衆議院

メインへスキップ



第5号 令和6年3月22日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年三月二十二日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    黄川田仁志君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 郁子君    橋本  岳君

      福田 達夫君    藤丸  敏君

      堀井  学君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    城井  崇君

      坂本祐之輔君    中谷 一馬君

      馬場 雄基君    福田 昭夫君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     自見はなこ君

   内閣府副大臣       石川 昭政君

   文部科学副大臣      あべ 俊子君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         大森 一顕君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)       佐々木正士郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        吉田健一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           舟本  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           秋山 公城君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     杉田 水脈君

  中谷 一馬君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     上杉謙太郎君

  馬場 雄基君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

三月二十一日

 現行の健康保険証を残すことに関する請願(近藤昭一君紹介)(第五七一号)

 同(道下大樹君紹介)(第六三四号)

 子供のための予算を大幅に増やし、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善を求めることに関する請願(落合貴之君紹介)(第五七二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第五七三号)

 同(岡本あき子君紹介)(第六三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第六三六号)

 同(道下大樹君紹介)(第六三七号)

 同(白石洋一君紹介)(第六六四号)

 同(湯原俊二君紹介)(第六六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官、内閣府地方創生推進事務局審議官岩間浩君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官大森一顕君、内閣府地方創生推進事務局審議官佐々木正士郎君、同じく吉田健一郎君、同じく中村広樹君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、国土交通省大臣官房審議官舟本浩君、同じく秋山公城君及び佐々木俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。保岡宏武君。

保岡委員 ありがとうございます。自由民主党の保岡宏武です。

 まず初めに、地方創生は、地方の不動産価値を上げること。地方で地域再生の町づくりに取り組み、実績を上げているオガールプロジェクトを手がけた岡崎正信社長は、そういうふうにおっしゃっています。

 オガールプロジェクトは、雪捨場としてしか使われていなかった岩手県紫波町所有の遊休不動産を、民間主導、行政サポートの地域開発で見事に再生をし、近隣地域からここに住みたいと人が集まり、エリアの不動産価値を上げた好事例として、地域再生では有名なお話です。

 本年は、地方創生から十年目の節目となる年です。岡崎さんのような公共の精神を持った民間人が主導する地域再生でエリアの価値を上げる例も最近では徐々に増えてきていますが、まだまだ多くはございません。

 戦後の人口がどんどん増えていく時代は、放っておいても不動産の価値は上がっていきました。しかしながら、今は逆に人口が減っていく時代。放っておいたら、不動産の価値はどんどん減っていきます。特に、地方においてそれは顕著です。

 丸の内のような大型開発ではないにせよ、地方においても、公共の精神を持った民間と行政が協力をしながら、町づくりを見直して、不動産の価値を上げていく、そんな時代になっているというふうに感じます。

 今回の法改正は、町づくりにおいて、官民共創の取組を下支えする施策が盛り込まれています。公共の精神を持った民間の稼ぐ力を生かして地方の不動産価値を上げること、是非つなげてほしいと考えます。

 一つ目の質問です。

 官民共創による住宅団地再生が今回の改正ポイントとなっています。地域再生推進法人が、市町村に対して、地域住宅団地再生事業計画の作成等を提案できる仕組みとありますが、この地域再生推進法人の役割、どこによって、どんな基準で指定をされるのか、指定をされたら何ができるのか、指定されるメリットは何か、お示しください。

 同時に、地域再生推進法人、現在、全国で五十六件指定をされていますが、これは少ないようにも感じます。実際に、私の地元の町づくり会社、団体などは、名前がありませんでした。指定を受ける、受けないは各自が決めることだというふうに思いますが、そもそも、そんなに認知されていないのではというふうにも思われます。その辺りの御見識をお示しください。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 地域再生の推進におきまして、地方公共団体のみならず、より地域住民に近い立場でのコーディネーター役として、コミュニティー再生などのノウハウを蓄積した優良なNPOなどとの連携は重要であると考えております。このため、地方公共団体の補完的な立場で地域再生の推進に取り組む組織を地方公共団体が指定できる地域再生推進法人制度を創設しておるものでございます。

 地方公共団体が地域再生推進法人を指定する際は、事業の実施又は事業への参画などの業務を適切かつ確実に行うことができるかを確認することとしております。また、地域住宅団地再生事業に関連しては、指定された地域再生推進法人にとっては、地域における住宅団地再生の担い手として見える化されるとともに、公的な位置づけを付与されることで地域の方々からの信用を得られやすくなり円滑に取組を進められる、また、事業計画の提案を通じ自らが描く住宅団地再生の姿に近づけるといったメリットがあるものと考えてございます。

 委員御指摘のとおり、令和五年十二月末現在では五十六の地域再生推進法人が指定されており、主に町づくりや移住促進などの取組を実施しておりますが、より多くの地域再生推進法人とともに官民共創で地域再生に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 地域再生推進法人に指定されるメリットを、今回の法改正を契機として、地方公共団体や民間団体等に周知してまいりたいと考えております。

保岡委員 ありがとうございます。是非PRの方もよろしくお願いいたします。

 続いての質問です。

 この地域住宅団地再生事業計画の住宅団地とはどのようなものを指すのでしょうか。また、様々な規制緩和をワンストップで行うことができるということですが、どこがどのようなメリットを受けるのか、分かりやすくお示しください。お願いいたします。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 本法案の対象となる地域住宅団地再生区域の要件は、一体的な日常生活圏を構成していること、一体的に開発された相当数の住宅がある地域とその周辺地域であること、人口の減少や少子高齢化に対応した都市機能や居住環境を確保することが適当であることとなっており、詳細な規模要件等を定めているものではございません。そのため、具体的にどの地域が要件に該当し、住宅団地再生に取り組むべきかについては、地域の実情に応じて、計画を作成する市町村に御判断いただくことが可能となっておるところでございます。

 また、今回の法改正によりまして、事業計画に記載し公表することで、例えば、住宅の駐車場を活用し店舗併用型の住宅にするとか、あるいは共同住宅の一階部分を事務所スペースにするといった措置を可能とする、容積率に係る建築基準法の特例、それから、廃校をシェアオフィスなどの多世代交流施設として活用するなどの措置を可能とする、高さ制限に関する建築基準法の特例などの規制緩和を含めた各種許認可の手続をワンストップで行うことができるようになっておるところでございます。

保岡委員 ありがとうございます。民間のアイデアを生かせる柔軟な対応ができるというふうに理解をいたしました。エリアの価値を高めると人が集まる、そして、人が集まると更にそのエリアの価値が上がる、そのような好循環をつくれるように、是非よろしくお願いをいたします。

 三つ目の質問は、時間の都合上、ちょっと割愛をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、地域の交流拠点を官民共創で行う場合の整備事業への支援として、自治体の事業費の半分を国が交付金で補助する現行の制度に加えて、残りの負担分も地方債を発行して財源を手当てできるように、起債の特例を今回創設するというふうに伺っております。地方の官民共創の取組を進めるためにはよい下支えかというふうに思います。

 この措置が適用されておりませんが、本年、令和五年度の事例としても六自治体七件の活用がなされています。

 その中の一つが、お配りした資料の、岩手県紫波町の長岡小学校廃校後の校舎や校庭をリノベーションして複合施設として活用するノウルプロジェクトです。校舎を改修して、農産物調理や商品開発に使用できる調理室、スマート農業について情報収集などできる体験交流室、ビジターが利用できるサテライトオフィスを設置し、加えて、敷地内にオーベルジュ、宿泊施設を備えたレストランを整備して滞在型観光を提供し、農村体験を通じた移住を想定した定住促進集合住宅も十四世帯整備をいたします。加えて、二〇二六年からは、通信制高校として農業や経営などに関する学びも提供し、地域の将来を担う人材育成にも取り組んでいきます。世界中のおいしいが集まる食のセレクトショップ、ファーマーズマーケットやカフェ、ホップ栽培から行うクラフトビールの開発もここで行うようでございます。

 農業と食を中心に、人材育成、そしてエリアの価値を高めることで人が集まり、人が集まることで更にそのエリアの価値が上がるという好循環を描こうとしています。この事業を手がける中心人物は、冒頭でお話をしたオガールの岡崎社長です。官民共創でつくる紫波町の未来図をこの絵に描いています。

 この官民共創について岡崎さんにお話をしたところ、官民共創の場合、民間が取り組む際に収益を出すことに対して、行政はポジティブに捉えてほしいとの要望がありました。とても重要な指摘だというふうに思います。

 どういうことかといいますと、地方の行政の意識として、まだまだ、公共の施設だから民間が収益を上げてはいけませんといったレベルのことが言われます。これは収益施設だからバツ、これは収益施設でないからマルといった区別が往々にしてなされます。

 しかし、民間は収益を上げなければ、お給料も払えないし、投資もできません。収益を上げてその収益で施設を維持してもらう、収益を上げて税金を納めてもらうことの方がよっぽど重要です。民間が収益を上げることは、継続をすること、すなわち、持続可能な経営の大前提と理解すべきというふうに思います。

 官民共創といった場合、大事なことは、行政と民間の違いを理解した上で、行政、民間それぞれのよさを生かすことだと思います。行政がすべきことは、民間の収益性に目くじらを立てるのではなく、行政が取るべきリスク、公共を担保することです。

 質問です。このような官民共創において、公共、公の担保はどのようになっているのか、公共施設の要件や基準はどう定めているのか、できたら、役所の持っている土地や建物、不動産を活用するという場合は、収益性の有無ではなく、そのことをもって公共と認めるとまで踏み込んでいただけたらというふうに思いますが、見解をお示しください。お願いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、施設運営に伴う収益につきましては、デジタル田園都市国家構想交付金の審査における重要なポイントである自立性によって評価を行っており、事業収入によって自立した運営を行うことが計画されている事業に対しては高い評価を行っているところです。

 一方、交付金を活用して整備する施設につきましては、公共性、公益性の担保が重要であると考えており、例えば、今般の法改正案において、民間事業者などへの間接補助スキームに地方債の特例を適用するためには、設置条例に基づく公の施設への位置づけを必須の条件としております。

 交付金の事業において、事業収入による自立した運営と公共性、公益性の担保は、いずれも欠かせない要素であると考えており、今後も、両方の観点から、事業の審査や地方公共団体からの相談に対応してまいります。

保岡委員 ありがとうございます。よく、行政は建物を造るまでが仕事、民間は造ってからが仕事というふうに例えられます。是非、その例えを頭に置きながら、念頭に置きながら、この事業を進めていただきたいと思います。

 最後に、大臣に質問いたします。

 本年は、地方創生元年から十年の節目の年となります。今までの行政主導の地方創生から、官民共創を更に取り入れて、民間主導、行政サポートの地域創生にシフトしていくときなのかもしれません。

 民間の知恵と収益力を生かしてエリアの価値を上げていく、すなわち、地域の不動産価値を上げることが重要と本日の質問でも訴えさせていただきました。収益を出すことに関してポジティブに捉えてほしいとの現場からの声も大切に、官民共創、民間主導、行政サポートの地方創生に向けて、この法律改正を大いに活用していただきたいと願います。

 大臣、十年間の地方創生のまとめと課題について、そして、この法改正に期待すること、法改正で地域の姿がどう変わっていくか、加えて、民間主導、行政サポートの地方創生への大臣のお考えも含め、御見解をお示しください。お願いいたします。

自見国務大臣 我が国における少子高齢化の進展に的確に対応し、人口減少の歯止めに取り組むため、地方創生に向けた取組を進めてきた結果、地域の魅力向上、にぎわいの創出の観点から、地方創生関連の交付金の活用等を通じまして、地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進をされてきたということ、また、地方への人の流れの観点から移住支援事業を行っておりまして、この事業を生かして東京圏からの移住が約一千三百市町村に及んで進んだことや、地方拠点強化税制を活用していただいて企業の地方移転が進んだことなど、一定の成果を上げてきたものだというふうに考えてございます。

 ただ、一方で、地方には依然として様々な社会課題が残っておりまして、この結果として、東京一極集中や少子高齢化、人口減少が生じているものと受け止めてございます。

 官民共創で社会課題を解決するための地方公共団体の政策手段を増やしていくということが非常に重要だと思ってございまして、地方創生の取組を加速化、深化させていくことが重要だと考えております。

 このため、委員も問題意識を御披露いただきましたけれども、今回の法改正で、官民の共創、共につくり上げるといったことにより、地域住民のニーズを踏まえた住宅団地再生の取組が進みますとともに、地方創生に資する施設整備が後押しをされれば、委員が御指摘くださったように、不動産を含めた地域の価値が高まるような事例が各地に創出をされ、地域の活性化が更に進むことを期待してございます。

 引き続き、地方の声を十分に伺いながら、地方の悩みや課題に寄り添いながら、地方創生に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと存じます。

保岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 ありがとうございます。公明党の河西宏一でございます。

 今回、地域再生法の一部改正ということで、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本法律案の焦点の一つであります、先ほど来ございましたが、住宅団地、これを中心にお伺いをいたします。

 私が活動しております東京でも、六十五歳以上の方、すなわち高齢化率が、五割を超えて六割というところも散見をされているところであります。

 この高齢化の対応は文字どおり急務でありますけれども、回っておりまして、自治体の方、また地方議員の方からお話を伺うと、様々工夫を凝らしておられる。その一方で、今回、本法律案で拡充を図る地域住宅団地再生事業、これは、いまだ実績は二件にとどまっていらっしゃるということで、一層の活用が望まれるところでございます。

 まず、お伺いをいたしますけれども、政府は、本法律案の提出に当たりまして、住宅団地再生を含む地方創生に資する官民共創型のプロジェクトを位置づけた地域再生計画、この認定件数を施行後の五年間で約百件ということでKPIを掲げておられます。

 五年間で約百件のうち、住宅団地再生に関連する地域再生計画、この認定件数はどの程度推進をしたい、すべきというふうに考えておられるのか、御見解をいただきたいと思っております。

佐々木(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅団地再生につきましては、地方公共団体、民間事業者等を構成員とする住宅団地再生連絡会議に参画していた地方公共団体を中心に、地域住宅団地再生事業に加え、デジタル田園都市国家構想交付金等も含めた支援措置を活用して、住宅団地再生に取り組む件数が約五十件となることを期待しております。

 これは、直近五年間における住宅団地再生に関係する地域再生計画の認定件数が、二件の地域住宅団地再生事業計画を含めても約二十件であることを踏まえ、今回、住宅団地再生事業を拡充することにより、施行後五年間で認定件数をその倍以上とすることを目標として設定したものであります。

 なお、住宅団地再生に取り組む地方公共団体に地域の実情に応じてその手段を選択していただくことが重要でありますが、今回の制度の拡充により活用できる政策手段が増えることをしっかりと周知することなどによりまして、住宅団地再生に関係する地域再生計画の認定件数を着実に積み上げていきたいと考えているところでございます。

河西委員 御答弁ありがとうございました。

 今、五十件ということで、その理由も含めて御答弁をいただきました。

 そのKPIに向けてどうしていくかということでありますけれども、自見大臣、先々月、神奈川県の横浜市にあります住宅団地の上郷ネオポリスの野七里テラスを御視察をされておられます。

 大臣が本法律案の御趣旨を述べられたときに、地域の自主的かつ自立的な取組を後押しすることが重要と述べておられました。これは、地域住民が主体となった官民共創また住宅団地の再生の好事例が、まさにこの野七里テラスということにもつながるというふうに思っております。

 また、この野七里テラスを造るに当たって、地域住民の中で要となるリーダー的存在の方がいらっしゃったというふうにも伺っております。

 今回の御視察を踏まえまして、住宅団地の再生に向けて、今お示しのあったKPIの達成に向けて何がポイントであるというふうに大臣はお感じになったか、是非御答弁をいただきたいと思っております。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本年一月十六日に訪問させていただきました横浜市の上郷ネオポリスでございますが、その視察を通じまして、関係者と、また、協力して住宅団地の再生に取り組んでいらっしゃる地域住民の方々の熱意に触れるすばらしい機会となりました。まさに官民共創というその言葉どおりでありまして、改めてこの法案をしっかりと後押ししていくことの重要性を再確認もさせていただいたところであります。

 また、委員も言及していただきましたけれども、地域住民の中でまさにリーダー的な存在の方もおられました。ただ、その存在の方お一人ではなくて、その方が、周辺の住民の方を多世代でしっかりと巻き込んでおられたということ、あるいは地元の行政、地方自治体も巻き込んでいた、あるいは民間企業も巻き込んでいたということでありまして、その方のお力も当然あるんですが、周りの方々も対等な立場で一緒になって活動しているのが印象的でございました。そういった取組が今回の住宅団地再生においても不可欠であると感じております。

