衆議院

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第6号 平成22年4月7日(水曜日)

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平成二十二年四月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石山 敬貴君

      打越あかし君    加藤  学君

      金子 健一君    京野 公子君

      後藤 英友君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    高橋 英行君

      玉木 朝子君    玉木雄一郎君

      津川 祥吾君    仲野 博子君

      野田 国義君    福島 伸享君

      柳田 和己君    山岡 達丸君

      山田 正彦君    和嶋 未希君

      伊東 良孝君    江藤  拓君

      小里 泰弘君    金田 勝年君

      谷川 弥一君    長島 忠美君

      山本  拓君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   国土交通大臣政務官    藤本 祐司君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     近藤 和也君

  道休誠一郎君     加藤  学君

  中野渡詔子君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     中野渡詔子君

  加藤  学君     打越あかし君

  近藤 和也君     石原洋三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     道休誠一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東良孝君。

伊東委員 おはようございます。

 まず冒頭、委員の皆さんに理解を求めたいところでありますけれども、けさの理事会で、昨日の加藤紘一委員の質問にございました輿石議員の自宅の農地不正使用ということに関しまして、参考人として出頭要求があったというふうに聞いているところであります。事実解明のためにこれは必要なことだ、私どももそう思っておりますので、皆様の御賛同をぜひお願いしたい、このように思う次第であります。

 それでは、早速、食料・農業・農村基本計画ほか、質問してまいりたいと思います。これまでもたくさんの質問がされましたので、質疑がありましたので、簡単に、まず私どもの地元のことに関しての質問でありますけれども、させていただきます。

 北海道東部、私どもの東北海道でありますけれども、この地域の主要産品は、酪農あるいはてん菜等々であります。この計画の最後のページの方の、平成三十二年度における生産数量目標、これが示されているところでありますけれども、主要産品であるてん菜、そしてまた鶏卵が、平成二十年度の目標を下回っているところでもあります。

 特に、てん菜は一〇%の減でありまして、人口減少その他もろもろ、いろいろ要因がある、こういうところでありますけれども、てん菜だけ大幅に少なくなっている主たる原因について、理由についてお伺いします。

山田副大臣 北海道でてん菜が大変重要な作物ということはよくわかってはいるんですが、サトウキビもそうなんですが、実際に、砂糖については非常に今、赤字というか、当然のことながら、生産者に対する支払いとそれの価格の差額は国が補てんしているという、いわゆるALICで補てんしているんですが、その金額が七百億ぐらいに上りつつある。一方、砂糖の需要もいろいろな意味で落ち込んでおったり、異性化糖等々の問題もいろいろありまして、これ以上てん菜等についても作付を、大変重要な作物であることはわかるんですが、何とかならないものか。

 私どもとしては、でき得るならば、直まきにして、輪作体系もありますから作付面積はそのままにして、収量は一〇%減っても、てん菜の収益だけは十年後にも確保できる、そういう形で計画を今回つくらせていただきました。どうか御理解いただければ、そう思っております。

伊東委員 農家にとりましては、生産意欲が著しく減退する、あるいは将来の営農計画に暗い影を落とす、そんなイメージを持つわけでございます。

 また一方、主要産品である牛乳であります。生乳の生産量が二十年度比横ばいの八百万トンとなっているわけであります。現計画の二十七年度目標は九百二十八万トンに設定していたわけでありますから、五年後に九百二十八万トンの目標であったこの計画を八百万トンに落とすというのは、これはいささか、やはり農家にとりましても大きな意欲減退につながる。

 そして私は、意欲をかき立てるためだけではなく、山田副大臣、きのうおっしゃられていましたけれども、いわゆる人口が減少する、あるいは高齢化が進む、一人当たりの消費量も落ち込む等々を考えると、これは生産調整を一定程度しなければならない、こういうお話であります。しかしながら、十年後、世界的な人口がそれでは一体どうなるかというと、年に約八千万ずつふえていくわけでありますから、恐らく七十五億以上になっているでありましょう。さらにまた、温暖化が進む、気候変動がある等々を考えますと、私は、食料などというのはそう順調に日本に入ってくるものではなくなるという感じがいたしております。

 そうしたことをやはり見越した上で、この現行四〇%しかない自給率をどうやって上げるかなんです。ですから、四〇%の現行を基準として、消費が伸びないのではないか、あるいは高齢化が進むのではないかなどということで、この四〇%の現行水準を維持しようと思うから、こういったような数字が出てくるのではないでしょうか。

 日本に食料が入ってこなくなることをやはり前提として考えて国内の生産量をアップさせるということが、この基本計画というこれからの十カ年の計画の中では必要だ、私はこのように思うところでありますけれども、きのうの御答弁もありますが、再度、この点につきましてもお示しいただき、牛乳についてもぜひお答えいただきたいと思います。

山田副大臣 今、委員のおっしゃることはよくわかるんです。てん菜についてももう少しというか、サトウキビもそうですが、もっと大きな目標を立てて、それをやることはできないか。確かにできないことはないと、これも検討させていただきました。

 例えば、てん菜とかサトウキビにおいては、いわゆるバイオ燃料としてのエチルアルコールに生産をシフトしていくという方向、これも検討させていただきまして、サトウキビではそういう方向も、また、てん菜でもそれも考えておりまして、ぜひそういう方向でも、委員とも相談しながら、北海道の農家がそういった中でてん菜でも希望を持てるようなことは、これからまた考えさせていただきたい、そう思っております。

 生乳についてですが、これについては、九百二十八万トンと平成十七年に目標を立てております。ところが、実際に、二十年度ですか、七百九十五万トンなんです。目標を九百二十八万トンにしながら、七百九十五万トン。私どもも計画をつくるに当たって、それは八百万トンではなくて九百万トンでもしたい。しかし、では五年後に、我々がつくった計画が実証される、検証されるというときに、いいかげんな数字を私どもつくるわけにはいかない。

 そんな中で、特に生乳については、委員御指摘のように、今、熊本のマザーズ牧場が輸出にかなり力を入れて伸びてきています。これから世界の食料危機のときに、あるいは輸出に向けられるとか、今、一元集荷をやってまいりましたが、むしろ、いわゆる牛乳の消費がどんどん落ちてきている中で、どうやったら、おいしい、牧場にある生に近い牛乳を消費者にもう一回飲んでもらうことができるか。学校給食に低温殺菌ですべてを、もう一回おいしい牛乳を飲んでもらうとか、牛乳の消費拡大とか、もう少し夢のある政策をとりながら、牛乳についても、生乳についても、ひとつ北海道の委員の皆さん方、一緒に、基本計画にはこういう現実的な数字を出させていただきましたが、ぜひこれからの検討課題として頑張らせていただきたい、そう考えているところです。

伊東委員 私が言いたいのは、現行、日本の国全体が四〇%の自給率の中で、需要があるわけです。ですから、これを五〇%に上げたい、そしてまた生産を大幅に伸ばしていくという考え方の中に、余りにも現行水準の消費量にとらわれ過ぎている。あるいは、日本の需要がこの先減退するのではないかということにとらわれ過ぎた今回の数字ではないか、そんな気がしてなりません。

 世界じゅうはこれから食料危機と飢餓と、今現在でも約十億人の飢餓人口があると言われているわけでありますから、そうしたことを考えたときに、これからさらに八億も十億もこの十年先にふえている、そんな世界の状況を考えたときに、日本の食料生産のあるべき姿や、あるいは今後の増産計画というのはもう少しシビアに立てていくべきではないかということから、私はお話をさせていただきました。

 さて、きのうもちょっと話が出ておりましたけれども、農業農村基盤整備事業費が今回大幅にカットをされております。ついこの間、私どもの地域などは本当に八割カット、九割カットという数字でありました。もちろん土地改良を含むものでありますけれども、しかし、過日、北海道庁の農政部によります基盤整備の有効性に関する調査報告というのがありまして、基盤整備をしたところとしていないところの差というのが明らかにあるということが出てまいりました。長雨、冷害その他もろもろでありますけれども、こうした基盤整備をきちんとしているところはそれなりの、八割、九割の収量を確保できた、しかし、それができていないところは一割か二割しかとれなかったという地域も報告されているわけであります。

 私は、この基盤整備というのは、まさに生産量アップのための大きな、車の両輪といいますか、一つの計画の中で基盤整備、これはしっかりやっていかなければならないと思うわけであります。ここを一方的に大幅に減らしていて、計画だけは将来の増産体制あるいは生産を確立するというのは、やはり矛盾しておりますし、おかしい話に聞こえてなりません。

