線量ということが把握されないと、今後の労災認定にも問題が出てくると思います。この一元管理、国家管理は、アメリカ、NRC等々、EUでもございます。日本は事業者任せの中になっております。是非、今日はこの点を詰めませんが、私からお願いですので、よろしくお願いします。

 それから、労災認定十一例目となりますと、一日も早く、こういう病気ががんとして発症しますよということを働いている皆さんにお知らせしなきゃいけないということで、開いて資料の六ページ目を見ていただきますと、放射線被曝によるがんなどの疾病の補償制度のお知らせというものでございます。これは今までのもので、今回更に、例えば赤血球増多症というのも新たに認定をされておりまして、がんというところに加わるのかどうか、新たに書換えが進むのか。

 もう一つ、このお知らせにはちょっと問題があって、被曝線量が百ミリシーベルト以上から放射線被曝とがん疾患との関連が疑われ、被曝線量の増加とともにがん発病との関連が強まるではなくて、百は一つの閾値ではありますが、それ以下で起こすこともあるし、固形がんでもそうです。ここの書き方も工夫が必要だと思います。

 より線量が低くてもリスクがあるということを分かっていただいて、とにかく早くに御自分の健康御懸念を解消してほしいと思いますが、お時間がないので審議官にお願いします、新たにこれを発出し直す御計画ですか。お願いします。

梶原政府参考人 参考人から御答弁をさせていただきます。

 御指摘のあったリーフレットにつきましては、毎年定期的に作成して、東京電力ホールディングス等に周知をお願いしているところです。

 このリーフレットの記載につきましては、先生の資料で下線を引いていただきましたところ、ほかの指摘をいただきました。

 このリーフレットに書いております悪性新生物、がんというところで、個別の種類のがんを書いておりますが、御指摘があったとおり、新たに認定されました場合ですとか、労災認定の考え方の基準が新たに整備されたものにつきましては逐次追加をしておりますので、次回の改定時には御指摘のあった事例についても追加をしていく考えでおります。

 また、下線を引いていただきました、被曝線量が百ミリシーベルト以上からという、関連の記載でございます。御指摘がありました白血病や赤血球の病気の血液のがんにつきましては、御指摘のとおり、現在の運用基準ですと百ミリシーベルト以上、これは固形がんを前提としたものですが、血液のがんにつきましては年五ミリシーベルト掛ける従事年数という基準で昭和五十一年来運用しております。この点についての記述が不十分であるという御指摘と理解をいたしておりますので、具体的な記述ぶり等を含めて、この部分を明記するなど、分かりやすい記載となるように検討を進めてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 固形がんにおいても百ミリ以下でも起こり得るという知見も出てまいっておりますので、これも含めて、本当に一人でも多くの方が早くに発見されるようお願いをいたします。

 そして、このリーフレットは実は、新入で新しく作業に入った人には渡されるそうですが、私は全員に、とにかく福一で働いている全員に渡していただきたいですが、これはいかがでしょう。

畦元大臣政務官 お答えします。

 東京電力福島第一原子力発電所で働く方々に対し、放射線被曝した場合における労災補償の考え方を周知することは重要だと厚労省としても思っております。これまでも、新規入場者についてはリーフレットを配付し周知していますが、東京電力福島第一原子力発電所で働く全ての労働者に最新の情報が伝わるよう、効果的な周知方法について検討を行うこととしております。

阿部(知)委員 是非よろしくお願い申し上げます。

 最後に、今日の委員会の冒頭でも御質疑があったALPS処理水の海洋放出についてお伺いをいたします。

 私の立場は基本的に他の方法を取るべきというものでございますが、この間、東京電力並びにIAEAそして原子力規制委員会も、基本的には海洋放出という方向をおっしゃっておられます。その一方で、例えば今年の二月にあった島嶼フォーラムの幾つかの国々から、あの辺は、ムルロア環礁のところで、ビキニの実験があったということで、極めて放射線についてセンシティブに受け止めておられまして、このことにつきまして日本との対話を求めておられます。

 外務省に伺います。これまで何回かこの島嶼フォーラムの事務局の皆さんを含めて専門家とも意見交換されたと思いますが、現時点、どんな課題認識でしょう。お願いします。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 ALPS処理水の海洋放出につきましては、我が国政府としましては、IAEA安全基準及び国際法に整合的に実施され、人体や環境にいかなる害も及ぼさないことを確保するということとしておりまして、そのため、専門的、客観的な観点から、原子力の国際権威であるIAEAによるALPS処理水の安全性や規制面などについての独立したレビューを受けてきております。

 委員御指摘の太平洋島嶼国につきましては、二月に太平洋諸島フォーラム、PIF代表団が訪日した際、岸田総理及び林外務大臣との間で本件に関する集中的な対話の重要性について一致したことを受けまして、三月に林大臣がソロモン諸島及びクック諸島、四月から五月に武井副大臣がバヌアツ、フィジー及びツバルを訪問しまして、各国の首脳などに日本の立場を直接説明するなど、政治レベルの対話を実施するとともに、専門家レベルでの対話も行い、太平洋島嶼国の理解を得られるよう努めているところでございます。

 専門家レベルの対話について申し上げますと、四月及び六月の対話におきましては、放出前の浄化処理された水の安全性、有機結合トリチウム、OBTの安全性、IAEA安全基準への適合状況、ALPS処理水の処分に関する代替手段、放出前の放射性核種測定などにつきましてPIF、専門家から関心を示されたところでございますけれども、いずれも科学的根拠に基づき丁寧に説明したところでございます。

 なお、PIF諸国との関係で付言をしますと、ミクロネシア連邦につきましては過去に懸念を表明しておったわけですけれども、二月に行われた日・ミクロネシア首脳会談でパニュエロ大統領から、海洋という共通資源を傷つけないという日本の意図や技術力への深い信頼が示され、以前ほどの恐れや懸念はもはや有していない旨表明されたところでございます。

 引き続き、透明性高く情報発信及び説明を行いまして、国際社会の理解醸成に取り組んでまいる所存でございます。

阿部(知)委員 懸念を寄せる国は、今ミクロネシアの例をおっしゃいましたが、ほかにも多々あります。また、専門家会合の中では、アメリカの環境エネルギー研究所、IEERの所長なども御参加でありました六月一日の会議です。すなわち、放射能の管理ということと、もう一つの環境全体を見た議論というのが必要となっている時代だと私は思います。

 山中委員長にお願いがありますが、是非、中国等ももちろん懸念を寄せておりますし、政治的対立ということではなくて、科学的な、本当にエビデンスベーストな議論を重ね、特に環境についての懸念が強いということを念頭に置いて、これからも丁寧に諸外国と規制の在り方を含めてお話し合いをいただきたいです。いかがですか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会としては、ALPS処理水の海洋放出が確実に規制基準を満足する形で行われているか、審査、検査を通じて確認することがその役割であると考えております。

 これまで、ALPS処理水の海洋放出に関する原子力規制委員会の取組については、国際原子力機関、IAEAからのレビューのみならず、近隣諸国等海外との対話、説明を重ねてきております。

 今後も引き続き、原子力規制委員会の取組について分かりやすく情報発信に努めてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 私は他の手段ありという立場ですが、もしお考えが海洋放出であれば、特に考えの違うところとしっかり対話をしていただきたい。

 終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 私は、地元が鹿児島三区ということで、九州電力の川内原子力発電所一、二号機の十キロ圏内に居住をしている者であります。UPZ圏内ですね。ですから、よく市民の皆さんとも発電所のこと、発電所で働いている方ともよく意見交換をしたり、状況をお聞きしております。ですから、ある意味、非常に身近な存在として発電所がある、そういった中で日常生活を送っております。

