衆議院

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第1号 令和5年3月16日(木曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  内閣委員会

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    小田原 潔君

      尾崎 正直君    大野敬太郎君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      中川 郁子君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    細田 健一君

      牧島かれん君    松本  尚君

      中谷 一馬君    太  栄志君

      本庄 知史君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    岩谷 良平君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    福島 伸享君

      大石あきこ君

  厚生労働委員会

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小林 鷹之君    高村 正大君

      新谷 正義君    高階恵美子君

      土田  慎君    橋本  岳君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       後藤 茂之君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室次長)           柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        菊池 善信君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        小池 信之君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        田中 仁志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 的井 宏樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    宮浦 浩司君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより内閣委員会厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本田太郎君。

本田委員 おはようございます。自民党の本田太郎でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、内閣感染症危機管理統括庁の設置についてお尋ねをいたします。

 新型コロナウイルス感染症への対応については、基本的な感染対策のうち、マスク着用は、三月十三日から個人の主体的な選択を尊重して、個人の判断に委ねられることになりました。

 また、五月八日からは新型コロナの感染症法上の位置づけが五類感染症に変更され、医療提供体制が、行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくということになります。

 三年以上続いたコロナ禍が徐々に通常生活に戻りつつあるということはとても喜ばしいことでありますし、国民の皆様はもとより、医療関係者を始めコロナ対応に尽力してこられた全ての関係者の皆様に感謝を申し上げたいと存じます。

 他方で、三年以上にわたるコロナ対応においては、様々な問題点も浮き彫りになりました。マスコミ等でも報じられ、多くの国民の皆さんも自身のコロナ対応の中で実感されたことと思います。

 例えば、新型コロナの検査体制が十分ではなかった、コロナ病床の確保が困難であった、専門家と政府との関係が曖昧であった、政府の意思決定プロセスが国民から見えにくかった、ワクチン接種などの際にデジタル化の遅れも露呈したなど、様々ございます。私たち全ての者にとって新型コロナが未知のウイルスであったから、今から思えば、ああすればよかった、こうすればよかったという点があるのは致し方なかったと思いますが、他方で、危機に備えて万全の準備ができていたのかというと、不十分であった点もあったかと思います。

 こうした反省もある中で、この度、内閣感染症危機管理統括庁を設置するための法案が提出されているわけでありますが、政府として、統括庁を設置する背景、すなわちどういった課題があったのかをお尋ねいたします。

後藤国務大臣 昨年五月から六月にかけて開催された新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議においては、様々な検証が行われましたけれども、その中において、一元的に感染対策を指揮する司令塔機能を整備することが必要との指摘がなされたところです。

 今回の法改正では、設置される内閣感染症危機管理統括庁は、このような感染症危機対応における司令塔機能を担うものでありまして、具体的には、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応、政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一貫して統括庁に集約して、意思決定を一元化、迅速化するとともに、厚生労働省との一体的対応を確保しつつ、新たに専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構の質の高い科学的知見を踏まえて感染症危機に対応することといたしております。

 統括庁が司令塔機能を発揮することを通じて、国民の生命、健康の保護と社会経済活動の両立を図りながら、次なる感染症危機に迅速的確に対応することが可能になるものと考えております。

本田委員 答弁ありがとうございます。答弁をお聞きいたしまして、内閣感染症危機管理統括庁の設置に対して期待をしていきたい、このように思います。

 そして、今後、感染症等の疾患に関して疫学調査から臨床研究までを総合的に実施して科学的知見を提供できる体制の強化を図るために、新たに、先ほど言及がありましたとおり、国立健康危機管理研究機構を設立するということが検討されていますが、この研究機構が設立された場合、内閣感染症危機管理統括庁、これとの関係はどのようになるのでしょうか。また、研究機構と統括庁が連携することによって、統括庁にはどのような効果、よい面が出てくるのでしょうか。お尋ねをいたします。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 感染症危機管理における科学的知見の活用というところがポイントであろうと思います。

 内閣感染症危機管理統括庁及び国立健康危機管理研究機構は、まず、統括庁が、政府全体の見地から、各省から一段高い立場で感染症危機管理を行うに当たりまして、機構に対して必要な科学的知見の提供を求め、機構はそれを受けて平時から迅速に質の高い科学的知見を提供し、これに基づきまして統括庁において政策決定を行う、こういう枠組みを構築することといたしております。

 具体的に申し上げますと、例えば、有事におきましては、機構が内外の感染症の発生状況等の情報を収集し、感染リスクの分析、取りまとめを行って統括庁に直接提供をし、また、ウイルスの性状を踏まえた適切な水際対策や感染拡大防止対策を迅速に決定をするということになります。

 また、平時におきましても、統括庁などが示す方針に沿って、機構におきまして感染対策に必要な技術の研究開発や実用化などを進め、統括庁などが、その実施状況を踏まえつつ科学的根拠に基づいて有事への備えを充実する。

 これらのことなどによりまして、研究機構の科学的知見を活用して感染症危機管理に取り組むことが可能になるものと考えてございます。

 さらに、内閣感染症危機管理対策官である厚労省の医務技監を結節点といたしまして、厚労省や機構との一体性を確保することといたしておりまして、科学的知見や医療現場の実態も踏まえつつ総合的な感染症危機管理を推進することが、これらの取組を通じて可能になるものと考えております。

本田委員 ありがとうございます。

 研究機構で得られた知見をうまく統括庁の方で政策決定に生かしていくということかと思います。その連携を期待を申し上げます。

 次に、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正についてお尋ねをいたします。

 今回の提出法案には、内閣感染症危機管理統括庁を設置するための内閣法改正のほか、新型インフル等特措法の改正がございます。

 改正の内容として、地方公共団体の事務の代行について、代行の要請の時期や対象事務を拡大すること、また、新型インフルエンザ等対策に係る費用について、地方公共団体に対する国庫補助率のかさ上げや、地方債発行の規定を設けることなど、大変に評価ができる内容になっていると思います。

 そこで、この度の新型インフル等特措法の改正の目的、そして意気込みなどあれば、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 昨年五月から六月にかけて開催された新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議におきまして、初動期等において、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要である、感染が著しく拡大した場合も、行政機関の機能を維持できる仕組みづくりが必要という指摘がなされたところであります。

 今回の法改正は、このような新型コロナウイルス感染症への対応の課題を踏まえ、第一には、今委員からも御指摘がありましたけれども、政府対策本部長の指示権について、政府対策本部が設置されたときから行うことができるように発動可能時期を前倒しするとともに、地方公共団体の事務の代行等について、感染症法に基づく事務を対象にするとともに、政府対策本部が設置されたときから行うことができるよう、対象事務、それから要請可能時期、両者を拡大するなど、感染症の発生及び蔓延の初期段階から国と地方が一体となって迅速かつ的確な措置を講ずるための仕組み等を整備するものでありまして、次の感染症危機への備えに万全を期すことを目指すものであります。

本田委員 ありがとうございます。

 今お聞きしました特措法の改正の目的、非常に重要だと思います。早い段階から対策が取れるようにする、初動を大事に、今後、新たな感染症に対応していかなければならない、私もそのように考えております。

 そうであるとしましても、新型インフルエンザ等特措法第二十条の三項によりますと、新型インフルエンザ等対策本部長は、新型インフルエンザ等の蔓延により、国民生活や国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、所要の措置が実施されない場合であって、特に必要があると認めるときは、都道府県の知事等に対して必要な指示をできる、このように規定をされております。

 しかし、この指示が、どういう場面で出すことができるのか、また、指示を出した場合の効果をどのように見込んでおられるのか、この辺が若干分かりにくい状況でありますので、お尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

柳樂政府参考人 昨年六月の新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議報告書でも指摘がなされましたように、緊急事態宣言又は蔓延防止等重点措置の公示がされていない感染初期段階においても、政府と都道府県との間で調整が難航した事例があったところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、感染症対応の初動期から政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みを整備するために、政府対策本部長、内閣総理大臣でございますが、この政府対策本部長が都道府県知事等に対して行う指示権について、政府対策本部が設置されたときから、蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言時じゃなくても行うことを可能とするものでございます。

 お尋ねの、どのような場合で行使できるかということにつきましては、法律上要件を定めておりまして、一つは、新型インフルエンザ等の蔓延により、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、二つ目として、総合調整を事前に行うことになります、その総合調整に基づく所要の措置が実施されない場合であって、さらに、三つ目として、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるとき、四つ目として、その必要な限度において指示を行うことができる、こういうふうに定められているものでございます。

 お尋ねのどのような効果ということでございますが、この措置の拡大によりまして、政府対策本部長が感染対策の初動期から素早く対策を行うことができ、早期に感染拡大を抑える効果的な措置を取ることができるようになる、こういうことを通じまして、国、地方が一体となって感染症危機に迅速的確に対応できるようになるものと考えてございます。

本田委員 ありがとうございます。

 今答弁にありましたように、指示権が行使されると、初動がしっかりとできて、よい効果が生まれるということは分かりました。

 他方で、指示権を行使しましても、都道府県知事等がしっかりとそれに従うということが担保されないと、なかなかこの指示権の、せっかく出しても効果が出ないわけでありますから、この指示をしっかり都道府県知事等が守ってくれるというか、その指示に従ってくれるように、日頃からのコミュニケーションですとか意思疎通をしっかり取っておくことが重要かと思います。強制力が規定されているわけではないので、なおのこと、そういった日々の理解増進というものが大事になってくると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次の質問に入ります。

 新型インフルエンザ等対策特別措置法の第三十一条の六第三項によりますと、蔓延防止等重点措置のとき及び緊急事態宣言のときに、事業者が都道府県知事から、例えば営業時間の変更等の要請を受けたにもかかわらず、正当な理由がないのに応じないときには、都道府県知事は、インフルエンザ等の蔓延を防止するため、政令で定める事項を勘案して特に必要があると認めるときに限り、当該要請に係る措置を講ずべきことを命じることができると規定をされています。

 都道府県知事による要請を実効性あらしめるために、このような改正は必要であるとは思いますけれども、他方で、あくまで要請にすぎないにもかかわらず、事業者が応じなければ次は命令を受けるという作りになっているわけでありますから、事業者の権利を不当に制限することがないように、疑念を払拭する意味でも、ここに規定されている政令に委任される事項の具体的な内容をお尋ねしたいと存じます。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の規定は、昨年五月から六月にかけて開催されました新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議におきまして、都道府県の特措法に基づく措置について、訴訟事案も踏まえれば、個々の事例についての判断がより迅速的確に行えるよう、国が適切な運用の在り方について基準や指針を示すことが重要であるとの指摘を受けたことなどを踏まえまして、事業者に対して都道府県知事が命令を発出する際の判断に係る勘案事項を政令で規定するための委任規定を設けるものでございます。

 政令に規定する具体的な勘案事項の内容というお尋ねでございますが、これにつきまして、同種の施設、業態において新型インフルエンザ等の患者が多数発生していることなどを想定しておりまして、これまで都道府県などに対して事務連絡でお示ししてきた内容などを基に、施行までの間に具体化してまいりたい、このように考えてございます。

本田委員 ありがとうございます。

 今おっしゃった政令事項なんですけれども、できるだけ早く政令で内容を示すということが大事かと思います。事業者の立場からすると、やはりどういったことが問題になってきて、我々はどういう負担を負わなきゃいけないんじゃないかということが一番気になっているところでありますので、その政令事項をできるだけ早めに、しかも、できるだけ具体的に明示をしていただけますと、新しい感染症が発生したときにも、事業者の皆さんも予見可能性を持って対応ができますし、また、感染症を防ぐという大きな視点からしても、国民皆様の理解と協力が得やすくなると思いますので、その点、御留意をいただいて、政令事項を決定していっていただきたい、このように思います。

 私からは、質問は以上であります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、土田慎君。

土田委員 おはようございます。自由民主党の土田慎でございます。

 本日は、合同審査会において私に質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日、質問させていただくのは、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案についてでございますけれども、先週から内閣委員会においては審議が始まっておりました。

 その中で、我が党の危機管理対策のスペシャリストである松本尚委員からも質問があったと思います。その中で、要点が三つあったと思います。一つは、まさに、組織図を明確化しましょう、どういう意思伝達プロセスがあるのか、指揮命令系統をシンプルにしましょうという話でございました。二点目は、責任の所在を明確化しましょうという話です。そして三点目は、情報発信の発信元を一つにしましょうという話でございました。

 今日は、私も、この三点をしっかり念頭に置いた上で、大きく二点ほど質問をさせていただこうと思っております。一点目が、いわゆる緊急事態、感染症の危機事態における内閣官房の組織であったりだとかオペレーションの話、そして二点目が、危機に対応するために地方債が発行しやすくなっておりますけれども、その起債の流れについて質問させていただきたいと思います。

 最初の、内閣官房の組織体制、運用、オペレーションの話でございますけれども、一般的に、感染症に限らず、何か有事、事態に陥ったときは、当然、最終最後の決定権、命令を出す最終的な責任者は内閣総理大臣になるわけでございますが、その下にまさに女房役として官房長官がいらっしゃる。さらに、その官房長官の直属の部下として内閣危機管理監がいらっしゃって、国防以外の有事に対応する役割なんだというふうに認識をしております。

 そんな中で、今回、感染症の事態、有事が生じたときは、統括庁において内閣感染症危機管理監が、官房副長官の充て職でございますけれども、指揮を執るようになるんだと思います。何か感染症以外の危機、感染症かどうか分からないけれども何か危機が生じたとき、まだ原因が何なのか分からないときは、官房長官の下で内閣危機管理監が指揮を執る。そして、それがどうやら感染症のようだというふうに分かってくると、内閣感染症危機管理監が官房長官の下で指揮を執るように変わるわけでございます。

 質問でございますけれども、松本委員からの質問の中にも一部あったんですが、役所からの回答が分かりづらい部分もあったので改めてお伺いさせていただきますけれども、内閣危機管理監から内閣感染症危機管理監に権限、指揮権が移行されるプロセスとそのタイミングについて、改めて教えてください。

柳樂政府参考人 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症の発生及び蔓延の防止に関する総合調整事務を所掌するというものでございまして、感染症の発生及び蔓延の防止に関して政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合には統括庁が総合調整を担う、これが法律上の整理ということでございます。

 お尋ねのような事態となり、事態発生当初は内閣危機管理監、事態室が対応していたところを、事態が推移するにつれて感染症危機であると次第に認められるようになってきた事態、こういうお尋ねだろうと思いますが、こういった場合においても、統括庁において、感染症の蔓延の防止という観点で必要な対応を行っていくということになりますが、お尋ねのそのタイミングあるいはプロセスという点で申しますと、お尋ねのような事態が、それぞれ個別具体の事態の態様によって非常に様々であると考えられますので、一概にこういうタイミング、こういうプロセスというふうにお答えを申し上げることは困難でございますが、統括庁と内閣危機管理監がいずれにしても連携してしっかり対応できますよう、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

土田委員 ありがとうございました。

 これは結構実は大変大事な論点だと思っています。今おっしゃっていただいたように、確かに、状況によっていろいろ、権限移行するタイミングだったりだとか、違うというのは、おっしゃるとおりなんだと思っています。逆に、かちかちに決めちゃって、そこに縛られてしまうとよくないんだと思うので、ある意味幅を持たせておくというのは非常に大事だとは思っています。

 一方で、後ほど触れさせていただきますけれども、何か事態に陥ったときに、平時は専従の職員の方が統括庁には三十八名いる予定でございますけれども、最終的には各役所から幹部職員なんかも併任という形で関わってきて、結局三百人ぐらいの組織になるわけでございますが、急に現場の指揮官が替わると、やはり混乱する、ただでさえ混乱している中で、余計混乱が増してしまうんだと思っています。