 この生産基盤の整備について、来年度以降これは整備していくんだ、そういった意欲ある答弁をぜひ求めたいと思いますが、どうお考えですか、お聞きします。

山田副大臣 基盤整備については、きのうもいろいろと質問が出ております。確かに、予算は大幅に減らされました。しかし、私どもは、きのうもお話ししましたが、基盤整備の大切さはわかるものの、まずは、農家の所得がこの十年で半分に減っているということ、いわゆる戸別所得補償、農家の収入を確保することに予算を配分することを重点的に、それが先だ、そういう形で、今回、五千六百十八億のいわゆる戸別所得補償の予算を確保させていただいたわけです。

 一方、基盤整備事業についても、本当に必要なところ、どこが一番大事かというのはやはり地方が一番よくわかっているので、いわゆる地方の農山漁村整備の基金として千五百億の交付金を今回出しております。それと、三六%ですか七%ですか、減らされた分を合わせますと、約六割以上のいわゆる整備費というものは確保されているわけですから何とか、必要なもの、改修をまずは必要とするもの、そして、これから本当に農家にとって利益になるもの。

 私どもも基盤整備事業を調べていきますと、それができ上がると、農家負担は十アール当たり一万五千円かかるんですと。では、十アール当たり一万五千円毎年農家負担がかかって、それについての支払いがどういう作物でどのようにしてできますかと聞いていきますと、農家の方々も大変不安な顔をしておられます。

 だから、基盤事業のあり方も、コストをかけずに、農家負担ができるだけかからないで、何とか本当に重点的にできるようなものをもう一回よく考えていかなきゃならないだろう、そう思っているところです。

伊東委員 基盤整備の事業の内容も、これは千差万別でありますから、いろいろあろうかと思います。私は、必要な基盤整備はやっていかなければ、今いっとき農家の所得が上がっても、しかし、その生産基盤たる基盤整備がおろそかになる、あるいは進まないということになりますと、いずれ収量はまた落ちてくる、あるいは災害に弱いということになりかねませんので、この点につきましては、ぜひ事業をしっかり選択しながら進めていただきたいというふうに思います。

 これに関連して、大臣に一言お伺いいたします。

 前回もお聞きいたしました、直轄農業農村整備事業の予算、あるいは事業の箇所づけが建設新聞に、これは二月の十六日でありましたけれども、掲載された。あの件に関しまして、庁内に直ちに調査チームをつくって、その漏えいルートを調査するという答弁でありましたが、かれこれ二カ月近くたつわけであります。予算委員会のときお聞きした段階ではまだそれができておらなかったわけでありますので、この点についてどういう調査結果であったのか、お聞きします。

赤松国務大臣 お約束をいたしましたとおり、あの後、私がチーム長になりまして、直ちに第一回目の会議もやりました。その後、私も含めて、情報を知っている者は限られておりますので、一人一人が文書で、だれに伝えたのか、あるいは伝えなかったのかということを全部やりまして、予算課長を事務局といたしまして、今度かわりましたが、柄澤課長を事務局にしながらずっとやってきた。

 ただ、国交省の話と全く違いまして、これは本当に、何で出たのか、全くそれはわからないと。しかも、一定の限られた人のところでちゃんと資料が保管されていたわけですし、そういう意味で、徹底してこれは調査しろということで、ほぼ、近く、皆さん方にも報告をきちっとできるということになると思いますので、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。

 ただ、これは言いわけではなくて、我が農水省はまさに公平公正に、直営の事業についても、あるいは補助事業のこうした箇所別についても、予算が通った後、直ちにホームページで公平公正に、地方にも、あるいは与党、野党の議員の皆さん方にもきちっとお知らせをしているということで、その点についてはぜひ御理解をいただき、いかに、これほど公正過ぎるほどやっているのか、よくそこまでやるなというぐらい、ぜひ御評価をいただきたいというふうに思っております。

伊東委員 近々発表するというお話でありますけれども、まず、これにつきまして、いつまでなのか。これは本当に二カ月たつわけでありまして、そこまで自信を持っておっしゃられるわけでありますから、ぜひ早目にこの農水委員会に御報告いただきたい。

 そしてまた、そのとき、いわゆる報道された内容と、今回ホームページで公表した内容の部分的な差異や、あるいは箇所や金額に変化があれば、変更があれば、あのとき大臣は変わることもあり得るというお話をされておりますので、その中身についてお伺いしたいというふうに思います。

 この件は後ほど、また後日で結構でございます。(発言する者あり)そうですね、出すめどだけお知らせください。

赤松国務大臣 これは、私自身がちょっと忙し過ぎて、これは勝手に事務方が出すわけにいきませんので、ちゃんとした会議の中で、こういう結果だった、よし、この中身で出そうということを決めなければいけませんので、早急に会議もやりまして、まあ、あしたとかあさってというわけにはいきませんけれども、できるだけ早く出させていただきたい、このように思っております。

伊東委員 それでは、ちょっと時間もありませんので、私は、食料基本計画の中には載っておりませんけれども、この一翼を担う水産振興、これに関しまして、捕鯨問題についてお聞きします。

 前にも捕鯨問題についてはお伺いしているわけでありますけれども、その後、シーシェパードの大活躍、あるいは船長の逮捕、日本への移送ということも含めて、新しい展開がありますので、これについての大臣の見解をお伺いしたいと思います。

 このシーシェパード、御案内のとおり、今回もまた、南氷洋における調査捕鯨に対して、ロープを垂れ流してスクリューに絡ませる、あるいはレーザー光線を乗組員に照射する、さらには、酪酸の瓶を投てき器を使って船に投げ込むなどなどの極めて不法なる傍若無人な犯罪行為を繰り返しているわけであります。

 これに対して政府の対応は、抗議はしているわけでありますけれども、それ以上のことではないように見えます。外国政府に協力を求める、こういうことだけではこの妨害を阻止することはできないというふうに私は思ってございまして、日本の調査船、これは逃げ回るばかりで、現実には、三十四日間といいましたでしょうか、まともな調査捕鯨の活動ができなかったというふうに聞いているわけであります。

 政府は、日本人である乗組員の生命と財産を守るため、今回どのような努力をされたのか、まずこれについてお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 御指摘のとおり、前政権のときに、シーシェパードの犯罪行為に対して、オーストラリアに移送して、それでまた何となく自由になってしまったみたいな御批判もあったものですから、私どもとしては、今回のシーシェパードの妨害行動については毅然とした態度で臨もうということは、もう当初から予定をいたしておりました。予想以上の激しい妨害行動でございましたけれども、それに対して、放水等による対応だとか、あるいは、ことしから初めて調査船を守る船を後ろに配置するとかいうような形でやってまいりました。

 今、委員御指摘がありましたけれども、いろいろイメージとしては、逃げたり避けたりしたイメージもあるかもしれませんが、結果的には、ほぼ私どもが予定をしておりました、頭数は言わないことになっているものですからお許しいただきたいと思いますが、ほぼ予定した調査捕鯨頭数を確保できたということでございます。

 そしてまた、今のお話ありましたピート・ベスーンの問題につきましても、これは、そういう司法権を持っておられます海上保安庁等とも綿密に連絡もとりながら、私どもとしても、ぜひ厳格で厳しい対応をしてほしいということで、身柄をお渡しするまでは責任を持ってやるからということでお渡しをし、最終的には海上保安庁から今度は東京地検の方に回りまして、私のところに報告が来ておりますのは、艦船侵入、器物損壊、傷害、威力業務妨害及び銃砲刀剣類所持等取締法違反ということで、これらの容疑で四月二日に起訴をしたというふうに聞いております。したがいまして、それぞれの罪状でもって起訴されておりますので、裁判の結果ですけれども、私どもが期待をする、そうした裁判結果が出るのではないかというふうに思っております。

 今後とも、これらの類似した行為については、厳正に、そしてまた毅然とした姿勢で臨んでいきたい、このように思っております。

伊東委員 これは、安易な対応によりましてこの犯罪者が英雄視されるような状況をつくり出してはならぬと思います。また、シーシェパードも、この裁判、望むところだ、自分たちの主張を日本で繰り広げるんだというお話をしておりますので、政府側としてもしっかりした理論武装をして、これは国際社会相手ということにもなるわけでありますので、この点につきましては、ぜひ明確に海外に向けての発信もしなければならない、こう思っております。

