衆議院

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第10号 平成25年12月18日(水曜日)

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平成二十五年十二月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂本 哲志君

   理事 北村 誠吾君 理事 齋藤  健君

   理事 谷川 弥一君 理事 宮腰 光寛君

   理事 森山  裕君 理事 大串 博志君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    加藤 寛治君

      神山 佐市君    川田  隆君

      國場幸之助君    桜井  宏君

      清水 誠一君    末吉 光徳君

      鈴木 憲和君    武井 俊輔君

      武部  新君    津島  淳君

      冨樫 博之君    中川 郁子君

      橋本 英教君    堀井  学君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    後藤  斎君

      玉木雄一郎君    寺島 義幸君

      鷲尾英一郎君    岩永 裕貴君

      鈴木 義弘君    村上 政俊君

      稲津  久君    濱村  進君

      山内 康一君    畑  浩治君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十八日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     冨樫 博之君

  武井 俊輔君     國場幸之助君

  福山  守君     神山 佐市君

  樋口 尚也君     濱村  進君

  林  宙紀君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     福山  守君

  國場幸之助君     武井 俊輔君

  冨樫 博之君     桜井  宏君

  濱村  進君     樋口 尚也君

  山内 康一君     林  宙紀君

同日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     菅家 一郎君

    ―――――――――――――

十二月六日

 一、国有林野事業に従事する職員の労働関係を円滑に調整するための特定独立行政法人の労働関係に関する法律の一部を改正する法律案(中川正春君外五名提出、第百八十三回国会衆法第五号)

 二、国有林野事業に従事する職員の給与等に関する特例法案(中川正春君外五名提出、第百八十三回国会衆法第六号)

 三、農業者戸別所得補償法案(大串博志君外六名提出、第百八十三回国会衆法第二六号)

 四、農林水産関係の基本施策に関する件

 五、食料の安定供給に関する件

 六、農林水産業の発展に関する件

 七、農林漁業者の福祉に関する件

 八、農山漁村の振興に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(畜産問題等)

 平成二十六年度畜産物価格等に関する件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長山下正行君、生産局長佐藤一雄君、農村振興局長實重重実君、林野庁長官沼田正俊君及び水産庁長官本川一善君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 おはようございます。自由民主党の北村誠吾でございます。

 閉会中審査という極めて貴重な時間に質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、順次質問をさせていただきます。

 まず、畜産物価格に関することがまさに佳境に差しかかっております。この件につきましてお尋ねをいたします。

 私どもの地域におきましても、肉用子牛の価格が極めて良好、平均で一頭五十五万から六十万を超すという大変ありがたい価格の状況でございまして、繁殖農家にとりましては、極めて望ましい状況ではございます。その価格堅調の要因は、繁殖農家戸数が、悲しいことですけれども、減少いたしまして、出荷頭数が減っている、このことが大きな原因であると地元で聞いております。

 肉用牛の繁殖はもとより、地域農業にとって極めて大事な事柄でございます。国としても、繁殖基盤の維持を図るための支援が大変重要であり、必要であると存じますけれども、この肥育素牛、繁殖牛の基盤をどのように維持し、また拡大、充実させていくか、支援をしていくか、この辺につきましてのお考えを当局にお尋ねしたいと存じます。よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 北村先生の御質問にお答えします。

 今、先生の方から御指摘ございましたように、繁殖農家の戸数でございますが、現在、五万三千戸ということになっておりまして、高齢化あるいは後継者不足によりまして、年に三千戸程度のペースで減少しておりまして、飼養頭数も減少傾向にあるということになっておりまして、生産基盤を維持拡大するということが非常に重要であると認識しているところでございます。

 このため、これまで肉用子牛生産者補給金制度といったような繁殖農家に対する経営安定対策や、あるいは離農した農家の畜舎等の経営資源を引き継いで規模拡大することを支援する経営資源有効活用対策事業、こういったものを行ってきておりますほか、新規参入者への畜舎の貸し付けでありますとか、離島における子牛の集出荷促進等を支援する肉用牛経営安定対策補完事業、こうしたものを行ってきているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、現場の意見をよく聞きながら、対策の充実に努めつつ、繁殖基盤の維持拡大を支援していく考えでございます。

 以上でございます。

北村(誠)委員 次に、畜産経営にとりましては、餌が極めて重要でございます。できるだけ日本国内で自給することのできる体制づくりのために、これまで努力をなさっています。しかしながら、平成三十二年度で飼料の自給率を三八%という目標を設定していますが、現状は二六%どまりであるということを聞いております。

 飼料の自給率を向上させるために、増産を図ることが大変大事だと思います。農地を活用すること、あるいは水田をさらに活用すること、フルに使用すること、そして食料残渣、食物残渣を有効に活用していく、そのための法律の仕組み等もございます。これらを活用して、自給飼料にどのように役立てていくという計画をお持ちか、お聞かせを願いたいと思います。

小里大臣政務官 御指摘をいただきましたように、畜産、酪農の規模拡大を初めとする足腰の強い高収益型の畜産経営、酪農経営を図る上で、飼料の安定供給、なかんずく自給飼料の供給体制をしっかりつくっていくことは極めて大事な課題であります。

 そのために、御案内のとおり、まず新たな米政策において、飼料米を中心とする生産振興を図ることとしたところであります。また、出口対策におきましても、乾燥貯蔵加工施設を初めとする整備を図ってまいります。

 そしてまた、畜産側の取り組みにおきましても、例えば、自民党の十カ年戦略に示されておる飼料自給率一・五倍計画を受けまして、粉砕機の整備であったり、優良品種の開発、コントラクターの育成やTMRセンターの整備、いわゆる飼料に係る作業の外部化でありますが、そしてまた、御指摘をいただきましたところのエコフィード、食品残渣の利用拡大等に必要な予算を要求しているところであります。

 これらの取り組みの着実な推進によりまして、飼料自給率の向上を図ってまいりたいと存じます。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 続きまして、私は、我々地元の長崎の関心事でございます諫早湾干拓事業につきましてお尋ねをします。

 今、畜産、酪農の飼料自給のことをお話しいただきましたけれども、御承知のとおり、この諫早湾干拓事業による成果として、まず、農地が造成されました後、除塩の作業効率を上げるためにイネ科の植物を栽培させていただいて、周辺の酪農家の皆さん方が自発的、または研究開発の意味を持って、自給飼料の栽培、草地の活用というふうなことで、塩を抜く除塩活動、農地の整備のためにそういう活動で協力をした、そして実績も上げ、なお今日も、酪農経営においてこの草地が非常に有用で役に立っているということも、お礼の意味も込めて御報告させていただきたいと思います。

 さらに、諫早湾干拓事業の件でございますけれども、開門の問題についていろいろなことが報道され、また話題になっております。

 先週十二日の新聞に、諫干開門延期、地元の同意めど立たずというふうな見出しで、国が平成二十二年の福岡高裁判決を受け入れたことによって負った開門期限である十二月二十日までの開門調査実施が先送りされる見通しとなったということが各紙に掲載されており、今後、国としてはどういう方針なのかについてお尋ねをいたしたいと存じます。

林国務大臣 諫早干拓排水門についてでございますが、今委員からお話がありましたように、確定した福岡高裁判決によりまして、国は本年十二月二十日までに開門すべき法的義務を負っておるところでございますが、一方で、ことしの十一月十二日の長崎地裁の仮処分決定によりまして、国は開門してはならない法的義務も負うことになったところでございます。

 二つの相反する法的義務が存在するという難しい状況の中にありまして、解決の道を模索するには関係者による話し合い以外にはない、こう考えまして、長崎、佐賀等の関係者に対話を呼びかけてきたところでございます。

 昨日、十二月十七日ですが、私と江藤副大臣で、長崎、佐賀の両県知事、関係者の皆様とそれぞれ面会したところでございますが、長崎側からは、開門を差しとめる仮処分決定が出たのだから、開門の方針を撤回し、白紙から見直すべきである、こういう御意見が出されております。一方、佐賀側からは、確定判決に基づき、開門方針を堅持すべきである、こういう意見が強く申し入れられたところでございます。

 二十日が期限でございますので、きょうを含めて三日間という状況でございます。残された期間は極めてわずかでありまして、極めて厳しい状況となっておりますが、ぎりぎりまで関係者による対話の努力を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

北村(誠)委員 重ねての話で恐縮ですけれども、今回の決定は、開門によって地元に甚大な被害が発生する、事前対策についても、海水の淡水化施設はその実現性が低い、国が示す漁業被害防止対策はその効果があるとは認められないと認定しているのが長崎地裁の処分の判決であります。開門しても、漁場環境の改善の具体的な効果は低い、開門調査を公表する公益上の必要性も高くないということを認めた上での長崎地裁の決定であります。

 開門による甚大な被害と開門の公共性、公益性について比較検討しても、前者の方が優越するということで開門差しとめというものを認めたのであって、地元の主張が基本的に認められたということであると私は認識しております。

 今回の決定で、開門を認めた福岡高裁判決と事実上矛盾する決定であることを認めた上で、福岡高裁判決で認められなかった開門による地元への甚大な被害を認めた、そして開門差しとめを認めるという判断を示しております。ですから、極めて重い司法判断が示されたという認識を持ちたい、また持たなければいかぬというふうに考えております。

 大臣も、今種々お話をいただきましたが、少なくとも、関係者の話、意見も十分聞かせていただきたいという姿勢で臨んでおられることを私は高く評価いたします。この間、決定書を吟味、分析なされたと思いますが、長崎県側の意見もお聞きになった。今後、仮処分の結果をどう評価していくのか。あるいは、今の時点でどう評価していくのか。

 特に、さきに菅内閣の折に、農水大臣の意見を聞きながら、そして閣議にもかけることなく、首相が決めたというふうなことで上告しないという決定に至っていたという経過を見たとき、やはり、この重大な、単に農林水産一部門の事柄でなく、我が国がいかに民主主義制度、政治というものが実行されているかということについて、司法、行政、立法、これらの立場というものが、また取り組む我々の姿勢、基本的な考え方というものが問われる事柄ではないかと思います。

 今後、この仮処分等々の結果を、ぜひ内閣全体で取り組んで、しかるべき解決策を見出すべきではないかというふうに考えますが、所感をお聞かせいただきたいと思います。

江藤副大臣 北村先生には、大変日ごろから御指導いただきまして、ありがとうございます。

 私がこの職につきまして、林大臣から担当するように命じられまして、意見交換の場にも常に参加をさせていただきました。長崎の原弁団の方々、それから佐賀県の原弁団の方々ともお会いをさせていただいて、いろいろな厳しい御意見をいただいております。

 菅総理の御判断につきましては、言いたいことは個人的にはありますが、いやしくも一国の総理を務められた方のことでありますので、この場で悪く言うようなことは差し控えたいと思います。

 しかし、ここで確認しなければならないことは、どのような経緯があったにしろ、福岡高裁の確定判決は、これは国家が背負った責務である。ですから、今先生がおっしゃったように、内閣として、安倍内閣としてこれは引き継ぎ、受け継がなければならないものだと思います。

 そしてまた、片一方では、長崎地裁の仮処分決定がなされたわけでありますが、これも法的有効性はもう既に発効しております。我々はまだ異議申し立てもいたしておりません。ということでありますから、これも十分に尊重しなければなりません。五百九十三ページにわたる内容につきましては詳細に分析、検討したわけでありますが、内容を分析すれば、福岡高裁の判決内容を全否定するかのような内容もこれは含まれているわけでありまして、これは重く受けとめなければなりません。

 両原弁団の方々との意見交換では、佐賀県側の方々は、決して相反する義務を日本国政府は背負っていないということを主張されますし、長崎側の原告弁護団の方々は、環境アセスが終わった後、新しい環境のもとでなされた判決であるので、こちらの方が優位性があるのだという主張をされます。ですから、この間で、非常に大臣も苦悩されていらっしゃるわけであります。

 繰り返しの答弁で大変恐縮でありますが、あと、もう本当に一週間もなくなってしまいましたけれども、しかし、同じ日本人同士、こういうことになれば、三権分立である法の自律ということも尊重しつつ、何とか接点が見出せないか、今懸命の努力を続けているところでございます。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 短兵急なお尋ねで恐縮ですが、簡潔にお尋ねをします。

 今回の仮処分の決定によって、国は開門せよという義務と開門してはならないという義務をいずれかの時点で選択をせざるを得ないということになりますから、内閣を挙げてというふうなことも私は申し上げるわけですが、どちらを選択するか。この際の判断の基準などをどのようにお考えか。現時点においてお考えがあれば、お示しをいただきたいというふうに思います。

江藤副大臣 大変申しわけないんですが、そういった基準を、内閣として、農林水産省として、現在持ち合わせているということではございません。高裁による開門すべき義務、それから地裁による仮処分決定、開門してはならないという義務、これはどちらが優先するということは、今、我々として確定的な基準、考え方を持っているものではありません。

 ですから、何とか、片方をやれば片方は不履行ということになるわけでありますから、この間でどういう解決策があるのか。これはこの間テレビでも申し上げたんですけれども、日本国政府がこのような義務を負ったことはありません。これは法的義務として日本が背負ったことのない、本当に我々は未経験の世界を今経験しているわけであります。日本という社会は、アメリカに比べて訴訟社会という側面は薄いと私は思っています。ですから、何とか、同じ有明沿岸で暮らす人間同士、漁業者であれ農業者であれ、お互い同じテーブルに着いて話し合いができる機会が持てないかということで、いろいろなチャンネルを使って、今努力をさせていただいております。

北村(誠)委員 いろいろな工事に着手しようということで、地元に農水省の現地の皆さん方は何回もおいでになりました。私も少なくとも二回、現場で立ち会いました。これまでずっと一緒に仕事をしてきた農林水産省の熊本の農政局の皆さん方、この人たちと対峙して、入れる入れない、本当に悲しい姿であり、これまで一緒に仕事をしてきた、今後も一緒に仕事をしたい、本当に地域の農業の振興のためにということで、国、県、農民、漁民一体となってやってきた諫早湾干拓事業であったのに、ここへ来て、どうしてこのような悲しいことになったんだろうか、やはり何らかの解決策を求めていかなければいかぬというふうなことを今も強く念願しております。

 ところで、急な話になって恐縮ですが、最近、十二月十七日付の九州のブロック紙、西日本新聞の報道によれば、菅元首相が新聞記者のインタビューに答えて、福岡高裁判決は、干拓事業の影響で漁業被害が出たので、その調査のために開門するとの判断を示したもので、極めて妥当な判決だと思ったから、上告しないことを農林大臣にも了解をとって閣議で決めたと説明をしたということであります。

 これまで寡聞にして、閣議にかかり、かつ、農水大臣が当時了解をして、そして上告しないということを決めたということを聞いておりません。ただの一度も聞いたことがありませんし、本日御臨席の委員各位また政府参考人の皆さん方、いかがでございましょうか。

 私は、さきの委員会におきまして、菅元首相の参考人としての当委員会への招致ということを委員長において、あるいは理事会にお預かりいただいております。この新聞記事が事実であるか事実でないかということを争う気持ちはありませんが、もともと菅さんは、諫早湾干拓に関していさかいが残っていることを一挙に解決するために、ここで上告しないことがそのいさかいを解決する唯一の道であるという判断をした。これは彼の大きな勘違いではなかったかと私は思っています。重ねた勘違いは、当時、農水相にも了解をとって、閣議にかけて決めた、これも重ね重ねの勘違いではないかというふうに思っております。

 この際、急な、通告なしの質問でございますが、大事なことでございます。これは、政治責任ということにおいて、内閣総理大臣が国の行政においていかに重い責任を負うかということにおいて、彼の上告しないという措置によって、数百億という国民の血税を投入しなければならないという悲惨な状況、また、トラブルは彼の期待に反していささかもおさまっていない、裁判でやるか政治的な解決かという状況で、ますます拡大をしているようにしか思えません。

 しかし、何らかの形で、地域の利益のためにも、この諫早湾干拓事業の最終的な成果を、本当に感謝しているわけですから、ぜひおさめていくように進めていただきたいという希望を持ちまして、農林水産大臣、また皆さん方に、全力を尽くして、安倍内閣の総力を挙げてこのことの解決に当たっていただきますことを心からお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、中川郁子さん。

中川(郁)委員 北海道十一区選出、中川郁子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましたこと、まことにありがとうございます。

