第5号 平成25年11月29日(金曜日)
平成二十五年十一月二十九日(金曜日)午前九時十分開議
出席委員
委員長 伊藤信太郎君
理事 泉原 保二君 理事 うえの賢一郎君
理事 田中 和徳君 理事 盛山 正仁君
理事 吉野 正芳君 理事 吉田 泉君
理事 河野 正美君 理事 斉藤 鉄夫君
穴見 陽一君 井野 俊郎君
井林 辰憲君 井上 貴博君
石川 昭政君 岩田 和親君
小倉 將信君 小林 史明君
國場幸之助君 佐々木 紀君
清水 誠一君 助田 重義君
冨樫 博之君 中川 俊直君
福山 守君 藤原 崇君
牧原 秀樹君 荒井 聰君
生方 幸夫君 小沢 鋭仁君
松野 頼久君 百瀬 智之君
浮島 智子君 中島 克仁君
小宮山泰子君 野間 健君
…………………………………
環境大臣 石原 伸晃君
復興副大臣 浜田 昌良君
環境副大臣 北川 知克君
環境副大臣 井上 信治君
環境大臣政務官 牧原 秀樹君
環境大臣政務官 浮島 智子君
政府特別補佐人
(原子力規制委員会委員長) 田中 俊一君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 相星 孝一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 南 博君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 田中 正朗君
政府参考人
(環境省総合環境政策局長) 清水 康弘君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 関 荘一郎君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 小林 正明君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 星野 一昭君
政府参考人
(原子力規制庁審議官) 櫻田 道夫君
環境委員会専門員 仲川 勝裕君
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委員の異動
十一月二十九日
辞任 補欠選任
赤枝 恒雄君 福山 守君
穴見 陽一君 國場幸之助君
大久保三代君 冨樫 博之君
藤原 崇君 佐々木 紀君
小沢 鋭仁君 松野 頼久君
同日
辞任 補欠選任
國場幸之助君 清水 誠一君
佐々木 紀君 中川 俊直君
冨樫 博之君 大久保三代君
福山 守君 赤枝 恒雄君
松野 頼久君 小沢 鋭仁君
同日
辞任 補欠選任
清水 誠一君 穴見 陽一君
中川 俊直君 藤原 崇君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環境の基本施策に関する件
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○伊藤委員長 これより会議を開きます。
環境の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、気候変動枠組み条約第十九回締約国会議及び京都議定書第九回締約国会合の結果について政府から報告を聴取いたします。石原環境大臣。
○石原国務大臣 十一月十一日から二十三日までの間、気候変動枠組み条約第十九回締約国会議及び京都議定書第九回締約国会合がポーランド・ワルシャワで開催され、私が出席してまいりました。この会議の結果について御報告いたします。
IPCCが九月に公表した報告書は、人間の経済社会活動により地球温暖化が進行していると明白に示しました。先日の台風三十号によるフィリピンでの被害も記憶に新しいところです。私は、改めて世界全体で地球温暖化対策を一層強化しなければならないという決意を持って会議に臨みました。
私は、会議期間中、全ての国が参加する公平かつ実効性ある二〇二〇年以降の新たな国際枠組みについて、交渉を前進させることが必要であると訴えてまいりました。あわせて、我が国の着実な排出削減努力や国際貢献についても、二国間会談等を通じて丁寧に説明いたしました。
具体的には、まず第一に、我が国の二〇二〇年度の排出削減目標として、二〇〇五年度比三・八%減とすることを表明いたしました。あわせて、この目標は、原発による削減効果を含めずに設定した現時点での目標であり、今後のエネルギー政策の検討の進展を踏まえて見直し、改めて確定的な目標を設定することを説明しました。
さらには、この目標は、既に世界最高水準にある我が国のエネルギー効率をさらに二〇%改善することを含めた野心的な目標であることについても丁寧に説明し、一定の理解が得られたと認識しております。
第二に、我が国の国際貢献として、攻めの地球温暖化外交戦略についても表明いたしました。これは、二国間クレジット制度などを活用して我が国の低炭素技術で世界に貢献するとともに、二〇一三年から三年間で官民合わせて一兆六千億円の途上国支援を行うものです。また、二国間クレジット制度に署名した八カ国が一堂に会するJCM署名国会合の開催により、二国間クレジット制度をより一層精力的に推進していくことを確認できました。
最終的に、今回の会議では、二〇二〇年以降の枠組みについて、全ての国が自主的に決定する約束草案を二〇一五年のCOP21に十分先立って示すことなど、議論の前進につながる成果が得られました。また、途上国支援の資金の拡大に向けた道筋や、温暖化被害に対処するためのワルシャワ国際メカニズムの設立等が合意されました。
我が国は、今回の成果を踏まえ、二〇二〇年以降の新たな国際枠組みの構築に向けた国際交渉に積極的に貢献してまいります。
他方、国内においても、新たな削減目標、さらには長期にわたって大幅な排出削減を実現してまいります。
具体的には、金融、税制、地域づくりなどあらゆるツールを活用し、エネルギー消費の大幅な削減と、再生可能エネルギーを中核とした自立分散型の低炭素エネルギー社会の構築を推進いたします。
以上でございます。
○伊藤委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。
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○伊藤委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官相星孝一君、外務省大臣官房参事官南博君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、環境省総合環境政策局長清水康弘君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君、環境省自然環境局長星野一昭君、原子力規制庁審議官櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○伊藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。
まず初めに、質疑順につきまして、各会派の皆様の御協力、御理解をいただいて最初に質疑させていただくこと、まず感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
石原大臣、COP19、大変御苦労さまでございました。ポーランドで行われたCOP、実は私もちょうど五年前、COP14、これもポーランドのポズナンで行われたものでございます。
ああいう国際会議、非常に独特な雰囲気の中で、いかに合意をつくっていくか、大変御苦労されたと思います。今回も、多くの国の合意をつくるということ、それとはまた別に、日本の国益を守るために、また、日本がリーダーシップを発揮していくために二国間協議を精力的に行われたこと、この二つの仕事をして帰ってこられたわけでございまして、心から御苦労さまでございましたというお言葉をかけたいと思います。
具体的な成果については、今ございましたし、これから政府委員とも細かい点について、この成果をどう評価すればいいのかということを議論したいと思いますが、大臣、COPに参加されて、今発表された成果とは別に、こんなことを感じたとか、特にこういう点に苦労したとか、そういう点があればお聞かせを願いたいと思います。
○石原国務大臣 御報告させていただきましたことは割愛するとして、私は、今回のCOP19の主な成果は三点に集約できるんじゃないかと認識しております。
その一つは、ドーハから始まり、ワルシャワがあり、来年リマがあり、そしてパリで二〇年以降のものを決める、そして、各国がその目標を草案という形で示そうよ、全ての国が示そうよ、示します、ここが一つ大きなポイントだったと思います。
そして、資金の問題です。これはやはり途上国と先進国の間で大きな対立があります。一千億ドルの途上国支援をしよう、大枠は決まっています。しかし、途上国側は、中間値を出せと。しかし、それは先進国側からすると、そこだけとられてしまいますから、やはりパッケージだよと。そこのところが二番目。
そして三番目は、やはり温暖化被害。台風三十号、フィリピンで大きな被害を出しました。こういうことに対して、温暖化被害に対処するために、既存の適応の枠組みの中でワルシャワ国際メカニズムをつくっていって、しっかりとここの部分も対応していこう。
マルチの会議ですので、先輩の環境大臣として御出席されてもう十分御承知のことのように、ある意味では、各国が自分たちの主張を延々とし続ける。そんな中で、議長国、サブ議長国の人たちがその意見を集約していく。
日本の立場は、一つだけ、私、ずっと言っていたのは、ともかく全ての国が参加して、公平で、実効性のあるものにしましょう、そうであるならば日本は十分な途上国援助をします。この基本にのっとって、バイの会談も行わせていただきましたし、マルチの会談でもそのことを言ってまいりました。
ともかく、感想からしますと、国連方式の一国でも反対すると物が決まらないというシステムの難しさを目の当たりで見てきたというのが、率直な感想でございます。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。
日本でニュースを見ておりましても、特に、今回は合意できないのではないかということで、決裂、それも覚悟していたわけでございます。しかし、一日延長されて最終的な合意になったわけでございますが、何がそこまで最後までもつれて、最後、どういう決定打があって各国合意に至ったか、大臣なりの御感想を聞かせていただければと思います。
○石原国務大臣 これも先ほどちょっとお話をさせていただきましたけれども、やはりこれは二〇一五年のパリへの通過点なんですね。ただ、パリでいきなり全ての国が目標を出して、会って、それでどうするかということをやるんだと、多分パリの会議が、また延長しなきゃまとまらなくなってしまう。そのための道筋をどれだけクリップどめをしていくことができるのか、そういうところに、各国、ここで何かやっておかないと、リマでもうまくいかなかったらパリもうまくいかなくなる、そういう思いがあったからこそ、ぎりぎりのところで、もちろん、最後、国の名前は出しませんけれども、途上国側から強い意見が出て、先進国側としては少し言葉が変わったという思いはあるんですけれども、各国が最後はそこで集約した。そういうところで、今回、決裂という事態は避けられたのではないかと思っております。
○斉藤(鉄)委員 今回のCOP19に持っていく日本の目標、中期目標、二〇二〇年目標、数字を出すべきかどうかということで、政府部内でかなり議論があったと聞いております。
我が党は、数値目標を出すべきである、現在のエネルギー需給の状態は、その状態をきちんと正直に国際的に明らかにした上で、しかし、我々はここまでの二〇二〇年目標を持ちたい、野心的な目標を持つべきだということで、政府にも申し入れをさせていただきました。
石原環境大臣も、関係閣僚会議で、数値目標を持ってCOPに行くべきだと強く主張されたと報道で伺っておりますけれども、政府部内でどのような議論があったのかということも教えていただければと思います。
○石原国務大臣 その前に、まず、公明党の皆様方に御礼を申し上げなければならないと思っております。地球温暖化対策の目標に関する申し入れということを行っていただきまして、今、斉藤委員が御開陳されたとおり、目標を出さなきゃだめだ、これが側面からの大きな援護射撃になったということは事実だと思います。
それだけ、政府部内でも我が党の中でも、環境に携わっている人間は、やはり責任として出さなきゃだめだ、いや、今出すと二五からはどんなことをやっても下がりますから、出さない方がいい、ある意味では、うまく立ち回った方がいい、こういう意見の葛藤がございましたけれども、最後は、事務レベルでは話がつきませんで、官房長官のもとで関係大臣が集まりまして、実現可能なものを出していこう、また高いことを言ってできもしないと思われるようなことのないように、もう一度信頼を国際社会の中でかち得るための第一歩を築いていこうということで、今回数字を示すことができた、これが真相でございます。
○斉藤(鉄)委員 その石原大臣の御努力を高く評価いたします。
ただ、これを国際会議に持っていったときに、他の諸国との数字と並べると見劣りがする、これも確かでございます。数字の性格が違うということかと思いますけれども、それにしても、日本のマスコミでもかなり批判がございましたし、また、COPの会議の中でも化石賞をもらう、私も五年前に化石賞をもらいましたが。
そういう意味で、この三・八%減という数字の性格が国際社会の中で、いろいろな批判を浴びながらも、理解をしていただく努力をされたと思うんですが、その理解は進んだ、このようにお思いでしょうか。
○石原国務大臣 この点は大変重要な点だと思います。
昨日の参議院の環境委員会でも各党の皆様方と議論をさせていただいたんですが、私、批判は当然あると思って行きました。マルチの会議ですから、どこかをたたいて、例えば日本をたたけば、自分たち途上国側からいえば資金の面で優位に立てる、EUの側からいえば、ともかく、パリはEUの中にある町でございます、ワルシャワもEUの中にある町であります、成果を出せなかったら責任を押しつけることができるから、必ずたたかれる。
そういう中で、バイの会談をやって大変印象に残りましたのは、先進国の、まあ、国名は控えさせていただきますけれども、いや、石原、わかっている、二五%なんかできないというのは最初から我々はわかっている、そして、あなたたちの国は三・一一のあの大きな災害を受けたんだ、そこのところは言わないでいい、これからどうするかを話そうと、いきなり切り出してくる大臣もいらっしゃいました。
また、島嶼諸国の中で、昼飯を食いながら話をしておりました。いや、石原、申しわけない、私は日本のことをわかっているから言いたくなかったんだけれども、自分たちの後ろにもついている人間がいるから一応言ったけれども、日本の環境援助、技術移転あるいは支援というものには、JICAを通じて本当にお世話になっている、申しわけないと言ったり。
先進国の中でも辛辣なことを言う人もいました。だから、私は、それは、あなたはそういう立場だから言っているんでしょう、でも、真の友達はそういうものではないですよねと言ったら、いやいや、真の友達だからこういうことを言ったんだというようなことでやって、最後は、わかっているよねみたいな形になるとか。
やはり、じっくり話せば、特に日本の効率化されているエネルギーをさらに深掘りする、あんたたちのところなんか出しっ放しじゃないかと言ったら、ヨーロッパのある国ですけれども、しどろもどろになるような、やはり詰めて話をすれば理解は得られるということを、今回は強く感じたところでもございます。
○斉藤(鉄)委員 もう一つ、やはり二〇二〇年からの枠組みで、日本にとって最も大切なのは、JCM、二国間クレジットをどうその制度の中に組み込んでいくかだと思います。野心的な目標も、この二国間クレジット制度なしには、これはなかなか難しいと思います。
この点についても今回大きな成果があったということでございますが、この二国間クレジット制度の今後の、これを組み込んでいくということに対しての大臣の決意をお伺いして、質問を終わります。