 例えばですけれども、今まで内閣危機管理監の方にいろいろ情報を上げていたところが、指揮官が感染症危機管理監に替わったときに、往々として想像できるのが、内閣危機管理監にも情報を上げて、内閣感染症危機管理監にも情報を上げるみたいな、いわゆる相談しないといけない相手が二人に増えるとかということも容易に想像できます。

 確かに、どのタイミングで権限を移行しないといけないとかというのは、先ほども申し上げたとおり、決める必要はないというか、逆に決め過ぎると自分の足を縛ってしまうような形になりかねません。けれども、一方で、こういうプロセスを経たら明確に指揮権限が替わるから、もうこっちの、内閣感染症危機管理監の顔だけ見ていればいい、従来の内閣危機管理監の方に情報を上げなくてもいいというような、上げなくてもいいと言うとちょっと極端ですが、というような明確なオペレーションのマニュアルというか、事態を想定した訓練をしっかりしておくべきだと思いますので、これは私から重い要望としてお願いをさせていただきます。

 今度は、内閣法の改正案の組織図の話でございます。

 今日はわざわざ資料は出していませんけれども、今日ここにいらっしゃる委員の皆さん、大体、役所から説明を受けるときに、内閣法改正案についてのその後の内閣の組織図、もらっていると思います。

 これを見てみると、非常にステークホルダーというか、関係する組織が多いんです。例えば、当然、統括庁は入ります。内閣危機管理監も、組織というか役職として当然関わってきます。また、再来年度設立予定でございます日本版CDC、厚生労働省、新型インフルエンザ等対策推進会議、それだけじゃなくて、各地方自治体、また公共機関であったりだとか指定行政機関も関わってくるところです。

 これは多分、恐らくどの組織も、発信者、要は広報官のような存在の人がいて、かつ、その組織に常に視線を向けているマスコミの皆さんなんかもいるんだと思います。けれども、有事であればあるほどしっかりと一体的に情報発信をしないといけないという中で、どうやって統括庁としてその辺のマネージをしていくのか、教えてください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 感染症危機におけます情報発信についてのお尋ねでございます。

 感染症危機におきましては、やはり、情報が錯綜して国民に不安をもたらす、こういったことがあってはならないというふうに思っております。御指摘のありましたように、一体的に情報発信がなされて、国民が混乱することなく冷静な行動が取れるようにする、こういったことは重要であるというふうに思っております。

 このため、内閣感染症危機管理統括庁におきましては、厚生労働省等、関係省庁とも十分連携をいたしまして、情報発信に係る一定の政府方針をあらかじめ定めて、科学的知見に基づいた正確な情報が分かりやすく発信される、こういったようになりますように各府省に徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

 一体的な情報発信を実施するための方策でありますとか、あるいは統括庁の体制等、こういったことについては更に検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

土田委員 ありがとうございます。

 本当の意味で発信元を統一する、一体的運用をしていくには、やはり、口が違えば、同じことを伝えるつもりでもニュアンスとかいろいろ変わってきますから、組織的にしっかりと、平時から体制を整えておくというのが非常に大事だと思っています。

 ちょっと今のとも関連してくるんですけれども、今回、この内閣法改正案に当たって、統括庁関係の組織図の中で、関係する専門家の皆さんがいらっしゃる組織というのがいろいろあるんですが、大きくメインとなるものが二つあって、それが、先ほど申し上げた、今度設立予定でございます日本版CDC、もう一つが新型インフルエンザ等対策推進会議、大きくこの二つがあると思っています。

 これは、専門家の皆さんであるといっても、必ず行き着く解が一つではないんだと思っています。例えば、何かの感染症のときに、飛沫感染のリスクは少ないから手指消毒だけでマスクはしなくてもいいよという結論に行き着く専門家集団の方もいらっしゃれば、確率が低いとはいっても飛沫感染するリスクはゼロじゃないからマスクはしましょうねというような解に行き着く方々もいらっしゃるんだと思います。

 そこで質問なんですけれども、先ほど申し上げた二組織における、役割であったりだとか、かつ、情報発信の仕方というか、政府のコミットの仕方も含めて教えていただければと思います。

菊池政府参考人 まず、国立健康危機管理研究機構と新型インフルエンザ等対策推進会議の役割でございますけれども、国立健康危機管理研究機構は、政策決定に必要な科学的知見についての調査研究をまず行うとともに、政府対策本部に参加をしていただいて、そこで意見を述べることによって統括庁等の政策決定につなげていくという役割を担う専門家組織であります。

 一方で、新型インフルエンザ等対策推進会議は、感染症の専門家や医療関係者のみならず、経済、法律といった様々な分野の専門家や学識経験者で構成をされまして、政府が政策を決定する際に必要な助言を行っていただく会議体でございます。

 感染症危機におきましては、政府は、統括庁の司令塔機能の下、政策立案に必要な科学的知見の提供を国立健康危機管理研究機構から受ける、それを基に政策案を作りまして、今度は、その政策案について、助言組織であります推進会議等から意見を伺った上で決定して対策を講じていくという流れになってございます。

土田委員 ありがとうございます。

 この二組織がしっかり統括庁と連携していくというのが大事ですけれども、ただ、やはり、この二組織の意見とか発信というのをしっかり調整をしていくというのは大事なんだと思います。新聞のように、A社によってはこういうことを言っているし、B社によっては全然逆のことを言っているみたいな感じに国民の皆さんに映ってしまっても困りますから、これは、統制するとかそういう意味じゃなくて、しっかり混乱を招かないように調整することが統括庁に求められるんだと思いますので、そこも改めてよろしくお願いいたします。

 先ほど冒頭ちょっとだけ触れた、職員の皆さんの組織のことに関して質問させていただきますが、統括庁には平時で三十八名、有事で百一名の職員の皆さんがコミットする予定でございますが、平時におけるこの三十八名の方々の役割であったりだとか職務内容、業務内容について教えてください。

柳樂政府参考人 内閣感染症危機管理統括庁におきましては、平時の業務として、計画や訓練等の内容を充実させ、それらが有事に機能するよう点検、改善を行う、いわゆるPDCAサイクルを強化することとしておりまして、これらの業務に必要な定員として三十八人を確保いたしております。

 具体的な業務の内容ということでございますが、まず、平時における備えの計画である政府行動計画の内容の充実、また、その政府行動計画に基づく充実した訓練の実施、計画の内容が有事に有効に機能するかをチェックし、改善点などを計画内容に反映する、こういった取組が一つございます。

 それから、次に、地方公共団体や指定公共機関を含めて、有事への備えを底上げするための都道府県行動計画や、業務計画、これは指定公共機関が作成するものでございますが、それらの計画についての助言などの実施、また、これらの団体が行う訓練についての技術的な支援や、優良事例の横展開の実施。それから、三つ目に、感染症危機管理に係る対策の重要性について、国民の理解と関心を深めるための普及啓発。それから、最後に、厚生労働省に新たに設置されます感染症対策部、それから、新たな専門家組織として設置されます国立健康危機管理研究機構と連携をして、感染症危機管理に係る科学的知見の収集、また、これらを踏まえた政策立案。これらに平時から取り組むことといたしております。

土田委員 ありがとうございます。

 この平時から統括庁で勤務される三十八人の方というのは、ある意味一番全体像が見えるようになっていて、かつ、何か事態を想定して、訓練、これからいろいろ訓練も含めて計画を練っていくんでしょうけれども、訓練が一番されている状態になるんだと思います。かつ、この三十八人の方というのは恐らく各省から出向してくる方々なんだと思いますが、有事、何か事態に陥ったときに、各省の幹部の皆さんが併任という形で、統括庁も併任して、全体が三百人ぐらいの組織になるということです。

 今日来ていただいている各役所の偉い方々にこんなことを言うのも大変失礼な話なのかもしれないですけれども、日頃しっかり三十八人の人たちが訓練であったり全体像を想定している中で、急に各省の偉い人たちがどっと来ても、結構、多分困るんだと思います。恐らく、各省においても、上司の皆さんが急に組織に新たに、新参者と言ったら失礼かもしれないですけれども、加わってきて、いろいろ指示が飛び交っても、逆に現場が混乱してしまうんじゃないかなというふうに思います。

 私が何を申し上げたいかというと、この日頃から一番訓練して全体像が見えている人たちが、何か事態に陥ったときに働きやすいように、いろいろ意思決定しやすいように、霞が関全体でバックアップしていくという体制構築が必要なんだと思っています。

 最後の質問になりますけれども、統括庁併任の各省幹部職員を含めた三百人規模の職員の組織体制であったりだとか運営方法について、最後、教えてください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 統括庁におきましては、先ほど答弁をいたしましたように、平時には三十八名の専従職員、それから、有事におきましては、専従職員百一人、各省の幹部職員を二百人規模で統括庁に併任をする、こういった体制でしっかり司令塔機能を果たしていこうというふうに思っております。

 先ほどお話のありました各省幹部の併任職員でございますけれども、併任職員につきましては、対策本部長の指揮命令下におきまして、感染症対策における時々の政策課題に応じまして統括庁の業務に参画をしていただく、例えば基本的対処方針の策定に関わる、こういったことを行っていただくのと同時に、まさに併任の本務がありますけれども、本務についても、基本的対処方針などに沿って、政府の方針に沿ってしっかり感染症対策を実施していただく、こういったミッションがあろうというふうに思っております。

 先生からも御指摘がありましたように、いきなり来て、さあ緊急事態に対応しようといっても、なかなかうまくいきません。あらかじめ、参集する者につきましては、リスト化などした上で、誰が参集者になるかというのをあらかじめ決めまして、その者に対しては研修や訓練をしっかり実施をしていくということで、急に参集があっても対応できるようにというような運用をしていきたいというふうに思っております。

土田委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

大西委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 二〇二〇年一月から我が国を襲った新型コロナ感染症が、三年四か月を経て、五月八日には五類相当に変更される見通しとなり、今週月曜日、十三日からはマスクの着用も個人の判断となりました。翌三月十四日には史上一位タイの早さで東京ではソメイヨシノの開花があり、今年はマスクなしのお花見風景が四年ぶりに見られるかもしれない。ようやくウィズコロナ、アフターコロナの段階に入ります。

 感染当初のことを思い返すと、まさかこんな長い年月をコロナ禍で過ごすことになるとは、ほとんどの人もそうだったのではないかと思いますが、私自身は想像もしておりませんでした。

 その後、急激な速度でパンデミックが起こり、我が国においても七万三千人余りの方が命を落とされてしまいました。まだ後遺症で苦しんでいらっしゃる方もおられます。心からお悔やみを申し上げ、また、闘病中の方にはお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、何より、感染症との戦いは終わったわけではなく、今後の感染症危機への対応は、今回の反省を踏まえ、しっかりと検証をした上で準備をしておく、整備をしておく必要があるとして、昨年、感染症法の改正を行い、そして今国会においては、本法案で、感染症の発生及び蔓延の初期段階においても内閣総理大臣が都道府県知事への指示権の発動をすることができるよう、権限の前倒しをする、強化をするわけであります。実際、感染症初期段階の対応が極めて重要であることが、今般の新型コロナ感染症においても、その後の各国の感染拡大状況、また国民生活、経済活動の大きな違いに直結をしており、この初期対応が極めて重要であることは論をまたないことだと思います。

 我が国の初期対応にもよかった点、また反省、改善すべき点が様々あり、検証がなされた上で、今回の指示権の発動期間を前倒しを可能にするという法案であると思いますが、具体的にどのような事案や検証があってこの改正案が必要とみなされたのか、その背景の説明をお聞きしたいと思います。

後藤国務大臣 昨年の六月の有識者会議の報告書でも指摘されたように、感染症対応の初動期から、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みを整備することが重要であるというふうに考えているわけでございます。

 これまでの反省からいえば、初動期におきまして、政府対策本部長と都道府県知事との間で調整がスムーズにいかない中で、決断が遅れるようなケースがあったことが指摘されておりまして、そうしたことにしっかりと対応していくための指示権の前倒しを行う必要性があるということの指摘になりました。

 指示権の前倒しを行うに当たっては、政府対策本部が設置されたときから一定の要件に該当する場合は対応ができるように、今回の法案で対応することといたしました。

吉田(久)委員 今御説明ありました指示権は、基本的対処方針に基づく総合調整に係る所要の措置が実施されない場合に発動が可能というものであるということでありますけれども、そもそも、感染初期に内閣総理大臣から指示が発動されたとしても、都道府県の立場でいえば、基本的対処方針に応じられない様々な課題、例えば、医療従事者のマンパワーの不足の問題、医療体制の脆弱さなどがあることが今回明らかになりました。今回浮き彫りになった諸課題が解決されていなければ、今後の感染症拡大発生時においても応えようがないのではないかという指摘も多くございます。

 昨年の感染症法の改正を踏まえて、それぞれの都道府県や自治体において、また国においても、今般のコロナ感染症における対応の検証を行い、真摯に課題も含めて明らかにし、具体的に改善に着手することが重要だと思います。現在、どのような対処が国や自治体で進んでいるのか、具体的なものがあれば教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 新型コロナ対応については、昨年六月に取りまとめられた有識者会議の報告において、医療機関の迅速な人員確保、入院調整、病床確保の困難さなどの課題が指摘をされ、平時からの感染症危機管理の重要性が浮き彫りとなったところであります。

 このため、昨年の感染症法等改正により、都道府県が定める予防計画、医療計画に沿って、あらかじめ都道府県と医療機関の間で、病床確保や発熱外来、人材派遣等の対応に関する協定を締結する仕組みを法定化いたしました。

 協定の履行に当たっては、医療従事者の確保が重要でございます。協定を締結した医療機関では、そこで働く医師等の医療従事者への訓練、研修の実施を含め必要な準備をしていただくことを想定しており、国としても、研修を実施することにより、支援をしていきたいと考えております。

 また、都道府県において、感染症発生、蔓延時においても通常医療の提供を継続しつつ、迅速かつ的確な感染症対応を行う体制を構築していただけるよう、円滑な法の施行に向けて、厚労省としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

吉田(久)委員 今の、あらかじめ協定を結んでということ、本当に大事なことだと思います。

 感染症初期段階からの対応の重要性、必要性は理解できることでありますけれども、政府対策本部が設置されたときからという縛りはあるにせよ、どの程度危険な感染症か分からない初期段階からの国の権限強化は、国民の自由や権利を早期から奪う大きな副作用もあります。

 感染初期段階、正体の定かではないウイルスによる感染の恐怖から、感染者個人を特定してのバッシング、また、コロナ医療従事者の方たちへの、看護師さんだとかその家族に対しての差別的なことも起こりました。感染症拡大時には個人の権限や自由を奪うのはある程度やむを得ないというところから始まって、果ては国の権限や罰則強化を望む声が膨らみ、監視社会化や独裁専制国家である方が有効であるかのような間違った認識とつながる危険性もあるのではないか。当初、感染した家族が特定され、しばらくは夜中に買物に行くなど身を潜めるような生活をせざるを得なかったという話を聞いたときは、正直ぞっといたしました。

 しかし、その後、我が国が極端な罰則やロックダウンを行わずに、国際比較でも感染者や死亡者を低く抑えられてきたことは誇るべきことでありますし、医療従事者の皆さん始め国民の皆さんの協力、忍耐があったからこそだと思っております。そして、公明党も提唱しましたけれども、早い時期から、専門家会議の設置によって、最新の医学的知見に基づく情報が政策に反映されているという信頼が大きかったと思います。

