衆議院

メインへスキップ



第2号 平成20年1月28日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十年一月二十八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 伊藤 達也君 理事 遠藤 利明君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 中山 成彬君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      新井 悦二君    井上 喜一君

      井脇ノブ子君    伊藤 公介君

      岩永 峯一君    臼井日出男君

      尾身 幸次君    越智 隆雄君

      大島 理森君    大野 功統君

      金子 一義君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    小池百合子君

      小坂 憲次君    佐藤 剛男君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      菅原 一秀君    杉浦 正健君

      園田 博之君    中馬 弘毅君

      中森ふくよ君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    長勢 甚遠君

      西本 勝子君    野田  毅君

      林   潤君    深谷 隆司君

      藤野真紀子君    増原 義剛君

      三ッ矢憲生君  やまぎわ大志郎君

      菅  直人君    笹木 竜三君

      武正 公一君    津村 啓介君

      中川 正春君    原口 一博君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      松本 剛明君    山井 和則君

      笠  浩史君    渡部 恒三君

      赤松 正雄君    江田 康幸君

      北側 一雄君    笠井  亮君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)

   (行政改革担当)     渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   文部科学副大臣      松浪健四郎君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    山本 順三君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     長崎幸太郎君

  尾身 幸次君     中森ふくよ君

  大野 功統君     やまぎわ大志郎君

  園田 博之君     越智 隆雄君

  三ッ矢憲生君     長島 忠美君

  三原 朝彦君     藤野真紀子君

  細野 豪志君     津村 啓介君

  笠  浩史君     菅  直人君

  江田 康幸君     北側 一雄君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     園田 博之君

  中森ふくよ君     尾身 幸次君

  長崎幸太郎君     西本 勝子君

  長島 忠美君     林   潤君

  藤野真紀子君     新井 悦二君

  やまぎわ大志郎君   大野 功統君

  菅  直人君     笠  浩史君

  津村 啓介君     細野 豪志君

  北側 一雄君     江田 康幸君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     井脇ノブ子君

  西本 勝子君     臼井日出男君

  林   潤君     三ッ矢憲生君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     三原 朝彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)、平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省健康局長西山正徳君、厚生労働省保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。

園田(博)委員 福田総理、お疲れさまでした。この土曜、日曜、世界経済フォーラム、世界の政治家や経済界の人たちが集まって語り合うという年次総会に御出席になりました。

 特にことしは、地球環境問題、みんなで協力し合ってどうやって地球を守っていくのか、それから、世界経済もこういう状況になって幾つかの不安があるという意味で注目をされている総会に、総理はお出かけになって基調演説をされた。特に、地球環境を守るために新たな枠組みをつくろうという御提案をされたということが報道されておりますが、総理から簡単に御報告をいただけたらというふうに思います。

福田内閣総理大臣 私は、一昨日、土曜日に、スイスのダボスというところで開催されます、正式に言うと何と申しましたか、ちょっと正式名称はわからない、いわゆるダボス会議といいまして、もう三十七年間続いているんです。そういう会議でございますが、これはなかなか、世界の首脳の方などもお集まりになるし、政治家以外も、大体経済人が中心となるというような、また先進的な経済人も数多く集まるということでございます。また、市民社会、いわゆるNPOとかそういうような代表の方々とか、また学術界からも出席をされる、そういうような結構国際的には発信力のある、そしてまたオピニオンリーダーたちの集まることですから、世界の潮流を知るような、そういうふうな会議でございまして、かなり重要視をされている。また、G8のサミットがございますけれども、毎年、このダボス会議、G8サミットというようなことで、世界にいろいろなメッセージを発する、そういう重要な会議でもあるわけであります。

 それは必ずしも毎回出席しなければいけないということではないのでありますけれども、やはり我が国としてもそこにできるだけ出席して、いろいろな方々が日本の立場そして日本の考え方などを発信するという意味においては非常にいい機会であるというようなことで、私も今回出席をさせていただきました。

 私が出席をいたしました理由は、ことし、G8のサミットがございます、これは七月でございますけれども。それに先立ちまして、五月にはアフリカの開発に関する会議、TICAD4と申しますけれども、こういう国際社会における重要な会議がございます。そういうふうなこともございますので、そういう会議に向けて、日本がどういう取り組みをするか、そういう趣旨のメッセージをダボス会議で伝える、こういうことでございましたので、私もあえて出席をさせていただいた。非常に厳しい状況の中で、予算委員会と予算委員会に挟まれた土日ということでございましたけれども、無理して参りました。

 しかし、私は、それはそれでよかったと思っております。アフリカの開発問題、そしてまたG8、特に、G8では環境問題ということも大きなテーマになるだろうというふうに思いますので、そういうことについて意見を申し上げてきたわけでございます。

 この意見の内容、私、申し上げてよろしゅうございますか。

 アフリカの開発会議では、アフリカの健全な発展ということも当然ございますけれども、同時に、現今、いろいろな課題がございます。特に、保健衛生といったような面において、例えばエイズなんかにしてもそうです、またマラリアの蔓延といったようなこともございます。そういうものに対して国際社会がどういうふうに取り組むのか、そしてまた、その中で我が国がどういう役割を果たすのかといったようなことでございますけれども、私どもは、日本としては、二〇〇〇年に、森総理のときですけれども、元気なアフリカを目指してというようなことで、この問題に強くかかわるようになってまいりまして、そして、国際社会の中においても大変評価されている分野であるということでございます。

 やはり、貧困、そしてまたそういう保健問題といったようなことは国際的な問題である。特に貧困というようなことについては、あらゆる分野に影響を与えるものであり、また、テロとかそういったようなものの原因になるというような側面がございますので、そういうふうなことにも配慮しながらアフリカの発展というものを考えていこう。

 このことについては欧米先進国も非常に関心を持っている分野でございますので、協調してこのことをやっていく、その中で強いリーダーシップを日本としてとっていこう、こういうふうなことを考えておるわけであります。

 また、G8については、その問題もそうでございますけれども、昨今問題になっておりますサブプライム問題に端を発した米国発の同時株安問題ということ、これも大変大きな話題になっておりました。このことについては、米国の責任が非常に大きいではないかという意見もございましたけれども、同時に、国際社会としてどうやって対応していくのかということも議論をされました。

 我が国としては、やはり我が国自身がしっかりした経済運営をしていくことが大事であるということを私は申し上げました。その上で、各国と協調しながらこの問題に対処するということ。それから、もう一つ私が申し上げたのは、やはり、この問題の根源にあります国際金融問題、そういうふうなことについても、これは重視していかなければいけない、これにどう対応するかということを考えていかなければいけない、こういうふうなことを申し上げたわけであります。

 そしてまた、環境問題でございますけれども、環境問題は、G8サミットにおけるかなり大きな分野に、議論になるというふうに私は思っております。そして、日本は、京都議定書で六%削減ということを約束しましたけれども、この約束は必ず守るということをまず申し上げた上で、これからは、公平の原則にのっとって、科学的な検証のできるような削減目標を定めていくということが大事であるということを強調してまいりました。

 それと同時に、将来的な削減目標というのは、これは当然考えていかなければいけないことでありますけれども、当面、我が国として、また世界が取り組む問題は何か。まず第一歩として、省エネをもっと進めていく、そういうことが現実的な解決の第一歩であるということを強調いたしました。そして、その分野においては我が国は非常にすぐれた技術を持っているということでございますので、その技術を徹底的にほかの国にも利用してもらうということ、これがいいことだという考え方をよく説明してきたつもりでございます。そのための構想というものも発表いたしました。そして、我が国としてできることはできる限りやっていく、そういう姿勢を表明して、これは各国から御理解いただけたものというふうに私は思っております。

 いずれにしましても、大変大事な課題が今回議論されたというように思っておりますので、無理して行ったかいはあったというように理解いたしておるところでございます。

園田(博)委員 福田総理は、特に後段の、地球環境を守るために我が国が先導的な役割を果たしたいということを、強く意欲を持っておられますが、今お話しのように、七月には洞爺湖でサミットが開かれて、議長国としてこのサミットをあらゆる意味で成功させなきゃならぬわけです。特に、地球環境という問題は、きのうきょう出てきた問題じゃなくて、かなり前からこういう課題があるということを認識して取り組みを進めてきておりますが、特に昨今は、いろいろな地球環境がどんどん現象的に、現実的にこのままではもう地球が守れなくなるという現象が起きていまして、広く国民の皆さん方もそのことを認識しておられます。

 これは、きょうやあしたのことは守れると思うんですが、本当に将来にわたって地球に世界の人類が安心して仕事をして生活ができるという環境を守るためには、生半可な努力ではなかなかできないと私は思うんですね。しかも、世界全部の賛同がやはり必要である。

 そこで、洞爺湖サミットでは、福田総理が議長として幾つかの御提案を多分されるんだろうと思うんですね。ダボスでは、国別の目標も設定をしながらやりたいということを言われたというふうに報道されておりますが、そのためには、これからやはり国内の賛同も取りつけなきゃならない。なかなか大変なことだと思うんですね。

 この七月の洞爺湖サミットに向けて今福田総理がお考えになっていることがあれば、述べていただきたいというふうに思います。

福田内閣総理大臣 洞爺湖サミットに向けてどうするか。ことしの七月に開催されます。その前にいろいろとやっていかなければいけないことはたくさんございます。我が国としてやること、そしてまた、他国に対してどういう働きかけをして、洞爺湖サミットでどういう合意を得られるかということでございます。

 今委員から、サミットに向けてというお話でございますので、私思いますのは、やはり議長国としてどのようにして他の首脳たちを説得していくかということ、これが一番大事なことだと思います。

 幸いにしまして、昨年のバリ会議において、すべてのCO2の、炭酸ガスの排出国が参加する、そういう合意を得たわけでございますけれども、この合意を大事にして、そしてG8サミットにつなげていくということが大事だと思います。

 ただ、合意をすれば、参加すればいいという話じゃないんですね。スポーツ競技では参加すればいいというのもあるかもしれぬけれども、この話し合いというのは、目標を定めて、そしてその目標に沿って皆さんがどのような協力ができるかということです。

 各国、それぞれの事情があります。そして、それを要求してもできない国も当然あるわけですから、できる範囲、そして、範囲と申しましたけれども、それをできるだけ引き上げていくというような働きかけも当然しなければいけないし、また、そういうふうに働きかけに応じて、それに応じてくれるような環境整備をやはり先進国もしていかなければいけないということがございます。そういうような多面にわたる働きかけをしながら合意を求めるということでありますので、なかなか大変なわけであります。

 そして、前回のサミットでもって、二〇五〇年に現在の炭酸ガス排出量を半減するという目標を掲げたわけであります。半減すればいいという話ではないように私は思うんですけれども、しかし、一応半減の目標を決めたということでありますからには、これは今からその目標に向かって進めていかなければいけない。

 ただ、今現在の省エネ技術といったようなことだけではとても間に合わない目標だと思いますよ。ですから、そこには炭酸ガスを排出しないで済むような新しいエネルギーを開発するといったような努力も必要なわけです。

 ただしかし、新しいエネルギーが開発されるのを待てばいいんだというわけにはいかない。それは、炭酸ガスは蓄積されるわけでありますから、毎年毎年蓄積されるわけですから、毎年少しでも炭酸ガスが出ないような努力を今から始めなければいけないということがございます。もちろん、その中期目標、最終的に二〇五〇年の半減といったような中長期的な目標はありますけれども、しかし、我々ができることは今から始めましょう。

 それは、日本の十倍エネルギー効率の悪い国がございます、我々が今持っている技術をそういう国々に移転する、提供するとか、ノウハウを提供するとかいったようなことを、今からできるわけですから、それをしていくということは先進国の義務だというふうに私は思っているくらいでございます。我が国もそういう取り組みを早速始める、もう始めていると思いますけれども、そういう段階でございますから、現実的には、今ある技術を駆使しよう、そしてその技術をさらに磨こうという方向で努力をするということが必要であります。

 そういうような他国に対する説得も私は必要だと思っておりますので、まずは、そういうことをしながら、我が国自身は京都議定書をしっかりと守るということをしながら、現実的なことを一歩一歩進めながらほかの先進国を説得していく、また協力をお願いしていくということをしなければいけないというふうに思っております。

 そして同時に、そういうふうな現実的な取り組みをする上において、それは産業界にも協力をお願いする、学術界にも技術開発のお願いをするということも必要でございますけれども、我が国の国民に対しても、そういう状況にあるということを御理解いただいて、そして御協力をお願いしていこうというように考えておりまして、また、御協力をしやすいような環境づくりもしなければいけない。また、いろいろな宣伝活動とか、そういったようなこともしていかなければいけない。そのために、環境問題に関する懇談会を私が主宰して始める準備をいたしておるところでございますけれども、各般の御理解を得るためのさまざまな手段をこれから使いながら、皆様方の御理解を深めていきたい、このように思っておるところでございます。

園田(博)委員 さて、補正予算を中心としたこの予算のことについて、これから議論してまいりたいというふうに思います。

 私も、党で補正予算、本予算の原案をつくるのに関与いたしました。大変苦労しました。それはなぜかといいますと、財源が限られているということ、基本的に。

 そういう中で、去年もそうなんですが、今度の予算をつくるに当たっては、小泉内閣のときに政府・与党で合意をした骨太二〇〇六というのがございまして、これは別表でお配りをしていると思いますが、二〇〇七年から五年間、歳出改革をしようということで、この目標に基づいて実は予算をつくっております。

 そして、この二〇〇六では、五年間で十一・四兆円から十四・三兆円、これだけの歳出削減をしなけりゃだめなんだということなんですね。その内容は、例えば公共事業でいえば、一%から三%毎年削減をする、地方単独事業も同じであります。そのようにして、すべての分野で、ほとんどの分野で歳出削減をしなければ、限られた財源の中では予算を組めない。しかも、多額の借金を抱えていること、これはいつも申し上げていることではございますが、この借金をやはり減らしていかなきゃならぬ。

 そこで、二〇一一年にはプライマリーバランス到達と。言ってもなかなか、これは誤解する人もいるんですが、日本語にすると、基礎的財政収支均衡というんですね。このことを、その二〇一一年までなるともう借金をしなくても予算を組めるんだというふうに誤解する人がおるんですが、実はそうじゃないんですね。二〇一一年になっても、たまった借金を、期限の来た国債を返却するためにも、利払いするためにも、また新たな国債を発行しなきゃならぬ。本当に借金をしなくて済むのは、それからさらに大変な努力をしながら、初めて借金をしなくても予算を組める年がいつ来るかという状況だと思うんですね。

 このことについて多くの方々がよく理解しておられない面もありますので、今の国の財政状況をわかっていただくためにも、財務大臣、このプライマリーバランスについて御説明していただければと思います。

額賀国務大臣 園田委員には、予算編成等で党内において大変御苦労いただきました。財政構造改革研究会でも幹部としてさまざまな提言をいただきまして、予算編成に当たりまして一定の考え方をお示しいただきまして、感謝をしているところであります。

 来年度予算編成に当たりましては、おっしゃるように、景気回復過程にある日本の経済をきちっと、持続的な景気回復の状態を安定的なものにする、そのためには成長が必要である。あるいはまた一方で、委員がおっしゃるように、財政再建というのは国の最も重要な政策課題である、この旗を掲げ通していかなければならない。その象徴的なものとして、今おっしゃるような、二〇一一年にプライマリーバランスを達成しようということが政府の目標でもあるし、これは与党においても目標になっているわけであります。

 確かに、なかなか一般の国民の皆さん方にもわかりづらいところがあるわけでございますけれども、家計に例えて言えば、これは御主人なり奥さんなりの収入の範囲で生計費を賄うということでございます。

 子供の教育費とか、あるいはまた食料だとか、あるいはまたレジャーだとか、さまざまの経費がかかるわけでありますけれども、これは給料の範囲内で賄えるようにすることが基本であるということだと思っております。

 例えば、住宅ローンを抱えている家庭では、元本を返したり利払い費を払うわけでありますけれども、それを除いた形で給料の範囲で生活ができるような形にしていこうということが、この基礎的財政収支の均衡をとるということでありますから、最も健全な家計はそういうことであろうと思いますし、国家の経済の運営に当たっても、あるいは財政運営に当たっても、そういう形を取り戻したいということであります。

 今の現状は、委員がおっしゃるように、長年の累積がありまして、日本の国債残高は七百七十八兆円、GDP五百兆円の一四八%、一・四八倍に上る、先進国の中で最悪の水準である。それが今の日本の置かれた現況でありますから、これを改善するために、おっしゃるように、小泉内閣で基本計画二〇〇六というものをつくっていただきまして、毎年毎年歳出改革を行い、そして一方で、歳出改革というのは、無駄を省き効率的な予算編成を行う、そしてできるだけ借金を返済していくようにしましょうということであります。

 このためにさまざまな試算を内閣府でしていただいておりますけれども、この五年間で十四兆円の借金を減らして歳出改革を思い切りやった上でも、しかも、なおかつ三%を上回る経済成長を達成したとしても、二〇一一年に今言った基礎的財政収支が均衡するかどうかは予断を許さない状況であると。だから、我々がこのままほうっておけばとても達成できないわけであります。

 この二年間、私どもは、この二〇〇六の基本方針に基づいて、歳出改革も毎年毎年、それぞれ思い切った、無駄を省いたりした努力をしてきておるわけでございますから、今後も、あと三年間、思い切った歳出改革を行って、プライマリーバランス、基礎的財政収支を達成しなければならないというのが国の最大の使命である。それは、世界の皆さん方が、日本の財政がどうなるかということを注目しておりまして、そして、この財政再建、財政の健全化が達成されるかどうかが、日本の市場、日本の国家の信認を得るか得ないかという瀬戸際にもなる、一つの、言ってみれば評価基準にもなるということでございますから、これをきっちりと達成していかなければならないというふうに思っているわけであります。

 このために、この平成二十年度の予算編成においては、新しい国債の発行も前年度と比べてマイナスにしたり、財政再建に相当目配りをしながら、一方で、経済成長とか地域活性化のことも考えて編成をさせていただきましたものですから、この国会においては、しっかりと議論をしていただいて、この予算を通していただくことが日本の国の経済を支え、財政再建にも結びついていくことになるというふうに思っておりますので、よろしく与野党の皆さん方にお願いをしたいというふうに思っております。

園田(博)委員 今大臣がおっしゃったように、収入の範囲内で生計が立てられる年が二〇一一年ということなんですね。したがって、今でもいろいろな、国内にも困っておられる方々、そういう地域、産業あるいは社会保障関係、施策として投じなきゃ、投じたいなと思うことはまだいっぱいあるんですけれども、財政の将来を誤ると国民の皆さん方にかえって迷惑をかけるということで、制約せざるを得ないところがいっぱいあるんですね。

 よく財源論で、削ればまだまだ財源が出てくるんだという議論があるんですが、これは予算の、あるいはこういう事柄に取り組んでみればどなたもおわかりになるんですけれども、大きな財源をそこから生み出すということはもう不可能に近い状況なんですね。それでもやっていかなければ、収入の範囲内で生計を立てられる年が遠のいてしまうということになってしまうわけで、これは我慢をしてやらざるを得ないことだろうというふうに思っていますね。

 こういう将来の財政と、これからの、特にまた社会保障のことは後で述べますが、この財政全体について総理はどのようにお考えか、改めてお聞きをしたいと思います。

福田内閣総理大臣 確かに、今厳しい財政状況にあります。今御指摘のように、財政の厳しい運営をする、そしてその限界に近いのではないかといったようなお話であったと思いますが、これは、とはいうものの、やはりその限られた財源の中で、いかにして効率的に予算化していくかということ、そしてその結果、国民生活に影響を与えない、そういうことでありますけれども、その使用についてはあくまでも厳正にやる、そういうことを貫いて、社会保障も抑制的に今実行しているということでございます。

 もちろん、いろいろな経費を削減するとかいったようなことについて、これはもう本当に厳しくやっていかなければいけない。まだまだ冗費があるのではないかという御指摘も多々ございます。そういうことについて、私どもとして、今後もしっかりとした対応をしていかなければいけないというふうには思っております。

 しかし、ただいま申しましたように、財政を、特に支出の中で国民生活に影響を与えるようなことがあってはこれまたいけないということでございます。えてして、財政を削減する、その結果、国民の生活、例えば社会保障などでもって、逆に国民を苦しめるような、そういう結果になってはいけないということになりますので、その辺は十分注意して政策の運営をしていかなければいけないというふうに思いますし、また、その実行に当たっては、よりきめ細やかな配慮もしていかなければいけない、丁寧な対応をしなければいけない。そういうことを、行政の各般にわたってそういうような考え方が浸透していくように、私どもも指導をしていくということも必要だろうというふうに思っております。

 いずれにしても、厳しいということについては、これは委員と同じ考えを持っております。ただ、私どもとしては、限られた財源の中でいかにしていくかということについて、これからも最大限の努力はしてまいる所存でございます。

園田(博)委員 財政に関与してみて一番やはり痛感するのは、これはどなたも御存じだと思いますが、御案内のように我が国は急激な少子高齢化社会が進んでおりまして、社会保障費なんですね。つまり、医療、介護、年金、この三つの制度をこれから堅持していくためには、どうしても保険制度で保険料を払う人が少なくなって、給付を受ける人がふえてまいりますから、それがいけないということじゃないんですね。これは総理が前から言っておられますが、この制度は何としてでも堅持しなければ、これからの国民生活の安心、安全につながらない。これはもう必須課題だと思うわけですね。

 ところが、この経費はどんどん、削減できませんから、ルールで決まったことでございますから、毎年、国の負担分は当然ふえてまいります。これは多くこういうことを申し上げるつもりはないんですが、社会保障は現実にどういうふうにしているかというと、この三つの制度のためにふえてくる国の負担分を減らすために、そのほかのもので毎年二千二百億削減しているんですね。私は、来年度の予算を編成してみても、これがほぼ限界に来たかなという感じすらするぐらいなんですね。

 結果として、どうしてもその他の福祉を、切り捨てという言葉はよくないんですが、やはり抑制せざるを得ないということになってしまうわけで、私は、やがて国民の皆さん方に社会保障経費だけの分の税を皆さん方で御負担していただけないだろうかという御相談をしなければならないときがやはり近づいてきているのだろうというふうに思っているんですが、この社会保障の今の状況とこれからのことについて、まずは厚生労働大臣、考え方をお聞かせいただけますか。

舛添国務大臣 今、園田委員御指摘のように、本当に二千二百億円の削減というのはもう限界に来ているなというのを担当大臣として私も感じております。

 しかし、社会保障というのは、国民の最後のセーフティーネットでありまして、やはりこれに問題があると、国民の安心、安全ということに差しさわりがありますから、結局、老後が不安である、したがって消費をしない、そのためにお金をためる、これがまた経済を悪くする、こういう面もあると思います。

 もちろん、給付の面について一層の合理化、効率化、これはやりますけれども、しかし、急速な高齢化、少子化の進展に伴って、どうしても経済成長よりもそちらの負担のスピードの方が多くなる。そのときには、私は、今委員がおっしゃったように、安定した財源、例えばそれが消費税であるにしても、そういうことについてきちんと議論をする必要があるというふうに思います。そして、総理の御指導のもとに社会保障国民会議がこのたびつくられましたので、そういう場において広く国民各層の御意見を賜った上で、今のような議論をきちんとやってまいりたいと思っております。

園田(博)委員 同じことを総理にもお尋ねしたいと思います。

福田内閣総理大臣 今、厚生労働大臣からお話ありましたけれども、高齢化社会、そういう日本の大きな将来的な課題を背負っておりまして、毎年高齢化が進んでいるという現況であります。したがいまして、社会保障費もふえていく、そういう傾向の中で、今までと同じようなサービスを同じ費用でできるのかどうか、そういう率直な疑問があるわけでございます。

 そういうことで、ただいまお話ございましたように、社会保障について、給付と負担、すなわち費用とサービス、これをどういうバランスで行っていくのがいいのかといったようなことについて、国民の皆様にもお聞きしなければいけないというように思いますし、また、国民の方々にも、現状どうなっているかという御理解を賜らなければいけないということがございます。

 今までと同じようなサービスを提供しようとすれば、費用は高齢者がふえるだけふえていくということでございますので、今までの費用と同じであれば同じサービスを受けるのはなかなか難しい状況になってくる可能性があるということを踏まえて、どういうようなサービスが日本の国民として必要なのか、そのためにどれだけ負担していこうかということについて、いろいろな議論をさまざまな角度からしていただこう。そして、そういうことをそういう議論を通して国民の皆さんの御理解をいただく、そのために、社会保障に関する国民会議といったような形のものを開催させていただいてさまざまな議論をしていただこう、そのように考えているところでございます。

 そういう中から、我が国国民としてこういうぐらいなものは将来の安心のために必要だな、そしてまた、少子化対策、この問題も我が国はちょっと手薄なのではないかといったようなことももしかしたら浮き彫りになってくるかもしれない。そうしたら、その費用も含めて、どれだけの負担をしていこうかということ、では、どういう世代でどのぐらいの負担をすべきなのかといったようなこともあわせて御議論いただくというような場になるのではないかというふうに思っておりますけれども、いろいろな角度から率直なる御意見を述べていただきたいと考えておるところでございます。

園田(博)委員 この歳出削減というものは、これからの歳入の御相談をするにしてもやはり続けていかなきゃならないと思うんですね、これはつらいんですが。

 したがって、よく言われるように、特別会計あるいは独立行政法人、これは我が党でも今継続してやっておりますが、少しでもやはり歳出が削減できるように今後とも継続をしていかなきゃならぬことは当然でございますが、一方では、最後に総理からもお話がありましたように、社会保障に関係して、我が国の大きな課題である少子化というものを何とか克服して、多くの子供さんがこれから日本で生まれて育っていけるような環境をつくるためには、あるいはお父さんやお母さんのためにもそういう環境をつくるためには、それを裏打ちする財政支出というのはやはりこれからどんどんふえてくると思うんですね。

 こういうものも含めて、やがては国民の皆さん方に国全体の歳入ということについて、しかもそれは社会保障に特定してやはり御相談をすべきときが来ているのではなかろうかなというふうに私は思っております。

 さて、話題の道路財源に入りたいと思います。

 今、財政全体のことを申し上げましたが、道路財源は、よく言われますように、消費税でいいますと一%に相当する大変な財源なんですね。暫定税率がもし御負担をいただけないということになりますと、この影響がいかに大きいものであるかということは、今、国の財政については申し上げましたが、特に、財政ということで心配になるのは、地方の財政がどうなるのかということが心配なんですね。

 このことについて、総務大臣、わかりやすいように、時間がかかっても結構ですから、御説明いただけますか。

増田国務大臣 お答え申し上げますけれども、道路の関係でございます。

 これは、党の方で先生にも地方活性化の対策をおまとめいただく際にも、この道路整備がそうした関係について非常に有効であるということ、いろいろなところからお話が入っているのではないかというふうに思いますが、まさに地方の工業団地等につきましても、こうした道路の整備がなされたかどうかが非常に重要なポイントでありますので、特にこの道路財源ということについては、地方の各自治体も非常に気にして、確保にこれまでも努めてきたという経過がございます。

 今お話がございました道路特定財源、仮に暫定税率が延長されない、なくなるということになりますと、地方団体の税収でございますけれども、まず、直接的には九千億ほど減収になるということでございます。また、そのほか、国の揮発油税、これは一たん国に入りますけれども、今、その四分の一が地方の方に、地方道路整備臨時交付金ということでさまざまな道路整備の財源に充てられる、この分が七千億ほどございます。そうしますと、先ほどの九千億と七千億を足し合わせまして約一兆六千億の減収になる、これが数字としては直接的な影響でございます。

 ここで一つ御理解いただきたいのは、この地方の道路整備事業でございますが、その財源構成を見ますと、道路特定財源の税収が充てられている部分というのが県も市町村も大体約二割、二〇%程度でございまして、それ以外の部分というのは、一般税収からお金を工面したり、あと地方債を発行して手当てしている。こういういろいろ厳しいやりくりをしながら地域の実情にこたえているというのが今の現状でございますので、その中で一兆六千億ほど減収になるというのは大変この道路整備事業にとりましても痛いところであるのは、これはもう事実でございます。

 こうした中で、今、地方の道路整備ですけれども、生活関連道路、県あるいは市町村が事業主体となっておりますのはこういった生活関連道路、通学路の整備ですとか、あるいは、少し都市部でいいますと、あかずの踏切対策といったようなものもやっております。それから、今ちょうど冬場でございますので、ことしはかなり雪が降っておりますが、除雪費用といったものもこういったところから出しているということもございます。それから、いろいろな社会資本施設は今、長寿命化ということが当然必要なことでございますが、橋梁の維持修繕、補修費などもこういったものから出しているということで、こうしたものの整備に非常に影響が出てくるのではないか、これが懸念されることの一つでございます。

 あと、地域の皆さん方が大変今気にしておりますのは、新直轄で道路を整備する。これは、九州もいろいろこういった新直轄でやられるところが多いと思いますが、都市間を結ぶ幹線道路、普通、高速道路ですと、料金収入でそういった高速道路を整備するというやり方をとっていますが、御案内の新直轄方式は、これは直轄方式ですから、国が税金で、それからあとは地方ということで整備をする。この関係も非常にやはり各地域で影響が出てくるのではないか、こういうふうなことが懸念をされております。

 それから、先ほど言いましたように、維持補修費ですとか、それから地方債を発行して道路整備の財源に充てていると言っておりましたが、こういったものは当然、借りたお金ですので返済をしていかなければならないんですが、こうした借金の返済に充てる部分というのがかなりの額に上っておりまして、先ほど言いましたような道路整備を、これは少し乱暴な言い方ですが、では来年度減らす、あるいはやめればいいじゃないかというお話があるんですが、自治体によっては、今まで借りたお金の借金、それに充てるだけのお金もなくなってしまう、そういうことが懸念されるところも出てきております。

 そういった声が現実に寄せられておりまして、そういうことになりますと、仮にそういう団体では、他の分野に充てようとしていたお金を、維持補修費ですとかあるいは借金の返済というのは待ったなしでございますので、これはもう何としてでもお金を工面しなければいけないということで、そういったところに、例えば福祉ですとか教育ですとかいろいろ考えて、やりくりも考えていかなければならない。こういったことも今声として寄せられております。

 昨年の十二月段階で、まだ道路財源の問題がそれほど大きくなっていないときでも、既に県段階でも議会で、三十幾つかの県議会で、この暫定税率の維持の決議がなされています。また、もっとそういったものを行いたいという声も寄せられておりますし、年が明けましてから、各自治体の方から、これは、首長さんあるいは議員さんからも次々に懸念する声が我々の方に寄せられておりまして、今お話がございましたとおりの地方債の償還などのことを考えますと、大変今予算編成に苦慮しておられるのではないかというふうに思います。

 この問題、確かに、道路整備という問題にも非常に影響が出てきますが、地方の財政運営という観点から、この道路の分野だけではなくてほかの分野にも非常に影響が出てくる、こういうことでございますので、私どもも、いろいろこの関係については御理解いただけるように努力してございますが、特に国会におかれましては、今の地方の行財政、それから地域の道路整備の状況ということをお考えいただいた上で、この暫定税率の維持ということについてぜひ御理解いただきたい、こういうふうに思っているところでございます。

園田(博)委員 この問題は、道路整備が必要かどうかということがよく議論されるんですね。

 私が資料で一つお示しをしておりますが、道路整備予算というものが、これは国費ベースの金額で平成十年度は五兆円あったんですが、これが先ほど申し上げた歳出削減計画の筆頭に取り上げられまして、年々減らしてまいりました。平成十九年度は二兆九千億、これは国の負担分でございますから。今度の中期計画を出しましたら、方々で、テレビを見ておっても評論家みたいな人も、財源に合わせてつくったずさんな計画だと言うんですね。

 これは、私はこのことにも関与いたしましたから、国交大臣のもとでは、積算をされて、十年間、実は六十五兆円でございましたが、一割は減らしていただきました。その金額というのは、これを見ていただければわかるとおり、平成十八年か十九年の分を、これを倍いたしますと、地方分も合わせて倍にして十年間にすると、大体このくらいの金額になる。つまり、削減に削減を重ねた計画を中期的に今後十年間やらせていただきたいという計画なんですね。

 これ以上のことは国交大臣から述べていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 大変御心配をかけておりますが、今年度末で暫定税率が切れます。平成十五年に、十九年度末までということで決めていただいたものでございますが、その後どうするのかということで、いろいろと検討をいたしていただきました。

 国交省といたしましても、広く国民の御意見を伺うということで、昨年の四月から七月までの四カ月間、広く国民に道路整備の必要性、また、どういう項目において必要なのかということのお尋ねをいたしましたところ、一般国民から、十万一千人を優に超える人々からの意見をお寄せいただきました。それから、先ほどもお話がありましたが、首長さん千八百七十四名、すべての首長さんからも意見をちょうだいいたしました。それから、学者からも、二千九百名を超える方々からも、学識経験者という方々から、その整備の必要性について御意見を寄せられました。それを十六の項目に分けまして、その必要性、そしてまた各県において微妙に違うんですね。

 そういうことで、これを九つに分類いたしましたのがこういうことでございまして、救急病院へ行く生活道路の整備をしてもらいたい、深刻な渋滞対策をやってほしい、あかずの踏切などを解消してほしい、交通事故対策、あるいは学童の通学路の整備云々、たくさんございました。こういうものを整備しなきゃならないという必要性を十一万人近くの方々が詳細にお述べをいただいたわけであります。

 したがいまして、これからこの国は本格的な人口減少社会を迎えます。それから、道路につきましても道路ストックの命数というものがあります。この十年間ということでどんどん古くなっていきますので、その整備、補修というものが必要になってまいります。

 それから、昭和六十二年でございますが、国土開発幹線自動車道建設法というものができまして、大臣告示とともに、一万四千キロにわたって自動車国道というものをつくるという予定路線というものを示されているわけですが、現在まででまだ六七%しかできておりません。したがいまして、これをこの十年間の間に何とかその姿を見せたい。

 そして、その道路整備状況がぶつぶつ切れているんですね。道路というのは、これはずっと通じてこそ道路でございまして、例えば日本海沿岸東北自動車道というのを見ますと、県境のところで全部切れているんです。したがいまして、こういうものを十年間にやはり通じて通れる道路にしなきゃならないというのは、すごく多くの国民から寄せていただいた御意見でございました。

 したがいまして、その中でも深刻なのは、これは熊本の方の方からも寄せられたあれですが、救急病院へ行く生活道路を整備してもらいたいということでございました。

 それで、その中に、この真ん中に青色で、これは奈良県十津川村の話でございますが、ここでもし病気になった方は、新宮へ行く人、五條へ行く人、こういう方がある。ここに中心的な拠点病院がそれぞれあるわけでございます。したがって、それに対して、ここに書いてありますが、心停止であれば三分、それから呼吸停止であれば十分、それから出血多量であれば三十分、こういうところでその死亡率の五〇%以上がこういうところになる。いわゆる一分一秒を争うわけでございます。そういう意味で、こういう道路の不足しているところは早く整備してほしいという深刻なお話があります。

 それから、問題は学童でございます。学童が利用しているのは、百二十万キロメートルの道路の中で十九万キロメートルを学童が通っておりますが、幼稚園児も含めて四十人以上の学童が毎日利用している道路の延長は十一万キロございます。しかしながら、その中で、ここの写真にもわかるように、四万四千キロメートルは歩車道の区別がないんですよ。一列に学童が並んで登下校しているところへ、その真横を大きなトラックとか自動車がすれすれになって通っているというような実情が四万四千キロもこの国にある。こういうものを早く解消しなければならない。それで、これについて早急にやらなければならない延長というものが四万四千キロあるということで、これは早くやってほしいという意向が強いわけです。

 それからもう一つは、これはあかずの踏切でございます。一時間のうちに四十分を超えて遮断機がおりているというようなところが全国で四千三百カ所もあるんですね。こういうものも早急に直してほしい、こういう御意見が非常に強いわけでございます。

 例えば、委員の地元の熊本では、第一には、主要な都市間を結ぶ国のいわゆる基幹となるネットワークを早く整備してほしいというのが一番多かったわけでございます。それから二番目には、深刻な渋滞対策をやってほしい、三番目には、あかずの踏切を解消してほしい、それから四番目が、交通事故の対策でございます。五番目は、学童の通学路を整備してほしい。このように、都市あるいは地方にかかわらず、道路整備の必要性というのは物すごくあるということがこれでわかると思います。