○石原国務大臣 この点は、そんなに日本では多く報道されなかったと聞いておるんですけれども、私、ワルシャワに滞在していて非常に印象に残りましたのが、このJCM署名国会合であります。私の横にケニアの副大臣、そのまた横にエチオピアの大臣、あとはインドネシアの大臣も横に座ってくださって、最後はみんなで握手して、これはすごくいいですよね、ぜひ技術移転をしてくださいと。
これまでの途上国と、やはり途上国側も変わってきたなという印象を受けました。やはり、自分たちも何らかの努力をして必ずCO2を削減していこうという気持ちが伝わってきましたし、このJCMを使うということの、有意義なことであるということを互いに認識して、ウイン・ウインの関係をつくれるよね、こういうことを、初めて会った方の方が多かったんですけれども、そういう反応をしていただいたことが大変印象に残りましたし、これをやはりダブルにする、倍にしましょうと言ったら、そうだということで、ファミリーみたいな団結ができたことが非常に印象に残ったところでもございます。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。
今後、この新しく持った日本の目標を着実に進展させていくために、また、JCMを国際社会の中できちんと認知させて組み込んでいくために、きちんとした工程表を持って進んでいくべきだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、うえの賢一郎君。
○うえの委員 自由民主党のうえの賢一郎でございます。
本日は、一般質疑でございますが、斉藤委員に引き続きまして、COPの成果等々につきまして御質問させていただきたいと思います。
石原大臣におかれましては、ワルシャワ、大変お疲れさまでございました。今お話をお伺いしておりましても、バイやマルチのさまざまな会合を精力的にこなされて、信頼関係を構築いただいて、日本の環境外交について大きな前進を遂げていただいたのではないかな、そんなふうに感じているわけでございます。
斉藤委員と若干質問がかぶる部分は御了承いただきたいと思いますが、まず最初に、今回のCOP19でございますけれども、最終的に、二〇一五年に開かれますCOP21に向けまして、今後の二〇二〇年以降の新たな枠組みにつきましての一定の道筋をつけることができたということが最大の成果ではないかというふうに思っているところでございます。
ただ、昨年のドーハで、京都議定書の第二約束期間が延長されたわけでございますが、そこから日本も離脱をするという形になりまして、現在のところ、その削減義務を負う国というのは、欧州を中心にして、排出量ベースでいえばわずか一五%程度だというふうに思っております。
そうした近年のいろいろな状況もございますが、その中において、今回のCOP19、我が国からも積極的な提案をしていったことだと思いますが、その反映状況なども含めまして、その成果について、大臣としてどのような御所見をお持ちかということをまず最初にお伺いさせていただきたいと思います。
○石原国務大臣 ただいまうえの委員がおっしゃられたとおりで、やはり道筋をつけることができた。斉藤委員への御答弁の中で御紹介させていただきましたが、全ての国が参加する公平で実効性のあるものじゃなかったら意味ないわけですね。
今委員の御説明の中にあったように、批准している、二〇二〇年まででございますけれども、全世界の排出量の一四%。今一番CO2を出しておりますのは、中国、アメリカ、EU、これがベストスリーで、その次にインド、ロシアそして日本でありますから、日本はもちろん排出量は少ないわけですけれども、それらの国々が参加をしてくれなければ温暖化を地球レベルで防いでいくことはできない。
この点に重点を置き、発言をし、さらに、若干の文言の修正はありましたけれども、二〇一五年までに出す、途上国も含めてみずからの約束をする、ここが委員の分析と同じように、最大の焦点であったんだと思っております。
○うえの委員 先ほども少しお話ございましたけれども、今回の会合の中で、やはり途上国との関係というのが、一つ大きな焦点になったのではないかなというふうに思っております。
先ほど大臣の方から、資金面の問題がお話としてありました。そうした途上国との関係、あるいは、中国を初め各国、一般的には削減義務を負うことについて非常に抵抗感があると思いますが、そうした中で、やはり先進国としては、先ほど大臣から何度もお話があるとおり、公平で全ての国がというようなことが非常に大事であります。そうしたことを考えますと、やはり途上国との関係というのも、これからいろいろと知恵を絞って対応していかなければいけない点というのがたくさん出てくるんだろうというふうに思います。
そうしたことを踏まえまして、今回COP19におきましては、そうした問題についてどういった課題が残されたのか。とりわけ、現場でいろいろと交渉されたと思いますが、その実感を踏まえてお話をいただければと思います。
○石原国務大臣 ただいま委員が御指摘された点は、今回の成果の一つである資金のところで大変重要なお話ではないかと思っております。
途上国の側は、やはり、先ほど、JCMの仲間の皆さんが、途上国でありながらも排出量を減らしていく、そのためには日本の技術移転というものが重要だ、ここは大きな変化だと思います。ただ資金をくれというのではなくて、技術を移転してもらって本当に減らしていこうという思いを持たれている。そんな中で日本に期待がかかってくるのは、資金の援助であります。
これについては、もう安倍総理が既に御発表いただきました、一三、一四、一五の三カ年で一兆六千億円、百六十億ドル、途上国への支援を用意していますと。ここについては本当に感謝をされましたし、国内投資の方も、一千億ドルを超える国内投資を向こう五年間でやっていくんだということも、それはやはり日本はすごいですねというような感想を、途上国の方々からも意見としていただくことができたと思っております。
やはり、日本が技術と資金を持って地球全体の問題に貢献していくということは、話すと理解をいただける、こんなふうに考えているところでございます。
○うえの委員 やはり、大臣が率先をして各国と相談をされる、協力をされるというようなことが非常に大切かな、今のお話を聞いておりまして、そう感じたところでございます。
二〇二〇年には一千億ドルというようなことが言われているわけでございまして、それに向けて先進国の中でもいろいろな協議が進むと思いますが、やはり、大臣の最初におっしゃられた、全ての国がというような視点で、しっかりとした協力関係が築けるように、政府の一層の御努力につきましてお願いをさせていただきたいというふうに思います。
それで、今回、二〇二〇年以降の新たな枠組みということが今後の焦点になるわけでございますが、振り返ってみますと、やはりCOP3、京都議定書というのが大きな出発点でありまして、人類史上にとっても画期的なことだったろうというふうに思います。
ただ、一方で、この京都議定書の限界というのも、やはり現実の問題としてあるんだというふうに思います。その京都議定書の評価について、もう一度ここで、私ども、しっかりと振り返りながら、その問題点等を明らかにして、その結果を今後の交渉等々に生かしていく、そういうことが私は大事かというふうに思います。
京都議定書、九七年のときは、最初は、アメリカも含めまして、削減の義務を負った国というのは、排出量ベースで約六〇%だったと思います。それが、アメリカの離脱等々もあって、二〇〇九年には二六%程度まで低下をしています。先ほど申しましたドーハ以降については十数%ということで、全体の枠組み自体の問題というのも露呈をされていると思いますし、そもそも、トップダウン方式と申しますか、最初に何%削減というのを交渉によって割り当てていくという方式が、果たして適切かどうかというような問題もあろうかと思います。また、交渉事でございますので、基準年をどうするかということ、あるいは目標値をどうするかというようなことも、交渉で決まっていくということでございます。
COP3の議論を振り返りますと、例えば、EUあるいはロシアというところについては、比較的有利な条件で合意がなされたのではないかというようなことも言えるだろうと思いますので、そうしたことを踏まえてどうされていくかということを、まずお伺いしたいと思います。
そして、もう一つは、我が国にとっての影響ということでございます。
やはり、九〇年代、あるいは今もそうでございますが、経済的にも我が国は、デフレのもとで非常に困難な状況が続いているわけでございますが、CO2による制約というものが、GDPを引き下げる一定の効果、マイナスの効果を発揮してしまった面はやはりあるんだろうというふうに思います。そうしたことについても分析をしていくということは、同時に大切なことではないかと思いますので、そのような観点を含めまして、京都議定書第一約束期間についての我が国から見た問題点等々についての御所見をお伺いしたいと思います。
○関政府参考人 私も、実は京都議定書のときに、COP3に担当者として参加させていただいておりまして、一年ほどその仕事をしておりました。
先生御指摘のように、どういうふうな目標にするかということで、一年にわたって延々と議論をしまして、先進国の中で、どういう目標が公平であるのかと。例えば、そのとき大きな議論をしましたのは、寒い国と暑い国では暖房需要というのが違うんだから、一律に決めることができない。いろいろな要素がありまして、合理的な目標をどうするかということを延々議論いたしましたけれども、結局、納得がいくようなルール化ができませんで、最終的には、アメリカの提案でトップダウンで、今回のような、日本は六%というふうなことが決まったものでございます。
それにつきまして、その後大きな議論があった。もちろん、提案をしましたアメリカが京都議定書を批准しなかったというのが最大の問題でございます。
また、先生御指摘のように、その後、先進国だけが歴史的な観点から義務を負うというふうな京都議定書でございましたけれども、排出の実態が、途上国の経済発展とともに、今では世界の大半の温室効果ガスというのは途上国から排出されている。最新のデータでは、三分の一が先進国でございまして、三分の二が途上国から排出されているという、排出の態様も変わってまいりました。
さらに、ホットエアと呼ばれておりましたように、ロシア、東欧諸国は、一九九〇年を基準年といたしますと、東西融合というのがございまして、大変効率の悪い産業を持っていたロシア、東欧諸国が結果的に達成が極めて有利になる、その分が自動的にスクラップされるということで、排出の基準年をどうするかということについても、振り返れば大きな課題であった、このように考えております。
我が国といたしましては、このような状況にございますので、第二約束期間には参加しないということを政府として決定したところでございます。
また、第一約束期間につきましては、幸いなことに、速報値でございますけれども、我が国の目標でございます六%に対しまして八・二%の削減というのが達成できる見込みでございまして、これは国際社会に対して胸を張れるものだと考えております。
その一方で、さまざまな費用もかかってございまして、例えば京都メカニズムということでクレジットの購入ができるわけでありますけれども、日本政府としましてはこれまでに一億トンのクレジットを購入いたしまして、その費用というのは予算にいたしまして千五百億円でございました。
ただ、これが経済を引っ張ったかどうかという点についてはさまざまな議論がございますけれども、一つには、途上国で実際にクレジットを購入したことによりまして、途上国におきまして削減が進んだ、あるいは、一部でございますけれども、その削減をするときに我が国の企業も裨益したということもございまして、一方的に費用だけがかかったということではないと考えております。
いずれにいたしましても、いろいろなデータが明らかになりました上で、京都議定書の効果、効用あるいは光と影につきまして検討してまいりたい、このように考えております。
○うえの委員 今詳細な御説明をいただきまして、ありがとうございました。
私も基本的な認識は今局長がおっしゃられたことと同じでございまして、やはり京都議定書第一約束期間のいろいろな問題をデータ等をベースにして明らかにした上で、二〇二〇年の議論に臨んでいかなければいけないと思います。
今、国費ベースで一千五百億円、クレジットに投入をしたということでございますが、民間企業が独自に購入している部分であったり、京都メカニズムを活用したさまざまな資金の流出というものもあると思いますので、やはり国富がそれだけ流出をしていくという方向にあるのは間違いはないと思いますから、その点についてももう少し詳細な分析が私は必要ではないかというふうに思っているところでございます。
その上で、二〇二〇年以降の枠組みでございますが、一五年末にCOP21が開かれる予定だというふうにお伺いをしております。
準備のできる国については、一五年の三月末までに提出をするということが要請をされているわけでございますが、今回の合意の表現、自主的な削減の貢献を用意できるように各国に準備を求める、コントリビューションという言葉が使われているわけでございます。
この貢献ということがどういった意味があるのかというようなことでございますけれども、やはり、単なる削減じゃなくても行動計画を示すだけでもいいのではないかとか、途上国側から見ればより逃げられるといいますか、そうした余地を残しているのではないかな、そのような懸念を持っているわけでございます。
今後、二〇二〇年以降の新たな枠組みに向けて、途上国との関係も含めて、どういったアプローチを国内、国外で進めていくのか、それにつきましての御説明をお願いしたいと思います。とりわけ、世界最大の排出国である中国がどういった行動をとるかというのは非常に大事でありますので、そこのところの関係も含めて現在のお考えを教えていただければと思います。
○関政府参考人 御指摘いただきましたように、最終的な合意文書で、コミットメントにするかコントリビューションにするか、将来の削減の案をどう表現するかということで随分長時間議論になりまして、最終的にコントリビューション、直訳いたしますと貢献ということになりました。
ただ、前後の文意からはかりますと、言葉は変わっておりますけれども、いずれにしましても、これは、各国の削減に向けた目標の案を示すというふうに理解されると私どもは解釈しております。
その背景といたしまして、従来からの議論でございますけれども、先進国と途上国は義務に差があるべきである、共通だが差異のある責任という言葉であらわされておりますけれども、こういうことを背景といたしまして、現在のカンクン合意、二〇二〇年までの自主的な国際的な取り組みにおきましても、先進国は総量削減目標を出す。我が国も数値で、何年、何%と出しております。
他方、途上国におきましては、削減行動ということで、必ずしも数値目標でなくてもいいということになっておりまして、そういう議論の延長線上で、全ての国が参加するといたしましても、その際に、先進国と途上国で目標のあり方について差をつけるのかどうかというのが今後の大きな焦点となってくる、このように考えております。
我が国といたしましては、全ての主要排出国に対して相応の責任ある対応をとっていただくということが地球温暖化を防止する上で極めて重要だと考えておりまして、まずは、各国、途上国も含めまして参加を確保すること、続きまして、約束及び達成に向けました取り組みの透明性を高めることによって野心を向上させる、客観性のあるような目標にすることが重要であろうと考えております。
また、先生御指摘のように、途上国の中でも、例えば中国は、今や世界最大の温室効果ガスの排出国でございますので、こういった途上国も含めた主要な排出国につきましては、経済全体をカバーします総量目標、総量の数値目標を提出していただくような方向で取りまとめることが極めて重要ではないかなというのが我が国の立場でございます。
○うえの委員 お話のとおりだと思います。
とりわけ、中国に対しましては、現在はGDPの、エネルギー効率の改善の目標だと思いますけれども、やはり総量で幾らだというようなことをしっかりと表明していただけるように、我が国としても最大の努力をしていくべきだろうというふうに思います。