 民主主義国家の向かうべき方向は、差別や偏見を生まない、感染症に対する正確な情報の発信、日頃からの基礎疾患の管理や、感染症やワクチン等に対する国民のヘルスリテラシーの向上、それらによって国民の皆さんが自発的に最善の感染症対策ができるようにすること、これを最優先させるべきであり、罰則の強化で管理する方向に強まっていくことを強く懸念をしております。

 あくまで指示権などの命令は抑制的であるべきだと認識しておりますけれども、政府の見解をお伺いいたしたいと思います。

後藤国務大臣 今回の法改正案で発動可能時期を政府対策本部の設置に前倒しする政府対策本部長の指示権でございますけれども、その指示権を行使するに当たりましては、新型インフルエンザ等の蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、基本的対処方針に基づき、指定行政機関の長及び都道府県等が実施する新型インフルエンザ等対策に関して政府対策本部長による総合調整が行われても、所要の措置が実施されない場合であって、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときに行使することが可能となることが、要件として明確になっております。

 こうしたことで、今委員がおっしゃったような、しっかりと、人権の抑制につながらないような、抑制的な考え方で運用する方針が示されているわけでありますし、また、地域の状況については、今申し上げたとおりの要件の中に、事前に都道府県との調整が前提となるということが担保されている要件でございます。

 そうした意味で、各府省、各都道府県等の関係者、そうしたものとの緊密な連携の上で、政府対策本部長の指示を行う場合は丁寧に行っていくことだと認識しております。

吉田(久)委員 それとの関連になりますけれども、事業者に対する要請、命令発出時の要件の明確化について質問いたします。

 蔓延防止等重点措置時及び緊急事態宣言時には、事業者に発出される時短営業等の要請また命令については、特に必要と認められるときとしているものを法令上明確化するとしております。これは是非、皆さんが納得いく形で明確化していただきたいと思います。

 三密回避が重要なはずなのに、飲食店の夜の営業がなくなり昼の時間にかえって混雑をしたりと、時間よりも人数制限等の方が重要ではないのかとか、夜のテイクアウトを主とした営業を許せば夕食難民も生まれずに済んだのではないか等々、様々なお声がありました。飲食店、それに関連する多くの事業者にとって生活に直結した問題ですので、要請や命令は感染リスクやエビデンスに基づいた納得いくものであることが極めて重要だと思います。

 柔軟性も大事でありますが、特に必要と認めるときの法令化について、具体的にどのような検討が進んでいるのかをお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 御指摘の点につきましては、有識者会議において、都道府県の特措法に基づく措置について、個々の事例についての判断がより迅速なおかつ的確に行えるように、国が適切な運用の在り方について基準や指針を示すことが重要であるという指摘を受けたこと等を踏まえたものでございます。

 政令に規定する具体的な勘案事項については、例えば、現在のところ、同種の施設、業態において新型インフルエンザ等の患者が多数発生していることなどを想定しておりまして、これまで都道府県等に対して事務連絡でお示ししてきた内容等も踏まえて、施行までの間に具体化してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 次なる感染症危機に対応するために、政府の司令塔機能の強化の必要性から内閣感染症危機管理統括庁の創設を図るわけでありますけれども、その目的は、今般のコロナ危機において、内閣官房コロナ対策推進室と厚労省とワクチン担当、三つの頭があって、政策の決定と執行に支障があった、それを一つにする。

 前WHO健康危機管理官の方の例えによれば、三つ股の首を有するキングギドラを排して最強のゴジラをつくるということだと表現をされて、あっちこっちに火を噴いているよりは、一つにまとめてその力を統合した方が強くなり機動的になると、大変分かりやすい表現で設置目的の説明をしておられます。

 司令塔の一本化と機能強化は我が国の感染症危機管理の能力、機能を高めることであり、多くの方から支持される、異論のないところだと理解をしております。

 ただ、二〇一九年の新型インフルエンザ感染症発生時に政府として対応し切れなかった反省から、当時から、国として健康危機管理庁又は内閣感染症危機管理庁を創設することが検討されてきたわけでありますけれども、今回、内閣感染症危機管理統括庁となった意味をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁は、行政各部の感染症危機への対応を統括し、司令塔機能を担う組織として設置することといたしております。こうした組織の役割をより的確に表現し、また、昨年六月の政府対策本部決定において司令塔機能を創設することとした趣旨を推し進めるとともに、各府省の外局などの既存の庁というものと区別する観点からも、内閣感染症危機管理統括庁という名称としたものでございます。

吉田(久)委員 司令塔の強化よりも、一部には、今ある制度を危機の際に柔軟に対応させる仕組みにすることが重要ではないかとの指摘もあります。

 例えば、発生当初の保健所の入院調整等の負担過重による機能のパンク、HER―SYSなどの入力作業に追われる医師の負担の軽減をどうするのか、自宅療養者の健康観察をする人手不足、様々問題がありましたけれども、危機に対応できるその他もろもろの法整備の必要性についての政府の認識と現状について、対応をお伺いしたいと思います。

伊佐副大臣 コロナ対応においては、各地域によって状況が異なりますので、それぞれの地域の状況に合わせて必要な対応を行うという柔軟な対応が大事だというふうに思っております。

 昨年の感染症法の改正におきましても、例えばワクチンの打ち手については、厚労大臣また都道府県の要請によりまして、医師、看護師以外の一部の者がワクチンの接種、また検体採取まで行えるというような柔軟な対応、枠組みを整備させていただきました。

 そしてまた、先ほど言及をいただきました、自宅あるいは宿泊療養者に対する健康観察また食事の提供などの生活支援についてですが、これは都道府県あるいは保健所設置市区町村で実施をさせていただきましたが、日頃から生活支援を行っているのは市町村でございます。そういう意味では情報共有が非常に大事であったわけですが、そこが十分でなかったという反省もございまして、そこは患者情報を共有する柔軟な対応が可能となるようにさせていただきました。

 こうした地方各地域地域での対応の実施を支援するために、国庫補助負担率のかさ上げも今回の法改正によって行うこととさせていただいております。司令塔機能の強化と併せて、こうした自治体を応援する取組も進めてまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)委員 危機対応のときの阻害となった規制、法案の見直しの必要性は様々、今後も検証が進むにつれて明らかになってくるものも多いと思われますので、是非これからも、順次、平時のときの準備を進めていってもらいたいと思います。よろしくお願いします。

 最後の質問になりますが、統括庁の所掌事務として政府行動計画の策定があります。新型コロナウイルス感染症危機への対応を踏まえ、次なる感染症に対する行動計画は、是非、国民に見える形、納得いく形で取りまとめられることを望んでいます。それがないと、司令塔機能強化にしても、総理の権限強化にしても、国民のコンセンサスは得られないと考えますが、どうでしょうか。

後藤国務大臣 有識者会議の報告を踏まえて、統括庁においては、政府行動計画や感染症危機を想定した訓練等の内容を充実させるとともに、有事に機能するものとなっているかを点検し、更なる改善を行うというPDCAサイクルを推進することといたしております。

 政府行動計画の見直しに当たっては、委員御指摘のとおり、国民の理解を得られるように適切なプロセスで進めていくことが重要と考えております。

 見直しの過程においては、国民が議論の内容を把握できるように新型インフルエンザ等対策推進会議での議論を公表することや、また、政府行動計画の見直し案について、パブリックコメントを実施し、国民を含め幅広い関係者の意見を聴取することなど、透明性に配慮しつつ、適切なプロセスの下で取りまとめていきたいと考えます。

吉田(久)委員 国民にとって透明性のある、納得できるものになるよう期待をして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔大西委員長退席、三ッ林委員長着席〕

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 それでは、早速質問に入っていきたいと思いますけれども、まず、今回の改正法案に関しまして質問していきます。

 現在、この改正法案に関しましては、内閣官房危機管理統括庁を設置するということが大きなあれだと思いますけれども、その中で、現在、内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室においてコロナ対策を行っているという状況だと思います。

 今回のこの改正案の中で、司令塔の強化というのが趣旨だと思いますけれども、その中で、この体制、現在の体制にどのような問題があって、また、新たな統括庁の設置でどのように改善されていくのか、まずお尋ねしたいと思います。

柳樂政府参考人 昨年五月から六月にかけて開催されましたいわゆる有識者会議におきまして、一元的に感染対策を指揮する司令塔組織を整備することが必要、こういう指摘がなされたところでございます。

 今回の法改正で設置されます内閣感染症危機管理統括庁は、このような感染症危機対応における司令塔機能を担うものでございまして、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応、それから、有事における政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一括して統括庁に集約し、意思決定を一元化、迅速化するということ、それとともに、厚生労働省との一体的対応を確保しつつ、新たに専門家組織として設置されます国立健康危機管理研究機構の質の高い科学的知見を踏まえて感染症危機に対応する、こういうこととしているところでございます。

 これらの司令塔機能の発揮を通じまして、国民の生命、健康の保護と社会経済活動の両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応することが可能になるものと考えてございます。

遠藤(良)委員 統括庁の人数規模はどれぐらいになるのか、お尋ねしたいと思います。

柳樂政府参考人 内閣感染症危機管理統括庁におきましては、平時、有事それぞれにおいて業務がしっかり遂行されるように、平時においては、政府行動計画の策定、推進、実践的な訓練や、各省庁や地方自治体の準備状況のチェック、改善といった有事への備えに係る業務に必要な専従職員として定員三十八名を確保しております。また、有事におきましては、政府対策本部の下で各省庁や地方自治体等との一体的な感染症対応を行うための専従職員として定員百一人を確保することといたしております。

遠藤(良)委員 新型コロナウイルス感染症対策分科会において、コロナに関する様々な政策について検討して、政府に提言をしてきた、これが新型コロナウイルス感染症対策本部において決定をしたというプロセスだと思います。

 分科会に医学だけでなく経済学の知見を有する者を入れるべきという意見が出たということがありますけれども、その中で、内閣感染症危機管理対策官は医務技監であり、医学の専門家であると。統括庁において医学以外の専門家を配置する、そういった予定はいかがでしょう。

田中政府参考人 お答えいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁におきましては、医学のみならず、様々な専門的知見を有する人材を配置する、そういったことが重要な課題であるというふうに認識しております。例えば、社会経済や財政に関する専門性を有する者であったり、あるいは危機管理に関する専門性を有する者、民間の事業活動や現場に関する知見を有する者、それから地方自治体の事務に関する専門性を有する者、そういった幅広い分野について専門性を有する者が必要となってくるだろうというふうに思っております。

 体制整備に当たりましては、こうした専門的な知見を有する者を各省から集めるということだけではなくて、例えば、自治体の職員に来ていただくとか、あるいは行政以外の外部からも受け入れる、こういったことについてもしっかり検討していかなければいけないというふうに思っています。

 いずれにいたしましても、具体的な職員の配置につきましては、今後しっかり検討してまいりたいというふうに思います。

 以上でございます。

遠藤(良)委員 感染症の専門家を政府に置くことは非常に重要だと思います。

 その中で、厚労省に感染症対策部を設置する予定であると。さらに、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合した新たな専門家組織として国立健康危機管理研究機構、日本版CDC、先ほども質問が出ていましたけれども、これを設置する法案を別途国会に提出するということですけれども、統括室と感染対策部の組織間の役割分担であったりとか、あとは連携を図っていく必要があると思いますけれども、その辺りの想定をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁と厚生労働省の役割分担につきましては、統括庁は、政府全体を俯瞰した総合的な視点で、各省庁から一段高い立場で感染症危機管理に係る対応を全体として統括するものであり、厚生労働省は、新たに感染症対応能力を強化するために設置される感染症対策部を中心として、感染症対応の実務の中核を担うものであるというふうに考えています。

 その上で、感染症危機管理においては、統括庁と厚生労働省との一体的な対応の確保が重要でございますから、それを図るために、統括庁は、総理及び長官を直接支える組織として、感染症危機管理に係る対策を企画立案し、厚生労働省等の各省庁を強力に統括し、その際、統括庁の幹部に充てられる医務技監を結節点として、統括庁の指示を迅速に厚生労働省内に徹底するとともに、医務技監の総括整理の対象である感染症対策部の知見、リソースを統括庁の企画立案に活用することとしているところでありまして、統括庁と厚生労働省がしっかり連携をして、次なる感染症危機に対応してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 改正案では、政府本部から各都道府県に指示ができるということが可能になるということですけれども、新型コロナウイルスで、施設の使途制限の対象については調整が難航であったという背景があって、都道府県に指示ができるというところになると思うんですけれども、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあり、特に必要があると認めるときという、要件が限定されている。この指示要件をかなり限定的にした、この辺りの背景はなぜなのかというのをお尋ねしたいと思います。

柳樂政府参考人 今般のインフル特措法改正におきましては、政府対策本部が設置されている間において指示ができるようにするという、その内容でございますが、それに当たって、御指摘のように、新型インフルエンザ等の蔓延により、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらずという要件、それから、基本的対処方針に基づいて都道府県などが行う新型インフルエンザ等対策に関して、政府対策本部長による総合調整が行われても所要の措置が実施されない場合であって、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるとき、その必要な限度において指示を行うことができるということとしておりまして、要件を法律上明確にしているものでございます。

 これは、総合調整に基づいて、国、地方がコミュニケーションを取った上で対応に当たることが前提であるということとともに、指示権を行使する場合、あるいはその行使する内容を必要な範囲に限定するということを通じまして、適正な指示権の行使を担保する趣旨から設けられているものでございます。

 今後も、国、地方一体となった感染症危機対応のために、こうした規定も踏まえつつ、地方との連携を密にしてまいりたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 感染を防止するための協力要請、営業時間の変更や施設の使用制限が行われてきたと思いますけれども、現在、この要請に応じない場合に過料というものが科されるというところがありますけれども、正当な理由がないのに事業者が知事の要請に応じない場合にはどのような対応を行っていくのか、確認したいと思います。

柳樂政府参考人 事業者が指示に従わない場合の、最終的なペナルティーに至る過程に係るお尋ねであろうと思います。

 特措法の規定によりまして、まず、都道府県知事が事業者に対して措置を講ずるよう要請を行います。まず、これが最初でございます。次に、当該要請に応じない事業者に対して措置を講ずるよう命令を行うということになります。そして最終段階として、当該命令に応じない事業者に対しまして行政罰である過料が科せられる、こういう一連の手続が規定されてございます。蔓延防止等重点措置と緊急事態宣言、いずれも同じ手続を踏む、こうなっております。

 今般、先ほどの法改正がございますが、今申し上げた最終的な実効性担保措置に至る手続に関しましては、今般の法改正後も変わらないものでございます。

遠藤(良)委員 感染症に関しては、感染症はそもそもリスクはつきもので、今後も存在し続けると思います。その中で、コロナも三年続いてきて、ようやく五類になってきた。百年前のスペイン風邪においても三年続いたというところもあって、今後、こういった感染症というものは様々なリスクがある。さらに今後も、分からない感染症が発生していく可能性もある。

 そういった中で、感染症のリスクについてはどのように捉えられているのか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 感染症の発生状況については、国内と国外とを注視していく必要があると考えております。

 まず、国内につきましては、感染症法に基づき、感染症発生動向調査事業におきまして、患者発生のサーベイランスでありますとか、病原体のサーベイランスを実施しております。また、国外におきましては、WHOを始めとする海外の関係諸機関、それから在外公館等を通じて情報収集をしておりまして、こうした情報も併せて、国立感染症研究所あるいは国立国際医療研究センター等と連携しながら、国内外の感染症の発生動向の集約と分析、それからリスクの評価を行っておりますし、今後とも行っていきたいと思っております。

