第16号 平成22年2月23日(火曜日)
平成二十二年二月二十三日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 鹿野 道彦君
理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君
理事 海江田万里君 理事 伴野 豊君
理事 松原 仁君 理事 山口 壯君
理事 富田 茂之君
糸川 正晃君 打越あかし君
小野塚勝俊君 緒方林太郎君
大西 健介君 大山 昌宏君
岡本 充功君 奥野総一郎君
梶原 康弘君 金子 健一君
城井 崇君 沓掛 哲男君
黒田 雄君 小泉 俊明君
小林 正枝君 小室 寿明君
古賀 一成君 柴橋 正直君
田中 康夫君 高野 守君
中後 淳君 津島 恭一君
豊田潤多郎君 中林美恵子君
長島 一由君 野田 国義君
畑 浩治君 平岡 秀夫君
福嶋健一郎君 三谷 光男君
水野 智彦君 森本 和義君
山田 良司君 吉田 公一君
若泉 征三君 渡部 恒三君
石田 祝稔君 大口 善徳君
竹内 譲君 笠井 亮君
吉井 英勝君 阿部 知子君
吉泉 秀男君 山内 康一君
下地 幹郎君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(経済財政政策担当) 菅 直人君
外務大臣 岡田 克也君
文部科学大臣 川端 達夫君
厚生労働大臣 長妻 昭君
農林水産大臣 赤松 広隆君
経済産業大臣 直嶋 正行君
環境大臣 小沢 鋭仁君
国務大臣
(消費者及び食品安全担当) 福島みずほ君
国務大臣
(国家戦略担当) 仙谷 由人君
財務副大臣 野田 佳彦君
財務副大臣 峰崎 直樹君
農林水産副大臣 郡司 彰君
財務大臣政務官 大串 博志君
財務大臣政務官 古本伸一郎君
厚生労働大臣政務官 山井 和則君
厚生労働大臣政務官 足立 信也君
経済産業大臣政務官 近藤 洋介君
環境大臣政務官 大谷 信盛君
予算委員会専門員 杉若 吉彦君
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委員の異動
二月二十三日
辞任 補欠選任
小野塚勝俊君 福嶋健一郎君
奥野総一郎君 大西 健介君
黒田 雄君 金子 健一君
小泉 俊明君 高野 守君
古賀 一成君 野田 国義君
田中 康夫君 中後 淳君
平岡 秀夫君 柴橋 正直君
森本 和義君 大山 昌宏君
山田 良司君 小室 寿明君
吉田 公一君 小林 正枝君
渡部 恒三君 水野 智彦君
大口 善徳君 石田 祝稔君
富田 茂之君 竹内 譲君
笠井 亮君 吉井 英勝君
阿部 知子君 吉泉 秀男君
同日
辞任 補欠選任
大西 健介君 奥野総一郎君
大山 昌宏君 森本 和義君
金子 健一君 黒田 雄君
小林 正枝君 吉田 公一君
小室 寿明君 山田 良司君
柴橋 正直君 平岡 秀夫君
高野 守君 小泉 俊明君
中後 淳君 田中 康夫君
野田 国義君 古賀 一成君
福嶋健一郎君 小野塚勝俊君
水野 智彦君 渡部 恒三君
石田 祝稔君 大口 善徳君
竹内 譲君 富田 茂之君
吉井 英勝君 笠井 亮君
吉泉 秀男君 中島 隆利君
同日
辞任 補欠選任
中島 隆利君 阿部 知子君
同日
理事富田茂之君同日委員辞任につき、その補欠として富田茂之君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
分科会設置に関する件
分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件
分科会における政府参考人出頭要求に関する件
平成二十二年度一般会計予算
平成二十二年度特別会計予算
平成二十二年度政府関係機関予算
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○鹿野委員長 これより会議を開きます。
開会に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。
再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○鹿野委員長 速記を起こしてください。
理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本充功君。
○岡本(充)委員 おはようございます。民主党の岡本充功です。
きょうは、一般的質疑でありますので、その中でも私のとりわけ関心の深い医療政策、食の安全を中心に質問をさせていただきたいと思います。
皆様方にお配りをさせていただきました資料は、まず第一弾であります医療の問題、とりわけ、医師不足の現状に対して大変関心を持たれております研修医の現状について、少し書かせていただいたものであります。
研修医が、大学を卒業後、どのような病院に就職をするのか。これをごらんいただきますと、一の「概要」のところに書いてありますが、平成二十一年度の研修医のマッチングにおいては、募集定員が一万五百人で、いわゆる卒業生、就職希望者が八千二百人。ある意味、定員の方が職を求める方よりも多いということでありまして、売り手市場と言うことができるのでしょうか。
結果、この数が満たされない、そういった病院が出てまいります。地域によっては、研修医の来手がいないということで嘆いている地区もあるわけでありまして、この数を少し実質定員とイコールフッティングしていった方がいいんじゃないかという議論もあり、厚生労働省は、このマッチングの募集定員を減らすべく努力をしていただき、一万一千二百九十二人から平成二十一年度は一万五百人、そしてさらに今後、この数字をいわゆる登録者数に近づけていくという努力をしていただくんだと承知しております。
その中で、二ページ目をおめくりいただきますと、各都道府県はどのように研修医の募集定員を設定されているか。これは、厚生労働省の方で計算式がありまして、各都道府県がそれぞれ、その数値に基づいて設定をしています。
私の選挙区で恐縮ですが、中段の愛知県などは、十八年度から比較をしますと、二十一年度は募集定員数が九十四人減っておりまして、これは激変緩和措置をとっていただいても九十四人の減ということで、愛知県の各病院は大変厳しい思いをしております。もちろん、同様に、なかなか医師数の確保に苦しむ地域があり、この方式をもって募集定員をふやしてもらいたいという県の気持ちもよくわかるわけでありまして、決してこれがすべていけないと言っているわけではありませんが、現状を見ながら、ぜひ是正をしていっていただきたい。
まず要望でありますけれども、それについて、大臣からお答えをいただければ幸いであります。
○足立大臣政務官 お答えいたします。
今、特に、募集定員の数のことと、それから激変緩和措置のことがあったと思います。これは今、まさに検討した結果、パブリックコメントを実施中でございます。
この激変緩和措置というのは、私は、やはりある程度年数が必要だろうと思っておりまして、それから募集定員の数そのものも、実数に合うように見直していくということももちろん重要な課題となっておりますので、検討を続けておるところでございます。
○岡本(充)委員 激変緩和措置はある程度の年数が必要だという御答弁をいただきました。そういった方向で厚生労働省としても御努力をいただきたいと思うわけであります。
続いて、三ページ目は勤務医の現状。これはうちの事務所でつくったものでありますけれども、なかなか厳しい状況であります。
いろいろな資料がありますけれども、勤務医の九割が月に二回から三回当直を行って、翌日も通常勤務をしている。もう皆さん御存じかもしれませんが、平均の週の労働時間六十三時間、そして勤務医の平均月収は百二十三万円、開業医が二百十一万。これ以外にも、税制にかなり差がある関係で、勤務医の可処分所得というのは、開業医に比べると残念ながら少ないというのが現状じゃないかという声は、委員各位も聞いてみえるところだろうと思います。
また、医師の偏在というのも極めて深刻でありまして、産婦人科、小児科医の減少、これも深刻であるという声もあります。もちろん、数自体はふえているという議論もあるわけでありますけれども、しかしながら、当直回数が月平均六回以上の産婦人科の先生がみえる、また勤務医の四人に一人が医事紛争を経験している、そういった報告もあります。
また、地域間の格差、こちらもなかなか深刻でありまして、全国平均では人口千人当たり二・一人程度の医師数でありますが、OECD基準、OECDの平均は三人でありますが、二・一人。その偏在も、直近の数字を拝見させていただきますと、東京二十三区は十三・一人いるのに対して、愛知県の尾張中部、これは私の選挙区のすぐそばでありますけれども、こちらは〇・七五人という極めて厳しい状況にあるというようなこと。意外と都市部でも医師数が少ないという現状が見てとれる。
私は、今後この医師不足対策を進める上でもう一つ重要になってくるだろうと今思っているテーマがありまして、それを四ページ目に書かせていただきました。それは、今はまだ顕在化しているとまでは言えないかもしれませんが、女性医師数の推移というのがあります。
医師に占める女性医師数、全医師数で見ると、若干上昇してきているものの、一〇%台であります。しかし、医師国家試験の合格者のうち女性の占める割合というのはもう三〇%半ばになっておりまして、一番下の表を見ていただきますと、若手、特に二十九歳以下の医師に占める女性医師の数は、この結果、当然でありますけれども三〇%台半ばになってきている。
こういった女性医師の皆さんが働き続けてもらえる環境をつくっていくということをしないと、今後こういった女性医師が働き続けられない状況になりますと、医師数のさらなる減少を招く、病院勤務医のさらなる減少を招くという危機感を持っています。
ちなみに、五ページ目には、厚生労働省からいただきましたけれども、女性医師の復職に向けた取り組みを載せていただいております。下の方に書いてありますが、三師調査で、女性のうちその他の業務の従事者及び無職の者、つまり病院や診療所等に勤務をしていない方の数が、これだけ厚生労働省も把握をされている。その一方で、復職をされている方というのはまだ百人にも満たない。そういった状況であるということをあわせて考えると、今後の女性医師数の増加が極めて大きな因子になる可能性があるということを、当委員会で指摘させておいていただきたいというふうに思います。
そういった意味で、今後の医師不足対策にぜひこういった観点も織り込んでいただきたいということを切にお願いする次第であります。
もしコメントがあれば、お答えをいただければと思います。
○長妻国務大臣 今るる、勤務医の皆さん、あるいは医師不足、偏在等について御指摘いただきまして、我々も、診療報酬のみならず、あらゆる対策をとっていきたい。
女性医師については、やはり今、看護師さんの保育所を院内に整備する病院が多いんですけれども、今後、女性医師の方の保育所についてもかなり拡充しようということで、平成二十二年度予算案として二十一億円計上させていただく、あるいは女性医師の就労支援事業ということで、これも予算二・八億円をまずは計上させていただくということで、都道府県に受付相談窓口を設置して、女性医師の就労支援ということもしっかり取り組みたいと思います。
○岡本(充)委員 二十一億円ということでありますが、二十一億円というのは、全国多々ある医療圏一つ一つに二次病院、三次病院があるわけでありまして、そういう病院で割ると、決して多い金額ではありません。例えば、イメージしやすい衆議院の小選挙区、三百あります。それで割っても一選挙区当たり大体一千万円ないという話ですから、それで保育所の整備というのはなかなか難しい。こういったところもぜひ財務省の皆様にも御留意をいただいて、今後の予算にぜひ反映をしていただければというお願いをさせていただきたいと思います。
その上で、きょうは医師不足についてもう少し触れていきたいと思います。
今、長妻大臣からお話がありましたように、診療報酬、大変力点を置いて、濃淡をつけて今回お決めをいただく方向になっているということは、私は大変評価をしたいと思いますし、それがメッセージとして医療現場にまずは伝わることが重要じゃないかと思っています。その一方で、医師の養成については、これまた大きな課題が残っています。
昨今、医学部の新設ということを見ることがあるわけですが、きょうは文部科学大臣にもお越しをいただいております、文部科学省として、閣議決定を変更して医学部を新設していく、全く新規の医学部をつくるという方針があるのかないのか、お答えをいただきたいと思います。
○川端国務大臣 お答えいたします。
医師不足問題に本当にきめ細かくいろいろな観点から取り組んでいただいてありがとうございます。
民主党の選挙のマニフェストでも、「医師の数を一・五倍にします。」ということを書かせていただきました。そういう意味で、今年度予算ではいわゆる定員の増員、これは医学部だけは定員の増員だけが簡単にできるわけじゃなくて、指導教官あるいは施設設備含めて手当てが必要ですので、国公立を通じて三百六十人増の八千八百四十六人というのが現状でございます。
そういう中で、さらなる増員をどうするのかということは大きな課題であり、マニフェストに書いてあると同時に、新成長戦略、いわゆる経済成長戦略の中でも、基本方針の中で、「医師養成数の増加」というのが閣議決定として書かれました。お医者さんの需給見通し、それから、どういう科目がということとどういう地域がということを含めて、非常に幅広な議論が必要でありますので、経済成長戦略で医師の増員というのを書いた以上、六月にこの中身を決めますので、これまでにはその辺の肉づけとなる施策を厚生労働省と連携をしながら決めていきたいというふうに思っています。
その中で、今まで全部定員増でやってまいりました。一部報道等で、新設、こういうことを予定しているというふうな報道がありましたけれども、文科省としては、御案内のとおり、新設は三十年前からやっていないという状況の中で、これは大学設置・学校法人審議会の議論を経て基準を整備する必要があります。そういう意味で、医療界、大学関係者の中にはさまざまな意見があります。非常に慎重な意見もあります。そういうことを含めて、経済成長戦略の動きもあわせながら、慎重に検討していきたいというふうに思っております。
○岡本(充)委員 民主党のマニフェストの土台になったインデックス二〇〇九を決めるときの議論、当時、足立政務官も参加をされて話をしていた中では、医学部の新設については、全く新規ということではなくて、まず定員増で頑張ってみよう、そしてその次は、やはり地域に医師を派遣する、そういった医療機関をつくっていく上では自治医科大学のような方式が望ましいんじゃないかというような意見が強く出ていた。そのときのメンバーの大概のコンセンサスとしては、全く新規の私立の医学部という話ではなかったということもぜひ指摘をさせていただいて、その上でぜひ御検討をいただきたい、そういうふうに思っております。
続いて、医療事故対策についてお伺いをしたいと思います。
厚生労働省は、前政権の時代、もう一つ前の政権になるかと思いますけれども、医療事故調の試案を出されました。この三次試案と言われるものが、今現在の厚生労働省が進めようとしている事故調設置の方針とはなっていないと私は思っておるわけですけれども、その点について、過去のその事故調の試案は今どのような厚生労働省内での位置づけになっているのか、お答えをいただければと思います。
○足立大臣政務官 まず、位置づけでございますけれども、過去にそういう検討をしてきたということで、これは明確な事実としては残しておく必要があると思います。
今後どうするかということについてなんですが、私は、やはり岡本委員とずっと検討を重ねたことの中で、ある意味、結果として当事者間の分断になってしまう可能性が極めて高いというふうに思っておりまして、今回、診療報酬改定の中でも、診療報酬の明細を義務化するということになりました。これは、疑問に思った場合そこの説明を求めるとか、医療を提供する側と受ける側の情報交換がかなり私は進むと思います。そういうことを日常的に図りながら、両者の情報量の格差、そしてその理解度の格差というのを埋めていくことがまず大事なのではないかと私は考えております。