最後になりますが、二国間クレジットでございます。ACEクラブというふうに言われておりますが、これにつきまして、現在の進捗状況、それから二〇二〇年以降の枠組みへどう取り込んでいくのかという点についての御説明をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○北川副大臣 ただいまうえの委員から、二国間クレジット制度の進捗状況と、二〇二〇年以降の将来枠組みとの関係ということで、御質問をいただきました。
二国間クレジット制度は、二〇二〇年以降の枠組みが発効されるまでの期間を対象とする取り組みでありまして、現在の署名国は八カ国、今後三年間で倍増することを目標として掲げており、取り組んでいるところであります。
なお、このCOP19での成果については、先ほど大臣の方から御報告がありましたように、八カ国の国々の代表が並ばれて、今後協力していこうという合意もありました。非常に有意義な会であったということも大臣から御報告をいただきました。
今後も、こうした成果を着実に積み重ねつつ、しっかりと取り組んでいく所存であります。
一方で、二〇二〇年以降の枠組みについては、国連において全ての国が参加する公平かつ実効性のある枠組みの構築に向けて議論をしており、具体的な制度設計は、今後議論をされる予定であります。
我が国としては、JCMを実際に運用することで得られる知見などを活用しながら、世界全体の排出削減に向けた枠組みの構築に向けた議論に貢献をしていきたいと考えております。
○うえの委員 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
○伊藤委員長 次に、吉田泉君。
○吉田委員 民主党の吉田泉です。
石原大臣初め、COPへの御出張、本当にお疲れさまでございました。
まず、その関連で幾つかお尋ねしたいと思います。
今回のCOPでは、京都議定書の第一約束期間において日本の削減実績の見込みが八・二%である、目標の六%を達成できるということが発表されたわけでございます。
振り返りますと、この約束の達成のために大変な御苦労があったと思います。お金も使いました、知恵も出しました、ネクタイまで外した、こういうことでございました。その結果の八・二%。国際的にも国内的にも高く評価されるべきものだというふうに私は思っております。
一方で、枠組み全体の成果はどうであったのかということをちょっとお聞きしたいと思います。
我が国のように目標を達成できる見込みの国は、枠組み条約、そもそもは百九十五カ国が参加していますが、どの程度、達成できる国があるのか。また、世界全体で温室効果ガスの排出量がどうなったのか、先進国別、途上国別に教えていただきたいと思います。
○関政府参考人 京都議定書第一約束期間の達成見込みであると現時点で公表しております国、地域といたしましては、EU、オーストラリア、ニュージーランドでございまして、これに今回我が国が表明いたしましたので、こういう状況でございます。
また、表明はしておりませんけれども、ロシア、ウクライナ、ルーマニア等の東欧の国は、東欧の併合等がありまして、もう間違いなく達成できるんだろう、このように見込んでおります。
また、世界全体の状況でございますけれども、京都議定書におきましては、先進国の義務として、先進国全体で一九九〇年比で五%削減をしようということで各国に目標を割り振ったものでございます。
最新のデータというのが、IEAが世界全体のデータを集計しておりますけれども、最新のものというのが二〇一〇年時点でございますので、この五年間ではございませんけれども、仮に、二〇一〇年のデータが一九九〇年に比べて排出量がどうであるかということを比べますと、世界全体で見ますと、二〇一〇年の排出量が四百九十五億トンでございまして、九〇年の三百八十億トンに比べまして約三〇%の増加になっている。
それを先進国、途上国ごとに見てまいりますと、先進国におきましては、二〇一〇年の排出量は百七十九億トンでございまして、一九九〇年の百九十三億トンに比べまして七%の減少でありますので、京都議定書、先進国全体として五%というのは、二〇一〇年の値で見ますと達成しているということでございます。
一方、途上国全体で見ますと、二〇一〇年時点で三百十六億トン、これが一九九〇年時点の百八十七億トンに比べますと約六九%の増加でございまして、途上国全体で見ますと温室効果ガスの排出量が激増しているというのが実態でございます。
○吉田委員 日本を初め、少数ではありますが、一握りの国ではありますが、一生懸命やったわけですが、全体としては、この二十年、一九九〇年から二〇一〇年で三割ふえたということでございます。
それと、二〇二〇年に向けた削減目標、我が国は二〇〇五年比で三・八だという数字が発表されました。この数字ですと、一九九〇年比の場合は三%の増加になってしまうということもあります。先ほどの御報告でも、化石賞をいただいて相当な批判を浴びたというふうに聞きました。
ただ、これは、大臣報告にもございましたけれども、要するにこの数字の前提条件が極めて大事だと思います。原発、エネルギー効率については先ほど御報告がございましたが、そのほか、経済成長率とか森林吸収源、さらにはJCMの活用の度合い、そういうものを数字をつくる前提としてどういうふうに見ていたのか、もう一度全体的にお聞きした上で、与えられた条件の中で日本としてはベストを尽くそうという目標値になっているのかどうか、大臣の決意も含めてお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま吉田委員が御分析をいただいたとおりの数字だと思っております。
エネルギー政策がまだ検討中であります。そして、御存じのとおり、原子力発電所の発電は今ゼロであります。原発は削減効果が非常に大きいわけですけれども、これを含めないで設定した数字。そして、さらに、委員が今御言及をされましたとおり、森林吸収については二〇〇五年度比でマイナス二・八%。JCMでどういうふうになるかということは、まだ配分割合が加盟国で決まっておりませんので、八カ国締結をしても、現実に日本の技術が完全に移転されておりませんので、まだ数字は出てこない。省エネについてもしかりであります。再エネについてもしかりであります。
その他の削減分につきましては、先ほどお話をさせていただきましたように、世界で一応最高水準にあるこのエネルギー効率を二割深掘りするというのは、実はかなり大変なことで、九〇年比、二〇〇五年比の議論のところに出るのは、九〇年で見るならば、日本は、世界の中でも、省エネルギーについて、かなり先進的な部分に立っていたわけであります。ですから、同じような立場にある先進国の方は、我々は、やってもやっても、もともとがいいところにいるからなかなか評価されない、やっていなかった国は深掘りができるという話を、先進国のある代表の方とお話ししたことも印象に残りましたが、それでも我々は深掘りするんだということを約束させていただきました。
そして、再生可能エネルギー、FITの制度が始まりまして、まだまだこれからだと思います。太陽光のほかにも、地熱、あるいはバイオマス、また洋上風力、こういうもので再生可能エネルギーの拡大というものは私は図っていかなければならないと思っております。
そして、フロン法の改正、前通常国会で行ってくださいましたフロン対策の強化。これも、温暖化ガスということでいうならば、CO2よりも非常に大きいわけであります。これについても、日本はかなり他の国々よりも先を行っている。そして、JCMを初めとする二国間クレジットなどを総合的に進めていく。
なかなか、口で言うのはたやすいわけですけれども、まだ山あり谷ありだと思いますが、我が国の技術力や国民の皆様方の省エネ努力、吉田委員はネクタイまで外したというふうにおっしゃいましたけれども、冬は着込むわけですし、ネクタイを外して、寒くなれば洋服を着込む。こういう国民の皆様方の取り組みを総動員して、目標達成に全力を挙げていきたいと考えております。
○吉田委員 エネルギー効率を、二〇二〇年に向けて、十五年間で二割さらに深掘りするということです。
過去二十年間の実績としてはどのぐらいかを尋ねたところ、一割だったというわけですね。それを今度は二割ですから、これはそういう意味では非常に野心的な計画になっているというふうに、ぜひ世界的な理解を得たいと思います。
一方で、主要国も削減目標を発表してきました。その中で、特に、アメリカ、EU、中国、その目標値、さらにはその前提となる原発比率、エネルギー効率、その辺はいかがでしょうか。
○関政府参考人 まず、目標につきましては、カンクン合意のもとで、二〇二〇年の目標としまして、米国は二〇〇五年比で一七%削減、中国はGDP当たりのCO2排出量を、これも二〇〇五年比でありますけれども、四〇から四五%削減する、こうなってございます。
一方、EUにつきましては、京都議定書の第二約束期間に加入してございまして、この第二約束期間の義務といたしまして、一九九〇年比で、二〇二〇年で二〇%削減というのが目標でございます。
これらの目標の前提というのは必ずしも明確ではございませんけれども、IEA、国際エネルギー機関が分析したレポートによりますと、これらの目標と整合性のある排出抑制シナリオにおきまして、二〇二〇年の原発比率として、このレポートでは、米国は電源の二割弱、EUは三割弱、中国で一割弱、このような推計がなされているところでございます。
また、エネルギー効率につきましては、現時点におきまして、我が国は、米国よりも四割程度効率が高い、またEUよりも二割程度効率が高く、既に世界最高水準にございます。これを新目標では、委員御指摘のように、さらに二〇二〇年までに二〇%程度改善しよう、このようにしているところでございまして、十分野心的な目標である、このように考えてございます。
○吉田委員 やはり、原発比率が、アメリカは二割弱、EUは三割弱ですか、ここが最終的な数字に決定的な影響を与えていることは間違いないと思うんですよね。そういう前提がほっておかれて、三・八だけひとり歩きしているような面もあると思います。これはよく説明するしかないと思います。何とぞその努力をお願いしたいと思います。
さらに、大臣は、途上国に対して今後三年間で一兆六千億の支援を発表されました。年間五千億円余りということです。新聞によりますと、これはCOPで途上国が求めている支援額の三分の一に相当するという指摘がありました。
そこで、別途、枠組み条約事務局に対する我が国の拠出割合という表をいただいたんですが、それですと、先進二十四カ国中の我が国の分担率は一四%である。
そうしますと、何か、三分の一の支援というのは、ちょっと日本にとっては実力不相応の額のようにも思いますが、この一兆六千億というのは、どういう基準ではじかれた数字なのか、また内容はどういうものか、伺います。
○相星政府参考人 お答えいたします。
昨年、カタールのドーハで開催されましたCOP18におきまして、気候変動分野における先進国から途上国に対する支援額に関しまして、二〇一〇年から二〇一二年の三年間の額を下回ることなく増額するよう努力することを奨励することが決定なされました。今回の支援額は、このCOP18での決定及び我が国の厳しい財政状況を踏まえ、我が国の過去三年間の支援実績及び今後三年間に実施可能な案件を勘案して決定したものでございます。
なお、我が国の過去三年間の実績といたしまして、官民合わせて百七十六億ドルの支援を行ったという実績がございます。
具体的な内容でございますが、一兆六千億円のうち一兆三千億円につきましては、主としてODAあるいは国際協力銀行の融資等公的資金を活用し、途上国の気候変動問題対策への支援を行っていくものでございます。
具体的に想定している支援といたしましては、風力、地熱、太陽光などの再生可能エネルギーを利用しました発電プロジェクトへの支援、あるいは、気候変動に伴いまして洪水や干ばつといった自然災害の対策への支援、あるいは森林の保全といったような支援、特に、島嶼国を初めとしまして気候変動の影響に脆弱な国々に対しては、きめ細やかな支援を行っていきたいと考えております。
また、我が国のすぐれた低炭素技術を途上国に普及させていくために、官民が連携して民間資金の活用を行っていくことも考えております。
以上です。
○吉田委員 ありがとうございました。
消費税を増税しようという時代でございますので、四年目以降についてはさらに精査をお願いしたいと思います。
次は、ちょっとテーマがかわりますが、北海道の襟裳岬の突端に生息しているゼニガタアザラシの問題を取り上げたいと思います。
絶滅危惧種の第2類に指定されているのがこのアザラシですが、周辺の海に置かれているサケの定置網の中に入ってサケを食いちぎる、さらには昆布を食い荒らす、こういう漁業被害が深刻化しております。
環境省は、アザラシと漁業の共存という大目標に向けて、どうやって保護管理するか、その手法を現在、北海道大学等に研究を委託していると伺いました。そして、それと連携しながら保護管理計画を今検討中と聞きますが、状況はどうでしょうか。要するに、このアザラシを網に近づけない、入らせないということができればいいわけですが、そういう手法はまだ開発されていないのかどうか、伺います。
○星野政府参考人 北海道えりも地域のゼニガタアザラシにつきましては、サケ定置網を中心とした漁業被害が深刻であることを認識しております。
このため、環境省では、サケ定置網への音波忌避装置の設置や追い払いを実施し、アザラシを網に近づけない、入らせないための被害防除手法を検討しているところでございます。
さらに、今年度から三年間の予定で、環境省の研究費を用いまして、北海道大学が、アザラシを網に入らせないような漁具、定置網の改良の研究を実施中でございます。
保護管理計画につきましては、研究者や漁業組合長などから成る検討会において現在検討を行っているところでございまして、今年度末までに策定する予定でございます。
○吉田委員 これは、希少動物と人間との共存の典型的なケースだと思います。被害を防ぐための良案を極力早く、ひとつ出していただきたいとお願いを申し上げます。
次に、今度は、福島の中間貯蔵施設の関連でお伺いいたします。
これは、二十七年一月供用開始予定ということですから、もうあと一年ちょっとというところまで迫ってきております。現在、ボーリング調査が大熊町、楢葉町では完了、双葉町で実施中という状況でございます。
そんな中で、十一月二十三日、新聞が大きく報道いたしました。中間貯蔵施設の建設のため、政府は第一原発周辺の土地約十五平方キロを購入し、国有化する方針を固めた、土地の購入費二千億円は来年度予算に盛り込む方針だ、十二月前半には知事や地元四町長に施設建設の同意を正式に要請すると、大変大きく報道がなされました。
まず、この件に関して、大臣として政府の方の検討状況を教えてください。
○石原国務大臣 ただいま吉田委員がお話しになられました新聞記事は、ちょうど私がワルシャワにいるときに出たそうでございまして、現地に取材に来ていらっしゃる記者の方からも質問があったんですが、そういう事実はないと答えさせていただいたところでもございます。
それは、今まだ双葉町の方でボーリングの調査、かなりの本数にはなってきておりますが、これにめどがつきませんと、なかなかそういうお話にはならないんじゃないかと思っておりますし、環境省のホームページにも、そういう事実はないと。
ただ、その一方で、事務方がいろいろなお話をさせていただいておりまして、きのうも双葉町の伊澤町長がおいでになって、こういうことが表に出ると、非常に、その部分に当たる地主の方にとっては、また生活されている方にとっては、その人の生活にかかわる問題だから甚だ遺憾である、もう少ししっかりしてくれというような御叱責もいただきましたので、私としても、本当に申しわけございません、どういうことでどういう話になっているか、その記事の内容がどこから出たのかということはわかりませんけれども、そういうことのないようにいたしますとお話をさせていただいたところでございます。
しかし、今委員のお話の中にありますように、再来年中には供用を開始するというのが、前政権、そして現政権になってからも同じ目標を掲げておりますので、必要な調査が終わって、できるだけ速やかに、中間貯蔵施設をどう考えるのかというものも地元の皆様方にもお示しをさせていただきたいですし、当環境委員会にもお示しをさせていただきたい、こんなふうに考えているところでございます。
詳細は、井上副大臣が担当しておりますので、承ればと存じます。
