第14号 平成22年4月28日(水曜日)
平成二十二年四月二十八日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 鈴木 宗男君
理事 木内 孝胤君 理事 小宮山泰子君
理事 空本 誠喜君 理事 中野 譲君
理事 和田 隆志君 理事 小野寺五典君
理事 平沢 勝栄君 理事 赤松 正雄君
大西 孝典君 大山 昌宏君
吉良 州司君 齋藤 勁君
阪口 直人君 末松 義規君
高邑 勉君 武正 公一君
中津川博郷君 萩原 仁君
浜本 宏君 早川久美子君
平岡 秀夫君 平山 泰朗君
松宮 勲君 山崎 摩耶君
横粂 勝仁君 岩屋 毅君
鴨下 一郎君 河井 克行君
河野 太郎君 高村 正彦君
笠井 亮君 服部 良一君
…………………………………
外務大臣 岡田 克也君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 中井 洽君
法務副大臣 加藤 公一君
外務副大臣 武正 公一君
内閣府大臣政務官 田村 謙治君
外務大臣政務官 吉良 州司君
防衛大臣政務官 長島 昭久君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 西山 英彦君
外務委員会専門員 清野 裕三君
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委員の異動
四月二十八日
辞任 補欠選任
大山 昌宏君 高邑 勉君
西村智奈美君 平山 泰朗君
古川 禎久君 鴨下 一郎君
同日
辞任 補欠選任
高邑 勉君 大山 昌宏君
平山 泰朗君 山崎 摩耶君
鴨下 一郎君 古川 禎久君
同日
辞任 補欠選任
山崎 摩耶君 大西 孝典君
同日
辞任 補欠選任
大西 孝典君 西村智奈美君
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四月二十六日
普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九一四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国際情勢に関する件
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○鈴木委員長 これより会議を開きます。
国際情勢に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官西山英彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松宮勲君。
○松宮委員 おはようございます。民主党の松宮勲でございます。
初めて本委員会で質問をさせていただきます。限られた時間でございますので、要領よく御質問させていただきたいと存じます。
ふだん、この委員会では、例の密約問題とか普天間問題等々、非常にホットなイシューについての質疑が多うございますけれども、せっかく与えられた時間でございますので、私は、こうした問題は別の委員の先生方にお譲りして、日ごろ余り論じられていない、しかし、日本の外交、あるいは日本の国益増進の観点から無視できない幾つかの懸案事項について、御質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、ODAをめぐる問題でございます。
きょう配付されました日程を見ますと、大臣は本日からアフリカを御訪問されるということで、まことに御苦労さまでございます。きっと、相手国とのお話では、ODAについてもいろいろと御議論をなさるんだろうと御推察いたします。
全体として、我が国のODAを拝見させていただきますと、非常に残念ながら、このところ、国際社会における日本の外交を展開する上で最も有力な柱の一つとして位置づけられるべきODAが、主として財政制約に伴う予算面から、光彩を放つ機会が非常に少なくなり、具体的には、一般会計ベースで申し上げますと、絶対額でどんどんどんどんつるべ落としのように予算が減退をしているということでございまして、九〇年代は、西暦二〇〇〇年まで、我が国は世界一位のODA実施国、援助国でありましたが、このところ、ここ数年間は、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス等の後塵を拝し、五番目になっちゃった。
あくまでも一般会計ベースで、しかも当初予算ベースではありますけれども、残念なことに、かつてのトップからこれだけ急減する。約五割近く減退しちゃった。これはある意味で公共事業とほぼパラレルな、際立った減退であります。そのために、多分日本の外交についてもいろいろな面で不都合が生じているのではないかと、正直なところはらはらしながら拝見させていただいているところでございます。
そしてまた、国民総所得、GNIに占める我が国のODA予算額というのも、もともと低うございました。ピーク時で〇・三四%だったと思いますけれども、これが今や、DAC諸国ではアメリカと並び〇・一九%というまことに不本意な数値にとどまっておるところでございます。
こうしたODAをめぐる環境の悪化と申しますか、具体的には、何といってもやはり予算が中核でございますが、この予算がどんどんどんどん減退しているということについて、外務省当局としてどう受けとめておられるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○武正副大臣 松宮委員にお答えをいたします。
松宮委員におかれましては、通産省御出身ということで幅広く知見を有されておられますし、また、外務省政務官としても御活躍ということで、改めて、ODAに対する対応、しっかり頑張れという励まし、そういった意味を込めての御質問ということで承らせていただきます。
最新の経済協力開発機構、OECD開発援助委員会、DACの統計、今御紹介ありましたように、二〇〇九年、暦年の我が国のODA支出純額は、九十四・八億ドル、日本円にしまして八千八百五十四億円、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスに次いで第五位ということで、御指摘のように、九五年から二〇〇〇年にかけて第一位を占めていたところから、順位とすれば落ちているということでございます。
また、対GNI、国民総所得の比率でありますと、〇・一八%ということで、DAC加盟国二十三カ国中第二十一位と承知をしております。
ODAは重要な外交手段であります。ODAを積極的かつ効果的に活用し、途上国の安定と発展や地球規模課題の解決に取り組むことは、日本自身の国益にかなうと考えております。もちろん、国益というとさまざまな議論、いろいろな観点があることでございますが、日本の国益にかなうと承知をしております。
一方、現在、ODAについて国民の皆さんが果たしてどれだけ理解を深めていただいているのか。やはり、この二十年間、日本経済は大変厳しい状況が続いている中で、政府開発援助に対する理解が十分得られていないのではないかという認識のもと、外務省では、ことしの夏までにODAのあり方についての基本的見直しを行っておりまして、それによって、国民の理解と支持のもと、ODAを戦略的かつ効果的に行っていきたいと考えております。
○岡田国務大臣 今、副大臣の方から基本的な考え方を述べたわけですが、それに若干加えることがあるとすると、一つは、やはり、当初予算ベースで額を抑えるということを公共事業と並んでずっとやってきたということで、当初予算がかなり減っている、それを補正予算で積むことで補ってきたという面がございます。
補正で積み増すということであれば、当初予算からきちんと計上するというのが本来だというふうに私は思います。補正予算で積み増すということをやってきた結果、何が起こっているかといいますと、やはり時間をかけずに使い切る、そういう必要が出てまいりまして、国際機関への拠出などがどうしても補正予算というのは中心にならざるを得なくなるという問題も出てきております。
私は、もちろん国際機関への拠出も重要でありますけれども、やはり日本の顔が見えるという意味では二国間というのは非常に重要で、そのためには、手続にも時間がかかりますので、やはり当初予算をもっとふやす、トータルの額が仮に同じであっても、補正から当初予算にシフトしていくということが必要だと思います。
それから、本来、予算というのはちゃんと実態をあらわすべきであって、見かけ上、当初予算が減っているからいい、そして補正予算でその後その分を取り返すというのは、健全な姿ではない、そういうふうに思っております。そういうところの改革も必要であります。
それからもう一つは、やはり財源が十分でないという中で、国際的にそういった援助、国際支援のために、例えば金融取引に薄く課税するとか、あるいは国際的な航空券に課税するとか、いろいろな動きがございます。そういう国際的な流れに対してももう少し敏感であっていい、そういうふうに考えているところでございます。そういうところで財源を得て、しっかりと経済援助というものをやっていくということが考えられるのではないかと思っております。
○松宮委員 今、大臣そして副大臣から御説明をいただきました。特に、大臣の御説明のように、当初予算ベース、私も先ほど当初予算ベースではという比較を限定して申し述べさせていただきましたし、補正もあります、それからJBIC等の金融、日本はDAC諸国の中では借款関係のウエートが非常に際立って高いという国でございますから、そこはそこでODAの質を直していかなくちゃいけないんですけれども、しかし、トータルで考えたら、金融も含めて、日本のODAというのを正当に評価される、理解というのもまた必要だなと思っております。
と同時に、今、大臣御指摘されましたように、新しい財源で国際社会が直面する貧困の解決、テロの温床にもリンクしているわけでございますし、それから、広い意味での人間の安全保障等に対する日本の貢献等々を考えますと、財源は幾らあっても足らないというぐらいでございますから、国際的な合意のもとで、航空料金にほんの一部上乗せするとか、あるいは金融取引等に対しても財源として何とか共通のコンセンサスのもとで主要国が新しいスキームを構築できないかという議論、ぜひ先陣を切ってお進みいただきたいと思っております。
そして、今、武正副大臣から、ことしの夏を目途にODAのあり方について外務省で検討されていらっしゃるという御指摘がございました。これは、大臣の年初における外交演説でもそこに触れられた点がありました。
私は、ぜひお願いしたいんですけれども、財源が幾ら拡張したとしても、やはり効果的な、そして、それは世界に対する貢献であると同時に、端的に申しまして、日本の国益増進に直結するそういう事業に、そして地理的配分というのを十分に御勘案いただいて、しかも、大事な話は、したがって、事業の選択の基準、地域の選択の基準、そして遂行した後の、場合によっては途中での適正な、厳正な評価システムというのを見直しの一環として、多分議論されているんだろうと思いますけれども、そこで大きな柱として打ち出されてこられるということを期待いたしたいと思いますが、副大臣、いかがでございましょうか。
○武正副大臣 全く的確な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど触れましたタスクフォースについては、大きく言って五項目ございまして、一つが、国際協力に関する理念、基本方針、二つ目が、今御指摘のありました援助の効果的そして効率的な実施、三番目が、多様な関係者との連携、そして四番目が、国民の理解、支持、そして五番目、特にJICAということで、その五項目についてタスクフォースで議論を行っております。
また、今月、外務省・NGO定期協議会全体会合の臨時会も開きまして、NGO関係者からも幅広く御意見も承る、政務三役が出席をしてということで、さらに経済界、有識者等とも行っております。
特に今、JICAについては、先日、事業仕分けでも指摘されておりますが、今回の事業仕分けは、ある面、外務省あるいはJICA、基金など、独法の方が主体的にみずから取り組む改革ということがやはりテーマだったというふうに思いますので、そうした指摘を受けたところも引き続き取り組んでいくということになろうかと思います。
○松宮委員 ぜひそうしていただきたいと思いますが、一点ちょっと、問題を提起というよりは私自身が今想起しているわけでございますけれども、かつて世界でトップの援助実施国であった日本、先ほども副大臣お答えのように、つい数年前までそうだったんですが、あのときに、また次に質問させていただきます国連改革、特に安保理改革の議論が日本も主導する格好で展開されました。そして、そのときに、日本とドイツとインドとブラジル、G4と当時言われておりましたが、何とかして安保理、理事会の常任理事国入りを図ろうとするこの国で案もつくって、それなりに支援国の工作に当たったはずであります。
私も当時外務省で政務官を分担させていただきまして、多少、ドイツなりフランスなり各国の折衝もやった記憶がありますけれども、それはそれでまた後ほど議論させていただきますが、あのときに日本が、ぜひ協力してくれと応援をいろいろな外交ルートでお願いしたところ、当時は恐らく日本のODA援助額の地理的配分としては七割前後がアジアだったと思いますが、アジアで、わかった、ぜひ日本を応援しようと言ってくれた国というのは、あえてお伺いしません、御存じだと思いますが、ブータンだけなんですよ。もう一カ国は太平洋の島嶼国、人口十万前後の島嶼国にすぎなかった。そして今度も、恐らく大臣、お行きになっていろいろ御議論されると思いますが、もうTICAD4です。TICADはファーストからずっと進んでいるわけでございますが、五十数カ国の国連加盟国を擁するアフリカ大陸からも、ただの一カ国もわかったといって日本をサポートしようという国が出てこなかったという現実がございます。
したがいまして、お願いでございます。
ぜひ、方向性を出して、本当に国民からも理解と信頼、支援を得られるようなODAのあり方を打ち出していくためには、やはり目に見える格好でといいますか、あるいは堂々と説明できるような格好で、こういう効果がありましたと、世界に対しても貢献されて、日本というのは本当に必要な存在だなというのが、ODAを通じても着実に計画的に展開している国ですよ、こういう御理解をいただくと同時に、それが国民に伝播される。
と同時に、いざというときに、日本の大きな政策目的を展開するに当たって、ODAだけとは申しませんが、ODAも効果があって、さすが日本だということで、日本に対してプロ・ジャパンの国がふえていますよ、まあ、言葉で言うは易しく実行はなかなか、まして成果を上げるのは難しいわけでございますけれども、ぜひそういう方向で国民の理解を得られるような、したがって、先ほどお願いしましたように、事業の選択、地域の選択に当たっては、どういう観点からわかりやすいクライテリアでもって選択し、そして、選ばれた事業、地域についても、適正な評価というのもまた広くメディアを通じて国民一般に伝播する、そういう努力をぜひ強化していただきたいと思っております。
○岡田国務大臣 今、委員は、常任理事国入りを目指した前回のことに触れられたわけですが、やはりそういったことを目指すのであれば、例えば日中関係というものがしっかりとしていないと難しいということは、前回の教訓の一つではないかというふうに私は思います。そういったことを、一方で対立をしながら常任理事国入りを目指すというのは、現実には非常に難しい問題を含んでいるというふうに思います。
それから、委員御指摘のように、いろいろな意味で日本の手の届く範囲というものをよりしっかりと開拓していく必要があるというふうに思います。今回、私は、アフリカに参りまして、TICAD4のフォローアップ会議、二十数カ国の閣僚が集まっていただきます。アフリカに対する日本の考え方をきちんとお話ししよう、その中には、温暖化の問題、そして常任理事国、安保理改革の問題、そういったことも議論してまいりたいというふうに思います。
この連休には、そのほかに、武正副大臣はカリブと中南米、それから西村政務官は太平洋の島嶼国、そういったところに参りまして、ふだんなかなか手が届かないところをしっかりと訪れて、そして、それぞれ二国間関係を深めてこよう、そういう意味で、かなり、温暖化の問題や安保理改革ということを視野に置きながら、手分けをしてこの連休、活動しようというふうに考えているところでございます。
○松宮委員 今、安保理改革についても、適時必要なところで積極的に対応していきたい、しかし、やはり非常に大きなチャートが必要だろうという御指摘、日中関係、中国に対する理解と支援を得るという意味でも、本当に大事なポイントだろうと思いますし、これもまたちょっと後ほど触れさせていただきたいと思います。
ちょっと戻って恐縮ですが、もう今の時点ではやや遅きに失すと思いますが、大臣も副大臣も、外務省の幹部の方が海外へ行かれるときに、実は先ほど触れられた事業仕分けの対象になっているJICAの事業、とりわけJICAでは、シニアとジュニアの青年海外協力隊等の方が、膨大な数がこれまで、延べにしますともう三万数千人、それから、現に今でも二千数百人は行っております。実は、私ごとで恐縮でございますが、私の娘も、突如として大学院を休学して、マーシャルに二年間赴任して帰ってきましたけれども、今、就職に非常に苦労しております。
しかし、私は、外務政務官もやらせていただいた短い期間でございますが、海外に赴任したときには、青年海外協力隊とそれからシニアの協力隊が派遣されている国は、すべからく大使にお願いして、大使公邸に集めてください、そして最上級のごちそうをしてくださいと。一晩皆さんの意見をぜひお伺いして、その結果はJICAなり外務省の担当部局に伝えますからと。こういうことをやっておりましたら、本当に非常に喜ばれました。幾つかの注文もちょうだいいたして、本省なりJICAにお伝えした。実際どうなっているか、ぜひフォローしたいのでございますけれども。
