第3号 平成22年3月1日(月曜日)
平成二十二年三月一日(月曜日)午前十時三十分開議
出席分科員
主査 古賀 一成君
打越あかし君 畑 浩治君
若泉 征三君 田中 和徳君
谷川 弥一君 大口 善徳君
兼務 小里 泰弘君 兼務 福井 照君
…………………………………
国土交通大臣 前原 誠司君
国土交通副大臣 馬淵 澄夫君
国土交通大臣政務官 長安 豊君
国土交通大臣政務官 三日月大造君
国土交通委員会専門員 石澤 和範君
予算委員会専門員 杉若 吉彦君
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分科員の異動
三月一日
辞任 補欠選任
金子 一義君 田中 和徳君
谷川 弥一君 金田 勝年君
同日
辞任 補欠選任
金田 勝年君 谷川 弥一君
田中 和徳君 金子 一義君
同日
第四分科員福井照君及び第六分科員小里泰弘君が本分科兼務となった。
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本日の会議に付した案件
平成二十二年度一般会計予算
平成二十二年度特別会計予算
平成二十二年度政府関係機関予算
(国土交通省所管)
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○古賀主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。
平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
○田中(和)分科員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。
現地時間で二月二十七日午前三時三十四分、南米チリ中部でマグニチュード八・八の巨大地震が発生しました。多くの方が亡くなられ、甚大な被害が起きております。亡くなられた方に哀悼の意を表し、被災された方に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。
我が国でも、大津波等の警報が発せられるなど、二十四都道県、六十六万世帯、百四十九万人に避難を促したところでございます。岩手県の久慈港、高知県の須崎港で最大で一・二メートルの海面上昇が見られ、また各所で道路や住宅などに冠水被害が起きております。
一方、私も確認を十分しておるわけではございませんが、鳩山総理が何か防災服を着ないままに記者会見をされたというような話が伝わってきておりますし、また、政府の大臣、副大臣、政務官の御関係の方々、特に危機関係に関係の深い方たちの対応が少し遅かったのではないかという話も出ておるところでございます。そういうことについて、前原大臣はそんなことは当然なかったと思いますし、国土交通省として考えれば一番重要な大臣でもいらっしゃるわけでございまして、どのように今回被害を受けられたことに対して感想をお持ちなのか、どのように対応されたのか。
またもう一点、ハイチのときに非常に我が国の対応がおくれたということで評判が悪かったわけでございますけれども、今回はチリに対してどのような対応を取り急ぎされるのか、ぜひお伺いをしておきたいと思います。
○前原国務大臣 鳩山総理、また官邸からの指示によりまして、国土交通省におきましては、二月二十八日九時三十三分、これは津波警報、大津波警報が発令された時刻でございますけれども、非常態勢に移行をいたしました。そして、委員御承知のとおり、国土地理院とか、あるいは気象庁、海上保安庁、地方整備局、それから地方運輸局、さまざまな方面に指示を出しまして、万全を期すようにということで、さまざまな対応をとらせていただいたということでございまして、国土交通省全体として、また政府全体として、遺漏なきよう万全を尽くせたと考えております。
また、先生お尋ねのチリの大地震に対しての日本国政府としての対応ということでございますが、これも鳩山総理含め官邸で御検討されているというふうに認識をしております。
○田中(和)分科員 私たちの政権のときにも、危機管理に当たる閣僚等の対応というのは国民のまさしく注視のもとであり、そこに危機対応ができるかどうかという政府の信頼がかかっておるわけでございまして、まさしく指摘されることのないような対応が常になされるように努力をしていただかなければいけないと思います。この場に総理がいらっしゃらないものですから、これ以上の確認をすることができないわけでございますけれども、前原大臣におかれては、ぜひひとつよろしくお願いをいたしておきたいと思っております。
それからもう一点、コンクリートから人へ、このところコンクリートから小沢さんへというやゆの言葉もございますけれども、こういうときにこそ、公共事業というのか、港とか道路だとか堤防だとか、護岸のいろいろな問題等を含めて、国民から、どうなっているのかな、こういう問い合わせがわっと出てくるわけでございます。
私は、コンクリートという言葉がうまく表現できているかどうかは別にして、まさしく国民を守る、国を守るということは、ここに原理原則があると思うんですけれども、大臣、どのようにお考えなのか。ここをひとつ、国民に向けて、万全の措置をとっていくんだ、予算は厳しいけれども、いろいろなことはあるけれども、とにかく誤解を与える言葉がコンクリートから人へでございますから。人とコンクリートというのは、実は対立することではないんですよね。ぜひその点を大臣からお答えをいただきたいと思います。
○前原国務大臣 我々、コンクリートから人へというフレーズを使わせていただいている背景には、人口減少社会になっているということと、少子高齢化が進んでいる、またGDP比一・七倍もの長期債務をこの国が抱えているということから、医療、年金、介護、教育、子育て支援、そういったものにもっと力を入れていかなくてはいけないということで、予算配分の比重をコンクリートから人へということで申し上げているわけでございまして、コンクリートが悪いとか、あるいは公共事業自体が悪だとか、不要だとか言うつもりは毛頭ございません。
大事な公共事業については、制約要因の中ではございますけれども、しっかりやっていくということが大切だと考えておりますし、今委員が御指摘をされた防災対策あるいは災害対応というものは最も重視をすべき点だと思っております。
また、今までつくりましたさまざまな道路、港湾、あるいは空港、鉄道、インフラ、この維持管理というものもこれからしっかりやっていかなくてはならないと考えておりますので、コンクリートが悪いわけではない、予算配分の重点を変えたということでそういったフレーズを使わせていただいているということを御理解いただければと思います。
○田中(和)分科員 日本はまさしく自然災害の列島とまで言われるほどいろいろなことが想定されるわけでして、コンクリートから人へというのは、大臣はそう言われるけれども、相当誤解が国民の方に伝わっているんですよ。これは、大臣、各所で言い返しておかないと、今の答弁を繰り返し繰り返しおっしゃらないと、民主党政権というのはどういうことになっているのかなとみんなが心配すると思いますよ。
いよいよ本論に入ってまいりますけれども、羽田の空港が、いよいよ第四滑走路、D滑走路といいますけれども、ことしの十月に完成となります。供用開始ということになることを、私はもう本当に羽田の飛行場の前が、多摩川を挟んで選挙区でございまして、本当にメリットがあるわけでございますけれども、後でお話ししますが、デメリットも実はあるんです。地域の人が心配されることもたくさんございます。
そういう中で、空港の第五番目の滑走路を検討されるというようなことがちょっとマスコミ報道であったわけでございまして、第四滑走路がまだできる前の第五滑走路というものはどういうものなのかな、こういうことで、どういう状況なのかお尋ねをまずいたします。
○前原国務大臣 そのような報道が一部なされたことについては私も承知をしておりますが、国土交通省として具体的な検討をしているということは全くございません。
第四滑走路は十月にできます。現在三十・三万回の離発着回数というものを四十四・七万回まで上げていくということ、同時に、首都圏一体運用ということで、成田につきましても二十万回から二十二万回、そして三十万回にまで離発着の枠を広げていくということでございますので、この羽田と成田の枠を拡大する中で有効的な活用をしていくということを一義的に考えているところでございます。
○田中(和)分科員 これは運輸政策研究機構という財団法人の試算だそうでございますが、四十一万回に増強される離着陸の本数でございますけれども、このすべての羽田空港の発着の容量が十年後にいっぱいになる、二十年後には航空需要が九十三万六千回にふえる、こういうような話があるんですね。
これは、今後ハブ空港化していく羽田のことを考え、我が国の非常に大きな、いろいろなインフラ、経済効果ということも考えれば、いろいろな考え方があるんだろうと思います。