 内閣府といたしましても、こういった、住宅団地の再生に取り組むに当たって要となるリーダー的存在の方を育成するということは非常に重要だと思ってございまして、そういう巻き込み力のある方でございますが、地域住宅団地再生の担い手を増やしていくために、地域活性化伝道師などの専門家の紹介あるいは派遣制度といったものもございます。デジタル田園都市国家構想交付金など活用できる支援措置についても併せて周知を行うことで、住宅団地再生の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

河西委員 大臣、ありがとうございます。

 このリーダー的存在、またその熱意がしっかり反映されるように、その育成も大事だということで、やはり、これは行政の側がどう支えていくのか、また、皆様の思いを形にしていくための支えができるのかということで、非常に大事だということ、非常に具体的に今御答弁をいただきました。

 次は、これに関連して、国交省の方にお伺いをしたいと思います。

 この法律案では、住宅団地再生事業の計画、再生に当たって、先ほどもございましたが、地域再生推進法人が自治体に提案ができるスキームを新たに設けるとしております。

 その上で、課題として想定される点は、この推進法人に、住宅団地を整備をした開発事業者、また、先ほどございましたが、地域住民の方などが複数で、多世代でまとまって共同で設立した団体などが加わっていけば、従来のこの事業者のノウハウと、また、地域ニーズに応える再生事業の推進、これが想定できるわけでありますが、どの地域でもこうした好条件が整うとは限らないわけでございます。人材とノウハウの不足というのがやはり従前の課題なんだろうというふうに認識をしております。

 こうした課題認識に立ちまして、国や自治体はどういった支援を行っていくべきなのか。特に、先ほども大臣の方からも少し御言及いただきましたが、住宅団地再生の専門家の話を聞く、あるいは全体の進め方がよく分かるような情報、こうしたことが大変参考になるというふうに考えるわけでありますけれども、国交省のこれに関する御見解をいただきたいと思っております。

佐々木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅団地の再生を進める上で、地域によっては人材やノウハウの不足といったことが問題になる、課題になるケースもあるものと承知しております。

 こうしたことから、国土交通省といたしましては、専門家をお招きして地域住民の勉強会等を行う、こうしたソフト事業も含めて、住宅団地再生の取組を総合的に支援する補助制度を平成三十年度に創設しております。さらに、この補助制度を拡充させまして、令和二年度には、地域再生法に基づく取組と連携する場合には補助率を引き上げる、こうした支援の強化を行っております。また、令和三年度には、検討体制づくりや取組の進め方、参考となる事例、制度等を取りまとめた住宅団地再生の手引き、こうしたパンフレットのようなものを、冊子を作成しまして、ノウハウの周知、情報の横展開を図ってまいりました。

 今回の法律案によりまして、地域活動等の主体となる地域再生推進法人から市町村への計画作成等の提案が可能になれば、こうした我々が講じております補助制度等による支援へのニーズも高まるものと考えております。今後とも、関係府省及び地方公共団体と連携しつつ、住宅団地の再生に向けた地域における取組を支援してまいりたいと思っております。

河西委員 ありがとうございます。

 今のようなソフト事業、また補助率の引上げということも令和二年度から設けていただいた。こういったツールを宝の持ち腐れにしないことが大事だというふうに思っております。

 私が住宅団地に関する課題を教えていただくのは、全て地方議員の方であります。住民のニーズ、また住宅団地をめぐる課題、そして誰がその地域でキープレーヤーなのかということ、実情をよく御存じであります、もう日々地域を回っておりますので。つまり、地域住宅団地再生事業を推進するプレーヤーとして、地域住民、開発業者、そして地方自治体、行政が考えられるわけでありますけれども、どのプレーヤーとも連携する、まさに真ん中にいる要の存在になり得る、それこそ私は地方議員だというふうに考えているわけでございます。

 そこで、今回の本法律案の趣旨に関しまして、是非、市区町村会議員の方々に地域住宅団地再生事業の計画策定に向けたフローを十分に御理解いただくことが大事なんだろうと。例えば、地方議会で、本制度を活用してこういったことができる、そういった質疑をいただくことも政府のKPI達成に向けて決して小さくない推進力になるというふうに考えております。

 政府として、こうした視点、地方議員にどう働きかけるのかという視点も踏まえながら、今後、自治体に向き合っていただきたい、こう考えるわけでありますけれども、見解をいただきたいと思っております。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 住宅団地の再生に当たっては、多くの方々の知見やノウハウ、意欲的な取組が必要であり、委員御指摘の地方議員も含め、公共団体、関係事業者、地域住民の方々など、住宅団地再生の関係者に地域住宅団地再生事業の内容やメリットを御理解いただくことは重要であると認識しております。そのため、政府としては、ホームページ等において制度に関する情報提供を行うとともに、事業計画の作成につきましてガイドライン等で分かりやすくお示ししてまいりたいと考えております。

 また、制度の利用促進のため、地方公共団体を対象とした説明会を開催することなども予定しておりまして、その際には、地域の関係者を広く巻き込んで取組を進めていただけるよう周知を行ってまいりたいと考えております。

河西委員 是非よろしくお願いいたします。

 我が党も、例えば、東京でこういった法律の勉強会なんかもやってもいいんじゃないか、こういうふうにも思っておりますので、我々もしっかりと後押しを、また責任感を持って取り組んでいきたいというふうに思っております。

 冒頭申し上げました高齢化率に関連して、高齢者活躍について、最後、大臣にお伺いをしたいと思います。

 全国の団地、二千九百三ありますけれども、その約四分の一の七百一が首都圏、東京、埼玉、神奈川、千葉に所在をしております。そのほかでも、地図を見ますと都市近郊に多いんだなということを感じております。

 こういったところでは、定年後、会社から地域に戻っていかに生きがいを持って暮らすか、問題意識をお持ちの高齢者の方も少なくないというふうに思っております。また、巷間言われております二〇四〇年に高齢化率が三五%を超える、そうした中で、次代を担う子供、若者、また子育て世代の方々の声の反映、これは私自身も一丁目一番地として取り組んでおりますけれども、さらに、高齢者の皆様が活躍できる環境づくりというのも大変重要なテーマだというふうに考えております。

 公明党は、昨年、高齢者の地域活躍を推進するPTを立ち上げまして、十一月に政府に御提言を行いました。その柱の一つが、仮称でありますが、高齢者地域活躍相談センターを自治体に設置をしてはどうかということであります。

 この趣旨は、企業で現役時代を走り抜いた方々というのは、必ずしも地域とのつながりがあるわけではございません。定年後、何をしていいか分からない、また相談先も分からないといった声、少なからず現場で聞かれるわけでございます。そこで、定年を迎えた方との面談を重ねる、個々人のシニアライフの在り方を描き出すところからスタートして、そこで浮かび上がったニーズに応じて、では、再就職ですね、シルバー人材センターですね、あるいは老人クラブで緩やかにということで、マッチング機能を持つ窓口として、今申し上げた高齢者地域活躍相談センター、これを自治体に設置をしてはどうか。場合によっては、高齢者地域活躍の推進法の整備なんかも検討すべきではないかということを今党内で議論させていただいております。

 先ほども触れた地域住宅団地再生事業計画、この認定制度をワークさせるためにも、先ほど大臣も御視察を踏まえた御答弁がありましたが、やはり提案をする活力が大事であります。したがいまして、早ければ四十代、五十代から、定年後に地域に戻った際のシニアライフを御自身で描いていただいて、併せて、住宅団地のあるべき姿を描いて提案する活力、これが大事だというふうに思っておりますが、この活力を生み出す仕組みを国としてもつくっていくべきではないか、こう考えるわけでありますけれども、大臣からも御見解をいただきたいと思っております。

自見国務大臣 お答えいたします。

 住宅団地の再生に当たりましては、高齢者を含めた地域住民の方々お一人お一人が自分事として主体的に取り組んでいただくことが重要であると思っております。

 私が訪問させていただきました上郷ネオポリスでも、高齢化率は約五〇%でございましたが、地域の住民の方々からの提案に基づいて整備をされた、コンビニ併用型コミュニティー施設であります野七里テラス、ここを住民主体で運用していただいたり、また買物支援もしていただいたり、あるいは、団地内におけるボランティア活動ですとか地域のお祭り、こういったものも、多くの世代が、超えた形で交流を行っていただいておりましたし、リーダーシップを高齢者の方々にも取っていただいておりました。

 政府といたしましては、このような、世代を超えた交流というものの好事例というものは周知をしていきたいと思っております。

 また、委員のおっしゃっていただきました、高齢者が、定年後も地域で役割を担い、自分らしく輝ける社会の構築、非常に重要だと思ってございます。高齢者と若者が一緒になって、生きがいを持って積極的に住宅団地の再生に取り組んでいけるように後押ししてまいりたいと考えております。

河西委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 私自身も、少子高齢化にあって、地域で世代を超えて互いに支え合う地域共生社会の構築、その構築にこの本法律案が資すること、これを期待をし、願いまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 本年十一月に、まち・ひと・しごと創生法の制定から十年になります。そして、少子化対策の観点から東京一極集中の是正の必要性等を提言するとともに、消滅する可能性が高いとする市区町村のリストを提示した日本創成会議人口減少問題検討分科会のストップ少子化・地方元気戦略の公表からも十年を迎えるなど、本年は、地方創生にとって節目の年となります。

 衆議院においても、十年前の平成二十六年の臨時国会で地方創生に関する特別委員会が設置され、私も、当時の地方創生担当の石破大臣に質問をするとともに、まち・ひと・しごと創生法案と当時の地域再生法改正法案の審議にも関わってまいりました。

 地方創生二法案の本会議の討論では、私は、地方創生は地方分権がセットであることが前提、地域が自立し、発展していくためには、国からの支援ではなく、地方分権による権限、財源の移譲こそ必要、地方創生二法案には地方分権の観点もなく、結局は国が権限、財源を握り、中央集権の下での地方創生になっている、国が権限、財源を握っている限り、国と地方の主従関係も解消されず、地方の自立的な創生はあり得ないと発言をいたしました。

 十年たった今日の状況を見るに、東京への一極集中も人口減少も合計特殊出生率の低下にも歯止めはかかっておらず、地方についても、創生という言葉にふさわしい変化が起こったかと言われれば、私の感想としては、そのような変化は起こっておらず、多額の税金をつぎ込んだものの、地方創生と言われる前の地方活性化策と何ら変わらなかったという印象です。十年前に想像していたとおりの結果になってしまったということです。むしろ、今の岸田政権になり、私の印象とすると、地方分権とはより一層かけ離れていき、国と地方の関係も対等とはほど遠い状況になっていると感じております。

 いろいろと思いはありますけれども、質問に移ります。

 地方創生の取組が始まって十年目の節目となりますが、これまでの地方創生の取組の成果と課題をどのように総括しているでしょうか。また、この十年間の地方創生の取組において、地域再生法及び地域再生制度が果たしてきた役割についてどのように評価しているのでしょうか。大臣にお伺いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 我が国におけます少子高齢化の進展に的確に対応し、人口減少の歯止めに取り組むため、地方創生に向けた取組を進めてきた結果、地域の魅力向上、にぎわいの創出の観点から、地域創生関係の交付金の活用等を通じまして、地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進されてきたということ、あるいは、地方への人の流れの観点から申し上げれば、移住支援事業を行っておりまして、この事業を活用して東京圏からの移住が約千三百市町村に及んで進んだこと、また、地方拠点強化税制を活用し、企業の地方移転が進んだこと、あるいは、企業版ふるさと納税でありますが、地方への資金の流れの創出、拡大の観点から始めましたこの制度で、千三百団体以上の地方公共団体におきまして、企業版ふるさと納税によって、これまで八百億円近くの寄附が行われてきたことなどの一定の効果を上げてきたものだと考えてございます。

 また、これら今申し上げた三つのことは、いずれも地域再生法に位置づけられた措置でございまして、このように、地域再生制度は、地方公共団体の政策手段として具体的な支援措置を提供することで、地方の自主的、自立的な取組を後押しするという役割を果たしてきたものだと認識をしております。

 一方で、委員も問題意識を御披露いただきましたけれども、地方には依然として様々な地域課題が残っておるというのは私どもも同じ認識でございます。この結果といたしまして、東京一極集中や少子高齢化、人口減少が生じているものと受け止めてございまして、まさに官民共創で社会課題を解決していくための地方公共団体の政策手段を増やしていくということ、それが地方創生の取組を加速化、そして深化させていく上でもより重要であるというふうに考えてございます。

坂本(祐)委員 平成十七年に法制化された地域再生制度は、平成二十六年から令和元年までの六年間で五度の地域再生法の改正が行われ、地方創生推進のための支援措置の拡充等が図られてきました。具体的には、現在のデジタル田園都市国家構想交付金ですが、地方創生推進交付金、企業版ふるさと納税、地方拠点強化税制、生涯活躍のまち形成事業などが創設、拡充されてきました。

 しかし、令和二年以降は、地域再生法の改正による新たな支援措置の創設、拡充は行われておらず、今回の改正案の提出は、平成三十一年三月十五日以来、五年ぶりとなります。

 平成二十六年以降、毎年のように地域再生法の改正が行われてきたにもかかわらず、令和二年以降は地域再生法の改正が行われてこなかったのはなぜでしょうか。地方創生の取組当初は、従来の線上にないといった表現や異次元の地方創生といった表現を使われていましたが、今や政府の地方創生に対する熱意が低下しているように感じられますが、大臣、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地域再生法については、その時々の社会情勢や地方のニーズ等を踏まえまして、改正の要否を検討し、対応してきたところであります。

 地方創生のための政策の手段といたしましては、法律のみならず、予算や税制措置等も存在するところでございまして、法改正を行わなかったからといって、地方創生に対する熱意が低下していることではないというふうに認識をしてございます。

 令和二年以降もでありますが、委員もおっしゃっていただきました企業版ふるさと納税、これは令和二年度の税制改正でございます。また、令和四年度の税制改正で地方拠点強化税制、また、拠点の施設の整備に係る交付金について、民間事業者の施設整備に対する間接補助スキームの導入も、これも併せて令和四年度の補正予算でございます。そして、最近でございますが、半導体等の大規模な生産拠点の整備につきまして、関連インフラの整備を支援する、これも新たな交付金ということで、新たな交付金の創設をさせていただいております。これは令和五年度の補正予算になってございます。

 こういった税制改正や予算といったことを通じまして、地方公共団体のニーズに応じて、様々な取組を推し進めてきたところでございます。引き続き、しっかりと地方に寄り添って対応してまいりたいと思います。

坂本(祐)委員 地域再生法は、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組による地域再生を総合的かつ効果的に推進すること等を目的としているとのことでありまして、政府においても、地域再生は、国が一方的にメニューを用意するのではなく、それぞれの地域の力や特性を引き出すことが重要であって、地域の声を踏まえつつ支援措置の充実を図っていくとのことでありました。

 同法では、地域の声を政府の支援措置に反映させる仕組みとして、提案募集制度が設けられており、内閣総理大臣は、定期的に、地域再生の推進のために政府が講ずべき新たな措置に関する提案を募集するものとされています。

 提案募集は、同法施行前の平成十五年度以降、ほぼ毎年度に一回、計二十回行われています。しかし、その提案数については、法施行前の平成十五年度に行われた第一次提案募集では六百七十三件の提案があったものの、法施行後初めて行われた平成十七年度の第三次提案募集では五十四件に減少し、平成二十七年度の第十二次から令和五年度の第二十次までの提案募集では、全く提案がない状況となっています。

 質問ですけれども、地域再生の提案募集において、九年間にわたって提案が一件も行われていない現状や原因をどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。また、今後の提案募集制度の在り方についてはどのようにお考えになるでしょうか。大臣にお伺いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地域再生の提案募集については、地域再生法に基づきます地域再生の推進に資する新たな税制、財政、金融上の支援措置等に関する既存の政策体系の改善につながる提案を募集することにより、制度改革やあるいは地域の活性化を推進することを目的といたしまして、現在、年に一回実施をしているところでございます。

 委員御指摘のとおり、平成二十八年度以降の提案数はゼロとなっておりますが、この原因については、まず、地方公共団体からの意見についてでありますが、地方公共団体に対して毎年アンケート調査をしております。それによりまして、国の方からは積極的にまず把握についてはしっかりと動いているということ。また、地域再生計画の策定においてでありますが、非常に丁寧な事前相談の仕組みを設けておりまして、その際に地方公共団体からの提案についても把握をしたり、あるいは、その際に解決をする問題というものもございます。

 様々な機会を捉えて地方公共団体のニーズを把握するように努めているということが、その理由として考えられるのではないかと思ってございます。

 地方公共団体からの意見につきましては、地方創生に関する制度を充実させ、地域の活性化を推進する上で重要であると認識してございます。提案募集制度の周知を進めるとともに、制度の運用の改善を含め、様々な機会を通じて、今後も適切に地方分権、地方公共団体の意見の把握に努めてまいりたいと存じます。

