第18号 平成22年3月1日(月曜日)
平成二十二年三月一日(月曜日)午後一時三十分開議
出席委員
委員長 鹿野 道彦君
理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君
理事 海江田万里君 理事 伴野 豊君
理事 松原 仁君 理事 山口 壯君
理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君
理事 富田 茂之君
糸川 正晃君 打越あかし君
小野塚勝俊君 緒方林太郎君
大山 昌宏君 岡本 充功君
奥野総一郎君 梶原 康弘君
城井 崇君 沓掛 哲男君
黒田 雄君 小泉 俊明君
古賀 一成君 田中 康夫君
津島 恭一君 豊田潤多郎君
中林美恵子君 長島 一由君
畑 浩治君 平岡 秀夫君
三谷 光男君 森本 和義君
山田 良司君 吉田 公一君
若泉 征三君 渡部 恒三君
あべ 俊子君 伊東 良孝君
小里 泰弘君 金子 一義君
小池百合子君 下村 博文君
菅 義偉君 田村 憲久君
谷川 弥一君 谷畑 孝君
額賀福志郎君 野田 毅君
馳 浩君 山本 幸三君
石井 啓一君 大口 善徳君
笠井 亮君 穀田 恵二君
中島 隆利君 柿澤 未途君
山内 康一君 下地 幹郎君
…………………………………
内閣総理大臣 鳩山由紀夫君
財務大臣 菅 直人君
総務大臣 原口 一博君
外務大臣 岡田 克也君
文部科学大臣 川端 達夫君
厚生労働大臣 長妻 昭君
農林水産大臣 赤松 広隆君
国土交通大臣 前原 誠司君
防衛大臣 北澤 俊美君
国務大臣
(内閣官房長官) 平野 博文君
国務大臣
(拉致問題担当) 中井 洽君
国務大臣
(郵政改革担当) 亀井 静香君
国務大臣
(少子化対策担当) 福島みずほ君
総務副大臣 内藤 正光君
外務副大臣 武正 公一君
財務副大臣 野田 佳彦君
文部科学副大臣 鈴木 寛君
国土交通副大臣 馬淵 澄夫君
総務大臣政務官 階 猛君
外務大臣政務官 吉良 州司君
財務大臣政務官 古本伸一郎君
文部科学大臣政務官 高井 美穂君
農林水産大臣政務官 佐々木隆博君
国土交通大臣政務官 三日月大造君
防衛大臣政務官 長島 昭久君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 本川 一善君
政府参考人
(国土交通省河川局長) 佐藤 直良君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 金井 道夫君
予算委員会専門員 杉若 吉彦君
―――――――――――――
委員の異動
三月一日
辞任 補欠選任
谷畑 孝君 橘 慶一郎君
下村 博文君 福井 照君
野田 毅君 徳田 毅君
小里 泰弘君 小野寺五典君
菅 義偉君 馳 浩君
金子 一義君 田中 和徳君
小池百合子君 谷 公一君
山本 幸三君 坂本 哲志君
小野寺五典君 小里 泰弘君
田村 憲久君 あべ 俊子君
橘 慶一郎君 高市 早苗君
谷川 弥一君 金田 勝年君
あべ 俊子君 田村 憲久君
金田 勝年君 谷川 弥一君
坂本 哲志君 山本 幸三君
田中 和徳君 金子 一義君
高市 早苗君 谷畑 孝君
谷 公一君 小池百合子君
徳田 毅君 野田 毅君
馳 浩君 菅 義偉君
福井 照君 下村 博文君
岡本 充功君 大山 昌宏君
小里 泰弘君 額賀福志郎君
谷畑 孝君 あべ 俊子君
大口 善徳君 石井 啓一君
笠井 亮君 穀田 恵二君
阿部 知子君 中島 隆利君
山内 康一君 柿澤 未途君
あべ 俊子君 馳 浩君
馳 浩君 伊東 良孝君
大山 昌宏君 岡本 充功君
伊東 良孝君 谷畑 孝君
額賀福志郎君 小里 泰弘君
石井 啓一君 大口 善徳君
穀田 恵二君 笠井 亮君
中島 隆利君 阿部 知子君
柿澤 未途君 山内 康一君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十二年度一般会計予算
平成二十二年度特別会計予算
平成二十二年度政府関係機関予算
主査からの報告聴取
――――◇―――――
○鹿野委員長 これより会議を開きます。
平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長本川一善君、国土交通省河川局長佐藤直良君、国土交通省道路局長金井道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○鹿野委員長 本日は、鳩山内閣の基本政策(仮配分等)についての集中審議を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。
○海江田委員 民主党・無所属クラブの海江田万里でございます。
本日は、鳩山内閣の基本政策ということで、ごく限られた時間でございますが、質問させていただきます。
まずその前に、一昨日、チリで大変大きな地震がありました。亡くなられた方に対する御冥福、それから、被害に遭われた方へのお見舞いを申し上げます。それから、日本の国内でも津波の危険性がありまして、多くの方が避難を余儀なくされたということで、御不自由な時間を過ごされたことだと思いますが、これらの方々にもお見舞いを申し上げます。
さて、この予算委員会での審議、進んでまいりましたけれども、やはり、今はまだこの予算が成立をしておりませんから、国民の皆様方は、本当に政権交代があって、私たちの暮らしがどうなったんだろう、どうなるんだろうかということがまだ一つわかっていない点もあろうかと思います。
しかし、私は、去年の八月の三十日の総選挙、そして九月の十六日の鳩山内閣の誕生によって、国民生活にとって、やはりこれまでの政権と違う大きな方向転換があったと思っております。
その一つの例が、実は、二月の二十四日でございますが、当委員会で公聴会を開きました。残念ながら野党の一部の方には御出席をいただけなかったわけでございますが、その公聴会の中で、公述人として御出席をいただきました高橋伸彰公述人、これは立命館大学の先生でいらっしゃいますが、この方が次のようにおっしゃっていました。お手元に資料にしてお配りをしてございます。
政府は毎月毎月月例経済報告を発表いたします。政権交代の直前が、二〇〇九年の九月八日に発表になりました、この九月の月例経済報告でございます。ここには、「景気は、失業率が過去最高水準となるなど厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる。」という総括的な表現がございます。そしてそれが、政権交代がありましたその直後、これは十月の月例経済報告でございますが、十月十六日にございます月例経済報告の経済状況の総括は、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」ということでございます。なお、十月のこの経済報告の総括は、この二月までずっと同じ文言が続いております。
一見しますと、この九月の月例報告の総括とそれから十月の月例報告の総括は同じじゃないだろうかというふうに思う方がいらっしゃるかもしれませんが、ここにやはり大きな発想の転換あるいは視点の転換があるということを高橋教授は指摘をしておりまして、私は全くそのとおりだと思いましたので、きょうは特にもう一度、改めて指摘をさせていただきます。
景気というのは、これは、経済全体の動き、活発か不活発かということでございますが、主に大企業の生産動向にやはり影響されます。大企業がどんどん生産をすれば景気はよくなったと言われるわけでございますが、しかし、ここで大切なのは、やはり国民の生活の視点でございます。
九月の月例、政権交代の前は、とにかく大企業が活発になっているんだから景気は持ち直しをしているよというような表現でございますが、私どもはやはり、そういう大企業の経済活動は活発になっている、しかし、国民生活にとってみれば、まさに失業率、雇用の問題というのは国民生活そのものでございますから、この国民生活にとっては失業率が高水準にあるなど大変厳しい状況が続いている、だから政治はここのところをしっかりと後押ししなければいけない、しっかりと手当てしなければいけない、こういう認識だと思いますが、鳩山総理、この考え方、それでよろしゅうございますね。
○鳩山内閣総理大臣 海江田委員の御指摘、全くそのとおりでございまして、私ども、当然企業も大事でありますが、国民の視点に立つということが新しい政権にとって最も大事なところだ、そのように考えております。
国民の皆さんの視点に立てば、景気は持ち直しているという感覚よりも、まだまだ失業率は高いな、雇用も厳しいな、厳しさがあるという状況だと思っておりますから、そのような視点は正しいお話だ、そのように感じております。
○海江田委員 ありがとうございます。
これは、菅財務大臣も今は経済の司令塔でございますから、菅財務大臣のお考えも恐らく同じだろうと思いますが、国民生活が第一ということは、私どもが選挙のときにそうしたスローガンと申しますか約束を掲げて選挙を戦って、そして政権交代が実現できたわけでございますから、私どもはやはりこの視点をゆめ忘れてはいけないと思っております。
それから二番目でございますが、これは、本来でしたらこの予算委員会で野党の側から質問があるのではないだろうかというふうに私思っておりましたが、残念ながら、きょうに至るまで野党の方からのそういう指摘はございませんでした。実は、今度の予算に盛り込まれております予備費の問題でございます。
この予備費、それこそ本当に地震や風水害などに対する一般的な予備費は、これは従来からおよそ三千億ぐらい、三千五百億とか三千三百億とか、大体三千億ぐらいそういう不時の出費に対する予算の手当てがあるわけでございますが、これは、昨年の麻生内閣のときにこの予備費が、経済緊急対策予備費ということで一兆円積まれております。そして、今度新しく鳩山内閣になりまして名前は若干変わったわけでございます、経済危機対応及び地域活性化予備費としてやはり一兆円積んでございます。
これは、与党、野党という立場より一人の議会人の立場として申し上げますと、予算を国会で議論をするということになりますと、やはり、できるだけ政府がどういう形でこの予算に、それこそ、本当に国民生活を安定させるために実際お金をきちっと配分していこうかということを、その意思を明確にするためにも、私は、できるだけ予算の中に最初から使う項目を決めて、そして予算を計上するというのが筋ではないだろうかというふうに思います。
やはり一兆円ものお金、全体で九十二兆円ですから、約一%近くの一兆円を、それこそ財務大臣が自由に使うことができる。もちろん、使った後、これは国会に報告をして国会の承諾を得なければいけないわけでございますが、この点につきまして、私は、できるだけこの予備費というものは本当に必要欠くべからざる金額だけにして、そして、できるだけ細かなところにきちっと最初から配分をしていった方がいいと思いますが、今回、名前は若干変わりましたけれども、やはり一兆円という金額がこの中に盛り込まれている。
結果的に、実は、私はできるだけ国債の発行も抑えなければいけないというふうに思っているわけでございますが、もしこの一兆円が、もちろん別なところに使う必要はあったと思いますが、こういう形で盛り込まれなければ、それこそ国債の発行額も、今度四十四兆が三千億ほど飛び出してしまいましたけれども、四十四兆円の中におさめることもできたんではないだろうかな、そのときやはり、世界に対する、日本の新しい政権が国債に対して非常に厳しい見方をしているというようなメッセージも出せたんではないだろうかと思っております。
この問題、鳩山総理は、特にこの一兆円、やはり予備費で積むべきだというようなお考えを政府の中で発表したという声も聞こえておりますので、鳩山総理の、この一兆円予備費を特に経済危機対応・地域活性化予備費という形で積んだ理由をお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 海江田委員おっしゃるとおりでありまして、本来、予算というものはできる限り細かく計上いたすというのが筋であろうかと思います。
御案内のとおり、まさに今、経済危機対応、あるいは地域ということをおもんぱかる中で、私ども予備費として一兆円を積んでおりますのは、これはリーマン・ショック以降の経済、日本の経済、必ずしも先が見えてこないという状況でもございました。こういう中で、二番底などというようなことがささやかれたりしていた。絶対こういうことがあってはならない。
臨機応変に対応して、予備費として、貴重なお金、財源でありますから、まさに貴重に使わせていただかなければなりませんし、使わなければ一番いい、経済が何も使わなくても、予備費を使わなくても順調に伸びていけばそれは一番よろしいかと思っておりますが、何が起きるかわからないという状況に備えて、私ども予備費というものを計上させていただきました。
当然、これの使い道に関しては、最終的に国会で皆様方にも御議論に付していただくことになるわけでありますし、一円なりとも無駄遣いをしてはならない、その発想の中で、主として経済、さらには、地域が疲弊していく状況の中で、地域経済の活性化のために使わせていただくことが妥当ではないか、そのように考えております。
○海江田委員 ぜひ、経済の二番底、可能性は大分薄れてきたと思いますが、まだこの緊張を緩めるわけにはいきませんのでその対策、それから、地域活性化も大変大切でございます。
それから、当予算委員会でも、野党の方々から幾つか建設的な意見もありました。社会保障の充実のためにこれを充てるべきではないだろうかと。特に、これから後期高齢者の医療保険の問題でありますとか、あるいは障害者の自立支援法の問題でありますとか、こういう問題もございますから、社会保障の面、特に福祉の面にもぜひこれをお使いいただきまして、そして本当にしっかりと、それをまた国会に、これは財務大臣からの承諾を得るということでございますので、私たちが、国会がしっかりとこれに承諾を与えられるような使い道をしていただきたいということでございます。
それから、きょうは仮配分の問題についても集中審議の一つのテーマになっております。この後、野党の皆さん方からこの仮配分の問題についても種々御意見があろうかと思いますが、この仮配分というのは、あくまでも私は仮置きの数字だと思っております。私もその仮配分の数字、目を通しましたけれども、数字にも幅がございますので、いわゆる箇所づけのようなものではないと思っておりますが、官房長官、これについて、事実関係を精査するということを当委員会でお約束くださいましたので、残された時間でございますが、この精査の結果をお知らせいただきたいと思います。
○平野国務大臣 海江田議員に、今までの事実経過を含めて御報告を申し上げたいと思います。
まず、事実関係と、この委員会でも御指摘されたことに対する評価というところを含めて御報告をしたいと思います。
いわゆる仮配分にかかわる問題に関し、前原国土交通大臣等から報告を求め、関係者で確認した事実は、以下のとおりでございます。
まず第一点目。公共事業にかかわる直轄負担金に関する見直し等を進めていく状況の中で、事業費の一部を負担することとなっている地方公共団体との意思疎通を図るとともに、事業に関する透明性の向上を図る観点から、国土交通省では、予算成立後に予定されております箇所づけに向けて、昨年十一月には都道府県に通知した事業計画を全面的に公表するなど、各種の新たな取り組みが実施されてきたところでございます。今回の事案は、そうした取り組みを進めようとする中で生じた問題であるというふうに認識をいたします。
二点目。時系列的に見てまいりますと、国土交通省政務三役の合意のもとに、昨年十二月の十六日から十八日にかけて、大臣政務官が出席し、所管公共事業等に関する民主党都道府県連からの要望のヒアリングが実施され、担当課長等が同席をいたしました。その後、予算成立後に決定される箇所づけに向けて、新しい取り組みとして、地方公共団体と調整等を行うための途中段階の幅を持った数値を仮配分として示すべく国土交通省において準備が進められていたところでございます。
民主党側から、平成二十二年度に向けた検討状況について教えてほしい、こういう御要請があり、中間的な状況説明を行うこととなったわけであります。
具体的には、一月二十八日夜二十一時、九時ごろでございますが、国土交通省政務三役の合意のもとに、その時点での関係資料を適宜見繕った資料として、去る二月十五日、衆議院予算委員会に提出された資料を用いて、三日月国土交通大臣政務官から民主党の阿久津副幹事長に対して、仮配分に関し、事業評価、BバイCの取りまとめの状況、負担事業者である地方公共団体に対し調整等を行うための途中段階の作業数値を仮配分として示す取り組みを新たに始めること、近いうちに国土交通省から地方公共団体に対しおおむね持参した資料のような内容で仮配分の説明を行うことであることといった中間的な状況説明が行われたところであります。
この民主党の説明の後、民主党県連を通じて、地方公共団体等に当該情報が提供され各所で報道されるという事態が結果的には起こった、こういうことであります。
一連の報道の中で、政府関係にかかわるものとしては、一月三十一日付朝日新聞(奈良版)におきまして、馬淵副大臣が、予算審議の前に県連や自治体に明らかにされるのは画期的と発言した趣旨の報道がございました。この報道に関し、馬淵副大臣は、これまでの予算審議終了後の三月末に公表されてきた事業箇所ごとの事業評価の評価結果を前倒しして公表し、予算の審議に資するようにすることが重要である趣旨を、昨年の十月から十二月の間に数次にわたって記者会見の場で述べていたことが確認できました。しかしながら、馬淵副大臣が、箇所づけや仮配分が予算審議前に明らかになることが画期的と述べた事実は認められず、また、副大臣本人からも、そうした発言はしていないという趣旨も確認をいたしたところでございます。
したがいまして、こういう経過のもとに、この委員会でも御議論いただきました指摘事項と、その評価について、私の方から申し上げます。
こうした一連の事実関係に関し、衆議院予算委員会での質疑において、民主党への仮配分情報の提供が、秘密を守る義務を定める大臣規範、全体の奉仕者たるべきことを定める憲法第十五条第二項、大臣規範等、また、政治的中立性が求められる公務員との関係を定める大臣等の規範に抵触するのではないかという指摘がございました。こうした点についても精査を行いました。その結果について御報告を申し上げます。
まず、民主党への情報提供と秘密を守る義務の関係についてでございますが、まず第一点、国家公務員法第百条第一項や大臣規範一の(八)においては、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないとされておるわけであります。この漏らしてはならないとされる秘密に該当するためには、一般に知られていない事実であることとあわせて、ほかに知られないことについて相当の利益を有することとの二つの要件が必要とされております。
今回の民主党に提供された情報のうち、一点目のBバイCや概算要求事業計画通知上の提示額については既に公表されているものであります。情報の非公知性の要件にはまず当たらない。
二点目、二十二年度の事業費の仮配分額の情報については、民主党への説明時点ではまだ一般に知られていない事実ではあったものの、昨年十一月に公表済みの事業計画に表示された概算要求ベースでの金額情報からおおむね類推できる内容であること、地方公共団体に近く説明予定の情報であること等から、ほかに知られないことに相当の利益を有する情報ということまでは言えない。したがって、民主党に説明した仮配分の情報は、大臣等規範一の(八)等において漏らしてはならないとされる秘密には該当せず、今回の行為が秘密を守る義務に反するものとは言えないと判断をいたしました。
次に、憲法十五条第二項や大臣規範等一の(一)に定められている全体の奉仕者であるべきことの関係については、今回の民主党への仮配分の検討状況説明については、行政上の新たな取り組みを円滑に執行することを目的として行われたものであって、党を通じて地方公共団体に仮配分の情報を伝えようといった一部の利益を図る意図で行われたものではなかったことから、憲法第十五条第二項や大臣規範等に抵触するものではないと断じました。
さらに、職員に対し、一部の利益のためにその影響力を行使してはならないという大臣等規範の一の(十)の関係については、今回の民主党への仮配分の検討状況の説明は、さきに述べたように一部の利益のための行為でないことから、その準備作業に職員を携わらせたとしても、大臣規範等一の(十)に抵触するものではないと判断をいたしました。
このように、今回の行為は、大臣、副大臣及び大臣政務官規範等に抵触する行為ではなかったと判断されるが、結果として、国土交通省から民主党に説明をした仮配分の情報が民主党から地方公共団体等に提供され、地方公共団体等に無用な混乱や誤解を招くおそれを生じさせたことは、それが意図せざるものであったとしても遺憾と言わざるを得ません。
こうした事態が生じたことは、国土交通省から民主党に仮配分の検討状況を説明した際に、当該説明資料の取り扱いに関して相互の意思疎通が十分に行われなかったことによるものと認められる。
これが、私どもが精査し、指摘されたことに対する判断でございます。
このことを含めて、私は、総理に御報告を申し上げまして、対処をしたい、このように思います。
○海江田委員 残念ながら持ち時間が終了しましたので、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。
次に、中島隆利君。
○中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利です。
私に与えられた時間は十分でございますので、仮配分問題の一つに絞って質問させていただきます。
仮配分については、自治体も、来年度予算案を編成するために、国の公共事業の配分がどの程度の額になるのか、できるだけ早い機会に知りたいのは当然であります。その意味で、国土交通省と都道府県の間で配分額の調整が行われること自体、否定するものではございません。
しかし、今回は、民主党を通じて民主党の各都道府県連に通知がされ、しかもその資料に、知事要望ありとか県連要望ありとの記載がなされ、自治体にも連絡をされております。このことは極めて遺憾で、強い違和感を抱かざるを得ません。そのことを冒頭に指摘しておきたいと思います。
鳩山首相は、来年度の予算編成に際し、三つの変革を目指し、閣議決定もされております。その一つが予算編成のプロセスの透明化であります。今回の民主党を通じての仮配分の提示は、この予算編成方針に反し、国民に疑念や不透明感を抱かせるものでありました。
予算編成プロセスの透明化という政府の方針からして、今回の事態をどのように認識されているか、まず総理にお伺いいたします。
○鳩山内閣総理大臣 中島委員にお答えをさせていただきます。
おっしゃるとおり、私ども新政権としては、予算編成においてプロセスの透明化というものが非常に大事だ、そのように考えております。そのような中で、今回も、本来はさまざまな、例えば国土交通省所管の事業を最終的に決定するまでの段階において、プロセスを、事業評価、BバイCなど、地方自治体との間にすべて公表していきたいという思いの中で出てきた話であった、そのようには思います。
しかしながら、それが、一たん党に参って、本来ならば直接国土交通省から地方自治体に伝わるべき情報が党に行って、党から伝わってしまった、ここに予期せざる事態があったと思っておりまして、そこのところはやはり甚だ遺憾であったと申し上げざるを得ないと思っております。
○中島(隆)委員 今回の予算編成に対しては、与党は、予算編成の見直しで公開の場で議論する事業仕分けを行われました。国民の関心を引き、一定の評価を得ておりますが、しかし、今回の公共事業の仮配分では、密室性と不透明性を国民に与えたことは、まことに残念であります。
