衆議院

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第2号 平成22年5月18日(火曜日)

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平成二十二年五月十八日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 郡  和子君

      大西 健介君    後藤 英友君

      近藤 和也君    田嶋  要君

      高橋 英行君    三輪 信昭君

      あべ 俊子君    秋葉 賢也君

      馳   浩君    細田 博之君

      与謝野 馨君

   兼務 稲津  久君

    …………………………………

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   会計検査院事務総局第三局長            斉藤 邦俊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮島 守男君

   政府参考人

   (水産庁次長)      山下  潤君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   決算行政監視委員会専門員 尾本 哲朗君

    ―――――――――――――

分科員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     近藤 和也君

  二階 俊博君     馳   浩君

  細田 博之君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     大西 健介君

  あべ 俊子君     細田 博之君

  馳   浩君     二階 俊博君

同日

 第一分科員稲津久君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計歳入歳出決算

 平成二十年度特別会計歳入歳出決算

 平成二十年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成二十年度政府関係機関決算書

 平成二十年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成二十年度国有財産無償貸付状況総計算書

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

郡主査 これより決算行政監視委員会第四分科会を開会いたします。

 平成二十年度決算外二件中、本日は、国土交通省所管及び法務省所管について審査を行います。

 昨日に引き続き国土交通省所管について審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子さん。

あべ分科員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。

 本日は、質問をさせていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 昨日、国土交通省の方から、どういう内容かと何度もお電話をいただきましたが、私ども、野党になりますと質問が大変ふえておりまして、本日も二件、金曜日にも一時間ということでございまして、中身の詳細は夜にならないとわからないとお答えをさせていただいたところでございますが、本日は三点、高齢者居住安定確保対策、さらには賃貸法、建築基準法に関して質問させていただけたらと思っているところでございます。

 高齢者居住安定確保対策、これに関しまして、計画は、都道府県の住宅部局と福祉部局が共同で、老人ホームや高齢者向け賃貸住宅の供給目標を明記するものでございまして、昨年八月に改正されました高齢者の居住の安定確保に関する法律、改正高齢者居住安定確保法に基づく措置でございます。

 これは、前政権時代に、施設から在宅へと言われておりますが、施設か在宅の二択では帰るところがない方々に対しまして、その中間としての高齢者の住まい、ついの住みかを確保しなければいけないと促進をしたものでございます。

 所管する国土交通省と厚生労働省が各都道府県に高齢者居住安定確保計画の策定を呼びかけておりますが、二十一年度の策定をいたしましたのは群馬県と大阪府だけでございます。国土交通省住宅局住宅総合整備課では、各都道府県の住宅部局と福祉部局がそれぞれ既に同種の計画を立てていることに加えて、住宅部局は都道府県が主になり、福祉部局は区市町村が主となることが多いから、連携が非常にとりづらいのではないかと言われているところでございます。

 副大臣、この連携のとりづらいという点に関しまして、どういう対応をお考えでしょうか。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 今、委員が御指摘のとおり、昨年八月に施行されました改正高齢者住まい法によって新たに創設されたこの制度で、昨年度は大阪府と群馬県のみということでございました。ただし、これは八月施行ということでございますので、昨年に関してはこの二件でありましたが、今年度に関しましては、東京都を初めとしまして九都県で策定される見込みでございます。

 その後も、自治体におきましては、平成二十三年度、またそのさらに先ということで、策定する方向で検討あるいは計画中、策定予定、また、その策定の方向の中でも具体的に今詰めているところといった、こうした進み方をしております。

 厚生労働省との連携ということについてもお尋ねでございますが、まずは、一義的には地方公共団体、こちらが、地域の事情にかんがみて高齢者の居住安定についての計画を進めていただくことが肝要だというふうに考えておりまして、私どもとしては、こうした計画策定の中での御相談、これを厚生労働省と連携をとりながら、しっかりと賜っていきたい。

 また、策定後、これを進めていく中におきましても、さまざまな制度上のそご等ございますれば、これは適宜、見直しを図ってまいりたいということで、緊密な連携を厚生労働省とは図ってまいる。こういった体制で今この制度に向けて取り組みをさせていただいているところでございます。

あべ分科員 ありがとうございます。

 馬淵副大臣に関しましては、本当に野党時代は追及型論客ということでいらっしゃいましたが、政府側に回ると、やはり追及型論客がちょっと、やや形を変えてくるんだなということを今実感させていただいたところでございます。

 そうした中におきまして、やはりこの連携の部分ですが、連携するするではなくて、どうするのか。さらには、財源の部分がいわゆる省庁にまたがるもの、さらには市町村にまたがるものに関して、どういう対策をお立てになるのか。もう少し具体的に教えていただけたらと思います。

馬淵副大臣 御指摘の部分でございます。

 まず、今私は野党時代の立場と違いまして、政府として御答弁をする立場でございますので、追及するという状況にはないかというふうに存じますが。

 まず、厚生労働省との連携について、財源も含めてどのようにということでありますが、先ほど来申し上げておりますように、こうした高齢者の居住の安定確保ということに関しましては、まずは一義的に自治体が計画を立てていただくということでございます。その上で、私どもとしては、国費として投入する部分、あるいは自治体への補助の部分も踏まえて、新たな予算制度の中でしっかりとこれを対応させていただくということでありますので、まずは計画、これを出していただくということが先決ではないかと思います。

 また、今後、この住宅に関しましては、高齢者向け、あるいは今後の住宅産業活性化ということで、私どもとしては、公的部門の役割というものは非常に大きくなる、このように考えておりまして、現時点におきましては、二十二年度で措置されたもの、また二十三年度の新たな予算編成に向けて、これは厚生労働省のみならず国交省としても、全体の予算総枠の中での判断をしてまいりたいというふうに思っております。

あべ分科員 今のお話もやはりよくわかりにくいわけでございまして、都道府県に勝手に決めてくれと言われても、いわゆる高齢者がどこに住む、だれが幾ら出すのかという整理がしっかりされていない限り、そこは市町村は非常に立てにくいところでございます。

 ですから、そこはぜひとも、事業仕分けのときに非常に細かいことを政府がやってくださったわけですから、ここの部分もきめの細かい対応をしてくださって、例えば、高齢者がいわゆる老人ホームではない形のところに入ったときに、介護サービスをどれだけ使ったら同じレベルのいわゆる動き方ができる。ADLといいますが、生活のいわゆる動作ができる方が、どこに入ったかによって、市町村負担と国の負担と、こうなるからこれは進めるべきであると。国は進めたいけれども、あとは市町村が勝手に考えろというのは、事業仕分けのときにやられたきめの細かさと今回のところの対応が余りにも食い違うのではないでしょうか。副大臣、お答えください。

馬淵副大臣 委員の御指摘の、施設かあるいは住宅かということの、こういったお考えのもとに質問をいただいているというふうに理解しております。

 私も、家庭に介護を必要とする高齢の親族がおりますので、こうした施設あるいは住宅ということに対しての選択というのは、家庭生活の中で極めて重要な部分だと思います。

 その上で、今御指摘のように、介護をどの立場で、どのような施設で、どのようなところで行うかということについて大きな方針が必要ではないか、こういった御指摘かと思いますが、これに関しましては、私どもとしては、まず、基本方針として、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標設定、これに関する事項というものを定める。それに基づいて地方自治体が、これら賃貸住宅及び老人ホームの供給目標、またその供給の促進に関する事項等を定めていただくということにしております。

 これも、あくまで義務的な事項ではありませんで、自治体みずからが判断をしていただくということであります。

 これは、何らかの施策、方向性がなければ定まらないのではないかという御指摘でもありますが、私は、一概にはそうではないと思います。

 今日、それぞれ個人の選択によって介護のあり方というもの、これを問われております。その上で、選択可能な範囲をしっかりと提示するということで、こうした住宅の確保ということも前政権でありますが法制化され、それを踏まえて私ども、計画の実行に取り組ませていただいております。

 都道府県においてこうした供給目標あるいは供給の促進に関する事項について計画を定める。これは、都道府県みずからが、まさに地域主権という民主党政権におきまして一丁目一番地として掲げさせていただいている方針に基づいて、地方、地域がみずから判断をしていただく。私どもとしては、こうした施策を準備することによって、法的な担保をしっかりととっていくということが肝要ではないかというふうに考えております。

あべ分科員 一丁目一番地として、地域が選んでいくということでございます。いわゆる高齢者の住宅に関しては個人の選択ということでございますが、いわゆる高齢者住宅として住んで、ひとり暮らし、もしくは家族と住んでいるときの方が持ち出しが多いということに関して、個人選択なのか、いわゆる政策の部分できっちりとそれは補強していかなきゃいけないのかということを考えましたら、これは個人の選択だけで終わるものではない。さらに言えば、国がどこまで面倒を見て、市町村にどこまで押しつけるのかということを考えたときに、一丁目一番地なのか、そこのところは政策でしっかり対応していくのかは全く別の話だと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

馬淵副大臣 御指摘の、介護、福祉サービスの部分につきましては、これは厚生労働省が所管として進めているわけでありますが、私どもとしましては、あくまで地域における医療、介護、福祉一体的提供の、いわゆる地域包括ケアと連携した中で、質の確保された高齢者の住まいの充実を図ることを目的とするということで、共管をしながら、これは厚生労働大臣、国土交通大臣、ともに連携をとりながら、こうした制度を進めさせていただいているわけでございます。

 今日現在におきましては、国土交通大臣、厚生労働大臣の指示のもと、両省におきましてこれら施策を検討する、高齢者の住まいと地域包括ケアの連携推進検討チーム、高齢者住宅ケア検討チームというものを設置させていただいております。ここにおいて、今委員御指摘の介護や医療分野の関係者に対するヒアリング、意見交換を実施しながら、具体的な検討を進めるということでございます。

 まさに、高齢者の住まいと地域包括ケアの連携に係る課題の整理や、あるいは住まいにおけるハード、ソフト両面の質の確保、そして公的賃貸住宅団地における地域福祉拠点整備の推進、こういったものをしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。

あべ分科員 今のお話で、検討チームということでございますが、厚生労働委員会でも何度も質問をいろいろさせていただいておりますが、行政の縦割りの部分が、政治主導になってもやはり縦割りなので、ここのところはもっとしっかりやっていただかないと、関係省庁とやりとりをしていますだけで、ここはしっかりと事業仕分けのやり方を、裏に財務がついていようがいまいが、しっかりとやっていただけたらと思っています。

 群馬県の計画の部分は、介護サービスつき施設・賃貸住宅の目標値、二〇一一年度末までに三千百六十戸。民間事業者によるものが二千七百戸、公的なものが四百六十戸というふうに計画が立てられています。これに関して、都道府県が全部決めるということではなくて、いわゆる高齢者に対しては、高齢者住宅をどれだけの比率で整備しないといけないというふうに国土交通省としてはお考えなのか。副大臣、お答えください。

馬淵副大臣 一定の比率というものを各都道府県に枠として当てはめるということは考えておりません。地域の事情というものもございます。

 例えば、高齢者の公的賃貸住宅、あるいは高齢者向けの住宅の提供というものがどういった地域において非常にニーズが高いかということになりますと、私もいわゆる地方に属する地域出身の議員だというふうに認識をしておりますが、例えば私の周辺でも、都会に、大都市部に子供たち、若い世代がどんどん出ていく、高齢者は大変多い、そういった地域はふえておりますが、ただ、現実には、人口比率ということを見ますと、高齢者の増大というのは都心部においても大変増加の割合が高くなっております。

 現実に、首都圏を初めとして、高齢期の住まいが大きな課題となると想定される都道府県別の高齢者人口の推移を見ますと、二〇〇二年時点の高齢者人口が二〇一五年時点でどのような数字になるかということの予測の中で見ますと、一位が埼玉県、二位が千葉県、三位が神奈川県、そして愛知県四位、大阪府五位と。東京都は九位でございますが、このように、現実には、首都圏を初めとする都市部が今後急速に高齢化が進むことが予測されております。一方で、地方部と呼ばれるところは低位に属するという形になります。

 したがいまして、一律に一定の割合というものを都道府県に当てはめるのではなく、やはり地域の事情というものをかんがみる。したがいまして、都道府県が主体となってこうした計画を策定することができると制度化されたものだというふうに私どもは理解をしております。

あべ分科員 地域事情に沿った政策を立てていかなきゃいけないということを、馬淵副大臣も、地方にいらっしゃるお立場で本当にわかっていらっしゃるというふうに思います。

 それに関連して、いわゆる住宅関連の方々から出てくる苦情でございますが、住宅金融支援機構、この問題が事業仕分けの対象になったわけでございますが、都会の問題と地方の問題は全く違う。特に、採算がとれるかどうかわからないところに、いわゆるリスクを民間の銀行がとるべきであるというふうに削減されたものの内容でございますが、しかしながら、地方にあっても民間すらリスクがとれないような賃貸住宅をつくっていかなきゃいけない、貸してくれるところは全くないんだというときに、この地方の事情を考えたときに、住宅金融支援機構が一緒くたにされて事業仕分けの対象になったということに関して、副大臣、どうお考えですか。

馬淵副大臣 事業仕分けに関しましては、まず、第二弾前半戦ということで、独立行政法人の事業仕分けがなされました。この対象事業の選定に関しましては、行政刷新会議がその責任と所管において選定されたというふうに理解をしております。また、この結果に関しても、私ども受けとめております。