首都圏の第三空港というのをつくろうという話が過去にあったことも、大臣が御存じかどうかわかりませんが、それは、川崎の沖合でどうかという話があったんです、そして、今の羽田と、何か新システムの交通機関でつなげば一体として使えるんじゃないかと。しかし、それよりも、とりあえずは羽田の空港を整備しようということになっていったわけですね。
このいきさつというのは大変長いいきさつがありまして、なかなか国土交通省としては腰を上げなかったんですが、いろいろな議論があって、政治レベルの話で最終的には決まっていったわけですよ。
このことで幾つもの約束があるんですが、その前の、前段の確認をしておきたいと思うんです。
私の選挙区というのか、川崎市百四十万の中心地ですが、川崎区、幸区、中原区ですが、この地域の人口は日本で一番ふえていまして、もう多分日本一の、三百の小選挙区の中でトップになっているんじゃないかと思うんです。それだけに、実は、上空を通る飛行機の数というものが非常にこのところふえた、うるさくなった、万が一おっこちることはないでしょうね、こういうことが、各方面に問い合わせがあったり苦情があったりしているんですが、どんなふうにふえたのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
○前原国務大臣 米軍が今まで管理をし、また今も一部は引き続き管理をしております横田空域というものが一部返還をされまして、これが平成二十年の九月の二十五日でございましたけれども、それを機に、広島、福岡、ソウル方面便というものが、今まで川崎を通っていなかった一日百十便程度が川崎上空を通過するということになりました。
ただ、本年一月十四日に首都圏空域の再編に伴う出発経路の運用方法の見直しを行いました結果、現在は、川崎上空を通過する航空機は二十便ほど減少いたしまして、一日九十便程度になっております。
○田中(和)分科員 これは羽田のエアコントロールゾーンのお話でございますが、アメリカとの協議の中でこうなったということで、これは結構なことなんですけれども、実は、ゼロだったものが、ことしの一月十三日までは百十便通ったわけですから、それはびっくりした人もいたと思います。
このほかに、デメリットの部分ですけれども、市民がいろいろと負担をさせられる部分なんですけれども、もう一点、羽田があるために、近隣の建物の高さ制限があるんですよ。四キロまでは四十五メートル、それから、十六・五キロメートルまでは百メートルについて二メートルずつのかさ上げができるんですけれども、川崎のあの臨海部は、非常に産業の集積地でありますし、さっき言ったように人口の密集地ですから、それだけに、いわば大変な影響があるということも言えるわけです。
こういう地元の負担がありながら、さらに、建設のゴーサインを出す前提として、一千三百億円の話がございます。一千億円は東京都が負担をされたわけですけれども、あとの三百億円は川崎市と横浜市と神奈川県がそれぞれ負担をして、一千三百億円、政府に貸し付けをしたわけですね、無利子貸し付け。これはお互いに、千葉のいろいろなことはありました、千葉の話はきょうは余り申し上げませんけれども。千葉は千葉でいろいろな声を発せられたわけでございますが、神奈川県の方も、地元にメリットがあるならばと、こういうようなことでこういう協力に応じたわけですね。
そのときの話というのは大臣は御存じでしょうか。
○前原国務大臣 中身は存じ上げております。
東京都が一千億円、そして神奈川県、横浜市、川崎市がそれぞれ百億円、無利子貸し付けをしていただくということで第四滑走路というものができるということは存じ上げております。
○田中(和)分科員 神奈川県知事がこのお金を払いたくないとか、神奈川県知事だけじゃありません、川崎でも大問題になりました、当然横浜市でもあったでしょう。
なぜそういうことを今言っているかということは、もう供用開始が間近に迫っている羽田の第四滑走路の、建設前の、ゴーサイン前の約束が全く果たされていないからなんですよ。なぜこんなことになったんですか。
○前原国務大臣 事情は御地元の田中委員の方がよく御存じだとは思いますけれども、全く果たされていないということにはならないのではないかと思いますし、また、自民党政権下での経緯も先生は恐らくよく御存じなんだろうというふうに思っております。
いろいろな経緯があったというふうに存じ上げておりますが、松沢知事からもお話をいただきまして、私が、東京側と神奈川側の双方の空港周辺自治体同士で意見交換が進むようにということで、恐らく先生が一番気にされている大田区も含めて、昨年の十二月には羽田空港臨空都市懇談会を設置させていただきまして、この議論は順調に進んでいるというふうに認識をしております。
○田中(和)分科員 これは大変国土交通省にも重大な責任があると私は思っていますけれども、東京都と神奈川県側、川崎も含めて、これはそこそこ話がうまくいっていたと思うんですよ。ところが、大田区が、地元に全く相談がなかったということで、もう全く横向きになってしまったんですね。川崎と多摩川一本ですから、川崎市長が大田区長さんにごあいさつかたがた御相談に上がりたいと言ったら、会っていただけないんですよ。
私は、過去に石原東京都知事さんからもいろいろな御要請があって、ともに力を合わせましょう、そのかわり約束はお互いに守りましょうねということだったんですが、その話がつかないものですから、多摩川を、ブリッジをかけるのかトンネルを掘るのかという話はどうもブリッジに傾きそうでございますけれども、その話が結局、大田区側から協議に乗らないということであれば、一向に前に進まない。そして、国土交通省はもう本当におか目八目というのか、わきで見ているだけで評論家みたいな話で、汗をかこうとしていないような気が私はしてならないんですね。
これは、もう言えば切りがないほどいろいろな流れがありまして、こういう状況で、一つはもう供用開始、片一方は何も前に進まない。
あの川崎のところのいすゞの跡地というのは、ぜひ大臣も行って見ていただきたいと思うんですが、あの土地が、広大な土地が、都市再生機構も大分用地を取得していますけれども、民間の企業も先を見越して御協力をいただいているんですが、全くこれが空き地になって、具体の計画もほとんど立たない。
首都圏にとって、川崎側は本当に広大な用地が待っているわけです。エアカーゴのことだって何だって、非常に機能的に力を発揮できる状態なんですけれども、これは、多摩川を通ることができなかったら、橋が、トンネルができなかったら何にもならないですよ。羽田側は狭隘ですよね。もうわかり切った話です。このことに国土交通省としてどうしてもっと指導力を発揮してくれないのか。
大臣、就任されたばかりですけれども、でも供用開始、時間が刻一刻とたってくるわけですね、もう迫ってきます。どうされるのか、ここら辺のことが一番きょうの重要なやりとりになるんです。
○前原国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、今委員のおっしゃった問題意識というのは十二分に我々も認識をしております。したがって、鳩山政権になってから、十二月に羽田空港臨空都市懇談会というものを設けて議論を始めております。
そこには国土交通省航空局の空港部長、これは座長をさせていただいております、そして先生の御地元の川崎からは総合企画局長さん、まちづくり局長さん、そして大田区からも副区長、そして空港担当部長さんも出てきていただいておりますので、こういったところの議論をしっかりと、座長が航空局の空港部長でございますので、コーディネートさせていただいて、具体的な議論が進むように努力をさせていただきたいと考えております。
○田中(和)分科員 大臣、はっきり言いまして、この臨空都市懇談会というのはほとんどまだ機能していないんですよ。そういうテーブルが用意されたようなされないような、たまたまこういう名前をつけているだけでして、本当にこれはよくわからないんです。大田区の主張が変わっているわけでもないし。
これは東京都の責任も大きいんですよ。初めから、東京都があの飛行場を推進するためにどれだけ多くのことがあったか、約束があったかということも含めて、これは責任を持ってもらわなきゃいけないんですが、東京都と国土交通省の約束もあり、最終的には当時から国土交通省がイニシアチブをとってきたんですね。
ですから、こんな、飛行場に第四滑走路ができてから、これから考えますなんて、これから相談するんですなんというのは、とてもじゃないけれども、我々からすると、我々というより神奈川県側、川崎側からすると、許せない背信行為、こういうことになるわけですね。こんなことがあっていいはずはないんですけれども、ここまで時間が経過してしまったということがあるんですが、このことについて、ただこれから相談しますという答弁ではとても納得がいかないし、私も地元に説明ができない。