新聞報道等を見ておりますと、この仮配分の内示が利益誘導ではないかとか、あるいは陳情を通じたお手盛りではないかとの厳しい指摘がございます。これらの指摘に対してどのように答えられるのか、前原国土交通大臣にお伺いいたします。
○前原国務大臣 中島議員にお答えをいたします。
箇所別の事業費は、地元地方公共団体の御意見、要望や、用地確保、地元調整の状況等を総合的に勘案しながら検討作業を行っております。知事や県連要望があるということは地元からの御要望があるということであり、地元の御要望は検討に当たってのあくまでも一要素でございます。
今回、事業計画あるいは事業評価、そして、今回予算がふえましたのは、直轄事業の負担金の維持管理の一部などが、六百億円、予算編成時よりも多くなりましたことから、それを割り振ったことが、何か要望があったところだけふえたように見られておりますけれども、決してそういう、利益誘導したわけではなくて、この予算配分については、今申し上げたような総合的な判断のもとにおいて客観的にやらせていただいたということでございます。
○中島(隆)委員 いずれにいたしましても、党を通じて内示されたことに、その資料に陳情ありとか記載されていたわけでありますが、国民の多くが不信感を抱いたことは事実であろうと思います。その点は率直に反省をしていただきたいと思います。
そこで、次にお伺いしたいのは、今回の仮配分で、事業の優先順位をつけるために事業評価にどのような手法が用いられたのか、馬淵国土交通副大臣に簡単に御説明をお願いしたいと思います。
○馬淵副大臣 お答えさせていただきます。
国土交通省では、所管の公共事業に関しましては、この評価を実施要領で定めております。新規事業採択時、そして再評価、事後評価と三段階の実施要領を定めております。この事業評価の実施要領に基づいて、BバイC、さまざまな客観的手法で総合的な評価を行ったということでございまして、今回のこの評価結果に関しましては、従前の事業評価の方法を用いて行ったものでございます。
これらは当面の措置として行いましたが、二十三年度予算編成に向けては、改めて事業評価の方法も見直してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○中島(隆)委員 従前の評価基準でされたということでありますが、この問題、基準そのものも見直しが必要ではないかというふうに思います。
私も国土交通委員会に所属をしておりますので、馬淵副大臣がいかに熱心に副大臣として業務を遂行されているかはよく理解をいたしておりますが、馬淵副大臣は記者会見で、予算編成の透明化と客観性を高め、予算審議に資するために準備したもので、仮配分の途中段階の資料を民主党に説明したと言われております。その結果、その資料が自治体に配付されたわけであります。
前原大臣も馬淵副大臣も、想定外で遺憾であったと述べられておりますが、今後は、公共事業の箇所づけについて、しっかりしたルールづくりを行い、透明化を図ると述べられています。
今後、評価基準の明確化と箇所づけ透明化をどのように進められようと考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。
私も、かねてより、公共事業の進め方につきましては透明性を高めるべきだということで、事業評価の公表の前倒しを申し上げてまいりました。政権交代後は大臣のリーダーシップのもと、この事業評価の見直し、事業評価の公表の時期の見直しということで、去る二月一日に、継続事業を含めて二十二年度予算で実施を見込む事業評価対象個別箇所についての評価結果、これを公表させていただいたところであります。
今回、このような形で、私どもは事業評価の前倒しという形で公表させていただきましたが、今後、一連のプロセスを事後的に検証した上で、来年度以降のあり方を検討してまいりたいと思っております。今回、時間的な制約のため、事業評価のみということでございましたが、方法も含めて今後は見直してまいることを皆様方にお伝えさせていただきます。
以上でございます。
○中島(隆)委員 それでは、時間がありませんので、最後にお願いをしておきたいと思います。
公共事業をめぐりまして利益誘導や政官業癒着が疑われるようなことのないように、反省すべきは反省をして、襟を正していただきたいと思います。特に、鳩山首相は昨年、就任の所信表明演説で次のように述べられております。行政情報の公開、提供は積極的に進め、国民と情報を共有し、国民参加によるオープンな政策決定を推進することを表明されております。
今後につきましては、この所信に基づいて、予算編成時点で公共事業の配分基準の明確化と箇所づけを全面的に情報公開して、その内容を国会で堂々と議論するルールづくりと対応を切にお願いして、私の質問を終わります。
○鹿野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。
次に、下地幹郎君。
○下地委員 与党の時間が短くなったので、二問ありましたけれども一問にさせていただきたいと思いますから、海江田先生、よろしくお願いします。
総理、一点だけですけれども、私は、普天間基地の移設問題について御質問させていただきたいんです。
十四年間、世界でナンバーワンの危険な地域にずっと普天間基地が置き去りにされて、辺野古移設があると言いながらも、決まってからもずっとそのままの形で、危険な状況は続いてまいりました。やはりそこは政治の判断が私は甘かった、そして、ずっとそのままやってきたことに鳩山政権は結論を出さなければいけないと思っています。
そういう意味でも、五月の三十日までに総理は結論を出されるということでありますから、ゼロベースで今検討委員会をやっていますけれども、この五月の三十日というのは絶対に一日たりとも動かさない、それまでには総理のお考えをきちっと申し上げて、それを米国政府ときちっとお互いで了解をとる、そういうようなことをこの予算委員会でも何度となくおっしゃってきたわけでありますけれども、そのことについての総理のお気持ちというか、絶対にやるんだ、沖縄県民のためにも、あの普天間の十万人のど真ん中にある基地を私は解決するんだという気持ちを私はお聞かせいただきたいというふうに思っているわけです。
そして、いろいろなことがあるかもしれませんけれども、まずは段階的に沖縄の基地問題を解決していくことが大事。だから、私は、とにかくこの普天間の問題を解決することが大事だと思っている。私は、総理が五月三十日までにこの問題について判断をせずにまた先延ばしにしてやるというようなことがあれば、沖縄選出の国会議員として、六月の一日には衆議院をやめますよ、私は。
それぐらいの気持ちで私は、この問題について総理が決断をしていく、きょう、テレビの前で沖縄の方々も全国の皆さんも見ていると思いますけれども、この問題だけは鳩山総理みずから決めるんだという強い思いを総理が申し上げて、私は一問だけ質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○鳩山内閣総理大臣 沖縄問題、大変、下地幹郎議員が今日までリーダーシップを発揮してこられたことに敬意を申し上げたいと思います。
いろいろとまた知見も、御指導願いたいと思っておりますが、この問題、私が昨年末、ことしの五月末までということを申し上げたのは、それなりの覚悟を持って申し上げていることは言うまでもありません。
日米関係の重要さはもとより、やはり沖縄にこれだけ長いこと迷惑をかけてしまっている、沖縄県民の皆様方のお気持ちを考えたときに、十四年かかっていることをあと半年でやるというふうに延ばさせていただいたことも決して楽ではなかった結論ではありますけれども、この半年延ばさせていただく中で必ず結論を出す、沖縄の皆様方にも御理解をいただき、そしてアメリカとの交渉でも理解をもらい、そして当然、連立内閣でありますから、連立内閣でその仕組みをつくり、結論を出させていただく強い覚悟で臨んでおります。
ぜひ、下地委員も大変強い決意を述べていただいたことに感謝を申し上げたいと思っておりますが、連立三党、この問題がある意味で外交問題における最大のテーマだという位置づけの中でしっかりと結論を出してまいりますので、どうか御協力を願いたいと存じます。
○下地委員 最後になりますけれども、政治が決断力があって、決断を示して国民を引っ張っていくんだ、その結果をぜひ見せていただきたいと思いますから、どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。
次に、額賀福志郎君。
○額賀委員 自由民主党の額賀福志郎であります。
きょうは、鳩山政権の基本政策、特に箇所づけの漏えい問題を中心として審議をなさるということでございますけれども、漏えい問題については、同僚の伊東議員が後で厳しく質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
今、下地議員も普天間の問題、日米同盟関係のことについてお話をなさっておりましたけれども、私は主に外交、安全保障について議論をさせていただきたいと思っております。
まず冒頭に、一昨日、南米チリにおきまして大きな地震がありまして、数百人の方々がお亡くなりになられた。心からお悔やみを申し上げる次第でございます。また、犠牲者になられた方々に対しましても、お見舞いを申し上げさせていただきたいと思っております。
チリだけではなくて、我が国はまさに地震大国でございます。阪神・淡路大震災の際も、六千人余りの方々が犠牲になられました。大半の人は、家屋の倒壊によって犠牲になられました。
我々は、この家屋の問題、学校や診療所や病院等の耐震化についてしっかりと対応していかなければ、国民の皆さん方の安心を確保できないと思っております。ところが、皆さん方政権与党は、昨年、耐震化について数十%の予算削減を行っております。やはり、これから地震対策としてしっかりと、国民の皆さん方に安心感を与えるために、そういう基本的な問題については、これは与党も野党もない問題でありますから、しっかりと対応していただきたいというふうに思っているところであります。
鳩山総理、今、攻守所を変えて相対峙するわけでありますが、鳩山総理が初めての国会議員の挑戦のときであったでしょうか、当時、竹下総理と一緒に室蘭に行って、恐らく二千人ぐらい、多くの後援会の皆さん方がおられたと思います、しっかりと頑張ってくれというふうに応援をしに行ったのを覚えております。
その鳩山政権が、今、世界の中の日本のリーダーとして一生懸命やられておられる。ところが、内政においても、マニフェストはどうも公約違反である、ほとんど中途半端である。外交に至っては、閣内の閣僚の皆さん方は意見がまとまらない。連立与党においてもなかなか基本的な考え方が一致していない。迷走ぶりを発揮している。私は、日本の将来のために、この地域の安定のために、これは与野党を問わず、しっかりと安全保障政策、同盟関係をきちっとしていくことが大事であるというふうに思っております。
まず、普天間、日米同盟関係からお話をさせていただきたいと思っておりますけれども、昨年の末に米国で、ワシントン・ポストにこういう記事が流れました。中身は、要するに、鳩山総理は二回にわたって、オバマ大統領に対しまして、年内決着を図るという親書というか書簡というか、そういうものを米国政府に与えたということであります。
一回目は、十一月十三日の日米首脳会談。これは、テレビあるいは新聞で報道されているように、米国のオバマ大統領は、もう長い間日米の間で協議をして最終結論を得た辺野古沖の、辺野古のV字形の現行案が一番最善の策である、これについてしっかりとできるだけ早く、つまり年内に決着をつけてほしいということを言った。これに対して鳩山総理は、選挙のこと、連立政権のこと、さまざまの経緯を説明しながら、トラスト・ミーと言った。ところが、その翌日、シンガポールにおいて、日米合意を前提にこの協議を進めていくことではないということで、まず内外の皆さん方に驚きの声を発しさせた。アメリカ政府もびっくりした。これが一回目ですね。
二回目は、鳩山総理が書簡を送られて、年内決着を図るというようなことを言われたというふうに聞いております。これがこの報道であります。
このワシントン・ポストの報道については、時事通信社も国内に流しましたけれども、ほとんどニュースとして取り上げておりませんから、国民の皆さん方は承知しておりません。これは事実でありますか。書簡を書かれたとか、そういう親書を出されたとか、手紙を出されたとか。明確にお答えをいただきたいと思っております。
○鳩山内閣総理大臣 今、額賀委員から、私の最初の選挙のときのお話まで言及していただきました。私がまだバッジをつけておらないころ、同じ派閥の先輩議員として応援に来ていただいたこと、改めて感謝、御礼を申し上げたいと思っております。現在、このような立場になりましたが、ぜひかつての防衛大臣としてさまざま御指導を願えればありがたい、心からそのように思っております。
今、お尋ねがございました。オバマ大統領との間で、例えば普天間の移設先を辺野古にするというような議論を先方から細かくいただいたことも、そのオバマ大統領とのやりとりの中でもございませんでしたし、私も細かい議論はいたしませんでした。ただ、トラスト・ミーという言葉を申し上げたことは事実であります。この日米関係の重要性ということを、私も日米同盟をこれから深化させていきたい、その中でこの問題も処理をしていきたい、信じてもらいたいということを申したことは事実でございます。それを先方がどのようにおとりになったかということの中で、あるいは誤解が生じた部分があったかもしれませんが、細かく、いつまでに辺野古にするからみたいな議論を、この私からしたことではありません。
また、親書は、実はこれはそのことに対する親書ではありませんで、いわゆる、九月でありましたか、日米、G20それからニューヨークでの会議がございました。その中でオバマ大統領とお会いをし、また、その後オバマ大統領がこちらに参ったということに対するお礼を込めた親書を一度出したことは事実でありますが、そのときに、いつまでに何を解決するからという具体的なことを書いたことではございません。
ただ、親書の中身を余り細かく申し上げるべきではなかったかと思いますが、お尋ねでありますから、そのようにお答えをさせていただきます。
○額賀委員 親書の中身は、一つは、我々があらゆるところから取材した限りにおいては、私も元新聞記者でありますから、いろいろとお聞きしました。アメリカ大使館でも秘書官は認めておりました。
中身は、一つは、年末までに処理をするということ。もう一つは、やはりアメリカとの間で、我々が政権を持っているときに、長い間、それはもう三百六十度の角度から、沖縄にも入り、アメリカとも交渉してあの合意案をつくったわけでありますから、抑止力と沖縄の負担を軽減するためにこれ以上のものはないという形でつくらせていただいたわけでございまして、この現行案に沿ってアメリカはやっていきたいということに対して、総理が同調をした意味のことを述べられているということも聞いておるんですが、そういうことはありませんか。
○鳩山内閣総理大臣 親書の中身に関して、今、若干私も中に踏み込んだ発言を申し上げたかもしれませんが、余りこれ以上申し上げるべきではないかと思います。
ただ、具体的に、私は、いつまでにアメリカの方針に沿ってやりたいからというようなことを書いたという記憶はございません。
○額賀委員 いつまでに、あるいはアメリカの合意ということが同時ということではないと思いますけれども、ある程度日米の間のことについて理解を示したのではないかと思っております。
総理も、沖縄の県民の意向が大事である、日米合意が大事である、三党連立が大事であると言っているわけでございますから、その中で我々は、日米合意というのは、自民党とアメリカ政府が合意をしたわけではない、アメリカ政府と日本政府が合意をして、この地域の安全と日本の安全のために最善の策としてつくり上げたものでありますから、アメリカも当然そう思っているに違いない。そういうことの意味からいって、大きな時の流れ、歴史の流れからすると、そういう判断がなされていくのではないか、そういう思いを込めた上でそういう書簡がなされていったのかなという、言ってみれば、これは鳩山総理に対する私の間違っていない考え方であろうということで質問をしているわけでありますから、正しい判断をしていっていただきたいというふうに思っているところであります。
私の地元の金融機関のリーダーがよく言います。正直者に怖いものなしと。だから、必ず、日本の最高のリーダーでありますから、こういう場面で、国民注視の中で議論をしているときは、しっかりと正しく、間違ったことがないように発言をしていっていただきたいというふうに思っているところであります。
次に、この問題について、私は防衛庁長官時代にこの普天間の問題を扱って、いきさつについていろいろと申し述べたいのだけれども時間がありません。これは今月号の中央公論に、いきさつについて私、述べてありますから、国民の皆さん方もまた同僚の皆さん方も読んでいただいて、日本のために、このアジアのために正しい判断ができるように参考にしていただければありがたいというふうに思っているところであります。
続きまして、日米の同盟関係についてお話をお聞きしたいというふうに思っております。
まず、社民党の福島党首にお聞きしたいんですけれども、社民党は、二〇〇六年二月の党大会におきまして、「現状、明らかに違憲状態にある自衛隊は縮小を図り、国境警備・災害救助・国際協力などの任務別組織に改編・解消して非武装の日本を目指します。また日米安全保障条約は、最終的に平和友好条約へと転換させ、在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進めます。」と、はっきり言えば、自衛隊違憲論、日米安保条約の解消を明確にうたっております。
この考え方は、党としては変わっておりませんか。
○福島国務大臣 それは、社民党宣言として、社民党としてつくったものです。今額賀委員がおっしゃった、自衛隊を違憲というふうに言っているのではなく、今正確におっしゃったのが、社民党が社民党宣言として発表したものです。
当時、海外に、イラク戦争、イラクにまで自衛隊が行っている現状、周辺事態法も含めて非常に広がっている現状、それについて、この現状は違憲であるというふうにしたもので、先ほど読み上げられたとおりでございます。
○額賀委員 現状の話で、そういうイラク派遣とかそういうことは憲法違反であると言うけれども、では、自衛隊は合憲ですね。
○福島国務大臣 その社民党宣言をまとめるために、ほとんど全党員でずっと議論を続けました。社民党としては、当時、自衛隊がイラクにまで行っている現状は違憲であるとして、自衛隊の違憲合憲については結論を出しておりません。
○額賀委員 自衛隊が違憲であるかどうかを、党としてきちんとした姿勢、考え方、理念を持たなくて何の政治ができるんですか。政党政治の根幹ではありませんか。きちっとしていただけませんか。
○福島国務大臣 社民党は、どういうふうにそれを理解するか、どういうふうに結論を出すかについて、下部討議と言うと言葉が古めかしいかもしれませんが、党員の中で何年も議論をしました。先ほどおっしゃった社民党宣言のとおり、これは全員一致でこの社民党宣言を採択するという形でいたしました。
社民党は、日本国憲法が本当に大事だと考えている政党であり、戦争をしないと定めた憲法九条を現実の中で生かしていくことが大事だと考えている政党です。ですから、海外にまで、イラクにまで自衛隊が行っている状態などについて問題があるとして、当時社民党宣言としてまとめました。それは、社民党は政党ですから、政党の中でとことん協議をして社民党宣言をまとめました。それがすべてでございます。
○額賀委員 福島党首は全く質問に答えておりません。自衛隊について位置づけを語っておりません。これは話をしても時間のロスでありますから。
鳩山総理、鳩山総理は、常時駐留なき安全保障条約、こう言っていましたね。これもちょっとわけがわからないんだけれども、しかし、国会の質疑を聞いておりますと、やはり日本の国家運営の基軸は日米安保条約だ、日米同盟が基軸であるということを言っておられます。これは変わりありませんか。
○鳩山内閣総理大臣 日本の安全保障の基軸は当然日米安全保障にある、日米同盟が基軸である、そのように考えております。
○額賀委員 もちろん、日米安保条約が基軸であるという考え方は、自衛隊は合憲であるということの認識だと思っております。
今、連立政権を組んでいるわけでございますけれども、連立政権は、鳩山政権として、国家運営の基本的な課題、根幹は、日米同盟関係を三党でどういうふうに共有し、位置づけて、そして今後の安全保障問題について対応するかであります。
三党について、この日米同盟の問題、安保条約等の問題についてきちっと位置づけがなされておりません。これから三党で国家運営をしていく、鳩山政権の基軸は三党連立である、その三党の基本的な自衛隊の位置づけ、あるいは日米同盟の位置づけがなくて何の安全保障の議論だろうか、何の普天間の議論だろうか。
国民の皆さん、よく考えてみてください。一億二千万の国民の安全とこの地域の安全を考えていく上で、三党連立政権がスタートしたといったって、基本的な考え方が全くきちんと協議もされなくて政権運営がなされているのが現状です。
鳩山政権、三党連立について、どういう考え方でこれから調整を図るんですか。
○鳩山内閣総理大臣 額賀委員も自社さ政権のときを思い出されておられるかと思っておりますが、私ども、連立三党で政権を組んでおります。その連立三党は、三党合意というものに基づいて、基本的な考え方を共有いたしているところであります。
そして、今私が総理大臣として申し上げておりますように、日米安保というものが基軸になる。日米同盟、日米安保が改定されて五十年のことしでありますから、まさに日米同盟を深化させていきたいと思っておるのがこの政権の考え方であると御理解をいただきますように。
したがいまして、余り御不安にならないで結構でございます。
○額賀委員 我々が自社さ政権をつくったときは、当時は社会党は、今の社民党の前身でありますけれども、自衛隊は違憲状態でありました。国歌・国旗も認めませんでした。そういう中で、当時の村山総理は、自衛隊は合憲である、そういうふうに宗旨がえをして国会運営をスタートしたんですよ。
そういうように、やはり三党の連立政権の基本の骨格を決めた上で政治運営がなされなければ、まず国民の皆さん方から不審に思われますよ。と同時に、これは国際的な観点からいったって、日本の安全保障、日本の、言ってみればそういう憲法あるいは自衛隊というのはどういう位置づけがされていくのか、不信感を増すばかりですよ。
委員長、私はこういうふうに、我々が自社さ連立政権をつくったときは、社会党は、ちゃんと憲法の中で自衛隊は合憲であるということをきちっと声明をした上で国会運営を行っていったんですよ。だから、そういうことをきちっとしないまま連立政権の運営がなされるということは、こういう基盤が揺らいだものはありません。私は、三党のそういう自衛隊に対する位置づけと、基本的な考え方を示してくれることが先決だと思っております。
三党連立の中でこういうふうに書いてありますよ。主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米関係をつくる。日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方について見直しの方向で臨む。自衛隊とかそれから日米同盟だとかそういうことについて、安全保障について一言も言及しておりません。
憲法については、日本国憲法の平和主義、国民主権、基本的人権の尊重、三原則を守るというふうに書いているだけでありまして、三党として安全保障、日米同盟をどういうふうに位置づけるかということについては全く言及はしていない。こんな政権なんというのは初めて見た。