 ただ、委員にしっかりとここでお伝えをさせていただきたいことは、私どもとしては、事業仕分けの結果は踏まえながらも、あくまで国土交通省が所管する行政の分野に責任を持つ立場で、しっかりとこの法人のあり方というものについては定めてまいりたい。

 御指摘のように、住宅金融支援機構、これは大きく二つの役割がございます。これは、賃貸住宅を建設する、あるいは整備をしていこうという方々に対する資金の貸し付け、さらには証券化ということがございますが、まさに賃貸住宅をつくるということに関しての民間の金融機関の非常に厳しい審査状況、これは、貸し渋りという言葉よりも、むしろ、こういったものに対する金融支援というものが非常に薄い状況がある、私はそのように思っておりまして、担うべき役割は当然ながらある、このように思っております。

 もちろん、仕分けの結果としては十分に踏まえながら、十分に無駄のない形で、こういった新たな金融の支援のあり方というものについては、国土交通省はしっかりと改めてまいりたい、このように考えております。

あべ分科員 さすが馬淵副大臣、地方のことをよくわかっていらっしゃるというふうに今感じた次第でございます。

 事業仕分けは、一生懸命やってくださって、非常に好評も得ているところですが、例えば、昨年十一月の仕分け第一弾、学校に電子黒板、これを廃止としたんですけれども総務省予算にかわって復活とか、三割削減された国際協力も運営費の一部が二%しか減っていないとか、結局、政府の方に戻ってくると、やはり各省としては、これは必要だろうという話になってしまう。結局、政治的パフォーマンスをやって、やったやったと言いながら全くやらない状態になっていく。

 今回の事業のお金に関しましても、やはり地方の賃貸住宅を守っていかなければ、大切だと馬淵副大臣はおっしゃったわけです。そういうことを考えたときに、あの意味のない政治パフォーマンスとしての事業仕分け、あの仕分けのやり方自体をやはりもう少し仕分けしていくべきではないですか。副大臣、いかがですか。

馬淵副大臣 事業仕分けに対する御指摘ということで、しっかりと承らせていただきたいと思います。

 ただ、私が思いますのは、やはりあのように、昨年の十一月の段階では、予算につきまして事業の仕分けをさせていただいた。そして、今回は独立行政法人と、法人の単位で仕分けをさせていただいているということでありますが、いわゆる見える化のプロセスだと思います。予算編成、あるいは予算の一部が運営費交付金のような形で流れていく法人に対して、どのような事業が行われているかということについて、ある意味、公開プロセスにおいて、しっかりと国民の皆さん方に縦覧できるような形、公開の形でごらんいただく。

 前政権においてもワーキングチームでやられていたのを私も承知しておりますが、こういった形で、ある意味、政権みずからが率先をして、公開プロセスで、予算のあり方やあるいは公益法人、独立行政法人といった公的セクターについて、しっかりとその内容について明らかにしていくということについては意味があると思います。

 その上で、御指摘のように、所管する省庁が責任を持って、その業務あるいは法人のあり方について改革を進めていくことが必要かと思いますので、今、このあり方がベストかと言われれば、まだまだ改善すべき点はあるかと思いますが、私自身は、こうした国民に開かれたプロセスで予算を審議していく、あるいは法人の業務の中身を明らかにしていく等々、これは、まさにこれから求められる国民目線の政治の一歩ではないかというふうに思っております。

あべ分科員 ありがとうございます。

 やはり見える化が大切ということでありますが、しかしながら、見えた、結局削減できない。では、見える化に対して一体何をしていくのかということもはっきりすべきでありますし、そんなに見える化、見える化と、透明性を大切にするのであれば、私は、政治と金の問題の小沢幹事長の証人喚問が必要だと思っておりますが、副大臣、いかがお考えですか。

馬淵副大臣 国会議員一人一人がそれぞれのお立場で、みずからの政治資金の問題については、国民にその説明をする義務があるというふうに思っております。それは先生、私も同様だというふうに思います。その上で国会がお決めになり、そしてその上で御判断されることだというふうに私は承知しております。

あべ分科員 すなわち、国会議員それぞれがそのことを要求していければ、いわゆる数の暴挙によらず、それぞれの国会議員が必要だと思ったらそれはやるべきだ、いわゆる今衆議院の方が与党対野党が三百対百でありますが、それでも必要だということを百人が言えば証人喚問はやらなきゃいけないというふうに副大臣はお考えですか。

馬淵副大臣 繰り返しになりますが、一義的に、まずみずからがそれを判断していくことでありますし、その上で国会がお決めになることである、行政の立場として私はそのように考えております。

あべ分科員 大体、いろいろな形で質問させていただきますと、このことに関しては余り結論が出せない、結論を出してしまうと踏み絵になってしまうということでもございますが、これに引き続きまして、高齢者の居住安定推進のところに戻らせていただきますが、やはり副大臣がお考えのように、地方こそ高齢率が高く、採算がとれない地域の住まいをどのようにしていくかということに関して、もう一度、再確認させていただきます。

 この採算のとれない地域の高齢者の住宅問題、副大臣はどういうふうにしっかりと取り組まれるか、その御決意を聞かせてください。

馬淵副大臣 先ほど来申し上げておりますように、地方のみならず大都市部においても、こうした高齢化というものは、もうこれは大変大きな課題であるということだと私ども認識しております。

 そして、今回、この高齢者の居住安定化推進ということでの計画の策定、地方自治体に公募という形でこれはお願いしたところ、全国で四十四都道府県において応募があったということでございます。すなわち、全国それこそくまなく、さまざまな形で計画を出していただいているということ。また、その計画の中身に関しましても、地域の中での一般の営業会社のみならず、提案事業者は、社会福祉法人、あるいは医療法人、NPO法人と多様な主体からの応募がございました。これはすべてで二百六十七件ということであります。

 このように、地域においても、こうした私どもが提示をさせていただいている施策が十分に理解をされ、それを受けとめて公募をしていただいているという結果から、私どもとしては、地域における高齢者の住まい、公的住宅も含めたこの高齢者の居住安定化のための施策というものは、率先をして進めさせていただかねばならないとともに、このことに対して十分な御理解をいただいているというふうに思っております。

 引き続き、第二回の公募は八月開始予定でございますので、施策の推進に取り組ませていただきたいというふうに思っております。

あべ分科員 高齢化率が高いところということだけではなくて、採算がとれないところをどうしていくかということに関して、いわゆるそこの目標もしっかり立てていただけたらというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきますが、建築基準法に関してでございます。

 今回、いわゆる政府提出の公共建築物等木材利用促進法案ということがずっと進められてきて、折衷案という形で出てまいりました。この中におきまして、やはり木材を使用していきたいというときに、この建築確認の部分が非常に難しくて、耐震、耐火に関して工務店、大工さんが熟知しなければいけないという部分も実は非常に大きい。特に木造建築に関しまして、日経アーキテクチュアという中に書かれていますのが、二〇〇七年施行の改正建築基準法の影響を大きく受けたと。これは、馬淵副大臣が野党時代に、姉歯建築偽装問題で追及した成果として改正建築基準法が出たのではないでしょうか。副大臣、お答えください。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 野党時代に耐震偽装を追及した、その問題にかかわったことは事実でございます。

 しかし一方で、この建築基準法の改正に関しましては、私が野党時代、国土交通部門の中で、これは代表質問をいたしましたが、基準法については対案を提出させていただきました。今、現時点にあるこの基準法に関しましては、当時、与党の政権側がつくられた法案であり、私どもとしては、当時、対案を提出する立場としては、いろいろと問題がある、拙速ではないかといったことも指摘をさせていただきました。

 今般、政権交代後、私どもは、この基準法の改正を視野に置きながら、しかし一方で、机上で法制度をつくっていく、拙速に変えていくということはまたもや改悪につながる可能性があるということから、まずは広く市場の皆さん方の御意見を伺おうということで、今日、ヒアリングを続けております。そして、平成二十二年度に関しましては、運用改善という形でこの基準を見直していくということで、今、周知徹底をさせていただいているところでございます。

 この建築基準法の改正に関しましては、二十三年度を目途に私どもとしては検討させていただいておりますので、木造建築のみならず全般的な、耐震偽装の結果を踏まえて、今後の建築産業がより活況を呈する形になるよう、しっかりとこれを見直してまいりたいというふうに考えております。

あべ分科員 ですから、その建築基準法の改正が出たときに関して、木造の家が本当に建築確認がおくれてしまったということがあるわけであります。いわゆる野党時代は攻める一方でありまして、さらには、この建築基準改正法が出たときに、政権をとられたら、それから半年以上たたれているわけですから、政権をお持ちであったら、野党時代に勉強したそのいわゆるフットワークをもってして、早く運用の基準も変えていくべきではなかったんですか。もう少し早くできるんじゃなかったんですか。

 例えば、今質問させていただきたいのは、この伝統家屋に関しまして、これまで二重チェックとか構造計算書のいわゆる審査の厳格化の問題、これが本当に時間がかかると言われておりますが、運用上の問題をもってしてすれば、この伝統家屋に関しての建築確認はどれぐらいに短縮されるというふうに副大臣はお考えですか。

馬淵副大臣 御指摘の点につきましては、二点ございます。

 フットワークは今私どもは変わらずに取り組ませていただいていると思っておりますが、この運用改善に関しましては、六月実施ということを目途に、今もうすべて、制度の準備をさせていただいておるところでございます。

 その上で、伝統工法のことについて、伝統家屋と今先生おっしゃいましたが、伝統工法につきましては、これは検討委員会を改めて立ち上げさせていただいて、その中で実証試験などを繰り返しながら、この基準法の改正のときには、しっかりとした、工務店の皆さん方の御意見なんかを反映できる、またその上で、耐震性能も含めて実質的な、合理的な、工学的な判断がなされるような対応をさせていただきたいというふうに思っております。

 少なくとも、この六月には、運用改善という形で、いわゆる地域の工務店の方々、建築基準法の改正によって大変御迷惑かけたということに対しては、問題の改善あるいは課題の解決に一歩踏み出すことができるというふうに私は考えております。

あべ分科員 本当に副大臣がおっしゃるように、この建築基準法の改正案で、いわゆる姉歯不況とも言われる形で木材の使用が非常におくれてしまっていることは確かなので、ここのところは、六月とおっしゃったからには、馬淵副大臣の六月は鳩山さんの普天間のいわゆる時期のお約束とは違うと私は信じたいと思っておりますので、ぜひとも六月に運用改善の部分も、また、二十三年に関しましては新しい改正案をしっかり出していただきたい。

 私どもは、野党になりましたが、何より大切なのは国民のための政策だと思っております。子供のけんかみたいなことばかりしているな、毎日生活で頑張っている方々が不在にならないようにしていくということが一番大切だと私は思っております。

 本当に馬淵副大臣が頑張っていらっしゃるのに、党の方のいわゆる司令部の判断基準のぶれで大変おつらい思いを副大臣もしていらっしゃるのではないかと思います。やはり攻める野党と守りの与党の中で、攻め過ぎると規制が厳しくなるということが、今回の姉歯問題の建築基準法の改正案の中でも出ているのではないかというふうに私は思っております。

 国会議員はさまざまなタイプがあると言われています。与党向きと野党向き、さらには両方向きということがございますが、きょうは副大臣はしっかりと両方向きであるということを証明してくださったと私は思いますので、この建築基準の運用改善、六月、必ずや実施していただきたい。さらには、地方における高齢者の住宅、採算がとれないところはどう守っていくのか、国土交通省としてもしっかりとその案を出していただけたらというふうに思います。

 時間が参りますので、お答えになりたい、はい、どうぞ。お一言。

馬淵副大臣 ありがとうございます。エールも含めていただいたと思います。

 先生は、看護師としての御経験もおありの中で、いわゆる人に対する優しさを持って取り組まれているということも私どもは承知しております。

 今お話しさせていただきましたように、基準法の運用改善に関しましては、六月の実施ということで今準備を進めておりますので、しっかりとこれも御提示させていただきながら、また、地方における、地域における高齢者の住宅の安定供給も含めて、財政的なものも当然ながらございますが、しっかりと御提示をさせていただくことをお約束申し上げて、私からの答弁とさせていただきます。

あべ分科員 ありがとうございました。時間になりますので、終わります。

郡主査 これにてあべ俊子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、高橋英行さん。

高橋(英)分科員 民主党愛媛四区の高橋英行でございます。

 私は、民主党愛媛県連の地域政策会議におきまして、国交省関連についての担当をいたしておりますので、本日は、この分科会におきまして、地元の案件で大変恐縮ではございますが、国交関連の二つの案件について質問をさせていただきたいと思います。

 お時間もありませんので早速質問に移らさせていただきますけれども、愛媛県民におきましても非常に関心が高く、かつ重要な案件でございます。

 一つ目は、地元では高速道路の南予延伸というふうに呼ばれておりまして、大きくは四国8の字ネットワーク、南西部分の建設促進の件でございます。そして二つ目は、愛媛県大洲市で計画をされております、現在凍結されている山鳥坂ダムの水没予定地区の生活再建についてでございます。

 まずは四国8の字ネットワークについてとなりますけれども、今お配りをしております、ここにもございます図面を見ながら、少し私の地元の愛媛県南予地域の説明をさせていただきたいと思います。

 有名なのは、日本一の温州ミカンや伊予カンを代表とする果樹中心の農業王国であると同時に、宇和海という海洋資源に恵まれた水産王国でもあるわけでございます。その中でも、この南予は、海岸線が八百五十キロ、実に東京から福岡までという非常に長い距離でございますが、その長いリアス式の入り江の中で、マダイ、ハマチ、そして真珠、これらの養殖業が盛んな地域でもございまして、養殖業の生産高は全国一位の実績を誇るわけでございます。