 まず、酪農、畜産をめぐる情勢について、私の所感から述べさせていただきたいというふうに考えます。

 御承知のとおり、北海道の酪農、畜産は、厳しい地理的条件、厳しい気象条件のもとで、専業経営を中心として展開をしています。安全、安心な畜産物を提供するとともに、国土、環境保全など多面的機能に着目して、多面的機能を十分に発揮しているというふうに考えています。そして、関連企業とともに、地域経済、社会、雇用を支える基幹産業として重要な役割を果たしております。

 しかしながら、長引く畜産物需要の減少と価格の低迷、配合飼料価格の高どまり、燃油、石油製品や電気料金など生産コストの増大による経営の悪化と生産基盤の縮小など、極めて厳しい状況に直面しております。

 酪農経営、肉用牛繁殖経営、肥育経営、養豚経営、採卵鶏、肉用鶏、それぞれに固有の課題を抱えておりますので、きめ細やかな対応、対策をお願いしたい、このように思います。特に、飼料用米に大きくシフトしたわけでありますので、畜酪元年ということで、ぜひきめ細やかな対策をお願いしたいというふうに考えております。

 地域を回っておりますと、中山間地域において、本当に厳しい自然環境、経済環境の中で、家族経営で頑張っておられる皆様方と多くお会いをするところであります。経営安定対策の諸制度は、基本的には、平均的な経営における所得確保対策となっていますが、家族経営に着目をすれば、平均像とは異なる難題が山積しているのではないか、このように考えます。

 酪農経営も繁殖経営も減少がとまりませんが、その原因の一つとして、家族経営を守る視点での政策が十分でないことがあるのではないかというふうに考えています。ぜひ、家族経営に光が当たるような対策、きめ細やかな対策をよろしくお願いしたい、このように思います。

 まずは、畜産物価格決定の基本的な考えについてお尋ねをしたいというふうに存じます。

 平成二十六年度畜産物価格の決定に当たりましては、先ほど述べましたように、担い手不足、後継牛枯渇など、生産が伸び悩む地域の厳しい状況、資材費が高どまりしている状況など、厳しい経営状態をきっちりと踏まえて、生産者が将来に希望が持てるような算定にすべきというふうに考えております。

 きのう発表をされました一―三月期の配合飼料価格改定幅ですけれども、五百円の下げということになっています。それで補填が発動されないということでありますが、生産者の負担は高どまりということでありますから、生産者の負担は変わらない、こういう厳しい状況にあるというふうに思います。

 また、後継者の育成や新たな担い手の宝庫であります酪農ヘルパー事業など経営支援対策の安定的な実施に加え、加工原料乳の限度数量についても、酪農の生産意欲の減退につながらないように、家族経営についても将来に希望が持てるように定めるべきというふうに考えておりますが、政府のお考えはいかがでしょうか。

江藤副大臣 中川先生には、いつも北海道のことで一生懸命御努力されて、大変ありがとうございます。

 先生がおっしゃいましたように、北海道は、輪作体系の中に酪農が入っているということもありまして、非常に酪農経営が地域経済の柱になっているというふうに考えております。

 ですから、単価につきましては、昨年、北海道の先生方が御努力されて、三十銭事業、これはもう本当に画期的な事業だったと思いますけれども、これをつけ加えさせていただいて、実質十三円に上げということにいたしました。これは単年度という約束でありますから、ことしはどうなるかわかりませんけれども、しかし、この三十銭事業がなくなるにしても、これにかわるものは必ず手当てをさせていただいて、補充、強化をさせていただこうというふうに、今現在、政府では考えております。

 それから、限度数量におきましては、平成十五年、十七年に、それぞれ一万トン、十三万トンオーバーしてしまったことがあります。それから、平成二十一年にも八万トンオーバーしました。そうなりますと、御存じのように、脱粉、バターの方にばっと回ってしまうわけであります。そうなると、次の年にも大きな影響を与えるということでありますから、この限度数量の決め方というのはとても難しいんですけれども、大事だと思います。

 まず、生産者の意欲が失われないことがとても大事であります。しかし、多分ことしも十万トンぐらい未達になる。しかし、未達になるからといって、来年もそうかといえば、ことしは酷暑であったわけでありますから、そういった事情も十分考慮して、数量については、特に北海道の先生方の御意見を十分にきょう、あすにかけて伺って、決めていきたいと思っております。

 それから、酪農ヘルパー制度につきましても、ちょうど十年の節目を迎えまして、これは、各都道府県でそれぞれ独立して基金をつくって対応してきたわけでありますけれども、終わります。ですけれども、これがなくなったら、もう本当に酪農家の方々は全く休みがない、三百六十五日離れられないということになってしまいますから、これにかわる事業もきちっと用意をさせていただいて、この機会に、先生もよく御存じのように、今までのヘルパー事業では十分に対応できなかった項目がございます、その部分もつけ加えて、新しい制度としてスタートさせていただきたいというふうに考えております。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 続いて、加工原料乳枠が今お話をいただいたように未達という状況の中で、需要に応じた生産という視点で質問させていただきたいというふうに存じます。

 プロセスチーズの原料などとして海外産チーズが大量に輸入をされていますが、国産チーズも大変品質がよくなっております。

 そこで、今後需要の拡大が見込める重要な乳製品であるチーズについて、輸入代替の戦略的品目と位置づけ、増産を促進するため、チーズ向け生乳供給安定対策事業については十分な予算を確保するとともに、生乳の生産意欲を増大できる支援水準となるように措置していただきたいというふうに考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

林国務大臣 まずは、先日、先生のお地元にお呼ばれをいたしまして、いろいろなところを見せていただきました。大変勉強になりまして、感謝を申し上げたいと思います。

 今お話があったように、国内のチーズ市場、これは着実に成長を続けております。

 私も、かつては、ヨーロッパに出張に行きますと、フランスですとかイタリアのチーズを買ってくるというのがお土産の一つのアイテムだったわけですが、最近はもう国内で大変いろいろなものが買えるようになってきたということで、嗜好に合ったいろいろな商品開発も進んでおるということを実感しておるわけです。

 これに合わせて、チーズ向けの生乳の量、平成元年度の二十四万トンから、足元二十四年度では四十六万トンと倍増するということで、増加傾向で推移しております。

 ただ、チーズ消費量のうち、輸入品がまだ八割を占めているということでございますので、国内のチーズ市場の成長を国産チーズがしっかり取り込んで、さらに生産を伸ばしていけるように、戦略的な品目としてチーズを位置づけて、支援を充実させていくことが重要だ、こういうふうに思っております。

 現在、予算措置は十五・一円パー・キロでございますが、酪農家の方からは、より安定した支援を求める声も寄せられているということでございますので、加工原料乳生産者補給金制度の対象にすることについて、これは財政当局も含めて関係方面と早急に調整を進めたい、こういうふうに思っておるところでございます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 次に、肥育経営に対する対策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほどの北村先生の御質問にもありましたけれども、肉用牛の肥育経営については、仕入れ時の子牛価格が高騰しています。飼料費も高どまりしています。本当に厳しい状況にあり、全国的に資金繰りに苦慮している経営が多く見られるというふうに思います。

 支援策として赤字の補填対策を講じていただいていますが、この新マルキンが発動し続けている状況を考えていると、生産費を賄えない部分の八割の支援であることに加え、二五%は自己負担でありますから、六割しか賄えず、四割をずっと工面しなければいけない状況が続いています。

 肥育経営の形態というのは、担保となる資産が限られているということもありますので、平成二十五年度補正予算で措置したように、無担保、無保証の融資について枠の拡大をしていただき、そしてさらに、利子補給により実質無利子となるような措置を講ずるべきと考えておりますけれども、政府の見解を伺いたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 中川先生の御質問にお答えいたします。

 今先生から御指摘いただきましたように、肉用牛の肥育経営が悪化しておるということで、資金繰りにつきまして、本年一月一日より措置しております日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金につきまして、無担保、無保証人化枠を拡大するために、出資金十億円をこのたびの二十五年度補正予算案に計上したところでございます。

 本資金につきましては、無利子ではございませんが、公庫資金の最低優遇金利、現在は〇・四五%でございますが、これの適用があるということに加えまして、他業種にはない、畜産に限った特例措置といたしまして、無担保、無保証人化及び貸付限度額の大幅な拡大を講じたところでございます。

 本年一月からの十カ月間で、全体として、千六十七件、二百六十一億円の融資が行われておりまして、餌代の高どまり等によりまして資金繰りが悪化している肥育経営の維持安定に大きく貢献していると認識しておるところでございます。

 なお、先生の方から、無利子化といったような御指摘がございますが、この公庫資金につきましては、非常に甚大な災害といったような、生産基盤を失うといったような事態への対応などに限定されておりまして、なかなかこれについては困難な面があるということについて、ぜひとも御理解を賜ればというふうに考える次第でございます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 国は、攻めの農林水産業など、農業、農村の発展と所得倍増を目指し、各種施策を検討されていることには敬意を表したいというふうに思います。

 ところが、酪農支援の政策の基本的な枠組みは、平成十一年三月に定めた新たな酪農対策大綱に基づくものとなっています。それ以来、十五年の年月が経過をしているわけでありますが、政府の促進策をもとに、乳業の努力などで開発が進んで、液状乳製品やチーズ向け生乳が増加して、加工原料乳が大幅に減少し、限度数量の未達状態が続いているというふうに考えています。また、酪農家も今や北海道で七千百三十戸となっておりまして、生産構造や経営規模なども大きく変化をしています。

 これらの情勢を踏まえますと、補給金のあり方も変えていく必要があるのではないかというふうに考えています。そのためにも、まず、基礎となっている大綱の検証作業が必要と考えています。大臣のお考えを聞かせていただければというふうに思います。

林国務大臣 酪農・乳業対策大綱でございますが、市場実勢を反映した適正な価格形成の実現、酪農経営の安定の確保、ゆとりある生産性の高い酪農経営の確立等を旨といたしまして、平成十一年三月に策定、公表されております。

 この大綱を踏まえて、例えば、酪農経営安定対策については、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法を改正しまして、補給金の支払い方が平成十三年から不足払いから固定払いに変わった、それから、生乳受託販売を行う指定生乳生産者団体を広域化する、乳業の再編合理化等々、酪農、乳業関連施策を実施してきたところでございます。

 今委員からお話がありましたように、酪農をめぐる状況は変化をしてきておりますので、委員の御指摘のような検証が必要である、こういうふうに考えております。次期基本計画、それから酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針を見直していく中で、必要な分析や検討を行ってまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 次に、家畜改良の推進についてお尋ねしたいというふうに思います。

 家畜の能力は、酪農、畜産の生産向上の基礎であるというふうに考えています。生産者などの不断の努力によって進められているものであり、国際化の進展を踏まえると、家畜改良増殖法に基づく政府の強い支援が不可欠である、このように考えます。

 特に、酪農経営において、後継牛確保が十分に行えず、生乳生産が回復できない状況が続いています。また、搾乳牛一頭当たりの乳量の伸びが鈍化傾向となっています。口蹄疫で牛群を入れかえた韓国に比べて、能力面で抜かれているという報告もあるというふうに聞いています。その主な原因として、日本とは気候風土や飼養管理も大きく異なる国外の成績のみで選んだ海外産の雄牛が、日本の供用基準を満たさないまま大量に使われているということではないかというふうに研究をしている研究者もおられるということであります。

 そこで、特に、雌牛の泌乳成績も正確に確保しながら、一気にSNP、一塩基多型のデータ蓄積を進め、最新の育種理論により解析することによって、日本のゲノム育種手法を早急に確立し、世界一効率的な改良体制確立に向けて加速を図るべきと考えています。国の中長期的な安定的支援を実施し、途切れることなく効率的な改良を持続していかないと、日本酪農の競争力、活力が失われてしまうと考えておりますが、政府の見解をお伺いしたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 中川先生の御質問にお答えいたします。

 今先生御指摘いただきましたように、酪農の場合におきましては、乳用牛が乳量を向上させていくといったことが非常に大事でございまして、そのための家畜改良といったものが非常に大事なところでございます。

 今まで、乳用牛の能力検定と選抜によりまして能力の向上を図ってきたところでございますが、先ほど先生の方からお話ありましたように、SNP情報ということで、いわゆる牛一頭ごとの遺伝子塩基配列のわずかな差と乳量との関係を分析する、そうした手法といったものが出てきております。平成二十二年七月に策定しました家畜改良増殖目標においては、SNP情報を活用した能力評価法を実用化することによって、一層効率的な乳用牛改良を推進するということにしております。

 本年度から、SNP検査に対する支援を開始したところでございまして、いろいろな予算を活用して支援を行うということにしておるところでございます。

 今後とも、SNP検査のデータを計画的に蓄積しまして、能力評価法を実用化することによりまして、早期に効率的な改良体制を確立していきたい、こんなふうに考えているところでございます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。ぜひ、世界一効率的な改良体制確立に向けて、御支援をよろしくお願いしたいというふうに考えます。

 時間が参りましたので、私の質問はこのぐらいにさせていただきたいと思いますが、ぜひとも畜酪元年にふさわしいような対策をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 大変どうもありがとうございました。

坂本委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 まず最初は、酪農ヘルパーについてということです。

 これはぜひ大臣に御答弁いただければと思っておりますが、酪農ヘルパーについては、御案内のとおり、今や酪農経営においては不可欠なものです。休日の確保ですとか病気、けが等、酪農経営に大変重要な役割を占めておりまして、加えて近年では、新規就農の希望者ですとか後継者の研修の場としても大変重要な位置づけになっております。

 そこで、酪農ヘルパーの支援事業については、円滑化対策事業の基金の取り崩しを十カ年でずっとやってきて、いよいよ最終段階に入っております。それから、経営安定化支援事業ということでございますが、先ほど中川議員の質問にもありましたが、この円滑化対策事業がいよいよ終わるという状況の中で、今後、いわゆる酪農ヘルパーの安定的な運営が果たされることができるのか、そういう現場の不安がございます。ヘルパーの要員の確保、それから定着、加えて、いろいろな研修も通じて、技術の習得、こうしたことも含めて、酪農ヘルパー制度の充実を求める声がございます。

 こうしたことに対して、ぜひ一層の支援をしていただきたい、こう思っておりまして、大臣の御答弁をまずお願いしたいと思います。

林国務大臣 酪農ヘルパーは、今、稲津先生からお話がありましたように、酪農家の休日の確保、それから傷病時の経営継続、これに大変貢献をしていただいております。ヘルパー業務を通じた酪農後継者、新規就農者の育成、こういう役割も担っておりまして、酪農の生産基盤を維持していくために非常に重要な役割を果たしている、こういうふうに思っております。

 十六年度から今年度まで、都道府県ごとに造成した地方基金によりまして、酪農ヘルパー利用組合の運営経費等を助成してきたところであります。

 また、これに加えて、毎年度に、酪農経営安定化支援ヘルパー事業によりまして、傷病時利用の支援、ヘルパーを通じた後継者の研修等を実施してきております。

 地方基金については、十年間で利用組合が自立することを前提に、取り崩して使用するというふうにいたしましたので、今年度で終了ということですが、酪農ヘルパーの支援自体は大変重要であるわけでございますので、酪農経営安定化支援ヘルパー事業に新たな事業メニューを加えまして、ヘルパー要員の確保、育成、定着、こういった課題に対応できるように、事業を充実させることを検討したい、こういうふうに考えております。

稲津委員 ありがとうございました。ぜひそのような取り組みを図っていただきたいとお願い申し上げます。

 次に、肉用牛の経営安定対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、北海道の近年の肉用牛の経営状況について、これは農水省の資料に基づいてお話をさせていただきたいと思いますけれども、平成二十三年の状況を見ても、例えば、北海道の乳用種の育成牛、これは雄ですけれども、一頭当たりの生産費が十三万四千五百十円、粗収益は十万九千三百七十六円ということで、生産費の方が大きく上回っている。それから、肥育牛の方も、同じようにこれは雄ですけれども、乳用種、これも一頭当たりの平成二十三年の生産費は三十九万二千二百四十六円、粗収益が三十万四千三百六十一円ということで、大変大きな開きがございます。

 こうしたことから、経営安定対策はコストの変化を適切に反映した制度でなければいけない、そこがまず根本にありまして、特に肉用子牛の生産者補給金制度については、直近七年間の生産コストの反映がされている中で、どちらかというと、直近の現実の経済状況が十分反映されていないのではないか、そういう声もありました。それから、新マルキンの方も、今日のこの厳しい経営の実態に合っているのか、こんな声もあります。