きちっとした三党連立政権としての考え方を提示した上で、この外交、安全保障の論議をしなければ、国家としての体をなさないと私は思います。
○菅国務大臣 自社さ政権のときに私はさきがけの政調会長でおりまして、当時の社会党ともいろいろ議論して二党の合意をつくりました。しかし、残念ながら、その時点で自民党との合意はできませんでした。つまり、首班指名の段階では自民党は一方的に村山総理に投じたという形であって、事前の三党の合意あるいは社会党と自民党の合意はありませんでした。もしあるというんだったら、だれでもいいですから示してください。私はその現場にいましたから。
今言われたことは、村山総理がその後の本会議で確かに方針転換をされましたが、少なくとも、政権ができた、皆さんが首班指名をされた時点では、自民党との間での合意はありませんでした。
○額賀委員 これは全く本末転倒ですよ。
あなたたちは、政権発足してから半年もたっているんですよ。それでいて、三党連立の自衛隊の位置づけもできないし、日米安保条約についての共通の認識もないわけですよ。
我々は、三党で連立政権をつくったとき、少なくとも安全保障の問題については合意点をつくらなければならないという基本的な考え方に立って、社会党の村山総理にきちっとした協議をした上で、これは連立政権下では合憲という立場を明確に打ち出されたんですよ。(発言する者あり)もちろん、政権前であろうとなかろうと、我々は政権を発足した直後にこういう合意をつくったわけでございます。
あなたたちは何の議論もしていないじゃないですか。そういうことを、きちっと三党の考え方を示してほしいということです。
○鳩山内閣総理大臣 自社さ政権の話を今ぶり返してもせん方ない話だと思っておりまして、むしろ、それよりも、ここに書いてありますように、「主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。」、緊密で対等な日米同盟関係、それは日米安全保障を極力守る、当たり前の話を、これを基軸にするということを言っているわけでありますし、これほど、ある意味で三党でも明確にうたっているということを、今額賀委員もみずから述べていただいたことは、ありがたかったなと思っているところでございます。
私どもは、このようにしっかりとした三党の連立合意を踏まえた中で政権を運営させていただいているということでございまして、ぜひ御理解を願いたい。
○額賀委員 私が言いたいのは、社民党は自衛隊に対する位置づけがなされていない、その上に立って日米同盟だとか米軍再編だとかそういうことをしているから、米軍再編の議論をしていくときに、お互いに方向づけが違っていくものですからどうしてもまた裂きになって、鳩山政権内の意見が分裂状態になったり食い違いが起こったりして迷走ぶりを発揮している原点に、そこが問題になっているのではないかということを指摘しているわけでございます。答弁はいいです。
その問題点はこれからもきちっとした形で示していくことがなければ、国民の皆さん方の理解を得ることができないのではないかということを指摘しておきたいというふうに思っております。
あと、最後の五分でございますけれども、これもまた福島党首、最近、米軍再編の普天間の問題について、総理は五月末までに解決をすると言っておりましたけれども、時間の問題だから少しぐらい延期してもいいんじゃないかという話をなさったそうですが、そうですか。
○福島国務大臣 重要なのは中身だと思いますが、鳩山総理自身が五月末というふうにおっしゃっていますし、この内閣の中で五月末までにきちっとした結論が出せるよう、全力を尽くしてまいります。
そして、額賀委員、私たちは、連立をつくるときにきちっと協議をいたしました。三党で連立合意をつくりました。日米安保条約や地位協定についても、沖縄の基地の再編についても、子ども手当についても、地球温暖化防止についても、自然エネルギーについても、雇用についても、しっかり議論をして連立合意をつくりました。その政策の実現を目指して、社民党もこの内閣の中で全力を挙げてまいりますし、御心配には及ばない、頑張ってやってまいります。
○額賀委員 福島党首の場合は、現状に合わせて連立になったから仕方なく同調したという程度の話で、基本的な憲法内における位置づけなんというのはなされていない、そういうことであると思っております。これは答弁はいいです。
それから、平野長官、あなたはこれまでの発言の中で、普天間問題について、これからのことは私に任せてくれ、何かがあったときは自分は腹を切るというようなことを言っていましたね。本当なんですか。新聞に報道されていました。
○平野国務大臣 腹を切るなんということは私は言った覚えはないし、言葉のあやとしてそういう発言が、記者さんにだれが言ったか私はわかりませんが。
ただ、この問題は非常に大事ですから、やはり総理の強い指示のもとに、例えば五月の末と総理が言われているわけですから、担当の政府の一員としてそれに全力で臨むということが大事なことだと私は思っております。
○額賀委員 時間がなくなりましたけれども、私は最後に、鳩山総理、この普天間の結末につきまして。
あなたは民主党の発足のときに、文芸春秋か何かの御本に、西郷隆盛の文言を活用してお話をなさっていたことがありましたね。要するに、金も命も名誉も要らぬ、潔くきちっとしたい、それが政治家の本来の姿だと言っております。いろいろ御苦労なさっているとは思いますけれども、そういう潔さ、覚悟を決めるということは、私の場合だったらそうします。やはり職をかけて、進退をかけて勝負するのが覚悟を決めるという意味だと思います。
進退をかけて職をかけて、勝負をかけますか。
○鳩山内閣総理大臣 西郷隆盛、南洲翁の遺訓、命も要らず名も要らず、まさにそのとおりの覚悟を持って政治家として臨むべきであると思っておりまして、当然のことながら、政治家、これは今このポストであるからどうのということではありません、政治家である以上、すべてみんなが同じ覚悟を持って臨まなければならない、国民に対する大きな責務を負っている、そのように考えております。
○額賀委員 きょうは、皆さん方に資料をお渡しいたしまして、この日本を取り巻く、中国とか北朝鮮だとか、全体の現状認識とこれからの同盟関係だとか、そういうことについても議論をしたいと思っておったんですけれども、時間がありませんでした。今後の議論の中で、鳩山政権がこの地域、日本の安全についてどう考えていくのか、しっかりとただしていきたい。
私は、日本の外交、安全保障の正眼の構えというのは、日米同盟をきちっとして、大国である中国、ロシアときちっとバランスをとって、そしてこの地域の安全を図っていくことが大事だ、そうすれば北朝鮮の問題も台湾の問題も平和的に中長期的には解決がされていくだろう、そういう信念でありますので、しっかりと今後も議論をしていきたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
○鹿野委員長 この際、馳浩君から関連質疑の申し出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馳浩君。
○馳委員 今ほど、衝撃的な、未確認情報ではありますが、入りまして、札幌地検が逮捕状を請求し、先般北教組の問題で事情聴取もされておりました北教組の最高幹部三名が出頭を求められるようであります。改めてこの情報については確認をいたしますが、きょうは急遽、この北教組の問題について、教育の正常化という観点から質問をさせていただきます。
まず最初に、資料一のファクシミリ送信票をごらんいただきたいと思います。
これは、我々、二月十八日に北海道を調査訪問した折に提供された資料です。この程度ならということで、現場の教員から寄せられました。
このファクシミリの送信時間は左上に記載されています。一〇年二月一日月曜日十四時二十七分、あて先○○中学校とあります。発信者は、北教組○○書記局、○○発○○小学校内とあります。
つまり、勤務時間中に正々堂々と組合活動を、それも学校の機材を使って行っている動かぬ証拠であります。ましてや、「連絡内容」にある第十五回分会長会議は二月九日火曜日午後四時三十分から○○小学校内で行いますとありまして、こちらも学校現場で、勤務時間中の開催案内です。
勤務時間中の組合活動、これは地方公務員法違反ではありませんか。おかしいと思いませんか。川端大臣、おかしいと思いませんか。
○川端国務大臣 公立学校の教職員につきましては、地方公務員法により職務専念義務が課せられておりまして、勤務時間中に組合関係の文書をファクスで送信したり組合の会議を行ったりするなどの組合活動を行うことは、法律で禁じられております。
お尋ねの件につきまして、勤務時間中に組合活動が行われたということが事実であれば、文部科学省としては、北海道教育委員会等とも連携し、法令にのっとり厳正に対処してまいりたいと思っております。
○馳委員 おかしいと思いませんか、大臣。
○川端国務大臣 事実であれば、法令違反で、許されるものではございません。
○馳委員 黒塗りの部分を外したものをあなたに後でお渡しいたしますから、事実関係を調べ、おかしいのであるならば、これは法令違反でもありますが、明確に指導していただきたいと思います。指導しますか。
○川端国務大臣 文部科学省としても、北海道教育委員会に対しては資料の提供を求めたいと思っておりますけれども、それを受けて、法令違反に該当するものであれば、教職員の立場でいえば、任命権者は道の教育委員会でございますので、そこと連携をしながら、適切、厳正に対処するように連携をとってまいりたいと思います。
○馳委員 次に、先ほど冒頭に申し上げましたが、民主党の小林千代美代議士の問題について質問します。
既に報道によって、選対委員長代行が買収の選挙違反で逮捕され、小林さんも連座制が問われようとしております。その捜査の過程で、今度は、北教組から違法な献金が授受されたことが会計責任者の証言で明るみとなり、公職選挙法や政治資金規正法違反事件として、札幌地検により捜査中です。北教組事務所が家宅捜索も受けております。教育者として不名誉な、あるまじき事件であります。
先ほども申し上げましたように、札幌地検が出頭を求める事態にまで発展しているようでありますが、本当におかしいと思いませんか、川端大臣。
○川端国務大臣 お答えいたします。
今の捜査の報道は、ちょっと私、手元にまだ承知をしておりませんが、法令に基づかない違法な行為は当然許されるものではないというのが、一般として当たり前のことでございます。とりわけ、教育にかかわる人たちは特に、教育現場の子供たちへの影響も含めて、こういうことがないようにということを強く願っておりまして、こういう事態が現に起こっていること自体は決していいことではないというふうに思っております。
○馳委員 そこで、大臣は、二月十六日の予算委員会で、自民党の山本幸三委員の質問にこう答えています。
「資金の流れ等々を把握することは、こういう団体は、県の人事委員会に登録されている、いわゆる交渉団体であるとかいう資格をするために、登録する要件として資金の流れを把握する仕組みにはなっておりませんので、どういう状況で資金がどうあったかということを調査する立場にございません。 したがいまして、この資金の流れを制度的に解明するということは、今私たちは調査することができないということは御理解をいただきたいと思います。」「文部科学行政の中で、このお金はどうだったかということを調べることはできません。」と答弁しておられまして、そのとおりなんですよ。
そこで、人事委員会に登録する交渉団体としての要件として、その透明性、適格性、法令遵守を担保するために、収支報告書の提出や監査人の選定など、資金の流れを解明するような法整備が必要だとは思いませんか。そして、不透明な資金の流用、虚偽の収支報告をするような団体は、人事委員会の交渉団体としてのペナルティー、これは勧告や改善命令あるいは登録停止や抹消、こういうことが必要だと思いませんか。事は、教育公務員で構成する教職員組合の絡んだ不祥事であります。文部科学省としても、教職員組合の収支決算、資金の流れを把握できるように、会計帳簿の提出を求めるなどしておくべきではないでしょうか。
これは、地方公務員法にもかかわる問題でもありますので、先般の代表質問でも質問いたしましたが、原口総務大臣と川端大臣に、今般の事件、事案を踏まえた上で、この現状でよいのかどうか。いや、私たちはいいんですよ、人事委員会に登録する交渉団体として今のままでいいんですよというふうな思いなのか。余りにもひどい、こういうことについてはやはり透明性が必要であり、組合といえども法令遵守は当然である、そういう考え方で、法律をつくったり見直したり、そして活動をオープンにしていく、そういう思いはありませんか。原口大臣と川端大臣にお尋ねいたします。
○原口国務大臣 馳委員にお答えいたします。
いかなる組織であろうが、法令遵守そしてコンプライアンス、これが求められるわけでございます。私たちは事実をまだ承知しておりませんから、個別の案件について申し上げることは総務大臣としては控えさせていただきますが、その上で、現状がどうなっているか。
これは、今委員がおっしゃるように、登録職員団体から適法な交渉の申し入れがあった場合は、地方公共団体の当局はその申し入れに応ずべきものとされています。職員団体の登録制度は、構成員の範囲、規約の作成、変更や役員選挙の方法など、団体交渉に関する適格性等を判断する観点から定められているものであり、今の委員の御指摘は、この適格性が本当に満たされているのかという御指摘だと思います。
いずれにせよ、この要件については、さまざまな御議論があると思いますが、慎重な検討が必要でありますけれども、冒頭申し上げたように、法令を破るということは絶対にあってはならない、こう考えております。
○川端国務大臣 大前提として、この団体の資金の流れがいろいろな形で複雑に不正があったのではないかということで捜査が行われると、報道を通じて承知をしておりますが、詳細は公式には把握をしておりません。
そういう意味で、先ほど引用いただきましたように、直接的に文部科学省が所管をしている団体でなくて、都道府県の人事委員会とのかかわりがある団体がこういう問題を起こした可能性があるというときに、今、原口大臣が申しましたように、法令違反というよりも、こういう団体が交渉団体としていいのかどうかという基準に実は入っておりません。そのことの是非が議論にはなると思います。
しかし、この団体ということだけではなくて、いろいろな地方の団体を登録するので、一律的に地方の公共団体という形の中で地方公務員法で定めておりますので、同様の問題は国家公務員に関しても決めております。そういう意味では、この問題ということではなくて、全体の国の仕組み、地方の仕組みとしての法体系としてかかわりますので、議論をしてまいりたいとは思っております。
○馳委員 質問がちょっと難しかったかもしれませんね。おかしいんですよ、今回の事件を踏まえて。私は、きょうは鳩山政権の基本的な政策のあり方についての集中質疑だというから、改めて総理にも求めたいと思いますよ。
この予算委員会でもこれまで、ゼネコンとマザコンと日教組の金で選挙を戦って、それもすべてよくわかっていない裏金で、そして政権の正統性が問われたり疑いがあるのであるならば、ちゃんと政倫審など出るところへ出て説明をしてくださいよということを求めてきたんですよ。
教職員の皆さんは、まともな先生方は困っているんですよ。組合の活動に振り回されて、選挙も応援をさせられて、ノルマも与えられて、そして見つからないようにしろなどと言われて、後で明確な証言を私は言いますけれども、おかしいんですよ、こんなことが許されていていいんですか。
そういうことが、私はきょう北教組の事件をたまたま取り上げて申し上げておりますが、本当に政権として求められているのは、こういう指摘が、疑いがされたときに、あなた方はちゃんと説明をしますか。今まで民主党は、政策の透明性であったりとか、あるいはこういう不祥事が自由民主党にあったときに、厳しく追及をしてこられました。そして、今般、政権交代をされて、今度はブーメラン現象のように、あなた方に今回の政権の正統性や選挙の戦い方、政治活動のあり方が問われているんですよ。
鳩山総理の答弁を求めます。
○鳩山内閣総理大臣 馳委員の御指摘、私はもっともなところが多いと思っております。
すなわち、とにかく政治家とあるいは企業、団体とのかかわりというものは、極めて透明でなければならないと思います。特に、教員と政治家の間であればなおさらだ、そのように思っております。
法令を遵守することは言うまでもありません。法令にもとるような行為があれば、当然、処罰をされなければなりません。また、これはなかなか見えないような形でうまくできるからみたいな部分があるいはあったとするのであれば、その部分に対しては、やはり国民の皆様方から後ろ指を指されないような形に変えていくことも重要ではないか、そのように思っております。
私どもは、やはり透明性をこれからより高めていくことによって、それこそ政権の正統性というか、政治家としての正統性を高めていく必要があろうかと思います。その意味で、政治資金規正法の問題を初め、企業・団体献金の禁止の問題も含めまして、あらゆることを行いながら、国民の皆様方に対する政治家の信頼が回復できるように努力をしてまいりたい、そのように思います。
○馳委員 私が言っているのは、法律を変えたり制度を変えたりするという問題ではなく、政治家みずからが法令にのっとってそれを遵守し、恥ずかしくないような対応をしていくべきではありませんかということを言っているんです。
そして、私はきょう、北海道の教職員組合の、数年前に組合をやめた、やめざるを得なかった先生の証言を申し上げます。このことを聞いて、学校の先生が本当にこんな状況でよいのかということを、改めてあなたに問いたいと思います。
選挙活動を中心に、こういう証言を得られました。
支持者カード集めは十枚程度のノルマがありました。勤務時間終了後に校内で選対会議も行われました。北政連の候補者であるかどうかによって、ノルマに差があります。電話がけは校内では行わず、組合事務所や自宅で行います。ノルマはあるが、自主活動という位置づけ。動員も当然。動員表をつくり、役員が配分している。
平和闘争資金という名称のカンパがあり、選挙前は一人千円くらいが組合費に上乗せされる。組合費は月額一万円程度。以前は給与から天引きだったが、給与が振り込みになった後は、ろうきんとの提携で引き落とされる。
選挙の際は、つぶし、これは隠語です、つぶしといって、ペアでポスティングや戸別訪問が多い。勤務時間外に、顔がばれないように地元以外で行う。基本的に校長も教頭も組合上がりなので、心情的に組合活動を応援する傾向がある。
大きな支部には収支決算報告書はあるが、平和闘争資金の記載はない。名目のみで、詳細は記載されていない。監査しなければわからない。
動員は拒否できない。投票日の前日の土曜日には、証拠を隠滅するようにと、関係書類の段ボール箱を捨てたり、シュレッダーにかけるように組合から指示がある。
なぜ組合をやめたんですかとお伺いしました。お答えがありました。
国歌の指導は音楽の授業で行われておらず、中学に入った段階で、子供は国歌を歌えない。苦肉の策として、卒業式の練習の段階で教頭が教えている。組合員は一切協力しない。組合の日の丸・君が代反対運動の学習会が納得できなくて、脱退した。きちんと国旗・国歌を指導できるようになりたかった。
北教組は、教師は労働者という考えであり、教師は聖職者という考えの全教、全教とは少し性質が異なる。北教組においては、組合主義が仕事をしない言いわけになっている。校務分掌で大変な仕事を非組合員に押しつけるというのではなく、大変であろうがなかろうが、受け持った仕事は何でもしない。
最近、学校職員評価制度で三回連続でCがつくのはおかしいと教育委員会の者が発言していた。評価のローテーションを協定しているから、このような発言をしたと考えられる。実際、校長や教頭がきちんと評価して、連続でC評価された教職員の割合が多い学校には、北教組から抗議やはがきが来た。このような北教組と同教委の癒着こそが問題である。
公務員は自分が関係する法律について詳しく勉強するが、教員にはそれがない。極度に法律について無知である。職員会議の議事録を公開したら、大問題になる。教員養成段階や研修で勉強すべきである。
主任制度反対にしても、教育委員会への対抗戦術として行っているうちに、継続化する上でイデオロギーの裏づけが必要になり、イデオロギー闘争化して、後戻りできなくなった。
選挙運動員としての労務費は出ないから、ほとんどがボランティアとなる。やっていられなくて、北教組を脱退する人が多い。
教頭のなり手がなく、主任制度は正常化されていない。主幹もいない。管理職の負担が重く、処遇改善をしてほしい。
大変涙ぐましいというか、驚くべきような証言を数々いただきました。
そして、先ほど川端大臣がおっしゃったように、これは北海道の教育委員会ばかりではなく、四十七都道府県の教育委員会に対して、改めて法令遵守、特に、教育公務員特例法第十八条第一項、国家公務員並みに政治活動の行為は制限されております。しかし、第二項で、残念ながら、国家公務員のような罰則がないんですよ。これをわかりやすくいうと、学校の先生、政治的行為の規制違反、みんなでやれば怖くないんですよ、罰則がないから。
だから、我々は、自由民主党として、これは法改正をし、基本的には国家公務員並みに罰則もあると。余りこういうことは、教育の現場の皆さんに対して枠をはめるような議論はしたくありませんが、こういう指摘をせざるを得ない現状に対して、総理、私は改めて、組合をやめた教員でありますからいろいろな思いがあったと思いますがこういう証言をいただきました、総理の感想をいただきたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 馳委員から、今、北教組をやめた元組合員の方の切実なお手紙を拝聴させていただきました。そういう方々、そういう思いというものがどこまで普遍的であるのかどうかということを思うと、やはり胸が痛む思いがいたします。
したがいまして、このようなこと、すなわち、今馳委員がお話しされましたように、法令遵守というものを徹底させるというのが一つあると思います。その法令遵守で十分にそれが行き届いて改善されるのかどうかということがあろうかと思います。それが必ずしもそれだけでは十分でないというときに、法令の改正というものの必要性があるのかどうかということも、これは川端文科大臣に検討させていく必要があるのではないか、そのように考えているところでございます。
このようなことが続くと、やはり、教職員の皆さんと政治家との間のかかわりの中で、教育の問題にも影響が出るわけでもありますし、また政治家にも影響が出るということにもなるわけであります。この透明化を図っていくためにもっと徹底して行わなければならないことがあろうかと思いますので、文科大臣に検討させてまいりたいと思います。
○馳委員 これは、私は、教職員の皆さん方すべてに対して言っているのではありません。これは総理もおわかりいただけると思います。一部の声の大きな活動家がリードをすることによって、小学校、中学校単位の組合員の集まりというのを分会といいますよね、分会の皆さん方が職員会議をじゅうりんするようなことになってはならないし、特に法令遵守というものは必要です。
そして、多くの先生方は思っているんですよ、組合の先生方は忙しくないのかなと。忙しいに決まっているじゃないですか、学校の先生は。川端大臣、学校の先生はみんな、本当に忙しいわけですよ。これは、今後、教育改革の問題も出てまいりますけれども、僕も高校の国語の教員をやっておりましたから実感しておりますが、一日に四時間、五時間、授業のこまが入っていると、教材研究とか校務分掌とか保護者への対応とか、大変なんですよ。目の回るような忙しさであります。したがって、教員の負担を軽減するには、一クラス何人かという議論ばかりではなくて、一人の教員が一週間に受け持つ時間数をせめて十六時間前後にしてほしい、こういう要望もあるんですよ。