いろいろなやり方はあろうと思いますけれども、やはりエンカレッジしながら、本当にオン・ザ・ストリート・レベルでのいろいろな、多様な外交ルートを深く、そして広げていくという一環として、大変な予算も注入されているJICA事業、とりわけ青年海外協力隊なりシニアのプロ・ジャパンあるいはジャパニストをつくる先兵として結果的には行っていらっしゃる、そういうことも期待される事業でございますので、ぜひ温かい目で見詰めていただきたいなと思っているところでございます。
そこで、早速、今大臣の方から、国連安保理改革について、日中間、中国の理解を確保することも大事だということをおっしゃいました。まさにそうだと思います。
昨年九月十六日に鳩山内閣が成立してから、直後に開かれました第六十四回国連総会における一般討論演説で、鳩山総理は、日本の安全保障理事国入りを目指して政府間交渉を積極的に進めたい、取り組みたいということを表明されたところでございますけれども、概括で結構でございますので、副大臣、これまで、その後七、八カ月にわたりどういう取り組みをなされてきたのかということをお教えいただきたいと思います。
○武正副大臣 先ほど海外青年協力隊のお話もございました。本当に日本がどうしても内向き志向とよく言われる中で、ここで国を開くということを成長戦略でもうたっているわけでありますので、そういった意味では、海外にそうした若者たちがどんどんと出ていく、飛び立っていく、そして活躍をする、そういった意味での実績のある海外青年協力隊に対するしっかりとした支援は欠かせないというふうに思っております。
さて、今のお話でございますが、昨年九月の一般討論演説においての表明、そしてその後、国連総会では、安保理改革に関する政府間交渉が進展をしておりまして、多くの国が、常任、非常任、双方の議席拡大への支持を表明しております。また、三月には各国がテキストということで書面でそれぞれの考え方を提出しておりまして、それが今取りまとめの最中でございます。
政府としては、先ほど大臣が触れたように、これまで、さまざまな国との首脳、外相会談などの機会をとらえまして、常任議席の拡大を含む安保理改革の早期実現につき訴えをしておりまして、引き続き、国連の場で積極的に政府間交渉に取り組むとともに、首脳、外相会談など二国間関係も活用して、働きかけをさらに継続、そして強めていきたいというふうに考えております。
○松宮委員 国連改革、とりわけ安保理改革というのが、残された非常に大きな、日本にとっても取り組まなくちゃいけない大変重要なアジェンダだろうと思います。
今お話しのように、昨年の秋以降も着実に話は進んでおるということでございますけれども、率直に申し上げまして、私は、道は極めて厳しく、正直申しまして、五年、十年でこんなものが解決すると期待することは難しいという感じがいたします。私自身も政務官時代に多少タッチさせていただいた、あのときの熱中と申しますか意気込みと今距離を置いて冷静に彼我の状況を観察しますと、大臣が言われましたように、中国はもちろん、何といっても、日本が安保理改革に伴い常任理事国入りをするためには、九九%、すべての命運はアメリカが握っております。
間違いありませんが、ぜひお聞かせいただきたいと思いますが、現にブッシュ政権時代、あのとき、二〇〇四年から二〇〇五年です、日本が常任理事国入りするのは賛成だ、こういうことはしばしば大統領なりアメリカ当局から日本に対して述べられたんだろうと思います。ただし、G4の案については、アメリカは中国と並んで賛成しませんでした。真っ先に本当に常任理事国メンバー、五大国でサポートしてくれたのはフランスです。イギリスも結果的にはサポートしてくれましたけれども。
私も、各国を回りまして、フランスの大統領特別顧問とも一時間ほど議論しました。ドイツにも行きました。そして、ドイツとも議論しましたが、あのときのドイツの楽観主義と申しますか、何とかなるだろうという感じに対しては、私は恐ろしいほどの悲観的な感じを、話をしながら、ある意味で大げさですが戦慄さえ覚えたぐらいの感じでございまして、こういう国と組んでG4でやっていいのかどうか、途中で見直すべきじゃないかというような議論さえ、当時の外務省の幹部に申し上げたこともあります。
ただ、船は走っております。そして、船を走らす前に、出帆する前に、当時の外務大臣の私的懇談会みたいなもので、おなじみの国際政治学者なんかを中心として集めた懇談会で半年ほどかけて議論して、大きな答申を、大事な答申を出していただいて、これをポケットに入れながら、頭に刻み込みながら、みんなそれぞれ役割分担で頑張ったつもりではありますけれども、肝心かなめのアメリカがどう見ているのか。アメリカの外交上、あるいは国益戦略を第一義的な目標とするアメリカの外交で国連というのはどう位置づけられているのか。本気になってアメリカが安保理改革をきょう現在でもする気があるのかどうか、私は九九%ノーだと思いますが、その辺、どう受けとめていらっしゃいますか。
○岡田国務大臣 前回の反省はいろいろあるかと思います。おっしゃるように、アメリカは、日本はいい、しかし、常任理事国というものがきちんと機能しないようになる、つまり、数がふえ過ぎることに対しては基本的にノーだ、こういうことだったと思います。
ここは非常に難しいところでありますが、ただ、アメリカも、ブッシュ政権の時代の国連観と、今オバマ政権になってかなり変わってきた。昨年も、オバマ大統領は国連総会に出席をして、あれだけ長く、国連総会の時期にニューヨークにアメリカ大統領がいたということは非常に珍しいと言われたわけでありますが、いわば国連に対してどちらかというと非常に距離を置いたブッシュ政権と、国際協調を重視し、国連というものに対しても重要な役割を担う存在であるというふうに考えるオバマ政権で、大分そこは違いがあるというふうにも思っております。
これからアメリカともさまざま議論していかなければなりませんが、国連が本当に各国の代表として機能するためにどういう安保理の改革が必要なのか、そういう視点で日米間での議論というものを深めていかなければならないというふうに思います。
いずれにしても、この問題は相当なエネルギーと情熱と、そして外交的な資源といいますか、そういうものをつぎ込まないと成就しない話でありますので、今は少し静かにさまざまな客観情勢が整うための作業を行っているということでありますが、全体の議論の状況を見ながら、やはり勝負しなければならない、そういうタイミングが来れば、そのチャンスを逃すことなく、しっかりと外務省あるいは日本政府挙げて対応できるようにしたい、そういうふうに思っております。
現時点、今度私、南アにも参りますけれども、南アフリカに行く際にも、国連の安保理改革というのは一つの議論になるというふうに思っておりますが、静かにしっかりと水面下で足場を固めているというのが現状でございます。
○松宮委員 なかなか容易でないタスクでありますけれども、しかし、計画的に着実に、しかも全方位外交で、国連安保理改革を目指してぜひ頑張っていただきたいと思います。
今大臣の方から、オバマ政権になって国連に対するスタンスが変わったというお話がございました。私も、ブッシュのお父さん、そしてブッシュ前大統領、あるいはとりわけクリントン政権に比べますと、オバマ政権の国連外交に対するアプローチの仕方というのは変わりつつあるのかな、素人ながらそういう感じがいたします。
ただ、基本は、ツールとしての国連という見方、アメリカの外交、戦後一貫して、国連創立以来あるはずです。アメリカの国益増進のために利用価値があれば徹底的に国連を利用する。さもなくば、例えばG8なのかG20なのか、いや、ひょっとしたらG2、中国の存在感、際立った台頭ということを考えますと、そういう面で、ありとあらゆる外交手段を講じてと。その中の相対的な、一つの大きな手段として国連を位置づけておるということでございます。
しかし他方、不勉強で恐縮ですけれども、国連憲章の中で、安保理、理事会のみが軍事的な制裁も伴う権力を有している。しかも、それは、国連加盟国百九十二カ国中、常任理事国五カ国の一カ国のみが反対しても成立しないという大変な、本当に恵まれた五大常任国という構図が、台湾から中国が交代して復帰したということはありますけれども、国連が発足して以来数十年間何一つ変わっていない。
その間、このところ日本の経済、日本の国力の相対的な低下というのは悩ましいものでありますけれども、とはいえ、中国に匹敵するぐらいの世界二位の経済規模を誇り、国連分担金も、ついこの間改定を見たこれからの三年間については、ついこの間までの一六・数%からようやく一二%台になった。しかし、とはいえ、勝手にアメリカが二二%という上限を設定して、そして多くの、あまたある小さな国の本来分担すべき分担金はおまけしましょうと。そのあおりが、結果的には一番、あとは二番手から、下位の国を除いたところに、ある指標で、GDP、GNIを中心とした指標で配分するということですから、一番あおりを食らっているのはこの国という意味では、国連に対する予算面での貢献、それから、その他、先ほども申しましたような、各国でのいろいろな意味での国際的な貢献等もあわせ考えますと、私自身もぜひ日本の常任理事国入りの早期実現を期待したいと思います。
それから、EUにおいてはドイツ、あるいはアジアではインド、そしてブラジルの場合にはアルゼンチンの関係、ドイツの場合にはイタリアとの関係等々いろいろな問題はありますけれども、ぜひ、地理的な正当性と適正な配分、そういうものも視野に入れた国連の改革というのがなされてしかるべきだと思います。
本当に息の長い話でありますけれども、重ねて強調させていただきたいのは、中国も非常に大事ですし、確かに前回は中国と折衝というのはほとんどなかったんだろうと私は記憶しておりますけれども、やはり、九割以上はワシントン、しかも、ワシントンも大統領だけではなしに、アメリカのパワーエリート集団、上院、下院の外交に精通している人たち、そして彼らを支えているメディアが、国連についてアメリカが、時代の環境変化に対応して十分に機能し、しかもそれがアメリカの国益にも直結するということで納得を得られるような努力というのは、アメリカにもしてもらわなくちゃいけないし、しかし、アメリカがみずからしないとするならば、我々が働きかけてそこからやっていかなければいけないんだろうと思います。
もっと端的に申しますと、日本が、インドが、ドイツが、あるいはブラジルが、そしてアフリカの特定国が常任理事国入りをするとするならば、そのことによって国連を通じてどういう外交を展開し、世界全体の公益増進、ウエルフェア増進のために、日本は、ドイツは、インドは、ブラジルは何を貢献するんですか。そこがしっかりしていない限りは、アメリカのパワーエリートはもちろんのこと、関係者を説得するということは私は至難のわざだと思います。そういうことも念頭に置きながら、ぜひ着実な取り組みをお願いしたいと思います。
時間の関係で、あと二問ほどさせていただきたいと思います。
ドーハ・ラウンドなり、EPA、FTA。ドーハ・ラウンドにつきましては、昨年の暮れにもジュネーブにおいてWTO公式の閣僚会議が開かれました。しかし、依然として問題としては、農産物等を中心としたいわゆる争点の三角形と言われる問題がまだ必ずしも主要国間での解決が見られている段階ではないということで、先は非常に見通せないという状況にあると思います。
しかし、私が心配しておりますのは、今、民主党、マニフェストなり、あるいは来年度、二十三年度の概算要求絡みで、いろいろな省がいろいろな予算の案を練り始めているところだと思いますけれども、実は、ドーハ・ラウンドの過去数年間で展開されてきたいろいろな議論の積み上げ、特に農産物貿易でいいますと、二〇〇七年、さきの参議院選挙の直前の、例の当時の赤城農林大臣、あるいはその後のいろいろな大臣、二〇〇八年には、今度参議院でおやめになる若林さんなんかも出られたようないろいろな大事な会議なりあるいはオケージョンがありました。
しかし、実際にあのときに既に、一番日本にとってバイタルな分野であります、交渉分野であります農産物貿易については、実は事実上、まず二〇〇七年の六月の中旬の時点でアメリカとEUが大きな基本的な手を握り、そして、それを踏まえて交渉委員会の委員長提案がなされ、その後、ラミー事務局長提案がなされたということ。一言で、例の重要品目と称する、あまたある、日本でいいますと千三百余を数える農産物品目、アイテムの中で、重要品目として相対的に高い関税を許される分野というのは四が原則であって、六は例外、それにはペナルティーが要りますよというような状況になっているんです。これがラミー提案。
私自身の受けとめ方は、そのラインで今日来ており、仮にドーハ・ラウンド交渉が再開されたとしたならばそれが出発点になって、マリリン・モンローじゃありませんが「帰らざる河」で、もとに戻るのはなかなか容易じゃないという気がいたしますが、その点はどう外務省はとらえていらっしゃいますか。
○武正副大臣 私も、昨年十一月の閣僚会合、赤松農水大臣、そして直嶋経産大臣とともに参加をしまして、G20の首脳会談で合意をしたように、ことしじゅうにDDA、ドーハ・ラウンド決着を、合意をということも念頭に、三月までにその評価、ストックテーキングをということで、そういった一致点を見たわけでありますが、それも今、改めて、三月末の現状評価会合では、妥結に向けての交渉継続に合意ということで、まだまだ先にというような点もございます。
また、これから五月末それから六月に予定されておりますOECD閣僚会合あるいはまた札幌で行われますAPEC貿易担当大臣会合などでのやはり閣僚級の議論というのが行われるであろうというふうに期待をされるわけであります。
今の、特に農業交渉について、ラミー事務局長提案、そして改訂議長テキスト、これが今ベースとなっているところは御指摘のとおりでございます。まだまだ先行きは非常に不透明でありますけれども、とにかく、関係省庁と緊密に連携しつつ、早期妥結を目指して対処していく所存でございます。
○松宮委員 ドーハ・ラウンドと並行して、なかなかドーハ・ラウンドが思いどおり進まないということで、今、我が国も含めて各国は、EPAなりFTAの方の広い意味での経済連携交渉に走っております。そして、日本も、シンガポールの二〇〇二年の締結を皮切りといたしまして、十一カ国、ASEANも入れると十一国及び地域、そして今、インド等新興国のものもあると聞いております。しかし、韓国やあるいはヨーロッパ諸国、EU、それからアメリカ、数は少ないですけれども中身からいったら中国と比較すると、残念ながら、日本のEPA、FTA交渉というのは質において余り進捗していないような気がいたします。
そこで、時間が限られましたので、せっかく経産省から審議官にお越しいただいておりますので、これまでの概要なり、時間がありませんので、むしろこれからどこに力点を置いて進めようとしているのかという点に絞りながらちょっとお答えをいただきたいと思います。
○西山政府参考人 お答え申し上げます。
重点といたしましては、やはりアジアに切れ目のない市場をつくり出すということだと思っておりまして、その成長を日本に取り込んでいくということだと考えております。
そういう意味で、日韓EPAの早期交渉の再開を目指すとともに、日中韓のFTAの産官学の共同研究、そして東アジアの包括的経済連携につきましての政府間の議論を進めますなど、アジアにおける広域的なEPAに取り組んでまいりたいと考えております。
さらには、今先生も御指摘のように、産業界の意見を聞きながら、EUとの経済統合協定を初めといたしまして、大市場国あるいは新興国、資源国との間のEPAの検討を進めてまいりたいと考えております。
○松宮委員 最後でございますが、今審議官からお答えいただきましたように、計画はそういう意気込みでぜひ頑張っていただきたいと思います。
要は、ぎりぎり詰めていきますと、日本の農産物貿易と、それから、もう過去二、三十年来課題となってまだ解決の道さえ開かれていないような各種の非関税障壁、これがネックになって、例えばEUは、あるいは韓国の場合だったら日本の一方的な貿易黒字というようなことがあるので、必ずしも容易ではないと思いますけれども、その点の解決についてはぜひ大臣、一言で、やはり外務省が中心になりながら、関係各省、そして内閣も入ったような大きなそういう戦略的な部門で御検討いただくというようなこともぜひ必要だと思います。
それからあわせて、大臣本当に大変でございます。かつて、こういう交渉の進捗に当たっても、牛場さんという元外務省の次官をやって駐米大使もおやりになった方が、対外経済担当相になって、大臣に取ってかわって、あるいは国会でいろいろ御活躍中の政務三役にかわられて世界を飛び回るというような時代を、私は完全に、本当に外交の重要性が一段と高まっておりますので、迎えているんだと思いますが、その点についての大臣の御感触もちょうだいしながら質問を終わらせていただきたいと思います。
○岡田国務大臣 経済連携協定を議論する際に、一つはやはり、委員御指摘のように、国内調整ということが非常に重要であります。ここのところをきちんと行える体制をどうつくるかということで、実は昨日決めたところでありますけれども、関係大臣が集まりまして、そして、そういう国内調整については仙谷国家戦略担当大臣が中心になって行うということを決めたところであります。
同時に、私が見ておりまして、やはり外務省がもっとしっかりと責任を果たすべきだというふうに考えておりまして、そういった外交交渉について、もちろんそういう別途専任大臣を置くというのも一つのアイデアではありますけれども、もう少し外務省の政務三役がしっかりと役割を果たさなければいけないというふうに思います。
きょうもたまたま日・EU首脳会議が開かれます。日・EU間の経済連携協定について少しでも前進できるように、しっかりときょうも議論を行っていきたいというふうに思っているところでございます。
○松宮委員 ありがとうございました。
時間が多少オーバーしましたので、以上で終わらせていただきます。
○鈴木委員長 次に、服部良一君。
○服部委員 おはようございます。社会民主党の服部良一です。
きょうは、普天間問題を軸にいろいろと御質問させていただきたいと思います。
まず、先週の二十五日、沖縄で大きな県民大会が開かれました。普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対、国外・県外移設を求める県民大会ということで、読谷の会場には九万名、それから八重山、宮古も入れますと九万三千七百名が参加したというふうに言われています。沖縄の県知事も参加いたしましたし、それから四十一ある自治体の長が、二人の代理を含む全員が参加した、あるいは全会派が参加をしたという意味で、非常に画期的な大会だったというふうに思います。