 私の地元の南予の基幹産業は、今申し上げたとおりまさに一次産業でございまして、これらの特産品をいかにして東京、大阪といった大都市へと運び届け、基幹産業を活性化させていくのか。今申し上げた扱い品は非常に鮮度が重要な生ものが中心となるわけでございますので、やはりトラック等での輸送が中心になるわけでございます。となると、高速道路は南予地域にとりましては非常に重要なインフラであるということは言うまでもございません。

 さらに、南予の南部地域でございますけれども、急傾斜地それからリアス式海岸の地理的関係上、主要道路は海岸線を走る二車線道路の国道五十六号線一本のみとなっているわけでございます。将来、高確率で発生すると予測をされております東南海・南海地震による例えば津波、そしてまた台風等により災害時通行どめになる可能性もあるわけでございまして、そういった場合にはどうなってしまうのか。また、地方の医師不足による救急医療体制の崩壊により搬送すらままならない。そういった状況の中で、南予の高速道路はいわゆる命の道というふうに言われ、存在価値の非常に高い道路と期待をされているわけでございます。

 しかしながら、なかなかこの高速道路の南予延伸というものが進んでいない状況がございまして、今年度の予算におきましても、ミッシングリンクとなっている基本計画区間である津島道路には残念ながら予算はついておりませんし、またその先の予定路線区間である高知県の宿毛から内海区間の基本計画への格上げも実現をしていないわけでございます。

 四国の高速道路は、この図面のとおり、徳島県の阿南市から愛媛県の大洲市までのS字の形をいたしました四国横断自動車道と、それから、徳島市からまた同じ愛媛県大洲市まで東西を貫いた四国縦貫自動車道が、真ん中の愛媛県川之江インターチェンジで交差をいたしておりまして、そして東南のミッシングリンクとなっている阿南安芸自動車道で大きく8の字ネットワークを形成いたしているわけでございます。

 ただ、ここで疑問に思いますのが実は徳島から川之江までの道のりでございますけれども、大きな差があるとは思えない二つの路線がこのようにしてあるわけでございます。

 それからもう一つ、特に私の地元の南予地方でございますけれども、大洲市が終点という考え方は非常に理解しがたい考え方でございまして、南予地域に住む人々の終着というところは、実はJRの終着駅でもあり南予の中心都市である宇和島市か、もしくは九州への玄関口、フェリーがあるわけでございますけれども、さらに日本一の温州ミカンの産地であり、また四国一の水揚げ高を誇る魚市場を持つ八幡浜市が終点になるというのが自然な考え方でございます。南予地域の人、物、金、それらの流れが理解されていない中での計画であったのではないか、そう疑わざるを得ない状況になっているわけでございます。その結果、南予のインフラ整備がおくれ、南予が疲弊してしまった大きな要因であると私は考えるわけでございます。

 ここで馬淵副大臣に質問をさせていただきますけれども、私は、今までの高速道路整備のあり方が、地域目線での振興ビジョンが乏しくて、地域の実情が理解されていない中での計画であったと考えるに至るわけでございますが、四国の高速道路も含めたこれまでの高速道路の整備計画についての副大臣の御見解をまずお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 この四国の8の字ネットワーク、先日も四国の知事さんの方々がお越しになりまして、お話を伺っております。皆さん方からの御要望が大変強いものだということを十分認識しつつお答えをさせていただきたい。

 これまでの高速道路整備のあり方はどうだったのかということに対する所見ということでございますが、これも御案内のように、前政権までは、昨年の四月の二十七日でございましたが、国幹会議が開かれまして、そこにおいていわゆる高速道路の整備が決定をされてきたという経緯がございます。この国幹会議、国土開発幹線自動車道建設会議でございますが、かつて国幹審と呼ばれました。ここで、いわゆる全総に基づく計画から、さらには社会資本整備の重点計画への流れの中で、社会資本整備とりわけ道路についての建設計画が決定されてきたわけであります。

 私自身、国幹会議を傍聴させていただいたのはその四月二十七日の一回でありました。それまでは、大変開催期間が長くなっておりまして、三年に一度とかあるいは二年に一度といったような状況。その会議に参加をしてみて思ったのは、審議が極めて形式的であり、かつ直前の招集において、資料もそれこそ読み切れないほどの資料が委員に届けられて、そして二日後、三日後に開催されるといった形。この国幹会議の中で十分な議論というのは実質的にほとんどなされていないという状況でありました。その中で今日まで高速道路ネットワークというものがつくられてきたという現実をかいま見たわけであります。

 政権交代後、前原大臣が就任をされ、その直後、すぐさま国幹会議の廃止を明言されました。これは、私ども民主党が野党時代、マニフェストにも掲げ、いわゆる政策インデックスにも掲げてきたことでありまして、形骸化した国幹会議を廃止する。その上で、いわゆる地域の実情に合った、あるいは国民の不断の監視のもとで、必要な道路とは何かというもの、真に必要な公共事業とは何かというもの、いわゆるあるべき姿をしっかりと定めてまいろう、このように考えたわけであります。

 かつての計画は、御指摘のとおり、いわゆる本四架橋が中心となって高速道路が敷設をされてまいりました。そして、この本四架橋がスプロールする形で四国の中に延伸をしてきたということであり、最もおくれた地域が今委員のお地元であるということも十分理解をしております。

 こういうような状況、やはりこれは、必要な道路とは何か、あるいはこの国に求められるネットワークとはどういうものかということの、真摯な議論がなされなかった結果だというふうに思います。時には恣意的な、あるいは政治的な力でねじ曲げられたこともあったかもしれません。これは私どもが政権にいなかったがために承知するものではありませんが、こうしたことを改めるということが私どもの最大の課題でありまして、今回、国会に提出をさせていただきました高速自動車国道法の一部改正におきまして、国幹会議を廃止するということで、その上で整備計画などを決定するプロセスを改めて策定させていただくということにいたしました。

 一つは、国会の審議であります。予算審議に向けて、まずは高速自動車国道に係る事業評価の結果を一月末までにしっかりと御公表させていただいて、そして予算審議あるいは委員会審議の中で、国会において十分な議論をいただく。二番目のスクリーニングは、社会資本整備審議会でございます。これも、社会資本整備審議会で有識者の意見というものを、しっかりとそこで議論していただく。そして三点目でございますが、これは極めて重要なんですが、地域の実情を踏まえるための関係都道府県の意見聴取。

 今までは、本当に二、三年に一度しか開かれなかった国幹会議でどんとある意味整備計画が決定されたわけでありますが、それをなくして、国会、社会資本整備審議会による有識者の意見、さらには関係都道府県の意見聴取、この三段階のスクリーニングによって、まさに国民の代表たる国会議員の議論、有識者の御意見、地域の実情に合わせた都道府県の御意見、この三段階で高速道路ネットワークというものをしっかりと定めてまいろう、こういうプロセスを考えております。

 まだ審議をしていただいておりませんが、この法案を成立していただければ、まさに委員が御指摘のような、地域の実情に応じた高速道路整備というものがなされるというふうに考えております。

 今日まで、なぜこのようなことが起きたかということに関しましては、残念ながら私どもとしては政権におりませんでしたが、やはり制度として、高度成長期には、必要な道路ということで、ある程度だれが見ても明らかな部分というのはあったかもしれませんが、低成長あるいはマイナス成長に至る今日におきましては持続していくことが可能な仕組みではないということから、改めて変えていかねばならない、このように申し上げさせていただく次第でございます。

高橋(英)分科員 御答弁ありがとうございます。

 実はこの後の質問を、では今後どうするのかという質問を言わせていただいてからお願いしたいと思いましたが、本当にありがとうございました。

 政権交代、かわった中での新しいプロセスにおいて道路ができていく、本当に政権交代でかわったということをぜひ国民の皆様にお示ししていただきたいというふうに思います。

 本当に、今後どのように進めていくかが重要になるわけでございますけれども、四国横断自動車道のミッシングリンクの未整備区間が約八十キロでございます。第一次高速道路ネットワークの一キロメートル当たりの平均建設費用は約五十億円と言われておりますので、ざっとですけれども、およそ四千億円の計算となります。

 ちなみに、先ほど疑問に思った一つの四国縦貫道の徳島から川之江まで、ここの建設費用は実は四千七百三十億円。参考までに、先ほどお話に出ました本州四国連絡高速道路、いわゆる橋三本の建設費用の合計は実に二兆八千七百億円です。あくまでもたらればという話でございますけれども、地域目線での振興ビジョンに沿って、地域の実情を理解した上での計画であったとするならば、先ほど申し上げた四千億円のミッシングリンクはもう既に予算が投じられて、南予地域が四国そして日本の経済に寄与できたのではないかと確信をいたすわけでございます。

 そういった状況の中で、かつては道路族議員の影響がありまして、やはり密室で高速道路建設が決定されていたイメージが強かっただけに、民主党政権が誕生したからには、ぜひとも開かれた新しい基準の中で、国民が納得する形で、四国8の字ネットワークの重要性、そしてその中でも愛媛県の南予延伸と呼ばれる、県民の悲願でもある命の道の重要性をぜひとも御認識いただきまして、また、私も先般、道路のネットワーク化推進議員懇談会、九県知事とも副大臣の方へ陳情させていただきましたけれども、四国のミッシングリンク解消に向けての高速道路整備促進、何とぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、ちょっと質問をがらっとかえさせていただきます。

 次の質問に移りますけれども、今度は、これも私の地元である愛媛県大洲市肱川の洪水調整を目的といたしました総事業費八百五十億円の山鳥坂ダム事業についてとなります。

 御承知のとおり、昨年の政権交代後に前原大臣が表明をされました新たな段階に入らないダム事業、いわゆる事業凍結されてしまった、今後策定される新基準での検証対象ダムの一つとなっているわけでございます。

 それを受けまして、我が民主党愛媛県連でも、内部組織になりますけれども、県内でも賛否両論のある山鳥坂ダム事業の妥当性の検証を目的とした山鳥坂ダム検証委員会を、私が委員長という立場で設立させていただきまして、昨年末に中間報告及びダムに頼らない治水を目指すべきである、そういった検証委員会の結論を国交省への提言という形で前原大臣あてにまとめさせていただきまして、ことし三月に、三日月政務官の方に、直接お会いして提言をさせていただいたという経緯があるわけでございます。

 当初の検証委員会の目的というのはダム建設事業の妥当性でございまして、提言を申し入れた時点で一段落をしたわけでございますけれども、その途中、委員会を重ねる中で、実は水没予定地域であります岩谷地区の皆様とお話をする機会がございまして、検証委員会活動とは別の形で政府に申し入れをしていく必要性があると私は判断をいたしまして、実は本日、質問に立たせていただいたわけでもございます。したがいまして、今回は、山鳥坂ダムの事業推進や中止云々の話ではなくて、岩谷地区の住民のお気持ちを、私、国会議員という立場でぜひとも代弁をさせていただきたい、そのように思います。

 岩谷地区の住民の人々は、ダム建設事業において実に三十年間にわたり翻弄されてまいりました。当初ダム建設というのは、先祖伝来の田畑を奪われ、家や宅地を失い、平穏な生活が覆され、近隣社会が崩壊する現実を想像すると、その悲しみと混乱は筆舌に尽くせないものがございまして、容易に容認することができるものではありませんでした。しかしながら、下流において古来繰り返されてきた肱川洪水の大洲市の莫大な被害、そして天地の恵みが元来社会全体の共有財産であることにかんがみ、有効な水利用の必要性を理解した上で、やむなくダム建設を容認したわけでございます。

 そして、ダム事業は一時、推進の鈍化や基本計画の変更によって二十有余年の歳月をいたずらに費やしたわけでございますけれども、平成十八年にようやく基本協定を締結、続きまして昨年の九月、損失補償基準を了解し、いよいよ補償が開始されることとなったわけでございます。

 その間、高齢となってしまった岩谷地区住民の生活再建は一朝一夕にして成るものではなく、この間、宅地の選定、敷地造成、住宅の購入、宅地予約、墓地の購入や福祉施設への入所権など、水没予定者が取得したものは少なくありません。そのような中、昨年十月の九日、何の前ぶれもなく突然に補償事業が凍結されてしまいまして、岩谷地区の住民は、国に裏切られた、そういった心情になっているわけでございます。

 ここで馬淵副大臣への質問でございますけれども、こういった三十年の背景の中、国の公共事業に対しまして、断腸の思いで決断をし、生活の不安と犠牲をもって国の公共事業に協力を継続してきた岩谷地区住民に対しまして、副大臣の率直なお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

馬淵副大臣 まず、地元住民の方々、この水没地域の方々に対しましては、大変長きにわたって、こうした当該事業に関して多大な御迷惑をおかけしたこと、また御協力もいただいてきたことに心から感謝を申し上げるとともに、その心労に対しては心から皆様方のお気持ちをお察し申し上げ、申しわけない思いということで、政治がまさに翻弄してきたということのあらわれであるということも十分理解をしております。

 ただ一方で、こうしたダム事業に関しましては、昨年末に全国のダムの検討を行って、検証を行うということで見直しを図らせていただきました。前原大臣が八ツ場ダムの中止の方向性を表明し、改めて検証を行うということで進めさせていただいている八ツ場や川辺川ダムのみならず、すべてのダムについて検証を行うということでのスクリーニングを行いました。そして、昨年十二月の二十五日に、当該の山鳥坂ダムにつきましても検証対象であるということを明らかにさせていただいたわけであります。