それから、中井国家公安委員長のところで非自然死体の死因究明に関する検討が既に始まって、二回会議をされております。このことの内容の中で、医療提供関連死というものがそこに入るものかどうか、あるいは除外すべきなのかどうか、このことも含めて、その検討の状況を見守りながら、来年度中にしっかりした方向性を出していきたい、そのように思っておりまして、今まで過去に検討された第三次試案がそのまま成案になることはないというふうに私は考えております。
○岡本(充)委員 大変力強いお答えをいただきました。その方向でぜひお進めをいただきたいと思うわけであります。
最後にもう一点、無過失補償制度ということも民主党は検討をしてまいったわけでありますが、これについて、今厚生労働省内でどのような検討状況になっているか、短くお答えいただければと思います。
○足立大臣政務官 去年、ある意味無過失補償制度の一部、これは産科医療補償制度ですが、これは議員もかなり疑問点があると。入り口は公的で強制しておきながら出口は民間の任意保険になっている、これはあり得ない形態である。私は公的でやるべきだと思っております。
それから、新型インフルエンザに対しても、ある意味無過失補償の考えが一部導入されました。これは、産科医療補償制度でも、小さく産んで大きく育てるという考え方があったわけです。まさにこれは今議論すべきことであって、予防接種部会でも無過失補償のことをこれからしっかり議論するというふうになっておりますから、私はここ一、二年の重要な課題として前向きに検討していく、そのつもりでおります。
○岡本(充)委員 期待が大きいテーマでもありますので、ぜひよろしくお願いします。
続いて、食の安全について少し質問したいと思います。
中国ギョーザの事件は、残念ながら事件の解明に至っておりませんし、またBSE対策、国内対策は私はしっかりとられていると思いますけれども、米国の状況、カナダの状況、査察には行かれてはいるもののなかなか違反事例がやまないし、また、交差汚染の問題、ついせんだってようやく、日本が主張してきました飼料規制が本当に十月に実施をされた、それもまだ日本と同等ではない状況でありまして、こういった現状を含めて、まだこのリスク管理が日本の消費者の求めているものに達しているのかどうかは私は定かではないというふうに思います。
きょうは農水大臣にもお越しいただいております。米国の飼料規制の現状、今どのようになっているのか、お答えをいただけますでしょうか。
○赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
今委員御指摘のように、昨年の十月二十六日から、三十カ月月齢以上の牛の脳、脊髄についての、従来は牛などの反すう動物の飼料への禁止ということをしていたわけですけれども、十月からはすべての家畜用飼料、ペットフードへの利用を完全に禁止したということでございまして、農林水産省といたしましては、アメリカに対して、この措置がきちっと遵守されるように確認方法についても照会をしたところでございます。
アメリカからは、すべてのレンダリング施設については連邦政府と州政府がチェックリストを用いて検査を行う、そのうち、牛のレンダリング施設については毎年少なくとも一回検査をするという回答を得たところでございます。
○岡本(充)委員 ぜひアメリカに対しての引き続きの要請、また、場合によっては査察に同行するというようなことを、もう少し頻度を上げてやっていただけるようにお願いをしたいと思います。
続いて、六ページ目。
民主党がこれまた百六十九国会に提出をした食の安全に関する三法案の概要であります。トレーサビリティーの確立だとか、またいわゆる原料原産地表示の拡大、こういったものが盛り込まれています。こういったものをぜひ農林水産省としても推進していっていただきたいという思いがあります。これは後ほど大臣に御答弁をいただきたいと思います。
また、きょうは福島大臣にもお越しをいただいておりますけれども、食品安全委員会の機能強化がやはり必要だと私は思っています。とりわけ、食品安全委員会のいわゆるステアリングコミッティーとなるべき、科学者の委員会の上に、要するに衆議院で言う議運みたいなところ、こういったものが必要なんじゃないかという思いを持っています。
そういった私の思いがある中でありますが、これについてもしコメントがあれば、両大臣それぞれひとつ端的にお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○鹿野委員長 福島大臣、簡潔に御答弁をお願いいたします。
○福島国務大臣 食品安全委員会の強化について御質問がありました。
これは科学的知見をやるところですが、おっしゃるとおり、強化のために頑張っていきたいというふうに思っていますし、その中身については検討します。
また、加工食品の原料原産地表示の義務づけの対象につきましては、今精力的にやっておりまして、三月にも皆さんの意見を聞く機会を持っておりますので、原産地表示の拡大に向けて頑張ってまいりたいと思っております。
○鹿野委員長 赤松農林水産大臣、簡潔に御答弁をお願いします。
○赤松国務大臣 今、福島大臣からお話がありましたとおりに、食品トレーサビリティーのシステムの確立、原料原産地表示の義務づけの拡大等について、関係省庁一体になって積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○岡本(充)委員 ありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。
次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男です。
持ち時間がたった十分間なので、早速質問に入らせていただきます。
まず、菅経済財政担当大臣にお伺いいたします。
先日、内閣府は、二〇〇九年十月―十二月期のGDPを四・六%増と、回復の兆し、設備投資の順調な推移、そして、内需にも明るい兆しが見えている、こういうふうに発表いたしました。しかし、一方で、雇用は厳しい状況が続いているとも発表しておりますし、経営者の方々はまだまだ過剰な労働力を持っているとも言っているところでございます。私は、景気対策は雇用対策なくしてあり得ない、こう思っている一人でございます。
大臣、緊急雇用対策本部は、百万人の雇用創出を見込み、本予算と切れ目のない雇用対策を打ち出しておるわけでございますけれども、失業率五・二%、三百三十万人、有効求人倍率〇・四%台の低い推移で低迷している現状を踏まえながら、失業率、有効求人倍率など、雇用に係る指数をどこまで好転させようとしているのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。
○菅国務大臣 まず、先般成立した第二次補正予算と二十二年度の予算を、議員御指摘のとおり、一体として切れ目なく執行することによって、雇用をしっかり守っていくことが必要だと考えております。
鳩山内閣が成立した一番最初の課題が、昨年十月に緊急雇用対策を策定しました。また、十二月には、雇用を主な柱とする緊急経済対策を取りまとめました。この中では、御承知のように、雇用調整助成金の積極活用、これは二次補正で七十八億、二十二年度当初予算では七千四百五十億円というものを活用する。さらには、貧困・困窮者支援の強化、これは住宅・生活アドバイザー等の配置などにも財政を充てました。さらには、新卒者支援の強化、高卒・大卒就職ジョブサポーターの配置等についても手当てをいたしました。
こういった形の上に、さらには、新成長戦略を昨年の末に取りまとめまして、この六月までにはその具体化の工程表などもつくり上げていきたい、このように考えております。
そういった中で、先ほどお話がありましたように、百万人の雇用創出、これは、八十万人がどちらかといえば雇用維持の部分と、新規創出の二十万人と、合わせて百万人という形でありますけれども、これから来年度に向けて経済を立て直す中で、平成二十二年度の雇用者数は三年ぶりに、緩やかではありますけれども増加する、このように見ております。
また、中長期的には、新成長戦略の中で、現在五%を超えている失業率について、二〇二〇年までの中長期の計画では三%台への低下を目指す、このように考えております。
○吉泉委員 連立政権は、先般、相対的貧困率を一五・七%と発表しました。今回初めての公表でございます。一億総中流とうそぶき、どんどん格差を拡大し、自己責任を押しつけてきた前政権とは違い、真正面に向き合う政権に対する期待そのものが非常に大きくあるだろうというふうに思っておりますし、ぜひ、雇用の好転に向けまして大臣のリーダーシップを期待申し上げ、次の質問に入らせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
次に、仙谷国家戦略担当大臣に伺います。
国家戦略室は、総合調整の役割を担うことになっております。本日、この予算委員会で質問するに当たって、雇用対策にかかわって各省庁がどのような予算を立てているのか、対策を立てているのか調べてみました。しかし、資料は各省庁から取り寄せてもらうしかない、こういう答えでございました。がっかりしたところでもございます。緊急雇用対策本部が設置されているのに、各省庁の雇用対策を一元的に管轄する部署がない。極めて残念であります。
現に、緊急経済対策では、雇用対策を大きな柱として各省庁間の総合調整を図ってきた、この実績があるわけでございます。私自身、雇用が深刻になっていくこの状況を改善していくためには、各省庁間の連携が不可欠だと思っております。
そこで、総合的に判断をし調整をして雇用対策を進めていく、こういう意味での仙谷大臣の見解、このことをまずお伺いさせていただきます。
○仙谷国務大臣 この問題はとりわけ、私のイメージでは、今委員がおっしゃられた問題は、国家戦略的課題であると同時に、むしろ行政刷新的テーマの方が強いのではないか。
つまり、官房に、あるいは内閣府に本部がつくられたときに、ある種、分担管理原則のもとで各省庁で行っている政策、あるいは行おうとする政策を集約して本部の政策にします。ところが、本部に執行を担う事務局がほとんどの場合形成をされませんので、これを執行する段階で、縦割りのもと、また各省庁に持って帰ってそこでやってしまうということで、いわゆる執行の一元化がほとんどなされない。そうすると、ユーザーの方というか国民の側から見れば、どこで何を統括しながらやっているのかというのが見えない。そしてまた、執行体系としてもばらばらになってしまってよくわからないということは往々にして起こっている。
これはこの十年、二十年ずっとそうであるように私は感じておりまして、ここは執行一元化ができるように、各省庁あるいは各部局にちゃんとした指示をしなければいけないと思っておるところであります。
○吉泉委員 もう時間がなくなってまいりました。
そこで、最後に長妻厚生労働大臣にお伺いさせていただきます。
私自身、山形なので、帰省、上京するたびに寝台列車を利用することが非常に多いのでございますけれども、今、駅周辺のガード下に、職場がなく住むところも失った人たちがふえてきた、こういうふうに率直に感じております。大臣、この人たちと接したことがありますか。恐らく、接しているんだろう、こういうふうに思っておりますけれども、ほとんどの人たちが地方から出てきて、頑張りながらも、不幸にも職場を失い住む場所も失った方々でございます。両親が既に他界をされ、実家にも帰る場所がない、その日その日の暮らしをしている方々でございます。
大臣、ぜひ月一回ぐらいは定期的に食事を提供し、相談される場所を、このことを各自治体とともにしながらつくってほしい、こういうふうに思いますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきます。
○長妻国務大臣 一昨年は、公設派遣村ではなくて、湯浅村長の、民間の方がやった日比谷公園の派遣村がありました。その反省に立って、ことしのお正月、昨年末に、公設の一時宿泊所を私もお邪魔した。やはり多かったのが、本当に若い方です。一昨年の秋ですか、製造業の大量の派遣切りがあって、その一昨年の秋からずっと仕事を探しているんだけれども、ないと。きのうまで公園で寝泊まりしていたという。本当にどこにでもいる若者で、努力していないわけじゃない。
そういう方々に対して、第二のセーフティーネットということで、住宅がないと職場が探せないということもありますので、そういう住宅手当をお出しする。あるいは短期の貸し付け等々の施策、あるいは職業訓練を受けながら生活費十万円あるいは月十二万円差し上げる、そういう施策も組み合わせて、これからもそういう方々が、本当に、年末年始だけじゃなくて通常業務の中でも、今度ハローワークに生活、住居の相談アドバイザーを新しく設置いたしました。今までハローワークは職だけの相談だったんですが、今度は住居とか、あるいはワンストップサービスのように心のケアというか、うつ病の御相談の保健婦さんとか、そういうものも今後考えていきたい。
まずは、新規の相談員は常に置くようにしているところであります。
○吉泉委員 ありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて吉泉君の質疑は終了いたしました。
次に、自由民主党・改革クラブ所属委員の質疑に入ることといたしておりましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
これより自由民主党・改革クラブの質疑時間に入ります。
〔委員長退席、山口(壯)委員長代理着席〕
〔山口(壯)委員長代理退席、委員長着席〕
○鹿野委員長 これにて自由民主党・改革クラブの質疑時間は終了いたしました。
本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
――――◇―――――
午後三時十八分開議
○鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
再開に先立ちまして、自由民主党・改革クラブ所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。
再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○鹿野委員長 速記を起こしてください。
理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・改革クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
質疑を続行いたします。石田祝稔君。
○石田(祝)委員 昨日に続きまして時間をいただきましたので、きょうは、赤松農林水産大臣、また、ひょっとしたら郡司副大臣にもお聞きをするかもしれませんけれども、農業問題を中心にお話をお伺いいたしたいと思います。
やはり、二〇一〇年度で最大の事項というのは米の戸別所得補償政策、モデル事業ということでありますけれども、私は、いろいろと今までも議論をさせていただきましたが、今なおまだ不明な点、心配な点がたくさんございますので、そういう点を中心にお伺いをいたしたいと思います。
まず、大臣にお伺いいたしますが、去年制度が固まって以来、各地でいろいろと説明会をなさっているようでございますが、その中で、これは農業新聞でありますけれども、拝見をいたしますと、説明会をやっても質問が出ない、わかっているから質問が出ないんじゃなくて、質問をするところがわからない、質問をするところまで理解ができていない、こういう記事になっておりました。
それから少々時間がたってはおりますけれども、現実に、農業者の方の胸にすとんと落ちているのか、それとも、依然として手探り状態で皆さんが田植えの時期を心配なさっているのか、こういう点は、大臣、率直にどういうふうに実感されておりますか。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