私も参加をさせていただきました。那覇から読谷まで通常、車で一時間ぐらいの距離なんですけれども、三時間たっても会場に到着できず、大混乱で、仕方なしに、せっかく県民大会に行って出られずに帰るというのはちょっと格好がつきませんので、地元の人にバイクを出してもらって、バイクで迎えに来てもらって、二人乗りで、三十分おくれてようやく到着したというような混雑ぶりでした。一体、正確なところ何人が参加したのかよくわからないような大変な県民大会であったということを皆さんにもお伝えしておきたいと思います。
政府として、この沖縄県民の声、その思いをどのように受けとめておられるでしょうか。岡田大臣にまずお聞きをしたいと思います。
○岡田国務大臣 今、委員御指摘のように、多くの沖縄県民の皆さんが、そして知事や首長の皆さん、議会の皆さん、超党派でお集まりになったということで、そのことについて重く受けとめさせていただいているところでございます。
○服部委員 重く受けとめているということなんですけれども、本当の意味で重く受けとめていただきたいというふうに思います。
そこで、実は、鳩山首相が、四月二十四日に、辺野古の海の埋め立てに関係して、埋め立てられることは自然に対する冒涜だということで、かなり強い言い方で海への思いを語られましたけれども、海を埋めることは自然に対する冒涜だというこの鳩山首相の発言に対しては、大臣はどういうふうに感想をお持ちでしょうか。
○岡田国務大臣 この御発言は総理がなされたものでありますけれども、それはどういう思いでおっしゃったのかということを私が勝手に推測するわけにはまいりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
きのう、私の記者会見でも同じような質問が出ました。私は、記者の皆さんに、それは必要があれば総理に直接お聞きくださいというふうに申し上げたところであります。
○服部委員 岡田大臣のお気持ちとしては、どうなんでしょうか。同じ辺野古の海を埋め立てるということに対する思いというのがもしあれば、お聞かせいただければと思うんですけれども。
○岡田国務大臣 もちろん、私も現場に行きましたので、いろいろな思いはございます。しかし、同時に、私は、海兵隊が果たしている、日本の国民の生命財産を守るために役割を果たしているというふうに考えておりますし、あるいは地域の平和と安定のためにも役割を果たしているということも、そういうふうに思っております。
つまり、海兵隊を初め米軍の果たしている抑止力というものと沖縄の負担軽減、そこをどうバランスさせていくか、そういう問題であるというふうに認識をしております。
○服部委員 沖縄の負担軽減というのは、やはり自然を守る、自然を壊してもいいということにはなりませんので、私は、そういう思いを鳩山さんは言われたんじゃないかなと思って、大変心強くしたわけです。
四月の二十三日に岡田大臣がルース駐日大使に会われた記事が、最近、いろいろ新聞報道等で飛び交っております。辺野古案を大筋受け入れというような言い方であったり、あるいは現行案修正で調整というような報道もされております。それから、ワシントン・ポストでも幾つかの項目を立ててその中身を報道しているわけですけれども、この内容について、もし可能であれば、どういう話をされたのか、お聞かせいただければと思います。
○岡田国務大臣 普天間の移設の問題に関して、ルース大使と私との間で何度かやりとりを行っております。ただ、その中身について明らかにするということは、私は、それは途中の経過でありますので、申し上げるべきでないというふうに思っております。
いろいろな報道がございますが、私は何も話しておりませんので、それぞれ憶測に基づく記事であるというふうに御理解いただければと思っております。
○服部委員 まだ政府案としてまとまっていないというのは私も承知しているんですけれども、何も言っていないということはちょっとまた、若干極端な言い方のような気がするわけです。
具体的には、ワシントン・ポストなんかを見ますと、修正案を受け入れるといいますか、現行計画の大部分を受け入れる、それから滑走路の設計を変更する、それから海兵隊設備の一部を沖縄から約百六十キロ離れたところに移す、これは徳之島のことかと思いますけれども、同時に、日米で実務的な協議を開催するということも決めたかの報道がされているんですけれども、その辺の内容についてはいかがなんでしょうか。
○岡田国務大臣 内容については、先ほどお話し申し上げましたように、今まだ途中の、意見のやりとりの段階でありますので、私は、途中のことを明らかにすべきでないというふうに考えております。
いろいろなレベルで意見交換は行っておりますが、おっしゃるような実務レベルで云々と、何か決めたというのは、そういった事実はございません。
○服部委員 もちろん、実務レベルで決めたとは思っていないんですが、会談した際に、日米間の実務者協議を開催し、日本側の提案をさらに詳細に検討することで合意をしたというふうなくだりもあるんですけれども、今後、そういう日米の実務者協議が具体的に開催されるということになっているんでしょうか。
○岡田国務大臣 実務者協議というもの、特定のものがあるわけではございません。ただ、日米で関係者が会う機会というのはたくさんございます。そういう際にこの問題について議論するということは、それは当然あるというふうに思っております。
とにかく、日米間で意見を交わしながら、現実可能で、そして沖縄の負担軽減につながる、そういう案について次第に固めていかなければいけない、そういう段階に今ある。一定の段階になれば、それは政府案になるわけですけれども、そのためには連立のパートナーである御党も含めてきちんと御相談しなければいけない、まだそこには至っていない、こういうことでございます。
○服部委員 私は、この普天間基地の問題、ずっと議論がありましたけれども、ここに来て辺野古の修正案が出てくるというのは、正直、非常に残念なんですね。くい打ち方式にしろメガフロート方式にしろ、どういう方法をとられるということを想定されているのかよくわかりませんし、また、そのこと自身もまだ決定されたことではないということは承知しているんですけれども、ここまで普天間問題、いろいろ議論をさせていただいて、結局また辺野古の修正案に戻るということになると、沖縄の人たちがどういうような受けとめをしていくのか、本当に心配もするわけです。
名護の市長は海にも陸にも基地はつくらせないというふうに言われているわけですけれども、現行案、修正案も含めてだめだというのが名護の市民の民意だというふうに私は思うんですけれども、大臣は、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
○岡田国務大臣 実は、昨日、大会の主催者の代表者の皆さん、あるいは議員の皆さんや市長さん、町長さん、大臣室にお見えいただきまして、三十分ほど意見交換をさせていただきました。名護市長もおられましたので、御発言があって、名護市長としての御意見といいますか、そういうものも直接お聞かせをいただいたところであります。
一月に選挙があって、そして移設反対ということを唱えた、名護市への移設反対、キャンプ・シュワブ沖への移設を反対した、そういった候補者が勝利して市長になられたということは事実であり、そのことはきちんと受けとめなければいけないというふうに思います。
それ以上のことは、今さまざま議論を行っているところでありますので、今の段階で何か申し上げるべきではないというふうに思います。昨日も、名護市長の御意見に対して、特にそれに対して何か私の考え方をお伝えするということはしておりません。
○服部委員 私の思いとすれば、せっかく政権交代をして新しい政権になりました、この政権がまたしても沖縄の思いを踏みにじるような政権であってほしくないという、本当にそういう強い思いを私自身も持っております。そういう意味で、鳩山政権が誤った選択をしないように、ぜひとも御判断をお願いしたいし、我々もそのために頑張っていきたいというふうに思うわけです。
ところで、五月までに決めないといかぬということがずっと言われているわけですけれども、何で五月までなのか。これは鳩山首相が言ったからだということになるのかもしれませんけれども、先日も、八十八歳の九州におるおふくろが電話してきまして、自民党前政権で十四年間もかかってできないものを鳩山政権で数カ月で決める必要はないということを言っていましたけれども、いろいろな集会で、日米が合意をして地元も合意できるような案が五月までにできると皆さん思いますかと言うと、ほとんどの皆さんが無理だろうと言うんですね。
そもそも、この五月までに決めるというのはどこから出てきた話なんでしょうか。
○岡田国務大臣 五月末というのは総理の思いであります。
振り返ってみますと、昨年の十二月の段階でいろいろ議論をいたしました。福島党首も入っていただいて、基本政策閣僚委員会も開かれたわけであります。そういう中で、早急に結論を出さずに半年ぐらい時間をかけてしっかり議論をしよう、こういうことで五月末ということになったというふうに理解をしております。その五月末ということを確認したときには、福島党首も入った上での確認だったのではないかというふうに私は記憶しております。
○服部委員 それは少しでも早く結論が出ればそれにこしたことはないんですけれども、一番最初、スタートしたときは五月をめどというふうに言っていたような記憶があるんですが、いつの間にか、そのめどという言葉がとれて五月、五月と。私は、やはり、この基地問題で地元が合意するというのは、もう大変神経質な問題といいますか、大変な問題でありまして、五月に道筋をはっきりさせればいいんじゃないかなというふうに私自身は思っているんですね。
ですから、例えば、この間、普天間基地は滑走路が修理で、四カ月間ほど水平翼機が嘉手納に行っておりました。ですから、普天間基地をヘリ部隊だけが運用できる基地として、クリアゾーンを確保して、滑走路を短縮して、当面、こういう形で普天間基地は利用する。そして、二〇一四年までに、残ったヘリ部隊は、六十機残るのか、我々がグアムに行ってアンダーセンの米軍の司令官に聞いたときは十二機から二十四機が残ると。全然違うんですよね、話が。ですから、そのヘリが、そもそも一部グアムに行くということもはっきりしているわけですね。
ですから、基本的なことがまだ明らかになっていない中で、そういうことをやはり引き続き日米で協議するという形できちんとした道筋をつければ、私は、多くの国民は納得していただけるというふうに思っております。
そういうことを申し上げて、時間がちょっとなくなりました。お手元に配付資料を配らせていただきました。
これは北マリアナの連邦議会が、上院、下院の決議です。上院ではもう既に決議がなされました。中身はごらんになっていただいたらいいんですけれども、「米国国防総省および日本国当局者に対し、現在沖縄本島に位置している普天間飛行場を移転する最適な場所として、テニアンを検討するよう推奨すること。」ということで、北マリアナの上下院議会で決議が上がり、また上がろうとしております。
当然、知事さん、あるいはいろいろ商工会とか地元の団体の方も、ぜひ普天間基地を持ってきてほしいというふうにおっしゃっているわけですけれども、政府として、この北マリアナ諸島の米国自治連邦区の関係者に直接接触したことはないんでしょうか。また、今後、接触する意思はないんでしょうか。日米交渉の中で、北マリアナがこういうことを言っているじゃないかということをより積極的に、外務省としてもぜひ提案していただければというふうに思うわけですけれども、どうでしょうか。
○武正副大臣 今お配りをいただきました、この四月十六日に北マリアナ諸島連邦議会の上院においての決議が可決されたことは承知をしております。
政府として、御指摘の関係者に直接接触したとは承知をしておりませんが、いずれにせよ、普天間飛行場の移設問題については、安全保障上の観点も踏まえ、日米合意の重みや連立政権の政策合意を踏まえた上で、しっかり検討しております。
以上でございます。
○服部委員 もう時間になりましたけれども、先日、徳之島の集会に前の防衛大臣の小池百合子さんが行かれて、きれいな海を守ろうと言うて頑張っておられるんですね。それから、長崎県知事、これは保守の方が当選されましたけれども、私たち社民党のところに来て、大村空港にはぜひ持ってこないでくれと。片や、安保条約は必要だ、米軍駐留は必要だ、しかし、自分のところにはだめだ。長崎はだめだけれども、佐賀ならいいとか、沖縄ならいいとか、そういうことではやはり困るんですね。
ですから、みんなどこもだめだというのであれば、やはり、この普天間基地というのは、グアムや北マリアナとか、国外に持っていってもらう、そういう方向でぜひ外務省としても努力をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
○鈴木委員長 次に、小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
冒頭、中井大臣、きょうはどうもありがとうございます。初めに、中井大臣初め皆様に、拉致問題についてちょっとお伺いをしたいと思っております。
私どもも、拉致問題の一日も早い解決、そしてまた、現在、例えば横田さん御夫妻初めこの問題に長い間取り組んでいらっしゃる皆さんには大変な敬意を払っております。そういった中、横田めぐみさんに会ったことがあると申しておる金賢姫元死刑囚、この発言について私どもも大変注意深く関心を持っておるところですが、昨日帰られました中井大臣にお伺いしたいと思います。
金賢姫元死刑囚の来日について要請されたと私ども承っておりますが、その可能性についてお話を伺いたいと思います。
○中井国務大臣 御指摘のとおり、横田さん御夫妻が、金賢姫さんがかつてめぐみさんに実際会ったことがあるという証言を昨年なさったという報告を聞かれましてから、会いたいと強い御要請がございました。これを受けまして、私は、就任しましてから、韓国政府に対しまして、ファン・ジャンヨプ氏と金賢姫氏を日本へお招き申し上げたいと要請していることは事実でございます。
金賢姫さんにつきましては、ファン・ジャンヨプ氏が帰国なさいました後、外交ルートを通じて交渉をスタートいたしたところでございます。
○小野寺委員 交渉スタートということでありますが、見通し、感触、その点についてはいかがでしょうか。
○中井国務大臣 ファン・ジャンヨプ氏の訪日も成功裏に終わりました観点からいけば、彼女もお越しいただけると考えておりますが、今、天安艇事件という大問題が韓国で勃発をいたしております。私もたまたまソウルにおりましたので弔問を申し上げたところでございますが、これらの方向や結論がどういうふうになっていくか、こういったものを見てみないとわからないというのが率直な感じでございます。
○小野寺委員 これは韓国政府の協力ということもあるんでしょうが、仮に韓国政府の協力があったとしても、ファン・ジャンヨプ氏とは違う事情がございます。
例えば、金元死刑囚でありますので、当然、死刑囚ということで日本国への入国については通常、問題がある。そして、何よりもこれは、事件の際、偽造パスポートを使用して日本人という形で日本に入国等をしていたという事例もございます。
このようないわば犯罪者に対して日本が入国を認めるということがあり得るのか、過去にあるのか、そのことを法務省にお伺いしたいと思います。
○加藤副大臣 お答えを申し上げます。
金賢姫元死刑囚から入国の申請が今の段階で出ているわけではございませんので、個別の問題については答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、金賢姫氏につきましては、御指摘のとおり、大韓航空機爆破事件に関与をしたという経緯もございますので、入管法第五条の上陸拒否事由に該当いたしますので、本邦への入国はできないということになります。
ただ、同じく入管法の十二条第三項には、法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、その者の上陸を特別に許可することができるという規定があることも付言をさせていただきたいと思います。
○小野寺委員 この法務大臣が特に認めた場合という規定は、かなり頻繁に使われているものなのでしょうか。過去の事例について教えてください。
○加藤副大臣 過去にこの十二条第三項の事由で許可をしたという事例はあるわけでありますけれども、個別具体的なデータについては把握をしてございません。
○小野寺委員 あったけれども把握をしていない。実感としてはかなり多いものなのか、極めてレアケースなのか、いかがでしょうか。
○加藤副大臣 何をもって多いと言うか、レアと言うかというのは、判断は非常に難しいところでございます。この問題についての正確な統計というのをとっておりませんので、そこの判断というのはいたしかねるところでありますけれども、過去に実際にこの規定で入国をした者はあるということでございます。
○小野寺委員 もう一つお伺いしたいのは、当然、中井大臣は日本への招聘ということでお話をされているというふうに理解しておりますので、法務省、法務大臣とのすり合わせというんでしょうか、もし韓国政府が認めた場合には、特別の措置ということで法務省はこれを認めるというふうなすり合わせ、話し合いというのは行われていると理解をしてよろしいんでしょうか。
○中井国務大臣 昨年、訪日を要請しましたときに、法務省あるいは警察それぞれに、問題点は何か、また万々一、万々一ということはよくありませんが、お越しをいただけるときになれば、それはそれで対応方をお願いしたいという希望は申し上げておりますが、まだ訪日ということについて確たる状況になっておりませんので、正式なすり合わせをいたしているわけではありません。
○小野寺委員 法務省にお伺いしたいんですが、既に報道等されておりますが、中井大臣は訪日を要請したということでありますので、当然、訪日を要請して向こうが了解ということになった場合には、この入国について認める、そういう方針でよろしいんでしょうか。