 すなわち、検証対象となれば、今後、ダムによらない治水ということで、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議で、私ども、検証ダムを対象に、まずはどのような形で検証を行っていくかという評価軸の選定、またさらには個別の検証も含めて、これをしっかりと進めてまいる所存でございます。夏ごろまでには中間取りまとめを行いまして、そして検証を進めていくということになります。

 先ほどお話がございました補償に関しましては、一度は皆様方の御要望を受けて協議を進めさせていただいたということも十分理解をしております。しかし、こうした山鳥坂ダムのみならず、全国に同様の事例がございます。

 こうした状況の中で、私どもとしては、すべて公平に、そして客観性を持って、ダムによらない治水のあり方をしっかりと定めながら、皆様方の御労苦にしっかりとおこたえをしていく、こういう所存でございます。

高橋(英)分科員 御答弁、大変ありがとうございます。三十年間にわたる国の政策に翻弄されてきたことに対しての、本当に、ねぎらいといいますか、そういったおわびの気持ち、岩谷地区の方々も少しは気持ちが晴れた、そういった感じになったのではないかと思うところでございます。ありがとうございます。

 現在、山鳥坂ダム事業における国交省の認識は、今おっしゃられたとおり、現時点では調査、地元説明の段階ということでございまして、次の段階である用地買収という新たな段階に入らない、実はこれは全国でもこの山鳥坂ダム一事業という形で判断をされております。先ほど大臣はほかにも例があると言いましたが、この件についてはこの一事業だけです。しかしながら、岩谷地区住民は、既に用地買収段階に入っているんだ、そういうふうに認識をされている。説明を聞く限り、かなり大きなずれを感じるわけでございます。

 お手元にこういった資料が、一枚ビラがあると思いますけれども、経緯を簡単に申し上げますと、おととしの四月にダムを受け入れることを前提とした地権者協議会の補償交渉委員会との協議が開始された。その翌年となる昨年六月に四国整備局から損失補償基準案を、一つ一つ、何が幾らかというものでございますけれども、これが去年の六月に提示をされた。そして、八月に補償委員会がこの案を了承し、その案を了承した直後に、対象家屋三十三戸に対しまして補償金額目安、こういった封筒に入ってございまして、この中にはっきりとした見積もりが入ってございます。この方、Aさんは三千五百万という見積もりです。こういうものが配付をされた。そして、その直後の九月に地権者協議会臨時総会で案が了解をされたわけでございます。

 つまり、これは一般的には妥結と同じ状態であり、一般論からしても用地買収交渉はもう既に始まって受け入れたと判断されても仕方ない、そういう段階に入っていると思うのではないかと私は思います。

 さらに言えば、協議を開始したおととし四月時点での作業スケジュールがあるわけでございますけれども、その年の十月に補償基準提示、翌年一月に妥結と計画がされているんです。にもかかわらず、補償基準提示は八カ月おくれ、妥結は十カ月も、まだ妥結していませんが十カ月もおくれている、そういった事実もあるわけでございます。

 国交省が説明する用地買収の段階というのは、補償基準が妥結、いわゆる書面での契約となります。昨年の九月は、政権交代の混乱の時期だっただけに、なかなかそういった作業が進まなかったことは否めないと私は思います。そして、十月九日、用地買収段階前と判断されて、補償事業はここに凍結をされました。

 水没予定地域の方の実際の移転等準備状況をまとめた資料もあるわけでございますけれども、六割に当たる十九戸についてはもう既に準備段階に入っている。中には、補償金を見越して金融機関から借り入れられた、そういったケースもあるんです。返済という意味でも、もう本当に不安な毎日を過ごされている。岩谷地区の平均年齢はもう七十五歳を超えました。もはや一刻の猶予もないという状況に至っております。

 私も責任ある政権与党の国会議員の一人です。前原大臣の掲げる従来の公共事業依存型の産業構造を転換する必要性は間違いなくあると思います、転換は。その中で、できるだけダムに頼らない治水への政策転換はもう大賛成でありますけれども、この山鳥坂ダムに限定して言えば、生活補償凍結は余りにもふびんで気の毒であると感じざるを得ません。

 新たな段階に入らないという国交省の理屈は正しいかもしれませんけれども、しかし、理屈というのはやはりこじつけの論理であって、決して正論じゃないというふうに私は思います。行政の理屈に対しまして、我々国会議員が住民の声や情けを拾い上げて行政に伝えていく、それが正論につながっていくのであると私は確信をいたしております。

 最後の質問でございますけれども、国の山鳥坂ダム事業に対しまして、何度も申し上げますが、生活の不安と犠牲をもって国の事業への協力を継続し、政権交代後に事業凍結を突然言い渡され、混乱のきわみの中にいるこの岩谷地区住民に対しまして、情けを持った何らかの救済措置を別途に検討することができないものか。また、この件については、けさの地元の新聞でございますけれども、昨日、四国整備局長が愛媛県知事に対しまして、ダム本体の必要性検証とは切り離し、水没予定地住民の生活再建策を検討することもあり得るとの考え方を示したとの報道がございましたが、この件も含めて馬淵副大臣の御見解をお聞かせいただけたらと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 繰り返しになりますが、昨年の十二月に百三十六の事業に関しまして見直しを行って、そして、平成二十一年度内に、用地買収、生活再建工事、転流工工事、本体工事、これらの各段階に新たに入らないということでのある意味線引きを行ったということであります。

 委員の御指摘のように、しかしながら、補償基準も合意をされ、次の段階にもう実質的に入っているではないか、こういった御意見、また、三十年間翻弄されてきた方々は高齢化が進み時間に余裕がないんだという御意見、これも私、先ほどほかにもございますというふうに申し上げましたのは、こうしたそれぞれの地域の方々の御事情ということも踏まえて、さまざまな御意見があるということで、他にもございますように申し上げたわけであります。八ツ場ダムも当然ながら同様の御意見を寄せられております。

 その上で、私どもとしては、やはり公平性をしっかりと担保しながら、国としての公共事業の進め方の中で、皆様方の御理解をいただける形で提示をしてまいることが必要だというふうに思っております。

 御指摘のきょうの新聞で、私も手元にございますが、愛媛新聞にあります、生活再建策の検討も視野という整備局の考え方を示したということでありますが、申しわけございません、これに関しましては、私ども、その事実関係を把握しておりません。

 現時点におきましては、先ほど来申し上げておりますように、前原大臣は、生活再建というものに関しましてはしっかりと図っていくんだということ、しかしながら、法整備も必要でございます、それに向けて検証も行わねばならないということで、もちろん無為に時間を費やす気持ちは毛頭ございません。この夏までに、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議におきまして新たな評価軸を定めて、そして検証を行って、さらには法整備も行うということも踏まえまして、こうした対象ダムについてはしっかりと適切に対応させていただきたいというふうに考えております。

 地域の方々のお声を、今、国民の代表として委員からしっかりとお伝えいただいたことは十分承りながら、私どもとしても、政務三役、これらの問題につきまして積極的に取り組んでまいることをお約束申し上げたいというふうに思っております。

 以上でございます。

高橋(英)分科員 ありがとうございます。

 それでは最後に一言。

 山鳥坂ダム事業については、もう累計で百八十億円が投資されています。今年度、調査費用としても五億六千万円の予算がつきました。なお、岩谷地区への一戸当たりの平均補償金額目安は約三千五百万と言われておりまして、三十三戸ですが単純計算ですが約十二億円なんです。政治とはやはり弱者に光を当てることであると私は信じております。ぜひとも、三十年間翻弄され続けてきました岩谷地区住民に対しまして光を当てる政策の実現を何とぞよろしくお願い申し上げまして、本日の質問を終わらさせていただきます。

 まことにありがとうございました。

郡主査 これにて高橋英行さんの質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也さん。

近藤(和)分科員 民主党・無所属クラブの近藤和也です。きょうはよろしくお願いいたします。

 モーターボート競走法にかかわる質問をさせていただきます。

 私の選挙区は能登半島を中心とした石川三区というところでございますが、この地域に津幡町という町がございます。人口三万七千五百十八人、石川三区の中では比較的大きな町で、人口も減っていない、そういった地域でございますが、北に能登半島、西に金沢市、東に富山県がございまして、いわば北陸のかなめの場所に位置しています。歴史的にも交通、文化の要衝でございまして、古くは源平合戦の、木曽義仲が平氏と戦った倶利伽羅峠の戦い、これでも非常に有名な古戦場があるところです。牛の角にたいまつをつけて突進させて平氏に大勝した、そこから歴史的な大きな転換点を迎えた、そういった有名な地域でございますが、ちなみに、この木曽義仲を題材とした大河ドラマを制作、誘致しようということで地域も一生懸命頑張っておりますので、御記憶と、また応援もしていただければなというふうに思います。

 きょう質問させていただきますのは、この津幡町で、場外舟券売り場、通称ボートピアの設置について大きな反対運動がございます。私もこのボートピア建設についての一連の動きに大きな疑問点を持っています。きょうはその疑問点を中心に質問をいたします。どうかよろしくお願いいたします。

 平成二十年二月十五日に出された海事局長通達で、場外発売場の施設及び設置の基準が示されています。さらには、その中で、必要と考えられる場合にはこの基準に定められていない事項についてさらに基準を設置することもあり得ると書いてございますが、ここから、地元との調整がとれていることを証明する書類が必要だと明記されています。

 続きまして、平成二十年三月二十八日の海事局総務課長通達の中で、「「地元との調整がとれていること」とは、当該場外発売場の所在する自治会等の同意、」これが一つ、「市町村の長の同意」これが一つ、「及び市町村の議会が反対を議決していないことをいう。」これで一つ、とつながってきています。

 いわゆる地元の三要件でございますが、このことについてまずは質問いたします。この通達の中で所在する自治会の定義とはどういったものでしょうか、よろしくお願いします。

辻元副大臣 この自治会についてでございますけれども、原則として当該設置場所の属する自治会というように考えております。この同意が必要であると。特に隣接自治会に著しい影響があると考える場合においては、必要に応じて隣接自治会の意見を聞く場合もあり得ると考えていますけれども、この同意ということにかんがみましたら、当該設置場所の属する自治会ということになります。

近藤(和)分科員 通達の中には、「所在する自治会」という書き方ではなくて、「所在する自治会等」と、「等」という文言が入っています。この「等」の文字が入っていることと入っていないことの違いをどうお考えでしょうか、お願いします。

辻元副大臣 今申し上げましたように、隣接する自治会などに影響が出る場合はそれぞれの自治会の御判断でお話しいただくとか、それから、地方自治体によっては、教育関係の学区単位であったり、それぞれの地域でルールを話し合ったりという範囲も持たせまして、「等」ということが入っております。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 局長通達の中でも「地域社会との調和がとれ」という文言がありますように、地域社会との調和は、これはボートピア建設にかかわらず、今までその地域になかった施設が入ってくるときには非常に重要なことだと思っています。

 そういった観点で、「所在する自治会」ではなく「所在する自治会等」と、あえて「等」と入れることによって、先ほど副大臣がおっしゃられましたように、その地域の民意を大切にしよう、そういった考えがやはり意図されているのではないかなというふうに思っています。

 そこで、配付させていただいたこちらの資料をごらんいただけますでしょうか。地図でございますが、この円の中心がいわゆるボートピアの建設予定地でございます。そして、この青色で囲ったところが舟橋地区ということになるんですけれども、そして、この黄色で線が引いてあるところがいわゆる住宅地ということになります。

 副大臣から見ていただきまして、どういった地域が隣接地域と受けとめられるか、御所見をお願いいたします。

辻元副大臣 隣接という言葉をどのように受けとめるかだと思います。隣近所五百メートル以内ぐらいを隣接、直接関係するととらえる場合と、今、約一キロという範囲にも円がありますけれども、一キロぐらいを隣接ととらえる場合と、それぞれ人によってとらえ方が違うんじゃないかなというように私は考えますので、一概に言えないかなというように思っております。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 ちなみに、こちらを見ていただきますと、青色で囲ったところがいわゆる舟橋地区、その自治会ということではありますが、ちょっと見にくいですが、横線で引いてあるところが道路になります。いわば、いわゆるボートピアの建設予定地から見れば、加茂地区の方の方が実質的に生活圏内なんですね。ちなみに、この右側にあります緑が丘団地、こちらも出入り口に所属をしていまして、今バイパスができたんですが、実質的には、住民の多さということでいくと、舟橋地区の二つがございますが、上の能瀬地区であったり下の庄地区、こういったところが近接の自治会であるというように、これは私も現地に何回も行っておりますけれども、そのように私は感じております。

 そういった中で、だからこそ、今、例えば舟橋地区だけで物事を決めていくとよくないという、恐らく全国的にはこういった例があるんじゃないかなと思いますが、だからこそ「自治会等」というような表現がなされているんじゃないかなと。いわば本当に巧妙にここの建設予定地がピンポイントに決められたんじゃないか、そのような考え方もできるんじゃないかなというふうに思います。

 そういった中で、次に移りますが、この舟橋地区でございますが、平成十七年五月二十一日に説明会がございました。これは区長から案内が出された説明会なんですが、次の紙を見ていただけますでしょうか。五月二十一日の説明会におきまして、全世帯は百二十五世帯なんですが、出席世帯は四十一です。その中で、賛成と意思表明された方は三十六名、反対が五名、委任状が六十五。百二十五の中で委任状は六十五です。そして、欠席は十九ということでございます。