きのうも実は市長と一緒だったんですよ。こういう話をするよと言ったら、ぜひ厳しく、国土交通省に責任をきちっととってもらえるように、いい答弁をもらってきてくださいということを言っておられましたけれども、本当にこれは重大なことなんです。
神奈川口構想とも言っていますけれども、神奈川口構想というのは、当時、鉄道まで引き込む、それから、神奈川口をつくったらそこで出入国の手続まですべてできるというワンストップサービスも含めて、そういう事業計画だったんですが、そのことについても、大臣、どのように考えていらっしゃるか。
これからだって、やろうと思えば、すばらしい利便性を高める、観光立国日本だとか世界のハブを目指す東京だとか、本当にこういういろいろなことを考えると、すべてそこへつながってくるわけですけれども、責任の話も含めてもうちょっと御答弁を願わないと、納得して地元へ帰れないなと思います。
○前原国務大臣 アクセスの話が大きなポイントだと思いますが、これは、田中委員の御努力もあって、平成十九年だったと思いますけれども、大師橋が六車線になりまして、その結果としてかなり渋滞は緩和されているというふうに伺っております。これは前政権下で行われたことでございますので、そういった御努力がなされたんだと思っております。
さらにということで、私も、観光立国、そして羽田の二十四時間国際拠点空港化ということを申し上げておりますし、神奈川からの、特に川崎からのアクセス、その背後には横浜市も抱えているわけでありますので、そういった意味では、そちらの方面から羽田を利用していただく方々への利便性の向上というのは極めて重要だと思っております。
そういうことも踏まえて、羽田空港臨空都市懇談会というものを、座長を国土交通省航空局でやらせていただいておりますので、申しわけ程度につくったという御指摘でございますけれども、ステークホルダーの自治体の皆さん方に集まっていただいて、議論をしっかりする中で前進をさせていくように努力をさせていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでございましょうか。
○田中(和)分科員 大臣、松原区長に会ってくださいよ。それから、東京都知事とも話してください。そうしないと、これは困るんですよ。
それから、羽田の機能を考えると、東扇島を初め川崎側の臨海部というのは、そのために非常に用地が確保してあるんです。これを使わないという手はないですよ。今後、エアカーゴだって、国際線が入ってくるとなれば、今でも成田は日本でナンバーワンの海と空の港の位置づけになっていますよ、合わせて。ナンバーワンです、成田が。それがもういっぱいなんですよ。それを羽田に持ってきたときにどうやって機能させるかというのは、これはもう言わずもがなの話です。
ぜひひとつ、大臣と松原区長で、懇談会どころかお話し合いをひざ詰めでやっていただいて、こんなにおくれておくれて約束が何一つ守れなかった事態を解決していただく。これは国土交通大臣としても名が大変上がりますよ。
それから、もう一点。一点というか二点というのか、今、海の港川崎、東京港と言った方がいいんですか、横浜と川崎と東京湾、スーパー中枢港湾といった事業化もあるわけでございますけれども、これは海と空をつなぐことによってすごく生きてくるんですよ、川崎の港というのは本当に至近の距離ですから。そういうことからすると、これは大変な国益がかかっている。
もう一点。これは松沢知事も言っておりますけれども、羽田から成田までのアクセスをどうするんだと。
国土交通省は今の、既存の鉄道を整備してやっていくことが次善の策ではないかと言っておられますし、また、我が党の林幹雄先生などを中心に、また松沢知事も言っておられますけれども、新しい、すごい、リニアモーターカーのようなものを通して一瞬でつないだ方が国益につながるんだ、今そろばん勘定だけしたって、未来のそろばん勘定をもっと大きくやっていかなきゃいけないんだ、こういう御意見もございますね。
いずれにしましても、これは非常に重要なことでございますけれども、その点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
○前原国務大臣 今お話を伺っておりまして、これは、先生の選挙区の事情ということをはるかに超越した、国益の観点で御質問されていると認識をしております。重く受けとめて、しっかり対処させていただきたいと思います。川崎口の話、メモにもちゃんと書かせていただきました。(田中(和)分科員「区長に会うかどうか。会ってください」と呼ぶ)
まずは少し知事ともお話をさせていただく中で、大事なことだという認識はしっかり持ちましたので、ぜひまた先生に御報告できるように頑張らせていただきたいと思います。
○田中(和)分科員 時間が来ましたけれども、もうちょっとどんと踏み込んだお返事がしてもらえるものだと期待しておったのでございますが、行動する大臣として、ぜひこれは、党派も何もありませんよ、日本の国益です。本当に日本の浮沈をかけた重大なことなんですよ。ですから、大田区の、地元のお気持ちも私もわからないわけではないんですが、ぜひひとつ、大田区を説得していただいて、早く国の約束どおりの施策を達成していただきたい、こう思っております。
終わります。
○古賀主査 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。
次に、小里泰弘君。
○小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。
きょうは、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
チリ地震につきましては田中委員の方から質問がございましたので、重複を避けさせていただきますが、災害対策といいますと、私たちの日本、国土にとって大変大きな課題となっております。
私どもの鹿児島では、平成十八年の七月、鹿児島県北部一帯を集中的な、記録的な豪雨が襲いました。川内川、米ノ津川を中心といたしまして、戦後未曾有の災害となったわけであります。道路が寸断をされまして、まさに道なき道をたどりながら、やっとの思いで陸の孤島と化した現地にたどり着いた。そのとき目の当たりにした光景というものを私は忘れることができません。
以来、地域の皆さんと一丸となって、東京への陳情活動も重ねました。また、国会での議論も重ねてまいりました。そして、おかげさまで、川内川、米ノ津川両流域に河川激特事業というものが採択をされまして、それぞれ整備が進んでいるところでございます。一応、来年度いっぱい、平成二十二年度いっぱいで完成予定でございます。米ノ津川の方は若干おくれがございますので、繰り越しにもなろうかと思いますが。
いずれにしましても、計画どおりに、予定どおりにこれをやり上げたい、政権がかわっても人の命の重さは変わらない、その共通した思いのもとに推進をしていただけると信ずるものであります。大臣の見解をお伺いいたします。
○前原国務大臣 小里委員にお答えをいたします。
私が初当選のときだったと思いますけれども、阪神・淡路大震災が起きまして、お父様が防災担当として非常に大きな役割を果たされて、対応そしてまた復旧復興に御尽力をされたこと、大変私は敬意を持って見させていただきました。その御子息の委員からの御質問でございます。
川内川についてでございますけれども、これは、政権がかわろうが全く変わりなく、しっかりとこの激特事業、おおむね五年間で実施をするということでございます、しっかりと引き続き努力をさせていただくということをお約束いたします。
○小里分科員 ありがとうございます。
阪神・淡路大震災に触れていただきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。私も、当時は大臣秘書官として現地へ飛びました。週末ごとに二十数回飛びまして、被災地を駆けずり回ったことを思い出しているところでございます。当時の教訓もございまして、平成十八年の災害にも当初から対応してまいりました。
基本的に、治水事業というものは、川がよどんでいるところを流れをよくするということがあると思います。その結果、当然下流の方に水量が大きく行きますので、下流が今度はいわば人的災害になってしまう、そういうおそれもあるわけでございます。そしてまた、下流域の方ほど平野部が開けていまして、都市化が進んでたくさんの人が住んでおられる。そんなこともありまして、えてして上流より下流の方から治水は進められてきた、なかなか上流までたどり着かない、そういった経緯があったわけであります。
ところが、上流にはやはりたくさん人が住んでいるし、そこには生活があり、文化があり、産業があるんですね。したがって、上流、中流、下流の区別なく、それぞれの危険箇所の解消をしっかり図っていかないといけない。そこで、これを同時にやっていこうということでこの激特事業が採択をされた、そんなふうに思っております。