○加藤副大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、今の段階では申請がなされているわけでございませんので、個別に許可あるいは否かということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○小野寺委員 当然、内閣として統一してこの拉致問題にも当たっていると私どもは理解をしております。そういう中で、担当の大臣が、こうして情報を得るために金元死刑囚を日本に呼びたいということで言っている、法務省にもその際にはよろしくというお話をしている。
ということは、常識として、もし訪日をするということになった場合には、法務省はこれは特例を認めるということでよろしいのですね。
○加藤副大臣 中井大臣から、法務省あるいは千葉大臣に対しても、さまざま情報提供をいただいているということは承知をいたしております。しかるべきタイミング、申請のタイミングなどで適正に判断をさせていただきたいと思いますが、きょうの段階では、いまだ何ら申請がなされておりませんので、個別の案件について確たることは申し上げられないということは御理解をいただきたいと思います。
○小野寺委員 拉致問題の対策というのは、これは中井大臣の案でやっているのか、内閣としてやっているのか。私どもは、当然、内閣としてやっている話だと思いますので、少なくとも、大臣がこうして正式に来ていただけないかと言って、そのときに、後で、いや、法務省はこういう犯罪事例がある方ですから入れません、こういうことをするということはあり得ませんので、もうこの段階で、もし決まれば、仮定の話は別ですけれども、内閣としての方針と考えてよろしいんでしょうか。もう一度伺います。
○岡田国務大臣 委員も御指摘になっておられると思いますけれども、金賢姫氏を日本に招くということは、同氏が拉致被害者についての重要な証言者であるということですから、さまざまな機会に同氏に証言をしていただくということは、拉致問題の真相究明という観点から意味があることだというふうに外務省としても考えております。
中井先生、担当大臣が一義的には御判断すべきことではありますが、外務省としても、必要な協力というものを行っているところでございます。
これは内閣としても、鳩山総理も含めてそういう考え方で行っておりますので、法務省の方は、正式な協議がないと正式な答えはできないという意味で、今、加藤さんの方は少し慎重に答弁しておられますが、これは法務大臣というのはそういうところがどうしてもありますので、そこは御理解をいただきたい。内閣全体でしっかりと対処している、そういう問題であるということでございます。
○小野寺委員 ということは、内閣として金元死刑囚の訪日については同じ見解を持っていると私ども理解をいたしました。
そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、実は、大臣の御配慮で、ファン・ジャンヨプさんとの話について、私どもも参加させていただくことができました。その際、気がついたのは、大変な警備でありました。今後、もし金元死刑囚ということになりますと、これはファンさん以上の大きな警備ということになると思うんですが、安全確保の問題、この点についてはどうお考えか、お伺いしたいと思います。
○中井国務大臣 ファン・ジャンヨプ氏来日に際しまして、韓国側から安全面について強い要請がございました。私どもをお訪ねいただきました前にアメリカを訪問されましたが、ここにおきましても極めて厳しい警備であった、このようにも聞いております。そういう状況や国内のいろいろな情勢を警備当局が判断をして、警備をやっていただいたと考えております。
また、金賢姫さんが見えたときにはどういう警備になるかということにつきましては、仮定の話でありますから、決まったら決まったという時点で、警備当局がまた御判断をいただくものと考えております。
○小野寺委員 もう一つ、ちょっと気がかりなところがございます。
警備の問題もそうなんですが、招聘ということになりますと、その費用が日本政府としての負担ということになると思います。例えば、前回お招きしましたファン・ジャンヨプさんの費用、招聘に対して報酬があるかどうかわかりません、またホテル、あるいは随行員、かなりの方を招聘する中で費用がかかったと思うんですが、どのぐらいかかったんでしょうか。
○中井国務大臣 田村政務官も参っておりますが、私が責任者としてお招きをしましたので、あえてお答えを申し上げます。
ファン・ジャンヨプ氏の招聘に際しまして、謝礼は一切ありません。ホテル代等経費につきましては、この月末に向けて、今、請求書が届きつつある状況でございます。国家の経理というのは、どうも僕は余りよくわかりませんが、大体三月ぐらいかかって精算をするみたいなところは、皆さんも与党であったから十分御承知だと思います。したがいまして、まだまだ数字的には上がってきていない、こう申し上げなければならないと考えております。
○小野寺委員 田村政務官、せっかく来ていただいていますので、何か一言どうぞ。
○田村大臣政務官 申しわけございません。御好意、ありがとうございます。
大臣がすべてお答えをいただいておりますけれども、その精査が終わってから、その扱いをどうするかというのは、またそのときに検討させていただきます。
○小野寺委員 費用の問題のことを特に強く言うわけではないんですが、私ども、大きな懸念がありますのは、実は、金元死刑囚、韓国内ではテロリストとして、特に百十八人の被害者、犠牲者の方がいらっしゃる。その家族、遺族のことを考えた場合には、日本が招聘するというやり方で、日本人自体はこの問題についてどう思っているんだ、何かそういう韓国にいる被災者、犠牲者の皆さんの御家族に多大な間違ったメッセージを与えるのではないか、私はそのような懸念を持っておりますが、韓国内でこの問題についてどのような反応が出そうか、外務大臣にお伺いしたいと思います。
○岡田国務大臣 そういったことにならないように、十分注意をして行いたいというふうに思っております。
○小野寺委員 金元死刑囚の話を聞くということは、当然、日本に来て、私どもも聞ける機会があれば、それはぜひ参加したいと思うんですが、それが大変難しいということ、あるいは法務省が特段の配慮をしてということまでして呼ぶこと、むしろ、お話を聞くのであれば、逆に横田さん御夫妻が韓国に行って、そこでお話を聞く、そちらの方がもし実現性が高いのであれば、そのようなやり方も考えるべきではないかと思うんですが、大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
○中井国務大臣 御意見は承っておきます。
日本国内にもいろいろなことを御心配いただいたり、御忠告をいただく方もあること、また韓国の中における金賢姫さんに対する複雑な感情ということがあること、それはもうすべて承知をいたしております。
しかし、横田さん御夫妻の御高齢、これを考えますと、私はお呼びを申し上げるのが一番いいかと。また、家族の会あるいは支援する会等を含めて、挙げて彼女を呼んでほしい、こういう要請も私ども拉致対策室に強く寄せられています。こういうもろもろのことを考えて、私自身は、できたらお招きをしたい、このように考えて、行動をいたしているところでございます。
前政権下において、いろいろな御判断で、ファン・ジャンヨプ氏も金賢姫氏も呼ばなかったことは承知しています。しかし、私どもは、拉致問題の突破口を開く、解決の突破口を開くという意味で、ここら辺から始めるのが一番いい。同時に、日本と韓国とがこういう問題に一体となって取り組んでいる、この姿も十分世界に認識をしていただく、そういう意味でもいいことだと判断をいたしているところであります。
○小野寺委員 この拉致問題、一日も早い解決が大切だと思っています。そして、金元死刑囚のお話を聞くことも、それは大切な一つかとも思います。ただ、日本に呼ぶということで多大な警備、費用、そして多くの日韓関係の問題について憂慮する方がいらっしゃるとすれば、私は、韓国の国内でこの金元死刑囚と例えば横田さん御夫妻が会われる、それを中井大臣が仲介される、そのような実現可能性が高い方も模索するべきだと思っております。
ぜひ、これからもこの問題に熱心に取り組んでいただきたいと思います。
中井大臣、加藤さん、それから田村さん、ありがとうございました。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
一点、ちょっと気がかりな報道がございました。実は、日米の首脳会談、この間、鳩山総理とオバマ大統領、十分間ということでお話しされましたが、この会談記録が記録されていないということが報道で出ておりますが、これは事実でしょうか。
○岡田国務大臣 会談記録を残したか残さないかということについては、外務省としては特にコメントしておりません。
○小野寺委員 では、会談記録はあるんでしょうか。後々、この会談記録というのは、外務大臣がよくおっしゃるように、例えば秘密文書なのかどうかわかりません、それまでの機密かどうかわかりませんが、ある一定年限あるいはこの問題が解決した後には公開をしていただけるんでしょうか。
○岡田国務大臣 外交のやり方というのは、いろいろなやり方がございます。ノートテーカーを入れて会う場合もありますし、首脳だけで、二人で会うというケースもあります。二人で会えば、そういう記録は残りません。
今回の場合は、事実関係を申し上げますと、もちろん席としてはディナーの席ですから大きな席だったわけですが、その中で、オバマ大統領と鳩山総理がそれぞれ一人ずつ通訳を入れて四人で、会話したのは二人ですけれども、二人が通訳を行った、こういうことであります。そういう意味では、専門に記録をする、そういう人間は入っておりません。たまたま通訳が入ったからということでありますが、二人だけで話をするということも外交上ありますので、そのことは別に不思議なことでも何でもないということでございます。
○小野寺委員 鳩山総理は、この十分間の会合でも日米間にとって重要な話をしたと、あちらこちらでこの十分間の会談のことについてお話をされています。ですから、こんにちは、最近元気ですか、そのような簡単な会話ではなくて、かなり深い会話をしたと総理が認めております。この会話の中で記録がないというのは、これは私はおかしい。
そして、今まで、例えばこのような首脳間の会合で、事務方が入っていなくても通訳がつきます、通訳がメモをとり、そのメモを起こすということが必ず行われておりました。我が党の外務大臣経験者の方に聞いても、このようなメモをとって議事録に残さないということは過去あり得ないということをお話しされていましたが、今回、記録は残っているんでしょうか。もう一度確認をいたします。
○岡田国務大臣 過去の外務大臣経験者の方がどういうふうにお話しになったかわかりませんが、外交上のやりとりについて、お話しできることとできないことがございます。
○小野寺委員 やりとりは聞いておりません。記録が後で公開していただけるんでしょうかということを聞いています。
これは何度も岡田大臣が、密約問題を含めて、文書の保管、公開ということを強くおっしゃっております。したがって、ある年限が来れば、日米のこの間の十分間の会談の内容というのは公開されると理解してよろしいんですね。
○岡田国務大臣 先ほども申し上げましたように、文書があるかないかということについて、私はコメントいたしません。
○小野寺委員 何かこの答弁を聞いていると、核密約問題の外務省の体質と同じじゃないですか。文書があるかないか答えられない。あれほど核密約問題で厳しい指摘をされた外務大臣が、なぜ今、過去の外務省と同じ答弁をされるんですか。
もう一度お伺いします。ある年限が来れば、この会談の文書は公開されるんでしょうか。
○岡田国務大臣 同じ質問が過去にあれば、恐らくそのときの外務大臣は同じ答弁をしたというふうに思います。(小野寺委員「いや、そんなことはないですよ」と呼ぶ)こういう場合に、私は、文書をつくったかどうかということについて、そこまでコメントする必要はないというふうに考えております。
○小野寺委員 この問題でこだわることはおかしいとは思うんですが、よく考えていただきたいのは、通常、会談では会談記録を残すのが今までのやり方だ。ですから、恐らく、例えば逆の場で同じ質問をされた場合には、ちゃんと記録は残してありますということは、我が政権でも外務大臣は答弁をされているはずです。
もう一度お伺いします。この会談については、記録を残していらっしゃるんでしょうか。ないのであれば、ないと言っていただければ、それで結構です。そして、あるのであれば、ある年限が来ればこの文書は公開されると理解してよろしいんでしょうか。
○岡田国務大臣 あるかないかということはコメントいたしません。
ただ、一般論として申し上げれば、文書になっていれば、三十年たてば原則公開、そういった外交文書の例に倣うということになります。
○小野寺委員 恐らく、今の外務大臣のお話を聞いて、らしくないなと皆さん思っていると思います。
つくっていなかった、今回はこういう案件なのでメモは残していない、そうであればそれでいいんだと思うんです。何かそこが、あるんだかないんだかわかりません、あるのであれば三十年たったら公開します。そうすると、私ども、三十年後にその文書があったかどうかを請求して、それでなかった、そこまで待てという、それほど重要な、この問題というのは大変深い、日米の安全保障にかかわる、核密約問題を上回るすごい会談があの十分間で行われたと理解してよろしいんでしょうか。
○岡田国務大臣 内容については、少なくとも日本側、鳩山総理がどういったことをお話しになったかということは、総理御自身が明らかにされているところでございます。
今の委員とのやりとり、あるいは最近の委員とのやりとり、私は思うわけですけれども、外交にはさまざまな表に出せないことがございます。もちろん、それが過度にならないように常に注意しなければならない。過去の密約の問題などを見ると、それは相当反省が必要だというふうに思うわけであります。
ただ、現在進行していることについて、すぐには明らかにできないということはたくさんございます。そういうことについてどういうふうに考えていくべきなのか、私はもう少し前向きに考える必要があるというふうに思っております。政府と与党、野党、そういう立場の違いはございますが、与党、野党ということではなくて、一定の限られたメンバーに対して、もう少し、法律上の守秘義務をきちんとかけた上で、一定の情報を共有するというようなことは考えられていいのではないか、私はそういうふうに思っているところでございます。
○小野寺委員 なぜこれを聞いたかといいますと、実は、これは報道で、もしかして否定をされるかもしれませんが、なぜ記録をしなかったかというのは、このやりとり、これは恐らく初めから、米国から強硬なことを言われる、何かかなり厳しいことを言われることを予測した、事前の話し合いで、どうもこれはオバマから厳しいことを言われそうだなということがあったから、あえてメモをやめてくれ、記録を残すなということを指示したというふうに報道では、これは日米の関係筋で話が出ているということでありますので、何か文句を言われて、これを日本国民に聞かれると大変だからやめちゃおう、こんな会談記録の削除というのは私はあり得ないと思いますので、そんなことがないようにお願いをしたいと思っています。
それでは、次の質問に入りたいと思います。実は……(岡田国務大臣「委員長、委員長」と呼ぶ)では次の質問のときに初めにお答えをください。
最近、中国の日本海、日本近海への進出ということは大変大きな問題だということで、先般の委員会でも指摘をさせていただきました。そして、あの指摘の後、四月八日の後、四月二十一日にも、同じことを今度は護衛艦「あさゆき」にされている。さすがにここまで厳しいということになりましたので、これは昨日、岡田外務大臣が記者会見でお話をされております。中国などの軍事力強化を考えたとき、現在の自衛隊だけで適切に対応できるかというと限界があるということを述べられたといいますが、これはそのとおりでしょうか。
○岡田国務大臣 まず、先ほどの話ですけれども、報道をそのまま真に受けて、それをこの場で持ち出して、それを唯一の根拠にお話をなさるというのは、私はどうかなというふうに思います。報道、日米の外交関係者と非常に漠然とした言い方でありますが、どこまで範囲に入るのかというのはよくわかりませんが、そういったたぐいの報道だけを根拠にもし御質問なさっているとすると、それはやはり少し違うのではないか、そういうふうに思います。
そして、先ほどの発言ですけれども、その趣旨のことを述べたことは事実であります。
○小野寺委員 私は、なぜこの報道の話まで持ち出したかというと、あったかないか、大臣がそれを言っていただければそれで済む話ですので、通常、記録をとっていました、とっていませんでした、それが外交上の重要な秘密というふうには思えません。恐らく委員の皆さんも、記録をとっていたかとっていないかということが日米関係に重要な影響を及ぼすというのは考えにくいのかな、そう思っております。
さて、今、中国の増強について懸念を述べるということをお話しされましたが、もう一つ、岡田外務大臣、きのう、沖縄の県議会議長と面談を外務省でされたときに、このような中国の増強もあり、米軍基地の国外移設は考えていない、米軍海兵隊は日本の国民の生命財産を守る上で必要だとお話をされたというふうに、済みません、これは報道なんで、再度、報道が正しいかどうかを確認させていただきたいと思います。
○岡田国務大臣 中国のことのみを挙げてそういうお話をしたわけではありません。朝鮮半島あるいは中国を初めとする周辺国の、特に海軍力を中心とする増強の状況、そういう中で、日本国民の生命財産を守る、あるいは地域の平和と安定、そういうことを考えたときに、日本に海兵隊は必要であるというふうに申し上げました。
○小野寺委員 それが報道では、国外移転は考えないということになっております。先ほど社民党の委員がマリアナ諸島の話をされました。間違ったメッセージが出ないようにしっかり注意していただきたい、そう思っております。