○吉田委員 十五平方キロかどうかということはともかくとして、いずれ、この施設をつくるために土地を購入するという手続が必ずやってくるわけでございます。問題は、通常の場合と違って、大熊町とか双葉町というところの帰還困難区域は、土地の全損賠償が東電によってなされるということが決まっている土地であります。その土地をどういう単価で買うのが、法理上といいますかルール上正しいのかという問題がございます。
せんだって、私、現地で環境省の幹部とちょっとお話をしたら、環境省としては、通常の公共用地取得のルールで買うんだ、賠償とは関係ないんだ、結果的に二重取りという可能性もあるかもしれないというような趣旨のお話を聞いたこともございました。
そんな中で、十一月二十二日ですが、原子力損害賠償紛争審査会のメンバーである中島肇弁護士が、この問題に関連した意見書を審査会に提出したという報道がございました。そこで、その意見書の内容、そして、審査会としては今どういう検討状況なのか、お伺いします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
御指摘をいただきました原子力損害賠償紛争審査会の中島委員による意見書でございますが、これは、十一月二十一日に、審査会の能見会長及び事務局宛てに送付されたものでございまして、東京電力が全損として賠償した土地の所有権の法的な性質などにつきまして、中島委員の個人的なお考えが表明されているものでございます。
本意見書の審査会における取り扱いにつきましては、事務局が中島委員御本人にお伺いしましたところ、中島委員としては、審査会の能見会長に御一任するということでございました。
能見会長としましては、被害者の早期救済の観点から原子力損害の範囲の判定等に関する指針を策定するというのが原子力損害賠償紛争審査会の役割でございますので、その役割に鑑みれば、この意見書の内容については、審査会において議論すべき問題ではなく、今後とも取り扱う予定にはないというお考えでございました。その能見会長のお考えにつきましては、中島委員も御了解をされております。
したがいまして、十一月二十二日の審査会には、中島委員の意見書は資料として提出されてございません。
以上でございます。
○吉田委員 わかりました。
ただ、これは環境省が事業主体ですが、賠償の担当の文科省の方ではそういう議論も来ているということですので、ぜひ、よく連携して、なるべく早くこの価格の基本的な考え方をまとめるべきかと思います。一つの考え方が何かひとり歩きしちゃって、それが後でまたひっくり返るというようなことになると、大変これは混乱すると思います。
一方で、十五平方キロに関して、買収というより借地の方がいいんじゃないかという議論が地元紙を中心に出ております。つまり、買収というと何か強引なケースも出てくるんじゃないか、さらには、最終処分場は県外につくるんだという約束があるわけですが、国有化されちゃうと、最終処分場にまでつながるのではないのか、そういう心配も出てくる、それならば、期限を切った借り入れの方がいいんじゃないかという議論が出ておりますが、この借地方式の可能性はいかがでしょうか。
○井上副大臣 中間貯蔵施設、言うまでもなく、除染した後の土壌などを、長期間安全に集中的に管理、保管する重要な施設と考えております。こういった施設の性格に鑑みますと、国として、長期にわたる事業を責任を持って実施する必要があるため、土地について安定的な権利の取得が必要不可欠であると思います。土地の借り入れよりも買い取りということでお願いをしたい、こういう趣旨でございます。
○吉田委員 状況はわかりました。
さらに、きょうは復興副大臣にも来ていただいておりますが、この国有化報道に合わせて、つまり、国有化ということは、全員帰還という従来の政府方針を大きく転換するものだという解釈が新聞紙上でなされております。
ただ、私は、今まで政府としてこの全員帰還という方針を掲げたという記憶がないんですけれども、この辺の事実関係を確認したいと思います。副大臣、よろしくどうぞ。
○浜田副大臣 吉田委員におかれましては、今までも復興副大臣として福島の復興再生に取り組んでいただいたことを厚く御礼申し上げます。
私は、その後任として、この復興副大臣、バトンを受け継いだわけでございますけれども、今委員御指摘のとおり、政府として、報道されているような全員帰還の原則というものを示したことはございません。
政府として示したものは、吉田委員がまさに副大臣として在任のときでございますが、平成二十四年七月十三日に、福島特別措置法の基本方針を閣議決定しております。これによりますと、「帰還を望む者が皆帰還し、地域の将来を担う若い世代が帰還する意欲を持てるよう、責任を持って対応する。」こうしているところでございます。
一方、被災者の方々の中には、帰還困難区域のように、事故後六年を経過しても放射線量の関係で帰還が難しい地域では、戻りたいと考えている方々、また、戻らないと考えている方々、また、判断に迷っている方々など、さまざまな方がいらっしゃるものと承知しております。
政府といたしましては、このような被災者の方々のそれぞれの判断に応じて、それぞれに丁寧に支援を進めていく、そういう所存でございます。
○吉田委員 戻る、戻らないというのは、あくまでそれぞれの個人の方の判断である、国が強制するものではないという方針で政府は一貫しているということだと思います。そこがチェルノブイリと一番大きな違いだというふうに思っております。
それから、もう最後になりますが、十一月二十日ですけれども、原子力の規制委員会、帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方というのを決定されました。その中で、空間線量から個人線量へという考え方が明示されました。本来は個人線量で見るべきところを、今までは便宜的に空間線量から類推してきた、ただ、そこに現実問題、ギャップがある、今後、個人線量計ベースで見るようにしようという趣旨だと思います。
ただ、こうすると、除染の長期目標は一ミリシーベルトということになっておりますが、それが実質的にもう少し、五ミリとかに高く設定されることになるんだというような解釈も一部出ておりますけれども、何か、この規制委員会の決定によって、除染事業のこれからの実行に変更が出てくるんでしょうか。
○井上副大臣 追加個人被曝線量の一ミリシーベルト、これが長期的な目標であるということには全く変わりはございません。
そもそも除染は、従来から、個人線量を下げるための放射線防護の手法の一つであります。適切な手法により、その場、その場で線量を下げられるところまで下げるという考え方で実施をしており、この基本的な考え方、手法にも変更はございません。
なお、一通りの除染を終えた後のモニタリングあるいはフォローアップ除染などの具体的な手法につきましては、この個人線量を基本とすべきという提言の趣旨も踏まえて、今後検討してまいりたいと考えております。
○吉田委員 ありがとうございました。終わります。
○伊藤委員長 次に、河野正美君。
○河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。
まず、本日は、重複するものもあるかと思いますけれども、ポーランドのワルシャワで行われておりました国連の気候変動枠組み条約第十九回締約国会議、いわゆるCOP19からお戻りになった石原大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
今回、大臣は、原発抜きで二〇二〇年に二〇〇五年比三・八%削減という新目標を発表されたと報道されておりますし、先ほどの委員会冒頭でも報告されました。この達成への意気込みと、あわせてCOP19の御感想をいただきたいと思います。
○石原国務大臣 これまでの各委員との御討論の中でお話をさせていただいてまいりましたが、繰り返し申させていただきますと、やはり、二〇二〇年度以降の枠組みというものは、全ての国が参加をして、さらにそれが公平で実効性のあるものでなければならない、すなわち、先進国の排出量というのが三分の一程度、途上国が三分の二、途上国も先進国も、二〇一五年、パリのCOP21の前に草案を示すということを約束したということが最大の成果であると思っております。
そして、我が国は、資金援助、三年間で、二〇一三、一四、一五で一兆六千億円、百六十億ドル出す、これに対して、途上国の方々からはこぞって、本当に、かなりの量をやってくださる、ありがたい、さらにつけ加えるならば、日本のすぐれた環境技術を私どもの国に移転をしてもらいたい、こういう、お金だけではなくて日本の環境技術に対する期待も大変高かった。国際貢献をしていかなければならない、こんなことを強く感じたところでもございます。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
行かれる前からもおっしゃっていましたように、やはり、我が国の環境技術を、戦略的に攻めていくということで、国際貢献をしていっていただけるのかなと思っております。
ところで、既に世界最高水準のエネルギー効率を改善していくという野心的なものとしたものの、二〇〇九年に当時の鳩山由紀夫首相が発表されました一九九〇年比で二五%削減という目標から比べると、大きく後退しているんじゃないかなという懸念があるかと思います。
この鳩山当時の首相が発表された判断が正しかったかどうかは別といたしまして、国民に対して今回の目標が若干後退した印象を与えているのではないかと懸念する報道がございますが、これに対して何か政府としての御弁明というか御意見はございますでしょうか。
○石原国務大臣 その点は大変重要な御指摘だと思います。
これは、二五と四、低いに決まっているんですね。鳩山目標は、今、日本には原発が五十基ある、これを六十三基にして八割稼働、そういう大前提があり、さらに、何によってやるかがわからない部分が数%あるわけですね。ですから、これはさっきお話ししたかどうか、ちょっと定かじゃないんですが、ある先進国の代表の方が、おい、石原、その話はもういいよ、どうせできないことはわかっていた、そういうふうに言われたんですね。海外はその程度の受けとめであったのかなと。
これももう報道されていることですから、若干御説明をさせていただきたいと思うんですけれども、イギリスのファイナンシャル・タイムズが、日本は不可避な事態を受け入れただけだ、各国代表は日本が目標をほごにしたことを非難するのではなく、自身が参加しているプロセスのあり方を見詰め直すべきだ、国際的な取り組みで注力すべきは、実現方法を誰も知らないような目標を引き出すことではなくて、環境を破壊せずに人々の欲望に対応する方法を編み出すことだ、日本の環境技術の開発に一千百億ドル投資するということは意義があるというように、海外の論調も実はこういうふうに常識的なものもある。
そういうことを多くの方々に理解していただく努力というものを続けていって、河野委員が御指摘されましたこの問題点について、しっかりとした日本の対応であるということを示していくことが、この問題を払拭する重要なポイントではないかと考えております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
そういった意味で、今大臣が御説明いただきましたように、きちんと国民の皆様に、これは決して後退したわけではなくて、しっかりと我が国としてやっていくんだということが説明できるということで、了解いたしました。
最後に、我が党は、総理大臣や国務大臣がもっと自由に、国会審議に縛られることなく海外に出ていって外交をやっていただく、それが国益にかなうことであれば、実質国会としてどんどん頑張っていただきたいという立場をとっておりますけれども、今回、会期中に約一週間、海外の重要会議ということで御出席になりました石原大臣として、こういった考えについての御感想をいただきたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま河野委員が御指摘されました点は、御党がかねがね主張されている点で、私も大変有意義なお考えであるというふうに考えております。
閣僚として各国を回らせていただき、各国のカウンターパートと信頼関係を得るということは非常に意義深い。例えば、今回の訪問でも、数カ国の代表とは顔見知りであります。顔見知りであれば、気さくに立ち話もできることがある。重要な決定を行う会議で我が国の国益を確保するためには、やはり所管する大臣ができる限り出席をするということが私も望ましいと考えております。
御党のこの考え方がナショナルスタンダードになる日を待ち望んでいるというのが率直な感想でございます。
○河野(正)委員 ありがとうございました。COPでいろいろお約束してきたこと、宣言されたことをもとに、しっかりと引き続き頑張っていただきたいと思います。
それでは、次に我が党の松野国会議員団幹事長が控えておりますので、ここで質問を譲りたいと思います。
ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、松野頼久君。
○松野(頼)委員 日本維新の会の松野頼久でございます。
きょうは、当環境委員会におきまして、こうして質疑の時間を与えていただきましたこと、各党各会派の理事の方、また委員の方に心から感謝を申し上げる次第でございます。
きょうは、動物愛護という割とかわいい話題なんですけれども、大臣は、犬、猫はお好きですか。
○石原国務大臣 私、猫は実はアレルギーでございまして、犬も、黒い毛はアレルギーなんですが、白い毛はアレルギーじゃないので、コイケルフォンディエというオランダの犬をつい最近まで飼っておりましたが、残念なことに、これも私、愛玩動物の悲劇だと思って非常に心を痛めたんですが、絶滅危惧種的になって、オランダで五十頭になっちゃったんだそうです。ですから、やはりペアリングが近いところになりまして、例えば、うちの家の近くに同じ犬が四匹いたんですが、お姉さんだったり、おいっ子だったり、そういうことで、平均の寿命よりも早く亡くなってしまいました。
やはり、絶滅危惧種が血が濃くなって絶滅していくということを目の当たりに、この愛玩動物、特に、自分がかわいがっていた犬がそういう悲劇になりましたので、こういうこともこれから考えていかなければならないということを強く感じたところでもございます。
○松野(頼)委員 実は私、ちょうど四、五年前になるんですか、朝日新聞の一面に、犬、猫三十九万頭殺処分という記事を見てから、ライフワークとして動物愛護、また、特に殺処分の問題等々に取り組ませていただいておりまして、昨年、動物愛護法、五年を目途にということで法改正をしましたけれども、その実務者のメンバーとしてこの法改正に携わった立場でございまして、その立場からきょうは若干質問させていただきたいと思います。
今回の動物愛護法改正によって、幾つか新しい条項がつけ加えられました。例えば、一つの今回の大きなポイントだったんですけれども、法律の中に、幼齢犬の販売の週齢、日数というのを実は今回入れさせていただいたんですね。法の二十二条の五、これ、ございますでしょうか。
「犬猫等販売業者は、その繁殖を行つた犬又は猫であつて出生後五十六日を経過しないものについて、販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない。」要は、生後五十六日に満たない犬、猫は販売してはならないということなんです。「引渡し又は展示をしてはならない。」、これが本文、法律の本則ですね。
この本則を施行するまでの間に、附則というのがついてございまして、附則の第七条、「施行日から起算して三年を経過する日までの間は、新法第二十二条の五」、今の条文ですね、五十六日以内の子犬は引き渡しまたは展示をしてはならないという部分、この「「五十六日」とあるのは、「四十五日」と読み替えるものとする。」要は、この法律が施行されてから三年間は、今の五十六日を四十五日で運用しますという附則なんです。これはいいです。
次、この三年を経過した後は、要は、この「前項に規定する期間を経過する日の翌日から別に法律で定める日までの間は、新法第二十二条の五中「五十六日」とあるのは、「四十九日」と読み替えるものとする。」非常に不思議な書き方なんですね。余りこういう法律の立て方、一つの法律を施行するために別に法律で定めなければならないみたいな、多分非常にレアケースの書きぶりをしています。