 こうしたシーシェパードを支援するグループが、いわゆる三隻の船を持っておりまして、一隻は衝突して使用できなくなった、沈没したかどうかわかりませんけれども。残りの船のボブ・バーカー号でありますけれども、これは、トーゴ船籍を持っておりましたが、この船籍を剥奪され、現在、無国籍船になっているわけであります。こういう犯罪目的に使われることが明らかな船に対して新たに船籍を与えるような国があってはならぬ、こう思いますので、これらをやはり全世界にきっちり伝えるべきだ、このように思う次第でもあります。

 さらにまた、私は、調査期間が過ぎているところでもありますので、来年度以降こうした事態が生じないように、外交面、警備面など、政府一丸となって、今後、万全な対策をぜひ練るべきだ、このように思う次第でもございます。鯨類調査の継続にとどまらず、犯罪や暴力には決して屈しないという、国の名誉を守る意味でも重大な事柄であることを肝に銘じて対処していただきたい。今、厳正な対処というお話もありました。そして、五つの罪で今このピーター・ベスーン容疑者がこれから裁判になるところでありますので、しっかりとした政府としての対応をとっていただきたいというふうにまず思います。

 もう一つ大事なことは、これまでの調査捕鯨が、南氷洋における鯨のいわゆる副産物、肉の販売代金によって相当数賄われてきているということであります。これが、調査頭数が減少するということになりますと、調査捕鯨自体の存続も危ぶまれるわけであります。

 オーストラリア政府は、二月二十一日、閣僚レベルでこの捕鯨問題について議論しまして、二月二十五日、南極海での捕鯨を一定期間、これは五年間で段階的に削減し、最終的にゼロにするという提案をIWCに提出いたしました。IWCまたは二国間を通じた外交的解決が不可能な場合には、十一月までにオーストラリア側から日本の調査捕鯨を国際司法裁判所に提訴する意向を示したとも言われております。

 これは、オーストラリア国内では、日本に対する圧迫あるいは脅迫であるとか言われているようでありますけれども、私は、これを逆に渡りに船として、日本は、国際条約に基づき、締約国の権利を正当に行使している、何も後ろめたいことはない、こうしたことを国際裁判で、負けるわけはないわけでありますので、堂々と胸を張って訴えるべきだ、このように思う次第でもございます。

 この国際裁判等々に関する、また、オーストラリアのいわゆる主張に対する赤松大臣のお考えをお聞きいたします。

赤松国務大臣 外務省の政務官も来ておみえになりますので、後でまた見解を聞いていただいてもいいと思いますが、私自身は、余り内政干渉になってはいけませんので、配慮しながら話そうと思いますが、オーストラリアも、前回の選挙のときに、現在の政権党が選挙の公約としてそういうことを掲げ、戦ってきた。この秋にまた選挙があるということもあり、そういう意味で、非常に国内を意識した強い姿勢を示しているんだろうなというふうに思っております。

 ただ、幸いにして、今のオーストラリアの政府も、このことがあるからといって、決して日本とオーストラリアの関係を悪化させてはいけないと、全体的に非常にうまく友好関係を保っているので、ぜひそのことを大切にしながら、ただ、この問題についてはたまたま意見が違うんだ、そういう思いでやっていきたい。

 それから、シーシェパードの問題は、これは以前と大変違ってきたと思います。こうした犯罪行為は許せない、そのことと捕鯨を認めるか認めないか、進めるか進めないかとは別の問題なんだということで、オーストラリア世論も、新聞等でも明らかですけれども、確かに変わってきております。それは、私どもが今まで地道に国際社会に向かって、オーストラリア、ニュージーランドも含めて、私どもの正当性を主張してきたこと、そしてまた、友好国としてのそういう立場を維持しながら、しかし、やはり悪いことは悪い、犯罪は犯罪だ、こんな行為は許せないということについて訴えてきたことが実を結んできたのかなというふうに思っております。

伊東委員 それでは、時間でありますので、最後にさせていただきます。

 せっかく外務省と国交省の方からおいでいただいたのに、答弁時間がなくて大変申しわけなく思う次第であります。一言ずつちょっとお伺いしたいのでありますけれども、この鯨の問題、これはもう食文化あるいは鯨食文化についてなかなか欧米の理解が得られない。

 過日、太地町で隠し撮りされた「ザ・コーブ」という、入り江という意味でありますけれども、このドキュメンタリー映画がアカデミー賞のドキュメンタリー部門で賞をとったところであります。伝統的なイルカ漁についても、動物愛護、あるいはかわいそう、残酷だだけの一言で、野蛮な文化的にこれが報道されてしまうわけでありまして、地元の人は本当に戸惑いを隠せない、こう思うわけであります。

 鯨もマグロも、あるいはこのイルカも、すべて日本の長い長い間の伝統文化でございますので、これを守る、これを日本の固有の文化だということを日本政府としてもしっかり海外に向けて発信しなければならないというふうに思うわけであります。この点につきまして、できれば農水省あるいはまた外務省の決意というかお考えを最後にお伺いしたいと思います。

 以上で終わります。

筒井委員長 時間が終了していますので、要領よくまとめてください。

吉良大臣政務官 時間がないということなんですけれども、先ほどの質問について一言だけ付言させていただきます。捕鯨の件です。

 岡田大臣がラッド豪州首相そしてスミス豪外相と会談した際も、この件については激しい議論がなされましたけれども、一歩も退くことなく、IWCで認められた我が国の権利について大臣が主張していたということは申し上げたいというふうに思います。

 それと、今お尋ねの件でございますけれども、一言で言えば、委員御指摘のとおり、食文化、我が国の固有の文化がある、そのことを広く訴えてまいりたいと思います。具体的には、二月の二十四日に、この上映があった際にも、デンマーク大使によりその固有の文化のことを主張した次第でございまして、今後とも外務省として、この食文化の違い、我が国の固有の文化について主張してまいるつもりでございます。

伊東委員 大臣から、先ほど答弁がちょっと一つ入っていなかったんです。いわゆる調査捕鯨の事業を鯨肉の販売代金だけで賄うことはもう難しい、こういうお話を私はさせていただきましたので、調査捕鯨と鯨肉販売だけは別にしてはどうかというお話だけ一点最後に、答弁が先ほどなかったものですから、お聞かせいただきたいと思います。

筒井委員長 続けて三日月政務官にも答弁してもらえますか。それで終わりにしてください。

赤松国務大臣 調査捕鯨は今後も極めて重要だというふうに思っております。ただ、どの地域をやるか、どういう形でやるか、これはいろいろあると思いますので、それは検討させていただきたいと思います。

 それから、一点、今、映画の問題が出ましたが、本当にけしからぬことだと思うんですね。この間もたまたま僕は偶然テレビで見ていたんですが、監督がインタビュアーから、なぜイルカなんですかと聞かれたら、いや、イルカは知能が高いからだめなんですと。では、知能が低い魚は殺しても食っても何でもいいのかということにつながるので、むしろかつてのユダヤの思想にもつながるような、そんなことでもって、かわいいイルカちゃんだけは守る、ほかの何とかちゃんは食べちゃっても構わないみたいな、そういう発想というのはやはり根本的に間違っているということで、私どもしっかりやっていきますので、応援してください。

三日月大臣政務官 答弁の機会をいただき、ありがとうございます。

 海の資源をしっかりと守りながら、生かしながら、海洋国家日本の復権のために、しっかりと関係省庁と連携して頑張ってまいりたいと思います。

伊東委員 どうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。

 三十分間時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回まとめられました食料・農業・農村基本計画、これは年度内にどうかと思っておりましたが、閣議決定をなさったということで、御努力に敬意を表したいと思います。

 それで、この閣議決定と食料・農業・農村基本計画の関係というんですか、これは明確に閣議決定されたわけでありますが、これについてどういう認識を持っていらっしゃるか。これは農林水産省、そしてきょうは財務省、厚生労働省と来ていただいておりますので、閣議決定をされたこの計画についてどういう意義を感じておられるのか、そういう点からまず御答弁をお願いします。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 いろいろな政策がありますけれども、少なくとも、こうした基本計画が閣議でもって決定をされ、言いかえれば、鳩山内閣全体がこの計画を実現することの責を負ったということだと私は思っております。