 そして、その後、これをもって七月の末には、一つの素案をつくりまして提示をいたしまして、八月から九月にかけての一カ月、このところにも本当に多くの国民から御意見が寄せられました。そういうものに基づきまして中期計画というものを我々はあらわしたわけでございます。これは国民の声だと私は信じております。

 また、この基幹の自動車道につきましては、今これから整備する可能性のある予定路線でございますが、百八十七区間にわたって詳細に分析をしております。それで、いわゆるBバイC、コストに対する便益という比率が一・二を超えるものということで整理をいたしておりまして、今までのように全部四車線でつくるのではなしに、ある場所は二車線で確定しよう、また、現道も利用しようというようなことでまとめたのがこの道路の中期計画(素案)でございまして、これを詳細に読んでいただければ、決して財源に合わせたずさんな計画だとか言われるようなものでないということはおわかりいただけると思います。

 ありがとうございました。

園田(博)委員 今国交大臣が詳しく述べられましたが、私は、基本的に、例えば全国の高規格道路網、これが、仕事は始めたがいつまでかかるかわからないという道路が多いんですね。これはやはり納税者の方々に対しても一つの無駄になることであって、早くつくるということが納税者の御苦労にこたえることでもあるし、特に私は、地方分権、これは間違いなく進めなきゃならぬと思うんですね。やがて道州制、そういうときに、やはり基幹的な交通網だけは国で完成させておく、そしてそのハンディをなくしていくということの上で地域間競争をしてもらわなきゃなりませんから、そういう意味でも、納税者の方々には、本当にこのガソリンが高い中で申しわけないと私も思うんですが、何とか御理解をいただいて、暫定税率をお払い続けていただきたいなというふうに思っています。

 しかし、これは私は、今度、十年間の暫定税率ということにされた意味というのは、急に長くしたじゃないかという意見もあるんですね。これはそうじゃなくて、今度こそもうこの十年間で、大分時間がかかったけれども、ある程度道路網整備のめどを立てます、したがって、その後は、私は、もう道路網の目的のための税としてはこれを最後にしますというふうに言うべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

冬柴国務大臣 私も同じような意見でございます。

 それは、この十年、先ほども申しましたけれども、人口減少社会とか、あるいは道路ストックがどんどん命数を重ねていくという中で、国際競争力をきちっと維持し、そしてまた、安全、安心な国土をつくっていくという意味におきましては、この十年間が本当に勝負だなという感じがするわけです。そこで、私は、道路というものについての姿が見えるような、真に必要な道路という抽象的な話じゃなしに、あなたの県のこの道路という、そこまで、これが必要なのかどうか、そういう観点でこれを提示いたしておるわけでございます。

 具体的に、では、どの時点で、だれの判断でこの整備をするかどうかというのを決めていくかといえば、これは民主党の議員さんも、衆参の議員さん、それぞれ二名ずつ入っていただいておりますが、自民党の六名の議員とともに、昔、国幹審と言われた、今、国幹会議と言われておりますが、そこに諮って、その議を経た上で逐次進めていくわけでございます。

 したがいまして、それについてのその時々の整備の必要性というものはそこで十分に協議をしていただくわけでございますが、しかし、グロスとして見た場合に、今おっしゃったように、この国の基幹の道路というものは、ぜひ、国際競争力、今後外国からの勢力も取り入れなければ、日本の国というのは成長するのが難しくなります、したがって、いわゆる拠点空港なり拠点港湾、スーパー中枢港湾とかやっておりますが、そういうところと消費地あるいは工場との基幹道路のネットワークをきちっとつくるということが、この国の国際競争力強化には必須でございます。

 したがいまして、それを何とか十年以内に姿をわかるように国民に示したいというのがこれでございまして、このとおり進められれば、国幹会議でもそのように認めていただいて進められれば、十年間でほぼこれができる、私はそのように思っています。

園田(博)委員 ところで、ガソリンとガソリンにかかる税金について、データを見ますと、アメリカを除くその他の先進国よりもガソリン代も税金も低いんですね。なぜそういう国々は特に税率を高くしているのか。私は、ほとんどの理由が、やはり環境のためにこれを抑制するんだ、これを利用することを抑制するんだという考え方が強く働いているというふうに聞いております。これは先ほどの、最初に総理が述べられました地球環境を守るという意味では大変重要な要素の一つなんですね。そんなことを国会でも総理がちょっと述べておられたような気がいたします。

 私は、さっき、暫定税率、十年間、まだ長いなとおっしゃいますが、確かに長いんですが、何とか、今申し上げたように、道路整備にめどを立てるために御理解をいただいて、お願いをしなきゃならぬ。しかし、その後はこの税というのを、道路目的というのをやめて、私は、環境を守る、排出ガスを抑制するための経費として考えるべきじゃなかろうかというふうに思っているんですね。その点について、総理はどのようにお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 我が国は、ガソリンの値段というのは、今までというか、大分前ですけれども、高い、高いと言われておったんですよ。アメリカはもともと安い国、今でも安いんです、破格に安いんですけれども、これは例外といたしましても、例えばOECD加盟二十九カ国のうち、ガソリンの値段は二十五番目。二十九カ国のうちの二十五番目というんですから、非常に安いことになっちゃったんですね。昔は日本は高かったんですよ。アメリカはもちろん、ヨーロッパに比べても高い、高いというふうに言われました。

 なぜ高いか。税金が高いからと言われたんですよ。ところが、今やそれは全く逆転しまして、ヨーロッパの方がはるかに税金が高くなってしまっているということです。ガソリン価格の中に占める税金が一番高いのはイギリスですけれども、六六%、日本は四〇%にも満たない、こういうようなことになりまして、イギリスではガソリンの値段がリッター当たり二百二十五円、日本では百五十五円、こういうことで、全く状況が変わってしまったというように思います。そのぐらい、税金も安い、ガソリンの値段も安い、そういう国だったんですね。

 では、なぜ昔はヨーロッパで安いガソリンの税金が高くなってきたかといいますと、これはやはり環境に対する配慮、こういうふうなことが理由となって、年々税金が上がってきた。そして、今のようなイギリスにおける六六%、そういうふうなガソリンの税金になったということなんですね。

 日本は、これは一貫して変わってないんです。ずっと同じ税金をいただいている。そして、その比率もだんだんほかの国に比べて下がってきているというようなことでありまして、今、国民的に言えば安いガソリンの値段はいいんですけれども、しかし、ヨーロッパ諸国から考えますと、環境に対する配慮は一体日本はどうなっているのかな、こういうふうなことを考えられても、これはやむを得ないような状況にあるというようなことであります。

 ですから、三年前の政府・与党の合意の中でもございますけれども、環境面に対する配慮ということは三年前に合意されまして、そして、この税金は何としても維持させていただかなければいけない、また、そういう面における御理解もいただかなければいけない、そういうふうな考え方で一貫してきておるわけでございまして、広い意味では環境に関連する税制でもあるというふうな受け取り方をすべきであるというふうに今考えておるところでございます。

園田(博)委員 納税者の方々には、もうとにかくお願いをして理解していただくということが大事なんですが、さはさりながら、やはり一方では、原油価格の高騰で油が高くなっている時期に来てしまったんですね。これはこれで、油を下げていかなきゃならぬ、原油価格を。そのための努力を最大限、これは日本だけでできることじゃないんですが、そのための努力を日本の政治がやはりやっていかなきゃならぬと思います。

 そこで、甘利経済産業大臣が、やはりダボス会議ですか、エネルギー大臣会合というのがございまして、先週、総理に先駆けてこの会合に出ておられます。ここで日本の経済産業大臣としてどのような御主張をされて、どういうことになりつつあるのか、御報告をいただければというふうに思います。

甘利国務大臣 国会のお許しをいただいて、私、早目に出席をしまして、エネルギーサミットの二つのセッション、そして、私自身が開催をしました主要消費国会議に出席をいたしました。それ以外に、WTOの非公式閣僚会議にも出席をしたのでありますが。

 エネルギーの会議では、イギリスのブレア前首相に続いて私もキーノートスピーチを行ったわけでありますが、原油の高騰と気候変動、それから産業の将来像についていろいろ意見交換をしたわけであります。

 原油価格の高騰が各国経済に与える影響が次第に深刻になってくる、これが引き金で世界経済が停滞するということの懸念を共有しなければならないということで、それに対して我々は、省エネを世界的に推進していく、クリーンエネルギーの開発をしていく、あるいはエネルギーに関する革新的な技術の開発の推進を訴えたわけであります。

 そうした中で、私ども、上流、下流の開発が必要だ、産油国は増産に対して前向きに取り組んでもらいたいと。というのは、需給が実需として次第にタイトになってきておるということを訴えたわけでありまして、我々としては、その上下両流の開発に対して、貿易保険、資源開発保険が三千億の枠がありますが、それを一兆円にふやすという決意表明をしたわけであります。

 それから、主要消費国会合を主宰しました。アメリカのエネルギー長官、イギリス、そしてEU、それからIEAにも参加をしてもらいました。そこでは、もちろん新エネ、省エネの努力を加速しようということも話し合ったわけでありますが、産油国にどう働きかけるかということを議論いたしました。そこでは、それぞれの国がそれぞれのチャンネルを使って強力に働きかけようということにいたしました。

 そこで、出席国から、消費国対産油国の対決構図になってしまってはうまくないという懸念表明もされました。ある国の大臣の表現で言いますと、戦いになると、向こうが全部ピストルは持っているんだからと。つまり、ふやすも減らすも向こうの意思だから、そういう対決構図というよりも、危機感の共有、経済の停滞はやがて産油国経済も襲うということを認識させようということにしたわけであります。

 四月にローマで産油国、消費国の対話が開催をされます。そこでも、そうした上流、下流での投資の確保の重要性、それから、この問題は、消費国だけではなくて、産油国もみんな責任を共有しているんだということを訴えようということにしたわけであります。

 また、国によってはエネルギー価格への補助金というものをつけております。この補助金に耐えられなくなっている国があります。これは、消費する国民にとっては、痛みを感じない、幾ら上がろうと、補助金でどんどん足してくれれば、自分の価格は変わらないわけでありますから、省エネを努力しようとか、新エネへの圧力が弱くなってしまう。これも時間をかけてなくしていくべきだということでも意見が一致をいたしました。

 そして最後に、中国、インド等、新興大消費国もしっかり巻き込む。それらの行動をG8プラス3のエネルギー大臣会合につなげていこうということにしたわけでございます。

園田(博)委員 ところで、総理、石油がこのように予想外のところでうわっと短期間に上がったりする、しかし、このことは私どもの生活や仕事に大変な影響を及ぼしておることは事実なんですね。やはり、我が国としては、これは中長期的に脱石油のエネルギー政策に本格的に取り組まなきゃいけないというときが来ているんじゃなかろうかと思うんですね。このことに対して、総理、どのようにお考えでしょうか。

福田内閣総理大臣 石油の将来ということを考えた場合に、これは一つには産油国の状況、それから埋蔵量の問題。これは限りがあるわけですね、埋蔵量については。それから、もう一つは地球環境上の問題。CO2を排出する石油類、これをいかにして使用、消費を抑えていくかということはこれからの大きな課題であるわけであります。

 ですから、その課題をどうやって克服するかということについて、これからも相当な努力を傾注していかないと目標を達成できない。ましてや、温暖化問題ということになれば、これは地球全体の命運にもかかわることであるということですから、現代社会に生きる我々として、将来の社会に対する責任、この問題を解決する責任があるんだ、そういう意気込みでもって取り組んでいかなければいけない、そのように思っております。

 いずれにしましても、石油は現在値上がりしたままで高どまりしているという状況でありますけれども、これが大幅に下がる状況というのはなかなか考えにくい状況だというように思います。ですから、そのことは常に念頭に置きながら対応していかなければいけない。ただいま甘利大臣からも御説明ありましたように、国際的な取り組みも必要だし、また産油国との対話ということも必要だろうというように思います。あらゆる手段を講じてこれから対処していくということが大事だと思っております。

園田(博)委員 私はこれで終わりますが、補正予算の内容についても時間があればお聞きしたかったんですが、久しぶりで、例えば、原油高対策とか、今の状況で大変お困りになっている農林水産業だとか中小企業だとか、あるいは総理の公約でもございました後期高齢者の自己負担分を凍結するとか、そういう補正予算を組ませていただきました。そういうものを、限られた財源の中でこれからいろいろな政策を実行しながら、国民生活を少しでも安心してもらえるように取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、遠藤利明君から関連質疑の申し出があります。園田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。遠藤利明君。

遠藤(利)委員 自民党の遠藤利明です。

 時間がありませんので早速質問に入らせていただきますが、先ほど園田委員からも、国民の福祉と負担についていろいろな御意見がありました。やはり、我々地方におりまして大変な閉塞感があります。物価は上がってくる、しかし所得は下がってくる。内需の比率が、かつて我々はGDPの六割ぐらいというように認識しておったんですが、最近は五割ぐらいに下がっている。何でなんだろうと。

 経常収支は毎年毎年ふえておりますし、例えば、平成十四年から、十四兆一千億円から十五兆、十八兆、そして昨年は十九兆円。貿易収支も平成十九年度は前年よりふえて十兆円。ですから、毎年毎年経常収支はふえ、そして個人の金融資産もふえてきている。それなのに、何で内需はふえないのか。先ほど舛添大臣からも話がありましたように、やはり将来への不安だ。まさにそうだと思うんです。

 もう一つは、国の財政が厳しいので、若干不安をあおり過ぎたという部分もあるのかなという思いがします。

 日本経済を家庭、私の家に例えてみますと、大体年間五百八十万ぐらいの収入があります、しかし、借金を二百五十万して八百三十万で運営をしており、およそ七千七百万の全体の借金があります。しかし、七千七百万あるんですが、これはほかの銀行とかから借りたんじゃなくて、おじいちゃんかおばあちゃんかわかりませんが、そういう人が家庭の中でしっかり蓄積して、一億五千万ということになりますね。七千七百万の借金ですが一億五千万の金融資産を持っています。日本のそれまでの財政を家計に例えると、大体そんな形であります。

 ですから、外国から借りているんじゃなくて、いわゆる銀行から借りているんじゃなくて、自分の家の中であるんです。しかし、どうも、大変だ、大変だということで萎縮してしまっている。経済というのは、理論、理屈もありますが、感情というのも大変大きいんだと思います。そういう意味で、そうした感情の部分をもう少し国の施策の中で訴える必要があるのではないだろうか。

 と同時に、将来への不安、これまでの財政再建の中で、医療費は毎年毎年負担がふえそうな雰囲気を感じますし、年金は毎年毎年減りそうな感じがします。しかし、いろいろな皆さん方と話しますと、これ以上医療費がふえるのはしんどいよな、そして年金が減るのはしんどいよな、むしろ、そこさえきっちりしてくれるのなら、みんなで少し出し合いしてもいいじゃないですかという議論だって数多くあるんです。

 先ほど総理も、国民を苦しめてはいけない、そんな答弁もありましたし、就任の辞に、希望と安心。そして、高齢者の医療費負担を当面一割から二割徴収するのを凍結する、こんな施策も打ち出されました。まさに、総理はそうした国民の皆さんの不安感を取り除こう、そういう政策をとっていきたいというふうなとらえ方を私はしております。

 それで、これは読売新聞の一月二十五日の記事でありますが、国家観をとらえた世論調査、これは連続して五年ぐらいずつやっているわけでありますが、この中で、国民の皆さんが小さな政府を望むか、大きな政府を望むかと。これまではどちらかというと小さな政府志向が大変強かったんです。しかし、今回の世論調査を見ますと、小さな政府を望む人は、五年前の四七%が三八%に減ってきた。逆に、大きな政府を望む人は二九%から三三%にふえてきた。

 大きな政府というと、スウェーデンやフィンランドみたいになって、むしろ私は中ぐらいの政府かなという思いをいたしますが、そうした国民の皆さん、この裏づけには、やはり将来に対する不安がある。そうすると、医療や年金や教育をしっかり国の責任でやってほしい、そういう皆さんの思いが改めて強くなってきていると思うんです。

 これまでの改革は、どちらかというと、財政が厳しいから、それはもう国民の皆さん、自助努力でやってください、そういうふうな改革だったと思うんです。しかし、こういう国民の皆さんの、世論調査なんかを見ますと、むしろ、そうした部分はしっかりと国でやってくださいよと。そして、ここで、同じ世論調査の中に、社会保障は政府が手厚く行うべきで、そのために税金などの負担がふえても構わない、こういう比率が、まだ逆転をしておりませんが、高まってきています。

 そういうことを考えますと、総理にお伺いしたいんですが、総理の考えるこれからの日本というのは、国のサービスを落とします、厳しいですからサービスを落とします、もちろん税金は上げませんよ、税金は上げませんからサービスは自分でやってくださいということなのか。それとも、国はこうしたサービスはしっかりやりますよ、現状を担保しますよ、そのかわり、足りない部分については皆さんお互いに相互扶助でいきましょうよ、皆さん出し合っていきましょうよと。まさに、自助努力の国なのか、そうした相互扶助の国なのか、いわゆる小福祉・小負担の国なのか、中福祉・中負担の国を求めるのか、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 これは、その時代背景というものがかなり大きな要素を占めるんだろうと思います。

 私は、若いころ、要するに就職したころから高度成長になったんですね。ですから、余り将来のことを考えないでも自分の将来はこの経済成長の中で十分な所得は確保されるだろう、それで安定した生活はできるだろうと、余り将来のことを考えなかったですね。

 しかし、このように低成長と申しますか安定したと申しますか、成長度が低くなってまいりますと、やはり将来どうなのかなということを心配せざるを得ないような状況にあるというふうに私は思います。日本はそれだけ変化しているというふうに思います。国民の意識も変わってきていると思います。

 昔は、自分でやっていけるんだ、こういう自信を持つ国民が多かったと思いますけれども、今、こういうような状況の中で、ましてや日本は高齢化社会だということ、このことは意識に対する非常に大きな影響を与えているというふうに思いますけれども、そういう中で、やはりここら辺は社会の制度も少しずつ変えていかなければいけないのかなというような、私は個人的にはそういう思いを持っております。

 ですから、そういうことを国民の皆さんがどのようにお感じになっているかということは、よく私どもも政策決定する上において皆様のお考えを反映させていかなければいけないという思いも持っておりますので、そこで、いろいろな角度からの議論をしていただこうというわけで国民会議的な社会保障会議というものを開催することを決めたわけであります。その中でどのような議論がなされるか、私ども正直言って興味津々というところでございますけれども、国民の期待にこたえるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

遠藤(利)委員 これから社会保障国民会議をつくって国民の皆さんの声を聞くということでありますから、それは大変大事なことであります。やはり内需を拡大する、そのためにはマインドが大変大事だろう。そういう意味で、総理がそうした、私はこういう国づくりをしたいという、国民の皆さんの声を聞くのももちろん大事ですが、総理としてのメッセージをやはり国民の皆さんに伝える、こんなことも大事ではないかなと思いますので、ぜひお考えをいただきたいと思っております。

 次に、農業と環境の問題についてお伺いをしたいと思います。

 総理に最初にお伺いしたいんですが、実は私、平成五年に初当選をしたんですが、そのときに、ミニマムアクセス米、いわゆる米の輸入がスタートした年でもあります。そのとき、いろいろな議論をしたときに、国を守るというのは、当然、国防、エネルギー、そして食料。もちろん、水と空気もありますが、これは幸い日本は今のところ満たされておりますから、この三つの話をしたときに、都市の皆さん方は、国防も自給できていませんよね、そしてエネルギーも大半は輸入ですよね、そうすると、二つ輸入しているんだから食料だけ自給したって意味がない、それは安いものを買った方がいいじゃないですかという議論があったんです。

 私たちは逆に、いや、二つ輸入しているんだから、せめて一つのカードだけは大事にしたい、外交のカードになるでしょう、やはり食料は自給すべきじゃないですか、そんな議論をしたんですが、残念ながらその当時はなかなか理解を得られなかったのかなと思っております。

 最近、こうして世界的な食料不足の懸念あるいは水問題、実は、東大の教授の試算なんかによりますと、農業による水の輸入は六百二十七億トンというふうにも言われていますが、世界で水不足が重なると、これだけの水を日本は実際輸入しているんですよ、こんな試算もあります。

 そこで、総理にお伺いしたいんですが、先ほど申し上げました、国防もエネルギーも輸入しているから食料も輸入したって同じだという考えなのか、それとも、国防とエネルギーは残念ながら自給できていない、せめて農業、とりわけその中でも主食である穀物についてはやはり自給するだけの手だてをとっていきたい、どちらのお考えか、お伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 これも時代により考え方が随分変わってくるな、こう思うんですけれども、石油もそうですよ。あるときは、こんなのは金を払えば買えるんだ、こう言っておりましたけれども、今やそれだけでは済まないような状況になりつつあるということです。資源も同じことです。資源の中で食料資源というものもございますけれども、食料だって、今まで、極端なことを言う方は、金を払えば幾らでも輸入できるんだからいいんだ、日本は金を持っているんだ、こんな乱暴なことを言っていましたけれども、そうはいかない事情が今各所に出てきているということだと思います。

 一つは、温暖化で農業の維持というものができるかどうか、水の問題ですね。そういうこともございますし、また、人口だって、世界の人口は今六十三億と言っていますけれども、それが七十億、八十億というふうになるのは、これは相当近い時期に実現する可能性があるわけでございます。私は、食料を海外で幾らでも買えるんだなんというふうに考えているのは、これは極めて危険な考え方だというように思いますので、ここら辺は日本全体で農業に対する理解をさらに深めていく必要があるんだろうと思います。

 恐らく、国民世論に伺えば、今まではまあ割合のんびり考えておったけれども、しかし、今はかなり深刻になりつつあるのではないかというふうに思いますので、我々政治家としても、そういう考え方というものは正しいというふうに思っております。

遠藤(利)委員 今、総理から大変力強い話を聞きまして、実はほっとしております。昨年末の米の低下等で大変農村も疲弊しております。産業として成り立つ農業というのも一部にはあります。しかし、米とか穀物、例えば今日本が輸入しているアメリカ、カナダあるいはオーストラリアは何百ヘクタール、何千ヘクタールの世界です。では、そこと同じように日本は企業化してできるか。少なくとも、花とか果物は別かもしれません、しかし穀物に関しては、私は大規模化しても無理だと思っております。ですから、これは国が責任を持ってやっていくんですよ、そういうふうな覚悟が必要だと思います。

 同時に、この前の委員会の議論の中で企業参入が少ないという話がありました。しかし、今言いましたように、企業化したとしても、数十ヘクタールあるいは百ヘクタールぐらいでは世界の中で価格的に太刀打ちできないんです。

 もう一つ、実はこれは大事な問題で、地域の中のいわゆる地域力が減っていく。大規模なスーパーができて、消費者は便利になりましたよと思っているうちに中心商店街はがらがらになってきて、そのために消防団やいろいろな人がいなくなって、結果的にまた何か補てんをしなきゃならなくなってくる。

 企業化するというのは、一たん、見た目はいいんですが、実態的には地域崩壊をしていく、まさに農村社会が崩壊していく。そこは十分に考える必要があるのではないだろうか。むしろ、後継者がいなくなったということは、それだけ魅力がないということですから、国として、とりわけ穀物に対する支援というものをもっともっと厚くする必要があるのではないだろうか。

 そういう意味で、今、逆転現象で、国はそうやって自由につくってください。しかし農家の皆さんは、我々国のためにも米を一生懸命つくるんです、これは本来逆なんですよね。国はつくってください、しかし農家の皆さんは採算がとれるかどうかでやっていく。それだけ農家の皆さんが、長い間、私の地元の農学校なんかは流汗悟道という教えがありますが、精神論も含めて、文化を含めて農業をやってきた。そこに対する国の支援がこれまで大変薄くなってきたのではないか、どうしても合理性にのまれてしまったのではないだろうか。そんな意味で、総理から今大変力強い話を聞きましたので、改めて、そうした米対策も含めて農業政策を我々はもう一回考え直していくべきではないだろうかと思っております。

 時間がありませんので質問を飛ばしますが、昨年の米対策の中で、エタノール米あるいは飼料米、こういうものに対しても品目横断の中での対応をしていきましょう、こんな決定をされました。

 実は、私も、エタノールに大変興味があって、いろいろな地域に視察に行ったりもしておりますが、田んぼで放棄地が三十八万ヘクタール、では、麦と大豆をつくってくださいといってもなかなか、今まで湿田ですから、これを乾田にしてというのは、大変コストもかかります、難しいんです。適地もあります。同じ米ですから、食べない飼料米あるいはエタノール米、大変効用があると思うんです。

 ただ、残念かな、まだ技術的に、とりわけエタノール米については新潟県あるいは北海道でスタートをしただけでありますが、こうしたエタノール米をつくるには、やはり大変コストもかかります。現実的に、ここでいろいろな品種改良をやったとしても、そう簡単に採算がとれるとは思えないんです。そうすると、やはりこれに対して国としての支援をやっていく。

 場合によっては、さっき道路特定財源の話がありましたが、特定財源は当然環境対策に使うわけですから、ガソリンの中にエタノールをまぜる、まさに、同じ道路を使うためのエネルギーになるわけですから、そうしたエタノール米の生産に対して道路特定財源で補てんをしていく、そんなことも私は方法の一つとしてあるんだろうと思います。

 国土交通大臣、お考えをお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 運輸部門におけます地球温暖化対策を推進するためにエタノールの普及促進を図るということは、京都議定書の目標達成に向けても取り組むべき重要な施策であることは十分に認識をいたしております。

 ただ、道路中期計画では、地球温暖化対策として、道路整備等により、自動車交通の年間CO2排出量を十年後までに一千六百万トン削減するという目標を掲げているわけでございます。

 そのためには、いろいろな政策をとらなきゃいけないわけでございますが、環状道路の整備による渋滞解消とか、あるいはLRT、次世代の路面電車ですね、こういうような新交通システムを採用する等、そのような公共交通促進に関して積極的に今取り組んで、CO2削減に取り組んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、特定財源は、先ほども述べましたけれども、地域の自立、活性化に役立つ道路の整備や災害に耐えられる橋梁の維持補修等、あるいはあかずの踏切対策など、国民生活に欠かせない対策に充てるということがまず必要でございます。

 そういう意味で、納税者であります自動車利用者、いわゆるドライバーの方の理解が得られるかどうかということでありますので、エタノールの問題につきましても、その観点から今後検討しなければならない課題だろうと思います。

遠藤(利)委員 まさに環境対策、道路を利用する上での環境対策として私は十分考えていいのではないだろうかと。今結論をここで、すぐやれと、ただ、物がないものですから、どのぐらい出てくるかという問題がありますが、ぜひ御検討をいただきたい。

 これは、今話がありましたように、工程表をつくって、とりあえず二〇一〇年までには五十万キロリットルつくりましょう、こう言っているんですが、なかなか進まない。簡単でないのは私もわかっております。ただ、せっかくやろうとしても、省庁間の連携が悪いのか、いま一つうまくいっていないところがあるなという気がします。

 例えば、一月二十二日に、これも読売新聞ですが、「バイオ燃料島構想 頓挫 政府と元売り 対立」。ETBE方式もE3方式も、いろいろな方式でそれぞれみんな努力をして技術開発してやっていきましょう、これはそれでいいと思うんです。ただ、E3直入のときに、ガソリン業界の皆さん方が売らないというのは何だろうかな、やはり連携はしっかりやっていく必要があるんじゃないか。大した量じゃないわけですし、ましてや直入について、蒸気圧の話を業界の皆さんはされますが、アメリカやブラジルが、では本当にNOxが大変でもうひどいと言っているかというと、決してそうではないですよね。

 ですから、ETBEを否定するわけではありません、いろいろな方法でいいと思うんです。ただ、少なくとも、E3直入に対して、石油を売らない、油を売らないなんて言わないで、そこはそれでしっかり協力しましょうというふうなことがまさに省庁間の連絡として必要だと私は思うんですが、経産大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 バイオエタノールを含むバイオ由来燃料の導入というのは、エネルギー源の多様化と環境問題から、三省で連携をとって進めているところであります。

 石油業界が懸念をしていますのは、E3の場合だと、水が混入すると燃料の性能が極めて低下してしまうということと、環境問題で若干の懸念があるのではないかということ。それからE3、バイオエタノールは簡単にETBEに変わりますから、これはイソブテンをまぜればいいことでありますということを言っているわけであります。ただ、その施設が全国にないんですね。施設を全国につくれば、E3なりE10なり、バイオエタノールはすぐにETBEに変えることができる。そうすると脱税防止にも、つまり、どこでも混入ができますから、それをガソリンと称して売るということがない、ということ等の懸念を表明しているわけでありまして、これは協力は協力として、ちゃんとやらせていきたいと思っております。

遠藤(利)委員 いろいろな議論がありまして、私もしばらく勉強させていただいてわかっているんです。ただ、やはり連携、お互いに走っていくときに協力し合うというのは大事だと思いますし、工程表どおりいけば、今のままじゃ進まないということですから、ぜひ総理のそうした強力な指導力をお願いしたいなと思っております。

 あと時間も余りありませんので、アジア外交と教育、スポーツについて簡単にお伺いをします。

 総理がこの前の施政方針演説で留学生三十万人構想という話をされました。留学生というのは二つあって、受け入れて、そしてその留学生の皆さんが国へ帰って、その国の繁栄に寄与する、これも一つあります。もう一つは、留学生あるいは研究生を受け入れることによって日本の知的な力が高まる、この両方あるんだと思います。

 アメリカだって、世界からいろいろな留学生、研究者を集めて、それをアメリカの財産にしているわけです。そういう関係から、私は、この三十万人構想、大変すばらしい発想だと思いますし、総理がこれまで、これは福田赳夫元総理大臣が大変力を入れた、そのこともあって、総理もいろいろな会合へ出席されてこの留学生のことに取り組んでおられるということですが、ただ、三十万人というのはなかなか大変だと思います。

 そこで、一つは、例えば日本の大学に、今、立命館大学や早稲田大学は国際学部をつくっていますが、そうした各大学等に国際学部をつくっていく、こんなことも含めて私は必要だと思いますが、この留学生問題について総理の見解をお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 我が国は、大きな方針として、開かれた国、こういうことを言っているわけですね。要するに、今、経済の面においても、海外に対する依存と申しますか、経済の割合というのは年々ふえているんです。今まさにアジアが非常にふえてきている。

 なぜか。それは、アジアの経済も順調に伸びているんですね。そして、日本はゆっくりですけれども、非常に大きなスピードでもって伸びているそういう国々とこれから交流を深めていくというのは、これは経済的にも、それからまた、経済を活性化するためには人的な交流も深めていく必要があるというように思います。別にアジアだけというわけではありません、世界を相手にしてということでありますけれども。

 そういうふうな観点から考えますと、我が国の留学生というのは、ほかの国に比べてちょっと少ないんじゃないかと思っております。今現在、年間の留学生の数というのは十二万人ぐらいでございますけれども、これは随分ふえたというふうにも言われているんですけれども、しかし、ほかの国、欧米に比べますともうはるかに少ない割合なんですね。

 そういう意味からいっても、我が国は果たして開かれているのかどうかということもあります。将来をにらんだ上でそういうような面における国際化というのは進めていく必要があるし、また、現実的に考えると、我が国の学生の数は減るんですね。そうしたら、キャパシティーはあるんですよ。ただ、受け入れるためには、我々はそれなりの覚悟が要るんじゃないかと思いますよ。やはりそういうふうな、海外から来た人を温かく受け入れるということ、そしてまた、海外から来て日本語で困るというようなことが理由になってはいけないと思いますから、語学のことについても格段の改善をしていく必要があるんだというふうに思っています。

遠藤(利)委員 実は、英語教育がそれに関して必要になってくるわけですが、小学校で英語をやるかどうか、これはやった方がいいに決まっているんです、ただ、ほかの時間との兼ね合いの問題です。ただ、問題は、大学入試のときに読み書き中心ですから、どうしても中学、高校の英語はそうなってくる。

 ですから、これはきょう答えを求めませんが、大学入試で英語をやめちゃって、そしてTOEFLで何点だったらうちの大学は入学試験にさせますよと。そうすると、おのずと中学、高校の英語は変わってくると思うんです、本当は逆のような気がしますが。むしろそこで、TOEFLさえできれば留学できるんですから、それを大学の入学条件にしていく。それをすることによって自動的に変わるのかなと。

 フィンランドは、赤ちゃんのうちから吹きかえしないんです。赤ちゃんがテレビを見ても、吹きかえしないで字幕です。自動的に頭の中に入ってきます。英語教育はやりようがいっぱいあると思いますが、大学入試、きょう答えを求めませんが、ぜひ御検討いただきたい。

 最後に、スポーツを一言だけ。

 ことしは北京オリンピックの年です。残念ながら、最近、国際大会が低迷をしております。総理は今回の所信表明演説で、今までは知育、徳育、体育という話だったんですが、スポーツ、徳育と話をされました。多分、スポーツに対する思い入れ、カヌー協会の会長もされていらっしゃるようでありますし、思い入れがあるのでこういう表現になったと思いますが、それには体制整備が必要で、スポーツ庁の設置とか、いろいろ私も自民党のスポーツ立国調査会の中で議論をさせていただいておりますし、また、超党派の新スポーツ振興法の制定を今、その事務局長としても検討させていただいております。

 ただ、そうした中の延長に東京オリンピックの招致というのがありますが、国際大会、東京オリンピック、これはみんな、大きな大会を招致するには、政府保証をやらないと相手にされないんです。ロンドン・オリンピックも、実はブラウン現在の総理、前の財務大臣が政府保証しますと。都市と都市の戦いから国と国との戦いにもう既に変わってきている。

 そういうことを考えますと、この政府保証、そしてまたスポーツ庁の設置あるいは新スポーツ振興法の制定、こうした一連の流れの中でスポーツ振興策が必要かと思いますが、最後に総理から御見解をお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 私は、この間の施政方針演説でもってスポーツというように申し上げました。あえてスポーツというふうに申し上げた理由は、スポーツの方が体育よりも前向きに、また広い概念でとれることができるのではないかということです。体育と申しますと、やはり個人的な体力みたいな、そういう感じがするんですね、何となく。スポーツと言いますと、スポーツ精神という言葉がありますよ。体育精神とは言いませんよね。そのことからわかりますように、スポーツという中に、やはり道徳的な、社会生活上必要なものを教え込むような、そういう意味合いが込められているのではなかろうか、こう思いまして、あえてスポーツというふうに申しました。

 スポーツは、私は、そういう意味において、社会を引っ張っていく一つの大きな力になる可能性のある要素でありますので、力を入れていく必要があるんだろうと思います。ただ、時にはスポーツという名をかりて悪いことも起こるようでありますけれども、そういうことは論外でありまして、そういうことでない、健全なるスポーツ、そしてスポーツ精神を国民の中に涵養する、そういうものを、その成果を発露する場としてのオリンピックというのは大事だと思います。

 北京オリンピックがことしございますけれども、それにも健全なるスポーツ精神で日本の選手団が臨むということも大事だし、そういう意味における応援も必要だし、しかし、我が国も何とか第二回のオリンピックをやりたいなということでございます。私、東京オリンピック大会の名誉会長でございますから、一生懸命推進に努力したいと思います。

遠藤(利)委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて園田君、遠藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、北側一雄君。

北側委員 公明党の北側一雄でございます。

 平成十九年度の補正予算案の質疑に立たせていただきます。

 この補正予算案、非常に緊急性また必要性の高い事項が盛り込まれているわけでございます。災害対策費、災害復旧や、また学校の耐震化等の予算も入っております。また、原油価格の高騰対策についても盛り込んでおりますし、さらには高齢者医療費の負担凍結に向けての予算も計上している等々、また中小企業の金融支援のための予算も計上しているわけでございまして、非常に緊急性、必要性の高い補正予算案でございます。早期に成立をさせて、早く執行ができるようにしなければならないと考えているところでございます。

 さて、最初に、ことしに入ってから、我が国も大変な株安、また円高が続いております。きょうも、先ほど見ましたら、三百円以上株価が下がっておりまして、円高にもなっております。

 これはアメリカのサブプライムローン問題に端を発している問題ではあるわけでございますが、財務大臣、近々、二月の九日でしょうか、G7が東京で開かれると聞いています。財務大臣が議長ですね。この国際金融市場を安定化させるための国際協調がやはり非常に大事であるというふうに思っているわけでございまして、最近のこの金融市場の混乱の要因を分析していただきまして、今後どういう対策を国際的にとっていくべきなのか、そこを議論されるものだというふうに思っております。

 G7に臨む財務大臣の方針を聞かせていただきたいと思います。

額賀国務大臣 北側委員のおっしゃるとおり、二月の九日、東京においてG7の財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれます。