まず、この書きぶりで、国会として立法したものですけれども、環境省としてはどういうふうに行政の中で運用していくのかということをきょうは伺いたいと思って、質問の時間をいただいたところです。
この四十九日が終わって、本則に書いてある五十六日未満の犬、猫を販売または展示してはならないというところまで至るのは、大体いつごろと考えていらっしゃいますか。
〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕
○星野政府参考人 改正動物愛護管理法の附則第七条三項、今委員おっしゃった条項におきましては、日齢規制を五十六日とする日は法施行後五年以内に検討するものとされております。
また、検討に当たりましては、親から引き離す理想的な時期について、科学的な知見を充実させる、さらには、その知見の社会一般への定着の度合い、こうしたことなどを勘案することとされているところでございます。
環境省といたしましては、これらの規定を踏まえまして、速やかに定めていきたいと考えているところでございます。
なお、科学的知見を充実させるための調査研究につきましては、来年度予算で必要な経費を要求しているところでございます。
○松野(頼)委員 いや、その科学的知見を加えるのは前項のマイクロチップの部分ですよ。これは別に犬、猫の五十六日の販売規制の話じゃなくて、科学的知見の部分に係ってくるのはマイクロチップの前項のところでしょう。こういう解釈をしちゃだめですよ。
要は、「この法律の施行後五年以内に検討するものとし、その結果に基づき、速やかに定めるものとする。」と書いてあるでしょう。しかしながら、本則の二十二条では、「五十六日」と明快に書いてあるわけです。この整合性を聞いているんですよ。
ですから、この法律が施行されている状況の中で、五十六日ということが一日でも出てこなければ、この法律は施行されていないということになるんですね。そうでしょう。
だから、五十六日というこの本則に書いてある部分をどうやって担保して、いつから施行するんですかという話を聞いているんです。
○星野政府参考人 附則第七条三項におきましてはこの法律の施行後五年以内に検討をするということが書かれておりますので、先ほども申し上げましたけれども、理想的な時期についての社会一般への定着の度合い、そして犬猫等販売業者へのその科学的な知見の浸透の状況、こういったことを踏まえて法律の施行後五年以内に検討するとされておりますので、環境省としては、この附則七条第三項の規定を踏まえて、適切に対応していきたいというふうに思っております。
〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕
○松野(頼)委員 もう一個、附則の十五条を見てください。「この法律の施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」これは、毎回この動物愛護法の改正のときに必ずつけている条文なんですけれども、要は、この動物愛護法の法律自体を毎回五年を目途に改正すると言っているわけですね。
だけれども、今の部分も、「五年以内に検討するものとし、その結果に基づき、速やかに定めるものとする。」五年以内に検討し、その結果に基づき、速やかに定めるものとする。要は、五十六日にするのを五年以内に速やかに検討して定めるものとすると書いてあるわけですよ。だから、五年以内に五十六日ということを定めるということは間違いないですね。
○星野政府参考人 法律で規定されている内容については、まさにそのとおり、環境省として実施していくところでございますけれども、附則の第十五条で、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とされておりますので、この規定に基づく検討を行う中で、先ほど申し上げました附則第七条の検討についてもあわせて行っていきたいというふうに思っております。
○松野(頼)委員 ちょっとそこは明確に答えてください。
要は、五十六日以内の子犬を販売しない、これは本則にしっかり書いてあるわけです。これを一日でも二日でも実行しなければ、この法律に基づいた行政は行われていないということになるんですよ。それはいいですね。
○星野政府参考人 附則の第七条の規定そして第十五条の規定、それぞれの規定に沿って環境省としては検討を行っていきたいというふうに考えております。
○松野(頼)委員 違う、検討を聞いているんじゃなくて、法律に基づいて、いつ施行するかということを聞いているんですよ。
要は、七条の方は五年以内ですよ、法改正は五年を目途にですよ、だから少なくとも法改正までの間に、五年以内に五十六日ということを実現しますよということでいいんですね。
○星野政府参考人 附則第七条では、委員も御指摘されたように、「この法律の施行後五年以内に検討するものとし、その結果に基づき、速やかに定めるものとする。」というのがまさに第七条第三項の規定でございます。また、第十五条は、「この法律の施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」となってございますので、それぞれ第七条、第十五条に規定された内容に沿って環境省としては検討を進めていきたいというふうに思っております。
○松野(頼)委員 だから、検討の状況を聞いているんじゃなくて、この法律に基づいて、いつからこの五十六日という週齢規制を行政として実行するのかという時期を聞いているんですよ。もう一回答えてください、ちゃんと。
○星野政府参考人 まさに、繰り返しになりますけれども、七条、十五条とも五年という期間が書いてございまして、その間にしっかり検討を行うということでございますので、環境省としては、しっかりと検討を行っていきたいと考えております。
○松野(頼)委員 ちょっと委員長、これ、とめてくれませんかね。この答弁はちょっと、今皆さん聞いていて、ほとんど答えになっていないと思うんですよ。
要は、検討じゃなくて、法律に、本則に書いてある日はいつから施行するのかということを聞いているので、検討状況、検討することを聞いているんじゃなくて、いつから施行するんだということを聞いているんです。
ちょっととめてくれませんか、委員長。
○伊藤委員長 もう一度、星野自然環境局長、日時等について具体的にお答えください。
○星野政府参考人 検討結果を踏まえまして、速やかに定めていきたいというふうに思っております。
○松野(頼)委員 だって、本文に五十六日以内の子犬は販売しちゃならないと書いてあるんですよ。この法律どおりいつからやるんですかと聞いているのを、検討じゃなくて、施行する日時、日時といっても時は関係ないけれども、いつからやるのかということを聞いているんですよ。検討を聞いているんじゃない、検討は書いてあるんだから、ここに。検討を加え、速やかに施行するものとすると書いてあるんだから、検討して五年以内に実行する、実現するんですねということなんですよ。
ちょっともう一回答えてください、ちゃんと。
○星野政府参考人 私どもとしては、附則第七条第三項の規定に沿って対応するということでございまして、繰り返しになりますけれども、附則第七条第三項では「この法律の施行後五年以内に検討するものとし、その結果に基づき、速やかに定める」ということでございますので、現時点ではこうした答弁になるということで御了解いただきたいと思います。
○松野(頼)委員 附則ばかり言っているけれども、では本則が実行できないじゃないですか。五十六日以内の犬、猫は販売してはならないという本則が実行できないじゃないですか。附則に従って行政するんじゃなくて、本則と附則だったらどっちが上なんですか。本則に決まっているでしょう。本則が実現できないじゃないですか、五年。本則を一日も実現しないままにこの法律を改正することがあってはならないんですよ。そうでしょう。
本則と附則の話をしているけれども、附則のことばかりあなたは言っているけれども、本則はどうしたんですか、本則は。生後五十六日以内の子犬の展示または販売をしてはならないという、この本則はいつから実行するのかということを聞いているんですよ。
○星野政府参考人 本則の規定を実施するためのプロセスが附則で定められているものだというふうに考えております。これは国会で御審議の結果定められたものでございますので、私どもとしては、そのとおり対応していきたいと思っております。
○松野(頼)委員 いや、だから、きょう質問の時間をもらって、いつからやるのかということを聞いているんでしょう。ねえ。大臣も笑っていますよ、あなた。だから、わざわざ時間をもらってここでやっているんでしょう、行政としていつからやるのか聞きたいから。
大臣、答えてくださいよ。
○石原国務大臣 今の議論を聞いていて、本当に申しわけないと思います。
役人はそう言うんですよね。というのは、施行日から五年以内に検討し、その結果に基づき速やかに定める、しかし本則は五十六日と読む。
これは結局、犬も人間も、人間の部分は削除していただきたい。子犬とかちっちゃい動物はできる限り親元に置いておいた方が、実は、悪いペットも多いんですね、公園なんかを散歩しているとわかりますように、急にワンワンワンとほえたり。これは、獣医師会でお話を聞かせていただきましたら、早い段階で商業用に引き離して親元を離れると、やはり人間と同じように動物も非常に情緒が不安定になる。そういうことで議員立法として五十六日ということになったわけですけれども、販売している業者との調整等々もあってこういう形になっているんだと思います。
今のお話を聞いている限りは、やはり松野委員が御指摘のとおり、可及的速やかに五十六日にした方が、犬も猫も人間も幸せになると私は思います。
ですから、本則にのっとって、施行日がことしの九月一日ですから、平成三十年の九月一日までが五年間でございますので、この間に早急に検討することとなっていますから、そこからまた早急に検討して施行日が五年後だといったら十年後になっちゃいますから、そういうことのないように原局を正していきたいと思っております。
○松野(頼)委員 まさにそれを言いたかったわけですよ。大臣のおっしゃるとおりなんですよ。これは、幼齢犬の販売というのは、要は余り小さいときに親元から離すと、これはわかりませんよ、いろいろな学説があります、ただ、今、先進諸外国の中で、この幼齢犬の販売を全く規制されていない国というのは、日本は非常にレアケースなんですね。ヨーロッパなんかはもっと厳しいですよ。それこそ子犬は数カ月間は親元にいなければいけないとか、極端なことを言うと一年未満はみたいな国もあるんです。
ちっちゃいときにただかわいいといって親元から引き離して、いろいろな方が買っていって、結局は問題行動を起こしたりとか、やはり余りよくないのではないかということで、これは実は、この法律の改正の最大のポイントなんです。
ペットショップの皆さんは、やはり、大きくなってからだと、その間の飼育のコストもかかる、そしてまた、かわいいといって買っていってくれる人が少なくなるんじゃないかといって、大変心配されるんですよ。でも、全部がそういう形になれば、同じですから、そういう状況の中である程度の日数を入れなければいけない。
ただ、激変させてはいけないから、四十五日、三年間、次の二年間は四十九日、五年後には五十六日にしますよ、五年間でペットショップの皆さんもそういう体質に変えてくださいねという話でここを入れたんですけれども、どうも話を聞いていると、五年たっても五十六日という数字が出てこない、出てこないままこの法改正が行われるんじゃないかということが今非常に心配されているので、きょうわざわざここで時間をいただいて、行政としての運用状況の確認をとりたかったわけです。
ですから、局長、この法律、これは最後に十五条、さっき僕も法制局といろいろ話をしてこの委員会に臨みました。今までの附則の七条までの話はそういう見解もあるかもしれませんが、最後の附則の十五条、「この法律の施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と書いてあるんですけれども、ここの解釈でいうと、「新法の施行の状況について」だから、もし五十六日ということが施行されないままにこの法律全体が、五年を目途に毎回改正していますから、改正された場合には、これは明らかに法に抵触するというんです。本則で書いてある五十六日が施行されなければ、この「新法の施行の状況について」にならないというんですね、解釈として。
本文が全部施行されて初めて、見直し、検討を加え、必要があると認めるときにはこの法の改正になるということですから、やはり、きのうから私が随分事務方の皆さんと議論しているように、この法律が施行されている間に五十六日が施行されないことはあり得ないというんですよ、あり得ない。そこの認識はこれでいいですね。
○星野政府参考人 附則第十五条の解釈につきましては、先生の御指摘を踏まえまして、私どもも内閣法制局に相談をしてみたいと思います。
また、五十六日の件でございますけれども、私ども最大限の努力をしたいと思っておりますので、その点は十分御承知おきいただきたいと思います。
○松野(頼)委員 今、内閣法制局とおっしゃいましたけれども、これは閣法じゃないんですよ。議員立法なんですよ。衆議院法制局でたてつけをつくったんですよ。ですから、立法者の趣旨はそうだということなんです。だから、立法者の趣旨に沿って行政をしなさいよという話を私はしているんですよ、ここで。ですから、ぜひそこのところは、立法者の趣旨に従ってしっかりと行政をしていただきたい。
この法律が施行されている限りは、その中で必ず五十六日の幼齢犬の販売禁止というものを実現しなければ、新法の施行状況についての、この施行状況が不備だということをどうか確認していただきたい。そして、きちんと答弁していただきたい。お願いします。
○星野政府参考人 私どもとしては、先生のこれまでの御発言の御趣旨を踏まえて、最大限努力をしていきたいと思っております。
○松野(頼)委員 努力を聞いているんじゃないんですよ。気合いだじゃないんですよ。あなたの気合いを聞いているんじゃないんです。もう一回ちゃんと、きちんと答弁してくださいね。
○星野政府参考人 お叱りを受けて恐縮でございますけれども、私ども自然環境局として、法律の趣旨を踏まえ、また先生の御懸念も十分体して努力をしていきたいと思っております。
○松野(頼)委員 与野党交渉で随分ここは問題になったんですけれども、激変緩和は確かに必要だと思う、だから、最初の三年間は四十五日、残りの二年間は四十九日、五年後には五十六日、こういう区切りの中で交渉して、この条文がここに落とし込まれたというふうに思っています。
ですから、そこはしっかり確認していただいて、この法律が施行されている期間に必ず五十六日を実現するということをぜひ肝に銘じて行政をしていただきたいというふうに思います。
もう一回答えますか。
○星野政府参考人 先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども、大臣の御発言の趣旨に沿って対応していきたいと思っております。
○松野(頼)委員 大臣、それでいいですよね。
○石原国務大臣 それで結構でございます。
○松野(頼)委員 ありがとうございます。
次に、自治体の引き取り、これも今までは、各自治体は、「犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。」この条文だけでした。今回の法改正で、「犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。」こういう条文を入れました。
要は、今までは、引き取らなければならない条文だったので、自治体が断ることはできなかったんですね、どんな悪質な状況でも。でも、今回は、悪質なケースの場合には引き取りを拒否できるという条文を入れたんですよ。
では、行政として、どういう状況が悪質であると考えるか、どういう状況ならば自治体は引き取りを拒否できるのか、それを伺いたいと思います。
○星野政府参考人 法改正を受けまして、動物愛護管理法施行規則二十一条の二に、引き取りを拒否できる場合を具体的に定めてございます。