坂本(祐)委員 しっかりとニーズを把握していただきたいと存じます。

 それでは、今回の地域再生法改正案の質問に入りたいと思います。まず、住宅団地の再生について質問いたします。

 政府が実施した令和四年度の住宅団地調査を見れば、住宅団地が立地する五百五十四市区町村のうち、六五・七%の三百六十四市区町村が住宅団地に係る問題意識を有しているとされています。しかし、令和元年改正地域再生法の施行以来、地域住宅団地再生事業を位置づけた地域再生計画の認定数は二件にとどまっています。ちなみに、この二件のうち一件は、私の地元の埼玉県小川町の東小川団地の再生事業であります。

 三百六十四市区町村が住宅団地に係る問題意識を有しているにもかかわらず、地域住宅団地再生事業を活用している団体が二件にとどまっている理由について、政府としてはどのように考えているのでしょうか。御見解を伺います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地域住宅団地再生事業は、多様な主体が一堂に会し、土地利用、医療、福祉、交通等の様々な要素から成る住宅団地再生の姿を総合的に描くことを前提としておりまして、その実現のための調整や各種手続をワンストップで行い、同時並行でスピーディーに進めることを実現しようとする制度であります。

 今申し上げた前提となる住宅団地再生の絵姿を描くためには、関係者の合意形成というところに大変大きな労力を要するところでありまして、計画の策定主体であります地方公共団体においても、十分に調整を行うことが残念ながらできておらず、結果として個別事業を行うのみとなり、本制度を活用する必要性が乏しかったのではないかと考えております。

 そのため、今回の改正によりまして、地域再生推進法人の提案制度を導入をいたしまして、地域の関係者がより主体的に取り組むということで、地域住宅団地再生の姿を描きやすくするということにしたところであります。

 また、各種の許認可等の手続をワンストップで行うことができるのみならず、用途規制の緩和等を追加いたしまして、地方公共団体の政策手段を増やしたことから、今後は活用が進むということを大変大きく期待しております。

坂本(祐)委員 地域再生計画に地域住宅団地再生事業を位置づけて、内閣総理大臣の認定を受けた市町村は、地域再生協議会における協議を経て、地域住宅団地再生事業計画を作成することができるとされておりますが、同計画の作成に当たっては、同計画による事業の実施によって大きな影響を受ける住宅団地の住民の意見を反映することは極めて重要になると考えます。

 地域再生法では、同事業計画の作成等を協議する地域再生協議会の構成員に関する規定が置かれており、地域住民の代表や住宅団地の自治会等を、認定地域再生計画の実施に関し密接な関係を有する者又は地方公共団体が必要と認める者として、任意で構成員に加えることは可能であるとのことですが、これを明示した規定はなく、協議に当たって、住宅団地の住民に意見を表明する機会を与える旨の規定もないとのことです。

 一方で、内閣府地方創生推進事務局地域再生計画認定申請マニュアルの各論においては、地域住宅団地再生事業計画の作成や事業の実施に当たっては、地域住民の意に即した事業内容となることが極めて重要であるとして、協議会に地域住民の代表や住宅団地の自治会の参画を得ることが望ましいなどとしております。

 これを受け、実際に地域住宅団地再生事業を実施している埼玉県小川町や神奈川県平塚市では、いずれも自治会関係者等、地域の代表を地域再生協議会の構成員としているほか、地域住民等との意見交換や住民アンケートなども実施されているとのことであります。

 そこで、地域再生計画認定申請マニュアルにおいて、協議会に地域住民の代表や住宅団地の自治会の参画を得ることが望ましいと記載しているにもかかわらず、本法律案において、地域の代表を地域再生協議会の構成員とする旨を明示的に規定しなかったのはなぜでしょうか。今後、地域住宅団地再生事業計画に住宅団地の住民の意向が確実に反映されるようにするため、地域の代表を地域再生協議会の構成員とする旨を規定する考えはないのでしょうか。また、同協議会において住民の意見を幅広く聴取する機会を確保する旨を地域再生法に規定することは考えていないのでしょうか。お伺いいたします。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 住宅団地の再生に当たっては、自治会など地域住民の意見を反映することは大変重要であり、地方公共団体向けのガイドラインにおきましても、可能な限り地域再生協議会に地域住民の代表や住宅団地の自治会の参画を得るよう周知を図っているところでございます。

 一方で、住宅団地によっては、地域住民の流出や高齢化が急速に進行し、住宅団地再生に積極的に参画できる者が少ないといった団地も想定されることから、市町村主導で迅速に住宅団地の再生に取り組む必要があるケースも想定されます。このような場合には、住民を協議会の必須構成員とすることで、かえって住宅団地の再生が進まなくなり、当該団地に暮らす住民にとって不利益が生ずる可能性があります。

 このため、協議会の構成員に住民を含めるかどうかや、住民への意見聴取の在り方については市町村が判断することとしつつ、地域の実情に応じた方法により住民のニーズを十分に把握するよう働きかけてまいりたいと思っております。

坂本(祐)委員 本法律案では、地域再生推進法人は、市町村に対して、地域住宅団地再生事業計画の作成又は変更をすることを提案することができるとして、この場合においては、当該提案に係る事業計画の素案を添えなければならないとされています。

 地域住宅団地再生事業計画の作成等については、住宅団地の再生に必要とされるサービスや事業の種類が多岐にわたる複合的なものであるため、多様な関係者が一堂に会する地域再生協議会での協議が義務づけられています。

 このことを踏まえた場合、地域再生推進法人が同事業計画の作成等を提案する際に事業計画の素案の添付を義務づけることは、一部の地域再生推進法人にとって、提案をちゅうちょさせる要因になるとも考えられます。

 例えば、地域再生推進法人が、当該住宅団地を整備した開発事業者、関係事業者、地域住民などが共同で設立した団体であれば、事業計画の作成等に係るノウハウや専門人材が確保できる上に、地域住民のニーズを反映させることも可能であると考えられますが、地域再生推進法人は必ずしもそのような団体ばかりではないと思います。

 質問ですが、地域再生推進法人に、事業計画の素案として、どの程度の内容、形式を求めることとするのでしょうか。また、ノウハウや人材の確保に課題のある地域再生推進法人が事業計画の素案を作成する場合、国又は地方公共団体はどのような支援を行う考えなのでしょうか。お伺いいたします。

佐々木(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 地域再生推進法人は、住宅団地再生の計画を提案できるとともに、地域住宅団地再生事業計画に位置づけられている一部の事業等を実施することも想定されます。

 今回の提案制度は、官民共創による住宅団地再生を後押しする観点から創設したものであり、計画の作成主体は市町村であることには変わりなく、地域再生推進法人は、あくまで市町村の補完的な立場として取り組むこととなります。

 そのため、地域再生推進法人が作成する計画の素案の内容、形式につきましては、国として一律に定めることはせず、例えば、地域再生推進法人が実施しようとする事業などを中心とした内容など、地域の実情に応じた、官と民の適切な役割分担が実現されたものとなるよう、柔軟な制度設計としているところでございます。

 他方、住宅団地再生の取組を官との共創で実施する人材の確保に課題がある場合には、そういった人材を育成するため、デジタル田園都市国家構想交付金や国土交通省の補助事業等も活用が可能であることから、改正法の周知とともに活用を働きかけてまいりたいと考えております。

 加えまして、住宅団地再生の担い手を育てるのみならず、住宅団地再生には、地域の実情に応じた様々な知見やノウハウ、意欲的な取組などが必要であることから、地域活性化伝道師などの専門家の紹介、派遣制度を活用してもらうとともに、市町村や住宅団地再生に意欲的に取り組もうとしている方々に、先ほどの国土交通省住宅局が作成した住宅団地再生の手引きなどを活用していただくなど、優良事例の紹介などを行ってまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 今回の法改正によって地域再生推進法人による事業計画の素案の作成、提案という作業が新たに生じることで、コンサルタントなど一部の特定の事業者がもうかる仕組みづくりに利用されるのではないかといったことも懸念されますが、その点につきましてはいかがでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 提案制度の主体となる地域再生推進法人については、現に住宅団地再生に取り組んでいる地域の住民団体あるいはNPOなどが指定されることを想定しているところでございます。

 また、繰り返しになりますが、ノウハウの不足する地域再生推進法人に対しては優良事例の紹介等を行うことも予定しておりまして、コンサルタント等の事業者に全てを委託するということをしなくても、地域の実情を踏まえた計画の素案を作成することは可能であると考えているところでございます。

坂本(祐)委員 それでは、次に、企業の地方移転を促進する地方拠点強化税制の対象拡大に係る保育所等の児童福祉施設の整備等について質問いたします。

 本法律案では、課税の特例等により企業の地方への移転等を促進する地方活力向上地域等特定業務施設整備事業の範囲を拡充し、事務所、研究所等、特定業務施設の整備と併せて、特定業務施設の従業員の児童に係る保育所等の児童福祉施設等を整備する事業を含むこととしております。

 本法律案においては、課税の特例の対象となる保育所等の児童福祉施設を整備する事業として、特定業務施設の従業員の児童に係る保育所その他の児童福祉施設と規定されていますが、保育所等の児童福祉施設の利用者は、特定業務施設の従業員の児童に限定しているのでしょうか。限定していないということであれば、当該地域の特定業務施設の従業員以外の住民の方でも利用したいという方がいることも考えられますし、地域によっては待機児童が生じているケースもあると思います。当該事業を実施する事業者が従業員以外の住民の方も利用できる旨の周知を行うようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、ここで言う児童福祉施設には、放課後児童クラブも含まれるという認識でよろしいのでしょうか。ほかにも具体的にどのような施設があるのか、御説明をお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 従業員以外の住民が税制措置を活用して整備される施設を利用できるかどうかにつきましては、当該施設は従業員の児童のための施設であり、従業員の児童が利用することを想定しておりますが、状況等によっては住民の利用が可能なケースは想定されると考えております。御指摘の周知につきましては、事業者の意向等も踏まえつつ、今後、検討していきたいと思います。

 それから、改正法案で新たに税制措置の対象となる特定業務児童福祉施設につきましては、今後、内閣府令で規定することとなりますが、具体的には、例えば、事業所内保育事業を行う施設や、お尋ねの放課後児童クラブ等を念頭に検討をしておるところでございます。

坂本(祐)委員 最後になりますけれども、国主導の地域再生活性化策は改めて、地方に権限、財源を移譲して地域主導の地域再生を行うべきと申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 私からも地域再生法改正案について質問をいたします。自見はなこ大臣、そして、あべ俊子文部科学副大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、地域住宅団地再生事業計画の新規の措置のうち、廃校の活用促進について、安全に安心して活用することができるように耐震検査の実施を促すべきだとの観点から、担当大臣と文部科学副大臣に伺います。

 廃校の活用状況については、国による調査が行われています。令和四年三月、文部科学省によって、令和三年度公立小中学校等における廃校施設及び余裕教室の活用状況について、調査の結果が公表されています。

 これによりますと、施設が現存している廃校の数は七千三百九十八校、そのうち、活用されているものが五千四百八十一校で七四・一%、活用されていないものが千九百七十一校で二五・九%です。この活用されていないもののうち、既に活用の用途が決まっているものが二百七十八校で三・八%、一方で、活用の用途が決まっていないものが一千四百二十四校で一九・二%とのことでした。つまり、今回の廃校活用促進のターゲットは、この一千四百二十四校であります。

 そこで、伺います。

 地域再生計画の認定件数を施行後五年で約百件との目標がKPIに掲げられています。先ほど、同僚議員の質問における答弁によりますと、このうち地域住宅団地再生事業計画の認定見込みは五十件ということでありました。では、このうち廃校活用促進の措置を用いる計画は幾つと見込んでいますか。大臣、お願いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案につきましては、住宅団地再生を含む地方創生に資する官民共創のプロジェクトを位置づけた地域再生計画の認定件数を、委員もおっしゃっていただきました施行後五年で約百件とすることをKPIとして設定しており、これも委員言っていただきましたけれども、住宅団地再生につきましては約五十件を期待しているところであります。

 今回の改正によりまして、地域住宅団地再生事業計画を公表した場合に適用が受けられる措置として、廃校の用途を変更する場合の高さ制限に係る特例を設けることとしておりますが、住宅団地におけます廃校の活用は、住宅団地の再生のための手段の一つでございまして、どのような方法で住宅団地の再生に取り組むかについては、各地方公共団体が地域の実情に応じて判断するものであるということから、廃校の活用をその内容に含む計画の件数についてまでは具体的には想定していないところでございます。

城井委員 手段の一つ、想定していない、こういう話でありました。

 ただ、大臣、今回の廃校の活用促進といったときに、今ほど申した一千四百二十四校のうち、さあ、幾つが活用が進むんだろうかということをやはり国民としては見るわけであります。ところが、この百件の中での内訳が示せないということですと、目標とはとても呼べません。また、仮に先ほどの五十件全部で使われたとしても、新たな廃校利用がほんの三・五一%進んだだけ、こういうことになるわけであります。

 そもそも、KPIとして適切なんだろうか、百件ということが。目標と呼べるのか。もっと活用が進むようにしていくということが必要なんじゃないか。自治体ニーズはどうか。もうちょっと高め設定で取組にねじを巻かなきゃいけないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 まず大事なことは、地方公共団体が自らのこととして、地域の実情に応じて様々御判断、検討を深めるということが非常に重要だと思ってございます。

 その上で、当然ながら、廃校の活用ということは促進をしたいことの一つでございますが、あえてKPIの件数の中に内数として入れていない理由には、地方の自主性を尊重したいということがございます。

城井委員 そもそも、廃校活用促進は文部科学省が相当気合を入れて進めてきているはずのものなんです。その文部科学省として、現時点で把握をしている活用の用途が決まっていない廃校について、なぜ、どんな理由で活用されていないか、文部科学副大臣からまずお聞かせいただきたいと思います。

あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。

 文部科学省の調査によりますと、施設が現存する廃校のうち、活用の用途が決まっていないものの割合は約二割であるところでございまして、その理由といたしましては、地域の実情により様々でございますが、主に、建物の老朽化、また地域からの要望がないことといったところが挙げられているところでございます。

 文部科学省といたしましては、「みんなの廃校」プロジェクトといたしまして、廃校活用事例集の周知、また、毎年実施しているところの廃校活用推進イベントの充実などを通じまして、各自治体、事業者への情報発信、またマッチングを行っているところでもございまして、引き続き、こうした取組によりまして、廃校活用の推進に努めてまいります。

城井委員 今の見解、大臣も同じ見解でしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 同じでございます。

城井委員 今、文部科学副大臣からお答えいただきましたように、私が申した一九%余り、約二割という中での活用の用途が決まっていない理由が、一つは老朽化、そしてもう一つは地域要望がないということであります。これでは活用の進めようがないというふうに思うわけですが、そうした中でも活用したいと要望される方々がぶつかる壁というのがあります。それが、現存する廃校に対する耐震検査の実施です。また、耐震補強の実施状況、これがあるからではないかというのが今日の私からの提起であります。

 既に耐震検査が実施されて耐震補強が実施されている廃校舎の場合にはすぐに活用ができます。そこで廃校の活用は促進されるということになります。

 例えば、自見大臣の出身地、北九州市の門司区にあります門司特別支援学校跡地は、既に耐震検査が行われていたことから、跡地の活用が円滑に行われました。校舎やプール、グラウンドが活用されています。現在では、障害者就労継続支援B型事業所に所属する障害者の方々が館内清掃やリサイクル品の仕分や、果てはシャケの養殖までプールを使ってやる、こんなふうなことになっているわけであります。

 一方、同じ地域、北九州市門司区にある福岡県立門司高等学校跡地には、校舎、体育館、グラウンドなどが現存しますが、耐震検査が未実施のため、地域のスポーツクラブの練習にグラウンドが使われるのみで、校舎等への立入りはできません。実は、先ほどの門司特別支援学校跡地でも耐震検査が終わっていない体育館がありまして、これが使うことができないという状況であります。

 このように、廃校の耐震検査あるいは耐震補強が実施されていない場合には、活用に先立って、まずは耐震検査を実施して、廃校が耐震基準を満たしているか、すなわち、直ちに廃校を活用できるのか、やはり確認をする必要があります。

 地域の皆さんからは、活用したいけれども耐震検査が実施されていない、費用負担を考えると活用するのが難しいという御意見であります。先ほど示した文部科学省の調査の中でも、先ほどの老朽化あるいはそもそも地域の要望がといったときに、この中にも、耐震検査が行われていないからそもそも使えないという入口段階での壁がある、この可能性が高いというふうに思っています。