さて、これは先ほども御質問ありましたが、二十三日、岡田・ルース会談、ここで具体的に、現在の辺野古案に、くい打ちなのか、沖合の方に滑走路をつくり、そして徳之島に一部訓練機能を移転するというような提案があったという報道がアメリカ側からなされました。そして、外務大臣は、この提案はないということで明確に否定を、昨日ですか、参議院の外交防衛委員会の中で答えられて、日本側として何か具体的な提案をしたという発言があるとすれば事実ではない、それはそのとおりでしょうか。
○岡田国務大臣 日米間の協議といいますか、意見交換をルース大使と私というルートで行っております。さまざまな意見交換は行っておりますが、これが日本政府として決めた案である、こういう提案は行っておりません。
○小野寺委員 ということは、まだ日本の政府案を実はアメリカ側には示していないと理解してよろしいんでしょうか。
○岡田国務大臣 前から申し上げておりますように、これは地元もあります、アメリカもあります。ですから、相互に対して、どちらかを完全に固め切って他方にということではなくて、双方の感触を探りながら最終的に着手していく、そういう問題だと思っております。
○小野寺委員 そういった中、実は私、外務大臣のこの連休中の外遊について、一言考え方をお伝えしたいと思うんです。
確かに、TICADを含めフォローアップは大事です、アフリカも大切です。ですが、今これだけ国内世論がこの普天間の基地問題で大きく揺れている中で、NPTの運用会議がニューヨークでございます。巷間聞きますと、どうもクリントン国務長官もおみえになる、そして世界の首脳がかなり集まる。このような会合に、本来であれば岡田大臣が出席をし、これほど核の問題、また前回は安保理のテーマ別討論でお話をされたように、議長をされたように、安全保障や平和の構築に大変関心が高い大臣ですから、本来、このNPTの運用会議に行って、そして、クリントン国務長官と当然一緒になりますから、そこで二国間会談を行って、鳩山・オバマ会談ではなかなかできなかったこと、そこをしっかり話すべきだと私は思うんです。なぜわざわざTICADのフォローアップ、これは実は私、副大臣のときに派遣をされました。むしろ、大臣はニューヨークを含めたこういう国際会議に出るのが通常だと思うんです。
私は、ぜひ、本来であればニューヨークに行っていただいて、鳩山総理大臣ができなかった部分を岡田大臣に補っていただきたい、そう思っているんですが、なぜこの日程になられたか、教えてください。
○岡田国務大臣 まず、TICADのフォローアップ会議は、私は非常に重要だというふうに思います。前政権時代も、中曽根大臣は出られたというふうに私は承知しておりますが、非常に短時間、数時間出られて、ほかの場所に行かれた、トンボ返りのような状況であったというふうに聞いております。
やはり、日本としてアフリカ、これは地球温暖化の問題あるいは常任理事国、安保理改革ですね、そういうことを考えたときに、アフリカというものは非常に重要、もちろんそれがあるからということだけではないんですけれども、これからの外交ということを考えたときに、私は、このTICADフォローアップ会合に私自身が出て、そして二十数カ国の閣僚としっかりと意見交換してくるということは重要なことだと思っております。
NPTの運用検討会議ですけれども、確かに委員御指摘のように、首脳というのは東ティモールとルクセンブルク、ルクセンブルクは副首相ですけれども、東ティモールは大統領、ただし外相レベルになると三十三名、御指摘のクリントン長官も含めて出てくるという状況でございます。
私もいろいろ考えました。核の問題は、私の非常に大きな関心事でもあります。ただ、これは非常に長い会議なんですね。最初は閣僚がそれぞれ考え方を述べるということであります。その上で、具体的な取りまとめ作業というものが長期間、ほとんど一カ月近くかけて行われるということであります。そういう中で、私は、前回のような結論がまとまらないということはあってはならないことだと思っております。そのためにどうすべきかと考えたときに、最初に出て演説をすることも重要だけれども、それ以上に重要なことは、やはり取りまとめをきちんと行えるように日本としてしっかりリーダーシップを発揮することだ、そういうふうに考えております。
したがって、うまくまとまるということであればその必要はないわけですけれども、もし調整が難航してまとまらない可能性というものが出てきたときには、私は、もし国会のお許しがいただければ、この五月の後半、取りまとめに入ったそういう時期に現場に行って、ほかの国の外務大臣にも集まっていただいて、しっかりとまとめるための努力をしたい、そういうふうに考えているところでございます。
○小野寺委員 私が心配をしているのは、実は、鳩山総理は、沖縄の基地問題については岡田大臣とルース大使との間でやってくれということをオバマさんにも伝え、国会の場でもたびたび言っているんです。そして、その責任者である岡田大臣が、この一番大切なゴールデンウイーク、連休中の外遊はアフリカに行ってしまう。北澤防衛大臣もほかの国に行ってしまう。そして、今お話しされた、五月の末にまたNPTで今度は私は行きますとなると、一体、この基地問題は、これだけ沖縄の方、国民が注視している問題は、だれが担当しているのか。
確かに電話とかいろいろできるんだと思いますが、私は、やはりこれだけ重要な問題ですから、じっくり腰を落ちつけてやっていただきたい、そういう気持ちはわかると思います。
○岡田国務大臣 御心配はわかります。ですから、必要があればもちろん早く帰ってくるということも、それは全く考えていないわけではありません。それは状況を見ながらということであります。
ただ、ルース大使も、大使日程をこういう場で言うことは余り適切でないかもしれませんが、今週は多分、日本にいないということでありますので、私は水曜日に帰ってまいりますけれども、大使はもう少し早く日本にお帰りだと思いますが、少なくとも今週は多分、日本にはいらっしゃらないというふうに私は承知をしております。
○小野寺委員 それでは、ちょっと防衛省にお伺いをいたします。
今回、一般的な話で結構ですが、くい打ちそれから桟橋案というのが突如浮上してきました。これは実は、普天間飛行場代替施設に関する協議会というところで従前、検討した、そのときに、埋め立てがいいのか、くい打ちがいいのか、そこを検討したことがございます。
その中で、一つお伺いしたいのは、まず、今からくい打ち案になった場合には、これは環境アセスが当然必要になると思います。通常、アセスはどのぐらいの期間かかるのか。そして、くい打ち案、このときの話であれば、工期に七年かかる、費用も六千億から七千億かかるということ、そのような見積もりがございます。そして、何よりこのくい打ち案が一番危ないのは、維持費、メンテナンス。九千本のくいを海の中に打つ、これを維持する中で、毎年毎年多額の費用がかかる。しかも、テロの危険性がある。実はこのようなことでくい打ちは否定されたと伺っておりますが、現在突然、くい打ち案が出てきました。
このことについて、防衛省としての考えをお伺いさせてください。
○長島大臣政務官 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただいたように、平成十一年の閣議決定に基づいて平成十二年の八月に代替施設協議会が設置をされまして、そこの場で、代替施設の工法、今少しお触れになりましたが、くい式桟橋工法、それからポンツーン工法、埋立工法等々が検討され、第九回の協議会におきまして基本計画、現行計画に決定をした、こういう経緯がございます。
それで、今回、今委員は恐らく新聞報道などに基づいてこういう工法を政府が検討しているかのようなお話をされていますけれども、今外務大臣からもお話がありましたように、現実にそういう確定した政府の代替案というものを見ておりませんので、仮定の御質問になりますので、お答えを差し控えたいと思います。
○小野寺委員 私は、当初、一般論という形でお伺いをしました。そして、一般論でこのような検討を行った中で、このくい打ち案はだめだということが出た。一般論として、くい打ち案が現実上やれるのか。そして、恐らく環境アセスもやり直すと四、五年かかる。工事にも七年かかる。ということは、最低十何年は今の普天間がそのまま固定化されるということにつながる、その心配があると思います。
最後にもう一点、今お話しされたように、このくい打ち案は防衛省としては妥当な案だと一般論としてお考えか、お伺いさせてください。
○長島大臣政務官 既に数年前に検討した、そして最終的に採用されなかった、こういう経緯はございます。
先ほど申し上げたように、ポンツーン工法、くい式桟橋工法、埋立工法、それぞれプラス、マイナスを検討した結果、比較的工事が簡単である、あるいは今まで実績がある、あるいは地元の皆さんの地域経済への効果などを考えて、埋立工法を最終的に採用した。したがいまして、それ以外の案が技術的に不可能であるとか、一般論として申し上げて、そういうことではございません。
○小野寺委員 一般論として、これほど大規模で、くい打ちで、これだけ大きな飛行場をつくった例は世界にはないというふうに伺っております。
時間になりましたので、後の質問は平沢委員に任せまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、平沢勝栄君。
○平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。
小野寺委員に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。
まず最初に大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、きのう、小沢幹事長の政治資金規正法違反に対しまして、検察審査会全員一致で起訴相当の決定をされたわけでございます。この問題については、もちろんこれはこれから捜査当局が判断されることですけれども、しかし、国会に一度も出てこられないで、説明責任を果たそうとしていない。今までこういった問題があったときに、政倫審という場があるわけですから、少なくとも政倫審に出てこられてきちんと説明された方がいいというより、説明されるべきだと思いますけれども、同じ党の議員として、大臣はどうお考えになられますか。
○岡田国務大臣 よくそういった質問を聞かれるわけでございます。私は今、鳩山内閣の閣僚であります。そういう立場がございますので、そういった問題についてはコメントしないことにしております。
○平沢委員 しかし、いろいろな機会に幹事長とお会いになられると思いますけれども、私は、少なくとも、全く潔白ということであるならば、何も心配されることはないし恐れることもないわけですから、政倫審というのはそのために設けられた場でもございますので、ぜひ出てこられるように大臣からも言っていただきたいなと思います。
そこで、先ほどの小野寺委員の質問を聞いていましてちょっと気になったのは、もう中井大臣はお帰りになられましたけれども、金賢姫元死刑囚にお越しいただけるかという敬語を使っておられるんです。しかし、考えてみれば、金賢姫というのはテロリストというか、百十八人の韓国の国民を、爆破して、結局死亡させた犯人ですよ。その犯人に何で日本国の大臣が敬語を使われるのかな、何か大切な人をお招きするような印象がありますけれども。
もし金賢姫が体制の犠牲者というなら、それはそのとおりですよ。それは体制の犠牲者ですよ、金正日体制の犠牲者です。それならば、じゃ辛光洙だって同じじゃないですか。今、日本が拉致の犯人、容疑者として指名手配している人、辛光洙を含めて、みんな体制の犠牲者ですよ。
ですから、金賢姫も体制の犠牲者でありますけれども、一方で、これはKAL機を爆破させた犯人でもあるわけです。そして、多くの人命を失わせた犯人でもあるわけなので、私も韓国に行きましていろいろな方とお会いしたことがありますけれども、韓国のとりわけ被害者の御遺族の方からすれば、絶対に許せない方でもあるわけですよ。
今まで韓国は、別に大韓航空機事件だけじゃなくて、青瓦台事件もありましたし、アウン・サン廟事件もありました。そのときのいろいろな犯人について、韓国の国民は、許せない、体制の犠牲者だけれども同時に許せないという複雑な感情を持っておられるわけで、それに対する思いというのがちょっとないんじゃないかなと。最大限の敬語を使っているような印象を受けましたけれども、大臣は、聞いておられて、どんなお感じを持たれましたか。
○岡田国務大臣 金賢姫氏は、かつての死刑囚であります。しかし、そこは、韓国の中の法的手続を経て、現在はそういうことではないということであります。
一般論として言えば、かつて有罪判決を受けたとしても、そのことについて何らかの理由で、刑期を終えたりあるいは恩赦を受けたり、さまざまなことでそうではなくなった場合には、基本的には犯罪者というふうに扱うのは適切ではないというふうに思います。
今、委員の御質問の中でも、方という言い方をされましたよね、金賢姫氏のことを。そういう意味では、一定の、何といいますか、単なる犯罪者ではないという認識は、それは委員もお持ちなのではないかというふうに思います。
○平沢委員 もちろん、元死刑囚で、死刑を免れたわけで、犯罪から免れれば一般人と同じですけれども、ただ、韓国に多くの犠牲者がいるときに敬語を使うというのはどうかなということで私は申し上げたわけで、先ほど言いましたように、そういった中で、一言で言えば、VIP待遇みたいな形でお招きするということになったら、これは私たちだって絶対許すわけにいきませんので、これはぜひ今後の対応をしっかり見ていきたいなと思います。
そこで、もう一つ、今、小野寺委員の質問の中で、大臣がきょうの夜から外遊されることについての質問がございました。南アフリカは大切な国ですから、私は行かれていいと思いますよ。大臣は、たしか二十三日の記者会見で、アフリカを何かどうでもいいようなふうに思っておられるとすれば間違いだということを言われたと思いますけれども、別にアフリカはいいとなんか思っていないんです。アフリカは大事な国だ、これはみんなそう思っていますし、とりわけ南アフリカは世界の大国ですよ。大変な影響力を持った国だし。
ことし、大臣は恐らくお忙しいから見ておられないと思いますけれども、「インビクタス」という、南アフリカのマンデラ元大統領の映画が日本で上映されました。本当に感動の映画です。二十七年間、獄中に入っていた黒人解放指導者のマンデラ元大統領、たしか一九九〇年に釈放されて、そして一九九四年に南アフリカの大統領に就任される。もちろん、ノーベル平和賞をその過程で受賞されておられます。
それで、あの映画が何ですばらしいかというと、あの映画の中に、政権交代というのはどういう形でやるべきかということが本当に参考になる形で出てくるんですよ、描写されているんです。ですから、私も、あの映画は特に我々もしっかり見なきゃならないですけれども、政権交代が起こったわけですから、民主党の議員の方も、あの映画を見られたら、参考になる点がいっぱいあるんじゃないかなと思ったんです。
ともかく、マンデラ大統領がおられた南アフリカに、今ももちろんお元気なはずですけれども、大統領はもう退かれました、その南アフリカに行かれるわけですから、いろいろお話しされることはあるでしょう。それから、TICAD4フォローアップ会合、これも私は大事だと思います。ですから、これもいいと思います。ただ、先ほど来ございますように、五月末までというタイムリミットの中で、普天間の問題はどうなっちゃうんだろうとみんな心配しているわけです。
それで、大臣は昨年の十二月に沖縄に行かれたと思いますけれども、それから沖縄とか徳之島に行かれたのか私もちょっとよくわからないんですけれども、いずれにしましても、特に徳之島の人たちは、この問題が今まだ決まらないという中で、いわばいろいろな情報も飛び交っている中で、もう島が揺れに揺れているわけなので、その島の人たちの思いというか気持ちを考えた場合に、いいのかなと。ですから、大臣言われているように、一日も早くアメリカとの話し合いをして、そして地元にもきちんとした説明をしてほしいというのが、沖縄であり、徳之島の方々のお気持ちではないかな。
ですから、アフリカは大事なんですけれども、同時に、徳之島、沖縄を初めとした方々にきちっとした何らかの説明を早くしてやるべきではないかな、そのことがないままアフリカに行かれるからこういう話が出てくるんじゃないかなと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○岡田国務大臣 まず、委員御指摘の「インビクタス」は、私も見ております。クリント・イーストウッドの映画は私は非常に好きなんですが、その中でも非常にすぐれた映画ではないかというふうに思っております。政権交代というものを確かに扱った映画でもありますので、非常にいろいろな意味で参考になったというふうに思っております。
それから、アフリカについてさまざま御理解いただいて、ありがとうございます。
私は、普天間の問題については、昨年の段階では沖縄にみずから行ったりいろいろいたしましたが、その後、鳩山内閣として役割分担をきちんとした方がいいということで、私は外交といいますか日米の間の調整に携わる、国内調整については官房長官やあるいは防衛大臣ということで役割分担をいたしましたので、その後、沖縄には入っておりません。この問題が、方向性がきちんとすれば、基地の問題だけではありませんが、沖縄にぜひまた行きたいというふうに考えております。
ルース大使との間では何度かやりとりをしておりますが、基本的に日米間の意見交換といいますかやりとりに支障がないということを私なりにきちんと判断した上でアフリカに行くということでございます。もちろん、途中で必要があれば、それは予定を変えるということも当然視野に置いているところでございます。
○平沢委員 先ほどの小野寺委員の質問に対しても、大臣が、この間、ルース大使もしばらく不在にされるということを言っておられました。しかし、官房審議官級の話し合いというのは当然行われているでしょうし、きのう来日したキャンベル国務次官補はいろいろな事務レベルでの会合をやっておられると思いますけれども、当然のことながら、大臣はそういった事務レベルでの、実務者の協議のいろいろな話し合いの結果の報告を受けて、またいろいろな指示とか何かを出されなければならないと思いますけれども、これは外遊中はどうなるんでしょうか。