 昨年来、アメリカのサブプライム問題を中心とする金融不安、こういう金融不安がそれぞれの国の実体経済にどういうふうに影響を及ぼすかということが注視をされているわけでございますけれども、おっしゃるように、世界的に株安が進行してきたということも事実でございますから、世界じゅうがこの東京のG7会議を注目していくことになると思っております。

 問題は、サブプライム問題を発生したアメリカ経済が今後どういうふうになっていくかということでございます。もちろん、アメリカ政府も、景気対策や金融の市場の流動性確保のために、それぞれ金利を引き下げたり各国の金融機関の支援をいただいたりして手を打っていることは確かでございます。リスク再評価に伴う今後の動きがどういうふうになっていくのか。

 まず、私は、それぞれの国が、アメリカにおいても欧州においても日本国においても、きちっとその影響について事実関係をディスクローズすること、それによって市場の皆さん方に安心感を与えることになるんだろうと。それでまた、それぞれの国が、やはりそれぞれ実体経済にどう影響を与えるかということをよく把握して適切に対処していただくということが大事であるというふうに思っております。

 その上で、私どもは、国際的にそれぞれの国がどういう分野で協調ができるのかということについて率直に議論をして、世界のマーケット、世界の経済の安定のためにメッセージを発信しなければならない。議長国の議長としてしっかりとリーダーシップを発揮するような環境をつくりたいというふうに思っております。

 昨年秋のG7におきましても、このサブプライム問題については、証券化商品の価格設定だとか金融機関のリスク管理だとか格付だとかさまざまな問題提起をして、今調査分析中でございますので、この中間報告を求めた上で、今言ったような視点に立って議論をし、世界経済の安定と市場の安定、それから、今後こういうリスクを冒さない環境をどうつくっていくかということについて対応策を考えていかなければならない。そういう役割を担っているものと思っておりますので、しっかりと新しい世界経済の方向づけをするような形でメッセージを出すことができればよろしいと期待をして、また、汗をかいていきたいというふうに思っております。

北側委員 今財務大臣がおっしゃったように、各国がこのサブプライムローン問題による損失等々の全容を明らかにすること、これがやはり非常に大事なんだと思いますね。その上で、どういう対策をとるのか。場合によっては、金融不安があれば、金融機関の不安があれば、資本注入ということもあるかもしれません。そういうことを我々は経験しているわけでございます。我々は、かつて大変な金融不安を経験しましたが、そのときの経験をもとにして、ぜひ積極的なリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思うわけでございます。

 日本銀行総裁もこのG7には出席をされる予定でございます。日銀総裁にお聞きをしたいのは、我が国の金融機関は、このサブプライムローン問題、また関連商品による損失というのは、アメリカはもちろんでございますが、ヨーロッパの国々に比べても非常に小さいわけですね。比較的小さい。我が国金融機関への影響というのは極めて限定的であるというふうに聞いております。にもかかわらず、なぜ日本の株価がここまで下落をしているのか。

 これはさまざまな要因が当然あると思いますけれども、一つ大きな要因は、為替が円高になっている、昨年の年末に比べますと十円近く円高になってしまっているということが非常に大きな要因となっているんじゃないのかというふうに私は思いますが、総裁の御意見を賜りたいと思います。

福井参考人 委員御指摘のとおり、サブプライムモーゲージローン関連の問題の日本の金融機関、金融システムへの波及は、これまでのところ限定的ということは確かでございます。そうした状況のもとにあるにもかかわらず、世界的な株価変動の状況を見ておりますと、最近は日本の株価の下落幅が相対的に大きいということも確かでございます。

 世界的な株価の下落は、やはり、こうした不安定なグローバルな金融資本市場の流れの中で投資家がリスクをとる姿勢を後退させているということが基本的な背景で、日本の株価についても、下落の基本的な要因は共通でございます。ただ、日本の場合には、過去にかなり進みました円安の巻き戻しとしての円高進行ということが見られます。このことが追加的に株価下落に影響している可能性はやはりあるというふうに思っております。

北側委員 総理、現に、日本のことしに入ってからの株価の推移を見ますと、我が国の銀行株というのは、全体として比べるとちょっと下がっていますけれども、そんな大きな下がり方をしていないんですね。下がって目立つのは、やはり輸出を中心としている関連株なんですね。そういうところは特に下がりが大きい。

 私は、円高になる、円高が進む、そうすると輸出関連株を中心に株が下がってしまう、日本の経済が外需依存の経済構造になっているということがやはり大きいのではないかと思うんです。

 経済がグローバル化しまして、当然、海外のさまざまな影響を我が国の金融も経済も受けるわけですが、外需依存になってしまっているから海外のさまざまな要因をもろに受けてしまう、それで株価が一気に下がってしまう、こういう要因が大きいのではないかと思うんですね。やはり我が国の経済構造を、外需はもちろん大事ですよ、外需は大事なんですけれども、一方で、内需を拡大していく、拡大ができる、そういう日本経済構造に変えていかないといけないというのが私が感じるところなんですね。

 日銀総裁、お忙しいと思いますので、きょうはこれで退席していただいて結構でございます。

 それで、きょう、ちょっとパネルを用意してきました。

 これは企業収益の方なんですけれども、二〇〇一年から二〇〇七年までの推移ですが、企業収益の方はずっと上昇しているんですね。上場企業の経常利益を見ますと、ことしの第三・四半期までですが、五年連続で過去最高益を更新する見通しなんです。上場企業、大企業の収益はどんどんふえている、こういう状況が続いています。生産もふえております。

 一方で、これは現金給与総額でございます。皆様のお手元にも資料が行っているかと思いますが、二枚目でございます。現金給与総額は、二〇〇一年から見ますと、ずっと下降しまして、最近はほとんど弱含みで推移をしている。伸びていない。

 企業収益が五年連続も過去最高の収益を上げているにもかかわらず、我が国国民の現金給与総額の推移については、ずっと変わらない、こういう状況が続いている。当然、こういう状況であると、経済の六割を占めているのは個人消費ですから、個人消費が伸びるわけがないわけでございまして、消費支出については大体横ばいで推移してしまっている。こういう構造になってしまっているわけですね。

 やはり、ここを変えていかないと日本の経済構造は変わりませんね。企業の収益を上げる、確かに、成長力を強化する、さらには競争力を強化する、こういうグローバル経済の中で極めて大事な話です。これは一方でしっかり進めながらも、そうした収益を上げた企業についてはきちんと賃金に反映するということがなされていかないと日本の経済構造は変わらない、個人消費もふえない。結果として、いずれ企業の収益も、これは中小企業の場合が特にそうですけれども、収益がなかなか上がらないということになってしまうわけでございまして、やはり、収益を上げた企業についてはしっかり賃金に反映していくということをしていかねばならないということを思っております。

 今、これから春闘が始まりますけれども、私は、企業側も企業収益をしっかりと賃金に反映する努力を、これは政治の側が強制して言える話ではございませんが、そういう努力をぜひしてもらわないといけないというふうに思っているところでございます。

 私の認識に何か間違いがないかどうか、大田大臣。

大田国務大臣 北側先生御指摘のとおり、今回の景気回復は、賃金がなかなか伸びませんで、企業から家計への波及が大変おくれております。賃金がこれだけ伸び悩んでおりますと、やはりこれは消費の力を弱くする結果になっています。

 なぜ賃金が伸びないのか。幾つか分析しておりますけれども、一つは、非正規雇用がふえているということ、それから、団塊世代がリタイアしている、こういう複合的な要因がございます。それに加えて、足元では原油価格が上がっているということが、企業の収益、先ほどのグラフで足元少し落ちておりましたが、特に中小企業を中心に収益を圧迫しておりまして、昨年夏のボーナスも伸び悩んでおります。減少しました。冬のボーナスも減少している可能性が高いと見ております。

 何とかこの賃金がふえていきませんと消費の弱さが続きますので、私も大変懸念しております。最低賃金の引き上げですとか職業訓練、できる限りのことを政府としてもしていかねばならないと考えております。

北側委員 特に大企業なんですね、収益を上げているところというのは。これから春闘が始まりますので、ぜひ、企業側も賃金に反映できるように、収益を賃金に反映するように、御努力をお願いしたいと思います。

 総理の御感想をお聞かせ願いたいと思います。

福田内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、やはり内需というのは大事ですよ。ですから、内需の振興ということ、そういう観点からしますと、やはり国民が消費できるようなそういう環境をつくらなきゃいかぬということなんですけれども、何となく閉塞感がある。今大田大臣の方から話がございましたとおり、いろいろな事情があるわけでありまして、そういう事情は事情として、やはり内需をもっと活性化するという方策は必要だと思います。

 そういう意味においては、私は、やはり地方がもっと元気を出してほしい、また、元気を出せる環境づくりをしなければいけない、そういうことで今年度の予算も、そういう面における配慮は随分している、工夫はしたというつもりでおります。

 そういうこともございますし、また同時に、中小企業の生産性を上げることによる活性化ということも必要だということであります。中小企業は、一つの例を挙げますと、例えばIT化なんかもそれほど進んでいない部分が多いんではなかろうかということもあります。いろいろな情報の共有とか、それからまた経営手法にITをもっと活用するとか、いろいろなことはあるんだろうというふうに思います。それも一つの方策としてこれから十分推し進めていきたい。

 それからもう一つは、労働分配率の、今いろいろお話ございましたとおりの状況があるということで、このことについては、具体的な方策についても、先般の施政方針でも申し上げましたとおりでございますけれども、各般にわたる政府としての努力も必要だし、また企業においても、そのことが振り返って自分の企業のためにいいんだ、そういう認識を持っていただけるような、そういうような意識の改革と申しますか、そこまでの、改革というほどの大げさなことでないかもしれぬけれども、企業それぞれの事情がありますから、限界もあるかもしれぬけれども、その限界の中で努力をしていただきたいなということは常々思っているところでございます。

北側委員 先ほど大田大臣の御答弁の中に、非正規雇用がふえてきたことも一つの要因というお話がありました。私は、これから労働法制の話を少し議論させていただきたいと思うんですけれども、厚生労働大臣、よろしくお願いしたいと思うんです。

 一つは、やはり、政治ができるテーマの一つとして、この労働法制、働いた分きちんと賃金として反映してくる、そうした労働法制にしていかねばならない、また、そうなっているかどうかよくチェックをしていかねばならないと思うんですね。

 先般の臨時国会では、いわゆるねじれ国会と言われましたけれども、前の通常国会そして先般の臨時国会と、昨年一年間通じまして、この労働法制について結構成立しているんですね、与野党の合意ができまして。労働契約法、そして最低賃金法についても、これはもう与野党で修正をして成立いたしましたし、さらにはパートタイム労働法だとか雇用保険法だとか雇用対策法だとか、さまざまな法律がこの労働法制で成立しましたが、一本だけ継続になっている案件があるんですね。労働基準法です。

 この労働基準法の中身というのは、時間外労働の際に、今の制度は、時間外労働は割り増し賃金が二五%、こういう規定があるんですが、これを改正していこうと。この法律の趣旨は、あくまで長時間労働を抑制していく、これが目的です。長時間労働を抑制するというのが目的ではあるんですが、その時間外労働をできるだけ抑制していくために、時間外労働をした場合には割り増し賃金をしっかりと課していく、こういう法律なんですね。これが継続になっているんです。

 今の政府案は、時間外労働八十時間超は割り増し賃金五〇%、こういう規定なんですよ。時間外労働八十時間というのは、これは過労死の世界ですね。それをこの労働基準法の中に書き込んでいくというのは、私もいかがなものかというふうに思っているわけでございます。

 また、長時間労働の是正というのがあくまで目的でございますので、この労働基準法についても、先般の最低賃金法や労働契約法で与野党で修正協議をして合意、一致点を見出したと同じように、ぜひこの労働基準法の問題についても、与野党で協議をして、例えばこの五〇%の割り増し率の適用、今八十時間となっているんですが、これを例えば六十時間以上とするなどの修正を加えてこの国会で改正をしていくべきだというふうに私は考えておるんですけれども、大臣、いかがでしょう。

舛添国務大臣 今、北側委員おっしゃいましたように、最大の眼目は、長時間労働を抑制するということです。

 これは、経過を申し上げますと、昨年の二月に自公の政調会長の会議で一応そういうふうに決まったことを受けて政府の案も今のようになっておりますけれども、これはぜひ、今の御提案も含めまして、きちんと国会で提案していただいて、よりよい形の法案にし、そして一日も早く成立を期していただきたいというふうに思います。

北側委員 しっかりと国会の方も議論をしますので、厚生労働大臣としても、この労働基準法を出しているわけですから、長時間労働の是正のために、ぜひこの国会で成立したいという強い意欲、そういう意欲をぜひ持っていただいて、御協力をお願いしたいというふうに思っているところでございます。

 もう一点、派遣労働の問題についても御質問したいと思うんですけれども、特にその中でも、日雇い派遣、スポット派遣と言われているものですね。この日雇い派遣で、この労働法制、派遣労働法に違反する違法な派遣、二重派遣だとか禁止されている業務への派遣だとか、これが相変わらず横行しているんですね。ことしに入ってからもございました。

 日雇い派遣の問題というのは、違法な派遣が絶えないこの現状では、原則的にもうこれは禁止をした方がいいんじゃないのかと私自身はだんだん思うようになってきました。確かに、企業の方も、また一方で労働者の方も、日雇い派遣に対するニーズというのはあると思います。あると思いますが、このような違法な派遣が続いている以上は、もうこれは原則禁止して、むしろ、労働者保護の観点から要件を厳格に定めて例外的に認めていく、こういうふうな法制の方がいいんではないのかというふうに私自身は感じているところでございます。

 今、厚生労働省では、ガイドラインですか、指針をつくろうとされておりますけれども、その程度の見直しでいいのか。最近の、特に日雇い派遣に関するさまざまな事例を見ていますと、大変大きな問題があると言わざるを得ないというふうに思うんですが、厚生労働大臣、御意見いかがでしょうか。

舛添国務大臣 北側委員御指摘のように、この日雇い派遣、非常に大きな問題を今起こしていることは確かであります。

 それで、ガイドラインを策定する、それから省令を改正する、こういう形で、派遣元の事業主、受け入れ先の事業主、例えば、ちゃんと記録をつけなさいというようなことを含めて指導を徹底しているところでありますけれども、今委員がおっしゃったような、原則もうやめて、例外的にというような発想の転換があってはどうか、こういうことも含めまして、早々に厚生省の中にこの問題に関します研究会を立ち上げまして、そこでその点も含めまして十分検討した上で、また皆さん方の御意見も賜って、この問題の解決というのは、非常に不安定な労働をやめさせ、働く人の福利厚生、そして安定した職場環境ということは私も非常に大切だと思いますので、全力を挙げて取り組みたいと思います。

北側委員 総理、先ほど、企業の収益は上がっているけれども賃金になかなか反映されてこなかったという話をしましたけれども、一方で、そういう労働者の方々の賃金にしっかり反映していく、企業に収益が上がれば反映していくという所得の向上の問題と、そして今議論しました雇用の安定の問題です。

 安定した雇用の問題、特に若い方々に対する安定した雇用の問題、この問題は、やはりしっかり政府として取り組んでいくべき非常に優先した事項ではないかと私は思うんです。そういう観点から労働法制をもう一度見てみる。やはり、所得の向上と雇用の安定ということがあって持続的な個人消費が拡大をしてくるということにつながってくる。

 それだけじゃありません。今ある少子化の問題であれ、社会のさまざまな安定の問題であれ、私は、この雇用の問題に非常に大きな要因があるんじゃないかと思うんですね。ここにしっかり政治が取り組むということが非常に今大事なんじゃないかというふうに私は認識をしているところでございます。

 総理のこの労働法制に関する御認識について、私の意見を今述べさせていただきましたが、御意見がございましたら、どうぞお聞かせ願いたいと思います。

福田内閣総理大臣 現在、正規雇用という方が以前に比べて減っている、率としても減っているというような状況、これはやはり社会情勢も反映しているんですね。

 特に若い人は、一生私はこの会社に勤めますという、昔、普通持っていたそういう感覚は、今はなくなってきているという状況がある。また、経済が非常に発展しているような状況で、需給関係で雇用に余り心配がないというようなときは特にそういうふうに考えがちになるかもしれない。いろいろな意識の変化によって雇用に対する考え方も変わってきているということはあります。ただ、今のように先行きに対して心配もあるなというふうに思いますと、やはり昔のように安定した雇用の方がいいんじゃないかなというふうに考える人も多くなっているんじゃないかと思います。

 ですから、そういう社会の意識の変化は、雇用側も、また政府の政策の面でも、やはり、反映するというか受けとめていかなければいけない部分は強くなっていると私は思います。まさに今そういうような状況の中にあるんだろうというふうに思いますから、そういうことについては、今までこうだったからこうなんだという考え方ではいけないというように考えて、さまざまな御意見を伺いながら、いい案を出していきたいと思っております。

北側委員 私は、非正規の雇用がだめだと言っているわけでは決してないんですね。当然、時代の変化の中、多様な雇用形態というのはあっていいと思うんです、非正規がふえてきているというのはそういう背景があるわけですから。ただ、非正規であれ、働いた分についてはきちんと賃金に反映されているような労働法制にしないといけないのが一点。そして、派遣であろうと契約であろうと、非正規の方々であっても雇用の安定というのは不可欠なんですね。

 その二点についてきちんと労働法制が、規制緩和、規制緩和で、企業側の使い勝手がいいような労働法制であってはならないんです。労働法制というのは基本的に労働者の保護をどうしていくのかという観点から生まれている法律であって、規制緩和は必要ですよ、必要ですが、今、一連の規制緩和の中で、やはり労働者保護の観点で、きちんと非正規の場合でも賃金に反映されている、さらには雇用の安定が図られている、そういう労働法制になっているかどうかを、一連の規制緩和をしてきた中でもう一度これは総括、点検をすべきだと私は思うんですね。

 私は、そこがちょっとここ何年かの間欠落をしていたのではないかというふうに思っているところでございまして、ぜひ、厚生労働大臣、今後、そういう意識で見直していただきたい、総点検をしてもらいたいと思うわけでございます。

 時間もなくなってまいりましたが、原油高対策。

 先ほどの質問でもございましたので省かせていただきますが、この原油高についても先ほどの国際金融市場と同様でございまして、国際原油市場の安定化への取り組みというのが非常に根本的に大事なわけでございまして、甘利大臣、ぜひこれからも頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。

 この原油高、中小事業者の方々の事業経営にも大きな影響を与えておりますし、また、個人の、国民の皆様の生活にも、灯油の問題を初めとして本当に大きな影響を与えているわけでございまして、しっかり政府を挙げて、この原油高対策、取り組みをこれからもお願いしたいと思うわけでございます。

 昨年末に政府・与党で、予算措置としては二千億円を超える原油高対策をとりました。私は、これはあくまで第一弾というふうに位置づけていただいて、この原油高の状況を見ながら、さらなる対策も検討をしなければならないというふうに思っているところでございます。

 また、この原油高という観点では、特にガソリンを使っていらっしゃる一般のユーザーの方々に対する対策というのがやはりまだまだ不十分なところがあるのかな、そこをぜひ検討しなければならないと思っているんです。

 先般、これは事故等が少なくなっているということも背景にあるわけでございますけれども、自賠責保険、これは強制保険でございますので一種の税と一緒なわけですね、強制加入ですから。自家用自動車については二九・二%、九千二百六十円引き下げになったということは、こういうガソリンが高騰している中で、原油が上がっている中で、自動車ユーザーの方々にとって大きな朗報でなかったかなというふうに私は思うわけでございますが、こうした自動車の一般のユーザーの方々に対する対策についても何ができるのか、なかなか難しいところはあると思いますけれども、ぜひ政府で御検討をお願いしたいと思っているところでございます。

 そこで、道路特定財源問題についてお聞きをしたいと思いますが、やはり原油高対策と暫定税率の問題とは、これは少し切り離して論議をしなければならないというふうに思っているところでございます。

 総務大臣、きょうお聞きしようと思ったんですが、先ほど園田先生の御質問で非常に丁寧にお答えされていましたので、地方の財政への影響、地方の道路整備への影響、また、まちづくりへの影響等々、非常に詳細な答弁がなされておりましたので、改めて御質問するのは省かせていただきたいと思います。

 ただ、この暫定税率、道路特定財源の問題も、十年間の道路整備の中期計画があるわけでございますが、この十年間、道路計画について全くさわらないなんて決めているわけじゃありません。これは、ちゃんと書いていますけれども、五年後見直しという規定も入っています。

 さらには、ここを私は強調したいんですけれども、もともと自動車関係諸税というのはいっぱいあるんですね。ガソリン税だけじゃありません、自動車重量税等々、自動車に関連する税というのは、取得の段階、保有の段階、そして自動車走行の段階と三つに分かれて、国税、地方税、たくさんあるわけですよ。

 前々から、この自動車関係諸税については、もっと簡素化すべきじゃないかという議論はあったんですよ。自動車関係諸税の簡素化に向けての見直し、抜本的な税制改革の議論が、先ほどもありましたけれども、特に自動車関係諸税の見直しについて、暫定税率も含めてどうしていくのか、見直しを検討するということが、これは、政府・与党、与党の税制改正大綱、また道路特定財源の議論の際にそういう合意がなされまして、抜本的税制改革の際には、この自動車関係諸税、暫定税率も含めてどうしていくのか、見直していく、こういう合意もしているわけでございます。そういう意味では、この道路計画十年間というのは、全くさわらない話ではなくて、当然しかるべき見直しはしていかないといけないという前提だと思うんですね。そこのところを、ぜひ私は国民の皆様にも御理解をいただきたい。

 今、さまざまな議論がなされておりますが、当然、そうした議論については、今後の道路特定財源問題、この財源の使い道について、しっかり反映をしていかなければならないというふうに思っているところでございます。

 さて、この道路特定財源もそうなんですが、租税特別措置といいまして、ことしの三月三十一日で期限が切れてしまうものが、暫定税率の問題もそうですし、あと、関税定率法で定める関税もそうなんですね。さらには、地方税にもあります。地方税も道路特定財源でございます。こういう租税特別措置などの歳入法案、これはやはり年度内に成立をしていかねばならないと思うんですね。

 過去の国会の例でも、予算案そのものは四月以降にずれ込んで暫定予算を組んでも、この租税特別措置等については、これだけは三月末までにきちんと成立させているんですね。今まで、予算案が三月末までに成立して、その関連の租特の法律等が、歳入法案が成立をしていない例は、過去、国会では一度もその例はありません。

 その意味で、やはりこの年度内成立ということが、歳入法案について、予算執行の裏づけになる歳入法案でございますので、非常に大事だと思っているところでございます。

 国民生活のこと、今さまざま下振れ要因のある我が国経済のこと、また地方財政のこと、さまざま考えても、これは年度内の成立というのが不可欠であるというふうに思っておりますが、総理の御決意をお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘のとおりでございまして、歳入関連法案、これは歳入予算の裏づけになるものでございますから、こっちの歳入関連法案が通らないといったようなことになりますと、これは国民生活に直結することになります。それの国民生活とか経済活動等に与える影響というのは、さまざまな面がございます。

 委員御案内のとおりでございますけれども、例えば揮発油税法の暫定税率が失効するということが起こりますと、国、地方も大幅な歳入減となる。先ほど総務大臣からもお話がございましたけれども、道路整備には重大な影響を与える。また、ガソリンの供給などの流通面においても混乱を来すのではないかという心配もしております。また、これは、地球温暖化というふうな観点からいいますと、世界の潮流がCO2対策ということでガソリン税を上げているという状況の中で、日本がそれを下げるという逆のことをするのは、国際世論からいってもなかなか通りにくい話ではなかろうかと思います。

 そのほか、例えば東京海外金融市場、オフショアマーケット、ここでも優遇措置が失効すると我が国の金融市場の国際的な信認が失墜する、こういうことで、これは、オープンな日本というふうに言っていることに逆行するわけであります。国際競争力の面においても悪影響があるということでございます。

 また、マイホームなどの土地売買に係る、登記に係る税負担も増加するというようなことで、その他いろいろなことで国民生活に対する影響というのははかり知れないというふうに思いますので、何とかそういう混乱を防ぐという意味において、年度内の歳入関連法案の成立をぜひお願いしたいと野党の方々にも要請申し上げているところでございます。

北側委員 国民生活を混乱させない、我が国経済についてそういうふうな下振れになるような要因をつくらない、さらには、地方財政に対する大きな混乱を起こさない、これはもう政治の責任であるというふうに私は思っているところでございます。

 最後に、これはお答えは求めませんけれども、我が党で救急医療の調査をさせていただきました。

 きょうの午後に発表させていただきますけれども、我が党に救急医療対策推進本部というのがございまして、昨年の十一月十一日から約一カ月間かけまして、二次救急病院に対する調査、これは千百四十病院から御回答いただきました。それから、都道府県、政令市の関係団体へのヒアリング調査、医師会とか看護協会とか助産師会とか消防本部の四団体、二百二団体から回答をいただきました。調査をさせていただきまして、この調査の結果の中でいろいろなことがやはり見えてまいりました。また、確認ができました。

 これは厚生労働大臣にお届けしますので、また、申し入れもさせてもらいますので、ぜひごらんになっていただきたいんですが、本当に救急病院というのは大変な状況にあるなということを改めて思いました。

 医師が救急当番につく割合というのは、何と、毎日という人が五四・二%、六百十八病院もあるんですよ。過酷な勤務になっている。それから、お聞きしましたら、何が問題かといったら、やはり救急スタッフ、特に医師、看護師、これが決定的に不足している、こういうお答えも非常に多かったですね。これが大きな問題の一つだと思うんですけれども、さらには、消防との連携がまだまだ工夫の余地があるんですね。空床といいまして、ベッドがあいているかどうか、この空床情報を消防に提供するシステムがないというのが三六・三%もあったんです。四割近くに達しているんですね。等々、さまざまな問題が浮き彫りになりました。また私どもの方で申し入れをさせていただきますので、御検討をいただきたい。

 厚生労働大臣もこの救急医療の問題でこの間視察に行かれたと聞いております。病院のたらい回しのようなことが起きないように、厚生労働大臣にぜひリーダーシップを発揮して頑張っていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 質問を以上で終わります。

逢沢委員長 これにて北側君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)委員 福田総理、ダボス会議、御苦労さまでした。

 きょうは、私、午前、午後と分かれての質疑になっておりますので、環境問題等は午後の質疑に取り上げさせていただきたいと思っております。午前中は、この国の形、特に国会と内閣、さらには自治体との関係について、基本的なことを議論させていただきたいと思っています。

 なぜこういう議論をしようと思っているかということを、まず国民の皆さんにも理解していただきたいと思いますので申し上げますと、私、もう議員になってかなり長くなるんですが、残念ながら、日本の国は、国民主権国家という形で憲法はできておりますが、相変わらずの官僚主権国家である。戦前は、明治憲法、統帥権の独立という形で、軍部、軍事官僚のある時期からの独裁になってきたわけですが、戦後はそれが全部崩れたはずですが、残念ながら官僚主導、官僚主権国家が続いている。

 これは、さきの薬害肝炎で、舛添大臣はそれなりに頑張られましたが、なかなか官僚に言うことを聞かせることができない。社保庁もしかり。そして、今回、道路特定財源も国土交通省の巨大利権であることは間違いないわけで、これを、少なくとも前々総理の小泉総理は、道路特定財源は一般財源化すべきだという主張をされておりました。この点については民主党のこれまでの主張と一致をしておりました。しかし、残念ながら、今の福田内閣になってこういう本当の意味での改革が大きく後退しているのも、官僚主権国家の実態が変えられていない自民党の実態だ、こういう問題意識の中から質疑をさせていただきます。

 そこでまず、総理、国会の役割、国会の第一の役割は何だとお考えですか。

町村国務大臣 最初に、一応、憲法で、今、触れられていることなどを言われたのかなと思いますので、先に私の方からお答えをさせていただきます。

 憲法四十一条、「国会は、国権の最高機関」と定められているわけでございまして、これは、もとより三権分立という憲法の原則を前提にしているのは、委員御承知のとおりでございます。国会の意思が国政のあらゆる面で他の国家機関の意思に常に優先するという意味では私は必ずしもない。なぜならば、内閣は国会の解散権もあるし、また違憲立法審査権が司法というものにもある。そういうことではありますが、他方、この憲法四十一条は、国会が主権者たる国民によって直接選ばれた議員から成る国民の代表機関であるというようなことから、国民に最も近い存在であり、かつ最も高い地位にあるという意味で、国会の重要性というのは論をまたないものである、こう思っております。

 今、委員からは官僚主権国家という言葉がありましたが、これは一体どういう意味なのか、私にはちょっと理解できないわけでありまして、福田内閣はしっかりと政治主導でリーダーシップを発揮している、福田総理のもとで私どもはそれぞれ仕事をしっかりやっているという事実だけは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

菅(直)委員 総理、総理御自身が答えてください。

 国会の第一の役割をどうお考えですか。そんなに難しいことではなくて、皆さん国会議員なんですから、国会の第一の役割は何だとお考えですか。

福田内閣総理大臣 今、官房長官から答弁をしたとおりでございまして、それ以上のものではないんですけれども、国会では、具体的に言えば、政策等について議論をして、そしてそこで決定する、そういう機能があるわけでありまして、ただ、今のお話にあるとおり三権分立ですから、そのバランスをとって国会が機能していくということだと考えております。

菅(直)委員 よくわからないですね。国会はどういう役割ですか、憲法で何と規定していますかと聞いているんです。どうですか。ちゃんと聞いてください、答えてくださいよ、総理から。中学生だって高校生だって答えますよ、国会の役割は何ですかと私は聞いて歩いていますから。多くの人はちゃんと答えますよ、総理。

福田内閣総理大臣 それは官房長官が答弁しているじゃないですか。憲法第四十一条で、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」こういうふうに述べているところでございます。

菅(直)委員 いや、そういうふうに答えていただければいいんですよ。

 そこで、国会が立法機関だという言い方を皆さんされるんですよ。そして、国会議員の仕事は、まず第一に立法することが第一だと言われるのが大部分なんです。しかし、私はそうは思いません。国会の第一の役割は、国民にかわって総理大臣を決めること、これが国会の第一の役割だと思っています。

 三権分立という言葉は憲法には書かれておりません。アメリカのように、大統領も主権者たる国民が直接選ぶ、そして国会議員も直接選ぶのであれば、大統領と国会が同列でもいいんです。しかし、日本の議院内閣制、つまりは国会が総理大臣、内閣の長を選ぶという仕組みの中では、国会と内閣が同列ということはあり得ません。だって、決めるのは国会なんですから。

 ですから、第一の機能は、国会は国民にかわって総理大臣を選び、最高機関という言葉は決して単なる形容詞ではなくて、主権者である国民が直接選んだ国会という意味で、まさに国権の最高機関、そのとおりの意味である、私はそう思っていますが、総理大臣、見解をお聞きします。(発言する者あり)

福田内閣総理大臣 憲法に規定するとおりでございます。(発言する者あり)

逢沢委員長 御静粛に願います。

菅(直)委員 もう一度答えてください。聞こえませんでした。やじで聞こえなかったので、もう一度答えてください。何と答えたんですか。

 今の答弁が聞こえなかったので、済みませんがもう一度、同じ言葉で結構ですからお答えください。

福田内閣総理大臣 憲法第四十一条に、国権の最高機関である、こういうふうに書いてあります。

菅(直)委員 ここに憲法のポイントだけ改めて書きました。まさに憲法四十一条には、「国会は、国権の「最高機関」であつて、国の唯一の立法機関である。」と書かれています。

 そして、この最高機関の意味について、例えば今、司法試験や公務員試験で最も通説とされている芦部さんの憲法論初め、多くの憲法のこうした本の中では、最高機関という意味は、本当の意味での最高機関というのではなくて美称なんだ、つまりは、国民から選ばれたという意味で美称なんだという意味での美称説というのが通説としてとられております。つまり、国会が内閣との関係で最高ではなくて、あくまで同列だけれども、言葉として美称なんだ、そういう見解がとられています。

 そこで申し上げます。議院内閣制というのは、総理、どういう意味ですか。

福田内閣総理大臣 国会議員によって構成される内閣を議院内閣制と言っております。

菅(直)委員 私は横文字がそう得意じゃありませんが、議会が始まったイギリスで、議院内閣制という、議院というのは、衆議院の議院、参議院の議院という字になっていますが、横文字でどうなっているのかなと調べてみました。パーラメンタリーガバメントという言葉だそうです。つまり、国会内閣制という意味なんですね。議院内閣制というと何かよく意味がわからないけれども、ギインのインがどっちのインかわからないから。国会内閣制という意味なんです。

 つまりは、そういう意味で、国会が内閣総理大臣を指名し、そしてその総理大臣が少なくとも過半数の国会議員を含む閣僚を任命するんです。

 そこでお聞きします。官僚というのは内閣の一員ですか、一員ではありませんか。

町村国務大臣 官僚の定義をはっきりしていただきたいんでありますけれども、内閣の構成員は大臣ということになっておりまして、今委員御指摘のとおり、その半数以上は国会議員から選ばれるという憲法の規定があるわけであります。

 一人一人の官僚は内閣の一員かという今お尋ねだったのかなと思いますが、広い意味の内閣の、その下にある各行政部局に働いている、そういう意味では、行政権の行使について、その実行に当たるのが官僚である、このように私は理解します。

菅(直)委員 このあたりが官僚内閣制というものを結果的に容認をしてきている考え方だと私は思っています。

 いいですか。内閣というのは憲法に定義があります。当初に言われたとおり、内閣は総理大臣と大臣から構成されています。官僚はあくまで内閣を補佐する専門家です。ですから、当然ながら官僚は内閣の一員ではありません。そこでどういう言葉を使っているか。政府の一員という言葉を使っています、マスコミも多くの人も。しかし、政府というのは憲法のどこに書いてありますか、定義が。私が知る限り、政府という言葉は憲法の中で、前文にはありますが、本文にはありません。つまりは、霞が関は、我々は政府の一員で行政府の一員なんだ、あなた方国会議員は基本的には立法府の一員なんだ、だから行政府のことについては、大臣とか例外の人は別として、行政府に介入しないでくださいという言い方をします。

 渡辺大臣、渡辺さんはせんだって官僚の政治家との接触について意見を言われましたよね。私はそれを聞いたときに、ああ、これはイギリスの方式を考えられているんだなと思いましたが、その後説明がないまま、何か中途半端で終わったものですから、多分国民の皆さんは何のことを言われたか、よくわかっていないと思うんです。

 つまり、イギリスでは、官僚は野党の議員とは接触しません。与党の議員との接触も、閣僚は別として、制限されています。なぜなのか。

 日本では官僚が与野党を根回しして、国会を動かす中心は、かつては大蔵省、今は財務省だと言われてきたじゃないですか。官僚が、総理は総理、大臣は大臣、与党の幹部、野党の幹部、そういうものをいわば分断して、自分たちの都合のいいようにコントロールしようとしているじゃないですか。そういうことを防ぐために官僚の政治家への接触を防ぐというのがイギリスの考え方ですが、渡辺大臣が提案されたのはそういう趣旨ですか、違うんですか。

渡辺国務大臣 総理のもとに置かれました公務員制度の総合的な改革に関する懇談会で議論をしていただいております。まだ最終結論が出されたわけではございませんけれども、今御指摘の、真の議院内閣制を支える、そういう目的の方策として、官僚、公務員と政治家、国会議員との接触について集中管理を行っていこうという御提案かと承知いたしております。

菅(直)委員 御提案かと承知していると、大臣が提案されたんじゃないんですか。

 つまり、どちらかといえば、何か官僚が悪いことをする、あるいは官僚に物を頼むのが悪いから、何か要請するのが悪いから接触を制限しようなんというふうに、新聞記事にはややそういう解説記事も出ていますが、先ほども申し上げたように、イギリスの考え方はあくまで内閣のいわゆる専門家としてのサポート役であって、官僚が国会にぞろぞろ出てきて、そして、与党、野党を問わずいろいろなことを陳情して、先生、この法案はこうしてくださいと。

 ですから、何年か前に、当時の自由党でしたか、小沢現民主党党首も、あるいは私たち、当時、さきがけの皆さんもおられますが、さきがけやあるいは旧民主党が政府委員制度を廃止するということを言ったのは、大臣が答弁しようと思ったら、政府委員が手を挙げて、いや、重要な問題ですから、では政府委員にやらせますという、そんな場面が繰り返されたので、一体、大臣が内閣を牛耳っているのか、多くは国会議員たる大臣が牛耳っているのか、官僚が牛耳っているのかわからない。