 また、将来パンデミックのおそれのある感染症をあらかじめ特定して健康危機管理能力の強化等を行うため、厚生労働省の審議会で議論の上、重点感染症というリストを昨年三月に作成をいたしまして、この重点感染症に対して、ワクチン開発でありますとか治療薬の開発といったものについて取り組んでいるところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 政府が新型コロナウイルスへの対応をしてきた中で、有識者会議では、コロナ禍において死亡者全体を増やさなかったという評価もされている。一方で、専門家との関係を含めた意思決定プロセスが明確だったか、科学的知見に基づく評価、分析は十分だったのかなどの問題も一方で指摘されている。

 政府として新型コロナ対策についてどのような評価をしているのか、お尋ねしたいと思います。

菊池政府参考人 これまでの三年間の新型コロナの対応についての評価でございますが、政府としましては、この三年間、緊急事態措置等により感染拡大防止を図る一方で、国民、事業者への支援、コロナ禍からの回復を図るための各種経済対策を講じてまいりました。同時に、検査や医療提供体制の整備強化、ワクチン接種の推進、治療薬の確保等に取り組み、さらに、ウイルスの特性の変化に応じまして取組内容を柔軟かつ機動的に見直しながら対策を進めてまいりました。

 この評価につきましては様々あろうかと思いますけれども、その時々の知見を基に、最適と考えられる対策を最大限講じてまいりました。それは国民の御協力、御理解によるところが多いかと思いますけれども、新型コロナの感染者数、人口当たりでいきますと、他のG7諸国と比べても低い水準に抑えられている、あるいは、経済状況も回復あるいは回復しつつある状況でございます。そのような評価と考えてございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問を前後させてもらうんですけれども、三月十三日から、屋内でのマスクの着用を個人の判断に委ねるということになりました。国会でも個人の判断になったということで、今日もマスクなしで質問させていただいているんですけれども。もっとも、高齢者施設の訪問であったりとか、通勤通学でのバス、電車での移動、そういった混雑時にはマスク着用を推奨しているというところはあると思います。

 マスク着用を個人の判断とすることについての反響が今どういう状況になっているのか、お尋ねしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、三月十三日以前の国民の反響につきましては、例えば、三月四日から五日の期間にJNNが実施した世論調査におきましては、見直し後のマスクの着用について、できるだけ外すが二一%、できるだけ着けるが五五%、まだ決めていないが二二%との調査結果が示されていると承知をしております。

 それから、三月十三日以降の国民の反響については、現時点で各報道機関による世論調査等の結果は承知をしておりませんけれども、各種報道や厚生労働省が発信していますSNSに対するコメントによりますと、見直しによりマスクを外す機会が増えると思う、あるいは、見直し以降も引き続きマスクを着用する、それから、自分で感染のリスクを考えるのが難しいといった様々な御意見、反応があると承知しております。

遠藤(良)委員 マスクの着用についての状況をちょっとまた確認したいんですけれども、四月から、教育活動では原則として着用を求めない方向で、体育を含めた授業全般や合唱、運動部の活動なども着用を求めないということであります。今年二月に通知を行ったということを承知をしておりますけれども、これは確認したいんですけれども、新学期からそうした方向になるのではないかということは間違いないのか、まず確認したいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定、こちらの方で、マスク着用について、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とするとされたところでございまして、学校教育活動についても、実施に当たってマスクの着用を求めないことを基本とするとされたところでございます。

 文部科学省においては、この本部決定を踏まえた上で、新学期以降の学校におけるマスクの取扱いについて、現在検討を行っているということでございます。

遠藤(良)委員 検討というところなんですけれども、これは何か、明確な時期みたいな、目標設定している時期、いつそれを出すのかということは、時期とかは決まっていないんでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 時期については、四月一日から適用するということでございますので、それに向けて、円滑な移行を図るという観点で今検討を進めているところでございますけれども、こちらの衛生管理マニュアルというものを改定しまして、具体的なマスクの取扱い、また、活動場面ごとの留意事項等について、改めて教育委員会、学校等に対して周知するということを今検討しておりまして、各学校の新年度からの対応に間に合うように、速やかにお示ししたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 マニュアルにも触れていただいたんですけれども、マニュアルの変更が必要になると思います。文部科学省の感染症マニュアルには、マスクの記載、マスク着用との記載が残っているというところなので、これは是非、先ほどの答弁どおりで、四月一日に向けてしっかりとやっていただきたいと思います。

 現在では、学校では、給食ではまだ黙食が続いている地域もあったりとか、クラスの子供たちが楽しく食事ができない、こういった状況があると思います。

 この黙食については、どんな状況でしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の衛生管理マニュアル等におきまして、学校給食の場面についてでございますが、飛沫を飛ばさないよう、例えば、机を向かい合わせにしない、また、大声での会話を控えるなどの対応が必要としております。

 従来から、必ず黙食とするというところまでは求めておりませんで、座席配置の工夫ですとか適切な換気の確保、こういったことを行った上で、子供同士で会話することも可能ということでお示ししているところでございます。

 実際にも、一律に黙食とすることではなくて、感染状況も踏まえた上で、子供同士で会話をしながら給食を食べるということを可能としている地域もあるというふうに承知しております。

遠藤(良)委員 そういう地域もあるということだったと思いますけれども、黙食については学校ごとで対応が異なっているというところだと思います。

 これは文部科学省としては周知をどのようにされていくのか、お尋ねしたいと思います。

安彦政府参考人 先ほど申し上げたとおり、マニュアル等において、様々な学校活動の場面、特に学校給食の場面において、必ず黙食というところまでは求めていないところでございますけれども、その趣旨につきましては、昨年の十一月にも改めて周知させていただいたところでございます。

 一方で、四月一日以降の新学期に向けてでございますけれども、具体的なマスクの取扱い、また、活動場面ごとの留意事項につきまして、教育委員会や学校等に対して周知することを今検討しているということもありまして、その中で、学校給食の場面、具体的な場面において、感染症対策の考え方について改めてお示ししたいと考えておりまして、各地域の実情によった取組をより一層促してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 是非、答弁どおりしっかりと、学校の黙食のことについて、また、四月からの学校でのマスクの着用のルールについても明確に示していただきたいと思います。

 新型コロナウイルスの中で、マスクの買占め問題があったと思います。

 その中で、その当時、二〇二〇年三月のときに、国民生活安定緊急措置法の政令を改正したという背景があると思います。マスクや消毒液、アルコール製品の転売の規制であったりとか、そういったことをして抑えていって、解除をして、こういう対応は供給が追いつくまでの混乱の歯止めになったのではないかなというふうに思うんですけれども、こうした対応についてはどのように評価されているのか、お尋ねしたいと思います。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症発生初期には、市場においてマスク、アルコール消毒製品の需給が逼迫して、マスク等の買占め、インターネットを活用した高額での転売が生じたことから、経済産業省において、インターネット運営事業者に対する自主規制の要請を行いました。これとともに、令和二年三月十五日からマスク、同年五月二十六日からアルコール消毒製品について、国民生活安定緊急措置法に基づく転売禁止の法的措置を行ったところでございます。

 その後、マスク等につきましては、供給量が大幅に増加し、市中での購入が可能な状況となったこと、主要Eコマースのサイトでの販売価格も落ち着いてきたこと、そういった状況を踏まえまして、同年八月にマスク、アルコール等の転売規制の解除を行ったものでございます。

 当時、自主規制の要請では転売事例や需給バランスが改善する見通しが立たなかったということで、これは必要な限度で転売規制の法的措置を行ったものでございまして、これら一連の対応は当時の状況において必要なものであったというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 最近、またそのような、実は似たような、皆さん御承知しているかちょっと分からないんですけれども、喉あめの品薄が一部のメーカーのやつがあって、今年に入っても品薄状態が続いているということがあって、供給が追いつかない。こういった状況については承知しているのか、お尋ねしたいと思います。

宮浦政府参考人 今委員から御指摘ございました喉あめについてでございます。

 今回、製造企業の方々からいろいろと聞き取りを行ってまいりました。

 その中では、医薬品を製造する企業が提供します食品としての喉あめにつきまして、本年一月以降、一部の商品において急激に需要が増加をいたしまして、一時、販売を停止するということもございました。現在におきましては、順次、販売を再開しているという状況でございます。この企業におきましては、現在、生産を通常期よりも拡大するという形で喉あめの供給回復に努めているという状況でございます。

 また、ほかの製造企業各社におきましては、代替需要によります需要の増加というものは見られるところでありますけれども、欠品などはなく、喉あめの業界全体といたしましては供給に支障がないというふうな状況であろうと考えてございます。

遠藤(良)委員 中国がゼロコロナ政策を転換した中で、中国人の買占めが行われたということがあって爆買いが進んだ。これは龍角散喉あめなんですけれども、インターネットのメルカリでは五百円で販売している。そういうことがあって、日本人でもなかなか入手できないという状況があって、これは国民生活安定緊急措置法の政令で喉あめの一部の指定をすることはできるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

宮浦政府参考人 今委員から御指摘のございました国民生活安定緊急措置法でございます。生活物資の供給に著しく不足が生ずるなどの、国民生活の安定、国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じるおそれがある場合に指定をするということになってございます。

 先ほど喉あめについて御答弁いたしましたとおり、現時点では、特定の企業の商品に関して若干の需給の逼迫というものが出ているということは承知をいたしておりますが、喉あめの業界全体に関して支障が生じる事態ではないというふうに考えてございまして、かつての衛生マスクですとか消毒用のアルコールといったものとは事態が若干異なるのかなというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 こういった事例が一部出てきたり、一方で買えないメーカーの製品があったりとか、そういったことが起こっている中で、是非、政府としても一つずつそういった対応をしていただきたいと要望しまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 まず、内閣感染症危機管理統括庁について伺います。

 これについては、内閣委員会でこれまで長らく議論されてきました。その際に、統括庁について後藤大臣は、最高の総合調整機能を持っている内閣官房の縦のラインに事務を集める、これが組織的に見ると最も強力で、司令塔機能に近いと発言をされました。

 また一方で、この統括庁ができるということを前提に、この仕組みでいけば、担当大臣、つまり、後藤大臣のポストであります政府対策本部の新型コロナ担当大臣は、この縦のラインに入っていないという発言もありました。

 つまり、コロナ担当大臣は、今の制度でいくと危機管理統括庁に何ら関与できないということで、まずよろしいでしょうか。お願いします。

後藤国務大臣 度々いろいろな脈絡の中でやり取りをしておりますので、整理をさせていただきたいと思いますけれども、統括庁に係る事務である感染症危機管理を担当する内閣の担当大臣を設置するかどうかということについては、そのときの総理において必要性を判断することになります。

 その上で、統括庁に係る事務を担当する内閣の担当大臣が置かれる場合、法律上の指揮命令関係としては、統括庁の事務は内閣官房長官が統括し、統括庁の長である内閣感染症危機管理監は、官房長官を助ける職として、庁務を掌理すると位置づけられておりまして、内閣の担当大臣は、そういう意味では、事実上の総合調整を担う職であるということで置かれたとしても、この法律上の位置づけの中にはいないということを申し上げております。

 しかしながら、当該担当大臣は、具体的に担う事務の範囲や内容によりますけれども、官房長官による内閣官房の事務統括権の下で、感染症危機への対応に係る行政各部の統一保持に係る企画立案や総合調整を、内閣を構成する国務大臣としての立場で、これは総理に任されている範囲内で事実上担当するわけでございます。管理監が内閣官房長官を助けるに際し、総理から指示を受けた事務の遂行上必要な範囲内で、担当大臣も管理監から必要な補助を事実上受けるという形になります。

 そういう意味で、担当大臣を置くか置かないかはそのときの判断であり、しかし、いないからといって、その縦のラインに法律上どうしても置かなければいけない大臣ということではありませんが、しかし、総理大臣の判断によりまして、内閣を構成する国務大臣としての立場で仕事を任される場合は、こういう事実的な関係で仕事をしっかりと果たしていく。その法律上の指揮命令系統の一元化を守りつつ、担当大臣を置く場合には、その識見を活用した的確な感染症危機管理が可能となる。

 全体像としては、そういうことでございます。

田中(健)委員 よく分かりませんが、官房のラインがありまして、そして担当大臣は総理のラインがありまして、今の話でいいますと、今、現時点では二ラインあるというふうに私は理解したんですけれども。

 そうしますと、危機管理で重要なこと、この委員会でも各委員の人、みんな言っていました、命令系統の一元化、また責任の所在ということでありますが、指揮命令系統があちこちにあるように今の理解だと感じてしまいまして、いわゆる司令塔機能を果たせるかというのは甚だちょっとまだ疑問なところがあります。

後藤国務大臣 端的に申し上げて、そういう意味では、危機管理統括庁の下に一元化されていて、その事務管理機能の中で任命される大臣がもし出てきた場合には、そこで仕事をする。必ずしも、総理大臣は国務大臣を任命するかどうかは、そのときの事情に応じているということで、官房長官が統括庁の事務も含めて内閣官房全体の事務を統括しているわけですし、官房長官、総理大臣を補佐するという縦のラインが通っている。そういう意味で、法的権限、そして司令塔機能は一元化されているというふうに申し上げております。

 そこで、あえて大臣を任命したときにはどうなるのかという御質問に対して、今、私がここに立っていることを前提にお聞きになったので、そのことについて申し上げたということです。

田中(健)委員 それでは、具体的に話を聞いていきたいんですけれども、先ほどの審議の中でも、発生時のプロセス、なかなか個別具体的に答えられないということがありましたけれども、資料を御覧ください。

 こちら、十二月十日でございますが、政府の新型コロナ感染症対策本部が提出した資料でございます。これは、コロナが二類から五類相当に変わる中でどういうことが変化するのかという最後の資料でありまして、今の現時点で一番可能性が高いものであると思っています。

 つまり、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が発生した場合、またどのような対応を取るかということであります。

 一つが、変異株を感染症に位置づける。二つ目が、厚労大臣から総理への報告を行って、特措法に基づく対策本部をつくる。そして、基本方針を立てる。そして最後に、医療体制確保をするという流れができているんですけれども、これは、管理庁ができた場合、この中で、どのような場所にこの流れの中で位置づけられて、どのような役割を果たしていくのか、御説明いただければと思います。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症危機対応における司令塔機能を担うものでありまして、具体的に、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応、政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一貫して統括庁に集約することとしているわけです。

 オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなどした場合は、当該変異株による感染症を指定感染症に位置づけること、その上で、病状の程度が重篤であり、かつ、全国的かつ急速な蔓延のおそれがあると認めるときに、特措法十四条に基づき、厚生労働大臣から内閣総理大臣に報告を行うことについては、厚生労働省において行われるものでございます。このことについては変わりはありません。

 統括庁の幹部に充てられる医務技監を結節点として、統括庁と厚生労働省との間で円滑な情報連携が図られた上で、統括庁の事務が始まるということであります。

 また、この厚生労働大臣の報告が行われ、政府対策本部が設置された際には、統括庁と厚生労働省との円滑かつ緊密な連携情報により、政府対策本部の事務を担う統括庁の下で、基本的対処方針の策定や感染症対策の決定をより迅速に進めることができるというふうに考えております。

田中(健)委員 姿が見えてきません。私は具体的な姿を見せてほしいと思いまして、この資料は、あくまで統括庁ができる前、つまり、今でもこれができるということで列挙されているんですけれども、その中で統括庁ができたなら、更にこれが情報一元化、そして司令塔、そして縦のラインという中で、これが変化をするということをお聞きをしています。

 例えば、一番最初の初動体制、つまり、平時からも常にウォッチをしながら対策を練っている、感染症が出てきた、変異株がですね、そうしたときに、じゃ、統括庁はどんな役目を果たすのかということをお聞きをしたわけでありまして、この流れは私は理解をしておりますので、お願いします。