 そういう意味で、計画をつくりました私どもにも大変責任がありますし、また、それぞれ大変意欲的な数字も正直言ってございます。その実現のためには大変な努力も要りますけれども、ぜひそれをきっちり、十年後に、ああ、予定どおりできたな、予想以上にこれはうまくいったなと、これは少し足りなかったなというところもなるべくないように努力いたしますけれども、ぜひその実現に向けて精いっぱい頑張っていきたい、その責任を十分感じてやってまいりたいと思っております。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 今後の政府としての食料、農業、農村に関する我々の政策を定めたものであり、これを実行できるよう頑張っていく、そういう性質のものだと思っています。

足立大臣政務官 食料・農業・農村基本計画の中で、厚生労働省としてはかかわりが深いというところは、第一の四の(二)と第三の一の(一)だと思います。簡単に言えば食品安全庁のことだと思いますが、これは、まさにそこに書かれておりますように、検討しますということでありまして、マニフェストとの整合性を考えると、一期四年の中でというふうに考えるべきことだと思っております。

 そんな中で、厚生労働省としては、まず、科学的知見に基づいた安全ということを最大の使命としております。これは食品衛生法を所管しているということで、そのとおりでございまして、この検討しますの中には、どの府省に食品安全庁を置くとかいう記載もございませんし、これから一期四年の中で検討を前向きにやっていく。

 いずれにしても、これは各省庁、かかわりが深い、連携を必要とする分野でございますので、検討をしっかりしていきたい、そのように思っております。

石田(祝)委員 それで、大串政務官にお聞きしたいんですが、当然、ここに来られるということは財務省の代表として来ている、大串政務官の意見は財務省の意見である、こういうことでいいわけですね。私は政務官だから大臣とは違います、これではいけないと思いますが。

 そうすると、大串政務官に聞きたいんですが、これはある意味では大変な財源が必要とされるわけですね。それは、ここに書かれている計画を実行するに当たって、財務省としてはその財源調達に構えるということに関して異論はない、こういうことで閣議決定に大臣がサインをした、こういうことでよろしいんですか。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 政府として閣議決定した計画でございますので、この実行に全力を尽くしていく、これは間違いないことでございます。

 ただ、委員おっしゃいましたように、大変厳しい財政状況である、これも周知の事実であり、現実でございます。こういうことも踏まえまして、この計画の中にも、効率的な財政使用を図っていくということもあえてうたわせていただいていて、予算構造の見直しによる選択と集中、あるいはさまざまな観点からのコストの縮減、あるいは新たな施策のための既存政策の廃止、見直しの徹底等々、こういうことも書いた上で、ある計画をしっかり実行していくためには、同時に厳しい財政状況の中でいろいろな見直しもしながらやっていきますということもあわせて申し上げております。そういう中で、全体を実行していけるように頑張っていくということでございます。

石田(祝)委員 それで、大串政務官に引き続いてお伺いしたいんですが、二十二年度予算は成立をして、新年度から執行されている。二十三年度の予算、これについてはどういうスケジュールになりますか。概算決定からずっと、政府最終原案まで簡単に言ってください。

大串大臣政務官 今、今後の予算編成等々に関して政府として申し上げているところは、年央までに中期的な財政フレームをつくり、財政運営戦略というものを提出し、これで中期的なところを示していくということが一つでございます。それから、通常であれば、夏に予算要求のプロセスというのがありましょう。これに関しては、どういうふうに定めていくのか、これから検討していく内容になっております。

 それから一つ、一応、財政法二十七条に、「内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の一月中に、国会に提出するのを常例とする。」と書かれております。ですので、二十三年度予算に関しては、一月中に国会に提出するというのが定めでございますので、これに間に合うように予算編成を行って、普通であれば年内に予算編成ということになると思いますけれども、こういうスケジュールをたどっていくということになると思います。

石田(祝)委員 もうちょっと言いますと、八月の三十一日までですか、通常の概算要求が決まる。そして、普通は十二月二十日ちょっと過ぎですか、政府原案が決定をする、こういうことですね。ですから、二十三年度に何をするかというのは、当然、本当は八月の末でほぼ決めなきゃいけない。そこから、基本的には大体落とされていく、削られていくプロセスをとって、十二月二十日過ぎに翌年度の原案が決定をする。

 ということは、二十三年度に何をするかということは、もうその時点までに決めておかないと当然できない、こういうことになるわけですね。それでよろしいかどうかだけ、お答えください。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでの政府において行われていたことは、八月三十一日にいわゆる要求行為というものが提出され、もちろん、その前にいわゆる概算要求基準というものが政府の指針として示されて、それに基づいて八月三十一日に要求行為が行われる。それから各省間の折衝が行われ、十二月の末に予算政府案ができる、こういうふうなたどりでございました。

 今申し上げたように、一月中に常会に提出するということは財政法上で決まっています。その前のプロセスに関しては、もちろんどこかの段階で要求行為というのはあるのが普通ではないかとは考えますけれども、どのような仕組みでやっていくかというのは、新しい政権でございますので、いろいろなことを考えてやっていきたいというふうに思っています。

石田(祝)委員 続いて、食品安全庁について、今足立政務官からもお答えをいただきましたが、基本計画を見ますと、これは十七ページに載っているんですが、「リスク評価機関の機能強化や、リスク管理機関を一元化した「食品安全庁」について、関係府省の連携の下、検討を行う。」こういう書き方になっております。

 これは、足立政務官の理解は、食品安全庁自体をつくることそのものについて検討するという御理解なのか、食品安全庁はもう公約としてもともと創設するとなっておる、ですから、中身についてどういう中身にするかということを検討する、こういう受けとめ方と考えられると思うんですが、足立政務官は、厚生労働省の立場から、これはどういうふうに受けとめておられますか。

足立大臣政務官 お答えいたします。

 そのどちらもだと私どもは思っております。それは、今まさに各省庁連携のもとにやっておる中で、どのような体制をつくるのがいいのかということと、その内容、連携の中身の検討という、そのどちらもだと私どもはとらえております。

石田(祝)委員 ここは、たしか農政公約の中では、農水省の消費・安全局と厚生労働省の食品安全部を統合し、食品安全庁をつくる、こういうことは約束じゃなかったんでしょうか。だから、つくることについてはもう決まっておって、中身をどうするか、こういうことだろうと私は理解をしたんですが、どうも政務官は両方だ、こういうことですから、若干マニフェストの公約とそごがあるんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ません。

 続きまして、今回の計画が決定するまでの変遷、これについては何人かの方もお触れになったと思いますが、もともとの素案、そして素案を与党で修正された真っ赤になったものと、その次の案と、それから本当の最後の決定と、随分中身が変わってきております。

 それで、特に私が申し上げたいのは、ここの戸別所得補償のところが、もともとの案は、検討するになっておった。それを与党の皆さんが、きのうもどなたか御質問なさっておりましたけれども、二十三年度ということで実施をする、こういうふうに直した、そして与党の意見も入ったということだったろうと思いますけれども、それが最終的に二十三年度が消えてしまった、こういうことですね。

 それで、閣議決定の後の記者会見で赤松大臣が、二十三年度からやるんだと。閣議決定をつい最近やって、もともと二十三年度が入ったものを直して、消してしまった後の閣議決定をして、それをすぐ、閣議決定が終わった後の記者会見で二十三年度からやると。それだったら、なぜ二十三年度というのを入れた閣議決定にしなかったのか、これは、私は大変疑問であります。

 そして、最初にお話をしたとおり、閣議決定の重みというのは当然あるわけですから、閣議決定で決めたことを、そのすぐ後の記者会見で違うことを言っているという印象を私は受けますが、大臣、これはどういうことなんでしょうか。

赤松国務大臣 これはもう、この二十三ページを見ていただければわかりますが、表題で「2戸別所得補償制度の本格実施」ということで、きちっとそれをうたいながら、そして文面も見ていただければわかりますけれども、「平成二十二年度のモデル対策の実施状況を踏まえて、まずは恒常的に販売価格が生産費を下回っている米、」云々というふうに続きます。

 すなわち、本格実施をするんです。平成二十二年度のモデル対策の実施状況を踏まえてやるんですと書いてありますから、これは二十三年度から本格実施をするというふうに読むのが、だれが読んでもそういう理解ではないかと思います。