 私は、恒常的に生産費が粗収益を上回るような状況の中で、やはり肉用子牛の生産者補給金制度の機動的な算定ですとか、あるいは新マルキンについても、例えば差額の補填割合の見直しだとか、こうしたことも必要なのではないか、こう思っておりますけれども、この辺についての御見解をお伺いしたいと思います。

江藤副大臣 まずは、肉用子牛の生産者補給金制度の保証基準価格につきましては、先生よく御存じのことでありますけれども、これは特措法に基づきまして、生産費の動向や需給情勢その他の経済事情を考慮しつつ、算定式に基づいて、審議会を経て意見を聞いた上で決定するということになっておりますので、このルールはやはり守っていきたいというふうに思っております。

 直近七年の話とか現状を反映していないというふうなお話もありましたけれども、事実関係を若干御説明させていただきますと、平成二十三年七月、このときは配合飼料価格が非常に高騰した時期でありますけれども、例外的に補填金の支払いを、これは民主党政権下でありましたが、四半期ごとに行うものを毎月やっていただきました。これは非常によかったと思っております。

 政権交代前の約束として、地域マルキンをやはり入れるべきだ、地域の特性があるのだから、生産費もそれぞれ違うのであるから、地域マルキンを復活させる。これも約束どおり地域マルキンを入れました。我々宮崎は全国平均を使っていますが、政務官のところは地域マルキンを今は使っております。

 さらに、ことしの七月からは、屠畜経費を生産コストに算入するということで、新マルキン制度につきましては、見直しを逐次行ってまいりました。

 それから、先生から御指摘ありました補填割合の拡充につきましては、高率の補填を見込んで、逆に卸売価格が低い水準で固定化されてしまうのではないかという懸念が一つあります。

 それからもう一つは、やはり財政と横にらみで政策は組んでいかなければなりませんので、どれぐらいこれに金がかかるのか。特に、決して批判しているわけではないんですが、ホルスの場合は一回も欠かさずお金が出ておりますので、非常に財政負担が大きくなっているということも、ALICの懐ぐあいも横にらみをしながら、考慮しながら考える必要があるなというふうに考えております。

稲津委員 先ほど私が紹介させていただきました農水省の農業経営統計調査でありますけれども、ここを見ても、恒常的に生産費が粗収益を上回っているという現状がございます。北海道の現状を見たら、十年間で平成十八年度以外は全て赤字になっている、こういう状況もありまして、ぜひ実態に合った対策の強化を今後も進めていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 次に、酪農、畜産経営安定対策の中で、加工原料乳の生産者補給金の単価の引き上げということを具体のテーマにして質問させていただきたいと思いますが、このことを具体的にお聞きする前に、北海道の酪農の経営状況について、農水省としてどういう御認識があるか。この点について、まずお答えをいただきたいと思います。

小里大臣政務官 先般も北海道酪農家の方々がお見えになりまして、いろいろ話を伺いました。

 年間二百戸が離農をしておるということでございます。その背景には、TPPの影による将来不安があるということがあります。そしてまた、飼料価格の高騰を大きな原因とする経営難があるわけでございます。

 また一方では、補給金、チーズ助成金や乳価が引き上げられたこと、あるいはまた、副産物収入としてのぬれ子の価格が調子がいいといったようなことで、若干ですが改善に向かう兆しがあるとも認識をしておるところでございますが、依然として厳しい経営環境にあるということに鑑みまして、現場の状況に応え得る対策を打ってまいりたいと思います。

稲津委員 今、政務官にお答えいただきましたように、年間約二百戸ペースで酪農家の戸数は減少している。これは十年余りずっと続いておりまして、加えてTPPのお話もございましたように、要するに、果たしてこれから経営を続けていっていいのか、そういう不安が常にあるというのが私は現状だと思うんです。今、大体七千戸ぐらいですから、平成元年と比べたら半分ぐらいになっている、こういう厳しい現実があります。

 ここを何とかしなきゃいけないという大きな問題があるんですけれども、そこで、この補給金の話は非常に大きなことになってくる。

 もう一回、私なりに現状について申し上げたいと思うんですけれども、例えば農業生産資材の品目別の価格の指数を見てみますと、これも農水省の資料ですけれども、平成二十五年、ことしの九月時点と平成二十二年のときを比べてみても、配合飼料でいうと大体一二三%ぐらい、それから灯油でいうと一三〇%ぐらい、既にこのくらいの開きというか、上がっているという現実。だから、一生懸命生産しても、どうしてもコストの方がはるかにかかっていく、こういうことが繰り返されているという厳しい現実があります。

 そこで、やはり補給金の単価については、十二円五十五銭ということで、今年度、ある一定的な方向性は見出していただいたんですけれども、この厳しい現状を見ていったときに、ここはやはり引き上げざるを得ないだろう、ぜひそうしてくれ、そういう大変強い声がありまして、私も現場を歩けば歩くほど、これは本当に重く受けとめていかなければいけないなということを感じております。

 この引き上げについてどのような御見解をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。

小里大臣政務官 平成二十六年度の補給金単価につきましては、算定ルールにのっとりまして、配合飼料価格等の生産コストの変化を適切に反映させて算定し、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて、適切に決定してまいることになりますが、先生今御指摘をいただきましたような厳しい状況を踏まえて、しっかりと現場に届く単価になるように努めてまいりたいと思います。

稲津委員 政務官に御答弁いただいた前段のところは、私もことしはそのような答弁をした経緯がございますけれども、最後のところが非常に大事なところだと思っていますので、重く、前向きに受けとめておきたいと思います。

 もう一つ、チーズ向けの生乳供給安定対策事業の助成単価の引き上げ、このこともストレートにお伺いしておきたいと思います。

 生産資材の高騰というのは、先ほど申し上げましたように、今後も高どまりでなかなか下がってこないだろう。ことし、チーズのところも助成金は十五銭の引き上げがありました。ただ、現場はやはり厳しい状況です。

 一方で、チーズについては、先ほども議論がありましたけれども、ある意味乳製品の中では六次産業化のリーダー的な存在にある。国産チーズの生産増、それから販売の拡大というのは非常に期待も大きいんですけれども、一方で国際価格に対応しなきゃいけない。したがって、残念ながら廉価な取引をせざるを得ない、こういう現状もあります。

 その意味で、この助成金は非常に重要だと思っていますが、これもストレートにお聞きしますけれども、引き上げについてどういうお考えか、お伺いしたいと思います。

小里大臣政務官 お話をいただきましたように、チーズ市場は大変有望な市場であると認識をいたします。着実に成長を続けておりまして、我が国でチーズに向けられる生乳の量も、平成元年度の約二十四万トンから平成二十四年度の約四十六万トンへと倍増しているところでございます。

 このことから、今後とも安定的な需要の拡大が期待できる市場として、平成二十三年度からチーズ向け生乳供給安定対策事業により支援を行い、平成二十五年度におきましては、チーズ向け生乳一キログラム当たり十五円十銭、対前年度比で五十銭増の助成金を交付しているところであります。

 また、二十六年度の単価につきましては、生産コストの動向、受け取り乳代の水準等を踏まえて、また現場の実態を見ながら、しっかり算定をしてまいります。

 なおまた、酪農家から安定した支援にしてほしいという御要望をいただいております。このことから、加工原料乳生産者補給金制度の対象とする。すなわち、御案内のとおり、この制度の対象としては、脱脂粉乳、バター等の原料となる生乳が捉えられているところでございますが、その対象にチーズ向けの生乳を新たに加えることによりまして、これまでの予算措置から法律による措置へといわば格上げをして、安定した対策の実施を進めてまいるべく、今、調整を図っているところでございます。

稲津委員 ぜひここも期待をさせていただきたいと思っております。

 それでもう一点、加工原料乳の確保の緊急対策のことについてお伺いしたいと思うんですけれども、まず最初に、この事業目的と事業効果の現状をどう受けとめていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 稲津先生の御質問にお答えいたします。

 稲津先生の御指摘の事業でございますが、この事業につきましては、猛暑、震災、あるいは配合飼料価格の高騰といった非常に厳しい生産環境の中で、輸入乳製品と競争していく加工原料乳を安定的に確保していくといったことが、いわゆるメーカーといいますか、実需者側から強く求められていたところでございます。

 このため、こうした実需者の要望を受けまして、生産者によりまして、しっかり加工原料乳を供給していくという観点から、今後の生乳生産に関する計画を作成していただきまして、それとともに、生産者団体等が行う加工原料乳の確保に向けた生産者への指導あるいは情報提供、こういった取り組みを支援することによりまして、加工原料乳の安定的な確保のための体制づくりを図ることを目的とした事業でございます。

 現在、生産者の皆さんの方から計画の提出がおおむね完了しておりまして、また、生産者団体によって生産者に対する指導あるいは情報提供、こうしたものが行われておりますので、事業目的というのはおおむね達成されたというふうに考えているところでございます。

稲津委員 今、生産量の確保を図っていくという目的と、おおむね事業の目的は達せられたというお考えを示していただいたんですけれども、私はちょっと違うんですね。そのことは後で申し上げたいと思うんです。

 これは単年度の事業というふうに存じていますけれども、そうしますと、確認しますけれども、二十六年度の単純継続というのはないという考えでよろしいですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ありましたこの事業の効果といいますか、いろいろ計画をつくっていただきまして、その中で判明してきたことでございますが、今後三年間に生乳生産量を縮小する農家の割合が約五%と見込まれるという中で、後継者のいる農家の割合は四割未満にとどまっている、そうした課題が明らかとなりまして、こうしたことを踏まえまして今後の生産構造の改善と生産回復に向けた取り組みといったものが行われていく必要があるというふうに考えております。

 いずれにしても、緊急的にやりましたこの事業の目的というのはおおむね達成されておりまして、平成二十五年度をもって終了することが適当ではないかというふうに考えているところでございます。

稲津委員 単年度の事業で、この時点での単純な継続は難しいというお話、それは意味としてわかるんです。

 私は、生乳の需給状況、これは農水省が出した資料ですけれども、これを見まして、果たして平成二十四年度の七百六十一万トンを二十五年度で超えるかというと、とても、四―九月時、十月時で四百四十万トンですから、この時点でもうアンダーですね。これは、猛暑とか生産戸数が減っている、いろいろな状況の中で、実際には生産量が落ちているという認識に立っています。

 したがって、ここのところをどういうふうに見るかというのは非常に大事な問題ですから、単純な継続はできないということは意味としてわかるんですけれども、同時に、では、そこをどういうふうに見て政策を判断していくのかというのは、これは別な意味で極めて大事なことですから、ぜひここのところを含めて御検討いただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、閉会中にもかかわらず、こうして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 畜産は大変重要だと思っております。日本の農業を考えるときに、生産額ベースで見ると、一位が畜産、酪農、二位が野菜、果樹、三つ目の大きなカテゴリーに初めて米が出てくるので、もちろん、米政策とか関連の、いわゆる土地利用型作物をどうしていくのかは極めて大事なんですが、まさに政権も進めておられる、これから産業として農業をどう考えていくか、こういうことにおいては、畜産あるいは酪農は極めて大事だと思っております。

 その意味では、きょう幾つか御質問させていただきたいと思うんですが、畜産問題あるいは政策について、私は幾つか改めた方がいいなと思っていて、与党時代も取り組んだんですが、やり残したことが実はあって、そういったことを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、少し手続的なことを質問させていただきます。

 あす、畜産物価格の決定等が行われます。毎年やっております。これは、民主党政権時代もそうだったんですけれども、審議会のあり方について少し問題提起をしたいと思うんです。

 食料・農業・農村政策審議会の畜産部会でありますけれども、こうして畜産物価格を年末あるいは年度末に決めてきた経緯がありますが、去年、昨年度もそうですけれども、今年度も年に二回しかやらないんですね。しかも、去年もそうなんですが、同じ月に、十二月に一回目をやって、二回目のところでいきなり畜産物価格を決める。しかも、こういうことを審議してくださいねといって大臣から審議会に諮問が出て、そして答申が出るんですけれども、午前中に大臣から諮問が出て、同じ日の午後に答申を出すんですね。

 こういったあり方については、わからぬではないんですけれども、ただ、いわゆる御用審議会と言われないためにも、あるいは、審議会における議論を本当に専門家の意見を聞いてしっかりやるためには、こうした審議会のあり方を見直した方がいいという提言を私はずっとしてきたんです。

 去年、二十四年度について言うと、二〇一三年の一月十六日に一回目をやって、二十五日に二回目をやって、そこで決めているわけです。今年度、二十五年度についても、先般、十二月の五日ですか、第一回が開催され、そして、あす、第二回が行われ、大臣からの諮問があり、決定される予定になっております。

 こういったあり方について、どのようにお考えなのか。私は、これは見直した方がいいなというふうに思っております。とりわけ、アベノミクスの一つの効果なのかもしれませんが、円安傾向が続き、そして配合飼料などの値段が上がり、先ほど来質問もありましたけれども、肉用子牛が非常に価格が上がっているというような状況の中では、やはりもう少しきめ細かく、年度の途中からさまざまな畜産農家等々の意見を聞いて、来年度の予算にもつながっていく年末の畜産物価格の決定につなげていくということが審議会運営の本来のあり方ではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

江藤副大臣 玉木委員のおっしゃることはよくわかります。

 よくわかるのではありますが、私も畜産畑をずっと歩いてまいりましたので、年がら年じゅうこのことを考えています。毎日のようにこのことを考えているわけであります。私以上に畜産、酪農の政策に精通している議員は、自民党の中にも御党の中にもたくさんおられるわけでありまして、そのような意見が、やはり日々、地元の意見を聞きながら蓄積されていると私は思っています、政治の世界では。

 いわゆる審議会のことにつきましては、答申については、もちろん大事な御意見であります。このメンバーを見ると、若手の方で、大規模に北海道でやっておられる藤井さんとか、非常に将来を担うような方も入っておられますので、この御意見というのは尊重しなければなりませんが、しかし、二回しかやっていないからといって、まずいということではないと思います。

 ただ、委員の御意見も、私もごもっともな部分もあると思いますので、またこれは持ち帰らせていただいて、今後どういうふうにやれば、諮問から答申までの間が同日だということは客観的に見るとちょっと乱暴なんじゃないかという御意見もわからないではないので、この場では回答は控えさせていただきますが、宿題として考えさせていただきたいと思います。

玉木委員 ここは私はやはり見直した方がいいなというふうに思っております。

 もう一つ言うと、これは畜産部会に限らないんですけれども、審議会の委員の定足数というのは、政令で、三分の一以上が出れば成り立つということになっているんですね。そうすると、例えば、十六名メンバーがいて、七人しか出なくても議事が進められるというふうになっていて、せっかく選んでいろいろ意見を聞こうとしているのに、六人、七人出て、それで進めてしまうというのは、しかも、年に二回しか開かないというのはやはり問題だと思いますし、昨年、民主党政権も含めて、一昨年度も含めて申し上げますと、部会長が欠席をしていたりとか、そういうことが結構あるんです。

 こういう中で重要な政策を決めていくということについては、私は非常に問題があるのではないかと従来から思ってきたので、ここは、特に畜産に詳しい江藤副大臣もいらっしゃいますので、少し実質的な議論、世の中のさまざまな意見を酌み取ることができる審議会運営をぜひ政治のリーダーシップで進めていただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思います。

 次に、二つ目の問題について、これも従来から問題意識を持っていた点について質問させていただきたいと思うんですが、配合飼料の価格安定制度についてであります。

 資料をお手元に配っております。これは農林水産省の資料でありますが、皆さんも御存じのとおり、いわゆる通常補填基金と異常補填基金の二つの基金があります。メーカーと生産者が拠出している通常補填基金と、国とメーカーが出している異常補填基金、この二つを使いながら配合飼料の高騰に備えていくということが制度としてあるわけでありますが、私は、これも今極めて大きな問題を抱えていると思っているんですね。

 というのは、ある一瞬だけ上がることに対して対応はできるんですが、恒常的に配合飼料の価格が上がり続けているという状態のもとでは、これを補填し続けていると、基金が枯渇をしていきます。基金自体のある種の財務の安定性がないと、いざというときにしっかりとこの制度が働かないということになると思います。