後藤国務大臣 そういう意味でいえば、厚生労働大臣が最初に感染症法上の指定感染症にしていくということ等については、これは厚生労働省の権限ではありますけれども、元々受ける側の統括庁の方は、平時からしっかりと、そうしたことが報告があった場合には、基本的には対策本部をつくっていくということが原則でありますから、そのための平時からの準備、そして情報の連携、そうしたことをやっておく司令塔機能をつくってあるということになります。

 それから、厚生労働省がこういう判断をする場合においては、厚生労働省が感染症の判断をするわけでありますけれども、その判断をするのは感染症部や厚生労働省ということになりますけれども、その感染業務を掌理するのは医務技監が厚生労働省の立場としてはやっておりまして、この医務技監が感染症危機管理対策官ということになりますので、そこの間の連絡、あらかじめ特措法の適用を見据えた円滑な情報連携も図られていくということになると思います。

 そして、その後の基本的対処方針や感染症対策の決定等におきましても、そうした形で、厚生労働省と統括庁、今でいうところの、内閣官房でやっている、コロナ室でやっている仕事が、より連携を深めた形で進めていける、そういうメリットだと思います。

田中(健)委員 円滑、緊密、連携、その言葉はよく分かったんですけれども、具体的に何が変わるかというのが分かりませんでした。なくても今これはできますので、どのように便利になるのか、また、すっきりするのか、そして一元化できるのかというのを、もう少し具体的にお示しいただければと思います。

 最後、もう一問です。済みません、時間がなくなってしまいました。

 昨日保険適用されましたウイルス感染症飲み薬、ゾコーバです。こちらは、五万一千八百五十円と大変高価な治療薬となりました。五類相当になりますと、無料でありますが、九月から、これが自己負担になるということでありますけれども、これは厚生労働省で二百万回買っています。しかし、まだまだ利用されていません。

 これについて、今後の見通しや、また、緊急承認した成果というのをどのように評価しているのか、大臣にお伺いします。

三ッ林委員長 加藤大臣、答弁は簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 はい。

 まず、二百万人分ということでありますけれども、かなり感染者数、前回の波でも一千万を超える方もおられました。そういった意味では、現時点で同社が生産可能な量ということで、当初百万人分、そして追加的に百万人分、計二百万人分を使わせていただいているところでございます。

 購入分についてでありますけれども、当面、新型コロナの治療薬の費用は公費で支援をしていくということでございます。夏の感染拡大に対してまず九月まで措置し、その後の取扱いは、他の疾病との公平性に加えて、国の在庫の活用や薬価の状況も踏まえて、今後の冬の感染拡大に向けて対応ということでありますが、そうした考え方の下において、ゾコーバ錠の国確保分については、新型コロナの五類感染症への移行を円滑に行うことができるよう、三月三日より各都道府県において、在庫保有可能な施設の数を引き上げることを可能とし、現在その準備を進めているところでございます。

 国確保分の活用をしっかり図っていきたいと考えています。

田中(健)委員 時間となりました。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、コロナパンデミックの取組の検証についてであります。

 この新型コロナは、都道府県での人口当たりの死者数は大きな差があります。大阪や北海道、高知は、新潟に比べて四倍の差があります。都市部だけ見ても、大阪は東京の一・七倍近いということになっているわけですね。

 一般的に、都市化や人口密度や気候というのは感染者数に影響する、高齢化率は感染者の死亡率に影響するというふうに思いますけれども、それ以外に、都道府県の対策や医療、公衆衛生体制なども影響を与えている可能性は大きいわけです。

 今後の感染症対策を考えても、都道府県ごとの人口当たりの死者数、ここもちゃんと踏まえながらの検証というのが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員がお示しいただいたように、都道府県別の人口当たりの新型コロナによる累積死亡者数には地域差がございます。この点、アドバイザリーボードの専門家からも、都道府県別の状況にも注目すべきであるという意見も頂戴をし、令和四年十二月二十八日からは都道府県別の新規死亡者数を資料としてお示しもさせていただいております。

 地域差の要因としては、そもそもベースとなる感染者数に差があること、罹患した場合に重症化するリスクが相対的に高い高齢者の割合に、これはかなり地域で差があることが要因と考えられますが、都道府県が講じる対策や医療提供体制などが死亡者数に与える影響について、現時点で定量的な分析が行われたものはないと承知をしております。

 今後、都道府県別の人口当たりの死亡者数も含めて、どのような点に着目し感染状況の分析を行い、それを今後の対応に反映をしていかなきゃいけないか、そういう観点に立って、専門家の御意見もいただきながら、不断に感染状況の評価を行っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 これは、本当に今後の命を守る上でも大事な点ですので、しっかり専門家の皆さんの意見を踏まえて対応を願いたいと思います。

 二つ目ですけれども、新型コロナウイルスの現状の特徴は感染力の強さにあるわけです。この間、外来の体制が足りないということで、重症化リスクがない方は家でセルフ検査をしてほしいということでやってきました。しかし、都道府県が行っている有症者等への抗原検査キットの無料配付事業が大体終わるんですよね。私も、一月に感染したとき、正月でしたので、これは大変助かりましたが、終わってしまいます。

 では、五類に見直したら、外来でみんなが受診できるキャパがあるのか。それを考えると、この新型コロナの感染力を考えると、その保証はないのではないかと思います。もし外来の逼迫を想定しているのであれば、どうするのか。検査キットを薬局で手に入れるにしても、高くて買えない人もいる。厚労省が承認している検査キットが無料やあるいは安価に入手できる仕組みというのを考える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今回の位置づけの変更に伴い、外来医療体制については、これまでの限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の体制に移行していきたいと考えております。そのため、医療機関における感染対策の見直し、設備整備等の支援、応招義務の明確化等々を通じて、対応する医療機関の維持拡大をまず図っていきたいと思います。

 加えて、外来の逼迫回避のため、これまでもお願いをしておりました自己検査キットや解熱鎮痛剤の常備を含め、低リスク者への自己検査、自宅療養の呼びかけ、受診・相談センターなどの取組は継続していきたいと考えております。

 こうした取組で、重症化リスクの高い方や、重症化リスクが低い方であっても症状が重いなど受診を希望する場合には、医療機関を受診できるようにしていきたいと考えています。

 また、新型コロナの検査キットでありますが、これまでも、それぞれ自己で御負担をいただいて対応してきた方も多くいらっしゃると思います。そうした中で、流通する製品の増加に伴い、価格は以前に比べて徐々に下がってきており、市場価格を引き下げることを目的とした補助等を行うことは考えておりませんが、いずれにしても、今申し上げた対応を取ることによって、今後の感染の拡大等にしっかり対応していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 徐々に下がってきているとはいっても、やはり一回検査したら千円ぐらいかかるわけですよね。四人家族で四千円。一回で済むのかといったら、抗原検査は大体、一回目では、熱が出た直後では残念ながら正確に把握できない。私も二回測って、二回目でプラスだったわけですね。それを考えたら、四人家族なら八千円の負担ということになっちゃうわけですよね。これは本当に考えないと、外来が逼迫ということが生まれた場合に、自分がコロナなのかどうなのかと確認ができないと、治療にその後つなぐということができない、あるいは感染拡大を防ぐという点でも問題があると思いますので、検討を是非していただきたいと思います。

 続きまして、予防接種健康被害救済制度ですけれども、先日、新型コロナワクチン接種後に家族を亡くされた御遺族の有志の方が、繋ぐ会として活動されているんですけれども、各会派に申入れがありまして、私もお話を伺いました。

 代表の須田さんからは、申請から認定まで一年二か月かかったという話でした。二年かかっても審査中の人もいるというお話もありました。認定審査会の資料を見ますと、三月十四日現在の受理件数は六千六百五十七件、審議したのが一千八百六十七と三割弱なわけですね。今年だけ見ても、受理件数はプラス八百件増えていますが、審査したのは三百九十四件ということですから、申請受理に審査が追いついていないのははっきりしていると思うんですね。

 大臣は、一体、現状どれぐらいこの審査に時間がかかっていると把握しているのか、そして、迅速な救済のためには抜本的な体制の強化が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、救済制度がしっかり迅速に対応していくというのはまず大事だというふうに私も考えております。

 その上で、期間でありますけれども、この仕組みが、まず市町村に申請され、市町村で書類等を整えられ、それから国に、これは進達という言葉を使っていますが、したがって、市町村における期間はちょっと私どもでは分かりませんが、市町村から国に上がってきて、実際、結論が出るまでについて、大半、半年から一年程度の期間を要しております。

 特に、私も一番早期に対応すべきなのは死亡一時金だと思っておりますが、この死亡一時金の進達受理から認定までの平均期間は、これまでの処理をしたものについては一年二か月程度かかっているということでございます。やはりこれは私は遅いと思っておりますし、それから、今委員お話しのように、この間は、申請に比べて処理できる方が少なかったものですから、だんだんだんだんたまってきたという御指摘もございました。

 これまでもいろいろと迅速化に取り組んでまいりまして、その結果として、いわゆる、接種から比較的早期に発症し治癒したアナフィラキシー等の即時型アレルギーについては、国へ進達されてからおおむね四か月程度で認定はされておりますが、更なる対応もすべきということで、審査会の開催頻度を増やす、審査会の増強、増設をする、事務局機能の増強などの取組も行っており、さらに、これまでも、審査事例、いろいろ蓄積もされて、ノウハウが積み重なってまいりました。

 現状は、おおむね月ごとの進達受理件数を上回る審査が行われる体制には来たなというふうには思っておりますが、更に迅速化を図って、やはり今回のような被害を受けられた方々がその救済がしっかり受けられていく、こういう体制を構築していきたいと思っています。

宮本(徹)委員 しっかりとした体制強化をお願いします。

 さらに、もう一点、この予防接種健康被害救済制度のことを医療機関の側が十分知らずに、そういう例があったり、新型コロナワクチンの副反応疑いについての知識が不十分だったり、あるいは、遺族がカルテの開示を求めても応じてもらえなかった、こういう話が御遺族の皆さんからありました。

 カルテの開示など、救済制度への医療機関の協力について、医療機関への周知啓発が必要だと思うんですよね。今日、資料をお配りしておりますけれども、ぺら一枚ですよね、医療機関に対して予防接種健康被害救済制度のことについて説明しているページは。それも本当に内容も大変乏しいものですから、ここは本当に遺族の皆さんの悲痛な思いに医療機関が応えられるふうに働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 医療機関に対しては、医療機関向けの手引をお渡しをするというだけではなくて、ワクチンの添付文書にも注意事項が書かれ、その周知、また、医療品製造販売事業者による適正使用ガイドライン、こういったものも通じて、副反応に関する提供、あるいはこの制度に対する周知、これをしっかり図らせていただいているところでありますので、引き続き、医療機関で正しく対応していただけるよう注意喚起をしていきたいと思っております。

 また、予防接種後に健康被害を受けた方々が健康被害救済制度の申請を適切に行うためには、御本人のカルテの提供など、医療機関の協力が大変重要であります。

 厚労省としても、自治体と緊密に連携しながら、医療機関にそうした対応に関しても周知啓発を図っているところでありますので、引き続きそうした努力を続けていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 よろしくお願いします。

 最後ですけれども、マスクについてですけれども、今いろいろルールの見直しがあったわけですけれども、症状がなくなったとしても、発症後十日までのマスク、私はこれを推奨すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 新型コロナの症状がある患者の方については、発症日から十日間が経過するまでは、感染リスクが残存することから、マスクを着用すること等、自主的な感染予防行動の徹底をお願いしており、これは三月十三日のマスクの取扱いの見直し以降も変更はしておりませんので、引き続き、新型コロナの症状がある方に関しては、症状がなくなっても、発症日から十日間が経過するまではマスクの着用をお願いをしているところでございます。

宮本(徹)委員 そこははっきり、いろいろなもので、明示的に伝わっておりませんので、よろしくお願いいたします。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日は持ち時間が余りありませんが、前回の予算委員会で積み残したものを中心にお話ししたいと思います。

 配付した資料をちょっと御覧になっていただきたいんですが、私は、本来、岸田総理にも日本版CDCの創設というのをお願いしていました。ただ、でき上がったのは、この図にありますような危機管理研究機構というものでございまして、今回の、今日のテーマであります新型インフルエンザ特措法に基づく危機管理統括庁、これと本来は合体したもの、一体化したものであるべきだということを私は理想としておりますので、その方がいいというふうな形になるような質疑にしたいと思っております。

 この間質問がありまして、後藤大臣が内閣法第三条でこの危機管理統括庁を所管する大臣になられたその後の権限のありよう、これは、この間答弁されている内容と同じでしょうか。

後藤国務大臣 基本的に同じですし、先ほど申し上げたとおりで……(仁木委員「そうしたら、いいです」と呼ぶ)はい。

仁木委員 ちょっと時間がないので、済みません。ありがとうございます。

 そうしたら、どういったことが問題になるかといいますと、先ほどもマスクの話が出ていますが、例えば子供のマスクの長期着用が健全な発育、発達に影響を及ぼすんじゃないかというふうな懸念も上がっておりますが、それ以上に、例えば感染症対策の方が重要視されるような新たな病原体の出現もあるかもしれません。そういった、いろいろなリサーチをして、エビデンスを出してきて、それに基づいて統括庁が現場に対して様々なガイドラインなり指示を出していくのが、国家的な、国民に行動変容をお願いする、いわゆる感染症対策の実践だと思います。

 そういう意味でいいますと、例えば病原体そのものの研究というのは、この図にありますように、岸田版CDC、いわゆる研究機構の中で、人体に対する影響とか、あるいは、感染した人の、具体的な、どのような方法での治療ができる、例えば治療薬の開発につなげるとかということは分かるんですが、そういった、例えば子供のこととなりますと、例えば省庁が文科省とかにまたがってしまいます。

 そういった限られた予算で、どういう目的でどういうリサーチ、研究をして、そういったエビデンスを出していくのかというのは、やはりこの統括庁がつかさどるべきであると思いますけれども、大臣、その辺は、今の新型インフルエンザ特措法がこのまま通って形になって、大臣が所管する大臣になられた場合、これはうまく機能するとお考えでしょうか。

後藤国務大臣 そうなると、もう一回申し上げなきゃいけないので。

 まずは、新型コロナ・健康危機管理担当大臣が置かれるか置かれないかということについては、これは私の立場で置かれないとも置かれるとも言えないので、総理大臣が実際に国務大臣としての担当大臣を置かれるかどうかということはそのときです。そして、もし置かれるとした場合の話を先ほどからずっとしているので、その部分は繰り返さないでおこうと思います。

 特措法について、全体としてのいわゆる感染症対応の対策からいえば、例えば、今言っている日本版CDCのような仕事から、学校における対応から、国交省における対応から、いろいろなものがあるわけですから、そういう意味においては、そういう対策の対応全体を、危機管理統括庁がしっかりと全体としての感染対策を取りまとめていくということについては、しっかりとやっていかなければならないということであります。

仁木委員 様々なエビデンス構築のためには、やはりその研究には、先ほどの繰り返しですけれども、お金も要ります。どういったことを目的としてやっていくか、それをやはり狙ってやらないと、限られた資源ですから、無駄だというふうに思いますね。

 そういう中で、やはりそのエビデンスに基づいて、例えば、現場現場の事象、様々なことがあります。例えば、公共交通機関のありよう、あるいは学校の現場、あるいは病院の中、そういったところでの感染症対策。例えば、初期には検査体制が脆弱だったことがありました。あるいは、もっと初期には、検査体制以上に、ワクチン接種を推奨するというふうな、そういう感染症対策もありました。