これは義務標準法の基準にはなっておりませんし、財務大臣、実はこれは、なかなか財務省のハードルも高い問題ではあるんです。一クラスの人数を減らして、それにも人件費かかりますねという問題ばかりではなく、一人の教職員が一生懸命子供と向き合って、教材研究もし、保護者への対応もし、校務分掌もし、部活動も行うとなったら、やはり一日三時間ぐらいかな、三時間、四時間が限度ですよ。あいた時間にいろいろな書類の整理をしなければいけません。余り我々国会議員が教職員が悪い悪いと言ってすると、教育委員会があの報告書もこの報告書も出せと言って、余計に現場は忙しくなっているんですよ。
したがって、税金の使い道、人件費のあり方ということを考える上で、義務標準法の改定も考えるべきではありますが、一人の教職員が一週間に何時間程度がふさわしいのかな、こういう議論も深めていかなければならない。こんなときに、組合の先生方、何をやっているんですか、ばかなことをやっているんじゃありませんよと。
きょう札幌地検がどのような決断をし、今後対応していくかということも、私は文部科学委員会の現場で議論をしてまいりますが、川端大臣、私の指摘をどのように受けとめますか。お答えください。
○川端国務大臣 学校現場の先生が非常に忙しくて、時間外あるいは持ち帰りも含めて、大変忙しい思いで暮らしていただいている実態は、私もそれなりに承知をしておりますし、それを、数をふやすのか、あるいはいろいろな仕事の工夫をするのか。お問い合わせで、文部科学省から教育委員会から調査、調査というのを余りやり過ぎではないかというふうなことは大変大事な問題として、財政上の問題を含め、定員の問題を含めて取り組んでまいりたいと思います。
そういう中で、そんなに忙しいのに労働組合の活動云々ということでございました。
法令に違反するようなことをすることはもう論外でございますが、組合活動は組合活動として一定の活動自体は認められているものですから、本来の教員の授業に支障を来さないという部分で両立されるべきものだと、一般論としては思います。
それから、先ほど御指摘、いろいろ証言の御紹介をいただきました。教育公務員の特例法において、選挙活動自体は厳しく制約されていることも事実でありまして、そういう法令も含めて、実態としてそういう問題がないのかどうかは、きょう御紹介もございましたので、道の教育委員会に問い合わせも含めて実情を調べてまいりたいし、法令違反することがあるようでしたら厳正に処罰するようなことも含めて、連携をとってまいりたいと思います。
先ほど来の選挙違反の問題、今捜査を進めている問題も、既に、道教育委員会、札幌市教育委員会に対しては、いろいろな事態が報道されました。個々について、そういう事実があったのかどうか、そして教員が実際にそういう法令違反をしているような事実がないかどうかは、既に、調査をして報告をしていただくように要請をしたところであります。
いずれにしても、教育現場がそういうことのないように、これからも頑張ってまいりたいと思います。
○馳委員 最後に、私も先ほど申し上げましたが、教育公務員特例法第十八条第一項、第二項。第一項では、国家公務員並みに教育公務員も政治的行為の制限がされております。しかし、第二項では、残念ながら、罰則は適用しない、こうなっているんです。私はこのことを今説明申し上げました。第二項があるからこそ、現場はやりたい放題なんですよという事実を幾つも私もいただいております。
鳩山総理に。
この教育公務員特例法第十八条第二項、これを削除すればよいんです。そして、ほかの国家公務員並みに、まさしく教育の現場にいる公務員は聖職者である、その自覚を持って働いていただきたい、そういうふうに思いますが、鳩山総理の答弁を求めて、私の質問を終わります。
○鳩山内閣総理大臣 聖職者であるべき教職員のあり方、その中での第二項のお尋ねがございました。
先ほど川端大臣に検討をいたさせますと申し上げたのは、まさにそのことでございまして、盛んに、きょうの三十分間、馳委員からのお話を伺いながら、もっともな部分もあるな、そのように私も思っておりますものですから、川端大臣に検討をいたさせたい、そのように考えております。
○馳委員 終わります。
○鹿野委員長 この際、小里泰弘君から関連質疑の申し出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。
きょうは農政についてお伺いをしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
新たな転作奨励制度が始まります。私の地元のある地域では、例えば大豆、飼料作目、ネギ、カボチャ、ゴボウ、これを地域の振興作目と定めまして、地域で話し合いまして交付金を工夫しまして、それぞれの作目に最高六万五千円の交付金を充てる、そういう仕組みをとってきております。
ところが、今度の新制度では、そういった地域の自主性が認められません。一律の単価になります。例えば、大豆、飼料作目は、全国一律三万五千円の交付金です。あるいはネギ、ゴボウ、カボチャ、こういった野菜などのその他作目につきましては、全国一律一万円の交付金になります。
これでは経営が成り立ちません。そして、地域で創意工夫をして、支え合い、築き上げてきた仕組み、これが壊れてしまうわけであります。こういった問題が全国的に指摘をされまして、そして、私たちもそれを訴えてまいりました。こういったことを受けて、いわゆる激変緩和措置というものがとられることになったわけであります。
ところが、この具体的な対応がまだほとんど現場に届いていないんですね。国の対応がどうなるかわからない。したがって、何をどうつくっていいかわからないんです。早場米の産地なんか、一月中に苗床をつくって、種まきをしなくてはいけないのに、みんな困っているんですね。こういった農政の大転換をやるのに、余りにも準備不足じゃないか、あるいは対応不足じゃないかと思うわけであります。
そこで、大臣にお伺いをしたいのでありますが、激変緩和措置として、例えば野菜など、その他作目の交付金を麦、大豆に振りかえるということは認めても、その逆は認めないんですね。一方通行なんですよ。あるいは、飼料作目から麦、大豆へ交付金を振りかえることは認めても、その逆は認めない。これも一方通行であります。そうやって調整し切れないところを約二百六十億円の激変緩和調整枠でもって調整するとなっているわけでありますが、なぜ一方通行なのか、ここをお伺いしたいと思います。
○赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
まさに、今おっしゃった麦、大豆というのは日本にとっての戦略作物でございまして、例えば一例を挙げれば、大豆あたりは七%しか国内で産出をしていない、ほとんどは輸入に頼っている。その意味で、加藤紘一先生の以前の御質問にもございましたけれども、特に大豆、麦等についてやはり厚く支援をしていかなければいけないという思いでそのような仕組みにした。同様に、米粉、飼料米についてもそうでございますけれども、そういう仕組みになっているということでございます。
○小里委員 要するに、麦や大豆を戦略作目としてとらえて食料自給率を上げていこう、そういう考え方だと思います。ただ、このように食料自給率だけを求め過ぎますと、カロリーの低い野菜や地域の振興作目がつくれなくなってしまうんですね。
そもそも、食料安保の基本というものは、農地やあるいは担い手をしっかり確保することにあります。そのためには、野菜でもお茶でも花でも、あるいはたばこでも、これはにわかには食料自給率に寄与しなくても、それぞれの農地に、あるいは地域に適したものをしっかりとつくっていくことで農地が生かされ、担い手が生かされるわけであります。これが食料自給力の考え方であって、食料安保の基本であると思います。
その観点からしますと、新制度は、水田利活用自給力向上事業と銘打っているんですが、実は中身が矛盾しているということになりかねないわけであります。結果として、地域の自主性や創意工夫を損ない、食料安保を損ないかねないということになるんじゃないか、そんなふうに思うのであります。
これは国家の基本でありますから、鳩山総理、食料安保の考え方、以上の論点を踏まえまして見解をお伺いしたいと思います。
○赤松国務大臣 後で総理の決意をおっしゃっていただきますけれども、私の方でちょっと仕組みのことだけ御説明したいと思います。
今のような御心配があるからこそ、私どもは、二百六十億円の激変緩和措置をとりまして、例えば、この委員会でも御質問がいろいろありました、富山のチューリップだとか、あるいは佐賀の大豆だとか、いろいろ個別に、地域地域の特産や、あるいは、これをぜひ自分のところは力を入れてやりたいというのがあるのは当たり前でございまして、それを否定するわけでもございません。
その意味で、私どもは、各県ごとに、そして各地域協議会ごとに、少なくとも昨年度を下回らないような手取りにしようということで、その金額を割り振りまして、あとは地元で、どういう配分にするか、どういう振り分けにするか、それは工夫でやってもらえば結構ですという仕組みにしたということでございます。
○鳩山内閣総理大臣 食料自給率アップということは、我々新しい政権にとって、またこれは当然前政権においても同じでありますが、大変大きな命題であったと思います。それを満たすために今、新政権として努力をしているところであります。
小里委員からお尋ねがありましたように、カロリーベースという発想だと、必ずしも野菜とかお茶とか含まれていかないではないかという御指摘、そのとおりだと思っております。ある意味での価格ベースみたいなものにするとか、将来的な戸別所得補償の制度を導入するに当たる発想の中で、食料自給率、あるいは自給力とおっしゃいましたが、やはりそれを考えた配慮というものが私は必要ではないか、そのように思っておりまして、その意味で、先ほど赤松大臣からお話がありましたように、地域の特産物などをうまく戸別所得補償の制度の中に組み込んでいくことも将来的に考えていく必要があるのではないか、そのように考えています。
○小里委員 全く総理のおっしゃるとおりであります。ただ、そのとおりに制度がマッチングしていないわけであります。
先ほど申し上げましたように、激変緩和措置にいたしましても、一方通行なものですから、野菜とかその他作目から麦、大豆へ交付金は行っても、その逆は認めない、ここに問題があるんですよ。
それと、あくまで激変緩和措置であって、この急激な変化を緩和するための措置ですから、当年度限りだ、基本的にはそう思いますよ。基本的にはやはり本来の全国画一の単価にしていくんじゃないか、そこがやはり見えているわけでありまして、申し上げたような懸念がありますので、そうならないように、なるべく従来の地域の自主性を重んじた制度になるように運用を図っていただきたいなと。大体わかっていますから、結構です。どうかよろしくお願いします。
続きまして、県間調整というものがあります。これは、他の県の転作分を含めて、その分の交付金を調整するという仕組みであります。例えば、佐賀県は、新潟県などの転作を引き受けまして大豆をつくっております。その規模、千六百町歩に及ぶんですね。そして、新潟はどうぞ米をつくってくださいということであります。我が鹿児島県は、新潟県などとこの県間調整をやりまして、しょうちゅう用のこうじ米をどんどんつくっていこう、千二百町歩つくっていこうということで計画をしております。まさに、米どころは米を、しょうちゅうどころはしょうちゅう用にと、適地適作の考え方であります。
ところが、この前、新潟であった公聴会で現場の人に聞いたんですが、ことしは全くその話が来ないというんですよ。そこで、私は佐賀農協に聞いてみました。聞いてみましたところ、交付金の仕組みがことしはよくわからない、しっかり話が来ない、しかも農水省が間に入ろうとしない、したがって話が進まないとおっしゃるわけであります。鹿児島も同様であります。
この県間調整というものをどうやって進めていくのか、お伺いをいたします。
○本川政府参考人 御指摘のように、作物の適地適作を図っていく上で、都道府県の間で米の作付面積を調整するということについては、極めて有効な手段であるというふうに考えております。
これまで推進をしていただいておりますが、二十二年度の新しい対策におきましても、生産数量目標の都道府県間での調整、これについては積極的に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
○小里委員 全くその仕組みが現場に届いていないし、現場で進んでいないということを指摘申し上げたわけであります。
また、民主党の戸別所得補償制度では、すべての対象品目に生産数量目標を課して、これを達成しないと交付金が出ない、そういう仕組みになるわけであります。こういったことも考え合わせますと、民主党の農政はどうも国家統制の色彩を強めているんじゃないか、そのことを私は心配いたします。
やはり作付に当たりましては、地域の自主性や創意工夫を尊重してこそ、農地が生き、担い手が生きてまいります。食料安保に資する話でありまして、その基本をぜひ踏まえていただきたいな、そんなふうに思うところでございまして、これはまた農林水産委員会で議論をしてまいりたいと思います。
続きまして、米のモデル事業では、結局、生産調整を課すことになります。一方で、転作奨励制度では生産調整要件を外しました。あるいは、生産調整を一生懸命やっている地域に補助事業を優先採択してきた、これもやめることにいたしました。従来のやり方、一貫したやり方と比べて、やはり生産調整は緩むんじゃないかと私は思っております。
米に補てんは必要であると私も思います。ただ、麦や大豆などの転作作目に比べまして、米だけ優遇をしますと、やはり米をつくりたい人がふえる、生産調整をさらに難しくすると思うんですね。そして、仮に米に一万五千円を補てんされるとなりますと、足元を見られて買いたたかれるんじゃないかという声が現場から強く聞こえてまいります。そして、新制度では余剰米の対策もとられていないのであります。
やはり生産調整は緩む、米価は下がっていくと思いますが、いかがでしょうか。
○赤松国務大臣 先ほど委員から、すべての品目にとおっしゃいましたけれども、生産数量目標の設定をしているのは米だけでございますので、米についてだけはきちっと決められた数量を守っていただいて生産をしていただくというのが原則でございます。
それから、今の、たくさんつくり過ぎて価格が下がるのではないか、だぶつくのではないかという御心配をいただきましたけれども、これはもう再三この委員会でも申し上げておりますが、きちっとその数量を守った人にしか一万五千円はつきませんので、その意味で、余分につくり過ぎたって、その結果、仮に米の価格が下がれば損をするのは自分ですから、そんなことはだれもしないということで、具体的な例で申し上げますと、あの大潟村、あんなちいちゃな村でさえ、それがうまくいったおかげで何と二十万俵も需給が締まったということでございますから、これが全国でほぼ今その流れができていますから、通常言われている三十万トン、五十万トンのだぶつきもほぼなくなってくるのではないかと私ども期待をいたしております。
○小里委員 そういった方々もいるかもしれません。しかし、最初述べましたように、新たな転作奨励制度が地域の創意工夫や自主性を損なった結果、転作意欲を失わせているのは事実であります。また、今まで一生懸命生産調整に参加してきた人たち、協力してきた人たちが、正直者がばかを見たということで、生産調整への信認、信頼を落としてしまっているんです。特に、余分に生産調整をやってきた人たちはためらいなく米に戻ってしまうと思いますよ。
この前、新潟県でありました予算委員会の公聴会でこんな声がありました。みんなわからないまま喜んでいる、一万五千円の補てんは魅力だけれども、その先が心配だと。生産現場も米の卸業者も有識者も、ほとんどの方が米価は下落していくと予想をしております。
また、衆議院調査局の一月のレポートにこうあるんです。新制度について、生産調整の選択制というべきものであって、これまでの制度と比べれば生産調整の実効性が低下する可能性がある、そんなふうに記述をされております。やはり、大臣の思いとは裏腹に、制度としては米価下落の仕組みになっているんです。そして、事実上の生産調整の選択制の世界に入ってきた、そう見るべきであります。
そこで、自由な生産を選んだ生産者は、もし国が米価を維持するという姿勢を示せば、途端にどんどんつくるんですよ。そこで、国は米価維持の姿勢を出せないということになる、ジレンマなんです。特に、今度は余剰米対策をとっておりません。
いずれにしても、新制度下では、米価下落が進み、離農が進み、大型化、大規模化が進み、そして構造改革が加速をされるという見方ができます。それも一つの考え方でありましょう。
しかしながら、そのテンポを誤りますと、補てんのための財政負担、国民負担というものが膨らんで、結局補てんをし切れない、何より、農業者が減り、気がついたら農村社会が崩壊をしていた、そういうことになりかねないわけであります。ひいては、国民の食料安保にかかわる話でありますが、大臣、いかがでありましょうか。
○赤松国務大臣 今おっしゃったことは委員の一つの考えだとは、それはそこまで否定しませんけれども、しかし、私どもと全く考えが違います。
なぜか。まず、今までがどうだったのかということを少し考えていただきたいと思うんですが、今までは、減反政策に従って、国が強制なんだ、みんな入るのは当たり前なんだということで、まじめにその減反政策を守ってきた人たちは、数量をきちっと減らしてそれをやってきた。ところが、一方では、それに従わない人たちがどんどんどんどんお米をつくって、市中にどんどんと米がだぶついて出ますから、結果的には米価はどんどんどんどん下がった。そうすると、数量を少なくしてちゃんと減反政策に従った人が一番損をする、所得は大幅に減ってしまう、もう農業を続けていられないというのが今までの制度だったんです。
だから、私どもは、今度は、強制ではないけれども、米の生産数量目標をきちっと守ることによって、その魅力をつけることによって、自主的に、そういう今まで造反しまくっていた人たちも含めて、全員がそこに入ってもらう、多くの人がそこに入ってもらう。そのことによって、かえって、決められた、私どもが考える全体の生産数量目標にどんどんとこれは近づいてくる。その結果、米価は下がらない、そして、決められた数量をつくった人も、あるいは今度新たに加わった人も、きちっとした収入が約束をされるということになるわけでございます。
現に、現実を見てください。今、各協議会にそれぞれ落として生産数量目標の割り当てをやっていますけれども、大阪とか一部のところを除いてほとんどのところは、生産数量目標の割り当てといいますか、それが今終わりつつあるんですね。それはうまく、今まで入っていなかった人が、福島でも秋田でも、全部それに参加してきているんです。参加するということは、生産数量目標を守るということなんです。その点をぜひ見ていただきたいと思います。
○小里委員 大臣としてはそう言わざるを得ないんだろうと思います。ただ、現に米価は下がっているんですよ。佐賀農協の人が、米価は下がる一方で、反一万五千円の戸別所得補償分まで下がるのも時間の問題だと嘆いているんです。相場は先を読むんです。
我々は、生産調整と米価については一つの筋道というものを持っております。すなわち、飼料用米と、あるいは米粉用米、新規需要米の活用であります。私の試算では、飼料用米の潜在需要は全国で七百五十万トン。食用米に近いものがあります。これをしっかりとつくっていくんです。
例えば、飼料用米の品種で、反九百キロとれる品種が出てきた。食用米の二倍とれます。これでコストが下がります。あるいは、二期作ができるところは二期作をやればコストが下がる、あるいはまた、同じ機械で同じ人がやるからコストが下がる、直まきもできるかもしれない。そうやってコストを下げて、それでなおかつ足りないところを補てんしていく、そうやって新規需要米の生産を図っていけば、日本の稲作がよみがえる、生産調整もやらないで済むようになる、そして米価の安定にも資する話でありまして、こういったことを我々は二年間議論して、去年から本格的に制度をスタートさせました。
これは基本的に民主党さんにも引き継いでもらっていると思います。これをしっかりと生かしていくことがやはり筋道じゃないかな、私はそんなふうに思っているところでございます。
時間がなくなりました。土地改良事業費の問題もお伺いしたかったんですが、これは、新潟の公聴会で、非常にこの削減は問題があるなという指摘を受けておりました。
これも含めて問題提起でございますが、やはり農政は総合農政だと思います。あなたに十万円、あなたに十五万円、この交付金を、助成金を払っていく、これも大事かもしれません。ただ、それだけでは何も生まれてこないんですね。効率経営、経営の効率化を図っていくためには、土地改良、圃場整備が必要であります。あるいは、農地を貸しやすく借りやすい仕組みというものをしっかり確立していかなければなりません。
あるいは、地域総参加で農村を盛り上げていこうという農村政策、農地、水、環境保全向上対策なんか、これも我々が、四年前、初当選時につくった制度でありますが、これは民主党さんも継続をしていただくということで評価をさせていただいております。
あるいは、担い手育成や集落営農、これは大事な要点でありますが、民主党さんは従来、余り熱心じゃなかったと思います。議論も余り聞こえてきません。そして、関税措置、国境措置、これはまた必要であります。
そうやって、総合農政でもって、食料政策、あるいは農村政策、農業政策、相まって初めて農業、農村の振興が成っていくわけでありまして、その視点はぜひよろしくお願いをしたいと思います。
そこで、最後の質問に入ります。
生産局長にごく事務的にお伺いをいたします。
現行の品目横断的経営安定対策では、生産条件不利補正交付金として麦、大豆等について補てんを行っておりますが、政令で米を対象として定めれば同じように補てんができると考えますが、間違いありませんか。イエスかノーかだけお答えください。
○本川政府参考人 お答え申し上げます。
政令で指定するだけでは、本対策の対象とすることはできないというふうに考えております。
○小里委員 我々が与党時代に農林省と議論をしてきた中では、政令でこの対象作目は定めるようになっていると。米も政令で定めればその対象となるわけであります。
ただ、生産局長が気にされたのは、その対象者、旧制度では担い手となっておる。それが今度は販売農家ということ、その辺を気にされたんだろうと思います。その辺は法令を改正しないといけない、そしてまた、法の趣旨も法令改正をしないといけないかもしれません。
しかしながら、この品目横断策の中で、基本的には政令で米を指定できるんですよ。そうなりますと、民主党の小沢幹事長の持論として、貿易自由化を推進して農産物の価格が下がった場合に、それを埋めるのが戸別所得補償制度だとおっしゃってまいりました。そうであれば、何も大げさに戸別所得補償などと打ち出さなくても、現行制度をもとにして、それを改正なりすれば対応できるということになるんです。これはまた議論をさせていただきます。
申し上げましたように、麦、大豆、てん菜、バレイショについては、現行の品目横断的安定対策の中で確固たる補てんが行われております。
畜産対策につきましては、既に補てん制度がありまして、今回もそれをもとにして制度の見直しが行われました。ただ、その結果、従来より助成金が下がる部分がある。あるいは、負担がふえる部分があったり、新たな問題も発生をしておりますが、それはこれからまた議論をさせていただきたいと思います。
野菜も、産地指定などはありますが、一応約五十品目にわたりまして価格安定制度があります。ただ、カバー率が五〇%でしかありません。さらに要件を緩和して、対象を、あるいは地域を広げていかないといけないな、そんなふうに思っているところであります。