 去年の八月二十七日に、まだコロナ禍でありましたので、非常に地域経済が傷んでいるということで、市とそれから地元の商工会議所がいわゆるプレミアムつきの商品券を発行して、飲食店とかいろいろな市内のお店の、少しでも経済を底上げしようということでこれを売り出しました。額面一万二千円のものを八千円で買えるということで、非常にお得な商品券だったものですから、購入希望者も非常に多かったんですけれども、これは四万二千四百冊売り出しました。

 八月二十七日の朝八時から、市のちょっと郊外の、市営の国際交流センターというところです、これは駐車場も四百台ぐらい止まれる非常に広いところで、ブースも二十ぐらい作って、皆さん、買いに来てくださいということでやったんですが、私の知っている方なんかも、朝五時前から、早く買おう、売り切れたら大変だということで、実際は一人二冊という制限だったんですけれども、いや、ちょっと親戚の分も何だといって、何十冊も実は買った方もいるんです。

 そういうことで、朝五時から市民がみんなここへ詰めかけて、実は市内が大渋滞になりまして、半分ぐらい売ったところで、八時から十一時まで売ったところでもう販売を止めました。というのは、市内が、交通が全く麻痺してしまって、救急車も通れないという状況になって、これは大変なことになるということで十一時で販売を締め切ったんですが、その後、夕方の四時、五時までこの渋滞が収まらないという状況があったんです。

 それで、私も市民の方から、野間さん、もし川内原子力発電所で何か起きたとき、自分たちは避難しなきゃいけないんだけれども、この商品券一つ売ることだけでも、こんなふうに身動きが取れないような状態がほぼ一日、朝から晩まで続いた、もし本当の有事になってみんな逃げる、避難するというとき、これで大丈夫なんだろうか、本当に不安になるという声を多くの皆さんから聞きました。

 これは、内閣府さんが恐らくこういう避難関係、いろいろな計画を立ててやられているとは思うんですが、実際、こういうことが現場では起きているんですね。こういう事実を把握されているか、また、何か検証をされているんでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

松下政府参考人 お答えをいたします。

 今先生から御紹介いただきました去年八月の事例そのものについては、実は、先生から御指摘をいただいて我々も把握したというところが実際のところでございますけれども。

 原子力災害時に住民の方が避難が必要となった場合には、当然、この避難が円滑に行われなければならないということから、それぞれ交通渋滞の対策等は各地域で定めているというところでございまして、川内地域におきましても、川内地域の緊急時対応の中で、そういった交通渋滞のための対策というのを定めているところでございます。

 ちょっと具体的に御紹介いたしますと、ヘリコプターからの映像伝送を使って道路渋滞を把握して、県、関係市町及び県警察によって避難車両を誘導するでありますとか、主要交差点における交通整理、誘導、規制、道路情報板等を活用した広報等の交通対策、さらには、避難車両だと分かるシールの配付といった取組を進めているといったようなことでございまして、こういった交通対策を行うことによりまして、円滑な避難ができるように努めていくというところでございます。

野間委員 UPZ、三十キロ圏内ですと二十万人ぐらいいますから、そこまで申し上げないとしても、PAZ圏内でも四千人を超える住民の方がいて、しかも車がない、あるいは足がないということで、七百名以上の方がバスなどで、もしかというときは避難しなきゃいけないということになっているんですが、よく皆さんから、バスを運転している方からも言われるんですけれども、確かに、バスの会社として、いざというときは逃げなきゃいけない、自分たちも運転しなきゃいけないということは分かっているんだけれども、本当に起きたときに怖い、本当にやはり運転しなきゃいけないのかという不安もよぎるということも聞くわけですけれども、その辺は、本当にきちんと避難できるんでしょうか、バスに乗れるんでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生からもお話がありましたが、原子力災害時に避難が必要となった場合に、自家用車で逃げる方は自家用車で避難いただくことが基本になりますけれども、自家用車等による避難ができない方については、バスを用意して、バスで避難していただくということを考えております。

 その際に、バスを運転いただく運転手の方についてでありますが、そういったバスの運転手の方の放射線を防護、これもしっかりやるということにしておりまして、原子力災害対策指針や原子力災害対策マニュアル等に従いまして必要な防護装備類を活用し、放射線防護、これをしっかりと行うということにしております。そのための必要な資機材は平素から整備しておりますし、バス事業者向けの研修等も行っているということでございます。

 こうした取組を進めることによりまして、関係者からの一層の理解が得られるように努めていきたいと考えております。

野間委員 これ以上の回答もあれなんですけれども、今、鹿児島県では、原子力防災アプリを、スマートフォンでQRコードから読んで、今こういう状況になっているというのを使ってくれということは言われているんですけれども、地域の方はスマートフォンを持っていない人も多いですよ。ガラケーでこれが見られない、どうなっているんだということもよく言われます。そういったこともきちんと対応できるようにやっていっていただきたいということと、やはり実際に本当に起きたとき、避難計画等も全部見させていただきましたけれども、立派なものができていますけれども、内閣府、環境省、経済産業省、国土交通省、あらゆる省庁にまたがって、縦割りで指揮命令系統は大丈夫なのかな、これも不安になりますので、そこはきちんと対応していただきたいと思います。

 次に、いずれ様々な国内の原子力発電所も廃炉の段階に移っていくわけですけれども、今、国内で二十四基ということでしょうか、廃炉が決定しているということで、これは、アメリカ、イギリス、ドイツに次ぐ世界四位の廃炉の数を持った国が我が国でありますけれども、既に浜岡とか、何か所かは実際に始まっていますけれども、本当にうまくスムーズに回っているんでしょうか。一部、浜岡なんかもちょっと時期を延長したりとか、あるいは、「ふげん」などもかなり先に延ばしてやらざるを得ないというようなことも聞きますけれども、今、どういう段階になっているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたように、原子力発電事業というのを続けていく上では、これを造っていくことは当然重要なわけでございますが、廃止した後、適切に廃炉処理をして、最終的にはその廃棄物を含めて適切に処理をしていく、このバックエンドの事業というのをしっかり実現していくことが重要だというふうに認識してございます。

 今お尋ねがございました廃炉の状況でございますけれども、今、二十四基が廃炉が決定されているところでございます。先般御審議いただきまして成立させていただきましたGX電源法の中では、拠出金法という法律を改正させていただきまして、この廃炉という事業を円滑かつ確実に実施していくための必要な取組、いわゆるNuROという団体に必要な資金について拠出してもらって、それを確保していく。同時に、二十四基が同時並行で進みますと、いろいろな意味でボトルネックが生じる可能性がございます、これを、ある意味、交通整理をしながら着実に進めていくような取組、こういうものを業務追加したところでございまして、この法律を着実に施行し、事業者の方々が円滑に廃炉を進めていただける環境を国としてもしっかりと取っていきたい、このように考えてございます。

野間委員 ちょっとお聞きしたいんですけれども、当然、廃炉をする中で、いろいろな汚染を除去した除染水が出ます、それから、いろいろな低レベルの廃棄物を含めて、いろいろな処理しなきゃいけないものがいっぱい出てくるわけですけれども、これをどこに持っていって、どういうふうに処理するのか。地元だと、そこにずっとそのまま、また永遠に置かれるんじゃないか、そういう心配もあるんですけれども。

 それと、もう一つ、電力事業者の中で、廃炉というものは会計上どういうふうに位置づけられているのか、教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、原子力発電所から発生する廃棄物の処分につきましては、発生者責任の原則の下で、原子力事業者等が処分場確保に向けた取組を着実に進めるということを基本としてございます。もちろん、これに対しては国もしっかりと支援をしていくということになるわけでございますが。