 ですから、そのフェーズ、フェーズによって、これを改めて、この三年半のコロナ禍のことをよく検証しながら、指令していく、管理統括していくところで生かしていただきたいと思うわけですけれども、どうか、この特措法に基づいてできた統括庁の下で、コロナ禍のレビューをしっかりやっていただくことをお願いしたいと思いますが、今その所管じゃないかもしれないということですけれども、そのことだけ最後にお願いしたいと思います。これは国民が行動変容を伴う大切なことですので。

後藤国務大臣 今委員御指摘があったように、そうした効果、あるいは、どういった分析、評価を行いつつ新たな対策をしていくのか、客観的エビデンスに従っていつも評価をしながら、不断の見直しをするということは重要だということは、もう委員の御指摘のとおりだと思います。

仁木委員 ありがとうございます。

 そういうことで、一つ一つの、例えばワクチン接種の推奨にしましても、国民への情報の発信の方法ですね、どういった言葉がいいのか。三密というような言葉も生まれましたけれども、そういうのも、ある種、違う、都知事の発言で生まれたようなことでございまして、そういった国民に伝わる方法も含めて、やはり、リスクコミュニケーションするような行動科学、これをしっかりと据えた上で、公衆衛生、これは国民の協力なくてはできないという形でございますので、より大きな統括庁の役割があるという、そういう認識を持って、今回のこの新型インフルエンザ特措法の改正後に臨んでいただきたいと思いますが、大臣、最後に。

後藤国務大臣 科学的知見に基づいた、正確な、かつ分かりやすい情報を発信していくということは非常に重要だと思っていますから、そういう意味でいえば、委員御指摘あったような、日本版CDC、国立健康危機管理研究機構からの情報をしっかりと受け止めて、そして、その情報発信等も、専門家の知見をしっかりとかりながら、工夫をしながら、国民に分かりやすい発信をする必要があると思います。

仁木委員 終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきです。

 質問の機会をありがとうございます。

 それでは、新型インフル特措法等について伺ってまいります。

 内閣感染症危機管理統括庁が本法案によって発足するわけでありますけれども、いろいろ質疑を聞いておりまして、昨日も本庄委員が質疑をされておりました、こうしたことを始めといたしまして、私たち立憲民主党が求めてきた司令塔機能を発揮することはできないのではないかと大変強く懸念を持っております。実質、現在のコロナ室の看板のかけ替えにすぎないことになっては本当に意味がありません。そうした意味で質問をしてまいります。

 スペイン風邪から新型コロナまで約百年、そのくらいの大きなスパンもある中で、この危機意識を途絶えさせることなく、そして国民の方にも共有をして次代に受け継いでいくということは大変重要でありますけれども、この統括庁、今のいろいろな質疑の中での、この統括庁の組織機構、これを存続して発展させるために、後藤大臣としてはどのように展望を持っていらっしゃるのか伺います。

後藤国務大臣 行政各部の感染症危機への対応が今ばらばらになっているという反省の下に、それをしっかりと統括をしつつ、平時からしっかりと有事への備えに取り組んでいく、そのことが非常に重要なことだというふうに思っています。

 そのために、統括庁においては、平時からの体制を取り、そして、有事の、感染が拡大した折には、関係省庁の機能を一元化して、司令塔としての役割をしっかり果たしていく。そして、今回一緒に提案をしている、これは厚生労働省の法律ではありますけれども、厚生労働省側の国立健康危機管理研究機構の設置や、あるいは感染症対策部の設置等と併せて、全体として危機管理に対応できる、そして息の長い、何かあったときには急遽対応できる、そういう体制整備につなげていくというのが全体としての展望でございます。

早稲田委員 今、厚生労働省の感染症対策部、それから日本版CDC、こうしたところと一体化となってというお話でありますけれども、本当にそうなるのかということですね。平時では三十八人、有事になって百一人の体制ということも質疑の中で明らかになっておりますが、その中で、同じ方が兼任をされている、そしてまた危機管理監は外れるというような、この要のところが非常に手薄なのではないかということは思わざるを得ません。

 そして、私が最も重要だと思っていることの一つに、この三年間の検証というものが有識者会議では一応出されております。でも、政府としてきちんとした検証をやるべきだと思いますし、これは統括庁で是非やっていただきたいと思うわけです。

 この有識者会議の最後にも、今後とも社会経済財政への影響、財源の在り方、施策の効果などについて多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めたい、さらに、PDCAサイクルを回しながら着実に進めることと書かれております。

 まさにそこの部分が一番重要なのであって、これまでの三年間で、なぜ一斉休校であったのか、アベノマスクはどうだったのか。それから、岸田政権においては、第五波の後半から岸田政権でありますけれども、六、七、八波の中で死亡者数は全体の死亡者数の七三%に及んでいます。もちろん、オミクロンの流行が爆発をした、人数的には多いということはありますけれども、これだけの方が残念ながら亡くなっている、特に高齢者の方が。そして、高齢施設でも亡くなっている。

 そうしたことを検証していかないと、幾ら統括庁をつくっても絵に描いた餅以外の何物でもないと私は大変心配をしています。この検証を是非していただきたい、統括庁として。お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 検証については、先ほどの御紹介いただいた有識者の報告でもそのことについて述べられておりますし、出た時期は、議論もありますように、七期、八期の感染についてはカバーされていないということも承知をいたしております。そういうことについては、しっかりと検証していく必要は、もう委員の御指摘のとおりだというふうに思っています。

 今の状況としては、現在、ともかく、まだ感染症に対する対応が終わっているわけではありませんから、足下の対応をしっかりと進めつつ、そして、最低限、これまでの反省においても、司令塔機能の強化や、あるいは国と地方の連携等、やはり必要だというふうに指摘された点もあるので、そのことについては、今回一区切りとして法案を是非お願いをしたいということでありますけれども、統括庁の新しい司令塔機能ともちろんそれは並行して、しっかりと検証を不断に行っていく必要があるというふうに思っております。

早稲田委員 今、おっしゃるとおりだとおっしゃっていただきましたが、それでは、例えば二類から五類に移る五月過ぎ、ここできちんと統括庁がやっていただく、検証するということでよろしいか伺います。

後藤国務大臣 統括庁がいつからできるのかとかいう問題もありますけれども、いずれにしても、二類から五類という日にちに限っておっしゃられるとなかなか答弁は難しいということになりますけれども、不断の見直しということでやらせていただきたいと思います。

早稲田委員 例えばの話でございまして。統括庁が統括的にやるということですから、ここでしか検証できないと思うんです。ですから、統括庁がやるということでよろしいかどうかをもう一度お聞かせいただきたい。

後藤国務大臣 統括庁は、平時からの準備として、政府行動計画を作り、策定した計画に基づく充実した訓練を行い、そして、それが有効に機能するかどうか、まさに委員が御指摘になったPDCAサイクルを回してしっかりとチェックをしていく、そして、何か起こったときには有事の体制に移るということでありますから、そういう意味で、今おっしゃったような検証をしながら、こうした体制に取り組んでいくということは御指摘のとおりと考えています。

早稲田委員 今おっしゃっていただいたのは、統括庁がこの検証をやるということで理解をいたしましたが、それでよろしいですね。

後藤国務大臣 統括庁の事務を行うに当たって、検証をするということについてはそのとおりです。どういう形の検証をするのかということについては今のところ具体的に決まってはおりませんけれども、不断の検証が必要で、そして、それに基づく、科学的エビデンスに基づく政策が必要だということは申し上げております。

早稲田委員 統括庁が検証するということで理解をいたしました。

 その上で、神奈川県の方から、二〇二二年の六月に、コロナに係る検証と国への提言というのが出ております。これは質問の順番を変えますが。

 その中で、平時における体制整備、有事への適時適切な切替え、有事における感染症の特性に応じた有効な対策等を、省庁の垣根を越えて、強いリーダーシップの下で推進するとともに、DMAT及び感染症医療管理の専門家、患者搬送等のロジスティックや事務支援の専門家等、プロフェッショナルで構成する実動部隊も有する健康危機管理の司令塔機能を強化することとあります。

 これは、当時の、後藤大臣が厚生労働大臣であられたときに提出をされたものであります。まさに、自治体が、現場で大変な混乱の中、いろいろ厚生労働省とやっていた中での提言であります。そして、病院の広域搬送、それから救急搬送、大変苦労していたわけで、そのためのこうした実動部隊も含めた危機管理庁が必要だというのは、これは全国的な要望だと思いますし、こういうことが危機管理統括庁に求められているのではないかと思うわけです。

 ですから、そこのところ、大臣としても、こうしたものに育てていくという意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

後藤国務大臣 今回の改正に当たりまして、神奈川県からも、平時における体制整備、有事への適時適切な切替え、有事における感染症の特性に応じた有効な対策等を、省庁の垣根を越えて、強いリーダーシップの下で推進する、健康危機管理の司令塔機能を強化することという提言をいただいていることは御指摘のとおりで、そのことは深く認識をいたしております。

 そういう認識も共有しつつ、また、有識者会議や、いろいろな国会での御指摘、専門家での御指摘も踏まえて、内閣危機管理統括庁というような形で今回法案を提出していただかせています。

 平時における体制整備、有事への適時適切な切替え等、省庁の垣根を越えて、強いリーダーシップの下で推進するという司令塔機能を念頭に置いております。国民の命や健康の保護と社会経済活動との両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応してまいりたいと思います。

 なお、今先生から御指摘のあった実動部隊を実際にどういうふうに動かしていくのかということについて言えば、やはり、実動部隊を動かすとか、あるいは政策の具体的なところで所管事項について動かしていくということについて言えば、これは分担管理事務を行うことになっている各省の権限ということもありますから、危機管理統括庁でそのまま行うというようにちょっと聞こえたり、あるいは、若干、神奈川県の御提言にはそういう要素があろうかというふうにも思いますけれども、その辺のことについては制度上の議論をしながら、しかし、どういう感染上の対策が必要であるのかという総合調整ということについては、これは重要な政策立案であるということなので、そうしたことも視野に入れた上で、実際にどうやってそれぞれの役所を動かしていくのかということも含めて、統括庁でしっかりと議論する必要があると思います。

早稲田委員 総合調整という言葉をいつもお使いになるわけで、もちろん、総合調整という言葉なんでしょうけれども、やはり自治体が困っていたことは、そういう搬送であったり、医療機関が応じてもらえないことであったり、そういうことですから、それを全て情報を集約して、そこで統括をするということは大変重要な役割だと思います。

 実動部隊がまた厚労省の部の方に移るのかどうかということもありますが、やはり統括をしていただくのは統括庁でやるということのもっと具体策を見えるようにしていただかないと、大変、私たちが求めているものとは隔たりがあるのではないかと、今の質疑を聞いていても思いました。

 質問を続けます。

 それから、この有識者会議で提言のありました保健所体制の強化の見通しについてであります。

 これについては、ずっと言われておることですけれども、パンデミックの中で大変な状況、もちろん医療機関もそうですが、保健所の機能、これは、一九六〇年代には八百以上あったものが、現在は半分近くになっております。その中で、大変な思いをされて患者さんとやり取りをされていた、そういう現場の声を私も聞いております。

 第八次医療計画の策定について、六つ目の事業として感染症対策が入っていると聞いています。でも、実質的に保健行政を扱うのは自治体でありまして、そうなれば、このパンデミック対策の情報収集の要となる自治体へのサポートを手厚くする必要があります。

 この保健所体制の見直し、強化の見通しはどのように加藤大臣は考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

加藤国務大臣 まず、この三年間、保健所の現場においては本当に様々な業務をしっかりやっていただきましたことに心から感謝申し上げたいと思います。

 昨年六月の有識者会議の報告書では、保健所体制に係る課題として、関係機関、市町村などとの役割分担や協力関係が不明瞭であったこと、感染拡大とともに保健所の業務が逼迫し、保健所のコアの業務である積極的疫学調査や情報収集、管理などが十分に実施できなかった等の指摘をいただきました。

 これを踏まえて、次の感染症危機に備え、平時のうちから計画的な体制整備を進めるため、改正感染症法に基づき各都道府県に設置する連絡協議会において、関係機関、市町村等の関係者が連携の在り方などを検討、議論し、保健所の整備を含めた予防計画を策定することにしております。また、この予防計画の策定等を支援するため、令和五年度の地方財政措置により、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を約四百五十名増員をしたところでもあります。

 さらに、昨年十二月に改正した改正地域保健法により、有事の際に保健師等の専門人材を保健所等に派遣し支援を行う仕組みであるIHEATを法定化もいたしました。

 こうした取組により、平時から、有事にも備えて、計画的に保健所の体制整備が図られるよう取り組んでいきたいと考えています。

早稲田委員 今、予防計画ということ、それからIHEATの仕組みを御答弁されました。確かにこれは一つ進んでおりますけれども、保健所の機能を支援する要員として地域の医療従事者などが登録をされるわけですけれども、危機管理という意味であれば、大変その訓練というものが必要だろうと思います。今のこのパンデミックの後のときにしっかりとそれを蓄積をしていく、そのためには、やはりIHEATの登録の仕組みだけでなく、本当にもっと実効性のあるものにしていく必要があるのではないかと思います。

 そこで、私の提案でありますけれども、陸上自衛隊などが実施している予備自衛官補、予備自衛官制度などを参考にした、地域医療従事者や公務員、地方公務員の退職者などの、予備行政保健師制度のようなものを検討してはいかがかと思います。それについては、やはり統括庁がきちんとこれをグリップしていただいて、所管をしていただく。それによって、平時にたくさんの、保健行政というのは、犬猫の問題であるとか、それからまた飲食店の開業の問題であるとか、多岐にわたりますから、平時と有事を分けて、ここでやっていただきたいと思います。

 二点伺います。

加藤国務大臣 いわばIHEATそのものが予備自衛官制度を参考にしたものだと認識をしております。パンデミックの発生時に保健所の業務が逼迫しないよう、まさに予備自衛官制度も参考にしながら、令和二年九月より、地域の保健師等の専門人材が保健所等の業務を支援する仕組み、これがIHEATであります。昨年十二月に成立した改正地域保健法で法定化し、恒久的な制度とさせていただきました。

 IHEAT、現在、五千三百人以上の方が登録をしていただいておりますけれども、登録のインセンティブにもなるよう、派遣時の費用はもとより、平時における研修費用を手厚く支援をし、しっかり研修を行っていくということも大事であります。

 また、自治体によっては、IHEAT要員の募集に当たって当該自治体を退職した保健師に声がけするなど、地元のつながりを活用するなどの取組例もございます。そうした取組例も横展開しながら、自治体、関係団体と連携しながら、このIHEATの仕組み、これをしっかり整備をし、そして、具体的にそうした必要時においてそれが効果的に活用されるようしっかりと対応し、また必要な検討を進めていきたいと考えています。

早稲田委員 予備自衛官の制度を参考にしたとおっしゃいますけれども、予備自衛官は、平時においても月四千円の手当が支払われております。その人員確保は防衛省の義務となっているわけです。

 ですから、私は、そういう研修にもきちんと出ていただく、そしてそういうものを繰り返しやっていただけるような、やはりIHEATを所管するのが統括庁として、義務化というようなことも検討をされてはいかがかと思います。そうでないと、これだけ保健所、保健所人員が減ってしまっている、半分ですから。その中で、こういうまた次の感染症が出てきた場合、幾ら五千人、今登録をしていただいても、すぐに動けるとは思えません。だからその提案をさせていただいているので、是非検討していただきたいと思います。

 次に、クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号集団感染事故対応の検証をすべき点についてであります。

 これも、先ほど申しました検証という意味では、これは国交省で中間取りまとめが出ましたが、厚労省それから政府全体としてなされておりません。これはやはりやるべきであるということを強く思うわけであります。