 そういったことでこういった議論がなされたので、あえて渡辺さんにお聞きしたのは、そういう趣旨ではないんですかということをお聞きしたんですが、もしお答えがあれば、もう一回答えてください。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、懇談会の有識者の議論の中では、真の議院内閣制を支える公務員制度はどうあるべきかという観点から議論をいただいているわけでございます。

 接触の全面禁止ということを御提案されたわけではございませんで、接触が余りにもずぶずぶになり過ぎると、今菅委員が御指摘のような官僚内閣制になってしまうではないか、そういう御懸念がおありであるがゆえに、この接触というものを集中的に管理する仕組みをつくったらどうかということでございまして、イギリス型を全面導入しようということではなく、日本型の制度をどう構築していくかという御議論かと思います。

菅(直)委員 いや、かなりいいことを言われたんじゃないんですか。渡辺大臣、せめてこれからは議院内閣制という言葉を国会内閣制という表現にしていただくと、私は、国民の皆さんがわかりやすくなると。先ほど渡辺大臣も言われたとおり、まさに官僚内閣制なんです、今の現状は。

 そこで、次にもう一つ、自治体のことについてお尋ねをいたします。

 今回の道路特定財源でも、財源が、自治体が、あるのないのという議論は午後の質疑でやりますので、それはお待ちいただきたいと思うんですが。聞いたんですよ、自治体に行っている財源がどうなるんですかと聞いたら、ほとんどの場合、国の直轄事業の場合、二対一で地方が負担するんですね。補助事業の場合は、形は地方がつくるわけですが、一対一ですね。補助事業は、国が一、地方が一。ということは、国が一兆円補助金で出せば、地方は自分の財源から一兆円出さなきゃいけない。直轄事業で二兆円出せば、一兆円は地方が出さなきゃいけない。

 そういう形で、実質上、地方に流れている道路特定財源は、全部、国の直轄事業、国による補助事業以外の部分にはみ出す額はほとんどありません、私が計算してみたら。一部、独自で道路をやっていますよ、一般会計から。

 つまりは、地方自治だ、地方に財源を移すんだといいながら、地方財源にしたものまで補助事業とか直轄事業の負担金という形で、国土交通省の言うことを聞かなければ、五割の補助金がもらえないような事業はしませんよ。ですから、結局は、国土交通省の行政が地方の道路行政をコントロールしているんです。

 しかし、憲法はどう書いてありますか。憲法九十四条では、途中を飛ばしますが、地方公共団体は行政を執行する権利を有し、こう書いてあります。(発言する者あり)「法律の範囲内」は、これは条例を制定することについて書いてあります。

 このときに、いいですか、行政を執行する権能、九十四条で言う地方公共団体の行政権と、六十五条で言う「行政権は、内閣に属する。」という国の行政権、つまり、地方の行政権と国の行政権はどういう関係にあるのかという問題。一九九六年に、私は予算委員会でそのことを質疑いたしました。時の総理は橋本総理でありました。そのときの大森法制局長官の答弁は、地方の行政権と国の行政権の関係について、内閣に属する行政権は、地方が持っている行政権を除いた部分について内閣が持っている行政権だ、そういう趣旨の答弁をされました。

 総理、この考え方でよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 憲法九十四条の地方公共団体の行政執行権を保障しているというのは委員の御指摘のとおりでありますし、憲法六十五条との関係でいえば、今委員が言われたとおり、地方公共団体に属する地方の行政執行権を除いたものが内閣に属する行政権であるということであります。

 他方、今委員はお触れになりませんでしたけれども、憲法九十二条では、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」という規定があるわけでございます。地方公共団体が行う事務については、地方自治の本旨に十分配慮しながら国が一定の関与を行うということを法律で定めるということは、憲法上当然のことであるというふうに考えているわけでございまして、各種法令、これは道路のみならずいろいろな行政についてそうでありますが、地方公共団体が行う事務についても、国会の審議を経て成立をした法律に基づいて国が一定の関与を行っているというのが現在の憲法の極めて素直な解釈であろうし、それが実態であろうと思っております。

菅(直)委員 珍しく明快な答弁をいただいて、ありがとうございます。まさにそのとおりです。つまりは、憲法の原則は、あくまで国の、いわゆる内閣が持っている行政権は地方自治体が預かっている行政権以外のものだ、そういう認識をちゃんと答えられました。

 しかし、その具体的ないろいろなことについては、法律でまさにかなりの部分が決められる。ですから、分権的な国をつくるのか中央集権的な国をつくるのかが、法律によって相当決められています。かつては機関委任事務というものがありました。御存じのように、機関委任事務はやめました。これは、自社さ政権ができるときの三党合意の中に盛り込んだ内容であります。そういう形で、一部法律は変わりましたが、なかなか実態は変わりません。その実態が、例えばと言って先ほど申し上げたんです。

 道路特定財源、そのうち地方分が幾ら幾らある、そのとおりです。地方分がかなりあるんです。九千億とか一兆円とか、あるいは、国から回っていく金がいろいろあります。しかし、回っていったお金でも、国から地方財源として直接行ったお金も、今の法律体系では、国の直轄と言われる事業でさえ、二対一で地方から出してもらわなきゃつくりませんというんじゃないですか。地方の独自事業でさえ、五分五分の補助金だから、補助金なしでやる自治体はめったにありませんよ。

 つまり、そういう法律体系そのものが、九十四条の言う地方の本来の分権のあり方を私はねじ曲げている。集権国家としてこの国を相も変わらず維持している。しかも、その集権という意味は、決して国会がという意味じゃなくて、霞が関の中央集権を守っている法律じゃないですか、そういう法律は。いかがですか、総理。

福田内閣総理大臣 官僚のやることはすべて悪い、悪いことをしているんだという前提に立つと、そういうような御意見も妥当性が出てくるのかもしれませんけれども、それはやはり必要性に応じて政策が実行されているわけであります。例えば予算の執行ということを具体的におっしゃっているんだろうと思いますけれども、それはやはり政治家が主導してやるということでございまして、その政治家が主導していないんだということになると、先ほど申しましたように官僚国家だとかいったような言葉が出てくるんだろうというふうに思います。

 ですから、そういうふうなことにならないように政治家もしっかり頑張ってやっていかなければいけないということは、当然のこととしてあるわけでございます。

菅(直)委員 非常に問題意識が乏しいんじゃないでしょうかね。

 私は、要するに、官僚の皆さんがやっていることがすべてが悪いとかいいとか、そういう趣旨のことを言ったんじゃないんです。霞が関が事実上、例えば道路特定財源でも、地方の財源を、つまり一緒でなければ使えないようにしている、そういう仕組みそのものが中央集権的じゃないですかと言ったんですよ。それはその方がいいと思っている議員もたくさんいるんでしょう。おれのところには国土交通省がちゃんと一言言えばこうやってくれるから。この橋もつくってくれた、あの道路もつくってくれた。国会議員にとっては、地方財源だけで単独事業になったら、物を言ったって意味ないわけですから。国会議員だって、中央集権の方が地元の予算をとってきたと言える人があっていいんですよ。

 しかし、そういう国の形でいいのかということの根本的な形の議論をしようと思って、きょうは国会の位置づけ、国会は立法府だけじゃありません。あくまで国会は、立法府であると同時に、内閣総理大臣を決める、つまり国会内閣制という位置づけなんです、本来の憲法は。そして、自治体に関しても、国の下請機関じゃありません。国が全部のそうした予算をそういう補助金とかなんとかという仕組みで縛っていることが問題じゃないですかという、その問題意識を総理にお聞きしたんですが、もう一度、問題意識がおありならお答えください。

福田内閣総理大臣 菅委員も、御自身も厚生大臣をやられた経験がおありなんですよね。ですから、そういう経験を通して今おっしゃっているのかどうかわかりませんけれども、私は、そういうことであってはならない、そういうつもりでおるところでございます。

菅(直)委員 厚生大臣をやったときのことを私は余り言うつもりはありませんが、一つだけびっくりしたことがありました。

 事務次官会議というのがその当時は、今でもでしょうが、前の日までにありまして、事務次官会議で満場一致でなければ法案とか予算とかは閣議に出さないという慣例が少なくとも当時はありました。ということはどういうことかというと、お役所が、事務次官会議はすべての事務次官が集まりますから、一つでも事務次官が反対したことは事務次官会議を通りません、満場一致制だという扱いですから。つまりは、行政改革をやろうと思っても、一人の事務次官でも反対したら閣議にも出されないなんという、そういう運営はおかしいんじゃないですかということを、私は閣僚をやめた後、ある本に書きました。

 つまりは、そういうふうな扱いを、今日、だんだん変えてきたわけですけれども、そういう指摘を私はその当時もこういう本を書いて指摘して、いろいろな人が指摘をして変わってきたんですが、しかし、残念ながら道路特定財源の使い道などについては相変わらず、まさに官房長官が言われたように、いろいろな法律によって地方のお金まで実は国がコントロールしている。こういうことを根本的に変えることが私はまさに真の構造改革だと思っておりまして、あとのことについては午後の質疑に譲りたいと思います。

逢沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菅直人君。

菅(直)委員 それでは、午前中に引き続いて質疑を行います。

 午後のまず大きな課題は、道路特定財源についてであります。

 国民の皆さんにぜひ御理解いただきたいのは、民主党がまず申し上げているのは、一九五四年、今から五十年余り前にできた道路特定財源という制度そのものが、午前中の質疑でも申し上げたように、日本の国をゆがめている。つまりは、国土交通省の巨大利権になっている、あるいは一部道路族のいわば山分け財源になっている。そういうことから、五十四年前には、それはまだ、車が走れる道路も極めて少なかった時代でありますから、それを優先したことは理解できます。しかし、五十四年たった今日、道路だけを特定財源で賄わなければいけない理由がどこにあるのか。

 午前中の質疑で国土交通大臣は、救急病院に行く生活道路の整備ということをこういうパネルを出して言われていましたね。同時に、その後質疑に立った北側公明党幹事長は、病院に医者が大変少なくて大変な状況にある。ですから、救急医療を考えた場合には、もちろん場所によっては道路も重要です。しかし同時に、お医者さんがしっかりと各病院にいてもらわなきゃいけないことも重要です。そのどちらにどういう配分でお金を回すか、それを決めるのが私たち国会であって、それを全体の財源の中で決めるわけです。

 よく総理や他の皆さんは、道路が必要だから道路特定財源が必要だと言われますが、では、教育は必要じゃないんですか。教育特定財源という制度はありません。あるいは、福祉特定財源という制度は、少なくとも現在はありません。つまりは、必要だということと特定財源でなければならないということにはかなりギャップがあります。

 一般財源から、必要な予算はまさに予算要求をして、そして使えばいいわけでありまして、私たちは、道路特定財源を廃止するというのは道路予算を一切ゼロにしろなんて言っているわけじゃありません。特定財源を、特定という目的をまず外す。そうすると、特定だからという理由でこれまた三十数年前に上乗せしている暫定税率も、結果としてはそれをとにかくゼロに一たん戻す。将来は環境の問題とかいろいろなことで考えられるかもしれませんが、それはそれとして、道路を目的としているという中で道路特定財源をやめるわけですから、それを外す。このことを申し上げているわけです。

 そこで、総理に、これは根本的な問題ですから、ぜひ総理からお答えいただきたいと思います。なぜ道路だけが特定財源でなければならないのか。もしその理由があるならば、国民の皆さんにわかりやすく御説明ください。

福田内閣総理大臣 道路特定財源というのは、道路に関する受益と負担、そういう関係が明確であるということから、これまでもおおむね五年ごとに検討して、そして納税者である自動車ユーザーの理解を得ながら、また国会においても必要という議決をいただいて今日まで継続されてきたものでございます。この制度の活用によって、着実に道路整備水準の向上は図られてきておるところでございます。

菅(直)委員 今テレビで聞かれている皆さん、私の質問に対して総理はお答えになったと思いますか。

 つまり、なぜ道路だけは特定財源でなければいけないのかということを聞いたんです。例えば教育だって、子供たちがいる人、いない人、いろいろあります。しかし、子供がいない人でも、教育予算は一般財源ですから当然出ます。あるいはいろいろな、病気になった人、ならない人、います。

 ですから、なぜ道路についてだけそういう形を、特定財源、ある意味では受益者負担という言葉でもいいでしょう。では、ほかの問題は受益者が負担していないのか負担しているのか。なぜ道路だけ特定財源でなければいけないのかということについて、もう一度わかりやすくお答えください。

福田内閣総理大臣 道路につきましては、自動車ユーザーという特定の集団の受益と負担、こういう関係が明確であるということは先ほど申し上げました。

 そして、例えば今おっしゃった医療とか教育とかいうようなことになりますと、今申し上げました二つについては、国民があまねく同等に受益者となる、こういう可能性がある行政分野でございますので、これは道路の特定財源とは異なる、こういうふうに考えております。

菅(直)委員 私は、これで納得される国民の方はほとんどないんだと思いますね。

 今、自動車ユーザーと言われましたね。一九五〇年ころ、まだ私、幼稚園か小学校でしたが、自家用車なんという人は本当に少なかったです。ですから、自動車を持っているなんというのは本当に少なかった中で、そういう人たちの役に立つんだからというのは、当時ならまだ理解できますよ。今、自動車ユーザーという範囲はどこまでいくんですか。直接持っている人はもちろんですよ。しかし、例えば車で、クロネコヤマトだろうが、いろいろな宅急便も運ばれますよ。つまりは、道路によって便宜を受けている人は、私は、納税者という範疇あるいは国民という範疇、全部あまねく受けていると言って決して間違いないんじゃないですか、それは小さな島で道路がほとんどないところを除けば。

 いいですか。ですから、自動車というユーザーとの関係で受益者がはっきりしていると言われましたが、私は、自動車のユーザー、あるいは自動車の運送によって、あるいはガソリンを使うという、あるいは軽油を使うことによって便宜を受けている人は、少なくとも全国民の九九・九%を超えると思いますが、総理、いかがですか。

額賀国務大臣 菅委員の言っていることはよくわかりますけれども、そもそも、特定財源が生まれたのは昭和二十九年、暫定税率が生まれたのは昭和四十九年。まさに日本が戦後の廃墟から立ち上がって高度成長をやっていこう、そのときに、道路みたいな基本的なインフラがなければ経済成長はあり得ない。それから四十九年も、やはりさまざまな、それはきっかけは第二次オイルショックとかあったかもしれませんけれども、そのころもやはり成長を安定的に持続させるというような意味で港湾とか道路とかが強調されてきたわけであります。

 我々は、インフラを考える場合は、例えば明治維新のときに、金があったからやったわけではないんだ、やはり日本の将来の構想を考えて日本列島隅々まで鉄道を通したんですよ。しかもなおかつ、どんなへんぴなところにも学校を建てて教育をし、そういうインフラの構想を持って国づくりをしてきたんですね。

 我々は、今後二十一世紀の日本の国を考えた場合どうするの、そういうことを考えたとき、地方の分権社会をつくっていくときに、鉄道だとか道路だとか、基幹インフラというものはやはり国が責任を持ってやっておく必要があるんですね。そのために道路財源をどういうふうに使っていくかということは、これは国民の皆さん方も、何しろ、今、我々が政治家として陳情を受けるのは、道路予算というのは物すごく多いんですよ。それは菅直人先生のところは道路予算に対する陳情はないかもしれませんけれども、やはりこういう地域の皆さん方にきちっとこたえていかなければならない。

 ただ、基幹道路をつくるだけではなくて、最近は、生活道路だとか、言ってみればあかずの踏切の解消だとか、生活に密着したそういう要請にどうこたえていくかとか、多面的になっていることも事実であります。そういう中で、我々も、時代の背景を、変化を察知しまして、その道路整備を上回る予算については、一般財源化を図って、多面化した財政の使用を考えていこうということをやって、今度、法律の改正をお願いしているわけでございます。

 今度の我々が提案したものは、揮発油税は、今まで道路整備だけに使っておりますけれども、整備を上回るものは、その原則を変えて、一般的な財源にも使えるような形にしようということでありますから、基本的にはこの方針を変えつつあるわけでございます。

菅(直)委員 今の答弁を聞かれて、やはり明治の時代に鉄道が重要だった、明治の時代に学校が重要だった、私も大変当時の方は先見の明があったと思いますよ。では、全部それぞれ特定財源という形をとったんですか。特定財源という制度をとらなくても、当時の指導者がきちっと優先度を決めて配分したんじゃないですか。

 今、財務大臣は、私の選挙区にはないんじゃないかと、今やじを飛ばしている元市長がいますけれども、我が地元でも道路特定財源からまちづくり交付金というものが出されております。確かにそれは、個別的に言えば、いや、ここのまちづくりにこういう予算をつけてもらってありがたいなと率直に言って思いますよ。私だって、地元のことだけ考えたらそう思いますよ。しかし、なぜ特定財源でなければならないかという質問には、今の財務大臣の答弁も全く成り立っていません。つまり、本当にここは重要だと思えば、特定財源でなくても一般財源でも使えるじゃないですか。そう決めればいいんですから。

 先ほど、総理は、国会で決議をした、当たり前ですよ。それは暫定税率だろうが特定財源だろうが、法律ですから国会で決議するんです。予算だって国会で決議するんです。

 もう一度総理にお聞きしますよ。なぜ特定目的でなきゃいけないのか。私が総務省や財務省に聞いたら、特定目的のものは、狩猟に関する地方税と都市計画税と、あとは飛行場に関する飛行機の油に係る税はある。しかし、都市計画税は地方税の中でちょっと特殊ですが、こんな数兆円もの財源が、暫定税率が、額はいろいろ変化がありますが、五十年間にわたって特定目的だけに使うという税金になったというのはこれだけだと聞きました。

 まして、今の額賀さんの発言は自己矛盾じゃないですか。余ったら一般財源にします。どういう意味なんですか、余ったらというのは。まずは自分たちが取るものを取って、余ったら一般財源で医療でも教育でも使ってください。逆じゃないですか、まるっきり。それでは、国土交通省がまず取るものだけ取って、道路局がまず取るものだけ取って、余ったらほかのものに使ってください。全く逆じゃないですか。だから、道路特定財源という仕組みがそういうことを生んでいることが私は大きなひずみだと思いますから、もう一回総理に聞きます。特定財源でなければならない理由について、国民の前できちんと答えてください。

額賀国務大臣 今、菅委員の御指摘もありましたから、簡単に説明させていただきますけれども、当時はそういうインフラ要請にこたえるために、道路を整備していくときに、やはり自動車の利用者、そういった方々に負担をしてもらう中で優先的に道路建設を始めようとしたところからスタートしたと思います。これが、言ってみれば受益の原則に基づいたもので、今日まで続けられてきているということでございます。

 その上に立って、我々は今度、揮発油税については、道路を上回る予算については、納税者の理解を得て一般財源化をして、納税者の皆さんの理解を得られる範囲というのは、道路と全く関係ない社会福祉の分野とかそういうところまで使えるのはちょっと無理があるかなということで、道路に関連した形で一般財源化して使用させていただこうということで、法律改正をさせていただいているということでございます。

菅(直)委員 本当は総理だけの方が混乱しないんですが、あえて額賀さんが言われたので、総理にも関連してお聞きしますね。

 午前中も言われていました。環境を考えると、燃料に対する税はある程度の高さがあった方がいいような趣旨のことを言われていましたよね、たしか。つまり、どういうことですか。道路をつくるために決めた道路特定財源、私はその制度がおかしいと思っていますよ。五十四年間も続ける必要はない。今度は環境目的に意味を変えるんですか。いや、私はその環境目的に考えるということはあり得ると思うんですね、将来の議論としては。しかし、その場合は、ヨーロッパの例でも、特定財源化しているところはアメリカの一部がありますが、ほとんどありません。主に福祉に使っています。そういう方針なんですか、総理、今の話は。そういう理解なんですか。

 つまり、道路特定財源は、燃料税は今のように高く維持しておきたいから、では別の目的に使うという意味なんですか。はっきり答えてください。

福田内閣総理大臣 先ほど来、道路特定財源、なぜ道路だけは特定財源なのかという御質問がございまして、それからお答えしますけれども、道路は、自動車に乗る人はガソリンを余計使って、そして応分の負担をしてもらう、こういうことでございます。教育、医療はそういうわけじゃありませんよね。自動車を持っている人は、それも使う量だけお払いいただく、こういうことになっているわけですね。ですから、医療、教育とはおのずから違うものだ、こういうことでございます。

 そしてまた、環境のことに使うのかという話でございますけれども、自動車に関連することで環境にかかわることであるならば、それは使ってもいいのではないかというような、そういうような政府・与党の合意がもう三年前にできたわけでございまして、その趣旨にのっとってこの特定財源については国会においても御了解いただいている、こういうふうに理解いたしておりまして、その考え方は基本的に踏襲しているところでございます。

菅(直)委員 この繰り返しだけでは話が進みませんから、この程度にさせていただきますが、今も、車を持っている人という表現をされましたよね。しかし、今自動車の便宜を受けている人は、持っている人の数も、もうほとんど全世帯に行き渡っている。まさに地方に行けば、軽自動車が二台、三台もあるうちがほとんどですから。と同時に、いろいろな物流が道路を使って、あるいはガソリンなり軽油を使ってやられているわけですから、私はその便宜を受けている人が何か特定化されているとは思いません。

 ですから、ほとんど納税者と言ってもいいぐらい、国民と言ってもいいぐらいの範囲になるし、また、それを特定目的に使うかどうかというのは、さっきも言いましたが、ヨーロッパでは燃料税は特定目的には使っていません。主に福祉に使っていますが、一般財源化しています。だから、特定財源でなきゃいけないという理由は全くありません。結局のところは、午前中にも申し上げたように、国土交通省の巨大利権がそれを守ろうとしているんじゃないですか。

 ちょっぴり個別的なことを申し上げてあれですが、皆さんの手元にこういうビラをお渡ししました。きのうかおととい、私もインターネットで当たっていましたら、二階さんのホームページにちょうど当たりました。二階さんが、自分がこんなに和歌山のために頑張っているんだということを自分のホームページに書かれていました。

 つまりは、ここにグラフもありますが、本来、新直轄で百億円が和歌山の負担になっていたけれども、何か七月の五日にですか、菅総務大臣が衆議院の本会議場で私の議席をお訪ねになり、和歌山県の負担はこの際ゼロにします、こういうふうに言われたと。

 総務大臣、こういうやり方で個別にやるんですか、こういうものをゼロにしたりするのは。総務大臣、どうですか。

増田国務大臣 今の、そこに書いているやりとりを私は承知してございませんが、地元の御要望は私どもは常に丁寧に聞くようにしておりますし、それと同時に、こうした事業の実施についてはそれぞれ適正に、厳密に、私どもとしては公明正大に判断をしているところでございます。

菅(直)委員 一昨日、私は福岡に行ってまいりました。福岡に朧橋という、なかなか立派な橋ですね。これは、皆さんの手元に資料はありませんが、本体だけで六十一億、附帯を入れると九十数億で、地元では誠橋と呼ばれているそうであります。古賀誠さんの地元ですよね。きょう新聞を読んでいましたら、古賀さん御自身が、いやあ、私の地元だから予算がついたと言われるのは誇らしいみたいなことを言われていました。

 つまり、今総務大臣は適切にとお役人用語で言われましたが、結局は、道路特定財源の中身については、有力道路族のところには優先的につけるけれども、先ほど国土交通大臣が言われたような、まさにこういうところにこそ急がなきゃいけないとか、大分や宮崎のように、九州の東側の方には幹線道路が少ないから必要じゃないかというところは、もしかしたら、自民党の中で道路族議員の強いところに優先配分するものだから、そういうところがまだ整備がおくれている、そういうひずみが出ているんじゃないですか。いかがですか、総理。

冬柴国務大臣 朧大橋を含みます市道下横山東西線は、八女市上陽町というところから北部地区と久留米市を最短距離で結ぶ道路でございます。地域の住民の通勤通学に利用されているとともに、急病時には、救急病院のある久留米市の方へいわゆる命の道として重要な役割を持っている道でございます。

 この朧大橋というのは、深い渓谷の上に、上空七十メートルのところを渡っているわけでございます。したがいまして、橋の形式は、選定に当たって、アーチ橋やあるいはつり橋など幾つかある中から、経済性や施工性等を総合的に判断して決めた合理的なものでございます。

 旧道は、もう御存じのように、菅さんも見られたとおりだと思いますけれども、山間部にありまして、急カーブ、急勾配が連続しておりまして、朧大橋はこの渓谷部を渡る最短のルートであります。したがって、非常に合理的なものだと思います。

 上陽町から久留米市までの走行時間は、第一期の区間だけでございますが、一時間の短縮が生じております。したがいまして、一分一秒を争う命の道としては私は合理的だと思います。残り二区間がまだ整備中でございます。したがいまして、現在の交通量は日量二百台ということでございますが、二区間が完成すれば、土砂災害等を受けずに安全、安心をして通行できるネットワークが形成されるために、交通量は飛躍的に増加する。

 今もまだ未整備のところは、下をくねくねと、ここにも図面がありますけれども、蛇のように蛇行した道が高低差もあってあるということでございます。

菅(直)委員 もう一度、大臣、日量何台ですか。一日に何台通行しているんですか、その六十一億の橋を。

冬柴国務大臣 きょう現在は二百台でございます。

菅(直)委員 私も、一昨日、夕方に行って一時間前後見ましたが、取材とかの車を除くと本当に数台ですね。しかも、数キロ先はこうやって全面通行禁止ですからね。全部旧道に移るわけですから。

 つまり、確かに地元の方は大変喜んでおられました、地元は地元負担ゼロですから。今、八女市になりましたが、上陽町のときにつくった町長さんも出てこられました。五四%が国費負担です。四五%が県費です。道路特定財源から出されています。それは、地元の町の中におられる人は、一円も地元の税金が使われないでこんな立派なものができれば、使う人がたとえ少なくたって喜ぶのは当然なんです。

 ですから、そういうことを私は全部いいとか悪いとか言っているんじゃないんです。なぜ特定財源でなきゃいけないのかと言っているんです。特定財源でなくても、本当にこれは過疎地手当てでやっていますが、しかし一方では、混雑のところと過疎地のところ、どちらもそれは重要性があるかもしれませんが、それなら、そういうことを自治体の関係者でも集めて議論して、過疎地は、こういうところの過疎地は優先しましょう、しかし、混雑しているところはこういうところを優先しましょうと。

 なぜ、こういう有力な道路族の人がいるところだけが優先されているように私には見えますが、そうでないというなら、制度ごとそういう疑惑を招くようなことをやめたらどうかと言っているんです。

冬柴国務大臣 道路特定財源につきましては、長い沿革がありますけれども、先ほども総理が御答弁されましたように、五年ごとにその可否については十分慎重に審議をしながらここまで来ているわけでございます。

 国民はどう思っているのかということで、これはいろいろな考え方はあると思います。ガソリンを下げてもらった方がいいというふうに思っている人もあるかもわかりませんけれども、少なくとも千八百七十四人の首長全員が私の方に、道路特定財源は維持すべしということで、直筆で署名している……(発言する者あり)いや、直筆で署名したものが三冊来ていますよ。そして、私は……(発言する者あり)いや、ですから、いろいろな人の意見を聞かなきゃだめでしょう。首長さんは少なくとも一人残らず続けてもらいたいということをおっしゃっていることを申し上げたいわけですね。

 そういう意味で、今言われるように、ハンドルを握っている人たちが一番自動車の道路を延ばしてほしいという要望をしていらっしゃるわけです。したがって、その方々が負担をしていただくという意味で、我々は、この御負担を願っているタックスペイヤーの意思を除いて、それを全部道路と関係のないところへ使うという考え方は、税法の、税体系からもおかしな話だと思いますよ。

 したがいまして、特定財源とするかせぬかは別です。特定財源とした以上は、これはやはり道路に関係をするところに使うべきであって、それを特定財源とすべしというのは、地方自治体の、少なくとも現在、いろいろな党の人もいらっしゃると思いますよ、いらっしゃると思うけれども、首長さんは少なくとも私の方にそのような意思表明をしていただいているということを申し上げたいわけでございます。

菅(直)委員 よく国民の皆さんにも聞いていただきたいんですが、すべての首長が賛成している、私は、その事実はそのとおりだと思いますよ。それは、おととい行った上陽町の町長さんも、私は大変よかったと言っています。だって、自分のところを優先的に箇所づけしてもらったんですから。この間テレビを見ていましたら、前の宮城県知事の浅野さんが、自分も現職のときにさすがに言えませんでしたと言っていましたね。

 箇所づけをしてもらわなきゃいけない市長さんや知事さんの立場と制度の問題とは違います。それは私の地元でも、そういうまちづくり交付金がいただければありがたい。私も地元の自民党議員さんと一緒に、何とか、これは重要ですからと行ったことがあります。そこにも当時の代議士の鳩山邦夫さんもおられますけれどもね。しかし、そういうことのために市長が頑張るということと、制度として道路特定財源という制度本体が必要かどうか。制度があるから、その中の山分けだから自分のところによこせというのは当然ですよ。だからこそ、国土交通省ににらまれたくないから陳情に行くわけですよ。

 ですから、そういう国民の、制度の議論をしているときに、市長がこうだから、何とかがこうだから、そういうふうに陳情合戦をやらせている体質そのものが、陳情合戦を自治体の長にやらせていることそのものが、きょう午前中に話をしましたように、地方分権ということとは全く反した国の運営をやっているということを申し上げて、地方財源について移りますから見てください。

 いいですか、総務大臣は、国会の代表質問に対する答弁か何かで、九千億円プラス七千億円、一兆六千億円の穴があくというようなことを言われましたよね。きょうも午前中言われていましたね。それは、総務省のやり方をすれば一兆六千億円の穴があくと正確に言ってもらいたいんですね。民主党の案では一兆六千億円の穴はあきません。

 それを、今皆さんのお手元にもちゃんとお配りしましたが、ここにちゃんと書いてあります。いいですか。これは我々、平成十八年の決算ベースで出しましたから、来年度の予算とは数字が若干違いますが、基本構造は同じです。そこに、手元に皆さんお持ちですよね。

 平成十八年は、支出総額が十兆六千億、道路にかかっています、地方のですよ。借金返済、維持管理、建設費等ですね。政府の、つまり多分、増田さんは、この上の案を言われたんでしょう。普通税収四兆円、道路特定財源の本則分で一兆二千億、暫定税率分で一兆円。それから、国の交付金が〇・七兆円。これは、多分というか、揮発油税から持っていったものですね。それに、国からの他の補助金が一兆円。一般の借金で二・六兆円、こうなっていますね。

 皆さんは、この中で、暫定税率分の、当時でいうと一兆円、テレビの方はわかりにくいかもしれませんが、この部分ですね、その部分がまずなくなる。それから、そのお隣の、国の交付金、これが出なくなるから、当時でいうと一兆七千億円分の穴があくと言われました。

 我が党の考え方は、この暫定税率分一兆円は、先ほど来の直轄事業の話、地方負担分、二階さんのところは優先的に負担分がゼロになっているようですけれども、私たちは、一般的に直轄事業は、道路だけではなくて公共事業に対する国の直轄分は地方負担金を取りません。それで約一兆円が、これは一般財源として事実上、自治体が自由に使えますから、道路で使うのも他の目的に使うのも結構です。

 それから、揮発油税から来ている〇・七兆円は、我が党は、揮発油税が暫定税率を下げますから半分になりますが、地方への配分を今の四分の一から二分の一に上げる法案を用意しています。そうすれば、それだけ、〇・七兆円はちゃんと地方に補てんできます。(発言する者あり)

 今、やじが飛びましたが、国はどうするのか。国の事業費はそれだけ減ります。しかし、国の事業費が減るということと、本当に必要な道路かどうかという問題、さらには単価が適切かという問題はまた別です。

 かつて、長野県の栄村の村長は……(発言する者あり)ちょっと、うるさいですね。栄村の村長は、国の基準というのは物すごく高度のものを通るんですよ。先ほどの朧大橋でも、橋の上で舗装の幅が三メートル近くありますよ。ほかのところはそんなにないんですよ。そういう立派な基準でやるのか、その村や町に合わせてやるのかで、単価はがらっと違います。

 しかも、官製談合とかそういうものがどんどん続き、しかも、今や道路の特定財源で、とうとう職員のそれこそ福利厚生費から住宅費から、一万人を超える人間の賃金までそれから賄っている。

 そういうことを考えると、いいですか、総務大臣、国の事業費が減ることはそのとおりですが、国の事業量がどの程度減るかは工夫の余地がありますし、地方が自由に使える幅は、国が自由に使える幅は、それだけ逆に、額は同じでも大きくなるわけでありまして、もしこれに反論があるなら、しっかりと反論してください。(発言する者あり)

逢沢委員長 静粛に願います。

冬柴国務大臣 国からそれだけ回してしまったら、国はほとんど、除雪費用ぐらいしかなくなります。

 そうしますと、今、国が新直轄でやっている、例えば今の白浜すさみという道路、これは……(発言する者あり)そうですよ。いいですか、先ほど出された、二階さんと言われましたけれども、和歌山の整備率というのは物すごく低いんですよ、申しわけないけれども。全国の六五%に対してブービーですよ、四〇%。それで、すさみまで新直轄で今やっているわけですよ。それはゼロではありませんよ。これに対しては新直轄の負担方式で、国と、それから県もあります。そこに書いてあるでしょう。(発言する者あり)いや、一部起債していますよ。ですから、その部分が新直轄全部とまりますよ、四月一日から。どうするんですか。

 そして、一番ひどいところは鳥取県の三七%、そして和歌山県の四〇%、それからあの東国原先生、宮崎も四一%ですよ。そうしますと、そういうところでは国直轄事業をやっているんですよ。そういうところをするお金がなくなります。今、国直轄事業で事業者に六千六百億円、国は借りていますよ。この支払いすらできなくなりますよ。

 ですから、それは、地方が今までと同じようにやれるということと、では、国が今までやってきたことは全部とまってしまうということとをあわせて考えていただかなければ、その菅さんの道理は通らないように思います。

増田国務大臣 先ほどの菅先生が示された横の表でございますけれども、やはり、この直轄事業のところとそれから国の交付金、地方の方は手当てして、国の方は別途のコスト縮減等で手当てをすると言っていますが、額が大変でかいですから、私は、そういった形で本当にできるのかどうか、具体案がよくわかりませんけれども、非常に懸念されるところがございます。

 それからもう一つ、国からの補助金が、その右側に一・〇兆ということで書いてあります。しかし、これは全体、国からの補助金十九兆ぐらいあるんですけれども、義務的経費がほとんどでございまして、私が少なく見ても十四、五兆は固定的に出さなければいけないお金ですね。

 ところが、民主党さんの昨年のマニフェストを見ますと、これは十九兆のうち六・四兆円を削減する、こういうことを書いてございますので、この国から来る補助金について、そういうことであれば財源手当てがやはり十分にできないのではないかという心配がございます。これは私がただ単にこの場でいろいろ申し上げているだけではなくて、やはり、いろいろこうしたことについて考えている首長さん方は皆さん心配しております。

 一方で、交付税の方も、消費税一%、それから交付税の原資になっている大体一・二%ぐらい、合わせて二・二%、消費税は地方に回っているんですが、これも全部年金の基礎財源部分に充てるということになりますと、その分の地方財源も全部吹っ飛んでしまいますので、ここの普通税収というところにいろいろカウントしているのかもしれませんが、地方の道路についての手当てが非常に心配になります。

 したがいまして、地方に迷惑をかけないというお話でございますので、その点が、明らかにしていただかないと、やはり自治体の多くの皆さん方は今大変心配をしているという状況でございます。

菅(直)委員 いろいろ心配をしている方がいるのは事実だと思います。

 ですから私は、増田さんに言ったのは、増田さんが本会議で、来年度予算だと九千億だと言われましたが、九千億とそれから揮発油税からの臨時交付金ですか、その七千億を合わせて一兆六千億について、その計算は総務省のあなたの計算で、我々からするとこういう形で補てんしますと言ったら、そのことについては認めたんでしょうね。それ以外のところで心配だ心配だ、それは大いに結構です。議論はまたしてもいいです。しかし、少なくともその部分についてはきちんと手当てをしているということを、ぜひ私は国民の皆さんにも申し上げておきたいと思います。

 そこで、冬柴さんも何か言われていましたよね、ちょっと忘れましたが。とにかく、私は何度も申し上げますけれども、道路が必要がないとか言っているわけじゃ全くないんですよ。ただ、道路がすべてに優先する時代はやはり変わったんだと思いますよ。(発言する者あり)