 この具体の処理の仕方ということでございますけれども、まず、放射性廃棄物でないものについては、一般の廃棄物と同様に埋設や再利用等がされるわけでございますが、一方で、放射性の廃棄物につきましては、放射能レベルの高い順からL1、L2、L3という区分を設けまして、その分類に従って処分方法が定められており、それぞれその状況に応じながら事業者において処分の実施、処分場確保に向けた調整が行われているところでございます。

 現状について御説明申し上げます。

 まず、L1につきましては、地下七十メートル以上の深さに埋設する中深度処分という処分方法の実現に向けて、国の事業で、青森県六ケ所村の試験空洞を活用いたしまして、現在、調査研究を実施しているところでございます。

 次のL2につきましては、青森県六ケ所村におきまして、原子力発電所の操業中に発生するものを対象に、これはもう既に処分が進められているという状況にございます。

 L3につきましては、まず、日本原電の東海発電所のサイト内におきまして、この発電所の廃炉に伴い発生するものを対象とする処分する計画がありまして、こちらの方は、今、原子力規制庁に対して埋設事業の許可申請がなされているところでございます。

 国といたしましては、事業者の取組、特に廃炉の進展に合わせ、しっかり間に合うようにいろいろなものを、環境を整備していく必要がございますので、その取組を支えていくというふうに考えているところでございます。

 あわせて、お尋ねがございました、廃炉に伴う会計上の処理のお尋ねという理解でよろしいでしょうか、について申し上げますと、まず、全体のお話で申し上げますと、原子力発電所に限りませんけれども、電気事業者が保有する設備等の財務会計上の取扱いにつきましては、企業会計のルール、関連法令を踏まえて、各事業者が監査人と協議の上、個別に判断することとなります。

 ですので、これを一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として考えますと、廃炉の決定に伴って、固定資産として計上している原子力発電所に設置された設備等の収益性が損なわれるということになりますと、会計基準に照らして減損が必要というふうに事業者や監査人が判断する場合があると思います。その場合には、当該設備等の簿価は減損処理されるものと承知するわけでございます。

 そうなりますと、他方で、減損等が生じることで事業者が廃炉判断をちゅうちょしてしまうということになってまいっては困るものですから、円滑な廃炉の実施に支障を来すことのないようにするために廃炉に関する会計関連制度を措置したところでございまして、これによりまして、残存簿価の減損など、廃炉に伴って生じる費用を分割計上することを認める制度を導入したところでございまして、こういう会計的な手当て、様々な処理の準備、こういったものを、廃炉がしっかりと進んでいけるように国としても取組を進めてまいりたいと考えてございます。

野間委員 分かりました。L1については、正直まだ決まっていないということですね、これから調査研究するということで。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、廃炉が進んでいくと、事故等の危険性はなくなっていく、減少していくんだというお考えでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 廃炉ですので、発電所自体の操業はもう停止してございます。残された燃料棒の処理、これもバックエンドのサイクルとしてどう処理するかという問題かと存じます。廃止されたものが適切な形で処理されていく、処分されていくということは、これは原子力規制委員会の審査の下で様々な基準が策定され、順次実施されていくわけでございます。

 ですので、安全というのは、その意味で、必要な基準が策定され、確保されていることになるわけでございますけれども、残された廃炉が決まった発電所というのは、いつまでもそこにあってもよいものではない、確実に最終的に元の形といいますか、適切な形に戻していく、これは安全ということに対するしっかりした配慮の下で進められていくもの、このようなことと認識してございます。

野間委員 幾ら廃炉が進んだとしても、例えば、非常用の冷却系統とか免震重要棟、そういうのをなくした場合、やはりまだまだ危険性というのはずっと残っているので、決して安全になるとは思えないと思いますので、そこはしっかり認識していただきたいと思います。

 最後に、山中委員長にちょっとお尋ねしたいと思うんですが、これは本当に一般的な、一般論としてお尋ねしたいんですけれども、委員長、例えば、今ここに四十歳の人、六十歳の人、八十歳の人がいたとして、この三人の方で、平均といいますか、余命といいますか寿命、誰が一般的に考えたら長いと思われますか。

山中政府特別補佐人 統計的に申しますと、当然のことながら、長いのは一番お若い方ということになろうかと思います。

野間委員 委員長のプロフィール等を拝見すると、今、六十七歳でいらっしゃいますかね、私ももう六十代ですけれども。六十を過ぎますと、なかなか三十代、四十代の頃のような体力もなくなってくるし、無理も利かない、体力が落ちたなということを感ずるんですが、委員長はいかがですか。

山中政府特別補佐人 私は、幸いにいたしまして、非常に元気にさせていただいております。

野間委員 例えば、委員長、急に、あなたは今六十七歳だけれども、今日から五十歳になりなさいと。この間、お元気だからそんなことはないかもしれませんけれども、例えば持病を抱えている方とかいろいろな治療をしている方、いろいろな方がいると思いますが、急に、十何歳あなたは若くなったんだ、そういうふうにみなすと言われたら、ちょっと困りますよね、それで生活するというのは。いかがですか、もしそうなったら。

山中政府特別補佐人 五十になれと言われれば、五十になったような体力を増強していきたいというふうに考えます。

野間委員 それはすばらしいことですが。

 今回の六十年延長問題、どうも国民が納得できないのは、六十歳の人に、あなたは十年前に戻れ、この間、何もなかったんだというような思いを抱かせるんですよね。何か納得できない、おかしいんじゃないかということを感じざるを得ないんですけれども。人でもいろいろな設備でも、経年劣化、これは当然起きているわけですけれども、非常に平たく言うと、この十年はなかったことにして、あなたはまだ五十歳なんだよ、こう言われることは不自然と思われませんか。

山中政府特別補佐人 原子力発電所でいいますと、科学的、技術的に、一義的に何か寿命を決めるということは不可能でございまして、それぞれの発電所についてきちっと技術的、科学的な評価を行っていくというのが我々規制委員会の務めでございますし、規制基準に適合していなければ発電所の運転は認めないということでございます。

野間委員 確かに、個別個別の発電所について審査をしていくということは当然でありますし、もちろん、ですから、八十歳の方、九十歳でも物すごくお元気な方もいれば、四十代でも体の弱い方、これは様々ですけれども、ただ、一般的な傾向としては、国としても、いろいろなデータ上も、例えば七十五歳になったら後期高齢者だとか、そういうことをして区分をしていくわけですよね。

 どんな年齢になっても、どれだけ年数が経ても新規制基準なりに適合しているかどうかを調べるんだということは、おっしゃることは分かるんですが、そうしますと、規制基準というのは、一般的な、いろいろな原子力発電所に適用されるものですよね、決して個別個別のためにオーダーメイドで作っているわけではありませんよね。ある程度の、六十年とか七十年とか、そういうことは全く捨象して、それぞれの人さえ見ていけば、人といいますか、施設さえ見ていけばいいのかとなりますと、やはり規制基準を作るというよりは、一個ずつの基準をずっと作っていかなきゃいけないとも思うんですけれども、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 運転期間については政策的に判断いただくべきものだと考えておりますが、いずれにいたしましても、運転期間がどういうふうになろうとも、我々は、高経年化した原子力発電所の安全性がきちっと担保できるように、規制基準に適合しているか否かをそれぞれの年ごとに判断する、そういう制度を新しく提案をさせていただきました。