○岡田国務大臣 もちろん、日本を離れる間も、報告はきちんと受け、そして指示を行う、これは当然のことであります。
○平沢委員 いずれにしろ、タイムリミットは五月末ということでございまして、先ほどどなたかが、方向性さえ出せば五月末はいいというようなお話がございましたけれども、少なくともそんなふうには我々も認識していないし、国民だれ一人そんな認識はしていませんので、ぜひ五月までにきちんとした決着が出るようによろしくお願いいたしたいと思います。
そこで、先ほども出ましたけれども、中国海軍の艦艇の動き、これについてちょっと質問させていただきたいんです。
中国海軍の艦艇に搭載のヘリが二度にわたって、監視中の海上自衛隊の護衛艦に異常な接近をした、いわば危険きわまりないような接近の仕方をしたということでございます。まず、事実関係を確認したいんですけれども、これが八日に起こった、そして二十一日にまた起こった。そのときの政府の対応はどういうことなんでしょうか。それから、中国側の返事はどういうことなんでしょうか。
○武正副大臣 二十一日ということで今お話がありました。八日に続いての近接飛行ということでございます。極めて近距離であり、艦艇の安全航行上危険な行為であることに加え、同様の事案が再度発生したことから、二十一日の事案発生後、速やかに外交ルートを通じて中国側に抗議を行いました。
これに対して、二十二日夕刻、中国側から、日本側の警戒監視活動に対し必要な防衛措置をとったとの中国側の立場が伝えられておりまして、日本側としては、我が方の活動は正常な行為である、中国側によるヘリ近接は危険な行為であり、今後このような行動をとらないよう、改めて申し入れをいたしました。
以上でございます。
○平沢委員 八日に近接行為があったときに、中国側に対する申し入れが、この前もこの委員会で出ましたけれども、十二日。そして、二十一日のときは即日中国側に抗議を申し入れているわけですけれども、中国側の今回の動きを見ていますと、最初に、八日に近接行為、先ほど言いましたようにいわば極めてリスクを伴う飛行ですけれども、最初のときの日本側の対応がやや手ぬるかった、だからまたやってみたという可能性というのはないんでしょうか。それはどう見ていますか。
○武正副大臣 累次というか二回、こうしたことがまた起きたということについて、先ほどもお話ありましたように、速やかに抗議を行ったということでございまして、今その分析について委員の考え方を御披瀝いただきましたけれども、これについては、政府としてしっかりとこの件について申し入れをした。さらにまた、それに対する中国側の反応に対しても改めて申し入れをした、このような行動をとらないことを改めて申し入れをしたといったところが、今の政府としての対応というところでございます。
○平沢委員 この問題については各紙いろいろと取り上げていますけれども、社説にもいろいろ取り上げられていまして、例えば朝日新聞の社説を見ますと、中国海軍の「訓練には日本の反応を試す狙いもあったと見るのが自然だ。であればなおさら、日本側の申し入れを無視した対応は認めるわけにはいくまい。まさに日本の対中外交力が問われる。」これは朝日の社説です。日本経済新聞の社説、「普天間基地問題で日米同盟がきしむなか、鳩山政権や自衛隊がどこまで強気な姿勢を見せるのか。中国側はそれを瀬踏みしたのかもしれない。日本側の対応はお粗末だった。」これは日本経済新聞の社説。ほかの新聞もいろいろと書いています。
そこで、きょうは長島政務官においでいただきました。安全保障通で、そしてアメリカにも太いパイプ、人脈を持っておられる長島政務官においでいただいたわけですけれども、長島政務官は、今回のこの中国海軍のねらいというか動き、これはどういうふうに見られますか。質問通告していませんけれども、せっかくおいでいただいたので。
○長島大臣政務官 今委員お尋ねいただいた中国の動きですけれども、これは私どもとしては、隣国でございますので、中国全体の、人民解放軍全体の拡大傾向というものにもこれまで注視をしてまいりましたけれども、特に東シナ海、南シナ海、最近は東シナ海でありますけれども、この海域における中国の特に海軍の増強ぶり、あるいは活発な活動ぶりというのは大変な注目をしておりました。
そういう中で、今回のような、十隻の艦隊を動かして、しかも二十日以上も遠洋に出て、そして日本の沖縄本島と宮古島の間の海域を抜けて、しかも、普通は隠密行動であるはずの潜水艦二隻をわざとかどうかわかりませんが浮上航行させて、中国国旗をはためかせながら通過をしていった、そして沖ノ鳥島の西方海域において対潜訓練と思われるような訓練を実施しておった。こういうことは、まさに私どもがこれまで懸念してきた状況がいよいよ現実のものになったと。
先ほど、平沢委員から日本側の対応が手ぬるかったので云々というお話がありましたけれども、しかし、こういう中国艦隊の動きというのはこれから常態化してくる。そのことが予測されておりますから、抗議のトーンが強かったとか、抗議までの期間が短かったとか、そういうことは今後はほとんど意味のない議論になっていくのかなということでありまして、こういう中国の軍の動向に対して、我が国が大綱の見直しも含めて今後どうきちっとした対応をしていくか、あるいは日米同盟関係の中でどう対応していくかが今後は問われていくのではないかというふうに思っております。
○平沢委員 全くそのとおりじゃないかなと私は思います。
中国海軍の動き、今回東シナ海から太平洋の方に出ていったわけですけれども、最近非常に活動を活発化させている。沖縄周辺もそうですし、尖閣周辺もそうですし、そして、今回は南鳥島の周辺まで行って、いわば海洋権益を確保しようというか拡大しようというか、そういう動きが顕著に見られるわけでございまして、こういった中国の動きにどう対応するかということがこれからの日本の国の安全保障のあり方として問われてくると思います。
たしか、大臣も最近、中国の名前を挙げて、その動きのことをちょっと心配されたと思いますけれども、今、長島政務官は中国の動きに懸念ということを言われたわけですけれども、大臣も同じ認識でよろしいでしょうか。
○岡田国務大臣 懸念という法律用語が適切かどうかという議論はあると思います。ただ、中国がこれから海軍力を増強するという流れにある中で、それに対して我が国あるいは日米同盟というものがどう対応すべきかということは当然議論を行わなければなりませんし、そういった日本周辺の安全保障環境というものを日米間でしっかり共有して、その上で同盟のあるべき姿を議論する、これが現在作業を行っている同盟深化のための議論の一つのテーマであるということは間違いないことだと思います。
○平沢委員 そういうことでしょう。
ですから、連立を組んでいる政党の中には、在日米軍出ていけ出ていけ、それでグアムに引っ込めばいいじゃないかというようなことを言うところもありますけれども、日本の安全保障を考えた場合に、とりわけ中国の最近の動きなんかを考えた場合に、これはただ出ていけと言うだけでいいのかどうか。やはり日本全体の安全保障の中で、とりわけ中国の最近の動きなどをしっかりと見据えながら、どうあるべきか、その中で米軍が日本にいるということの意味というか重みというのもしっかり考えていかなければならないと思いますけれども、大臣はいかがですか。
○岡田国務大臣 その点については委員のおっしゃるとおりであります。
ただ、今回のこの一連の出来事の中で二つ問題があって、今委員のおっしゃった話というのはより本質的な話だというふうに思いますが、同時に、ヘリコプターが極めて近距離飛来をした、非常に危険な状態であった。このことについては、やはりそういったことが続かないように、しっかりと日中間で意思疎通をよくし、そして、そういったことについてのお互いの共通認識というものも持たなければならないというふうに思います。
大きな事故につながりかねない、そういう危険な状況であるというふうに認識をしておりますので、今のところそういう認識は共有化されておりませんけれども、お互い共通認識を持って、偶発的なそういう事故が起きないような工夫というものは他方で必要なことだというふうに思っております。
○平沢委員 今、偶発的な事故が起こりかねないという御答弁が大臣からございましたけれども、一部報道では、異常に接近しましたけれども、これは艦隊の司令部の指示を無視してヘリの方が勝手に独断でやったというような報道があります。これは報道ベースなんですけれども、政務官、何かこれについてのコメントはございませんか。
○長島大臣政務官 お答え申し上げます。
確かにそういう報道があったことは承知しておりますけれども、これは委員も政務官をやられましたのでよく御承知だと思いますが、報道にあったような話、つまりは自衛隊によってそういう事実をつかんでいたかのような記事でありましたけれども、これは警戒監視の具体的な活動内容に踏み込む話でありますし、また、私どもが、自衛隊が収集した情報の内容について公にした場合には、我が方の体制やあるいは能力を明らかにしてしまうことになりますので、これはまさしく今後の任務に支障を来す、こういうことでございますので、従来からでありますけれども、このような問題につきましては、詳細な御答弁、あるいは明らかにするということは差し控えさせていただいております。
○平沢委員 全くそのとおりでございまして、かつて同じようなケースが日本にもあったわけでございまして、そこはよくわかります。
そこで、先ほど大臣が言われた、このような偶発的な事故を防ぐためのいわば共通認識といいますか、ルールづくりといいますか、今回は九十メートル近くまで来たということなので、九十メートルといったら、まさにこれは、間違えればもう一瞬というか一秒で事故になってしまうわけで、ですから、今後万が一起これば、これは起こったときのいわばダメージというんですか、マイナスダメージというのは極めて大きいものがあるわけで、これを防ぐためのルールづくりというか、そういうものが必要になってくると思います。
あれはたしか二〇〇一年でしたか、海南島の沖か何かでアメリカと中国の軍用機が衝突したのがありました。あれはたしか、アメリカの偵察機か何かを中国の軍用機がいわば警戒に行って、そして異常接近してぶつかっちゃって、それで中国の方がおっこっちゃった、これで米中関係はいわば大変な緊張状態に陥ったということが今から十年ほど前にありました。米中関係でもあれだけの緊張関係が起こったわけで、もしこれが日本と中国の間で起これば、これは双方で大変な、異常な緊張状態に陥ることは間違いないので、こういったことが起こらないように、事前にしっかりした枠組みづくりというのが必要になってくると思いますけれども、これについてはどうお考えですか。
○岡田国務大臣 そういったものが必要であるということは、実は、この時期に行われた日中首脳会談でも鳩山総理の方から提案をしているところでございます。
二十七日に程永華大使が講演で、日本に対してこういうことを言われているわけですね。海上自衛隊は上海沖から中国艦隊を執拗に追尾していた、こうした行為は相互理解と信頼の精神に背くというふうに発言をされております。しかし、そういった海上訓練などを行っているときに一定の距離を保ってその様子を観察するということは、これは法律に反するものでも何でもないことだというふうに思います。
ですから、では、どの範囲であればそれは国際法上問題のない行為なのかということの共通認識も含めて、そして、非常に近距離で接近することについて、どの程度であればお互い許容すべきなのか、そして、委員の御指摘のように、事故が起きる可能性というものをなくすためにはどうしたらいいのか、そういうことについて日中間で意思疎通をよくする、意見交換する、そのことは私、非常に重要なことだと思っております。
○長島大臣政務官 大変大事な御指摘だと思います。
防衛省といたしましても、昨年の十一月二十六日から中国国防部長の梁光烈さんが日本に来られまして、防衛相会談を実は行っております。その際にも、日中の防衛当局の間で海上連絡メカニズムというものを早期に確立するために、次の共同作業グループをつくって両国間で真剣に協議しよう、こういうところまでは実は国防相同士では合意に達しておりまして、今鋭意作業を進められているところで、まさに今回のような出来事をきっかけにそういうプロセスが促進されることを強く望んでおります。
○平沢委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
そこで、長島政務官においでいただいていますので、三月二十六日に韓国の海軍の哨戒艦が黄海ペンニョン島沖で原因不明で沈没しまして、これは韓国では大騒ぎになりまして、そして軍民の合同調査団が設けられまして、最近この軍民調査団が発表していますけれども、そこでの発表を見ていますと、外部爆発の可能性が高い、こういう発表をしております。そして、韓国の国防部長官は魚雷による水中爆発の可能性があるというようなことを示唆しているわけですけれども、だとしますと、これは哨戒艦の問題じゃなくてどこかほかからやられたものだ、ということは北がやった可能性が高いと。
ですから、まだ調査は引き続き続くんでしょうけれども、もし北がやったということになれば、これはもう朝鮮半島はまた一気に緊張状態が高まることになりかねないわけですけれども、これについては今の段階では防衛省はどういうふうに見ていますか。
○長島大臣政務官 今委員御指摘のとおり、二十四日に船体が引き揚げられて、その前後に軍民から成る専門家の合同調査団、これには、韓国の軍民もさることながら、アメリカ、イギリス、オーストラリア、そしてスウェーデンの専門家の方も入った合同調査団でありますが、ここで爆発原因につきまして、二十五日、内部爆発や座礁、金属疲労の可能性は否定をしました。そして、水中での非接触爆発による可能性が高いという中間報告を発表いたしまして、可能な限り早期に原因を究明する旨発表した。どのぐらいかかるかということにつきましては、先ほど少し触れられましたが、金泰栄国防部長官が、一カ月程度かかる、こうおっしゃっておられます。
したがいまして、防衛省としましては、今現在、韓国あるいは国際的な合同調査団のもとで調査が進行中でありますので、現段階で、先ほど委員が御指摘いただいたようなことも含めて、予断を持ってコメントすることは差し控えさせていただきたいということで御理解いただきたいと思います。
○平沢委員 またこの問題は別途質問させていただきたいと思います。
時間がないので、最後にまた普天間の移設先の問題について質問させていただきたいと思います。
きょう、鳩山総理が、たしか十時ころだったと思いますけれども、徳田虎雄元衆議院議員の三番町の療養中のマンションに訪ねられたはずでございます。そして、もちろんお見舞いということですけれども、当然、徳之島の件に関していろいろ話し合いをされているはずでございます。徳之島の島民の方はまだ何も聞いていない、正式な話はないと。大臣も何度もこの場で言っておられました。しかし、きょう、総理は徳田虎雄元議員のところに行かれるというのは、当然のことながら徳之島の問題についての協力のお話もあったはずでございます。
ですから、アメリカに話をして、話し合いが進んでから、それでアメリカの同意を得てから日本側に話をすると。しかし、たしかアメリカは、地元の同意がなければ話を受けてもしようがないということですから、これはいつまで言ってもしようがないはずで、そういう中でまた、今度は総理が徳田虎雄さんのところに行かれたはずですけれども、ということになりますと、島民はどうなっちゃうのかなと。島民の皆さんだけは何か全然わきの方に置かれて、何か話し合いだけが、徳之島は関係ないよ、まだ正式に話は行っていないよという中で、どんどんどんどん徳之島の話だけが周りで進んでいるという印象を受けるんですけれども、大臣も一緒にいろいろとこの問題を検討しておられる一員として、どうお考えになられますか。
○岡田国務大臣 徳田元議員のところに総理が行かれるというのは、病気のお見舞いに行かれるというふうに聞いております。そのときに、おっしゃるような普天間に関する話し合いが行われたかどうかということは、それは総理みずからがお話しになることだというふうに思っております。現時点では私は承知をしておりません。
○平沢委員 徳之島は、最近、地元の南日本新聞というのが世論調査をやりまして、奄美群島では八割の人が移設に反対と。ですから、大変にこれは厳しい状態になっているんじゃないかなと。そういう中で、徳之島の人たちに対してはまだきちんとした説明はないというより、徳之島の町長さんたちはむしろ政府と会うことを拒否している、こういう状態が続くというのは大変に不幸なことではないかなと。
では、大臣にお聞きしますけれども、アメリカとの話し合いが先ということをこの前の党首討論で総理はおっしゃられました。アメリカで了解してから、それから今度は地元に説明すると。しかし、地元の同意を得ないでアメリカの同意だけ取りつけても、了解だけ取りつけても仕方がない話なので、同時並行的にこれはやっていかなきゃおかしいんじゃないかという気がしますけれども、大臣、これはどうですか。
○岡田国務大臣 従来から私、申し上げておりますように、それはどちらかを完全に決め切った上で、例えばアメリカとの間で完全に決めて地元に、あるいは地元で完全に決めてからアメリカに、いずれもそれは現実的ではありませんので、双方向やりながら次第に固めていく、現在そういう段階であると思っております。
総理が党首討論で言われたのは、あの段階では、日米というものを優先する、そういう一つの断面を言われたものではないかというふうに思います。
いずれにしても、そういったやりとりの詳細について申し上げることは、混乱を招きますので、それは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○平沢委員 では、時間が来ましたので、最後に一つだけ大臣にお聞きしたいと思いますけれども、この前、総理は、この普天間の問題も含めて職を賭して頑張るということを言われました。大臣も当然、この普天間の移設先の問題については職を賭してこれから取り組まれるということでよろしいでしょうね。
○岡田国務大臣 外務大臣として多くの重要な仕事を抱えておりますけれども、この普天間の移設の問題はその中でも非常に重要な問題であるというふうに考えております。
○平沢委員 ということは、大臣、職を賭してということですよね。