 学校施設の耐震化についても、これまで国の調査が行われています。令和四年八月の調査によりますと、学校施設の耐震化率は九九・六%と非常に高くなりました。耐震化の取組は、子供たちの安全、安心のためですから、もちろん優先的に行ってきたという状況であります。

 ただ、廃校になる見込みになった場合の校舎、さて、優先順位はいかがかということであります。耐震化は行われずに、そのまま進んでいるケースも高いのではないかというふうに考えます。

 あべ文部科学副大臣に伺います。

 耐震化が実施されていない校舎が五百七十棟あるとの調査結果であります。この耐震化が実施されていないものに、廃校となる校舎はどのくらい含まれますか。

あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。

 御指摘の調査におきまして、耐震化が未実施の五百七十棟のうち、廃校となる建物の数については把握していないところでございますが、各自治体が決定、公表している今後の整備内容といたしまして、統廃合等により未使用化になるが、解体するか未確定であり、ほかの施設に転用しようとする場合などを含む未使用化、括弧、統合と回答があった建物は四十一棟、実はございました。

 なお、最新の令和五年八月の調査結果によりますと、耐震化が未実施の建物は三百九十二棟でございまして、このうち、各自治体が決定、公表している今後の整備内容として、統廃合等により未使用化にはなるけれども、解体するか未確定でございまして、ほかの施設に転用しようとする場合などを含む未使用化、括弧、統合と回答があったのは二十六棟でございました。

 以上でございます。

城井委員 細かにありがとうございます。

 校舎の耐震化の確認もしながらということでありますが、廃校の耐震検査や耐震補強が実施されていない場合には、やはり、活用に先立って、まずは耐震検査を実施して、廃校が耐震基準を満たしているか、すぐ使えるかということを確認する必要があるというふうに考えます。

 ただ、この耐震検査の費用を誰が持つのかというのが問題です。利用者が自ら負担ということになりますと、これはかなりハードルが高い。事務方からは、耐震検査の実施費用の負担の在り方については、学校や病院、百貨店などのうち、現行の耐震規定に適合しないものの所有者に、耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うように努めることを義務づけている耐震改修促進法に基づく補助ができる可能性があるのではないかという説明もあったところであります。

 そこで、大臣に伺います。

 耐震検査が行われていない校舎を廃校とする場合で、校舎を解体せずにその後の活用を念頭に置いている場合、まずは地方自治体に対して耐震検査の実施を促すべきではないか。加えて、耐震検査が実施されていない廃校舎を活用しようとする場合には、廃校を活用する者、つまり利用者が負担する耐震検査の費用に対して一定の補助をすべきだと考えます。これは、廃校の活用促進には是非とも必要な取組です。大臣のお考えを聞かせてください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地域活性化に向けた住宅団地の再生を促進する立場からも、建設物の耐震化を所管しております国土交通省や、学校施設を所管します文部科学省と連携しつつ、国土交通省の建築物に係る耐震診断に関する支援制度を紹介するなど、耐震診断の実施の促進に努め、廃校が住宅団地再生に資する施設として活用されるように後押ししてまいりたいと思ってございます。

 もう少しかみ砕いて申し上げますと、廃校の耐震診断の実施者は、廃校を活用する者ではなく、地方公共団体となるところでございまして、国土交通省の支援制度として、地方公共団体が実施する耐震診断に国の三分の一の補助制度があると承知をしております。

 委員のおっしゃる問題意識、受け止めております。

城井委員 廃校の活用の促進自体はとてもいい取組だと思いますので、我々も応援したい。でも、現場の入口でぶつかっているのがこの耐震検査の話。校舎の持ち主が仮に自治体であったとしても、そんなに潤沢な予算がある自治体ばかりではありませんし、廃校が生まれるような状況の厳しい自治体の方が多いというふうに思います。

 今ほどの他省庁のメニューの活用、後押しということも重要なところなんですが、是非、今回のこの地方再生法で、新規の措置でやりましょうということですから、ここは、真水の措置を含めて、今後、大臣としても、後押しをしていくメニュー、増やしていく決意だということは是非言っていただきたいんですが、御検討いただけませんか。

自見国務大臣 廃校は、元々学校があったところでございますから、その地域のコミュニティーの要となっていた、そういう場所でありまして、多くの方が愛着を抱いている場所でもございます。そういった廃校が住宅団地の再生に資する施設として活用されますよう、関係省庁と連携をして、しっかりと後押ししてまいりたいと存じます。

城井委員 この耐震検査も一つの入口での壁なんですが、そのほかに現場からの聞き取りをお聞きいただきますと、一つは、校舎の老朽化の確認のための、いわゆる打診検査ですとか、あとは、民間施設になる場合は、学校施設とは違って消防設備の追加の対応が必要です。また、土地の用途変更なども含めて必要になってくるものですから、追加費用はかなりかかります。この点も踏まえての後押しを是非お願いしたいということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、企業の地方移転を促進するために、用地や建物の賃貸借による移転についても地方拠点強化税制の対象とすべきとの観点から、担当大臣に伺います。

 企業の地方移転の促進は、地方自治体にとってとても重要な取組の一つです。大臣の出身地、加えて私の地元でもあります北九州市でも、企業移転、企業誘致に積極的に取り組んでいるところです。例えば、北九州市のJR小倉駅前にあるテナントビルを賃貸借して企業を北九州市に移転した、その企業の経営者の方から聞き取りをしました。企業を移転するに当たって、国の制度を活用できないか調べて国にも相談したんだが、結果として活用できる制度がなかった、こういうお話でした。

 企業の地方移転については、用地や建物の取得を伴う移転だけではなく、一定の条件を付した上で、用地や建物の賃貸借による移転についても補助の対象とすべきではないかと考えます。大臣、これ、やりませんか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 地方拠点強化税制のうち、事務所等の特定業務施設の新設等に伴う設備投資減税である、いわゆるオフィス減税は、一般的にコストが高くなる建物の建設や新築物件の取得に限定して措置をしておりますので、委員おっしゃるとおり、建物の賃貸借は対象にはしていないところであります。

 一方で、賃貸借の場合であっても、本税制を活用し、特定業務施設において新たに従業員を雇い入れた場合等につきましては、雇用促進税制の適用が可能でございます。法人税等の減税措置を受けることができます。具体的には、特定業務施設を東京二十三区から地方に移転する移転型につきましては、三年間で一人当たり最大百七十万円、地方で拡充する等、拡充型につきましては、一人当たり最大三十万円の税額控除が受けられます。

 なお、本税制とは別になりますが、デジタル田園都市国家構想交付金によりまして、賃貸借の移転も支援を行っているところでございます。具体的には、整備計画の認定事業者に対しまして、地方公共団体が物件の賃貸やあるいは中古物件の取得等に係る補助を行う場合でありますが、デジタル田園都市国家構想交付金を活用が可能だとしてございます。

 様々な制度、大変分かりにくいものもございますので、いつでもお問い合わせいただければ、しっかりと対応させていただきます。

城井委員 今回の法律案は、企業の地方移転の促進をするための法律改正ということですから、是非この取組を更に進めて、国が責任を持って、賃貸物件をオフィスとして活用する場合でも、企業の地方移転に係る負担を支える仕組みを工夫すべきだというふうに考えます。

 先ほどの駅前の空きビルなども含めて、既存のインフラ、既存の建物でも十分受皿として活用可能な部分はあるというふうに思いますので、そこは、引き続き、大臣の立場からも、もちろん他省庁のメニューも含めてでありますが、ここは是非、応援する仕組みを増やす努力をお願いしたいというふうに思います。

 次に参ります。地域の声を踏まえた支援措置の充実について伺います。

 先ほど、坂本祐之輔議員の質問に対する答弁で、いわゆる地域再生の提案募集が、平成二十七年から令和五年が、九年間にわたって提案がゼロという話でありました。ここに対する答弁が、自治体アンケートで把握している、事前相談で解決、周知や運用改善で、こういう答弁でありましたが、実は、この提案制度が使われていない問題の指摘は初めてじゃないんじゃないかということを申し上げたいと思います。

 平成二十七年に会計検査院からも、地域再生法に基づく事業の実施状況についてということで、この提案がほとんど活用されていない状況になっていたという指摘があったはずであります。この指摘を受けての改善の取組、その後、何をやったんでしょうか。それでもゼロだったわけですよね。何をやったんですか。

自見国務大臣 御質問ありがとうございます。

 九年間にわたって提案がゼロとなっており、今までの仕組みが不要ではないかという趣旨の御質問かと思います。

 先ほどの坂本委員に対しましてお答えしましたが、政府に関しましては、地方自治体からの意見については、アンケート等で、いわゆる吸い上げる努力をしているですとか、あるいは事前の相談の仕組みを設けており、大変活用されているということもお伝えをしたところでございます。

 また、構造的なことを申し上げれば、第十二次からでございますが、いわゆる新しい地方創生担当大臣を置いて、しっかりと部局を設けることで、事前相談もより一層充実したといった、こういった近年の歴史もございます。

 このようなことを踏まえまして、私どもといたしましては、地方公共団体からいただいている御意見について、必ずしも予算関連の提案数にはひもづいていなかったとしても、事前にいただいた様々な相談あるいは御提案というものもございますので、そういったことが、地方創生部局としては大変ありがたく頂戴をし、また連携強化につながっているところでもございます。

 また、御案内のように、特区制度など、様々な他の地方創生部局の制度も相まって、我々としては、総合的、一体的に取り組んでいるということでお答えをさせていただければと思います。

城井委員 もうちょっと具体的にお答えいただきたいと思うんですが。

 今回の、先ほど申した平成二十七年度の会計検査院による報告では、かなり具体的な指摘がされています。提案制度が活用されていない理由。認定地方公共団体九百二十七団体のうち、提案制度等を活用したことがない団体は六百二十三団体で六七・三%。この活用したことがない理由なんですが、意見がないため、三百四十八団体、五五・八%。提案制度等を十分に理解していなかったため、二百五団体、三二・九%。提案制度等を知らなかったため、四十五団体、七・二%なんです。意見がない、十分理解していなかった、知らなかった。

 さて、大臣、この間の取組で、相当数の、うん百にわたる団体ですが、これは幾つ対応できたんですか。事前の相談などを含めて、この改善、幾つ対応できましたか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 地方公共団体からの意見につきましては、地方創生に関する制度を充実させ、地域の活性化を促進する上で非常に重要だと認識しております。

 幾つあったかというお問合せでございますが、毎日無数に対応させていただいておりまして、皆さん大変熱心に、地方創生部局、自治体と寄り添って御対応させていただいておりますので、一つ一つ、つぶさにカウントするということをできないというか、していない状況でもございますが、委員もおっしゃっていただきました、提案の制度についての周知が足りないのではないか、ここについては我々も反省をしております。

 ここにつきましては、提案募集の期間をやはり延長するですとか、あるいは、あわせて、地方の目から見れば、分権の提案は、これは非常に多くの提案をいただいているわけでありますので、それと抱き合わせる形で連携して周知するなど、様々な機会を通じて改善の必要があると考えてございます。

城井委員 法律に基づく提案制度が使われていないという点について、やはり重く見ているわけであります。

 仕組みがなくて事前相談などで丁寧に対応すれば解決できるということならば、実は仕組みは要らないんじゃないかというふうにやはり思うわけであります。実際に、地域再生法に基づくもので活用されていない仕組みはたくさんあります。その現実、現状をしっかり見た上での改善は必要だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 通告を一つ飛ばさせていただいて、最後に、地域再生推進法人による提案制度として、生涯活躍のまち形成事業計画というのがあります。この提案制度の実績について大臣に伺います。

 地域再生推進法人が生涯活躍のまち形成事業計画の作成を提案した実績は何件でしょうか。

自見国務大臣 御質問にありました平成二十九年以降の生涯活躍のまち形成事業計画の策定実績におきまして、令和五年四月一日時点で、国に対して報告があったのは八計画でございまして、このうち、委員お尋ねの件でございますが、現時点で確認した限り、二計画が地域再生推進法人から計画策定の提案があったものと承知してございます。

城井委員 今日は、幾つか事例を挙げて指摘を申し上げましたけれども、住宅団地の再生に向けての取組、法律による支援は必要なんだというふうに思いますが、実際にその仕組みを使って改善につなげていくということが行われていないという現状について、やはり大臣として重く受け止めて、改善にもっともっと努めていただくべきだというふうに考えます。

 そのことを強く求めまして、時間が参りました、質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 本日も、まず、私の地元の栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださいました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 自見大臣に、最初、東京一極集中の是正というところから御質問をさせていただきたいと思っています。

 最初の一の一はちょっと飛ばさせてもらいますけれども、先ほど来、地方創生ということが強くうたわれてから約十年という節目の年というふうに、さっき坂本委員からもお話がありました。その中で、元々政府として、第一期の地方創生戦略では、東京圏に対する転入の超過数を二〇二〇年までにゼロにしようというふうな目標をまず立てられていたと思います。それがやはり目標を達成できず、今度は二〇二七年度に、最初は転入の超過だったと思いますけれども、今は転入転出、ネットのところでゼロにする、少し、ある意味、目標を軽くしたんだと思いますけれども。

 こうした目標を立てて達成できず、そして現在も、やはり、資料をお配りしておりますけれども、コロナを終えて、二〇一四年から比較をしても、改めて東京圏への転入超過というのが非常に増えているという状況だと思いますが、政府はこの十年間、約十年間、こうした地方創生等の取組をやりながら目標を達成できなかったということ、これはどういうふうな評価、分析をされているんでしょうか。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

自見国務大臣 お答えいたします。

 東京圏への人の流れを分析いたしますと、特に、就職や進学を契機といたしまして、十代後半から二十代の若年層の転入超過が継続していることが原因となってございます。

 その背景には、地方には、仕事、交通、教育、医療、福祉など様々な社会課題が残っているということを考えてございます。このため、若年層を中心とした東京圏への過度な一極集中の流れを食い止め、地方に対してしっかりと人口を戻していくということが重要だと思ってございます。

 現在、地方創生の四つの柱がございまして、やはり地方に仕事をつくるということでございます。若い方々の所得が大変重要だと思っております。そして、人の流れをつくる。また、地域で子供を産み育てるということの希望をかなえる。また、魅力的な地域づくり、ここには教育、福祉、介護、交通、防災、国土強靱化ということが入っておりますが、四つ目の柱として魅力的な地域づくり。この四本柱を現在大事なことだとして打ち立てております。

藤岡委員 そうした対策を取られてきたというふうに元々思うんですが、ちょっと僭越ですけれども、今回の地域再生法の改正、これ自体、何か別に否定するということではないんですけれども、やはり全体として非常に小粒感を大変感じるんですよね。やはり、本当に東京一極集中を何とかしようという、どれも中途半端な、何かちょこちょこちょこちょこやっているような感じにしか、申し訳ないけれども見えないんですよね。ある意味、大胆さを持って、もう少し取り組んでいただきたいと思うんですよ。大臣、その辺り、どう思いますか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 東京圏への一極集中を大胆に変えてほしいという御質問だと思ってございます。

 現状を顧みますと、東京圏への一極集中など大きな流れを変えるということは簡単なことではございませんが、若年層を中心とした東京圏への過度な一極集中の流れを食い止めるということ、地方に対してしっかりと人口を戻していくということは大変重要だと思ってございます。

 先ほど申し上げた四つの柱、ここを軸にしつつ、様々な成功事例も出ているところでございます。皆様御案内の岡山県の奈義町でございますが、ここも、子育てといったことをテーマに掲げて、子育て世代の経済的負担の軽減、地域ぐるみでの子育てサポート、子育て世代等を対象とした就労支援、こういったことを町ぐるみで、地方創生の交付金なども活用した取組の事例としても、我々も大変勉強させていただいております。

 加えまして、新しい発想という御指摘もございました。この点につきましては、三点申し上げます。

 進学を契機に地方から東京圏に流入する若年層を地方に還流させるために、地方への就職活動に係る交通費の支援、そして、地方への就職に際しての移転費の支援。

 また、女性、子供、若者、こういった世代にとって魅力のある雇用を創出するための地方拠点強化税制について、今回、制度の対象の拡大ということで、子育て施設の追加。

 また、三つ目でございますが、加藤鮎子少子化担当大臣とともに取組をさせていただいておりますが、地方で安心して子育てと、また、地方の分娩施設が、今産科医療機関がどんどん減っておりますので、こういったところで、遠方の分娩施設で出産する妊婦への交通費等の支援、里帰り出産を含めた効果的な周産期医療提供体制の確保、こういったこともさせていただいております。

 委員のおっしゃった大胆なというところと比べますと御批判もいただくかもしれませんが、引き続き、丁寧に地方の声を聞きながら、真摯に取り組んでまいりたいと思ってございます。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