お茶、果樹については、近年の経営悪化に対して制度が追いついておりません。これは、価格安定対策なり、しっかり制度をつくらぬといかぬ、そういったことで党内で議論を進めてきたところであります。やっと何とか農政の方向性というものが見えかかってきたな、そんなふうに我々は思っておりました。そのやさきのこの戸別所得補償制度を初めとする新制度であります。
論じてまいりましたように、さまざまの問題を含み、危険性を含んだ新制度でありまして、これを大仰な形で打ち出しまして、現場は混乱をしております。制度設計の準備も不足したままこれに突っ込んでいって、長年の積み重ねや現場の努力を御破算にしてしまいかねないんじゃないか、そんなことを我々は心配しているわけであります。
農政がころころ変わってついていけないな、そういった意見もたくさん上がってきております。それよりも、現行制度を基本にして、足らざるを補っていく方が賢いやり方だと私は思うんです。もっと現場の声を聞いて、制度と現場が乖離しないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
いずれにしましても、農業、農村というものは、食料を安心、安全に国民の皆さんにお届けをするという本来の使命と同時に、豊かな自然を守ってきた、誇り高い歴史、伝統、文化を担ってきた。まさに国土を守り、日本古来のかけがえのない部分を担ってきたのが農業、農村でありますから、これを何とかしっかり未来へつなげていきたい、そのために真摯な、正面からの議論を今後ともお願いしたいと思います。
以上をもちまして質問を終わります。ありがとうございました。
○鹿野委員長 この際、伊東良孝君から関連質疑の申し出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊東良孝君。
○伊東委員 自由民主党・改革クラブの伊東良孝でございます。
まずもって、昨日のチリ地震の被災者の皆様、そしてまた太平洋沿岸で避難を余儀なくされた皆様にお見舞いを申し上げる次第でございます。
それでは、私は、まず箇所づけ漏えい問題についてお尋ねをしてまいります。
これは、先月初め予算委員会におきまして、国土交通省から予算審議が終了する前に公共事業予算の内示資料が民主党県連を通じ自治体等に漏えいした問題が取り上げられました。
二月四日の予算委員会で、平野官房長官は、「今後、事実関係を十分精査の上、内閣においてしかるべく処分を含め対処させていただきたい」、このように述べられました。
その後、二月十日でありますが、予算委員会の中で前原国土交通大臣から、箇所づけあるいは内示というものは、あってはならないことであるし、できないことである、また、民主党県連などを通じ自治体に流れたということは極めて遺憾なことと述べられております。
さて、先ほど、一番最初に海江田さんの質問にお答えする形で、平野官房長官から答弁がありました。その見解は、まさに私どもが聞いていて、理屈というのは後からついてくるものだなという思いをいたしましたし、一カ月もたてば、あれほど慌てていた箇所づけ問題も、これはさも新しい試みであったというような言い方に変わる、まさに大臣規範に抵触しない、あるいは職務上知り得た秘密とは言えない、既に概要は公表され、おおむね類推できる資料で秘密に該当しない、大したことない資料だ、こう言われているわけであります。
では、お聞きしますけれども、なぜ我が党の金子一義議員の質問に対し直ちに資料要求にこたえなかったのか、まずお伺いいたします。
○前原国務大臣 仮配分の問題に関しましては、十一月に事業計画を出しまして、そして二月の初めに事業評価というものを行ったところでございまして、それをもとに仮配分という形で地方と御相談をする中で、地元の御負担もいただく内容でございますので、我々としてはこのプロセスというものを完遂させていただきたいと思っておりました。
今回、この資料要求につきましては、先ほど委員も御指摘をされましたように、党から自治体にこの仮配分の中身が漏れたということは想定外で、また極めて遺憾なものでございましたけれども、地方との相談をしていく上で、我々としては地方に混乱をさせてはいけないということの中で、私としてはお出しをすることについては控えたいということを申し上げたわけでありますが、しかし、内閣官房長官から予算委員会の理事会で決定があればという御指示でございましたので、予算委員会の理事会の決定に従った、こういうことでございます。
○伊東委員 今、自治体から漏れたというけれども、これは民主党から自治体に漏れたのではないですか。
そして、これはそういう軽い、いわゆる秘密に当たらない資料だというお話でありますけれども、しかし、それでは、政務三役以外、これは入手することができなかった情報ではないでしょうか。だからこそ予算委員長の求めにも簡単に応じなかったのではないか、このように思いますけれども、再度の答弁をお願いします。
○前原国務大臣 民主党から自治体に漏れたということで、それは訂正をさせていただきます。
私が先ほど申し上げましたのは、事業計画によりまして、今回の仮配分、また二月初めに出させていただきました事業評価から、類推はされるものでございました。
しかし、今回、何度か御答弁をさせていただいておりますけれども、政権交代もあったということで地域が心配をされているということと、あと、直轄事業のいわゆる負担金、これは維持管理費でございますけれども、いわゆる十二月の予算編成の段階ではこれはないものとして我々は想定をしておりましたけれども、ことし、平成二十二年度に限っては残るということになりまして、これを含めて約六百億円の財源というものが生まれてまいりましたので、事業評価あるいは地域の要望、さまざまなことを勘案してお出しをした、こういうことでございまして、秘密に当たるということではございません。
○伊東委員 それでは、この資料が秘密に該当しないというなら、国土交通省の官僚、あるいは他省庁の官僚が、自治体やほかの政治家の求めに応じてこの資料を提出した場合、公務員の守秘義務違反その他の規範に抵触するようなことはありませんか。構わないということですか。
○前原国務大臣 今回、憲法十五条の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とか、あるいは、国務大臣等は国民全体の奉仕者として公共の利益のための職務を行い、公私混同を断ち、職務に関して清廉潔白性を保持することと……(伊東委員「一般公務員は」と呼ぶ)それが今おっしゃっていることだというふうに思っておりますけれども、私どもといたしましては、地元の要望を吸い上げていただいた党からの要請で、適宜資料を見繕ってお見せをしたまででございまして、それが県連等を通じて漏れるということについては想定をしておりませんでした。そういう意味においては、漏れたことについては極めて遺憾でございましたけれども、我々としては、今御答弁をしたとおりでございます。
○伊東委員 何回も聞くようで申しわけありませんけれども、例えば、事務次官や審議官やあるいは局長級が、それぞれの地域から求めに応じて、相談を受け、私たちの地元のこの道路はどうなっているのでありましょう、あるいは空港はどうなるのでありましょうかと聞かれて、要望されたことに、もしこの資料があって答えたら、その場合は守秘義務違反その他には当たらないんですか。これは政務三役だから許されることなんですか。これについて、もう一度御答弁をお願いします。
○前原国務大臣 国家公務員法第百条第一項に規定する秘密とは、一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実をいうものと解されております。
今回、民主党に行われた仮配分の説明資料は、昨年十一月の事業計画通知など、既に公表した情報または公表済みの情報からおおむね類推できるもので、近日中に地方公共団体に説明する予定の情報等を内容としたものであること、確定的な数値ではなく幅を持って示されたもの、公表しないことにより地方公共団体における混乱等の防止、国と地方公共団体との率直な意見交換の確保という行政実務上の利益が図られるにとどまるにすぎないことなど、総合的に勘案をすれば、実質的な秘匿の必要性が認められず、国家公務員法に規定をする秘密に当たるものではないと考えており、守秘義務違反ではないと思います。
○伊東委員 大臣、いいですか。事務次官や局長や審議官や課長や国交省のあなたの部下がこの箇所づけの情報を幅を持たせたものだとして流して、今の答弁でいいんですか。全然問題ないと言えるんですか。政務三役だからこれは問題ないんだ、そういう話になるんですか。もう一回お答えください。
○前原国務大臣 今申し上げましたのは国家公務員法でございます。政務三役は国家公務員法には当たりません。つまりは、今申し上げたのは、事務次官等に係っている国家公務員法に対する我々の考え方を申し上げたわけであります。
ただし、国家公務員法は一般職の国家公務員に対し適用され、政務三役には適用がありませんけれども、同様の定めが国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範に置かれているということでございます。
○伊東委員 私は、大臣も、副大臣も、政務官も、さらにはまた事務次官も、局長も、課長も、これはひとしく守らなければならない秘密や、あるいは役所としての情報というのがあるはずなんですよ。ですから、わからないならわからないでいいですよ。(発言する者あり)いや、いいです。同じことの答弁で構わないということですよね。その確認だけだったんです。
それでは、官房長官発言の中で、この資料は情報の非公知性の要件に当たらない、このように述べているわけでありますけれども、二月十日の前原大臣の答弁では、「不開示情報としております。」このように答弁しております。あの資料は不開示情報という前原大臣の答弁があるにもかかわらず、なぜきょうになって官房長官は、この資料が非公知性に当たらない、こういう発言をされているのか。資料に対する答弁は不統一ではないでしょうか。これについてお答えください。
○鹿野委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○鹿野委員長 速記を起こしてください。
前原国土交通大臣。
○前原国務大臣 伊東委員にお答えをいたします。
民主党に提示をした資料は作業途中のものであり、費用を分担する都府県が複数あっても、事業地の都府県だけに事業費全体を計上している。あるいは、地方公共団体に負担を求めない業務取扱費、事務費が事業費から控除されておらず、仮配分の額が過剰に表記されている。これらに記載された事業は、当該地方公共団体の負担対象となる事業費とは異なる上、十分な説明がないままにこの情報が伝わると、その性格について誤解を招くおそれがあり、地方公共団体に無用の混乱が生じ、国と地方公共団体の率直な意見交換が不当に損なわれるおそれがあることから、国土交通省においては、これを公表することは適当でないとしたことでございます。
なお、地方公共団体において誤解が生ずるおそれがある間は、それが原因で国と地方公共団体の率直な意見交換が損なわれるおそれがあることから、地方公共団体にどの程度の理解がいただけるかを把握できない時点では、行政情報公開法第五条第五号の不開示情報に当たるのではないかと考えております。
○伊東委員 わけのわからない答弁をされても困るわけであります。
では、ちょっと視点を変えましょう。
二月十六日の北海道建設新聞に、二〇一〇年度の北海道開発局が実施する直轄農業農村整備と漁港の箇所づけ予算が掲載されました。これにつきましては、十九日の農水委員会で私は赤松大臣に聞いたわけでありますけれども、前の日に調査チームをつくって真剣に調査する、今まで全くこれはわからなかった、こういうお話でありました。
十日以上経過しておりますので、まず、その調査結果、情報がどういう形で業界紙に流れたのか、そこら辺の経緯を含めて御説明をお願いします。
○赤松国務大臣 今、委員の御質問にお答えしたいと思いますが、先日の委員会の中でも私申し上げましたように、こんな情報が漏れるなんということはあり得ないことでございますので、直ちに、直轄事業に係る情報管理特別調査チームというのを、私をトップにして省内に設置いたしました。
そして、次の日に第一回目の会議をやり、どういう手順でこれを進めていくのか、どういうやり方でやっていくのか、詳細にこういう場で申し上げる中身ではないと思いますので省きますけれども、徹底的にこれは調査をして、そして調査結果が明らかになった時点で、皆さん方にもそれは私の責任でお知らせをするということにさせていただいております。
なお、私どもは、委員会のときにも私は申し上げましたけれども、どの地方団体にも、今回はたまたま北海道のその一部のところが出たようでございますけれども、どの地方団体にも、公共団体にも、あるいは与党、野党にも、一切これは私の責任で出していない。今度予算が通った時点で、これは公平公正な形で直ちにオープンにしたい、このように思っております。
○伊東委員 今回、これが幅を持った数字でなかったものですから、ちょっと驚いたのであります。これがどんどん出るようであれば、国会審議の意味も、形骸化になるわけでありますし、この点につきましては、調査結果というお話でありますけれども、速やかに、本来は、少なくともこの予算委員会の終わるぐらいまでにお出しいただくのが筋ではなかったか、このように思うところでもございますので、よろしくお願いします。
国土交通大臣があってはならないと言ったことが、一週間後にこれが出てきたわけであります。これは前原大臣の所管する開発局でありまして、北海道開発局が一括計上で予算を計上しているものでありますから、農水省関連の予算もここから出てくることになるわけであります。この情報の管理につきましては、両大臣ともしっかり管理をしていただきたいというふうに思う次第であります。
さて、この箇所づけ問題は、これは最後に私、総理にお聞きいたしますが、答弁に関しましても、それぞれ所管大臣の答弁でございますので、そこの域を出ません。今まで何十年も守られてきた役所と議会のルールが無視され、簡単に民主党の組織から情報が漏れる、また場合によっては、利益誘導やあるいは選挙対策に使われる、それも言われかねない国家的な大問題であり、看過できない。(発言する者あり)自民党のというお話がありましたけれども、今まで自民党の政治の中で、こんなのが事前に一月から漏れているなどということはなかったわけであります。
やはり情報というものは、もしそのような秘密性がないものであるとしたら、国会に示すべきでありますし、情報も資料も、やはり公平にこれは各政党に出すものであります。一政党にのみ、国家の情報を私物化すると言われないように、ぜひお願いをしたいと思います。
これにつきまして、鳩山総理に、今国会の予算審議、ずっと当初から見ておられまして、聞いておられて、この箇所づけ漏えい問題の一連の責任あるいは原因について、内閣としてどのようにとらえ、今後こういうことがないようなルールづくりをしていかなければならない、こう思うわけでありますけれども、どのような指示をされるか、お聞きします。
○鳩山内閣総理大臣 伊東委員にお答えさせていただきます。
私ども、こういった情報が、利益誘導型政治とかあるいは選挙対策だとか、そのようにいやしくも思われてはならない、そのように思っております。だとすれば、今回の行為、私どもは、やはり遺憾の部分はあった、そのように認識をしております。
すなわち、本来ならば、国土交通省から仮配分の情報を、本来直接、幅を持たせた数値でありますだけに、地方自治体にお伺いをして、その後、予算の審議を経て、最終的に箇所づけとして決定をされるべき貴重な情報であった。それが政党を通じて、本来ならば政党との間だけの情報であったにもかかわらず、そのところにおいて必ずしも意思の疎通が十分でなかっただけに、そこから各自治体に情報が流れてしまったというところにやはり問題があると思っております。したがいまして、そこの部分、将来的に、このようなことがあり、後ろ指を指されるようなことがあってはならないと思っています。
私たちは、情報というものは、確かに政府の情報は公平公正に扱われなければなりませんし、くどいようですが、いやしくも選挙対策みたいに見られることがあってはならない。その意味で、もっとオープンに、全国的に情報をオープンにしていきたい、そのように考えているわけでありまして、その意味で、やはり何らかの、情報が、あるいは意思の疎通が十分でなかったということに対して、国交省に対して処分を行っていかなければならない、そのように考えております。
○伊東委員 この問題につきましては、これまでも数多くの委員が質問をさせていただいております。また機会を見て、引き続き、納得のいかないところ、足らざるところ、お伺いしてまいりたいと思います。
それでは、私は次の質問に入りますけれども、雇用・能力開発機構についてのお話であります。
今回、雇用対策に大いに力を入れているようでありまして、四百五億円が予算化されております。私が担当から聞いたところ、二十二万人という新規の職業訓練を行うと。これは、介護・福祉、医療、情報通信分野等々でありますけれども、この予算のうち、離職者訓練、委託訓練に二百九十五億のお金がついております。対象人員十二万五千人であります。また、もう一つ別の委託訓練活用型デュアルシステムという職業訓練システム、これは、デュアルシステムというんですから、恐らくまた今までのとは別のものでありましょう。これに約百億円、九十七億四千万円、対象者四万四千人に行うとしているわけであります。三カ月間で果たして本当に実践の技術習得が可能かどうかという疑問は残るところでありますけれども。
さて、この多額の事業が独立行政法人雇用・能力開発機構に委託されようとしているわけであります。これと自治体も、都道府県もそうでありますが。この雇用・能力開発機構は平成二十二年度末をもって廃止するとされているところでございまして、職業能力開発業務を高齢・障害者雇用支援機構に移管することが決まっております。
さて、一年でなくなるこの雇用・能力開発機構に約四百億の委託費を払う、これにつきましてどうも納得がなかなかいかないので、一年でなくなる組織に委託すること、これについての問題、さらに来年度以降どうなるのか、これについてまず長妻大臣にお伺いします。
○長妻国務大臣 雇用・能力開発機構というのは、昔、雇用三事業といいましたけれども、雇用保険の事業主負担分のお金で、スパウザ小田原とか勤労福祉施設とか、必要性の低い事業をどんどんやって、無駄遣いという批判を浴びております。
その意味で、職業訓練の重要性というのはこれから高まるわけでございまして、その重要性は我々もしっかりと認識しているつもりでありますけれども、二つある独立行政法人を、今言われた高齢・障害者雇用支援機構というところと管理部門を一つにしていくということでスリム化を図るということであります。
そして、今、予算の金額を言われましたけれども、これにつきましても、二十二年度予算は二十一年度予算に比べて二〇%減らしておりまして、人員も百二十九人削減をするということで、効率化を図った上で重要な職業訓練はきちっとやっていく、こういう立場で頑張っていきたいと思います。
○伊東委員 雇用・能力開発機構がこれまで長年にわたって行ってきた職業訓練施設というのが全国に百六十八カ所あるわけであります。職業能力開発総合大学校、ポリテクカレッジと呼ばれる職業能力開発大学校が十一校、ポリテクセンターと呼ばれる職業能力開発促進センターが全国に六十一カ所、職業訓練センターが全国に八十三カ所、コンピューターカレッジが十二カ所あります。これはさまざま活動実績の差はあろうかと思いますけれども、この役割やこれまでの成果というものは大きなものがあったと私は評価しているところであります。
ところで、北海道で八十三カ所中四カ所の地域職業訓練センターがありまして、この機能維持の存続の要望が来ております。というのは、新年度いっぱいでこれを全部なくしてしまうという基本的な考え方があるからであります。
地元で受け入れるところがあれば地元に引き受けさせてもいいというお話もあるわけでありますけれども、例えば北海道では、私のところの釧路のほかに、鳩山総理のおひざ元の苫小牧、そしてまた滝川や北見と四カ所あるわけでありますが、いずれもこれは大変な利用者がおられまして、釧路で約三万人、北見で十万三千、滝川で二万八千、苫小牧で三万六千人がここで、これは延べ数でありますけれども、一年間活用している。十九万七千人、二十万になろうとする人が実はここを利用しているわけであります。
これは、今お話ありましたように、雇用・能力開発機構の組織のあり方は問題であった、このように理解するところでありますが、だからといって、ここが長年行ってきた職業訓練施設までこの雇用の一番厳しい大事な時期に廃止していいということにはならないというふうに私は思うわけであります。これは総理の地元のことでもありますので、どのようにこれをとらえておられるか、その見解をお伺いするものであります。
○長妻国務大臣 ちょっとその前に一言あれなんですけれども、廃止と言われましたが、何も強制的に廃止にして更地にしろということではございませんで、その建物について地方自治体に一定の要件で譲渡をさせていただいて、今までもそういう建物の中での職業訓練というのは地方自治体の運営費でやっておりましたので、それでやっていただくところはやっていただくということ。
あるいは、今度は基金訓練ということで、雇用保険に入っておられない方のための訓練というのも、新たにこれは定員を来年度は十五万人枠でつくりますので、そういう意味では、民間にどんどん委託をしていこうということもあわせてやっているところでございます。
○伊東委員 この件につきましては、国が何となく職業訓練に対する熱意を失い、そしてまた、引き受けさせていただいたこの雇用・能力開発機構の不始末を逆手にとって全部つぶしてしまえということに見えるわけであります。
もちろん、今言ったように、地方自治体で引き受けるところがあれば引き受けさせて存続をさせるというお話でありますけれども、国が手を引くという形に見えることだけは事実上間違いないことでありまして、この点、もう一度やはりお考え直しいただくべき。そして、一定以上の利用率の高いところはやはり存続をこれまで同様させるべきではないか。自治体にお金がなくてこれを買うことができない、引き受けることができないということも多々あろうかと思います。雇用環境の一番悪いときだからこそ私はそういった政策をとるべきだと思いますが、これは要望にさせていただきます。
時間がございませんので、ロシアによる羅臼漁協所属漁船の銃撃事件についてお伺いをいたします。
これは、越境したとかしないとか、その話はまた別といたしまして、現実に、漁船が二十数発も、照明弾を受け、そして警告射撃を受けた後、直接銃撃を受けているわけであります。四年前にも根室でこれがありました。このときは、もちろん、当時の政府、閣僚あるいは自民党の幹部含めてロシアに猛烈な抗議をしたことを私は聞いているわけでありますが、今回、ロシアに対してどのような強い抗議がなされたのか。人命尊重という、この人命の観点からお伺いをいたしたいと思います。
○赤松国務大臣 外務大臣からもお話があるかもしれませんが、水産ということで、私の方から先に一言だけ見解を述べたいというふうに思っております。
今も御指摘がありましたように、船員たちの、いろいろな状況がまだはっきりしていませんけれども、しかし、どちらにしても、人命にかかわるような形で銃撃を行うということは決して許されることではありませんし、ロシアに対しては、私どもからも、あるいは外務省からも強い抗議を述べた、抗議に行ったということでございます。
○伊東委員 私は、ロシアとの関係も含めて大変に心配をするものであります。