例えば、川内川のちょうど中間ぐらいに位置するのが鶴田ダムであります。これは激特事業とは別でありますけれども、これが、再開発事業も御採択をいただきました。この鶴田ダムは、下流を災害から防止する、その機能ももちろんあります。同時に、上流を改修する、改良する、その水を受けるために、鶴田ダムの洪水調節容量というものを増していこう、そういう計画であるんですね。したがって、これは、ひとり下流のみならず、上流を含めた川内川全体にとっての治水のかなめとなるわけであります。
ダム事業、いろいろ議論があるところでございますが、こういった川内川にとっての鶴田ダムの位置づけをかんがみていただいて、これもまたしっかりと予定どおりにとらえていただきたいなと思いますが、見解をお伺いいたします。
○前原国務大臣 中流にある鶴田ダムの再開発につきましても、しっかりと事業完成までやり遂げるということで、引き続き努力をさせていただきたいと考えております。
○小里分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
続いて、また関連して地元の話で恐縮でございます。川内川鹿児島県部の最上流部、湧水町吉松町部であります。ここの川内川の部分で、河川激特事業の中で掘削事業というものが採択をいただいております。
あわせて、阿波井堰というものがあります。これは、地域の利水、そして発電のために昔からあるんですが、これがあるがために、そこで一気に流れがよどんでしまってあふれて、地域の洪水の元凶になってきた。これを何とかしてほしいというのが八十年来の地域の悲願でありまして、これが激特後の具体的な事業として採択をいただいております。これが、昨年度、調査費を四千五百万円つけていただきました。そして、調査、測量、設計、これが順次進んできております。いよいよ新年度、実施設計、そして二十三年度から用地買収、工事着工というような段取りになっているわけでございます。
地域が八十年来にわたってこの阿波井堰のために苦しめられてきました。やはり、地域がいつまでもそうやって災害に苦しめられている状況では、地域に人が住まなくなる、産業も起きてまいりません。地域の安心、安全を確保する、このことこそが地域発展の基本であると思います。
これもまた予定どおりにしっかりと進めていただきたいな、これがあって初めて川内川全体の治水が成る、そんなふうに思います。ちょっと具体的なことで恐縮ですが、大臣、もし何でしたら事務方からお答えいただいてもいいんですが、よろしくお願いします。
○前原国務大臣 小里先生、これは吉松のあたりでございますか。(小里分科員「そうです」と呼ぶ)姶良郡湧水町ですね。
激特事業に採択をされているものにつきましては、先ほど申し上げたように、しっかりと取り組ませていただきたいと考えております。ちょっとその阿波井堰というものが、個別名を存じ上げないものですから申しわけございませんが、激特事業として採択されているものについてはしっかりと最後までやらせていただきたいと考えております。
○小里分科員 急な質問で恐縮でございましたが、吉松町部は激特事業の中で掘削事業があります。これに続く事業として阿波井堰を国交省においてとらえていただきまして、おととし、これをしっかりやっていこうと互いに確認をさせていただいております。先ほど申し上げたような経緯でございますので、ぜひ計画どおりにお願いしたいと思います。
○前原国務大臣 それでは、詳しく調べまして、先生に結果を御報告させていただきたいと思います。
○小里分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、整備新幹線についてお伺いをしてまいります。
昭和四十八年、いわゆる整備五線の整備計画決定以来、歴代の先輩の方々そして沿線の皆様の涙ぐましい努力のもとに、札幌から鹿児島まで国土に一本の背骨を通すんだ、まさにその信念のもとに進められてきた整備新幹線の計画でございます。環境に優しく、省エネにすぐれ、そして安心、安全な、確実な大量高速交通機関としての新幹線へのシフトは、世界的な傾向であると思います。これをしっかりと推進していかなければなりません。
そこで、整備新幹線の歴史を振り返りますと、その節目節目におきまして、新たな財源をみずからの努力で獲得して、それをもって延伸を図ってきた、新たな事業を展開してきた、その歴史でありました。
例えば、平成二年の特定財源しかり。あるいは、平成八年、国と地方で二対一で負担をし合っていこう、そういう新たなスキームを決めました。あるいは、平成十二年には公共事業関係費の増額を行いました。そして、平成十六年には特定財源の前倒しでの活用も決めて、延伸を進めてきたところでございます。
さらに、これから、北陸新幹線あるいは東北新幹線、さらにはまた北海道新幹線と延伸されるにつれて、財源が必要になってくる。それとともに、今度は大宮に集中してきますね。大宮から都心に入る区間、これが今でも新幹線がいわば渋滞をしているわけであります。これがさらに加速をされる。そこで、大宮―新宿間にもう一本つくろうか、そういう計画もあるわけでございます。その議論をする際に、例えば、道路特定財源から活用できないかとか、あるいは暫定税率の分からこれを活用できないか、そんな議論もあったわけでございます。
そういったことも含めて、今後、新幹線をしっかりと整備していく、その需要にこたえていくためには財源の確保が何より大事でありますが、大臣としてどのような方針をお持ちであるか、お伺いをしたいと思います。
○前原国務大臣 整備新幹線の財源についてのお尋ねでございますが、先ほど委員がおっしゃったように、今まで整備方式につきましては、JRみずから建設する場合を除きまして、鉄道・運輸機構が鉄道施設を建設し、そしてまた、機構が鉄道施設を保有してJRに貸し付けて、JRが鉄道事業を運営するということで、その建設財源には、機構の貸付料収入、残る経費を、先ほど委員が御指摘をされましたように、国と地方公共団体が二対一の割合で負担をする、こういう仕組みになっているわけであります。今は、国と地方、そして貸付料の前倒しという形で既着工区間については計画どおり完成をさせたい、このように考えているところであります。
未着工についてのお尋ね、あるいはそれよりも新たなものについてのお尋ねだと思いますけれども、今、省内におきまして、この整備新幹線にかかわる会議体をつくりまして議論させていただいております。その中の一つに、昔PFIといいましたけれども、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、今は概念を広くして、PPP、パブリック・プライベート・パートナーシップというようでありますけれども、民間の資本を入れて、新たな新幹線、整備新幹線を建設できないかということを内部で検討しておりまして、このPPPに関する分科会というものも鉄道局の中に今つくって検討しているところでございます。
委員御指摘のように、新たな財源をどう見出して地元の御要望におこたえをしていくのか、そしてまたそれが、特にPPPなんかでつくるということになりますと、それは民間の資本と知恵でも整備できるということにもなってまいりますので、あらゆる可能性を加味して、未着工区間をどう考えていくのか、あるいは新たな要望についてどうお答えができるのかできないのか、そういったものを検討してまいりたいと考えております。
○小里分科員 ありがとうございます。
この財源の問題は、我々も本当に長年一生懸命議論をし、研究をしてきました。相当に難しいです。難しいから、我々もまだ答えを持っていないわけでありますが、何とか知恵を絞っていかないと、新たな需要にこたえられない、新たな期待にこたえられないわけであります。ぜひとも前向きに、今御説明のあったような方法も含めて、しっかりと何とか議論をして、研究をして、答えを出していただきたいと思います。
続きまして、フリーゲージトレーンというものがあります。
これは、広軌の鉄道もあるいは狭軌の在来線型の鉄道も、車軸を広げたり狭めたりすることで自由に行き来できるという方式であります。これは、非常に利便性にすぐれているし、最小限度の設備投資で済みますから、大変大きな期待がかかって、研究が重ねてこられたわけであります。
アメリカのプエブロで、平成十一年から十二年だったと思いますが、実験がありました。私も、その当初、視察団、議員団に同行させていただいて、実験を見てまいりました。実際にフリーゲージトレーンに試乗をしたわけであります。相当なものでありました。そして、いかにも、すぐにでも、来年にでも実用化になりそうな、そんな雰囲気すら感じたわけでありますが、実は、以来十年以上経てもまだ実用化のめどが立っていないんですね。