藤岡委員 大胆に変える。せっかく目標を立てていただいているので、その目標を達成する上で、取組をまず大胆にやはり進めていただきたいなということで、自見大臣、頑張ってほしいなということで申し上げたいというふうに思っているんです。

 大臣自身は、この東京一極集中、やはりこれは課題だというふうに思っていただいているということで、直さなくちゃいけない、よろしいですね、そういうことで。

自見国務大臣 もちろんでございます。

藤岡委員 そして、先ほど城井先輩議員から指摘があった話でありますけれども、企業の移転、これは是非、本社機能、本社を含めて、移転という対策をやはり私も進めていただきたいと思うんですよ。

 その際に、先ほど、まさに新規に取得した場合に限っているとか、賃貸は対象にならないとか、こういうところも、何か、一個一個が、主税局と交渉して、恐らくそうだと思うんですけれども、多分、ここを広げる代わりにここを何か少し譲れみたいな交渉に、恐らくこれは間違いなく負けてしまっていると思うんですよ。これは大臣がきちっとリーダーシップを持ってやっていただかないと、頑張っていただかないと、主税局との交渉で、これは取引で、多分、事業所を広げる代わりにここを減らせとか、そういう交渉なんですよ、大臣、現場は。御存じだと思いますけれども。

 なので、例えば賃貸物件なら、先ほど城井先輩議員が話しましたけれども、駅前でも、私の地元でも、例えばビルで空いているところはありますよ。では、そこを、進出してもらうとしたらビル一棟丸々買うかといったら、そういう進出で企業の移転ということになっちゃうと、それはそれで移転する側だってハードルがありますよね。ビル丸々買うのか。ただ、ビルの中のどこか空いているところに当然進出してほしいわけですよね、オーナーさんも。そうすると、賃貸形式でも、やはり何らかの税額控除、対策とか、これは取った方がいいと思うんですよね。

 これだけの目標を立てていただいているので、やはり、小粒感じゃなくて、大臣、是非こういうことをやりましょうよ。大臣、賃貸も含めて、そういうことも強く是非要望していただけませんか、これから。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大変なエールを頂戴していると思ってございます。

 令和六年度の税制改正におきましては、若年層にとって魅力的な雇用を地方に創出するという観点から、先ほど申し上げましたけれども、特定業務施設と併せて整備される育児支援施設につきましても、税制の措置の対象としての追加を予定しております。

 また、あわせまして、特定業務施設でございます事務所の範囲につきましても、ITの活用により地方への移転等が比較的想定しやすいインサイドセールスや企業等の管理業務の受託業務を行うための事務所の追加を予定してございます。

 この令和六年度の税制改正は、制度創設以来初めての制度で、事業の拡大ということで、対象を業務施設以外にも拡大するものでございまして、今般御審議いただいている法改正を伴うものとなってございます。

 どんどんと後押しいただいて大変ありがたいと思ってございますが、まずはこれらの拡充措置の活用をしっかりと促進し、企業の地方移転等を進めてまいりたいと存じます。

藤岡委員 本当にきちっと進めてほしいから申し上げておるんですけれども、賃貸のところ、大臣、是非これは進めませんか。是非、強く要望をしていただくということ、この場でやはり強く決意を表明していただけませんか。大臣、お願いします。

自見国務大臣 ありがとうございます。

 賃貸の場合も対象にすべきではないかということだと思ってございます。

 賃貸による特定業務施設の整備でございましても、本制度を活用していただいて、特定業務施設において新たに従業員を雇い入れた場合等については、さっきも申し上げましたが、雇用促進税制の適用が可能でございまして、法人税の減税措置を受けることができます。また、本制度とは別に、先ほど申し上げましたが、デジタル田園都市国家構想交付金が活用できるということもございます。

 意気込みといたしましては、しっかりとこういった地方の創生に対しまして頑張ってまいるということをお伝えしたいと思います。

藤岡委員 これは政治と金でないものですから、あえて、最後、もう一回突っ込みますけれども、今、賃貸のところをお答えいただいていないんですね。賃貸のところを、要望はされていると思うので、要望していくということを是非強くやっていきましょうよ、大臣。どうですか。

自見国務大臣 一部繰り返しになって恐縮ですが、現行、先ほど御説明させていただきました、賃貸について関連する制度も、活用できる減税もございますので、そういったものもしっかりと周知をさせていただきながら取り組んでまいりたいと思います。

藤岡委員 是非そういうところも、今話したところ、既存の周知だけじゃなくて、是非取組を進めていただきたいなということを強く要望しておきたいと思います。

 先ほど、特定業務施設を整備する場合に、保育施設といいますか、そういうものも今後増やしていくという話がありましたけれども、例えば、知事会などからの御要望の中にも、社宅等の移転をしてくるときに、福利厚生施設も含めて是非税制優遇をという話も出ていると思います。

 今回の法律の中で、特定業務施設も法律上は位置づけとして追加をしていただいているんですけれども、残念ながら、税制優遇のところはないんですよね。この法律上は、せっかく位置づけてくれているんですけれども、税制優遇のところは、これまたここも抜け落ちちゃっているんですよ。

 こういうところを一個一個見ましても、新規取得のところもそう、こういう、福利厚生施設や社宅等もそうなんですよ。実際、地方の立場からしたら、進出してきてくれたときに、そういう社宅というか住まいも含めて整備して、そこに住んでもらってというところも是非進めていただきたいと思いますし、そういうところ、税制優遇のところがなぜかここは抜け落ちちゃっているわけですね。法律は整備しているのに、今回、税制のところがないんですよ。

 これも、やはり大臣、頑張っていただかなくちゃいけないんですよね。是非これもきちっと、いわゆる寄宿舎、社宅等の福利厚生施設の税制優遇についても強く今後やっていくということをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 繰り返しのところはちょっと割愛をさせていただきますが、特定業務施設と併せて整備させていただきます育児支援施設につきましては、税制措置の対象としての追加を予定しています。これは繰り返し先ほどから申し上げているところでございます。

 なお、委員の問題意識を大変強く持っていただいております社宅等の整備についてでございますが、今般の法律の中におきまして、地方活力向上地域等特定業務施設整備事業、こういったものに追加することとしてございまして、これによりまして、中小企業基盤機構によります債務保証制度や、あるいは日本政策金融公庫によります融資制度の活用を可能とする予定でございますので、是非これらも活用していただきつつ、企業の地方移転等をしっかりと促進させていきたいと思ってございます。

藤岡委員 是非大臣、法律上整備して、さらに、今の使えるというのは、それは重々あれなんですけれども、税制のところも含めて、これは強く、やはりしっかりお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、大胆なというところでいきますと、当時、元々、あっ、今日は石川内閣府副大臣また國場国土交通副大臣にもいらっしゃっていただき、ありがとうございます。

 国会の移転、そもそも、首都機能移転という話が何かどこかにもうすっかり忘れ去られちゃったようになっているように思うんですけれども。今、そういう中で、政府機関が、例えば、文化庁が移転をしていくとか、徳島に消費者庁がとか、いろんな一部がというところになっていると思うんですけれども、そもそもは、改めて、この国会等の移転、首都機能移転については今も当然法律が生きているわけでありまして、「国は、国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの」、国会等といいますけれども、「の東京圏以外の地域への移転の具体化に向けて積極的な検討を行う責務を有する。」というところまで法律では書かれているわけでございます。

 こういう中で、実際、今、文化庁等いろんな移転がある意味それぞれごとに進んでいってしまっているんですけれども、国会の首都機能移転と、今進まれている、地方創生ということなのかもしれませんけれども、この移転の関係はどういうふうに整理されているのか、御見解をお伺いしたいと思います。石川副大臣、お願いします。

石川副大臣 委員にお答えいたします。

 政府関係機関の地方移転と国会等の移転の議論の整合性、関係性についての御質問でございます。

 まず、政府におきましては、平成二十八年三月に政府関係機関移転基本方針というのを決定しておりまして、その中で、中央省庁の地方移転について、危機管理、官邸等を始め関係機関との連携、それから国会対応に支障の生じないことをまず基本方針の一つとしております。

 このため、政府関係機関の地方移転は、国会及び内閣との関係で、中枢性の高い政策立案等に係る機能は、現在、現状では移転対象とはしておらず、国会等の移転の議論を、推移を見ながら、今、整合性を図れる形で議論を進めていると承知をしております。

藤岡委員 いわゆる国会に係る中枢の機能を除いてということでよろしいですよね、今理解させていただきましたけれども。

 では、國場副大臣にお願いをしたいと思うんですけれども、今、関係が整理されている、こういうことで、同じ認識でいいと思うんですけれども、改めて、国会で本来議論されなくちゃいけないというのはもちろんのこと。当時、審議会の答申では、栃木、福島が当時は最高の得点というか御評価を賜っていたということなんですけれども、改めて、首都直下型地震とかいろんな懸念もあって、当然、この法律にのっとった、責務を果たす、検討というものを加速を本当はされなきゃいけないと思うんですね。

 所管する国土交通省としても、やはりこれは強くこの議論、検討をリードしていただくことも、もちろん国会の議論が重要ですけれども、必要だと思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

國場副大臣 国会等の移転については、議員立法により制定された国会等の移転に関する法律に基づき、国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なものを対象にしており、中央省庁も含めて東京圏外への移転が検討されてきました。

 平成十一年十二月に、国会等移転審議会から、三か所を移転候補地とする答申が出された以降は、一貫して国会主導で検討が行われてきたところであります。

 平成十六年十二月に、国会等の移転に関する政党間両院協議会において座長とりまとめがされた後、国会での具体的な議論が止まっている状況であると認識しております。

 国土交通省としては、国会からの要請に基づいて必要な協力を行ってまいります。

藤岡委員 是非、国会からの要請にとどまらず、国土交通省としても積極的に関心を持ってやっていただきたいなということを申し上げておきたいなと思っておりますが。

 自見大臣、ちょっとこれは所掌が少しずれるかもしれませんが、地方創生という観点で、こうしたところ、この首都機能移転の議論、これは法律も残っておりますので、やはりこれはしっかり改めて積極的な検討というか責務を果たしていかないといけないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

自見国務大臣 国会等の移転につきましては、平成十一年十二月に、国会等移転審議会から、三か所を移転候補地とする答申が出された以降は、一貫して国会主導で検討が行われてきたものと承知をしてございます。

 また、政府関係機関の地方移転につきましては、地方創生の観点から、道府県からの提案を募集し、進めてきたものでございますが、政府関係機関の地方移転と国会等の移転との関係については、石川副大臣が御答弁されたとおりであり、私の所掌外、所管外となりますことから、お尋ねのあった件についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

藤岡委員 本当に、是非、東京一極集中の是正という観点で問題提起をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 石川副大臣、國場副大臣、これで結構です。ありがとうございました、お忙しいところ。

 続きまして、地域再生法の評価に関してちょっと一点お伺いしたいと思うんです。

 令和元年の改正で創設をされました既存住宅活用農村地域等移住促進事業というものがあると思います。これはいわゆる農地つき空き家というものだと思うんですけれども、なかなかこれも、法律が整備されて、活用が一件なのか、何かそれぐらいなのかと思うんですが、これは政府参考人の方にこの活用状況等をお伺いしたいと思うんですが。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 既存住宅活用農村地域等移住促進事業の活用実績については一件となっております。

藤岡委員 これは一件なんですよね。なかなか進んでいない。

 私、ちょっと、分からないから逆にお聞きしたいんですけれども、空き家で農地、私の地元もそうなんですけれども、空き家になっているところについている農地というのはどこまで本当にちゃんと管理されているのかなと。荒れていないか、耕作放棄地になっていないかとか。農地つき空き家ということなので、よっぽどしっかり管理してもらって、そして移住するんだったら移住してもらって利用してもらう、これは是非やってもらいたいんですけれども、本当に現場でこういうところをきちっとフォローして、どういうフォローをしてやっているんでしょうか。

 一件というか、一件になるのは当たり前のように、結果は見えていたと思うんですよね。今後も何かまた一件とかになりそうな気もするんですけれども。非常に、空き家で農地ですから、耕作放棄地になっていることが懸念されるということで、是非やっていただきたいんですけれども、どういう管理になっているんですか、現状。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 済みませんが、先ほどちゃんと御説明すればよろしかったかと思ったんですけれども、先ほど一件と申し上げました既存住宅活用農村促進事業でございますけれども、実は、制度創設以降に、元々農地法で従来、農地の権利取得に際して一定の面積要件が定められておりまして、この計画に位置づけられると農業委員会の判断で面積を下げるということが可能であったのですが、実は、法案自体が抜本改正されて面積要件が廃止された、そういうちょっと事情もございまして、制度の活用件数が少なくなっているのかなというふうに考えているところでございます。

藤岡委員 そうすると、これはもう役割を果たしたということなんでしょうかね。今度、令和七年の一月四日までに、また新たな検討規定があると思いますけれども、これは今どういう状況でしょうか。

谷委員長 申合せの時間が経過していますので、答弁は簡潔に願います。

佐々木(正)政府参考人 はい。

 先ほど申し上げておりますけれども、公共団体にいろいろな要望のアンケート調査をしておりますけれども、その中では特段御要望、御要請いただいていないものですから、現時点では、この制度自体必要だと考えておりますし、また存置することに意義はあるのかな、政策手段として残しておくことに意味があるのかなというふうに思っているところでございます。

藤岡委員 時間が参りましたので終わりますけれども、農地つき空き家も是非、本当に、東京圏からも来ていただきたいと思いますし、現場のことをよく踏まえて、そして大胆な対応というのを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問させていただきます。

 私も、本日、地域再生法の一部を改正する法律案に関する質問をさせていただきます。貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 冒頭、ちょっと私ごとなんですけれども、私、大学時代に法学部にいまして、地方自治法ゼミという、マイナーと言っては怒られるかもしれないですけれども、法学部では少々マイナーなゼミに在籍して、まさに第一次地方分権改革の真っただ中で、従事していた先生が機関委任事務の廃止の専門の先生だったので、それを目の当たりにした記憶があります。

 まさに今回の地域再生制度が目指すところでもある、地域が自主的、自立的に取り組むということを国が支援するという考え方が強くなっていく、まさにそういった時代であったんですけれども、今は国会議員という立場から改めて何ができるかということを考えながら質問させていただきます。

 まず、地方創生若しくは地域再生全般に関するこれまでの二十年間にわたる取組についての質問とさせていただきます。

 今回の本法案も含んで、この地域再生制度は、国が一方的にメニューを用意するという支援じゃなくて、繰り返しになりますが、地域が自主的、自立的な取組をすることを国が支援するというものと理解しているんですが、結構、制度とか法律が重層的にというか、いろいろな法律が存在していて、それぞれの位置づけがちょっと複雑だなと考えております。これは、自治体の現場からも、いろいろな制度とかいろいろな法律があって、どういった関係かが少し分かりにくいということを実際指摘されることもあります。

 まず、質問の最初なんですけれども、具体的に、まち・ひと・しごと創生法と今回の地域再生法というものが法律でも存在しているんですが、この二つの法律の関係性について教えていただけますでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 まち・ひと・しごと創生法は、人口減少の克服や地方創生の施策を総合的、計画的に実施するため、その取組に当たっての理念や基本的な方向性を定めるものであります。

 一方で、地域再生の成果を上げていくためには地方公共団体の取組に対する具体的な支援の充実が必要であることから、地域再生法では、まち・ひと・しごと創生法で定められた理念や基本的な方向性に沿って、目的を達成するための具体的な支援措置を提示することとしております。

 まち・ひと・しごと創生法が制定された平成二十六年以降、今回改正を予定している地域住宅団地再生事業や地方拠点強化税制の創設など、まち・ひと・しごと創生法で定められた理念や基本的な方向性に沿った具体的な支援措置を地域再生法の改正等により累次にわたって充実させており、二つの法律を両輪として地方創生を推進しているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まち・ひと・しごと創生法が基本的な役割で、地域再生法は個別具体のことを定めるものということを理解して、いずれにしても、それが両輪だということを理解させていただきました。

 余談にはなるんですが、まち・ひと・しごと創生法をまひし法というふうに略されていることを今回初めて知ったんですが、地方創生の取組が本格化してまさにもう約十年が経過しようとしています。

 今回私からお配りさせていただいているこの資料なんですけれども、これは実は二〇一五年のまち・ひと・しごと創生基本方針として閣議決定されたものを改めて提出させていただいております。

 これに、中身を改めて見させていただくと、まさに今、日本が直面していることを十年前に言い当てていると言えばすごいんですけれども、ある意味、そこが変わっていないなという部分を感じております。