これは、動物取扱業者から求められた場合、引き取りを繰り返し求められた場合、子犬、子猫で繁殖制限措置を講じる旨の指導に応じない場合、高齢化、病気等の理由や、犬、猫の飼養が困難であるとは認められない理由により引き取りを求められた場合、引き取りを求めるに当たってあらかじめ新たな飼い主を探す取り組みをしていない場合、その他都道府県等の条例、規則等に定めがある場合というふうに施行規則第二十一条の二で定めております。
○松野(頼)委員 業者はどうやって確認しているんですか。
○星野政府参考人 犬、猫が持ち込まれた場合には、名前を確認しております。したがいまして、登録された業者であるということはわかりますので、業者からの引き取りには応じないということでございます。
○松野(頼)委員 業者の代表者は名前が登録されているかもしれません。取扱主任者も名前が登録されているかもしれません。ただ、一般の店員の名前というのは登録されているんでしょうか。
○星野政府参考人 悪質な業者からの引き取りが事実上なされることのないよう、各都道府県の引き取りの数がどの程度であるか、そういったことも十分踏まえて、都道府県を指導していきたいと思っています。
○松野(頼)委員 これは、ここに「販売業者から引取りを求められた場合」と書いてあるんですけれども、今、販売業者であるかどうやって確認しているんですかと聞いたら今の答えなんですよ。誰も販売業者だと胸に張って引き取りを求めに来ませんよ。
ペットショップの代表者は登録されているから、では、そのデータベースは来ているんですか、各愛護センターに。少なくとも、代表者と取扱主任者が登録されているデータベースが愛護センターにつながっているのかどうか、まず聞きたいと思います。
○星野政府参考人 各都道府県において、登録したデータの管理はしっかり行っておりますので、県が運営する動物愛護の関係の施設とは共有が図られるものというふうに思っております。
○松野(頼)委員 というのは、保健所なり愛護センターなり管理センターなりと、要は、各都道府県に登録をしている業者のまず代表者と取扱主任者は、引き取りを受ける場所と必ずこれはデータベースでつながっているということですね。それを確認させてください。
○星野政府参考人 法律上登録が必要でございますので、登録簿というものがございます。そこでしっかりと確認ができるということになっております。
また、具体的な、そういう事例が起こらないように、引き取り数をしっかりとモニタリングしていくということも大事だと思っておりますので、そういう努力を都道府県には続けてもらいたいと思っています。
○松野(頼)委員 要は、今のでぜひこれはちゃんと、きちんと指導していただきたいのは、登録をしている、登録を受け付けるところは、多分県庁なり市役所なりの本体ですよ。引き取りを受けるのは、保健所なり、特に、保健所は狂犬病予防法に基づいてつくられた保健所の場合が往々ですから、動物愛護法じゃない運用をしているところがたくさんあるわけですよ。狂犬病予防法に基づいて設置された保健所とかで引き取りを受けているわけですけれども、そういうところと動物愛護法に基づく取引業者のデータベースがきちんと、要は、業者かどうかとそこでチェックされているかどうかということを、きちんとそこにつながっているか、少なくとも台帳があるかということは、まずこれはきちんと指導してくださいね。いいですね。答弁してください。
○星野政府参考人 保健所でも窓口になっているということでございますけれども、まさに業者からの引き取りが起こらないようにどうしていったらいいのか、その点も含めて、先生御指摘のデータベースなり情報をしっかり関係した機関で共有するということは、非常に大事なことだと思います。そういう話はしっかりと都道府県に伝えながら、それ以外にも、そういった悪質な業者からの結果的に犬、猫の引き取りにつながらないような、そういう取り組みをしっかりと都道府県にしてもらうように指導していきたいと思います。
○松野(頼)委員 では、例えば店員さんの名前もデータベースに入れるんですか。店員さんが持ってきたら、わからないでしょう。代表者か取扱主任者が持ってくればデータベースでわかるんですよ。データベースに入っているから、業者だって。だけれども、それ以外の届け出は求めていないでしょう、どういう店員さんが働いているか。その店員さんが持ってきたらば、業者かどうかわからないじゃないですか。ここにきちんと、法律では、販売業者からの引き取りを求められた場合、拒否できると書いてあるんですよ、拒否できると。販売業者の引き取りはだめだと言っているんですよ。にもかかわらず、販売業者のチェック機能が全くできていないじゃないですか。どうするんですか、これ。
○星野政府参考人 委員今御懸念の点でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、動物取扱業者から求められた場合は引き取り拒否できるとなっておりますけれども、それだけではなくて、引き取りを繰り返し求められる、さらには、繁殖制限措置を講じる指導に応じない場合、また、高齢化、病気等の理由や、犬、猫の飼養が困難であるとは認められない理由によって引き取りを求められる場合、引き取りを求めるに当たってあらかじめ新たな飼い主を探す取り組みをしていない場合、こうした事由も引き取りを拒否できる事由として挙げておりますので、こういったところをしっかりと踏まえて対応することが必要だというふうに思っております。
○松野(頼)委員 店員さんが順番に違う名前で引き取りを求めてきたら、わからないじゃないですか。でも、これは業者でしょう、法律で縛っている。
ですから、ここはどういうふうに改善していくのか。例えば、働いている人の名前まで登録をしなければ申請を受け付けないとかいう形で担保するのか、どういう形でこの法律を実現するために、担保するために運用していくのかということを聞きたいから、きょう、質問に立っているわけですよ。
○星野政府参考人 今回の法改正を受けた施行の状況、各都道府県でいろいろな実績が今後積まれていきますので、そこのところをしっかり見きわめて対応を考えていきたいと思っておりますし、また、将来的にマイクロチップが埋め込まれるように私ども努力していきたいと思っておりますので、そうしたことも含めて対応を今後考えていきたいというふうに思っております。
○松野(頼)委員 今後対応じゃなくて、もう法律が施行されているんですよ、今。今、この時間もこの法律は動いているんですよ。業者からの引き取り、業者をどうやって選定するのかということを大至急やってもらいたいというふうに思います。
そろそろ時間がなくなってきましたので、次に行きたいと思います。
環境省、大変努力していただいて、特に犬の殺処分というのは本当に減りました。環境省の努力、この五年間の努力というものは認めたいと思います。本当によくやっていると思います。
ただ、殺処分は減ったんだけれども、殺処分以外の、センターに持ち込まれて、殺処分までなり、今回、譲渡という部門を入れましたので、譲渡までの間に死んじゃうケースがありますね。それは大体何頭ぐらい死んじゃっているんでしょうか。
○星野政府参考人 動物愛護管理法の施行状況につきましては、都道府県から情報の収集を行っているところでございます。引き取った犬、猫の数、そして譲渡、返還ができた数、さらには殺処分の数ということで自治体から情報を得ているところでございますけれども、今委員が御指摘されたケースが殺処分ということで入っていることもございますので、改めて都道府県からの情報収集のやり方を改善して、今御指摘の点も把握できるように努力したいと思います。
○松野(頼)委員 ぜひそこは、データのとり方を改善してください。今は数字がわからないわけでしょう。
だから、要は、私も何カ所も見に行きました。ひどいところがあるんですよ。物すごい冬の中で、もちろん暖房なんかない、そこに水をまいて、氷が張っているようなところに犬を置いているわけですよ。
今までは、入った犬はみんな三日後には殺しちゃうという状況の中ですから、そういう運用をしてきたと思いますけれども、今回の法改正で、殺処分ゼロを目指してということがこの法律の基本理念に入っているわけです。入った犬を少しでも、譲渡する相手を見つけて、殺さずに譲渡しましょうという理念に変えたんですね、今回の法律で。だから、少なくとも、引き取りを受けた保管する場所はそういう場所じゃいけないわけです。だから、今までのように、引き取ったけれども、引き取って殺処分までの間、引き取って譲渡するまでの間に犬や猫がそこの施設の中で死なないような施設をつくる指導をしなきゃいけないし、少なくともそういうデータもこれからとっていかなきゃいけない。
ぜひそれは、今回の法改正でここも大きく転換したところですから、それに従って、データのとり方、そして収容施設の設備、状況、これもきちんと都道府県に指導していただきたいということをお願いしたいと思います。ちょっとそれを答弁してください。
○星野政府参考人 委員がおっしゃいましたような状況にならないように、私どもも都道府県をしっかりと指導していきたいと思います。
また、施設の整備に当たっての支援も行っておりますので、そういう資金的な面での支援もうまく活用して、問題が起こらないような対応をしていきたいというふうに思っております。
○松野(頼)委員 この譲渡のために、シェルターということで、私、予算をつけさせていただきましたよ。毎年、幾らでしたっけ。(星野政府参考人「一億円」と呼ぶ)毎年一億、この譲渡のために、そしてまた交付税からも出せるような仕組みというのを前の年につくらせてもらいました。
ですから、きちんともう予算を持ったんだから、その予算を使って譲渡のための施設というものに、劣悪な施設はまだたくさん全国にあると思いますよ、そこにきちんと、予算をつけてでもいいから、譲渡のための、いわゆる海外で言うシェルターみたいな形にどうか変えていっていただきたいのと同時に、そういうデータのとり方も改善してもらいたい、そのことをお願いします。
もう一点、深夜販売の禁止をしましたよね。この深夜販売の禁止で、どういう状況でこの深夜販売、例えば、八時以降は犬、猫のペット展示または販売をしてはならないということにしたんですけれども、どういう状況ならばいいというふうに環境省は指導しているかを教えてください。
○星野政府参考人 夜間の展示規制を行ったわけでございますけれども、この中では、犬、猫を顧客と接触させたり、譲り渡したり、引き渡す行為も禁止されております。また、午後八時を過ぎて店舗内で他の商品の販売等を行うなど店をあけている場合は、犬、猫をバックヤードに移す、店舗内の飼養施設等をつい立て、カーテン等で隠すなどして顧客から見えないようにする必要があるということで都道府県を指導しているところでございます。
○松野(頼)委員 どうも聞くところによると、布をかけるだけでいいみたいな指導をしているところがあるみたいですよ。
だけれども、この通知では、他の場所から区分する等夜間に当該施設に顧客、見学者を立ち入らせないための措置が講じられていること。要は、ちゃんとバックヤードに移すような指導をしていただきたい。いいですね。
それだけ答弁していただいたら、質問を終わりたいと思います。
○星野政府参考人 夜間の販売等の規制を施行してから一定期間経過しておりますので、夜間展示の禁止の状況をしっかりと把握して、問題のないような形にしていきたいと思っております。
○松野(頼)委員 どうもありがとうございました。
以上です。
○伊藤委員長 次に、中島克仁君。
○中島委員 みんなの党の中島克仁です。
本日は、冒頭にありました石原大臣のCOP19の報告を踏まえました一般質疑ということでありまして、各委員の方からも御質問があって、重複するところが多々あると思いますが、脱原発、そして自然エネルギー、再生エネルギー、大胆に進めていくということを訴えておる我が党といたしましても、何点か御確認をさせていただきたいことを、重複するかもしれませんが、御質問をさせていただきたいと思います。
冒頭にもございました、石原大臣が御出席されましたCOP19、二〇二〇年以降の温室効果ガス削減の目標を各国がいつ提出するのか、自主的な削減目標や行動を一五年に提出することを奨励するとの最終案に対して合意し、採決をされました。二〇一五年のCOP21の新枠組み合意に向け、一歩踏み出したとも言えるということもわかります。
一方で、二〇二〇年までの温室効果ガスを二〇〇五年比で三・八%減らすとする新目標を発表したこの日本に対して、各国から低過ぎる目標だと集中砲火を浴びたということが日本では報道されておりました。
私は前回、水俣条約のときに、総理のメッセージに対して、バッシングを受けているというようなことも報道で言われていた、ただ、実際、現場ではどうだったのかと。
このように集中砲火を浴びた。先ほど大臣、報告の中でも、質問の中でも、実は各国と、それは理解できるよ、そのようなこともあったという御発言もございましたが、実際、会議に出ての、報道とはちょっと違うんだ、そのような肌ざわりとか、これも重複するかと思いますが、感想も含めて、またお尋ねしたいと思います。
○石原国務大臣 中島委員が今御質問をいただきましたところは、私どももこれからもっともっとアピールをしていかなければならない。一事をもって多事となすような報道があったということは、私はワルシャワにおりましたけれども、逆の打ち返しでお聞きしました。
しかし、現実は違いますね、全然。あれはマルチの会議ですから、相手をおとしめて自分が上がる、まあ外交の戦術です。それを一々、たたかれた、たたかれたと言えば、日本の国益は大きく損なわれるわけであります。ですから、私は、バイの会談等々を通じても、そういうことを言う方はいらっしゃいますけれども、本当はこうだぞと。
先ほどエネルギー効率のお話をしましたけれども、一単位当たりのエネルギー消費量によってのGDPは、アメリカよりも四割高いんですよね。ヨーロッパよりも二割高い。中国から比べたら七五%高いわけです。それをさらに二割深掘りするんですよ、三年間で百六十億ドル、途上国の支援をするんですよと言ったら、黙っちゃいますよ、みんな。そして、それはそうだよなと。
先ほどファイナンシャル・タイムズの話をさせていただきましたけれども、日本は不可避な事態を受け入れただけだと。三・一一があったわけですから、原子力発電所が動いていないわけですから、その中でできること。
また、いいですよ、大ぼら吹いて、でかいことを言っても。そうしたら、この次はもう日本の信頼は地に落ちますよ。それじゃなくても、できもしないようなことを言ったと外国の方が私に言うわけです。だから、その話はもう言うな、もっと前を見て話をしようよと言う先進国の方があるぐらいでございますので。
こういう場でこのような質問をいただきましたので、そういうことではないし、さらに、多くの方々から、日本の技術援助、JCMの締約国の八カ国が集まったときの雰囲気みたいなものはなかなか公にはなっていませんけれども、非常に前向きで、一緒になって地球温暖化を防いでいこう。すなわち、島嶼諸国あるいは発展途上国でありながらも、自分たちも努力する、それに手をかしてくださいと。こういうところに私は今回の会合の意義があったのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
○中島委員 水俣条約のときもそうだったんですが、なかなか、報道というのは否定的な部分ばかり強調されて、今の大臣の御発言で、やはり実際の他国との肌感というのはなかなか伝わりづらいなと。国民の皆さんには、後ろ向きになった、そのような報道がなされて、実際に直前まで、暫定目標については、環境省と経産省がさまざまな闘いと言ったらあれですが、そういう中でかなり御苦労されたことは、私も非常に評価というか尊重するところでございます。
そして、COP19ステートメントにおいて、石原大臣が、「エネルギー政策はまだ、検討中です。今後の検討の進展を踏まえて、さらなる見直しを行い、確定的な目標を設定します。」とも御発言をしました。この暫定目標、いつ確定的な目標とするのか、その時期についてお尋ねしたいと思います。
○関政府参考人 先生御指摘のように、今回御提示させていただきました削減目標というのは、エネルギー政策が現在検討中であるということを踏まえまして、原発による温室効果ガスの削減効果を含めずに設定した現時点での目標、こういうことを国際的にも表明しております。
今後、エネルギー政策の検討の進展を踏まえまして、エネルギーミックス、数値のあるエネルギー基本計画の検討を進められる予定になっておりますので、それを踏まえて見直しまして、その時点で確定的な目標を設定することとしておりまして、具体的な時期等は現時点では未定でございます。