このフリーゲージトレーン、期待はしたいけれども、余りいつまでもとらわれ過ぎていると、これからの全国の高速鉄道網計画にむしろ支障を与えるんじゃないか、私はそこを懸念するわけでありまして、そろそろ見切りのつけどころじゃないかなと。余りメンツにこだわるんじゃなくて、毎年開発費もかかるわけでありますから、ここは、そろそろ見切りをしっかりつけて、新たな方策をとらえていく、新幹線網の将来設計をしっかりと具体的なものにしていく、これが大切なんじゃないかなと思うところでございます。
見解をお伺いします。
○前原国務大臣 委員御指摘のフリーゲージトレーンにつきましては、平成九年度から本格的な技術開発を推進しているということで、具体的には、一次試験車での知見を踏まえて、平成十九年三月に新型車両を製作して、平成二十一年十二月まで在来線及び新幹線での走行試験を実施したということでございます。委員御承知だと思いますけれども、その結果、在来線の走行試験は目標速度の時速百三十キロは達成した、そして、新幹線走行につきましては目標速度の時速二百七十キロを達成したということでございます。
ただ、一点問題は、一部の急曲線部等では、曲線の大きさに応じて定められた目標速度を達成できなかったということでございまして、現在、課題となっている在来線急曲線部の走行性能向上などを図った新たな台車を製作して、実験室内で回転台試験を実施しているところでございます。
これらの試験結果を踏まえて、平成二十二年夏ごろをめどにこれまでの開発成果を取りまとめて、今後の見通しについて評価を行う予定でございます。
○小里分科員 ありがとうございました。
実際に実験の現場の人から聞きますと、かなり大きな壁にぶち当たっております。恐らくこれは無理だと思いますね。どうか大臣、しっかりとそこを再度確認いただいて、英断をもって正しき今後の方針をまた決めていただきたいな、そんなふうに思います。
フリーゲージトレーンといいますと、例えば、おかげさまで既に半分はもう鹿児島まで来ていますが、来年度、博多まで全線開通となります。そして、鹿児島まで来た新幹線のお客さんを、今度はそこからフリーゲージトレーンで各地に運んでいこう、そういう構想もあったんですね。ところが、そのフリーゲージトレーンがなかなか現実のものにならないものですから、それぞれ地域で努力をして、またJRさんにも御協力をいただいて、その方策を新たに展開しているところでございます。鹿児島からそれぞれの観光地にいかに引っ張っていくか、その経路というもの、方策というもの、受け入れ体制というものを今一生懸命進めてきております。
そこで、それぞれの拠点に来た新幹線のお客さんをさらにそれぞれの魅力ある地域に運んでいかないといけない。そのために国交省としてどんな支援策を準備いただいているか、お伺いしたいと思います。
○前原国務大臣 今お答えをさせていただきましたとおり、まず、このフリーゲージトレーンというのは、長崎新幹線というものを考えて今開発を進められているというふうに伺っております。今委員からおっしゃった、長崎新幹線以外の活用についてということでございますけれども、さまざまなニーズというものを伺う中で、それが果たして実用可能なのかどうなのかということを、地元の委員初め皆さん方の御意見を伺いながらしっかりと対応していきたい、このように考えております。
○小里分科員 どうぞよろしくお願いします。
地域を歩きまして、住宅地に行きますと、通学路が狭い。どうも子供さん方が危ないな、何とか道路を広げてほしいと。あるいは、限界集落に行きますと、道路がまともにないから若い人たちがみんな出ていくんだ、ぜひ道路を整備してほしい、そんな声は典型的な声でありまして、まさに道路整備というのは、いまだに各地において大きな要望があるわけであります。
中でも、高速道路、高速交通体系の整備が大きく求められているわけでありまして、私どもの鹿児島では、今、西回り高速自動車道の整備がおかげさまで進んでおります。特に北部の方では、残されておりました出水―阿久根間の整備も昨年からスタートをしたわけであります。今、鋭意用地買収そして工事が進められております。
これが完成をしますと、地域内外の交流が促進をされます。そして、農業、観光を初め地場産業の振興にもつながってまいります。あるいはまた、地域にとりまして、出水は、NEC、パイオニア、大きな企業が撤退をいたしまして、大変深刻な悩みになっておりますが、こういった新たな企業誘致を図る上でも、道路体系、高速道路体系の整備というのは大きく待たれているところでございます。
これも、一応の計画として、今回、昨年着工した部分については向こう七年ぐらいのうちには完成させたいね、そして西回り高速自動車道全体としては十年ぐらいのうちには完成させたいね、そういった国交省とのお互いの意思疎通のもとに、地域の皆さん一丸となってこれを進めているところでございます。
ぜひこれを計画どおりお進めをいただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。
○前原国務大臣 今、小里委員が御指摘をされました南九州西回り自動車道は、八代から鹿児島に至る延長百四十キロメートルの高規格幹線道路でございまして、熊本県南、鹿児島西薩地域の沿線都市と拠点都市鹿児島市を連絡し、九州南西部の地域経済の活性化と安全、安心の確保に寄与する路線だと認識をしております。
これまでに、熊本県側の八代ジャンクションから芦北インターチェンジ間及び鹿児島県側の薩摩川内都インターチェンジから鹿児島インターチェンジ間の合計約六十五キロメートルが供用済みとなっております。
残る区間のうち、熊本県の芦北インターチェンジから鹿児島県の鶴川内インターチェンジ間及び川内インターチェンジから薩摩川内都インターチェンジ間の合計約五十五キロメートルについては、現在、調査設計、用地買収及び工事等を進めているところでございます。
このうち、鹿児島県側の川内インターチェンジから高江インターチェンジ間の三・五キロメートルについては、平成二十四年度を供用目標に整備を進めているところでございます。
着々と進めていきたいと考えております。
○小里分科員 ありがとうございます。
着々と進めていただく、計画どおり目指していただける、そういうふうに解釈をさせていただきたいと思います。
続きまして、社会資本整備総合交付金についてお伺いいたします。
二〇一〇年度に、個別の交付金、補助金を統合して、社会資本整備総合交付金として制度化するということでございます。公共事業が地方の経済を下支えしているという観点から、年度当初から確実に事業執行できるように整備体制をとっていく必要があろうと思います。
特に鹿児島県などの地方部におきましては、公共事業は、経済や雇用の面でも地域を支える効果が非常に大きいものがあります。事業執行のおくれは、地域経済に大きく影響を与えることが懸念されるところでもあります。
制度創設後に地方自治体が作成することになっております社会資本総合整備計画の策定、審査には期間を要することも予想されます。特に継続事業については、交付金事業への移行に伴う経過措置を別途講じるとされているところでもございます。
全体を踏まえて、今後どのようなスケジュール、形になっていくのか、お伺いをいたします。
○前原国務大臣 今、小里委員から御指摘を賜りました社会資本整備総合交付金でございますけれども、地域主権の確立に向けまして、地方公共団体が地域のニーズに合った社会資本整備を行うための新たな交付金として創設をしたものでございます。
この交付金は、従来の個別補助金とは異なりまして、各種インフラ整備の自由な選択や、創意工夫を生かしたソフト事業も実施可能な総合交付金となっております。また、関係事務の一本化、統一化による事務負担の軽減、交付された国費の効率的な充当が可能になること、また、社会資本整備事業の効果を一層高める事務事業の実施が可能となって、今までよりも地方公共団体の自由度や使い勝手が大幅に高まるものと考えております。
今委員が御指摘をされたように、移行期に当たりまして、しっかりと万全を期して、地方自治体に迷惑をおかけしないように努力をしてまいりたいと考えております。
○小里分科員 二〇一〇年度の公共事業費総額が大幅に削減をされました。そういった中で、結果として、社会資本整備がおくれている地方の整備がさらにおくれる、地方間格差が拡大をする懸念が生じているわけであります。地方自治体への予算の配分に際しましては、そういった社会資本整備のおくれた地域への御配慮というものをぜひよろしくお願いしたいと思います。
おかげさまで、予定した質問につきまして、ポイントを得た大変御丁寧な御答弁をいただきました。まことにありがとうございました。
○古賀主査 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。
次に、福井照君。
○福井分科員 おはようございます。尊敬する古賀先生のチェアのもとに、こうやって質問をさせていただきますことを光栄に存じます。