 ちなみに、この真意を確かめようということで、平成二十年二月五日、海事局総務課の調整官が調べていただいたんですけれども、若干数字が変わっています。数字が変わっていることをきょうはあれこれ言うようなつもりはないんですけれども、やはり違和感は感じざるを得ません。

 そういった中で、例えば下の例でいきますと、全世帯百二十五、賛成三十五、反対五、委任状六十八、無効十七の、この読み方といたしまして、賛成を、三十五足す委任状の六十八、百三が賛成、そして反対は五というような形をとっているんですね。これは逆に言いますと、委任状という考え方でいくと、イエスであってもノーであっても、私はどちらでもとることができると思いますが、場合によっては、賛成百三で反対が五という読み方ではなくて、賛成三十五で、反対は、五足す六十八で七十三が反対だ、そういうような読み方もできるんじゃないかなというふうに思います。

 そういった中で、これは国土交通省の副大臣としての範囲ではないとは思いますが、過半数以上の方が委任状を出しているという状況の中でそれをイエスだノーだと決めることについて、これは民主主義の観点からどう感じられるか、御所見をお願いいたします。

辻元副大臣 委任状のとり方にもよるんですね。いろいろな環境問題、設置物に対する環境への影響などで賛成、反対、町が割れるとか、それから大きな施設が来るために町の意見が割れるとか、今回御指摘の問題だけではなくて、あちこちで出てきますよね。そのときに、一つは住民の皆さんの意識の高さですね。意識を高めていただいて、できるだけ説明会とかに出てきていただいて、これは賛成、反対問わず、そこで意見を闘わす、そして自分たちの町のことは自分たちで決めるというのが私は民主主義の原点だというように思うんですね。

 ところが、私なんかも、国会議員になる前も、いろいろな住民運動とか市民運動を全国でたくさん見てきまして、なかなか来てくれないんですよ。結局、意識が高かったら来てくださるわけですけれども、来てくれない。または、どちらか、賛成側か反対側が、動員すると言うたら変ですけれども、来てえな、来てえなと言うて必死で集めるわけですよ。ところが、なかなか来ていただけない。そうなったときに、委任状という手段をよくとるわけですよね。

 ところが、この委任状のとり方が、今回の場合を見てみますと、審議事項の議決権行使について一切の権限を委任するということで区長さんに委任しているんですよね。

 ですから、この委任状のとり方ですよね。または、委任状だけじゃなくて、例えばこれのとり方を、賛成か反対に丸を打ってくれというような調査票をとるとか、その場合は記名していただかないとこれまたややこしくなるということがありますので、それぞれの自治体とか地域での意思決定のやり方そのものを、民主主義と照らし合わせてどういうやり方がいいのか、まずそこから決めていくということをやらないと、今回のような委任状のとり方であれば区長さんへの全面委任ということになりますので、結局、結果はこのような発表になってしまうということにつながっているんだと思います。

 ですから、私は、今回はこういう委任状のとり方でこういう結論になっているということについては、この委任状作成の段階から地元の方々がもうちょっときちっと話し合われて、納得する説明会、及び、それぞれ賛成、反対、大事な話であれば、それを決めるプロセスまでも地方自治の観点からきっちり協議するということをすることが民主主義だというように思っています。

 というのは、おっしゃる気持ちはよくわかるんですよ、私もいろいろやってきたから。難しいんですよ、地元住民の意見を聞くというのは。そのときに、民主主義というのは、根本の、どういうようなプロセスでその地域の皆さんの声を吸い上げるかというやり方であったり、プロセスから議論をしていかないと、本当の民主主義や地方自治というのは定着しないなと。その点、まだ日本のあちこちでは、現状では不十分な点も多いのかなと思っております。

近藤(和)分科員 さすが民主主義の闘士の副大臣の御答弁だと。ありがとうございます。

 実は、この委任状のとり方、先ほど副大臣が、こういうやり方であればそういったこともあったんじゃないか、また、これを出す前に住民の中でそれなりの話し合いがあれば確かにこれも効力を発し得るんじゃないかな、そういうような御答弁だったと思います。

 実は、こちら、五月二十一日に第二回となっていますが、第一回は五月十四日にございまして、その五月十四日の案内は五日前に出されました。五日前に出されまして、五月十四日にほとんど人が集まらないということで流会になっているんですね。それで、五月二十一日だと。その中で、第一回のときの書類はつけてないですが、幾つかの項目の中でボートピアの説明という書き方をされています。

 しかし、この第二回の書類が正しければということですが、この書類の中では、ボートピアの賛否同意をとるという形にはなっています。ただしかし、この舟橋地区の住民の方、委任状を書かれた方がいらっしゃいます。その委任状の中身は実はボートピアの賛否を問うたものじゃなかったんじゃないかとその住民の方はおっしゃっていまして、区長さんに、この委任状を出してくれ、自分が署名したものを出してくれ、いろいろな人がどういう委任状を書いたかではなくて、自分が書いたものを出してくれという請求をしたんですけれども、強制力がないということで、この委任状は出てきていない。これが果たして本当に正しいかどうかわからないんですね。後でつくられたものなんじゃないかというような疑いが持たれています。極めて変な言い方ですけれども、この委任状に効力を発生させたいという思いがあるのであれば、私は、原本をしっかりとっておいて、何かあったときにはそれを証明として出す、当たり前のことだと思いますが、その本人の署名のものさえも出してくれていないという状況でございます。

 そもそもが、このボートピアということの説明会自体もろくに開かれていない。そういった中で、流会をして、その次のときにいきなり委任状をとるということも乱暴ではありますし、この委任状の存在そのものが賛否を問うた委任状じゃないんじゃないかという疑いがあることはぜひとも御記憶にとどめていただければなというふうに思っています。

 ちなみに、この議決をとったときでございますが、どういうような形で賛成か反対かという決をとったかということはわかっていません。投票箱にしてくれと言った方がいらっしゃるそうです、賛成や反対を周りに見られるとまずいと。ちなみに、区長さんが参加されていますが、区長さんは当然推進をしようという方です。そして、津幡町の議長さん、町議会議長も賛成の立場でその説明会に来ています。

 そういった中で、ちなみにこの舟橋地区、能登半島全体は、私の地域は、超々のつく保守地域なんですね。五五年体制のときから、衆議院が三人区のときからでも自民党以外からは誕生したことがないという非常に超のつく保守地盤でございまして、村意識が非常に強いです。村意識が非常に強くて、村八分ということを非常に怖がる地域でございます。そういったところで区長さんや町議会議長さんに対して反対の意思表示をすることがどれだけ恐ろしいことか、それは十分に想像がつくのではないかなというふうに思っていますので、私は、この決のとり方自体に疑問点を持たざるを得ません。

 こういうやり方について、御感想、今までの流れをお聞きになってどういうふうに思われるか、ちょっとお考えをよろしくお願いします。

辻元副大臣 先ほどから私が申し上げているのは、民主主義のあり方と地方自治のあり方、大分日本も変わってきたと思うんですよね。それぞれの住民の意思をどのように意思決定の場に反映していくかということ。

 ただ、これは委員の御地元だけではなく、どんな社会にも、やはり、自分の名前を名乗っていろいろな意見を言ったり、それから表明したり運動したりすることに対して、防御的になるというか、そういうことは多々あると思います。しかし、そこで、今回の件もそうですけれども、いろいろな地元住民の皆さんの運動なんか、反対、推進、こういう場合は両方いろいろ出てくるわけですけれども、地元で活動されている人たちのキャンペーンであったり、それから一緒に考えていこうよというような取り組みが、一つ一つ、その地域の、自分たちのことは自分たちで決めていこうという意識の啓発につながっていくと私は思うんですね。

 ですから、今御指摘のような古い体質というのは、日本国じゅうあちこちにあると思います。しかし、そこを、地方自治、どういうように自分たちのことは自分たちで決めるのかということを、やはり気づいた人たちが周りに広めていったり、それから一緒にやっていこうよという働きかけをし続けるということで変えていくしかないんじゃないでしょうか。

 スイスなんかですと、細かいことまで住民投票で決めるわけですよ。そういう直接民主主義が定着している国もあるわけですね。住民投票なども、日本各地で今までは余りありませんでした。しかし、自治体の中で行われたケースもあります。しかし、これもまだ、住民投票の結果が議会に行ったらねじれてしまって、議会の議員構成とは別だから、別の結論に至るというようなこともあちこちであるわけですよ。

 ですから、そういう意味では、いろいろな意思表示の仕方、どのようにすれば住民の皆さんの声を直接的に、それからいろいろな立場の方々の声を吸い上げられるかというのは、私は試行錯誤だというように思っています。しかし、少しでもよくしていこうというように試行錯誤し続けるのがまた民主主義でもあると。一番最初に民主主義についてのお問いかけがありましたけれども、試行錯誤の連続が民主主義だというように思いながら、私はこの仕事をやっています。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 ちなみに、平成十九年三月で、これは住民投票という形ではないですが、一万四千五百六十一筆の反対署名が集められました。これは、当時の有権者数二万七千八百九十人の五二・二%もの反対署名が集まりました。

 ちなみに、その次の町議会選挙がありまして、また、先月、町長選挙がございました。そういった流れを受けて、ボートピアに関しての推進の方向は変わっていないように受けとめるというところもあるかもしれませんけれども、先ほど副大臣がおっしゃられましたように、地方選挙において、一つ一つの議員構成や首長が果たしてそのすべての民意を、その当時の一つの争点をあらわしているものかどうか、これはなかなか判断しにくいということがあるんではないかなというふうに思っています。

 そこで、モーターボート競走法第五条二項に「国土交通大臣は、国土交通省令で定める基準に適合する場合に限り、その許可をすることができる。」ということが書いてございます。

 事務方の説明では、私も以前聞いたんですが、基準に適合する場合は許可される、言いかえれば、書類が全部そろって申請をされたら、それは基準に適合している、だから許可されるんだというような説明を受けました。

 私も当初はそうなのかなというふうにも思いましたけれども、そうではないんですね。書いてあることは、許可されるということではなくて、「許可をすることができる。」大臣が許可をすることができるという書き方をされています。これは、言いかえれば、たとえ書面上だけの基準をクリアしていたとしても許可をしない場合があり得るということではないかと思いますが、これについての思いをお聞かせください。

辻元副大臣 今、許可をしない場合もあり得るという範囲は残っていると思います。ただ、よっぽどのことがない限り、地元で決めてこられたことをひっくり返すということも現実的に起こりにくいんじゃないかと思います。

 今回の案件ですと、基礎調査があって、地元との調整、地元自治会に対する説明、同意の取得、地元市町村の長に対する説明、同意の取得があって、警察との協議があって、そして大臣への許可申請があって、適合しているかどうか、そして大臣の許可ということになっています。ですから、まずはやはり地元合意の取りつけ方のところが根っこですので、そこで問題があれば、やはり解決をしていくことが大事だと思うんです。

 ですから、よっぽど大問題か何かが出てこない限り、地元で合意をしてきたものを、国に許可申請があったときに、いや、こんなものできるかとひっくり返すことは、ちょっと考えにくいんじゃないかと思います。ですから、地元で頑張らなきゃいけない。

近藤(和)分科員 ありがとうございます。

 ちなみに、最初の地図に戻っていただきますと、舟橋地区は今、百三十六世帯、この当時、十七年当時は百二十五世帯でしたが、百三十六世帯です。ちなみに、この能瀬地区、緑が丘地区、庄地区、加茂地区を合わせると、二千五百九十六世帯、津幡町の中でわずか二〇・八八%なんですね。例えば、その所属する自治会ということであれば、舟橋地区だけではなくてこの近隣地区の同意をとることも乱暴なことじゃないな、これくらいの手続は踏まえて当然だというふうに私は思っています。

 その中で、わざわざ大臣の判断が必要だということは、書類上だけで上がってきたものを判断するとよくない場合もあり得るからこそ、大臣の判断というものが、いわゆる政治の判断というものがさらに必要なんじゃないかなというふうに私は思っています。

 もう時間がございませんが、私は、そもそもギャンブル場がいけないということを言いたいわけではございません。その議論をしたいわけではないんですね。私が求めたいことは、そこに民主主義的な手続がしっかりととられているかどうか、言いかえれば、そこに民意はあるかということだと思います。

 自治会という単位のとり方、この例でいきますと、舟橋だけがいいのか、加茂やそのほかの地域のことがいいのか、もしくは町としての民意のとり方、こういったものをしっかりと踏まえた上で、誘致、特に物議を醸すようなもの、いろいろな地域で反対運動がございますが、こういった物議を醸すようなものは、やはり特にしっかりとした手続、これは国の責任だと。国の責任がなければ大臣が許可する必要なんてないと思うんですね。それは手続を踏まなければいけないと思いますし、適合しないという政治的な判断がなされる場合には、これはとめることは当然ではないかなというふうに思います。

 政権交代の大きな意義は、民意を大切にすることだというふうに思います。国土交通行政もその方向性で進められることを強く期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

郡主査 これにて近藤和也さんの質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩さん。

馳分科員 おはようございます。

 副大臣、よろしくお願いいたします。本当に活躍に期待を申し上げたいと思います。

 今質問された近藤和也さんは、私、同じ石川県民として、今回当選をされてこうして活躍されていることに、党は違いますが、改めてエールを送りたいと思います。

 実は、私が選挙区としている金沢市も似たような話が今ありまして、私も反対運動の先頭に立っているんですよ。これは、町の中心市街地にサテライト金沢と言われる競輪の場外車券売り場をつくろうかどうかということで、私は、一緒になって反対運動の先頭に立っている者として、近藤さんの話を聞きながら、住民の皆さんとの合意形成のために丁寧な努力をしなきゃいかぬなということを改めて感じましたよ。