野間委員 そういう言い方しかできないのかと思うんですが。

 資源エネルギー庁さんに聞きたいんですけれども、これは利用政策としてやっているんだということで、安全性の議論が、科学的根拠というのが、残念ながら、ずっと審議されていましたけれども、示されていないと思わざるを得ないんですけれども、どうなんでしょうか。非常にそこを国民は不安に思っています。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先般御審議いただき成立させていただきましたGX電源法の中で、原子力発電所の運転期間の話の改正というのが盛り込まれてございます。今回の措置というものは、GXの基本方針、昨今の国際情勢、エネルギーの情勢等々を踏まえまして、あわせて、令和二年の七月の原子力規制委員会の見解も踏まえた上で、原子力規制における運転期間というものを、利用と規制というのを分けて改めて整理したものでございます。

 新規制基準の適用ということについては規制委員会の方でしっかり見ていただくとすると、運転期間の、利用という観点からどうするか、確認はしっかり取れているという前提の上で、エネルギー政策としてどこまで使うかということについて申し上げれば、一方の考え方からいえば、欧米のように、期間は決めないということもいいのではないかという御議論も、経済産業省の審議会の中ではそういう御意見も多数ございました。一方で、立地地域の方々等からは、高経年化した炉の運転期間に制限を設けないということに対する不安の声、また、東電福島第一原子力発電所事故を踏まえて制限を設けた現行規定の趣旨を考慮すべきではないかという御意見、多々いろいろといただきました。

 そういう中で、様々な議論、御意見を勘案した上で、運転期間というものを最長で六十年に制限するという大きな枠組みは維持しつつ、震災以降の法制度の変更など、事業者から見て他律的な要素によって停止した期間に限ってそのカウントから除外することを認めるという案を今回策定し、御審議いただいたところでございまして、利用の立場から様々なことを考慮しつつ政策判断を行ったものでございます。

野間委員 時間が来たから終わりますけれども、本当は八十年でも百年でもいいんだ、しかし、諸般の事情、いろいろな感情を考慮してそうなった、ということは、これは一種の感情論で、科学的根拠が示されていない、納得的な論拠が示されていないということは非常に残念ですし、国民が納得していないということを指摘して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、今資料をお配りさせていただいておりますけれども、そちらの方で、まず、表裏になっておりまして、一枚目といいますか表側、原子力及び再エネに係る論点整理ということで、一から九ポツまで掲げておりまして、今日は、一から六、七ぐらい、若しくは八ぐらいまでです。

 その中で、福島第一原子力発電所事故における第一原子力発電所、第二原子力発電所の緊急対応の違いについて。並びに、二番、三番、こちらは原子力規制庁の問題点若しくはこれからの課題でございますが、これについては、実は明日、環境委員会で時間をいただいておりまして、環境委員会の方で質問させていただこうと思っております。

 実際に、先ほど来、規制委員会の問題若しくは審査の迅速化、こういった問題について、何が問題なのかなといういろいろな議論がございますけれども、簡単に言いますと、新規制基準への適合検査、審査のやり方、そしてバックフィット要求の明確化、またリスク論的な考え方の導入、こういったものが必要であろうということもあります。

 さらに、今、実際の審査の中で、単なる簡単な誤字脱字なのか、それとも本当に中身のある記載ミスなのか、そういったものを明確に分けながら審査の迅速化を行う。審査が、マスコミさんでは中断と言ったりしていますが、ここの部分は進んでいるよとか、そういったことを明らかに規制庁の方で言っていただきながら迅速化するということが再稼働を含めて大事なのかなと思っております。

 また、品質管理システムについて、各電力さん、メーカー、関連企業が取り扱っていらっしゃいますけれども、その負担というのが結構ございまして、そういったものを含めて、誤字脱字なのか、それとも書類の中身のミスなのか、そういったことも踏まえてしっかり審査を、安全側は、規制は厳しく、しかしながら迅速化をしていかなきゃいけない。これについては、規制庁の在り方についてを含めて、明日、環境委員会の方で質問させていただきたいと思っております。

 四番、五番におきましては、再稼働についての取組、電力側の対応若しくは関連企業の対応、そして、先ほど廃止措置のお話がございましたが、新増設を含めて廃止措置をどうすべきか。

 そして、国民の一番の関心事であります電気料金の問題でございます。この夏の電力の見通しはどうなのかな、需給の見通しはどうなのか、六月以降、電気代は上がるんじゃないか、それに対して政府がどう取り組んでいるのか。

 そして、再生可能エネルギーを今は最大限利用しようとしていますが、再生可能エネルギーを入れるに当たって、再エネ賦課金というものが電力料金の中に入っています、こういったものの動向。逆に、これをなくすべきじゃないか。

 また、今進んでいる電力の自由化、これによって電力会社の疲弊も実はあります。一方で、電力自由化を進めなきゃいけないと改革派はおっしゃいます。維新としても、電力自由化、あるべき姿、こういったものをしっかり見据えていかなきゃいけない。

 そういった中で、まずは電気代の問題というのを、国民の皆さんは、今、生活必需品もウクライナ情勢を踏まえて上がっています。国会議員自ら襟を正す、身を削る、身を切る改革を行わなきゃいけない。その一番は、微々たるものかもしれませんが、旧文通費、こういったものの公開。

 維新の方は、地方議員も含めて身を切る改革を、歳費、給与といったものの改革を進めておりますが、そういったものについても与野党でしっかりと前に進め、国民の皆さんに問うていきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 ちょっと前置きが長くなりましたけれども、福島原発の一F、二Fの緊急事態対応の違いについて、まず規制庁の方にお伺いしたいと思います。福島第二も、津波被害を受けて同様の事態に陥ってきました。ただし、二Fは過酷事故には至らなかった。初期の対応について人材面、設備面の側面からどう違っていたのか、まずは御説明をお願いいたします。

古金谷政府参考人 お答えいたします。

 二〇一一年の東京電力福島第一原子力発電所、それから福島第二原子力発電所の事故のそれぞれにおきまして、現場の作業員は初期の緊急時対応を行っています。委員御指摘の過酷事故に至るかどうかを分けた要因は、それぞれの設備面が大きいというふうに承知しております。

 具体的には、福島第一原子力発電所では、炉心溶融に至った直接的な原因は、津波によりまず長期間全ての交流電源が喪失して、それが元で原子炉を冷却する機能を失ったということと承知しております。

 一方、福島第二原子力発電所では、地震及び津波により非常用ディーゼル発電機や海水冷却系が被水しましたが、外部電源からの電源が供給されていたということもありますので、原子炉の水位が維持されていました。さらに、プラントの状態も監視可能であったということで、原子炉を制御可能な状態に置くことができ、高温停止を維持することができました。さらに、津波により被水した海水冷却系の電動機の交換など、復旧作業を行ったことによりまして、数日間で冷温停止状態に持っていくことができたというところが過酷事故に至らなかった要因として承知しております。

 以上です。

空本委員 ありがとうございます。

 福島第二原発については、おっしゃるとおり、外部電源が四系統中一系統生きていた、それを生かすことで運転制御する中操で実際に電気がついて確実な指揮、コントロールができたということは確かでございます。

 そのとおりだと思うんですが、外部電源の確保だけではなくて、実際、一系統だけ残った、それをどういうふうに扱ったか。また、その際、二Fでは熱交換器建屋の生き残った三号機の電源が一個ありまして、それを一号、二号、三号、四号の全部にそのとき振らなかった。逆に、一、二、四については九キロの敷設を、電源の仮設ケーブル、すごく重量の。