 具体的には、まずこの上段部分に、現状認識として、まず一つ目、人口減少に歯止めがかかっていない、二つ目、東京一極集中が加速している、三つ目が、地方経済と大都市経済で格差が存在しているということがここにずばんと指摘されているんですけれども、これについて、十年たってやはり解決できていない難易度の高い課題が残り続けていると私自身は認識しています。

 ここで自見大臣への質問となりますが、この二〇一五年の現状認識も踏まえて、現時点における地方創生をめぐる現状をどのように認識、評価されていますでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 我が国の人口は、二〇二二年に八十万人の自然減となり、今後も百万人の大都市が毎年一つ消滅するようなスピードで人口減少が進むと予測されるなど、急速な少子化、高齢化、人口減少の局面ということでございます。また、昨年十二月に国立社会保障・人口問題研究所が公表いたしました日本の地域別将来推計人口におきましても、地域によっては大変厳しい見通しが示されているとも認識をしております。

 また、東京圏への一極集中につきましては、その転入超過でございますが、新型コロナウイルス感染前は、二〇一九年には約十四・六万人であったものが、二〇二一年には八万人まで減少したものの、二〇二二年以降は再び増加をしてございます。特に、先ほど来からの議論にありますように、若い世代ということでございます。

 このような人口減少が進む中で、東京圏への過度な一極集中が進むことで、地方の過疎化、コミュニティーの弱体化に加えまして、地域の経済の縮小や担い手不足等による地域産業の衰退などの弊害が生じていると認識をしてございます。

 こうした大きな流れを変えることは容易ではございませんが、地方創生担当大臣として、意欲ある人々や地域にしっかりと寄り添い、地域課題の解決を後押しするという立場から、地方創生の、先ほど来から申し上げております四つの流れ、地域に仕事をつくる、人の流れをつくる、そして、妊娠、出産、結婚の希望をかなえる、魅力的な地域づくり、こういったものに従って施策を促進させていただいているところであります。

赤木委員 ありがとうございます。

 もうまさに難敵が相変わらず存在し続けているということは私も同様の意見なんですけれども、お配りした資料の下の部分は、地方創生の深化により、ローカルアベノミクスを実現すると称して、これも三つの方策を記載されています。ちょっと読み上げますと、稼ぐ力を引き出す、生産性の高い、活力にあふれた地域経済を構築する。二つ目が、地域の総合力を引き出す、頑張る地域へのインセンティブ改革。三つ目が、民の知見を引き出す、民間の創意工夫の最大活用とあります。

 ここで自見大臣への質問になりますが、こういったことを約十年前に目指して、その結果としてどうなったのか、そして、残された課題に対してどのように対応していかれるのかについて御意見をお願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五に位置づけられました、稼ぐ力を引き出す、地域の総合力を引き出す、民の知見を引き出すという基本方針に基づく取組は、デジ田の総合戦略においても引き続きしっかりと位置づけられていると考えております。

 まず、稼ぐ力でございますが、地域企業の生産性向上やデジタル実装に資する人材支援等を通じました中小・中堅企業のDXの促進、また、地域発のイノベーションを創発するスタートアップの促進、推進、そして、旅行者に関するデータを用いたマーケティングや観光地の経営の戦略策定を通じた観光DXの推進などを行ってございます。

 官民連携や地域間の連携あるいは政策間の連携を通じまして地域の総合力を引き出す取組といたしましては、中山間地域等におきまして、農林水産業を軸といたしまして、教育、文化、医療、福祉等、あるいは、デジタル技術を活用しつつ、地域課題の解決、地域活性化に取り組むデジ活中山間地域の取組などについて、官民や省庁間で連携した支援を行っているところであります。

 また、三点目でございますが、民の知見を引き出す取組といたしましては、PPP、PFI手法等の活用や、あるいはデジタル技術の活用等による少子化対策を推進しているほか、国家戦略特区制度におきましても、これまで四次にわたりまして特区の指定を行うとともに、地域の特性に応じた提案を随時受け付けておりまして、全国展開を視野に規制の改革を進めているところであります。

 一方で、地方では、やはり人口減少、人口流出、そして地域経済の衰退などの課題が深刻化しながら抱えているということでございますので、こういったところを、十分に寄り添い、悩みを伺い、地方創生に向けた取組をしっかりと行っていきたいと思ってございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 今の御回答にもありました、デジタル田園都市国家構想、実現会議等もありますが、ちょっとここで、冒頭私がお話しした、地域再生に関してはすごく複合的にいろんなものが存在していることのもう一つなんですけれども、まち・しごと創生法とこのデジタル田園都市国家構想実現会議、これの関係について教えていただけますでしょうか。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたデジタル田園都市国家構想実現会議につきましては、デジタル実装を通じた地方活性化、また、デジタルによらない従来の地方創生が引き継がれているということでございます。

 元々、まち・ひと・しごと創生法に基づいて、まち・ひと・しごと創生本部の下に、まち・ひと・しごと創生会議、こういうものが位置づけられております。この会議と、今申し上げましたデジタル田園都市国家構想実現会議、ちょっと長いのでデジ田会議というふうに申し上げますと、まち・ひと・しごとの創生会議の構成員であります関係大臣、それから有識者、この全員が今のデジ田会議の構成員に含まれる、先ほど申し上げましたような取り扱う内容、こういったことを含めて、そういう意味では、デジ田会議はまち・ひと・しごと創生会議の役割も担う会議体であるというふうに考えてございます。

 そういう意味では、デジ田会議につきましても、委員が御指摘されましたまち・ひと・しごと創生法に基づく政策体系の中で連続性が担保されているというふうに考えてございます。

赤木委員 私もちょっと略して言わせていただきますけれども、デジ田会議は、まち・ひと・しごと創生法にデジタル部分を少し加えて、もうちょっとスコープが広いことを議論されているのかなとは理解したんですが。

 一方で、まち・ひと・しごと創生法若しくは地域再生法の目的とか理念とか責務の部分にデジタルの活用という観点の記載がないというふうに私は理解しているんですが、一方で、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二一には、デジタル関連として、先ほど自見大臣もお答えいただきましたが、地方創生に関するDXの推進なんかも地方創生の三つの視点に挙げられています。

 ここで質問になるんですけれども、こういったデジタル田園都市国家構想の趣旨をそもそもまち・ひと・しごと創生法若しくは地域再生法にも盛り込んでしまうという法改正を行われるということについては考えられていないのか、これについて自見大臣より御見解いただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 委員の御質問はデジタル田園都市国家構想の具体的な進め方に関することでありまして、それについては、総理や担当大臣でもあられますデジタル田園都市国家構想担当大臣、河野太郎大臣でありますが、のお考えもございますので、私の方から予断を持ってお答えすることは控えたいと思っております。

 なお、地方創生担当大臣といたしましては、委員御指摘のような、構想の趣旨をまち・ひと・しごと創生法や地域再生法に盛り込むための法改正をしなければ地方創生の推進に支障が生じる状況にあるとは考えてございません。

赤木委員 ありがとうございます。

 次の質問ですが、地域再生法及び地域再生制度が果たしてきた役割について、政府の評価をいただきたいと考えています。

 あと、地域再生法が令和元年までは毎年のように法改正を行われてきたんですけれども、令和二年以降は改正が行われていなくて、今回改正に至ると思うんですが、このように、当初はすごく毎年毎年変わっていたのに、なかなかここ最近は変わっていないことについて、自見大臣より御見解をいただけますでしょうか。

自見国務大臣 地域再生制度でございますが、地方公共団体の政策手段として具体的な支援措置を提供することで、地方の自主的、自立的な取組を後押しをして、そして、地域経済の活性化や地域における雇用機会の創出などに寄与してきたと考えてございます。

 また、地域再生法の改正についてでございますが、その時々の社会情勢や地方のニーズ等を踏まえてその要否を判断し、検討し、そして対応してきたところでもございます。

 一部繰り返しになって恐縮でございますが、地域再生、地方再生のための政策手段といたしましては、法律のみならず、予算や税制等も存在することでありまして、令和二年度以降も、例えば、令和二年度の税制改正で企業版ふるさと納税、あるいは令和四年度の税制改正で地方拠点強化税制の対象の分野の追加、あるいは、令和四年の補正予算で、拠点施設の整備に係る交付金について、民間事業者の施設整備に関する間接補助スキームの導入、そして、令和五年度、直近では、補正予算を使わせていただきまして、半導体等の大規模な生産拠点の整備について、関連インフラの整備を支援する交付金の創設などを行ってございます。

 地方公共団体等のニーズに応じまして、地方の活力の維持、再生に資する取組を後押ししてきたところでございますので、法律のみならず、こういった予算や税制とも併せて後押しをしているということで御理解賜ればと思います。

赤木委員 まさに税制、予算で対応されていて、決して地域再生の位置づけ若しくは熱意が下がったわけではないということをお聞きして、安心はしたんですけれども。

 ちょっと繰り返しになってしまうんですけれども、あえて、やはり、先ほどお配りしたみたいに、十年前の内容がそのまま今でも残っているような状態という認識も含めて、地域再生制度から二十年、そしてまち・ひと・しごと創生法から約十年という区切りにおいて、この地方創生の取組の成果と残されている課題について、改めて、ちょっと、自見大臣より御見解をいただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 我が国におけます少子高齢化の進展に的確に対応し、人口減少の歯止めに取り組むため、地方創生に向けた取組を進めてきた結果、地域の魅力の向上、にぎわいの創出の観点から、地方創生関係の交付金の活用等を通じ、地域の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進されたことは意義があると思ってございます。

 また、地方への人の流れの観点から移住支援事業を行っておりまして、この事業を活用して東京圏からの移住が約千三百市町村において進んだことですとか、あるいは、地方拠点強化税制を活用し、企業の地方移転が進んだといったこと。この強化税制は、約六百六十件認定をいたしまして、計画におけます雇用の創出数は約二・七万人となってございます。

 地方への資金の流れの創出、拡大の観点から、企業版ふるさと納税も千三百団体以上の地方公共団体で活用していただいておりまして、これまで八百億円近くの寄附が行われてきたということも大きな成果であると思ってございます。

 また、地方創生の交付金、地方拠点強化税制、企業版ふるさと納税は、いずれも地域再生法に位置づけられた措置でありまして、このように地域再生制度は、地方公共団体の政策手段として具体的な支援の措置を提供することで、地方の自主的、自立的な取組を後押ししてきた、そういう役割を果たしてきたというふうに認識をしてございます。

 一方で、委員もお示しいただきました、二〇一五年のまち・ひと・しごと創生基本方針、同じことが書かれているではないかという御指摘もございました。

 これら様々な取組を行いまして、一定の成果、役割を果たしていると思いますが、しかし、依然として地方には様々な課題が残っているという認識も持ってございます。まさに、今回提出をさせていただきます法律でございますが、官民で共創、共につくるということで、官民共創で社会課題を解決していくため、地方公共団体の政策手段を増やすということが非常に重要だと思っております。

 そういった取組を通じまして、地方創生の取組を加速化、深化していくことが重要であると考えてございます。

赤木委員 先ほどの藤岡委員ではないんですけれども、是非引き続き頑張っていただきたいというエールを送らせていただきます。

 次に、地方公共団体からの地域再生の提案若しくは住民からの意見を反映する在り方について、質問を移らせていただきます。

 先ほど坂本委員からも質問があった、最初は提案が、第一次の提案募集では六百七十三件もあったのに、直近九年、一件もないという、そういった話は先ほどお答えいただいたのでちょっと内容としては飛ばさせていただきますが、実際に、平場でいろいろな意見を集約しているとの回答だったと認識しているんですが、そもそも、やはり、この提案募集制度自体を変えてしまう、見直す時期にあるのではないかなと考えております。

 そこで質問になりますが、この提案募集制度の在り方を、例えば、地方分権に関する提案募集と一緒にして地域再生の提案募集を行うなど、こういった地方分権改革と連携することは考えられていないのか、政府の御見解をいただけますでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体からの意見につきましては、地方創生に関する制度を充実させ、地域の活性化を推進する上で重要であると認識しております。

 このため、提案募集制度の周知を進めるとともに、委員から提案がありました制度の見直し、あるいは、先ほど大臣の方からも申し上げましたけれども、分権改革に関する提案募集との連携なども含めて、適切に地方公共団体の意見の把握に努めるようにしてまいりたいと考えております。

赤木委員 そうですね。地方公共団体の提案の話とともに、地域住民からの意見の集約も同じく重要と考えております。地域再生法においては、地域の代表を地域再生協議会の構成員とすることを明示的に規定していないと認識しています。この理由、なぜ規定しないのか。

 また、今後、地域住宅団地再生事業計画に住宅団地の住民の意向を確実に反映させるためにも、代表を地域再生協議会の構成員とすること若しくは住民の意見を幅広く聴取する機会を確保すること等を地域再生法に規定するという方法もあるかなとは考えているんですが、こちらについて、そういった規定をするか否かを含め、自見大臣より御見解をいただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 住宅団地の再生に当たりましては、自治会など、地域住民の意見を反映することは大変重要であり、地方公共団体向けのガイドラインにおきまして、可能な限り、地域再生協議会に地域住民の代表やあるいは住宅団地の自治会の参画を得るよう周知を図っているところであります。

 一方で、住宅団地によっては、地域住民の流出やあるいは高齢化というものが急速に進行している地域も、そういった住宅団地もございまして、住宅団地の再生に積極的に参画できる者が少ないといった事情を抱えている団体も想定されるということから、市町村の主導で迅速に住宅団地の再生に取り組む必要があるケースも出てくるのではないかということを想定もしております。このような場合には、住民を協議会の必須構成員としてしまいますと、かえって住宅団地の再生が進まなくなり、当該団地に暮らす住民にとって不利益が生じる可能性がございます。

 このため、協議会の構成員に住民を含めるかどうかや住民への意見聴取の在り方につきましては、市町村が判断できることとし、地域の実情に応じた方法によりまして、住民のニーズを十分に把握するように働きかけていきたいと思ってございます。

 なおでありますが、法律の中には、協議会につきまして、構成員につきましてでありますが、自己を協議会の構成員として加えるように申し出ることができるということ、あるいは、申出を受けた地方自治体は、正当な理由がある場合を除き、当該申出に応じなければならないとも、きちんと書かれていることも併せてお伝えしたいと思います。

赤木委員 そうですね。まさに、私の地元の住宅団地、非常にたくさんあるんですけれども、高齢化が進んでいて、規定してしまうと逆に負担が生じてしまうというのは非常に一定理解はできます。

 さらに、ガイドラインで住民参加を拒むものではないということを周知されているということなんですが、積極的な住民の参加を実は求めているんだよということまでは意外に住民の方たちは知らなかったりしますので、是非、情報発信していただければと考えております。

 次に、市区町村の住宅団地に関する問題意識についての質問に移らせていただきます。

 令和四年の住宅団地の調査によれば、問題意識が、住宅団地に係る問題意識ありとしている市区町村の割合が六五・七%、平成二十九年の同じ問題意識ありが六二・九%で、増加していると見ているんですが、そもそもの六五・七%という割合数とか増加傾向に対して、あとは問題意識の中身、これについて政府としてはどのように認識、評価されているか、お答えいただけますでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国土交通省住宅局の調査によりますと、住宅団地に係る問題意識ありと回答した市区町村の割合は、平成二十九年度の六二・九%から、令和四年度には六五・七%へと、五年間で二・八ポイント増加しております。

 このことは、高度経済成長期に開発された住宅団地においては、急激な人口減少、少子高齢化、地域コミュニティーの活力の低下などの待ったなしの課題が刻々と進行しており、より多くの地方公共団体が、地域の居住の拠点である住宅団地の再生を地域の活力の維持、再生のための重要な政策課題として認識するようになっていることを表しているものと考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 今のような調査結果を受けて、住宅団地問題、どのように対応していくと考えられているか。これについて、自見大臣より御見解をいただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 先ほどの調査におきまして、住宅団地に係る具体的な問題意識としては、高齢化が六割を超えて最も多く、続いて、空き家、生活利便機能、交通機能に関する問題意識が多くの地方公共団体において持たれているということに変わりはないということですので、令和元年の地域住宅団地再生事業の創設時に盛り込んだ措置に関連する事項に対する問題意識を有する地方公共団体が大変多いと認識をしております。

 一方で、変化もあったと思ってございます。平成二十九年度と令和四年度の調査を比較をいたしますと、新たに上昇した数値といたしまして、例えば、コミュニティーの弱体化、あるいは非住宅用途の導入が自分たちでは困難、こういった点について地方公共団体における問題意識が高まっていることが新たに分かったと思ってございます。特に、そのような観点から、これらの点について新たな措置を講ずることが求められていると考えてございます。