 私は、法令や条例や今までの市議会の合意、また経済産業省そして中部経済産業局の実情もすべて調べた上で、これはもう自民党、公明党、共産党、社民党関係なしに、住民の皆さんと話し合いをし、議論を積み重ねて、町中にはさすがにまずいよなということで、こういう運動に参加しているんですね。

 やはりこういう声が国会の場においても議論をされることの重要性ということを私は改めて感じましたし、何となく先ほど辻元さんは、合意を積み重ねて出てきたものをひっくり返すわけにはいかぬというのは、それはそうなんだけれども、我々は国会においてもそのプロセスにスポットライトを当てていく必要があるのではないのかなということであります。

 ちなみに、最後になりますが、でも、そうはいっても、今話にあった舟橋地区の問題については、私は賛成をしている一人なんですよ。つまり、実情を踏まえてやはり対応していかなきゃいけないなというここら辺の議論、だからこそ民主的な手続がだれにもオープンにされる必要があるなということは当然だと私は思っていますね。

 さて、そこで、私の用意してきた質問をさせていただきますが、まず、一人係長の問題です。報道でもちょっと大きく取り上げられました。

 私も、四月十五日に質問主意書を出しまして、全省庁においていわゆる一人係長、つまり係長なんだけれども常勤職員の部下が存在しない、そういう数を調べてみたところ、何と、国土交通省が八千三百四十七人で一位でした。ちなみに二位以下ですが、こんなのはランキングをつけてもしようがないんですけれども、政府答弁がありましたので、一応言います。農水省が六千九百二十四人、厚労省三千五十七人、経産省が千五百九十七人、国家公安委員会が千七百七十三人、防衛省が千三十人、財務省が八百九十人、法務省が七百七十三人、総務省四百七十一人、内閣府本体で四百六十八人、文科省四百五十二人、金融庁三百八人、環境省二百八十八人、公取百人、外務省七十四人、消費者庁五十九人、宮内庁十九人、内閣の機関四人という他省庁との比較の中で、国交省が断トツの一位だったんですよ。

 このことについて、辻元副大臣、御感想をいただきたいと思います。

辻元副大臣 今御指摘のように、八千三百四十七人という数で、私もえらい多いねんなというように思いました。

 それで、理由を、どうしてこういうようになっているのかなということを省内でそれぞれの立場の担当の者から聞いたんですけれども、係が大体一万三千ぐらいあります。国交省というのは、昔の運輸省とか建設省とか国土庁とかが全部一緒になりましたでしょう、職員が大体六万一千ぐらいいるんですね。地方の出先も、各ブロック単位のものだけではなくて、都道府県にも出先があるということで、省としてはかなり大きいんですよ。それで、運輸関係だけではなく、社会資本整備、交通政策とか、それから観光とか海洋とか、守備範囲が多いので、どうしても部署部署で係が多くなるというのは仕方がないことかなというように思います。

 ただ、だからといって、一人でやるよりもチームでやった方がいいこともあるし、どうすれば国民生活と密着した仕事を効率的に、かつ内容を充実させて取り組んでいける組織のあり方が実現するのかということは常に考え、検討していくべき案件だと思いますが、現状では、課も多くて、所管する守備範囲も広い。大体、外を見たら全部なんですよ。川もだし、建物も全部でしょう。それから、車もそうですよね。バスもそうだ、飛行機もそうだ、電車もそうだ、雨が降ってきても気象庁もそうだというように、非常に多いために係が多くなっている。そして、その中で一人で守備せざるを得ないこともふえてきているというのが現状です。

馳分科員 この一人係長というのが、国土交通省にあるすべての係の何%の割合で存在しているのか。でもって、国土交通省の全常勤職員の何%存在をしているのか。ちょっと割合から、一人係長がどういう割合なのか教えてください。

辻元副大臣 定員に占める係長等の比率は二二・二%です。それから、係長などに占める一人係長の比率は六二・〇%。これは、全体の省庁が五五・九%ですから、少し多い。それから、定員に占める一人係長等の比率は一三・八%で、全体が八・八%ですから、これも多いということになります。

馳分科員 多い理由はまさしく先ほど副大臣がお述べになったことで私はいいと思うんですが、そうはいっても、係が一万三千もあるというのはちょっと、私もえらい多いのやなというふうな印象を持ちました。

 つまり、今後の公務員の、無駄排除という言い方は余り僕は好きじゃないんだけれども、できるだけ役割分担をしながらも統廃合していこうよという方針は国交省も当然だと思うんですよ。そうすると、一万三千あるのを一万以内に抑えようとか九千ぐらいに抑えようという目標を持たないと、あるところに全部係、そして一人係長も必要ですと理屈をつけたら切りがないと思うんですね。どうでしょう、副大臣。

辻元副大臣 組織がどういう形で一番活性化するかということを考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。普通の一般企業でいえば、専門がふえてきたからといって係をどんどんふやしていくような企業は余りうまくいかないんじゃないかというように思うんです。特に今は、いろいろな民間の企業も含めて、チーム制といいますか、お互いに共通するような役割を一つのくくりにして、チームで討議しながら、ワークショップ方式みたいな形で、いろいろな人の才能やら意見を発揮しながら問題解決をしたり組織を充実させていくというやり方をしているところも、うまくいっているという事例もあると思います。

 ですから、私は、役所も、常に何か専門性があるからとか新しい問題が出てきたからといってすぐ係をつくるというのも今までのやり方であったようで、それはそれでいい点もあったかもしれないけれども、おっしゃるように、統廃合を含めて、常に組織のあり方がいい方に進んでいくように議論していかなあかんと思うし、変えていかなきゃいけないというように思います。

馳分科員 私も、一人係長という単語を聞いたときに、瞬間に、チームであるから係があって、そのリーダーがおるから係長なんだろうなと思いました。民間でもそうじゃないのかなと。

 ところが、公務員で一人係長がこんな割合で多いということを見ると、ちょっと待てよと。ピラミッド型の組織で、年次に応じてそろそろ、職務に応じて給与も階級も上げていかなくてはいかぬな、ポストをちゃんと用意しておかないといけないなという昔からのあしき前例がいまだに残っている、名残になっているんじゃないかなと僕は瞬間的に思ったんですよ。

 だから、これはある意味で、指摘をされた以上は、先ほど副大臣もおっしゃったように、スクラップ・アンド・ビルドが必要だよね、やはりチームとして活躍してほしいよね、そのリーダーに係長が必要なんだよね、そのためには、人事の評価というものの物差しを持って、当然不服の審査機関も持ってやはり人事というのは進めていかぬといけないんじゃないかなと私は思うんですよ。これをやっていかないと、ピラミッド型になると、ピラミッドの階段に競争に乗れなかった人の部分のポストをほかに用意するということを続けてしまうと、本来の民主党政権が目指そうとしていた公務員の制度改革の本質から外れてしまうと思うんですね。

 小川さん、私の話をさっきからずっとうなずきながら、考え込みながら聞いておられましたが、どう思われますか。

小川大臣政務官 大変興味深い議論だなと思いながら、お二方の御議論をお聞きしておりました。

 私自身も、十年近く、総務省なり、また都道府県、市町村の現場で勤務をさせていただきました。その傾向からすれば、委員御指摘のような原理といいますか力学といいますか、そういうことが働きかねないとも言えない状況はやはり文化としてあるのだろうと思います。しかし一方で、これだけ複雑多岐になっている社会ですから、それぞれがきちんと役割分担を明確にしようとすればするほど、組織は細分化をし、責任の所在は縦割りになりがちだというような要請もあろうかと思います。

 この辺、なかなか明快に結論を申し上げがたいところですが、要は、きちんとバランスをとって、国民の皆様から納得をいただけるような組織の形態なり人事管理を行っていくということが肝要だろうと思います。

馳分科員 私、野党になったので、乱暴な結論から先に言いますよ。

 まず、総理が、国家公務員の人件費は、僕は二割はちょっとやり過ぎだと思うんだけれども、総枠で一割減らしましょうと。しかし、ILO勧告にも従って団体交渉権は与えましょう、不服審査もしましょうと。でも、人件費はやはり税金ですよ。国家総体の将来を考えた、これは菅直人さんがやるべきだと思うんだけれども、財政の中期フレームの中で、やはり公務員の人件費は国家公務員が率先してやらないと、地方公務員も同様の問題を抱えているんですね。率先してやろうよと。

 加えて、天下り根絶を目指しましょうよ、この方針も大きい方針として出しましょうよと。でも、人件費は、僕はやはり一割が限度かなというふうに思っていますし、また警察なんかは、あるいは国土交通省も、現場にいる職員の生首を切るのはできないですよ、はっきり言って。こういうことを踏まえた上で、全体として一割削減、天下りもやめさせましょうよ、こういう方針のもとでやっていくのが必要なんじゃないかなと思うんです。

 当然、そのためにも、交渉団体として労働組合があるわけですから、団体交渉権は与えますよと。でも、これは民間の労組も同じだと思うんですけれども、やはり会社の経営計画、方針に協力するというのがお互いさまですよ。

 そう考えると、公務員の人件費に関しても、私はたまたまきょう一人係長ということで指摘をさせていただいていますが、やはり一人係長はみっともないですね、いつまでも温存しておくのは。

 好き勝手なことを言ったようですが、副大臣そして小川さん、考え方としてどのように思われるか、改めて私はお聞きしたいと思います。

辻元副大臣 組織のあり方をどのように見直していくかというのは、一方で、そこで働く人たちの人生がかかっている話でもあるという点を考慮しなきゃいけない。しかし一方で、組織のあり方の見直しいかんによっては今よりも活力のある組織に生まれ変わることができるということで、人の配置や働き方の采配をどう振るうかが、いわゆるその組織が生きるか死ぬかの大きな分かれ目だというように思います。

 そんな中で、日本は今、閉塞感がありますでしょう。全体的になぜここまで硬直化してきたのかというのを考えたときには、やはりそこの中心になって政策立案をしてきた、国土交通省だけではなくて、各省の組織のあり方を大胆に見直すということは、この閉塞感を突破していく上では大きな力になるんじゃないかと私は思っております。

 そういう意味で、公務員のあり方、それから政治とそれぞれ各省庁とのあり方などを議論して見直すということはとても大事だと思うんです。

 普通の民間会社だと、私も商売をしていましたから、売り上げが伸びへんならつぶれるわけですよ。だから、常に、売り上げが伸びなかったら、つぶれそうになったら、組織のあり方を必死で見直すわけです。どうしたら会社の業績を伸ばせるかとか、どうすれば活性化するかというのは常にやっているわけです。

 国は、何となくぼんやりして、借金もふえて、そして財政も厳しくなっているけれども、やはり見直し度合いは、そういうところでずっと生きてきましたので、何となく遅いなという感じはしますから、今御指摘の点も含めて、組織のあり方について国交省でも考えていきたい。

 ただ、国交省は、海上保安庁とか安全面担当とか管制官とか、特殊技能の人たちもいますので、そういう省のそれぞれの特徴も見ながら組織のあり方を考えていかなくちゃいけないなと思います。

小川大臣政務官 大変貴重な御指摘をいただいている、基本的にそう思っております。

 突然のお尋ねで、ちょっと流れ弾をいただいているような状況ですので、個人的な見解が織りまざることをお許しいただきたいと思うんです。

 二つ思うことがあります。

 一つは、やはりそれなりに歴史的な経過なり社会の実態と合わせながら国家の行政組織というのはできてきていますので、そういう意味では、歴史的な実態、社会的な実態の一つのあらわれとして尊重すべきだろうと思います。

 しかしながら、変化の激しい社会ですから、民間では、例えば、部制とか課制とかいうよりも、グループ制とかチーム制とかいう形で、従来の縦割りよりはむしろ横の連携を重視する仕組みに変わってきているわけです、これははるか以前から。

 それからもう一つは、係長に自動的に昇任しなければならないんじゃないかという問題意識を委員がお持ちで、仮にそういう力学が働くとしたら、同時昇進とか横並びとかいう感覚が働けば働くほどそういう結果になりかねない。

 そこで、私は、中央官庁の特にキャリア組と言われる人たち、これは本当に一斉に同時昇進です、これまでの慣行からいえば。ところが、勤務させていただいた沖縄県庁とか愛知県の春日井市役所、これは五十代の係長もいれば五十代の部長さんもいらっしゃる。同時に入ってくるわけですけれども、能力や実績、あるいはいろいろなめぐり合わせがあるでしょう、さまざまに昇進をお互いに重ねながら、いろいろな柔軟な人事形態が実現されている。

 ですから、横の連携を重視した組織形態に移行していくことと、同時昇進、横並びという慣行を突き崩していくこと、この二つによって、委員がお持ちの問題意識というのは相当解消されるんじゃないかというふうに個人的に感じながらお聞きしておりました。

馳分科員 二つは私も思うんですね。

 一人係長はやはりちょっとみっともないですよ。しかし、例えば新聞記者なんか、遊軍というのがよくいますよね。つまり、能力があるんだから、社会部でも政治部であろうと、スポーツであろうと文化でも、どこでもすぐ何かあったときにぱっと行かせるという。これはむしろ、国家公務員でも、こういう遊軍みたいな形で、何かあったときのために、チームを編成して政策に取り組むというための必要な人材なんだよと。