きょうはいろいろ御質問させていただきたいと思いますが、まず、昨日の津波の災害予測に対しまして、国交省のとった態勢、そして、反省があれば、今後このようにしたいということがございましたら、昨日の事実関係を踏まえて、まず御紹介いただきたいと思います。
○前原国務大臣 福井委員にお答えをいたします。
国交省といたしましては、鳩山総理、また官邸の指示のもと、昨日は、国土交通本省といたしまして、津波警報あるいは大津波警報が発令をされました九時三十三分に非常態勢をしかせていただきまして、地方整備局、地方運輸局、あるいは国土地理院、気象庁、海上保安庁等々に指示をいたしまして、万全な態勢というものをとらせていただきました。また、それに当たりましては、関係各方面との連携、特に地方自治体との連携というものをしっかりとやらせていただき、準備には万全を期せたのではないかと思っております。
また、注意報は解除されたわけでございますけれども、今後の対応についても気を抜かずにしっかりと取り組んでいきたい、このように考えております。
○福井分科員 ありがとうございました。
大臣は、だから急遽新潟からお戻りいただいたそうでございまして、本当にありがとうございました。日本の海岸線、三万三千キロありまして、主たる海岸管理者、国交大臣でいらっしゃいますので、ぜひこれからも二十四時間体制でお願いしたいと思います。
それで一つ、ちょっと専門的になりますけれども、気象庁の予報、決定論的に、これは二メーター、これは三メーターという予報が流布された、流布というかマスコミを通じて国民に知らされたわけですけれども、これは全般的にいいまして、統計学的なリテラシーというのはないんですよね。ちょっと話が迂遠しますけれども、八月三十日の私の印象もスイングしたというのはありますけれども、国民的なメディアリテラシーというものが余りにも不足しているということと、それからメディアのリテラシーですね。
メディアの方が、統計データを見て、これは横ばいなのか下がっているのか。きょうの日経新聞にもありましたように、四五から四三、下がっているとありましたけれども、下がっているわけないんですね。それはどうしてわかるかというと、サンプル数とソーティングした箱の数によって、カイ自乗検定という検定手法があるんですけれども、その統計学の手法によって、これは信用できるのかできないのか、下がったと言えるのか言えないのか、横ばいとしか言えないのか。これは副大臣が御専門かもしれませんけれども。そういう統計学的な知識、知恵を持った方がメディアにいて、その方が情報を流さないと、正確に国民は情報をゲットすることができないんです。今、この戦後数十年間、特に、間違った情報、ミスリーディングされたことがいっぱいあるんです。
そういう、統計学に基づいた情報の流し方という基本はあるんです。それと同様に探るというので、きのうの津波の高さも、これはもう計算結果でしかないんですね。五十年前のチリ地震の、海底地形は一緒ですから、マグニチュードによって外挿して、それは一つのデータで予測してもいいんですけれども、それよりは自分自身が計算してつくったパラメーターによって、数百、数千の海面の高さを推しはかって、なおかつ、津波の高さというのは水深のルートに逆比例するので、水深が何万メートルのときに一センチ、二センチでも、水深が百メーター、十メーター、一メーターになってきたら、それがルートできいてくるんですね。だから、津波が一メーター、二メーター、そして奥尻島だと三十メーター、こうなるわけなんです。
そういうことを理解していただくためにも、その予測値は、確率的に確度九九%、九五%、あるいは八〇%という確度しかなくて、なおかつ幅も、中央値が二メーターでも、標準偏差で二メーター、三メーターというぐらいの精度しか多分ないと思うんですよ。これは多分、違うと気象庁はおっしゃるかもしれませんが。そういう正確な計算値をむしろ出した方が、混乱はないんです。
五十年前にたまたま経験があるから、高知県でも避難しました。避難勧告して、何千人も実際に避難しました。だけれども、きょうの読売新聞でも、実際に避難された方が極めて少ないと。避難勧告、避難指令を受けた何万人のうちの何%にしかすぎないと。ということは、すなわち、情報が信用されていないから、オオカミ少年だと思われているからなんですね。それを繰り返していけば、ますます信用性が薄くなってくるということなので、これは、データは幅がありますよ、どういう計算でやりましたよ、そして、水深何メーターのところでの津波の高さのことをいうんですよと。
気象庁が発表しているのは、沿岸で水深一メーターのスポットでの津波の高さをおっしゃっているんですね。そういうことも国民的にはまだだれも知らないという状況。これをぜひ今回を奇貨にして改善をしていただきたい。そういう、統計データを統計データのままむしろ理解していただくように、国交省としては、大臣としては、河川局も指導して、気象庁も指導していただいて、情報を流していただきたい。ぜひお願い申し上げたいので、決意をお示しいただきたいと思います。
〔主査退席、打越主査代理着席〕
○三日月大臣政務官 ありがとうございます。
御地元の高知でも、本当に緊張感を持って御対応いただいたと思いますし、大臣も答弁されておりますように、引き続き私たちも国として緊張感を持って対応するとともに、今回のことを教訓としながら、どういう観測予報体制がいいのかということを、不断にしっかりと体制を整えてまいりたいというふうに思います。
今委員が御指摘のとおり、まさに日本の反対側のチリで起こった地震で津波がどう伝わってくるのかということを観測予報することというのは極めて難しいんですけれども、今、我が国では、GPS波浪計というのを沖合二十キロのところに八カ所設置して、そこの海面の潮位の変化をとらえて、そこからシミュレーションで増幅度を計算して、今委員がおっしゃったように、海底の地形の大きさですとか、過去起こった潮位の変化等々をパラメーターにしながら、海岸に到達したときにどの程度変化する可能性があるのかということについて数値を出し、それを報道機関を通じてお知らせするという形をとっています。
これは今、例えば、高知で何メーター上昇する可能性がありますという形で、何メーターという言い方をしているんですけれども、これはあくまで計算値、推定値、予測値でありますので、場所によっては、また場合によってはそれよりも高くなる可能性があるという注釈つきでお知らせしておりまして、いずれにしても、今回の伝え方でよかったのか悪かったのか、ぜひ、いろいろな検証をしながら、今後の伝え方についても、見直しが必要であれば対応してまいりたいというふうに思います。
○福井分科員 ありがとうございました。
その伝わり方で、大臣、いろいろ、僕はテレビの画面しか見ていないので教えていただきたいんですけれども、トヨタの問題ですね。
あのときに、瞬間的な大臣の反応として、トヨタという会社がお客様視点を欠いていたのではないかということをおっしゃいました。これはすごく悲しかったんですね。どうしてかというと、私も土木屋で、とにかく親分のもとに仕えたいと思っている人間なんですね。ですから、これは本質的な、政治的な思想の問題なので、大臣、どうしても聞きたいんですけれども、我々は農耕民族、そして慈しみ合って仲よくみんなで生きていくんだということがやはり政治の、日本人としては本質だと思うんです。
そんな中で、アメリカで、これは明らかな失敗ですよね、会社としてはパフォーマンスを失敗した。その失敗した人をただ突き放すというのでは、これはだめだと思うんです。日本の総理大臣になるかもしれない政治家がただ突き放したのでは、これは悲しいんですよ。ですから、抱き締めてほおずりして、よっしゃ、よっしゃといって、では頑張ってこいというのが普通の今までの日本人の、政治家のスタンスだというふうに思うので。
ですから、余りにも自由に行き過ぎると、自由と平等というのを右足、左足でずっと時代のダイナミズムにして政治は動いてきた、だけれども、自由過ぎると、グローバルに対応し過ぎると、やはり平等を忘れてしまう。平等にし過ぎると、それはくさってしまう。今は、むしろ平等の方に、慈しみ合う方に行かなければならない時代だというふうに思います。
後ほどの地方の建設業なんかもそうなんですけれども、それはテレビは断片的だから誤解だ、おれはトヨタを守ってと。トヨタだからいいわけじゃないんですよ。トヨタは多分二千万人ぐらいいるでしょう。愛知県だけでも三千社、関連会社があります。トヨタがつぶれたら、もう本当に日本経済はだめになります。
というのもありますけれども、むしろ、日本の文化として、世界一の技術を提供する会社を抱えた国の政治家として、政府として、むしろ逆に守るパフォーマンスがあり得たんじゃないか。あるいは、日本の中でも情報を、コントロールというんじゃないですけれども、トヨタというのは実はこれぐらいいい会社なんです、世界にも文化的にも認められているんだというふうに発信すべきだったんじゃないか。そんなコメントを聞いてどう思われるか。実はこうだったんだということを、ぜひ日本の政治家として教えていただきたいと思います。