 このため、コミュニティーの弱体化に対応する観点から、地域再生推進法人による提案制度を創設するということに我々は意義を大変見出しております。

 それとともに、非住宅用途の導入が困難という点に対応するために、住宅や廃校を、診療所やあるいは日用品の販売店などの、住民の日常生活に不可欠な施設に用途変更する場合における容積率や高さ制限に係る建築基準法の特例の措置ということをするに至ったということでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 先ほどの調査結果で、問題意識ありの裏側の話なんですが、問題意識なしとした市区町村が三四・四%になるんです。一〇〇から引いただけなんですけれども。

 個人的には、問題意識を感じていない市区町村が多いと捉えています。何を言いたいかというと、何かしら問題を抱えている市区町村が大部分じゃないかなと考えているんですが、問題意識なしと回答されている理由をどのように分析されているか、政府の見解をお願いいたします。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの調査において問題意識なしと回答した市区町村の割合は、委員の御指摘のとおり、三四・三%でございますが、住宅団地をめぐる地域の事情は様々であり、例えば、住宅団地に居住する人口の割合が小さかったり、あるいは開発時期が比較的新しい住宅団地が所在する地方公共団体などにおきましては、子育て環境の充実ですとか地域産業の振興といった、他の政策課題との比較において相対的に住宅団地再生に対する問題意識が低くなることはあるのかなとは考えてございます。

 ただ、現時点で問題意識なしと回答された公共団体におきましても、少子高齢化の進展によりまして、今後、住宅団地の再生が重要な政策課題になるということも考えられますので、今回の法改正により住宅団地再生に関する政策手段を増やすということには、我々は意義を感じているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、課題がまだ顕在化していない住宅団地が結構あるのかなと。実際に、ほぼほぼの住宅団地が年数とともに同じような課題を抱えるというふうに認識しています。もし可能であれば、潜在的な問題意識を把握するために、例えば、近い将来、問題意識が発生すると考えているみたいな、何かそういった回答をもし作っていただければ、もうちょっと具体的に分かるのかなと考えております。

 では、次に、住宅団地を整備した開発事業者に関する質問に移らせていただきます。

 まず、どの程度の割合の住宅団地に、民間の、ディベロッパーを含めて、開発事業者が関与しているかを教えていただきたいということと、あと、やはり不動産事業者は結構廃業が非常に多い業界ですので、現時点において廃業等で開発事業者がもう既に存在していない住宅団地はどの程度あるのか、これも、把握されている範囲で結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

佐々木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 全都道府県における五ヘクタール以上の住宅団地、こちらについては三千、約三千あると我々としては承知しております。そのうち、約六割の団地において民間事業者が関与し開発されたものと承知しています。

 また、御質問の後段の方ですけれども、住宅団地の開発に寄与した民間事業者の現状、状況について、これにつきましては、令和五年度に地方公共団体を通じてアンケートを行っております。その結果、民間事業者が現存していない、又はどうなっているか分からない、不明となっている住宅団地が七割、約七割を超えているという状況です。

赤木委員 ありがとうございます。

 皆さん、ちょっと、おおとなっていましたけれども、まさに民間が関わっているのが六割で、そのうちの、連絡が取れない、廃業しているというのは七割というのは、実際、全体の四割程度が、開発事業者が既に存在しないか若しくはすぐには連絡が取れない状況というふうに捉えております。

 私、前職が不動産業で、ディベロッパーや開発事業者、いわゆる土地を触る事業者の栄枯盛衰は理解はしているんですけれども、やはり事業者というものが関与し続けるというのは非常に重要と考えております。

 これは私の選挙区にも関わるんですけれども、兵庫県の三木市の事例になりますが、開発事業者である大和ハウス工業さんが、産官民学の連携を取った再生手法で、三木市以外にも日本全国で進められていますが、まさにその理念が結構面白くて、住民のボランティア活動のみに支えられた取組ではなく、企業の視点を取り入れ経済的に成立し永続する仕組みを構築するということを目指されていますので、もし委員の皆様も御機会あれば、三木市の事例なんかも参考にしていただければと考えております。

 そこで質問になるんですけれども、これもなかなか把握しづらい数字だと思いますが、三木市の事例のように、開発事業者が継続して住宅団地の再生を行っているような数若しくは割合が分かれば、教えていただけますでしょうか。

佐々木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 開発事業者が住宅団地再生に関与している割合を網羅的に把握している、きっちりと把握するデータというのは、現在、我々の手元にはございません。

 ただ、団地問題について様々情報交換をする場として、我々、約三百団体が参加している、公共団体や民間事業者等が参加していただいている「住宅団地再生」連絡会議という場を設けております。こちらで情報、お話を伺う限りにおきましては、開発事業者が開発後まで町づくり等に関与しているという事例は一般的ではなくて、かなり少ないのではないかと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 これは空き家の問題とも共通するんですけれども、やはり、開発した事業者に対してある程度の責任を課すこともやむを得ない状況じゃないかなというふうに個人的には考えています。

 ここで質問になるんですけれども、新たにそもそも住宅団地がどれぐらいできるかという部分はあるんですが、今後、この開発事業者に対して何かしらの建設責任のようなものを継続的に課すような考え方はないのかという点について、自見大臣より御見解をいただけますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 分譲をされた住宅団地におきましては、住宅団地を開発した事業者から個人に土地、建物の所有権を移転しておりますので、住宅地の維持管理の主体は地域住民でございます。地域住民が主体的に住宅団地の再生に取り組むことが、まずは基本と考えてございます。

 このため、本法におきましては、住宅団地を開発した事業者に対しまして規制を行うということではなく、地域住民等の取組について、地域住民等から要望があった場合には、一定の協力を求めることとしたところでございます。これによりまして、地域住民主体の住宅団地の再生に向けた取組を後押しするように促してまいりたいと思ってございます。非常に重要な視点だと思ってございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、所有権自体が個人に移っているので、そこを追っかけていくというのはなかなか難しいと思いますが、今大臣言われたように、要望があれば、その開発事業者とつないでいくということを自治体含めてされているようなので、これは結構、地域住民の方たち、知らない場合が多いので、そういった声を上げると、民間企業も、営利団体とはいえ、やはり自分たちが造ったものを責任を持って再興していこうという考え方は結構持たれていますので、是非そういったことをされているということを周知していただければと考えております。

 だんだん時間が迫ってきましたので、次は、住宅団地の再生に関わるインセンティブについての質問に移らせていただきます。

 今回の改正法案は、各種許認可の手続をワンストップ化できる対象を拡大するものが大半と認識しています。つまり、何かしらの新しい支援措置が創設されるというよりかは、現行法下でもできるものがワンストップ化するという認識なんですけれども。

 ここで質問になりますが、このワンストップ化するメリットと、一方で、この地域住宅再生事業計画等を作成する労力というものがあると思うんですが、ここの比較考量に関して、政府の御見解をいただけますでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 各種許認可等の手続を地域住宅団地再生事業計画によりワンストップで行うことができることで、大きく二つの観点から行政手続の円滑化が図られるというメリットがあるものと認識しております。

 一つは、計画の作成の過程で並行して許認可権者への事前協議等を行うことにより、取組の内容を決定して計画を公表してから改めて許認可手続を一から行う必要はなく、取組を開始するまでの時間を短縮することが可能となると考えております。

 もう一つは、関係者が一堂に会する協議会で計画の議論を行い、建築物の用途変更や都市公園の活用といった個々の取組が住宅団地再生という大きな目的の下でどのような位置づけを持つのか明確になることで、許認可権者等の理解を得られやすくなり、個別の法律に基づいて一つ一つ許認可を得ようとするよりも時間を短縮することが可能となると考えております。

 特に、総合的に絵を描いた住宅団地再生の姿の実現のためには、計画を作成、公表して、様々な分野の複数の特例を同時に活用する場合には、先ほどの時間短縮効果はより大きくなるのではないかと考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、今お答えいただいたように、住宅団地の再生をするときに、一つだけでやるというよりかは複数の施策を同時にするという意味ではすごくメリットがあるということを、実際現場の方たちがなかなかまだ理解が届いていないと思いますので、こういったメリットがありますよということをもう少し周知していただければとお願いして、私も時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 地域再生法について質問します。

 全国に約三千ある住宅団地は、高度経済成長期の同じ時期に入居した世代が、同じく高齢化が進んで、人口減、老朽化、空き家、交通や生活機能が低下するなどの課題が見られていると言われています。

 令和元年、地域再生法の地域住宅団地再生事業が創設されましたが、認定された計画件数が二件にとどまっているという指摘が先ほど来起こっています。

 昨年十二月七日の住宅団地再生連絡会議の提言では、「住宅団地の再生に当たっては、地域住民の主体的な活動が重要であり、活動を推進するための組織やリーダーの存在が不可欠」とあります。

 法案では、地域再生推進法人が、市町村に対し、地域住宅団地再生事業計画の作成等を提案できる仕組みを創設しました。ただ、ここで言う地域再生推進法人は、必ずしも地域住民が入っていなくてもよいとなっております。

 地元の、地域の再生という、最も自らの地域に関わる重要な取組の主体に、地域住民の位置づけがはっきりしないのはなぜでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 住宅団地においては、地域住民や民間団体等をこれまで以上に深く巻き込んで、現場のニーズを十分に踏まえた再生を進めることが重要であると考えております。

 このため、提案制度を創設することといたしましたが、提案の主体となります地域再生推進法人につきましては、現に住宅団地再生に取り組んでいる地域住民が構成員となるNPO法人等が指定されることを想定しているところであります。

 住宅団地によっては、地域住民の流出あるいは高齢化が急速に進行している地域もございます。こういった地域におきまして、住宅団地の再生に積極的に参画できる者が少ないといったところも想定されることから、地域住民を必須の構成要素とはしておりませんが、しかし、市町村が計画を策定する際に協議をいたします地域再生協議会におきましては、可能な限り地域住民の代表や住宅団地の自治会の参画を得るよう周知を行っているところであります。また、それとともに、住民自らが構成員として加えるよう申出もできるということもしております。

 住宅団地の再生を進めるに当たりましては、地方公共団体が、住民の事情に応じた方法により、住民が主体というお言葉もありました、住民のニーズを十分に把握するよう働きかけを強めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 私があえて、はっきりしないのはなぜかと聞いた理由なんですよね。住民参加が必要じゃないかという議論は、既に今までされてきたわけです。ガイドラインの中に盛り込まれていますよ、望ましいですよ、あるいは断りませんよと。それは当然なんですよ。だけれども、実際にそうなるかというところは全くにじんでこないわけなんです。

 今まで紹介されている、二つの既に認定されている計画には、地域住民が入っていると言っています。今、全国で活動している地域再生推進法人、これは五十ありますけれども、でも、かぶっているのを除くと三十九というわけです。つまり、かぶっているということは、それ専門でやっている、その地域のためにやっているというだけではないということが認められているというわけなんですよ。

 そういう中で、どう地域住民を参加させていくのかというのは、もう少し条文ににじむということが必要なんじゃないでしょうか。

自見国務大臣 一部繰り返しになって恐縮ですが、今回の、我々といたしましては、やはりスピード感を持って行うということも大事にしております。

 その中で、地域住民の流出や高齢化が急速に進行するところで参加をするということに関しまして、少ないといったことも、団地も想定を実はしております。そういったところにとりまして、取組が遅れることがないということも一つの要件としております。

 しかしながら、繰り返しますが、市町村が計画を策定する際には、可能な限り地域住民の代表や住宅団地の自治会の参画を得るよう周知を行っているところでもあります。

 是非とも、私どもといたしましては、おっしゃっていただいているような地域住宅団地の再生を進めるに当たっては、やはり住民の方が主人公だ、主役だということが非常に重要でありますので、住民の方の十分のニーズを把握し、そして、主体的に住民の皆様が、この我々の今御提案をさせていただいております法律の趣旨に沿って、地域での住宅団地の再生が図られるように努めてまいりたいと存じます。

高橋(千)委員 これほど時間がかかってきたのに、そこでスピード感を言っちゃ駄目なんですよね。華々しく参入したけれども知らないうちに撤退しちゃった、そうなってはならないから、あえてここはこだわっていきたいと思います。

 今回、住宅団地再生事業に着目して、用途制限の緩和を入れています。廃校になった学校の跡地、校舎の活用ということが提案されているわけですが、これはどこからの声なのか。自治体なのか、住民なのか、あるいは法人なのか。また、用途については目的を限定するのでしょうか。お願いします。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 廃校の活用につきましては、地方公共団体、民間事業者等から成る住宅団地再生連絡会議において、令和五年十二月に取りまとめられた住宅団地再生に向けた提言の中で、「住宅団地内にある廃校等の公共財産を地域住民等が持続可能な形で活用できるようにするための制度を充実する必要がある。」という点が挙げられているところでございます。

 また、廃校をどのような用途に転用するのかは地域の判断となりますが、本法案に基づき特例を活用する場合には、診療所や日用品販売店、交流施設といった日常生活に必要な施設の用途に転用することを想定しております。

 実際の住宅団地における取組事例としては、埼玉県小川町の東小川住宅団地におきましては、地域住宅団地再生事業計画に基づき、廃校を活用して、コワーキングスペースやカフェスペース等を整備しており、子育て支援施設、高齢者介護事業所等の整備も今後行うこととしているほか、愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンにおきましては、廃校となった小学校の施設内に図書館、児童館、地域包括支援センター、コミュニティーカフェ、市民活動室等を整備して、多世代交流拠点としているなどの例があります。

 地域の実情に応じて、このような廃校の活用が行われることにより、住宅団地の再生が図られることを期待しているところでございます。

高橋(千)委員 連絡会議の提言に書いているのは読みました。だけれども、それが具体的にどこから上がってきたのかは何もないんですよ、議事録もないし。でも、今おっしゃった、法人や自治体やと。多分そういうことなんだろうなと思って理解しました。違うんだったら後で言ってください。

 松園リボーン協議会という市民団体がカフェやマルシェなどのイベントに取り組んでいる松園ニュータウン、これは岩手県最大の団地で、今も一万五千人ほどが居住しています。昭和四十九年、一九七四年、岩手県内で最初の団地内にある学校として松園小学校が開校されました。その後、児童数が増え続け、東松園、北松園と、三つの小学校になりました。ピーク時の児童数、千五百六十五人。現在、三校を合わせると五百三十八人です。一千人の子供がいなくなったことになるわけですが、問題は、この地域で、政府の今言った団地再生に呼応した動きを見て、学校が統合されるのかという心配の声が住民の中に起こっているそうです。つまり、もう統合されて廃校になったものを利用する話じゃなくて、利用するために統合されちゃうのという心配の声が上がったと。

 そういう意味では、逆に、廃校が中心になるということを今回打ち出しているので、統合が逆に進むというようなことがあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 学校の統廃合につきましては文部科学省において所管しているものではございますが、少子化など地域の実情に応じて判断されるものと認識をしており、地域住宅団地再生事業におきまして、住宅団地内の廃校の活用に関する特例を措置することによって学校の統廃合が進むことはないものと認識をしてございます。

高橋(千)委員 ないということでよろしいんです。そのためにやるんじゃない。逆立ちしてはまずいわけですからね。

 学校統合は、人口減少の中で大変進んでいます。十年間で大体二千校くらい小中学校が廃校になっていて、平成の合併を過ぎても同じくらいのペースで減っているわけです。地域住民が必要だと思う学校はあえて残す、また、場合によっては再開もあり得る、そこを応援する予算もあると。

 これまでもこの委員会で確認してきたことなんですが、本当は、団地再生を目指すんだから、廃校の利用だけではなく、学校の再生もあってよいのではないかと思うんですね。是非、今日は、こっちは文科省に聞きますので、応援してもらいたいと思うが、どうでしょうか。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 学校は、児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて思考力や判断力、表現力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身につけさせる場所でございます。このため、学校規模の適正化につきましては、児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据え、学校教育をよりよく実現するために行うべきものと考えております。

 一方、地理的困難さ等による児童生徒の通学距離の観点や、あるいは、学校が各地域のコミュニティーの核として性格を有することもあることから、市町村の判断により小規模な学校も存続していくという例も見受けられております。

 小規模校として存続させる場合や、一旦休校とした学校を再開する場合は、学校が小規模であるメリットを最大化するとともに、デメリットを最小化するような工夫を講じていくことが必要であり、具体的な支援策としては、過疎地域等への教員定数の加配、施設の改修等に係る国庫補助やスクールバスの購入費補助等が考えられております。