 辻元さんが言ったそのとおりなんですよ、生首は簡単に切れないんですよ。そのことは与党になってよくわかったと思うんですよ。改めて、生首は簡単に切っちゃいけないんですよ。いかにいい人材を有効に使うか、僕はこのことをやはりあえて副大臣も国交省の中で大声で言っていってほしいんです。

 ただ、次に、ちょっと嫌らしい質問をしますね。

 国土交通省において、定員削減計画を維持しつつ、さりとて、早期勧奨退職、肩たたきを推進しなくても、必要とされる新規採用者の人数の確保はできるんでしょうか。これが今大きな問題になっていて、今のままだと、公務員に新しい血が入ってこないんじゃないかというふうな、優秀な人材が民間の方にばかり流れちゃうんじゃないかという不安もあるわけですね。いかがでしょうか。

辻元副大臣 これは国交省だけではなくて、国家公務員の新規採用についてはおおむね半減させるということを内容とする国家公務員の新規採用抑制の方針が、二十三年度、政府で検討されております。政府の検討の結果を受けて、国交省でも考えていかざるを得ないかなというように思います。

 ただ、やはり、私はさっき日本を元気にしていくという話をしましたけれども、公務員の皆さんが政策立案を大もとのところでするわけですから、そこで働く人たちがやりがいを持って生き生き働けないということは、日本は元気にならないということにつながると思います。

 ですから、そういう意味では、長く定年までいても生き生き働ける、新しい人もできるだけ、限定された範囲の中で能力のある人を採っていくということを、やはり人数は減ったとしても両立させていく制度をつくっていかなきゃいけないなというように考えています。

馳分科員 私なりのある部分無責任な発言で済みませんが、額よりも数、数よりも質。ちょっと公務員の皆さんに失礼かもしれませんが、よりよい、一人一人の人件費、一人一人の金額よりも、やはりチームを組める人数を確保しましょう、でも、数がいればいいというものじゃなくて、やはり質を高める、常にその研修も努力もしましょうと。そういうことで、もっと公務員の諸君を督励するような人事の制度であってほしいな、私はそういう意味での質問にさせていただきました。

 次に、整備新幹線の位置づけと財源確保についていたします。

 整備新幹線については、その財源確保が最大の問題です。整備新幹線の建設は、新政権においても国家プロジェクトであり、国土の骨格をなす国土軸の形成事業との位置づけが明確になされれば、おのずと社会資本整備の中での優先順位も上がります。

 まず、整備新幹線の位置づけについての見解を求めます。

辻元副大臣 この整備新幹線の位置づけは、非常に重要なものだと考えております。

 ということで、国交省は、政権交代後も、この整備新幹線問題にきちんと対応し、そしてさらには、新規着工についてはどのような考え方でいくのかということを取りまとめようということで、整備新幹線の整備に関する検討委員会をつくりました。この中にはそれぞれワーキングチームを設けまして、国交省だけではなくて、総務省や財務省にも入っていただいて、今検討を積み重ねております。

 ただ、今御指摘があったように、財政の制約が十年前、二十年前に比べましてきつくなってきているということは共通の認識だと思います。それと同時に、費用対効果、それから関係地域の取り組み等の整備、並行在来線の問題なんかも、後で指摘いただくかもしれませんけれども、出てきております。

 ですから、それと両立できるような感じでやっていかないと、何でもつくったらいいというわけではないということも、前よりも外的要因として強くなってきている、そのことも含めてこの検討委員会で十分な議論をしてまいりたいと思っています。

馳分科員 財源のことで、今、巷間うわさされている二つの財源の話を言いますね。

 私、新潟県が平成二十二年二月十七日付で出した資料を見て、なるほどと。読みますね。「新幹線貸付料を新規着工の建設費に充てるのは反対であり、」こう明確に言っていますが、「新幹線建設の財源は、東海道新幹線のときの財投のように、例えば郵政資金を活用すべき」と主張するものもあれば、あるいは、事業仕分けで出てきましたね、鉄道・運輸施設整備機構のいわゆる積立金を活用し、いわゆる社会資本の整備なので、あれは一兆ちょっとあったのかな、使えるものはやはり、有益性ということは辻元副大臣もおっしゃったとおり、みんなわかっているんですね。あとは優先順位ですね。

 そうすると、一過性の積立金の取り崩し、これを戻しなさいよと言ったもの、これも一つの視野に入れていく。郵政の金を使うというのは、また財投の繰り返しをするようで、私は余りよくないなというのが本音です。むしろ、こういう積立金があったら、つくった後の地方における利益、JRにおける利益ということを考えると、ここのところが落としどころなのかなと思って、私はそういうふうな意味で今、野党の立場として見ておるんですね。

 見解を求めるのは大変僣越ではありますが、副大臣としてどうお考えでしょうか。

辻元副大臣 まず、郵政資金を特定の事業目的のために使うというのは、私は慎重に検討しないとならないと思っております。

 それと同時に、機構が持っているのは約一・三兆円なんですけれども、これも今、仕分け等で議論をされております。そのポイントは、やはり今、この整備新幹線のことに限らず、社会資本整備というのは経済の活性化や地域の活性化に役立つ。一方で、社会保障、医療とか子育てとか介護とか、高齢化になりまして、そちらへの予算の振り分けということも、大きな枠で見れば大事になってきます。

 ですから、そのバランスのとり方ですね。バランスをどのようにとって全体の財源を配分していくかということと、それから社会資本整備の財源をどこから捻出してくるかということ、この二つの観点で処理していかないと、社会資本整備で大事なのはわかっているんだけれども、社会資本整備の中の優先順位だけではなくて、では、介護や医療の方も深刻な状況になっている中で、そういう大きな優先順位のつけ方ということも議論せざるを得ないという状況に今対応して、国交省としては、やはり社会資本整備は削るということでこの間予算をつくってきて、それをそのほかのところに回せるようにというようにやってきました。

 しかし、これは削り過ぎると雇用や地方と都市の格差も広がりますので、そのさじかげんというか、そこをどうしていくかというところで実は頭を痛めながら財源の捻出を考えているということです。その中に整備新幹線も、これはお金がようけかかりますから、かなり深い悩みの一つとしてあるという状況です。

馳分科員 最後の質問になりますが、地方負担の軽減という意味においても、平成二十年度から最大七〇%まで引き上げられた交付税措置のさらなる拡充とか、地域活性化・公共投資臨時交付金というような仕組みが欲しいというのが、新規着工、未着工区間を抱えている地域の皆さん方の本音ですよ。こういう指摘に対してどうお答えになっていかれますか。このことをお伺いして、私の質問を終わります。

辻元副大臣 今の点も含めまして、お金をどのように、どこから捻出して使っていくかということは議論してまいりたいと思っています。

 ただ、では安易にお金をつけてつくればいいのかというところも、費用対効果という面でしっかり検証していかないと、つくったはいいけれども、ストロー現象が起こって、その町がなかなか経済も活性化しないというような現象も出てきていますので、財源の面と、それからその後の効果をトータルに見ていかなきゃいけないんじゃないかなと思いながら取り組んでおります。

小川大臣政務官 地方負担の側についてでありますが、委員御案内のとおり、三分の一の地方負担、九〇%の起債充当率、原則五〇%の交付税算入という仕組みでございます。

 さらに拡充という御意見、しっかり受けとめさせていただきたいと思いますが、一方で、いろいろなこととのバランス、共有財源ですので、そこに本当にどの程度充てることが許されるのか。あるいは、新幹線が通ることに伴う便益も一部にやはり実際あらわれております。こういうことが他の自治体から理解を得られるか。こういったことも含めて、よくよくこれは慎重に検討させていただきたいと思います。

馳分科員 終わります。ありがとうございました。

郡主査 これにて馳浩さんの質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久さん。

稲津分科員 公明党の稲津でございます。

 きょうは、海洋立国日本、このことを踏まえて、海洋調査、外国船籍の放置座礁船について、それから持続可能な水産資源の利活用についてということで、大要三点、質問させていただきたいと思います。

 きょうは、佐々木農林水産大臣政務官、水産庁からも山下次長ということで政府参考人としてお越しをいただいておりまして、後ほど関連でお聞きをさせていただきたいというふうに思います。

 まず初めなんですけれども、平成十九年四月、超党派の議員立法によりまして我が国で初めて制定されました海洋基本法、内閣に、内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部が設置をされまして、最初の取り組みとして海洋基本計画が策定された、このように承知をしております。この海洋基本計画を見たときに、日本が今後海洋立国として海洋を基盤とした国際的な地位を確保していくための大変大事な多くの問題提起がなされているというふうに思っております。

 我が国が海洋立国を目指す上で、問題点について幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、政権交代から約九カ月間、現政権における海洋立国日本を目指す方向性、意気込みを聞かせていただきたいというふうに思います。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国は四方を海に囲まれております。そういう中にあって、国土の面積の約十二倍に相当する四百四十七万平方キロに及ぶ管轄海域を有する海洋国家でございます。そういった排他的経済水域また領海といったところには、海底にはさまざまな鉱物資源があるとこの間言われてきております。メタンハイドレート、コバルトリッチクラスト、さらには海底熱水鉱床、こういったものが多く含まれているわけであります。

 我が国は、長らく資源小国と言われてきたわけであります。しかしながら、今申し上げたような海底の資源というものの権益をしっかりと守ることによって資源大国になっていけるものと私は確信しております。そのためにも、こういった海洋権益、資源のポテンシャルというものを十二分に活用していかなければならないと思っております。それが、ひいては我が国の成長にとって最重要の課題になってくると考えているわけでございます。

 いずれにいたしましても、海洋立国として日本がなっていくよう、政府一丸として取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

稲津分科員 今、政府一丸となって取り組んでいきたいという御答弁がありまして、そこは期待をさせていただきたいというふうに思っております。

 その排他的経済水域圏、世界第六位とも言われているということで、まさにこの排他的経済水域圏の中の海洋資源、これは水産資源も含めての話ですけれども、ここをいかに、どのようにして今後これを持続可能な資源として保有していくかということは極めて大事なことである、それは言うまでもないんです。

 そこで、五月十日の読売新聞に、海洋立国実現の礎となるべき海洋データが存続の危機にあるという記事がございました。早速、海洋政策研究財団ニューズレターを入手して読ませていただきました。これは東京大学の黒倉教授の文章でございますけれども、それによりますと、船舶による海洋調査は、これまで、地方自治体の水産試験場によって行われているものが量的に最も多いということでございます。しかし、各自治体における海洋調査の実施が困難になってきているという面もございまして、ある自治体では海洋調査に向けられる研究予算は相当へこんでいる、こういうことも実際に私も耳にしているところでございますし、まさにこの報告の中にもございました。

 その一つとして、これは私どもの同僚議員も指摘をさせていただいておりますけれども、地方自治体の財政の逼迫によって、国から地方に回る予算の中で海洋調査に係る予算の優先順位というのが自治体においてはどうしても下がってしまう、よって削減せざるを得ない支出項目になっているという性格もあるのではないか、このように懸念されるわけでございます。

 海洋基本法第二十二条には、国は海洋調査のための体制整備に努めなければならない、こう定められておりまして、一方、地方公共団体におきましては、責務として、同法の第九条に、「地方公共団体は、」「国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」こうあります。

 このことについて農水省の方にお聞きしたいんですけれども、こういった実態が実際にあるのかどうか、その認識をお伺いしますとともに、もしそういった実態があるのであれば、何らかの対策を考えておられるのか、この二点についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

佐々木大臣政務官 海洋調査における自治体の取り組みについての御質問をいただきました。

 都道府県においては、定着性の高い貝類の資源調査、それから沿岸地先海域における工場等からの温排水が漁場等の環境に与える影響に関する調査などが実施をされているところでございます。

 都道府県における海洋調査については、各都道府県で予算を措置するとともに、国としても、強い水産業づくり交付金で一部を、二分の一でありますが、支援させていただいているところであります。ハード、ソフト、それぞれについて支援をさせていただいているところでございます。

 さらに、北海道では、資源調査の例として、網走湖のヤマトシジミの資源調査、マナマコの資源量の調査、噴火湾の底質調査、チヂミコンブの生態調査などが行われているところでございます。

 水産関係の海洋調査は、水産資源を適切に管理する上で必要不可欠でありますところから、今後とも、国及び関係都道府県連携して取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

稲津分科員 佐々木政務官から、国における事業についての具体的な御説明もいただきました。それはそれでお進めいただいて大変ありがたいんですけれども、ただ、最初に私が申し上げた、いわゆるそうした地方の実態における、特に都道府県等の海洋調査の状況がどうなっているのかということについては、ちょっと具体的にはお示しいただけなかったのかなと思っています。もちろん網走のシジミの話やなんかは触れていただきましたけれども。

 ただ、ここでしっかりと訴えさせていただきたいことは、例えば、これは農林水産技術会議事務局調べの報告書なんですけれども、水産関係機関の数、研究費、研究員の推移、都道府県の合計の数がこのニューズレターに示されておりました。これを見ますと、約十年余りの間に、例えば試験研究機関の数、研究費、研究員、いずれもやはり減ってきている。特に研究費については半減になっているという状況があるんです。私は、そういうことを踏まえて考えていったら、やはりこれはトータルとして、どうしても研究費等の予算は縮減されていると言わざるを得ないわけでございます。

 こうなってくると、海洋基本法の理念と整合性がきちんととれてくるのかどうかという根本的な問題が出てくる。ここらの予算確保については、海洋調査の統合調整を行うという責務が国にあるわけですから、私はそこはしっかりやっていただきたいと思うのですけれども、見解を伺いたいと思います。