○岡田国務大臣 私は、そういう表現を私の信条として安易に使うということはしておりません。
○平沢委員 また別の機会に質問させていただきたいと思います。
終わります。
○鈴木委員長 次に、赤松正雄君。
○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
大臣は、きょう夜から出発をされるという大変ハードなスケジュールの少し前の時間帯でございますが、また引き続き沖縄の問題、私は、日米地位協定の問題に限定した形で質問をさせていただきたいと思います。
参議院あるいは当委員会、また鈴木委員長が質問主意書で、同趣旨というか同じ角度の話をこのところ委員会で、あるいはまた質問主意書で展開をされている。そのことに関連をして、私、確認をしたり、あるいは改めて岡田外務大臣のお考えを聞きたい、そんなふうに思うわけです。
一般的には、さっき大臣御自身、さっきだけではなくて一貫して外務大臣は、通常の報道ベースの話と事実関係を峻厳に分ける、当然のことでありますけれども、そういう姿勢を貫いておられる。私は、これはあるべき姿として非常に評価するんですが、残念ながらというか何というか、一般の民間人は、私たちも含めて、新聞等の報道にかなり引きずられるという側面がありますので、そういうことも踏まえて丁寧にやっていかなくちゃいけないということを思います。
例えば、四月十日に一連の報道機関が、既に三月九日の時点で外務省が公表しているいわゆる密約、そのうちの核の問題についても調査の結果をホームページの上で公表しておられる、そういうことを受けて約一カ月後に各新聞が報道をした。その辺のことを受けて鈴木委員長も、質問主意書の中で、委員長というお立場でこういう立場に立たれないので、質問主意書の格好で質問をしておられる。ここにある「「米兵裁判権を放棄」 日米が秘密合意」、こういうかなり大胆な見出しが出ております。また、今回の鈴木委員長の質問主意書を受けた格好で、ある新聞が「駐留米兵の犯罪 裁判権譲渡 密約文書 政府認める」、こういう見出しで報道をしたりしている。
こういう一連の、外務省の肝いりでなされた例のいわゆる密約をめぐる調査及びそれに付随する公文書の公開、そういうものを踏まえて、今、私が申し上げた世の中の見方、報道機関の見方というものが存在をしているわけでございます。そういうものを見た一般の人たちは、やっぱりかと。
二年前ほどでしたか、ある学者、この間の参考人質疑に登場された方が独自の調査の結果としてそういう公文書の存在を認めたということがあったので、今さらという感じもするわけですけれども、改めて外務省がやった、また有識者との共同でやった、そういう報告書並びに付随する公文書の公開で出てきた事実、それは要するに、これは大臣の言葉でありますけれども、「裁判権の行使を譲る趣旨が記録されているという記述が出てまいります。ということは、そういった文書があったのではないかという議論が出てくるのは当然だというふうに思っております。ただ、その文書そのものが実際にあるのかどうかということについては、」二〇〇八年の時点で「そういったものはなかったということで、当時の外務大臣があるいは内閣がそういった返事をしている」。つまり、いわゆるこういう密約文書はないということを返事をした、こういうことであります。
長々と言ってまいりましたけれども、そういうことに対して、現在の大臣の基本的スタンスというのは、「そういう文書の存在を示唆する表現が情報公開の中で明らかになりましたので、今後、引き続き適切な形で説明責任を果たしていく」、ここがすべての結論だろうと思うんです。文書の存在を示唆する表現が情報公開の中で明らかになった、これはどんぴしゃで密約、密約という言葉を使って密約するというか合意するということはないでしょうから、どんぴしゃじゃないけれども、その周辺、言ってみれば情況証拠というか、そういうものを裏づけるような情況証拠はいろいろある、そういうことが今回の調査を通じてはっきりしたので、「引き続き適切な形で説明責任を果たしていく」。
どうも私も、この間から、この二つの言葉というか、情報公開の中で明らかになったということと、それから説明責任を果たしていくということに至る間に、何か欠落しているものがあるというか、もう少し丁寧に説明していただくというか、「引き続き適切な形で説明責任を果たしていく」ということの中身を明らかにしていただきたいというか、その周辺を述べていただきたい、そんなふうに思います。
○岡田国務大臣 この件については、やや繰り返しになるかと思いますが、三月の我々の調査結果の発表あるいは有識者の調査結果の発表とともに、関連文書、大量の文書をホームページに公開いたしました。その中にさまざまな情報が含まれているわけでありますが、そのうちの一つが今回のことで、マスコミによっては、新たにそのことが発見されたと、一カ月ぐらいたってから報道するものもありますが、それは実は三月九日の段階でもう明らかになっていたことであります。
そして、その中には、これはマッカーサー大使の発言というのが、昭和三十三年十月四日でありますが、そのことの文書がありまして、そこに「一九五三年十月二十八日刑事裁判権に関する分科委員会の合意議事録の中に、日本側は或る場合裁判権の行使を譲る趣旨が記録されている。」こういう表現が出てくる。かなり日にちも特定した、そういったことでありますので、普通に考えれば、そういうものがなければ大使は発言しないわけですから、そういうものがあったのではないかというふうに思われる、その可能性が疑われるわけであります。かつて、そういった特別の約束はないというふうに内閣として答弁をしておりますので、それの真偽を疑わせるような新しい文書が出てきたということでございます。
したがって、このことについて、我々は、ないということを言うつもりは全くございません。しかし、そのときも、一応探した上でなかったわけですから、さらに本格的に探すことが必要になるかというふうに思います。
ただ、これはこの話だけではなくて、いろいろなことがこれからも出てき得る、そのたびにその周辺だけ探しているということになりますと、結局、文書公開全体の作業がおくれるということにもなりかねない、そういう問題もございます。ですから、今、私を長とする文書公開に関する検討組織というものを省内につくって議論しておりますが、その議論の中に、どういう分野から公開していくか、これは膨大な作業でありますので、一挙にはできませんので、どの分野から作業していくかということの議論ということも含まれております。
私は、これはかなり特定された話でありますので、極めて膨大な作業を必ずしも要するものではない。もちろん、探した結果、ないと答えて、また数年して本格的に全体を公開したら出てきたということであってはなりませんので、それなりの調査ということは要するわけでありますが、これだけ特定された話でありますので、私は、優先的にその周辺の資料を探すという作業がなし得るのではないか、そういうふうに思っているところでございます。
○赤松(正)委員 ということは、鈴木委員長の質問の中に「「裁判権密約」については、先に外務省において有識者委員会が結成され、調査が行われていた四つの密約の件が片付いてから対処の仕方を検討する旨の答弁がなされていた。」という質問のくだりがあり、その答弁として、「調査の結果の公表後、御指摘のような調査は行っていないが、お尋ねの「裁判権密約」の問題については、引き続き、適切な形で説明責任を果たしていくよう努力したい。」。
これは先ほど来の外務大臣のお答えと一致するわけですが、三月の公表以降今日まで調査はやっていないけれども、これから先、適宜やる。必要なことに応じて、それに全面的に突入するということではなくて、一定の、それをフォローアップする人たちの手によって、そこの事実を明らかにしていく作業というのは引き続きやる、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕
○岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、このたぐいの話というのは一つではございません。それから、もっと関心を持って見られている、そういう一群の文書もございます。そういう中で、どういう優先順位をつけていくかという問題だというふうに思います。
この問題は、私、一つ思いますのは、現在、効力がないことはもう明らかであります。効力があるなら、何らかの文書が今でもあって、そしてその基準に基づいて、例えば法務省が起訴するしない、そういうことを決める、そういう基準があるはずであります。そういうものがないわけですから、そういう意味で現在、効力がないことではありますが、しかし、先ほども言いましたように、かなり特定した話でありますので、ある程度優先して文書を公開していく、その対象になり得るのではないか、私はそういうふうに思っているところでございます。
○赤松(正)委員 今、この問題、日米地位協定にかかわる、これは適切かどうかわかりませんが、いわゆる広義の意味における密約というふうに言ってもいいかと思いますが、これは先ほど来お話があったように、沖縄の県民、また私自身もこの委員会で何回も言ってまいりましたように、基地をどこに移転していくかという話とまた同じように重要な日米地位協定の改定という問題に、直に絡んでくるわけですね。そして、県民の皆さんが地位協定の改定について強い関心を持っておられるテーマが幾つかあろうかと思いますけれども、やはりその最大の問題がこの犯罪容疑者の取り調べということ、こういうことになっていくんではないか、こんなふうに思うんです。
そこで、きょう、ぜひお尋ねしたいことは、この日米地位協定の改定という問題が出されるたびに、さまざまな抵抗というのがいろいろな角度からあるわけですけれども、私がこうやって述べるまでもなく、大臣でも副大臣でもいいんですが、要するに、この日米地位協定の改定というものと、それから運用見直し、運用の部分における改善、これが常にずっと前政権のときに二つの拮抗というか対立というのがあったわけですけれども、大きな地位協定改定をしづらいというかできないということの背景、そういう問題点、これはどのようなものが日米間の協議を通じて浮かび上がってきているか、その辺について、現在の政府の認識を示していただきたいと思います。
○岡田国務大臣 まず、日米地位協定について、その見直しというものを検討するということは、我々、政権をつくるに当たっての与党三党の合意の中にも、その旨、書かれていることでございます。その認識は全く変わっておりません。
ただ、日米間でさまざまな課題があるときに、特に現在、普天間の基地の移設の問題で、これだけ日米間でさまざまな、いろいろなやりとりをしているわけですけれども、そういう中で、またこの地位協定の話を同時に持ち出すことがいい結果につながるかどうかということも考えておかなければいけない問題だというふうに思っております。
したがって、私は、より本格的に議論するのは、やはり基地の移設の問題についての方向性が出た後だというふうに思っております。
しかし、この地位協定の議論の中で、特に環境に関するところについては、基地のある知事さんや市長さんの中からも、その見直しについてかなり御議論をいただいておりますし、そういうことについて、今の日米地位協定に環境に係る規定はないわけでありますけれども、何らかの、それに対応することができないかということは議論をする価値があるんではないか、そういうふうに思っております。
○赤松(正)委員 それは、今言われた環境条項を入れるということについては、私どもも強い関心とそういうふうにすべきだと思っているわけですけれども、きょうだけではなくて、ずっと大臣は同趣旨の答弁をされていて、今、基地の移転の問題をめぐって議論しているときにこの地位協定の問題を出すと、事態がより一層ややこしくなっちゃう、だから後回しなんだ、こういうことなんでしょう。
そうすると、環境条項のことについて今、一つ例として出されましたけれども、その環境条項を入れるという問題も含めて、現実にはまだ、政権につかれてからの八カ月間ですか、この間に、具体的に提起はしていないということですね。
○岡田国務大臣 正式な提起ということでは、それはございません。
ただ、いろいろなやりとりの中で、そういうことについて問題意識を日本側として持っているということは申し上げております。
○赤松(正)委員 私の方も繰り返しになるんですが、やはり沖縄県民の関心の強さということがあるがゆえに、真正面から地位協定改定というものを持ち出して提起をする議論というのは、先ほどから出ているように、後でもいいにせよ、小出しというか、その状況というか、その周辺の問題については、さまざまな形で問題提起をされた方がいいんだということを言ってきているわけです。
その際に、実は、私はきょう確認をしておきたいと思いますのは、特にそういう米兵の犯罪容疑者の取り調べ等をめぐって、アメリカ側にさまざまな日本の要求をするというケースが、政府ベースじゃなくて、我々議員のベースである。名前は明らかにしませんが、私たちの仲間で、米側に、そうした先ほど来の米兵裁判権云々の問題等を含めて言った場合に、最近持ち出されるケースとしては、例のクウェートと日本とのいわゆる地位協定の話、あるいはジブチとの地位協定の話、こういうものを持ち出して、日本が駐留する地域における地位協定においてそういう自衛隊員の特権を認めているじゃないか、だから云々という格好で、ある種、鬼の首をとったような形で向こうから返ってきたというケース。
それから、もう一つ、民間の人が、これはたまたま最近出た本で、なかなかおもしろいんですが、「日米地位協定と米兵犯罪 密約」という、大臣も恐らくざっと読まれたんだろうと思うんですが、私も後半部分を読みました。この中に、二〇〇八年二月二十九日に市民団体日本平和委員会が外務省に地位協定改定の申し入れをした際、当時の日米地位協定室長が答えている、発言をしている。「米兵犯罪の防止には、地位協定の改定よりも運用改善の方が実効的だ。もし地位協定第十七条を変えれば、それが海外展開する自衛隊の法的地位に影響を与えることも考慮している」、そういう趣旨の発言が返ってきた。
これは、要するに外務省側のスタンス、それから先ほどの、私たちの同僚議員がアメリカ側に対して地位協定の改定を訴えたときに、いや、日本もクウェート、ジブチ等で同じことをやっているじゃないか、こういう返答とまさに軌を一にするものですが、こういう外務省側のスタンス、それから米側のスタンス、この二つを見て、外務大臣はどのように感じられますか。
○岡田国務大臣 まず、御質問にお答えする前に、その前の環境条項について、日米間できちんと提起すべきではないかという委員の御意見に対しては、しっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思います。沖縄の負担の軽減という中で、沖縄県からも御要望をいただいている重要な点でございます。
それから、この問題、今委員御指摘の問題は、確かに、軍を派遣している国から見ると、やはり自分の国の中でなるべく自己完結的にやりたいという気持ちがあるということは、これは日本もそういう立場になればわかることでありまして、いろいろな手続なども異なる、そういう裁判手続にゆだねたときに、被疑者といいますか、その人権が果たして守られるのか、それについては十分に配慮しなければいけない、そういう考え方というのは、これはこれでわかるところであります。
そして、この日米の問題につきましては、現在の取り扱い、すなわち、日米間では、我が国当局が起訴した後に被疑者を我が国に引き渡すということを基本としつつ、殺人または強姦という凶悪な犯罪の特定の場合については起訴前の引き渡しを可能とする枠組み、これが現在の日米の枠組みであります。
アメリカとの関係で見てみますと、こういう枠組みを持っているのは日米間だけである。ドイツなどは、むしろ原則はアメリカに裁判をゆだねる、そういう取り扱いをしている。そういったアメリカから見たときの他への波及、あるいはバランス、そういうことも議論しなければならない一つの重要な点ではないかというふうに思っております。
○赤松(正)委員 大きい意味で、大枠として、先ほど私が、外務省の担当あるいは米側の担当、それが反論するというか、そういうことの意味はわからぬではない、先ほど大臣の答弁にもそういう趣旨の意味合いの言葉がありました。
しかし、日本とアメリカを同列に論じることはできないなという感じも同時にいたしますので、ここはやはりそうした反論をはねのけて、日米地位協定の改定という問題、これは大臣が繰り返しおっしゃっているように、移転先が決まった後、五月にきちっと着地させるという自信を大臣は持っておられるというふうに私は了解いたしておりますので、その後、ぜひとも、私は、常々言っておりますように、さっきも言いましたけれども、ダブルトラックが望ましいと思っていますが、大臣としてはその後にしっかりやるということをおっしゃっているので、大いにそこの姿勢というものを期待したい、そんなふうに思います。
最後に、先ほど来出ております、今夜から南アフリカに出発をされる。私もアフリカの重要性というのは十分に認識をしておるわけで、大事な会議に臨まれるわけですけれども、その間の、先ほど同僚委員からもお話がありましたけれども、沖縄にまつわる問題について、総理大臣、担当の官房長官、前原沖縄北方領土問題担当大臣、そして外務大臣、関係大臣の間で、どのようにゴールデンウイーク期間中を過ごすか、この問題をめぐってどのように対応をしていくかということについて、何らかの申し合わせというか、そういう仕組みというか体制をつくられたんでしょうか。
○岡田国務大臣 特にゴールデンウイークのために新たな体制をつくったということはございません。
ただ、ゴールデンウイーク、この十日間ぐらいを見通して、どういったことを行わなければならないかというようなことは、総理や官房長官とはよくすり合わせをしているところでございます。それをきちんと行った上で、支障がないということで、私はアフリカに向かうということでございます。
○赤松(正)委員 では、終わります。
○小宮山(泰)委員長代理 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
地球温暖化対策について、国際交渉を担う岡田大臣に質問いたしたいと思います。