 資料の裏側に、カラーではないんですが、ございますが、三本のケーブル、下の方にございます。こういった電源ケーブルを、五センチぐらいの直径があるものを、一メーター五キロぐらいのものを人海戦術で敷設して、一号、二号、三号、四号の全部に電源を供給していったという人的な財産があったから今回は至らなかったというふうに私は考えているんです。

 実際、機材がそろうまでも、十二日、十三日。十三日にそろってから、三十時間ぐらいかけて総勢二百名ぐらいで敷いた。また、この太いケーブルをつなぐというのはなかなか、圧着の端子がありますけれども、それをつなぐ作業も、私も電気工事ができますのでやりますが、この太いやつをやるのは大変なんですね。

 こういう能力がある方がさてどこにいるかというと、実は、電力会社の社員の皆さんよりも協力会社の皆さんなんですね。ポイントのもう一点、こういった重い重機をユニックで玉掛けして下げますけれども、この作業をやったのも、電力会社の社員さんというよりも協力会社の皆さんの、高度な、熟練していただいた能力によってできたものです。

 これはもちろん、福島第一原子力発電所も、二号機のところの電源ケーブル、仮設を敷こうとしてやっていただきました。それも協力会社の方がいらっしゃったからできたことと思いますけれども、実際、ここの指揮監督が、中操に電気がついたということをもって全体を把握するのが簡単だった、そこが一号機との違いであることは確かでございますが、本当に協力会社の皆さんの力もあってできることで、この問題をしっかり理解しておかなきゃいけないかなと思っております。

 あと、もう一点、外部電源の大切さということでございます。

 実は、福島第一原子力発電所には六系統の回線があります。プラス、東北電力から東電原子力線がもう一本敷かれている。そちらは主幹の方が一回駄目になったと思いますが、十一日時点でこちらの方は受電が可能になったというふうな話もございました。ここを使っていればどうだったのかなということも思ったんですが、そこの途中のケーブルに不具合があるとか、電力さんの情報等によると、そこによっては逆に三十三メーターの高さから十メーターまで敷き直す、そこに人を、十一日の何も見えない状況のところに人をあてがえたかどうか、こういう現場の状況も知った上で考えなきゃいけない。しかしながら、外部電源があってよかった。

 皆さん、数年前に北海道胆振の地震がございましたけれども、あのときも外部電源喪失をしました。あれは、胆振の火力発電所が停止し、停止だけではないんですが、送電路の問題もあり、複合的に需給のバランスが崩れて不安定となり、電源が切れてというんですか、完全ブラックアウトしてしまった。そのときに、九時間半、泊原発も止まりましたという状況もあります。

 しかしながら、実際、泊原発の方は運転はしていなかったし、もし運転していても自分で復活できるといいますか、自分で電源を持っているし、所内で単独で運転するモードも持っているということで、そこの対応は安全であるということなんですが、この外部電源というものの、今、内部の特重とか施設の強化をやっていますが、外部電源の必要性、強化、こういったものも必要かなと思っております。そういった意味で、全体的に福島原発の事故の問題をもう一度皆さんと振り返りながら、再稼働に向けて安全性をどう高めるか考えていきたいなと思っております。

 再稼働に向けての取組についてお聞きしたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたが、限られた人材で、今、電力会社又は協力会社はなっていると思います。これが限界となって、先ほども申し上げましたが、書類の不備とか誤字脱字や数字の間違い、こういったものもありますが、人材が不足して、逆にボリュームのあるものを出さなきゃいけない。電力、メーカー、協力会社の人員確保は今どうなっているか、資源エネルギー庁としてどう捉えているか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、全体像といいますか、マクロな意味で申し上げますと、原子力産業協会の調査の数字でお答え申し上げますけれども、原子力発電所の運転、維持管理や安全対策工事等に従事する電力会社、メーカー及び協力企業等の人員の数で申し上げますと、震災前の二〇一〇年度が約三万二千九百人でございましたが、これが二〇二一年度は約三万一千五百人と、やや減少する形になってございます。ただ、実態を考えますと、委員今御指摘いただいておりますように、かなりやりくりしながら、産業界の皆様方は総力を挙げて再稼働に向けた取組というのを進めていらっしゃるというふうに認識してございます。

 先ほどの御指摘にございましたように、電力会社のみならず、プラントメーカーのみならず、協力会社の方々は、様々な、それぞれのノウハウ、技能を生かしながら力を合わせて前に進んでいくわけでございます。そういう意味でいいますと、今、最も対応していかなきゃいけないのは、原子力規制委員会における審査状況、審査対応というのがあるわけですし、それによって生じてきます安全対策工事に対して早期の稼働ということに向けて総力を挙げなければならないとなりますと、同じ人員だといたしましても、うまい形で社内の配置転換を行うなり、企業間の連携を行うなりで人繰りをして、何とか人員を確保して現場の対応をしているというのが現状だというふうに伺っております。

 産業界の方々からは、今後の人員確保を進めていく上でも事業の予見可能性を確保してほしい、そういう環境を整備してほしいという声も頂戴してございます。そういった御要望も踏まえまして、本年三月に、原子力発電所の保守管理等を担う協力企業も含めまして、原子力サプライチェーンプラットフォームというものを立ち上げました。この中で、研究開発や技能実習、技術、技能の承継など、人材育成、確保をサポートする支援メニューを展開していくわけですが、全国約四百社の関連企業を集めて一体となって取り組んでいけるような取組にしておりますし、これに対して国としてもできる限りの応援をしていきたいと考えてございます。

空本委員 是非よろしくお願いします。

 原子力の人材なんですが、実際に運転を、保守を体験しているというか、経験している方々が必要になります。ただし、動いていたプラントを実際に見て、触って、運転し、保守しという方々は四十代後半、五十代、まさに私の世代なんですが、私も東芝で、先ほど寿命延長、高経年化の話がありましたが、そういうものを含めて、例えばBWRプラントならシュラウド交換といって中の構造物を全て取り替えるというような、新品にするというようなこともやっておりました。実際にこうやったことがある方は、四十代後半がメインでございます。

 そういった中で、そういう実務経験がある方をこれからどういうふうに登用するのか。そういう方々に出てきていただきながら、また、六十代になってもうるさ型ではなくて実務者としてしっかり現場で働いていただくことも大事じゃないかなと思うんですが、エネ庁としてどうお考えか。お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、震災後、原子力発電所の停止期間が長期化しておりますものですから、これを再稼働するにいたしましても、同時にそれを保守管理していくにいたしましても、その御経験をお持ちの方々が徐々に年を重ねてこられていらっしゃるということから、その技能、技術の伝承という意味と、同時にそれを新しく学ぶ方々がしっかり出てきて育っていただくというための、いわゆる現場の技術、人材の維持強化というのは非常に重要な課題だと考えているところでございます。

 現状でいいますと、電力会社、プラントメーカーの中では、産業全体で運営します運転訓練センター、こういったものを活用した形での各社社員の共同で教育訓練をしていくですとか、原子力発電所の再稼働を先行した事業者と、これから行く事業者があります。そうすると、後行組といいますか後から行く方々は、先発隊といいますか先に進んだ方々のノウハウを生かす、そこにおいて学んでいただくというふうなことですとか、いろいろと工夫しながら、業界全体が一致団結して原子力発電所の安定的、安全な運転が実現できるような取組を進めていただいているように認識しています。

 また、OBの活用のようなことも非常に重要だと考えてございまして、現在、例えば退職された後に協力会社等で活躍されていらっしゃるOBの方々、こういう方の招聘というのも進められていると聞いております。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げた原子力サプライチェーンプラットフォームのような場も活用しながら、技能実習等の支援メニューの展開、同時に事業者相互の連携協力、こういったものに対しては国としてもしっかり応援していきたいと考えてございます。