 ただ一点、これは言葉の遊びで言っているんじゃなくて、そういう理解をきちっとしていただけるという前提のもとで、財務省の政務官もおりますが、財務省は財務省のやはり立場がございまして、閣議決定に菅副総理兼財務大臣がサインをするということは、それを、もう中身も見ない前から担保するということにつながるわけです。

 それは、別に戸別所得補償制度であれ、子ども手当であれ、暫定税率であれ、やはり財政をつかさどる責任ある立場の大臣としては、そこを、農林水産大臣が単なる計画として閣議決定を経ずにざっと出すなら、これはこれで農水大臣の責任でできるということですけれども、内閣全体の約束事、そして国民に対する責任ということになれば、その辺はやはりぜひ配慮をと思われるのもまた当然なものですから、これは私どもで財務省と調整をし、そして、私どもも、きちっとその意思が貫かれる。名目的な二十三なんというような言葉があってもなくても、その意思がきちっと一〇〇%担保されるということであれば、これはいいでしょうということで、広い気持ちで私の責任でそのような文面に変えました。

石田(祝)委員 では、大串政務官、ちょっと確認しますよ。大臣は今そういう御答弁でしたけれども、それでよろしいですか。

大串大臣政務官 ここに私、マニフェストをお持ちしました。マニフェスト及び三党合意、これに基づいて現内閣は仕事をしている、これを実行できるように私たちは全力を尽くしているということだというふうに思います。

 このマニフェストの中に、戸別所得補償政策に関しては、二十二年度にモデル事業、二十三年度から、箱で示していますけれども、一兆円というところに到達する形の絵姿をここにお示ししております。これを実行できるように最大限の努力をしていくというのが私たちに課せられた使命だというふうに思っています。

 財務省の立場としては、先ほどもお話のありました厳しい財源の中でどういうふうにしていくのか頑張っていくというのが立場でございますので、二十三年度からこのマニフェスト及び三党合意に示した内容が実行できるように、厳しい財政事情の中、財源を見つけられるように頑張っていくというのが私たちの立場じゃないかと思っています。(拍手)

石田(祝)委員 皆さん拍手しているけれども、よくわかって拍手しているんですか。マニフェストというのはあなたたちが野党の時代につくったものですよ。閣議決定というのは政府の決定ですよ。どっちが重いんですか。

 だから、政府としての閣議決定に二十三年度というのが入っていないのに、大臣は、私は二十三年度でやるんだ、それも了解をしている、こういう話をしているじゃないですか。(発言する者あり)答弁したかったら、政務官になって答弁してください。

 これは私はちょっと違っていると思うんですよ。最初に申し上げたように、素案があって、与党で直して修正案が出てきて、それには二十三年度が明確に入っておりました。それが最終的に閣議決定でなくなってしまっているわけです。二十三年度は消えていますよね。ということは、二十三年度は落としてもいい、これはもうできないと。やれるんだったら、またやっていいということだったら、大串さんは、私が閣議決定の話をしたらマニフェストを持って答弁をされた。私はちょっと違うと思うんですよ。だから、私は最初に閣議決定の重みをお聞きしたんです。

 ですから、その閣議決定について、財務省の考えと農水省の考えは違うんじゃないですか。だからお聞きをしたら、あなたはマニフェストの話を持ってこられた。ちょっと違うことを答えているんですね。

 これは大臣、私が最初にお聞きしたように、特に、「二十二年度のモデル対策の実施状況を踏まえて、」こういうことを書かれていますよね。だけれども、最終的にこのモデル事業の実施状況がはっきりわかるというのは、来年の一月以降じゃないんですか。変動部分が決まるのは一月過ぎでしょう。そうしたら、二十三年度の予算にどうやって間に合うんですか。実施状況を二十三年度に反映できる時間的な話が、つじつまが合わないんじゃないですか。ですから、そこを私は申し上げているんですよ。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 いろいろな見方があると思いますが、一つは、六月三十日の、戸別所得補償制度にどれだけの皆さんが参加をしていただけるか、これがまず一つ大きな指標になると思います。これが、私どもの意図したとおり、今まで減反政策に反対し、おれはおれで自由にやらせてもらうわと言っていた人たちがどんどんとこの制度に参加をしてきていただけるというようなことになれば、このモデル事業はどんどんと成功していく。それなら本格実施にいけるじゃないかということになりますが、これが、実際、今数字が出ていますからそうならないと思いますけれども、例えば半分ぐらいしか参加しないとかいうことであれば、これはもう少しモデル事業を続けてやらざるを得ないななんてことにはなるかもしれませんけれども、実際にはそうなっていません。今まで横を向いていた人たちが、真正面を見て、自分の意思でどんどん入ってきていますから。

 そういう意味で、私どもがモデル事業の中で意図したとおりにどんどん進んでいく、そして、もちろん、秋には法律も出したいと思いますので、大体、そのころには、八月の終わりや九月ころには、おおよそ、では本格実施に当たってはこういう中身でやっていったらいいんじゃないかと。

 マニフェストには、規模加算とかあるいは環境加算とか、いろいろな形、あるいは畜産、水産をどうするかみたいなことも含めて書いてありますので、これは検討すると書いてありますが、そういうことも含めて、本格実施の中では、どういう品目を加えていくのか、どの範囲まで広げるのか、その裏づけとなる財源は概算要求の中できちっとどれだけ確保していくのかということを積み上げていく、そういう時期がそのころではないかというふうに思っております。

石田(祝)委員 大臣、それはちょっと無理なんですよ。だって、お米がちゃんとできるかどうかというのは十月ぐらいまでかかるわけでしょう。出来秋というのは、早いところはありますよ、八月、私の高知県なんかはもう早場米で出しますけれども、七月で出すところもあります。しかし、全国的に見ると九月、十月でしょう。そして、変動部分の千三百九十一億、ここのところが最終に決まるのが、相対取引は一月まで状況を見て変動部分を決めるわけじゃないですか。

 そうすると、このモデル事業の実施状況がわかるのは、やはり年度いっぱいかかるんですよ。それを六月までの申し込み状況を見てとか、これは、戸別所得補償制度、今回の制度の趣旨に賛成をしてやられる方の数はわかりますよ。しかし、最終的に、このモデル対策の変動部分を使っているということが全体としてどうだったかというのは、やはりこれは八月じゃ無理なんですよ。十二月でも無理でしょう。

 ですから、政府原案の決定のときに間に合わないんじゃないか、そういうことを私は申し上げているんですよ。二十二年度の実施状況を見て検討するとなったら、これは事実上、二十三年度の本格実施は難しいのではないか、こういうことを老婆心ながら申し上げております。余り時間がありませんので、またの機会にこれはいたしたいと思いますけれども。

 引き続いて、備蓄のあり方についてお伺いをしたいんです。

 私も予算委員会で大臣に御質問をさせていただいて、当初、マニフェストで三百万トン、それを棚上げにする、そうおっしゃっておりました。それで、三党連立合意はどうなっているかということで見ましたら、社会民主党は三百万トンの棚上げだ、国民新党は特に触れていない、こういうことでしたから、これは大臣、三百万トンでやっても与党の中はもめないんじゃないですか、そういうお話をしたら、いや百万トンだ、そして七十七万のMA米もある、民間備蓄は二百万トンある、こういうお答えだったと思います。

 それで、その後総理も、棚上げ備蓄だ、こういうことをおっしゃっておりますが、これは大臣、一体いつからやるのか。今もう百万トン、政府備蓄はあると思うんですよ、若干数字が減っているかもしれませんが。棚上げ備蓄というのは何年産のお米からやるのか。例えば、現在も持っている、回転備蓄という前提で備蓄しているものについても、これはそのままそっくり棚上げにするのか。いつから始めるかということを、ちょっと御答弁をお願いします。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 棚上げ備蓄のお話でありますが、どのような備蓄方式をとるかということについては、農水省内でこれから検討するという段階でありますので、今の段階でどういう方式ということを決めているわけではありませんし、もちろん、財政当局とのお話し合い、あるいはまた食糧部会の議も経なければいけませんので、これから検討するという課題でありますので、今の段階で決めているというものではありません。

石田(祝)委員 大臣、私には明確に棚上げにするとおっしゃったですよね。総理もおっしゃったし、結局、いつからやるということをおっしゃっていないだけなんですね。いつからやるということを言わなきゃ、これは当分の間、回転だと言われれば、当分の間というのは九十九年という説もあるのでわかりませんけれども、大臣は検討するというお話じゃなかったですよ、政務官。やります、こうおっしゃったと思いますが。