逢沢委員長 静粛に願います。

菅(直)委員 まさに医療も、いろいろなものが必要なんですから。そういう中で、特に私、きょう午前中にも申し上げましたけれども、ほとんどが国がコントロールしているということは御存じでしょう、大臣をやってみられて。みんな来るでしょう。それはすべての自治体の首長が、大臣のところにぜひよろしくよろしくということを言うためには、まさか国土交通省が反対していることに民主党と一緒になって反対したら、自分のところが後回しにされたらかなわないと思うから、それだけの人がいるんですよ。全員がというのは逆に言えば、全部の市長さんが、あるいは知事さんがというのは、市長さんの中には共産党の人もおられるでしょうし、他の党の人もおられるでしょう。普通だったらばらばらになるにもかかわらず、この問題だけ全員一致というところにみそがあるんじゃないですか。

 つまりは、全員一致ということは、国土交通省という中央の役所ににらまれたら、自治体の中で補助金なり交付税が特別扱いされないで逆に切られるんじゃないかという怖さを感じているから、全員が一人残らず政府の方針に賛成している。不自然じゃないですか、それでなければ。このことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。よろしいですか。もし総理、何か反論があれば。総理、反論があればどうぞ。(発言する者あり)

逢沢委員長 静粛に願います。

冬柴国務大臣 首長さんの中には東京都知事さんもいられるわけでございまして、石原慎太郎先生ですよ。

 この間、憲政記念館で、多くの地方議員の方々がお集まりになって、この道路特定財源を維持してほしいという決議までされたことは新聞報道でもしておられます。そこへわざわざ石原知事がお見えになりまして、そして大演説をやっていらっしゃるんですよ。東京は、別におどかすとかできる人じゃないじゃないですか。私の方は、そんなんじゃないですよ。そういうことで、堂々と公式の場でおっしゃっている首長もいらっしゃるわけでございます。

 これは、東京は、あなたのようにすれば千三百七十億円の穴があきますよ、千三百七十億円。そういうことでございます。

福田内閣総理大臣 先ほど来、菅委員のお話を伺っていまして、率直に申し上げまして、ちょっと考えが過ぎるんじゃないかな、こう思いました。

 千八百数十の自治体の長がみんな国土交通省が怖くて物も言えないということは、あり得ないことですね、今は。今のようなこんな自由にみんなが物を言えるような時代においてそういうことがあり得ると考えることが、私は、ちょっとお考え過ぎじゃないのかな、こう思います。

 民主党の中だってそうでしょう。いろいろな意見があるんでしょう、民主党の中で。堂々と言っていらっしゃる方もおられるようでございますし、それはとてもいいことじゃないですか。

菅(直)委員 福田総理が……(発言する者あり)ちょっとうるさいですね。福田総理が何か私のことを考え過ぎだと言われましたが、福田総理はちょっと考えが過ぎないんじゃないでしょうかね。

 もう同じ繰り返しになりますから簡単にとどめますが、全部の現職市長や知事が同じ行動をとるというのは、私が市長でも多分同じ行動をとりますよ、それは。だって、自分の自治体に対してにらまれたくないから。当たり前じゃないですか。自分の自治体に対してにらまれたくないから……(発言する者あり)

逢沢委員長 静粛に願います。

菅(直)委員 そんなことがわからないようで物事を考えているということが言えるのか。つまりは、考え過ぎているのが私じゃなくて、当然そう考えるのが普通の政治家の感覚なんです。

 そこで、話をきょうの最後の課題にしたいと思います。

 総理、総理はダボスでなかなか画期的な発言をされていますよね。国別総量目標というものを提唱したいというふうに言われています。もちろんCO2の排出総量です。

 このグラフは、現在の我が党の案を、国別総量の我が国の分に当てはめてみたグラフであります。

 一九九〇年の排出総量は我が国は十二・六億トン。これは一人当たりが割とわかりやすいので、一人当たり十トンですね。それが残念ながら、下がるどころか上がりまして、二〇〇六年には十三・四億トン、一人当たり十一トンまでふえました。

 我が党は、二〇二〇年までに少なくとも二〇パー、つまり削減目標としては二〇%以上ということを申し上げております。私個人は、これはもうちょっと、三〇パーぐらいまでは削減量を引き上げられないかと思っておりますが、一応、現在のところ、こういう数字を我が党の正式な案として提案いたしております。それで十・一億トンになるわけです。つまりは、二〇〇六年に比較すると三・三億トンを減らさなければなりません。

 これには、省エネ、いろいろな省エネがあります。もちろん燃費をよくするのもありますし、燃料そのものが少なくても暖かくなるような家、あるいは夏、余り暑くならない家のつくり方等々で省エネですね。あと、エネルギー転換。ドイツなどは、ソーラーパネルから発電した電力は、固定買い取り制で、たしかハーフユーロぐらいと言っていました、一キロワット。ということは、六十円ぐらいで買っています。日本は、一キロワット二十円で我々が買っているんですが、電力会社が買ってくれるときはせいぜい十円ぐらいでしょうかね。高く買うことによって物すごくふえています。

 そういうソーラーや風力やあるいはバイオマスといったようなやり方を含めて、この三・三億トン、つまりは二〇%を下げて、そして一人当たりにすると八トンまでまずは下げたい。今、世界の平均が四トンです、一人当たり。八トンまでまず下げて、将来四トンから二トンを目指したい、こう思っています。

 私は、総理が国別総量制を目標とするということは大変結構なことだと思いますので、総理として、我が国の目標を何年ごろにどのくらいにすべきだと思っておられるか、せっかく目標を立てると言われるんだったら、国民の前でぜひ述べていただきたいと思います。

鴨下国務大臣 少し技術的なこともございますので……(菅(直)委員「目標値を言ってください、総理の発言なんだから。総理の発言ですから」と呼ぶ)いや、今、ダボスの中で、総理が国別の総量目標を設定する、こういうような発言をしたわけでありますが、その中には、昨年IPCCが発表した第四次評価報告書の中に、十年から十五年で世界の排出量をピークアウトする、こういうようなことと、二〇二〇年以降のいわば中期目標として二五から四〇%の削減をするということと、二〇五〇年には五〇%の削減をする、この三つの数字を留意した上でのいわば国別総量目標を立てる、こういうようなことをダボスで御発言をしたわけであります。

 その中で、これからどういうような削減のやり方、今、菅議員がおっしゃっているように、省エネは世界の中でも日本はトップレベルでございますし、あとは自然エネルギー、例えば太陽エネルギー、風力エネルギー、こういうものを上手に組み合わせる、なおかつ、例えて言えば、行政的な手法としての環境税だとか排出量取引、こういうようなものもいずれかの段階では工夫をしないといけない時期が来ると思いますが、そういうことすべてを組み合わせて、今IPCCが提示している十年から十五年でピークアウトをする、こういうようなことを総理は発言をしたわけでございます。

福田内閣総理大臣 私が申し上げておりますのは、長期的に言えば、二〇五〇年に半減するということなんです。ですけれども、その過程においてどうするかということであります。いろいろな考え方があり、EUではEUとしての発言がございました。

 ただ、問題は、すべての国が、特に主要排出国が納得する数字を出さなければいけない、そしてまた、それが実現可能でなければいけない、そういう課題を負っているわけです。ですから、そういうことを、例えば中期の目標をつくるというのであれば、そういう考え方に立って、科学的に、そして納得のいく、公平な数字を出していかなければいけないということでありますので、今ここで何%とかいうことは申しません。しかし、それは七月のサミットに向けて各国の合意を得ていくという努力をしてまいりたいと思います。

 二〇五〇年には半減するという目標があります。この二〇五〇年に半減でいいのかどうか、こういう議論も当然あると思いますものですから、やはり、その中間的な時点においても、目標はやはり高く示していく必要があるんじゃないかなというような感じがいたしております。

菅(直)委員 結局、今の総理の答弁も鴨下大臣の答弁も、ピークアウト、これは世界全体のことを言っているんですね。それから、いろいろなことも言われていますが、せっかく、総理が言われたのは国別総量目標なんですよ。この国別というのは、当然日本も入るわけですよ。ですから、日本がどういうことを目標にするんですかと言ったんです。

 今、総理は、二〇五〇年には半減と言われました。これは日本のことなんですね。二〇五〇年には、いいですか、一九九〇年で十二・六億トンですから、これを半減するということは、六億トンまで下げるとなれば、そうですね、約七億トンぐらい下げないと半減にはいきませんが、つまり、これを半分にするということは、日本のCO2排出量を二〇五〇年には六・三億トンにする、九〇年の半分にするというのはそういう意味ですか。日本のことなのか、日本のこと以外のことなのか、はっきり言ってください。

 総理です。これは総理の発言ですから。

福田内閣総理大臣 二〇五〇年に半減するというのは、昨年のサミットで合意を得たところなんですね。ですから、そういう……(菅(直)委員「ですから、日本がですよ」と呼ぶ)日本は、ですからその考え方に沿ってやる。二〇五〇年に半減でいいのかどうか、ほかの国が半減できないときには、世界の全体の量は日本がその分頑張らなければいけないということもあるかもしれぬし、他の国にそういうことを要請するということもあるかもしれない。それは、やはりそういう長期目標を掲げたということで、これから努力して合意を得ていく。そして、みんなにそれに参加してもらわなければいけないということでございますから、その参加してもらうということ。そしてまた同時に、とりあえずそういう中間目標に向かって、今からその削減に着手しなければいけない、そのことに我が国としては全力を注いでいきたい、こう考えているところです。

菅(直)委員 ほぼ答えられたんですが、ちょっと私は厳密に答えておいてもらいたいと思うものですから、これは。大変私は応援しているんですよ、そういう意味では。ですから、二〇五〇年に我が国の排出量を一九九〇年の十二・六億トンから、その半分の六・三億トンにする、それを我が国の目標にする、そういうことでいいんですね。我が国ですよ。どうぞ。

 だめですよ、総理が言われた言葉ですから。総理が言われたんですから。

鴨下国務大臣 今、総理がお話しになったとおりです。

 ただ、この二〇五〇年に五〇%削減するというのは、これは世界の目標ですから、その中で……(菅(直)委員「だから、日本の目標かと聞いている」と呼ぶ)いや、総理が今おっしゃったのは、その中で、日本が五〇%で足らなければ、より深掘りをしなければいけない、こういうようなことも今お話しになっているわけですから。我々は、五〇%を最低ラインとして考えていますけれども、ただ、そういうふうには、もっと削減しなきゃいけない、こういう状況になるかもわからない。そういう意味で、我々は五〇%以上を削減しよう、こういうようなことを目標に掲げている、こういうようなことを今、総理もおっしゃったわけであります。

菅(直)委員 非常に明快でしたから、総理の口からお答えください。

 いいですか、少なくとも半分以下にはするんだ、六・三億トン以下にするんだということを今、鴨下さんは言われましたが、そういう理解でいいですね、総理。

福田内閣総理大臣 何度もお答えしているとおりでありまして、我が国として、二〇五〇年に半減する。しかし、それまでの間に、二〇二〇年もしくは三〇年の間にピークアウトする、要するに、天井を打つということですね。そこから本当に減らしていかないと、そういう半減目標は達成できないということで、その目標のためにほかの国と協力して、そして、みんなが参加してやらなきゃできませんから、みんなを説得しながら、日本もそれなりのリーダーシップを発揮していく、こういう意味でございます。

菅(直)委員 なぜ私がこういうふうに念を押しているかというと、私、非常に懸念しているんです。

 例えば、これが環境省から出ているこの問題の資料でありますが、この中では、京都議定書で決まった削減の中で、森林吸収率が三・八%と入っています。しかし、これは科学的な根拠はありません。森林というのは、広がっていったり太っていったりするときは吸収しますが、木が枯れたり草が枯れたときは放出します。ですから、一年間でも、北半球が春から夏にかけては吸収します、CO2は下がります。しかし、秋から冬にかけてはふえます。ですから、植物というのは、単にあるからといって吸収するわけではありません。専門家に幾ら聞いても、三・八%は、これは政治的な妥協でしょうと言っています。

 それから、総理が今回言われたかどうかわかりませんが、一兆円の資金を出すと言われています。何かハンガリーから排出権を三百億で買うなんといううわさも出ています。つまり、日本ではできないから外国の枠を買うのもカウントされているのか、いや、日本自身もこれだけ下げるから他の国も下げてくれというのか、全く意味が違います。

 例えば、植物でいえばもっとあります。実は、日本は材木の八割は輸入しています。最終的には家を倒して、それが腐ったり燃やしています。しかし、外国から輸入した材木が燃えてCO2が出たのは、日本の排出量としてはカウントしていません。その国の、相手の国のカウント量となっていますが、相手の国は京都議定書に入っていない国が大部分です。

 そういうふうに、日本自身がこの十二・六億から半分にするという、五〇年であっても、我々はもっとやるべきだと思っていますが、それでも大変なんですよ。ですから、大変なことなので、私は、思い切ってよく言われたなと。ですから、あえて、日本という国の総量がこの半分になるんですねと。どこかから買ってくるとかなんとかという話は、それはカウントに入っているんですか。

 一千万トンを三百億でハンガリーから買うんじゃないかと言われていますが、もしそれで一億トンを買えば三千億、五億トン買えば一兆五千億、そういう費用がかかるんじゃないかという指摘をする専門家もあるぐらいで、金で何とかしようとしているのか、日本自身が自分の努力で、自分から出す量を絶対量として二〇五〇年までに半分にしようとしているのか。我々は当然半分にすべきだと思いますが、総理に決意を含めてもう一回はっきり言ってもらえますか、日本国としての総量目標を。

鴨下国務大臣 まず、一兆円の話でありますけれども、これは、例えばバリでいろいろと議論がありました。その中で、先進国が何をやるべきか、さらには途上国との対立をどういうふうにするべきか、こういうようなことの中で、これからコペンハーゲンのCOP15に向けて議論が進んでいくわけでありますけれども、その中で日本がきちんとした援助をしなければ、結果的にG77という途上国がなかなかこのバリ・ロードマップに参画してくれない、こういうようなこともありますので、まず日本はきちんと一兆円という資金を出して、そしてさらにG8諸国にも呼びかけて、途上国支援等もしっかりとやっていこう、こういうようなことでございまして、いわゆる京都メカニズムで買い取ればいい、こういうようなこととは全く別の次元の話でこの一兆円はでき上がっているわけであります。

 ただ、その中にはCDMで、もちろん京都メカニズムを使えるものもあるかもわからないけれども、これはトータルでいえば世界の排出量を削減する、こういうようなことにつながるわけでありますので、日本はそういう意味で積極的にかかわっていきたい、こういうふうに考えております。

福田内閣総理大臣 基本的な問題ですけれども、世界の環境をよくする、CO2を削減するということになりますと、他国にある森林をカウントする、そのためにお金を出すというようなことは果たしていいのかどうか。中長期的に考えた場合には、世界全体でそんな余裕もなくなってしまうということもあるかもしれませんし、その途上においては森林が減少してくるというようなこともあるかもしれないし。

 ですから、そういうようなことに頼ってはいけない、地球全体で、いかにして全体でCO2を削減するかということが問題なんだ、こういう基本的な認識というのは持っていなければいけないと思います。

菅(直)委員 では、最後にしますが、総理、私の資料の中のこの表をぜひ見ていただきたいのと同時に、参考にしていただければと思います。これは、一人当たりの排出量を表にしたものです。一番多い国は、一人当たりアメリカが二十トンです。日本はその半分の十トンです、これは二〇〇四年ですが。私は、ドイツなどは非常に環境問題で熱心だから日本よりも少ないだろうと思っていましたら、この時点では十・三トンで日本より多い。多分、石炭火力の影響が出ていると思います。中国などは一人当たりは相当少ないだろうと思ったら、もう三・七トンで世界平均にほぼ近づいています。絶対量では二〇〇七年にアメリカを超したと言われています。インドは、さすがにまだ一人当たりは一・一トンです。

 つまりは、なぜこういう数字を出したかというと、これは、総理は別の意味で言われたかもしれませんが、一九九〇年比較というのは、九〇年というときはその国その国にとっていろいろな状況があります。私は、普遍的に考えれば、何年というんじゃなくて、地球に住む人間一人当たり幾らか。平均が四トンですが、大体、専門家の言い方だと、平均四トンを半分以下にしないと、平均ですから半分以下にしないと、二度を超えての温度上昇は避けられないと言っています。

 ですから、ぜひサミットのときに、国別の総量を言われるのも私はよかったと思いますが、同時に、世界の目標、その中で日本が率先してここまでやりますという目標を出されれば、イニシアチブをとることも決して不可能ではない。もっとも、そのとき総理が議長をやられるかどうかまで私は保証できませんけれども、そのことだけ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

逢沢委員長 この際、松本剛明君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 菅議員の関連ということで質問をさせていただきたいと思いますが、少し順序を変えて、まず年金の記録の問題についてお伺いをしたいと思っています。

 今回の補正予算でも年金記録対応の予算が計上をされておりますけれども、この年金の記録の問題については、税金も時間ももう無駄遣いは許されない状況に来ているというふうに私たちは考えております。

 きょうは一月二十八日でありますが、私が国会で、総理大臣は当時、福田総理ではありませんでしたけれども、この年金の記録の問題を総理大臣に初めて聞かせていただいたのが、ちょうど一年前の一月二十九日でございました。そのときにも私どもは、ぜひ、大変なことになっているので、緊急事態を御認識いただいて、記録を全部送っていただきたいと要請をさせていただきました。この問題を政争の具にするようなつもりはもともとありませんし、我々も、政権には入っておりませんけれども、国の一端を担っている、そういう思いで問題を指摘させていただいて、そして、どう直していくべきかというのを提案させていただきました。

 しかし、この問題は、やはりここまで大きな誤りがあった、これを直さなければいけない、こういう問題であります。そういう意味で、必要なこと、過ちをきちっと認めていただいて、修正をしていただいて、本気で取り組んでいただくようにお願いをしていかなければいけません。

 一月二十一日のことしの衆議院の本会議で、福田総理もおっしゃいました。「言葉が躍るだけでは何も変わりません。政治は行動であり、結果でございます。」こうおっしゃいました。この年金の記録についても、しっかりと結果が出るようにしていくということをぜひ強く求めていきたいと思います。

 その上で、そうしましたら、まず、今のねんきん特別便の発送について、現在の状況をどう認識しておられるのか。舛添大臣も、これまで何度も本会議、委員会等でもお答えになっていますが、総理のお口から、今のねんきん特別便の発送状況、今の状況と回答の状況などについて認識を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 松本委員にお答えいたします。

 この名寄せの結果、ねんきん特別便を十二月からお送りいたしました。四十八万人に送付いたしまして、十六万人の方々から回答をいただき、十四万人が訂正なし、二万人が訂正がありました。

 ただ、これはずっと議論もあり、我々も相当議論をいたしましたのは、ねんきん特別便の中に、今回の三月までお送りする方々は、確実にこちらがその方の年金の記録だろうと思う方を発見した場合の方にお送りしている。これはきちんと何度も広報をやっておりますけれども、しかし、複数の方にお送りしたりとかいうことで、本人に行かなかったり、同じ記録が数人に行く。そうすると、そこで誤った思い込みがあったり、また、極端な例、不正が働かされたりということがあるものですから、残念ながら、その記録自身を御本人に御通知しない。したがって、非常にわかりにくくなっていることは確かであります。

 それは、るる文書で説明しているんですけれども、しかし、今はまず受給者の方々にお送りしているので、御高齢の方であってなかなかやはりわかりにくい、それから記録が五十年前だというようなことでなかなか記憶が呼び起こせない。そういうようなことで、十四万人が訂正なしというのは、今もう既にわかっている、つまり新たに発見したのではなくて、わかっていることについて訂正なしということをお答えいただいたんですが、しかし、肝心のいわゆるブランクになっているところの照合作業を社会保険庁と国民の皆さん方でやらないといけない、その作業まで至っていない。そこで、これは何とかしないといけないなということで、緊急に今、注意書きを入れて新たにやり直す、そして窓口の対応をさらに懇切丁寧にするという方針をとりました。

 具体的には、また必要があれば御説明申し上げます。

松本(剛)委員 大臣御自身が今おっしゃいました。そもそも、ねんきん特別便を送った先は、かなりの可能性でその方の記録ではないかという記録が見つかった方に対して送られた。そして、訂正なしという返事が思いのほか多かったという御認識ですよね。そうでよろしいですよね。

 訂正なしの方に、実は記録がある方がいらっしゃいましたか。

舛添国務大臣 今、サンプル調査を含めてやっていますが、かなりの確率で、訂正なしとおっしゃった方でいる可能性のある方がございます。先週サンプル調査をやりまして、そういう方がどれぐらいいるのかなということをやっておりまして、これはかなり、四割ぐらいおられるというふうに思っています。

 したがって、この方々にどういう対応をとるかということで、緊急にここのところの対応策を決めたところであります。

松本(剛)委員 今回送られた方々では、今複数の方というふうにおっしゃいましたが、複数の方でもなく、空白期間にいわばちょうど当てはまる記録がある方、恐らくというか相当、ほぼそうではないかという方だけでも五割ぐらいあるんじゃないですか。そういう認識で合っていますか。

舛添国務大臣 その前に、前提作業として、氏名と生年月日と男女別、それに加えて、今おっしゃったように、空白期間と年金の重複期間をやった。四つの要素でほぼ完璧に合うなということは、その方にほとんど間違いない、私もそういう認識を持っております。

 それで、約千通のサンプル調査をやってみまして、今おっしゃったように、期間の重複もない、そして、複数の方にじゃなくて、その方のみに通知した方というのが約半分、五〇・三%でございました。

松本(剛)委員 総理、この問題は、国民の側にもしくは受給者、被保険者の側に問題があったんでしょうか、国の管理に問題があったんでしょうか、どちらですか。

福田内閣総理大臣 この年金問題、今生じている問題、このことは、それはもう四十数年にわたりまして、四十年間という長い長い期間にわたるいろいろな問題があったんだと思いますけれども、それはやはり、国が管理している制度でございますから、その管理の仕方に問題があったということは、これはもう明らかなことでありまして、国の責任であると思います。ですから、そのことを政府として重く重く受けとめて、また、この制度が崩壊しないように全力を挙げてこの信頼回復に努めているということでございます。

 また同時に、国民の皆様に御迷惑をおかけしているということについて、何とかして御迷惑を少しでも少なくしよう、そういう努力を続けている最中でございます。

松本(剛)委員 おっしゃったとおりだと思います。だからこそ私も、政権ではないけれども、国の一員としてぜひとも問題を指摘して直していただきたいと思います。

 今回のねんきん特別便についても、問題があるという認識を、恐らく回答状況を見て、一月二十四日、二十五日に、関係閣僚会議を開かれたり、作業委員会を開かれたりされたんだと思います。ところが、関係閣僚会議の一番最初のところに、ねんきん特別便、予定どおり進んでいるという自画自賛のお話がありました。

 先ほど私は、あえて、結果がすべてという話をさせていただきました。私どもの民主党の会議においでになられた官僚の方々は、特別便を送れという仕事をしているのであって、それが記録に結びつくかどうかというのが仕事ではないと言わんばかりのことをおっしゃいました。結果がすべてというふうに申し上げたように、特別便を送ることが目的ではないはずなんです。記録につながる作業になるかどうかが目的のはずなんです。残念ながら、今回の特別便は、記録につながる作業としては極めて問題があるということの結果になったということだ、そういう認識をぜひ持っていただきたいということで、最初に総理にも舛添大臣にもお聞きをいたしました。

 私は議事録を拝見しておりましたら、参議院の本会議では、公明党の浜四津代行も、「再度、特別便を送付しても余り効果は望めません。電話や訪問などで、直接高齢者に分かりやすい説明をするなど具体的な取組をする必要があると考えます」と。与党の声すら無視して、予定どおり進んでいると言っているんじゃないですか。

 ここで一度抜本的にこのねんきん特別便の問題、注意書きを入れる、封筒を変える、それでもわかりにくいと皆さん言っておられるじゃないですか。これから幾らお金がかかるんですか、特別便を送っていくのに。こんな割合でしか回答が返ってこないような作業を延々と続けることは、まさに税金の無駄遣いであり、時間の無駄遣いですよ。送っている方々は受給者の方々で、高齢の方もたくさんおられるんですよ。

 何かあったらすぐ何カ月もコンピューターにかかるとおっしゃいますけれども、一度本気で多くの民間の人にでも聞いてみてください。私のところにもコンピューターの関係者の方、データをくれて守秘義務を課してくれたらもっと早くできそうな気がする、見た方はいませんからわかりませんけれども、そういう方だっていっぱいいらっしゃるんですよ。もっと広く情報をとって、しっかり年金受給者の方々に対応していただきたい。

舛添国務大臣 今御指摘ありましたように、もし社会保険庁の担当がそういう、送りさえすればいいというようなことであるとしたら、厳重に注意をし、きちんと指導いたします。私は、この一月後の調査を、サンプル調査をやって、やはりこれはわかりにくい、それで具体的に幾つかの手をとりました。

 まず第一に、全く外部の人たちによる、私直属のアドバイザーを取りまとめて、作業委員会をつくりました。その中には、連合の代表の方にも入ってもらいました。経団連から御紹介いただいて、生命保険会社の専門の方に入っていただきました。社会保険労務士の方にも入っていただきました。それとともに、最も社会保険庁に対して批判的な方々を数名入れて、これを二十二日に発足させ、このねんきん特別便の見直しを直ちに開始いたしましたが、その結果として、本来はプログラム変更をして、個々の方々に、これがあなたのいわゆる消えた年金の記録ですよということをおっしゃりたいんですが、そうではなくて、きちんと注意書きで、この期間がこういうふうにブランクになっている例がありますと。

 それからもう一つは、窓口対応。先ほどおっしゃったような五〇・三%、もうほぼこの方に間違いない、そういう方が来られたときには、市町村名、あなたの年金は厚生年金か国民年金か、事業所はこういう名前でこうであった、そこまでお伝えする。しかし、そういう段階、直接言える段階ではなくて、複数いて、どうも疑義がある方については、まず所在地を言う、業種について何々業だったと言う。そういう方々には段階を追って言う。そして、いよいよそれでも御回答のない方には、こちらから出向いていく、電話をしていく。そういう体制で、今、松本委員がおっしゃったことを直ちに実行する体制を組ませていただいたところでございます。

松本(剛)委員 もしそういう役人がいれば厳重に注意するとおっしゃいましたが、基本的に、先ほどもちょっとお聞きをいたしました。総理もちょっとぜひお聞きください。

 先ほど、訂正なしというふうに、非常にわかりにくい送り方をしたので、返ってくる返事も、実は本当は記録を直さなければいけない人がたくさんいるということがはっきりしたんです。ところが、一月の十八日の段階で、これは役所がつくられたんだと思いますが、ねんきん特別便の回答状況の対応で、訂正なしの御本人の回答は基本的に尊重します、こう書いてある。こうではないんじゃないかというふうに我々も申し上げた。そして、その一週間後に関係閣僚会議が行われた。ところが、関係閣僚会議で確認をされた文章の中にも、訂正なしの回答については基本的には信頼し尊重すると。

 もちろん、内容から見て優先度が高いものと思われるもの云々と書いてありますよ。しかし、もともと、送ったのが非常に可能性の高い人に送っているんですよね。調べてみて、四割の人は記録の訂正が必要だということでしたが、六割の人も訂正が必要でないという結論は出ていないはずなんですよ。確認できなかったというだけなんですよ。

 ひょっとしたらもっと高いかもしれない。少なくとも四割の人は訂正なしで送ってきたのに、直さなきゃいけない。残っている割合から見ても、六割、七割の人が訂正なしなのに、直さなきゃいけない可能性が高いはずなんですよ。にもかかわらず、役所が書いて、関係閣僚会議でもまた訂正なしについては基本的に尊重するなんていう文言を残させたら、どこに政治の指導力があるんですか。ぜひ根本的な考え方を変えてくださいよ。

舛添国務大臣 ひょっとして誤解があるといけませんので、ちょっと説明させてください。

 今回のねんきん特別便は、実は、受け取られる方々に対して二つの作業を要請しているわけであります。

 皆さんがお受け取りになるねんきん特別便の個人のデータのところには、既に確定していて、コンピューターにもきちんと、社会保険庁もきちんとわかっている、ずっと、何年何月、例えば厚生年金、どういう会社に勤めていて、何カ月入っていました、こういうデータがあります。このデータはきちんとプリントアウトして出ます。これについて間違いがございませんかという作業が一つ。そして、いや、これは間違いない、私は何年何月こういう会社に勤めていた、書いてあるとおりですよという方々が訂正なしというはがきを下さる。

 そして、実は二番目の作業が本来の作業であって、そうじゃなくて、例えば真ん中三年分があいている、この期間は本当は先ほど申し上げたようにお知らせして書きたいんだけれども、不正があってはいけないので、こちらが持っている。そこで、封筒にもいろいろなところに書いているのは、必ず御連絡くださいませんかと書いたのは、その作業を電話をいただく、そしてこちらが、ではこういう会社ですね、そうですねと言って、そのブランクの部分を埋める。これはほぼ全員の方にやってもらわないといけない作業で、松本委員、実はこの二つの作業があることが非常にわかりにくい。

 そういうことでございますので、訂正なしということを書かれた方々は、既にプリントアウトされていることについて訂正なしということをおっしゃったので、それは基本的に尊重しますが、そういう方々もどうか全員お電話ください、そして一緒に作業をして、ブランクのところをきちんと確立しましょう、このことがはっきりわかるように、今回新たに注意というか、文章を入れ、そして、窓口対応も本当にわかるように、ただヒントとかいうことじゃなくて、もうほぼ確定している方には事業所まで言う、そういう対応をとらせていただきました。

松本(剛)委員 ごらんになっていた国民の方が、今の説明でよくわかられたのかどうか。わかりやすかった舛添さんも、大変優秀な方ですから、半年間ですっかり役所の論理の展開がすばらしくなったな、こういうふうに思います。

 先ほどもおっしゃいましたけれども、訂正なしで送った方でもう一つ仕事が残っているというふうに理解をしている方がどのぐらいいると思いますか。

 総理、御存じでしたか、二つ仕事があるということ。総理、御存じでしたか、送られた人には二つやらなきゃいけないことがあるということ。そこまでは御存じないですよね。大臣、説明したんですか。それでもう総理は忘れているんですか。(舛添国務大臣「いえいえ、そんなことはない」と呼ぶ)そういうことじゃないんですか。

 今やろうとしていることは何なんですか。失われた記録かもしれない、行方不明なのか、消えたのか、いろいろな意見はありますけれども、五千万件の記録をもとの方に結びつける仕事をしているんでしょう。それなのに、その仕事が一番わかりにくくなるようなやり方を今しているわけでしょう。

 だったら、特別便のやり方を、一週間でも十日でも突貫工事で全部やり直していただかなきゃいけないじゃないですか。予定どおり順調に進んでいる、去年四月に約束したから三月までにねんきん特別便を送ればいいんだというつもりはないと思いますよ。だったら、ちゃんと返ってくるように、やはりここで変えてもらわなきゃいけないじゃないですか。

 私はここで非常に悲しい思いで質問させていただいているんですよ。一年前にお願いをしたことと基本的に同じことをお願いしているんですよ。変える気はありませんか。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、新たに文書を送付する、そして広報活動もきちんとやる、それと窓口対応も極めて丁寧にやる、それとともに、本日、この予算委員会終了後、社会保険労務士会の皆様方に御要請を申し上げて、各地の二万人おられますこの社会保険労務士の方々に相談員になっていただいて、しかも、では、社会保険労務士の事務所がどこにあるかわからない場合もありますから、市町村の役場、こういうところにコーナーを設けて、そこに行けば、例えば御高齢の方が見て、わかりにくい、これはどう見るんですかということについてもきちんと対応する、その対応作業を全力を挙げてやりたいと思います。

 いろいろな要請事項があって、それはもちろん、その一番の眼目は昨年一月に松本委員が御質問なさったことにこたえることにありますけれども、ただ、ひょっとしたら、既にわかっているなという記録の中にも間違っていることがあってはいけませんから、とにかく、ブランクのところ以外は全部お知らせして、そして、みんなで共同作業で一〇〇%確実なものにしていきたい、ブランクのところだけじゃなくて。そういう思いがございますので、我々も、私も全力を挙げて一人一人の記録を確実なものにしていくために努力をいたしますので、どうか国民の皆様方にも御協力を賜りたいというふうに思います。

松本(剛)委員 やはり年金のなくなった方の記録、これをどこかできちっとお示しをする時期がもう来ていると思いますよ。もちろん、競合の問題、成り済ましの問題、否定しません。しかし、最初にも総理にもお聞きをいたしました。国の側に問題があった以上は、やはり国民の側には親切に対応する。問題が起こった問題は、成り済ましなんかは犯罪ですから、それはきちっと対応しなければいけません。しかし、それはこちらで問題を解決できるように、普通の問題のない方々がスムーズに解決できるような仕組みをやはりつくるべきじゃないですか。

 相手の方々に記録をお示しするべきだということは、私たち民主党は去年の五月にもう申し上げているんですよ。長妻議員が去年の五月の本会議でお話をさせていただきました。

 五千万件の記録で名前と生年月日と性別が同じものを取り出して、

これはまさに、今のねんきん特別便でやっていることですよね。

 そしてシノダさんならシノダさんに、これはあなた様の記録ですか、これを工夫してお示しをする。昭和四十年何月何日から何月までこういう会社に勤めた記憶はありますか、あるいは、昭和五十年何月何日から何月何日まで国民年金に入っておられませんでしたかと直接その方に工夫をしてお示しをして確認を求める、こういう手法をとらない限り、前に進まないと考えております。

と申し上げたんですよ。

 いろいろな方のアドバイスをお聞きになるというお話が先ほどありましたが、率直に申し上げて、この問題に関しては、私たち民主党の仲間はずっと政府の先を行ってきたんですよ、一生懸命調べて、勉強して。その意見をまず聞かれるべきだったんじゃないですか。

 ねんきん特別便について、これを発送するときもいろいろなことを申し上げました。ごく一部取り上げたかのような、ちょっと曲がっていると思いましたけれども、封筒に表書きをしろと、これも、可能性が高いですと我々は書けと言ったのに、「可能性があります。」にお役所は直しましたけれども。一つぐらいは取り上げたことがありますが、もっと根本的なところで我々の意見をお聞きになる気はありませんか。

 これからまだ特別便も、被保険者も、そして最終的には全国民に送っていかなければいけない。一回始めたら全部その様式でやらないと気が済まないということであるはずはないじゃないですか。ねんきん特別便も始めたらとまらない。さっきの冬柴大臣も、高速道路、ばらばらにつくったからつなげないともったいないと。同じことですよ、やり始めたんだからとまらないといって。効果があればいいですけれども、効果がないことがはっきりしたんですから。ねんきん特別便について、根本的に変えるお気持ちはありませんか。

舛添国務大臣 私は、今回の措置で大幅に変えたつもりでございます。

 というのは、今から、松本委員、今度は第二次名寄せをやったときに、例えば三十人のうちのどなたかわからないというケースが出てきます。今回もそういうケースが、三十人ほどじゃないですけれども、複数というのがあります。そのときに、いろいろな不正や何かがあっちゃいけませんから、今、この長妻議員が発言なさったようなことは、例えば社会保険庁の窓口に来ていただく、そして、先ほど申し上げたように、もうこの方が一人でほぼ一〇〇%確実だ、その方には、こういう会社でしょうと。今までは、これは反省しないといけないのは、そのヒントも上げない、何かよくわからないことしか言わないというような批判がございましたから、何年何月、あなたは厚生年金ですよ、何という会社ですよと。それから、例えば病院なんかについて、何とか病院といっても、そういう病院じゃなくて、医療法人何とか会という全く違う名前であったりしています。

 そういうことについてきちんとマニュアルをつくって、窓口に来られる、そして電話をかけられる、そしてその前の段階で、とにかく文字を読むのでさえつらいという高齢の方がおられます、こういう方に対して社会保険労務士の方々の御協力を賜って、そしてそういうことがきちんとできるようにいたしておりますので、私は、この今とりました施策で相当の改善が見込まれると考えております。

松本(剛)委員 大臣、外の方々の協力ももちろん仰いでいただいたらいいと思いますが、まず中を統制していただきたいと思います。

 先ほどもおっしゃいました、実は、このねんきん特別便、それでも相談に来られた方々おられたわけですけれども、その方々に対する対応が極めて問題であったことは、既に報道をされておるとおりであります。(発言する者あり)裏マニュアルと言われて、一切ヒントを出すなというようなことがメールで通達で流れています。そして、そのもとになったQアンドAという素案ですけれども、これでも個別の記録に基づく誘導は一切行わないというふうに指示が出ています。