私ども、十一月の終わりぐらいだったと思いますが、この制度の中身をほぼ固めまして、そして、できるだけ早くこの制度について、モデル事業とはいえ、実際に生産に取り組んでいただく農業者の皆さん、あるいは農協初め各機関の皆さん、こういう皆さん方にお知らせをした方がいいということで、全国説明会を十二月二十八日にやりまして、それ以降、政務三役を中心にしながら政治家である私ども自身が全国に、ブロック単位ぐらいでしたけれども、まず説明に上がろうということで、その後、今度はそれぞれの農政局を中心にしてさらに細かく県単位で、また今度は、この二月ぐらいの段階では、さらにその下の段階で、できれば地区の協議会ぐらいの単位でということでやってまいりました。
全国で二千四百カ所、参加人員としては九万五千人以上ということで御参加をいただいておりまして、そういう中で、率直に申し上げまして、いろいろな意見もいただきましたので、なるほどというところについては変えた部分もございますし、できるだけ今後も、先生御指摘のように、各農政局、農政事務所に相談窓口もつくっておりますので、少しでも疑問があれば何でも言っていただく、何でもまたそれにお答えできる体制をつくろうということで今取り組みをさせていただいております。
○石田(祝)委員 今お聞きをいたしましたが、現実に、今回のこの米の戸別所得補償制度モデル事業でいわゆる所得補償の対象になる農家、これは大体百三十万農家ぐらいだというふうに私はお伺いをしているんですが、その百三十万から比べると、やはりこれは一割も参加をされておらない、こういうことではないか。ですから、なおまだ丁寧な説明が必要だ、こういうふうに思います。
それと、もう一点お伺いをしたいのは、県別に面積の配分はされた、それがだんだんと市町村におりていく、最終的には個々の農家、戸別補償とおっしゃっているわけですから、一戸一戸が決まらないとこれは決まらないわけです。それで、私のところの高知県なんかは、もう田植えをしようかという人も、準備もされているわけですね。こういうところで、今、大臣、農家一戸一戸のところの配分までかちっと終わっているんでしょうか。
○赤松国務大臣 お答えします。
少なくとも県単位まではもう既に終わっておりまして、県から地域協議会のところまでも終わっております。ただ、今度、地域協議会で各戸別農家あての生産数量目標の割り当てを今やっている最中でございまして、既に終わっているところもありますし、ちょうど今途中というところが一番多いんじゃないかというふうに思っております。
○石田(祝)委員 ちょっと具体的なお話をお聞きします。
私も質問を受けたことなんですが、いわゆる十アールを控除すると。この点で、例えば生産数量目標一ヘクタール、この数量を与えられた。そうすると、一ヘクタールから十アール分を引く、九十アール分のいわゆる定額部分の補償になるのか、それとも、それとは外でこの十アールというのは見るのか、これは一体どうなんでしょうか。
ちょっとまとめてお聞きしますが、それと、個人個人だと、一人一人で十アール分の控除がある。集落営農になると、例えば二十戸の農家がまとまって二十ヘクタールやる、そのときには二十戸分の十アール、結局、二十人としたら二ヘクタール分が定額控除されるのか。ここのところはどういうふうになっていますか。
○赤松国務大臣 例えば二ヘクタールをお持ちだとします。そうすると、生産数量目標が例えば掛ける六としますと、残った一・二ヘクタール分に対して、それがその人に与えられた割り当てということになるわけで、そうしますと、それ掛ける十アール当たり一万五千円という計算でございます、最初の問いはですね。
ですから、もともと持っている土地じゃなくて、生産数量目標としてその人に与えられた面積について十アール当たり一万五千円という計算でいくということでございます。(石田(祝)委員「それでいいんですか、本当に」と呼ぶ)いいです。
それからもう一つは、集落営農でみんなでやっている、そのときには、では、例えば十アール分の飯米分を引くというのを、個人で引くか全体で引くかという話ですね。
それは、農業共済を集落営農全体で掛けているという場合は、それで一つ分だけ引く、十アール分だけ引くということですし、中には、それぞれの農業共済が個々に契約している場合があります。その場合は、農業共済をベースにして考えていますので、そのときは、例えば二十人で集落営農をやっていて共済は皆別個に掛けているという場合は、それぞれから十アールずつお引きをするということになります。
○石田(祝)委員 大臣、もう一度確認しますけれども、割り当てられた数量面積から十アール分を引くんじゃないんですか。(赤松国務大臣「そうですよ」と呼ぶ)大臣のお答えは、二ヘクタール持っていて、〇・六掛けて一・二ヘクタール分が割り当てだ、それで一万五千円くれると。そうじゃないんでしょう。数量目標として与えられた分から十アール分を引いた分でしょう。ですから私が、それでいいんですかとお聞きしたんですよ。だから、大臣はそういうふうに答えていないんですよ。
○赤松国務大臣 私の言い回しが悪かったのかもしれませんが、私はそういう意味で言っております。だから、もう既に昔の言葉で言う減反をした後の部分について、そこから十アール分を引くんですということです。
○石田(祝)委員 これは速記を見ていただいたら、大臣の以前の答弁がどういう答弁かわかると思いますが、今、言い直していただいたと私は思います。
それで、集落営農になると、一固まりとして共済に入ると全体から十アール分を引く、こういうことですから、ある意味でいえば、個々でやるよりも集落営農でやると有利である、こういうこと。大臣の後ろの専門家がうなずいていますから、そうだろうと思います。
それで、私は、ちょっと時間もありますので、米の過剰への出口戦略、これをお伺いいたしたいと思います。
大臣、先日の委員会の御答弁で、いわゆる出口戦略というべきものだと私は思うんですけれども、これを回転備蓄から棚上げ備蓄にする、そして数量は、現在は百万トンというのが備蓄になっておりますが、それプラスMA米の七十万トンを想定したようなお答えだったと思います。ちょっと確認をさせていただきますけれども、それでよろしければ御答弁をお願いします。
○赤松国務大臣 多分、私が以前委員会で御答弁申し上げたのは、もともと民主党のマニフェストでは三百万トン、これは、含む国内産以外も、ということはMA米もということですが、この今決められている七十七万トン、これも含めて三百万トンぐらいが備蓄米としては適当なのではないかということをマニフェストでは書いてあるわけです。
私が前回申し上げたのは、むしろそうではなくて、今までずっと百万トンをベースにして、MA米は別にして、前政権まではやってこられた、そういう意味でいうと、百七十七なのか、あるいは三百なのかみたいな話になるんですけれども、今、民間で保有している分が事実上二百万トンぐらいありますから、そういう意味でいえば、私は、直接備蓄米として持つ分は百万トンぐらいで、プラスMA米が七十七万トンありますから、それぐらいでいいのではないかというのが現政権の考え方でございます、私自身の考え方でございますということを申し上げました。
それからあと、備蓄か回転かという話ですけれども、これについては、今までは回転で、三年ぐらいたったら一般市場にそれを回して、一般のお米と一緒に流通をさせるということだったんですけれども、過去、この数年を見てみると、米がだぶついていた。そのときに、これをまた市場に出したら米の価格の低落を招いてしまう、そういうことがあるから出すに出せないというようなことがあったり、かなりの数ですから、その数がどっと市場に出るということになれば、これはやはり価格に影響せざるを得ないので、むしろそうではなくて、私どもはもうこの回転方式をやめて、抱えて、そのままそれを食用米市場に回すのではなくて、ほかの加工米等に、あるいは飼料米等に回していく、価格に影響を与えないという考え方でこれからはいきたいというふうに申し上げたと思います。
○石田(祝)委員 回転備蓄にするのか棚上げ備蓄にするのか、これは大臣が今おっしゃったような棚上げというお考えのようですけれども、数量が、三百万トンということを選挙で、マニフェストで約束をして、どういう議論があったかわかりませんけれども、なぜにわかに百七十七万トンですか。これはおっしゃっていることがちょっと違いますよね。
これは何か、その間に党内で議論をしてマニフェストを変えたのか、マニフェストには書いているけれども書いていることはできないんだ、こういうことなのか。これは大臣、どういう整理なんですか。
○赤松国務大臣 ですから、今それは申し上げましたように、そういう民間が抱えているお米が特に今は二百万トンぐらいあるということで、この二百万に百万を足して、しかもMA米が七十七万トンもあるというようなことになれば、これはあくまでも、価格を維持するための制度ではなくて、緊急に何かあったときのための緊急対策用の備蓄米でございますから、それは、財政の問題を考えてもできるだけ負担は少ない方がいいということですから、その時々の状況に応じて柔軟にやはりその辺は変えていくというのは当たり前のことです。
私どもとしては、今の段階で特にお米が余計にたくさん要るという状況もありませんから、その意味で、備蓄米としては百万トンぐらいが一番適当なのではないかというふうに私自身は思っているということでございます。
○石田(祝)委員 大臣、ちょっとわかりにくいですね。二百万トンを民間で持っているというのは、要するに、ではマニフェストを書くときに全然知らなかったということですか。
これは大変失礼ですけれども、大臣は今まで農林水産の委員会に多分所属なさっていなかったというふうに私お聞きしたんです。ですけれども、党として三百万トンだ、これはもう棚上げだというお話なんでしょう。二百万トンを民間で持っているからといったって、多分、政策をつくった人はそんなことはわかっているわけですよね。わかっていてなお、だって、民間というのは棚上げしてくださいといって棚上げできるんですか。市中に出てくるわけでしょう。だから、お米の価格を何とか下落させないためにも、そのために棚上げにするわけでしょう。二百万トンがにわかに出てきた話じゃないわけですから、それはちょっと説得力がないんじゃないですか。
二百万トンというのは全然知らなかった、私は大臣になって初めて知って、この三百万トンというのはとんでもない数字なんだ、こういうことでお変えになったのか。そこは、大臣、明確に三百万トンという数字で棚上げと書いてあるわけですから。それが、百万トンの備蓄でいいんじゃないか、七十七万のMAは別で。
要するに、備蓄の百万トンというのはすぐには変えられないんですよ。これは法律か何かで決まっているんでしょう、審議会か何かでやってもらって。ですから、これはにわかに変えられないということもあると思うんですけれども、ちょっとそこのところ、もともと二百万トンがわからなかったのか、わかっていたんだけれども、書いているマニフェスト、政権についたらこれはとてもできないというふうに思ったのか。そこはどうなんですか。
○赤松国務大臣 もともと、この三百万トンという数字は、通常で言うマニフェストではなくて、マニフェストの後ろについている政策インデックスの中に明示をしてある数字なんですね。それは何回も言うようですけれども、三百万トンというのは、その後に括弧があって、国内産以外の米を含む、ということはMA米も含むということもちゃんと書いてあるわけで、そういうことからいえば、数字が三百万トンじゃなきゃおかしいじゃないかと言われるかもしれませんが、現実問題として、今の状況の中で、やはり状況に応じて政策というのは当然見直しがあったり、そういうことをしていいわけですから。
ただ、再三私が申し上げているように、私の今の農水大臣としての立場でいえば、財政の問題もありますから、せいぜい国内産の米は百万トンもあれば十分ではないか。プラス七十七万トンは、確実に、これはもう国際約束ですから、必ずきちっと購入していかなきゃいけない。しかも、民間の状況を見れば、民間だって米を保有していらっしゃるところが約二百万トンもある。それでなおかつ、さらにまた百何十万トン余分に購入しなきゃいけないということではないだろうと。
しかも、今までと違って、回転備蓄から棚上げ備蓄に変えていくわけですから、その分当然予算もお金もかかるわけですから、そういうことからいえば、貴重な税金ですからできるだけそれは少なくした方がいいという判断で、先ほどそんなに勝手に変えていいのかみたいなお話がありましたが、もちろん、これはしかるべきそういう機関にお諮りをして、正式に今後の方針として打ち出していくということになります。
大臣としての考えはどうだというふうに再三この委員会でも聞かれていますので、私はそういう考えでございますということでお答えをしています。
○石田(祝)委員 大臣、事情変更の原則というのがあるんですね。何かを決めた後、大きな変動があった、しかしそれでもなお、もとどおりやれということはどなたもおっしゃらないと思うんですよ。
しかし、大臣がお話しになったことが、民間の備蓄が二百万トンあると。私が申し上げたのは、そんなことがにわかに起きているんですかと。ですから、マニフェスト、インデックスをつくったときからそういうことはわかっているんじゃないのか。わかっていて数字を入れているわけですから、それ以後、特段の大きな事情変更がない限り、お約束をして政権につかれたわけですから、これを、私はこう思うからということで一遍にぽんとひっくり返されるのは、そのほかの政策に対する信頼性も失われる、私はこのように思います。
これは、大臣、百万トンであれば、当然今のままでいいわけです。百万トンというのは今あるわけですから、そういう備蓄の上限百万トンということは認められているわけですから。逆に、これを変えようとすると大変な手続が要る。
ですから、この問題については、またどうせ農林水産委員会で時間もいただけると思いますから、そういう点も含めてやらせていただきたいと思います。
それで、大臣、何か、三党連立だから三百万トンというのが貫けないんだというふうなお話はどこかでなさいましたか。
○赤松国務大臣 正確に申し上げれば、私が言ったのは、よくここで亀井大臣がおられると言うんですが、民主党のマニフェストにこう書いてあるじゃないかと言うけれども、これは、民主党がもちろん数の上では一番多い連立ですが、少なくとも国民新党、社民党と三党連立で成り立っている内閣だ、しかも、この内閣が必ず中心的に重点的にやらなきゃいけない項目というのは三党合意の中にきちっと記されているという意味で、この三百万トンとかなんとかという話はそこに別に書いてあるわけでもないですし、そのかわり百万トンとももちろん書いていませんが、そういうことで拘束される、縛られる案件ではありませんよということを私は申し上げたつもりでございます。
○石田(祝)委員 ちなみに申し上げますと、社会民主党のマニフェストは、「政府備蓄米は、現行の回転備蓄方式・百万トンから、棚上げ備蓄方式三百万トンに変更し、」云々と。ですから、連立与党の中で二党は同じ考えだった。そして国民新党は、それはマニフェストでは触れられていない。そして、三党連立の合意にも別にそのことについては書かれていない。
ですから、大臣が三百万トンというもともとの約束どおりやろうと思えば、別に連立だからほかの政党が云々ということでできないということではないということ。(赤松国務大臣「拘束はされないということを言ったんです」と呼ぶ)拘束はされないんじゃなくて、社民党自身も三百万トンだと約束しているんですから。それで、民主党もインデックスに書いてある。国民新党は書いてない。ということは、別に自分のところの公約を貫くのに何の差しさわりもないというふうなことでありますので、私はそれだけは申し上げておきたいと思います。
それで、この出口戦略で私はなぜ申し上げるかというと、やはりお米というのは、昔から、豊作になってほしい、こういうことで皆さん御努力をされて今まで来ているわけですね。ですから、どうしても豊作を喜べないということでは大変申しわけない、こういう気も実はいたします。ですから出口戦略のことをずっとお伺いしているわけです。
それで、せっかくですから郡司副大臣にお伺いをいたしたいと思います。
私は、これは出口戦略にもなると思うんですが、米の集荷円滑化対策を二十二年度はやらない、こういうことですけれども、これも一種の、いわゆる豊作のときにたくさんとれたお米を別途管理する、市中に余り豊作の分も出回って結果として値が下がるというようなことを避けよう、こういうことでやられてきたと思いますが、これをやめる理由、副大臣、どうしてこれをやめられるんですか。