 そこで、質問したいのは、生産者と飼料メーカーが拠出をしているという通常補填基金であります。

 これは、補正前の現状の残高で結構なんですが、バランスシート的にいうと資産サイドにどれだけきちんとお金がたまっているのか、あるいは積み立てがあるのかということ。

 あわせて、この基金が抱えている負債総額です。ここの資料にもありますように、過去、平成二十年度には、足りないといって、市中借り入れを一千億以上やっています。少しずつ返っていますけれども、まだ残高は残っている。加えて、異常補填基金からも助けてもらっていて、借り入れをしております。このトータルの負債の総額、このことについて教えていただきたいのと、あわせて、負債ですから、返済計画をどういうふうに考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

江藤副大臣 これはビッグイシューであります。大変大問題になりまして、枯渇してしまうということになりまして、百億、この間埋めました。今回の補正予算でも、さらに異常補填の方に百億積み増しをするわけでありますけれども、通常補填の方はお金がもう二十一億円ぐらいしかございません。

 そして、市中銀行への借り入れは、自民党時代に行ったものがトータルで三百六十億、ALICが行った分を合わせますと六百五十二億円ございます。それから、政権を分けて言うのは別に嫌みでも何でもないんですが、御党が政権をとられている時代に借り入れた異常補填の部分の借入金が三百三十三億円ございますので、合わせますと九百八十五億円でございます。もともと、市中銀行から借りた三百六十億円は、元金は九百億でした。これも少しずつお返しをして、現在は三百六十億まで縮んだということであります。

 しかし、それにしましてもまだ一千億あるわけでありまして、これをどのように返すかということは大問題なんですが、今現在、実際行っていることは、市中銀行の方々に御理解をいただいて、償還の繰り延べをお願いして横にずらすということです。問題先送りだと言われればそれまでなんですが、しかし、借金については、いずれこれはお返ししなければならないものだというふうに私どもは十分承知をしております。

 ALIC及び異常補填基金分についても、これからさらにまた返済猶予を求めていかなければならない非常に苦しい状況ではありますけれども、とにかく、この基金が空になって全く発動できない、今、実際には、配合飼料価格が五百円下がっても、農家の負担が二百円ふえているという状態でありますので、この全体のスキーム、システムも含めて、本当はことし中に何とか改革ができればと思ったんですが、若干間に合いませんでしたので、スピード感を持ってこのことにも取り組んでいこうというふうに考えております。

玉木委員 これは本当に大問題だと思うんですね。

 先ほど来申し上げていますけれども、円安傾向が恒常化してくると、やはり配合飼料は高どまりが続く可能性があります。そうすると、ずっとある種泥縄式に埋めてきたというようなこの状態はやはり根本的な制度改正を伴って解消しておかないと、畜産農家の本当の経営の安定と安心をつくり上げることができないというふうに思います。

 一千億円ですよ、皆さん。今回、農地中間管理機構のあの関連予算、概算要求レベルで総額一千億でしたよ。あれと同じ額の負債をこの安定基金が負っているということ。先ほども話があったように、リスケ等々で返済の繰り延べは求めますけれども、潜在的にはそういう負債を負っている基金で何とか配合飼料価格の安定に努めているという現状については、やはり抜本的な見直しをしていかないと、私はきついと思うんですね。

 今回の補正予算の対応を見ていて、もうそろそろ限界かなと思ったのは、国が直接関与できるのは異常補填基金だけです。定義上、通常には直接国は入れられません。ただ、何とかしなきゃいけないというので、異常補填基金に入れて、異常補填基金の発動基準を下げることによって国の関与を何とか入れようということで、苦肉の策で対応しておられた、非常に苦労されたと思います。

 ただ、これは、こういうことをしていること自体で、もう制度が限界ではないかというふうに思いますし、これから円安傾向が、一方の輸出関連企業の人はいいですよ、トヨタの方もそうです、百十円になっても、百二十円になっても、どんどんそれはいいかもしれないけれども、円安が進むことは畜産農家にとってはある種地獄なんですよ。

 こういうことが長く続くのであれば、それを前提に、配合飼料安定価格制度の基本的な枠組みについては、ぜひ早急に抜本的な改革、見直しの方向を出していくべきだと思いますけれども、この点については、大臣、いかがですか。

林国務大臣 今、江藤副大臣から答弁させていただきましたように、いろいろな知恵を使いながら、玉木委員のお言葉をかりれば、ぎりぎりのところで何とかやっている、こういう御指摘もいただいたところでございます。

 為替の動向について、今後どういうふうになるのかということはなかなか難しいところがございますが、一方で、今度は餌米の推進等々もやっていき、そういう構造的な対策もやっていかなければいけないと思いますが、今お話がありましたように、この制度自体も、高騰で、通常補填が多額の借入金を抱えて、制度の安定運営は本当に大丈夫だろうかという声が高まっていることは事実でございますので、見直しに向けてしっかりと検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。

玉木委員 ぜひ、これは問題意識を持っていただいて、検討を始めていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 次に、少しやわらかい話題に行きたいと思いますが、お手元にオリーブ牛というものの資料を配っております。

 オリーブ牛は、私の地元の香川県で最近ブランド化をしまして、大変売れております。何かというと、餌の中にオリーブの搾りかすを入れていくわけですね。そうすると、本当に、食べ比べてみるとわかるんですが、すごくおいしくなるんです。おいしくなるというのはどういうことかというと、余計な脂分が落ちてすごくさっぱりして、でも、コクの残った、非常に口当たりのいい、バランスのいい肉になるんですね。

 私は、実はオリーブをやり過ぎて失敗した牛も食べたことがあるんですが、ぱさぱさになっています。つまり、やり過ぎると脂肪分が落ち過ぎるんだと思います。サシの部分とかは落ちるんですが、それを適度にやることによって、最近ヘルシーを意識する人もふえているので、非常にバランスのとれた肉ができるんですね。

 実は、大変人気が高まっているんですが、飼料に混入させていくということで、今度は飼料としてのオリーブが足りなくなっているということがあります。今までは搾りかすをただでもらっていたんだけれども、こういうふうにブランド化してうまくいくようになったら、やはりなかなか商売ですね、ただでもらっていたのが今度はお金を取るようになって、それがまた高くなったりしていて、要はオリーブの安価な供給が難しくなってきているという現状があります。

 もちろん、飼料だけではなくて、今、オリーブは、オリーブオイルとしても、あるいは食料品としてではなくて化粧品としてでも非常に需要が高まっておりまして、私は、その意味では六次産業化の優等生になるのではないかというふうに大変な期待を寄せておりますし、六次産業化ファンドなども使って、さまざまな裾野の広い産業を地域でつくっていけるのではないかというふうに思っております。

 質問は、こういったオリーブの生産については、これまで余り支援がありません。県の単独事業で香川県もやっておりますけれども、ふえたといって五千万円程度です。こういったものを、産地資金の活用であるとか、あるいは耕作放棄地の対策なども柔軟に活用して、そういった既存の予算、制度の拡充あるいは運用の改善などを通じて、例えば耕作放棄地を活用したオリーブ生産の推進と拡充をぜひ行っていくべきではないか、あるいは、そういったことができるような制度にこれから農政を見直ししていってはどうかというふうに実は私は思っております。

 きのう東京に出てきたら、小里政務官の本を私は読ませていただきました。全部読みました。非常に共感できるところと、ちょっとどうかなと思ったところは、民主党政権時代の戦略作物が地域の創意工夫を阻害したというところがございました。民主党は、今の水田活用の交付金、このことを、麦とか大豆を戦略作物と位置づけて、こういうものを偏重して地域の自主性が失われたというふうなことが書かれてあって、そういう面はあるのかなと思うんですが、ただ、来年度の予算を見ても、麦、大豆については同じような全国一律の価格を維持するということになっているので、維持されるのかなと思いつつ、やはり産地資金とか、地域の創意工夫が生かされるような制度にしていくことが極めて大事だというふうには私も同じく思っております。

 その意味では、質問に戻りますが、これまで余り主要な作物の支援対象にはなってこなかったこうしたオリーブのような作物の推進を国としても応援、後押しするべきだと思いますけれども、これは大臣、いかがでしょうか。

坂本委員長 大臣、簡潔に答弁をお願いいたします。

林国務大臣 はい。

 実は私も、香川県に参ったときに、このオリーブ牛の話を聞いたことがございます。何かオレイン酸がふえるということで、大変おいしいということですが、まだいただいていないものですから、味を試しておりません。

 香川県では、産地資金を活用して、オリーブに対して支援を行っていらっしゃるというふうに聞いております。

 二十六年度から、産地交付金と名称変更しまして、地域で策定する水田フル活用ビジョンに基づいて支援をすることとしたところでございますので、地域の創意工夫を生かして、特色ある魅力的な産品の産地づくりを進められるように、県等において十分検討の上、これを活用していただきたいと考えております。

玉木委員 ぜひ香川県に来てオリーブ牛を食べていただきたいと思いますので、そのことをお誘い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、寺島義幸君。

寺島委員 民主党の寺島義幸でございます。

 諸先生方とダブる部分もあろうと存じまするけれども、お許しをいただきたいと存じます。

 初めに、畜産、酪農政策の基本の部分について質問をさせていただきます。

 我が国の畜産、酪農は、御案内のとおり、和牛繁殖経営の高齢化、あるいは酪農経営の将来への不安などによりまして、先ほどのお話のように、離農する農家が増加しているわけでありまして、生産基盤が縮小をいたしておるわけであります。つまり、構造的な問題ということに相なるのでありましょう。配合飼料価格の高騰などの課題が重なって、まさに危機的な状況にあるのは御案内のとおりであろうと思います。

 このようなことに加えて、穀物相場や為替相場の変動など外部環境が大きく変化する中でも、畜産、酪農経営が将来を展望できるような、畜産農家の皆さんが来年も再来年も一生懸命やろうじゃないかと意欲の出るような、そんな安定した生産のできる畜産、酪農の基本政策というのをここで見直して、しっかりと土台をつくっていかないかぬのかな、こんなふうに実は思っているわけであります。

 私の長野県は、農業産出額が二千数百億でございまして、畜産は二百七十七億ぐらい、一二、三%であります。お米は四百九十億ぐらいで二一%というような状況であって、先ほどの中川先生のお話ではないんですけれども、家族経営の畜産が非常に多いわけです。

 そうした中で、先ほど来お話しのように、素牛の肉牛の場合、五十万ぐらいになっちゃっているということを地元でちょっと聞きました。従来三十五万前後であろうと思います。飼料価格が高騰しているんですけれども、かつてはトン四万円か五万円ぐらいで推移してきたときがあった。そうしたときに、肉牛一キロ約二千円とすると、八十万から九十万円で売れて、何とか来年も母ちゃん一生懸命やろうじゃないかというような段階であったんだろうと思うわけでありますが、今は素牛が、雄は五十万、雌は四十万とか四十五万だそうなんですけれども、非常に高くなっている。

 加えて、配合飼料等が高どまりをしている。一トン六万五千九百円で、その補填金も、先ほど来議論のように、高どまりしていますから、余り補填金がいただけなくて、七百円である。昨日、資料をいただきましたら、二十六年度の価格は、五百円下がっているから六万五千四百円ということで、実質的にいえば農家は二百円持ち出しになってしまうんじゃないかというようなことも考えられるわけです。

 一方また、長野県なんかの場合を見ると、御案内のとおり、中山間地農業農村が多いわけでございまして、傾斜地があって、牧草地をふやせふやせと言われるわけでありまするけれども、なかなか傾斜が強くてそんなにはふやせない。機械の補助金もあるんですけれども、なかなか使い勝手が悪くて効率が悪いということで、その意味においては、畜産農家の皆様方は大変苦労をしているわけであります。

 北海道には北海道の農政があってしかるべきでありましょうし、また私どものような小さな中山間地農業農村のようなところにも、それなりの農政があってしかるべきだろうというふうに思うわけであります。

 したがって、その場面、地域地域によってやはり農政は変わっていいんだろうというふうに思うわけでありますが、さはさりとて、なかなか、日本の農政ということになりますと、一国一制度というような限界もある部分もあるわけでありまして、そうした兼ね合いからすれば、今までの政策をある程度しっかりと見直していく必要があるのではないかというふうに思っているわけであります。

 配合飼料価格の高騰による生産コストの増大でありますとか、外部環境が大きく変化する中でも畜産経営が継続できるように、付加価値の創出によりまして所得が少しでもふえる、そして配合飼料価格の安定制度と現行の畜産経営安定対策を見直して、畜産経営が将来を展望できる安定的な畜産基本政策というものをつくっていくことが大事なのか。

 さらに、酪農で申し上げれば、先ほどお話がございましたけれども、新たな酪農・乳業対策大綱を、これは策定からもう十年が経過しているわけであります。地域の特性を踏まえた酪農経営のあり方を見直す中で、現行制度、体制をしっかりと検証していただいて、酪農経営が将来を展望できるような、安定酪農の基本政策というものを見直していく必要があるのか。例えば、酪農経営の安定を図るために万全な経営安定対策、あるいはまた、農家の皆様が安心して生産ができる生乳需給調整対策等を確立する必要があるのか。

 そして、乳価決定に向けまして、指定生乳生産者団体の機能強化、あるいはまた生産者組織、そして乳業のメーカーの再編というようなことも促進をすることが重要であると考えるわけでありますが、基本的な部分につきまして、大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

林国務大臣 今、寺島先生から基本的な課題につきまして御指摘をいただきまして、そのとおりだ、こういうふうに思っております。

 先日、十二月十日でございましたが、農林水産業・地域の活力創造プランを決定、公表させていただきました。その中で、今後、食料・農業・農村基本計画の見直しに着手しよう、こういうふうにいたしました。畜産、酪農についても、この基本計画の見直しとあわせて、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の見直しを検討していく必要があると考えております。

 まさに今御指摘のあったさまざまな課題、これは北海道と都府県と分けて議論されることが今委員からも御指摘があったように多いわけでございますが、いろいろな地域の関係者の皆様の御意見も聞きながら、畜産、酪農政策のあり方についてしっかりと検討をしていきたい、こういうふうに考えております。

寺島委員 前にも議論をさせていただきましたけれども、食料・農業・農村基本法のもとで、食料・農業・農村基本計画がおおむね五年ごとに今まで見直されてきて、二十七年度を目途にまた見直されるわけですから、その中にしっかりと将来を見通せるような基本計画をおつくりいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 具体的というか、ちょっと細かなお話をさせていただきますけれども、今般また、新しい農政ということで飼料米を促進しようではないかということです。十アール当たり八万円であったものを、上限十万五千円でしたか、支援をしながら、飼料米の普及を図っていこう、こういうことで、その意味においては大変結構なことであろうと思うわけであります。

 となりますと、配合飼料の国内産米の利用拡大ということにつながるのであろうというふうに思います。豚とか鶏、そういうものはお米をいっぱい上げてもいいんでしょうけれども、地元で聞きましたら、牛に急激に米ばかりくれるとだめだ。なかなか体質的に合わないんだ。なれるまでが大変なので、ただお米があるから上げればいいというものじゃないんだぞというふうに教わってきたんです。聞きますところ、配合飼料のトウモロコシの中に約二割ぐらいは米を入れても大丈夫なのではないか、ならすことによってということも承ったわけであります。

 となりますと、やはり課題があるのかなというふうに思うわけであります。それはどういうことかと申しますと、やはり農家にとって一番使い勝手のいいのは配合飼料ということになるんだろうというふうに思います。配合飼料は栄養計算なんかもちゃんとされているわけでありますから、その意味においては、使いやすいということになれば、配合飼料を使うということが農家にとっては便利なんであろう、なおかつ、それが安価で手に入るということが重要なことなのかなというふうに思っています。そうした中で、餌メーカーが国内産のお米を使うというシステムが必要であろう。

 農水省にお伺いしたいんですけれども、余りその話が聞こえてこないものですから、餌メーカーが国内産米を使用して安い配合飼料をつくるシステムをつくっておかなければ、一方で幾ら飼料米をつくれつくれといってふやしても、有効的に機能しないと思うわけでありまするけれども、その辺のシステムづくり、構築はどのようにお考えになっておられるんでしょうか。

林国務大臣 今先生からお話がありましたように、いわゆる畜種別の米がどれぐらい食べられるかということですが、今のデータですと、大体、採卵鶏で二〇%、ブロイラーで五〇%、それから養豚で一五%、乳牛で一〇%、肉牛で三%、これぐらいは大丈夫だろう。これは今からいろいろなことをやることによって上がっていくようになるといいなと思うわけですが、今の数字で評価をいたしてみても、四百五十万トン程度は潜在的な需要があるということでございます。一方で、二十四年産の餌米の生産実績はまだ十八万トンでございますので、これはかなり潜在的な需要はあるということでございます。