○中島委員 この暫定目標については、環境委員会でもたびたび御質問もされておりました。ことしの三月の環境委員会、斉藤鉄夫理事の質疑の中でも、二〇二〇年の目標については、中央環境審議会等関係審議会で専門の意見もいただきつつ、国会の先生方の御指導を仰ぎながら、国民からの意見も聴取して決定してまいりたいとの答弁もございました。
暫定目標とはいえ、新たな目標について審議会の意見がどのように反映されたのか、また、国民からどのように意見を聴取したのか、いささか不透明な部分もあるんではないかなと。今後、暫定目標設定の経過を伺うとともに、確定目標に向けて国民の声をどのように反映させていくお考えなのか、お尋ねいたします。
○関政府参考人 今回の三・八%の新目標を決定するに至った経緯でございますけれども、ことしの一月に、COP19までに二五%の目標をゼロベースで見直すようにという総理の指示を受けまして、政府内で局長級を含めました事務方のベースでの調整を繰り返し行ってまいりました後、最終的には、関係大臣の間で数次にわたる調整を行ったものでございます。
こうした調整を踏まえまして、十一月の十五日の地球温暖化対策推進本部におきまして、環境大臣から新たな数値目標を報告し、国際登録することについて本部員の理解を得たという経緯を経まして、さきのCOPにおきまして新たな目標を提示させていただいた、こういうものでございます。
また、その過程におきまして、合同の審議会におきまして、今後の地球温暖化対策について御議論いただくわけでございますけれども、そのメンバーの中にはジャーナリストの方や消費者団体の代表も参画しておりまして、あわせましてそういう方の御意見を聴取すると同時に、審議会といたしまして、国民の皆様方から毎回意見を募集し、審議に反映したものでございます。
今後のエネルギー政策の検討の進展を踏まえまして、目標の見直しを行うことになるわけでございますけれども、その際には、国民各層からの意見を聴取しながら進めたい、このように考えているところでございます。
○中島委員 その国民の声というのがなかなか届きづらいような、そういう場面も非常に少ないのかなと。やはり、エネルギー政策、そこに委ねるところはいたし方ないかなとも思いながら、国民の皆さんが、今回のCOP19も含めてですが、今後の温暖化対策、そのようなことをどのように考えているのか、そういう場を今後も積極的に設けていただきたい。
そして、温暖化の問題というのは、今現在というよりも、今の子供たちやこれから生まれてくる子供たちの問題であるというふうなことだと思います。以前も私、石原大臣に、ふだん、日常生活の中でエコに心がけていること、これは恐らく、大人が子供たちに、ふだんからこういうことをするんですよと、環境教育とも言えることだと思います。ヨーロッパ環境先進国では、ドイツを初め、やはり、これからの子供たち、そして三十年、五十年先、そういったところにあるわけなので、この環境教育の重要性、COP19でそういう話はなかったかもしれませんが、改めて、今の子供たちに向けて、環境問題、温暖化問題、一言いただけませんか。
○石原国務大臣 この問題につきましては、先般も、中島委員から御提起をされまして、私も同感であるというお話をさせていただきました。
やはり、私たちが、中島委員も私も含めて生きている時代には、地球が存続の危機というような事態には直接的には多分至らないんだと思います。しかし、次の世代、またその次の世代、世代がかわりますと、今のまま進行していくとこれは大変なことになるということは、IPCCの報告を見ましても明らかだと思っております。島嶼諸国にとっては非常に深刻であります。
私も、ことしツバルを訪ねさせていただきました。平均の標高が二メートルというところにあっては、IPCCの報告で、八十二センチ潮位が上がりますと、もう既に潮位が上がっていて、生活空間が海水に侵食をされているものを目の当たりにしますと、国の存続さえも危ぶまれる。こういうことは、先進国、途上国問わず、環境負荷を、CO2の排出、フロンの排出等々を抑制していこう、利便性の高い生活を行うことによって多くのものが失われる、その根幹をしっかり押さえていく、委員が御指摘をされております環境教育の重要性というものはこれからますます高まってくると考えております。
○中島委員 ありがとうございます。
やはり、報道は、先ほども言いましたように、後ろ向きだと捉えられてしまう。そして、日常的に、大臣も、子供のときからとおっしゃっていましたが、まめに電気を消しなさい、設定温度を冬であれば低くしなさい、そのような指導を行うときに、だってやっていないじゃないかと言われることのないように、やはり、しっかりと情報を発信しながら、これからの子供たち、その次の世代に影響が来るこの温暖化問題、しっかりとやっていただきたいと思います。
ちょっと時間もあれなんですが、先ほどもありました、冒頭の報告の中にもございました攻めの地球温暖化外交戦略、三年間で官民合わせて百六十億ドル、日本円にして一兆六千億円と、多額な支援ということになります。もちろん、途上国支援は非常に重要な問題ではありますが、税金を投入する以上、決して無駄遣いを生じさせてはいけない、そういう観点もあると思います。実際に、二〇一二年の会計検査院の決算報告においては、ODAも指摘を受けているところであります。
今後、効率的、効果的に活用していく必要は、非常に重要だという認識で、我が党も、無駄遣いは徹底的に削減するべきだということは常日ごろ言っておるわけです。その戦略の確認と、無駄遣いをしない、効率的な活用に向けたお考え、簡潔でいいです、お答えいただきたいと思います。
○南政府参考人 お答えいたします。
今回発表した攻めの地球温暖化外交戦略の途上国支援の部分につきましては、島嶼国、島の国々など、気候変動の影響に非常に脆弱な国々に対して防災支援を重点項目として援助することを打ち出しております。このように、支援の分野や対象国の選択に留意していきたいと考えております。
また、二〇一五年のCOP21におきまして、気候変動に関する、全ての国が参加する新たな国際枠組みに合意することに向け、途上国から交渉に対する前向きな姿勢を引き出すことが必要であると考えております。
さらに、気候変動の緩和、適応における途上国みずからの取り組みを後押ししていく必要もあると考えております。
以上のような観点から、途上国支援をぜひ効果的、効率的に活用していきたいと考えております。
○中島委員 先ほど言ったように、途上国支援は非常に重要だということは私どもも認識しております。ただ、来年、消費税も増税される。こういう多額な資金がしっかりと実効性あるものに使えるようにやっていただきたいと思います。
温暖化ということでございます。何度も言っておりますが、私、地元は山梨県で、ふるさとは北杜市、南アルプスと八ケ岳に挟まれた場所にございます。
先日、十一月の三日に、ライチョウ会議山梨が行われまして、私も出席をさせていただいて、いろいろな方の御意見を聴取というかお聞きさせていただきました。
日本の南アルプス山系にありますライチョウの生息地というのは、世界の中でも一番最南端なんですね。そういう中で、絶滅危惧種。これは前国会でも、法案の中でもございました。今、南アルプスのライチョウは三百羽まで減ってしまった。温暖化によって、主食になっていた草が減ってしまったり、ヤマネコみたいなものがふえてしまったり、そんなようなことが議論をされておりまして、その対策、ライチョウを守ることは、そのままこの日本の温暖化対策、そういったことにもつながるのかなというふうなことは思っております。
実は、これを質問にして、やろうと思ったんですけれども、ちょっと時間の都合もありますので、ぜひ地元と一緒に、ライチョウの問題も含めて、世界各国で一番南ということで、このライチョウを守る対策そのものが温暖化対策ということになるということを御認識していただきたいなというふうにも思っております。
温暖化の話に続いて、今地元の話になったので、前回も富士山、世界文化登録のことで、四登山口に赤外線の探知機があった、そのことを御質問させていただきまして、九月に至っては三万五千人ぐらいの方が閉山後にもかかわらず登山をしているということも環境省さんからの答弁の中で理解できました。
このことが地元の方でも非常に大きく報道されまして、今後、環境保全や冬山の安全対策、そういったものに生かしていかなければいけない、そのようなことも明らかにされまして、大変ありがたかったかなと思います。
富士山が世界文化登録されましたが、その際、ユネスコからは、三年後までに保存管理計画を提出するように求められています。宿題を課された状態ということになりますが、富士山やその周辺は自然公園法の特別地域や普通地域などに指定され、開発が制限されています。今後、地元と相談しながら、今の規制を精査する必要があると同時に、自然公園法で特別地域に指定されているエリアに比べて普通地域は規制が緩やか、現在の規制基準がユネスコの考えに合うのか議論していかなければならない問題だと思うんですが、環境省としてどのようにお考えになっているかをお尋ねします。
○星野政府参考人 富士山の保全管理につきましては、関係する国の機関や自治体等で構成する富士山世界文化遺産協議会において議論しているところでございます。登録の前にも議論をしてございましたし、登録後も、富士山を文化遺産としてどう保全管理していくのか、この協議会の場で議論することとなっている次第でございます。
一方、御承知のとおり、富士山の遺産地域のほとんどが富士箱根伊豆国立公園に指定されております。この国立公園の中の特別地域や普通地域の地種区分ごとに、定められた基準に則して開発行為を規制しているところでございます。
世界文化遺産としての価値が損なわれることのないよう、引き続き、自然公園法の運用を通じて、国立公園の風致景観の保護と適切な利用の促進を図ってまいりたいと考えております。
○中島委員 前回のときも言ったんですが、ぜひ、世界文化遺産登録、日本各地でも、やはり世界遺産、これからも登録申請もふえると思います。言うまでもございませんが、世界遺産ということで日本の宝、それを各自治体そして国としっかりと情報交換をして保全していく、取り組んでいく。前も言いました、地元の首長さんは太田胃散が放せないというぐらい神経をとがらせているということを環境省の皆さんにも御理解いただきながら、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。
COP19に関連しまして質問させていただきます。
さて、COP19で表明された二〇〇五年度比温室効果ガス三・八%の削減目標について、この点に関しまして、まずは質問させていただきたいと思います。
我が国は、二〇二〇年の削減目標について、二〇〇五年比で三・八%減とすることといたしましたということで、大臣の方からの発言もございました。これに関しましては、さまざま、各国や、また新聞紙上におきましても、「「日本の削減目標が相当の失望感を与えたのは事実だ」。徹夜の末の合意後、日本政府代表団幹部が振り返った。」という報道もなされております。
こういう評価が出るというのは少し残念なことではございますけれども、この中で、大変、国際的な会合上ではよく出てくるということでありますが、野心的な目標とは具体的にどのようなことを意味されているのか、この点に関しまして、まずは御説明をいただきたいと思います。
○石原国務大臣 冒頭、幹部の方が云々という御説明がありましたが、私、その人はすごく認識の足りない、ぼんくらの役人だと思いますね、正直申しまして。
なぜか。それは、さっきも御説明させていただきましたように、エネルギー効率というのは日本が世界で今トップレベルなんですね。アメリカよりも四割、ヨーロッパよりも二割、中国と比べたら七五%いい。それをさらに二割深掘りする。これは口で言うのは簡単ですけれども、先ほど御同僚の吉田委員の御説明の中にありましたとおり、過去二十年間で一割削減した、それをこれから二割削減しよう、これを野心と言わないで何と言うんだと私は思っております。
最終エネルギー消費を二〇〇五年度実績から四千四百万キロリッター、これはどのぐらいの量かといいますと、タンカーがありますね、中東から原油を持ってくる。今、平均の大きさは大体三十万トンだそうでございますけれども、これの百三十隻分ですか、これを減らそう、こういうわけでございますから、私は、日本の技術、こういうものに対して胸を張っていいんだと思います。
さらに、FITがスタートいたしました。今、太陽光ばかりにスポットが当たっていますけれども、洋上風力、バイオマス、ジオサーマル、すごい可能性があるし、現に日本でもいろいろなところでやっているわけですね。これからまたどんどんふえていく。
さらに、これも本日の委員会で御議論いただいたJCM。JCMを発案した日本よりも、やろうよ、やりましょうと言っている人たちの方が、実は、これはすばらしいと言ってくださる。来月早々には、COPで大変親しくなったコスタリカの大臣がいらっしゃる。気が早くて、事務方は遅いからサインだけ先にさせてくれ、こんな話ももう来ているんです。いや、その前に書類だけは整えてくださいと今打ち返しているんですけれども、これは広がりますよ。こういうことを合わせていく。
そして、大切なことは、いいですよ、二〇だ、二五だ、三〇だと言うのは。できもしないと思われていたということが悔しいじゃないですか。先進国の方に言われましたよ、それはもう石原言うな、できもしないことを言っていたんだろうと。これはやはり、日本国民として私は恥ずべきことだったと思っています。
最後に、現在の段階、原子力発電所が全く稼働していない状態で、一定の前提を置いて、京都プロトコール、あるいは二〇二〇年、我々が政権交代する前の麻生総理のときの目標が、仮に今の前提条件であるとどうなるかというと、一九九〇年比ではなくて二〇〇五年比で、京都目標プラス四%、麻生目標プラス二%ということは、三・八、丸めて四として、麻生目標としても六%深掘り、京都目標としても八%深掘り、これだけの数字なんですね。ですから、これはなかなか大変な数字だと思います。
しかし、これだけは最低約束しますよ、これをやはり多くの国々の方々、また日本国内で、それは、代表団の幹部という人がばかなことを言っているようだから、国民の多くの方々が誤解される。こういうものに対してしっかりと話をしていくことが肝要だと考えております。
○小宮山委員 けさのテレビ、ワイドショーですけれども、やはり福島原発事故の特集が組まれておりました。また、この環境委員会におきましては、本年六月十一日、中島委員の質問に対し、佐藤政府参考人が、第十一回の福島県民健康管理調査におきましての、二十三年度分から、がんが七名、それから疑いが五名、そして、二十四年度分で、がんが五名、疑い十一名ということから、合計いたしますと、十七万人余りの中から、十二名ががん、そして疑いの方が十六名ということになります。飛ばしますけれども、十七万人の中から十名を超える方ががんとして発見されたというのは、非常に高いと言えるでしょうという発言もありました。
こういった、原発が一たび事故になれば、大変重いことであり、またがんの発生というものも上がるということがほぼ見えてきている中において、子供の、特に甲状腺がんですけれども、ふえていると現場の方からも聞こえてまいります。
そういったことを考えますと、今回、環境省が原発の削減効果を含めないという試算を出されたということは、私は、大変意欲的であり、これこそ野心的な目標を立てられたんだという意味で大変評価をしているところでもあります。
先ほど大臣が触れられましたけれども、基準年であります二〇〇五年度、原発比率は三一%、また、麻生目標と言われる二〇〇九年のときにも、二〇二〇年度の原発比率は四二%という計画値で出されております。そういった意味で、これを入れないでの新目標三・八%というのは、確かに大臣のおっしゃるとおり大変野心的なものであり、それを担うためにさらなる目標を立てられるということ、新しいステージに日本が入っていくという宣言というのは大変評価をするものであります。
ただ、この数字の出し方というものは、幹部の方が、「失望感を与えた」というのがちょっと気になる表現ではありましたけれども、もう少し、これがすごいんだという宣伝の仕方、宣伝と言ったら失礼なんですかね、表現の仕方というのもあったのではないかという意味において、環境省におきましては、さらにこの点は頑張っていただければというふうに考えております。