赤松国務大臣 議事録を見ていただけばわかりますが、私は、自分の意思としてこのように考えております、ぜひそうすることが正しいと思っているということは明確に申し上げました。

 ただ同時に、私一人が決めれば何でも決まるということではありません、しかるべき手続をきちっと踏んでやりたいということで、例えば、審議会の食糧部会の御審議も経ないで勝手に決めるというわけにいかないでしょうと。

 それから、当然、回転備蓄から棚上げ備蓄ということになれば、正直言って、何百億円というお金がまた余分にかかるんですね。ですから、それは財務当局の御理解もいただかなければできないというのは、先生方、これはもう御理解いただけると思うのです。もちろん、総理まで、そういう方式がいいんだ、農水大臣の言うとおりだと言っておりますから、結果的にはそうなるでしょうけれども、しかし、そういう手続だけはやはりきちっとやっていく。組織ですから、これは当然のことですね。

 だから、ちゃんとしかるべき諮問機関に諮りながら、こういうところの先生方の御意見も聞かせていただく、そして国の財布を預かる財務省の理解のもとでこういう主要な施策を進めていく、これはもう当たり前のことでございますから、そういうことをしっかりと手順を踏んで、そごのないように進めていく。

 ただ、方向は、私自身がそういう方向でぜひやっていきたいということは話しておりますし、政務三役の中でも、私個人の話ではなくて、皆さんの理解も得ておりますので、政治主導でこれはやっていきたい、このように思っております。

石田(祝)委員 では、最後に一つだけ、このことで確認をさせてもらいたいんですが、これはわからないので、私、正直にお聞きします。

 回転備蓄と棚上げ備蓄、この方式というのは審議会の議決を経ているんですか。例えば百万トンは、たしか研究会で百万トンがふさわしい、こういう結論がありましたが、方式については特に触れられていないように思います。これは審議会を経ないと変えられないんですか。審議会で決まってくることですか。

赤松国務大臣 これは議決案件ではありません。別にそこの承認がなければできないということではありませんし、前政権のもとでも、研究会を開いて、そこで御意見をいただいて、それを参考にしながらと言っては失礼かもしれませんが、その意見を踏まえてそういうような数量を決定したというふうに承知をいたしております。

石田(祝)委員 大臣、私が聞いたのは数量の話じゃないんですよ。数量は研究会で、大変な不作の年の一年と、二年連続してちょっと不作のときがあっても対応できるように百万トンが適当だ、これは研究会で出ているのでそういう答申をしたと思うんですね。

 しかし、私が言ったのは、回転備蓄を棚上げにするのに意見を聞かなきゃいけない、勝手に決められないんだ、そうおっしゃったから、そういうふうに研究会とか何かを通さなきゃいけないんですかということを聞いているわけです。

赤松国務大臣 だから、通さなければならないところじゃありませんが、私は極めて民主的な大臣でございますから、ちゃんと皆さん方の、聞くべきところの意見は聞いて、その上で、最終的な判断は私どもでやらせていただきますけれども、そういう手続をぜひ踏みたいなというふうに今思っているということでございます。

石田(祝)委員 それはまた、民主的な手続ということですから、ぜひ御意見をお伺いしていただきたいと思います。

 それで、あと時間がありませんので、一つは、米粉用米、飼料用米について、いろいろ御意見を聞くと、なかなか実需者との契約が正直難しい、こういうお話をお聞きいたしますが、これは、実需者との契約がないと新規用途米の八万円は出ませんね。ここのところ、大変御苦労されているという現状は御存じでしょうか。そして、その対応はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

佐々木大臣政務官 米粉についてお答えをさせていただきます。

 実需者との契約は、そういうことを記載させていただいておりますから、その必要性はもちろんありますが、ここ数年、十九年、二十年、二十一年と順調に米粉はふえてございまして、当然のことながら、それにかかわる製粉業者というんでしょうか、米粉の業者もふえております。そういった意味では、順調に伸びているし、マッチングもできるというふうに考えております。

石田(祝)委員 では、これは大変心配をなさっている方もおりますので、ぜひよくウオッチしていただいて、せっかくの新規用途米、やろうとしていますから、ぜひこれはよろしくお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、四日、鳩山総理が首相官邸で懇談会を開いた。そこで、農家の戸別所得補償について、地域の主要作物に対して、これは括弧書きで米とというふうになっておりますけれども、同じように導入すべきと思っている、それは必ずやる、こういうふうに述べたということが新聞で報道されておりましたけれども、大臣、これは御確認をなさったのか。それとも、これは総理の指示だというふうな受けとめ方になるのか。いかがでしょうか。

赤松国務大臣 きのう、ちょっとほかの話もあって、お話しする機会があったんですが、ああいう直接農業にかかわっていらっしゃる現場の方たちと話して大変よかったですねと。総理大臣が触れられたのは、ソバの方のあれで出たと思いますが、そういうことも含めて検討してほしいというようなお話でしたので、これは今度の本格実施の中でどの品目を加えていくのかを検討させてもらいますという話はさせていただきました。

 ただ、これを必ず入れろとか、これはおれはもう約束したぞとか、そういう話ではなくて、農政については大臣に任せてあるので、自分はこういう意見なので、そういうことも踏まえてぜひ検討してほしいというお話があったので、それはしっかりと受けとめて、本格実施に向けて検討させていただきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 終わります。

筒井委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。本日最後の質問者になりますが、よろしくお願いいたします。

 初めに、戸別所得補償制度についてお伺いをいたします。

 先日、私ども公明党の埼玉県本部農業活性化対策本部が戸別所得補償に関するアンケートの結果を公表いたしました。埼玉農業の主軸である花卉、野菜などが戸別所得補償の対象外とされたことに対して、米以外の農作物が対象になっていないのは不公平である、全国一律では不利な条件で米をつくる生産者の努力が報われないなどの声が寄せられております。

 戸別所得補償制度を導入する一方で、農業農村整備予算が大きく減額をされました。政策の変更の全体的な予算への影響について、私の地元である和歌山県では、戸別所得補償の増加額より農業農村整備の減少額が上回るというふうにした試算をしております。野菜、果樹のような米作以外の農作物生産が多い埼玉県や和歌山県などから、米作中心の県へと農業予算の大きなシフトが生じているのではないか、こう考えております。

 都道府県間における農業予算がどのようにシフトをしたのか、簡単に状況を説明していただきたいと思います。

山田副大臣 今回の戸別所得補償はあくまでもモデル事業でして、モデル事業については、米、いわゆる稲作、水田の利用から麦、大豆の自給率とセットでやったわけですから、あくまでモデル事業で、次、本格実施に向けて、土地利用型で畑作とかいろいろな問題が出てくるかと思いますが、今委員が御指摘の蔬菜とか果樹とか、都道府県によって、和歌山県とか非常に果樹、蔬菜の多いところにとっては今回の戸別所得補償の配分がその分非常に少なくなっているということはよく承知しております。

 ただ、これまでの産地づくり交付金というのがございました。それをなくしたので、さらにそういった地域にとってはいろいろと不都合な事情も生じてきているということも私ども承知しておりまして、そんな中で、激変緩和措置、今まで果物とか野菜等について十分な手当てをしておったところには、どうやらようやくその配分も終わったところのようですが、今回それなりの十分な対応をさせていただいていると思っております。

 確かに、土地改良事業等々についてもいろいろとはございますが、地方への農山漁村整備交付金千五百億を入れますと、七割近いものは、ほぼことしも確保されていますし、それなりに何とかできてきているんじゃないかという考えではおりますが、何とか御理解いただければと思っております。

西委員 モデル事業、モデル事業とおっしゃいますけれども、モデル事業を中心としてこれから本格実施に向けていくということですから、この大きな予算のシフトいうのはある程度固定化されていくのではないかというふうに私は思っております。戸別所得補償を充実するために、限られた予算の中で、こういう施設整備それから構造改善事業等が大きく減らされていくという構図は解消されないままに、今後とも大きな地域別の偏在が起こるのではないか。いわゆる米作中心地帯とそれ以外の農業地帯との間にこのようなことが相当固定化されていくのではないか、こういうつもりで申し上げましたが、その点について、もう一度答弁をお願いします。