 したがって、今委員からお話があったように、配合飼料の原料としての利用拡大、これは大変に大きな期待がかかるわけですが、やはり流通について、全国生産者団体が配合飼料原料として供給する仕組みを活用しながら、保管についても、主食用米の減少によりあきのできた農業用倉庫等の活用が可能である、こういうふうに思っております。

 したがって、今後、各地域で農家が安心して餌米をつくっていただけるように、そして配合飼料原料としての利用拡大を図られるようにするために、まず配合飼料工場での長期的、計画的な活用のための情報の提供をしよう、それから乾燥調製貯蔵施設の整備への支援、これは強い農業づくり交付金ということで予算をとっております。

 こういうことに加えまして、平成二十五年度の補正で乾燥調製貯蔵施設の再編合理化に必要な設備のリース方式による導入を支援する、こういうことをやることによりまして、円滑な飼料用米、餌米の流通、活用を推進していきたい、こういうふうに考えております。

寺島委員 ありがとうございます。

 そこで、また地元の話で大変恐縮なんですけれども、長野県は、先ほど申し上げたように、畜産が一二%、二百七十七億ぐらいで、お米が二一%、四百九十億ぐらいなんですけれども、それで飼料米を拡大してまいりますと、マッチングがうまくいくかなという思いがあるんですね。長野県だけで飼料米がふえても、畜産農家の皆様方はそんなにいらっしゃらないので、なかなかお使いいただけないのではないか。

 そうなりますと、県境を越えた広域的な流通、加工システムみたいなものをやはり用意する必要があろうというふうに思うわけでありますけれども、この辺のマッチングというか、その件に関してはいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 寺島先生の御質問にお答えいたします。

 今、私ども考えておりますのは二つありまして、一つは、各県の畜産農家の方に対しまして、どのぐらい餌米が必要かというような需要量をはかる、どのぐらいになるかを今調査しておりまして、これは出てまいりましたら耕種側の方に提供するといったようなことをやっておるところでございます。

 それともう一つは、先ほど大臣の方から御答弁ありましたように、いわゆる全国生産者団体、具体的な名前で申し上げますと、いわゆる全農方式と呼んでいるわけでございますが、全農さんの配合飼料工場に餌米を運んでいただくといったような二つの方式というものが考えられるところでございまして、今まさに、これにつきまして、各県からの要望あるいは需要、そうしたものを把握して、今月末にはまとめまして、来年以降、こうした情報を提供することによって、今いろいろなミスマッチが生じておりますので、そうしたものを解消していきたい、このように考えているところでございます。

寺島委員 ありがとうございます。

 ぜひそのような取り組みをしていただいて、加工、流通がうまくいくように、そのことによって、また飼料米もスムーズにいくと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、酪農の関係なんですけれども、輸入乾草、干し草、これは円安で大変値が上がっている。二〇%以上上がっている。円安というのは、農家の努力ではいかんともしがたい部分なんですよね。円安で輸出をされている方々は利益がふえるんでしょうけれども、輸入されている方々はこういうことで御負担がふえてくるわけであります。先ほどの配合飼料なんかの場合は補填をする制度とかがあるんですけれども、輸入の干し草に対しての支援というのは、国の直接支援というのがなかなかないわけでありまして、それもいたし方ないとは思うわけであります。

 そうなりますと、これはどうしても、先ほどの議論のように、本当に赤字で、もう大変な状況が長く、恒常的に続いている中で、円安という外的要因によって二〇%も価格が上がっているわけですから、短兵急に言えば、大変申しわけないんですけれども、生乳価格を消費者の皆様に御負担をいただく。つまり、生乳価格を上げることが大事なのかなというふうに思うわけでありますが、その点に関してはどう思いますか。

小里大臣政務官 輸入乾牧草についてお答えをしたいと思います。

 御指摘のように、これの国内価格が、主要産地、北米等の天候不順によりまして、高い水準となっております。これが、酪農経営においてコストが増嵩することにつながっていると認識をしております。

 一方で、農林水産省としましては、国産粗飼料の生産、利用の推進をすること、すなわち、粗飼料の自給率目標を一〇〇%ということで捉えまして、その生産拡大をしておるところであります。したがいまして、輸入粗飼料そのものに支援することは困難があると認識をしております。

 ただ、一方では、輸入牧草に起因するコスト増も織り込みながらマルキンとか酪農経営安定対策等を打っておるということは、また御理解をいただきたいと思います。

 国産粗飼料生産拡大の具体策としては、飼料用米、稲ホールクロップサイレージの生産、利用拡大、また優良品種の開発、コントラクター、TMRセンターの整備等の推進を行っておるところでありまして、引き続き予算の獲得に努めてまいりたいと思います。

 いずれにしましても、輸入乾牧草への依存度を低減し、飼料生産基盤に立脚した足腰の強い畜産経営の実現を図るために、各般の支援を行ってまいりたいと存じます。

寺島委員 輸入に頼らないように努力する、そのとおりだろうと思うわけです。また、地元の話で恐縮なんですけれども、中山間地でなかなかふえないんですよね。その辺が悩みの種であります。

 ちょっとわからないので、確認の意味も含めてお聞きするんですが、先ほど生乳価格の算定ルールというふうにおっしゃられましたのですが、例えば円安によってというような外的要因等もその算定ルールの中には入っておるんでしょうか。

坂本委員長 佐藤局長、簡潔に答弁をお願いいたします。時間が経過しております。

佐藤政府参考人 はい。

 加工原料乳の乳価の算定に当たっては、移動三カ年方式というもので生産コストの変動率を出しまして算定しておりまして、その変動率の算定に当たりましては、いろいろな配合飼料価格等のそうした飼料代や何かも全部入れて考えているところでございます。

寺島委員 時間が参りました。

 二十七年度を目途にして新たな食料・農業・農村基本計画をおつくりになられるということであります。恒常的に赤字が続くというか、畜産農家の皆様方が、将来も再生産可能な、所得がしっかりと得られるような仕組みづくりというものを根底に置いてどうぞお考えいただくことを御期待申し上げます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 日本維新の会の村上政俊です。

 本日は、閉会中審査の貴重な機会に質疑の時間を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。

 まず初めに、これはちょっと通告いたしておりませんが、本日の決議案について一点お伺いしたいと思います。

 本日の質疑の終了後に、決議案の趣旨説明があって採決があるというふうにお聞きいたしておりますが、平成二十六年度畜産物価格等に関する件、この決議案の七番で、TPPの本委員会での決議についての言及がございます。平成二十五年四月の本委員会決議、TPP交渉参加に関する件を遵守して、確固たる決意を持って臨むことということで、その案の中に盛り込まれております。

 そもそも、我々の立場といたしましては、畜産の農業振興に占める重要性に鑑みまして、この決議案に対しては賛成をしたいというふうに考えておりますが、今申し上げた点、本委員会における決議の七番、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」ということで、本委員会においても何度も質疑の中で取り上げられてきた点だと思いますが、この点についてはやはりこれからもしっかりと遵守をしていただいて、政府として取り組んでいただきたいということを、我々としては留保いたしまして、賛成するという方向でいたしたいと思います。

 何かこれについてコメントがございましたら、お願いいたしたいと思います。

林国務大臣 きょうお決めになる決議はまだ御提案をいただいておらないので、我々は承知をしていないというのが建前の答弁になろうかと思いますが、かねてからいただいておりますTPPに関する決議については、しっかりとその決議を踏まえて対応してまいりたいという考えは変わっておりません。

村上(政)委員 大臣、そのような方向で取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 それでは、私からは、畜産も今お話しさせていただいた点がありましたけれども、本委員会でなかなか取り上げられる機会が少ない林業についてお伺いしていきたいと思います。

 森林は災害防止や水源涵養などさまざまな公益的な機能を持っておって、例えば私の地元の大阪では、周囲が森林に囲まれていて、市街地と森林が大変近接いたしております。そういった都市部においては、森林が保全されてそれらの機能が、今申し上げたような災害防止や水源涵養の機能ですけれども、そういった機能が適切に発揮されて、森林保全がされるということが求められているというふうに思います。

 しかしながら、昨今、木材価格の低迷など、林業を取り巻く環境は非常に厳しいものがございまして、特に、間伐などの手入れがされずに荒れてしまう森林がふえてきているというふうに聞いております。

 こういった点、荒れる森林がふえてきて、先ほど申し上げた災害防止といった機能の低下が非常に懸念されているという状況に対しては、政府としてはどのように対処されていくというお考えでしょうか。

林国務大臣 我が国は、国土の約七割を森林が占める世界有数の森林国でございまして、特に、戦後ずっと造成、植林をしていただいたおかげで、森林資源が本格的に利用可能な段階に来ているということでございます。

 森林の有する多面的機能を持続的に発揮させていくためには、この充実しつつある森林資源を有効に活用し、林業の成長産業化を図っていく、まさに森を守るために木を使うということが大変重要である、こういうふうに考えております。

 官邸に農林水産業・地域の活力創造本部を設置させていただきましたが、ここで十二月十日に、農林水産業・地域の活力創造プランを決定させていただきました。

 その中でも、林業の成長産業化に向けまして、一つは、CLTなどの新たな製品、技術の開発普及、学校を含めた公共建築物の木造化等による新たな木材需要の創出をしていこう、それから、需要者ニーズに対応した国産材の安定供給体制を構築していこう、それから、適切な森林の整備保全等を通じて森林の多面的機能を維持向上していこう、こういうことを書かせていただいたところでございます。

 今後、このプランに掲げられた施策の実施を通じまして、林業をまず成長産業化していくということを実現するとともに、車の両輪として、森林の多面的機能の持続的な発揮を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。

村上(政)委員 今大臣の御答弁の中にあったとおりでして、木材を使っていくということが林業の再生につながるというふうに私も考えております。林業を再生して、森林が持つこういった多面的な機能を適正に発揮させていく、そのためには木材の利用拡大が不可欠であるというふうに考えます。

 しかしながら、例えば、子供たちに森林保護というテーマで絵を描かせてみると、木を切ることは悪いことという内容の絵を描く子がいたり、あるいは木とか森林が泣いているような絵を描く子供たちがいたりして、子供たちの中で、木を使ったり木を切ることは悪いというイメージが定着してきているのではないかというふうに私は心配いたしております。

 そういったことを考えたときに、木材の消費地である都市部の住民に、木材を利用することが森林の保全につながって、さらに林業の再生につながっていくという、今大臣の御答弁にあったようなことを十分に理解していただく、そういった取り組みを進めていく必要があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 木材の利用の拡大に当たりましては、やはり木材利用の意義につきまして国民の皆様方の理解を深めていただく、こういうことが大変大切だというふうに考えております。

 このため、私どもといたしましては、シンポジウムでありますとかイベントの開催、あるいはポスター、パンフレット、各種メディアを通じたさまざまな広報活動を積極的に実施させていただいているところでありまして、例えば、木質空間には、湿度を調節する作用でありますとか、安らぎを与えたり、リフレッシュさせる効果がある、こういった木材のよさも含めて訴えさせていただいております。

 また、木を使う運動でございますけれども、木づかい運動を展開させていただいておりますが、この中で、国産材の木材製品へのロゴマークの添付でありますとか、あるいは感謝状の贈呈、こういった取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、あらゆる機会を活用いたしまして、国民の皆様方に対しまして、木材の利用の必要性、重要性というものについて普及PRさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

村上(政)委員 今長官から、そういった木材の利用について理解を促進していく取り組みをするということで御答弁がありましたが、子供たちと木材の関係ということについては後で触れさせていただきたいと思うんですけれども、そういった子供たちと林業であったり木材の利用であったりという点についてもいろいろと御配慮いただきたいと思います。

 その前に一点お伺いしたいことがございまして、木材利用ポイント制度についてであります。

 これまでの林業施策というのは、主に森林面積の多い山村地域というものを想定して展開されてきたというふうに思います。しかしながら、先ほど寺島委員からも、農業について、北海道の農政があってもいいし長野の農政があってもいいしというふうなお話がありましたが、林業についても、地域地域でさまざまな、きめ細やかな施策であったり制度があってもいいのではないかと思います。

 例えば、さっきお話し申し上げた森林面積の多い地域では、地元の産業や森林を守るために率先して木材を使うという意識が非常に働きやすいとは思うんですけれども、逆に都市部ではそういった動機づけが働きにくいと思います。都市部での木材利用を拡大することによって、逆に山村地域の林業振興につなげていくといった木材利用のあり方があっても非常にいいと思いますし、そういった点では、インセンティブが必要になってくると考えます。

 現在、農林水産省で、木造住宅等に対する木材利用ポイント制度というものを実施しておられます。しかしながら、その制度には幾つか問題があるというふうに考えます。

 例えば、手続が煩雑であったり、エコポイントというものは非常に知名度はありましたけれども、現在、木材利用ポイント制度というのは、知名度という点でも、なかなか皆さんに知っていただいて使っていただくというような段階には至っていない。

 あるいは、エコポイントとの比較でもう一点申し上げれば、エコポイントは全額がキャッシュで還元されるというふうなものになっていたと思いますが、そういった還元というものも非常に制限されているというふうな、制度の使いにくさや使い勝手の悪さというところもあると思います。

 こういったことを考えたときに、制度を改正して、一層の木材利用の拡大が期待できる都市部において、例えば、木造施設の整備等に対して支援をしたり、それに対する施策を行っていくというふうなことをやってもいいのではないかなと思うのですが、これについてはお考えはいかがでしょうか。

沼田政府参考人 木材利用ポイント制度でございますけれども、この事業は、地域材の適切な利用を確保いたしまして、森林の適正な整備保全、そして農山漁村地域の振興を図るために、平成二十四年度補正予算で措置されたものでございまして、杉、ヒノキ、カラマツ等を活用いたしました木造住宅の新築、増築、あるいは内装、外装の木質化工事、木材製品の購入、さらには木質ペレットストーブ、まきストーブの購入に対しましてポイントを付与して、地域の農林水産品、商品券等と交換ができる仕組みとさせていただいているところでございます。

 この商品の交換につきましては、地域材の利用促進と、それから農山漁村の活性化ということを図るために、地域の農林水産品を中心とする仕組みとさせていただいておりまして、汎用性のございます全国商品券とか、他の木材関連工事費に充当いたします、いわゆる即時交換と言われているものでございますが、これにつきましては、交換ポイント全体の半分までというふうにさせていただいております。

 木材利用ポイント事業につきましては、事業者や消費者にとっても初めてのものでございますので、これまでも、ポイントの申請手続に係るガイドブックでありますとかパンフレット等の作成、さらには、さまざまな質問に答えるコールセンターの設置によりまして、円滑に進むよう努力させていただいてきたところでございます。

 周知は相当程度進んでいるものと考えておりますが、ただ、現在でも、手続や事業内容につきましてお問い合わせがございます。今後、さらなる説明会の開催、各種媒体を通じたPR活動、こういったものをしっかりとやることによりまして、この制度の周知をさらに徹底させてまいりたいというふうに考えているところでございます。

村上(政)委員 せっかくの制度ですので、皆さんが使いやすいような形にしていただければと思います。

 次に、林業と子供たちのことについてお伺いしたいと思います。

 先ほど御答弁の中にもあったんですが、木材というのは、やはりストレスの緩和であったり室内の快適性を高めるなどの特性がありまして、保育園や幼稚園などで木材を利用すると、子供の育成環境に大変いい効果があるというふうに考えられております。また、子供のころから木材に接することによって、そのよさを体感するとともに、森林の大切さに対して理解を深めてもらうというふうなことも必要なのではないかと思います。

 そういった点から鑑みまして、木材の利用あるいは林業と子供たちの教育の関係ということについてはどのようにお考えでしょうか。

沼田政府参考人 ただいま委員御指摘のように、子供のころから木材に接しまして、そのよさを体感してもらうということにつきましては、木材需要の拡大を通じた適切な森林整備を推進する上でも大変重要なことだと考えております。

 私どもといたしましては、一つには、子供たちが植樹等の体験活動を通じて森林・林業について学習する森林環境教育、こういったものにも取り組ませていただいております。さらには、木への親しみでありますとか木の文化への理解を深めて木材の利用の意義を学んでいただくための教育活動として、木育ということを推進しております。

 こういったものについて積極的に支援させていただいているところでございまして、例えば、木育の取り組みに関しましては、子供たちが木のおもちゃに触れる機会を全国に広めます木育キャラバン巡回事業でありますとか、あるいは赤ちゃんと保護者が一緒に木のおもちゃに触れることができる赤ちゃん木育広場、こういったものを開催するなど、さまざまな支援をさせていただいているところでございます。