また一方、安全操業水域でなかなか魚がとれないから越境するんだろうというふうに、これは別に肯定も、さらに認めるわけでもありませんけれども、そんなところもわからないわけではないなという思いをいたします。ならば、今後の日ロ交渉の際に、漁業者のために安全操業区域の拡大を求めるとか、あるいは、スケソウがこの近くでなくなった最大の理由はロシアの大型トロール漁船が大量捕獲をしているからでありますので、そういった大型トロール漁船の操業を規制してもらうとか、あろうかと思います。資源回復策を含めた対策が望まれるわけであります。
これは、折しも北方領土の日の十日前でありました。まさに返還運動に水を差すようなタイミングでありまして、鳩山政権ができまして、北海道の人間みんな、北方領土の問題の解決に進展があるのではないかという期待を持ったところでもあります。
この安全操業の根本的な解決は北方領土の返還というのが一番なわけでございますので、領土返還交渉に係る総理の思いと、そしてまた今回の事件が返還交渉に与える影響、あるいは日ロ関係改善の打開策について、最後、鳩山総理からお伺いをしたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 伊東委員から大変重要な御意見をいただきました。
この銃撃事件に関しては、今、赤松農水大臣から申したとおりでございます。
この件に関して、やはりこういうことが起きてしまうのも、北方領土問題が解決されていないからだ、その前に、現実の問題として、漁業交渉などをもっとしっかりやれという議論もあろうかと思っておりますので、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います。
私、もう既に二度ほどメドベージェフ大統領とは北方領土問題、四島問題に関して議論をいたしました。独創的なアプローチをやろうというメドベージェフの意思も伝わってきているわけではあります。私の方からは、やはり二島だけであれば一九五六年の話のままだ、それで平和条約はとても締結できる状況ではない、その先がやはり必要なんだということで、メドベージェフ大統領にもこのことを強く主張しているところでございます。
この問題、やはり元島民の皆さん方の年齢なども考えますと、急がなければならない。もうこれだけ時間がかかってしまっておりますが、急がなきゃならない。ぜひこの政権のもとで解決をしていきたいという強い信念のもとで打開を図っていきたいと思っておりまして、伊東先生には、地元のテーマでもあるということで、長年かかわっておられましただけにいろいろとまた御指導いただきたいと思っておりますが、私にとりましては最大のテーマだ、そのように考えて努力をしてまいりたいと思っております。
○伊東委員 どうもありがとうございました。
○鹿野委員長 これにて額賀君、馳君、小里君、伊東君の質疑は終了いたしました。
次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。
まず、このたびのチリ大地震で被災された方々、また津波で避難された方々に対して、心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
本日、公共事業の箇所づけ問題を中心といたします集中審議でございますけれども、これに関連しまして、長崎県知事選挙についてまずお伺いをいたしたいと思います。
一週間前に投票が行われました長崎県知事選挙におきましては、複数の大臣が現地に応援に入られたようですね。農水大臣、総務大臣、また国土交通大臣等が現地に入られて、この予算の箇所づけに関して利益誘導的な発言をされた。しかし、それにもかかわらず、民主党の推薦された候補は負けました。
これについて総理はどのように受けとめていらっしゃるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 石井委員からお尋ねがありました長崎知事選のことでございます。
残念ながら、私どもの推薦いたします候補は敗れたわけでございますが、その敗因に関しては真剣に分析をしなきゃならぬ、そのようには思っております。
今お話がありましたように、閣僚でも、公職を離れて一政治家として応援することというものができないというわけではありません。ただ、その場合に、利益誘導型の選挙などというようなものを断じて行ってはならないと思っておりますし、そのようなことは行われていないものだ、そのように信じているところでございます。
いや、むしろ、そのような利益誘導型政治に対する批判というものが新政権を築く原動力になったのではないか、そのようにも思っておるわけでありますので、このような利益誘導型選挙というものが長崎の知事選において行われたとは思ってはおりません。
ただし、この敗因に関してはさまざまな原因があったか、そのようには思っておりまして、真剣にこれは分析をしなければならないテーマだと思っています。
○石井(啓)委員 総理は、そういう利益誘導型の選挙は行われていなかったと思うというふうにおっしゃっていますけれども、テレビ報道等では、各大臣が相当具体的な予算のことをおっしゃっていますよ。あれがまさに利益誘導型でなくて何なんだろうかということだと思うんですね。
ちょっと前原大臣にもお伺いします。
テレビで拝見しますと、前原大臣も現地へ行かれて、どこかの、あれは橋脚でしょうかね、現地を視察されて、その後、応援演説もされたようです。必要な公共事業をやるというような応援演説をされたようでありますが、前原大臣は、選挙応援へ行って、どこの工事の現場を視察されて、どういう応援演説をなさったんでしょうか、お伺いしたいと思います。
○前原国務大臣 一月の終わりだったと思います。ですから、まだ選挙は始まっていなかったわけでありますが、まず、長崎の諫早の駅前で街頭演説を行いました。そこについては、具体的な事業名なんということは一切話しておりません。これは、さまざま調べていただいたら明らかになると思います。
その後に、諫早から雲仙に抜けるところで事業をやっているところの現地説明を受けました。これは、私が地域に行ったときに、さまざまな地域でどういう事業が行われているかという現地説明を受けただけでありまして、それ以上でもそれ以下でもございません。
それから、雲仙市の方に行きまして、島原半島の方に行きまして、街頭演説を行いました。これについても、利益誘導のような、具体的な工事なんというのは全く私は申し上げておりません。
その後、首長さんからお話を伺いまして、地域の要望というものを承り、現地の議員を通じて現状についてはお答えをしている。それだけでございます。
○石井(啓)委員 大臣が選挙の応援に行って特定の現場を視察する、そのことを有権者はどういうふうに受けとめるか。それは、視察された現場は、やはり、大臣が来てくれたら、選挙で勝てば、応援すれば手厚く配慮されるだろうというふうに思うのが普通ですよ。だから、そういう行動自体が利益誘導的な選挙につながっているんですよ。それは、失礼だけれども、従来、自民党さんもそういうことをやっていたかもしれない。そういう旧来型を民主党が踏襲しているということに対しては、やはり有権者は非常に失望しているんですよ。失望しているんです。
総理にちょっとお伺いしたいんですけれども、長崎県民のインタビューを見ますと、やはり、民主党が政権交代したにもかかわらず相変わらず従来型の利益誘導の選挙をやっている、そういうふうに有権者は受けとめているんです。そのことに対して大変な失望がある。このことについて、総理、どう思われますか。
○鳩山内閣総理大臣 そのような誤解を受けたとしたら、そのことに対しては、やはり慎重に行動しなきゃならぬと思っております。
ただ、これは、今、石井委員から御指摘ではありますが、当然のことながら、閣僚でも、閣僚であるわけでありますが、選挙の応援に行っている以上、それは一政治家として行動しているわけであります。そのところの公私というものがなかなか、ある意味で支持者、有権者の皆さん方に見えないところがあるとすれば、李下に冠を正さずという思いは大事だとは思っております。
ただ、閣僚だから選挙の応援に行くべきではないということは言い切れないと思っておりまして、一政治家として行動をするように慎むことが必要ではないか、そのように考えております。
○石井(啓)委員 いや、一政治家といっても、大臣という立場をしょって立っているんですよ。大臣じゃなくて、私、一政治家で来ましたなんて言っても、みんな、大臣という目で見るんですよ、地元の方は。それは当然のことじゃないですか。
それで、きょうの中心問題の箇所づけ問題の方に移らせていただきますけれども、この問題は若干流れがありますから、きょうは、テレビをごらんになっている方にもわかりやすく、パネルをつくってきました。
お手元に資料も配付されているところでありますけれども、予算の箇所ごとの配分。直轄事業ですね。国が直接やります、例えば私の地元ですと、道路でいえば国道六号線、河川でいえば利根川。こういう直接国が管理して工事する直轄事業の予算の箇所づけであります。
昨年の十一月に事業計画というのを公表されている。これは箇所ごとに、例えばどこどこバイパスが大体何億円から何億円という幅を持って、箇所ごとに予算が示されている。これは自治体に通知をされて、公表されています。そして、この二月に、今回問題になっています仮配分、仮の配分の案が公表されました。そして、予算成立後に、この仮配分も幅を持って示されているようですが、最終的に箇所づけの予算が公表されるということになっています。
これで問題なのは、仮配分の公表前に、国土交通省から民主党の方にこの仮配分に関する情報が提供されて、それが民主党から民主党の都道府県連に行って、民主党の県連から自治体の方に情報が行った。すべての自治体ではないようですけれども、自治体に行ったということのようでありまして、仮配分の公表前に民主党県連が自治体に情報提供した、このことが、民主党が与党としての権勢を示した、力を示した、こういうことに当たるのではないか、これが一つ。
もう一つは、この配分自体の基準がよくわからない中で、仮配分までの間に、自治体を通じて、あるいは民主党の県連を通じての要望がなされていますけれども、この要望の多くがこの仮配分に反映をされている、民主党県連の要望ですとかあるいは選挙向けの配慮というのがこの予算配分に反映されているんじゃないか、そういう疑念を抱かせるということが今回の問題というふうに認識をしております。
二月の十七日付の毎日新聞の社説でありますけれども、ちょっと御紹介したいと思います。見出しは、「これこそ利益誘導では」という見出しになっています。ちょっと読ませていただきますが、
これでは政治の刷新とほど遠い。政府は一〇年度予算案の公共事業の実施場所である「個所付け」を示す資料を国会に提出した。道路事業五百九十三路線の中で民主党県連や知事の要望があったのは三百二十一路線で、そのうち百九十路線は概算要求時よりも事業費が増加していた。
こうした資料は政府からすでに民主党の地方組織を経由し自治体に通知され、情報も独占されていた。個所付けは自民党政権時代も族議員を通じた地元への利益誘導の有力な道具だったが、今回の手法は党ぐるみで地元の陳情を口利きし、与党の権勢を示したと取られかねない。政府は個所付けの手続きを是正し、透明化を確約すべきである。
こういうふうにしています。さらに、
事業評価をベースに個所付けを進めたとし、利益誘導を否定する政府側の説明もにわかに信じがたい。概算要求を上回る事業費が計上されたケースを見る限り、民主党県連や地元の要望に影響されたことは否定できまい。しかも、さきの衆院選で民主党が優勢だった地域に手厚い傾向があり、次期参院選の重点選挙区を意識したような印象も与えている。
最後に、
党をあげての利益誘導と言われかねない状況に変質してしまったことは異常である。古色蒼然とした政治に陥りつつある疑念をぬぐえない。これでは「コンクリートから人へ」という、政権のスローガンが泣く。
こういう社説が毎日新聞で出ております。
一つずつやっていきますけれども、実は、仮配分というのは従来示されておりませんでした。本年二月に、従来行われていなかった仮配分を自治体に示して公表した目的、理由を確認いたします。そして、来年度以降もこの仮配分を公表するのかどうか、この件についてもあわせて前原大臣に伺いたいと思います。
○前原国務大臣 冒頭、先ほどの応援の件で一言だけ申し上げると、私は、いろいろなところに行ったときには、首長さんにお話を伺うようにいたします。そして、できること、できないことをお答えしておりますし、この間、島原に行ったときも、できないことはできないということで、利益誘導するつもりは全くございませんので、その点だけは御留意いただきたいと思います。
今示していただいている事業計画についてでございますが、これは、自公政権の二十一年度で、事業計画の公表を一部試行ということでやられておりまして、我々はそれを大々的にやろうというふうに思って今回採用させていただきました。つまりは、近畿地方整備局だけだったと思います、自公政権のときは。我々は、全体的に行う中で、特に、政権交代で一八・三%の公共投資額が減ったということで、相当地方からは不安の声が上がっておりましたので、我々としては、この十一月の段階で事業計画というものをお示ししたということでございます。
それから、仮配分につきましては、二月の頭に事業評価というものを個別の事業ごとに出させていただきまして、それをもとにどういった予算を幅を持たせてつけるかということを我々としては公表し、より透明性を高めようという目的でやらせていただいたということでございます。先ほど委員からおっしゃったように、それが民主党から自治体に先に漏れて、それが利益誘導に見えたということについては、私は極めて遺憾であったというふうに思っております。
結論から申し上げると、私は、この仕組みというものは定着をさせていきたいというふうに思っております。事業計画を十一月にお示しをし、事業ごとのいわゆる事業評価というものもこの国会の場でお示しをして、それに基づいた仮配分も国会でお示しをして、そして、できる限り透明性、客観性を高めた議論をしていただきたい、私はこのように思っております。
どこの新聞のあれかわかりませんが、ちょっと私がうがった社説だなと思いましたのは、今回増額したというのは、何度も何度もこの委員会で答弁をさせていただいておりますけれども、直轄事業の負担金の廃止ということを前提として我々は予算を組んでいた、しかし、二十二年度は一部を残すということになって、それを含めて六百億円のお金が浮いたということで、その六百億円の振り分けをしたわけであって、来年度からそういうことはありません。
したがって、事業計画と仮配分は、来年、平成二十三年度に示すことについてはほぼ変わらないものになる。国会でやはりできるだけ客観的、透明性を担保した上で議論していただきたいと私は思っておりますので、来年からは、今回党から漏れたというようなことのないようにして、この事業計画、そして、ここには書いておりませんけれども、事業評価の基準、そして仮配分というものをしっかり示して、国会でしっかり議論していただいて、最終的に箇所づけというものに予算が成立した後に持っていくべきだ、このように考えております。
○石井(啓)委員 大臣、長崎県知事選挙、利益誘導するつもりはなかったとおっしゃいましたが、つもりはなくても、有権者の受けとめ方は違います。有権者が利益誘導というふうに受けとめかねない行動は自粛をしていただきたい、こういうふうに思います。
それで、今大臣の答弁で、来年度以降、事業計画、仮配分、箇所別予算、こういうプロセスを定着する、そのことは私は評価したいと思います。特に、国会の審議の前に仮配分の案を出すということは、これは予算の箇所づけの客観性、透明性を高めるという意味では意義があります。
総理、確認しますけれども、では、来年度以降は、この箇所別予算は、予算成立後公表するまでは民主党に事前に報告することはありませんね。そのことだけは確認をしておきます。総理、どうぞ。
○鳩山内閣総理大臣 私は、当然そのことは守らなきゃならない話だと思っております。あるいは、すべての政党に公平公正にそのことを通知するということはあるかもしれませんが、そのことはこれから決めることだと思っておりますが、少なくとも、利益誘導型の話というものを我々とすれば絶滅をさせてまいりたいという方向から、このような公表をするという措置をとろうとしているわけであります。
そして、石井議員に一つだけ申し上げれば、私ども、公共事業の予算を一八・三%減らすということ、この一事をもって、我々として、新政権が決して、利益誘導型選挙をやろう、あるいはそういう政治をつくろうと思っているわけではないということも御理解願えるのではないか、そのように思います。
○石井(啓)委員 いや、総理、そこは若干違うところがあるんですよ。予算が少なくなると、個別の箇所にどれだけ予算がつくのかというのはより重要な関心事項になるんですよ、地元にとっては。だから箇所づけが、従来以上にみんな真剣にどうなるのかというふうに思うわけですよ、予算が少なくなっているからこそ。予算が潤沢にあれば、そんなにみんな、自分のところがどうなるかと関心は持たないんです。予算が少なくなったからこそ逆に、逆説的に、そういう箇所づけに対して重大な関心を持つようになっている。このことはぜひ認識していただきたいと思います。
それで、全体の、今後の箇所づけのプロセスというのは理解いたしました。次に、今度は、予算の配分の基準について、二つ目の問題点として申し上げたいと思うんです。
どのような基準で予算が箇所ごとに配分されているのか。これは、これまでもいろいろな委員会で、予算委員会等を通じて答弁がありますが、なかなか理解しにくい。定性的なんですね。
例えば、今回、要望がどれだけ反映されたかというのが、これは前原大臣が御自身、記者会見で明らかにされていますけれども、実は、知事さんあるいは民主党の県連から要望があったのが、全体五百四十九路線のうち三百八路線ですね。そのうち、増額になっているのが百八十六路線。だから、要望のあったうち、六割は予算が上積みになっているんですね。ところが、要望がなかったのは二百四十一路線なんですが、要望がなかったうち、予算がふえているのは十七路線、七%にすぎないんです。これは大臣がおっしゃった数字ですから、これだけ見れば、やはりかなり要望というのは予算の配分にきいているのかなと。
ただ、私、そのこと自体、全く完全否定するものではないんですよ。地元の同じ箇所をやる中で、やはり、ある県であってはAという箇所よりBという箇所を優先してほしい、そういう要望を知事さんがなさるのであれば、それはそれなりに一定の配慮をするということはあると思うんです。ただ、それが場合によっては選挙向けに使われているんじゃないか、こういう疑念、懸念が抱かれているわけですね。
ですから、そういった疑念を抱かれないように、私は、明確な予算箇所づけの配分の基準をつくって、それを公表して、そして透明性、客観性を確保すべきである、こういうふうに思いますが、総理、これは国土交通省だけの話じゃありません、全体的に公共事業をめぐってそういうことは言えると思いますので、これはぜひ総理から、予算の箇所づけの配分基準を明確にする、このことについて御答弁いただきたいと思います。
○前原国務大臣 お許しをいただいて、まず私から答弁をさせていただきたいと思います。
繰り返し恐縮でございますが、ふえたというのは、ことし限りのものであります。つまりは、直轄事業負担金の問題、維持管理の問題、それが十一月の時点から六百億円余り出てきたという中で配分をした。
ただ、それは御理解いただいた上で、私は、二つの点で透明性を高めたいと思っています。
一つは、先ほど申し上げた、仮配分も公表する。そして仮配分というのは、これは国会で議論いただくわけです。そして、その前提として各事業ごとの事業評価、どうBバイCというものを国土交通省としては出させていただいたかということを、これも国会に提出をいたします。そして、要望とか、会っただけでついたというような指摘が、仮配分も公表するし、事業評価も公表するし、国会で議論していただくし、非常に透明になるわけですよ。
そういう形にして、言ってみればできるだけ裁量の余地がないような形で、これから仮配分、そして、それを前提として予算が成立したら箇所づけをやっていくということで、国会という場での透明性、事業評価というものを出して国会の議論をしていただくという意味での透明性と客観性、そういうものを担保して、そして、これから、建設省におられた委員でございます、よくおわかりだと思いますけれども、用地取得が進めば事業というのは進みますね。そういう意味において、そういったものも、どういう形で用地取得が進んでここが事業をやれる態勢になったかどうかということも、できる限り我々は公表していかなくてはいけない、そういうふうに考えております。
○石井(啓)委員 来年度以降は事業計画の総額と仮配分の総額は一緒だ、だから、そういう意味でふえたり減ったりというのはないということなんですけれども、ただ、事業計画も仮配分も、やはりある幅を示しますよね。幅の上限の方で最終的に予算がつくのか、下限の方で予算がつくのかというのは、相当やはり幅が出ます。
そういう意味では、必ずしもピンポイントで、事業計画で決まったから、それでおしまいという話じゃないんですね。そこら辺のさじかげんがどうなるかというのが、やはり皆さん、依然として関心のあるところだと思うんですが、今、前原大臣の答弁で、事業評価を最大限に今後この予算の配分の基準として使っていきたい、これはぜひやっていただきたいと思うんです。今回も事業評価をベースにやっているというんですが、ただ、その事業評価が具体的にどう使われているかというのを、ぜひもう少しわかるようにされたらどうかと思うんですね。
例えば、私なんかは、今大臣がおっしゃいましたけれども、それぞれの事業の中で事業の進捗度合いがあります。例えば、用地の取得が進んでいればそこはやはり予算はつけやすいですし、進んでいなければそれは予算をつけても工事が執行できない、そういう事業の進捗度合い、あるいは地元の協力度合い等々ありますけれども、そういう条件が、他の条件が同じであるならば、事業評価、すなわち費用をかけてどれぐらい効果があるのか、それが高いところを優先して予算をつける、こういうふうに明確にしていただければ、これは極めて客観性、透明性が高まると思いますが、そういった点での御検討をぜひいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○前原国務大臣 委員がおっしゃった今の御提案というのは極めて私は大事なところだと思いますので、そういったことも踏まえて参考にさせていただきながら、できるだけ透明度を高めて事業評価をしていただけるように努力をしていきたいと考えております。
○石井(啓)委員 ところで、この問題で、今までは、仮配分の事前に民主党から自治体に漏れたという点が一つ目の問題点、二つ目の問題点は予算の基準が必ずしも明確でなかったという点、この二つの問題点を申し上げましたが、実は、もっと大きな問題点が私はあると思っています。
どういうことかといいますと、今民主党では、地方自治体から政府に対する要望、陳情、この窓口を民主党に一本化しよう、こういうふうに指導されていますね。私は、これは極めて問題だと思っているんです。ある意味では、今まで指摘した問題以上に重大な問題だと思います。
といいますのは、今民主党がやろうとしているのは、自治体から政府に直接陳情させることはやめさせる、自治体から民主党の県連に陳情させて、民主党県連から民主党の党本部、幹事長室に集めて、幹事長室から各役所に連絡をする、そういう仕組みを考えようとしていらっしゃるわけですよね。考えというか、実践しようとされているわけであります。
このやり方が進めば、自治体の政府に対する陳情というのは、全部民主党を経由しなければならないということになっちゃうんですよ。これは、利益誘導という意味では、仮配分を自治体に事前に通知する以上に大変な利益誘導をすることになるんじゃないですか。これは私は絶対やめるべきだと思います。総理、いかがですか。