山田副大臣 水田地帯と、大きくは畑作地帯と言っていいかと思うんですが、畑作地帯において果樹、蔬菜等々が中心になされてきたという考え方からすればそういう言われ方でいいかと思いますが、私ども、本格実施に当たっては、政務三役で畑作についてのいわゆる所得補償を今検討しているところです。

 大臣がきのうから答弁しておりますが、恒常的に赤字になっている部分、例えば委員の御地元の和歌山県とかそういうところの果物、例えばミカン等々については、きのうも話が出ましたが、確かにこの数年、この二、三年と言っていいかもしれませんが、非常に厳しい状況にあることは私どもも知っております。それが本当に恒常的な赤字と言えるのかどうか。

 あるいは、鳩山総理もそういった果樹、蔬菜について何らかの所得補償というか政策が必要であるということは述べておられますし、赤松大臣も、そういう支援を何らかの形でしようというところまで私ども政務三役でも話しているところですから、どういう形でそれを支援できるのか。

 これからいろいろな人の御意見を聞きながら、また西委員からもいろいろな御要望を聞きながら、ひとつそういった畑作地帯、いわゆる果物、蔬菜等についても、将来においては十分検討しながら、本当にバランスのとれた、農業で食べていけるような日本に、農政にしたい、そう考えているところです。

西委員 お話はお伺いしましたけれども、畑作の果樹、野菜、これは品目も大変多いです。しかも、価格変動も大変大きいです。このことについて、今のこの戸別所得補償、米を中心としたこの考え方そのものが適用できるかどうかというのは、私は大変これは厳しいのではないか。地域的な差も大変大きいです。

 そういうものを、今のルールにのっとって一律の感覚で物事を考えるということそのものが、この政策と外れてくるのではないか。いい意味で充実していただくということは私たちは望むところですけれども、その危惧はあるだけに、結局、米だけを中心としたここの段階で終わってしまって、そして固定化されていくということになっていくのではないかという大きな危惧を抱いているわけです。

 このことについての物事の整理というのはどうなっているでしょうか。

山田副大臣 戸別所得補償は、確かに米では全国一律の単価というのを設定いたしました。しかし、恒常的な赤字になっていないと今は思っておりますが、例えば将来において、果樹、蔬菜についてもそれなりの支援をしなきゃならないということは我々政務三役でも決めております。ただ、確かに値段の変動も激しいし、種類も多いし、それをどういう形でやるかということは大変難しい問題がありまして、今の戸別所得補償のような制度とは違うものを検討しなきゃいけないだろう、そう考えているところです。

 先ほど、財務省の大串政務官が一兆円ということを言っていただきました。私ども、農業に関する所得補償分については一兆円を予定しておりまして、その一兆円の中で、何とかひとつ、いわゆる畑作利用から、今申しましたようにいろいろな形で、先ほどの財務省の大串政務官の力強いお言葉もございましたが、ぜひ実現に向けてひとつしっかりやらせていただきたい、そうつけ加えさせていただきたいと思います。

西委員 大串政務官頼りでこれからもまたしっかり頑張っていただきたいとは思いますが、現実、大変難しい政策展開をしていかなければこれは乗り越えられないというふうに私は思っておりまして、今後さらに、私どもも果樹、野菜等畑作を中心とした農業の発展のためにしっかり考えていきたいと思いますけれども、問題点だけ指摘をしておきたいと思います。

 続いて、戸別所得補償の手続や事務作業についても、水稲共済未加入者の多いところはより負担が重くなる、こういう問題がございます。

 つまり、水稲共済を基準にして事務作業は進んでいくということからすると、これがまた都道府県別にかなりばらつきがあるというふうに思われます。戸別所得補償制度の交付対象は、水稲共済の加入者、または平成二十一年度の出荷、販売実績のある農家、こうなっております。稲作農家の水稲共済加入率が低いところでは、これは現地での確認作業が大変大きくなるというふうに思われます。

 農林水産省の戸別所得補償モデル対策実施要綱では、水稲共済未加入者については、前年産の農協等への出荷伝票、それから米販売業者への販売伝票や契約書など販売の事実確認ができる書類の提出、これを求めております。そして、この交付対象面積については、水稲共済細目書異動申告票との突合による書類上での確認が困難であることから、現地確認をする必要がある、こういう作業が当然必要になってまいります。

 水稲共済未加入者が多いほど、地域水田協議会は現地確認の作業がふえてまいります。水田協議会は、自治体の職員、JAの職員など、ほんのわずかの人数、数名で大体実務を行っているというのが私の地元の県の実情でございます。アルバイトも雇ってということでございますが、現地確認など、公平公正な実務が果たして行えるのかという疑問を持っております。

 また、推進事務については、定額補助で市町村平均三百五十万程度、現地確認など作業が多い水田協議会は、これでは十分な金額が賄えないという感じがいたします。例えば、面積でいいますと、統計上、作付面積を基準にした加入率というべき面積引き受け率というのがあるんですが、これが八〇%に満たない都道府県、茨城、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、私のところの地元和歌山、徳島、高知、沖縄などは八〇%にも満たない状況であるというふうな統計も出ておりますが、このことについてどうするのか、お答えをいただきたいと思います。

山田副大臣 今回の戸別所得補償制度は、米の共済に入っていない人でもというのが、三十アールとか二十アールとか、小さい農家等は共済そのものに入らないでもいいというふうに現場の扱いはなっております。そういった農家でも、これまでに販売実績等々があればという形にしております。

 今私どもが進めているのは、小さな農家、一反とか二反とかという農家が、一つの集落として会をつくり、代表者を決めて、そこで申請していただければ、それが全部で一ヘクタールになろうが、二ヘクタールになろうが、三ヘクタールになろうが、それから十アールを差し引くだけで、一つのメリットといいますか、いわゆる共済に入っていない小さな農家もメリットが出てくるので、みずからもそういう形で今回戸別所得補償に参加しよう、そういう動きも出てきているように聞いております。

 そういった面で、いわゆる水田協議会もですが、私ども、市町村等々にも七十数億の事務費を渡しておりまして、その事務費のうちからまた水田協議会にも行くんでしょうが、何らかの形で本当にスムーズにいくように、あらゆる手だてを尽くしてそういう共済未加入の方々にもそれができるように。

 それで、これからの確認作業というのも大変大事だと思いますが、私が事務方に言っているのは、確認も一々現場に行かなくても、今だったら航空写真でも何でもいろいろな形で、衛星写真からでも、いろいろな確認の方法ができるはずだから、できるだけ簡便に迅速に、そしてできるだけA4の一枚の紙に署名だけで農業者が参加できるように、そういうシンプルな形にしてほしい、そう言っておりまして、私ども民主党農政は、小さな農家でも大事にしたいという気持ちで今回しっかり取り組みたい、そう考えております。

西委員 それだけに、先ほど申し上げましたように、共済に加入していない人たちのそういう耕作の要件それから事実かどうかの確認は、たくさんの人たちが新たに参加されると思いますので、その調査をするための予算等については十分配慮していただかないと、これが完結しない。つまり、直接支払いですから、そこは、それだけ正確な事実に基づいて支払いをするという原則がなければ、なかなか理解が得られないであろう。そこのところをきっちりしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 続いて、農林水産省の戸別所得補償制度モデル対策に関する実務担当者向けのQアンドAというのが出ておりますが、調整水田のことでございます。

 調整水田等の不作付地を持って生産数量目標を達成する農家は、作物栽培ができない理由と期限を定めた改善計画を市町村に提出し認定を受ける、こういうことになっております。改善計画の達成年の期限については、特に定めはないというふうに考えているが、なるべく改善を求め、期限は二、三年で一応改善をするようにということになっているようでございます。しかし、改善に向けた取り組みとしては、集落営農への参加、他人への委託など、そういうことで要綱が示されておりますが、中山間地のようにそうしたことがなかなか難しい地域もございます。

 QアンドAでは、安易に水田台帳から削除するのではなく、まずは農家の改善意向を聞いた上で、みずから栽培できない場合は、改善計画に他人に任せたいと記載し、本格実施の際には地域外の担い手農家や法人も含めて利用の可能性を追求し、広い視点での有効活用を検討するとしておりますけれども、これは、モデル事業の申請時には暫定的に他人へ譲渡と記載してもらえば交付対象とする、こういう意味なのかどうか。また、本格実施の際の広い視点での有効活用というのは一体どうなのか。これらについて御答弁をお願いします。