 特に、事故の検証を求める全国連絡会の平沢さんから、私どもはコロナ対策本部でヒアリングも行いました。クルーズ船の再開をしたけれども、政府としての検証、検討を行っておらず、業界団体のガイドラインに全面的に依存した極めて無責任な再就航の決定である、ですから、そこのところもやはり不安が取り除けない、つまり、業界任せだけではいけないのではないかという指摘でありまして、これはもっともだと思います。

 更に申し上げると、検疫法の部分でも、その当時の橋本岳元副大臣が、検疫法の改正も必要なのではないかということを実体験を踏まえておっしゃっておられます。検疫法の改正はありましたけれども、それについて上陸の改正はありましたが、乗船についての改正はございません。

 やはりこれも、こういうパンデミックが三千人規模という大変大きなクルーズ船で起こった場合、きちんと法的根拠を持ってやるべきだと私は考えますので、この点について是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、新型コロナへの政府の対応についての有識者会議、ここでは当然、ダイヤモンド・プリンセスの対応も含めて多分議論していただいたところでございますけれども、それを踏まえて感染症法の一部改正案を提出し、成立を図っていただきました。

 この改正の中で、今委員から御指摘もあったように、大型船舶の検疫措置の円滑化の観点から、乗客を港湾施設等に移動させた上で検疫を行うことも可能といたしました。

 他方で、検疫官による検疫を行う臨船検疫、これはもう既に明示をされて検疫法に位置づけられ、それにのっとって、検疫官の船舶への立入りや、立入りを行う任命等が行われているところでございまして、先般のダイヤモンド・プリンセスの中においても、例えば医療従事者等の方については検疫官の任命を行って対応していただいたというふうに承知をしております。

 いずれにしても、今回のプリンセス号あるいはクルーズも再開をされているわけでありますので、今後、前回のような事案が発生しないように、関係省とも連携しながら対応させていただきたいと考えています。

早稲田委員 実際に、医官それからまたDMATの医師なども乗船したわけですけれども、それは、臨時の検疫官として、現場の判断で厚労省とやり取りをしてやったと聞いています。そうではなくて、私は、やはりそういう有事の際には、それが法的に位置づけられるべきだと考えています。

 確かに、大臣おっしゃったように、上陸をして、そこで検疫をするということは法改正になりました。でも、乗船をしてというところのこの臨時の部分はされておりませんので、是非そこも検討していただきたい。やはり現場で橋本元副大臣がそれをおっしゃっているということは、それが必要だと思っているからおっしゃっているわけで、DMATの医師からも聞きましたけれども、大変そのときに、乗船をするということが混乱をされたと聞いております。

 是非、こうした自治体、現場の声に即した対応を更にお願いしたいと思います。

 それから、DMATについても伺いたかったのですが、ちょっと時間がないので、最後の質問。

 日本看護協会からの懸念や、国立病院機構での大量離職に関する報道もございます。私の地元神奈川でも、年間を通して、新入職員数や中途採用数を上回る退職者が断続的に出ているという医療機関の情報もございます。

 全国的な看護師のコロナ疲れについて、また、大量離職についての大臣の御見解、やはり一過性のコロナ手当ではなく、ずっと求めております看護職の処遇改善が必要ではないかと考えるわけですけれども、加藤大臣に伺います。

加藤国務大臣 新型コロナに対応いただいた医療現場の皆さん、特に看護職員の皆さん、献身的な御努力、対応には本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 看護師の方々のコロナ疲れによる大量離職について御指摘がございました。

 私ども、幾つかの医療機関から伺ったところ、その範囲ではありますが、直近の状況では、看護職員の離職が多くなっているという医療機関もあれば、必ずしもそうではないという医療機関もあって、医療機関ごとに離職の状況は異なっているというふうには認識をしています。

 その上で、医療提供体制を安定的に運営するには看護職員の方の確保が大事であり、それに向けて、看護職員の処遇改善を始め、働き続けられる環境整備を図っていくことが重要であります。

 看護職員の処遇改善については、これまでも申し上げているように、昨年十月から、現場で働く方々の給与を恒久的に三%引き上げるための措置を講じたところであります。また、地域医療介護総合確保基金を通じて、仮眠室、休憩スペース等の新設、拡張等、看護職員の勤務環境の改善も進めさせていただいております。あわせて、今後は、五類感染症への変更に伴って、特定の医療機関に負荷がかからないように、全ての医療機関で対応していただけるような体制に段階的に移行も進めていきたいと思っております。

 こうした努力を進める中で、医療現場において必要な看護職員の方が確保され、また看護職員の皆さんの働きやすい環境の整備を図っていきたいと考えています。

早稲田委員 そういう大量退職しているところもあれば、そうでないところもあるとおっしゃいましたけれども、じゃ、この国立病院機構での大量離職については、大臣はどのように原因を受け止めていらっしゃるんでしょう。

加藤国務大臣 国立病院機構に関する報道等は承知をし、その事実を今国立病院機構が確認をしているというふうに承知をしております。

 国立病院機構においても、例年一定程度の退職者がいて、また、医療現場を守るため、職員確保をするために様々な、例えば本年四月の若年層の基本給の引上げ等、処遇改善にも取り組んでおられると承知をしております。

 引き続き、事実確認の結果を踏まえ、必要に応じ、主務大臣として行うべき適切な対処、必要であれば対応していきたいと考えています。

早稲田委員 是非実態の把握をしていただきたいと思います。三%の処遇改善ということだけでは到底足りないから、こうした事態も起こっているし、有給休暇もまとまって取れないし、働き方改革の部分もあります。そういうことを全て全般的に主務大臣としてやっていただきたいと思います。

 二月二十二日に行われました百十七回のアドバイザリーボードにおいても、日本看護協会から、一生懸命やってきたけれども気持ちが燃え尽きてしまった、コロナ禍で、患者に感染させてはいけないという気持ちと、病棟の管理などの大変さで緊張が抜けない、精神疾患と診断される、退職せざるを得なかったなど、大変、現場からは声が寄せられていると言われております。

 今後も離職する看護師が増える懸念があるとまで言われておるわけですから、一過性のコロナ手当でなく、しっかりとした、きちんとした処遇改善が必要であります。

 立憲民主党は、コロナの以前より看護師の処遇改善を訴えておりまして、二〇二一年十一月十一日にも、立憲民主党として大臣に緊急要請をしております。是非次の報酬改定に向けて御検討をしっかりしていただけますように要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔三ッ林委員長退席、大西委員長着席〕

大西委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、時間をいただきまして、新型インフルエンザ特措法改正案に対する質疑を行います。

 新型コロナの感染者数は三月十四日までに累計で三千三百三十三万六千九百七十七名、亡くなった方は七万三千二百七十三名になっています。改めて、新型コロナに罹患しお亡くなりになった方への御冥福をお祈りするとともに、現在罹患されている方の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

 そして、新型コロナのパンデミックの局面は、ここに来て新しい局面を迎えていると思います。この三月十三日から、マスクの着用は個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となりました。また、五月八日には、感染症法上の分類が現在の二類相当から五類に変更となります。また、国内の社会経済的に見ても、例えば各地の観光客は回復の兆しを見せています。全国旅行支援も今のところ三月末にて終了する予定だと聞いておりますが、その他様々な状況を見ても新しいフェーズになっていると考えます。

 まず最初、総括的なことを後藤大臣に聞こうと思っていたんですが、ちょっと時間がなさそうなので、加藤大臣に応招義務についてお伺いしていきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、一月に政府は、二類相当から五類への分類の見直しを行うことを発表し、三月十日に、加藤厚生労働大臣は記者会見で、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について」を発表されています。

 そして、その中で、「位置づけ変更に伴うさらなる取組」として、このように記載されています。

 各都道府県において、定期的に対応医療機関数、令和五年二月時点で全国で約四・二万を把握しつつ、広く一般的な医療機関、全国で最大約六・四万施設、機関での対応を目指し、医療機関数の維持拡大を促す。国は、都道府県を通じてその進捗管理を行う。その際、都道府県は、受け入れる患者をかかりつけの患者に限定している医療機関に対して、地域の医師会等と連携の上、患者を限定しないよう積極的に促す。対応医療機関について、各都道府県において医療機関名等を公表する仕組みを当面継続する。国及び都道府県は、対応医療機関の維持拡大に向けて、位置づけ変更を待たずに、積極的に取組を行う。

 そして、「応招義務の整理」として、医師等の応招義務について、新型コロナウイルス感染症に罹患又はその疑いのみを理由とした診療の拒否は正当な事由に該当しない取扱いになることを明確化するとして、特定の感染症への罹患等のみを理由とした診療の拒否は正当な事由に該当しないが、現在、新型コロナウイルス感染症は、二類感染症と同様、制度上特定の医療機関で対応すべきとされていることから、その例外とされています、新型コロナウイルス感染症の位置づけ変更後は、制度上幅広い医療機関において対応できる体制に移行することから、正当な事由に該当しない取扱いに変わるとされています。

 すなわち、五月八日以降は、大臣、類の見直し後に診療拒否があれば、医師法で定める医師の応招義務に違反することになるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 まず、応招義務は、医師法第十九条で、医師は、正当な事由がなければ診療を拒んではならないとされておりまして、さらに、それの運用については局長通知がなされていることはもう委員御承知のとおりでございます。

 基本的に、実際の判断においては、緊急対応の必要性や医療機関の設備の状況等、個々の事情を総合的に勘案して判断するとなっておりますけれども、現状も、ただし、一、二類感染症、制度上特定の医療機関で対応すべきとされている感染症に罹患している又はその疑いのある患者についてはこの限りではないということで、除外をされていて、そして、その対象にこれまで新型コロナウイルス感染症が該当するということで運用してきたわけでありますが、今委員お話しのように、今回、五類感染症に位置変更し、特定の医療機関だけで対応する疾患ということではなくなる。したがって、その点をしっかり明らかにする必要があるということで、今申し上げたことを会見等で説明させていただいたということであります。

吉田(統)委員 例外等がそもそもあるということを、今大臣、冒頭おっしゃいましたですよね。ですので、大臣、この新型コロナウイルス感染者の診療をめぐっては、やはり現状、建物の構造、動線等々によって感染防止策を十分取れないなどの理由で拒否する医療機関があるわけですね。ですから、そのような状況は、五月八日以降で一朝一夕に変わるわけではないですよね、大臣。

 あと、医師が非常に高齢であったりとか、医師としても、診察を行いたいとしても、そのような動線などの設備の面で診たくても診れないという状況が十分出てくるわけであります。同様に、慢性期の方を多く診ておられるとか、コンプロマイズドホスト、免疫が低下している方を多く診ている方とか、高齢者の方を多く診ているクリニックだと、やはり現在でもコロナの診療からあえて距離を置いている現状があると思います。これらの方はやはり医師としては善意の判断で、今まだ診察をする、診療する環境が整っていないということになっているわけです。

 だから、応招義務ということで一くくりにされてしまうと、現場がやはり混乱してくる可能性が今後あるわけですよね、大臣。ですので、今大臣がおっしゃった前提をお聞きしつつ、今後、例えば現場の様子を見ながらということにもなるかもしれないんですが、例外的なことを設けるということがあるのか、あるいはガイドラインのようなものを策定するようなおつもりがあるのか、あるいは、そういった状態、前提に備えて何かお考えがあるのかを聞かせてください。

加藤国務大臣 構造的なものを変えているわけではないというのは、そのとおりであります。

 ただ、これまで、いわば新型コロナウイルス感染症ということ、あるいはその罹患疑いということで、これまではもうそれで応招義務から免れていた。今回は、そこでは一義的には免れないというか、適用の外にはなりませんよと。ただ、個々について見るというところは変わっていないわけですから、そういった面で誤解が生じないような説明をしていくとともに、やはり受け入れていただける医療機関を増やしていくということで、医療機関においては、感染対策、どこまでやればいいのか。当初はかなりシビアな、厳しい対策をそれぞれ取っておりましたが、だんだんだんだん、これまでの経験によって、そこまでする必要がないということ、あるいは、設備を整備していく支援、こういったことをしっかりやることで、できるだけ多くの医療機関で受診をしていただけるように努力をしたいと思います。

吉田(統)委員 ケース・バイ・ケースでやはり御対応いただけるという理解でいいですよね。大臣の御答弁をそのように受け止め、分かりました。

 それでは、先ほど申し上げた、三月十日の記者会見で発表された資料によると、診療報酬の取扱い、すなわち新型コロナの診療報酬の特例の見直しについては、新型コロナウイルス感染症の位置づけ変更に伴い、五月八日以降、外来等及び入院における診療報酬特例について見直すとおっしゃっています。また、冬の感染拡大に先立ち、今夏までの医療提供体制の状況等を検証しながら必要な見直しを行う、その上で、令和六年四月の診療報酬、介護報酬の同時改定において、恒常的な感染症対応への見直しを行うとされていますね、大臣。

 そこで、順番にお聞きしますが、まず、今回の二類相当から五類への変更に伴って、五月八日から、外来、訪問診療、入院など、それぞれで三倍計上されていた診療報酬が元に戻ったり、そのほか、大幅に引き下げられるもの、維持されるもの、そして廃止されるものもあるとお聞きしています。

 この特例の見直しについて、どのような考えの下に、どのように変わっていくのか、具体例もできたらお示しいただきつつお答えいただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今回の見直しに当たって、基本的な考え方は、一つは感染対策、これは当然必要なので、それについて評価をしていく必要があるということ。また、この間の様々な実際の取組等を見る中で、業務、人員体制の効率化等、様々、いろいろな工夫をしていただいたり、あるいは、今の実態を踏まえて見直す、この辺について会計検査院からも指摘をされているわけであります。

 また、入院調整をこれまでは行政がしていたものが、各医療機関にお願いするというケースも出てきますが、これはなかなか手間がかかるという声も聞かせていただいています。また、高齢者等の受入れに関しては、やはり今回のオミクロンになる中で、高齢者が増えていくというのは、基礎疾患との絡みが出てくるので、幅広い、地域包括ケア病棟とか、こういったところでの受入れがむしろ適しているのではないか、したがって、そういうところでより受けていただくようにしていく必要があるといった考え方に立って、診療報酬について見直しをさせていただきました。

 具体的にということであれば、例えば、コロナの患者の入院調整を行った場合は九百五十点という点数を作る、あるいは、感染対策が必要だということで、引き続き、三百点だったものでありますが百四十七点ということにさせていただき、さらに、幅広く受けていただくところは三百点という形を維持する、あるいは、入院医療については、先ほど申し上げた、実態を見直しをして一・五倍、三倍を一・五倍程度に見直しをする、こういった取組をさせていただいたところでございます。

吉田(統)委員 よく分かりました。ありがとうございます。

 それでは、さらに、冬の感染拡大に先立って、今夏までの医療提供体制の状況等を検証しながら必要な見直しを行う、その上で、令和六年四月の同時改定ということ、この部分なんですが、もちろん、この五月八日以降の動向を見つつ検討していく部分がかなりあるんだとは理解いたしますが、一方で、既に検討が進められて、同時改定に向けて一定程度もう既に視野に入ってきている状態にある施策もあると思います。

 来年の同時改定について、どのような考えの下でお進めになられているのかという点、そして、既に改定が視野に入っているものがあればお示しいただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたような考え方にのっとって、五月八日から、最終的な判断はまだ、もう一回しますが、五月八日から移行する。そして、その先に、令和六年度の診療報酬改定が来年の四月、具体的な議論はこの年末にかけてございますから、当然そこを見据えていきながら、これまでもそうですけれども、逐次、必要があれば診療報酬等の見直しも行ってきていますので、そこで見直しという言葉が入っているということであります。