 今後とも、子供たちが木材利用の必要性、重要性について学習する機会を提供できる取り組みというものにつきまして、積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

村上(政)委員 私の地元の大阪での取り組みを紹介したいと思うんですけれども、大阪では、一園一室木質化運動といって、保育施設などで少なくとも一つの部屋の床や壁などの内装を木質化して、木材利用を推進するというような取り組みが行われております。

 先ほど来いろいろと質問させていただいておりますが、子供たちに木材利用であったり林業の重要性を理解してもらうために、国としても、学校や幼稚園、保育園、子育て環境に木材を利用していくということに対していろいろと支援していくといったお考えはおありでしょうか。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大阪府の取り組みも御紹介ございましたけれども、こういった子供のころから木と触れ合って木のよさを実感するということは非常に大切なことと考えております。

 こういったことで、私どもといたしましては、国として、森林・林業再生基盤づくり交付金あるいは森林整備加速化・林業再生基金といった事業がございますけれども、こういった事業の中で、幼稚園、保育園など公共建築物の木造化あるいは内装木質化に対しまして支援を行っているところでございます。

 先日閣議決定されました平成二十五年度補正予算におきましても、公共建築物の木造化、内装木質化を進めていくために必要な予算というものを計上させていただいているところでございます。

 今後とも、幼稚園、保育園を含めまして、公共建築物の木造化、内装木質化に対しましてきめ細やかに支援ということにつきまして努めてまいりたいというふうに考えております。

村上(政)委員 ぜひそのように、将来世代に対して木材利用の重要性の理解の促進という点で、いろいろと取り組みされていくことを期待したいと思います。

 林業については、以上で通告していた質問を終わりたいと思うんですが、最後に、ぜひ大臣から、林業の成長産業化というお話がございましたので、それに向けた決意というか意気込みをお伺いして、林業の質問を終わりたいと思います。

林国務大臣 冒頭申し上げましたように、また委員からもそれに沿って御質問いただきましたように、木を使って、そして新しいものを植えて、新しく森林が生まれ変わっていくという循環、これをつくり出していくということが非常に大事だ、こういうふうに思っております。

 そのためにも、ポイント制度、これは、周知徹底のために、乃木坂46というグループがおられるんですが、この皆さんにもキャラクターになっていただいて、いろいろなところに発信をしていかなければならない、こういうふうに思っております。

 特に、需要サイドの政策をやっていく場合には、発信をして周知徹底するというのは非常に大事なことだ、こういうふうにも思っておりますので、そういうことも活用しながらしっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

村上(政)委員 木材のポイント制度についてそのようなPR活動をされているという点、済みません、私は知りませんでしたので、質疑が終わりましたら、一度ホームページ等を拝見したいと思います。

 それでは、最後に水産関係の質問をしたいと思います。水産業についても、なかなかこの委員会で取り上げられる機会が少ないものですから、この機会に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、地域住民との連携であったり、漁場の環境改善に対する支援という観点からお伺いしたいと思います。

 気候変動によってなど、容易に対応できない要因もあるとは思いますが、例えば埋め立てによって失われた干潟や藻場というものは、ある程度自分たちで再生させていくことができるのではないかと思います。

 そういった観点から、これからのあるべき海の姿を考えたときに、人が手を加えることによって魚介類の生態系を改善して漁業生産性を高める、里海という考え方が注目されています。人と海との触れ合いの場、それから適正な水質を維持する場としても注目すべきものであると思いますし、古くから海と密着した文化を育んで生活を営んできた瀬戸内海沿岸では、ぜひともこのような取り組みを推進していく必要があるのではないかと思います。

 そういった点から、水産資源を増加させるための漁場の環境改善のために公的な支援をしたり、あるいは地域住民と連携した里海づくりに対して支援をしていく、こういった点についてはどのようにお考えでしょうか。

小里大臣政務官 農林水産省としましては、農林水産省生物多様性戦略等を踏まえまして、自然生態系と調和しつつ人手を加えることによりまして高い生産性と生物多様性保全が図られる、表現いただきましたところの里海を適切に保全することが必要であると考えております。

 このため、水産基盤整備事業におきまして、漁港漁場整備長期計画に基づきまして、豊かな生態系を目指した、これも御指摘をいただきました藻場、干潟の造成等の水産環境整備を推進しているところであります。

 また、水産多面的機能発揮対策事業においても、漁業者と地域住民等が連携して行う藻場、干潟の保全、漂流・漂着ごみの除去、あるいはまた、川の上流に植林をすることによりまして川をきれいにして、それが海につながっていく、そういったことも支援をしているところであります。

 今後とも、これらの漁場環境の改善の取り組みをしっかりと進めながら、里海の保全に努めてまいりたいと存じます。

村上(政)委員 次に、地域の漁獲物について、どういった点から売り出していくかということをお伺いしたいと思います。

 水産資源を回復して漁獲量を増加させることは、日本の漁業にとっても喫緊の課題でありますし、あわせて、漁業者の経営安定を図るために、限られた漁獲物に対してどのように付加価値をつけていくかということが重要であると思います。

 水産物は地域ごとに特徴がありますし、加工方法についても地元の漁業協同組合や加工業者の個性のある商品が多いと思います。そういった地域ごとの漁獲物に脚光を当てて全国に向けて発信していくことや、それらの取り組みを行おうとする漁業者に対して支援を行うこと、こういった点が水産業の振興に対して重要ではないかと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

本川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、おっしゃるように、地域の漁獲物を全国的に発信していくというのは非常に重要な取り組みであると思っております。

 例えば、福島ではメヒカリという魚があるんですけれども、これは、福島県の方はよく食べられる、非常においしい魚なんですが、東京で食べようとしてもなかなか難しい。そのようなところをやはり支援していく必要があると思っております。

 ことしの、二十五年度の予算におきましては、そういう産地から消費地までの目詰まりを解消するという観点から、国産水産物流通促進事業というのを措置しております。これは、例えば、地元で捨てているようなお魚を商品にするための機器を支援したり、あるいは、そういう開発された商品を発信していく、そのようなことについても支援を申し上げる事業でございます。これを御利用いただいて、まさにおっしゃるような取り組みに対して支援をしていきたいと思っております。

 それからもう一つは、本年度は消費者参加型のグルメコンテストでありますFish―1グランプリというものを開催いたしておりまして、まさに、そういう地域の漁獲物である御当地魚を使ったメニューをグルメコンテストにかけていくという形で、そのような動きを喚起していく取り組みをしておるところでございます。

 今後とも、このような取り組みを続けて、御指摘のような点を推進してまいりたいと思っております。

村上(政)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 日本維新の会の村岡でございます。

 閉会中審査ということで、きょうは十五分と短いので、矢継ぎ早に質問させていただきたいと思います。

 きょうは、通告で飼料用米の生産についてと日本酒の輸出促進についてということを質問させていただく予定ですが、その前に、地元に帰って、いろいろ政府と自民党と言っていることが違うんじゃないかという非常な不安があります。これだけの農業の大転換をするときに、総理と与党の責任者である座長が言っていることが違う。

 十二月九日、総理が記者会見しました。農業を成長産業にするために四十年以上続いてきた米の生産調整を見直し、いわゆる減反の廃止を決定しました、農業分野において減反の廃止なんか絶対に自民党にできないと言われてきた、これは私たちはやったのです、やるということを決めましたと、非常に高揚感の中で、やったぞというような形で記者会見をされております。それに対して、宮腰座長が言っているのは、生産調整の廃止ではない、手法の見直しだ、こう自民党、与党は言っています。

 これが同じ表現だ、そして、農家の人がこれを聞いてどっちも同じだなと思う、こういうふうに大臣は考えられているでしょうか。責任の担当の大臣としてお答え願いたいと思います。

林国務大臣 この安倍総理の御発言は、十二月九日に、国会閉会後の記者会見において発言されたというふうに聞いておりまして、今委員がおっしゃっていただいたような発言をされておられる。農業を成長産業にするために四十年以上続いてきた米の生産調整を見直し、いわゆる減反の廃止、こういうふうに発言をされておられます。

 私も注意をして、この場では生産調整の見直しというふうに言ってまいりましたけれども、米の生産調整の見直しを説明するに際して、総理は、報道で時々そういう言葉が出ておりますので、報道で用いられることの多い減反の廃止という言葉を引き合いに出されて、いわゆるというふうにおっしゃっておられる、こういうふうに考えております。

 農林水産省として説明してきた内容と総理のお考え自体が異なっているものではないと考えておるところでございます。

村岡委員 大臣、これを聞いて、ほとんど同じだと思う農家はいません。やはりそこは政府と与党と一致して、この大転換をするということですと、その調整はしてください。現場に対してしっかりと説明する、これから説明していかなきゃいけないというときに、総理と、また農林省、そして与党の農業の責任者、これが全部違ったら、誰を信じていいのかわかりません。この点は、農林大臣、責任担当大臣として、しっかりその調整はしてください。でなければ、この大転換はうまくいきません。

 やはり、こういうことの積み重ねが農政に対して大変な不信を持っているということを考えていただきたい、こういうふうに思っております。もう一度お答えください。

林国務大臣 詳細な単価も含めて決定をさせていただきましたので、今から各地でブロック別、各県別にきちっとした説明会をやっていこう、こういうふうに思っております。

 そういう中で、いわゆる、こういう見出しということではなくて、中身が実際にはどういうことになるのかをしっかりと説明し、そして現場の農家の方に、それを踏まえてきちっとした将来展望を持って営農計画を立てていただく、これをきちっとやっていくことが一番大事なことだ、こういうふうに思っておりますので、今先生から御指摘のあったところも踏まえて、しっかりとそれを果たしていきたいと思っております。

村岡委員 きょうは時間がないので、これ以上この問題は、また通常国会なり閉会中審査があればしたいと思います。

 飼料米のことに関してなんですけれども、今まで農業政策の中で、もちろん輸出をふやそうというのは、日本は輸出の取り組みをしっかりしていこうということが今までなかったという反省があります。また、食文化のいろいろな嗜好の変化によって、米に対しても、人口減があったり、いろいろな問題があって、なかなか農業政策がうまくいっていない、衰退しているということがあると思います。

 その中で、私はもう一つ、全国一律をやり過ぎたんじゃないかと思う、全国一律減反、全国一律にいろいろな補助制度と。やはり四十七都道府県、前からもお話ししておりますが、北海道から沖縄まで、いろいろな適地適産というのは、国が全部関与しろと言っているわけじゃないんですが、これだけの米の大転換をするときに、そういうことを考えずに、また全国一律飼料米をつくれといって本当にうまくいくのか。ここは大変疑問です。工場の数の分散から、また実際に畜産を多くやっている地域から、その部分で、結局つくったものが、流通費がかかって、トウモロコシに対して競争力ももちろんないですし、補助金のつぎ込みになるという可能性があります。

 そこで、資料を出しておりますけれども、北海道から九州まで、これは米の利用可能量ということですから、別にこれが急につくられるわけじゃありませんが、利用可能量は四百五十三万トンということで出ております。北海道から九州まで、九州が百五十二万トンと非常に多いです。ただ、これもブロック別だけでは実はわからないんです。その下に東北を書いております。東北は八十二万トンと多いです。しかしながら、例えば岩手は四十一・三万トン、山形は二・五万トンなんです。

 やはり、しっかりと四十七都道府県、どのぐらい利用量があって、畜産で、ブロイラー、養豚、乳牛、肉牛とか、そういうのがどのぐらいの利用可能量かも確かめていかないと、ただ単に全国でつくれというのは果たしてうまくいくのかな、こういうふうに考えております。

 例えば、全国的にもちろん飼料米をつくっていく政策をつくるにしても、家畜、酪農が多いところに対して、ある程度いろいろ促していくような政策というのは考えていらっしゃるんでしょうか。林大臣と、江藤副大臣と。

江藤副大臣 我々の政策は、農家の皆様方が自主的な御判断によって何を作付けるかを決めるということが基本であります。

 私のところは畜産県でありますから、最近は、市町村長の皆さん方、それから農協の幹部の方々がたくさん御上京されるわけでありますけれども、我々のところは、宮崎は先進的な取り組みをしようと、知事にももちろんお話をいたしました。

 宮崎のようなところは、やはり主食米から飼料用米に転換をして、そして米単作地帯もあるわけですから、そういったところでは、間接的な県間調整という言い方は言い過ぎかもしれませんけれども、我々のところが需要に見合った生産体制を組むことによって、米の主たる生産地域では余りそちらの方に転換しなくてもいいようにすべきだと考えています。

 宮崎の場合は、配合飼料工場がありますし、それから県南の方は鹿児島の志布志の方に持っていけますから、非常に地の利があります。

 そういうことも考えながら、全国農協組織とも連携し、各市町村長、それから首長さん、知事さんとも連携をとりながら、意見交換を進めているところでございます。

村岡委員 江藤副大臣はそうお答え願って、やはり主食用を比較的つくるところ、それから畜産が多いところ、それはなぜかというと、別に自主的なことに対して国が関与するというよりも、流通の問題、それから飼料工場の問題、これが全くないところに、飼料米をつくっていって、飼料工場をつくらなきゃいけない、そして倉庫もつくらなきゃいけない、いろいろな問題で費用がどんどんかかってきます。

 その辺は、自主的プラス促すことのいろいろな政策はつくっていかないと、せっかく立てた、飼料用米をふやして、そして自給率を上げよう、こう考えていることがうまくいかないと思いますので、その点は、これから手直しもあると思いますけれども、大臣、飼料用米を進めていく上で、必ずしも全国一律が本当にいいのかどうかというのをちょっと検討していただきたい、こういうふうに思っています。

林国務大臣 これは、最終的には、不作付地を含めて水田フル活用ビジョンというものをそれぞれにつくっていただこう、こういうことになっておるところでございますので、全国一律に何か数量を決めてこういうふうにしてもらおうということではございませんし、さらに産地交付金、こういうものも出てきて、先ほどちょっとオリーブの話もありましたけれども、やはり地域地域に合ったものを自主的な判断でつくっていただく、そういう状況に持っていこう、こういうことでございます。

 委員が今お話しになったように、それぞれの地域によって、ここに資料を出していただいたような状況がございますので、それに合ったようなことをきちっとやっていく。そのために、例えば、情報を提供するとか、新しく乾燥調製貯蔵施設等を整備される方には整備を支援する、そういう環境整備をしっかりとやっていきたいと考えております。

村岡委員 ぜひ、その点も踏まえて、四十七都道府県もしっかりと調べていただきながら取り組みをやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 時間がないので、次に、日本酒の輸出促進という中でお話をしたいと思うんです。

 今現在、日本酒の輸出額は八十八億円、そして一方、ワインの産地のフランスは九千二百億、時には一兆ぐらい、世界に対してワインを輸出いたしております。

 その中で、今、日本の酒造メーカーの現状でいくと、大臣の御地元の山口県の獺祭さんですか、酒造好適米の増量をしていくということで、増量分は転作の枠外だということ、これはいいことだ、こういうふうに思っております。

 ところが、酒造メーカーに聞くと、まだわかっていない人がたくさんいらっしゃいます。例えば、枠内に入っている酒造好適米を枠外に出してくれとか、いろいろな意見があります。これをしっかりと説明していただきながら、輸出を促進するということは、もちろん農家も大切ですけれども、加工した酒造メーカーがこの中身をよくわかっていないというのがありますので、そこはぜひ説明して、農家とメーカーと一緒になって輸出をふやしていくことによって加工米もふえていくわけなので、ここの点はぜひとも農林省の方もしっかりとした説明をしていただきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、フランスは、ワインを売るために、一九三五年から、ワインを売ろう、輸出しようというのでどんどん進めております。そして、今はもう民間企業になりますが、SOPEXAというフランス食品振興会、これは、関連団体と企業が一〇〇%株式保有で、フランスのワインを売ろうと国策みたいな形で全世界に対してワインを売り込むことをやっています。

 もちろん、日本もいろいろなフェアや、ジャパンのシンポジウムやいろいろなことで売っていると思いますけれども、日本酒を本格的に売っていくために、やはり政府の取り組みを真剣に考えていかなきゃいけない、こう思っております。

 まず、先ほどの八十八億対約一兆という差ですから、一挙にいかなくても、日本酒というのがついていけば、日本の農産物、日本の料理というのが必ずついていくと思いますので、その取り組みをどう考えていらっしゃるのか、大臣からお聞きしたいと思います。