 そのこと自身大問題だと思いますが、こういう極めて国民にとって重要な、個別の記録に基づく誘導を行わない、こういう方針をだれが決めているんですか。私どもの会議で、こんな大事なものをだれが決めているんだ、こう申し上げたら、そのときは、テレビも入っていましたからもうはっきり申し上げましょう、これは事務連絡ですから決裁はいたしませんと言いました。そんな会社ありますか。国民にとってこんな大事なことをだれも責任をとらないで決裁する。質問通告を金曜日にさせていただいたら、きょうになって、実は決裁をしておりましたと。通告しなかったら多分そのまま通したのかもしれないぐらいに思っていますが。ではだれが決裁をしたのかといったら、企画課長さんが決裁をされたそうであります。

 これ、今、大臣もいろいろな案件を抱えていますけれども、最も重要な案件の一つじゃないんですか、この記録の問題というのは。我々も、国の信頼を回復するために急いでどうしてもやっていただきたいと思っている。そのことがうまくいくかいかないかの窓口の対応の方針を課長に決めさせちゃって、大臣に上がってこない、こんな仕組みでいいんですか。変えてくださいよ、決裁方法も。

舛添国務大臣 したがいまして、私のもとに直属の機関をつくり、すべて、例えばこういうマニュアルについても、次回、今度このマニュアルを改定しましたけれども、その私の直属の機関、外部の人間から構成されます。連合、経団連、社会保険労務士会、そして委員長は磯村さん、函館大の教授、それから岩瀬さん、こういう厳しい意見を持った方々が今後はきちんと精査をして、そうでなければ、こういうマニュアルについても私は認めない、そういう方針を確定したところでございます。

松本(剛)委員 大臣、一億八千万でもう一回送らなきゃいけなくなっているんですよ、少なくとも。

 決裁は大臣がしてくださいよ。それは、知恵はいろいろな人にかりたらいいですよ。あの人がいる、この人がいる、連合さんがいる、経済界がいる。それは、知恵はかりてくださいよ。だけれども、大臣が責任を持って自分で全部決裁をする。もちろんそれは、マニュアルをだれが精査するかは大臣が委託をされたらいいですよ。しかし、決裁は自分でする、そのぐらいのことを言っていただかないと事は前へ進まないと思いますが、それでよろしいですか。

舛添国務大臣 すべて重大な決断は私がいたします。

松本(剛)委員 ちゃんと決裁をしてくださいね。役所は、決裁をしなければ書類として残らないわけですから。そうでなければ、こんな、パネルにする暇はありませんでしたけれども、今度送る注意書きですね、これだって、皆さん、テレビで放映されますけれども、まだわかりにくいという声の方がはるかに多いですよ。きちっと相談体制をとるなり、先ほど申し上げました、与党の一角の公明党さんだって、直接尋ねなきゃいけない、こういう状況にきちっとこたえてくださいよ。

 この問題を何度も何度も質問させていただいている、このこと自身が大問題だと思いますよ。もちろん、この問題は一朝一夕に解決をする問題だとは思いません。非常に大変なことになる。しかし、こんな、年金の記録を送ってきちっと結びつけるという作業そのものの方向が違っているなんということをやっているようでは、入り口にすらたどり着かないような状況が続くわけじゃないですか。

 総理、ぜひ根本的に、ねんきん特別便にしても、やはりこれは違っていたなと思ったら、総理のところで一回とめて、早急に直して、わかるものを出せ、もしくはわかる対応をしろと。残念ですが、一月二十四日、二十五日の対応では、まだ同じことになる繰り返しがあります。責任問題とかそんなものを振りかざすのは私は好みではありませんけれども、二十四日、五日のことでまた同じような結果になったら大変なことですよ。ぜひ本気になって、もう一度精査をしていただくという決意をおっしゃっていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 今、厚生労働大臣からも答弁申し上げましたけれども、これまでの過程においていろいろな問題があったと思います。そういう問題があって、御指摘も受けながら、また御批判も受けながら一つ一つ改善をしていくということでありますけれども、根本はやはり、受給者と申しますか、相手の方が高齢の方々だということでございますから、それだけ気を使わなければいけない、そういうことではないかと思います。

 そしてまた、事の本質から考えても、それだけ余計注意をして取り組むべき課題だと思っておりますので、これは十分今後注意をいたしてまいります。

松本(剛)委員 これ以上むなしい思いをしたくないと思っておりますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、残念ながら、今までのは、やはり役所の中の、何とか済ませて責任を終わらせよう、こういうやり方がまだまだいっぱいあちこちに隠れているんですよ、ヒントを与えることにしても何にしても。与えることにもリスクがあるんですよ、おっしゃったように成り済ましやら競合の問題やら。だけれども、そのリスクは、我々、国の方がかぶるべきだということを申し上げている。そのことが言えるのは、総理、大臣しかいないんですよ。残念ながら、その言葉が聞けなかった。

 総理は即決即断のタイプではいらっしゃらないようですから、あすまた同僚議員がお聞きをいたしますから、できればあすまでにしっかりとそういう御結論を出していただきたいということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 地方交付税についてお聞きをさせていただきたいと思っております。

 今回、補正に関連をして、地方交付税等の改正案が出ております。内容はもう御存じのとおりでありますが、国が税収見積もりを誤ったので、地方にお配りをさせていただいた交付税が、予定の税収より減ってしまったので、その割合からいけばお配りをした交付税が配り過ぎになったので、今までの規則どおりいけば返してもらわなきゃいけない、それを返さずに済まそうということが一つ。そして、財政のこともあるんでしょう、交付税等の特会の借金の返済を、去年強行採決までしてこれから先はずっと返済をしていくんだと決めたのを早速繰り延べをした。サブプライムローンのリスケ以下ですよ、これ。そして、減収補てん債の発行をする。こういう三点だというふうに理解をしておりますが、根本のところで税収見積もりを誤ったということ、この責任を認めていただかないと、私たち政権をチェックする立場としては、うんと言うわけにはいかないと思っております。

 地方の財源を、地方に一度渡したものを取り上げることがいいとは思いません。きちっと渡すべきだと思います。減収補てん債の発行ということについても、そもそも一個一個縛っていること自身が、我々、地方分権の立場からは問題だと思っていますが、その大前提として、減収、税収の見積もりが違っていたというこの責任についてはお認めをいただきたいというふうに思います。

 総理が御回答いただけますか。

増田国務大臣 今の交付税の関係についてお答えを申し上げたいというふうに思うわけでございますが、この交付税の関係については、今お話ございましたとおり、毎年毎年の税収を見積もって、それで交付税、国税からも一定割合、それに最近では地方財政が大変厳しいものですから一般会計加算という形でいろいろと手当てをしている、こういう状況にあるわけでございます。

 今お話ございましたその見積もりでございますけれども、これについては、政府として国税、それから、この問題については地方税も当然絡んでまいりますので、そうした税収の見積もりについて、政府の方でつくっております「経済の進路と戦略」でいろいろ参考試算の名目成長率も出してございますので、そうした数値と、それから現実の税収ですね、一番直近の税の納付状況等をそれぞれの地域から吸い上げまして、できるだけ正確にこうした見積もりを出している、こういうことでございます。

 この点について、今、どういうことで違いが出てきたのかということだと思いますけれども、私ども、こうした見積もりをするについては、常に最新の数値等を使いまして、当然のことながら、でき得る限り正確に見積もりをしているということでございまして、今までもこの点についてはいろいろ、税収がふえた場合もありますし、減った場合等もございます。特にこういったことについて言いわけするつもりはございませんけれども、できるだけ正確な見積もりをしつつ、しかし、今の地方財政の置かれた現状を考えまして、今回こうした特別の措置をお願いしているものでございます。

松本(剛)委員 増田大臣、そして総理にもぜひお認めをいただきたいと思いますが、我々は、地方の皆さんに既にお届けをした交付税、それを取り返すのが適当だなんて思っておりません。減収補てん債の発行も地方財政計画でいろいろ縛っている絡みもあるからこういうことになってしまうんだと我々は思っていますが、そういうのも基本的に自由に……(発言する者あり)ちょっと、市長までされて何十万の代表もされた土屋さん、もうちょっと品格持たないと市民の皆さんがかわいそうですよ。

 それで、おっしゃるように、今あえて申し上げたのも、我々はその対応は必要だと思っているんですよ。ですが、税収というのはもともとかた目に見積もっていただかなきゃいけないものです、大臣だっておられますけれども。それが結果として穴があいたわけですから、その責任を認めていただいた上でないと、対策の議論に我々としては乗るわけにいかない。だから、対策をすべきだと思うからこそ、きちっと責任を認めてくれ、こう申し上げている。対策云々とか、これは答えによっては地方が困るからという、地方を人質にとって自分たちの責任逃れをすることになっちゃうんですよ。ぜひ責任をきちっと認めていただきたい。

額賀国務大臣 税収見積もりについてのお尋ねでございます。

 これはもう、直近の課税の実績、足元の経済動向、各種経済指標等を考えながら見積もりを行っているわけであります。

 データ的に申し上げますと、十八年度の当初予算において、当時は、成長による増収が一・五兆円あって、それから定率減税が一・五兆円戻ってくる、そういうことから十八年度の補正では五十・五兆円の税収見積もりをしたわけでありますが、その後、企業の法人税がマイナスになりまして〇・九兆円、それから配当金の税収も〇・五兆円減りまして、これで十八年度決算ではマイナス一・四兆円の減額になったわけであります。

 そういう経済の流れを考えまして、十九年度の補正においてはマイナス〇・九兆円の減額補正をした。その上に立ってこの二十年度予算をやったわけでございまして、経済は生き物でありますから、何も一国経済だけではなくて、世界の経済に動かされる中でふえたり減ったりしているわけでございますから、我々は、適切に政策を運営しながら、そういう経済運営の正常な姿を取り戻すように努力をしているわけでございます。

松本(剛)委員 税収は当たるも八卦当たらぬも八卦だから責任はない、そういう話ですか。そうじゃないでしょう。私は、責任をお認めくださいにとめたんですよ。責任をおとりくださいとは言わなかったんですよ。ちゃんと申し上げているんですから、きちっとやはり反省をしていただいて次へ行かなかったら、同じことの繰り返しじゃないですか。

 今回のこの、地方を人質にとることにもなっちゃうわけですよ。地方の問題を解決するためにこれを認めてください、そして誤ったことはうやむやにさせてくださいと言っているのと一緒じゃないですか。

 ぜひここでけじめをつけていただいて、地方のために対策を打ちましょうよ。どうですか。

額賀国務大臣 我々は日本の経済を正常な軌道に乗せるまでにさまざまな政策を展開して、今ようやく景気回復の軌道に乗っているわけでございます。

 しかし、経済の動きというのは、もう松本委員御承知のとおり、日本一国だけで動いているわけではないわけであります。しかもなおかつ、外需依存に相当重きがある日本経済の運営でございますから、世界の経済の動きによってどうしても我々の経済状況というのは変化をしていくわけであります。それに伴って税収も変化をするわけでございます。そういう変化が少ないように、できるだけきめ細かく我々は政策を展開しておるつもりでございますけれども、その状況の変化に合わせて予算をつくり、政策を変化させていくことが政治でございます。

松本(剛)委員 せっかく総理が本会議で、結果がすべてだとおっしゃったのに、今の額賀大臣では、言いわけがすべての政権になっちゃうじゃないですか。

 我々は、総理も話し合いをしようとおっしゃる、この総務の地方交付税等の法案というのは、地方にとっては大変重要な法案だと我々も認識をしています。しかし、税収見積もりを誤ったからといって、だれも問題がないと言ったまま過ぎてしまっては、議会のチェック機能が何も果たせないじゃないですか。その点については、ぜひきちっとお認めいただきたい。総理、いかがですか。

額賀国務大臣 もちろん、我々は、経済が右肩上がりできちっと成長していくことが望ましいわけであります。しかし、いかなる過去の歴史を見ても、経済が計算どおりいくことはあり得ません。計画経済でも、うまくそういうようにはいきません。

 ただ、我々は、経済が落ち込んでいくことについては、そういうことがないように全力投球をするし、皆さん方の御意見も聞きながら、間違いがあれば正していかなければならないというふうに思っております。

松本(剛)委員 経済運営にも責任がおありなはずなんですよ。おっしゃると、そうなったらどんどん広がっていきますよ、話は。きちっとけじめをつけて、対策の方へ行きましょうよ。政権を預かるというのはそういうことじゃないんですか。

 ぜひ総理、この税収見積もりの件について、総理のときではありませんでした、前の政権のときです。まあ、一つ申し上げれば、先ほど定率減税云々と申しましたけれども、前の政権は、私たちが景気をよくしたから税収見積もりを上げるんだ、こう言ったんですよ。違っていたわけなんですから、政府としては税収の見積もりが違っていたことを認める。ぜひ。

額賀国務大臣 ですから、私どもは、適切な経済政策、経済運営を行うために、多くの人の意見を聞きながらしっかりと対応させていただいておりますし、その中でやはり、成長路線をとっていくこと、そしてまた同時に、財政を健全化させていくために歳出削減も行っていくこと、そういうことをやりながらまた今日の政策をつくってきたわけでございますけれども、世界の経済が落ち込んで税収が減ったら、減ったことに対応して、国内においてもあるいはまた地方財源についても、言ってみれば遜色がないようにするのが政治であり、その手を打たせていただいたのが二十年度予算であるということであります。

松本(剛)委員 増田大臣、私たちは、総務委員会の現場でも、地方のために必要な対策を打っていこう、しかし議会としての使命は果たさなきゃいけない、それであえてお聞きをさせていただいている。しかし、自分を守るために地方は切り捨てるという答えがずっと続いているようでは、いつまでたっても前へ行かないんですよ。増田大臣、これでいいんですか。

増田国務大臣 地方を切り捨てるという考えは政府には毛頭ございませんで、私どもの方で、やはり税収見積もり自体、でき得る限り正確に見積もりをとらなければいけないのは事実でございますが、その上で、今の地方の財政対策、これは地方財政計画の中で歳出をぎりぎりの段階で厳密に見積もっておりますので、それに足らざる分は責任を持ってやはり国として手当てをする必要がある、こういうことで今回の御措置をお認めいただけますようにお願いをしているところでございます。

 決してそういう切り捨てということではなくて、むしろ、地方の厳密に見積もった歳出に合う財源手当てをぜひお認めいただきたい、こういう趣旨でございますので、ぜひ御理解を賜りますようお願いします。

松本(剛)委員 結果責任はうやむやに、地方を人質に対策だけとらせてくれということなんですか。総理、本当にそれでいいんですか。結果責任をお聞きしているんですから、結果がすべてとおっしゃった総理の答えをお聞きしたいと思います。

福田内閣総理大臣 見通しと実績の違いということでありますけれども、見通しは見通しなんですよ、あくまでも。ですから、どんぴしゃ一致するなんてことはめったにないことでありまして、一致したらそれはそれでいいですけれども、それは偶然ということも随分あるんだろうと思いますよ。

 ですから、問題は、そういう差異が出ることはあるんだということを前提に、そうしたらば、差異が出たときにどういう対応をするかということが大事なんじゃないんでしょうか。そういうような形で前向きに物を考えていかなければ、経済運営なんていうのはできないと私は思っております。

松本(剛)委員 先ほど額賀大臣にも申し上げましたけれども、今、我が国にとっても、経済運営というのは非常に大事な時期だと思うんですよ。そのときに、政府の税収見積もりはどんぴしゃで当たることはないと宝くじを買うみたいな言い方をされたのでは、どうにもならない。

 きちっと、ことしの分にしても去年の分にしても、スタッフもかけて予算もかけて見積もりを立てているし、財政の見積もりというのはかた目にとって、財政の規律をつくっていくわけじゃないですか。そして、結果においてこういうふうに、特に減額、穴があいたということは、やはり大きな問題ですよ。上だろうと下だろうと同じ確率だという話じゃないわけですよ。

 ぜひ……(発言する者あり)同じことではないんですよ。財務省出身の方がそんな言葉とは思えない。(発言する者あり)

 ちょっと、静かにしていただけませんか。

逢沢委員長 静粛に願います。

 松本剛明さん、どうぞ質問を続行してください。

松本(剛)委員 ぜひ、そこのけじめをつけていただくということをもう一度政府に要請しないと、この地方の大きな問題というのは前へ行かない。

 増田大臣、もう一つお聞きをします。

 先ほど、地方切り捨てではないということでしたが、道路財源に関連して一兆六千億か七千億減収になると言いましたが、臨時交付金七千億、あれは揮発油税全額に対してですよね。違いますか。

増田国務大臣 揮発油税収の四分の一ということでございます。

松本(剛)委員 暫定税率を切ると、揮発油税収が幾ら落ちて、臨時交付金が幾ら落ちるんですか。

増田国務大臣 二兆八千億近くが……(松本(剛)委員「それは総額ですか」と呼ぶ)総額ですね。そのうちの四分の一ですから、七千億が影響が出る、こういうことでございます。

松本(剛)委員 暫定分が減収になったときに臨時交付金に幾ら影響が出るんですかといったら、二分の一の四分の一じゃないんですか。大臣がおっしゃっているのは、国のお金を残して地方から切るということをおっしゃっていることに等しいわけですよ。

 地方切り捨ての感覚だなと思いながら先ほどの一兆七千を聞いていましたけれども、もう一度、訂正されませんか。

増田国務大臣 したがいまして、その二分の一ということですから、大体三千五百億ということになります。

松本(剛)委員 地方の税収が暫定で落ちる分は九千億だというのは、私もそういうふうに聞いております。足したら一兆三千億ぐらいじゃないんですか。暫定税率を守りたいから何もかもいつも大きく言う人と増田大臣も一緒になってしまったんだなと思いながら聞いていましたが、ここで訂正されますか。

増田国務大臣 地方の団体の心配というのが今幾つかあるわけでございますが、その九千億がまず、今先生お話しのとおり、落ちます。それから、七千億、臨時交付金について、国の方の暫定税率が切れるわけでございますので、これ全体が当然影響が出てくる、私どもはこういうことで申し上げたところでございます。

 したがって、この問題、実はそのほかにも、先ほど申し上げましたように、地方道路財源の中の手当てをしなければいけない分、いろいろあると思います。民主党さんの案を私も随分克明に見せていただきましたけれども、そのほか、補助金の分一兆円についての手当ても大変心配になりますし、それから一般財源についての部分の手当ても難しいということです。そもそも、国費が、その分、振りかえの分が大丈夫かという問題もございます。

 決してこれは私がためにする議論ではなくて、首長からそういう相談が随分寄せられているものでございますので、やはりそうした道路財源全体の地方に対する影響というのはよく考える必要がある、このように考えております。

松本(剛)委員 テレビ討論でなければ、議事録を確認するまでとめたいぐらいですけれども。

 冬柴大臣、暫定税収がなくなったことによる地方道路臨時交付金が幾らなくなるというのは、幾らというふうに考えているんですか。

冬柴国務大臣 二十年度の揮発油税の総額は、本税、暫定、合わせて二兆七千六百八十五億円です。したがいまして、本税は一兆三千八百四十三億円、それから暫定上乗せ分も一兆三千八百四十三億円です。

 ところが、この中から四分の一を渡すというのは財源特例法の中に規定がありまして、それが飛んでしまうわけです。したがって、全部なくなるということで、この二兆七千六百八十五億円に対する四分の一を昨年度までは渡していましたけれども、今回、その渡すという根拠がなくなりますと、四分の一、すなわち七千億が入らなくなる、こういうことでございます。結論的にはそうです。

松本(剛)委員 自民党がおつくりになった制度を役所の言うとおり運用すると、地方に自由に渡しているお金から自動的に切れるような仕組みになっているということを逆に示していることに等しいじゃないですか。だって、国民に対しては揮発油税の四分の一を地方に回しますよと言っている。それで、上の二分の一がなくなったら、その四分の一からなくなるということを言っているわけでしょう。そういうことに等しい、結果としてそういうことでしょう。

冬柴国務大臣 そのように考えられるのも無理ないんですけれども、臨時交付金を渡すという根拠がなくなってしまったら全部行ってしまうということでして、それは七千億が消えますということです。

松本(剛)委員 先ほど菅議員も申し上げましたけれども、ここは立法機関でございますから、そういう仕組みをつくればいいじゃないですかという話を申し上げている。

 全体の中から二分の一がなくなるときに、そのなくなる側に地方に回るお金が全部入っています、こういう話ですよね、これだけなくなるというのは。我々は、残った側からまず地方に渡す分を渡せばいいじゃないかというふうに申し上げている。(発言する者あり)今、自民党の皆さんから、そういう法律になっていないと。自分たちで法律をおつくりになろうという気がない自民党だから、立法機関とは思えないからそういうことをおっしゃるんだろうというふうに思いますが、自分たちで法律をつくってルールを決めればいいんですよ。

 そもそも、もう時間が限られましたから、総理に一つお聞きをさせていただきたいと思います。

 今回の暫定税率の問題でありますが、暫定は三月の終わりに切れるわけですよね。ということは、ルールどおりであれば切れる……(発言する者あり)ちょっと失礼じゃないですか。暫定が切れるわけですから、これは、国民に対してはもう一度税金をかけることに等しいんですよ、暫定税率をもう一度要請をするということは。改めて課税をするということです。

 昨今の原油高の情勢からすれば、これは新しい税金だったら多分おやりにならないでしょう。今まで繰り返し繰り返しやってきて、いわば国民の中に刷り込まれたから、何となく維持だということで通していますけれども、今まで五年なら五年分やってこられて、今回は、では新たに十年、それが必要だと思うからこそ、先ほど冬柴大臣も中期計画を出されたんだと思う。しかし、この中期計画であっても、内容は随分と我々から見れば粗い見積もりだというふうに思っております。

 ぜひ総理、暫定税率をかけるということは、もう一度税金をかけるんだという認識でよろしいですよね。その確認をさせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 暫定とはいいながら、やはりこれは必要性があってお願いをしているわけでございまして、よろしくこの三月中にその法案が成立するように御協力をお願いしたいと思っております。

松本(剛)委員 中期計画について一つだけお聞きをさせていただきたいと思います。

 先ほど大臣、パネルを出して説明しておられましたよね。よかったら、ぜひその中期計画の中身、繰り返しになるところは割愛をしていただいていいんですが、その内訳の金額を教えていただけませんか。

冬柴国務大臣 先ほども申しましたけれども、十六にまとめましたが、ここへ余りたくさん書くのはあれですから、九つだけを書いてあります。それで、どれを言いましょう。(松本(剛)委員「では、左上から行きましょうか。救急病院は」と呼ぶ)救急病院、これは七兆円でございます。(松本(剛)委員「通学路は」と呼ぶ)通学路は……

逢沢委員長 委員長の指名を得て御発言ください。

 松本剛明君。

松本(剛)委員 私は一応九つ全部についてと申し上げましたけれども、時間もあれですから、では、救急病院は七兆円、あかずの踏切、学童の通学路、よく皆さんがおっしゃるもの、橋の修理、その残り三点をおっしゃってください。

冬柴国務大臣 通学路が二兆八千億でございます。それから、あかずの踏切除去は四兆一千億円でございます。それから、渋滞対策は二十一兆六千億円でございます。

 それぐらいですか。一つ一つ挙げますか。

松本(剛)委員 総額が六十五兆円の見積もりだったと思います。五十九兆円以下に抑えよということでお決めになったというふうに承知をしておりますが、どこを六兆円減らしたのかという答えは今のところはないというふうな御説明を承りました。

 そして、今もお話がありましたが、あれだったら、ぜひもう一度掲げていただけたらと思いますが、私が申し上げたいのは、道路が必要でないというのは私どもも一度も申し上げたことはない、しかし、限られた財源の中で何を優先してつくるのかということが大事なんだ。そして、その限られた財源については、暫定税率は国民とのお約束の中では一度切れるお約束なわけですよ。それを改めて要請するのかどうかといったときに、先ほども、六十五兆の中の一割になるかならないかのあかずの踏切や通学路のお話を非常に大きく取り上げておやりになる。そして、三割、四割を占めている大きな話、高速道路なんかは、言う順番は大体後の方が多いわけですよ、きょうもお聞きをしていましたけれども。

 農水大臣おられますけれども、お聞きはしません。食品表示で偽装と言われたものは、割合の大きいものの順からちゃんと書かなかったら偽装だと言われたんですよ、民間の皆さんは。道路だって、一番割合の小さいものを取り上げて、これがなくなるんだと、あたかも全部を象徴するかのようにおっしゃるような言い方をやめて、冷静な議論をきちっとさせていただきましょうよ。

 道路財源の暫定税率がなくなるということで、通学路の対応が全くできなくなるなどというような発言をされる方がどこかにいらっしゃいますけれども、通学路を優先して残して、あかずの踏切も残して、でも、あかずの踏切も千四百カ所分の計上をされていますけれども、本当のあかずの踏切は六百カ所だけですよね。「等」の方が八百カ所あるという、お役所らしい文書ですけれども。

 その六十五兆円の中身の精査もこれからじゃないですか。これをきちっとやってから、それでも必要ならその分を請求書を国民に回すべきであって、この六十五兆円というのは、国民に暫定税率、ガソリン代リッター二十五円の請求を回す請求書、見積書としてはとてもとてものめるものではないということを強く申し上げたいと思っております。

 道路財源その他まだまだお聞きをさせていただきたいこともありますが、では、そこだけ。

冬柴国務大臣 中期計画の素案で提示をいたしました事業費六十五兆円につきましては、高速道路の料金引き下げなど中期計画以外の取り組みも考慮し、素案での整備目標を変更することなく約一割削減を実現すべく最大限努力することとして、中期計画の事業量の上限を五十九兆円と、政府・与党の間の合意といたしたわけであります。

 具体的には、道路特定財源の見直しの具体的な内容を検討する中で、新たに措置することとなった高速道路の料金引き下げや信号機の高度化などソフト対策によっても渋滞対策やあるいは交通安全対策などが推進されること、また、中期計画とは別に行われるまちづくりや地域づくりと一体となって行われる道路整備、まちづくり交付金によっても生活幹線道路の整備や安全な市街地の形成などが推進されることにかんがみまして、これを一生懸命一割を削減しようということでございます。

松本(剛)委員 細野議員に席を譲りますが、上限五十九兆円だと言っているのに請求書はもう丸々出ているわけじゃないですか、リッター二十五円。ぜひそういうことはお考え直しいただきたいということを強く申し上げてまいりたいと思います。

 以上です。

逢沢委員長 この際、細野豪志君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。

 松本委員に引き続きまして、菅委員の関連質問ということでお伺いをしたいと思います。

 まず、福田総理、ダボス会議、お疲れさまでございました。ヨーロッパですので時差もありますので、大変お疲れの中、きょうはこうした審議ということで、大変お疲れさまでございます。

 私の方は通告していなかったんですが、菅委員の方でダボス会議について幾つか通告をしておりますので、お伺いをしたいというふうに思います。

 国内でのいろいろな報道を見ておりますと、このダボス会議での総理の発言、国別の目標設定をしたということで、国内的には、ある程度踏み込んだ、そういう評価の報道が結構ございます。

 ただ一方、では、ダボスで総理の演説、この講演というのがどういう評価を得たかということを私もかなりの人数に聞いてみました、行ったと思われる知り合いすべてに。民主党の関係者もおります。そうしますと、実は必ずしも評価が高くない。むしろ、若干お疲れになっていたということもあったんでしょうか、少し元気がなかったとか精彩を欠いた、そういう評価もございました。

 そうしたいろいろな評価の中で私が一番気になりましたのが、一緒に登壇をされたイギリスのブレア前首相の方から御質問があったそうですね。サミットでどのような合意が得られそうかというふうに水を向けられて、総理はこういうふうにお答えになっている。議長として各国の意向を取りまとめるのが役割だ、そう答えられている。

 これは、先ほど総理が午前中の質疑の中でダボス会議についていろいろ御発言されていましたが、他国を説得したい、そういう力強い国会の答弁とダボスでの発言は随分温度差があって、この部分が、非常に、ある種評価を下げた部分があるというふうに聞いております。

 総理、では、どのようにして説得をして、どのようにしてリーダーシップを発揮しようとされているのか、その辺、自信のほどをちょっとお伺いできますでしょうか。

福田内閣総理大臣 ダボス会議は、私は、TICAD4もございますし、またG8サミットもあるというようなことで、これを重視しておりました。ですから、非常に短い時間でございましたけれども、出席をして、そしてまたいろいろな方々と話し合いをし、そしてまたスピーチをしまして、日本の基本的な考え方、これを述べたわけであります。

 そのスピーチをしたときの会場で、トニー・ブレア前首相がおられまして、今のようなお話がございました。しかし、それは、ブレアさん、よくわかってくれたと思いますよ、御自身、苦労された話ですからね、当事者として。ですから、私もそんな消極的な意見を言ったつもりはございません。積極的に、前向きに、そして何とかして議長としての責任を果たしていこう、そして温暖化に向けて世界をリードしていきたい、そういう意欲は十分に申し上げたつもりであります。スピーチと一緒に聞いていただければよかったと思っております。

細野委員 恐らく、ブレア前首相の御発言というのは、そういう趣旨の発言ではないんですよね。EUの中では、もう日本よりも恐らく一周二周先を行った議論が行われている。つまり、排出権取引については、もう、ある程度市場自身ができています。そして、自然エネルギーの問題についても随分各国が積極的に取り組んでいる。当然、市民の意識も非常に高い。そういった意味で、我が国とは全然状況が違って、これだけこの温暖化の問題について、これまで必ずしも積極的な発言ができなかったこの日本がサミットでリーダーシップをとれるのかという疑問を呈したのがこの質問なんですよ。少なくともそういうふうに現地に行った人間から私は聞いています。

 では、総理に伺いますが、日本がリーダーシップを疑われている大きな原因は、先ほど申し上げたとおり、目標を設けたところで、その目標をどういうふうな手段で達成するのか、手段が全く見えないということなんですよ。

 国内の議論を考えてみてください。自然エネルギーはどうするんですか。これは、私は何度もこれまでも議論を吹っかけてきたことがありますが、経済産業省はほとんどやる気がないですね。では、排出権はどうするんですか。環境税の議論はどうするんですか。その議論を国内できちっとイニシアチブをとってやる自信がおありなんですか、サミットまでに。このことについて、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 細野委員とはちょっと認識が違うようでございまして、私は、非常に積極的に、前向きにサミットをリードしていけるだろうというように思っております。

 ただ、これからいろいろな国と話し合いをしなければいけないということですよ。G8の国だけじゃないんですよ、途上国とも新興国とも話し合いをしていかなければいけない、そして全体がまとまるようにこの仕組みを考えていく、そういう重い責任がありますので、それを成功させるために全力を挙げていきたいと思っております。

 現実的にということは、もう今からできることはたくさんあるんですよ。そのことを実行していこうという提案をいたしましたけれども、これは日本の得意わざだというふうに思っております。この日本の得意わざを発揮して世界をリードしていく。当面、これは必要なことですよ。将来的にはいろいろな数値目標とかございますけれども、当面やることは、まず、京都議定書を守るために全力を挙げるということに手をつけなければいけないということがございますね。

 そしてもう一つは、日本の技術をほかの途上国、新興国にも提供して、それを使ってもらう、そして排出を極力抑えていただく、そういうような方向にみんなで取り組んでいくということが必要なので、そういうことを私は現実問題として取り上げていきたい、こう思っております。

 そしてまた、中期目標とか将来的な目標、二〇五〇年五〇%というのがございますけれども、そういうような目標もしっかりと議論していくということは必要だと思っております。

細野委員 私は、幾つか具体的な問題についてどうですかというふうに伺ったんですが、総理からは、みんなで頑張ればという、精神論も含めた努力的なお話がございました。

 要するに、そういった具体的なことについて我が国は何も決まっていないんですよね。そういう中でダボスに行って、確かに数値目標についてはそれなりに言及をされましたけれども、それが国際的なリーダーシップにつながるとは到底見えない。そのことだけは、感想としてまず申し上げたいと思います。

 その上で、この議論だけをしていても前に進めませんので、その手段の一環としてお考えになっているものがどうかも含めてお伺いしたいんです。

 総理は、この国会が始まってからの議論の中で、道路特定財源、この問題について、現行税率維持は地球温暖化問題への対応の観点からも必要である、そういう趣旨の発言を何度もされていますね。これは、今までの政府のスタンスからは信じがたい発言なんですよ、我々からすれば。ぜひ総理、どういうロジックでこの暫定税率の維持が温暖化の防止に寄与するのか、そこをちょっと、総理は何度も発言されていますから、論理的に御説明いただけないですか。

福田内閣総理大臣 これは、何も私が突然言い出した話じゃないんですよ。もう既に、何回もこういう話をしているわけです。この委員会でもこの問題は取り上げられていると思いますよ。そして、温暖化対策ということも配慮した予算の執行ということについて説明しているんではないかと思います、過去の委員会の内容は知りませんけれども。しかし、三年前に政府・与党で決めているんです。そして、そういうふうな考え方は、それ以来の特定財源の議論のときには入っているんですよ。ですから、ことし初めて入ったという話じゃないということは、ひとつ御理解いただきたいと思います。

 そしてまた、温暖化というか、CO2排出削減という意味におきましては、道路を整備するということはやはり必要なことではないんでしょうか。あかずの踏切もそのうちの一つだろうと思いますし、それから立体交差、そういうふうなことも必要だろうし、CO2をできるだけ出さないような仕組みというものは道路関連においてもいろいろあるんだろうというように思いますので、そういうことも必要だし、また同時に、国際的に見た場合に日本のガソリンはヨーロッパに比べて非常に安い、そしてその中でガソリン税の占める割合も非常に低い、こういうことがございますから、他国の場合には環境対策というような、すべてじゃないかもしれぬけれども、そういう名目でもうここ二十年ぐらい年々上げてきているそういうガソリン税を、日本はこれをずっと据え置いている。

 そういうことで、結果的に、国際社会の中でも非常に低い税率になっているということでございますから、その税率をさらに下げるということがどう思われるか。まあ、どう思われたって構わないんだけれどもといえばそれはおしまいですけれども、やはり、日本はそういう問題にも十分配慮しているという姿勢というのは、対外的には大事なのではないかと思っておりますから、この辺は細野委員はよくおわかりだと思っております。

細野委員 いろいろおっしゃいましたが、総理、こういうことですか。

 道路をつくれば、その道路をつくったこと自体が環境によくなる、そうお話しされませんでしたか。要するに、環境対策で道路をつくれば渋滞緩和になるという趣旨の発言をされましたね。それが一つ。

 もう一つ、ちょっとよくわからないんですが、要するに、暫定税率を撤廃すれば直接的に環境に悪い影響があるというふうに政府は試算をされているんですか。お答えください。

 これは総理が何度も根拠を持って答えられていることですから、総理にお伺いします。委員長、総理に聞いてください、総理が手を挙げていますから。

逢沢委員長 鴨下一郎環境大臣、そしてその後、総理、お願いします。

鴨下国務大臣 政府として試算しているか、こういうようなお話でありますので、私からも一言申し上げさせていただきます。

 揮発油税等の燃料課税の暫定税率、これを廃止することはCO2が増加することにつながるというようなことは、これはもう既に国立環境研究所の研究においても試算はしてございます。

 その中で、社会全体でのCO2の排出量がどうなるか、こういうようなことを一定の仮定を置いて試算したところ、暫定税率を維持した場合には年間で約八百万トンの増が出る、こういうようなことが試算結果として出ておりまして、この八百万トンというのは……(発言する者あり)排出した場合……(発言する者あり)暫定税率を廃止した場合はその分だけガソリンの値段が下がる、こういうようなことで年間に八百万トンふえる、こういうようなことでございます。

細野委員 恐らく環境省の方からそういう御答弁があるかなと思って、私、それは読んだんですね。確かに、今おっしゃったとおり、おととし国立環境研究所が、目標達成計画の五年間で一年平均八百万トンの排出量、そういう試算を出しています。ちなみに、八百万トンという数字は我が国の一年間の排出量の〇・七%です。〇・七%が多い少ないという議論はしません。

 ただ、もう一つ指摘をしていきたい。その二年前に、同じ国立環境研究所は同じ試算をしているんですね。そのときは、一年間平均五万トンから四万トンで試算しているんですよ。

 どういうふうに試算を変えたか調べてみたら、経済成長率を、一・九%から二・五%にずっと上がるという試算に変えているんですよ。ずっと成長力が上がっていくという試算を置いているんですよ。