空本委員 しっかりお願いいたします。

 先ほども、原発の廃止措置の話がございました。それと併せて新増設、リプレースをこれからどういうふうに進めていくのかということも大事かと思います。

 電気がこれからどんどん必要となる、電気供給。再稼働はこれから、柏崎、島根原発、女川原発、様々な原発で行っていくと聞いておりますけれども、まだまだ東京電力管内では電気が厳しいという話もございますので、それを早くするには再稼働、将来的にはリプレースを含めた新増設をどう進めていくかということになることです。

 そのときに、まずは、廃止措置を行っている東海原発、浜岡一号機、二号機、あと敦賀の一号機など、二〇三〇年前後、若しくは二〇三〇年後に廃止措置の最終段階、第四段階が完了されるという見込みでございますが、二〇三〇年代に入る前にある程度の措置を行う。

 浜岡原発の第一、第二号機、私も視察をさせていただきまして、中の奥の奥まで全部見させていただきました。かなりの部分で中の構造物は取り払ったりされておりますし、機器も梱包されたりしている。あとは放射性廃棄物になるかならないかというところでいろいろ措置をされておりますが、どうやって廃止措置を進めるべきか、加速させるべきか。まずは、資源エネルギー庁、原子力規制庁として、各々、利用の面と規制の面からお答えいただきたいと思います。お願いいたします。

松山政府参考人 まず、エネ庁の方からお答え申し上げます。

 現在二十四基の廃炉が決定してございますので、これが今後本格化していく中で、他方で、今、現状で申し上げますと、商用原子炉の廃止措置を完了した実績がなかなかないものですから、知見、ノウハウの蓄積をしていかなければならない。これを各事業者に展開していきながら、ノウハウを高めながら進めていく必要がある。結局は、造る方もそうでございますが、廃止措置の事業の方もノウハウ、知見、技能というのが非常に重要になってくると考えてございますので、これを集約化し、展開していくことが重要です。

 同時に、やはり国内のこれを実施するためのリソースには限界があるわけでございますので、これを適切に、効率的に、計画的に進めていく必要もあろうかと考えてございます。

 そうなってまいりますと、これを進めていく上で必要な措置に日本全体で取り組む、こういう観点で先般御審議いただき成立させていただきましたGX電源法の中で、再処理法というのを改正いたしまして、NuROの業務に、全国の廃炉の総合的な調整、廃炉に関する研究開発や設備調達等の共同実施などの業務を追加させていただき、NuROを中核として、廃炉に関する知見やノウハウの蓄積、同時に日本全体での廃炉の円滑な実施を進めるための仕組みを整備しているところでございまして、この法律の着実な施行とともに国としてもしっかりと応援していきたいと考えてございます。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 廃止措置をいつまでに完了させるかにつきましては、一義的には事業者が責任を持って決めるべきことであると思ってございます。

 しかしながら、原子力規制委員会といたしましては、リスク低減の観点から、廃止措置が着実に実施されていく必要があると考えてございます。

 このため、原子力規制委員会としては、原子力発電所の廃止措置に当たって、安全の確保が最優先であるということで、事業者の廃止措置計画について、申請に基づき、厳正に審査を行ってまいります。

空本委員 廃止措置について、規制の面から考えたときには、やはり放射性廃棄物の問題が一番です。

 先ほどもお話がありましたけれども、L1とか、クリアランス対象物についてどうするのかとか、低レベル放射性廃棄物をどうするか、廃棄物の減容化、こういったものをこれまで研究機関、メーカー、電力会社で研究を進めてきておりますが、放射化したものについてそれをいかに減容化するか、そういったものが大事になって、減容化しながらも最終的にどこに持っていくか、こういったことも大事かと思いますので、しっかりその辺も見ながらこれから私どもも深く審議をさせていただきたいと思うんですが、新増設、リプレースをするに当たって、これからもし廃止措置をしたら、その場所にするのが私は一番効率的だろうと思っています。

 というのは、新たな新規立地というのが、ほとんど、今、国民感情からして難しいと思います。そうなれば、一番地元住民の方々からも理解が得られる、安全性を高めた、新しい、革新的な炉ならばある程度許容いただけるというのは現存の発電所、そこに廃止をした後に置くことかなというふうに考えます。

 もう一点、小型炉とかという話もあるんですが、核セキュリティーの観点若しくは過去の建設の実績等を踏まえると、また許認可等を踏まえると、一基百万キロワット級ぐらいのレベルのプラントでなければ実際的ではないのかなと思いますが、その辺、資源エネルギー庁でどうお考えか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先般策定いたしましたGX実現に向けた基本方針の中で、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設について方針を定めてございます。その中では、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象とする、その他の開発、建設は、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等今後の状況を踏まえて検討していくことなどを定めているところでございまして、このように、次世代革新炉への建て替えにつきましては、これはもちろん地元の御理解ということが大前提になるわけでございますが、廃炉を決定した原子炉と同じサイト、敷地に含まれる適切な場所で建設するということを想定して方針を定めているところでございます。

 その上で、具体的にこれがいつ、どういうものになるのかということについては、まずは立地の方々の御理解ということが大前提になってくるわけでございますので、お答えとしてここで申し上げるのはなかなか難しいと考えてございますが、もちろん、どういう炉型になってくるかということは、技術開発の現実的なスピード感というものもあるものだと認識してございます。

 同時に、資源エネルギー庁の審議会で整理いたしました研究開発を進めていく上での目標時期、この中では、例えば革新軽水炉については、二〇三〇年代後半の運転開始が見込まれるという形でロードマップ上記載しているというところでございます。

空本委員 確かに、廃止する、リプレースする、場所的にはなかなかないのかなと思うんですが、新しく建設するに当たっては二十年以上かかる可能性がある。六十年延長になりましたので、ある程度の電力は確保できると見込めますけれども、六十年延長だけではなくて、ある程度、八十年延長を視野に入れながらの法改正が必要になるんじゃないかなと思っているんですが、原子力委員会としてどうお考えか、委員長、お願いいたします。

上坂参考人 それでは、お答えいたします。

 五月三十一日に、安全確保を大前提とした原子力発電の運転期間に関する法律の整備を含めたいわゆるGX脱炭素電源法が、参議院本会議で可決、成立いたしました。

 同法では、原子炉等規制法により、三十年を超えて運転をしようとする場合、十年以内ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行い、その結果に基づき原子力規制委員会の認可を受けること、電気事業法においては、運転期間を四十年とし、一定の要件を満たした場合に限り、二十年を基礎として、原子力事業者が予見し難い事由による停止期間を考慮した期間の延長を認めることとされている旨承知しております。

 私が委員長を務める原子力委員会においても、今後の原子力政策について、政府としての長期的な方向性を示す羅針盤となる原子力利用に関する基本的考え方の改定に当たって、約一年にわたり、五十名以上の有識者などからのヒアリングを含め、公開での議論を積み重ねてまいりました。

 その中で、運転期間の在り方につきましては、安全規制、原子力エネルギー利用の両面からの検討をすることが必要であり、運転期間は四十年、延長を認める期間は二十年との制限を設けた上で、原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めることとすべきである旨明記いたしました。

 この法改正は、基本的考え方も十分に踏まえ、政府が様々な検討を行った上で国会に提出し、国会での審議もしっかりと行われた上で成立したものと理解しており、まずは、今回の法改正の趣旨を踏まえ、国や原子力事業者を始めとする関係者が安全を最優先にしっかりと取り組んでいただくことが重要であると考えております。