○鳩山内閣総理大臣 石井委員にお答えいたしますが、私ども政府としては、地方公共団体に政党のルールを決して強制するなどというようなことはありませんし、陳情の一元化などというようなことを図るつもりはありません。
これは、民主党の中で、今まで霞が関もうでみたいなものが盛んに行われていた、そこに利益誘導型の政治、さまざまな癒着というものが生まれてきた、これはやめようじゃないか、さらには、これからは地方分権だ、地域主権だ、党に来るよりも、まずそれぞれの県連で意見を伺おうではないか、そういう方向に党として決めてきている。したがって、自治体の首長さん方は、これからはわざわざ陳情もうでで東京までお出ましいただくことはないですよ、霞が関、永田町に来られなくても、地方で十分意見を聞かせていただきますよと。
それを、党としてその意見を吸い上げて、意見として政府に伝えるという役割はあるかもしれない。それは、すべての政党が同じように行動していただければいいわけでありまして、政府として民主党の意見を、それは当然さまざまな声を聞かせていただくことはあるかもしれませんが、一つの意見として聞かせていただきますけれども、自民党さん、公明党さんも、それぞれの御意見を、地元の御意見を聞いていただいて、その意見を政府に反映させるような仕組みをどうぞおつくりになっていただきたい。
政府としては、公平公正な立場でこれからも振る舞ってまいりたいと思っています。
○石井(啓)委員 総理、いや、政府としてはその民主党経由の陳情を強制していないと言っていますけれども、現場では圧力がかかっているんですよ、首長さんに。直接行くな、自分たちの県連を通じて陳情しろ、実際そういうふうに圧力がかかっているんですよ。総理は政府のトップだからそういうことは知らないかもしれないけれども、実際にはそういうことをやっている。
また、今総理、各政党がやればいいじゃないかと言うけれども、与党と野党は力関係が違うから、当然与党の方に行くじゃないですか、そういうやり方を許せば。そうでしょう。それで、今民主党は一本化しようとしているんですよ。民主党に一本化して、自治体の首長さんが他の野党を通じてやったら、それはまた圧力がかかるのは当たり前じゃないですか。目に見えていますよ、そういうやり方をするのは。だから、そういうのはおかしい。
民主党に陳情、要望の窓口を一本化する、これはやはり私はやってはいけないことだと思いますよ。総理、どうでしょうか。
○前原国務大臣 総理がお答えをされたとおりなんでございますが、国土交通省を担当する私としては、自治体の首長さんとか議長さんがばらばら全部来られるのは、これは大変だということで、そこで仕切ってもらっているということであります。
ただ、何度も私、予算委員会でも答弁させていただいているように、公明党さんでまとめて仕切ってもらう、自民党さん、共産党さんで仕切ってもらうというのは結構であります。現に私は、御党の議員がまとめてこられた業界団体にもお会いしておりますし、自民党の議員さんがいわゆる首長さんを連れてこられたということについてのお話も承っておりますし、別に民主党だけではなくて、とにかく、ばらばらばらばらと首長さん、議長さんとか業界団体が来られるのが困るということで、何らかの集約をしていただきたい、こういうことでございます。
○石井(啓)委員 では、総理に確認しますけれども、例えば、今役所の局長さんのところに自治体の首長さんが陳情に行こうとすると、民主党県連を通じてくださいということで受け付けてくれないんですよ。断られちゃうんですよ。そういうことは今後ありませんね。自治体の首長さんが役所のしかるべき立場の方に、それは政務三役のみならず、陳情を要望したいということがあれば、それは基本的には断ることはない、そういうことでよろしいですか。そのことを確認させていただきます。総理。
○鳩山内閣総理大臣 基本的に、そういうものをお断りするなんという話ではありません。
ただ、先ほど前原大臣がお話しされましたように、余りにも今までの旧来型の霞が関陳情行政みたいな話は、これは困るなとも思っているんです。そのことでほとんど忙殺されるようなことになってしまいかねません。そうではなくて、やはり何らかの形でおまとめいただくようなことは必要ではないかと思っておりますが、ただ、行くなみたいな話は基本的にはないということは申し上げておきます。
○石井(啓)委員 いや、ですから、仮に本省にたくさん来るのが困るんだったら、例えば地方整備局でまとめて受けてもいいんですよ。そういうのじゃなくて、民主党県連を通じてやろうとするところに問題があるというふうに言っているんです。
かつて、従来の自民党政権においても、陳情、要望の窓口を自民党の県連に一本化しようなんということはやらなかったんですよ。ですから、民主党は従来の自民党政権以上に権力を利用してのあからさまな利益誘導を図っているとしか言いようがありません。平家物語風に言わせていただければ、民主党にあらずんば人にあらずというやり方をやれば、おごれる民主党も久しからず、こういうことになるというふうに指摘をしておきたいと思います。
それでは、ちょっとテーマをかえまして、ダム問題について確認をいたしたいと思います。
今、国土交通省では、前原大臣のリーダーシップで、なるべくダムに頼らない治水を検討するということで、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置して検討を続けていらっしゃるというふうに承知をしております。ここでできるだけダムに頼らない治水のあり方を検討し、その上で個別のダムについて今後検証を行う、こういうふうに承知しておりますけれども、大臣は八ツ場ダムについて予断を持たずに検証するというふうに発言をされていますが、この予断を持たずに八ツ場ダムを検証するというのはどういう意味でおっしゃっているのか、確認をいたしたいと思います。
○前原国務大臣 八ツ場ダムの本体工事については中止ということを明らかにさせていただいているわけでございますけれども、ただ、単に中止ということではなくて、その治水、利水の代替策についてどういうものがあるのかといったことを、この有識者会議でまとめていただいた基準、物差しというものに合わせて、八ツ場ダムでもしっかりとお示しをするということでございます。
○石井(啓)委員 ちょっとわからなかったのが、単に中止ではなく、代替策がどういうものがあるのか、普通は代替策が確定してからダムの中止を考えるんじゃないですか。ですから、わからないのは、その検証した結果、代替策が余り有効なものはありませんね、やはり八ツ場ダムは必要ですねとなった場合は、ダムの本体工事は再開する可能性がある、そういう意味での予断ない検証ということでよろしいんでしょうか。
○前原国務大臣 次の御質問にかかわることかもしれませんけれども、少子高齢化、そして人口減少、莫大な借金の中で、今までの公共事業というものを本当に続けていけるのかということで、政権交代を機に公共事業を全面的に見直させていただいているところであります。
ダムにつきましても、例えば堰堤が十五メートル以上ある巨大なダムというのは今までも二千八百九十以上ございますし、砂がたまり、また、これについて、老朽化し、維持管理というのも相当お金がかかり始めているということがございます。
また、今議論しておられます八ツ場ダムにつきましては、基本高水が八斗島という基準点においては毎秒二万二千トンということでございますが、計画高水は一万六千五百。しかし、こういったものが果たして、この考え方に基づくと仮に八ツ場ダムをつくってもあと幾つもつくっていかざるを得ないというような計画になっているわけでございまして、そういった前提条件すべてを見直していくということを今有識者会議の中で議論していただいて、その物差しをつくって、そして、住民の方々に納得していただけるような治水、利水の代替案をお示しするということでございます。
○石井(啓)委員 いや、私はダムを検証するということについては結構だと思いますよ。それはぜひやっていただきたいと思うんですけれども、ほかのダムは検証した結果中止するのか継続するのかを決めるんだけれども、八ツ場ダムの場合は中止というのが先にありきで、その後検証するというから、これはわからないんですよ。
検証した結果、中止を撤回することがあり得るのかどうか。いや、検証の結果にかかわらず中止というのは変わらないのか。イエスかノーかでちょっとお答えください。
○前原国務大臣 先ほど後半でお答えをいたしましたように、私の問題意識としては、今の基本計画あるいは整備計画、そういったものを抜本的に見直していかないと、幾らお金があっても足りない、こういう状況になっているわけであります。ただ、治山治水というのは極めて大事なテーマでございます。
そういう中で、我々としては、できるだけダムに頼らない治水を考えていくということではございますけれども、この八ツ場ダムにつきましては、中止の方向で議論をいただいておりますし、中止という前提において納得していただける治水、利水の代替案というものをお示しができると私は考えております。
○石井(啓)委員 ですから、前原大臣の説明によると、この検証というのは本当に八ツ場ダムが必要かどうかの検証ではなくて、八ツ場ダムの中止の理由を補強するための、後づけの理由をつくるための検証ということにしかなりませんよね、今の説明だと。中止という結果がありき、検証するのはその理由づけをつくるためだ、そういうことになってしまっている。これでは、私は、八ツ場ダムは中止の結論ありきで、アリバイづくりのための検証になってしまっている、こういうことを申し上げたいと思います。
時間が参りましたので、以上で終わります。
○鹿野委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。
次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
昨年の総選挙で示された国民の意思は、政治を変えてほしいということでした。新政権のもとでつくられた二〇一〇年度予算案は、その声にこたえるものでなければなりません。
日本共産党は、去る二月十七日、政府予算案に対して、旧来の悪政の根本にメスを入れ、政治の転換に踏み出す予算にとの組み替え提案を明らかにし、私ども志位委員長と鳩山首相との党首会談で検討を申し入れたところであります。
その第一の柱は、自公政権の社会保障費削減路線がつくった傷跡を是正する、とりわけ、改悪された医療、介護、福祉制度をもとに戻し、拡充への第一歩を踏み出すこと、さらに、総合的な子育て支援、教育条件拡充を実行することであります。
きょうは、その立場から、子供の医療費無料化を国の制度として実施すべきであるという問題と、特別養護老人ホームの待機者をなくすための計画的建設の問題について質問いたします。
まず、子供の医療費の問題です。
私たち日本共産党は、子育て世代の経済的負担の軽減、乳幼児医療費の無料化を一貫して求めてまいりました。
鳩山総理は施政方針演説で、命を守りたい、若い夫婦が経済的な負担を不安に思うような社会を変えていきたいと述べました。
経済的な負担の不安といえば、子供の医療費負担は大きな比重を占めます。子供を育てる親にとって一番の心配は子供の病気です。子供が病気になったとき、親のお金があるなしで病院に行けないことがあってはなりません。費用の心配がなく、安心して病院にかかれるように、子供の医療費を無料にすることは切なる願いです。命を救うためにどうしても必要だと考えます。
子供の医療費、まずは小学校入学前までの子供を対象に無料にすることを提案します。総理、いかがでしょうか。
〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕
○鳩山内閣総理大臣 穀田委員にお答えを申し上げます。
先般の党首会談の中でも、命を守るという私どもの考え方に対して、特に社会保障を充実するという考え方において共産党さんと共通する部分があるということは理解をさせていただきました。いろいろとまた御提言をいただければと思いますが、その中で、きょうは子供の医療費の助成の話をいただいたところでございます。
言うまでもありません、少子高齢化が進んできている中で、私どもは、子供を社会で育てる、子供の育ちを社会で支えるという方針のもとで、子ども手当というものを支給することを決めたところでございます。ある意味で、今のお話の医療費の問題も、基本的にはこの子ども手当を厚くすることによって一つの道はあろうか、そのように考えているところではございます。
今現実の施策としては、平成二十年に、乳幼児の方々に対する医療保険制度における自己負担の割合を三割から二割に軽減させていただいている。これは旧政権のもとでそのようになっているということでございまして、さらには、未熟児とか、あるいは難病をお持ちのお子さんに対しては手厚い施策を考えさせていただいているところでございます。
今、無料化ということに対しては、地方自治体においてさまざまな努力がされているということではございますし、そのことにさらに国が大きく補助を出せという御意見だと思います。
それに対しては、財政的な部分での難しさが現実にはまだ立ちはだかっている、そのようには考えております。そんな中で、今申し上げたような施策というものを中心にしながら、子ども手当というものを乳幼児の方々の、特に病気になられたときの一つとしてお使いいただくことも考えていきたいと思っておりますが、なおさまざまな考え方もこれからあろうかと思っておりまして、私どもとしても、乳幼児に対する医療費の問題に関しては関心を持っているということを申し上げておきます。
○穀田委員 子ども手当を厚くすればすべてオーケーというわけにはいかないんです。
子育ての土台というのは、私どもがこの間主張していますように、やはり保育所の増設で待機児童をなくすことや、義務教育の完全無償化などで、給食代だとか修学旅行だとかそういったものに対しても保障する、さらには、大事なのは、子供の医療費無料化などで土台を整備するという二つ、両方あってこそ、それが成るんだということをあえて私は申し上げたいと思うんです。
問題は、なぜ無料に今しなくちゃならぬかということなんですよ。それは、学校の養護の先生に聞きますと、病院に行かずに保健室に来る子がふえている。子供に病院に行くように言っても、親が給料前だから病院に行けない、このようにはっきり言う子供がふえたと言われています。また、お金がないからと親が病院に連れていくことをちゅうちょしているうちに、急に悪くなれば命にかかわる、こういった問題だから今私どもは提起しているわけです。
総理も今、地方自治体のお話がありましたが、医療費の無料化は、命を救うために本当に切実な声です。だからこそ、既にすべての都道府県、市区町村で何らかの助成制度が行われています。
これを見ていただきたいんです。全国の都道府県の二〇〇九年度の医療費助成の実施状況です。
すべての都道府県で実施されている。赤く塗ってあるのが、通院、入院ともに小学校入学前まで、あるいはそれ以上を対象に助成している県。三十五県あります。圧倒的に多いわけです。ピンク色は、入院のみ小学校入学前まで、通院はそれより対象年齢が低い県。八県あります。黄色は、入院、通院ともに対象年齢が三歳未満から六歳未満。これが都道府県の現状です。多くの市区町村は、都道府県の制度にさらに上乗せして対象年齢を引き上げている。
小学校入学前か、それ以上の年齢まで助成の対象にしている市区町村はどれだけあるか、お答えいただきたい。
○長妻国務大臣 今御指摘の、都道府県のお話はいただきましたけれども、それに上乗せというか付加してやられておられるという市区町村は、通院については千六百九十五カ所、全体の九四%、入院については千七百五十五カ所、九八%だというふうに承知しています。
○穀田委員 今答弁ありましたように、入院では九七・五%、約九八%、市町村が就学まで助成している。
これはパネルをつくりましたけれども、小学校就学前まで助成の対象としている市町村が九四%、そして小学校三年生までが三八%、小学校六年生までが三〇%、中学校三年生まで、あるいは高校三年生までが一九%、都道府県レベルで一部負担がある場合、市町村が上乗せ助成して完全に無料にするなど努力をしています。
今、二つの資料をお示ししておわかりのように、すべての都道府県、市区町村で何らかの医療費助成制度が実施されています。しかし、県や市町村の独自制度なので、自治体の財政状況などにより、対象年齢や窓口の負担のあるなしなど格差があります。中学生、高校生まで対象にしている市町村がある一方で、六%の市町村では小学校入学前までの子供であっても医療費の助成が受けられない、対象が二歳児まで、三歳児までなどと限られている。
ここなんですね。命を守る制度に格差があってはならない。国として制度をつくり、市町村を支援すべきだ。
先ほど総理は財政の問題についてもお触れになりました。しかし、では、就学前までの子供の医療費を無料化するのに一体全体幾ら必要なのか、お答えいただきたい。
○長妻国務大臣 役所で試算をさせますと、年間三千億円程度だという数字でございます。
○穀田委員 三千億円あれば無料化できるということになりますよね。
だから、先ほど子ども手当の問題もお話ありましたけれども、私は、命を救うためには直ちにこれを実施すべきだと。そして、医療費にかかるお金を支援すれば、必ず子供のために使われるという特性があるわけです。
小学校就学前までの子供たちの医療費無料制度を国が創設するよう求めて、二〇〇一年、乳幼児医療費無料制度を国に求める全国ネットワークが結成され、毎年さまざまな活動を行っています。
昨年五月までに百二十万人を超える署名を提出していまして、無料制度創設など負担軽減措置を国に求める地方議会の意見書が、四十一の都道府県、七百六十六の市区町村議会で採択されています。
就学前の国の医療費無料制度創設に賛同し、署名した国会議員は、昨年六月時点、総選挙前ですが、私ども日本共産党はもちろん、当時の与党である自民党、公明党から、今与党の民主党、社民党、国民新党、そして無所属の議員、党派を超えて百三十人以上います。閣僚の中にも、長妻大臣、福島大臣、前原大臣、枝野大臣、亀井大臣が署名されています。
子供の命を守るために、ぜひ一緒に実現しようじゃありませんか。国民の願いにこたえて、国の制度で無料化を実現に向けて直ちに検討し、実行すべきだと思いますが、長妻大臣と福島大臣に一言ずつお願いしたい。
○長妻国務大臣 この件でございますけれども、先ほども御紹介を申し上げましたように、県あるいは市町村でも、かなり多くのところが一部あるいは全額無償にされておられるということであります。
今、喫緊の課題として、限られた財源で使わなければならないと考えておりますのは、一つは医療、同じ医療でありますけれども、医療の充実ということで、小児科について、今、医療崩壊が言われ、お医者さんの数が少ない、あるいはNICUという、本当にお子様あるいは生まれたての方の集中治療室のベッド数が足りない、これについても我々措置をするということと、あるいは、NICUのベッドで治療をされておられる方が、その後、後方ベッドというか、どこに移動するのかということも診療報酬で新しく今回措置をいたしまして、そういう意味では、そちらに我々としてはお金を今使わせていただきたいということで、診療報酬でも措置をしているところであります。
〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕
○福島国務大臣 子供が病気になっても医療を受けられるということは極めて重要で、街頭やいろいろなところでも、親御さんの期待、あるいは子供の医療費の無料化については要望も強いことは本当に承知をしています。
子ども・子育てビジョンにおいても、例えば親が……(穀田委員「知っています。それは見ています」と呼ぶ)はい。子ども・子育てビジョンにも書いております。ですから、今御指摘のとおり、子供の医療費を無料にすることは極めて重要な課題だと認識をしております。
○穀田委員 重要な課題だということだけでは済まないんです。今実現すべき課題なんだということを私は提起しているんですよ。
総理、一言どうですか。
○鳩山内閣総理大臣 先ほど申し上げましたが、穀田委員が大変切実な問題として提起をされておられる。今、内閣の中にも署名をされた方が五人いるということも伺いました。
私は、大変重要な課題をいただいている、そのように思っています。財政との相談の中で、優先的な課題としてこれから扱ってまいりたいテーマだというふうに理解をさせていただきたいと思います。
○穀田委員 財政の話は先ほどして、それほど大きな話じゃないということを言っているわけですよ。
そこで、地方自治体の話が先ほど総理からありました。国の助成制度がないために地方自治体が独自に助成しているわけですけれども、国は、こうした自治体に水をかけるやり方をこれまでしてきたんですよ。自治体が窓口負担をなくしたり減らしたりすると、国民健康保険への国の負担を減らすペナルティーを科しています。二〇〇七年度、一千三百五自治体、約六十五億円をやっています。
これを来年度も続けようとしているんですが、直ちにやめるべきだ。そのぐらいできますか、総理。
○長妻国務大臣 これは、ペナルティーといいますか、これは一定の、国保に対して国庫の補助を入れさせていただいておりますけれども、一定の係数を掛けて、そういうような乳幼児の方の無料をやられているところもそうでないところも同じ係数を掛けて補助をさせていただいている、こういうようなことでありまして、無料にされて医療費がふえた部分についての国庫補助というのは、結果としてその部分はつかないというのはございますけれども、前の水準を減らすということではありませんで、基本的には同じ係数で全国の国保に補助をしている、こういうことであります。
○穀田委員 それは、調整という名前をやっているけれども、減額していることは事実なんですよ。そんなことを言っていたら、ちょっと話は違うけれども、前の自公政権の時代の官僚答弁とさして変わらぬということじゃないですか。その当時でいえば、舛添さんだって、我が党の高橋議員の質問に対して、何らかの前進を考えたいとこの問題については言っているんですよ。本当にがっかりする。冗談じゃないと私は思いますよ。
窓口払いが高いと、親は財布の中を気にして、安心して子供を病院に連れていけない。だから、国の制度がないもとで多くの自治体が窓口負担をなくす努力をしているじゃないですか。
総理、先ほども、地方自治体の努力と言うんだったら、そういう命を守るための積極策に、そんな形で調整と称してペナルティーを科すやり方はおかしいと思いませんか。総理に聞いているんです。
○鳩山内閣総理大臣 穀田委員のお尋ねであります。
今、長妻大臣が答えましたけれども、私としては、何か、それこそ舛添大臣が答弁されたという話でありますから、これは旧政権からの課題だ、そのような認識の中で、前進ができるように努力してみたい、そのように思います。
○穀田委員 これは前進ができる努力をぜひしていただいて、実現を図るために私どもも今後詰めていきたいと考えています。
では最後に、一刻も放置できない介護保険制度に関する緊急対策について、総理の基本姿勢と決意を伺います。
介護保険制度は、制度開始から丸十年となります。この間、社会保障切り捨ての構造改革のもとで、高い保険料、利用料を負担できず、制度そのものを利用できない、保険料を払っているのに、いざ利用となったら施設がいっぱいで利用できないなど、現実は保険あって介護なし、契約違反ともいうべき事態が深刻であります。
この間も私どもの仁比聡平議員も質問しましたが、介護を苦にした痛ましい事件が後を絶ちません。このような政治は一刻も早く変えてほしい、また変えなければなりません。
介護保険制度の現状をどのように認識しているのか、鳩山総理にお聞きします。