○前原国務大臣 御指摘ありがとうございます。
二つ申し上げたいと思うんですが、まず一つは、トヨタから私に報告があったときに来られたのが、佐々木さんという副社長さんでありました。そのときは、対外的には説明に行きたいとおっしゃっているという言い方をしたんですが、催促をしないと説明に来られなかったわけであります。
そして、説明に来てほしいという要請をしたときに、佐々木さんが来られたときに、恐らく自信がおありだったんだと思いますけれども、あのブレーキのいろいろなパーツも持ってこられて、こうこうこういうことでありまして、これは改善しますとか、あるいは、ブレーキにつきましては、これは設定の問題であって、問題ありません、こういう話だったんです。私は、そのとき感じましたのは、設定の問題という見方はまさに企業からの見方であって、使っているユーザーからすると、特にブレーキにかかわる問題で、抜けた感じがするのに、それは設定、フィーリングの問題だと突き放されるのはいかがなものかと思ったがゆえにそういう発言をしたというのがまず一つ。
もう一つは、アメリカとの関係に関して福井先生から御指摘をいただいたんだと思いますが、私は、ちょっとこれは慎重に物を言わなくてはいけないので、慎重に物を言いますけれども、かなりアメリカの国内問題だと私はこれについては思っております。したがって、余り日本国政府がトヨタの肩を持つ持たないということになれば、下手に外交問題になりかねないという思いが私にはございました。
佐々木真一副社長さんが来られた次の日に、私はルース大使とお会いをして、この問題を外交問題にはしない、そして閉鎖的な市場形成に寄与することがあってはならない、こういうことを確認して、ルース大使も、全くそのとおりだという御回答をいただきました。
アメリカ国内では、さまざまな政治状況がございます。これは余り言い過ぎると、むしろ私が自制をしていたこととは逆の方向になるので申し上げませんけれども、私は、トヨタは日本の企業であり、アメリカの企業だと思っておりますので、トヨタを擁護するアメリカの方々もおられますし、アメリカの国内でまさにトヨタを軸に論争されているということで、委員のおっしゃることもよくわかります、そういう気持ちになったこともございますけれども、これは余り下手な発言をして日米の外交問題にしてしまってはいけないという思いの中で申し上げたことだということを、また個別には少し、私の、なぜこれがアメリカの国内問題なのかということはこっそり福井先生にはお伝えをしたいというふうに思いますが、ちょっとここで言うとあれなので、そういう意味があっての言葉だということは御理解をいただきたいと思います。
〔打越主査代理退席、主査着席〕
○福井分科員 ありがとうございました。
それでは今の問題はおいておきまして、では、あと、大臣として、あるいは国交省として、守っているんだということが一般国民にもわかるような御答弁を今からしていただきたいのは、成長戦略、今会議をしていただいていると思います、きょう結論はまだでしょうけれども。
我々の疑義があるのは、選挙区がという意味じゃなくて、民主党がずっと掲げてきたDNAもありますので、大企業、大都市というのに知らず知らずのうちにどうしても傾いてしまうんですよね。ですから、地方の私たちは強い疑念を感じております、忘れられているのではないか、捨てられているのではないか。
ですから、今回の成長戦略において、地方をどう位置づけるのか、地方の発展基盤をどうつくっていくのか。これは、道路とか河川とか、そういう意味じゃなくて、総合的なツールをどう整備していくのか、地方をどうとらえるのか、誤解のないように、一般国民にわかりやすい形でぜひコメントをお願いしたい。
○前原国務大臣 私が国土交通大臣を拝命しまして、大きく言えば二つのことをやらせていただいていると思っています。それは、政府全体の予算の使い道を見直していく中で公共投資の抑制を図っていく、その延長線上に、治水のあり方、そして道路整備、港湾、空港、鉄道、こういったインフラ整備をどうパラダイムシフトしていくのかということをやらせていただいております。
もう一つは、これだと非常に元気が出ないんですね、国土交通省として。したがって、国土交通省の管轄の産業の潜在力をいかに伸ばしていくのかということで、成長戦略会議を五つの分野でテーマを絞ってやらせていただいております。空港政策、港湾、それから住宅、不動産、それから観光、そして建設業の海外進出。これは、鉄道とか下水とか、そういったさまざまな日本の建設産業にかかわる優秀な技術をバックボーンにした日本の技術を海外に輸出していく、こういったことをやらせていただいているわけであります。
前半の方で地方のことについて絡めてお話をいたしますが、公共投資が減るということで地域が疲弊をするのではないかという議論がございますけれども、この鳩山政権でつくらせていただいた三党連立政権の予算を見ていただくと、まず、地方交付税が上がっています。したがって、地方に落ちるお金はそういった形で大きくなる。そして子ども手当、賛否両論ありますが、子ども手当で、これは直接、どの地域の子供さんを持たれる家庭にも行く。高校の無償化も、どの地域にも関係ありませんし、農業の所得補償は、むしろ地域の方によりお金が落ちる。
これは建設省におられた先生に釈迦に説法ですが、公共投資額、公共投資というのは、大きな工事はゼネコンが受注しますので、そうすると、公共事業費の六割とかその前後ぐらいしか恐らく地方には落ちないと思うんですね。そういうトータルの、地方交付税とか今申し上げた農業の所得補償とか、そういうことを含めたお金の落ち方からすると、恐らくこの平成二十二年度の予算の方が地方に落ちるお金というのはふえるのではないか、こう思っております。それがどのような乗数効果を生むのかとか消費性向なのかといったところが大きな観点になっていくと思います。
ただ、我々がやはり気をつけなきゃいけないのは、これはまさに専門の先生にも御指摘をいただきたいんですけれども、予算の使い道を変える、税金の使い道を変えるということは、当然ながら、建設業にはよりお金が行かなくなるわけですね。農家には行くかもしれない、子供には行くかもしれませんが。
そうなると、やはり雇用の問題というのが出てきます。したがって、その雇用のミスマッチというものをどのように解消していくのかということが大事なポイントではないかと思っておりますし、私なんかやはり、これは、観光あるいは介護、農業、林業、漁業、こういった分野でいかに人材を確保するか。あるいは、国交省関係でいいますと、船員という人が非常に少ないし、特に外航船舶にかかわる日本人なんというのは二千六百人しかいない、大きな船で乗っているのは船長が一人日本人だけ、あとは全部外国人、こういうのもありますので、まだまだ雇用の開発をできるような分野もあると思います。
そういったミスマッチをなくしていく中で、うまく構造改革を進めていくということが大事だと思いますので、どうか御指導をいただければと思っております。
○福井分科員 たまたま国交省は直轄事業がありますので、日々の地域の情報がすぐ大臣にお伝えできることになっています。しかし、直轄事業がない省庁は、かなり国民生活と離れた、鎮座まします省庁なので、いい立場に国交省の政務三役はいらっしゃると思いますけれども、国家戦略とか横ぐしの政策をするときは、かなり御苦労されると思います。
特に、地方、やはり大臣とはインプット、アウトプットの関係は全く意見が異なりますので、今議論する時間はないんですけれども。地方に対する思いは決して捨てていない、地方がなきゃ、溶ければ日本も溶けてなくなってしまうということは、メッセージとして受けとめさせていただきました。
一つの産業として、地方の建設産業、建設業がございます。いろいろなところに多角経営をしまして、もちろん介護にも行っています。農業も、再び帰っている。しかし、みんな失敗しているんですね。
なおかつ、雇用は、雇用のOD表というのを最近つくったら、やはり建設業は建設業にしか行かないんです。まだ受け皿はそこにあるということなんです。だから、これが激減しますと、本当に建設業からどこかににじみ出すしかないという状況になりますので、ことしの一番の経済の問題は雇用だと思います。
高校生の二割がぶらぶらする、八割でも、本当にあと五十年、六十年働けるような会社に就職しているかというと、そうでもないという状況で、なおかつ中高年からそうやってスピンアウトされますと、これはもう本当に日本経済どうなるのか、社会的にどうなるのかという問題になりますので。
今大事なことは、決してスポイルしているわけじゃないんです。去年度から今年度にかけて折れ点があって、トータル十何兆あったのが五兆七千億に減りました。しかし、地方の建設業は水防団とか消防団を支え、そして地域を支え、そして介護にも農業にも経営を伸ばしということで、まさに根幹的な基盤である、建設業こそ基盤であると。