 そして、もう一つ、大変重要なところですが、ガソリンの価格弾性値。すなわち、ガソリンの値段が上がったり下がったりしたらどの程度ガソリン消費がふえる、減る。これを弾性値といいます。その数値の一番高い数値を使ってこれは計算しているんじゃないですか。だから、二年前から同じ研究所が試算をしているにもかかわらず、こんなに、それこそ排出量が倍になっているんですよ。

 政府の試算としては、こんないいかげんな話はないんじゃないですか。大臣、どうですか。

鴨下国務大臣 今まで車の数というのは、例えばオイルショックのとき、あるいはその後、徐々にといいますか、急速にふえまして、現在、ガソリンを使っている車は六千五百万台。人口減少社会に入ってなおかつ六千五百万台。こういうような時期においては、おっしゃるように、価格弾性値というようなことにおいては、これからさらに新たな設定を置いてやらなければいけないことは確かでございますけれども、少なくとも、今までの状況をすべて勘案した結果八百万トンというのが出ているわけでありまして、これから、もし、そういうような意味で、より詳細にというようなことでありましたら、また、今既に検討をさせているところでありますけれども、より鮮明にさせていただきたいというふうに思っています。

 ただ、加えて申し上げますと、季節のさまざまな問題というのも含めてですから、かなり長期にわたってこの調査はしないといけない、こういうようなことも考えております。

細野委員 いろいろ私も調べてみまして、経済産業省系の財団法人日本エネルギー経済研究所は、ガソリンはほとんど価格弾性値がないというふうに示しています。

 そして、これまで政府は何と言ってきたかというと、手元に経団連の資料がありますが、温暖化に対して経団連はこういうふうに言っています。温暖化の問題に関し、環境税についてこういう言い方をしています。原油価格の高騰を背景にガソリンの価格は二〇〇四年度以降約二年半で約四割上昇しましたが、我が国全体のガソリン消費量は特に抑制されなかったから環境税の導入は効果がないと言っているんですよ。同じ論理で政府はこれまで環境税の導入に反対してきたじゃないですか。その問題との整合性がありますよ。

 最後にもう一つ指摘をすると、私の手元に、これまでの暫定税率の上がった年を含めたガソリンの消費量がずっと書いてあります。一九四七年も一九七六年も、そして一九七九年も、ずっと暫定税率は上がっているけれどもガソリンの消費量はふえています。

 そういう指摘を踏まえて、総理、よろしいですか、この環境の問題についてはきちっとしたデータはないんです、根拠がないことは言わないでいただきたい、民主党批判でおっしゃっているんでしょうけれども。

 では、本当にどの程度効果があるのかきちっとお調べいただけるか、これは約束いただけないですか、総理。どうぞ、総理にお願いします。さっきも総理に聞いていますから、委員長、総理に。

冬柴国務大臣 済みません。

 道路整備と環境の関係でございますけれども、自動車は時速六十キロで走っているときが最もCO2の排出量が少ないわけでございます。したがいまして、あかずの踏切等で長い渋滞でアイドリングをやられますと、東京は、よく御存じでございますけれども、相当な排出量があるわけです。

 したがいまして、道路整備を進めるということは環境に優しい政策でございまして、これを、我々の道路の中期計画を読んでいただいたらわかりますけれども、十年後には一千六百万トン削減をするということを目標に政策を立てているということを申し上げたいと思います。

逢沢委員長 鴨下環境大臣、短時間に、簡潔に御発言ください。

鴨下国務大臣 ガソリン車の量がふえていったというようなことも考慮しないといけない、今委員の御指摘の中で。

 もう一つは、これは経験的にもおわかりになると思いますけれども、ガソリン価格が上がれば消費量は落ちるというのは大体予想はつくわけでありますけれども、ちなみに、例えば二〇〇三年の十二月から二〇〇五年の十二月まで、百五円が百二十九円に二十四円上がったときに、増加率でいうと二三%上がったときに、大体消費量は一・五%減、こういうようなこともございますので、より詳細に、信頼される数字としてお示しをしたい、こういうふうに思います。

細野委員 もうこの問題はこれで終わりにしますが、この二年間のガソリンの価格の推移と国内の消費量をとってみました。消費量の方はがたがた振れが大きいですから、移動平均をとりました。これを見ていただければわかりますけれども、価格が上がるときにむしろ需要は上がっているんですね。逆に言うと、需要が上がったときに価格は上がっているんですよ。

 では、価格が上がったときに需要が下がるということがこの中から見られますか。これだけガソリンの価格が上がっているときに、例えば二十五円下がって、ことしの四月がその時点ですが、そのときの価格である百三十円前後になったときの需要量は今よりもむしろ低いですよ。この価格で、二十五円上がったときに、お気楽にドライブに出るとか、ばんばんそれこそ車をたくさん使うなんというのはいませんから、そんな試算は、これはあり得ないということは申し上げておきたいと思います。しっかり計算をしてください、出してください。

 総理に、ちょっと観点を変えてもう一つだけ聞きます、この問題で。

 今、総理も冒頭で、いいですか、道路整備をすると環境がよくなるというふうにおっしゃいました。確かに、道路局の出している道路予算を見ていると、環境対策、地球温暖化対策、この予算として合計三兆円もつけていることになっている。三兆円です。

 総理は今回、ダボスに行っていらっしゃいましたね。温暖化の問題に力を入れられるわけですよね。この三兆円で温暖化対策とおっしゃるなら、例えば環境省の予算、一年間二千億円ですよ。環境対策と銘打って道路には三兆円投げ込むけれども環境には二千億円というのは、これは明らかにバランスを欠いているので、全体として環境税制を考え直した方がいいんじゃないですか、この道路の部分も含めて。これは総理にお答えいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 我が国も環境に対して直接的にもっとお金を使うべきだといったような話がございます、環境税の話もございます。過去においても何回かそういうふうな議論もございました。しかし、これはやはり、環境税を取らなければ、財源の問題もあるわけでありまして、ほかのところは今一生懸命節減に努力をしているということもございますので、環境を何とかしなければいけないというときには、それは、新しい税源を求めるということはないわけではないんだろうというふうには思います。

 しかし、今現在は、我々としては一生懸命財政の合理化、節減に努めておるということでありますので、そういうような節減の結果、またそういうような議論をさせていただくということも将来あり得るかと思いますけれども、きょう現在は、そういうことは考えておりません。

細野委員 将来的な話ではなくて、このバランスは即解消すべきですよ。我々もしっかり政策をつくって皆さんに提案をしますから、すぐに検討していただきたいと思います。

 では、少し次のパネルをごらんいただきたいので、総理、ちょっと一枚めくっていただけますか。

 もう先週から議論されていますので御存じの方が多いと思いますが、道路特定財源という、道路に使うと言われていたお金から国土交通省がレクリエーションにお金を使っていたということが報道されています。

 細かいのでちょっと見にくくて恐縮ですが、平成十六年には、卓球ラケットほかフットサル、ソフトボール、いろいろなものにお金を使って、総額三十二万四千十八円。実は、十七年も十八年度も一定の、こういうスポーツ用品にお金が使われているんですね。金額の多寡はいろいろあります。

 冬柴大臣、一つちょっとまず聞きたいんですが、これはやめると聞きました。やめるのは結構です。それを確認したいのと、もう一つ指摘をしておきたいのは、実は二年前、平成十六年度のこの予算は、マスコミでこんなのが使われていると批判をされたんですよ。批判をされたにもかかわらず、その後も使っていた。これは何なんですか。さらにもう一つ言うと、十七年にちょっと減らした後、十八年度にまたふやしているんですよね。これは何なんですか。大臣、お願いします。

冬柴国務大臣 直轄国道二万二千キロの維持管理のために、職員が一万四百三十五人、本当に昼夜分かたずと言ってもいいぐらい働いてくれています。

 そういう人たちに対する待遇として、国家公務員法七十三条、御存じだと思いますけれども、規定に基づきまして、各省庁の長は職員の職務能率の発揮及び増進のためレクリエーションの実施に努めなければならないというふうに定められておりまして、こういうような規定に基づいて、この表によりますと、十六年から十八年までありますけれども、十七年、二万一千円ですよね。ですから、私は、各会社におきましてもあるいは学校でもそういうようなものはあると思うんですけれども。

 ただ、これはやめることにいたしました。それは、法律の根拠はあります、違法ではありませんが、妥当かといったときに、一般の国民の方が、高いガソリンで大変、本当に塗炭の苦しみをしていられる方もあると思います。そういう中にあってこの暫定税率の維持をお願いする立場として、職員にも私から申し上げて、これはやはり一切個人負担でやってほしいということをしまして、これを廃止することにいたしました。それで、そういう運用をさせていただくということにいたしました。

細野委員 国土交通省にはレクリエーション用具の購入についてという内規がありまして、事務連絡で、バット、グローブ、ラケット、バレーボールなどは買ってもいいことに今でもなっています。ちなみに、マッサージ器、マージャン卓、ゴルフ練習用具は買っちゃいけないことになっている。これは社会保険庁のをそのまま当てはめているだけ。

 実は、これを挙げたのは、これ自体をどうこうというよりは、特別会計の問題点を言いたかったんです。今回、これを出してもらうのも大変苦労しました。十六年に問題になっていたので、十七年、十八年、出したくなかったんでしょう。いろいろな細目に分かれて載っていますから、それぞれの部局ごとに幾らだったのかということを、それこそ集めないと出てこないんですよ。

 同じような問題がほかにもあります。

 例えば、国土交通省の宿舎は、これは、いいですか、大臣、直轄事業費の中の工事費の中に宿舎費は入っているんですよ。工事費の宿舎といえば、つくるときに何かプレハブを建ててと、一時的に建てるものをイメージするじゃないですか。違うんですよ。官舎が工事費の中に入っていて、これだけで二十五億円。人件費は、一万数百人分ですが、これで八百三十億円。では、人件費はどこまで入れるんですか。さらには、今、福利厚生費が問題になりましたが、これが全部合わせると二・三億円。特別会計の中ではこういうのができるんですよ。もう大臣にはこのところは聞きません。

 総理、いいですか。総理に聞きます。

 今でもこの道路特別会計、道路特定財源も含めて、離れですき焼きは続いているんですよ。こんなものを放置して今度暫定税率をまた上げるなどということが通用すると思いますか。総理に聞きます。

冬柴国務大臣 済みません。

 宿舎をどういうふうにするかというのは国家公務員宿舎法という法律で規定されておりまして、道路整備の必要経費として予算に計上して、そして皆様に審議をいただいてと、それは河川でも港湾でもそうでしょう、ほかの省庁だってそうでしょう、そういう扱いになっていたわけですよ。

 しかしながら、先ほども申し上げたように、道路特定財源についてこのように議論をし、そしてまた、皆様方からもこういう角度で取り上げられるということになりますと、私どもといたしましては、職員に対して、新規には建てるとかそういうようなことはもうやめようと、今からですよ、しばらく。こんなことを……(発言する者あり)それはそうでしょう。これはやはり、皆さん、もう将来ともに全部未来永劫やめてしまうという、これは国家公務員宿舎法の規定から見てもおかしいですよ。そう思いませんか。

 だって、公務員も働く人ですよ。働く人たちですよ。そういう人たちの宿舎を、そういう中に道路整備に要する費用として整理することは認められているわけでございまして、ほかの省庁もそのようになっているわけでございます。御了解いただきたいと思います。

細野委員 大変残念ですが、国土交通大臣が国土交通省の役所の皆さんにもう完全に言い込められていると、よくわかりました。

 おかしいじゃないですか。何で道路の工事費に公務員の宿舎が入っているんですか。宿舎なら宿舎でちゃんと別項目を立てて、それは何に必要だから幾らと書けばいいじゃないですか。それが特別会計なんですよ。それをきっちり指摘をして無駄遣いをやめさせるのが大臣の仕事じゃないんですか。役人の代弁をしているだけではそこに座っている意味ないですよ。

 総理に伺います。

 きちっとこういうのを改めて、暫定税率を上げるのはこの後にしてください。これをきれいにしてからじゃないと国民は納得しませんよ。総理に伺います。

福田内閣総理大臣 工事費の中に宿舎がどうして入っているか、こういうことでございますけれども、ちょっとこれは担当大臣によく聞いていただきたいと思います。

 一般的に言って、宿舎費、これは道路整備の要員のための宿舎、これは認めてあげていいんじゃないかと思いますよ。ただ、福利厚生費、福利厚生といっても、これも割合とそういうふうに言ってしまえば通りのいい言葉ではないかと思いますけれども、その内容について、娯楽的なものまで入っているということについて国民の皆さんに御理解いただけるかどうかというと、まさに今、国土交通大臣から答弁がありますように、こうやって大変お願いをしているときでございますから、これは金額として少額といえども、やはりきちんとした対応というのはあったのではないかというふうな感じがいたします。

 そういうように、民間会社と違いますから、国民の税金でやっているという意識、これはやはり一人一人の公務員がしっかりと持って対応してくれなきゃ困るというふうに思っておりますので、そういう趣旨はよく徹底したいと思っております。

細野委員 細かい議論はもうしませんが、総理、総理がサラリーマンをやっていた時代と今は違うんですよね。

 会社で運動会をやるとか、会社の行事のときにはいろいろそういうのはあり得ますよ。でも、今、職場でチームをつくって野球のユニフォームをつくるのに会社から出してもらう会社なんてないですよ。(発言する者あり)ありませんよ、そんなのは。そんなものは自分で出してください。それぐらいの、もう時代は変わっているんだから、社会常識つくって、税金ですからね、当たり前のことをやってください。

 私、この議論はもうここできょうは打ち切りますが、今話を聞いていて、環境とか何か、とにかく道路が必要なんだとおっしゃるけれども、環境政策を本気でやっているようには正直思えない。大臣がおっしゃる、いろいろなものが入っていて、それはこれ、役所はこう言っていますからしようがないんですと。レクリエーションも官舎もつくっている。本当に道路かどうか、これもわからない。何でそこまで皆さんが道路財源にこだわり、道路をつくり続けるのか、そのヒントの一つがこの辺にあるんじゃないかというので、皆さんにお示しをします。

 これは、二〇〇六年度の収支の中にある、日本道路建設業協会から国民政治協会、すなわち自民党の政治団体に対する寄附の金額です。

 上から、清水建設、鹿島建設、大成建設、大林組。最大手のゼネコンですよ。ここから二千万近い献金が来ています。ずうっとこうリストがあって、でかいところから順番に献金が来ているんじゃないですか。

 これはまさに氷山の一角です。多分、大臣のそれぞれの方ももしかしたら心当たりがあるかもしれないけれども、それぞれの皆さんが支部長をやっている政治団体、特に政党支部にも入っているんじゃないですか、同じようなものが。パーティーチケット、皆さん、買ってもらっていませんか。こういう皆さんの方向を皆さんは見ていませんか。国民の側をしっかり見ていますか。このことに我々も疑念を持っているし、今テレビを見ている国民の皆さんもみんな疑念を持っているんですよ。

 ちなみに、これは「自由民主」、自民党の広報紙ですが、日本道路建設業協会は二〇〇五年の党大会で友好団体として表彰を受けている。私は、この業者がそれぞれ仕事をとって、頑張って仕事をしていただくことは否定をしませんよ。しかし、本当に向かなきゃならないのは、こういう業界の皆さんではなくて、国民の側で、自民党の政治というのはそっちを見ていないんではないかという思いを非常に強くしています。

 そして、総理、このことは、今の国会の中でこの法案をどう議論するかということにもつながるんですよ。総理、今、これから幹事長間で話し合いが行われることになっています。聞くところによると、ブリッジ法案を出してくる、予算関連であるにもかかわらず、そういう話が出ていますよ。

 総理、自民党総裁ですから、このことについてさまざまな議論を党内でしていることは当然御存じですね。総理として、まさかこの時期に、補正予算を議論しているこの真っ最中にブリッジ法案をねじ込むようなことはないでしょうね。御答弁ください。

 総理に聞いています。委員長、総理に、自民党総裁に聞いています、国土交通大臣は議員立法と関係ありませんから。総理に聞いています。(発言する者あり)委員長、だめです。委員長、総理に聞いています。質問権を侵害しないでください。

逢沢委員長 手を挙げられた閣僚を指名します。

 福田内閣総理大臣。

福田内閣総理大臣 ただいまの御質問でございますけれども、内閣としては既に、税制改正法案、そしてまた関税定率法等の改正案、また地方税法改正法案を提出いたしたところでございまして、国会においてこの三法案が速やかに審議をされて、そして年度内に成立するということを願っておるところでございます。

 与党において、議員立法で、いわゆる今おっしゃられたようなつなぎ的な法案を提出する動きがあるという御質問に対しては、現時点で与党としてそのような法案を提出することを決定したというようなことは承知いたしておりません。

 いずれにしても、内閣提出のこの三法案が年度内に成立するということが、これら法案の日切れに伴う国民経済、生活の混乱を回避して地方財政への重大な影響を招かないためにもぜひとも必要である、そういう立場でございます。国会において速やかに審議に向けて、ぜひ野党の方々にも御協力をいただきたい、こう思っているところでございます。

細野委員 総理の今の御答弁を聞いて、私は大変安心をいたしました。

 財政法という法律があります。そこには予算についての規定が書いてあります。「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」いいですか。「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」財政法十六条、「予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為とする。」予算そのものに歳入歳出予算が入っている。

 税法は、特にこのブリッジ法案、これに入ってくると言われているガソリン税を含める暫定部分は予算の一部です。財政法違反じゃないですか。

 今、総理は、政府としては出しているとおっしゃいましたね。政府が一体として出している予算案とは別に、これは予算権の、編成権の侵害であり、予算の提出権の侵害なんですよ。これはしっかり阻止してくれますね。これは総理としてお答えをいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 質問の御趣旨ですけれども、今私が答弁したばかりですよ。要するに、与党としてどういうようなものを考えているか、そういうふうなことに、内容について承知しているわけじゃありません。そういうことをやるかどうかということも私は知りません。

 ですから、それは、ただいま申し上げましたような法案が年度内にきちんと成立していただければ、私どもの立場としてはそれでいいんです。よろしくお願いします。

細野委員 総理、私は法律を根拠に聞いています。

 いいですか。税が入ってくるのは、これは歳入なわけですよ。出ていくのは歳出なわけですよ。歳入歳出一体として予算というというのが財政法の規定なんです。今回出してくる特措法を、仮に前倒しで、二カ月か三カ月かいろいろ言われていますが、仮に四月からのものを出してくるとすれば、それはまさに平成二十年度の予算の一部なんですよ。違いますか。

 まさか、自民党、与党が財政法違反をするのを総裁として見過ごすことはありませんねということを確認しているんです。しっかり答弁してください。

額賀国務大臣 予算の歳出歳入については、年度内に成立をさせ、そして、歳入法案も予算も一緒に、同時に採決させていただいたのが今日までの国会のあり方でありますから、それを目指して全力投球をしているだけであります。

細野委員 では、総理はどうもこのことについてはおわかりにならないようですから、大変私は残念ですが、財務大臣に伺います。

 では、政府としては、歳入歳出一体として予算なので、これを一体として通す。すなわち、今回出てくるかもしれない、財政法の違反をする可能性があるブリッジ法案、これは、それこそ財政法違反なんだから、政府としては認めがたい、そういう答弁でいいんですか。しっかり答えてください。

額賀国務大臣 もう総理がおっしゃったように、私も、そういう法案が検討されているとか、そういうことは一切知りません。

 予算担当大臣として、予算というのは歳入法案と一体的に処理されなければならない、それを年度内に、野党の皆さん方の協力も得て、きっちりと約束してくださることをまずお願いしたいと思います。

細野委員 財務大臣はあえて論点をずらしているんだと思うんですが、いいですか、財務大臣、これは財政法違反ではないですかということを聞いているんです、ブリッジ法案は。予算を規定するわけでしょう。使い道を決める歳出とセットの予算を、これを規定するのがこの暫定税率の問題なんじゃないですか。そこの部分を先にやってくるというのは、財政法違反そのものじゃないですか。そうじゃないんですかと、その法律の解釈を聞いているんです。しっかり答えてください。

額賀国務大臣 先ほどから言っているように、政府としては、与党がどういうことを検討しているのかも知りませんし、中身がないのに、違法であるとかないとかわかりません。

細野委員 総理、総理も財務大臣も知らないというふうにしらを切られました。この答弁は議事録にも残ります。財政法の規定も、これも当然あります。

 自民党が何を考えていらっしゃるかは私自身も存じ上げませんが、仮に、総理、再度、もう一つ聞きますが、今、補正予算を審議していますね。本予算の前ですよ。まさか補正予算の議論をしているきょうの夜、もしくはあしたの夜、あしたの昼、まさかそんなことはあり得ないでしょうね。補正予算ですよ。そこは約束をしてください。いいですか、総理、補正予算の審議の妨げを与党がしようとしているんですよ。それを許すんですか。とんでもないことですよ、これは。

 総理、補正予算を審議しているんだから、これを優先しろと当然言うべきでしょう。答えてください。

福田内閣総理大臣 与党の方も、これは国民経済に、また国民の生活に影響を与えることのないように、歳入歳出一体となって年度内に成立するようにということで、一生懸命いろいろ考えてくれているんだろうと思います。

 ですから、与党の方でどういうふうな結論を出すのか私にはわかりませんが、目標というか、私どもが考えていることは、何しろ、この予算案そして関連法案、これが年度内に成立して国民に御迷惑をかけないようにしたい、その一念なんですよ。それだけでございますから、そのことについては野党の方々にも御協力を願いたいと心から思っているところでございます。

細野委員 総理、本当に迷惑をかけたくないと思うのであれば、まず皆さんにやっていただきたいことがあります。それは、今回暫定で出してきている税制のこの部分を、まずはきっちり分けてもらいたいということです。

 我々は、国民の皆さんに対して、それこそ毎日の生活をされている皆さんにできるだけ御迷惑をかけないように、生活が少しでも豊かになっていただけるという努力をしています。そのために賛成をしたい部分もあるんですよ。

 総理、国会を混乱させないためには、そして国民の皆さんに迷惑をかけないためには、まず総理ができることがあるんです。それは、きっちり分けて、このガソリンの部分、租税特別措置法の部分と全体の分を分けて、そして国会に提出し直す。総理、それをやってください。今まさに混乱を回避するとおっしゃったじゃないですか。そのことを最後まで完結してください。御答弁ください。

福田内閣総理大臣 今おっしゃられたことは、国会の運営の問題ですよね。ですから、私どもから、国会運営をああせいこうせいと、こういうふうなことを申し上げる立場にはありません。

 ありませんけれども、今やっていることが、何も特別変わったことをしているわけじゃないんですね。いつも同じように、いつもとは言わないけれども、しかし、同じように、一括の法案というような形でもってお示しをしておるところでございますので、そういうようなことを、分割しろとかいうようなことであれば、国会運営上のことになりますので、どうかそちらの方で解決してくださるように、話し合いを継続していただきたいと思っております。

細野委員 実に人ごとのような御答弁、国民の皆さんは本当にがっかりしたと思いますよ。

 財政法違反の疑いもあり、国民生活に対して少しでも我々はプラスになるようにという思いがあって、皆さんにきっちり分割をしてくださいということも何度も何度も通常国会冒頭からお願いしているにもかかわらず、それをすべて無視して、そして補正予算の真っ最中に、それこそ本予算の後にしっかり議論すべきこの税法を一気にやってこようという今の与党の姿勢、そして何よりも、それを見過ごしている今の内閣の姿勢は、私は、おごり以外の何物でもないと思います。

 時間もなくなりましたので、あと十分、最後に、埋蔵金の話をしたいと思います。

 総理に資料をお配りしていますので、最後のページをごらんください。もう時間も限られていますので、頭出しにどうしてもなってしまうかと思いますが、総理、まず、これをしっかり見ていただく前に、一つ伺いたいことがあります。

 去年の十一月二十一日に、自民党の中の財政改革研究会という、与謝野馨議員たちが中心になってまとめた報告書が私の手元にあります。「中間とりまとめ」です。

 そこにはこういうことが書いてある。「民主党主要政策では、補助金の一括交付金化や特殊法人等の原則廃止等により総額で十五兆円を超える財源が捻出できるとの具体的な根拠のない提言がなされている。これに関しては、」これに関しましては、いわゆる埋蔵金伝説のたぐいの域を出ないものである。そして最後に、この記述、説明があった後、「「埋蔵金」といったものはない。」と断定している。これが自民党の財政改革研究会の報告書。

 そして、その半月後に、十二月六日に「埋蔵金「実在」に関するメモ」が総理の出身母体である清和会の中川秀直議員の方から出されている。埋蔵金はある、財投特会、外為特会にあるというふうに書かれている。具体的に算出方法もこれに書かれています。

 まず総理にお伺いしますが、総理、埋蔵金の伝説があるかないかということに関して、去年、自民党内でいろいろと議論になりました。総理はどっちの立場に立たれるのか。要するに、埋蔵金があるのできっちりそれを探そう、そういうお立場になるのか、それとも、いや、埋蔵金はないんだ、財政改革研究会のお立場に立たれるのか、このことについてまず御答弁をいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 埋蔵金という言葉なんですけれども、これは特別会計とか独法で、法律に基づいて各年度の財務諸表がすべて公表されておりますから、その積立金等が埋蔵金と言われるようなものかどうかということでございまして、私も、その言葉が本当にいいのかどうか。埋蔵金というと、いかにもあるように見えますよね。しかし、それはよく精査した上で、ほかに使えるようなものになるのかどうかということでありまして、最初からあるんだということにはならぬだろうというふうに思います。

 ですから、これは、毎年、特別会計ごとの状況をよく調べた上で、そういうふうな剰余的なものがあるのかどうかというようなことも含めて考えるべきであって、本来これは、積み立てがありますからそれを使えるという、そういう性質のものではないんですね。やはり、持っていなきゃいけないものは持っていなきゃいけないんです、その特別会計ごとに。そのことをよく考えてお願いしたいと思います。

細野委員 埋蔵金の議論というのは若干議論が混乱していまして、私なりにちょっと試算をしてみました。この試算は、基本的には中川秀直議員が提出をされた「埋蔵金「実在」に関するメモ」に基づいて私が計算をしたものです。

 よく、埋蔵金というと特別会計のことが言われますが、実は、埋蔵金があるのは特別会計だけではありません。資産は、積立金を初め、今総理がおっしゃったとおり、それぞれ積み立てていますね。だが、資産だけを見ても埋蔵金かどうかはわからない。負債がありますから、それを引かなきゃならない。特別会計は、これは二〇〇六年三月三十一日の時点ですが、特別会計の中の資産引く負債をすると、何と六十八兆円。ちなみに、この中に入れるべきか入れないべきかいろいろ議論のある例えば年金であるとか保険関係であるとか、また、国債償還にそもそも充てる目的の特別会計は全部取り除きました。除去をして残った部分で六十八兆円です。

 ちなみに、総理、いいですか、私が埋蔵金という名前をつけてもいいなと思った理由がもう一つあるんです。それは、この六十八兆円の埋蔵金のうち、二〇〇六年度の予算、二〇〇七年度の予算、二〇〇八年度の予算、三回の予算で既に二十三・六兆円、これを繰り出しているんです。

 実は、これには根拠があります。もともとあったはずだった。それは、行革推進法という法律で、特別会計については積立金を取り崩す、そこにはこう書いてあるんです。「総額二十兆円程度の寄与をすることを目標とする」と書いてある。それがもう二十兆を超えちゃったんですよ。一体この六十八兆円のうち幾ら取り出されるのか。もう二十兆を超えているんですから、法律の根拠を。もうこれは幾らあるかわからなくなっている。まさに埋蔵金そのものなんですよ。

 二つ目の埋蔵金は、独立行政法人の埋蔵金です。独立行政法人と聞いてもぴんとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、これまでも、例えば緑資源機構で談合が問題になったり、それこそ都市再生機構で天下りが問題になったりずっとしてまいりました。それをすべて合わせると総額十六・七兆円。これも資産が超過をしています。

 さらに、私がもう一点指摘をしたいのは、それぞれの独立行政法人や特別会計には天下り先があって、どんどんとそういうところに天下っている。それこそ、役人のOBの方もいらっしゃるし、独立行政法人のOBの方もいらっしゃる。その中で公益法人がつくられていたり、また子会社があったり、相当数あります。その部分にも実は相当の積立金がある。その一つが、数日前に指摘をされた、道路特会から補助金を受けていたトラック協会の千二百億円、あれも埋蔵金の一種なんですよ。原資はすべて税金です。

 いいですか、総理、締めて九十六兆円なんですよ、埋蔵金は。全部これを、それこそ繰り出せるとは言いませんよ、一つ一つ精査をしてみてください。渡辺大臣が一番よく御存じだと思うけれども、都市再生機構、総理が改革の先延ばしをした都市再生機構のその下にある子会社には、全部で、ここに書いてあるとおり七百二十三億円の埋蔵金がたまっています。そのうちの一つの会社は、一番埋蔵金をため込んだ会社は、数年前に積み立てていた金を今度は自己資本に入れて固定化してしまって取り出せなくした。こんなことをやっているんですよ。こういうものの改革を総理が今先延ばしをしようとしている自覚はおありですか。

 もう時間もなくなりましたから、埋蔵金、どうですか、総理。あるかないかという議論を超えて、あるんです。二十兆円と言っていたのが二十三兆円出てきたんだから。しっかり探してください。総理に御答弁いただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 先ほど申しましたように、特別会計の保有する積立金、これはそれぞれの目的があって積み立てているものですから、無駄があるというふうには理解はしていないんです。その積立金の約八割は、厚生保険と国民年金という保険事業……(細野委員「抜いてます」と呼ぶ)除いてますか。それで、そういうようなものもございますけれども、当然のことながら、現在のような厳しい財政状況でございますので、可能な限り財政健全化への貢献を図る、そういう観点から今後もしっかりと目をみはらせていきたいと思います。

 そしてまた、御指摘のようなことがもしあるのであれば、それは適正化を図っていくということは、当然ながらやっていかなければいけないと思っております。

細野委員 指名いただきましたから私が発言します。

 総理、もっと認識を本当に厳しく持ってください。国民の側は見ていますよ。いいですか。先ほども申し上げましたが、この積立金、埋蔵金は、もとはといえば、ほとんどは国民の税金なんですよ。一般会計は我々がしっかり見ます。ですから積立金というのはありません。いつの間にか一般会計の外に特別会計ができて、そこに積み立てられたのが六十八兆円なんです。そして、その外の独立行政法人に積み立てられたのがあるんです。どんどんどんどん見えにくくなって、我々もチェックするのが大変なんです。できなくなっているんです。だから、皆さんが政府の中に入っていらっしゃるんだからできるので、やっていただきたいというふうに思います。

 最後に、この「埋蔵金「実在」に関するメモ」というところにいいことが書いてありますので、そのことを御紹介して終わりたいと思います。「民間会社なら、このような繰越利益の処分は執行役員が決めるのではなく、株主が決める。国なら、執行部門の役所が決めるのではなく、国民が決めるべきだ。」

 国民の代表が我々国会議員ですから、我々国会議員がきっちりこの埋蔵金の問題については個別に具体的に指摘をする努力をします。そして、それにこたえていただけるかどうかは、これは福田総理にかかっていますから、そのことを強く希望して、私の質問を終わります。

逢沢委員長 これにて菅君、松本君、細野君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、後期高齢者医療制度について福田総理に質問をしたいと思います。

 六十五歳から七十四歳まで前期高齢者、七十五歳以上は後期高齢者と呼ばれて別枠の制度に入ることになります。最初に確認をしたいのですが、福田総理、長生きは喜んでいいことですか。

福田内閣総理大臣 年をとってもよかったなということが実感できるような社会にしたいと思います。

高橋委員 ありがとうございます。

 どうして今、長生きしたらだめですか、そういう声が全国から起こっているのでしょうか。

 かつては、お国のために戦う兵隊さんをふやせと、産めよふやせよが閣議決定された、そういう時代があったと思いますが、戦中戦後をくぐり抜け、戦後の日本の土台を築いてきたお年寄りが、今度はお国のために早く死ねというのかと全国で怒りの声が沸騰しています。みんなが聞きたいことは、受けられる医療も年齢で差別されるのかということです。

 国保中央会が〇六年の十二月に、かかりつけ医、そして登録された後期高齢者の人数に応じた定額払い報酬を提案しました。いわゆる人頭払いと批判がされております。平たく言えば、多くの高齢者は複数の病院、診療所にかかっておりますが、担当医でない医師にはかかりにくくなるのでしょうか。一カ月に受けられる検査や処置はここまでというように制限されるのですか。

舛添国務大臣 後期高齢者、この方々に、よりきめの細かいケアを行う、それはもちろん高齢者によって大変元気な方もおられますけれども、そういう面と、それから現役世代にもきちんと保険料を負担していただくという、そういう形での制度設計であります。そして、今おっしゃったように、これは担当する医者がきちんと生活の面まで面倒を見る。しかしながら、国保中央会が提唱するような、登録制を導入するというようなことは検討いたしておりません。

高橋委員 今、登録制は検討しておりませんとおっしゃいました。このことはまず確認をしたいと思うんですね。

 ただ、その前段に、担当医がきちんとということをおっしゃいました。実は、今般、中医協で示された案にも、今パブリックコメントにかかっておりますけれども、高齢者担当医という言葉がございますね。しかも、一定の検査や処置を包括的に評価をするとちゃんと書いてあります。どこが違うんでしょうか。このことは、経団連が〇一年五月に発表した「高齢者医療制度改革に関する基本的考え方」で、既に診療報酬については包括払いというふうに書いてあるわけですよね。その後も経済財政諮問会議などで議論を重ねられてきたことであります。この経団連の表現をかりれば、高齢者医療費を一定の範囲内におさめると言っています。

 結局、老人医療費を安上がりのものにして、国の持ち出しを減らそうということですよね。

舛添国務大臣 そういう財政的な配慮が先行しているのではございませんで、やはり高齢者というのは、ある疾病、それが長期化する、そして最終的にはターミナルケアまでいく。そういうときに、かかりつけのお医者さんがしっかりと診ていただく、そういうことがいいんだろうという、後期高齢者の健康状態、ケアのあり方はそういうことが前提であってやっている話でありまして、安上がりに済ませようとかそういうような財政的な配慮が前提にあったものではございません。

高橋委員 先ほど総理も長生きは喜ばしいこととおっしゃったわけですから、それが前提じゃないということを、おっしゃったとおりだとありがたいなと思います。

 だれしも年をとれば複数の病院に通います。治りにくいという特性もあります。だからこそ、患者負担を軽くし、療養病床などを整えて、療養環境を今まで整備してきたのではなかったでしょうか。

 ところが、今や、二十三万床の療養病床の削減が決定され、このままでは行き場のない介護難民、医療難民が生まれます。その上、厚労省は、今言ったような終末期医療を充実させる、みとりの医療だといって、つまりは在宅でのみとりをする医師や看護体制に高く報酬をつけると言っています。厚労省の机上のプランが生身の人間を動かせるでしょうか。

 ここにパネルを持ってきたんですけれども、一月十日に青森県の保険医協会が、六十歳以上の高齢者を対象に終末期医療についてアンケートを行った、この結果を発表いたしました。

 もし、脳血管障害や痴呆などによって入院治療し、日常生活が困難となった状態で退院を勧められたとき、どこで生活したいかという問いに、リハビリなどができる病院が五割、リハビリができなくても医療施設が一三%、合わせて六割以上の方が、病院などで治療をしたい、生活をしたいと答えているんです。

 その下、では、自宅でみとってくれるだろうか、家族が介護してくれるだろうかという問いには、五二%が無理と答えております。わからないが三一%、自宅は一七%にすぎません。なぜそうかという理由を聞きますと、家族の負担が大き過ぎるが六割、介護してくれる家族が高齢化あるいはいないを合わせると七六%にもなるんです。

 ある女性は、国民年金だけで死ぬまで面倒を見てくれるところがあれば安心です、家族に負担をかけたくないです、畳一枚分のところで十分です、こう訴えています。

 大臣、畳一枚でもという声にどうこたえますか。病院からの無理な追い出しはしないと約束していただけますか。

舛添国務大臣 今、青森県のアンケートをお示しくださいましたけれども、私自身が、まさに後期高齢者の母親を介護していて、全く同じ問題に直面いたしました。

 まず、家族に迷惑をかけたくないなという気持ちが御高齢の方にあられて、ですから病院にということがあります。それから、容体が急変したときに、すぐお医者さんが対応してくれないと非常に命にかかわるというような問題もある。しかし、一方では、やはり自分の住みなれた自宅で息を引き取りたいという気持ちがあることも確かです。ただ、これはなかなか、やはり家族の迷惑を考えると言いにくいということがあります。