○郡司副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
今、御質問がございましたように、ことしの予定としては、集荷円滑化対策というものは行っておりません。
これは石田先生よく御存じのことだろうというふうに思いますけれども、これまでの生産調整の仕組みの中で何が大きな問題かというと、幾つかございますけれども、その一つは、私たちの国が決めた農政の中に入らずに、自分たちの考え方によって生産を行うという農家をたくさん生み出したということがございます。
結果として、国が想定をしているよりも数量が多くこの国に出回るというような形になったところが多いわけでございまして、だとすると、生産数量目標といいますか、これまでの調整を守った方々のところが結果としてお米が残ってしまう。そのようなことを打開するために、大変金額的には不十分な額であったとは思いますけれども、そのようなことを行いながら過剰米の対策というものを行ってきたんだろうというふうに思っているところでございます。
今回の場合は、先来から大臣が御答弁をしておりますように、まさに今回の政策によって生産数量目標に従うというような農家の方々がふえるだろう、だとすると、需給というものは、よほどの好景気といいますか作柄がいいとき以外は、私どもとしては余り数量が出回るということは想定をしづらい。したがいまして、これまでと同じような形の集荷円滑化という形で、国の政策に従った方々が結果としてデメリットをこうむったような政策は、私どもとしては今のところ想定をしていないというふうなことでございます。
○石田(祝)委員 これは、豊作のときにということで、作況指数もちゃんと一〇一、そして都道府県も、また地域も、こういう三段階の、三つの縛りがあって初めて動くシステムですね。
ですから、私が心配しているのは出口戦略で、結局、自然相手ということで、なかなかこれは私たちが机の上で考えるようにはいかない。これは、たくさんとれても喜べない、また、不作であればさらに困る。こういう中で自然相手にやっていることですから、いろいろなことを私は考えておいた方がいいのではないかということを昨日も申し上げているわけであります。
それで、きのうからの御答弁では、需給が引き締まる、こういうことでしょうから変動部分は大丈夫だ、きのうはこういうお答えでした。しかし、この集荷円滑化は、一〇一という作況指数、それ以上ということですから、結局、豊作の話ですね。
ですから、今回の生産数量目標の割り当ても、生産数量目標という、面積であるようですけれども、結局、生産数量という数量から割り戻して面積は配分するわけですよね。私の高知県なんか計算したら十アール当たり四百五十九キロ、こういう計算なんですよ。ですから、これは面積を割り当てているようで実は生産数量というお米の量を割り当てているわけですね。しかし、それはあくまで机上の計算であって、現実に例えばそれが、去年ですか、高知県は作況指数がたしか一〇七だったと思うんですよ、そういう場合もあり得るんですね。
ですから、そうすると、生産数量目標、そして面積はかちっとやったんだけれども、豊作で結果的にお米がたくさんとれた、こういうときに本当に喜べるのか。これはやはり発動要件もしっかりしているわけですから、ばしっと切らないで、そこはお考えになった方がいいんじゃないのか、こういうことを私は申し上げたいわけであります。
それともう一点、集荷円滑化で、生産者に拠出金を出していただいております。これが残っていると思うんですけれども、これは今、現状、幾ら残っておりますか。
○赤松国務大臣 ことしから取りませんけれども、今残っているのは三百三十億でございます。拠出金が三百二十一億、事業収益、資金運用益が九億円ということでございます。
○石田(祝)委員 そうすると、これをやめちゃうとなったら、そのお金は生産者から出してもらったものですよね、これをそのままというわけにいかないですよね。また、国庫に吸い上げるというわけには当然いかないんですが。
大臣、制度そのものをやめちゃうわけですけれども、生産者から出していただいたお金、今三百三十億、こういうお話でしたが、これはどのようになさるんですか。
○赤松国務大臣 これはほかの農業の仕組みもそうなっていますけれども、この拠出金については、税制上の優遇措置、すなわち損金扱いになっているということでございますので、これをそのまま戻すということになると、考えようによっては二重払いみたいな形になります。ただ、今言われんとする御趣旨もわかりますので、まだ結論は出していませんので、財務当局とも少し相談をしながら、納得できる結論を出したいと思っております。
○石田(祝)委員 最後に、この集荷円滑化で、私は資料がなくて支援機構のQアンドAを見たら、残余に伴う返還金については税法上の処理は生じない、こんなことが書いてあるんですけれども、これは違うということですかね。
○赤松国務大臣 間違いなく損金処理をしております。ですから、その分は利益から外してやっているということです。
○石田(祝)委員 では最後に、これは大臣の思いというか、どういうふうにとらえているかということをお聞きしたいんです。
一昨年の事故米、私もいろいろと原因はあるだろうと思うんですけれども、毎年、約束をした、そして国家貿易として入れなきゃならないMA米、ミニマムアクセス米、これがやはり大きな一つの乗り越えなきゃいけないものになっている、こういう認識をいたしております。
大臣は、率直に言ってこのMA米を、先ほどは棚上げの百七十七万トン、備蓄百万、MA米七十七万、こういうお話でしたが、大臣の胸の中でMA米についてはどのような、何か大臣の気持ちの中でMA米の存在というんですか、これはどういうふうになっているか、率直なお考えをお聞きしたいと思います。
○赤松国務大臣 これにつきましては、五年だったと思いますが、平成五年にガット・ウルグアイ・ラウンドの中で、今、米の関税率を一気に引き下げたときに日本の農業に与える影響、これを考えたときに、その時点で外国の安いお米が一気に日本に入ってくるということだけは何としても防がなければいけないということで、当時、細川連立政権のもとで、先生も一緒にいらしたと思いますけれども、そういう中で、当時の農水大臣が、ミニマムアクセス、そういうものを受け入れることによって日本の農業を守るという視点で、WTOのすべての国々と合意をして決めた数量であり、制度でございます。
そんな意味で、ほかの党の委員からも、こんなものは、要はアクセスすることだけやればいいんだから自由にやればいいじゃないか、そんな全部とる必要はないというような意見もいただいたこともございますけれども、これは国際約束でもありますので、七十七万トンについては、特別な、自然災害等があって、輸入しますよと言っても入れない場合は、向こうが出さない場合は別ですけれども、そうでもない限りは、やはり信義を守って、七十七万トンのこのミニマムアクセス米は受け入れざるを得ない。
しかし、その受け入れた米が自由に全量市中に回るということになったときに、これは当時の閣議了解もありますので、影響を与えないようにするんだという当時の閣議決定もございますので、そういうことを守りながら、できるだけ有効にMA米を、加工米で使うときもありますし、いろいろやりながら処理をしているというのが現状でございます。
○石田(祝)委員 このMA米、これを認めたときに、当時の細川政権で私もその末席に連なっておった、政権という意味じゃなくて、大きな与党の中でですね。大臣も当然そのとき一緒でしたから、前の政権の負の遺産だと言われなくて済む、大臣も私も責任がある。ひょっとしたら委員長もそうじゃなかったかというふうに思いますが、これは違うということですが。
とにかく、この問題については、これ以上申し上げませんけれども、大変大きな米政策の課題であるという私は認識をいたしておりますので、それだけ申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。
次に、竹内譲君。
○竹内委員 公明党の竹内譲でございます。
本日は、子ども手当並びに介護職員、介護従事者の待遇改善の件につきまして、まずそれを中心に御質問をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど、子ども手当法案の趣旨説明が行われました。長妻大臣からるる御説明もありましたけれども、改めて、わかりやすく、この子ども手当の目的というものにつきましてお答えをいただきたい。
つまり、いろいろ御説明を先ほどいただいたわけでございますが、出生率の引き上げを目指しているのか、あるいは消費拡大を通じた経済対策なのか、この辺の確度を持ったお答えをいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
○長妻国務大臣 私ども、この子ども手当といいますのは、まず目的は、社会全体で子供の育ちを応援していく、こういうことが大きな目的でございます。今も、公明党の御尽力もあり、児童手当というものがございますけれども、それを拡充するという発想もあり、所得制限や中三までとか広げた上で、社会全体で子供の育ちを応援しようということです。
そして、結果として、結果的に、私は出生率についても少子化の流れを変えられるのではないか。そして、結果として、それは消費にもいい影響が出るのではないか。あるいは、結果として、子供の教育の質、生活の質、その向上にもつながる。そして何よりも、先進国の中でやはり子育てにかける予算がGDPの比率で最低の国の一つであるというようなこともあり、これも結果として、子供の貧困率の改善にもつながる。こういうような考えでこの政策を進めてまいりたいと考えています。
○竹内委員 それでは次に、子ども手当の長所と短所といいますか、長所は大体今御説明されたと思うんですが、逆に、ウイークポイントというのはどういうふうに御認識されているでしょうか、大臣。
○長妻国務大臣 ウイークポイントといいますか、よく御指摘をいただくのは、現金だけ支給するんじゃだめだ、こういう御指摘なわけでございます。これについても私も心得ているつもりでございまして、現金である給付と、そして、保育所の整備や、小一の壁ということもありまして、小学校に入っても、放課後児童クラブ等もある程度延長して、それがきちっと機能するというような現物給付。
そして、仕事が忙しくて、今、共働きの世帯が専業主婦世帯よりも多いわけでございまして、仕事が御両親とも忙しければ、お子さんといってもなかなかかなわないわけでありますので、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和というようなこともやるということでございまして、よく御指摘いただく点はその点。
あとは、非常に大きなお金がかかりますねということは御指摘をいただいているところでありますけれども、これに関しては、二十三年度については、四大臣合意を踏まえて議論をして決定をしていくということであります。
○竹内委員 私なりに考えているのは、経済政策から見た場合に、確かに一定の消費拡大効果はあると思うんですけれども、しかし、将来に期待が持てない現状では、当面は貯蓄に回る部分が多いんだろうということが一つと、もう一つは、経済政策として見た場合には、直接的に雇用拡大にはつながらないというふうに私は思っておるんです。
きょう、ちょっと申し上げたいことは、失業率は依然として、底打ちですが五・一%。昨年十二月段階で約三百三十六万人と高どまりをしておりまして、一昨年と比べまして七十一万人増加した。それから、正規の職員、従業員から離職した方が昨年八十万人ということで、一昨年に比べて二十万人も増加をしているという事実があるわけでございます。
私がきょう申し上げたいことは、介護の仕事を本格的な産業として育てていかなければならないということでございます。介護産業によって雇用を生み出すことを考えるべきであろうということでございます。
私の問題意識は、一つは、少子化対策の観点からいうと、現実に就職ができなかったり、あるいは収入が低いために結婚できない若い人がふえている現実がある、これをどうにかしなければならないというふうに思っておるんです。
いろいろデータを調べてみますと、昨年十二月時点の十五歳から十九歳の失業率は九・六%で九万人、二十歳から二十四歳は九・〇%で四十三万人、二十五歳から二十九歳までの失業率は七・一%、四十六万人、三十歳から三十四歳までの失業率は五・八%、四十一万人ということで、若い方々が他の年代よりも、率の上でも数においてもかなり高い水準になっているということでございます。
しかも、きのう、速報値が総務省から出されておりまして、その中で、十五歳から二十四歳で、最終学歴が高校や中学などの高卒等の失業率というのが一四・二%に上っていると、非常に驚くべき数字が出ておりまして、現行方式での調査を始めた二〇〇二年以降で最悪となっておるんですね。大卒等の方々の失業率が八%、それから短大、高専卒の方々が五・九%、また二十五歳から三十四歳の高卒等が八・四%、こういうことで、いずれの数字も非常に深刻な数字になっておるわけでございます。
ですから、現実に、子供をもうけるどころの騒ぎではなくて、まず就職ができない、就職ができないから結婚もできない、結婚もできないから当然子供ももうけられない、こういう非常に厳しい現実が今世の中を覆っているということを、ぜひ大臣も御認識いただきたいと思うわけでございます。
そもそも、子供がいらっしゃる世帯はある程度の収入レベルがある方々でありますので、そういう意味では、今申し上げた失業中や低収入の独身の方々は恩恵を受けないということで、まずは、この独身の若年層の失業それから低収入をどうするかということを、やはり非常によく問題意識の中で置かなければいけないんじゃないかなというふうに思っておるんです。
それから、もう一つの問題意識は、財政難の現状というのがございますので、そういう意味でいうと、莫大なお金を子ども手当に投資する、直接的に給付するということもそれなりに意味はありますけれども、しかし、むしろ、その前に、雇用を安定させ、所得を継続的にふやすという角度も、非常にやはりあわせて重視していかなければいけないんじゃないかなと思っておるんです。
きょう申し上げたいことは、その中でも具体策として、やはり介護職員、介護従事者の処遇改善という問題でございまして、お手元に資料を、長妻大臣はもう頭の中にすべて入っておられるでしょうけれども、初めての方もいらっしゃいますので、ちょっと数字を出してみたわけでございます。
この三枚目を見ていただきましたらわかりますように、今、二〇一〇年でございますから、百四十九万人に大体近づいていると言われておるわけでございます。これがあと十年、二〇二五年には、さらに百万人ぐらいは介護職員が必要とされてくると言われておるわけでございます。
一枚目に戻っていただきたいわけでございますが、現在でも介護関係の有効求人倍率は一・三七ということで、一般が〇・四ですから、高くなっておりますし、特に東京では二・四五の求人倍率だということでございます。
ところが、一方で、介護職員の離職率というのは、平成二十年で、その下の図でございますが、一番右にありますように、一八・七%とありまして、全産業の一四・六%よりも高くなっております。緑の一番端ですね。さらに、常勤の離職率というのは、右の小さい図ですが、全産業が一一・七%に対しまして、二〇・二%と二倍近くの離職率になっておるわけでございます。老人ホームを開設しても職員が集まらずに、受け入れるお年寄りの数を制限したり、サービス自体を中止するケースも見られる。
離職率が高く、人が集まらない理由の一番は、御存じのように、仕事はきついが賃金が安い、こういうことでございまして、実際、平成二十年の平均賃金を見ますと、真ん中の黄色いところでございますが、全産業が月額二十九万九千百円、四角で囲ってあるところですが。ホームヘルパーさんが十九万四千四百円、福祉施設介護員が二十万三千四百円ということで、月額で十万円近く差があるというのがはっきり見てとれるわけでございます。
まず、このような現状をごらんになられて、率直に厚生労働大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