長安大臣政務官 今委員の御指摘のございました観点というのは、私ども政府としても全く同感でございます。

 海洋に関する多様な施策を的確に実施していくためには、必要な情報を取得するための海洋調査を適切に実施していくということ、またさらには、得られた情報を提供していくということが必要だと考えております。

 そういう中で、政府におきましては、各省、関係省庁に入っていただきまして、連絡会議を設置させていただいております。具体的には、文科省、農林水産省、経産省、国交省、環境省、防衛省、こういった省庁の連絡会議を設けさせていただいているところでございまして、お互い連絡を密にとりながら、また、縦割りと言われる行政の中で総合調整、情報交換を行っているところでございます。

 また、海洋調査によって得られた貴重な海洋データの幅広い活用を図るためには、これは海上保安庁の日本海洋データセンター等において、地方公共団体のものも含めまして、海洋データを収集、管理し、幅広いユーザーに提供をさせていただいているところでございます。

 委員が先ほど例に挙げられました農水省の分野の地方がやっている海洋調査、これは主に、海洋の資源でもとりわけ魚介関係の資源になっているのかなと考えております。一方で、海底の地形の調査であったり、地質の調査であったり、これはそれぞれがばらばらに今まで調査してきた嫌いがあります。今申し上げました連絡会議というものを設けて、それぞれ活用できるものはお互い共有しながらやっていくような仕組みが、本来あるべき姿だと考えておるわけでございます。

 今後とも、関係府省、機関との連携を強化しながら、海洋調査に関する施策を積極的に推進すると同時に、必要な予算というものは確保してまいりたいと考えております。

稲津分科員 私は、一つの例として、海洋資源の中でいわゆる水産資源について、データに基づいて、報告に基づいて、今お話しさせていただいたんですけれども、意図するところは恐らく同じだと思うんです。

 まさに、海洋基本法という法律ができて、そしていわゆる総合海洋政策本部を設置されて、各省庁ばらばらでやるんじゃなくて、そこは一体的に情報交換をして、そしてこの政策を進めていこう、まさにこれこそ国家的プロジェクトであるというふうに私は、ここはもう本当に同感するところなんですね。

 ちょっと世界の方に目を向けて見ると、やはり排他的経済水域圏やあるいは大陸棚の貴重な水産も含めていろいろな資源については、ここはまさに各国、カナダもそれからロシアも中国も台湾も韓国も、いずれも国家的プロジェクトとして位置づけて、中には海洋省という省までつくってやっているところもある。

 私は、正直に言うと、日本はこの近隣諸国の海洋政策の中では後発に位置しているというふうに思っているんです。したがって、ぜひここのところは、今、必要な予算の確保もされるということをおっしゃられたので、積極的にやっていただきたい、また、地方との連携もさらに進めていただきたい、このことを強く申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、二点目の質問なんですけれども、海洋基本法第十八条には、船舶の事故等により流出した油等の迅速な除去、海洋の自然環境その他海洋環境の保全を図るために必要な措置を講ずる、こうございます。

 ことしの三月二十一日に、発達した低気圧による強風の影響で、北海道石狩湾新港の隣接地域にベトナム船籍の貨物船ドン・フォン号が座礁をいたしました。油流出等の大きな被害はなく、四月十六日、無事離礁しました。こういう状況であったんですけれども、現場の方は、漁業被害等々も含めて、まさにどうなるのかという大きな不安の声がございました。

 そこで、まず、今回の座礁事故の経緯についてお伺いしたいと思います。

辻元副大臣 経緯についてお答えいたします。

 日にちは、先ほど委員がおっしゃいました平成二十二年三月二十一日。韓国から北海道石狩湾新港向けのベトナム籍の貨物船ドン・フォンが、石狩湾新港付近の海域で入港待ちのために錨泊中であったところ、強風が吹いてきて流されて、そして再度いかりを入れ直そうとしたんですけれども、間に合わず、同日午後一時ごろ、石狩湾新港の北東約千三百メートルの浅瀬に乗り上げてしまったというのが概要です。

 その後、三月二十九日から、ドン・フォンの船舶所有者が手配したサルベージ会社によってこの浅瀬からの引きおろしの作業を実施して、四月十六日に作業を完了して、現在は石狩湾新港に着岸中であるというのが現状です。

 ちなみに、人命の異状や油の流出の被害は認められていないということです。

稲津分科員 ありがとうございました。

 今回のベトナム船籍の座礁船につきましては、PI保険に加入しているということでございまして、また、船主の代理人が補償を行うという旨も伝えたと聞いていますので、今後の推移を見なければいけませんけれども、現段階では、いわゆる大きな問題に発展していくということはちょっと考えにくいのかもしれません。しかし、いずれにしても、今後しっかりした対応をお願いしたいところでございます。

 平成十六年四月に、海洋汚染防止法及び油濁損害賠償保障法が改正されまして、平成十七年の三月から、我が国に入港する百トン以上の船舶についてはPI保険の加入が義務づけられました。これによって、船舶から油濁した場合の除去の費用ですとか座礁船の撤去費用についてはこのPI保険で賄われる、こうなったわけですけれども、地方自治体も含めて数多くあったこの座礁船問題に対処した我が国にとっては大きな前進である、このように認識をしております。しかし、この法改正で放置座礁船問題がすべてクリアになったのか、そうはなかなか言いづらいのかなというふうに考えております。

 実際に私も現場へ行って見てまいりましたけれども、平成二十年の一月一日、北海道利尻島の南東の沼浦地区にPI保険未加入の外国船が座礁しました。我が国に入港を目的とはしていませんでしたが、当時激しい季節風が吹いておりまして、緊急入港のために浅瀬まで入ってきたと思われるんですけれども、船主との粘り強い交渉を行って、燃油の抜き取り等の費用、それから船舶の撤去を約束させたということは承知しております。ただ、本国に帰国後、その後は全く音さたがなくなってしまった。その後、船主との連絡がとれないまま、船体の撤去を行わざるを得なかった。こういうことで、いまだに加害者からの支払いがないために、その費用はこの利尻富士町が負担をしている。こういうことでございます。

 こういう件についてどうお考えになるのか、この点についてもお示しいただきたいというふうに思います。

辻元副大臣 まず、我が国の港に入港せずに領海を航行する船舶等については、通過するだけですので、国際慣習法上、我が国の法令により直接規制することが困難であるということから、保険の加入義務を課していないという点がございます。

 そうすると、こういう船が座礁してしまった場合、幾つかのケース、今御指摘のケースもありますけれども、どうしていくのか。第一義的には、船体の撤去などは船舶の所有者に対して強く働きかけるということですけれども、働きかけてなされなかった場合、これは地方自治体で処理をしていただくというようなことになっています。

 ただ、そのときの費用負担などは、自治体だけでは非常に厳しいところもありますので、一部については特別交付税が交付されているというように、今その仕組みで対応していただくということになっているのが現状です。

稲津分科員 確かにそのとおり、現行はそういう状況だと思います。

 それで、私が調べたところによりますと、今の利尻富士町の案件ですけれども、利尻富士町がこの撤去にかかった費用は三千四百七十万円。平成十六年三月の制度改正で、今お話ございましたように、市町村が座礁船を撤去した費用につきましては特別交付税の措置がなされるということで、いわゆる八割補助になった。しかし、実際に二割は自治体が負担しなきゃならないという現状ですね。この利尻富士町の場合は六百九十四万円負担しているということを承知しております。人口が大体あそこは三千人ぐらいなんですかね、その町で考えると、その財政状況を考えると、この六百九十四万円というのは決して低くない数字ですよね。

 そこで、現在、船体が撤去されないまま日本の沿岸に座礁している外国船はどの程度あるのか、この点についてお示しいただければと思います。

辻元副大臣 現在は、国交省として把握しているものは七隻でございます。

稲津分科員 そこで、ではその七隻がなぜ残っているのかということになってくるんですけれども、今、交付税の話がございまして、特交での措置がされるにもかかわらず、実際にこれだけの外国船が座礁して残っているという現状を踏まえたときに、その理由をどう考えるか、このことについてもお示しいただければと思います。

辻元副大臣 まず、船主というか所有者がきちんと対応しないということで放置されたまま、自治体としては、費用対効果というか、それを置いておくこととそれからかかる費用との兼ね合いを見て、だれもそんな座礁した船を置いておきたいはずはないと思いますので、撤去したいけれども、経済的な、財政的な理由から置いておかざるを得ないということが一番大きな原因ではないかというように思います。

稲津分科員 ある意味では災害みたいな話でございまして、そこは、考えてみると、たまさかこんなことが不幸にしてあった場合にどうするかということになって、国としてもそういう特別交付税措置をしているということはわかるんですけれども、それで果たして十分なのかどうかということになってくると思うんです。もちろん、この問題をいろいろな角度から議論していったときに、そもそも、先ほどありましたように、PI保険に加入していればそれほどの問題はないわけですね。ですから、そこのところがベースになると思うんです。

 では、視点を変えてちょっとお伺いしたいんですけれども、例えば、仮にこのようなPI保険に未加入の船が座礁事故を起こした場合に、そこに漁業被害が起きてしまう、そういう場合に、その漁業被害に対して何らかの支援策があるのかどうか、これは農水省の方にお聞きしたいと思うんです。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 PI保険についてでありますが、PI保険未加入の外国船が起こした座礁事故であって、船主が行方不明等の事情がある場合には、漁業者等が漁場油濁被害の拡大防止のために防除作業に要した費用について、漁場油濁被害救済基金というところからの支弁が可能でございます。これは、国と県が七千五百万ずつ出して一億五千万の基金を造成するという事業でございます。

 これは、原因者は判明しているが、PI保険に未加入の場合あるいは船主が行方不明であるというような場合に、漁船そのものではなくて、いわゆる漁業被害のうちの防除措置が行われない漁場油濁被害について実施する費用を支弁するという仕組みでございます。

 基本的には、先ほど国交副大臣からもお話がありましたが、加入、未加入にかかわらず、本来は民事的に解決されるべきものでありますが、こうした事情の場合にこの基金が使われているということでございます。

稲津分科員 そうなんですね。油濁の場合は今の御答弁のとおりなんですけれども、油濁がなかった場合はどうなのかという問題ですね。

 例えば、油濁がなかったんだけれども、実際に座礁してしまってしばらく放置されて、しかも、なおかつそこの場所が貴重な水産資源のあるところであった場合に、ではそこの漁業被害の補償はどうなるんですかということになってきて、まさに泣き寝入りせざるを得ないような場面もあるわけなんです。そういうことで、私は、ここのところはさらに今後いろいろな議論を詰めていかなくちゃいけない問題だというふうに思っています。

 そこで、大分時間も参りましたので、その後の問題で、外国船舶が我が国の港に入る場合、先ほど話したようにすべての船舶にPI保険を義務づけたわけですけれども、PI保険未加入の船舶も確かに航海するわけですよね。そうなってきますと、私は、日本もこれだけの排他的経済水域圏をたくさん持っているわけですから、そう考えると、やはりPI保険の加入率を上げていくということを各国に対してもPRしていく必要性があるだろうというふうに思うわけでございます。

 PI保険義務づけの状況ですとかリーダーシップの必要性についてどうお考えなのか、この点についてお示しいただければと思います。

辻元副大臣 この義務づけについては、日本の場合は、日本に入港する船には義務づけている。一方、日本のほかに、これらの費用を補償するための保険契約加入を義務づけている国は承知していないというような現状なんです。船は、あちこちいろいろな所有者の船が世界じゅうを自由に行き来しております。ですから、基本的には沿岸国の判断にゆだねられるという性質のものだと考えております。

 ただ一方、これは日本の港及び沿岸に座礁したり何らかの事故を起こしたりということだけではなくて、世界じゅうは海でつながっていますので、あちこちの国で起こり得る案件だし、起こっているはずなんですよ。

 ですから、そういう意味では、一番最初の、海洋立国の日本として、そういう国際的な場でこのような問題を提起していくということは非常に重要じゃないかな。これは日本だけじゃなくて、ほかの国も迷惑をこうむっているところはたくさんあると思いますので、提起していくことは意味があると考えます。

稲津分科員 今、大変大事な御答弁をいただいたと思います。ぜひしっかりと進めていただくことをお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、最後に一点だけお伺いして終わりますけれども、持続可能な水産資源の利活用ということで、水産庁が平成十九年からスタートしましたフロンティア漁場整備事業、この事業は、EEZにおける我が国の水産資源をより一層持続可能なものにするために非常に重要な事業と考えております。この事業の概要とともにその重要性について認識を伺って、質問を終わります。

山下政府参考人 我が国漁業生産におきまして大きな役割を果たしております沖合漁業についてでございますが、近年、資源状況の低迷等を背景に、漁獲量の減少が顕著となってきているところでございます。

 一方、漁場の整備につきましては、これまで、地方公共団体が実施主体となりまして、主に沿岸海域において魚礁の設置、藻場、干潟等の整備を実施してきているところであります。

 こうした中で、複数の県にまたがる沖合域における水産資源の回復を図るため、平成十九年度から、国直轄の漁場整備事業でございますフロンティア漁場整備事業、本年度予算で予算額十三億円でございますが、これを現在実施しているところでございます。

 今後とも、世界第六位の広さを誇る我が国排他的水域の高度利用により、国民への水産物の安定供給を図る観点から、資源管理措置の強化とともにフロンティア漁場整備事業を推進してまいる所存でございます。

稲津分科員 終わります。

郡主査 これにて稲津久さんの質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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