 そこで、そういうことを全部勘案して、例えば訪問介護にしても、長時間、きめ細かく、在宅で見てやれるような手を打とうということでありますので、こういう家族の意向、いろいろなアンケートなんかを反映した形でさらにいい制度にしていきたいと思いますし、今、高橋委員がおっしゃったいろいろな、例えば後期高齢者をもう見捨てるのか、そういう声に対しては謙虚に耳を傾けて、パブリックコメントをやり、公聴会をやり、それを中医協の議論の中に反映していきたいというふうに思います。

高橋委員 今、七十五歳以上の一人世帯あるいは老老世帯がこれだけふえています。三百八十六万人、四割に届こうとしています。この老老介護の末に無理心中、こんな暗いニュースが後を絶たない、それはもう皆さんの同じ認識ではないでしょうか。

 先ほど紹介した同じ調査で、もう一つ紹介したいことがあります。重症になり回復の見込みが五割しかないときに、どこで療養したいか。これも、医療施設が七五%でした。その最も大きかった理由が、きちんと治療がしたい、これが五三%なんです。もちろん、若い世代の方がその割合は高まります。でも、七十五歳以上の方でも四割が、きちんと治療したいと答えているんです。

 後期高齢者になったからといって、きちんと治療したいという方に退院を迫ることはないと言えますか。もう一度、大臣。

舛添国務大臣 まず、冒頭、総理がお答えいたしましたように、本当に長生きしてよかったな、日本人であってよかったな、そういう思いを高齢者の方々に抱いていただきたい。基本的には、その高齢者の方々の希望にかなう、そのために、国民の目線に立ってきちんとした厚生労働行政をやっていきたいと思います。しかし一方で、やはり自宅にいたいという方もおられる。そういう方に対しての細かいニーズに的確にこたえていくように全力を挙げてまいりたいと思います。

高橋委員 自宅にいたいという人の話を今聞いているのではないんです。きちんと治療したいという人の声にこたえられますかと聞いています。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、そういう高齢者の方々の声にきちんとこたえていきたいということを申し上げましたとおりです。そのために全力を挙げます。

高橋委員 今のお答えを本当にやるためには、療養病床の削減問題をきちんと見直していただきたいです。そのことを指摘しておきます。

 もう一つの大きな問題は、保険料が年金から天引きされることです。

 高齢者の六割は年金のみが家計のすべてです。年収二百万未満の方は四割以上、百万未満の方も一七%いらっしゃいます。

 このパネルを見ていただきたいんですけれども、今言ったように、六十五歳以上の六割が年金だけを頼りに暮らしている。無年金という方も結構いらっしゃいますよね。私が深刻に思うのは、年収が少ないほど年金だけが頼りだということなんです。百万円未満の年収の方の七八・四%が年金だけを頼りに暮らしているんです。こういう高齢者の皆さんに年金から天引きということで拍車をかける、それが今の制度であります。

 先日、青森県で、全県一高齢化率が高い、三七・九四%という今別町に行ったときに、お話を伺いました。うちのばあちゃんは月一万六千円しか年金もらっていないと。後期高齢者の保険料は、その一万六千円の年金からも天引きをするんですね。余りにひどくありませんか。

舛添国務大臣 まず、天引きという制度自体についてちょっと御説明させていただきますと、当たり前のことですが、天引きというのは、被保険者が保険料を納付するときの利便を図るということと、徴収の効率化とあります。

 しかし、今の規則は、年金額が年額十八万円以上の者について行うということですから、今、例はたしか一万六千円とおっしゃいましたね。その方は年額十九万二千円になりますから、十八万円を少し超えますので、天引きの対象となります。

 しかし、介護保険料と合わせた保険料額が年金額の半分、二分の一を超えるような場合には、後期高齢者医療の保険料について、年金からの徴収の対象としないということになっておりますし、それから、今度新たに、被用者保険の被扶養者であった方については激変緩和措置を、二十年度は凍結という形でとらせていただきます。

 そのほか、御指摘の年金受給者の例のように、低い年金額で年金から徴収されるようなケースは、年金のほかに資産やほかの所得がある場合とか、収入のあるほかの家族と同居している場合ということでありまして、年金月額一万六千円以外にほかの所得や資産がない場合には生活保護の対象となりますので、保険料の支払いは課されないということになっております。

高橋委員 今、生活保護の話までするとは思いませんでしたよ。高齢者の皆さんに、今、生活保護世帯に、家を担保に借りろ、だから保護を受けるな、そういう仕事をしているじゃないですか。そんなことを今、まさかそういう議論をするつもりはありませんでした。

 青森県の広域連合の資料で換算すると、単身世帯ですと、七割軽減の対象になるので、月千円の保険料です。ただし、息子と同居していれば、普通に考えて同居しているわけですよ、今おっしゃったように世帯収入を見るので、全く軽減策がございません。そうすると、月三千三百円、介護保険と合わせると七千円、そういう保険料が一万六千円から引かれるわけです。これは、年金をそれ以上もらっている人だって、そのぐらい引かれるわけです。どうやって暮らしていけますか。

 それから、今、特別対策のお話もされました、一部凍結。今まで保険料負担がなかった、被用者保険に入っている世帯の被扶養者がその対象になります。ただ、その方たちは本当に一部です。残る一千百万人くらいは、四月から予定どおり始まるんです。そうでしょう。凍結をすれば、いずれは解凍されます。何の解決にもなりません。

 あわせて聞きたいのですが、六十五歳以上の前期高齢者。今、後期高齢者の話ばかりしていたのに、前期高齢者、自分のことじゃないと思ったら、国保税が年金から天引きされます。なぜですか。これは総理に聞きます。総理に聞いています、通告していますから。

舛添国務大臣 後期高齢者に対してもそうでございますし、低所得者の方に対しての軽減措置をやる。そしてまた、これは来月早々に各自治体に対してもきちんと御説明を申し上げますけれども、生活にお困りの方は相談窓口に来ていただき、それで、きめの細かい形でのいろいろな軽減措置などについて懇切丁寧に御説明申し上げ、対応をとりたいというふうに思っております。

高橋委員 質問に答えていないです。なぜ前期高齢者の国保税が天引きされるのですか。

舛添国務大臣 それは、先ほど後期高齢者について冒頭で申し上げましたように、保険料を払われる方の利便性、徴収の効率性、そういうことを考えての天引きシステム、そういうふうにお答えいたしたと思います。

高橋委員 これはもう何の道理もありませんよ、本当に。今、きめの細かい納付相談というお話をされました。まさにどさくさ紛れなんです。国保は本当に高過ぎるために、自治体できめの細かい努力をして、納付の期限を毎月に細かく刻んでやっと払える、そういうふうにやってきたところもあります。しかし、これが今どさくさ紛れに天引きになれば、二カ月まとめてされるんですよ。何でそういう話になるんですか。

 しかも、天引きできるほども年金をもらっていない方、さっき説明した方ですね、あるいは無年金の方からは天引きをしないかわりに、滞納すれば資格証明書を出すといいます。現在、国保の資格証明書は三十四万世帯で発行されておりますが、病院窓口で全額払わないと治療も受けられません。そのために命を落とす人さえ出ていることは社会問題になり、もう御承知だと思います。高齢者なのだから、そのほとんどが、本人かあるいは家族のだれかが病気、障害あるいは低所得という事情があります。そういうところにまで保険証で制裁をして命を縮めるようなことはしなくてもいいと思います。

 これは総理に決断を求めます。総理に聞いています。

舛添国務大臣 お答えします。

 まず、健康保険証を持っていかれる、しかし保険料の支払いが滞った場合に、三カ月から六カ月の短期の保険証という形で対応する。そして、一年あってもお支払いいただけない場合に、しかしこの方は保険の資格を持っていますよ、資格証明を出しておかかりいただいて、しかしそのときは実費を払っていただく。ただ、後ほどそれはきちんと保険料の支払いの手続をすれば後で戻ってくる、そういう制度でございますけれども、節目節目において、本当に生活に困り、とてもじゃないけれども、天引きというような形で保険料の支払いはできないというような方に対しては、先ほど来申し上げておりますように、きめの細かい窓口対応を含めての相談体制を図り、そして対応していきたい、そういうふうに思っております。

高橋委員 実費を払えば確かにお金が戻ってくる制度ではありますけれども、実費が払えるくらいだったら保険料は当然払えるわけですよ。私はそういう事情がある方の話をしているんです。

 ですから、先ほどなぜ総理に質問したかというと、それは前もってお話をしてあります。これまで何度も、資格書のことは委員会でもあるいは本会議などでも質問してきました。機械的には出さないという答弁をいただいていたんです。そこをもっと踏み込んで、もう、後期高齢者の実態に照らせば資格書は出さないんだということを言ってくれてもいいんじゃないか、そういう時期なんだと思って総理の決断を仰いでいます。お願いします。

福田内閣総理大臣 ただいまお話にありますような事情については、これは丁寧に説明しなければいけないと思います。天引きに当たって高齢者の方々にきめ細やかな相談を行う、そういうことを市町村に徹底したいというように思っております。

高橋委員 丁寧に説明をしても、どうしても払えない実態がございます。しかもこの保険料は、二年ごとに見直しをして、当然値上がりをしていきますね。大臣、一言答えてください。

舛添国務大臣 これは、このスケジュール表にのっとって必要な見直しは行いますけれども、先ほど申し上げましたように、とにかく高齢者の方のケアがまず第一。そして、高齢者の方々の健康を支えるために、一割の負担、そして四割は現役世代、五割は公費、こういう形での制度設計をして、しかし、それでも今高橋委員がおっしゃったようなさまざまな問題、さまざまな御意見、御批判、こういうものに対して一つ一つ的確にきめの細かい対応をしてまいりたいと思います。

高橋委員 必要な見直しを行うとおっしゃっておりますけれども、私が聞いたのは、保険料の値上げが避けられませんねということです。

舛添国務大臣 それは、実際に制度を運用してみる、そういう形、そういう過程においてきちんと検討して、精査をして結論を出したいと思います。

高橋委員 保険料は二年ごとに見直しをすることになっておりますけれども、人口比がふえることに伴って割合を、今は総額の一割だけれども、一五年度は一〇・八%と厚労省が試算しているんです。値上がりすることになっているんです。弱い人たちだけを集めて制度をつくれば、財政がもたなくなる、それが負担にはね返ってくるのは当然ではありませんか。怒りの矛先を広域連合や自治体に押しつけて知らんぷりするのは許せません。

 私が委員会でこのことを質疑したのは十月でした。そのとき、自治体決議は二百三十九でした。今、ちょうど二カ月たって四百八十七と、倍になっています。これは、政府・与党の一部凍結策ではどうにもならないことを示しているのではありませんか。きっぱりと中止を求めます。

 結局、医療費抑制といって、高齢者に負担をふやし、病院から遠ざけようとする。この国の方向に実は一石を投じたのが、昨年の厚生労働白書の問題であります。老人医療費無料化の流れの中に、このページの中に、全国で初めて老人医療費無料化を行った沢内村、岩手県の現在の西和賀町ですが、このことが抜け落ちているということで、町議会が抗議文を大臣に送りました。

 総理はこの問題を御存じでしたでしょうか、一言。

舛添国務大臣 都道府県別の統計をとりましたので、市町村別ではございませんけれども、旧沢内村がこういう全国に先駆けて無料化の試みをおやりになった、よく存じ上げております。

高橋委員 総理は御存じでしたか。

福田内閣総理大臣 御質問があって初めて知りました。

高橋委員 今、大臣が機械的に言ったんですけれども、私はそういう意味では全然ないと思うんです。

 岩手県の小さな村です。豪雪と貧困、高齢化、百人中七人の赤ちゃんが亡くなる、そういう村で、死亡診断書を書くときしかお医者さんに縁がなかった。そういう沢内村で、故深沢村長が生命尊重を訴えて、赤ちゃんの医療費無料化と老人医療費無料化をやって、これが老人医療費を全国平均の半分まで減らすことができた。そういう貴重な成果を上げて、全国に大きく波及しました。

 白書は、「医療構造改革の目指すもの」といって、負担を減らせば老人が病院に集まってきて、医療費はふえるんだ、そういうことを言おうとしているんですね。だから、沢内村のことを書くと、それが政府の言っていることと逆になっちゃう、それを認めたくないからこういうことを書いたのかと言わざるを得ないんです。今こそ、この教訓をしっかりと学ぶべきではありませんか。

 残念ですが、時間が来ましたので、このことを指摘して終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、通告外のことですが、総理がダボスからお帰りでありましたし、私は、けさ、部屋に、総理がダボスで御発言になったことのあらあらを拝読いたしまして、その上でお伺いをいたします。

 まず、恐縮ですが、総理にお伺いしたいので、それも複雑なことではございませんので、ぜひ総理にお願いいたします。

 まず、総理は、アメリカの元副大統領で、大統領候補でもあったアル・ゴアという方のつくられた「不都合な真実」という映画をごらんになったことがあるかどうか。そして、私はぜひ、実は、ダボスの場では、そのアル・ゴアが提唱しております排出権の取引、すなわち排出権というものを、ある市場にして、取引をしていくことで経済の中に組み込んで、排出削減をすれば経済的にもメリットが出てくるということを提唱していると思いました。

 総理は、この点についてはどんなお考えでありましょう。

福田内閣総理大臣 映画は見ました。

 排出権について申し上げれば、排出権に対する評価、これはまだ確定はしていないと思います。それは、いいところもあると思います。しかし、排出権をマーケットに出して、そして市場価格で決めるとかいうようなことについて、果たしてそれでいいのかどうか。これもよく考えなければいけない問題があると思います。環境対策として、排出権が決め手であるというわけでもないんだろうと思います。また、さまざまな努力をした中で、排出権という問題を取り上げて考えるべきものだというように今は考えておるところでございます。

阿部(知)委員 この点は、総理とも、これから洞爺湖サミットに向けて、日本が環境でどんな発信をしていくかということとも絡んで、大変重要だと思います。

 私は、せんだっても申しましたが、環境問題にかかわることが経済的にデメリット、損なんだという考えをどこかで転換していかないと、この時代の大きな環境問題には対処していけないと思いますので、ぜひ総理にはこれからもお考えをいただきたいと思います。

 では、引き続いて、先ほど高橋さんが渾身のお訴えをなさった後期高齢者医療制度、私も、これを四月から開始していただいてはどうしても困ると思う立場から質疑をさせていただきます。

 まず、高橋さんは、国民の多くが怒っている、本当にこれはひどい制度だというお話をしてくださいましたが、しかし一方で、私は、この制度がどんなものであるかを知った人は怒りがわいてくる、だけれども、果たして、御高齢者のどのくらいの人が、当事者である七十五歳以上のどのくらいの人が、あなたがこの四月からこの制度に変わるんですということを御存じであるだろうかということをすごく疑問に思います。

 福田総理、申しわけありませんが、想像で結構です、七十五歳以上の方、制度が変わるんだ、保険証も変わるんだ、そして受けられる医療も別枠なんだということを果たしてどの程度御存じだと思われますでしょう。

福田内閣総理大臣 なかなか難しい質問でございますけれども、七十五歳以上の、私もそんなに遠くないところでありますので、自分のこととして考えた場合に、さあ、余りよく知られていないかもしれないというような感じがいたしますので、もしそうであるならば、これをよく周知徹底するような努力をしなければいけないと思っております。当然のことでございます。

阿部(知)委員 総理は、非常に正直なお答えであったと思います。

 私は、この制度が二年近く前に強行採決で決まりましてから、折あれば地域で老人会に行ったり、あるいはミニ集会を持ったりして、そういう御高齢者の皆さんにお話をしています。でも、二年近くたちましたが、もちろん、私が自分の地元を回り切れないという時間制約もあるかもしれませんが、三十人くらい、例えば、わかやぎ会という御高齢者の会に呼んでいただいてお話しする場を得ても、ほとんどお一人か二人、多くて三人、一割ではないかなと思います。それも、名前を知っているというくらいで、ああ、聞いたことあるというくらいで、ほとんど御存じありません。

 実は、私は、きょう高橋さんがこの場でお取り上げくださったことはとても感謝していて、もしかして、ここの予算委員会のメンバーだって、この制度についてまだまだ御存じないのではないかと、失礼ながら思ってしまいます。というのは、私や高橋さんは厚生労働委員会に所属して、この審議は本当にもう熱心に何度も何度も取り上げて、絶対これは高齢者にとっていい制度じゃないからと訴えました。当時、小泉総理大臣でした。そして、強行採決がなされて、準備期間二年近くで、いざスタートしようとする段になっても、やはり私は皆さんが御存じないのではないかと思ってしまいます。

 そこで、きょうはおさらいになるかもしれませんが、皆さんに少し、私がつくったパネルなどを利用して御説明をさせていただきます。

 まず、総理にこれもお伺いしたいですが、この制度の発足に当たって、社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会というところで、後期高齢者の心身の特性、後期高齢者とはどんなものであるか、心と体の特性ということが挙げられました。どんな特性であるというふうに定義づけられたか、御存じでしょうか。お願いします。総理にお願いします。プリントがありますので、読んでいただいても結構です。

    〔委員長退席、田野瀬委員長代理着席〕

福田内閣総理大臣 私、勉強不足で知らなかったんですけれども。

阿部(知)委員 私は、総理が勉強不足というよりも、みんなまだわからないんだろうなと思います。

 そこで、もう一度、恐縮ですが、私は、この三つの特性というものを読んだときに、いかに御高齢者にとって失礼であり、そして、生きていく気力をなくさせるような制度であるかということで、まず強く反対いたしました。

 一つは、老化に伴って体の機能が落ちて、治療が長期化したり複数疾患にかかっているだろうと。そう言われれば、そうかもしれません。二つが、その高齢者には痴呆が多いんだよ、ぼけているんじゃないの。三つ目が、もっとひどいんですね、「この制度の中で、いずれ避けることができない死を迎える」。まあ事実です。人間は、みんな死出に向かう旅人ですから。

 しかし、あなたは治らない病気を持って、ぼけていることも多くて、死に向かう、その制度の中にいます、こんなことを言われて、ああそうですか、私はそういう人間なんですかと七十五歳以上の人が思うとしたら、また思わせられるとしたら、私は、それは人権の侵害だし、総理だってそうだと思います、舛添大臣だってそうだと思います、七十五歳以上になっても何か役に立ちたい、現役並みにばりばり働きたい。それがこの国のモデルだったはずです、エージレスに働こうと。私だって、元気だったらそうしたいです。でも、今挙げたような三つの特性が挙げられて、そこにあなたは行くんだよと言われる制度です。

 では、この制度にかかわる人たちのあらあらの試算がどんなものであるかということで、これも皆様のお手元に二枚目の資料がございます。

 後期高齢者、二〇〇八年の四月段階で一千三百万人と予想されますが、この中では、現在、国民健康保険にお入りの方、一千百万人。そして、六十五歳から七十四歳、お年は若いけれども障害をお持ちの方、約百万人。さらには、子供さんに扶養されていて今保険料をお払いでない二百万人、孝行息子や孝行娘といる二百万人、そしてさらに、現在では、働いておられる七十五歳以上の方三十万人も含めて、さあさあ、みんな、もうすぐぼけるよ、慢性の病気だよ、ごめんなさい、そう厚生労働省が言うんだから、そして死が避けられないよと、こういう仕組みの中に一くくりに抱え込むわけです。

 そして、総理、よく聞いてください。この働いている人は、現在、政府管掌保険とか組合健康保険に入っておられるんです。でも、もうそれもだめなんです。あなたは七十五だから、もう否やはなく、後期高齢者医療制度の中で死ななきゃいけない、組合健康保険の中で死んではいけない、こういうふうになるわけです。こんな制度だと、正直言って、総理、御存じでしたか。お願いします。直截な言葉で結構です。これは意外と審議の中でも出ておりませんでした。

 でも、日本人って本当に堅実だから、後期高齢者でも百万人が働いておられます、一割が。そういう国なんです。そして、そういう国を目指してきたんです。三十万人は今健康保険組合や政管健保、残り七十万人は、例えば農業者であったり、ほかの制度の中かもしれません。でも、現実にそうやって働いている。働いていてももうすぐ死ぬ保険、それはおかしいし、概念を変える必要があると思います。

 総理が総裁選に出るときに、この後期高齢者制度の二百万人の保険料凍結を言われました。問題はここにもありますが、概念、考え方が私は余りにも人を惨めにする、寒くする、寂しくすると思いますが、いかがでしょうか。

 ごめんなさい、大臣、それではいいですか。

    〔田野瀬委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 阿部委員のおっしゃることもよくわかりますけれども、最初に出された「後期高齢者の心身の特性」、これは一般的にそういうことを言っているので、七十五歳以上、病気になりなさいとかぼけになりなさいということではなくて、私も、本当に死ぬまで生き生きと働いていただく、そういうことを目指すべきだと思っています。

 そして、例えば、今政府管掌健保とか組合健保で、現役でまさに働いておられる方が、この制度に入った途端に、極めて惨めになったり保険料の支払いが倍増したりとかいうことであれば、これは問題がありますけれども、福田内閣、安心と希望ということで、そしてこのスローガンを掲げて一生懸命政府を挙げてやっておりますので、気持ちのところは阿部委員と同じで、さらにいい制度にしていきたいと思います。

阿部(知)委員 舛添さんは本当に、平易な言葉で、またお気持ちも優しい方ですから、私は反論したくないんですけれども、でも、今、大臣の認識にも間違いがあります。

 ここの働いている方、組合健保や政府管掌保険の方は、こちらの後期高齢者医療制度に来た途端、保険料は二倍になります。だって、大臣御存じでしょう、こっちだったら企業主が半分出しているんです。こっちに来たら、まともに全額自分です。保険料がふえたりじゃなくて、ふえるでしょう。

 そして、きょう私は、もう一つ言わせていただきたい。今、女性の平均年齢は八十六歳になんなんとする。この制度の中で十年生きるんですよ。この制度の中で死ぬんじゃないんですね。この制度の中で生きるんですよ。そういう保険として、この制度はすごく選択肢が、あなたは治りたいですか、あるいは安らかに死にたいですか、この二つしかないんです。

 さっき高橋さんが、その支払い方式、かかりつけ医などについてお話しになりましたけれども、これも問題ですので最後にやらせていただきますが、保険料は上がる、医療の質は下がる。下がるその大きな理由は、あなたはもう死が間近であるという前提がくっついているからなんです。

 保険料のお話に行かせていただきます。

 皆さんのお手元に「東京都内の国保と新保険料の差」というグラフを出してあります。今私は組合健保などで働いている方が二倍になるよと言いましたが、国保の方と比べてみます。

 お手元にある資料、これはたまたま東京都です、東京都のデータを私が入手することができたので。ただ、全国のデータはどうか、特に所得別に、今ある保険料より重くなるのかどうか、厚生労働省は知っているのかと伺いました。データがない、知らないんです。だから問題なんです。

 ここには、下に年収がございます。端から二本目、年収百七十万円の方、大体、月額の年金、十五万円くらいでしょうか。この方は、現在の国保と比べて保険料は二・数倍。今の国保だって重いんです。国保を払うのは大変なんです。それに、決して高所得層ではありません、百七十万円。次の二百万円の方も二倍近いです。そして、東京都のデータだけとれば、年収が六百十万、七百三十万の人は今度の方が少し軽くなります。なぜこういうことが起こるかというと、東京都では、所得の少ない、収入の少ない人には横出しして保険料を補てんしているからです。でも、今度の制度では、横出しなし、広域連合というものをつくった中で保険料が決められます。

 大臣、お願いがあります。全国で調査してみてください。これは、私がたまたま東京都のデータを使ってつくった。だけれども、厚労省は知らない、申しわけないが、データを集めていない。こんなことで本当に国民の命や暮らしに責任を持てるかどうか不安です。お願いします。

舛添国務大臣 今、阿部委員が出された東京都の例は、一つは、今おっしゃったようにかなりの公費が都から入っている。それから、保険料の算定方式で、所得税じゃなくて住民税をとっている、そういう要因がございます。したがって、そうじゃない場合にどうなるかというのは、一般的には申し上げられますけれども、これはきちんと調査をして、統計が出次第、また御説明申し上げたいと思います。

阿部(知)委員 そういうのはこの制度が始まる前にやってもらわなきゃ困るんです。制度が始まって人が死んでから、先ほどの、年金が一万五千円の方がもし七千円出したら、残るお金で食費だってないでしょう。そんなところまで追い込んでからでは遅いんです。

 大臣、そこは大臣らしく、本当にこのデータが出るまではこんな制度は開始しないんだと言ってほしいですが、どうですか。

舛添国務大臣 調査は調査で行いますけれども、これはきちんと国会の場で法律が通った、そのことをもとにして行っているわけであります。しかしながら、福田内閣においてさまざまな激変緩和措置をやる、そして私は、調査が出次第、それぞれの自治体においてきちんと激変緩和のための措置をとっていただくように指示を出したいと思います。

阿部(知)委員 今、自治体にそんなお金がないから問題なんですよ、大臣。そんなことを言ってもらっては、予算委員会らしくない。自治体にそれだけのお金が出せれば出したいです。

 ちなみに、横出しを現在している自治体の数は千七百九十五分の千二百。ほとんどの自治体で現在では国保に持ち出しをしているんです。だけれども、これからも出し続けられるかどうか。本当に、自治体の財政は御存じだと思います。高齢者はふえてくる、それをおまえらが補てんしろという形で丸投げして、もう財源がそこには入れられない、その状態が迫っているから私はきょう取り上げさせていただいたんです。

 そして、時間の関係できょう最後になりますでしょうか、皆さんのお手元に「主な救急搬送拒否事例」というものを上げております。救急車のたらい回し問題は、私以外にも公明党もお取り上げいただきました。他の党もお取り上げいただきましたが、私は、これを後期高齢者という観点から取り上げたいと思います。

 この間の新聞報道、二〇〇六年八月八日から二〇〇八年の一月八日まで、一年半ほどの間に、新聞事案だけでも十二の救急搬送で搬送されずに、世で言うたらい回しされて亡くなった事案があります。何と、この中の半数が七十五歳以上の高齢者であります。

 ちなみに、うちの藤沢ですが、私は消防隊に行って聞いてみました、普通の救急車に乗る人の中で七十五歳以上の比率はどんなものですかと。七十五歳以上は二七%という数字でありました。その普通の搬送というか、救急搬送ですよ、そのパーセンテージに比べても、たらい回しされて亡くなっていく方の数が七十五歳以上は多いんです。

 私は、この理由をきちんと読み解かなければ、七十五歳以上の人がこれから後期高齢者医療制度になって、まして保険証をなくしたとき、払えなくて保険証がなくなったとき、年金天引きで八割、ほかは自分が窓口で払うといいますが、本当に、大臣、大体何割の人が窓口になると思いますか。

 厚生労働省はデータがありません。六十五歳以上で二割だそうです。七十五歳以上の人は、年金天引きと言われても年金がないから自分で払うという人の数、これも厚労省は出しません。どれくらいでしょう。それだけきょう伺います。そして、次回にまた続けます。

逢沢委員長 厚生労働省水田保険局長、時間が参っておりますので、短時間にお願いします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 年金天引きにつきましては、この一月に市町村から社会保険庁に対して要請をするわけでありまして、その時点で数字が明らかになろうかと思います。

阿部(知)委員 何にもわかっていない制度を始めることほど酷なことはありません。

 終わります。

逢沢委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、まず、原油高対策についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 急激な原油価格の上昇が国民生活や企業活動に深刻な影響を与えている、これはもう先日の予算委員会でも大いに議論になっておりますが、特に、灯油の消費が大きくならざるを得ない寒冷地の住民、それから、十分な価格転嫁を行うことが困難な下請業者、こういう方々を初めとする中小企業、それから、ガソリン、軽油の高騰によって収益を圧迫される地方バスの路線、こういう影響が大きくなっているわけでございます。

 政府は、昨年十二月に、総額二千百五十億円の原油高対策、これを取りまとめられ、そして補正予算にも、そのうちの四百三十億円、これが盛り込まれております。まず、その対策の概要について簡潔にお答えいただきたいと思います。

大田国務大臣 今回の原油対策は、特に原油高の影響を受けているところに絞って対策を講じております。

 六つの柱でできておりまして、中小企業への業種横断的な対策、これが下請取引の適正化、そういったものです。それから二つ目が、業種別の対策で、建設業、漁業、農林業、運送業、石油販売業などに対策を講じております。三つ目が地方の生活関連対策で、今先生がおっしゃった離島ですとか寒冷地です。それから四つ目が、構造転換対策としまして、省エネ、新エネなどに対策を講じております。五つ目が国際原油市場の安定化への働きかけです。それから最後、六つ目が、石油製品などの便乗値上げがないように価格監視を強化するという六つの柱でございます。

糸川委員 今回の灯油購入費の補助、これは生活困窮者に対して行われるということでございますけれども、この生活困窮者の線引き、これがまだわからないなというところがございます。

 また、この灯油の高騰の影響は国民すべてに及んでおるわけでございまして、生活困窮者だけじゃなくて、国民の皆様全体を対象とした対策というものに変えなければいけないんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

大田国務大臣 灯油の値上がりの影響は幅広く及びますけれども、限られた予算の中で、特にその厳しい状態の方に対策を講じるということです。

 灯油につきましては、自治体が、まずこれは北海道でやっておりましたが、生活困窮者の方を中心に灯油補助をする、この自治体を支援するという形で今回の原油対策を講じております。地方自治体に対して、特別交付税の対象としてその半額を補助するということを講じております。

糸川委員 ありがとうございます。

 このほかに、今、大田大臣おっしゃられましたけれども、国による灯油購入費の助成に関して、灯油の購入費の補助を行う地方自治体に対する特別交付税という形で、特にその対象となる寒冷地があるというふうにおっしゃられましたけれども、具体的にこれはどういうふうにこの寒冷地を決めていらっしゃるんでしょうか。

増田国務大臣 お答えを申し上げます。

 この地域につきましては、各自治体、これは県の場合もございますし市町村の場合もあるんですが、それからやり方は、それぞれが出す場合と、県の場合は、個別の購入者に補助した市町村に、さらにまたその市町村に出す、こういう形をとっているわけでございますが、それぞれ、一番身近な自治体がどういうことが必要なのかということを判断するに一番適するだろうということで、それぞれの自治体の自主的な判断にゆだねている、こういうことでございます。

 しかし、これは今、数字を私の方でとりましたところ、昨年はこの制度を使っておりましたのは、昨年もこれは特交で見ておりましたのですが、北海道だけで、大体五十市町村だけがこういったことを行っていたわけでございますが、ことしは大変寒さも厳しいということ、それから灯油価格が上がっているということもございまして、十一道県六百六十五市町村が、これは全国、北海道のみならず、東北も関東も、それから西の方、九州の方でもこういった補助を行っているところもございます。

 やはり、十一道県にまたがっておりますし、六百六十五市町村、これはまだ現段階でございますのでもう少しふえるかもしれませんが、こういう実に多くの市町村がこうしたものに取り組んでいるということでございまして、これは幅広く各地域でこうした助成が行われているということでございます。

糸川委員 では、六百五十五市町村ですか、これがまだまだこれからふえる可能性もあるということですよね、それにもしっかりと対応をしていただいて、恐らく、これだけ原油が高騰してくれば、各市町村の皆さん方はやはり要求をしようということになるでしょうから、それにもしっかりと対応をしていただきたいというふうに思います。

 これだけ原油の高騰が長期化をしてきますと、中小企業の収益悪化、それから個人消費の落ち込み、こういうものによって、経済成長の足を引っ張るおそれがあるわけでございます。そのような兆候があらわれた場合、迅速に、そしてさらなる追加的な対策を講じる必要があるというふうに思っておりますけれども、これは、政府の認識、できれば総理にお答えいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 ただいま大田大臣の方から御答弁申し上げたように、いろいろな対策が実行段階に入ったということでありまして、当面の対応ということになりますけれども、原油高騰も状況が改善される、すなわち値下げになるとかいったような、そういうふうな見通しが今あるわけではありません。ですから、その状況というのは変わらない。変わらない中で、さまざまな分野において影響が出てくる可能性は十分にあるんだろうというふうに思います。

 ですから、先ほど来御説明しているように、例えば、中小企業については、コストの問題もあるけれども、しかし、事業の適正化、例えば大企業と中小企業間の事業の取引の進め方などについての改善とか、そういったようなこともやはり同時並行で取り上げていかなければいけないんだろうというふうに思います。また、中小企業は中小企業で、すぐできることではないけれども、やはり生産性を上げるという努力もそれぞれなされてほしいというように思いますし、そういうような総合的な観点で対応をするということは、政府の方としても十分気をつけてやってまいりたいと思います。

 また追加的な必要が生ずるというようなことがあれば、それはその段階で判断すべき問題だと思っております。

糸川委員 最初、冒頭、私も申し上げましたけれども、特に地方の公共バスですとかこういうところというのは、運賃を消費者の皆様方に転嫁することが非常に困難であって、かといって、ではそれをすべて地方で持ってくださいというわけにもいきません。ですから、そういうところに対する手厚い補助、こういうものも政府としてはしっかりと考えていただかないといけないのかなというふうに思っております。

 もう時間もなくなってまいりましたので、ちょっと話題をかえて、これは通告しておりませんけれども、総理に。

 実は今、この裏で与野党幹事長会談が行われている最中でございます。私も先ほどまで、ほんの数分前までそちらにおりましたけれども。

 そこで、まず最初に聞きたいのは、つなぎ法案、揮発油税等の暫定税率の維持の問題に関してですけれども、先ほど細野議員のときには全くそういう話はまだ聞いていないということでございましたけれども、政府・与党で話し合っているということはないんでしょうか、総理。

 政府と与党間でつなぎ法案なるものが必要だということを話し合っているということはないでしょうか、ありますでしょうか。

福田内閣総理大臣 これは一般的な話になりますけれども、この予算及び関連法案を年度内にどうしても成立させないと国民生活に影響があるんだというようなこと、そういう観点から、どうしたらよいかという話はしておりますけれども、具体的にではどうするかといったようなことで、私ども、これだというような話をするというようなことは一切しておりません。

 これは国会運営上の問題もありますので、私どもからはそういうことについて指図をするということも立場上どうかなというふうに思いますし、ぜひ野党の皆様の御理解を得て年度内成立ということが図られるように、そういう気持ち、その気持ちだけでございます。

糸川委員 そうすると、総理、今、与党の幹事長、自民党の幹事長からは日切れになることは避けたいということが言われたわけでございまして、万一日切れになった場合でも、国民生活に混乱を生じさせないためにこういうセーフティーネット法案なるものをやりたいと言っておりますけれども、これから歳入歳出をしっかりと議論していくわけですよね、予算委員会の場で。そこに当たって、確かにそれは混乱を生じるのかもしれませんけれども、やはり立法府というところでしっかりと議論していくことが必要なのであって、先につないでおいて、その間空白にならないようにつないでおいてという、本当に与党の皆様方にとってのセーフティーということになると、これはいかがなものかなというふうに思いますけれども、総理、その辺の御見解はいかがでしょうか。

 これから予算委員会でしっかりと取り組んでいく、まさに暫定税率。我々国民新党の考え方は、今非常に、どこでも出ていますけれども、暫定税率は維持、そして特定財源も維持だということはしっかりと言っておりますけれども、なぜつながなきゃいけないのか、それはやはり議論をきちっとした上で、そういうことが必要であるならば必要だと思いますしということになっているんですが、これですと、国会軽視、立法府の形骸化になりかねないかなというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。それは自民党の総裁としてもお答えいただきたいなというふうに思いますが。

福田内閣総理大臣 自民党の総裁という立場ですが、今ここでは行政府の長という立場で答弁をしないわけにはいかないわけでございます。

 そういう立場で申し上げれば、今政府で提案するこの法案について、ぜひ御理解を賜り、そして国民生活に影響を与えないようにしたい、そのことしか考えていないので、そういうためにどういう方法があるか、それは与党の方でいろいろ考えてくだすっているというように思っておりますので、まず、国会運営上のこともあり、与党の対応にお任せしたい、こう思っておるところでございます。

糸川委員 時間も参りました。

 質問を終わりますけれども、今、衆議院、参議院、これは与野党が逆転しておりまして、ねじれというふうに言われております。そういう中で、これから議論が必要になってくるものに対して、やはり、総理そして総裁という立場、時々によって使い分けられていますよね。例えば肝炎のときには、総裁という立場から議員立法をお願いするというようなこともされているのではないかなというふうに思います。

 二役あるわけですから、やはり、そこは総理の度量というところで、国会を形骸化させない、立法府を形骸化させないということでしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 以上です。終わります。

逢沢委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.