○長妻国務大臣 私どもも、今、ある意味では、失業者の方々がたくさんおられるということは逆に言えば介護事業を立て直す絶好のチャンスでもある、こういう問題意識を同じように持っております。
そのため、昨年十二月には、ハローワーク等が主催をして全国で介護就職デーというのを開きまして、一万人ほど職を探す方が来ていただいて、そのうちの約一割の千人を超える方が介護の職場で就職が決定しました。そして、きのうも一時から新宿に参りまして、IT企業や介護を七十一社集めて厚生労働省が主催した就職面接会をいたしまして、多くの方が来ております。
ただ、今おっしゃられた、なぜこれだけ職がない時代に介護の職場は有効求人倍率が平均一・三ということで人手不足になっているのかということの、一つの根本的原因としては処遇の問題だというのは私も認識をしておりまして、所定内賃金でいきますと、これはボーナスとか超過勤務手当は除いた月給ですけれども、特に男性の差が非常に大きいということ、そして、離職についても正職員で五人に一人ということで、私どもとしては、介護報酬に加えて、処遇改善の交付金をお渡しする、今、八割ぐらいの事業所が申請していただいて、月給が一万五千円ふえるような形の措置をしておりますけれども、それでもまだ不十分だと考えておりますので、今後、処遇改善についても取り組んでいきたいと考えております。
○竹内委員 そこなんですね。
そこで、今大臣がおっしゃいましたように、前政権におきまして、介護報酬の三%引き上げをやった。その速報値がまたきのうあたり出ていまして、大体九千円ぐらい、約一万円弱、給与がふえたという報告が出ておりました。
その次に、どうもこれだけではやはり足りなさそうだということで、これも平成二十一年度の補正予算、前政権のときですが、今大臣がおっしゃられた介護職員処遇改善交付金約四千億円を計上して、二年半かけて、平成二十三年度末までに介護職員一人当たりの月額を平均一・五万円引き上げることとした。いろいろ政権交代してどうなるかと思ったけれども、民主党におかれましても執行停止されることなく引き継がれたということで、これはよかったなというふうに思っておるわけであります。
マニフェストを拝見しますと、民主党さんの方で、二十五年までに四万円引き上げると。介護労働者という表現をしていますが。この四万円なんですが、これはぜひやってもらいたいと我々も思っているんですね。この四万円というのは、いつのいかなる金額を基準にして四万円引き上げるのか、ちょっと教えていただきたい。
というのは、前政権の施策で約二万五千円ぐらい。一万円と一万五千円ですから、ざっと二万五千円上がる。そうすると、あと一万五千円というふうになりますが、しかし、それではちょっと、いかにも何か力が入っていないという感じがしますし、その辺、この四万円というのをどういうふうに大臣としてはお考えか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○長妻国務大臣 これについては、ちょうど来年の末ごろに決まるわけですけれども、介護の報酬と診療報酬の同時改定ということで、介護は三年に一遍で、診療報酬は二年に一遍で、それがちょうど重なるということでありまして、それに向けて、今、厚生労働省の中でも鋭意検討しているところであります。
私どもといたしましては、今言われた、前の政権で上げていただいた介護報酬三%アップで、月九千円見合いということです、これは事業所の経費になる部分もあるんですけれども。そして、処遇改善金で月一万五千円ということで、足し算すると二万四千円ですけれども、それに加えて合計四万円は少なくとも達成をしていきたい。
それでも不十分な面はあると思いますので、それ以降については、我々としても、引き続き検討課題であるということは考えております。
○竹内委員 大事な御答弁だったと思うんですね。さらに別個で四万円引き上げたい、こういうことでございます。
先ほどのこのデータでいきますと十万円ぐらい差がありますので、全産業平均ぐらいまではやはり早急に引き上げていくぐらいの力強さというか決意というか、そういうことがぜひ必要だろうと私は思っております。しかも、それだけのニーズがございますので。これはもう答弁を求めません。
私がこう申しておる背景には、当然、既に私どもの代表等が申し上げておるように、介護総点検運動というのをやりまして、全国で十万人を超える方々からヒアリング調査も行い、さまざまな声を聞いてまいりましたので、そういう声も背景にあるということも申し上げておきたいと思うわけでございます。
次に進めたいと思います。
この一万五千円引き上げに必要な予算なんですが、これは年間に直しますと大体千六百億円でございまして、今回の交付金方式によって仮に四万円引き上げるならば年間総額約四千三百億円が必要だ、こういうふうに思うわけでございます。非常に大きな金額ではございますが、しかし、先ほどの子ども手当から比べればはるかに少ない、十分の一以下で済むという感じがするわけでございます。
先ほども申し上げたように、子ども手当は直接的には雇用の拡大にはつながりませんが、しかし、この介護職員への交付金の増額はやはり直接的にかなりの雇用を生むわけですね。ここが非常に重要な点だと思っております。
資料の三枚目にございますように、介護職員の皆さんは二〇〇〇年度には五十五万人程度だったんです。それが二〇一一年には大体百五十万人ということで、この十年で百万人ぐらい雇用が増大している。さらに、介護職員、これは専門的なヘルパーとかそういう方々でありますから、介護職員だけでさらに百万人ニーズがあるということでございます。関連の介護従事者の方々まで含めると、もっと多くの雇用がふやせるのではないかなと推計されるわけでございます。
そういう意味で、ここに力を入れれば、百万人の雇用が創出できるほかに失業率を低下させる、それから、このことによって正規雇用されれば少子化対策にもなる、それから、高齢者の方々の不安解消にも役立つ、加えて、これだけの二百五十万人規模の正規雇用が生まれ、また、収入の水準が平均賃金並みにまで引き上げられれば経済効果としても大きなものがある、このように思うわけでございます。この介護産業の重要性につきましては、もう先ほど御答弁がありましたので、答弁を求めません。
最後に一つだけ御質問をさせていただきたいわけでございますが、児童手当が手厚いことで知られるドイツの場合は、もう御存じだと思いますが、金額は約百五十四ユーロ、約二万円、子供の数で増額されますけれども。それからまた、スウェーデンの場合も、千五十クローナ、一万三千六百円ということでございます。そういう意味でいうと、子ども手当が二万六千円満額支給された場合にはいかに大きいかということがわかるわけでございますし、恐らく世界一の給付水準になるんだろうと思うわけであります。
私が申し上げたいことは、現金給付も大事なんですが、しかし、まずは、雇用を軸とした生活保障のビジョンというものがやはり先に立っているべきではないのかというふうに思うんですね。家計に直接税金を配分していくことは意義のあることだと思いますけれども、しかし、その現金給付に過度に歳出が集中するのであれば、それはやはりばらまき批判を受けざるを得ない。雇用と経済が安定していく見通しがなければ、現金給付も貯蓄に回って、内需拡大にもつながらないだろうと思うんです。
私は、むしろ雇用の安定こそ生活の安心と経済の活力に結びつける接点であるというふうに思っておりまして、そういう点から見ますと、残念ながら、今回の予算は、財源の問題もあったんでしょうが、やや雇用政策が弱い感じがするわけでございます。簡単に言えば、子ども手当をもらっても失業してしまっては意味がないわけでございますので、そういう意味で今申し上げたわけでございます。
これも長妻大臣よく御存じだと思いますけれども、スウェーデン、ノルウェー、デンマークなどの北欧では、特に現役世代支援の方に力を入れておりますね、職業訓練とか能力開発とか。そのことによって、そういう積極的な労働市場への支援が失業率を抑制してきたということはもう御存じのとおりだと思います。
一方で、ドイツ、フランス、イタリアなどのいわゆる大陸ヨーロッパというところでは、年金中心に現金給付が肥大化してきて、人々を雇用につなげることができなかったという分析が最近なされております。
実際、OECDの調査によりますと、ドイツ、フランス、イタリアの三国の年金給付水準は、先ほど申し上げたいわゆる北欧三国の一・五倍から二・四倍と高水準になっておりますし、一方で、ドイツ、フランス、イタリアの現役世代向けのそういう支出は、北欧三国の二分の一から三分の一程度だというふうになっておるわけでございます。失業率も、イタリアが八・四%、フランス八・九%、ドイツ九%と、これもまた北欧三国の二倍近くとなっておるわけでございます。
最近、ドイツでは、これまで児童手当などが手厚かったんですが、雇用が逆に縮小してしまい、財政赤字に苦しんでいると指摘されております。私は、今回の日本の子ども手当が突出して他の雇用政策とのバランスを欠いた場合には、ドイツなどの大陸ヨーロッパの轍を踏むことになるのではないかというふうに心配をしているわけでございます。
ドイツでは、近年、北欧の経験を踏まえて、雇用を支える形の社会保障へと転換を図り始めたと言われております。そういう意味で、大丈夫かなと、本当に真剣に、日本が世界の潮流から少し、一周おくれてはいないかということをちょっと心配しているんです。
このような視点から、これは私の見解ですけれども、子ども手当はそれなりに意義はありますが、しかし、雇用を補完する社会保障として、そういうことを軸としてやはりこれは大幅に見直して、児童手当の拡充程度まで歳出を抑制すべきではないかというのが私の考えなんです。むしろ、先ほど申し上げました介護職員への賃金引き上げの措置など、積極的な雇用政策をもっと打ち出していった方がいいんじゃないか、これが大局観に立った為政者の責任であると考えておるわけでございます。
ちょっと長くなって大変恐縮でございますが、長妻大臣に御見解を承りたいと思います。
○長妻国務大臣 今、ヨーロッパの積極的雇用政策のお話がありましたけれども、ある意味ではポジティブウエルフェアというふうに言われているものでありまして、私どもとしても、平成二十三年度から求職者支援という考え方で、つまり、職業訓練を受けながら生活費も支給するということを恒久措置としてやっていくということも十分措置しています。
その上で、やはり、いつも子供の話あるいは子供の育成について、もっと重要なことがあるんじゃないかという議論が国会でもこれまでも行われていて、言葉は悪いですけれども、子育て支援というのが十分なものが後回しになっていたというふうに私も感じておりまして、ある意味では子ども手当あるいは子育て支援というのは未来への投資というふうに考えて、そういう意味では、そこで労働していただく子供が大人になって社会にも付加価値を生み出すという観点から、どうしても今回はこういう政権交代を機に思い切った政策をやらなければならないという問題意識に基づいております。
先ほど、介護職員の賃金についてちょっと誤解を与えたかもしれませんけれども、これまでの四万円というのは、一万五千円の処遇改善の交付金とこれまでの介護報酬三%アップに加えて、一・五と一だと二万五千円に加えて少なくとも一万五千円、トータルで四万円はアップをしたいというふうに考えているところです。
○竹内委員 ちょっとがっくりきたんですけれどもね。そこに山井さんもいらっしゃいますのであれですけれども、ここはぜひ積極的にやはり打って出ないといけないんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。
最後に、菅大臣にせっかく来ていただきましたので。
私は、経済成長の限界とか、それから税収の伸びの限界、国債発行の限界など、やはり予算上の制約があると思うんですね。子ども手当の歳出額の、やはり財務大臣からすれば、なかなか本音は厳しいんじゃないかと思っておられるんじゃないかと思うんです。最近の議場外でのいろいろな御発言を聞いていますと、いろいろな消費税以外の増税の話もされているようでございますので、そういう意味ではどのようにお考えか。
また、最新の情報によりますと、民主党さんの中でも政権公約は柔軟に予算修正するというような情報も出ておりますので、財務大臣としては、やはり予算のバランスという点からこの辺に一定の制約をかけるつもりがあるのかどうか、お考えをお聞きしたいと思います。
○菅国務大臣 今の議論を聞いていて、最後に言われたことはちょっと違うんですが、全体の大きな方向としては、私は竹内委員の考えにあるいは近いのかなと思っております。
というのはどういうことかというと、社会保障分野というのは、私は、日本にとっては最大の成長分野だと。エコとか、新しいイノベーションとか、そういう新しい分野ももちろん大きな成長分野ですが、需要が潜在的にありながら人件費等が低いために供給がなされていない分野が、介護であり、医療であり、保育だと。そういう意味では、そこに何らかの形で、それが財政になるのか、個人負担になるのか、いわゆる保険料になるのか、いろいろありますけれども、そこにそういう財が投じられることは、私は非常に大きな成長を生み出すと思う。端的に言えばGDPの拡大を生み出す分野だ、そういう認識をしております。
そういう意味では、それをどのようにやればまさに具体化できるか。負担という言葉を使いますが、公共事業だって社会福祉だって、ある意味では、政府支出という意味では同じ性格であって、どちらが本当に成長につながるかという観点から、今、分析を実は内閣府などでもさせているところなんです。
今、最後に言われた問題は、確かに私は、冒頭申し上げた意味で、需要を拡大する、その前に雇用から需要が拡大し生産が拡大する分野が一番まさに大きな分野だ、重要な分野だと思っていますので、そこは共通ですけれども、子ども手当について、マニフェストに掲げた大きな政策ですので、今の段階で来年度というか再来年度以降について、基本的には当初のマニフェストの方向で努力をしたい。もちろん、現物給付の問題あるいは雇用の問題もあわせて考えていきたい、このように思っております。
○竹内委員 終わります。ありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。
次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
きょうは、地球温暖化対策について質問したいと思います。
まず最初に環境大臣に伺いますけれども、日本政府として、COP15を受けて、国際約束、目標、これはこの間出されたと思うんですが、条件をつけないで二五%削減ということでいかれたのかどうか、これをまず伺います。
○小沢国務大臣 お答えいたします。
条件はつけさせていただいておりまして、国連総会で鳩山総理が表明した際の条件、念のため申し上げておきますと、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提にということでつけさせていただきました。
○吉井委員 そこで、資料を配らせていただいておりますが、まず、資料一の図の一の方、ここには、アメリカ、中国、EUなどの一人当たり二酸化炭素排出量のインドとの比較を、日本ももちろんそうですが、載せておきました。
それで、確認しておきたいんですが、これは私の方でつくった分ですけれども、インドの一人当たり排出量の、アメリカで十五・九倍、日本が八・一倍、EU二十七カ国で六・六倍、こういうふうに、主要排出国、主要な国といえばまずこういうところが非常に大きな排出国になってくるかと思うんですが、伺います。
○小沢国務大臣 委員のお配りいただいた資料のとおりだと思っておりまして、主要排出国というのはそういった国々だ、こう認識しております。
○吉井委員 それで、気候変動枠組み条約の根本にある、共通だが差異ある責任の原則、この立場に立って臨む必要があるというふうに思うわけです。これは世界のどの国の人も文明を享受する権利は平等なんだという考え方が根底にあるというふうに思うんですが、伺います。
○小沢国務大臣 直接そうしたことを指摘を受けたり、あるいはまた物で読んだという記憶はありませんが、委員のおっしゃることもわかる気がいたします。