山田副大臣 民主党の今度の戸別所得補償は、つくらないことにはお金は出さないという形で、調整水田についても、何もつくらない、調整だけしている水田には、もちろん所得補償の対象にはなりません。しかしながら、いわゆる生産数量目標をカウントするときのそのカウントの調整水田面積は、加えるということには私どもさせていただきました。

 その中で、調整水田の扱いについては、実際のところ、調整水田であるといいながら、水張りしていてただ稲を植えていないというだけではなく、どうやらかなり荒れているらしいと。いわゆる小さな灌木も生えているところも調整水田に入っているとか、いろいろなことも私ども聞き及んでおります。

 それで、本当に今まで調整水田として処理されてきたものがどうなっているのかここできちんと調べようじゃないか、そういう観点から、調整水田をカウントするに当たっては、それに対する改善計画を必ず出してほしい。ということは、本当にすぐにでも田んぼになれるものかどうか調査をしてほしいと。その中で、改善計画を出してもらいながら、本格実施の際に当たってのぜひ参考にしていただきたいという意味で、今回そういう措置をさせていただいております。

 その中で、確かに、おっしゃっているように、他人への委託、これを有効活用する場合に、例えば何か、麦、大豆か、あるいはお米を植える場合に、それについて他人への譲渡という形であればそれなりに交付対象にしたい、そう考えておりまして、できるだけ弾力的な扱いはさせていただきたい、そう思っているところです。

西委員 戸別所得補償モデル対策実施要綱では、交付金の取り消しについては、一つは、モデル対策の交付金の交付決定を受けた者が、モデル対策の交付金の交付要件を満たさないということがはっきりしたとき、それから二つ目は、モデル対策に関係する法令もしくは処分に違反したとき、こういう要件を示しておられます。

 モデル対策に関係する法令もしくは処分に違反したということについては、対象となる法令の範囲、これこれに違反したというそのことがはっきりしていないのではないか、こう思われます。交付決定の取り消しを受けた場合、その行政処分に関して争われる場合もあるわけですから、どの法令が対象か、このことを明確にしていただきたいと思います。速やかにこの範囲を決めるべきだと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

山田副大臣 確かに、違法な場合には返還してもらうということになっておりますが、その違法な場合として私どもが考えているのが、米粉とか飼料用米などいわゆる新規需要米、これには用途限定という形で、飼料用なら飼料用、米粉用なら米粉用に用途が限定されております。これをほかの用途、主食用米にまぜられたりすると、大変なことになります。そういう意味で、これはトレーサビリティーも始まりますから、まず新規需要米の用途違反ということ。

 それからもう一つは、米穀、いわゆる主食用の米も米粉も飼料用米も、いわゆるトレーサビリティーということの対象になっています。そのときに、主食用の米を扱いながら実際には虚偽記載をして飼料用の米として、逆の場合、飼料用の米を扱いながら虚偽記載して主食用の米として横流しする。今度トレーサビリティーですから、消費者のところまできちんとその流れ、履歴はわかるようになるんですが、そういった場合、いわゆるトレーサビリティーの虚偽記載、その場合にも、これは返還していただく。それを知ってなした場合です。そういう形になると思います。

 それからもう一つは、トレーサビリティーにおける産地の偽装表示。

 この三つぐらいが今のところ考えている米所得補償の違反による返還請求の要件だ、そう思っているところです。

西委員 申し込みがもう既に始まったわけですから、こういう要件に違反したときはこうなるよということを作付前にきちっとやはり通達をしておくということが後々混乱を招かない大事な要件だと思いますので、ぜひともそのことは明確にされるようにお願いをいたします。

 それから、生産調整が守られているかどうか、今回の戸別所得補償制度の重要なポイントだと思います。先ほどからも若干述べました。しかも、初めてのことですから、これはきちっと調査をされるということが大事だと思います。

 そこで、書類審査だけになる水稲共済加入者について、申請の適正さを確認するために抜き打ちで現地調査を実施するということを考えておられるのかどうか。できれば大臣、いかがでしょうか。ぜひとも。

赤松国務大臣 正直言って、詳細は政務二役の皆さんにお願いしているものですから、私は承知していなかったので、今確認しましたら、やるということだそうですので、西委員の御指摘に従ってしっかりやらせていただきたいと思います。

西委員 副大臣の予定だったようですが、突然の指名で申しわけありません。そこは、信用にかかわる問題ですから、今までずっとこれで来たとはいえ、今回は直接支払いという新しい制度に乗っかっての政策の転換になるわけですから、きっちりと現地の調査もしていただきたい、このように私は思っております。

 時間があと五分ほどになりました。食料自給率について申し上げたいと思います。

 食料・農業・農村基本計画では、食料自給率五〇%への向上ということで、大きな目標を掲げられました。そのための政策として、生産面、消費面、さらに輸入穀物の代替での取り組み、このようなことを行うというふうに述べられておりますが、生産、消費、輸入穀物の代替、これがそれぞれどの程度、食料自給率の向上につながると予想されているのか、御答弁をお願いします。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 生産、消費、それぞれにということでありますが、別々に出すということは実は少し困難なところもありますが、総合的に見ていかなければならないというふうに思います。

 例えば小麦の場合、現在の輸入が五百万トン。国産が九十万トンということになるわけでありますが、今度、米粉をつくっていただくということになると、米粉用米が五十万トンということになりますから、輸入小麦の代替になるというようなことがまず考えられます。

 大豆については、食用を中心にして考えさせていただきますと、食用の需要が約百万トン、国産大豆がそのうちの二十六万トン、これを六十万トンに増加するということでありますから、輸入大豆と国産大豆が食用の分で置きかわる。

 それから飼料用穀物でありますが、これは配合飼料に混合できる飼料用米を七十万トンとすることにして、輸入穀物の代替になっていくということを今想定してございます。トウモロコシが今千二百万トンぐらい輸入をしているわけでありますが、飼料用米で約七十万トンぐらいを見込んでいるところでございます。

 消費面ということでありますが、消費面では、我々の計画全体がそうでありますが、穀物がふえますから、炭水化物の摂取が増加をして、脂質の方が少し下がるという仕組みになります。主食用米が、朝食欠食の改善などもうたってございますが、一人当たり五十九キロから六十二キロということで計画をしておりますし、油脂類については、年間消費量が十四キロから十二キロぐらいに低下をするということで、全体としては、三十二年度の目標でございますが、炭水化物は二ポイント増加、脂質類は二ポイント減少というふうに見込んでいるところでございます。

西委員 最後の質問です。この基本計画によりますと、生産数量目標を設定した農作物の中で生産数量が大幅にふえている、先ほどちょっと説明がありました小麦、大豆ですね、これについて質問をさせていただきます。

 小麦は、二十年度八十八万トンから、三十二年度、十年間で百八十万トンまで倍増する。それから大豆については、二十六万トンから六十万トン、倍増以上です。こういう計画を出されております。

 戸別所得補償の本格的実施において、達成方法については、生産目標を各農家に割り当てて達成を目指すのか。もしくは、割り当てないということにすれば、この生産目標の達成というのはなかなか困難であるというふうに思われますが、この点について一つお伺いしたいのと、さらに、この生産数量目標に沿って生産し、これは海外との競争、価格だけではなく品質とか、いろいろな要素があるわけですが、売れなかった場合には、生産者が損失をこうむるということになるのか、米のように対象となる作物を備蓄用に政府が買い上げるのか、この辺のことについてお伺いをしたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 主に小麦、大豆のお話だというふうに思いますが、小麦、大豆は現在、大臣もよく御答弁されてございますが、小麦で一四%、大豆で六%というような自給率の状況でございます。

 そこで、小麦、大豆については、今度の計画でも大幅に増反をしていただきたいという計画をさせていただいておりますが、小麦については、主に二毛作の部分での拡大ということを計画しておりますし、大豆については、先ほどもありましたが、現在、不作付地になっているところ、あるいは調整水田のところの排水対策もやらなきゃいけませんが、そういったところでの生産拡大というようなことを中心に考えさせていただいております。

 強制ということはなかなか難しいというふうには思いますが、しかし、生産数量目標は掲げることになると思いますので、なるべくそれに沿っていただくような、生産を促すようなことは考えていかなければならない。そういった意味では、消費者の側の、受け入れていただくような環境づくりもまた同時にやっていかなければならない。両面から進めていって、マッチングをさせていきたいというふうに考えているところでございます。

西委員 時間が来ました。終わります。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十七分散会


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