 以上でございます。

空本委員 私自身は、八十年延長も含めた法改正、そういったものをしなきゃいけないのかな、逆に新規に立地するならばといいますか、今あるものとしては、青森の東通、大間も新しくなっていますし、島根三号機もありますので、そういったところを早く動かすことも大事かなと思っております。

 最後に、まとめてなんですが、この夏の各電力の電力需給について、見通しはいかがか。西エリアと関東エリアの需給、この違いがあると思います。関東の方が厳しいのではないかなと思います。その電力需給について。そして、六月以降の電力の高騰対策。九電、関電、中部電力を除く電力の値上げ申請がございましたが、高騰対策をどうしているのか。また、値上げをしなかった九電、関電はどういう背景でしなかったのか。まとめてお答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 この夏の電力需給の見通しでございますけれども、審議会の方で先般御審議いただき、まとめたところ、まず、十年に一度の厳しい暑さを想定した、一番厳しい状況での需要に対しまして、日本の全エリアで安定供給に最低限必要とされる予備率三%は確保できる状況となりました。様々な対策も講じたところでございますけれども。

 特に、現時点で考えますと、西日本エリアを中心におおむね一〇%程度の予備率は確保できておりますので、昨年に比べますとある程度対策については準備ができてきているというふうに認識しておりますが、一方で、今委員から御指摘がございましたが、東京エリアだけは七月の予備率が三・一%と厳しい見通しとなってございます。

 この要因でございますけれども、一つは、大きいのは供給面の方でございまして、新規電源が入り、計画外停止、昨年の福島地震の事故からの復旧等もあるわけでございますが、一方で、火力発電所の休止、減少状況というのは継続しているところでございます。また、西日本エリアに比べると原子力発電所の再稼働が進んでいないものですから、やはり供給力の弱さが東京電力については残されている。また、需要面で考えますと、昨年は非常に高需要になったところでございますので、この需要の伸びということが、想定需要の引上げということにより、なかなか甘い見通しはつくれないということになっているのが現状でございます。

 その上で、電気料金のお話でございますけれども、去る五月十九日に大手電力七社からの認可申請に対する認可が行われました。その過程においては、電力・ガス取引監視等委員会におきまして厳格かつ丁寧な審査が行われたところでございます。

 これで一定の、七社については値上がりがするわけでございますが、これに対しましては、今年一月から始まっております電気料金の負担増加を軽減する激変緩和措置として標準的な御家庭で月二千八百円の値引き支援を行っていること、また、二〇二三年度のFIT賦課金の低下分があるということ等々を考えますと、値上げ後の料金はほぼ全社でロシアのウクライナ侵攻前の時点を下回る数字となっておりますが、今後も料金の値上がりということに対しては注視していく必要があろうかと考えてございます。

 最後になりますけれども、九州電力、関西電力が値上げ申請をしていないことの理由でございます。これは経営判断なので推察するしかないわけでございますが、この両社とも原子力発電所の再稼働が進んでいる二社でございます。その意味で、燃料費の高騰というのが今回の値上げの大きな要因でございますので、その分の負担増がないということは、今回、料金申請のなかった背景として考え得る大きな要素ではないかと考えてございます。

空本委員 まとめてありがとうございます。

 いろいろ電気料金の高騰対策はするんですが、激変緩和措置で、標準的な家庭における電気料金の試算においては二千八百円します。これも税金若しくは電気料といったものから出されるものでありますので、私としては、後から八番、九番で掲げておりました再エネ賦課金とか電力の自由化、こういった問題と併せて明日の環境委員会で質問させていただく予定でございますけれども、国民に負担がないようにこういったものをしっかり考えていくべきではないかなということを申しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 原発の火災防護対象ケーブルの系統分離について、山中規制委員会委員長に質問いたします。

 この問題について、私は、去る五月十二日の本院経済産業委員会で山中委員長に、質疑の中で取り上げましたが、委員長、原子力規制庁は、現在稼働中かあるいは使用前検査中の原発について火災防護対象ケーブルの状況確認を行って、本年三月二十九日の原子力規制委員会に報告をしております。どのような報告か、端的にお願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 美浜三号機において判明いたしました、電動モーター等の発火源が存在する補助給水系統の設備の系統分離と、発火源がない場所にある電線管の系統分離が不十分であった問題を受けまして、稼働中の原子炉を保有する関西電力、九州電力及び四国電力が同様の不備の有無について調査を実施いたしました。

 事業者の調査の結果、電動モーター等の発火源が存在する場所において、系統分離が不十分であるような設備は確認されませんでした。

 一方、発火源がない場所にある電線管につきましては、関西電力大飯発電所三、四号機、高浜発電所一から四号機並びに九州電力玄海発電所三、四号機及び川内発電所一、二号機においても、美浜発電所三号機と同様に、認可を受けた設計及び工事の計画と整合しない箇所が判明しております。

笠井委員 関西電力と九州電力の原発で対策が取られていないケーブルというのは、規制庁の報告によれば、総延長十二キロにも及ぶわけであります。しかし、両社とも、工事完了までに相当の期間を要することから、その間、発火源周辺に可燃物を置かない等の措置を施すとして、規制委員会はその措置を認めている。果たしてそれでいいのかという問題です。

 そこで、伊方三号機ですが、その報告書を見ますと、該当する電線管がないことを確認したというふうにありますが、それは四国電力自らが検査した結果であります。伊方三号機の系統分離が必要なケーブルの総延長というのは何メートルになるのか、そして、原子力規制庁の検査官は、自ら現地でその系統分離を全て、総延長にわたって直接確認したのかどうか、その点はいかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 四国電力の伊方三号機は、電動モーターなどの発火源のない場所にある電線管も含めて火災影響評価を行った結果、いずれの火災防護区域で火災が発生した場合においても運転中の原子炉を停止できるよう火災防護対策を行っているとしており、事業者の調査の結果、他の発電所と同様の問題は確認されていないとの報告を受けております。

 事業者が実施しました調査結果については、規制庁の検査官が原子力規制検査により抜取りで現場確認等を実施し、特段の問題がないとの報告を受けております。

 なお、伊方三号機の火災防護対象ケーブルの総延長については、規制委員会としては承知しておりません。

笠井委員 今、抜取りにより、系統分離ができていることを検査官が確認をしたということですが、それは、安全上の重要度を踏まえてというような形でやったんですか。

山中政府特別補佐人 委員御指摘のとおり、安全上の重要度を踏まえて、検査官が抜取り検査を行っております。

笠井委員 その安全上の重要度とはどういうことかということなんですが、発火源周辺、そこに可燃物が置かれているか、いないかという点で、安全上の重要度ということになりますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 新規制基準適合性に係る使用前検査におきましては、重要度分類の指針クラス一の機器等、設工認の要目表に記載されております安全機能を有する主要な設備については、設工認との整合に関してより多くの規制資源を投入することといたしておりますけれども、これ以外の設備につきましては、事業者の工事記録を確認しますとともに、抜取りにより現場確認をすることといたしております。

 抜取りにおきましては、現場確認では、設備のリスク情報や現場の状況を踏まえまして、確認の対象を検査官が選定をしております。例えば、火災防護対策に関しましては、原子炉を停止する上で重要性が高い設備の近傍における系統分離対策等を選定しております。

笠井委員 そういった選定するということでいうと、それ以外の場所は、検査官は直接現場を確認していないということですね。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 安全上、火災防護の重要性に鑑みて、検査官は抜取り検査をしているということでございます。