○吉井委員 インドの方の一人当たり排出量に比べて、主要国はうんと高いわけですね。それで、インドの人も、途上国といえども抑えなさいと。まあ、排出を抑えるのは当たり前なんですけれども、しかし、アメリカのように十五・九倍とか出しているところは、今の文明水準を維持するにしてもうんと抑えるという特別の努力をしないといけないというのが、おくれた国は文明の享受は受けるのを我慢しなさい、受けているところはこれからも努力はするがよろしいというわけにいきませんから、やはりそこは大事なところだと思うんです。
次に伺っておきたいのは、この資料一の図の二に示しておきましたけれども、産業革命期の一七六〇年以降の世界の二酸化炭素排出量と主要各国別二酸化炭素排出量を、化石燃料をもとにして算出することができるわけですね。きょうここに示しておりますのは、資料一の図の二の方は、一八五〇年以降の各国別排出量のデータをWRIのもので示しました。これで見ても、日本のいわば積分値での排出量は四十三ギガトンです。人口大国の中国の半分ぐらいを日本が出してきているんですね。アメリカなどは世界の三割を出してきているわけです。
これは一八五〇年以降の分ですが、一七六〇年代の産業革命期から二〇〇六年までの時期にかけて日本と世界の排出量は幾らになるのか、やはりこういうことを明らかにしておくことが大事だと思うんですが、政府として算出しておられればお示しいただきたいと思います。
○小沢国務大臣 委員のお示しになった図は恐らく、環境シンクタンク、世界資源研究所の資料だと思いますが、その資料は私どもも持っておりますけれども、政府としては、直接そうした計測はできておりません。
○吉井委員 出典も書いておきましたけれども、これはWRIの資料なんですが、実は、一七五一年から二〇〇八年についての積分値での各国別の排出量を計算しようと思ったら、アメリカのオークリッジ研究所のCDIAC、二酸化炭素情報分析センターの一七五一年以降の化石燃料の使用量のデータがありますから、それをもとにして計算すれば出てくるわけですね。
例えば、これは間違っておってはいけませんから政府の方できちんと一度やってもらいたいと思うんですが、アメリカでいえば三百二十五・四ギガトン、全体の二七・六%、日本は四十六・一ギガトンで三・九%、世界全体で千百七十八・四ギガトンが産業革命以降、二酸化炭素の総排出量ということになってきます。
私は、WRIの資料というのは一八五〇年以降の分なんですね、実際にはやはり余り大きな違いは多分ないだろうと思うんです。しかし、産業革命期以降のイギリスは、霧のロンドンで有名なように、物すごく出しているわけですね。ですから、それはやはり各国別にきちんとこうしたデータを出して、それをもとにしてやれば、各国別のいわば積分値での二酸化炭素排出量も国別排出割合も出てくるわけですね。そうしたきちんとしたデータを持って国際交渉に臨むということが必要だと思うんです。環境省として、これは後ほどでも結構なんですが、きちんと計算を行ってデータをお出しになるかどうか伺っておきます。
○小沢国務大臣 委員の御指摘のように、公平性というようなことを考える場合には、それなりに根拠のある数字というものが極めて重要だ、こういう認識は当然持っているわけであります。
先ほどお話がありました一人当たりCO2の排出量であるとか、あるいはまた、今話題になっております歴史的な排出量という話は、これはある意味では各国の公平性をはかるデータとしては極めて有用だ、こういう認識はございます。
歴史的排出量に関してでありますけれども、先ほども申し上げましたように、この世界資源研究所のデータでありますが、もちろん、国、年ごとの石炭等化石燃料の生産量や輸出入量などから推計、こういう話になるわけでありますが、これは、一八五〇年といいますとなかなか古いデータでもありまして、そういった意味では、一〇〇%それが信頼に値するかという点に関してはやはりいろいろ考えなければいけないな、こういうふうには思っております。
そうした現存するデータをもとに推計をする、それが正しいかどうかは別にしても、推計するということであれば、環境省としてもトライをしてみる価値はあるのかな、こういうふうに思っております。
○吉井委員 重ねて伺っておきますが、オークリッジ研究所の方のデータとか、これは、私は、やはり積分値での排出量の多い先進国にはそれだけの大きな責任があるわけですね。ですから、そのことを、やはり差異ある責任をきちんと明らかにするという必要があると思うんです。この点では、政府として算出するか、あるいは国際的に共同して調査をするか、そうしたことに取り組んでいくということが、とりあえずはまず日本の国際交渉の第一歩になってくるんじゃないかと思うんですが、重ねて環境大臣に伺っておきます。
○小沢国務大臣 今後、閣僚委員会等で検討しながらやってみたい、こう思っております。先ほど申し上げましたように、いわゆるそのもともとのデータの信頼性等もございますので、それが客観的データのすべてになる、こういうふうには思っておりませんが、トライをしてみたい、こう思います。
○吉井委員 地球温暖化対策、地球環境ということを考えますと、主要排出国の参加するときまで今のままでいいというわけにはいかないと思うんです。いわば積分値での二酸化炭素排出量の多い国は、それだけ排出削減に取り組む責任を持つ必要があると思うんです。日本政府が他の国をリードする積極性を示すということが、累積量あるいは積分値での世界の三割を占めてきた、極端に排出量の多いアメリカに対しても、それから、これから積分値で急増の傾向にある途上国に対しても、排出削減へ取り組んでいく、そこへ追い込んでいく力になると思うんですね。
だから、そういう点では、日本が独自にでも条件をつけることなく二五%削減に向かう、そういう考え方というものが大事だと思うんですが、重ねて伺います。
○小沢国務大臣 環境を考える立場の私としては、前提条件なしにでもとにかく二五%削減をして、この地球のまさに今の環境を後世に伝えていくという話は重要な使命だ、こういうふうに思っております。
ただ、同時にまた、これは委員も御案内のとおりでありますけれども、やはりそこは、地球益と国益、そうしたもののバランスも考えながらやっていかなければいけない、こういう要請も当然あるわけでありまして、そういった意味においては、現時点においては政府の中は条件つきの提示、こういうことが現在の政府の立場でございます。
○吉井委員 私は、条件をつけることなく取り組むべきだというふうに考えるんです。
そこで伺いますが、国内で二酸化炭素排出削減を強化すると海外に工場が逃げていくとか、これは昨年の経団連の意見書などでもあるんですが、その考え方というのは、いわば企業が海外で二酸化炭素を垂れ流しますよと宣言するのを、政府がもしそれを認めたら、黙認してしまうのと同じことになるわけです。
地球温暖化対策というのは、これは地球規模の問題なんですね。世界展開する多国籍企業などに対して社会的責任を果たさせるということと、それから母国である国の政府の責任というものが今非常に大きいと思うんです。
そこで、経産大臣に次に伺いますが、日本企業は、中国を世界の工場と、最近は工場というより世界の市場という面がかなり強くなってきていますが、そうして進出しているわけですが、二〇〇八年の中国に進出した日本企業の工場の生産量、中国企業に委託加工を求めている生産量、中国と海外企業の合弁企業での生産量がそれぞれ幾らになるのか。また、中国と海外企業の合弁企業の中の日本企業の生産量、日本企業のその場合の委託加工生産量、日本企業との合弁企業の生産量についても経産大臣の方から伺っておきたいと思います。
〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕
○直嶋国務大臣 今幾つかの数字をまとめておっしゃったので、すべて答えられるかどうかあれなんですが、中国の統計によりますと、二〇〇八年の名目GDPが三十一兆四千億元、約四百十五兆円です。
そして、工業付加価値額は十三兆元、百七十兆円というふうに公表されています。そのうち、企業収入が五百万元、これは企業収入というのは売り上げだと思うんですが、五百万元以上を対象とした統計によりますと、外資系企業が約一九・四%を占めるというふうに公表されています。
ただ、その内訳となる日本企業が占める額は公表されておりませんので、その部分については不明でございます。
それから、中国の鉱工業生産額でございますが、この数字については中国は発表しておりません。それで、中国統計局は工業センサスという形で数年に一度発表しております。最も新しいものが二〇〇四年の工業センサスがございますが、これによりますと、工業生産額は二十二兆二千三百億元、約二百九十六兆円ということでございます。そして、このうち外資系企業の占める割合は、一九・二%の四兆二千七百億元となっております。
ただ、これも、さらにその中で日本企業の占める内訳ということで見ますと、これは数字は発表されておりません。したがいまして、御指摘の日本企業等の中国に進出した現地工場における生産額等については、中国政府により公表された統計は私どもは承知をしておりません。
ただ、サンプル調査で我が国の海外事業活動基本調査というのをやっておりまして、これによりますと、我が国海外現地法人の中国における売上高は約三十三兆円、このうち現地販売額が十八兆円、日本向けの輸出額は七兆円ということでございます。
以上です。
○吉井委員 三十八回海外事業活動基本調査とか、今も基本調査の話をされましたけれども、一定の割合というのはわかるわけですよ。それで、現地法人の売上高は二百兆円、そのうち製造業が百兆円とか、これは政府の方の出していらっしゃる資料にあって、日本の総輸入額に対して二〇〇六年ですと一八%とか、割合というのも出ております。
それから、中国自身の国家統計局の資料でも、二〇一〇年一月二十一日に発表した昨年の名目GDPの数字とか、内資企業、外資企業に分けたものはありませんけれども、しかし、いろいろなデータがあって、やはりその中で、政府自身、通商白書なども出しているんですが、財務省データの方を使って、例えば八木三木男さんなどの研究レポートで、中国に進出した日本企業の形態は、独資経営六六%と、合資経営、合弁企業ですね、それから合作経営の三つの形態を合わせて九八・五%とか、やはりそれぞれに多くの方が努力してデータをつかんでいらっしゃるわけで、ですから、進出した企業の生産統計の方で、これは中国が発表していないからわからないと言うだけじゃなしに、努力すればそれは日本としてきちんとつかむことができるんじゃないですか。
○直嶋国務大臣 さまざまな試算資料を使って吉井先生おっしゃるようにある程度計算することは可能かもしれません。
ただ、中国に進出した日本企業といいましても、今お話にあったように、どの程度の資本持ち合い率になっているかとか、合弁、単独、さまざまな形態があると思いますので、ではどの範囲を日本企業と見るのかということも含めて、さまざまな整理が必要ではないかというふうに思っております。
○吉井委員 私は思うんですが、全国規模の工業企業の主要経済指標というのが中国政府から出ております。これによると、二〇〇八年の鉱工業生産額の約三割が外資系企業ということが、データによる数値から読み取ることができます。
この点については、例えばCEICのデータによる三菱東京UFJ銀行の経済レビューの昨年六月十五日号によると、工業付加価値額七兆元のうち外資系企業によるものが二兆元で、大体約三割を占めると。いろいろなデータがありますが、しかし、製造業関係で大体三割、それは厳密な数字でいえば二九・何%だとか、それは言えないにしても、大体三割は外資系の企業のかかわるもの、生産するものということが出てくると思うんです。
そうすると、経済産業大臣に伺っておきたいんですが、この三割の部分の排出削減については、日本などを含めた進出企業とその母国政府が排出削減についてもやはり責任を持っていくということを考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○直嶋国務大臣 私がさっき御答弁申し上げたように、中国の統計をもとにいたしますと、外資系企業が工業生産額に占める割合は一九%強ということでございます。吉井先生のおっしゃった数字とどこがどういうふうに違うのかということは議論の余地があるというふうに思っております。
それから、海外に出ていった日本企業の排出についても日本政府が責任を持つべきではないかという御指摘でございますが、今国際社会で行われていることは、それぞれの国がそれぞれの国内における排出量をどう規制していくかという議論でございまして、当該国に来た外国の企業はそのもともとの母国の責任であるという議論にはなっておりません。ただ、最初に言われましたように、規制が厳しいから日本企業が外へ出て緩やかなところで活動するよというようなことは我々は避けていきたいというふうに思っております。
さっき二五%の議論もございましたが、私の立場から申し上げますと、厳しい規制は目標としてやっていくとしても、やはり日本の経済社会を維持するということも含めて、できるだけ企業には国内にとどまって生産活動をしていただきたい、今後ともその基本姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。
○吉井委員 これは通商白書でも明らかにしておりますが、中国の輸出額一兆四千億ドルのうち、外資系企業の輸出が五五・四%、文章表現としては「貿易額の約六割を占める外資系企業」というふうにうたっております。ですから、かなり中国を世界の工場として、そしてそこからどんどん外資系企業が輸出をする、こういう形になっているわけです。
ですから、中国を世界の工場にしてしまって、自国で垂れ流す二酸化炭素を中国へ持っていって垂れ流しておきながら、国益論とか国際競争力論というのを振りかざして、中国など主要排出国が応じないと二五%の削減はやりませんよなどというのは、これは道理に合わないと思うわけです。
ですから、経産大臣にもう一度伺っておきたいのは、日本企業が中国でどれだけ二酸化炭素を排出しているかということは、やはり基礎数値を、データをとらなきゃいけないと思うんですよ。中国は中国でとるのは当たり前で、それはさっきのデータも海関統計などありましたけれども、しかし、海関統計とは別に、日本の経産省として、日本の企業が、中国だけじゃないですよ、他の発展途上国などに進出して、どの企業が幾ら生産活動をやって幾らCO2を出しているのか、石炭火力なんかの電力を使えば出すわけですから、それはやはりきちんとつかまないことには、日本として本当に地球温暖化対策に取り組むということになってこないと思うんですね。
ですから、経産省として、日本企業がどれだけ二酸化炭素を排出しているのか、これを試算、調査されたことがあるのかどうかということをまず伺います。
○直嶋国務大臣 さっきのお話の中で、例えば中国の輸出に占める外資系企業の割合が五五%というお話がございました。これは、私どもも税関統計から掌握をしている数字と同じでございます。また、その中で、委託加工が約四七%で六千七百億ドル、こういう数字も出ております。
それで、日本企業が海外で排出するCO2をすべて把握するというのは、これはなかなか困難だと思っております。おっしゃるように、主要排出国における数字ぐらいつかめよというのが御指摘かもしれません。その部分は先生の御指摘として承っておきたいというふうに思っております。
それで、申し上げたいのは、日本の企業が出ていって世界じゅうで生産活動をしているわけでございますが、それを日本政府が規制するということではなくて、先ほど申し上げたように、それぞれの国が国際協調の枠組みをつくった上で協調しながら、日本の場合にはすぐれた省エネ技術を持っておりますので、そういうものは有効に提供して活用していただく、そういう視点に立ちながら地球全体のCO2排出量を削減していこうというのが今の国際社会の流れでございますので、私どもとしては、そういった大きな流れの中で国際協調の枠組みを構築していきたいということでございます。
先ほども議論がございましたが、日本の排出量そのものは、もちろん企業は海外でCO2を排出しているかもしれませんが、世界全体でとらえると、ごく一部でございます。四%でございます。したがって、先ほど御指摘があったような、アメリカを初めとする多量に排出している国も含めて削減をしていくということが、やはり地球温暖化対策ということになるのではないかというふうに思っております。