 いずれにいたしましても、個別具体の学校の在り方については、児童生徒の教育方針等を踏まえた上で学校設置者である市町村が判断するものであり、文部科学省といたしましては、各市町村における検討に資するよう、引き続き必要な情報提供や財政支援に努めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 再生の話をしているわけですから、今指摘をしたように、学校の再生も、やはりコミュニティーを維持するという意味でも大事な核なんだという意味で、最大限利用してほしいな、活用してほしいなと思うし、今の答弁の中にあったスクールバスも、そういう意味では、やはりうまく通学との間に高齢者の皆さんにも活用してもらうとか、様々な方法がありますので、そうした意味の生かし方というのを前向きに考えるべきではないかと言っておきたいと思います。

 それから、社会資本整備審議会の住宅宅地分科会は、セーフティーネット住宅についても、団地再生やマンションと一緒にこの問題を議論してきました。それで、団地は集合住宅と戸建てのミックスになっていると思うんですが、いずれも空き家が問題となっています。場合によっては一つの自治体並みの機能を備えているわけですよね。そういう意味では、セーフティーネット住宅への活用や、子育て世代への安価で良質な公営住宅あるいは分譲住宅、そうしたものを位置づけるべきと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家の問題につきましては、住宅団地においても、当然ですけれども大変重要な課題となっておると認識しております。

 今回の改正案におきましても、空き家を含めた既存住宅ストックを活用して住宅団地の再生を図る、このために特例の拡充を図りたいと考えております。例えば、空き家を日用品販売店等に用途変更する場合における用途規制の許可等に係る建築基準法の特例を拡充し、手続を合理化する、こうした特例を拡充させていただきたいと考えております。

 また、今御指摘がございました、住宅団地の空き家をセーフティーネット住宅や多世代交流施設等に活用することや、分譲住宅、つまり流通を促進する、こうした対策についても、地域にとっては非常に意義の大きな取組になると考えております。

 こうした取組が団地再生の事業計画に位置づけられた場合には、そのための検討作業あるいは協議会の活動等に対して通常よりも手厚い支援を行うことができるようになります。こうしたサポートをしっかりとさせていただきたいと考えております。

 国土交通省といたしましても、地方公共団体と連携しつつ、こうした空き家の有効活用も含め、住宅団地の再生に向けた様々な取組を支援してまいります。

高橋(千)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、地域住宅団地再生事業計画の中に、住宅団地再生自家用有償旅客運送を追加しました。

 これまでも地域再生計画の中にはデマンド交通などを位置づけてきたと思うんですが、今回、この自家用有償を入れようという場面なんですが、そういうデマンド交通などが一切廃止になってしまった場合を念頭に置いているのか、そして、団地内での交通に限定するという理解でよいのか、伺います。

舟本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、改正案で追加をされております住宅団地再生自家用有償旅客運送は、道路運送法の自家用有償旅客運送と同様に、一般旅客自動車運送事業者において、地域の移動ニーズに対応した運送サービスの提供が困難な場合にその導入が検討されるものであると認識してございます。

 また、住宅団地再生自家用有償旅客運送は、その路線又は運送の区域が地域住宅団地再生区域内に存するものとされているところでございます。

高橋(千)委員 今、私の問いに対してはイエスという意味だったと思いますね。

 ただ、デマンド交通さえ廃止になったという下で、この自家用有償の担い手になるのはどんな人なのかということを念頭に置いているのか伺いたい。

 それから、道路運送法の本来の自家用有償運送の登録あるいは変更登録などをみなす扱いにするわけですよね、先ほど来あっているワンストップということになるわけですけれども。やはりこれは、今議論されている問題でもありますので、みなす扱いではなく普通にやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

舟本政府参考人 お答え申し上げます。

 地域再生法におきまして、住宅団地再生自家用有償旅客運送の担い手は、同法に基づきまして、認定市町村又は営利を目的としない地域再生推進法人とされているところでございます。

 また、この住宅団地再生自家用有償旅客運送を実施するためには、地域住宅団地再生事業計画にその事項を記載する必要がございます。また、その事項を記載するときには国土交通大臣の同意を得ることが条件になっているところでございまして、その同意を行わない場合というのは、道路運送法七十九条の四の登録の拒否要件に該当する場合には同意をしないというふうな仕組みになってございます。

 今申し上げました道路運送法第七十九条の四の登録の拒否要件には、地域公共交通会議の協議が調っていない場合というのが定められているところでございまして、地域公共交通会議の協議が調っていない場合には国土交通大臣はその計画への記載には同意をしない、このような仕組みになっているところでございます。

高橋(千)委員 一言述べるつもりでしたが、時間が参りました。

 営利を目的としない推進法人、その営利を目的としない推進法人がどういう人たちなのかなということを考えたときに、本当に地域のことを考えて住民と一緒になってやってくださっている方たちもいるということは承知していますので、全否定は絶対しません。

 ただ、同時に、やはり、団地再生をビジネスとして、これはあくまでも無償だし、この地域の中だけなんだけれども、それはあくまでも実験場なんだという形で位置づけているというのは、日経アーキテクチュアにも特集号の中で指摘をされていたし、私もそうなのかなというふうな思いがございます。だからこそ、一つずつ丁寧な手続をしていく必要があるんじゃないかということを指摘をしました。

 次にまた、本当は機会が欲しいと思いますが、これで終わります。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。本日、最後のバッターとなります。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からも、まず、もう各委員からお話が出ております、地域の声を政府の支援措置に反映する仕組みの提案募集制度からお伺いをしたいと思います。

 九年間にわたって提案が一件も行われていないという中で、先ほど、その説明を大臣からもしていただきました。それを踏まえて今後は周知をしていく、また制度の運用の改善を行っていくという発言がありました。是非改善を行っていただきたいんですけれども、いま一度、何がこの九年間使われなかったことの問題だったのか、何が使いづらい制度だったのかという認識と、そしてやはり、改善というよりも抜本的な見直しが必要ではないかと思っていますが、それについてお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど来の答弁とかぶるところは割愛をさせていただきます。

 現在、提案数がゼロとなってございますが、この提案の募集についてでございますが、分権とまた地方再生のこの二つを比較をいたしますと、募集期間が、分権は年間数百件来ておりますが、三か月程度ということで、大体募集の時期が一月末から五月の頭ということでございます。また、地域再生につきましては、募集期間が短くて一か月程度ということでございまして、時期がおおむね六月、七月ということであります。

 地方分権の方の提案募集が自治体にすっかり定着をしていることと考え合わせますと、やはり、私どもも、先ほど来から申し上げておりますが、この募集の期間等について工夫が必要ではないかと思ってございます。

 ただ、私どもの、両方でありますけれども、先ほど来から申し上げている地域再生の方でございますが、地方分権の方が提案の主体が自治体だけということ。都道府県、市区町村、自治体と、あと加えますと、一部事務組合ですとか広域連合、あるいは地方六団体という、そういったものを構成員とする任意組織ということであるのに対しまして、地方再生の方は制限がないということで、民間企業ということも含まれるわけでございますので、私ども、間口が広いということは大変重要なことだと思っておりますので、あわせまして、今後、募集の期間それから時期などにつきまして、十分検討を加えてまいりたいというふうに思ってございます。

田中(健)委員 まさに課題が今の期間や時期ということであるならば、是非それは改善できると思いますので、改善をお願いをしたいと思っています。

 また、ニーズは、これはかなり、アンケートや、様々な計画策定の前に聞いたということですが、今回のこの地域住宅団地再生事業も、これについてもお聞きしますと、国土交通省のワーキンググループの中で地方公共団体から声が上がったということであります。なかなかこの提案制度では、ニーズはあるんでしょうけれども、地域の声を適切に拾い上げていないということではないかと思いますので、是非大臣の改善に期待をしたいと思います。

 それと、今説明がありました、民間から全て幅広く募集しているというので、やはり、何でもいいと言うとなかなか出てこない。意見でも、何でもいいから言ってくださいと言うとなかなか言いづらくて、食事でも、何でもいいですと言うと何か奥さんに怒られるんですけれども。

 つまり、何でもいいと言うと何も決められないというか、何も出てこないというのがありますので、期間を定めたり、またその時期を考えると同時に、例えば、このテーマとか、これについてとか、この提案においても、決して新しいことばかりではなくて、今ある制度についても改善を求めたり、また意見を聞くということもできるということでありますので、そのように活用をしていっていただきたいと思います。

 その中で、具体的な話になりますけれども、資料に、主な支援措置の活用状況一覧をつけさせていただきました。今回の地域再生法改正は、令和元年に地域住宅団地再生事業がつくられたということであります。同時に、この元年には、既存住宅活用農村地域等移住促進事業、先ほど少しほかの委員で取り上げられていました、また、民間資金等活用公共等整備事業がありました。御覧になって分かるように、団地も二件でありますが、そのほかの二事業も、一とゼロということで大変に活用が少ないということであります。

 同じときにつくられたこの支援措置でありますけれども、今回、この二事業については改正がありませんでしたが、活用状況を踏まえた検討等は行われたのか、なぜ今回、改正に至らなかったのか、お聞きします。

佐々木(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、具体的に、地方に対するアンケート調査、あるいは個別のいろいろなヒアリングの場におけるニーズにおいても、特にその見直しにつきまして御要望というものはなかったものですから、今回、特段の見直しはしないということに現時点では判断しているところでございます。

田中(健)委員 利用がゼロや一で、そして見直しも意見が出ないということであるならば、やはりこの必要の在り方というのも、是非これも見直した方がいいと思っています。

 先ほど、農地法については、農地法の、当初の権利取得から面積の要件が廃止された中で、少し最初の想定とは違ってきたということがあったんですけれども、違ったからこそ、更に使える制度にしてほしいと思いますし、やはり、これはどれも私は必要な制度であると思っています。農村の関係や、もちろん、今回の団地、ほかにも商店街等、まさに地域の再生にはどれも必要なんですけれども、なかなか使われていないというのは何か理由があるから。

 先ほど大臣は、提案制度においては課題を指摘していただきましたけれども、何か課題があるはずでありますから、ニーズがない、上がってこないというだけで、措置することに意味がある、政策手段として残していくと先ほどありましたけれども、これも、使われていなければ改善していくということを是非お願いをしたいと思っています。

 続きまして、改正となった団地再生についてお聞きをします。

 この団地再生、今、この一覧表にもありますように、二ということで件数があります。この理由についても、先ほど、ワンストップにしたが、関係者の合意形成がなかなか難しい、地方自治体でもなかなか進まないということでありました。また、プロジェクトについても、目標が五年で五十件ということで目指したいということの話がありました。

 それを踏まえて、この大きな改正の目玉は、地域再生推進法人が今度は提案をしていくということであります。その地域再生法人にも、先ほど来様々な議論がございましたが、現在五十六ということで、また、かぶっている中身もあるということでありますが、この地域再生法人がこれまで手がけてきた生涯活躍のまち形成事業計画、これも、先ほど二件しか実績がないということも答弁がありました。

 これまで地域再生推進法人に、そのようにして町づくりの計画を立てたものが二件だったのに、同じように、今回もこの地域再生法人を使って住宅の団地再生を行っていくと。私は、なかなか、この活用が進むのかな、本当に五十件という目標に進んでいくのかなということを疑問に思わざるを得ないんですけれども、どのようにこの活用を考えているんでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、住宅団地の関係で提案制度を創設したわけでございますけれども、特に住宅団地、住民が要は活動していくということが基本でございまして、そういう住民が一緒に活動できる地域再生推進法人、これが提案するということが、まさに団地再生を成功する上での鍵となるというふうに考えてございますので、地域再生推進法人からの提案というものを我々は非常に期待しているというものでございます。

 また、お話はいろいろございましたけれども、じゃ、地域再生推進法人にそもそもそういうノウハウがあるのかとか、提案制度を本当に活用できるぐらいの能力があるのか、そういう御指摘もあるのかと思います。

 それについては、我々も、先ほど来申し上げてございますけれども、いろいろな国交省のメニューですとか、あるいは、デジタル田園都市交付金において、いろいろなソフト事業でそういう支援をするというメニューもございますし、また、実際に、先ほど大臣からも御発言がございましたけれども、地域活性化伝道師とか、いろいろな地域活動のノウハウを紹介、派遣するような制度もございます。

 こういった各種支援制度をしっかり活用いたしまして、地域再生推進法人の提案制度がしっかりと活用いただけるように、そういう制度にしていきたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 では、具体的に、既存の地域再生法人で団地再生を手がける団体というのは幾つあるんでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 現在ある地域再生推進法人の中で、住宅団地、これを専門にしている法人はございません。

田中(健)委員 今の既存の地域再生法人にはないということでありますので、そうしますと、今から地域再生法人を自治体が指定をしていくということでよろしいでしょうか。

佐々木(正)政府参考人 お答えいたします。

 現にまだ地域再生推進法人にはなってございませんけれども、先ほど来、例えば上郷のネオポリスですとか、幾つかの団地においては、NPO法人であったり、あるいは一般社団法人、地域の住民が立ち上げたそういう法人組織がございますので、今後は、そういう法人組織が地域再生推進法人に市町村から指定されるということを期待しているところでございます。

田中(健)委員 既存には団地再生がない、さらに、期待をしていると。

 もちろん、私たちも期待しているから質問しているんですけれども、やはりちょっとそれでは心もとないというか、再生法人が例えば何百、何千あって、その中から自分たちに合う法人を住民が議論の中で決めていくとか選択していけるというのがあればいいですけれども、既存ゼロで、そしてこれからの法人に期待をしていくというのでは、なかなか、五十件というのが多い少ないという先ほど議論がありましたけれども、それさえも私は難しいんじゃないかと大変思うわけでございますが、これについては、大臣、御見解はいかがでしょうか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどお答えいたしましたが、現時点で市区町村に確認した限りでは、生涯活躍のまち形成事業計画におきまして、地域再生推進法人から提案があったのは二件であるというのはお答えしたとおりであります。

 先ほど来から、これも、済みません、答弁に出てきておりますけれども、現在の地域再生推進法人は五十六ということでございまして、この中には、大変有名な奈義町ですとか、あるいは、私も視察に行きました七ケ宿町のまちづくり株式会社、地域の方と一緒になってこういった株式会社をつくってやっていらっしゃる、大変すばらしい活動をしている地域再生推進法人はまずたくさんございます。

 その上で、今回の団地ということでいえば、まだゼロ件ではございますが、この五十六の息吹を見ておりますと、これから、やはり自分の住んでいる地域を自分たちの手でよくしたい、それが、その土地が地域の住宅団地であるというところも恐らくたくさん出てくると思ってございますので、私どもといたしましても、必要な制度をしっかりと周知をし、機運を盛り上げていくということをしっかりとやってまいりたいと思ってございます。

田中(健)委員 大変に思いや決意はいいんですけれども、やはり、やるのは地方の自治体でありまして、地元はそんな悠長なことは言っていられないというか、もう今や高齢化して、そして団地がどんどんと人がいなくなり、地域が寂しくなっているという現状を、やはりもう少し私は危機感を持ってやっていただければと思っています。是非そこは大臣にも理解をいただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 時間になりましたので、最後、一問。地方の拠点強化税制について伺います。

 先ほど、こちらも、課税特例の対象には、児童福祉施設等を従業員以外の住民でも使える、また放課後児童クラブも対象と考えるということを御答弁いただきました。さらに、ニーズとしては、地方はもう保育園ないしは企業型保育園もつくらないということも多くて、放課後児童クラブないしは放課後等デイサービスの方が要望が多いです。こういったものも使えるのかが一点であります。

 もう一点、併せてでありますけれども、この創出の数ですね。現在九年が経過する中で、計画数は二万八千二百三十四まで積み上げられたということをお聞きをいたしましたけれども、地域における就業の機会の創出ということが大きな目的ですので、実際、地域における就業の、どれだけ人数が増えたのか。新規そして転居、それをしっかり県ごとに表して、そして、私たちが見た中で、ああ、これだけ進んできたんだな、これだけ成果が出たんだなと言えるようにしてほしいと思いますが、併せていかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、改正法案で新たに税制措置の対象となる特定業務児童福祉施設の対象でございますが、こちらは、今後、内閣府令で規定することになりますけれども、具体的には、今お尋ねにございました放課後児童クラブ、それから事業所内保育事業を行う施設あるいはこども園、こういったものを念頭に、これから検討していきたいというふうに考えております。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 二点目の御質問でございますが、新規の採用者に加えまして、転勤者についても、拠点が整備される地域にとっては新たな雇用であるというふうに考えてございますので、本制度におきましては、これらを合わせた数値をKPIに設定をし、令和九年度末までに四万人の雇用創出を目指すとさせていただいております。

 これまで、特定業務施設整備計画上の計画値につきましては公表してきたところであります。これに加えまして、KPIの実現に向けての状況を把握していくための実績値などにつきまして、今後どのような数値を公表していくべきか、しっかりと検討してまいりたいと思います。

田中(健)委員 是非、この地方の拠点強化税制、大変に活用されていて期待が大きい制度でありますので、検討をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.