笠井委員 基準から見て、なぜ規制庁の検査官が系統分離が必要なケーブルを全て確認しないんですか。

山中政府特別補佐人 安全上の重要度に応じて検査官が検査をすることで十分であるというふうに規制委員会は判断しております。

笠井委員 安全上の重要度というのは、どこか基準に書いてありますか。

山中政府特別補佐人 安全上の分類については、クラス一からクラス三、原子炉の異常を防止する、あるいは緩和する、そういった機能を持つ機器でございます、そういった分類は規定をされております。

笠井委員 おかしいと思うんですね。

 火災防護に係る審査基準というのは、系統分離は全てやっていなければならないというものであります。どこにその重要度に応じてというか、重要度を踏まえてということがあるのか、あるいは、発火源周辺に可燃物を置かなければいいなどと定めているんですか。

山中政府特別補佐人 火災防護の技術基準を満たしておれば、どのような方法でも火災防護が達成されていると規制委員会は判断しております。

笠井委員 ですから、その技術基準を満たしていればということでいうと、全てにわたってちゃんとなっているかどうか、系統分離がなっているかどうかというのが基準ということになっているわけですから、電力会社が使用する系統分離がなされていない火災防護対象ケーブルの、発火源周辺は可燃物を置かないとかという運用というのは、一体、火災防護審査基準と同等か、あるいはそれを上回る安全性が確保されているなどとそれで証明されているのか。証明されていないと思うんですよ。

 基準どおり系統分離がされていなければ、最悪の場合、炉心溶融に結びつく、これは経済産業委員会でもいろいろやり取りをして、山中委員長もそういうことになるということを認められましたが。

 この伊方三号機はもちろん、それ以外に稼働中若しくは使用前検査中の関西電力、九州電力の原発についても、発火源周辺だけでなくて、それ以外でいうと、全長十二キロにわたる該当の火災防護対象ケーブルを全て規制庁の検査官がやはり私は現地で直接確認すべきだというふうに思うんですよ。これは基準から見て当然だ。

 それが本当にちゃんと全部なされていなかったら、最悪の場合はメルトダウンになっちゃう。いろいろなことを何回やっても、最悪になったら、その先はそうなりますよということも言われたわけですから、そういうことをしっかりとやるのが規制委員会の仕事じゃないかと思うんですが、委員長、いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉施設が規制基準に適合するよう施工することは、一義的に事業者の責任でございます。原子力規制委員会としては、特に安全に関わるところに重点を置いて、検査に関する資源配分を配慮して、着実に監視していくことが重要であると考えております。

 このような考え方に基づき、新規制基準適合性に係る使用前検査の進め方については、平成二十七年三月十一日の規制委員会において、安全上の重要度に応じた検査を実施することを定めております。

笠井委員 今、くしくも言われたんですが、検査に対する資源配分を配慮してということになると、検査する人員についても、あるいはその人員に伴う能力についても限界があるから、それを配慮して抜取りをしてやるということになったら、本当に規制委員会としての仕事は果たせるのかということになりますよね。だって、あの福島の東京電力第一原発の事故があったわけですから、だからこそ、その中で規制委員会ができて、そして厳格な規制基準を設けられて、それにのっとってやる。だから、政府は原発を進めていいんだみたいな話をやっているわけですけれども、その前提自体が問われてくると思うんです。

 二〇一五年三月十一日に、規制委員会は、「実用発電用原子炉施設に係る工事計画認可後の使用前検査の進め方について」という方針を決定されました。その最後の部分で、使用前検査合格後に技術基準に違反することが判明した場合の対応についてはどのように記載されているでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 平成二十七年三月十一日の原子力規制委員会において了承された規制庁からの報告では、使用前検査合格後に技術基準に違反することが判明した場合には、違反の内容及び程度、施設の状況等を踏まえまして、法第四十三条の三の二十三第一項に基づく実用発電用原子炉施設の使用の停止等、保安のために必要な措置を命ずること等により対処するとしております。

笠井委員 かなり厳しいことを言っているわけですね。つまり、停止を命ずることができるということですが、使用の停止等を求めることができる。そして、その前提が、技術基準に違反することが判明した場合ということですが、その技術基準に違反することが判明するということは、つまり、この問題でいえば、全ての系統分離についてちゃんと確認しなかったら、それは本当にあるかもしれない問題が見逃されているということになって、それが本当にあった場合に、本当は運転停止を求めるというくらいの規定になっているのに、それがなされないことになります。

 この法第四十三条の三の二十三第一項の法というのは原子炉等規制法のことでありますが、規制委員会として、使用前検査合格後に技術基準に違反することが判明した場合には、原発の運転の停止を命ずる等となっている。

 火災防護対象ケーブルというのは火災防護審査基準に定義があって、原子炉の高温停止又は低温停止に影響を及ぼす可能性のある機器を駆動若しくは制御するケーブルというふうにされています。つまり、原子炉の冷却を保つための重要な機器へ電気を送る非常に重要な役目を持っている。

 PWRの原発で設工認どおり施工をされていないものがあれば、これは早急に是正させるために運転停止を命じるべきじゃないかと思うんだけれども、その点はいかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回判明した事案につきましては、電線管内のケーブルは火災が発生しても自己消火をする、電動モーターなどの火災が発生した場合には、感知自動消火設備により火災感知及び消火が可能であること、持込み可燃物については火災防止のための管理を行っていること、事業者が、設備対策と同等水準の安全性を確保できるよう、対象の電線管の周囲に可燃物を配置しない等の運用を組み合わせた処置を徹底するとしていることなどを踏まえますと、火災により原子炉を停止する機能が損なわれる可能性は極めて小さいことから、法令に基づく施設の使用の停止等を求める必要はないものと考えております。

 今後、事業者の是正処理の状況について、原子力規制検査の中でしっかりと継続的に監視してまいります。

笠井委員 同等水準以上の措置を取っていれば大変なことが起こる可能性は極めて小さいということになっていくと、じゃ、何のために基準を作っているのかとなります、同等水準以上とかという話になったら。

 基準に対して厳格にやるのが規制委員会の仕事だと思うんですよ。それを、同等水準やっていれば大変なことになる可能性は極めて小さいと。でも、可能性はあるわけですよね。こんなことをやっていたら、本当に規制委員会の仕事、役割は果たせないと思います。

 五月十二日の経済産業委員会の質問では、西日本の原発についてただしたわけでありますが、東日本には、まだ再稼働はしていないけれども、設工認、つまり、設計及び工事計画の認可を受けたBWRの原発があります。日本原電の東海第二、東京電力の柏崎刈羽の七号機、それから東北電力の女川二号機の三基でありますが、規制委員会は、これらの火災防護対象ケーブルについて、審査基準どおり施工されているか、調査あるいは検査を行っているんでしょうか。行っていれば、その結果はどうでしょう。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回判明いたしました火災防護対策の不備は、新規制基準において規制要求が強化された項目に関係するものでございます。設工認を受けたBWRを含めまして、現在、新規制基準に適合するための対策工事を行っております原子炉においては、事業者により状況確認及び必要に応じて是正措置がなされるものと承知しております。

 原子力規制委員会としては、他の発電用原子炉施設においても、火災防護対策を含め新規制基準の要求事項が適切に反映されていることについて、今後、使用前検査等において確認を行っていく予定でございます。

笠井委員 未確認ということで、どうなっているか分からないというふうなことだと思うんですよ。

 火災防護という目的や機能から見て、BWRについても急ぎ事業者に調査、報告させるか、あるいは規制委員会が検査して確認すべきだ、原子力規制委員会は、規制基準に厳格にのっとって、そして、規制基準への適合が判断できなければ直ちに原子炉の停止を命ずるべきだ、これが本当に事故の教訓だ、このことを強く求めて、私の質問を終わります。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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