○吉井委員 今の四%の話は、積分値でも四%なんですが、大体、日本の場合は、微分値といいますか、現在の排出量で見ても四%ということで、しかし、それは国内だけに限った話ですから、海外へ出ていって垂れ流すということをやはり日本政府として抑えるということをやらないと、主要排出国が参加するということを条件につけて、それまでは日本の二五%削減の目標に取り組むということについて消極的になりますと、アメリカは何しろ歴史的にも三割、巨大な分なんですが、現在出している分も物すごく大きいんですよ。そういうところを本当に削減に追い込んでいかなきゃいけない。
途上国についても、その設備から出している電力を使って我が日本の企業も出しているんだから、そこはやはりきちんとやりましょうということで、日本は日本として、海外で日本企業が進出してどれぐらい出しているのかを明らかにして取り組むということをやらなかったら、それはなかなか説得力を持って発展途上国にも、IPCCの二五から四〇%ぐらいの二〇二〇年目標を頑張りなさいと、とてもじゃないけれども、言うことにならないと思うんですね。
そこは経産大臣、まず日本の進出した企業というのは、さっき言いましたように、数値として財務省統計でわかるぐらいですから、つまり個別にわかるわけですから、そこの生産量の把握とか、細かいところは別にしても、主要なところについてはやはりつかんで、政府としても国際的にも国内的にもきちんと物を言えるということが、私はその調査が必要だと思うんですけれども、経産大臣に伺っておきます。
○直嶋国務大臣 先ほども申し上げたように、今世界じゅうで、日本の企業が出ていっている先でどれだけCO2を排出しているかという算定をすることは非常に困難だというふうに思っております。ただ、先生御指摘のように、特定の国でどうなっているかということは、ある程度推計できる可能性は大きいというふうに思っています。
それで、議論がなかなかかみ合わないのは、さっき申し上げたとおり、今のやり方は、それぞれの国が、日本の企業も外国へ行った場合、外国の法律に基づいて外国のそれぞれの国の主権のもとで企業活動をしているわけでありますが、それぞれの国がそのもとで排出をどう削減していくかという議論をしております。例えば、今の先生の論法でいくと、アメリカの企業は、今度は世界じゅうでアメリカ企業が出している量をコントロールしなさいということになりますし、いずれ中国の企業も恐らく世界じゅうへ展開をしていくことになると思います。
ですから、そういう方式も否定はできないのかもしれませんが、考え方としてあり得るかもしれませんが、しかし現実の問題として、地球、国際社会全体でCO2の削減に取り組むということになりますと、今申し上げたように、それぞれの国における排出を抑制していく、そういうやり方が今国際社会で最も議論されているやり方であるということでございます。
したがって、私どもとしては、さっき小沢環境大臣がお答えしたように、主要排出国がきちっと公平で意欲的な目標を掲げるということが、国際社会で枠組みとして協調の枠組みができるということが、これは当面の目標でありますが、私どもの二〇二〇年の前提になっているということでございます。
昨年のCOP15でも、ある種政治合意として、みんなで努力をして目標をつくってやっていこう、こういうコンセンサスは得ることができたと思っておりまして、それをさらに具体化するために政府としては努力をしていきたいというふうに思っております。
○吉井委員 やはり先進国であり主要な排出国が、自分のところの企業が国内で厳しくなったら海外で垂れ流すというふうな物の考え方とかそういう対応というものをきちんと正させるという姿勢に立たないことには、地球温暖化対策というのは簡単にいくものじゃない。しかし、それは地球環境の危機だというふうに思います。
資料二に、内包環境負荷に関する図をつけておきました。先に図の四をごらんいただきたいと思うんですが、今も大臣おっしゃった、グローバル化しているわけですね。
例えばパソコンですが、パソコンについては、ハードディスクについては韓国で日系企業がつくって日本へ持ち込んでくる。それから、CPUは台湾がつくって持ち込んでくる。その製品の段階で既に二酸化炭素の排出が含まれているわけですが、これに日本の本体生産でさらに新たな排出が加わって、それが中国へ行って、日系企業のもとでモンゴル製のマウスとASEANからのモニターが輸入されて、これを組み立てて、ですから、日系企業の中国での二酸化炭素の排出量も含めてこれがアメリカへ輸出される。これがいわゆる内包環境負荷と言われるものであります。
ですから、中国における直接の排出とともに、そうした日系企業などがかかわってくる、あるいはグローバルに動いているCO2の問題があるわけですね。今はそういう時代になっているということが、この内包環境負荷と言われるものであります。
自動車を中国やインドで組み立てるとすると、鋼板やガラスやアルミ製品、ゴムタイヤなど、原材料から中間財が大体二万点から三万点ぐらい必要になりますが、その必要とされるものをどこの国から調達するかによって内包環境負荷というのは変わってくるわけですね。コストダウンを図ろうと企業が考えると、垂れ流しをしている国へ行った方が安いとなれば行くわけですね。そういうことをやっていますと、地球温暖化対策ということには本当につながってこないわけですね。
それで、資料二の図の三の方を、何か三と四が逆になりましたが、左の方の資料二の図三をごらんいただきたいのですが、これは産業連関表などに基づいて概念図というものを示したものです。
これが内包環境負荷というものですが、結論的に要旨だけ言いますと、日米のCO2量を中国など東南アジア地域に肩がわりをさせているということに今なってきているわけですね。経済は確かにグローバルに動いているわけです。それだけに、グローバルにやはりCO2対策について考えていかなきゃいけないというところへ来ていると思うんです。
それが内包環境負荷というものを考える上で大事な点で、資料三に表を載せておきましたが、これは化石燃料使用による内包エネルギーの貿易に当たるものと、それから、それに連動してくるCO2は係数を掛ければ出てきますから、上は内包エネルギー貿易の方の二つで、下の方に、一九八五年と二〇〇〇年の、十五年後どうなったかということを、内包CO2貿易における変化というものを示しておきました。
これは、一番上の段にあるのは、最終需要を発生した地域はどこかということで、インドネシアとかマレーシアとかフィリピンとかシンガポール、タイ、チャイナ等々ずっとあるわけですが、左側の方は、これは需要を起こすために誘引する、その地域がどこなのかということです。
こういう表で見たときに、下の方の一九八五年と二〇〇〇年を比べればわかるわけですけれども、中国の欄のトータルで見たときに、中国は、十五億六千九百二十万トンから、二〇〇〇年には三十二億二千八十万トンと、排出量で二倍にふえているんですね。排出量は二倍となっているのですが、よく見ますと、日本のところで見ますと、誘発排出量は約四倍、アメリカは八倍というふうになっているわけですね。
この持っている意味というのは、要するに、日本で物をつくっておれば日本でCO2が出ているのですが、それが中国へ持っていっているものですから、中国で出る。つまり、日本やアメリカの二酸化炭素排出の肩がわりを中国や東南アジアなどが行っている、その分が急増しているということが、この内包環境負荷というのを見ていったときにはよくわかるわけです。海外で二酸化炭素の垂れ流しをして、委託加工生産方式で開発輸入してくる財については、当然、日本企業に二酸化炭素排出削減の責任というものをやはり求めなきゃいけないと思うのです。
そこで、財務大臣に伺っておきたいのですけれども、地球温暖化対策税というのをマニフェストに掲げていらっしゃいますが、やはり委託加工生産による輸入品から、そのCO2の排出量に見合う炭素税というものを、それは名前は地球環境税でも何でもいいと言ったら変なぐあいになりますが、そこに着目をした税をかけるということ、そのことによって、日本で排出する分をよそで垂れ流せばいいというふうな発想を規制していく、こういうことが必要になってくるかと思うのですが、財務大臣の考えを伺っておきたいと思います。
〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕
○菅国務大臣 ずっと議論をお聞きしていて、私も一人当たりのCO2排出といった概念を前から言っておりまして、共通する部分もかなりありました。ただ、最後に言われた問題を含めて海外の問題は、見方が私はかなり無理があると思っています。
例えば、我が党というか内閣が出した新成長戦略でいうと、我が国はアジアで、例えばインドとか中国で、最新鋭の火力発電所を持っていけば、同じ電力を発生させるのに、少なくとも旧型の中国やインドの発電所に比べれば、CO2排出は半分とか三分の一とか五分の一とかになります。そういうものを使って十三億トンの世界的な排出削減をやっていこうというのがこの新成長戦略にも入っております。
つまりは、垂れ流しという言葉は公害のときに使いますけれども、中国に行って危険なものを垂れ流すというのはやめなきゃいけませんが、例えば、中国やインドに行って、中国でやっている技術よりも高い技術によってCO2排出が相対的に少なくなるものを持っていったことは、私は地球環境にとってはプラスになると思っております。
ちょっと何か考え方が、方向性はそう悪くはないのかもしれませんが、外国でやったら悪いという、日本よりももっと性能の悪いものを持っていってどんどん出したらそれはモラル的にも悪いけれども、少なくとも日本と同じような水準のエネルギー効率あるいはCO2排出が少ないものを持っていってやって、その国においては従来の技術よりもよくなるとしたら、それに何か関税をかけなきゃいけないということは、それ自身、自己矛盾ですし、もちろん、国際ルールの中でも、それをやるのであれば環境トータルの国際基準をつくるべきであって、何か、親会社が日本だからとか云々という話とは若干筋が違うのではないか、率直なところ、こんな感じがいたしました。
○吉井委員 この問題は、例えば炭素税で取ったものを財源にして、これで海外の炭素の排出を抑制するように努めるとか、仕掛けや仕組みはいろいろあるんです。ですから、私が言っているのは、そう単純なことを言っているのじゃなくて、まず、海外で出している、垂れ流している炭素に着目して日本で課税して、しかしそのことによって、日本を含めた国際的にそういう仕組みというものをやはり考えていくことをやらないことには、ただ二五%やれば日本の企業が海外に逃げていくみたいな話だけやっておったのじゃ、それは空洞化を起こしてしまうし、国際的に見て解決にならないということを言っているんです。
外務大臣に伺っておきたいんですが、京都議定書を実現したCOP3からコペンハーゲンでの昨年末の会議までの間に、やはり環境を中心にした議論がされてきているわけですが、途上国生産の中に現に占めている先進国資本下の企業の工場から出ている二酸化炭素の排出量の見積もりと、あるいは輸出品に含まれる内包環境負荷に、二酸化炭素の排出量に合わせて、トービン・タックスのような手法とか、国際環境税のような考え方とか、考え方はいろいろあり得ると思うんですよ、国際会議の場でそういうことに取り組んでおられるのかどうか、これを伺ってから、最後に仙谷大臣にも伺いたいと思いますので、よろしく。
○岡田国務大臣 私が承知しておりますのは、EUを中心に一部に、そういった環境、地球温暖化ガスの規制をしない国に対して、これは主として、どちらかというと新興国ということになると思いますが、そういった国の輸出に対して、そこに一定のCO2が含まれているということをみなして、いわば関税的に、そういったところからの輸出品に一定の関税といいますか負担を課す、こういう考え方があるというふうに承知をしております。これは、委員おっしゃるように、例えば中国なら中国の中で先進国から行った企業が出しているものに対してやる課税というよりは、中国全体に対してかけるということになります。
これは一つの考え方ではありますが、しかし、よく気をつけないと、いわば保護主義の引き金を引くことになりかねない。客観的な、わかりやすい基準でなされるならいいんですが、恣意的に各国がそういう形で関税を課していくことになると、それは自由貿易という考え方に反する結果になりかねない、そういうふうに思っております。
○鹿野委員長 時間でございますので、簡潔にお願いします。
○吉井委員 総理の就任直後の国連演説でも、二〇二〇年目標として一九九〇年比二五%削減というのを国際約束したことはよいことだと思っているんです。だから、それは前向きに進めるようにその努力を後押ししたいというふうに考えておりますが、主要排出国が参加することを前提にしてと条件をつけていると、なかなか物事が進まないわけです。
仙谷大臣、大体、ずっと議論を聞いてもらったと思うんですが、これからの日本の環境を中心とした国家戦略として、やはり国際的にグローバルに動いているわけですから、経済もそうですがCO2も、内包環境負荷なんかは特にそうですから。ですから、やはり日本としてどうするのかという環境についての考え方というものは非常に大事になっていると思うので、これは仙谷大臣に伺っておきたいと思います。
○鹿野委員長 御答弁は簡潔にお願いいたします。
○仙谷国務大臣 きょうは勉強をさせていただいたわけでありますが、今、岡田さんもおっしゃっているように、時代がちょっとややこしくなってきていると思います。
つまり、ありていに言えば、人民元のレート問題と、内包環境負荷ですか、そして、保護貿易的な動きが大変ヨーロッパあるいはアメリカというところで議論が起こっているような情報もございまして、トービン・タックスの問題も、航空機の燃料税関連と、さらには資本移動について、途上国支援のファンドにするための国際連帯税的なものを考えようという動きもあります。
これから地球温暖化対応が国際的に大事だということはもう十二分にわかっておりますので、どういう枠組み、仕組みを日本として提案することができるのかできないのか、先ほど申し上げた為替と貿易の問題を含めて勉強してみたいと思っております。
○吉井委員 終わります。
○鹿野委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
次に、山内康一君。
○山内委員 みんなの党の山内康一と申します。
教育分野についてお尋ねします。
川端文部大臣に、高校レベルの職業教育、工業高校とか商業高校とか農業高校とか、そういった専門学校の教育の意義について御認識をお尋ねします。
○川端国務大臣 お答えいたします。
今、職業教育、工業高校や農業高校で実施されまして、それぞれに、将来社会で仕事をして役に立つ人として育ってほしい、そしてそのときに、専門的な能力、知識、技能を身につけるということでの高校レベルの職業教育は大変重要であるというふうに思っております。
そういう中で、学習指導要領の改訂あるいは職業教育関係の事業の推進など、スペシャリストの養成、地域産業を担う人材の育成等々と同時に、職業教育、目指せスペシャリストとか地域産業の担い手育成プロジェクトとか、いろいろなアイデアできめ細かく高校の職業教育に関して対応してきているところであります。
同時に、冒頭申し上げましたように、普通高校を含めて、やはり、仕事とは何か、将来自分は何になりたいのかというふうなことを通じての職業意識というものが最近随分希薄であるということは指摘をされているので、ここにも力を入れてやっているところでございます。
○山内委員 私は、職業高校というものは、これまでどちらかというと軽視されてきたんじゃないかな、本来もっと重視してしかるべきだったんじゃないかなと。
教育学者の人の言うことには、普通高校を出て就職した人よりも、むしろ商業高校とか農業高校とかそういう職業高校を出て就職した人の方がフリーターやニートになる率が低くて、正社員になる率はより高い。あるいは、同じぐらいの学力の子供で、普通高校へ行った場合と職業高校に行った場合を比べると、その後そのまま大学に進学せずに就職した場合のフォローアップ調査をすると、やはり職業高校の方がより子供たちの、高校生の満足度も高いし、実際社会に出て役に立つ勉強をやっている、それが自信につながっていて、ポジティブな効果を得られるということは言われております。