林国務大臣 おっしゃられましたように、この日本酒の輸出促進、大変なポテンシャルもあると思っておりますし、一生懸命やっていかなければいけないと思っております。

 先ほどちょっと触れていただきました獺祭さんは、パリに出店をする、これをもう既に決めておられるようでございますが、国税庁と一緒になって、我々は積極的に支援を、輸出促進をしていきたい、こういうふうに思っております。

 八月末に国別・品目別の輸出戦略を公表しましたが、日本酒を米・米加工品の中の重点品目の一つとして位置づけさせていただきまして、外務省、ジェトロ等とも協力しながら、発信力の高い海外の都市、先ほどのパリのようなところ、それから重点市場でのイベントの実施をやる。それから、国内外におけるセミナー等を通じた、日本酒のよさについて普及をしていく。それから、先ほどちょっと触れていただきましたように、酒造好適米の増産が可能となるような措置、これはさらに説明をきちっとしていきたいと思っておりますが、こういう取り組みを通じて、日本酒の輸出を積極的に支援してまいりたい。

 そのことによって、今、ユネスコの無形文化遺産の登録もしていただいたところでございまして、追い風をきちっと数字につなげていくように努力をしてまいりたいと思っております。

村岡委員 ぜひとも、輸出をふやすということであれば、日本酒ならば、ほかのところでもいいんですけれども、何か集中的に、日本の文化、料理を売り出すために頑張っていただきたい、こう思っております。

 プラス、先ほど大臣が言っていただいた乃木坂46、あの中のメンバーは、由利本荘市議会元議長のお孫さんがセンターでやっていまして、その方々が、農業とか林業とか、いろいろなところにあの子たちも出てきて宣伝していらっしゃるようなので、若者に発信するという意味では、そういう部分でも活躍してもらえれば、こう思っております。

 きょうは、質問をありがとうございました。

坂本委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、急遽代打で質問に立たせていただきます。農水委員会での質問は初めてということで、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、畜産問題等ということなんですけれども、畜産農家の経営を安定化していくためには、畜産価格ももちろん大事だと思うんですけれども、例えば、畜産農家の副業、副収入をつくっていく、こういったことも一つの観点として重要ではないか、そういう問題意識で質問をさせていただきます。

 最初に、概括的な質問をさせていただきます。

 バイオマス発電の一般への普及拡大に関して、今、農水省はどのような体制、制度、あるいは来年度予算や補正予算でどのような予算要求をされているのか。農水省のバイオマス発電に関する体制整備、組織などについてお尋ねをします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 農山漁村の豊富な資源を活用し、地域の所得向上や農林漁業の健全な発展に資する観点から、バイオマス発電を含むバイオマス資源の活用の促進を図ることは重要でございます。農林水産省におきましては、食料産業局にバイオマス循環資源課を設け、省内の関係部局との連携を密にしつつ、さらには地方公共団体の協力を得ながら、総合的な政策の企画立案等を行っているところでございます。

 平成二十六年度予算概算要求におきましては、農林漁業者やその団体が主導するバイオマス発電を含む再生可能エネルギー発電の事業構想から運転開始に至るまでに必要となるさまざまな手続、取り組みへの支援として二億五千万円、地域のバイオマスを活用した産業化の推進に必要な構想づくりや施設整備等への支援として十二億円、それから木質バイオマスのエネルギー利用拡大に向けたサポート体制の構築や技術開発等への支援として五億円と、それぞれの事業に係る予算を盛り込んでいるところでございます。

 また、環境省におきましても、エネルギー対策特別会計を活用し、再生可能エネルギーを活用した低炭素型の地域づくり等を促進するため、農林水産省が執行面において協力する事業として、地域のニーズや特性を生かした地域協働による低炭素地域づくりのための計画策定等の支援として十五億円、必要な設備導入等の支援といたしまして約五十億円、それからバイオガスを広く地域に利用するモデル的な取り組みへの支援として十五億円といった要求がされているところでございます。

 これらの予算措置を活用して、バイオマス発電を含め、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電を促進していく考えでございます。

山内委員 今のお話で、全部予算を合わせても大体八十億ぐらいになるのかなという気がしますが、経産省の電力関係の予算を考えると、物すごく少ないなという印象を受けますし、バイオマス発電の中でも、例えば、バイオマス発電は大ざっぱに分けると二つに分かれると思います。一つは木質のバイオマス発電、もう一つは家畜のふん尿などを使うバイオガス発電の二つだと思います。バイオマス発電の中でも、農水省の予算を見ると、どちらかというと、木質バイオマスには非常に熱心な取り組みがたくさんあるんですけれども、家畜のふん尿などを使うバイオガスの方は、丁寧に見ていかないと文言も出てこないし、予算もそんなについていない印象を受けるんですね。どっちかというと、木質バイオマスとバイオガスと二種類ある中で、木質はかなり熱心にやっている印象を受けますが、バイオガスの方は余り熱心な印象を受けません。

 しかしながら、私は、今後は、木質バイオマスも必要ですが、同時に、バイオガスの方にもっと力を入れるべきではないかと思います。

 ドイツなどでは、むしろ、木質バイオマスよりもバイオガスの方がシェアは大きいというふうに聞いております。ドイツでは、畜産農家の副収入をふやすという目的もあって、バイオガスの普及に取り組んでいると聞いておりますけれども、同じことが日本の畜産、酪農地帯でもできるのではないかと思います。

 そういった意味では、今後、ぜひ、畜産農家の副収入をふやすためにも、あるいはCO2削減のためにもなりますし、そういういろいろないいことがたくさんあるこのバイオガス、もっと柱として力を入れてやっていただきたいと思うんですけれども、その点について農水省の御見解を伺いたいと思います。

小里大臣政務官 農村部における重要なバイオマス資源であります家畜排せつ物を利用したバイオガス発電を推進することは、おっしゃるとおり、地域の所得の補完を通じて、畜産農家の経営安定に資することであると考えます。同時にまた、エネルギー源として有効活用の面からも、極めて重要な課題であると認識をしております。

 このため、農林水産省では、地域バイオマス産業化推進事業によりまして、地域段階のバイオマス利用の構想づくり、地域における家畜排せつ物の利活用施設整備への支援を行い、家畜排せつ物をエネルギー源として地産地消する地域循環型エネルギーの取り組みを推進しているところであります。

 御指摘ありましたように、固定価格買い取り制度の導入以降は、こういった設置コストを回収する見通しが立ちやすくなっております。このため、バイオガス発電事業の導入をしっかり進めていきたいと考えておるところでございます。今まで、ふん尿処理というものは、畜産農家にとりましてコスト負担要因でありましたけれども、これをプラスの材料に方向転換をしていく、そういった大事な意味合いもあるわけでございます。

 こういった観点を踏まえて、関係七府省が共同で策定したバイオマス事業化戦略の中に、固定価格買い取り制度も活用しつつ、メタン発酵によるエネルギー利用を強力に推進する旨明記して、推進をしておるところであります。

 今後とも、こういった施策の適切な活用を通じまして、地域の実情に応じたバイオガス発電の導入にしっかり努めてまいりたいと存じます。

山内委員 小里政務官から前向きなお言葉をいただきましたが、やはりドイツでも同じく、固定価格買い取り制度ができた後、一気にバイオガス発電が普及したというふうに聞いていますので、日本も非常に今は狙い目の、いい時期だと思います。ドイツでも、やはり再生可能エネルギー買い取り制度ができた後、一気にバイオガスが、これは割に合うんじゃないかということで、小規模な、わずか数軒の農家がグループをつくってバイオガスの発電施設をつくる、そういう例が多いと聞いています。

 そういった意味では、せっかく固定価格買い取り制度が国会でちょっと前に通ったばかりですから、今年度予算あるいは来年度予算、補正予算、こういう時期こそ、本当は農水省はもっと欲張って予算要求をしてよかったんじゃないか、そういうふうにも思います。そういった意味では、今後力を入れていただけるということは心強く思います。

 他方で、これまで日本の農水省がバイオマスあるいはバイオガスの発電を全くやっていないわけでないというのは、もちろんだと思います。

 一つ飛ばして、四番目の質問に入ります。

 富士通総研の梶山恵司上席主任研究員という方のレポートを読むと、日本では、これまで、補助金でできたバイオガスのプラントはうまくいっていないものが結構多かったというふうに報告書の中で書かれております。別に農水省の補助金に限らず、経産省やほかの省の補助金でできたものも含めてということだと思うんですけれども、なかなかバイオガスプラントがうまくいかない例が日本には多かったという指摘があるんです。

 この指摘について、農水省としてどのようにお考えなのでしょうか。その指摘が当たっているとすれば、なぜうまくいかなかったのか。あるいは、もしその指摘が当たっていないとするならば、実際にうまくいっている例について御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、森山委員長代理着席〕

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年度以降、農林水産省の補助金を活用したバイオガスプラントは、全国で十五施設整備されておるところでございます。

 これらのバイオガスプラントにおける経営規模は、家畜ふん尿投入量で年間三百十六トンから約八万トンという幅がございます。また、計画発電量に対する達成割合、これは平均すると八割程度ということでございます。

 バイオガスプラントが持続的に運営されるためには、安定的かつ低コストの原料調達、それからメタンガス発酵に関する専門的な知識ですとか適切なメンテナンスなどが重要であると考えております。

 補助事業においては、収支均衡を前提とした事業計画に基づいて実施されておりまして、施設整備を行った各地域では、事業実施主体や原料供給者等による積極的な取り組みが行われておりまして、これまでのところ、この十五施設の中で特段のふぐあいが生じているというのは承知しておりません。

 農林水産省といたしましては、今後とも、これらの施設の経済性が確保され、原料生産から収集、運搬、製造、利用までの一貫システムを構築して整備された施設が引き続き補助目的等を達成されるよう指導するとともに、今後、施設整備を行うものについても同様の指導を行ってまいる考えでございます。

山内委員 必ずしもうまくいっていないということはないということなんでしょうか。

 実は、もしかすると、固定価格買い取り制度ができる前はうまくいっていなかったけれども、できた後はうまくいっている、そういう例もあるかと思います。バイオガスの普及の条件として、買い取り制度ができたことは非常に大きいと思いますので、これから環境整備あるいは情報提供といった面でぜひ力を入れていただきたいと思います。

 実は、経産省の方でも、もちろんバイオガスの普及のためにいろいろな助成制度を持っています。経産省のホームページを見ると、非常に明確な、わかりやすい資料をちゃんとカラーで用意しているんですね。農水省の方を見ると、余りそういう工夫というか、もうちょっと宣伝で頑張っていただきたいな。経産省は宣伝上手な役所ですから、ぜひ農水省こそもっと力を入れていただきたいと思っています。そもそも、やはり農村の現場に近いのは農水省だと思いますし、現場の実態をよくわかっている農水省こそが、もっとわかりやすく、広報に努めていただきたいと思います。

 そもそも、バイオガスに関しては、その施設自体が、ドイツの例などを見ても、比較的小規模なものが多いと聞いています。施設の設備の金額も何千万とか数億円という程度のものが多いと聞いていますから、大企業が大量生産でやるよりは、むしろ地場の中小企業がやりやすいような規模の施設が多いということですから、地域の産業振興という意味でもバイオガス発電というのは非常に有望だと思います。

 そういう意味では、経産省と農水省とオーバーラップする部分はあるかと思いますが、そのときに、ぜひ農水省としても、どうすればバイオガスが普及できるか、そういう観点からいろいろな政策を考えていただきたいと思います。

 この点、もし大臣、御感想があれば一言頂戴したいと思います。

林国務大臣 先ほども木材利用ポイントについての広報についてお話をさせていただきましたが、やはり、限られた予算の中で有効に発信をしていくという意味で、広報について意を用いていかなければならないと思っております。

 経産省の方はカラーのわかりやすいパンフレットをつくっておられる、こういうことですので、我々も、遜色のないようなしっかりとした、政策の説明のためのツールというものをきちっとそろえていかなければならないと思っておりますが、パンフレットをつくることもさることながら、やはり現場できちっと物がうまく回っていく、これは一番大事なことでございます。先ほど答弁させていただきましたように、この施設はそれぞれ特段のふぐあいなくいっているということでございます。

 再生可能エネルギーについては、臨時国会で法案も通させていただいたところでございますので、しっかりと取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

山内委員 ありがとうございました。

 先ほど説明した梶山さんという研究員の研究によると、例えば、ドイツの百軒ぐらいの農村でバイオガス発電を導入したところ、以前は電気代あるいは灯油の購入費で三千六百万円ほど村から外に出ていっていたお金がある、それに対して、バイオガス発電、そこでは熱の供給も一緒にやるコジェネだったんですけれども、余剰電力を売ったりとかあるいは燃料費の節約とかいろいろな意味で、新たな収入が七千万ぐらい入ってくる、支出が減った分と収入がふえた分を合わせて一億ぐらいのプラスになったと。そういった意味では、金銭的なメリットも大きいし、CO2の削減という意味でも大きい。

 こういうバイオガス発電の普及ということを、これから脱原発を進めていく上でも非常に重要な発電源、再生可能エネルギーの一つだと思いますので、木質バイオマスも重要ですが、同じぐらいバイオガスにも力を入れていただきたいと思います。

 これまで農水省は、東京電力とも一切癒着もないと思いますし、いわゆる原子力村みたいなものとも無縁だ、そういう電力利権に汚れていないという意味でクリーンな役所だと思いますので、クリーンなエネルギーは農水省がやるんだ、そういう心意気でやっていただきたいということを期待申し上げて、質問は終わります。

 最後に一言、決議案について申し上げます。

 本日、本委員会終了後に採決されます平成二十六年度畜産物価格等に関する件の決議に関しましては、七項目めのTPP交渉に関する部分に関して、我が党の方針と若干見解が異なる部分があります。

 七項目に書いてあることは、読み上げますと、次のとおりです。TPP交渉及びEPA交渉については、我が国の畜産、酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成十八年十二月の本委員会決議、日豪EPAの交渉開始に関する件及び平成二十五年四月の本委員会決議、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件を遵守し、確固たる決意を持って臨むとあります。

 我が党は、本年四月の環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件の本委員会決議には反対した経緯がございます。したがいまして、本日採決される予定の決議案に関しては、ごく一部だけ賛同できない点がありますが、総合的に判断して賛成させていただくことを申し添えまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔森山委員長代理退席、委員長着席〕

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 本日、まずTPPのことについて二点ほどお伺いしたいと思います。

 シンガポールで最近TPPの交渉が行われまして、報道ベースだと、結構アメリカが強硬だということがよく書かれておりますが、日米の事前協議で、アメリカには自動車、日本には農林水産物のセンシティビティー品目があるということであって、結局そこを前提に交渉が進むんだろうと思ったら、意外にアメリカが強硬だったということなんだろうと思います。

 自動車については、いろいろ強硬なことを言って、長期、超長期の関税撤廃なり、あるいは、関税撤廃をやった場合にも途中で延ばせるような措置を入れるとか、発射台でアメリカに、事前協議で自動車を譲っちゃっていますから、そういうことになると、その先を言ってくるのは当たり前なんです。

 日本は、農林水産物についてはセンシティビティーということを言っただけであって、何ら担保をとらないで入っちゃったから、結局出発点が違っているわけで、こうなるのは目に見えていたとも思っておるんです。結局、そこは日本政府の誤算というか認識の相違もあったんじゃないかなと思っております。

 こういう交渉の、特に今回、自動車と農林水産物のバーターも含めた、こういう関税分野について、米国の姿勢をどう評価しているのか。事前協議の共同声明のときからの認識、こんなはずじゃなかったということがあるのかどうかも含めて、ちょっとお答えいただきたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本年二月の日米首脳会談におきまして、三点を確認しておりまして、一つは、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といった、二国間の貿易上のセンシティビティーが両国にあるということ、それから二点目は、そうはいっても、最終的な結果は交渉の中で決まっていくということ、三点目は、TPP交渉参加に際して、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められない、この三点を文書で確認したわけであります。

 今回のシンガポールでの交渉の具体的な内容についてはお答えすることはできませんけれども、日本としては譲れない一線について、明確に説明をし、日米二国間で相当激しいやりとりがあったことは事実であります。

 シンガポール会合では、全体として、日米間も含めて合意に至りませんでしたけれども、参加国閣僚、代表声明においては、柔軟性を持って作業を続けという文言を入れて、来月、再度閣僚会合を開催することとされております。