○鳩山内閣総理大臣 穀田委員から、介護制度の問題、保険制度の問題に関してお尋ねがありました。
介護保険制度ができてから、これは、利用者がふえてまいる中でなかなか保険料の徴収などには厳しさがある、また一方では、介護の職員の皆様方の報酬が低い、さまざまな議論が進められている、そのように思います。すなわち、問題点がかなり大きなところに来ているな、そのようにも思っております。
厚生労働省の調査で、例えば特別養護老人ホームへの入所申込者が四十二万人おられる。中でも、在宅で要介護度の重い方が約六・七万人、六万七千人に上っておられる。こういう方々には、できれば一刻も早く介護施設に、特養に入所をされるべきだ、私はそのように思っております。
したがいまして、まずは施設の整備の問題が一つあるかと思っております。我々としては、まず、過去の三年間に対してこれからの三年間の間で倍増させようということで、十六万床を目標に整備を取り組んでいるところでありますが、さらにこれに拍車をかけなければいけないかな、そのぐらいにも感じているところでございます。
また、介護報酬の問題も、せっかくやりたい人たちが、むしろ介護のヘルパーをやめてしまわれるという方もたくさんおられる。きつい割に報酬が少ない、そういうこともあろうかと思っておりまして、こういうところの充実も図ってまいらなければならないと思っておりまして、介護保険制度にはこれからも大きな改善点が求められていくという認識は有しております。
○穀田委員 多々問題点はあり、改善の方策をとらねばならないということです。
今総理からお話あったように、実は、昨年の十二月、厚生労働省の発表では、特別養護老人ホームの入所待機者は四十二万一千二百五十九名と発表されています。問題は、この〇六年の三月の調査と比べると三万六千人もふえています。
内訳を見ると、要介護度別では、寝たきりの人や移動に介助が必要だったりするため特養ホームに優先的に入所できるとされている要介護五と四の人だけで合計十八万人、待機者の四二%を占めています。メディアでも報道されていますが、娘が保育園のころは保育所の入所待ち、今は要介護五の母の特養ホーム待ち、どうにもならないもどかしさと不安で息苦しくなると訴えられた声を紹介しています。
問題は、この深刻な実態をどのように解決するか。先ほど数字はありましたけれども、問題は、待機者をなくすための緊急五カ年計画をつくり、国の財政支援を拡充し、積極的に進めるということが必要だ。そういう決意はおありでしょうか、総理。
○長妻国務大臣 今おっしゃられたような問題意識を我々も有しておりまして、今後三年間、介護施設のベッド数は十六万ベッドをプラスする。これまでは、過去三年間、八万ベッドの増加でしたから、二倍のスピードでふやしていく。
そして、もう一つ重要なのは、やはり施設だけじゃなくて、御自宅で介護を受けたいという方も一方でいらっしゃるわけでございまして、今現在、在宅サービスを受けておられる方が二百八十三万人おられます。そういう在宅のサービスも拡充をして、施設、在宅、御希望がかなえられるような整備をしていきたいというふうに考えておりますけれども、おっしゃられたように、今、現状はまだまだ不十分だという強い危機感を持っておりますので、今、雇用も大変厳しい状況で、一方で介護の職員の方は人手不足になっているということで、このミスマッチも埋めていくという努力を今あらゆる政策を使ってしているところであります。
○穀田委員 特養ホームの問題についてはこれからも追及していきますけれども、私は、やはり緊急整備五カ年計画という形で本当に計画的に進めなくちゃだめだということを一つ思っています。
同時に、療養病床が廃止されると行き場がない、それから、九十日を超えると病院から追い出される、こういう点も今深刻な実態があることは総理も御承知かと思うんです。今のままでは、たくさんの医療難民や介護難民が生まれかねない。したがって、私は、療養病床の廃止や病院からの追い出しをやめ、基盤整備をしっかりやる政策に大きく転換することを求めたいと思います。
このことが、政治を変えたいという国民の期待にこたえることになる。その点での総理の決意を最後にお聞きしておきたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 私も、先般、ある病院を訪れまして、一般の病室とそれから療養病床群、両方が階が一階違うだけで同じような症状の方々が寝ておられました。それを見て、療養型病床群の廃止の問題というのは、これはやはり深刻に見直していかなきゃならぬという思いに駆られたところでございますし、その方向で今努力をしていきたいと考えております。
介護の問題は、私どもいわゆる団塊の世代が、これからあと十年、本当に元気でいられればいいけれども、介護が必要になってくるかもしれない。そういう人たちが今いるわけでありますから、介護の問題に関して何らかの形の、今お話がありましたように、五カ年計画みたいな話がありましたけれども、我々は三カ年ごとにやろうかと思っておりますが、しっかりとした介護に対する方向づけというものをつくり出してまいりたい、そのように考えております。
○穀田委員 行き場がないお年寄りをこれ以上つくっちゃならぬということを申し上げて、質問を終わります。
○鹿野委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。
次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
きょうは、まず依存と分配ということについて伺いたいと思います。
私は、NHKの長野放送局で記者をしていた時代、官官接待の調査報道にかかわったことがございます。情報公開請求で、墨塗りになった領収書の山から官官接待の実態を明らかにして、それを報道するということを取材班としてかかわったことがございました。
当時、長野県の食糧費は、九四年、六億八千四百万円使われておりました。一人当たり三万四千円なんという領収書が出てきまして、県の幹部職員が国の官僚を高級料亭で接待攻勢して、それによって国の予算、補助金獲得に奔走してきたことが見てとれました。もちろん、これは田中康夫知事の前であります。
当時は、長野オリンピックの直前、さまざまな施設や新幹線、そして高速道路の整備が行われておりました。有利な起債という名のもとに、地方交付税で後年度措置される地域総合整備事業債をどんどん発行して、施設や道路の建設が進められていたわけであります。その裏で、国の予算を引き出すための、今言ったような官官接待が行われていたわけです。まさにこれはおねだり政治の典型、当時、こうしたことが全国各地で行われていたわけであります。
依存と分配の政治から脱却をするのがこの政権交代の一つの目的だということを原口大臣が繰り返しおっしゃられています。時間の関係で、原口大臣、この点について御答弁は求めませんけれども、依存と分配の政治からの脱却ということについては、政権全体でこの目標を共有されておられるというふうに思います。その上で、鳩山総理に、ぜひ、依存と分配の政治からの脱却ということについてお伺いをいたしたいと思います。
○鳩山内閣総理大臣 柿澤委員のおっしゃるとおり、かつて、官が官を接待する、あるいは官と民との間の癒着がある、これがこの国をゆがめてしまった、そのように考えております。依存と、まさにそれによってでき上がったシステムで分配を図るということから脱却をいかに図っていくか、それが国民の期待感であった、政権交代というものの原動力の一つにそこがあった、私はそのようにも認識しておりますので、今柿澤委員からおっしゃったとおり、依存と分配からの脱却を新政権としては図っていかなきゃならない、そのように決意を固めております。
○柿澤委員 そこで、きょうの集中審議の一つのテーマであります箇所づけ問題です。この問題の本質は、私は、その依存と分配の政治からの脱却という目的を現政権が本当に目指しているのかどうかということにあるんだというふうに思っております。
北海道大学の山口二郎先生が、二月の十四日の東京新聞で「利益誘導政治再び」と題してこのように嘆きを書いております。「私にとっては、政治と金をめぐる問題よりも、公共事業予算の個所づけをめぐる民主党の行動の方が、この政権の本質を表しているように見える。 公共事業費の個所づけは、かつて自民党の政治家にとって権力の源泉であった。」「官僚のさじ加減と政治家の圧力で決まってきた。」「民主党はそのような利益誘導政治を否定することを国民に訴えてきたはずである。」「しかし、公共事業がほしければ民主党に票を入れろという利益誘導政治の発想をここまで露骨にふりかざされると、国民も鼻白む。」
この論評が当たっているかどうかは問題ではありません。民主党に期待し、政権交代に期待してきた山口二郎先生でさえ、今回の箇所づけ問題で現政権の本質に疑問を感じている、この事実は大変重いというふうに感じております。
そうした中で、先ほど公明党の石井先生の質疑で、仮配分の問題について、今後、来年度以降、国会審議の前の段階で公表し、国会審議に付していきたい、こういうお話がありました。まさにこういう形で、国会審議の中で、道路事業を初めとするさまざまな公共事業の必要性、事業評価ということが議論の対象になるということになれば、これこそまさに画期的だと思いますので、前原大臣に改めてこの点についてお伺いをしたいと思います。
○前原国務大臣 公共事業というものをできる限り国民の代表、代弁者である国会議員の皆さん方に公平、客観的に御議論をいただくために、これから、十一月に事業計画を出させていただき、そして、新たな基準に基づいた事業評価というものを国会の議論に資する形のタイミングで出させていただき、また、それをベースに仮配分というものも私は来年から定着をさせていき、今柿澤委員がおっしゃったように、利益誘導というふうに見られないような客観的な公共事業の配分、そして、予算が成立した後の箇所づけというものをしっかりと定着させるように努力をしていきたいと考えております。
○柿澤委員 その点はぜひ御期待を申し上げたいと思います。
続きます。先日、予算委員会の第八分科会で、江戸川区のスーパー堤防事業について前原大臣に伺いました。東京で最も広い河川敷を持って、今までカスリーン台風でもキティ台風でも一度も浸水被害がなかったところに、江戸川区の試算で、区内の六つのスーパー堤防、合わせて二兆七千億円、二百年の期間をかけてこのスーパー堤防の工事を進めていく。私から言わせれば、大変荒唐無稽な計画であります。
平井七丁目の荒川で完成した工事では、百十メートルのわずかな区間に八十二億円を投じております。このうち、江戸川区の負担は五%にも満たない三・八億円。残りの七十八・二億円はすべて国費によって賄われている。要するに、自分の腹をほとんど痛めないで区画整理事業を国の金で行える、こういう仕組みになっているわけです。こういう事業のスキームそのものが、国に対するある種のおねだり政治、依存と分配の仕組みを生み出しているというふうに私は考えます。
今後、現政権は直轄事業負担金をすべて廃止していく方針というふうに聞いております。橋下大阪府知事からもぼったくりバーだと言われて、知事会の批判も強かったわけですけれども、さて、そうなると、一たび国の事業に採択をされれば、さらに地元の負担は直轄事業負担金の分は少なくなるわけですので、地元負担が非常に軽い状態で事業を進めることができるようになる、国の事業に対する採択をめぐって陳情合戦がますます激しくなる、こういうことになるのではないかと思いますが、伺います。
○前原国務大臣 大変いい御指摘だと私は思います。
今までは、直轄事業負担金があったことによって、地域がみずからの懐ぐあいを勘案して、直轄事業について協力するかどうかといったところが話し合いが行われていたわけであります。これをなくしていくということは私は分権の中であり得べしだと思っておりますけれども、委員が懸念をされているようなことは起き得ると思っております。
だからこそ、その事業の採択については、事業評価、国会の議論を具体的な事業において付して、そして、国民に白日のもとにさらして議論いただくという仕組みをつくることが大事だと考えております。
○柿澤委員 平成二十二年度の予算案では、公共事業に関して、社会資本整備総合交付金という新たな交付金の制度が導入をされております。道路や治水、下水道、住宅など従来の補助事業を原則廃止して、さらに、道路財源の一般財源化で〇九年度に予算化された地域活力基盤創造交付金やまちづくり交付金といった五つの交付金を統合して、一本化をするというものであります。規模は二・二兆円ということであります。
これについて、例えば、行政刷新会議の事業仕分けで地方移管ということで九一・六%も予算を減らされた下水道事業、あるいは六七・八%減らされた住宅対策、こうした事業は恐らくこの交付金を利用した事業として振りかえられていくという形になるんだというふうに思います。補助金の交付金化で地方の自由度を高めたということでありますけれども、しかし、これはソフトに関しても使えるようにはなっていますけれども、原則、公共事業限定の交付金であります。
この社会資本整備総合交付金の交付に当たっては、三から五年の計画を分野ごとに国交省に提出をしてもらって、計画に基づいて単年度限度額を算定する、算定は現行事業の国費率を基本に行うということであります。国が審査をして、基本的にこれまでの既存の補助事業と同じ比率で交付金を交付する。何のことはない、これは結局、今までの補助金の体系と基本的に変わらないのではないかというふうに思えます。
民主党のマニフェストには、国のひもつき補助金は廃止をし、地方の自主財源に転換しますということが書いてあります。しかし、今申し上げたような社会資本整備総合交付金のスキームだと、これは単なる看板のつけかえにすぎない。しかも、交付金ということで、何でも使える余地が出てきて、逆に国土交通省の裁量の幅は広がるということにもなりかねないのではないかと思います。
結局、現政権は、地域主権と言いながら、ひもつき交付金で新たな依存と分配のシステムをつくり、温存しようとするのかというふうにも疑いたくなる。こういうことについて、どのようにお答えになりますか。
○前原国務大臣 ステップ・バイ・ステップで分権を進めていくというふうに考えていただければと思います。今までそれぞれ個別の事業の補助金ということでやっていたのをもう少し大ぐくりにして、個別の補助金のいわゆる混合型でもできていくということでは一歩前進ととらえていただいたら結構です。
しかし、これも過渡期なんです。これの先が、原口総務大臣の管轄になりますけれども、一括交付金ということで、公共事業のみならずソフトにも使えるという形にしますし、その先に分権の姿をしていくということで、これも過渡的な仕組みなんだというふうに御理解をいただいて、これからさらに分権を進めていくということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○柿澤委員 一括交付金化をして、そしてまさに原口大臣のプランに基づいて地方への税財源の移譲を進めていく、こういうお話だと思います。
これに関しては原口大臣にぜひ質問をしたいんですけれども、残り時間がちょっとなくなってまいりましたので、亀井大臣に対して、郵政の問題についてお伺いをしたいと思います。
日本郵政グループの物品購入について、二月五日の衆議院の予算委員会で、下地議員の、地方の郵便局が買う鉛筆一本まで東京で全部契約して送り出している、この指摘に対して、地域を大事にしていく、そのことを物品調達の面できっちりとやらせる、今までの契約関係はやめさせるというふうに言っております。
ここのところについて質問主意書でただしたところ、日本郵政では、調達コスト削減プロジェクトというのを立ち上げて、平成二十一年度の上期だけで百七十三億円も物件費の削減に結びつけている。これを全部やめてしまうというんでしょうか。
また、日本郵政グループの非正規社員について、正社員として仕事をしたいという方は原則正社員にしていくことを改革の中で大きな柱にしていく、こういうことをおっしゃっていましたが、これも私の質問主意書で聞いたところ、日本郵政グループ非正規社員、合わせて全部で二十万三千六百六十九人いるということであります。
日本郵政グループの正社員の平均年収も聞きましたが、約六百三十七万円。これを単純に掛け算をする、こういう御時世ですから、非正規社員の多くが正社員を希望するとして、仮に全員が希望したとして計算をすると、その分の人件費は年間一兆二千九百七十三億になります。本当にこうしたことをやるんでしょうか。
○亀井国務大臣 まず、物品調達につきましては、齋藤社長に対して、現在のやり方は抜本的に変えるように既に話をしており、そのように今準備をしております。地域社会において、やはり零細な納入業者等を含めてきっちりと納入ができていくような、そういう仕組みを今考えております。これはやらせます。
それから、非正規社員、二十三万人に近い方々がそういう形で働いておられますけれども、本来正社員であるべき方々が、コスト減のために非正社員という形で希望のない生活をしておられるという実態があること、これはちゃんとしなければ、いかにユニバーサルサービスを形の上で組織上きっちりとしたところで、私はこれは改革ではないと。その中で働いている方々が、希望を持って生き生きと同じ仕事をしている場合は、やはり同じ評価もされていくという形に私は絶対いたします。
○柿澤委員 絶対にいたしますというお話ですけれども、今のお話はまさに、今までの調達コストの削減の取り組みや、あるいは日本郵政の経営の状況を場合によっては圧迫しかねない、そうした要素もはらんだ方針だというふうに思います。
特殊会社、国が出資をしているといえども、そうした会社であっても民間企業なわけですから、こうした形で、時の政府の方針あるいは大臣の方針で経営方針がゆがめられるということがあってはならないのではないかというふうに感じております。
○亀井国務大臣 私は、柿澤議員、かねがね、すばらしい議員が出てきたなと思っておったんだけれども、今の御質問を聞いておると、基本的な点、私は考え直されたらいいんじゃないかと。
人間として尊重をされていく、そういう待遇を受ける、これは原価なんですよ。また、ちゃんとした物品調達、これがやはり原価なんです。それを、コストを下げるという目的によって零細な納入業者の方々が排除されていく、また、ちゃんと仕事をしている方が希望の持てない劣悪な労働条件で働いていく前提で利益を上げてどうするんですか。
○柿澤委員 終わります。
原口大臣、申しわけありませんでした。
○鹿野委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。
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○鹿野委員長 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
第一分科会主査平岡秀夫君。
○平岡委員 第一分科会主査の平岡秀夫でございます。
第一分科会について御報告申し上げます。
その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。
まず、皇室費については、陵墓の学術的調査の必要性など、
次に、内閣所管については、税・社会保障共通番号制度の検討状況、現行法律の整理の必要性など、
次に、内閣府所管については、サマータイム制度導入の効果、自動二輪車の駐車問題、地域主権のあり方など、
次に、防衛省所管については、在日米軍施設等の返還の見通し、沖縄の米軍基地問題などでありました。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第二分科会主査池田元久君。
○池田委員 第二分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、総務省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、地域主権改革の推進、地方財政支援への取り組み、地域再生への方策、ICT政策推進の必要性、地上デジタル放送開始に向けた取り組み等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第三分科会主査吉田公一君。
○吉田(公)委員 第三分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、日米間における密約問題、在日米軍基地問題、民主党マニフェストにおける財源確保策、取り調べの可視化、難民支援のあり方、鳩山内閣の核軍縮の考え方、納税者番号制度の問題点、災害復興支援による国際貢献のあり方、親権のあり方等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第四分科会主査海江田万里君。
○海江田委員 第四分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑内容は、教職員の質の向上、途上国における教育支援、学校統廃合のあり方、教職員の健康管理、子育て支援策の充実、私学助成のあり方、自然科学、世界遺産による地域活性化、スポーツ施策の現状等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第五分科会主査伴野豊君。
○伴野委員 第五分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、厚生労働省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、難治性疾患患者に対する支援の充実、不育症の治療環境の向上策、健康日本21の評価、放課後児童クラブのあり方、後期高齢者医療制度見直しの方向性等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第六分科会主査山口壯君。
○山口(壯)委員 第六分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、戸別所得補償制度のあり方、農業政策への事業仕分けの影響、森林・林業再生プランのあり方、農業用ダムの問題点、築地市場移転問題、農業における成長戦略、クロマグロ漁に係るモナコ提案への対応、再生可能エネルギー利用の推進、温室効果ガス削減中期目標等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第七分科会主査岡島一正君。
○岡島委員 第七分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、再生可能エネルギーの利用拡大策、石炭利用の将来展望、今後の原子力政策、中小企業対策の充実、レアメタルのリサイクル促進、軽自動車に対するエコカー減税のあり方等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 第八分科会主査古賀一成君。
○古賀(一)委員 第八分科会について御報告申し上げます。
本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。
詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、道路・港湾・河川整備の推進、公共事業の選定基準、交付金による地方支援、鉄道における転落防止策、離島支援の方針、貨物線路使用料制度のあり方、新幹線整備の財源等々であります。
以上、御報告申し上げます。
○鹿野委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。
次回は、明二日午前九時から委員会を開会し、締めくくり質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十八分散会