時間の関係もありますので先に行かせていただきますが、地球温暖化が原因ともなってきている巨大台風などによる損失と被害について、途上国支援を強化するワルシャワ・メカニズムを設置する案が提示されるなど、今後の議論が進展する可能性が出てきているということも注目をさせていただいております。日本は積極的に攻めの外交を展開していき、温暖化対策に対する取り組みをリードしていくべきだとも考えております。
その中で、温室効果ガスの世界最大の排出国である中国、米国、さらに今後も人口増加が見込まれるインドなど三カ国だけでも、全世界の排出量の約半分にも達しているということを考えますと、さまざまな発展段階や事情を抱えるそれぞれの国が、より積極的に削減への努力を行っていくためにも、公平な指標づくりが肝心なことだと思います。
欧州連合は人口やGDPなどを含めて検討したいという考えを示しているなどありますが、参加国に積極的取り組みを進展させるような公平な指標、公平なルールをつくり上げていくために日本としてどのように働きをかけていくのか、お聞かせください。
○北川副大臣 ただいま小宮山委員の方から、世界各国が公平で一つのルールのもとで参加をするというお話の中で、先ほど大臣の方からお答えもしておりますように、国際的なルール、一つの国でも抜ければ、こういう条約といいますか、成り立ちませんので、そういう意味の中での将来の枠組みを実効性のあるものとするためには、やはり全ての国が参加し、野心的な取り組みを実施していくものでなければならないと我々も考えております。
このため、我が国としては、全ての国が自主的に約束を決定することにより各国の参加を確保すること、そして、約束及びその達成に向けた取り組みについての透明性を高めることによって野心を向上させることが必要と考えております。我が国の意見が反映されるよう、議論に積極的に貢献をしていくということであります。
加えまして、各国の気候変動対策に対する取り組みを強化することが結果的には交渉の進展につながるものと考えております。このため、新たな目標や、攻めの地球温暖化外交戦略のもとで、世界全体の排出削減に積極的に貢献をしていくということでありますので、いずれにしても、日本として、国際社会の中で温暖化対策に積極的に取り組む、各国もぜひ一つの枠の中で参加をしていただきたい、こういうことを発信していくことだと思っております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
また、一九九六年のCOP2以来継続され、恒例ともなっていた国際NGOと環境大臣の面談が開催されませんでした。時間がとれないということで、大変お忙しく、先ほどもありましたが、二国間、さまざまな協議をされていたとは推測されますが、今後、面談がとれなかった国際NGOとの面談や、また連携についてどのように対応されていくのか、お聞かせください。
○石原国務大臣 限られた時間でございましたので、団体としてはお会いできなかったんですが、それっぽい方とは立ち話で会場でお話をさせていただきました。
その席では、やはり、何で三・八%なんだみたいなことを言うから、まあまあと説明しましたら、ふむふむといって、ぜひまとまって時間をくれと言うから、それはなかなか難しいですよ、こんな話を、立ち話ですけれども、させていただいたわけでございます。
今後とも、幅広い御意見というものはやはり伺っていく。それが、マジョリティーの考えではないかもしれませんけれども、いろいろな多方面の方々の意見を伺っていくというのは有意義だと思います。
○小宮山委員 また、低炭素社会を構築していくということがこの実行に対して大変重要かと思っておりますし、大臣の発言にも、あらゆるツールを活用し、低炭素社会を構築していくということをおっしゃっております。
埼玉県では、埼玉エコタウンプロジェクトと銘打って取り組みも推進しているところではありますが、どのようなことが考えられていくのか、その内容などについて、また、家庭部門のエネルギー消費等もありますが、この点に関しまして、環境省の考えをお聞かせください。
○牧原大臣政務官 御指摘のとおり、低炭素社会の構築のためには、自治体との連携が極めて重要だというふうに思っております。環境省においては、低炭素社会の実現に向けた自治体の構想の実現というものをハード、ソフト両面から後押しさせていただいております。
具体的には、グリーンニューディール基金というものを平成二十三年から創設させていただきまして、災害に強く低炭素な町づくりへの支援というものを進めてきておりますし、また来年度も要求をさせていただいております。これは一〇〇%の補助金でございますので、大変地域での取り組みに後押しをさせていただいていると思っています。
また、平成二十六年度には新規で、低炭素・循環・自然共生社会の創出のための事業というものを要求させていただいておりまして、地域の創意工夫を生かした再生可能エネルギーの導入等を促進させていただいております。
また、ソフト面では、自治体職員向けに、再生可能エネルギーを導入する事業等を行うためのノウハウに関する研修を実施するなどさせていただいておりまして、地域において低炭素社会の構築が進むよう、環境省として、先生の御指摘も踏まえ、全力で行っていきたいと思っている次第でございます。
○小宮山委員 また、この低炭素社会に関しましては、時間がないので、引き続き質問をさせていただければと思っております。
ぜひ、今言ったとおり、大臣におかれましても、こういう分野におきましては野心的に頑張っていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○伊藤委員長 次に、野間健君。
○野間委員 無所属の野間健であります。
本日は、質問の機会を与えていただきました生活の党初め、理事、委員の皆様に感謝申し上げます。
本日は、原子力発電所の再稼働の問題を中心に質問させていただきます。
七月八日の新規制基準の施行後、先日の柏崎刈羽を含め、今、七原発十四基の審査の申請がなされておりますけれども、田中委員長は六月二十一日の衆議院の原子力問題調査特別委員会で、審査の期間について、六カ月程度、それで、できる限り短縮する方向で努力したいという発言をされておられますけれども、現時点での審査期間の見込みについてのお考えを伺いたいと思います。
○田中政府特別補佐人 七月八日に新規制基準を施行してから、事業者の申請を受けて、今進めております。
今般の新規制においては、シビアアクシデント対策の規制要求とか、非常に新しい要素も盛り込まれております。こういうことで、通常ですと二年程度、一年から二年かかるかもしれないというところですが、これはできるだけ速やかに審査を進めるということで、設置許可とか工事計画認可とか保安規定認可とか、通常はシリーズで認可していくわけですけれども、今回は同時並行的な審査を進めて、いろいろ短縮に工夫しているところです。
審査に要する期間ですけれども、これは実は、少し事業者の方の資料の提出等がおくれているというところが大きくて、今のところ、一概にいつまでというようなことを申し上げられる状況にはありません。
いずれにしても、事業者の対応をできるだけ速やかに促して、私どもとしても速やかにかつ厳正に審査を進めたい、そのように思っております。
○野間委員 私もそうなんですけれども、原発立地地域に住む者として、余りに長期間、もちろん安全性の確保は大事なことですけれども、審査が長引くということは、やはりその地域、その原発が安全なのかどうかということについての不安が拡大をいたします。ぜひその辺、御認識をいただきたいと思うんです。
新規制基準の中で、震源を特定せず策定する地震動という概念が盛り込まれておりますけれども、これは、主としては、二〇〇四年、北海道の留萌の南部地震、五・七のマグニチュードにもかかわらず、千百二十七ガルの地震動があったということで、これを中心に、今、この概念をあらゆる原発の審査にも適用するようにということになっているわけですけれども、敷地近傍に活断層がない、地震のリスクの低い原発にも当てはめるということについての合理性があるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども。
○櫻田政府参考人 地震の揺れの強さというものは、地震そのものの大きさだけではなくて、震源と観測する場所との距離にも依存するというふうに言われております。したがって、地震そのものの大きさが小さいものであっても、震源の近くにおいては強い揺れが引き起こされるということがございます。
こういったような地震は、断層の活動の痕跡が地表などの部分に残らないということが多いので、痕跡を探して活断層が見つからないといった地域においてもそういった類いの地震というのは発生する可能性があるということで、逆に言うと、これは全国どこでも発生する可能性があるので想定しなければいけない、こういうことでございます。
こういったことを考えまして、震源を特定せず策定する地震動として、原子力発電所の耐震性を評価する際の地震動、これはいわゆる基準地震動と呼ばれておりますが、これを策定する際にこういった地震を検討しなさい、こういうことにしてございます。
この考え方は、東日本大震災を踏まえて大きく基準を見直してございますが、そこで入ったものではなくて、平成十八年に当時の原子力安全委員会が改定をいたしました発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針と同じ考え方でございます。こういった考え方に従いまして、原子力発電所の耐震性の評価を厳格に行ってまいりたいと考えてございます。
○野間委員 審査会合の記録をいろいろ読ませていただくと、いわゆる電力事業者が自主的に設置しているいろいろな安全対策設備、イグナイターですとか中圧ポンプなど、こういうものを設置許可とか工事計画認可に含めるようにという指摘が規制庁の方からなされているわけですけれども、一度そこに入れると、ある意味で永遠に、例えばそれを取り外すとかまたふやすとか、改善する際にしょっちゅう申請をして一からやり直さなきゃいけない、そういういわゆる事業者の自主的な改善意欲とか創意工夫などを阻害することにもなりかねないと思うんですが、そこまで強く指摘するということについて、マイナスに働くんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○櫻田政府参考人 新しい規制基準におきましては、これまで要求していなかったシビアアクシデント対策といった新しい要素を求めているわけでございますけれども、これは、事業者が満足しなければいけない性能の水準を定めて、これを実現する方法の詳細についてはあらかじめ指定することはしないという形にしてございます。これは、国際的にも一般的に用いられている性能基準という形になってございます。
これは、技術とか科学的知見がどんどん進歩するというその進捗に合わせて、事業者がいろいろな方法を柔軟に選択できるように、そういうことが重要だという考え方で定められたものでありますけれども、事業者におきましても、今先生が御指摘のとおり、いろいろな考え方でさまざまな工夫をした上で申請をしてきている、こういう状況だと思います。
その中には、自主的な対策というふうに位置づけてきているものも数多くございますけれども、今審査を進めている状況でございますので、個別の案件についてはお答えを控えたいと思いますけれども、一般論で申し上げれば、求められた基準の性能を満足しようと思ったときに、事業者が自主的というふうに位置づけているものを使わないとやはりこれは満足できないのではないかということが出てくる場合もございまして、そういった場合には許認可の対象に加える必要が出てくるということがあり得るのかなというふうに考えてございます。
いずれにしましても、申請に対して厳正に今審査を進めている、そういう状況でございます。
○野間委員 規制全体の枠組みとして、今回のものは、どの程度安全ならばいいのかという定量的な安全目標がないと言われておりますね。新規制基準についてという七月に発表された概要版の中でも、「安全目標に関する議論は、今後とも引き続き検討を進めていく」ということで、今、安全目標はない、これから検討するんだということにとどまっているわけですけれども、その後の検討状況について教えていただきたいんですけれども。
○田中政府特別補佐人 安全目標の議論は大変重要なことでありまして、実は我が国では、全て原子力利用にかかわるリスクというものを否定したことによっていわゆる安全神話に陥ったという国会事故調等の御指摘もございます。
そういうこともありまして、安全目標については随分長く議論しまして、現在は、これまでの議論を踏まえまして、最悪の場合でも、セシウム137を外に放出する場合は、今回の福島第一事故の百分の一以下ぐらい、百テラベクレル以下にするようにということとか、それから、事故の起こる割合は百万炉年に一回というようなことを決めています。
でも、これはあくまでも、そういった目標を満たすためにさまざまな対策が要るわけですが、安全については、よく言われることですけれども、ゴールがありませんということで、できるだけ安全性の向上を目指して今後も努力をするということで、安全目標の議論は引き続き議論をしていくということにしております。
○野間委員 それと、あと、原子力規制委員会の意思決定のあり方なんですけれども、例えば敦賀発電所の活断層の問題にしても、公開された資料を見る限りですと、その分野の委員の方の意見が委員会全体の決定になっているのではないか。委員は五名いらっしゃいますけれども、外交官の方とか、そういう方々が大所高所から議論して決めているというよりは、一部の専門の委員の方がこう言ったらもうそれで決まる、そういう傾向があるのではないかと思われてならないんですが、その辺の意思決定というのはどうなんでしょうか。
○田中政府特別補佐人 御承知のように、原子力規制委員会が所掌する、審議すべき、判断すべき事項というのは非常に多岐にわたっております。そういった意味で、五人の委員で全てを尽くす、網羅するということが難しい点もありますので、委員五人もそれぞれ専門性が違いますので、そういったものを生かして、その委員を中心に、各分野の専門の有識者の意見をいただきながら、かつ、規制庁の職員も一緒に議論に加わって規制委員会の判断のベースをつくっていただいているわけです。
規制委員会は合議体ということですので、原子力規制委員会での議論を尽くした上で、最終的に委員会としての判断や決定を行っているところです。
こういった委員会の場においてはしっかりと議論を深めて、今後も幅広く、その議論の過程を公開して、国民の皆様に御理解いただけるよう努めていく所存であります。
○野間委員 最後の質問になります。
十一月四日に、アメリカのエネルギー省、我が国の外務省、資源エネルギー庁で、今後の原発の安全性のことについて、確率論的リスク評価、PRAなどを導入した、日米でそういった新しい組織をつくってやっていこうという報道がなされておりますけれども、これと先ほどの安全目標の関係などについての見解を伺いたいと思います。
○田中政府特別補佐人 原子力の安全を確保する上で、リスクは決してゼロにならないのだという認識を持つということが国際的にも一般的な考え方になっておりまして、特にアメリカではこういった確率論的なリスク評価というのが、いろいろな意味で、非常に進歩しておりますし、規制の中にも幅広く取り入れられております。
安全目標というのは、そういった科学的なリスク評価に基づいて決められるべきものであって、例えば、リスクは、どういったリスクがあるのかとか、このリスクはどういった大きな事故に結びつくものであるかとか、そういったことが非常に重要でありまして、いわゆる今回の新規制では、五年に一度は事業者もこういった全体的なリスク評価を行うということを求めており、そのことによって、新たなリスクの、気がつかなかったリスクを発見したり、あるいは安全性の向上に努めていくということを求めているわけであります。
○野間委員 ありがとうございました。終わります。
○伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
正午散会