昨年十二月のCOP15には私も参加いたしまして、徹夜審議を見守るということでありました。気温上昇を産業革命前に比べて二度C以内に抑えることや途上国支援などで合意をしましたけれども、肝心の温室効果ガスの中長期削減目標は決められずに、今後の課題となりました。
これから大臣はアフリカに出発されるということで、まさにこういう問題は現地でもまたあると思うんですが、COP16まであと七カ月ということになって、国際合意づくりは待ったなしだと思います。ところが、去る四月二十日の本会議質疑で私もただしましたが、地球温暖化対策基本法案では、すべての主要国が、公平なかつ実効性が確保された国際的な枠組みの構築、それから意欲的な目標の合意という前提条件をつけて、それが満たされなければ中期削減目標は設定されない仕組みになっております。
民主党は、野党だった二〇〇八年、岡田大臣が本部長をされて、私もいろいろな場面で議論をさせてもらいましたが、二〇二〇年までに九〇年比で二五%削減の中期目標を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案をまとめられて、国会に提出しました。その法案の内容をマニフェストに盛り込んで、昨年の総選挙を戦ってきたわけであります。
そこで、大臣、かつて民主党が提出した法案、また昨年のマニフェストでは、中期削減目標に前提条件はつけていなかったんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○岡田国務大臣 我々が野党の時代につくった法案については、そういう条件は特に付していなかったというふうに記憶をしております。
○笠井委員 では、今回、前提条件をつけた理由について、鳩山総理は本会議の答弁の中で、主要国の背中をしっかり押して積極的な取り組みを促すためというふうに説明をされておりますが、大臣も同じ考えでしょうか。
○岡田国務大臣 この二五%削減ということについては、閣内でもいろいろな議論がありますし、国会の場でもさまざま御指摘もいただいております。
日本だけがそういった拘束を受けるということになると、それは地球規模全体の温暖化問題にはほとんど効果がないといいますか、日本の温暖化ガスの排出量のウエートというのは決して高くありませんので、高くないのみならず、日本だけが拘束を受けるということは避けるべきではないか。こういう話の中で、我々としては、むしろこの二五という高い数字をてこにして、COP15では必ずしもうまくいかなかったわけではありますが、国際的な、主要国がきちんと参加をした、そういう枠組みをつくる、そのことを目指しているわけでございます。そのことを法案の形であらわした、それが今回の政府提案の法案であります。
○笠井委員 今、説明があったわけですが、日本だけが拘束力を受けるというようなことを言われたんですが、それは大臣御自身が野党時代にとっていた立場と、率直に言って、私は違うんじゃないかと思うんですね。
大臣は、国際交渉でリーダーシップを発揮するためにはまず日本が中期削減目標を明らかにすべきだということで、当時、自公政権を厳しく追及されました。ところが、今度の法案では、すべての主要国の国際的な合意が前提ということでありますが、これをやっていきますと、日本はすべての主要国が出すという状況の中で前提条件を外しますよとなりますと、結局、日本は主要国の後から一番最後についていくということになっちゃうんじゃないですか。一番最後についていく、リーダーシップじゃない。
○岡田国務大臣 いや、ですから、今晩からアフリカに向かうわけですが、アフリカの諸国というのは最も影響を受ける国々であります。そういった国々に対して、コペンハーゲン合意に賛同して、そしてその先、COP16においてよりしっかりとした国際合意をつくる、そのことを私はお話ししてこようと思うわけであります。そういう話をするに当たっても、二五という数字を法律に書き込んであるということは、私は大きな力になるというふうに思っております。
○笠井委員 書き込んであるけれども前提条件。恐らく大臣自身もじくじたる思いがあるんじゃないかと私は今伺いながら思うんですけれども。こういうのはリーダーシップとは言わないと思うんですね。
二〇〇八年の福田首相の包括提案というのがあったときに、中期目標が示されなかったことに対して、大臣は当時、先進国が先というインドや中国を巻き込みたいのなら率先して目標を明らかにしてやらないといけないんだというふうに言われたわけで、前提条件をつけたのは重大な後退だと思うんです。
私は、これはEUと比べても対照的だと思うんですが、EUは二〇%をまず掲げるということで、他国が取り組むならば三〇に引き上げるという、まあ二段構えになっていて、野心的な目標設定をしているということでありますけれども、EUのある有力な国の外交官とも話したときに、こう言っていました。EU内にも、なぜ米国や新興国が出さないのに自分たちだけが野心的な目標を出すのかという意見があったのは事実だけれども、まずみずからが率先して野心的な目標を掲げて取り組まなければ結局進まないし全体もまとまらないという立場でやっているんですと。私、印象的だったんです。
条件つきということは、結局それが満たされるまでは日本は目標を持たないということになりますから。洞爺湖サミット前に福田首相は、多くの国の参加を得るためには公平性の確保がかぎだと言ったわけですけれども、結局それは今度の法案の前提条件と同じことになっているわけですね。これに対して岡田大臣は、当時、その福田首相に対して、日本が自分の数字も持たないでサミットをやるといっても説得力を持たない、気がついたら日本だけが取り残されていたということになるんじゃないか、こう言っておられたと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。
○岡田国務大臣 今、日本の二五%という数字は、国際的には高く評価されているというふうに思っております。それから、そういう条件がついているから目標がないということではなくて、それは、COP16に向けて、そういった国際環境を整えるために最大限の努力をするということが前提でございます。
同時に、国内にもいろいろな議論があるわけですけれども、確かに、温暖化ガスの排出というのは、ここ数年、経済危機の前まではふえてまいりました。そういう中で、さまざまな不安感があることはわかりますが、具体的な政策を早く導入することでしっかりと、日本経済がこの二五という数字を達成することは決して不可能ではない、そういう方向性が現実に出てくれば、私は、この二五という数字は国民の中でもより多くの賛同が得られるようになるんじゃないか、そういうふうに思っているところでございます。そういうことも勘案しながら考えていかなければいけない問題であるというふうに思っています。
○笠井委員 私、これはぜひ日本がイニシアチブを発揮してもらいたいと思うから質問しているわけですが、この数字、二五%歓迎というふうなことがあっても、結局、前提条件がついて失望というふうになっている部分が多いんですね。
それで、政策導入をするためにも、やはり魂というか目玉というか、やるんだということをしっかりと掲げないとそれが本当に進まないということになると思います。
私、なぜ野党時代の法案やそれからマニフェストになかったような前提条件ということで重大な変更をしたのかということで、関連して伺いたいんですが、大臣は、この前提条件の削除の要求ということがあるのに対して本会議で答弁されて、お答えの中でこう言われました。二十日ですけれども、「自由に排出する主要国がある一方で、日本のみが厳しい目標でみずからを縛りかねない、そういった批判がある」と言われました。この批判というのは、どこから出されている批判なんでしょうか。
○岡田国務大臣 これは主として国内であります。もちろん経済界の一部からもそういう声はあります。しかし、国民レベルでもなかなか、そういった高い目標を掲げることが大きな負担につながる、そういう認識が残念ながら一部にございますので、そういったところからは批判をいただいているところでございます。そういったところは、いや、そうではないということを実際に方向づけするということ、そして同時にきちんと国民の皆さんに伝わるようにしていくということ、そういったことを政府が行わなければならないことだと。
温暖化というのはピンチじゃなくてチャンスである、そして、どうしてもそれはやらなければいけない問題であるということをしっかり政府がもっと国民の皆さんに御理解いただくように伝えていかなければいけない、そういうふうに思っております。
○笠井委員 そのためにもすっきりやる必要があると思うんですが、経済界の一部と言われました。まさに一番言っているのがそこのところで、そのキャンペーンの影響もあって国民の中にもそう思っている方もいられるということだと思うので、私はやはり、あれこれありますけれども、温暖化対策に一番激しく抵抗している、経済界の一部と言われました、まあ、一部ということだったらいいと思うんですが、中期削減目標設定に反対しているときの決まり文句がそういう彼らの話なわけですね。そういう反対や抵抗に屈したりおもねっちゃいけないというのが、まさに大臣が野党時代に言われたことだと思うんです。
私も、週刊ダイヤモンドというので、二〇〇八年二月二日号で見ました。経団連を説得できるかというふうに問われて、当時民主党の本部長だった岡田大臣は、反対しているのは一部産業、企業であって、彼らを真剣に説得するのが政治家の役割だ、そして経済産業省の役割だ、産業界の言っていることをオウム返しするだけの経産省では存在価値がないとまで当時厳しく言われてきたわけであります。そこのところは本当に大事だと思うんです。
さらにその点で伺いますが、批判の中身として、先ほどの答弁のことでもう一回あれしますと、日本のみが厳しい目標でみずからを縛りかねないということを挙げられましたけれども、それはどういう意味でしょうか。日本のみが厳しい目標でみずからを縛りかねない。
○岡田国務大臣 まず、今、経済界の一部というふうに申し上げましたが、労働界の一部もというふうに申し上げておきたいと思います。もちろん国民の中にも、先ほど言いましたように、そういった声はございます。そういったところにきちんと説明し、そして納得をしてもらわなければいけない、そういうふうに思っているところでございます。そのための努力は外務大臣になった今もしっかりと続けなければならない、そういうふうに考えているところでございます。
日本のみが拘束されるというのは、要するに、二五というのはそう簡単にできる数字じゃないことは事実であります。そのためにさまざまな、固定価格買い取り制度とか炭素税とか排出権取引とか、そういう制度を動かしていかなければいけません。それぞれ、国民に一定の負担、あるいは経済活動に一定の負担がかかる、そういった面があることも事実であります。
何のためにこれをやっているのか。地球温暖化という、人類、もちろん日本人も含めた人類の大きな課題に対して、日本はその解決のために努力しているんだということでありますが、日本だけが二五%を達成したとしても、他の大きな排出国、例えば中国やインドやあるいはアメリカがどんどん排出をするということでは温暖化問題の解決にならないわけでありますから、そういう意味では、そういった国々も巻き込んで、地球全体として二度Cの上昇以下に抑える、あるいは、今、中期の目標の話をしているわけですけれども、二〇五〇年に八〇%先進国は削減する、そういった目標のためにしっかり努力をしなければいけない、そのことをより説得力を持って語っていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
○笠井委員 経済界の一部、そして労働界、労働組合の一部というのは連合なんかのことだと思うんですが、その中からは、結局この問題については、目標にきゅうきゅうとして、企業の国際競争力、ひいては日本の経済、雇用に深刻な影響を及ぼしかねないという議論があるわけで、それこそ大臣が野党時代に、それは間違っていると批判されてきたことであります。
昨年六月、麻生首相が経済界の意向に沿う低い中期目標を発表した際も、談話を発表されましたよね。国民負担の増加や経済の減速のみを強調することは妥当でない、日本でもさらなる温暖化対策を講じることによって、内需拡大や雇用創出、省エネ技術の普及によるエネルギーコストの低減、エコ製品のマーケット拡大に伴う経済が期待できるはずだと、まさに今大臣言われたようなことで、厳しい立場で当時言われてきたわけで、そういう説得の努力をする、そして新興国などを巻き込んでいくというふうにやるためにも、前提条件というのはもともとない議論で、ずばっとイニシアチブを発揮しろと言われてきたわけですから、これは外すべきだと私は強く言いたいと思うんです。
その点で、もう一点だけあれなんですが、ことし十月には、名古屋で国連生物多様性条約の第十回締約国会議、COP10が開かれます。
生物多様性にとって温暖化は大きな脅威であることは言うまでもありません。IPCCの第四次評価報告書では、地球の気温が一―三度上昇すると生物種の二〇%から三〇%が絶滅の危機に瀕すると予測をしている。政府がことし三月十六日に閣議決定した生物多様性国家戦略二〇一〇でも、今後、地球温暖化が進めば、多くの種で絶滅のリスクが高まると予想されると明記しております。
国家戦略では、例えば、サンゴ礁については、約一―三度の海面温度の上昇により、白化や広範囲な死滅が頻発すると予測される、ライチョウでは、年平均気温が三度上昇した場合には絶滅の可能性が高いと、温暖化と種の絶滅のつながりを指摘されているわけであります。
日本は議長国ですから、議長国として二〇一一年以降の条約戦略計画の改定を取りまとめる大きな責任があると思います。その日本が、温室効果ガスの削減目標二五%を、中期目標を無条件で掲げて、やはり温暖化抑制に率先して取り組むことが多様性の維持のためにも欠かせないと思うんですけれども、その十月のCOP10の時点でも日本の二五%目標はまだわからないということでは、私は、大臣、議長国としての役割、責任が果たせないと思うんですけれども、その点はどうお考えでしょうか。
〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡田国務大臣 委員御指摘のように、この温暖化の問題と生物多様性というのは、非常に結びついた問題でございます。気温が上がれば、例えば鳥類などは羽がありますからある程度移動できるかもしれませんが、委員御指摘のサンゴとか、あるいはカエルとか、そういった羽のないものはなかなか動けないということで、私は非常に関心を持っているところでございます。
しかし、だから議長が務まらないという委員の御指摘は、いかがなものかと思います。
私は、この二五%については、一つは、これは全力で国際環境を整える。そういった大きな排出国、主要な排出国で一定の義務を負わないということにならないようにしなければいけない。そのために全力を挙げるというのが一つ。
それからもう一つは、やはり国内で二五%ということが、これは実現可能なんだということが見えてくれば反対の意見も当然減るわけでありまして、そういう状況を見きわめながら、このついた条件の扱いを考えていく、そういうことだというふうに思っております。
○笠井委員 いずれにしても、政権についたらころっと変わる、前政権の環境大臣に対して大臣自身がそういう批判をされてきたわけで、みずからそれをやるようでは国民が失望しているわけでありまして、やはりきっぱり前提条件は削除すべきだということを言いたいと思います。
最後に一問だけ伺っておきますが、国内排出量取引制度についてなんですけれども、この創設についても大臣はこだわりを持って野党時代から自公政権を厳しく追及されてきました。
当時、大臣が主張していた国内排出量取引制度というのは、原単位方式というのを考えていたのかどうか。そして、今回、法案で見ますと、検討結果によっては採用するということであるわけですけれども、それが本当に意味ある制度だとお考えなのかどうか。今回の法律で施行後一年をめどに成案を得ると言っているわけですから、私は、こういう方式を採用するというのは、本来大臣が言われていたことからすればあり得ないんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○岡田国務大臣 総量方式と原単位方式というのは、二つの局面があるというふうに思います。
私が野党時代に議論してきたのは、国としての目標そのものを、原単位というものを加味してやるべきだという意見に対して、それはやはり総量でやらなければ意味がないということ、つまり、例えば二五%ということを決めるときに、それはやはり総量方式の結果として二五というのが出てくるのであって、原単位ということを加味するというのは、それは違うのではないかということを申し上げてまいりました。
今議論になっておりますのは、委員御指摘の、排出量取引における総量方式か原単位方式か、こういう議論であります。
私は総量方式が基本になるべきだというふうに考えておりますが、今までさまざま努力してきたということを全くカウントしないというのもいかがかというふうに思いますので、原単位方式を加味するということは、それは全く案にならないわけではないというふうに思います。
ただ、率直に申し上げて、政府の中でも、原単位方式をどの程度重視するかということについては、まだ意見の幅がございます。そういったことはこれから閣内で、政府の中でもしっかり議論していきたいというふうに思っております。
私としては、やはり基本的には総量で規制しないと全体の量の減少ということにならない、そういうふうに基本的には考えているところでございます。
○笠井委員 まさに最後に言われたように、原単位方式というのは、生産量がふえればその分ガスの排出量もふえて、単位当たりの削減はできても総量を抑えることはできないわけでありまして、総量方式が基本というわけでありますが、原単位方式も採用するとなれば強制力は弱まります。それから、それが拡大していくということも否定できなくなってくる。だから、そういう方式というのは採用すべきでないということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四分散会