だから、またもとに戻りますけれども、私は支えます、国交省としてありとあらゆる援助をしてさしあげますと。だけれども、それは今までどおりの援助じゃない、これからの社会に合った、これからの日本の戦略に合った援助になりますけれども、そこは変わるけれども、決して捨てていない、忘れていない、建設業は相変わらず日本の、少なくとも地方では根幹であるということを大臣からおっしゃっていただきたいんです。
きょうはもうそれだけで結構でございますので、その後の展開の話はまた国交委員会でもさせていただきたいと思いますけれども、もう一度、温かいコメントをいただきたい。
○前原国務大臣 その基本的な認識は福井委員と全く一緒であります。
土曜日には、私、地元、私の選挙区ではなかったんですけれども、京都府南部の建設フォーラムというものに呼ばれまして、建設業界の方々が集まっておられるところでお話をいたしました。そこでも今から申し上げることをお話ししたのは、やはり、インフラ整備というのはまさに生活のかなめでありますし、そういったものをしっかりやっていただくのは建設業界であります。また、今までつくったものの維持管理そして更新というものも、これからもやっていただかなくてはいけませんし、非常に大事な産業だと思っております。
また、昨日は午前中、先ほど委員からも御指摘をいただいたように、新潟に行ってまいりまして、港と、あともう一つ、国道事務所に行きまして、ことしは雪が非常に多かったということで、除雪作業の、どういうことをされたのかということをヒアリングをしてまいりました。また、激励をしてまいりましたけれども、国道事務所のメンバーというのは少なくて、あとは全部地元の建設業者の委託によって除雪ができる。しかし、この建設業界が疲弊をしていくと除雪がままならないような状況になってくるということで、災害復興、そして地域のインフラ整備、また維持管理、そして除雪、さまざまな面で建設業界というのはそれぞれの地元にとってなくてはならない業界だということであります。
ただ、繰り返し申し上げて恐縮でありますが、全体の予算の状況とか、あるいは莫大な借金の中で縮減をしていることは、これは業界の方々にとって大変申しわけないことだというふうに思っておりますけれども、何とか、先ほど小里委員にもお答えをしましたけれども、必要なインフラ整備で民間資本なんかが投入できて、今までは税金、借金でやっていたものも、民間資本を投入する中でそういった業界に資するような事業というものもできないかということをしっかりと考えていきたいと思いますので、またそういったアドバイスもいただければありがたいと考えております。
○福井分科員 ありがとうございます。
決して甘やかしてほしいというふうに申し上げているわけじゃないんです。その甘やかす、スポイルという意味でいいますと、ちょっと話はかわりますけれども、やはり大臣おっしゃるように、治山治水、これは政治の原点、もう数千年間政治の原点だった、だからやはり政治家同士が議論を闘わせるべきだ、これはおっしゃるとおりだと思います。
今まで建設省はやり過ぎた、すべてのダムが必要かどうか、あるいは河川整備が必要かどうか、一級河川にするかどうか、道路でいえば二四六まで含めて直轄で管理すべきかどうか、このBバイCがどうか、これをすべて役所でやってきました。全部決めてから、それを採用するかどうか、採択するかどうか、そして当該年度の予算も、全体事業費も全部決めてから、いわば根回しをするということでやってきたわけですね。
それで、今何が言いたいかというと、必要なBバイCの検討、そしてダムが必要かどうかの検討、そして治山治水の本質的な部分、そして日本の経営の部分、これはいいでしょう。しかし、今、新潟の話をされましたので、皆川優太ちゃんという男の子が救出されました。東京のハイパーレスキュー隊が救出したんですけれども、そのハイパーレスキュー隊を指揮、指導していたのは、我が建設省、国土交通省の職員なんですね。砂防の専門家、そして道路の斜面の専門家、地方整備局にいました。
ですから、原口総務大臣は言っておりますけれども、よもや地方整備局不要論で、よもや地方整備局はみんな県庁に行くんだとかいうことがないと思いますけれども。いわばそういう意味で、地方整備局は、伊勢神宮を二十年に一回遷宮するように、技術をずっと継承する役割を負っているわけです。そして、災害があったらすぐ駆けつけられるように、陸軍本隊じゃなくて、騎馬隊としての機能を果たしているわけです。
ですから、地方整備局は今まで膨らまし過ぎたとか、いろいろな批判は甘受いたします。そして、ずっと惰性でやってきたこの数十年間、特にこの二十年くらいは多分惰性だったでしょう、これも甘受します。
しかし、地方整備局というのは、今、子供の命を救った、コンクリートから人へ、命を守りたいとおっしゃっている政権だったら、子供の命を救えなくするような、もし地方整備局がなかったら子供が救えなかったわけですからね。ハイパーレスキュー隊を指揮する人がいないということは、岩が崩壊して、子供の命も、ひょっとしたらレスキュー隊の方も亡くなったかもしれない。命を助ける意味で地方整備局が今までは存在してきたんだということを、ぜひきょう御理解いただいて。
それで、何を言っているかというと、政治主導下における国交省の行政のうち、政務三役でやっていただくものというのは、先ほど言いました特定のバイパスのBバイC、そしてダムが必要かどうかということを一つの入り口にして、やはり治山治水、国土経営の、いわば国見の丘に立って、おれはここに城下町をつくるんだと。城下町をつくるときにはまず河川整備が必要なんですね。ですから、国見の丘に立ってお殿様がやる国土経営、これが国土交通省がずっとやってきたことなんです。
そういう企画立案、戦略のコラボレート、エラボレートだけやっていただければ、あとは継承された技術をさらに磨いて、今三万人を切ってしまいましたけれども、志を持って毎日毎日一生懸命やっている職員を鼓舞激励さえしていただければ、これは、民主党政権下における国土交通省の事務というのはうまくいくと思うんです。
余り細かいことに口を出されますと、きょうは箇所づけの話は一切しませんから、困るというか、役所のやる気がそがれるんですよ。国土交通省は今はうまくいっていますよ、おかげさまで。よその省庁は、呼び捨てにされている大臣もいらっしゃるぐらいですからね。ですから、今のまま、そして事務を余りにも煩雑にしないようにしていっていただきたいんですけれども。
質問の最後は、こういう国土交通省の膨大な事務のうち、政務三役でやっていただく事務を特定していただいたかどうか、それを紹介していただいて、最後の質問にさせていただきたいと思います。
○前原国務大臣 先ほど委員がおっしゃった地方整備局については、今重要な役割を担っているのは事実でございます。
他方で、これから分権の議論というのが出てくると思います。どういった分権の形になり得るのか、最終形が。我々は、基礎自治体にできるだけ権限、財源をということを言っておりますけれども、基礎自治体が中心になってくると、むしろ地方整備局や国として残す役割は私は大きくなるんだろうと思っています。
つまりは、本当に釈迦に説法で恐縮ですが、治山治水なんというのは、広域的な観点から判断をしなくてはいけませんし、基礎自治体だけでできるとは全く思いませんので、そういう意味では、国や、あるいは道州なんというのができたときには、そういったかなり大きな物の見方をするポジション、部局というのは必要なんだろうと思います。
ただ、逆に、道州制ということになって基礎自治体には余り落ちないと、かなり道州が強調された場合には、かなりその道州というものに地方整備局がそのまま移行する可能性というのはあると思いますけれども、ただ、治水や治山にしても、基本的な考え方とか、あるいは運輸に対する基本的な方針とか、そういったものは、やはり国が、分権をしても残していくべきものだというふうに思っております。
政務三役のあり方について委員御指摘ありましたけれども、今まで五カ月半このチームでやらせていただいております。国土交通省の職員がどんな評価をしているかというのは余りわかりませんが、我々としては、方向性を示して、そして事務方の皆さん方としっかりとコミュニケーションをとって、そして我々の考え方、あるいは、時にはその考え方に対する反論も来ます。我々はそう思わないということはしっかり議論をしながら、やはりうまく働いていただくというのが大事なことでございますので、やはり方向性、基本的な政策、そして執行、実行については、非常に優秀で専門的な知識を持った役人の皆さん方にお任せをするということは大事なことではないかと考えております。
○福井分科員 ありがとうございました。終わります。
○古賀主査 これにて福井照君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時三分散会