 ちなみに、フロマン米国USTR代表も、共同記者会見のときに、各国にセンシティビティーがあるということは、また改めて明言をされました。

 いずれにしましても、我が国としては、衆議院、参議院の農水委員会での決議、こうしたことをしっかり受けとめて、国益を最大化すべく、しっかりと最終的な成果に反映すべく、粘り強く交渉を進めていくことであります。

畑委員 西村副大臣には、この前の交渉、本当にお疲れさまでございます。この交渉に敬意を表させていただきます。

 まさに、センシティビティーがあるけれども、それはどういうセンシティビティーで認められるかというのは交渉次第で、国際交渉はそういう厳しいものでありますけれども、アメリカは、恐らく自動車で吹っかけて、日本のセンシティビティーの度合いを減らそうということも含めてなんでしょうが、まさに西村副大臣は、一ミリも譲らない、譲っていない、そういう覚悟で交渉しているとおっしゃいまして、これは四月の農林水産委員会の決議、こういうことを踏まえて、そこからずれないということだろうと理解しております。

 そこで気にかかるのは、現時点で関税の撤廃はしないとしたとしても、自動車なんというのは時間をかけて段階的にやっていくということがあるとすれば、そのバーターで、十年あるいは二十年、段階的に重要五品目の関税撤廃をほのめかされるというか、コミットメントさせられるというか、そういうことを私はちょっと危惧しております。そういうことも含めて、これは農林水産委員会の決議にそういうこともやらないと書いていますので、そこはやらないということの理解でいいのかどうかというのを確認したいわけです。

 それとともに、段階的な、十年、二十年、中長期でやっていくことは認めないとしても、そこはやらないとしても、TPPというのは最終的には関税撤廃を原則とするものなので、重要五品目に限らず、当然何年か後には再協議というのはあるわけで、そういう一般的なものを書かれた場合でも、そのときの交渉だと、恐らくこの重要五品目が対象になってくるわけです。

 そういうことも含めて、重要五品目については、中長期も、関税撤廃もしないということとともに、再協議の内容にも含めないということも含めて交渉されているのか、そこのところをお伺いしたいと思います。農水大臣、よろしくお願いします。

林国務大臣 この農林水産委員会の決議でございますが、今委員がおっしゃっていただきましたように、その項目の一に、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの重要品目について、除外または再協議の対象とするということ、それから、農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先する。そして、その決議に、十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこととされております。

 私は、かねがね申し上げておりますように、この決議を踏まえというときには、今のところも含めて、決議を踏まえて国益を守り抜くということをずっと申し上げてきておりますので、今後もそういう方針でやってまいりたい、こういうふうに考えております。

畑委員 確認させていただきました。その方針で、ぜひともしっかりと交渉いただければと思います。

 次に、ちょっと違う話題について入らせていただきます。

 本日、酪農、畜産の議論でありますが、牛舎に押し込んで、いろいろな酪農をするとか畜産をやるということも生産性の関係からあり得ることですが、もう一つ、自然放牧というか、自然を生かした中で牛を解き放して酪農、畜産をやるということ、これがなかなかいいのではないか、効果的ではないかなというふうにも思っております。

 というのは、例えば中山間地だと、山林をかなり造林したんですが、手入れが行き届かずに荒れている。こういうところで、自然の雑草も含めて、牛に食べさせて酪農をすれば、非常にそこの再利用、有効利用にもなるし、地域の衰退も防げる、あるいは雇用の確保にもなる、一石三鳥かなという、いい部分もあると思います。

 私の地元ですと、田野畑村というのがありまして、そこで、これは自然放牧の中の一つの形態なわけですが、山地酪農というんですね。これは、別に田野畑だけじゃなくて、西日本でもされていることなんですが、雑草なんかを食べさせてやっているということを聞いたこともあります。

 こういう濃厚飼料じゃないので、できた乳、ミルク、牛乳はどうかというと、意外に濃厚でおいしいんだということも聞いたことがあって、私も飲んだことはまだありませんが、そういうことなんだそうであります。ちょっと試さなきゃいかぬと思っております。

 このような自然を生かした酪農を推進していくことというのは、日本の国土の利用とか保全ということも含めて、非常にいいなと思っておりますが、この手法に対する評価と推進策、そこに対するお考えを総論的に大臣からお伺いしたいと思います。

林国務大臣 いわゆる放牧は、そもそも牛本来のみずから草を食べる能力を利用した飼料管理方法でありますので、畜産農家にとっては、飼料給与作業の省力化、それから購入飼料費の節減というメリットがございますし、地域や耕種農家にとっても、耕作放棄地の解消、未利用地の活用、それに伴って、イノシシ等鳥獣害の発生防止、さまざまな効果がございまして、草地を活用した放牧以外に、林地を活用する、今御指摘のあった山地酪農や、それから私の地元では、耕作放棄地を活用したいわゆる山口型放牧、こういうのをやっておりまして、耕作放棄地を活用するとともに、山と耕作地の間で放牧をすることになりますので、鳥獣害の発生の防止に一定の効果がある、こういうふうになっておりまして、こういう地域に合ったさまざまな取り組みを進めていくことが大変大事だというふうに思っております。

 農林水産省としても、放牧の技術普及を図るために、全国の放牧関係者にお集まりいただいて、放牧サミットというのを開催しております。また、放牧地の整備やソーラー電気を使った牧柵、それから給水施設等の整備、水田における放牧の取り組みに対する支援、それから公共牧場での放牧を高度化するための人材育成や施設等の改修に対する支援、こういうことを行ってきているところでございます。

 今後とも、これらの支援策を活用しながら、関係者が一体となって、地域に合った放牧の推進をやっていきたいと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 まさにいろいろな地域のやり方を生かしていくという意味で、もちろん自然放牧だけでは需要を全部賄えるわけじゃない、それは当然なんですが、そこを加えていくことによって、いろいろな相乗効果を生み出せるという意味で、非常に意義があるものだと思っておりますので、農林水産省としての御支援と、また引き続きの推進をよろしくお願いしたいと思います。

 その中で、ブランド化という観点で、また個別論をお伺いしたいと思うんです。

 先ほど、オリーブの搾りかすを食べさせるというブランド化を図ったらどうかというのがありまして、非常にいい取り組みで、私も実はこういう意図できょうは質問しておるわけです。

 例えば、オリーブでもいいですが、自然の中で生かしてつくって、品質のでこぼこはあるでしょうけれども、味が通常の大量生産と違う、そういう中でブランド化ができる余地があるのではないかなという気がしております。米なんかは結構ブランド化をされておりますが、ミルクあるいは肉も含めてブランド化をするために、これが一つの手段にならないかなというふうに思っておるわけでございます。

 現に田野畑で山地酪農をやっている方も、この人は数少ない成功例のようですが、ブランド化をして、大消費地にもミルクを売って、非常に経営がうまくいっているということのようであります。こういう成功事例、これは経営者の自主的な経営も支援するという側面での支援ということになると思うんです。

 やはりブランド化をすることを、成功例も含めていろいろ抽出して、それをいろいろな意味でPRとか広報とか、成功体験の共有化も含めて、ブランド化の支援をするという政策を少し充実する必要もあると思うんですが、そこのブランド化に対する支援というのはいかがでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のように、放牧により生産された牛乳、牛肉を差別化を図っていく、このことは、多様な畜産、酪農を展開する上で重要な課題であると思っております。

 このような取り組みを推進するために、日本草地畜産種子協会では、平成二十一年から、放牧に取り組む牧場のうち、放牧面積、放牧期間等について一定の要件を満たした農場について、放牧畜産実践牧場として認証し、PR活動を行っております。

 また、同協会では、この牧場において生産される牛乳、アイスクリーム等の認証も行っておりまして、生産された畜産物の差別化に取り組んでいるところでございます。

 現在では、牧場で三十一件、畜産物で七件が認証をされております。こういった取り組みをしっかり支援してまいりたいと存じます。

畑委員 とともに、この山地酪農も含む自然放牧を耕作放棄地でやったらどうかなとちょっと思ったんです。これは耕作放棄地をどうやって有効利用するかというのが課題でありますが、これを耕作するということもいいんですけれども、自然放牧に使うということは、まさに下草を食べてくれるし、そういう雑草も食べてくれる。そして、再び耕地として耕作するよりは手間がそれほどかからないかもしれないという思いの中で、耕作放棄地対策にこういうものを使える余地がないのかと思ったわけです。

 耕作放棄地での自然放牧の導入について、特に山地酪農みたいなものが効果があるような気もするんですが、そこの導入についてはいかがお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 畑先生の御質問にお答えします。

 先ほど大臣の方からも答弁ございましたように、耕作放棄地等の未利用地を活用した放牧につきましては、耕作放棄地の解消以外に、やはり畜産農家にとっては牛の省力管理、あるいは地域におきましてはイノシシ等の鳥獣被害防止といった多様なメリットがあるというふうに考えております。

 このような耕作放棄地での放牧につきましては、近年普及が進んだ低コストなソーラー電気牧柵の利用によりまして、肉用繁殖牛を中心に普及しておりまして、特に山口県でございますが、耕作放棄水田に電気牧柵を設置しまして移動放牧させる、いわゆる山口型放牧というものが有名になっております。

 同県に、この山口型放牧を進めるに当たっての秘訣といいますか、どのような注意をしているかということをお聞きしますと、三つありまして、やはりこれをやるには、あらかじめ地域で十分に話し合って合意形成をする、牛や土地の権利をしっかり契約で明確にしておく、やはり牛が事故を起こしますから、牛の保険制度で事故に備える、こういったような条件整備を行いまして進めております。平成十九年は二・二ヘクタールであったものが、二十三年は十四ヘクタールというふうに着実に広がっておるところでございまして、耕作放棄地の解消あるいは農村の景観保全等につながっているというふうに考えております。

 農水省といたしましても、この山口型放牧につきまして全国に紹介するほか、先ほど申し上げましたいろいろな設備の支援、こういうものを図っていきたいというふうに考えているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 おっしゃるとおり、単純に耕作放棄地はそのまま自然放牧にできるものじゃなくて、ふん尿も出ますので、そういうところの人たちに近ければ近いほど、その処理とかそういうところの対策、住民の理解が必要になってくるわけです。そこのところも含めて、ソフト面の施策も含めてということですが、ぜひとも有効利用の観点から、引き続き支援をお願いしたいなと思っております。

 もう一つ、ちょっと具体的な話で、別の議論になりますが、新マルキンの話をいつぞやもここで議論させていただいたことがございます。

 新マルキンの中で、日本短角種みたいな地方特定品種、これは褐毛和種とか赤牛とかというものも入ってくるわけですが、これは、まさに農村を支えている部分もあるし、地域の産業でもあるので、支えたいという思いがあるわけです。

 そこで、新マルキンの対象で、今、肉専用種になっているので、そこは地域算定の中でこういう地方特定品種を見られないかという議論を以前させていただいたことがありました。これは制度上可能で、八割の価格をしっかりとれればというお話があって、岩手県も農林水産省と協議しながらいろいろ対応していただいているようで、この場をかりて御礼を申し上げる次第であります。

 そうした場合に、ちょっと地元から、岩手県も含めて、もう一つ心配なのは、仮に地方特定品種を単独に分けたとして、そこはロットが小さくて、まさにそういう新マルキンみたいなものというのは積立金を積んでやるわけで、保険みたいなものですから、ロットが大きければリスク分散の機能を発揮して有効に機能するんですが、仮に八割をクリアして地方特定品種だけのところを組み立てられたとしても、まさにロットが小さくて、変動が大きくて、そこは保険としてきついなという部分があります。

 さらに、黒毛和牛は、きょうの議論でもあったように、幸いなことというか、価格が今かなり高値安定というか高く推移していますが、日本短角種は相変わらず低値安定というか低位で推移しています。となると、これは、仮に新マルキンの対象を単独にしたとしても、費用と収益の差が大き過ぎて、赤字が大き過ぎて、そこの積立金の額も大きくならざるを得ないという悩みもまた別途出てくるということがございます。

 ですので、こういう事情からして、積立金の生産者負担に対する支援なり、あるいは地方特定品種を分けた場合に、そこの部分の積立金の財源に対する支援というのは、もうちょっと何らか特例的なことも含めて充実できないかなという問題意識が岩手県あたりから寄せられているところでありまして、そこのところ、すぐに答えが出るわけでもないかもしれませんが、今後、引き続き柔軟にというか、話を聞いて検討を進めていただければなという思いがございます。

 そこについて、農林水産省のコメントというか、お考えというか、方針を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 地方特定品種の問題でございますが、今先生が御指摘されたように、地域算定が仮に行われる場合におきましては、その場合に生産者積立金が高くなるので、これに対して特別の支援を行うということにつきましては、これはなかなか困難というふうに考えております。

 ただ、先生がおっしゃいますように、地方特定品種の採用に当たりましては、今、県の方からも情報提供がございますので、地域算定そのものに取り組むことにつきましては、また県ともよく相談しながら相談に応じていきたい、このように考えているところでございます。

畑委員 現時点のお答えは、筋からいうとそういう感じかもしれませんが、まさに今後の地域の多様な畜産を推進して支援していくという観点から、窓口を閉ざさずに、まさに現場の意向を踏まえてということもございまして、きょうの決議にもちょっと書いてあるところですが、どういう支援があるのかいろいろ考えていきながら、県との相談に乗っていただければと思っております。

 そのことを申し上げて、本日は、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

坂本委員長 この際、宮腰光寛君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び生活の党の四派共同提案による平成二十六年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者からの趣旨の説明を聴取いたします。大串博志君。

大串(博)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきたいと存じます。

    平成二十六年度畜産物価格等に関する件(案)

  我が国の畜産・酪農は、配合飼料価格の高騰、畜産物消費の低迷等厳しい経営環境にあり、離農の増加により生産基盤が縮小するなど危機的な状況にある。

  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十六年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 畜産・酪農経営が将来の展望を持って安定的に発展していけるよう、中長期的な観点から今後の畜産・酪農政策の在り方について検討を行うこと。特に、肉用牛肥育経営安定特別対策(新マルキン)事業をはじめとする畜産・酪農経営安定対策及び配合飼料価格安定制度については、配合飼料価格の高止まりに対処し、必要な財源を確保し、拡充を図るとともに、地方特定品種の扱いを含め現場の意向も踏まえつつ、実効ある安定的な対策・制度の確立に向けた検討を急ぐこと。

 二 加工原料乳生産者補給金の単価及び限度数量については、飼料価格の高騰等を踏まえ、酪農家の経営努力が報われ、営農意欲が喚起されるよう、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。

   また、今後、需要の拡大が期待できる国産チーズの生産拡大のための対策を充実・強化するとともに、効率的な乳牛改良の推進、後継者の確保、酪農ヘルパーへの支援の充実など酪農生産基盤の強化を図ること。

 三 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家の経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格の高騰等に十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適切に決定すること。

   また、肉用牛繁殖経営への新規参入や繁殖雌牛の増頭、受精卵移植の取組等への支援を一層充実・強化することにより、肉用牛繁殖基盤の拡大を図ること。

 四 飼料の輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産・酪農を確立する観点から、飼料用米・稲発酵粗飼料・稲わら・エコフィードの利用拡大等の耕畜連携を強力に推進するとともに、コントラクター・TMRセンターへの支援を充実・強化すること。

   特に、飼料用米の利用拡大には、輸入飼料に対する価格の優位性や安定的な供給が必要であることに鑑み、肉用牛等に対する給与法の普及、低コスト栽培技術や多収性品種の普及、集荷・流通・保管・製造に係る体制整備を支援すること。

 五 地産地消や食育の取組を進め、国産畜産物の消費拡大を推進するとともに、国産畜産物の輸出解禁に向けた衛生協議の加速化、相手国の衛生条件に対応した食肉処理施設の整備に対する支援の充実など輸出促進対策を強化すること。

 六 原発事故に伴う放射性物質により汚染された牧草地の除染対策と汚染された稲わら、牧草及び堆肥の処理を強力に推進するとともに、原発事故に係る風評被害対策に徹底して取り組むこと。

 七 TPP交渉及びEPA交渉については、我が国の畜産・酪農が今後とも安定的に発展できるよう、平成二十五年四月の本委員会決議「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件」及び平成十八年十二月の本委員会決議「日豪EPAの交渉開始に関する件」を遵守し、確固たる決意をもって臨むこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。

林国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。

坂本委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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