 それで、令和六年度の診療報酬の改定に向けては、新型コロナの診療報酬の特例、今いろいろやっています、それの状況がどうなのか。また、それに伴う感染対策、現行の感染症対策向上加算などの感染対策の評価をどう考えるのか。さらには、感染症法を踏まえた次期新興感染症発生、蔓延時における医療への対応を含む次期医療計画が令和六年度から開始するということにもなっております。そういったことを念頭に置きながら、いわば恒常的な感染症対応に移っていく、それに対応した診療報酬改定というふうになるんだろうというふうに考えています。

吉田(統)委員 もう少し具体的な部分を聞きたいところなんですが、ちょっと時間がないので、先に進ませていただきます。

 まだ、大臣、余り、これから先の議論がほとんどだという理解でよろしいですね。分かりました。

 次に、じゃ、五類に変更になった後の高額治療薬の扱いについて大臣にお伺いいたします。

 三月十日の発表によると、経口薬、ラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバ、点滴薬、ベクルリー、中和抗体薬、ロナプリーブ、ゼビュディ、エバシェルドの新型コロナ治療薬の費用については、急激な負担増を避けるために公費支援を一定期間継続するとされています。

 まず、支援の継続ですが、医療を提供する側としても非常に関心が高く、見通しが知りたい問題だと思います。現在のところ、具体的にいつまでをお考えでしょうか。また、それが変更されるのはどのような条件が整った場合と考えておられるか。例えば、支援を半額程度に減らすなど、段階的に支援を減らすというようなこともお考えでしょうか。お答えください。

加藤国務大臣 まず、これまでも公費支援をやってまいりました。それに当たっても、六か月か三か月間ぐらい、これは財源が要りますから、確保しながらやってきた、そういう流れの中で、まず九月末までということで、また財源についても、新型コロナ緊急包括支援交付金、こういったもので措置をして対応していきたいというふうに考えております。

 その後の取扱いについては、他の疾病との公平性等というのはこれまでも申し上げてきましたが、さらに、新型コロナ治療薬の国の在庫の活用状況、あるいは薬価、これは薬価も掲載されるということでございますから、薬価がどうなっていくのか、それも踏まえて、冬の感染拡大に向けた対応を検討し、適切なタイミングで、当然それぞれ皆さん準備もございますから、お示ししていきたいと考えています。

吉田(統)委員 ありがとうございます。よく分かりました。

 五類になると、発熱外来など四・二万の医療機関で外来を受け入れている現状から、先ほど、厚生労働省の発表ですと、最大六・四万施設での対応を目指すとされている。受入れ医療機関が拡大するわけですね、大臣。

 そうすると、いわゆる高額治療薬の使用実績は、今後、今までと同様の感染状況や、実質全数把握は分からなくなるので第九波がどういった形になるのか分からないかもしれませんが、第九波が到来した場合に使用は増加すると大臣はお考えになられますか。これは、支援が継続している間と、支援が打ち切られて高額な自己負担になったということで、また様子は変わると思うんですが、やはり六・四万施設で対応していくとなると、使用は増加しますかね。どのようにお考えになられますか。

加藤国務大臣 扱う診療機関だけじゃなくて、もちろん、感染がどうなっていくのか、それから感染された方の症状がどうなっているのか、幾つかの要因があるので、必ずしもどうなるということは申し上げられませんが、ただ、我々として、当然、一定程度必要とされる方が出るということを前提に準備はしておかなきゃいけないというふうには考えております。

 その上で、今委員がお話しになった四種類の品目が保険適用とされておりますが、これについて、高額な医薬品に対する対応として、別にこれは新型コロナの治療薬に限るわけではありませんけれども、薬価収載後の価格調整ルールとして、市場拡大再算定、費用対効果評価といった仕組みがございますので、こうしたルールに従って対応していくことになるというふうに思います。

吉田(統)委員 大臣おっしゃったように、確かに、感染の状況や症状の出方、株の毒性とか、そういうもので変わるとは思うんですけれども、ただ、一定程度やはり予測はしておかなきゃいけないですよね。

 大臣、今大分お答えいただいたんですが、もう一点、公的支援がなくなった後に、自己負担とともに、これは健康保険で賄うことになりますよね、当然。その場合、保険財政への影響の見通しが現時点で一定程度あれば、それをお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 ですから、国が確保していたものをお渡しすれば、これは一〇〇%国が負担をしていますけれども、医療機関が、特に薬価収載されたやつはそうなりますが、それぞれ医療機関がお買いになって、それに対して、自己負担を除いた分はおっしゃるように保険財政から、自己負担分は国からということになるわけでありますので、したがって、そういったものに対する調整ルールとして、先ほど申し上げた市場拡大再算定とか費用対効果評価といったものがございますから、それにのっとって対応することによって、保険財政や国民負担の軽減にも配慮していく、そしてその中で医療の質の維持をしていく、あるいは向上を図っていくということに努めていきたいと思います。

吉田(統)委員 一定程度、十分御説明いただいたので、ありがとうございます、それで結構です。

 ここからは、後藤コロナ担当大臣にお伺いしたいと思います。

 本法案で、内閣感染症危機管理統括庁を内閣官房に新設するとしています。しかし、現行制度においても、内閣官房の新型コロナウイルス等感染症対策推進室において感染症対応に関する事務が行われていますね。

 政府は、現行体制のどのような点に問題があると認識しているのか、また、統括庁を新設することによって具体的にどのような改善が見込まれるとお考えでしょうか。大臣、お答えください。

後藤国務大臣 現在においても、今委員御指摘のように、内閣官房のいわゆる総合調整機能を使って、コロナ室等で、担当大臣も置いてやっているわけでございますけれども、今回、内閣感染症危機管理統括庁、しっかりと感染症危機対応における司令塔機能を果たしていくために、平時からしっかりと体制の準備をする、感染症危機発生時の初動対応、こうしたものに準備をしていく、それから、政府対策本部の事務等に係る司令塔機能等も含めて、一貫して統括庁においてそうしたものを集約し、意思決定を一元化、迅速化していく、それからもう一つは、厚生労働省との一体的対応を確保しつつ、新たに専門家組織として設置される日本版CDCの質の高い科学的知見も含めて感染症危機に対応していく、そうしたことを一体として進めていくということを目的といたしております。

 これらの司令塔機能の発揮を通じて、国民の生命と健康保護、そしてもう一つは社会経済活動の両立を図りながら、感染症危機をより迅速的確に進めていくことが可能になると考えております。

吉田(統)委員 分かりました。

 ちょっと飛ばしますね。

 そうすると、大臣、よく分かるんですが、これは、今くしくもおっしゃった、統括庁と厚生労働省との職務の分担と連携が非常に重要になりますね。今大臣がまさにおっしゃったとおりなんです。

 なので、簡潔に聞きますが、この法案成立後、統括庁と厚生労働省の職務の分担と連携はどのような考えの下で行っていくか、もう少しお話しいただけますか。今のだとちょっと分かりにくいので、もうちょっと具体的に。

後藤国務大臣 役割分担でございますけれども、統括庁は、政府全体を俯瞰して総合的な視点で、各省庁から一段高い立場で感染症危機管理に係る対応を統括をいたします。厚生労働省は、新たに感染症対応能力を強化するために設置される感染症対策部を中心として、感染症対応の実務の中核を担うものです。

 少し制度的な議論をするとすれば、統括庁の所掌事務は内閣補助事務、そして厚生労働省の所掌する事務は内閣法上の感染症対応に係る分担管理事務ということになります。

 その上で、そういう形でありますけれども、統括庁と厚生労働省の一体的な対応ということを図るために、統括庁は厚生労働省等の各省庁を強力に統括する。その際には、医務技監を結節点として、統括庁の指示を迅速に厚生労働省内に徹底するとともに、医務技監の総括整理の対象である感染症対策部等の知見、リソースを統括庁の企画立案の方にしっかりとつなげて活用していく、そういうことで、連携、一体的な確保も図っていくということを考えています。

吉田(統)委員 分かりました。

 もう少し、簡潔に聞いていきますが、内閣感染症危機管理統括庁ができた暁には、やはり司令塔としての役割に、国民の皆さんもこういうパンデミックの局面では非常に大きな期待を寄せると思います。

 ただ、感染症と一口で言っても、今回のような世紀の、百年に一度のパンデミックだけではなく、毎年のように流行する季節性のインフルエンザ、私が危惧しているのは、例えば、パンデミックというよりもアウトブレークと言った方がいいのかもしれませんが、鳥インフルエンザが人間に病原性を獲得してきたとき、これは非常に大変なことになるということが予想されます。また、これもアウトブレークと言った方が正確かもしれませんが、エボラ出血熱のようなものもあります。

 確認なんですけれども、世界的大流行とされるパンデミック、そして局所的に流行するアウトブレークといった、こういったパターンがある中で、統括庁はどの範囲までの司令塔としての役割を発揮していくのかをもう少し明示していただけませんか。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症の発生及び蔓延の防止に関する総合調整事務を所掌するものでありますから、感染症の発生及び蔓延の防止に関し政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合には、統括庁が総合調整を担うこととなります。

 具体的に申し上げれば、新型インフルエンザや今回の新型コロナウイルス感染症などのように特措法の対象となる感染症は、そもそも、全国的かつ急速に蔓延するおそれがあり、国民の生命、健康を保護しつつ社会全体への影響を最小化する必要があるため、政府全体の立場からの総合的な対応が必要となるということで特措法の対象になっているわけですから、統括庁の対象と当然なります。

 また、鳥インフルエンザウイルスが人に感染した場合など、これはもちろん、新型インフルエンザ等になったらそちらに移るわけですが、それまでの間、特措法の対象でない感染症についても、今申し上げた、政府全体の立場からの総合的対応が必要となる場合は統括庁が蔓延の防止に関する総合調整を行うということでありますから、これも対象となるということでございます。

 統括庁が対応する感染症に該当するかどうかということについては、新たな専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構、日本版CDC等の科学的知見も踏まえて、個別の感染症に係る具体的な症状の状況等を踏まえて、個別に判断していく問題だと考えています。

吉田(統)委員 時間がなくなってまいりました。十分お答えいただいていますので、ありがとうございます。

 現在、新型コロナ対策の上で、様々な有識者会議が設置されていますね。後藤大臣や加藤大臣も、それぞれの有識者からの御意見をお聞きになられながら政策立案をされていると承知しています。例えば、内閣官房の下には推進会議、厚生労働大臣の下にはアドバイザリーボード、もろもろの有識者会議が置かれていますね。

 今回、新型コロナ対策の上で、関係各所の省庁の職員の方々とともに、有識者会議に参加された様々な有識者の方々の貴重な御意見、大変に我が国に貢献をしていると、心から敬意を表するところでございます。

 そこで、お聞きしますが、今回、内閣感染症危機管理統括庁が設置されて、さらには、今後、今、後藤大臣がおっしゃいました、厚生労働委員会で審議が予定されている日本版CDCの設置が予定される中で、こういった有識者会議の位置づけというのはどのような形になるのか教えていただきたいんです。

 すなわち、今まで同様に有意義な御助言をいただけるような仕組みについて、新しい組織、仕組みになるわけですから、どういった形で位置づけていくのかを、これは大事な問題だと思いますので、お答えいただければと思います。

後藤国務大臣 今委員御指摘のとおり、専門家の皆様からの御意見は非常に重要でありまして、これまでも、その時々の状況を踏まえて、政府としては必要な判断をするべく努力をしてまいりました。

 御指摘の有識者会議の今後の位置づけでありますけれども、新型コロナウイルス感染症対策分科会は特措法に基づいてつくることになっております。これは変わりません、今後も。新型インフルエンザ等対策推進会議の下に置かれているものでありまして、今般の新型コロナ対策に関する事項を調査審議するために当分の間置くとされているものでありまして、今後の感染動向も不透明であることから、当面継続するということで考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 継続ですけれども、具体的な位置づけや役割に関して、もう少し具体的には決まっていないですか、大臣。

後藤国務大臣 推進会議自身は、例えば、対策本部を設置する前に、きちんと意見を聞くことが法定されているわけでありますから、そうした推進会議の実際の役割を担っているのは分科会でありますので、そういう意味での、従来の法律の仕組みの中で特措法で引き継ぐ部分について、それはこれまでどおりということになります。

 その他、分科会等については、専門家の貴重な意見ということになるので、今後どういうふうな扱い方をしていくのか、また具体的には詰めていくということになりますけれども、新たにできる日本版CDCのそういう専門家の提言等も含めて、幅広く専門家の声を聞きながら、客観的なエビデンスに従った政策ができるようにしていきたいと思います。

吉田(統)委員 是非、大臣、そこはしっかりとやっていただいて、今まで以上に御意見をしっかり政策に反映できるようにしていただきたいと切にお願いします。

 時間がなくなってまいりましたので、最後、後藤大臣も先ほど来ずっとおっしゃっているところなんですけれども、この法案のポイントですが、やはり、設置が予定されている日本版CDCとの連携の問題を確認しておきたいと思います。

 米国では、CDCというのは、ほぼ具体的な政策立案をそこで決めてしまうぐらい大きな権能があると承知しています。実際には、形上は、各州政府に形式的な決定権限はあるわけですが、ほぼ自動的に予算がついていくイメージを私は持っておりました。

 ただ、今回の法案、まだこれから議論をしていくわけでありますが、そこまでの権限はないとも読み取れますし、今回設置される統括庁が本来の司令塔の少なくとも一翼を担っていくわけですよね。なので、先ほど来後藤大臣もおっしゃったように、日本版CDCが蓄積していく科学的知見をどのように政策に反映するのか、本当に重要だと思います。逆に、統括庁から日本版CDCに何を求めていくのか、どのように求めていくのか、この連携は非常に重要だと思います。

 つまり、日本版CDCは、今回、加藤大臣が今後、厚生労働委員会で御質疑されて、法案として成立を目指していかれるわけですので、トップは加藤大臣になられるわけですよね、成立したCDCも。後ろでうなずいているから、そうですよね。だから、ワンクッション、厚労省と厚労大臣というのがいらっしゃる中での連携になりますので、ここの連携をしっかりと取っていかないと、やはりアウトプットがしっかり出づらい状況も予想されてしまうわけなんです。

 ですので、今回、ここの新たな大きな枠組みの変更が共にあるわけですので、ここで、後藤大臣、特にこの連携において気にしていること、重要だと考えること、逆に、今までの課題をこれで克服していくんだという部分をしっかりと御開陳いただきたいんですが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 まず、機構、日本版CDCと、それから統括庁でありますけれども、もちろん、厚生労働大臣の下に置かれますから、厚生労働大臣が責任を持って、新しい日本版CDC、これを管理していくわけでありますけれども、この日本版CDCから統括庁に対して科学的知見を報告、それも直接報告する、提供するという規定も機構法では設ける予定になっておりますし、また、統括庁の方から日本版CDCの方に意見を求めて、会議に出席を求めるという直接的な関係もございます。そういう意味では、連携を、特にパンデミック時には一体となって取れるような体制を努めていく必要があると思います。

 それで、機構に対して必要な科学的な知見の提供を求めて、機構はそれを受けて、平時から迅速に質の高い科学的知見を提供し、日本の場合では、それに基づいて統括庁においては政策決定を行っていく、そういう枠組みを構築していくことにしておりまして、しっかりとその辺の連携が取れるように、今申し上げたような本部出席、意見陳述を直接し、そうしたことの仕組みもありますので、連携を取ってやっていきたいと思います。

吉田(統)委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

大西委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時五分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案は内閣委員会議録第四号に掲載


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