そういった意味では、職業高校をもっと重視すべきじゃないか。あるいは、一たん社会に出た後になって失業したりフリーターになって、今度は厚労省の担当になりますけれども、それに職業訓練をやるよりも、むしろ高校段階でしっかりとした手に職をつける教育というのは、これからこれまで以上に重視すべきではないかと思います。
そういった意味で、民主党政権になられて、これまでの政策をどういうふうに変えていきたいとか、どういう予算をふやしていきたいとか、そういう点について御見解をお尋ねします。
○川端国務大臣 今ちょうど、就職の内定率が低いということが大きな社会問題になっています。
そういう中で、詳細を見てみますと、やはり高校に行くときから、先ほど申し上げましたように、こういう職につきたい、あるいはこういう分野で仕事をしたいという目的意識を持ってそういう職業の専門的な学校に行かれた人、そして頑張っている人は、多少のばらつきはありますが、非常に就職の内定率の高いところもたくさんあります。
そして、最近でいうと、農業も含めて、地域に密着して、食堂を経営したりということで、改めて職業意識というものと社会へのつながりということを高校時代に意識を持って取り組むことの重要性を私は非常に最近実感をしておりますので、ぜひともにきめ細かい対応が必要ですので、いろいろな角度から充実できるように取り組んでまいりたいと思っております。
○山内委員 職業教育一般に言えることなんですけれども、社会のニーズというのは移り変わりが激しいので、それに対応した、役に立つ職業訓練、職業教育をやるというのは非常に難しい、これは一般論としてどの国でも成り立つ法則みたいなものなんですけれども。
そういった意味では、例えば介護の職業教育をやる高校があってもいいし、あるいは、今までどちらかというと農業、商業、工業みたいにパターンが決まっていたようですけれども、例えば調理師でも美容師でも何でもいいから、本当に役に立つ、手に職をつけて、将来生きていく上で社会とのつながりを重視するんだったら、例えば将来NPOで働きたい、そういう人のためのコースがあってもいいと思うんですね。
そういう意味では、今、文部科学省を中心に用意しているメニューはちょっと枠が狭いのかな、もっと広い多様なサービスというか教育をできる体制が必要じゃないかなと思うんですけれども、その点について大臣のお考えをお尋ねします。
○川端国務大臣 非常に貴重な御示唆をありがとうございます。
高校の学校に限るのがいいのかどうかということも幅広くあると思うんですね。そういう意味で、高校はそういう職業学科で、どうしても今までの区分けで工業高校、農業高校あるいはというふうな分類の枠の中で取り上げられたことは事実だと思います。
私たちは今、地域との密着というのを一つの基点にしながら、そして生きがい、やりがいというのを視点にしながら高校の教育も取り組んでおりますが、それ以外の教育も含めてトータルとして、いわゆる生涯学習の中でいろいろ、高齢者の皆さんでも改めて勉強したいという方もいっぱいおられるという、社会とのつながりという視点で、またいろいろ御示唆をいただきながら取り組んでまいりたいと思っています。
○山内委員 ぜひ、職業教育の充実ということをこれまで以上に力を入れていただきたいと思います。
続きまして、民主党はマニフェストの中で、教員養成課程を六年にする、学校の先生になる人に修士号を取らせるといったような政策を打ち出されていたと思います。
それに関しては、一部の学者の方などから、むしろ六年制の教員養成課程にすると教員の質が下がるんじゃないかという指摘があります。それについてお考えをお尋ねします。
○川端国務大臣 鳩山内閣は、教育の充実ということを大きな政策の柱に据えております。そういう中で、まずは、教員の数をふやさないと非常に多様化した状況の中で先生が大変であるということと同時に、質を向上させたい。
生徒自身も、いじめの問題等々いろいろな問題や、あるいは特別に支援を必要とする子供たちもふえてまいりました。そして教科も、学習指導要領で幅広に奥深くなってきました。時代の背景で、コミュニケーション能力の問題を含めて、生徒にいろいろ指導する能力も必要ということで、先生の質をあらゆる意味で上げていきたい。その中で、一つの方法として、六年勉強してもらうという修士課程ということで質の向上が図れないかということを今、マニフェストに書かせていただいて、検討に着手したところであります。
しかし、言われるように、いろいろな問題もあります。懸念をされています。二年余分に行かねば先生になれないということだけれども、二年行ったからどれぐらいの処遇かということを含めていうと人気がなくなるのではないか、負担は間違いなくふえるわけですから。あるいは、今、先生でも教員の養成の専門の大学に行って行かれる人もあれば、そうでないので教職課程をとられる方もおられる。そうすると、大学院を継続させるということになると、それは普通の大学で教員免許が取れなくなるではないかというふうなことを含めて、いろいろな議論があることは事実でございます。
そういう意味で、私たちの目的は、いかに能力の高い先生を、養成過程、採用過程、それから研修過程、実際先生になられてからということも含めて、どういうことで質を上げたらいいかというのを、関係者を含めて幅広に意見を聞く中で検討してまいりたいというふうに思っております。
○山内委員 これまで四年間で養成していた教員を六年にすれば、一見、教員の質は上がるんじゃないか、常識的に考えたらそうなんですけれども、実際にはそうならない可能性が多いという懸念がいろいろなところで寄せられております。よき意図に基づく政策が、必ずしもよい結果につながるとは限りません。
私が心配しているのは、これまで四年間学校に行けば教員免許が取れたのに、六年になってしまうと、その分余計に二年間親の仕送りも要るかもしれない、学費だって払わなくちゃいけない、それから、二年分働いていたら得られたであろう給与も当然コストに含めなくてはいけない。そういった意味では、これまで以上に教員になるためのコストがかかるようになります。
それから、学歴というのは、学部卒だとどの学部でも新卒採用で行きやすいんですけれども、かえってマスターを取ってしまうと銀行員とかほかの職業に就職しにくくなる、そういう傾向が日本社会では多々見られます。
あるいは、実際、教員になりたい人がみんな教員になれるわけではありません。教職の試験だって倍率が高いところもありますから、せっかく六年勉強したのに教員になれない可能性が出てくる。その場合は、教育のある意味無駄と言える部分がさらにふえてしまうわけです。そうすると、リスクが高まるので教員になりたい高校生がぐっと減る、この可能性は十分あると思います。
これは薬剤師の例が顕著だということは、大臣も御承知だと思います。薬学部が四年から六年になって、志望する高校生ががくっと減りました。同じことが教員でも起きるんじゃないかと思います。結果として優秀な人材が先生を目指さなくなる、そういうおそれがあると思います。それに対してどのような対策をお考えでしょうか。
○川端国務大臣 現状でいいますと、結果として先生の質を上げるにはどうしたらいいかということで今議論をさせていただいている中の選択肢の一つです。そして、御懸念のこともあります。
薬剤師を四年を六年にしたことによってというのは、ことし初めて五年目に入る人ができてきて、いろいろな課題が出ていることも事実でありますが、一つは、やはり四年で養成した分を六年しっかりと本当に研修も含めて養成ができれば質の高い先生が養成できるということは間違いないと思うんですが、一方で、そういうことで先生の人気がなくなるのではないか、負担がふえ過ぎるのではないか。同時に、いろいろな意見が今寄せられております。
目的は先生の質をいかにして上げられるか、そして、先生に本当に優秀な人材が手を挙げて来てもらえるのかどうかにかかっているというふうに思っていますので、御指摘の点も含めて、これから、まさにことしはそのことを徹底的に関係各方面と議論をして構築してまいりたいと思っております。
○山内委員 大学院で専門的な教育を受ければ教員の質が上がるというケースは多いとは思うんですけれども、現場の学校の先生の御意見を何人か聞いてみたところ、座学で勉強するのも大事だけれども、経験を積みながら、働きながら覚えていくということも大事であると。最初から六年学校に行きっ放しになるよりも、むしろ、四年たって採用して、その後また大学に戻ったり、そういうキャリアパスの方が、もっと現場の知識に基づき、もっと問題意識を持って大学院でも勉強できるんじゃないか、そういう意見をよく学校の先生から聞くんですけれども、この制度になると、そういうキャリアパスを否定してしまうということになるんでしょうか。
○川端国務大臣 否定は全然しておりません。
それで、例えば、今でも四年の教員養成課程で勉強して先生になるときに、いわゆる学校の教育実習というのは本当に二週間とかいうことでいいんだろうかということでいうと、もっと現場で研修してほしい、いやいや、学校に、現に先生になってから、しばらくしてからしっかりもう一度勉強をした方がいいのではないかというふうなことも議論の対象になっております。そういう意味では、具体的な制度設計については、六年一貫というものにこだわっているわけではありません。
それと同時に、現に今四年で先生になっている方もおられるわけですから、そういう人がキャリアアップできるということも包含した制度の方が、そしてそれが、一定の、教員免許のランクがもう一つ上がって処遇も上がるというふうなインセンティブも含めてできるようなこともトータルで議論をしておりますので、御心配のような、そういうものを排除して議論するつもりはありません。
○山内委員 それから、四年間で先生になれたのが六年になれば、その分、恐らく国としても、大学院のそういうコースをつくったり、その分税金の投入もふえると思うんですけれども、そういう追加的な支出というか、どれぐらいコストのアップが見込まれているんでしょうか。
○川端国務大臣 コストまでまだ詳細に詰めた議論はできておりません。
現在、年間約二万五千人採用されている公立学校の教員を、例えば修士の資格を求めるというふうに仮定をしますと、大学院として定員が八百二十六人分、大学院の定員が要るのではないか。修士課程で今の定員の相当な拡大、教職大学院をつくらなければいけないということや修士課程をつくるということ等の体制の整備が必要でありまして、この部分に現在どれぐらいの費用がかかるか等々はこれからの議論でありますので、今、申しわけございませんが、数字はございません。
○山内委員 六年制の教員養成の大学院が全国にたくさんできると、何となく予想されるのは、今のロースクールの問題と同じことが全国で起きるんじゃないかと。ロースクールを出たら弁護士にしてあげるよと国に言われたはずなのに、実際にはなれない人がたくさんいる。
ある意味、ロースクールを出た人は、別に弁護士じゃなくても、司法書士とか行政書士とか、法律知識を使ってほかの分野で就職口は結構あるかもしれません。しかし、教員の場合は、学校の先生になれなかったら、教職のスキルというのは余りほかの分野では役に立たないと思うんですね。今のままいくと、ロースクールの失敗をもう一回繰り返してしまうに違いないと私は思わざるを得ません。
そういった点について、どういう配慮というか、どういうケアをなさるおつもりでしょうか。
○川端国務大臣 先ほど、これを出たらという処遇の問題にちょっと触れましたけれども、採用も含めて、やはり個々のレベルを上げたものを出たら、努力した部分が一定の評価を受けられるということも、これは当然ながら考えていくというのも議論の中に入っております。
御懸念の部分の話は、いろいろともともとの議論としてありまして、そして、これは地域によっても随分違いまして、非常に教員になるのに難しい、競争の倍率の高い地域とそうでない地域もあります。そういう中で、この資格を取った人は一定のキャリアパスが開かれるというインセンティブをつけていくということも、この制度導入には非常に大事な要素の一つだというふうに思って、検討をしております。
○山内委員 毎日新聞の昨年十一月十七日の調査によると、教員養成を六年制にすることに対して都道府県と政令市の教育委員会に聞くと、無回答のところも多いんですけれども、二十九の教育委員会が反対、賛成なのはわずか六。六つの教育委員会しか賛成していなかったということが言えます。
今のところ、地方の教育委員会は、どちらかというと、六年制、困るなという声が多いようなんですけれども、地方の声を生かすという意味においては、かなり、これから相当地方の意見を取り入れて、相当制度設計を工夫しないと理解は得られないと思うんですけれども、このデータについてどうお考えでしょうか。
○川端国務大臣 今の部分、ちょっと詳細は今手元で承知をしておりませんけれども、まだ私たちも、言葉としての六年制あるいは大学院制の導入ということはありますが、具体的に中身が伴うのは今検討中のことでありますので、その部分で御理解が余り得られていないという部分での不安と戸惑いがあるという状況なのかなというふうに思っております。
いずれにいたしましても、学校関係者、いわゆる学校というか先生がいる現場という意味の学校関係者、それから養成機関である大学関係者、これは当然、地方に養成大学はたくさんあるわけですから、そういうことを含めて、幅広く、いろいろな機会での意見を聞きながら進めてまいりたいと思っております。
○山内委員 私は、教員の質の向上のためには、修士号は、持っていた方が望ましいとは思いますが、義務化はちょっといかがなものかなという印象を持っております。
私は、大学院で教育経済学という学問をかじっておったんですけれども、恐らく、ちょっと制度設計、このままいくと危ないな、ロースクールの二の舞になるんじゃないかなという心配をしております。ぜひ再考をお願いできればと思います。
以上で質問を終わります。
○鹿野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。
――――◇―――――
○鹿野委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鹿野委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に富田茂之君を指名いたします。
――――◇―――――
○鹿野委員長 次に、分科会設置の件についてお諮りいたします。
平成二十二年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は
第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項
第二分科会は、総務省所管
第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管
第四分科会は、文部科学省所管
第五分科会は、厚生労働省所管
第六分科会は、農林水産省、環境省所管
第七分科会は、経済産業省所管
第八分科会は、国土交通省所管
以上のとおりとし、来る二月二十五日、二十六日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鹿野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鹿野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
次いで、お諮りいたします。
分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鹿野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鹿野委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
次回は、明二十四日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十分散会